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2004-12-13 第161回国会 参議院 イラク人道復興支援活動等及び武力攻撃事態等への対処に関する特別委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年十二月十三日(月曜日)    午後一時三分開会     ─────────────    委員異動  十二月十日     辞任         補欠選任      浅尾慶一郎君     藤末 健三君      岩本  司君     鈴木  寛君      榛葉賀津也君     白  眞勲君      福山 哲郎君     島田智哉子君      若林 秀樹君     那谷屋正義君  十二月十三日     辞任         補欠選任      松村 龍二君     吉田 博美君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         太田 豊秋君     理 事                 阿部 正俊君                 田村耕太郎君                 山内 俊夫君                 山本 一太君                 大塚 耕平君                 平野 達男君                 柳田  稔君                 荒木 清寛君     委 員                 有村 治子君                 大野つや子君                 岸  信夫君                 後藤 博子君                 坂本由紀子君                 田浦  直君                 田村 公平君                 中川 雅治君                 二之湯 智君                 長谷川憲正君                 松村 龍二君                 山崎  力君                 山本 順三君                 吉田 博美君                 犬塚 直史君                 尾立 源幸君                 大江 康弘君                 齋藤  勁君                 島田智哉子君                 主濱  了君                 鈴木  寛君                 富岡由紀夫君                 那谷屋正義君                 白  眞勲君                 広野ただし君                 藤末 健三君                 谷合 正明君                 遠山 清彦君                 緒方 靖夫君                 大田 昌秀君    国務大臣        外務大臣     町村 信孝君        国務大臣        (内閣官房長官) 細田 博之君        国務大臣        (防衛庁長官)  大野 功統君    内閣官房長官        内閣官房長官  山崎 正昭君    副大臣        防衛庁長官   今津  寛君        外務大臣    谷川 秀善君    事務局側        常任委員会専門        員        鴫谷  潤君        常任委員会専門        員        泊  秀行君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       増田 好平君        内閣府政策統括        官        武田 宗高君        防衛庁長官官房        長        北原 巖男君        防衛庁防衛局長  飯原 一樹君        防衛庁運用局長  大古 和雄君        防衛施設庁建設        部長       河野 孝義君        外務大臣官房審        議官       鶴岡 公二君        外務大臣官房審        議官       遠藤 善久君        外務省中東アフ        リカ局長     吉川 元偉君        外務省経済協力        局長       佐藤 重和君        外務省領事局長  鹿取 克章君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保  支援活動等並びに武力攻撃事態等への対処に関  する調査  (イラク人道復興支援特措法に基づく対応措置  に関する基本計画変更に関する件)     ─────────────
  2. 太田豊秋

    委員長太田豊秋君) ただいまからイラク人道復興支援活動等及び武力攻撃事態等への対処に関する特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十日、榛葉賀津也君若林秀樹君、福山哲郎君、浅尾慶一郎君及び岩本司君が委員辞任され、その補欠として白眞勲君、那谷屋正義君、島田智哉子君、藤末健三君及び鈴木寛君がそれぞれ選任されました。     ─────────────
  3. 太田豊秋

    委員長太田豊秋君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動等並びに武力攻撃事態等への対処に関する調査のため、閉会中必要に応じ政府参考人出席を求めることとし、その手続については、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 太田豊秋

    委員長太田豊秋君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  5. 太田豊秋

    委員長太田豊秋君) イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動等並びに武力攻撃事態等への対処に関する調査のうち、イラク人道復興支援特措法に基づく対応措置に関する基本計画変更に関する件を議題といたします。  まず、政府から報告を聴取いたします。細田内閣官房長官
  6. 細田博之

    国務大臣細田博之君) イラク人道復興支援特措法に基づく対応措置に関する基本計画変更について御報告申し上げます。  イラク復興と民生の安定を図ることは、中東地域のみならず、我が国を含む国際社会全体の平和と安全の観点から重要であります。多くの国がイラク国家再建支援している中で、我が国は参加しないということでは国際社会信頼を得ることはできません。  イラクにおいては、明年一月三十日に予定されている国民議会選挙実施及びそれに伴うイラク移行政府の成立、八月十五日までの憲法草案の起草及び十月十五日までのこれについての国民投票実施、十二月十五日までの新憲法に基づく国民議会選挙実施、十二月三十一日までの新政府発足といった政治プロセスが予定されています。  これらのプロセスを円滑に進展させるために、現在約三十か国が多国籍軍の中でそれぞれの選択に従って様々な支援を行っており、我が国としても、我が国にふさわしい分野において引き続きイラク復興に積極的に貢献していくことが重要です。  陸上自衛隊部隊は、サマーワでの厳しい生活環境にもかかわらず、高い規律と士気を保ち、給水学校道路等公共施設復旧整備医療といった人道復興支援活動を行ってまいりました。これまでに、給水については四万トン以上の水を提供しました。公共施設復旧整備については、約二十か所の学校道路補修等が既に完了し、更に現在約二十か所において引き続き作業を実施しております。医療については、四か所の病院において医療技術指導を行っています。また、人道復興関連物資等輸送及び陸上自衛隊現地での活動支援する等のため、航空自衛隊部隊物資輸送を行っており、その回数は延べ約百回、輸送物資重量は総計約百九十トンに達しました。  こうした自衛隊活動に対しては、イラクアラウィー首相ズィーバリー外相ハッサーニ・ムサンナー県知事等、そしてまた現地サマワ一般市民からも、感謝の意とともに、自衛隊活動の継続を望む期待の声が寄せられていたところであります。イラク復興は道半ばであり、ムサンナー県でも様々な復興支援需要が依然として存在する中、自衛隊による人的支援政府開発援助ODAによる資金協力とを車の両輪として、イラク再建協力していくことが引き続き強く求められています。  ムサンナー県の治安情勢は、引き続き予断を許さないものでありますが、イラクのほかの地域と比べれば比較的安定していると認識しております。これまでに自衛隊宿営地内外に対する砲撃事案が八件発生しておりますが、我が国が独自に収集した情報や諸外国から得た情報等を総合的に勘案して判断すれば、イラク人道復興支援特措法の求める非戦闘地域の要件を満たしていると認識しております。  自衛隊活動に当たっては、最新の治安情勢を常時把握するための情報収集徹底各種監視装置を活用した宿営地周辺の警戒及び監視強化宿営地内にある施設防護措置強化宿営地外における部隊活動時の警備の徹底等措置を講じているところであり、今後とも部隊安全確保に万全を期していきます。  こうしたイラク復興状況現地治安情勢等を総合的に検討した結果、九日の臨時閣議において基本計画変更を行ったところであります。  派遣期間につきましては、計画的に復興支援を行い、実効的な成果を上げるために、ある程度まとまった期間を取ることとし、平成十七年十二月十四日までの一年間の延長としました。  また、派遣期間内の大きな情勢の変化や活動目的達成状況に対して臨機応変かつ適切な対応を行うとの趣旨を、基本計画上より一層明確にいたしました。  イラク人道復興支援特措法に基づく対応措置実施は、我が国世界の他の多くの国とともに中東地域及び世界の平和と安定に寄与しようとする取組を具体的に実践するものです。これは、日米同盟国際協調に立脚するという我が国の国益にかなうものです。引き続き、政府としては、基本計画に定められた対応措置を、安全の確保に十分配意し、配慮しつつ、円滑かつ適切に実施していくため、全力で取り組む所存であります。このような今回の閣議決定につきまして、委員各位の御理解、御協力お願い申し上げます。  引き続いてよろしゅうございますか。  それでは次に、十一月二十六日に小泉総理大臣より言及のあったイラク特措法上の派遣期間に関する統一見解について取りまとめましたので、御報告いたします。  なお、文中、現在の基本計画では、派遣期間平成十六年十二月十四日までとありますが、これは、この統一見解派遣期間延長決定する前に作成され、理事会報告されたことによるものであり、現在の派遣期間平成十七年十二月十四日までであることをあらかじめお含みおき願います。  それでは読み上げさせていただきます。  イラク特措法上の派遣期間について。  イラク特措法上の対応措置外国領域実施する自衛隊部隊等の、中略しまして、派遣期間とは、イラク特措法第四条第二項において基本計画に定める事項とされているものであり、外国領域対応措置イラク特措法に基づく人道復興支援活動又は安全確保支援活動)を実施する期間をいう。  現在の基本計画では、派遣期間平成十六年十二月十四日までとされているが、これは、派遣されている自衛隊部隊が十二月十四日まで対応措置実施することを定めたものであり、同日までに当該部隊日本に戻らなければならないとしたものではない。  したがって、対応措置を終了して撤収することとなる際には、宿営地原状回復を行うことや使用していた器材を相手国等供与することなどが考えられるが、これらを含めて全ての対応措置当該派遣期間内に実施しなければならないと考えている。  以上でございます。
  7. 太田豊秋

    委員長太田豊秋君) 以上で報告の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 大江康弘

    大江康弘君 委員長、どうもありがとうございます。民主党・新緑風会の大江康弘でございます。  今日は、ありがとうございます、今日は大変残念なのは、総理が、いつでも国会で呼んでくれたら、どこへでもいつだって行って自分思い考えを述べるということをかねがね言われておったんですけれども官房長官のお隣に総理が座っておられないということは誠に残念であるということを申し上げておきたいと思います。  私は、やはりこの三年余りに及ぶ小泉政権のずっと流れを見ておりますと、まあ大変これでいいのかなという思いが強くいたします。  実は、私は家庭教育が大変良かったもんですから、しかも何事も原体験というのが大事でありまして、私の政治原体験は、参議院議員で亡くなりました玉置和郎先生の秘書がスタートでありました。それと、私のこの康弘という名前は、五十一年前に中曽根総理からいただいた名前でありまして、当時、早川崇先生、もう亡くなられましたが、を通じていただいた名前であります。まあ、親が過大な期待を持つところに生まれますと子は大変でありまして、私にとりましての三位一体は、家庭教育、そして政治原体験である玉置先生の下での勉強、そして中曽根総理からいただいた康弘というこの名前、これを私は自分三位一体と呼んでおりますけれども。  こういう環境で育ってきたわけでありますから、まあそんなに私は世の中をはすかいに見たり斜めに見たりということはないわけですけれども、どうも昨今というよりもこの三年余り小泉総理のいろんな大事な場面においての決断というものに対してはもう大変危惧を覚えます。  今官房長官派遣延長に際して読まれたこの法案でありますけれども、どうもこの十二月十四日を控えておって、どうも十二月前後からざわざわざわざわされておったふりをされておりましたけれども、今の文章を見るに当たっては、どうも半年ぐらい前から作っておったんじゃないかなと、そんなことも感じざるを得ません。  少し、この機会でありますから、私は、このイラク特措法の前に、ちょっと町村大臣に初めてでありますからお尋ねをさせていただきたいと思いますけれども、この間、外務省の方は、いわゆる台湾からのノービザの問題で、来年の三月の下旬に愛知万博が行われる、そこを一つのスタートにして取りあえず愛知万博期間の中でノービザをということ、どこかのマスコミで、新聞等でありましたが、ありましたか、大臣はこれを恒久的にやっていきたいということを言われたとかいうふうに見たわけですけれども、このお考えには変わりないですか。
  9. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 愛知万博、何とかいろいろな方法で成功させたいと政府を挙げて今取り組んでいるところでございます。  その一環として、この万博期間中における台湾ビザ免除実施すると、こういう方向で今具体的な方法検討を進めております。そして、その実施状況が問題がないということであるならば、さらにまた恒常的な短期滞在査証免除がどういう形でできるか検討をしたいと、かように思っております。
  10. 大江康弘

    大江康弘君 ありがとうございます。  国土交通省は先頭になって、このビジット・ジャパン、いわゆる一千万人の日本への訪日客を目指しておりますけれども、私はやはり、韓国に続いて二番目に、いろんな政治事情があるかも分かりませんけれども、やはり二番目に日本に来てくれておるこの台湾、また今日までの日本との関係考えたときに、私は、やはり大きな立場でこの件につきましてはもっと早い時期にひとつ恒久法ということで決定をしていただきたいということをお願いをしておきます。  もう一点、中国へのODAでありますが、私は二十八年、台湾との信頼関係自分なりにつないできた一人であります。まあいろいろ日本は、いろんな立場もありましょうが、後ほどこの同盟関係のところでちょっと聞きたいと思いますけれども、どうも昨今の中国我が国に対してのいろんな挑発だ、あるいは靖国の問題だ、いろんな教科書の問題だ等、特に潜水艦領海侵犯をしてまだその舌の根も乾かないうちにもう既にまた我が国のEEZに二度も海洋船派遣してくるという、もう本当に、これほど挑発をされてもやっぱり日本というのは何も物が言えないんだということを分かっていてやられておるという、これもまた腹が立つ思いでありますけれども、私はやはり有人宇宙飛行を実験をしたり、あるいは軍事力にしても、私は余り中国の数字というのは信頼をしておらないわけでありますけれども、一説にはもう七兆円、八兆円というこの軍事費を毎年使っておるという。  今、日本外務省言い訳は、チャイナスクールを中心に言い訳をしておるのは、沿海部内陸部との格差が非常に大きいからまだまだ日本はというような、こんなばかげた理屈でその正当化をしようとされておるようでありますけれども内陸部沿海部のこの発展の違い、あるいはそれぞれのその住む国民格差の違いというのはこれは相手国のこれ国内問題でありまして、何も日本がそこまで、それじゃ内陸部がまだまだだから日本がやってやらないかぬな、片っ方で、いろんなところにこのお金を使っておって、あるいはまたいろんな国に援助をしておってという、私はどうも中国のこのやり方というのが理解に苦しむわけですけれども大臣、このODAに関しては中国に対して今後どういうような方向にされていくのか、ちょっとお聞かせください。
  11. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 対中ODAにつきましては、先般、参議院の本会議においても御質問をいただきましてそのときお答えをした記憶がございますけれども委員御指摘のように、中国の国内的ないろいろばらつきがあっても全体としては大変な経済発展が進んでいるという中で、日本としていつまでもODA供与を続けていくということにはこれはならないんだろうなと、こう思っております。  ただ、一般的な基準でいいましても、これは例えば世銀の基準といったようなものもございまして、一人当たりの国民総所得が二千、ああ、ごめんなさい、千四百十五ドルを超えると無償資金対象にならないとか、あるいは二千九百三十五ドルを、六ドルを超えると有償資金協力対象も絞られてくるとか、そういった一般的な国際基準もあります。その点でいくと、中国は、現在千百ドルということでありますから、一応対象にはなり得る国であるということが言えるわけでございます。  ただ、大変な発展を遂げておるし、また中国自身がいろいろな国に援助を現に提供しているといったような問題等々を考えたときに、ちょうど日本は二〇〇一年に対中援助方針国別援助方針というのを今決めておりまして、中国の場合は二〇〇一年にこれを決めて、それに基づいて今、毎年実施をしてきておりますので、大体これは四、五年に一回は国別援助方針を見直すということになっておりますので、早ければ来年ぐらいには、どういう形で今後援助をやっていくのか、これは相手もありますから相談をしながらではありますけれども、基本的な方向感覚はもう既に一千億円を下回るという状況、かつては二千億円を超えているということで、急激に減少を既にさせてきているわけでございますが、今後どういう形でソフトランディングをしていくのかということを考えながら進めていきたいと、かように考えております。
  12. 大江康弘

    大江康弘君 これは今大臣ODAの規定に基づいていろいろ言われましたけれども、私は、中国にもうこれ有償無償で約六兆円行っているわけですね、もう二十五年余ります。  それだけに、戦後、あの大戦が終わった後言われていたことは、中国が当時約五百億ドル、米ドルですね、これのいわゆる賠償金額ですか、これを当時は求めておったというようなことを実は巷間するわけですけれども、そうであるならば、もう五百億ドルというのは、今円が少し高くなってきておりますけれども、百二十円換算すれば約六兆円、もう向こうが言われるようなこの賠償金額に相当するようなものはもうこれ日本がやっておるわけですね。  それだけに、我が国としてはそういうつもりではないこのODAでありますけれども向こうにしてみれば、何か賠償だみたいなことを、胡錦濤さんか温家宝さんか知りませんが、そんなことを言われたというんですけれども、それはどういうふうにとらえておるんですか。
  13. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) これは、日中間請求権の問題と申しますのは、一九七二年に日中共同声明が出されておりまして、委員承知のとおり、この請求権問題というのはそれ以降存在をしていないということでございまして、その点は、正に共同声明ですから、中国側もそういう認識であるということでございます。  小泉総理温家宝総理との間で先般ラオスで話合いが行われ、このODA問題が議論されたのは事実でございますけれども中国側の方から、温家宝総理の方から対中ODA戦争賠償の代わりだから供与を続けるべしと、こういう認識議論をされたということではないと私ども理解をいたしております。ただ、議論の中でそういう発言があったことは、そういう発言というのは日中間の大局の重要性を強調するに当たって、中国がかつて戦争賠償を要求しなかったという発言があった、それは事実でございますけれども、しかし今の対中ODA賠償の肩代わりであるということを温家宝総理が言ったわけではないということでございます。
  14. 大江康弘

