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2004-06-04 第159回国会 参議院 本会議 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年六月四日(金曜日)    午前十一時三十一分開議     ━━━━━━━━━━━━━議事日程 第二十七号   平成十六年六月四日    午前十時開議  第一 国民年金法等の一部を改正する法律案(   内閣提出衆議院送付)  第二 年金積立金管理運用独立行政法人法案(   内閣提出衆議院送付)  第三 高年齢者等雇用安定等に関する法律   の一部を改正する法律案内閣提出衆議院   送付)     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  一、厚生労働委員長国井正幸解任決議案(藁   科滿治君外十名発議)(委員会審査省略要求   事件)      ─────・─────
  2. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) これより会議を開きます。  日程第一 国民年金法等の一部を改正する法律案  日程第二 年金積立金管理運用独立行政法人法案  日程第三 高年齢者等雇用安定等に関する法律の一部を改正する法律案   (いずれも内閣提出衆議院送付)  以上三案を一括して議題といたします。      ─────・─────
  3. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) これより厚生労働委員長報告を求めるのでありますが、藁科滿治君外十名から、委員会審査省略要求書を付して、厚生労働委員長国井正幸解任決議案が提出されました。  これにて休憩いたします。    午前十一時三十二分休憩      ─────・─────    午後一時一分開議
  4. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。  お諮りいたします。  厚生労働委員長国井正幸解任決議案は、発議者要求のとおり委員会審査を省略し、日程に追加してこれを議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 御異議ないと認めます。  よって、本決議案議題といたします。  これより発議者趣旨説明を求めます。森ゆうこ君。     ─────────────    〔議案は本号末尾に掲載〕     ─────────────    〔森ゆうこ君登壇、拍手〕
  6. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 私は、ただいま議題となりました民主党新緑風会提出厚生労働委員長国井正幸解任決議案趣旨を御説明いたします。   本院は、厚生労働委員長国井正幸君を委員長の職より解任する。    右決議する。  次に、その理由について申し上げます。  国井正幸委員長は、昨日の委員会において、年金関連法案審議を一方的に打ち切り、強行採決という暴挙を行ったのであります。  共産党政調会長である小池晃委員社会民主党護憲連合委員長福島瑞穂委員、そして会派に属しない議員西川きよし委員の、しかも対内閣総理大臣質疑機会を奪ったのであります。  これは、議員質問権を奪い、言論の自由を封殺し、民主主義のルールを根底から否定する許すまじき行為であります。  立法府の最も重要な責務は、法案審議を通じて行政府の暴走に歯止めを掛けることにあります。特に、国民生活に重大な影響を与える法案においては、法案疑問点を徹底的に検証して法案の欠陥や問題点を明らかにさせた上で、与野党を超えて慎重に審議し、修正すべきは修正し、廃案にすべきは廃案にするのが当然のことであります。委員長の重責を担う者は、このような国会審議の意義を深く胸に刻み、公正公平に議事を整理し、審議の充実を図ることは当然の責務であります。  にもかかわらず、国井厚生労働委員長は、年金法案審議に際して、その内容の重大さから民主党新緑風会など野党会派慎重審議を主張し、審議の続行を求めているにもかかわらず、委員長職権質疑終局採決暴挙強行したのであります。このような行為は、良識府参議院委員長として資質に欠けると断じざるを得ません。(発言する者多し)
  7. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 御静粛に願います。  発言をお続けください。
  8. 森ゆうこ

    森ゆうこ君(続) このたびの年金法改正は、依然として高い失業率で推移している景気状況の中、サラリーマンの加入する厚生年金保険料率を、毎年約一兆円、十四年連続して引き上げ、また国民年金保険料負担増と給付の引下げを盛り込んでおります。国民生活に直接影響を及ぼす法案であり、審議を十分に尽くして国民的合意を得るための努力を行うことは我々の当然の責務であります。  しかしながら、政府説明は不十分かつ意図的に国民を誤解させるようなものであり、審議時間は不十分極まりなく、また、我々が強く要請いたしました中央公聴会も、そして参考人質疑もいまだに行われておりません。重要法案については、国会法に基づき、採決前提として公聴会を実施することは当然の責務であります。正に国民の声を軽視したやり方であり、法案審議手続瑕疵があったと言えます。このあしき慣例を残すことは、立法府良識の府としての参議院そのものの存在に傷を残すことであります。  なおかつ、この年金法案審議の中で、小泉総理を始め、坂口厚生労働大臣などの九閣僚、厚生労働、森、谷畑両副大臣年金加入未納問題も露呈し、国民負担お願いする政府与党議員は、法案提出の資格は全くないことは言うまでもありません。  厚生労働委員会の公平な議事を当初は運営していた国井委員長でさえ、年金の未加入未納があったかとの我が同僚議員委員会での質問に答えておりません。  衆議院での審議の際、衛藤委員長は、委員会では年金完納発言しながら……(発言する者多し)
  9. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) どうぞ御発言をお続けください。御発言をお続けください。御発言をお続けください。(発言する者多し)
  10. 森ゆうこ

    森ゆうこ君(続) 静粛にお願いいたします。
  11. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) お静かに願います。
  12. 森ゆうこ

    森ゆうこ君(続) 衆議院での審議の際、衛藤厚生労働委員長は、委員会では年金完納発言しながら、採決が終わった途端に未納を表明するなど、法案提出者答弁者行司役委員長質問議員すべてが年金未納、未加入の現状において、本当にこの法案採決を行っていいのか、常識ある大人ならだれでも分かる簡単なものでございます。  しかしながら、衆議院でやはり強行採決が行われ、そして昨日、また参議院でも強行採決が行われたのであります。このような瑕疵ある形で強行採決された法案を、ここ、良識府参議院の本会議採決することは断じて許されません。本来、その経緯から、委員会での審議は慎重に行い、廃案にして、次の国会までに法案全体について再検討すべきものであります。  昨日行われた委員長行為は、党利党略そのものであり、公平中立議事を整理すべき委員長として許される行動ではありません。厚生労働委員長として不適格であります。我々は、このような委員長に本院の厚生労働委員長の要職を預からせることはできません。  私は、このたびの法案審議に当たり、厚生労働委員会理事会において、国井正幸委員長、そして与党理事皆さんに昨日の理事会でこのように申し上げました。私たちは確かに政党人であります。しかしながら、しかしながら、政党人である前に、国民に負託を受けた良識ある、良識の府である参議院の一議員であります。国民生活に大きく影響し、日本の将来を大きく左右する、そして国民皆さんが今本当に不安、不信を抱いているこの年金の問題について、果たしてこのような審議の進め方、公聴会も開かずに強行委員会開催していく、このようなことが本当に許されるのでしょうか。私たちは本当に国民皆さんの方を向いて仕事をしているのかどうか、良識府参議院議員として良心に恥じないような行動を取るべきである、そのように申し上げました。  そして、昨日の委員会の中においても、その良心思い出していただけるように、私は、自由民主党武見筆頭理事、そして国井正幸委員長に対しまして手紙を書き、是非とも良心に従って行動していただきたい旨のお訴えを申し上げました。それは私一人の願いというよりも、私たちに負託した国民皆さんのすべての願いであると思っております。しかしながら、そのような願い最後まで受け入れられませんでした。大変残念なことであります。  先ほども申し上げました、昨日の強行採決は、内閣総理大臣に対しての、理事会合意した共産党政策政調会長小池晃委員社会民主党護憲連合委員長福島瑞穂委員、とりわけ私が尊敬申し上げております、当選以来三年間、同じ厚生労働委員会に所属して御指導を受けてまいりました西川きよし委員の十八年間の議員生活を、最後を飾る大切な内閣総理大臣に対しての質問を、その機会を奪ったのであります。  西川きよし委員は、十八年間参議院厚生労働委員会に属し、その議員活動はだれもが評価しているところであります。福祉の分野に対して特に造詣が深く、他の議員に勝るとも劣らない、本当にすばらしい質問をされている。私は、そのことに対していつも心から敬意を表しておりました。  昨日も、なかなか政府側がきちんとしたデータを示さない。法案問題点が、我々が指摘しているにもかかわらず、政府の二転三転する答弁によって明確になっていかない。そのような中で、ようやく内閣総理大臣に対しての質問を、お聞きするところによりますと、西川きよし委員は、前の晩、ほとんど寝ずに準備をされたということでございます。私も、是非西川きよし委員最後質問をお聞きしたかった。国民皆さんも同じだと思います。  ここで、西川先生コメントが載った新聞を少し引用させていただきたいと思います。「「卒業式できなかった」 消えた最後質問 引退西川議員、がっくり 「この様子全国の子供さんやお年寄りが見たらどう思うか…」。無所属参院議員を十八年務め、今国会最後引退予定西川きよし議員小泉純一郎首相への十二分間の質問を控えていた。「卒業式」のつもりで練り上げた質問強行採決で不可能に。」なった。「「卒業式ができなかった」としょうぜんとした様子で語った。 西川議員は他の議員質問の間にトイレに立ち、戻ってきたら既に散会していた。採決にも加わっておらず、「(学校の)門を閉められ、卒業式がなかった上に、期末テストもなかった気分ですよ」とさびしそうに笑った。 「十八年間頑張ってきて、今回が最後。僕なりに総理への質問を温めてきた。どんな答弁をいただけるのか楽しみだった」と西川議員。「議員活動全国の人に喜んでいただいて、良い卒業式をしたかった。本当に残念です」と目を落とした。 「(強行採決が)定期的にあるということは、国会がちゃんと機能していないということではないか。政党の理屈でメトロノームのように右に左に振れて、迷走している」」。混乱を極めた年金国会をこのように西川議員は振り返っておられます。  ただ、このようにもコメントしていらっしゃいます。「「もう良識の府は過去のものなのか」と問われると、「過去のものではない。一緒仕事をしたいと思う先生もたくさんいた。総理厚生大臣のころにはアポなしで私の陳情を受けてもらって、お世話になった」と国会同僚、先輩らに配慮をみせた。」、このようになっております。  これを聞いて与党皆さん良心が痛みませんか。  もう一つありますので引用させていただきたいと思います。「「西川きよし議員強行採決最後質問できず」「年金制度改革関連法案は、野党質問を中止させる極めて異例の採決が行われ、野党無所属の三議員質問できなかった。特に無念だったのが今期で引退し、三期十八年間の参院議員生活最後となる質問をするはずだった西川きよし氏だ。」と、こうあります。ここで西川委員コメントでございます。「「いい卒業式にしたかったんですが……」。寂しそうに話した。 小泉首相への質問前、西川氏は「ふんどしを締め直そう」とトイレに立った。だが、委員会室に戻ると場内は騒然としており、採決は既に終わっていた。議員生活を飾るべく「最後に事務所みんなで温めた質問だったのに。期末試験もないまま卒業式に出て行けと締め出されたようです」。」、このようにコメントされております。「ただ、西川氏は「「良識の府」は決して過去のものではないはずです」。自らに言い聞かせるように語った。」と、このようにあります。  これでも、まだ与党皆さん良心が痛みませんか。  先ほど、国民の声を無視した暴挙だと申し上げました。今回の年金関連法案のような国民生活全体に大きく影響する法案は、やはり中央公聴会開催するということが重要でございます。  このことにつきましては、ここに、厚生労働委員会、五月三十一日月曜日の理事懇談会合意メモがございます。このメモは、五月三十一日月曜日の夜の理事懇談会でなかなか協議が調わず、断続的に理事懇開催されておりましたが、翌日の委員会開催前提として与野党理事間で合意を見たものでございます。この合意につきましては、私がこのメモを二回ほど読み上げ、与野党理事で双方が確認したという内容でございます。私が作ったメモでございますが、読ませていただきます。  参議院審議開始当初から、中央地方公聴会開催については与野党合意していたが、その時期については協議が調わず、結果的に委員長職権での地方公聴会開催に至った。本日の地方公聴会開催を受け、中央公聴会開催重要性について与野党合意を確認した。この合意に基づいて、与党理事から、六月七日月曜日の中央公聴会開催について、誠心誠意努力を行い、明日の理事会までに報告する。この条件の下で明日の委員会開催要求を受けた。仮に理事会までに回答ができない場合は、引き続き開催に向けて場内協議を継続する。  このようになっております。  実は、このメモの中にあります誠心誠意という言葉が、今回の年金関連法案審議に関して我が厚生労働委員会理事懇談会並びに理事会におけますキーワードでございました。  私ども野党側としては、そもそもこの年金関連法案が、衆議院で本当に不正常な形で採決が行われ参議院に送られてきたものであり、きちんとした十分な審議が行われるように、その環境を整えるための幾つかの条件を提案しておりました。その我々の提案を実現することに対して、自由民主党武見筆頭理事の方から、何度も、誠心誠意努力する、誠心誠意努力するという言葉が繰り返されたのでございます。結果として、今ほど読み上げた五月三十一日の理事懇談会における合意は実現されることはありませんでした。  お忘れになっているといけないので、もう一度読みたいと思います。  参議院審議開始当初から、中央地方公聴会開催については与野党合意していたが、その時期については協議が調わず、結果的に委員長職権での地方公聴会開催に至った。本日の地方公聴会開催を受け、中央公聴会開催重要性について与野党合意を確認した。この合意に基づいて、与党理事から、六月七日月曜日の中央公聴会開催について、誠心誠意努力を行い、明日の理事会までに報告する。この条件の下で明日の委員会開催要求を受けた。仮に理事会までに回答ができない場合は、引き続き開催に向けて場内協議を継続するというものでございました。  私は、実は、このたびの厚生労働委員会運営につきまして、まさか昨日のような結果になるとは予想しておりませんでした。(「甘い」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
  13. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 発言をお続けください。
  14. 森ゆうこ

    森ゆうこ君(続) いま一度申し上げます。  私は、我が参議院厚生労働委員会運営が、まさか昨日のような状況になるとは思っておりませんでした。私のこの発言に対し、甘いという不規則発言がございました。それは一体どういう意味なのでしょうか。  委員会運営与野党理事の十分な協議の下で、国民皆さんに納得していただけるような形で進んでいくというふうに思うのは当然のことだと思いますが、それを甘いと言われるのは、そもそもそのようなことがあるというふうに予定をされておられたのでしょうか。ここは良識府参議院でございます。  私は、もちろん今回の年金法案対決法案であるということは存じております。しかしながら、対決法案であったとしても、必ずしも委員会運営がこんなふうになるとは思いません。  私は、昨年成立いたしました個人情報保護法案特別委員会に所属いたしました。理事オブザーバーとして理事会にも参加させていただきました。  個人情報保護法案与野党対決法案でございました。しかしながら、特別委員会委員長尾辻委員長の大変すばらしい委員会運営によって、個人情報保護法案委員会質疑は、委員会運営は非常にスムーズにいき、十分に審議が尽くされ、強行採決などという、そんなことは行われることなく正常に法案が成立いたしました。  特に、尾辻委員長は、私は、当時、国会改革連絡会少数会派でございました。国会改革連絡会共産党社会民主党護憲連合のこの少数会派の我々、理事オブザーバーでございましたけれども少数意見を非常によく酌み取っていただいて、私どもが納得のいくまで委員長としての職責を全うされたのでございます。ですから、そもそも対決法案だからといって、きちんとした良好な委員会運営が行われるというふうに私が考えることを甘いと言われるのは、一体どういうことなんでしょうか。  ただ、私は、国井正幸委員長が、本当は心を痛めながら昨日の強行採決、このような形で委員会を終えることになったのではないかと拝察申し上げております。  国井委員長、あなたは厚生労働委員長の就任以前は農林水産委員会で、地元栃木農業、というよりは日本農業の将来について、日本の将来について、現在の状況に怒りを持っていつも熱く語っておられたと聞いております。栃木県民が、日本国民があなたの行動を見ていました。昨日の強行採決をどんな思いで有権者は見ていたと思われますか。  今、日本の国の自給率の低さを、日本の国の食物の自給率の低さを、そして輸入にだけ頼っている日本状況を、今、日本の国の自給率の低さを、そして輸入にだけ頼っている日本状況農家皆さんは国の政策としていけないと思っていらっしゃる。日本の国の食料を作っている農家皆さんの苦労を、国井委員長は、野党に対しても一緒に語りましょうよと、いつもおっしゃっていたと伺っております。  私は、米どころ新潟県民の代表として、純朴な農家の人々を裏切れない、うそはつけない。国井委員長も同じだと思います。日ごろ地元で御苦労されている農家皆さん地方の声が直接入ってくる国井委員長、昨日の行動に疑問をお持ちにはなりませんでしたでしょうか。  昨日、帰りまして採決状況をテレビで見ましたが、心なしか国井委員長のお顔はつらそうに見えました。私は、国井委員長思いが伝わり、大変残念に思いました。  今、地元に帰りまして、年金の今回の政府案説明する機会が大変多くございます。日本年金制度は大変難しく、今回の法案の中身を説明するのもなかなか難しいものがございます。年金基本日本年金制度基本を分かっていない人が大半です。もっとも、小泉総理でさえ御存じなかったということが昨日の委員会質疑で分かったのでございますから、仕方のないことかもしれません。  私は、昨年、民主党に入り、そして、今回の国会で初めて正式な理事として厚生労働委員会理事会に参加させていただきました。当初は、国井委員長のお人柄、様々な心遣い、そのような国井委員長委員会運営に対して大変信頼を寄せておりました。  一つエピソードがあります。  私は、民主党次席理事でございます。我が厚生労働委員会は、今国会参議院先議の三つの法案がございました。野党次席理事仕事の中で最も責任の重い仕事附帯決議案取りまとめでございます。自由民主党次席理事である藤井基之理事と何度も協議を重ね、結果として、与野党意見を十分に反映させ、また委員会質疑も反映させる形で附帯決議をまとめることができました。その附帯決議取りまとめ委員会開催される当日の朝の理事会に提出いたしました。既に各党とも正式な党内手続を終え、必要な手続はすべてきちんと終わっておりました。  ところが、その当日の理事会の冒頭に武見筆頭理事の方から、既に手続の終えた、あとは理事会での承認を待つだけの附帯決議案に対して一部修正を求められました。私は、手続上何の瑕疵もなかったということで武見筆頭理事要求は受け入れられないと申し上げましたが、武見理事の方はその修正要求を取り下げず、そのまま委員会に入りました。場内協議修正要求を取り下げていただくように続けてお願いを申し上げましたが、なかなか受け入れてもらえませんでした。  私は、このままでは、せっかく与野党合意をした、しかもきちんとした手続を経た附帯決議案が駄目になってしまう、我々のメンツだけではなく、御苦労をいただいた藤井理事メンツをつぶしてしまうことになるのではないかと思いまして、国井正幸委員長お願いを申し上げました。国井委員長、ひどいじゃないですか、何の手続上の瑕疵もなかったはずです、何とかしていただけませんでしょうかとお願いを申し上げたところ、国井委員長はいつもの温かい栃木弁で、ああ、あれはうまくないべな、あしき前例を作ると悪いから、おれの方から武見理事に言っておく、そうおっしゃってうまく取りまとめてくださいました。  私は、このような経験から、厚生労働委員会は、たとえ年金法案が来ても大丈夫、きっときちんとした委員会運営がなされるものと確信をしておりました。しかし、本当に残念でございます。  そこで、皆さんに私の残念な気持ちを分かっていただくために、この間の年金関連法案がどのような経過参議院厚生労働委員会で取り扱われたのか、経過説明させていただきたいと思います。  まず、五月十三日木曜日に趣旨説明がございました。しかし、その法案趣旨説明に先立ち、我々野党側は、衆議院での経過を踏まえ、衆議院での経過とは、衆議院厚生労働委員長衛藤委員長が、法案強行採決されるまで御自身には年金の未加入未納はないと言っておきながら、強行採決された途端に十一年の未納、未加入の期間があったということが分かった、このような経緯。そして、福田官房長官衆議院強行採決行われるまで御自身のことを説明されなかった。このような経緯を踏まえまして、野党側といたしましては、参議院厚生労働委員会趣旨説明に先立ち、まだ御自身年金加入歴公表されていなかった森、谷畑両副大臣国民年金納付状況の開示を求めました。  なかなか協議が調わなかったのですが、趣旨説明を夕方に控えた五月十三日木曜日のお昼の段階になって、森、谷畑両副大臣未納、未加入があるということ、そしてそのことを法案趣旨説明に先立ち厚生労働委員会報告するということ、しかし、その前に、先に自主的な形での公表ということで記者会見をやらせてほしいという回答がございまして、私どもはそれを了とし、五月十三日の木曜日、森副大臣、そして政務官谷畑大臣はそのとき出張でいらっしゃいませんでしたが、代わりに秘書官が御自身年金の未加入未納について報告されました。  次、翌週の五月十八日火曜日、合計四時間十分の審議が行われたのでございますが、その前提といたしまして、私たち総理の第一回目の審議に対する出席を求めました。そして、両副大臣責任の取り方について協議をいたしました。十八日火曜日は、午後は小泉総理大臣出席の下、質疑が行われました。しかし、それに先立つ午前中の谷畑大臣に対する質疑におきまして、谷畑大臣報告があり、さらに森副大臣のこの年金未納、未加入に関する質疑答弁について事実と反する疑いが出てまいりました。  先ほど申し上げましたとおり、両厚生労働大臣年金未納、未加入の問題についての公表は、形式上は記者会見を自主的にやるという形で、あくまでも自主的にという形にはなっておりましたが、実際のところ、法案趣旨説明前提として我々野党が強く要求したものでございます。  そのことについて質問を受けた森副大臣は、事実とは違う御説明をされたため、私どもが、それは違うのではないかということで訂正を求めました。結果として、翌二十日の木曜日の委員会審議の冒頭、国井委員長が森副大臣質問する形で、森副大臣が自らの参議院厚生労働委員会における御自身未納、未加入の発表の経緯について、事実と誤認させるようなことがあったということを陳謝されました。  先ほども申し上げましたが、既にこの時点で、法案審議が開始された時点で当委員会では、衆議院では公聴会開催されなかったことを受け、当初から、中央地方公聴会開催については非常に大切であるので是非開催しよう、できれば地方公聴会は二か所でやりたい、そしてまた参考人質疑もやろうではないか、このような合意ができておったのでございます。  五月二十五日火曜日。実質審議が六時間五十一分行われました。