運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2004-06-15 第159回国会 参議院 北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年六月十五日(火曜日)    午前十時十四分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         野間  赳君     理 事                 小林  温君                 保坂 三蔵君                 広野ただし君                 千葉 国男君     委 員                 有馬 朗人君                 岩井 國臣君                 柏村 武昭君                 山東 昭子君                 清水嘉与子君                 松山 政司君                 大江 康弘君                 佐藤 道夫君                 榛葉賀津也君                 田村 秀昭君                 木庭健太郎君                 緒方 靖夫君                 小泉 親司君                 田  英夫君    国務大臣        外務大臣     川口 順子君        国務大臣        (内閣官房長官) 細田 博之君    内閣官房長官        内閣官房長官  山崎 正昭君    副大臣        外務大臣    阿部 正俊君    事務局側        常任委員会専門        員        田中 信明君    政府参考人        内閣官房拉致被        害者家族支援        室長       小熊  博君        警察庁警備局長  瀬川 勝久君        外務大臣官房審        議官       齋木 昭隆君     ─────────────   本日の会議に付した案件政府参考人出席要求に関する件 ○北朝鮮による拉致問題等に関しての対策樹立に  関する調査  (拉致被害者及び特定失踪者問題に関する件)  (拉致問題と日朝国交正常化交渉に関する件)  (第三回六者会合に関する件)  (拉致被害者家族支援・再会問題に関する件  ) ○継続調査要求に関する件     ─────────────
  2. 野間赳

    委員長野間赳君) ただいまから北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会開会をいたします。  政府参考人出席要求に関する件につきましてお諮りをいたします。  北朝鮮による拉致問題等に関しての対策樹立に関する調査のため、必要に応じ政府参考人出席を求めることとし、その手続につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 野間赳

    委員長野間赳君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  4. 野間赳

    委員長野間赳君) 北朝鮮による拉致問題等に関しての対策樹立に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 広野ただし

    広野ただし君 おはようございます。民主党・新緑風会の広野ただしです。  今般、この参議院北朝鮮による拉致問題等特別委員会が設置されまして、衆議院の方も外務委員会に小委員会があるわけですが、参議院の場合は明確に北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会ということで、政府のやっている外交北朝鮮に対する拉致の問題について、今まで三十年間いろんな形で大変な犠牲を強いられている被害者方々、そしてまた、かの地で日本の言わば助けを待っている、一日千秋の思いで助けを待っている、そういう人たちに対して、しっかりと国会でも国民の側に立って、政府外交姿勢をバックアップする場合もあるでしょうし、いろいろと苦言を呈してもっとしっかりやれというようなこともあるでしょうし、国論を統一をして北朝鮮の正にいわれなき拉致問題にしっかりと対応していこうと。その初代委員長野間委員長で、そういう面では、非常に後ればせではありましたけれども、今、正に参議院でも本格的にこの拉致問題に取り組もうと、こういうことになったこと、後れてではありますが、今後とも力一杯やっていきたいと、こう思うわけであります。  ところで、政府北朝鮮に対する外交姿勢について伺いたいと思うんですが、この五月二十二日、小泉総理が再訪朝をされた。小泉さん、非常にパフォーマンスのお上手な方で、行かれて、その結果でありますけれども、私は、まあ落第点だと、こう思っております。  これは、五人の、拉致被害者方々の五人の御家族は帰ってこられましたけれどもジェンキンスさん始め三人の方々、そしてまた安否不明の十名の方々、そしてまた特定失踪者と言われる、四百名近くになるのではなかろうかと言われている方々に対しては何らのまだ措置もなされない。そしてまた、その見返りというふうにしか思えないんですが、人道支援とは言っておりますけれども、一千万ドルの、まあ十一億円ぐらいの医療支援、そしてまた二十五万トンの食糧支援と、こういうことで、総額百億円近くになるのではないかと思われますけれども、そういうものを言わば簡単に言えば手土産的に持っていって、そして返してもらっているというようなことであります。  そしてまた、そのほかに、外交カード、この国会で送金問題、外貨送金の問題、そして昨日、参議院でも特定船舶入港禁止、この法案も成立をいたしました。せっかく議会が外交カードを渡す、政府に渡すと言っているのに、それに対して、外交カードを切ることはないんだというような、そういうようなことをやってくるということを考えますと、しかも、そのほか、核の問題、ミサイルの問題、武装工作船の問題、もう様々な問題が正に日本を脅かしているにもかかわらず、それに対して明確な物言いがなっていない。何か前のめり国交正常化を急ぎ過ぎているというふうにしか思えないわけです。  私は、その中身に入る以前に、何といいますか、総理が言わばトップダウンで、トップダウンでやることは私は首脳外交ということで非常に大切なことだと思いますが、それをやるときに、ちゃんと補佐役官房長官、そして外交においてしっかりと責任を持っている外務大臣、そういう方々が本当にしっかりと補佐をしておるんだろうかというふうに、なかなかそういうことについてしっかりとした補佐がなされていないんじゃないかと、こういうふうに思えてならないわけです。  今度のサミットの問題を一つ取り上げさせていただきますけれども日米首脳外交で、そこで、アメリカへ行って多国籍軍イラクの多国籍軍に対して参加を表明をする、参加なのか協力か、これも何か明確ではありませんけれども、そういうことをする。国会においてそういうものを議論をしてやる、あるいは国民の前に明確に、少なくとも実行部隊海外において動かすという話なんですから、そういうことに対して与党にさえも十分な話がなされていない、そして国会においてもされていない、そしてまた国民の前にも説明もなく、ただ日米の間で手を結び合うと。こういう、私は場当たり的だと言わざるを得ないと思うんですが、そういうやり方で国の運命を左右されるということは誠にもって危険極まりない、そういうふうに思うわけです。  その場その場の対応でもって外交が左右されていく、そういうことを考えますと、本当に官房長官、また外務大臣がしっかりと補佐をしているのかということを言わざるを得ないわけであります。そのことについて、まず官房長官の御意見を伺います。
  6. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 問題点は、御質問の中身は二つに分かれていると思いますけれども、まず北朝鮮でございますが、北朝鮮との間の話合いは非常に長期にわたり、かつ進展を見なかったわけでございまして、最初小泉総理訪朝されて、そしてまもなく五人の拉致被害者の方がお帰りになる、そしてその八人の御家族方々も言わば向こう拘束状態になって帰国が実現しない、これに加えて、十人の安否確認方々の問題、その他の方々の問題、核の問題等々、事務方協議をすれば必ず、またこの五人の方がいったん北朝鮮に戻らない限り一切の進展はないとか、十人の安否不明者の方はもう回答済みであるというようなことを繰り返すばかりで、全く前進がないという状態が一年半にわたって続いてきたわけでございますので、私どもとしては、政府として、事務方だけの交渉で話が進む国かどうかと言えば、やはりトップダウンの国でありますから、トップ同士が再会して直談判で話をするということが最善の効果を持つということは分かっておるわけでございますが、普通の外交的な過去の例からいいますと、トップがそんなに飛び込んでいって話がうまく前進するのかということで、腰が引けて、まあやめておこうと、従来どおりの交渉を続けるということになりがちなんでございますが、その点は小泉総理自らが、それでは自分前進させるためにまた首脳会談をやろうという決断をされまして、今回の一定前進があったわけでございます。  もちろんいろんな御批判ございますが、それには相手国特殊性といいますか、交渉の一年半に及ぶ経験にもかんがみまして総理が決断されたと、こういうふうに御理解を是非いただきたいと思っております。その点は国民皆様方一定の御理解をいただいた方も多いと思っております。  多国籍軍の問題につきましては、またいろいろな法的な諸問題ございますので、まだ、今日の昼前から、まず与党に対して政府の考え方をある程度説明しながら協議を開始いたしたいと思っておりますので、最終的な決定までもう少し時間が掛かるものと考えております。
  7. 広野ただし

    広野ただし君 その外交姿勢がおかしいんではないかと言っているわけです。特に、日本の国運が懸かるわけですね。実行部隊を、実力行使部隊イラクにおいてどう動かすかということについて、多国籍軍参加協力をすると、そういうものを海外において約束をしてきて、その理論付け後付けのようにしてやっていくということに、私は日本の国を預かる内閣が誠に、特に官房長官、しっかりと補佐役をしていないんじゃないかというふうに思うわけです。  そして、ちょっと話題を変えますが、昨日もイラク特で私ども同僚委員が、これは総理の名誉にかかわることですから私はしっかりと対応してもらいたいと思うんですが、レイプの公判が、裁判が起こっておると。そういうことに名誉毀損か何かしっかりとやってもらいたいと思うんですよ。そうしませんと、何か黙殺をして相手にせずというようなやり方では、日本国トップなんですから、そのトップの名誉をちゃんと守ってもらわなきゃいけないと、こう思うんですね。  ですから、これは例えば、卑近な例で恐縮ですが、公明党の、公明党じゃございませんが、創価学会の池田名誉会長の場合だって、大変なキャンペーンを張ってしっかりと対応しておられるわけです。黙殺するということは、これはある意味で、火のないところに煙は立たずというような話になっちゃって、大変なことになってしまうんですね。ですから、しっかりと対応をしてもらいたいと思います。  ですから、例えばヤフーに対して名誉毀損の訴えを起こすとか、あるいは原告に対して、今裁判中ですからどうなるのか分かりませんけれども、そういうことに対して、女房役ですよね、言わば補佐役、そして場合によってはまあ進言もしなきゃいけない、そういう立場だろうと思うんですが、どういうふうに考えておられるか伺いたいと思います。
  8. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 個別の訴訟の問題でございますので、立ち入っては申し上げかねるわけではございますけれども、どうも訴状その他を拝見する限り、一体何の目的を持って、どのような感覚でもってこのような訴状が出されておるのか、提訴が行われておるのか、甚だ理解に苦しむということは総理が昨日もお答えしているとおりでございます。  我々自身も選挙をやっておりますと、いろんな方がおられて、いろんな誹謗中傷根拠なくされる方もたくさんおられて、よく見ると、どうも正当な根拠を持って言われてはいないなという方は経験上もたくさん見ておるわけでございますが、そういうように総理も感覚的に見ておられますので特に対応を取っていないということかと思いますが、御提案でございますので、よく総理に伝えたいと思います。
  9. 広野ただし

