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2004-11-12 第161回国会 参議院 本会議 第6号
公式Web版
会議録情報
0
平成
十六年十一月十二日(金曜日) 午前十時一分
開議
━━━━━━━━━━━━━
○
議事日程
第六号 ─────────────
平成
十六年十一月十二日 午前十時 本
会議
───────────── 第一
児童福祉法
の一部を
改正
する
法律案
(趣
旨説明
)
━━━━━━━━━━━━━
○本日の
会議
に付した案件
議事日程
のとおり ─────・─────
扇千景
1
○
議長
(
扇千景
君) これより
会議
を開きます。
日程
第一
児童福祉法
の一部を
改正
する
法律案
(
趣旨説明
) 本案について
提出者
の
趣旨説明
を求めます。
尾辻厚生労働大臣
。 〔
国務大臣尾辻秀久
君
登壇
、
拍手
〕
尾辻秀久
2
○
国務大臣
(
尾辻秀久
君) ただいま
議題
となりました
児童福祉法
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、その
趣旨
を御説明申し上げます。 急速な
少子化
の
進行等
を踏まえ、総合的な
次世代育成支援対策
を
推進
するため、
次世代
を担う
子供
が
心身とも
に健やかに育つための環境を
整備
することが喫緊の
課題
となっております。このため、
児童虐待等
の問題に適切に
対応
できるよう、
児童相談
に関する
体制
の
充実等
を図るとともに、
慢性疾患
にかかっている
児童
に対する
医療
の
給付
を創設する等の
措置
を講ずることとし、この
法律案
を提出した次第であります。 以下、この
法律案
の主な
内容
につきまして御説明申し上げます。 第一に、
児童相談
に関する
体制
の
充実
であります。
児童相談
に関する
市町村
、
都道府県
及び
児童相談所
の
業務
に関する
規定
を
整備
するとともに、
地方公共団体
は、
児童
に関する情報の
交換等
を行う要
保護児童対策地域協議会
を置くことができることとしております。 第二に、
児童福祉施設
、
里親等
の
在り方
の
見直し
であります。要
保護児童
に対する適切な
保護
と
支援
を図るため、
乳児院
及び
児童養護施設
の
入所児童
の
年齢要件
を見直すとともに、
児童
に対する
里親
の権限の
明確化
を図ることとしております。 第三に、要
保護児童
に係る
措置
に関する
司法関与
の
見直し
であります。要
保護児童
とその
保護者
の
関係
の
改善等
を図るため、
児童相談所
による
保護者
に対する
指導措置
について
家庭裁判所
が
関与
する仕組みを導入することとしております。 第四に、
慢性疾患
にかかっている
児童
に対する
医療
の
給付
の創設であります。本
給付
については
都道府県
が行うこととし、国は、
都道府県
が支弁する
当該給付
に要する費用を
補助
することができることとしております。 このほか、
保育料収納事務
の委託に関する
規定
を
整備
するとともに、
児童
の売買、
児童買春
及び
児童ポルノ
に関する
児童
の
権利
に関する条約の
選択議定書
を締結するための
規定
を
整備
することとしております。 なお、この
法律
の
施行期日
は
平成
十六年十月一日としておりますが、
児童相談
に関する
体制
の
充実
、要
保護児童
に関する
司法関与
の
見直し等
については、一部を除き、
平成
十七年四月一日としております。 また、この
法律案
は衆議院において一部修正されておりますが、その概要は次のとおりでございます。 この
修正案
は、
市町村
は、この
法律
による
事務
を適切に行うために必要な
体制
の
整備
に努めるとともに、
当該事務
に従事する
職員
の
人材
の
確保
及び
資質
の
向上
のために必要な
措置
を講じなければならないものとすること、及び
児童福祉施設
への
入所措置
の
更新
について、
当該措置
に係る
保護者
に対する
指導措置
の
効果等
に照らし
判断
する旨を加え、
更新
に際しては、
指導措置
の
効果
や
児童
の
心身
の
状態等
を考慮することを
明確化
すること、並びに原案において
平成
十六年十月一日としている
児童自立生活援助事業
における就業の
支援等
に関する
規定等
の
施行期日
を
平成
十七年一月一日に、
慢性疾患児童
の健全な
育成
を図るための
措置
に関する
規定
の
施行期日
を
平成
十七年四月一日にそれぞれ改めるものとすることを
内容
とするものであります。 以上がこの
法律案
の
趣旨
でございます。(
拍手
) ─────────────
扇千景
3
○
議長
(
扇千景
君) ただいまの
趣旨説明
