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2004-11-02 第161回国会 参議院 総務委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年十一月二日(火曜日)    午前十時一分開会     ─────────────    委員異動  十月二十七日     辞任         補欠選任      岸  信夫君     長谷川憲正君      藤本 祐司君     木俣 佳丈君  十月二十八日     辞任         補欠選任      木俣 佳丈君     藤本 祐司君      水岡 俊一君     松井 孝治君  十月二十九日     辞任         補欠選任      松井 孝治君     水岡 俊一君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         木村  仁君     理 事                 世耕 弘成君                 森元 恒雄君                 山崎  力君                 伊藤 基隆君                 山根 隆治君     委 員                 荒井 広幸君                 景山俊太郎君                 椎名 一保君                 二之湯 智君                 長谷川憲正君                 山内 俊夫君                 吉村剛太郎君                 若林 正俊君                 犬塚 直史君                 櫻井  充君                 高橋 千秋君                 津田弥太郎君                 内藤 正光君                 藤本 祐司君                 水岡 俊一君                 弘友 和夫君                 山本  保君                 吉川 春子君                 又市 征治君    国務大臣        総務大臣     麻生 太郎君    副大臣        総務大臣    今井  宏君        総務大臣    山本 公一君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        江渡 聡徳君        総務大臣政務官  松本  純君        総務大臣政務官  増原 義剛君        総務大臣政務官  山本  保君        財務大臣政務官  段本 幸男君        厚生労働大臣政        務官       森岡 正宏君    政府特別補佐人        人事院総裁    佐藤 壮郎君    事務局側        常任委員会専門        員        高山 達郎君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       中城 吉郎君        内閣官房内閣審        議官        兼行政改革推進        事務局公務員制        度等改革推進室        長        磯部 文雄君        人事院事務総局        給与局長     山野 岳義君        内閣大臣官房        審議官      加地 隆治君        内閣府政策統括        官        柴田 高博君        総務大臣官房総        括審議官     荒木 慶司君        総務省人事・恩        給局長      戸谷 好秀君        総務省自治行政        局長       武智 健二君        総務省自治行政        局公務員部長   須田 和博君        総務省自治行政        局選挙部長    高部 正男君        総務省自治財政        局長       瀧野 欣彌君        総務省自治税務        局長       板倉 敏和君        総務省情報通信        政策局長     堀江 正弘君        総務省総合通信        基盤局長     有冨寛一郎君        総務省郵政行政        局長       清水 英雄君        総務省政策統括        官        藤井 昭夫君        消防庁長官    林  省吾君        財務省主計局次        長        勝 栄二郎君        文部科学大臣官        房審議官     樋口 修資君        文部科学省高等        教育局私学部長  金森 越哉君        文部科学省スポ        ーツ・青少年局        スポーツ・青少        年総括官     尾山眞之助君        厚生労働大臣官        房総括審議官   長谷川真一君        厚生労働大臣官        房審議官     北井久美子君        厚生労働省健康        局長       田中 慶司君        国土交通省鉄道        局長       梅田 春実君        海上保安庁総務        部長       大藪 譲治君        環境大臣官房廃        棄物・リサイク        ル対策部長    南川 秀樹君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○行政制度公務員制度地方行財政選挙、消  防、情報通信及び郵政事業等に関する調査  (三位一体改革に関する件)  (市町村合併に関する件)  (郵政民営化基本方針に関する件)  (電気通信分野競争政策に関する件)  (公務員制度改革に関する件)  (被災者に対する援護活動に関する件)     ─────────────
  2. 木村仁

    委員長木村仁君) ただいまから総務委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十月二十七日、岸信夫君が委員辞任され、その補欠として長谷川憲正君が選任されました。     ─────────────
  3. 木村仁

    委員長木村仁君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  行政制度公務員制度地方行財政選挙消防情報通信及び郵政事業等に関する調査のため、本日の委員会内閣官房内閣審議官中城吉郎君、内閣官房内閣審議官行政改革推進事務局公務員制度等改革推進室長磯部文雄君、人事院事務総局給与局長山野岳義君、内閣大臣官房審議官加地隆治君、内閣府政策統括官柴田高博君、総務大臣官房総括審議官荒木慶司君、総務省人事恩給局長戸谷好秀君、総務省自治行政局長武智健二君、総務省自治行政局公務員部長須田和博君、総務省自治行政局選挙部長高部正男君、総務省自治財政局長瀧野欣彌君総務省自治税務局長板倉敏和君、総務省情報通信政策局長堀江正弘君、総務省総合通信基盤局長有冨寛一郎君、総務省郵政行政局長清水英雄君、総務省政策統括官藤井昭夫君、消防庁長官林省吾君、財務省主計局次長勝栄二郎君、文部科学大臣官房審議官樋口修資君、文部科学省高等教育局私学部長金森越哉君文部科学省スポーツ青少年局スポーツ青少年総括官尾山眞之助君、厚生労働大臣官房総括審議官長谷川真一君、厚生労働大臣官房審議官北井久美子君、厚生労働省健康局長田中慶司君、国土交通省鉄道局長梅田春実君、海上保安庁総務部長大藪譲治君及び環境大臣官房廃棄物リサイクル対策部長南川秀樹君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 木村仁

    委員長木村仁君) 異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 木村仁

    委員長木村仁君) 行政制度公務員制度地方行財政選挙消防情報通信及び郵政事業等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次発言願います。
  6. 世耕弘成

    ○世耕弘成君 自由民主党の世耕弘成でございます。  私は、つい一か月ほどさきまでは総務大臣政務官を務めさせていただいておりまして、大臣始め皆さんにはいろいろと御指導をいただいたわけでございますが、今日は攻守所を変えまして質問をする側で厳しく追及をさせていただこうかなとも思っているわけでございます。  まず、地方交付税に関してでございますが、最近、この地方交付税に対する風当たりがとみに三位一体改革議論の中などで強くなってきております。地方交付税には財政調整機能財源保障機能というものがあるわけですけれども、特にこの財源保障機能への風当たりが強くなっています。  骨太方針二〇〇三では、地方交付税財源保障機能については、その全般を見直し、「改革と展望」の期間中縮小していくというようなことがうたわれていますし、また財政制度審議会平成十七年度予算編成基本的考え方の中では、地方財政運営モラルハザードをもたらしている財源保障機能を将来的に廃止をし、税源の偏在に伴う財政力格差を是正する財政調整機能に限る仕組みとすべきであるとまでされているわけでございます。  しかも、谷垣財務大臣に至っては、十月二十二日の経済財政諮問会議で、単独投資事業を中心に七兆から八兆円に上る地方財政計画の不適切な過大計上があるというような指摘をされているわけでございます。予算担当大臣である財務大臣が自ら予算の中に過大計上があるとするのは、これはよっぽどのことだろうというふうに思うわけですけれども麻生総務大臣としてどういうふうにお考えになっているのか、あるいは経済財政諮問会議でどういうふうにこの谷垣大臣言い方に対して反論されたのかについてお伺いをしたいと思います。
  7. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) その節は大変お世話になりまして、ありがとうございました。  まず最初に、今の谷垣大臣のところからお話をする前に、基本的には、今やいろんな形で町村合併が進み、二千七百の市町村を切り、今二千六百台までになってきておりますのは新聞に既に報告をされておりますとおりですが、仮に、今計画されております町村合併が全部でき上がったとしても、いわゆる市町村におきまして財政格差がないかと、今後ともなくなるかというと、そんなことはありません。今後ともいろんな形での格差というのは避けて通れないところであって、東京とその他の、和歌山県が同じことになるとはとても思えぬと思いますので、何らかの形で調整機能が必要と、まずそう思っております。  二つ目に、今の七兆から八兆のお話でいろいろ御意見があっておりますのは過日出ましたとおりですが、基本的には、御自分も参画されて作られた本年平成十六年度のいわゆる予算過大計上だというのを自分で認めるのはいかがなものかというお話は、経済財政諮問会議においてしております。  また、いろんな形でその中で問題点指摘されておられますところ幾つもありましたけれども、私どもとしては、いわゆる投資的経費と言われるものといわゆる一般行政経費というものの間に乖離があるんではないかという、予算決算に差があるという御意見等々も出されたところですが、そのとおり乖離があることは確かですが、地方として、その行政にとっての必要性地方、住民からのニーズにこたえて対応していった結果、まあ箱物行政からソフトというか、ハードからソフトという言い方が一般的かもしれませんが、そういった対応をしていった結果がそのような形になったんであって、基本的にはこのような話で、経常的経費といわゆる一般投資経費との乖離というのは、これ一緒になってやらぬと、二・六兆対二・九兆、約、そういった差額の話というのは一体的にやらないと、こちら側だけ取り出して一方的にやるというのは甚だ適正を欠くことになると思っております。  また、給与等々いろいろ御意見がありますけれども地方公務員の方が学歴が高い、地方公務員の方が平均年齢が高い等々の事実をある程度知った上で言っておられるとするならば、これは、その種の話は、ラスパイレス指数いろいろありますけれども、そういったものを考えた上で発言をされないと、過大計上というのはいかがな表現かと、私自身はそう思っております。
  8. 世耕弘成

    ○世耕弘成君 しっかりと反論をしていただいているということで安心をしたわけでございますが、今財務省は、いろいろとこういう分厚い資料を持ち回りまして党のいろんな勉強会とかあるいは議員会館、いろいろ回っているみたいでございます。私もこの資料を読ませていただきまして、総務省当時聞いていた話とはもう正反対の話がオンパレードのように出ていまして、財務省総務省というのは本当に対立した考え方をこの交付税については持っているんだなということをつくづく思ったわけでございますけれども財務省側は、いわゆるこの過大計上分というのが過大な財源保障に当たるんだと、だからその分の地方交付税を削らなきゃいけないということを言い出しています。  具体的には、こういう案として、来年度からこの部分をカットするという意味で、地方自治体が新地方債によって自力で穴埋め財源を調達するように求めて、最終的には地方交付税大幅削減につなげる考えを持っている。また、この新地方債と彼らが考えているものは、返済資金交付税で補給される現在の赤字地方債とは全く違って、自治体が自前の財源で全額を返済しなければならない。  これ、やり方はともかく、こういうやり方で七、八兆円も削減されたら地方財政というのはもう成立しなくなるんじゃないか。和歌山県でも、県と市町村合計、今のところ年間約三千億円の地方交付税交付金が来ているわけですけれども、このとおり七、八兆円削減すると大体一千億円がなくなってしまうということになります。こんなことで果たして都道府県や市町村運営というのがやっていけるものなんでしょうか。この辺をお伺いしたいと思います。
  9. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今御指摘のありました点ですけれども、今七兆から八兆ということになりますと、今年度、御記憶かと思いますが、突っ込みで約一二%の地方交付税等々が臨財債含めてマイナス一二%になっておってあの騒ぎになりました。この七兆、八兆というのをそれをそのままやりますとちょうど倍ぐらいの計算になろうと思いますんで、今年の騒ぎの倍ぐらいになることは最低限、しかし状況としてはかなり昨年より、積立金取り崩して対応しておるところも多いと思いますんで、極めて厳しい状況になるのははっきりしております。これは一点であります。  二つ目は、今回の三兆円、十七年、十八年度で三兆円のいわゆる補助金削減という話をしておりますけれども、その補助金削減地方団体と決めるときの経緯、それから骨太方針二〇〇四の中に書いてあります経緯は、その差額につきましては地方交付税をもって充てると二〇〇四の中に明記をされておりますので、少なくとも地方交付税のことに関しましては、補助金がなくなってその分が地方税に替わったとき、人口によって、法人の数によって格差が起きますんで、その格差分地方交付税をもって充てるということを前提としてやりますということで地方と話をし、それにもこたえて地方は三兆二千億の案をまとめ、かつ骨太方針の中にもそのようなことを書かしておりますので、基本的には十七年、十八年度につきましては今のような話はなかなか成り立たないと、もうその経緯はもうよく御存じのとおりであります。  それ以後どうなるかということになると、これは十九年度以降の話の問題としては、これは考え方がいろいろあるんでして、元々地方交付税というのは、少なくとも地方というものの本来、古来持っておりますもんですから、そういった意味からいきますと、今言われたように、地方と国との同じ税金を取ったのは、配分比率が、例えば国税、いわゆる通称五税と言われます酒税とか所得税とかたばこ税とかいろいろありますけれども、そういった住民税含めましてその配分比率を、今三三%、二九・五%、いろいろあります比率、いわゆる法定率のものを含めまして、根本的なところを改めにゃいかぬという方向でいかない限り、最初に七兆ありき八兆ありきの話ではとても通じる話ではあり得ないと思っております。
  10. 世耕弘成

    ○世耕弘成君 私も去年削減したときは政務官でございまして、本当にもう自分選挙、これ大丈夫かなというぐらい、地元の市町村から、とんでもないことをおまえしてくれたなという反発も起こりました。ただ去年は、まだそうはいっても、財源調整基金を取り崩してくださいと、それで何とか対応してくださいという対応もできたわけでございますけれども、もう多分ほとんどの団体はもう調整基金は今年で吐き出していると思いますので、その上に更なる交付税のカットというのは、これはもうあり得ないことだということを申し上げておきたいと思います。  ただ、財務省指摘しているように、確かに地方財政計画に計上されている投資単独事業と、そして実際の自治体決算におけるこの事業合計額というのは約五兆円、実際の決算の方が少なくなっているわけでございます。ただ、私どもから見ますと、やはり一般行政経費においては決算額が逆に六・九兆円ほどオーバーしていまして、これを見ますと、苦しいやりくりの中で事業費を削って、それで何とか日常の経費をやりくりしているという姿も見えてくるわけでございます。  また、今大臣が、いろいろとニーズが多様化してきている中でハードからソフトへと、いわゆる投資事業ではなくて一般経費でカバーする事業も増えているということをおっしゃっていただいたわけですが、財務省関係者はそうは見ていなくて、これを流用と言っているわけでございます。特に十月二十九日の財政制度審議会では、この投資単独事業が減って、その分一般経費一般行政経費に回っている点がかなり議論になりまして、ひどいメンバーに至っては、回された先が正当な場合には使い回しと言ってもいいけれども、対象になっているひどい事業についてはこれは不正な支出と言っていい、犯罪か職権濫用のたぐいであるというようなことまで言って批判をしているわけです。  そのときに実際に机の上に載っていた資料として財務省が挙げた具体的な流用先として、例えばペットの不妊手術だとか結婚仲介報奨金だとか海外旅行の費用だとか職員OB会への補助、こういったことに流用されているんだということを財務省資料として挙げていたわけですが、本当にこのような流用地方自治体全体で広く行われているのかどうかについてお伺いをしたいと思います。
  11. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) その資料は私も拝見をさせていただいたんで基本的にはその内容を知らないわけではありませんが、その総額を約、先ほど申し上げましたいわゆる一般的投資地方財源一般投資的経費一般通常経費と、経常経費との差の約〇・四兆円という、約四千億ということになるんですが、私どもの見た範囲で、今言われたそのほかにも百歳になったときの祝い金とか、いろいろ地方である部分が全部で二兆九千億あるかのごとき思わせるように資料が作ってあることは、もう作った本人が一番よく分かっておると思いますが、そうなっているように思います。  思うんですが、私どもの調べた範囲ではこの総額全部足しまして約〇・四兆円の差が出てくるんですが、そのうち、いわゆる高齢者用部門とか幼児対策等々、医療費関係で約、トータルで三千億ぐらいあると思いますんで、今の、私どもから見て、世耕先生から見たらいかがなものかというようなものを全部足しまして約一千億という額でありまして、これが、見ると、ただそれだけで二兆何千億行っているかのごとき資料は明らかに作為的なものがあるであろうと、この点につきましても財政諮問会議指摘はいたしております。  いずれにいたしましても、何となくこの種の話がいろいろ大げさに過大に、それこそ過大に言われておるのが私どもとしては甚だちょっといかがなものかという感じがいたしまして、老人福祉の手当の現金給付で約四百億、高齢者無料乗車券等々六百億、この約一千億が少々問題かなという点は私どもも認めないわけではありませんけれども、二兆の元の件につきましては全然指摘の点は当たらないと思っております。
  12. 世耕弘成

    ○世耕弘成君 一部行き過ぎた部分は多少あったにしても、大部分はやはりその多様な行政ニーズに対してこたえている、そういう経費だということだと思います。  いつもこれ財務省総務省議論の中で、地財計画というのは私、財務省はよく分かっていないんじゃないかと思っているんですね。地財計画ってあくまでもマクロ計画、国として一々細かいことにはそんなに目をやらずに、全体として地方財政どれぐらいであるべきかというのを示している。これは地方自治体の一々全部の予算を積み上げて作っている計画ではないわけです。  私は、サラリーマンやっていたときに、関西支社経理課長というのをやったことがあります。一番大きな仕事はその収支の予測だったんですね。この一年、大体どれぐらいの売上げが立って、どれぐらいの利益が上がるかというのを、関西支社全体では一兆円ぐらいの規模なんですが、それを立てるというのが私の責任の仕事だった。これをマクロでやるやり方と、各支店から全部売上げ計画とかを積み上げさしてやるミクロやり方がありました。これは必ずマクロの方が当たります。ミクロは外れます。みんなそれぞれ各支店のいろんな思いとか利益隠しとか、利益隠しと言っちゃいけませんけれども、本当はもうちょっと頑張れば売れるんだけれども、そんなに売れないようにして後でボーナスの査定を良くなるようにするとか、いろんな気持ちが積み上がって各支店から細かく積み上げたやつというのは大体大きく外れます。で、マクロで、関西経済のトレンドはどうか、ほかのいろんな指標を見て大きく判断したマクロの予想というのは大体最終的に一年たつとぴったり当たるわけでございまして、私は地財計画と各自治体決算の積み上げの関係というのはそういうもんだと思っています。  これを、地財計画を国の側から無理やり自治体に合わせるような強制をしたら、これはやはり地方分権の根幹に掛かってくると思いますし、今度は逆に国の方で地方自治体の積み上げた結果に合わせて地財計画を作っていたんでは、これは国としての意思は何なんだということになると思います。  私は、地財計画地方自治体決算結果のある程度の乖離はやむを得ないと考えていますけれども、この点について大臣はどうお考えでしょう。
  13. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 御指摘のとおりなんで、まあ一兆円と言われましたので、さすがにNTTはでかいなと思いながら伺っていたんですが、私どもの小さなセメント会社でも似たようなものでやっておりましたので、分からぬことはないところなので。これは、もう大概マクロで見た方が通期でやりますと大体当たっているというのは、もう大体どこの会社でも同じようなもんだと思っておりますが。  いわゆる、何というのかしら、地方財政計画の中に入ってきますその歳入の部門というか交付税部分っていうのと言ったのは、これは御存じのように使途が特定されていないわけですから、その特定されていない部分で入ってくる部分と、いわゆる地方財政計画で管理しております、まあ地方単独事業として決める歳出支出の方の部分とには、これはずれが出てくるのが別にそれは制度上当たり前の話なんだと思いますね。ずれが出るのはけしからぬなどという話は、これは元々本質が、本気で言っておられるとするならば本質が分かっておられないんで、制度上予定されているところだと思っています。  ただ、地方財政計画には常にずれが常態化しておるというのであれば、いつもそこがずれているというんであればそれは中期的には直す必要があるんだと思いますが。ただ、歳出の方だけ見直して、歳入の方はじゃなくて、これは一体的に見直さないと今御指摘になったように確実に偏った形のことになるんだと思いますんで、これは一体的に見直す、見直していくものが必要があるんだと思っております。  とにかく、税とか交付税っていうものはこれは一般財源であるということを踏まえて考えていただかないと、いかにも国がやってやるという話じゃなくて、これは元々地方のものであるという点は是非理解をしておいていただかにゃいかぬところだと思いますんで。  今、一般的経費が増えているというのは、基本的には、いわゆる福祉とかいろいろなそういったものの部分の方により必要性が高まっているということを地方自治体で判断しているからそっちに金が回るんであって、箱物行政が減ってこちらの方に流れが大きく移動しているというのは、現場がよく、その現場の事情をよく理解しているからそういうことになってくるという点は十分理解しておいてやらぬと、その乖離を帯びている片っ方だけとらえてけしからぬと言うのはいかがなものかと率直に思っております。
  14. 世耕弘成

    ○世耕弘成君 何とか、地財計画とその交付税、しっかりと総務省としての立場をこれからも主張していただきたいと思います。  で、三位一体改革がいよいよ正念場を迎えているわけでございますが、特に義務教の国庫負担制度の廃止、この問題が非常に盛り上がっているわけでございます。中教審の鳥居会長なんか、もしこうなったら辞めちゃうと言っていますし、ノーベル賞の江崎さんとか小柴さんまで動員して反対をしています。政治の世界でも、森さんを筆頭にかなり強硬な反対論も出てきているわけなんですけれども。  そもそも冷静に考えると、この義務教育というのは、地方分権一括法でもう既に自治事務化されているわけでございまして、本当に義務教育を完全に国でコントロールをする、一〇〇%コントロールをするということを考えていて地方に任せることが非常に危険だと考えている立場に立つ人は、そもそも地方分権一括法のときにもっと真剣に議論をすべきであったんではないかなと思っています。  私は逆に、地方分権一括法で自治事務化されたこの業務、この財源を逆に国がいまだに握っているということ自体、問題だと考えますけれども、この点についてはどうお考えでしょうか。
  15. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今御指摘ありましたように、平成十二年度、地方自治法の改正、いわゆる地方分権一括法ができましたときに、今、義務教と一緒になって話題になります生活保護につきましては、こちらの方は法定受託業務、いわゆる国がやる業務、教育につきましては、これは地方自治事務ときっちり決められております。したがって、国が果たすべき役割と、地方が果たすべき役割、あの法律の段階できちっと形の上では分けられたと、私どももそう理解をしております。  問題は、それに関する法律並びにそれに伴う財源というものが先送りにされて今日に至ったというのが今回の経緯だと思いますが、少なくとも、地方自治事務でありますから、その分の、まあ分け方は小学校、中学校いろいろ御意見はあるところだとは思いますが、少なくとも、地方で教師に払う給与の半分を国がということになりますと、義務教育全体で約八兆七千億ぐらい掛かっておりますんで、そのうちの二兆五千億が給与ということになろうと思いますんで、その分からいきますと、かなりな部分はもう既に地方でやっておるというのが実態であります。  そして、それが残りの二・五兆、約二〇%前後のものが更に移管をされることによって地域との間にいわゆる教育格差が付くとか、いろいろ、かしましい話がいろいろ出されておりますけれども、私どもとしては地方を信用するかしないかというのは非常に大きなところだと思うんですね。国が地方を信用して対応するかしないかが、この流れ、一連の流れの中で一番の根底にあるところだと存じますんで、私どもの感じとしては、これは地方がやれるということを言うておるわけですから、その地方に任された金が教師の給与にならずどっかに消えているとかいうようなことになったら、その段階で対応の仕方はいろいろあるんだと存じますんで、今の段階で、金がなくなった、金の切れ目が縁の切れ目かと言えば、ちょっとそれは少し違うのではないかと。私どもは、元その種のことに関係した者から言わしていただくと、それは違うのではないかという感じがいたしております。
  16. 世耕弘成

    ○世耕弘成君 本当におっしゃるとおりだと思います。  何か国庫負担がなくなると、すぐにも教職員の削減が行われて、ほかの公共事業にそのお金が回っちゃうみたいな論調があるわけですけれども、今、どこの市町村長の選挙でも大体争点の上から三番目以内に必ず教育とか子育てっていうのは入っているわけでございまして、もし教育費を削って箱物に投資をするような首長さんがいたら、これはもう確実に選挙で落ちちゃうというふうに思いますね。  また、今大臣は金の切れ目が縁の切れ目というふうにおっしゃいましたけれども、これはお金が、国庫負担が廃止されたら、あと国がもう何らグリップを握る余地はないんですか。これ、そうじゃないと思いますよね。法律的にいろんな担保措置があると思うわけですけれども、ちょっとそこを少し具体的に教えていただきたいと思います。
  17. 瀧野欣彌

