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2004-06-02 第159回国会 参議院 本会議 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年六月二日(水曜日)    午前十時一分開議     ━━━━━━━━━━━━━議事日程 第二十六号   平成十六年六月二日    午前十時開議  第一 平成十四年度一般会計予備費使用調書   及び各省庁所管使用調書衆議院送付)  第二 平成十四年度特別会計予備費使用調書   及び各省庁所管使用調書衆議院送付)  第三 平成十四年度特別会計予算総則第十五条   に基づく経費増額調書及び各省庁所管経   費増額調書衆議院送付)  第四 平成十四年度一般会計歳入歳出決算、平   成十四年度特別会計歳入歳出決算平成十四   年度国税収納金整理資金受払計算書平成十   四年度政府関係機関決算書  第五 平成十四年度国有財産増減及び現在額総   計算書  第六 平成十四年度国有財産無償貸付状況総計   算書  第七 国際原子力機関憲章第十四条の改正の受   諾について承認を求めるの件(衆議院送付)  第八 全権委員会議(千九百九十四年京都及び   千九百九十八年ミネアポリス)において改正   された国際電気通信連合憲章(千九百九十二   年ジュネーブ)を改正する文書全権委員会   議(二千二年マラケシュ)において採択され   た改正)及び全権委員会議(千九百九十四年   京都及び千九百九十八年ミネアポリス)にお   いて改正された国際電気通信連合条約(千九   百九十二年ジュネーブ)を改正する文書(全   権委員会議(二千二年マラケシュ)において   採択された改正)の締結について承認を求め   るの件(衆議院送付)  第九 旅券法の一部を改正する法律案衆議院   提出)  第一〇 証券取引法等の一部を改正する法律案   (内閣提出衆議院送付)  第一一 株式等取引に係る決済の合理化を図   るための社債等の振替に関する法律等の一部   を改正する法律案内閣提出衆議院送付)  第一二 行政事件訴訟法の一部を改正する法律   案(内閣提出衆議院送付)  第一三 高速道路株式会社法案内閣提出、衆   議院送付)  第一四 独立行政法人日本高速道路保有・債務   返済機構法案内閣提出衆議院送付)  第一五 日本道路公団等民営化に伴う道路関   係法律整備等に関する法律案内閣提出、   衆議院送付)  第一六 日本道路公団等民営化関係法施行法案   (内閣提出衆議院送付)  第一七 地方教育行政の組織及び運営に関する   法律の一部を改正する法律案内閣提出、衆   議院送付)     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  一、特別委員会設置の件  一、景観法案景観法施行に伴う関係法律の   整備等に関する法律案及び都市緑地保全法等   の一部を改正する法律案趣旨説明)  一、公益通報者保護法案及び国の行政運営の適   正化のための公益通報に関する法律案趣旨   説明)  以下 議事日程のとおり      ─────・─────
  2. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) これより会議を開きます。  この際、特別委員会設置についてお諮りいたします。  北朝鮮による拉致等に関する諸問題を調査し、その対策樹立に資するため、委員二十名から成る北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会設置いたしたいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 御異議ないと認めます。  よって、北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会設置することに決しました。  本院規則第三十条の規定により、議長は、議席に配付いたしました氏名表のとおり特別委員を指名いたします。     ─────────────    議長の指名した委員は左のとおり ○北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員       阿南 一成君    有馬 朗人君       岩井 國臣君    柏村 武昭君       小林  温君    山東 昭子君       清水嘉与子君    野間  赳君       保坂 三蔵君    松山 政司君       大江 康弘君    佐藤 道夫君       榛葉賀津也君    田村 秀昭君       広野ただし君    木庭健太郎君       千葉 国男君    緒方 靖夫君       小泉 親司君    田  英夫君      ─────・─────
  4. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) この際、日程に追加して、  景観法案景観法施行に伴う関係法律整備等に関する法律案及び都市緑地保全法等の一部を改正する法律案について、提出者趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 御異議ないと認めます。石原国土交通大臣。    〔国務大臣石原伸晃登壇拍手
  6. 石原伸晃

    国務大臣石原伸晃君) 景観法案景観法施行に伴う関係法律整備等に関する法律案及び都市緑地保全法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、景観法案につきまして申し上げます。  近年、経済社会成熟化等に伴い、個性のある美しい町並み景観形成が求められるようになっており、各地で良好な景観形成に向けた取組が進められております。また、国といたしましても、観光立国を実現するという観点から、良好な景観形成に向けた取組を進めております。  このような景観をめぐる状況の変化に対応し、良好な景観形成国政の最重要課題として位置付けるとともに、地方公共団体取組を支援するために、良好な景観形成するための法的な仕組みを創設することが求められております。  この法律案は、こうした状況を踏まえ、我が国で初めて景観についての総合的な法律として定めようとするものです。  次に、この法律案概要につきまして御説明申し上げます。  第一に、良好な景観形成に関し、基本理念を定め、並びに国、地方公共団体事業者及び住民の責務を明らかにしております。  第二に、都市農山漁村等における良好な景観形成を促進するため、景観計画策定景観計画区域景観地区等における規制景観重要公共施設整備景観協定締結等について定めております。  その他、これらに関連いたしまして、所要規定整備を行っております。  次に、景観法施行に伴う関係法律整備等に関する法律案につきまして申し上げます。  この法律案は、景観法施行に伴い、都市計画法建築基準法屋外広告物法その他の関係法律について必要な規定整備を行うものです。  次に、この法律案概要につきまして御説明申し上げます。  第一に、都市計画法改正により、都市計画地域地区として景観地区規定しております。  第二に、建築基準法改正により、景観地区等における建築物規制に関する規定整備するとともに、条例景観重要建造物に対する規制緩和を行うことができるとしております。  第三に、屋外広告物法改正により、市町村屋外広告物に関する条例制定できるようにすること、屋外広告物許可対象区域全国拡大すること、簡易除却対象となる屋外広告物等を追加すること、屋外広告業登録制度創設すること等の措置を講じております。  その他、これらに関連いたしまして、所要規定整備を行っております。  次に、都市緑地保全法等の一部を改正する法律案につきまして申し上げます。  この法律案は、都市の緑とオープンスペースの効果的かつ効率的な保全、増加が求められている状況にかんがみ、緑地保全都市緑化都市公園整備を総合的に推進するための制度創設拡充等措置を講じようというものです。  次に、この法律案概要につきまして御説明申し上げます。  第一に、市町村の定める緑地保全及び緑化推進のための基本計画記載事項に、都市公園整備方針等を追加しております。  第二に、都道府県は、都市計画緑地保全地域を定めることができることとし、当該地域内の建築物新築等について届出制を導入しております。  第三に、市町村は、都市計画緑化地域を定めることができることとし、当該地域内で敷地が大規模な建築物新築等を行う場合には、一定割合以上の緑化施設敷地内の空地や屋上に設けなければならないとしております。  第四に、都市公園について、効率的な都市公園整備を図るため、立体都市公園制度創設しております。  その他、地区計画等区域において条例により緑地保全のための規制を行う制度並びに首都圏及び近畿圏近郊緑地保全区域における管理協定制度創設等所要規定整備を行っております。  以上が景観法案景観法施行に伴う関係法律整備等に関する法律案及び都市緑地保全法等の一部を改正する法律案趣旨でございます。(拍手)     ─────────────
  7. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。大江康弘君。    〔大江康弘登壇拍手
  8. 大江康弘