    大江康弘君 もう今日は、これは本来のあれではありませんからもうこれにとどめておきますけれども、私は、町村大臣の一連の発言や言動を聞いておりますとまあ少しは期待を持てるかなという部分がありますから、どうかひとつそこは信念を持ってやっていただけたらと、まあこんなふうにお願いをしておきます。  それでは、本題のこのイラク特措法に入らせていただきたいと思いますが、官房長官、今日は総理はどこへ行かれているんですか。
  15. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 通常どおり公務等をやっております。
  16. 大江康弘

    大江康弘君 まあ日本がこの軍隊と呼んでもいいこの自衛隊を海外に派遣決定をするという大変重い政治決断をして、あれからもう一年たって、そしてまたそれを延長しようという、大事なこの延長を決められた、それを受けての初めてのこの国会の場でそれ以上の公務って、これあるんですか。
  17. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 与党と野党の間でも御協議がなされたようでございまして、延長に際しましては党首会談野党党首の方々と行うということでお話合いをされたというふうにも承っておりますが、まあそういう国会の御指示で参っておるわけでございます。
  18. 大江康弘

    大江康弘君 まあそういう、国会がそういうことを指示したということは恐らくないと思いますし、まあただ、党首会談をされたということでありますけれども、これはもう既に既定路線として決まったことをこうだという、これは会談じゃなくて報告ですよね。ですから、そういうことが非常にもう残念なんです、私は。これ、なぜそれだけの、例えば私ども民主党岡田代表も、しっかりとどうしたらいいかということをこれはもうかねがね考えております。そういう中で、他の野党のそれぞれの代表党首の皆さんもそうだと思うんですけれども、なぜそういう同じ、お互いが国内にあって、この大事な決定というものに対して野党意見を求めることができなかったのか。どうですか。
  19. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 政府としてはこの意思決定を重く考えておりまして、いろいろなことを熟慮を重ねた上で小泉総理決断をしたわけでございます。各党において各党の御意見があるということもよく承知をしているわけでございますが、政府としてもそのようなことを熟慮の上、決断をいたしましたので、御理解をいただきたいと思います。  岡田党首も今たまたまお見えでございますが、衆議院においてもそのようなおしかりをいただいたところでございます。
  20. 大江康弘

    大江康弘君 おしかりというか、これはおしかりで済まないと思うんですね、これ、いわゆる中身が中身でありますから。  私は、やはり日本がどういう形で自衛隊が、もう戦後六十年近くたって、やはり政府の皆さんがかねがね言われておるように、やはりふさわしいこの日本の取るべき態度、これは私はもう本当に同感なんです。賛成なんです。しかし、そういう中で一番やはり重い決断をされて、私はやはり今の自衛隊というのはあのような形でずっと置き続けていいのかどうか、これはまた後ほど聞きますけれども。  それじゃ、派遣延長のこの判断はいつどの時点でされたんですか。
  21. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 決定をいたしますぎりぎりのところでいたしました。
  22. 大江康弘

    大江康弘君 これまあ、十月三日に国会が終わったんですね。結局、政府はその国会の中で、その臨時国会中にもうこういう議論はしたくなかった。その中で、国会が終わって、大野長官が慌てふためいてイラクに飛ばれたり、行かれたことは私は評価します。また、与党の幹事長お二人が行かれたりという一つのつじつま合わせというか、果たしてどれだけの国民がその行動に対して理解を示したか。これ世論を、新聞の世論調査を見ておりますと評価してないわけですね。  それだけに、私はやはり、まずこの一年間どういう活動をしてきたのか、そういう反省点をしっかりと見いだして、そして、何が足りなかったのか、足らざる点は何なのかと。やっぱりこういうことを私はしっかりと国会の場で議論をしてから決定をするというのが、これ手順じゃなかったかと思うんですが、この点はどういうふうにこの一年間を総括して判断をされたんですか。
  23. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 一年前から様々な議論が行われてまいりましたし、特措法の問題でも議論が行われたわけでございます。  一年間を振り返りますと、サマワに派遣をして、いろいろな御心配もあったし、国民の御意見もありましたけれども、サマワという地を中心に、地を中心に非常に地道な、言わば一隅を照らすような形での自衛隊復興人道支援活動等をやってまいりまして、まだ幸い全くけが人もなく、例えば銃撃のようなことをやり合うような事態もなく一年ちょうど経過しましたことをほっといたしておりますとともに、今後とも今の環境の下で何とか今の活動を継続していくことが我が国の道であろうという決断をしたわけでございます。
  24. 大江康弘

    大江康弘君 そうしたら、今国民の過半数が、この今の現状の中でイラク自衛隊がとどまることには反対だと、そして帰ってくることを望んでおるという、これは一体どういう理由だと思います。
  25. 細田博之

    国務大臣細田博之君) いろいろな思いがあると思います。  今帰ってこないとけが人等が出るのではないかという御心配をされる方もいらっしゃいますし、あるいは、そもそも派遣に反対という方もいらっしゃると思います。
  26. 大江康弘

    大江康弘君 いろいろな思いというか、結局、政府がこの自衛隊を一年前に送るに当たって、結局何でもそうですけれども、いろんな枝葉の法律を作ってきて、まあブッシュさんがああいう決断をした。  私は日米同盟が大事だと思います。これはうちの党内でもいろんな議論があると思いますけれども、しかし日米同盟というのは、我々日本の国として、あるいは国民として今以上の覚悟ができないというんであれば、これもうアメリカに頼らざるを得ない。これは、私はそういう立場に立つ人間であります。それだけに、中国にごたごたごたごた言われて中国の属国になるんだったら、私はアメリカの五十二番目の州になればいい。五十一番目は私はイスラエルかなと、そんな気をするわけでありますけれども。  しかし、私はやっぱりその覚悟を求める、政治がやっぱり国民にしっかりとその決断を求めるという、やはり我々政治家がそれを避けてきた。しかし、九・一一の同時多発のあのテロ以降、まあ我々にとって逆説的に北朝鮮が有り難いのは、あれだけばかなことをがんがんしてくるから、やっぱり国民もこれじゃいかぬなという、やっぱりそういう意識になってきた。我々、残念かな日本国民というのは、何か事が起こらなければ前に進まないという、こんないつの間にか民族になってしまった。そこに大義名分を求める。  だから、私は今がチャンスだ。日本の国の形をどう作るのか、日本の国家を当たり前の世界の常識にどう近づけていくのかというのは、私はやはりあの二〇〇一年の九月の十一日以降、これは、我が国にとっては本当に戦後六十年近いそういういろんなことを置き去りにきたもののやっぱり、そこで一度やっぱり決算をするというこの今の大事な時期であったにもかかわらず、総理はそういう議論やしっかりしたこの討論を避けて、いろんな、幹の部分をしっかりとせずに、枝葉の法案を作って自衛隊をこういう形で出してきた。  大野長官イラク行かれて何を感じてきたんですか。
  27. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 感覚的、感じということで申し上げたいと思います。  その一つは、自衛官の諸君が実に厳しい環境の中で規律正しく真心込めて人道復興支援活動をやっていた、このことでございます。  それからもう一つは、私も外へ出て町並み拝見いたしましたけれども、子供たちが我々が通る車を見ますと手を振って歓迎してくれる、大人の方々もお仕事の手を休めて応援してくれている、そこに正に自衛隊とサマワの人々との間に心の触れ合いができたんじゃないかな、こんな気がいたしました。  感想というと、まだありますけれども、簡単に言いますと、その二点でございます。
  28. 大江康弘

    大江康弘君 どうも私が言葉足らずだったんで、感想というのは、それはやっぱり一年もあれだけの暑い、あるいはいろんな過酷な環境の中で自衛隊の皆さん頑張ってくれたら、それはやっぱり子供たちも手も振る、手を振るし、それはやはり笑顔も見せてくれますよ。そういうことではなくて、帰ってきて長官総理に何を助言をされたのか、どういうやっぱり総理に対して延長しなきゃいかぬのだという長官自身が現場を見て感じたこと、このことを私は聞いておるわけでありまして、ちょっとお答えください。
  29. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 御質問を取り違えて失礼いたしました。  第一に、やはり自衛隊の皆さんが安全に仕事ができる、活動ができる安全確保義務でございます。この安全確保義務というのは総理大臣並びに防衛庁長官に課せられた責務でございます。そういう意味で、安全確保状況宿営地内でしっかり見ました。また、宿営地外活動するときには防弾チョッキ等を着て、ヘルメットをかぶってやっている。さらに、その前には情報をきちっと取りながら頑張っている。そういうことを、事実を、安全確保の事実を報告いたしました。  次に、治安の問題でございます。  治安の問題につきましては、実は私、スケジュール等の関係がありまして、ハッサーニ知事に宿営地にお越しをいただいて、私の方からもその辺はおわびを申し上げているわけでありますが、ハッサーニ知事は開口一番、やはりあなたに私の事務所へ来てもらいたかった、そして、私は、来て、あなたが私の事務所へ来てくれたならば、直ちにこの町並みを案内してあげよう、ユーフラテス川のほとりの散歩道を夜十時まで御案内するよ、それはもう警護官なしに、警護官もSPもなしに、なくて案内してあげる、何にも起こらないということを証明したいと、こんなことを言っておりました。治安の問題、いろんな角度から御説明してもよろしいんですが、彼はそういうようなことで治安の、治安は以前、以前よりは良くなっているんだとまで言っておりました。  それから、現地のニーズ、したがいまして、治安につきましては総理報告いたしましたのは、予断は許さないけれども、(発言する者あり)はい、予断は許さないけれども安定しているということを報告いたしました。  それから、現地のニーズでございます。現地のニーズにつきましては、水は着地点が見え始めているけれども、ほかのことにつきましては、実に自衛隊の仕事は丁寧であり、かつニーズは大きい。このことはムサンナ県知事も、この仕事をやってくれ、ただニーズとしてはもう少し電力等を含めてインフラをやってもらいたいな、雇用が一番大きな問題であるというようなことも言っていたということを報告いたしました。  細かいところ飛ばしまして、以上、現地のニーズ、治安、それから安全確保義務の問題、そして自衛隊の皆様の活動ぶりを報告させていただきました。
  30. 大江康弘

    大江康弘君 私、長官に、もういつもテレビを見たりこうして答弁を聞いたり、一つだけ気になることがあるんです。自衛隊の皆様、これ、僕、長官の御性格が出て非常にいいと思うんですけれども、やはり戦う軍隊の最高司令官ですから、私はやっぱり、小学校の先生が生徒に、生徒の皆様なんて、これ言わぬと思うんですね。やっぱりそこは、自衛隊の諸君あるいは隊員の諸君、こういうやっぱり私は気構えで自衛隊を見てやられていただかないと、後でまたシビリアンコントロールのところで聞きますけれども、私やっぱりそういうその、まあこれ性格、長官いいんでしょうね、御性格が。しかし、その優しさと今の与えられておるこの職責とのあれは、やっぱりこれチャンネル切り替えていただかないと、これはまあ私だけの感性で、かなと思うんであれですけれども、そのことだけちょっと一つ要望だけしておきます。  ちょっとこの順序を変えます。  今は非常に治安が安全だということを言われた、夜散歩という、それはそれで結構なことだと思いますが。ちょっと長官、ちょっとこれ勉強したいと思うんです。これどこの旗だと思います、国旗。(資料提示)
  31. 太田豊秋

    委員長太田豊秋君) どなたにですか。
  32. 大江康弘

    大江康弘君 長官です、長官委員長
  33. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 私は旗、余りよく分かりませんが、フランスではないかと思っております。
  34. 大江康弘

    大江康弘君 正解ですね。  そうしたら、これは。これはね、これはルーマニアなんですね、ルーマニア。これもまあ七百四十名ほど派遣しておる国なんですね。  そうしたら、もう一個、これはどこですか。
  35. 大野功統

    国務大臣大野功統君) まず、テストされているようでございますが、オランダかなと思いますけれども
  36. 大江康弘

    大江康弘君 まあ正解なんですけれども、その「かな」の部分を入れれば五十点ですね。  もうちょっと、自分の国の自衛隊を守っていただいておるオランダ軍の国旗ですからね、オランダかなというのは、これは僕は、やはりそういうことは、自衛隊を守っていただいておるから、これ、皆さん方が、あそこが非戦闘地域で、この特措法があって、我々は出しておることには間違いないんだと胸を張って言われておるんですから、もう少しやっぱり隊員の命を守っていただいておる相手国の国旗はしっかりと覚えておいてください。  外務大臣、これは知っていましたか、この旗。いえ、答えなくていいんですよ。あの感じではどうも知らなかったかなと。先ほど国旗の本をめぐっていろいろされておりました。  そこで、これ長官、そうしたら三月、一説には、もう完了すれば五月、六月だということですけれども、結局オランダ軍がいなくなった後というのはどうするんですか。
  37. 大野功統

    国務大臣大野功統君) まず、オランダ軍がいなくなった後の問題でございます。  治安、安全というのは大変大事な問題でありますから、せんだって、私アメリカへ行きましてラムズフェルド国防長官会談をした折にもその問題は議論させていただきました。ラムズフェルド長官も、治安は大切な問題であるから必ず関係各国と話し合う、こういうことを言っておりました。  また、最近でございますが、基本計画延長された後であります。イギリスの方からも、イギリスが南東部の責任者であることは御存じのとおりでありますけれども、これは関係各国ときちっと話し合って決めていくことを責任を持って保証する、このような趣旨の発言がございました。  また、オランダのサマワ駐在の司令官との話合いでは、オランダ軍が撤退するのは、やはりこの治安の問題については、現地の治安機関が育っていくからというふうに見ていると、こういうお話もございました。  ただ、自分自身で、自分自身で、つまり自衛隊の諸兄、諸官がですね、これはきちっと情報も取りながら自分自身の安全も守っていかなきゃいけない、そしてまた宿営地等の安全確保もやっていかなきゃいけない。日本自身の努力もやっていくつもりでございます。
  38. 大江康弘

    大江康弘君 六百人は現状維持だといいますけれども、それで十分なんですか。
  39. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 現在は、あらゆる角度から検討いたしまして六百人ということを決めさせていただいております。十分とは言えないかもしれない、しかし、治安それから仕事、あらゆる面から考えて六百人が適正な規模であると、このように判断しております。
  40. 大江康弘

    大江康弘君 ちょっと派遣期間に関して、先ほど官房長官からの説明があったんですけれども、そしたら結局、あの当時、総理自体は、結局日本に帰ってくるまではということで、我が党の若林議員とのいろんな意見のそれぞれ開陳があって、そしてこの十二月の一日ですか、二日ですか、この政府統一見解が出てきた。しかし、あの時点では、私はやはり総理がそしたら間違った解釈をしておったということになると思うんですが、それは間違いないですね。
  41. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 議事録を精査いたしました。そして、十一月二十六日の小泉総理の回答、お答えをもう一度申しますと、「それは、自衛隊活動期間というのは撤収する間も活動期間なんです。そのことを申し上げているんです。だから、帰ってくるまでとは言っていないんです。撤収するまでも活動期間なんですということを申し上げているんです。だから帰ってくるまでの間まで、期間とは違うということを言っているんです。」ということを言っておりますので、私どもはそういうふうに今先ほど解釈しましたので、矛盾してないというふうに考えております。
  42. 大江康弘

    大江康弘君 同じような、この自衛隊を外に出す法律でテロ特措法があるんですね。このテロ特措法で、平成十三年にいわゆる救援物資をパキスタンに輸送しておるんです。このときに掃海母船の「うらが」が派遣されたんですけれども、このときに当時の中谷防衛庁長官は、日本に帰還することが可能であるという観点で派遣期間を定めたと。だから、当初は基本計画上が平成十三年の十一月の二十日から同年の十二月の三十一日までだったのが、いわゆる実際の出国あるいは帰ってきた日というのは、十三年の十一月の二十五日から、帰ってきた日は十二月の三十一日だったという。  そうしたら、同じこのテロ特措法あるいはイラク特措法という、この自衛隊を海外に出していくというこういう法律に、中身で派遣期間というものがこんなに違っていいんですか、これ。
  43. 細田博之

