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2004-05-20 第159回国会 参議院 法務委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年五月二十日(木曜日)    午前十時一分開会     ─────────────    委員異動  五月十九日     辞任         補欠選任      岩本  司君     樋口 俊一君  五月二十日     辞任         補欠選任      小野 清子君     愛知 治郎君      江田 五月君     平野 貞夫君      千葉 景子君     大渕 絹子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         山本  保君     理 事                 松村 龍二君                 吉田 博美君                 角田 義一君                 木庭健太郎君     委 員                 愛知 治郎君                 青木 幹雄君                 岩井 國臣君                 鴻池 祥肇君                 陣内 孝雄君                 野間  赳君                 今泉  昭君                 江田 五月君                 大渕 絹子君                 樋口 俊一君                 平野 貞夫君                 堀  利和君                 井上 哲士君    衆議院議員        修正案提出者   与謝野 馨君        修正案提出者   佐々木秀典君        修正案提出者   漆原 良夫君    国務大臣        法務大臣     野沢 太三君    副大臣        法務大臣    実川 幸夫君    大臣政務官        法務大臣政務官  中野  清君    最高裁判所長官代理者        最高裁判所事務        総局刑事局長   大野市太郎君    事務局側        常任委員会専門        員        加藤 一宇君    政府参考人        司法制度改革推        進本部事務局長  山崎  潮君        法務大臣官房司        法法制部長    寺田 逸郎君        法務省刑事局長  樋渡 利秋君        法務省矯正局長  横田 尤孝君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事辞任及び補欠選任の件 ○参考人出席要求に関する件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○裁判員の参加する刑事裁判に関する法律案(内  閣提出衆議院送付) ○刑事訴訟法等の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○総合法律支援法案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 山本保

    委員長山本保君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨十九日、岩本司君が委員辞任され、その補欠として樋口俊一君が選任されました。     ─────────────
  3. 山本保

    委員長山本保君) 理事辞任についてお諮りいたします。  千葉景子君から、文書をもって、都合により理事辞任したい旨の申出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 山本保

    委員長山本保君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  この際、理事補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 山本保

    委員長山本保君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事角田義一君を指名いたします。     ─────────────
  6. 山本保

    委員長山本保君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  総合法律支援法案審査のため、来る二十五日、参考人出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 山本保

    委員長山本保君) 御異議ないと認めます。  なお、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 山本保

    委員長山本保君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  9. 山本保

    委員長山本保君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  裁判員の参加する刑事裁判に関する法律案及び刑事訴訟法等の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会司法制度改革推進本部事務局長山崎潮君、法務省刑事局長樋渡利秋君及び法務省矯正局長横田尤孝君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 山本保

    委員長山本保君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  11. 山本保

    委員長山本保君) 裁判員の参加する刑事裁判に関する法律案及び刑事訴訟法等の一部を改正する法律案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  12. 江田五月

    江田五月君 前回法務大臣年金のことについて最初に伺いました。当委員会でなぜ年金加入状況を聞くかなどなど前置きは前回のときに申し上げておりますので、今日は一切それを省略をいたしまして、副大臣政務官関係について伺わせてください。  実川大臣に伺いますが、実川さんは、初当選が一九九三年で、一九四三年生まれですからもう六十歳になっておられる。したがって、初当選の前に、一九八六年に国会議員国民年金強制加入となっておりまして、あるいはその他の公的年金ということもあるのかもしれませんが、この九三年から昨年まで国会議員であられたということなので、その間の公的年金加入状況はいかがですか。
  13. 実川幸夫

    ○副大臣実川幸夫君) 今、先生御指摘になりました、ちょうど昨年、六十歳になりまして、社会保険庁の方からその通知がありまして、完納しましたと、そういう通知があったものですから、私もそのつもりで、全額支払ったと、そういうつもりでおりまして、再度調査したところ、もちろん、議員になりましてから十一年になりますけれども議員になりましてからすべて完納しております。  調査して、九一年ですか、そのときに、厚生年金から切替えのときに、やはりうっかりだったと思いますけれども、三か月未納期間がございました。
  14. 江田五月

    江田五月君 二〇〇〇年ということになりますか、運輸政務次官になっておられますね。政務次官の間はどうなっておるんですか。
  15. 実川幸夫

    ○副大臣実川幸夫君) 二〇〇〇年、納めております。国民年金を納めております。
  16. 江田五月

    江田五月君 よろしい、いや、何かじっとごらんになっているから。よろしいんですね。つまり、政務次官などになったときに何かのミスで国民年金から外れてというのがたくさんあるんですが。
  17. 実川幸夫

    ○副大臣実川幸夫君) 未納国会議員になる前だけです。
  18. 江田五月

    江田五月君 はい、分かりました。よかったです。ほっとしました。  次に、中野政務官に伺いますが、中野さんの場合は、資料によると、一九三六年生まれで、九六年に初当選で、十月ですから、初当選のときはもう六十歳になっておられるわけですから、議員としての国民年金加入義務というのはないんですね。そうですかね。
  19. 中野清

    大臣政務官中野清君) 私については、事実だけ申し上げますと、昭和三十六年四月から四十年一月までの間が国民年金に加入しておりまして、その後、会社の厚生年金に加入しておりまして、六十歳に到達する平成七年の十二月までは四百十六か月間納めております。  その後、財務大臣政務官に就任するまでの間の十二年の十二月三十一日まで、ですから、それからその後も、財務大臣政務官から法務大臣政務官なる間の六か月間というので、計四百八十二か月納めておりまして、大体いわゆる義務というものについては全部クリアしていると思います。
  20. 江田五月

    江田五月君 ありがとうございました。ほっとしました。  これ、政府の中に入っておられる皆さんについては一応伺っておこうということでございまして、失礼をいたしました。  それでは、次に裁判員法案刑訴法改正案について伺います。  修正案提出者皆さんにお見えいただいていますので、まず最初に、修正案提出者の方に伺います。  衆議院の方で、与党民主党とで修正合意ができて、両法案とも修正をされた、そして全党、すべての本会議に参加の皆さん賛成をされて可決をして参議院に送られたと、こういう経過なんですが、ずっとこれまで裁判員法案のでき上がっていく経過を見ますと、確かに閣法ということで出されてはいるんですが、その閣法になる過程与党の方で大変な議論があったと。与党自民党の中でも大変な議論がある、公明党も、公明党の場合は私どもとかなり共通する認識もあるわけですけれども議論があって、そして与党合意をお作りになって、これが閣法として出てきて、さらに国会で、野党も、まあ民主党だけかもしれませんが、加わって、与野党の大きな合意ができて、みんなの賛同でこういう制度スタートさせようということになったわけですね。  前々から私は事あるごとに言っておるんですが、この制度自体一つ冒険でして、ある種の決断で、まだ先がよく見えないところ、あるいは検討を更にしなきゃいけないところ、あるいは国民への啓発をもっともっとやらなきゃいけないところ、一杯ある。しかし、今までの裁判制度に対して何か新機軸を出していこうという、ある種のこの、まあ我が角田理事に言わせると革命だと、裁判の。そういうような思いでやっているということで、そのあえてやっていこうということについて全党の合意がこういう形でできたというのは、私は立法過程としては非常に貴重なことであると思っておりまして、年金の三党合意がいいかどうか、これはいろいろ議論あるところですが、こういうものについてはやっぱりちゃんとそういうみんなの合意でやっていって、しかし途中でいろんな問題出てくるだろうから、そのときもまた議論をしながらよりいいものにしていくという、こういう立法プロセスというのは大変貴重だと思うんですが、修正案提出者皆さんとその点は認識は一致しますでしょうかね。どういうお感じをお持ちか、総括的なお返事を下さい。
  21. 与謝野馨

    衆議院議員与謝野馨君) まず、裁判員制度については、自民党の中でもまあいろいろな議論がございまして、我が党の長勢甚遠衆議院議員が小委員長になりまして、その会議は二十数回に及びました。これはいろんな議論がありましたものを自民党としてようやく集約をしたと。しかし、与党を構成しますのは公明党自民党でございますので、公明党の方の中でも相当の議論がありました。  そこで、我が党としては公明党との協議に臨んだわけですが、そこでも意見の相違はございました。これも、世間には発表しておりませんけれども、相当長時間に及ぶ、また未明に及ぶような協議もございまして、それぞれお互いに違いを乗り越えてより良いものにしようという決断をいたしました。それを反映した形で政府案衆議院提出をされました。  そのときに、民主党から修正すべき点について御提示がありまして、この点についても、民主公明、自民三党で実は真剣な協議を行いました。これは委員会の平場でやったわけではございませんけれども佐々木漆原議員法曹資格を持っておられる方で、非常に詳しくいろいろな議論をしてくださったわけでございます。  私は、修正とか法案成立過程ということを考えますと、一つは、やはり例えば選挙制度のようなものというのは、やはり賛成というのは、広いベースの賛成を得て成立させるべきものだろうと思います。それから、国策にかかわるような、言わば対決法案というものもあるのだろうと思います。それからもう一つの分野は、やはり一人一人の生命、倫理観にかかわるような、例えば臓器移植法案、これは我が党でも党員拘束を外して採決に臨むということでございますけれども、今回の裁判員制度は、やはり私ども自民党気持ちとしては、各党の御賛成をいただいて祝福された形でスタートをすることが望ましいということで、公明党自民党も、民主党が提起された修正すべき点については一つ一つ丁寧に耳を傾け、御意見を伺って、どういう修正をすることが望ましいかということをきちんと議論をした上で修正したつもりでございます。  そういう意味で、本会議にかけましたら、各党の御賛成をいただいて、一応衆議院の段階では全会一致という形になりましたのは、まあ裁判員制度という全く、冒険という表現を今使われましたけれども革命だという表現も使われましたけれども、まあ新しい制度スタートするに当たって、やっぱり各党とも御賛成をいただいたという形でスタートをするということは、今後のこの裁判員制度運用する上で大変貴重な私は出発点になったと思っております。  修正部分については、私は専門家でないんで、民主公明皆様方の御意見を聞いて決断自民党としてしたものでございまして、修正部分法律内容については、是非、佐々木漆原議員の御意見を聞いていただきたいと思いますが、少なくとも、いろいろな法案の種類はありますけれども、この法案が全党一致で成立したということは、この法案の今後の運用については大変良かったと私は思っております。
  22. 江田五月

    江田五月君 まあ裁判制度というのは、国を成り立たせるある種の公共財、本当に一番基礎基礎のインフラストラクチャーですから、対決とかという話じゃなくて、みんなで知恵を出そうと。この今かかっております法案についても、私もここはどうかなという意見も一杯持っております。同床異夢とはあえて言いませんが、木に竹を接いでうまく接ぎ木ができたかなというような部分もあるんですけれども、しかしこれは前を向いてやっていかなきゃならぬということで、みんながそれぞれ、自分自身意見も抑えながら、ある種の共通の認識を持ったということだと思います。  そういう認識を私ども野党も持って合意に臨んだわけで、これからこの制度を、五年後といいますか、本当はもっと早い方がいいと思いますが、実施に移していくまでの間も、あるいはその後も、ひとつそういう認識でみんながよりいいものにしていこうということで知恵を出し合うという、そういう姿勢を持っていただきたいと、これ要望しておきます。  さてそこで、修正案中身一つだけ。  守秘義務関係については、これは場合を細かく分けて法定刑を下げたといったことだと思います。それは伺いませんが、刑訴法の方について、第二百八十一条の四を修正して第二項を付け加えられたと。この第二項を付け加えた趣旨、これを簡単で結構ですからお答えください。
  23. 漆原良夫

    衆議院議員漆原良夫君) 新設の刑訴法の二百八十一条の四第一項は、被告人弁護人又はこれらであった者による開示証拠目的外使用を一般的に禁止したものであります。  ただし、当然のことでございますけれども、同じくこの規定違反した行為であっても、違反に係る複製等内容違反行為目的態様など、同条第二項に掲げたものを始めとするいろんな事情によって違反悪性程度は異なると考えております。例えば、違反に係る証拠被害者日記等プライバシー性の高いものであるかどうか、営利目的によるものかどうか、インターネットで広く公開、不特定多数の者に対して提供するものであるかどうかによって悪性程度は異なるというふうに思います。  そこで、二百八十一条の四の第二項として、被告人らが同条第一項の規定違反した場合の措置を取るに当たっては、同条第二項に例示したものを始めとする諸事情を考慮すべきであるということを注意的に明らかにしたという趣旨でございます。
  24. 江田五月

    江田五月君 そこで、これ実は、目的外使用については二百八十一条の四で一般的な禁止が書かれている。そして、同条の五で罰則が書かれている。ところが、その禁止罰則条文中身は一緒なんですね。で、こう二つの条文に分かれていて、修正は実は二百八十一条の四の方にしか二項はないわけです。  そうしますと、堅苦しく考えると、四の方の禁止は、例えばこれは、弁護士会懲戒などのときに使われる禁止規定で、罰則の方は二項は掛からないんじゃないかと、罰則を科す場合には。というように、こう読む読み方もあるかと思うんですが、私はそうじゃないだろうと思うんですが、これは罰則のときにも、この二項、四の二項は掛かるというのが修正案提出者の御理解であるかどうか、この点を伺っておきます。
  25. 漆原良夫

    衆議院議員漆原良夫君) おっしゃるとおり、同条第二項の措置というのは同条第一項の規定違反する違反行為に対して取られた法的措置でありまして、弁護士会懲戒あるいは損害賠償、こういうものを直接的には措置というふうに我々は解釈しております。  これに対して、目的外使用行為に対する刑事罰刑訴法の二百八十一条の五の規定によって科せられるものでありまして、二百八十一条の四第一項の規定違反した場合の措置ではありませんから、形式的には同条第二項の「前項の規定違反した場合の措置」には含まれない。  もっとも、二百八十一条の五の罰則は二百八十一条の四第一項の禁止行為に当たる行為処罰対象としておりますから、検察官が公訴を提起するか不起訴起訴猶予とするかどうかの判断、あるいはまた裁判官が量刑を行うに当たって諸般の事情を考慮すべきことは当然でありますので、考慮されるべき情状の中に二百八十一条の四第二項に掲げられた諸事情も含まれると考えております。  したがいまして、二百八十一条の五の規定違反した行為について検察官裁判所判断する場合にも、二百八十一条の四第二項の趣旨をも踏まえて、同項に記載された事情を考慮することになるというふうに考えております。
  26. 江田五月

    江田五月君 二百八十一条の四に禁止規定があって、それに二項が加わって考慮規定があるわけですよね。禁止規定に抵触したときの措置というのが、一つ懲戒があったり損害賠償があったり、もう一つ、その措置というのは二百八十一条の五で言うところの刑事罰というのがあると。  したがって、措置についてこういうことを考慮するというんですから、文理解釈からしても、二百八十一条の四の二項というのは、二百八十一条の五の刑事罰適用の場合にも、文理解釈からいってもこの適用があると考えることだってできると思うんですが、修正案提出者の方は、今のような、どういいますか、規定の全体の趣旨からいって、罰則適用のときにも考慮されるというように御説明になりました。  さて、推進本部の方は、今の修正案提出者説明、それから私がもう一つ示した文理解釈、どちらをどうとぎりぎりここで詰めるつもりありませんが、いずれにしても二百八十一条の四の二項の考慮規定というものは、懲戒であるとか損害賠償であるとか、あるいは起訴、不起訴か、あるいは裁判所司法判断とか、すべての場合に適切に参酌されるそういう規定であると、二項はね、という理解を持っておられますか。どうですか。
  27. 山崎潮

    政府参考人山崎潮君) ただいま修正案提案者でございます漆原議員から御答弁ございましたけれども、私どもも同様の認識を持っている、同様に考えているということでございます。
  28. 江田五月

    江田五月君 さてそこで、ところが、どんどん時間がたって、しまったなと今思っているんですけれども、ところで、二項には今お話しになったようなことで抜けている実は重要な記述がある。公判期日での取調べ有無、それからその方法公判期日でどういうふうに取り調べられたか、あるいは取り調べられたかどうか、こういうことが参酌される要件として書いてあるわけですね。  公判期日というものはかなりこれ重要なものだと。つまり、裁判で出てくる証拠関係ですから、これは。その裁判というのは公開の法廷で行わなきゃならぬ。裁判公開確定記録が今度はだれでも見れる、そういうふうにして裁判というのは国民皆さんに、さあだれでも見てください、傍聴だれでも来てくださいといってやるものだと。そういう、正に憲法上の大原則である、どんなに嫌だってやっぱり裁判公開でやらなきゃいけないという、そういう大原則である裁判刑事裁判においては、これが公判期日で行われるという、そこで調べられたということをあえて文章にして書いてあるという、この意味はどういうふうに理解されておりますか、修正案提出者
  29. 佐々木秀典

    衆議院議員佐々木秀典君) 佐々木でございます。  今、委員指摘のように、これは公判公開されたかどうかということは一つの大きな基準になるのは間違いないんですね。  しかし、そうかといって、それでは公判公開されたものすべてがその目的外で使われることも許容できるかというと、中にはやはり、例えば証拠の性質などによっても問題があるものがあるんじゃないかと思うんです。  例えば、殺人事件被害者被害状況を示す写真などですね。非常に残虐的な状態だなどというものを、これはやはり公判に出されたという場合にも、それから仮にその裁判が確定した後であっても、やはりそれを対外的に人目にさらすというようなことについてはやはり問題があるのではないだろうか、その目的いかんにかかわらず。  かかわらずというよりも、目的によってはということは、正当化されることもあると思うんですけれども、そういうことをやはり考慮しなければならないのではないだろうかというようなことも考えておるわけでございまして、やはりその違反行為悪質性程度という判断を考えるに当たっては、確かに公開されているかどうかということは重要な要素の一つにはなりますから、その処分だとか、例えばそのことが、目的外使用がこの条文との関係であるいは事件にされそうだとか、あるいは被疑事件として捜査するとか、あるいは起訴されて被告事件になるとかという場合には、しかし判断の大きな大きなポイントになることは間違いないだろうと、そんな思いでこのことを私どもとしては修正項目に入れて、そういうように理解していると、こういうことでございます。
  30. 江田五月

    江田五月君 証拠もいろんな形のものがあります。供述調書なんていうのは最近はもうパソコンで打っているわけで、そのパソコンの印字の形状がどうであるなんてことはどうでもいいことですよね。そういうものが複製で出回ったからといったって、そのこと自体に特に特色というか個性はないわけですから、公判期日で調べられて、ちゃんと朗読がなされて内容がもう公衆に全部分かっている、それが目的外使用だからといってすぐに刑罰を科さなきゃならぬとかいうようなものになるというのはちょっと違いますよということで、公判期日での取調べ有無方法ということがちゃんと書かれている。  したがって、そこでの態様いかんによって目的外使用許容性というのは大きく違って、その公判期日できっちり取り調べられた、しかもその証拠自体に特別の個性というものがない、そういうものについては複製等はしたってそれは平気ですよというようなことがにじみ出た規定だと思いますが、いかがですか。
  31. 佐々木秀典

    衆議院議員佐々木秀典君) 委員おっしゃるとおりだと私ども理解をしております。そういうつもりでこの修正も作ったということでございますので、運用に当たっては十分ただいまのような御指摘が配慮されるものと、こう期待をしております。
  32. 江田五月

    江田五月君 改革推進本部の方、今のような修正案提出者期待というものは、これはちゃんと受け止めるお気持ちおありでしょうね。
  33. 山崎潮

    政府参考人山崎潮君) ただいま修正案提案者佐々木議員の方からお話ございました。私どももその意見を十分踏まえて今後の運用をしていきたいと、こういうふうに考えております。
  34. 江田五月

    江田五月君 やっぱり訴追判断、これは検察官が行う、あるいは司法判断、これは裁判所が行う、そういうときに、今の二項の規定というものは十分参酌されると、しかも特に公判期日で取り調べたかどうか、その方法はどうであったか、そういうこともちゃんと参酌されるということを確認をしておきます。  私としては、公判期日で、しかも十分に傍聴人にもよく分かる形で取り調べた、そういう証拠目的外使用されたからといって、すぐ犯罪行為を成すという、これはやはり公判期日要件というのは犯罪行為の成否のところにもかかわる一つの重要な要件だと私は思っておりますが、これは答弁を求めません。  修正案皆さん、結構です。どうもありがとうございました。  そこで、元へ戻りまして、おととい、新聞に最高裁模擬裁判してみたらというのが出まして、裁判員困惑、厚い書類読むの大変、どっちの主張にも納得、最高裁が模擬裁判したら、これは大変なことだという、そういう記事が出たんですが、こういう模擬裁判というのはやったことあるんですか、最高裁。
  35. 大野市太郎

    最高裁判所長官代理者大野市太郎君) 記事にありますとおり、本年の四月の上旬に裁判員裁判のシミュレーションといいますか、模擬裁判を行ったことございます。
  36. 江田五月

    江田五月君 これは、この記事で読む限りでいえば、従来の刑事裁判のやり方で裁判員裁判をやってみたというように読めるんですけれども、何か記録が、この漫画で見ると記録がこんなになっているの、何メートルあるんですかね。従来の裁判刑事裁判のやり方で裁判員裁判をやってみるということ自体がおかしいんじゃないかと思いますが、どういう趣旨で従来の制度でやってみたんですか。
  37. 大野市太郎

    最高裁判所長官代理者大野市太郎君) 従来のやり方ということではございませんで、できるだけ公判廷で心証を取ってもらうということで、私どもとしましては、証拠書類についてはできるだけ絞ってみると、それから争点に関する部分につきましてはできるだけ朗読に近いような形でやってみる、あるいはプロジェクター等を使ってやると、あるいは人形等も使って、聞くだけでなく見て分かるというようなことを試みました。  それで、公判廷での証拠調べでどれだけ裁判員の方々が分かってもらえるようにするためにどうしたらいいかという工夫をしてみたわけですが、必ずしもそれが成功したとは言えないといいますか、分かってもらえなかったと。もし分かってもらえないとすると、その書証を読んでもらうというようなことになってはこれは大変であると、そういう趣旨で、私どもが、裁判員の方が記録を読むのは大変なことであると、それが量が多くなればますます大変になるでしょうという趣旨での印象といいますか、感想を述べたものでありますけれども
  38. 江田五月

    江田五月君 なるほどね。漫画では書類が二メートルぐらい積み上がっていますが、文章の中身では、書類は厚さ五センチ、約四百ページ。それでも大変ですが。  そうですか、私はもうちょっと善意に解釈していたんですよ。従来の刑事裁判のやり方でやってみて、それで裁判員制度でそれをやってみて、ああ、ここは変えなきゃいけぬ、ここは変えなきゃいけないというところが一杯論点が上がってくるというので、まず従来のものでそのままやったらこれは大変だという、そういう結果をまず得て、で、どういうふうに変えていったら裁判員制度ができるかなという、そういう資料集めのために従来どおりのことをやってごらんになったのかなと。それはちょっと善意に解釈し過ぎだったわけですかね。  いずれにしても、この直接主義、口頭主義をもっと徹底した手続になっていかなきゃいけないので、こういうことをずっと重ねながら、どういうふうにしたらうまくいけるか、できるかというのを研究されるのだと思いますが、こういうものをおやりになって、これは報告書か何か出るんですかね。
  39. 大野市太郎

