○首藤
委員 民主党の首藤信彦です。
イラクで、
日本の若者が、
香田証生さんがお亡くなりになった、本当に心からお悔やみ申し上げます。
私は、長年この
地域でもいろいろ
活動してきまして、今この時点で
イラクへ入られる、そのことは本当に無謀であった、私はそれはそう思います。特に、大統領選を直前に迎えて、
アメリカがともかく実績を上げようということで大量の攻撃を行っているそのさなかへ入ってきたときに、日ごろの
状況よりももっと危険なところに必ずしも十分な準備がないまま行かれた方に対しては、私自身も強い不満を持っている。
しかしながら、問題は二つあると思います。
一つは、なぜすんなり入っていけたのか、なぜとめられなかったのか。それからもう
一つは、言うまでもなく、こういう
事件が発生したらなぜ救えなかったのか。
世界を代表する
経済大国、
世界じゅうに企業のネットワークを持ち、そして
日本無二の同盟国と言われている
世界最大の軍事大国と軍事同盟を結んでいるというふうに主張している方もおられる。そうした中において、どうして、この方の安否
情報も、そして最終的に救うことはできなかったのか。証生さんというのは生きているあかしということでありますが、生きているあかしをどうして確保できなかったのか、私は本当に残念に思うわけであります。
そして、特に問題なのは、この
香田証生さんの死に、
日本政府の不手際、特に
事件が起こった最初の言動、これは危機管理上そしてまた
人質誘拐や拉致の
事件で一番重要になっているんですが、ファーストリアクション、最初のリアクションというものが、この拘束の
事件や
人質事件、こういう問題においてはすべてだと言われています。最初にどう対応するか。最初にどう反応するか。
それを犯人側もずっと注視していて、その反応でほとんどその
人質の運命は決まってしまう。これは危機管理の鉄則です。
日本だって、何十年も、少なくともこの三十年間では多数の症例がそういう形で
指摘されているんです。それにもかかわらず、なぜ総理が直ちに
自衛隊は撤退しないということを言われたのか。これには二つ
意味があると思うんです、強いて言えば、強いて解釈すれば。
一つは、いわゆるノンコンセッションポリシー、非妥協
政策といいますか、国是としてこれは絶対に撤退しない、そういうものには妥協しない、これは
アメリカが言っていることです。しかし、その裏づけを
アメリカは、もしそういうところで例えば
アメリカの
国民を誘拐したり殺害したりすれば、それは最終的には
アメリカの軍隊を送って、あるいはありとあらゆる
手段を通して、
世界じゅうを追い回して必ず見つけて逮捕して処罰する。こういう力を前提として主張しているのがノンコンセッションポリシーです。それは、国の表現としてはそれはあり得るべきことであると思いますね。しかし、それは決して災害現場のぶら下がりで言ってはいけないことです。当然のことじゃないですか。
それから第二点は、犯人が特定、わかっている、犯人とのコンタクトをする必要がある。その
意味で犯人に対してメッセージを送る必要がある。その場合は、これはあり得るんですよ。そういうことで、ほんの現場での一言が、何度も何度も繰り返し、いろいろなメディアを通じて、ありとあらゆるメディアを通じて流される。
その中において、今説明いただきましたけれ
ども、決して両方でもなかった。犯人側とも
接触できていない。そしてまた、ノンコンセッションポリシーという国のがちっとした方針を説明しているのでもなかった。結局、私は、この発言が
香田証生さんを結果的に死に追いやった、それぐらいの重要な発言であったと思うんです。
こうした基本的なことをどうして例えば総理がふっとしゃべってしまうのか。そこに首席事務官とか危機管理監とかがたくさんおられるという今話がありました。なぜそういう方が総理に対して一言、一言ですよ、
体制が整うまでそのことだけはやめていただきたいということが言えなかったんでしょうか。官房副
長官、いかがですか。