    国務大臣細田博之君) その点も併せて閣内でもすり合わせております。そして、当時、確かに十二月、平成十三年の十二月三十一日に日本に帰港して任務を終了していることは事実でございます。ただ、このテロ特措法の解釈においても同様に考えるという考え方でございます。
  44. 大江康弘

    大江康弘君 同様って、ちょっとどうも分からぬですね。要するに、そうしたら、中谷前の防衛庁長官がそういう観点でと言われたことは、あれは間違っておったということですね。そしてテロ特措法も、いわゆる今回出された政府統一見解派遣期間は同一にするということですね。ちょっと確認さしてください。
  45. 細田博之

    国務大臣細田博之君) そのとおりでございます。  間違いであったかどうかというのはちょっと当時の議事録、中谷国務大臣の答弁については議事録は一応調べてはおりますが、解釈として今統一したところでございます。
  46. 大江康弘

    大江康弘君 私は違っておったということを責めるつもりはないんです。要するに、そういう新しく出た統一見解でテロ特の方もそろえるということを今確認をさしていただきました。  そこで、官房長官、私はやっぱり、日本が一番起こってつらい私は結果というのは、例えばこのまま出し続ける、そして皆さん方が、いわゆるあそこが、非戦闘地域が例えば戦闘地域になった、その時点では当然これ自衛隊が帰ってくるんですね。私、やっぱりそういう、その時点で帰るということ自体が世界信頼薄らぐんじゃないか、日本信頼世界から失うんじゃないかという、私はやっぱりそういうことを思うんです。  だから、やはり今皆さんがそれほど安全だ、大丈夫なんだと言うんだったら、やっぱりいったん今帰らして、そして現地がいろいろというよりも、私はやっぱりこの自衛隊を出した国内、我々の側に問題があるんじゃないか。いつまでこういう解釈の問題、いつまでこういう一つのいろんな枝葉の問題でこういう出し方をしていってつじつまを無理に合わせていこうとするのかという、私はそれが非常に残念なんです。そう思いませんか。
  47. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 引き続き派遣をするという重い決断をしたわけでございますので、それについての様々な思いとか、本当に丸々一年間大丈夫かという思いはあって、様々な御意見をいただいているわけでございますが、私は歴史的に見ると、私も議員になったばかりでございましたけれども、あの湾岸戦争のときに、日本もいろんな制約があり、百何十億ドルというお金を出して、それで全く平和の維持とかその他の活動についても派遣しないということで約十何年たったわけでございますけれども、あのとき以来いろいろな議論があって、やっぱり日本自衛隊も貢献をしようという決断があっての話でございますので、それはそれで評価をいただきたいと思うんですが、ただ、今の時点でどう判断するかという点について、判断が分かれていることは事実でございますけれども、今のところの判断を総合すれば大丈夫であると、またそれが国際的な信頼関係や、あのイラクという大変な今復興の必要な国に対して我が国が貢献する道でもあると思っておるわけでございます。
  48. 大江康弘

    大江康弘君 ちょっと今日はあといろいろ聞きたかったんですが、もう時間が参りました。文科省に来ていただいたこのITERの問題、これは外務大臣、私は同盟の在り方を聞きたかったんですが、これ、せっかく来ていただいたので、申し訳ございませんがまた次回に譲りたいと思いますけれども。  いずれにしても、官房長官、最後に一言。これ、いわゆる政府が言う非戦闘地域から戦闘地域になって我が自衛隊がのこのこ日本へ帰らなければいけないような状態をかいま見るというようなこと、これは起きなければいいわけですけれども、そういうことにやっぱりなるということは望みませんが、やっぱりしっかりと、やっぱりあそこで、現地自衛隊活動してもらうということに関して、もう一度この法律をしっかりと見直してやるという、この意思はありませんか。
  49. 細田博之

    国務大臣細田博之君) ちょっと御趣旨がはっきりしなかった面がございますが、しかし我が国自衛隊の安全というものも大切でございますので、しかもイラクという国が様々な変化というものは可能性がありますので、柔軟に対応するということも大変大切なことでありますので、ある基準を決めても、頑張るということも大事でございますが、比較的柔軟に対応するという考えを持っております。
  50. 大江康弘

    大江康弘君 ありがとうございました。
  51. 主濱了

    ○主濱了君 民主党・新緑風会の主濱了でございます。  七月に初当選をさせていただきました。本委員会では初めての質問でございます。質問の重複等いろいろあると思いますが、よろしく御対応お願いいたします。  過日、イラク人道復興支援特措法に基づく対応措置に関する基本計画変更について閣議決定がなされましたが、イラクでは依然として戦闘が続いています。香田証生さん始め日本人も亡くなられております。まずもって、亡くなられました皆様の御冥福をお祈り申し上げたいと思います。また、被災された皆様にお見舞いを申し上げたいと思います。  このたび、閣議決定に先立ちまして、大野功統防衛庁長官におかれましてはサマワを五時間三十分にわたって視察をされたということ、誠に御苦労さまでございます。  また、イラク人道復興支援活動に携わっている多くの日本人、特にも自衛隊の皆様におかれましては、過酷な自然条件の中、慣れない土地において、何よりも危険なイラクにおいて日夜その復興のために真剣にお働きをいただいていると、このことに対しまして心から敬意を表するものであります。一日も早く無事に帰られることをお祈りするものであります。といいますよりも、まあお祈りといいますか、ここに権限を持っている方いらっしゃるわけです。小泉総理、それから大野長官、的確な御判断と瞬時の命令、これをよろしくお願い申し上げたいと思います。  私の親戚にも自衛隊のOBあるいは現職の自衛官おります。そして、私が住んでいる岩手県の滝沢村、ここには陸上自衛隊の岩手駐屯地があります。このたびの第三次イラク復興支援では五百人中五十人がこの岩手駐屯地から出られたと、こういうことで聞いております。とにかく危険なイラクから岩手の隊員も含めまして全員がすぐさま帰還されるように望むものであります。  既に岩手の隊員も含めまして帰還された方もおられますが、本当に心から御苦労さまでしたと、ねぎらいの言葉を申し上げたいと思います。  さて、十一月十日、党首討論の中で小泉内閣総理大臣は、民主党岡田克也代表イラク特措法についての非戦闘地域に関する質問に対して、自衛隊活動している地域は非戦闘地域であると、こういった答弁をされております。この答弁はいわゆるイラク特措法上正確でないことは明らかであるというふうに思っております。しかしながら、小泉総理は、適切な良い答弁だった、おかしかったらば問い直せばいいと、まあ世間を、世論を逆なでするように述べておられます。加えて政府は、首相は法の趣旨を答弁したものとしてこの答弁を追認しているということでございます。しかし、新聞社の調査によりますと、調査対象の七六%が納得できないとしております。政府の世間離れ、政府の世論離れ、世論の政府離れ、これはもう如実であります。  私、地方行政の当局としての答弁の経験しかありませんが、それでも答弁というものは、直接相手に対する回答であるとともに、やっぱりその後ろにいる、岩手県であれば県民、宮古市であれば宮古市民、その民、その人たちに対する答弁であるというふうに思っております。  この小泉総理の、おかしかったらば問い返せばいいと、こういう御発言というのは、聞かれなければ説明責任を果たす必要はないと、そう言わんばかりの答弁であるというふうに、全く嘆かわしいと思っております。むしろ、政策とか施策を講じよう、あるいはそれを進めようとする者は、進んで国民に内容をきっちり説明する必要があるというふうに思っております。  まず冒頭に、政治家としての大先輩である大臣の皆様に、答弁は国民に対するものである、政策を講じようとする者はしっかりと説明するべきであると、このことについてのお考え、御決意をお願いをいたします。  時間の関係上、官房長官お願いをしたいんですが、その回答の前に、先ほど議論のやり取りがありました。まず、本来、総理が説明すべきであるというふうに私は思うわけですが、総理が御公務であると、このように回答されました。この御公務の内容についてまずお知らせを願ってから、この決意をお聞かせ願いたいと思います。
  52. 細田博之

    国務大臣細田博之君) いや、総理がここになぜ来られないかという質問ではなくて、現在、今総理は何をしているかとおっしゃるから、これは官邸等において御公務をやっておるということを申しました。ここの場あるいは国会委員会に出席すべきかどうかについては、各理事会とか委員会の御判断でそれを決定していただいている。幅広く言えば、衆参で国会対策等の担当者で決めていただいておりますので、その決定に反して出てこないというようなことではないと理解しております。
  53. 主濱了

    ○主濱了君 まず、官房長官には、先ほど申し上げました国民に対する答弁であると、こういうところの決意をまず述べていただくと。それから、今言った、総理大臣は現在、それではちょっと質問を変えます、総理大臣は今何をなされているのか、これを御説明願います。
  54. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 私は、当然国民の皆様方に、政府として、政策その他のあるいは方針につきまして説明する責任を有しておりますし、それはすべての政府の役職にある者はそうだと、特に閣僚はそうであると思っております。  ただ、今、総理がどういう公務をやっておるかということについては、私も詳細に存じませんので、これは答弁を控えさせていただきたいと思います。
  55. 主濱了

    ○主濱了君 私ども入手した資料によりますと、内閣官房からの御報告によりますと、現在、これは閣僚会議の打合せと、こういうことになっておりますが、これは官房内の会議である、閣僚はだれも出ない、こういう状況のようであります。さらに、三時過ぎからはマスコミの対応とあるようですが、これについてはマスコミのごあいさつを受けるだけというふうに聞いております。  こういったような御公務もあると思うんですが、この委員会よりもやはり大事なものなんでしょうか。そこの御見解を伺いたいと思います。
  56. 細田博之

    国務大臣細田博之君) これはルール上、国会委員会において、必ず出てこいと、何々大臣あるいは総理大臣もそうですが、そういう御決定がなされ、しかも、これは与野党間で総理出席についてはいろいろ御協議いただきますが、そこでも必ず出ろということが決定されますと必ず出るというルールになっておりますので、その点はこれからもそうでございますが、十分に各党国会対策とか各委員会の理事会等で御議論をいただきたいと思います。
  57. 主濱了

    ○主濱了君 今申し上げましたように、もう一回お伺いをいたします。  この委員会よりも、例えば内閣官房内の閣僚会議が大事なのか、あるいは三時からのマスコミのごあいさつを受けるのが大事なのか、この点についてお答えをいただきます。
  58. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 三時半からはヨルダン国王との外交日程等もございます。(発言する者あり)三時半からですね、三時半からですね。それから、午前中は東ティモールの大統領、十一時十五分からの外交日程もあったわけでございますが、そういった本日は外交日程等ございますので、全体的にはこの委員会に必ず出席して全部お答えするということが非常に難しい状況であったわけではございますが、それは何かの都合があれば国会に出なくていいという意味ではなくて、国会から総理に出なさいという御指示が意思として決まれば必ず出ると、こういう仕組みになっておるかと思いますので、何かこの場所に出てこないのは総理はけしからぬというふうにはおっしゃらないでいただきたいと思います。
  59. 主濱了

    ○主濱了君 総理はこの件についてはいつでも委員会に出てお話をしますと、このようにおっしゃっていました。私、この耳で聞いております。そういったような意味から、今日は非常にいい機会ではないか。参議院でこの問題を、決定以降にこの問題を話すのは初めてです、いい機会ではないか。どうして来られないんでしょうか。
  60. 細田博之

    国務大臣細田博之君) これは総理の日程の問題でございますので、各党の協議が相調えば必ず参ると思っております。
  61. 主濱了

    ○主濱了君 いずれにいたしましても真摯な、そして的確、簡潔な御答弁を切にお願いしたいと思います。  それでは早速、イラク特措法の第二条に規定する対応措置について、実質論に入ってまいりたいと思います。  対応措置、すなわちこの法律に基づく人道復興支援及び安全確保支援活動は、現に戦闘が行われていない地域実施しなければならない、これはもう既に御承知のとおりかと思います。  改めてお聞きしますが、今のサマワは依然として非戦闘地域であるか。宿営地内への着弾、あるいは自衛隊陸上自衛隊が小学校の外壁を直した、サマワの東二十五キロにあるワルカというところがあるんですが、そこにおいて地元住民と武装勢力との間で銃撃戦があった、しかも大量の爆発物も発見されたと、こういったようなことですが、それでもサマワは非戦闘地域でありましょうか、この点についてまず伺いたいと思います。防衛庁長官答えてください。
  62. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 非戦闘地域という概念を議論する、これは国際的にはまれなことであることは先生御承知のとおりであります。これはやはり憲法九条というものがあって、自衛隊が海外へ出ていくときは必ず戦闘の行われてないところで活動しなきゃならない。当然のことかと思います。しかし、その非戦闘地域というのはどういうところであるか。これもしばしば議論されておりますけれども、戦闘行為が行われてない。その戦闘行為というのは、国家あるいはそれに準ずる者同士で国際紛争の一環として人を殺傷し、あるいは物を損壊する行為である。その判断については、継続性、計画性、国際性等が考え、等の要素を考えようと、こういうことでございます。  今現在、サマワの地域を観察いたしまして、調査いたしまして、そういうことではない。度々申し上げておりますけれども自衛隊がサマワに派遣されて以来、案件、衝突案件等を含めて案件は増えてはおりません。そういう意味で、状態は変わっていない、非戦闘地域ということでは変わってない、このように申し上げたいと思います。
  63. 主濱了

    ○主濱了君 それじゃ、非戦闘地域であるかどうか、もうちょっと後でもお話を申し上げたいんですが、まず非常事態宣言の発令、これがイラクで行われております。正にイラクの治安の極度な悪化を端的に示すものだと私は思っております。イラクにはもうサマワも含めて非戦闘地域はないのではないかと、このように懸念をしております。  今伺いたいのは、そのサマワ以外で、サマワ以外のイラクの地で対応措置は講じられているのかどうか。サマワについてだけ注目されておりますが、それ以外のイラクの地でこの対応措置というのが講じられているかどうか、これを伺います。
  64. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 対応措置というのは、何のどういう意味での対応措置でございましょうか。
  65. 主濱了

    ○主濱了君 対応措置、先ほども申し上げましたように、この法律に基づく人道復興支援とそれから安全確保支援活動、これを合わせて対応措置と法律では言い直しております。
  66. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 失礼いたしました。  空輸部隊安全確保支援活動につきましては空港を使いますので、サマワ以外の地も入っております。
  67. 主濱了

    ○主濱了君 今、サマワの地以外ということですか。
  68. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 陸上自衛隊復興支援活動人道復興支援活動につきましては、これはサマワ中心でございます。  それから、復興安全確保支援活動、これは航空自衛隊がやっておりますけれども、その地域にはサマワ以外も入っております。例えばタリルとかそういう地、バグダッドもそうですけれども、そういう地域が入っております。
  69. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 私の方に具体的な御質問があったようなんで、ちょっと詳細調べましたので、早口ですが、簡単に申します。  自衛隊活動につきましては、航空自衛隊輸送機がクウェートからイラクのタリル空港に人道復興関連物資等輸送を行っている。バグダッドの多国籍軍の司令部施設情報収集及び連絡調整を行う要員が派遣されている。また、相手国との関係等もあり詳しくは申し上げられませんが、クウェート等ペルシャ湾沿岸国等に所在する国の領域のうち、人員の昇降、物品の積卸し、装備品の修理地としている場所がある。ODAによる支援についていえば、バグダッドの日本大使館が中心となってイラク政府との協力によりイラク全土を対象とする援助事業案件の立案と実施を行っている。サマワにも外務省連絡事務所、事務所、外務省事務所を置き、ムサンナー地域対象とする草の根事業などの立案と実施に携わっている。なお、ODA事業は、ヨルダンにおける研修事業のようにイラク国外の隣国で実施しているものもある等々がございます。
  70. 主濱了

    ○主濱了君 今もお話がありました、航空自衛隊が武装したアメリカ兵とかアメリカ軍人、アメリカ軍の関連物資をC130輸送機でイラクへ空輸をしていると、こういった報道がありますが、これは事実でしょうか。大臣お願いします。
  71. 今津寛

    ○副長官(今津寛君) 十二月九日に新聞に掲載された記事のことですね。  今、官房長官からも一部御報告がありましたけれども、米軍を含めた多国籍軍の兵士をC130による輸送、これはイラク特措法上の安全確保支援活動、すなわち安保理決議一四八三及び一五四六に基づき国連加盟国が行うイラクの国内における安全及び安定を回復する活動支援するための我が国実施する措置として行われているものでございまして、三月中に日本自衛隊を三千人、そしてアメリカを始めとする多国籍軍を千二百名、クウェートのアリ・アルサレム基地から他の場所へ輸送いたしております。
  72. 主濱了

