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2004-06-14 第159回国会 参議院 本会議 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年六月十四日(月曜日)    午後四時三十三分開議     ━━━━━━━━━━━━━議事日程 第三十号   平成十六年六月十四日    午後三時開議  第一 特定船舶入港禁止に関する特別措置   法案衆議院提出)  第二 公益通報者保護法案内閣提出衆議院   送付)     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  一、日程第一及び第二  一、私立学校教職員共済法等の一部を改正する   法律案内閣提出衆議院送付)  一、地方公務員等共済組合法等の一部を改正す   る法律案内閣提出衆議院送付)  一、武力攻撃事態等における国民保護のため   の措置に関する法律案内閣提出衆議院送   付)  一、武力攻撃事態等におけるアメリカ合衆国の   軍隊行動に伴い我が国が実施する措置に関   する法律案内閣提出衆議院送付)  一、武力攻撃事態等における特定公共施設等の   利用に関する法律案内閣提出衆議院送付   )  一、国際人道法の重大な違反行為の処罰に関す   る法律案内閣提出衆議院送付)  一、武力攻撃事態における外国軍用品等の海上   輸送の規制に関する法律案内閣提出、衆議   院送付)  一、武力攻撃事態における捕虜等の取扱いに関   する法律案内閣提出衆議院送付)  一、自衛隊法の一部を改正する法律案内閣提   出、衆議院送付)  一、日本国自衛隊アメリカ合衆国軍隊との   間における後方支援、物品又は役務の相互の   提供に関する日本国政府アメリカ合衆国政   府との間の協定改正する協定締結につい   て承認を求めるの件(衆議院送付)  一、千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ諸   条約の国際的な武力紛争犠牲者保護に関   する追加議定書議定書Ⅰ)の締結について   承認を求めるの件(衆議院送付)  一、千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ諸   条約の非国際的な武力紛争犠牲者保護に   関する追加議定書議定書Ⅱ)の締結につい   て承認を求めるの件(衆議院送付)  一、児童手当法の一部を改正する法律案内閣   提出衆議院送付)  一、財政金融委員会において審査中の金融機能   の強化のための特別措置に関する法律案及び   預金保険法の一部を改正する法律案について   、速やかに財政金融委員長中間報告を求め   、委員長報告を行わないときは事故あるも   のとみなして理事報告させることとし、報   告時間を十分以内とすることの動議をこの際   議題とすることの動議金田勝年君外一名提   出)  一、財政金融委員会において審査中の金融機能   の強化のための特別措置に関する法律案及び   預金保険法の一部を改正する法律案について   、速やかに財政金融委員長中間報告を求め   、委員長報告を行わないときは事故あるも   のとみなして理事報告させることとし、報   告時間を十分以内とすることの動議金田勝   年君外一名提出)  一、金融機能強化のための特別措置に関する   法律案及び預金保険法の一部を改正する法律   案の中間報告  一、中間報告があった金融機能強化のための   特別措置に関する法律案及び預金保険法の一   部を改正する法律案は議院の会議において直   ちに審議することの動議金田勝年君外一名   提出)  一、金融機能強化のための特別措置に関する   法律案内閣提出衆議院送付)  一、預金保険法の一部を改正する法律案内閣   提出衆議院送付)  一、両案に対する質疑討論その他の発言時間   は一人十分に制限することの動議金田勝年   君外一名提出)      ─────・─────
  2. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) これより会議を開きます。  日程第一 特定船舶入港禁止に関する特別措置法案衆議院提出)を議題といたします。  まず、委員長報告を求めます。国土交通委員長輿石東君。     ─────────────    〔審査報告書及び議案本号(その二)に掲載〕     ─────────────    〔輿石東登壇拍手
  3. 輿石東

    輿石東君 ただいま議題となりました法律案につきまして、国土交通委員会における審査経過と結果を御報告申し上げます。  本法律案は、近年における我が国を取り巻く国際情勢にかんがみ、我が国の平和及び安全を維持するため、特定船舶入港禁止する措置について定めようとするものであります。  委員会におきましては、提出者衆議院国土交通委員長より趣旨説明を聴取した後、法律案提出背景入港禁止に係る閣議決定を行う場合の要件本法制定対外交渉に及ぼす影響等について質疑を行いましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。  質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して大沢委員より本法律案反対する旨の意見が述べられました。  次いで、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────
  4. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) これより採決をいたします。  本案賛否について、投票ボタンをお押し願います。    〔投票開始
  5. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。    〔投票終了
  6. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数          百八十六     賛成            百六十一     反対             二十五    よって、本案は可決されました。(拍手)     ─────────────    〔投票者氏名本号末尾掲載〕      ─────・─────
  7. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 日程第二 公益通報者保護法案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長報告を求めます。内閣委員長和田ひろ子君。     ─────────────    〔審査報告書及び議案本号(その二)に掲載〕     ─────────────    〔和田ひろ子登壇拍手
  8. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 ただいま議題となりました法律案につきまして、内閣委員会における審査経過と結果を御報告申し上げます。  本法律案は、国民生活の安定及び社会経済の健全な発展に資する上で公益通報に関する制度を整備することが緊要な課題であることにかんがみ、公益通報者保護及び国民生命身体財産その他の利益保護にかかわる法令規定遵守を図るため、公益通報をしたことを理由とする公益通報者解雇無効等並びに公益通報に関し事業者及び行政機関が取るべき措置を定めようとするものであります。  委員会におきましては、四名の参考人から意見を聴取した後、櫻井充さん外八名発議の国の行政運営適正化のための公益通報に関する法律案と一括して、竹中内閣特命担当大臣西川内閣大臣政務官発議者橋幸子さん等に対し質疑を行いました。  委員会における主な質疑内容は、通報対象事実に係る法律範囲外部通報要件を緩和する必要性公益通報者保護制度周知徹底方策等でありますが、その詳細は会議録によって御承知願います。  去る十一日、質疑を終局した後、民主党新緑風会松井委員より公益通報者範囲及び外部通報先となる範囲拡大取締役等法令遵守義務に関する規定追加等内容とする修正案が、また、日本共産党吉川理事より通報対象事実の範囲拡大外部通報要件行政機関への通報と同等とすること、解雇等を争う訴訟における立証責任転換等内容とする修正案が、それぞれ提出されました。  次いで、討論に入りましたところ、民主党新緑風会岡崎委員より松井委員提出修正案賛成吉川理事提出修正案及び原案反対、自由民主党及び公明党を代表して西銘理事より原案賛成松井委員提出修正案及び吉川理事提出修正案反対日本共産党小林委員より原案反対の旨の意見が述べられました。  次いで、順次採決の結果、吉川理事提出修正案及び松井委員提出修正案はいずれも賛成少数により否決され、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本法律案に対し六項目から成る附帯決議を行いました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────
  9. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 本案に対し、討論の通告がございます。発言を許します。岡崎トミ子君。    〔岡崎トミ子登壇拍手
  10. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 私は、民主党新緑風会を代表して、ただいま議題となりました政府案提出公益通報者保護法案に対して、反対立場から討論を行います。  公益通報者保護する法律、それは、公益のためにやむにやまれず通報を行った通報者保護することによって私たち社会正義感に基づいた勇気ある行動が報いられる社会にする法律であり、行政や企業の不祥事が私たち生命、健康、財産被害をもたらすことを防ぎ、また不正が正されるようにする法律であるはずでした。  私たち民主党は、正にそうした法律として、公益通報者保護する法律必要性をいち早く訴えてまいりました。しかし、残念ながら、今日この場で採決されようとしております政府提出法案は、私たちの期待したものとは全く異なったものとなっており、また、私たちが最低限必要であるとして提案された修正もことごとく否決されてしまい、反対せざるを得ません。  本来、この法案によって自分が所属する組織等の不正を通報しようとする人々が安心して通報を行い、確実に保護されなくてはならないはずですが、この政府案では、通報して保護される人、通報して保護される内容外部通報して保護される場合を過剰に制限しており、このままでは今までよりもかえって外部通報を行うことが困難になってしまいます。  委員会審議を通して、この法案公益通報者保護法案ではなく、公益通報抑制法案公益通報思いとどまらせ法案であるという疑いが解消されるばかりか、ますます強くなったのです。また、政府案立案過程でどんどんその内容が後退してしまった点についてもますます疑念が深まりました。  そして、後に述べるように、違反した場合に通報対象事実となる法令の指定を国会審議対象とならない政令にゆだねてしまい、そのイメージすら示さなかったことは、国会による実質的な審議をはなから拒否するもので受け入れることができません。  以下、反対する理由を具体的に申し上げます。  第一に、本法案は、通報した場合に通報者保護される通報対象事実を極めて狭く特定の犯罪に限定してしまいました。  本来、民主党が一貫して主張し、修正案でも示したとおり、法令違反一般個人生命身体に重大な影響を与えるおそれがある事実を通報した場合にはすべて保護されなくてはなりません。私たちの健康や安全にかかわる法令の整備はどうしても後追いになっており、そうした後追い規制の更に一部だけを保護対象としていては、現実の問題の多くに対応できないからです。  委員会においては、各委員が様々な実例を挙げて、それぞれが通報対象事実となるか政府に確認をいたしました。薬害エイズシックハウス回転遊具による事故六本木ヒルズ回転ドア事故三菱自動車リコール隠し、どなたもよく御存じの問題です。  労働者が、これらによる被害を心配して外部通報したとしたら、その通報者保護されるのが当然だと思われるでしょう。ところが、いずれも当時や現在の規制法違反ではないため、ストレートには通報対象事実とはならない、すなわち、これらの問題について改善を願って外部通報した労働者が守られないということでした。業務過失致死傷罪に該当すれば通報対象事実となるという説明でしたが、実際に死亡事故傷害事故発生する前の時点業務過失致死傷罪を主張することは容易ではありません。  審議に際して、政府側から、各種の事例について、すべてこの法案の枠組みで対応しなくてはならないのかという発言がありましたが、薬害エイズシックハウス回転遊具による事故六本木ヒルズ回転ドア事故三菱自動車リコール隠しのいずれにも対応がおぼつかない公益通報者保護法案は、一体何に対応していると言えるのでしょうか。  政府は、通報対象事実を狭く限定した理由を、通報した内容通報対象事実となるかどうか当事者間で見解が分かれてしまっては、結局裁判で争わなくてはならず、制度安定性が保てなくなってしまうからであるとしています。しかし、ある問題が特定法令による罰則の対象となるかどうかという問題は、決して判断は簡単とは限らず、当事者間の見解相違が生じる可能性があることには違いがありません。  養鶏業者が半年前の生卵を出荷した京都の事件についても、行政食品衛生法違反として処分を行ったのは、事件が発覚した次の月の二十日になってからでした。この例は、法令違反判断行政にとっても常に容易ではないことを示しており、通報対象事実を狭く絞ったからといって対象が明確化されたとは言えないことを明らかにしています。  また、特定法令違反のみを通報対象事実とした場合、自分通報しようとする事実が法令違反であるかどうかの判断労働者に迫られます。そういう判断を自信を持ってできるだけの知識一般労働者に求めることは非現実的です。政府は十分な広報をしていくということでしたが、そのような広報をまじめにやろうとすればするほど広報をしなくてはならない範囲が際限なく広がってしまい、とても現実的とは言えません。  また、一方、中途半端な広報をしてしまっては、かえって限られた場合にしか通報保護されないという印象のみが強く広がるおそれがあります。このままでは通報しようとする人々を萎縮させるだけではなく、多くの場合に不利益な扱いから保護することができなくなってしまいます。  政府側からは、相談等々ができる仕組みを作る、通報者が信ずるに足りる相当理由がある場合に保護されるので細かな知識がなくても大丈夫だという発言がありました。こうした内容答弁で訴えるのではなく、法案中にはっきりと明記すべきであります。  また、通報対象事実の狭さが最も大きな問題点の一つと指摘されているのにもかかわらず、結局どの程度法令政令で指定するのかも、委員会質疑ではついに示されることがありませんでした。  本会議での代表質問でも指摘したとおり、どういう法令違反に関する通報がこの法案保護されることになるのかが分からなければ、この法案が成立してからどのように機能するのかが全く分かりません。委員会でもこの点についていろいろな角度から何度もただしましたが、結局何も意味のある答弁は得られませんでした。  立案過程政府がリストアップした四百八十九の法令のうち、ほとんどが対象となるのか、わずか数本なのか、その程度のことも示されませんでしたし、ほとんどだれもが対象となることを疑っていない独占禁止法道路運送車両法も含めて、ただの一本の法令対象とすることが明言されませんでした。繰り返し明らかにされたのは、政治資金規正法公職選挙法対象とならないことだけです。立法府による実質的な審議を拒否した全く容認できない姿勢で、これだけでも私たち責任を持ってこの法案賛成することができない十分な理由であります。  第二に、本法案は、外部通報先範囲についても、外部通報要件についても、過度に限定されており、これも公益通報を抑制する要因になりかねません。  国民生活センター消費者団体NPO労働組合国会議員のすべてが外部通報先として認められるということでしたが、広く外部通報先として認めるということであれば、通報先要件を、通報対象事実の発生、若しくは被害拡大防止のために必要であると認められる者から、発生拡大防止に資する者に修正した方がその趣旨をよく表し適切だったはずです。事実、委員会では、必要であると認められる者がだれであるかケース・バイ・ケースであるという答弁もあり、これでは当事者間で見解相違が生じる可能性が高く、やはり制度趣旨に沿った運営が担保されません。  外部通報要件についても、特に「通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしていると信ずるに足りる相当理由がある場合」として、昨年十二月の骨子でも、今年二月の法案要綱でも必要とされていなかった急迫性を要求している点について疑問の声が相次ぎました。  委員会では、六本木ヒルズ回転ドア事故を取り上げて、一体いつの時点で正に生じようとしていると認められるのか具体的に追及しました。しかし、答弁は、一般論として、事故が続発しているにもかかわらず安全上の措置を怠っている場合には急迫した危険があると考えられる、また、業務過失致死傷罪構成要件に該当することが前提であるとするにとどまり、これでは実際に生命身体被害が及ぶ前に通報しても保護されることが担保されません。  民主党は、危険の急迫性を必要としないものとするとともに、「公共利益が著しく阻害され若しくは阻害されるおそれがあると信ずるに足りる相当理由がある場合」の外部通報保護対象とする修正を提案しましたが、これも受け入れられませんでした。  第三に、本法案は、公益通報者範囲として、労働者のみを対象としています。私たちは、雪印食品の問題で、勇気を持って声を出しながらその後長く苦労されてきた西宮冷蔵のようなケースに報いたいという思いを共通して持っていたのではなかったでしょうか。政府案規定では、西宮冷蔵のような弱い立場にある取引事業者保護されません。  公益通報者保護制度立法趣旨からしても、内部情報に接し得る者は、その立場を問わず、基本的には何人も保護されるべきです。  第四に、本法案は、公布から二年以内に施行見直し施行後五年後にということになっており、見直しまでの時間が余りにも長過ぎます。政府が言うように小さく産んで大きく育てるのであれば、私たちが提案するように公布から一年以内に施行施行後三年以内に見直すべきであります。  本法案は、その立法趣旨からいって、そのほかにも多くの問題点を抱えています。  以上述べてきたように、公益通報者保護制度を実効あるものとするためには、法案で示している公益通報内容保護されるべき通報者範囲を広げ、保護による効果を拡大し、さらに、公益のために事業所外部通報を行った者が必要な保護を受けられるように十分配慮されるべきであります。  政府は、この法案保護されないケースについては、従来どおり一般法理で守られる、裁判判例水準が切り下げられることはないと繰り返しましたが、いったん制度がスタートしてから、判例水準が切り下げられないことを行政が保障することがどの程度できるというのでしょうか。  繰り返しになりますが、私たちは、公益通報を行った方たち保護する制度必要性緊急性社会的な要請を痛感しており、何とか公益通報者保護する制度を確立しようと、本法案の抜本的な修正を訴えてまいりましたが、残念ながら修正は実現しませんでした。ざんきに堪えません。  最後に申し上げます。  政府答弁の中には、制度趣旨運営について前向きと受け取れることがありました。本来、それらは法文の中に明確に書き込まれるべき内容であり、どんなに前向きな答弁があっても、私たちの心配を払拭するに足りるものではありません。  しかしながら、今、日本じゅうで不正や不祥事を正したいという良心と悩みを抱えておられる皆さんや、その方たちを支援する立場にある弁護士、NPOそのほかの皆さんにはこうした政府側答弁をよく知っていただき、万一この法案が成立した場合には、十分武器として活用していただきたいと思います。  また、裁判所、その事業者方たちにも、十分その法案が必要とされてきた背景、本来の趣旨について深く理解をしていただき、正義に報いることができる社会を作るための、そして個人生命身体財産への被害防止できる自浄能力の高い社会を作るための努力に参加をしていただきたいと思います。  政府が自らの責任をよく自覚すること、委員会の場で約束した取組、附帯決議で求められた措置を始めとしたできる限りの対応を誠実に進めることが不可欠となることは言うまでもありません。  本法案が成立したとしても、立法趣旨に基づいた内容に高めるために、機をとらえて絶えず改正の訴えを続けていく決意を申し上げまして、反対討論を終わらせていただきます。  ありがとうございました。(拍手
  11. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) これにて討論は終局いたしました。     ─────────────
  12. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) これより採決をいたします。  本案賛否について、投票ボタンをお押し願います。    〔投票開始
  13. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。    〔投票終了
  14. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数          百九十四     賛成             百十八     反対             七十六    よって、本案は可決されました。(拍手)     ─────────────    〔投票者氏名本号末尾掲載〕      ─────・─────
  15. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) この際、日程に追加して、  私立学校教職員共済法等の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長報告を求めます。文教科学委員長北岡秀二君。     ─────────────    〔審査報告書及び議案本号(その二)に掲載〕     ─────────────    〔北岡秀二登壇拍手
  17. 北岡秀二

