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2004-08-05 第160回国会 参議院 イラク人道復興支援活動等及び武力攻撃事態等への対処に関する特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年八月五日(木曜日)    午前十時十五分開会     ─────────────    委員異動  八月四日     辞任         補欠選任      田浦  直君     小泉 昭男君      中原  爽君     山本 順三君      山崎  力君     岡田 直樹君  八月五日     辞任         補欠選任      岸  信夫君     二之湯 智君      三浦 一水君     末松 信介君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         太田 豊秋君     理 事                 田村 公平君                 常田 享詳君                 舛添 要一君                 山内 俊夫君                 平野 達男君                 柳田  稔君                 若林 秀樹君                 高野 博師君     委 員                 有村 治子君                 大野つや子君                 岡田 直樹君                 岸  信夫君                 小泉 昭男君                 小泉 顕雄君                 後藤 博子君                 末松 信介君                 二之湯 智君                 西銘順志郎君                 野上浩太郎君                 福島啓史郎君                 藤野 公孝君                 松村 龍二君                 三浦 一水君                 山本 順三君                 浅尾慶一郎君                 犬塚 直史君                 岩本  司君                 尾立 源幸君                 大江 康弘君                 大塚 耕平君                 齋藤  勁君                 主濱  了君                 榛葉賀津也君                 富岡由紀夫君                 広野ただし君                 福山 哲郎君                 荒木 清寛君                 谷合 正明君                 遠山 清彦君                 緒方 靖夫君                 大田 昌秀君    国務大臣        外務大臣     川口 順子君        国務大臣        (防衛庁長官)  石破  茂君    副大臣        外務大臣    阿部 正俊君    大臣政務官        防衛庁長官政務        官        中島 啓雄君        外務大臣政務官  荒井 正吾君    政府特別補佐人        内閣法制局長官  秋山  收君    事務局側        常任委員会専門        員        鴫谷  潤君        常任委員会専門        員        泊  秀行君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       増田 好平君        警察庁警備局長  瀬川 勝久君        防衛庁運用局長  大古 和雄君        外務大臣官房国        際社会協力部長  石川  薫君        外務省総合外交        政策局長     西田 恒夫君        外務省北米局長  海老原 紳君        外務省中東アフ        リカ局長     吉川 元偉君        外務省国際法局        長        林  景一君        外務省領事局長  鹿取 克章君        環境省地球環境        局長       小島 敏郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保  支援活動等並びに武力攻撃事態等への対処に関  する調査  (イラクにおける自衛隊部隊活動状況及び  治安情勢等に関する件) ○イラク国籍軍からの自衛隊の撤退に関する請  願(第二号外八件) ○継続調査要求に関する件 ○委員派遣に関する件     ─────────────
  2. 太田豊秋

    委員長太田豊秋君) ただいまからイラク人道復興支援活動等及び武力攻撃事態等への対処に関する特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨四日、田浦直君、中原爽君及び山崎力君が委員辞任され、その補欠として小泉昭男君、山本順三君及び岡田直樹君が選任されました。     ─────────────
  3. 太田豊秋

    委員長太田豊秋君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動等並びに武力攻撃事態等への対処に関する調査のため、必要に応じ政府参考人出席を求めることとし、その手続につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 太田豊秋

    委員長太田豊秋君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  5. 太田豊秋

    委員長太田豊秋君) イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動等並びに武力攻撃事態等への対処に関する調査のうち、イラクにおける自衛隊部隊活動状況及び治安情勢等に関する件を議題といたします。  まず、政府から順次報告を聴取いたします。大古防衛庁運用局長
  6. 大古和雄

    政府参考人大古和雄君) イラク人道復興支援特措法に基づく自衛隊部隊の最近の活動状況について御報告いたします。  まず、サマーワ陸自部隊においては、七月九日には最高気温が五十度を記録するなど、連日五十度近い猛暑が続く過酷な状況が続いておりますが、安全確保に十分配意しつつ、宿営地における給水活動を始め、ムサンナー県内ルメイササマーワ、ヒドゥル、スウェイル、ブヤイサ、ヒラールにおける学校補修、ナジミ、ルメイササマーワスウェイルにおける道路整備、病院における医療活動を引き続き実施しています。  給水活動に関しましては、現在一日当たり約二百トンから約二百二十トン程度を給水しております。これは、仮に一人一日当たりに必要な水を四・五リットルとした場合に、約四・四万人から約四・八万人の所要量を満たす計算になります。  なお、三月二十六日から八月四日までの間に、計約一万五千トン給水してきたところであります。  六月八日に工事を開始したマジッドの学校補修については、このたび工事を完了し、七月二十二日に現地竣工式実施したところです。  七月二十四日には、サマーワ東部に所在する貴重な文化財であるウルク遺跡外柵補修を開始しました。  なお、現地部隊においては、これらの活動により、一日当たり約五百名から六百名の雇用を創出しているところです。  このほか、七月二十四日には、宿営地において、サマーワ救急センター要員に対し医療指導実施しました。  また、現在、現地活動する第二次復興支援群は、八月から九月にかけて、七月二十八日に派遣命令が発出された第三次復興支援群部隊交代を行い、業務引継ぎ実施後、帰国する予定です。また、業務支援隊については、七月上旬から八月上旬にかけて、一次要員から二次要員に逐次引継ぎを行い、一次要員については八月上旬までに帰国します。  六月二十一日以降のサマーワ周辺情勢については、次のとおりです。  オランダ国防省発表によれば、六月二十二日午後、タリル空軍基地付近道路オランダ軍車両が通過しているそばで自動車爆弾爆発したが、オランダ軍兵士にけがはなかったとのことです。  六月三十日午前、現地部隊においては、ムサンナー県警本部付近において自動車爆弾が使用され、負傷者が出たことを確認しています。  七月五日午前にサマーワ市街地北部国道において何らかの爆発があったこと、六日午後にサマーワ中心部警察施設発砲事案が発生したことを確認しています。  その後、本日まで、サマーワ周辺においては特筆すべき事案は発生しておりません。  いずれの事案においても現地部隊異状がないことを確認しておりますが、現地部隊においては、様々な情勢を踏まえ、その活動も慎重に行っているところであり、引き続き安全確保に細心の注意を払いつつ、活動実施してまいります。  航空自衛隊部隊については、六月二十一日から八月四日までの間、我が国からの人道復興関連物資陸自関連及び関係各国関係機関等物資、人員の輸送を計十二回実施したところです。  引き続き、イラク国内の各飛行場の安全性輸送ニーズ等を慎重に勘案しつつ、C130機による輸送を行ってまいります。  なお、八月四日、現地部隊のために民間輸送会社サマーワ宿営地へコンテナを輸送した後のクウェートへの帰路、サマーワの東南東約八十キロメートルの国道一号線上において、車列中の民間警備会社車両一両が路外にハンドルを取られて横転し、車両が大破、乗員二名が負傷するという事故が発生したところですが、現地部隊には異状がないことを確認しています。  以上です。
  7. 太田豊秋

  8. 吉川元偉

    政府参考人吉川元偉君) イラク治安情勢について御報告申し上げます。  イラク政治プロセスに関する最近の大きな動きといたしましては、六月二十八日、連合暫定施政当局、CPAからイラク暫定政府に対し統治権限が移譲されました。我が国は、六月二十八日付けをもちまして同暫定政府を承認することを閣議にて了解しました。  国民会議につきましては、七月中の開催予定されておりましたが、同会議準備委員会側より二週間程度延期する旨の発表があったと承知しております。  同会議出席者一千名規模で開催され、百名程度暫定国民評議会委員を任命することになる見通しです。同評議会は定期的に開催され、大統領評議会及び閣僚評議会に助言を行い、また、二〇〇五年の予算承認権限を有しております。  我が国としましては、ヤーウェル暫定大統領アッラーウィー暫定政府首相の下で、イラク人自身による国家再建への努力が行われるとともに、政治プロセスが着実に進展していくことを期待しております。  イラク暫定政府外交活動を活発化させております。アッラーウィー暫定政府首相は、七月十九日から就任後初めて中東諸国歴訪を開始し、これまでにヨルダンエジプトシリア、レバノン、サウジアラビアアラブ首長国連邦クウェート、バーレーンの八か国を訪問しました。二十一日カイロに、イラクのほかシリア、トルコ、イランヨルダンクウェートサウジアラビアエジプト外務大臣が集まり、イラク周辺国会議開催されました。また、二十九日にはアッラーウィー首相サウジアラビアパウエル米国国務長官と、三十日にはヤーウェル大統領バグダッドを訪問した同長官とそれぞれ会談いたしました。  国連動きにつきましては、先月、国連事務総長イラク特別代表にパキスタンのカジ駐米大使が任命されました。同代表は今月中にバグダッドを訪問する予定と承知しております。  我が国としましては、今後、国連イラク政治プロセスにおいて主導的な役割を果たすことを期待しております。  イラク治安情勢全般につきましては、統治権限移譲後も、脅威の度合いは地域により異なるものの、特にイラク暫定政府関係者を対象にした自動車爆弾等によるテロ国内各地で発生する等、予断を許さない状況が続いております。  七月二十八日には、中部バクーバ警察署近くで自動車爆弾爆発し、また八月一日夕方には、バグダッド中心部キリスト教教会をねらったと見られる爆発が相次ぎ、さらに同日夜には、モースル中心部キリスト教教会前でも自動車爆弾爆発したと報じられています。さらに、最近では各国民間人を殺害ないし拘束する事件も多発しております。なお、モースルでは、昨四日も武装勢力イラク警察の間の衝突により死傷者が発生したと報じられております。  他方、イラク暫定政府は、治安回復のため、現在約二十二万人強のイラク人治安要員強化、増員、国家治安維持令制定等、様々な措置を講じており、我が国としましては、これらの措置早期効果を表すことを期待しております。  ファルージャにつきましては、七月二十三日、駐留米軍はザルカーウィーに関連、関係するテロリストの隠れ家を標的とした空爆を行った旨発表しました。また、七月二十九日夜から三十日にかけ、さらに三十一日深夜から八月一日未明にかけて、駐留米軍武装勢力間で激しい戦闘が発生したと報じられています。ファルージャ情勢については今後とも注視してまいります。  南東部は比較的安定した状況にありますが、四月以降、サドル師支持勢力連合軍の間の緊張関係が継続しています。七月十七日、サドル師国民会議への参加を拒否する一方、来年一月末までに実施予定されております選挙には参加する旨表明しました。今後も状況を注視していく必要があります。  サマーワ治安情勢に関しましては、イラクの他の地域と比べ比較的安定している状況に変化はありませんが、今後もテロ等可能性を否定することはできません。これまでにサマーワで生じている一連の事案も踏まえつつ、現地情勢については予断することなく、引き続き十分に注意を払っていく必要があります。  以上で報告を終わります。
  9. 太田豊秋

    委員長太田豊秋君) 以上で報告の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 舛添要一

    舛添要一君 おはようございます。  ただいま政府からの御報告を受けましたが、それに関連しまして、幾つかの点、明らかにしたいと思います。  まず、イラク政治プロセスでございますけれども、今の御報告にもありましたように、私は、これからイラクに安定した民主主義体制を作るため、少なくとも三つの点、しっかりやらないといけないというふうに思っています。  一つ治安確保。今の御報告にあったように、もう連日のようにテロ攻撃が行われている。これをどうするのか。二番目、やっぱりこれはイラク人によるイラク人のためのイラク人政府を作らないといけないんで、イラク人自身のイニシアチブをどう発揮させるか。そして三番目、今、外務省報告でも国連関与ということを明言されましたけれども、じゃ、現実にどういうふうにして関与するのか。そして、国連のみならず、国際社会全体でこれを支援していかないといけない。  そういう三つの点をしっかりした上で、しからば我が国はどういうふうに貢献していくのかと。これが具体的に今の報告ではきちんと出ておりませんので、ただしていきたいと思います。  まず、治安の問題ですけれども、今の御報告では、外務省報告では二枚目の一に、我が国としては治安のために取られる措置早期効果を表すことを期待しておりますということですけれども、期待するだけではしようがないんで、じゃ、日本は何やるんですか。自衛隊治安のために使うことできない。例えばパトカーか何かを送ったと思いますけれども、やはり治安維持ということが非常に重要なんで、具体的に我が国はどう貢献するのか、これをまずお答え願いたいと思います。
  11. 吉川元偉

    政府参考人吉川元偉君) お答え申し上げます。  先ほどの報告にございましたように、六月二十八日にイラク暫定政府ができた後、先生御指摘のような形、すなわち、イラク人によるイラク自分たち治安を守るというそういう方向で努力が行われております。  具体的な点を幾つか申し上げますと、二十二万人現在おります治安要員警察要員強化する。もちろんこれは自分たち独りでなかなかできないので、諸外国の協力を仰いでいるところです。日本につきましては、先般以来、この場でも御紹介しておりますような一千百五十台の警察車両イラクの内務省に提供する。それから、これに追加して、更に二十台の防弾車両の供与ということも決定しております。さらに、警察官の育成の分野、ここにつきましても、どういう支援が可能か、これはドイツ、それから近隣の諸国との間での具体的な協力方法協議中です。  そもそも論をすれば、イラク治安回復のためにもイラク復興が進むということが非常に重要であって、日本が率先してやっておりますイラク復興支援というのは、このイラク治安回復のためにも非常に重要な措置ではないかと考えております。
  12. 舛添要一

    舛添要一君 主たる治安の責任は英米軍にあるわけですから、政府としても、もうちょっとしっかり治安を守ること、それは部隊の増強をやってもいいんですけれども、是非そういう点については英米に対して厳しく注文付けると。我が自衛隊にそういう任務がないわけですから、それをお願いしておきたいと思います。  それから、イラク人による政府の構築という点についてお伺いしますけれども、国民会議、七月二十日開催予定延期されたままになっている。そうすると、一月の選挙だって難しいんじゃないかというふうに思いますが、外務省としてはこの今後の政治プロセス、どういうふうに見ているのか、楽観的なのか悲観的なのか。しかし、これはいつまでも待てる話ではないんで、我が国が積極的に関与することによって是非この政治プロセスが遅滞なく前に進むようにしていただきたいと思いますが、外務大臣、これどういうふうにお考えでしょうか。
  13. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 政治プロセスですけれども、これについては、まあまあ今までのところは、国民会議開催に至るまでのところは順調に進んできたということでございます。六月二十八日に移譲して以降、今までは順調であったと思います。  それで、国民会議が八月の、二週間ほど延期をするという発表があったわけでございまして、これにつきまして、今、開催ができるように関係者の方、イラク政府中心として関係者の方が鋭意努力をしているということであって、これは今後の進展を見ていく上で一つの大きな要素であると思いますけれども、これが我が国としてはきちんと行われるということを期待をしているわけです。既に、ここに参加をする人、これについては選ばれて、皆さん準備ができているということであると聞いております。  それから、冒頭で舛添委員がおっしゃった三つの点が大事であるということでいいますと、国連関与をきちんとしたものにしていく、国連関与が重要であるということをすべての国は口では言っているわけですけれども、実際にそれを各国貢献をしていくという形にすることが重要であるというふうに考えております。  それで、我が国としてそのために何をしているかということですけれども、幾つかのことをやっておりまして、例えば政治プロセスということで重要になるのは選挙支援ということでありますけれども、その選挙支援については、これは選挙支援のための、選挙のための費用の見積りが国連から出てくるということになっておりますので、それを見ました上で、日本は今まで伝統的にいろいろな国の選挙支援をしてきておりますので、日本としてそれを検討して、どのような支援ができるかということを検討をする考えでおります。  それから、選挙、より一般的に政治プロセス全般ということでいきますと、この復興努力に、今までこれが、国連決議があるわけですからフランスロシアドイツ中国もほかの国もみんな加わっていくということが大事でして、そのための働き掛けを行っているということです。私は、先般、フランスドイツと、失礼をしました、フランスロシアですね、G8の外相会談の折に外相会談を行いまして、それぞれの国が実際に貢献をしていくということが重要だという働き掛けを行っております。それから、中村イラク復興支援担当大使、この大使復興信託基金議長もやっていますけれども、彼が中国、韓国、サウジアラビアイラン、彼をここに派遣をして働き掛けを行うということもやっております。  そういったことを通じて、単に口だけではなくて、実際に多くの国がこのプロセス参加をしていくようにして、今後とも働き掛けを続けたいというふうに考えております。  あと、今年の秋に東京でこのイラク復興信託基金ドナー委員会の会合を日本議長をやっておりますので開きたいと考えておりまして、国際協調強化イラク復興にそういった形も取りながら引き続き日本として貢献をしていきたいというふうに考えております。
  14. 舛添要一