    ○主濱了君 まず、武装したアメリカ兵やそのアメリカ軍の関連物資を輸送するということにつきましては、特措法に規定する安全確保支援活動の範疇に入るか否かと、これをお答えいただきます。それから、法のみならず、その上位にある憲法との関連についてもお答えいただきたいと思います。  さらに、香田証生さんの痛ましい事件がありましたが、この事件に、こういったようなアメリカ軍関係輸送をしていると、武装したアメリカ兵を輸送している、この件が全く関係がなかったかどうか、長官のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  73. 大野功統

    国務大臣大野功統君) まず、特措法基本計画において、安全確保支援活動というものの可能な、できる仕事でございますけれども、武器弾薬は絶対運んではならないということであります。そこで、アメリカ軍が仮に小銃を持っている等の場合、どう考えるんだろうか。これは、軍人が小銃を持っていると、これは一体化というふうに考えておるわけでございます。これは大砲を持って一緒に運んでいるわけではありません。そういう意味で、武器弾薬を運んでいるということではないと思います。  次に、そういうものを、そういうアメリカの軍人を運んでいくということを非戦闘地域等の、あるいは武力行使と一体ということに、等の関係でどう考えるかという問題でありますけれども、その点は、あくまでも言わば非戦闘地域に運送している、運搬していると、こういう観点から一体化はしない、こういうふうに解釈できるわけでございます。
  74. 主濱了

    ○主濱了君 もう一つお答えいただきたいと思います。  そういったような行為、これが香田証生さんの痛ましい事件、これに影響を及ぼしていないかどうか、これを長官自身どのようにお考えになるか、お答えいただきたいと思います。
  75. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 私は、香田証生さんの事件、大変痛ましい事件であって、心からお悔やみを申し上げたいと思います。  しかしながら、国際的にイラクをやはり民主主義国家としてよみがえらしていく、このための国際協力というのが今回のイラク日本としてはイラク人道復興支援活動でございます。そういう意味で、その辺は御理解をちょうだいしたいと思います。
  76. 主濱了

    ○主濱了君 今、対応面から見さしていただきましたが、今度は地域面から見さしていただきたいんですが、クウェートを拠点にして空輸をしていたということなんですが、その先はイラクのどの地点まででしょうか。複数の場合もありましょうけれども、いずれイラクのどこまで。で、そのことが安全確保支援活動を含むその対応措置、これが非戦闘地域でないということを、まあ証明といいますか、理由を付して説明をしていただきたいと思います。
  77. 大野功統

    国務大臣大野功統君) まず、先ほど私、バグダッドということを申し上げましたが、バグダッドの市街というのは非戦闘地域という判断はいたしておりません。しかし、国際空港でございます。そしてまた米軍の厳重な管理にあるわけでございます。ということを申した上で、バグダッドへは一回も行ったことはありません。  それから、ほとんど行っておりますのがタリル空港でございます。タリルというのは、あのムサンナ県の南の方にある空港でございまして、今回も私はクウェート、クウェートのアリ・アルサレム基地から飛び立って、タリルでヘリコプターの給油を受けまして、そしてサマワへ参りました。具体的にどこの飛行場がそうだということをお尋ねかと思いますが、それは言わば空港等ということになっておりまして、それ以上の答弁は差し控えさしていただきたいと思いますが、今やっているのはタリルだけであります。
  78. 主濱了

    ○主濱了君 じゃ、ちょっと質問を変えさして進めさしていただきたいと思います。  今度、派遣地域的な問題ではなくて、派遣期間的な問題であります。何回も申し上げることではないんですが、まず確認だけ。  対応措置というのは、そこで実施させるその活動期間を通じて戦闘が行われることがないと認められる地域でしかできないと、こういうことでございます。端的に、なぜ一年間の延長なのか。今の時点での判断で、今後一年間、そこで戦闘地域が、行われないという証明あるいはその具体的な説明ですね、これをやらないと、それを、その判断をしないと一年間というものは出てこないはずです、法律上。そこをお知らせ願いたいと思います。
  79. 大野功統

    国務大臣大野功統君) まず、来年の十二月十四日までは非戦闘地域であり続けるべきである、当然の要請でございます。  じゃ、なぜそういうふうな判断をしたか。現状から見て、少し長くなります、簡単に申し上げますけれども、サマワの治安情勢というのは、自衛隊が初めて派遣されましたときと比べて特に案件は、衝突案件等は増えておりません。この十一月のラマダンの時期あるいはファルージャ総攻撃のときも案件は全く増えておりません。そして、ムサンナ県知事も、サマワの治安は前より良くなったと、こんなふうなことを私に告げてくれました、語ってくれました。その他のいろいろな、いろんな条件を総合的に勘案して、来年十二月十四日までは一年間は大丈夫である、こういう判断を下しておるわけでございます。  ただ、我々は、やはり迫撃砲とかロケットが飛んできたっていうことは重大に受け止めていかなきゃいけない。そして、今回も小泉総理から、治安の情勢はよく見守ってくれ、あるいは安全、自衛隊員の安全の確保は十分に配慮してくれ、こういう御要望がありました。今度の基本計画の中でも幾つか、四つありますけど、その中で治安の状況をよく見極めて適切に対応してくれと、こういうことが書いてあるわけでございます。  以上です。
  80. 主濱了

    ○主濱了君 法律からいきますと、そういうところでないと日本対応措置というのはできないはずであります。それを後から追認するというのは、これおかしいんですよ。当然、当初予定、一年間なら一年間、非戦闘地域であるということが分かって当然対応措置を取るべきである。で、そこに何らかの事情が変更した場合は当然、帰ってくるのは当然でありますが、どのように、どのような状況を見て判断したかということであります、私が言いたいのは。  これはしっかりお答えいただいていないような気がしますので、もう一回お願いいたします。
  81. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 今後、治安の情勢イラク復興状況、多国籍軍状況政治プロセス、この四つを見ながら適切に対応しろと、こういうことが新しく付け加わったことは主濱先生御存じのとおりでございます。  現状からどういうふうに判断したのか。先ほど若干触れましたけれども、まず、まず自衛隊が町の中に、宿営地外に参りまして、本当に何度も申し上げて恐縮なんですが、サマワの住民との一体感がある、手を振る等の行為であります。それから、宿営地外に、外で活動をして、した場合に衝突事件がこれまで一件もありませんでした。  そしてまた、サマワはイラク全土の中で極めてそういう事案が、衝突案件等を含めて事件が少ないところでございます。正に、ハッサーニさんも私に対して、ユーフラテス川の散歩道を夜中の十時に歩いてみようじゃないかと、SP付けないで歩いてみようじゃないかと、何も起こらないよ、こういうことを言っているわけでございます。  それから、今後イラクの治安機関が充実してくるだろう、こういうようなことも予想をされております。  そしてまた、特に注目すべきは、今、一月三十日に国民議会の選挙が行われます。各地でいろんなことが言われておりますけれども、このサマワにおきましてはこの選挙に向けての準備が着々と順調に進んでいる、こういうこともあります。  また、町中で新しい住宅が建設中である。また、パラボラアンテナ、テレビの放映ですね、これフセイン政権時代には許されていなかったものが、パラボラアンテナが出てきて、そういうふうにテレビも見られる。正に民生の安定が治安の安定につながっていくというような兆候が見られているわけでございます。  ただ、一つ申し上げたいのは、ロケット弾、迫撃砲が飛んできている、このことは、仮に背景がどんなことであったとしても、我々は重大に受け止めていかなきゃいけない。  そういうことで、先生が御指摘になった、後からの話はおかしいじゃないかとおっしゃるんだけれども、私はやっぱりあらゆることに備えて安全確保、これはもう長官の責任でございます。総理の責任でもあります。それから、治安の状況をよく見ていく、これも我々の責任であると思って、そういうことのほかに、現地部隊では、部族長ですね、部族長始めいろんな方々と接して情報を取っている。これはほかの、オランダ軍と比べて、私は日本自衛隊の特色だと思っています。地元に本当に溶け込んでいる。  溶け込んでいるといえば、あの自衛隊の女性の衛生官が地元の子供に折り紙を教えている、あるいは七夕を一緒にやっている、こういうことも言えるかと思います。  それから、現地で雇っている皆様からも情報を取っている。情報を取る、そして構えを、備えをしっかりしていく、こういうことも併せて申し上げたいと思っています。
  82. 主濱了

    ○主濱了君 最後に伺います。  不測の事態が生じた場合、あえて派遣延長されたことについてどなたがどのような責任を取るのか。特措法第九条の安全確保の配慮義務として、これは内閣総理大臣防衛庁長官にあるわけですが、これと併せてお願いいたします。最後の質問といたします。
  83. 細田博之

    国務大臣細田博之君) すべてのこの派遣に伴う責任は内閣にあり、その長である内閣総理大臣にも当然あると、担当閣僚にもあると考えております。
  84. 主濱了

    ○主濱了君 終わります。
  85. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 民主党・新緑風会の富岡由紀夫と申します。よろしくお願いします。  まず最初に、先ほど、細田官房長官の御返答についてお伺いいたします。  総理出席については、理事会の方で、委員会の方で要求がしてもらえないと出席ができないという御回答だったと思うんですけれども、私の伺っているところでは、理事会の中で総理出席を我々は要求しております。そして、そのときどういうふうに説明を受けたかと申しますと、与党の理事の方から、官邸と協議した結果、総理出席はできないと、そういう御回答をいただいております。  官邸と協議した上で、出席要求をしたにもかかわらず、出席を今日はできて、してもらえなかったと、そのように伺っておりますが、先ほどの答弁と全く矛盾しているんですが、この点についていかが、お伺いしたいでしょう、どうお考えしたいと思っているんでしょう、お伺いしたいと思います。
  86. 細田博之

    国務大臣細田博之君) しかしながら、それはよくあることではございますが、与野党で協議の上、どのようなことがあっても出てこいということもあるわけでございますから、そうなれば当然総理出席するようになっております。
  87. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 今日については、一応出席の要請を受けた、官邸は受けたということでよろしいんですね。
  88. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 野党からそういう御要請が各委員会や国対等にあったことは聞いておりますが、与党の方から、党首会談で御説明をしているので、このたびはその他案件もあり出席を控えさしてほしいということを申し述べたと思います。
  89. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 じゃ、先ほどの要求を受けていなかったという答弁は撤回されて、要求を受けたんだけど、そういうことで御判断されて今回は出席しなかったというふうに理解させていただいてよろしいですね。
  90. 細田博之

    国務大臣細田博之君) やっぱり国会として、あるいはこの両院の組織、それで衆参両院において合意をして、与野党ともに総理出るべしとなれば必ず出るルールになっておるわけでございますから、そういう意味では、もちろん御要請は個々に承ったかもしれませんが、この院の御意思としては残念ながら承ってないと。しかし、その各野党あるいは各党からそういう御意思があることはよく聞いております。
  91. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 本題に入らせていただきます。  改めてイラク攻撃、イラク戦争の正当性についてお伺いしたいと思います。  アメリカが攻撃したところ、大きな攻撃の理由といたしまして、アルカイダとフセイン政権との関係、そしてイラクにおける大量破壊兵器の開発、これが大きな理由だったというふうに思っています。しかしながら、今申し上げましたアルカイダとイラク政府との、フセイン政権との関係も全くなかったと、そしてイラクにおける大量破壊兵器の開発も全くされてなかったとアメリカの政府、上院の議会の中でも報告されております。この点についてどのように御認識しているか、お伺いしたいと思います。
  92. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) イラク戦争、イラクに対する武力行使でございますけれども、これは大量破壊兵器の有無ということではなくて、過去十二年間にわたってイラクの大量破壊兵器廃棄等に関する累次の国連安保理決議、きちんと書類、証拠を出しなさい等々、これに違反をし続けてきたということに対してイラクは、国際社会がもうこれがタイムリミットですよということを何度も言ったけれども、平和的解決の機会を生かそうとしないで、最後までそうした国際社会の真摯な努力にこたえようとしなかった。このような認識の下で、日本はアメリカ等によります国際の平和と安全を確保するための対イラク武力行使を支持したのでありまして、このことは平成十五年三月二日、一年半前でございますけれども、内閣総理大臣がこうした武力行使を支持するという談話の中にはっきりと述べているところでございます。
  93. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 国連の度重なるその決議に従わなかったということで攻撃を開始したということでございますが、具体的な国連決議、何条のどういう内容によってアメリカは攻撃をしたのか、改めて確認をさせていただきたいと思います。
  94. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) これはなかなか決議は複雑な構造になっておりますけれども、一番最後までさかのぼると決議六七八、一九九〇年にまで戻るようになりますが、更にそこから敷衍して決議六八七、一九九一年、一番新しいところでは二〇〇二年の決議一四四一と。これに基づいて、イラクは国連安保理決議上の義務にこれまでも、また現在も重大な違反を犯していると、イラクに対して武装解除の義務を遵守する最後の機会を与える、強化された査察体制の構築を実施すると。こうしたことで、最終的にはイラクに更なる重大な違反があった場合には安保理会合を即時に開催する。その際、安保理は、イラクに対して継続してきた義務違反の結果として深刻な結果に直面することを繰り返し警告してきたことを想起すると、これは一四四一のエッセンスでございますが、これに基づいて武力行使が行われたと理解をしております。
  95. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 一四四一の今のエッセンスについて、ちょっと私の認識と全く違うんで述べさしていただきたいと思います。  一四四一というのは、重大な違反がこれからあるかどうか、更に査察をするという決議だったと思います。そして、更に査察をして重大な違反があれば改めて安保理に報告されて、そこで会議を開催してこれからの処遇について検討するという、そういう内容です。具体的には、要するに、違反があるかないかの認定と対処に対する権限は、国連の安保理決議に、安保理、安全保障理事会にあるという、そういう内容であると思います。それを、アメリカが勝手に条文のどっかを一部分だけを取って、勝手に武力行使をしてしまったと。  国連の安全保障理事会の中では、査察をまだ継続するべきだと、そういう内容になったと思いますが、これについてどうお考えでいらっしゃるか、お伺いしたいと思います。
  96. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) そういう議論が国連の中であったことは、それは事実でございましょう。しかし、当時の、当時のというのはその武力行使を行ったときの関係国、アメリカあるいはイギリス等々の発言では、今申し上げましたこの一四四一に言及した上で、これはちなみにブッシュ大統領の二〇〇三年三月十七日の演説でございますけれども、いずれも依然として有効な決議六七八及び六八七により、アメリカ及び同盟国はイラクから大量破壊兵器を排除するために武力を行使することが認められていると、こういう解釈があり、私どももそれを支援したと、支持したということであります。
  97. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 その一四四一に基づいて、六八七、六七八に基づく、戻って解釈するというその考え方には非常に私は無理があると思います。この無理がある考え方を言っていたのがフランスであり、ロシアであり、そしてドイツ、みんな反対していたわけです。そして、今年になって、国連のアナン事務総長は九月十五日に、何て言ったか御存じだと思いますけれども、アメリカの攻撃は国連憲章に照らし合わせて明らかに違反だったと言っているんです。そして、こういった攻撃をするには新たな国連決議が必要であったというふうに述べているんですけれども、これについてどうお考えなのか、お伺いしたいと思います。
  98. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 今の御質問はちょっと質問通告になかったもんですから、私、そのときのアナン発言の詳細というのをちょっと手にしておりませんので、恐縮でございますが、今の御質問に対する答弁は差し控えさせていただきます。
  99. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 済みません、質問通告で、今回の大義、そして今回の経緯について質問通告しております。それを答えられないというのはちょっと非常に……
  100. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) アナン発言まで言ってないよ。
  101. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 じゃ、アナン発言については私が今申し上げます。アナン、アナンさんはそういうふうに発言しておるんです。これについてどうお考えなのか、御感想をお伺いしたいと思います。
  102. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 国連決議の解釈権はアナン事務総長にはございません。これを解釈するのは安保理事会でございます。
  103. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 安保、安全保障理事会で認めてないんですよ、判断して。アメリカの攻撃を正当化してないんです。決議してないんです。まさしくおっしゃるとおりです。ですから、安全保障理事会の決議を無視してアメリカが攻撃した、これが今回のイラク戦争なんです。このような国の、行動を取る国が国際協調を取っている国かどうか、私は本当、甚だ疑問に思っているんですけれども、どうお考えでしょうか。
  104. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 確かに、フランス、ドイツ等が別の意見があったということは私も承知をしております。しかし、安保理として別の決定が行われたわけではないわけですから、私は直ちに米英の行動が違法であるということにはならないと思っております。
  105. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 それを正当化する、何というんですか、決議はもちろんないんですけれども、それを、何というんですか、安保理決議に反したことをしていて、それで違法でないというのはどういう理屈なんでしょうか。
  106. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) まあ、それはあなたは安保理決議に反していると、そうおっしゃるんだけれども、安保理決議六七八、六八七、一四四一に照らして正当化されるという判断を、私ども再三この国会でも今まで、当時の、当時のというか、川口大臣あるいは小泉総理、この武力行使があったとき、何度も何度もそこのところは国会答弁をしているところであります。
  107. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 済みません、その議論があったのは、ありますけれども、前提が違うと思うんですよね。大量破壊兵器がそのときはないということが判明していなかったんです。だけど、今回はもう判明しているんです。判明した今の時点でどうお考えになるかということをお伺いしたいと思います。
  108. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) それは実際に、その大量破壊兵器の有無にかかわらず、再三にわたって、ないならない、あるいはあったんならあったということを自ら証明しなさいと。その証明義務を怠ったところに違反があるということなんであって、現実にあったとかないということとはかかわりがないことなんです。
  109. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 済みません、これ、何度も同じことを議論してもあれなんで。  証明しなくちゃいけないというんですけれども、証明をできるかどうか査察をしている途中で査察を打ち切って攻撃してしまったという事実でございますから、その点だけは認識はちょっと明らかにしていただきたいと思います。
  110. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 再三にわたって査察に協力をするようにと、現に査察に行ったUNMOVICの人たちも協力してくれないということを大変に困ったとか、あるいはその理事会等で、安保理等で査察に協力がないところに非常に問題があるということは再三言っているわけであります。したがって、イラクが査察に協力をしてすべてを明らかにしておればこういう事態にはならなかったというところが出発点であるということをどうぞ御理解をください。
  111. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 済みません、いや、査察に協力しなかったらどうなるかと、アメリカがすぐ武力攻撃していいのかということなんですよ。査察に協力しなかった場合はもう一回安保理決議で打合せして対応考えるんじゃないんですか、その査察の内容の結果についても。
  112. 鶴岡公二