    北岡秀二君 ただいま議題となりました法律案につきまして、文教科学委員会における審査経過と結果を御報告申し上げます。  本法律案は、少子高齢化の一層の進展等対応し、私立学校教職員共済年金制度の長期的安定を図る等のため、基礎年金拠出金に対する国庫補助率の引上げ、七十歳以上の教職員等に対する退職共済年金等支給調整措置導入等措置を講ずるとともに、育児をする加入者に対する掛金免除措置を拡充するほか、国家公務員共済年金制度改正に準じて退職共済年金等給付水準調整配偶者間の共済年金分割制度導入等措置を講じようとするものであります。  委員会におきましては、私学共済財政見通し教育費負担軽減など少子化対策の充実、公的年金制度の一元化の検討状況等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。  質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して畑野委員より反対意見が述べられました。  討論を終わり、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────
  18. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) これより採決をいたします。  本案賛否について、投票ボタンをお押し願います。    〔投票開始
  19. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。    〔投票終了
  20. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数           百九十     賛成              百十     反対              八十    よって、本案は可決されました。(拍手)     ─────────────    〔投票者氏名本号末尾掲載〕      ─────・─────
  21. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) この際、日程に追加して、  地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長報告を求めます。総務委員長景山俊太郎君。     ─────────────    〔審査報告書及び議案本号(その二)に掲載〕     ─────────────    〔景山俊太郎君登壇拍手
  23. 景山俊太郎

    ○景山俊太郎君 ただいま議題となりました法律案につきまして、総務委員会における審査経過と結果を御報告申し上げます。  本法律案は、地方公務員共済年金の給付額の水準を自動的に調整する制度の導入、組合員に対する退職共済年金の支給停止制度見直し、育児を行う組合員に対する配慮措置の拡充、離婚等をした場合の掛金の標準となった給料等の特例制度の創設、国家公務員共済年金との財政単位の一元化及び全国市町村職員共済組合連合会を構成する共済組合の年金給付事業の一元的処理等を行おうとするものであります。  委員会におきましては、地方公務員共済年金の負担及び給付の在り方、国家公務員共済年金と財政単位を一元化する必要性等について質疑が行われました。  質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して宮本岳志委員より反対する旨の意見が述べられました。  討論を終局し、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────
  24. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) これより採決をいたします。  本案賛否について、投票ボタンをお押し願います。    〔投票開始
  25. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。    〔投票終了
  26. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数          百九十一     賛成             百十一     反対              八十    よって、本案は可決されました。(拍手)     ─────────────    〔投票者氏名本号末尾掲載〕      ─────・─────
  27. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) この際、日程に追加して、  武力攻撃事態等における国民保護のための措置に関する法律案  武力攻撃事態等におけるアメリカ合衆国軍隊行動に伴い我が国が実施する措置に関する法律案  武力攻撃事態等における特定公共施設等の利用に関する法律案  国際人道法の重大な違反行為の処罰に関する法律案  武力攻撃事態における外国軍用品等の海上輸送の規制に関する法律案  武力攻撃事態における捕虜等の取扱いに関する法律案  自衛隊法の一部を改正する法律案   (いずれも内閣提出衆議院送付)  日本国自衛隊アメリカ合衆国軍隊との間における後方支援、物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府アメリカ合衆国政府との間の協定改正する協定締結について承認を求めるの件  千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ諸条約の国際的な武力紛争犠牲者保護に関する追加議定書議定書Ⅰ)の締結について承認を求めるの件  千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ諸条約の非国際的な武力紛争犠牲者保護に関する追加議定書議定書Ⅱ)の締結について承認を求めるの件   (いずれも衆議院送付)  以上十件を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長報告を求めます。イラク人道復興支援活動等及び武力攻撃事態等への対処に関する特別委員長清水達雄君。     ─────────────    〔審査報告書及び議案本号(その二)に掲載〕     ─────────────    〔清水達雄君登壇拍手
  29. 清水達雄

    ○清水達雄君 ただいま議題となりました武力攻撃事態等における国民保護のための措置に関する法律案外九案件につきまして、委員会における審査経過と結果を御報告申し上げます。  十案件は、昨年成立いたしました武力攻撃事態等における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律、いわゆる事態対処法において、国民保護のための法制を始めとする武力攻撃事態等への対処に関して必要となる法制を整備する旨が規定されていることを受け提出されたものであります。  以下、各法律案及び条約内容について御説明申し上げます。  まず、国民保護法案は、武力攻撃事態等において、武力攻撃から国民生命身体及び財産保護し、武力攻撃の国民生活及び国民経済に及ぼす影響が最小となるようにするための措置を的確かつ迅速に実施することができるよう、これらの事項に関し、国、地方公共団体等の責務、国民の協力、住民の避難に関する措置、避難住民等の救援に関する措置、武力攻撃災害への対処に関する措置について定めるとともに、緊急対処事態においても同様の措置を講ずること、その他必要な事項について定めるものであります。  次に、米軍行動関連措置法案は、武力攻撃事態等において、我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に資するため、日米安保条約に従って我が国に対する外部からの武力攻撃を排除するために必要な米軍の行動が円滑かつ効果的に実施されるための措置その他の当該行動に伴い我が国が実施する措置について定めるものであります。  次に、特定公共施設利用法案は、武力攻撃事態等における特定公共施設等の利用等に関し、その総合的な調整を図り、もって対処措置等の的確かつ迅速な実施を図るため、指針の策定その他の必要な事項について定めるものであります。  次に、国際人道法違反処罰法案は、国際的な武力紛争において適用される国際人道法の的確な実施を確保するため、国際人道法規定する重大な違反行為の処罰について定めるものであります。  次に、海上輸送規制法案は、武力攻撃事態に際して、外国軍用品等の海上輸送を規制するため、防衛出動を命ぜられた海上自衛隊の部隊が実施する停船検査及び回航措置の手続並びに防衛庁に設置する外国軍用品審判所における審判の手続等について定めるものであります。  次に、捕虜取扱い法案は、武力攻撃に際しての自衛隊行動の円滑かつ効果的な実施と捕虜等の取扱いに係る国際人道法の的確な実施を確保するため、武力攻撃事態における捕虜等の拘束、抑留その他の取扱いに関し必要な事項について定めるものであります。  次に、自衛隊法改正案は、日米物品役務相互提供協定改正協定の的確な実施を確保するため、米軍に対する物品役務の提供に関し、その根拠及び手続に関する規定の整備について定めるものであります。  次に、日米物品役務相互提供協定改正協定は、現行協定が定める日米共同訓練、PKO等に関する自衛隊と米軍との間における物品役務の相互提供の枠組みを、武力攻撃事態等並びに国際の平和及び安全に寄与するための国際社会の努力の促進、大規模災害への対処その他の目的のための活動にも適用するため、現行協定改正するものであります。  次に、ジュネーヴ諸条約第一追加議定書は、千九百四十九年のジュネーヴ諸条約を補完し及び拡充することによって、国際的な武力紛争犠牲者を一層保護することを目的とし、傷病者、捕虜、文民等の保護並びに戦闘の方法及び手段の規制等について定めるものであり、第二追加議定書は、いわゆる内乱等の非国際的な武力紛争について、傷病者、文民等の保護及び戦闘の方法の規制等について定めるものであります。  なお、国民保護法案及び特定公共施設利用法案は、衆議院において、緊急対処事態の認定について事態対処法において国会の事後承認規定を盛り込むこと、国民保護措置の訓練に係る国の財政措置規定を追加すること等の修正が行われました。  委員会におきましては、十案件を一括して議題とし、政府から順次趣旨説明を聴取するとともに、国民保護法案及び特定公共施設利用法案の両法律案について、修正案提出衆議院議員久間章生君より衆議院修正部分の説明を聴取した後、小泉内閣総理大臣に対する質疑を行ったのを始め、井上国務大臣、石破防衛庁長官、川口外務大臣、関係大臣等に対して質疑を行ったほか、四名の参考人から意見を聴取しました。  委員会における主な質疑内容は、憲法と有事法制との関係、有事法制についての国民の理解、武力攻撃事態の具体的な想定と国民保護のための措置の実効性、我が国への大規模侵略の可能性国民保護措置の実施に当たっての基本的人権の尊重と迅速な権利救済策、国民保護に関する基本指針、計画等の策定スケジュール、武力攻撃事態における国と地方の役割分担、国民の協力と役割、緊急事態に対処するための基本法と組織整備、周辺事態と特定公共施設利用法案の適用関係、有事における非核三原則の適用問題、米艦船に対する攻撃と武力攻撃事態との関係、日米共同対処時における指揮権、海上輸送規制措置の国際法、憲法上の根拠、無防備地区の宣言における自治体の関与と米軍施設との関係、イラク人捕虜虐待問題と日米共同対処時の米軍による国際人道法違反への対応、国際刑事裁判所規程の早期締結武力攻撃事態等における米軍への物品役務の提供等でありますが、その詳細は会議録によって御承知願います。  質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党の小泉親司理事より国民保護法案外六法案及び日米物品役務相互提供協定改正協定反対ジュネーヴ諸条約第一追加議定書及び第二追加議定書賛成民主党新緑風会の若林秀樹理事より十案件に賛成社会民主党・護憲連合の大田昌秀委員より国民保護法案外六法案及び日米物品役務相互提供協定改正協定反対ジュネーヴ諸条約第一追加議定書及び第二追加議定書賛成、自由民主党及び公明党を代表して公明党の高野博師理事より十案件に賛成の旨の意見がそれぞれ述べられました。  次いで、順次採決の結果、国民保護法案、米軍行動関連措置法案特定公共施設利用法案国際人道法違反処罰法案、海上輸送規制法案、捕虜取扱い法案及び自衛隊法改正案はいずれも多数をもって原案どおり可決すべきものと決定し、日米物品役務相互提供協定改正協定は多数をもって、ジュネーヴ諸条約第一追加議定書及び第二追加議定書は全会一致をもっていずれも承認すべきものと決定いたしました。  なお、国民保護法案に対し九項目から成る附帯決議を行いました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────
  30. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 十件に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。富樫練三君。    〔富樫練三君登壇拍手
  31. 富樫練三

