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2004-10-26 第161回国会 参議院 法務委員会 第1号
公式Web版
会議録情報
0
平成
十六年十月二十六日(火曜日) 午前十時開会 ─────────────
委員氏名
委員長
渡辺
孝男
君 理 事
松村
龍二
君 理 事
吉田
博美
君 理 事
千葉
景子
君 理 事
木庭健太郎
君
青木
幹雄
君
尾辻
秀久
君
山東
昭子
君
陣内
孝雄
君
関谷
勝嗣君
鶴保
庸介
君
中川
義雄
君
江田
五月君
前川
清成
君
松岡
徹君
簗瀬
進君
浜四津敏子
君
井上
哲士
君 扇 千景君 角田 義一君 ─────────────
委員
の
異動
十月十二日
辞任
補欠選任
中川
義雄
君
岩永
浩美
君 十月十三日
辞任
補欠選任
岩永
浩美
君
荒井
正吾
君 十月二十五日
辞任
補欠選任
浜四津敏子
君
遠山
清彦
君 十月二十六日
辞任
補欠選任
荒井
正吾
君
野村
哲郎
君
陣内
孝雄
君
小泉
昭男
君 ─────────────
出席者
は左のとおり。
委員長
渡辺
孝男
君 理 事
松村
龍二
君
吉田
博美
君
千葉
景子
君
木庭健太郎
君 委 員
青木
幹雄
君
小泉
昭男
君
山東
昭子
君
関谷
勝嗣君
鶴保
庸介
君
野村
哲郎
君
江田
五月君
前川
清成
君
松岡
徹君
簗瀬
進君
遠山
清彦
君
井上
哲士
君
国務大臣
法務大臣
南野知惠子
君 副
大臣
法務
副
大臣
滝 実君
大臣政務官
法務大臣政務官
富田
茂之
君
最高裁判所長官代理者
最高裁判所事務
総局総務局長
園尾
隆司
君
最高裁判所事務
総局民事局長
兼
最高裁判所事
務総局行政局長
高橋 利文君
最高裁判所事務
総局刑事局長
大野市太郎
君
事務局側
常任委員会専門
員 加藤 一宇君
政府参考人
法務大臣官房司
法法制部長
寺田
逸郎
君
法務省民事局長
房村
精一
君
法務省刑事局長
大林
宏君 ───────────── 本日の
会議
に付した案件 ○
国政調査
に関する件 ○
政府参考人
の
出席要求
に関する件 ○
下級裁判所
の
設立
及び
管轄区域
に関する
法律
の 一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
、
衆議院送付
) ─────────────
渡辺孝男
1
○
委員長
(
渡辺孝男
君) ただいまから
法務委員会
を開会いたします。
委員
の
異動
について御報告いたします。 昨二十五日までに、
今泉昭
君、
小野清子
君、
秋元司
君、
竹中平蔵
君、
岩井國臣
君、
中川義雄
君及び
浜四津敏子
君が
委員
を
辞任
され、その
補欠
として
簗瀬進
君、
山東昭子
君、
関谷勝嗣君
、
鶴保庸介
君、
尾辻秀久
君、
荒井正吾
君及び
遠山清彦
君が選任されました。 ─────────────
渡辺孝男
2
○
委員長
(
渡辺孝男
君)
国政調査
に関する件についてお諮りいたします。 本
委員会
は、
今期国会
におきましても、
法務
及び
司法行政等
に関する
調査
を行いたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
渡辺孝男
3
○
委員長
(
渡辺孝男
君) 御
異議
ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
渡辺孝男
4
○
委員長
(
渡辺孝男
君) この際、
南野法務大臣
、
滝法務
副
大臣
及び
富田法務大臣政務官
から発言を求められておりますので、順次これを許します。
南野法務大臣
。
南野知惠子
5
○
国務大臣
(
南野知惠子
君) あいさつ申し上げます前に、一言お許しいただきたいと思います。
新潟
県
中越地震
で被災された
国民
の
皆様
に対し、心からお見舞い申し上げます。
法務省
の所管する
施設等
においても被害が発生いたしておりますが、その
回復
に万全を期してまいりたいと考えております。 あいさつに入らせていただきます。 このたび、
法務大臣
に就任いたしました
南野知惠子
でございます。 近年、多くの
凶悪
・
重大事件
が続発していることに心を痛めておりましたが、そのような折に
法秩序
の
維持
、
国民
の
権利擁護等
を任務とする
法務省
の長を担当することとなり、その責務の重大さを痛感いたしております。平素から
法務行政
の運営について格別の御尽力を賜っております
委員長
を始め
委員
の
皆様方
に厚く御礼申し上げるとともに、私の
法務行政
に対する思いの一端を述べさせていただきたい。 現下の
緊急課題
は、安全な
社会
の
実現
、
維持
に取り組むこと、つまり
治安
の
回復
です。
我が国
の
刑法犯認知件数
は依然として戦後
最高水準
で推移している上、
凶悪殺傷事犯
や
少年
による
重大犯罪
が続発し、
来日外国人
による
犯罪
も多発しております。一方で、
刑法犯検挙率
は過去最低の
水準
に落ち込んでおり、
我が国
の
治安
は正に危機的とも言うべき状況にあると言わなければなりません。 まず、このような
我が国
の
治安情勢
の悪化に対し、
国民
の不安を解消するためには、早期に犯人を検挙し、厳正な処罰をし、さらに、
犯罪者
に対し
改善更生
のための教育を施して、その円滑な
社会復帰
を図るという
刑事司法システム
が十全に機能することが不可欠の前提です。このため、
各種法令等
の
整備
を図るとともに、検察、矯正、
更生保護
の
刑事司法システム
を支える
治安関係部門
についてはもとより、
関係
する
入国管理
、
公安調査庁等
についても、その
組織
、職員を
充実
し、より強固な
体制
を
整備
することが急務であります。
法整備
につきましては、
犯罪
の
国際化
及び
組織化
並びに情報
処理
の
高度化
に対処するための
刑法等
の一部を
改正
する
法律案
が
継続審議
とされているところですが、さらに、
凶悪
・
重大犯罪
に対処するため、
刑法等
の一部を
改正
する
法律案
を今
国会
に提出させていただきました。速やかに成立させていただきますようお願い申し上げます。 これに加え、
人身取引等
に対する
罰則整備
及び
少年
の
保護事件
に係る
調査手続等
の
整備
について
法制審議会
に諮問を行っているところであります。今後、その答申を受け、
法整備
を行ってまいります。 次に、
治安
の再生のためには厳格な
出入国管理
の
実施
も必要不可欠です。
法務省
においては、二十五万人に上る
不法滞在者
を今後五年間で半減するため、厳格な
水際対策
や
不法滞在者
の取締りを強化しているところであり、今後、リエゾンオフィサーの
派遣
、プレクリアランスの
実施
、
セカンダリー審査
の導入、バイオメトリックスを活用した
出入国審査
の
実施等種々
の
対策
を講じるなど、更なる
出入国管理体制
の
充実強化
に努めてまいります。 さらに、国際的な反
テロ
の
努力
にもかかわらず、依然として
国際テロ
の脅威は深刻であり、
我が国
に対しても、イラクの
自衛隊派遣
に反発する
国際テロ組織等
による
テロ
が行われる
可能性
を否定できません。加えて、北朝鮮の
動向
が
我が国
の安全に与える
影響
も見過ごせないことから、
公安調査庁
においては、内外の
関係機関
との
情報協力
を深めるなど
情報網
の
整備拡充
に努めるとともに、
情報収集
・分析の
充実強化
にも一層
努力
してまいります。 また、オウム真理教については、現在もなお、
麻原彰晃
こと
松本智津夫
の強い
影響下
にあると認められることから、
国民
の不安を解消するためにも、引き続き
団体規制法
を適正に執行していく必要があると考えております。 また、
刑務所等
の
行刑施設
においては、
平成
十六年八月
末日
現在、
受刑者数
が約六万四千人、
収容率
一一七%に達するなど、その
過剰収容状態
は極めて深刻であることに加え、
外国人
や
高齢受刑者
の特別の
配慮
を要する被
収容者
も増加しております。このため、今後とも、
受刑者
の円滑な
社会復帰
のための処遇の
充実
