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鮫島委員 去年の十一月に
環境省が
環境税の具体的な姿というので出した説明書の中には、むしろ
環境税の
効果は、税をかけることによって
エネルギーの使用量が減るという直接的な
効果よりも、そのお金を省エネ
対策等々に使うことによって出てくる、削減されるCO2の方がはるかに多いような見通しの説明ペーパーだったと思いますが。
いずれにせよ、まず、項目別の
目標達成計画を出して、財源がどのぐらい要るかを
国民に示して、その財源をどうやって調達するかということがあって、
環境税という話は、私は最後に出てくる話だろうと思いますよ、これからいろいろな、年金や福祉の方で
国民に
負担をかけなくちゃいけないときに。いきなり最初から、初めに
環境税ありきみたいな
議論は、私は、おかしいんではないか。
だから、財源が幾らか確定した段階で、本当にそれがないのかどうか。土地改良法というのは昭和二十四年にできて、いまだに走り続けている。道路
整備緊急
措置法は昭和二十九年にできて五十年以上、まだ緊急
措置をやっている。そういう戦後復興型、開発途上国型の公共事業が十五本、日本列島を暴走しているわけですけれども、そういうところを見直せば幾らでも出てくる話ですし、
エネルギー関係諸税と言われている揮発油税、石油ガス税、石油石炭税等々四兆五千億ぐらいありますから、見直せばこういうところからも
環境税は出てくるわけです。
その意味では、文明が変わったんだ、いつまでも戦後復興型の、開発途上国のような公共事業をやっているんじゃないよと、もう今や空気もただではないんですよという意味では、大幅な予算の組み替えがあって、こういうところに、いきなり
環境税という話にならずに、まずは本当に財源がないのか、
エネルギー関係諸税もよく
検討して、あるいは特定財源なんかも
検討して、
国民に提案しないと、いきなり全員に税金を払いなさいということでは、僕は納得されないと思いますよ。
ましてや、いきなりそれを、先ほど言った、一番最初に確認した、怪しげな
森林吸収
対策に直接
環境税を流して、全部
森林の作業に使うというようなのは全く通らないと思いますし、私たちは、
森林は
森林で、きちっと地に足のついた
森林管理の予算を組むべきだし、
森林吸収は一回しか使えないわけですから、こういう一過性の、麻薬みたいな金に頼るべきじゃないという考え方です。これはまた、
環境税の論議は多分今後もさせていただくと思いますが、初めに
環境税ありきではなくてお考えをいただきたいというふうに思います。あと五、六年しかない中でこの
達成ができるのかどうか、非常に危うい感じがするんですが。
私はヨーロッパの国はなかなかうまく、EUはうまくやっていると思って、俗に言うキャップ・アンド・トレード方式。これは、各事業所ごとに、あなたの事業所はこれだけ出してもいいですよという枠を与えて、それをクリアすればというか、それより少なければその枠を売ることもできる、ところが、それを超えたら、罰金を払うか
政府から枠を買わなければいけない。それを今一万二千の事業所で、全部その
排出量を決めて、排出枠を与えて、これでEU全体の
排出量の四五%をカバーするぐらいの事業所ですが、こういう方式でやると、予算は一円もかからないんですよね。
政府は排出枠を与えて、オーバーすれば罰金を取ればいいし、あるいは罰金を払うのが嫌だったら
政府から枠を買えばいいし。今、取引されているのは、EUでトン当たり七ユーロですから、約千円で排出枠が買えます、
政府から。もしオーバーして、ペナルティーの方が五千四百円ですから、それは全員この枠を買うわけですよね。だから、ペナルティーを払おうが枠を買おうが、いずれにせよEUの
政府はもうかるようになっている。これは、私はなかなかEU的な知恵だなと思います。
ところが、これを、各事業所に、おたくはこれだけよと決めるのは、日本ではなかなかできない。冗談じゃない、そんなこと
政府で決めないでくれと。これは日本の
政府が信用されていないことのあかしだと思いますね、あるいは経済産業省にそれだけ業界をコントロールする、説得する力がなくなった。本当は、こういう、排出枠を一応決めて、御努力くださいというやり方が
家庭でも必要なのかもしれないなというふうに私は思います。
今、大体日本人一人当たり年間十トン出していますが、人間の数でいうと二十五人分のCO2を一人が出していますよね。これは全活動ですから。では、
家庭ではそのうちの三分の一の三トンぐらい出していいですよ、四人家族だと年間十二トンですね。これを超えたら罰金を払わなくちゃいけないし、下回れば減税されるというようなことがないと、一生懸命環境調和型の
生活をしようと思っている人にメリットがないんですね、今の仕組みだと。ただテレビの時間を一時間減らしなさいとか、歯磨きのときに水とめなさいとかということを言われても、メリットがないので、もうちょっとこの辺は工夫が要るし、EUの仕組みを私は大いに
参考にすべきだと思います。
ただ、少し希望が持てるかなというのは、今度
環境省の方でも三月に、事業所からの
温室効果ガス排出量算定・報告・公表
制度というのを、今
法律をお考えだそうで、これはどのぐらいの事業所をカバーしようとしているのか、あるいは日本の産業部門の総
排出量のどのぐらいをカバーしようとしているのか、今の段階で予告的に言えることがあれば聞きたいんですが。