私どもは、十八日火曜日の小泉総理の我が委員会での御答弁、並びにその前段で飯島秘書官を通じて明らかにされた総理年金の納付状況、事実と違うのではないか、国会答弁がおかしいのではないか、総理に再度、すぐにでも参議院厚生労働委員会出席していただき再答弁を求めてまいりましたが、なかなか実現されませんでした。  そこで、小泉総理年金の問題について、皆さんの中にもなかなか理解が得られない部分があるようですので、私の方から説明を申し上げたいと思います。  小泉総理は、まず厚生年金加入歴の問題を申し上げますが、加入歴といたしましては、一九七〇年四月、福田赳夫議員秘書となる。同時期に横浜市三福不動産の社員となる。ここで厚生年金加入されております。そして、一九七二年十二月、衆議院議員に初当選されました。そして、一九七四年十一月、厚生年金を脱退しております。  昨日の我が会派の山本幹事長の質問でも明らかになりましたが、小泉総理の経歴につきましては、まず当初、慶応大学にいつ入学したのかが不確かでありました。一浪したのか二浪したのか、御本人がよく覚えていらっしゃらないというようなことで、参議院厚生労働委員会におきまして、五月十四日に飯島秘書官が記者会見をされた総理の経歴を、五月十八日火曜日の参議院厚生労働委員会開催に並行して行われた飯島秘書官の再記者会見においてその経歴について訂正がなされ、そのときに記者に対して総理の納付記録が閲覧されました。先ほど申し忘れましたが、そのことを知りました我々厚生労働委員会野党側といたしましては、記者団に総理の納付記録を閲覧させたのであれば、まずこの厚生労働委員会に対してその納付記録を開示すべきではないかということもこのときに要求しておりました。この総理の納付記録につきましては、結果として、五月三十一日月曜日に行われた地方公聴会の前に我々理事理事懇メンバーに対して様々な条件が付けられた上で開示されたものでございます。  厚生年金加入歴の問題について様々な質疑が行われておりますが、一つ、先日大変話題になりましたイラク特における我が会派の齋藤委員の質問が大変興味深いものがございますので、少し引用をさせていただきたいと思います。  これは、例の大変お世話になった恩人である太っ腹の会社の社長さんを、御健在であるにもかかわらず故人と間違われたということを含む内容でございますので、改めて私の方から御紹介申し上げたいと思います。  「なぜ」、齋藤委員の発言でございます。「なぜこの特別委員会で、何だおれのまた国民年金加入加入問題を聞くのかよというふうに言われるかも分かりませんが……」。そこで、小泉総理はこのように答えられております。「いいよ、いいよ。」。齋藤委員「どんどん聞いてと言っているので聞きますけれども基本的には、国民年金法を今、国民年金、」「様々な改悪、改悪と我々言っていますが、改正を今提案されて」「議論をされて」おりますが、「国会議員加入あるいは未納等」の問題がありました。「それから基本的には制度的な問題もありということで、これがある意味ではミックスしてきていると思うんですね。 ですから、私は、率直に申し上げまして、さっき会期延長の話を申しましたけれども総理自身の今念頭」には、「自分自身のこともありますけれども、もうこの際、国民の方々にこれだけ政治、政党と、国民の方々の年金の問題について不信、不満が高まったと。もう一切、この」「法案というのは白紙にして、白紙にしてやり直した方がいいんじゃないかというのを思っているんじゃないかなと、思っているんじゃないかなというふうに思いますが、まずちょっと、さっきの官邸の危機管理ということもありますけれども、そんなお気持ち、いかがですか。」。  そこで、小泉総理がこのように答えておられます。「私も、いろいろな議論が出てくるうちに、早く現在の政府案を成立させて、そして一元化を含めた制度論に入った議論をしていくべきだなと思っています。 というのは、この一元化の議論と社会保障全体の議論を進めていく場合には、まず一元化の議論をしようとする議論でも一、二年掛かります、これは。一元化によって、どういう一元化がいいのかと、また、それにしようといった議論でもかなり時間が掛かる。そして、それでは仮にそれが一元化していこうという結論が一、二年後出たとする、そのときにまた国民の理解を得るのに私は数年以上掛かると思います。納税者番号一つ取ってもですね。所得比例というのはどういうことかという。じゃ、保険料を上げない代わりにどういう税項目をやるのかと。消費税、年金だけの目的消費税でいいのかという議論が出てくる。これだけ取ってたって数年掛かりますよ。 だから、現在の法案を早く成立させていただいて、今回の審議も踏まえていろいろな、各党が協議して新しい制度が必要ならばそれに進めて向かっていくべきであるというのが私の率直な考え方であります。」。齋藤委員「私ども政党民主党の案は衆議院で残念ながら否決をされまして、しかし三党合意ということで抜本改革ということについては合意をして、抜本改革に向けてとしては、ということではあるわけですから、これはある意味では政党である以上努力をしていこうということですが。 しかしながら、今、大方の国民の方々が各種新聞世論調査で、今、この国会に対して出されている法案はもう白紙に戻してほしいというのが国民の声ですよ、国民の声。私はそういう意味では、国民の声に素直に聞こうといったって、もう提案しちゃってここまで来ちゃったから、もうとにかく通してほしいよという、そういうことじゃないかと思いますが。ある意味では、率直に国民の声をやはり受け止める政治、政府であるならば、」率直に「こたえるべきではないかなというふうに思います。 総理自身、昨日、広野議員が本会議で、これは菅直人前私どもの代表衆議院議員が本会議で、総理、サラリーマンの経験あったんですかねという話で、それは衆議院で、」「サラリーマンの経験なかったと、それを指摘をいたしまして、総理から御指摘のあった期間と、これは議事録、速報ですが、」、衆議院議事録の引用です。  「当時は議員秘書、後に衆議院議員との兼職という立場にあり、サラリーマンと聞いて国民が一般的に思い浮かべるいわゆる会社員ではありませんでした、一般的に思い浮かべるいわゆる会社員ではありませんでしたというのは、どういう会社員なのかなと。サラリーマンの経験がないとの私の発言はこうした点を踏まえて申し上げたものでありますということなんで、この一般的に思い浮かべるいわゆる会社員ではないということ、それから勤務実態は、どういうふうな勤務をされていたのかなと。それから、どういう、どれぐらい給料をもらっていたのか、もう古いから覚えていないということじゃなくて、大切なことでありますので、お答えいただけたらと思います。」。  で、ここから問題の様々な発言がございます。「これは、私が初めて選挙で落選した後、私を応援していた会社の社長、実に太っ腹でいい人でした。私は悩んでいたんですよ、これから身の振り方どうしようかと。私以上に残念がって、私の落選を。そこで、あんたね、もうこれから次のことを真剣に考えろと、一回ぐらい破れてくじけちゃいかぬと、これからも応援するから頑張れということで、その社長さんは、私の会社の社員になれと、そしてあんたの仕事は次の選挙に当選することだと言ってくれたんです。実に有り難い人でした。それで、選挙運動一生懸命やりなさいと、社長さん自ら知っているところを一緒に回ってくれましたね。 そういう非常にいい方の支援の上に私の今日があるんだなと、今でもそれを思うと感謝しております。私は、総理を辞めたらその会社の社長さんのお墓参りをしたいと思っているんです。本当に有り難い方でした。」。まあ、お世話になった社長さん、亡くなってもいないのにお墓参りをするという、というお話でございます。  齋藤委員の発言です。「いやいや、きっかけは分かったけれども、きっかけは分かったけれども。いや、総理、きっかけは分かりました、きっかけは。 そうすると、今、大変なことをお話しになっているんですよ。あなたの仕事は次の選挙に当選することだと。いや、一般論としてはあるんですよ、一般論として。選挙頑張れよということだと思います、で、在籍をしたのでしょう。だから、そのことが昨日答弁の、サラリーマンと聞いて国民が一般的に思い浮かべるいわゆる会社員ではありませんでしたと。だから、会社に行っていなかったと、仕事仕事は当選するために頑張れよということだから、仕事をしないと。 で、なぜ言うかというと、」これ、「厚生年金なんですよ。」「何をおまえは聞きたいんだということだと思う、そういう、」「多分脳裏に浮かんでいると思うんです。厚生年金加入していることは事実ですと、不動産会社での勤務実態がなかったということではありませんと昨日おっしゃっているんですよ。だから、どういうサラリーマンのお仕事をされてどういう給料をもらっていたんだと。ただ、いろいろきっかけは言われていましたけれども、どういう勤務実態。勤務実態がない人に厚生年金加入するなんて、雇用者はこれは法律違反になりますよ、これは。」。厚生年金の違法加入は犯罪です。  それに答えての小泉総理答弁でございます。「それは会社によって違うわけですよ。会社によっては、一年間何も会社に出てこなくていいと、一、二年」、「一、二年外国旅行してくれ、」、外国に旅行をしてくれ、こういう「社員もいるわけです。様々です。 あんたの仕事は次の選挙で当選することだと、これは実にいい社長でしたね、会社なんか来なくていいと言うんだから。たまに会社の旅行会とか、あるいは大事な人が今日は来るから来たらどうかというお誘いは受けましたよ。そういう方、世の中にいるんです。これが会社の実態、全部、社員と同じように仕事すればいいというものじゃない。私は、先日、一、二年何もしなくてぶらぶら遊んでいろと言った会社、これまた大した社長だと思いますよ。そういう社員もいるわけですね。」。  これを聞いたら国民皆さんどう思うでしょうか。  「だから、すべて皆さんが考える、毎日毎日会社行って、決められた時間、社員と一緒に机並べてやるというのが一般の考えだとサラリーマンだと思いますが、もう三十年以上前はそういう太っ腹の、見返りを期待しないいい社長、いい支援者というのはたくさんいたんです。」。  「総理ね、この期間というのは秘書であり、そして国会議員になっていく、なったりした時代も入っているわけですよ。重なっていくわけですよ。言われている、言われたこと、それはある意味じゃ本音に近いこと言われているかも分からない、大部分本音かも分からない。ある意味では政治家として大変なことをおっしゃっているんですよ、それは。大切な、大変な。」。  この当時のことは、皆さんも御存じのことと思いますが、政治資金規正法は成立しておりませんでした。しかし、もし仮にこの時点で政治資金規正法があれば、これはまさしく政治資金規正法違反の疑いもあるのではないかと言われております。  続けます。
  15. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 森君、簡潔に、常識の範囲内でやってください。
  16. 森ゆうこ

    森ゆうこ君(続) 「社会保険庁、いらっしゃると思いますが、この厚生年金加入というのは、いらっしゃる、厚生年金加入というのは、これ、勤務実態、今の総理が言っている、勤務実態は全くないでしょうが、今まで言っている限りね。そういう人にこの厚生年金が適用されるんですか。ちょっと教えてください。」。  そこで政府参考人が答えます。「厚生年金の適用につきましては、基本的に常用的使用関係ということを前提としてございますけれども、個別のそれぞれの就労者とその会社との関係、その就労の形態でございますとかその職務内容、そういったものにつきましては、ケース・バイ・ケースと申しますか、個々のその状況に応じて総合的にその被保険者資格として取り扱うのが適当かどうかというような観点、総合的な観点から判断がされるということでございますので、個別具体的な事例に即して判断されるということでございます。」。  そこで私、森ゆうこが五月二十五日、参議院厚生労働委員会におきまして、この厚生年金の違法加入、そしてそれに付随して起こる健康保険法違反の疑いで郡山署に逮捕されました郡山前市議のいわゆる郡山事件ということについて委員会の中で確認しておりますので、御紹介させていただきたいと思います。  私の質問でございます。「念のために一つの事例を挙げて確認させていただきますが、郡山事件と言われるものでございます。健康保険法違反の疑いで郡山に逮捕された郡山前市議についての、この案件につきまして御説明お願いいたします。」。  答弁は法務省刑事局長の樋渡利秋氏でございます。「お尋ねは福島地方検察庁郡山支部において、本年三月一日及び同月十九日、前郡山市議会議員を健康保険法違反及び詐欺罪により公判請求した事実と思われますが、同被告人につきましては、本年五月十七日、福島地方裁判所郡山支部において懲役二年、執行猶予四年の判決が言い渡されたものと承知しております。 犯罪事実の要旨を申し上げますと、被告人が平成十一年十一月に内容虚偽の領収書を利用して郡山市議会市政調査会研究費補助金三十万円を詐取したという詐欺事案と、平成十三年七月に有限会社役員と共謀の上、被告人が同社に使用され、その報酬月額が七万八千円である旨の内容虚偽の健康保険被保険者資格取得届を社会保険事務所に提出したという健康保険法違反、平成十五年一月から同年三月にかけて不正に取得した健康保険被保険者証を提出するなどして療養の給付の対価の一部を免れたという詐欺事案だと承知しております。」。  ここで、五月十九日参議院決算委員会における平野貞夫委員の質疑に対する答弁を御紹介申し上げたいと思います。厚生年金保険法の観点からの質問でございました。答弁者は薄井康紀氏、社会保険庁でございます。「雇用者として厚生年金の被保険者となるか否かにつきましては、これは適用事業所と常用的な使用関係にある就労者かどうかということをこれは基準として判断されるわけでございます。常用的使用関係につきましては、就労者の労働日数、労働時間、就業形態、勤務内容等を総合的に勘案して、個別具体的事例に即して認定をするというのが基本的な考え方でございます。」という答弁がございました。  年金の未加入は明らかに犯罪でございます。そして、厚生年金の違法加入も明らかに犯罪でございます。年金加入、そして未加入に引き続いて起こる未納問題、実は罰則がございます。  国民年金法上、未加入には罰則が科せられております。故意、過失にかかわらず、現行は届出義務違反で十万円以下の罰金でございます。しかも、昨日強行採決されました改正案では、この罰金が十万円から三十万円に引き上げる内容が盛り込まれております。  ですから、私どもは、罰則強化を含む法案を提出する資格は今の政府にはないというふうに思っております。法律違反をした国会議員を、その政治責任を問わないまま、国民に対して罰則強化を含む本法案を成立させる、そのようなことは私は許されざるべきことと思っております。  それで、先ほど厚生年金の違法加入事件について私の議事録を引用させていただきましたが、その質問に続きまして、私は、副大臣に御自身の政治責任についてただした部分がございます。  先ほどの説明をお忘れになっているといけないので、もう一度、いわゆる郡山事件について御説明させていただきたいと思います。  「福島地方検察庁郡山支部において、本年三月一日及び同月十九日、前郡山市議会議員を健康保険法違反及び詐欺罪により公判請求した事実と思われますが、同被告人につきましては、本年五月十七日、福島地方裁判所郡山支部において懲役二年、執行猶予四年の判決が言い渡されたものと承知しております。 犯罪事実の要旨を申し上げますと、被告人が平成十一年十一月に内容虚偽の領収書を利用して郡山市議会市政調査会研究費補助金三十万円を詐取したという詐欺事案と、平成十三年七月に有限会社役員と共謀の上、被告人が同社に使用され、その報酬月額が七万八千円である旨の内容虚偽の健康保険被保険者資格取得届を社会保険事務所に提出したという健康保険法違反、平成十五年一月から同年三月にかけて不正に取得した健康保険被保険者証を提出するなどして療養の給付の対価の一部を免れたという詐欺事案だと承知しております。」。  この説明に、引き続き私は坂口厚生労働大臣並びに森副大臣にお聞きをいたしました。「今の御説明でもお分かりだと思います。坂口厚生労働大臣並びに森副大臣にこの件の御報告について感想をお聞きしたいんですけれども、この健康保険法違反、そしてその前提となる厚生年金の」「違反、又は国民年金の罰則事例、不正支給については懲役刑もあるわけです」。「これらの年金、保険、健康保険に関する様々な間違いに関しては、これは明らかに犯罪」です。「罰則があります。詐欺罪というところまで」「あったわけです」。「今の御報告を受けて率直にどう思われるのか、」、答弁を求めました。  坂口大臣は、このようにお答えになりました。「健康保険の方にもお話が及んでまいりましたけれども、そうしたケースもあるのかなと思って先ほどお聞きをしたところでございます。先ほど法務省の方からも御答弁ございましたとおり、これはケース・バイ・ケース、それぞれによって決定されるべきものと思っております。」。  その次に、森副大臣はこのようにお答えになりました。「大臣から御答弁があったとおりでございます。」。  と、そこで、私は、今まで、今この数分のトーンが私のふだんのしゃべり方です。ふだんどなったことはありません。私は、おかげさまで子供が三人おります。家族は会社員の夫と、そして夫の母親、つまり私にとってはしゅうとめに当たる、六人家族でございます。今や珍しい三世代ということになるかと思います。こう見えても一応家庭円満にいくように、家で声を荒立てたりしたことはありません。ふだんは大変我慢強い性格だと言われております。  しかしながら、私は、今回のこの年金関連法案審議が我が厚生労働委員会で始まりましてから、毎日毎日どなり続ける日が続きました。おかげさまで声が多少傷んでおります。のどが傷んでおります。大変お聞き苦しいかと思いますが、いましばらくお付き合いをいただきたいと思います。  私は、この森副大臣答弁に対して大変怒りました。いいですか、この未納、未加入の問題、これは大変軽く考えていらっしゃいますけれども、この国は法治国家なんです。そして、我々国会議員はその法律を立法する立場にあるわけです。そして、それぞれの大臣はこの法案の提出者でございます。(発言する者あり)抑えてと言われておりますので、議事録を引用させていただきます。  「この未納、未加入の問題、これは大変軽く考えていらっしゃいますけれども、この国は法治国家でございます。過失、故意にかかわらず法律を破ったことの罪は重い。しかも、その法律の提案者が法律を破ったことの罪は重い。それをうっかりミスだから、うっかりミスだからそんな責任まで問えないでしょうと言って、相変わらずその法律の提案者に座らせておく、その責任は重い。これらが認められますと、法治国家の基本を否定することになります。そんなことで果たしていいんでしょうか。法律を作る国会議員が故意であろうと過失であろうと法律違反をした、そのことについて責任を取らない、その状況国民に対して罰則強化を含む法案を提案する資格が本当にあるんでしょうか。 私は子供に言われました。お母さん、大臣未納、だったらそんなのだれも払わないよって。じゃ、小泉さんが、うっかりミスだから過去の責任は問われない、この答弁を」、小泉総理のこの答弁を「テレビで見たうちの息子はこう言いました。うっかりミスだったら何をやってもいいんなら、例えば交通事故起こしたって、済みません、うっかりミスでした、でもうっかりミスだから責任はないですよね。これでいいんですか、本当に。」。これが国民の本当の声ですよ。  そこで、森副大臣がもう一度御答弁をされました。「先ほどは健康保険の問題についての御質問だと思って申し上げましたけれども、私の件であるとすれば、再三申し上げておりますように、勘違いとはいっても、国民の義務を果たさなかった期間ができちゃったということにつきましては大変深く反省をしておりまして、おわびを申し上げているところでございます。 これ、この後、私はこういった反省を踏まえまして、年金制度改革に全力を尽くして皆様方の御信頼を回復するということを、ここで決意を申し上げまして、これからも職責を果たしてまいりたいと思っております。」。  私は、ここで更に怒りました。そして、もう一度質問しました。「もう一度はっきり答えていただきたいんですけれども、罰則規定があるわけです、罰則が。それに該当する法律違反を森副大臣は犯しているわけです。その罰則強化を含む法律の提案者と、果たしてそういう資格がありますか。罰則強化についての、罰則に該当するということについての御認識はいかが」でしょうか。「もう一度御答弁お願いします。」。  「繰り返し申し上げますが、」、これは森副大臣答弁です。「大いに深く反省をしまして、その反省を踏まえて、これから年金制度改革について全力を尽くし、国民の信頼を回復してまいりたいというふうに決意をしているところでございます。」。  私は、もう一度質問をいたしました。「要するに、罰則規定があるわけですね。罰則規定がある法律があるわけです。その法律に違反しているわけですよ、森副大臣は。そのことについてどうお考えになるかということ、もう一度きちんと答えてください。」。  そこで、もう一度、森副大臣は答えられました。「再三申し上げておりますように、その件につきましては、全く勘違いとは申せ、大変深く反省をしておりまして、これから自らの職責を果たすことによって、この国民の皆様方の信頼を回復してまいりたいということを申し上げております。」。  「きちんと答えてください。」、これは私の言葉です。「要するに、法律を守らなくてもいいということなんですか。法律を守らなくてもいいということなんですか。うっかりミスだったら法律を守らなくてもいいということを、法律の提案者である副大臣がそうお考えになっているということなんですか。そのことについてきちっと答えてください。そうじゃなかったら、だれも守りませんよ、国民は、あなたが提案した法案なんて、法律なんて。」。  「先ほども申し上げましたように、」、これは森副大臣の再度の御答弁でございます。「この未加入に関する罰則につきましては、故意のケースを対象としたものというふうに私は認識しております。私自身のケースについては当たらないというふうに思いますが、この点については事務当局に確認を願いたいと存じます。」。そこで「いい加減にしろよ」と怒った議員がほかにおりました。  「いい加減にしろよって、これ基本的な問題でしょう。 法律の規定上、故意、過失にかかわらずということを再三私は申し上げておりますけれども、じゃ確認します。だれに確認すればいいですか。」というようなやり取りがございました。  そして、今私は、年金の未加入未納の問題というのは政治家がその責任を取らないということであれば、これは法治国家の基本を否定するものであるというふうに申し上げました。  我が民主党新緑風会は、国民皆さんに対して国会議員が政治的にけじめを付けるべきであると、このように考えまして、まず大変勇気のある決断だったと思います、五人の委員長が辞任をされました。  そして、私どもは、通称国会議員、もう一度申し上げます、国民年金未納国会議員けじめ法案。もう一度申し上げます。我々は、まず国会議員が襟を正すべきである、もちろん制度上の問題があり、また行政の手続上の問題があり、国会議員の多くが未納、未加入ということがあったわけでございますが、我々は、年金の改正に、年金関連法の改正に当たり、まずはこのことについて国会議員がけじめを付けるところから始めるべきであると、このように考えまして、もう一度申し上げますが、通称国民年金未納国会議員けじめ法案、これを提出いたしました。既に参議院厚生労働委員会での趣旨説明も行わせていただきました。  その法律案の提案理由説明を御存じでない議員も多くいらっしゃると思いますので、御紹介申し上げたいと思います。「国会議員未納国民年金保険料に係る公表及び特例保険料の納付に関する法律案・提案理由説明」、通称、国民年金未納国会議員けじめ法案です。「ただいま議題となりました国会議員未納国民年金保険料に係る公表及び特例保険料の納付に関する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。」。  ここで少し私の方から説明させていただきたいんですが、まず我々は、政治家がきちんとした政治責任を取るべきである、けじめを付けるべきであると考えました。特に、私の御尊敬申し上げます西岡武夫参議院議員の御発案によりまして、そしてまた、平野達男参議院議員の御努力によりまして、この法案の提出に至ったわけでございます。  もう一度読み上げます。「国会議員未納国民年金保険料に係る公表及び特例保険料の納付に関する法律案・提案理由説明」、通称、国民年金未納国会議員けじめ法案です。