    舛添要一君 局長が補足があるんだと思いますけれども、その前に、今外務大臣がおっしゃったことに更に加えまして、国民会議開催見通しなんかについて、これはサドル師が先ほどの報告にあったように参加拒否するというようなこともあるんで、どういう条件整えばこれ動き出すことができるのか。それからまた、今国連に対していろんな働き掛けを行っているということをおっしゃいましたけれども、これは実を結ばないといけないんで、この点については今後とも引き続きやっていただきたいということを申し上げて、局長の説明をお伺いしたいと思いますが。
  15. 吉川元偉

    政府参考人吉川元偉君) 先生から先ほど、イラク国民会議延期されたままだけれども、この開催見通しいかんという御質問がございましたので、この点について御報告申し上げたいと思いますが、国連安全保障理事会決議一五四六の規定によれば、国民会議を七月中に開催しようと。先般、この国民会議準備委員会から開催を二週間程度延期するという発表がございました。これを政治プロセスが遅れているというふうに見るのか、これはそれほど気にすることがないんだと見るのか、ここがポイントではないかと思いますが、延期の理由につきましては、国連側会議開催準備のためにもう少し時間が必要だということを暫定政府側に勧めたからだという、そういう報道が伝えられております。詳細は必ずしも明らかではございません。  しかし、先ほど言及いたしました国連安保理決議一五四六の中で、国民会議の性格につきまして、イラク社会多様性を反映したものにするべきだという規定がございます。先生御承知のように、イラクというのはモザイクのように民族、宗教、いろいろ交ざっておりますから、特に今御指摘あったように現体制に対する反対勢力もございます。多分、国連準備と言っているのは、そういう反対意見人たちもできるだけその国民会議約一千人のメンバーの中に入れることがイラク社会多様性を反映した国民会議につながるんではないかということで、現在水面下でいろいろとその人選について協議が行われているというふうに承知しております。  今後、ヤーウェル大統領それからアッラーウィー首相の下で、イラク人による国家再建への努力が行われて、国民会議開催を含めた政治プロセス国連安保理決議一五四六で示された憲法制定に至るプロセスが着実に進展していくということを期待しております。
  16. 舛添要一

    舛添要一君 この政治プロセスについていろんな批判があります。例えば今の暫定評議会、これは亡命していた人たち中心になってやっているんでイラク国民の総意を反映していないとか、いろんな意見ありますけれども、結論的に言うと失敗しては絶対駄目なんで、批判は簡単です。じゃ、あなたは別にどんな対案を持っていますかと、これが出てこないんですね。批判は幾らでもできる。だけれども、現実の政治ですから必ず成功させる、そういう思いで我が国政府もやっていただきたいと思いますけれども。  国連及び国際社会とのかかわりについてもう少し聞きますが、事務総長の特別代表、なかなか決まらなくて、国連や赤十字まで爆破するというのは極めて憎むべきテロリストの行為がありますから、やっとパキスタンの駐米大使に、アシュラフ・カジさんなりましたけれども、まだこれバグダッドに着任していないと思いますので、これの着任、どういうスケジュールなのか。  それと、なぜ国連事務総長がこれパキスタンにこだわったかと。やっぱりイスラム国なんですね。それで、先ほど外務大臣ドイツフランスロシアなどについて言及なさいましたけれども、イスラム諸国の軍隊を送るというような案も出てきている。だから、上手にイスラム国を使う必要があるんですけれども、イスラム圏から見るとなかなかこれはやっぱり入っていきにくいということがあるんで、まあアシュラフ・カジさん絡みでイスラム圏の動き関与の仕方、こういうことについて御説明願えればと思います。
  17. 吉川元偉

    政府参考人吉川元偉君) 国連のこれからの動きについてのお尋ねでございますが、先ほど言及いたしました安保理決議一五四六、これがこれからのイラク政治プロセス中心的なドキュメントでございますが、そこで国連の役割ということが基本的に三つうたわれております。一つは、国民会議開催支援するということ。これは千人の人選に助言を与えるということだと思います。二番目は、将来の選挙に関して、イラクの独立選挙委員会であるとか、イラク暫定政府国民会議に対して助言と支援を与える。三番目は、憲法の草案について、憲法起草について国民対話及び合意の形成の促進を促していこう。この三つについて主導的な役割を果たし、更に復興開発、人道支援の調整を行うと。これが国連に与えられた任務というふうにこの安保理決議で決まっております。  したがって、国連に求められておりますのは、こういう仕事のできる人を代表としてバグダッドに早く送るということであります。  イラクの担当国連事務総長特別代表は、去年の八月にセルジオ・デメロさんが二十数名の同僚とともにバグダッドで爆破され、殺され、国連始まって以来の大惨事であったわけですが、その後、このデメロさんの後任をめぐる動きは、これまた先生さっき御紹介いただいたように、いろいろな方の名前が出て、最終的にはアシュラフ・カジという駐米パキスタン大使、この方は東京に三年間外交官として在勤された経験もある方ですが、このアシュラフ・カジさんが七月に任命され、選挙支援を、さっき申し上げたような政治のプロセスを助けるためにバグダッドに行こうという計画だと聞いております。  ただし、国連事務総長にとりましても、バグダッド入りというのは、あれだけたくさんの国連職員が殺されておりますので、その安全面についてきちっとした対応ができるということを見定めて初めてできるものと考えておりますので、我々の聞いておりますところでは今月中にもバグダッド入りするというふうに聞いております。  また、今後、国連イラク政治プロセスにおいて主導的な役割を果たすためにも、カジ代表が早く現地に入って暫定政府と密接な連携を図っていくことを期待しており、その旨は既に国連原口大使がニューヨークで、またワシントンの加藤大使がカジ代表にワシントンでそれぞれ会って日本政府のメッセージを直接伝えております。
  18. 川口順子

    国務大臣川口順子君) イスラムの国の問題についてお話ありましたのでちょっと具体的に幾つかの例を申し上げたいと思いますけれども、全部の情報を把握しているわけではありませんけれども、マレーシアが七月の二十一日に、マレーシアのアブドラ首相ですけれども、軍の医療チームをイラク派遣をする方向で検討開始をしたということを発表をいたしております。それから、七月二十八日の時点で、これは一〇〇%イスラムとは言い切れませんが、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ここが、ここの大統領評議会が地雷処理部隊派遣を決定をしております。それぞれ、いつ、どれぐらいの規模で行くかということについては検討中ということでございます。  私が過去二、三か月の間にイスラム圏の外務大臣と話をした段階で、幾つかの国から日本イラク支援のための第三協力をしたいという話はあります。ヨルダンエジプト、これは既にやっているわけですけれども、これ以外の国でも日本と一緒にやれないかということで検討をしているということでありますので、今後更にそういったことが増えてくるかもしれないということです。  イスラム圏ではありませんけれども、NATOがイラク治安部隊に対する訓練実施を既に決定をしているということもございます。その計画策定のためのミッションを八月中にイラク派遣をするということを言っています。アルメニアが人道目的のミッション派遣も検討をしているということで、国連の枠内で幾つかの国が実際に新たな行動を起こしつつあるということが今我々として把握をしているということです。
  19. 舛添要一

    舛添要一君 先般、柔道の、イラクの柔道選手来られて、オリンピック出るということでいろいろ我々も激励をするということなんですが、まずこのオリンピックに参加するイラクの選手のために何か我々が、日本政府が援助、支援していればそれについてお述べいただきたいとともに、イラク人たちは非常に親日的で、柔道選手のみならず、日本の国歌が、聞いているときにブーイングする中国国民のような甚だ失礼な態度は取りません。  私は、やっぱり抗議すべきは抗議すべきで、ああいう態度で果たして北京オリンピックを、参加する資格はあるんだろうかと。中国も少し成熟してもらわないといけない。何もかも中国に対しては戦争中のことがあるからということで、いろんな意味で少し何というか、ちゅうちょする面があったと思いますけれども、友好関係を築くためにお互いに悪いところはちゃんと是正してもらうように言うのが、これは政府の役割だと思いますので、二点、一つイラクのオリンピック選手にどういう支援をするか、それからもう一つは、今問題になっていますサッカーの試合における中国のサポーターの態度に対して政府がどういう対応を取っているのか、これをお伺いします。
  20. 吉川元偉

    政府参考人吉川元偉君) お尋ねの、先生お尋ねの一点目のオリンピック関係の部分、お答え申し上げますが、国の再建に当たって大事なことは、電力であるとか食料であるとか、そのインフラ整備、これも大事ですが、やっぱりそれと並んで気持ち、心、プライド、国の誇り、そういうところにどういうふうにして対応するかというのは非常に大事だと思います。それは日本の戦後復興の過程でも非常に明らかだったと思っておりますが、そういう観点から、外務省政府としてはいろいろな形で、スポーツを通じて、イラク国民に自由が戻ってきた、誇りをどうやって取り戻すことができるのかという、そういう観点からのいろいろな支援をしてまいりました。  その中には今年の夏のオリンピックを念頭に置いたものも入っております。今年の四月にはイラクのオリンピック委員会の会長さんに東京に来ていただいて、日本では官邸も含めて多くの方に会っていただき、その後、先生今御紹介いただいたような柔道の関係では、二月にはイラクの柔道連盟の会長に来ていただいて、その後いろいろ山下選手ほかが努力されて、イラクから今度初めて多分一人オリンピックに行くということで、この前講道館に来られました。同じような格好で、例えばこれも御記憶かも分かりませんが、サッカーの親善試合、今年の二月にイラク代表チームの訪日費用を支援いたしました。これは多くの日本国民、それからイラク人たちに、また湾岸諸国人たちに見ていただいたんではないかと思います。  これからも、このスポーツ分野を中心にしてのイラクへの支援というのは、日本の対イラク支援の重要な柱としてとらえております。
  21. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 二番目の中国のサッカーの試合の件ですけれども、本来、スポーツマンシップが発揮され、観客もそれを身に付けて観戦をすべきスポーツの試合の場で、例えば国歌に対して、あるいは日本人選手のプレーに対してブーイングがあるというような行動を中国人の観衆が取ったということについては、私は大変に残念なことだと思っております。いろいろなことが起こりました、何回かありましたけれども、そのたびごとに政府としては中国に対しましてそういうことがないようにということを、遺憾の意を申し入れてきております。  昨日の段階では、私は、今来日中の中国の共産党の中央書記処の書記で何勇さんという方が来ていらっしゃいますけれども、何勇さんと昨晩会食をいたしました折にこのお話をさせていただきました。また、次官から、昨日、武大偉大使に対しても邦人の安全確保、それから日本国歌を斉唱する際にブーイングのような行為が行われるということがないようにということを申し入れております。  中国側の反応としては、この問題を非常に重く受け止めておりまして、取組を既に行っております。準決勝、バーレーン戦のときですけれども、このときは重慶から済南に場所が移されたわけですが、このときには中国側の事前の国際スポーツ試合を見るときの態度がこうあるべきだという教育があり、また日本のサポーターを保護するための手だてが取られ、問題が非常に減ったということであります。  何勇書記も、昨日お話をいたしましたときには、中国の指導層としてこの問題については非常に重く受け止めていると、それで、日中の友好関係がますます強化されることが非常に重要で、中国にとってはこれを友好、その友好関係を強化するしかない、そういう中でこのようなことが起きたのは非常に残念であって、これが日中友好関係に悪い影響を与えることにならないように強く望んでいるというお話がございました。取組が引き続き中国において行われるというふうに考えております。特に、土曜日は決勝戦がある日ですので、そういうことがないように中国としてきちんと対応をするということを我々としては望み、それを伝えているわけです。
  22. 舛添要一

    舛添要一君 今おっしゃいましたように、土曜日の、これは相手中国で、しかも北京ですから、これできちんと中国がやれるかどうか、これが世界じゅうが注視していると思いますので、引き続き日本政府としても万が一にも不祥事がないようにお伝えいただきたいと思います。そして、済南において重慶に比べれば相対的に少しは良くなったかもしれませんが、私の認識では基本的なことは変わっていないというふうに思います。つまり、まだまだ中国努力してもらわなきゃならないと思います。  さて、続きまして、本題に戻りましてサマワの自衛隊に関する活動について、防衛庁長官、お待たせしました、御質問申し上げたいと思います。  七月二十六日の日経新聞に、ムサンナ州の評議会議長が共同通信とのインタビューに応じて、陸上自衛隊支援について、「われわれの期待をはるかに下回っている。高度な技術を持つ国にふさわしい活動ではない」と述べ、失意と不満を示した。同議長は、「日本がすべき支援は、電気や水の供給、工場建設といったインフラ整備事業で、学校や建物の修復などといった単純な事業ならきっぱりと断りたい」、さらに、「復興に関してわれわれは多くの提案をし、陸自はそれを採用すると約束したが、何の進展もない」と批判したという記事がございます。  一方、七月一日付けの朝日新聞によりますと、これは地元の、ムサンナ州の地元の新聞社と朝日新聞の共同調査ですけれども、例えば、「あなたは日本自衛隊が駐留することに賛成しますか。」、「大いに賛成する」六四%、「おおむね賛成する」二一%、二つ合わせて八五%にもなっているという、若干トーンの違う二つの今調査を御紹介申し上げましたけれども、細かい自衛隊活動については後ほど石破長官にお伺いするとして、まずこの二つ、私が今紹介申し上げました世論調査について外務大臣、どういう感想を抱かれましたか、まず外務大臣から。
  23. 川口順子

    国務大臣川口順子君) まず、八五%という世論調査の結果、自衛隊がいてほしい、それから自衛隊がいることについて賛成である、住民の利益になると答えたのは八四%ということでありまして、これは自衛隊現地現地の住民の方々に大変好意的に受け入れられているということにほかならない、そういう数字であるというふうに受け止めています。  私が仄聞いたしましたところでは、自衛隊の今までいらした方もこいのぼりを持っていったり、いろいろな努力を積み重ねて住民との友好関係を築くことに努力をしてきましたので、そういった効果が実を結んだというふうに思っております。  それから、ムサンナー県の県議会の議長ですけれども、報道されたような発言があったということであったので、外務省サマーワ事務所長が県議会の議長と話をいたしまして、この話について聞きました。そのときに分かりましたことは、日本のプロジェクトの実施、要するに大きなプロジェクトですね、大型プロジェクトの実施、あるいは民間企業が出てきてほしいというような、ムサンナー県に対する更なる支援、これの期待が非常に大きいということを背景に、背景であったということで、不満であるというような趣旨の御発言ではなかったというようなことですが、期待が非常に大きいということはまあ事実であろうというふうに思います。  なかなか今の事情で民間企業が出て行くということもできない状況でありますので、自衛隊とそしてODAと、車輪の両輪ということを言っていますけれども、それを引き続き動かして、イラクの人々の復興に寄与をしていくということであると思っています。
  24. 舛添要一

    舛添要一君 次に、石破防衛庁長官、先ほど私が紹介しましたムサンナ州のアハメド・マルゾク州評議会議長にあなたはどういうふうに反論しますか。
  25. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 今外務大臣からお答えがあったとおりでありますが、私のところにも総理のところにも外務大臣のところにもいらっしゃったと思いますが、サマワ市の宗教指導者あるいは病院長、学校の先生、そういう方々来られました。で、今の議長さんのお話とは全く違うことをおっしゃっておられるわけですね。本当に自衛隊はよくやってくれている、できればもっと来てほしいというような話でありました。  イメージをしてみて、私どもの部隊が行っております数というのは委員御案内のとおりです。サマワ市というのは、これ人口十五万ぐらいのところでございますから、そこにおいて我々の持っていっている数というもので本当に何でもかんでもできるかといえば、それは無理です、それは。私どもとしては、本当に日本の平和と安全を守るということにおいて、支障のない範囲において、つまりこの国際活動というものは自衛隊法の中では付随的任務で位置付けられておるわけでありますから、その中で本当に出せる限りの人数を出しております。そして、我々は手品師でもなければ、魔法遣いでもなければ、ゼネコンでもないわけでありまして、やるべきことをきちんとやっていく。  冒頭、運用局長から御説明申し上げましたように、安全な水をコンスタントにきちんと供給する、温度が五十度近い中にあって安全な水が飲めるということがどれほど大事なことかということであります。そして、病院のケアを行い、そしてまた学校を直し、一つ一つ、派手ではないかもしれない、大向こうをうならせることではないかもしれない、しかしながら、なお危険が残存する地域において与えられたことを一つ一つ確実にやっていくということだと私は思っています。  それからもう一つは、先ほど外務大臣からも答弁がございましたが、やはり期待値と実現値に乖離があるのだと思っています。そこにおいて大事なことは、実現値を上げる努力もこれからしていかねばなりません。しかし、余りに過大な期待というものを、下げていくというといけませんが、それが過大であった場合には、それはこういうものなのですという現実を知らしむるということも大事なことなんだと思っています。  まるで自衛隊が来ればあっという間に夢の町になるというようなことをお思いの方もいらっしゃったのかもしれませんけれども、私どもとしてできること、これからやるべきこと、いつ何をやるのかということをきちんと示すことによって、過大な期待値というものがあるとするならば、それを低減していく努力というものも私どもはしていかねばならないことだと考えております。
  26. 舛添要一

