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2004-10-06 第160回国会 参議院 経済産業委員会 閉会後第1号
公式Web版
会議録情報
0
平成
十六年十月六日(水曜日) 午前十時開会 ─────────────
委員長
の
異動
九月二十九日
谷川秀善
君は
委員長
を
辞任
した。 ─────────────
委員
の
異動
八月五日
辞任
補欠選任
松村
祥史
君
中曽根弘文
君 八月六日
辞任
補欠選任
中曽根弘文
君
松村
祥史
君 九月二十九日
辞任
補欠選任
簗瀬 進君
平田
健二
君 ─────────────
出席者
は左のとおり。 理 事 魚住
汎英
君
加納
時男
君
松田
岩夫
君
藤原
正司君 渡辺 秀央君 委 員 泉 信也君 小林 温君 関谷
勝嗣君
谷川
秀善
君
福島啓史郎
君
保坂
三蔵
君
松村
祥史
君
加藤
敏幸君
木俣
佳丈君
平田
健二
君 藤末 健三君
浜田
昌良君 松 あきら君 田 英夫君
鈴木
陽悦
君
国務大臣
経済産業大臣
中川
昭一
君 副
大臣
経済産業
副
大臣
保坂
三蔵
君
事務局側
常任委員会専門
員
世木
義之君
政府参考人
文部科学大臣官
房審議官
木谷
雅人
君
厚生労働省労働
基準局安全衛生
部長
小田
清一
君
資源エネルギー
庁長官
小平
信因
君
資源エネルギー
庁
原子力
安全・
保安院長
松永
和夫
君
国土交通省道路
局長
谷口
博昭
君
参考人
関西電力株式会
社取締役社長
藤
洋作
君
関西電力株式会
社取締役
副
社長
岸田
哲二
君
関西電力株式会
社取締役
辻倉
米蔵
君
美浜発電所
三号 機二次
系配管
破
損事故調査委員
会委員長代理
班目
春樹
君 ───────────── 本日の
会議
に付した案件 ○
政府参考人
の
出席要求
に関する件 ○
参考人
の
出席要求
に関する件 ○
経済
、
産業
、
貿易
及び
公正取引等
に関する
調査
(
派遣委員
の
報告
) (
関西電力株式会社美浜発電所
三号機
蒸気噴出
事故
に関する件) ───────────── 〔
理事松田岩夫
君
委員長席
に着く〕
松田岩夫
1
○
理事
(
松田岩夫
君) ただいまから
経済産業委員会
を開会いたします。
委員長
が欠員となっておりますので、私が
委員長
の職務を行います。 この際、
谷川
前
経済産業委員長
から
発言
を求められておりますので、これを許します。
谷川秀善
君。
谷川秀善
2
○
谷川秀善
君 おはようございます。 前
委員長
として
一言御礼
のごあいさつを申し述べます。 このたび、外務副
大臣就任
のため
委員長
を
辞任
いたしました。この一年間、
委員
の
皆様方
には多大の御
協力
、御支援の下、
委員長
としての役目を大過なく過ごさせていただくことができました。この場をおかりいたしまして、厚く心から
御礼
を申し上げます。 本当にありがとうございました。(拍手) ─────────────
松田岩夫
3
○
理事
(
松田岩夫
君)
委員
の
異動
について御
報告
いたします。 去る九月二十九日、
簗瀬進
君が
委員
を
辞任
され、その
補欠
として
平田健二
君が選任されました。 ─────────────
松田岩夫
4
○
理事
(
松田岩夫
君) この際、一言申し上げます。 去る八月九日に
発生
いたしました
関西電力株式会社美浜発電所
三号機
蒸気噴出事故
により亡くなられた
方々
並びに御
遺族
の
方々
に対し、本
委員会
として謹んで哀悼の意を表します。 また、負傷された
皆様
の一日も早い御
回復
を願い、心よりお見舞いを申し上げる次第でございます。 ここに、亡くなられた
方々
の御
冥福
をお祈りし、
黙祷
をささげたいと存じます。 どうぞ御
起立
を願います。
黙祷
を願います。 〔
総員起立
、
黙祷
〕
松田岩夫
5
○
理事
(
松田岩夫
君)
黙祷
を終わります。御着席願います。 ─────────────
松田岩夫
6
○
理事
(
松田岩夫
君)
政府参考人
の
出席要求
に関する件についてお諮りいたします。
経済
、
産業
、
貿易
及び
公正取引等
に関する
調査
のため、本日の
委員会
に
文部科学大臣官房審議官木谷雅人
君、
厚生労働省労働基準局安全衛生部長小田清一
君、
資源エネルギー庁長官小平信因
君、
資源エネルギー
庁
原子力
安全・
保安院長松永和夫
君及び
国土交通省道路局長谷口博昭
君を
政府参考人
として
出席
を求め、その
説明
を聴取することに御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
松田岩夫
7
○
理事
(
松田岩夫
君) 御
異議
ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
松田岩夫
8
○
理事
(
松田岩夫
君)
参考人
の
出席要求
に関する件についてお諮りいたします。
経済
、
産業
、
貿易
及び
公正取引等
に関する
調査
のうち、
関西電力株式会社美浜発電所
三号機
蒸気噴出事故
に関する件の
調査
のため、本日の
委員会
に
関西電力株式会社取締役社長藤洋作
君、
関西電力株式会社取締役
副
社長岸田哲二
君、
関西電力株式会社取締役辻倉米蔵
君及び
美浜発電所
三号機二次
系配管破損事故調査委員会委員長代理班目春樹
君を
参考人
として
出席
を求めたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
松田岩夫
9
○
理事
(
松田岩夫
君) 御
異議
ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
松田岩夫
10
○
理事
(
松田岩夫
君)
経済
、
産業
、
貿易
及び
公正取引等
に関する
調査
のうち、
関西電力株式会社美浜発電所
三号機
蒸気噴出事故
に関する件を議題といたします。 まず、去る九月二十九日、本
委員会
が行いました
関西電力株式会社美浜発電所事故
の
状況調査
のための
委員派遣
につきまして、
派遣委員
の
報告
を聴取いたします。
加納時男
君。
加納時男
11
○
加納時男
君
委員派遣
の御
報告
を申し上げます。 去る九月二十九日、
松田理事
を団長として、
藤原理事
、
加藤委員
、
木俣委員
、直
嶋委員
、藤末
委員
、
浜田委員
、
松委員
、
鈴木委員
、そして私、
加納
の十名は、
福井
県におきまして、
関西電力株式会社美浜発電所
三号機
蒸気噴出事故
の
状況
を
調査
してまいりました。 本
調査
は、去る九月二十七日、
原子力
安全・
保安院
から
事故
に関する
中間取りまとめ
が発表されたことを踏まえ
実施
したものであります。 当日は、まず、
関西電力
から
事故
の
状況
及び
対応
について
説明
を聴取するとともに、
タービン建屋
に入り
事故現場
の実情を
調査
いたしました。次いで、
福井
県及び
美浜
町から今回の
事故
及び国の
原子力政策等
に対する
意見
を聴取した後、
派遣委員
との
意見交換
を行いました。 以下、その
概要
を御
報告
申し上げます。 まず第一に、
事故
の
状況
です。 八月九日、
関西電力美浜発電所
三号機が定
格熱出力一定運転
中に、
タービン建屋
内で二次
系配管
が
破損
しました。
タービン建屋
では、
事故発生
当時、
関西電力職員
及び
協力企業
の百五名の
作業員
が
定期検査
の
準備
を進めておりましたが、二次
系配管破損
によって噴出した
蒸気
及び高温水により、
協力企業作業員
五名の
方々
が亡くなられ、六名の
方々
が
重傷
を負われました。 第二に、
配管
の
破損状況
であります。
破損
した
配管
は既に
日本原子力研究所
に移送されており、実際に確認することはできませんでしたが、
破損部分
は、
関西電力
の
説明
によれば、
配管軸方向
に最大五十一・五センチ、
周方向
に九十三センチにわたって破れており、最も薄いところでは〇・四ミリとなっていたとのことでありました。 次に、二次
系配管破損
の直接の
原因
についてであります。
関西電力
は、
三菱重工業株式会社
の
協力
を得て、
平成
二年に
原子力設備
二次
系配管肉厚
の
管理指針
(
PWR
)を策定し、以降、
三菱重工業
が
配管肉厚
の
検査業務
を
実施
し、
平成
八年からは
株式会社日本アーム
がそれを引き継ぎました。
三菱重工業
、
日本アーム
と
関西電力
は、
検査業務
を連携し
実施
してきたとのことでした。しかし、
事故配管
は、本来、
管理指針
に基づいて計画的に
肉厚
測定されるべき
箇所
であるにもかかわらず、三社が関与する二次
系配管減肉管理ミス
によって、要
管理箇所
が当初の
管理リスト
から欠落し、
事故
に至るまで一度も
点検
されなかったこと、また、その背景には、
関西電力
の
品質保証
、
保守管理システム
の
整備
が不十分なことがあったとの
説明
がありました。
関西電力
においては、
社長
が
原子力事業本部長
に就き、
事故原因
の
究明
と
再発防止策
の徹底を図るとともに、
被災者
に対するできる限りの
対応
を行っていく旨の
発言
がありました。 一方、
福井
県からは、
美浜発電所
三号機の二次
系配管破損事故
に対して、国は早急に
責任
ある
対応
を行う必要があるとの
立場
から、
一つ
、国の
責任
において
事故原因
の
究明
と徹底的な
再発防止対策
を講ずること、
二つ
、
原子力発電所
において働く人々の
安全確保対策
を徹底すること、
三つ
、
安全管理
や
点検指針
を国として明示するなど、抜本的な
安全管理システム
を構築すること、
四つ
、
拠点立地地域
での
安全行政
の
総括体制
を確立すること等、八
項目
にわたる
要望
がありました。
美浜
町からは、国は
責任
ある
対応
を明確にする必要があるとの
立場
から、
一つ
、国の
責任
において
事故
の
再発防止
のための
抜本的対策
を講ずること、
二つ
、高
経年化
した
発電所
の
点検
、
検査
の在り方については、国において高
経年化原子炉検査基準
(仮称)等を設けること、
三つ
、
風評被害
に対する万全の
対策
を講ずること、
四つ
、町民の
安全確保
のために
緊急避難道路
となる県道の
整備
を行うこと等、八
項目
にわたる
要望
がありました。
派遣委員
と
関西電力
、県及び町との
意見交換
におきましては、
委員
から、
一つ
、今回の
事故
の直接
原因
となった
関西電力
の
点検管理ミス
の
具体的内容
、
二つ
、
点検管理ミス
が
関西電力
だけで
発生
した理由、
三つ
、
定期検査期間
の
短縮化
と
事故発生
との
関係等
について熱心な質疑が行われました。 以上が
調査
の
概要
であります。
福井
県及び
美浜
町から提出されました
要請書
につきましては、本日の
会議録
の
末尾
に掲載していただきますようお取り計らいをお願い申し上げます。 最後に、御多忙の中、
調査
に御
協力
いただきました
関係者
の
方々
に厚く
御礼
申し上げまして、
委員派遣報告
を終わります。
松田岩夫
12
○
理事
(
松田岩夫
君) 以上で
派遣委員
の
報告
は終了いたしました。 なお、ただいまの
報告
にありました
現地
からの
要請書
につきましては、本日の
会議録
の
末尾
に掲載することといたします。 次に、
政府
から
報告
を聴取いたします。
中川経済産業大臣
。
中川昭一
13
○
国務大臣
(
中川昭一
君) おはようございます。 まず冒頭、このたびまた
経済産業大臣
という重責を拝命いたしました。
委員長
、
理事
の
先生方
、
委員
の
先生方
には引き続きどうぞ御指導よろしくお願いをいたします。 それでは、
発言
をさせていただきます。 まず、改めまして、
関西電力美浜発電所
三号機における今回の
事故
で亡くなられました五名の
方々
の御
冥福
を心からお祈り申し上げますとともに、今なお治療中のため入院しておられる
被災者
の
方々
の一日も早い御
回復
を願っております。 これまで、国の
原子力行政遂行
に当たりましては、
地元
の
福井
県及び
美浜
町から多大な御
協力
をいただいてまいりました。その
福井
県におきまして、県民の尊い命が失われ、
原子力
の
安全性
に対する
信頼
を裏切るような形となりましたことを、
原子力行政
の
責任者
として誠に遺憾に存じております。 今回の
事故
に関しましては、
小泉総理大臣
から私に対しまして、徹底した
原因究明
と
再発
の
防止
に万全を期すとともに、特に御
地元
の
皆様
に分かりやすく
説明
するよう指示を受けております。 私は八月十日、
事故
の翌日に
現場
を訪れ、その
状況
を直接
調査
するとともに、
西川知事
を始めとする御
地元
の
皆様
と
意見交換
をさせていただきました。同時に、直ちに
専門家
の
皆様方
から成る
事故調査委員会
を発足させ、事実
関係
の解明を進めるとともに、抜本的な
再発防止対策
の
検討
に全力を挙げてきたところであります。 その結果、九月二十七日に
中間取りまとめ
の
報告
をいただきました。これを受けまして、私は
関西電力
の
藤社長
に対し、
事故
の
発生
に関して厳重に注意するとともに、年度内に
再発防止対策
に関する
報告書
を提出するよう指示いたしました。同時に、
美浜
三号機につきまして、
技術基準
に適合するまでの間、停止することを命じました。また、
関西電力
に対しましては国の
保安検査等
を厳格に行います。 他方、
関西電力
以外の全
原子力事業者
に対しましては、
中間取りまとめ
で指摘されている
再発防止対策
を実行するよう指導いたしました。
国自身
といたしましても、二次
系配管
を計画的に
検査
すべき
旨省令
に明示するとともに、
検査
官が行う
保安検査
において
事業者
の
実行状況
を確認いたします。 このような
対応
につきましては、私から
福井県知事
及び
美浜町長
に御
報告
するとともに、
原子力
安全・
保安院長
を派遣して
福井県知事
に
説明
させるなど、
地元
への
情報提供
に万全を期しているところでございます。 私は、かねてから、
原子力
の推進の
大前提
は、安全の
確保
と御
地元
の
皆様方
を始めとする
国民
の
方々
の御
理解
であると申し上げてきております。今回正にこの
大前提
にかかわる事態が
発生
いたしました。以上申し上げた
対応
に万全を期するとともに、
中間取りまとめ
で
必要性
が指摘された更なる
調査
を行い、その結果を御
地元
に十分に
説明
申し上げて、
原子力
の
信頼
を取り戻したいと考えております。 以上でございます。
松田岩夫
14
○
理事
(
松田岩夫
君) 以上で
政府
からの
報告
の聴取は終了いたしました。 次に、
参考人
から
説明
を聴取いたします。まず、
班目参考人
。
班目春樹
15
○
参考人
(
班目春樹
君)
美浜発電所
三号機二次
系配管破損事故調査委員会
の
委員長代理
を務めております
班目春樹
でございます。 本日は、
委員長
の
朝田先生
が
海外出張
中ですので、代わりまして私から
事故調査委員会
での
審議
の
経緯
と
中間取りまとめ
の
概要
を御
説明
させていただきます。
事故調査委員会
は、
事故発生
翌日の八月十日に総合
資源エネルギー
調査
会
原子力
安全・
保安部会
の
下部組織
として設置されました。
委員会
は設置の当日に、二人の
委員
による
事故現場
の
現地調査
から活動を開始いたしました。八月十一日の第一回以来、六回の
委員会
をすべて公開で開催いたしました。第四回は、
地元
への
情報提供
と
意見交換
という趣旨も含め、
福井
県において
委員会
を開催いたしました。
関西電力
からも
報告
を聞き、
福井
県
関係者
の御
意見
も伺うなど、短期間に
内容
の濃い
検討
ができたものと考えております。 その結果として、これまでに明らかとなった事実を踏まえ、
事故原因
と
再発防止策
などを中間的に取りまとめました。ただし、引き続き、
配管破損
に至った
原因
の詳細な
調査
が行われますので、その
進展
に応じて今後も
委員会
を開催してまいります。 次に、
中間取りまとめ
のうち、
配管
の
破損メカニズム
、
破損箇所
を含む
配管
の
減肉管理
の
状況
、早急に
対応
が必要な
事項
について御
説明
申し上げます。 まず、
配管
がどのような経過を経て壊れたかを御