    ○富樫練三君 私は、日本共産党を代表して、有事関連法案反対討論を行います。  有事関連法案は、憲法を真っ向から否定し、アメリカの戦争に日本が官民挙げて参戦するためのものであります。日本をアメリカと一緒に戦争のできる国にしようとする本法案は、戦争はしない、戦力は持たない、交戦権は認めないという憲法九条に違反することは明らかであり、断固反対であります。  憲法と日本の進路にかかわる重要な法案を、中央・地方公聴会も行わず、委員会審議三十一時間という極めて短時間で質疑を打ち切り、採決を強行することは、議会制民主主義を自ら否定するものであり、断じて容認できません。  政府は、有事関連法案は日本が攻められたときの備えだと説明してきました。しかし、法案は、日本が攻撃を受けていない段階、武力攻撃予測事態から米軍支援を規定しているのであります。アメリカが、先制攻撃戦略に基づき、我が国周辺地域において武力の行使を行うとき、政府が予測事態と認定し、米軍に対する広範な支援を行うことが可能になるのであります。  重大なことは、日本が支援する米軍の行動に制約を加える仕組みが一切ないことであります。政府自身が、核兵器の使用や敵地攻撃であっても、米軍の行動自体を規律するものではないと答弁したのであります。  しかも、米軍支援の内容は極めて包括的、無限定なものであります。自衛隊は、予測事態から憲法上検討を要するとしてきた弾薬の提供を行うことが可能になり、米軍による日本全土の空港、港湾の優先使用が可能になるのであります。  武力攻撃予測事態の際に、アメリカ本土などから我が国に結集する米軍部隊が公海上で攻撃されれば、日本が攻撃されたものとみなして、アメリカの艦隊を自衛隊が防衛することも可能と答弁したことは重大であります。このような米軍支援を行えば、その結果として、日本に対する攻撃、すなわち日本有事を呼び込むことになるのは明らかであります。  さらに、この法案は、非核三原則や地方自治体の自治権をも乱暴に踏み破るものであります。  例えば、神戸市は、一九七五年以来、市議会の決議に基づいて、核兵器を積載していないという非核証明書を提出しない艦船は一切入港させない方針を貫いています。  しかし、政府は、有事関連法案の一つである特定公共施設利用法案に基づいて、総理大臣の指揮の下で国土交通大臣が港湾管理者に命令し、アメリカの艦船を入港させると答弁したわけであります。非核三原則を最も忠実に守っている神戸市の権限を取り上げてまで米軍に港を提供するなど、絶対に許されることではありません。  ACSA改定案は、日米間の軍事兵たん支援を武力攻撃事態、予測事態に広げるだけでなく、国際の平和、安全への寄与にまで拡大し、あらゆる事態で日米軍事協力を進めようとするものであります。更に重大なのは、国民保護の名の下に国民や民間企業を戦争に動員する仕組みが具体化されることであります。  このように、有事関連法案は、先制攻撃を仕掛けるアメリカと共同して日本が軍事行動を行い、正に戦争をする国とするものであって、断じて容認できません。  自民、公明両党と民主党による衆議院段階での修正は、こうした有事法制の枠組みを、武力攻撃事態から緊急対処事態と称して重要施設や公共交通機関が破壊された場合にも拡大し、さらには、緊急事態基本法を制定し、大規模自然災害にまで広げようとしています。  そもそも、武力攻撃や戦争は、自然災害等と異なり、人間の力で発生そのものを防止することが可能であります。国と国との平和友好関係を構築し、武力紛争を起こさせない外交努力こそ平和にとって必要なことであります。  今、改めて憲法九条と日本の進路について考えるべきであります。二度と戦争をしないという憲法に示された戦後日本の基本方向を戦争をする国に大転換することは絶対に許されないからであります。  戦後日本の再建に当たって、国民は平和な世界と日本を決意し、それを憲法の前文と九条に託しました。憲法前文は「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、」と明記し、九条で戦争はしない、軍備は持たないと定め、戦争をしないことを国づくりの基本路線としたのであります。  この決意の背景には、日本がアジア諸国を侵略し、二千万人もの尊い命を奪い、国内でも三百十万人もの犠牲者を出したこと、沖縄では鉄の暴風と呼ばれる艦砲射撃と上陸部隊の攻撃で十一万人が犠牲となり、さらに広島、長崎には原爆が投下されたことなどがあります。  一九四六年、憲法制定国会において当時の吉田総理は、戦争のない日本を創造するとの決意を表明し、日本国が列国に先立って、あるいは世界を率いて平和愛好の平和的条約を現出せしむるその先駆けになって、自ら戦争を放棄し、軍備を撤廃することによって世界の平和を事実ならしめる、その決意に基づいて政府はこの案を提出したわけでありますと強調しました。この発言には、国民すべての願いが込められていたのであります。  日本国憲法を制定するに至った経緯や、この憲法に込められた平和国家として歩むという国民の熱い決意と願いに、今改めて心を致すべきであります。それこそが憲法遵守義務を負う国会議員としての当然の責務ではありませんか。  憲法第九条は、現在の世界とアジアの平和にとって掛け替えのない値打ちを持っており、有事関連法案の強行は、世界とアジアの平和を求める国際世論、世界の流れに逆行するものであります。  昨年五月には、韓国の国会議員三十名が連名で、日本の憲法は大韓民国でも平和憲法と呼ばれていますが、有事法制は平和憲法の精神に真っ向から外れると警告しています。  アジアの一員である日本が、アメリカのイラク戦争を支持し、占領軍の一翼を担っていることに、アジアの人々は不安と警戒の目を注いでいます。加えて、周辺事態法や武力攻撃事態法に続く今回の有事関連諸法案の強行は、アジア諸国民との平和友好関係に大きな傷を付けると同時に、アジアの人々の不安と警戒を一段と大きくするものであります。  アジアでは、ASEAN地域フォーラムでの安全保障対話が進み、東南アジア諸国連合の呼び掛けで、中国、インドを含むアジア全域に広がる友好協力条約も結ばれました。朝鮮問題でも、北東アジアの平和と安全を目指す六か国協議の下で平和への流れが広がりつつあります。  憲法九条を持つ日本がやるべきことは、有事法制の具体化ではありません。憲法九条に基づく平和外交こそ、アジアの平和と友好への貢献であります。  最後に、日本の進むべき道は、日本がアジアの一員としてこの地域の平和に貢献する自主外交を進めることであります。そのために、日米安保に縛られたアメリカ言いなりの外交姿勢を根本的に改めることであります。  小泉内閣は、この間、有事法制作りを推進する一方で、アメリカの大義なきイラク戦争を支持し、イラクに自衛隊を派兵し、米軍の占領支配の一翼を担ってきました。さらには、多国籍軍に参加することは憲法違反という従来の政府見解をも踏みにじり、国会にも国民にも説明せず、自衛隊の多国籍軍参加をブッシュ米大統領に約束してきたのであります。対米約束を最優先し、対米追随外交を進める小泉内閣に日本の平和と安全、日本の進路を託すわけにはいかないのであります。  以上、日本共産党は、憲法違反の有事関連法案の廃案を断固として要求し、討論を終わります。(拍手
  32. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 常田享詳君。    〔常田享詳君登壇拍手
  33. 常田享詳

    ○常田享詳君 私は、自由民主党及び公明党を代表して、ただいま議題となりました国民保護法案始め七法案・三条約について、賛成立場から討論を行います。  昨年、長年懸案であった有事法制の根幹となる武力攻撃事態対処法など三法が、国会の大多数の支持の下、成立いたしました。その際、国民保護法案については、武力攻撃事態対処法の施行の日から一年以内を目標として実施するとの附帯決議がなされ、この一年間、政府・与党が一体となり、また、地方公共団体との真摯な意見交換を行い、法整備に向けて努力をしてまいりました。  あわせて、武力攻撃事態における捕虜の取扱いに関する法律案など、今まで未整備であった法整備を行うことにより、正に有事法制の集大成を目指すものであります。  まず、国民保護法案については、武力攻撃事態等において、国民生命身体及び財産保護することの重要性にかんがみ、国、地方公共団体等の責務、住民の避難に関する措置、避難住民の救援に関する措置等について定めるものであり、国民保護のための措置を的確かつ迅速に実施することを図る、とりわけ重要な法案であります。  次に、米軍行動関連措置法案については、日米安保条約に従って、我が国に対する外部からの武力攻撃を排除するために必要なアメリカ合衆国軍隊行動が円滑かつ効果的に実施されるようにするための措置について定めるものであります。  特定公共施設利用法案につきましては、対処措置の実施に際して、武力攻撃事態等における港湾施設、飛行場施設等の利用に関して指針の策定を定めることにより、その総合的な調整を図るものであります。  また、国際人道法違反処罰法案については、国際人道法規定する重大な違反行為を処罰するためのものであります。  また、自衛隊の一部改正案につきましては、日米物品役務相互提供協定すなわちACSA協定改正に伴う所要の規定を定めるものであります。  これらの法案は、いずれも我が国の平和と安全を確保するため当然必要なものと考えております。  さらに、ACSA改定協定については、ACSA協定の適用範囲拡大するものであり、また、ジュネーヴ諸条約第一追加議定書及びジュネーヴ諸条約第二追加議定書につきましては、ジュネーヴ諸条約内容を補充、拡充するものでありますが、今回の法整備に合わせてそれらの締結が必要となるものであります。  これら七法案・三条約に対する衆議院における議論の結果、国民保護法案規定される緊急対処事態について、武力攻撃事態対処法に新たに位置付けるとともに、その事態認定を国会承認事項とすること、現場での機動的な対処を可能とすべく現地対策本部を設けること等の修正がなされております。  さらに、参議院において、真剣かつ建設的な審議を経て、今日、ここに採決の運びとなったことは、本院における戦後長きにわたる安全保障問題についての真摯な議論を振り返れば、議会政治上、画期的なものであると考えております。  我が国に対する外部からの武力攻撃を含め、国家の緊急事態に対処し得るような必要な備えをしておくことは、独立国として当然の責務であります。正に普通の国への大きな一歩であります。  本法案成立後、地方公共団体とともに連携し、緊急事態に万全に対処できるような体制を速やかに整えられることを要請し、私の賛成討論を終わります。(拍手
  34. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 榛葉賀津也君。    〔榛葉賀津也君登壇拍手
  35. 榛葉賀津也