を図るとともに、
所要
の要員及び経費の確保に努め、あわせて、
PFI手法
を活用した
刑務所等
の新設を含め、更に大
規模
な
収容能力拡充
のため
施設整備
に努めてまいります。
保護観察
においても、
事件数
の増大と相まって、
凶悪粗暴事犯者
や
再犯
の
可能性
が高い
薬物乱用者
など、特段の
配慮
を要する困難な事案が多くなっております。
再犯
を防ぐ最後の支えである
更生保護
の
機能強化
を図るため、
保護観察官
、
保護
司、
更生保護施設等
の
体制
を一層
充実
させる必要があります。 次に、
司法制度改革
についてです。
国民
にとって身近で
頼りがい
のある
司法制度
を構築するため、
司法制度改革推進本部
を中心に、
政府
を挙げて
改革
の
実現
に取り組んでいるところですが、いよいよ
司法制度改革推進本部
の
設置期限
も十一月
末日
に到来いたします。
民事訴訟費用等
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
が
継続審議
とされているところですが、さらに
裁判外紛争解決手続
の
利用
の促進に関する
法律案
及び
裁判所法
の一部を
改正
する
法律案
を今
国会
に提出させていただきました。速やかに成立させていただきますようお願い申し上げます。 そして、今後は、
司法制度改革
において成立した
法律
に基づく
制度
、特に
裁判員制度
やいわゆる
司法ネット
を円滑に導入し、実効的に運用していくという重要な
課題
が残っております。私は、
国民
が
司法
に求める声に耳を傾け、そのニーズにこたえていく姿勢をもって、この
課題
に
全力
で取り組む
所存
です。 そして、
行刑改革
についてです。 既に御承知のとおり、昨年十二月、民間の有識者から成る
行刑改革会議
から、
国民
に
理解
され、支えられる
刑務所
を作ることを主眼とする
提言
をいただきました。
監獄法
の
改正
など、
行刑改革
に向けた
課題
は山積しておりますが、私は、この
提言
が
行刑行政
のあるべき姿、
方向性
を示したものであるとの認識に立ち、これを真摯に受け止め、森山元
大臣
、野沢前
大臣
の作り上げた路線を歩み、不退転の
決意
を持って
改革
に取り組んでまいりたいと考えております。 次に、
民事基本法整備
についてです。
平成
十三年から取り組んできた
民事基本法整備
は着々と成果を上げております。 今
国会
におきましては、
継続審議
とされている
民事関係手続
の
改善
のための
民事訴訟法等
の一部を
改正
する
法律案
に加え、
個人保証人
の
保護
を図るための
法整備
と
民法
の表記を片仮名から平仮名に改めることを
内容
とする
民法
の一部を
改正
する
法律案
及び
動産譲渡
を
登記
によって公示する
制度
を創設することなどを
内容
とする
債権譲渡
の
対抗要件
に関する
民法
の
特例等
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
を提出させていただきました。速やかに成立させていただきますようお願い申し上げます。 さらに、最近の
市町村
の
廃置分合等
に伴い
下級裁判所
の
管轄区域
の
表示
の
整備
を行うことなどを
内容
とする
下級裁判所
の
設立
及び
管轄区域
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
を今
国会
に提出させていただきました。速やかに成立させていただきますようお願い申し上げます。 この
登記所備付地図
の
全国
的な
整備
、今なおこのほか、
登記所備付地図
の
全国
的な
整備
、今なお後を絶たない人権に関する諸問題への対応、
心神喪失者等医療観察法
の円滑な施行、さらには、
刑事司法
に関する
国際協力
及び
民事商事分野
におけるアジアの国々に対する
法整備支援
の
推進
など、
法務行政
の抱える
課題
は少なくありませんが、誠心誠意取り組んでまいる、まいりたいと考えています。
委員長
を始め
委員
の
皆様
の御
理解
と御
指導
の下、
法務大臣
として、力強い
指導力
を発揮し、
国民
のために積極的に諸
課題
に取り組む
決意
であります。このたび新たに就任した滝副
大臣
及び
富田大臣政務官
とともに
全力
を尽くしてまいる
所存
ですので、どうぞよろしくお願いいたします。
渡辺孝男
6
○
委員長
(
渡辺孝男
君)
滝法務
副
大臣
。
滝実
7
○副
大臣
(
滝実
君)
法務
副
大臣
を仰せ付かっております
滝実
でございます。 ただいま
南野法務大臣
から所信をお述べいただきましたけれども、
大臣
の
趣旨
にのっとりまして、一生懸命頑張ってまいります。 つきましては、
富田法務大臣政務官
とともに、
南野法務大臣
を補佐して、最大限の
努力
をしてまいりたいと存じております。
委員長
を始め
委員
の
皆様方
の一層の御
指導
、御
支援
を賜りまして重責を果たしてまいりたいと考えておりますので、何とぞよろしくお願いを申し上げます。
渡辺孝男
8
○
委員長
(
渡辺孝男
君)
富田法務大臣政務官
。
富田茂之
9
○
大臣政務官
(
富田茂之
君)
法務大臣政務官
の
富田茂之
でございます。 弁護士の経験を生かしまして、
南野法務大臣
、
滝法務
副
大臣
をしっかり補佐し、
国民
の安全と
権利
を守り、
国民
の声に誠実にこたえる
法務行政
の確立を目指して、
全力
を尽くしてまいります。
渡辺委員長
を始め、理事、
委員
の
皆様方
の御
指導
、御
支援
をよろしくお願いいたします。 ─────────────
渡辺孝男
10
○
委員長
(
渡辺孝男
君)
政府参考人
の
出席要求
に関する件についてお諮りいたします。
下級裁判所
の
設立
及び
管轄区域
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
の
審査
のため、本日の
委員会
に
法務大臣官房司法法制部長寺田逸郎
君、
法務省民事局長房
村
精一
君及び
法務省刑事局長大林宏
君を
政府参考人
として
出席
を求め、その
説明
を聴取することに御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
渡辺孝男
11
○
委員長
(
渡辺孝男
君) 御
異議
ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
渡辺孝男
12
○
委員長
(
渡辺孝男
君)
下級裁判所
の
設立
及び
管轄区域
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
を議題といたします。 まず、
政府
から
趣旨説明
を聴取いたします。
南野法務大臣
。
南野知惠子
13
○
国務大臣
(
南野知惠子
君)
下級裁判所
の
設立
及び
管轄区域
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
について、その
趣旨
を御
説明
いたします。 この
法律案
は、
下級裁判所
の
設立
及び
管轄区域
に関する
法律
の
別表
について
所要
の
改正
を行おうとするもので、以下簡単にその要点を申し上げます。 第一点は、
簡易裁判所
の
管轄区域
の
表示
の
変更
でございます。
山口
県
厚狭
郡楠町の同
県宇部
市への
編入合併
に伴い、
厚狭
郡楠町に
設立
されている
船木簡易裁判所
と
宇部
市に
設立
されている
宇部簡易裁判所
の
管轄区域
の
範囲
を
従前どおり
維持
するため、
船木簡易裁判所
及び
宇部簡易裁判所
の
管轄区域
の
表示
について
変更
を行おうとするものでございます。 第二点は、
簡易裁判所
の
名称
の
変更
でございます。
裁判所
の
名称
は、その
所在地
の
市町村
の
名称
を冠するのを
原則
としておりますので、
新潟
県
南魚沼
郡六日町及び同
郡大和
町を廃し、その
区域
をもって
南魚沼
市が置かれることに伴い、
六日町簡易裁判所
の
名称
を
南魚沼簡易裁判所
に
変更
するなど、計十一庁の
名称
を
変更
