○中川(正)
委員 それは、次の議論に結びつけるためのまず入り口だったんですが、そういうお話が出たので改めて申し上げますけれ
ども、そうした議論を我々もしていきたいんですよね。それには、そっちから話が出てこないと、限界はここまでだと思っているんだとか、今の
状況はこうだと思っているんだとかという話が出てこないと、さっきのように逃げられたら、これは議論にならないし、
国民もそれは見えない。
もう一方で、パンフレット、
方々で配っていますけれ
ども、その
財務省から出ているパンフレットはどんなパンフレットかというと、身近なところで家庭の
財政になぞらえて、
日本の国の
状況というのは家庭の家計に比するとこういうことになりますよというような、本当に納得できる話がここに書いてあるんですね。その結果、見ているとどういうことかといったら、家庭でいったらこれはもう破綻していますよということなんですよ、メッセージは。そんなメッセージを片方でしっかり出しているんですよね。それでさっきのような話では、
国民はますます不安になるし、これで本当にいいのかなと。その不安というのがすべてに今行き渡っていて、なかなか
景気回復の部分でも足を引っ張っているということがあるんじゃないか。あるいは、特に年金や医療、これから改革論議が進みますけれ
ども、それの基本になっているところはここにあるんじゃないかということ、これを
指摘しておきたいと思うんです。
その上で、もう
一つ必要だと思うのは、そこへ持っていくグランドデザインだと思うんですよ。さっきの二〇一〇年初頭のプライマリーバランスということ、これも、さっきからの議論を聞いているとなかなか、論拠というか、どういう形でどういうシナリオでそこに持っていくのかというプロセスが見えない。今のところは、二〇一〇年初頭でそれを達成しますよという題目があるだけで、これは題目じゃなくて実際の
政策目標であって、具体的に、一年一年の
政策の中で実現していけるシナリオはこれですよというところが見えてこないというのがもう
一つの問題だと思うんです。
それで、見えてこないどころか、実は実際にはどんなことになっているかというと、これまで閣議決定されたものの中だけでも、年金、医療、介護が自然増でふえていくのに
プラス、よく言われる基礎年金の二分の一税負担が入って、かつ今の
状況がずっと続けばということ、これは本当は
経済学者が使っているようなマクロエコノミックのモデルでずっと出していくような議論というのがここでもやってみたいなというふうに思うんですが。
そういうことのない中で、目の子でいっても、これで合っているんですかね、社会保障関係で、大体、税として年々ふえていく金額というのが、今のままでいくと平均して〇・八兆円、多いときで一兆円を超えていくでしょうということ、これは自然増ですね。二分の一負担、これはさっきの話で、所得税の減税、この分を戻そうという話もありますけれ
ども、そんなことを含めても、トータルでそこで三兆円アップをしますよね。この二、三年だけでそんなシナリオになるんですよね。これはプライマリーバランス、五年かけるのか十年かけるのか、その辺の話になりますけれ
ども、五年としても、トータルで毎年毎年ふえていって七兆円ぐらいの増というのは、こんな単純な目の子でやっただけでも閣議決定の中では内包されているということ、これが
一つありますね。
それから、三位一体。これはもっと詳しく後でやりますけれ
ども、三位一体も、単純に言って三兆円、今の構想でいったら所得税から住民税へ向いて移換をしていくということがありますね。これだけ
考えてみたって十兆円ですよ。プライマリーバランス、今の時点でどれだけあるのか、
マイナスがどれだけあるのかということでいけば、十九兆円。これはトータルでいっても、十九兆円の幅を狭めるだけじゃなくて、こうした、もうコミットしてしまった、あるいはしてしまおうとしている負担増を加えても、幅というのは実は三十兆円なんですね。これはもう単純な目の子計算ですけれ
ども、そんなふうなことを
考えていくだけでも、これはどうもプライマリーバランスという
数字は、あるいはプロセスというのは、念仏で終わるんじゃないかなというふうなことになってくるわけですよね。
これは恐らく、年金、医療、それから介護にしても、負担と給付の割合とか、あるいは保険と税の割合とかということの根本的な議論に入っていくんだろうと思うんですが、これは勝手に入っていって勝手にどんどんどんどん、そういう意味では、これは勝手にさせておいたら税の負担をふやしていくというプロセスに入っていくんだろうと思うんです。恐らく、三位一体の話も、六団体、現在のところ四兆円の補助金カットで議論をしていますけれ
ども、彼らの意向、そして私たちの意向もそうですが、これは四兆円どまりじゃないんだ、トータルで八兆円だと言っていますね。私たちはもっと言っているんですよ、十八兆円と。
そういう意味で、トータルに描かないままに、それぞれの部署がそれぞれの議論を重ねていって、どこで結論に到達するのかということ、これが見えてこない。見えてこないにもかかわらず、
財務省だけがプライマリーバランスということを言い続けている、こういう図柄が今浮かんできているんですよ。
そのことについて、本来のいわゆる
政策としての、あるいは政治が機能していないということについての危機感を今私は持っているんですけれ
ども、このトータルな話について、どのように今取り組もうとしておられるのか、聞かせていただきたいと思います。