    最高裁判所長官代理者大野市太郎君) まだまだ試行といいますか、私どもも手探りの状態でやっているところでありますので、まだお示しできるような資料は現在のところはないということでございます。
  40. 江田五月

    江田五月君 どうぞ願わくば、最高裁でこういう模擬裁判をなさるときもなるべくオープンにひとつやっていただいて、みんなでこの問題点についての認識を共有しながら、これをよりいいものにしていく方法をお取りいただきたいと思いますが。  それともう一つは、確かに裁判員困惑だろうと思います。だけれども、こう「裁判員困惑」と、こんなに大きな活字が並ぶと、やっぱり国民皆さん、これは裁判員制度は良くないというふうにすぐ思ってしまうので、そこは、もし従来のやり方でやるとこんなに大変になるという、そういう資料集めでおやりになっているんだったら、そういう趣旨がちゃんと伝わるような打ち出し方の工夫はされた方がいいと御要望しておきます。  確かにいろんな論点が出てきて、例えば裁判員同士が話をするのに打ち解ける、それだけでも約一時間の評議の最後になってやっと打ち解けられたというようなことですから、そういう人間関係を作っていく技術なんてもう、裁判員制度を実際に円滑に動かしていこうと思うと大変だということとか、いろいろありますが。  もう一つ、こういう模擬裁判のほかに、前回質疑のときに私は弁護士会が作った映画「裁判員」のことを申しました。大臣ごらんいただいたということでございます。副大臣政務官はいかがでしょうか。簡単に、ごらんになったら感想を、簡単にで結構ですからお述べください。
  41. 野沢太三

    ○国務大臣(野沢太三君) 委員から御示唆をいただきまして早速見たわけでございますが、全部見終わった結論といたしましては、改めて、一般の人の参加する裁判の信頼性ということについて、やっぱりこれでいいんだという再確認をした思いでございます。  具体的には、専門の裁判官が事務的に最初対応していてロボットのようだと言われていたのが、評議を重ねるうちにだんだん変わってきたと。で、心証が最終的には変わったというこの一つ。それから、目撃していました証人が二人、全く反対の証言をしておられますが、そのどちらを裁判員の方が信用するかという、これが大変ドラマチックに浮き彫りになりまして、結論がいい方向に行ったと。この点も大変興味深く拝察をいたしました。  見終わったときの感想は、先ほど申しましたとおり、やっぱり大勢で常識で判断するということの正しさを私も確認したんですが、一緒に見ていた家内は、とても大変でこれはやりたくないと、これが正直な話でございまして、はっきりしていることは、まず私の場合には家内から説得せねばならぬかなというくらい、まだまだこの制度国民の皆様に定着、理解していただくには相当な努力が要るというのが一つ残った次第でございます。  以上です。
  42. 江田五月

    江田五月君 時間がありませんので、副大臣政務官、済みません、今の感想はまた、しっかりごらんになっておいて、十分反芻してみていただきたいと思います。  あの「裁判員」というのは評議がテーマなんですが、評議の前に実は整理の手続があったはずだと思うんですが、あれをごらんになって、山崎さん、ごらんになっていますよね、どんな整理があったと想像されますか。
  43. 山崎潮

    政府参考人山崎潮君) 私、多分一年ぐらい前に見ておりますが、実はその目撃証人と言われるその少年ですね、この少年がどこの段階で判明したのか、あるいはちょっとその供述調書があったのかどうかとかですね、その辺の詳細が、私、余りよく記憶しておりません、記憶していないのは正しい反応だと思いますけれども。  それで、具体的なことを申し上げるのはちょっとなかなか難しいんでございますけれども、仮にこの証人、その少年の供述調書があるという前提であれば、まず検察の方からもう一人の目撃者の調書等が出されて、それで自分で突き落としたんではないということであれば、その調書は不同意だということになろうかと思います。そうなりますと、証人で調べていくということになろうかと思います。それ以外の争いのないものについては、あるいは同意をして書面を出していくと。こういう手続を公判前整理手続でやっていくだろうと思います。  その検事の方から出されたことに関して、今度、被告人側の主張ということになるわけでございますので、そうなりますと自分は突き落としてはいないと、こういう主張をするわけでございます。争点が、突き落としたのかそうでないのかというのが明らかになってくるわけでございます。そこで、必要であらば証拠開示手続等もございますので、必要なものについては被告人の側の方から開示を申し立てる、検察の方でその書証等を開示をしていくと、こういう手続になっていくと。それで最終的に争点を絞って、証人はだれにするか、何日で審理を行うかと、こういうことが前提であの場面につながっていくんだろうというふうに理解をしております。
  44. 江田五月

    江田五月君 あの事件では争点というのは、突き落としたのか足を踏み外したのかということなんですね。  裁判官が一番最初に、まあ今日の事件は簡単だろうとかいう、つまり被告人も自白をしていますし、現実に死んでいるという事実もはっきりしているわけだしというような裁判官らしい事件の読み、これをまず持って出ていくわけですよね。しかし、実際には突き落としたか踏み外したかというところで。だから、ちょっとあのドラマ、その辺はきっちりできていないかもしれませんよね。もし、事前の整理の手続で、突き落としたか踏み外したかが争点であると、それには二人の目撃、別の目撃証人がいるというようなことがはっきりしておれば、裁判官が今日はまあ簡単だというような印象を持って臨むということはないですよね。  しかし、裁判員制度の適切な、あるいは予定された、こうあってほしいと思われるそういう手続からすると、事前の整理があって、今の突き落としたか踏み外したかが争点だということがはっきりして、証人はそれぞれこうなっていてということで法廷に臨むということがいいんだと思うんですが。  さてそこで、裁判官でもまあ今日のは簡単だというようなことですから、検察官の方は、取調べ予定証拠としては下から目撃していた奥さんの調書と、それから被告人の方は、私悪いことをしたと言っているわけですから、そういう被告人供述調書と、そんなものをちゃんと用意して出てくると。供述調書を用意するのがいいのか、初めから証人でいくのがいいのか、直接主義ですから初めから証人の方がいいかと思いますけれども。上で見ていた、踏み外したと言う少年は隠されているわけですよね。隠されているわけですよ。  事前の整理の段階で、そこまでそういう目撃証人がいて、そういう供述調書もあるというようなことがどうやって分かるんだと。この法案証拠開示の一連のプロセスの中で、そういうものがあるということがなぜ分かるのか。これは私は大変疑問だと思うんですが、どうお答えになりますか。
  45. 山崎潮

    政府参考人山崎潮君) 正に、突き落としたのか足を踏み外したのかというところがポイントでございます。  被告人側の方としては、自分はやっていないんだということで主張をするということになります。そうなった場合に、検察の方からはもちろん目撃証人という形の供述調書が出てきますけれども、この場合に、自分の主張、あるいは検察が証明しようとしているその証明力、重要なポイントについてそれを争うということであれば、それだけなのか、それ以外にも証拠があるのかという可能性が当然あるわけでございますので、それならば犯行現場を目撃した者の供述調書、これについて開示を求めるという形で概括的な特定で求めていただければあるものは出すという、そういう構造になっております。  あるいは手続的には、釈明等を通じて、ほかに現場にいろいろ遺留物があったのかどうか、あるいはほかにも目撃者がいたかどうかとか、そういうような釈明も可能であろうと思いますし、今のような手続で証拠開示の請求をしていただければ重要なものについてはお出しをすると、こういう構造になります。
  46. 江田五月

    江田五月君 そこはもう少し実態というものについての洞察力を持っていただきたい、裁判の実態についてですね。  つまり、下で見ていた主婦の突き落としたという目撃証言があると。被告人はどうかというと、自分は悪いことをしたと思っているわけですからね。ですから、そんなに、私は突き落としたんじゃありませんなんということを言えるような心境にない。むしろ、取調べで密室でずっと身柄を拘束されて、その中でずっとそういう、もうこれは認めて、亡くなったお母さんを、償わなかったら、の霊を弔わなかったらいけないという、そんな心境になってしまうわけですからね。ですから、上の少年が足を踏み外したというのを見ているなんということは隠れてしまうんですよね。弁護人だって、よっぽど洞察力が、神業的洞察力がなかったら、そんな証人がいるなんてことを想像しないですよ。  それで、今のように、しかも概括的な請求でいいんだとおっしゃいますが、刑訴法三百十六条の十五の証明力を判断する証拠という規定、あるいは同条の二十の主張に関連する証拠だって、ある程度証拠を特定して開示を請求しろというふうに読めなくもない。そんなに漠たるこの行為態様について関係する証拠と。行為というのは、つまり突き落としたか足を踏み外したか、そこの社会的事実についての関連する証拠というようなことでもいいんですか。どのくらいあそこは証拠開示を請求するときに特定するんですか。
  47. 山崎潮

    政府参考人山崎潮君) まず、前提でちょっと申し上げたいんですけれども、仮に検察側の方で少年Aの供述、これを分かっているという状況であれば、もう少しいろいろ捜査がされただろうということにもなりますので、そこのところはちょっとよく、私も具体的なシチュエーションが分からないので何とも言えないんですけれども、一般論でちょっと申し上げますと、先ほど来申し上げておりますけれども、その特定につきましては開示の請求に係る証拠を識別するに足りる事項というふうに申しておりまして、これは例えば具体的に申し上げれば、犯行状況の目撃者の供述調書、こういう範疇のが一つ、それから犯行現場から押収された証拠物とか、こういう形で結構でございます。  したがいまして、弁護人が具体的に、他の参考人ですね、少年の供述調書の存在を認識していない場合であっても、そういう形で請求がされれば、それが証明力を争うについて重要である、あるいは被告人の主張にとって重要であるというものについては、弊害の有無等はもちろんありますけれども、これはお出しをしていくと、こういうことでございます。
  48. 江田五月

    江田五月君 その識別と言っても、何かやみ夜で手探りで証拠はどこにあるかと言っているようなもので、私はやはり、それ、全部証拠の隅々まで開示をしろとは言いませんけれども、一応こういう手持ち証拠がありますと、その証拠のリストぐらいのことはちゃんと開示をすべきではないかと思いますが、まあこれは、これから施行までの間にいろんな模擬裁判などなどやってごらんになって、そこからこの開示でいいかなということはまた再検討していただきたいと思います。  その他一杯聞くことがあるんですけれども、実は大臣、面白いことがあって、大阪で公聴会をやってきたんですよ。その公聴会で、検察審査協会というのがありまして、これは検察審査会の検察審査員か、これを経験した皆さんの同窓会かな、その会なんですが、ここの遠藤一清という公述人が来てくれまして、この人が、速記を取っていますので後で速記を見ればはっきりしますが、私のメモだと、毎年、裁判員と検審員、検察審査員、これで二万一千人もの人が刑事裁判にかかわるんだと。検察審査会へ行くと、結構皆何か刑事裁判というものにかかわって、ある種の達成感、満足感を持って帰って、ああ良かったというように思うというんですね。  別の見方で言うと、二十から七十まで裁判員やるわけですから、一人の人生の中で大体五十年、その五十年がたったら制度が平衡状態に移るわけですよね。そうすると、五十年というタームで見ると、国民七十九人に一人が裁判員を一度は経験するんだというんですね、五十年間で。こういう皆さんがそれぞれ裁判員の経験というのを社会にずっと伝えていく。で、裁判員として裁判に参加することである種の達成感あるいは満足感が得られれば、その人々が社会で発言していくことによって日本社会が変わってくる可能性があると、こう遠藤さんはおっしゃるんです。  つまり、犯罪とか裁判とかに直接に触れることによって人や社会に対する理解あるいは思い、こういうものが深まっていって、自分たち中心の社会から思いやりのある社会に社会というものが変わっていくんじゃないか、こういうことを言われたんですが、これ、大臣、どういう、直接本人からお聞きにならないと、私の説明では十分伝わらないかもしれませんが、大体感じはお分かりでしょうかね、どういう感想をお持ちになりますか。
  49. 野沢太三

    ○国務大臣(野沢太三君) 実は私の知り合いにも検察審査会でもう既に何十年にわたってお務めいただいてきたという、こういう方がおります。その方が改めて私のところへごあいさつに来てくれまして、今度の裁判員制度というものは大変意義のあるものというアドバイスを言っておられました。  公聴会での御発言は要約の方で拝聴しておりますけれども、この裁判員制度の導入によりまして国民刑事裁判過程に直接参加していただくことは、裁判員を経験した方々に社会秩序や治安あるいは犯罪の被害や人権といった問題について自分たちにもかかわりのある問題としてお考えいただく契機にもなるものと考えておりまして、その意味で大変意義のある制度ですが、私は、この制度が実効ある形で動き出しますと、ある意味で日本の社会の遵法精神といいますか、そういった意味でのバックボーンになるんじゃないかなと、こう思うわけでございます。  そう急には目立たないけれども、本当に日本が法によって秩序を維持し、住みやすく、また明るい社会に変わっていく大きなきっかけというふうに考えておりまして、その意味で、検察関係で半世紀にわたる実績を積んでこられた方々の御意見も大変参考になることと考えております。
  50. 江田五月

    江田五月君 犯罪というのは、やっぱり一つ一つが生きたドラマなんですよね。犯人といえども、その犯行に至る過程でこういう葛藤があったんだとか、なるほどああいうつらい思いをしたんだとか、いろいろある。被害者の方も、もちろん被害に遭ったということがどれほど深い人生における傷となっているかといったことも、これも理解していかなきゃならぬ。そういうことを、生きた裁判に素人の人たちがかかわることによって、事件をワイドショー的に見るのとまた違う理解ができてくるわけですよね。そういうものが社会にずっと伝わることによって、この人間社会がもっと、人がお互いに理解し合っていこうという、そういうレベルに達していくんじゃないかと、そんなことを言われているわけで。  さてそこで、そうだとすると、そういうことも期待しようとすると、もちろん守秘義務で一定のものは、それは掛けなきゃいけないことは分かりますが、なるべく裁判員で経験したことは大いにひとつみんなに話してくださいねという、そういう態度の方がむしろいいのではないか。守秘義務で口を閉ざしてしまうより、裁判員の経験を社会に広げることを推奨した方がいいと思いますが、どうですか。
  51. 野沢太三

    ○国務大臣(野沢太三君) 評議の秘密についての守秘義務を課すという点につきましては、裁判の公正さや裁判への信頼を確保したり、評議における自由な意見表明を保障するためにはやむを得ないということでございます。  しかしながら、評議の秘密その他の職務上知り得た秘密に当たらない限り、委員今御指摘をいただいているとおり、裁判員経験者が経験談を大いに述べていただきまして、将来の社会のためにも、あるいはさらにこれから参加していただける方の御参考にもなることでございますので、大いにこれは意義あることと考えております。
  52. 江田五月

    江田五月君 評議のことでも、裁判官というのは随分頭が固い、ロボットみたいだったと思ったけれども、だんだんやっぱり話していたら、あの人たちも人間なのよねというような、そんなことも面白い話なんですよね。何かそれがばれたからといって、別段困ることは全くないと思う。私は、裁判のような場面であっても、そんなに人間社会で秘密は多いことないので、評議のようなところでもむしろ秘密は本当にもうわずかなところで、多くのことは大体どこに出したって別に天地神明に恥じるようなことは何もないので、なるべくおおらかにいった方がいい、なるべくおおらかに運用した方がいいと思います。  裁判員皆さんが、例えば雇用の場で不利益になるんじゃないかといろんな心配をお持ちになる。山崎局長は、もし解雇されたらそれは司法上無効であるから、解雇無効の裁判をやったら元へ戻るという答弁されていましたが、さて、そんな裁判までやって復職するようなことをしたらますますその会社にいられなくなるというのが実態なんですよね。  私は、だから、これはやっぱりそういうことじゃなくて、社会の実態を考えたら、裁判員皆さんの雇用の場を始めとするいろんな不安をなくしていくと。そのためにアフターケアに万遺漏なきを期するために、事後的にも、例えば裁判員をやってくれた皆さんのいろんな相談事に、刑務所へ行ったあの人が帰ってくるの私心配なんだけれどもというようなこともあるでしょう。いろんなことがあるでしょう。事後的なそういう心配事にも乗るような、そんなことも何か考えた方がいいんじゃないかと。  これは制度的にいろいろと詰める話じゃなくて、ちょっと問題提起としては誠に漠然と気持ちだけをちょっとお伝え、お話をしておきたいと思うんですが、そういう裁判員の事後のアフターケア、こうしたことも大切じゃないかという私の問題提起に、法務大臣、どうお答えになりますか。
  53. 野沢太三

    ○国務大臣(野沢太三君) 裁判員制度趣旨にかんがみまして、幅広い国民の皆様に裁判員となっていただくことが極めてこれ重要でございまして、様々な事情を抱える一般の国民の方々が裁判員として参加しやすくするためには様々な工夫が必要であると考えております。  具体的にどうするか、これから考えなければならぬわけでございますが、どの程度の結局事件が起こってくるか、あるいは御負担がどの程度のものか、また経済的な負担、事情を含め、あるいは財政事情を含めての国の対応もございますし、何よりもまず国民の皆様の意識の問題があろうと思います。  私ども法務省の場合には、いわゆる法律で定められていること以外に、例えば保護司さんの御活動のように全くボランティア的な御活動によって支えられている部分もございますので、この制度が動き出した暁には、裁判員になることがむしろ本当に国民として一つの誇りに思えるような国民的風潮といいましょうか、ムードを醸成するような一種の国民運動みたいなことを促していくということも大事なことと考えておりまして、これは事務的、法律的にどうするこうするということよりも、広く国民の皆様の御賛同をいただいた新しい法治社会を築いていくんだと、こういうことが全体の中で醸成されるような運動を進められたらいいかなと、こう思っておるところでございます。
  54. 江田五月

    江田五月君 評議と評決についてちょっとだけ伺っておきますが、私は、やはり評議、評決についてはルールをきっちり作っておく必要があると思います。そのルールも、最高裁規則というようなものにするのがいいのか、あるいはモデルルールとか御推奨メニューとか、そういうような形かも分かりませんけれども、何かやっぱりないと、小田原評定で、会議は踊るで、結局結論は何だか訳が分からず丸め込まれたという感じを持って帰ったんじゃ大変ですからね。  そこで、これは最高裁に伺うんですが、例えば意見を言う順序は裁判員からの方がいいですとか、あるいは若い人からの方がいいですとかというような、そういうルールぐらいは作られたらどうです。それがないと、さっきの模擬裁判じゃないけれども、一時間も掛かってやっと最後に打ち解けたということになって、打ち解けるだけで時間を費やしてしまうということじゃ大変ですが、いかがですか。
  55. 大野市太郎

    最高裁判所長官代理者大野市太郎君) 合議という、評議といいますのは本当に事件によって千差万別ですし、その構成によって、年が若いから、あるいは高齢だから、話がすぐに出てくる人かどうかとかいろいろあるかと思うんです。もちろん、裁判員から先に話をしていただくということは、これはもう評議をする上で裁判官が心掛けておくべきことだろうと思います。  ただ、若い人からがいいといったようなことを含めて、いろいろな事案の中で、そして来られた方、どういう方が来られているのかという辺りを裁判官がいろいろな接触する場面の中で確認しながら、どの方から発言してもらうのが一番適切なのかという辺りを考えていくことになるんだろうと思いますので、そこを一定のルール化してしまうことについては必ずしも適切でない場面も生ずるのではないかというふうに考えております。
  56. 江田五月

    江田五月君 適切でない場面も生ずるかもしれませんから、余りがっちりしたものじゃなくて、しかし、こういうモデルというようなものはあった方がいいんじゃないかということを言っているんですが。  そこで、最後の評決なんですが、これ、過半数ということにはなってはいるんですけれども裁判員皆さんが、もういろんな議論をした後、自分としてはこの意見でもうこれで変わるようなことはない、しかしみんなが一つのものにならない、それならしようがないから、じゃ過半数で決めましょうねという、そういう納得を得た上で評決ということにならないと、ぱらぱらっと意見言いました、はいはい、じゃもう評決ですと、これで過半数ですからというんじゃ、達成感、満足感というものは出てこないと思うんですね。  ですから、評決で最後決めるというときには、その評決で決を採って決めるということについてのみんなの納得、これを非常に大切にしていかなければいい運用にならないと思うんですが、いかがですか。
  57. 大野市太郎

    最高裁判所長官代理者大野市太郎君) おっしゃるとおりで、裁判官としましてもできるだけ評議を尽くして、意見が一致するというところまで評議を尽くしていきたいというふうに思っております。  しかしながら、それでも意見が一致しない場合、もうぎりぎりやっても結局は意見がなかなか一致できないという場合には、恐らく評決をせざるを得ないと思います。その際にもできるだけ、もうここまで議論して意見は一致しませんねということで、ほかの方の、裁判員の方々の意見も聞いた上で納得できるような形でやっていきたいと思います。  ただ、その場合でも、一人でも、いや、もう少しということがあった場合に、ほかの方々はもう結構ですと言っているときにどうするかと。そこまでやるかとなると、それは状況の問題かなというふうに思っております。
  58. 江田五月

    江田五月君 そのほかにも今日は、公判記録をどういうふうに作っていくのか、記録の編綴をどうするのかなどといったような技術的なこともいろいろ聞きたかったんですが、時間がありません、終わります。     ─────────────
  59. 山本保

    委員長山本保君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、千葉景子君が委員辞任され、その補欠として大渕絹子君が選任されました。     ─────────────
  60. 角田義一

    角田義一君 民主党・新緑の角田です。  裁判員制度、それから刑事訴訟法の改正の大詰めの質疑になってまいりましたので、今までの質疑を聞いておる中で、やや、先生方いろいろの観点からお尋ねになっていますけれども、やっぱりどうしても聞いておいた方がいいと思うものが私なりに幾つかありますので、お尋ねをさせていただきます。  まず、裁判員制度の方ですが、第一章の総則の第二条に、言わば、三人の裁判官と六人の裁判員でやる事件と、それから、裁判官一人と裁判員三人でやる四人の合議体の事件、二種類あるようでありますが、その裁判官一人とそれから裁判員三人でやるやつ、これはどういうときにこういうふうになるんでしょうか。まず、その辺の制度からちょっと説明をいただきましょうか。
  61. 山崎潮

    政府参考人山崎潮君) 原則形態は裁判官三人と裁判員六人ということになりますけれども、この手続に移る前に必ず公判前の整理手続を行うことになります。その段階で被告人が事実関係も全く争っていない、それから、そこに関係するいろいろ訴訟手続上の問題あるいは法律解釈上の問題も大きな問題は出てこないというようなことが確認されるような事件があります。これにつきまして、当事者にも異議がないというような事件があった場合に、必ずしも裁判官三人に裁判員六人という大きな規模の単位で裁判を行っていく必要まではないのではないか、もう少し小さな単位で行っていってもいいのではないかと。これによりましても裁判官一人と裁判員四人でございますから、複数の目をもって最終的に量刑がどのぐらいになるかということを定めていくわけでございます。  そういうことから、公正な裁判が行えるだろうということから、こういう単位のものも認めようと、こういう判断をしたわけでございます。
  62. 角田義一