しようとするものでございます。 第三点は、
下級裁判所
の
設立
及び
管轄区域
に関する
法律
の
別表
の
整理
でございまして、
市町村
の
廃置分合等
に伴い、同
法別表
第四表及び第五表について必要とされる
整理
を行うものでございます。 以上が
下級裁判所
の
設立
及び
管轄区域
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
の
趣旨
でございます。 何とぞ、慎重に御
審議
の上、速やかに可決くださいますようお願い申し上げます。
渡辺孝男
14
○
委員長
(
渡辺孝男
君) これより
質疑
に入ります。
質疑
のある方は順次御発言願います。
吉田博美
15
○
吉田博美
君 自由民主党の
吉田博美
でございます。
質問
に先立ちまして、度重なる台風並びに
新潟
県
中越地震
の、おきましてのお亡くなりになった方に対しまして、心からお悔やみ申し上げ、また
被災者
の
皆さん方
に対し、心からお見舞いを申し上げる次第でございます。 さて、
下級裁判所
の
設立
及び
管轄区域
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
についてお尋ねをいたします。 現在、
全国
四十七の都道府県におきまして
合併協議
が進められている中で、十月一日には二十三の新たな市や町が誕生いたしました。そして、今月じゅうには五つ、十一月一日には十九の新たな市や町が誕生すると聞いておるわけでございますが、そうした
合併ラッシュ
の中で新しい
宇部
市が誕生したわけでございますが、この
宇部
市の誕生に伴いまして、
簡易裁判所
の
名称
、
所在地
、
管轄表示
を改めるなどの
改正案
が提出されたわけでございまして、この点についての幾つかの
質問
をさしていただきたいと思います。 まず、この
改正案
が成立しないと
裁判所
の
管轄
にどのような不都合が生じるのでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。
寺田逸郎
16
○
政府参考人
(
寺田逸郎
君) この
法律
の
改正案
の最も重要なポイントとなりますところは、
委員
が先ほど御
指摘
になられましたうちの
宇部
市に
厚狭
郡楠町、
山口
県でございますが、
厚狭
郡楠町を
合併
するという
部分
の
簡易裁判所
の
管轄
の
表示
の
変更
でございます。 実は、この
厚狭
郡楠町の
宇部
市への
編入合併
というのは今年の十一月一日ということが予定されておりまして、仮にこの十一月一日までに
法改正
が行われないということにいたしますと、現在の
管轄法
の第三条の
規定
によりまして言わばいわばこの
厚狭
郡の楠町が
宇部簡易裁判所
の
管轄区域
に組み込まれてしまうということになるわけでございます。ところが、現在
厚狭
郡楠町を
管轄
いたしております
船木簡易裁判所
というのは正にこの
厚狭
郡楠町に所在するわけでございますので、この
厚狭
郡楠町においでになる
方々
というのは
地元
のこの
裁判所
を
利用
することができないという事態になってしまうわけでございます。 そこで、
皆様
の御
意向等
もいろんな形でお伺いいたしまして、
従前どおり
この地域の
方々
が
船木簡易裁判所
を御
利用
することができるようにすると、これが最大の眼目でございまして、これを十一月一日までに
実現
していただきたいと、このような
趣旨
でございます。
吉田博美
17
○
吉田博美
君
住民
の
利便性
を確保するという点だと思うわけでございますが、この
改正案
において
山口
県
厚狭
郡楠町の
住民
の
意向
は具体的にどのようにして把握されたのでしょうか。また、
船木簡易裁判所
の
管轄区域
である
美祢
市、
小野田
市、
山陽
町の
住民
の
意向
はどうだったのでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。
園尾隆司
18
○
最高裁判所長官代理者
(
園尾隆司
君) まず、楠町の
意向
の把握についてでございますが、楠町を
船木簡裁
の
管轄区域
にとどめるべきか、あるいは
宇部簡裁
の
管轄区域
に移すべきかということにつきまして、
山口地方裁判所
を通じまして楠町に対して
意見照会
をいたしました。その結果、楠町から、
船木簡裁
の
管轄区域
にとどまるのが相当であるという御
意見
をいただきました。 また、
船木簡裁
の
管轄区域
内にある楠町以外の市及び町、具体的には
美祢
市、
小野田
市及び
山陽
町の三つの市と町でございますが、これらの市及び町に対しましても楠町を
船木簡裁
の
管轄区域
にとどめることについての
支障
の有無を照会いたしました。これは
山口地方裁判所
を通じて照会いたしましたが、いずれの市あるいは町からも
支障
がないという回答をいただいております。
吉田博美
19
○
吉田博美
君 この
改正案
では
宇部
市に
二つ
の
簡易裁判所
が存在することになりますが、現在
行政
の
スリム化
が叫ばれる中で、
住民
の
利便性
との
関係
では非常に難しい問題だと思いますが、そこでお伺いいたしますが、
簡易裁判所
の
設置基準
や統廃合の考え方はどうなっているのでしょうか。
園尾隆司
20
○
最高裁判所長官代理者
(
園尾隆司
君)
簡易裁判所
の
設置基準
につきましては、
人口動態
、
事件数
の
動向
、
交通事情等
の数値化できる要素を検討するということに加えまして、
IT技術
の向上、統合による
事件
の
迅速処理
の
可能性
、あるいは歴史的ないし沿革的な
事情
その他の数値化し難い
事情
も勘案いたしまして、総合的な
利便性
をより向上させるという見地から検討をすべきものであるというように考えております。 今回、
宇部市内
に
二つ
の
簡易裁判所
が存在することとなりましたが、これは従来
二つ
の
裁判所
が違った市及び町内にあったものが
行政区画
の
変更
によりまして同一
市内
に併存するということになったものでありまして、その
事件数
、
管轄区域
の
範囲
、付近の
交通事情等
も考慮いたしてもこの
体制
を
維持
するのが相当というように考えたものでございます。
吉田博美
21
○
吉田博美
君 ところで、
簡易裁判所
の
名称
は
所在地
の
市町村名
を頭に付けるのが
原則
だと聞いておりますが、この
改正案
では
名称
を変えずに
所在地
の
変更
だけのものがありますが、その
理由
をお聞かせいただきたいと思います。
寺田逸郎
22
○
政府参考人
(
寺田逸郎
君) 今御
指摘
の
簡易裁判所
の
名称
でございますが、これは
法令等
で特にこうすべきであるということが決まっているわけではございません。したがいまして、現在までのところは、その
利用者
であられる
国民
の
皆様
のいろんな御
意向
、
利用
の
便宜等
を考慮いたしまして、大体は
所在地
の
市町村
の
名称
を冠するということが通例でございますので、そのようにいたしているわけでございます。 今回も、基本的に
簡易裁判所
の
名称
を
変更
するとした
部分
はいずれも
地元
の
住民
の御
意向
を反映いたしまして
地元
の
市町村
の名前を付けているわけでございますが、ただ、現在の
名称
を引き続き使用するという御
意向
が強い
部分
、これは例えば
丹波
の
柏原簡裁
などがその例でございますけれども、そういったところにおいては現在の
名称
をそのまま
維持
するなどの
事情
で
所在地
の地名と
簡易裁判所
の
名称
が異なっていると、このようなことが生じているわけでございます。
吉田博美
23
○
吉田博美
君
丹波
もそうでありますが、島根の西郷もそうじゃないかと思うんですけれども。 さて、現在
全国
で多くの、先ほど来申し上げましたように
市町村合併
が進んでおるわけでございますが、この
管轄法
は
市町村合併
に伴いその
都度法改正
をする必要があるのかどうかお聞かせいただきたいと思います。
寺田逸郎
24
○
政府参考人
(
寺田逸郎
君) 先ほど
委員
からも御紹介がありましたように、現在非常に大
規模
に
市町村
の
合併