    政府参考人瀧野欣彌君) 国が義務教育につきましていろいろなコントロールを行っておるその中身でございますが、現在、義務教育の教職員配置につきましては、国庫負担金に加えまして標準法によりまして、学級編制あるいは教職員定数、こういったものの標準が定められているわけでございまして、法律上も教職員数の確保が担保されているというふうに考えております。  また、万が一、学級の規模とかあるいは教職員の配置が不適正な状況になりました場合には、文部科学大臣におきまして適正化に向けまして指導、助言と、こういう関与も行われるということが法律上書かれておるわけでございまして、幾つもの法律上の担保があるというのが現状でございます。
  18. 世耕弘成

    ○世耕弘成君 そういう担保があるわけですから、しっかり三位一体改革、頑張っていただきたいと思います。  大臣に決意を伺いたいと思うんですが、これ三位一体改革、いろいろまあ各論で抵抗が行われていますが、元々この三兆円の税源移譲をするということを政府は宣言しています。そういう中で、三兆円分のこれもし補助金削減が出てこなかった場合、どういうふうに対応されるのかについてお伺いをしたいと思います。
  19. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 通称三位一体という宗教用語が、いつの間にか行政用語か政治用語に今、最近は変わっておりますけれども、この補助金削減、それに伴う税源移譲、地方交付税、この三つの話を一体にして三位一体と呼んでおられるんですが、基本的には税源の移譲として三兆円は既に決まっております。  で、問題は、今それに見合う補助金削減というところでいろいろやりました経緯というものは、元々補助金削減する側の中央省庁にしてみれば、補助金削減自分の権限の減ということになりますんで、基本的には出したくない。傍ら、なかなかそれを査定する側としてもこれはなかなか難しいところで、というところに、そういう背景に基づいて、それでは補助金を受け取る側の地方団体の方としてはどの補助金は要るんですか要らないんですかというのを聞いてみるという発想の転換をやって、地方にまとめて、この八月半ば、大激論の末、出てきた。あの大激論になったというのは、県と市町村としては、県も補助金を出しておりますんで、県と市町村はまた立場が違っているところもありますんで、これまとめるのは結構大変だったろうと存じますが、いずれにしてもまとめて、三兆二千億円の削減案を出てこられた。  国としては、これは政府として正式に向こうに聞いた、投げ渡したと言えば聞こえが悪いですけれども、基づいてそちらに案をどうぞと言ったのは、間違いなくこれは政府として決めて言っておるわけですから、その向こうがそれにこたえて、いろいろあったにもかかわらずまとめて出されてきたものは、これは総理の発言をそのまま使わせていただけば、真摯に受け止めねばならぬというのは私は正しいと思っております。その事の経緯御存じの方はそう言わざるを得ないところだと思っておりますので、それを受けて、地方団体に総理、直接答えられ、かつ財政諮問会議に六団体出てこられた上で、これを受け止めますという話をしておられますので、これを、これは地方の案ですからとかいうような、安易に扱えるような種類のものではありません。  したがって、これを受けて、私どもとしては、今政府として、ほかの他省庁、十三省庁全部のところでいろいろ出された案は約一兆円内外のものでしかありませんし、地方の自由度が増すというようなものではありませんので、地方分権、地域主権の趣旨にもかなり反するところもあるような感じがしますので、ただただ補助削減だけしか出てこなかったとか、何も対案が出なかったとか、いろいろ省によっては違うんですが、いずれにしても、こういったものは今、今朝もやっておりましたけれども、このところ、関係をいたします財務大臣、官房長官、経済財政諮問会議の担当国務大臣総務大臣と四者の四大臣会合というのを精力的に、このところ朝八時ぐらいから始まっておりますけれども、そういったものを踏まえまして各大臣と個別に折衝をさせていただいて、最終的には十一月の半ばごろまでには結論を出したいと思って、これはいろいろ御意見もありますでしょうし、これは各党、また各個人いろいろ御意見があろうと思いますし、地方団体の出した案よりもっといい案が考えられるかもしれませんが、それは真摯に、それも真摯に受け止めた上で、かつ地方団体も納得をしてもらわぬといかぬわけですから、そこらの間を取り持つ作業、かなり手間の掛かる力仕事だとは思っておりますけれども、きちんと対応していかねばならぬと思っております。
  20. 世耕弘成

    ○世耕弘成君 ここで少し話題を変えたいと思います。  今、和歌山なんか地方で公務員というものがどういうふうに見られているかと、これはやっぱりいい商売だな、非常に給料は地場の民間企業に比べて高いし、そしてまた身分保障もしっかりとある。公務員は薄給だというのはもう既に昔話になっていて、今地方で最もうらやましがられている職業は私は公務員ではないかというふうに思っています。  これは感覚論ではなくてデータにも表れていまして、民間の平均給与というのは、平成十五年度の勤労統計調査によると月約三十四万円、それに対して地方公務員は、自治行政局の地方公務員給与実態調査によると約四十五万円です。  また、国家公務員の給与を一〇〇として各都道府県の地方公務員の給与を比較した数字と、そして民間賃金の全国平均を一〇〇として各都道府県の民間賃金平均を出した数字、これを比較するといろんな意味が出てくるわけです。例えば東京では、地方公務員は国家公務員に対して一一七・九です。民間は全国平均に対して一一六・五です。そういう意味ではある意味バランスしています。ところが、和歌山のような地方へ行きますと、公務員は一〇七・六、国家公務員より高いわけですが、民間はこれ全国平均に対して少なくて九四・四という数字になります。大臣のお地元の福岡でも、公務員は一〇八・八に対して民間は九六・七。沖縄に至ると、公務員は一〇一・八で民間は七六・五と、非常に大きな所得の格差が出てきているわけです。  こういう地方公務員と民間地場賃金を比較した給与水準に関してどういうふうにお考えでしょうか。
  21. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これは、御指摘の点は事実であります。ただ、幾つかの例を、前提をまず申し上げますが、まず、地方公務員というものの給与というものの決め方というのは法律で決まっておりまして、地方公務員法第二十四条だったっけな、地方公務員法第二十四条におきまして、職員の給与以外の勤務条件を定めるに当たりましては、国及び地方地方公共団体の職員との間の均衡を失わないようと、国家公務員に準ずるみたいなことがまず法律で定められている点が一点です。  それからもう一点は、いわゆる同じ大きさの、八万人ぐらいなら八万ぐらいの市と比べまして、その片っ方の市には、給与を民間給与と比較するときの会社として職員数は五十人以上とか、工場だと百人以上とかいろいろ決められておりますので、それに見合う会社があるからそれと比較はできますが、お隣の同じような八万の町にはそういうのは全然ないということになりますと、比較のしようがないものですから、こちらに合わせるということになると、その地場との差異が出てくるという事実もありますので、こういったようなことも考えて、これは賃金格差をある程度考えにゃいかぬということになって、先ほど沖縄の例を引かれましたけれども、その他にもいろいろ例は実際挙がっております。  ただ、そういった例を踏まえて私どもこれ検討せにゃいかぬということで、今私どもスタートさせつつあるんですが、一つだけ、ラスパイレス指数の話で、今全国で一〇〇・一ぐらいになっている、ほぼ同じになっているということは、そのラスパイレス指数を下回っているところも一杯あるということ、上回っているところがあればその分だけ下回っているところもあるんですが、問題は、いわゆる地方公務員の方の平均年齢が高い。それから、地方公務員の方は学卒者が多い。高卒、学卒でいきますと、学卒者は地方公務員の方に多い、比率でいきますと。という実態からいきますと、安易にちょっと比較はしにくいところもあるんですが、今言われたような点も踏まえながら、私どもとしては、この地方公務員につきましてもある程度格差を付ける必要があるのではないかという御意見につきましては、私ども目下検討をいたしておるところであります。
  22. 世耕弘成

    ○世耕弘成君 是非とも、一般庶民からすると不公平感がありますから、検討していただきたいと思います。  それともう一つ、庶民が不公平感を持っているのは地方公務員の年金なんですね。これ、老齢退職年金の平均月額は厚生年金が十七・四万円、これが地方公務員共済組合二十三・八万円になっています。今度、じゃ逆に、平成十四年度の地方公務員の年金扶養比率、要するに何人で一人を養っているかという数字は二・一六なんですね。二・一六人で一人のOBを養っている。厚生年金は三・一七人で一人のOBを養っている。地方公務員の方が状況は悪いわけなんです。  しかし一方で、保険料水準というのは、今回、年金の改正前のベースになりますけれども、一三・〇三%、厚生年金は一三・五八%ですから、厚生年金よりやや低い負担水準になっている。低い負担水準で少ない人数でOBを持っているはずなのに、なぜか給付の金額が高い。一体こういう数字のマジックはなぜ起こってくるんでしょうか。
  23. 須田和博

    政府参考人須田和博君) 御指摘のとおり、地方公務員共済の年金扶養比率でございますけれども、これは二・一六、厚生年金の三・一七に対して低くなっているところでございますが、他方で保険料率も、御指摘のとおり、制度改正前の水準で地共済が一三・〇三%、厚生年金の一三・五八%よりも低い水準となっているところでございます。  この理由でございますが、メカニズムといいましょうか、このような保険料率の設定は、一つは、ただいま御指摘の年金の扶養比率ということがございますけれども、もう一つの要因としまして、過去の積立金がどうなっているかという問題がございます。  地方公務員共済年金の場合でございますけれども、過去、保険料率の算定方式を厚生年金と変えまして、かなり厚生年金よりも高い保険料をずっと設定していた時代がございます。そういうこともございまして、地方公務員共済の積立比率につきましては平成十四年の末で一二・〇と、十二年度分の積立金が残っているということでございますけれども、それに対しまして厚生年金の方は五・六ということで、厚生年金の積立金の度合いがかなり高くなっております。そういったことも勘案した結果、保険料率を設定しておりますので、御指摘のような形で保険料率を抑制する形で設定ができているところでございます。
  24. 世耕弘成

    ○世耕弘成君 よく分かんない説明だったですけれども、いずれにしても、これ何らかの税金が入っていないとこういう仕組みは維持ができないわけでございます。こういった税金とか先ほどの給料と、これも全部、地方財政計画の根幹を成しているものですから、地財計画である意味ちゃんとした総務省としての勝負ができるように、こういう国民が不公平感を持っている人件費とか年金のところというのは、もう少しこれから切り込んでいく必要があるのではないかと思います。  最後に、少しまた話を変えますけれども、九月六日の日にかなりセンセーショナルな意見広告が全国紙に出ました。「いま声を上げなければ、この国の携帯電話料金はずっと高いままかもしれません。」という広告です。高いということでグラフが書いてあるんです。日本が確かに断トツで飛び出した絵になっています。  私、この記事を見て何だろうと思いまして、見ました。日本はNTTドコモで九万四千六百八十円と書いてある。アメリカはベライゾン・ワイヤレスで六万六千七百七十六円と。この数字、何かなと思ってじっくりこの表の隅々まで読みますと、ようやく隅っこに括弧付きでARPUと書いてあるんですね。これが何かも書いてありません。私はある程度プロだから分かります。ARPUというのはアベレージ・リベニュー・パー・ユーザー、一加入当たりの利用料金ということなんですね。これが高いというふうに、高いから日本の携帯電話は高いと書いてあるんです。  しかし、これよく考えると、一人が一年当たりに使う金額が高いということは、それだけよく使っているということでもあるわけですね。日本はiモードとかそういったものが非常に進化していますから、アメリカなんかよりもそういうデータで携帯電話を使うことも多いわけですから、これ単にARPUで比較をするのはいかがなものかなと思って、更に表の隅っこを見ると、虫眼鏡で見なきゃいけないぐらいの大きさの字で「加入者あたり利用料金の定義は各社ごとで若干異なるため、数値を必ずしも同列に比較することはできない。」とわざわざ書いてあるんですね。じゃ、この、何だろう、「ずっと高いままかもしれません。」というこの見出しは何だったんだろうというふうに思うわけですけれども。  総務省にお伺いしたいんですが、日本の携帯電話料金というのは世界に比べて高いんですか安いんですか、どっちなんでしょうか。
  25. 有冨寛一郎

    政府参考人有冨寛一郎君) 私もこの広告を見ましてびっくりしたわけでありますが、各国によって確かに料金制度は体系が変わったり、あるいは特別な割引料金があったりということで、単純に国際比較を行うということは難しいんではないかと思います。  しかしながら、総務省としては、毎年電気通信サービスに係る内外価格差調査をやっております。一定の条件を置きまして比較をしてみたわけでありますが、今年の八月の公表結果、これはもう御案内と思いますけれども、日本の携帯電話料金は諸外国に比べて決して高いわけではありません。平均、あるいはそれよりも低い水準にあるということなので、水準としては決して高いわけではない。むしろ、これからは競争というものを促進するという基本がございますので、ずっと高いままということではないというふうに考えております。
  26. 世耕弘成

    ○世耕弘成君 私は、日本の携帯電話というのはかなり競争は厳しくなっていると思いますね。各社いろいろ、最初カメラ付けたのを出してみたり、パケットの定額料金入れてみたり、いろんな料金プランを出して、逆にそれで安いんだか高いんだか分かんなくなっているわけですけれども、少なくともいろんな形で競争は進展していると思います。さらに、これからナンバーポータビリティーなんかも入ってくれば一層これ競争は厳しくなってくると思うわけでございまして、そういうことを前提としてこれから政策を進めていっていただきたいなというふうに思うわけでございます。  最後に、一問だけお伺いをしたいと思います。  今回、情報通信審議会は、これ、電話の接続料の東西同一料金でいくという答申を出されているんですけれども、実はこれ、二年前の答申とは全く違うんですね。  二年前は、平成十四年九月の答申では、東西格差を付けるべきだという答申を出されました。これ、我々国会議員がこれはおかしいということで自民党の中でも決議をいたしましたし、この衆参の総務委員会でも決議をいたしまして、これは東西均一にしなさいということをやらせてもらいました。当時、マスコミにはかなりたたかれまして、審議会答申が事実上骨抜きにされかねない情勢となったとか、総務省にとっては省令改正案を策定するが異例の政治圧力の中で苦しい見直し作業となりそうだとか、何かその決議をしたこと自体がけしからぬというような論調でかなりたたかれたんですけれども、結局、二年たった今、東西同一料金の答申が出ている。  これは一体どういうことなんでしょうか。教えていただきたいと思います。
  27. 有冨寛一郎

    政府参考人有冨寛一郎君) 今先生御指摘のとおりでございまして、情報通信審議会では、平成十四年九月には、その長期増分費用モデルの見直しを踏まえた接続料金の算定について、別会社である、NTT東と西は別会社であると、したがってそれぞれの接続料を設定することは適当であると、こういうような答申をいただいたわけであります。  その後、具体的に接続料をどう決めるかというような検討に入った段階において、今先生御指摘のように、果たしてそういうことでいいのかというような観点での国会決議をいただきましたし、また、私どもとしましても、地方自治体、あるいは地方議会、あるいは地方の経済団体からの要望書等もたくさん出されましたので、こういったことを踏まえて、改めて審議会の方に具体的な料金をどうすべきでしょうかという形で諮問いたしました。その結果、ユニバーサルサービスである電話通信料の地域格差につながる可能性がある、そういった東西別の接続料の設定というのは十分社会的なコンセンサスを得られていないということで、今御案内のとおり、平成十五年、十六年については東西均一にするという答申をいただいて、そのようにしたわけであります。  今回についても、原則としてはやはり各々が決めるべきではないかということでありますが、なお引き続き審議会の方で、事業者、それから消費者団体等からのヒアリングを踏まえますと、なおまだ現時点においても格差を設けるだけの社会的コンセンサスがないということで、引き続き平成十七年度においても東西均一にするということで答申をいただいておりまして、今回そのような方向で対応しているところでございます。
  28. 世耕弘成

    ○世耕弘成君 以上です。
  29. 森元恒雄

    ○森元恒雄君 地財対策、あるいは三位一体改革について数点お聞きしたいと思います。  各省から地方団体が出した案に対する対案的なものが出てきておりますけれども、そのほとんどは三位一体の趣旨に全く沿わない、逆行するような案ばかりであると私は思っておりますが、中でも、今も話がありましたけれども財務省考え方といいますか、二年間で七、八兆円地財対策圧縮する、交付税削減すると、これは本当に暴論じゃないかと。もう本当に、数年前、ノーパンしゃぶしゃぶでその振る舞いについてひんしゅくを買いましたけれども、もう今や骨の髄まで腐ってしまったんではないかという、思いたくなるような案でございます。  省中の省と誇りを持っていた財務省の役人が、事実に基づかない、あるいはまた一方的に決め付けるような、地方自治をないがしろにするような、そしてまた小泉改革が今、地方にできることは地方にと言っていることにも全く反するようなことを堂々と出してくるというのは一体どういうことかと。そしてまた、その役人が事務的に作ったものを事もあろうに財務大臣がうのみにして経済財政諮問会議で堂々と説明をする。私はもう本当に嘆かわしいと言う以外にないわけでありますが、まさか同僚の政務官はそういうことを考えてないと思いますが、お考えをお聞きしたいと思います。
  30. 段本幸男

    大臣政務官段本幸男君) お答えいたします。  地方財政計画については、森元先生が御専門ですからもう言うまでもないことですけれども、毎年度、地方自治体が必要な標準的な水準の行政サービスを実現するために必要な歳出を計上しているものでございます。  他方、近年の決算を見てみますと、計画と比較しますと、行政的な、行政経費単独事業、いわゆる経常的経費でございますけれども、これは計画を大きく上回って支出されている、こんな現状にあるんではないかというふうにとらえております。これは、地方の投資的単独事業計画よりも実際に使われる額が少なめに、すなわち実際に使われる額よりも計画額が多めに計上された結果、その余剰となった財源が一般的な経費の方に回されているというふうに考えております。  こういうふうな経常的経費につきまして、中身の吟味もないまま、使っただけ計画に計上しろというふうなことでは地方財政のいたずらな拡大につながるものでございまして、国も地方も今スリム化というものに取り組んでいる観点から見れば、これは必ずしも適当でないというふうに考えております。  なお、一般的、行政的、一般行政経費単独事業につきましては具体的な内訳の積み上げがないものでございまして、どのような事業が含まれているのか、これからその内訳についていろいろとそれぞれがチェックしながら積み上げていかなきゃいけない、こんなふうな段階にあると思っております。  財務省としましても、そういう視点から今後とも関係するところと連携しながら取り組んでまいりたい、以上のように考えております。
  31. 森元恒雄

    ○森元恒雄君 事の本質を理解しない答弁をいただいて、誠に残念極まりありません。  単独事業地財計画決算が下回っているのはそのとおりでありますけれども、なぜそういうことになってきたのか。地方団体は、税収が伸びない、対前年比マイナス、起債残高は累増していく、そういう中で借金してこれ以上事業をやるわけにはいかないと。私は、国よりも地方団体の方が健全財政を堅持していると思います。そういう中で、なけなしの金で一般住民の福祉とか地域振興のために汗を出しているわけですよ。そのことについて、財務省が目を通してないものはいかにも全部不当だというような決め付け方は私はいかがなものかと、地方自治を正に否定すると。  今おっしゃられたように、一つ一つの事業の中身を審査すると。それじゃ地方自治じゃありませんよ。正に国の出先機関に対する態度ですよ。全くけしからぬ、改めてもらいたいと強く申し上げたいと思います。  それで、大臣にお聞きしたい。総務大臣にお聞きしますけれども、今年の、問題は、去年以上に財務省からひどい案が投げ掛けられておりますけれども、私は去年の地財対策も極めて遺憾であったと思っております。それは、三兆円にも上る交付税あるいは臨財債をカットした、突然カットした。対前年比一二%。こんなカットをされたんではほとんどの団体予算組めません。これが更に続いていけば、私は、去年と同じだけの額が仮に確保されたとしても二、三年でかなりの地方団体は再建団体に落ちてしまうんじゃないかなと、そういうふうに思います。そういうことになるんであれば、私は正にこの三位一体、大きな議論になっていますけれども、やるべきでないと、見送るべきだと。  それ、なぜかと。仮に三兆円の補助金を廃止して三兆円の税源が確保されたとしても、別のところで三兆円、交付税あるいは一般財源が縮小されたんでは、お金に色は付いていませんから、三兆円の補助金に対して何の財源手当てもしなかったということと実際は変わらない、そういうことになる、なりかねないわけでありまして、そういうことになるなら三位一体はやらないと、これぐらいの決意で臨むべきじゃないかと思いますが、お考えをお聞きしたいと思います。
  32. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今御指摘にありましたように、地方歳出について、大蔵省主計局、人が余ったんで是非おれたちに査定させろかのごとき話はいただけないと、分かりやすく言えばそういうことを言っておられるんだと思いますが、私どもも今のお話はちょっといかがなものかと、伺いながら、拝聴させていただいておりましたが。  今のお話でありますように、先ほど世耕議員からの御質問のときと少し重複するところもあろうかと存じますが、森元先生よく御存じのように、これは地方補助金をいわゆる断るに当たって、それに代わって財源がということになって、その分は地方税が移管される、そこまではよろしいんですが、地域によって人口比等々で明らかに従来一〇〇来てたものが五〇しか来なくなったということになるんであれば、それは、その差額の五〇は地方交付税等々で埋めない限りは、交付税というか補助金をもらっといた方が良かったということになるわけで、そういった意味では、それをきちんと対応いたしますということを前提に地方との話を詰めた上で地方は三兆二千億を出したと、この経緯が大事でして、したがいまして私どもも、この平成十七年度の概算要求に当たりましては、地方交付税の点につきましては今年度と同額という形にさせていただいたというんであって、これが減ったらそもそも大前提が狂いますんで、森元先生御指摘のとおり、地方としてはそれはとても受けられる話ではない、地方格差は更に付くことになると。仮に市町村合併が進んだとしても差が完全になくなるということはございませんので、そういった意味では、この交付税の持っております調整機能というものはきちんと維持されてしかるべきだと思いますし、したがいまして、特に十七、十八年度につきましては、この交付税の点につきましては最も肝要なところだと思っております。
  33. 森元恒雄

    ○森元恒雄君 じゃ、次、生活保護についてお聞きしたいと思います。  生活保護は、これ正に四年前の一括法のときに厚生労働省はこれを法定受託事務として、要するに国の事務として留保した。自治事務に譲らなかった。しかし、にもかかわらず、今回、国の負担割合を引き下げて地方にもっと負担してくれというふうな案を出してきている。順序は逆、順序というか方向が逆じゃないか。法定受託事務であれば、我々のこの衆参の選挙と同じように、全額国が負担するというのが筋であります。この際、改めるんであれば、国庫負担割合を十分の十にするというのが本筋ではないかと。  それから、党内でもいろいろ議論ありまして、認定事務が、地方の認定事務が非常に甘いんじゃないか、ずさんじゃないかと、こういう声があります。もしそういうことで信用できないというなら、法定受託事務もやめて、国が直接執行する事務にすべきじゃないか。なぜなら、失業保険は全部国の責任と権限と執行でやっているじゃないですか。なぜ長期の失業者に対する事務は地方に任せるのか、地方に負担させるのかと。私は全く理屈がないと思いますが、見解を聞きたい。
  34. 森岡正宏