    大江康弘君 大江康弘でございます。  民主党・新緑風会を代表して、ただいま提案のありました景観緑三法について、石原国土交通大臣質問をさせていただきたいと思います。  まず、この景観法でありますけれども、自分景観を先に直すのが先じゃないかということを言われそうでありますが、御理解をいただきたいと思います。  さて、今回の法案バブル時代と言われた一九八〇年代後半前に提案されていたならば、画期的な法案となり得たと思います。末期的とまでは言いませんが、かなり時期が遅かったことは否めず、ようやく国の重い腰が上がったのかというのが実感であります。  しかし、この景観法は、全国四百五十の市町村、二十七の都道府県の各自治体乱開発景観断絶を食い止めるために編み出した要綱による規制も限りがあり、自治体が次の段階の条例制定へと進み、制定してきた景観条例の持つ景観保全に関する根拠法となり得ることは評価したいと思います。  今日まで、景観を争点に争いや訴訟が起きた場合、建築基準法都市計画法を守ってさえいれば、憲法が保障する土地所有権に基づいて、条例などが禁止する形態や色彩のマンション建築物であっても、建築事業者側法的正当性が認められてきた結果、せっかく作った自治体条例実効性がなく、住民の期待をことごとく裏切ってきたが、今回それぞれの条例法的根拠となったことは特筆すべきであると思います。  そこで、まず、なぜ今この時期に法案提出の運びとなったのかを聞かせてください。  失われた十年という言葉を思い出します。戦後、日本経済至上主義歩みは、十年どころではなく、長きにわたって日本のすばらしい原風景や原地形であるそれぞれの地域景観を失わせてきたと思います。お互い、目を閉じれば、昔懐かしい景色自分の記憶を呼び起こしてくれるはずの景観が毎日変わり行く姿に、寂しさと時の流れを感じてきたのは独り私だけではないと思います。我々は高度な文明生活を享受してしまった分、失った代償は余りにも大きかったと言わねばなりません。科学の発達や技術の発展文明生活を支えてきたわけですが、本当に我々人類は進歩してきたと言えるのか。本当進歩とは、我々自身の心や精神もともに伴うものでなければなりません。  戦後の歩みは、単に我々の生活の営みが楽になり、便利になっただけではなかったのだろうか。こういう反省点に立ったとき、進歩発展という美名の下で我々が失った最も大切なものが、お互いの心の奥底に残してきた大事な風景景色ではなかったでしょうか。  国は果たして今日までの良好な景観形成を図るため、どのような施策を講じてきたのか、またそれをどう総括をしているのか、我が国景観現状認識も併せてお聞かせをください。  確かに、景観に対する感じ方には個人差があることは理解しなければなりません。日本景観が荒廃していることを国民のどれほどの人が感じているかは分かりませんが、景観歴史的建築物伝統的町並み自然環境のことだと狭義に解釈すれば、我々の日常の生活圏における景観保全対象とはみなされない。  だから、国民電力会社電線地中化を求めるよりも電気料金引下げを望む傾向があり、土地所有権に関して個人の自由な処分を重視する法的判断があり、地域景観よりも経済振興を重視する国や自治体住宅政策都市計画があり、幹線道路わきに点在する派手な外観を持つロードサイドビジネスを支持する消費者行動があって、目まぐるしいほど造り替えられる。すなわち、景観は全体として経済活動状態の反映であり、国土開発の帰結であり、都市計画の結果であり、生活圏の中の現在の荒廃した景観は、戦後日本の達成したものが集中的に映し出されている、すなわち戦後日本成果として残されたマイナスの遺産であり、この経済活動景観保全は正に表裏一体として歩んできたこの今日の現状をどう変えていくのかが景観法の持つ意義だと考えますが、大臣、いかがでしょうか。  また、戦後の経済流れ都市地方という対立軸を生み、大きな格差を作ってきました。人口密度地域の中山間地域田園地帯でも、木材の価格低迷後継者不足が山林、田畑の管理を難しくし、地域固有景観の維持が困難になったことや、景観形成に対する共通目標がないままに建築行為に対して大きな自由度が温存されてきたことが地域景観を一層混乱させてきたと思われますが、今後、景観行政を積極的に行ってきた自治体とそうでなかった自治体との地域格差が一層広がるのではないかとの懸念を持つものでありますが、この点はどう対応されているのかをお尋ね申し上げます。  次に、都市における景観についてお尋ね申し上げます。  小泉内閣が成立させた都市再生関係の法令の中身は、ことごとく規則制度の改革、緩和をうたい、民間の持つ資金やノウハウをいかに東京に集中させ、かねてからの懸案である土地流動化を図り、プロジェクト政策推進させていくかということが最大の目的であったと思われます。ここには、見事なまでに欠落をしているのは、大半の国民が厳しい環境生活をしている地方への配慮であります。  県庁所在地などを除けば、多くの市町村過疎化の中にあって、郊外の大型スーパーに客を奪われて久しく、中心区域が空洞化しシャッター通りが当たり前になって、廃業のため店を売りに出しても買手もなく、地価は実質的にゼロという地域が続出というおなじみの景色は、正に小泉内閣の性格を見て取れるような地方の切捨てという無策の結果であり、許すことはできないのであります。  このような中、都市再生の現況はといいますと、高層ビル巨大マンション開発現場は活発な建築が続き、その一角だけは地価が反騰、当初の目的どおり、労働、土地、資本の流動化が推し進められ、一見、経済振興市場活力で図られているようですが、土地生産要素としてのみとらえ、経済活性化だけを指針として歩んできたバブル崩壊前の戦後の日本歩みと全く変わらず、秩序ある景観を備えた美しい都市づくりとはほとんど無縁なものであり、都市再生論に立脚する規制緩和容積率拡大は、大きいことはいいことだという六〇年代的発想の延長で、建築物のスクラップ・アンド・ビルドだけが重要視され、景観断絶ではなく連続からしか生まれないという知見は一顧だにされず、古い都市景観を守ってきたイタリアなどのマイクロ・プラニングによる都市改造政策とは対照的な方針であって、都市再生という美名の下で行われている景観破壊であると言わざるを得ませんが、この都市現状大臣はどう御認識されておられるのか、お聞かせください。  確かに、個々建築物デザインこそ先進的で、立体化、高層化していく現代の大都市は、それはそれで一つの魅力になり得るかもしれませんが、全体として秩序が欠落し雑然とした情景は、長い目で見て、このような町づくりは、人が住むという原点に戻れば、決して褒められたものではないと思います。  しかも、国は、観光立国宣言をして、二〇一〇年までにインバウンドを倍増させるとの計画ですが、果たして、外国から訪れてくれる観光客にとって、この大都会東京は魅力ある観光都市として評価をしてくれるでしょうか。  都市再生の在り方も含め、調和の取れた都市景観をどうされていくのかをお聞かせください。  また、都市緑地化についてでありますが、保全法制定から三十年、今回、都市緑地法に名称が変わりましたが、国の方向は相変わらず民間開発に依存し、建設許可を与える条件として、屋上や周辺のわずかな面積に部分的な緑地を付加させるという人任せであり、積極的に緑を創出していこうという姿勢がうかがえないのが残念であります。  この法案本当緑地の減少が食い止めることができるのか。また、単に敷地面積に対する緑化率に係る規制にとどまらず、具体的に景観形成に寄与するような緑視率を高めることが重要と思われますが、どうされるのか、お尋ね申し上げます。  次に、電線地中化問題についてお尋ねいたします。  日ごろ、町の中を歩いてみても、だれもが不快に感じながらも、それに慣らされてきた風景一つが、さわやかな空をクモの巣のように無秩序に仕切る電線とその電線をつなぐ電柱であります。そもそも、我が国都市計画は、明治以来、水道、下水、ガスは地中に配するにしても、電線電話線まで地中化するという構想はなかったように思われます。  さきの大戦以来、焼け野原となった我が国の復興の途上で、まず求められたことは生活基盤作りであります。とりわけ、電気の安価、安定供給電気会社に与えられた至上命題であり、緊急課題とされ、結果、電柱が建てられ、架空線電気を引くことが求められ、そこには道路行政上、林立する電柱が道幅を狭め、車の衝突事故を発生させるという安全面での欠点や、電力電話電線管理者にとって、震災や台風で倒壊、切断されてサービスが不能になるという安定供給面での問題には全く関心を持とうとせず、国民行政も空中の電線電柱景観上目障りだという声を上げ始めたのは、ようやく高度経済成長が終わりを告げたころであったのであります。  こういう声を受けて、国が本格的に動き始めたのが昭和六十一年当時、建設省が電気類地中化計画策定電力会社も、前年の一九八五年のプラザ合意後の円高差益社会還元という意思もあり、当時は公益と認定されるなら一気に地中化に投じようとの動きもあり、事業者がはじき出した需要密度基準の高い地域からスタート。それが幹線道路沿いから始まる原因となったが、人口稠密度の低い道路までは地中化は進まず、しかも法的には強制力がなかったこともあり、ほとんど進まなかったのが、十年後の一九九五年に地中化を法制化し、電線共同溝法制定、さらに、一九九九年から新電線類地中化計画がスタートしておりますが、これまでの間その成果はどうであったのか。  また、電力通信分野自由化進展等に伴い、電線管理者経営環境は厳しく、国も地方公共団体財政事情が悪化する中、それぞれの費用分担コスト縮減を図りながらどうしていくのか。質の高い生活空間の創造に大きく貢献し、都市防災の役割も担っている無電柱化の今後の方針計画をお聞かせください。  最後に、本年度予算編成の中で、景観形成等推進費二百億円が計上されております。景観整備に資する公共事業推進するための経費としての予算化であろうと思われますが、二百億円の根拠と、景観形成推進公共事業としてどのように進めていく考えであるのかをお尋ねします。  提案されている法定の景観計画に位置付けられた事業で、同法によって定められる景観を整えるのは、暮らしの場としてそのことが重要であり、結果、地域町づくりに直結するものでなければなりません。それぞれの地域が長い歴史伝統の積み重ねで作り上げてきたそれぞれの土地柄をしっかりと守っていくためにも、それぞれの町が自分たち思いを自由な裁量の下でやり上げていく体制作りこそが重要であります。  二百億円という巨大な市場が突然出現するわけでありますが、補助金行政は補助する側の論理で硬直化しやすいものであり、採択基準や国や県の担当者の指導という名の一律規則のバリアをクリアしていくうちに、地域が本来求めていたような地域特有プロジェクトの色がうせていくというのが今日までの補助金行政の宿命であろうかと思います。  だからこそ、地方へ税源を移譲して、地域が自立して事業が構想できるようにしなければならないのであって、国の誤った三位一体の施策延長として今どきに新たな補助金を作り上げて、その使い方を国が指南するような事業推進であるならば、本末転倒、時代錯誤と言わねばならず、ゆめゆめ景観形成事業推進費マニュアルなどというものが出てきて、またぞろ全国画一的な景観形成されることのないよう、地域の欲する本来の声に従って素直に地元に耳を傾けると、おのずと行うべき施策も見えてくるはずであり、またそうでなければ本当個性を持った施策とは言えないと思いますが、この点についての方向石原国土交通大臣お尋ねしたいと思います。  五十年掛けて失ったものは五十年掛けて取り戻せばよい。百年掛けて失ったものは百年掛けて取り戻せばよい。国民一つの心、一つ思いになれる法律として成長していくことを期待して、私の質問といたします。  ありがとうございました。(拍手)    〔国務大臣石原伸晃登壇拍手
  9. 石原伸晃

    国務大臣石原伸晃君) 大江議員にお答えを申し上げたいと思います。  まず、景観法を今提出する理由についてのお尋ねがございました。  我が国町づくりにおいては、戦後の急速な都市化発展の中で、経済性効率性機能性を重視した結果、委員指摘のとおり、美しさへの配慮を欠いてきたことは否めないと思います。ようやく急速な都市化が終わりまして、国民の中で良好な居住環境を求める意識が高まるという、言わば価値観転換点を背景として、地方公共団体においても積極的に景観行政を進めるようになってきたところでございます。  今回、国といたしましても、良好な景観形成国政上の重要課題と位置付けるとともに、地方公共団体取組を支援することを目的として景観緑三法を国会に提出することとさせていただいたところでございます。  景観現状認識とこれまでの施策総括についてのお尋ねがございました。  我が国景観については、町並みや建物のデザインがふぞろいで統一感がない、あるいは都市部を始め電線が張り巡らされている、違法広告物がはんらんしているといったような景観上の問題点がこれまでも何度も指摘をされてきたところでございます。このような現状の中、国といたしましては、歴史的な町並み保全電線類地中化等推進してまいりました。しかしながら、施策全般を通じては、景観に対して十分な配慮を行ってきたとは言えないと認識をしているところでもございます。  自治体間の格差拡大への対応、また景観法の持つ意義、御開陳がございましたが、どう思う、こういう御質問がございましたが、正に先生のおっしゃられた意義というものはそのとおりだと認識をしております。  さらに、都市間競争地域間競争時代でございまして、個性ある地域発展や美しい町づくりのためには、個々自治体地域住民等意欲が私は何よりも大事だと考えております。したがいまして、意欲はあるものの知識や経験が不足している地域については、国としても、説明会の開催や専門家の育成、派遣等々、大いにバックアップをしてまいりたいと考えております。  都市再生都市景観現状調和の取れた都市景観についてお尋ねがございました。  「稚内から石垣まで」を合い言葉に展開しております全国都市再生を進める場合でも、やはり景観や周囲の環境への配慮は必要だと考えております。しかし、必要な配慮が行われていない例も見られることもまた事実だと思います。  今回の景観法制定を契機として、経済効率性を追求するだけではなくて、地域ごとの実情に応じて景観配慮した都市再生の実現が図られるものと確信をしているところでもございます。  景観形成に寄与する緑化推進についてお尋ねがございました。  本改正案では、大規模な建築物緑化を義務付ける緑化地域制度創設のほか、多様な制度を盛り込んでおり、今後、これらの制度を活用いたしまして、緑地保全及び緑化推進に一層努力をしてまいりたいと考えております。  緑化推進に当たっては、単に物理的な緑の量の確保のみならず、委員緑視率というお言葉をお使いになりましたけれども、そこに暮らす人々の目線で良好な景観形成に資する豊かな緑の創出に配慮をしなければならないと確信をしているところでもございます。  続きまして、無電柱化について、これまでの成果についてのお尋ねがございました。  委員の御指摘のとおり、無電柱化につきましては、昭和六十一年度より四期にわたる電線類地中化計画に基づき推進した結果、現在、五千五百キロメートルの地中化を実施し、特に市街地の幹線道路においては九%の道路で無電柱化を実施したところでございます。  例を挙げさせていただきますと、このほかにも、埼玉県川越市、山口県の萩市といった伝統的な建造物を保存している区域においても無電柱化推進しているところであり、観光支援の面からも一定の成果を上げてきているところでもございます。  無電柱化の今後の推進方針についてのお尋ねがございました。  無電柱化については、本年四月に新たに関係事業者等と連携して、無電柱化推進計画策定いたしまして、今後五年間で市街地の幹線道路の無電柱化率を九%から一七%とほぼ二倍とさせていただくとともに、歴史町並み保全すべき地区などにおいても、本格的な面的な無電柱化を実施することとしたところでございます。  平成十六年度からの無電柱化推進計画では、コンパクトで簡便な埋設方式の標準化等により二割のコスト縮減を目指すとともに、バリアフリー化事業等と電線共同溝の同時施工、軒下配線の導入などによりコストの縮減に努めているところでございます。  景観形成事業推進費の配分をどのように進めていくのかという御質問がございました。  景観形成事業推進費については、年度当初に事業着手ができない事業について、年度途中になって地域の努力により事業を実施する環境が整えられ、かつ緊急に事業推進が求められている場合に、追加的な財政措置を行うために所要二百億円を確保したところでございます。  その配分に当たりましては、委員の御指摘のとおり、全国画一ではなく、地域のニーズ、実情を十分配慮してまいりたいと考えております。(拍手
  10. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) これにて質疑は終了いたしました。      ─────・─────
  11. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) この際、日程に追加して、  公益通報者保護法案及び国の行政運営の適正化のための公益通報に関する法律案について、提出者から順次趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 御異議ないと認めます。竹中国務大臣。    〔国務大臣竹中平蔵君登壇拍手
  13. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 公益通報者保護法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  近年、食品の偽装表示事件を始め、国民の生命や身体の保護、消費者の利益の擁護等にかかわる事業者の犯罪行為や法令違反行為が相次いで発生しております。また、これら事業者の犯罪行為や法令違反行為は、その多くが事業者内部の関係者からの通報を契機として明らかにされたところであります。  このような状況を踏まえ、事業者による法令遵守を確保して国民生活の安定等を図っていく上で、公益のために通報を行ったことを理由として労働者が解雇等の不利益な取扱いを受けることのないよう公益通報に関する制度整備していくことが緊要な課題となっております。  政府といたしましては、以上の認識の下、公益通報者の保護を図るとともに、国民の生命、身体、財産その他の利益の保護にかかわる法令の規定の遵守を図るため、本法律案提出した次第であります。  次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。  この法律案は、公益通報者の解雇の無効等並びに公益通報に関し事業者及び行政機関が取るべき措置について定めております。  第一に、一定の要件に該当する公益通報をしたことを理由とする労働者の解雇を無効とし、労働者派遣契約の解除を無効とするとともに、降格、減給その他の不利益な取扱いをしてはならないこととしております。  第二に、公益通報を受けた事業者は、是正措置を講じたときは遅滞なく通報者に通知するよう努めなければならないこととするとともに、公益通報を受けた行政機関は、必要な調査及び適切な措置を取らなければならない旨等を定めております。  その他、公益通報の範囲、一般職の国家公務員等に対する取扱い、施行後五年を目途とする法律施行状況についての検討等を規定しております。  以上がこの法律案趣旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。(拍手)     ─────────────
  14. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 櫻井充君。    〔櫻井充君登壇拍手
  15. 櫻井充