に対し、質疑の
通告
がございます。順次発言を許します。
蓮舫君
。 〔
蓮舫君登壇
、
拍手
〕
蓮舫
4
○
蓮舫君
私、
蓮舫
は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま御
提案
のありました
児童福祉法改正案
に関し、
担当
各
大臣
に
質問
をさせていただきます。 私は、幼い
子供
が
虐待
によって命を落とすことをどうして防ぐことができないのか、親の
支援
や愛情ではなく
暴力
を受ける
子供
がどうして増えていくのか、あるいは感情を言葉で表現できない
乳児
が
虐待
によって亡くなることをどうして防ぐことができないのか、深く心を痛めております。一日も早くすべての
子供たち
を守るための
施策
を講じることが、私は
政治
の
責任
だと
考え
ております。 今年九月、
栃木
県の
小山
市で発生した幼い
兄弟
二人が
虐待
によって命を落とすという
事件
は、私
たち
に深い衝撃を与え、
児童虐待対策
には私
たち
すべてが関心を持って取り組んでいかなければならないとの
認識
が高まりました。 また、さきの新潟県
中越地震
では、被災をし、
地震発生
から九十二時間後に救出され、奇跡的に生還した
皆川優太
ちゃんの映像を目にし、
子供
の命の尊さをだれもが強く感じたことと思います。
児童虐待防止法
が施行されてから二年半で、百二十五件、実に百二十七人の
子供
が
虐待
によって亡くなっています。
子供
の命を守る、
虐待
によって
子供
を失わないためにも
児童福祉法改正
は必要不可欠で、
虐待
という
事件
を起こさないためにも、
法律
が有効かどうかを常に
見直し
ていく作業が怠れないものだと私は
考え
ています。 まず、
尾辻厚生労働大臣
、
虐待対策
をどのように
考え
ていらっしゃるのか、
基本
的なお
考え
をお答えください。 次に、
政府法案
では、
児童相談所
と
市町村
との
連携
を密にしていくとあります。二〇〇三年度に
全国
の
児童相談所
が
対応
した
児童虐待件数
は約二万七千件、統計を取り始めた一九九〇年の二十四倍です。この二万七千件の
相談
すべてを
全国
百八十二か所にある
児童相談所
が抱え、
対応
が
機能不全
に陥っているのが
現状
でございます。そこを改めるために、本来、
児童相談所
が担ってきた
機能
を
市町村
が行えるようにするとしてありますが、これまで
子育て相談
を行ってきた
市町村
が、
相談
ではなく、しつけか
虐待
かを見極めるという介入型の
業務
を担うためには、相応の
体制整備
が欠かせないと
考え
ております。 そこで、我が党は、
児童相談所
の
機能
を
市町村
が行うようにするには、高い
専門性
を持つ
人材
の
確保
、
資質
の
向上
を義務付けることが必要と
考え
ています。
虐待
を疑われる
児童
の
通告
があったとき、この
子供
は
虐待
を受けているのか、それは軽度なのか重度なのかの
判断
をいたします。その
初動判断
を誤りますと、本来救えるべきはずの
子供
を救えないということにもつながってまいります。
通告
を受けた
市町村
の
窓口
がこの
初動判断
を誤らないためにも、
市町村
には
専門性
の高い
人材
を
配置
すべきではないでしょうか。
尾辻厚生労働大臣
、
大臣
のお
考え
になる
資質
、
専門性
とはどのようなものなのかをお答えいただいた上で、
市町村
の
窓口
に
児童福祉司
を
配置
することについての
政府
の御見解をお伺いいたします。 次に、
村田国家公安委員長
にお伺いいたします。 この二年半、
虐待
によって亡くなった
子供
のうち、四割が零歳児、赤ちゃんです。
虐待
で亡くなった
子供
のうちの九割が六歳未満の
子供
です。
虐待
の
通告
は、
児童相談所
、
市町村
の
窓口
が開いている時間帯だけではなく、夜間でも休日でも二十四時間、三百六十五日
対応
するためにも、
全国
に
配置
されている
警察
との密な
連携
が求められるものではないでしょうか。
虐待
を犯罪と
認識
し、
子供
の命にかかわる緊急を要する
事態
には、
警察
が独自に動ける
体制
を積極的に取り組んでいかれるお気持ちがおありかどうかを是非伺わせていただきたい。
子供
の命を守るために
警察
の
関与
が必要かどうかを端的にお答えいただいた上で、どのような
連携
ができるのかをお答えください。 続いて、
南野法務大臣
にお伺いいたします。
家族
が再統合した後、
子供
が再び
虐待
を受けないことが、親が
暴力
を振るわないことが何よりも大切です。そのために、
子供
の
安全確保
と並んで、
保護者
が二度と
虐待
をしないための
指導
が欠かせません。
保護者
の
指導
には、
自治体
の
勧告
だけではなく
司法
の積極的な
関与
が望まれますが、
大臣
はいかがお