    ○榛葉賀津也君 私は、民主党新緑風会を代表して、ただいま議題となりました有事関連七法案・三条約につきまして、賛成立場から討論をいたします。  民主党は、衆議院において、緊急事態基本法の制定について与党が歩み寄ったこと、そして国会による民主的統制を強化するなどの見地から提出した法律案の多くを与党が受け入れたことに対し、一定の評価をいたします。  私は、一年前の六月六日、武力攻撃事態対処関連三法案賛成討論に立ち、一連の有事法制は法治国家として整備をしておくべき法律であるとしながらも、この法は絶対に使われなくて済むように政治が最大限の外交努力を払うべきだとの考えを述べさせていただき、今もその思いは変わってはおりません。  しかし、今回、有事関連法案条約衆議院送付と相前後して、懸念を生じさせる問題が生起をいたしました。アメリカのイラクにおける捕虜虐待の問題、そして小泉総理のイラクへの多国籍軍参加表明であります。  合計十本という極めて膨大な分量になった今回の有事関連法案は、いや応なく有事における日米関係の強化という面を含んでおります。だからこそ我々は、九・一一以降、国際法上も議論を呼んだ先制攻撃論にはくみしない、つまり自衛権で何でもやるという法律ではないことを国際社会に対して示す必要がありました。特に、参議院における審議は、イラクにおけるアメリカの正当性を根底から覆したアブグレイブ以降に始まったという経緯からも、捕虜の取扱いを規定したジュネーヴ条約追加議定書を批准していないアメリカと有事に共同作戦をする際にどうするのかという問題、つまり、日本は有事において国内的にも国際的にも法にのっとった措置をする、国際法を遵守する国であるという姿を世界にアピールする説明責任が求められていたはずであります。  が、しかし、このような重要法案の通過のタイミングとしては、現在、非常に憂うべき事態に陥っております。  有事法制は正に国家百年の大計であります。それが、国民から見れば、参議院においては審議時間が決して十分でなかったことに加え、今の政治は、年金法案の通し方も、国連安保理決議の解釈も、憲法の読み方も、すべて何でもありなのかという印象を与えてしまっているということです。人生いろいろ、解釈いろいろでは済まされない問題であります。  イラク問題については、本院においては、内閣法制局長官から、現在のイラク特措法の枠内で読み込むために恣意的な解釈がされたばかりでなく、小泉総理からは法制局長官の見解とも矛盾する答弁が先ほどもあったばかりであります。  国民への説明よりもアメリカが先という外交における総理の議会軽視の姿勢、政府の無理な法解釈を認めることは、参議院並びに議会そのものの存在意義を弱めることと同義であると強く同僚議員の皆様方に訴えるものであります。  少なくとも、有事法制は法律が通ったらそれで終わりというものではありません。議会に託された役割として重要な点が二点あることを賛成討論の中で指摘をさせていただきたいと思います。  まず、地方自治体との関係です。  今回の国民保護法案特定公共施設利用法案などによって、地方自治体やその長の責務が極めて重くなります。昨年、有事関連法案が成立した直後から、自治体や企業、民放などから、国民の協力の中身に関する戸惑いや不安が示されてまいりました。世論調査の中には、有事法制については賛成反対よりも、分からないという回答が最も多かったものさえもありました。今回、有事においてどのように地域を守っていくのか、地域の特徴に合った地方自治体の独自の発想も必要ですし、訓練においては住民への説明、災害時も視野に入れた自治体間や自衛隊との連携強化など、実質的な地方分権なくしては取り組めない課題であります。政府には、分権問題への更なる前向きの努力と完全な三位一体改革を強く求めなければなりません。  もう一つは、有事、すなわち武力攻撃事態などが起こる背景、要因は時々刻々変わる国際情勢に起因し、常に周辺地域の情勢によって左右されるものである以上、予防外交に重点を置くことが求められます。政府の外交機能に対する議会としてのチェック機能が必要であります。更に言えば、日本の外交をODAや国連改革の面でもっとアクティブに、効率的に展開していく努力をすべきだとも思います。  民主党は、有事関連法案条約には、国の安全保障に対して野党の第一党として責任を有するべきであるとの立場から賛成いたします。しかし、それは小泉政権の対応を支持するからではなく、この法制が国民生活に重大な影響を及ぼす法制であるからこそ、きちんとした基礎を作り、有事において国家が超法規的な行為を取らないように、また、情報等が錯綜し、情報操作や濫用の誘惑に走りがちな政府にたがをはめるために是非とも必要だと思うからであります。  しかし、他方において、図らずもイラクへの多国籍軍参加問題が浮上してまいりました。この点については、民主党としては政府の姿勢を断固批判するものであります。  そもそも民主党は、イラク特措法そのものに反対してまいりました。国連安保理での議論に参加すらできない日本、その後の無定見なイラク攻撃支持表明、政府による憲法のなし崩し的解釈などに対し、何度も何度も民主党は警笛を鳴らしてまいりました。今回、多国籍軍参加という局面において、またもやこのような重大決定を政令レベルでやろうとする政府に対し、とりわけ、その法律の恣意的な扱いに対し冷静な疑義と懐疑を抱き、激しい不信と怒りを申し述べさせていただきます。  改めて、総理、総理が国民への説明よりもアメリカが先などということは言語道断であると言わざるを得ません。テロとの闘いのように国連が必ずしも表に出ない場合、国際的な安全保障に日本がどうかかわるのかという問題については、国内議論がまずあるべきであり、日米同盟がその淵源となるのは順序が逆だと言わざるを得ません。  有事法制については、とりわけ戦争を知る世代の方々からの懸念が強くあります。確かに、戦後幸運にも平和を享受してきた我々日本と、いまだ紛争が絶えず、治安の維持のためには軍事力も必要だとされる世界の現実とのギャップは大きく、そこで大国としての責任ある振る舞いを求められているという構図に、日本の国内法も国民感情も正直まだ付いていけないのではないかという印象を持ちます。  アフガニスタンでは、先週の一週間で米軍によりタリバン兵が七十三名殺されました。イラクでは、暫定政権の外務次官に続き、教育省の高官までもが暗殺をされました。世界の紛争を目の当たりにしながら、平和の尊さを私たちは毎日痛感させられます。平和を守る努力は何よりも大事であります。そして、平和は守るだけでなく、時として作るものであるはずです。けれども、懸念されるのは、果たして国民のコンセンサスがどれだけ取れているのか、また議会がそのためにどれだけ十分な機能を果たしているのかという点については、常に議論が必要だと思います。  イラクに関しても、政府が本当に言うように人道復興支援だけで済むのか、参加ということは、多国籍軍本来の主要目的である治安維持にまで踏み出すことがないのか。その準備が国内法的にも、国民感情的にも、自衛官の側にもできているのかというと、甚だ疑問もあります。  それにもかかわらず、政府は、総理の一言を既成事実化させようとし、自衛隊が次々と紛争地域に行き、それを国会が追認するという状態が生じようといたしております。国会審議が形骸化し、政治は別のところで加速度を増しているようにも思えます。けれども、議会の役割は審議にあるはずです。事態の追認だけをするのでよいのなら、議会は要らないと言えるでしょう。  最近の傾向として、全体的に国会全体が軽くなったのではないかということを肌で感じ、非常に危惧すると同時に自責の念に駆られます。与党の先輩方はいかがでしょうか。  年金法案は、国民の七〇%が反対している中で、法案提出者である政府の官僚や自民党の議員の未納、未加入が未解決のまま、しかも審議途中で当初の政府説明とは違う数字が出てきたりという中ですら、あんなにも強引に、あんなにもあっさりと法律を通すことができるということを強く国民に印象付けてしまいました。  そのような事態にあるからこそ、今の日本に必要なのは、口約束だけで事態を承認済事項として固定させ、法解釈は事後処理とばかりに軽んじる総理を頂くことではなく、議会の機能を復活、強化させ、国民の議論を喚起していくことではないでしょうか。  信なくば立たず。有事法制の本質は、一時的ではあれ、時の政府国民の権利の制約をゆだねる側面があり、濫用の危惧と常に隣り合わせにあるということです。そのため、政府の権限拡大を認めるには、国民の信頼に足り得る政府であることが不可欠であります。  しかし、私は、たった二時間前の特別委員会での我が党の平野貞夫委員国会議員最後の質問においての総理の答弁を聞いて、改めて総理の言葉に不信を持つようになりました。総理は、自身への損害賠償訴訟事件に対し、民主党議員の質問で訴訟に初めて気が付いたと答弁をされましたが、これが事実だとしたら驚きであります。自分への訴訟も全く知らずに他人任せということが本当にあるのでしょうか。政治家として、総理としてのリスクマネジメント能力を疑わざるを得ません。  さて、民主党修正により、今回の有事法制による緊急対処措置の終了について、内閣総理大臣の認定による終了だけでなく、国会がその実施の終了を決議できるものとされました。これは、ブッシュ大統領との友情を優先させるかに見える小泉総理に対する全国会議員からの不信任感情の表れではないかとも思うところでありますが、シビリアンコントロールの観点からも、国会の関与、参議院における審議を充実させていくことが我々の存在意義として問われております。無法な法解釈を推し進める政府に対して、議会がストップを掛けられない状態が生じている。与野党なく、これは参議院の、日本の議会の弱さそのものであると言えるのではないでしょうか。  その意味から、一連の有事法制が成立した後も、さきに述べた地方自治体との関係、国民意識、外交力の充実などの面において、国会での徹底した審議を求めます。  特に、次期通常国会で成立を図ることが合意された緊急事態基本法については、憲法との関係を明確にし、真に国民生命身体財産を守り、我が国の安全保障体制の確立に資する制度としなければならないと思います。  そのための民主党の役割、議会の役割、とりわけ参議院としての役割と決意を表明して、私の討論を終わります。(拍手
  36. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) これにて討論は終局いたしました。     ─────────────
  37. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) これより採決をいたします。  まず、武力攻撃事態等における国民保護のための措置に関する法律案武力攻撃事態等におけるアメリカ合衆国軍隊行動に伴い我が国が実施する措置に関する法律案武力攻撃事態等における特定公共施設等の利用に関する法律案国際人道法の重大な違反行為の処罰に関する法律案武力攻撃事態における外国軍用品等の海上輸送の規制に関する法律案武力攻撃事態における捕虜等の取扱いに関する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案を一括して採決いたします。  七案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。    〔投票開始
  38. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。    〔投票終了
  39. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数          百九十四     賛成            百六十三     反対             三十一    よって、七案は可決されました。(拍手)     ─────────────    〔投票者氏名本号末尾掲載〕     ─────────────
  40. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 次に、日本国自衛隊アメリカ合衆国軍隊との間における後方支援、物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府アメリカ合衆国政府との間の協定改正する協定締結について承認を求めるの件の採決をいたします。  本件の賛否について、投票ボタンをお押し願います。    〔投票開始
  41. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。    〔投票終了
  42. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数          百九十四     賛成            百六十四     反対              三十    よって、本件は承認することに決しました。(拍手)     ─────────────    〔投票者氏名本号末尾掲載〕     ─────────────
  43. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 次に、千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ諸条約の国際的な武力紛争犠牲者保護に関する追加議定書議定書Ⅰ)の締結について承認を求めるの件及び千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ諸条約の非国際的な武力紛争犠牲者保護に関する追加議定書議定書Ⅱ)の締結について承認を求めるの件を一括して採決いたします。  両件の賛否について、投票ボタンをお押し願います。    〔投票開始
  44. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。    〔投票終了
  45. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数          百九十四     賛成            百九十四     反対               〇    よって、両件は全会一致をもって承認することに決しました。(拍手)     ─────────────    〔投票者氏名本号末尾掲載〕      ─────・─────
  46. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) この際、日程に追加して、  児童手当法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長報告を求めます。厚生労働委員長国井正幸君。     ─────────────    〔審査報告書及び議案本号(その二)に掲載〕     ─────────────    〔国井正幸君登壇拍手
  48. 国井正幸

    ○国井正幸君 ただいま議題となりました法律案につきまして、厚生労働委員会における審査経過と結果を御報告申し上げます。  本法律案は、急速な少子化の進展等を踏まえ、総合的な次世代育成支援対策を推進するため、子育てを行う家庭の経済的負担の軽減等を図る観点から、三歳以上義務教育就学前の児童に係る特例給付の支給期間を小学校第三学年修了前まで延長しようとするものであります。  なお、衆議院において、施行期日を平成十六年四月一日から公布の日に改めるとともに、改正後の児童手当法平成十六年四月一日から適用するため所要の規定の整備を行う旨の修正が行われております。  委員会におきましては、少子化対策における児童手当の位置付け、支給対象年齢の引上げの根拠等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。  質疑を終局し、討論に入りましたところ、民主党新緑風会を代表して森理事より反対、自由民主党及び公明党を代表して遠山理事より賛成する旨の意見がそれぞれ述べられました。  討論を終局し、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────
  49. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 本案に対し、討論の通告がございます。発言を許します。辻泰弘君。    〔辻泰弘君登壇拍手
  50. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 私は、民主党新緑風会を代表し、ただいま議題となりました児童手当法の一部を改正する法律案に対し、反対討論を行います。  まず、冒頭、さきの年金法案審議における与党側の強行採決に対し、強く抗議の意を表明し、その姿勢を厳しく糾弾するものであります。  六月三日の総理出席の下での厚生労働委員会における我が会派、山本幹事長の質問の際、小泉総理が政府提出の年金法案の骨格であるマクロ経済スライドについて、全くコメントできず、何も理解していないことが判明した状況は、誠に醜態の極みと言わざるを得ない、見るに堪えぬほど恥ずかしい光景でありました。  小泉総理が正に一国の総理として本当に国民のことを思うなら、国民の生活を思うなら、そして日本の将来を思うなら、年金法案の骨格ぐらいは勉強し、簡単な言葉で、例えば、少子化と高齢化に対応して給付を調整するものなどと答えられていたはずであります。それすらできなかったということは、すなわち、小泉総理が国民のことについて、国民の生活について、また日本の将来について全く思いを致していないことを端的に示すものと言わなければなりません。  そして、百年安心と銘打ったはずの重要法案に対する内閣の意気込みがその程度の薄っぺらなものでしかなかったことは、小泉内閣の薄っぺらさとともに、薄っぺらい内閣が作った年金法案自体の薄っぺらさをも物語っているのであります。  このような総理、このような政府しか持ち得ていない日本の政治の現状は誠に、誠に情けなく、国民を守るためには、国民生活を守るためには、小泉政権の打倒あるのみとの確信と決意を新たにしたところであります。  あのような総理の醜態をあれ以上さらすわけにはまいらぬと一方的に審議を打ち切り、強行採決に打って出たことは、良識の府たるべき参議院にあるまじき、憲政史上に大きな汚点を残す暴挙と断ぜざるを得ません。  法案成立後、国民内閣支持率が低下したことはけだし当然であります。国民はしっかり見ている、ごまかすことはできないのであります。ここに、多くの国民を愚弄したというべき与党の非民主的な国会運営に改めて強い抗議の意を表明するとともに、かかる事態を二度と起こさぬよう、与党の猛省を促すものであります。  さて、かねてより我が党は、次なる世代、次世代を、新たな社会、希望ある未来を創造し、支える世代と位置付け、保育基盤の整備と経済的支援の必要性を強く主張してまいりました。そして、経済的支援においては、女性の多様な生き方、働き方の選択を妨げる要因となっている諸控除を見直し、暮らしの安定、充実に資する手当への移行を図る立場から、児童手当制度の抜本的な改革と強化拡充を求めてきたのであります。  具体的には、配偶者控除の廃止などを行い、その財源をもって義務教育終了年齢までの食費、被服費を賄える水準の手当制度の確立を主張してきたところであります。  このような見地から見るとき、政府の今次改正案は、制度の抜本的改革に全く着手しないままに現行制度の中でわずかばかりの上積みを図り、当面の小手先だけの施策にとどめている、極めて不十分な内容と言わざるを得ず、到底賛成できません。  そもそも現行の児童手当法は、本則において、支給対象者をゼロ歳から三歳未満の子を監護し、かつ一定の所得未満である者に限っており、三歳以上の子を監護している者については、法の附則に規定された特例措置によって当分の間支給を行うこととされている、それが実態であります。そして、今回の政府による支給拡大策は、この当分の間行うこととされている特例措置拡大するものにほかならないのであります。  児童手当制度を本当に次世代育成支援対策の柱と考えるのであれば、法律の本則において手当の支給を明確に位置付けるよう改正するところから始めるべきではありませんか。  政府は、その基本を怠るばかりでなく、手当額においては、第一子、第二子五千円、第三子以降一万円の額の合理的根拠を示さぬままに現行どおり、諸外国にはない所得制限についても現行どおり、極めて複雑になっている事業主、公費の費用負担についても現行どおりと、次世代育成支援を考えているとは到底思えない、全くやる気のうかがえない態度に終始しているのであります。  政府対応は、正に、今日までの度重なる一貫性を欠いた制度改正によって継ぎはぎだらけとなった児童手当制度の抜本的改革を意図的に回避し、継ぎはぎをもう一つ増やすだけのびほう策、単なるばらまきにすぎません。  平成十五年の合計特殊出生率が一・二九と政府見通しを大きく下回ったことが象徴的に物語るように、政府少子化対策、次世代育成支援対策は、全くその名に値しないのであります。  かかる政策的見地から、本改正案には反対でありますが、さらに、元々、次世代育成のための三法案の一つとされ、一括の審議が予定されていたにもかかわらず、衆議院においてこの一法案だけ抜き出し、委員会の不正常な状況の中にもかかわらず強引に強行突破を図ってきた流れを見れば、政治的意図は明らかであり、これは正に選挙対策の色彩が極めて濃厚とみなさざるを得ず、その動機の不純さからも賛成するわけにはまいらないのであります。  なお、先般、政府平成十五年の合計特殊出生率一・二九の公表を年金法案成立後まで意図的に隠し遅らせたことは、政府のいつもながらの隠ぺい体質を改めて示しました。これは、国会に対する、ひいては国民全体に対する背信行為と言わざるを得ません。  同時に、年金法案の成立直後に政府法案の基礎を成す前提が大きく揺らいでしまったことは、百年安心の名とは裏腹に、三年先、五年先さえ不安な年金法案だったことを、そして、すぐまた改正される運命にある法案だったことを再確認させたのであります。  そもそも、今国会提出されるべき年金法案は、政府自らが骨太の方針において強調したとおり、正に頻繁に制度改正を繰り返す必要のない恒久的な改革案でなければなりませんでした。しかるに、政府法案は全く理念を持たず、理想のかけらもなく、国民生活の将来への明確なビジョンも示さず、ただただ矛盾と不公正に満ちた、改革にはほど遠い現行制度の温存、国民への一方的な負担増と給付減を強いる当面の帳じり合わせにすぎないものでありました。  この点、我が党の改革案は、公的年金制度の一元化、最低保障年金の創設による給付レベルにおける真の意味での皆年金の実現、納税者番号制度の導入、社会保険庁と国税庁との統合、税方式への重点化などによる公正な国民負担のシステム作りなどを目指したものであり、正に改革の名にふさわしい内容でありました。これらの提案に対し、政府は極めて現状固定、現状追認的な態度に終始し、全く耳を傾けようとはしてこなかったのであります。  このような政府の将来に向けての年金制度の理想像の追求に極めて消極的かつ国民生活の実態に即した今日的課題の解決に取り組まない姿勢は、我々の到底容認できるものではありません。  同時に、今国会を通じ、二十一年間未加入の大臣や、国民に直接保険料負担の増大を求める立場にある二人の厚生労働副大臣を始めとする多くの閣僚などの未加入、未納が発覚したにもかかわらず、与党はその責任を何ら問わず、居座り続けることを許してきたのであります。  さらに、小泉総理の年金加入歴に関する情報開示には終始不透明さが付きまとい、払うべきときには払っていたとの答弁に反して、払うべきときに払っていなかったことが判明した後も全く反省の色さえ見せず、むしろ問題にする方がおかしいと居直るに及んでは、何をか言わんや、誠意のかけらも見られませんでした。自民党のみが、自民党のみが所属議員の保険料納入状況の公表を党として行わなかったことと併せ、政府・与党の姿勢は、最高の道徳たるべき政治の本来の姿とは大きく懸け離れたものでありました。  菅直人代表の辞任、小沢一郎代行の代表就任辞退、未納期間のあった各常任委員長の辞任などによりしっかりとけじめを付けた我が党に比べ、自民党所属の多くの閣僚並びに公明党首脳のけじめのなさをこの際強く指摘し、反省を求めるものであります。  また、グリーンピアなどの施設に対する年金積立金の野方図な運用、社会保険庁長官の県人会の会費や香典への流用、年金資金の巨額の損失の発生など、年金行政への信頼を損ねる事態を引き起こし、さらには広島労働局の不正経理事件、選択エージェンシー贈収賄事件、中医協をめぐる日歯連事件など、厚生労働行政全体への国民の不信を募らせる事件が連発したことは、ただ単に偶然ではなく、自民党主導の官僚政治のなれの果てと言わざるを得ないのであります。  今こそ政治が変わらなければならない、今こそ政治を変えなければならないゆえんであります。  年金法案審議の際には、我が党の強い要求にもかかわらず、国民の声を聴くべき中央公聴会は開かれないままに終わってしまいました。この上は、来るべき参議院選挙こそが年金改革に関する国民の声を聴く中央公聴会であるとの決意を込めて、年金、少子化などにおける政府の対策の非を、また、審議を尽くさぬ与党の暴力的な姿勢を国民に訴えるとともに、我が党が主張する一元化などの年金改革の必要性を強く訴え、国民からの圧倒的な支持を賜るべく、断固たる決意を持って闘いに臨むことをここに表明し、私の反対討論を終わります。(拍手
  51. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) これにて討論は終局いたしました。     ─────────────
  52. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) これより採決をいたします。  本案賛否について、投票ボタンをお押し願います。    〔投票開始
  53. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。    〔投票終了
  54. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数          百九十四     賛成            百三十九     反対             五十五    よって、本案は可決されました。(拍手)     ─────────────    〔投票者氏名本号末尾掲載〕      ─────・─────
  55. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) ただいま中間報告に関する動議提出されました。  その取扱い協議のため、暫時休憩いたします。    午後六時八分休憩      ─────・─────    午後七時二十一分開議
  56. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。  金田勝年君外一名から、賛成者を得て、  財政金融委員会において審査中の金融機能強化のための特別措置に関する法律案及び預金保険法の一部を改正する法律案について、速やかに財政金融委員長中間報告を求め、委員長報告を行わないときは事故あるものとみなして理事報告させることとし、報告時間を十分以内とすることの動議提出されました。  また、金田勝年君外一名から、賛成者を得て、  この中間報告を求めることの動議をこの際議題とすることの動議提出されました。  これより中間報告を求めることの動議をこの際議題とすることの動議採決をいたします。  朝日俊弘君外六十七名より、表決は記名投票をもって行われたいとの要求が提出されております。  現在の出席議員の五分の一以上に達しているものと認めます。  よって、表決は記名投票をもって行います。本動議賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。  議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。    〔議場閉鎖〕    〔参事氏名を点呼〕    〔投票執行〕
  57. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 投票漏れはございませんか。──投票漏れはないと認めます。投票箱閉鎖。    〔投票箱閉鎖〕
  58. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。    〔議場開鎖〕    〔参事投票を計算〕
  59. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数          百八十票     白色票            百五票     青色票           七十五票    よって、本動議は可決されました。(拍手)     ─────────────    〔投票者氏名本号末尾掲載〕      ─────・─────
  60. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 財政金融委員会において審査中の金融機能強化のための特別措置に関する法律案及び預金保険法の一部を改正する法律案について、速やかに財政金融委員長中間報告を求め、委員長報告を行わないときは事故あるものとみなして理事報告させることとし、報告時間を十分以内とすることの動議議題といたします。  金田勝年君外一名から、賛成者を得て、  本動議に対する討論その他の発言時間は一人十分に制限することの動議提出されました。  これより本動議採決をいたします。  朝日俊弘君外六十七名より、表決は記名投票をもって行われたいとの要求が提出されております。  現在の出席議員の五分の一以上に達しているものと認めます。  よって、表決は記名投票をもって行います。本動議賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票願います。  議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。    〔議場閉鎖〕    〔参事氏名を点呼〕    〔投票執行〕
  61. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 投票漏れはございませんか。──投票漏れはないと認めます。投票箱閉鎖。    〔投票箱閉鎖〕
  62. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。    〔議場開鎖〕    〔参事投票を計算〕
  63. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数         百八十二票     白色票            百六票     青色票           七十六票    よって、本動議は可決されました。(拍手)     ─────────────    〔投票者氏名本号末尾掲載〕     ─────────────
  64. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 中間報告を求めることの動議に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。山根隆治君。    〔山根隆治君登壇拍手
  65. 山根隆治