    政府参考人(鶴岡公二君) 国連決議の解釈に関することでございますので、国連決議及び国連憲章に基づく法的な決議の解釈について一言申し上げますが、先ほど外務大臣から御説明をいたしました決議一四四一は、全会一致において安保理において成立をいたしました二〇〇二年十一月八日に採択をされました決議でございます。  安保理決議の解釈につきましては、安保理理事国の権限でございまして国連事務総長にはその権限はございませんが、この決議の採択に参画いたしましたイギリスの法務総裁が二〇〇三年三月十七日にこの一四四一についての見解を明らかにしております。その中で述べていることは、決議一四四一は、いかなる時点においてであれ、イラクが同決議の遵守及びこれの実施のための完全な協力を行わない場合、これは更なる重大な違反を構成することを決定したと述べておりまして、これが安保理決議を採択いたしました常任理事国であるイギリスの法的な見解でございます。  先ほど大臣が御紹介申しましたとおり、同じ日にブッシュ大統領は演説におきまして、決議一四四一に言及した上で、いずれも依然として有効な決議六七八及び六八七により、米国及び同盟国はイラクから大量破壊兵器を排除するために武力を行使することが認められていると述べております。アメリカも安保理常任理事国であることは申すまでもございません。
  113. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 賛成した国は当然そういうふうに解釈して賛成したわけです。そう解釈しない国があることを是非御理解いただきたいと思います。  そして、ちょっともう今の問題言ってもまた堂々巡りになってしまうんで次の質問させていただきますけれども、今のイラクの多国籍軍攻撃以降ですけれども、これまでに撤退した国、そしてこれから撤退を計画している国、検討している国、どういった国があるか、概略でございますけれども簡単に御説明いただきたいと思います。
  114. 鶴岡公二

    政府参考人(鶴岡公二君) これまでにイラク部隊派遣しておりました国のうち撤退をいたしました国、八か国ございます。申し上げます。サウジアラビア、ニカラグア、スペイン、ホンジュラス、ドミニカ共和国、フィリピン、タイ、ニュージーランド、以上でございます。  今後の撤退については、現時点において明確な方針を出しておりますのは、オランダが議会に対しまして三月に自らの任期が今回終了するというふうに述べております。
  115. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 これから撤退を検討している国は今オランダだけだというふうに、決定している国とおっしゃっていましたけれども、新聞報道によりますと、撤退を検討している、その方向で進んでいるという国がほかにもポーランド、ハンガリー、チェコ、ルーマニア、ポルトガル、ウクライナ等々があるというふうに報道を受けておりますが、この点はどういうふうにお考えですか。
  116. 鶴岡公二

    政府参考人(鶴岡公二君) オランダに加えましてもう一か国、現在検討中でございますが、ハンガリーにつきましては、十一月十五日、ハンガリーの国会におきまして、ハンガリー部隊派遣期間延長するとの政府提案についての審議を行った結果、そのために必要な三分の二以上の賛成を得なかったと承知しておりますので、このままでいきますと、十二月末においてハンガリーの派遣期間が終了すると承知しております。
  117. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 今お話伺ったように、既に撤退をした国、撤退をこれから検討している国というのはたくさん出てきております。このような撤退がどんどんどんどん増えている中で、このアメリカの行動、これは国際協調にのっとった歩み方をしているのかどうか甚だ私は疑問だと思いますが、これについて、アメリカのこの行動が、今の世界のそういった撤退の国が増えているという状況をかんがみて、国際協調路線に乗っているのかどうか、どういうふうにお考えなのか、お伺いしたいと思います。
  118. 吉川元偉

    政府参考人(吉川元偉君) アメリカ側の国際協調路線にのっとって作業しているのかどうかというお尋ねでございますが、事実関係の観点だけを申し上げますと、アメリカは、議員御承知のように、自らイラクの治安維持活動に携わっております。それから、昨年十月にマドリッドで行われました支援国会議では合計百八十四億ドルのプレッジをしております。  したがって、治安それから復興の努力をやっており、おりますが、これを、例えば東京で十月十三、十四日に開催いたしました国連と世銀を中心とする復興会議にももちろん出てきておりますし、先般、町村大臣に御出席いただきましたG8と周辺国会議でもパウエル国務長官が出てきて、国際協調の下での復興と治安、政治プロセス強化ということに努めていると、そういうふうに理解しております。
  119. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 今回の自衛隊派遣延長に当たって小泉首相、総理は、国際協調日米同盟、これを重要視していくと、それが国益にかなうんだという発言をされております。今そういうアメリカがやっている動き方、私はさっき言ったように、国連決議にもう本当に遵守してイラク戦争を行ったのか。そして、今の復興支援状況でも撤退の国がどんどんどんどん出てきている。こういった中で、アメリカの行動が国際協調路線にのっとっていないんじゃないかと私は思っております。それとアメリカと日米同盟を組むということは、相矛盾することを何か目指しているんじゃないかと、私はそう思っております。  この今のアメリカが単独主義的な行動、国連無視、国連のいいとこだけを都合のいいときだけ利用する、そういった動き方、そういった批判がたくさん出ております。こういったアメリカと同盟を強化することが日本国際協調をこれから強化していくことに本当につながるのかどうか私は疑問に思っているんですが、この点について細田官房長官の御認識をお伺いしたいと思います。
  120. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 現在、三十一か国がイラクの地において復興支援活動をやっているということでございます。これは、実際に軍隊あるいは自衛隊といったようなものを派遣している。もし、アメリカとかイギリスだけではなくて、実に三十一の国々が参加をしているという事実をまず踏まえていただきたいと思います。  その上で、日米関係とこのイラク関係をどういうふうに両立をさせるのかという問題意識であろうかと思います。私どもは、まず日本の国としてイラク復興あるいは中東地域の安定のために努力をする、このことはアメリカとかかわりなく日本にとってもまた国益にかなうことであるということで、私ども自衛隊派遣、さらにはODAを通ずる資金協力、これを車の両輪ということでやっているわけでございます。  ただ、それはそれとして、更にもうちょっと幅広い見方をいたしますと、やはり日本国際社会の一員として必要な責任を果たしていくということで、一九九〇年の湾岸戦争の反省に立って、お金を一兆円以上出したけれども、ほとんどそれは評価をされるに至らなかったということから、いろいろな努力をし、国会でもいろんな議論がありました。PKOの法律を通し、PKOを派遣をし、更にアフガン、イラク、こうしたところに自衛隊派遣をする、そういう形で国際社会の信認というものをかち得てきたし、また、そのことによって日米関係がより強固なきずなによって結ばれてきているというのが現在の姿だと、こう思っております。  そして、私どもは、ややもすると、今委員御指摘のように、アメリカが単独行動を取りがちな面も確かにあるので、私どもは、例えば小泉総理はブッシュさんと会うと必ず、やはり国際社会の協調の下でこういう仕事は進めなければいけないということを随分はっきりと言っております。そういう役割もまた担っているということでありまして、私どもは、今回のイラクに対する自衛隊派遣期間延長ということと国際協調主義、そして日米同盟の幅広い信頼のきずなをより強化するということはいずれも矛盾するところではないと、かように考えております。
  121. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 今回の自衛隊派遣に当たって撤退条件が示されました、四つの。治安の状況とか復興支援状況、多国籍軍の構成とか状況の変化、そして政治プロセスの進展の状況、ありましたけれども、私は、この条項をどれ一つ取っても非常に抽象的であいまいで、いかようにも解釈できる内容になっているんじゃないかというふうに思っております。  これはまさしく非戦闘地域の認定のときの条件も同じです。国際性、継続性、計画性、あと組織、組織性ですか、これもいかようにも解釈できる。要は、政府の判断によって戦闘地域か非戦闘地域かはもういかようにも決定できる。そして、自衛隊の撤退の四条件についてもいかようにでも解釈できる。言ってみれば、アメリカの指示に従って日本はいかようにもできるという内容になっているのがこの今回の撤退条件であり、非戦闘地域の定義だと私は認識しております。このような状況において、本当に、日本のこれからの行く末、本当に大丈夫なのかと私は本当に心配しております。  アメリカの庇護、日米同盟、私は反米主義者じゃないですよ、アメリカの庇護を求めるというのは大事だと思います、いろんな国際関係の中で。ただ、アメリカが国際、国連のルールを、決議を無視して国際ルールに違反している、こういったときには、さっき外務大臣がおっしゃいましたけれども、小泉さんが、アメリカ、これはいけないですよと、そんなことをしたら孤立しちゃいますよということをもっともっと真剣にやらなくちゃいけないんだと思います。アメリカがやった行動をすべて支持して、日本はそのとおり付いていきますよというだけじゃ、庇護を受けている子分の側からして、いつも親分が正しいことをしているとは限らないんですよ。親分に対して、間違ったときがあれば、それはちゃんと子分の立場で言わなくちゃいけないんだと、それが今、日本立場だと思っています。(発言する者あり)私の意見を述べさせていただいているんです。  これについては、私は、アメリカが間違ったことをいつまでも認めないんであれば、私は、庇護を受けているという立場はありますけれども、庇護から抜け出てもいい、私そう思っています。それが本当の正義じゃないかと思います。親分がいつも間違ったことをしていて、それに常に付き従うことは私は絶対必要ないと思いますよ。自分日本が正しいと思ったら、その日本の行動を庇護からたとえ外れても行うべきじゃないかというのが私の考えでございます。  これについて、細田官房長官のお考えをお伺いしたいと思います。
  122. 細田博之

    国務大臣細田博之君) まず、アメリカ合衆国について我が国の親分だとは考えておりません。同志であり、兄貴分ぐらいには考えておりますけれども、それ以上のものではございません。  それから、当然我が国として判断をしているわけですし、まずサダム・フセインの悪逆非道、クウェートに行って突然侵略をして環境を汚染し、油田に火を付けて何人も拉致をする、イランとは戦争を開く、クルド人は生物化学兵器のようなものを使って迫害をする、国民も何人も虐殺する。そして、核兵器も一度は開発しているんです。ウランの核兵器を、開発に着手して、IAEAがやめろと言って、いったん解体した。その後は、おかしいぞと言うけれども、それは復活はなかったんですが、そこまでやった。  その国を、これは、国際テロの横行する中でこれを何とかしなきゃならないという思いは、もうアラブの人たちにもみんな聞いてみたらお分かりと思うんです。この間、某国の副首相が来ましたけれども、とにかくアラブの社会が彼らの、彼のためにどうなるかという心配をしておったけれども、そういう意味では非常に安心したと。こういう思いもあるわけですから、もちろん特措法だとか、いろいろな我々の思いがありますから、それはそれとして、そういった国際社会のこの十年以上に及ぶこの苦悩、まあ実際は二十年に及ぶと思うんですが、そういうことを、思いを致す必要があると思います。  それから、今回の延長に際して実際に四十億円によってどういうことを考えているかということについては、やはり実態に応じまして、まあ時間の関係で詳しく申しませんが、現地復興の進展、政治プロセスの進展、現地の治安状況の変化、そして多国籍軍活動状況及び構成の変化とありますが、これは、今まで非常に幸いにも一年間、正に衆議院でも、何か台風の目のようにあそこ、サマワが平和な地域であったという野党の議員からの指摘もありましたけれども、確かに今のところ、このイラクの中においては最も典型的な非戦闘地域である。余りその数が多いとは思いませんけれども、そういったところで一隅を照らすような協力をするということは、湾岸戦争のときに我が国がお金による貢献しかできなかったということ、日本の反省にも立って、これを是非今後継続し、そして四十億円というものは厳しく見て、貴重な自衛隊員の皆さんが汗を流しながら対応しているわけですから、その点は責任を持って対応していきたいと思っております。
  123. 太田豊秋

    委員長太田豊秋君) 時間です。
  124. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 これで終わります。     ─────────────
  125. 太田豊秋

    委員長太田豊秋君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、松村龍二君が委員辞任され、その補欠として吉田博美君が選任されました。     ─────────────
  126. 谷合正明

    ○谷合正明君 公明党の谷合正明でございます。  私は、NGO職員として実際にイラク戦争後に現場に行きまして、イラクに行って人道復興支援に携わってきた者であります。自衛隊による人道復興支援、これは民間のNGO、ODAによる支援と並んで必要だということも、私は議員になってからも各地で訴えてまいりました。しかしながら、そういった現場の状況を説明する、しますが、なかなか国民に正確に理解してもらうということが難しいということを私も実感しております。  このたび政府自衛隊イラク派遣の一年間延長決定いたしましたが、小泉首相が国民理解協力を求めたいと閣議決定後の記者会見で述べられておりますが、まだまだ十分に理解が得られていないという状況であります。首相は決断後には迷いはないということでありますが、派遣延長に不安を持つ国民の声もたくさんあります。私は、そういう意味で、本日はそういった国民の声を代弁するような形で質問をさせていただきたい、そしてまた官房長官外務大臣、防衛長官に答弁していただきたいと思います。  まず初めに、期間延長の判断について官房長官にお伺いいたします。  公明党は、かねてより、自衛隊が撤退すべきかどうかの判断をするときに四つの条件を挙げておりました。その一つが、人道復興支援の目的を達したとき、そして自衛隊派遣イラク政府の同意が得られなくなったとき、自衛隊派遣地域が非戦闘地域でなくなったとき、また自衛隊安全確保ができなくなったとき、その四つのいずれの条件を満たせば自衛隊は撤退すべきであると見解を示してまいりました。  このたび、政府が一年間の派遣延長決断するに当たりまして、今申し上げました四つの条件に照らしまして、派遣延長決断した積極的な理由と、一方で迷い、懸念をどう乗り越えてきたのかについて、官房長官にお伺いいたします。
  127. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 公明党からの自衛隊の撤退の四つのケースという御示唆を、そして御提案をいただきまして、非常に重く受け止めております。そして、その重く受け止めた結果を更に熟慮を重ねまして、この計画における四つの要素として盛り込んでおるわけでございます。  一つは、より具体的に申し上げれば、人道復興支援の目的については、イラク復興は道半ばでありまして、引き続き現地においては支援の必要性が高く、活動を継続することが強く望まれている。自衛隊活動現地の人々の生活基盤を回復、充実させ、また雇用も生み出してきており、我が国にふさわしい分野において引き続き復興に積極的に貢献することが重要だと。  第二には、暫定政府からの同意については、自衛隊活動の成果はイラク暫定政府からも高い評価を受けており、引き続き活動を継続するよう強い要請が寄せられている。  第三に、非戦闘地域の要件に関しては、これまでにサマワで発生した事案を総合的に判断すれば、イラク特措法に言う戦闘行為に該当するとは認識しておらず、自衛隊活動するサマワ周辺については現時点で非戦闘地域の要件を満たさなくなったとは考えていない。  安全確保に関しては、自衛隊活動に当たっては引き続き現地治安情勢などの情報収集徹底し、周辺の警戒や警備を強化するとともに、宿営地内の施設の防護の強化などの措置を講じて安全確保には万全を期する所存である。  今般の決定に当たりましては、このようなことを踏まえまして、公明党からの御要請、あるいは、もちろん国会におけるこれまでの御議論、そして国民世論の動向にも気を配りながら総合的に判断して、このように判断したものでございます。  したがって、総理も記者会見で語っておりましたように、熟慮熟慮を重ねたと、やはり一〇〇%大丈夫かと言われれば、いろいろなケースが考えられるわけですから、その点を十分考えて、しかも隊員の安全を守らなければならないということでの決断であったということを本人からも言っておりましたけれども、正にそのような決断であると申し上げられると思います。
  128. 谷合正明