    ○櫻井充君 私は、民主党・新緑風会、日本共産党、社会民主党・護憲連合を代表して、共同提出の国の行政運営の適正化のための公益通報に関する法律案趣旨説明いたします。  これまでに数々の官僚不祥事が取りざたされてまいりました。例えば、防衛官僚による水増し請求、さらに、外務官僚による税金の無駄遣いなどが記憶に新しいところです。  一方、二〇〇一年に情報公開法が施行され、官僚による不祥事を防止する手段として期待されましたが、結局、情報公開は不十分なままで、その責任を追及するための手段にはなっておりません。  昨今、公益通報、すなわち、多くの人の利益という観点で内部情報を明らかにし、組織の適正化を図ることの有効性が諸外国で指摘されています。しかし、我が国では法律整備されていないこともあり、行政の不祥事に対して公益通報を行って組織の改善を図ろうとしても、告発者は保護されるどころか、逆に内部情報を明らかにしたことで不利益処分を受けるおそれがあります。このような状況では、情報を提供することは困難であり、組織の改善を図っていくことは難しいことです。  そこで、行政の適正化を図るため、公益通報者を保護する法律制定が必要であると考えます。  本法律案は、国民の利益という観点に立って、公益通報を行う人を保護することで行政の適切な運営を図ることを目的とするものであり、このたび、民主党、共産党、社民党、三野党共同で参議院に提出を行ったところでございます。  以下、本法律案概要を申し上げます。  第一に、法令違反一般、人の生命又は健康に重大な影響を与える事実、及び会計経理に関し明らかに不当であると認められる事項がある事実について、国の行政運営の適正化を図る目的で通報等した場合、それを理由として通報者は不利益な取扱いを受けないとしております。  第二に、公益通報を受けた行政機関等は、事実調査の上、必要な措置を講じなければならないものとしております。  第三に、公益通報の受皿として行政正化委員会を設置し、行政機関等への勧告等を行うものとしております。  以上が本法律案概要でございます。  議員各位におかれましては、本法律案趣旨を十分に御理解賜り、慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。(拍手)     ─────────────
  16. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。岡崎トミ子君。    〔岡崎トミ子君登壇拍手
  17. 岡崎トミ子