    舛添要一君 阿部副大臣とともに私も、その五十度のバスラ、イギリス軍訪れたときは五十度こんなものかというのを体験していますから、いかに自衛隊の諸君は大変かというのはよく分かっています。  しかし、長官、問題は、マスコミがというか、日本国民が慣れてきて、ほかのPKOなんかに行っている海外の、例えば東ティモールとかゴラン高原と同じで、全く報道しなくなった。もう慣れてきちゃうとイラクにいるのは当たり前みたいなことで、最初は大々的に報道して、こいのぼりの絵が行ったり、盆踊りやったか、そういうのは全然知りません、最近非常に報道の数が減っていますね。  ですから、ちゃんと広報活動をやって、しっかりやっているということを言わないと国民も忘れてしまうと思いますから、それをやっていただきたいということを要望しておきたいと思います。  そこで、一つ、多国籍軍への参加ということを、これはいろいろ批判が内外から、内外からというか、特に日本の野党からあるところでありますけれども、要するに、マルチナショナル・フォーシズ・アンダー・ユニファイド・コマンド。アンダー・ユニファイド・コマンドという、これは政府の訳では、もう何度も申し上げましたが、統合された司令部の下にあってということなんですけれども、やっぱりどうしても、この前の参議院選挙のときでも国民の皆さん方から、我々が選挙戦へいろいろ行きますと、どうも政府が説明不足じゃないのかと、多国籍軍参加というのはやっぱり指揮権は多国籍軍のトップが持つんじゃないのかと、憲法違反じゃないかと、そういういろんな声がやはり聞こえてきました。  せっかくの機会でありますので、きちんともう一度国民に向かって、これはこういうことだというのを、外務大臣でも防衛庁長官でもどちらでも構いません、もう一遍正確に説明してください。
  27. 川口順子

    国務大臣川口順子君) まず、自衛隊が多国籍軍の中に入って活動をするということについて、今までよく引かれているのが中山外務大臣答弁ということがございます。  それで、その参加をして、その答弁ではかぎ括弧付きの参加と書いてありますが、参加とは当該多国籍軍の司令官の指揮下に入り、その一員として行動すると、そういう限定された意味で言葉を使っている。そして、参加は、そういった参加はできないという答弁であったわけです。  自衛隊が多国籍軍の中で活動をするということを申し上げているわけですけれども、それに当たりましては、これまでどおり我が国の指揮に従いまして、イラク特措法及びその基本計画、これに基づきまして人道復興支援等を我が国の主体的な判断の下で行うことといたしているわけです。  先ほど、中山答弁として申し上げた、限定された意味での参加、これをしているわけではございません。それで、一般的な意味に言いますと、この自衛隊イラクの多国籍軍の中で活動をしているということを、一般的な意味で参加をしているというふうに言葉を使っていいのではないかと考えているということでございます。  指揮につきまして、これは我が国としては、アメリカ及びイギリスから、我が国自衛隊我が国の指揮の下で活動をするのであるということについて、これはその確認を取っております。したがって、先ほど申し上げましたように、我が国活動するに当たっては、我が国の指揮に従い、主体的な判断の下で行うということは、これも確認がなされていると、そういうことでございます。
  28. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 委員御指摘のように、憲法違反だという議論をされる方がありました。で、その方にどこが憲法違反ですかと聞くと、かくかくしかじかで憲法違反であるということをおっしゃった方はだれもおられないんです。私は、そういうような議論は不徹底な議論なんだと思っています。  憲法違反でないことということを一言で申し上げれば、サマワの自衛隊イラク特措法に基づいて活動をいたします。それ以外の活動はできるはずはありません。法に基づいてやっているわけで、憲法違反だとおっしゃるのであれば、自衛隊イラク特措法に基づかないで行動しているんだということをおっしゃっておられるに等しいのだと思っております。  今外務大臣から答弁がありましたように、自衛隊というのは外国の指揮は受けません。それは、イラク特措法に基づいて活動しております以上、そのようなことがあり得るはずはないのであります。  ただし、調整は行います。それは、指揮命令系統ということではなくて、いろいろなニーズがある、そのことを実行する上において調整を行わなければイラク復興という全体の目的は達成できませんので、調整を行うことはありますが、指揮命令に服するということ、一切ございません。したがいまして、憲法違反では全くございません。
  29. 舛添要一

    舛添要一君 その問題との関連で、私はやっぱりいろんな無理がある。で、一つは、保有するのに行使できないような権利なんてのはないんですから、集団的自衛権保有しているのならば行使すべきであると思います。  したがって、小泉内閣として、今総理大臣おられませんけれども、小泉内閣として今からやるべき大きな仕事は、集団的自衛権、これを行使する権利があるということを、そういうふうに政策を転換すること。そして、その下において、第二に、今のような武器使用基準では、その集団的自衛権を認めた上でですよ、その上で、武器使用基準をそれに応じて変えると。こういうことをきちんと今からやっていけば、この内閣は歴史に残る内閣になると思います。そして、石破長官も答弁に苦しむことはなくなるだろうというふうに思います。これは私の独り言だと思って聞いておいてください。  そこで、先ほどメディアの特色としてある、例えば自衛隊がある地点に海外でずっとこうやって活動している。それはもうどんなニュースでもそうなんですけれども、飽きがきちゃって忘れてしまう。今イラクも大変だけれども、インド洋はちゃんとやっているんですよね、海上自衛隊の諸君が大変な国際貢献やっている。ほとんどだれもこれをしゃべらなくなってきた。ですから、こういうことに対して広報もちゃんとやっていただきたいんですが、ちょっとアフガニスタン情勢について、みんな忘れちゃっているんで、若干御説明願いたいと思います。  まず外務大臣、十月に大統領選挙、そして来年四月に国会の選挙があると思いますけれども、現実に今カルザイさんが大統領としてちゃんとその選挙、通るのかどうなのか、そういうことも含めて、今からの展望、そして大体どうなっているんですか、アフガニスタンというのは、ちゃんと安定しているんですかと、こういうことについて政府の説明を求めます。
  30. 吉川元偉

    政府参考人吉川元偉君) アフガニスタンの現状及びこれからの政治の展望についての簡単な御説明を申し上げたいと思いますが、まず先生御承知のように、二〇〇一年の十二月にアフガニスタンの政治の方向を決めるボン合意が行われ、それから二回、二度のロヤジルガ、国民会議を経まして、〇二年の六月には移行政権が樹立し、新憲法が採択され、今年の一月にその憲法が発効するということで、あのアフガニスタンが民主主義の国に生まれ変わるというプロセスは着実に進展しているということが言えると思います。  七月の九日にはアフガニスタンと国連で構成されます合同選挙運営機構というものが、十月の九日に新憲法に基づいた大統領選挙を行うということを発表しました。それから、議会の選挙は来年の四月から五月の間に行うということも発表いたしました。  二十六日に大統領選挙の立候補の締切りが行われましたが、カルザイ大統領を含む二十三人が立候補届出をしております。同時に、この選挙に向けての国連選挙準備も着々と進んでおり、八月一日現在で約八百六十万人が有権者の登録を済ませております。そのうち、女性が四〇%という非常に画期的な数字が既に出ております。  それでは、すべてが順調にいっているのかといいますと、その点については幾つかまだ課題はあるのではないかと思います。大統領選挙、議会の選挙を前に、選挙準備要員でありますとか人道復興支援に携わる外国人に対する攻撃が発生しております。幾つかのNGOの関係者が殺害されたりという事件が出ております。地方の軍閥の構造にどういうふうにして対処するか、治安の対策、選挙準備、いろいろとまだ課題があります。  しかしながら、治安の分野については、NATO主導の国際治安支援部隊、ISAFというこの部隊がアフガン政権を助けて治安維持をやっておりますし、国軍の創設、警察の再建、麻薬対策、いろいろな努力が行われております。日本自身も、軍閥勢力を、いわゆるDDR、武装を解除し、動員を解除して兵員の社会復帰を進めるという、これは選挙実施に向けて努力するその主導的な役割を果たしております。  したがいまして、いろいろな課題はあるものの、十月九日の大統領選挙に向けて良好な環境を作るという方向で、国連国際社会、その中で日本が重要な役割を果たしてきておるということが言えますので、いろいろ問題はありながらも政治のプロセスは着実に、おおむね着実に進展しているということが言えるのではないかと思います。
  31. 舛添要一

    舛添要一君 そういう政治プロセスの進展とともに、石破防衛庁長官、海上自衛隊どうするのか。つまり、派遣するのも非常に大変ですけれども、撤退させる時期を見極めて撤退、任務が終了したなら撤退させるべきだと思いますが、政治プロセスが進むのに並行して、具体的に海上自衛隊の展開、どういうふうに考えられているのか。任務終わったら是非早く帰らせていただきたい。あんな暑いところで水兵さんも大変ですから。どういうふうに長官はお考えですか。
  32. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 要は、アフガニスタンは内陸国でございますけれども、そこから陸路を伝って海へ出て、海路でテロリストが海外に逃亡するということを防がんがために今各国の海軍が展開をし、我々が補給活動を行っておるということでございます。  どういう場合に任務が終了したかというのは、もうテロリストが流出をしなくなったよという、そういうような状況が相当客観的にコンセンサスとして、日本だけがそう思ったって駄目なんで、かなり客観的にそれがコンセンサスとして定着をすることが必要なんだろうと思っています。  これはもう非常に難しいのは、例えば風邪を引いて熱が出ましたと。風邪薬を飲んだらば熱が三十八度になりましたと。効かないじゃないかという人がいますが、もし飲まなかったらどうなったのということもあるんだろうと思うんですね。  私は、以前のこの委員会でもございましたが、ただのガソリンスタンド論というのがありまして、自衛隊がただで補給活動をやっているからほかの国もやっているんじゃないのと。それは、やっぱり自衛隊がやっていることによってほかの国も、表現は悪いんですが、だらだらとやっているんじゃないの、そういうことはやめるべきじゃないのというような御指摘がございました。  しかし、委員がまさしく御指摘いただいたように、あの酷暑の海において活動をするというのはどれだけ大変なことなのか。仮に自衛隊がただのガソリンスタンドというものを提供したとしても、どの国も面白おかしくてやっているわけじゃない。それぞれの国から遠く離れてインド洋でああいうオペレーションをやるというのは、どの国の海軍にとっても大変な負担でございます。そこにおいて、やはり各国がもうこれでこの活動はやめてもいいというコンセンサスがどの時点でできるのかということでございまして、私は、ただのガソリンスタンド論というのは全くくみしません。それほどよその海軍も余裕があるわけでもございません。酔狂でもございません。テロリストの海外への逃亡を排除するということがどれだけ世界の平和と安定にとって必要なことなのかということは、委員御指摘のように、私ども、酷暑の中で活動している海上自衛官のためにもきちんと広報活動をやっていかねばならない、そのように考えておるところであります。
  33. 舛添要一

    舛添要一君 最後に警察にお伺いいたします。  今、ニューヨークはテロ予告で厳戒態勢に入っております。それから、アテネ・オリンピック絡みでも世界じゅうが非常に警備を強化しております。我々もやっぱり非常な不安を持っています。  ただ一方では、例えば東北新幹線に乗ると新幹線の中にごみ箱ないんですね。それで、アナウンス聞くと、ホームに降りてから捨ててくださいと。ホームにもないんですね。自分のうちまで持って帰らないといけない。まあ、しかし、そういう不便はあってもやっぱりこの安全というのをしっかり確保してもらいたいと思いますので、非常に国民がその点不安だと思いますから、警察、政府一体となってきちんとやっているのかどうなのか、これ簡潔に御説明願いたいと思います。
  34. 瀬川勝久

    政府参考人(瀬川勝久君) 警察といたしましては、同時多発テロ事件以降、国際テロの脅威の高まりに伴いまして、一つは水際対策の強化、国内外における情報収集、テロリストの発見、検挙、それから重要施設等に対する恒常的な警戒、警備という施策を実施をしております。かなり今、長期にわたる警戒、警備の状況が続いているわけでありますけれども、今御指摘ありましたような大変厳しい国際テロ情勢にあるという認識の下、引き続きこの警戒、警備を緩めることなく対策をなお推進してまいりたいと考えております。  特に、今御指摘ございました鉄道等の大量公共輸送機関でございますが、これはスペインにおける鉄道爆破テロ事件のことを今また繰り返し申し上げるまでもないと思います。こういった状況を踏まえまして、警察としても警戒を強化しておりますし、今御指摘いただきましたごみ箱の撤去等も含めまして鉄道事業者の方の自主警備というものもかなりお願いをして推進をしております。新幹線については特にこういった施策を強化をいたしまして、警察犬の活用、あるいは車内の網棚等に載せられた所有者不明の手荷物に対して車掌さん等がこれは付近の方に声掛けをしていただくと、それに対して警察も的確に協力をしていく、こういった体制も確立をしております。  こういった警戒、警備につきましては、利用者である国民の方に、今ごみ箱の話ございましたけれども、一面御不便、御不自由を感じさせるという面があるのはこれは事実でございますけれども、現下の厳しい情勢を踏まえまして、引き続き国民の皆様の御理解、御協力をいただきたいと考えております。  事業者とも連携をいたしまして、そのための広報活動を更に強化をするなどしてテロの未然防止に万全を期してまいりたいと考えております。
  35. 舛添要一

    舛添要一君 さっきの東北新幹線の例ですけれども、警察の、警察との協力によりという、こう字幕が出るんですね、英文でもね。それでアラート態勢にあるんだと。事業者だけだとやっぱり重みがないんです。ですから、警察という存在というのははっきり出して私は構わないと思いますからね。その点はいかがですか、そういう指導ができますか。
  36. 瀬川勝久

    政府参考人(瀬川勝久君) 現実に駅員の方と共同で駅構内のパトロール等を実施をしたり、あるいは駅の協力をいただいて、いわゆる立哨台といいますか、一段高い、何といいますか、立つための台を用意をいたしまして駅構内のポイントで警察官が立哨警戒をやる。国民の皆さんの目に見える、警察も駅の中で、鉄道施設の中でしっかり態勢を取っているということを国民の目に見える形で現実に行っているところでございます。また、犬、警察犬をホーム等で警戒に当たらせるというのも、これも事業者の方の御協力なくしてできることではありません。  今御指摘いただきました広報活動等につきましても、警察と連携をしてこういう措置を講じているんですと言っていただくのは全く結構でございますし、現にそういう必要があると事業者の方がお考えになっているポイントにおきましてはそのように措置されておられるものというふうに承知をしております。
  37. 舛添要一

    舛添要一君 暑い夏がまだ続きますけれども、気を引き締めて政府一丸となって、日本国民の生命と財産を守ると、そういう気持ちで頑張っていただきたいと思います。  以上で終わります。ありがとうございました。
  38. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 民主党・新緑風会の若林でございます。  今般の参議院選挙を通じての民意を踏まえて、自衛隊の多国籍軍参加問題中心にお伺いしたいと思います。  その前に、非常に、第一委員会室と比べてここ、非常に距離が離れているんで、是非、距離感を感じさせないような答弁を是非とも外務大臣、よろしくお願い申し上げたいというふうに思っております。  まず初めに、イラク治安情勢でございますけれども、先ほど吉川議官の方からお話が、局長からお話がありまして、ちょっと非常に型どおりだなという感じがして少し残念です。  例えばサマワの情勢についても、昨日、サマワで活動しているNGOの四人の方が、これフランス人だと思うのが亡くなられた。これは飲料水を供給しているNGOなんですね、正に自衛隊と同じ活動をしている。あるいはサマワのオランダ軍の宿営地に向けてロケット弾が昨日発見されたというお話も余りありませんでしたけれども、やっぱりこの瞬間、この八月五日のこの十一時二十分にふさわしいやっぱりビビッドな、やっぱりタイムリーな治安情勢というのも併せて報告する必要があるんじゃないかなというふうに思いますが、追加することがあれば大臣でも吉川局長でも、お願いしたいと思います。
  39. 吉川元偉