が進められております。今後も約六百の
市町村
でそれにかかわる事柄というのがいろいろ協議されているというふうに私どもも承知いたしております。 ただ、この
裁判所
の
管轄
に関しましては、基本的に
管轄法
の第三条という
規定
がございまして、そこで
行政区画
の地理的な
変更
に対応する形での
原則
的な
処理
というのは可能になっております。したがいまして、
原則
としては、今後
市町村
の
合併
がありましてもこの
簡易裁判所
の
管轄区域
の
変更
というのは来さないという御
理解
をいただきたいと思います。もちろん例外は全くないわけではございませんけれども、今のところはそう大
規模
な形でまたこのような措置が必要になるということは予想いたしておりません。
吉田博美
25
○
吉田博美
君 この
改正案
の
内容
を見ますと、
宇部
市のように
管轄区域
を見直す
部分
と形式的に
表示
を改める
部分
とありますが、そもそも
裁判所
の
管轄区域
を
法律
で定めることとしている
理由
は何なんでしょうか。
寺田逸郎
26
○
政府参考人
(
寺田逸郎
君) これは、なるほど
簡易裁判所
というのは非常にたくさん存在するわけで、またいろいろな
市町村
をカバーする
範囲
というのも区々入り組んでいる場合もございますので、この
改正
というのが必要になってくるというふうに一見してお考えになられると思います。 しかしながら、
原則
といたしまして、この
簡易裁判所
というのはそれぞれ独立いたしておりまして、それぞれがそれぞれの
区域
の
国民
の方、
住民
の方と向き合っているわけでございます。そういう
国民
の
権利
の擁護に直接タッチする機関ということで、やはりこの
管轄
というのは
法律
でお決めいただくというのが適当だろうと今までは考えてきておりまして、誠に、時には煩わしい形になるかもしれませんが
改正
をお願いいたしているわけでございます。
吉田博美
27
○
吉田博美
君
国会
が閉会中等で
法改正
が間に合わず、
住民
に不便を強いる場合が生じることも考えられます。
法改正
をしなくてもいいような措置、例えば政令にゆだねるなどの方法を検討する必要があるのではないでしょうか。
寺田逸郎
28
○
政府参考人
(
寺田逸郎
君) ただいまおっしゃいましたように、これまでも時々このような
改正
をお願いしている
関係
上、政令あるいは最高裁規則で行ってはどうかという御疑問もおありになるわけでございます。 ただ、先ほど申しましたように、一つ一つの簡裁を取ってみますと、あくまでそこの地域の
住民
の方のアクセスをどう、
裁判所
へのアクセスをどう確保するかという非常に重要な問題でございますので、私どもはできるだけ御不便をお掛けしないような形で今回のような措置をお願いするというのを
原則
にいたしたいと、このように考えているわけでございます。
吉田博美
29
○
吉田博美
君
簡易裁判所
の件でございますが、
簡易裁判所
も取扱対象
事件
がかなり拡大をされておりまして、今後ますますその機能を果たしていくことがあると思いますが、昨年、
簡易裁判所
では
法務大臣
の認定を受けた
司法
書士による訴訟代理業務、
関係
業務が可能になったと聞いておりますが、現在、何人くらいの
司法
書士が
法務大臣
の認可を受けたのでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。
寺田逸郎
30
○
政府参考人
(
寺田逸郎
君) 今おっしゃられました、
司法
書士法第三条第二項第一号という
規定
に基づきまして
法務大臣
が指定する研修を修了した
司法
書士で、その第二号の簡易、簡裁訴訟代理
関係
業務を行うのに必要な能力を有すると、このように
法務大臣
が認めました数の総数でございますが、約八千七百名になっております。
吉田博美
31
○
吉田博美
君 時間の
関係
もございますので、
大臣
に最後にちょっと
質問
をさせていただきたいと思いますが、これは
大臣
あいさつの中にもございましたが、
国民
は今後も
司法制度
の
改革
を切に望んでおると考えますが、
司法制度改革
に取り組む
大臣
の
決意
のほどをお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
南野知惠子
32
○
国務大臣
(
南野知惠子
君) 自由かつ公正な
社会
の
実現
のためには、その基盤となる
司法制度
を、新しい時代にふさわしく、
国民
にとって身近なものになるようにと
改革
していくことを欠かすことができません。このような意味で、今行っております
司法制度改革
は歴史的にも大変に重要な意義を有する
改革
であると考えております。 私は、
司法制度改革推進本部
の副本部長として、また
司法制度
を所管する
法務大臣
として、
司法制度改革
の
実現
のため最大限の
努力
を尽くしてまいる考えでございます。
吉田博美
33
○
吉田博美
君
大臣
の
決意
のほどをお伺いしたわけでございますが、私も参議院議員になりまして三年ちょっとでございますが、
大臣
と一緒に議員活動をさせていただく中で、
大臣
の三年ちょっとの議員活動を私なりに、すべてではございませんが、拝察をする中で、本当に家庭のいろいろな問題、DV法を始め、あるいは身近な問題に真摯に取り組んでいる姿勢に私も敬意を表する一人でございます。 今
大臣
に対する批判もあるわけでございますが、その批判には、
大臣
ですから謙虚に耳を傾けていただけることと思いますし、なお
大臣
、
大臣
が今までやってこられた議員活動、自信と誇りを持ってこれからも
法務大臣
として職責を全うしていただきたいと思いますので、頑張ってください。
質問
を終わります。
前川清成
34
○
前川
清成
君 七月の選挙で奈良県選挙区から当選させていただきました
前川
清成
でございます。 本年の三月十六日に民主党の公認をいただくまで政治とは一切かかわっておらず、その意味では政治の素人でありますが、先輩諸賢の御
指導
を仰ぎながら政治家として大成してまいりたい、かように考えております。どうぞよろしくお願い申し上げます。 まず、冒頭、今年の度重なる台風、豪雨、そして今般の
新潟
県
中越地震
の
被災者
の
皆様方
に衷心よりお見舞いを申し上げます。 つきましては、
大臣
、
法務省
におかれましても、例えば地震に伴う地すべり等境界の紛争が発生する
可能性
があろうかと存じますが、
被災者
の
方々
の立場に立って、
法務省
におかれても被害
回復
に向けて万全の
努力
を、御
努力
をお願いしたい、かように考えております。 さて、
船木簡裁
の
管轄区域
についてですが、
利用者
の
利便性
を十分に御考慮いただいた結果だとは思いますが、
船木簡裁
の位置が
管轄区域
の東の端に偏っていて
利用者
に不便はないのでしょうか。例えば、JRの
美祢
駅からでも直線でおよそ二十キロ離れております。簡裁も本来はその
管轄区域
の中心に位置するべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
園尾隆司
35
○
最高裁判所長官代理者
(
園尾隆司
君) この
船木簡易裁判所
の現在の位置につきましては、沿革上の
事情
がまずございまして、ここが現在の
宇部
の
簡易裁判所
よりも早くから
裁判所
の
所在地
となったというような、そういう
事情
がございます。 そういうことでここに
簡易裁判所
が置かれたわけですが、後に、
宇部
の近辺というのが大変人口の増加がしてくるということで
宇部
の
簡易裁判所
というのができたというようなことがございまして現在の位置にあるわけでございます。その後、これを改めて場所を移すかどうかという問題につきましては、
関係
の様々な
方々
の御
意見
にもよるというように考えておりまして、現在は、この沿革上の
事情
を尊重してこの位置で所在をすることにしておるということになります。
前川清成
36
○
前川
清成
君
法務大臣
にお伺いいたしますが、
簡易裁判所
というのは市民にとってどのような存在であるべきなのか。私は、市民が簡易な紛争を迅速に手軽に解決できる、そんな存在であるべきだというふうに考えておりますが、