    広野ただし君 それと、昨日の答弁の中で総理は、民主党議員から聞いて初めて承知したというふうに言っておられるんですが、これは訴訟の方からいきますと私はこの答弁は誠におかしいんじゃないかと。民事訴訟が提訴された場合、被告に所管の地裁から特別送達され、本人が送達を受けて初めて訴訟代理人の選任をすることになると。で、訴訟代理人がもう既に選定されてやっているわけです。本日、五月六日が第一公判、本日六月十五日が第二の公判ということでありますから、国会での答弁虚偽答弁になっているんじゃないかと思われるわけですね。このことを官房長官、しっかりと総理にお伝えいただきたいと思います。  もう事前に知っておられたはずだと思うんですね。いかがですか。
  10. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 御趣旨はよくお伝えいたしますが、全く総理としては眼中になかったということで、記憶もしておられないかもしれませんが、そのような手続等が行われたことは事実のようでございますから、よくお伝えいたします。
  11. 広野ただし

    広野ただし君 これはやはり国のトップの名誉、そして、これは海外から、そういうことが海外に対しても流れるということになりますと、日本の名誉が懸かっているわけです。しっかりと対応をしてもらいませんと、黙殺するというわけにはいかないんじゃないかと、こう思いますので、今、国会に対する虚偽答弁の問題、そしてまた名誉毀損の問題、対応をしていただきたいと、こう思います。  ところで、この北朝鮮による拉致被害者の全貌をどのように認識しておられるか。まず、どのような範囲を考えておられるのか、また、その位置付けといいますか、そういうことについて外務大臣に伺います。
  12. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 拉致被害者、これはまず、日本に帰られていらっしゃる五名の方々がいらっしゃるわけです。  それで、そのほかに、政府として認定がなされている安否不明者、十名の方がいらっしゃいます。この方々につきましては、先般、総理が行かれたときに、この安否不明者についての真相究明をやっていくということで話をいたしまして、先方から白紙に戻して調査をするという回答があった、これについて政府として、今後早くこの真相究明がなされるように働き掛けを、既に行っておりますけれども、引き続きやっていく必要があるというふうに思っております。  ほかに、特定失踪者方々ということがいらっしゃるわけでして、この方々について我々は、外務省としてはいろいろな情報、これをまず集めるということが非常に大事であるというふうに思っております、このことは安否不明者についても全く同じですけれども。それから、警察の方でも集められていらっしゃるというふうに伺っております。警察の方でこの問題につきまして調べられて、被害者ということで認定がなされれば、私たち北朝鮮に対して、真相究明が行われているそのグループの一員としてやっていくことが必要だということを考えていて、その旨は北朝鮮政府には既に伝えてあるということでございます。  それから、一番最初に申しました五名の帰国が実現をしたということで、残り三名の方がいらっしゃるわけでございます。その三名の方について、これは曽我ひとみさんの御家族曽我ひとみさんと第三国でお会いをいただいて、御家族でお話をなさるということが可能になるように、今政府として様々な努力を行っているということでございます。  それから、真相究明の中で生存が確認をされた人については、もちろん、早期に帰国をしていただくということを考えているということももちろんでございます。  そういった様々な問題が拉致の問題についてございますので、全力を政府として尽くしていきたいというふうに考えております。
  13. 広野ただし

    広野ただし君 明確に範囲のことをおっしゃらないわけですが、政府認定しているという言葉を使われます。しかし、それ以外にも、もう三百数十名の方々特定失踪者という形でおられるかもしれない。特に、例えば政府認定していた以外に、曽我ひとみさんの場合は向こうから出されたわけでしょう。だから、政府認定するとかなんとかということではないんですよ。こういう国家犯罪のことについて、向こうが、犯罪者が認めるということよりも、そういうほかの人たちがたくさんいるじゃないかということをしっかりと要求をすべきなんですね。  そういうことと、位置付けということを聞きましたけれども、それについても明確な答えがないわけです。これは犯罪行為なんですよ、しかも国家による犯罪行為だと。そういうことに対して、日本はちゃんと戻してもらうということが当たり前なんです、当たり前。原状に復帰する。しかも、三十年という人生を犠牲にさせられているわけですから、そういうことを要求をしなきゃいけない。元に戻してもらうために要求をしなきゃいけないし、謝罪もしてもらわなきゃいけないし、損害賠償もしなきゃいけないというような、その根本のところが、足下が固まっていないんじゃないかということなんです。  アメリカは、北朝鮮テロ支援国家だと言っていますね、テロ支援国家だと。だから拉致テロ的行為だと、ここまで明確に言っているんですよ。ところが、日本はどうなんですか。じゃ、三百数十名のことについて外務省あるいは内閣がちゃんと話を聞いたことがあるんですか。いかがですか。
  14. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 特定失踪者方々について、外務省として、どういう方が特定失踪者であるということについては伺っております。  それで、先ほど申しましたように、この方々についても、とにかく情報はできるだけ政府として集める必要があるというふうに考えていまして、外務省は外国その他関係者について情報を集めているわけですし、警察警察として情報を集めているということであるわけです。それを判断をして、警察の方でこれは認定をするということであれば真相究明を必要としている中に入れていくということでありまして、まず日本国内で、これは安否不明者十名の方々についても同じですけれども、きちんとして情報を持っている必要がある。  それで、その安否不明者十名の方については、これは北朝鮮側調査をするということを言っていますけれども、その調査の結果について当方として反論できるもの、あるいはそういった情報が十分になければ先に進まないということになるわけですから、情報を集めるということが重要であるというふうに考えているわけです。  拉致問題についての方針、足下が固まっていないということではありませんで、これは正に、広野委員がおっしゃったように、もうそれぞれの人の生命、安全にかかわる重大な問題、一つ一つ取って、それぞれの人に対しての重大な問題であります。  それを、北朝鮮がそういうことをやったということを金正日書記国防委員長前回総理が行かれたときに認めて、そしておわびをするということを言われたという発言もあったわけですけれども北朝鮮がやったということを認めたわけですから、それを我々として、真相究明、そして、その前に帰してもらうということで今北朝鮮とやっているということでありまして、総理が、先ほど官房長官おっしゃいましたけれども、今回、再訪朝を行った。私は、総理は非常に強い使命感と信念を持ってこれをなさったというふうに思いますけれども、それは正に、自分金正日書記との間でした話ということをきちんと続けて、日朝平壌宣言にのっとってやっていくということを金正日書記に、ああいった体制の国ですから、それを再確認をしてもらうことの重要性、これを強く感じられたということであると思っています。
  15. 広野ただし

    広野ただし君 こちらの調査も大事ですけれども、もう向こうは、北朝鮮拉致をしたということを認めているわけですよ。向こうにぶつけてください、向こうに。何も遠慮することないんですよ。一事が万事なんですよ。たくさんやっているんですよ。そういうおそれがあるわけで、だから遠慮することは全くないんです。  ですから、少なくとも、こういう案件についてはどうだというくらいの話にしていきませんと、拉致されて二十数年、本当に向こう助けを待っている人たち日本国政府は本当に守ろうとしているのかどうなのか、その意思が全く伝わってこないんです。だから国民は怒るんですよ。  国を、国民を守ること、命を守ること、体を守ること、財産を守ること、そして領土を守ること、これはもう国の根本でしょう。これをやらないで、前のめりになって正常化だと、これ、どういうことなんですか。  また、この拉致被害者拉致家族あるいは安否不明者特定失踪者、そういうところのどこかで線を引いちゃって、国交正常化前提にしないんだと、こういうことも官房長官どこかでおっしゃっているようでありますけれども、私はとんでもないことだと。国としてしっかりと、我が国の主権を侵害されているんですね、それを守らずして何が国交正常化だと。やっぱり拉致家族拉致被害者、みんなをちゃんと戻すということをやって初めて国交正常化前提が成り立つんだと、こういうふうに思いますが、官房長官、どうですか。
  16. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 国交正常化と言っておることを全般的に申しますと、隣国である北朝鮮、既に核開発をしていると言われている、アメリカは強力に核爆弾、核弾頭の存在を主張している、そういったところと日本との関係がやはり平和的な関係にならないと、これが東アジアも含めた我が国安全保障上、極めて大きな問題がある。したがって、基本的には友好関係が結ばれなければならない、それがベストであるということが片方であります。それは一つの命題であります。  そして、ただしその命題の前にたくさんの障害があって、正に核は廃棄させなきゃいけない、いつものど元にミサイルと核があって、常に日本国民がおびえているという状態があってはならない。かつ、過去に拉致をされた人々、これも今一歩ずつ進めておるわけでございますが、まずは五人が帰国して、次に五人が帰国して、ジェンキンスさんとお嬢さん三人の問題があって、そしてもう氏名も年齢あるいは拉致の事実がすべて明らかになっている十名の問題についてきっちりと解決しなきゃいけない。これは我が国政府のもう基本的な立場であります。  それを、もちろんその先に安否不明者顔写真入りの百八十五名のポスターを作った団体もあります、そういった問題があることも我々は承知しながら、関係の省庁の連絡会議にこの人たちの実際の拉致されたという証拠をもう挙げて調べろということはやっておるわけですが、今、拉致の問題でまず言いますと、氏名まではっきりしている者が、例えば曽我ミヨシさんですね、ひとみさんのお母さんなんかは、一緒に船に乗せられたわけですから、もう被害者であることははっきりしている。それを幾ら問うても、いや、それは知らない、承知しないというのが二人おりますね。あとの八人は、いや死亡したと。その証拠も、あいまいかつ非常に不適正な、不適切な証拠でお亡くなりになったと言っているわけです。  だから、我が国政府は、それは到底信用せずということで今回も強く強く小泉総理から交渉して、向こうは、そこまで言うなら分かった、早急に再調査をして返事をしようということですから、こちらからも、いや、かくかくしかじかの人物でありこういう者である、早く返事をよこせと、あなたのところからもらった過去のデータは百五十項目にわたる大変な虚偽などに満ちておって全く信用できないからと、この交渉が始まったところでございまして、向こうもさすが、金正日国防委員長が分かった、調査しようと言ったことを受けて一応動き出しておりますから、こういうふうに一歩一歩行かなきゃいけないということを是非御理解をいただきたいと思います。
  17. 広野ただし

    広野ただし君 一歩一歩行くにしても、全般をまず見据えておいていただきたいと思うんです。韓国でも数百名以上だと言われているわけですね。日本でも、ですから三百数十名は少なくともやはり拉致されたおそれがあるかもしれないという思いで交渉をするのと、いや、十五名に限ってやりますというような話とでは大違いなわけですね。  もう少なくとも拉致のおそれがあるという人たちは全部国として守る、そういう思いで交渉していただきたいと思いますが、官房長官、どうですか。
  18. 細田博之