    政府参考人吉川元偉君) 若林先生御指摘いただきましたフランスのNGOの関係について、事実関係の部分を少し御紹介した方がいいと思います。  実は、サマワで活動するフランスの非政府組織、NGOのACTEDという組織の方々、これはフランス人ではなくてイラク人イラク人の方四人が殺害されたということが判明しております。これは、サマワに通常はいるわけですが、そのときはたまたまナジャフに何らかの理由で旅行に行って、そのナジャフに向かう途中に襲撃されたという、そういうことを承知しております。  このACTEDにつきましては、正に自衛隊と同様、給水活動をやっているということで、元々はヨーロッパ共同体、EUの資金で作業をしていたんですが、そのEUの資金が切れるので何とか助けてくれないかという話があり、さらにフランス外務大臣のドビルパンさん、前の外務大臣ですが、川口大臣と今年の初めに協議した際に、日仏でイラク支援を一緒にやっていこうじゃないかという合意があり、その合意を受けまして、このサマワで活動するフランスのACTEDに日本から資金協力をしてはどうかということで、給水車と、それから約四千万円の活動経費を支給しました。  そういうことで、このACTEDのサマワにおける活動は、言ってみればイラクに対する日仏協力という形でありましたので、サマワで働いているNGOの方々、イラクの人、職員が三人と運転手が一人だと聞いておりますが、お亡くなりになったので、外務大臣からは弔意の表明をいたしました。
  40. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 それと、オランダ軍の宿営地に向けてロケット弾が見付かったというお話もありまして、それ伺いませんけど、いずれにせよ治安状況は非常に悪化しているんではないかという認識を持つことが必要ではないかなというふうに思っております。  その上で、最初の多国籍軍参加問題でございますけれど、実質、参議院、この場ではこの問題について議論しておりません。なぜかといえば、基本的には六月の十八日の閣議了解ということで正式に、ある部分決定されたということでございますので、事実上最初の審議だということで、少し基本的なことも含めてお話、質問させていただきたいと思います。  私はやっぱり、六月四日にブッシュ大統領に対しまして、勢いで言ってしまったのかどうか分かりませんけれど、事実上の多国籍軍参加問題を表明されたということであります。それに対して結局は国会が終わった十八日に閣議決定をしたという意味において、私は、非常に国会軽視、国民無視も私は甚だしいんではないかなという感じがします。これだけやっぱり重要な事項でありますんで、きちっとやっぱり国会で議論するということがなかったがゆえに、私は参議院選挙でもそれが影響したんではないかなというふうに思っておりますんで、是非真摯に答えていただきたいなというふうに思っております。  今回のその閣議了解における多国籍軍への参加でございますけれど、私は、どんな理由、理屈を述べても、これはやっぱり安保政策の転換ではないかなというふうに思っております。私は、この閣議決定を見ますと、政府見解を変えるものでは全くないというふうに言ってますけれど、そうやってすり抜けること自体が、私は、この国においてこの安保政策のある意味での成熟度を余計遅らせるのではないか、そういう問題意識に立って質問しますんで、憲法を盾に多国籍軍への参加が何でもかんでもけしからぬと言うつもりはありませんので、きちっと真正面から受け止めてお答えいただきたいと思いますが、まず川口大臣、これは安保政策の大転換ではないんでしょうか。その上でちょっと質問を続けたいと思います。
  41. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 何をもって転換だとおっしゃっていらっしゃるかということでありますけれども、これは私は、私なりの大転換の意味を定義付ければ、そういうことではないというふうに思っております。  今まで自衛隊が今まで行ってきたこと、実態として全く同じことをやっているということであります。イラク特措法の枠内で、そして基本計画にのっとってやっていることであります。自衛隊我が国の指揮の下で活動をするということであって、どういう意味でおっしゃってらっしゃるかということですけれども、大転換とは私は考えておりません。  多国籍軍の中でこの活動を行うということを行ったこと自体が大転換とおっしゃって定義付けしていらっしゃるんであれば、それはその、そういう定義でいえばそれはその定義どおりということでしょうけれども、その意味は何かということを考えますと、中身としては何も変わっていないし、特に大きな飛躍をしたということではないんじゃないかと思います。
  42. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 そういう意味では、多国籍軍の中で参加して行動するという意味においてはもうこれは歴史的な転換でありますんで、むしろその事実をきちっと受け止めて、やっぱり国民にきちっと説明することが必要ではないか。それはやっぱり過去から言ってきたこととやっぱり違和感を感じているんですよ、国民は。言ってきたことは違うじゃないか、どう説明してもそれは感じるわけですよね。そこに対してきちっとやっぱり説明することが必要ではないかなというふうに思いますが、今日は内閣法制局長官がお見えでございますんで、まず、従来の政府見解を変えるものではないとおっしゃっておりますけれど、この政府見解、具体的にいつ、どのように、どのような内容で示されたのか、分かりやすくお答えいただきたいと思います。
  43. 秋山收

    政府特別補佐人(秋山收君) 過去三十年以上にわたり政府が見解表明しておりますが、その重立ったものを申し上げますと、平成二年十月二十六日の衆議院国連平和協力特委における中山外務大臣答弁、それからその前の昭和五十五年十月二十八日の稲葉誠一衆議院議員に対する自衛隊の海外派兵・日米安保条約等の問題に関する質問に対する答弁書、それから平成二年十月二十九日の工藤法制局長官答弁、平成十三年十二月四日の津野内閣法制局長官答弁などがあるわけでございますが、これらの答弁の要旨につきまして、一番引用されますのは平成二年の中山外務大臣答弁でございますので、これに即して御説明いたします。  この答弁はいわゆる国連軍に関するものでありますけれども、平成二年十月二十九日の工藤法制局長官の答弁で、多国籍軍であってもその考え方は変わるものではないということを述べておりますので、以下多国籍軍を主語として御説明いたします。  まず、多国籍軍に対する我が国関与の在り方としては、参加協力考えられると述べた上で、ここに言う参加とは、当該多国籍軍の司令官の指揮の下に入りその一員として行動をすることを意味するとしながら、当該多国籍軍にその意味での参加をすることは、当該多国籍軍の目的・任務が武力行使を伴うものであれば憲法との関係で問題があると述べております。  一方、ここに言う協力とは、ただいま申し上げた特別の意味での参加を含む多国籍軍への広い意味での関与形態を表す言葉であり、そのうち、今の特別のといいますか、指揮官の下に入るという、指揮の下に入るという意味の参加に至らないもの、そういうような関与形態につきましては、当該多国籍軍の武力行使と一体とならないようなものであれば憲法上許されるという旨を述べているものでございます。
  44. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 つまり、武力行使を伴う多国籍軍への参加は憲法上許されないと。もう一つ協力という意味においては、多国籍軍の外にいれば協力することは武力行使と一体化しない限りは許されるというお話ではないかなというふうに思いますが、今回のこの自衛隊の多国籍軍参加協力なのか参加なのか新しい概念を作ったのか、そこを分かりやすくちょっと御説明いただきたいと思います。
  45. 秋山收

    政府特別補佐人(秋山收君) ただいまの中山外務大臣答弁では、協力とは、多国籍軍の司令官の指揮に入り、その一員として行動するという意味での参加を含む広い意味での関与形態を表すものであり、この司令官の指揮に入ってその一員として行動するという意味の参加に至らない各種の関与形態、すなわち協力については、当該多国籍軍の武力行使と一体とならないようなものは憲法上許されると解されるとしているのでありますから、今回のように多国籍軍の中に入る、あるいは多国籍軍の一員となるというものでありましても、指揮下に入ってその一員として行動するという意味での参加でないものにつきましては、これはこの答弁においても、他国の武力行使と一体化しないものについては許されるという、述べておりますその答弁の射程の範囲内に入る問題であり、今回のイラク特措法に基づき我が国が主体的な判断を確保しつつイラク復興支援等に関与するというこの形態のものはこの答弁の中で述べられておりますとおりのことでございまして、憲法上問題がないというこの答弁の趣旨と一致するものでございます。
  46. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 非常に、ここにいらっしゃる方、皆さんはお分かりになったでしょうか。──分からないですね。  だから、こういう分からない答弁を、禅問答みたいなことをやっているから国民はなかなか理解がやっぱり進まないんですよ。もうちょっとやっぱりシンプルに分かりやすく説明していただきたい。  そういう意味では、これは協力なのか参加なのかも含めて、もう一回お答えいただきたいと思います。
  47. 秋山收

    政府特別補佐人(秋山收君) 今回の自衛隊活動は、多国籍軍の中で、司令部との間で連絡調整を行いながら、その指揮下に入ることなく、我が国の主体的な判断の下に我が国の指揮に従い行われるものであります。したがいまして、このような自衛隊の多国籍軍への関与は、平成二年の中山外務大臣答弁の関係で申しますと、当該多国籍軍の司令官の指揮下に入るという意味での参加には至らない、この答弁に即して言えば、参加に至らない協力の概念に含まれるものでございます。
  48. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 秋山長官、またここで答弁変えていますよ。一般的な参加参加は違うんだと、今回は一般的ないわゆる参加に当たるんだということをおっしゃっていたじゃないですか。それで、小泉総理は参加だと言っている一方で、今は協力だと言っているんですよ。これ全然違いますよ。一番きちっとしなきゃいけない立場にある人がまた答弁を変えているんですよ、これ。
  49. 秋山收

    政府特別補佐人(秋山收君) ただいまのお答えは、平成二年の中山外務大臣答弁との関係では協力に入ると申し上げたのでございますが、このような自衛隊活動が言葉の一般的な意味において多国籍軍参加するという、つまり参加するということはその一員となるといいますか仲間に入るといいますか、そういう意味が一般的な辞書的な意味でございますので、そういう一般的な意味において参加すると言うこともできるということが最近、例えば細田官房長官の答弁なんかでも言われているものでございまして、自衛隊活動の実態が当該多国籍軍の武力行使と一体とならないようなものであるということが確保されている以上は、これを参加、まあ一般的、言葉の一般的な意味において参加と呼んだからといって、このことによりまして憲法との関係で問題が生ずるものではないと考えております。
  50. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 私がちょっと聞いていて、どういうふうに質問していいか分からないぐらいに分からないんですが、要は、参加に対してカテゴリーツーの参加を作ったというふうに私は理解しております。つまり、多国籍軍に入っていくと、しかし指揮下には入らないで人道支援するという意味じゃなくて、従来の協力とはまたちょっと違って、私は参加、だから参加だということを真正面からいえば、一般的な参加と今回はこれまでの参加とは違うような言葉遣いだと余計分からないんですよ。  その辺はどうなんですか。もし外務大臣等、きちっとそれを訳すとどうなんだということをちょっと説明してください。(発言する者あり)
  51. 太田豊秋

    委員長太田豊秋君) 秋山内閣法制局長官、あなたが実質的に法律的解釈をする立場ですから、その辺のところを誤解を与えないような御答弁をお願いします。
  52. 秋山收

    政府特別補佐人(秋山收君) 今、若林委員が御指摘になりましたとおり、参加という言葉が、今回のような言葉の広い意味での参加という意味と、それから平成二年の中山外相答弁に言いますような指揮下に入るという特定された意味での参加と両方の意味で用いられるということが、憲法解釈を変えているわけではございませんが、説明として分かりにくいということは私もそのとおりだと思います。この点につきましては、引き続き十分に御説明を尽くすという努力、これを関係省庁共々やっていくというふうに考えております。
  53. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 基本的には、これまでの形態を変え、新しい形での参加を作ったというふうにしか受け止められませんので、それでいいのか、それも含めて外務大臣、ちょっと分かりやすく答弁していただきたいと思います。
  54. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 私の御説明は、パラフレーズといいますか、普通の人間として申し上げるということでございまして、法制局長官に成り代わって御答弁を申し上げるという能力もありませんし立場でもありませんので、分かりやすい外務大臣としての説明と、普通の人に分かりやすいということで申し上げたいと思います。  今まで申し上げてきました参加ということでございますけれども、これは先ほど法制局長官も言及なさいましたように、自衛隊がその国連軍の司令官の指揮下に入ってその一員の、として行動をするということを参加と今まで言ってきたということであります。そして、今の自衛隊の多国籍軍への参加の仕方、これを参加と言っていいんであろうというふうに私は考えております。その参加というのは、非常に分かりやすく言えば参加ということであって、先ほどの中山答弁で、やってはいけないという狭い意味での参加とあえて対照して言うんであれば、一般的な参加と言ってもいいかもしれない。いずれにしても参加であるというふうに考えております。  それで、何がどういう形で参加をしているかというと、これは自衛隊イラク特措法に基づいて、またその基本計画にのっとって自衛隊の指揮の下で活動をする。だけれども、多国籍軍の中でありますから、これは多国籍軍参加をするというふうに言っていいだろうと、一般的にそういうふうに考えていいんではないかということが私の理解でございます。
  55. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 だから、今のは少し分かります。だから、それは転換したんですよ。新しい概念としての参加をやっぱり作ったということじゃないと説明はできないんです、これは。だから、そこは正直に、転換しましたならしましたと言わなきゃ分からないですよ、国民に伝わらないんで、そういう……(発言する者あり)ええ、本音で、私も揚げ足取るつもりは全然ありませんので。やっぱり大臣の答弁ですからね、これは中山大臣、そして今日は川口大臣の答弁ですから、政府代表して、今回はこういう形での参加があるということに対して、やっぱりきちっと国民に説明をしないと余計分からないですよ。あえてこれは変わらないんだということを言ったら、余計もう、未来永劫に同じ繰り返しをしなきゃいけない。やっぱりその時々に応じて変わるということもあり得るということも含めて、今の法律にのっとった上でお話をしていただきたいと思います。  もし、それ以上もし何かあるんだったら言っていただきたいと思う。もう時間がないんで次行きたいと思うんですが。
  56. 太田豊秋