    ○岡崎トミ子君 私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました公益通報者保護法案について竹中経済財政担当大臣質問をいたします。  この数年、行政や企業の内部からの通報で私たちの命や健康に重大な被害を及ぼしかねない不祥事が相次いで明らかになりました。二〇〇〇年、三菱自動車工業のリコール隠し、二〇〇一年、東京女子医科大学の医療ミスとカルテ改ざん、二〇〇二年、雪印食品による肉の偽装表示、同じく二〇〇二年、ダスキンによる食品衛生法上認められていない物質の使用と日本ハムによる肉の偽装表示、東京電力による検査記録の改ざん、そして今年、浅田農産による鳥インフルエンザの疑いがあった生きた鶏の出荷です。  これらの不祥事については、勇気ある告発によって被害が未然に防がれたり拡大が抑えられたりしてきました。取り返しの付かない被害が出たケースでも再発防止につながった例が少なくありません。私たちの社会は、告発者の勇気によって自浄機能を発揮してきたと言えるのです。  しかしながら、そうした告発者の多くは、勇気ある決断をしたにもかかわらず、いわれのない代償を払わされてきました。狭い組織の中で裏切り者扱いをされて陰湿な嫌がらせに遭ったり、差別的な取扱いを受けるなどの制裁を受けている例が少なくないのです。不当配転され、三畳一間の部屋で仕事も与えられず、二十数年孤独と闘わされた人もいます。正しいことを信じたために、信念に基づいて行動した告発者たちを救うことができない社会は未来への希望を失わせる社会です。  私たち民主党が、今日、この政府案とともに趣旨説明が行われた行政運営正化公益通報法案をいち早く提案したのは、告発者の名誉を回復し、その勇気に報いなければならない、そして不祥事による被害を防止したり、社会を良くしたいという市民の強い声を受けてのことでした。  こうした経緯からも、公益通報者を保護し、国民の生命、身体、財産その他の利益の保護と公益の利益の増進に役立つ公益通報者保護法が待たれています。にもかかわらず、私はこの政府案が衆議院を通過し、今日、こうして参議院での審議の段階に至ったことに大変な危惧の念を抱いています。私だけではありません。公益通報者保護法の実現を願ってきた人々の政府案に対する評価は辛らつです。政府案が国民の願ったものとは全く違ったものになってしまったからです。  特に自民党は、外部通報は裏切りだ、密告を奨励するわけにはいかない、日本の文化的特性に配慮すべきだと言い立てて、保護されるべき公益通報にやたらめったら条件を付けてしまいました。これでは、これまで被害防止などに大きな役割を果たしてきた数々の勇気ある告発が保護の対象にならなくなってしまいます。このことは通報を考えている労働者を萎縮させ、被害の未然防止の道を閉ざすだけではありません。高いハードルを設定して、この条件に当てはまらない公益通報者は保護しないと政府が法律によって宣言し、さらには、公益通報を不適切な行為であると認定するのと変わらなくなってしまいます。  竹中大臣は、告発者たちの勇気ある行動をどう評価されているのでしょうか。そして、この方たちが払わされている代償について十分な認識を持ってこの法案に反映させたとお考えになっているのかどうか、お聞かせ願います。  以下、法案の具体的な問題点について質問をさせていただきます。  政府案では、保護される公益通報者の範囲を労働者に限定して、その公益通報者に対する保護を解雇、降格、減給等の禁止といった雇用上の不利益取扱い禁止に限定しております。これでは範囲が狭過ぎます。例えば、私たちの記憶に新しい、そして公益通報意義を改めて知らしめた雪印乳業の牛肉偽装事件を告発した西宮冷蔵のような取引事業者からの通報は保護されないことになります。  民主党は、下請等事業者を保護の対象とすべきと主張し、衆議院で修正要求をしていますが、竹中大臣は、取引自由の観点から慎重に検討すべきとの見解のようです。公益のために通報を行った取引先に不利益を与えることが、取引自由の範囲だという議論だと考えていいのでしょうか。事業者等を保護の対象としなかった理由を、衆議院での質疑を踏まえて改めてお聞かせ願います。  政府案では、通報対象事実の範囲をわずか七本の法律と政令で定める、罰則による担保のある法令に限定をしています。政府案をぱっと見れば、法律違反でなければどんなに悪いことをしてもいいと言っていると読めてしまいます。そして、もっとよく政府案を見ると、法律違反をしても、その法律がこの七つの法律、政令で定めた法令でさえなければいいと読めてしまいます。一般常識から懸け離れており、納得できません。  そもそも、健康や安全にかかわる法令は後追い規制になりがちであることは私たちが度々国会で指摘してきたとおりです。過去の例では薬害エイズ、シックハウス、最近の例では回転ドアや遊具等の事故については罰則で担保された法令はなく、したがって通報しても保護の対象にはなりません。  竹中大臣、最低限、法令一般に違反する事実を通報対象事実として保護の対象にすべきですし、民主党の修正案のように、法令違反ではなくても生命や健康に重大な影響を与える事実を対象に加えるべきではありませんか。  竹中大臣は、政令で定める法令について、国民生活への影響を見ながら機動的に対処するとしていますが、どのような法律がどの程度対象法令とされるかによってこの法案の意味合いが全く異なってしまいます。このような重要なことを、国会での審議の対象となる法文ではなく、政令に対象法令の指定をゆだねてしまったことは全く不適切だと思いますが、どう思われますか。  せめて審議の前提としてお聞かせいただきますが、二月の要綱段階で別表に明記された四百八十九の法令のうち、幾つぐらいを対象法令とすることを考えているのでしょうか。数が言えなくても、おおよそのイメージを示していただきます。ほぼすべてでしょうか、八割程度でしょうか、半分程度でしょうか、それとも、一、二割程度、あるいはそれ以下でしょうか。  竹中大臣は、通報対象事実を罰則の担保のある法令違反に絞った理由を、基準を明確化するためだとしています。そうやって当事者の間の見解の相違を防がないと、制度運営に混乱が生じるという主張のようです。しかし、制度運営に混乱を生じさせないことを国民の生命、健康、財産を守ることより優先していいのでしょうか。  また、イギリスの英国公益開示法では罰則の有無を問わない方式を取っていますが、そのイギリスでは問題になるような混乱が生じているのでしょうか。  そもそも、竹中大臣がそんなに重視される制度運営の混乱とはどういう意味なのか、議論の混乱を避けるために、その意味するところを御説明願います。  さらに、竹中大臣は、通報しようとする業務に携わっている人は関係法令について一定の知識を有しているだろうという見解を示されています。しかし、幾らその業務に携わっているといっても、一般の労働者に法令違反であるかどうか判断できるだけの正確な知識を要求するのは非現実的ではないでしょうか。  また、法令の明文化によって、自分が行おうとする通報が保護の対象となるかどうかについての予測可能性が増して通報しやすくなるということですが、政府案のような狭い規定の仕方では、何を言っても保護されないだろうという予測しかできないのではないでしょうか。これでは、ただでさえ不安を抱える通報者をますます萎縮させてしまいます。そして、それでもなお決断して通報を行った通報者が保護されないことになってしまいます。こうした指摘について、竹中大臣はどうお答えになるのでしょうか。  政府はまた、保護の対象となる通報の中身を、通報対象事実が正に生じようとしている旨としてしまいました。つまり、個人の生命や健康に重大な影響を及ぼす法令違反などが発生する可能性があって、労働者がそのことで早めにだれかに通報してそれを防ごうと思っても、切迫した事態になってからでないと保護できない、可能性があるだけで通報するなら自己責任でということになってしまうのです。政府も、年末に示した骨子案では、まさに生じようとしている旨ではなく、より幅広に、生じるおそれがある旨としていたではありませんか。これもこの公益通報保護法の意義を損ねる深刻な後退です。  これについても、竹中大臣衆議院で、生じるおそれがある旨としてしまうと当事者の認識の相違を生む可能性があるなどと言っております。しかし、当事者の間で見解の相違がないようなケースばかりを対象にしていては現実の対応に間に合いません。また、まさに生じるおそれがある旨としたところで、抽象的な表現である以上、当事者間で見解の相違が生じることに変わりはないのではないでしょうか。竹中大臣の見解を伺います。  外部通報先について条件が厳し過ぎ、例えば国民生活センターに相談をした場合などは保護の対象とはならないと思われます。ただでさえ孤独な通報者を支えるために外部通報先の範囲を広く認めるべきであり、これも民主党の修正案が求めるとおり、通報対象事実の発生若しくはこれによる被害の拡大を防止するために必要であると認められる者を、資する者、つまり役立つ者と改めるべきです。  一体、政府案では、国民生活センター、消費者団体やNPO、労働組合、そして国会議員への通報、相談は、保護の対象になるのでしょうか。竹中大臣に政府としてのお考えを伺います。  また、政府案では、他人の正当な利益等を尊重することを課していますが、そもそも公益通報の定義において、不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正な目的ではなくとされており、十分担保されています。こんな当たり前のことにまで二重の縛りを掛け、ますます公益通報を萎縮させる必要があるのでしょうか。民主党は、このような規定は削除すべきと考え、これも修正案に盛り込んでいますが、竹中大臣はどのようにお考えでしょうか。  さて、この法案が万が一成立してしまった場合の見直し規定について、政府案は、公布から二年以内に施行、見直しは施行後五年後に行うこととなっておりますが、これでは、法案成立後、見直しまで最大七年掛かることになります。余りにも長過ぎます。民主党は、公布から一年以内に施行、見直しは施行後三年以内に行うという修正を訴えていますが、竹中大臣はどのようにお考えでしょうか。  以上、訴えてきたとおり、私たちは、この法案が、公益通報者を保護する法案ではなく、公益通報の条件を狭く限定することで、ごく例外的な場合だけ公益通報を認めて保護し、あとはなるべく公益通報を発生しないようにしようとする公益通報思いとどまらせ法案になっているのではないかと危機感を抱いています。  公益通報者保護法は、公益通報者の保護というこれまでルールがなかったところにルールを定めるもので非常に重要です。まずは実績を見ながら発展させるべきという意見もありますが、最初の一歩を間違えては取り返しの付かないことになってしまいます。是非、民主党の修正案の内容を真剣に取り上げることを、竹中大臣だけでなく、この本会議場に座っている与党の議員の皆さんにも訴えたいと思います。  もし修正ができないというならば、せめて、腰の定まらない抑制法案を撤回し、拙速に大事な制度をスタートすることを踏みとどまるべきだと考えます。竹中大臣のお考えをお聞かせください。  最後に申し上げます。  すべての組織が誤りを犯し、抱え込んでしまう要素を持っています。人間の弱さ、ちょっとした気の緩みが積み重なったとき、それは何かのきっかけで本来犯してはならない不祥事につながる可能性があるのです。そして、その不祥事の結果が個人や社会に向かったとき、私たちの命や健康、有形無形の財産が危険にさらされたり人権侵害が引き起こされたりします。残念ながら、そういうことは起こり得るし、現に起こってきました。そして、その誤りを正し、この社会を救ってきたのは、多くの場合に、やむにやまれぬ個人の告発、本来の意味での公益通報だったのです。  マスコミによる派手なスクープ、国会での爆弾質問も、実はそうした、社会を良くしたい、不正を許してはいけないという思いにつき動かされた名もなき告発者の声がきっかけになっていることが少なくありません。この人々の勇気がなかったら、不正がやみに葬られ、被害者が泣き寝入りをしなくてはならなかったかもしれないのです。しかし、そうやって声を上げた正義の人々は往々にして迫害され、苦しんでいます。  良識の府参議院に身を置く私たちがしなければならないのは、勇気ある告発者を保護する堂々とした法律を作ることではないでしょうか。それが正義に報いることであり、私たちの社会の健全な自浄機能を守ることです。  私たちがこうした法律を作ることは使命であるということを申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣竹中平蔵君登壇拍手
  18. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 岡崎議員から詳細な御質問を賜りました。  まず、公益通報という行為の評価及び通報者が払っている代償への認識についてのお尋ねがございました。  そもそも、犯罪行為や法令違反行為は許されるものではありません。事業者による法令遵守を確保し、国民の生命、身体、財産などへの被害を防止していく観点から、公益のために通報する行為は正当な行為として評価されるべきと考えております。また、このような公益通報者が事業者から解雇その他の不利益な取扱いを受けることは社会的公平を欠くものであるというふうに認識をしております。  本法案は、こうした認識の下に、公益通報者の保護に関する制度的なルールを明確化するために提出することとしたものでございます。  下請等事業者を本法案の保護の対象としなかった理由についてのお尋ねがございました。  下請事業者などの事業者を本制度対象に含める場合には、本来、自由な意思に基づいて行われるべき事業者間の取引関係に国として何らかの制限を加えることを意味します。国民生活審議会における審議におきましても、このような事業者間の取引関係の保護につきましては、どのような不利益をどのように保護すべきかについて慎重に検討すべきという意見があり、意見の一致が得られなかったところでございます。  本法案では、このような国民生活審議会での議論も踏まえまして、慎重な検討が必要との判断から通報者には含めなかったものでございます。  本法案の通報対象事実の範囲についてのお尋ねがございました。  本法案の通報対象事実の範囲につきましては、食品偽装表示事件など近年の企業不祥事の発生状況国民生活審議会の提言を踏まえまして、国民生活の安全や安心に資するという観点から、国民の生命、身体、財産等の利益の保護にかかわる法令違反を対象としたものでございます。  また、犯罪行為や法令違反行為に当たらない生命や健康に重大な影響を与える事実というのを本法案の通報対象にすることにつきましては、通報の対象範囲を不明確にする、それによって通報者と事業者の間で見解の相違が生じて、制度の運用に当たって混乱が生じるために、通報者保護の観点から適当ではないと考える次第でございます。  政令に対象法令の指定をゆだねたことについてのお尋ねがございました。  本法案対象とする国民の生命、身体、財産その他の利益の保護にかかわる法令の範囲については、この法案の別表におきまして、刑法、食品衛生法など七つの法令を例示しております。また、個人の生命又は身体の保護、消費者の利益の擁護等々の分野を例示しております。その上で政令にゆだねているものでありまして、このような委任が不適切とは考えておりません。  政令の制定に当たりましては、パブリックコメントなどにより各方面の意見も聴いて、対象法令を適切に定めていきたいというふうに考えております。  政令で定める対象法令の数についてお尋ねがございました。  御指摘の四百八十九本の法律のリストについては、本法案の立案過程における政府内部の検討資料であり、政府として対象法令として決定したというものではもちろんございません。対象法令については、法令違反行為が国民の生命、身体、財産等に及ぼす被害の大きさ等々を精査し、またパブリックコメントなどを通じて各方面の御意見も伺った上で幅広く適切に定めたいと考えております。  したがいまして、現段階でどの程度の数の法律を政令で定めるかについてのお答えは差し控えさせていただきたいと思います。  制度運営の混乱とはどういう意味なのかというお尋ねがございました。  本法案の保護の対象範囲が不明確な場合には、例えば労働者が保護対象となると信じて通報しても、事業者側は保護対象ではないと判断して通報者を解雇するおそれが生じます。この場合は、たとえ裁判を通じて通報者が保護されることとなったとしても、それまでの間は通報者が不安定な立場に置かれることになります。本法案では、このような意味で制度運営の混乱をできるだけ避け、保護される通報の範囲を明確にすることによって公益通報者の保護を図ろうとするものであり、制度運営国民の生命、健康、財産を守ることより優先させてよいと考えているものでは決してございません。  なお、イギリスでは労働関係の紛争について迅速に解決を行う専門の裁判所が存在しておりまして、我が国とは制度的な背景が異なることを踏まえて制度を立案すべきであるというふうに考えます。  労働者が法令違反であるかどうか判断できるのかというお尋ねがございました。  労働者は、一般国民とは異なり、自らが従事する事業に関連する情報については一定の知識を有していると考えております。ただし、すべての労働者が従事する事業に関連する法令について正確な知識を有しているとは必ずしも言えないということも十分に認識をしております。このため、本制度施行に当たりましては、対象法令の範囲等について、例えば業種ごとにどのような事例が公益通報対象となるかを具体的に示すなど、労働者にとって分かりやすい広報に努めてまいる所存でございます。  まさに生じようとしているとの規定趣旨についてお尋ねがありました。  生ずるおそれがあるという規定では、労働者が生ずるおそれがあると信じて通報した場合でも、事業者側はその蓋然性が低かったとして通報者を解雇する可能性があります。また、犯罪行為や法令違反行為が発生する蓋然性が低い状態で通報がなされた場合には、事業者の正当な利益が害されることも考えられます。このため、保護される通報の範囲をより明確にする表現として、まさに生じようとしていると規定し、通報対象事実の発生が切迫している場合を対象とすることを明らかにすることが適当であるというふうに考えております。  外部通報先の範囲についてのお尋ねがございました。  御指摘国民生活センターや消費者団体、NPO、労働組合及び国会議員は、いずれもこの法案第二条第一項に定める外部通報の要件である通報対象事実の発生若しくはこれによる被害の拡大を防止するために必要であると認められる者に含まれると考えており、この規定を修正する必要はないものと考えております。  なお、通報前に、ある事実が法令違反に当たるかどうか、通報した場合に保護されるかどうかなどについて助言を受けるための相談につきましては、通報に当たらないものの、これは相談を理由として事業者が解雇等の不利益な取扱いをすることは、本法案で保護を行うまでもなく、当然に許されないものであるというふうに考えます。  法案第八条の他人の正当な利益等の尊重に関する規定を削除すべきというお尋ねがございました。  不正の目的でなく行われた公益通報であっても、犯罪行為や法令違反行為とは関連しない第三者の個人情報や営業上の秘密など事業者の有する内部情報が併せて通報された場合には、これは結果として他人の正当な利益や公共の利益が害されることがあり得ます。本法案第八条の規定は、公益通報をする労働者は、このような他人の正当な利益や公共の利益にも配慮するよう努めることを規定したものでありまして、公益通報を萎縮させるものではなく、必要な規定であるというふうに考えております。  法案施行期日及び見直し期日、これを前倒しすべきとのお尋ねがございました。  本法案は、営利企業、行政機関、各種の非営利団体など、あらゆる事業者対象とする制度であります。したがって、制度の周知、事業者の通報受付体制の整備など、十分な準備期間を設ける必要がございます。これを踏まえまして、公布後二年以内の政令で定める日から施行するものとしたものであり、施行までの期間を短縮することは適当ではないと考えております。  また、見直しの時期につきましては、法律施行後三年程度は運用状況を見極めた上で検討を行いまして必要な措置を講ずることが必要と考えまして、五年後を目途に必要な見直しを行うこととしたものでございます。したがって、見直しまでの期間につきましても、短縮することは適当ではないと考えております。  最後に、政府案を撤回すべきではないかとのお尋ねがございました。  本法案は、公益通報者の保護を法的に明確化するという意義を有するものでございます。公益通報者に勇気を与え、事業者のコンプライアンス経営を促進するものとして最良のものと考えておりますので、政府案を撤回する考えはございません。  何とぞ趣旨の御理解を賜りたいと存じます。(拍手)     ─────────────
  19. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 吉川春子君。    〔吉川春子君登壇拍手
  20. 吉川春子