    国務大臣細田博之君) それは交渉やり方の問題ではあると思います。  ですから、およそ北朝鮮内に元々日本人がいたら全員帰せと、そういう交渉を常に繰り返すことも一つのやり方だと思いますが、そうすると、まあそういう人はおりませんと言われるとそれで終わりということになりかねないわけですから、やはり一つ一つの証拠を固めて、いずれの日かそういう日が来ると思いますけれども、まずは十名という向こうが全く正当でないような根拠を持って死亡したり行方不明であると言ってきた者から詰め始めるということも非常に大事な、一歩一歩その根拠を崩していくということがこういう国に対しては着実な交渉のスタイルであるということも御理解いただきたい。  この交渉やり方の問題であることは事実でございますから、十人の被害者の方が、御家族の方が非常に小泉訪朝、帰られたときに怒りを再度あらわにされて、本当に何をやっているんだというお気持ちは分かるんでございますが、このたびは一歩また進んだわけでございますから、それを必ずやらなきゃならない、そしてまたその次の一歩があるというふうに御理解いただきたいと思います。
  19. 広野ただし

    広野ただし君 しかも、拉致されたおそれのある人たちは、かの地で亡くなったということではなくて、やっぱりみんな生きておられる、かすかな希望でも持ってやっておられるわけです。ですから、やはりそれは心底守るという姿勢がありませんと、政府に対する信頼というものはもう正に揺らぐわけです。そこができなくて何が国益だと、とんでもないことだと私は思うんです。日本国民を守らずして何が国益だということを強く訴えておきたいと思います。  そして、それがまず前提です。そして、核の問題、ミサイルの問題、武装工作船の問題、このアジアの、北東アジアにおける安全保障の問題というものを解決をしていく。しかも、軍事独裁国家なんですから、いつまででもそこにありますと敵対行為はやまない。そうすれば、イラクでも民主化ということを言ったんでしょう、いうようなことを考えていくということが次にあるんでしょう。そして国交正常化だというような話であって、何か国交正常化がまずありきで前のめりになっちゃっている、だからアメリカからも注意をされると、こういうことでは功を焦っているというふうにしか見えないわけですね。  いや、私が行かなかったら、とても五人の被害者は戻らないでしょう、あるいは五人の御家族は戻らないでしょう。そんなことはありません。民主党が政権を取ったらもっとちゃんとうまいことやりますよ。それは何の心配もありません。ですから、自分がいなきゃやれなかったなんというのはとんでもない思い上がりなんですよ。そういう方策はどれだけでもある。  そして、特に言われるのは、向こうから否定されたらおしまいじゃないですかという考えが私は全くなっていないと思うんですよ。だから対話と圧力なんですよ。圧力を掛けなきゃ、それは軍事独裁国家なんですからね、とてもじゃないけれども、そんなもの知らぬぞと、こう言われりゃ、ぐうの音も出ないわけです。ただ待っているだけ、手もみをしながら待っているだけです。場合によっては手土産を持っていかなきゃいけない、会わせていただいたと。こんなばかげた外交姿勢を取っているわけですね。しかも、小出し小出しの外交向こうの人質外交に乗っかっている。何名か、向こうが思ったとおり、じゃ、今度五名出そう、今度は十名出そうと、そのたびに手土産を持っていかなきゃいけない、こういう相手の人質外交ですよ、とんでもない話なんですね。  まず、原状を復帰しろということであって、お願いをして帰してもらうという筋合いではないんです。そういう強い態度を取ってもらわないとならないと思うんです。  為替の、外貨送金と、これはもう毎年三十億、表に出ているだけの大口の送金だけでそうだ。そうすると、目に見えないものを入れると数百億円、それは物価から考えますと向こうでは一兆円以上にもなるかもしれない、そういう大きなお金が日本から行っている。そしてまた、万景峰号を始めとして日本に来て、そしてまた物資を持っていくと。こういうことでは、まあ圧力を掛けるにしたって、もうざるですわね、どうにもならない。だからこそ、国会でこういういい切り札を、外交カードを作ったわけです。  そのことに対して、官房長官総理が言っておられるのとちょっと違ってもいいですから、どんどん言ってください。どうですか。
  20. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 余り違うことを言うと内閣不一致になるといけませんが、現実に今回の第二回目の訪朝が実現し、先方政府が態度を非常に変えてきたのは、私は制裁の法律が、まず外国為替貿易法改正が成立し、そして間もなくということで、もう昨日成立していただいたわけでございますが、船舶の法案も出され、間もなく通りそうだと。このことが非常に大きな圧力要因になって、それで大きく動き出してきておるということは、もう紛れもない事実だと私は思っております。
  21. 広野ただし

    広野ただし君 外交カードを、せっかくの外交カードを切らない、こういうことでは日本の平和と安全は守れないわけです。やはりしっかりとした考え方、軸足が違っているというふうにしか思えないわけで、これは対話と圧力、正に対話と圧力はいいですが、圧力が全く掛かっていないんですよ。どこが掛かったんですか、何にも掛かっていないんですよ。  そして、六か国協議に丸投げをして、ただやらないと。一か国だけだったら何もできないでしょうなんてうそぶいている。そんな、日本というのはありますか、そんな国ってありますか。我が事の、日本の国のことなんですよ、我が国国民のことなんですよ。そんな六か国協議に丸投げして何もやらないなんて、とんでもないことだ。ちゃんとやらなきゃ、そういう姿勢を見せることによって、外国も、じゃ、あれだけやっているからいろいろと協力しようじゃないかと、こういうことになるんであって、全く軸足が狂っているというしか言えないわけであります。  そして、もう一つびっくりしましたのは、朝鮮総連への総理の、これ第二十回ですか、の朝鮮総連総会、これどうしてこういうメッセージを甘利さんが持っていったんですか。官房長官、どういうことでしょうか。
  22. 細田博之

    国務大臣細田博之君) メッセージはですね、自民党総裁としてのメッセージでございまして、ちょっと政府立場でございませんのでお答えすることは控えたいと思っておりますが、先般の訪朝の結果を踏まえて出されたものと理解しております。
  23. 広野ただし

    広野ただし君 これは、山崎正昭官房副長官が平壌で、在日朝鮮人の差別があってはならないということを日本でやらなきゃいけないんだという発言をしているんですね。  何か向こうから言われて、そしてそういうメッセージを送ったというふうにしか思えないんでありますが、そういう、どうしてこう今までやらなかったことを初めてやったんですか。
  24. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 先ほども申しましたとおり、政府として意思決定をしてやったものではございませんので、ちょっとお答えはしかねるわけでございます。  恐らく、日朝の国交正常化に向けて融和的な雰囲気を醸し出すために何か考えられた方がおられるかもしれませんが、答弁は差し控えさせていただきます。
  25. 広野ただし

    広野ただし君 それでは、官房長官、これからは、もし細田官房長官であれば出さないということを約束できますか。
  26. 細田博之

    国務大臣細田博之君) ちょっと仮定の御質問でございますので、お答えは差し控えさせていただきます。  いろいろなその団体の内容とか、あるいは日朝間の関係やら、いろいろな諸情勢がございますので、基本的には慎重に分析しながら考えるべき事柄であろうと思っております。
  27. 広野ただし

    広野ただし君 今度のことにつきましてはXYZ外交ルートということで、Zの方はこの北朝鮮、朝鮮総連の外交窓口としてのことですとか、国会議員を使って、山崎拓さん、平沢勝栄さんを使っての問題、そしてまた政府外務省ルート、そしてまた首相官邸ルート。  まあ本来、外交がしっかりと一元化されていなきゃならないのに、特に今度の官邸と朝鮮総連とのつながりを基にしてのことが大きなウエートを占めた、そのゆえにメッセージを出したというふうにも思われても仕方ないようなことがあるわけで、しっかりとした外交を展開をしてもらいたいと思います。  終わります。
  28. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 日本共産党の緒方靖夫です。  北朝鮮問題は、国際的な位置からいっても歴史的な経緯からしても、また今日の日本をめぐる諸問題の解決するという点でも非常に重要な問題であると考えます。この問題を取り組む大きな目標として、一つは戦争も動乱も絶対に起こさないこと、拉致問題を解決する、全面的に解決すること、それから日本が過去の遺産を清算すること、この三つの目標が非常に重要であると考えるわけです。  戦争も動乱も起こさないということは、ただ単に危機を作らないということ、そういう消極的なことだけじゃなくて、北東アジアに本当の平和を作っていくという点でも非常に大きな展望を作るものだと思います。  過去の遺産の清算ということでいえば、日本が朝鮮半島を植民地にしてきた一九一〇年から四五年の間、その負の遺産を清算する。そしてまた同時に、日本が侵略戦争をするとか、あるいはまた植民地支配をする、そうしたことで残っているただ一つの国が北朝鮮問題だと。その点で、過去の戦争を正確な意味で終わらせるという、そういう意味を持つと思います。  拉致問題は七〇年代後半から八〇年代初めにかけて引き起こされたことですけれども、言うまでもなく日本人の生命、安全、人権が重大な侵害を受けたという点で許されない、そういう問題であると考えるわけです。  そういう以上述べた三点をやはり包括的に全体的に解決していく、このことが非常に重要だと考え、私たちはこれまで主張し行動してまいりました。小泉首相の二度の訪朝日朝平壌宣言、そして今回の再確認ですね、これは我々の立場からいっても非常に重要な意義を持っていると考えております。我が党はもちろん野党であり、そしてまた政府批判においてはその厳しさにおいて人後に落ちない、そう考えておりますけれども、しかし同時に、いいことはいいと、そういう立場で考えているわけです。  その点でお尋ねしますけれども北朝鮮問題についての政府立場、方針、これは私が以上述べたような方向で進められていると理解しておりますけれども、その点について端的にお伺いしたいと思います。
  29. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 問題を平和的に解決をしていくということは、全くおっしゃるとおりでございます。  そして、日朝平壌宣言に従って日本北朝鮮の間の問題を解決をしていくということでございます。  今、委員が言われたその三つの点に是非核の問題、ミサイルの問題等々を加えていただければというふうに思います。
  30. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 核の問題は第一点に入っているというふうに私たちは大きくとらえて述べておるわけですけれども、言うまでもないことです。  そして、今話にありました日朝平壌宣言、これは私が述べたすべての問題ですね、もちろん核を含んでおりますけれども、それが入っていると。そして、言わば北朝鮮問題を解決していく上でのロードマップになっているという、そのことを私たちは見ております。  この宣言に基づいて、小泉首相の二度目の訪朝の結果を受けて、今後この国交正常化交渉、これをいつ開始して、どういう見通しなのか、それについてお伺いしたいと思います。
  31. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 国交正常化交渉につきましてはしかるべき時期に再開をしたいというふうに考えておりますけれども、今の時点でいつごろからということを申し上げる段階には至っていないということでございます。
  32. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 国交正常化交渉をやはり早期に再開して、そしてその中でいろんな問題、これはたくさんありますけれども、それを解決していく、このことは非常に大事だというふうに思います。  地村さんと蓮池さんの御家族帰国された、本当にうれしく思いました。国民全体も皆喜んでいると思うんですね。さらに、こうした問題を、拉致問題を前進的に積極的に解決していく、このことは避けて通れないことだと考えます。  その点で、国交正常化交渉の中で拉致問題の、例えば日本側が持っている資料多くあると思います。それからまた、それを突き付けて回答要求する、そうしたことを進めていくということはやはり現実的だと思うんですね、問題を解決する上で。その点についてどうお考えか、お尋ねいたします。
  33. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 拉致問題の専門幹事会の決定といたしまして、真相究明安否不明者方々真相究明については国交正常化交渉の中で行っていくということが決められているわけでございます。  おっしゃったように、北朝鮮には北朝鮮として責任を持ってこの人たちに何が起こったかということを調査をしてもらう必要がある、これを金正日国防委員長は先般総理に約束をなさったわけです。我が方として、そういった資料が本当にそういうことなのかどうなのか議論をしていくためには、資料を、こちらの方としても情報を集める必要がある、その努力は今行っているわけでございます。そして、必要に応じ、我が方もその調査の中に入っていって議論をして、更にその真相究明を先に進める必要があるというふうに思っております。  いずれにしても、そういったことを今後、金正日国防委員長がやるということを約束したわけですから、我が方としてそのことが進むように最大限の努力をしますし、先方にも最大限の努力をしてもらいたいし、当然してくれるだろうというふうに考えます。
  34. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 国民政府に対するこの問題、怒りというのは、やはり拉致北朝鮮によるものと言われながら、それを認めることに非常に消極的だった、非常に冷たかった、そのことにあると思うんですね。もちろん拉致が、金正日氏が拉致を認めて謝罪するということがなければ、拉致ということを断定するのはできないわけですけれども、しかし、それにしても疑惑の問題にも非常に消極的だったという経過があったと思います。  その点でお伺いしますけれども国会政府北朝鮮による拉致の疑いがあることを最初に認めたのは、いつ、だれに対する答弁か、お尋ねします。
  35. 齋木昭隆