    ○山根隆治君 私は、ただいま議題となりました金融機能強化のための特別措置に関する法律案及び預金保険法の一部を改正する法律案審議につき中間報告を求めることの動議に対し、民主党新緑風会を代表して、満腔の怒りをもって反対討論を行うものであります。  今、私は、議会制民主主義の形骸化の岐路に立たされているような危機感を持ってこの演壇に立っております。そして、私は、議場の与野党を超えた良識ある議員の皆様にお訴えをしたいのであります。  国会法第五十六条三には、委員会の審理中の案件について特に必要があるときは、中間報告を求めることができると記されております。しかし、この条項が安易に用いられることが許されないのは、議会制民主主義を守る立場からは当然の前提であるはずであります。  さらに、特に必要があるときという意味は、どのように理解したらよいのでありましょうか。特に必要があるときとは、与党の御都合があるときと解釈すべきなのでありましょうか。特に必要があるときとは、業界からの強い要請があったときと解釈すべきなのでありましょうか。特に必要あるときとは、選挙対策上どうしても必要なときと解釈すべきなのでありましょうか。  昭和三十八年七月五日、第四十三回国会において、当時、与野党五会派による次のような申合せ事項が確認されているのであります。  参議院の各会派は、議院の正常な運営を図るため、少数意見の尊重と議員の審議権確保に留意するとともに、議院の品位と秩序の保持に互いに協力することとし、次のとおり申し合わせる。一つ、議案中間報告は、審査につき委員会中心主義を採用している今国会法の趣旨にかんがみ、みだりに行わないものとすること。二つ、中間報告に関連し、本会議運営が混乱した実情にかんがみ、このような中間報告は行わないように努力するとされているのであります。  果たして、今議会における今の中間報告を求める動議は、私が読み上げた申合せに照らして、かなったものでありましょうか。答えは明らかに否であります。  この金融関連二法案審議は、衆議院におきまして、本会議では三月十一日、民主党十五分、公明党十五分が趣旨説明に対する質疑を行い、その後、三月三十一日に趣旨説明委員会において聴取をいたしたのであります。そして、四月九日、第一回の質疑を行い、四月十三日に第二回の質疑を行い、四月十四日には第三回目の質疑を行った後、四月十六日には地方公聴会を行っているのであります。そしてさらに、衆議院におきましては、四月二十日、地方公聴会を意見陳述六人を数えております。さらには、同日、参考人意見陳述として五人の方からそれぞれの意見を聴いているところであります。翌日二十一日には、質疑を四回目のものを行いました。この質疑には総理も出席しての論議が行われたわけであります。そして、いよいよ四月二十三日、委員会における討論が行われた。  そうした手順を踏まえ、委員会質疑を八日間行ったということであります。合計をいたしますと、対政府質疑は十七時間三十分に及んでいるところでございます。さらに、参考人を含む意見陳述、地方公聴会を数えると、二十二時間十五分を費やしているのであります。  一方、我が院における、参議院における金融二法の審査状況でありますけれども、本会議において趣旨説明が行われ、その質疑が五月の二十八日、民主党十五分、共産党十分を費やして行われたわけでありますが、その後六月一日、委員会におきまして趣旨説明の聴取を竹中大臣から五分間行われたわけであります。委員会質疑といたしましては、六月三日、質疑第一回が行われ、六月の十日、質疑が二回目が行われたわけでありますけれども、委員会はまだ二日の質疑でありますし、その質疑時間というのは三時間五十六分にしかすぎないわけであります。また、地方公聴会も開かれることはこの間ございませんでした。  乱暴な法案内容はもちろんのこと、委員会審議状況でさえこのような有様であるので、私は憤りを禁じ得ないものであります。  さきに私は、与野党を超え、議員各位の良識にお訴えすると申し述べたのは、今、参議院の良識、議会制民主主義が問われていると思うからであります。自民党、公明党、与党の皆さん、今こそ党の利害を超え、立ち上がってください。議員としてのぎりぎりの価値基準は、党利党略を超え、あくまでも国民利益であり、幸いであるはずであります。一政治家として御自分の良心に従ってこの動議反対立場を私たち民主党の議員とともに明らかにしていただきたいと思います。議会制度を守るに政治生命を賭していただきたいと思います。今、我々は我が国における真の議会制度の崩壊に立ち会おうとしているのであります。良心を是非示していただきたいと思います。  私はあなたの意見には反対である、しかしあなたの自由な言論を守るためには私は命を懸けると言ったと伝えられるフランスの啓蒙主義を代表する多才な哲学者であり作家であったボルテールの名言を思い起こしていただきたいと思うのであります。議会に分かりやすく美しい形式は不可欠であり、本参議院は議会運営委員会で形を整え、激しい議論の中にも一定の秩序を保ちながら議会運営をそれなりに果たしてきたのであります。しかし、小泉内閣となってからは、さきの国民年金法などの採決に当たって、委員会そして本会議においてもルール無視、ルール違反が常態化してきているのであります。数こそがすべてという与党、自民党、公明党の姿勢に、国民は自由と民主主義に危機感を募らせてきております。そして、小泉内閣の目くらましのパフォーマンスにも嫌悪感を抱き始めているのであります。そのことは、年金法案採決後の世論調査に昨今如実に表れているところであり、小泉内閣の僥幸、幸運も尽き、終えんを迎えつつあることが明らかになってきているのであります。  本年は、国会開設とともに議員に選ばれて以来議席にあること六十三年、世界議会史上の記録を打ち立てた憲政の神様尾崎行雄没後五十年であります。国会議事堂中央塔の下には、今日の議会政治の在り方を尾崎先生が厳しくごらんになられているに違いありません。  世界の議会制度に比べて、まだまだ我が国の議会制度の歴史は浅いと言われております。イギリスは一六八九年に近代の議会制度が始まりました。アメリカは一七八七年であります。フランスは一七八九年、そしてドイツは一八四八年であります。  我が国の議会制度は、日本帝国議会第一回、一八九〇年以来の歴史でございますが、もうそろそろ我が国に真の議会制度を確立するためにも、議員各位に委員会審議中間報告を求めるという本動議反対されることを強く求めまして、私の反対討論といたします。(拍手
  66. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 池田幹幸君。    〔池田幹幸君登壇拍手
  67. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました財政金融委員会において審査中の金融機能強化のための特別措置に関する法律案及び預金保険法の一部を改正する法律案の二法案について、速やかに財政金融委員長中間報告を求めることの動議に対し、怒りを込めて反対討論を行うものであります。  そもそも、国会法五十六条の三に定める中間報告は、特別に必要な場合に限ってのみ許されることとされています。そうでなければ、本会議から付託された委員会審議権、審査権と自主性を奪い、議会制民主主義のルールをじゅうりんすることになるからであります。したがって、中間報告は、これを必要とする明確かつ具体的な理由が認められる場合でなければなりません。  しかし、財政金融委員会における本法案審議は、円委員長の下、各党理事の民主的協議の上にこれまで正常に行われてまいりました。委員会審議に何らの不正常もありません。それなのに、なぜこのような暴挙を行うのか、その理由は全く明らかではありません。  本法案は、重要法案の一つに位置付けられ、衆議院では八日間、約二十二時間の質疑を行い、地方公聴会と参考人質疑、そして小泉首相を呼んで総理質問まで行いました。趣旨説明から委員会採決まで三週間掛かったのであります。  本院での審議は、五月二十八日の本会議趣旨説明を受け、去る六月一日に委員会趣旨説明を受けた後、六月三日と先週の十日の二日間で各党一巡四時間の質疑を行ったばかりであります。本格審議は正にこれからであります。地方公聴会、参考人質疑、総理質問など含め、重要な審議が残されているのであります。この間、年金改悪法案質疑打切り、強行採決がありましたが、その後の与党の強引な議会運営は許されるものじゃありません。  そもそも、本二法案が衆院から本院に送付されたのは四月二十三日であります。それから五月二十八日の本会議趣旨説明まで一か月余たなざらしにされておりました。これを遅らせていたのはほかならぬ与党の方にありました。こうした経緯を無視し、会期末ぎりぎりになったからといって、審議を遅らせてきた側から中間報告を求めることこそ恥を知れと言いたいのであります。  さらに重大なことは、この恥ずべき中間報告を求める行為を正当化する工作までなされたことであります。それは、昨日のNHK「日曜討論」の場でなされた公明党の冬柴幹事長の次の発言であります。  他の法案も会期末までに何としても成立させなければ、来年四月のペイオフに備えて地方の銀行に対する資本注入もあらかじめ注入する手だてがなくなる。必ず成立させなければならない。ただ、委員長民主党だ。こういうことになると、副議長にしても委員長にしても、議会制の立場からすれば与党にしてもらわなければいかぬのじゃないかと思う。  財政金融委員会における運営が民主的に全会派の合意の下に進められてきたことは前に述べたとおりであります。冬柴氏の発言は、事実をねじ曲げ、野党が審議を妨害しているかのように描き、国民に野党が理不尽なことをしていると大変な誤解をさせるように導き、与党の暴挙を正当化せんとするものと言わなければなりません。私は、このような卑劣な行為に対して厳しく抗議するものであります。  さて、本法案には、ここまで各党の審議一巡したばかりの委員会質疑を通じましても本法案の持つ問題点が明白になってまいりました。  まず、金融機能強化特別措置法案についてであります。  本法案がシステミックリスクのおそれとは全く無関係に地域金融機関の再編を進め、その体力を強化するために公的資金を投入しようとしていることであります。これまで政府自身が公的資金投入の原則としてきたことさえ捨て去り、国民に損失負担を負わせるやり方には何の道理もありません。ここはまだただされておりません。  第二に、本法案は、資本注入を受ける金融機関に対し、収益性、効率性の向上を数値目標で義務付ける一方、中小企業向け貸出しについては、残高を増やす目標を求めていないことであります。どうしてでしょうか。中小企業向け貸出しよりも収益性強化を重視したやり方は、金融機関の店舗、行員の削減、貸し渋りや貸出し金利の引上げなどに拍車を掛け、地域の中小零細企業への必要な資金供給という地域金融機関の役割を弱めるものであり、認められることではありません。  本法案は、今になって地域経済の活性化をうたっております。しかし、地域経済を冷え込ませてきたのは、ほかならぬ政府の金融政策自身にあります。金融庁が監査法人とともに地域金融機関の資産査定を厳格化し、その経営を締め上げてきたことが金融の円滑化の障害となっているのであります。本法案は、金融庁による資産査定の厳格化と連動して、地域金融機関を公的資金申請に追い込み、整理、淘汰を図ろうとするものであり、断じて容認できません。  もう一つの預金保険法の一部改正案は、預金保険法の百二条第一号措置について、銀行持ち株会社に対しても直接資本注入することを可能とし、制約なく公的資金を投入できるようにするものであります。現行の危機対応措置政府が都合よく使えるようにする本改正案を認めるわけにはいきません。  以上、本法案審議は緒に就いたばかりであるにもかかわらず、このようにただすべき問題点が幾つも明らかになっております。  本法案をかかる中間報告で済ましてしまうやり方は、議会制民主主義を破壊する暴挙と言わざるを得ません。与党は、審議を行えば行うほど問題点と矛盾が明らかになる法案であることを恐れて、かかる中間報告を求めてきたのであります。このようなやり方は審議を封殺して法案を通過させようとするものであり、議会制民主主義の自殺的行為とも言わなければなりません。本法案は、これまでの経緯から見て、審議未了、時間切れで廃案とするのが当然であります。しかるに、中間報告という形でこのような法案採決を進めていくやり方、断固反対であります。  以上をもって、中間報告を求めることの動議に対する反対討論といたします。(拍手
  68. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) これにて討論は終局いたしました。     ─────────────
  69. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) これより中間報告を求めることの動議採決をいたします。  朝日俊弘君外六十七名より、表決は記名投票をもって行われたいとの要求が提出されております。  現在の出席議員の五分の一以上に達しているものと認めます。  よって、表決は記名投票をもって行います。本動議賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。  議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。    〔議場閉鎖〕    〔参事氏名を点呼〕    〔投票執行〕
  70. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 投票漏れはございませんか。──投票漏れはないと認めます。投票箱閉鎖。    〔投票箱閉鎖〕
  71. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。    〔議場開鎖〕    〔参事投票を計算〕
  72. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数         百八十三票     白色票            百八票     青色票           七十五票    よって、本動議は可決されました。(拍手)     ─────────────    〔投票者氏名本号末尾掲載〕     ─────────────
  73. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 委員長報告の準備のため、午後九時まで休憩いたします。    午後八時二十一分休憩      ─────・─────    午後九時三十一分開議
  74. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。  これより、金融機能強化のための特別措置に関する法律案及び預金保険法の一部を改正する法律案について、財政金融委員長中間報告を求めます。財政金融委員長円より子君。    〔円より子君登壇拍手
  75. 円より子