    ○吉川春子君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました公益通報者保護法案について竹中大臣質問いたします。  三菱自動車のリコール隠しや武富士の盗聴事件、雪印食品の牛肉偽装事件など、大企業による違法行為が相次ぎ、また、警察の裏金作りや保存期間前の会計書類破棄など、行政による不正事件も頻発しています。こうした企業や行政の違法、不正行為が明らかになったきっかけは内部告発によってです。このように、企業や行政の違法、不正行為を内部から告発することは、国民の安全や利益を守ることにつながり、また、違法、不正行為をただすことは、企業の信頼の失墜を避け、社会的責任を果たす上で当然のことです。  日本共産党は、内部告発がもたらす社会的役割と社会的利益に照らせば、違法や不正行為を内部告発しやすくし、通報者が十分に法的な保護を受けられる制度を作る必要があると主張してきました。  以下、法案の内容について具体的に質問いたします。  第一は、労働者が保護される内部告発の対象の範囲についてです。  法案は、内部告発をした場合、保護される通報対象事実を国民の生命、身体、財産その他の利益の保護にかかわる法令とし、さらに、罰則のある犯罪行為に狭く限定していますが、どうしてこんなに範囲を絞ったのですか。  法案の別表に刑法、食品衛生法など七法律を列挙し、それ以外の対象となる法律は政令で定めるとしています。政府は衆議院の審議の中で、対象関連法四百八十九本を示しましたが、本法案では一体何本の法律対象となるのですか。七法律以外の対象法令を政令にゆだねて、どの法律対象になるのかを国民に明らかにしないというのでは、十分な審議ができないのではありませんか。  しかも、法案では、税法や公選法、政治資金規正法などを内部告発の保護の対象としていません。これでは、実際に内部告発が多い税金の無駄遣いや脱税、政治家へのやみ献金、談合などの不正行為を通報しても労働者は保護されないではありませんか。こういう重要な内部告発こそ保護の対象とすべきではありませんか。答弁を求めます。  さらに、いまだ安全基準が定められていない危険な製品、例えば最近も大問題になった六本木ヒルズ事件の回転ドアや、外国では危険性が認識され、禁止されている医薬品の使用、すなわち薬害エイズ事件を発生させた非加熱血液製剤など、罰則のある法規制が行われるまでに消費者、国民に深刻な被害が発生してしまう例も少なくありません。この法案ではこうした事例についての内部告発は保護されないのではありませんか。  保護する内部告発の範囲を人の生命又は健康に重大な影響を与えるおそれのある事実とするなど、国民の安全や利益が守られるように内部告発の対象拡大すべきです。なぜそうしないのですか。  第二は、内部告発の在り方について伺います。  企業、行政組織の不正行為をただすという点では、報道機関や国会議員、消費者団体など、外部への通報の確保がかぎです。我が党への内部告発が政治家と外務省の不祥事を暴いたいわゆるムネオ事件を見ても明らかです。ところが、本法案は外部への告発には極めて厳しい要件を付しています。  すなわち、報道機関や国会議員などへの外部通報は、企業や行政機関に通報する要件に加えて、不利益取扱いを受ける、証拠隠滅のおそれがあるなど五項目のいずれかの要件に該当しなければ保護されないことになっています。例えば、企業内部に通報すれば不利益扱いを受けるという要件について、事業者に不利益取扱いの前例がない場合、通報者はそれを判断できないのではありませんか。判断できるというのであれば、どのような場合でしょうか、お示しください。外部通報の五つの要件は通報者にとってクリアすることが困難なものばかりです。結局、外部通報のハードルが高いため、通報者を萎縮させ不正行為が企業内部や行政機関内に閉じ込められてしまうことになるのではありませんか。  法案は、内部告発を企業内部に行う仕組みになっています。これでは犯罪行為の通報を受けた企業や行政が内部でうやむやにしてもみ消すおそれがあるのではないですか。  通報を受け取った事業者は、通報のあった日から二十日間以内に書面で調査を行う旨の通知をすればいいことになっています。これでは調査中ということで放置されることにならないのですか。本案はこれを防ぐ手だてがあるのですか。  また、三菱自動車タイヤ脱落事故の例でも明らかなように、行政機関へ通報しても迅速適切に対応しない事例も少なくありません。行政機関に通報した場合も、通報者に対して一定期間の後に調査内容、措置内容について報告させるようにすべきではありませんか。  また、労働者は労働契約、就業規則などによって守秘義務を課せられています。法案では、公益通報をした場合、労働者が労働契約上一般的に負っている秘密の保持義務、守秘義務は解除されることになるのですか。伺います。  第三に、公務員の問題について伺います。  国家公務員を対象とした野党三党提出公益開示法案では、保護する内部告発の範囲を、法令に違反し、また違反するおそれがある事実、人の生命又は健康に重大な影響を与えるおそれがある事実、会計経理に関し明らかに不当であると認められる事実とし、その範囲を広く設定しています。政府案においても、野党案のように保護する内部告発の範囲を広くすべきではありませんか。  そもそも公務員は、刑事訴訟法において、犯罪があると思料したときは告発しなければならないと明記され、告発義務が課せられています。こうした場合の身分保障がなされており、告発を理由に免職や不利益扱いをされることは制度的にはありません。しかし、今回の政府案は、通報の範囲を国民の生命、身体、財産の保護にかかわる法令違反に絞っており、その結果、刑事訴訟法上の告発義務の範囲よりかなり狭くなり、法案に公務員を含めた意味は全くないのではありませんか。また、本法案によって公務員の守秘義務はどの範囲まで解除されることになるのですか。明らかにしてください。  また、本法案では公務員が犯罪行為を通報するのに二重三重の要件が付されています。なぜこうした要件を課するのですか。  第四に、通報者の保護の対象取引業者、下請業者等の役員を加える問題です。  通報者の保護の対象には労働基準法第九条に規定する労働者、公務員、その他退職者も含まれていますが、取引業者、下請業者の役員は除外されています。構造的にも下請・協力業者は大企業に事実上指揮監督され、実質的には労働者と同じような立場に置かれているのが実態です。雪印食品の牛肉偽装事件の告発者は西宮冷蔵の社長でした。取引業者、下請業者の役員を保護の対象とすべきではありませんか。  取引業者などが内部告発を理由として取引継続を打ち切られることは死活問題であり、取引継続の拒否、契約の解除も禁止すべきではありませんか。お伺いします。  第五に、不利益取扱いの禁止と救済措置についてです。  法案は、解雇や減給、左遷などの不利益取扱いを禁止していますが、原状回復の規定がありません。内部告発の内容によって通報者がだれなのか、会社等に特定されてしまうケースも多いと考えられます。通報者は事業者の不利益扱いに対して裁判で争うのが実情です。不利益取扱いを告発者が立証することは困難であることは、これまでの裁判の事例が示しています。そうしたことを避けるためには、事業者側に不利益扱いを行ってはならないとの挙証責任を課すべきではありませんか。伺います。  最後に、日本共産党は、野党共同提出の公務員を対象とした公益開示法成立を目指すとともに、政府案に対しては、通報対象事実、通報者保護の範囲の拡大、報道機関や国会議員、消費者団体への外部通報の要件の大幅緩和、不利益取扱いの禁止を実効あるものにするなど、不正行為を外部に通報しやすく、通報者が十分に法的な保護を受けられる制度となるように抜本的に修正することを求めて、質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣竹中平蔵君登壇拍手
  21. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 吉川議員から十二問の御質問をいただきました。  本法案の通報対象事実の範囲が限定的ではないかとのお尋ねですが、本法案の通報対象事実の範囲については、近年の企業不祥事の発生状況、また国民生活審議会の提言を踏まえまして、国民の生命、身体、財産等の利益の保護にかかわる法令違反を対象としたものであります。  また、刑罰による担保のない法令違反行為を本法案対象にすることについては、通報の対象範囲を不明確にし、制度の運用に当たって混乱が生じるため、通報者保護の観点から適当ではないと考える次第であります。  本法案での対象法律の数及び政令に対象法律の指定をゆだねたことについてのお尋ねがございました。  対象法律につきましては、法令違反行為が国民の生命、身体、財産等に及ぼす被害の大きさ等々を精査し、またパブリックコメントなどを通じて各方面の意見も伺った上で幅広く適切に定めたいと考えており、現段階でどの程度の数の法令を政令で定めるかについてのお答えは差し控えたいと存じます。  また、本法令が対象とする、国民の生命、身体、財産その他の利益の保護にかかわる法令の範囲については、この法律の中で別表を掲げておりまして、七つの法令を例示しております。また、分野を例示しております。そして、その上で政令にゆだねているものでありまして、政令でどのような法律を定めるかについての考え方は、本法案で基本的に明らかにされているものと考えております。  税法や公職選挙法等を通報対象事実の範囲に含めるべきではないかとのお尋ねがございました。  税法違反など、他の分野の法令違反については、国民の生命、身体、財産等に直接被害が及ぶものではないと考えられるため、本制度対象とはしなかったものでございます。  通報対象事実の範囲について、いまだ安全基準が定められていない危険な製品等が保護されていないのではないか等々のお尋ねがございました。  御指摘のように、国内の法律により規制がなされていない事案につきましては、まずは適切なリスク評価を行い、規制すべきか否かを判断することが、これが問題解決の基本であると考えます。  犯罪行為や法令違反行為に該当しない、人の生命又は健康に重大な影響を与えるおそれのある事実を本法案対象にすることについては、通報の対象範囲を不明確にして、通報者と事業者の間での見解の相違が生じ、制度の運用に当たって混乱が生じるため、通報者保護の観点からは適切ではないと考えております。  外部通報要件のうち、内部に通報すれば不利益な取扱いを受けると信ずるに足る理由、相当の理由がある場合とはどういうことかについてのお尋ねがございました。  この要件に該当する例、いろいろありましょうが、具体的な事例としては、例えば過去に本人や同僚が内部通報したところ不利益な取扱いを受けた場合、さらには、内部に通報すれば不利益な取扱いをすると上司から脅された場合などが該当すると考えられます。  外部通報のハードルが高いのではないかというお尋ねがございました。  本法案においては、法令違反の通報による公益の実現と事業者の正当な利益の保護とのバランスを図る観点から、外部通報につきましては、内部通報では証拠隠滅のおそれがある場合、人の生命、身体への危害が発生する場合など、一定の要件を加重することとしたものであります。具体的な外部通報の要件は、同様の考え方に立つ英国の公益開示法を参考として立案したものであり、厳し過ぎるとは考えておりません。したがって、公益通報者を萎縮させる等々の御批判は当たらないと思います。  通報が企業内部や行政機関内部でうやむやにされるのではないかというお尋ねがございました。  事業者が調査を行う旨の通知をしても実際には調査を行わず放置しているような場合には、この法案の第三条第三号ニに定める正当な理由がなくて調査を行わない場合に該当するために、これは外部通報が可能になります。  また、行政機関への通報につきましては、本法案第十条で、必要な調査を行って、法令に基づく措置その他適切な措置を取ることを義務付けているところであります。行政機関の通報処理のガイドラインを作成すること等によりまして、御指摘のように、行政機関による調査の実施や講じた措置の通報者への通知を含めまして行政機関において適切な対応が図られるよう、これは行政として努めてまいりたいと思います。  公益通報と労働契約上の秘密保持義務、守秘義務との関連についてお尋ねがありました。  この法案は、労働者が一定の要件を満たす通報をした場合に、当該通報をしたことを理由とする解雇その他の不利益な取扱いから当該労働者を保護するものであり、労働者が労働契約上負っている秘密保持義務、守秘義務をその意味では解除するものでございます。  国家公務員を対象とした野党三党提出法案の範囲と同様に、この通報対象を広げるべきとのお尋ねがございました。  本法案は、官民共通の制度として、被害の未然防止、拡大防止の観点から違法行為を抑止していく必要性が高い分野として、国民の生命、身体、財産等の利益の保護にかかわる法令違反を通報の対象としたものでございます。  また、犯罪行為や法令違反以外の人の生命又は健康に重大な影響を与えるおそれがあるという事実や会計経理に関し明らかに不当であると認められる事実、そういったものを本法案の通報対象とすることについては、通報の対象範囲を不明確にし、通報者と事業者の間で見解の相違が生じて制度の運用に当たって混乱が生じるために、通報者保護の観点から適切ではないというふうに考えている次第でございます。  公務員の通報については、刑事訴訟法上の告発義務の範囲よりも狭くなる、本法案に公務員を含めた意味がないのではないかといった趣旨お尋ねがございました。  本法案が定めます公益通報と刑事訴訟法が定める告発とでは、その目的や要件を異にしております。本法案は、公務員の刑事訴訟法上の告発義務に何ら変更を加えるものではありません。また、本法案が定める公益通報対象は秘密として保護するに値しない犯罪行為等であるため、一般的には公務員が本法で定める公益通報を理由として守秘義務違反に問われることはないと考えております。  本法案では、官民共通の制度として公益通報を行った労働者を広く保護の対象とするものでありまして、公務員についても公益通報者が保護されることが法的に明確になりますことから、公務員を対象に含めても意味がないとの御指摘は当たらないと思います。  取引事業者等を保護の対象と、取引事業者等を対象とすべきだというお尋ねがございました。  これは、取引事業者などの事業者の本制度対象に含める場合には、本来、自由な意思に基づいて行われるべき事業者間の取引関係に国として何らかの制限を加えることが必要になります。したがって、国民生活審議会においても慎重に検討すべきとの意見があり、意見の一致が見られなかったところであります。本法案では、このような国民生活審議会での議論も踏まえまして、取引事業者などの事業者を通報者には含めなかったものでございます。  最後に、不利益取扱いは行っていないとの立証責任を事業者側に課すべきではないかというお尋ねがございました。  一般に、民事訴訟においては、一定の法律効果の発生を主張する者が立証責任を負うのが原則であります。本制度においても、これに従って保護を受けようとする労働者が立証責任を負うことになります。  なお、実際の労働関係の裁判においては、労働者と事業者の間で立証能力の格差があることを踏まえて適切な立証責任の分配が行われているものと承知をしております。公益通報を理由とする不利益取扱いをめぐる裁判においても、同様の取扱いがなされるものと考えているところでございます。  以上、お答え申し上げます。(拍手
  22. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) これにて質疑は終了いたしました。      ─────・─────
  23. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 日程第一 平成十四年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書  日程第二 平成十四年度特別会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書  日程第三 平成十四年度特別会計予算総則第十五条に基づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書   (いずれも衆議院送付)  日程第四 平成十四年度一般会計歳入歳出決算平成十四年度特別会計歳入歳出決算平成十四年度国税収納金整理資金受払計算書平成十四年度政府関係機関決算書  日程第五 平成十四年度国有財産増減及び現在額総計算書  日程第六 平成十四年度国有財産無償貸付状況総計算書  以上六件を一括して議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。決算委員長鴻池祥肇君。     ─────────────    〔審査報告書は本号(その二)に掲載〕     ─────────────    〔鴻池祥肇君登壇拍手
  24. 鴻池祥肇