    角田義一君 そこで、ちょっと技術的なことで恐縮なんですけれども、この第二条の第三項となるのかな、「裁判所は、裁判官一人及び裁判員四人から成る合議体を構成して審理及び裁判をする旨の決定をすることができる。」となっていますね。決定ですから、これはどの裁判官が、裁判所がやるけれども、現実にはどの裁判所がやるんですか。証拠調べとか整理をしてきて、一人の裁判官がこれはもう一人と三人でいいというふうに決めるのか、それとも、合議体の裁判官ですね、三人の合議体の裁判官、死刑とか無期とかいろいろあるわけですから、重たい裁判、その合議体が決めるんですか。技術的なことだけちょっと聞いておきたい。
  63. 山崎潮

    政府参考人山崎潮君) 公判前整理手続につきましても裁判官三人でやるわけで、裁判官三人でやるわけでございますので、そこの判断として、合議体の判断としてこれは裁判官一人、裁判員四人でいいと、こう決めて、どの裁判官にやってもらうかということを決めてやるわけでございます。一人で判断するわけではございません。
  64. 角田義一

    角田義一君 これを見ると、法律とすればこうなっちゃうんだろうけれども、争いがまずない、それから、事件内容その他の事情を考慮して適当と、適当にやられちゃ困るんだけれども、文字どおり正しい意味で適当にやってもらわなくちゃいかぬのだが、例えば、例を挙げて申し訳ないけれども、殺人でもいろいろありますわな。例えば嬰児殺なんというのもこれは殺人になりますけれども、私のつたない経験で言うと、大体、嬰児殺はよほどの事情がない限り執行猶予になりますよ。被告人は女性だし、弁護士が優秀な弁護士が付いてちゃんと弁論して、その女性がはらはらと涙を流せば、大体三人の裁判官は、大体男が多いかもしれないけれども、大体執行猶予にする、私のつたない経験で言うと。  そういう、例えばこれは同じ殺人罪だという罪名になっておるけれども、事案からいって執行猶予になる可能性もあるなと、してもいいんだなとか、そういうことなんでしょうかな、この適当というのは。その適当、適当の説明をするのは難しいと思うけれども、ちょっと説明してくれませんかね、どういうことをイメージしているんだかね。
  65. 山崎潮

    政府参考人山崎潮君) これ、先ほど、被告人がその事実を争っていないことと法律上あるいは訴訟手続上の問題もないというふうに申し上げましたけれども、これ以外に、その他の事情、いろいろ裁判所も考えますので、量刑上もそう大きく意見が分かれるようなものについては場合によっては適当ではないということになるわけでございまして、そういうものについてはやっぱり大きな単位の合議体できちっと決めていただく。そういうことも余り考えられない、ただいま御指摘のような例が、全部が全部そうかは分かりませんけれども、例えばそういうようなもので両当事者も異議がないと、こういうものについてやっていこうということでございますので、大体今委員指摘のようなイメージだろうというふうに思っております。
  66. 角田義一

    角田義一君 裁判だから、生き物だから、最初はそう思ってやったところが、どんなことが起きるか分からないんで、先ほど江田先生言ったとおり、ドラマ、ドラマ的要素も裁判にはあるので、事務手続というか、公判前のあれでは認めておったけれども、実際に一人と三人で始めたところが、ある日突然、否認を始めて、私じゃない、犯人は別にいるとかいう大騒動になったときには、これどうするんですか。そのまま突っ込んでいっちゃうのか、それとも元の三人と六人に戻すのかね。
  67. 山崎潮

    政府参考人山崎潮君) 確かに事件はいろいろ、生き物でございますので、公判になってどういう事態が生ずるか分からないわけでございます。  やはり、やっている最中にこの手続でやるのが相当でないというような事情が出てきたという場合には、この決定手続を取り消すという手続を設けておりまして、取り消しますと元へ戻りますので、裁判官三人と裁判員六名の方でやっていただくということになります。したがいまして、裁判官二名をプラスと、それから裁判員の方二名ですね、これをプラスをしなければならないという形にはなりますけれども、そういう原則形態に戻して審理をすると、こういうことでございます。
  68. 角田義一

    角田義一君 そうすると、そのとき、局長、最初一人と三人でやっておった裁判員の人というのは、ほかに新たに二人、じゃ足すわけですね。その二人というのは全然前の審理はタッチしていないわけだね。分かっていないわけですよ。だけれども、あとの、前の人たちは分かっているわけだ。そうすると、全然分かっていない二人の裁判官を入れてやるわけだけれども、そのとき手続はどうするんですか。一種の方針じゃないけれども、これ、前の人は分かっていますよね。だが、後の人は全然分かっていないわけですよ。認識というか情報の量が全く違うわけで、そこで始まっていくわけですよ、今度は。これどういうふうに、どういう対応していくのかな。どういうふうに合理的に対応していくのかな。
  69. 山崎潮

    政府参考人山崎潮君) 論理的可能性としては、裁判員の方でも補充裁判員が置かれている場合、こういう場合には現実的に聞いているということになるわけでございますが、全く聞いていない方が入るということもあります。裁判官は、二人は聞いていないということになるわけでございますので、審理にこれから新しく加わりますので、公判手続の更新手続といいますか、公判の更新手続、これを経るということになります。  更新のやり方については、これ様々な、いろんな工夫を重ねて分かりやすいものでやっていくということになるわけでございますけれども、それによって、一応、前提の知識はスタートとして同じになるような形を取ってやるということでございます。
  70. 角田義一

    角田義一君 かなりそうなった場合にはややこしい手続になると思いますけれどもね。恐らく裁判所だって、何というかな、一人と三人でやっておったものが更にまた元に戻るときにどうしたらいいかというようなことについては、ある程度施行前にきちっと対応については考えておられると思うんですけれども、どうですか、刑事局長、最高裁。
  71. 大野市太郎

    最高裁判所長官代理者大野市太郎君) ですから、公判前の整理手続の中で、やっぱりどこまできちっと見極めができるか、正しい判断ができるかというところが一番大きなところだろうと思います。  結局、一、四という構成でできないということが審理開始後分かれば、今、山崎局長が述べたような手続に入っていかざるを得ないというふうに思っております。
  72. 角田義一

    角田義一君 じゃ、それはそれでこの程度にしておきます。  それからもう一つ、十五条に、「次の各号のいずれかに該当する者は、裁判員の職務に就くことができない。」といって就職禁止事由というのがあります。  これは幾つかずっと例示があるんですけれども、分からぬではない面もあるんだが、一つには、まず聞いておきたいのは、どういう基本的な原則とか基本的な理念があってこういう人たちは駄目だと。まず、共通のあれがありますか、ベースがありますか、あるいは全部、これは個々に全部違いますか、理由は。
  73. 山崎潮

    政府参考人山崎潮君) 基本的には、まず一つは、三権との関係ですね。これは司法権の中にあるいは行政の方、国会の方が入っていくという関係もございますので、そういう方については控えていただこうという発想がまずございます。それからもう一つは、いわゆる裁判に従事しているような方々ですね、広い意味で、いろんなタイプがありますけれども。こういう方については、一般の国民の考え方を投影するということよりも、もうそこのある意味での有識者になってしまうわけですね、裁判については。そういう方については御遠慮を願う、こういうような発想。それ以外に、いろいろな職務上のものとして支障を抱える場合、そういうような方々について就職禁止事由にしようと。  大ざっぱに言えば、そういう考え方でできているということでございます。
  74. 角田義一

    角田義一君 私、一番気になったのは、この第十五条の十八項というのか十八号というのか、要するに、自衛官と書いてあるわけです、自衛官。自衛官つっくるみでなぜあれなんですか、就職禁止になるんですか。つっくるみというのは分かりますか。どの自衛官もみんなつっくるみで、みんな駄目になっちゃうんだ、これ。方言で申し訳ない。
  75. 山崎潮

    政府参考人山崎潮君) 自衛官については、その任務から考えて、いついかなる緊急事態が生ずるか分からないという、そういう職務でございます。したがいまして、そういう観点から、自衛官、どういう自衛官であろうとどういう立場であろうと、これは全隊員除くと、こういうことでございます。
  76. 角田義一

    角田義一君 それはあなた、説得力全くないよ。そんなこと言ったら、消防士どうするんだい。消防士、これ、あれですよ、入っていますよ、問題ないですよ。お巡りさんだって司法警察員でなきゃいいんだから。これはだれが考えたって、自衛官というつっくるみで、自衛官の中にはお医者さんもいるんだよ、看護師の人たちもいるんだよ。いろいろな人いるんですよ、職種の人。工兵隊もいるんだよ。そういうのを全部つっくるみで自衛官という名でくくっちゃって、あなた方排除するというのは、これは納得できないですよ。自衛官にしてみれば、何でこれ、なれないんだと思いますよ。こんな粗っぽい法律ない。こんなこと言っちゃ、みんな全会一致で来たから余り言わないけれども、こんな粗っぽい法律ないよ。これ納得できないよ、僕は、このままじゃ。
  77. 山崎潮

    政府参考人山崎潮君) これは、それはほかにも、その緊急事態を抱える方、それはおられますけれども、自衛官それから防衛庁の職員ということで書かれているわけでございますが、それは、防衛庁の職員は一部でございますけれども、やっぱり有事が、有事の場合もあるわけでございまして、通常の緊急事態の場合にはいろいろ人に代わってもらうということも可能かもしれませんけれども、こういう有事のいろんなことが起こったときに、それはもうみんながそれに向かっていかざるを得ないというような性質のものでございます。  これは、検察審査会法ございますけれども、これも同じような禁止事由を設けておりまして、基本的にはそれにも倣ったということでございまして、前例がないというわけではございませんので、そこは御理解を賜りたいというふうに思います。
  78. 角田義一

    角田義一君 私は、この法案、骨太には賛成しているから、やらなきゃいかぬ法案と思っているからしますけれども、これ、個々に見ていくと、まだこれ詰めなきゃならぬ問題というのは一杯あるんですよ、と私は思う。大臣、私はそう思っているんです。  あなたは有事、有事なんて、有事なんというのはあっちゃ困るんだよ、もうはっきり言うけれども。福田赳夫という元、立派な総理大臣がおったんや。私の群馬の出身で、党派は違いますけれども、大先輩ですよね。この人は、政治家の最大任務は何か、それは、絶対に有事というものを招いてはいけない、有事を起こさせてはいけない、万万万が一あってもいけない、それが政治家のやることだと、こう言っているんですよ。あなたの言っているのは、万万万が一のことを前提にして自衛官はみんな排除しちまえというのは、これは私の郷土の大先輩の福田さんのあれからいったら誠に奇怪な論理だよ。有事なんということは本当に起こっちゃいけないんだよ、起こらしちゃいけないんだよ、我々みんな。普通に、自衛隊というのは普通に存在していて平穏無事でいるのが一番だ、それが最高なんだよ。だから、裁判員制度に出てこられるようにそれをきちっと我々はやらなきゃいけないんだけれども。そうじゃないですか。有事を前提にして自衛官が出てこられないなんという論理はとても納得できないな、僕は。
  79. 山崎潮

    政府参考人山崎潮君) 有事がそんなめったにあっては困るということは私も理解はできますけれども、ただ、そのためにこういう職種の方が置かれているわけでございますので、これはそういう理念から、起こったときにじゃどうするかといったときに、その方が有事のときに全然参加ができないということになったらやっぱりまずいわけでございますので、そういうことが起こらないように事前にそこは除外をしておくと、こう考えたわけでございまして、これは前例がないわけではないものでございますので、そこは御理解を賜りたいというように思います。
  80. 角田義一

    角田義一君 だってあれでしょう。裁判員だって補充員というのがいるんでね。何かあったときに困るからもう一人補充しているんじゃない。だったら、もし、そんなことがあったら困るけれども、緊急に自衛隊が出ていかなきゃならぬというときには補充員がいるんだからやればいいんだ。最初から自衛官を全部つっくるみで排除するというのはどう考えても合理的じゃないですよ。大臣、どう思う。
  81. 野沢太三

    ○国務大臣(野沢太三君) 有事があってはならないということは確かに政治家たる我々にとってもこれ最大の使命であると。これはもう異議ないところでございます。  ただ、この裁判員制度の仕組みの中では、できるだけ多くの人にという中で、やはり参加するのにいろいろと支障のある方について取りあえずこういう形でスタートをしようということで取り決めたわけでございますので、今後の運用の中でまた改めて御検討していただく機会もあろうかと思いますので、当面これでひとつスタートできれば有り難いと思っているわけでございます。
  82. 角田義一

    角田義一君 これは宿題として提起しておきます。今、大臣からそういう答弁があったからそれで了としますけれども、これはよく考えてほしいと私は思います。  それから、先ほど同僚の江田議員から御指摘がありました、この、あれですな、証拠目的外使用の問題でありますけれども、ちょっとこれは日付はつい、たしか二、三日前だと思いますけれども、朝日新聞に「私の視点」という論文が掲げられておりまして、早稲田大学法科大学院教授、弁護士で、高野隆さんという方が自分の経験に基づいてこの問題について論文をお書きになっておる。私も目を通しました。恐らく事前に質問の事項言ってあるから局長も読んでおられると思いますけれども、なかなか鋭い指摘ですね、これは。  要するに、要は、まず一つは捜査資料というかそういうものは国家権力、特に捜査機関が公の金を使って、税金を使って集めたものだと。したがって、それらについて一定の人たちが独占をして外に出さない、あるいは市民がそこにアクセスできないということになると、これは非常に問題だと。個人情報なり、そういうものはすべて捜査機関の独占物になってしまうのではないかと。公権力で集めたものはやはり基本的には国民のすべての財産だという発想に立って、しかも、公開の法廷でそれらが出た以上は、これはもう自由にアクセスしていいのではないかという一つのこの指摘だと思います。  私も、先ほど江田議員も言っていたけれども、やっぱり公開の法廷というのは相当重く見なきゃいけないと思うんですね。公開の法廷でやられたことを、これ、私はばらすとかばらさないという問題じゃないと思いますよ。公開の法廷でやられたものは公開の法廷でやられたんであって、それはもう公に、正に公にされたんで、それはよほどあくどい使われ方をするならともかく、その資料を国民の前にいろいろさらして、そして例えば冤罪を防ぐためのいろいろな協力者を得るというようなことは私は許されてもいいと思うんですね。  そういう今私が申し上げたようなことまで、あれですが、修正案を含めてだけれども、禁じるんですか。これ弁護活動を非常に萎縮させますよ。
  83. 山崎潮

    政府参考人山崎潮君) 公判で調べられた証拠については、確かにその傍聴人の方は分かるということにはなりますけれども、ただ、この中にはかなりプライバシーに触れるもの、あるいはその実態が赤裸々に全部出てしまうということがいいのかどうかという判断から、公判廷でも朗読はある程度控えながらやるという扱いが現に行われているわけでございまして、じゃ公判廷で調べたものであるからそれをすべて、じゃ確定記録のその閲覧の方でもオーケーにするかというのは、やっぱりプライバシーとかいろんな問題が生ずるわけでございます。  したがいまして、そういうものがないものについては当然その公判廷でも調べられましたし、あるいは確定記録でも見られるということになるわけでございますので、そういうものとそれ以外のもの、やはりプライバシー等が絡んでくるもの、こういうものについては若干違うんだろうと思います。  私ども考えておりますのは、この目的外使用禁止でございますけれども、これは証拠物の、証拠複製がそのまま出てしまうということによるプライバシー侵害等を考えているわけでございまして、この論文なんかで指摘しておられますように、いろいろな研究とかそういうことに使う場合には、そのものを出さなくもその要点を出して、それで研究をしていくということでできると私どもは思っておりまして、それについては禁止をしていないということでございますので、そこのところは何が何でも全部を駄目と言っているわけではないということで御理解を賜りたいというふうに思っております。
  84. 角田義一

    角田義一君 これは刑罰をもって処断をするということまでやられるわけだから、よほどその発動については抑制的、慎重にやりませんと裁判そのものが非常に暗いものになる、陰湿なものになるというふうに僕は思う。やっぱり裁判そのものはいい意味で公にされて、濶達にされた方がいいと思うんで、弁護人が余り萎縮して、何かやればすぐ手が後ろへ回るような、脅されながらやるような雰囲気は絶対私は公判廷中にあっちゃならぬと思う。  その辺は刑事局長、最高裁の刑事局長、どうですか。裁判官は明るい濶達な法廷ができるようにしなきゃいかぬ、何かやったら脅してすぐ刑務所へ入れるというような、そういう雰囲気を作っちゃいけないと思うんだけれども、いかがですか。
  85. 大野市太郎

    最高裁判所長官代理者大野市太郎君) 抽象的に、おっしゃるとおりのことだろうと思いますが。
  86. 角田義一

    角田義一君 それじゃ先へ進みます。  即決裁判手続というのが今度できるんだね。即決裁判手続というのは、要点ちょっと説明してくれますか。
  87. 山崎潮

    政府参考人山崎潮君) ちょっと御質問が、ちょっと最後が聞こえなかったので、もう一度済みませんが……。
  88. 角田義一

    角田義一君 要点。どういう制度か、ちょっと簡単に説明してください。
  89. 山崎潮

    政府参考人山崎潮君) 要点ですね。はい、分かりました。  即決裁判手続につきましては、被告人がその犯罪事実を認めて簡単な、簡易な手続でその審理をしていくということに同意をして、その上でそういう手続の申立てをいたします。そういうような事件でございまして、この事件につきましては実刑を科すことができないということと、それからある一定以上の刑の重いものについてはこの手続を経ることができないと、こういうものでございます。  これを行うにつきましては、被疑者段階の、それからあるいは被告人段階になりましても、本人の同意、それから弁護士がその公判被告人になった段階では弁護士必ず付けるということから、弁護士の同意、あるいは異議がないということも全部その要件として加えているものでございまして、言わば、そうですね、罰金の略式がございますですね、それの罰金以外の刑のものということでございます。
  90. 角田義一

    角田義一君 事はあんたの答弁するほど簡単じゃないやね、私のつたない実務でいうと、経験でいうと。  まず、被疑者の同意がなければというふうになっていますね。この被疑者の同意というのだって、これくせ者なんですよ。文章を書けば被疑者の同意ということになるんだけれども。これは、私は検察官不信、検察不信になっているんじゃないんだよ、なっているんじゃないんだけれども、例えば、おまえなと、大したことじゃないよ、これは、執行猶予になるんだよと、だからおまえ、さっさと認めたらどうだと、そうしたら簡単に裁判済むよ、大体執行猶予になっちゃうんだからというようなことでやられると、本当は自分はやっていないんだと、やっていないんだけれども面倒くさいと、無罪なんかならないと、争ったって、今の裁判所じゃ。それよりも、まあ大したことない、執行猶予に間違いなくなるんなら、さっさとこんなもの解放された方がいいと。こういう危険性だってしゃばはあるんですよ。それ否定できますか、私が言っていることを。そんなことは絶対ない、これ言えますか。
  91. 山崎潮

    政府参考人山崎潮君) ただいま御指摘の点について、それがある、ないというのは、ちょっと私の立場からは申し上げられませんけれども、ただ、仮にそういう事態が生じたとして、その場合に、これ公判手続になったときに、当然弁護士必ず付けるというシステムでございますので、その段階で、本当に自分はやっていないんだということであればこの手続についてその同意を撤回するということも可能になっておるわけでございまして、そうであれば、通常の審理、これが行われていくと、こういう保障があるわけでございますので、幾つも、今委員指摘のようなことが仮に起こるとすると、そういうことがないように幾つものハードル、チェックの手続を設けているということでございますので、そこは御理解を賜りたいというふうに思います。
  92. 角田義一

    角田義一君 私は、これはかなり運用面について気を付けないと危険だと思いますよ。  しかも、これは罪名というのが特定されていないんだよね。何でもいいんですよ、覚せい剤であろうとあるいは外国人登録違反であろうと、窃盗であろうと。特に私は危険なのは窃盗だと思うんです。窃盗というのは国民が考えている以上に難しい犯罪なんだ、あれは。プロは、プロって私が言ったってしようがないけれども。  これは、ここに私の眼鏡がある。これ取ったものか取ったものでないか、取っていないかというのは、本人の供述と、あって、この物との関連性がない限りは、もらったものであるのか拾ったものであるのか分からないんですよ、自分が私のところに占有したって。何が必要かといったら、そこに取ったという自白がない限り、物との関係がない限り、窃盗罪成り立たないわけですよ。だから、窃盗というのは立証が簡単なようだけれども、これを立証する、あるいは本当に正確にやるということになったら、ある意味では一番難しいんです。窃盗否認されたら一番困るでしょう。難しいですよ、窃盗否認されたら。  私のつたない実務、まあ刑事局長の大ベテランがいるけれども、窃盗を甘く見ちゃいけないんだよね。ところが、世の中は、窃盗でもってふん捕まえてきて、そこでいろいろ責めて余罪を追及したり、窃盗というのはかなりいろいろなものに悪用されていることなんです。私は、はっきり言って、これ罪名全くないわけだから、特に窃盗なんというのは、私はこれによって冤罪が、窃盗だったって冤罪あっちゃ困るんですよ。  私は、自白を取られて、そして早く終わっちまえばいいからといって一つの利益誘導、取引、こういうものに使われるおそれや危険性が多分にあると、これは運用いかんによっては、そういう指摘をしたいと思うんだけれども、まず刑事局長、どうだい、その窃盗というものの立証、難しいよ、あなたの大ベテランの経験でいってどうですか。
  93. 樋渡利秋

    政府参考人樋渡利秋君) おっしゃるとおり、どの事件にも簡単というものは、簡単でくくれるというものはないわけでありまして、罪名で異なるわけではない、難しい窃盗もあれば簡単な殺人事件もあるというところでございまして、常に検察官、捜査機関は常に慎重に捜査しているというふうに思っております。
  94. 山崎潮

    政府参考人山崎潮君) 今、窃盗の例を出されましたけれども、この窃盗の事件でありましても弁護士が必ず付くということが第一点と、それから、審理をして、裁判官がこれは補強証拠がない、十分でない、あるいは疑問があるという場合が起こり得ると思うんですけれども、その場合にはこの手続についてこれを取り消すということができるようになっているわけでございまして、そういう点で、これはやはりこの手続を経たからといって、きちっとした証拠がなきゃいかぬですね、最低限の証拠がなければいかぬということになるわけでございますので、そういう点で一応の制度の担保はできていると。ただ、運用にある程度気を付けなければならないと、御指摘はそのとおりかと思いますので、これから運用上、留意をしながらやっていっていただきたいと、こういうふうに考えております。
  95. 角田義一