大臣
はいかがでしょうか。
南野知惠子
37
○
国務大臣
(
南野知惠子
君) 議員おっしゃるとおりでございます。
簡易裁判所
は、
国民
に最も身近な
裁判所
として比較的軽微な
事件
を簡易迅速に解決する、そういうことを目的といたして
設立
された
裁判所
であると存じております。
前川清成
38
○
前川
清成
君 これに対して、実情なんですけれども、
簡易裁判所
の主な
利用者
はだれかということをお伺いしたいと思います。生活者や消費者、いわゆる普通に市民と呼ばれる人たちが
簡易裁判所
を
利用
しているのかどうか、この点お伺いしたいと思います。
高橋利文
39
○
最高裁判所長官代理者
(高橋利文君) 民事訴訟につきまして、そういういろいろ、業者でありますとか、どのような者が
事件
を申し立てているかにつきましては、必ずしも、統計を取ることが難しくございまして、具体的な数値は把握できておりません。
前川清成
40
○
前川
清成
君
大臣
以外の方がお答えいただいてもいいんですけれども、時間の無駄のならないように中身のある議論をしたいと、このように思っています。 最高裁が出している
平成
十五年の
司法
統計年表、これでも、簡裁の民事新受件数が三十三万七千二百三十一件、うち三十二万九千六百二十一件が金銭を目的とする訴えに分類されています。実に九七・七%がサラ金やカード会社による取立訴訟として
利用
されている、この実態をまず
指摘
したいと思います。 それと、今の答弁はこれまでの最高裁の
説明
と明らかに矛盾しています。
平成
十四年の五月二十八日に
司法制度改革推進本部
で
司法
アクセス検討会が行われました。その議事録は官邸のホームページでも見ることができますが、その中で、
推進
本部の事務局から、
簡易裁判所
の民事訴訟の実情についてと断った上で、
簡易裁判所
の民事訴訟における、民事訴訟については、クレジットとかカードローンなどの金融業者の債権回収に係る訴訟については、通常、立替金、求償金、貸金といった
事件
名になっているというふうに
説明
しておられます。その際には
司法
改革
推進
本部の山崎潮事務局長も同席しておられますが、この方は
裁判所
の方なはずです。 じゃ、この山崎さんというのはうその
説明
をしたのですか、お答えいただきたい。
高橋利文
41
○
最高裁判所長官代理者
(高橋利文君) お答え申し上げます。 先ほど申し上げましたように、具体的な統計を原告がだれかという観点からは取っておらないわけでございますが、
事件
類型、
委員
御
指摘
のとおり、
事件
類型に応じた統計、すなわち貸金請求
事件
や立替金、求償金請求
事件
等の新受件数の統計は取ってございます。 それによりますと、
平成
十五年における
簡易裁判所
の民事通常訴訟の新受
事件
全体に占める貸金請求
事件
の割合は約四五%、立替金、求償金請求
事件
の割合は約二二%となっております。要するに、
事件
全体の約七割弱が貸金請求
事件
、立替金、求償金請求
事件
でございます。そして、この種
事件
につきましては、
委員
御
指摘
のカード会社等の提起する
事件
が相当多くの割合を占めているというのが
簡易裁判所
の実務を担当している者の実感であるというように聞いております。
前川清成
42
○
前川
清成
君 もう時間の無駄ですので、これからは専ら
大臣
と議論させていただきたいと思います。
大臣
は、
簡易裁判所
にあるいは
裁判所
に傍聴に行かれたことがあるでしょうか。もしなければ、裁判というのはいつでも傍聴することができますので、是非、役所が設定した傍聴の機会じゃなく、御自身で足を運んでいただきたい、こんなふうに思います。もしよろしければ私がお供いたします。 朝十時に
簡易裁判所
の法廷に行っていただければ、原告の側にはサラ金やカード会社ばかりが並んでいます。そして、被告の側にはその高利の金を返せなくなった消費者の方やその保証人の人々が並んでいます。
簡易裁判所
というのは専らサラ金やカード会社の取立て機関になっています。このような現状について私は異常だと考えますが、
大臣
はいかがでしょうか。今の状況は、法と正義が、法と正義を
実現
する場所としての
裁判所
にふさわしくない、私は考えておりますが、
大臣
の見解をお聞かせいただきたいと思います。
大臣
。
南野知惠子
43
○
国務大臣
(
南野知惠子
君)
裁判所
は、ついこの前、最高
裁判所
でございましたが、傍聴させていただきました。──東京地裁です。
前川清成
44
○
前川
清成
君 今の点で、
簡易裁判所
に行かれると、サラ金やカード会社ばっかりが取立てのために使っている。この
簡易裁判所
の現状について、
大臣
のお考えがあれば是非お聞かせいただきたいと、こう思います。
大臣
のお考えを。
南野知惠子
45
○
国務大臣
(
南野知惠子
君) これから実態を勉強させていただき、そのことを追求していきたいと思っております。
前川清成
46
○
前川
清成
君
簡易裁判所
がサラ金など高利貸しの取立てのために使われるのは、実体法の問題として、私は利息制限法や出資法の制限利息が高過ぎるのではないか、こんなふうに考えておりますが、
大臣
はいかがでしょうか。
南野知惠子
47
○
国務大臣
(
南野知惠子
君) 利息制限法の上限利率の在り方につきましては、その定め方いかんによっては経済
社会
に及ぼす
影響
が大きいものと考えられます。このため、経済・金融情勢、金融機関や貸金業者による貸付けの実情など十分考慮した上、その見直しの必要性を慎重に検討する必要があると考えております。 なお、
平成
十五年のいわゆるやみ金融
対策
法の附則では、出資法の上限利率について施行後も必要な見直しを行うものとされておりますことから、その
動向
も参考にしつつ、利息制限法の上限利率につきましても今後見直しを検討していきたいと思っております。 さらに、支出法につきましては、出資法ですね、今おっしゃったのは出資法、につきましては、御
指摘
のような御
意見
があることは承知いたしておりますが、この上限金利については、
法律
の附則で「必要な見直しを行うものとする。」とされておりますので、
法務省
としまして、これに備えて、
国会
等における種々の御議論を見守りつつ、必要な
調査
を行ってまいりたいと考えております。
前川清成
48
○
前川
清成
君 今
大臣
が利息制限法の見直しに言及していただいた点には敬意を表したい、このように思います。 それで、今
大臣
が制限利息に関しては金融情勢も勘案しながら適宜判断していく、こういうふうにおっしゃっていただきましたので、金融情勢についてこれから申し述べたいと思います。 今、私たちがとらの子のお金を定期預金いたしましても、〇・〇二%しか金利が付きません。普通預金であれば〇・〇〇一%であります。ところが、出資法においては、高利貸しは二九・二%まで金利を取ることが認められています。二九・二%というのは、定期預金金利〇・二%のおよそ千五百倍、普通預金金利の三万倍であります。これでは高利貸しをはびこらせることになって、物作りなど勤労に対する尊敬を奪いかねないのではないかと、このように考えますが、
大臣
、いかがでしょうか。
滝実
49
○副
大臣
(
滝実
君)
委員
御
指摘
のとおり、現在の利息制限法あるいは出資法等において定められております金利につきましては、大変、一般の預金金利から比べると全く次元を異にするような高さにあることは申すまでもないわけでございます。 そのため、実はこの利息につきましては、かつて四〇・〇〇四%というふうに決められておりましたものを
平成
十五年に、まあとにかく現在の状況に比べて大変高いということで、現行の二九・二%というものを基準に引き下げたというような経緯があるわけでございまして、基本的にそのときの議論からいたしますと、なぜそういうふうな高い金利で妥協したかと、こういうことになるわけでございますけれども、基本的にこの貸金業者の資金コストというものも考えなければいけない、あるいは貸金業におけるリスクと申しますか、言わば預金保証みたいな、貸倒れ保証みたいな、そういうようなものも当然コストとして掛かってまいりますので、そういうことの中で言わば四〇・〇〇四%から二九・二%というような基準のところに落ち着いたというのが、