    大臣政務官(森岡正宏君) 森岡でございます。  地方行政に明るい森元先生にお答えするのはいささか恐縮でございますが、お答えをさせていただきたいと思います。  御承知のとおり、憲法二十五条ですべての国民が健康で文化的な最低限度の生活を保障しているわけでございまして、生活保護制度については、国が給付水準など制度の基本的な枠組みを設定する、そして保護の認定や保護費の支給等は地方自治体に行っていただいている、これが現状でございます。  また、生活保護の対象となる要保護者は国民であると同時に地域住民でございます。生活保護行政地方の利害にも関係することから、制度の発足当初から地方自治体にも費用の一部を負担していただいていると、こういうことでございまして、地方自治法にも、いや地方財政法にも明記されていることは御承知のとおりでございます。  このように、生活保護行政は国と地方が重層的な形で協力しながら実施しているところでございまして、今後とも地方自治体に必要な役割、責任を担っていただきたいというのが我が厚生労働省の考え方でございます。  今回の生活保護費負担金の見直しについては、経済的給付に加えて、もっと自立を促していこうと、また就労を支援していこうということから、自立就労支援策を実施する制度に転換する見直しを実施して、そして併せて地方自治体の裁量の幅を拡大しようとしているわけでございまして、地方自治体に一層の役割、責任を負っていただくことから今回の提案に至ったものでございます。  なお、三位一体改革でございますから、地方が必要とされる財源が確保されるということが私たちの提案の前提でございます。このことを、もちろん先生は御承知でございますけれども、このことを申し上げて、そして、引き続き私たちはこの三位一体改革、厚生労働省が提案しているこの案について議論を重ねていきたい、多くの皆さん方の御意見もいただいていきたい、そしてより良い方向を探っていきたい、そんなふうに考えているところでございます。
  35. 森元恒雄

    ○森元恒雄君 私は、財源の裏打ちがあったってそれは方向が逆だと申し上げているんで、全く意見が違いますけれども、それだけ申し上げて、次に義務教育についてお聞きしたいと思いますが、義務教育は、これ、先ほども話がありましたように、逆に自治事務に四年前なっているわけですね。  もう一つ、私学の小学校、中学校に対する扱いがどうなっているのかということを考えますと、小学校に七万人、中学校に二十三万人の人が私学に通っている。しかし、それに対して国は二分の一の国庫負担をしていない。文科省は、この義務教育の国庫負担をやめると国としての責任が果たせない、責任を言わば放棄したことになると言っております。しかし、私に言わせると、それじゃ私学の三十万人に対して文部省は責任を放棄しているのかと。義務教育を、小学校、中学校を卒業してもまともな学校を出たことにならないのかと。そんなことはないわけであります。  自治事務にするということは、これは地方のことですからそういう名前付いていますが、まあ言ってみれば、私学でいえば、民間事務ですよね。全く同じ扱いのはずであるわけでありまして、私は、国庫負担をやめたから責任を果たせなくなると、そういうことにはならない、そういう文科省の主張には何ら一貫性がない、論理一貫性がないと言わざるを得ないと思いますが、見解をお聞きしたいと思います。
  36. 樋口修資

    政府参考人樋口修資君) お答え申し上げます。  義務教育国庫負担制度についてのお尋ねと、私学助成のお尋ねでございましたが、国庫負担制度につきましては、国民の就学義務を満たすために国が設置義務を課した公立の小中学校教育について、国がその責任を制度的、財政的に担保する制度でございます。地方公共団体の財政力の差にかかわらず、全国すべての地域において優れた教職員を必要数確保し、教育の機会均等と教育水準の維持向上を図るために極めて重要な施策であると考えているところでございます。  一方、お尋ねの私立学校につきましては、設置義務が課されておりませんで、また授業料を徴収し、建学の精神に即した児童生徒の受入れを行うなど、義務教育を受ける国民の権利をすべからく保障するための公立学校の制度とはおのずと異なるものでございまして、そのための助成の在り方も、私学の教育条件の維持向上でありますとか、修学上の経済的負担の軽減等に資するためのものでございまして、公立学校のそれとはおのずから異なるものとなっているわけでございます。  とは申しながらも、義務教育費国庫負担金やあるいは私学助成も、ともに我が国の公教育の発展充実のためにはこれはいずれも極めて重要な役割を果たす制度でございますので、私ども、教育論に立った国と地方の役割分担などの観点を踏まえながらこの問題について検討してまいりたいと考えておるところでございます。
  37. 森元恒雄

    ○森元恒雄君 今、生活保護と義務教育の二つだけ取り上げましたけれども、この三位一体改革について、各省から異論続出といいますか、必死の抵抗がなされておるわけですけれども、その最大の原因はやっぱり各省にとっての権益を守りたいと、それに尽きると思いますが、もう一点申し上げれば、この三位一体改革のもう一つ、何といいますか、原則論といいますか、原理原則がはっきりしていないということにもあるんじゃないかなと。  今、両省のことを聞いていただいても、要するに私からすれば、法定受託事務と自治事務という事務配分は整理したわけですけれども、それと財源手当てとの関係がきっちりと組み合わさっていないと、これが議論、混乱のもとだと思うんです。法定受託事務は、これは全額、要するに国の責任ですから国の負担とすべきです。自治事務は、これは地方の事務ですから全額自主財源で負担すべきと。少なくともそれを基本原則にするということを明確に打ち出すということが大事じゃないかと私は思うんですけれども大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
  38. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 基本的には、これまでの流れ、経緯、いろいろもう御存じのとおりのところですので、平成十二年にこのような形での区分けは一応終わった。しかし、財源のところの部分と細則、規則につきましては、平成十二年では明確にできなかったのが今回の話まで先送りされた形になって今言われたような形になっておるんだと思いますが、いずれにいたしましても、ほかに挙げてみれば戸籍、戸籍なんてものも、これどう考えても、これは一般財源化しておりますけれども、戸籍なんというのはこれは国がやるのが当たり前じゃないかとお思いでしょうけれども、これは御存じのように、一般財源化もう既にされておる等々、いろいろ見ますと御意見の出てくるところだとは思っておりますけれども、少なくとも、法律は決めたが、いざ実行するに当たっては財源の保障がない、裏付けがないということになると、これはやりたくてもできないということになりますので、今度の三位一体の中においてきちっとその点は整理されて、されるべきものだと、私もそのように思っております。
  39. 森元恒雄

    ○森元恒雄君 現状がこうだからと言い出すと何の改革もできませんで、本来どうあるべきかという観点でしっかりと考えていただきたいと思います。  最後に、時間ありませんから意見だけ申し上げたいと思いますが、今回、厚生労働省は国保に対して都道府県の負担を求める案を出しておりますが、これも私にしますと極めて問題だと。要するに、組合健保、政管健保、国保とありますけれども、なぜ国保だけを市町村に押し付けているのか。しかも、更にそれに対して今回加えて都道府県の負担をするのかと。これまた全く方向が逆であります、私に言わせると。これはやっぱり改革するなら全部国が管理するという方向で考え直すというのが筋ではないかと、これだけ申し上げて、終わりたいと思います。
  40. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 民主党・新緑風会の高橋千秋でございます。  先週の麻生大臣の御要望にこたえて今日は質問に立たせていただきます。いろいろ分かりやすく答えていただきますようお願いを申し上げたいと思います。  先ほどから自民党の両議員から三位一体改革のことについてずっと御質問がございました。かなりダブる部分もありますが、重要な部分はやはりもう一度重ねて質問をしなければいけないかも分かりませんけれども。  私はこの夏、災害対策特別委員会の理事もしておりまして、日本じゅうを被災地の視察に行ってまいりました。昨日も新潟へ衆参両方の災害対策特別委員会の視察ということで行ってまいりました。そこで見させていただきましたら、ちょうど麻生大臣も二十九日に小千谷へ入っていただいておるようでございます。  この三位一体改革の論議というのは、地方が、この日本の地方がどうやって生き残っていくかという、これ非常に、重要な問題だと思うんですね。私も、それから世耕さん、お隣の和歌山ですけれども、こういう非常に、世耕議員ですね、お隣の和歌山ですが、非常に、田舎にとっては今回のこの論議というのは非常に、生きるか死ぬか、非常に重要なところに来ているんですね。そして、今回、このような災害があちこちで起きて、私の地元の三重県でも大変なことがありました。  新潟、昨日行って、各地で被災地見て、避難所で見ても、これから我々の生活はどうなっていくんだろうと。山古志村なんかはもう村自体がなくなるんじゃないかというような話もある中で、合併も、実は昨日、あの地区は合併されまして二つの市が生まれました。ところが、その事務自体もできないという状況にあります。それはもう緊急事態だから仕方ないことだと思うんですが、昨日、全国で、私の住んでいる三重県でも伊賀市というのができたんですが、そういう新しい動きがどんどんある中で、これだけ災害が起きると、地方財政大変厳しい中で、その上、三位一体改革補助金がなくなって、合併でどうなるか分からない。地域の方々にとっては本当に不安な生活を送っておられる。特に、そういう災害を受けなかった地域の方々にとっても、これだけあちこちで起きると、人ごとじゃないなというのをつくづく感じておられると思うんですね。  その意味で、この三位一体改革というのをどうしていくのかということをやっぱり考えていかなければいけないと思うんですけれども、まず冒頭、ちょうど大臣も小千谷へ行かれた、それで現地も見ていただいた、ああいう山の中の雰囲気も見ていただいて、そういう地方行政の責任ある大臣としてこの三位一体改革、どういうふうに考えておられるのか。  それと、大臣は、地方の味方なのか、財務省の味方なのか、さっき話ありましたが、それをまず明らかにしてこの論議の入口に入りたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
  41. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) まず最初の質問から。総務省を所管しておりますので、総務省が所管しております団体の立場を代弁する立場にあるというのだけははっきりしておると思っております。  また、三位一体の話が出ておりましたけれども、あの山古志の場合含めまして、今度、御存じのように、あそこは長岡市と合併することになっておりますが、基本的には今の時代、やっぱりある程度人口等々の規模がないと、少なくとも一人当たりに掛かります最低の行政経費というものは、人口五千人以下だと約百三万円掛かると言われております。一万人前後で約五十万弱、二、三万になりますと大体三十万台、四十万台ということになってまいりますので、ある程度の人口を確保していないと一人頭に掛かります行政経費は極めて高い、三倍になっておるという実態を踏まえましたときに、やっぱりその分だけある程度足腰を強くしておいていただく必要があることは確かだと思います。  それをまた補う意味でも、いろんな意味で、ICTの技術が発達していろんなところに随分行けるようになりましたので、その分もコストは下げられる。ところが、全然この種の技術が全くないところなんというのは、三重県にはないのかもしれませんけれども、私どものところではかなりいろいろ、それは、これはとてもだなというところがないわけではありませんので、そういうところを見るというと、ある程度、今の技術というものに合わせて規模というものをある程度確保してもらわないとなかなか、国から県から下りてくる書類は全部これからオンラインで下りてくるというのがこれ法律で決まりましたので、そのオンラインの対応ができない町村などというものはこれはえらいことになりますので、そういったことも考えますと、ある程度合併を進めながらやっていくという、流れとしては地域にも大きくその力を今度振っていくわけですから、それに合わせまして、これは明治四年廃藩置県以来の大改革ですから、いろんな意味でこれまでとは大分違った流れになってきている中にあって、対応がぎくしゃくしているという点はあちこちまだ出てきているところだということは私もよく理解できておりますが、少なくともそれがきれいにうまくソフトランディングしていくように私どもとしては応援をしていかにゃいかぬところだと思っております。  最後になりましたけれども、今、山古志のところに限らず、地方っていうのは、今何となく新聞というのは地震の話ばっかりしか書いてありませんけれども、今年は十回も台風が来たことはもうすっかり忘れられておるような話などいかがなものかと。少なくとも、二十三号やら何やらの被害があった、ついこの間の話なんであって、こっちの話忘れて地震ばっかり話されたら、台風のところの人にとっては、おれのところも地震が起きた方が良かったかなみたいな話じゃとてもじゃないと、私は少々この種のことに関しましても、そういったところにもきちんと目を配らなきゃならぬのが総務省というところだと思っております。
  42. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 合併の話が出ましたので、ちょっと質問の順番は飛ぶかも分かりませんけれども、さっき大臣が言われたように、ITでいろんなことができるという時代の中で、それに取り残された地域があるというのは私の三重県も一緒でございまして、実は台風二十一号で大被害を受けた三重県の宮川村というところがございます。地すべりがありまして、随分何人かの方が亡くなりました。  私は、その日に実はIPUの会議でジュネーブにおりまして、それを国際電話で何度もやり取りしながら、切り上げて実は入ったんですが、そこなんかは高齢化率がもう六〇%ぐらいなんですね、六十五歳以上の方が。もうそこへ入って、迂回路もない、もう山道ばかりのところで、何もないときは非常に杉林がきれいな大変いいところなんですけれども、今回の被害を受けて、改めて、高齢化が進んでいる中で、もう一度立ち上がろうという気にははっきり言ってならない。今回のこの地震の山古志村なんかでもそうですが、あのニシキゴイやられている方々のいろいろインタビュー見ていても、もうこれでもう一度金借りてやろうかとか、そういうことにはならないというような地域がほとんどなんですよね。  それと、そういう地区が日本のあちこちにあって、今回合併で大きくなれば、規模が大きくなればそれでいいのかというと、そう単純にはいかないというのは、これはもう大臣もよく御存じのことだと思うんですね。私もこれで防災服を実は今年は十回着まして、あちこち行きました。  三重県でも実は、名前は有名なんですが、鳥羽市という市があります。ここは合併ができないんです、実は。伊勢市と、それから今度、昨日、市長選が、おとといですか、市長選がありました志摩市というのがあるんですが、志摩郡が一つになって志摩市になりました。それで、隣で伊勢市が今度合併することになっています。間に挟まった鳥羽市というのは、鳥羽というのは非常に観光で有名なところなんですが、実はどっちも入れてもらえないんですよ。どっちかに入りたいという思いがあるんだけれども、市民は、これはどれが理由か分かりませんけれども、どっちにも入れない。このままいくと、その市自体が破綻してしまうおそれがあるというような、そういう非常に地域住民の方々の声がありまして、ついこの間の日曜日にも、その地区でこの前の台風の被害でごみが一杯流れ着いて網が、漁港の網がやられたりとか、鳥羽の相差という地区があるんですが、この地区でももう大変な被害を受けました。高知では岸壁が高波で、高潮で打ち砕かれて亡くなられたところがありますけれども、あれと同じような古い堤防がその一帯はあります。高潮が来たらいつそういう災害が起きるか分からない。しかし、これで合併もどうなるか分からない。いろんな補助金もこれからカットされていく。いろいろ今回の三位一体改革の中で地方団体が出した中にも、こういう災害に対するいろんな補助金についてもその中のリストに結構入っているんですね。  これは、元々小泉さんが三兆円の削減、まあトータルで四兆円という話がありますけれども、この三兆円の削減という三兆円という数字がまずあって、で、地方団体の方にその中身を出しなさいということで結局出ささせた中にいろんなことが入ってきて、さっき義務教育国庫負担金の話もありましたけれども、これも含めて三兆円の案を出してきたんですね。  この三兆円という金額の根拠ですね、これ小泉さんが言われたということもあるんですけれども麻生大臣、これどういうふうに理解されていますでしょうか。これ三兆円という数字がまずあって、無理やりこじつけたような感じが私はしてならないんですね。いろんな非常に細かい数字が出されております。ここにその原本がありますけれども地方団体が出した「国庫補助負担金等に関する改革案」というものがあって、この中にはそれぞれ項目がずっとあります。ずっといくと、三兆二千億のカットという、そういう案が出ております。  これは、元々三兆円という数字があって、差が二千億円ありますけれども、気を利かしたのか、あと、リストラやいろんなことをして、頑張って二千億円を自分たちの努力でやればいいというふうに考えて出されたんだろうと思うんですけれども、この三兆円という数字を総務大臣としてどういうふうに理解されているのか、その辺をお聞きをしたいと思います。
  43. 今井宏

    ○副大臣(今井宏君) 高橋議員さんにお答えしますが、大臣にということでございましたが、私の方から答弁をさせていただきます。御了承いただきたいと思います。  御指摘の三兆円、そして地方から三兆二千円が出してきた、こういうことでございますが、御存じのように、今年の六月に基本方針二〇〇四におきまして、財源移譲についてはおおむね三兆円、これを目指すと、目途にすると、こういうことが明記されたわけでございます。  そういう状況の中で、御存じのように、なぜ税源移譲が先行されたかということになりますと、今の現在の各省庁の補助金削減案を見てもお分かりいただけますように、補助金から入っていくのではなかなか難しいと、こういう御判断があったのではないかと、これは私の推測でございますけれども、ということで、四兆円を十八年度までにやっていくということに関しまして、三兆円、補助金の規模と、あるいは地方の税源配分の現状等々、その改革の結果を踏まえた総合的な見地から総理の御判断があったものと思われるわけでございます。  いずれにいたしましても、総務省といたしましても、閣議決定は重いわけでございますので、基本方針二〇〇四に示された改革方針を確実に実現できるように、年内に決定する三位一体改革の全体像の取りまとめに取り組んでまいりたいと、かように考えているところであります。
  44. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 何かちょっとよく分からなかったんですが、もう一度ですね、私、大臣にお聞きしたいんですが、この三兆円というのは、三兆円おまえやれと、小泉さんにちゃんと説明を受けて仕事をされておられますか。もう私から見ると、何か本当に、思い付きだという話出ていますが、取りあえず三兆円という数字がまずあって、何かもうこじつけのような感じがして仕方がないんですが、いかがでしょうか。
  45. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 元々、これはもう高橋先生御存じのように、四兆円だったんです、最初は。平成十六年度で一兆、そして十七、十八で三兆、合計四兆ということになったんで、元々四兆ありきだったというように御理解をされておいた方がよろしいと思います。  じゃ、なぜ四兆に決まったのかと言われると、ちょっとそこは細目詰めて、これとこれとこれとこれで四兆だろうがという話で私が受けたわけではありませんので、だからそれはもう三兆も同じことじゃないかと言われりゃ、それはそうですが、それはもうちょっと、もう一つ前の大臣に聞いていただかないと、私、そっちのときは私のときじゃなかった、そのときは、四兆のときは。  少なくとも、今四兆円の話になっておりますので、それ、元々三兆円というのは一つの目安としてできたのであって、私どもは初年度一兆円というのでやったので、少なくとも補助金削減地方財源に移していく。御存じのように、約総額二十兆ありますので、いわゆる補助金総額というのは二十兆円地方に約、出ていますので、それのいわゆる二〇%、二割ということぐらいのところかなという感じでスタートしたのではなかろうかと。これは私が細目伺ったわけではありませんので、詰めたわけではありません。
  46. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 はっきり言って、まあこんなものかなというところで数字出しているというのは、大臣も言われているとおりだと思うんですね。  これ、さっき四兆円という数字を出していただきまして、上手に振っていただいてありがとうございます。  四兆円程度、十八年度までにやるという、そういう案が出ました。それでいくと、十五年度に五千六百億、十六年度に一兆円やって、ということは、あと二・五兆円なんですね。そうすると、三兆円という数字と合わなくなってくるんですけれども、それはどうしてでしょうか。
  47. 瀧野欣彌

    政府参考人瀧野欣彌君) 補助金改革につきまして、十六年度から三年間でおおむね四兆円ということになっておるのでございますが、それに先立ちまして、平成十五年度に、こういった三位一体改革の芽出しというような言葉を当時使ったわけでございますけれども、十五年度に先駆けとして五千六百億円程度の改革を行ったわけでございます。  ただ、補助金改革につきましては、それはあくまでも芽出しでございまして、基本方針二〇〇三におきまして、地方の権限と責任を大幅に拡大するという観点から、補助金の在り方の抜本的な見直しを行うという中で、十六年度から十八年度まででおおむね四兆円程度を目途に改革を行うということとされまして、十六年度、一兆円を行ったわけでございますので、残り十七、十八年度におきましては三兆円程度の改革を行っていきたいと、こういう整理でございます。
  48. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 芽を出すには随分な金が掛かるんだなと思いますけれども、これ、三兆円という数字がまたもう一つあります。この三兆円の中に、平成十六年度に行われた所得譲与税及び税源移譲予定交付金、これは入っているんでしょうか。
  49. 瀧野欣彌

