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政府参考人(
山崎潮君) この九条二項、大きく分けて
四つの要素が書かれております。なかなか
四つ、
理解がなかなか難しいところがございますけれども、ちょっと分けて御
説明を申し上げます。
第一でございますけれども、当該
処分又は
裁決の
根拠となる法令の趣旨及び目的、これを考慮しなさいということでございますので、例えば何かの
処分が行われると、そこの
根拠となる条文がございますけれども、それだけではなくて、その全体の
法律の趣旨、どういうことを守ろうとしているのかと、そういう点も全部考慮をしなさいと、こういうことでございます。
それから第二が、当該
処分において考慮されるべき
利益の
内容及び性質を考慮するということでございますので、
処分をしたときにどういうことを考えてその
処分をしなければならないのかと、そういう点も、その法でどういう点までその保護をするというふうに考えているのかをよく考えなさいと、こういうことを言っているわけでございます。
それから第三でございますけれども、最初の
処分ですね、最初に申し上げたその法令の趣旨及び目的を考慮するというその点で、これを考慮するに当たって、その当該法令と目的を共通にする
関係法令があるときはその趣旨及び目的をも参照するということでございますので、その
法律だけではなくて、その目的を共通にする
法律もきちっと見た上で判断をしなさいと、こういうふうになります。
それから第四でございますけれども、先ほどその
処分において考慮されるべき
利益の
内容及び性質というふうに申し上げましたけれども、これを判断するに当たって、仮にその当該
処分が
根拠となる法令に違反してされた場合に、その害されることとなる
利益の
内容及び性質ですね、それからこれが害されることに、害される態様及び程度、これも勘案するということでございますので、現実にどういう被害が生じてくるのか、その程度はどうなのか、どういう性質なのか、こういうことも考え合わせて
当事者適格があるかどうかを判断をしなさいと、こういう
四つの命題を掲げているわけでございます。
これにつきましては、今までは解釈で行われていたわけでございますけれども、今回はその解釈として必ず考慮しなければならない規範として掲げているわけでございますので、必ずこれは全部考えなければならないということになります。
考えるについても、またここにももちろん解釈がございますのでその幅は当然あるわけでございますけれども、そういう
意味では、今までは解釈にゆだねられておりましたので、その解釈の幅はかなりありますから、一番下の方を取るか上の方を取るか、これは自由というふうに言われていたわけでございますけれども、これを必ず今掲げたものについては考慮をしなさい、こういうことになります。
例えば、その例を挙げますと、
処分の許可要件が非常に技術的な、技術上の基準で決まっている場合もあるわけでございますけれども、そういうふうに
一般的、抽象的に定まっている場合でありましても、その
根拠となる法令の規定の文言だけではなくて、それによることなく、その
根拠法令の趣旨、目的あるいはその当該
処分において考慮されるべき
利益の性質、
内容、こういうものを考慮するということになるわけでございます。
それから、その
処分が違法にされた場合に起こる事故などによって害される
利益の
内容及び性質、それから並びにこれが害される態様それから程度、こういうものも勘案をして、その想定される被害の
内容、程度を踏まえまして
個々の
事件について考えていきなさいと、こういうふうになるわけでございますので、そういう
意味で、そのある
処分の
根拠となる条文ですね、それの文言だけにとらわれることなくてその法令全体の目的を見なさい、それからその
処分をすることによってどういうところを保護しようとしているのか、そういうこともきちっと考えなさい、現実に起こる被害の
実態、これも全部判断をしなさいということになります。それから、
関係する法令ですね、これについても全部考慮に入れなさいと、こういうことになるわけでございます。
一つ、長くなって恐縮でございますが、例を挙げますと、都市計画法上で道路の拡幅工事をするといった場合に、これ現実に例もあるようでございますけれども、これに対して不服を申し立てることができるものについては、その
法律によりますと、拡幅工事で土地を奪われる所有者だということになるわけ、解釈上なるわけでございますけれども、今まではそういうふうに解釈されてきているわけでございますけれども、その後、最近、環境影響
評価法というものが、アセスメント法と言われておりますけれども、これができまして、これの
関係では、いろいろな公共的な事業、大きな事業をする場合には、そこで行われるその事業によって与える環境、環境にどういう影響を与えるかということも全部
評価した上で、そしてその環境影響
評価法で決まってくる
内容をそのまま事業計画の
内容として取り込んでやらなければならないというような
法律ができておりますので、これは目的を共通にする
法律ということになるわけでございますので、それを全部考慮した上で決めなければならないということになります。
そうなりますと、単に道路を奪われる土地所有者だけではなくて、その周辺に住んでおられます居住者ですね、こういう方についても、もちろん被害の程度とかその性質にもよりますけれども、そういう点も考えて
当事者適格を決めろということになるわけでございまして、これは大きな違いが出てくるということでございます。