説明
いたします。
配管
は
炭素鋼
と呼ばれる材質でできており、いわゆる
エロージョン・コロージョン
という、管の内面が水で削り取られる現象が
進展
いたしました。これにより、
配管
の厚みが徐々に薄くなり、結果として
配管
が水の圧力に耐えられなくなるなどにより
破損
したものと推定しております。 次に、
配管
の
減肉管理
がどのように行われてきたかを
事故原因
との
関係
で御
説明
いたします。
加圧水型軽水炉
、いわゆる
PWR
の二次
系配管
に関しましては、各
事業者
が
平成
二年に
原子力設備
二次
系配管肉厚
の
管理指針
を策定し、これに沿って
自主点検
を行うこととしていました。今回の
事故
が
発生
した
部位
は、この
指針
に照らして
肉厚
の
測定等
の
減肉管理
を行うべき
対象
であったにもかかわらず、それが
実施
されていませんでした。 具体的には、
事故発生部位
は、
平成
二年に
三菱重工業
が
PWR管理指針
に基づく
点検対象リスト
を作成した際に、既に
点検リスト
の
記載
から
漏れ
ていました。その後、
関西電力
がそれを認識する契機となり得る
経緯
もありました。具体的には、
三菱重工業
が他の
発電所
において
破損部
と同じ
部位
の
点検リスト漏れ
を修正したり、
日本アーム
が
破損部
を
定期検査
時の
点検箇所
に含めたりと、
事故部位
が
点検リスト
から
漏れ
ている状態が修正されたときでございます。しかし、結果として、
関西電力等
が
記載漏れ
に係るチェックを行わなかったことなどから、
当該部位
の
減肉管理
が行われてこなかったものでございます。 このように、今回の
事故
の直接的な
原因
は、
関西電力
、
三菱重工業
、
日本アーム
の三者が関与する二次
系配管
の
減肉管理ミス
により、要
管理箇所
が当初の
管理リスト
から欠落し、かつ、
事故
に至るまで修正できなかったことであり、
関西電力
の
品質保証
、
保守管理
が機能していなかったことと言えます。 以上のように、
事故
の
原因等
を踏まえ、国や
事業者
などが
再発防止
に向けて当面取るべき
対応策
をまとめておりますので、その主なものを御
説明
いたします。 まず、的確な
品質保証
や
保守管理
を実現するための
対応
として、
一つ
、
事業者
は
配管系統図
と
管理表
とをコンピューターに入力して連動させるなど、体系的な
点検リスト
を用いる
管理体制
を構築すること、
二つ
、
原子力
安全・
保安院
は、
保安検査
において
配管
の
肉厚管理
の
実施状況
と
社内規定
の
遵守状況
を確認することなどが必要となります。 また、
事業者
がチェックすべき
事項
を具体的に示すため、
原子力
安全・
保安院
は、
日本機械学会
が策定中の
配管
の
肉厚管理手法
に関する規格を
安全規制
の
判断基準
として
早期
に活用することなどが必要です。 さらに、
定期事業者検査
において
配管
の
肉厚管理
がしっかりと検証されるよう、
一つ
、
原子力
安全・
保安院
は
配管
の
肉厚管理
に係る
定期事業者検査
の方法を
省令改正
により明確化すること、
二つ
、
原子力
安全・
保安院
と
独立行政法人原子力安全基盤機構
は、
配管
の
肉厚管理
の
実施状況
や
実施体制
を
保安検査
や
定期安全管理審査
で確認することなどが求められます。 以上のように、
対応策
においては
早期
に
実施
に移すことが重要です。同時に、今後の
調査
の
進展
に応じて追加的な
再発防止対策
が必要となることもありますので、その点に留意する必要があります。 また、BWRや
火力発電所
の
配管
の
肉厚管理
の
状況
、
発電所運転
中の
作業員
の
安全確保対策
、
原子力発電所
の高
経年化
に対する指摘への
対応
など、時間の
関係
で御
説明
できなかった
事項
も
中間取りまとめ
に含まれておりますので御認識いただきたくお願いいたします。 以上で私からの御
説明
を終わらせていただきます。
松田岩夫
16
○
理事
(
松田岩夫
君) 次に、
藤参考人
。
藤洋作
17
○
参考人
(
藤洋作
君)
関西電力
の
藤洋作
でございます。
先生方
におかれましては、先月二十九日に
弊社美浜発電所
にお運びをいただき、御視察を賜りました。私
自身
が
先生方
に直接、
事故
の
おわび
を申し上げ、御
説明
すべきところ、大変失礼いたしました。申し訳ございませんでした。 そこで、本日、改めまして、
おわび
と御
説明
をさせていただきたいと存じます。
先生方
にはよろしく御指導賜るようお願い申し上げます。 このたびは、
弊社美浜発電所
の三号機におきまして、五名もの方の尊いお命が失われ、また、六名の方が
重傷
を負われるという極めて重大な
事故
を起こし、被災された
方々
、御
遺族
、御
家族
の
皆様
並びに
木内計測
様には大変申し訳なく思っております。この場をおかりいたしまして、深く
おわび
を申し上げます。 また、日ごろから
発電所
の
維持運営
に御
協力
いただいております
協力会社
の
皆様
や、
地元美浜
町を始め
福井
県の
皆様
、隣接の府県の住民の
皆様方
には多大の御
心配
と御迷惑をお掛けいたしました。
国民
の
皆様
に御不安を与え、さらには国、
地元
の
自治体
並びに
関係
御
当局
、そして各界各方面の
皆様
に大変な御迷惑をお掛けしましたことにつきまして、改めて深く
おわび
を申し上げます。本当に申し訳ございませんでした。
弊社
は、先月の二十七日、
中川経済産業大臣殿
から
厳重注意
及び御処分をいただきましたが、私ども、これを厳粛に受け止めますとともに、本当に申し訳ないことをしてしまったとの思いで一杯でございます。私
自身
はもとより、全役員、全
従業員
が心から反省をしております。お亡くなりになられました
方々
の御
冥福
を衷心よりお祈り申し上げ、
重傷
を負われました方の一日も早い御
回復
を心から願っている次第でございます。
弊社
は、今後とも、御
遺族
の
方々
、
重傷
を負われた
方々
並びにその御
家族
の
方々
、さらには
木内計測
様に対しましても、誠意を持ってでき得る限りのことをさせていただきます。 また、
地元
の
皆様方
の御
心配
、御迷惑に対しましても、
地元
の
皆様
のお話を十分お伺いしながら、誠実に
対応
させていただきます。
弊社
は、労働安全の
確保
のために、
事故
後、直ちに
運転
中のプラントへの立入り制限を行う一方、
配管
の
健全性
が確認され、
協力会社
や
地元
の
皆様
の御
理解
が得られるまでの間、原則として
定期検査
前には
準備作業
を行わないこととするなどの措置を取っております。 先月の二十七日には、
原子力
安全・
保安院
殿におかれまして、
事故
に関する
中間取りまとめ
を公表されました。
弊社
も同日、現時点での
対策
などを取りまとめ、国、
福井
県、
美浜
町を始め近隣の
自治体
御
当局
に御
報告
をさせていただきました。本日は、それらに沿いながら御
報告
をさせていただきたいと存じます。 このたびの
事故
の
原因
となりました
配管破損
の
発生メカニズム
につきましては、先ほども御
説明
ございましたように、
原子力
安全・
保安院
殿の
中間取りまとめ
によりますと、いわゆる
エロージョン・コロージョン
により、
配管
の
肉厚
が
運転
に伴い徐々に減少した結果、
配管
の強度が不足し、
運転
時の荷重により
破損
したものと推定されております。 このたびの
事故
は、
中川経済産業大臣殿
から賜りました
厳重注意
にもございますように、
原子力
安全を組織的に
確保
するための
弊社
の
品質保証システム
や
保守管理システム
の
整備
が不十分であったために
発生
したわけでございまして、この点、
設備
を
運転
、管理する者としての
責任
を痛感しております。 それでは、
破損
に至るまでの
経緯
を御
説明
させていただきたいと思います。
弊社
は、
平成
二年五月に
原子力設備
二次
系配管肉厚
の
管理指針
を策定し、それ以降、この
指針
に基づきまして
配管
の
肉厚管理
を
実施
してまいりました。
三菱重工
さん、そして
平成
八年にその
業務
を引き継いだ
弊社子会社
の
日本アーム
、それから
弊社
、この三者の
協力関係
の下、
肉厚
の
管理業務
につきまして適切な仕組みを確立し、またそれに基づいて的確に管理されているものと私どもは考えておりました。 ところが、
美浜
三号機の
当該破損部位
につきましては、
管理指針
上、
肉厚測定点検
を
実施
すべき
箇所
に該当するものの、当初、
三菱重工
さんが作成されました
肉厚測定点検リスト
の元帳から
漏れ
、
日本アーム
が
肉厚測定点検業務
を引き継ぎました後も、
漏れ
はそのままでございました。 そして、昨年四月、
日本アーム
が
漏れ
に気付き、十一月に、次回
定期検査
に向けて
肉厚
測定すべき四百二十か所を
記載
した
一覧表
の中に含められて提案されましたが、特段の注記がなかったため、
弊社
は
肉厚測定点検リスト
の元帳から当初から
漏れ
ていたことを認識しないまま、本年八月の
定期検査
で測定することとしてしまいました。そうした結果、
運転
を開始して以来、一度も
肉厚測定点検
されぬまま
破損
に至りました。 この間、二次
系配管
の保守
点検
を
三菱重工
さんが行っておられました北海道電力さんの泊
発電所
一号機と、同じく、日本
原子力
発電さんの敦賀
発電所
二号機におきまして、このたびの
破損部
と同じ
部位
の
肉厚測定点検リスト
の
記載漏れ
が発見され、追加
記載
されておりましたが、この件につきましても、私ども、このたびの
事故発生
後に知った次第でございます。 これら一連の
経緯
や事実
関係
を
調査
された
原子力
安全・
保安院
御
当局
がなされました
事故
の
中間取りまとめ
では、今回の
事故
の直接的な
原因
は、
関西電力
、
三菱重工
、
日本アーム
の三者が関与する二次
系配管
の
減肉管理ミス
との御指摘をいただき、また先ほども申し上げましたように、
中川経済産業大臣殿
からも
弊社
に対しまして、
原子力
安全を組織的に
確保
するための
弊社
の
品質保証システム
や
保守管理システム
の
整備
が不十分であったとの御指摘をいただきました。
弊社
は、こうした点を反省し、二次
系配管肉厚
管理業務
の抜本的な見直しを行います。 まず、
肉厚
測定の
点検
漏れ
を徹底的に排除するため、
肉厚測定点検リスト
の元帳管理を万全にいたしますとともに、
肉厚
測定作業以外の
肉厚管理
業務
すべてを今後、
弊社
自らが主体的に行うことといたしました。 こうした
肉厚管理
だけでなく、
弊社
従業員
の保全
業務
能力をより強化するため、
定期検査
における
現場
作業などの工事
管理業務
を専門的に行うグループを設置することとし、現在
検討
を進めております。 さらに、
弊社
とプラントメーカーや
協力会社
との間の意思疎通を確実なものにするため、情報の共有を強化してまいります。これまでも、安全衛生協議会等の活動など、
弊社
は交流を深めてきておりますが、双方向の情報受渡しを更に増やし、得られました情報は定期的に集約し、活用策を
検討
することといたしまして、
設備
を扱う
協力会社
の情報や認識を
業務
に有効活用していく考えでございます。 こういった
対策
に加えまして、
地元
の
皆様方
との対話活動の充実を図ってまいります。
弊社
は、従来から
地元
の
皆様
から御
意見
をお伺いする場を増やすよう努めてまいりましたが、今後はさらに、
発電所
の技術者や、私を含めた経営層それぞれが
地元
の
皆様方
との対話活動に積極的に参加して、
発電所
の運営や経営に
皆様方
からちょうだいした
意見
を生かしてまいります。 先月の二十七日に、
中川経済産業大臣殿
から賜りました御処分の中でも、計画的な
点検
を可能とするような
点検リスト
の作成など、体系的、統一的管理システムの
整備
が不足していた等、
弊社
の
品質保証システム
や
保守管理システム
の
整備
が不十分であったことにつきまして御指摘を受けております。こうしたことから、
弊社
は今後さらに、
業務
計画、調達管理、資源の運用管理、不適合管理などについて問題点、課題を
調査
いたします。 そして、社外の
専門家
の方にも御参加いただく
原子力
保全機能強化
検討
委員会
におきまして
再発防止対策
を取りまとめ、
品質保証システム
などの確立に万全を期してまいります。その結果を早急に
原子力
安全・
保安院
殿に御
報告
させていただき、御指導を仰ぎたいと存じております。 国会におかれましては、一昨年、我が国の長期的なエネルギー政策の基本方針を定めたエネルギー政策基本法を御制定され、それに基づき、昨年十月にエネルギー基本計画が閣議決定され、国会に御
報告
されました。その中では、「安全の
確保
を
大前提
に、核燃料サイクルを含め、
原子力
発電を基幹電源として推進する。」とされております。 また、電力自由化が
進展
する中、昨年の電気事業法改正の際には、本
委員会
におきまして、
原子力
発電にかかわる
経済
的措置等の具体的な制度・措置を
検討
の上、講ずる旨の附帯決議を御発議いただいております。 このように、
先生方
には我が国の将来を見据えたエネルギー政策の確立につきまして奔走されている中、私どもがかような重大な
事故
を
発生
させ、
国民
の
皆様
の
信頼
を大きく損ねる結果になってしまいましたことは誠に申し訳なく、改めて
先生方
に
おわび
を申し上げます。 私どもが再び
地元
を始め
国民
の
皆様
の御
信頼
を得るための道のりは大変困難かつ厳しいものと承知をいたしておりますが、二度とこのような
事故
を起こしてはならないとの固い決意の下、全役員、全
従業員
を挙げて
信頼
の
回復
に向け、あらゆる努力を続けてまいる覚悟でございます。
先生方
におかれましては、引き続き、御指導、御鞭撻を賜りますよう重ねてお願い申し上げます。 私からの
説明
は以上でございます。 本当に申し訳ございませんでした。
松田岩夫
18
○
理事
(
松田岩夫
君) 以上で
参考人
からの
説明
の聴取は終了いたしました。 これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御
発言
願います。
加納時男
19
○
加納時男
君
加納
でございます。 質問に先立ち、このたびの
事故
でお亡くなりになられました五名の
方々
の御
冥福
を心からお祈り申し上げます。また、現在治療中の
被災者
の
方々
の一日も早い御快癒を心から祈念申し上げまして、質問に入らせていただきます。 まず、
関西電力
、
藤参考人
にお尋ねいたします。
原子力
安全・
保安院
の
美浜
原子力発電所
三号機二次
系配管破損事故
に関する
中間取りまとめ
によりますと、
関西電力
は、昭和五十年代から二次
系配管
についてサンプリングによる減肉
調査
をしていたこと、また、昭和五十八年に高浜二号機において湿分分離器ドレンタンクのバランス管分離管の減肉により
蒸気
漏れ
が
発生
しましたが、このことを踏まえて
三菱重工業
に体系的減肉
調査
を委託しております。また、昭和六十一年、アメリカのサリー
原子力発電所
においてやはり二次
系配管
の減肉による
破損
事故
がありましたが、これを受けて、今、
藤社長
からお話がありましたように、
平成
二年に
PWR管理指針
を定めておられます。 このようなことを見てまいりますと、
関西電力
は、オリフィスだとか弁だとかベント部分だとか、いろんな部分のところで
配管
の減肉が生ずることを認識していたことは私は明らかだと思います。それにもかかわらず、先ほどの
班目参考人
からの御
報告
にありましたように、
点検リスト
に
漏れ
があるかどうかのチェックの機会があったと思うんですが、これを再三にわたって逸していたと、ここにポイントがあると思いますが、いかがでしょうか、お答えいただきたいと思います。
藤洋作
20
○
参考人
(
藤洋作
君) 先生御指摘のとおり、私ども、
弊社
は、元々、
平成
二年にこの
管理指針
を策定いたしました時点で、それまでの
調査
などによりまして、オリフィスとか弁とかそういうものの下流で
配管
に減肉が生ずるという、そういう知見を有しておりました。そして、その
内容
を
平成
二年に
管理指針
に織り込んだわけでございます。 そして、先ほど申し上げましたような、
三菱重工
さんと
日本アーム