「ただいま議題となりました国会議員未納国民年金保険料に係る公表及び特例保険料の納付に関する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 今般の国会議員国民年金保険料未納付問題により、年金制度に対してのみならず国会そのものに対する国民の著しい不信を招いてしまったことは、まことに遺憾であります。 このことは、一国会議員政党会派を超えた重要な問題であります。 私たちは、国会議員年金保険料の納付状況国民に明らかにすることが、年金改革に対する国民の理解を求める第一歩であると考えます。 そこで、国会議員が自ら政治責任を果たすための法律として、未納付の国民年金保険料のある国会議員の氏名等の公表、保険給付に反映させない特例保険料の納付義務等について定めることとした次第であります。 以下、この法律案の概要について御説明申し上げます。 第一に、国民年金法の規定により納付すべきであった昭和六十一年四月一日以降の国会議員としての在職期間に係る国民年金の保険料で、納付されなかったもののうち徴収権が時効により消滅したものを「国会議員未納国民年金保険料」として定義しております。 第二に、社会保険庁長官は、この法律の施行後速やかに、国会議員未納国民年金保険料がある国会議員の氏名及び未納付期間を公表しなければならないこととしております。」。  ここで注を入れさせていただきます。  自由民主党以外のすべての会派国会議員は、既にこの条件の下での自らの国会議員未納付期間を公表しております。ちなみに、私ども厚生労働委員会野党理事、また理事オブザーバーは、参議院厚生労働委員会年金関連法案質疑に先立ちまして、少なくとも厚生労働委員、審議に携わり、そして採決をする厚生労働委員の国民年金加入状況を明らかにするべきであると当初より訴えてまいりましたが、残念ながら今の時点においてもそれは実現されませんでした。残念ながら、自由民主党の委員の皆様の中で公表されていらっしゃらない方がいらっしゃいました。そして、採決に参加されました。  もう一度概要について最初から御説明申し上げます。「以下、この法律案の概要について御説明申し上げます。 第一に、国民年金法の規定により納付すべきであった昭和六十一年四月一日以降の国会議員としての在職期間に係る国民年金の保険料で、納付されなかったもののうち徴収権が時効により消滅したものを「国会議員未納国民年金保険料」として定義しております。 第二に、社会保険庁長官は、この法律の施行後速やかに、国会議員未納国民年金保険料がある国会議員の氏名及び未納付期間を公表しなければならないこととしております。 第三に、国会議員未納国民年金保険料がある国会議員は、平成十六年六月三十日までに、現行の国民年金の保険料の額に未納付期間の月数を乗じて得た額を特例保険料として国に納付しなければならないこととしております。 第四に、納付された特例保険料については、その算定の基礎となった未納付期間は国民年金の保険料納付済期間に算入せず、また、社会保険料控除の規定は適用しないこととしております。 第五に、国会議員であった者で国会議員未納国民年金保険料があるものについて、平成十六年六月三十日までに特例保険料を納付することができることとしております。 第六に、特例保険料は国民年金特別会計の国民年金勘定の歳入とすることとしております。 第七に、特例保険料に関する事務は、社会保険庁が行うこととしております。 最後に、この法律は、公布の日から施行することとしております。」、これが通称国民年金未納国会議員けじめ法案法律案提案理由説明でございます。  私たちは、少なくとも、十分ではないかもしれませんが、このことにより、まずは国会議員が政治的責任を取るべきであると考えております。  しかるに、小泉内閣総理大臣は、昨日の参議院厚生労働委員会におきまして、ようやく御自身の過去の強制加入の時期があったことを認めました。認めましたが、何の反省の言葉もありませんでした。歌を歌っている場合ではないと思っております。  それでは、ただいまの法案の中身を御説明申し上げたいと思います。  ちなみに、度々政治責任を当委員会で尋ねられた森、谷畑両副大臣は、このいわゆる通称国民年金未納国会議員けじめ法案趣旨説明の後、私がこの法案についての賛否を問わせていただきましたところ、本心を語ってくださいました。できれば、この法案が成立をして、自分も政治的責任を取りたい。しかし、残念ながらというところなんだと思います。  読ませていただきます。  「国会議員未納国民年金保険料に係る公表及び特例保険料の納付に関する法律(案) (趣旨) 第一条 この法律は、国会議員としての在職期間に係る国民年金の保険料を納付していなかった国会議員があることが、国会及び年金制度に対する国民の著しい不信を招いたことにかんがみ、国会議員が自らを律するため国会議員未納国民年金保険料に係る公表及び特例保険料の納付を行うこと等について定めるものとする。 (定義)」……
  17. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 森君、簡潔に、常識の範囲内でやってください。
  18. 森ゆうこ

    森ゆうこ君(続) 「第二条」……(発言する者多し)もう一度読ませていただきます。  「国会議員未納国民年金保険料に係る公表及び特例保険料の納付に関する法律(案) (趣旨) 第一条 この法律は、国会議員としての在職期間に係る国民年金の保険料を納付していなかった国会議員があることが、国会及び年金制度に対する国民の著しい不信を招いたことにかんがみ、国会議員が自らを律するため国会議員未納国民年金保険料に係る公表及び特例保険料の納付を行うこと等について定めるものとする。 (定義) 第二条 この法律において「国会議員未納国民年金保険料」とは、国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)の規定により納付すべきであった昭和六十一年四月一日以降の国会議員としての在職期間に係る国民年金の保険料で納付されなかったもの(これを徴収する権利が時効により消滅したものに限る。)をいう。 (公表) 第三条 社会保険庁長官は、この法律の施行後速やかに、国会議員未納国民年金保険料がある国会議員について、その氏名及び未納付期間(国会議員未納国民年金保険料に係る国民年金の被保険者期間をいう。以下同じ。)を公表しなければならない。 (特例保険料の納付) 第四条 国会議員未納国民年金保険料がある国会議員は、平成十六年六月三十日までに、政令で定めるところにより、国民年金法第八十七条第四項に規定する保険料の額に未納付期間の月数を乗じて得た額を特例保険料として国に納付しなければならない。 (保険料納付済期間への不算入) 第五条」。  解説申し上げますと、普通は年金の保険料を支払いますと、それに伴って年金を受け取る、給付される権利が生ずるわけですが、これはあくまでも国会議員が政治的な責任を取る、けじめを付けるための法案でございますので、保険料納付済期間への算入はしないということがこの法律案で大切なところでございます。  「(保険料納付済期間への不算入) 第五条 前条の規定により納付された特例保険料の算定の基礎となった未納付期間の月数は、保険料納付済期間(国民年金法第五条第二項に規定する保険料納付済期間をいう。)に算入しない。 (社会保険料控除の規定の不適用) 第六条 第四条の規定により納付された特例保険料については、所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第七十四条の規定は、適用しない。 (国会議員であった者による特例保険料の納付) 第七条 国会議員未納国民年金保険料がある者(第四条に規定する者を除く。)は、平成十六年六月三十日までに、政令で定めるところにより、国民年金法第八十七条第四項に規定する保険料の額に未納付期間の月数を乗じて得た額を特例保険料として国に納付することができる。 2 前二条の規定は、前項の規定により納付された特例保険料について準用する。 3 第一項の規定による特例保険料の納付については、公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)第百九十九条の二及び所得税法第七十八条の規定は、適用しない。 (国民年金特別会計法の適用の特例) 第八条 第四条及び前条第一項の特例保険料は、国民年金特別会計法(昭和三十六年法律第六十三号)第四条第一項の規定にかかわらず、国民年金特別会計の国民年金勘定の歳入とする。 (特例保険料に関する事務) 第四条及び第七条第一項の特例保険料に関する事務は、社会保険庁が行う。 附則 この法律は、公布の日から施行する。 理由 国会議員としての在職期間に係る国民年金の保険料を納付していなかった国会議員があることが、国会及び年金制度に対する国民の著しい不信を招いたことにかんがみ、国会議員が自らを律するため国会議員未納国民年金保険料に係る公表及び特例保険料の納付を行うこと等について定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。」。  私は、年金関連法案強行採決するより前に、この法律案を全会一致で成立させるべきだったと考えております。  厚生労働委員会審議時間、大変不十分なものでございました。申し上げますと、六月一日までに三十一時間三十六分でございました。  そこで、その昨日の委員会開催することについての協議がなかなか調いませんでしたが、私どもはまだまだ審議不足、そして中央公聴会与野党合意していた中央公聴会、まだ昨日の委員会で議決すれば、この会期内に公聴会中央公聴会開催することは十分できたわけでございます。そのような日程でありながら、なぜ締めくくり総括、そして採決というようなことをやらなければならないのか、どうしても理解することができませんでした。  私は、武見筆頭理事に対しまして、この委員会開催するのであれば、今の日程でまだまだ公聴会開催できる余裕があるのになぜここで審議を打ち切らなければならないのか、そのことについて合理的な説明をしてほしいと望みました。しかし、回答は得られませんでした。  そして、公明党の遠山理事の方からは、もう審議時間は十分であるという御説明がありましたので、私の方からこのような質問を遠山理事にさせていただきました。  百年安心、抜本的な改革案、そう銘打っている法案ですから、当然十分な慎重な審議が必要であると、何が、何を根拠に審議時間三十一時間三十六分をもって十分だとおっしゃるのか、その根拠を教えていただきたい、そのように御質問申し上げました。これについても何ら回答はございませんでした。  そして、昨日の委員会に先立った理事会において、私は委員長お願いを申し上げました。その前の晩の、今ほどの私の質問に対して明快な回答が得られていない、再度質問させていただくので是非答えていただきたい、このように委員長お願いいたしましたが、完全に無視されました。  このような運営でよろしいのでしょうか。この一点をもってしても私は国井正幸委員長の解任決議について正当な理由があると考えております。  私の年金関連法案についての質疑時間もたくさんいただきたかったんですが、民主党新緑風会では大変年金問題に精通していらっしゃる優秀な先輩の先生方が大勢いらっしゃいますので、私のような者がそんなにたくさん審議時間を取らせていただくというのは大変申し訳ないと思っておりました。  そこで、今まで用意していた中で、これ質問はできませんけれども、私の個人の年金改革についての考え方を述べさせていただきたいと思います。まとまっておりませんが、私の個人的な年金制度改正案についての基本的な考え方でございます。  そもそも、そもそもですね、先ほど少し身の上話をいたしました。普通の母親でございます。静かにしていた方がよかったのかもしれませんが、なぜ私が政治に参画することになったのか。三年前の参議院選挙に立候補する前は、私が今住んでおります新潟県横越町というところの、横越町では初めての女性の町議を務めさせていただいておりました。横越町というところはもうすぐ新潟市と合併するところでございまして、新潟市、皆さん御存じの「かめだのあられ・おせんべい」の亀田町、そして私の住んでいる横越町と、このようになっております。ちなみに、有名な越乃寒梅の蔵元は私の家から自転車で数分の距離でございます。  私は、そもそも政治を、自分が政治に参画するとは思っておりませんでしたが、実は公民館、その当時、もう故人になり、小泉総理と違って間違っておりませんが、もう既に故人となっておられます私の恩人でございます、当時、私の住んでいる横越町の教育長を務めておられた方が、公民館での非常勤の仕事をしてほしいというふうに言われました。  私にいただいた宿題は、一つには、自主的に町づくりに参加する町民のいろいろなボランティアのグループを作ってほしいということでございました。その要請に従いまして、私は、高齢者介護のボランティアをするグループ、それから保育ルームなどを開くグループ、そして町おこしの様々なイベントを開催するグループ、それからミニコミ誌を、町のミニコミ誌を作るグループ、様々な町民が自主的に参加するボランティアのグループを立ち上げました。そして、その事務局をさせていただいておりました。  昨年、地方統一選があったわけでございますが、その前の地方統一選のときに、ボランティア活動を通じて大きく広がったネットワークの中で、その当時、私の住んでいる横越町には女性の町議がおりませんでしたので、是非立候補してほしいというお話がありまして大変迷いました。  そもそも、私が政治に参画していいのか。そして、公職に就くわけですから、仮に当選したとしたら、政治家になるということは非常に自分の身を正していかなければならない。ということよりも、プライバシーがなくなるということが大変嫌だったんですね。小さい町でございます。朝、ごみを捨てに行くそのごみの捨て方も皆さんは注目していらっしゃるということで、自分の子供がどのように育っているかとかそういうことも常に町民の目にさらされる、それが大変抵抗がありまして、なかなか立候補を決断できなかったわけですけれども、いろんな方たちから立候補の要請がございまして、夫が、おまえ、女だからって人生なめてんじゃないか、一度くらい思い切ってやってみろ、おれ、女房が国会議員だなんて結構格好いいと思うよと。済みません、それは参議院議員に出るときでした。済みません。というふうな後押しをしてくれたおかげで選挙に出ました。  私が町議会議員になってからいろいろ勉強した中で、この国会議員参議院選挙に出なければならない、出た方がいいと決断するに至った最大の原因は、これからの少子高齢、しかも人口減少の日本で、このままの制度、このままでの社会の仕組みのまま放置したら、私たちは子供たちにしっかりとした輝く未来を約束することができない、そう思ったからであります。  我々の先輩の世代は、あの敗戦の焼け野原から世界の奇跡とも言われる戦後の復興を成し遂げ、景気が低迷するといっても日本は世界第二位の経済大国です。我々の世代の責任は、もはや失われた十年、十二年、十三年なのか、と言われておりますが、二十一世紀の少子高齢、人口減少、そして国際競争の厳しい、新しい環境にある日本、子供たちが本当に希望を持って育つことのできる新しい国の形、新しい国の仕組み、特に社会保障制度を作りたいということが私の一番の政治参画への動機でございます。  私は、今回の政府案は、百年安心の抜本改革、おこがましいと思っております。その件につきましては後ほど御説明させていただきたいと思いますが、年金改革への私の幾つかの視点を御紹介させていただきたい。  まず、社会保障制度全体からの視点が今回の法案では欠如しているのではないかということです。これは予算委員会でも多少言及させていただきましたが、そもそも年金の問題を厚生労働年金局の権限内だけで議論する時代ではもうなくなったんです。そして、少なくとも厚生労働省は、医療や介護、福祉や雇用保険も含めた社会保障全体を、社会保障制度を一体としてとらえて議論すべきであると考えております。  日本経済に対する影響ということを考えても、租税と社会保障負担を合わせた国民負担率の観点からの議論が不可欠です。つまり、年金改革は、経済財政諮問会議なり、そういうところで大枠を決め、というよりも、政治家がきちんとしたグランドデザインをかいて、あとは細部を年金のプロである年金局が補足するという形が望まれる局面に来ているというふうに思っております。  その点、政府案は、改革の視点がただ年金制度にとどまり、その意味で旧態依然たる印象を否めません。  次に、ここは私の個人的な意見でございますが、いまだに国の役割を大きくとらえ過ぎていると思っております。この危機に際して、依然として公的年金だけで国民の老後の生活を賄おうとする伝統的な発想から抜け切れていないとの印象を受けます。  また、労働市場に対する影響も考慮する必要があります。女性と年金の問題はほとんど解決されておりません。第三号被保険者等、女性の年金の問題が就業を抑制している点の改革が見送られていることは大変残念なことでございます。  このように、年金は、他の社会保険や税だけでなく、様々な分野の問題、労働市場、少子化対策、マクロ経済全体の議論を踏まえ、医療や介護保険の改革と整合的に今後の年金のグランドデザインをかくべきであると考えております。  私は、国は、できることはできる、できないことはできないとはっきりと言うべきであると考えております。そういう意味において、今回の政府案、できもしないことをあたかもできるかのように国民を惑わせている、とんでもないことであります。  年金において打ち出の小づちはありません。これは我が民主党新緑風会の朝日委員、私の大変尊敬申し上げております厚生労働委員会の先輩でございますが、朝日委員の発言を引用させていただきました。打ち出の小づちはありません。  お年寄りが年金給付を受け取ります。その負担はだれかがしなければならない。国民は皆理解しております。これから少子高齢社会、負担が大きくなるのもやむを得ない、給付がある程度引き下がるのもひょっとしたらそれはしようがないかもしれない、国民は覚悟を決めているのであります。しかし、そうであるならば、だれにでも公平で公正であり、そしてこの年金運営がきちんと透明性が保たれている、それが一番大事なんです。そして、お忘れになっていらっしゃるのか、お分かりになっていらっしゃるのか、お分かりになっていらっしゃらないのか分かりませんが、年金の問題で一番大切なのは国民の信頼なんですよ。どんなに、どんなに、たとえですよ、完璧な制度を作ったとしても、国民の信頼を失った途端にその制度は既に崩壊しているんです。  まだ私の意見を申し述べたいところなんですけれども、もう一つ大事な争点が皆さんに御理解いただいていないと思いますので、少し言及させていただきたいと思います。  そもそも我が国の年金制度、世代間扶養、この言葉を御存じですね、与党先生方も。世代間扶養というものが年金の根本的な理念でございます。世代間扶養です。  今、私たち現役世代が納めている保険料は、損得ではありません。自分のためじゃないんです。ある意味、ある意味、納めたことによって将来給付を受けることができるという意味では確かに自分のためという意味もありますが、現在納めている保険料は今の高齢者の皆さんに対する現役世代からの仕送りなんです。ところが、この世代間扶養という我が国の年金制度の根本的理念をそもそも与党皆さんが否定していられる、いらっしゃるんじゃないか。  例えば、私は自民党の安倍幹事長のこのような発言をテレビで聞きました。未納は自分の給付が将来少なくなることで自分が損をするので人に迷惑を掛けるわけではないから問題はない。たしか小泉総理も似たような趣旨発言をされているのではないでしょうか。うっかりミスだから責任は問われないというのはそういう意味になると思います。  で、保険料を納めない人がいる、国民年金保険料を納めない人がいる、納めない人がいます。その中に今、国会議員も入っています。保険料を納めない人がいるとどうなるか。年金財政が悪化いたします。年金財政が悪化すると保険料を今回のように引き上げなければいけないことになります。また、税金を更に投入しなければなりません。つまり、世代間扶養です。保険料を納めない人がいる、その人は同じ現役世代のまじめに、まじめに保険料を納めている人たちに対して迷惑を掛けているということなんです。このことがどうやらお分かりになっていらっしゃらないのではないか。  実は、このことについて大変分かりやすい御質疑がございました。私の大変いろいろと御指導をいただいております先輩でございます柳田委員から、このような、大変今の問題、世代間扶養とは何ぞやと……(「委員長いないぞ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)いないんですか。(発言する者多し)
  19. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) どうぞお続けください。お続けください。
  20. 森ゆうこ

    森ゆうこ君(続) 済みません。  それで、この世代間扶養についてなかなか、世代間扶養という理念につきまして、委員会審議を通しても法案提案者がそもそも御理解をされていないというような感想を持ちました。それで、これは大切なことでございます。国民皆さんからもこのことを御理解いただかないと我が国の年金制度は成り立ちませんので、柳田委員の質疑の部分を引用させていただきたいと思います。  「まず大臣質問させてもらいたいんですけれども、今回の年金改革、テレビやいろんなところで百年安心とかなんとかいろいろ耳にしました。あれは今大臣思ってみて、いろんな審議が進んでいます。問題点も出てきました。今でも百年安心だと思います。」、それに坂口大臣はこのように答えております。「柳田議員には初めて御質問いただくことになります。 年金というのは将来を見て計算をしなければならないわけでございますが、将来を見て計算をするということは、予測でき得る限りにおいて予測をして、そして対策を立てるということ以外に方法はないわけでございます。したがいまして、予測でき得る可能な限りの予測において将来推計を行い、そして今までのように五年ごとに再計算を繰り返していくということではなくて、遠い先を見てその可能性を探っていく、そういう今回の案でございまして、二一〇〇年、その時点でどうなるか、積立金の問題も含めまして、人口動態も含めまして、それらのことを見ながら決定をしたということでございます。」、これは坂口大臣答弁です。「しかし、そこへたどり着きますまでにいろいろの経済の変動等もあるではないか、あるいは人口動態の変化もあるではないか、そういう御議論があるわけでございまして、そこは私たちも謙虚に受け止めなければならないというふうに思っております。ただ、将来、そうした先を見て私たちがここに提案をさせていただきました政策のその内容について、それを実現をしていくためにこれから政策としてどう実現をしていくかということとも絡んだ問題になってまいります。お約束申し上げた政策が実現できるようにしていくというのが課せられた任務ではないかというふうに思っております。」と、このように坂口大臣がお答えになられました。  そこで、柳田委員から、「抽象論で答えられると分かりづらいので、もう一回簡単に聞きます。 今回の年金改革というのは百年安心だと今でも思われますか。」。坂口大臣答弁されております。「百年安心にしたいと思っております。」とお答えになりました。もう一回繰り返します。坂口大臣は百年安心だと今でも思われますかという柳田委員の質問に対して、「百年安心にしたいと思っております。」と、このように答えておられます。  そこで、柳田委員がこのように聞かれました。「希望で百年安心、そうおっしゃってくれると僕らも分かるんです。 ところが、先日、山本議員質問に立ったときに、自由民主党、公明党、パンフレットがありましたね、その一ページ目に百年安心と書いてあったんですよ。それを見られた人は、ああ、百年安心なんだ、大丈夫なんだと思いますね。普通の人だったらですよ。大臣、今でも本当に百年大丈夫だと、希望じゃないですよ、安心だといって胸を張って言えますか。」と、このように確かめられました。  そこで、坂口大臣が答えられました。「世界経済、これからどういうふうになっていくかというようなことは、それはもちろんあるわけでございますから、それはなかなか言いにくいところでございますけれども、しかし百年安心にしていくという案を作ったわけでありますから、それに向かって政策努力を重ねていくということが与えられた課題であると思っております。」。  で、柳田議員は、大変ここで、普通だったかな、「大変答弁しづらいですね、こういう質問されますと。今、百年安心のような案を作って提出されたとお答えいただきました。 ところが、最近はやりの未納問題、国会議員、閣僚の中にも未納議員がいたということで、そのインタビューを聞いていますと、皆さんそんなことおっしゃらないんですよ。」「ですかという質問に対して、制度が難しいからだ、制度が悪いからだといった記者会見した国会議員先生方がたくさん多かったんですね。