    ○円より子君 金融機能強化のための特別措置に関する法律案及び預金保険法の一部を改正する法律案につきまして、院議をもって中間報告を求められましたので、現在までの審査経過を御報告申し上げます。  まず初めに、私は委員長に就任以来、短い期間ではございますが、五月の十四日でございます、私が就任いたしましたのは、与野党問わず、各理事、オブザーバーの意見に耳を傾け、所属する会派を超え、可能な限り中立公平な立場運営に当たるべく心掛けてまいりました。実際、理事会等におきましても、必要かつ十分な話合いを続け、各会派の合意を得て円満に運営するべく最大限の努力を傾けてきたつもりでございます。  今回、中間報告を求められておりますいわゆる金融二法案でございますが、これが衆議院では二十二時間十五分、地方公聴会も含めて審議されて、参議院に送付されてまいりました。これは五月の連休前の四月二十三日のことでございました。そして、どういうわけか分かりませんが、多分与党のお考えなのでしょう、又は思惑かもしれませんが、全く本会議にも委員会へも付託してほしいという要求が与党から議運の理事会で全くございませんでしたので、本会議趣旨説明及び質疑が行われ、財政金融委員会に付託になったのは五月二十八日の金曜日のことでございました。  この間、与党は一体何をされていたのでしょうか。この金融二法が大変重要な法案であるとおっしゃりながら、このような対応をなさる与党に、私は理解に苦しんでおりました。  しかしながら、委員長といたしましては、付託されました以上、金融二法案につき可能な限り審議の機会を持つよう努めてまいりましたし、委員長として正常な形で委員会を開会できるように努力もしてまいりました。同日行われました、これは五月二十八日のことでございますが、この日行われました理事懇談会におきましても、与党から、衆議院で行った時間を下回らない審議時間の確保、また地方公聴会の開催につき、これは野党から出た発言でございますが、こうした理事懇での話合いが行われ、私といたしましては、そのような前向きな発言を踏まえ、充実した審議を行いたいと考えていたところでございます。  その後、金融二法案は定例日の六月一日火曜日に趣旨説明を聴取し、続いて三日の木曜日に質疑に入りました。  ところが、正にこれらの法案審議入りした直後に、厚生労働委員会におきまして年金法案をめぐって与党による強行採決が行われました。そのため、財政金融委員会審議は中断させられてしまいました。誠に残念至極でございます。  国民生活に密接に結び付いております年金問題を党利党略の道具に使うようでは、自民党も公明党もとても政権を担う政党とは言えません。  特に、参議院におきましては、政権を担う各官僚の年金未納問題について、自民党は全く公表しておられませんが、これについて何らの決着も見ていないことに加え、国民の年金の将来給付についても政府側から明確な説明もないまま質疑が打ち切られ、その後の本会議においても力ずくで採決されたことは、多くの国民の怒りを招いていると言っても過言ではありません。怒りだけではなく、政治不信も極まれりと言えます。  さらに、一人の女性が生涯に産む子供の数、いわゆる合計特殊出生率は年金制度の根幹にあるものでございますが、これが一・二九という、予想より大きく下回っていたこともマスコミにすっぱ抜かれるまで発表もせず、それも強行採決の後というのでは国民をだまし討ちしたとしか思えず、国民の怒りは頂点に達しております。  その反省もないまま、ここにおいて、年金法案の強行採決に引き続き、金融二法案に対して中間報告を求められることは、財政金融委員会を預かる身としては全く不本意であり、この場に立ってこのような報告をせざるを得ない状況は正に言語に絶する事態であります。  金融機関に対する破綻前の公的資金注入に関するこれら二法案について審議を深めていきたいという思いは、私、委員長だけではなく、各会派の委員にも共通の思いであろうと推察いたします。したがって、こうした各委員の充実した審議への期待を踏みにじる形で中間報告を求められましたことは、院議をもって選任された国会役員の一人として、憲政に汚点を残す結果となるのではないかと危惧する次第でございます。  なぜ憲政に汚点を残すのか、中間報告という聞き慣れないものについて、委員長である私は国民説明する責任があると思います。  国民の皆様は、年金法案が強行採決された委員会委員長が自民党の委員長であったため、採決動議を受け、あのような暴力的な採決ができたわけですが、この金融二法を審議しております財政金融委員会は、野党の委員長である私です。そのため、参議院では、たった四時間弱、三時間五十六分の審議採決をするなど絶対に応じられないと、多分応じないであろうと与党が思われた。そして、そのため、強行採決ができないと思われた与党は、委員会審議もせず、採決もせず、本会議で成立させようというのがこの中間報告でございます。  こんな卑劣なやり方を、実は一九九九年の、これは平成十一年でございます八月十二日に、住民基本台帳改正案についても中間報告という暴挙を野党の委員長にさせたのが与党でございました。  さらに、その翌年、二〇〇〇年二月二日、この地方行政・警察委員会において審査中の公職選挙法の一部を改正する法律案、これは全く審議もせずに、野党の委員長に、議運委員会で野党なしで採決をした上で、議員定数を変更するほどの重要な議題であったにもかかわらず、中間報告をさせております。  そもそも、中間報告をさせるということは本当にこの参議院の在り方を否定するものであり、民主主義の根幹を揺るがすものであることを与党の方々は御存じないのでしょうか。自分自分の首を締めて、衆議院のカーボンコピーと言われて、一院制にしてもしようがないと言われていることを御自分でおやりになっているのがこの中間報告です。  実は、昭和三十八年七月五日に、五派会談の申合せが行われました。この申合せは、参議院の各会派は、議院の正常な運営を図るため、少数意見の尊重と議員の審議権確保に留意するとともに、議院の品位と秩序の保持に互いに……(発言する者多し)
  76. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) お静かに願います。
  77. 円より子

    ○円より子君(続) 協力することとし、次のとおり申し合わせるということで、議案中間報告は、審査につき委員会中心主義を採用している国会法の趣旨にかんがみ、みだりに行わないものとすることと決められております。  中間報告に関連し、本会議運営が混乱した実情にかんがみ、今回のような中間報告は行わないように努力すること、本会議場における交渉は議院運営委員長及び議事協議員に限るものとする従来の慣行を再確認すること、こうした良識の府に適応したきちんとした申合せが行われておりますのに、今また中間報告をさせるなど、本当にこれは自殺行為だと私は危惧しております。
  78. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 円君、時間が超過しております。
  79. 円より子

    ○円より子君(続) 良識の府であるここ参議院において、かかる事態に至ったことは極めて遺憾であり、正に青天のへきれきでございます。  法案審議において、多くの諸先輩方々が営々と築き上げてこられた委員会中心主義の精神をいとも簡単に踏みにじり、国民の信頼、そして参議院の栄光と伝統を瞬時にして葬り去ってしまう理不尽極まりない暴挙と言わざるを得ません。  金融二法案につきまして、年金法案の強行採決後の経過を申し上げますと……(発言する者あり)静かにお聞きくださいませんか。六月九日、理事懇談会を開きました。ここで与党側から金融二法案の続きと国共済法改正案の……(発言する者多し)
  80. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) お静かに願います。
  81. 円より子

    ○円より子君(続) 質疑採決を提案されましたが、最終的には、金融二法案について各会派合意の上に調整して二時間行うことと国共済法改正案の趣旨説明の聴取を行うこととなりました。  その合意に基づき、翌十日、金融二法案質疑及び国共済法改正案の趣旨説明聴取を行いました。そして、委員会散会後の理事懇談会において、与党は次回の委員会について国共済法改正案の質疑採決を提案されたり、その後金融二法案を提案されたりと、迷走を繰り返されたのでございます。こうしたことは、これまでの法案審議の慣行を覆すものであり、妥当性も正当性も何ら見いだせません。  また、六月十一日の理事懇談会におきましては、与党は、十四日月曜日に委員会を開き、国共済法改正案の質疑採決を主張され、金融二法案質疑については言及もされませんでした。これに対し、野党は十五日定例日の委員会を主張されました。そして、平行線のまま十四日に理事懇談会を行うことで合意がなされました。
  82. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 円君、時間が超過しております。
  83. 円より子

    ○円より子君(続) はい、なるべく早く済ませます。  本日十四日の理事懇談会で、私は、金融二法が付託され、趣旨説明とその後四時間の審議が行われたものの、国共済法案審議採決にしか言及されない与党理事に対し、金融二法はどうするのか、委員長として審議を尽くす責任のある旨を提案いたしました。  すると、与野党の理事は、最後まで十分な審議を尽くしてほしいという気持ちに変わりはないとおっしゃり、野党理事が、では十分審議が尽くされないときは廃案にするしかないですねとの問いにはお答えにならず、審議をしたいとの提案もありませんでした。  これでは、中間報告という手法を使うことをあらかじめ織り込み済みであったと言わざるを得ません。  そもそも、国会法第五十六条の三は、衆参の各議院が、委員会審査中の案件について特に必要があるときに中間報告を求めることができるとし、その案件について、議院が特に緊急を要すると認めたとき、議院の会議、つまり本会議において審議することができると規定しております。  本来、委員会において、野党による物理的な抵抗あるいはサボタージュなどによって審議が停滞、中断したような極めて不正常な事態となったことを想定した規定であり、与野党そろって充実した審議を望んでいるような今回の場合には発動されるべきではないと考えます。皆さん、そうではありませんか。  しかし、今回のように……
  84. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 円君、制限時間をお守りください。
  85. 円より子

    ○円より子君(続) はい、もうしばらくでございます。  しかし、今回のように、会期末で時間がないという理由のみで発動されることは、委員発言を封じ、委員会審議を空洞化させる、正に民主主義の根幹である、言論の場という議会の自殺行為であります。  イラクの派遣された自衛隊の多国籍軍への参加を国会にもかけず、国連安保理決議第一五四六号が採択される前に小泉総理は同決議による多国籍軍への自衛隊の参加を事実上ブッシュ大統領に表明なさいました。こうした国会を軽視し、国民意見をないがしろにするような、そしてそのことに気付いてもおられず、ブッシュ大統領の顔色のみをうかがっている独裁的な小泉総理の政権であるからこそ、与党・参議院の皆さんは参議院の自殺行為について全く自覚をなさっておられないのではないでしょうか。  小泉さんは自民党をぶっ壊すと言われましたが、国会も民主主義もぶっ壊す独裁的破壊者ではないでしょうか。そのことにこの参議院の与党の皆さんが手をかして、自分自分の首を絞めているのです。こんな情けない参議院があるでしょうか。
  86. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 円君、制限時間をお守りください。
  87. 円より子

    ○円より子君(続) こうした状況を踏まえますと、誠に残念なことではありますが、委員長として、国会法の規定に従いまして、以下、現在までの金融二法案審査経過を御報告申し上げます。  まず、金融機能強化のための特別措置に関する法律案の主な柱を申し上げますと、第一に、金融機関等は、合併等の組織再編成を行う場合を含め、平成二十年三月末までの間、預金保険機構に対し自己資本の充実を図るために株式の引受け等に係る申込みをすることができることとし、また、金融機関等を子会社とする銀行持ち株会社等も、当該子会社である金融機関等の自己資本の充実を図るために株式の引受けに係る申込みができることとしております。  第二に、金融機関等は、株式の引受け等に係る申込みに際して、収益性等の経営の改善の目標、当該目標を達成するための方策、責任ある経営体制の確立に関する事項、信用供与の円滑化等地域経済の活性化に資する方策等を記載した経営強化計画を主務大臣に提出しなければならないこととし、その際、合併等特定の組織再編成を行わない金融機関等の場合には、経営の改善の目標が達成されない場合における経営責任の明確化に関する事項も記載することとしております。
  88. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 円君、そろそろおまとめください。
  89. 円より子