さん、そして
弊社
、この三者が
肉厚
の
管理業務
につきましてちゃんとした仕組みができて管理ができる、できているつもりでございましたんですが、この中で、結局、最初のリストアップで抜けていた点もございます。それから、その次に、引き継がれた時点でも抜け落ちがございました。そして、私ども
自身
が、そもそも、抜け落ちをチェックする、そういう仕組みを有しておりませんでしたということが、それが主たる
原因
であるというふうに考えております。 また、類似
箇所
の
点検
漏れ
に関しまして電力会社間の水平展開が不十分であったこと、それから、本件に関します契約におきまして
PWR管理指針
に基づいて
点検箇所
を見直すこと、それを明示的に
記載
していなかったということも問題であるというふうに考えております。 私どもとしましては、
設備
の管理主体として、先ほど申しましたが、重大な
責任
があると考えております。今後は、
再発防止
及び
信頼
回復
の観点から、私ども、先ほど申しましたように、自ら主体になってこの
肉厚管理
をやっていくつもりでございます。それも含めまして、万全の
対策
を
検討
いたしまして
実施
していく所存でございます。 以上が私の答弁でございます。 ありがとうございました。
加納時男
21
○
加納時男
君 今のお話伺いまして、再三チェックの機会があったということはお認めになったと思います。最初のリストの段階、それから引き継いだ段階、その後、去年、
日本アーム
が発見した以降の
三つ
の段階でチェックの機会がありながらそれを逸したということを今おっしゃったわけでございます。 少しこの問題関連して伺いたいと思いますけれども、リスト
漏れ
を発見したときに、これを重要な情報として特記
報告
をするということを請負契約に明記しなかったように今のお話だとうかがえますが、そのとおりでしょうか。 今、
藤社長
は、去年、
日本アーム
から
報告
があったときに注記がなかったと、重大な、私にとっては大変ポイントになる御
発言
があったんですが、こういうことは請負契約の中に明記していなかったように思いますが、これは
品質保証
の観点からするとどのようにお考えでしょうか。伺いたいと思います。
藤洋作
22
○
参考人
(
藤洋作
君) 今、先生から御指摘のとおり、このリスト
漏れ
を、この契約をいたしましたときに、もし、元々のリスト
漏れ
というふうな重大なことがあって、それを発見したら、それを必ず私どもの方に
報告
するべしということを、そういうことをやはり契約の中に織り込んでいなかったということは、そういう意味で私どもの
品質保証
、特に外注管理の面で甘かったというところがあるというふうに思っております。 以上でございます。
加納時男
23
○
加納時男
君 このリスト
漏れ
、経過は大体私は
理解
しましたが、これはだれの
責任
なんでしょうか。 つまり、硬い言葉ではございますが、請負の目的物に瑕疵があったというふうに私は考えております。請負の目的物というのは何かというと、適切なチェックリストを作成するというのがその請負の目的物だったとしますと、それに
漏れ
があったということは、瑕疵があった、きずがあったということになると思います。これは、例えば請負の、発注者なのか請け負った人の
責任
なのか。例えば、発注者として指図の
責任
があったのか、検収の
責任
があったのかということになると思います。
点検リスト
を作ったり納品する形態が
関西電力
が
漏れ
を発見しやすいあるいはチェックしやすい体制であるということ、そういう仕様であることが必要だったというふうに、今後のことを考えますと私は大事だと思うんですけれども、その辺はいかがお考えでしょうか。
藤洋作
24
○
参考人
(
藤洋作
君) 今おっしゃいました、このリストの目的物に瑕疵があったのか、こちらの発注側の問題かということでございます。
責任
の所在という意味から申しますと、今後、御
当局
、
専門家
の
方々
の解明にまたねばならないところもございますけれども、先ほども御
説明
しましたように、最初の
当該部位
のリストアップがなかった、その次に、
日本アーム
さんに
業務
が移管されたときに抜け落ちが
発生
、発見された時点で当社の方、
弊社
の方に御
報告
がなかった、そして私どもがその抜け落ちがあること
自身
のチェックを行っていなかったということでございます。 そういうわけで、私どもは、
設備
を管理する主体として私どもの重大な
責任
があるというふうに考えております。 今後更に詳細な
調査
が行われると思いますが、私どもは、繰り返しますが、
設備
の管理主体としての
責任
があると、このように考えております。 以上でございます。
加納時男
25
○
加納時男
君 今の御回答に関連しまして、
班目参考人
にお伺いいたしたいと思います。
原子力
施設を、よく、建設するときには、人は間違うことがある、機械は設計どおりに動かないことがあるということを前提にして、多重防護という考え方を取って設計に当たっていると
理解
しております。こういった考え方は建設だけでなくてメンテナンスの分野でも、場合によっては、あるいは物によっては必要ではないだろうかと思うんですが、先生のお考えを伺いたいと思います。
班目春樹
26
○
参考人
(
班目春樹
君) 先生の御指摘のように、メンテナンスに関しては、これに万全を期すという意味での
事業者
の
品質保証
への取組が必ずしも十分であったとは言えないと考えております。一昨年の東京電力の問題もメンテナンスをめぐるものでありましたし、今回の
事故
も同様でございます。 そのような認識もあって、東電問題を踏まえた制度改正では、総合
資源エネルギー
調査
会
原子力
安全・
保安部会
での議論に私
自身
も参加して、
原子力
施設のメンテナンスが十分に行われるような仕組みを導入いたしました。現在、その効果が十分に発揮できるよう、的確な運用が行われるかどうかを注目しているところでございます。 具体的には、まず、
原子力
に携わる
事業者
は、特別な許可を得て
原子力
事業を営む者として、事業の全般に
安全確保
の一義的な
責任
を負っております。この点を明らかにするために、
平成
十五年の制度改正では、それまで自主
検査
としていたものを、
定期事業者検査
として法律上義務付けました。したがって、
事業者
はまず、
自身
が定める規定にのっとって、外注の管理も含め、しっかりと
点検
を行う義務がございます。 それから、国の規制については、従来、特定の施設の
健全性
をあらかじめ決められたとおりに確認することを中心とする
検査
を行っていたものから改め、
品質保証
の考え方を導入し、施設の
健全性
だけでなく、施設の設置のプロセスや
事業者
の保安活動全般を確認する
検査
に重点を置くものにしてございます。これに則して
事業者
がその義務をきちんと履行しているかどうか、
実施体制
がしっかりしているかを
保安検査
や
定期安全管理審査
を通じて確認するなど、複数な目でチェックしていくことが必要でございます。
検査
官の資質を向上させつつ、監査型の
検査
や抜き打ち型の
検査
を効果的に行い、
事業者
がメンテナンスを体系的に
実施
し、
事故
、トラブルからの教訓を反映するなど、継続的な改善が図られるよう国の
検査
の在り方も充実していく必要がございます。 これまでの
対応
はまだまだとは思いますけれども、このような枠組みの下で
事業者
及び規制
当局
が努力を継続し、複数の目によるチェックの下、メンテナンスがきちんと行われることを期待しているところでございます。
加納時男
27
○
加納時男
君 今の
班目参考人
の御回答に関連して、
原子力
安全・
保安院
の
松永
院長に伺いたいと思います。 私どもが
現場
調査
をやったときに、県や町から国の
責任
ある
対応
を求められたことは先ほど私の
報告
で申し上げたとおりであります。今回の
事故
にかんがみ、
原子力
施設に関する国と
事業者
の
検査
の在り方についてどんな課題があるか、伺いたいと思います。
松永和夫
28
○
政府参考人
(
松永
和夫
君) お答え申し上げます。 今回の
事故
は、十一人の方が死傷される大変痛ましいものでございまして、国といたしましても重大に受け止めております。
中川
大臣
の指示を受けまして、
事故
の直後に
事故調査委員会
を設置いたしまして精力的に
原因究明
と
再発防止策
の
検討
を行ってまいりまして、二十七日に
中間取りまとめ
をいただきました。これを踏まえまして、国といたしましても、今回の
事故
を反省をし、教訓と受け止めまして
再発防止
に取り組む必要があると考えております。 具体的に申し上げますと、今回
事故
が起きました
箇所
は、ただいまも御
説明
ございましたけれども、
定期事業者検査
を行うべきところと位置付けられておりますが、
中間取りまとめ
の指摘も踏まえまして、この
定期事業者検査
の枠組みの中で
検査
が正しく行われるようにしていく考えでございます。具体的には、これまでも省令及び解釈通達で示されておりますけれども、今回の
事故
を踏まえまして早急に省令を改正いたしまして、より一層明確化するという所存でございます。 次に、
事業者
が二次系の
配管
を
点検
する際の
管理指針
でございますけれども、これは
平成
二年にできましてから十四年以上たっております。
原子力
安全・
保安院
といたしましては、その間の知見や技術の発展を織り込んで新しい規格とすることを
日本機械学会
に要請をしているところでございます。規格が策定されました際には、それを国といたしましてもきちんと評価いたしまして、
管理指針
として明確に位置付ける方針でございます。 さらに、下請の管理を含みます電気
事業者
の品質管理、
保守管理
につきましては、
平成
十五年十月から
事業者
の保安規定に盛り込むことを具体的に義務付けております。保安規定は、国が年四回
実施
をいたします
保安検査
でその
遵守状況
を監視することになっておりますが、今回の
事故
を教訓といたしまして、二次系の
配管
に関する
社内規定
の
遵守状況
を含めまして、
事業者
の
品質保証システム
、これが十分に機能するように厳しく監査、監督してまいりたいと考えております。
加納時男
29
○
加納時男
君 今の御回答で、省令の改正と
定期事業者検査
の在り方について一段と掘り下げたことを、改正を行うこと、それからまた、
管理指針
についてはその後の知見を踏まえてアップデートを図ること、更には
品質保証
等を重視していくことの御回答がありました。 確かに私は、膨大な部品を持っている巨大システムについて国が何でもかんでも
検査
するということは非効率でありますし、不可能だと思っています。極めて重要な原子炉の安全系等に対しては国が直接
定期検査
を行うということに加えまして、他の部分については
定期事業者検査
を十分に見直してこれを強化していくことで、どちらかというと自主
管理体制
を基盤としつつ、国は事後監査的にこれに当たっていく。要すれば、必要があれば抜き打ち
検査
等も、立入
検査
等も行うという体制、それから
品質保証
をしっかりやらせる、こういう回答だと私は
理解
して、その限りでは結構だと思っています。 もう
一つ
、
松永
院長に伺いたいと思います。 中間
報告書
を読んだんですが、その中に、
三菱重工業
は、北海道電力泊、日本原電敦賀、両
原子力発電所
で当該
箇所
の
記載漏れ
を発見し、
点検リスト
等に
記載
したという記述がありました。その次に、敦賀の場合は
記載漏れ
について水平展開を行わなかったと書いてあるんですね。これちょっと、私は非常に気になるんですが、水平展開を行わなかったことが今回の
事故
の
一つ
のやはり要因ではないかと思いますが、いかがでしょう。
松永和夫
30
○
政府参考人
(
松永
和夫
君) 御指摘のとおり、中間
報告
を取りまとめるに当たりまして、
関西電力
、
三菱重工業
、それから
日本アーム
に対しまして
報告
徴収命令をいたしまして
調査
いたしました。 その過程で、御指摘のとおり、泊の
発電所
あるいは敦賀の
発電所
に、
点検
漏れ
が発見された後の
関係者
への連絡、いわゆる水平展開が不十分であったということが明らかになっております。したがいまして、
中間取りまとめ
におきましても、問題の
発生
を未然に防ぐための
事業者
間の情報共有の着実な
実施
を、
品質保証
及び
保守管理
面での今後の
対応
の柱であるべきだというふうに指摘しているところでございます。
原子力
安全・
保安院
といたしましては、
関西電力
のみならず、すべての
原子力発電所
に係る
事業者
が、本
事故
から得られた知見を自らの保安活動に適切に反映することはもちろんでございますけれども、水平展開を体系的に行う仕組みを構築し、着実に
実施
していくことを指導してまいりたいというふうに考えております。 また、こうした
事業者
における水平展開が的確に行われ、問題点の予防措置が効果的に行われていくということを
保安検査等
を通じて継続的に確認してまいりたいというふうに考えております。
加納時男
31
○
加納時男
君 最後の質問になります。
中川
大臣
にお伺いいたしたいと思います。
大臣
は、先ほどのごあいさつにもございましたように、
事故
の翌日、直ちに
現場
へ行かれました。そして
状況
把握の上で、お悔やみ、そしてお見舞いを申されました。
二つ
目には、この件は遺憾な
事故
、そして避けることのできた
事故
だ、
大臣
の言葉で言うと人災という言葉を使われましたが、と指摘されました。そして
三つ
目に、ただし、この
事故
は放射能
事故
ではない、原子炉の
事故
ではない、したがって避難する必要はない、この三点を申されました。 私どもが
現場
に行きました九月二十九日、県や町の方とお会いしたときに、このことは、
地元
で、
大臣
の迅速な行動、的確な御
発言
を高く評価しておられましたことを、先ほどの
調査
報告
に付け加えまして、私からも申し上げたいと思っています。その上での質問でございます。 このたびの
事故
は誠に遺憾なものであり、しっかりした
対策
を立てる、
再発防止
を図ることは急務であります。しかし、この
事故
があったからといって、
原子力
やエネルギー政策を見直したり核燃料政策を変更すべきだというようなことにはならないと。あくまでも
原子力
発電、燃料サイクルについては着実に、柔軟性を持ちつつも着実にこれを国策として推進していくんだということがエネルギー政策基本法の原則に基づくものであり、昨年の閣議決定でも明確にエネルギー基本計画に記されたものであると
理解
しておりますが、
大臣
はどのようにお考えか、伺いたいと思います。
中川昭一
32
○
国務大臣
(
中川昭一
君) 今、
加納
委員
御指摘のとおり、私は
現地
に行きまして、そして、本当に尊い命が失われ、また現在治療に大変御苦労されております
方々
のことを思いますと、そのことだけでも本当に胸の大変痛まる思いでございますし、先ほどもちょっと申し上げましたが、
原子力
というものは巨大なエネルギー施設でございますから、御
地元
の御
理解
、
国民
的御
理解
というものが
大前提
だと思っております。 そういう意味で、
福井
県あるいは
美浜
町には常日ごろから大変な御
理解
をいただき、私
自身
、就任して一年でございますけれども、実はしょっちゅう知事さんあるいは町長さんと電話でも連絡を取らせていただいております。 今回の
中間取りまとめ
をいただいたことに関しましても、先ほど申し上げた
保安院長
等の
現地
への派遣も含めまして、直接私から知事さんや町長さんにお電話を申し上げまして、
おわび
かたがた、今後の
政府
としての
対応
、特に
経済産業
省・
保安院
の
対応
につきまして御
説明
申し上げると同時に、何かありましたら是非とも率直に、何でも結構ですからひとつお申し付けいただきたいということを改めて申し上げたところでございます。 そういうことで、御
地元
の御
理解
がいただかなければなりませんし、いただくために全力を挙げているところでございますが、そういう御
理解
と
安全性
というものを前提にして、他方、我が国の
国民
に対する安定的なエネルギー供給というものを考えたときには、やはり現時点においても発電の三分の一以上が
原子力
に頼っており、そしてまた
原子力
発電をするメリットというものは、もうこの場では、お時間ございませんし、
加納
委員
よく御指摘のとおりでございますから省略させていただきますが、
原子力
発電のメリットというものもあるわけであります。 改めてもう一度申し上げますが、これは
安全性