    政府参考人(齋木昭隆君) お答えいたします。  政府国会の場で最初にこの拉致問題につきまして言及いたしましたのは、一九八八年三月二十六日、参議院予算委員会におきまして、当時の梶山国家公安委員長が、昭和六十三年以来の一連のアベック行方不明事案について、恐らくは北朝鮮による拉致の疑いは十分濃厚であるという、そういう答弁をされたのが初めてであるというふうに承知しております。
  36. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 それは日本共産党の橋本敦議員の質問に対するものですね。
  37. 齋木昭隆

    政府参考人(齋木昭隆君) そのとおりでございます。
  38. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 日本共産党は、九九年の一月それから十一月に、我が党の不破哲三議長が衆議院の本会議で、北朝鮮との対話のルートが当時存在しなかった、そういう中で、それを作るべきであるという、そういう提言を行いました。その後、そうした立場から、九九年の十二月に超党派の国会の代表団、これが北朝鮮を訪問すると。文字どおりすべての政党で構成され、私自身もそれに参加いたしましたけれども、そういう交渉も行われ、そして翌二〇〇〇年の政府間の交渉がルートが敷かれるという、そういう経過があったと思います。その上に二〇〇二年の小泉首相の訪朝もあり、そしてその後の動きもあったと、そういうふうに考えております。  国会代表団の訪朝について言えば、我が党は北朝鮮とは関係が八〇年代初めからずっと断絶していた、今日もそうですけれども、その下でも、問題の重要性にかんがみてこれに参加したという経過があったわけです。  やはり問題解決のためには、相手が無法や道理がないことをやっているからといってこちらもそれに同じ対応をするというのではなく、それだから、それならばなおさら理性と道理を持って対応する、このことがやはり外交であると思います。  今日、北朝鮮との関係における議論には、悪の体制、確かにひどい体制です。その悪の体制は打倒されなきゃならないし、その延命を助け交渉はすべきではない、いわゆる北朝鮮打倒論というものがあると思いますけれども、このような立場に立つならばそもそも外交は成り立たない、そう思いますけれども、それについてどう考えますか。
  39. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 北朝鮮我が国から距離的には非常に近い国であります。そういった国と正常でない状況に、な関係を今持っていない状況にある、友好的でない関係に今あるということでございます。  我が国の平和と安全、国益のためにも、それから世界の平和と安全、この地域の平和と安全、そういったこととの関連でも、北朝鮮が国際社会に開かれた国になって一員としてきちんと責任ある行動を取っていくように我が国としてしむけていくということは重要であるというふうに思っております。  究極的にその目的に達成、達するということのために、我が国は、日朝平壌宣言に従って解決すべき問題を解決し、その先、正常化をし、そしてその後経済協力をするという考え方をしているわけでございます。
  40. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 同時に、体制打倒論と並んで、交渉には圧力や制裁が大事だという、そういう議論があります。しかし、相手方が交渉を拒否して話合いの場にも出てこない、そういう立場ならともかく、現に平壌宣言や六か国協議という国際的な協議の枠組みの中に参加すると、現に参加しているわけで、そういう下で、自分たちの言い分を通すために制裁的な圧力が必要だというのは、やはり私は外交で問題を解決するつもりのないそういう者の論だと、そういうふうに感じているわけです。  拉致問題の性格についてお尋ねしたいんですけれども拉致問題の解決というのは、北朝鮮がこれまで数々行ってきた国際的な無法、それを清算して国際社会に北朝鮮が復帰していく、国際社会がそれを、彼らを迎えていくという、その点で非常に大事な国際的な性格を持つものだと思うんですね。拉致というのは、彼らがやってきた無法の中で彼らが初めて認めた、そういうケースです。その点で、我々は国際的な性格があると考えてきたわけです。  しかし、例えば中国、私は昨年中国を訪問してこの問題で話し合いましたけれども、当時の中国の認識というのは正にこの問題は二国間でやってくれと、こうした問題を六か国協議に出されるのは迷惑だという立場だったわけですね。しかし、この五月に議連で中国を訪問したときに、胡錦濤主席は拉致問題について違った考えを述べたと。なるほど中国はこの点について考えを変えているということを痛感いたしました。同様に、北朝鮮もその考えを理解し始めていると思います。つまり、拉致問題の解決がないと核問題も進展しないというその関係ですね。つまり、日本からの援助ということが非常に大きな要因になると思いますけれども、そういうことを理解し始めたと感じています。  そこで、拉致問題と核問題の関連、これをどう考えられているのか、お尋ねしたいと思います。
  41. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 核問題も拉致問題もそれぞれ重要な問題であるということでございます。それぞれの問題を、その他ミサイルの問題、そのほかございますけれども、そういったものを解決をして、そして正常化をしていくというのが我が国の考え方であるわけでございます。  拉致と核の関連ということですけれども拉致問題が解決をするような状況、あるいはそういう雰囲気があれば、核問題が解決をしやすい状況になっているということはあり得るだろうと思います。逆に、核問題について話が非常に前進をしているような状況、またそういうことをもたらしているような背景ですね、そういうことがあれば拉致問題の解決にもやはり拍車が掛かるような状況というふうにつながるということはあり得ると思いますけれども、そういったそのつながり方を除いては基本的には核と拉致というのは独立した問題であるというふうに考えています。  いずれにしても、政府の方針というのは、これは、核は六者で中心にして議論されますし、拉致は二者で議論されることになりますけれども、包括的な解決ということを言っておりまして、問題が包括的に解決をしなければ、すなわちそれぞれの問題が解決をしているという状況にならなければ、我が国として国交正常化はしない、正常化交渉は終わらないということを言っているわけでございます。
  42. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 最後に、二十三日から開かれるということで公表されております第三回六者協議は、日朝首脳会談の後に開かれる最初の六者協議でありますし、またサミットの後にこれを受けて開かれるものです。それについての見通しと、また同時にこれに並行して行われる作業部会についての見通し、それについてお伺いして質問を終わりたいと思います。
  43. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 六者会談及びその前の作業部会の日程については、いろいろ報道はあるようでございますけれども、今まだ調整中ということでございます。ただ、調整の最終段階に入っておりまして、遠からず中国から発表があるというふうに思っております。  それで、そこの場で何がどう、どういうふうになることを期待をするかということでございますけれども、今、昨日今日、おとといですか、おととい昨日ですね、日米韓の会合をワシントンでいたしましたけれども金正日国防委員長がこの問題について、凍結というのは核を廃棄することの第一歩である、凍結には査察が伴うということを承知をしているということを総理に言われたわけですから、そういったことをその六者の会談の場で、あるいはその前の作業部会の場できちんと言動に反映をしてくれるということが重要であると考えています。  それで、我が方といたしましては、これはずっとCVIDということを言ってきているわけですから、そのCVIDについて、それは北朝鮮の言い方になりますと第一歩としての凍結という、と保障ということになりますけれども、少し具体的にそういった平和的な問題の解決に向けて話が動き、動く、進むということが望ましい姿であると思っています。
  44. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 終わります。
  45. 田英夫

    ○田英夫君 今、同僚委員の質問に対していろいろお答えありましたけれども、現在、北朝鮮問題というのは日本の直面している外交課題の中で非常に重要な問題であることは言うまでもありませんが、同時に様々な問題がありますね。拉致の問題、核、ミサイルの問題あるいは在日朝鮮人の人たちの処遇の問題というところまで様々な問題がありますが、小泉総理はよく包括的解決ということを外国でも言っておられるようでありますが、強いてこの重要度といいますか、あるいは優先課題といいますか、それから緊急度、そういうものから考えて、何が一番、幾つかあるこの課題の中で、北朝鮮問題の中で何が一番政府として優先すると外務大臣、思われますか。
  46. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 甲乙丙丁付け難しということであると思っています。核も、拉致も、ミサイル我が国の安全とそして平和、この地域の平和、我が国の平和と安全、その観点からすべて重要であると考えます。
  47. 田英夫

