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大谷委員 最後の
一つは非常に共鳴を受けますし、頑張っていただきたいというふうに思います。
でも、
最初の四つはほとんどアメリカと
一緒ですし、今までやってきたことと
一緒なんですよね。
日本らしさというか、やはり
日本だなというような何か理念とかと言えるものが感じられない。人道支援、経済復興支援というのは当然そういうものだと言われればそういうものなんですけれども、やはりそこは一ひねり工夫をしていかなければいけないというふうに思っているんですね。
今まで、戦後ずっとアフリカに大体五十五兆円ぐらいのお金がつぎ込まれてきたけれども、
アジアに比べたらなかなか貧困が解消されていない。それはやはり政治体制云々かんぬんの問題があるんだというふうに思うんですよ。
大臣はサミットに行かれませんのでしようがないですけれども、ぜひとも総理に、こういうお金をいっぱいつぎ込むということも大事だけれども、それと同時に、政治体制、民主主義ということになると思いますけれども、ということを定着させるようなことが必要なんだということをぜひともサミットで述べるように御助言していただけたらというふうに思います。
それで、
日本の特色ということなんですけれども、やはり
日本の目玉でいくと、人道支援と経済の復興ということで、特に経済ということで頑張ってきたんですけれども、やはりここに至って文化というものが大事になってきた。
その文化というのは何かというと、相手の国の歴史や生活様式や、またその営みというようなものをしっかりと理解していますよ、尊敬していますよ、その上で、しっかり
一緒に人類として生きていきましょうやというようなことを一言で証明するというか、行動で示すということが相手の文化を守るというようなことじゃないかな。そういうような、何かもう
一つの柱が要るんじゃないのかなというふうに思っています。
それの
一つ具体的なものが、いわゆる今まで
外務省が文化無償スキームの中でやってこられた文化財保護だというふうに思っていて、僕などはこれにもっともっと力を入れていって、
日本の援助というものの
一つの理念を示すようなツールにでもしていくべきじゃないのかなというふうに思っています。
時間がないので先に僕が言ってしまいますけれども、一九七五年から二〇〇四年まで、百七十一件、八十三億円のお金を使って文化無償資金
協力をやってこられたわけなんです。もう
一つ、ユネスコに
日本基金というのをつくりまして、それで毎年大体平均して一億五千万円ぐらいを使ってアンコールワットからバーミヤンというような遺跡を直したりしているわけなんです。
例えばアンコールワットにしても、
一つの塔は直しました、図書館も直しました、だけれどもまだまだかかるんですよね。直すというのは、お金を出すだけじゃなくて、修復技術というものを
日本も持っていくし、また向こうに人を育てようということで人物交流もできるし、そして何よりもその間、これは歴史物ですから歴史を語れるようになるんですね。こういうことこそ本当に、あなたたちを、私たちをということで理解し合える場であり、そういう大きな大きな文化というものを理解し合えるような大切な支援だというふうに僕は思っているんです。
例えば、僕が思っているのは、ウズベキスタン、シルクロードのところにあるわけですけれども、これを
日本が
平成十四年に、二千五百ぐらいある歴史建造物を一億四千万円かけて直しているんですけれども、ほんの一部の一部の一部でありまして、まだまだたくさん残っているんですね。シルクロードといったら、
日本に西洋文明が伝わってきた
一つの通り道で、だれもがロマンを感じ、だれもがそれを知っているところでありまして、そういうところに継続的に援助というか、ともに人類の遺産なんだということで一生懸命支援をしていくということは必要だというふうに思っています。
また、私、新婚旅行はベトナムだったんですけれども、フエに一九九七年に行ったんです。
日本のお金でもってフエの遺跡の門が直されているわけなんです。そこで私、妻と写真を撮りました。きょう送ってもらおうと思ったけれども、間に合わなかったし余りにも私ごとなのでやめました。それを見て、僕はこう思ったんですよ。ああ、これは
日本が直したのか、
日本ってすごいことをやっているなと。九七年ですから、全然、議員になる前ですけれども、非常に
自分自身
日本の国に対して誇りを持ったんですよ。
それで、周りの人がどれぐらい、このフエの遺跡の門を
日本人が
日本のお金で直してくれたかというのはわかりません。多分広報外交でしっかりやってくれているんですから、しかるべきは知っているだろうというふうに思いますけれども、それを知ったとき、やはりお互いが感動するわけですよね。こういうものこそ心に残るもので、橋ができたことも大事だし、お薬が届いたことも大事だけれども、文化という
自分のアイデンティティーにずっと響くようなものをしっかりやっていかなきゃいけない。
今、ベトナムではタンロン遺跡というのがありまして、ハノイに新しい国
会議事堂をつくろうと思ったら、そこが六世紀から七世紀、八世紀ぐらいの時代の遺跡だったということがわかったわけなんですよね。それで、これは何とかしなきゃと言っていて、聞いてみたら、何と阿倍仲麻呂が遣唐使として、七六一年から七六七年に、当時
中国がベトナム、この地域を支配しておられましたから、
中国のいわゆる科挙を通った官僚として、長官としてこの地域を六年間治めていた。もしかしたら提督といううわさもあるんですけれども。まさに
中国に留学に行った人がそこで偉くなって、ベトナムの地域を
日本人でありながら統治していたというような、そんな文化というか人の交流もあったようなところであります。
これはぜひとも
日本に調査を
一緒にやりましょうやというようなことをベトナム
政府が、カイ首相がこの前小泉さんと会ったときに話をしているわけなんですけれども、こういうことをやることが、私は、本当に長く響くような援助になるんじゃないのかなというふうに思っておるんですが、
町村大臣はどのようにお
考えなされますか。
予算を見ると、これは全体で、文化無償資金
協力というのを見ると、大体二十億なんですね。二十億去年あって、本年度は十七億に下がっているんですよ。草の根文化無償というのをふやして頑張っていくということですからそれはそれで大事なことなんです。しかしながら、こういう、文化財を守っていこうという
日本のアイデンティティーや理念をすごく発信できるようなテーマが、予算は下がってしまっている。でも突如アフリカが三年間で倍増する。
それはそれで貧困解消には大事なんだけれども、だったら同様に、こういうものも
日本が、サミットのときじゃなくてもいいけれども、いろいろな国際
会議の場で総理や
大臣がアジェンダセッティングをして、
日本はこういうことを大事にしているところなんだ、お薬やまた橋をつくるだけじゃないんだということをしっかりと示していくべきだというふうに思うんですが、
大臣のお
考えはいかがでしょうか。