と
国民
、御
地元
の御
理解
があくまでも前提でございますが、
原子力
発電のメリットというものもあるわけでございますので、今御指摘ありましたように、昨年十月に作成されましたエネルギーの長期基本計画におきましても、やはり基幹電源としての位置付けというものがありますし、我々としてもそれが適切なものであるというふうに思っておりますので、ほかのエネルギーと同じようにこの
原子力
発電というものについても引き続き進めさせていただきたい。 重ねて何回も繰り返し申し上げますが、ただし、それはあくまでも
安全性
と
信頼
性と
関係者
、御
地元
の御
理解
というものが前提だということを、しつこいようでございますが、繰り返させていただいた上で、そういう
原子力
、基幹電源としての
原子力
の位置付けも据えながらこれからのエネルギー政策を推進してまいりたいというふうに考えているところでございます。
加藤敏幸
33
○
加藤
敏幸君 民主党・新緑風会の
加藤
でございます。 質問に当たり、冒頭、八月九日に
発生
いたしました
美浜発電所
第三号機の
事故
で亡くなられました五名の方の御
冥福
を心からお祈り申しますとともに、併せて、重軽傷を負われました
方々
の一日も早い
回復
を心よりお祈りいたしたいと思います。 さて、今回の
美浜発電所
三号機の
配管破損
事故
は、
原子力発電所
内で起きた
事故
といたしましては十一名の死傷者を出すという極めて深刻なものでございました。もちろん二次
系配管
の
破損
ということで、放射線
漏れ
などの重大
事故
には至りませんでしたが、この
事故
は単なる
配管破損
による労働災害という次元にとどまらず、今後の
原子力
発電安全
対策
上多くの課題を投げ掛けた、
国民
も
原子力
発電に対して改めて不安を感じたのではないか、このように思います。 したがいまして、今後
再発防止
に向けた適切な
対応
がされない限り、
原子力
発電そのものに対する
国民
の
信頼
が損なわれる可能性も出てくると。それだけ重大な
事故
となったわけでありますが、
事故原因
の
究明
と
再発防止
、また労働災害から労働者の命と健康を守っていくという視点を含めながら、順次御質問をしていきたいというふうに思います。 まず、中間
報告
を受けての
大臣
並びに
関西電力
藤社長
の所見をお伺いしたいと、このように思っておりましたけれども、冒頭いろいろと御
発言
がございましたので、このことは省略し、後ほどまた御質問をさせていただきたいというふうに思います。 まず、二次系で起きたこの
事故
の課題ということでございます。 今回の
事故
では専ら二次系の
事故
であると、そういうようなことからいわゆる放射線
漏れ
ということに関連しての
事故
の重大性は小さいという、こういうふうな見方も少しあったのではないかと、このように思います。 今回の
事故
で最も懸念されたことは、スリーマイル島の原発
事故
のように二次系のトラブルが一次系に波及する危険性があったのかどうか、またそのことがきちっとシステムとして
防止
されたのか、うまくいったのかいかなかったか、こういうふうなことがポイントであるというふうに思います。
関西電力
は
事故
直後、
蒸気噴出
から原子炉のクールダウンに至るまでの時系列の経過を発表されています。今回の中間
報告
取りまとめにもこのプロセスを確認されております。これを見る限り問題点はなかったと、このように思われますけれども、このプロセスについて
保安院
としてどのように厳密に分析をし、評価しておられるのか、この点をお伺いしたいと思います。
松永和夫
34
○
政府参考人
(
松永
和夫
君) お答え申し上げます。 今回の
事故
におきましては、八月の九日の十五時二十二分に火災報知器動作警報等が発信をいたしました後、十五時二十五分、
運転
員が
タービン建屋
三階で
蒸気
が充満していることを確認いたしまして、十五時二十八分にトリップ警報が発信し原子炉が自動停止しております。 その後でございますけれども、原子炉は自動停止後、電動補助給水ポンプ及びタービン動補助給水ポンプが自動起動いたしまして、
蒸気
発生
器への給水が行われ高温停止状態に至った後、余熱除去系等によりまして、八月十日、翌日でございますけれども、二十三時四十五分、安全に低温停止操作を完了いたしました。 今回の
事故
は、復水
系配管
の
破損
により二次系の冷却水が系外に流出したものでございました。原子炉に与える影響といたしましては、
蒸気
発生
器への給水の一部が停止をし、原子炉に対する除熱能力が低下することとなり得るものでございますので、
原子力
の安全審査におきまして安全評価解析を行っておりますいわゆる主給水管破断
事故
に相当するものでございます。 しかし、今申し上げましたとおり、今回の
事故
におきましては、原子炉の安全に係る系統は正常に作動していることを
原子力
保安検査
官が
現場
確認しております。また、
事故調査委員会
におきましても、原子炉の圧力、一次冷却材の温度といったような主要なパラメーターは、今申し上げました安全審査時に行いました安全評価解析で想定した結果を上回る影響を示していないというふうに評価しておりまして、まとめて申し上げますと、今回の原子炉のクールダウンに至りますプロセスに問題はなかったというふうに判断をしております。
加藤敏幸
35
○
加藤
敏幸君 今回の一連の
事故
初期で明らかになり、その中で気になったということで申し上げますと、タービン動補助給水が再び待機状態にしようとしたとき待機除外の状態になったと、
関西電力
の
調査
報告
によりますと、今回は補助給水ポンプが作動したが、タービン動補助給水ポンプは停止後、待機状態に入ろうとして出口流量調整弁の開放に失敗していると、こうされております。
蒸気
発生
器における空だき状態を防ぐための補助給水という重大な安全システムにおいて、ポンプ系の不良はある意味で致命的な
事故
を招くおそれがあるのではないか。そういうふうな意味で、
関西電力
の
報告
では補助給水ポンプの開放失敗の
原因
を
究明
していくと、こうされておりますけれども、その後の
報告
はまだ聞いておりません。この点について
保安院
の御見解をお聞きしたいと、こういうことです。
松永和夫
36
○
政府参考人
(
松永
和夫
君) ただいま申し上げましたとおり、
事故発生
直後、一台のタービン動補助給水ポンプと、それから二台の電動補助給水ポンプは設計どおり自動的に起動いたしまして、
蒸気
発生
器への給水を開始いたしました。その後、
蒸気
発生
器の水位が安定いたしましたことから、所定の手順に従いましてこのタービン動補助給水ポンプを停止いたしました。そのポンプを直ちに起動できる待機状態にするために、ポンプの下流部にあります流量制御弁を開こうとしたところ、今御指摘のとおりその三台のうち二台が開かない事象が
発生
いたしましたことは事実でございます。 この流量制御弁につきましては、
事故
直後にタービン動補助給水ポンプとともに正常に機能していたために、弁の不具合はプラントを安全に停止させることに影響を及ぼすものではなく、不具合の状態といたしましては比較的軽微なものと考えております。ただ、このような軽微な不具合につきましても、
原子力
安全・
保安院
といたしましては従前より
原因究明
、
再発防止対策
を講じるよう
事業者
に指導してきておりまして、その結果をでき次第公表することといたしております。 したがいまして、今回も
事業者
による
原因
調査
の
状況
を聴取いたしまして、
原因究明
をきちんと進めてまいりたいというふうに考えております。
加藤敏幸
37
○
加藤
敏幸君 軽微なミスであってもしっかりと情報公開をして、正にそのことが
原子力
発電、
原子力
に対する
国民
の
信頼
を醸成していくと、こういう意味で大切であると思いますので、速やかによろしくお願いしたいと思います。 さて、労働災害の
防止
の観点から厚生労働省安全衛生
部長
にお伺いをしたいと思います。 今回の
美浜
の
事故
は正に重大な労災
事故
であり、厚生労働省も労働安全衛生法の違反があったのかどうか、そういうふうなことで現在も
調査
を続けておられますが、今回の
事故
について安全衛生行政をつかさどる厚生労働省としてどのような問題意識を持っておられるのか、お伺いをしたいと思います。
小田清一
38
○
政府参考人
(
小田
清一
君) 今回の
関西電力美浜発電所
におきます
蒸気
漏れ
によりまして、五名が死亡、六名が負傷するという重大な災害が
発生
したことは、労働災害
防止
を所管する
立場
から誠に遺憾であるというふうに考えております。不幸にしてお亡くなりになられました
方々
には、御
冥福
をお祈り申し上げたいと考えております。 本災害の
原因
になった
配管
は、電気事業法の適用を受ける電気工作物でありまして、
経済産業
省の所管でございますが、厚生労働省といたしましては、労働災害
防止
の観点から本災害の
原因
を
究明
し、
再発防止
の徹底を図る必要があるため、災害が
発生
いたしました八月九日に
現地
の
福井
労働局に災害
対策
本部を設置いたしまして、
福井
労働局及び所轄の敦賀労働基準監督署によります災害
調査
を
実施
しているところでございます。 現在、
関西電力美浜発電所
を始め今回の災害に関連のある事業所におきまして、労働安全衛生法によります
事業者
に義務付けている
安全性
管理体制
、
安全性
教育等の措置が適切に
実施
されていたか否かなどについて
調査
を行っているところでございます。 また、厚生労働省におきましては、昨年大規模製造事業所での重大災害の続発がございました。これを踏まえて、昨年の十一月に全国の大規模製造事業所約二千を
対象
にしまして
安全管理
に係る
自主点検
を
実施
しました。その結果を踏まえて、重大災害の
発生
防止
を目的として、本年三月十六日に大規模製造業における
安全管理
の強化に係る緊急
対策
要綱、これを策定したところでございます。この要綱におきましては、年月が経過した
設備
あるいは機器を継続使用する場合には
設備
の適切な維持管理の
確保
といったことが重点
項目
の
一つ
として位置付けられておりまして、今回のような
事故
が二度と起こらないように本要綱に基づく指導の徹底に努めてまいりたいと考えております。
加藤敏幸
39
○
加藤
敏幸君 ただいま
部長
のお話の中にありました大規模製造業における
安全管理
の強化に係る緊急
対策
要綱というのはお手元にお配りをさせていただいております。厚生労働省のこれは文書でございます。 厚生労働省の統計によりますと、ここ十年、労働災害による死傷者数は減少傾向にある、しかし特に爆発などによって多数の人が死傷する重大労災
事故
が昨年から急激に増えているということでございました。記憶に新しいものといたしましては、昨年九月だけでも、出光興産北海道製油所火災、ブリヂストン黒磯工場火災、そして新日鉄名古屋製鉄所火災
事故
と
三つ
の大きな
事故
が
発生
をしたということでございます。 特にこの新日鉄名古屋製鉄所火災
事故
の
内容
と申しますのは、いわゆるコークスガスをタンクの中にためておるわけでありますけれども、そのタンクの中にピストンというものがある。ガスの一番接している上ぶた、そこのところに、ガスの中から
発生
する水
蒸気
が結露をして、その水
蒸気
による腐食が
発生
をしたと。そして、そのピストンを下に押さえるおもりを付けているつりサポートが、これが大体十分の一にまで腐食をして、耐えられずに落ちて、おもりが、どんと何トンものおもりが内壁に衝突をして火花が発火をしたと。こういうふうなことが
原因
だと、こう言われておりますけれども、これも実は腐食でありました。
検査
の結果、このピストンという上ぶた、こちら側というのが水
蒸気
に面している、半分面していると。これは大体四割減肉をしておったと。中にあるサポートは全面を暴露していますから、恐らくそうすると八割、つまり十分の一近くまで減肉するんではないかと。そこの
調査
までは行ったんですけれども、中にあるつりサポートが問題だということまでは至らなかったということが言われております。 そういうふうなことを含めまして、この
状況
の中で大規模事業所を
対象
とした
自主点検
、先ほどの御
説明
のとおり、この緊急
対策
要綱が出たわけでありまして、私はこの二ページにある事業所のトップによる安全衛生方針の表明、安全
委員会
の活性化、それから所属元の異なる労働者が混在している事業所における
関係者
相互の確実な連絡調整の
確保
、あるいは
安全管理
者に対する選任時の教育の充実と。こういうふうなことで、最近、フリーターだとか派遣労働者だとか、あるいは保守
点検
をそのまま外注に移管をすると、こういう形態が現下の
経済
環境の中で、グローバリゼーション、国際競争の中でそういう
状況
が今随分職場、
現場
にはあるわけであります。 そういうふうな
状況
の中で、このように従来とは違った視点で安全衛生に対する見方を変えていこう、そして最も大切なのは、経営トップが安全、労働災害
防止
のこの思いを持ち、そしてそれが経営の方針の中でしっかりと展開されていくことが私は極めて重要だし、この
対策
要綱というのはある意味で非常に時宜に適していると、私はタイミングのいいものではないかと、このように思うわけであります。 そういうふうなことを踏まえまして、
藤社長
にお伺いをしたいというふうに思います。 今申し上げましたトップの意識改革、安全
委員会
の活性化、下請との情報共有、これらのことがしっかりとやられておけば防げたかも分からないと、こういう思いの中で、どのような、この緊急
対策
要綱に対して、今
事故
を振り返ってどのような感想を持っておられるのか、お尋ねしたいと思います。
藤洋作
40
○
参考人
(
藤洋作
君) 先生、このような本当にもう重大な
事故
を起こしました私どもが今これ申し上げるのはちょっと本当におこがましいかも分からないんですけれども、私、この要綱が出まして以来の四月以降、
火力発電所
、
原子力発電所
所長
会議
というのがございました。それから、七月の一日には全事業所を集めて、所長を集めました安全大会というのをやります。 〔
理事松田岩夫
君退席、
理事
魚住
汎英
君着席〕 その
二つ
の場におきまして、私、冒頭のあいさつで、この御
調査
、この要綱が出る前に御
調査
がございまして、その結果、事業所のトップが安全、防災、そういうものに非常に大きな関心を持ってトップがリードしてやっているところは実際の
発生
件数は少ないんだというあれが出まして、出ておったことを引用いたしまして、これ両方とも実はこの場で、是非職場など、コミュニケーション活動も含め、事業所のトップが
現場
の声を聞くということをしっかりやってもらいたいということをこの場で申し上げたわけでございます。しかし、結果的にそれがこの災害を
防止
するところまで
現場
に伝わってなかったということを、私も本当に今じくじたるものがございますが、今後私ども、この安全衛生
委員会
の活性化、その他教育の充実、下請との情報共有につきましては先ほども十分御
説明
いたしました。 そういうことで、この要綱の精神を含めまして安全に何とか注力をして、二度とこのようなことが起こらないよう、先ほども実は本件につきましては全役員、全
従業員
が本当に反省していますと申し上げましたけれども、全社を挙げて災害
防止
、安全を守るということにこれからももう一層頑張っていきたいというふうに思う次第でございます。 恐れ入ります。本当に申し訳ありません。
加藤敏幸
41
○
加藤
敏幸君 正に安全というのは、社会全体そして労使が一丸となって
対応
していかなきゃならない。私も三十年以上この仕事をしておりました、
現場
でそういう活動をしておりましたけれども、この要綱が真に生きた要綱として
現場
でしっかり実践される、そういうようなことが今必要であると、このように思うわけであります。 そういうような意味で、この緊急
対策
要綱を厚生労働省として今後どのように徹底をしていくのかという視点から、正にこの要綱が要綱で終わってしまうのか、いい文書があるね、いいこと言ってるねということで終わるのか、それとも本当に
現場
でこれが生きた作用をするのか、この件について厚生労働省の今後の
対応
も含めてお伺いをしたいと思います。
小田清一
42
○
政府参考人
(
小田
清一
君) 先ほど申し上げました
調査
の結果、経営トップが安全衛生に積極的に関与している事業所では災害、重大災害の
発生
が少ないということが明らかになっておりますので、緊急
対策
要綱に基づきまして本年の三月以降、全国で経営トップ等を