    ○田英夫君 それは当然のことなんですけれども、よくこの包括的、包括的と言われると一般の皆さんは拉致が解決しなければ国交正常化をしないということを非常にストレートにもう信じ込んでおられますね。しかし、私はそうではないと思っているんです。国交正常化というのはもちろん拉致問題と密接に関係することは事実ですけれども、核、ミサイルの問題というのは、これは国際的な問題であって日朝二国間の問題ではない、その辺のところをきちんと分けて考えていかないとおかしなことになって、拉致問題が日朝関係を阻害すると、進めないものに、邪魔者になってしまうと、これが解決しなけりゃこっちに行かないよという、そういうことでいいのかという感じがするんですよ。  かつてソ連が、最後の段階ですが、ゴルバチョフ時代、ゴルバチョフの右腕と言われたヤコブレフという、肩書は大統領顧問でしたけれども、実際外交問題などは彼が動かしていたと言われているその人物が日本に来たときにたまたま会う機会がありました。二人だけで会ったんですが、そのときに彼が言ったのは、日本政府外交やり方はおかしいと。この日ソ平和条約を結ぼうと、こういうことで会議をやろうとすると、会議の、会議室の入口に大きな石を置いて会議室の中に入れないようにしていると。これじゃ会議ができないじゃないかと。それは間違いで、石があることは事実だと、つまり北方領土ですね、その石を会議室の中に置いて、それを見ながらこの石をどうやってどけようかと、なくしちゃおうかという相談をするのが外交交渉じゃないかということを私に言っていたことがあります。  それは全く同感で、北朝鮮外交の場合も今政府はややそういう状況に陥ってきているんじゃないか。確かに、今まで例えば第十八富士山丸とか様々な問題が出てくると、それが解決しなけりゃ国交正常化に行かないよと、こういうふうにやってきたと思うんですね。それは私は外交の本道ではないと思いますよ。  同時に、小泉総理が二回にわたって訪朝されたことを私は率直に評価します。  今、この日本の世論の中で拉致問題に対して厳しい世論があるのはこれはまた当然だと思いますが、そういう中で、あえて自ら二度にわたって、国際慣例上は異例なことですが、行かれたと。それで、平壌宣言というものを第一回のときに結ばれた。この宣言の中身も実に見事ですよ。それは、今日おいでの齋木さんとか更に上の薮中さん、田中均さんという外務省人たちのおぜん立てもあったと思いますけれども、このことによって確かに金正日書記の態度が変わってきていますよ。私の得ている情報でも、最近また特に変わってきていると。事実、日本との関係では余り進展がないようですが、韓国との関係は、つまり金大中大統領以後、今の盧武鉉大統領も北との融和政策を公然と取っていますから、開城、ケソンの経済特区、それから新義州もそうですね。ロシアとの国境もそういうものをやろうとしている。また、東側の東海線という鉄道、それから西側の京義線という鉄道を南北連結するということが韓国でも熱心に進められている、こういう状況も見ておかなければいけないと思います。  そういう中で、同時に大事なことは、朝鮮の人たちの性格といいますか、特性をよく見抜いて外交をやると。その辺は外務省の専門の皆さんは、私は見抜いておられるからこそ粘り強く忍耐をしてあそこまで平壌宣言までいけたんだと思うんですね。平壌宣言の内容をよく読んでみると、これは日朝国交正常化交渉に向かって一歩二歩と踏み出していますよ。これは大事にすべきだと思う。  もう一つの大事なことは、国際的な問題である核、ミサイルの問題を解決するための六者協議を進めるということ。これは中国が中心になって熱心にやってくれている。王毅さんが体調を崩していて議長がどうなるのか心配ですけれども、とにかく、そういう意味で、この北東アジアに平和をもたらすという意味で極めて大切な北朝鮮外交、その中での拉致ということ、一つの問題として冷静に考えていく必要があると思っています。  そういう状況を官房長官はどういうふうにお考えですか。
  48. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 日朝の問題に長らく携わってこられました田先生の思い、謹聴させていただきました。日朝の関係をいかにして良くすべきか、歴史のいろいろな障害を乗り越えて良くしていくべきかということに思いをはせていろいろ考えられてこられた方にとっては、できるだけ平和に日朝の国交正常化が行われるということが最も大事であると、これはもう事実でございますし、そのことが最も望ましいと思います。  ただ、余りにも、先ほど石と言われましたけれども、障害物が出てきまして、まず、日本はもう非核化でずっときておりますが、それを、朝鮮半島にどうも核を持ち込んで、現に黒鉛炉というのは発電に全然使わないわけです。その燃料で燃やしたものからプルトニウムを出して長崎型原爆を既に製造に着手しておる。この核を開発しているということは、やはり近隣諸国である日本としては絶対に許せないし、かつ国際的にも許容できないということから、今、交渉をやっているわけですね。ウラン濃縮はアメリカがいろいろ主張して検証しようとしておりますが。  ですから、核の問題はやはりアジアの平和という意味からは断固譲れない問題である、しかし六か国でやるべきであると。それから拉致の問題は様々な個別の問題として起こっております。しかも少人数ではなくいろいろな広がりを持って三十年以上にわたって行われてきたということがございますので、これはやはり人道の問題でございまして、一つ一つ解決していかなきゃいけない。小泉総理、二度にわたる訪朝の趣旨も、そういった様々な問題も解決しながら総合的に国交正常化できるのが一番いいなと。  ただし、それが非常にまだまだ山あり谷ありでございますから、様々な工夫をして交渉する。拉致被害者も救済しなきゃならない、核も廃絶しなきゃならない、そういうわけでございますので、なかなか軽重は付け難いと思っておりますが、先生の御趣旨もよく理解できるわけでございます。
  49. 田英夫

    ○田英夫君 終わります。
  50. 千葉国男

    ○千葉国男君 公明党の千葉国男でございます。  先週行われましたG8サミットの議長総括では、前回のサミットと同様、核、安全保障日本拉致問題などの包括的な解決を支持することが明記されました。これは大きなことだと思っております。さきの北朝鮮再訪問を受けて、小泉総理は、ブッシュ大統領を始め各国首脳との会談において、また安全保障問題の討議に際しても、再訪朝の報告や拉致問題解決の必要性を繰り返し説明、強調され、多くの首脳がこれに支持を表明した結果であると認識をいたしております。  そこで、サミットでの拉致問題に関する我が国への支持や理解といった成果を踏まえまして、今後、六か国協議や日朝二国間において拉致問題解決に向けましてどのように交渉を進めていくおつもりなのか、川口外務大臣の御見解をお伺いいたします。
  51. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 先ほどおっしゃられましたように、今回のG8のサミットで北朝鮮に対して、G8の首脳の一致した考え方として北朝鮮に対して核についても拉致についても強いメッセージが発されたわけでございます。我が国としては、北朝鮮がこの首脳のメッセージをきちんと受け止めて、そしてそれぞれ六者、二者、いろいろございますけれども、それから金正日国防委員長がお約束をしてくださったこともあるわけで、そういった問題についてきちんと取り組んでいくということを強く促し、そして粘り強く働き掛けていきたいというふうに思っております。  それで、お尋ねの拉致の問題について今後どのようにして解決をしていくかということでありますけれども、まず五人の御家族の方が帰国をなさって、残りの曽我さんの御家族三人ですけれども、曽我さんが強く御希望していらっしゃるように、第三国で一家水入らずでお会いいただいてお話をしていただくということが大事だというふうに思っておりますので、今、政府としてできるだけ静かにと思っておりますが、そのための努力を重ねているところでございます。  それから安否不明の方々についてですけれども、白紙に戻して調査を再開をするということを言ったわけでございまして、これについては徹底的に調査をしてもらいたいと思っております。それから我が国我が国として情報をきちんと集めて、そして必要であれば、北朝鮮のやっている再調査のプロセスに我が国参加をすると、それによって、いい結果、いい調査をする、真相究明に向けて努力をしていくということであると思います。  それから、特定失踪者方々、この方々については、今、我々としても情報を集め、警察でもその後、努力をしていただいているわけでして、その結果、この拉致被害者であるという認定があればもちろんこれは北朝鮮に対して真相究明を言っていくわけですし、生存が、その方々も含めた安否不明者方々について生存が確認されればもちろん日本に帰っていただくということを考えておりまして、いずれにしても、一日も早く解決につなげたいというふうに思っております。
  52. 千葉国男

    ○千葉国男君 今お話の出ました、特にジェンキンスさん及びお嬢さんの件につきましては、金正日国防委員長は本人の自由に任せると、このような発言もあり、第三国で会うこと等すべて日本側に球が投げられている状態にあるわけです。  日本側の早急な対応が望まれておりますが、この第三国につきまして、その場所とか、あるいは曽我ひとみさんとの調整は現在どのように進んでいるのか、曽我さん御自身も一人ではなく政府関係者の同行を望まれているとも聞きました。政府としては、この点どのように検討を進めているのか、お伺いをいたしたいと思います。
  53. 齋木昭隆

    政府参考人(齋木昭隆君) お答え申し上げます。  ただいまの御質問、先ほど外務大臣からの御答弁ございましたとおりでございますけれども、今、政府といたしましては、五月の二十二日に行われました日朝首脳会談、また引き続き行われました総理ジェンキンスさんとのやり取り、こういったことを踏まえまして、一日も早くしかるべき第三国で曽我さん御一家が再会できるように、その実現のために、まずは、その曽我さん、ひとみさん御自身の御意向、これを十分に尊重しながら、できる限りの今調整を今一生懸命やってきておるところでございます。  具体的にどこでとか、またどういうやり方でということにつきまして、もちろん私ども今いろいろと検討しておりますけれども、是非、皆様方が望んでおられるような一番良い結果につなげたいという、そういう気持ちで私ども取り組んでおりますので、静かにこのプロセスを進めておる状況でございますので、誠に申し訳ございませんけれども、今どういうことを検討しておるかということにつきましてここで申し述べることは差し控えたいと存じますので、是非とも御理解を賜りたいと思います。
  54. 千葉国男