    角田義一君 これはやっぱり取調べの可視化とも影響するんだけれども、そういう単純な窃盗だというふうに思われるような事件でも、やっぱり録音、録画というものが存在をすれば、誘導であるとか取引であるとかということは防げると思うんですね。  だから、ちょっと原則論に立ち入って恐縮だけれども、これ刑事局長にもう一遍聞きますが、今日最後だから。この捜査の可視化という問題については何回も私聞いておるけれども、その可視化を将来実現をするということを視野に置きながらだな、実現をしろとは言わないよ、あなた、幾ら言ったってうんと言わないから。言わないから、さっきも何度も聞いたって実現すると言わないんだから。だけれども、それを視野に置きながら真剣にこの可視化という問題について取り組まなきゃいかぬと私は思うけれども、どうですか。総括だから最後に聞いておきますよ。
  96. 樋渡利秋

    政府参考人樋渡利秋君) 何度も同じ答えで申し訳ないんでございますけれども、この点は刑事手続全体の問題として慎重に今後検討を進めていくわけでございまして、また進めていこうとしておりますが、委員の御指摘に関していえば、視野に入れていないと、全く入れていないで議論をしているわけではありませんので、それは視野に入れて議論をしているのかと言われますと、それはまたそうも言い切れないと、こういうことになるわけでありますが、全く視野に入れていないかというと、そんなことはありませんでして、当然そういうことはあり得るということで議論を進めているところでございます。
  97. 角田義一

    角田義一君 まあ刑事局長もいろいろ政治的な発言をするようになったなあ。今日はその辺にしておきましょうや。  もう一つ大事な点ございますね。検察審査会の制度が根本的に変わるというか、変わりますな。言わば、検察官が持っておる起訴独占主義といいましょうかね、それに大きな風穴が空いたと私は思います。  今まで問題になっておるのは、検察審査会で国民の人たちがこれは起訴相当だよと出しても、それに拘束力がない。要するに、検察官はそれに縛られない。それでも起訴するかしないかはおれの自由だということでおやりになってきたものが、いろいろ手続ありますけれども、幾つかの段階を踏んだ上で審査会が起訴相当だという決議をすればそれはもう起訴になってしまうということですから、これまたそれは大変な私は改革だと思いますけれども、まず簡単でいいですから手続の概要をちょっと説明しておいてくれませんか、議論の前提として。
  98. 山崎潮

    政府参考人山崎潮君) まず、検察官は捜査をして不起訴処分をいたします。その場合に、不満であるという方は検察審査会の方に申出をいたします。そこでまず審査をいたしまして、不起訴が不当であるという場合にはそういう決議をいたしまして、これをもう一度検察官の方に捜査を命ずるという形で戻すわけでございます。検察官はまたそれに従いまして捜査を行います。それによって起訴をする場合ももちろんございますけれども、それでもやはり起訴をしないという場合がございます。この場合につきましては、もう一度検察審査会の議を経まして、起訴が相当であるというものに関しましては起訴をするという起訴相当決議を行います。これが行われますと、現実に捜査、それから公判に当たるそういう担当役、検事役として弁護士を指定いたしまして、指定弁護士でございますが、その指定弁護士が捜査をいたしまして、最終的に起訴をして公判の維持に当たると、こういう手続でございます。
  99. 角田義一

    角田義一君 これは理屈になって恐縮なんだけれども、再度要するに起訴しなさいという決定があったときに、検察官は公益の代表者であり、しかも国民から、主権者から検察権を適切に行使することを委託されているわけなんで、その検察官になぜやらせないで指定弁護士にやらせるのかと。いいじゃないですか、検察官、やれと言われたらやればいいんですよね。やればいいというのは一つの私は理屈だと思うんです。結果、無罪になるか有罪になるか分からないけれども。いろいろそれは検察官とすると、今までの取調べ状況から見て、とてもじゃないがこれは公判維持することができないというふうな立場からそういう起訴しなかったのかもしれないけれども、しかし民衆の意思が、まあ民衆の意思がなんてちょっとオーバーだけれども起訴しなさいと言われたんなら、負託を受ける者としたら受けて立って堂々とやったらいいんじゃないかという理屈も私はあると思うんです。それをあえて検察官にやらせないで指定弁護士と称する弁護士さんが起訴すると、捜査もすると。これはどういう理屈なり、どういう議論があってこう落ち着いていったの。
  100. 山崎潮

    政府参考人山崎潮君) 審査の申立人を始めといたしまして、一般の国民から見て、有罪に向けての十分な立証活動がされるかどうかと、その職務の公正らしさに疑念が生じ得るという可能性がございます、検察官がそのままやるということになればですね。仮に起訴をしたとしても、それによってどれだけ本当にきちっと捜査をし公判を維持するかという点について、周りから見て本当にそれでいいのかという疑念を生ずるおそれがございます。それならば、検察官は元々信念としてこれは起訴できないということでずっと来たわけでございますので、それと別の形の法律家をきちっと立てて、その上で十分に捜査、あと立証活動をしていただきまして、その上で判断をしていただこうと、その方が公平であろうと、こういうことでございます。
  101. 角田義一

    角田義一君 まあそれも一つの理屈なんだね。僕は必ずしもそれでなきゃならぬとは思わない。検察官がやってもいいと思いますよ。それは一つの考え方だから、どっちが正しいとかどっちが間違っているとかという理屈じゃないと思う。ただ、制度として、じゃ、検察官でない弁護士がやるということになった場合に、捜査をするのは今度、弁護士さんがじかにはできないんですね。検察事務官なりあるいは司法警察員なり、検察官に委嘱をして捜査するということになる。  そうすると、これは樋渡さんに聞くけれども、サボられちゃ困るんですよ、検察官、どうせもうおれたちは嫌だと言っているんだ、指定弁護士さんの指図は受けない、非協力、そういう態度に出られたんじゃ、これ、とてもじゃないけれども公判維持なんかできませんし、それはよほど検察官も頭切り替えて、ちゃんと、指定何だっけな、指定弁護士か、の指示にやっぱりそれは忠実に従ってもらわなきゃならぬのじゃないですか。その辺どうですか。
  102. 樋渡利秋

    政府参考人樋渡利秋君) もとより検察官は公益の代表者でございますから、指定弁護士の方からそういう協力の依頼が、要請がありましたら、誠心誠意その要請に沿うように協力をしてまいるつもりでございますし、そうしていくものと承知しております。
  103. 角田義一

    角田義一君 これは刑事局長の答弁を私はそのまま、あなたの答弁をそのまま素直に聞きますからね。今度こういう問題が起きたときには、天下の刑事局長が国会でこう言ったんだから、ちゃんとやってくれと。今日は弁護士さんも何か傍聴しているようだけれども、腹の中へ入れておいてもらっていいと思う。きちっとそれはもう約束をされるというふうに承ってよろしいね。もう一遍。
  104. 樋渡利秋

    政府参考人樋渡利秋君) 私が御説明申し上げましたとおりを御理解いただければ有り難いと思います。
  105. 角田義一

    角田義一君 それから、ちょっと余りお金のことを言うのは私は余り好きじゃないんだけれども、事務局長にお尋ねしますが、この指定弁護士さんは検事さんと同じ仕事をしなきゃならぬ、片手間ではできませんよね、ある意味では。相当これ心血を注いで公判を維持しなければならぬ立場になると思う。そうすると、この指定弁護士さんに対する報酬とかそういうのは、どういうふうに決めていくんですか。だれが決めるんですか。どこで決めるんですか。
  106. 山崎潮

    政府参考人山崎潮君) これにつきましては、同種の事例、同じような事例といたしまして付審判請求がございまして、この場合にはやっぱり指定弁護士が検事役をやるわけでございますけれども、この制度でも政令でその報酬等手当等どうするかということを政令で定めるということになっておりまして、今回のこのシステムでも政令でその点は定めてまいりたいというふうに考えております。
  107. 角田義一

    角田義一君 じゃ、それはきちっと弁護士さんが職務がちゃんと遂行できるような支援を、支援というか実費弁償というか、きっちり私はやっていただきたいというふうに思います。  それから、大分もう時間が来ましたから、あと二、三点お尋ねをいたしますけれども、刑事訴訟法が抜本的に改正されて、連日的、連日的開廷か、いうことになっております。そうなりますと、弁護人は間を置かずに被告人と接見をしなきゃならぬ、公判終わったらすぐ被告人と接見をして事実関係を確認するとか、あるいは対応を考えなならぬということになると、細かいことで申し訳ないが大事なことだと思う、夜間の接見であるとか、あるいは休日の接見であるとか、そういうものも認めてやらないと、今日はお休みですから弁護士さん帰ってくださいとか、今日はもう夜だから帰ってくださいとか言われたんじゃ、これは連日的開廷なんといったってなかなかできないですよな。この辺はどうするんですか。どう対応するんですか。まず事務局長から答弁してください。
  108. 山崎潮

    政府参考人山崎潮君) 制度的には、逃亡、罪証隠滅等を防止するため必要な措置はやむを得ない制約として認められておりますけれども、その点を除けば被告人弁護人は自由に接見ができるというふうにされているわけでございまして、その接見交通権は制度上は保障されているということになるわけでございます。  あとはその運用の問題ということでございまして、私どもは、制度を語る立場からはこの点については、これは運用にお願いをすると、こういうことになろうかと思います。
  109. 角田義一

    角田義一君 確かに建前は弁護人公判後は被告人と自由に会えることになっておるわけです、接見でいつでもできるようになっていると。しかし、運用と言うけれども、その運用が大事なんだよ、運用が。  そうすると、この、何だ、本部というのは、あんたえらく頑張ってきたけれども、十一月で本部大体なくなっちゃうんだよ。そうすると、だれが、変な話だけれども、どういう責任において、その運用のものについて念押ししていくんです。どなたがやるんです。あなたがやるのかい。
  110. 山崎潮

    政府参考人山崎潮君) これは今、権限、こちらの本部の方にございますので法案をお出しいたしますけれども、この本部が終わればこの法案の所掌の省庁はどこでやるかということを決めます、多分法務省ということになると思いますけれども。そうなりますと、この法案全体の関係について、中でいろいろ部署は担当が変わるかもしれませんけれども、全体は法務省の方で今後の問題をそのままやっていくということになろうかと思います。
  111. 角田義一

    角田義一君 では大臣、ちょっと失礼だけれども、飛んで質問が行って申し訳ないけれども、今、山崎さんはそういうふうにおっしゃった。この本部がなくなるんだそうです。僕は本部に代わるしかるべきものを置いた方がいいと思うけれどもね。法務省が全部やるの大変だと思うから置いた方がいいと思うが、なくなっちゃうんだそうだから。これは法務大臣の責任うんと重いと思いますけれども、どう対応されますか。
  112. 野沢太三

    ○国務大臣(野沢太三君) この法案通れば、ずっと続けて将来にわたって日本の裁判、司法制度を左右する重要な法案でございますから、当面この成り行きについては、十一月までの司法制度改革本部で先行きどうするかという議論はしてもらいますが、その本部の仕事の大半は法務省が引き受けていかなきゃいかぬものではないかと思っております。要員の配置から予算の手当てから含めまして、法務省はこれからやっぱり責任を持ってこの問題の遂行に当たるべきものと理解をいたしております。
  113. 角田義一

    角田義一君 もう一つ、この刑事訴訟法の改正で聞いておきたいと思うんですけれども公判前の準備手続といいましょうかね、論点整理あるいは証拠の整理、これは山崎さん何回もここで言っているけれども、非常に大事だと思うんです。これがうまくいくかいかないか、これがもう裁判員制度を決める一つの大きな私は急所だと思うんですね。決め手だと思うんです。  そうなりますと、しかも、いろいろな世論調査を見ますと、裁判員が耐え得る限度というのは、連日やるかどうかはともかくとして、一週間、五回か六回ぐらいがもう出ていくのが限度だというふうな、いろいろ世論調査では出ていますな。そうなると、よほどこの準備手続というか、これは慎重にやらにゃいかぬ。そうすると、これは即席ラーメンを作るようなわけにはとてもいかないと思う。かなりその段階で時間も掛けながら、練りに練っていかないといけないと思う。そうすると、これは期間というものを相当ある程度、長い期間も事件によってはあるなということを覚悟しないと、いざ裁判員にお願いをするときにえらいことになると私は思うんですね。  そうすると、この期間というものについてはかなり柔軟にというか、大胆にあるいは対応をしないといかぬと思う。それをまず事務局長にお聞きをし、最高裁の偉い人にお聞きする、次に。
  114. 山崎潮

    政府参考人山崎潮君) 去年、裁判の迅速化法、御承認いただきました。その関係で、なるべく裁判、短く行っていくという理念はございますけれども、ただ、この裁判員制度のその裁判につきましては、今御指摘のように、裁判員の負担等も考えなければならないわけでございます。したがいまして、準備手続、この公判前整理手続ですが、これにつきましてきちっとした、それで充実したものにして争点を絞ってやるということ、これが一番重要なことになるわけでございます。  したがいまして、そこで若干時間が掛かるものもあるかと思います。あっても、そこできちっと整理をした上でその公判に臨むと、こちらの方が肝要であるというふうに考えますので、一律に四角定規にこの期間でやらなきゃいかぬというような形ではない、事案事案によってそれは考えていくべきものというふうに考えております。
  115. 大野市太郎

    最高裁判所長官代理者大野市太郎君) 具体的な事件の中では、その事件を取り扱う裁判所判断すべきことではありますけれども、結局、裁判が充実したものになり、そしてきちっとした計画的な審理ができるかということになりますのは、これは公判前整理手続でどれだけの準備がきちっとできているかと。また、先ほど来出ていますように、本当に分かりやすい証拠調べをするためにも争点を明確にしていく、そして審理計画を明確に立てるということが必要であるといったようなことからしますと、その点、公判前の整理手続、非常に重要な手続だと思います。こういった手続につきまして、そういった十分な準備が行われるようにするということが必要だろうと思います。また、できる限りこれを早期に詰めて行うということもまたこれ、その事件被告人とされている方のことも考えたりすれば必要なことだろうというふうにも思っております。  そういったことが法三百十六条のこの法案の三のところに規定されているかと思いますが、そういった両当事者が行う訴訟の準備の内容等を踏まえまして、事案に応じて適切な運用がなされていくものだというふうに思っております。
  116. 角田義一

    角田義一君 最後に、時間ですから大臣にお尋ねしますけれども裁判員制度、それからそれにまつわるところのこの刑事訴訟法の抜本的な改革といいましょうかね、これは大変なことだと私は思っております。最初の質問のときに、衆議院全会一致で来たと、恐らく参議院も全会一致に私はなるだろうと思いますけれども、我々国会議員も大変重い責任を背負わされますから、それはしょっていきます。しょっていきますが、やはりこれを推進するのは先ほど言った法務省のようでありますが、法務省もそれなりの覚悟でおやりになると思いますけれども、そうはいっても法務省だけでやれるものでは私はないと思う。国民の広い意見を聞きながら、そして理解を得ながら進めるということになると、推進本部はなくなりますけれども推進本部に代わるべき諮問機関なりあるいは意見を具申する機関なり、そういうものを、プロだけじゃない、要するに、私も弁護士ですけれども、プロは限界があるんですよ、やっぱり。国民の立場に立つそういう人たちも入れながら、何か監視機関と言っちゃちょっと言葉がきついけれども、そういう機関を設けながら進めていくというのも一つの考え方ではないかと思いますが、その辺、最後のこれは私の質問になりますので、大臣から決意を含めて所信を伺っておきたいと思います。
  117. 野沢太三

    ○国務大臣(野沢太三君) 委員から大変様々な角度から有益な御示唆をいただいて今日まで参りましたが、この司法制度改革推進本部は御指摘のように本年十一月末をもって設置期限が到来をいたします。御指摘の点も含めまして、その後の司法制度改革の推進の在り方につきましては、現在御審議いただいております司法制度改革関連法案の成立状況等を見ながら、司法制度改革推進法の趣旨を踏まえ、推進本部を中心に、今後いかにあるべきか、適切な検討を進めてまいりたいと考えますが、いずれにいたしましても、今後この制度が一層国民の皆様に理解され、定着し、発展を続けられるように、私ども関係方面と十分な協力をしながら進めてまいるつもりでございます。
  118. 角田義一

    角田義一君 終わります。
  119. 山本保

    委員長山本保君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時二十分まで休憩いたします。    午前十一時五十九分休憩      ─────・─────    午後一時二十分開会
  120. 山本保

    委員長山本保君) ただいまから法務委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、江田五月君が委員辞任され、その補欠として平野貞夫君が選任されました。     ─────────────
  121. 山本保

    委員長山本保君) 休憩前に引き続き、裁判員の参加する刑事裁判に関する法律案及び刑事訴訟法等の一部を改正する法律案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  122. 井上哲士

    ○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  両法案に対する質疑、四回目と私なりましたけれども、それを踏まえまして、今日は私たちの修正案を提起をし、手元に配付をしております。これに基づきながら、まず刑事訴訟法の改正案について質問をいたします。  今回のこの改正案の中で、裁判官の訴訟指揮権の大幅な強化が盛り込まれております。弁護人不在のおそれがあるという場合の在廷命令、それから尋問禁止命令に従わない場合の懲戒請求と、こういう規定が盛り込まれたわけですが、その理由についてまずお願いします。
  123. 山崎潮

    政府参考人山崎潮君) 当事者が裁判所の期日指定に従わず、期日に出頭しない事例、あるいはその裁判所の示した期日指定方針ですか、これに応じられないとして当事者が不出頭をほのめかしたために、裁判所が当初の方針どおりの期日指定を断念するという事例が現実にも起こっております。こうなりますと、やはり審理遅延の原因の一つとなるということでございます。  それから、当事者がやっぱり裁判所による重複尋問等の制限に従わないということが審理の遅延あるいは焦点の定まらない審理の原因の一つとなるというふうに承知しているわけでございます。現にもうそういう例があるというふうに聞いております。  そこで、刑事裁判の充実、迅速化を図る方策の一つといたしまして、期日指定あるいは重複尋問の制限に係る訴訟指揮権の実効性、これを担保するためにこの制度を設けたと、こういうことでございます。
  124. 井上哲士

    ○井上哲士君 現行の刑事訴訟法の規則でも、出頭しないなどの審理を遅延をさせた場合に、特に必要と認める場合に弁護士会措置の請求をすることになっています。  日弁連にお聞きしましたけれども、この措置請求の前段階での善処方も含めまして、裁判所から弁護士会に何らかの措置を求めた事例というのは一九八三年まで十数件しかない、それ以降は実態としてないと、こうお聞きをしております。また、この措置を求めた事例のうちでも実際に懲戒になったというのは、調べた限りでは一九八一年のいわゆる東大事件しかないというのが実態なわけですね。  この裁判員制度になって迅速な裁判をというわけですけれども、その前提として、これほどの制裁措置を創設しなければならないほど弁護人の不出頭であるとか不必要な尋問による遅延というのが刑事裁判において深刻だと、こういう認識なんでしょうか。
  125. 山崎潮

    政府参考人山崎潮君) それは刑事訴訟法でございますので、ある程度ルールにのっとってやるということは当然でございまして、おおむねそれできちっといっているということになりますけれども、やはり極端な例も見られるわけでございまして、そのままの状態では本当に訴訟が進行できないということになりまして、結局長期審理だと、長期裁判だということの批判も受けることになる。したがいまして、そういうことになれば、これから裁判員制度、これを導入していくという場合にやはり大きな問題になり得るということでございます。  確かに、委員指摘のとおり、かなり以前に相当荒れる法廷というものがございまして、その場合に懲戒の問題等の請求があったということで、最近はそれがあるいは多分ないというのだろうと思いますけれども懲戒請求がないからといって、じゃそういう事態がないのかというとそうではないわけでございます。  したがいまして、これをどういうふうにしていくか、運用は慎重にしなければならないというふうに私ども考えておりますけれども、やっぱり制度として、備えあれば憂いなしということでございまして、最低の担保はきちっとしておきましょうということでございまして、これは、運用上どうしていくかという問題はまたこれは慎重に考えていくということになろうかと思います。
  126. 井上哲士

    ○井上哲士君 備えあれば憂いなしと言われましたけれども、これは、事は弁護人被告人の防御権にかかわる大きな問題でありますから、立法事実ないような立法はすべきでないと思うんですね。  先ほどルールということも言われました。先ほど紹介をした東大事件ですね、いわゆる、これを受けて日弁連や単位弁護士会は、自ら、仮に誤った弁護方針によって不出頭があったとしても弁護士倫理の問題として解決しようじゃないか、基本的には弁護士の相互批判を通じて解決すべきだと、こういうことで様々なルールや制度を自分たちで作ってきているわけですね。  そういうルールでも対応できないと、こんな問題が起きているという認識なんですか。
  127. 山崎潮

    政府参考人山崎潮君) それは弁護士会の方のルールできちっと対応できればそれにこしたことないというふうに思います。  今回、それにつきまして、例えば弁護士会の方に何らかの措置をお願いする、あるいはそういう通知をするということになるかと思いますけれども、ただ、これに関しましては、よく審査はしたけれども処置はしない、処分はしないということも、それは一つの在り方の問題でございまして、したがいまして、最終的にそこは、そういう端緒についてはルールを設けることにいたしますけれども、それをするかしないかというのは最終的にはやっぱり弁護士会等の判断ということになるわけでございます。  したがいまして、これは何かを強制するというものでもございません。最終的には弁護士会の方の判断でいろいろ決めていかれる、これが中心になって行われるということは間違いございません。
  128. 井上哲士

    ○井上哲士君 そういう訴訟指揮権の強化の権利を持つということ自体が様々な強権的な裁判運営になるんじゃないかと、こういう懸念があるわけですね。  例えば弁護人の出廷拒否の例としてよく挙げられますのが、オウムの麻原被告事件指摘をされることがあります。この事例は、弁護側は月三回の期日を要求したわけですが、裁判所側からは月四回というのが提示をされたと。それではとても準備ができないということを理由にしてやむを得ず出廷を拒否をしたと、こういう事例と承知をしています。  裁判所のやはり少々強引な訴訟指揮が批判されても仕方がないと思われるわけですが、裁判の準備ができないとか、それから、強引に期日指定がされるのならちょっととても出廷できないとか、こういうような態度を弁護人が取った場合に、裁判所は、出廷しないおそれがあると、こういうことを理由に在廷命令を出して、それに従わない場合には措置請求や過料を施すと、こういう運用がされるんですかね。
  129. 山崎潮

    政府参考人山崎潮君) これは、この法案でも明記しておりますけれども、例えば期日の不出頭に対して過料が科されるという点につきましては、正当な理由がない場合に限るということでございます。したがいまして、ちょっと個別の事例について申し上げませんけれども、その正当な理由があるということであれば過料を科すこともできません。また、それについて不服がある場合には即時抗告をすることもできます。あるいは裁判長の訴訟指揮に関して不満があるということであれば異議の申立てをするとか、是正の手段は多々あるわけでございまして、必ずそうしなければならないということではございません。そこは実態いかん、その判断でやるということでございます。
  130. 井上哲士