    ○円より子君(続) もうあと少しです。  次に、預金保険法の一部を改正する法律案でございますが、金融危機に対応するための公的資金制度である預金保険法第百二条第一号に基づく措置について、当該措置必要性の認定を受けた……(発言する者多し)
  90. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) お静かに願います。
  91. 円より子

    ○円より子君(続) 金融機関を子会社とする銀行持ち株会社等が発行する株式の預金保険機構による引受けを可能とし……(発言する者多し)皆さん、聞こえますか。その際、銀行持ち株会社等は、自らが受けた資本増強と同額以上の資本増強を子会社である当該金融機関に対して行わなければならないこと等を主な内容としております。  私は、委員長といたしまして、今この法案が今国会審議もほとんどされずに通る、そうしたことについて大変深い悲しみを抱いておりますが、しかしながら、地方経済が大変な状況にあることも存じておりまして、この法案が今どうしても中間報告をしてまで通さなければいけないものか、そのことをかなり多くの経済学者、また官邸の枢要にいる方々や与党の方々、多くの方々に御意見を伺いました。この法案が今国会で通らなくても、また臨時国会であっても、ほとんど地方経済に影響がないという方が多うございました。また、与党の方々も今国会では通さないでくれという方々も多くいらっしゃいました。  そのことよりも、与党の方々、政権の、この年末に政権を持っている与党がどういうメッセージを国際社会に出すかが重要で、日銀が、アメリカが金融引締めをして金利を上げたときに一足飛びに上げてしまったりすれば地方のゼネコンはばたばたと倒れるであろう、しかしそういう状況ではないと、今のこの法案がこんな拙速な審議の上で通さなくてもいいという、そういった方々が多うございました。しかしながら、地方経済をしっかりとさせることはもちろん私ども国会議員責任であり使命でございます。  今、こうした経過報告しながらも、私は深い悲しみを覚えているものであります。このことは、単に金融二法案の問題だけではなく、議会制民主主義の死滅につながるものであり、ここにおられる議員の皆様と大いなる危険感、危機感を共有できるものと固く信じております。  ここに重ねて与党の猛省を促し、議員各位の本当に参議院としての良識ある行動に期待を申し上げ、自分自身で参議院の首を絞めるようなことはもうこれ以上なさらないでいただきたいと、そういう祈りを込めて財政金融委員会における審査経過報告を終わります。  そして最後に、この参議院本会議場におられる皆様の良識をもって、委員会における審議が不十分なこの本法案を、この本会議の場で拙速に成立させることに反対いただきますようお願い申し上げまして、委員長中間報告を終わります。(拍手)      ─────・─────
  92. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 金田勝年君外一名から、賛成者を得て、  中間報告があった金融機能強化のための特別措置に関する法律案及び預金保険法の一部を改正する法律案は議院の会議において直ちに審議することの動議提出されました。  よって、本動議議題といたします。  金田勝年君外一名から、賛成者を得て、  本動議に対する討論その他の発言時間は一人十分に制限することの動議提出されました。  これより本動議採決をいたします。  本動議賛否について、投票ボタンをお押し願います。    〔投票開始
  93. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。    〔投票終了
  94. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数          百八十七     賛成             百十二     反対             七十五    よって、本動議は可決されました。(拍手)     ─────────────    〔投票者氏名本号末尾掲載〕     ─────────────
  95. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 両案を直ちに審議することの動議に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。大塚耕平君。    〔大塚耕平君登壇拍手
  96. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 民主党新緑風会の大塚耕平です。  ただいま提案されました動議反対する立場から討論を行います。  ただいまの動議では、金融強化法案預金保険法改正案の審議を直ちに行うということでありますが、そもそも本法案は、先ほど来の御説明にありますように、四月二十三日に衆議院会議採決され、本院に送られてきたものであります。参議院本会議趣旨説明及び質疑が行われたのは五月二十八日になってからであります。中間報告を直ちに審議することの動議に私どもが多少でも理解を示すためには、約一か月間、与党側の皆様がどのような事情でつるしを下ろす要請を行わなかったのか、その真相を伺うことが大前提であります。他の法案も残っておりましたことから、五月二十八日の段階で既に重要広範議案審議は最低二十日間を要すという本院運営上のルールを守ることができなかったことは明々白々であります。  また、この動議の正当性は国会法に照らして精査することが必要であります。これも先ほど同僚の山根議員から御説明がありましたが、国会法第五十六条の三においては、中間報告があった案件につきましては、議院が特に緊急を要すると認めたときは、議院の会議において審議することができると定められております。どのような根拠により緊急を要するのか、全く私には分かりません。  そもそも、中間報告という手続は極めて異例な手続であります。また、中間報告が行われた直後に直ちに法案審議するというのは、委員会主義を採用している我が国立法府の仕組みや国会法の精神に反するものであり、審議動議が出たことは極めて遺憾と言わざるを得ません。  そういう問題意識から、中間報告及び中間報告直後の本会議における法案審議という手続が濫用されました昭和三十年代には、当該手続に対する反省から、以下のような申合せがなされました。これも先ほど御説明がありましたが、改めて申し上げます。  すなわち、昭和三十八年の第四十三通常国会において、七月五日付けで当時の五会派申合せが行われました。具体的には次のようになっております。参議院の各会派は、議院の正常な運営を図るため、少数意見の尊重と議員の審議権確保に留意するとともに、議院の品位と秩序の保持に互いに協力することとし、次のとおり申し合わせるとの頭書きに続き、第一項には以下のように書かれております。いわく、議案中間報告は、審査につき委員会中心主義を採用している国会法の趣旨にかんがみ、みだりに行わないものとすることとなっております。その濫用を厳しく戒めているわけであります。  その後は、当該申合せの内容に沿って、中間報告は余り行われなくなりましたが、先ほども円委員長から御説明がありましたように、平成に入って二度、中間報告が行われています。平成十一年の第百四十五国会の住民基本台帳法改正案及び平成十二年の第百四十七国会公職選挙法改正案であります。  今回の金融二法の中間報告及び本会議審議を行うか否かは、少なくとも、この直近の平成の二例の適否及び二例における国会法上の緊急性を十分に精査し、それらとの比較考量によって対応を決めるべきものと思いますが、場外におけるそのようなプロセスもなく、本日このような動議提出されましたことは、改めて極めて遺憾と申し上げざるを得ません。  そもそも、財政金融委員会等における竹中金融担当大臣の説明によれば、金融機関及び金融システムは徐々に安定化しており、金融機関への公的資金投入は喫緊の課題ではないという説明を繰り返しておられます。また、金融機関経営者及び業界団体幹部の皆さんも同趣旨発言国会等の公の席で行っております。こうした事実に照らしてみますと、国会法が要求しております中間報告緊急性を認識できる状況でないことは明らかであります。  この法案が目指す枠組みに関しましては、ないよりはあった方がいい、あるいは転ばぬ先のつえだというような意見もあろうかと思いますが、それは正常な手続で国会審議が行われた場合の言い分と言えます。また、金融システム安定のための他の政策手段が全くないのならばいざ知らず、実際には、現行の銀行法や預金保険法等、各種関連法制の中で十分に対応可能なのが実情であります。  仮に緊急性が認められたといたしましても、通常選挙時の閉会中審査の先例も皆無ではありませんことから、そうした選択を行わなかったことの理由も十分に開示されるべきであります。また、秋の臨時国会の冒頭に審議、成立させることも可能であったはずであります。継続審議を選択せず、あるいは臨時国会まで待たずに、国会法の精神や参議院の存在意義を否定するようなこうした対応を行う以上、無理にでも成立させておいて良かったという事態が実際に生じなかった場合には、中間報告及び本会議審議採決を強行したことの判断ミスの責任が今後大いに問われなければなりません。  議会制民主主義は多数決が原則であります。最後には多数派の意見が通ることは、私も当然のことと思います。ただしそれは、審議を尽くし、審議の過程で資料やデータの開示に十分に応じ、かつ、審議中に明らかになった間違いや矛盾に関しては修正調整に応じるという多数派側の合理的な対応が保障されていることが前提であります。今国会は、そういう点で議会全体として大変反省点が多く、多くの点で議会が自らの権威を失墜させたものと言わざるを得ません。  本法案に関しましても、実は、これから資料やデータの開示を求め、参議院で十分に審議する余地がまだまだありました。例えば、私はまだ一回しか質問を行っておりませんが、その中で指摘させていただいた問題として、今回の法案内容行政手続法との整合性の問題があります。この点は衆議院では全く議論がなされていません。  具体的には、本法案が成立いたしますと、公的資金を申請した金融機関の経営者は経営強化計画が未達となった場合は不利益処分を課されることになりますが、行政手続法第十二条では、行政府が不利益処分を行う場合には、その処分基準、判断基準をあらかじめ明示することが求められております。具体的にはこのように記されています。行政庁は、不利益処分をするかどうか又はどのような不利益処分とするかについてその法令の定めに従って判断するために必要とされる処分基準を定め、かつ、これを公にしておくように努めなければならない。行政庁は、処分基準を定めるに当たっては、当該不利益処分の性質に照らしてできる限り具体的なものとしなければならないとなっております。しかし、今回の法案ではそうした基準は全く明らかにされておらず、処分を受ける側を極めて不安定な立場に置くものであります。  金融庁の裁量行政の伝統についてはこれまでも再三指摘申し上げてきているところですが、昨年来のりそな問題、東京海上問題、足利銀行問題等の議論を通じて金融庁の姿勢にも少しずつ改善が見られるところは率直に評価したいと思います。しかし、今回の法案ではそうしたことについて懸念される点があることから、まさしくこれから審議の中で論点を詰めていこうとしていたやさきのことであります。  内容に関する詳しい言及はこの後の同僚議員の討論に譲らせていただきますが、事ほどさようにまだまだこれから委員会審議すべきことは議場の委員各位の皆様方にもたくさんあることを御理解いただけるものと思います。  与野党を問わず、地元経済再生のためには地域金融機関の役割は非常に重要であります。このまま本法案施行されれば、第二、第三の足利銀行が誕生し、地元の与党議員の皆さんも大いに困る事態が懸念されます。足利銀行の件に関しましては、自民党の矢野先生が私たちも見習わなければならない厳しい金融庁の追及をしておられましたが、今のままでは第二、第三の矢野先生が誕生されることと懸念をいたします。  次期国会からは、以上るる申し上げました反省に立ちまして、国民から信頼される議会運営に腐心いたしたいと思いますが、仮にこの法案が成立してしまった場合、強行採決よりも問題の根が深い今回の暴挙を正当化するために、竹中大臣が閉会中に金融機関に無理やり公的資金を投入することがないように願うばかりであります。  最後になりますが、良識的な議会人におかれましては、与野党を問わず本動議反対していただくことをお願い申し上げまして、私の反対討論を終わります。(拍手
  97. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 大門実紀史君。    〔大門実紀史君登壇拍手
  98. 大門実紀史

    ○大門実紀史君 私は、日本共産党を代表して、ただいま提案されました動議に断固反対討論を行います。  中間報告審議に対する反対理由は先ほど同僚議員からございました。直ちに審議するのはもっと反対でございます。  度々指摘されておりますとおり、本法案審議が遅れたその理由は、与党の皆さん責任、与党の皆さんが招いた審議の遅れでございます。会期末が迫ったからといって国会ルールを踏みにじり、野党の委員長にまで泥をかぶせ、他党に多大な迷惑を掛けてまで押し通そうとするこんなやり方は、強行採決と同じ、いや、それ以下のこそくなやり方であります。そのおごり高ぶりこそ、年金大改悪法案の強行とともに、参議院選挙で国民皆さんの厳しい審判を受けることをはっきりと申し上げておきたいと思います。  この三年間、竹中金融政策は、不良債権の早期処理の名の下に、大銀行さえ身ぎれいになれば中小企業が幾らつぶれても構わないというやり方を進めてまいりました。実際、この三年間で四万件を超える中小企業が不良債権のレッテルを張られ、整理に追い込まれました。不況に加え、不良債権処理、それが引き起こした貸し渋り、貸しはがしによって多くの中小企業は窮地に追い込まれました。与党の皆さんにもその声は、その悲鳴は届いていたはずであります。  地域金融機関の再編の直接的な目的は、ペイオフ実施を前に体力の弱い金融機関を整理しておくことにあります。実際、この三年間余りの間に六十近い信金、信用組合が整理に追い込まれました。足利銀行の破綻も、地方銀行に対し、来年のペイオフ全面実施を前に体力を強化しておきなさい、そうしないと不安なところは整理しますよと、その見せしめとしてスケープゴート的に破綻に追い込まれたというのが実際のところでございます。  足利銀行の破綻問題では、日本共産党と同じく、先ほどもございましたけれども、自民党議員も竹中大臣追及の急先鋒に立ちました。そもそも、参議院自民党の皆さんは竹中金融政策に賛成なのか反対なのか、中途半端な態度を取らないで、この際はっきりすべきであります。与党ならば、中小企業の痛みの声を真っすぐにとらえ、政策の根本的変更を迫ることこそ皆さんの役割ではございませんか。  こういう中で、多くの地域金融機関は、地元中小零細企業に必要な資金を供給するという本来の役割から、自己資本比率ばかり追求するという姿勢に変わってしまいました。それが貸し渋り、貸しはがしとなって地域の中小企業や商店を一層苦境に陥らせているのです。  本法案は、公的資金で資本注入を行い、地域金融機関の合併、再編を促進しようとするものであります。資本注入を申請する金融機関は、収益性、効率性に関する数値目標だけでなく、不良債権比率の提出を求められ、数値目標が達成できなければ経営者の責任を問うという厳しいものであります。資本注入を受けた地域金融機関は、厳しい数値目標を達成するために、店舗の統廃合や人員整理など、激しいリストラを行うことが予想されます。また、不良債権の処理を急ぐ余り、中小企業への更なる貸し渋り、貸しはがしが避けられません。  地域金融機関が大手銀行のまねをして一体何になるのか。結局、自らの存在意義を否定してしまうものであります。どうして地域経済の発展に今回の法案が役に立つんでしょうか。地域経済にも中小企業にも百害あって一利なし、こんな法律自分たちの不手際で、しかもこんなやり方で押し通す、こんな暴挙を断じて認めるわけにはまいりません。  審議が始まったばかりの本法案は、引き続き委員会審議を続けるべきであり、本会議において直ちに審議することに反対することを重ねて申し上げて、討論を終わります。(拍手
  99. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) これにて討論は終局いたしました。     ─────────────
  100. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) これより両案を直ちに審議することの動議採決をいたします。  本動議賛否について、投票ボタンをお押し願います。    〔投票開始
  101. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。    〔投票終了
  102. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数           百九十     賛成             百十三     反対             七十七    よって、本動議は可決されました。(拍手)     ─────────────    〔投票者氏名本号末尾掲載〕      ─────・─────
  103. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 金融機能強化のための特別措置に関する法律案及び  預金保険法の一部を改正する法律案   (いずれも内閣提出衆議院送付)  以上両案を一括して議題といたします。     ─────────────    〔議案本号(その二)に掲載〕     ─────────────
  104. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 金田勝年君外一名から、賛成者を得て、  両案に対する質疑討論その他の発言時間は一人十分に制限することの動議提出されました。  これより本動議採決をいたします。  本動議賛否について、投票ボタンをお押し願います。    〔投票開始
  105. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。    〔投票終了
  106. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数           百九十     賛成             百十三     反対             七十七    よって、本動議は可決されました。(拍手)     ─────────────    〔投票者氏名本号末尾掲載〕     ─────────────
  107. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 両案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。平野達男君。    〔平野達男君登壇拍手
  108. 平野達男