    委員長太田豊秋君) 外務省西田総合外交政策局長。(発言する者あり)いや、政策的な問題だからちょっと私が指名、私が指名したんです、委員長が。
  57. 西田恒夫

    政府参考人(西田恒夫君) 簡潔に補足をさせていただきたいと思います。  政府としましては、法制局長官がるる御説明させていただいておりますように、日本が海外でもって武力行使をする、あるいは武力行使をしているように見えるということは、憲法上これは許されないということが基本的なことでございます。  そのような基本的考え方に基づきまして、湾岸戦争のときにでき上がりましたいわゆる多国籍軍、これは専ら武力を使用するのが目的の多国籍軍できましたので、それとの関係でもって、多国籍軍に対する日本の在り方についての、関与の仕方について説明をしたと。したがって、多国籍軍というものは専ら武力行使をするものというものが大前提でございましたので、そのようなものには先ほど申し上げた意味で参加はできないということでございました。  しかし、その後、るる御説明しておりますが、多国籍軍自身が御案内のように国際情勢の急激な変化に従いましてその内容を、形態を変えてきておるわけでございます。  今般のイラクにつきまして、新たに一五四六でできました多国籍軍の中身は、専ら武力の行使をするものではなくて人道復興支援活動も行うということになりましたものですから、このような正に多国籍軍の変遷、発展に基づきまして、それを踏まえて、では日本はどういう関与があるかということを説明するときに、そのような復興人道支援活動については参加ができるというふうに整理をさしてもらったものでございます。
  58. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 それを踏まえて、もう一度川口大臣、分かりやすく御答弁いただきたいと思います。
  59. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 私は、これが転換であるとは考えていないということを申し上げたわけです。私の言葉の使い方であれば、安保政策の転換というのは、例えば日本が、これ極めて仮定の話で、そういう話が余りいいとは思いませんけれども、例えば核を持つことに決めたとか、集団的な自衛権を日本は行使するということにしたとか、そういうことであれば安全保障政策の転換ということが言えるかもしれません。  この、これにつきましては、従来から自衛隊サマーワでやっていることを引き続きやっていく、それに何ら変わりはない。憲法との関係で問題が生じているわけでもない。新たな多国籍軍の性格が時の流れとともに変化をしている中で、日本は従来どおりの考え方に従って行動をしているということであって、それを分かりやすく言えば参加をするというふうに言っていいんだろうと、そういうことであります。
  60. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 基本的にはイラク特措法の中でやるしかないというのは、それは当然のことであって、その前提となる多国籍軍への参加について従来とはやっぱり変わってきたということが、変化があったという意味で言っているんで、特措法をやるのは当たり前の話ですから、それにおいて私はやっぱり変わってきているんではないかなと。  多国籍軍は今回初めて人道支援が入ったわけじゃない、従来もやってきているんですよ。そのときにも、やっぱりメーンとしての治安維持であれば、それは多国籍軍であって、それに参加できないことを言ってきているんだから、従来と、人道支援で今回変わったというわけじゃないんですよ。だから、その上で、入るということに対してきっちり明確にやっぱりお答えをいただきたいと思います。  その上で、今回、多国籍軍の自国の固有の指揮権を持つのは当然であるというふうに私は思います。だから多国籍軍と呼んでいるんです。これは、自国の主権国家が自分の軍隊を出せば、それで当然、指揮をするのは当然で、それを前提の上に、統一された司令部によるある作戦上の統制というか指揮というのはこれは必要なんですね、これは。ですから、もし指揮を受けないんであったら、これは日本は特別なんでしょうか。ほかの三十数か国はみんな指揮権に入っていて、日本だけが唯一この統制を、この指揮に入らないという理解でよろしいんでしょうか。  石破長官、済みません、石破長官です。これは事前に石破長官に……
  61. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) それは、多国籍軍の中における各国の指揮の受け方については、これは千差万別といいますか、いろんな、多様な形態がございます。日本だけが特別だということを私は考えておりません。日本と同じような立場、同じような説明をしている国もございます。特定の国を名指しすることはいたしませんが、日本だけが特別ということはございません。  委員がまさしく御指摘になりましたように、それぞれの国が指揮権を持っているからこそ多国籍軍なのであります。そして、それぞれの国が国内法に基づいて出ておりますので、それに反するような指揮というものが出てくれば、それは当然それを断ることに相なります。  指揮というものは何かといえば、強制力を伴うということをその中核概念とするものでございまして、その場合に、じゃ、これをやりなさいというような指揮がある、命令がある。それに対して、それはできませんということになりますと、それは指揮という概念からは外れることに相なります。私どもとしては、それはできないということをきちんと留保をしておるわけでございますし、それは調整という概念ではございましても、指揮命令関係に立つものではございません。
  62. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 元々多国籍軍というのはそういう性格を持っているんです。強制力は最終的にできないんです。その上でも、やっぱり作戦上の指揮下に統制を受けるというのは、これはやっぱり軍があの中で行動するにはこれは当然のことだというのは石破長官が一番よくお分かりだと思います。  じゃ具体的に、日本以外にこの統一的なこの指揮下に、指揮下に入らないということを言明している国というのはどこがあるか、これは事前に外務省にもちょっとお話をしていたと思うんですけれども、お答えいただきたいと思います。
  63. 西田恒夫

    政府参考人(西田恒夫君) 今、石破大臣からお答えしたとおりでございまして、政府間の我々の照会に対して、日本と同じ考え方であるということを表明している国はございますが、具体的にその国名を挙げることについては差し控えてほしいということでございます。
  64. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 例えば人道復興支援をやっている、医療活動をやっているヨルダンとか、あるいはインフラ整備、韓国もそうなんですけれども、あるいはデンマーク、地雷の不発弾、これは統一的な指揮下に入らないって言ってるんでしょうか。具体的に国名を挙げて言っていただければ分かりやすい。  最終的に統一的な強制力が働かないのはこれは当然でありまして、主権国家として、それを言ったら全部、国は指揮下に入らないということなんです。その上で、やっぱり統一的に動くにはある統制のあれが必要なんですよ。だから、それを、日本がそれを、それもしなくて、一国だけがやっているということは、これは異常な状態であるということはどうなんでしょうか。そこも含めて、大臣、お答えください。
  65. 西田恒夫

    政府参考人(西田恒夫君) ただいま国名の挙がりましたアラブの国につきましては、そもそも自分たち部隊を出していることについてもできれば公表を差し控えてほしいという要請が来ているほどでございますので、この点につきまして、特に指揮の在り方につきましては、それぞれの国、国情等ありまして、極めてこれは政治上あるいは軍事上難しいということは、これは当然のことで、お分かりいただけると思います。  そのようなことを前提にして申し上げますれば、正に先生御指摘のように、専ら人道復興支援活動をしている幾つかの国につきましては、明示的に日本と全く同じ考え方であるということの回答を得ているということでございます。
  66. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 具体的な国名を言えないですが、今のお話だと、日本は特別じゃなくて、ほかの国もみんな統一的な指揮下に入らないんだと。その意味において、このユニファイドコマンドはどういう関係にあるのか。そして、アメリカ軍、アメリカ政府が言っている、当然アメリカの統一的な指揮下に入るということをこれ意味しているということを高官の方が言っているわけですから、そことの関係においてどうなのか。外務大臣、じゃ、お答えいただきたいと思います。
  67. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 石破長官もおっしゃっていらっしゃいましたけれども、どのような指揮統制の概念を各国の軍隊が持っているか、それは明らかに、一概に明らかにすることはできないということですし、統一された、統合されたですね、統合された司令部と各国の軍隊との関係、これにつきましても、それは先ほどもちょっと出ましたけれども、各国軍隊のその活動の内容ですとか任務が何かとか、そういったことによって異なってくるわけでございます。  したがって、一概に、統合された司令部と軍隊、多国籍軍参加をしている国の軍隊との関係がこうですということを申し上げるということは難しい。これは先ほど石破長官がおっしゃったわけでございます。というのがお答えだと思います。
  68. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 まだよく分からないんですけれども、そういう意味においては、じゃ統合された司令部の指揮下には基本的には入らないという理解になりますんで、そういう受け止め方をしましたので、そういう答弁だということを確認させていただきたいと思います。  その上で、時間もありませんけれども、今回の地域が戦闘地域か非戦闘地域かということについて、先ほどもサマワの状況を比べれば非常に治安情勢が悪くなっていると。今回の特措法においては期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる地域でございますので、少なくとも十二月十四日の基本計画が切れるまではこれは非戦闘地域である、安全なところであるという確信がない限り、これはできないものであります。  しかし、一方、総理は、今は安全だけれども将来のことは分からないとか、外務省報告の中にも今後どういう状況になるか分かりませんということをはっきり書いてあるわけですから、明らかにこの状況においては、この法律上の問題等含めて、非戦闘地域じゃないということを私ははっきり言った方がいいんじゃないでしょうか。
  69. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) これは従来より申し上げているとおり、非戦闘地域でございます。  じゃ、将来のことについて本当に世の中に一〇〇%確実ということがあるのかと言われれば、この世の中に一〇〇%確実というものは存在をいたしません。したがいまして、そうでなかった場合の条文というものはそのときのために設けておるものでございます。  しかし、私どもとして、政府として、予見し得る将来においていろいろな知見、これはもう内外ともにでございますが、いろいろなものを総合いたしまして、サマワにおいて戦闘行為というものが起こる、非戦闘地域の要件を満たさなくなるということは現在、判断する状況には全くございません。
  70. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 そう言わざるを得ないというのはよく分かりますんですが、私は、やっぱり国際社会の一員として、将来どうなるか分からないけれども自衛隊としては引き下がることはできないんだということを多分おっしゃりたいんだなというふうには思いますけれども、そういう思いをやっぱり出していただければ有り難いなというふうに思います。  いずれにせよ、最後ちょっとお伺いしたいと思います。  私はこの一年間、昨年の七月にイラク特措法が出て、この委員会の中でも活動してまいりました。その上での象徴的な質問として石破長官にお伺いしたいと思いますけれども、仮にオランダ軍が武装グループに襲われて劣勢になっているところに自衛隊が通り掛かったとします。オランダは日本の立場を理解しながらも助けを求めているような感じがしたと。自衛隊自分たちに危害が及ばない限り武器は使用できないわけでございます。石破長官イラク派遣されている自衛隊の幹部だったらオランダ軍を見捨てて立ち去りますでしょうか、それとも刑務所入り覚悟で銃を持って助けるために立ち上がりますでしょうか。  これを聞いて自分の立場を言えないのはひきょうだと思いますが、私だったら後者を選んで銃を持って立ち上がります。
  71. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) これは、オランダの国防大臣自衛隊派遣をするということを決めました後に、私は長い時間、会議をいたしました。  そのときに、まず一つ言っておかねばならないのは、オランダは治安維持を目的としているということです。治安維持を目的として、そのための権限を持ち、装備を持ち、訓練を積んでいる。日本治安維持を目的としていない。オランダがやられて日本がそのそばを通り掛かってというような仮定の状況が生ずるような、そういうようなアマチュアのような組織ではございません。オランダはきちんとした予見に基づいて、知識、経験に基づきまして行動を行っております。そこにおいて、自衛隊にそのようなことは一切期待もしないし、我々はそのようなオペレーションはやらないということでございます。それはやっぱり、プロが現地において活動するというのはそういうことだと思っています。  状況で、オランダ軍がやられて、劣勢で、日本がそこを通り掛かって見て見ぬふりをするのかという御質問でございますが、それはいろんな条文がイラク特措法にもございます。例えば、十七条というものの解釈も、これもこの委員会におきましても何度か御説明をしてきたことでございますが、全く見捨ててというようなことも、これは極端な議論でございますし、刑務所入りを覚悟で撃つというのも、これはもう極端なお話なのだろうと思っております。私どもは、法律に定められた範囲内におきましてやるべきことはきちんとやる。しかし、法律に定められていないことは、これは法治国家の実力組織として行うことはできないということでございます。  サマワにおいて日本とオランダはきちんとした役割分担、そして意思疎通の下に現地復興に全力をそれぞれ尽くしておるということであります。
  72. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 その説明は非常によく分かります。しかし、私は、そこはある意味でのやっぱり机上論だと思いますので、何が起こるか分からないのがやっぱり現場だと思いますので、そういうときに、遭遇したときに、できませんと言ったときに、オランダの国民は果たして納得するでしょうか。国際社会の一員として名誉たる地位を占めたいということに対して、こういう、現状こうだということをやっぱりきっちり国民も理解し、今後どうあるべきかということを今後議論する必要があるんじゃないかなというふうに思いますので、私は単に後者の回答を期待しましたけれども、改めてまたお伺いしたいと思います。  ありがとうございました。
  73. 太田豊秋

    委員長太田豊秋君) 午後零時四十五分に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十五分休憩      ─────・─────    午後零時四十五分開会
  74. 太田豊秋

    委員長太田豊秋君) ただいまからイラク人道復興支援活動等及び武力攻撃事態等への対処に関する特別委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、岸信夫君及び三浦一水君が委員辞任され、その補欠として二之湯智君及び末松信介君が選任されました。     ─────────────
  75. 太田豊秋

    委員長太田豊秋君) 休憩前に引き続き、イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動等並びに武力攻撃事態等への対処に関する調査のうち、イラクにおける自衛隊部隊活動状況及び治安情勢等に関する件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  76. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 民主党の犬塚でございます。  川口外務大臣にお尋ねを申し上げます。国際刑事裁判所、ICCについての我が国の取組についてでございます。  今までの一連の御答弁の中で、おおむね我が国はICCの設立に向けて一貫してこれを支持し、そして積極的なリーダーシップを発揮されてきたという答弁をされております。また、その後の林条約局長のお話では、このICCの採択の経緯における積極的な姿勢は今でも変えていないというふうに答弁をしておるんですが、この件についてまずは確認をしたいと思います。そのとおりでよろしいんでしょうか。
  77. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 過去の答弁について読んでいていただいて、大変に有り難いと思っております。  おっしゃったこと、そのとおりでございまして、我が国はICCの議論の初めから大変に積極的に貢献をしてまいりました。そして、今、これについてはもし後で御質問があれば細かく申し上げますけれども、我が国として現在まだ署名をしていないという状況でございますけれども、その理由は必要でしたら後から申し上げますが、これにつきまして、発効を二〇〇二年七月にこれはもう既にしているわけでして、日本として今鋭意検討を進めているということでございます。
  78. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 今、外務大臣、署名をまだしていないとおっしゃいましたが、残念ながら署名の期日はもう過ぎてしまっておりまして、もう署名をすることはできません。したがって、批准をすることもできないという状況になっているんだと思います。今できるのは加入をするということではないでしょうか。  そういうことはさておきまして、どうして署名も批准もしなかったのか、そして今その取組がどうして遅れているのかということにつきまして、まずその理由について私が読んだ範囲では、犯罪類型のそごがある、あるいは手続法の引渡しや情報収集のやり方、これについての未整備が、国内法とそしてこのICCの間のそごがある、未整備があるということが原因だというふうに理解をしておりますが、この件につきましてはいかがでしょうか。
  79. 川口順子

    国務大臣川口順子君) まず、これは特に、もう既に御存じの話でございますから繰り返しになると思いますけれども、ICCが幾つかの罪に対して管轄権を持っているということです。それは何かといいますと、集団殺害罪、人道に対する罪、戦争犯罪、侵略の罪といったようなことであるわけです。それに対してICCは管轄権を行使し得るということになっています。日本としてまずそのICC規程を締結をするために国内法の整備の課題というのが大きな課題でございます。  一つは、これは我が国はほかの国と違いまして、今まで戦争犯罪を処罰する法制がずっと長らく整備をされてこなかったということがあるわけです。先般、前の国会で武力攻撃事態対処法制としてジュネーブ諸条約の国内実施のための法整備が行われました。それは、我が国がICC、これを締結をするために一歩前進をしたという評価をしています。  実は、それだけではありませんで、更にもう少し議論をしなければいけない、検討を進めなければいけないことがあるわけです。それが何かといいますと、このICCの規程の対象とする対象犯罪が、先ほど申しましたように、戦争犯罪に加えて集団殺害罪ですとか人道に対する罪などたくさんあるわけでして、こういった犯罪と国内法との関係について十分に検討をする必要があると考えております。  さらに、もう一つ申し上げれば、逮捕、犯人の逮捕及び引渡し、これらの技術的な、手続的なことですけれども、それに関しての法整備、これも行う必要があると考えています。それのためには一定の時間が必要であるということであります。  したがって、こういった点を含めて、今鋭意検討をしているということであります。
  80. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 その鋭意国内法の整備をされているということでございますが、これが諸外国においてどういう取組をされているかということは、リファレンスの五月号の四十三ページに出ておりましたので既にもう御存じだと思いますが、例えばカナダ、イギリス、ドイツ、オランダ、スイス、この先進五か国すべて九八年に署名をしております。御存じだと思います。そして、その後、大体何年かたって法整備をしながら批准をしてきたという経緯がございます。例えば、スイスですと九八年の七月に署名をし批准は二〇〇一年の十月、三年掛かっております。そして、オランダは九八年の七月の署名で批准が二〇〇一年の七月、これも三年掛かっているわけでございます。  まず手を挙げてこのICCについては賛同をするんだと、本当に積極的にこれを進めるのであればまず署名をするべきではなかったかと思うんですが、いかがでしょうか。
  81. 林景一

    政府参考人(林景一君) お答え申し上げます。  もう委員よく御案内のとおり、署名と批准の差も、あるいは加入の差もきちっと御説明になりましたように、署名と申しますのは、御指摘のとおり、多数国間の条約におきましてはその内容について基本的な賛同、賛意を示すという行為でございますし、その後におきまして、私どもはそれをひっくるめまして締結行為と申しますけれども、批准あるいは加入によりまして法的な拘束力を受け入れるという手続になるわけでございますけれども、我が国の取組、この条約の締結に当たりましての取組におきましては、特に憲法におきまして九十八条二項で、御案内のとおり、条約、国際法規については誠実な遵守を必要とするという憲法上の要請もございますことから、批准あるいはその加入につきまして、失礼、署名の場合ですから批准が多うございますけれども、そのめどが国内法制との関係できちっと付いておるということがその時点で整備されておればベストなわけですが、仮に整備されていないとしても、そのめどというものがある程度立っておるということを前提といたしまして、そういう場合に署名をする、もしそういうことができない場合にはそれまで署名を見合わせるという形で取り組んできております。  その結果といたしまして、九八年に御指摘のとおり作成されたわけでございますけれども、二〇〇〇年末の署名期限までには、この時点におきましては、御記憶のとおりかと思いますけれども、いわゆる有事法制におきまして整備されました処罰法案等につきましても、戦争犯罪の処罰法案等につきましてもきちっと整備されておらなかった、あるいは整備されるめどというものが立っておらなかったということでございますし、その他の平時関係の犯罪類型あるいはその手続法につきましてもまだ国内法制整備のめどが立っておらなかったということで署名に間に合わなかったと、これが実態でございます。
  82. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 条約の加入に当たって、その誠実な遵守が求められるのは日本だけではないと思います。  各国そのように取組をされている中で、それで、署名をして批准をするということがもう既に手後れになった現在、加入をするということですから、いきなり批准をするということだと思うんですが、その際に参考になりますのが、ドイツがまず批准法というものを作った。まず批准をするということだけを決める法律を作って、これが二〇〇〇年の十二月でございます、その後国内法の整備を行っていき、今、最終的に施行法ができ上がってきたのが二〇〇二年の六月ということでありますけれども、まず日本政府として本当に積極的にこのICCをやるという気持ちがあるのであれば、例えばこのドイツ方式の批准法というのを作ってまずは批准をする、その上で国内法を整備するというおつもりがあるのかどうか、この辺をお聞きしたいと思います。
  83. 林景一

