○山本一太君
大臣もおっしゃったように、私も
北朝鮮政策は行け行けどんどんでいいとは思っておりませんで、
大臣が就任直後におっしゃった対話と圧力の両方がなきゃいけないと。こういう言い方をすると
大臣に対しては釈迦に説法というか僣越ですが、我々が目的とすることは核問題の解決と拉致問題の解決と。これを最も効率的に効果的に解決するためにどういう
政策を戦略的に取ったらいいのか、強く出たらいいのか、柔らかくいったらいいのか、そのバランスをどう取ったらいいのかという話だと思うんです。
外交というのは本当に難しいものであって、やっぱり後にならないと分からないところもあったりして、チェンバレンのあのヒットラーとの協定は、当時は何か戦争を避けたとかいって英雄扱いされたのが、今ではもう
歴史の汚点というか、正に宥和
政策の権化みたいないうふうに言われていて、そこはなかなか難しいところだと思うんですが、私は、
大臣、感情的にではなくて戦略的に
考えて、この今の
北朝鮮の反応等々を
考えた場合には、私は、その戦略の
一つとして圧力を、対話を閉じろとは言いません、強めるオプションもあるんではないかというふうに
考えております。
御存じかもしれませんが、前回の国会で
北朝鮮に対する
経済制裁法案というのをまとめました。私も
自民党の中でこの案を実は書いた一人です。五年前に実は同じ案を出して
外交部会までで力尽きたものですから、五年越しの懸案だったんですけれども、今回法律になりました。あくまでこれは
外務大臣あるいは
総理に対して
政策の選択肢をお渡しをするということであって、これは結局、
政府、
総理が最後は決断をするべき問題だとは思いますけれども、是非、
経済制裁の発動ということも念頭に置いていただきたいと思うんです。
大臣、御存じかもしれませんが、ああ、これ見せないんだ、失礼しました、理事会でやっていないんだ。
自民党の拉致対策本部の下に安倍本
部長を中心とする
経済制裁シミュレーションチームというのができて、今日はその一員の岡田さんもここにいるんですけれども、
経済制裁のプランといいますか、いろんな順列組合せを
考えてみました。これはもう
一つではないんで、百も二百通りもあるんですけれども、一応我々は五段階の、
一つのスタンダードのモデルとして
経済制裁の流れを作ったんですが、その中には警告的措置というのもあります。
つまり、船の法律、特定船舶入港禁止法案とか改正外為法を使って、お金とか物の流れを止める前の警告的措置、例えば
北朝鮮に送られる送金は今三千万円以上が、これが申告義務があるわけですけれども、これ下げるとか、携行するお金は百万円以上となっているんですけれども、これを下げるとか、こういう
政治的なメッセージですね、むしろ、相手の
経済にダメージを与えるというよりは。こういう方法もあるということは特に
政治家として
外務省をリードされている
町村外務大臣の心にはしっかり置いておいていただきたいということだけ申し上げておきたいと思います。
それから、ちょっと時間が余りなくなってきてしまったんですが、
一つどうしても今日は気になることがあって、
外務大臣に御意見を伺いたいと思って参りました。
先般の
協議の後、昨日だったと思いますけれども、朝鮮中央通信ですか、だったか労働新聞だったか、労働新聞か何かの社説だったんでしょうか、
北朝鮮側が、我々は、安否十名の不明者の方々のことを死亡者と呼んだんです、死亡者についての情報はできるだけ出したという話が報道されていたのを記憶しております。
北朝鮮側は今回の日朝
協議でも、この安否不明の十名の方々については、これは死亡したと、死亡しているんだと、二名については入ってきていないということを崩さなかったわけなんですが、どうも私が
考えるに、最近いろんなところでこの安否不明の十名の方々があたかももう一〇〇%亡くなっているかのような、そういうどうもムードがあって、これ
北朝鮮の戦略とは言いませんが、いろんなルートを使ってそのことを
日本側に刷り込んでいる気がします。
あらゆる可能性があるということはもちろんあるかもしれませんが、今、二回目、三回目の
協議を終えた時点で
北朝鮮から出てきている情報のこのいい加減さ、こういうものをもって、あたかもこの十名が亡くなっているかのような前提で
外交を進めるということは、これは当然あってはならないことだと。これは今の段階ではこの十名が生きているというそのスタンスを持って北側と
交渉をしていかなければいけないと思っておりますが、この点について、
政府の立場、
外務大臣のお
考えを聞きたいと思います。