対象
として集団指導を行っておりまして、これはもうほぼ終了しております。約四十五回、二千二百事業所を
対象
として
実施
しております。さらに現在、災害
発生
率の高かった個別の事業所に対する重点的な指導を行っているところであります。これも今までに六百事業所に対して指導を行っておりますが、現在まだ継続中でございます。 〔
理事
魚住
汎英
君退席、
理事松田岩夫
君着席〕 特に、緊急
対策
要綱におきましては七つの重点
事項
を掲げておりますが、中でも、事業所トップによる安全衛生方針の表明、元請、下請間などによる
関係者
相互の確実な連絡調整の
確保
、あるいは職場の危険
箇所
の特定・評価及びそれに基づく
対策
の徹底、
設備
の適切な維持管理の
確保
と、この四点につきましては今回のような
事故
の
再発
を
防止
するためには特に有効であるというふうに考えられることから、本要綱に基づきまして今後とも一層積極的に指導を行ってまいりたいというふうに考えております。
加藤敏幸
43
○
加藤
敏幸君 今までの御努力には敬意を表したいと思いますけれども、やはり日本列島全体、素早くこれを展開するというためにも更なる御尽力、厚生労働省並びに
経済産業
省におかれましても品質管理の国際基準のISO9000sの手法を的確に活用されるなど、
産業
全般にわたる実態を
調査
分析をし、労働災害を未然に防ぐための指導をすべきだと、このように思いますし、
安全確保
に必要な
設備
更新などについての優遇策も改めて施策としてこれから考えていく必要があると、このように思いますが、この点について
経済産業
省の御見解をお伺いしたいと思います。
保坂三蔵
44
○副
大臣
(
保坂
三蔵
君) 御答弁申し上げる前に一言ごあいさつを申し上げますが、このたび副
大臣
拝命いたしました
保坂
三蔵
でございます。
委員長
並びに
委員
の
先生方
のよろしく御指導のほどをお願いいたします。(拍手) 副
大臣
には小此木、そして政務官には山本、
平田
、三名がおりますが、後日またごあいさつを申し上げますのでよろしくお願い申し上げます。 ただいまの御質問につきまして御答弁申し上げます。 大変貴重な御論議が展開されておりまして勉強になったところでございますが、企業活動におきましては安全と安心は最大限配慮されると、これは当然のことでございますが、とりわけ製造
現場
におきましては
産業
事故
の
発生
は大変憂慮するところでございまして、私たちといたしましてはこの問題の解消に腐心しているところでございます。
経済産業
省といたしましては、お話しのとおり、昨年ございました重大
事故
、新日鉄さんあるいはブリヂストン、出光さん、あの
事故
などを
一つ
の契機といたしまして
発生
要因を徹底的に
調査
をいたしました。そして、その結果を昨年の十二月に公表いたしまして、主要業界の経営トップにお集まりいただきまして
産業
事故
連絡会を開催いたしまして、業種を超えて情報共有を図るとともに、業界、
産業
界が一体となってこの
産業
事故
の
防止
を、
再発防止
を図ることを強く要請してきたところでございます。 ちなみに、具体的に申し上げますと、あくまでも先ほどもお話がありましたように経営トップが深く、かつ積極的に関与をした下で、例えば人的な要因の
対策
、ヒューマンエラーなどを防ぐためにマニュアルの改善やあるいはまた教育のリトレーニングなどの充実などを取り組んでいくことを提案いたしました。また、
設備
的な要因の
対策
といたしましては、
設備
の劣化
状況
、これらは非常にゆゆしき点などもございますので、把握をいたしまして取り扱うことにいたしました。 本省といたしましては、
産業
事故
防止
に向けた取組をより一層促進するために、ただいま
加藤
議員からお話がありましたとおりの
内容
の御指摘などを踏まえながら、引き続き人材面、
設備
面の両面から
安全確保
に必要な
対策
を最大限努力してまいりたいと思っております。 なお、新年度予算要求の中にも、ちなみに申し上げますと、産学連携製造中核人材育成事業、これは三十五億円要求しておりますが、これらの数々の新規事業の要求も
中川
大臣
の方から出しているところでございます。
加藤敏幸
45
○
加藤
敏幸君 引き続きまして、この今回の
事故
というのは正に人的な大きな
事故
でございまして、その社会的損害はこれは測ることができない。と同時に、外に与えた
経済
面、あるいは
風評被害
とかいう声も出ておりますけれども、いろんな形での社会全体に対する損失を生んでおりますし、また
従業員
にとっても大きなマイナス面がある。と同時に、私は、
関西電力
という企業体
自身
も大きな
経済
的損失をやっぱりこれは自ら被っているということも事実であります。
被災者
への補償、
風評被害
へどうするのか、あるいは
検査
・修繕費、あるいは停止をしている
発電所
のこれの損害、非常に大きな問題があるし、企業イメージのダウンであると、こういうことであります。 そして、こういうふうな労災が
発生
したときに
現場
でいろんな
意見
が出てきて対処するんですけれども、最後の言葉は、予防コストの方が安かった、事後の処理コストよりも予防コストの方がやっぱり安いという、この現実があるわけでありまして、そういうふうな意味で、私は、そういう面からいけば、正に例えば株主の
立場
からいけば膨大な損害が
発生
をしているということについて一言二言申したいという気持ちもあるのではないかと。 そういうようなことで、この
関西電力株式会
社が被られた正に
経済
的損失について現時点で
藤社長
としてどのように感じておられるのか、これをお伺いしたいと思います。
藤洋作
46
○
参考人
(
藤洋作
君) 今先生から申されました、このような本当に重大な
事故
を起こしまして、私ども、
設備
を管理する者として本当に深く反省をしております。 お話ございました、まずは
遺族
の
方々
、
重傷
を負われた
方々
、そしてその御
家族
の
方々
、それからお話ございました、もう本当に、社員が被害に遭われましたのは
木内計測
さんというお会社ですけれども、この
皆様方
に対しましては、誠意を持ってできる限りのことをさせていただきたいということで今やっております。 それから、今、先生お話ございました風評といった面での
地元
の
皆様方
の御迷惑、御損害、あるいはその御
心配
、そういうものがいろいろあるわけでございますが、これも非常に難しい問題でございますが、
地元
の
方々
の御
意見
を今いろいろとお伺いして、そして
皆様方
の御意向に沿って誠実に
対応
させていただきたいというふうに思います。 それから、やはり
国民
の皆さん方のその
信頼
を失ったという、この面については非常に大きな損失でございます。これにつきましては、やはりその
再発防止
に粘り強く取り組んでいるということで、何とか
原子力
に対する
信頼
を御
回復
していただけるように粘り強く取り組んでいきたいというふうに思っております。 お言葉にございました会社にとっての
経済
的損失でございます。これは非常に大きなものがございまして、先生言われましたように、私も
設備
の安全につきましては、これは安全、安定というのが第一で、安全が第一で、これが健全に動かせることが一番そういう意味でコスト的に、そういう意味では
経済
的に良いわけでございまして、もうそのことは、もういつもそういうことを言いながら、
設備
の安全
運転
第一に、安全第一にやってくれということを言ってまいりましたんですけれども、結果的にこういう
事故
を起こしてしまいました。 この損害につきましては、これは株主の
皆様
に誠に申し訳ないことでございます。全役員、全
従業員
が効率化を進めて、もちろん修繕費の分につきましては
皆様方
から当然、私ども安全第一、その上でのということを申し上げております。修繕費以外の既存なもろもろの経費を効率化を図りまして、何とかこれでこの
経済
的損失を補っていきたいと、そういうことで株主様に少しでも御迷惑が掛からないようにやっていきたいというふうに、そのように考えております。 どうかよろしくお願い申し上げます。
松田岩夫
47
○
理事
(
松田岩夫
君) 時間ですが。
加藤敏幸
48
○
加藤
敏幸君 はい。 株主の損失も結局は社会全体の、
国民
全体の損失になるという視点でよろしくお願いを申し上げたいと思いますし、
点検
保全作業を行う作業者の
立場
からいろいろお話を聞きましたけれども、一言で言うと、もう少し余裕が欲しいなというのが正に本音でございました。このこともこれから
皆様方
、念頭に置かれて
対応
をされることをお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。 ありがとうございました。
木俣佳丈
49
○
木俣
佳丈君 続きまして、民主党・新緑風会、
木俣
佳丈でございます。 まずもって、改めまして、亡くなられました五名の
方々
の御
冥福
をお祈り申し上げますとともに、今なお治療中の
皆様方
の一刻も早い治癒を心からお祈りを、願うわけでございます。また、
家族
の
方々
含め、大変な被害に遭われた
方々
のお見舞いを申し上げる次第でございます。 そしてまた、
大臣
におかれましては、先ほど、冒頭ありましたように再任ということで、副
大臣
も含めまして、お祝いを申し上げたいと思っております。 我が党としましては、
原子力
の基本政策というものを一昨年、二年前にこしらえまして、この
原子力
政策というのは
責任
は国にあるものである、まずは。そして、基幹電源として、基幹エネルギーとしてなくてはならないものであるということを位置付けながら、次世代の新しいエネルギーが出るまでの過渡的な、過渡的のこの定義が難しゅうございますけれども、エネルギーとして慎重に推進をするという、推進の
立場
でございます。 いつでも、政権政党になりましたときに、
国民
の皆さん、そしてまた国家の国益を考えたときに、間違いのないエネルギー政策、これを推進する
立場
で質問をさせていただきたいと思っておりますし、今日は、細かな話は衆議院の方でも、そしてまた同僚議員の皆さんからもお話がございましたので、
大臣
の決断を促すようなそういう御質問をさせていただきたいと、こういうふうに思います。 まず、一体だれにこの
責任
があるのかという話が数々出ておりますけれども、これは私ども国
会議
員のみならず
国民
の皆さんも、そしてまた昨週ですか、私どもが視察に、検分に行ったときにも県の方からも、そしてまた町の方からも言われたことでございまして、もちろん
事業者
たる
関西電力
は一義的な
責任
はあるというものの、今日、
大臣
のこの御
発言
の要旨を見ても明確なように、
原子力
政策の最高
責任者
は私は
経済産業大臣
だと思いますが、
大臣
はどのようにお考えでしょうか。
中川昭一
50
○
国務大臣
(
中川昭一
君) 済みません。
責任
ということですか。
木俣佳丈
51
○
木俣
佳丈君 はい。
中川昭一
52
○
国務大臣
(
中川昭一
君) 私は、内閣総理
大臣
の下でこの
原子力行政
、
原子力
安全行政
、エネルギー行政を任せていただいておりますので、そういう意味では、最高、最後の
責任
を取る
立場
にあるというふうに自覚をしております。今回の
事故
につきましては、今、
調査
委員会
の
班目
先生、また
藤社長
さん、あるいはまた
委員会
の御
報告
にもありましたので、大体、直接的な
原因
とそれに至った経過、つまり
責任
ということについて、大体もう私
自身
も認識は
先生方
と多分共通ではないかと思っております。 その上で、じゃ、国に
責任
がないのかといえば、最終的には、やっぱり
原子力
安全行政
は私どもの最終
責任
でございますから、そういう意味で、いや、一企業、あるいはまた
二つ
か
三つ
の企業が
点検リスト
に入れていなかったとか相互の連絡がなかったとかいうことだから民間だけの
責任
だと言うには、やっぱり
国民
的な御
理解
、あるいはまた御
地元
が被っている損害、そして何よりも十一人、そのうち五人の尊い命が失われたということを考えますと、我々は全くただ監督官庁としてやることをやっていなかったというだけで済まされる問題ではないというのが私の率直な認識でございます。 したがいまして、
中間取りまとめ
という形で御
報告
をいただいたわけでございますし、先ほど
班目
先生からも今後も会合を開くという御
発言
がございましたので、私は、最終的なのかどうなのか分かりませんけれども、次の段階の御
報告
というものも出てくるものという前提で、あくまでも中間段階として
藤社長
に
厳重注意
を申し上げ、技術適合基準に基づいて
美浜
三号をストップさせるという初めての措置は取りましたけれども、これでもってすべておしまい、
省令改正
をしておしまいということだとは私は考えておりません。
木俣佳丈
53
○
木俣
佳丈君 最終的なこの
原子力
政策の
責任
は自分にあるということを言われたと私は思っております。 さらに、今回のこの御
発言
の要旨でもありますように、小泉総理から私に対して徹底的に
究明
して分かりやすく
説明
するよう指示があったと今日
報告
されましたので、比較をするのはちょっと好ましいかどうか分かりません、失礼に当たるかもしれませんけれども、前
大臣
は県議会に行かれまして、やはり
説明
をされているんです。県議会に行かれる思いはございますでしょうか。
中川昭一
54
○
国務大臣
(
中川昭一
君)
福井
には
経済産業大臣
になりまして二度ほどお邪魔をさせていただいておりますが、これはあくまでも知事さん、町長さんが中心でありますが、前平沼
大臣
も県議会、町議会まで行かれて何回も御
説明
を申し上げております。御
地元
がそういう切なる御
要望
があれば、私はどこでも行く決意でございます。
木俣佳丈
55
○
木俣
佳丈君 恐らくは
地元
の方も
大臣
が迅速に初動、動かれたことは評価されていると思いますので、是非
地元
の方に入っていただいて、やはり最終
責任者
、最高
責任者
としてきちんと御
説明
をしていただきたいと、重ねてお願い申し上げます。 そして、この
事故
について、先ほど来からお話が同僚の
加藤
議員からもあったと思いますが、再度
大臣
に伺いたいのは、これは人災ということで、これは結論でございますか。
中川昭一
56
○
国務大臣
(
中川昭一
君) 私はいろんな場でこれは人災と言ってもいいと、人災であるということを何回も申し上げました。その根拠は、もちろん、先ほども御議論が
加納
先生からありましたけれども、絶対の
安全性
は、一〇〇%安全だといういわゆる安全神話というものは、私は、この高度な、この巨大な、しかもエネルギー装置ですから、そういう神話に、あってほしいとは思いますけれども、その神話という形で我々すがってはならないと。必ず、必ずと言っちゃいけません、万が一、万々が一そういうことがあったときに対してという備えというのは十分必要だと思いますが、今回の出来事というのはその万々が一に備える以前の
事故
であったということでありますし、先ほど
班目
先生からも
藤社長
さんからも、また
委員会
の御
報告
でもございましたように、
平成
二年時点、あるいはまた
平成
八年時点、昨年時点で、まあ結果論ですから、私、自分が
責任
あると先ほど申し上げた
立場
ですから、毛頭偉そうに申し上げるつもりはございませんけれども、あのときちゃんとルールどおりにやっていたら、あのときちゃんと水平展開が機能していればということになれば、ひょっとしたら未然にこの減肉を、あの爆発につながらないような
対応
が取ることができたのかもしれないという意味で、私は、他方、捜査
当局
も今捜査をしている最中でもございますので、私としては、これは
経済産業
省の正式見解かと言われるとそうではないと申し上げざるを得ませんが、
経済産業大臣
、政治家
中川昭一
としてはそういう判断せざるを得ないというふうに思っているところでございます。
木俣佳丈
57
○
木俣
佳丈君 そしてまた、今回、
中間取りまとめ
ということでありますが、先ほど
大臣
の方からも最終というのが出るんだということでありますが、どのぐらいたったら出るんでしょうか。短く。どちらでも結構ですが、
大臣
の決意の方を聞きたいものですから、できれば
大臣
に。
中川昭一
58
○
国務大臣
(
中川昭一
君) 決意ということでございますから。
中間取りまとめ
をいただいた九月二十七日には、先ほど申し上げたように県、それから
美浜
町、そして
原子力
安全
委員会
の方にも御
報告
をいたしまして、現在
検討