考え
でしょうか。
司法
の
関与
が必要か、それとも要らないとお
考え
か、明確な御
答弁
を下さい。
虐待予防
のための
取組
は、
少子化対策
とも深くかかわってまいります。
南野法務大臣
におかれましては、
少子化対策担当大臣
としてのお
立場
からも、是非、官僚の書かれた
答弁
をただ読まれるのではなく、御
自身
の率直なお
考え
を私
ども
の方を見てお答えいただけるようお願い申し上げます。 次に、
虐待対策
の今後が大きくかかわってくるいわゆる
三位一体改革
について、
尾辻厚生労働大臣
にお伺いいたします。
虐待防止
には、
専門的知識
、技術を持った
児童福祉司
の
存在
が欠かせません。この十年間で
虐待相談
の
処理件数
は十六倍になっていますが、この間、
児童福祉司
の数は一・五倍になっただけで、
全国
に約千八百人しかおりません。 そこで国は、
自治体
が
人口
六万八千人に対し一人の
児童福祉司
を
配置
するための
交付税
での
予算措置
を行ってきております。でも、この
基準
を満たしていない
自治体
は
全国
で六割ございます。六割の
自治体
が、国からの
交付金
を受け取っていながら
児童福祉司
の
増員
を図っていない。
自治体
の
取組いかん
が、
虐待対策
の
地域格差
につながっております。 例えば、
基準
の倍以上の手厚い
保護
をしている
青森
県には、
人口
約三万人に対し一人の
割合
で
児童福祉司
が
配置
をされています。その一方で、あの
岐阜
県では、
人口
約十二万人に対し一人の
割合
です。
青森
県と
岐阜
県の
割合
は、その
配置
の
格差
、四倍もございます。
児童福祉司
が
子供
の命を救う仕事をしていることを
考え
ると、その
配置
の
格差
はとても大きいものがあると思います。ただ、
交付金
ではその
使い方
を国が
指導
することはできません。
自治体
に任せることが
虐待防止対策
の
地域格差
につながっている
現状
を
尾辻厚生労働大臣
はどのようにお
考え
なのか、お
考え
を伺わせてください。
小泉総理大臣
は、
骨太改革
で進める
三位一体改革
では、
地方
六
団体
の案を真摯に受け止めるとしています。
尾辻厚生労働大臣
は
委員会
で、
民間保育所
の
運営費削減
、これも
地方
六
団体
の
提案
でございますが、これには
反対
で、そんなことをされたら国が進めている
少子化対策
がうまくいかなくなると、
地方
の提唱した案よりも
厚生労働省
の
独自案
の方が現実的だというお
考え
を率直に御発言されました。
虐待対策
も
地方
に任せるわけにはいかないと御
認識
をされているでしょうか。
地方
に任せることに賛成か
反対
かで端的に御
答弁
をいただきたいと思います。
児童福祉司
の
交付金
の
使い方
も
地方
に任せると
岐阜
県と
青森
県のように四倍の
格差
が生じるように、
三位一体改革
で
地方
に任せてしまうと、こうした
格差
は是正されない、
虐待対策
はなお国が
対策
を講じていくべきだとお
考え
でしょうか。御見識を伺わせてください。 そして、
少子化対策
と同じく、
虐待対策
も
地方
に任せることに
反対
、
地方
の提唱した案よりも
厚生労働省
の案の方が現実的とすれば、
少子化対策
も
虐待対策
も
厚労省
の案の方がいいというお
立場
であれば、
総理
の
地方
六
団体
の案を真摯に受け止める
方針
との間に
ずれ
が生じてまいります。この
ずれ
が
大臣
は生じるとお
考え
でしょうか、それとも生じないとお
考え
でしょうか。生じるとお
考え
であれば、この
ずれ
を
所轄大臣
として
尾辻厚生労働大臣
はどうしていくおつもりなのかを、是非明確な御
答弁
をいただけますようお願いいたします。
虐待対策
、
子供
の命にかかわることを
政治
の
責任
ということで御
質問
させていただいております。
最後
になりました。
虐待対策
では、
子供
を国の財産ととらえ、一人の尊厳を持った
存在
ととらえ、その命、
成長発達段階
すべてを保障する
制度
の
必要性
を強く訴え、私からの御
質問
を終わらせていただきます。(
拍手
) 〔
国務大臣尾辻秀久
君
登壇
、
拍手
〕
尾辻秀久
5
○
国務大臣
(
尾辻秀久
君)
児童虐待防止対策
について、
基本
的な
考え方
についての
お尋ね
がございました。
児童虐待
への
対応
につきましては、様々な
施策
の
推進
が図られてまいりましたけれ
ども
、依然として
社会
全体として早急に取り組むべき重要な
課題
であると
認識
をいたしております。 このため、
政府
といたしましても、
平成
十六年度
予算
における
児童虐待防止対策
の大幅な拡充、それから、今般お願いしておりますこの
児童福祉法
の
改正等
により
施策
の
充実
を図ることとしております。 こうした