    ○千葉国男君 是非頑張っていただきたいと思います。  今までは小泉総理が動いて突破口を開いてきたわけですが、曽我さんとの家族の再会のための調整として、どうでしょうか、外務大臣がリーダーシップを発揮して関係国との訪問や調整を進めていただきたいと、こういうふうに希望しておりますが、いかがでしょうか。
  55. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 第三国で曽我ひとみさんと御家族の方がお会いになられて静かな環境の下でお話をするということは、私どもとしても最大限の努力をして実現するように今やっているところでございます。外務省としても、私のその指示の下で最大限のことをやっているということでございます。  ただ、私は、この問題が静かに処理をされるということが重要であるというふうに思っております。その第三国の立場、このジェンキンスさんの置かれた特殊な立場というのがあるわけでございますから、その方々を引き受けてくださる第三国の立場についても配慮が必要でございますし、それから、関係国、ほかにあるわけでございますので、そういった国々の立場ということも大事である。したがって、私は、私がどこかに行って、ああ、今外務大臣がこの国と話をしているなということが見えるような状況は決して望ましくないというふうに思っておりますので、これは静かにこの問題を行っていい結果につなげるということが重要だというふうに思っております。
  56. 千葉国男

    ○千葉国男君 地村さん、蓮池さん御夫妻の子供さんたちが無事帰国されまして、国民全体が心から祝福をしているわけですが、一日も早い永住の意思決定が望まれているわけですが、これだけは焦るわけにはまいりません。  御家族の近況について、現在どうなっているのか。また、支援策についてどのように検討が進められているのか、お聞かせいただきたいと思います。
  57. 小熊博

    政府参考人(小熊博君) お子様たちの近況につきましては、各自治体を通じて日々状況を把握しておりまして、地村家、蓮池とも現時点では支障となるような大きな問題はないとの報告を受けております。また、帰国日以降行われた両家の記者会見を見ましても、帰国されたお子様たちは順調に我が国に適応しつつある状況と拝察しております。  例えば、五人のお子様とも日本語を積極的に学んでおられ、日本の社会に関心を持つようになっていますし、今後の進路に関しましても御両親とお話を始めているとの話もございます。  今後、当面は御両親の下で学んでいくこととなると思いますけれども、その後は、地元各自治体によりまして社会適応や日本語指導等について具体的支援計画が既に策定されておりますので、御家族の御要望を踏まえつつ、きめ細かい柔軟な支援を実施していきたいと考えております。
  58. 千葉国男

    ○千葉国男君 これだけ日本国民全体が帰国された御家族とのことについて心配しているときに、六月十日号の週刊新潮、十六歳地村家次男、喫煙に困惑する警察、こう題しまして、御家族の心境を逆なでするような心ない記事を報道をしております。  警察庁は抗議されたと伺っておりますが、その状況について御報告をいただきたいと思います。
  59. 瀬川勝久

    政府参考人(瀬川勝久君) お答えいたします。  週刊新潮六月十日号の記事でございますが、警察といたしましては、地村、警察庁といたしまして、地村保志さんの次男の方が喫煙をしているというような報告は一切受けておりません。  この点につきましては、この週刊新潮の報道がなされた後、改めて福井県警察にも確認をいたしましたし、また、総理北朝鮮訪問に伴い平壌に派遣されました警察職員にも確認をしているところでございます。したがいまして、週刊新潮六月十日号の記事は事実と異なる内容のものでありまして、警察の信頼を著しく損ねるものであるというふうに考えます。  そこで、警察庁におきましては、六月四日、週刊新潮に対して抗議を行うとともに、記事の訂正を求めたところであります。これに対し、六月九日、新潮社から訂正には応じかねるという旨の回答を受けましたので、さらに、警察庁といたしましては、六月の十日、再度抗議を行うとともに記事の訂正を求めているところでございます。  また、福井県警察におきましても、今回の報道は、地村さんの御家族警察との信頼関係を損なわせるばかりではなく、警察国民警察に対する信頼を損なうことにつながるものでもあるというふうに考えまして、六月四日、週刊新潮に対して抗議を行うとともに記事の訂正を求めたものである、ところというふうに承知をしております。  なお、週刊新潮からは、今回の記事の掲載につきまして警察庁に対する事前の取材は一切ございませんでした。
  60. 千葉国男

    ○千葉国男君 地村さん、それから蓮池さん御夫妻の子供さんたちについては、今から国の違い、制度の違い、あるいは文化の違いを乗り越えて国際的に成長していただきたいと、こう願っているわけでありますが、また、将来は国交を正常化したとき日朝両国の橋渡しになっていただきたいという期待の声も高まっているところであります。  こうしたときに、この週刊新潮の報道は全く何を目的に報道しているのか分からない、しかもこのような事実無根の記事を報道することは極めて悪質であり、絶対に許してはならないと、このように思います。  帰国された子供さんたちに対し、また拉致被害者の御家族に対しまして、今後、人権侵害が起きないように万全の体制を整えていただきたいと。拉致被害者家族支援室として、マスコミに対し、慎重な報道をするよう協力の申入れをするべきではないかと、こう思いますが、いかがでしょうか。
  61. 小熊博

    政府参考人(小熊博君) 週刊新潮の掲載記事に関しては、私ども支援室は地村保志さん御本人からもお話を伺っておりますし、警察庁からも事実関係を聴取しております。また、当室の地村家担当の職員からも事実を聞いておりまして、同記事が事実に反するというものを確認しております。  このような事実を踏まえまして、当室といたしましては、日本雑誌協会に対し、地村さんの抗議の意をお伝えするとともに、しかるべき対応について申入れを行ったところでございます。
  62. 千葉国男

    ○千葉国男君 報道の自由は、それは守らなければなりません。しかし、だからといって人権侵害は絶対許してはならないと、こう思います。国民の一人として強く要望いたしまして、質問を終わります。
  63. 小林温

    ○小林温君 自民党の小林温でございます。  今日、拉致特別委員会ということでございます。先ほど、広野理事からも、参議院では特別委員会を作ったと、衆議院では小委員会だと、正にこの国民の皆さんにとって大きな関心事をこういう形で取り上げるということ、良識の府としての参議院にふさわしいというふうに私は思うわけでございます。今日、御勇退をされる有馬先生、正にその参議院を代表されるような良識の方でいらっしゃいましたが、にも御出席をいただいております。  そういう観点から一つだけ申し上げさせていただきたいのは、先々週、いろいろ混乱がございましたが、それぞれ主張を持った政党がいろんなアプローチでその政策の実現に当たるというのは、これはあってしかるべきだと思いますが、その我々独自性を守るべき参議院に衆議院の議員の方が土足で入ってくるということがございました。これについては、やはり衆議院のカーボンコピーとやゆされる参議院の院の総意をもってこういったことを排除していかなければいけないと、私は強く思いました。是非、良識ある先輩方、同僚の御判断をお願いしたいというふうに思います。  で、拉致の問題に移りたいと思います。  私、この拉致の問題、あるいは北朝鮮問題の解決というのは、一つは日本の戦後の総決算にもつながるんじゃないかというふうに常々思っているわけでございます。  一つは、日米安保体制の中で、国民の生命と財産、主権を守るという意識が、やはり戦後六十年、日本は薄うございました。昨日、有事関連の七法案も上がったわけでございますが、自らの安全をどう守っていくかということがこの北朝鮮の問題を通じて問われている。  もう一つは、日本はどうもやっぱり外交音痴であった、外交下手であったということも言われているわけでございます。私、九二年から九四年、ワシントンでアメリカの東アジア政策というのの研究をしておりました。その折に、バークレーであった国際会議に実は当時の北朝鮮の国連大使と一緒に出席をするという機会があって、東海岸から西海岸まで一緒に、二泊三日旅行をしたんですね。  そのときのその国連大使というのは、正に私がイメージしているような外交官、そして決して言質を与えない、ああ、これが北朝鮮外交なのかということを実は私は強く認識したわけでございます。  今回の問題の解決に当たっても、そういう我々の国より経済的な発展はかなり後れている、あるいは国の規模も小さい国ではありますが、九三年、九四年の対米交渉あるいは今回の核問題の交渉における北朝鮮外交手腕というのは、ある意味ではこれは油断はしてはいけないということを強く感じるという意味で、日本外交がこれからどうあるべきかということが今回の問題の解決でも一つ問われているんだろうというふうに思います。  それから、もう一つやはり問われるべきは、戦後の民主主義というものがどういうものであったかということでございます。東大の姜尚中教授という方が「在日」という本を最近お書きになられました。これは、私の大学のゼミの先輩でございますが、姜教授は、その在日という非常にあいまいな立場の中で、例えば戦後、北朝鮮への在日の皆さんの帰国運動というものが起こった。バラ色の楽園がそこにあると信じて数万人の方が渡ったわけでございます。そのときのあの熱狂的な雰囲気と、今この拉致問題が大きく取り上げられて北朝鮮バッシングが一色日本を塗りつぶしている、このぶれの大きさを非常に危ういものだというふうに姜教授は実は懸念をされているわけでございます。  ですから、果たしてこの戦後の中で北朝鮮日本との関係がどういうものであったか、そのそういう歴史的な経緯も踏まえてこの拉致問題あるいは核問題の解決に当たっていかなければいけないという意味で、日本にとってこれは戦後の総決算だということを私は思っているわけでございます。  そういう中で、先ほど来お話にあります、日本の最高責任者である総理大臣が二度目の訪朝をいたしました。五人の家族日本に連れて帰ってきた、これは大きな成果であったと私は評価をしたいと思います。しかし、一方、日本の最高責任者が訪朝したにもかかわらず、曽我さんの家族帰国は実現しなかった、あるいは拉致被害者の十名、その他の特定失踪者の新たな情報も残念ながら出てきていない、これも現実だろうというふうに思います。  こういう評価される点、あるいは残念な点も踏まえて、この十名の拉致被害者について、これから動きがあるわけでございますが、私これは再調査という言い方はふさわしくないというふうに思っています。つまり、北朝鮮当局はもう既にこの十名の方についての十分な情報は持っているわけでございまして、これは再調査をするというプロセスではなくて、北朝鮮当局が持っている情報をすべて開示させて、それに対して日本側がどう迫っていくかという私はアプローチだというふうに思いますが、この点について政府としてはどういう御見解をお持ちでしょうか。
  64. 山崎正昭