    政府参考人瀧野欣彌君) 補助金改革対応いたしまして税源移譲三兆円を行うということとされておるわけでございますけれども、その三兆円の規模の中には、今お話がございました十六年度に行われました所得譲与税なり税源移譲予定交付金の額、こういうものも含めるという整理にしてございます。
  50. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 その今回の三位一体改革の中で、地方団体の方から、さっき申しましたように、改革案が出されました。これを経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇四というところで、地方公共団体に対して国庫補助負担金改革の具体案を取りまとめるよう要請し、これを踏まえて検討するというふうに書いてありますけれども、この六団体が出した内容というのは、政府としては尊重をしていく、それを十分取り入れていくということなんでしょうか。
  51. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 地方団体最初にこの案を持ってこられたときの経緯は、総理、総務大臣地方団体最初に渡されるときに、この案を出す前に、出す前に、この案を踏まえて我々と協議を開くということを確約してもらいたいと。預かったわ、いつの間にかなんというのは駄目ですというので、基本的に地方と国との間の協議会を設ける、それを認めなければとてもうちはこれを提出する気はないということは、ということでありましたので、協議会を開くと申し上げて、既に協議会が何回か開かれております。  そして、それを受けて私どもといたしましては、その場で総理に対して六団体の方からこの案を、それを前提にして提出をされましたのを受けて、総理としては、この案を真摯に受けて対応しますということをその団体の前で答えられ、その後引き続き行われました経済財政諮問会議において、六団体の長、いずれ出席をされた上で、その前で真摯に受け止めという同様の言葉を使われて、二度確認をされておられるというのが経緯であり、その後、閣議等々においても、いずれも同等の趣旨が総理の言葉として発せられておるというのが背景です。
  52. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 そういうことを前提にするのであれば、二十八日に各省庁の補助金削減案が出ました。これはもう新聞に大々的に報道されました。日経新聞なんか見ると、「補助金削減「ゼロ回答」」と書いてあります。一兆円までいっていないと。  それは、はっきり言って、それを踏まえていないということだというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
  53. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) いろいろ受け止め方がおありになるんだとは思いますが、総理の言葉、総理大臣のいわゆる意を酌んできちんと対応してもらいたいという話が官房長官からもあり、二十八日のその答申が、答申というか、各役所を監督しておられる各大臣の方から出された、今言われたとおりの話になりましたのに対しても同様に、閣議において、更に踏み込んで検討してもらいたいと、きちんと三兆円の地方団体の趣旨を踏まえて再検討という話が出されております。
  54. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 先ほど自民党の委員の方からも義務教育国庫負担の話が出ましたけれども、私はこの夏に自民党の議員の方も一緒にカメルーンという国へ行きました、サッカーで有名ですが。ここで日本がお金を出して小学校を幾つか造っているんですね。カメルーンで初等教育というと日本というふうに言われているぐらい日本が一生懸命頑張って応援をしています。その姿を見たときに、やっぱり、まあ国全体は非常に後れた地域ですけれども、一生懸命国全体で教育というのを頑張って、みんなで国を良くしていこうという思いでそういう初等教育を頑張ってくれているんですけれども、そこに日本が手を携えているというのは、私はそれは日本としては非常に誇りなことだというふうに思うんですけれども。  この義務教育国庫負担、戦後大変厳しい教育環境の中で、私も前の通常国会の中でもこの義務教育国庫負担のことは何度もやらしていただきましたけれども、やっぱり教育というのは国が責任を持ってやっていくべきだ。やっぱり国全体が盛り上がっていくためには、やっぱり教育というのはこれは絶対欠かせないことですね。  昨日、あの小千谷の避難所へ行っても、小さな子供たちが避難所の中で何か一生懸命宿題やっているんですよね。ああいう姿を見て、日本人というのは本当に一生懸命勉強するなというふうに思うし、頑張っているなと思うんだけれども、そういう基本的な部分をやっぱり、国がやっぱり責任を取るべきだろうと私は思うんです。  この知事案、地方団体案の中にはこの義務教育国庫負担も八千五百億程度入っておりますけれども、私の地元の三重県の知事はこれに対して反対をしておりますが、反対というか意見を述べておりますけれども、やっぱりこういう部分も私は国が責任を持つべきだろうというふうに思うんですが、さっき申しましたように、その三兆円という数字ありきの中で、あれもこれもひっ付けていって三兆円という数字、三・二兆円ですけれども、という数字を持ち出してきているような感じがしてならないんですね。  私は、税源移譲をするということは非常に大変重要なことだし、地方分権ということを考えていくのも、上では非常に重要なことだと思うんですが、もう少し中身をやっぱり精査すべきだろうというふうに思うんですけれども、どうも、さっきの話で、自民党議員からも出ましたけれども財務省の方は中身をしっかり見ずに、地方のことも分からずにどんどんどんどんカットありきということを言い出してきているようでありますけれども、その点、大臣、どう思われるのかということと、是非抵抗していただきたいなというふうに、私は抵抗族ではございませんけれども、是非、大臣としてそういう部分地方のさっき味方だという冒頭の話がありましたので、そのことを是非頑張っていただきたいと思うんですけれども、いかがですか。
  55. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 応援もよろしくお願い申し上げます。  今の話の中で義務教育の話が出ましたけれども、先ほどの森元議員のところからの御質問の中にもあっておりました、あったと記憶しますが、少なくとも義務教育国庫負担金を国家が放棄するかのごとき話は間違っていると思います。やたら、義務教育をやめるかのごとき話をやたら流布しておられる一部のところがあることも事実ですが、少なくとも地方自治事務と決められているんですから、その地方自治事務にかかわる部分の給与、約八兆数千億、総額出ていますが、そのうちの二兆五千億が義務教育の教職員の補助ということになっていると思いますが、その部分のところの給与分を地方に渡す。その金が国から出ているか地方から出ているかという話になるんだと思いますけれども、それは、元々国だった分を国が地方で払っておけというんじゃなくて、その額はそっくり地方に税源として渡すんですから、これは地方はその分だけ受けて教職員の給与にそのまま払うわけですから、国が放棄したとかいう話では全くないと思います、これは基本的には地方に払うべき金はそのまま渡すんですから。そういった意味では少し違うと私どもは思っておりますし、それが一点。  また、国としての責任は給与だけかと。義務教育として、国が本来果たすべき教育として、憲法等々いろいろありますけれども、それに向かって国が果たすべき責任というものは教職員の数と金だけかと言われると、それはそうじゃないんであって、その他いろいろな、文部省として、国として最低限こうあらねばならぬとか、最低限これだけの学識をとか、いろんな意味での指導の方法はほかにもいろいろあるんではないか。私どもは基本的にそう思っておりますんで、義務教育のいわゆる地方の、いわゆる国庫負担金の地方への移管イコール義務教育の国のいわゆる権利義務の放棄というように、の話とは全然これは違うんだと、私どもは基本的にそう思っております。  ただ、その種の話にすると話が非常にぱっと通りますんで、何となく国はとかいう話をよくされる方は、もう意図的にされておられる方を含めて一杯おられるのはよく承知しておりますけれども、内容自体につきましては、私は、国として本来そもそも義務教育はという話をすべきというのが第一点であります。  そして、これは何回も財政諮問会議でも申し上げておりますし、また全国知事会においても冒頭、この種の話で、教育の話を金から入るのは品がないと。基本的にはそもそも義務教育はという話から入らないと、日本が少なくとも世界に先立つこと三年も早く始めた義務教育制度等々は、これを日本という国が採用したおかげで、近代工業化社会として大成功した源であったことは間違いないとは思いますが、今、その時代に替わって新しい時代に入ってきたときの義務教育として、今の義務教育制度がそもそも、今の制度として六三制が、含めましていろいろ考えないかぬ問題一杯あるのではないかと、その種の話をしないでお金の話から入るところが多々問題があるんだと。  これは既に四大臣会議でも、過日、文部大臣お見えのときに申し上げておりますし、そういったところも含めて検討されねばならぬ大事な点だと思っておりますんで、そもそもの話とお金の話とを一緒になって論議すると話が非常に歪曲された形になり、矮小化されるということは避けたいと、私どもはそう思っております。
  56. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 品のある麻生大臣のことでございますから、是非、義務教育を守る意味で頑張っていただきたいなというふうに思います。  それで、先ほどからずっと述べております、この義務教育の問題もそうですが、地方と国の役割の話ですね。ここがよく、県の方とか陳情にお見えになると、これ、三位一体このままいって補助金どんどんなくなっていくんであれば、さっきどなたかがおっしゃいましたけれども、法定事務事業いろいろやらされていると、こんなのもう返上したいというような、そういう声もありますけれども、こういう部分についてどういう御認識か。  それと、この役割のもっと、もう小泉さんがずっと言われております、地方にできることは地方にと。それは当たり前のことだと思うんですけれども、本当に純粋な動機で地方ができることは地方に渡すんであればいいんですけれども、さっき品がないと言われたお金の部分で、いろんな部分でやっぱりそう簡単にはいかないというところがあって、国の方はいつまでもうまいこと、うまい汁と言ったら変ですが、自分たちが手綱を握れるようにしたいから手放さないんだと。これは事実としてあると思うんですね。  そういう部分を切り離して、地方仕事はこれなんだ、国が最低限やらなきゃいけない仕事はこれなんだということをやっぱりもっと整理をしていくべきだというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
  57. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 誠に御指摘のとおりだと思いますが、先ほど世耕先生のところからも御発言があっておりましたが、この地方と国との役割は、体系的には、地方自治法の改正と言われます地方分権一括法のときに既に体系的には整理はされたんですが、そのときに、それに伴って財源というものが先送りされた、細則につきましてもかなり先送りされたと思っておりますけれども。そういったものが今回の中で地域主権に、国の形自体が中央集権から地域主権に移管されていく、今正にその端境期にあるんだと理解しておりますが、そういった状況の中において今回やっぱり税源の移譲というものがないと、移管されても、やろうたって先立つものがなきゃ何もできないという状況になったというところが一番背景でして。  確かにおっしゃるように、何となく、地方財源を移譲しないのではないかと。昨年も一兆円いわゆる補助金削減をやったけれども、実際、税が移譲されたのは四千五百億だったじゃないかと、今回三兆渡したらまた一兆かというような、地方と中央との間に信頼関係がなければこの種の話はできませんから、そこで総理の決断で三兆円の税源移譲をまずやるということを断言して、それに伴って補助金削減が出てきたという経緯であります。  少なくとも、これいろいろ御意見の分かれるところではありましたけれども、その方向で今進んでおりますんで、私どもとしては今非常に大事なところだと思いますんで、もっときちんと、国と国、地方地方という点に関しましては、先ほど森元先生はもっと、これは国が全部やるのが当然じゃないかと、これは法定委託業務は全部、国が全部やるべきという等々の御意見もある。これはいろいろまた、ほかにもまた御意見があるんですが、いろんな御意見が出ておりますんで、私どもとしては、きちんとどこまで明確に分けられるかは別にいたしまして、少なくとも中央がありとあらゆることに補助金という名に、言って関与してくる、介入してくるというのが、地方の効率を妨げ、コストを引き上げ、いろんな形での地方の活性化を妨げているというんであれば、基本的には規制は緩和、任せるものは任すという方向でいかないと地方の元気は出てこないと。これが一番の背景だと存じております。
  58. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 総務大臣はよく御理解をしていただいていると思います。そういう意味で、地方に渡せるものは可能な限り渡していくというのは、これは時代の流れだろうというふうに思うんですね。しかし、その三兆円という数字が独り歩きしているような感じもいたしますけれども、この税源移譲ありきだということなんですが、税源移譲をすると、それはそれで、我々も元々そう言っているわけで、それでいいと思うんですけれども、偏在の問題がどうしてもありますよね。  昨日行った、小千谷の辺り行ったって、はっきり言って税収上がるようなものというのはコイぐらいしかないんですよ、ニシキゴイしかないんですよ。だから、それで税源移譲するといっても、そんな簡単にいかないですね。  この偏在の問題をどう考えて調整をされていくのか。妙案あるんでしょうか、その税源移譲の中で。
  59. 板倉敏和

    政府参考人板倉敏和君) 税源の偏在に関する御質問でございます。  地方税財政制度改革に当たりましては、地域間の財政力格差が拡大しないように、税源の偏在性が少ない地方税体系の構築を図りながら地方税の充実を図っていくことが重要であると認識をしております。今回の三兆円規模を目指した税源移譲につきましても、税源偏在が縮小をする方法で実施をするように工夫をした提案を行っているところでございます。  具体的に申しますと、総務省といたしましては、個人住民税を一〇%の比例税率にするということでございまして、これによりまして三兆円規模の税源移譲を実施すべきと提案をしておりますが、基本方針二〇〇四でフラット化の方向で検討という改革方針が示されていることも踏まえまして、この案が成案となりますように今後も取り組んでまいりたいと考えております。  さらに、必要があれば、他の地方税地方譲与税等におきましても地域間の財政力格差の縮小につながるような措置を講じてまいりたいと考えております。
  60. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 今回、地方団体から出た中身を見ても、防災という観点から見ると大丈夫なのかなというような中身の項目も幾つか入っているんですね。地震だけじゃなくて、我が県の宮川村だとか、そういう伊勢だとか鳥羽だとか海山だとか、そういうところでも大変な被害を受けて、復旧に今一生懸命頑張っているんですけれども。  ところが、取りあえず復旧ですね、まず今やっているのは。元の生活を取り戻したい、それがまず今地域の方々が望んでいる第一なんですね。大臣も見ていただいたから、いろんな声も聞いていただいたと思うんですけれども、元々あった普通の生活を取り戻すために今一生懸命頑張っている。だけれども、それを取り戻すには物すごくお金が掛かる。地震なんかでいうと、あちこちがけ崩れしていて、そのがけ崩れを元に戻すだけでも大変ですし、ずたずたになった道をきれいにするだけでも大変なお金が掛かります。でも、これは激甚指定等を受ければある程度の補助はあるにしても、全額をその地域がもらえるわけではありませんから、持ち出しというのは当然あります。  先週は災害対策委員会で玉野市というところへ行きました、岡山県の。ここも地すべりがあって、そこの市長さんたちからいろいろ説明を受けましたけれども、もう財政調整基金がほとんど空だと、それで、これからどうしていったらいいのかも分からないというような、そういう状況があります。  昨年の三位一体改革の中で、さっき大臣からもお話あったかと思うんですけれども、四千五百億しか手当てがなかったということで、結局、地方からいうとだましだと。それまでの某前総務大臣のときに言ってたことと新麻生総務大臣になったときと違うじゃないかと。それも年末ぎりぎりになって出してくるというのは、これはどういうことだというような声があちこちでありました。  だからこそ、さっき大臣自身が言われたように、三兆円というお金があったら一兆円しか出てこないんじゃないかという、そういう地方の声があるのはこれはもう当然、そういう声が出てくるのは当たり前だと思うんですね。そういうことをちゃんと払拭できるようにしていくという、そのために努力されているというのは今お話がありましたけれども、まだまだこれは地方は信用していません。麻生大臣を信用しているのかどうかはこれは分かりませんが、国を信用していない。これは非常に不幸なことだと思うんですね。  そういう意味で、大変こういう災害が続いた今年、改めてこの地方団体から出てきた中身も精査をしなければいけないけれども、国がやらなければいけないこと、地方がやらなければいけないこと、そういうことをやっぱりもっともっと精査を私は進めていただきたいと思います。その意味で強いリーダーシップを麻生大臣に取っていただきたい。さっき財務大臣とのいろいろな話がありました。さっき財務政務官の方から答弁ありましたけれども、何かよく、森元議員からも話ありましたけれども、よく分かっていない、財務大臣財務省の方はよく地方のことを分かっていない答弁だったと私も思います。  その意味で、総務大臣にこういう部分のリーダーシップを取っていただきたいと思いますので、その御決意をお聞きをしたいと思います。
  61. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) まず、最初の方の質問は、これは多分、財政局長の方、おありだとは思いますが、この間の地方改革案におきましても、災害復旧事業のところだけは引き続き国庫補助負担事業を維持することとし、税源移譲対象補助金から除外しろということが書いてありますので、ちょっと災害は、少し別になっていると存じます。  ただ、そのほかにも、先生のところではない、例えば鹿児島辺りが一番分かりやすい例かと思いますが、鹿児島はシラスという砂があるんですが、これは基本的にはガラスです。ガラスなもんですから、簡単に言えば平面の薄いものなんですが、そのシラス土壌というものが桜島の噴火からそれが出てくるんですが、それの対策というものは国がやることになっているんですが、それが地方に移管されたときに、それをちゃんとやるかというところがやられないで、ある日雨が降ってごそっと崩れた、はい、災害復旧じゃないかと言われて付け替えられるのはかなわぬと。まあ信頼関係ということになろうかと思いますが、そういった特殊な土壌を持っておられる地域に関してのいろいろな話というのは、また別に多分あると思いますので、そういったものを含めて細目は詰めにゃいかぬと思っております。  本題の方の今御指摘のありました点につきましては、これは今非常に大事なところだと思うんですが、やっぱり国と地方との信頼関係がなくなった前提で地方分権なんというのはできるはずはありませんので、これは基本的には、地方としてやっぱりちゃんと国は約束どおりやってくれたということを一番分かりやすく示すのは、これは今回の三兆円に見合ったいわゆる税源移譲というものがきちんと行われて、格差が出た分につきましては交付税をもってきちんと充てるというのが約束どおり実行されて、二年にわたって実行されれば、これはきちんと実行されたといって認めていただけるんだと、私どももそう思っております。  ちなみに、昨年、公立保育園の補助金のカットをやりましたときには、その点につきましては地域間格差が出た分につきましては交付税をもってきちんと対応しておりますので、その点につきましては、交付税をきちんと食べてもらった方が、受けられた方の方はその点に関してはきちんと対応してもらったと、信用をいただいたと思っておりますが、今回更に大きな額になりますので、それはきちんと対応しないと話が違うじゃないかということになりかねぬと思っておりますので、この点はきちんと頑張らねばならぬところだと思っております。
  62. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 十分対応していただきたいと思いますけれども、保育園のさっきの話でも後でということだったんですが、完璧にそれができているというわけではありませんので、よく地方状況調査をしていただきたい。私の地元でも、完璧にそういう、賄っていただいているわけではないという声を聞いておりますので、それはちゃんとしていただきたいというふうに思います。  先ほどちょっと話を出したんですが、市町村合併の方で三十一日の新聞を見ると、昨日、一日で合併がいろいろ進んで三千を割ったと。三千という数を市町村の数が割ったということで、これはこれで純粋に進んでいっていることは、これは評価をしたいと思います。ところが、これ大臣の福岡でもそうじゃないかと思うんですが、いろいろ合併協議会ができて進んでいくうちに、だんだん話が煮詰まってくるともう嫌だという声があちこちで今出ているんですね。この合併協議会の解散も物すごく一杯出ていまして、私の県でも、元々あった合併協議会をもう解散して新たに別のところとするとか、それから来年の一月一日に合併する予定だったのを一年間、新法の適用を受けて更に一年延ばすというような地区も出てまいりました。  その意味で、いろんな功罪あるとは思うんですけれども、これは合併は、先ほど大臣が言われたように、効率を良くするためにはこれは避けられないことだから、それはそれでいいと思うんですけれども、先ほど申しましたように、三重県で言うと鳥羽のような、合併がしたくてもできないようなところが今後いろいろ出てくると思うんです。特に、山間部なり、そういう田舎の昔からの風習でこことはちょっとできないなとか、そういうところが今後出てくると思うんですね。そういうところをどういうふうに対応されていくのか、お考えをお聞きしたいと思うんですが。
  63. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今後の点につきましては荒木の方から答弁させますが、最初の点につきまして。  今御指摘ありましたが、本日、私ども大臣のところで署名をいたしましたところで、総務大臣への事前協議を得たという形になって、平成十七年五月一日、来年の五月一日には二千六百十六になる、今日現在で、ということになるところまで来ておると思っております。  今、法定協議会、今ありますが、これ全部うまくいくと二千を切ることになるんですが、今言われましたように、これはまたなかなか、あの町長がいる間だけは辛抱できねえとか、それはもう私どものところも、まあもうとても、幼稚園とは言いませんけれども、本当、老人、老人託児所かってこの間頭にきて、さすがにかちんときたものですから言ったら、とにかく、とにかくあの人が辞めたら私が何とかとか、もう本当に言ってくるレベルがもうかなり低いんで、ちょっと正直頭にきてどなったケースもあるぐらいですが、実に、最後の最後になりますと出てきたというところは率直そういう感じがいたしますけれども、それでも結構、いろいろ離脱したところのケースも見ますと、幾つか離脱してまた合併したり、また別の地区と一緒になったりした例も幾つも、幾つもありますんで、そういったところなんかを見ながらやっていきますと、最終的にどれくらい行くかはちょっと今のところ何とも申し上げられませんけれども、私どもとしては、これはうまくいったところが出てくると、ああ、あんなうまくいくならおれもやりたいというところになると話が早いと思っておりますし、ある程度知事にも、間入って、おまえ、これどうしてもできないと言うんだったらこういくか、話をしてやるような手間なり、ある程度介添え役なり仲人役なりするという役目を知事にも持たせて、ただ強制は駄目よと、そういった形での話をしてありますんで、今、少しほかの、私ども福岡県、九十九市町村あったんですけれども、結構事はいろんな形で進みつつあるというところまでは来たと思いますが、今後まだいろんな点があるではないかという点につきましては、荒木の方から答弁させます。
  64. 荒木慶司

    政府参考人荒木慶司君) お答え申し上げます。  合併新法下におきましても、離島あるいは山間へき地など自然的な条件などから合併に至ることが客観的に困難な市町村が引き続き存在するということは考えられるわけでありまして、これにつきましては、昨年十一月の第二十七次地方制度調査会の答申におきましては、「法令上義務づけられた事務については窓口サービス等その一部のみを処理し、都道府県にそれ以外の事務の処理を義務づける特例的団体制度の導入についても引き続き検討する」という答申をいただいているところでございますが、こういったようなそれらの地方市町村ですね、市町村の場合には基礎的自治体として極めて広範な権限を付与されておりますので、それらの団体についての事務処理の在り方については、ただいまの二十七次の地制調の答申を受けまして現在の二十八次の地方制度調査会におきましても検討が進められているところでございます。  政府としましては、これらも踏まえまして今後適切に対処していきたいと考えております。
  65. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 時間がないんで余りこの話がじっくりできなくて残念なんですけれども、私が聞きたかったのは、事務処理をどうのこうのじゃなくて、そこに住んでいれば、今それぞれの市町村が賄っている、例えばさっき申しました鳥羽で言うと相差という地区が全然もう堤防ができていなかったりだとか、いろんなちょっとしたことが、サービスがされていないということに対しての不安なんですね。その事務的なことを県がやるとか、そういうことはもうそれはそれで事務的にやっていけばいい話で、基本的な住民サービスをどうしていくのかということをやっぱりそういう合併できないところについてはもっと深く考えていかないと、本当に格差が開いていくんですね、これ、このまま行くと。  二千六百に五月になるというお話でしたが、当初の案は千ですから、一番最初は千にしましょうと、三千ある市町村を千にしましょうというところで、結局二千六百よくできたなというふうに評価するのか、これだけしかできなかったというふうに評価するのか、それは人によると思いますけれども、それによって格差が出てしまっては意味がないというふうに思うんで、是非ともその辺のことを今後もう少し政府の方でも考えていただきたい、もっと中身のあることを考えていただきたいというふうに思います。  もう時間がないんで、あと聞きたいことが幾つかありますから最後ちょっとはしょって聞きたいと思うんですが、全然話題が変わってしまって申し訳ないんですが、NTTの問題で、電話加入権の、施設設置負担金七万二千円、これ廃止するという話が出ております。  よく新橋辺りに行くと、大臣は余りあの辺行かれないから分からないでしょうが、これを担保に金貸しますというのが結構張ってあったりするんですよ。これは今まで担保になっていたわけですね。それだけ価値のあるものだった。これを廃止するというのを突然ぼんと打ち出されたら、これはっきり言ってそんなの寝耳に水だっていう話ですよね。このことについて総務省としてどう対応されていくのか、お聞きしたいと思うんです。
  66. 有冨寛一郎