    ○井上哲士君 弁護人皆さんは、被告人の権利を守らなくちゃいけない、正にその正当なことで様々な弁護活動を展開されるわけですね。その中で、いろんな裁判所の強引な訴訟指揮権とぶつかることもあると。今でも、自白の任意性を争った場合などで捜査員を証人請求をした場合があります。出てきた証人に事実を認めさせるだけでも、はぐらかすことなどありますから、何度も何度も質問を繰り返さなくちゃならないという場合があるわけです。  このように、被告人の権利を守る、正に正当な理由をもって重複質問を何度もするということはあり得るわけで、ところがそういうものに対しても今でも非常に厳しい態度で裁判所が臨んでくるというのが多くの弁護士の皆さんの実感なわけですね。そういうのが現状でもあるのに、そこに更にこうした強い指揮権を与えるということになりますと、こういう制度を背景にして一層強引な訴訟指揮が行われるんじゃないか、そういう濫用があるんじゃないか、こういうことを多くの皆さんは危惧をされているわけですね。  やはり、こういう規定を設けることは、弁護権、防御権の侵害につながるんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。
  131. 山崎潮

    政府参考人山崎潮君) ただいま重複尋問等の例を挙げられましたけれども、ここの関係につきましては、処置請求を「請求することができる。」というふうに書いているわけでございまして、そこは、出頭の関係では「請求しなければならない。」ということになっておりますけれども、そこは使い分けをしているわけでございまして、そこは「することができる。」ですから、それは任意の判断が入る。それから、するとしても、最終的にそこの請求を受けたところの処分があるかないか、これはそこの判断であるということでございますので、そういう端緒を与えるということだけでございまして、必ず処分をせよというふうにつながるわけではございません。  そういう意味では、これがあるからといって裁判所の方が強引な訴訟指揮になるとか、そういうものではないというふうに私ども理解をしております。
  132. 井上哲士

    ○井上哲士君 弁護人皆さんなどがそういうことに対して危惧を持っておられるのは、何も空想の話じゃないわけですね。現実の裁判の中でいろんな問題が今起きていると。そういう中で、こういう新たな訴訟指揮権の強化ということがあったら、それを背景にして一層問題が起きるんじゃないかと、これは現実に基づいたいろんな危惧を持っていらっしゃるわけです。  この間、インターネットでいろいろ見ておりますと、広島高裁のある裁判官の方が裁判員法について講演をされているものを見る機会がありました。その中で、なかなか率直に言われているんですね。こう言われています。弁護士でも検事でも裁判官の言うことは大体聞いてくれます。そうすると、それが当たり前になって、言うことを聞かない検事や弁護士がちょっとでもいると、もうかあっとなるんですねと。もう、このやろう、何か自分の考えがどうかというより前に、逆らうこと自体がけしからぬと、こういうふうな感覚が生まれてくると。ということを現職の裁判官自身が反省として述べられております。もちろん、それぞれが人間でありますからいろんなことがあると思うんです。  例えば、去年の十月に東京高裁が無罪判決を言い渡した事件がありました。これは新潟地裁の判決を取り消したものでありますが、被告人はパキスタン人です。裁判所選任した通訳人が第一回公判で行った通訳について被告人理解は困難だということで、弁護人が第二回公判で、検察の請求証拠取調べに先立って通訳人の適性について意見陳述の機会を与えるように申し出たと。これに対して裁判官があれこれ言いまして、結局、発言禁止命令を出すと。弁護士の方は、被告人の権利を守るというのが当然職責だと思っていますから、これに対して更に意見陳述の機会を与えるように求めまして、結局、退廷命令を発して、最終的には監置と、こういう事態まで至ったということなんですね。この地裁で有罪判決が出たものが高裁では無罪ということになったわけですけれども、現にこのような様々な事態があるわけです。  そういう下で、先ほどの裁判官の率直な声も御紹介いたしましたけれども、こういう訴訟指揮権の大幅な強化ということがあったときに、やはり濫用の危険がある、防御権の侵害のおそれがあると私は思うんですけれども、改めていかがでしょうか。
  133. 山崎潮

    政府参考人山崎潮君) ちょっとその具体的事例について私も十分承知はしておりませんけれども、言わばこれ、制度の担保だというふうに申し上げました。担保というものを言い換えてみれば、伝家の宝刀でございます。伝家の宝刀をそうめったやたらに抜くということ、これは厳に避けるべきでございます。やはり、何かあったときのための制度でございます。  したがいまして、これが例えばできたとしても、それを利用するについてやっぱり謙抑的であるべきであるということであろうと思います。それに、これを措置請求をしたからといって必ずそうなるわけではないということでもございますので、そこはよく考えた上でやるということになろうかと思います。これを請求したけれども結局お構いなしということになれば、逆にそれを請求した者の方がある意味じゃそれは立場がなくなるということにもなるわけでございますので、そこのところは、これを設けたからといって濫用してはならないということは、それは周知、きちっと徹底をしていくということになろうかと思います。
  134. 井上哲士

    ○井上哲士君 謙抑的ではならない、濫用してはならないということを周知徹底するということでありました。  それは当然でありますけれども、やはりこういう規定が入ることによって様々な、強引な訴訟指揮の問題など、被告人弁護人の防御権、弁護権に著しい侵害のおそれがある。私はやっぱりこの部分は外すべきだということを申し上げまして、次に、被疑者国選弁護制度について一点だけお聞きをしておきます。  資力要件というのが付くわけですが、被疑者がこの資力要件を満たさない、そういう場合に弁護士会ども通しまして私選弁護士を依頼するわけですけれども、様々な条件面で折り合わないというケースがあろうかと思います。そうしますと、資力要件満たさないからといって、国選が付かない、私選もうまく付かないということになりますと、すべての者が被疑者段階からしっかり弁護士が付くというこの制度趣旨から外れることになりますが、この点は法案はどういう手当てをしているんでしょうか。
  135. 山崎潮

    政府参考人山崎潮君) ただいま御指摘の点、誠にごもっともでございまして、我々の今回の御提案をさせていただいている改正法案は、資力が基準額以上である被疑者については、あらかじめ弁護士会に私選弁護人選任の申出を行うこと、これを義務付けます。義務付けて、それでその私選弁護人選任しようと、そういうこと、行動になるわけでございますが、それにもかかわらず私選弁護人選任できなかった場合、この場合にも国選弁護人選任するということにしておりますので、そこのところは遺漏なきような手配をしているということで御理解を賜りたいと思います。
  136. 井上哲士

    ○井上哲士君 次に、接見交通権の問題でお聞きをいたします。  午前中の審議でもありましたけれども、この裁判員制度の下で連日開廷が行われますと、弁護人とそして被告人の様々な打合せというのが大変重要になってくるわけで、その点では接見交通権、やっぱり拡充をしていくということがこの裁判員制度の下での連日開廷に不可欠だと考えますけれども、この点、まず推進本部としてはどういう認識でしょうか。
  137. 山崎潮

    政府参考人山崎潮君) 現行制度においても、逃亡あるいは罪証隠滅等の、これを防止するために必要な措置、これはやむを得ない制約として認められておりますけれども、その点を除けば被告人弁護人は自由に接見することができるものとされているわけでございまして、法制上は接見交通権は保障をされていると、こういうことで我々は考えているわけでございます。あとは実際の問題がどうなるかと、こういう認識でございます。
  138. 井上哲士

    ○井上哲士君 法制上は自由に接見ができるけれども問題は運用だと、こういうことでありますが、正に運用で実際には自由に接見ができないというのが現状としてあるわけですね。  これ、衆議院で矯正局長が答弁もされていますけれども、行刑施設に収容されている被収容者の接見は原則として執務時間内なんだということを言われた上で、当該接見の緊急性、必要性や当該接見のための職員の配置が可能であるかなどを検討し、個別にその必要性を判断をしているという、こういう従来の運用についてのみ述べられました。  裁判員制度になりますと、連日開廷ということで、急遽翌日の公判のために執務時間以降に接見をしなくちゃいけないということは相当出てくることが予想されるわけですね。これは当然言われている緊急性、必要性の高い接見として許可をされなくてはならないと思いますけれども、その点はいかがでしょうか。
  139. 横田尤孝

    政府参考人横田尤孝君) お答えいたします。  それもあくまでも個別判断でございますけれども、連日開廷によってそういう必要性が生ずるだろうということは理解できるところでございますので、それぞれ個別に判断してその接見の緊急性、必要性などを検討し、適切な対応をしてまいりたいと考えております。
  140. 井上哲士

    ○井上哲士君 もう一つ、電話の使用ということもあります。あしたの期日に向けて緊急に事実を確かめなくちゃいけない場合とか、いろいろ出てくるわけですね。これについても、衆議院での答弁見ておりますと、監獄法では電話の使用は認められていないと、こういうことを述べられました。  ただ、裁判員制度の施行は五年後であります。それから、行刑改革会議の提言を受けて、政府は監獄法の改正を急ぐということもこの間言われてきました。代用監獄に固執をされるようなことがなければこの監獄法の改正というのも早くできると私は思っておりますので、この五年後の裁判員制度の実施には当然間に合うことだと思うんですね。  ただ、この行刑改革会議の提言は、過去にも議論しましたように、この未決拘禁者のことについては議論をしていないということで、電話の利用についてもまず開放処遇を受けている者から認めると、こういうことになっておりまして、先日の答弁でも電話による接見についてはかなり慎重な答弁だったと思います。その理由は、相手側が弁護人であるかどうかが十分確認することができないということを挙げておられました。  先日も、これも本委員会での議論でもありましたけれども、例えば弁護人弁護士会の定められた場所から電話をするとか、それが裁判所ということもあるかもしれません。いろんな手だてを取って、その相手が弁護人だと、そういう本人確認ができる手だてさえしっかり取れればこれはこういう、もちろん監獄法の改正も必要でありますけれども、接見についても可能になっていくと、それが必要だと、こういう認識でよろしいでしょうか。
  141. 横田尤孝

    政府参考人横田尤孝君) お答えいたします。  今委員もおっしゃっておりましたように、被告人弁護人との電話による通話につきましては、それを認めるためにはその相手が弁護人であることが確実に確認できる手段を取ることができるかどうか、そのような手段を取るための人的、物的な体制の整備が可能かどうかという問題がございます。今委員がおっしゃったそういう方法もまたこの確認としての手段と言えるのかということもありますので、その辺りの点についてはこれから慎重に検討する必要があるというふうに考えております。
  142. 井上哲士

    ○井上哲士君 既に裁判ではテレビを使った尋問なども行われておりますし、今いろいろ画面で見れる電話とかインターネットの利用とか、急速に今進歩もしているわけですね。ですから、何か大層な施設設備は私はなくても、きちっと本人確認をして電話でやり取りをするということは十分に可能だと思うんですが、今後の監獄法改正等の中でこの問題も視野に入れて議論をされるということで確認をしてよろしいですか。
  143. 横田尤孝

    政府参考人横田尤孝君) ただいま委員がおっしゃったようなケースも視野に入れまして、幅広くかつ慎重に検討してまいりたいと思っております。
  144. 井上哲士

    ○井上哲士君 慎重ということが何度も出てくるんですが、是非これは、裁判員制度の中で本当に連日開廷の下で被告人の防御権をしっかり守っていくという点で不可欠だと思いますので、大いに前向きに検討していただきたいと思います。  接見の問題は拘置所だけではありませんで、裁判所内の問題もあります。連日開廷をしますので、主尋問が終わった後に打合せとか、あしたどうするかとか、こういう打合せなども裁判所の施設内でやるということも必要になってくると思いますけれども、施設の問題、人員の問題など、これについては、裁判所としてはこの施行までにどういう手当てをしようとされているんでしょうか。
  145. 大野市太郎

    最高裁判所長官代理者大野市太郎君) 構内接見の問題ですけれども裁判所では構内接見は公判審理の妨げにならないといったようなそういった制限はありますけれども、それ以外の場合には原則として接見を認めているところです。  施設上の問題というのは、確かに大庁等で弁護人等、被告人とかたくさんいる場合にはございますけれども、これからそういった施設の問題やそのニーズ等を踏まえながら慎重に検討していきたいと思っております。
  146. 井上哲士

    ○井上哲士君 これも是非前向きに大いに検討していただきたいと思います。連日開廷という下で必要な接見ができるかどうかというのは被告人の一生にもかかわる問題にもなるわけですね。  そこで、ちょっと大臣にお聞きをするんですが、先ほどの読み上げました矯正局長の答弁の中にも、接見のための職員の配置が可能であるかも検討すると、こう言われるんですね。しかし、どうしてもこの接見が必要だというときに拘置所の方で職員配置ができないからできませんと、こんなことになりますとこれは本当に大変なことになるわけで、今過剰収容で大変御苦労されていることは重々我々も知っているわけですが、そうであるならば、職員配置が足りないから必要な接見もできないようなことが絶対起きないような人的、物的手当てもする必要があると思います。その点での予算の措置や人員の確保も含めて、大臣の御決意をお願いをいたします。
  147. 野沢太三

    ○国務大臣(野沢太三君) 現在、全国の行刑施設は大変収容者が増えまして、職員配置の状況も厳しい状況に置かれております。平成十五年度予算においては二百四十三人、平成十六年度予算において四百人それぞれ増員をいただいたところは委員も御承知のとおりでありますが、法務省といたしましては、今後とも拘置所を含め行刑施設における要員の確保に努めてまいりたいと考えておりまして、接見ができないというようなことにならないように努めなければならないと、こう思っております。
  148. 井上哲士

    ○井上哲士君 人的確保という問題は最高裁、裁判所にとっても大変重要なことであります。裁判員選任をする、その手続だけでも相当膨大なものがあります。それから、事前の争点整理の手続、さらには期日のときには裁判員皆さんが来られるわけですから、その方たちの様々なお世話といいましょうか、そういうことについても相当膨大なものになってまいります。  今もいわゆる検察審査会の委員を選ぶわけですけれども、単純に計算しますと、年間八千八百四十四人がこの検察審査会の場合選ばれるわけですが、裁判員の場合、直近でいいますと対象事件が大体二千八百ぐらいだとお聞きしていますけれども、四人の裁判員の場合もある、それから六人になっても補充ということもありますので、例えば六倍で掛けましても大体一万七千ぐらい選ぶということになりますので、今の検察審査会よりも相当多くの実務が必要になりますし、来られた方のお世話も必要になると。  このための裁判所としての人的体制の強化というのはどの程度が必要とお考えで、そのための対応はどのようにお考えでしょうか。
  149. 大野市太郎

    最高裁判所長官代理者大野市太郎君) 裁判員制度を実施するためには、裁判員選任手続を経て必要な数の裁判員を確保した上で連日的開廷に対応する必要があると思っております。そのために、裁判所の職員におきましては、実際に裁判員対象事件についてこれを担当していくということに加えて、委員指摘のとおり、裁判員の名簿の調製ですとか、そういったことから始まる候補者の選定のための手続ということも新たに任務として加わってくるということになります。また、裁判員と一緒に充実した審理を行い、その裁判員への十分な説明を行うといったことなども必要になってこようかと思います。  このようにして、裁判員対象事件につきまして適正、迅速な裁判を実現していくためには、裁判所職員の相応の人数の確保が必要になろうかというふうに認識しております。裁判所としては、裁判員制度の具体的な運用等について鋭意検討している最中でありますが、人員体制の整備のための具体的な検討内容をまだ明確にするというような段階には至っておりません。  今後、これらの検討を詰めまして、できる限り効率的な運用方法を模索することを併せ、人的体制の整備を計画性を持って図っていきたいというふうに考えております。
  150. 井上哲士

    ○井上哲士君 あわせて、物的体制についても最高裁にお聞きしますけれども裁判員が参加をする裁判の法廷の構造をどうするのかという問題もありますし、それから裁判員の方の評議室を、話しやすい、評議のしやすいような構造とか中身にする必要もあろうかと思います。それから、従来に比べてたくさんの市民が裁判所に来るようになるわけでありますから、入りやすい、いろんな意味での、設備上も見た目もバリアフリーということも必要になってくると思うんですね。  この点、市民団体なんかにお聞きをいたしますと、そういうことを是非裁判所に聞いてほしいということを申し上げても、なかなかよく聞いてくれないというようなこともお聞きをするわけです。最終的に、最高裁なり裁判所の施設でありますけれども、市民が参加をするわけですから、正に裁判所一つの主役が市民になってくるわけです。そういう人たちの声を十分聞いていろんな施設の改善もしていく、この皆さんの声をよく聞くという点で、いかがでしょうか。
  151. 大野市太郎

    最高裁判所長官代理者大野市太郎君) 裁判員制度につきましては、先ほど申し上げたように、裁判員と一緒に審理をしていくということになります。そのためには、実質的な議論の時間を十分に確保するということも必要ですし、先ほど申し上げたような十分な説明ということも必要になってこようかと思います。このような運用で、裁判員の対象事件について適正、迅速な裁判を実現していくためには、そのための対応する物的なスペースというのを新たに確保する必要もあろうかと思います。  裁判所といたしましては、裁判員制度の具体的な運用等について現在まだ鋭意検討している最中でありまして、先ほども人的体制のときも申し上げましたように、その具体的な内容というのを示すことができる段階にはありません。法曹三者を始め、国民理解と協力の下で裁判官と裁判員が適切な協働関係を築き上げていくことが必要であると考えております。  物的体制の整備に当たりましては、既存の物的設備を有効に活用するための方策を検討するとともに、必要に応じて法廷や評議室を始めとする関係施設の改修、増設等を行うことも必要になります。今後、これらの検討を詰めて、計画性を持って物的体制の整備を図り、その導入に遺漏がないように対処していきたいというふうに思っております。
  152. 井上哲士

    ○井上哲士君 その際に、裁判自身に市民の常識を反映をさせようというわけですから、そういう構造とか物的整備を考える上でも、是非市民の常識を反映をさせるという点で意見を聞く場をしっかり持ってほしいと、この点でもう一度お願いをいたします。
  153. 大野市太郎

    最高裁判所長官代理者大野市太郎君) いろいろ寄せられてきた意見につきましては、可能なものについてはできるだけ反映さしていきたいというふうに思っております。
  154. 井上哲士

    ○井上哲士君 是非、いろんな点で、本当の意味での市民が主人公になる裁判にするために、お願いをいたします。  次に、一点だけ、労働者の問題でお聞きをしておきます。  労働者が裁判員になった場合には、労基法七条による公務とみなすから不利益はないと、こういう答弁がされておりますが、これ、一九六七年に長崎地裁で出ている判決なんですが、この労基法七条で公民としての権利を行使をしている場合でも、判決はこう言っているんですね。労働者が公職に就いたため、使用者の立場から、その労働関係が維持できなくなったことを理由としてこれを解雇することまで禁止するものではないと、こういう判決も出ております。  裁判が長引いて、労働関係が維持できなくなったということで解雇されるようなことがあってはならないと思うんですが、この点はどういう手当てがされているでしょうか。
  155. 山崎潮

    政府参考人山崎潮君) ただいま指摘されましたその判例ですか、これにつきましては私ども十分は承知はしておりませんけれども、おしまいの方のくだりで、どうも、これ、整理解雇ではないかというくだりもあるわけでございまして、これが必ずしも今回の問題の参考になるかということではないかとも思いますけれども、こういう事態があってはならないということから、私どものこの法案では七十一条を設けまして、労働者が裁判員の職務を行うため休暇を取得したところ、その他、裁判員等であること、あるいは裁判員等であったことを理由として解雇その他不利益な取扱いをしてはならない旨、これを規定しているわけでございまして、そういう事態が起こらないようにという、そういう配慮の規定でございます。
  156. 井上哲士

    ○井上哲士君 もう一点、控訴審の扱いについてもお聞きをしておきます。  事実認定や量刑に一般市民の常識を反映をさせるというのがこの裁判員制度趣旨ですが、ですから、裁判員のみ若しくは裁判官のみ、これでは被告人の不利な決定はできないという評決の仕組みもなっております。  そういう趣旨や評決の仕組みから考えますと、市民の代表が加わった第一審の判決を、控訴審で職業裁判官だけで今度は被告人に不利な自判をすると、こうなりますと、せっかく市民の常識を裁判員制度によって入れるという趣旨に反することになるんではないかと思うんですね。そうしますと、控訴審は事実認定とか量刑不当を理由とするような自判は許されないと趣旨からいえば思うんですが、この点はいかがでしょうか。
  157. 山崎潮

    政府参考人山崎潮君) 現行の刑事訴訟法でも、控訴審につきましてはいわゆる事後審とされているわけでございまして、第一審を破棄する場合には事件を第一審に戻すのが原則であるというふうにされているところでございます。  ただ、そうではございますけれども、その事後審査のために用いた資料によって直ちに新たな判決を言い渡せる場合、こういう場合に限って自判をすることができると、こういう建前を持っているわけでございます。私ども、今回、この点についてはこの規定で対処ができるということで、新たな手当ては加えておりません。  したがいまして、原則的にはやはり破棄差戻しということになりますけれども、資料によって直ちに自判できるという場合には、例外的にそれを認めてもこの制度を導入した趣旨を損なうものではないと、こういう理解をしております。
  158. 井上哲士

    ○井上哲士君 従来の制度運用で事足りると、こういうことなんでしょうが、ただ、やっぱり裁判員制度という新しい制度ができます。そして、基本的に市民の常識を反映をさせていく、そして裁判官だけでは被告人に不利な判決下すことができないという評決の仕組み考えますと、やはり控訴審で自判をする場合というのは、例えばもう明らかに無実という証拠が出てきた場合とか、被告人に有利な判断を行うときのみに限るべきではないかと思うんですが、この点いかがでしょうか。
  159. 山崎潮

    政府参考人山崎潮君) どういう場合に行うかというのは、いろんな態様がございますので、限ることはなかなか難しいと思いますけれども、ただいま御指摘がございましたように、典型的に考えられるのは、身代わり犯であるということですね、これが証人からはっきりしてきたというような場合、この場合は、やはり本人、被告人本人ですね、それの解放をするという観点から、自判をするということの典型例としてはあり得ると思います。  それ以外にも、有罪ではありますけれども、第一審の最中には被害者との関係で示談ができなかった、いろんな事情があって、控訴審になって示談ができて、被害者側からも寛大な刑に処してほしいというような嘆願書等が出てきたというような場合、そういう場合に、もし一審でその書類が、その示談ができて、そういうものがあればこれは執行猶予になるということが明らかなような場合、こういう場合には、確かに、もう一度一審に戻してやるということになれば、それは被告人の利益の問題もございますので、そういう場合もあり得るということから、ここはその運用に任せるということでございますけれども、今、私は典型例を申し上げましたけれども、これに限るかどうかというと、それは限るわけではないということでございますので、ここは運用にお任せをした方がいいのではないかというふうに考えております。
  160. 井上哲士

    ○井上哲士君 是非、裁判員制度というもの、市民の常識を入れるということの趣旨に沿った運用をあらゆる面で行うということの周知徹底を改めて強く求めておきます。  次に、午前中も少し議論になりましたけれども、最高裁が行われた模擬裁判についてお聞きをするんですが、四月にこういうものを行ったということも午前中の答弁でありました。  これは争点が殺人罪か傷害致死罪かを左右する殺意の有無だけに絞り込んだものだということで出ていますが、どうでしょうか、これで題材とされた事件というのは、予想されるものとしては比較的スタンダードといいますか、そういうようなものとして取り上げられたということでしょうか。
  161. 大野市太郎

