○馬淵
委員 そこで、受益権
販売ということ、これを業となすということは、反復継続性があるということだと今
お答えをいただいたわけでありますが、不動産
流動化ビジネスそのものの御説明、
皆様方よく御存じかもしれないんですが、御説明をそっとさせていただければなと思います。
お手元の資料の四枚目の方をめくっていただけたらと思いますが、YK・TK方式というのがございます。これは不動産
流動化ビジネスの一
類型なわけでありますが、この図がわかりやすいので、ちょっとYK・TK方式のものをお出ししました。
まず、
信託財産、
信託に供するような
財産、今回不動産ということで限れば不動産をお持ちの方、これは一番左端の原保有者という方です。この方が不動産を
信託財産として
信託銀行、
信託会社、今回
信託会社等ですね、これも
担い手が広がるわけですが、そこに
信託します。そして
信託受益権を
委託者が持ちます。そして不動産の
流動化では、この
委託者が受益権を持っている。この受益権を、この右にありますSPC、これは特別目的
会社というものなんですが、SPCに受益権を譲渡します。そして、
流動化ビジネスの
方々というのは、このSPC、これは有限
会社で大抵やられるんですが、有限
会社のこと、これをYKと呼びます。有限
会社、
会社をつくるには出資をせねばなりません。この有限
会社に出資をするところ、これを匿名組合出資者で出資をしていただきます。この匿名組合出資者のことをTKと呼びます。
まずSPCをつくるというときには、匿名組合、TKから出資をいただく。そして今度は受益権を譲渡されるわけですから、不動産が実質動いたのと同じになるわけです。不動産を
担保にしてのデット、借り入れを行います。債務として受け入れます。それをレンダー、
銀行から借りるわけですね。これは不動産
担保の借り入れですから、不動産
担保内ということで、これをノンリコースローンと呼んでいるわけですが、このSPC、有限
会社に出資をする匿名組合出資者TK、ここに
銀行などの貸し手がノンリコースローンをつける。
前のページを見ていただければ、
資金調達のバランスがここでとられるわけです。YK・TK方式の調達構造、これはバランスシートなんですが、
信託受益権という
資産に対して、デットとしてのノンリコースローンと、そして資本としての匿名組合からの出資金で、これでバランスしているわけです。この状況がSPCにあります。
これが
一般的に、YK・TKは別としましても、このような何らかの形で、SPC、特別目的
会社をもって不動産というのが
流動化しています。もう皆さん方はよく御存じだと思うんですが、この
流動化ビジネスの
スキームは、
信託を使った形でこのように行われています。
さて、この
流動化ビジネスの中で、
先ほど来、反復継続という形で受益権が売られる、この場合は受益権
販売業者だという御説明だったと思います。しかし、私がここで申し上げたいのは、本当に実態というものをよく議論されたんですかということなんです。
先ほど、
金融審の議論の中では、
契約代理店と
販売業者というのを区分しなければならないという議論があったという
お話でした。実態の
お話はないと、私はそのように聞いています。十分な
市場の実態調査や
ビジネスモデルのことを確認せずに今回の法
制度に盛り込まれているのではないかと思えてならない点が、このSPCの
スキームの中に出てくるんです。
御説明します。
一件の不動産、例えばビルなんかとしましょうか。ビルをお持ちの
所有者が、
信託して受益権を得る。そして受益権をSPCに譲渡する。SPCは、これは指図者の
契約を、アセットマネジメント
会社、AM
会社といいますが、AM
会社と
契約を交わして、売れだの譲渡だのという指図をAM
会社がやります。SPCというのは、これはペーパーカンパニーなんです。ただ単にお金が入ってくるだけのペーパーカンパニーです。ここで受益権が譲渡される。ビル一棟が譲渡されれば、SPCの中身は空になります。空になって、これは清算がされます。この場合は、一回の処分で、一回の取引でこの
スキームは終了です。
しかし、現実にはさまざまなバルクの不動産の処分というのをされています。このバルクの不動産、例えば五十件の物件をバルクとして
信託した場合には、受益権一号から五十号までが、これは
一つの
信託財産として受益権が五十分割されたものが出てきます。そして、それを、SPCに受益権譲渡をした場合、このSPCは、最終的にその受益権をすべて処分するまで反復継続の受益権の譲渡をやり続けることになります。このような
業務形態というのは、決して特別なものでも何でもありません。この不動産の
流動化スキームの中では、SPCを使ったYK・TK方式の
業務の中で、反復継続の受益権
販売が続くんです。
となれば、今回、法規制の中で
登録制度ということになっています。そして、同僚議員もお尋ねのあった人的要件あるいは営業保証金、さまざまな登録という形の要件の規制がかかってきます。私がここでお尋ねしたいと思いますのは、こうした実態を
考えれば、このSPCを使ったYK・TK方式のような受益権
販売業と見まがうような取引、つまり、普通にその取引をしているのに、一々
一つ一つにすべてこれは登録をしていかなければならぬという話になります。
会社がそんなたくさんつくられるのかという疑問が皆さんの中におわきかもしれませんが、このSPCは、一回こっきりなんですよ。一回こっきりというのは、一回その受益権をすべて譲渡してしまった後は処分、これは清算なんです。なぜか。二度と使わない。同じSPCを二度使うということは、レンダー、
銀行が嫌がります。既にあった受益権、その
資産の
販売の中で瑕疵があるかないかということがわからないものですから、レンダーはつきません。
一つ一つの取引にすべてSPCをつくっていくんですよ。膨大な不動産
流動化ビジネスが展開していく中で、このSPCに毎回毎回
登録制を設けるということになります。これが現実的な対応と果たして言えるんでしょうか。
私はここでお尋ねをしたいわけでありますが、こうした実態をかんがみて、
大臣、この不動産
流動化ビジネスのSPCを用いた
スキームに対して、どのような対応をとるべきだとお
考えでしょうか、
お答えください。