    政府参考人有冨寛一郎君) 先生お尋ねの施設設置負担金でございますけれども、これはネットワークの円滑な拡張に役立ってきたというのは確かでありまして、しかしながら固定電話が全国に普及をした、あるいはその固定電話の契約者が減少傾向にある、さらには加入者回線設備の新規投資も減少しているというようなことから見ますと、その施設設置負担金のように前払という形での加入者回線の投資資金を調達するという意味は低下をしてきているんだろうというふうに思います。それから、加えまして、最近は施設設置負担金の支払を要しない代わりに月額基本料に六百四十円を加算するというライトプランを選択するユーザーも増えております。  そういうような状況を踏まえまして、先般、情報通信審議会の答申では、既に本来の意義を失って新規加入の妨げになり得る施設設置負担金については、NTT東西が自らの料金戦略として廃止も選択肢として見直しを欲するのであればそれは容認されるべきというような答申をいただきましたが、他方、これは先生今御指摘のとおり、現実には市場において現在も電話加入権の売買等が行われているという事実がございますので、この施設設置負担金の見直しに当たっては十分な周知とか、あるいは実施期間を設けるとか、段階的にするとか、既存の加入者等に対して一定の配慮が必要であるというような指摘もされております。  したがって、総務省としましては、NTT東西が施設設置負担金の見直しを行うのであれば、答申の指摘も踏まえて十分に国民の理解を得ながら対応することが必要であるというふうに考えておりまして、NTT東西にも適切な対応をするように求めてまいる所存でございます。
  67. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 大臣、これもしそうなれば、あちこちで大もめにもめると思うんですね、これ。担保になっていたようなものをこれゼロにしますという話になったときに、大臣が持ってみえるゴルフ会員権が会社がつぶれてゼロになるのとまた意味合いが違いますから、これはやっぱり適切な指導をしないと、これ日本じゅうで大もめにもめることになると思います、もう既にいろんなところで話が出ておりますけれども。ですから、これは適切な是非指導をしていただきたいというふうに思います。  時間がもうあと六分しかございませんので、もう一つ触れておきたいのは、来年の話になるんでしょうけれども、郵政の話でございます。たった六分でできるような話ではございませんけれども麻生大臣は、この郵政民営化ずっと論議になっております。それで、この国会が始まった、始まる前から小泉さんずっと声高に言われておられて、予算委員会とかでこの郵政民営化の話を小泉さんに振ると延々しゃべられて時間がなくなっちゃうものですから、言えないものですから麻生大臣にお聞きをしたいんですが、麻生大臣は、まあまさか踏み絵を踏まれたとは思いませんけれども、この郵政民営化のことについて賛成なのか反対なのか。これは、小泉さんが言われている郵政民営化に対して賛成なのか反対なのかをまず冒頭明らかにしていただいて、御見解を伺いたいと思います。
  68. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 郵政の民営化という問題に関しましては、基本的に、民営化された結果、された結果、少なくともサービス、利便は落ちなかった、従業員、組合員約二十七万、そしてパートタイム等々のゆうメイト約十万から十一万、合計三十八万からの人たちにとってこれは雇用不安ということになって労働意欲の減退になるということが起きないこと、結果として、民営化されたら前よりサービスが良くなった、国としても税収が増えたなんとか等々、数えればいろいろ出てきますけれども、そういったような形で良くなるというのを前提で民営化でなければ、民営化して補助金が要るようになりました、民営化したら更に税金を投入しなければできなくなりましたというような形の民営化では、とてもではないけれども本来の趣旨と違う。  したがって、民営化は賛成、ただしそれについては前提がありますと、条件がありますというのが私の基本的立場です。
  69. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 ということは、小泉さんが言われている郵政民営化には賛成なんでしょうか、反対なんでしょうか。
  70. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 小泉総理の言っておられる、この間の、過日出ました基本方針というところにとって、あの基本方針に沿って、きちんと黒字になるような、民営化した会社は赤字じゃ何の意味もありませんから、民営化された会社が黒字になるような枠組みを作るというのであれば、私は決して反対ではありません。  ただ、私どもが心配いたしますのは、失礼ですけれども、二十八万人の会社の経営をやったやつなんというのは日本にはおりませんから。二十八万人って大変ですよ、失礼ですけれども。NTTにおられた方もいらっしゃいますけれども、国鉄におられた方含めて、これは大変なものですよ。  しかも、それとの、労働組合との団体交渉をやるんですよ。組合との団体交渉というのは、それは民主党にはプロが一杯いらっしゃるでしょうけれども、私どもの方には、民主党と違って、この種の話が、団体交渉もやったことなければ資金繰りも分からぬようなやつがこんな大きな会社の経営なんかだれがやるだろうかということに関しましては、私どもに関しましては、どなたがこれをきっちり経営するのかというところは掛かって大きな問題だと思っておりますので、今後、これを民営化するに当たっては幾つか、だれが経営するのか、組合との対策はどうするのか、システムがどうなるのか、そういったようなことを含めましてこれは検討されるべき問題は一杯あると思いますが、民営化が成功したときのメリットもそれなりに大きなものだと思っております。
  71. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 いつもはすぱっと言われる麻生大臣の答弁としては、何か非常に分かりづらい、後ろに何かいろいろ含んでいるような言葉でございまして、私が聞きたいのは、小泉さんが今言われている、私は郵政民営化というのは、民営化というか郵政の効率化というのは私は大事なことだと思います。これは国の財産です。大変重要なことだと思います。  だけれども、小泉さんが今言われている、民営化民営化と言って予算委員会で振っちゃうと延々十分もしゃべってしまうというようなあの中身に対して、麻生大臣は賛成なんですか、反対なんですか。イエスかノーかだけお答えいただければ有り難いんですが。
  72. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 本人も、本人もよく中身が分かっておられるとはとても思えぬ。今まだ検討している問題が一杯ありますから、私はそう思っています、正直申し上げて。この答えが正確に持っている人は日本じゅうまだいないと、私はそう思っているんです。  したがって、私は、おれが経営させてくれたらという自分なりの案はありますよ。しかし、それが通るかといえば、なかなかさようなわけにはいかぬと思いますので、私どもは、小泉さんがどう思っておられるかというのであれば、幾つかの点は、基本というものは分かっております。したがって、その基本に沿っていかに会社を黒字にするかという形態を作り上げなきゃいかぬというところが一番難しいところなんであって、何となく感情的な話だけではとてもできる話でもありませんと、私どもはそう思っております。
  73. 高橋千秋

    ○高橋千秋君 一分しか残っておりませんので、最後になりますけれども、小泉さんが分かっているか分かってないか分からないというような、そういう今話が、本音のような話が出ましたが、でも、それでこれだけの多くの国の財産をどうするかということを中身もなしにどんどん進めていくのはこれはいかがなものかなと。  小泉さんは、あの人が答弁されると自分は分かっているというような答弁をされますので、それを分かってないということを御認識されていることを我々が今日分かったことは非常に収穫だなというふうに思って答弁を終わりたいと思います、失礼しました、質問を終わります。
  74. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 答弁ではなくて質問が終わったんだと存じますが、重ねて申し上げますが、総理が基本的に自分のやりたい基本方針としてこれというのは、何本かははっきりしておるんです、そこのところは。ただ、それだけやれば、後のバリエーションは一杯ありますので、もう経営の話ですから、そういった意味では、そのバリエーションをどうするかということによって赤字にもなりますし黒字にもなります。そこのところが一番肝心なところなんであって、基本のところはよう分かっております。それはもう間違いなく私なりに理解した上で総務大臣引き受けたんですけれども、しかしそれによって、応用するに当たっては、元経営者といたしましてはこれは実にいろんなことが考えられますので、そこのところは今から時間を掛けてきっちりとやっていかねばならぬものだと思っております。
  75. 木村仁

    委員長木村仁君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時六分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  76. 木村仁

    委員長木村仁君) ただいまから総務委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、行政制度公務員制度地方行財政選挙消防情報通信及び郵政事業等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  77. 内藤正光

    ○内藤正光君 民主党・新緑風会の内藤です。午前中に引き続きまして、質問をさせていただきます。  私自身、昨年からこの通常国会にかけて、選挙もございまして、しばらく質問しなかったわけでございますが、久しぶりに思い切り質問をさせていただきたいと思います。午前中は高橋同僚議員が三位一体地方財政について議論をしたわけなんですが、私は郵政問題を始め様々な問題、幅広く質疑をさせていただきたいと思います。  そこでまず、郵政の問題について議論をさせていただきたいと思います。  残念なことに、何か郵政の問題、民営化反対という言葉を上げた時点で、あいつは抵抗勢力かと小泉さんが劇画的な色分けをしてしまう、マスコミもそういった論調でやっぱり報道されている嫌いがあろうかと思います。しかし、私は、こういった大切な問題を私はそんな単純化して議論すべきじゃない、やはり今ここで手後れにならないうちにしっかりと、いいところはいい、悪いところは悪い、そういった議論が必要ではないか、そんなふうに思っております。  そんな考え方から質問をさせていただきたいんですが、郵政民営化基本方針、九月に出されたわけでございますが、これの示すところは、今の郵政公社を四つの機能に分割をすると。言うまでもなく、窓口、郵便、そして郵貯、保険、そしてそれらをしばらくの間、持ち株会社、純粋持ち株会社で束ねるというものです。そして、更に言うならば、郵貯と保険にはユニバーサルサービスの提供義務を課さない。そして、今議論が進んでいるというふうに仄聞するんですが、郵貯並びに保険にはこの窓口ネットワーク会社への委託義務を負わすことはしない、あくまで自由に経営をさせるべきだと、そういった論調で今議論が進んでいるやに聞いております。  しかし、こういった状態で進みますと、当然のことながら、郵貯並びに保険は経済性を追求するだろう。つまり、不採算店舗から撤退をするだろうと。これは予想ではなくて、現にドイツで起こったことですよね。ドイツ・ポストとポストバンクですか、一九九〇年に分割をした、今、基本方針が示すような方向性で分割をしたと。ところが、早々と不採算店舗からの撤退、独自窓口の設置を志向し始めたと。何と八五%の店舗から撤退をしたい、そんなことを言い出して、これじゃ駄目だということで、ドイツ政府が仲介をする形で全店舗への委託を義務付けるようになった。これで決着をしたわけでございます。  それとはまた別に、いやいや窓口会社は、ある有識者いわく、そこにコンビニをやらせれば採算性は取れるだとか言うんですが、採算性が取れるんであれば、もう既に民間がそこで始めているんだろうと思います。私は、こういった問題を空理空論で惑わせるべきではないと思っております。  そこで、大臣にお尋ねしたいのは、基本方針に従って改組、改編していった場合、果たして窓口、郵便会社事業として採算性が取れるのかどうか。経営者としての側面も持つ大臣、率直な御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  78. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今の内藤先生の御質問のところで、一番最初のところで、九月十日に閣議決定いたしました郵政民営化基本方針の中では、郵便貯金、郵便保険会社の窓口業務は住民のアクセス確保が努力義務となる窓口ネットワーク会社に委託することということにはなっております、これは。今の御指摘のありましたところは、有識者会議とかにおいて、窓口会社の業務委託については義務付けることなく経営者の判断でやるべきではないかというのが有識者の意見であったと伺っております。  私どもの感じで見ますと、これは二つの郵便貯金と簡易保険会社の方の、この窓から見れば、それは言われましたように、効率化という点から見た場合は委託業務を行う窓口の数をどんどん絞っていくということは予想されることでもありますし、それをされますと、窓口ネットワーク会社のいわゆる業務委託を受けて委託手数料をもらう部分が減ってくるということになって、窓口ネットワークの採算性が悪くなるということが御指摘なんだと思いますので、私もその点は、先ほどドイチェ・ポストの例を引かれましたけれども、ドイチェ・ポストはスタートいたしました一九九〇年には二万九千ぐらいあったと思いますが、それが二年前の西暦二〇〇二年には一万二千七百に数は減っております。事はちょっといろいろな問題を提起して、先ほど言われたような経緯で政府が介入という形で別会社に、完全別会社、今言われましたように、窓口、郵便貯金というものは持ち株会社の下に置くにしても、こちらは完全な民有化にしたはずだった郵便貯金会社を、郵便会社がいわゆる株式を介入して、購入して子会社にした。だから、元々対等だったものが、もうかるやつがもうからないやつの下に付いたという形になりまして、これは組合対策上甚だ難しい問題を提起したのはもう御存じのとおりでありまして、私どもはあの愚は犯さぬ方がよろしいと、ああいったことは、もうそこに前例がありますので、ああいった愚は犯さないようにしなければならぬと思っておりますので、基本的には、私、この問題出たときから一貫して申し上げてきておりますのは、新会社というのは一応持ち株会社を含めて五つということになろうと、取り急ぎ三つということになろうと思いますが、少なくともそれぞれの会社が、少なくとも民営化された会社が少なくとも経営が成り立たなくなって、経営が成り立たない枠組みになって政府から補助金をもらうというんじゃそれは全く本末転倒も甚だしいんで、今は補助金なしでやっている会社がいきなり民営化したら補助金くれというんじゃ全く本来の趣旨と反することになると思いますので、私どもとしては、この窓口における貯金とか保険のサービスというものはいわゆる五原則と言われる行政サービスというものの点からもこれはきちんと維持されてしかるべきと思っておりますので、それが担保されることが必要と、私どもはそう思っております。
  79. 内藤正光

    ○内藤正光君 では、総理がよく言うフレーズとしまして、民にできることは民に、官は民の補完に徹すべきだと。考えてみれば、どれも皆当然で当たり前のことなんです。ただ、今の問題は、すべて何でもかんでも民営化すれば問題が解決すると言わんばかりの主張が蔓延している。私は、これですべての問題が解決したならいいんですが、そうはならないだろう。私は、それだけだったら私は行政の無責任さが露呈されているんじゃないかなというふうに思います。  そこで、基本方針を素直に読んでいくと、先ほども申し上げましたように、郵貯にしろ簡保にしろどうなるかというと、結局は四番目のメガバンクを誕生させることなんだろうと私は思います。現在、三つのメガバンクがある。そして、それらとイコールアクセス云々と議論しているということは、結局は四番目のメガバンクを誕生させることをこの基本方針は示しているんではないのかな。市場メカニズムですべてが動く。となると、つまり郵政公社を民と競合する存在に育てる。そうなると、当然のことながら、この新しくできた、どういう会社になるか分かりませんが、郵貯の何とか会社、これは当然のことながら経済合理性で動き、当然不採算地域からの撤退を始めるわけです。  私は、そういった四番目のメガバンクを作るというような土壌で議論するんではなくて、むしろ例えば、例えば預け入れ限度額を六十三年当初に戻して、民間と競合しないような形で民の補完をしていくようなそんな存在へとその仕組みを考える、私はそういう議論があってもいいんだろうと思いますし、私はそういう考え方に立っているわけなんです。  そしてさらに、これはちょっと蛇足かもしれませんが、この基本方針の中で言っているんですが、民営化の目的、三つぐらい述べています。そして、三番目は何を言っているのかというと、公社を民営化することで今まで公的部門に流れていたお金、国債だとかそういったものの購入にあてがわれていたお金が民間に流れると、それを期待して民営化すべしと言っているわけなんですが、果たしてそうなのか。  現状を見ますと、例えば五百七十兆円の国債残高、確かに郵貯、簡保の保有率はそのうちの二四・六%あるんです。およそ四分の一。これを見たら、ああ民営化すればそういった部門、そういった国債購入に当たって充てられていたお金が民間に流れるかもしれない、期待しちゃうかもしれない。ところが、銀行の国債保有残高を見てみますと、何と二一%あるんです。民間ですよね、銀行も、ですよね。  私は、この事実一つ取ってみても、民営化したらお金の流れが公的部門から民間に流れるというこのロジックが私は破綻しているんだと思います。そして、更に言うと、ここ数年の国債保有残高を見てみますと、郵貯、簡保も、また郵便も同じように上昇を続けているんです、お金の行きどころがなくて、運用の行きどころがなくて。私は、民営化したら資金の流れが変わるというのは私は余りにも無責任な主張だと思います。実際に、事実に即していない主張だと思います。  そこで、大臣はこの郵政改革問題を金融庁とは違う視点で論じていかなきゃいけないわけです。地方の視点という一番大事な視点。そういった大臣にお尋ねしたいんですが、市場メカニズムで動く四番目のメガバンクを誕生させることに一体どんな意味があるのか、教えてください。もし、いや、ないんであればないということでおっしゃっていただいて結構です。
  80. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 基本的に内藤先生御存じかと思いますが、ちょっと経緯を申し上げないといかぬと思うんですが、一九九二年、今から十年、十二年ぐらい前までは、基本的には民間から預貯金は二十兆増えます。そして、企業がそれを五十兆借りる、プラスマイナス三十、足りない分は日本銀行という形で日本の経済というのはずっと動いておりました。  それが、九二年以後、いわゆる総量規制という名の土地の融資に対する規制が始まって、がたんとそれが落ちました。落ちた結果どうなったかというと、いわゆる資産デフレという状況になりまして、結果として企業というものは金を、借りている金を返すのが最も経営に資するということが分かりましたので、一斉に銀行借入れをやめる、若しくは借入金の返済を優先されて、この六年間ぐらいで見ますと、企業は平均、年二十五・六兆円の返済の方が多い。企業は、銀行から金を借りないで返済する方が二十五兆多いということは、プラスマイナス七十五兆円、十年前とは違っておるという状況になっております。  したがって、金貸しというのが銀行の正しい職業なんですが、この金を貸すという業務から見ますと、借りる相手が借りないで返済するわけですから、したがって企業としては貸す相手がありませんから、基本的には国債を買うというのが最も堅く、利幅の出るのがほかになかったという状況にあります。これがすべての大前提であります。  これに合わせて、郵貯を今言われたように民営化したら地方に簡単に金が流れるというのは極めて安易な発想であって、そんな簡単にはいきません。理由は簡単でありまして、地方は、金を借りるという需要があれば、間違いなくその二十五・六兆円、もっと減っているはずですから、そういった意味では地方で、金を借りてほしい人は借りに来ない、貸したくないやつは借りに来るという状況になってきておりますので、基本的には金貸しという職業は極めて難しい状況になっております。これは、この数年間は極めてもう顕著なところだと思っています。  そこに融資経験は全くない郵便局で、金は集めることは知っているけれども融資の審査などやった経験のない銀行、審査業務を必要とします銀行業をいきなり郵便貯金がやって、他の銀行と同じように伍していけるかって、不可能です。はっきりしております。それをやるためには時間も要りますし、審査能力を持った人間を途中採用するなり、それを育てるなり、そういった、するという手間、暇、時間と金というものがかなり要することははっきりしておりますので、今言われたように、簡単にメガバンクになろうって、貸す能力はないわけですから、そんな簡単にメガバンクになることも不可能です。したがって、当分の間はある程度国債等々、いろんな堅いものを買っていくという以外に多分そこの利幅を出すということは難しいと思います。  あとはいろいろほかに考え方はあると思います。小口金融とかいろいろ、大銀行のやっていない部分に関して、こっちは二万四千七百の支店を持っておりますので、それは対応の仕方はいろいろ考える。これはもう新しい経営者のお考えになるところが一つです。  もう一点は、窓口の話を心配しておられましたけれども、今例えば、この間少々御意見が分かれたところではありましたけれども、例えば窓口を考えました場合に、二万四千七百の支店がございますが、例えば宅配便や宅急便屋は一つの、内藤さんなら内藤さんのおうちに地元から、愛知県から物を届けるのに三・五回平均自宅まで来ております、お留守だから。そうすると三・五回行くわけです。そうすると、そのときに一回行ってお留守ですと。どこどこから来た荷物は何々郵便局まで取りに行ってくださいと言うと、運送会社だったらおっと思うけれども、郵便局と言ったら間違いなく大丈夫、預けておいてもという信頼関係はこの百三十年間の歴史でありますから、それは、そこに自分で取りに行くわけです。別に問題ありませんから取りに行く。夜中も人がおりますから取りに行く。取って帰りさえすれば三・五回が一回で済みます。  そうすると、二・五回分は宅配便業者が経費節減ということになりますので、そこで民間会社だ。官営だったらそれまでしかできません。役人は金稼いだことがありませんから、二・五回分は助かったんだから一・二五おれに出せということは当然、民間会社だったら言えることになりますから、向こうは向こうで一・二五払ったって一・二五、今までの二・五回分助かっておりますから、そういった商売は、私、この物流なんてやったことありませんけれども、その私でもその程度のことは思い付くんですから、物流やった人ならもっといろんなことを考えますよ。  だから、デポ、デポジットをやるデポとして、預かり所として全国の郵便局はそれでそれなりの業務というのを、新たな業務は今の法律ではできませんけれども、民間になればそれは自由にできるということは、これは今いろいろなその種の業者の方々はいろいろアプローチをしておられることも事実です。  そういった意味では、いろんな形での利用の仕方はあろうと思いますので、直ちに赤になるというんではなくて、いろんな形で新しい業務を広げられるという可能性はあるであろうと思いますので、民間になったからといっておっしゃるように直ちに銀行とかということもできませんし、事実、政府の保証がなくなれば預貯金残高ずっと既に漸減の傾向にありますので、かなりの方向で減っていくであろうと、政府保証がないという前提に立ちますから、減っていく方向にあるであろうと思いますので、増えていくならともかく減っていく傾向であることはもうこのところの数値でもはっきりしておりますので、やみくもに大きくなって第四のメガバンクになるというようなところまでいけば大したものでしょうが、なかなかそのようにメガバンクになる要素の貸付けの方の金を回すという才能がそれで対応できるほどのものができれば大したものでしょうけれども、とてもそんな能力を役人に期待しても無理ですから、よほど有能な経営者をどっかから呼んでこない限りはなかなか今のようなお話には、私どもはしたいと思ってもとてもではないかと。  私どもの見た、中に入って自分で働いたこともないのに偉そうなこと言うようですけれども、私ども外から見てこの一年間外見た感じの率直な感想であります。
  81. 内藤正光

    ○内藤正光君 いずれにしましても、余りこの経済財政諮問会議での議論を見てみますと、必ずしもその経営に精通していないような方々が、論理から、理論からいろいろ発言されている部分も多分に見受けられますので、そんな中で麻生総務大臣は実際に自らも経営経験がおありの大臣でもございます。ですから、本当に地に足の着いた、また総務大臣として地方の視点をしっかり踏まえた大事な、本当に真剣な論議を、また主張をなさっていただくことを切にお願いをいたします。  続きまして、電気通信分野についての競争政策について、ITの競争政策について質問をさしていただきます。  言うまでもなく、このIT分野の競争政策、最大の争点は何なのかといえば、専門的な言葉を使うならば、指定電気通信設備という規制、つまりNTTが保有している設備を、他社の求めがあれば、安価というか、コスト割れ価格で貸し出さなきゃいけない、そういうふうに義務付けられている規制がございます。これではないかと思いますが、私は、この規制がずうっと続いてきた結果、参入業者も、また当のNTTも設備投資意欲を失いつつあるんではないのか、そんな大きな問題を提起をしたいと思います。  確かに、この分野の自由化当初はその規制は一定の合理性があったんだろうと私も認めます。当時は、銅線、メタル回線の足回り回線しかなかった、そしてそれはNTTが自然独占をしていた、そんな状態の中で新規参入が認められるようになったと。いきなり自ら設備投資をして参入しろといってもこれは無理がありますし、またメタルというものは言ってみれば過去の遺産です。しかし、もう自由化後十年以上を経た今日、ライバル会社も十分に成長した、そしてさらに、これが一番大事なことなんですが、特に光ファイバーというのは銅線とは違って各企業の戦略分野だと思います。ですよね。その戦略分野であるところの光ファイバーに関して今なお指定電気通信設備という規制がそのまま続いているということは、私は我が国のITにとって大変な問題を引き起こすんだろうと思いますし、また現に、これによってNTTは犠牲的なコスト負担を強いられて設備投資を抑制せざるを得ない、そして研究開発資金も削減せざるを得ないという、そういった深刻な問題に陥っているわけでございます。  私は、この光ファイバーに代表されるような様々な設備の貸し借りは、私は、これは社会主義国でもあるまいに、国が事前に幾らで貸し出せなんという義務を負わせるべきものではなくて、ひとえにこれは民間同士の市場メカニズムにゆだねた貸し借りに任せればいいんだろうと思います。もし仮にその貸し借りにおいてトラブルが生じたとしたならば、そのために紛争処理委員会というものがあるわけなんです。事後的に対応すればいいんです。もし仮にNTTがシェアに物を言わせて、ばか高い料金を吹っ掛けてきたり、あるいは貸さないよと言ったら、これこそ正に紛争処理委員会の出る出番だと思います。  私は、そういった事後規制へと転換を図る時期に来ているんだろうと思います。私がよく言うのは、今までの裁量行政から正に最良の行政へと、このことによって私は転換を図るべきだと思っております。  そこで、大臣にお尋ねしたいのは、電気通信分野競争政策に関する在り方、率直な御意見をお尋ねしたいと思います。
  82. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これは、基本的には競争政策というのは正しい。事実、競争政策の結果、いろんな形を取りました結果、この数年間の間に、少なくともブロードバンドの値段でいけば世界最低、世界最速というのを作り上げたのはひとえに競争政策の導入のおかげだったと思っております。  ただ、今おっしゃられたところの点で一つだけ認めにゃいかぬというところは、カリフォルニアのブラックアウトが一番分かりやすい例だと思いますが、あの種のことをやった結果、電力会社が設備投資するのを怠った結果、カリフォルニアというシリコンバレー抱えた最も電気に対する需要の絶対量の高いあの地域において完全な停電という状態を起こした。日本の場合は、もう御存じのように、完全に、電圧もほぼ一定、電力、停電なんというのはもうとても通じない、事故以外はほとんどあり得ないということになっておりますので、ああいった形の状況というのは考えられないところでありますが、そういった設備投資がきちんとなされた段階で、ある程度競争によってという、両方皆うまくいくようなことをどこらでバランスするかというのはなかなか難しいところなんですが。  今御指摘のあったところで、内藤先生のおっしゃるところは分かるんですが、ただ数字でいいますと、なかなか難しいなと思うのは、加入者の回線数に占めますNTT東西のシェアというのが全国平均で八二%あるんです。八割を超えております、ADSLと両方で、それはメタルと光と両方足しますと。そういった状況にありますと、光ファイバーだけ見ましても今の八二、メタルと足しますと九七・七ぐらい行くんですが、県によってもちろん差があって、奈良県なんというのは五九、それから和歌山県へ行くと六〇という、何も世耕が頑張ったから六〇なんということはあり得ないんであって、それとは関係なく、これは六〇ということになっております。そういった意味では、かなり県によって差があることは確かなんですが、いずれも大きく五割を上回っておるというのがまだNTTのシェアの持っている大きさであります。  したがって、やっぱり五割を全県下にわたって上回っておるという状態で、これでいきますと、メタルと足せばもう九〇%を超えておるというのがNTT東西が有しておりますという状況からいきますと、これはある程度、NTTが不可欠性ということになるということなんであって、私どもとしては、これはある程度現行制度というのはそれなりに確保されているので。  じゃ、おまえ、いつになったらそれ外すのかと、多分そういうことになるんだと思いますけれども、これは基本的には、やっぱり一つの目安は五割、五〇%ということになるんだとは思いますけれども、いずれにしても今の段階でいきますと、随分いろんな、大阪、関西でいきましたら関西電力始め頑張っておられるところ一杯あるんですけれども、そういったところがいろいろ努力してきておられることは確かだとは思いますけれども、電力系の参入が行われた後でもおおむね六、七〇%で関西地域でも横ばいの状態が続いているというのが状況でもありますので、今言われた話は、長期的には更に競争が起きていろんな形で五割を切るようなぐらいのところが一つの目安かなとは思いますけれども、いずれにしても競争政策と基本的な基盤整備の維持、保全というものとの両立をうまく図らねばならぬ大事なところだと思っております。
  83. 内藤正光

