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大門実紀史君 私は、今言われた農業
構造改革とか等々、今日ここは農水
委員会ではありませんので触れませんが、要するにそのまま今の
政府の農政だとそういうことに耐えられる
日本の農業を作れないんではないかというふうに懸念をしています。むしろ、今頑張っている農家の方々を、
日本の農業のいいところもあるわけですから、直接支援するようなことが求められているという点だけ、その点では
指摘しておきたいと思います。
もう一つ、私は思うんですけれども、アジアの方で
輸出するアジアのそれぞれの農業、途上国の農業が今どうなっているかということなんですけれども、本当にその国にとって今いい農業生産をやっているんだろうかと。この点もよくやっぱり考えておく必要があると思います。
例えば、大体途上国の農産物
輸出には、今いわゆるアグリビジネス、多国籍のアグリビジネス、例えば
日本の商社が行って物を作らせるとかメーカーが作らせるというアグリビジネスがかなり入り込んでおります。例えば
メキシコからの豚肉の
輸入の問題でも、
メキシコではもう豚肉の生産というのはアグリビジネスが大体やっていまして、大規模な。やっぱり大規模ですからいろんな安全衛生管理に心配が生まれています。感染症を防ぐためにワクチンの技術を
日本から技術援助しているとか、いろいろアグリビジネスそのものが
メキシコの豚肉でも問題になっているんです。
中国の
輸入野菜について言えば、去年、残留農薬が問題になりましたけれども、あれも、中国人が今作っている
日本向けの野菜というのは中国の人が食べない、ホウレンソウだとかゴボウなんというのは中国の人、食べません。
日本向けにアグリビジネスでやっているわけですね。あるいはタイなんかでもエビとかブロイラーの問題が、これが問題になってきましたけれども、環境破壊を起こしてマングローブの林を絶やしてしまったとか、あるいはえさの沈殿で海水汚染が拡大するとか、そういういろんな問題をアグリビジネスが環境破壊あるいは
食品の安全の問題で引き起こしています。それが実際には今途上国の農業生産の実態なんですね。
もう一つは、その途上国自身も自分たちの国の国民を養うために農業生産するよりも、そういう
輸出向けの農業生産に力を今入れていって、自分たちの食料よりも外貨を稼ぐ農業に今傾斜しているという
問題点があります。
ですから、例えば中国なんかで言えば、自分たちの人口を賄う食料生産をしなければいけないのに、
輸出の方の農業生産をやっていると。穀物は
輸入するようになってきていると。
東アジアでは今穀物の
輸入が物すごく増えているんですね。本来自分の国で生産できるものまで、そういうものは
輸入して、
日本とかそういうところにさっき言ったアグリビジネスが
輸出をしていると、こういう問題が生じています。
したがって、今の
東アジア、途上国の農業生産というのは、決して
東アジアの農家の方、国民の人にとって必ずしもいい生産をしているとは私はなかなか言えないのが実態だと。そういうところと
FTA、
EPA結んでいって、どうぞどうぞ
輸出してくれというのも、もう一ついろいろ考えなきゃいけないことが私はあるんではないかというふうに思います。
そういう点でいきますと、単に農産物を
輸入してほしいと言われて、そのレベルだけではなくて、もっと
日本の農民と、今始まっていますけれども、
向こうの農家の方と、それは地場の農家の方ですけれども、アグリじゃなくて地場の農家の方ですが、そういうところの交流を深めて、本当にお互いの農家がちゃんとやっていけるような、譲り合うところは譲り合ってやっていけるような、本当の農業の
輸出入の交流というものが今重要になっているというふうに思います。
今、おかしなことが進んでいるんです。工業製品を
輸出するのも多国籍企業、途上国から農産物を
輸入するのも多国籍のアグリビジネスと。国民不在といいますか、それぞれの農家の不在というような形で進んでいます。そういう点では、
WTOと違いまして、二国間のことですから、いろんなことを相談して、それぞれの当面の利益だけではなくて、将来のお互いの食料主権あるいは自給率の問題、こういうものをお互いでよく話し合って、その上で譲り合うところは譲り合うとか、そういうふうなことが、本当の農業でいえば、二国間の
協定であるべきだというふうに私は思います。
そういうふうにしていかない中で、とにかく工業製品で、
向こうが、アグリビジネスが言っている、
輸出したいと。これに乗っているようなことを繰り返していては、本当に今のグローバリゼーションというのはもっともっと問われておりますので、そういう中身のよく見たグローバリゼーションに対応していくことは必要だと。その中で、二国間
協定も考えていくべきだというふうに私は思っているんですが、
大臣の御見識を伺えればと思います。