これは大臣も聞いたとおりでありますが。国会、これは野党だけじゃないですよ、与党皆さんもそうおっしゃったんですからね。制度が難しい、制度が悪いから我々は未納になったんだと。」。  ということで、実は、──済みません、もう一度。  「与党皆さんもそうおっしゃったんですからね。制度が難しい、制度が悪いから我々は未納になったんだと。 ということは、今回の提案というのは、制度が悪いけれども百年安心してくれ、分からなくなりますね。制度が悪いから未納が起きたのに百年安心してくれ、こういうのを、どっちを理解すればいいんですか。制度が悪いと思っているんだったら制度を正すべきでしょう。制度が悪いと思っていたら百年もつはずありませんよね。当然のことを言っているんですけれども。 だから、繰り返しますけれども国会議員の多くが、未納議員が制度が悪い悪いと言っている中でも、本当に百年安心のような改革を提案したんですか。」と、柳田議員質問いたしました。  そこに、その質問に対して坂口大臣からは、このような御答弁がございました。「そこは皆さん方がどう思っておみえになるかということは、それは分かりませんけれども年金制度というのは、根幹に関わりますところはこれは単純明快でございますけれども、いわゆる具体的な問題になりますと様々難しい点も含まれている。私は、そこは正確に言えば、現在あります年金制度、そのことを徹底をしていなかったことが悪いと、こういうことを私は言っておみえになるんだろうと。ちゃんと、それならそれでちゃんと言うべきだった、もう少しそこは皆に徹底してもらいたかった、それが徹底していないではないか。 例えば、閣僚の皆さん方が、閣僚になられた期間に、そのときに入っていなかった。閣僚になったときに、これは、医療保険の方はこれは共済で入りますよ、しかし年金は入っていませんから、こういうふうに一言言ってくれればそれで済む話ではなかったか、そこのところの徹底がやはりなされていなかった、その徹底不足、そこを私はおっしゃっているんではないかというふうに思います。」と、このようにお答えになりました。  そこで、柳田先生はこう切り返したんです。「そうなんです。最後は役所が悪いと言うんですよ、役所が悪いと。制度じゃないんだ、役所が悪い。役人もちませんよ、そんなこと言われたんじゃ。一番悪いのは納めなかった人なんですよ。納めなかった理由は、制度が難しい、悪いからいけなかった。でも、そう言うと立場がまずいから、今度は役所が悪い、役所が悪い。ちょっとおかしいんじゃないかなと思いますが。 副大臣、ちょっと聞きたいんですけれども、副大臣も、今回の年金改正法案、百年安心だと思います、今でも。自分の立場も」。ああ、違った、これ、済みません。「ちょっと聞きたいんですけれども、副大臣も、今回の年金改正法案、百年安心だと思います、今でも。自分の立場もしっかり頭に入れて答弁してほしいんですが。」。  そこで、谷畑大臣がお答えになっております。「私の場合、平成元年から五年十一か月未加入であったわけですけれども、振り返ってみましたら、今まで厚生年金でこう天引きをされておって、そしてまた、初めて労働の変化というのか、仕事の変化ということで参議院になって、そういうことが大きなミスになってしまって未加入になったわけですので、これはいつも申し上げていますように、議員としてやはりその点をしっかりとやはり年金についての理解をしておくべきであったし、また、今回もそういう意味では副大臣として非常に責任を感じるわけでありますけれども、今現在審議されているこの法案は百年安心なのかどうかという私の立場ということでありますけれども、私は、私自身の未加入という、平成元年、十六年前ですけれども、そのこととこの法案との直接の関係というのは私はないと思うんです。これはあくまでも私自身平成元年のときにおける加入すべきところを加入しなかったということであります。 強いて振り返って」、今ここで自分の責任を認めているんですが、そこでまた変わるんですね。「強いて振り返ってみたならば、平成元年のときには厚生年金からいわゆる国民年金等含めての、に移るときには通知が来ない。平成九年から、移ったときには通知と、あなたはこうして変わりましたよ、請求書というのか、そういうことがあるということですので、振り返ってみましたならば、もしもあの平成九年のときに、許してもらえるならば、私の弁解ではないんですけれども、そのときに通知があれば私もそのときはきっちり払えたのかなと、こう思いますけれども、いずれにしましても、今先生おっしゃったように、役所が悪い、法案が悪いということじゃない、私自身責任であると、こう思っています。」って、全然、自分で今言っていますよね、役所が悪い、制度が悪いと。  柳田先生が更にそこで聞いております。「副大臣、いつもそうですけれども答弁に答えてくださいよね、自分の感想を言うんじゃなくて。」。自分で、制度が難しい、「自分が、副大臣は自ら、強制期間ですよ、これ、強制加入期間ですよ、副大臣未納だったのは。その期間に納めなかったんです。 役所が悪いからという今答弁ですけれども、制度が難しい、役所が、通知来ないからできなかった。それが今の制度でしょう。その制度については何もいじっていませんよ、今回の改正では。これでどこまで百年安心だと言えるんですか。本当にそう思いますか、百年安心って。僕、率直に言って、五年安心と言うんなら分かるんですよ、五年安心なら。なぜなら五年先に再計算すればいいからですよ。」というふうに攻めておられます。  そして、皆さん、大切なことは、今回の改正案、先ほども申し上げましたように、これからサラリーマン、厚生年金加入するサラリーマンに対しては毎年毎年一兆円保険料を十四年間続けて引き上げていくわけでございます。そして、一兆円という額を見ていただきたい。ここ、柳田委員からも御指摘があるわけですが、実は、今、国民年金未納率、これは、もちろん免除されている人たち、これを、こういう方たちいらっしゃいますが、こういう方たちもすべて含めて国民の中で、国民年金加入者であり、納めていなければならない人、この人たちの半分以上が納めていないんです。  ですから、もはや半分以上の人が納めていないような制度は、果たして制度と言えるのかどうかという疑問があり、そしてまた、この一兆円という金額、未納者、未加入者、納めるべき人がすべて納めたとすれば、一兆円年金の保険料の収入が増えるわけです。つまり、国民に対して、まじめに一生懸命に払っている人たちに対して新たな負担を求めなくてもいいということなんです。  ここで、もう一度さっきのおさらいです。世代間扶養に移らせて戻りますが、皆さん、世代間扶養、将来、自分が、今、国民年金未納、未加入の人、国会議員も含む、これは、別に人に迷惑掛けるわけじゃないからどうってことない、そういうふうにうそぶいている法案提案者もいらっしゃいますが、自分が国民年金未納、未加入であれば、それはまじめに、そんなに豊かな暮らしの中ではないけれども国民の義務としてきちんと納めている人たちに対して非常に大きな迷惑を掛けるということなんであります。  ですから、私は、少なくとも国会議員は、先ほど説明を申し上げました、通称、国民年金未納国会議員けじめ法案を成立させ(発言する者あり)まだ分からないという方がいらっしゃいますので、最後にもう一度、この法案を我が民主党新緑風会が提出させていただいた理由を説明させていただきたいと思います。  「国会議員未納国民年金保険料に係る公表及び特例保険料の納付に関する法律案・提案理由説明 ただいま議題となりました国会議員未納国民年金保険料に係る公表及び特例保険料の納付に関する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 今般の国会議員国民年金保険料未納付問題により、年金制度に対してのみならず国会そのものに対する国民の著しい不信を招いてしまったことは、まことに遺憾であります。 このことは、一国会議員政党会派を超えた重要な問題であります。 私たちは、国会議員年金保険料の納付状況国民に明らかにすることが、年金改革に対する国民の理解を求める第一歩であると考えます。 そこで、国会議員が自ら政治責任を果たすための法律として、未納付の国民年金保険料のある国会議員の氏名等の公表、保険給付に反映させない特例保険料の納付義務等について定めることとした次第であります。 以下、この法律案の概要について御説明申し上げます。 第一に、国民年金法の規定により納付すべきであった昭和六十一年四月一日以降の国会議員としての在職期間に係る国民年金の保険料で、納付されなかったもののうち徴収権が時効により消滅したものを「国会議員未納国民年金保険料」として定義しております。 第二に、社会保険庁長官は、この法律の施行後速やかに、国会議員未納国民年金保険料がある国会議員の氏名及び未納付期間を公表しなければならないこととしております。 第三に、国会議員未納国民年金保険料がある国会議員は、平成十六年六月三十日までに、現行の国民年金の保険料の額に未納付期間の月数を乗じて得た額を特例保険料として国に納付しなければならないこととしております。 第四に、納付された特例保険料については、その算定の基礎となった未納付期間は国民年金の保険料納付済期間に算入せず、また、社会保険料控除の規定は適用しないこととしております。 第五に、国会議員であった者で国会議員未納国民年金保険料があるものについて、平成十六年六月三十日までに特例保険料を納付することができることとしております。 第六に、特例保険料は国民年金特別会計の国民年金勘定の歳入とすることとしております。 第七に、特例保険料に関する事務は、社会保険庁が行うこととしております。 最後に、この法律は、公布の日から施行することとしております。 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。 何とぞ、ご審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。」。  さて、昨日の小泉内閣総理大臣の締めくくり総括質疑、私どもは認めておりませんが、認めておりませんが、強硬に行われました。  その質疑の中で、残念ながら、最高責任者として法案を、このたびの年金関連法案を提出された小泉総理自身が、今回の法案の骨格であるマクロ経済スライドというものの考え方、細かい技術的な説明ではございません、考え方について全く御存じなかったということが明らかになりました。  政治家が責任を取らない、そして法案提案者が何の法案出したか分かっていない。そして、あともう一つ、国民皆さんの大変な怒りは、保険料、国民が納めた保険料を社会保険庁が勝手に無駄遣いをした。政治家もそれに加担した。その責任をだれも取っていない。  そして、なおかつ、今後もその国民皆さんからお預かりする大切な保険料が無駄遣いされずに、本当に国民が高齢期を迎えたときに安心して暮らせるためにだけ使われる、そのことの保証もない、そのような状況で、さらに、法案参議院審議される段階において、ようやく様々な数値が出され、それは政府説明と随分違っていた、このようなことが明らかになり、これは修正すべきか、若しくは廃案すべきかと思われるような法律であるにもかかわらず、一方的に質疑を打ち切り、そして、対内閣総理大臣議員生活十八年の最後の締めくくりと一生懸命準備しておられた西川きよし議員を始めとする野党質問権を奪った。このような暴挙を私どもは到底許すことはできません。  改めて、改めて、国井正幸参議院厚生労働委員長の解任決議、この解任決議を皆様から御賛同いただきたい。最後に申し上げまして、私の提案理由説明を終わりたいと思います。(拍手)     ─────────────
  21. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 本決議案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。藤井基之君。    〔藤井基之君登壇、拍手〕
  22. 藤井基之

    ○藤井基之君 私は、自由民主党、公明党を代表して、ただいま、正確には約三時間前に議題となりました国井厚生労働委員長解任決議案に対し、断固反対の討論を行うものであります。  今日、年金制度は、七千万人の現役世代が加入し、三千万人の受給者の生活基盤となっており、国民生活に欠くことのできないものであります。予想を超える急速な少子高齢化が見込まれる中、年金制度を持続可能な仕組みに改革することは、我が国の将来に責任を持つ政権与党として先送りのできない最重要課題であります。  国井委員長は、年金法案の一刻も早い成立が国民の安心につながるとの強い責任感を持って臨まれ、五月十二日に年金法案参議院に送られてきて以来、連日連夜、野党との交渉を含め、円滑な委員会審議に精魂を傾けられてきました。  国井委員長は、厚生労働委員会運営に当たって、決して一党派に偏することなく、常に公正中立の立場からその職責を全うされてこられました。まずは、野党諸君の意向にも十分配慮し、法案審議に必要にして十分な審議時間を確保されております。衆議院審議時間は三十六時間でしたが、参議院ではそれを上回る三十八時間二十分という十分過ぎるほどの審議時間を確保されました。  審議時間だけでなく、審議内容の充実にも特筆されるものがあります。とりわけ、衆議院では実施されなかった地方公聴会を五月三十一日に横浜で開催され、幅広い国民の理解の獲得と国民への分かりやすい説明に努められたのであります。  以上のように、時間を十分掛けて慎重審議を行った上で、会期末が迫る中、議会制民主主義の多数による議決ルールに基づき、委員長質疑打切りの緊急動議に応じて採決されたのは、全く非のない適切な判断であります。  年金改革法案審議の過程で、残念ながら何人かの閣僚や与野党双方の国会議員国民年金保険料未納期間があったことが明らかになりました。このようなことが二度と起こらないよう、国会を挙げて必要な措置を講じるとともに、急速に少子高齢化が進行する中でも持続可能な制度を目指して必要な改革を遂行してまいります。  年金制度改革は、将来的に、公的年金の一元化などの重要課題を抱えております。引き続き、政府与党が協調して広く国民の声を聞きながら、更なる改革の実現に邁進する決意であります。  こうした中で、国井委員長には、引き続きその指導力を遺憾なく発揮していただき、諸課題の解決に邁進していただかなければなりません。  本解任決議案に反対の意見を強く表明し、私の反対討論といたします。(拍手)
  23. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 大塚耕平君。    〔大塚耕平君登壇、拍手〕
  24. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 民主党新緑風会の大塚耕平でございます。  ただいま同僚森ゆうこ議員から、私の敬愛する森ゆうこ議員から御提案のありました国井厚生労働委員長解任決議案に賛成する立場から討論を行わせていただきます。  まず冒頭、与党皆さんが御心配になるといけませんので御説明をいたしますと、別にこれは原稿ではございません。後ほどこの中身については説明をさせていただきます。  冒頭、この場をおかりいたしまして、昨年イラクでお亡くなりになられました私の大学時代のクラブの先輩である奥克彦大使の御冥福をお祈りさせていただきますとともに、私の勤務しておりました日銀の新潟支店の先輩御両親の娘さんである横田めぐみさんの一刻も早い帰国をお祈りをさせていただきたいと思います。  奥大使は、外交研究会というクラブで大変貴重な論文の御指導をしていただきました立派な先輩でありました。その後、就職をいたしまして、日本銀行で地方に全員転勤をするわけでありますが、赴任した新潟支店で、私が赴任する三年前に社宅の目の前で横田めぐみさんは拉致をされたわけであります。私が着任しました年には、その時期になると新潟日報という地元紙が、めぐみさんはどこにという記事を大きく載せておりましたが、当時は、地元では北朝鮮に拉致をされたという話が既に出ておりましたが、なかなか政府は取り合ってくれず、ようやくこの時期になって拉致問題が動き始めていることに、後ればせながら期待を持つものであります。  そのことを冒頭申し上げまして、賛成討論に入らせていただきたいと思います。  まず、森議員もお話しになりましたが、野党議員質問権を無視して強行採決に至った点、これはどのような理由を付けても看過できない所業でございます。共産党の小池議員、そして社民党の福島議員、そして最も日本の庶民の皆さん意見を代弁していると思われる西川きよし議員最後になるかもしれない総理大臣への質問権を侵害したことは、誠に心外でございます。そのことだけをもってしましても、国井委員長におかれては十分に私としては解任に値するものというふうに思っております。  しかし、理由はたくさんあった方がいいと思いますので、まずは解任決議に賛成いたします基本的、外形的な理由を申し述べたいと思います。  提案者である森ゆうこ議員からも説明がございましたように、年金関連法案に関して、昨日、厚生労働委員会において国井委員長強行採決を認めたことは誠に遺憾であり、この一事をもってして解任決議は十分に賛成するに値するものと考えます。  更に申し上げれば、かかる重要法案審議に当たり、これだけ世間を騒がせました未納・未加入問題について、委員会に関係する閣僚や議員に対して毅然とした態度で臨まなかったことも、委員会の長として、職責に照らせば誠に遺憾であり、かつ残念でもあります。  また、中央公聴会開催しなかったことに加え、審議を重ねるにつれ、次第次第に公正中立な運営姿勢が薄れていき、最終的には昨日の強行採決に至ったことは、委員長としての適格性を著しく喪失しているものと言わざるを得ません。  国井委員長、私は余り親しくお話をさせていただいたことはございませんが、これまで、採決時の委員長説明等でこの壇上に登壇した際の与党議員皆さんからの拍手や掛け声の多さから拝察するに、なかなかの人気者であられ、そのお人柄を思わせるものと感じておりました。我が党内でも、なかなかいい人ですよという声も多く、森ゆうこ議員も常日ごろそう申しておったわけでございます。  そのような人望厚いと思われた国井委員長強行採決という蛮行、所業に及んだことは甚だ残念なことであります。  自分の議席、前から一、二、三、四列目でございますが、その議席から遠目に拝見するこの壇上の国井委員長の風貌とかっぷくは、我が党の野田佳彦前国対委員長の十年後をほうふつとさせるものであり、また、かの西郷隆盛公のようでもあります。議場の皆さんはいかがお感じでありましょうか。  西郷隆盛公といえば、申し上げるまでもなく、幕末、明治維新の近代日本の黎明期をリードした偉大な政治家であります。とりわけ、勝海舟公と直談判に至り江戸城の無血開城を実現させたことは、江戸市中の荒廃、国民の混乱を最小限にとどめたという意味で極めて重要な歴史的業績と言えます。  この議場には、私を含め二百名余のいわゆる政治家が鎮座しております。今日は傍聴席にもたくさんの国民皆さんがおいでいただいておりますが、我々政治家の一挙手一投足、その言動を注視しておられます。国民皆さんは、政治家といえば各々が何やら大変な仕事をしているかのように思ってくださっている場合もありますが、現実には、私たち政治家個々人が本当に重大かつ歴史的な仕事ができる局面はそれほど多いものではございません。  今回は、百年安心な年金制度を作るという触れ込みのこの局面で、参議院厚生労働委員長は、江戸城無血開城を成し遂げた西郷隆盛公に勝るとも劣らない立場にあったはずであります。なぜなら、長年の因習と悪弊から疲弊化していた江戸城は、今回のこの年金改革論議で申し上げれば年金制度そのものではありませんか。無駄遣いと複雑な運営、そして民意から遠ざかってしまった幕府の意思、こうした旧弊を一掃するために厚生労働委員長が江戸城無血開城、すなわち年金制度の抜本改革、白紙からの再検討の舞台を演出していただければ、国井委員長はまさしく年金制度改革の西郷隆盛公としてその名前は後世までとどめられたことでありましょう。  ところが、残念ながら、現実は全く逆でありました。江戸城に籠城して開城を拒む、それどころか、年金制度の中身を明らかにしてほしいという開城を求める国民の声に耳を閉ざし、門を閉ざし、悪弊、旧弊をひた隠しにしようとするその所業はいかがなものでありましょうか。西郷隆盛公が悪代官や守旧派の幕閣のごとき存在に転じてしまった国会のこの情景は誠に寂しい限りと言わざるを得ません。事の是非は、それぞれお立場で御意見はありましょうが、傍聴してくださっている国民の皆様が御判断されるものと思います。  これでは、人望厚いと思われた国井委員長の名を後世まで汚しめることになりはしないかと、人ごとながら大いに心配せざるを得ないのが実情であります。余計なお世話でありますが。そのとおりでありますが、甚だ心配、誠に心配。  委員長の権威の失墜のみならず、邪が正を侵し、正しい者がそうでない者に圧倒されるこの国会の惨状は、正にざんきに堪えないものであります。  かの論語の一節を委員長には大いに感じ入っていただきたいものであります。「子曰く、紫の朱を奪うを悪む。鄭声の雅楽を乱すを悪む。利口の邦家を覆す者を悪む。」とあります。その含意は、ただいま申し上げようと思いましたが、よく分からないというお声もありますので、もう一度だけ申し上げます。「紫の朱を奪うを悪む。鄭声の雅楽を乱すを悪む。利口の邦家を覆す者を悪む。」。  今日は国井委員長に是非、幾つかのこうした論語の教えを聞いていただきたいと思いますので、この一節をここでもう一度繰り返すことはいたしません。  この含意は、不正やイカサマがまかり通り、間違ったことが正当化されている現実を見て憤激し、国家の将来はどうなるのだろうかと心配でならないということを言っているのであります。委員長、お分かりでしょうか。  さて、委員長の御略歴を政官要覧で拝見いたしまして大変驚きました。栃木県経済農業協同組合、現在のJA栃木経済連に御勤務された後、連合栃木総研の所長を務められ、そして連合栃木の顧問などを歴任し、平成七年の参議院選挙で初当選され、平成十年には自民党に入党されたということでございます。  元々、連合の一員であり、今は自民党所属の議員であるということは、実は、この時期の厚生労働委員長として正に適役、与野党の間を取り持ち、大局的見地から委員長としての運営、裁定を行い、この際、ゼロベースから忌憚のない議論を行ってはどうかという、そういう提案をしていただくにはまたとない方であったのであります。にもかかわらず、今回のような強行採決に至ったことは、誠に残念と繰り返しお伝えを申し上げます。  先ほども申し上げましたように、政治家として一世一代の大仕事、しかも日本国の国家百年の大計に資するような有意義な仕事ができる機会を逸し、御本人はいかがお感じなのでありましょうか。私には全く理解できない御対応でありました。  幕末の日本を救った開明派の幕閣勝海舟公は、江戸城無血開城の談判に及んだ際の西郷隆盛公の印象を後にこう語っております。いわく、余が心中ひそかに驚く、襟度寛大、一点私意、私の気持ちということですね、私意を挟まず、ああ今日ある、実にこの人の意匠に出るなり。もう一回申し上げます。いわく、余が心中ひそかに驚く、襟度寛大、一点私意を挟まず、ああ今日ある、実にこの人の意匠に出るなり。  江戸が戦禍によって惨状を呈するか否かは、当時、海外列強の注目するところでありました。こうした中、勝海舟公と西郷隆盛公は、公平な、私ではありません、フェアという意味の公平です、公平な処置であれば朝廷の威光は生まれ、海外にもこれが聞こえ、日本の威信が高まろう、そういう考えで一致し、無血開城に合意したと伝えられています。  襟度寛大、一点私意を挟まずとたたえられた西郷隆盛公、そしてそうたたえた勝海舟公自身も、いずれも、官私を捨てて、幕私を捨てて、官というのは官軍の官に私、幕私は幕府の幕に私であります、官私を捨てて、幕私を捨てて、天下と公共の政をなす、この精神で事に臨んだのであります。  これは、若かりしころの勝海舟公の才能を見抜き、幕府の中で勝海舟公を抜てきして要職に進ませた当時の幕政参与、越前藩主の松平慶永、通称春嶽が師と仰いだ、皆さんもよく御存じだと思います、思想家の横井小楠の理想を表す言葉であります。歴史物が好きになってきたのは、大分年を食ったなということを感じますが。この勝海舟公だけではなく、公の、勝海舟公の配下となることから飛しょうしたかの坂本龍馬も、この横井小楠から深い影響を受けたと言われております。  後に勝海舟公は、「氷川清話」という著書の中で、天下の中で恐ろしいものを見た、それは横井小楠と西郷南洲だと述懐しております。官私を捨てて、幕私を捨てて、天下と公共の政をなす。  西郷隆盛公をほうふつとさせる国井委員長のお立場では、是非ともこの精神で江戸城無血開城とも言える虚構と不条理に満ちた江戸城ならぬ年金制度の実態解明に当たり、この際、与野党がこうして一戦交えることを回避し、海外にもこれが聞こえ、日本の威信が高まろうとも言える御対応に終始していただきたかったことを改めて申し上げるものであります。  