    政府参考人(林景一君) 積極的な姿勢の示し方としてそういう方法があるではないかというその御意見は十分理解するところでございますけれども、私どもといたしましては、これは当然のことながら批准という行為自体は内閣、憲法上内閣が助言を与えて天皇が批准書に署名されるという形になるわけでございますけれども、他方、国内法の整備ということにつきましては、これは正に国会がお決めになるわけでございまして、国会に私どもとしてはもちろん通常の場合でございますれば閣法という形で整備、整備法あるいは法律の改正案というものをお出ししてお諮りするということでございますけれども、それが、そのプロセスというものがまだ始まってもおらない段階で批准の手続を先に済ませてしまうということにつきましては、これまでの憲法慣行といいますか、条約慣行におきましてはそういう方法は取っておりません。  これはやはり国会の御意思、国会の、国権の最高機関でございます国会の方で関係の法律についてお認めいただくということがあって、それで条約の締結についての内閣の、七十三条、憲法七十三条におきます権限でございますけれども、その両方の意思が両々相まって条約を締結していくというのが日本の憲法慣行といいますか、条約の締結の進め方ということでございますので、私どもといたしましては、基本的に、今回のこのICC規程に関しましても、基本的に、従来のそのやり方にのっとって取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  84. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 このICCの取組ということは、国際社会協力の中でいかに平和の枠組みを作っていくかという、正に日本が行うことができる次の一歩だということについては皆さん御賛同いただけると思うんです。しかしながら、ローマ規程が採択されてからもう既に六年がたっております。この六年がたっている間に、準備期間は本当に積極的に関与されたというさっきのお話ありましたが、この間、署名の機会も逃し、そして加入のカレンダーさえ明示できないということについて、今お話が国会の方に振られたようでしたが、川口外務大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  85. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 我が国としては、これについては締結を可能にするような国内整備を進め、そして締結をする、それを国会にお願いをしていくということであるかというふうに思っております。
  86. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 私が御質問をしたいのは、整備が諸外国と比べて、どうして日本が六年以上も掛かってカレンダーの整備一つもできない、ほかの国は大体二年から三年で整備ができている、この差はどうしてですかということをお伺いしているんです。
  87. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 先ほど、今までなぜできなかったか、どうして今後しばらく時間が掛かるのかという御説明を申し上げたというふうに思います。  それは、前半部分は、この間の国会でようやく成立をさせていただいた有事法制、それがこの間の国会までできなかったということでございますし、それから今後、幾つかのこれが所轄をする罪について国内法の整合性、これをきちんと整理をし、そして何が足りないということであれば、これについて国会に法律の成立をお願いをする、そしてそれを成立させていただくと、そういうことになるわけです。  ですから、そういった、何も国内法の裏付けがなくてということは国内で実施できないということですから、そういった裏付けがなくて批准、署名をする、あるいは締結をするということはあり得ないわけでございまして、その準備をきちんと鋭意今進めているということであるわけです。
  88. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 今、ジュネーブの追加議定書のⅠとⅡのことを先ほどからおっしゃっておられるんだと思います。もちろん、それは戦争犯罪に対しては一つの大きな前進であるわけでございます。しかしながら、あと二つの、人道に対する罪あるいはジェノサイドに対する罪についてはまだカレンダーもできていない。しかし、これは日本だけの状況ではありません。  先ほどから何度もお伺いしているのは、この全く同じICCの批准というものを突き付けられたときに、ほかの国が本当にこれをやるんだというときには、手を挙げて、まず署名なりあるいは批准法というものを作って真摯に取り組んでいくという姿勢がほかの国はある。しかし、日本は、その成立の過程においては一生懸命やったんだとおっしゃる割には、六年たった今でも全く手が付いていないということはどういうことなんでしょうか。
  89. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 先ほど来御説明を申し上げているつもりなのですけれども、国によってどのような手順で条約の締結と、それからそれを担保する国内法を考えていくかということには差があります。  我が国は、ずうっと、これは先ほど国際法局長からもお話をいたしましたけれども、きちんと締結を、条約を締結するからにはそれを実施できるという国内法の存在が必要である。その国内法が存在を現にしているか、あるいはそれが成立をすることについてめどが立っている、そういう状況でなければ署名を、幾ら署名をしたいとしても署名を行わないということでずうっと今までやってきているということであるわけです。  ですから、国によっては、意思があれば、国内法の成立は仮に見通しが立たないとしても署名をするというふうに考える国もあるかもしれない。日本はそういう考え方をしていないということであるわけです。  それからもう一つ、批准法、おっしゃいましたけれども、日本としてもずうっと、まあ理由は先ほど条約、条約局長じゃなくて国際法局長からお話を申し上げたと思いますけれども、日本としてもそういう物事の進め方はするということはやってきていないということでございまして、したがって、先ほど私が申しましたように、一部の担保する国内法については、先ほどその有事法制の枠組みの中でできて、その分は前進をした、これもずうっと成立をさせるという状況にはなかったといいますか、それが難しかったことをようやく国会でこの前、成立をさせていただいたというところであります。  今後まだ、繰り返しませんけれども、幾つかの国内法の担保が必要になるであろうと。それを、現にあるそれぞれのことについて担保をするべき法律があるのかないのか、どのような法律が必要なのか、そういうことの精査がまず必要であって、そういう精査を現在やっていて、その精査が終わった段階でそれを担保する国内法を作って、御審議をいただき、成立をさせていただくと、そういう過程を経ますので、今正にその過程にあるということを申し上げているわけです。
  90. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 余り時間もありませんので、この件についてこれを最後の質問にいたしますが、今、九十国を超えて批准をしていると、百国、百か国に近い状態に批准の数がなっているわけでございます。あらゆる国内法との整備の事情は各国お持ちだと思います。そうした中において日本一国だけが特別な国内法体系を持っているとおっしゃっているんでしょうか。何が一番大きな原因とお考えでしょうか。
  91. 林景一

    政府参考人(林景一君) お答えいたします。  私どもの法体系が特別であるとか特殊であるとかいうことを世界と比べて申し上げるつもりはございませんが、私どもとしては、先ほど申し上げましたように、条約という重たい国家の約束を結ぶからには、これがきちんと履行できるように、それは正に誠実に一つ一つつぶさに検討した上で締結するという、これはそういう取組の姿勢といいますか、あるいは表現によってはそれは文化かもしれませんが、そういう形で取り組んできたというところがございます。  それは、それがおかしいと、もう少しその姿勢だけ示して、後から手当てすればいいではないかという御意見としてはあろうかと思いますけれども、私どもとしてはそこは誠実に、入った段階から無理なく履行できるようにという形で取り組んでいきたいと、そういうことで一貫した方針で取り組んできておるわけでございまして、これを今変えなければならないというふうには必ずしも考えておらない次第でございます。
  92. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 意味がよく分かりませんが、条約が非常に重い意味を持っているというのは日本だけではございません。  もうこの辺で質問の切り口を変えたいと思います。  今年の四月の日本人の邦人人質事件についてお尋ねをいたします。  あの三人の人質の方が捕らえられ、そして日本に戻ってこられたときにマスコミのバッシングがあったわけでございますが、はっきり言いまして、この方たちは被害者であったわけです。その加害者であった、イラクの国内で起こったこの事件の加害者に対する訴追というのは日本政府としてどのような働き掛けをされておられるのか、お伺いいたします。
  93. 鹿取克章

    政府参考人(鹿取克章君) 四月の邦人の拘束誘拐事件、この事件のグループについては、サラヤ・アル・ムジャヒディンと、こういうグループと、グループとして名乗っていました。私どもは、この事件が起きましたときに、まず、この邦人の方々が早期かつ無事に解放されるよう最大限の努力を行うとともに、その過程で、犯人の特定を含む真相の究明に向けてイラク関係当局に協力を要請いたしました。しかしながら、本件の容疑者、犯人の訴追はまだイラク当局においては行われていないと承知しております。  私どもとしては、このイラク治安は依然として予断を許さないと、こういう状況にあるものでございますので、本件のような事件の捜査については引き続き困難があるということは考えておりますが、私どもとしても引き続きイラク治安状況については分析を進めていきたいと、こういうふうに考えております。  また、我が国においても、当初からこの事件の真相究明については努力を続けておりますし、また引き続き努力を続けてまいりたいと考えております。
  94. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 国境を越えて刑事犯罪の加害者に対する訴追を行うという一つの例として今申し上げたわけですが、これがICCの範疇に入るかどうかはまた大きな議論があると思いますが、もう一つの例としてここで注意を喚起したいのは、北朝鮮による日本人拉致事件でございます。  今年の四月十三日に、質問を出したこの資料が手元にございますが、北朝鮮による拉致問題が、やはり日本がICCの批准をして、そして国際的な場でこれを解決をしていくべきではないかという質問に対しまして、答弁書としましては、「現時点ではこの問題を国際刑事裁判所に付託する考えはない。」という回答が戻ってきているわけですが、これについて外務大臣の御意見をお伺いしたいと思います。
  95. 川口順子

    国務大臣川口順子君) これについて付託する考えはないということは今変わっておりません。  細かいことは国際法局長から申し上げると思いますけれども、我が国はまずこれに今締結をしているという状況でないということもございます。それから、これについては今真相、これについて解明をする、今北朝鮮側で再調査をするということを言っているわけでして、真相の解明を今鋭意やっているところ、事実関係についてまだ明確になっているという状況ではないということです。
  96. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 外務大臣にお尋ねしたかったのは、こうした二国間の、二国間にまたがるこの犯罪行為が、特に北朝鮮におきましてはマスコミの報道がどれだけなされているかという、国民感情の問題も含めまして、非常に難しい解決の道程だというふうに感じておることは間違いないと思うんです。  そうした中にありまして、このICCの批准によります国際刑事裁判所にこういう問題を付託することについて一つの希望をお感じになるかどうか、その点についてはいかがでしょうか。
  97. 林景一

    政府参考人(林景一君) これは、失礼しました、答弁書の内容を繰り返すつもりはございませんけれども、今、その拉致の問題につきましては、私どもといたしましては、日朝間でこの問題の解決に向けた交渉を行っていくということで一致していることのみならず、それが基本でございますけれども、そのICCとの関係におきましては、北がこのICCに入っておらないという状況でございまして、そういう状況であるからには、そもそも国際刑事裁判所につきまして協力する義務は負っておらないという問題というのがあるわけでございます。  これは、国際刑事裁判所、確かに人類の史上、非常に個人の刑事裁判を国際関係において行うという画期的な裁判所ではございますけれども、もう御案内のとおり、国際裁判所を裏付けるその検察あるいはその警察について強制力を持ったシステムというものを持っているわけではございません。  これは、各国協力によってそれを裏付けていく。その、何といいますか、引渡しにしても、正に私どもが検討しておりますその引渡しの手続なんかも、これは正に各国がそれをきちっとやらなければならない。締約国がその、何といいますか、国際裁判を行うための基礎を提供するというシステムがあるわけでございまして、したがって、この北の問題に関しましては、その北がメンバーでないという状況におきましては、これを、その捜査を強制するすべというのはない。  そういう中におきまして、それでは、この問題を付託するということが、現在日朝間でいろいろ交渉をやっている中で本当にいいのかどうかといったようなことを総合的に考慮いたしまして、付託する考えはないということを答弁書で申し上げたと、こういうことでございます。
  98. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 仮に北朝鮮の協力が得られない、あるいは北朝鮮が批准をしていないという状況におきましても、属人主義、いわゆる被害者が日本人であるということをもって、日本が批准をすればこれを付託することができるというふうに考えておりますが、この件はさておきまして、時間も迫ってまいりましたので、アメリカによります二国間協定についてのお話をしたいと思います。  先日来、アメリカはこのICCの米国人に対する追訴につきまして、安保理でのこの免責決議をやってまいりました。これについて川口外務大臣は、現実的な解決として一時は評価をされたという発言がありました。これは二〇〇二年の七月十七日の御発言ですのでまだ御記憶だと思うんですけれども、そうした中で、今年の六月には、御存じのようにイラクのアブグレイブ刑務所で米兵による虐待事件が起こり、そしてアメリカは安保理での免責延長決議を断念せざるを得ないという状況に追い込まれたわけでございます。これについての川口外務大臣の御意見をお伺いしたい。
  99. 川口順子

    国務大臣川口順子君) ちょっと、今御質問の趣旨をきちんと私が取ってお答えを今申し上げ、申し上げることができるか、若干間違うかもしれませんけれども、お許しをいただきたいと思います。  おっしゃったという、私が申し上げたという、評価をするということは、アメリカが二国間の、要するに米国民の訴追があるような場合には米国の合意を取ってほしいと、そういうことについて私が評価をする発言をしたと、そういうことでございましょうか。
  100. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 現実的な解決として評価をしたといいますか、表現です。
  101. 川口順子

    国務大臣川口順子君) かなり多くの国会答弁をしておりますので、ちょっとその、については具体的に記憶は私いたしておりませんけれども、いずれにいたしましても、これは二国間のその協定をやってほしいという話は米国はしているわけでございますし、日本に対してもそういう話はありました。  それで、日本としては、正にICC本体の、ICCの締結、これについて先ほど申しましたように検討中という段階でございますから、それに先駆けて二国間の協定を米国との間で締結をするということについて立場を、態度を決めるという段階には今ないわけでございまして、双方ともに検討中であるというのが今の日本の立場でございます。
  102. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 二国間の協定については検討中だというお話でしたけれども、もちろんよく御存じのように、この国際的な枠組みの中でICCを一つのてことして平和の枠組みを作っていこうという中で、もちろんアメリカを中心とする、もう既にこの二国間協定は九十か国超えるというふうに聞いておりますが、そうした協定を結ぶ国が増えるたんびにICCは機能していかなくなっていくという、そういう懸念が特にEUの諸国の中から出ているわけでございます。  そうした中にあって、これも一つのアメリカの、米軍のプレゼンスがあることによって平和の枠組みが作られていくという一方にはそういうこともあるではないかと、現実的な解決としてこれも評価をするという川口外相のお気持ちは今でも変わらないんでしょうか。
  103. 川口順子

    国務大臣川口順子君) その二国間協定が増えるたびにこのICCが機能しなくなっていくという危惧は、私は当たらないと思っております。  それは、そのICCの規程、正確に言葉を使って、今資料もございませんので、記憶によりますので、言葉を使わないと思いますけれども、基本的にまずその自分の国で訴追ができるわけでして、それを補完をするというのがICCであるわけで、アメリカはしたがって二国間協定を結ぶことによって何か新しいことを行うわけではなくて、本来ICCの規程の中でできることを協定という形にしているだけであるということであって、本質的にICCの機能を大きく変える、効果を変えるということになるわけではないというふうに思っております。
  104. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 この二国間の協定が増えることによってICCの機能が損なわれるとは考えないというそのお考え、表現は別としまして、それは明らかに間違いでございます。そういうお考えでは、決してこれはICCのこの積極的な採択に向けての日本政府の持つ態度とはとても言えない状況だと私は今感じました。  世界の医療団というNPOがございます。これは既にイラクに対しては三十年前から活動を、医療活動を行っております。今でも行っているはずでございます。  御存じのように、今年に入りまして、また違うNGOですが、国境なき医師団のメンバー五人がアフガニスタンで殺害されるという事件も起こっております。こうしたNPO、NGOの人道復興支援の最前線、長年こういう活動をやってきた人たちにとって……
  105. 太田豊秋