    ○内藤正光君 私の次の質問を先読みしていただいて五割という答弁をしていただいたわけなんですが、ただ私は、その五割、何を意味するのか、前提は何なのかというのをしっかり考えなきゃいけないんです。  この郵政の問題でもそうなんですが、やはりおいしくない地域って結構多いわけですよ。そういったところまで平均をしてまだまだ五割下っていないというのは、私は我が国のITの発展にとって良くないと思うんです。いつまでたってもぬるま湯的な環境、競争環境を温存することを意味するわけですから。ですから、私は、その競争が余り起こらない、いわゆる非採算地域と競争の激しい地域とを分けて、しっかりと指標を明確にしていただく、そのことが大事だと思うんです。  いつまでたってもずるずるずるずる、全国平均がまだ五割を下っていないからこの規制を、事前規制を続けていくんだというのは、私はこれは役所の裁量行政そのものだと思うんですよね。そこを明確にしていただきたいんです。今できる範囲でお答えいただけますか。それはもう、あくまで地域と、地方と競争の激しいところは分けて考えるんだという答弁をしていただければそれで結構なんですが。
  84. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 答弁まで教えていただきましてありがとうございました。  基本的には、内藤先生おっしゃるとおりに、現時点で直ちに見直すという状況にはないと思っておりますけれども、これはいろいろ、御存じのように、技術がどんどんどんどん進歩しますし、下手すると、これは今のあれで、地域、地方というか、過疎地のところはもっと過疎になって過密はどんどん過密していくというような人口分布みたいな形が仮になりますと、今言われたようなことを含めて、いろんなことを考えにゃいかぬことになってくる事態になるかなという感じはしますけれども、なるべくそういうことにならないように、地方が余り極端に過疎になる、片っ方は過密になるというようなことにならないようなことを国全体としては考えねばならぬところだと思っております。
  85. 内藤正光

    ○内藤正光君 この件については最後に意見を申し上げるだけにとどめておきますが、やはり明確に、どういう状態になったら今の事前規制がなくなるのか、そういったものをできるだけ早期におまとめをいただきたいと思います。だから、漠然と何か五〇%ぐらいというんじゃよく分からないわけです、競争のその土俵の上に乗っているプレーヤーからしてみると。例えば、関東エリアだとか東京エリアにおいて五〇%を割ったらとか、そういうのをはっきりするよう、早期にはっきりするように大臣にお願いをいたします。  続きまして、公務員制度改革についてお尋ねをしたいと思います。  公務員制度、直接の所管は内閣府とおっしゃるかもしれませんが、人事行政を預かる、そんな総務大臣に是非お尋ねをしてみたい、そんな大きな根本的な問題でございますので、御容赦をいただきたいと思います。  御案内のように、公務員の労働基本権制約について、一昨年と昨年ですか、二度にわたるILOの勧告を受けたわけでございます。これ、改めて言うまでもなく、今の我が国の公務員の人事制度というのは、戦後、労働基本権を公務員ということで一律に規制をする、制約をする、そしてその代償措置として人事院を設けたわけです。そして、その人事院が民間準拠で労働条件を決め、そしてそれに従えと全国津々浦々に言うわけですよね。これで大事なところは何なのかというと、現場の労使が直接の交渉当事者ではないということなんです。あくまで決めるのはこの中央の人事院という、そういった制度が戦後ずっと続いてきたわけでございます。  そこで、まずお尋ねしたいのは、その現場の労使が直接の交渉当事者になり得ない、こういった制度について、また、何度も言うようですが、経営者である立場からもどのように思われるのか、お考えをお尋ねしたいと思います。
  86. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 公務員の場合というのは、これは内藤先生、我々民間でやってたころとは大分状況が違いまして、いわゆる地位の特殊性とか職務の公共性、そういったようなことを視点に置いて考えないと、利益追求一本でいけます民間企業とは全然違うところでありますので、何となく、ある程度、守秘義務とかいろんなものが課せられますので、そういった意味ではかなり制約がされるのはある程度免れぬということだけはまず大前提に置いていかないといかぬと思っておる。  それで、ただそういっても、そこの現場のあれを考えますと、それはいわゆる、労働者のいわゆる生存権とか基本的人権とかいろいろな表現がありますけれども、生存権の面からいくと、何らかの形できちんとそれが担保される必要があるので多分、人事院という制度が作られているんだと思いますので。その人事院の中も今までとは少し、大分状況が違ってきて、今までとはいろいろなものを考えねばならぬという点は、もう昨今、いろいろ公務員の話やら何やらあちこち出ているのはもう御存じのとおりなんで。  私どもも、いわゆる地区労という地方自治団体との、地区労との話やら何やらは私ども、私どもも今総務省として組合長やら何やらと話をさせていただいたりする機会は確かにあります。そういったものも含めて、今、公務員の問題点がいろいろ今討議されておるところでありますので。  ただ、職員団体と十分な話合いというのをさせていただかにゃいかぬところなんですが、これはもうありとあらゆる問題が絡んできましてなかなか一概には言えないんで。現場のあるところは能力給を入れるとかいって、どこで能力の差を付けるのかと言われりゃ、たまたま営業だったら売上高幾らなんてすぐ出ますけれども、なかなか公務員の場合は、与えられた場所によってはなかなか、その能力があるんだけれども発揮できる場所にいないとか、なかなか付けにくいところもありますので、ここのところは慎重な上にも慎重にやらにゃいかぬところで、能力給やら何やらの話は今検討がされておるというのはよく承知しておりますけれども、なかなかこれは簡単なところじゃないなと。ちょっと経営やっておりました元の会社にいたときとはこれは大分違うなという感じが率直なところです。
  87. 内藤正光

    ○内藤正光君 大臣、今回の公務員制度改革の一つの柱がおっしゃった能力給の導入ですよね。この能力給の導入というのは、やはり大前提は、やはりこの現場の労使の話し合う場というのが大前提なんだろうと思います。特に、営業とは違いまして、いわゆる公務員のホワイトカラー的な仕事というのは評価が難しいわけです。それだけに現場における労使の話合い、そのルールの確立だとか話合い、そういったものを試行錯誤を続けて初めて確立できるものだろうと私は思います。  そういったこともないまま能力給だけ導入すると、昨今いろいろな雑誌が、某電機会社だとかいろいろなところ、問題が噴出してくるわけでございます。にもかかわらず、今回の公務員制度改革論議は、そういった労働基本権の制約に関する十分な論議が全くないまま、もっと言うならば回避したままこの能力給の導入を図ろうという、そんなちょっと雰囲気がしてくるわけなんです。  じゃ、それで、この公務員制度改革、一体だれがじゃ邪魔をしているのかと。よくマスコミやなんかで書かれているのは、どうも何か連合が立ちふさがっているじゃないかというふうな論調で報道されることが多いです。しかし、御案内のように、連合としても、今年の六月二十三日に公務員制度改革に関する提言を出しているわけなんです。これを見ますと、労使協議制の導入というものを前提として、むしろ能力評価の導入に前向きな論調で貫かれているわけですよ。また、もしお目通しでなければ是非目を通していただければと思いますが、連合はむしろ能力評価の導入に前向きなんです。しかし、そのためには現場の労使の話合いという場が確保されなきゃ駄目ですよということを、当たり前のことを言っているわけです。  じゃ、実際どこが問題なのかというと、よくよく見ると、各省庁の官房の人事課というのがあるわけですよね、そこがもう現場のちょっと労使協議というのは勘弁してくれということで、どうもそこら辺がちょっと反対しているようなんです。まさか足下で総務省はそういうことはないとは思いますが。  そこで、私の基本的な考え方、何度も何度も繰り返していますように、労働基本権制約の見直し論議を回避していては、絶対に能力制度の、能力給の導入なんというのは不可能だと思います。そこで、人事行政を所管する総務大臣にそのことに対して、いや賛成だとかあるいは反対だとかいうお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  88. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 公務員制度改革というのは、これは主にあちら、何だっけ、内閣官房の方が主にこれは中心でやっておられると。先ほど言われたとおり内閣官房中心でやっておりますので、組合ともいろいろ意見を交換しているんだと思いますし、私らのところも、自治労は丸山さんと言われましたかね、おたくのお友達だと思いますが、連合の丸山さんという方が担当しておられると思いますので、私は何回も、この前、この二、三年間、政務調査会長をしているときからこの話が出ておりましたので、丸山さん等々といろいろお話もさせてきていただいたところでもあります。  官公労だけ見ますと、連合に傘下にしておられる方の数の絶対量が少ないところがちょっと難しいところであるのはもう御存じのとおりですが、そういったところで、こういった今回の中で、能力給とかいろんな話で、実績主義みたいな話を入れようとしておられるのが今回の柱の一つではあることは確かなんですが、今言われましたように、組合との団体交渉をした経験者なんというのは国会議員の中にはほとんどいませんから。私、炭労相手にやっていましたので、炭鉱労働組合というのはそんな品のいい組合じゃありませんでしたので、そういったところでずっとやってくるのが私の仕事でしたので、労働組合というものはそれなりに分かっているつもりの方だと思いますけれども。  いずれにいたしましても、これは労使よほど話合いをしょっちゅう、しょっちゅう、現場も一緒、何とかというので能力査定をすることとかしないと、一年に一遍とか二年に一遍ころころころころ替わる若いやつというのが、ずっとそこに現場にいるのを見て能力あるとかないとかいうような話になると、おまえ、若造に何が分かるかと査定される方は思うし、している方はしている方で、全然分からぬから上の方に張り付いてみたり、上の方って高い方に張り付いてみたり、いろんな問題がこれは起きるんですよ。  そういった意味では、よほどうまいこときちんと話ができ上がるということをしないと、これは極めて危険なことになりますので、労働三権、争議権だけに限らず団体交渉権、締結権いろいろありますので、そういったようなものを含めまして、これはかなり今の段階ではまだ組合と政府の間に隔たりがあるのじゃないかなと、漏れ承るところではそんな感じはいたしますけれども、いずれにしても一つの試みとして、今言われた三権の問題というのは一つの大きなポイントであることは確かだと思います。
  89. 内藤正光

    ○内藤正光君 日本を除く先進諸国は、公務員だからということで一律に労働基本権を制約している国はないはずです。警察だとかそういった特殊任務に当たるところは、そういったところに限って一定の制限をはめて労働基本権を保障しているというのが実情でございます。  そういったもう時代、戦後も六十年たったわけでございますから、今そう簡単にはストライキ、何か問題があるとストライキだとかそんなような時代じゃありません。ですから、基本的には公務員においても現場の労使協議の場を確保するような方向で、そしてそれを前提として、それを乗り越えて能力給の導入などを検討していただきたい。でなければ絶対行き詰まるんです。そのことをお願いをいたします。  時間もあと残すところ四分間になってしまいましたので、ちょっと、最後の質問項目になろうかと思いますが、行政機関の個人情報保護法についてお尋ねをしたいと思います。  言うまでもなく、この四月一日から改正法案が施行されるわけでございますが、それを機に、この時点でちょっと、さきの社会保険庁の職員による年金情報閲覧事件を振り返ってみるのは意味あることだと思いますので、簡単にお尋ねをしたいと思います。  この事件、興味本位で職員は見た、そういったところは認めているわけです。しかし、漏えいという事実は確認できなかったということで、国家公務員法にも抵触しないし、現行の個人情報保護法にも抵触をしないというふうになったというふうに聞いております。  しかしながら、本当に、現行の国家公務員法、例えば九十八条の法令遵守義務ですとか九十九条の信用失墜行為の禁止、あるいはまた百条の守秘義務、あるいはまた百一条の職務専念義務、そういったものに照らし合わせて本当に違反はなかったのか。あるいはまた、現行の個人情報保護法の五条、個人情報の安全確保義務、そういったところと照らし合わせて本当に問題がなかったのか。実際はこの情報にアクセスできるカードがそこらじゅうに置いてあったというふうに聞いております。本当にこれでしっかりと保護するために職務を果たしていたのか、責任を果たしていたのか。私は明らかに違反しているんだと思います。  そこで、個人情報ですとかあるいはまた人事行政を所管する立場の総務大臣にお尋ね、その辺のこの、社会保険庁の今回の問題に対するこの余りの対応の甘さに対しての考え方をお尋ねしたいと思います。
  90. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 御存じのように、業務目的以外にこの種の個人情報を閲覧するというのは、まあ仕事上見る、どんどん流れていきますんで、情報が。それ出ていきますんで、そういった意味では、個人情報を見るということは、いわゆる閲覧するということは、漏えい、不正利用等々につながる可能性があるということはもうおっしゃるとおりなところなんで、私どもとしては、これは安全確保、安全保障上に多々問題があるということで甚だ遺憾ということはもう最初から私どもとしては言ってきたところなんですが。  たしかこれは、社会保険庁において職員の訓告処分、三百何十名だか、ちょっと、三百何十名だか、ちょっと数字覚えておりませんけれども、そういったことがなされておると思いますんで。  今後、この種の話というのは、これは本人の、幾らこれはファイアウオール、ファイアウオールって、あれを高くしても、基本的にはそれを扱う本人がやった場合はこれはどうしようもないんであって、そういったところを含めてこの種の問題に関しましては、個人情報保護の見地からもこれはきちんと対応してもらわないといかぬので。  所管する立場から言わせていただきますと、この種のことが、漏えいが簡単にできるようなそもそものシステムが問題、また簡単に見られるようなところも問題。見れる人は極めて限定するとか、やり方はいろいろあると思いますんで、そういったところは今後とも指導していかにゃいかぬところだと思っております。
  91. 内藤正光

    ○内藤正光君 もう時間も来てしまいましたので、一言お願いを申し述べさせていただきます。  個人情報保護法の、行政機関個人情報保護法の所管は総務省でございます、また総務大臣でございます。これは正直言って罰則などは機能しません。新法の五十五条も今回の場合当てはまらないと思います。  問題は、省庁横断的にどの組織も個人情報保護の大切さを共有することだと思います。そういったことをしっかりと総元締として監視するのが総務大臣の役目でございますので、是非その辺のことはしっかりやっていっていただきたい、そのことをお願いをして、私の質問を終わります。
  92. 又市征治

    ○又市征治君 社民党の又市です。  まず初めに、人事院にお伺いをいたしたいと思います。  去る十月二十二日の衆議院総務委員会において我が党の横光議員が、わざわざ人事院の役割について、人事院が労働基本権制約の代償として、第三者機関としてやるべきことを見誤っているんではないかと尋ねたのに対して人事院総裁は、国民の御意見、納得性を得る、あるいは説明責任を果たすということが、代償機関の発揮ということよりは上位の規範ではないかと答えておられるわけですけれども、これは極めて問題のある答弁、こう言わざるを得ません。  なぜなら、国家公務員法第三条の第二項では、人事院は、法律の定めるところに従い、給与その他の勤務条件の、勧告などなどをつかさどると、こうあるわけですね。それを根拠に公平中立の立場で調査をやり、勧告を出されている。もし別の規範でやるというんならば人事院というのは要らなくなる、こういうことだろうと思うんです。  人事院の存在意義は、何といっても公務員労働者に対する労働基本権制約の代償機関であるわけでありますが、さきの答弁、そのことを否定されたように私は聞こえてしようがない。大変我が党でも問題にしています。何か公務員法とは別の規範に従うような答弁は、私は、極めて不適切であり、撤回をいただきたいと、こう思いますが、総裁から明快な答弁を願います。
  93. 佐藤壮郎

    政府特別補佐人(佐藤壮郎君) 人事院の基本的使命として労働基本権制約の代償機能があると、しかもそれは大変重要な機能であるということは、私も大変よく理解しているつもりでございます。また、適切にその機能を発揮するということは人事院に与えられた大変大きな責務であるということは、常日ごろ私も胸に刻んでいるところでございます。  十月二十二日の答弁で、国民の納得性を得ること、あるいは国民に説明責任を果たすことが上位の規範であるというふうにお答えいたしましたのは、私の念頭に憲法、特に第十五条の理念があったわけでございまして、その理念に基づけば、国民に理解を求める、主権者たる国民に理解を求めるということは大変重要であるということを申し上げたかったわけでございます。  今先生御指摘のように、もしその表現が誤解を生むということでございましたら、私の不明の致すところでございまして、是非お許しをいただきたいというふうに思います。また、私の真意は今申し上げたとおりでございますので、御理解を賜れば幸いでございます。  いずれにいたしましても、今後とも、憲法に保障された労働基本権というものが公務員は制限されている、その代償機能が人事院にゆだねられているということをしっかり受け止めまして、与えられた使命を適切に果たしていく、また誠実に果たしていくということを申し添えさせていただきたいというふうに思います。
  94. 又市征治

    ○又市征治君 よく分からないんですが、不適切だったというお考えですね、そこは。そこのところ、はっきりしてください。
  95. 佐藤壮郎

    政府特別補佐人(佐藤壮郎君) もし私の十月二十二日の答弁の表現が誤解を与えるということであれば、私の不明の致すところでございますので、おわびをしたいというふうに思います。
  96. 又市征治

    ○又市征治君 まあ、不適切だという、誤解を与えているというお話でありますから、実質的に撤回をなさったものだというふうに受け止めますが、いずれにしましても、総裁が替わることによってその機能が勝手に解釈変えられたら困るんですね。国家公務員法第三条は続けて第三項で、「人事院の決定及び処分は、人事院によつてのみ審査される。」、こういうふうに定めているわけでありまして、それほど人事院というのは独立性、中立性を保障され、また要求をされる機関であるということを総裁は当然十分に認識されているんだろうけれども、そういう立場からいうとそんな答え出てくるわけがないんでありまして、国民の納得性とか理解というのは、国会という場にあなた方が勧告なさって、国会が論議するのがその場所なんですよ。そこ、誤解のないようにしてもらわぬと、単なる一政府の機関になっていってしまう、そういうことではないと思うので、そのことを是非申し上げておきたいと思います。  次いで、先ほど来同僚議員からも出ていましたが、公務員制度の問題について二点ばかりお伺いをしておきたいと思います。  そういう意味では、公務員制度、あっちへ行ったりこっちへ行ったりという格好に右往左往しているという状況があるわけですが、いろいろと軌道修正された結果、当面残された課題二つのうち一つは、今も出ましたけれども、新たな評価制度だとなっているようですけれども、評価制度の導入に当たっては当事者たる公務員労働組合の納得を得ることがもう当然不可欠、これは麻生大臣も先ほど来そのことをおっしゃっているわけですけれども麻生大臣は民間の経験を踏まえておっしゃっていますが、民間企業の場合は、そういった評価制度だとか人事考課制度を導入したり、あるいは改定しようとする場合は、労働組合とやっぱり徹底して交渉し、あるいは協議を行って実施に移していく、こういうことだろうと思います。  公務においても新たな評価制度の導入に当たってはこれは当たり前のことであって、評価基準を始め制度設計については十分に公務員労組と協議することが必要だと思うんです。これはもう麻生大臣からも答えが出てしまっているんですが、だけれども、どうもこれがなかなかうまくいっていない。この点、何度も私も取り上げてきたんですが、これ、担当している内閣府の考え方は、行革担当の方はどういう考え方ですか。
  97. 江渡聡徳

    大臣政務官(江渡聡徳君) お答えさせていただきたいと思います。  今回の新しい評価制度というのは、もう委員も御承知のとおりだと思うわけでございますけれども、職員の能力、実績を的確に把握することによりまして……
  98. 又市征治

    ○又市征治君 制度説明はいいんです。制度説明はいいです。
  99. 江渡聡徳

    大臣政務官(江渡聡徳君) はい。
  100. 又市征治

    ○又市征治君 制度説明は要りませんから、話合いはどうなっているんだと。
  101. 江渡聡徳

    大臣政務官(江渡聡徳君) はい。ですから、この新しい評価制度というのを本当に有効に機能させていくためには、やはり職員の理解と納得性を高めていくというのがこれが何としても重要なことだと私も思っているところでございます。ですからこそ、職員団体とは引き続き幅広く意見交換を行っていく必要があると考えているところでございます。
  102. 又市征治

    ○又市征治君 どうも聞いているとなかなかそこがうまくいっていない。そういうふうに四角四面にお答えになるんだけれども、実際はどうも管理運営事項だとか、そういう話で話がうまく進んでいっていない、こういうのを聞くわけで、今ほどお話しになったように、あるいは先ほど麻生大臣からお答えのあったように、これは重要な勤務条件でありますから、しっかりとそういう点では労働組合側と話合いをして、その理解と納得の上にやっていきませんと、この公務員制度改革なんてすっ飛んでしまう、このことを改めて申し上げておきたいと思います。  あわせて、今度は大臣、先ほどの延長になりますけれども、例の大綱路線というのは各省も大変反発があって、そして労働組合との話合いも進んでいないわけですね。話合いが進まない実務上の要因というのは当局の内部で中身の検討が進んでいないこともある、こういうことであります。組合側から聞いてみますと、能力等級制度だけ見ても、基本的な質問を組合が再三行ったにもかかわらず、まともな回答が全く寄せられていない、こういうことなんですね。実に不誠実な対応だろうと思うんです。で、先ほどのような答弁に実際はなっている。そんな答弁でしっかりやられているのならば、もうとっくの昔に進んでいるはずだ。  日ごろから公務員制度に大変関心をお持ちになり、また公務員全般についての責任を持っておられる総務大臣、今のこの政府の進み具合、公務員制度改革大綱というものはそういう格好で軌道修正を一応されてきたんですけれども、一向に進んでいかないこの状況も含めて、どのように認識をなさっているのか、お伺いしたいと思います。
  103. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今言われましたとおり、これは法制化に向けていろんな形で検討が進められているんだとは思うんですが、又市先生、これはしょせん、こちら側におります役人なんて労働組合との団体交渉なんかやったことない、あるのいないんだもん。それがいきなり、おい、やれと言われて、それはなかなか、又市先生の顔なんか見てびびっちゃって、何も外へ、外へ進まぬわけですよ。だから、なかなかそんな簡単には、これは僕はそう思いますね。組合って聞いただけでぱっと下がる人っていうのは一杯いらっしゃいますから、何となく私のように組合といったら親しみを込めて行けるなんていうのは、それはかなり特殊訓練を受けたか、よほどそういった経験がないとなかなかそんな簡単には、鬼の全逓と言われた全逓と、今JPUとか名前変えてぱっと変わったから雰囲気が良くなったかといえばそんな簡単には変わらないんですけれども、でも一応JPの方たちと話をするなどというのはなかなか、結構度胸が要るんだと思いますよ。  だから、そういった意味では僕は、この種の話はいろいろ、今方向としていろいろな努力はなされているんでしょうけれども、ちょっと時間が掛かるだろうなというのは正直なところではあります、私ども見てて。何回か付き合ったことありますので、なかなか、机挟んでなかなかしゃべりにくいからちょっとという、お互いに親しみを持って話し合えるところまで行くのになかなか、民間上がりだとともかくも、お役人さんしか経験ない方がいきなり組合と言われても、組合って聞いただけでなかなか難しいところあるのかなという感じはしますので、今いろいろ、この二年、二年ぐらいのところかな、いろいろ結構あちらこちらでやっておられる話は聞いていますけれども、なかなかこうと、いくところがいま一つかなという感情、気持ちは分かるんだけど、これは又市先生、感情問題もあるから、なかなかそんな簡単にはいかないんじゃないかなという感じは私の見た範疇です。  だから、いずれにしても、これはいろいろ組合のレベルとの、いろんなレベルにおいて、組合長と人事課長というんじゃなくて、いろんなレベルでの意見交流をやらぬといかぬところなんだと思っておりますので、これはそれこそ内閣官房をいろいろ中心に、江渡先生いろいろ努力しておられるんだと思いますけれども、やっぱりそこらのところはかなりな努力が要るだろうなという感じが率直な実感です。
  104. 又市征治