    ○谷合正明君 小泉総理は、閣議後の記者会見で、日米同盟国際協調の方針を具体的に実施に移している今の日本支援策は日本の国益にかなうと述べられております。日米同盟のためになぜイラク派遣するのか、イラク派遣しなければ日米同盟というものが壊れてしまうのかという声もあります。  この日米同盟の要するに重要性について分かりやすく説明していただけますでしょうか、官房長官
  129. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 日米同盟というと、狭い意味に解するとこれは日米安保条約ということになってくるわけでございます。ただ、日米同盟というと、幅広いもう少し概念だかなと私は思います。それは、政治的なつながり、また安保以外の様々な国際貢献活動、これは先ほど累次の御答弁でも申し上げましたとおり、一九九〇年、湾岸戦争の言わば反省に立って、確かに一部掃海艇の派遣等がございましたが、基本的にはお金で行ったところ評価をされなかったということを反省しながら、我が国はPKO法というものをいろいろな議論の末通し、それに基づいてカンボジア、東ティモール、あるいはゴラン高原等々、あちこちに派遣をしてきた、そういう活動。それから、経済的なつながり、文化的なつながり、様々な人とのつながり、そうしたものが重層的に日米関係というものを形作り、これだけ複層的なつながりがある国は多分ほかにはないんだろうなと、かように思っております。  したがいまして、私は、今回このイラク自衛隊派遣しなかったから直ちにもう日米関係がそこで崩れてしまうとかいうことには、それはならないと思います。それほど単純な、単線的な浅いつながりではないと、こう思っております。  他方、やはりこうした一つ一つの行動の積み重ねというものが今日の安定的な日米関係を築いてきているということは当然のことだろうと思っておりまして、そういう意味で、必要条件か十分条件かみたいな議論をするつもりもありませんけれども、やはり日米関係というのはそういうものではないだろうかと。今回のイラク派遣というものによって国際社会の信認も増したし、また日米関係がこれによってある意味じゃより一層強化になって、強化されたということが言えるのではなかろうかと思います。
  130. 谷合正明

    ○谷合正明君 次に、来年の一月三十日に行われる国民議会選挙について外務大臣にお伺いします。  サマワは比較的安定しているとはいえ、予断を許さない状況であります。そうした中、一月三十日に選挙を迎えますが、イラク現地では二百の政党が届出をしているという情報もありますが、一部の政党がまたボイコットをするという話も聞いております。限りあるイラク治安部隊の兵力を集中させるため、投票日を州ごとに変えて実施するという案も検討しているというような報道もありました。そんな中、スンニ派の動向も気になります。  十一月十日、本委員会で私が質問、この選挙について我が国の外交努力について質問させていただいた際に、外務大臣は以下のように答弁をされました。十一月下旬にエジプトでのG8とイラク周辺国が集まる会議出席して、イラク政治プロセス支援のためにその場で国際社会の連帯と協力を固めていきたいと言われました。  自衛隊安全確保イラクの安定のためにこの選挙を成功に導くことは必要ではありますが、報道では、この選挙支援が具体的に、具体策に乏しいと指摘されておりますが、外務大臣、この国際社会の連帯と協力についてどんなことを固め、そして外交努力、支援を具体的にどういうことを行おうとしているのか、お答えいただけますでしょうか。
  131. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 議員御指摘の先月十一月二十三日、エジプトのシャルム・エル・シェイクで開催をされましたイラクに関するG8及び近隣国の会合、私も出席をしてまいりました。その中で、もう本当に、ある意味では全会一致といいましょうか、みんなでこのイラク政治プロセス、なかんずく、一月三十日ということをその場でイラクが発表したわけでございますけれども、この選挙というものを成功させなければいけない、これがイラク再建の第一歩だということについての認識は、確かに、先ほど前の御質問の方にもあったように、ドイツあるいはフランス等のアメリカの武力行使についていろんな議論があった国々であっても今回のこの政治プロセスは成功させなければいけないということを異口同音に言っていた点が私は大きな成果であったと、かように思っております。  具体的にじゃどういうことが決まったか。まあ、日本は選挙支援として四千万ドルの資金拠出を行うということを発表したわけでございます。それぞれの国がそれぞれできることをやろうということでありまして、アメリカはそのための治安維持というものをしっかりやっていかなければならない。あるいは、周辺国は周辺国で自分たちの持っている影響力、これは宗教的な影響力もあると思いますし、また政治的な影響力もあると思います。余りこれはイラク国内への影響力を行使するというとイラクイラク余り面白くないことなのかもしれませんけれども、それでもいろいろな形で、外交努力を含めて選挙を成功させたいということでございまして、今それに向けて着々と作業が進んでいる。  ただ、委員御指摘のように、すべての政党、すべての宗教者が参加するかというと、それは必ずしもそうでもないかもしれない。成功することは大変イラク政治にとっては大きな意味を持つだけに、逆に武装勢力はこれを必死になって妨害をしてこようという動きは当然に予想されるわけでありますので、そういったことを含めて、私どもとしては、また、国連のこの選挙への関与、選挙に関する指導というようなことも国連は国連でUNDPを通じてやっていたりというようなこともございます。そうした様々な努力の積み重ねではなかろうかな。  じゃ、完璧な形でこれが行えるかどうか。私どもはそれを期待をしておりますけれども日本考えるような、すべての全国津々浦々できちんと選挙が行えるかどうか、それは率直に言って、進んで、事態が進行してみないとなかなか分からないという面があろうかという懸念材料は率直に言ってあるわけでございます。
  132. 谷合正明

    ○谷合正明君 続きまして、オランダ軍の撤退時期につきまして伺います。  三月中旬にオランダ軍が撤退を開始していくということでありますが、その過程におきまして治安維持がなされるのかどうか、そこに国民の関心が非常に集まっております。治安確保に空白が生じないように万全の努力をしていただきたいと要望いたします。  町村大臣は、イギリスそれからイラク暫定政府を中心にして今後調整が行われていくものと見解を示されております。オランダ軍がサマワ、いや、まあムサンナ県から撤退する理由の一つが、イラク人警察部隊が養成されてきたということもあります。そうした中、イギリス軍が、ほかの地域と比べ比較的安定と言われるムサンナ県に治安部隊を優先的に回すことができるのか、八千五百人のイギリス軍が一千三百人いたオランダ軍の肩代わりをすべて持つことは難しいのではないかという声もあります。  いずれにしましても、派遣延長を決めたこの時期に、どういう形でどこの部隊がオランダ軍の後を引き継ぐのかということがはっきりしておりません。治安確保に切れ目が生じないようにするために、イギリス軍とまたイラク暫定政府のバランスなど、今どういう形に持っていこうと外交努力をしているのかについて伺います。
  133. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) これは、委員御指摘のとおり大変重要なポイントだと、私どももそう思っております。  イギリスのストロー外相あるいはアメリカのパウエル国務長官等とも私も電話で話をしたり、あるいは先ほどのシャルム・エル・シェイクでの会合等でも、もちろんその時点ではまだ私ども延長を決めたわけではございませんが、いろいろな頭の体操というか、議論は行ってきております。  その中で、例えばイギリス側からは、私どもの内閣の決定を受けた後こういう説明を、公式な発表をしておりまして、イラク南東部の多国籍軍を統括する責任を有するイギリス政府は、オランダ軍が撤退する際には、英国政府として、ムサンナ県の治安及び安定を確保するべく、責任を持って多国籍軍の中の調整を行うことを保証いたします。このために必要な部隊の配備の詳細については、多国籍軍参加国及びイラク当局との間で議論され、またそれは今後オランダ軍撤退までの事態の推移を踏まえて決めることといたしております。また、イギリス政府は、本件について引き続き日本政府と緊密に協議を行っていくことをお約束をいたしますと、こういうようなアナウンスを日本閣議決定の直後に行っているところでございまして、こうした外交努力、さらにはイラク人による警察等の治安維持能力の強化といったようなものと相まって、力の空白が生じないような外交努力をしっかりとやっていきたいと、かように考えております。
  134. 谷合正明

    ○谷合正明君 時間が迫ってきましたので順番を変えますが、広報活動の充実につきまして伺います。  このたび、防衛庁長官自らがイラクに行かれました。五時間の視察で何が分かるかという批判もあるわけでありますが、私は、いや、百聞は一見にしかずだと思っております。責任者としての立場、また行ったことによりまして国民に、国民の関心もイラクに向けられると。その意味で、この数日間、イラク・サマワに実際に行ってきた人の声が、生の声が伝わってきたと思います。私、我が国では過激派による爆破テロあるいは戦闘場面が繰り返し報道されておりますけれどもイラク国内の経済、政治復興が着実に進んでいるということから目をそらすべきではありません。  サダム・フセインの独裁体制から解き放たれて新たな国家建設に意欲を示すイラク国民の姿というものも私は見てまいりました。実際、私が戦争後にイラクに行って印象的だったのは、フセイン政権の崩壊後ですね、現地イラク人医師が自らの意思で国際機関や国際NGOのその支援とは別に、支援をする前から被災地域に入りましてボランティア活動を立ち上げておりました。現在、イラク国内には二千余りのNGOができたというふうに、国内、現地NGOができたという分析もあるんですが、私はこういう姿からイラクの民主化の動きというものを知りました。イラク・サマワの現場の実態に一番近い形のものを伝えることができるというものは、やはり現場に行った人だけだと私は思っております。そういう意味で、現地からの、今サマワからの報道というのは、我が国のマスコミが現地のマスコミに委託する形で報道されていると思いますが、やはり派遣されている自衛隊隊員の生の声というものが国民は知りたいと思っているわけであります。  そこで、陸上自衛隊航空自衛隊の広報体制はどうなっているのか、その辺り、ちょっと事実確認をさせていただきたいと思います。
  135. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 広報体制、特に情報という観点から申し上げたいと思います。
  136. 谷合正明

    ○谷合正明君 今、日本に対するパブリケーション……
  137. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 今、谷合先生、正におっしゃったとおり、私、このパブリケーションという意味じゃ本当に反省をいたしております。現場のいろいろな現象がありますけれども、例えばサマワで自衛隊の支持デモがある、ほとんど日本に伝わってきません。日本自衛隊に対する反対デモがある、非常によく伝わってまいります。それから、イラク全体で見て、治安のいいとこ悪いとこ、様々でございます。これはもう先生御存じのとおりであると思います。  そういうことで、正確な情報国民にお伝えしなきゃいけない、このことは本当に反省しておる次第でございます。また、正確な情報を取らなきゃいけない、このことも反省をいたしているところでございます。  そこで、広報活動でございますけれども、まず現時点で、現在の広報活動を申し上げますと、防衛庁長官派遣部隊幹部等が新聞、テレビなどメディアに積極的に登場するという心構えを持つことが必要だなと。そして、今、原則週三回、月水木でありますけれども、陸幕において派遣部隊活動状況についてブリーフィングを行っております。その際、現地で映しましたビデオ等の提供も行っているところでございます。部隊交代に伴う出発あるいは到着というような重要な節目におきましては、言わば一つの行事を行いまして皆様に是非とも見ていただく、このようなこともやっております。  また、衛星テレビ電話を使いまして、現地と東京を結んだ記者会見も行っておるところでございます。同様に、衛星テレビ電話を使用したりした現地隊員へのインタビューも随時行っております。  また、現地イラクにおいては、現地登録記者を対象活動状況に関する一日一回の電子メールを配信いたしております。現地メディア及び現地雇用者等を対象に取材申請に基づく取材対応もいたしております。  今後とも、こういうような広報につきましては、私は十分に配慮して、そして国民の皆様に自衛隊というのはどういう活動をしているんだ、こういうことを的確にお伝えする努力をしてまいります。
  138. 谷合正明

    ○谷合正明君 終わります。
  139. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 自衛隊派遣延長に関連いたしまして、大野防衛庁長官にお伺いいたします。  政府は、決定に当たって、陸上自衛隊活動するサマワの治安情勢を慎重に見極める、そう答えられてきました。私が、自衛隊宿営地に向け迫撃砲やロケット砲の発射が相次いだことを取り上げて治安の悪化を指摘した際に、大野防衛庁長官は、私の質問に対して、攻撃について、どういうねらいで撃ってきたのか、信管が外してあったのはどういう意味なのか、こういう情報を収集してその背景等を調査している、そう答弁されました。それが十月の二十八日のことでした。  その後、調査の結果、どういう組織によるもので、目的が何であったのか、その点は特定できたんでしょうか。
  140. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 残念でございますけれども、まだ特定、明確なるお答えができない状態にございます。    〔委員長退席、理事阿部正俊君着席〕  もとよりいろいろな意味で、私が今回サマワに参りましたときにも、例えばハッサーニ知事にもそういうお尋ねをしました。そのときハッサーニさんは、まあムサンナ県外、県外の者であろう、組織的なものではない、こんなことも言っておりましたし、またドーレン・オランダ大隊長も、分からないとしか言いようがない、こんなことを言っておりました。
  141. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 特定できていない、これが御答弁だったと思います。  これまで、先ほど官房長官からも御報告がありましたけれども、八回起きている。最初の事件は四月の七日、迫撃砲あるいはロケット砲によるものと。八か月以上前ですよね。最後の十月の三十一日の事件からも一月半経過しております。そして八か月、八件の事件のうち一件たりとも、調査して問題なしというケースは、調査としてはゼロなんですよね。ならば、どうしてサマワの情勢は安定しているというふうに判断できるんでしょうか。
  142. 大野功統

    国務大臣大野功統君) その他の現象について安定していると。  ただ、私、度々申し上げておりますけれども、この迫撃砲、弾だけは、ロケット弾だけは重大に受け止めておかなきゃいけないなと。その他の情勢については安定している、このことをお答えしているわけでございます。
  143. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 しかしですね、この問題とその他の問題、切り離せるんでしょうか。私はこれ切り離されないと思うんですよね。全部関連していますよ。ですから、切り離して、八か月前のことから始まって、調査をるるしていると言われました。いつ聞いてもそう答えられる。今日もそうですよ。ならば、なぜそういう判断ができるのか、非常に私は不思議に思うんですね。  統合幕僚会議の議長が、何が起こっても不思議ではない、会見でそう述べられました。私もそう思います。ならば、どうしてこういう判断ができるんでしょうか。つまり、どういう勢力にねらわれているのか、これが非常に肝心ですよ。これが分からない。しかも、活動期間を通じて戦闘が予測されないという、なぜそれが断定できるのか。私は、この点、今の大臣の御答弁も大変無責任だと言わざるを得ない、このように考える次第です。  そして次に、私の方でお伺いしたいのは、オランダが三月に撤退する、このことは既に明らかにされております。サマワの治安維持の後継は決まったんでしょうか。
  144. 大野功統

    国務大臣大野功統君) この点は、先ほど来、外務大臣官房長官御答弁のとおりでございます。今後話合いをしていく、こういうことでございます。  立ち上がったついでに、先ほどの問題点、甚だ無責任だと、こういうふうな御指摘でございますが、我々は責任持って安全確保、そして治安の情勢調査していくつもりでございますが、この弾、弾、ロケット弾ですね、ロケット弾については爆発もしておりません。どういう意図か、それが分からない、こういうことを申し上げております。その他は安定している、こういうことで申し上げているわけであります。
  145. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 今のことからいうと、無責任ではないと言われたいんでしょうけれども、しかし調査をしてそれを報告すると言って、いまだに調査できていない。しかし、しかし安定していると言う。論理が合わないんですよね、政府立場としても、防衛庁立場としても、自衛隊を送っている責任者の立場としてもですね。そこを私は無責任ではないかと述べているわけです。  ならばいつ、大臣、いつ調査報告できる見通しがあるんですか、それだけ。
  146. 大野功統