取組
を通じまして、
虐待
という重大な
権利侵害
から
子供
を守り、
子供
が
心身とも
に健全に成長できるよう
最大限力
を尽くしてまいります。 次に、
市町村
における
児童相談
の
実施体制
及び
職員
に求められる
専門性
についての
お尋ね
がございました。
市町村
におきまして
児童相談
に関する
業務
を的確に遂行するためには、できる限り
児童虐待
や
少年非行
、
障害児施策
などについての
一定
の
知識
や
対人援助
にかかわる
経験
のある
人材
を活用していただくことが望ましいと
考え
ております。
厚生労働省
といたしましても、これまで
児童相談所
の持つノウハウを
市町村
に伝達する
事業
に対する
補助
や
市町村保健師
の
増員
などの
市町村
の
体制整備
に努めてきたところでございますけれ
ども
、さらに来年度につきましても所要の
交付税要望
を行っておるところでございます。 どのような
体制
で
児童相談
に
対応
するかはそれぞれの
自治体
の御
判断
ではありますけれ
ども
、
児童福祉司
たる資格を有する者を含め、
一定
の
知識
や
経験
のある
人材
の
確保
に努めていただきたいと
考え
ております。
児童福祉司
の
配置
に関する
地域間格差
についての
お尋ね
がございました。 これは、
議員
既に御
指摘
のとおりでありますけれ
ども
、現行の
地方交付税
上は
人口
六万八千人に対して一人の
児童福祉司
を
配置
するための
措置
が講じられておりますけれ
ども
、誠に残念なことに、この
基準
を満たしておる
自治体
は四〇%にとどまっております。
議員
は六割が満たしてないという表現されましたが、逆に言うと、四割が満たしているということでありまして、こういう表現にさせていただきました。 このため、
地方交付税
の
積算基礎人員
に達していない
自治体
につきましては、少なくともこの水準まで
配置
していきたいと
考え
ておるところでございます。 毎年、
児童福祉司
の
配置状況
を調査、把握し、これを取りまとめて公表するとともに、
全国会議
などあらゆる機会をとらえて、その旨強く依頼しておるところでございます。 それから、
最後
に二問、
三位一体
との
改革
での
お尋ね
がございました。個々にお答えするよりも、併せて私の
考え方
を申し上げた方がいいと思いますので、併せて申し上げたいと思います。
社会保障
をどうするかというのは、もう国と
地方
が手を取り合ってやらなきゃいかぬと思っています。ですから、このところ時々あるようにオール・オア・ナッシングというんでしょうか、あるいは
補助率
を十分の十のものと十分のゼロのものとに分けて仕分するというようなことでは、これは
社会保障
というのは私はうまくいかないと思っています。
社会保障
というのは、やっぱり国と
地方
がそれぞれの分担しながら手を携えて、そして
最後
の
実施主体
は
地方
にお任せすることが多いわけでありますから、お願いする。その
割合
をどうするかとか、そのときの事情、
状況
もありますし、そんな中で
判断
していけばいいと思っております。したがって、私が申し上げている私
ども
の
代替案
の方が現実的だと、こういうふうに言っておるわけであります。 そういう
意味
で、では
地方案
を真摯に受け取るべきであるということと
そご
があるかということで
お尋ね
になりますと、私
ども
は真摯に受け止めて、そして我々の案を出していますし、それから
地方
と話合いしながらやっておるわけでありますから、
そご
があるとは私は思っておりません。 以上、お答えを申し上げます。(
拍手
) 〔
国務大臣村田吉隆
君
登壇
、
拍手
〕
村田吉隆
6
○
国務大臣
(
村田吉隆
君)
児童虐待事案
では、緊急を要する
事態
における
警察
の
取組
について
お尋ね
でございました。
警察
といたしましては、
児童虐待
に対する
取組
を
少年保護対策
の最
重要課題
の一つとして位置付けておるところでございます。中でも、
子供
の命にかかわる緊急を要する
児童虐待事案
を認知した場合には、
傷害事件等
の
刑事事件
として適切に
対応
するよう努めているところでございます。 また、
児童虐待事案
における
警察
の
関与
の
必要性
について
お尋ね
でございますが、
警察
としても、
児童虐待
による悲惨な被害の
防止
に積極的に努める必要があるものと
認識
しております。
児童相談所等
の
関係機関
との
連携
については、
街頭活動等各種
の
警察活動
を通じて
虐待
されている
児童
の
早期発見
に努め、これを発見した場合には速やかに
児童相談所
に
通告
すること、
児童相談所長
による
児童
の
安全確認等
が円滑に行われるよう適切な
援助
を実施すること、これが重要であると
認識
