○渡辺(周)
委員 ただいま議題となりました
防衛庁設置法等の一部を改正する
法律案に対する
修正案につきまして、
民主党・無所属クラブを代表して、その
趣旨及び概要を御
説明申し上げます。
政府原案の主たる内容の
一つである弾道
ミサイル防衛については、専守
防衛の
観点から我が国
防衛にふさわしいものであり、さきの参議院選挙の
民主党マニフェストでも、弾道
ミサイル防衛については、その必要性を踏まえ、費用対効果など総合的
観点から検討を進めると公約しました。また、
弾道ミサイルの飛来など、突発的な
被害が予測される
事態を列挙して、閣議決定を合理化するなど、迅速な意思決定のあり方を可能とする
法制について
議論を深め、
民主党は、その必要性を十分認識し、
国民の生命財産をしっかり保護していくことについて人後に落ちないものと自負しております。
このような認識のもと、我々
民主党・無所属クラブは、真摯かつ建設的な態度で
委員会審議に臨みましたが、不十分な答弁に疑問が深まることが多々ありました。それゆえ、
弾道ミサイル等破壊措置という国益の重要性にかんがみ、広く
国民的合意を得るべく、与党側との
修正協議を並行して行ってまいりました。
しかしながら、主としてシビリアンコントロールを徹底する見地から
民主党が
修正を要求した項目のすべてについて、与党側から何ら歩み寄りの姿勢がなく、事実上のゼロ回答だったことは極めて遺憾であります。一体、
政府・与党は、最初からあるべき
法制をまじめに
考えていたのかどうか、疑わざるを得ません。たとえ
政府内、与党内の調整がなされた案であっても、問題点が明らかになれば、国会で真摯に取り組み、
修正をなすというのが議院内閣制の本来の姿であるはずです。国の安全にかかわる重要事項であるにもかかわらず、一度与党間で決めたものはかたくなに変えないという与党の体面を優先する姿勢に不信感を抱かざるを得ず、まさに国家
国民への背信行為と強く
指摘をいたします。
我々は、重大な問題点を放置したまま提出された与党案に対して、本来あるべき弾道
ミサイル防衛について、迅速かつ適切な対処に配意しつつ、シビリアンコントロールの徹底を図っていくことを主な内容とする
修正案をここに提出し、心ある
委員の
皆さんの賛同を得たいと思います。
以下、
修正案の概要を申し上げます。
第一点は、自衛隊法第八十二条の二第三項の規定の
趣旨を明確化するとともに、同項後段の、
防衛庁長官が
命令に係る措置をとるべき
期間を定めるものとする規定を削除することであります。
政府提出の原案では、第三項の規定を、
事態が急変する前にあらかじめ
命令を発出することができると読むことは困難なため、立法
趣旨の正確な
理解に努めるべく、所要の
文言修正を行うことといたします。また、
命令に係る措置をとるべき
期間については、
命令を発出していない
期間が存在することを
法律に明記する必要はなく、また、シビリアンコントロールの
観点からも特段の意義を見出せないため、これを削除することといたします。
第二点は、自衛隊法第八十二条の二第三項の規定により
命令を発した場合において、
内閣総理大臣の承認を得るいとまがあると認めるときは、当該
命令を解除して、同条第一項の
命令を発することであります。これに関して、
政府は、政令で定めるところにより緊急対処要領に明記する
方向で
考えているようですが、
命令発出に係る重要事項であり、よりシビリアンコントロールの
趣旨に沿ったものとするためにも、あくまでも閣議決定を経て発出される第一項による
命令が
原則であることを明確にすべきであり、当該事項を
法律に規定することが必要となります。
第三点は、
弾道ミサイル等破壊措置の
命令が発せられた場合または
弾道ミサイル等が我が国に飛来する
事態が生じた場合において、その旨を直ちに
国民に公表するとともに、速やかに国会に報告することであります。
弾道ミサイル等に係る
事態については、
事態対処法における緊急対処
事態として扱われるべきことはもとより承知しておりますが、数分単位で飛来するという
弾道ミサイルの特性や
国民の生命財産に直接影響を及ぼし得る
事態であることから、特に迅速かつ確実な公表、周知が必要であり、当然、国会にも直ちに報告する必要があることから、これを義務づけることといたします。
第四点は、
弾道ミサイル等が我が国に飛来する
事態が生じた場合において、
事態が終結したとき、
内閣総理大臣は速やかに国会に報告して承諾を求めなければならないことであります。
政府提出の原案では、国会に報告しなければならないとしていますが、これでは、
弾道ミサイルが飛来したが、
政府の対処がおくれ破壊措置をとれなかったような場合には報告が行われないことになります。また、
弾道ミサイル等への対処は
国民の生命財産の保護に直結するものであり、
とりわけ自衛隊の実力行使が予定され、これによって
防衛出動につながる可能性もある重大な
事態であることからも、国会報告にとどまるのではなく、国会承諾として、
国民の代表で構成される国会による事後検証、
責任追及の仕組みを設けることといたします。
第五点は、自衛隊の行動に係る
長官の
指揮監督及び
長官の補佐のあり方について、本法の施行後三年を目途として、必要な見直しを行うことであります。今般の改正によって、
長官が
統合幕僚長を通じて
部隊運用についての
指揮監督を行う一方、
統合幕僚長は、
部隊運用に関する最高の専門的助言者として
長官を補佐することとなります。このように
部隊運用を一元化するのは自衛隊創設以来初めてのことであるため、かかる体制のもと、
陸海空各自衛隊が有機的に連携し、実効的な
統合運用体制を確立するのは容易ではありません。よって、一定
期間経過後に
統合運用体制の実態について検討を行うべく、本改正法の附則に見直し規定を追加することといたします。
以上、
修正案の概要を申し上げました。
政府は、
弾道ミサイル等破壊措置による
国民の権利の制限は、
防衛出動等の他の行動類型と比較すると限定的であると累次にわたり答弁しておりますが、
国民生活との関連で言えば、
弾道ミサイル等破壊措置は
国民生活に重大な影響を及ぼすものであると言えます。
このような
観点から、我々
民主党・無所属クラブは、措置を実施する側だけの視点ではなく、広い
意味での
国民の視点に立って、
国民への速やかな公表、
国民の代表で構成される国会による関与の強化、
国民にわかりやすい形での規定の
趣旨の明確化等の
修正を求めます。この
修正要求は至極当然であり、よもやこの案が否決されることはあり得ないものと確信をしております。
委員各位の賛同を十分に得られる我々の
修正案は、心ある
委員各位に御
理解いただいたことと存じます。
何とぞ御賛同いただきますようお願い申し上げまして、
趣旨の
説明といたします。(拍手)