改正
は十一年ですか、それが実態でございます。 そういうようなことで、今
大臣
から申し上げましたように、そうは申しましても、これから業者から、業者における言わば資金コストがどうなるのか、あるいはリスクコストがどうなるのか、そういうことをフォローしながらこの問題に取り組んでいくというような実情にあるものと承知をいたしているわけでございます。
前川清成
50
○
前川
清成
君 今、滝副
大臣
から丁寧な御
説明
をいただきましたけれども、誠に恐縮ながら、滝副
大臣
の調達コストや貸倒れリスクに関する御
説明
が的外れであることを御
指摘
申し上げたい、こんなふうに考えます。 と申しますのも、警察庁の発表では、
平成
十五年、あの阪神大震災の死者を上回る八千八百九十七名もの方が経済苦を
理由
に自殺をしておられます。その一方で、例えば武富士は一千九百五十五億円、アコムは一千四百六十七億円もの申告所得を得ております。このサラ金二社の申告所得は、例えば東海道新幹線を走らせているJR東海の一千三百六十六億円という申告所得より多いわけであります。 今、調達コストのことをおっしゃいましたけれども、大手サラ金業者は今、長プラ程度で調達することができると聞いております。貸倒れリスクあるかもしれませんが、今現に御
指摘
申し上げたような莫大な利益を得て、その陰で八千八百九十七名もの方が経済苦を
理由
に自殺しておられる。やはり、この高金利によってサラ金が莫大な利益を得ている今こそ、出資法そして利息制限法の制限利息、金利を見直さなければならない、こんなふうに考えますが、
大臣
、いかがでしょうか。
南野知惠子
51
○
国務大臣
(
南野知惠子
君) 高利の金利をめぐりましては、種々のトラブルが発生しております。
平成
十五年のいわゆるやみ金融
対策
法の制定など、必要な
対策
が講じられているのは承知しております。今後とも、問題状況の把握に努める必要があると考えております。 金利の引上げの当否については、引下げ、金利の引下げの当否については、諸般の
事情
を総合的に考慮して判断していきたいと考えております。
前川清成
52
○
前川
清成
君 この高利金利の問題につきましては、私自身も引き続き勉強してまいりたい、このように考えておりますが、今日、
大臣
がごあいさつの中で、私は、
国民
が
司法
に求める声に常に耳を傾け、そのニーズにこたえていく姿勢をもって
課題
に
全力
で取り組みますと、このように御表明されました。
大臣
に投票された有権者の
皆さん方
が、あるいは市民の
皆さん方
が、このサラ金やカード会社の高金利を野放しにしていいと考えておられるのかどうか、いま一度御再考いただいて、この問題についても取り組んでいただきたい、このように考えます。 それで、時間もありませんので、最後に
簡易裁判所
の
司法
委員
制度
についてお尋ねしたいと思います。
簡易裁判所
には
司法
委員
という
方々
が働いておられますが、この
方々
がどういう役割をしておられるのか、時間がありませんので手短にお願いいたします。
高橋利文
53
○
最高裁判所長官代理者
(高橋利文君)
司法
委員
制度
は、戦後、
国民
の
司法
参加の一つとして、一般
国民
の健全な良識を
簡易裁判所
の民事訴訟手続に反映させることなどを目的として導入された
制度
でございます。
法律
上、
司法
委員
に選任される者の資格につきましては、良識のある者その他適当と認められる者の中から選任することとなっておりまして、実際には和解の補助、それから裁判において立会い、裁判に立ち会いまして裁判官に
意見
を述べるというようなことをやっております。
前川清成
54
○
前川
清成
君 先ほど申し上げたように、
簡易裁判所
においては九七・七%がサラ金やカード会社の取立てのために使われております。そして、
司法
委員
の
方々
が、その初回弁論が始まる前にいわゆる和解の仲立ちをしておられますけれども、その
司法
委員
の
方々
が、今役所の方から常識のある方を任用しているんだと、こういうふうな御
説明
がありましたが、
法律
について御存じなのかどうか、特に利息制限法等について御存じなのか。 私たちの感覚では、
司法
委員
というのはサラ金の主張をそのままにして、すなわち利息制限法に違反している請求をそのまま認めておいて、ただ分割払の回数だけ決めている、こんなふうな認識があるんですが、
司法
委員
の研修やあるいは利息制限法の遵守等について手短にお答えいただいて、私の
質問
を終わらせていただきます。
高橋利文
55
○
最高裁判所長官代理者
(高橋利文君) 調停
委員
はどういう方から選ばれているかと申し上げますと……
前川清成
56
○
前川
清成
君
司法
委員
です。
高橋利文
57
○
最高裁判所長官代理者
(高橋利文君) あっ、ちょっと、失礼いたしました。
司法
委員
……
前川清成
58
○
前川
清成
君 今、もう聞いたから結構です。
高橋利文
59
○
最高裁判所長官代理者
(高橋利文君) はい。実際には調停
委員
としての相当経験豊かな方の中からかなり選ばれております。 ですから、その研修につきましても、まず、なりますと、一回、最初に研修を行う。そこでは、
委員
御
指摘
の利息制限法、
民法
、そういった実体法の知識はもとより、手続法についても研修を年に一回、あるいは行っております。
木庭健太郎
60
○
木庭健太郎
君 まず、
新潟
中越地震
並びに度重なる台風、本当に被災された
方々
に心からお見舞い申し上げるとともに、
法務省
は
法務省
として取り組まなければいけない
課題
あると思います。それはそれとしてきちんと取り組んでいただきたいことを御要望し、そして
大臣
、滝副
大臣
、それぞれ御答弁ありましたから、じゃ、
富田
政務官に一言答弁の機会を。 是非、
国民
にとって身近で
頼りがい
がある
司法
、また
法務行政
を
実現
させるために重要なことというのは、ともかく
国民
の皆さんがタイムリーにこの
司法
、こういうものを、情報提供ということが一番大事だと思うんですけれども、分かりやすい
司法
という観点からどのようにお考えか、お聞きしておきたいと思います。
富田茂之
61
○
大臣政務官
(
富田茂之
君) 御
質問
ありがとうございます。
委員
も御承知のとおり、
司法制度改革
審議
会
意見
書におきましては、「基本法制の
改正
の早期
実現
に期待するとともに、
司法
の運用もまた
国民
の視点に立った分かりやすいものとする
配慮
がなされることが望まれる。」というふうにされております。
司法
を
国民
の視点に立った分かりやすいものとすることが必要であると
法務省
としても考えております。 また、
法務省
といたしましては、
司法
を
国民
の視点に立った分かりやすいものとする観点を踏まえて、基本法制の
改正
作業を引き続き進めるほか、
司法制度
に関する情報の分かりやすい伝え方についても、
国民
からの御
意見
も真摯に受け止めながら、
関係
省庁と連携を図り、必要な検討を行ってまいりたいと考えております。 また、
司法
分野について
国民
の
皆様
に御
理解
をいただき、日常生活においても十分な法意識を持って行動していただくとの観点から、文部科学省とも連携して行っております法教育や法的な紛争解決に関する広報活動の普及にも努めてまいりたいと考えております。
木庭健太郎
62
○
木庭健太郎
君 そういう意味で、今回の一つのこの
管轄区域
の法案の問題にしてみても、
地元
住民
、
地元
のいろんな御
意向
もお聞きしながら要望をしっかり踏まえた措置だということで、これはこれで
理解
はできるんですけれども、今後も、分かりやすい
司法
という意味でいけば、そういう、どういうところに受皿があるかという問題、地域とよく協議しながらやるということは大事だと思っているんですが。 実は、東京の地裁、家裁、八王子支部ですか、この立川市の移転について何か八王子市が反対すると、何かちょっとトラブっているようでございますが、この移転にかかわる経緯、移転を必要とする
理由
、簡単に御
説明
いただきたいと思うんです。
園尾隆司
63
○
最高裁判所長官代理者
(
園尾隆司