    ○鴻池祥肇君 ただいま議題となりました平成十四年度予備費関係三件及び平成十四年度決算外二件につきまして、決算委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。  まず、平成十四年度予備費関係三件は、憲法及び財政法の規定に基づき、予備費の使用等について、国会の事後承諾を求めるため提出されたものであります。  これらの主な費目について申し上げますと、まず一般会計の予備費使用は、国際的なテロリズムの防止及び根絶のための国際社会の取組に積極的かつ主体的に寄与するため自衛隊が実施する協力支援活動等に必要な経費などであります。  特別会計の予備費使用は、森林保険特別会計における森林保険業務に必要な経費であります。  特別会計予算総則規定に基づく経費の増額は、道路整備特別会計における道路事業及び街路事業の調整等に必要な経費の増額などであります。  次に、平成十四年度決算外二件につきましては、去る二月二十七日の本会議において財務大臣より概要の報告がありましたので、その内容については省略させていただきます。  委員会としては、本年二月、勤労者福祉施設として建設されました旧スパウザ小田原の視察を行いましたが、本件決算の審査に資することができました。  審査につきましては、決算外二件に対する概要説明を聴取した後、内閣総理大臣を始め全閣僚出席の下、全般質疑を皮切りに、政府開発援助及び決算審査の在り方についての参考人質疑や特別会計等公会計の改革についての財務大臣に対する集中質疑を含め、合計十二回に及ぶ委員会質疑を行いました。  主な質疑内容としては、内閣に対する警告として取り上げた事案についての質疑のほか、特別会計資金の使途の在り方、独立行政法人における不適正な予算執行、効果的なODA予算の執行など行財政全般について熱心な論議が交わされました。  また、会計検査院の在り方をも含め、本院決算委員会の審査及び調査機能の充実等について自由討議が行われましたが、詳細は会議録によって御承知願います。  五月三十一日、質疑を終局し、委員長より本会議で議決すべき議決案を提出いたしました。  以下、議決案の内容を申し上げます。     一、平成十四年度決算は、これを是認する。     二、内閣に対し、次のとおり警告する。       内閣は、適切な措置を講じ、その結果を本院に報告すべきである。  (一) 平成十四年度決算検査報告では指摘金額が四百億円を超え、過去二十年間で最悪となったが、その指摘内容を見ても、医療や年金の社会保険における不適切な支出・保険料徴収額の不足、公共工事の施工不良等同種の不当事項が後を絶たないことは、誠に遺憾である。    政府は、財政状況が厳しい中、このような事態が生じていることを重く受け止め、予算執行をより一層厳正に行うとともに、再発防止の抜本的対策を講じ、いやしくも違法・不当の指摘を受けることのないよう万全を期すべきである。  (二) 北海道警察、福岡県警察等において、捜査費等の使用に関して事実と異なる会計書類が作成される等の不適正な予算執行、組織的な裏金疑惑が相次いで発覚し、警察に対する国民の信頼を著しく失墜させたことは、極めて遺憾である。平成八、九年度決算に対する本院の警告を受け、警察改革要綱に基づく監察体制の整備等の諸施策推進するとしたが、このような事態が生じたことを政府は重く受け止めるべきである。    政府は、これらの不適正事案や疑惑の早期徹底解明に努め、関係者の処分など厳正に対処するとともに、警察庁の指揮監督の下、すべての都道府県警察を対象として監査の充実強化を図るなど、この種事案の再発防止及び警察に対する国民の信頼回復に万全を期すべきである。  (三) 宇宙開発事業については、平成十五年十月に従来のいわゆる宇宙三機関が統合され、独立行政法人宇宙航空研究開発機構に引き継がれたところであるが、地球観測衛星の運用停止、HⅡAロケット六号機の打上げ失敗等のトラブルが続発し、事業に対する国民の信頼を失墜させたことは、誠に遺憾である。    政府は、国産ロケットの開発等の宇宙開発事業が科学技術の推進のみならず、我が国国民生活、安全保障上も重要な意味を持つものであることを十分に認識し、トラブル発生の原因究明に努めるとともに、宇宙開発委員会及び宇宙航空研究開発機構の責任ある体制を整備し、再発防止策を徹底すべきである。  (四) 一部の勤労者福祉施設の譲渡に当たって、柔軟な公共性要件により大幅に減額して譲渡した結果、雇用保険事業の資産への回収金額が少なくなったことは、極めて遺憾である。また、社会保険庁が設置した厚生年金老人ホーム等の事業運営において、多くの施設で累積赤字が生じ、さらに本来の設置目的を達成するための長期入居施設を設置していない等の状況が生じていることは、年金保険料の適正な使用の観点から看過できない。    政府は、年金福祉施設の維持修繕等に対し、特別会計から多額の国費が支出されていることを重く受け止め、年金制度の厳しい財政状況を踏まえ、年金保険料を福祉施設整備に使用しない等の整理合理化計画策定に努める等、年金福祉施設の在り方の抜本的見直しを行うとともに、年金福祉施設の譲渡を行う場合は、勤労者福祉施設の譲渡に関し指摘された問題点を踏まえ、適正な譲渡価格の算定等に努めるべきである。  (五) 国立療養所二病院において、勤務実績のない医師や常勤と認められない医師に対し虚偽の勤務実績により給与等を支出するなどの不正な経理が行われてきたほか、全国的に医師名義の貸し借りが蔓延している実態が明らかになったことは、医療及び大学に対する国民の信頼を裏切る重大な問題であり、極めて遺憾である。    政府は、医師名義の貸し借りを根絶し、再発防止策を講ずるとともに、地域医療を担う医師の養成及び確保を推進すること等により、医師名義の貸し借り問題の温床とも言える医師の地域偏在問題の解消に積極的に取り組むべきである。  以上が議決案の内容であります。  討論を行い、採決の結果、平成十四年度一般会計予備費及び平成十四年度特別会計予算総則第十五条に基づく経費増額はいずれも多数をもって、平成十四年度特別会計予備費は全会一致をもって承諾を与えるべきものと議決されました。  次に、本件決算は多数をもって是認すべきものと議決され、次いで、内閣に対して警告することについては全会一致をもって警告すべきものと議決されました。  なお、本件決算に係る質疑を踏まえ、本委員会として、一、特別会計の抜本的見直し及び国民に対する説明責任の向上、二、独立行政法人における内部監査の強化及び業績評価の厳格化、三、ODAの効率的実施のためのNGOの育成・強化、会計検査に係る技術協力の促進及び現地調査の充実並びに本院調査団への情報提供等、四、食の安全・安心の確保のための施策推進及び知識の普及・啓発、五、石油公団における投融資の回収への取組及び石油開発事業の適切な遂行、六、関西国際空港二期事業の在り方を含めた関西三空港の機能分担及び連携についての検討、以上六項目について、内閣に対し要請することを決議しました。  次に、国有財産関係二件はいずれも多数をもって是認すべきものと議決されました。  最後に、関係各位の御協力により、昨年に続き、当該決算の提出された国会の会期内に決算審査を終えることができましたことに対しまして委員長として感謝を申し上げ、御報告とさせていただきます。(拍手)      ─────・─────
  25. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 御紹介いたします。  本院の招待により来日されましたメキシコ合衆国上院議員団の御一行がただいま傍聴席にお見えになっております。  ここに、諸君とともに心からなる歓迎の意を表します。    〔総員起立、拍手〕      ─────・─────
  26. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) これより採決をいたします。  まず、日程第一の予備費使用総調書について採決をいたします。  本件を承諾することの賛否について、投票ボタンをお押し願います。    〔投票開始〕
  27. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。    〔投票終了〕
  28. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数          百八十六     賛成            百六十三     反対             二十三    よって、本件は承諾することに決しました。(拍手)     ─────────────    〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕     ─────────────
  29. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 次に、日程第二の予備費使用総調書について採決をいたします。  本件を承諾することの賛否について、投票ボタンをお押し願います。    〔投票開始〕
  30. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。    〔投票終了〕
  31. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数          百八十八     賛成            百八十六     反対               二    よって、本件は承諾することに決しました。(拍手)     ─────────────    〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕     ─────────────
  32. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 次に、日程第三の経費増額調書について採決をいたします。  本件を承諾することの賛否について、投票ボタンをお押し願います。    〔投票開始〕
  33. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。    〔投票終了〕
  34. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数          百八十七     賛成              百九     反対             七十八    よって、本件は承諾することに決しました。(拍手)     ─────────────    〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕     ─────────────
  35. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 次に、日程第四の平成十四年度決算について採決をいたします。  本件の委員長報告は、本件決算を是認すること及び内閣に対し警告することから成っております。  まず、本件決算を委員長報告のとおり是認することについて採決をいたします。  本件決算を委員長報告のとおり是認することの賛否について、投票ボタンをお押し願います。    〔投票開始〕
  36. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。    〔投票終了〕
  37. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数          百八十七     賛成              百八     反対             七十九    よって、本件決算は委員長報告のとおり是認することに決しました。(拍手)     ─────────────    〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕     ─────────────
  38. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 次に、委員長報告のとおり内閣に対し警告することについて採決をいたします。  委員長報告のとおり内閣に対し警告することの賛否について、投票ボタンをお押し願います。    〔投票開始〕
  39. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。    〔投票終了〕
  40. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数          百八十七     賛成            百八十七     反対               〇    よって、全会一致をもって委員長報告のとおり内閣に対し警告することに決しました。(拍手)     ─────────────    〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕     ─────────────
  41. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 次に、日程第五の国有財産増減及び現在額総計算書について採決をいたします。  本件を委員長報告のとおり是認することの賛否について、投票ボタンをお押し願います。    〔投票開始〕
  42. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。    〔投票終了〕
  43. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数          百八十六     賛成            百六十二     反対             二十四    よって、本件は委員長報告のとおり是認することに決しました。(拍手)     ─────────────    〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕     ─────────────
  44. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 次に、日程第六の国有財産無償貸付状況総計算書について採決をいたします。  本件を委員長報告のとおり是認することの賛否について、投票ボタンをお押し願います。    〔投票開始〕
  45. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。    〔投票終了〕
  46. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数          百八十七     賛成            百八十一     反対               六    よって、本件は委員長報告のとおり是認することに決しました。(拍手)     ─────────────    〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕     ─────────────
  47. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 先ほど議決されました内閣に対する警告に関し、内閣総理大臣から発言を求められました。小泉内閣総理大臣。    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇拍手
  48. 小泉純一郎