しかしながら、思慮浅く、一戦交えるに至った委員長には、潔く責任を取ってお辞めいただく以外に手だてはないと申し上げざるを得ませんが、自らお辞めにならない以上、上程されました解任決議に大いに賛成するものであります。  さて、もうちょっとお待ちください、この江戸城ならぬ現在の年金制度がいかにおかしいものであるかを御説明申し上げましょう。委員長として、今から申し上げる事実も知らないままに、百年安心な年金制度という超誇大広告の政府案強行採決したことは誠に遺憾と再三再四申し上げておきます。  これは、お待ちになれない方もいるみたいですから、ちょっと先に御説明をいたします。(「現金だぞ」と呼ぶ者あり)いや、現金ではございません。今日はマスコミの皆さんもいらっしゃいますが、これは、日本の一億二千万人の年金、厚生年金国民年金を計算している社会保険庁、厚生労働省の年金数理計算のプログラムの現物であります。本邦初公開であります。  この説明は後ほど申し上げますが、これ読めないんです、これは機械言語で書いてありますから。世耕さん分かるでしょう、これFORTRANとC言語で書いてあります。  この説明に入ります前に、内閣府の経済財政モデルをめぐって私が竹中大臣及び内閣府とやり取りをしていた経緯については、本席でも予算関連法案の反対討論の際に御説明をさせていただきました。御記憶をいただいていれば幸いでございます。  結局、その内閣府の経済財政モデルの概要は、竹中大臣の御英断により、四月初旬に私の手元に届きました。そして、そのモデルでどういうふうに例えば日本の先行きの経済やプライマリーバランスを見通すかという、そういう計算を行うために、ある一定の前提のデータ、外生変数というものを入れなくてはならないんですが、それを公開してほしいとお願いしておりましたところ、ようやく五月十四日になって提出をされました。一月十九日にはモデルによる試算結果を政府公表しているわけでありますから、公開までに四か月掛かったことが意味している実態については皆さんの御推察にお任せをいたしますが、大いに問題があるものであります。  要は、内閣府の経済見通しは信頼性の高いものではなかったということを証明するものであります。  とはいえ、内閣府の経済財政モデル、実はそれもここにあります。これが、遠目で分からないと思いますが、後でごらんに入れますので。内閣府の経済財政モデル、方程式七百一本と言っておりました。そしてこれが外生変数、このモデルを明らかにするというその目的に向かって一歩前進したことは事実であります。そして、年金数理計算もこれと部分的に連動しているわけであります。  今後は、内閣府や外部の有識者を交えて、本当で有意でかつ信頼性の高い経済見通しはどうあるべきかということを真摯に議論してまいりたいと、そのように思っております。(拍手)ありがとうございます。  内閣府の経済財政モデルは、いろいろと経緯を聞いてみますと、昔の経済企画庁の時代から続いている古いモデルをベースに、言わば継ぎはぎで拡張、運用してきましたことから、今や全体像や計算結果の信頼性について担当の部署の皆さんも十分に自信が持てないという、それが本音であったようであります。  担当の政策統括官もこう言っておりました。自分自身も実情が分からない、以前からモデルの内容や信頼性を精査する必要があると感じていたと正直に述べておられます。今更、過去を問おうとは申しません。しかし、こういういい加減なデータを基に政治が行われ、経済政策が論じられているところに日本の病根があるものと私は考えます。  内閣府の歴代の幹部及び国会、この国会であります、国会がそうした実態に十分に目を向けてこなかったことについて、この霞が関、永田町かいわいの我々住人は大いに反省する必要があると言えます。この件の詳細については後ほどゆっくりと御説明を申し上げます。  さて、内閣府の経済財政モデルをめぐるこうした動きを踏まえ、(発言する者あり)ありがとうございます、同僚衆議院城島正光議員年金数理計算のモデルの計算結果と及びその方程式群についても厚生労働省に開示を求めました。先ほど申し上げましたように、内閣府は資料の提出に四か月掛かりました。何やっていたんですかね。  さて、城島議員にモデルの開示を求められた厚生労働省は、一晩掛けて資料を打ち出して、翌朝には段ボール箱三箱の資料を提出したそうです。実に偉い、この点は厚生労働省を評価したいと思います。その翌日、城島議員から私にこの資料が託されました。これと、あと段ボール箱二箱ほどあります。その結果、大変興味深い事実が明らかになってまいりました。  委員長、よろしいですか。国井委員長には是非聞いていただきたいと思います。  この件は、財政金融委員会の席上では概略をお話をさせていただきましたので、財政金融委員会所属の委員各位におかれましてはあらあら御承知のことと思いますが、年金制度の根幹にかかわる話でありますので、国井委員長並びに議場の議員各位にお伝えを申し上げたいと思います。  厚生労働省から提出されました資料ですが、三箱のうち二箱は年金数理計算モデルによる計算結果の打ち出しでありました。数字が羅列されている表がぎっしり詰まっており、枚数を正確に数えたわけではありませんが、ざっと五千枚はあろうかという量であります。実に多いですね。もう一箱は、厚生労働省によれば、これが方程式群ですという説明であり、これが入っておりました。まあ、どうでしょう、ざっと五百枚ちょっとぐらいあると思います。  さて、この一連の資料を見ても年金数理計算モデルの全貌がよく分からないんです。分かんないです、これは。計算結果の打ち出しの五千枚はともかくとして、方程式群だと言われて受け取ったこれについては、よくよく見ると、まあ方程式群ではなくて、これはプログラムの打ち出しなんですね、先ほど申し上げましたように。つまり、年金数理計算を行うためのモデルを機械言語でプログラミングしたものなんです、これは。それを打ち出したものです。  議員各位の中にはコンピューターや機械言語に詳しい方もおられると思いますけれども、このプログラムはFORTRANと言われる言語、そしてCと言われる言語、つまりプログラミング言語で書かれているわけであります。これは一昔、二昔前の主流であった機械言語であります。  私、一見若そうに見えますが結構年を取っておりまして、私より若い議員皆さんは私が今お話をしていること、ある程度御理解いただけるものではないかと思います。与党の中でも、例えば、私より若い先生方の是非御関心を持っていただけるようにここからお願いをするわけでありますが、例えば林芳正議員、きっと御理解いただけると思います。私より一つお若いということを最近知りました。そして、世耕さん、専門家ですからお分かりですよね、後でごらん入れますよ。いやいや、皆さん大変親しくさせていただいておりますので。田村耕太郎さんもその一つお下ですし、小林温さんもきっとお詳しいと思います。このように、与党皆さんだけお名前申し上げました、全部申し上げるのもいかがなものかと思いますので。  さて、こういうプログラムを書く前提として、当然設計書とか要件定義書、そういうふうに言われるものがなくてはなりません。建物に例えますと、設計書、要件定義書は設計図でありまして、プログラムの打ち出しは設計図に従って作成した建物そのものであります。年金制度は建物そのものであります。まあ江戸城ですね、先ほど申し上げましたように。そして、計算結果の打ち出しというのは、その建物で実際に仕事をしたり生活をするという建物を利用したあかしということになります。したがって、先ほどの段ボール箱二箱分の打ち出し結果というのは、これは建物を利用したあかしであります。  そこで、厚生労働省の皆さんにこう申し上げました。設計書や要件定義書など、年金数理計算モデルの全体像が分かるものを是非見してください、決して揚げ足を取るつもりはないですと、年金制度の全体像を今みんな知りたいと思っているんです、過去三十年、みんなこれを知りたかった、ようやくこれが出てきたことですから、設計書や要件定義書など年金数理計算モデルの全体像が分かるものを見せてください、こうお願いをしたわけであります。  そうしたところ、まず最初のその答えは驚くべきものでありました。何と、そういうものはございませんと言うんですね。年金数理計算モデルといえば、建物と先ほど申し上げましたが、建物に例えれば高層ビルであります。設計図もなしで高層ビルを、これですね、高層ビルを建てることができるとは私にはとても思えません。  そこで再度聞きました。何かあるでしょうと、なければこのプログラムが書けるわけがないじゃないですかと聞きましたところ、担当の方が、いや、こんなものがありますがと言って資料をくれました。その資料は二枚の、A4二枚のフローチャートであります。フローチャートについて片仮名で分からないという方については、後ほどどなたかに聞いていただければと思います。二枚のフローチャート図で年金数理計算モデルのプログラムが書けるとは私にはとても思えません。  そこでさらに、世耕さんがお詳しいと思いますので世耕さんに解説をしていただきたいと思いますが、過日、厚生労働省の年金・数理課長と担当企画官と話をさせていただきました。数理課長は数学者なんですよ。実に朴訥とした方で、大変好印象の方です。職人という感じの方ですね。実際に会われた方もいらっしゃると思いますが、まあ、どういうイメージの方かといえば、映画で言いますと「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のアインシュタイン博士のような、そういう感じの方であります。企画官は、これは文系のキャリア官僚の方ですが、この方もまた大変まじめで信頼できる、まあ、どういいましょうか、オタク系官僚であられました。いや、本当に大変まじめな企画官で、きっと厚生労働委員会の委員の方も審議の準備の過程でお世話になったと思います。  数理課長の話によれば、現在使っているプログラムは、年金制度ができた当初からのプログラムを五年ごとの再計算時や制度変更のたびに少しずつ変更して、言わばパッチワークでだんだんと肥大化、複雑化していった、こういう代物だそうであります。したがって、確かに、関係者以外がちょっと見たから、あるいは読んだからといって理解できるような、そういう設計図や要件定義書はなくて、変更を指示されますと、担当者や数理課長がこのプログラムとにらみ合って、にらみ合って、ううんと、こううなりながら変更部分を書き上げていくと、こういうことだそうであります。そういう意味では、設計図や要件定義書がないという御説明はうそではなかったようであります。  しかし、私は驚きました。皆さんも驚きですよね、恐らく。日本年金制度は百年安心とおっしゃるぐらいでありますから、精緻な高層ビルか、はたまた大変高度な技術を駆使した飛行機のような、そういう精密機械かと思っておりましたが、何とその実態は、労をいとわぬ職人かたぎの数理課の職員の皆さんの勘と腕で作り上げる伝統工芸の作品だったようであります。実にすごいと同時に、驚きであります。  私は、数理課の職員の皆さんを怒るつもりは全くないですよ。むしろその仕事ぶりに敬意を表したいと思います。まあ数理課長のお人柄といい、仕事に対するまじめな取組姿勢といい、古き良き時代の日本のサラリーマンのかがみのような気すらいたしました。  数理課長に伺ったところ、現課長は既に在任六年目。数理課長というポストができて九代目だそうであります。一年から二年でローテーションをしていく官僚組織の人事の常識に照らしてみますと異例の長さであります。だれでもできる仕事ではなくて、余人をもって代え難いという、そういう理由から恐らくそういうことになっているのだと思います。  まああんまり早く人事異動をさせてしまいますと、何しろ引継ぎ資料になるような設計書や要件定義書がない仕事ですから、きっと仕事が暗礁に乗り上げてしまうのではないか、そういう配慮からこういう人事ローテーションになっているのかなと思ったわけであります。  厚生労働省としては、歴代のまじめな数理課長の皆さんに、一人で年金制度の裏付け計算の重責を担わしていた、そう言えるのではないかと私は思うのであります。  そこで、数理課長に伺いました。個人的な数学者としての能力に依存して行われている仕事でありますので、きっと年金数理計算モデルの全体像が分かっている人は課長以外に厚生労働省にはほとんどいないのではないですか、そう聞きました。ちょっと意地悪かなと思いましたが、大変私とも気さくに議論をさせてくださいましたので、四人ぐらいはいますかと言って聞きましたところ、数理課長は非常にまじめに答えてくれまして、数理課の職員には分かっている人もいますと言って指折り数え始めて、ううん、五人は分かっていると思いますと、こうお答えになられたのであります。私は、数理課の職員の皆さんに改めて敬意を感じましたとともに、歴代の厚生労働省や社会保険庁の幹部に強い憤りを感じたところでございます。  今までのお話でお分かりのとおり、傍聴してくださっている皆さんもお分かりいただければ幸いでございますが、年金制度の裏付けとなる年金数理計算モデルの実情及びこのモデルの正確性、本当に正しく構築されているかどうかというのは、幹部はだれも分かっていないんです。職人かたぎのまじめな現場の職員に実務を押し付けたまま、御自分たちでは全くこのモデルにバグや問題がないかということを検証していないんではないですか。いわんや、坂口厚生労働大臣を始め政治家は、私も含めてです、だれも年金数理計算モデルが正しいかどうかは現時点では分かっておりません。かく言う私もこれからしっかり勉強をさせていただこうかなとは思いますけれども、何しろ設計図や要件定義書がないわけですから、これはなかなか素人には分かるはずもございません。  この膨大なプログラムは非常に多くの、恐らくざっと見た感じでは三百ぐらいの、また片仮名で恐縮ですが、サブルーチンから構成されているようであると。サブルーチンといってもこれまた分かりにくいと思いますが、先ほどの高層ビルに例えますと、一個一個が部屋であります。この高層ビルの中が三百ぐらいの部屋に分かれているというふうに考えていただければ結構かと思います。  国会年金制度の数字的根拠にかかわる質疑を行う場合、厚生労働省は、このサブルーチンの一部を動かして質疑の場で計算結果を提示しているものであると思いますが、つまり、例えば三百ある部屋の一部だけに修正を加えるとか、あるいはその部屋の電気をつけるという、こういう作業をしているにすぎないわけでありまして、そういうことを行った結果、高層ビル全体が修正や各部屋の電圧に耐えられるかという検証は、毎回毎回これを全部回さないと分からないはずでありますが、そういう検証は行われていないのが実情ではないかと推測をいたします。これでどうして百年安心の年金制度と言えるのでしょうか。これは、もし物を動かすプログラムであれば、多分動かないですね。飛行機を飛ばすとか、そういうことではないかと推測をいたしますが、国井委員長はこういう実態をお分かりになっておられたでしょうか。百年安心な年金制度などという虚構に相乗りをしまして、自分では確信の持てないことを審議し、強行採決までして政府案を通そうとしていることは、この局面の厚生労働委員長として誠に恥ずべきことだと言わざるを得ません。  厚生労働省の閣僚や幹部の皆さんは、自分自身で確認したわけでもなく、かつ、確信の持てないことを良心の呵責もなく答弁をし、まことしやかに年金制度を論じていたことは甚だ遺憾であり、国民を、あるいは審議に参加していた国会議員をだましていたと言わざるを得ない面があるのではないかと考えます。  しかし、こうして今回の年金制度改革論議を契機にこういうものが開示をされたわけでありますので、今後、数理課と一緒年金数理計算モデルの全貌を解明をいたしまして、立法府も行政府も正しい認識を共有して、改めて年金制度の改革論議を進めるようにしなければならないと思いますが、いかがでございましょうか。  厚生労働委員会審議が行われていた背後で、当然これは全員関心があることでございますので、こういうことが議論されていたわけですので、委員長におかれましては、是非ここは仕切り直しをしていただく、それがここで取られるべき行動ではないかと私は感じるわけでございます。  過去にさかのぼって、歴代の閣僚や幹部を糾弾したいと思うのが人情ではありますが、そんなことよりも、まず今後の年金制度を本当に安心できるものにすることが先決であります。そのためにも、年金数理計算モデルの全貌が明らかになるまで、いったん議論は中断すべきものと考えます。今からでも遅くはないと私は思っております。  厚生労働委員長及び後ろにおられます本院議長は、現在の混乱と、ただいま申し上げました実情をかんがみまして、昨日の強行採決を無効として、審議委員会に差し戻していただくべきではないでしょうか。  こういう話について、私も厚生労働委員会に出向いて質疑をさせていただきたかったと思います。しかし、議員各位が御承知のとおり、今年は本院は選挙の年であります。各党とも人繰りが厳しい中での国会運営が続いております。かく言う私も、先ほど森議員から尾辻議員の公正無私な委員会運営についてお言葉がございましたが、私も尾辻議員先生と申し上げますが、大変尊敬を申し上げております、この尾辻議員一緒に財政金融委員会理事を拝命しておりますので、他の常任委員会に出向いていけないのが誠に残念でなりません。  厚生労働委員長としては、こうした本院の実情にも配慮をいたしまして、百年安心な年金制度を本気で作る気がおありであったならば、審議を秋の臨時国会やあるいは来年の通常国会まで延ばすことを我々に提案するのが本来期待された役割ではないでしょうか。  そうした配慮や意思に欠ける委員長は、やはりこの重要な局面で厚生労働委員長をお任せするわけにはまいりません。混乱と落胆、将来への悲観をもたらした委員長責任は極めて重いものと言わざるを得ません。  ついでに申し上げますが、これは厚生年金国民年金であります。やがて財政金融委員会に国家公務員共済の法案が、仮に、仮に今ここで委員長の解任決議に絡んで議論しております年金改革法案本体が通った場合には財金に送られてくるわけですが、先般財務省に、我が党の財政金融部門会議で、当然国家公務員共済もこういうものを出していただかないと議論ができませんよと申し上げたところ、プログラムだけで段ボール二十箱あると言っていました。すごいですね、どうしてそんな違うんですかね。やっぱりそういうことを我々は、きっちりと検証した上で年金制度の改革論議をすることが本当に百年安心な年金制度を作ることになるものと思います。財務省は二十箱を出すというふうに言っておりますので、これを待って十分な議論をさせていただきたいものと思っております。  さて、さらに積立金運用に関する改革については、残念ながらほとんど議論をされてこなかったことも大いに憂慮されるべき問題であります。    〔議長退席、副議長着席〕  年金積立金運用基金の独立行政法人化法案に対する対案も我が党の中でも作成しております。詳しいことは、これもまた後ほど申し述べますが、現在の年金制度破綻の原因の一つが積立金の無駄遣いであるにもかかわらず、この問題を十分に議論することなく強行採決したことは、委員長の極めて重大な失態と言わざるを得ません。  更に言えば、厚生労働省ではこのところ不祥事が続発しております。御承知のとおりであります。  これも後ほど詳しく申し述べますが、厚生労働省がこういう事態を招いているにもかかわらず、その真相解明をすることもせず、どうして年金制度改革法案審議することができるのでしょうか。怪しげな不祥事を頻発させ、かつ真摯に反省しようともしない厚生労働省が出してきた法案について、きっと不適切なあるいは不正義な内容が盛り込まれているのではないでしょうか。不祥事の真相解明がなされるまで、委員会での法案審議を待たせるのが良識ある委員長の取るべき行動であったと私は思います。  そういう観点からも、残念ながら、国井委員長はもはやその職責を担うにはあたわずと申し上げざるを得ないところでございます。  さて、以上のような数々の問題を指摘させていただきました上で、委員長に、(「明日までやれ」と呼ぶ者あり)ありがとうございます、あえて諫言を申し上げたいと思います。  子いわく「由よ、汝にこれを知るを教えんか、これを知るをこれを知るとなし、知らざるを知らずとなせ」。論語、為政編の高名な一説であります。もう一回言います。子いわく「由よ、汝にこれを知るを教えんか、これを知るをこれを知るとなし、知らざるを知らずとなせ」。論語、為政編の高名な一説であります。  この意味するところは、(「もう一回」と呼ぶ者あり)もう一回ですか。子いわく「由よ、汝にこれを知るを教えんか、これを知るをこれを知るとなし、知らざるを知らずとなせ」。これは、(「もう一回」と呼ぶ者あり)じゃ、意味を申し上げてからもう一回言います。知らないことはきっぱりと知らないと言う勇気が必要である、知らないことを知っていると思い込んでいるのはこの上もなく愚かで危険なことであると諭しております。「汝にこれを知るを教えんか、これを知るをこれを知るとなし、知らざるを知らずとなせ」。  決して国井委員長だけじゃなくて、私たち国会議員全員でありますが、先ほどお話し申し上げました年金数理計算の実情を知っていた人はほとんどいないと思います。厚生労働省がまじめに仕事はやっていたのかもしれませんが、まことしやかに計算して出してくるモデルケース等の、あるいはモデル世帯等の計算結果が正しいとどうして確信が持てるんでしょうか。  さて、治世に、治世というのは世を治めるという治世でございますが、治世にかかわる人は常に正しい知識に従って物事を判断すべきであり、誤った知識で判断してはならないということをその行間に込められた言葉ではないかと思います。  万有引力の発見者である十八世紀イギリスの偉大な物理学者、あのニュートン博士もこう言っております。私の持っている知識は大海の水の一滴にも及ばないと、こう謙虚に語っておられるのであります。  ギリシャの哲学者ソクラテスも、私が知るすべては何も知らないことだと、そう言っています。人は多くのことを知っていると思い込んでおりますが本当にそうだろうかという、ソクラテスと弟子の問い掛けから始まった一節の中で述べられている、有名なソクラテスの無知の知というやつですね。無知は恥ではないんです。むしろ、知らないことを認めることに意味があるということを教えてくれているわけであります。  我々は、百年安心な年金制度を作るということであれば、もう一度ゼロベースから、まさしく与野党が同じテーブルに着いて議論を進めるべきではないかと、ソクラテスはそう教えてくれているような気がしてなりません。  現場や実務の実情も知らずに、いわんや年金数理計算の中身も知らずに、それでよく百年安心の年金制度などと言えたものだと、ただただ感心するばかりでございます。  さて、論語の学而編にはこういう一節もあります。孔子の高弟、高い弟、弟子でございますね、謹厳実直なことで知られる曽子の言葉であります。曽子いわく「吾、日に三たびわが身を省みる。人のために謀りて忠ならざるか、朋友と交わりて信ならざるか、習わざるを伝えしか」。お分かりでしょうか。もう一度申し上げます。「吾、日に三たびわが身を省みる。人のために謀りて忠ならざるか、朋友と交わりて信ならざるか、習わざるを伝えしか」、国井委員長、御理解いただけますでしょうか。  第一に、「人のために謀りて忠ならざるか」の「忠」とは、誠実、真心を尽くすの意味であります。「人のために謀りて忠ならざるか」でございます。人のために力を発揮する、一肌脱ぐといって、知らず知らずのうちに自分本位になってしまうことを戒めている一説だそうであります。  委員長、あなたの委員会運営は本当に国家、国民のためになっておりましたでしょうか。知らず知らずのうちに御自分本位、党利党略のためになっていませんでしたでしょうか。本当に公正中立に運営されていたと言えるのでしょうか。「人のために謀りて忠ならざるか」でございます。  第二に、「朋友と交わりて信ならざるか」の「信」は、約束を守ることであります。(発言する者あり)いずれは全部暗記できるようにしたいと思います。この一説は四文字熟語にもなっております。「信」が「有る」と書いてすなわち朋友有信と申します。国井委員長、御存じでありましょうか。  信義を守ることは人の道であります。せっかく約束しても不誠実では何にもならない。自分の都合で勝手に約束を放棄したりすることはもってのほかであると諭しております。委員長委員長委員会運営は、朋友有信であったと自信を持っておっしゃることができるのでしょうか。  第三に、「習わざるを伝えしか」とは、習っていないこと、すなわち、生半可な知識を無責任に他人に受け売りしなかったかという自省、自らを反省する教えであります。そういう安直な行動は周囲の者に多大な迷惑を及ぼすことを示すと言っております。先ほどの「知らざるを知らずとなせ」の教えと共通するものでありますが、委員長委員会運営においては、この年金制度の実情や詳しい仕組みについて、「習わざるを伝えしか」になっていたのではないでしょうか。(発言する者多し)委員長、ちょっと。