していただいているところでございますし、先ほど申し上げましたように、
事故調査委員会
は、あくまでも
中間取りまとめ
であり、今後も会合を開く、いろんなことがこれからも
検討
が必要だからという
先生方
の御
意見
でございますので、それを背筋を伸ばしてお待ちを申し上げていると。
木俣佳丈
59
○
木俣
佳丈君 いや、ですから、いつごろということを。短く。
中川昭一
60
○
国務大臣
(
中川昭一
君) ですから、時期については
事故調査委員会
の方の御判断に……
木俣佳丈
61
○
木俣
佳丈君 もういいです。 やはり
大臣
の決意を私は聞きたいんですよ、今日は、決断というか。どのぐらいたてば要するに最終の
報告
をするんだということを聞きたいんですよ。今日は言われないかもしれませんので。──いいですか。
中川昭一
62
○
国務大臣
(
中川昭一
君) 決意は、できるだけ早くというのは、気持ちは私は十分あります。
木俣佳丈
63
○
木俣
佳丈君 ですから、どのぐらい。
中川昭一
64
○
国務大臣
(
中川昭一
君) 私は問題は中身だと思っているんです。
木俣佳丈
65
○
木俣
佳丈君 中身ですよ、もちろん。
中川昭一
66
○
国務大臣
(
中川昭一
君) 中間
報告
も、大変これはちょっと、御
理解
いただけると思いますけれども、八月の九日に
発生
して、八月の十日に
先生方
に、あの時期にですよ、八月のあの半ばの時期に急遽お願いをして、鋭意、六回でございましたか、長時間にわたってやっていただいて、本当に一か月ちょっとで出していただいた中間
報告
の、
中間取りまとめ
というのは大変重たいものがあるわけであります。 しかし、あくまでも
中間取りまとめ
でございますから、今後も最終的というか、今後も作業を進めていくんだ、そして最終的なものが出てくるんだということでありますから、私からはいついつということをお願いする
立場
にはございません。できるだけ早く、そしてできるだけ実体の伴ったものをということでございますが、これは今こういうスケジュールだということをメモが出てきておりまして、これ言ってもいいんですけれども、私はあくまでも
調査
委員会
の
先生方
の御努力というものを尊重して、早く、そして
内容
の、我々に対しての御指導いただけるものをという、できるだけ、いいものという言い方は良くない、何と言ったらいいんでしょう、中身のあるものということでありますけれども、私からはあえていついつまでに
事故
調査
の
報告
を出すんだと……
木俣佳丈
67
○
木俣
佳丈君 スケジュールが出ているんなら言えばいいじゃないですか。スケジュールが出ているんなら言えばいいじゃないですか。
中川昭一
68
○
国務大臣
(
中川昭一
君) だから、私が言う
立場
にないということを申し上げているんでありまして……
松田岩夫
69
○
理事
(
松田岩夫
君)
委員長
の許可を得て御
発言
ください。
中川昭一
70
○
国務大臣
(
中川昭一
君) ですから、是非、
調査
委員会
の先生がわざわざお見えでございますから、
調査
委員会
の先生の方から聞いていただく。私がお願いしているんで、いついつまでに出してくれということについては、できるだけ早く、年度内にとか、そういうことは申し上げておりますけれども、いついつまでに出るんだと、おまえの決意はどうだと言われると、これはお願いベースの話でございますので。
木俣佳丈
71
○
木俣
佳丈君 いや、そういうものかなということを僕は申し上げたいんです。ですから、もちろん
先生方
はお忙しいだろうし、何回も何回も集まって早急に
中間取りまとめ
が出たという思いなのかもしれませんけれども、しかし、
大臣
の決意をですね、そこで。 なぜならば、例えば二年前維持基準を作ったときに、これは私も修正をさせていただきながら、我が党も含めて賛成をさせていただいたんです。このときには、いいですか、法律ですよ、八月に起きた
事故
があって、もう十二月には法律ができているんですよ。法律ができるんです、数か月で。ですから、この
調査
の
報告書
ぐらいはいついつまでにという
大臣
の決意が私は必要だというふうに思って申し上げたんです。まあ、いいです。別に質問ではございません。 それで──じゃ
大臣
。
中川昭一
72
○
国務大臣
(
中川昭一
君) じゃ、一言でお答えさせていただきます。 さっき言ったように、これは
調査
委員会
に出していただくものでございますが、我々としてはできるだけ早くということで、年度内には最終
報告書
を出していただければ大変有り難いなというふうに思っております。
木俣佳丈
73
○
木俣
佳丈君 いや、年度内でも遅いと思うんですよ。三月ということですよね。年内にはだから最終
報告
は僕は出る、いや出せるものだというふうに確信をしておりますけれども。それがやはり私は政治決断だと。
国民
に対する、一刻も早く、例えば、
原子力
が必要という
立場
で私もおりますので、それならば最終的にはこのようにということを一刻も早く、年度内なんということじゃなくて私はやるべきだということを申し上げたいと思います。 先ほど人災ということ、そしてまた
大臣
は記者会見等々で、この経営
責任
については謝っておしまいというようなことではないと、そしてまた、
中間取りまとめ
が
一つ
の区切りになると、こういうお話がございました。今、是非国会の場で、
国民
の皆さんにこの経営
責任
、
関西電力
さんのことではありますが、どのようにお考えか、明らかにしてください。
中川昭一
74
○
国務大臣
(
中川昭一
君) 今回の
関西電力
の
発電所
について、
三菱重工
とか
日本アーム
とかいろいろと
関係
しているところとの複合的な人災だと私は思っておりますけれども、
関西電力
につきましては、八月九日
発生
以降、
現地
でも
藤社長
ともお会いをいたしましたし、何回もお会いをして、早急かつ全力を挙げて、そして国会、
国民
に情報をきちっと御
報告
をしながら
対応
し、そして被災された
方々
に対して、あるいは御
地元
に対して万全の
対策
を取っていただきたいということをずっと申し上げていたところであります。 九月の二十七日に
中間取りまとめ
をいただきましたので、
厳重注意
と、さっき申し上げました電気事業法四十条に基づく
技術基準
に適合しないということで、
美浜
三号をストップさせたわけでございまして、これは初めてのことでございます。これはあくまでも中間段階でございます。先ほども申し上げたように、最終段階というものが、多分、
調査
委員会
の方でまたこれから御苦労をお掛けすることになると思いますし、
原子力
安全
委員会
の方でも今この
中間取りまとめ
をベースにいろいろ御議論をいただいていると思いますし、また県や
美浜
町の方でもいろいろとお考えになっていらっしゃると思いますし、それから捜査
当局
でもいろいろと捜査をされているやに聞いております。 したがいまして、最終的なけじめというものは私はまだまだだろうと、あくまでも現時点は中間段階としての
経済産業
省の措置であり、また本
委員会
での御
審議
だろうというふうに思っております。 それを前提にいたしまして、私は、
関西電力
に対してトップの方に辞めろとか辞めるなとか言う権限はございませんが、公益性の高い、そしてまた重大な
事故
を起こした企業というものはおのずから、最近はやりのCSRではございませんけれども、やっぱりトップの経営判断、経営
責任
というものをどういうふうに御判断されるかということは当然お考えになるんだろうというふうに思っております。 したがいまして、今回、
厳重注意
ということを
藤社長
に申し上げたわけでありますけれども、今後どういうことになっていくかということについて、新たな事実、あるいはまた新たないろいろな出来事が、今後
究明
していって、いよいよこれで
一つ
の区切りかなと、最終段階かなという
一つ
の客観的な情勢が出た段階で、私は、公益性の高い、そして非常に
信頼
性の高い
関西電力
という企業の一連の
発生
した
事故
に対して経営者がどういう御判断をされるかということを私は注意深く、緊張感を持って見守らしていただいているということでございます。
木俣佳丈
75
○
木俣
佳丈君 本件について
藤社長
はどのようにお考えでしょうか。つまりは、御自分の
責任
も含めて、進退も含めてどのような
対応
をされるのが適切というふうにお考えになるんでしょうか。
藤洋作
76
○
参考人
(
藤洋作
君)
木俣
先生、私、この
事故
の重大性というのは、先ほどから何度も申し上げましたように、十分認識しております。 ただ、その上で、今、私、被災された
方々
へのこれから万全のことをやっていかなくてはならない、
地元
のいろんな御迷惑にもきちっと誠意を持ってやっていかなきゃならない、そして何よりも、こんな
事故
を二度と起こさないような
再発防止
をきちっと立てなければならない、そして
原子力
に対します
皆様方
の
信頼
を少しでも
回復
させていただきたいと、そのことをここ当面やらせていただきたいというふうに思っている次第でございます。よろしく御
理解
賜りますようにお願い申し上げます。恐れ入ります。
木俣佳丈
77
○
木俣
佳丈君
社長
の御決意等々伺いまして、大変重い決意をされながらされていることはよく分かるわけではございますけれども、しかしながら、やはり我々国
会議
員は国の、そしてもちろん内閣は国益を考えながら、
国民
の意識を考えながら、やはり取るべき行動を取らなければいけないということからすると、前回の東京電力の皆さんの御退任と比べまして、残念ながら今の
発言
では不十分ではないかと言わざるを得ないと私は思っておる次第でございます。 特に、また今、重い御
発言
、決意を言われたわけでございますけれども、それと比べまして、私、先ほど
大臣
が言われました最終
責任
、そしてまたこの行政の、もちろん
保安院
でございますけれども、
原子力
保安院
の
責任
もこれは当然私はあると思うわけでございますけれども、しかし、この
中間取りまとめ
の中ではそういったことが見受けられません。これは他人事で遺憾なことというような
大臣
の
発言
ではなく、やはり我が事として、これはまた
保安院
としては、これは自分たちの過失なんだということも含めて、
中間取りまとめ
でなぜ
先生方
が書かれなかったかなと思うと、私は非常に残念至極であります。 我々はかねてより、八条
委員会
の安全
委員会
というものではなく、三条
委員会
にした
原子力
安全規制
委員会
というものを四年前から立法化しながら、
原子力
をきちっと推進する側とそしてチェックする側と分けて、やはり独立したアメリカ型のそういう機関を作りながら、推進をしながらチェックしていくということが絶対に必要であるということはもうかねてより、四年、五年前から申し上げているわけでございますけれども、なかなかその御賛同が得られず、その法案はまだまだこの日本では成立をしてないわけですが。 先生にちょっと伺いたいのは、どうでしょうか、もうこれだけ、要するに推進官庁の中に
保安院
というのがあって、そこでチェックをするというのは私は限界だと思うんです。そして、八条
委員会
の
原子力
安全
委員会
というものがどんなにいろんなことを言っても強制してすることができない。そろそろ本気でこれ考えないと、今のこの世界を見たときに、例えば中国、これは
原子力
がもうすぐに百基できるではないかと、毎年毎年
関西電力
ぐらいの電力量の需要が伸びていると、こういう国が隣にあり、安全保障上の問題も非常にあります。さらには、やはり今石油の値段を見てください。原油高、これは止まるかどうかというのも分かりません。作為的という話もありますけれども、今後も世界各国の需要を考えたときに、そういうこともあります。それから京都議定書、いよいよロシアがこれは署名をするだろうと、これもまだ分かりませんけれども。しかし、そうなったときに、第一約束期間、二〇〇八年から一二年の、この約束を守れないですよ、我が国は、今もう既に。 そういう観点からしても、じゃどうするかということを早急に、これはもう
大臣
も、諮問されている先生にもちょっと伺いたいんですが、どうするかということを本気で考えてもらいたいと、私はこう思いますが、まず先生から伺って、
大臣
に伺いたい。
班目春樹
78
○
参考人
(
班目春樹
君) まず
責任
問題でございますけれども、
調査
委員会
が付託されているのは、これはあくまでも
再発防止
のために何をなすべきかでありまして、
責任
がどこにあるかの所在を明らかにするのは、これは警察
当局
の方であるというふうに我々
理解
してございます。 したがいまして、
再発防止
のために
保安院
が改革すべきことというのが見付かった段階ではそのことはもちろんきちんと書かさしていただきたいと思いますが、
中間取りまとめ
の段階ではそのようなふうには判断しなかったというふうに御
理解
いただきたいと思います。 それから、
原子力
安全・
保安院
が
経済産業
省の中にあるのはいかがなものかということでございますが、私は、今、
原子力
安全・
保安院
が
資源エネルギー
庁から分離独立して省内でははっきり分かれた体制になってございます。それで、
保安院
が発足してすごい勢いで制度を改革してございます。特に二年前の東電問題を契機に、
定期事業者検査
の導入とか、あるいは
定期安全管理審査
の導入とか、そのような改革を行って、正に御指摘のような、
国民
の負託にこたえるような体制ができ上がりつつあるところであるというふうに
理解
してございます。 そういう意味では、余りいたずらに、これ全く私の完全に個人的な見解でございますけれども、いたずらに制度をいじるよりは、今の体制の下でしっかりとまず実績を上げる、それが大切なんではないかというふうに思ってございます。
中川昭一
79
○
国務大臣
(
中川昭一
君) まず、私は、他人事で遺憾である程度の認識だとは自分
自身
思っておりません。 冒頭申し上げたように、私
自身
、行政の
責任者
として本当に、
現地
に行ってあのパイプの破裂した
状況
、あるいは五人の
方々
の、十気圧、百四十度Cですか、一瞬にして想像のできないような状態でああいう被災され、また一命は取り留めたにしてもいまだに治療中の
方々
、そして御
家族
のことを考えますと、一人間としても一政治家としても、その
関西電力
を監督しているのが
経済産業
省であり、
保安院
であり、私だということを感じますと、これは他人事で遺憾ですねということはとても言えませんので、冒頭申し上げたようなことをあえて申し上げたところでございます。 それから、今後、日本のエネルギー行政については、
木俣委員
の御指摘、基本的に私も同じでございまして、現時点五十ドルがどうだこうだということは別にいたしましても、中長期的に人口の爆発、あるいは
経済
の発展、あるいはまた供給側のいろいろなリスク等々を考えますと、やっぱり安定的にエネルギーを供給する、そして
国民
、
産業
その他が安心してそれを利用する、使用するという体制を構築していくためにはやっぱり
原子力
エネルギーというものが私は必要であると。これは去年の計画に基づいてもいるわけでございます。 ただし、どこでもそうなんですけれども、特にこの
原子力発電所
の場合には、大きなエネルギー装置であり、また放射性物質を扱っているということもあって、
安全性
というものがより求められる。そしてまた、それだけではない、技術的な問題だけではない、御
地元
を始めとする
国民
的な御
理解
がなければ駄目だということで、
原子力事業者
には、私は、他の大きな装置
産業
に比べてより一層の高いレベルの、私は、
信頼
に対する努力、安全に対する努力、御
地元
を始めとする
皆様
に対しての、例えば八月九日以降やってきたことに対しての御
説明
なり、広い意味では誠意と申しましょうか、御努力をされることが要求されているというふうに思っております。 また、
保安院
につきましては、今、
班目
先生の方からお話がございましたので、結論的には重なりますので省略をさせていただきたいと思います。
木俣佳丈
80
○
木俣
佳丈君 時間が来ておりますが……
松田岩夫
81
○
理事
(
松田岩夫
君) 時間が参りました。時間が参りましたので。
木俣佳丈
82
○
木俣
佳丈君 済みません。
大臣
の決意は分かるんですが、もう一年たっていらっしゃいますので、是非、つまり二年前の〇二年の十二月に、要は
定期事業者検査
が入る法律が改正されまして維持基準を我々が作ったわけなんですね。ところが、その後のクロノロジーを見てください。二年間たなざらしなんですよ。もっと早めて、早めてやればこんな
事故
