○泉(房)
議員 ただいま議題となりました無
年金障害者に対する
障害福祉年金の
支給に関する
法律案につきまして、
提出者を代表して、その提案の
理由及び内容の概要を御
説明申し上げます。
ことし三月に東京地方裁判所において、また十月に新潟地方裁判所において学生無年金損害賠償訴訟の判決が下され、いずれの判決においても原告が勝訴いたしました。
東京地裁判決は、障害を負った時期が二十未満なら障害基礎年金が
支給されるが二十以上なら不
支給となるのは、法のもとの平等を定めた憲法十四条違反であると、
国民年金法の規定を違憲とする初めての判断を示しており、また、違憲状態を放置したのは違法であると、救済措置をとらず放置した立法不作為により、原告一人当たり五百万円の損害賠償の支払いを国に命じています。
新潟地裁判決は、同じ二十以上でありながら、学生以外であれば障害基礎年金が
支給されるのに学生であるために不
支給となるのは、憲法十四条に違反するとし、二十未満の学生に障害基礎年金が
支給されることからして、何ら非難されるものでない学生を二重のはざまに陥らせているとしています。その上で、学生に対して、昭和六十年
改正において学生を強制加入とすべきところ、強制加入の
対象としなかった立法不作為を違法とし、障害者にとって障害年金は自立に不可欠であるのに、何らの救済措置も講ぜず放置してきた国の責任にかんがみ、原告一人当たり七百万円の損害賠償の支払いを国に命じております。
無年金障害に関する訴訟は学生によるものだけではなく、全国各地で行われており、
国民年金
制度の欠陥によって障害無年金状態の
生活を強いられている
方々は数多くおられます。
民主党は、以前から、無
年金障害者あるいは国籍条項による無年金者をなくすことを、また
制度を改めるまでの間、
福祉的措置も含めた実現可能な方策を早急に検討し、無
年金障害者をなくす
取り組みを進めることを提言してまいりました。
行政サイドにおいても、坂口力前
厚生労働大臣は、二〇〇二年八月に無
年金障害者に対する坂口試案をあらわし、立法側も、超党派の
議員連盟において、二〇〇四年三月に無
年金障害者の早期救済を内容とする議連方針を取りまとめてきました。
民主党は、超党派
議員連盟が取りまとめた方針に基づいた救済策こそ現在実現可能な救済方法、救済
水準であると考え、
法律案を取りまとめることといたしました。
すなわち、無年金障害となる分類を、国籍要件撤廃前に障害状態にあった在日外国人、六十一年四月の任意加入
制度発足前に海外滞在中に障害を負った在外邦人、学生の任意加入期間に加入をせずに障害を負った学生、サラリーマン世帯の主婦が任意加入であった期間に加入をせずに障害を負った主婦、強制加入である年金
制度に加入していない時期に障害を負った未加入者、保険料を滞納していたことにより
支給要件を満たさない未納者に分け、
制度上の欠陥によって無年金となっている在日外国人、在外邦人、学生、主婦を優先的に救済の
対象とし、保障の
水準を現行の障害基礎年金と同等とすること、未納、未加入を原因とする無
年金障害者に対しても速やかに法制上の措置を行うことを求めるものです。
東京地裁判決、新潟地裁判決が下した、
制度の間に落ち、無年金状態の
生活を強いられてきた経過の清算も必要です。そして、これからの
生活を無年金状態にさせないための救済策が今求められています。その実現のために、本法案を
提出することといたしました。
以下、この
法律案の主な内容につきまして御
説明申し上げます。
第一に、昭和五十七年一月の国籍要件撤廃前に障害事故の発生した在日外国人、昭和六十一年四月の第三号被保険者
制度創設前に
国民年金に任意加入せず、その期間中に障害事故の発生した被扶養配偶者、平成三年四月の学生に対する強制適用前に
国民年金に任意加入せず、その期間中に障害事故の発生した二十以上の学生、六十一年四月の任意加入
制度発足前に障害事故の発生した在外邦人を
対象として、
障害福祉年金を
支給します。
第二に、
障害福祉年金は、現在の障害基礎年金と同
水準とすることとし、一級でおおむね八万三千円、二級でおおむね六万六千円としています。
第三に、本
法律案で救済の
対象とできなかった保険
制度未加入、保険料滞納を事由として障害年金給付を受けられない者に対し給付を行うことができるよう、速やかに必要な法制上の措置等を講ずることとしています。
以上が、この
法律案の提案
理由及びその内容の概要であります。
何とぞ、御審議の上、速やかに御可決されることをお願い申し上げます。