    ○又市征治君 公務員制度全体をつかさどる大臣ですから、大所高所から目配りもいただき、また助言もしてもらって、私は、今大臣そんなふうに、何か労働組合はおっかないみたいにおっしゃるけど、私はそうじゃないと思いますね。私なんかは逆にえらいおとなしいなと、こう思うんですが、いずれにしてもやっぱり話をまともに、やっぱり回答を求められたら回答しなけりゃ話進むわけないんであって、で同時に、私はもう一つ認識の問題があると思うんです。  したがって、そこで少しその認識の問題についてこの後お伺いしたいんですが、これは少し、所管でいうと厚生労働省になるんでしょうか。  この十二月に、日本で初めてですけれども、宮崎で国際自由労連の世界大会が開かれますよね。これ、多分かなり大規模なものになるんですが、総理大臣出席をして歓迎スピーチをなされるだろうし、また当然……(発言する者あり)いや、ILOじゃない、国際自由労連、国際自由労連の大会なんです。当然その国際自由労連の責任者ともお会いになることだと思います。そこで当然、公務員労働者に労働基本権を与えよという二度にわたるILO勧告に基づいて一体全体日本政府はどのように対処をしているのか、このことについて問われるし、また総理もそこでスピーチをなさる場合に当然そのことに触れざるを得ない、こういうことになるんだろうと私は推測をしているわけです。  さっきからも出ていますけれども、内藤さんからも出ましたが、OECD二十八か国の中で韓国も労働基本権の付与、これは変わりました。そうすると、この二十八か国先進国の中で日本だけが結局は公務員の労働基本権何も認めていない、こういう格好になるわけで、ILO問題を所管する厚生労働省としてはこういう国際情勢についてどういうふうに認識をなさっておるのか。これ以上私は勧告を、ILOの勧告を受入れにちゅうちょすべき時期はもう過ぎてしまっている、こう思うんですが、その点についての考え方をお聞かせ願いたい。
  105. 長谷川真一

    政府参考人長谷川真一君) 御質問の国際自由労連の世界大会でございますが、本年十二月に宮崎県で開催されると聞いております。こうした大会が、我が国においてはもちろん、アジアにおいては初めて開催されるということで、大変意義深いものだというふうに考えております。  公務員に、公務員に対する労働基本権の付与の問題でございますが、これはまず、国内において政府と関係者が真剣な話合いを行うことが重要であるというふうに認識をしておりまして、厚生労働省としても、現在、関係行政機関、労働組合の間で協議が行われているものと承知しているわけであります。  なお、OECD諸国の公務員制度、まあそれぞれ様々でございまして、日本だけが公務員に労働基本権を付与していないわけではない、それぞれの国の事情、それぞれ違いますけれども、そういうことではないというふうに認識はしております。  いずれにいたしましても、ILOから公務員制度改革に関する勧告が出ておるわけでございまして、このILOの直近の勧告の中では、公務員制度改革を進めるに当たっては労働組合側と交渉協議を行うよう求められているところでございまして、先ほども申しましたように、国内において政府と関係者が真剣な話合いを行うことが重要と認識しております。
  106. 又市征治

    ○又市征治君 この機を逃さずに、政府全体としてやっぱりきっぱりと国際労働基準に倣っていくと。私も二年前ILOへ行ってまいりまして、調査へ行ってきましたけれども、OECDの中で国際労働基準を守らない日本、こういう格好で、むしろ労働側もそのことをOECDの場で言っていくと、こう言われているわけですね。やはり、きちっと労働基本権を国際労働基準に倣って認めていくということを、少なくともその方向で労使協議に入ることをやはり宣言するように強く求めておきたいと思います。  もう一つ、この関係で、同じくILOから指摘されている国鉄労働組合の救済問題について政府側はどういうふうに考えられているのか、この点についてもお伺いしたい。
  107. 梅田春実

    政府参考人梅田春実君) 本件につきましては、政府といたしましては、大分昔のことでございますが、昭和六十年に雇用対策本部を設けまして、関係各界、産業界等に採用の依頼を強力に推進いたしました。また、国鉄の改革後におきましても、再就職促進法等に基づきまして、三年間にわたりましてJR各社等に対し追加採用の実施を要請するなど、万全の雇用対策を実施してきたところでございます。また、平成十二年には、当時の与党でございました自民党、公明党、保守党の三党と社民党との間で人道的観点から政治解決を図ろうとしたいわゆる四党合意というのがございまして、その枠組みの中で、与党の要請によりまして、政府といたしましても二年半にわたりましてJR各社あるいは関係労働組合など関係者との調整を図る、できることはすべてやってきたという認識を持っております。  したがいまして、現状におきましては、政府が主体となって何か新しい措置を考える、講ずるということは極めて難しゅうございます。当面は関係者の動向を見ながら事態の推移を注視してまいりたいというふうに考えております。
  108. 又市征治

    ○又市征治君 この民営化問題のときに中曽根さんが何と言ったのか、あなた方十分知っているわけでしょう。少なくとも一人たりとも路頭に迷わせないと、こう言ったんですよ。現実に千四十七名という人々がどこにも就職できないで路頭に迷わされたじゃないですか。そのことをどうするかが問われているときに、全部手を尽くしましたと。冗談じゃありませんよ。だから、今ILOにそのことが訴えられて、二回にもわたって人道的問題から政治的にやっぱり解決図るように、関係者の話合いをするように言われているときに、何もありませんという話がどこにありますか。そういう感覚が問題だと言っているんですよ、今ILOの場でも日本の政府の対応について。そういうふうに言われているんですよ。  ここではまあそれ以上議論をする場がありません、時間がありませんから、やはりこのILO勧告に基づいて速やかにやっぱりこたえるように、そのことを精一杯努力するように、今日のこの場では強く求めておきたいと思います。  時間がありませんので、最後に総務大臣に、改めてこれまた念押しみたいな話になりますが、地方財政問題です。  今年度の地方自治体予算編成というのはまあ惨たんたるものだったというのは、先ほど自民党の森元さんからも話が出たんですけれども、理由はただ一つ、総務省が密室の決定によって一兆円を超える大規模な地方交付税削減を抜き打ち的に決められた。こういう態度では、総務省は何のためにあるんだ、やみ討ちだと、こう自治体から抗議が殺到したのは、まあ私はけだし当然だと思う。春になって総務省はこれを反省されたのか、交付税は向こう二年間総額を維持すると軌道修正されたわけですが、遅かりし由良之助みたいなものですけれども。歴代大臣地方交付税を守るんだと、こう言いながら、現実にはそうなっていない、こういう面がある。  先ほども出ましたけれども、今回も、七兆円から八兆円の過大計上があるという財務大臣の主張を受けて、四日前の二十九日、財政制度審議会ではまたまた交付税総額抑制を建議に盛り込む見通しだと、こんなふうに報道されている。  こういう状況に対して、大臣はこれを守っていくためにどういう決意で臨まれるのか。本当に地方自治をないがしろにするようなこのような政府内部の、一部まあ財務省側がそういう中身なんでしょうけれども、これに毅然とした対処を願いたいと、こう思うんですが、その決意のほどをお伺いしておきたいと思います。
  109. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 先ほども御答弁申し上げましたように、この七兆円とか八兆円とかいう話が急に四、五日前出てきたと思いますけれども、この数字は昨年のマイナス一二%の約倍ということになりますんで、これは極めて非現実的で、三十兆の国債は直ちにやめろみたいな話ですから、それはとてもではない、現実的な話ではないと、基本的にはそう思っております。  少なくとも、今回の三兆円の話に至りますまでのときには、少なくともいわゆる補助金地方税に振り替えたときにおきます、各地方公共団体におきます財政力の弱いところにおきます差が出ます分につきましては、交付税をもってこれを充てるというのを前提に、平成十七年度の概算要求におきましても、まあ種々の前提を置いてのいわゆる機械的に積算したものではありますけれども、基本的には一般財源総額というものを前年度同額程度ということで概算要求には既に提出をいたしておりますんで、私どもといたしましては、地方からの出されたこの補助金削減案というものを真摯に受け止めるというのであれば、それに対応すべきなのは当然だと思っております。
  110. 又市征治

    ○又市征治君 終わります。
  111. 弘友和夫

    弘友和夫君 公明党の弘友和夫でございます。  さきの委員会でも申し述べさしていただきましたけれども、一連の台風、そしてまた新潟の中越地震等でお亡くなりになった方々、また被災された方々に対しまして改めて哀悼の意を表し、またお見舞いを申し上げる次第でございます。  そういう中で先月の二十七日でしたか、行方不明になっておられた皆川さん親子三人の救出の模様がずっとテレビ等でも放映されておりまして、優太ちゃんの奇跡的な生存、救出に全国の人は大変歓喜しましたけれども、まあ引き続いて、ところが母親の貴子さん、そしてまた長女の真優ちゃんの死亡確認も、これはだれもが無念さに泣き、自然災害の怖さと早期救助の重要性を感じたわけでございます。  こういう、あのときも、あれは東京消防庁のハイパーレスキュー隊ですか、本当に岩がいつ落ちてくるか分からないというそんな状態の中でずっと必死になって救出に向けて当たっておられました。あれを見まして本当に感動したわけですけれども、こういう、この一連の災害復興のために、また災害救助等のために大変頑張っていただいている自治体の職員の方、また消防署の職員の方、地元の消防団、自衛隊、海上保安庁、東京消防庁の方々等々、また全国から駆け付けてこられたボランティアの皆さんですね、本当に心から感謝を申し上げたいと思うわけでございますが、今回は、こうした大変危険な困難な任務に携わっておられる方々、特に今日は国家公務員のこの給与に関してお伺いをしたいというふうに思うわけですけれども、今回海上保安庁も、余り知られてないというか、自衛隊が全部やっているみたいな映像だったんですけれども、海上保安庁も大分出ているわけですよね。  それで、海上保安庁に関しましては、あの北朝鮮のときの工作船、あのときは大変、こんな装備で大丈夫なのかとか、いろいろ問題が提起されました。しかし、それに携わっている方々のこの待遇というか、そういうことについては余り論議はされなかったんですけれども、今日はそういう部分についてお伺いしたいというふうに思います。  今回の災害で、特殊救難隊、機動救難士等の方々が大変活躍されたわけでございますが、一体どのような仕事、それからどういう、何人ぐらいいらっしゃるのか、また最近はどういうことに出動されたのか、例がありましたらお聞かせいただきたいと思います。
  112. 大藪譲治

    政府参考人大藪譲治君) 特殊救難隊でございますけれども、海上で船が転覆、沈没したりする事案、いわゆる海難事故が発生いたしました場合に乗組員を救助する必要がございますけれども、特殊救難隊は、そういう場合にヘリコプターを使いまして、救助すべき船にロープで降下をして救助活動を行います。また、転覆した船内に閉じ込められた乗組員がいるような場合に潜水をして救助をしたり、また、船によっては可燃性のものを積んでいるということで、火災、爆発が起こる可能性があると。そういう中で、その火災を鎮圧、消火をし人命救助に当たるという、大変特殊な知識、技能を必要とする海難救助などを行うために設置されておる部隊でございまして、現在、羽田の基地に三十六名が配置をされております。  他方、機動救難士でございますけれども、海難における人命救助という点では特殊救難隊と同様でございますけれども、同様にヘリコプターから救助船に降下をいたしまして、救助を要する者をつり上げた後、医療機関や救急車に引き継ぐまでの間、救急救命処置を実施するというような、大変高度の知識、技能を活用いたしまして人命救助をいたしておりまして、現在、函館、美保、福岡、鹿児島の四つの航空基地にそれぞれ四名が配置されている状況でございます。  最近の出動事例でございますけれども、先月の台風二十三号の際に、特殊救難隊十名が伏木富山港付近で座礁いたしました練習船海王丸から乗組員、実習生等百六十七名を救助いたしております。また、同じ日、台風二十三号の関係でございますけれども、機動救難士につきましては、京都府舞鶴市の孤立したバスから三名をつり上げ、救助をいたしております。
  113. 弘友和夫

    弘友和夫君 今、海王丸だとか、バスで三十名ぐらい孤立していたのを何名か救助されたというのは、あれはたまたま、海王丸なんかでこの岸壁に着いておりましたので映像として見られましたけれども、それに映像として残っていない部分も大変いろいろな形で苦労されている。  例えば、九州の五島でパナマ船のタンカーが爆発している。これ、炎上、爆発しながらずっと岸壁に近づいてきているわけですよ。それをあの下に潜って、ロープを掛けるのに下に潜って、ロープを引っ掛けて曳航できるようにしたとか、いろいろな出動された例があるんですけれども、そういう大変に命の危険というか、も伴う困難な業務でありますけれども、じゃ、これをきちっと評価が、給与の面、待遇の面で評価されているのかどうかというふうに私は疑問に感じておるわけでございます。  特に、俸給調整額の問題ですけれども、人事院が本年八月の勧告の際に職員の給与に関する報告の中で、俸給制度、諸手当制度全般の見直しを進めると、このように明言されておりますけれども、その調整額というのはどのような性格、どのような趣旨、目的なのか、まず総裁にお聞きしたいと思います。
  114. 佐藤壮郎

    政府特別補佐人(佐藤壮郎君) 俸給の調整額の趣旨についての御質問でございますけれども、調整額と申しますのは、職務の複雑困難、若しくは責任の度、又は勤労の強度、勤務時間、勤労環境その他の勤務条件が同じ俸給表、同じ職務の級に属する他の官職に比べて著しく特殊な官職を占める職員に対して、その特殊性に基づいて支給される給与であると。  まあ、いささか難しい表現でございますけれども、要するに、同じ給与表で同じ職級に属する、例えば海上保安庁の職員の中でも特に困難な官職、職務あるいは危険な職務に就いている人に対して支給される給与でございます。  具体的な調整額は、俸給月額の百分の二十五以内で六段階に分けて支給されるものでございまして、俸給の一部として位置付けられているものでございます。
  115. 弘友和夫

    弘友和夫君 今、その一から六段階に分けられていると。この六段階に分けた、どういう基準でその六段階というのは設定されておるか、お聞きしたいと思います。
  116. 山野岳義

    政府参考人山野岳義君) どのような考え方で段階を付けるかということでございますが、個々の職種、職務における調整数につきましては、既に適用されている官職との関係、それからまた給料表、どの給料表が適用されているか等の関係、当該特殊性等の、応じて適当と考えられるような格付をしておるわけでございますが、例えば刑務所の医師についても調整数付いておりますけれども、この医師につきましては、例えば受刑者を取り扱う危険性、精神的な緊張、あるいは人材確保も困難といったことで調整数を付けておるわけでございます。  また、海上保安庁の特殊救難隊の調整数につきましては、まず海上保安庁の職員につきましては、調整数の前に、公安関係職員としての特殊性ということで公安職(二)という給料表を適用しておりまして、まず行(一)よりも高い給与水準が、高い水準の俸給が支給されているところでございまして、また調整数につきましても、今先生御指摘のような職務の困難性、危険性を勘案いたしまして、調整数も二から三に格上げしたところでございます。
  117. 弘友和夫

    弘友和夫君 今、たまたま答弁で刑務所、少年刑務所、拘置所等の答弁がありました。これの携わっているお医者さん、また歯医者さんというのは調整数は四なんですね。多いほど、六になるほど高くなるわけですから、この調整数が一違うというのは大変な、これは給与そのもの、また退職金、もうすべてに影響するわけですよね。  で、刑務所の中でその受刑者に相対するお医者さんとか歯医者さんが楽だとは言いませんよ。だけど、じゃ、必死になって、先ほどのこのロープで、この間でも何かこの一人、大方、遭難しそうになったというお話も漏れ承っておりますけれども、そういう中で作業というか、任務に当たっておられる。これ三ですよ、三。特殊救難隊、特殊警備隊。それで、機動救難士というのは調整数にも入っていないんですよ、何にも対象になっていないんですから。  これ、比較検討してどうですか。どちらが困難性、危険性、どちらかといったら片一方はどうとか言うわけじゃないけれども、ちょっと全体のバランスがちょっとあれじゃないんですかね。ちょっとどうですか。
  118. 山野岳義

    政府参考人山野岳義君) 調整数につきましては、今御説明いたしましたように、個々の官職の特殊性等を考慮いたしまして、これは昭和二十五年にできて以来、いろいろ付けているわけでございます。  先ほどの海上保安庁の場合でございますけれども、先ほど御説明いたしましたように、まず俸給表で公安職(二)ということで、俸給表水準自身がまず行(一)よりも上がっております。それからまた、その中でも一部の職員の方には調整数三を付けるというところでございます。  ただ、先生御指摘のように、この調整額につきましては、やはり社会情勢の変化、その時々のいろいろな情勢によりまして、更に見直しというのは必要であろうかと思います。  御指摘の点を十分に踏まえまして、個々の官職の特殊性を適正に評価するよう引き続き検討はしてまいりたいと思っております。
  119. 弘友和夫

    弘友和夫君 今、元々の給与が何か高いような話をされておりましたけれども、それはちょっと違うんじゃないかと。例えば、同じような、ヘリコプターで救難する自衛隊はどうですか。元々六五%アップされておるんですよ、元々。そうしたら、それに比べたらどうなのかという形になるわけです。だから、余りそういうことは言われない方がいいと思うんです、元々高いんだみたいな。機動救難士なんか調整数ゼロですから。これは何でゼロなのかという、ほかの部分も、余りあれなんですけれども。  まずその前に、海上保安庁、こういうことに対して要求というか、そういうのをされていないのかどうか。私は、やっぱり人材確保等、それからこれは非常な訓練も要るわけですから、若い人材を育てていくという意味においては大変大事だと思うんですけれども、いかがですか。
  120. 大藪譲治

    政府参考人大藪譲治君) 特救隊の隊員、機動救難士でございますけれども、これらにつきましては、現職海上保安官の中から大変意欲を持った者を選抜し、配置をしておるところでございます。そういう意味では給与面で人材確保が困難になるというような事態までは発生しておりませんけれども、現場からは勤務の困難度に応じた処遇を求める声がございまして、海上保安庁としてもその処遇改善に努めてまいりたいと考えておりまして、特殊救難隊につきましては、御案内のように調整数三ということで認められておるわけでございますけれども、更に調整数五への改定を要求しておりますし、機動救難士につきましては調整額現在認められておりませんので、新たに調整数二を要求してまいりたいと考えております。
  121. 弘友和夫

    弘友和夫君 救難士が要求が二だとかなんとかいうことはまた交渉をしていただきたいと思いますけれども。  総裁、やっぱり、先ほど来公務員の労使のお話がございましたけれども、今の現行制度の中では人事院がしっかりしていただかぬといけないわけですよ。そういう中で、やっぱりこの調整数、六十年代が見直されたのが最後だと、こういうふうに聞いておりますけれども、まだまだほかにも一杯矛盾があるんですね。  例えば、国立ハンセン病の療養所の場合は調整数六なんですよ、六。これは、今まで大変、感染というか、ハンセン病というのは危険だと思われて六が付いていたわけです。だけれども、法律改正して、そんなことない、そういうことないんだということまできちっと世間に、むしろ国が危険じゃないんですよというのを知らしめないといけないわけですよ、これは。それがいまだに六のままというか、私、六が悪いと言うんじゃないんですよ、今働いておられる方に対してもっと下げろみたいな話をしているわけじゃないんですけれども、それが危険だと、困難だということで六で、もっと言えば、もっと、何というかな、エボラ出血熱とかペスト等、こういう実際のそういう菌に当たる一番危険なところは調整数が二、国立がんセンターの、それから感染症研究所の方は、これは一になっておるんですよ。  だから、やっぱりもう一回全体的にこれは見直すべきじゃないかというふうに考えますけれども、この問題については、最後に総裁とそれから公務員制度を担当する総務大臣の見解を伺いたいと、このように思います。
  122. 佐藤壮郎

    政府特別補佐人(佐藤壮郎君) 今年の給与勧告のときに、給与構造の基本的見直しについてその必要性について報告したところでございますけれども、給与構造の見直しを全体的に進める中で、俸給の調整額につきましても適正な制度運営の確保を図っていく必要があるというふうに考えております。  今先生の御指摘を踏まえつつ今後検討を、鋭意検討をしていきたいというふうに思っております。
  123. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今現在、俸給月額の百分の二十五でしたっけ、何か調整ができて、現実問題、今、三%から一八%ぐらいで、今、三—一八で動かしていると思うんですが、今御指摘のありましたように、このランク付けの付け方にはちょっと今の時代から見ていかがなものかという御指摘は分からぬじゃないところでもありますので、これは検討してみる必要はあろうかなと思いますので、総裁等々とよく検討させていただきます。
  124. 弘友和夫

    弘友和夫君 しっかりやっていただきたいと思います。  次に、防災ボランティアの件についてお伺いしたいと思うんですけれども、今回の台風、また地震等でも、ボランティアの方が本当に全国から来られて活動をされているわけですけれども、これは、阪神・淡路大震災のときにいろいろな反省点というか、そういう中で、十二月、同年の、七年の十二月に災害対策基本法が改正されて、国及び地方公共団体がボランティアによる防災活動の環境の整備に関する事項の実施に努めなければならないと、これは法律上明記されたわけでございますけれども、今回、いろいろ現地、起こったところはなかなか混乱をして大変な部分がある。ボランティアセンターも県だとか市町村で作ったりしておりますけれども、なかなかその受入れについてスムーズにいっていないようなところがあるわけですけれども、防災ボランティアの活動についてどのような認識をお持ちなのか。これ、どこですか、内閣府ですかね、お伺いしたいと思います。
  125. 加地隆治

    政府参考人加地隆治君) ボランティアの活動に対する認識ということでございますけれども、今年の一連の災害におけますボランティアの方々の御活躍、これは目覚ましいものでございまして、内閣府といたしましても、深く敬意を表しますとともに、大変心強く思っているところでございます。  災害対策につきましては、政府、地方自治体、地域に加えまして、ボランティアの方々とも一体となって推進する必要があると認識しているところでございます。
  126. 弘友和夫