しております。 今後とも、
児童
の安全の
確認
及び安全の
確保
を最優先として、これらの
措置
が的確に実施されるよう
警察
を督励してまいる所存でございます。(
拍手
) 〔
国務大臣南野知惠子
君
登壇
、
拍手
〕
南野知惠子
7
○
国務大臣
(
南野知惠子
君)
蓮舫議員
にお答え申し上げます。
児童虐待
を行った
保護者
への
指導
に
司法
が積極的に
関与
することの
必要性
について
お尋ね
がありました。
児童虐待
を
防止
することは、
子育て
の
支援体制
の
充実
という
少子化対策
の面からも重要な
意味
を持っております。そういうふうに
認識
をいたしておりますし、そして、
子供
が再び
児童虐待
を受けないようにするためにその
保護者
の
指導
が重要であることも御
指摘
のとおりであります。 そこで、本
法律案
におきましては、
家庭裁判所
が
子供
を
乳児院
などの
施設
に入所させる
措置
を承認する際に
保護者
への
指導措置
を取るよう、
都道府県
などに
勧告
することができる
制度
が設けられております。このように、本
法律案
におきましては、
保護者
への
指導
に
司法
が積極的に
関与
する
制度
が設けられているところであります。 なお、このような
司法
の
関与
の
在り方
を超えて、
家庭裁判所
が、
保護者自身
に対して、
都道府県
などが行う
指導措置
に服するよう
勧告
をする
制度
を設けるべきであるとの
考え
を持っている方もございます。しかし、
行政
が行う
指導措置
の
効果
を高めるために
裁判所
がその後押しをするというのは、
司法
の
基本
的な役割が
行政権
の行使を適正なものにするというところにあることに照らして問題があるものと
考え
ております。 次に、
虐待予防
への
取組
と
少子化対策
について
お尋ね
がありました。 痛ましい
児童虐待事件
が後を絶たないことについては、私としましても
大変心
を痛めております。
児童虐待対策
については、先般の
通常国会
で成立し、十月一日から施行された
児童虐待防止法
の一部
改正
や今回
提案
された
児童福祉法
の一部
改正
の
審議等
を踏まえ、
関係省庁
が
連携
し、
政府一丸
となって取り組んでいかなければならないと
考え
ております。
少子化対策担当
の
特命大臣
の
立場
といたしましても、
子育て
への
支援
と
児童虐待対策
とは表裏
一体
の問題と
考え
ております。妊娠、出産、
子育て
というそれぞれの局面で、親として
子供
を産み育てることに愛着を感じ、また喜びを感じながら
子供
に向き合っていくことが何よりの
基本
と
考え
ております。とりわけ、若い親御さん
たち
に
子育て
の不安や孤立が生じないよう、
保健
、
医療
、
福祉
など各般の分野での
子育て支援
や
子育て相談
の
施策
の
推進
に
関係省庁
、
地方公共団体
と
一体
となって取り組んでまいりたいと
考え
ております。(
拍手
) ─────────────
扇千景
8
○
議長
(
扇千景
君)
弘友和夫
君。 〔
弘友和夫君登壇
、
拍手
〕
弘友和夫
9
○
弘友和夫
君 私、
弘友和夫
は、自由民主党と公明党を代表して、ただいま
議題
となりました
児童福祉法
の一部を
改正
する
法律案
について
関係大臣
に
質問
させていただきます。 「銀も金も玉も何せむに勝れる宝子にしかめやも」、山上憶良の歌を引くまでもなく、
古今東西
、
子供
は親にとってはもちろん、国にとって大切な宝であります。 今、
少子化
に歯止めが掛からない実情の中で、
少子化対策
は積極的な
社会保障政策
として、国を挙げて、また官民相携えて取り組んでいかなければならない
課題
であります。 来年四月からは、国の新新
エンゼルプラン
と
次世代育成支援対策推進法
に基づく
地方公共団体
、
企業
の
行動計画
が一斉にスタートすることになっており、今後は、国、
自治体
、
企業
及び
地域
が
一体
となった
少子化対策
、
次世代育成支援
への
取組
の
推進
が期待されています。 そこで、まず
厚生労働大臣
、このような
少子化
の
現状
についての
基本的認識
をお伺いいたします。そして、一向にとどまる気配を見せない
少子化
の流れをどのように変え、
子供
を安心して産み育てられる
社会
を構築していこうとされているのか。また、新新
エンゼルプラン
の
策定
に当たっては、様々な国民の声に真摯に耳を傾け、ニーズにこたえるものを作っていかなければならないと
考え
ますが、その
策定
に当たって、
方針
、時期についてお伺いいたします。 次に、
児童虐待
の
関係
でお伺いします。
少子化対策
として、
子供
を産み育てやすい
社会
を作ることが重要な
課題
となっていますが、一方、生まれてくる
子供たち
に対しては健やかに安心して暮らしていけるような
