○小林温君 私、
総理にもあるいは
細田官房長官にも、まずこの法案成立は絶対にさせたいと思いますと、かつてですが申し上げました。それに対して、行
政府としてはそれを立法府の意思としてしっかり受け止めると、法案を成立させるということ。そして、その後、発動については、これは閣議の決定が必要なわけでございますので、それは行
政府として立法府とやり取りをする中で決めていくと。そういった、どんどんやってくれと、こういう実はお答えをかつていただいたわけでございますが、私は、ディプロマティック・アンビギュイティーという言葉ございます、
外交にはあいまいさというものも必要だということ。例えば
アメリカの
外交というのを見ていると、政権と国務省とペンタゴンと議会が全然別のことを言う場合が実は往々にしてあるわけでございます。しかし、ゴールは一緒であって、そのアプローチについては、それぞれがそれぞれの考え方を持って、しかもそれを外でも主張していくということは、実はこれはあってしかるべきだと思います。しかも、
相手がある
交渉事であればなおさらのことであります。
ですから、私は、今の対話と圧力というアプローチの中で、仮に、
総理を始め、今、
政府が対話のチャネルとして機能する、あるいは
外務省もそういう働きをする中で、我々議会が今回の法案の発動も含めて圧力を掛けていくという役割分担があっていいんじゃないかと、こういうふうに実は思うわけでございます。
そして、今回の法案の成立した
中身の発動については、これはもう
日本の
安全保障上の脅威に当たる行為を
北朝鮮がした場合には要件が満たされるというふうに私は思います。
これ、提案者でもある衆議院の水野議員もこういう答えを
委員会の中でもしておりますけれ
ども、核実験あるいは
ミサイルの発射、これは当然のこととして、
拉致問題という重大な主権の侵害、
国民の生命、安全に対する脅威の解決に向けても
北朝鮮が誠意ある
対応をしない場合には私は発動の要件を満たすというふうに思います。そういう意味においては私は、今でも実は発動可能な状況にあるんじゃないかと、逆に今の
交渉の推移を見守る中で留保しているんだと、このぐらいの強い姿勢を我々は持つべきじゃないかというふうに思っているわけでございます。
九九年に安倍晋三幹事長や同僚の山本一太議員が実は同じような経済制裁法案を作ろうとしました。当時は党内の中でも余り
相手にされなくて法案提出すらできなかったわけでございます。今回は、二つの法案、改正案も含めてでございますが、成立させることができた。これは、数年の間に様々な環境の変化があった。
北朝鮮も核の開発を再開もしたし、
拉致も認め、
国民の大きな関心事になりました。
家族連絡会、救う会、それから
外務省もいろいろ仕事をしていただいたんだろうと思います。我々政治の場では
拉致議連が大きな役割を果たしました。
総理も
訪朝されたわけでございます。こういうことを通じて、
拉致の全容解明、
被害者あるいは
被害者家族の
帰国に向けた
国民世論の盛り上がりというものが実はこの数年間にあって、今回の法案成立も実は可能になったんだろうというふうに思います。
我々自民党の青年局、青年部では、六月六日に全国四十七都道府県で、
北朝鮮拉致問題解決に向けた街頭演説会というのを四十七都道府県で行いました。地村さんら五人が一昨年
帰国したときの二時三十三分にその時間を持っていきまして、それぞれが数百名、数千名を前に訴えを行ったわけでございますが、こうした
国民的な世論の盛り上がりをいかに風化させないかということが私はこの問題の解決にとって非常に重要だろうと思います。
総理訪朝の後にマスコミを通じていろんな意見が錯綜をいたしました。これ、
家族会の皆様もバッシングに遭うというようなこともあったわけでございますが、例えば我々立法にかかわっている人間のところにもいろんな働き掛けも実際あるわけでございます。しかし、我々がこの
拉致問題を解決するんだ、
北朝鮮の問題を解決するんだという国論が混乱する、あるいは国論が二分されるということがあれば、これ、得するのは実は
北朝鮮だけだというふうに私
どもは思うわけでございます。ですから、これからも
関係者一丸となってこの問題に向けて、いかにこの問題が
我が国にとって、
我が国の
国民一人一人にとってどれだけ重要な問題かということを絶えず意識をしながらこの運動を展開をしていかなければいけないというふうに私はまず思うわけでございます。
と同時に、今度は、国際社会の中でこの
拉致問題あるいは
北朝鮮の問題をどういうふうに
位置付けていくかということが、我々にとって次の大きな課題であると同時にステップなんじゃないかというふうに思うわけでございます。
先ほどお答えもいただきましたが、G8サミットの議事録、マルチの議事録もバイの議事録も読ませていただきましたが、
小泉総理、本当に必死になってこの
北朝鮮の問題についての各国の
理解を得ようと大変な時間をそれぞれの会談の中で割いて説明をされているわけでございます。結果、その
拉致問題等の人道的問題が議長総括にも盛り込まれたのは、ある意味でいうとサミットにおける成果だろうというふうに思うわけでございます。
先ほど申し上げたように、
日本ではこの運動が大変
国民の大きな関心事になっています。しかし、一方で、例えば六者
協議の
参加国、G8のメンバー国、それ以外の国々でこの問題がどれだけ大きな関心を持って取り扱われているかと言えば、これ例えば
アメリカのワシントン・ポストやニューヨーク・タイムス、ウォール・ストリート・ジャーナル等毎日見ていれば分かりますが、
日本の新聞が
拉致問題一色に塗りつぶされている日でもその扱いは実は微々たるものであるわけでございます。だからこそ、この問題の解決のためにはやはり
日本が当事者意識を持って、これは
総理も含めて今やっていただいていることだと思いますが、この問題の解決が、東アジアの安定、あるいは世界の全体の安定にとって大変重要な意味を持つことだと、これは核の拡散の問題もございますし、
拉致というテロをいかに国際社会の中からなくしていくかという取組でもあると思います。
こういう意味におきまして、一つには、サミットで
総理にはいろんな働き掛けをしていただきました。次に、六月末には六
者会合がセットされているわけでございますが、その今までの成果を踏まえて
政府はいかなる姿勢で六者
協議に臨まれるのか、またその見通しはいかがなものか。重ねての質問になりますが、お答えいただければと思います。