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国務大臣(
麻生太郎君) 基本的に内藤先生
御存じかと思いますが、ちょっと
経緯を申し上げないといかぬと思うんですが、一九九二年、今から十年、十二年ぐらい前までは、基本的には民間から預貯金は二十兆増えます。そして、企業がそれを五十兆借りる、プラスマイナス三十、足りない分は日本銀行という形で日本の経済というのはずっと動いておりました。
それが、九二年以後、いわゆる総量規制という名の土地の融資に対する規制が始まって、がたんとそれが落ちました。落ちた結果どうなったかというと、いわゆる資産デフレという
状況になりまして、結果として企業というものは金を、借りている金を返すのが最も経営に資するということが分かりましたので、一斉に銀行借入れをやめる、若しくは借入金の返済を優先されて、この六年間ぐらいで見ますと、企業は平均、年二十五・六兆円の返済の方が多い。企業は、銀行から金を借りないで返済する方が二十五兆多いということは、プラスマイナス七十五兆円、十年前とは違っておるという
状況になっております。
したがって、金貸しというのが銀行の正しい職業なんですが、この金を貸すという業務から見ますと、借りる相手が借りないで返済するわけですから、したがって企業としては貸す相手がありませんから、基本的には国債を買うというのが最も堅く、利幅の出るのがほかになかったという
状況にあります。これがすべての大前提であります。
これに合わせて、郵貯を今言われたように民営化したら
地方に簡単に金が流れるというのは極めて安易な発想であって、そんな簡単にはいきません。理由は簡単でありまして、
地方は、金を借りるという需要があれば、間違いなくその二十五・六兆円、もっと減っているはずですから、そういった
意味では
地方で、金を借りてほしい人は借りに来ない、貸したくないやつは借りに来るという
状況になってきておりますので、基本的には金貸しという職業は極めて難しい
状況になっております。これは、この数年間は極めてもう顕著なところだと思っています。
そこに融資経験は全くない郵便局で、金は集めることは知っているけれ
ども融資の審査などやった経験のない銀行、審査業務を必要とします銀行業をいきなり郵便貯金がやって、他の銀行と同じように伍していけるかって、不可能です。はっきりしております。それをやるためには時間も要りますし、審査能力を持った人間を途中採用するなり、それを育てるなり、そういった、するという手間、暇、時間と金というものがかなり要することははっきりしておりますので、今言われたように、簡単にメガバンクになろうって、貸す能力はないわけですから、そんな簡単にメガバンクになることも不可能です。したがって、当分の間はある程度国債等々、いろんな堅いものを買っていくという以外に多分そこの利幅を出すということは難しいと思います。
あとはいろいろほかに
考え方はあると思います。小口金融とかいろいろ、大銀行のやっていない
部分に関して、こっちは二万四千七百の
支店を持っておりますので、それは
対応の仕方はいろいろ
考える。これはもう新しい経営者のお
考えになるところが一つです。
もう一点は、窓口の話を心配しておられましたけれ
ども、今例えば、この間少々御
意見が分かれたところではありましたけれ
ども、例えば窓口を
考えました場合に、二万四千七百の
支店がございますが、例えば宅配便や宅急便屋は一つの、内藤さんなら内藤さんのおうちに地元から、愛知県から物を届けるのに三・五回平均自宅まで来ております、お留守だから。そうすると三・五回行くわけです。そうすると、そのときに一回行ってお留守ですと。どこどこから来た荷物は何々郵便局まで取りに行ってくださいと言うと、運送
会社だったらおっと思うけれ
ども、郵便局と言ったら間違いなく大丈夫、預けておいてもという信頼
関係はこの百三十年間の歴史でありますから、それは、そこに
自分で取りに行くわけです。別に問題ありませんから取りに行く。夜中も人がおりますから取りに行く。取って帰りさえすれば三・五回が一回で済みます。
そうすると、二・五回分は宅配便業者が
経費節減ということになりますので、そこで民間
会社だ。官営だったらそれまでしかできません。役人は金稼いだことがありませんから、二・五回分は助かったんだから一・二五おれに出せということは当然、民間
会社だったら言えることになりますから、向こうは向こうで一・二五払ったって一・二五、今までの二・五回分助かっておりますから、そういった商売は、私、この物流なんてやったことありませんけれ
ども、その私でもその程度のことは思い付くんですから、物流やった人ならもっといろんなことを
考えますよ。
だから、デポ、デポジットをやるデポとして、預かり所として全国の郵便局はそれでそれなりの業務というのを、新たな業務は今の法律ではできませんけれ
ども、民間になればそれは自由にできるということは、これは今いろいろなその種の業者の方々はいろいろアプローチをしておられることも事実です。
そういった
意味では、いろんな形での利用の仕方はあろうと思いますので、直ちに赤になるというんではなくて、いろんな形で新しい業務を広げられるという可能性はあるであろうと思いますので、民間になったからといっておっしゃるように直ちに銀行とかということもできませんし、事実、政府の保証がなくなれば預貯金残高ずっと既に漸減の傾向にありますので、かなりの方向で減っていくであろうと、政府保証がないという前提に立ちますから、減っていく方向にあるであろうと思いますので、増えていくならともかく減っていく傾向であることはもうこのところの数値でもはっきりしておりますので、やみくもに大きくなって第四のメガバンクになるというようなところまでいけば大したものでしょうが、なかなかそのようにメガバンクになる要素の貸付けの方の金を回すという才能がそれで
対応できるほどのものができれば大したものでしょうけれ
ども、とてもそんな能力を役人に期待しても無理ですから、よほど有能な経営者をどっかから呼んでこない限りはなかなか今のような
お話には、私
どもはしたいと思ってもとてもではないかと。
私
どもの見た、中に入って
自分で働いたこともないのに偉そうなこと言うようですけれ
ども、私
ども外から見てこの一年間外見た感じの率直な感想であります。