    内閣官房長官(山崎正昭君) お答えさせていただきます。  先般の五月二十二日の日朝首脳会談におきまして、北朝鮮側より安否不明者の、拉致被害者方々に関する新たな情報の提供はありませんでした。  しかし、金正日国防委員長からは、この問題につきましては白紙に戻りまして改めて直ちに本格的かつ徹底した調査を行う旨の明言がございました。  日朝間では、先般の総理訪朝後も一定のやり取りを行っております。その中で本件再調査につきましても働き掛けを行っておりますけれども、現時点では北朝鮮よりその具体的状況が示されているということはございません。  調査のプロセスにおきましては、先方の再調査の結果を求める一方、これが我が国独自の調査結果とも突き合わせて、必要に応じて日本関係者参加していくことも検討して、真相究明を図っていくと、図っていくことと思っております。  我が国としても、このようなプロセスを通じて一日も早い真相解明を得るべく最大限努力をしてまいりたい、このように思っております。
  65. 小林温

    ○小林温君 直ちに徹底的な調査という言葉、使いたくないんですが、向こう側に迫っていくということでございます。今、日本側からも何らかの形で参加をしてという山崎副長官からもお話をいただいたわけでございますが、二月の日朝間のハイレベル協議日本側から合同調査委員会拉致問題に関する、の設置を求めたというふうに言われております。  その後、二度目の総理訪朝もあって北朝鮮側が白紙からの新たな取組ということにも言及したため事態は変化したと思いますが、私はこの合同調査委員会方式で日本側が積極的に向こう側に情報開示を迫る、あるいは向こう側が出してくる情報について、その百五十項目の質問内容も含めて精査していくという意味でも私は意味があるんじゃないかと、これから先も、思いますが、その合同調査委員会の提案に至った経緯及びその趣旨、内容等について改めて御説明をいただけますでしょうか。
  66. 齋木昭隆

    政府参考人(齋木昭隆君) お答え申し上げます。  ただいま御指摘がありました合同委員会の考えでございますけれども、これは安否不明の拉致被害者方々につきましての、とにかく徹底的な真相究明を早くやるべきだという、そういう考え方に基づきまして、二月の日朝間の政府ハイレベル協議で、日本側から、あくまでも一つのアイデアとしてそういう考え方もあるんではないかということを向こうに示したわけでございますが、これは正式な提案として向こう側にそういう設置を持ち掛けたということではございませんでした。具体的にどういう内容の委員会で何をするのかということについてこちらから特段踏み込んで提案したわけじゃございませんで、北の方からもこのアイデアの提示に対しまして特段何か反応が寄せられたというふうには承知しておりません。  いずれにいたしましても、先ほど来の御質疑、御答弁ではございますけれども、日朝首脳会談金正日国防委員長の方からは、とにかくすべて白紙に戻して直ちに徹底的に本格的な調査をやるんだということを約束を我々は得ているわけでございますから、是非その先方の調査の結果については早く我々としてこれを提示を受けたいと思っておりますし、その提示されるであろうその先方の調査の結果を見て、これまで日本側が警察庁等々とも協力しながら集めてきております様々な情報とよく突き合わせて、そして必要に応じて、要すれば、また日本側が、関係者が何らかの形でその真相究明のプロセスにかかわっていくということを考えてまいりたいと思っておりますけれども、いずれにしましても、まずは先方からの調査結果をしっかりと提示を受けるということが先決であろうというふうに思っております。
  67. 小林温

    ○小林温君 先方からの情報の提示を待つということですが、そのアプローチは、私はやはりその引き延ばしも含めて向こう側の戦略もあると思いますので、いかに日本側が主体的に向こう情報開示を迫れるかという、やっぱりアプローチをしていただきたいと思いますし、その合同調査委員会の方式については中身には言及されなかったということでございますが、この辺も鋭意是非詰めていただいて、こちら側から即時徹底的な情報開示に向けて何ができるかということを、当局においても是非御検討いただきたいということをお願いしたいと思います。  次に、先ほど曽我さん、ジェンキンスさんの一家の第三国での面会については、川口大臣からもお答えいただきました。私は、先日の日米首脳会談において小泉総理は、ジェンキンスさんの訴追問題について取り上げられたということも大きく報道されております。しかし、どうもブッシュ大統領の反応はつれなかったという報道もされているわけです。これは、それぞれ法治国家の問題でもございますので、限界もあるのかと思います。しかし、我が国としては、やはり曽我さん一家の帰国、あるいは一家の皆さんが安心して暮らせる環境作りのために、引き続き訴追免除を米国に強く求めていくべきだというふうに思いますが、政府としての取組あるいは方針はいかがなものでしょうか。
  68. 山崎正昭

    内閣官房長官(山崎正昭君) お答えいたします。  今般の日米首脳会談におきまして、総理拉致問題に関するこれまでの米国の支持に謝意を申し上げたところでございます。曽我さんの件につきましては説明をいたしまして、これに対してブッシュ大統領からは、総理拉致問題への取組に対する強い支持というものを改めて表明をし、ジェンキンス氏に関する状況につきまして説明を行ったわけであります。両首脳は、曽我ひとみさん及びその御家族の件につきましては、引き続き綿密な連絡を取り合うことで一致したわけでございます。  政府といたしましては、しかるべき第三国における曽我さんと御家族の再会の早期実現を目指しまして、引き続き所要の検討あるいは調整を鋭意取り進めていく考えでございます。是非とも、先ほども申し上げましたが、皆さんが望んでいるような結果につなげたいと考えておりますので、こういう点につきましてできるだけ静かに進める必要があると、このように考えておりますので、今後、状況等の御説明につきましては、恐縮ですが、逐一御説明するということは控えさせていただきたい、このように思っております。
  69. 小林温

    ○小林温君 是非、第三国での面会の実現に向けて大きなお力をいただくとともに、訴追の問題についても引き続きアメリカ政府に働き掛けていただきたいというふうに思います。  山崎副長官への質問はこれで終わりでございます。  昨日、特定船舶入港禁止法案が成立をいたしました。私、一昨年の十二月から自民党の中で六名の有志で対北朝鮮外交カードを考える会というのを作らせていただいて、この法案を練ってきたわけでございます。対話と圧力という北朝鮮へのアプローチの中で、改正の外為法、それから外国貿易法と併せて、この法案の成立は大きな意味を持つというふうに私自身思っているわけでございます。  一方、小泉総理がさきの日朝首脳会談において、北朝鮮日朝平壌宣言を遵守する限り制裁を発動しないという発言をされているわけでございます。これが、実は法案が成立したということと発動するということがなかなか国民の皆さんにも理解をいただいていないところもあって、その順番、あるいはその意味についても私は誤解を与えている嫌いがあるんじゃないかというふうに思います。  政府及び総理はこの点についても丁寧に説明をする義務があるというふうに思いますが、私の理解では、これは無条件に制裁を発動しないという約束を北朝鮮にしたのではないというふうに理解をしておりますが、こういう認識でよろしいでしょうか。また、その制裁を発動するとすれば、その際の要件についてはどのように今政府としてお考えか、教えていただければ有り難いと思います。
  70. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 総理がおっしゃられました趣旨というのは、今委員がおっしゃられましたように、どういう状況があっても制裁を発動することはしないということを言われたわけではないわけでございまして、北朝鮮日朝平壌宣言にのっとって行動をしている、のっとって行動をしている、そういう状況であれば制裁を発動しないというふうに言われているわけでございます。  今までも申し上げていますように、北朝鮮が事態を悪化をするということがあればそれは、そして、日朝平壌宣言から外れる、それを守らない、そういうような状況であれば、それはまた別な話ということであると思います。
  71. 小林温