にもならなかったと、私は、私
自身
も反省をしている次第でございますので、是非、これは正に、行政の不作為という言葉があるかどうか分かりませんが、それに近いものだと私は思っておりますので、是非本気でチェックをしてください。 終わります。
松あきら
83
○松あきら君 公明党の松あきらでございます。どうぞよろしくお願いいたします。 八月九日、決してあってはならないこと、起こってはならないことが起こりました。私も党の
経済産業
部会長として
調査
団六名とともに、八月十二日、
現地
に飛びました。 もう暑い暑い日でございました。
美浜
の海は海水浴のお客さんで一杯でございました。薄暗い建屋の中を懐中電灯を照らしながら進みました。十気圧、百四十度にも上る高温の水に爆発して破れてめくれ上がった
配管
。場内は瞬時真っ白になったといいます。視界はもちろんゼロであります。断熱材や鉄板がそこらじゅうに飛び散っておりました。そして、高温の
蒸気
によってできた大きな水たまりが足元に広がっておりました。 ここで、この場所でと、私は心の中で深く手を合わせました。そして、私も国
会議
員の一人として、真摯に皆で反省して、そして力を合わせて二度とこのような
事故
を起こさないことこそが、亡くなられた五名の
皆様
、そしてお一人は退院なさったと伺っておりますけれども、今も加療の床で闘っていらっしゃる
被災者
の
皆様
に対する
責任
であると心に深く誓いました。 関電の
皆様
、どうかでき得る限り、亡くなられた御
遺族
の
皆様
に、そして被災をされた
皆様
にその御支援をしていただけますように心からお願いを申し上げます。 それでは、質問に入らせていただきます。 一九九九年、ジェー・シー・オー
事故
を教訓に
原子力
災害
対策
特別措置法ができました。しかし、今回この
事故
に際して
原子力
災害
対策
特別措置法に基づく
対応
がされていなかったのではないかということで衆議院で問題になったと伺っております。放射能
漏れ
がない、放射能とは
関係
のない建屋での
事故
ということで発動がされなかったのでしょうか。 しかし、
原子力
発電が
原因
で起きた初めての死亡
事故
という一大緊急時の
対応
として、
経済産業
省、一体どういった措置が取られたのか、お伺いをしたいと思います。
松永和夫
84
○
政府参考人
(
松永
和夫
君) お答え申し上げます。
松委員
御指摘の
原子力
災害
対策
特別措置法でございますが、これはジェー・シー・オーの
事故
の後成立した法律でございますけれども、
原子力事業者
の原子炉
運転
等によりまして放射性物質又は放射線が異常な水準で
原子力
事業所外へ放出された事態等を想定しております。したがいまして、今回の
事故
では同法に基づく
対応
は行っておりません。 しかしながら、
原子力
安全・
保安院
といたしましては、
中川
大臣
の指示の下に、
事故発生
後直ちに当院の
審議
官を
現地
に派遣いたしまして、駐在の
保安検査
官とともに
現地
対策
本部をその日のうちに設置をいたしました。また、
事故発生
の翌日の八月十日には、
中川
大臣
が、これまで御
説明
しているとおり、
発電所
を訪問いたしまして
現地調査
あるいは
地元
の
皆様
との
意見交換
を行いました。さらに、
事故
の
原因究明
と
再発防止
を図るために総合
資源エネルギー
調査
会の下に
事故調査委員会
を設置いたしまして、八月の十日にはそのうち二名の
委員
の
現地
の
調査
、十一日には一回目の
調査
委員会
を開催いたしました。 したがいまして、今回の
事故
は
原子力
災害
対策
特別措置法の
対象
にはなりませんでしたものの、事態の重大性にかんがみまして、実質的には同等の初動
対応
がなされたものというふうに考えております。 いずれにいたしましても、今回の
事故
により得られた様々な教訓を生かしまして、今後のトラブルや
事故
における初動体制の充実等々を図ってまいりたいというふうに考えております。
松あきら
85
○松あきら君 今、お伺いいたしますと、もちろん、
事故調査委員会
をすぐに設置して
対策
をいろいろ取ったと、同様の
対応
をしたということでございます。 その立法趣旨というのは私も分かるんですね、この放射能に関するということで。しかし、いわゆる放射能に関する
対応
だけでなく、一次系の
対応
だけでなく、
原子力発電所
内で起こった
事故
であるならば、たとえ二次系であっても私はそれに
対応
できるような法の見直しというものも考えてはいいのではないかと。今すぐにとは申しません。これは問題提起をしておきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。これは御答弁は結構でございます。 ところで、今回
破損
した
配管
は、
管理リスト
漏れ
によりまして、
美浜
三号機の
運転
開始、つまり一九七六年、昭和五十一年です、以来二十八年間一度も
検査
が行われておらず、報道によりますと、十三年前の一九九一年に安全上の使用限度を超えていたとされております。これ、報道上のことですので、これが正確かどうかはちょっと分かりませんけれども、そういうふうに言われております。 一次系の
配管
というのはステンレスに決まっているわけであります。二次系の
配管
は
炭素鋼
、ステンレス、どちらでもよいということであるそうでございますけれども。 率直に私聞きました、ステンレスは丈夫じゃないか、だから一次系にはステンレスと決まっているのでしょうと。二次系は何でどちらでもいいんですかと。 正直言いまして、ステンレスは非常に、例えばそれで全部やるとなると初期の投資が膨大であると。けれども、
炭素鋼
は長いメンテナンスが必要であると。ですから、長期の視点で見た場合はどちらがいわゆるコスト面でどうのとか費用の面でどうのとかは言えないという、そういうことを私も伺いましたけれども、ともかく今回の
事故配管
は
炭素鋼
であるわけでございます。 ところで、今回の
事故配管
の法定耐用年数というのは何年でございましょうか、お伺いいたします。
松永和夫
86
○
政府参考人
(
松永
和夫
君) お答え申し上げます。 我が国の
原子力発電所
には法律的に決められている寿命というものはございません。電気事業法では、
事業者
に対しまして約一年ごとに一回
定期検査
を受けることを義務付けております。この
検査
に際しましては、電気事業法に定めております
技術基準
に適合していなければ、たとえ新品であっても交換、修理等が必要になります。また逆に、長く使用されたものでありましても、
技術基準
に適合していれば引き続き使用することが可能だと、こういう考え方で成り立っております。
松あきら
87
○松あきら君 そうしますと、性能面での法定耐用年数はなかったというふうに今伺っているわけでございますけれども、一般
国民
の感情、感情じゃないですね、一般
国民
の思いというのは、何でも耐用年数というのは大体あるんですね。家電製品とは一緒にはしませんけれども、法定耐用年数というのが普通はあるんじゃないかと、こういうふうに思うんですね。それがないと。しかし、一年ごと一回の
検査
をしているし、あるいは作ったばかりでもそれが仮に
検査
で危ないとなればすぐに取り替えさせる、こういうお答えであったと思います。 それであるならば、私は、アメリカで一九九八年、NRC、米国
原子力
規制
委員会
、これが
配管
の
減肉管理
に関する
検査
手順というのを定めまして、
事業者
の
点検
活動を継続的に監視しております。これ、非常に私はいい制度であるというふうに思っているんですけれども、我が国におきましても早急にこうした制度を
整備
すべきではないかと思いますけれども、いかがでございましょうか。
松永和夫
88
○
政府参考人
(
松永
和夫
君)
松委員
御指摘のとおり、米国では、一九八六年のサリーの
原子力発電所
の
事故
後、民間が主体となって
配管
の
肉厚管理
の規格及び
指針
を作成いたしました。その上で、九二年から今御指摘のNRCも参加いたしまして、
肉厚管理
の監視プログラムの
検討
を行いました。その結果、NRCは、一九九八年から九九年にかけまして、
配管
の
肉厚管理
のための米国機械学会及び米国電力研究所の
指針
を承認するとともに、
減肉管理
に関する
検査
手順書を策定をいたしました。御指摘のとおり、現在、米国ではNRC、規制
当局
はこれらにより
事業者
の
点検
活動を継続的に監視いたしております。 一方、我が国では、各
事業者
は、
PWR
の
管理指針
、あるいはBWRにつきましては独自の社内基準によりまして
減肉管理
を行っております。しかし、
平成
二年に当該
指針
が策定されて以来既に十年以上が経過をしております。
原子力
安全・
保安院
といたしましては、今回の
事故
を踏まえまして、
日本機械学会
において策定中の
配管
肉厚管理
に係る規格を速やかに評価、承認することといたしております。同時に、今御指摘の米国のプログラムを参考にいたしまして、二次
系配管
を
事業者
が計画的に
検査
をし、国は
保安検査等
により
事業者
の
点検
活動を継続的に監視をするというふうにしたいと考えております。
松あきら
89
○松あきら君 継続的に監視をしっかりしていくという、このアメリカのNRCに基づいた
整備
をなさるということで、是非私はしっかりとやっていただきたいというふうに申し上げたいと思います。 次に、一九七〇年に第一号の
原子力発電所
、敦賀一号機が
運転
を開始いたしました。以来三十四年、今回の
事故
の直接の
原因
ではございませんけれども、やはり
運転
年数が経過した
原子力発電所
におきましては、
配管
の減肉などの経年劣化事象がより顕在化をいたしまして、高経年劣化
対策
というものは今後ますます重要になると思っております。つまり、
国民
の
皆様
もこの点について非常に
心配
しているんですね。これは関電さんだけの問題ではなくて、全国の
原子力発電所
の問題であります。この問題に対しまして
原子力
安全・
保安院
の取組の現状及び今後の
対応
についてお伺いをいたします。
松永和夫
90
○
政府参考人
(
松永
和夫
君)
松委員
御指摘のとおり、将来的に
進展
してまいります
原子力発電所
の高
経年化
への
対応
は大変重要な政策課題であるというふうに認識をいたしております。そのため、
運転
開始から三十年を迎える原子炉を
対象
に十年を超えない期間ごとに最新の技術的な知見に基づきまして総合的な評価を行います定期安全レビュー、この一環といたしまして、
安全性
、
信頼
性の
確保
のための評価を行っております。 具体的に申し上げますと、三十年を迎える前に、
事業者
が、安全上重要な機器、構造物につきまして、今後長期間
運転
することを想定した技術評価を行いまして、長期保全計画を策定するよう義務付けております。また、その結果を国といたしましても評価をしてまいります。昨年十月の制度改正によりまして、
事業者
が定める保安規定にもこの定期安全レビューの
内容
を
記載
させることといたしました。
原子力
安全・
保安院
といたしましては、今後、高
経年化
に取り組む体制を充実させまして、
事業者
のレビュー
内容
を技術的に評価をしてまいりたいというふうに考えております。また同時に、
定期安全管理審査
及び
保安検査
によりまして、
事業者
が長期保全計画を適切な形で
実施
しているかということを厳正に監視してまいる所存でございます。
松あきら
91
○松あきら君 定期安全レビューなどという言葉は一般の方にはなかなか分かりませんので、やはり
国民
に広く分かる言葉できちんと御
説明
をしていただきたい、これをお願い申し上げます。 それでは、
関西電力
にお伺いをいたします。 どれだけの反省があってももちろん足りることはありません。今回の大
事故
は正に
関西電力
が起こした
事故
であります。しかし、それだけにとどまらず、全
原子力
エネルギー政策の
信頼
にかかわる問題であると私は思っております。その
立場
に立って、深い反省と今後の
対応
いかん、改めて御決意をお伺いしたいと思います。
藤洋作
92
○
参考人
(
藤洋作
君) お答えいたします。 今、先生おっしゃいましたように、幾ら反省しても足りないとおっしゃいました。そのとおりでございます。最初に先生言われましたように、被災されました御
遺族
や御
家族
の
皆様方
に本当に誠意を持ってできる限りの
対応
をさせていただきます。 それから、
地元
の御迷惑に対しましても、これは大変なものがございます。先ほどからも申し上げましたように、私ども、誠意を持ってきちんと
対応
させていただきたいと思います。 その上で、まずは労働安全の
確保
でございますが、
事故
後、直ちに
運転
中のプラントへの立入りは制限いたしました。そして、
配管
の
健全性
が確認されて、
協力会社
や
地元
の皆さん方がいいよとおっしゃっていただけるまでの間、
定期検査
の前の
準備作業
を原則的にやらないということに、そういう措置も取っております。 問題の二次系の
配管
肉厚管理
でございますけれども、これにつきましても、その計画から測定結果の評価、その
対策
の立案、すべての
業務
を、測定
業務
自身
は、これは外注させていただきますが、それ以外の部分は全部当社がやるということにさせていただきます。また、
配管
の
部位
、
肉厚
検査
が必要な場所でございますが、そちらに表示札を付けると。これ、今まで実は付けておりませんでした。そういうものを付けるとか、あるいはコンピューター管理システムを改良する、そしてさらに、人的ミスの
防止
に努めると、そういう
対策
をやってまいります。 そして、
協力会社
の皆さん方との間の情報共有化を進めるということから、従来もそういうTBM、ツールボックスミーティング、
現場
での作業打合せでございます、そういうものにも参加をいたしておりましたが、さらに、
協力会社
の個別の皆さん方と所長あるいは幹部がちゃんとした対話をするという、そういうことをいたしまして、保全
業務
における細かい情報が共有できるようにしてまいります。 さらに、今回、
厳重注意
もいただきましたが、御
当局
の御指導を得ながら、
品質保証システム
などの確立に万全を期して、そして
原子力
に対する
信頼
回復
に向けて、私、役員一同、
従業員
、全社一丸となって取り組んでいく所存でございますので、どうか先生におかれましては今後ともよろしく御指導を賜るようにお願い申し上げます。 ありがとうございます。
松あきら
93
○松あきら君 御決意を伺いました。どうぞよろしくお願いいたします。 最後に、
中川
大臣
にお伺いする時間があるかないか、ぎりぎりなんですけれども、持ち時間。 今回の
事故
は、我が国の
原子力
政策に大変な御
理解
、御
協力
をいただいておりました
福井
県
美浜
町という地域で
発生
をいたしました。これは私が申し上げるまでもなく、
福井
県は、御承知のとおり、十五基の
原子力発電所
、さらには高速増殖炉「もんじゅ」、新型転換炉「ふげん」が立地をしているところでございます。 私は、今回、この
事故
によりまして地域住民の
原子力
に対する
信頼
、安心というものは大きく傷を付けられる結果となった、これは大変に遺憾であると思っております。ですから、何としても目に見える形で
対応
を是非ともしていただきたいんです。こういうふうにします、こういうふうにしますと、細かいこと分からないんです、一般の
国民
の
方々
は。 私が参りましたあの日も、海水浴客でもう車は渋滞しておりました。当日も実は車が通れなくて、反対車線を警報を鳴らしながら通った、あるいは救急車が通ったということでありますけれども、やはりこれは
緊急避難道路
あるいはヘリポート、こういうものも
確保
が是非必要ではないかと。これはもちろん
中川
大臣
だけで決められることではないということは分かっておりますけれども、是非先頭に立って
政府
を動かしていただきたい、それを申し上げさせていただきまして、質問を終わります。
松田岩夫
94
○
理事
(
松田岩夫
君) 答弁はいいですか。
松あきら
95
○松あきら君 もう時間がありませんので。
松田岩夫
96
○
理事
(
松田岩夫
君) ありがとうございます。
田英夫
97
○田英夫君 最初に、一、二確認をしておきたいことがありますが、衆議院の速記録を今回の問題についてのことを拝見をしておりましたら、今回の
事故
は、二次系だからということで言われたんだと思いますが、
産業
事故
であると、
原子力
事故
ではないと、こういう受取方をされた方の
発言
がありましたけれども、まさか