    委員長太田豊秋君) お約束の時間でありますので、簡単にお願いします。
  106. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 人たちにとりまして、このICC、いわゆる国際的な枠組みの中で、暴力の連鎖を繰り返さないために正義というものを作っていくというこの取組に対しては大きな希望を持っている。そして、日本が、もちろん日本外交の主軸は日米でございますが、しかしアメリカも一枚岩ではございません。クリントンの政権の末期にはこのICCに署名をしたという事実ももちろん皆さん御存じだと思います。いつまでたってもアメリカ追従のやり方ではなくて、やはり日本からアメリカに対してICCの批准を働き掛けていく、むしろ一緒になってこれを推し進めていくぐらいの矜持がなければ本当の枠組みはできないというふうに思っておりますことを申し添えます。
  107. 太田豊秋

    委員長太田豊秋君) 川口外務大臣、時間が来ておりますので、手短にお答えください。
  108. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 一言だけ申し上げたいと思いますけれども、二国間、アメリカ追随であるというふうにおっしゃられましたけれども、大変に大きな議論の飛躍があると私は思っております。  それから、そのICCの規程の中で、これは委員よく御案内のように、訴追の延期については認められているということはもうICCの規程の中にあるということであります。
  109. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 公明党の遠山清彦でございます。  最初に、外務省外務大臣にお伺いをいたしますけれども、先ほどもちょっと言及がありましたNGO、日本のNGOの邦人職員の現地活動についてちょっとお伺いをしたいというふうに思っております。  先ほども出ましたけれども、今年四月のあの邦人人質事件の後、日本の人道支援、緊急援助のNGOは邦人スタッフの現地イラクへの派遣というものを基本的にはしていないというふうに私も理解しております。政府外務省も基本的には、特にあの人質事件の後、治安状況が不安定な場所については派遣を自粛するようにと強く勧告をしているというふうに私理解をしておるわけでございます。政府外務省の立場から見れば、NGOが仮に自己責任の下に邦人スタッフを派遣をしたとしても、実際に彼らが現地で誘拐とか拉致の被害に遭った場合というのは、当然これは政府に邦人保護義務が生ずるわけでございますから、他の国のNGOのスタッフもいろいろな被害に遭っている現状にかんがみれば、邦人スタッフの派遣について消極的な立場になることは私も一定の理解をしているわけでございます。  しかし、私も議員になる前にNGOのアドバイザーで、イラクにも入っておりますし、それから東ティモールにも行って活動した立場から申し上げれば、一九九〇年代に入ってからもう、川口外務大臣よく御存じのとおり、日本に限らず国際社会全体の人道支援あるいは援助の現場でNGOの存在感というのは物すごく増大をしてまいりました。  その一つの背景というのは、仮に治安がかなり不安定で危険な状況であっても、国の機関がなかなかいろんな理由で制約を受けて動けないときでも、NGOはフットワーク軽く機動性を持って現場にすぐ駆け付けて、そして初動の大事な援助をすると。それができるのはNGOだということで、九〇年代に入ってからかなり、もう今は日本でも少なくとも、少なく見積もっても百以上そういう国際NGOありますし、また海外を含めれば三万以上そういう団体があるというふうに言われておるわけです。これは一九八〇年代には三千ぐらいしか世界じゅうでそういう団体がなかったという研究もありますから、十倍増えているんですね。  そういうことを考えたときに日本のNGO見たときに、欧米の、欧米諸国のNGOよりは出遅れましたけれども、最近は、ジャパン・プラットフォームに参加している団体に象徴されるように、かなりリスクマネジメント、危機管理能力の高いNGOの団体が出てきております。それからコストパフォーマンスにおいても、ODAの予算を活用してかなり顔の見える援助というものができる団体が増えてきているわけです。  ところが、この邦人の人質事件の後の今の状況が続くとなかなか、日本としてイラク支援にコミットしますよと言っていても、実際に日本のNGOは現場に行けない。それは政府の職員もそうなんですが、制約ありますから。そういう状況がずっと続いてしまう懸念があるわけですね。  私は他の先進諸国の例をちょこっと研究をいたしましたら、ほかの国においては、政府とNGOがこのリスクマネジメントあるいはセキュリティーマネジメントの部分について緊密な協議を行って、場合によってはガイドラインを作って、いわゆるNGOと政府のお互いの信頼の上に官民の役割分担と責任の所在を明確化して援助活動を、仮に危険な地域であっても行っているということがございます。  私はこれ、邦人人質事件の心理的ショックというのは非常に大きかったわけでありますから、なかなか日本人のスタッフが例えばイラクに行って再び現場で活動するというのは難しいというのは一般的な印象であることは私も当然理解をしておりますが、しかし、このままの状態でずっといっていいかというと、私はそうではないと思っております。  そういう意味で、是非、外務省とこのNGOの代表で、このリスクマネジメント、あるいは治安が不安定な状況であってもどういう条件と了解事項の下であればその活動ができるかということについて、場合によっては我々立法府のメンバーも入って真剣に話合いをした方がいいと思うんですが、外務大臣の見解をお願いいたします。
  110. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 遠山先生がおっしゃるように、NGOの活動というのは平和作りにはあるいはその復興にはなくてはならないものであると私は考えています。きめの細かさ、おっしゃったフットワークの良さ、これはNGOの方々でなければできないということがたくさんあるということであると思います。  また、御案内のように、今イラクでは、つい最近もフランスのACTEDの現地スタッフの方が殺害をされたというようなこともあるわけでして、なかなか難しい状況国連ですら、赤十字ですら攻撃の対象になっているという状況であるわけです。  それで、NGO、これはイラクに限らずということで、一般的にということで申しますけれども、そういった不安定な国、安全が必ずしも確定をしていない国においてNGOの方が活動するということはあるわけでございまして、外務省の今の考え方ということでいいますと、安全五原則というのがございます。それで、これは詳細には申しませんけれども、例えば、紛争地域における緊急人道支援活動の実績のあるNGOが経験を有するスタッフのみによって行うこと、二番目として、当該地域において国際人道機関の国際職員が活動しており、当該NGOが国際人道機関と密接な協力体制下にあること、あと時間の関係で約し、省略しますけれども、といった五つの原則というのがございます。そういった安全五原則を、それが確保されると、そういうことを前提に政府としてはそれらのNGOに対して資金援助を行っていると、そういうことでございます。  おっしゃった、そのNGOの、今イラクはそういう状況ですし、この間の事件から見ても分かりますように、日本政府がNGOの方を保護をする力には制約があるということ、限りがあるということについては、国民の皆様に承知、知っていただいたばかりだというふうに思いますけれども、今後のことを考えたときに、こういうところでイラク復興のために政府、今、自衛隊政府、ODAということでやっていますけれども、今後NGOの方にはどういうような形で入っていっていただけるのか、それについて情勢を見ながらリスクマネジメントという観点について議論を一緒にしていくということについては私はいつでもお話をしていったらいいんじゃないかと思っております。
  111. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 ありがとうございます。  大体、あらあら外務大臣おっしゃったとおりだと思うんですが、一点だけ、その安全五原則はいいんですけれども、私、四月の邦人人質事件でやっぱり象徴的だったのは、我々政治家とか、あるいは国民の皆さんとかがこの邦人人質事件をめぐっていろんな御意見ございました。ただ、私はこれは全く個人的な印象ですけれども、マスコミの報道ぶりがぶれたんで、それに伴って世論もぶれたり政治家の発言もぶれたりしたということが実際あったんではないかと。つまり、人質事件が発生したときに、最初はどちらかというと自衛隊派遣に絡めた御批判がマスコミの皆さんからありました。ところが、その後だんだん今度人質に取られた方々の家族に対する批判をあおるような報道があって、人質の方々が助かって帰ってきたときにはその人質に対するややネガティブな印象を与えるような報道があって、ところが今度その後には政府に対してまた批判的なものが揺り戻してくるというようなことがあって、私はかなりマスコミの報道に影響された事件だったなというふうに国内的なコンテクストでいえばそう思っています。  そこから考えたときに、仮にNGOの皆さんと行政の、外務省の皆さんと話し合う場合には、いわゆるメディアとの関係でいいますと、この人道の問題を政治化しないということの了解はNGOと行政、両方がちゃんと持っておいた方がいいと思うんですね。そうしないと、結局、お互いにNGOのスタッフと行政の側ではある程度の合意があって現地日本人が活動した、しかしその日本人のスタッフが不測の事態に直面をしたときに一体これはだれの責任なんだと、だれの努力で救わなきゃいけないんだというところで結局マスコミのいろんな報道が入ってきて混乱をするということがあると思いますので、これは私の要望として、NGOの皆さんと話をするときに、いわゆる人道支援にかかわるスタッフの命に及ぶ問題が起こったときにそれを政治化しないということは了解をしておく必要があるんじゃないかというふうに思っております。  ちょっと時間がありませんので、次の質問に行かせていただきます。  イラク復興支援で、去る七月二十三日に、国連環境計画、UNEPが、メソポタミア湿原、イラク南部湿原とも呼ばれておりますけれども、その復元事業についての計画を発表いたしました。我々公明党は、さきの通常国会の代表質問でも、神崎代表、それから参院で浜四津代表代行から日本イラク復興支援の柱としてメソポタミア復元、湿原復元事業の支援に取り組む要請をしてまいったところでございまして、大変な歓迎をしているところでございます。  このUNEPが出したプレスリリース、七月二十三日付けを見ますと、このUNEPの事務局長のテプファー氏はこういうふうに言っております。ちょっと引用させていただきますと、メソポタミアの湿原は中東及び西ユーラシア地域において最大の湿地帯生態系を構成している。また、文化的にも重要であると。UNEPは常にイラク湿原に関心を持ち続けて、それらの破壊を検証して、世界に湿原の消滅を警告してきたと。それゆえに、私は、日本政府イラク湿原、そしてマーシュ・アラブの人々のために踏み出したことを非常に喜んでいるという歓迎のコメントを出しているわけでございますが、このプロジェクトは日本イラクの信託、復興信託基金に拠出した資金から千百万ドルを活用して行うということでありますけれども、このプロジェクトの中身の概要と、また日本政府としてどういう形で関与していくのか、簡潔に御答弁いただければと思いますけれども。
  112. 石川薫

    政府参考人(石川薫君) お答え申し上げます。  ただいま遠山委員から御指摘いただきました国連環境計画、UNEPでございますけれども、いわゆるメソポタミア湿原を対象としまして、第一に、環境に配慮した浄水や下水処理の技術を提供し、また水資源を統合的に管理する技術を提供するために、そして第二に、具体的にはイラク人専門家の研修、イラクの湿原管理のための情報ネットワークの整備、会議開催や広報などを行い、さらには試験的なプロジェクト、いわゆるパイロットプロジェクトでございますけれども、を行うことを計画しております。  このUNEPの中でこの事業を担当する部局は、大阪市と滋賀県の草津市に事務所がございますUNEPの国際環境技術センターでございます。UNEPは、メソポタミア湿原に関心を持つ各国政府イラク政府の関係省庁部局、関係国連機関などとの間で連絡と連携を取るというところから着手する考えである、そのための具体的な対話を九月下旬をめどに行うということを検討中でございます。また、UNEPはこの事業の実施期間として一年間程度予定していると、かように承知しております。  遠山委員御指摘のように、日本はどうかという点につきまして一言補足申し上げさせていただきますと、ただいま申し上げさせていただきましたように、日本に所在するUNEPの部局が主体となって実施されるということもございまして、外務省としましては、日本の技術や知見で応用可能なものがあればこの事業に活用していくことが望ましいと考えております。関係する省庁と引き続き協議を進めたいと考えております。
  113. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 続きまして、環境省に関連で伺いますけれども、今このメソポタミア湿原というのは大体四国ぐらいの大きさがあって、サダム・フセインの時代に九割以上が破壊をされて、ただ、私も最近アメリカにありますイラク・ファウンデーションの研究を読んでおりますと、この一年間で大体四割から五割、水が湿原地帯へ戻ってきたということもありまして、これから本格的に国連もやっていくわけですが、環境省にお伺いしたいのは、日本の環境省、政府の中、また日本の民間企業にこの湿原の復元事業のノウハウはどの程度蓄積をされているのか、お答えいただきたいと思います。
  114. 小島敏郎

    政府参考人(小島敏郎君) 日本はこれまでの環境保全の取組を通じまして、排水処理あるいは生態系保全などのノウハウを持っておりますし、途上国に対する環境協力に取り組んできた経験も持っております。湿原の復元におきましては水の問題が非常に重要でございますが、例えば排水あるいは水処理ということにつきましては、植物を使った浄化技術、あるいは工学的に言えば、これは日本独自の技術でございますが、生活排水に対する浄化槽の技術、あるいは工場に対する水処理技術というようなものがございます。また、湿地につきましては、国内の尾瀬、サロベツ湿原の経験もございますが、海外でもイランのアンザリ湿原、あるいはモンゴルのウギ湖、これはラムサールの指定湖沼でございますが、などでの実績がございます。  しかし、環境協力実施当たりましては、この地域は塩害でありますとか、あるいは乾燥、高温という気象条件を考えていかなければなりませんし、とりわけ自然環境の保全の協力実施する場合には、当時の、あるいは元々の生態系がどうであったかというような現地のデータ、あるいはそれに精通した専門家の育成ということが不可欠であります。  こういうことを念頭に置きまして、環境省では当初から今、今度の実施主体になりますUNEPの国際技術環境センターと連携を図りながら、自然や水、中東地域の専門家などの参加を得て検討会を設置をして、このメソポタミア湿原などの環境分野でどのように協力を進めていくか、その検討を進めているところでございます。
  115. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 今回のUNEPの事業は、多国間協力、マルチの中での支援事業になっておりますけれども、是非、外務省、環境省を中心にバイの、二国間協力の中でもできることをやっていっていただきたいというふうに思います。  最後に、防衛庁長官、時間がなくて恐縮でありますが、私、昨年の十二月、神崎代表とサマワに行かせていただいたときに病院を見てまいりました。現地サマワで、やっぱりこのプライマリーヘルスケア体制の不足の問題なんかが非常に私、印象に残っておるんですが、自衛隊が、陸上自衛隊現地に行きまして約半年たっているわけでありますけれども、医療支援活動についての成果はどのようなものか、簡潔に御答弁いただきたいと思います。
  116. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 先生現地に行かれまして、そこにおかれまして得られました知見等々、私どもも参考にさせていただいているところでございます。  先ほど運用局長の方からも冒頭御説明を申し上げましたが、今先生が御指摘の、例えて申しましたPHC、プライマリーヘルスセンターですね、これの補修も開始をいたしております。あるいは、七月二十四日におきましては、宿営地におきましてサマーワ救急センター要員に対する医療指導実施をいたしておるところでございますし、また、宿営地におきまして、私ども宿営地で大々的に病院ですよ、来てくださいよということを言っているわけではございませんが、宿営地におきまして、現地で雇用しております方々を含む現地住民延べ百四十名に対しまして、医療相談及び緊急、救急措置等を実施をいたしておるわけでございます。  大きな目に見えるもの以外に、例えばプライマリーヘルスケアみたいなものの重要性も私どもよく認識をしておるところでございまして、そういうような本当にきめ細かい医療体制というものも、もちろん主体は現地の方々でありますが、私どもとしてできること、自衛隊がやったの本当に助かったよと言われる事例を増やしていくことが重要なことかと考えております。
  117. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 ありがとうございました。  終わります。
  118. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 日本共産党の緒方靖夫です。  イラク戦争の大義について質問させていただきます。  先月、アメリカとイギリスで相次いでイラク戦争に関する調査報告書が発表されました。二つのこの報告書が明確にしたことは、結局、開戦を決定した時点で米英政府イラクが大量破壊兵器を保有していると断定した判断に根拠がなかったという点だったと思います。当時、アメリカ政権はイラクの大量破壊兵器の保有について大々的に述べてイラクへの戦争の世論を作ってきたと思います。パウエル氏も、アメリカ政府のこの判断が結果的に不正確で誤りであった、意図的にミスリードしたと認めております。  国際の平和と安全をめぐって世界の焦眉の問題になっていたこの問題で、アメリカのこうしたやり方について大臣は是とされるのかどうか、端的にお伺いいたします。
  119. 川口順子