    最高裁判所長官代理者大野市太郎君) 数開廷で終わるスタンダードな事件であろうと思っております。
  162. 井上哲士

    ○井上哲士君 この種の事件がかなり裁判員制度にかかってくるということのわけですが、ただ、先ほどありましたように、書類が厚さ五センチ、約四百ページで、裁判員役の方からは、覚え切れずメモも追い付かないと不評だったというのが報道になっております。あくまでも、どういうことが改善が必要かということとして始められたとお聞きしていますけれども、絞り込んでもこれだけだったということから、どういう改善方向が必要だということを今考えていらっしゃるんでしょうか。
  163. 大野市太郎

    最高裁判所長官代理者大野市太郎君) 午前中にもお話ししましたが、証拠を絞り込みましたし、それから重要と思われる証拠につきましてはできるだけ朗読に近い形を取りました。さらに、聞くだけでなくて、見て分かるようにということで、プロジェクター等を使ったり、あるいは人形を使ったりして、傷の位置だとか場所の関係ですとかいったようなものを法廷、模擬法廷のところでプロジェクト等を使ってやったわけですけれども、それでもなかなか覚え切れない、あるいは証拠関係でメモも、メモを取っていると今度は頭に入らないといったようなこともありまして、これから、そういった問題点が私どもも実際の裁判官、裁判員役をやってくださった方から意見が出てきておりますので、どういう形でこれを分かりやすくしていくかということも更に検討していくということで、まだ具体的にどうするかこうするかというところについては今後の検討課題として、より分かりやすい審理のために具体的にどのような方法を取っていくか、これを更に検討していきたいというふうに考えております。
  164. 井上哲士

    ○井上哲士君 メモを取りながら話を聞くという習慣が日常ない方も相当多いわけですから、例えば、やはり記録などがすぐに出てくる、それから、あれはどうだったということを評議の場で聞いたら出てくるとか、やっぱり様々な手だても必要だと思います。  それからもう一つ、これも報道でいいますと、短期間でコミュニケーションを図るのはきついと裁判官が振り返ったと、こういうお話もあります。対話能力の大切さが明確になったと、こういうふうに言われていますが、この点ではどういう対処をお考えでしょうか。
  165. 大野市太郎

    最高裁判所長官代理者大野市太郎君) これは従前から私どもも予想しておりまして、昨年行われました長官・所長会同でも、裁判員裁判を担当する裁判官の能力としてどのようなものが必要かというときに、そのコミュニケーション能力というものが出てまいりました。  今回、模擬裁判を実施してみまして、そこのところがより具体的に明らかになったということなわけですが、このコミュニケーション能力につきましては、諸外国におきましても参審制度等で裁判官と裁判員が評議を行っているわけですので、そういった諸外国の例等も研究いたしまして、更にその能力を身に付けていくための研修等を含めた在り方について検討していきたいというふうに考えております。
  166. 井上哲士

    ○井上哲士君 実際に裁判員制度の下で裁判を行うのは地裁ということになるわけです。今朝の質疑では今回の模擬裁判の報告書などをまだ出す段階ではないということでありましたけれども、今後も行われるんだと思うんですが、そうしたデータがどのように地裁等で活用されていくのか、また、実際にやるわけですから、最高裁だけでなく地裁などでもこういうことも必要になってくるんではないかと思うんですが、その点はどのような計画でしょうか。
  167. 大野市太郎

    最高裁判所長官代理者大野市太郎君) まだ本当に試行段階ということで、どういう形でまとめていけるのかを含めて申し上げられるような状況にはないというのが実情でございます。  地裁段階でどうするかということにつきましては、また地裁の方で時期を見て判断されることになるんだろうというふうに考えておりますが。
  168. 井上哲士

    ○井上哲士君 是非、これは実際に現場でやはり問題を解決をしていくということが必要だと思いますので、お願いをしたいと思うんですが。  今回の最高裁がやられたのは、検事や裁判員も含めて全部裁判所の職員でやられたというふうに報道されておりますが、今後、法曹三者がそれぞれの役をしてやる場合、また市民なども参加をしたそういう模擬裁判も必要かと思いますが、この点での計画はいかがでしょうか。
  169. 大野市太郎

    最高裁判所長官代理者大野市太郎君) 法曹三者で模擬裁判を行うということにつきましては、広報的にも有意義なものがあるかというふうに思っております。  ただ、新しい制度でありまして、法曹三者の運用のイメージがばらばらのうちに公開の模擬裁判といったようなものを行えば、かえって国民皆さんに混乱を招いてしまうというような結果にもなりかねないというふうにも思われます。  したがいまして、私どもといたしましては、まず法曹三者がそれぞれの立場から裁判員裁判運用の在り方について十分検討し、その結果を持ち寄って協議を重ね、裁判員裁判運用についてある程度のイメージが作られたということが必要であろうかと、それが先決であろうかと思っておりまして、広報目的の模擬裁判等につきましてはその後順次実施していくのが相当ではないかというふうに考えております。
  170. 井上哲士

    ○井上哲士君 検察審査制度の問題で二点だけお聞きをしておきますが、検察官起訴の当否を審議するわけですから、検察官に対してしっかり考えを持っていると、信頼できる弁護士の人選が必要だと思いますが、このアドバイザー弁護士の選任方法というのはどのようなものとしてお考えでしょうか。
  171. 山崎潮

    政府参考人山崎潮君) 確かにアドバイザーを付けた上で、これは弁護士でございますけれども、その上で、その起訴決議ですか、これを行っていくと、こういうシステムになっておりますけれども、これは裁判所の方で選任をされていくという手続でございまして、裁判所の方の運用でそこのところはきちっと捜査、公判ができるような、そういう弁護士さん、というか、そういうことをよく知っている方ですね、知っている方についてそのアドバイザーとして選任をしていくと、こういうことになっていくんだろうというふうに思っております。
  172. 井上哲士

    ○井上哲士君 起訴議決が上がったときに、検察官に代わって公訴を行う弁護士も含めてあるわけですが、いずれもあれですかね、今のアドバイザーも含めまして、弁護士会に推薦を求めて、そして裁判所判断をすると、こういうことでよろしいんでしょうか。
  173. 山崎潮

    政府参考人山崎潮君) 先ほどのちょっとお答えで、アドバイザーについては検察審査会が選任をするということでございます。起訴をするその弁護士、指定弁護士、これは裁判所の方で選任をしていくという形でございますけれども、いずれにしましても、これは運用上の問題だろうと思いますけれども、なかなか適任の方、どういうふうに見付けるかという問題もあろうかと思いますので、裁判所運用の方でその点は考えていただくということになろうかと思います。
  174. 井上哲士

    ○井上哲士君 そうやって弁護士が選ばれて、検察官として職務を遂行する上での指揮権のことも先ほど質問がありましたけれども、実際、公判を維持するためには検察や警察段階での証拠などがすべてその弁護士さんに送付される必要があると思いますが、この点はどういう手当てがされているんでしょうか。
  175. 山崎潮

    政府参考人山崎潮君) 指定弁護士はその限りにおいて検察官の役割を果たすわけでございますので、そこにある証拠は、それは当然引き継ぐわけでございます。かつ、その捜査について独自の捜査も可能でございますし、それでできない場合には検察官に委嘱をして捜査を行っていくと、こういうような形で、あるいは司法警察員の方をお願いすることもある、そういうふうな形で捜査を行っていくということでございます。
  176. 井上哲士

    ○井上哲士君 今日は最後の質疑だということで、いろいろ残されていた問題も細かくお聞きをしたわけでありますが、施行まで五年間ということがあります。この間、司法制度改革審議会があり、そして推進本部があり、言わば内閣を挙げてこれを取り組んできたわけですね。質疑の中で様々出されましたように、例えば義務教育段階での法教育をどうしていくのかとか、やはりいろんな省庁にまたがって今後この制度を実りあるものにするためにやるべき施策が随分あろうかと思います。  十一月で推進本部がなくなりますと、そういういろんな省庁に横断をするような課題なども含めて、どのように推進をしたりコーディネートをしていくのかということは大変大事だと思うんですけれども、そこの政府としての推進体制をどのようにお考えでしょうか。その決意も含めて大臣にお願いをいたします。
  177. 野沢太三

    ○国務大臣(野沢太三君) この裁判員法案が成立した後における同法の施行準備や広報活動等、これはまずやはり何よりも内閣全体が取り組むべき課題でございますけれども、まずやはりその中でも法務省の役割は非常に重要であると思っております。  今回の改正は裁判制度全体にも響きますから、もちろん行政のみならず、裁判を担当する最高裁も含めまして、正に国家的な規模での取組となってまいりますので、十一月の解散、推進本部の解散以降の問題については、これからまだ半年残されておりますこの日時を利用しながら、まだ残されております法案の準備もございますので、これを含めまして更に検討を深めまして、万遺漏なきを取り計ってまいりたいと考えております。
  178. 井上哲士

    ○井上哲士君 加えて、これまでの審議会、そしてその推進本部の下での検討会、いずれも、十分不十分はありますけれども、市民の代表が加わってやってきましたし、推進本部には顧問会議というものがありました。法案が成立して正に今からのこの施行までの期間というのが大変、国民の声を聞いて充実させていくという点で大変大事なときに、さあこれからはもう法曹三者のみ、ないしは政府のみでやるということになりますと、これは実のあるものはできないと思います。市民、いろんな形で国民意見を聞くこと、広報は必要ですけれども制度的に市民の声がしっかりこの準備や検証に加わるという体制を作ることが必要かと思うんですが、この点でも大臣の御所見をお願いをいたします。
  179. 野沢太三

    ○国務大臣(野沢太三君) これまでの御議論でいただきましたように、この裁判員制度が定着していくためには、市民、国民の皆様の理解、御協力が何よりも大事でございまして、それを今後の施行までの間にどのような形で取り入れていくかについては、関係方面と力を合わせましていろいろ工夫をしてまいらねばならぬと思っております。  ただ、その推進の責任はあくまでやはり政府が中核的な主体となって進める中で、この法案が本来の趣旨を実現できまするよう、引き続きのこれは努力ということになりますが、その最大、最高のやはり場としては、この国会の場における御議論は常に開かれておるわけでございますし、私どももまた承る形になっておりますので、ここの場においても更なる御意見、御討議をいただければ有り難いと思っております。
  180. 井上哲士

    ○井上哲士君 私たちも、法案が通ればそれで後はお任せということではなくて、正に施行までに向けて節目節目での議論をしていかなくちゃいけないとは思っております。  いずれにしましても、司法に国民の常識を加えていくというこの新しい制度の下で、施行までのいろんな準備、そして施行後の運用、そしてその後の検証、すべてにおいて国民意見を貫いていくと、こういうことを強く改めて要望をいたしまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  181. 松村龍二

    ○松村龍二君 自民党の松村議員でございます。  裁判員の参加する刑事裁判に関する法律案刑事訴訟法等の一部を改正する法律案の審議をしているわけですが、いよいよ最後の機会かと思いますが、与党公明党の方からも時間をいただきまして、代表といいましょうか、大きな質問を幾つかさせていただきたいと思います。  今日の日本は、有史以来治安が乱れているんじゃないかなというふうにも見ることができると思います。古代の時代がどうであったか、戦国時代がどうであったか、第二次世界大戦の焼け野原の跡の時代がどうであったか。乱れていた時代はあったと思いますけれども、外国人等が入ってきまして、非常に日本人では通常しないような残虐な事件を行うとか、あるいはちょっとしたお金、あるいは性道徳の乱れといいますか、そういうようなことからいとも簡単にばらばら殺人事件をして、今ごろ、昔だったら一年に何件かあってびっくりしたわけですけれども、毎日毎日報道されても余り驚かないような時代になっている。また、児童虐待事件等も報道されます。これほど子供が痛め付けられる時代はないんじゃないかな。  昨日もテレビ見ていましたら、子供が二十四センチの焼け跡が足の裏にあるというんですね。お医者さんが、よく考えたらこれはフライパンの跡じゃないかということで、焼けた中華なべを押し付けられてやけどしている。お医者さんには熱いおふろに間違ってどぼんと入ってやけどしたというような親の説明であると。こんなようなことでございますので、私が有史以来治安が悪いと言うことも御納得いただけるんじゃないかなというふうに思います。  そういう中において、今ちょうど司法制度改革ということで、この裁判員制度の導入というふうなことで、国民とも参加して日本の司法を立て直すというふうにも見れるわけでありまして、大変意義深い法案であろうかなというふうに思うわけです。  刑事手続は、捜査の段階の警察、あるいは起訴から、公訴を提起しまして、検察官がですね、の役割、また裁判所が、弁護士、今申しました検事、裁判官ということによりまして裁判所が有罪であると判断すれば刑務所で、これまた矯正機関の出番ということで仕組みが作られているわけですが、すべて良好に機能するということが大切であるというふうに思います。また、刑事裁判の段階では、やはりこの中核を位置しているんじゃないかなというふうに思います。この刑事裁判がそれぞれ各国、歴史的、社会的、政治的、そして文化的背景の下に最も適したものが採用されることになっているかと思います。  そういう意味におきまして、推進本部事務局にお伺いしますが、裁判員制度の導入が我が国の刑事司法が築き上げてきた長所を損なうものであってはならず、これを維持発展させながらより良い制度を構築するという改革であるべきと考えますが、裁判員制度がこうした点からも調和の取れた制度として構築されているか、伺います。
  182. 山崎潮

    政府参考人山崎潮君) 我が国の刑事裁判でございますけれども、これは基本的には国民の信頼を得ているという認識をしております。ただ、個々に見れば様々な問題もございます。特に、やはり裁判、プロは視野が狭くなる、あるいは一方からしかだんだん物が見えなくなってくると、こういう点をもう少し国民的な視点に基づいて、その感覚を入れて裁判をしようということになるわけでございます。  そこで、私どももそういう視点から今回新しい制度を設けさせていただくということになりましたけれども、やはり基本は現在ある裁判刑事裁判ですね、これの基本を踏襲しながら、そこに一般の国民の方々の感覚を入れていくと、こういうことになるわけでございます。  したがいまして、例えば法律解釈あるいは訴訟手続上の問題と、こういう問題については裁判官のみで行っていく、あるいは判決に理由をきちっと付すという点、これについても踏襲をしていくと。そういう点については従来どおりのところを守っていくということになりますけれども、一番やっぱり国民が参加をして一番力が発揮していただけるところは、やはり重大事件についての有罪、無罪、それと量刑であろうということでございまして、そこに国民の方になるべく多く参加をしていただいて裁判にその感覚を投影していただくと、こういうことにしたわけでございます。  したがいまして、従来の訴訟の中に新たに国民の感覚を導入すると、両方いい面をつなぎ合わせて今後の刑事裁判をやっていきたいと、こういう思いでございます。
  183. 松村龍二

    ○松村龍二君 朝来、各党の御質問の中で、国民理解と支持がなければこの裁判員制度は立ち行かない制度であるということが指摘されたわけでございます。しかし一方、運用する側の努力も大切でありますけれども、この裁判員制度の導入が我が国の社会で受け入れられ定着していくためには国民の側の意識改革も重要であると、こういうふうに思います。大阪での公聴会でも、最近町内会等の経験では、自分の生活さえやっていればよく、公のことはかかわらないという人が多い、裁判員を経験して皆が公共意識を持つようになると大変良いと思うと、こんな御指摘もあったところでございます。  そこで、大臣にお伺いしますが、政府としても裁判員制度の導入が国民の側の意識改革も必要であるというような認識を持っておいででしょうか。そうであれば、政府としてこのような観点から今後どのような活動を行っていくか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
  184. 野沢太三

    ○国務大臣(野沢太三君) 御指摘のとおり、裁判員制度につきましては、国民の自覚とこれに基づく協力の下で初めて我が国の司法制度の基盤としての役割を果たせることになると考えておるわけでございます。また、国民刑事裁判過程に参加していただくことが社会秩序や治安、あるいは犯罪の被害や人権といった問題について国民一人一人にもかかわりのある問題として考えていただく大変大事な契機、チャンスになると考えておるわけでございます。  このような観点から、今後、裁判員制度の意義やその具体的内容についての理解と関心を深めまして、進んで刑事裁判に参加していただけますよう、積極的に十分な広報活動を行う必要があると考えております。裁判員に指定され、指名されることが誇りに思えるような、そういった国民的な風土が必要ではないかと思っております。また、裁判員制度に対する国民理解と協力を得るための方策といたしましては、いわゆる法教育の具体的な実施も同様に重要であると考えておりまして、文部科学省とも連携しながら、しっかりと学校教育の段階から、さらには具体的な社会生活の改善を含めた社会教育の場におきましても、この制度の徹底、普及を図ってまいりたいと考えております。
  185. 松村龍二

    ○松村龍二君 昨年のロースクールの導入以来、このたびの司法制度改革が法曹養成制度の改革、裁判官、検察官、弁護士の在り方の改革、民事、刑事の訴訟の在り方の改革など、極めて多岐にわたっております。これらの制度改革が相互に関連して、これからの時代に必要とされる司法制度を築くということが必要かと思います。  そのような観点に関しまして、法務大臣の御見解があればお伺いします。
  186. 野沢太三

    ○国務大臣(野沢太三君) 今回の司法制度改革につきましては、我が国の社会の在り方の中で司法の果たすべき役割が大変大きくなってくるものと考えております。ふだんは自由な活動を経済でもあるいは個人の社会生活でもできるだけフリーにする中で、結果責任をしっかり取ると、それをこの司法の面から保障していくというのが私は今回の一連の司法制度改革の大きなやはり考え方の基盤ではないかと思っておるわけでございます。  それぞれの制度はそれぞれ運用されるにいたしましても、一番大事なことはやっぱりそういった国民的なコンセンサス、理解がいかに普及していくかということが大事なことでございまして、言わば社会のありようがこの機会に少しずつでも変わっていく、そして気が付いてみたら大きくやはり日本が明るい住みよい社会になってきたなということが実感できることが一番大事なことと考えておりまして、このために必要な様々な諸手続、これにつきましては、今後の活動の中で更に一層使いやすく合理的なものになりますよう、様々な規則、政令等の改正を通じて実行に移してまいりたい、かように考えております。
  187. 松村龍二

    ○松村龍二君 最後の質問でございますが、この裁判員制度の実施に向けた意気込みについてお伺いするわけですけれども、もう法務大臣各党の質問に対して答えていただいておりますので、実川大臣から意気込みをお聞かせいただきたいと思います。
  188. 実川幸夫

    ○副大臣実川幸夫君) 裁判員制度の導入でありますけれども、これはもう申すまでもなく司法制度の根幹にかかわる改革でありますし、司法に対する国民理解、そして増進とその信頼の向上に資するものとしまして極めて重要な意義あるものと考えております。  このような意義を踏まえまして、裁判員制度の実施におきましては、周知期間、国民理解を得るような努力をし、その実現に向けまして全力を尽くしてまいりたいというふうに考えております。
  189. 松村龍二

    ○松村龍二君 以上で終わります。  どうもありがとうございました。
  190. 山本保

    委員長山本保君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。     ─────────────
  191. 山本保

    委員長山本保君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、小野清子君が委員辞任され、その補欠として愛知治郎君が選任されました。     ─────────────
  192. 山本保

    委員長山本保君) 両案の修正について井上君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。井上哲士君。
  193. 井上哲士

    ○井上哲士君 私は、日本共産党を代表して、裁判員の参加する刑事裁判に関する法律案及び刑事訴訟法等の一部を改正する法律案に対する修正の動議を提出いたします。その内容は、お手元に配付されております案文のとおりであります。  まず、裁判員の参加する刑事裁判に関する法律案に対する修正案の提案理由を御説明申し上げます。  裁判員制度は、司法への国民参加として画期的な意義を持つ制度です。  日本共産党は、この制度の意義を真に生かすために、国民参加を実のあるものとし、国民が参加しやすい制度、分かりやすい制度にすることが必要と考えます。このような観点から修正案を提起するものであります。  以下、修正の概要を申し述べます。  第一に、裁判員の参加する合議体について、その原則的な構成を裁判官の数を一人、裁判員の数を九人とするとともに、評決は、裁判官及び裁判員の双方の意見を含む三分の二以上の多数によることとし、さらに死刑の判断は全員一致によるものとしています。  第二に、裁判員等の守秘義務について、違反に対する罰則から懲役刑を除き罰金刑に限定するとともに、裁判員等の任務終了後は守秘義務の範囲を、正当な理由がなく他人のプライバシーの漏えいや評議の秘密のうち他人の意見を明らかにする行為及び財産上の利益等を得る目的で正当な理由がなく評議の秘密を漏らす行為に限定することとしました。  第三に、審判に影響を及ぼす目的での情報提供等の罪の規定裁判員候補者による虚偽記載罪等の規定を削除することとしています。  第四に、本法施行までの措置として、被疑者の取調べの状況等の録画又は録音及び検察官が保管するすべての証拠の開示を義務付ける制度の導入について検討を行い、その結果に基づいて必要な法制上の措置その他の措置を講じなければならないものとしています。  続いて、刑事訴訟法等の一部を改正する法律案に対する修正案の提案理由を御説明申し上げます。  政府提案の刑事訴訟法等改正案は、自白偏重、代用監獄等、刑事裁判の問題点について、改善を行わないまま、開示された証拠目的外使用禁止裁判所の訴訟指揮権の強化など、被告人弁護人の権利を侵害しかねない様々な問題点があります。また、新たに導入されることとなった証拠開示請求手続は十分なものとは言えません。  以下、修正案の概要を申し述べます。  第一に、訴訟指揮権の実質的強化として新たに付け加わった、出頭命令及びその違反に対する制裁、尋問又は陳述を制限する命令違反に対する処置請求、弁護人が在廷若しくは在席しなくなったとき又は出頭しないおそれがあるときの職権による国選弁護人選任規定は削除することとしました。  第二に、証拠の開示により知り得た事項を用いて、公の秩序若しくは善良の風俗を害し、又は関係人の名誉若しくは生活の平穏を害する行為はしてはならないものとし、被告人又は弁護人等が開示された証拠複製等を人の名誉を害し又は財産上の利益その他の利益を得る目的で人に交付等を行った場合には一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処するものとしています。  第三に、検察官請求証拠以外の証拠について、検察官は開示によって証人の威迫その他の重大な弊害が生ずると認められる場合を除き、原則として開示しなければならないものとしています。また、証拠開示の裁定のために裁判所提出させた証拠の標目の一覧表について、被告人又は弁護人から請求があったときは、検察官が閲覧又は謄写によって証人の威迫その他の重大な弊害が生ずると認めるに足りる十分な理由があることを疎明しない限り、閲覧又は謄写を認めることとしています。  第四に、被告人又は弁護人公判前整理手続における主張明示義務等について、できる限り明らかにしなければならないものとしています。  第五に、検察審査員等の守秘義務について、違反に対する罰則から懲役刑を除き罰金刑に限定するとともに、検察審査員等の任務終了後は守秘義務の範囲を、正当な理由がなく他人のプライバシーの漏えいや評議の秘密のうち他人の意見を明らかにする行為及び財産上の利益等を得る目的で正当な理由がなく評議の秘密を漏らす行為に限定することといたしました。  以上が両案に対する修正案提出の理由及びその内容の概要であります。  何とぞ議員各位の御賛同を心からお願いを申し上げます。
  194. 山本保