君) 東京地家裁八王子支部では、これまで
事件数
の増加が著しいということで、これに対処するために数度にわたって庁舎の増改築を行ってまいりました。しかしながら、度重なる増改築によりまして建物の配置が大変複雑になって使いにくいということ、また老朽化も進行いたしまして、庁舎の建て替えを検討してまいりましたが、現在地での建て替えは困難であるということが判明したわけでございます。 そこで、
平成
十年ころ、歴史的な経緯も考慮いたしまして八王子
市内
で移転先を探すということにいたしました。ところが、八王子
市内
には適当な国有地がないということが判明いたしましたために、八王子市に対しまして土地取得のあっせんを依頼いたしました。その後、八王子市の御尽力で幾つかの候補地が挙がりましたが、残念ながら条件面で折り合わないという状況が続きました。その後、
平成
十五年二月になりまして、八王子市から
裁判所
に対して、
市内
での最後の候補地の確保について断念したというように伝えられましたために、
裁判所
では周辺に適当な移転先がないかどうかの検討を始めたわけでございます。 その後、本年五月に裁判員法が成立いたしましたために、これに対処するために、多摩全地区から交通のアクセスが良いまとまった国有地がある立川市を最適地と判断いたしまして、
平成
十七年度概算要求において土地取得のための予算を要求して現在に至っているものでございます。
木庭健太郎
64
○
木庭健太郎
君 今おっしゃったように、我々、この
国会
で
裁判員制度
を成立させ、正にこの
司法
改革
の一つの、一つか一番大きな柱だと思って通したわけですが、それに伴って今度は設備を整えなくちゃいけないという問題で、ある意味では、老朽化の問題とともにこの
裁判員制度
というのが一つのきっかけになっておると。そういう意味では、この八王子だけじゃなくて、同様の
理由
によって移転を計画せざるを得ないような
裁判所
はあるんですかね。
園尾隆司
65
○
最高裁判所長官代理者
(
園尾隆司
君) 老朽化が進んだ上、
裁判員制度
に対応する必要があるという
理由
で移転を計画しているのはこの八王子支部のみでございまして、同様の
事情
で移転を計画している
裁判所
はほかにはございません。
木庭健太郎
66
○
木庭健太郎
君 また、せっかく裁判員の話がありましたんで、先日ですか、
裁判員制度
の準備ということで裁判官を百人ですか、欧米に
派遣
して評議や審理の進め方を学ばせる方針を固めたという報道もございましたけれども、今、じゃ、この
裁判員制度
を、五年後ですよね、きちんとやるためにどういう準備進められているのか。ほかの点、何か幾つかあれば御紹介をお願いしておきたいと思います。
大野市太郎
67
○
最高裁判所長官代理者
(
大野市太郎
君)
裁判員制度
を
実施
するために、現在最高
裁判所
の方ではいろいろな検討をしております。 一つは、最高
裁判所
規則の制定の問題がございますし、人的・物的
体制
の
整備
などといった問題が必要となってまいります。現在、その前提としての
制度
の具体的な在り方や運用方法等について鋭意検討しているところであります。 また、
政府
と協力して
国民
の
理解
を得るための周知広報活動に着手したところでもあります。 以上です。
木庭健太郎
68
○
木庭健太郎
君 もちろん、そういうソフト面、これからどういうものをきちんとやっていくかという意味で、裁判官の
方々
がこうやって海外へ行き勉強される、大事なんですけれども、実は本当は心配しておるのは、裁判員やるために随分形が変わるわけですよね、
裁判所
の。これは本当に、簡単に、さあこういう形にするから翌日からやれと言われたって、それは
裁判所
対応できないわけであって、ある意味では物的な面の
整備
というのもきちんと予算を付けて、これはもうちょっと早めにやらなくちゃいけないんじゃないかと心配しておるんですが、大丈夫ですかね、その点は。
大野市太郎
69
○
最高裁判所長官代理者
(
大野市太郎
君) おっしゃるとおり、物的施設、施設につきましては、どうしても一定の期間、必要な期間が必要になるというふうに思っております。
裁判員制度
を
実施
するためには、選任手続を経まして必要な数の裁判員を確保した上で連日的開廷に対応する必要があるほか、裁判員とともに真に
充実
した審理を行うために裁判員と裁判官とが実質的な議論の時間を十分確保する、またそのための相応のスペース、物的なスペースが必要であるというふうに
理解
しております。
裁判所
といたしましては、今申し上げましたように
制度
の具体的な運用等について検討しているところでありまして、法曹三者を始め、
国民
の
理解
と協力の下で裁判官と裁判員とが適切な協働
関係
を築き上げることが必要であるというふうに思っております。これらの検討を詰めた上で、既存の物的設備を有効に活用しつつ、必要に応じて法廷、評議室を始めとする
関係
施設の改修、増設等を行うことが必要となるというふうに思っております。計画性を持って物的
体制
の
整備
を図って、
裁判員制度
の導入に遺漏のないように努めたいというふうに考えております。
木庭健太郎
70
○
木庭健太郎
君 また話をちょっと八王子に戻すんですけれども、是非その点、ただ報道を見る限りはなかなかその
地元
との納得ができていないような話も伝わりますし、是非そこはきちんとした形の協議をしていただきたいし、そしてもう一つ心配しているのは、この家裁、地裁の問題だけじゃなくて、現庁舎に簡裁もありますよね、これをどうするかということも、何か残すかどうかも検討中だという話もあるようでございますが、正に先ほどから話があっているように、簡裁業務というのはこれはまた別途の意味があるものであって、そういう意味では、少なくとも一番身近な
裁判所
と言える簡裁、窓口を広げるという意味でも、この
簡易裁判所
はそのまま残された方がいいんじゃないかなと私個人は思うんですけれども、この点いかがでしょうか。
園尾隆司
71
○
最高裁判所長官代理者
(
園尾隆司
君)
委員
御
指摘
のとおり、
簡易裁判所
は、少額軽微な
事件
を簡易迅速に解決するということを目的として設置されまして、現に少額訴訟など、
国民
に身近な
事件
について対処をしておるということで親しまれておるものでございます。 したがいまして、八王子市民に最も身近な
裁判所
である八王子
簡易裁判所
につきましては、八王子市に存置する方向で考えたいというように思っております。
木庭健太郎
72
○
木庭健太郎
君 時間ですので、終わります。
井上哲士
73
○
井上
哲士
君 日本共産党の
井上
哲士
です。 まず、
新潟
中越地震
、度重なる台風被害の
被災者
の皆さんに心からお見舞いを申し上げます。 私も二十三日に豊岡の台風被害に
調査
に行っておりまして、その帰りに地震を聞きまして、翌日、小千谷と長岡に
調査
に入ってまいりましたけれども、大変な被害でありまして、
政府
を挙げて救援と復興に力を尽くしていただきたいと思います。 さて、
司法制度改革
の重要な眼目が使いやすい
司法
の
実現
にあると思います。この法案は
市町村
の
合併
に伴うものですが、従来どおり身近な
裁判所
を
管轄
地域にするなどの
配慮
もされております。 一方で、使いやすい
制度
などありますと、これを悪用する例もあると。これに対する対応というものも必要となっております。最近は、巧妙化するおれおれ詐欺とか電子メールや手紙を使った架空請求
事件
というものが大変発生をしているわけでありますが、その中で、
簡易裁判所
の少額訴訟を悪用する例というのが幾つか発生をしております。 つまり、架空請求の事業者が
利用
料の支払を求める少額訴訟を
簡易裁判所
に起こします。これに基づいて口頭弁論期日の呼出し及び答弁書督促状が送られるわけですけれども、期日までに出頭しませんと自動的に敗訴するために支払義務が発生をすると。今、身に覚えのない架空請求が来ても無視をしなさいということが消費センターなどで言っておりますから、これを逆手に取った大変悪質な手口なわけですね。こういうものの実態をどのように把握をされているでしょうか。
南野知惠子
74
○
国務大臣
(
南野知惠子
君) 本当は存在していない債務をあるかのごとく装って請求するいわゆる架空請求は、