    ○内閣総理大臣小泉純一郎君) ただいまの御決議に対しまして所信を述べます前に、一言申し上げます。  今回、参議院において平成十四年度決算の審査を昨年に引き続き常会中に終了されることは、決算審査を予算編成に反映させる上で大変有意義なことであり、参議院の御努力に感謝申し上げます。  また、政府といたしましては、決算の早期提出につきまして、会計検査院とも協力しつつ、平成十五年度決算から十一月二十日前後に提出が可能となるよう努力いたします。  ただいまの御決議に対しましては、政府としては、従来から国の諸施策推進に当たっては、適正かつ効率的に執行するよう最善の努力を行っているところでありますが、今般五項目にわたる御指摘を受けましたことは誠に遺憾であります。  これらの決議の内容は、いずれも政府として重く受け止めるべきものと考えており、御決議の趣旨を十分に踏まえ、今後このような御指摘を受けることのないよう改善してまいります。(拍手)      ─────・─────
  49. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 日程第七 国際原子力機関憲章第十四条の改正の受諾について承認を求めるの件  日程第八 全権委員会議(千九百九十四年京都及び千九百九十八年ミネアポリス)において改正された国際電気通信連合憲章(千九百九十二年ジュネーブ)を改正する文書全権委員会議(二千二年マラケシュ)において採択された改正)及び全権委員会議(千九百九十四年京都及び千九百九十八年ミネアポリス)において改正された国際電気通信連合条約(千九百九十二年ジュネーブ)を改正する文書全権委員会議(二千二年マラケシュ)において採択された改正)の締結について承認を求めるの件   (いずれも衆議院送付)  日程第九 旅券法の一部を改正する法律案衆議院提出)  以上三件を一括して議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。外交防衛委員長山本一太君。     ─────────────    〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕     ─────────────    〔山本一太君登壇拍手
  50. 山本一太

    ○山本一太君 ただいま議題となりました条約二件及び法律案一件につきまして、外交防衛委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。  まず、国際原子力機関憲章改正は、国際原子力機関の費用の予算見積りを二年ごとのものにすることを目的とするものであります。  次に、国際電気通信連合憲章及び条約を改正する文書は、国際電気通信連合の活動の効率性を高め、機動的な運営を確保することを目的とするものであります。  委員会におきましては、両件を一括して議題とし、国際原子力機関に対する我が国の参画、国際電気通信連合の財政基盤の強化等について質疑が行われましたが、詳細は会議録によって御承知願います。  質疑を終え、順次採決の結果、両件はいずれも全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  次に、旅券法の一部を改正する法律案は、衆議院外務委員長の提出に係るものでありまして、都道府県が行うこととされている旅券事務について、市町村等においても行えるようにするため、事務の委託等に関する地方自治法の規定の適用除外を定めた規定を削除しようとするものであります。  委員会におきましては、趣旨説明を聴取した後、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────
  51. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) これより採決をいたします。  まず、日程第七及び第八の条約を一括して採決いたします。  両件の賛否について、投票ボタンをお押し願います。    〔投票開始〕
  52. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。    〔投票終了〕
  53. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数          百八十七     賛成            百八十七     反対               〇    よって、両件は全会一致をもって承認することに決しました。(拍手)     ─────────────    〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕     ─────────────
  54. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 次に、日程第九の旅券法の一部を改正する法律案の採決をいたします。  本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。    〔投票開始〕
  55. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。    〔投票終了〕
  56. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数          百八十七     賛成            百八十七     反対               〇    よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)     ─────────────    〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕      ─────・─────
  57. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 日程第一〇 証券取引法等の一部を改正する法律案  日程第一一 株式等取引に係る決済の合理化を図るための社債等の振替に関する法律等の一部を改正する法律案   (いずれも内閣提出衆議院送付)  以上両案を一括して議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。財政金融委員長円より子君。     ─────────────    〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕     ─────────────    〔円より子君登壇拍手
  58. 円より子

    ○円より子君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。  まず、証券取引法等の一部を改正する法律案は、市場機能を中核とする金融システムを改善、強化するため、課徴金制度の導入、証券取引等監視委員会の検査範囲の拡大、銀行等による証券仲介業務の解禁等の措置を講じようとするものであります。  次に、株式等取引に係る決済の合理化を図るための社債等の振替に関する法律等の一部を改正する法律案は、株式、新株引受権、投資法人の発行する投資口その他の有価証券に表示されるべき権利を振替制度対象に加えるとともに、株券不発行制度整備を行う等の措置を講じようとするものであります。  委員会におきましては、両法律案を一括して議題とし、銀行等の証券仲介業務に伴う弊害の防止策、課徴金制度の導入の意義株式等をペーパーレス化することによる効果と影響等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録に譲ります。  質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して大門実紀史委員より両法律案に反対する旨の意見が述べられました。  討論を終了し、順次採決の結果、両法律案はいずれも多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、両法律案に対し附帯決議が付されております。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────
  59. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) これより両案を一括して採決いたします。  両案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。    〔投票開始〕
  60. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。    〔投票終了〕
  61. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数          百八十七     賛成             百七十     反対              十七    よって、両案は可決されました。(拍手)     ─────────────    〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕      ─────・─────
  62. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 日程第一二 行政事件訴訟法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。法務委員長山本保君。     ─────────────    〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕     ─────────────    〔山本保君登壇拍手
  63. 山本保

    ○山本保君 ただいま議題となりました行政事件訴訟法の一部を改正する法律案につきまして、法務委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。  本法律案は、近年、行政による国民の利益調整が複雑多様化している状況において、国民の権利利益のより実効的な救済手続の整備を図るため、行政事件訴訟につき、第三者についての原告適格に関する規定整備、義務付け訴訟及び差止め訴訟の明文化、抗告訴訟の被告適格の簡明化、出訴期間の三か月から六か月への延長、本案判決前における仮の救済の制度整備等措置を講じようとするものであります。  委員会におきましては、本法律案提出までの経緯、原告適格の判断について考慮事項を定めたことによる範囲の拡大の効果、義務付け訴訟及び差止め訴訟を新設する趣旨行政訴訟制度の更なる見直しについての今後の取組、法文を一般国民にも分かりやすくする必要性等について質疑が行われ、また、参考人から意見を聴取いたしましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。  質疑を終局し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本法律案に対して附帯決議を行いました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────
  64. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) これより採決をいたします。  本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。    〔投票開始〕
  65. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。    〔投票終了〕
  66. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数          百八十六     賛成            百八十六     反対               〇    よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)     ─────────────    〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕      ─────・─────
  67. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 日程第一三 高速道路株式会社法案  日程第一四 独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構法案  日程第一五 日本道路公団等民営化に伴う道路関係法律整備等に関する法律案  日程第一六 日本道路公団等民営化関係法施行法案   (いずれも内閣提出衆議院送付)  以上四案を一括して議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。国土交通委員長輿石東君。     ─────────────    〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕     ─────────────    〔輿石東君登壇拍手
  68. 輿石東

    ○輿石東君 ただいま議題となりました四法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。  まず、高速道路株式会社法案は、日本道路公団等道路関係四公団を民営化し、高速道路の新設、改築、維持、修繕その他の管理等を効率的に行わせるため、東日本高速道路株式会社等六会社を設立しようとするものであります。  次に、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構法案は、道路関係四公団の民営化の円滑な実施を図るため、高速道路に係る道路資産の保有及び会社に対する貸付け、公団から承継した債務の返済等の業務を行う組織を設立し、その名称等必要な事項を定めようとするものであります。  次に、日本道路公団等民営化に伴う道路関係法律整備等に関する法律案は、道路関係四公団の民営化に伴い、道路関係法律に関し、会社における高速道路の新設、改築、維持、修繕その他の管理及び料金の徴収等に関する規定整備等所要改正を行おうとするものであります。  次に、日本道路公団等民営化関係法施行法案は、高速道路株式会社法等三法律施行に関し必要な事項を定めるとともに、関係法律整備等を行おうとするものであります。  委員会におきましては、これら四法律案を一括して議題とし、小泉内閣総理大臣等の出席を求め質疑を行うとともに、宮城県における地方公聴会、参考人からの意見聴取を行いました。  委員会における主な質疑の内容は、構造改革における道路公団民営化の必要性と妥当性、民営化推進委員会意見書との相違点、今後の高速道路整備の在り方、四十五年以内の債務完済の可能性、利用促進につながる通行料金施策の在り方、高速道路の建設及び管理におけるコスト削減の見通し、新会社の経営自主権の所在とサービスエリア等における事業展開の方向、ファミリー企業への天下り等の是正、公団職員等の雇用の確保策等でありますが、詳細は会議録によって御承知願います。  質疑を終局し、四法律案について討論に入りましたところ、民主党・新緑風会を代表し大江理事より反対、自由民主党及び公明党を代表し岩城理事より賛成、日本共産党を代表し大沢委員より反対する旨の意見がそれぞれ述べられました。  次いで、順次採決の結果、四法律案はいずれも多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、四法律案に対して附帯決議が付されております。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────
  69. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 四案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。池口修次君。    〔池口修次君登壇拍手
  70. 池口修次

