○金田(誠)
委員 ぜひよろしくお願いを申し上げたいと
思います。
それでは、本題に入らせていただきます。
今日まで、沖振法及び旧沖振法に基づき
沖縄の特殊事情に起因する格差の解消が推し進められてまいりました。その結果、社会資本の整備に関しては本土との格差の縮小など一定の成果が上がったと
評価される一方で、依然として
存在する本土との所得格差や全国一の高失業率など、克服すべき課題もまた多く残されたと言われております。
そうした中で、このたびは、いわゆる三位一体改革に伴う沖振法の改正が提案されております。しかし、その
内容は、従来の補助金を交付金に名称変更したものにすぎず、公共事業に対する高率の国庫
負担や
関係予算の
内閣府への一括計上方式などは全く見直されておらないという
法案であるわけでございます。これから先、本当にこれでいいのかというのが私の問題意識でございます。
とりわけ、私は、昨年からことしにかけて
沖縄を訪れる機会が四回おかげさまでございました。そうした中で、高率の国庫
負担により推進されている例えば新石垣空港や泡瀬干潟の埋め立て、このような公共事業が
沖縄の貴重な自然を破壊するのみならず人の心までもむしばんでいるように見えて衝撃を受けております。
辺野古の海兵隊
基地も、この高率の補助による公共事業主導型
振興策の一環であるという側面もあると思うわけでございますし、また、
大学院大学についてもそのことが危惧されるというのは私一人ではないと思うわけでございます。
今日求められていることは、こうした状況を打開するため、高率補助による公共事業主導型
振興策の転換を図ること、ハード重視型からソフト重視型への転換と言うこともできると思うわけでございます。
その背景としては、今日までの施策の中で社会資本整備という目標においては本土との格差は
相当程度縮小したこと、次の段階としての目標が自立型経済の構築、このことが軸になっているということがあると思うわけでございます。
しかし、その一方で、
沖縄は、離島という地理的制約に加え、二重のハンディを背負っているということは事実でございます。戦後六十年にもわたり
沖縄を実質的に米軍占領下に置いてきた
日本国民の責任は私は重大だと
思いますし、
沖縄の自立に対し支援を惜しんではならないという
考えは同じでございます。
私は、以上のような認識のもとに、
沖縄振興策の転換ということを問題提起したいと思うわけでございます。
その第一は、ヨーロッパ各国で行われている消費税の減免など税制による
振興策の導入でございます。そして第二は、国立公園の指定やユネスコ
世界遺産登録の推進による自然保護を
中心とした観光の
振興という観点でございます。
一点目について申し上げれば、ヨーロッパにおける離島
振興策の施策は、かつては
我が国と類似の公共事業
中心であったものが、十年以上も前に政策を大きく転換して、消費税の減免などを政策の
中心に据えることによって大きな成果を上げていると紹介されております
イギリスではマン島あるいはジャージー島、フランスのコルシカ島、ギリシャのロードス島などで、人口は七万から二十四万と
沖縄本島に比較すれば
規模は小さいものの、しかし、大いに参考になる事例である、こう思うわけでございます。
例えばコルシカ島の場合、失業と貧困が続いて治安は悪く、また、同島に対する巨額の財政
負担がフランス
政府の頭痛の種となっていた。これが、一九九〇年代に入ってから、フランス
政府と議会は公共事業の有限性に気づいて政策の転換を
決定し、九五年以降は税の減免にかかわる二つの制度を新規に開始したと言われております。
その
一つは、標準税率二〇・五%の付加価値税をほとんどの物品・サービスで二分の一以下に軽減、そのほかに、事業税、所得税、
法人税、石油税、自動車登録税に軽減税率を適用、特に相続税は免税としたということでございます。
これにより、フランス本土は当時年間で約九・四億フランの税収額をコルシカに贈与したと言われております。さらに、一九九七年から二〇〇一年にかけて同島の農業にフリーゾーン、免税地帯を適用したということでございます。
このように、公共事業による
政府主導の
振興政策から税制による民間刺激政策に転換した後、コルシカ島の経済は明らかに向上の兆しがあらわれていると言われております。農業経営体は九千弱にまで減少していたものが一万五千にまで増加、小麦、ブドウ、オリーブ等の生産も増加してきた。また、観光客も二百万人から四百万人へと倍増。若者の本土流出は減り、犯罪件数も著しく減少して、コルシカはようやく自立と繁栄の緒についたと言われております。
そこで、
大臣に
質問をするわけでございますが、
沖縄振興のための特別措置においても、高率の国庫
負担による公共事業主導型の政策から税制措置を
中心としたものに転換を図るべきではないか、こう
考えるわけでございます。少なくとも、そのためのさまざまな調査とか
検討とか、そういうものに直ちに着手をすべきではないかと思うわけでございますが、いかがでございましょう。