    国務大臣大野功統君) これは、先ほども申し上げましたとおり、ハッサーニ、あるいはオランダの司令官、あるいは現地の治安当局、部族など様々な情報収集に努めておりますけれども、やはり夜間のことである、こういうことでなかなかその足跡がつかめない、こういうことでございます。
  147. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 ですから、そういうことを含めて、やはり私は無責任だということを言わざるを得ない。このことを重ねて述べておきたいと思います。  先ほど私の質問いたしましたオランダ軍の後継の問題でありますけれども、この問題で話合いをしていくと、これからもして、続けていくんだという、そういう御答弁だったと思います。  一つお伺いしたいんですけれども、アメリカと協議しているという話ですけれども、アメリカが治安維持に当たる可能性はあるんでしょうか。
  148. 大野功統

    国務大臣大野功統君) アメリカは、これはラムズフェルド長官でございますが、大事な問題であるから、安全というのは大事な問題であるから話し合いましょうと、こういうことでありまして、イギリスがその総括責任者ということであります。  なお、一言だけ言わしていただきますと、この治安を守る、安全を確保していくということは、自らももう一生懸命やっていかなきゃいけない大事なことだと思っております。
  149. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 もちろん自らを守るという意味ではそういうことになると思いますけれども、しかし、治安の任務というのはそれはできないわけですから、法律の仕組みとして、ですからそこを伺っているわけです。政府はこの問題でイギリスとももちろん協議されていたということを答弁されました。先ほど話がありました。しかし、イギリス軍が治安任務を担うことがどういう影響を与えるのか、この点もよく見る必要があると思います。  お伺いしますけれども、イギリス軍はこれまで何度攻撃を受けてきたのか、それから死者は何人出ているでしょうか。
  150. 吉川元偉

    政府参考人(吉川元偉君) 事実関係の御質問でございますので、お答え申し上げます。  御趣旨の何回攻撃されたのかという点、この辺、私どもイラクにおけるイギリス軍の行動の詳細について承知している立場ではございませんので、詳細、さっき、何回攻撃されたのかということはよく分かりませんが、イギリス国防省が出しておりますホームページによりますと、昨年三月のイラクに対する武力行使以降、犠牲となったイギリス軍の兵士は合計七十四人だということを承知しております。
  151. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 確かに活動の時期が違うわけですけれども、やはりその点でオランダ軍よりも犠牲ははるかに多いということになります。しかも、私は、イギリス軍はイラク戦争を開始した当時から、そしてまた占領を始めた当時からのずっと当事者であるわけですね。したがって、オランダ軍よりも、またそのほかの軍隊よりもイラク人の反発が強いんではないかと思いますが、その点、どう見ておられますでしょうか。    〔理事阿部正俊君退席、委員長着席〕
  152. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) まあそういう考え方もあるのかもしれませんけれども。  死傷者が確かにかなり数が、数十名、多いのは事実でしょう。しかし、ある意味ではそれだけ、スンニ・トライアングルの中あるいは近辺、まあ危ないところに行ったということなのかなと思います。逆にオランダの場合はたしか二名の死傷者であると。それはオランダに対してイラクの武装勢力が優しいからということではなくて、やはり基本的にムサンナ県あるいはオランダが担当していた地域が安全であったということの逆に証左ではないんだろうかと、そう思っておりまして、そういう意味から、先般来、大野防衛庁長官御答弁しておられるように、サマワ及びその周辺は安全な安定した地域だということの一つの逆説的な証明になるのかなと思ったりもしております。
  153. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 イギリス軍とともに行動をともにするということの危険性の一つとして、イギリス軍が治安任務に当たる中で復興支援活動のみに専念してきたニュージーランドは、クラーク首相がイラクのこの地域は危険過ぎるといって撤退していることが挙げられると思うんですね。  このイギリスの治安維持とともにやはり自衛隊がサマワで活動するということは、やはりますます占領軍と一体として見られ、イラク人の日本に対する感情が悪化することは避けられない、このことを指摘したいと思いますし、また同時に、これはアラブ連盟のムーサ事務局長が最近述べていることですけれどもイラク情勢について悪化の一途をたどっていると述べて、自衛隊を含む外国軍の駐留はイラクの安定化に寄与していないとの認識を示しているわけですね。  同時に、サマワの復興支援しているNGO、これは、やはり大事なことは、外国軍の駐留が住民の反発を招いて治安に悪影響を与えている、復興支援を本格的にする上でも障害を与えているという認識を示しております。  したがいまして、私は、今回の自衛隊派遣延長、これには反対であるし、また同時に、自衛隊は直ちに撤退すべきだ、このことを述べて質問を終わります。
  154. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 イラク問題については後ほど伺うとしまして、まず最初に、内閣府に対して、前回せっかくおいでいただきながら時間切れで質問できなかったことをおわびするとともに、積み残した問題について、二、三、お伺いしたいと思います。  さきに、米海軍恩納通信所跡地利用について質問主意書を提出したところ、十二月三日付けで政府答弁書をいただきました。同通信所は、一九九五年に返還されて以来、その跡地の九三%がまだ利用されておりません。その利活用については国に責任があるのではないかとの質問に対して、政府答弁書は、当該跡地の所有者が主体的に取り組むものであると答えております。  そこでお伺いしますが、跡利用がなかなか進まない理由と責任の所在について改めてお伺いします。
  155. 武田宗高

    政府参考人(武田宗高君) お答え申し上げます。  恩納通信所の跡地利用でございますけれども、これはやはり、あくまでも地権者の方々の主体的な取組が最も重要であるというふうに考えておるところでございます。
  156. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 利活用が進まないのは、返還から四か月後の一九九六年三月に汚泥処理槽跡の汚泥から水銀やPCBなど十一の有害物質が見付かり、土地引渡し時期が不明確になったため、開発を提案していた九つの会社が撤退したり、同跡地に建設された総務省の電波観測所の賃貸料が相場よりも高く、開発を目指す民間企業がしり込みするといったような事態に至ったからと言われております。  したがって、跡地利用が進まないというのは、米軍に土地を提供し、かつ返還後スムーズな跡利用ができるように原状回復をさせることができなかった国に責任があるのではありませんか。
  157. 武田宗高

    政府参考人(武田宗高君) 跡地利用でございますけれども、既に原状回復を終え地主に引き渡されておりますので、あくまでも地権者の方々の主体的な取組ということで進めていただくということであろうと思っております。  なお、これに関しましては、地元におきましても恩納村通信所跡地利用計画検討委員会を設置するなど、そういった取組に向けての合意形成に取り組んでおられるというふうに私ども承知をしているところでございます。
  158. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 去る十一月十一日の外交防衛委員会で、沖縄北谷町の米軍キャンプ桑江北側返還跡地で新たに発見された土壌汚染の問題について、この浄化の最終責任はどこにあるのかとお聞きしたところ、防衛施設庁の戸田施設部長は返還後の原状回復日本政府にその責任があるとお答えになりました。  今お伺いしますと、もう既に浄化が済んでいると、全く差し支えないというような御趣旨の御答弁ですが、それでよろしゅうございますか。
  159. 武田宗高

    政府参考人(武田宗高君) 恩納通信所の跡地利用については、現在地権者の方々がその土地の活用について協議を、合意形成を図っておられるということでございます。
  160. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 私がお伺いしているのは、もうすっかり浄化が済んで跡利用に差し支え、一切差し支えないということですかと聞いているんです。
  161. 武田宗高

    政府参考人(武田宗高君) 恩納通信所の跡地につきましては、原状回復を済ませ地主に引渡しがなされておるというふうに承知をいたしております。
  162. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 失礼ですが、もう一遍まともにお答えしてください。非常に大事なことですよ。  沖縄の人は土地を提供して米軍に協力し、政府協力し、やった結果、十一の毒性物質に汚染されているということで、返された土地が九三%もまだ使えないままほうっておかれているということ、もう少し国の責任を感じていいんじゃないですか。その地主だけでもう何年たっていますか、返されてから。
  163. 武田宗高

    政府参考人(武田宗高君) 恩納通信所の跡地につきましては、土壌汚染の問題が確かにございました。これについては、防衛施設庁を中心に原状回復に取り組まれ、現在、その作業を終了して地主に返還をされておるというふうに承知をいたしているところでございます。
  164. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 後ほどまた伺うとして、別の質問に入りたいと思います。  普天間飛行場代替施設建設に関連して、那覇防衛施設局が現在行っている海底ボーリング調査について伺います。  この件についても、先日、質問主意書を提出し、同じく十二月三日付けで政府答弁書をいただきました。このボーリング調査実施による自然環境への影響について、政府答弁書では、自然環境への影響を低減するための各種の措置を講じることにより、その影響は軽微なものにできると考えているとありますが、自然環境へ与える影響を軽微なものにできるという根拠について御説明ください。
  165. 河野孝義

    政府参考人(河野孝義君) お答えいたします。  ボーリング調査実施に当たりましては、昨年六月から七月にかけて、ジュゴンや海草藻場、サンゴ等の環境への配慮に遺漏なきを期すように、調査位置設定のために潜水調査実施し、環境への配慮方策を盛り込んだ作業計画を作成しております。また、公共用財産使用協議の同意に際しまして沖縄県から示された調査実施の際の環境配慮事項については、これを真摯に検討した上で、環境配慮に係る必要な措置を講じて調査実施しているところでございます。  ボーリング調査による自然環境へ与える影響は、このようなことから軽微なものにできると考えているところでございます。
  166. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 ボーリング調査による自然環境への影響を心配する声に対して、調査をやっている当事者が心配ない、大丈夫だとおっしゃっても、一般の県民は納得しておりません。その証拠に、現地では裁判所に差止めを求める提訴をしようとしているわけですね。  そこで防衛施設庁に伺いますが、沖縄県の環境影響評価審査会がこのほど沖縄県知事への答申で、ボーリング調査環境への影響を検討した上で実施するように求めると決定した旨を述べているようです。少なくとも第三者機関に環境に与える影響についてまともに調査するよう依頼すべきでないかと思いますが、いかがですか。簡潔にお答えください。
  167. 河野孝義

    政府参考人(河野孝義君) お答えいたします。  ボーリング調査につきましては、環境に配慮しつつ調査実施できるよう、那覇防衛施設局において、ジュゴンや海草藻場、サンゴへの配慮方策を盛り込んだ作業計画を作成しているところでございます。  それで、作業計画をまとめるに際しましては、環境省からの助言を踏まえ、海洋動物学及び海洋植物学を研究されている専門の方々五名に御協力お願いし、環境への配慮事項について助言を得た上で作成したものでありまして、作業計画や沖縄県から示された環境配慮事項に係る必要な措置を講ずることにより、ボーリング調査による自然環境に与える影響は可能な限り回避又は軽減できるものと考えております。
  168. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 イラク問題との関連で、サマワに派遣している陸上自衛隊の主な支援業務である給水活動について、去る十二月九日付けの毎日新聞は、第一次から第四次までの計二千百七十人の隊員で、今年の三月二十六日から十二月七日までの間、約四万四千トンの給水をしたと報じています。しかし、陸自による約八か月にわたる給水実績は、外務省ODAで提供を始めた浄水セットが来春にも完成すると、これは十日間くらいでできる量だと指摘されています。  その経費を見ると、陸上自衛隊イラク派遣に関する防衛庁の予算の執行状況は、十二月十四日までの分まで含めまして二百七十七億円であり、一方、外務省によるサマワを含むムサンナ県における給水分野のODA予算は、陸自の四十分の一ほどの、総額約七億三千七百六十万円ということであります。  したがって、費用対効果から考えても、外務省による支援活動の方がよほど意味が大きいのではございませんか。
  169. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 先ほど来から何度も申し上げておりますが、お金さえ出せばそれでいいというわけにはやっぱりいかないんです。ここはやはり人的貢献、あるいは資金、物の供与、両面から日本というものが国際社会の一員としての責任を果たしていこうということであります。ただ、今委員御指摘のODAについては、今次第に振り替わってきているところでありますから、いつまでも自衛隊がずっと給水・浄水活動をやっているということにはそれはなっていかないで、どっかの時点でだんだんバトンタッチをしていくというふうにいくんだろうと、こう思っております。
  170. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 終わります。
  171. 岸信夫

    ○岸信夫君 自民党の岸信夫でございます。  まず、先週九日の閣議でまずイラクの一年、イラク派遣の一年間延長閣議決定されたわけでございますけれども、これまでの自衛隊による活動、これがイラクに、また特にサマワ住民に広く支持されてきた、また国際社会に対する我が国の積極的な貢献という観点から考えても、私は、このこのたびの決定を強く支持するものであります。  小泉総理は記者会見におきまして、イラクでは自分たちの国づくりに懸命の状況である、自衛隊活動を継続してほしいとのイラク政府、ムサンナ県あるいはサマワの地元の皆さんからの要請を断ることは妥当ではない、苦しいときに手を差し伸べてくれたという大変高く評価されている活動を継続する、このような趣旨の延長の理由を説明されておられます。  イラクの全土においてはまだまだ治安が安定してない中ですけれども派遣延長していくというこの意義について、撤退する理由がないとか、あるいは相手から残ってほしいとか、そういうこと以上に我が国として積極的に派遣を続けていくこの積極的な姿勢というもの、また意義というものについて、細田官房長官から御見解をいただきたいと思います。
  172. 細田博之

    国務大臣細田博之君) イラクという国が、元々産油国で豊かな国ではありましたが、サダム・フセインの圧制、相次ぐ戦乱、あるいは少数民族の圧迫等、非常に大変な困難に逢着し、それがようやくそういった圧制から解放されたという状況がございます。そこには数々の復興する必要がある状況でございます。  私は、イラク代表日本に来られたときも、この東京を見てごらんなさい、これだけビルが建っているけれども、この東京の九〇%以上、九十何%はアメリカの爆撃機によって破壊された、そこから我々も来たんだということを言ったんでございますが、それに近い、それほどではありませんが、それに近い状況からこれから復興してもらわなきゃいけない、そのために日本が積極的な協力をする必要がある。  ただ、日本の強さは本当は民間ですから、民間のあらゆる企業が行って手伝っていかなきゃいけないんですが、今の治安状況ではそれもままならないということで、資金的援助は随分無償協力、十三億ドルの中でムサンナ県は五千万ドル、今までですね、それから十二億五千万ドルはほかの地域という約束をしていますが、この約束もなかなか実行まで移すのはもうちょっと、具体的案件はそろっておりますけれども、まだ掛かるんですね。  そういった状況の中で、我が日本自衛隊がこのサマワにおいてこつこつと一隅を照らしながら協力する、これがかつて日本国がやったことのない協力であって、議員御指摘のように、極めて大切なことであろうと。ただ、もちろん自衛隊員の安全というものは最優先の課題でもあるわけでございます。
  173. 岸信夫

    ○岸信夫君 我が国の平和と安全の基本である日米同盟、そして国際協調というこの外交の基本方針ですけれども、これを具体的に実施することが我が国の国益にかなうと、このように総理も述べておられます。  この国益についてお伺いしたいと思います。  これまでの自衛隊の隊員の方々、この大変な努力によりましてサマーワで、サマーワの住民の皆さんから温かく受け入れられている、そして感謝されている中でこの活動を続けているわけですけれどもイラク復興、安定というものが石油の供給を我が国が依存しているこの中東全体の安定につながっていく、また国際社会の中で協調を進めることによる我が国の地位の向上、あるいは日米協力という観点から、我が国の安保体制、これを強化するなど、国益の見方にもいろいろあると思います。  一方で、イラクのこのサマーワ中心とする一地方でのこの自衛隊活動というものが本当に国益につながっていくのかどうか、こういった否定的な見方もあるわけですけれども、私は、やはり情けは人のためならずと、何より国際社会に寄与する我が国の積極的な姿勢を示すことが大変重要な意味を持つんだと、このように思っております。イラク南東部から始まる今回の我が国の人道復興支援我が国の対イラク復興支援の象徴として広く理解されていくと思いますし、またそうしていかなければいけないわけです。  自衛隊活動とその派遣期間延長について、これを我が国の国益につなげていく、そうしていかなければいけないわけですけれども、この国益との関係に、関連について町村外務大臣に御見解をいただきたいと思います。
  174. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 委員、大変重要なポイントをお触れになったと、こう受け止めました。  すべての外交活動あるいは対外活動は、国益との関連でいったんはきちんと整理をしなければいけない、そういうテーマだろうと思います。そういう意味で、自衛隊派遣、そしてこの延長というのが当然我が国の国益にかなうという判断を日本政府がしたということにほかならないわけであります。  委員お触れになった一番分かりやすい、日本人にとって分かりやすい例は、やはり中東の油ということになるわけでございます。原油の、輸入原油の九割をやはり中東に依存をしております。何とか多角化し分散化したいと努力はしてきたけれども、現実に九割近いものがこの中東地域。したがって、この中東地域の中核にあるイラクという国がやはり安定した国づくりをしてもらわないと、日本のこのありとあらゆる生活、経済活動の基盤が揺らいでしまうという意味で、大変これは日本の国益に直結した地域であるということが言えるのは当然のことであろうと思います。  また、国際協調の面も、先ほど何人もの委員からもお触れをいただきましたけれども、やはり日本国際社会の一員であるからこそ初めていろいろな活動があるし、また日本の国の繁栄というものもそこに依存をしているわけでございます。  国際社会が今一致してイラク復興協力をしようというときに、確かに完璧に安全ではないかもしれないけれども、多少のリスクを覚悟の上で自衛隊の皆さんに頑張ってもらっているというのは、正にこの地域に対する国際社会の一致した協力の一翼を日本も担うということが日本の国家に対する信頼感を増すゆえんだろうと、こう思っております。  さらに、日米関係のこともお触れをいただきましたけれども、この日米関係、いろいろな活動の積み重ねで今日の安定した日米関係があるわけでございます。私は、今でも思い出しますけれども、安倍外務大臣、シュルツ国務長官のあの安倍・シュルツ外交というものも、それだけを見ればそのお二人の個人的な関係ということになってしまいますが、そうしたものの積み重ねというものが今日の安定した日米関係の基礎になっていると、こう思います。  したがって、今回の自衛隊派遣というものは、派遣延長というものは、間違いなく安定した日米関係の基礎を将来にわたって築いていくと私は考えているところでございます。
  175. 岸信夫