国民
の財産、それや生活を害する悪質な行為であります。特に、頼るところのないお年寄りなどには効果的な手だてを考える必要があると思います。
井上哲士
75
○
井上
哲士
君 現実に今既に幾つかのところで起きておるわけですね。無視、その請求書は無視しろということがかなり言われているわけでありますから、今後こういうものを、
制度
を悪用する例というのは増える
可能性
もあると思うんですね。相談窓口の
充実
とか周知徹底とか、私は先手先手で対応する必要があると思うんですけれども、もう少し具体的な答弁をいただきたいと思います。
南野知惠子
76
○
国務大臣
(
南野知惠子
君) 現在、総合
法律
支援
法に基づいて日本
司法
支援
センターの
設立
、それを準備しているところでございますけれども、このセンターでは弁護士会の相談窓口などと連携又は協力しつつ裁判などの紛争解決
制度
に関する情報の提供などをすることとしております。 このようなセンターの業務は、御
指摘
の少額訴訟や督促手続を
利用
した架空の請求事案などの対立にも役立つものと考えております。
井上哲士
77
○
井上
哲士
君 悪質業者はいろんな知恵を回してやってきますので、先手先手の
対策
を是非お願いをしたいと思います。 その同じような話でもう一つあるんですが、今、商工ローン会社などが保証人の知らないうちに公正証書を作って強制執行をされるという事例が起きております。 例えば、商工ファンドなどは保証契約がカーボンコピーになっておりまして、保証契約に署名すると委任状への署名もされてしまうと。社員が印鑑を借りてこの委任状に判こを押して、保証人や債務者の意思の反映をしない、この執行文言付きの公正証書が作られてしまうと。これに対して、双方代理で無効という公正証書無効訴訟であるとか、公正証書の
内容
が違法だということでの国賠訴訟も幾つか起きているわけであります。 最近、日弁連の消費者問題の
対策
委員会
が会員に対するアンケートを取っておりますが、こういう本人の知らないうちに作られた公正証書という事例が過去五年間で百十一件報告をされております。貸金業者が債務者から知らないうちに委任状を取って、同じ貸金業者の社員が二人で公正証書を作っていると。こういう実態をどのようにお考えでしょうか。
房村精一
78
○
政府参考人
(房村
精一
君) 公正証書は、
国民
の
権利
義務
関係
を明確にするということで非常に大きな役割を果たしていると思っております。 これを作成する場合の、代理人によって作成する場合、その代理権限につきましては、印鑑証明書等に基づきまして厳格に証明をさせておりますし、また、代理人の依頼に基づいて公正証書を作成した場合には、公証人規則で、公証人の方からその本人に対して作成後三日以内に、三日で通知をするということになっております。このような仕組みで、本人が知らない間に作成されるということを防ぐような仕組みを一応、
法律
、規則で定めております。 また、ただいま御
指摘
の、例えば委任状がカーボン紙を
利用
して知らない間に作成されてしまうと、こういう御
指摘
を受けて、公証人会の方におきましても、現在はそのカーボン紙の使用による委任状作成を廃止するようにということで
対策
を取っているという具合に聞いております。 また、そのほか、委任状の見やすいところに赤字でこの公正証書により強制執行を受けることになる旨を特別に記載したり、あるいは強制執行認諾付きの公正証書を作成することのみの委任状を別途作成させたりというような
対策
も公証人会で取っていると聞いておりますので、私どもとしても、法の
趣旨
が厳格に守られて、本人の知らない間に、あるいは誤解に基づいてその公正証書作成依頼がないように今後も公証人会を適切に
指導
していきたいと、こう思っております。
井上哲士
79
○
井上
哲士
君 幾つか訴訟の中で、債権者である被告が原告に和解金を支払うと、こういう勝利和解も多数に上っておりますし、その中で、国側が適切な公正証書を作成するための
指導
監督を行う旨の和解をしている例もあります。 今、幾つかお話がありましたけれども、こういう和解に基づいてそうした
指導
監督が行われているのか、また和解以降、更に強められているのか、その点いかがでしょうか。
房村精一
80
○
政府参考人
(房村
精一
君) 多数の公正証書作成案件の中には、時に適切を欠く
処理
がされていたこともございます。そういうものが
事件
になったときに、国として今後適切な公正証書の作成をするように
指導
監督をするという条項を入れた例も御
指摘
のようにございます。 私どもとしては、そういったことを踏まえまして、先ほども申し上げましたが、例えば公証人規則に基づく通知、これを励行するようにというようなことは私どもから日本公証人連合会にも申入れをしておりますし、また各地の
法務
局が公証人の役場を検閲する際にもその点を厳重にチェックをして
指導
していると。そういう意味で、
指導
監督に十分力を入れているところでございます。
井上哲士
81
○
井上
哲士
君 是非強めていただきたいんですが、今、年間二十万件程度がこういう中身での公正証書が作られておりますが、代理によるものが相当になりますから、こういう本人が知らないうちに作るという、
制度
の悪用といいましょうか、ということもまた起ころうと思います。 公証人
制度
の母国と言われるドイツでは、消費者
保護
のために様々な
改正
が行われております。ドイツとかなり
制度
が違うということは承知はしておるわけですけれども、しかし、例えば
原則
本人出頭を求めるとか厳格な本人意思の確認とか丁寧な教示義務など、更に踏み込んだ
対策
も必要かと思うんですが、その点いかがでしょうか。
房村精一
82
○
政府参考人
(房村
精一
君) 御
指摘
のように、ドイツの公証
制度
と日本とではかなり全体の仕組みが違っているということもありますが、私どもとしても、もちろんドイツでのそういった運用の実情については関心を持って見ておりますし、参考になるものは参考にしたいと、こう思っております。 ただ、日本の実情におきまして、例えば本人について出頭を義務付けるというようなことにいたしますと、これはなかなか御本人にとっても負担になるということもございます。そこは慎重に判断しなければならないのではと。そのために、私どもとしては、本人が知らない間に作られてしまうということを可及的に防ぐために、出頭は義務付けておりませんが、権限の証明を印鑑証明というような非常に信頼できる
制度
の上に作っているということと、先ほど申し上げた事後の通知と、これによって可能な限り防げるのではないかと、こう思っておりますので、この運用に十分注意をしていきたいと、こう思っています。
井上哲士
83
○
井上
哲士
君 時間ですので、終わります。
渡辺孝男
84
○
委員長
(
渡辺孝男
君) 他に御発言もないようですから、
質疑
は終局したものと認めます。 ─────────────
渡辺孝男
85
○
委員長
(
渡辺孝男
君)
委員
の
異動
について御報告いたします。 本日、
荒井正吾
君及び
陣内
孝雄
君が
委員
を
辞任
され、その
補欠
として
野村
哲郎
君及び
小泉
昭男
君が選任されました。 ─────────────
渡辺孝男
86
○
委員長
(
渡辺孝男
君) これより討論に入ります。──別に御
意見
もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
下級裁判所
の
設立
及び
管轄区域
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
渡辺孝男
87
○
委員長
(
渡辺孝男
君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、
審査
報告書の作成につきましては、これを
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
渡辺孝男
88
○
委員長
(
渡辺孝男
君) 御
異議
ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午前十一時十五分散会