    国務大臣川口順子君) イラクの戦争の大義というふうにおっしゃられましたけれども、イラクに対する英米の武力行使の前に国連決議に照らして日本がこれを支持したということについては正しかったということについては、相当に御説明を何回もさせていただいたというふうに思っております。  まとめて一言で申し上げれば、イラクはかつて実際に大量破壊兵器を使ったわけでございます。そして、多くの、このほかにも多くの大量破壊兵器に関する疑惑があるということでございまして、査察への非協力ほか累次の安保理の決議に対しまして重大な違反を継続的に繰り返してきたということで、このことについては関連の安保理の決議や、そして安保理の、安保理のというか国連の査察団の報告、これによって明らかにされてきたということであって、これは国際社会の一致をした認識であったわけでございます。  そういったその中で、米英等によりますイラクに対する武力行使ですけれども、これは国際の平和と安全を回復をするというその明確な目的の下で、武力行使を求める、認める国連の第七章、憲章の第七章、これにのっとっているものであるわけでございます。その下で採択をされたその決議でありまして、正に国連憲章にのっとっているということはずうっと今まで繰り返しお話をさせていただいたということです。  大量破壊兵器の疑惑というのは、国際社会全体が現在大きな脅威と感じていることであります。我が国を取り巻くこの地域とも無縁ではないわけでございまして、武力行使なしに大量破壊兵器の脅威を取り除くことができないと、そういう状況に至って、我が国としては国益に照らしてこれを支持したということについて何回も繰り返しあの当時申し上げたわけでございます。米英の武力行使というのは国連安保理決議に基づいて行われたものであります。日本としてこれを支持をしたということについては正しかったと現在も思っております。
  120. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 肝心の答えがないんですがね。今大臣が言われたことは、私は国際的には通用しないことだと思います。累次の国連決議に基づいて云々ということも通用しないと思います。  ただ、私が尋ねたのは、要するに今度の二つの報告書が出した結論ですね、イラクにかつて大量破壊兵器があったこと、それはこの報告書も認めております。しかし、開戦の時点ではなかった、それに確たる証拠はなかったと述べている。そのことについて、こうした結論について、そしてまたアメリカがそういう結論についてパウエル氏も言っているように世論をミスリードしてしまった、そして不正確で誇張された情報だったという、そういうことを述べている、そういうことに、そういうことを大々的に宣伝しながらこの戦争に踏み切ったことについてこのアメリカのやり方の是非を聞いているんですよ。簡単にお答えください。
  121. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 大量破壊兵器が現在イラクにはないという断定をその二つの報告書がしていると私は思っております。
  122. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 そんなこと言っておりません。開戦時になかったと。
  123. 川口順子

    国務大臣川口順子君) はい。
  124. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 開戦時になかったと。
  125. 川口順子

    国務大臣川口順子君) いや、開戦時になかったと、現在同じことを申し上げているんだと思いますけれども、開戦時になかった、現在もないということを申し上げているわけで、そういうことをその報告書が言っているというふうには思っておりません。  先ほど御説明を申し上げましたのは、アメリカは今までの安保理決議、これにのっとって、これはあの一四四一をひもといてみていただいてもお分かりになると思いますけれども、イラクが継続的に国連安保理の決議に従うということをやらなかった、要するに違反をしてきたということは、これは満場一致といいますか全会一致であのとき採択をされた決議であります。そういったあの六七八から始まる、から一四四一に至るまでの幾つかの決議、これに基づいて英米は武力行使をしたということであって、それは正しいということで申し上げているわけです。
  126. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 イラクの戦争か平和をめぐるその時点で、結局アメリカが、自らパウエル氏も認めているように、不正確で誇張された情報を使ってそして戦争に踏み切ったと、そのことについてパウエル氏もそれに対して極めて残念だということを述べているわけですよね。それについての大臣のお考えを聞いているんですよ。
  127. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 米国のその情報組織の問題について、これは米国でいろいろ調べられた、そして英国も同じようなことをやった、それの中身について、私としての立場でそれは正しい調査であるとかそうでないとかいうことを申し上げる立場にはないと思っております。  ただ、その調査の結果がいずれどういうことであれ、私が申し上げているのは、英米が当時武力行使を行ったということについて、正にイラクの累次の国連決議に対する違反、これを、これに対してこたえなかった、例えば例を挙げれば査察団が求めている条件を満たさなかったとか幾つかいろいろなことがあったわけですね。累次の違反があったということについて、しかも継続的に違反をしてきたということについて、国連の査察団もそう言っている、そういう状況があって、したがって国連安保理に基づいて武力行使が行われたということであって、米英の調査報告書の結果と今のそのどういう理由で武力行使に踏み切ったかということとは直接的には関係があるということではないと思います。
  128. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 とんでもない事実誤認だと思いますね。やはり、国連の査察の委員長をやったブリックス氏は、アメリカのそうした主張に対して、大量破壊兵器があるという主張に対して、アメリカが作った都合のいい現実だということで厳しく批判していることは御存じだと思いますよ。ですから、私は、結局このイラク戦争というのは疑いの段階で始めたと、そのことを報告書が示していると思うんです。  そして、大事なことは、結局、国連憲章とのかかわりでいえば、アメリカ自身、国連憲章に拘束されない、国連にも拘束されない、これはブッシュ大統領自身が言明しているわけですよ。あるいはまた、アメリカの戦略として、先制攻撃を取るということも言明しておるわけです。ですから、そういう中であって、アメリカ国内でさえも、今の大統領選挙のさなかに、アメリカが歴史上これほど孤立したことはない、同盟国からも離反されているという、そういう批判さえも生まれているわけです。あるいはアメリカの同盟国の中にだって、あるいは親米的な気持ちが強いアラブ諸国の中でさえも、やはりアメリカのこうしたやり方は良くない、やめてほしいという批判がある。このことは現実だと思うんですね。  ですから、私は、最後にお聞きしたいと思いますのは、こうした先制戦略に基づくアメリカの外交について、これについて大臣はその外交を率直にどう思われるのか、伺ってみたいと思います。
  129. 太田豊秋

    委員長太田豊秋君) 川口外務大臣、時間になっておりますので、手短に簡潔にお願いいたします。
  130. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 簡潔に申し上げたいと思いますが、非常に大きなことをおっしゃっていらっしゃるのでなかなか難しいんですけれども、先ほど来もおっしゃられた、アメリカが国連に拘束されないと言っている、そんなことをアメリカは言っていません。それから、アメリカが孤立している、果たしてそうでしょうか。それから、ほかの国がアメリカから離反している、そうでしょうか。いろいろなことをおっしゃられましたけれども、子細に言えば、細かく御説明を申し上げればお分かりいただくと思いますけれども、そういうことではないということであって、そういうことを前提に日本は米国を考えていないということであります。  米国は日本との間で日米の安保条約を結んでいる同盟、唯一の同盟と言っている国である。日本が、我が国我が国のその平和と安全、我が国を守る、国益を守るということに真剣であるならば、それでは安保条約を除いて一体どういうことが可能なのか、いろいろなことを考える必要があると思います。私はその米国は我が国にとって重要な同盟国であると思っております。
  131. 太田豊秋

    委員長太田豊秋君) 時間であります。
  132. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 はい、分かりました。一言です。  ブッシュ大統領が国連に拘束されないということを述べております。あるいはまた今、大統領選挙の中でブッシュ大統領の対立候補は同盟国からの離反、あるいはまたかつてない孤立化、述べているじゃありませんか。私はやはりこうしたことをきちっと見て日本の外交をきちっと進めるべきだと、このことを述べて質問終わります。
  133. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 社民党・護憲連合の大田でございます。  最初に、通告はしておりませんが、簡単な質問をさしていただきます。防衛庁どなたでも結構ですので、お願いいたします。  先ほどのイラクにおける自衛隊活動について防衛庁から御報告がありましたが、その中で一日当たり約五百名から六百名の雇用を作り出しているというお話がございました。この雇用している人たちへの給与はどこが払っているんでしょうか。自衛隊が払っているんですか、それともイラク政府が払っているんでしょうか。
  134. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) これの給料は、当然イラク政府が払っておるわけではございません。私ども自衛隊の方からお支払いをしておるという形になっております。
  135. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 あらましで結構ですが、どれくらいのお金を払っておりますか。
  136. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 金額について正確な数字を私、今持っておりません。後ほどお知らせをいたしたいと思いますが、それは現地の皆様方の雇用の状況に即しまして、常識的な額であるというふうに承知をいたしております。
  137. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 イラクの主権移譲後の多国籍軍への自衛隊派遣について、小泉総理は去る六月八日の日米首脳会談で、国会に諮ることもなく早々と参加すると表明されました。その後、政府は六月十八日の閣議で正式に自衛隊参加を決定いたしました。  しかし、本件が果たして閣議決定だけで済む問題なのか、つまり国会承認に係る案件ではないのか、甚だ疑問であります。  政府が閣議決定でよしとした理由について、ごく簡単に内閣官房から御説明ください。
  138. 増田好平

    政府参考人(増田好平君) 一般に外国の部隊が他国で活動するに当たりましては、円滑かつ適切に活動を行うことができますように、適切な法的地位を確保することが必要でございます。  ただ、このことは、条約とか例えば地位協定といった国際的な取決めの形式に必ずしもよるものではないと承知しております。  統治権限移譲後の多国籍軍の法的地位につきましてはCPA命令第十七号というものによって確保されることが確認されておりまして、現在、自衛隊は多国籍軍の中で活動しているということによりまして多国籍軍要員として所要の法的地位が確保されているところでございます。  このように、イラク活動する自衛隊の法的地位はしかるべく確保されておりまして、この点につき何ら問題はないと考えております。
  139. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 今、そこまでは聞いておりませんでしたけれども、次に聞こうと思っていたところを先に答弁していますから、これはちょっといかがかと思います。  多国籍軍の指揮権について、湾岸戦争における多国籍軍の指揮権と今回のイラク決議を受けた多国籍軍の指揮権は同じようなものなのか、あるいは違うとすればどこがどう違うのか、ごく簡潔にお答えください。外務大臣、お願いします。
  140. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 防衛庁長官の方が適切かもしれませんけれども、まず湾岸のときの多国籍軍の指揮ですけれども、これは公開資料を見ますと西側連合軍とアラブ諸国軍の二つが併存をしていたというようなことなどが書かれているわけでありますけれども、日本はその湾岸の多国籍軍参加をいたしておりませんでしたので、武力行使自体を目的としたのがこの湾岸の多国籍軍ですから、この軍事行動の中でこれが具体的にどのような関係を意味をしていたのかということについて、我が国にとってはこれは明らかではないことでございます。  それで、現在の方でございますけれども、これは従来から申し上げていますように、多国籍軍の、このイラクの多国籍軍につきましては、これはイラク暫定政府の要請を踏まえまして、治安維持活動やそれから人道復興支援をその任務、目的にしているわけでございます。イラクの、それを目的に含むというふうに申し上げた方がいいと思いますが、イラク国籍軍の統合された司令部ということを申し上げておりますが、それと参加をしている各国部隊、これとの具体的な関係、これにつきましては、それぞれの部隊の任務、目的、これは、あるいは活動内容は様々でございまして、その内容に応じて異なるということでございます。
  141. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 政府は今回、自衛隊イラクの多国籍軍参加させるに当たって、六月十八日の閣議決定で自衛隊日本に指揮権があるとの見解を示し、この点について米英側も了解していると説明されました。  そこで、外務大臣に多国籍軍の指揮権について改めて伺いますが、米統合参謀本部教範によると、指揮権について説明がなされております。それによりますと、派遣国の各国軍の国家指揮権と指揮権の一部である作戦統制及び詳細な指示を出すことができる戦術統制の指揮権があり、国連などの自国以外の司令官に指揮権の一部をゆだねることができると解説されています。国家指揮権と作戦統制及び戦術統制の指揮権とどう違うのか、お答えください。
  142. 海老原紳

    政府参考人(海老原紳君) 外務省といたしましては、米国の軍の中で使用されている文書であります米統合参謀本部教範につき詳細を承知する立場にはございません。  したがいまして、そのようなものにつきまして確定的な解釈を行うことも適当ではないと考えますので、今御指摘のありました国家指揮権、作戦統制あるいは戦術統制の違い、その関係についてお答えするのは困難でございます。
  143. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 国会図書館の「調査と情報」によりますと、湾岸戦争の多国籍軍を例に挙げますと、フランスを除くイギリスなどの西欧諸国派遣した自国の軍隊に対する国家指揮権、ナショナル・コマンド・オーソリティーと言っていますが、は維持しているが、作戦統制を米軍にゆだねていると報じられています。一方、フランスは国家指揮権を維持しつつ戦術統制を米軍にゆだねる形を取ったということであります。  つまり、国連決議による多国籍軍の編成に当たっては、それぞれの国は自国の軍隊に対して国家指揮権を保有して行使するが、その一部である作戦統制、戦術統制を他国又は国連機関に委任することができるようになっているわけですね。  ですから、今回の米英側が我が国の指揮権を了解したということはそれは国家指揮権のことであって、多国籍軍の作戦統制及び戦術統制に係る指揮権とは別の問題だと私は考えるわけですが、つまり、参加するにしろ協力するにしろ多国籍軍に加わった自衛隊治安維持等のための武力行使を任務とする多国籍軍の何らかの指揮に服するということになると思うんですが、今申し上げた、その点についてどのようにお考えですか。もし防衛庁長官がよければ、どうぞ。
  144. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) それはいずれにいたしましても指揮を受けるということはございません。それは強制を伴うということを中核概念といたします指揮を受けることもございません。行えるのはあくまで調整が行われるのでありまして、これは、指揮という言葉あるいは統制という言葉はこれは各国によってとらえ方が違いますので、言葉を厳密に定義した上でなければ誤解を招き、議論が混乱すると思いますが、私どもが現地において行いますのはあくまで調整でございます。  それは全体のオペレーションを行います中で何を行うのが一番適切であるかということの目的の下に、その目的遂行のために調整を行っているわけでございまして、それはそのことをもってお答えとせざるを得ないと思います。それが統制に服しているのかと言われれば、一つの目的成就に向かってというような概念で申し上げますと、統制に服しておるという言い方もそれは一般的にはできるかもしれませんが、それを軍事用語で、また各国の定義に従いましてここできちんと御説明をするということは必ずしも適切ではないものと考えております。
  145. 太田豊秋

    委員長太田豊秋君) 大田昌秀君、時間です。
  146. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 ちょっと今の長官の御説明には納得しかねます。  つまり、各国によって統制とか指揮権というものが定義が違うとなったら、多国籍軍そのものの存在が危ぶまれるわけですね。つまり、一定の定義の下にあってちゃんとアメリカの方は定義しているわけですよ。ですから、それに従ってしかやれないと思います。  私が今、政府が従来繰り返して自主的な判断とか、あるいは日本の独自の立場を貫き得るということをおっしゃっているのは、今私が申し上げた国家の側面のものであって、戦術的な面になったら決してそうはいかないと思いますが、違いますか。
  147. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) それはございません。  まず一つは、私どもは武力行使をするわけではない、人道復興支援安全確保支援を行うということでございます。もう一つは、私どもはイラク特措法に基づいて行動を行うわけでございまして、それに反したことというのは当然行えないわけでございます。そこにおいて強制とか指揮とか命令とか、そういう概念が入ってくる余地はございません。  したがいまして、私どもが、先生が指揮とおっしゃろうが統制とおっしゃろうが、私どもがそれに従わなければならないという関係には全くないわけでございます。
  148. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 終わります。ありがとうございました。
  149. 太田豊秋

    委員長太田豊秋君) 本日の質疑はこの程度といたします。     ─────────────
  150. 太田豊秋

    委員長太田豊秋君) これより請願の審査を行います。  第二号イラク国籍軍からの自衛隊の撤退に関する請願外八件を議題といたします。  これらの請願につきましては、理事会において協議の結果、保留とすることに意見が一致いたしました。  以上のとおり決定することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  151. 太田豊秋

    委員長太田豊秋君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。     ─────────────
  152. 太田豊秋

    委員長太田豊秋君) 継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。  イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動等並びに武力攻撃事態等への対処に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  153. 太田豊秋

    委員長太田豊秋君) 異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  154. 太田豊秋

    委員長太田豊秋君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  155. 太田豊秋

    委員長太田豊秋君) 委員派遣に関する件についてお諮りいたします。  閉会中の委員派遣につきましては、その取扱いを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  156. 太田豊秋

    委員長太田豊秋君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時六分散会