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谷垣国務大臣 大きな問題ですので、十分隅々まで考え詰めているお答えでは必ずしもないんですが、今
委員が御
指摘のように、人口が減るということは労働力が減ってくる、
委員はちょうど団塊の世代の真っただ中で育たれたと思いますが、戦後の
日本の
経済成長も、そこの非常に労働力が多い時期にいわばボーナス的に頑張ったという面も私はあるんじゃないかと思いますね。その団塊の世代がこれからだんだん定年を迎えていく、労働力が減っていくということが
日本経済に影響がないはずはないというふうに私は思います。
それから、もう
一つの問題は、
日本経済の成長を支えてきた
一つの力は労働力ですけれども、もう
一つの力はやはり資金だったと思うんですね。
日本は貯蓄率が高い、豊富に貯蓄がある、こういうふうに言われてまいりまして、つい最近までは確かに
世界的に見てもそうだったと思いますが、この数年急速に貯蓄率が落ちておりますのは、やはり高齢化が進み、現役世代にためたものをだんだん吐き出していく、さっき申し上げたその労働力のボーナスがあった時代を過ぎ去りつつあるということが貯蓄率の面にもあらわれているんではないかと思います。そうしますと、
経済成長を支える、人だけではなくて、金も今後十分にあるのかどうかという問題が出てくるんではないかと私は思います。
それに対する答えとしては、先ほど
内閣府からもお答えがありましたけれども、やはり
日本の技術力を高めるとか、あるいは魅力を高める。昔はよくハゲタカとかいう言葉がございまして、外資は歓迎しないという雰囲気もありましたけれども、資金が少なくなっていくと果たしてそういうことでいけるのかどうか、やはり
日本に
投資をするのが有利なことであるというような魅力を
日本がつくる必要があるのではないか、資金の面ではそういうふうに思います。
財政運営の
基本は何かということをお問いかけになりました。
今財政は、御
承知のように大変国債がもう積もっている
状況でございます。これは次世代の人たちに将来税を納めていただいて返していこう、そういうものでありますから、人口が減っていく、労働力が減っていくときに、余りツケを先送りにしているととてももたなくなっちゃうぞというのが、現在の
日本の現状を考えたときに、財政運営の
基本哲学はやはりそこに置くべきではないかというふうに私は思っておりまして、二〇一〇年代初頭にプライマリーバランスを改善するとか言っておりますのも、できるだけ早い時期に何とかツケを先送りしない体質をつくっていかなきゃいかぬということだというふうに考えているわけでございます。
では、そのためにはどうしたらいいかということになるわけでございますが、これも論じ出せば切りがございませんけれども、ことしの一年間の歳出を見ますと、大きな部分は、
一つは社会保障でございます。それからもう
一つは交付税、国と地方の
関係でございます。それとあとは国債費、つまり利息の支払い。この三つを合わせると六五%でございますから。ただ、利息の方はそれだけを圧縮するというわけにはなかなかいきませんので、どうしても社会保障それから国と地方の
関係というのを見直していく。まあ、今その議論をやっている最中でございまして、いろいろ苦しいことも多いわけでございますけれども。
今
委員が、さっきの御趣旨は、これからある程度労働力も減っていく、ダウンサイジングもせざるを得ないんじゃないかという御趣旨だったと思います。すぐにダウンサイジングと決め込む必要があるというわけでは私は必ずしもないと思っておりまして、科学技術で生産性を高めるとか、いろいろなことを試みなければいけませんけれども、やはり社会保障等に関しましては身の丈に合ったものにしていくという
努力がこれからしばらく欠かせないんではないかな、こんなふうに考えております。
大きな問題でございますので、十分隅々まで目が行き届いたわけではありませんが、あらましの今考えていることを申し上げた次第でございます。