政府
はそうは思っておられないと思います。その点を確認をさせていただきたいと思います。
原子力
関係
の
事故
だと、
産業
の
関係
の
事故
だという甘いものではないと、この点を確認させていただきたいと思います。
中川昭一
98
○
国務大臣
(
中川昭一
君) 一次系、二次系というのは、あくまでも
原子力発電所
の加圧水型の中での
一つ
の仕切りでございますから、今、田先生おっしゃるように、あくまでもこれは
原子力発電所
の中の
事故
でございまして、単なる
蒸気
管が破裂した
産業
事故
ではない、あくまでも
原子力
施設内の
事故
だというふうに認識しております。
田英夫
99
○田英夫君 そこで、いろいろ勉強させていただきました。
エロージョン・コロージョン
などという言葉も初めて知ったわけでありますけれども、それにつけてもあの現象が起こる、そこが、正にそこがリストから落ちていたという、これは想像付かないことですね。
原子力
という非常に重要な、注意をしなければならないそういう仕事をしておられる中で、最も、素人ではなくて、
専門家
の皆さんが考えてリストを作るとすれば、絶対にそんなところが欠落するはずがないものが欠落をしていたと。これはゆゆしいことだと思わざるを得ないんですが、これは一体なぜでしょうかね。 そして、もう
一つ
確認しておきたいのは、先ほどちょっと出ましたけれども、
原子力
災害
対策
特別措置法があるにもかかわらず、今回はこれが発動されてないということ。一般の方は不思議に思われるのではないかと思いますが、その点もちょっと
専門家
から
説明
をしていただきたいと思います。
松田岩夫
100
○
理事
(
松田岩夫
君) 最初の質問は。
松永和夫
101
○
政府参考人
(
松永
和夫
君) お答え申し上げます。 田
委員
御指摘の一点目でございますけれども、御指摘のとおり、
事故
が起きました当該
箇所
は
PWR管理指針
で
点検
をしなければならないものということできちっと明記をされておりました。この
管理指針
に従ってどこを
点検
をするのかというリストを作るわけでございますが、今回
調査
をいたしましたら、
平成
二年作成しましたその当初から当該部分が落ちていたと。これが、
点検
をしております
三菱重工業
から
日本アーム
に
平成
八年に作業が移ったわけでございますが、その過程でもこの部分の誤りが訂正されずに残ったと。あるいはまた、泊の
発電所
でございますとか敦賀の
発電所
、ほかのところでも
点検リスト
の
漏れ
があって修正をされたと。 こういう
経緯
がございましたけれども、そうした経験が生かされることがなかったということでございまして、
中間取りまとめ
では、
関西電力
、
三菱重工業
、
日本アーム
、この当該二次
系配管
の
点検
にかかわってまいりましたこの三者における管理ミス、とりわけ、こうした
原子力発電所
施設についての
定期事業者検査
の主体になっております
関西電力
の言わば管理
責任
というものは大きい、こういうふうに認識をして、その旨書かれているところでございます。 それから、二点目の
原子力
災害
対策
防止
法でございますけれども、先ほどもお答え申し上げましたとおり、当該法律は
原子力
、原子炉の
運転
等によりまして放射性物質あるいは放射線が異常な水準で
原子力
事業所外へ放出されたと、こういう事態を想定をいたしまして法律上明記をいたしまして、そのような場合には人間の五感に感じずに周りの住民の方が被害を受ける可能性がやはりございます。したがいまして、きちっとした適切な
対応
を行うためにこのような法律ができたわけでございます。 今回の
事故
は、
原子力発電所
に起きました重大な
事故
ではございますけれども、放射性物質あるいは放射線の
漏れ
というものはございませんので、今回の法律は発動されませんでした。ただ、先ほどもお答え申し上げましたとおり、私どもの
対応
といたしましては、初動の
対応
といたしましては、この防災法で予定をされておりますそうした
対応
にのっとって最大限の
対応
をさせていただいたというところでございます。
田英夫
102
○田英夫君 今回の
事故
と直接
関係
がないというか離れてしまうんですけれども、私はやはり
原子力
発電というものについて常に重大な注意を払っていかなければいけないと。日本の場合はかなり先進国の中でも先端を行っているということは事実でありましょう。それだけに人類的な
責任
を感ずるべきではないかと思うんですが。 もう時間がありませんから、私の経験といいますか御
報告
をしたいと思うんですが、実は参議院には
調査
会という制度がありまして、
三つ
いつも置いておりますが、
産業
・
資源エネルギー
調査
会というのが十年ほど前にできまして、六年間続いておりました。私は実はその
調査
会長をしておりました。ちょうど私がやっておりました三年間、
原子力
発電をテーマにいたしました、エネルギーということで。幸いにして海外
調査
もいたしました。 これは非常に典型的なところをひとつ、イギリス、スウェーデン、ドイツ、フランスと、こう回ったわけでありますけれども、それぞれ典型的な特徴を持って、例えばスウェーデンはもう
原子力
発電というものはやめようということを
政府
が決定をして、社会民主党政権でありましたけれども、ところが代替エネルギーを
確保
することができないという、全体のこの電力量はもう決まっていますから、それに対して新エネルギーを作ることができない、まだ間に合わないと。ついに、ちょうど私どもが行きましたときに予定されていて、廃棄するはずのものが廃棄できないでいるという、そういう悩みの国です。ドイツは、正に統一を果たしたばかり、特に東ドイツの旧ソ連製の
原子力発電所
を全部閉鎖をしておりました。そういう
状況
の中、フランスは世界で一番、電力量の七〇%を
原子力
に頼っているという、そしてスーパーフェニックスという高速増殖炉を造っているという、
運転
しているという、そういうところを実は勉強してきたのでありますけれども、各国ともそれぞれの考え方、
立場
で、いずれも実は悩んでいるということを知ったわけであります。
原子力
発電というのはそういうものだと、日本はもっとそういう意味で悩んでいいんじゃないかというのはおかしいんですけれども、例えばフランスはそれだけ電力の中の七〇%を
原子力
に頼りながらも、実は中の議論は、国会も訪ねましてちょうどこの
経済産業委員会
と同じようなところでの議論に加えてもらいましたが、大激論をしているんですね。 例えば、六ケ所村と同じようなものを造るというところの社会党の
委員
、議員は、私は反対しているんだというもう明言をしておりますね。そういうものであるべきじゃないかと、
原子力
発電というのは。そのくらい注意して議論をして、
国民
の皆さんの前でいつも透明にして悩みをあからさまにしておくと。そのくらいの注意を払っていかなければいけないし、スウェーデンのようにもうやめたと、しかしやめてしまえば電力が足りなくなると。現状の技術では……
松田岩夫
103
○
理事
(
松田岩夫
君) お時間でございますが。
田英夫
104
○田英夫君 そういうところに先進国といえども来ているんだということを感じますが……
松田岩夫
105
○
理事
(
松田岩夫
君) 貴重な御
意見
、お時間でございますが。
田英夫
106
○田英夫君 一方的に
意見
だけ申し上げましたが、御参考になればと思います。 ありがとうございました。
鈴木陽悦
107
○
鈴木
陽悦
君
鈴木
陽悦
です。 今回の
事故
で犠牲になられました五人の皆さんの御
冥福
を祈りますとともに、けがをされた皆さんの一日も早い
回復
をお祈りしたいと思います。 それでは、本日最後の質問をさせていただきますが、私にとりましては初の質問でございます。何とぞよろしくお願いいたします。 さて、私はこれまで
原子力
発電は万全の安全策が取られているものと考えておりました。そして、多くの
国民
の皆さんもそのように感じていたはずです。しかし、今回の
美浜発電所
三号機の
破損
事故
は、その安全に対する概念を根幹から覆すと同時に
信頼
を失う結果となりました。今回の
破損箇所
が二十八年間の長きにわたりまして記録
漏れ
していたこと、そして関電、
三菱重工業
、
日本アーム
三者による情報の共有がなされていない点、さらに二〇〇〇年五月の定期安全レビュー
報告
で問題ないとされ
記載漏れ
がチェックされていなかった点など、様々な検証から安全に対する盲点が次々に浮かび上がってきております。 そこで、
中川
大臣
に伺います。
大臣
はこの
事故
が人災であるという
発言
をされていますけれども、
中間取りまとめ
では国の
責任
があいまいになっています。
原子力
委員会
は九月二日の論点の緊急取りまとめにおいて、
安全管理
の在り方について、国が行う規制と
事業者
が行う自主保安がどのように役割分担し、それぞれの
責任
を果たしていくかについて十分議論する必要があると指摘をしています。 私は、
国民
から今求められているのは、今回の事件を教訓に
原子力発電所
の
安全管理
について国が
責任
を持って万全の
管理体制
を確立することと、
国民
に
理解
していただけるよう
説明
をすることであると考えますが、今回の
事故
を受けまして、今後の
原子力行政
に関する
大臣
の所見を伺いたいと思います。
中川昭一
108
○
国務大臣
(
中川昭一
君) 今、
鈴木委員
御指摘のとおりでございまして、
中間取りまとめ
におきまして国としての今後やるべきこと、それもいただきましたので、今お話しのあったような国と
事業者
との役割分担といいましょうか、例えば国が出すべき
指針
についてももう少し明確化をしなければいけないというふうに我々受け止めさせていただいておりますので、早速そういう作業に入っているところでございます。 いずれにしても、最終的なこのエネルギー行政あるいはまた
原子力行政
、特に
安全行政
については私どもが最終
責任
を持っておりますので、御指摘のように、その
中間取りまとめ
あるいはまた今後もまた御議論をいただくということでございますが、
事故調査委員会
の御指摘をしっかり踏まえ、また
国民
、特に御
地元
の
皆様方
にもよく御
理解
をいただきながら、また御
要望
もしっかり受け止めさせていただきながら、安全、そして
信頼
、
理解
を前提にして
原子力
エネルギー行政を進めていきたいというふうに考えております。
鈴木陽悦
109
○
鈴木
陽悦
君 次に、去年十月の制度改正によりまして、
品質保証
及び
保守管理
の構築が
事業者
に義務付けられておりますけれども、この
安全管理
方針によって今回の
事故
を防ぐことができたのかどうか伺いたいと思います。
経済産業
省の
関係
の方。
松永和夫
110
○
政府参考人
(
松永
和夫
君) お答え申し上げます。 御指摘のとおり、昨年の十月の制度改正に合わせまして、産学官が連携をいたしまして
原子力
安全のための新しい
品質保証
ルールを
整備
をいたしました。当院はこれを保安規定に盛り込むべき具体的要求
事項
として法定をいたしました。これらによりまして、
事業者
は
品質保証
、
保守管理
体制を構築することが法的に義務付けられたわけでございます。 こうした新たな制度の下で
関西電力
が
整備
をいたしました
美浜発電所
の保安規定の中には
事業者
検査
の
実施
に関する規定が
整備
されておりまして、同規定に従って施設の
保守管理
における保全計画、
点検
計画を作成することが求められております。しかしながら、
関西電力
では、
定期事業者検査
対象
設備
の
点検
の頻度、時期、方法等について
点検リスト
を体系的に作成し、統一的に管理をすると、こういった基本的な
対応
が未
整備
でございました。今回の
事故
はこうした保安規定に沿った十分な
対応
ができないうちに
発生
をしてしまったというふうに考えられます。 今後、
原子力
安全・
保安院
といたしましては、各
発電所
ごとに
整備
をされます保安規定の下に
社内規定
を
整備
いたしまして、
点検リスト
の作成、管理が適切に行われるよう厳格に監視をし、指導してまいりたいと考えております。また、こうした
対応
につきましては
原子力
安全
委員会
に
報告
することになっております。
原子力
安全
委員会
からの御指摘も十分に踏まえまして規制を行っていく考えでございまして、今後ともこうしたダブルチェック体制によりまして
原子力
安全の
確保
を図ってまいりたいと考えております。
鈴木陽悦
111
○
鈴木
陽悦
君 次に、
関西電力
への質問です。
三つ
ございます。
一つ
目は、プラントメーカーであります
三菱重工業
と関電の間で、
管理指針
の
記載漏れ
に気付いた際に、
事業者
の関電に連絡する取決めがなかったのかどうか。
二つ
目は、関電が
三菱重工業
から
記載漏れ
があったことの
報告
を受けたのはいつの時点か。
三つ
目です。
安全管理
上、プラントメーカー、
事業者
、定期
点検
担当者が情報を共有するのは当然であると考えますが、情報の共有について
事業者
の考え方を伺いたいと思います。
藤洋作
112
○
参考人
(
藤洋作
君) 先生、お答えいたします。 最初の御質問でございます。プラントメーカーさんの
三菱重工
さんとの契約の中で、
漏れ
たことに気付いたときにそれを連絡するように取決めがあったかということでございますが、これは、私ども
平成
二年の
管理指針
策定に向けて
三菱重工
さんと
調査
委託契約をいたしました。それから、
平成
二年から七年までの間にその二次系の
配管
経年変化の
調査
の工事を計画、契約いたしました。また、先ほど申しました
平成
八年に
管理指針
に沿った
点検箇所
を含む全データを譲り受ける契約ということをいたしましたが、この
三つ
の契約いずれにおいても、
点検箇所
漏れ
に気付いた場合、当社に連絡するという、そういう取決めはございませんでした。これは私どもちょっと、先ほど申しましたように、委託先との間の契約に甘かったところがあるかも分かりません。今後、そういうことをきちっとやっていきたいと思っております。 それから、二番目の
記載漏れ
があったということを
三菱重工
さんから
報告
を受けたかということでございますけれども、これは、実は今回の
美浜
の
事故
が
発生
した後でいろいろと
調査
したわけでございまして、重工さんからの特段の
報告
はいただいておりません。 それから、
三つ
目でございます。これは本当に大事なことで、情報を共有できるという、そういうことは本当に大事なことだというふうに思います。 それで、先生御指摘の情報の共有につきまして、私どもと、
協力会社
でございますね、実際に仕事をした
協力会社
の間の意思疎通を確実なものにするために是非双方向の情報の受渡しのチャンスというのをきちっと作ってやらねばならないということで、現在既にそのようにやっております。 それから、もう
一つ
大事なことは、情報の共有という意味では、ほかの電力会社さんとの間の情報共有ということがあろうかと思います。これにつきましても、電気事業連合会が中心となりましてそういう他の電力会社との間の情報の共有という、水平展開と私ども申しますけれども、その水平展開ができるような仕組みの構築をこれからしていく考えでございますし、既にそういう仕組みができております。 以上でございます。
鈴木陽悦
113
○
鈴木
陽悦
君 今回の
事故
におきまして、
美浜発電所
の避難道路の現状について、先ほど松議員の方からもお話が出ました。安全
対策
十分でないことが指摘されております。私も
現地
視察の一員としてその実態を知ってまいりました。
地元
自治体
の
要望
もございまして、国として早急に
緊急避難道路
の
確保
について取り組む必要があると思います。 私の持ち時間なくなりましたので、今日は国土交通省
関係
の方もお見えでございますが、私の
意見
としてお聞きとどめいただきたいと思います。 このたびの
事故
ですが、今後、
原子力
政策を展開する上で多くの警鐘を打ち鳴らしていると言えると思います。何よりの警鐘は、
配管
などの老朽化ではなく、安全を管理する人間の意識の、人間の意識の老朽化ではないかと思われます。真の水平展開に向けまして、国を含めた
関係
機関の新たな意識改革を切に願いまして、私の質問を終わらせていただきます。 ありがとうございました。
松田岩夫
114
○
理事
(
松田岩夫
君) 本件に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。 午後零時三十五分散会