    ○池口修次君 私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました政府提出法案道路関係四公団民営化関係四法案に対して、反対の立場から討論を行うものであります。  小泉総理は、自らが声高らかに掲げる構造改革の象徴として郵政事業と高速道路事業の改革を取り上げ、道路関係四公団の民営化を今国会、郵政公社の民営化を来年行うものとしています。その一方で、世界に例を見ないほど急速に進展する少子高齢化社会の到来に向け、国民が不安なく老齢期を過ごすために必要不可欠な社会保障制度については抜本改革に手を付けようともせず、昨年が医療制度、本年に年金制度、来年には介護制度と、国民負担だけを増やし続けています。  国民の将来への不安を取り除くためには様々な分野での早急な改革は必要ですが、小泉総理の進める改革は順番を間違ってしまったのではないでしょうか。最初に取り組むべきは年金制度の抜本改革、そして社会保険庁の改革です。社会保険庁が国民の目線で国民のためにという思いで職責を果たしていれば、ここまで年金不安、そして政治家不信が高まることはなかったのです。  まして、小泉改革のトップバッターとして登場したこの民営化関係四法案は、小泉総理が民営化推進委員会へお得意の丸投げをしていた当初、無駄な道路は造らない、抵抗勢力とは徹底的に闘うと威勢の良い形容詞で飾られておりましたが、今日までの道程において抵抗勢力に骨抜きにされ、変質とびほうを重ねてきたまやかしの集大成です。実際には、全く評価に値しない、国民の期待を裏切るものであると断ぜざるを得ません。  以下、政府案に反対し、その主な理由を具体的に申し上げます。  まず第一の反対理由は、政府案では四十五年以内の債務返済を唱えておきながら、完済のための実質的な担保が一切なく、将来どうなるのか政府すら分かっていないという点であります。  政府は、債務返済イメージの計算例を提示しました。しかし、平均金利四%、交通需要は中位推計を採用するなど、政府にとって都合の良い楽観的とも言える数値を使用する一方で、管理費や補修費、消費税額などは全期間にわたり毎年ほぼ同額と、素人でも首をかしげたくなるような内容となっており、なぜこのような金額となるのか、肝心な根拠を一切明らかにされませんでした。  政府は、口を開けば、計算例はあくまで計算例であるとのあいまいな答弁に終始しており、この計算例が債務返済を真に担保するものとは到底思えません。  さらに、追い詰められて提出を余儀なくされた追加試算例においては、全期間の平均金利が一%上昇した場合には、四十五年以内の完済は不可能になることをようやく認めたところであります。法定四十五年の長期償還計画については、よほどの奇跡でもなければ債務の返済は不可能であると言えます。  さらに、四十五年以内で完済がならなかった場合、一体だれがその責任を取るのでしょうか。政府の資産と債務が上下分離された案では、経営努力の不足による失敗を機構及び会社の経営陣に責任を取らせる体制の構築はなく、結局、国民にツケを回すことしか考えない無責任な姿勢であると言えます。  第二の反対理由は、政府案の民営化によって、公団方式と比較しても、通行料金の在り方もプール制の問題も何ら抜本的に変わることがないという点であります。  高速道路という国の根幹を形成する重要な社会資本の在り方をゆがめてきたのは、世界一高い通行料金であり、その要因とされるのが、全国プール制と事業費のコスト高という事実であります。  政府は、今後の高速道路建築費について、二十兆円を十・五兆円にまで削減したと大言壮語していますが、詳しく質問をすると、他に費用を振り替えただけであり、高速道路の料金が即座に大幅引下げになるものではありません。わずかに平均一割の引下げがやっとというのが現実であり、今後とも半世紀という長きにわたり、世界一高い通行料金に国民が苦しむことにほかなりません。  道路特定財源を活用することで、全国の高速道路を使いやすい料金にしたり、早期に債務を完済し無料開放することで、国、地域を活性化することも考えられますが、政府案にはそうした知恵など片りんも見えません。  第三の反対理由は、政府の言う民営化とは名ばかりであり、会社の経営自主性を全く発揮しない点であります。  国や地方公共団体が会社の株式を一〇〇%保有し続けるうちは、会社の意思は国や地方公共団体にしっかりと組み込まれ、今までの公団方式と何ら変わることはなく、自主性が発揮されるとは思いません。  また、会社の上場可能性について、政府は明確に答弁ができず、上場を行う意思すら実のところ持ち合わせていないとの印象を与えています。仮に上場しても、やはり国及び地方公共団体は三分の一以上の株式を保有し続け、大株主としての一定のプレゼンスを維持することになります。  さらに、今回の法案では、代表取締役の選定についてのみ国土交通大臣の認可を要し、他の役員人事には規制を設けないこととしていますが、それが形を変えた行政指導ともなって圧力となることは変わりありません。ほかにも、重要資産の売却、株式の発行、社債の発行、長期借入等について国土交通大臣の認可を得ることとなっており、経営のかじ取りのかなめはしっかりと国に握られたままであります。わずかばかりにサービスエリア、パーキングエリア等の附帯事業でのみ自主性の発揮を求めたところで、肝心の高速道路の建設と運営民間のノウハウを導入できなければ、何ら民営化の意味がないことは言うまでもありません。  つまり、国鉄改革に例えれば、政府案は駅の売店のみ民営化するだけで、全国鉄道網は民営化されないことにほかならないのであります。  第四の反対理由は、公団改革の契機となった公益法人、ファミリー企業の高コスト体質や政官財の癒着構造について、政府は民営化によって解決する気がない点であります。  割高な通行料金を国民に押し付け、ため込んだファミリー企業の一千二百億円もの余剰金の行方の問題、推定三百億円の財産を継承する新財団の姿など、その巨額に上る隠れ資産の清算などについて一切明言されず、不透明な部分が多過ぎることであります。  その象徴とでも言うべき出来事として、公団の仕事を受注する日本道路興運という会社が細田内閣官房長官を始めとした政治家の運転手給与の一部を肩代わりしていたことが堂々とまかり通り、是正措置が取られないことを見ても、受注企業と政官財との癒着構造の是正が行われるとは到底思えません。むしろ、民営化によって情報公開や公共工事入札などの不透明性は増し、癒着や天下りを助長していく懸念が否定できないからであります。  政府は、今回の民営化について荒療治を行うものであると自画自賛しています。しかしながら、その荒療治の中身は、本来あるべき高速道路の姿とはほど遠く、致命的な医療過誤のごとき道路行政が続くことにほかなりません。  このことは、年金改革においても全く同様であり、小泉改革の虚構に満ちた詭弁的な本質を如実に示したものであると断言せざるを得ません。  小泉総理は、この際、道路特定財源の使途を見直し、債務の返済を確実かつ早期に行い、後の世代にこれ以上の負担の先送りをせず、無料開放してすべての国民生活向上に資する高速道路にする以外に我が国の未来はないことを強く申し述べまして、道路関係四公団民営化関係四法案に対する私の反対討論とさせていただきます。(拍手
  71. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 宮本岳志君。    〔宮本岳志君登壇拍手
  72. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 私は、日本共産党を代表して、道路関係四公団民営化法案についての反対討論を行います。  この道路公団の民営化問題は、小泉改革路線の目玉として位置付けられてきました。二年前に小泉総理が道路公団の民営化を表明して以降、民営化推進委員会を始め様々な議論が行われてきましたが、参議院の審議はわずか三十時間、まだまだ解明しなければならない問題点はたくさんあります。しかし、そのわずかな審議の中でも重大な問題点が明らかになり、この法案が改革の名に値しないことが鮮明になりました。  以下、反対の理由を申し上げます。  反対する第一の理由は、新たな借金と税金投入で四全総計画の一万四千キロに向けて高速道路を建設し続ける仕組みを作り、無駄を含めて歯止めなき高速道路建設に道を開くからであります。  政府は、整備計画延長九千三百四十二キロのうち残りの約二千キロについて、約千三百キロについては民営化会社が借金で造り、残りの約七百キロは国と地方自治体負担の新直轄で造るとしています。厳格な評価で無駄な道路建設に歯止めを掛けたなどと言いますが、その内容は、第二名神高速道路の二区間、わずか三十五キロだけであります。この区間には、既に名神高速道路と、京都と滋賀を結ぶ京滋バイパスの二本が並行して走っており、これと並行して更に三本目の高速道路を造る計画となります。しかも、一キロ当たりの単価が全国平均の何と六倍以上という超高価な道路です。総事業費一兆六百億円。先日、私が委員会で、こんな道路は中止すべきだと追及したのに対して、石原大臣も初めて中止もあり得ると答弁しましたが、これだけでは厳格な評価で歯止めを掛けたというには余りにも不十分だと言わなければなりません。  さらに、新直轄方式で三兆円分の税金投入の枠組みが作られておりますが、採算性が取れないために民営化会社が建設しない路線が増えたらどうするのかという質問に対し、石原大臣は、新直轄方式による整備も含めて決めていくと答弁しました。結局、新たに税金を投入することになり、三兆円の枠が更に膨らむ危険も明らかになったのであります。政府が説明していた国民負担は最小限にという看板は完全に破綻をいたしました。  第二に、四十兆円を超える累積債務を四十五年で返済するという法案の骨格にかかわる計画自体が虚構にすぎないことも明らかになりました。  政府の試算によれば、四十五年返済の前提条件は、金利四%以下で、交通需要推計の中くらいの交通量となっています。しかし、金利が仮に五%になれば、最大の交通量になっても返済は四十九年掛かり、保有・返済機構が解散する四十五年目には八兆四千億円の借金が残ります。推計交通量の低いところで計算すれば返済に六十一年掛かり、四十五年目では二十二兆九千億円の借金が残ります。これでどうして四十五年で完全に返済できるというのでしょうか。この一つを見ても、政府の返済計画は裏付けのないものであります。  さらに、整備計画路線の九千三百四十二キロにとどまらず、法定予定路線の一万一千五百二十キロの建設費も入ってくる可能性もあると国土交通省が明言しました。そうなれば、際限なく借金が膨らみ、四十五年の返済は全く不可能になるではありませんか。  参考人陳述でも、政府の返済計画は収入の増加を見込んでいるが、今後建設する路線は不採算路線で維持管理費も増える可能性が高く、実現は不可能で机上の空論だと厳しい意見が述べられました。この法案の土台とも言うべき四十五年返済は、審議の中で完全に破綻したのであります。  第三に、高速道路建設に伴う環境破壊や地域経済に与える悪影響などのマイナス要因が評価の対象から完全に除外されているからであります。  今なお、道路公害による多くの被害者の方々が苦しんでいます。しかも、未認定患者は国からの何の支援もなく、深刻な事態となっています。道路建設は、その計画段階から住民の意見や環境町づくりへの影響などを考慮することが求められています。  例えば、四月二十二日に東京地裁は、いわゆる圏央道について、住民に受忍限度を超える騒音被害を与え大気汚染が発生するおそれがあるとして、国の事業取消しという判決を下しました。  また、インターチェンジ付近の開発による大型店進出によって中心市街地の空洞化が進むことや、中心都市に周辺から人もお金も吸い取られるという、いわゆるストロー現象による地域経済への悪影響なども高速道路のマイナス要因であることが明らかになりました。しかし、政府の高速道路建設先にありきの計画には、このような住民の健康や自然破壊、地域経済への悪影響は全く考慮されておりません。  第四に、天下りや政官財の癒着構造を温存し、更に悪化させる危険をはらんでいるからです。  これまで公団に適用されていた情報公開法、官製談合防止法、そして入札契約適正化法といった、天下りや癒着構造に不十分ながらも一定の役割を果たしてきた法律さえも、民営化の下で適用されなくなることも明らかになりました。  さらに、この審議のさなかに、細田博之官房長官が道路公団の事実上のファミリー企業である日本道路興運から運転手の給与として三千百万円を肩代わりしてもらっていた事実が発覚しました。形を変えたやみ献金であります。慌てて修正報告をしたといいますが、企業の限度額をオーバーする違法献金であることは明らかであります。  この企業には、国土交通省から十八人、公団から四人が天下り社員として働いています。この企業は、公団から受注した百万円以上の仕事の七割以上を競争入札のない随意契約で獲得しており、その癒着ぶりが大問題になりました。ところが、石原大臣は、公団改革と関係ないと疑惑の解明さえ拒否したのであります。この政府の姿勢こそ改革されなければなりません。  参考人陳述の中でも、民営化すれば天下りは単なる再就職だと隠ぺいされる、政官業の癒着は温存され公団のときより悪くなると、厳しい意見が出されました。  以上見てきたように、本法案はどの問題を取っても、ただただ国民の批判を経営形態を変えることでかわそうというものであり、改革などとは全く無縁の、正に改悪法だと言わなければなりません。  日本共産党は、第一に、高速道路整備計画を廃止し、新たな高速道路の建設は凍結、見直すこと、第二に、債務を国民に押し付けるのではなく、通行料金から債務返済の財源を確保し、計画的な返済を進めること、そして第三に、天下りの禁止やファミリー企業との癒着、受注企業の政治献金の禁止などによって政官財の癒着構造を断ち切ること、この方向にこそ国民の願う本当道路公団改革の道があると考えます。  看板だけの小泉改革は、その最大の目玉と言われた道路公団改革においても全くの偽りであること、もはや小泉政権には改革を口にする資格はないということを厳しく指摘して、私の討論を終わります。(拍手
  73. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) これにて討論は終局いたしました。     ─────────────
  74. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) これより四案を一括して採決いたします。  四案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。    〔投票開始〕
  75. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。    〔投票終了〕
  76. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数          百八十六     賛成              百七     反対             七十九    よって、四案は可決されました。(拍手)     ─────────────    〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕      ─────・─────
  77. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 日程第一七 地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。文教科学委員長北岡秀二君。     ─────────────    〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕     ─────────────    〔北岡秀二君登壇拍手
  78. 北岡秀二

    ○北岡秀二君 ただいま議題となりました法律案につきまして、文教科学委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。  本法律案は、公立学校の管理運営の改善を図るため、教育委員会が、その指定する学校の運営に関して協議する機関として、地域住民、保護者等が参画する学校運営協議会を設置できるようにしようとするものであります。  委員会におきましては、参考人からの意見聴取、本制度の実践研究を行っている都内小学校への視察を行うとともに、学校運営協議会について、学校や教育委員会との関係など制度の仕組みと運営の在り方、適切な委員任命のための方策、教育委員制度現状と今後の検討の方向性等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。  質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して畑野委員より反対の意見が述べられ、続いて採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本法律案に対して附帯決議が付されております。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────
  79. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) これより採決をいたします。  本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。    〔投票開始〕
  80. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。    〔投票終了〕
  81. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数          百八十八     賛成             百七十     反対              十八    よって、本案は可決されました。(拍手)     ─────────────    〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕     ─────────────
  82. 倉田寛之

    議長倉田寛之君) 本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十三分散会