    委員長山本保君) これより両案並びに両修正案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  195. 井上哲士

    ○井上哲士君 私は、日本共産党を代表して、刑事訴訟法等改正案に反対、同修正案賛成の討論を行います。  反対の理由の第一は、開示された証拠目的外の使用を刑事罰によって一律に禁止したからであります。他の同種裁判証拠と比較して検討するなど、これまで正当な弁護活動として行われてきた活動や、開示された証拠を用いて世論作りを進めてきた冤罪事件などへの支援活動に対する制約になりかねません。また、標目一覧の開示を全面的に禁止しましたが、これによって一部に例が生まれている証拠の標目一覧の閲覧、謄写が今後一切認められないこととなり、容認できません。  第二は、訴訟指揮権の実質的強化措置として出廷命令の創設や尋問制限命令の違反行為に対する制裁を行えるようにしたからであります。弁護人公判への不出頭が問題になったのは七〇年代の学生事件など極めて限られており、しかも最近二十年では皆無であります。また、正当な理由なき不出頭等について、弁護士自治の範囲内で既に日弁連や弁護士会の内部で解決のためのルール作りが進められています。このように新たな規制を行う立法の前提を欠くにもかかわらず、被告人弁護人の防御権、弁護権に対する不当な規制は容認できません。刑事事件の迅速化の裁判官の強引な訴訟指揮が問題となるケースが増えており、この制度によって事態は一層深刻化しかねません。  第三に、代用監獄、取調べの可視化、検察側証拠の全面開示など、国民が求めてきた刑事司法改革のほとんどが見送られたことも重大です。新たな証拠開示請求手続は、前進ではありますが、求められた水準からは不十分と言わざるを得ません。  我が党提案の修正案はこれらを改善するものであります。  裁判員法案は、裁判員への広範な守秘義務裁判員への情報提供を処罰するなど問題点はありますが、司法への国民参加の制度として画期的な意義を持つ裁判員制度を導入するものであり、修正案政府原案ともに賛成の態度を取るものであります。
  196. 山本保

    委員長山本保君) ほかに御意見もないようですから、両案並びに両修正案に対する討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  裁判員の参加する刑事裁判に関する法律案について採決を行います。  まず、井上君提出修正案の採決を行います。  本修正案賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  197. 山本保

    委員長山本保君) 少数と認めます。よって、井上君提出修正案は否決されました。  それでは次に、原案全部の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  198. 山本保

    委員長山本保君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、角田君から発言を求められておりますので、これを許します。角田義一君。
  199. 角田義一

    角田義一君 私は、ただいま可決されました裁判員の参加する刑事裁判に関する法律案に対し、自由民主党民主党・新緑風会、公明党及び日本共産党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     裁判員の参加する刑事裁判に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府及び最高裁判所は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。  一 裁判員制度の円滑な実施のため、国民意見をも聴きつつ、制度の周知活動の実施を含め、本法施行前における準備を十分行うこと。  二 裁判員制度の施行までの準備を行う過程において、制度の円滑な実施の観点から必要な場合には、制度上の手当てを含めて適切に対処すること。  三 裁判員等の守秘義務については、守秘義務の範囲が明確かつ分かりやすいものとなるよう、広く国民説明するよう努めること。  四 裁判員となることについて辞退の申立てをすることができる事由を政令で定める場合には、幅広い国民の良識を裁判に反映するという制度趣旨及び国民の負担を過重なものとしないという要請に十分な配慮をすること。  五 本法第七十四条による実施状況に関する資料の公表に当たっては、裁判員制度運用の改善などのための検討に資するようにするという同条の趣旨を十分に踏まえること。  六 附則第三条を踏まえ、仕事や家庭をかかえた国民がより容易に裁判員として裁判に参加することができるよう社会的環境の整備に一層努めること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  200. 山本保

    委員長山本保君) ただいま角田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  201. 山本保

    委員長山本保君) 全会一致と認めます。よって、角田提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  次に、刑事訴訟法等の一部を改正する法律案について採決を行います。  まず、井上君提出修正案の採決を行います。  本修正案賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  202. 山本保

    委員長山本保君) 少数と認めます。よって、井上君提出修正案は否決されました。  それでは次に、原案全部の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  203. 山本保

    委員長山本保君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、角田君から発言を求められておりますので、これを許します。角田義一君。
  204. 角田義一

    角田義一君 私は、ただいま可決されました刑事訴訟法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党民主党・新緑風会及び公明党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     刑事訴訟法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府及び最高裁判所は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。  一 被告人の防御権の十分な保障を確保し、充実した公判の審理を継続的、計画的かつ迅速に行う観点から、公判前整理手続における新たな証拠開示制度及び公判の連日的開廷を含め、本法の運用に当たっては、制度趣旨を踏まえるとともに、被告人の防御権にも十分配慮するよう周知徹底に努めること。    また、開示された証拠目的外使用禁止条項の運用に当たっては、制度趣旨を十分踏まえるとともに、裁判公開原則並びに被告人及び弁護人の防御権にも十分配慮するよう周知徹底に努めること。  二 政府は、最高裁判所法務省及び日本弁護士連合会による刑事手続の在り方等に関する協議会における協議を踏まえ、裁判員の参加する刑事裁判に関する法律施行までの実現を視野に入れ、実質的な論議が進展するよう、録画又は録音による取調べ状況の可視化、新たな捜査方法の導入を含め、捜査又は公判の手続に関し更に講ずべき措置有無及びその内容について、刑事手続全体の在り方との関連にも十分に留意しつつ実質的検討を行うこと。  三 国選弁護人の解任に当たっては、被疑者及び被告人の権利を不当に制限することのないようにしなければならないことにつき、周知徹底に努めること。  四 被疑者及び被告人に対する国選弁護制度運用については、国選弁護人選任の範囲を不当に狭めることのないよう配慮すること。  五 被疑者に対する国選弁護制度については、被疑者段階における弁護人の援助の重要性にかんがみ、制度の実施状況を踏まえつつ、より良い制度とするための見直しについて検討すること。  六 検察審査員等の守秘義務については、守秘義務の範囲が明確かつ分かりやすいものとなるよう、広く国民説明するよう努めること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  205. 山本保

    委員長山本保君) ただいま角田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  206. 山本保

    委員長山本保君) 全会一致と認めます。よって、角田提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの両決議に対し、野沢法務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。野沢法務大臣
  207. 野沢太三

    ○国務大臣(野沢太三君) ただいま可決されました裁判員の参加する刑事裁判に関する法律案及び刑事訴訟法等の一部を改正する法律案のそれぞれに対する附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。  また、最高裁判所にも本附帯決議の趣旨を伝えたいと存じます。
  208. 山本保

    委員長山本保君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  209. 山本保

    委員長山本保君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  午後三時三十分まで休憩いたします。    午後二時四十八分休憩      ─────・─────    午後三時三十分開会
  210. 山本保

    委員長山本保君) ただいまから法務委員会を再開いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  総合法律支援法案審査のため、本日の委員会司法制度改革推進本部事務局長山崎潮君及び法務大臣官房司法法制部長寺田逸郎君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  211. 山本保

    委員長山本保君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  212. 山本保

    委員長山本保君) 総合法律支援法案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  213. 吉田博美

    ○吉田博美君 自由民主党の吉田博美でございます。総合法律支援法案について質問をさせていただきます。  司法制度改革審議会が平成十三年六月に提出されました意見書におきまして、民事、刑事を問わず、国民が全国どこでも法律上のトラブルの解決に必要な情報サービスの提供を受けられるような仕組み、いわゆる司法ネットを構築する問題が取り上げられ、国民の司法へのアクセスの改善が司法制度改革の中心的テーマの一つとなったと承知をしておるところでございます。その後、政府司法制度改革推進本部におきまして、司法の利用相談窓口や情報提供、民事法律扶助の拡充、被疑者、被告人の公的弁護制度の整備、法律相談活動等の充実等の具体的な課題について検討を重ねられ、本法案提出されたと承知しております。  本日は、これらの経緯を踏まえ、幾つかの質問をさせていただきます。  まず、この法案目的と理念について大臣にお伺いいたします。
  214. 野沢太三

    ○国務大臣(野沢太三君) 昨年九月に私、法務大臣を拝命いたしました折に、小泉総理から特命を三つほどちょうだいいたしました。その第一がこの司法ネットを実現してほしい、これでございます。第二番目に治安の回復、第三番目が行刑改革でございますが、その第一番目のテーマでございます司法ネットの構想が本日、法案という形で御審議に入っていただけるということを大変私も光栄に存ずる次第でございます。  我が国の内外の諸情勢、非常に変わってきておりまして、今委員指摘のとおり、法による紛争の解決が一層重要になっておるところでございます。総合法律支援法案につきましては、このような背景の下で、司法を国民により身近なものとするため総合的な支援の実施と体制の整備を行うことを目的とするものであります。そして、本法案におきましては、民事、刑事を問わず、あまねく全国において、法による紛争の解決に必要な情報やサービスの提供が受けられる社会の実現を基本理念として明記しております。司法過疎地帯等の問題もございますが、これを含めての対策を講ずることにしておるわけでございます。  さらに、具体的には、情報提供の充実強化、民事法律扶助事業の整備発展、国選弁護人選任態勢の確保、被害者等の援助等に係る態勢の充実、関係する機関、団体等の間における連携の確保強化等が図られなければならないものとしております。これまで、とかく寄り付きにくかった司法への相談の窓口を全国に展開しようと、こういう趣旨でございます。
  215. 吉田博美

    ○吉田博美君 小泉総理から特命の第一番目に挙げられたそうでございまして、法務大臣の取り組む姿勢もこれは並々ならぬものがあるのではないかと思うところでございますが、この法案で設立されます日本司法支援センターは独立行政法人に類似したものとなっていますが、このような形態にした理由をお聞かせいただけますでしょうか。
  216. 実川幸夫

    ○副大臣実川幸夫君) 行政改革大綱におきましては、公共性が高く、国の関与が必要と判断された事務事業のうち、国が直接行う必要がないものにつきましては、透明性や業績評価の仕組みなどが整備された独立行政法人において行うこととされております。  総合法律支援構想の中核となります日本司法支援センターにつきましても、その業務内容の公共性に照らしまして、公正中立で運営責任の明確性及び経営内容の透明性が図られ、かつ提供するサービスの質及び効率の向上を図る仕組みとする必要があることから、基本的には独立行政法人の仕組みに従うのが適当であるというふうに考えられたものでございます。  他方、司法センターの行う業務は司法に密接に関係するものであることなどから、最高裁判所が一定の範囲で設立、運営に関与することとしております。
  217. 吉田博美

    ○吉田博美君 支援センターは具体的にどのような点で独立行政法人とは異なるんでしょうか。お聞かせいただけますでしょうか。
  218. 山崎潮

    政府参考人山崎潮君) 結論的に申し上げますと、この支援センターは、純粋な行政の事務だけではなくて、司法にかかわる事務も行うということでございます。したがいまして、最高裁判所がこの法人の設立あるいは運営、こういう点で関与をするということでございまして、そういうことから独立行政法人通則法に定める独立行政法人とは異なるということでございます。  若干何点か申し上げますけれども、例えばその設立に当たりまして設立委員を命ずるわけでございますけれども、これは法務大臣が命ずるほかに、最高裁判所裁判官を設立委員に命ずると、こういう規定を持っております。あるいは、この中で、弁護士の業務の独立性を確保するために審査委員会というものを設けておりますけれども、その委員のうち一名は最高裁判所の推薦する裁判官であることを要するという規定、あるいは法務大臣による役員等の任命あるいは解任等、そのほかいろんな手続がございますけれども、その際には最高裁判所意見を聴くと、こういうような手当てをしているということによりまして、通常のいわゆる行政事務を行う独立行政法人とは少しその内容が違っていると、こういうことでございます。
  219. 吉田博美

    ○吉田博美君 少し内容は違うそうでございますが。  ところで、支援センターを創設すると、前大臣もいらっしゃいますが、行政改革大綱に反するのではないでしょうか。その点についてお聞かせいただけますでしょうか。
  220. 山崎潮

    政府参考人山崎潮君) 先ほど副大臣の方からもお話がございました。この行政改革大綱でございますけれども、これは法人の事務、業務について、国の関与は必要であるかどうかを厳しく吟味をいたしまして、まず国の関与が必要とないと判断された事務事業、これにつきましては民間にゆだねるというのが一つの考え方です。それから、国の関与が必要と判断された事務事業については、まず国が直接行う必要があるかどうかを吟味するということでございまして、国の関与が必要ではありますけれども国が直接行う必要がないという事務につきましては、透明性あるいは業績評価の仕組みなどが整備をされた独立行政法人で行うという考え方が示されているわけでございます。  こういう関係で、この法案では、支援センターは独立行政法人通則法に基づく独立行政法人そのものではございませんけれども、独立行政法人制度で求められております中期目標管理あるいは会計検査、それから中期目標期間終了時の組織及び業務の見直し、あるいは運営の効率性、透明性に係る措置を講ずることによって、特殊法人等改革等の行政改革の流れに沿った組織といたしまして、国立大学法人、これと同様に広い意味での独立行政法人として整理をされているということでございまして、そういう意味では行政改革の流れに沿うものということでございます。  この事務、これ全国で行うわけでございますので、司法に関する事務というのはやはり国の事務でございます。国がやっていく必要はある事務でございますけれども、これを直接やるかどうかということになれば、直接やらなくてもいい範疇のものであるということから、独立行政法人が一番適していると、こういう判断でございます。
  221. 吉田博美

    ○吉田博美君 先ほども最高裁判所の関与について触れられたわけでありますが、改めてお聞きしますが、支援センターの設立、運営について、最高裁判所が関与する理由は何なんでしょうか。また、関与するとは具体的にどうかかわるのでしょうか。
  222. 山崎潮

    政府参考人山崎潮君) 最高裁判所が関与する一番大きなポイントでございますが、この支援センターの業務の中に、言わば、被疑者、被告人共通でございますけれども、公的弁護、刑事公的弁護の制度がございます。これにつきましては、それに至る事務につきましてはこの支援センターの方で行うわけでございますけれども、最終的に選任をするかどうかというのは、これは裁判所の方にお願いをするということでございまして、業務の一端を担うということになるわけでございます。したがいまして、そういうその特殊性があるということから様々なところに裁判所の関与が盛り込まれていると、こういうふうにつながっていくわけでございます。  先ほども若干申し上げましたけれども、繰り返しになるかもしれませんけれども、この法人を設立するに当たりまして、法務大臣が設立委員を任命をいたしますけれども、最高裁判所の方も裁判官を設立委員に命ずるということになっております。あるいは、先ほど申し上げました審査委員会、あるいは、この中にこの業務の評価をする評価委員会というのを置くわけでございますけれども、そういう委員となるべき裁判官、これを推薦をすると、こういうようなこと。それから、法務大臣が様々な権限を持って役員の任命等、それから解任等、あるいはもっと言えばその中期目標の策定、それから中期計画の認可、それからその目標の期間終了時の検討、こういうことを行うわけでございますけれども、これに対して最高裁判所の方が意見を述べると、こういうようなシステムになっているということでございます。
  223. 吉田博美

    ○吉田博美君 そこで、法務大臣が支援センターの主務大臣になることになっているわけでありますが、この点についての問題点はないのでしょうか。
  224. 実川幸夫

    ○副大臣実川幸夫君) 総合法律支援法案におきましては、国選弁護人選任に関する業務などを行う支援センターの主務大臣法務大臣としておりますけれども法務省は、法秩序の維持、国民の権利擁護等を任務することとしております。総合法律支援に関する事務を所掌する者として最もふさわしいものでございます。  また、本案の運用に当たりましては、弁護士及び隣接法律専門職者の職務の特性に常に配慮しなければならないとされている上、支援センターに対します法務大臣の監督権限につきましては、理事長の任命権限、また中期計画等の認可等に限定されておりまして、法人の独立性が十分尊重されたものとなっております。  これに加えまして、本法案では、契約弁護士等が支援センターとは独立して、独立してその職務を行うとされていること、また、有識者等によります構成される審査委員会を設けまして、契約弁護士等に対する契約解除等の措置に関しましてはその議決を経ることとされております。  このように、契約弁護士等の活動の自主・独立性につきましては十分な担保がされております。したがいまして、法務大臣が支援センターの主務大臣になることにつきましては、何ら問題はないものというふうに考えております。
  225. 吉田博美

    ○吉田博美君 支援センターの理事長は法務大臣が任命権者であるわけでありますが、その際に、最高裁判所意見を聴いてということになっているわけでありますが、それはなぜ、その理由についてお聞かせいただきたいと思いますし、また意見を聴くとは具体的にどのようにするのでしょうか。その点をお聞かせいただけますでしょうか。
  226. 山崎潮

    政府参考人山崎潮君) 先ほども答弁させていただきましたけれども、この司法支援センターですね、この業務につきましては最高裁判所の関与もあるわけでございます。したがいまして、その運営についてどのような運営がされていくかということについてはやっぱり裁判所の方にも大いに利害があるわけでございます。特に、理事長につきましては、このセンターを代表いたしましてその業務全般を総理するというような大変重要な役割を負うわけでございます。ですから、その任命に当たりまして、やはり最高裁判所の方の意見は聴取をしておいた方がいいだろうと、こういうことでございます。  この意見の聴き方でございますけれども、具体的にはこれから実際のやり方を決めていくことになると思いますけれども法務大臣による理事長の任命行為に先立って最高裁判所の方に意見照会を行いまして、回答される意見、これがあるかないか、あるいはその内容によって最終的に法務大臣の方で任命行為を行うということだ、そういうイメージだということでございます。
  227. 吉田博美

    ○吉田博美君 やはり業務の運営の透明性の確保というものが大事だと思うわけでありますが、この支援センターの業務運営の透明性を確保するための方策としてどのような処置を講じられているのでしょうか。
  228. 実川幸夫

    ○副大臣実川幸夫君) 御指摘のとおり、支援センターの業務運営に当たりましては、その透明性を確保することが大変重要であるというふうに考えております。そこで、本法案におきましては、支援センターは、その業務の内容を公表すること等を通じましてその組織及び運営の状況を国民に明らかにするよう努めなければならないものとしております。  また、具体的には、業務方法書を始めといたしまして、中期目標、中期計画、事業報告書、役員の報酬、給与等の支給基準などにつきまして公表すべきこととしているほか、財務諸表等を一般の閲覧に供することとしております。
  229. 吉田博美

    ○吉田博美君 支援センターの業務運営には特に地方の声が反映されなければならないという意見がありますが、その点についてはどのようなお考えでしょうか。
  230. 実川幸夫

    ○副大臣実川幸夫君) 支援センターの地方におけます業務運営に当たりましては、地方の声を反映し、国民に対しましてその地域の実情に応じたきめ細やかなサービスを提供できるようにすることが大変重要であるというふうに考えております。  そこで、本法案におきましては、各地域におきまして協議会を開催することとしまして、地域の利用者等の意見を聴き、地域の実情に応じた業務運営を行うことを想定いたしております。
  231. 吉田博美

    ○吉田博美君 支援センターは、主たる事務所のほか、必要な場所に事務所を置くことができるとしておりますが、設置する場合、どのような事情が考慮されるのでしょうか。
  232. 寺田逸郎

    政府参考人(寺田逸郎君) これは運用の問題でございますので、基本的にはこれから設立されます司法支援センターが独自にいろいろお考えになりまして、また関係機関ともいろいろ御相談になりましてお決めになることでございます。  ただ、この法案の立案の段階におきまして私どもなりにその考えを申し上げますと、基本がやはり必要がある場合ということでございますので、ニーズということになろうかと思います。  具体的に申し上げますと、その地域あるいはその近辺にどれぐらい弁護士の先生がおいでになるか、あるいは隣接法律専門職者と言われる、これに準ずる方がおいでになるかというようなこと、あるいはそれらの方がおいでになる中核都市からどのぐらい離れているかというようなこと、それから逆に、この地域で一体どのぐらいの法律扶助、民事の法律扶助でございますとかあるいは刑事の国選の事件がある、そういったことが基本になるわけでございますけれども、あわせまして、やはり業務の効率性でございますとか、あるいは地域から具体的にどういう要望があるかと、これは地域によって様々な問題があろうかと思います。そういったことを踏まえた上での御要望があろうかと思いますので、そういったことですとか、あるいは、やはり現実的な問題といたしましては、トータルとしてどのぐらいのスタッフが一体配置可能なのかというようなことも問題になろうかと思います。  これらを併せ考えて決められることであろうというふうに考えております。
  233. 吉田博美

    ○吉田博美君 先ほど支援センターの概略ができ上がってということでございますが、また、改めてその点についてはまたその時点で対処されると思いますが、また同じような質問でありますが、事務所は全国で何か所程度設置する考えなのでしょうか。なお、設置場所は大都市以外の地域にとの意見がありますが、いかがでしょうか。
  234. 寺田逸郎

    政府参考人(寺田逸郎君) この支援センターの地方事務所でございますが、これは基本的には、裁判所で行われます刑事事件の国選弁護というようなことが中心になりますし、また民事法律扶助というようなことが非常に大きな業務の中心でございますので、少なくとも、大都市を含めまして全国の地方裁判所の本庁、北海道には道庁所在地以外に三つあるわけでございますけれども、これらを含めまして五十か所には必要になろうかと考えております。  事務所は、これに加えまして、さらに支援センターの業務内容に照らしまして、いわゆる司法過疎地というところにサービスを提供するというのが一つの任務でございますので、その設置地域や設置の数についてはどういうところが具体的に必要になるかと、先ほど申しましたいろんな考慮要素がございますが、それを併せて考えまして設置数が決まると、こういうことになろうかと思います。
  235. 吉田博美

    ○吉田博美君 事務所を設置する場合、業務の効率性を勘案するとされておりますが、効率性だけを考えれば、例えば離島など業務の効率性の悪い場所にはもう設置されないという、こういうことでございましょうか。
  236. 寺田逸郎

    政府参考人(寺田逸郎君) この法律の中に、確かに業務の効率性ということが一つうたわれておりますが、同時に、法律においては、地域の実情、その他の事情をいろいろ勘案するということになっております。  極端に考えますと、事件数がほとんどない地域にこういうものを置くということの効率性の悪さということは当然理解できるところでございますので、そういうところに弁護士を常住させるということは余り考えられないことではございますけれども、しかし、だからといって、例えば離島のようなところで、かなり事件が少なくても、しかしほかに手段がなければやはり一つの検討に値する案件になろうかというふうに思われるわけでございまして、いろんな要素を考え併せまして決められるものでございますので、決して業務の効率性だけが中心の考慮要素ということではございません。
  237. 吉田博美

    ○吉田博美君 ある程度安心しましたが、そこで大臣にお伺いしますが、支援センターの民事法律扶助の事業は利用者にどのようなメリットがあるとお考えでしょうか。
  238. 野沢太三