社会
を作ってあげることが必要であり、このことは我々親の
責任
でもあります。 しかし、大変残念なことに、
児童虐待
による痛ましい
事件
が後を絶ちません。
栃木
県
小山
市で幼い
兄弟
が殺害された
事件
、大阪府岸和田市の中学三年生が
餓死寸前
となってしまった
事件
などは記憶に新しいところであります。ここ数日の新聞にも、広島でゼロ歳児が父親から
虐待
を受けて亡くなったことが載っておりました。本来であれば、一番安心できる居場所であるはずの
家庭
の中で未来ある
子供たち
の命が奪われているのであります。
虐待
を受けた
子供たち
は、自ら声を上げることができません。せっかくこの世に生を受けながら、
虐待
によって死んでいったのかと
考え
ると胸が痛みます。また、親の方も、
虐待
する自分をどうしていいか分からないでいると言います。このような不幸な
状況
を一刻も早く断ち切るべきであります。
子供
は
地域
全体で見守り育てるという意識を持ち、
行政
を始めとする
専門家
や
関係者
が
子供
と親の心の叫びを聞き取って手を差し伸べることが必要なのであります。
厚生労働省
が本年九月に発表いたしました
平成
十五年の
児童相談所
における
虐待相談処理件数
は二万六千五百六十九件と、前年度より約一割強の二千八百三十一件も増加しております。早急にしっかりとした
体制整備
を行う必要があります。今回の
改正案
には、
児童相談所
の
充実強化
に関する
規定
や
虐待
を受けた
児童
に対する
支援ネットワーク
の
運営等
に関する
規定
が盛り込まれており、
児童虐待防止対策
を進めていく上で大変重要な
法案
であると
考え
ております。 そこで、
尾辻大臣
にお伺いします。 先日施行されました
改正児童虐待防止法
と今回の
児童福祉法改正案
とはどのような
関係
にあるのでしょうか。また、
厚生労働省
として、今後この二つの
法律
を併せてどのように
児童虐待防止対策
に取り組んでいこうとお
考え
なのか、
大臣
の御所見をお伺いします。 また、
児童虐待防止対策費
についても、最近大幅に増加していることは評価しますが、
社会保障給付費
に占める
児童
・
家族関係給付費
の
割合
は三・八%と、依然として諸外国と比べて大変少ない
状況
にあります。
大臣
はこのことをどうお
考え
でしょうか。 次に、
小児慢性特定疾患対策
についてお伺いします。 今回の
児童福祉法改正案
では、今まで
予算措置
で行っていた
小児慢性特定疾患治療研究事業
をきちんと
法律
に位置付けることになっております。この
法制化
は大変な前進であり、私も大いに評価しているところであります。約十万人いると言われる
小児慢性疾患
の
子供
とその御
家族
も、この
法案
の一日も早い成立を心待ちにしていらっしゃることと思います。 しかし、一面では、今回の
改正案
では、今まで
全額公費負担
でありました
小児慢性特定疾患治療研究事業
に自己負担を導入することとしています。具体的にどのような所得の世帯でどれくらいの自己負担が増えることになるのでしょうか。低所得者に対する配慮は十分なされているのか、お伺いします。 また、今回の
改正案
では、対象を重症患者に重点化するとともに、改めて対象疾患を
見直し
て疾患の追加、除外をするとのことでありますが、具体的にどのような
見直し
が行われるのでしょうか。さらに、現時点での対象疾病の
見直し
の
基準
は確定的なものではありません。新たに対象とすべき難病が出てくることを想定して、継続的に対象疾病の範囲を
見直し
ていく必要があると
考え
ます。
厚生労働大臣
はどのようにお
考え
でありましょうか。 今回の
改正案
では、新治療研究
事業
の実施と併せて、
慢性疾患
の
子供たち
に対し、長年の悲願でありました日常生活用具の
給付
事業
が始まることとなりました。これは大変喜ばしいことだと思っております。 この問題につきましては、私は昨年十一月の
予算
委員会
において
質問
をさしていただき、太陽の光を浴びると症状が進行してしまうという色素性乾皮症という病気と闘っている大分県のT君の例を挙げながら、同じように難病に苦しむ十万人もの
子供たち
が生活用具の
支援
を必要としている窮状を当時の坂口
厚生労働大臣
に訴えたわけであります。そのとき
大臣
からは、
小児慢性特定疾患治療研究事業
を
法制化
する中で生活用具の支給などの
福祉
サービスの実施も検討したいとの御
答弁
をいただきました。今回、早速実施していただくことになりましたことを心から感謝を申し上げたいと思います。 しかしながら、
慢性疾患
の
子供たち
にはなお問題が山積しております。例えば、教育の現場におきましては、いまだ
慢性疾患
のある
子供
とその
家族
に対する理解が十分ではないと
指摘
されております。教育
関係者