    弘友和夫君 山本政務官に、NPOとかボランティア、いろいろ今までやってこられておりますので、何か今のいろいろボランティア、私は、人的な、どこにどういう人がいてというそういう調査とか、そういうのもして、日ごろからやるべきじゃないかという考えを持っておりますけれども、今までそういう携わってこられた中で、何か御所見がありましたら。
  127. 山本保

    大臣政務官山本保君) お答えします。  今、内閣府の方からもお話がありましたように、今若い方を中心にボランティアというのは大変な数の皆様が活躍されている。本当に日本の国も変わってきたなという気がいたします。  そこで、今のお話ですが、私も以前、東海豪雨などのときに分かったわけですけれども、やはりボランティアの方が適切に活躍するためには、その地域に合った様々な情報が的確に伝わっていき、そしてどうあるべきかということを示すことが必要でございます。自衛隊員の方にしましても、ボランティアの方にしましても、全くそういうことがないわけですと、物があって人がいても、実は一番重要な、一番弱い立場にある災害時の要援護者、こういう方の方には行かずに声の大きな方に食べ物なども行っているという姿も私も見まして、今おっしゃるように、ふだんからこういう方々、援護者の方をきちんと把握しておく、掌握しておく、そのときに、その場合にどういう順番で行くのかということをきちんとすることが必要だと思います。  もう少しお話ししますと、今回調べていただきましたら、まだ、地震についてはまだ上がっておりませんが、台風などにおいては死者、行方不明者二百二十九名だそうでございますが、そのうちはっきりしておる方百七十名のうちで、百七人、六三%の方が六十五歳以上であったという年齢の区分が今データとして上がっているわけでございまして、こういう方々が、やはり適切な対応があったならばという気がしてなりません。  ただ、実際には、そのために、自主防災組織でありますとか消防団の方が頑張っていていただく、災害、今の基本法ですか、にあるわけですが、私も福祉の関係をやってきた立場からいいますと、実は一つ問題がございまして、こういう情報というのは、やはりプライバシーとか、なかなか出せないわけでございます。つまり、どの地域にどういう方が、弱い方、弱いといいますか、お年寄りであるとか、障害を持っている、歩けない方がいるということを知るということは、逆に大変、泥棒ですとか、詐欺ですとか、そんなことが流れてしまうと正に危険になるわけでありまして、この辺のところを福祉関係とこの防災関係ときちんと連携を取っておきませんと問題が出てくるかもしれない。  おっしゃいましたように、今後、この辺のところのきちんと支援が連携できますように、私も各担当の方にお願いをして進めていきたいというふうに考えております。
  128. 弘友和夫

    弘友和夫君 それで、そういうことも是非進めていただきたいなというふうに思っているんですけれども、個々のボランティアの申込みについては、今日の新聞等でも消防庁さんの方で自分がどういうことをできるかとかいう登録をする、それを必要なところと結び付けるというようなことが言われておりましたけれども団体ですね、例えば私、一つの例を申し上げさせていただきますと、全国環境整備協同組合連合会というのがあるんだけれども、ここは各県と無償協定というのを結んでいるわけですよ。し尿だとか、ごみだとか、そういうことで、現在、今回の災害でも、仮設トイレ四百四十個、バキューム車百五十二台、人員も二百何十人という、送り込んでやっているわけです。  ところが、今までの例からいいますと、例えば県ごとに協定を結んでいるので、じゃ、この災害時の一般廃棄物の収集、運搬の援助はこれは行えないんじゃないかとか、一般廃棄物は市町村の固有事務だと、廃棄物処理法では許可又は委託区域外で業務を行うことを禁止している。県境を越えたなかなかこの、あれができないというような、現実はそうじゃないかもしれませんけれども、はっきりとここで、そういう団体がせっかく無償で、これは大変喜ばれているわけですね、バキューム車を持っていったり、それから高速洗浄車できれいに、泥につかったところをきれいにするとか、ごみを処理するとか、大変喜ばれているわけですから、せっかくただでやってくれるというのを、何でそういういろいろな垣根があるのかなというふうに私は思うわけですけれども、ボランティア活動の支障になるのかどうか、まず環境省、お願いします。
  129. 南川秀樹

    政府参考人南川秀樹君) お答えいたします。  し尿を含む廃棄物の収集、運搬を業として行う場合には、廃棄物処理法上、市町村の委託を受けて行うか、あるいは業を行おうとする区域を管轄します市町村長の許可を受けて行うということになっております。  ただ、この場合でございますが、まず、災害時に被災地の市町村の要請を受けて廃棄物の収集、運搬を行う行為につきましては、市町村の委託を受けて行うということに該当いたしますので、廃棄物処理法上、特段の問題はございません。また、災害時に短期間、廃棄物の収集、運搬を行う行為につきましては、反復継続して実施する業というものに該当をいたしませんので、そもそも市町村の要請が受けなくても、要請なくとも実施可能でございます。したがって、こういった活動につきましては、廃棄物処理法上、問題はございません。
  130. 弘友和夫

    弘友和夫君 だから、問題があるかないか、まあ問題がないと思うんで、ないということなんですけれどもね。ただ、こういう災害時にそういうことを言ってはおれないわけですよね。それと、やっぱり市町村、県の方から要請をしなければいけない。だから、協定を結んでおけばできるんじゃないかなと、広域的な要請。  これも、私も質問通告したときにびっくりしたのは、これは元々担当は環境省じゃないかとか、いや、協同組合だから経産省じゃないかとか、それから、いや、ボランティアだから内閣府、消防庁だとか、様々この、ごみをもう捨てるとか、厚労省じゃないかとか、こういう話になるわけですよ。これは一つのあれだと思う。だから、現場に行ったら、やっぱりそういう混乱というのは相当あるんじゃないかなと思うんですよ。  だから、私は防災担当がこういうところを一括してどんどんやっているかと思ったら、必ずしもそうではないというんですね。だから、ワンストップサービスではないけれども、どこかがそういうのを仕分をしてぴしっとやるということにならなければ、そんなことを言っていたら進まないんですから、前に。  それで、私、そういう団体の申出、ここだけではなくていろいろなところからあると思うんですよ。そういうことをきちっと日ごろから、どういうときにはどういうことができますかと、いろんな団体に対してもそれを掌握してやっておく必要があると思うんですよ、そういう調整。自治体も絡んでおりますし、大臣、是非そういうことを進めていっていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  131. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 国民保護法制を審議させていただいたときに、各省庁にまたがる話に関してどこが責任取るという話で、法律からいくとここだけど経験はないとか、いろんなことが一杯あって、これは役所の縄張より国民保護の方が優先するんだから、それにとって一番都合よくという話をあのときいろいろ調整をすることをやった記憶がありますので、今のような話は多分、ほかにも多分いろいろあるんだと思いますので、その調整の問題等々を含めて、これは現実問題として対応しないと一番迷惑するのは被災者ということになろうかと思いますので、検討させていただきます。
  132. 弘友和夫

    弘友和夫君 それと、これに伴って、先ほども出ておりましたけれども、昨日ですか、十一月一日、町村合併、魚沼市と、六町村が合併して魚沼市、二町が合併して南魚沼市というのが誕生したわけです。  公選法上の規定では五十日以内に首長選挙をやらなければならないというようなことで、この災害の真っ最中にと。まあ、地元の選管は規定どおり行うと、こういうふうに決めたそうでありますけれども、これ今から雪が降ってそういう中で果たして選挙なんかやっておれるのかなという、まあよそからですけれども心配をしているところなんです。  阪神・淡路大震災の方は特例法を作ってやりましたよね。何かこの、ここに限ったことじゃなくて、こういうときは、例えば総務大臣なりが、やったときはこう、延ばせるとか何かそういう、そのたびに特例法じゃなくて、何かそういう項目とか入れてやるべきじゃないかなという思いがするんですけれども、いかがでしょうか。
  133. 高部正男

    政府参考人高部正男君) お答えを申し上げます。  御指摘ございましたように、公選法ではいわゆる設置選挙、新しい市が設置された場合の市長選挙等につきまして五十日以内に行うということになっておりまして、これもお話がございましたように、昨日、両市が委員会を開きまして、魚沼市につきましては十二月の十二日、南魚沼市の市長選挙につきましては十一月の二十八日と決めたようでございます。  今回の合併に伴う首長さんの選挙につきますと、先生御指摘ございました阪神・淡路と、例と異なりますのは、あの場合は任期の特例がございまして、任期を一定期間延ばしまして六月まで選挙を送ったという格好になっております。  今回の場合は、新しい市ができますので首長さんが不在という状況になります。そういう状況の中で、委員会の中でも議論があったようでございますが、こんな状況の中で選挙ができるのかといったようなこともあったようでございますが、やっぱりトップがいた方がいいのではないかというような御意見もあったようでございます。そういうことで、地元ではこのように決めたというふうに考えております。  御指摘ございました一般的にどうかということでございますが、選挙の日取りにつきましては、一方で余り幅広い日取りを持たせますと、選挙の期日の設定の仕方によって有利、不利といった状況も生ずるというふうなこともあろうかと思います。そういうことの中で日取りが決まっているところでございまして、個別具体にいろいろ課題があれば、いずれにしても私どもいろいろ相談に乗りながら、どういうことが可能か、今後とも適切に対応してまいりたいと、かように考えているところでございます。
  134. 木村仁

    委員長木村仁君) 弘友和夫君、時間ですからよろしくお願いします。
  135. 弘友和夫

    弘友和夫君 文科省の方に来ていただいておりましたけれども、時間になりましたので、済みませんが、また。
  136. 吉川春子

    ○吉川春子君 日本共産党の吉川春子です。  新潟県中越地震被災者保護についてまず伺います。厚生労働省に伺いたいと思います。  被害の深刻さと余震の継続から、避難所生活が長期化することが予想されます。十月二十七日現在だと思うんですけれども、避難所が四百八十二、避難住民数は六万八千八百四十七人と報告されています。避難所に入れない人々も相当数おりまして、テント、車の中等で避難生活を余儀なくされています。  十一月二日付けの新潟日報の被災者千人アンケートによると、野菜が食べたい、トイレをきれいに、寒さ対策への要望が強いということです。避難所の対策も緊急課題です。  私たちの党は、長岡市に中越地震全国救援センターを設置して救援活動を行っています。私は、今日は医療対策に絞って伺います。  新潟大学の医療支援チームによると、エコノミークラス症候群の疑いがある人も車中泊では三割もいるそうです。避難所には要介護者、高齢者、乳幼児など医療を必要とする人たちが多くいます。新潟県の資料、被害状況によれば、小千谷市、十日町市では病院等が大きな被害を受けて十分な機能を果たせないでいます。被災者の命と健康を守るために医療スタッフの派遣が緊急に必要です。県外からの医療スタッフの派遣は今どうなっていますか。
  137. 田中慶司

    政府参考人田中慶司君) 御説明申し上げます。  医師、看護師らによります医療チームの派遣の状況でございます。新潟県を通じまして得た情報によりますと、十一月一日現在で九十四チーム、四百八十五人が被災地で活躍しているというふうに聞いております。保健師……
  138. 吉川春子

    ○吉川春子君 保健師はまた後で聞きます。  これで、チームを編成して巡回しているということですけれども、九十チームと聞いていますが、そうですか。
  139. 田中慶司

    政府参考人田中慶司君) 今、九十四チームというふうに私どもは把握しております。
  140. 吉川春子

    ○吉川春子君 そして、地震によるショック、疲労など精神的ストレスを受けている人も多いわけです。被災者は疲労と不安な日々を送っておりまして、被災者の体調に配慮したケアが急がれているわけです。乳幼児、要介護者、高齢者には特別なケアが必要なんですけれども、現地から、各避難所に医師あるいは看護師、保健師等、医療スタッフを配置して、こういう方々の対策を強め、テントや車内で生活している被災者を対象に地域訪問を行ってほしい、こういう要望も強いわけです。  保健師の、そういう場合に役割を非常に発揮していただくのが保健師だと思うんですけれども、何人ぐらい現在派遣しているのか、お伺いします。
  141. 田中慶司

    政府参考人田中慶司君) 保健師についてでございますけれども委員指摘のとおり、避難所のみならず車中泊されておられる方も含めまして、被災された地域住民全体の健康管理に関する支援を行うということで、新潟県の要請を受けまして各都道府県に対して保健師の派遣の可否について照会を行いまして、現在、本日現在で百五人の方が新潟県に派遣されたところでございます。
  142. 吉川春子

    ○吉川春子君 避難所の数と保健師、医療スタッフの数を対照すれば本当にまだまだ不足しているわけですけれども、現地の要望ですと、循環して回るだけではなくて避難所とか一定の場所に、かなりの避難所に常駐してほしいと、こういう要求があるわけですね。巡回ですと、一つの市でも広いですものね、長岡を取ってもどこを取っても。そうすると、すぐいろんなときの対応ができない可能性があります。  是非、常駐するに十分なスタッフの数を確保していただきたいという要望にこたえていただきたいと思いますが、どうでしょうか。
  143. 田中慶司

    政府参考人田中慶司君) 御指摘のとおり、避難所におきまして被災者の健康状態を把握して適切な対応をするということは非常に重要であるというふうに考えております。  御指摘のとおり、避難所に保健師を常駐させること、これは望ましいことでございまして、特に家に帰れない被災者を抱えます避難所、それから高齢者が多い避難所、あるいは健康上の課題が多く出現しているような避難所、こういう避難所に関しましては保健師が常駐されているというふうに聞いております。  また、保健師が常駐していない避難所に関しましては、巡回を行いまして健康状態の把握あるいは健康相談等の対応を行っておりまして、これらの活動を通じまして被災者の健康状態の把握が行われているというように聞いております。  厚生労働省としましては、ほかの都道府県からの保健師の派遣の調整等を行うことを通じまして、今後とも可能な限り多くの保健師が常駐又は巡回することによりまして、被災された地域住民の方々の健康管理を行うことができますように、新潟県への支援に努めてまいりたいというふうに考えております。
  144. 吉川春子

    ○吉川春子君 常駐している避難所の数は幾らでしょうか。それと、巡回とおっしゃいましたけれども、どの程度の頻度でその医療スタッフが巡回をしているんですか。
  145. 田中慶司

    政府参考人田中慶司君) 詳細把握しておりませんけれども、新潟県によりますと、例えば長岡市におきましては、保健師が常駐しています避難所は約百か所のうち二十四か所だというふうに聞いております。  どのような巡回ということでございますけれども、それは、避難所におきます健康相談等のニーズに応じて適宜行われているというふうに理解しております。
  146. 吉川春子

    ○吉川春子君 非常に要求が切実で実態も切実なので、あえてもう一度伺いますけれども、毎日一回ぐらいはすべての避難所に巡回体制が取られているんでしょうか。
  147. 田中慶司

    政府参考人田中慶司君) 確実に避難所、すべての避難所に保健師が必ず派遣されて、巡回しているかということに関しまして現在掌握はしておりませんけれども、その避難所のニーズに相応して保健師が十分住民のニーズにこたえられるような派遣を今後考えていきたいというふうに考えております。
  148. 吉川春子

    ○吉川春子君 総務大臣にお伺いします。  総務省はこの地震発生直後に、各都道府県知事とか政令市長とかに向けて公務員の派遣要請を文書で出しておられますね。例えば、保健婦なども一人で来ては仕事にならないので、まあ早い話が運転手さんは必要だし、それを支える行政のスタッフも必要なわけで、今非常にそういう点で医療スタッフを含めて不足していると思うんです。恐らく新潟県の自治体の職員はもうフル稼働で、過労死に陥るぐらい働いていると思いますので、他県からの支援要請というのが非常に重要なかぎを握っていると思います。  そういう意味で、総務大臣として、この医療スタッフその他の行政職を含めてできる限り現地に派遣をされますよう、長野県は聞くところによると、隣の県で、五十人の行政の人をもう既に派遣して、帰ってきて報告しているということも報道でされておりますけれども、そういう点で総務大臣として是非力を尽くしていただきたいと思います。
  149. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 吉川先生のお話のとおり、現地で対応をしております職員自体も被災者ということになりますので、状況としては、被災者であります町の職員又は町の保健員という者が対応しておりました状況が長時間、もう一週間以上になりますので、継続してやり続けるのは今度はその本人が過労で倒れるということになりかねぬということで、私どもといたしましては、十月二十八日までの派遣人員で一千四百七十七人を現地に派遣をいたしております。  その後、今の申し上げましたのは警察とか消防を除いての話です、いわゆる市町村の職員という意味ですけれども。その中で、私どもとしては、そのほかに、十月二十八日に派遣しております、その日にち以降で派遣をいたしております予定者数は都道府県職員一千百十七人ということになっておりまして、その中に政令指定都市の職員が百二十七人おりますので、合わせて一千二百四十四人という数字が今上がっておりますので、合計約二千六百人ということになろうと存じます。  ただ、その中で、今御指摘の保健師を含めて、具体的にどの、その二千六百人、どれが保健師でどれが医者かというところまでちょっと具体的な数字を持っておりませんので、今御要望のありました点、私も過日、小千谷それから長岡、いろいろ伺いましたけれども、私どもの伺ったところではいずれも、その職員かどうかは別にして、赤十字のマーク付けた明らかに医者とおぼしき人たちが何かずっとおりましたのでそこは何人か回っておられたと思いますので、今の最初に申し上げました数字と合わせて約二千六百ということになりますが、都道府県の職員というか、その政令都市の職員につきましては、最初に一千四百七十七はそのときはまだ要請しておりませんので、その次の段階にはその数字は除いて計算をしていただければと存じます。
  150. 吉川春子

    ○吉川春子君 いずれにいたしましても、総務大臣並びに厚生省に派遣の内容、実態をよくつかんでいただいた上、適切に今後とも人員を確保していただきますように強く要請したいと思います。  あわせて、総務大臣、今後、今年はこの地震の前に既に台風が十個も上陸いたしまして、私も長野県の台風の被害を見て回りましたけれども、本当に大きな事件が次々起きるので陰に隠れているんだけれども、また、一つ一つの台風の被害も物すごく大変で、膨大な財政支出が必要とされると思います、今後。  それに加えて今度の地震ですので、本当に財政支出がどうなるかということは重要問題ですけれども、時間もありませんので端的に伺いますけれども、今後、その特別交付税枠の拡大というのが避けて通れないのではないかと思いますが、そういう問題について是非、枠の拡大を含めて十分なる財政措置を取っていただきたいと思います。大臣、いかがでしょうか。
  151. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 御存じのように、これ、被害額の状況というのが確実に把握できませんと、特別交付税交付税だというようなものを含めまして、いわゆる地方債というもので賄うべき事業というのと、それともう一つは、炊き出しやら何やら含めまして、そういうのの一般財源で補うべき事業とを分けて考えにゃいかぬところではあるんですけれども、いずれにしても今現在幾らで幾らと明らかになっているわけではございませんので、それが分かり次第、特別交付税総額を増額する等々のことは必要があるという判断をすれば、させていただきたいと思っております。  ただいまの段階では、ちなみに、これまでいろいろ出していました交付税、これ以外、災害以外のところで平成十六年度の特別交付税総額は一兆百三十二億ということになっておりますので、そのほかに今申し上げたような点、新たに増額する必要があるような状況であれば対応させていただきたいと存じます。
  152. 吉川春子

    ○吉川春子君 是非、本当に緊急事態ですので、よろしくお願いしたいと思います。  続きまして、残りの時間が五分ちょっと、六分ぐらいなんですけれども三位一体改革と保育行政について、残された時間でお伺いをしたいと思います。  三位一体改革は、国庫負担金、補助金地方交付税削減し、しかし税源移譲は全く不十分という実情であると思います。このため、その地方自治体の本来の仕事である福祉、教育にしわ寄せが行っています。  厚生労働省は、一般財源化の保育の実施状況についてという調査報告を出されておりますけれども、これについて伺いたいと思います。  保育所の民営化とか新規職員の採用の抑制とか職員のパート化とか保育料引上げによって対応されているという資料をいただきましたけれども、今日は時間の関係で、保育料の状況についてだけ報告していただきたいと思います。皆さんのお手元にもこの厚生労働省の資料が配られています。どういうふうになっていますか。
  153. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 「公立保育所運営費一般財源化後の保育料の状況」の調査でございますが、今配付されました資料は本年九月に都道府県等を通じまして各市町村に対してアンケート調査を行った結果の一部でございます。  このアンケート調査の結果からは、保育料の引上げ又は引上げを予定している市町村平成十六年度におきましては二百五十四市町村、回答をいただいた市町村の九・一%に当たります。それから、平成十七年度におきましては、三百六十八市町村、回答市町村の一三・二%に当たりますが、これだけの市町村が存在しておりまして、このうち、五割弱の市町村が公立保育所の運営にかかわる配分予算の減少を保育料引上げの理由として回答をされているところでございます。
  154. 吉川春子

    ○吉川春子君 私は、比例区なんですけれども、埼玉出身ということでずっと市会議員のときから活動しているんですが、大宮、浦和、与野の三市が合併して政令指定市のさいたま市ができたわけですけれども、この合併は合併で大問題でして、サービスは低く負担は高くと、合併の結果、そうなったんですね。国保税の大幅負担などで住民は悲鳴を上げているんですけれども、保育料もまた大変なんです。さいたま市は、「子育てするならさいたま市」と、こういうスローガンを掲げているということですけれども、三人の子供を持つお母さんは、三人で保育料が十万円を超える、払えない、安心して子育てできる環境とはとても言えませんと悲鳴を上げているわけです。  総務大臣、お伺いいたしますけれども、今年度では、公立保育所運営費千六百六十一億円を中心に二千四百四十億円が一般財源化されましたが、その額は二千百九十八億円でしかありません。減らされた分だけきちんと補てんされていないというのが実情で、今厚生省からも報告がありましたように、一般財源化によって保育の分野では行政サービスの後退が起こっています。さらに、地方交付税においても、給与費四千億円の削減とか一般行政経費三年連続マイナスとか、臨時財政対策債二八・六%削減で、自治体が悲鳴を上げて、予算を組めないと、こういう状況に陥っています。  三位一体改革でこのように住民にしわ寄せが行っている、こういう現状についてどのようにお考えでしょうか。
  155. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 公立保育所の運営負担金の一般財源化ということなんだと思う、昨年の十二月の分だと思いますが、これは、国庫負担金の廃止相当分というものにつきましては所得譲与税と交付税によりましてこれは全額財源措置をされております。これ全額財源措置をされております、何度も申し上げますが。論理的には、一般財源化によりまして保育料の引上げとかサービスの低下というのは論理的には起こり難いということになっております、少なくとも総務省といたしましては。  したがいまして、保育料の引上げということに関しましては、これは地方自治体等々が受益者負担とかいろんな話で努力された結果なのかなと思って伺っておりましたけれども、少なくとも私どもとしては、国庫補助負担金の一般財源化をするということをやりましたときに、あたかもその事業自体をやめるとか何かの言うような話のような影響を与えていたところもあるのかもしれないとは思いますけれども、基本的に、法律的に、昨年十二月、決められたとおり、すべて全額そのとおり実施をいたしておりますので、十分な説明を更にしていかにゃいかぬのかなと思いながら拝聴させていただきました。
  156. 吉川春子

    ○吉川春子君 時間がなくなりました。  大臣が恐らくそんな答弁するんじゃないかなと思って、まず最初に厚生省に実情を報告していただきました。つまり、机上では起こり得ないことが実際には起こっていると、そしてそのしわ寄せによって子育ても非常に困難に陥っていると、こういう実情は厳然としてあるわけです。これ、私の調査ならともかく厚生省の調査ですからね。そういうことを踏まえて、三位一体改革が本当に住民にしわ寄せがいくものなんだと、こういうことはやめてもらいたいということを最後に申し上げまして、私は質問を終わります。
  157. 木村仁

    委員長木村仁君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時散会