    ○小林温君 私、総理にもあるいは細田官房長官にも、まずこの法案成立は絶対にさせたいと思いますと、かつてですが申し上げました。それに対して、行政府としてはそれを立法府の意思としてしっかり受け止めると、法案を成立させるということ。そして、その後、発動については、これは閣議の決定が必要なわけでございますので、それは行政府として立法府とやり取りをする中で決めていくと。そういった、どんどんやってくれと、こういう実はお答えをかつていただいたわけでございますが、私は、ディプロマティック・アンビギュイティーという言葉ございます、外交にはあいまいさというものも必要だということ。例えばアメリカ外交というのを見ていると、政権と国務省とペンタゴンと議会が全然別のことを言う場合が実は往々にしてあるわけでございます。しかし、ゴールは一緒であって、そのアプローチについては、それぞれがそれぞれの考え方を持って、しかもそれを外でも主張していくということは、実はこれはあってしかるべきだと思います。しかも、相手がある交渉事であればなおさらのことであります。  ですから、私は、今の対話と圧力というアプローチの中で、仮に、総理を始め、今、政府が対話のチャネルとして機能する、あるいは外務省もそういう働きをする中で、我々議会が今回の法案の発動も含めて圧力を掛けていくという役割分担があっていいんじゃないかと、こういうふうに実は思うわけでございます。  そして、今回の法案の成立した中身の発動については、これはもう日本安全保障上の脅威に当たる行為を北朝鮮がした場合には要件が満たされるというふうに私は思います。  これ、提案者でもある衆議院の水野議員もこういう答えを委員会の中でもしておりますけれども、核実験あるいはミサイルの発射、これは当然のこととして、拉致問題という重大な主権の侵害、国民の生命、安全に対する脅威の解決に向けても北朝鮮が誠意ある対応をしない場合には私は発動の要件を満たすというふうに思います。そういう意味においては私は、今でも実は発動可能な状況にあるんじゃないかと、逆に今の交渉の推移を見守る中で留保しているんだと、このぐらいの強い姿勢を我々は持つべきじゃないかというふうに思っているわけでございます。  九九年に安倍晋三幹事長や同僚の山本一太議員が実は同じような経済制裁法案を作ろうとしました。当時は党内の中でも余り相手にされなくて法案提出すらできなかったわけでございます。今回は、二つの法案、改正案も含めてでございますが、成立させることができた。これは、数年の間に様々な環境の変化があった。北朝鮮も核の開発を再開もしたし、拉致も認め、国民の大きな関心事になりました。家族連絡会、救う会、それから外務省もいろいろ仕事をしていただいたんだろうと思います。我々政治の場では拉致議連が大きな役割を果たしました。総理訪朝されたわけでございます。こういうことを通じて、拉致の全容解明、被害者あるいは被害者家族帰国に向けた国民世論の盛り上がりというものが実はこの数年間にあって、今回の法案成立も実は可能になったんだろうというふうに思います。  我々自民党の青年局、青年部では、六月六日に全国四十七都道府県で、北朝鮮拉致問題解決に向けた街頭演説会というのを四十七都道府県で行いました。地村さんら五人が一昨年帰国したときの二時三十三分にその時間を持っていきまして、それぞれが数百名、数千名を前に訴えを行ったわけでございますが、こうした国民的な世論の盛り上がりをいかに風化させないかということが私はこの問題の解決にとって非常に重要だろうと思います。  総理訪朝の後にマスコミを通じていろんな意見が錯綜をいたしました。これ、家族会の皆様もバッシングに遭うというようなこともあったわけでございますが、例えば我々立法にかかわっている人間のところにもいろんな働き掛けも実際あるわけでございます。しかし、我々がこの拉致問題を解決するんだ、北朝鮮の問題を解決するんだという国論が混乱する、あるいは国論が二分されるということがあれば、これ、得するのは実は北朝鮮だけだというふうに私どもは思うわけでございます。ですから、これからも関係者一丸となってこの問題に向けて、いかにこの問題が我が国にとって、我が国国民一人一人にとってどれだけ重要な問題かということを絶えず意識をしながらこの運動を展開をしていかなければいけないというふうに私はまず思うわけでございます。  と同時に、今度は、国際社会の中でこの拉致問題あるいは北朝鮮の問題をどういうふうに位置付けていくかということが、我々にとって次の大きな課題であると同時にステップなんじゃないかというふうに思うわけでございます。  先ほどお答えもいただきましたが、G8サミットの議事録、マルチの議事録もバイの議事録も読ませていただきましたが、小泉総理、本当に必死になってこの北朝鮮の問題についての各国の理解を得ようと大変な時間をそれぞれの会談の中で割いて説明をされているわけでございます。結果、その拉致問題等の人道的問題が議長総括にも盛り込まれたのは、ある意味でいうとサミットにおける成果だろうというふうに思うわけでございます。  先ほど申し上げたように、日本ではこの運動が大変国民の大きな関心事になっています。しかし、一方で、例えば六者協議参加国、G8のメンバー国、それ以外の国々でこの問題がどれだけ大きな関心を持って取り扱われているかと言えば、これ例えばアメリカのワシントン・ポストやニューヨーク・タイムス、ウォール・ストリート・ジャーナル等毎日見ていれば分かりますが、日本の新聞が拉致問題一色に塗りつぶされている日でもその扱いは実は微々たるものであるわけでございます。だからこそ、この問題の解決のためにはやはり日本が当事者意識を持って、これは総理も含めて今やっていただいていることだと思いますが、この問題の解決が、東アジアの安定、あるいは世界の全体の安定にとって大変重要な意味を持つことだと、これは核の拡散の問題もございますし、拉致というテロをいかに国際社会の中からなくしていくかという取組でもあると思います。  こういう意味におきまして、一つには、サミットで総理にはいろんな働き掛けをしていただきました。次に、六月末には六者会合がセットされているわけでございますが、その今までの成果を踏まえて政府はいかなる姿勢で六者協議に臨まれるのか、またその見通しはいかがなものか。重ねての質問になりますが、お答えいただければと思います。
  72. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 直接にお答えする前に、先ほど先生がおっしゃった国内における国民のこの問題についての思い、そして国際社会で理解を得ていくことの必要性、これは全くおっしゃったとおりであると思います。総理も努力をしていらっしゃいますし、私も恐らく外務大臣と二国間会談をやって拉致の話をしなかったことはないというふうに思っておりまして、この国連人権委員会等の場での働き掛けも含めて相当に今理解が広がってきていると思います。  そこで、六者の話でございますけれども、これは、日本としてCVIDということをずっと言ってきているということでございます。アメリカも韓国も連携をして対応してきております。これに対して金正日書記総理に対して、凍結は核廃棄の第一歩である、検証が伴うということも理解をしているということをおっしゃられた。このおっしゃられたことを今回の作業部会あるいは六者での場できちんと反映をしていってほしいというのが我々の思いでございます。また、日本としてそのために働き掛けを行っていくということは当然であります。  核はそういうことでございまして、拉致の問題、これについても当然に我々は包括的な解決ということを言っているわけです。核だけで問題が、国交正常化につながるわけではない、核、拉致、その他ミサイル等々も含めて包括的な解決ということを言っておりまして、拉致の問題は主として二国間で話し合われるということになると思いますけれども、この六者での場での次につながる解決のためには拉致の問題が解決をしているということは重要であるというふうに考えております。  どういうような進展をするかということについて予断をすることは非常に難しいのですけれども、六者の場で少し具体的な、実質的な動きということを北朝鮮との間で議論をすることができるということが大事なことであろうというふうに思いますし、日本としてもそのために建設的な役割を果たしていきたいというふうに思います。
  73. 小林温

    ○小林温君 是非、六者協議の場でもその包括的な解決に向けて、ここも積極的なという言い方になりますが、お取組をお願いをしたいというふうに思います。  それで、六者協議のメンバー国というのは、御承知のように、南北、北朝鮮それから韓国、ロシア、中国、日本アメリカでございます。先ほどの答弁の中にもございましたが、昨日、おとといと三か国の事務協議がワシントンで行われたわけでございます。  私、五月の連休に韓国を訪問して、ウリ党の代表者数名と直接会っていろいろ意見の交換をしてまいりました。私、強く感じたことは、やはり金大中大統領の太陽政策を継承した盧武鉉政権が今回、議会で多数を取って、ウリ党が、そしてその根底にはやはり今までの政権に比べると反米、そして親北的なイデオロギーといいますか、アプローチがあるということでございます。これは非常に我々にとっては危惧すべき点だというふうに思います。  前々から言われていますように、やはり日米韓三国がしっかりとスクラムを組んでこの問題に対処していくということがまず基本でございますので、そういう意味においてこの三か国、日米韓の連携に支障はないのか、外務大臣の認識をお伺いしたいと思います。
  74. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 先般、私が韓国に行きまして、盧武鉉大統領、それから潘基文長官とお話をさせていただきました。その中で、北朝鮮の話というのが、ほとんどと言うと言い過ぎですけれども、相当大きな部分であったわけでございます。その中で、盧武鉉大統領が、北朝鮮について対応するときの韓国の考え方についても、盧武鉉大統領の考え方についても伺わせていただきました。  それで、日本と、日米韓連携、これが委員がおっしゃるように非常に重要であるというふうに思います。韓国もこのことは十分に認識をしていて、そしていわゆるCVIDという言葉を使っていますけれども、それについてその考え方というのはシェアをしているということでして、基本的な立場に違いはないわけでございます。  韓国はもちろん日本と違って北朝鮮と陸続きの国、そして同じ、同胞同士の国という意味では当然日本と、考え方といいますか、プライオリティーが違うという部分は存在をするというふうに思います。  ただ、先ほど申しましたように、韓国はアメリカ日本とともにこの問題への対応の仕方についての基本的な考え方をシェアをしている。我が国、三か国は調整をし、そして六者会談に出席をし、そこで足並みをそろえて議論をするという考え方に違いはないということでして、変わりはないということでして、平和繁栄政策というのを盧武鉉大統領は北朝鮮政策として追求をしていますけれども、これについて基本的な考え方、北朝鮮に核を許さないとか、対話を通じて平和的な解決をしていくとか、韓国がその中で積極的な役割を果たすとか、そういったことについてこれは日本も支持をしていますし、現に韓国はこの問題について積極的な役割を果たしてきていると思います。
  75. 小林温

    ○小林温君 多分、六者の環境の中で一番大きな変化があったのは韓国だろうというふうに私は認識をしております。例えば、一つには在韓米軍の三分の一の縮小、大きなトランスフォーメーションの中でのこういう動きも実はあるわけでございますし、私が先日会った例えばウリ党の若手の議員はやっぱり南北というのは同胞なんだということをやっぱり強く言うわけですね。  そこの点についてやはり政府としてもしっかりと御認識をいただいて、変化があった場合にはどう対応するかということについてもしっかりとこれから御検討いただきたいというふうに思います。  最後になりますが、先ほど来御質問させていただいた国際的な働き掛けでございます。  北朝鮮は、これは何も今回に限らず、安全保障理事会で核開発の問題が議題とされたり非難決議をされるということを例えば非常に嫌がっているんだろうというふうに思います。ですから、ロシア、中国といった比較的近い国に対してはその安保理事会で、IAEAの報告も含めて、なるべく取り上げないようにというアプローチもしているんだろうというふうに思いますが、一方、外交においては相手の嫌がるアプローチをして譲歩、譲歩を迫るというのは、これは常套手段でもございます。  そういう意味においては、私は国連の、あるいは安全保障理事会の場でいかに正式にこの北朝鮮拉致の問題あるいは核の問題を取り上げて強い圧力を掛けるかということがこれからの日本側からの働き掛けとして非常に重要だというふうに思います。そういう問題も含めて、今既に御説明をいただいた国際社会に対する働き掛けあるいは国際社会からの北朝鮮に対する圧力という点において今政府、どういう取組をされているかということをお聞かせをいただきたいと思います。
  76. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 対話と圧力という方針に全く変わりはないわけでございまして、そして今の時点で、北朝鮮が平壌宣言にのっとって行動している限りは制裁を発動するということはしないということを言っている、それ自体、そのように行動をするように北朝鮮に対して慫慂しているということでもございますし、また国際社会がこの問題について理解をし、これは拉致、核、両方を含みます、ミサイルの問題も含みますが、北朝鮮に対してメッセージを発していくということ自体、静かな形でのある種のプレッシャーというふうに言ってもいいだろうというふうに思います。  いろいろな手段を、情勢に合わせて適切な手段を使いながらこの問題を国際社会とともに解決をしていきたいと思っています。
  77. 小林温

    ○小林温君 時には役割分担も議会とあるいは政府でしながら、あるいは国際社会にも働き掛けをしながらこういう圧力を静かにという今お話がございましたが、時にはアグレッシブに続けていくということがやはりこの問題の解決にとって必要なことだと思いますので、今後ともそういう取組を心よりお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  78. 野間赳

    委員長野間赳君) 本日の調査はこの程度にとどめます。     ─────────────
  79. 野間赳

    委員長野間赳君) 継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。  北朝鮮による拉致問題等に関しての対策樹立に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  80. 野間赳

    委員長野間赳君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。  なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  81. 野間赳

    委員長野間赳君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時十九分散会