に対しましては、今後、
慢性疾患
のある
子供
の実態に関して研修を行ったり、入院している
児童
については院内学級をきちんと
整備
をしていくなど、
対策
を
充実
さしていく必要があると
考え
ます。これについて文部科学
大臣
の御所見をお伺いします。 次に、成人の難病
対策
と
小児慢性特定疾患治療研究事業
との
関係
についてお伺いします。 現在、二つの
制度
は全く独立して行われています。一部の疾患は両方の
制度
で指定されておりますけれ
ども
、成人を対象とする特定疾患については対象疾病が四十五しかなく、
小児慢性疾患
の対象とされている約五百の疾病の多くは、二十歳を過ぎると国の助成
制度
の対象から外れてしまうのが
現状
であります。 このように、成人を対象とする
事業
と小児を対象とする
事業
とが別々の
制度
となっている背景と、それぞれの
制度
で対象疾病が異なる理由は何でしょうか。また、今回、
小児慢性疾患
について
法制化
することとなりますが、成人の特定疾患治療研究
事業
についても
法制化
するお
考え
はないのでありましょうか。 そもそも、本来であれば、この
法案
は第百五十九回の
通常国会
での成立が予定されていましたが、半年近くも先延ばしされてしまったことは非常に残念でなりません。一日も早く成立させることが必要であると
考え
ます。
次世代育成支援対策
はこれで終わったわけではありません。抜本的な
改革
に向けて更なる
対策
を進めていく必要があります。公明党としては、
児童
手当の一層の拡充、育児休業取得者への所得保障の拡大、保育所の
施設
整備
等を求めているところであります。今後の総合的な
次世代育成支援対策
に向けての
大臣
の決意をお伺いして、私の
質問
を終わります。(
拍手
) 〔
国務大臣尾辻秀久
君
登壇
、
拍手
〕
尾辻秀久
10
○
国務大臣
(
尾辻秀久
君) 八問の御
質問
をいただきました。 まず、
少子化対策
に関する
基本
的な
方針
についての
お尋ね
がありました。 このことにつきましてはこれまでも様々な角度から
取組
を進めてきたところでございますが、残念ながら
少子化
の流れを変えるには至っておりません。こうした
状況
に
対応
するために、待機
児童
ゼロ作戦を始め、働き方の
見直し
、教育、町づくり等の分野も含め、国を挙げての更なる総合的な
取組
が必要でございます。 新
エンゼルプラン
後の新たなプランにつきましては、
地方公共団体
の
行動計画
も踏まえまして、本年中に
策定
することといたしております。新たなプランでは、総合的な
取組
をどのように進めていくのかが目に見え、国民に
子供
を産み育てやすい環境
整備
が着実に進められているという実感を持てるような計画作りに努めてまいりたいと
考え
ております。 次に、
改正児童虐待防止法
と今回の
児童福祉法改正
との
関係
及び今後の
児童虐待防止対策
への
取組
についての
お尋ね
がございました。 まず、
児童福祉法
でございますが、これは
児童
福祉
全般に関する一般法であります。それに対しまして、
児童虐待防止法
は
児童虐待
に着目した特別法でございまして、今回、
通告
義務の拡大など、
虐待対策
として特に重点的に
推進
すべき事項等について
改正
が行われたものでございます。 この二つは言わば車の両輪でございまして、
厚生労働省
としては、これらを
一体
のものとして
児童虐待防止対策
を総合的に
推進
してまいりたいと
考え
ております。 次に、
社会保障給付費
に占める
児童
・
家庭
関係
の
割合
について
お尋ね
がございました。 御
指摘
のとおりでございます。
平成
十四年度の
社会保障給付費
におきましては、保育所運営費、
児童
手当などの
児童
・
家族関係給付費
が全体の三・八%となっております一方で、年金保険
給付
、老人
保健
給付
などの高齢者
関係
給付
費は六九・九%となっております。 先日発表された世論調査結果におきましても、国民の八割が
少子化
の進行について危機感を感じているところでございまして、多くの国民が
少子化
の進行が年金等の
社会保障
制度
に及ぼす影響を懸念しているところでございます。 現在、
社会保障
制度
全般についての
一体
的な
見直し
の検討が進められておりますが、このような
状況
を踏まえて、
次世代育成支援対策
をその中での重要な
課題
の一つと位置付け、検討を進めてまいりたいと
考え
ております。 次に、
小児慢性特定疾患対策
における自己負担についての
お尋ね
がございました。
制度
の改善、重点化を行うに当たりましては、患者負担をお願いすることとしております。具体的には、比較的高い所得の世帯においても、一か月当たり最高で外来五千円程度、入院では一万円程度に抑えることを想定しております。また、住民税非課税世帯の場合は患者負担なし、所得税非課税世帯は外来千円程度、入院で二千円程度とするなど、低所得者に配慮した患者負担とすることとしております。 次に、
