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政府参考人(房村
精一君) 御
指摘のように、今回の
改正、予定しております
改正法案では、その二十四条で、申請人となるべき者以外の者が申請していると疑うに足りる相当な
理由があると認めるときには、登記官は本人確認をしなければならないと、こうしております。
これは、想定しておりますのは、例えば警察とかあるいは土地の所有者本人から、どうも自分の土地について偽造の登記がされるおそれがあると、こういうような通報があることがございます。特に、例えば警察等から、捜査結果に基づいてそういった偽造の登記のおそれがあると、こういうような通知を受けている場合に、その
指摘を受けた申請が来たときに、単に書類だけを
調査してパスをさせるということでは、やはり、その結果、万が一虚偽の登記がなされて所有者が損害を被るということになったのでは、これはやはり登記官として尽くすべき義務を尽くしたことにはならないだろうと。
登記
制度の信頼を保つためには、そのような疑われるような場合にはこの登記を阻止できるような、そういう仕組みにしておかなければ、やはり国民に対するその責任を果たせないと、こういうことから、そのような具体的に疑うに足りる相当な
理由があると、こういうような場合には、登記官はいろいろ
調査をする。場合によれば御本人に来ていただく、あるいは代理人に来ていただく。で、質問をして事実
関係を自ら
調査をして、間違いがなければ登記をしますし、やはり本人でないということになれば却下をする。場合によれば、犯罪のおそれがあれば警察に告発をすると。そういうことをここでやらないと、正にもう最後のとりででございますので、やはり国民の最も重要な財産である不動産、その権利が無
権限の者によって勝手に移転をされたりするということでは困るだろうと、そのために用意した条文でございます。
ここで、申請人となるべき者以外の者が申請していると疑うに足りる相当な
理由というのは、他の用例に照らしましても相当高度な
理由、単にやや疑問があるということではなくて、相当な自信を持ってこれは怪しいと言えるような場合でございます。想定しておりますのは、ただいま申し上げましたような、警察とか
当事者から相当具体的な通報があるというような場合、あるいはその同じ
当事者から現に偽造の申請があることが分かって同じ者が別の
事件を申請していると、で、同じ例えば印鑑証明が用いられていると、こういうような場合には、これは当然そちらについても
調査すべきではないかと。そういう相当具体的な場合を考えております。
実は、登記所の実情を申し上げますと、
大臣も申し上げたように、年間千七百万件を超す申請がございます。現場といたしましては、
事件処理に追われているのが実情でございまして、どちらかといえば、心配なのは、疑わしいのに
事件処理に追われる余り
調査をしないということが心配をされるわけでございまして、この
調査権限を濫用して無駄に時間を使うというようなことは、現場の
事件処理の実情から申し上げますと、それはそういうおそれはないだろうと。
ただ、私どもとしても、今回新たに
法律で求められましたこういう
調査権限でございますので、適切にそれを行使してもらえるようにその
趣旨を現場にも徹底し、またどのような場合を想定しているかというようなことも、その想定例を現場に知らせるということによって適切な
運用が図られるように、また各登記所でその扱いが大きく異なることのないように十分注意はしたいと、こう思っております。