  25. 本岡昭次

    ○副議長(本岡昭次君) お静かに願います。(発言する者多し)大塚君、発言を続けてください。
  26. 大塚耕平

    ○大塚耕平君(続) 日本国の、国権の最高機関であるこの国会参議院厚生労働委員会委員長ともあろう立場の方が、所管事項について「習わざるを伝えしか」では、国家、国民は大いに迷惑するのであります。  以上の三つのことは、考えてみればごくごく当たり前のことでありますが、治世をあずかる者、政に携わる者としては実に大切なことであり、論語ではこれを三つの反省と書いて三省と申します。「三たびわが身を省みる。」、三という字は三回だけという意味ではありません。繰り返し繰り返し、繰り返し繰り返し、幾度も幾度もということを意味しております。三つの省みるという意味での三省が足りなかったことから、委員長解任決議案には賛成するものであります。  さらに申し上げましょう。孔子の弟子、子游が武という地方の長官になったときに、良い人材を得ることができたかという、そういう問いただした言葉であります。「子游、武城の宰となる。子曰く「汝、人を得たるか」。子游曰く「澹台滅明という者あり。行くに径に由らず。公事にあらざれば、未だかつて偃の室にあらず」」。これはちょっと長いですね。「子游、武城の宰となる。子曰く「汝、人を得たるか」。子游曰く「澹台滅明という者あり。行くに径に由らず。公事にあらざれば、未だかつて偃の室にあらず」」。澹台滅明とは子游の部下の名前であります。「行くに径に由らず。」、すなわち行動が公明正大であること、そう子游が賞賛しているのであります。  その含意は、道を歩む際に、正々堂々と大道を行こうとするのが良い心掛けであることを諭しております。そういう確かな節操のある人は、仕事の上でも不正や小細工をして世を欺くようなことはしないということを意味しております。公の人、公人においてはとりわけこの心掛けが肝心ではないでしょうか。  国井委員長委員会運営は、果たして、「行くに径に由らず。」、すなわち公明正大であったと言えるのでしょうか。  荘子にも、「巧を以て人に勝つことなかれ、謀を以て人に勝つことなかれ、戦いを以て人に勝つことなかれ」と書いてあります。「巧を以て人に勝つことなかれ、謀を以て人に勝つことなかれ、戦いを以て人に勝つことなかれ」と書かれております。天道や公道に逆らって策略や謀略で人に勝っても、それは仮の勝利であって、そのために犯した無道は必ずどこかで破綻して、元も子もなくなってしまうことを教えております。要するに、楽をしよう、得をしよう、手抜きをしてうまくやろうと考えることが堕落の始まりであり、個人としても国家としても信用を失い、破綻を招き、取り返しの付かないことになることを戒めているのです。  国井委員長中央公聴会も開かずに強行採決という、楽をして早く審議を終わらせた委員会運営の在り方は、まさしく荘子の戒めにどんぴしゃりであり、国権の最高機関である国会の権威を失墜させ、亡国の一歩を歩み出す蛮行と言わざるを得ません。  さらに、お伝えしましょう。  「和を以って貴しとなす」、これはかなり有名でございます。聖徳太子の十七か条の憲法にもある余りにも有名な句であります。論語の中では、孔子の言葉ではなく、有子の言葉として紹介されております。正確には次のように記されています。  「有子曰く、礼の用は和を貴しとなす」。同じような表現は、漢の時代の礼記の儒行編にも書いてございます。いわく、「礼は之れを和を以って貴しとなす」。聖徳太子はこの二つを出典として十七か条の憲法に盛り込みました。  ここで言う礼とは、今日の礼儀よりももっと広い意味であります。古くは法制や秩序、規範を指しておりました。言わばルールであります。すなわち、ルールの運用というものは、ルールだからといって冷淡であったり思慮の浅いものであってはならないことを教えております。そこで、有子は和が大切だと主張しているのであります。  和とは、和らぎ、和む心であります。調和の精神であります。礼の運用に当たって、過度にしゃくし定規な対応を押し付けることなく、無用の行き過ぎのないように心配りをする、これが和の精神だと教えてくれております。  国井委員長委員長の職権の行使あるいは強行採決という委員長の今回の対応は、果たして、「和を以って貴しとなす」という我が国の礎を築いたかの聖徳太子の教えに照らして、正しいものでありましたでしょうか。  そもそも、国井委員長の名字は、国の井戸の井と書いて国井であります。漢和辞典で調べましたところ、井戸の井とは象形文字であり、物の枠取り、物のきちんとしたさまを示すと、こういう語源だそうであります。国井委員長の国井というお名前は、国のきちんとしたさま、これを示す。何という重い名字でありましょうか。しかも、お名前は、正しく幸せと書いて正幸さんであります。  国井正幸委員長のこのすばらしいお名前に込められた意味とは裏腹に、今回の委員長委員会運営は古人の様々な教えに反するものであることは誠に残念と申し上げざるを得ません。  まだまだ続けましょう。  魯の大夫の季康子が、あるとき、政治とは何かと孔子に尋ねました。孔子の答えは明快であり、「政は正なり」というものでありました。原文は次のとおりです。「季康子、政を孔子に問う。孔子対えて曰く、政は正なり。子、帥いるに正を以ってすれば、たれかあえて正しからざらん。」。  その教えは極めて単刀直入であり、政治に当たる者は正しくなければならない、そういうことであります。「帥いるに正を以ってすれば、」とは、率先して正しければという意味であります。政治を行う者がおかしければ、国民も連鎖的におかしくなっていくことを教示しています。  論語の子路編では次のようにも言っています。  子曰く、「その身正しければ、令せずして行われ、その身正しからざれば、令すといえども従われず。」。  上に立つ者が正しくなければ、幾ら命令しても正しくはならないという誠に簡明な教えを示しております。  国井委員長、今国会で最も重要な法案を預かる委員会の長として、この教えの内容を我々に良く範をお示しいただきたいと思っております。  さて、破綻同然の我が国の年金制度を立て直すには、抜本改革が必要なことはもはや衆目の一致するところであります。現行制度を前提とする政府案は、問題先送りと言わざるを得ません。  そもそも、日本年金制度は三つの点で極めて中途半端な構造を抱えております。委員長、御存じでありましたでしょうか。それらの改善なくして年金制度の再生はあり得ないのであります。  第一は、年金制度の定義であります。  すなわち、年金制度は社会保障なのか、単なる保険事業なのか、その点が明確ではありません。  平成十六年度の予算関連法案の一つであります公債特例法案については、冒頭でも申し上げましたように、この席で反対討論を述べさせていただきました。年金事業の事務費を保険料で賄うことを認める特例の延長措置が含まれていたわけでありますが、その措置の合理性を説明するために、谷垣財務大臣は、年金は保険事業であり、事業経費を事業収入から賄うのは当然という答弁を繰り返していました。谷垣さんの、谷垣大臣発言を素直に解釈すれば、日本年金制度は保険事業であり、社会保障ではないことになります。  戦前に年金制度がスタートした際には、民間保険会社が未発達であり、国が年金制度運営する意味があったと言えます。しかし、民間保険会社が発達した今日において、年金制度を保険事業と定義するならば、国が運営する必然性はないのであります。せいぜい民間保険会社が破綻した際のセーフティーネットを整備するだけで十分でありましょう。  一方、社会保障と定義するならば、谷垣大臣の御発言は間違っております。社会保険庁の経費を保険料収入で賄うのは不適切であり、公共政策としての社会保障であるならば、財源は税で賄い、関係経費は予算に計上するべきでありましょう。  第二は、積立方式か賦課方式かという点であります。  日本年金制度は、当初は積立方式を目指しておりました。しかし、一九七〇年代以降、政治的配慮から給付の引上げが断続的に行われ、徐々に賦課方式の色彩が濃くなってまいりました。  つまり、形式上は積立方式であり、多額の積立金を抱える一方で、現実には制度変更のたびに賦課方式の傾向を強めていったのであります。このため、日本年金制度は、御承知のとおり、修正積立方式と言われております。  政府は、国民に対して積立方式であることを喧伝する一方、少子高齢化に伴う保険料引上げ、給付引下げの際には、賦課方式だから仕方ないといった方便を度々使ってまいりました。都合よく両者を使い分けて、国民に正しい認識を定着させなかったこれまでの政府年金制度運営の罪は重いものと言わざるを得ません。  第三に、確定拠出なのか確定給付なのかが明確ではありません。建前としては確定給付を採用しており、少子高齢化が進めば保険料を引き上げざるを得ません。しかし、過去累次にわたりまして、政治的配慮によって保険料引上げが回避されてきたのであります。その結果、将来給付分の財源が確保できないという事実上の破綻状態に陥ったのであります。  こうした状況で、社会保障審議会の年金部会は、昨年の九月に、保険料固定方式に移行すべきという提言を行いました。それを受けまして、今回の政府案では初めて保険料の上限が設定されたわけであります。  周知のとおり、厚生年金が年収の一八・三%、国民年金が月額一万六千九百円で二〇一七年に実現するとされております。ところが、法案最後には、現役世代収入の五〇%を上回る給付を確保するという附則が付いております。保険料上限を決める一方で給付の下限も保障し、結局、確定給付と確定拠出が混在していると言わざるを得ません。  計画を多少変更したり、保険料の変化はあるだろうというこの御発言、これは確定給付の実現性を問われた坂口厚生労働大臣答弁であります。    〔副議長退席、議長着席〕  一方、厚生労働省は、人口や就業等の構造変化に応じて給付を自動調整、先ほども議員が問題にしておりましたマクロ経済スライドをした場合に、最悪のケースでは給付は現役世代収入の四五%にとどまると試算しております。保険料も給付も可動的であることを、先々動くことを明言しているに等しく、年金部会の提言は無視されたものと言えます。  以上のように、日本年金制度は依然として社会保障的な保険事業であり、修正積立方式であり、拠出も給付も未確定方式という何ともえたいの知れない姿のままになっております。いや、むしろ今回の改正でその傾向が強まっており、これでは現役世代や将来世代の信頼を得ることは困難であり、政府案の問題先送り姿勢はやはり問題であると私は認識をしております。  そういう政府案でございますので、国井委員長には、強行採決に及ぶことなく、先ほど来再三申し上げておりますように、もう一度ゼロベースからの議論をしていただくべきではなかったでしょうか。  今回の政府案にはほかにも一杯重大な問題が含まれておりますが、一点申し述べます。  物価スライド方式から、ただいま申し上げましたマクロ経済スライド方式に移行する点であります。要は、物価の伸びほどには給付の伸びを確保できないということでありまして、しかも、そうしたマクロ経済推計の前提が先ほどの内閣府の経済財政モデルに依拠している点が更に問題であります。  内閣府のモデルの信頼性は低く、推計結果が恣意的であり、そしてそれを前提に全貌の分からない年金数理計算モデルで計算をしているこの年金制度。今更、過去を問うとは申しませんが、もう一度ゼロベースから、高層ビルを設計図を持ってしっかりと造り直すことが必要ではないでしょうか。  政府案民主党案が衆議院では論戦の俎上に上りましたが、私は当然、抜本改革を目指す民主党案を推奨する立場であります。国民年金、厚生年金、共済年金を一元化し、簡素な二階建て年金制度に移行することが必要であると考えております。  一階部分は、間接税を財源とする最低保障年金であり、社会保障、賦課方式、確定給付の性格が強い、より中途半端ではない年金制度であります。第三号被保険者問題や保険料未納者問題も解消できるわけであります。二階部分は、保険料率固定の所得比例年金であり、保険事業、積立方式、そして確定拠出の色彩が濃い年金制度となります。  そこで、そろそろ冒頭申し上げましたような年金積立金運用基金の政府の独法化法案に対する一つの考え方を申し述べさせていただきまして、国井委員長には、やはりこういう部分も議論が不十分であったのではないかということに思いをはせていただければと感じております。  民主党案が実現しました後の更なる工夫の余地に関しての話であります。  委員長、よく聞いていただいて、なるほどと思っていただければ、もう一度是非議論をやり直させていただきたい。  現在の見通しでは、二〇五〇年ごろには人口動態が定常化すると言われています。その場合、先ほど申し上げました二階部分を年金国債制度と言われるものやあるいは完全な私的年金制度に移行する、あるいは両者を併存させるということも検討に値するものではないかと思っております。  年金国債制度は、積立金を元本物価連動国債で運用することを想定しております。年金国債には市場性は付与しませんが、固定利率であり、元本割れはないわけであります。保険料を納めるのではなく年金国債を購入するという考え方でもいいわけであります。過去の所得比例年金の積立額を年金国債相当額に換算することで、段階的に移行可能であります。被保険者が死亡した際にも、給付累計額がその国債の購入累計額を上回っていればその被保険者が保有していた年金国債は償還されたものとする一方で、逆に下回っていた場合には差額をその子供が相続可能とすれば世代間負担の平準化にも寄与するわけであります。  利払いを日銀が行うのも一案であります。利払いは銀行券の発行によって行われますが、その対価として日銀のバランスシートには利払い相当額の政府債務が計上され、間接的に財政ファイナンスを行うことになりますが、しかし、利払いの対象は国民、すなわち民間部門でありまして、現在のように事実上日銀が直接的に財政ファイナンスを行っている姿よりはよほど健全であります。  日銀の金融市場に対する資金供給は、年金ルート、その分を控除して行うことになりまして、日銀と政府が遮断され、中央銀行の独立性や財政規律、国債管理政策あるいは年金制度に対する国民の信頼のいずれの面でもプラスの効果が期待できるわけであります。また、積立金の運用で金融市場をゆがめることもなくなります。  年金国債制度の詳細は今後の検討課題でありますが、こういう考え方も含めて、十分に代替策を議論しないまま現行制度が百年安心で継続可能だとする政府案の主張は荒唐無稽だと感じるのは私だけでありましょうか。  民主党案が実現し、人口動態が安定化した後には、二階部分の選択を国民皆さんの自主的判断にゆだねる、こういったことも五十年後には議論の俎上に上ってくるものと思われます。年金制度だけにとどまらず、財政再建や中央銀行の制度の見直しまでも視野に入れた広範な経済構造改革がまさしく一気にできる可能性があるわけであります。  次に、これも冒頭、いずれお話を申し上げますとお伝えいたしましたが、厚生労働省で続発している不祥事についても一言申し上げます。  一つは、医療保険制度の診療報酬改定をめぐる、御存じの中医協の贈収賄事件であります。  私は、中医協の議論を傍聴させていただいている唯一の国会議員であります。何度も議論を拝聴させていただきました。中医協の委員は、御承知のとおり、患者の代表が八人、医師の代表が八人、中立的立場の委員が四人の合計十二人。この十二人がちょうちょうはっしの議論を行って公明正大に点数を設定していることが期待されていますが、実際は、中医協の総会の場でそういった議論が行われることはなく、具体的な点数は一部の委員や事務局の皆さんの密室の会談で決まっているわけであります。これは実際に議論を傍聴している私の印象であります。  事件の本質は、日本政策形成プロセスの問題であります。よく言われる審議会行政と言われるものですが、有識者と呼ばれる役所の代弁者が審議会で意見を述べ、その発言が、有識者がそうおっしゃるのだからこうしましたという政策の裏付けにされてしまうことであります。  今回の中医協の事件は、その際どのような意見を述べてもらうかということに関して、協議会の背後で贈収賄が行われたわけでありますが、年金制度改革についても、果たして年金制度改革をめぐる審議会の議論の背後で何が起きていたかということは、厚生労働省のこのような体質を考えると、いま一度チェックをすることが先だったのではないかと思うところでございます。  また、もう一つの大きな事件は、これも財政金融委員会で随分取り上げさせていただきましたが、選択エージェンシーという会社を舞台にした贈収賄事件であります。この会社が、厚生労働省の予算を原資として、医療や介護だけじゃなくて、年金を含む不要不急の印刷物やビデオの作成等を大量に受注し、受け取っていた代金のかなりの部分を厚生労働省職員にキックバックしていたということであります。  この対象予算は、分かっただけでも八億九千万円、そのうち判明しているだけで六億二千万円の予算を使った発注にキックバックが付いており、実に七千万円が厚生労働省職員七十八人に渡っておりました。前代未聞の不祥事であります。一人で六百十九万、四百五十五万というキックバックを手にしている職員もいたようでありますが、厚生労働省の説明では、キックバックではなく、印刷物やビデオの内容チェックを手伝った監修料であり、言わば副業収入だと、こういう言い訳をしております。全く国民をばかにした物言いであります。  監修したのが本当であったとしても、そうした専門知識は仕事を通じて得た情報であります。国家公務員倫理法第三条には、職務上知り得た情報を一部の国民、この場合は選択エージェンシーでありますが、一部の国民や私的利益のために用いてはならないとはっきり明記してあります。明らかな法律違反であります。公務員としての仕事に関連した副業は許されない、これが国家公務員倫理法の精神であります。法律からそうした精神を読み取れない厚生労働省の体質に、先に十分に議論のメスを入れることが必要ではないでしょうか。  もっとも、副業収入というのは言い訳にすぎず、元々、副業収入という形で予算を還流させ、役所全体でプールをしていたというのが実態ではないかと言われております。警察も今、そうした方向で捜査を進めているようであります。  過日、私は参議院の財政金融委員会でこの件を質問した際に、厚生労働省の審議官は、六百十九万円や四百五十五万円の監修料は形式的には一人で受領したが、実際には数人で作業した、したがって、一人が代表して受領して、数人で共同で飲食費等に使ったという驚くべき答弁をしております。それでは、共同して飲食費に使った職員は贈与を受けているのと同じでありますから、当該職員が確定申告をしていないことは違法と言えます。  さらに、選択エージェンシーという会社との最も新しい契約案件、これは平成十五年度版の健康手帳の制作でありますが、これについて五月の初旬の委員会質問をしたところ、その件では職員は監修料は受け取っていないと審議官は答弁しましたが、その後の調べで、何といったんは受領して、八百万を受領して、事件が明るみに出たから慌てて返したということを答弁を変更しております。それでは五月初旬の答弁は一体何だったのでありましょうか。こういう答弁を行っている厚生労働省が出している年金関連法案でありますので、やはりその信頼性に疑義があると思うのは私だけではないと思うところでございます。  いずれにいたしましても、真相解明自体は警察の仕事でありますが、警察には是非頑張っていただきたいと思います。人事院には国家公務員倫理法に従って国家公務員倫理審査会を開催すること、会計検査院には厚生労働省の検査に入っていただくこと、財務省には厚生労働省の執行中の今年度予算及び来年度の予算要求を徹底的に査定していただくことを求めたいと思うものであります。  厚生労働省の不祥事についてもう一つだけ申し上げます。  三つ目は、労働行政を担当する元職業能力開発局課長が地方自治体に分配した予算を自分のところへ再送金させて千八百万円を横領していた事件であります。この元課長は、地方自治体の職員に対して、選挙資金が必要だから配分した予算の一部を送金するようにという指示を出していたそうであります。九つの都道府県が不正送金の舞台となりました。選挙資金が必要という理由が本当だったのか、あるいはそれが単なるうそだったのか、現時点では分かりません。これもまた、今後警察が明らかにしてくれることだと思います。  本当であったとすれば、ゆゆしき事態であります。一体だれの選挙を応援するためであったのでありましょうか。しかし、仮にうそであったとしても、つまりこの元課長がうそをついて自分のために不正送金をさせていたとしても、事態はより深刻であります。  選挙資金が必要という理由で地方自治体の職員が不正送金に応じたということは、そういうことが日常的に起きているということではないでしょうか。これは大変なことであります。国や地方自治体の予算がそういう使われ方をされているということは、これまでうわさされておりましたが、今回、図らずもその一端が明らかになりつつあります。日本のゆがんだ支配構造を明らかにするためにも、本件も十分な真相の解明が必要であると思うわけであります。  冒頭にも申し上げましたように、こういうことについて十分な審議をした上で、厚生労働省の説明や提出する資料の信頼性を確保した上で年金制度改革の議論に入るべきではなかったでしょうか。年金制度改革の議論と一緒に、こうした一件一件が本当に大きな問題である様々な問題をあれもこれも一緒審議して三十数時間では、とても十分な審議時間が確保されたと言えるものではありません。  次に、これも冒頭お話し申し上げましたように、内閣府の経済財政モデルに関する詳細を若干お話しを申し上げたいと思います。  これまでの御説明で御理解いただけますように、年金数理計算と密接に関係していることは既にお話ししたとおりであります。  今回、私たちは、政府与党案よりも財政再建の志向性の強い、そういう前提をベースとして中型のマクロ経済モデルによる推計を行ったことも、これもこの本席で一度御説明をさせていただきました。政府推計と比較検討することによって、国会論戦の客観性や科学性が高まることを期待したいと、こう思っての対応でございます。  二〇〇四年の予算及び後年度の歳入歳出につきまして、一定の前提を置いて、二〇一五年度までのマクロ経済の推移を推計したわけであります。経済効果の乏しい公共投資の大幅削減、あるいは地方への大規模な税源移譲を行い、税源移譲については、昨日の骨太の方針で三兆円という数字が盛り込まれましたが、それを上回る大規模な税源移譲を行い、財政構造改革を本格的に行うシナリオに基づく推計をやったわけであります。  二〇〇七年度に基礎年金の全額税方式化等を含む年金制度の抜本改革を行い、政府案よりも保険料率の引上げ幅を抑制できる一方で、国庫負担増加による社会保障関係費の増大や消費税率の引上げということも仮定として置いて推計をしたわけであります。歳入については、税外収入を外生変数、税収、公債金を内生変数として推計したわけであります。  歳出、歳入両面の改革の結果として財政赤字が縮小をいたしまして、長期金利の低下を通じて個人消費と設備投資を増加させ、GDPがぐっと増加してくるという、こういう推計結果を得たわけであります。  推計の結果、国と地方のプライマリーバランスは徐々に改善をいたしまして、二〇一五年度にはほぼ均衡することが確認されました。これはマイナスの〇・〇一三%、若干のマイナスでありますが、ほぼ均衡するというところまで推計を行うことができたわけであります。名目成長率は、二〇〇七年度に消費税率を上げるということを仮定として置いておりますので、この上振れによる反動から二〇〇八年や二〇〇九年にかけて若干低迷はしますものの、それ以降は大体二、三%で堅調に推移するという結果が得られております。  一般会計の公債依存度は二〇〇四年度の四五・八%から二〇一五年の三八・三%に改善するものの、予算規模は二〇一一年度に何と百兆円を超えまして、二〇一五年度には公債費だけで三十四・八兆円に達するという推計であります。したがって、この推計結果から見る限り、二〇一〇年代における財政再建の実現は容易なことではないと言えます。  そうした中で、政府は、内閣府と財務省が別々の中期経済予測を公表していることはこの席でも御説明を申し上げました。内閣府の経済財政モデルによる推計は、構造改革と経済財政の中期展望の参考資料という位置付けでありますが、一方、財務省は、中期展望と同じ日付で閣議決定された内閣府の平成十六年度の経済見通しと経済財政運営基本的態度を発射台として、先行き四年間の主な予算項目の見通しを明示して、平成十六年度予算の後年度歳出・歳入への影響試算を公表しております。これが今年の一月二十三日であります。