小児慢性特定疾患対策
における今日の対象疾患の
見直し
と今後の
方針
についての
お尋ね
がございました。 新たな
小児慢性特定疾患治療研究事業
の対象疾患については、現行の
小児慢性特定疾患治療研究事業
の対象を
基本
に、治療方法の確立が強く求められております疾患について、
慢性疾患
であることを前提にいたしまして、症状の重さ、治癒の見通し、治癒に掛かる費用など、疾病の特性を総合的に考慮して行うこととしております。 今後の
見直し
につきましては、本
事業
の実施
状況
を見つつ、
実施主体
となる
自治体
、
医療
にかかわる
専門家
や患者
団体
の御意見などを十分に伺いながら、適時適切に
対応
してまいる所存でございます。 成人の難病を対象とする
事業
と小児の
慢性疾患
を対象とする
事業
の
関係
について
お尋ね
がございました。 いわゆる難病を対象とする特定疾患治療研究
事業
と
小児慢性特定疾患治療研究事業
は、ともに公費負担
医療
制度
ではありますけれ
ども
、難病
対策
として行われている特定疾患治療研究
事業
は、年齢にかかわらず、
全国
規模で研究を行わなければ原因の究明や治療法の開発等が進まない疾患に関する
医療
の確立及び普及等を目的とした
事業
でございます。 これに対しまして、
小児慢性特定疾患治療研究事業
は、その治療が長期にわたり、
医療
費の負担も高額となる小児慢性特定疾患について、その研究を
推進
し、その
医療
の確立と普及を図る、患者
家族
の
医療
費の負担を軽減する、これらにより
児童
の健全
育成
に資することを目的としておりまして、この二つのものは性格が異なるところでございます。このように、それぞれの
事業
の目的が異なるため、対象とする疾患についても異なっておるものでございます。 特定疾患治療研究
事業
の
法制化
についての
お尋ね
がございました。
法制化
の是非につきましては、これまでも
関係
審議会等において議論がなされておりまして、賛否両論がございます。例えば、
法制化
による特定疾患
対策
の根拠が
明確化
するという長所も
指摘
されておりますけれ
ども
、一方
法制化
によって対象疾患や
施策
の固定化が生じ、柔軟な
制度
の運用ができなくなる可能性があるという意見もございます。今後、これらの意見を踏まえつつ、引き続き
法制化
の是非について検討してまいります。
最後
に、
次世代育成支援対策
を進めていく決意についての
お尋ね
がございました。 国民の八割が
少子化
の進行について危機感を感じているとの世論調査の結果が、先ほ
ども
申し上げましたようにございます。
次世代育成支援対策
は、国の
基本
政策であると
考え
ております。昨年成立いたしました
次世代育成支援対策推進法
に基づきまして、現在、
全国
の
地方公共団体
や
企業
におきまして
行動計画
の
策定
が行われております。
政府
といたしましては、本年六月に
策定
いたしました
少子化
社会
対策
大綱や今年中に
策定
いたします新たなプランに基づき、
地方公共団体
や
企業
の
行動計画
の実現に向けた
取組
を
支援
いたしますとともに、国民に
子供
を産み育てやすい環境
整備
が着実に進められているという実感を持つことができるような
効果
的な
取組
を進めてまいります。(
拍手
) 〔
国務大臣
中山成彬君
登壇
、
拍手
〕
中山成彬
11
○
国務大臣
(中山成彬君) 弘友
議員
にお答えいたします。
慢性疾患
の
子供
の実態に関する教育
関係者
への研修や院内学級の
整備
などの
対策
についての
お尋ね
でございます。
慢性疾患
の
子供
につきましては、教員等がその病状等の理解を深めるとともに、病状の種類と程度等に応じた教育環境を整えていくことが重要であると
認識
しておりまして、必要な
対応
を行っているところでございます。 具体的には、
慢性疾患
の
子供
の病状等に応じた適切な
指導
が行えるよう、国立特殊教育総合研究所を中心として、教員等を対象とした研修を実施し、教員等の理解の促進と
指導
の
向上
に努めているところでございます。 さらに、各
都道府県
におきましては、病気療養を必要とする
慢性疾患
の
子供
に対する教育の機会を
確保
する観点から、院内学級や病院と隣接、併設する養護学校の設置等の
整備
が進められるよう、文部科学省において通知等により
指導
を行っているところでございます。 文部科学省といたしましては、今後とも、
慢性疾患
の
子供
に対して適切な教育が行われるよう努めてまいります。(
拍手
)
扇千景
12
○
議長
(
扇千景
君) これにて質疑は終了いたしました。 本日はこれにて散会いたします。 午前十時五十一分散会