    ○平野達男君 私は、民主党新緑風会を代表いたしまして、ただいま議題となりました金融関連二法案に関しまして、反対立場から討論をいたします。  まず冒頭、今まで円委員長あるいは同僚の議員が言いましたけれども、衆議院で四月二十三日に採決した法案が五月二十八日に参議院に持ってきたと。この一か月間、何があったのか。与党の皆様方は野党がつるしを解かなかったと思われておるようですけれども、実態は違います。よく聞いてみてください。今回のこの法案の、なぜこんなにもつれたかというのはこの一か月間にあるんです。この、こういう一か月間のつるしを解かなかったのは、本当に果たしてどちらか。  そして、議論にも入らせないで、たった一日の、実質一日です、の議論で、重要広範議案であるにもかかわらず今日こういう形で採決をするというのは、これは財政金融委員会なんか要らないと言っているのと同じことです。議論なんかしなくてもいいと言っているのと同じことです。こういうことをやっていれば、本当に委員会否定、参議院否定になるということを改めて私も強く申し上げておきたいと思います。  その上で、この法案の中身に入らせていただきますけれども、この法案は金融機関の業務の健全かつ効率的な運営及び地域における経済の活性化を期すという目標を掲げておりますけれども、要は、健全な金融機関が多少自己資本が少ないために貸出しをしたくてもできないんだと、そういう状況があるから公的資本注入をして貸出しをしやすくしようというのがこの法案であります。予防的資本注入という言葉を使っていますけれども、これはこれまでの資本注入の概念からは大きく逸脱します。  もう皆様方御承知のように、もし資本増強をするんであれば、これは市場調達が原則であります。しかし、市場調達ができないと言っているんです。その一方で竹中大臣は、今金融危機でもないと言っている。そういうあいまいな経済状況の中で、予防的資本注入、国の資本参加とも言っていますけれども、そういうことをやろうというのが本法案であります。  そしてまた、この法案のもう一つの問題点は、申請主義を取っているということであります。果たしてそれが額面どおりに行くんだろうかという問題があります。  まず、健全な金融機関があったとします。健全な金融機関というのは、例えば自己資本率が高い、繰延税金資産の依存度が低い、不良債権比率が低い、こういう健全機関があったとしますと、こういう健全機関は自分で金融機関の運営ができますから、そもそも金融庁なんか相手にするはずがありません。地方の銀行、私はこれは地元に帰っていろんな方々と話を聞いていますけれども、金融庁の顔なんか見たくないんです。そういう見たくない金融庁に申請書を持っていって、計画を作って、九つの要件を金融庁が設定していますが、それをクリアさせて自己資本を注入申請するような金融機関なんていうのは健全な金融機関じゃあり得ないんです。とすると、不健全な金融機関になります。しかし、不健全な金融機関に資本注入をするということは、その不健全な金融機関を救うことになります。これは、この法律では金融機関を救うのは目的ではないと言っていますので、これは明らかに矛盾してくるんです。そういう一つの大きな問題点があります。  更に言えば、資本注入に対する社会的評価、これは皆様方どのように感じられるか分かりませんが、実は資本注入というのは、一番最初にこれを始めたのは一九九八年の三月、金融機能安定化緊急措置法、いわゆる金融安定化法が最初でした。その翌年に金融機能早期健全化法、いわゆる早期健全化法と言われる法律ができまして、資本注入が行われております。そのほか、預金保険法百二条の一号、これはシステミックリスクのときにやる注入なんですが、これがりそなでありましたけれども、こういったものを合計すると約十二兆三千八百億円の今までの資本注入をやってきています。しかし、この資本注入というのは、受けた金融機関というのは何か問題があるんじゃないかというような、そういう風潮が私はあると思います。そういう風潮にも挑戦する形で地方の金融機関があえて資本注入をお願いしますと持ってくる、これも考えられないんです。  としますと、資本注入というのは、これは申請ではない、資本注入をだれかが強制的にされるというような、そういう流れにならないとこれはできないんです。その決め手は何かといいますと、これは金融庁検査であります。  最近は金融庁検査の役割が非常に重要になってきておりまして、先ほど同僚議員がいろいろ紹介しましたけれども、例えば足利銀行の破綻、これは足利銀行の金融検査が引き金でありました。資産評価をやった結果、大幅にその資産の引き当てを増やしたために足利銀行が破綻をしてしまった。あるいは、この間、先日のUFJの問題があります。UFJは、これは御存じのように主要行でありますけれども、主要行でありまして、今まで金融庁が特別検査、通常検査をやっていたにもかかわらず、かつほかのみずほ、三菱東京あるいは三井住友といった銀行が、これ半期ごとに決算を報告するんですが、全部不良債権比率が下がっている、あるいは自己資本比率が大体上がっているにもかかわらず、UFJだけ逆の傾向が出ました。  これは、金融庁検査が本当にしっかりやっていたのか、あるいは銀行が何か金融庁検査に対して妨害をしていたのか、この辺はよく分かりませんが、いずれ金融庁検査というものが非常に大きな影響力を持って、かつこの場合は、UFJの場合についてはどのような形で金融検査がやられているのかよく分からない。ただ、はっきり言えることは、金融庁検査の結果、財務諸表、銀行の財務諸表、不良債権比率でありますとかあるいは繰延税金資産に対する依存度でありますとか、それが随分大きく影響するんです。そういうのがこの金融庁検査であります。  つまり、この金融庁検査はある意味においては金融庁の、いわゆる命といいますか、それを左右するような、そういう大きな今権限を持ってきている、こういう状況であります。そして、この予防資本注入というのは銀行をある意味においては救うという、そういった傾向もあります。  片っ方で金融庁検査という検査をもって銀行をぎりぎりぎりぎり検査をして、そして自己資本比率を落として、じゃ片っ方で今度は資本注入という仕組みがありますから資本注入しましょうと、これができるんです。これを生殺与奪の権と言わずして何と言うんでしょうか。  しかも、今回の法案では合併というものを入れております。合併というのも、実はこれは金融機能早期健全化法あるいは金融機関等の組織再編法、これは昨年できた法律でありますが、こういう中で金融庁は合併を推進してきました。だけれども、法律に基づく合併の実績というのはただ一つです。  今回は、この金融機能強化法の中で合併ということを入れまして、しかもこれにつきましては、合併した金融については資本注入をやって、それで資本増強しましょう、かつ単独で資本注入する銀行に比べましていろんな査定の条件、条件のハードルを低くしています。  だから、私はこういった流れで考えますと、金融庁検査をやって自己資本率を低くする、おたくの銀行は自己資本比率低くなったから隣の銀行と、あの銀行と合併しなさいと、合併することで自己資本の増強しますよと、こういうこともできるんです。つまり、これは何を意味するかといいますと、正に裁量行政の復活なんです。  繰り返しますけれども、金融庁検査というのは大変な今強大な権限を持っています。その強大な権限を持っていて、金融機関に対してぎりぎりの査定を迫り、かつその金融検査が危なくなったら、こちらで資本注入やりますよといって生かす、金融機関はたまったものじゃありません。  こういった権限を今の金融庁に与えるというのは極めて危険でありますし、こんな危険な法律をこういう形で十分な審査もしないで通過をすると、通過をさせるということについては、私は再度強い抗議を申し上げるとともに、この法律が、本当に先ほど言ったような、繰り返しになって恐縮でございますけれども、裁量行政の復活、これにつながるんだということを強く警告申し上げまして、私の反対討論とさせていただきます。(拍手
  109. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 池田幹幸君。    〔池田幹幸君登壇拍手
  110. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 私は、日本共産党を代表して、金融機能強化のための特別措置に関する法律案及び預金保険法一部改正案に対する反対討論を行います。  まず、金融機能強化のための特別措置に関する法律案について反対討論を行います。  反対する第一の理由は、本法案が地域金融機関の体力強化のために公的資金で資本注入を行い、地域金融機関の合併、再編を強力に推し進めようとするものだからであります。  資本注入を受ける金融機関は、収益性、効率性の向上が数値目標で求められ、抜本的な組織再編成を行わなければなりません。また、これまで政府は、地域金融機関には不良債権処理の数値目標は求めないと度々言明してきたにもかかわらず、本法案では、不良債権の減額も事実上数値目標で求めることとなっております。収益性や効率性については数値目標の達成を求め、不良債権の処理についても数値目標を求める一方で、中小企業への貸出しについては増やすようには求めていません。その結果どうなるか。中小企業に対するこれまで以上の貸し渋り、貸しはがしが横行することは目に見えているのであります。  また、本法案に基づく資本注入は、合併など本格的な再編を条件としているものであります。合併や再編には支店の統廃合や人員の整理合理化が伴うものですが、法案にはこれに対する何の歯止めもありません。私が委員会でも指摘したように、一昨年制定された金融機関組織再編法においては、資本注入の際の審査の基準として、従業員の地位が不当に害されないことが法律の条文に明記されていました。ところが、本法案では、その条項が完全に落とされているのであります。  私の質問に対し、竹中大臣は、労務に関する事項については政令に記載すると答弁しましたが、法律に記載している現行法の下においてすらリストラが横行しているのに、政令事項に落とされれば、ますますリストラが野放しになることは目に見えているではありませんか。ここに本法案の本質、すなわち地域経済の疲弊を顧みず、労働者、中小企業、中小・地域金融機関をいじめる本質がはっきりと示されたと言わなければなりません。  地域金融機関が地域に密着して中小企業や地域経済の発展のために融資活動をすることは、そのための支店や従業員が確保されることが不可欠であります。ところが、本法案は、一方において地域金融機関に合併や再編を促し、収益性や効率性を求めながら、他方において人員整理、リストラに対する歯止め措置を削除しているのであります。この法案が成立すれば、店舗、行員のリストラが激しく行われ、不況下にある中小零細業者を始め、地域への必要な資金供給という地域金融機関の本来の役割をゆがめることにならざるを得ません。  第二の理由は、本法案は、資本注入の条件として、適切な資産査定がなされることを求めています。  既に金融庁は、リレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラムに基づいて、今年度末までを集中改善期間と位置付けて、すべての地域金融機関を対象に適切な自己査定を含む膨大な内容の機能強化計画の提出を求め、半期ごとにその進捗状況をチェックしています。また、地域金融機関を対象とした新たな監督指針も定められ、自己資本や収益性など財務に関する監督指導を強めようとしています。そのような中で、この法案が成立すれば、地域金融機関は、ひたすら収益性の高い投資信託などのリスク商品の販売に走り、地域経済や地域の中小企業からますます離れ、地域経済に一層深刻な影響を与えることは明らかであります。  足利銀行を例に見るまでもなく、これまでも金融庁は、地域金融機関に対する検査に大手行並みの厳しい資産査定の基準を持ち込み、一方、監査法人に対しては監査の厳格化を求め、金融機関の経営を締め上げる手法を取ってきました。本法案は、資産査定の厳格化と連動して、地域金融機関を公的資金申請に追い込み、国の資本参加で収益優先の経営に誘導しようというものであります。このような政府の方策が、地域経済の活性化どころか、地域経済を冷え込ませてきたことは既に明らかであります。  第三の理由は、本法案による金融機関への公的資金投入の大義名分についてであります。  政府は、これまで金融機関への公的資金投入に際して、信用秩序の維持のためと合理化し実施してきました。本法案では、これまでの建前を投げ捨て、資本注入の目的を金融機関の体力を強化するための公的資金であると正面からうたっています。一部の金融機関の体力を強化するために、国民がその損失リスクをかぶらなければならない理由は全くありません。このような損失リスクを国民に負わせることは絶対に許すわけにいきません。  次に、預金保険法の一部を改正する法律案に対する反対理由を述べます。  本法案は、預金保険法に金融危機対応措置として設けられている第百二条第一号措置について、現行法が想定していなかった金融持ち株会社への資本注入を可能とし、金融危機への円滑な対応を確保しようというものです。同時に、現行法において資本注入額の上限となっている株式取得額制限に特例を設け、制約なく公的資金を投入できるようにしています。このような現行の公的資金投入策を前提に、より使い勝手の良いものにする法案には到底賛成できません。  日本共産党は、一昨年四月以来、大銀行に公共的な役割を果たさせるとともに、地域金融機関を育成する地域金融活性化法案を本院に提出し、その実現に努めてきました。今、国民政府に求めているのは、金融行政を百八十度転換すること、すなわち不良債権の早期最終処理を強制して中小・地域金融機関を窮地に追い込んできた金融行政を中止し、中小・地域金融の支援、育成政策を強めることであります。本法案は、このような国民の声にこたえず、それと正反対の方向を向いているのであります。  以上、二法案反対する討論を終わります。(拍手
  111. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) これにて討論は終局いたしました。     ─────────────
  112. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) これより両案を一括して採決いたします。  両案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。    〔投票開始
  113. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。    〔投票終了
  114. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数           百九十     賛成             百十四     反対             七十六    よって、両案は可決されました。(拍手)     ─────────────    〔投票者氏名本号末尾掲載〕     ─────────────
  115. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 本日はこれにて散会いたします。    午後十時三十九分散会