先ほど申し上げました内閣府のモデルは一月十九日に数字を公表しているわけであります。財務省のこの推計結果は、今日度々話に出ておりますマクロモデルを利用した推計ではなく、極めて単純な線形的な積み上げ計算をやっているわけであります。  中期展望は、これは閣議決定対象でありますが、定性的な内容しか含まれておりませんので、毎年内容が変わっていくことを勘案すると、厳密な意味で拘束力があるとは言えないところであります。一方、定量的なデータを開示しました経済財政モデルによる推計は、これは閣議決定対象ではありませんで、経済財政諮問会議の参考資料という位置付けであります。さらに、財務省の後年度影響試算も閣議決定対象ではなく、これも拘束力がありません。財務省自身も、公表内容が将来の予算編成を拘束するものではないことをわざわざ明示しているわけであります。  財務省は、名目成長率について二〇〇七年度までの仮定値を公表しております。もっとも、これは後年度影響試算を行うために仮置きしている数値であり、内閣府が公表している経済財政モデルによる、これですね、推計値と異なる仮定値を置くことの目的とか背景等について明確にすることが必要であると私は考えます。  さて、一般会計のプライマリーバランスは、後年度影響試算によれば、二〇〇五年度から徐々に悪化し、二〇〇七年度には二十二・五兆円の赤字となります。これは、今年度対比でいうと三・五兆円のマイナスであります。この結果、二〇〇七年度の新規国債の発行額は過去最悪の四十二・八兆円でありまして、国債依存度は四六・八%に達するのであります。財務省は、今年度以降の歳出削減や増税がない場合には、二〇一〇年代初頭のプライマリーバランス黒字化という政府公約の実現は不可能だと説明しております。  これに対して、内閣府の推計では、二〇一三年度にプライマリーバランスが黒字化することを主張しておりますが、二〇〇七年度の赤字額は十八・三兆円であり、財務省試算との差は四・二兆円に及ぶものであります。財務省は、内閣府推計について、財政収支が比較的良い地方財政を含めたプライマリーバランスがベースであり、高い成長率が前提となっております、まだ決まっていない歳出削減を織り込んでいると指摘しております。また、内閣府推計の〇六年度の一般会計税収は、対前年度比二・九兆円と置いておりますが、財務省予測に比べ過大の感を否めないのであります。推計期間の前半からこのようなバイアスの掛かった前提を置くことは、後半の推計値の信頼性を著しく低下させるものであります。  内閣府の推計は、想定シナリオ等々がいろいろ未公表でありましたが、今回こうやって公表されました。〇九年度から二〇一三年度の推計結果についても、これでようやく本当にかみ合った議論がこれからできるわけでありますが、名目成長率につきましては、今御説明申し上げました独自の推計及び中期経済予測を実施している主要な民間シンクタンクの平均値と比べてもかなり高めの推計結果となっております。また、閣議決定対象である中期展望と政府経済見通しが経済財政モデルによる推計にどの程度依拠しているのかも不明であります。予算編成の前提がこのようなブラックボックスでは、信頼性のある国会審議が期待できないところであります。  内閣府の推計作業の詳細がこうやって公開されたわけですから、これに基づいて試算されている成長率、そして長期金利、そしてその上に年金制度の運用利回りが設定されているわけですから、ここが一番肝心なところであるわけであります。この辺の整合性をきちっと検証することなく議論が中断されてしまったことについては、誠に残念と言わざるを得ないところであります。  いずれにいたしましても、今までの議論で、いかがでございましょうか。年金制度の議論が、例えば内閣府のモデルが推計している様々なマクロのデータの上に乗っかって、成長率、長期金利、そして運用利回り、こうなるのが普通なんですが、長期金利が成長率より高くなると、これは財政破綻してしまいますから、ここは竹中さんとよく議論になっているところでありますが、わざわざ長期金利よりも成長率の方が高いというそういう設定を置いて、何と年金積立金運用に関する今回の年金制度改革の厚生労働省の説明は、その長期金利より高い成長率より更に高い運用利回りが出ると言っているわけであります。  果たして、そんなにすごいファンドマネジャーがおりましたら、何も年金資金運用基金の理事長などやらず、ヘッジファンドのマネジャーでもやった方がよほどいいわけでありまして、そういう形に人材も流れていってしまう、そんな年金制度であります。  果たして、年金資金積立金運用基金の理事長に……
  27. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 大塚君、簡潔に、常識の範囲でやってください。
  28. 大塚耕平

    ○大塚耕平君(続) 年金資金積立金運用基金の利回りをこの今回の政府案の示しているそうした内容で実現できるかどうか、これが一番大きなポイントであります。それができないかもしれないから、これだけ大きな議論になっているわけであります。ようやくその議論の端緒となるべき資料が出てきたわけですから、国井委員長、ここはもう一回議論をやり直させていただきたいと思うのは、決して私だけではなく、恐らく与党議員皆さんの中にもある程度はいらっしゃるのではないでしょうか。  先ほど来いろいろと厳しい空耳も聞こえておりますが、しかし、ここにいらっしゃる皆さん皆さんまじめに仕事をしていらっしゃるとは思いますが、私も真剣に国会議員として活動をして数か月掛かってようやくここまで到達しているわけであります。どうして百年安心の年金制度がたった三十時間の議論で、しかも、先ほど申し上げましたような様々な厚生労働省の大きな別の問題を抱えたまま十分な議論ができるのでありましょうか。  そういう実態を考えますと、いろいろ先輩方から厳しい御指摘はいただきましたが、古人の教えにあるような様々な視点から、もう一度議会運営の在り方、委員会運営の在り方、そして審議の進め方について振り返ってみることが必要ではないかと私は思います。  これは決して、仕事でここで討議をしろと言われたから嫌々申し上げているわけではなくて、国井委員長に私は心の底から申し上げます。もう一度ゼロからやりましょう。  先ほども申し上げましたように、国井委員長は、その過去の御経歴、そして今日のお立場に至る経緯をかんがみますと、まさしく西郷隆盛公のように、あるいは我が党の野田佳彦前国対委員長の十年後の姿のように、大所高所から与党野党の間を御裁定いただき、もう一度議論をさせていただきたいと、このように思う次第であります。  さて、厚生労働委員長国井正幸委員長解任決議案の理由がここにございますが、今までの私の主張に基づいて、この解任理由について改めてここで目を通しまして、私のこれまでの主張について自分なりに決して間違ってはいないということを今再確認しているわけであります。  最後に、またおしかりを受けることを覚悟の上で、平家物語の冒頭を読ませていただきたいと思います。そして、私の同じ選挙区の鈴木政二議員と山本保議員に敬意を表して、これも以前ここでお話をさせていただきました徳川家康公の一節を申し述べまして、最後にさせていただきたいと思います。(「見ないで言え」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)そうですね、平家物語は申し上げます。  「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり」、ちょっと見ちゃいましたね。「沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす、おごれる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし、たけき者も遂には滅びぬ、ひとへに風の前の塵に同じ」。  そして、徳川家康公の遺言をここで申し上げまして、最後にさせていただきます。──ちょっと待ってくださいね。これは、小泉総理に対して以前申し上げさせていただいた言葉であります。そのときも小泉総理はおいでにならず、誠に残念でありましたが、今日もまた総理がいないところでこれを申し上げまして、私の解任決議に対する賛成討論に代えさせていただきます。  申し上げます。  「天下は一人の天下に非ず、天下は天下の天下なり、たとえ他人天下の政務をとりたるとも、四海安穏にして万人その仁恵を蒙らば、もとより、家康が本意にしていささかもうらみに思うことなし」。  小泉総理及び与党皆さんがこうした治世と政治を行ってくださるならば、決して国井委員長の解任決議など出ることがなかったものと申し上げて、私の賛成討論を終わらせていただきます。(拍手)
  29. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 井上美代君。    〔井上美代君登壇、拍手〕
  30. 井上美代

    ○井上美代君 私は、日本共産党を代表して、ただいま提案のあった厚生労働委員長国井正幸君の解任決議案に対する賛成の討論を行います。  まず、私は、昨日の参議院厚生労働委員会で行われた、議会制民主主義を破壊し、良識の府であるはずの参議院の歴史に取り返しの付かない汚点を残した暴挙に対し、満身の怒りを込めて糾弾をいたします。  小泉総理答弁に、答弁不能に陥る中、野党総理大臣への質問権を一方的に奪い去り、総理国民への説明責任を投げ捨てて行われたこの採決なるものを、採決なるものを、総理国民への説明責任を投げ捨てて行われたこの採決なるものを、国民は絶対に、絶対にですよ、認めることはできません。  委員長、分かりますか。法案委員会に差し戻し、委員会審議をやり直し、野党審議権を保障するよう強く要求します。  委員長、通じておりますか。分かりますか、言っていることが。国井委員長国井委員長、あなたは、強行された採決なるものを行った後、一目散に逃げ出して、そして雲隠れをし、我々野党理事に抗議の機会さえ与えませんでしたね。その態度は一体何ですか。  そして、あなたは記者会見を行いましたね。聞きましたよ。あなたはこう述べています。共産党や社民党の質問をしてもらってからの方がよかったかなと思いましたが、しかし手続上は致し方なかったと、こういう発言をしましたね。あきれて聞きましたよ。国民は怒っています。反省してください。あきれ果てて、言ってみれば開いた口がふさがりませんでした。あなたは、委員長、あなたは、野党質問権を奪っておいて、質問をしてもらってからの方がよかったのかななどと言われました。その程度の認識なのですか、あなたは。認識が、本当に情けない認識ですね。  あなたは、この問題が言論の自由の問題であり、議会制民主主義の根本問題であるという真剣な配慮が欠けていたんじゃありませんか。配慮がなかったと断言ができると思います。皆さん、そうですよね。この言葉には、国会議員の、野党審議権を保障し、国民に対する責務を果たすという厚生労働委員会委員長としての自覚はどこかに忘れてきてしまっていて、そして全くみじんもないということが言えるのではないでしょうか。私は、国井委員長、そう断言せざるを得ません。手続上致し方なかったと、これは一体何ですか。どういう言葉ですか。意味も通じません。  国会手続あるいは国会審議のルールとは、言論を保障し、そして国会議員質問権を保障することに最大の眼目があるはずでしょう。皆さん、そうではないですか。(拍手)委員長、皆拍手をくれています。  国井委員長が考えておられる言論を封殺する手続なるものを国会国民に押し付けるとは到底許されるものではないですね。国井委員長、これは許すわけにはいかないんですよ。分かりますか。  質問権を奪われた我が党の小池晃議員、社民党の福島瑞穂議員は、連名で質問権の封殺に関する質問書を国井委員長に提出しましたでしょう。  そこに書いてあるのは、一つは、なぜ我々の質問の前に質疑を打ち切ったのかということが書いてあるんです。なぜ打ち切ったんですか。なぜ打ち切ったんですか。国井委員長、あなたの責任は重いと思いますよ。いつもにこにこしていて許されないですね。  そして、二つ目に書いてあるのは、我々の質問権を奪ったことを一体どう考えているのかと聞いております。質問権を奪われた人のところを私は代読しているんですよ。皆さんきちんと読んでいないでしょう。だから皆さんに教えてあげているんです。  そして、続いて言っているのは、理事会合意していた我々の質問権は一体いつ保障されるのかと問い詰めております。国井さん、国井委員長、いつ保障するんですか。保障するべきです。  このように、審議権を奪われた人たち議員は本当に怒り、それを知った国民は更に大きな怒りを広げているんです。国井委員長は、速やかにこの質問書に対し、質問書に対し、持っておられますか、誠実に回答をすべきであります。まだあなたは回答していないでしょう。  小池議員、そして福島議員とともに予定をしていたのが……(「西川議員もいるよ」と呼ぶ者あり)そうです、その西川さんを紹介しようと思ったんです。ちゃんと言える人がいますね。無所属西川きよし議員です。  この方はいつも厚生労働委員会一緒です。国民思い厚生労働委員会に持ち込んでこられます。必ず当事者たちの手紙を持参されます。そして、私たちにそれを紹介し、そして大臣に迫られるわけです。私は感心していますよ。  十八年間の議員生活の締めくくりともいうべき総理への最後質問であったということが先ほども紹介されましたけれども、それをあなたは奪ったんですよ。自覚がありますか、自覚がありますか、国井委員長。その機会を奪ってしまったんです。反省をしてください。自分のやったことを振り返ってみてください。  こういう言論の自由の封殺が許されるなら、数の力に任せた横暴が許されるなら、国会から民主主義はなくなり、多数を占める与党の暴走に歯止めがなくなるではありませんか。皆さん、今そのようになっているのと違いますか。  私ども日本共産党は、この憲政史上類のない暴挙暴挙に対し、断固抗議をするとともに、その暴挙を推し進めた、だれの名前が出てくるか、国井委員長、あなたです。国井委員長の解任を私どもは強く要求するものであります。  今回の政府が提出した年金改悪法案は、国会において徹底的に審議することこそ、国民が求めていたのではなかったですか。法改正の中身、複雑な制度改正の内容自体はもちろんのことです。中心的な論点、分かりますか、中心的な論点です。与野党の対決点を国民の前に明らかにしてほしいというのが国民の声なのです。そうですよね。国民の声が聞こえますか。  複雑な制度改正であることは、総理自身が最も身にしみて痛感されておられるのではないでしょうか。昨日の審議を聞きましたよね。昨日の審議総理はマクロ経済スライドが年金法案の骨格を成す重要なものとの自覚が、どうでしたか、全くなかったですね。そして、専門的なことは官僚に答弁させればよいと考えていたことを告白されましたね。あきれましたね。驚愕しましたね。総理のこのような法案に対する無責任答弁、これこそ更に審議をすべきなのです。強制、強行採決で押し通すというこの間違いをしては、国井委員長、いけなかったんです。いけなかったんです。  また、法案内容が、参議院に来て、更に明らかになってきたことを審議させなかった委員長責任は極めて重大ですよ。国井委員長ですよ。その責任を今問い詰めているところですよ。笑って聞いちゃ駄目。真剣な顔で聞いてください。  審議の中で、日を追うごとに法案の驚くべき大改悪の内容が、生存権を侵害する給付削減の新たな具体的な試算、そして、法案の中心点について政府がいかに説明してこなかったかということ、その事実が明らかになっていったではありませんか。  さらに、閣僚、国会議員未納、未加入の実態が明らかになり、年金不信と政治不信が頂点に達し、そして政府案への反省は国民大多数の声となったのであります。今、国会では採決せず、先送りせよというのが国民の声です。それは通じておりますよね。分かっておりますよね。分からない。それじゃ分かっていただきましょう。  五月二十五日の毎日新聞の世論調査では、毎日新聞ですよ、今国会の焦点になっている年金制度改革法案をどうすべきだと思いますかという質問に対し、今国会での成立は見送るべきだと、これが五八%です。今国会で、あくびはしないでください、成立させるべきだというのは三四%です。  同じ五月の二十五日の今度は読売新聞です。その調査では、国の年金制度を信頼していますか、信頼していませんかと聞いているんです。これに対して、信頼していない、これは四四・三%、どちらかといえば信頼していない、これは二五・七%で、足し算してください、頭さえているでしょう、おなかすいていてさえているでしょう、合わせて七割の人が信頼していないと答えているのです。  正に徹底審議こそ国民の声であり、国会責務でありました。しかるに、この国民の声を踏み付けて踏み付けて踏み付けにして、国会の重大な責務を投げ捨て、公正中立であるべき委員会運営をねじ曲げて強行採決を積極的に推進したのが、だれですか、国井委員長、あなたです。  参議院質疑時間は、地方公聴会を含めて、私が計算をしてみましたけれども、三十六時間だと思います。これは地方公聴会三時間も入れていますからね。ところが、与党は、五年ごとに行われる従来の年金審議質疑時間と同じ程度であり、採決条件は整っていると、このように主張したんですよ。  しかし、今回の法案は、今までの財政再計算ごとに行われていた制度改正とは全く異なる重大な中身を持ったものでした。すなわち、保険料上限固定方式、マクロ経済スライドによる給付調整という仕組みを組み込む点にあります。今後、保険料を二〇一七年まで毎年引き上げることを法律に書き込み、その保険料収入の範囲内で、少子化の進展状況、経済の動向に応じて給付を毎年連続して削減していくというものであります。政府の推計では、二〇二三年まで給付の削減が進むとされております。経済がどうなろうが、国民生活がどうなろうが、保険料は毎年一兆円上げ続け、給付をカットし続ける、それがこの法律の本質ではありませんか。ひどいものです。  いずれにしましても、五年ごとに財政再計算をして、そのたびに国会審議を経て保険料あるいは給付の水準を見直すという従来どおりのやり方は、根本的に変わるのです。変わってしまうんですよ。給付と負担、この自動調整システムを組み込んでしまうために、五年ごとの財政再計算はなくなり、五年ごとに国民が意見を表明する機会を奪うのがこの新しい仕組みなのであります。ひどいではありませんか。  だからこそ、政府与党には、今回の法案審議において、従来の枠にとらわれずに十分な審議時間を取り、しっかりと国民の意見に耳を傾けることが求められていたんですよ。いたんですよ。何が何でも今、国会法案を上げなければならない道理などどこにもないじゃありませんか。ないじゃありませんか。  百年安心の制度、これをキャッチフレーズに掲げている、これは恥ずかしいことですね。百年先をどうして見通すことができるんですか。廃案にすれば年金財政に穴が空くと声高に主張した政党がありました。御存じですね。しかし、百年を展望した制度改正なら、そうであるからこそ徹底審議をすべきではありませんか。  こういったこの法案の性格からいっても、国井委員長国井委員長には、十分な審議時間の確保こそ、あなたに求められていたんですよ。それをどうして裏切るんですか。御自分の胸に手を当てて考えてみてください。  参議院審議では、衆議院では明らかにされなかった法案の重大な問題が次々に明らかになりました。  まず、何よりも、政府案の二つの目玉商品が二つとも欠陥商品であるということが明らかになったんです。御存じの方は御存じですよね。  まず、言いますよ、モデル世帯の所得代替率五〇%より引き下げないというものですね。この五〇%の確保は受給開始のときだけで、年齢を追うごとにどんどん引き下がっていくことが参議院へ来て明らかになりましたよね。  一九六〇年生まれの人、いますね。この人は、二〇二五年に六十五歳のときは五〇・二%ありますよ。半分ありますよ。七十五歳になったら、若干よぼよぼになっていきますが、四五・一%となります。八十五歳、つえをついております。こういう年齢になったとき、皆さん、四〇・五%にまで落ち込むんですよ。どうですか。大変なことですよ。  独身の男性では、独身の男性では幾らになりますか。六十五歳で三六・〇%ですが、この方が八十五歳になった。幾らになりますでしょうか。二九%。二〇%台に落ち込んでしまうんですよ。  こういった資料は、参議院審議の中で初めて明らかにされたんです。マスコミも大きく取り上げました。年を取れば消費も減るのだからいいではないかと、総理厚生労働省も答弁をしました。ひどい答弁じゃありませんか。  しかし、これから年を取っても元気な高齢期を迎えられるようにしようというのが政府の方針ですよね。年を取れば、消費を減らせ、つつましく暮らせ、これではお年寄りはますます暮らしにくいし、元気も出てきません。弱る体にむち打って、ますます弱っていくじゃありませんか。このようなことは許されないことです。委員長、どうしてこのようなことを審議させなかったんですか。  もう一つの欠陥は、保険料の上限を固定するという問題です。固定するんですか。どうなるんですか。国民年金保険料は、二〇一七年に一万六千九百円というのは現在価格で表したもので、実際の名目額では二万八百六十円です。そして、二〇一七年度以降も賃金の上昇とともに上がり続けて、続けて続けて、二〇二七年には二万五千六百八十円にも引き上がってしまうのです。ひどいでしょう。  この数字を初めて明らかにしたのも参議院審議の中でのことでした。みんな誇りを持って、もっともっと審議をしなきゃいけないんですよ。こういった法案の重大な問題点が明らかになり、その点での政府説明責任も問われたのであります。国井委員長、そのことは国井委員長自身もよく承知されていましたよね。いましたか。  さらに、法案に関してまだまだ明らかにされていない重大な問題点があります。  厚生年金の保険料引上げの雇用や経済への影響です。経済団体のアンケートなどでも多くの企業が、保険料が上がれば雇用調整を行わざるを得ないと答えているんです。厚生年金保険料負担の経済への影響政府案に反映されているのか、このことについて十分な議論が必要なんです。まだ必要なんですよ。国民年金未納率の問題、とりわけその年金財政への影響どもまだまだ十分審議されてはいません。積立金の運用についてはどうですか。グリーンピアの問題などは一定審議はされましたけれども、株式など、この運用の問題については極めてまだ不十分なんです。やれてないんですよ。  こういった様々な、広範な多岐にわたる論点を、争点そして問題点としてしっかり議論することこそ参議院厚生労働委員会の使命であり、そして責務でありました。国井委員長。  その国民に対する責任を果たさず、言論を封殺したのが国井委員長、あなたでした。正に良識の府としての参議院の役割を自ら踏み付けにしたのがあなたの委員会運営だったんですよ。自覚をしてくださっておりますか。私は、国民に代わって強く抗議をいたします。  重大なのは、国井委員長が昨日の強行採決を積極的に推し進め、おぜん立てをし、後押しをしてきたことであります。そもそも昨日の厚生労働委員会開催自体、与野党理事の間の合意を真っ向から公然と踏みにじり、そして野党理事の抗議を無視して委員長職権で強引に設定されたものでありました。そうでしたよね、国井委員長。  年金法案参議院審議が始まった当初より、中央公聴会とそして地方公聴会開催というのは、これは与野党理事が一致して双方の開催の必要性、そしてまた重要性をずっと主張してきました。武見先生、そうですよね。  国会法の第五十一条第二項に、一般的関心及び目的を有する重要な議案について公聴会を開くかどうかは委員長が決定することであるが、総予算及び重要な歳入法案については公聴会を開かなければならないとされているのは御存じのとおりです。  ただし……(発言する者あり)うん、ちゃんと読みましょうか。ただし、地方公聴会国会法及び議院規則に定められている正式の公聴会ではないんですね。で、議員派遣の一形態として行われるものなんです。  私が勝手に言っていると思われると困りますので、私は読みます。公聴会は、国会になってから初めて設けられた制度であって、御存じでしたか、一般的関心及び目的を有する重要な案件について、真に利害関係を有する者や学識経験者などから意見を聴くために委員会が開くものであると。これ、国会法の五十一条にあります。  で、細かくは読めませんので、大事なところだけ飛びながら読んでいきます。  公聴会は議案の審査のために開かれるものであると、このように書いてあります。そして、少し飛びますが、これは、公聴会委員会が決定する。公聴会を開くためにはあらかじめ議長の承認が必要である。委員長公聴会の日時及び案件を公示する。公聴会の公示は、官報に掲載するほか、テレビ、ラジオ等を通じて行われると、このように書いてあります。そして、公聴会議員のみならず一般人もその開会の希望を申し出ることができると書いてあります。  今度は地方公聴会のところですけれども、そこを読みます。