○山根隆治君 私は、
民主党・
新緑風会を代表して、ただいま議題となりました
平成十六年度
予算三案に対し、反対の立場から討論を行うものであります。
小泉内閣は、過去三年もの長きにわたり、構造改革と称し、国民に不安を与え痛みばかり押し付ける政治を行ってまいりました。
小泉改革の三年間にわたる失政は厳しく問われなければなりません。
イラク戦争の大義であった大量破壊兵器がいまだ発見されないまま、政府は自衛隊のイラク派遣をなし崩しで強行しました。我が党は、被災したイラク国民に対する人道復興支援については積極的に取り組むべきものと考えますが、それには米国追従の自衛隊派遣ではなく、我が国が主体的立場で国連を中心とした国際協調体制を構築する中で、イラク復興支援の在り方全体を見直すべきであります。そう強く今日まで主張してまいりました。
一方、内政問題に目を向けますと、
小泉政権が掲げた様々な改革案はいずれも看板倒れの先送りに終わり、まともな改革など
一つも見当たりません。鳴り物入りでスタートした道路公団民営化は、不採算路線の建設取りやめなど、当初期待された改革の理念とは似ても似つかない骨抜きの内容と断ぜざるを得ません。年金制度改革を見ても、単なる数字合わせとその場しのぎの妥協の産物にすぎず、およそ改革の名に値するものではありません。国と地方の税財政改革である三位一体改革に至っては、地方に痛みを押し付けるだけのものでしかありません。
小泉内閣の掲げる構造改革は、すべてが掛け声倒しのごまかしに終わっております。三年にも及ぶまやかしだらけの政治は、その矛盾を国民に押し付けるだけであり、断じて認めるわけにはまいりません。
以下、本
予算案に対する主な理由を申し述べます。
反対の第一の理由は、抜本的な年金制度改革を行わず、給与を引き下げ、国民に大幅な負担増のみを強いる内容となっている点であります。
小泉内閣は、
平成二十九年度までに厚生年金保険料の上限を一八・三%に固定することで、給付水準は現役収入の五〇%を確保すると宣伝しております。しかし、そもそもこの数字はある特定の前提条件を置いたモデル世帯そのものにすぎず、かつ、その試算の前提となる出生率や経済見通しも極めて甘く実現不可能な内容であり、国民を欺く誇大広告であると断ぜざるを得ません。現行制度の延長線上で負担と給付の在り方を調整するだけの小手先のつじつま合わせはもはや限界に達しており、このままでは国民の将来不安や制度不信を払拭できないばかりか、単なる国民への負担の押し付けでしかなく、到底認めるわけにはまいりません。
反対の第二の理由は、三位一体改革により、政府の失政のツケを地方に押し付けている点であります。
地方交付税及び地方向け補助金がそれぞれ一兆円以上削減された上に、臨時財政
対策債も大幅に削減される中で、国からの税源移譲などの財源
措置はわずか四千五百億円にとどまっております。このため、地方はこれまでの歳出削減努力だけでは対応できず、借金を、取り崩すなど、基金を取り崩すなど、持続可能な
予算編成が困難な
状況に陥っております。このような地方へのしわ寄せを強いるだけの改革など言語道断です。
反対の第三の理由は、破綻の危機に直面している我が国財政の再建への道筋が一向に見えない点であります。
本
予算案では、国債発行額は約三十六・六兆円と過去最高になり、租税収入は約四十一・七兆円と一般会計の半分しか賄うことができない異常な事態となっております。にもかかわらず、本
予算案では、交付税特会への返済繰延べなどの隠れ借金を続けるなど、一時しのぎの対応を繰り返しており、借金依存の構造から脱却する目途が全く立っておりません。かかる危機的財政
状況下の下、二〇一三年度にプライマリーバランスを黒字化するとの虚言を吐きながら、無
責任な財政運営を放置する本
予算案に我々は断固反対の意思を表明するものであります。
以上、本
予算案に反対する主な理由を申し述べました。
小泉内閣は、構造改革が全く進まないツケと天文学的な借金を、そして、現在そして将来の国民へ押し付ける本
予算案は、改革断念
予算、いや、国民虐待
予算と呼ぶほかなく、正に
小泉内閣三年間の失政を象徴するものと断ぜざるを得ません。ビジョンなきつじつま合わせの
予算が行き着く先は、我が国財政の破綻であり、国民生活の崩壊であります。我が国の将来を背負う能力も
責任もなく、ただ崩壊へと導くだけの
小泉内閣の一刻も早い退陣こそが、国民の最大の利益になることを申し上げ、反対の討論を終わります。(拍手)