    ○岸信夫君 その日米協調、イラクにおける日米協調に関連することでございますけれども、九日の派遣延長決定というものが北朝鮮の問題、すなわち横田めぐみさんの遺骨と称されるものが全くの捏造であった、このことの発表がたまたま重なったわけです。日本人の拉致問題に対する北朝鮮の不誠実な対応、これに見られるように、北朝鮮側は、我が国が彼らに対して決定的な脅威を与えることがないんだと、このように踏んでいるんではないでしょうか。  我が国は、国家の存立そして国民の安全を確保するためにも、経済制裁を含めてこの北朝鮮に対しては毅然とした対応をしていかなければいけないわけですけれども、一方で、経済制裁、やはりこれだけでは効果がないんではないかというような意見もあるわけです。そこにこの効果を高めるためには、やはり軍事的なサポート、すなわち我が国においては米国によるしっかりとした後押しが、これは必要になるわけでございます。  日米同盟は、この自衛隊の存在と相まって我が国を取り巻く諸環境、これを、この安定に対して非常に不可欠なものでありますけれども我が国は軍事面のみならず経済面あるいは社会・文化面などあらゆる面で総合的に日米の関係強化していく、このことが何より肝要なんだろうと、このように思っております。協力できることは協力し、そして物を言うときには言っていくと、これができる関係に今、日米関係というものがなってきているんではないかと、こう思います。  このたびの派遣延長は、この観点からも非常に意義が大きいというふうに思いますが、御意見をいただきたいと思います。
  176. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 今申し上げたようなこと、あるいは今委員が言われたようなことで、やはり安定的な日米関係というものが日本にとっての国益であると同時に、このアジア太平洋地域の安定、平和というものに貢献をしているということは御指摘のとおりだろうと、こう思っております。  北朝鮮の問題が今大変大きな課題になってきております。私どもも早急に今資料の精査をやっておりますが、それを取りまとめた上で今後の対応ぶりを決めなければならない。その際に私どもとしては、関係国であります、特に六か国協議の主要なメンバーでありますアメリカと十分これもまた密接な意思疎通を図りながら北朝鮮対応を取っていかなければならない。  ただ、基本的には私は、やっぱりこのイラクの問題と北朝鮮がダイレクトに直接的にリンクしているとはあえて申し上げません。それは、幅広い日米協力関係の一翼を担う、重要な一環を担うものとしてのお互いのそれぞれの位置付けだろうと、こう思っておりまして、自衛隊派遣延長しなければ日米安保条約が動かなくなるといったような関係には必ずしもないだろうと、こう思っております。  いずれにしても、日米が安定した関係を持っているということが北朝鮮問題への的確な対応のこれまた基礎になるということは、岸委員のおっしゃるとおりであると私も考えております。
  177. 岸信夫

    ○岸信夫君 大臣、ありがとうございます。  今大臣おっしゃるとおりで、日米関係というのは一つ一つの事象ではなくて、やはり総合的にこのきずなを深めていく、そのことによって将来の諸問題に当たっていける、このように考えておる次第であります。  大野防衛庁長官にお伺いします。  先日、イラクを御訪問されました。大変厳しい中での御訪問で、本当に御苦労さまでございました。今回の延長についての決定に先駆けての現地の訪問ということで、派遣部隊にとってもこれは非常に力強い御訪問だったんではないかというふうに思います。  直接訪問されて、宿営地で隊員の皆さんと、じかに声をお聞きになって、またサマワの市街に出られて、多くの市民の方と直接お会いになった。また、町の様子を直接ごらんになったということで、このことは非常に有意義なんではないかと、そしてまた今回の延長決定にも大きな要因になったんではないかと、このように思うわけであります。  しかし一方で、我が国はまだ政府が十分な説明を尽くしていないんではないかと、こういうような国民の声も多く聞かれるわけです。やはり現地に行かれて直接ごらんになった方がまた直接その状況国民に語っていかれると、このことも大変重要なんではないかと、そのことによってまた国民理解が深まり、今イラクで苦労されている自衛隊に対する大きな支援になっていくんではないかと、このように思うわけでございます。  なかなかその辺りのギャップがまだあるんではないかというふうに思うわけですけれども、直接訪問されて、その感覚を持たれておられる長官の御意見をいただきたいと思います。
  178. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 岸先生おっしゃるとおりでございます。  特に、私、一つだけ申し上げたいのは、今国益という問題が議論されました。その中で、日米のきずなが大切だと、こういうことも議論されました。でも、私、もう一つだけ付け加えさせていただきたい。それは何かというと、やっぱり人間と人間との触れ合いであります。この人間と人間の触れ合い、本当に、自衛隊の諸官が七夕祭り、ねぶた祭り、折り紙教室を開く、そしてお互いに信頼関係、心の触れ合いによって手を振ってくれる、こういうことがやっぱりこれからのイラク日本の間の関係の本当に始まりというか、基礎になっていくんじゃないか、このことを私は身をもって感じた次第でございます。  それから、その他のことについては度々御説明申し上げておりますので割愛させていただきますけれども、隊員諸官は、本当は皆さんと申し上げたいんですが、先ほど注意されましたので諸官と申し上げますが、諸官は本当に、宿営地内でこういう標語がありました。油断せず助け合って真心支援。真心で一生懸命やろうじゃないか、こういう隊長、支援群長の指導の下に若い皆さん、三十三、四歳の皆さんが頑張っている。このことはやっぱり私は皆様に是非とも報告したい。こういうことが意外に報道されないというのは大変残念だと思っております。  そういう真心を持って務めていく、人道復興支援に取り組んでいく、このことがイラクからまた評価されるんではないか。ちなみに、蛇足でございますけど、自衛隊が作っている、浄水している水も名前は真心水と言っておりました。
  179. 岸信夫

    ○岸信夫君 来年はイラクの民主化、民主政府の樹立に向けて大変重要な一年になっていくわけでございますけれども、まず最初の大きなイベントとしては一月三十日の選挙と、こういうことであります。  我が国は十月の東京での会合において四千万ドルの資金支援をこの選挙に、選挙支援という形で拠出するということが表明されています。治安情勢、まだまだ厳しいところもあるわけですけれども、何としてもこの選挙を実施して成功裏に終わらせると、このことが次のステップにつながっていくわけです。  我が国として、この四千万ドルがどのように使われていくのか、なかなかその選挙の監視団とか人的な派遣をするには難しいのかもしれませんけれども、もしこの四千万ドルの使い方等お分かりのところがございましたらお答えいただきたいと思います。
  180. 吉川元偉

    政府参考人(吉川元偉君) 一月三十日に予定されている選挙に関するお尋ねでございます。  先生御指摘のように、十月十三日のイラク復興会議町村大臣から四千万ドル、日本はそのお金を出そうということを表明いたしまして、その後、このお金は既に国連の口座に入りました。これをどういうふうに使うかというのはこの信託基金を管理しております国連側の決定いたしますが、日本としては、有権者登録にかかわる諸経費、登録所や投票所の整備というような選挙事務に支援してくれということをお願いして拠出しております。  選挙をどうやって動かすかは、イラクの国内にできておりますイラクの選挙管理委員会、それと国連の現地事務所が協力してやっておりますが、近々カナダのオタワでイラク選挙に関する国際フォーラムというようなものも予定されており、我々としても、お金をせっかく出したわけですから、どういうふうにそれがきちっと使われて選挙の実施につながるか見届けてまいりたいと考えております。
  181. 岸信夫

    ○岸信夫君 過去、我々の、我が国からの資金の支出というものが目に見えないというような御批判もいろんなところであったわけでございますし、この四千万ドルの使い方、あるいは総額で五十億ドルの使途についてもしっかりと把握しながら、またそれをしっかり国民の皆さんにも分かってもらうような形でこれから援助を進めていっていただきたいと、このように思うわけであります。  オランダ軍の話ですけれども、オランダ軍は今、一月の選挙を見届けて、その後、治安維持活動を基本的にはイラクの警察、治安部隊に移行していく、あるいはその後、英国、南東部を統括しているイギリス軍にゆだねると、こういうふうに聞いております。しかし、現実にはイギリスも人的に限られているところもある、非常に、それで十分な治安が維持できるか、このようなところも非常に難しいところだと思います。  我が国自衛隊派遣延長に関して、この厳しい国民世論というものもあるわけですけれども、これもやはり、この治安の確保がどうなっているのか、この不安というものが一番大きいんではないかというふうに思います。やはり、この点について、特にこれから情報活動イラク部隊あるいはイギリス、こういったところとの関係を密にしていかなければいけないわけですけれども、現在、現時点での見通し、もしあれば、お知らせいただきたいと思います。
  182. 大野功統

    国務大臣大野功統君) まず、オランダ軍が三月半ばに撤退するということでございます。  この点は、せんだって来日されましたカンプ国防大臣とも話合いをしましたけれども、やはり交代をするためには次の派遣隊の訓練をしておかなきゃいけない、もう訓練はしていないからこれは既成事実と考えてもらってもいい、ただし撤退するにはやっぱり若干の時間が掛かる、まあ二か月ぐらい掛かるのか、どのぐらい掛かるのか、直ちに撤退することではない、このようなことであります。  じゃ、その後をどうするか。これ度々申し上げております、町村外務大臣から御説明がありましたけれども、アメリカ軍、アメリカも大変な関心を持っております。それから、イギリスが全体の総括責任者、南部の総括責任者でありますから、せんだってイギリスの方からも、この問題については我々は責任を持って対処するということを表明しているわけであります。  ただ、現在のところ、現在のところ、オランダ軍の後、どの国がこの治安の担当者になるのか、これはまだ確定、決められていることではありません。ただし、これまで南東部、特にサマワ県の治安が良かった原因の一つに、やはりオランダ軍がいたということは私、十分考えなきゃいけない問題であります。  そういう意味で、この問題はこれから国際的にいろいろ検討されなければならない問題であると同時に、度々申し上げておりますけれども、我々自身でもやはり治安の維持のためにやっていかなきゃいけない。そのためには情報活動も大事であります。日本自衛隊の特徴として、ほかのオランダ軍にはないようなものの一つは、やはり住民の間に浸透している。特に、部族長との交渉を支援隊長は、業務支援隊長はやっている。こういうところはますます力を注いで情報収集等に努めてまいらなきゃいけないし、それから別の角度からですけれども、隊員の安全確保、この点も十分に配慮していかなきゃいけないと思っております。
  183. 岸信夫

    ○岸信夫君 今長官がおっしゃられたように、我が国支援活動、非常に現地の方々の中に入っていかれておられる。そういう意味で、非常に頑張っておられると思うんです。現地でも感謝、大変感謝されている。このことは外務省防衛庁のインターネットなどホームページでも広く広報はされていると思うんですけれども、まだなかなかストレートに国民の皆さんに伝わっていない、こういうことがあるんじゃないかなというふうに思います。  先ほどお尋ねしました大野長官あるいは自民党の武部幹事長、そして冬柴公明党幹事長、サマーワを訪問されたわけですけれども、同じように我が国の報道関係者がサマーワの宿営地に安全を確保しながら入って取材をすると、そして報道関係者が直接状況を伝えてくる、こういったことはまだ今の段階ではできないんでしょうか。また、現地状況を正確に伝えていくという工夫を更にしていかなければいけないんじゃないかというふうに思うわけです。  さらに、自衛隊イラクに対するこの復興支援活動自衛隊ODA実施、この車の両輪に例えられるわけですけれども、これは米国との協調ばかりじゃなくて、国連やあるいは欧州諸国との国際協調、そしてあるいはアラブ諸国との協調の中で進められていくこと、これを大いに広めていかなければいけないわけです。しかしながら、一部の新聞などではやはりそうではないような報道というのがなされているわけです。  たまたま先週ですね、十日、すなわちこの決定がなされた次の日の朝日新聞などを見ますと、大きな見出しで「冷める「親日アラブ」」と、こう出ております。エジプトのアハラム戦略研究所の主任研究員がいろいろ述べております。その中で、アラブの世界日本に抱いていたイメージは大きく傷付いている、こういったことも述べているわけです。  このことがどうこうということではないんですけれども、そういった形で発言をすることがこの日本で大きく取り上げられてしまう、それを見たお茶の間の方々はそういうものなのかと、こういうふうにも思ってしまうわけです。そういう意味で、この広報活動をもっともっと進めていかなければいけないと思います。  これは我が国の国内での広報活動、そして、あるいはイラクの国内での広報活動、そしてまた周辺諸国、アラブ諸国での活動というものもどんどん進めていかなければいけない。これはやり過ぎるということはないと思います。また、これはもう政府間同士ということだけではなくて、それぞれの国の、特に影響力を持っているような機関に対してもきっちりとこの自衛隊活動、また現地でどのように感謝されているか、こういったことも発信していかなければいけないんじゃないかというふうに思いますけれども、この点について御認識を伺いたいと思います。
  184. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 大変これまた重要なポイントでございます。どうも国内あるいは海外に向けての広報が不足しているなと率直に私も反省をしているところでございます。  心掛けて中東のテレビ局の番組に出たり、あるいはそういう新聞のインタビューに出たり、あるいは新聞社のマスコミ関係者を外務省で呼んだり、いろいろな工夫はやっているつもりであります。あるいは日本の在外大使がいろいろなところで講演をしたり、いうようなことはやっております。ただ、それで十分かというと、必ずしも十分ではないかもしれない。  また、国内的にも、どうしても、どちらかというとおどろおどろしい、やれどこで爆撃があった、どこで何人死んだというようなことばっかりが出て、非常に地道だけれども貢献をしている自衛隊活動、あるいはODAの成果といったようなものはなかなか取り上げられないといううらみがあります。その辺、それぞれの省で、また政府を挙げてこの広報活動を一生懸命やらなきゃいけないと、こう思っております。  ただ、こうやって、あそこの某新聞のように、こうやって自衛隊派遣延長されればアラブはみんな冷めていくよといったような、半ば私の目から見ると意図的なこういう世論誘導というのはいかがなものかと、こう思わざるを得ません。  実は十一月十二日の日に、今、逢沢副大臣が、モロッコで行われておりました、これは未来のためのフォーラムというそのアラブの主要国が集まる会議に出ておりまして、そこでムーサという大変有名なアラブ連盟の事務総長、元エジプト外相ですが、逢沢副大臣との対話の中で、自衛隊派遣については非常に重要な決定であり、これを歓迎し、感謝するというような発言をしております。そういったことは、一生懸命こうマスコミの皆さんに逢沢さんからも言ってもらってはいるんですが、伝わらない、報道しようとしないということはある種の偏りを感ずるのでありますが、いずれにしても一生懸命努力をしてまいりたいと思います。
  185. 岸信夫

    ○岸信夫君 残念ながら時間がもうなくなってしまったわけですけれども自衛隊が任務を完遂して、そして活動イラク側に移譲し、そして派遣された隊員の皆さんが全員がこう無事で元気で帰られる、家族の下に戻ってこられる、このことこそが今後我が国が国際貢献を続けていく、このことにも大変重要なんではないかと、こういうふうに思います。  厳しい環境の中で現地で頑張っておられる、全力で努力しておられる自衛隊に対して、政府は最大限のこのバックアップを最後まで続けていただきますよう強く要請いたしまして、質問を終わらせていただきます。
  186. 太田豊秋

    委員長太田豊秋君) 本件の質疑はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。    午後四時十一分散会