二、三の都市で地方公聴会と呼ばれるものが開かれることがある。これは国会法及び議院規則に定められている正式の公聴会ではなく、議員派遣の一形態として行われるものであると、このように書いてあるんです。  与党理事も、衆議院で開けなかったからこそ、参議院では開きたいと発言をされました。武見筆頭理事、そうでしたね。そして、国井委員長自身開催すべきであることを再三にわたって述べてこられました。しかし、委員会審議が進む中で、与党と、そして国井委員長、あなたの公聴会への態度は急速に後退をしていきました。  まず、五月三十一日の地方公聴会委員長職権による開催があります。私は、地方公聴会採決へのお墨付きを与えるのではなく、必ず中央公聴会を開くことを確約すべきだと主張いたしました。自民党理事は、努力する、武見筆頭理事努力努力を重ねると言われました。努力努力です。そう述べざるを得ませんでした。  そして、五月の三十一日の理事懇談会では、文書によって中央公聴会重要性与野党の間で確認するに至ったのです。確認の文書には、与党理事から、六月七日の中央公聴会開催について誠心誠意誠心誠意は繰り返されたんです、言葉として繰り返されたんです。誠心誠意努力を行いとここにあります。具体的な日程まで決めて、開催に向けた努力を尽くすことが理事懇談会で確約されたのです。  与党は当初、五月二十四日、その後、二十八日に中央公聴会をやりたいと言われました。武見筆頭理事発言をされました。しかし、この提案をしてきたのは趣旨説明の直後で、とても、審議をもう始めたばかりのときです。だから、とても公聴会を開くような状況にはありませんでした。与党は、中央公聴会を妨害したのは野党の方だと言いますが、とんでもありません。与党は、審議に生かすためではなく、出口を設けるために中央公聴会を主張したにすぎません。(発言する者あり)そうですよ、分かりますか。再三にわたって与野党、そして委員長合意した中央公聴会を開かなかったということは、どんな理由を付けようとも、どんな理屈をこねようとも、絶対に許されない暴挙と言うほかはありません。  委員長、そして与党理事、筆頭理事武見筆頭理事、本当に公聴会重要性を認識していたのでしょうか。認識していなかったんじゃありませんか。  今から振り返ってみますと、彼らの、あなたたちの言う重要性とは、正に言葉だけのもの、口先だけの空文句と言うしかありません。武見先生も随分にこやかに理事懇では話をしていましたよね。しかし、口先だけの空文句と言うしかないじゃありませんか、何もしなかったんですから。言うまでもなく、公聴会国民の関心の高い重要法案について委員会で決めて開催するものであります。総予算と重要な歳入法案、これについては開催が義務付けられております。  与党皆さんが百年の安心をキャッチフレーズに宣伝した今回の年金改革案は、正に百年の未来を展望し、国民生活設計、人生設計を、そして日本の経済社会の根幹を左右するものでありました。私は、総予算や重要な歳入法案に匹敵する、あるいはこれ以上の国民の関心と要望が切実な問題だと言って、決して過言ではなかったと思いますよ。そうではありませんか。  与党がそのキャッチフレーズのような大義名分を掲げるなら、それにふさわしく中央公聴会開催するのは余りに当然ではありませんか。地方公聴会もその重要性は言うまでもありませんけれども地方公聴会は、先ほど申し上げましたように、正式には国会法参議院の規則で言う正式な公聴会ではありません。委員派遣の一つと規定されていたではありませんか。  中央公聴会地方公聴会の決定的な違いは、その開催が官庁やテレビ、ラジオなどメディアを通じて国民に知らされ、国民から公述人を公募することにあります。国家百年の計にかかわる法案だからこそ、国民一人一人の老後と人生を左右する法案だからこそ、主権者である国民の声を聴く手続をしっかりと踏まえ、その声を制度改正に反映させることは、国民の厳粛な信託を受け、国権の最高機関に位置する国会として当然の責務ではありませんか。それは、与党の方も同じであると思いますよ。拍手がありませんね。  しかも、その地方公聴会開催も横浜一か所だけの開催でした。横浜は大都市ですが、この公的年金は、経済的な影響でいえば、むしろ地方の方が大きいのです。地方の方もここにはたくさん議員がおいでになります。年金国民所得に占める割合は九九%でありますが、北信越、中国、四国、沖縄を除く九州では、全県で県民の所得の一割を超えているんです。正に地方経済への影響は甚大なものがあります。(「討論になっていないよ」と呼ぶ者あり)言っていることがあなたには通じませんか。責任の認識が薄いのではないでしょうか。少なくとも、地方公聴会、複数箇所でやって、そして、地元の方々の意見なども十分に踏まえて、地域の経済社会への影響をしっかり吟味することが必要だったのではありませんか。  るる述べたような重要な中央公聴会開催をほごにした国井委員長には、公正中立であるべき厚生労働委員長の資格はないということをはっきり申し上げたいと思います。法案委員会に差し戻し、中央公聴会地方公聴会開催することを私は強く求めます。  また、理事会において野党側は、繰り返し小泉総理大臣委員会への出席を求めてきました。理事会で求めてきたんです。私たちが求めてきたんです。それは、委員会質問の中でも、我が党の小池議員民主党の山本議員、強く求めました。そして、与党側もそれについて、努力努力を重ねる、こういうふうに繰り返し言明してきたのであります。国井委員長にはこの野党の当然の要求を尊重する責務がありましたよね、国井委員長。なぜなら、小泉総理には今回の政府案の提出者として最大の責任があったにもかかわらず、法案の最大のポイントであるマクロ経済スライドについて衆議院審議の中では全く説明をしてこなかった問題があるからです。年金給付の所得代替率がモデル世帯の設定で現役世代の平均収入の五〇%を確保できたのは、年金の受給開始時点だけだったという問題です。  この問題は、この法案の最大のセールスポイントであり、総理がきちんと説明責任を果たしたのかどうかはあいまいにできない重大な問題だったのです。そうです。過酷な負担国民に強いる法案を通す際に、その中心的な中身を国会に十分説明をするのは最低限の政府責務ではありませんか。  野党は、再度この点を明らかにすべく、この問題に絞った総理質疑要求してまいりました。野党は、総理への質疑を踏まえた上で更に審議を続行し、国民の前に法案内容問題点を明らかにするために、総理への質疑を求めて、要求してきたんです。そして、与党もそれに対して一定の理解を示す姿勢を見せ、努力する努力すると繰り返し言われました。  先週月曜日の五月二十四日の理事懇談会では、総理の出席への回答を今週中に行うと、そういう約束を更に一歩前進させて、総理の出席は今週中に実現をすると。すなわちこれは、先週のうちに行うよう努力すると約束をし、さも総理出席に向けて大きく前進したかのようなポーズを取られたんですね。しかし、これらはすべて、ただ審議を促進し、採決に向けて審議の時間を稼ぐためのポーズだったと言うほかはありません。これはひいては、総理説明責任を求めた国民を愚弄するものだったのではありませんか。  そして、それを推し進めたのが、国井委員長、あなたであります。野党はあくまで審議の中間段階として総理質疑を求めていました。しかし、国井委員長は、委員長職権によって一方的に質疑終局前提を作る総理出席の締めくくり総括質疑開催したのであります。すり替えてしまったんです。総理法案の中心ポイントの説明責任の放棄にあなたは手をかしたのであります。  お隣の人としゃべっていないで聞いていてください。  あなたの間違いは、昨日の総理への質疑の中で総理自らが明らかにいたしました。法案の中心点であるマクロ経済スライドを理解していない小泉総理は、マクロ経済スライドを衆議院説明してきたかどうかを判断する能力も、それを語る資格もないからであります。  法案の最高の責任者による国民への説明責任の放棄に手をかし、職権による一方的な質疑を終局させた国井委員長に、国井委員長、もはや厚生労働委員長としての資格がないことは火を見るよりも明らかではありませんか。  さらに、国井委員長与党提出の動議への対応も、公正、民主的であるべき委員会運営に反するものでしたよね。昨日の委員会前の朝の理事会では、言うまでもなく、小池議員、福島議員西川議員総理への質疑、そしてその後の、総理がおられなくなって、福島議員質疑をすることになっておりました。それは理事会でしっかりと合意していた中身なんです。もちろん、採決などということはだれの口からも出ませんし、全く確認されていないものでした。配られた用紙を見れば分かります。そこには討論も採決も書いてないんです。  しかし、公明党の遠山委員の質問直後、伊達忠一委員より提出された質疑打切りの動議は、朝、理事会与野党で確認された合意をひっくり返して、共産、社民、無所属議員質疑権を奪うものだったのです。いた人は分かりますね。  合意された委員会運営と全く違う動議が出された以上、いったん委員会休憩し、理事会を開き、その動議の取扱いを協議するべきだったんです。理事会を開いて、動議に対する野党理事の意見を聞くことが必要でした。委員会運営が原則的に理事合意の下で進められるべきものである以上、そうすることは委員長として当然だったことであり、そして、それは言ってみれば初歩的な責務であったはずです。  委員長、私は、不意打ちのように動議が出されて、まあ声は聞こえなかったですが、赤いネクタイをした伊達さんが立ち上がりました。それは私の方からも見えました。私はもう、その立ち上がる赤いネクタイを見たら、直ちに委員長のところに走り寄りました。気付いておられましたか、委員長。そして、精一杯声を張り上げて、理事会を開いてください、理事会を開いてくださいと叫びました。与党議員が立ちはだかっていましたが、私の甲高く響く声はあなたの耳に入ったでしょうか。入ったでしょうか。しかし、あなたはそれを聞こえないのか、無視したのか、強引に採決を進めようとしたのです。公正であるべき委員長が一方の側の言いなりになって委員会が進められた以上、もはや委員長を名のる資格は一片たりともないと声を大きくして私は言いたいのです。  昨日、委員会で私は質問はしませんでした。だから、私は議場の全体をずっと見回しておりました。人の動き、傍聴席はどのように入っているか、カメラは何台あるか、委員部は何人座っていらっしゃるか。そこで見えたものがあります。それは重大なもので、国井委員長が、憲法の大原則である三権分立の重大な侵害を、放置したことになるのではないでしょうか。  皆さん、突然の動議提出とその後の混乱は小泉総理の後ろにいた人物の動きから始まりました。山崎正昭官房副長官であります。北朝鮮に総理一緒に行かれました。だから、みんなが顔を知っています。そういう有名人になってしまっている人が、あの議場で動き回ったわけです。恐らく気付いていた方もたくさんいらっしゃると思います。分かっていたでしょう。見たでしょう。  ちょうど民主党の山本議員質疑の最中でありました。正に小泉総理が物価スライドと、物価スライドとか賃金スライドとかって、こういうのをおっしゃるんですね。今はそれはもうなくなっていく、そしてマクロ経済スライドの考え方、これを言っていらっしゃるのに、なかなか通じないんです。そして、山本議員総理に、マクロ経済スライドを説明してくださいと、こういうふうにおっしゃるんですけれども、もう事実上なかなか答えられないんです。まあ答弁拒否というのでしょうか。それとも知らなかったんでしょうか。いよいよ総理がどうにもならない、そういうときにこの議場では失笑がこう広がっておりました。で、もう答弁が本当にできなくなったんですね。その最中に起きたんです。  山本議員と、そして国井さん、委員長の後ろをずうっと回って、こう、こう回ってこられたんです。で、そこを通って山崎官房副長官が動き出しました。それを私はびっくりして追い掛けたわけなんです。その後ろに、怒った官房副長官が、もう怒っていらして、もう冷静、もう理性を失ったような姿で移動されるんです。それを今度は追い掛けていっている職員さんがいるんです。そういう姿で移動をしていかれました。  その与党のどこへ行かれるかと見ていたら、与党厚生労働委員の下に行かれまして、何やら指示らしいものをしていらっしゃるんですね。私はじっと見詰めていました。だれのところに行かれたかも見ておりますけれども、それはあえて今日は申し上げません。  そうしましたら、私はそれをずっと追い掛けて、そして議場の変化を見ておりました。そうしたら、間もなく武見筆頭理事がどこかに消えて、時間も見ていたんですが、なかなか帰ってこられません。そのうちに、国井委員長議長をやっておられたんですが、議長交代もありました。その間、何をされていたのかは分かりません。  その模様というのは院内の放送でも放映されました。私もビデオで何回もこう戻したりして確認をいたしました。そうしたら、急ぎ足で動いている副官房長官の姿がありました。委員会室全体を高いところから見渡しておられた国井委員長、高いところから見ておられたんだから、総理の向こうに座っておられた方が移動してずうっと自分の後ろを回って行かれたのを見たはずであります。  そして、その後の公明党の議員質疑が終わるのを待っているかのごとく、その瞬間、審議を打ち切り、動議が出されたのであります。  正にこれは首相官邸、行政の最高機関による国会への介入であったのではありませんか。三権分立の原則は、互いに牽制して、チェック機能を果たすとともに、お互いの独立を、独立性を尊重することにあります。皆さん国会が国権の最高機関であり、行政を監視するのは国会の役割であります。  しかし、この原則を踏みにじり、国井委員長政府による国会運営委員会運営への不適切な働き掛けを放置されたのではなかったでしょうか。国会の権威を地におとしめる政府国会への介入による三権分立の侵害を容認したのではなかったでしょうか。  たくさんの人が見ておられるというふうに思います。私は、そういう意味でも、副官房長官が厚生労働委員会の議場を歩き回っておられることに責任を持たれなければいけないというふうに思うんです。委員長責任は明白であったというふうに思います。(発言する者多し)
  31. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) お静かに願います。
  32. 井上美代

    ○井上美代君(続) 理事懇では、野党はいろいろな要求を出しました。そして、私は、野党のこの要求にこたえてくださる、与党がこたえてくださるとばかり思っておりました。誠心誠意という言葉も何回も聞いておりましたから、そのように思っていたんですけれども、なかなか実現しなかったです。  そうした中で、たった一つ実現したことがあります。それは、総理の過去の保険料納付に関する資料の開示でした。  野党は、総理がマスコミに閲覧させた納付にかかわる資料をなぜ国会議員に見せることができないのか、問題にいたしました。何度も協議を重ねた末、五月の三十一日の午前中に資料の閲覧が厚生労働委員長室で実現をいたしました。私は、この点で与党理事努力努力を重ねて実現させてくださったと認めようと思っておりました。  しかし、出てきた資料を見て、私は本当にびっくりいたしました。それは、皆様御存じのように、この納付状況を証明する保険庁が出す資料というのは、非常に簡単なものと、もう一つ、もう数字でずっと書いてある、そういう詳しいものとの二通りがあることを皆様方は御存じであるというふうに思います。納付状況を詳細に記録した原本ともいうべき年金給付記録だとばかり思ったんです。私は、数字ばかりではとても自分は見ても分からないかもしれないと思って、前の日に保険庁から来ていただいて一生懸命勉強をいたしました。  理事懇でいろいろ閲覧のルールを与党が持ってこられました。そして、文書化したものを読み上げられました。それは、一、個人情報である納付状況記録の閲覧は小泉純一郎首相に限り、今後ほかの納付記録に拡大しないことというのが一項目めにあります。そして二項目めには、閲覧対象者は各会派一名とすると。これは理事は二人ということでなりましたけれども、こういうふうに出してこられました。そして三が、閲覧は非公式とし、委員長立会いの下、マスコミには非公開とし静かに行うという、そういうところまで確認をされたんです。そして四として、今回の閲覧は個人の自主的判断に基づくものであり、厚生労働委員会の要請に対応したものではないと。そして五つ目には、あくまで閲覧だけであり、コピーや撮影などは認めないと。このように非常に厳重だったわけです。  だから、私は当然数字が一杯入ったものが出てくるというふうに思って、レクも受けて勉強したんです。例えば、その詳しいところには原因というのがあるんですね、原因。それは、年金に変更したり喪失したりということがあるでしょう。それ原因と言うんです。それは全部一、二、三、四、五という番号で出ております。だから、番号が何であるかを知っていなければこれを見ることができないんです。一は何か、初めて取得、加入したときですね。二は再取得、三は変更、四は喪失です。そして五が在職死亡です。こういうふうに番号で出ているんです。だから、もうそのほか一杯、全部番号がこういうことだというのが表があるんです。それもいただきましたけれども。今、一例を挙げただけなんですけれども、そういうふうになっているんですね。  ところが、見せていただいたのは、たった二枚のこの被保険者記録照会回答票というものなんです。これは国年と厚生年金と、首相の場合は二通りが一枚ずつに書いてありました。三福不動産、これは事業所ですね。詳しいのは事業所も全部数字とアルファベットです。アルファベットといっても正確に書いてあるんじゃなくて、暗号みたいにしてなっているんです。そういうことで、三福不動産の場合は五十五か月、そして国年の方では横須賀市と書いてありまして、これは国年です、国民保険ですね、国年です、これは百八十九か月と、この二枚だけを見せてくださったんです。  私は本当にびっくりしました。どうして、詳しいのを見せていただけるのかと思っておりましたので。私たちは、その詳しいのと二つあるというのは、私は勉強して分かったんですけれども理事の方も余り詳しく御存じなかったかもしれません。メディアに見せたものを見せるというふうに言って見せてくださったんです。  おいでになりました、内閣官房の鈴木参事官という方が持ってこられました。そして、お一人、委員長室に、私たちのところに入ってこられました。そして、白い、真っ白い封筒から重々しくその書類を出されました。そして、私たち一人一人が代わりばんこに閲覧をしたわけなんです。こんなに重い重い態度で見せてくださったにもかかわらず、たった二枚の、しかも一行だけが書いてある、そのような書類だったわけなんです。私は、本当に詳しい納付状況を明らかにした年金納付記録が公開されると思っていたので、なぜだろうというふうに思いました。  五月の二十六日に、私は、参議院会議民主党の広野ただし議員質問があることを思い出しました。その議事録を見ますと、そこには書いてあるんです。総理に対する質問だったんですが、総理答弁はこのように答えておられます。  「既に社会保険庁発行の被保険者記録を官邸記者クラブの要請に応じて閲覧に供したところですが、私の年金納付記録の厚生労働委員会への開示要求については、理事会協議が行われているところと承知しております。」ということで、厚生労働委員会理事会年金納付記録というそれが協議されている、開示を要求しているので、協議されているということが総理答弁に書いてあるんです。  この総理答弁を見ますと、簡単な一、二枚のその被保険者記録とは別に書いてあるんです。それとは区別して、「私の年金納付記録の厚生労働委員会への開示要求については、理事会協議が行われているところと承知しております。」と、こういうふうに書いてあるんですね。「その結果を待って、適切に対処する考えであります。」ということで、総理は御答弁されております。  だから、総理は、御自身は二通りあることを御存じだし、そして詳しいのと簡単なのがあることをきちんと御存じだということがこの答弁で分かります。それなのに、メディアに発表したものを見せるということで、二通りあることも一切おっしゃらないで、簡単なものを白い封筒からおもむろに出されたわけなんです。結局、私たちはだまされていたんだということを私は思いました。  野党は、理事会の中でこの点を抗議いたしました。で、協議の上で国井委員長委員長の裁定として述べられたのは、年金納付記録と被保険者記録の違いを、私たちは、この後ろにいる保険庁の方に、区別してどういうふうに違うのかを教えていただきたいということを一生懸命お願いしましたけれども、これはここで話すことではないというふうに言われまして、そして保険庁の人は、与党の方が強くおっしゃるものですから、怖くて何ももうおっしゃいませんでした。  そうしたら、最終的にどうなったかといいますと、これはあした総理がおいでになりますから総理に直接聞いてくださいということになったんです。そして、野党のどの会派でもいいから、代表して質問をしてくださいとおっしゃいました。そして、その先がありますけれども、三分を、国井委員長がその質問をした人に三分プラスしてあげるよとおっしゃったんです。そしたら、そのときに武見筆頭理事は、それについては賛成ですと、やはり重々しく返事をされました。そして、その三分をだれがやってくださることになっていたかといいますと、それは社民の福島瑞穂さんでした。そうですね。そのようにして、三分を委員長質問する人に与えたんです。で、私たちは、たった三分とは思いましたけれども、でも三分加えてくださればというふうに思いました。  で、これは、何しろ国井先生は、どうしても与党の方に動かされておられました、私にはそう見えたんですけれども。このときの三分だけは国井委員長が自ら判断をして決定をされたのでした。  野党で話し合った結果、この問題について福島議員お願いをしたわけですよね。現場にいらっしゃって、あのとき質問をするのは福島先生だということでお願いをいたしました。国井委員長も、もちろんそのことをしっかりと御存じのはずでございます。しかし、国井委員長は、最終的に御自身の判断で設定した三分の質問時間も野党から奪い去ったわけなんです。  私は強く抗議をいたします。あのときの判断は、あのときの裁定は、一体、一体何だったんでしょうか。自ら設定した最低限の野党への約束さえ守れない委員長は、もはや解任以外に取る道はないではありませんか。  また、厚生労働委員を務める国会議員未納・未加入状況公表にかかわる問題でも、国井委員長の全くその役割を果たすことはできなかったことを自覚しておられますでしょうか。(発言する者あり)どなたか別な方が言ってくれているんと違います。国井委員長は真剣に考えておられるようですよ。  国会議員国民の代表として特別の責任を負い、特に立法者として法律趣旨にのっとった行動が常に求められております。まして、国民年金不信が本当に頂点に達している中、公的年金法案審議されているその最中であり、国会議員未納・未加入状況公表すべきです。  私ども日本共産党は、その点で、政党自身が自らの政党に所属する議員について責任を持って公表するのが政党としての責務だと考え、政党として未納・未加入状況を明らかにいたしました。その際、政党として公表の基準を示し、国会議員国民年金への加入を義務付けられた一九八六年四月以降の国会議員の在職中の納付状況を明らかにすべきといたしました。  諸政党が自主的に公開を進める中、ついに残されたのはどこの党だったでしょうか。残されたのは自民党ただ一つになりました。厚生労働委員会国会議員には、国会議員として公表する責任があるばかりではなく、正に年金改正法案審議に深くかかわる者として直ちに公表する責務があったはずであります。  特に、厚生労働委員会委員長こそ、率先して厚生労働委員が公表する積極的なイニシアチブを発揮する責任があったのではないでしょうか。しかし、国井委員長にはそのような役割を果たすことは全くありませんでした。この点でも委員長として失格であると言わなければなりません。  るる述べてまいりましたように、どの点を取っても国井委員長には委員長を名のる資格はありません。野党質問権を封殺し、しかも総理大臣への質疑の途中に強行採決に踏み切るという暴挙、この暴挙を進めた国井委員長、もはやあなたは一刻も早く委員長を辞めなければなりません。  私たち日本共産党は、委員長解任決議案に強く賛成するとともに、この前代未聞の悪法、国家百年の計を誤り、国民を塗炭の苦しみに投げ込む悪法の断固廃案に追い込む決意を表明し、私の討論を終わります。(拍手)
  33. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) しばらくお待ちください。  これにて討論は終局いたしました。  しばらくお待ちください。  本日はこれにて延会することとし、次会は明五日午前零時十分より開会いたします。  これにて延会いたします。    午後八時十分延会