    ○国務大臣(野沢太三君) まず、現行の民事法律扶助法におきましては、個別の事件ごとに一般の開業弁護士等が法律事務を行いまして、法律扶助協会において依頼者が支払うべき報酬、実費を立て替える仕組みのみでございますが、今回のこの法案の下では、支援センターに所属する常勤弁護士に法律事務を取り扱わせることを可能にしておるところでございます。この常勤弁護士の活用によりまして一層迅速で効果的な援助の実施が可能となるものと考えております。  また、専属の事務職員を抱える支援センターが民事法律扶助事業を担うことも事務処理体制の強化に資するものであると考えておりまして、一段と便利になると考えております。
  239. 吉田博美

    ○吉田博美君 全国どこでもだれでもというような、気軽に本当にこの司法の相談ができるということが私はまさしく司法ネットの原点ではないかなと思っておりまして、大事なことでありますが。  ところで、支援センターの主要業務の一つに司法過疎対策がありますが、具体的にどのような業務を行うのでしょうか。
  240. 山崎潮

    政府参考人山崎潮君) 司法過疎地域でございますので、法律家がいないということになるわけでございます。したがいまして、法律的なニーズがあるものを行っていくということになりますが、一つは民事関係法律扶助の関係、この要件を備えるものにつきましては、ここに仮にスタッフの弁護士がいるということになれば、その弁護士がその業務を行っていくということになります。  これ以外に、その扶助の要件には当たらないとしても、その地域にだれも弁護士さんがいないということになれば、でもどうしてもその必要性があるという事件もあります。そういうものにつきましては、司法過疎地域に限ってでございますけれども、相当の対価を得て、そのいろいろな事件の処理に当たるということも許されるということでございます。  それと、大きな業務のもう一つは相談の問題でございます。これについても法律家がおられないわけですから、そこについては、やはりこの支援センターを中心に法律相談を行っていくということになろうかと思います。  もう一つ大きなものは刑事関係事件でございまして、弁護士さんが非常に少ないところでありましても、例えば被疑者弁護、弁護士を付けるという場合にも、この周りに対象の弁護士がどうしてもいないということになれば、ここのスタッフ弁護士がその選任を受けるということにもなります。あるいは、被告人になってからも刑事事件についてここのスタッフが受任をするということもあり得ます。  したがいまして、もうありとあらゆる法律業務、これが対象になっていくということでございます。
  241. 吉田博美

    ○吉田博美君 治安の状況の悪い今日の中で、特に凶悪犯罪が増えているという中でありまして、今被害者の支援というのが社会問題となっておると言っても過言ではないと思いますが、そうした中で、支援センターの犯罪被害者支援とは具体的にどのようなことを行うのでしょうか。お聞かせいただけますでしょうか。
  242. 実川幸夫

    ○副大臣実川幸夫君) 犯罪の被害を受けた方、また遺族の方は、突然の不幸に大変大きな肉体的、また精神的負担を受けます。自らの利益の保護あるいは権利の実現のためにどうすればよいか、途方に暮れてしまうのが実情ではないかと思われます。支援センターにおきましては、犯罪被害者の方が置かれている状況を十分念頭に置きながら、その支援のために積極的に取り組んでいくことになると考えております。  すなわち、支援センターにおきましては、犯罪被害者の方のために様々な取組をしている組織又は緊密な連絡関係を構築いたしまして、個々の犯罪被害者の方が受けられております心身のダメージ等に十分配慮しながら、そのときに最も必要な援助が受けられるような集約した情報を速やかに、かつ懇切丁寧に提供することになると思います。  また、各地の弁護士会、日本弁護士会連合会と提携いたしまして、犯罪被害者問題に精通した弁護士を犯罪被害者の方に紹介し得る体制を整備することも予定されております。  さらに、必要な場合におきましては、民事法律扶助制度をも活用しながら、問題となっている事案に応じた適任の弁護士から必要な法的サービスが受けられるようにして、損害賠償等の実現、また刑事手続への適切な関与が図られることになるというふうに考えております。
  243. 吉田博美

    ○吉田博美君 かなり努力をしていただきたいと思うところでございますが。  ところで、支援センターの業務とされます関係機関や団体等との連携の確保及び強化を図ることは、具体的にどのようなことを行うのでしょうか。
  244. 実川幸夫

    ○副大臣実川幸夫君) 支援センターの業務運営に当たりましては、関係機関、また団体等と適切に連携協力しながら、良質なサービスが提供されるようにする必要がございます。  連携を図るべき関係機関、団体、連携の具体的内容等は支援センターの行う各業務に応じて様々だと思いますが、例えば、各種相談窓口を開設しております地方公共団体、弁護士会等の間で連絡協議会のようなものを開催をいたしましてそれぞれの窓口に寄せられる相談の状況等について情報交換を行うこと、また、サービスの向上を図るために担当者レベルの会合を開催をいたしまして意見交換を行うこと、さらには支援センターが地方公共団体等の相談窓口事務担当者に対しての必要な研修を実施することなどが考えられております。
  245. 吉田博美

    ○吉田博美君 不安な人が、司法とも余り関係のない、縁のなかったような人がこの支援センターを訪れていろんな相談をする、あるいはお願いをするといった場合が多いと思うんですけれども、そうしたときに支援センターの顔になると思われる相談窓口の担当者がつっけんどんでどうしようもなかったということになりますと、何か、何しに来たのかなと。極めて大事なことだと思うわけでありますが、相談窓口の担当者にはどのような人を充てる予定でしょうか。また、相談窓口業務の機能向上のための方策を何かお考えでしょうか。
  246. 寺田逸郎

    政府参考人(寺田逸郎君) ただいま御指摘いただきましたように、このセンターがうまくいくかどうかは、正にそのセンターの窓口に立っている方にどのような方を得て、どのような適切なアドバイスを利用者の方に与えていただけるかというところでございます。  その窓口に立っていただく方は、できるだけ専門知識が多い方であるにこしたことはないわけでございますけれども、現実的に考えますと、やはり必ずしも資格者を常に得られるとは限らないわけでございます。むしろ、これに準ずるような、いろんな法律的な知識をお持ちだけれども資格を有しておられない方というものにできるだけ加わっていただきたいなという考えでおります。  この種のことをやることはなかなか初めての経験でございますので難しいわけでございますけれども、できるだけ幅広く情報を得まして、そういう方に集まっていただけるように努力したいと、このように思っております。  さらに、集まっていただいた上に、しかし、どの窓口に行きましても的確なアドバイスを与えられるというのがやはりこのサービスの言わば売りでございますので、そういうことを実現するためには相当の研修等の能力向上のための施策をしていかなきゃならない。必要な情報提供が可能になるように、もちろんマニュアル等も作成はいたすわけでございますけれども、そういった研修等も併せ実施いたしまして、窓口担当者が的確なアドバイスができるように体制を整えたいと、このように考えております。
  247. 吉田博美

    ○吉田博美君 IT化の中でできるだけ業務を簡素化していくことが大事なことではないかと思うわけでありますが、支援センターの情報提供業務においてIT技術を活用することは検討されているのでしょうか。
  248. 実川幸夫

    ○副大臣実川幸夫君) 支援センターにおきましては、主要な業務の一つといたしまして相談の受付、情報提供を行うこととしております。  この情報提供に当たりましては、利用者のアクセスをより容易にする観点から、インターネット等の情報通信技術を活用いたしまして、支援センターの窓口に赴かなくても情報提供が受けられるようにすることも想定されているところでございます。
  249. 吉田博美

    ○吉田博美君 今度はその支援センターへ行く人の立場なんですけれども、支援センターの事業はどのような立場の人がどのような場合に利用できるのでしょうか。
  250. 山崎潮

    政府参考人山崎潮君) 総体的に言えば、必要な方は皆さんいらっしゃるということになりますけれども、この中の業務でちょっと一定の方かなということを申し上げまして、それ以外の方はもう一般の方ということになると思いますけれども。  まず、民事法律扶助につきましては、これは資力要件というその要件がございますので、その要件をクリアした人でございますので、これにつきましては、一般的な国民、それから我が国に適法に在留する外国人が対象になりますけれども、その中で資力要件をパスした方と、こういうことになるわけですね。  それから、国選弁護に関しましては、先ほど来申し上げておりますけれども、やっぱり被疑者、被告人、これが対象になるということでございます。  それから、犯罪被害者の対策の問題でございますが、この支援でございますけれども、これに関しましては、そのサービスを受ける対象は犯罪被害者あるいはその関係者が中心になろうというふうに思われます。  それ以外の点につきましては、これはもう一般の国民、ユーザーが来られるということになろうかと思います。特にどういう方というのは、その特定はないということでございます。
  251. 吉田博美

    ○吉田博美君 支援センターはどのような手順で弁護士を紹介するのでしょうか。相談者のニーズに応じた紹介は可能なのでしょうか。
  252. 実川幸夫

    ○副大臣実川幸夫君) 支援センターにおきましては、最寄りの弁護士会等を紹介するのみならず、日本弁護士連合会又は各弁護士会からの推薦を受けるなどしまして、犯罪被害者問題に精通した弁護士、その他特定専門分野の経験豊かな弁護士を把握し、利用者の相談内容に応じましてこれらの弁護士の名簿を交付したり、弁護士会におきまして該当日の担当者等が決定されておりますればその者を紹介することも考えられます。  いずれにしましても、相談者のニーズに適しましたきめ細やかな対応がなされる必要があるというふうに考えております。
  253. 吉田博美

    ○吉田博美君 そこで、支援センターとの連携協力が期待される隣接法律専門職者とは具体的にどのような人なのでしょうか。
  254. 山崎潮

    政府参考人山崎潮君) 隣接法律専門職者でございますけれども、弁護士及び弁護士法人以外の者であって、法律により他人の法律事務を取り扱うことを業とすることができる者というわけでございます。  具体的には、司法書士、土地家屋調査士、それから弁理士、行政書士、社会保険労務士、税理士などが当たるわけでございますが、ジャンルによっては、例えば公認会計士とかそれから外国法事務弁護士とか、そういう方々が考えられるということでございます。
  255. 吉田博美

    ○吉田博美君 支援センターの職員は個人のプライバシーに接することがかなり多いんではないかと思われますが、プライバシーの侵害防止のためにどのような予防措置を講じられているのでしょうか。
  256. 実川幸夫

    ○副大臣実川幸夫君) 御指摘のとおり、支援センターの職員につきましては、個人のプライバシーに接することが大変多く、プライバシーを守ることは非常に重要な問題であるというふうに考えております。  支援センターの業務の公共性などからしまして、役職員の秘密保持義務を定めるとともに、役職員は、刑法その他の罰則適用につきましては、法令により公務に従事する職員とみなすこととしております。また、支援センターの職員に対して十分な研修を行うなどして、運用上もプライバシーの保護のために適切な措置が取られるものと考えております。
  257. 吉田博美

    ○吉田博美君 支援センターの契約弁護士については職務の独立性を確保する措置が講じられておりますが、その趣旨をお聞かせいただけますでしょうか。
  258. 実川幸夫

    ○副大臣実川幸夫君) 本法案におきましては、弁護士の職務の特性に常に配慮しなければならないものとした上で、支援センターの間で契約をしている弁護士の職務の独立性を明記しております。  具体的な職務活動につきましては支援センターの指揮命令を受けないこととしております。また、有識者等によります、構成される審査委員会を設けまして、契約弁護士に対します契約解除等の措置に関しましてはその議決を経ることとしております。  これらの措置を講じている理由でありますけれども、弁護士の職責が個々人の権利、利益を擁護することにある点にかんがみますと、その職務の独立性を確保することが極めて重要であるというふうに考えたからでございます。
  259. 吉田博美

    ○吉田博美君 支援センターの常勤弁護士については特に刑事裁判の経験豊かな弁護士が確保する必要があるとの意見がありますが、その点についてはお考えはどうでございましょうか。
  260. 山崎潮

    政府参考人山崎潮君) どういう弁護士を支援センターのスタッフとして確保するかということは、センターの業務運営上の判断でございます。  スタッフ弁護士は、民事、刑事を問わず、法律事務を適切に取り扱うことができる者でなければならないということは当然でございます。この業務を考えますと、確かに刑事事件もございますけれども、場合によっては民事事件につきましても、例えば、一番最近多いのでは自己破産の事件でございまして、これを個々の契約弁護士に順次お願いしていくというよりも、スタッフ弁護士が集中的にやるといった方が効率も上がるだろうというものもありますので、そこの事務所の、どういうニーズが一番多いかということ、それを考えながらそれぞれに合った弁護士を探していくと、こういうことになろうかと思います。
  261. 吉田博美

    ○吉田博美君 司法過疎地域以外では資力のある国民に対する法律相談は実施しないとのことですが、その理由をお聞かせいただけますでしょうか。
  262. 山崎潮

    政府参考人山崎潮君) これは、この法案でもその点を意識して明文化しているところもございますけれども、この支援センターは、地方公共団体あるいは民間の既存の取組と連携協力してこれを補完すると、補完しながら司法に対するアクセス障害を解消するということにしているわけでございます。この補完性の趣旨、これは法案のいろんなところでも明記がされているところでございますけれども、そういう性格のものであるということでございます。  この法案に至るまで通称として司法ネットという文言で言われていたわけでございますけれども、これは、ネットワークという意味もございますが、セーフティーネットという意味もございまして、いろいろそれぞれのところでやっていただく、やっていただくんですけれども、それではどうしても足りないところが出てくるだろうと、それを補完していく意味でこの支援センターが必要になってくると、こういうことでございますので、その点は御理解を賜りたいというふうに思います。  したがいまして、過疎地域等における場合や、あるいは民事法律扶助ですね、この要件に該当する場合のほかは、したがいまして支援センターが一般的に法律相談を実施するということは想定をしていないわけでございます。これは弁護士会なりあるいは公共団体、それぞれで行っているところがございますので、そちらを優先的にやっていただきたいと、こう考えているわけでございます。
  263. 吉田博美

    ○吉田博美君 いずれにいたしましても、総合法律支援の実施及び体制の整備には先立つものが必要だと思うわけでありますから十分な予算処置が必要だと考えられますが、この点はいかがでございましょうか。
  264. 実川幸夫

    ○副大臣実川幸夫君) 総合法律支援構想の運営主体となります日本司法支援センターでございますけれども、これまで法務省におきまして予算を確保してきた民事法律扶助事業関係の業務に加えまして、法による紛争解決制度の有効な利用に資する情報提供の充実強化の業務、又は国選弁護人選任に関する業務、またいわゆる司法過疎地域におけます法律事務に関する業務、犯罪被害者の支援に関する業務等、幅広い業務を担当することを予定しております。  法務省といたしましては、これらの業務を効果的かつ効率的に処理するため、必要な予算の確保に努めてまいりたいというふうに考えております。今後、運営上の詳細と併せまして検討を重ねてまいりたいと、このように考えております。
  265. 吉田博美

    ○吉田博美君 ところで、支援センターの業務が開始されるのはいつごろの時期ですか。お聞かせいただけますでしょうか。
  266. 実川幸夫

    ○副大臣実川幸夫君) 支援センターが業務を開始するまでには、設立に関する事務に加えまして、事務所設置又は職員の採用等に関する事務等相当な準備、準備作業が必要というふうになります。そういう関係で、法律が成立した後に一定の準備期間が必要であると考えておりますけれども平成十八年度中には法人を設立しました上、業務が開始できるようにしたいと考えております。
  267. 吉田博美

    ○吉田博美君 できるだけ早くいいことは取り組んでいただきたいなと思っているところでございますが、最後に大臣の総合法律支援構想の実現に向けた決意のほどをお伺いしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  268. 野沢太三

    ○国務大臣(野沢太三君) 最初申しましたように、一連の司法制度改革の言わば中核を成す法律一つと心得ておるわけでございます。先ほど上げていただきました裁判員制度と併せまして、今回の司法制度改革は、この総合法律支援の法案が御可決いただきますれば、実際に目玉が二つきちっと開くと。だるまさんによく目玉を入れることを先生方も選挙のときにはおやりいただいていると思いますが、それに相応する二つ目の目玉法案と私は心得ておる次第でございます。  国民の皆様にとって身近でしかも利用しやすい、いつでもどこでも使える司法制度、今まで裁判というものはいいものだということは分かっていても、やや縁遠いとか高ねの花とか寄り付きにくいとか、こういった点をこの際一気に解消できる可能性を持った制度と考えておる次第でございます。  その意味で、私、法務大臣といたしましても、更に力を入れまして、この制度の具体的実現のために一層の努力を重ねてまいりたいと思っております。
  269. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 今日からこの総合法律支援、いわゆる司法ネットの法案を参議院でも審議をさせてもらうわけでございます。もう大臣、繰り返しもう二度も今御答弁なさっているんですけれども、やはりこの制度というのは今まで、ある意味では国民皆さんにとってみれば、おっしゃるように高ねの花であってみたり、縁遠いものであってみたり、また、じゃどこへ相談行こうかと思っても、幾つか私たちも党としても努力をし、例えば無料相談を、法律の無料相談をやってみたり、民事扶助の制度を作ってみたり、いろんなこう作りましたけれども、じゃ、そのどこをどう利用すればいいのかと。国民から見れば非常に見えにくい。そういう意味では、一つの形としてのネットの作り方がもう一番大事だったという意味では、私もこれは待ちに待った法案であることは間違いないと思っているんです。  ただ、大臣に、審議の冒頭ですから、繰り返しになるかもしれませんが、一つはやっぱり、どういう現状を認識した上でこの必要性というのをお感じになられ、まあ総理に言われたからだけだとは思えませんし、御自身考えていらっしゃることもあると思うし、その上で、この実現へ向けた決意をまず冒頭、審議の冒頭に伺っておきたいと思います。
  270. 野沢太三

    ○国務大臣(野沢太三君) 委員御承知のとおり、この司法制度改革は、既にこれまで五年の歳月を経まして議論を重ねてまいりまして、審議会からの御答申もちょうだいし、そしてまた、推進本部ができてから二年六か月という時間を掛けて練り上げてきたこの法案であり、制度でございます。  ただ、私、最初法務相に拝命をいたしましたときに、なぜ今まで時間が掛かったのか。そして、我々政治の世界では十年前から政治改革ということで相当思い切ったことをやってまいりましたし、行政の方でも既に相当前から地方分権を始めとし、省庁の統合も含め、思い切ったやはり改革に取り組んだんですが、司法の分野はそれが時間が掛かったと、後れたということがあろうかと思うんですが、その内容をよく見ると、実は司法制度というものは相当今まで国民の皆様から信頼され、頼りにされていたと。そしてまた、裁判官の皆様もあるいは弁護士の皆様も検事の皆様も含め御努力をされ、それなりに立派な成果が上がっていたんではないかなと。ただ、それがゆえに、逆に時代の流れから後れている、あるいは経済情勢を含め社会情勢の変化からやや後れを取ったのではないかな。特に、最近の国際情勢の変化等につきましては、相当なこれは大きな流れが来ておるわけでございますので、今こそ正に制度改革のときが来ているんだなと思うわけでございます。  そして、どんな立派な制度を作りましても、これがやはり具体的に国民の皆様から利用されやすい、使いやすい制度でなければならない。また日本も、余り大きな国ではないとはいうものの、過疎地帯とか過密地帯とかいろいろ今分化しておるわけでございますから、そういった地域の格差あるいは仕事の分布、それによって司法制度が利用しにくいとか、偏っているとか、こういうことではいけない。私どもが目指す、日本じゅうどこに住んでも立派に報われるようなそういう社会を作るためにも、いつでもどこでも利用できる制度という意味で、この司法ネットの制度は極めて重要なものであると考えておるわけでございます。  その意味で、今度の司法制度改革の中でも最も重要な柱と、先ほど私はだるまの目玉と申しましたけれども、うちの構造でいえば大黒柱の一つだろうと考えております。
  271. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 私も、この司法ネット、ある意味では非常に大事な問題で、今大臣もおっしゃったように、いろんなところから意見を聞きながらようやく仕上げてきた制度だと思って、是非と思っていたときに、ある新聞を見ましたら、朝日新聞に何か弁護士さんが、見出しは「司法ネット 政府の監督下に置く危うさ」というような題で書かれているんですよね。  私はこの論にくみするつもりはないですけれども、要するに、どうなるかというと、行政、司法、立法と三権分立の中で、この司法ネットというものを作ることによって、ある意味では行政の監視下へ司法というのが置かれるんだというような論理展開でございまして、余り面白くないんですけれども。  私自身は当然、この総合法律支援というのは、国の責務と位置付けられて予算も当然計上される以上、ある意味では一つの、例えばセンター作るにしても独立行政法人的なものというのは必要だと考えるんですけれども、この人に言わせると、まず官から民へという時代の流れに逆行しておると、これが一点でしょう。もう一つは、結局これによって全部支配下に置かれるんだというような感じの書き方なんですよね。  これは是非、まとめ上げてきた山崎事務局長、大いにこれは、何なんだこれはと反論してもらいたいと思います。
  272. 山崎潮

    政府参考人山崎潮君) 反論の機会を与えていただきましてありがとうございます。  これは先ほどもちょっと申し上げましたけれども政府全体として今大きな方針は、確かに民間でできるものは民間でと、それから、国がやる必要があるものでも、国が直接やるか、あるいはそうじゃなくて別の形でやるか、これは独立行政法人でございますけれども、そういうような議論がされているわけでございます。  この司法のいろいろなお手伝いというものにつきましては、これはもし民間でできるならば今までだってそんな苦労はしないわけですね。しかし、できないからこそ国が様々な形でお手伝いをしているわけでございます。例えば法律扶助、それから国選弁護でも国が予算を取っていろいろやっているわけでございます。  したがいまして、やはり、民間に任せるところは任せますけれども、国がきちっとやらなければならないところは当然あるわけでございます。したがいまして、これは国の業務の問題でございます。  そこで、これを直接国がやるかどうかということになるわけでございますが、それは必要ないだろうということから、それならば独立行政法人を作って、そこで総合的に行っていくことが一番いいことではないか、能率的ではないかということで考えたわけでございます。  それから、行政が司法を支配するですか、そういう考え方は、これは先ほど来大臣、副大臣の方からもいろいろ御答弁ございますけれども、実際これをやるについては一般の弁護士さんにお願いすることが大部分でございます。そこの業務については独立性が確保されておりまして、この運営主体がその業務内容に、要するに弁護ですね、弁護等の業務内容に直接立ち入ってはいけないと、こういうことがはっきりしているわけでございまして、こういう独立性を保ったシステムでございますので支配するというのは当たらないだろうというふうに思っているわけでございまして、これは若干我々としては心外であると、国民のためを思ってこれだけスケールのものを作ろうというときに、それを違う形から言われるのは若干心外であるということで、趣旨を是非御理解を賜りたいと思います。
  273. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 もう一点、今言い掛けた、言っていただいた点、繰り返しきちんと言っておいてもらいたいんですけれども、もう一点言っているのは、総合支援事業の監督は弁護士の個別具体的な業務への介入を意味しないということはあっても、この人が言うには、業務を行う構成員が組織に取り込まれる限り、真の独立はあり得ないんだというような指摘なんですよね。  更に加えて、この新しい制度というのは、特に国選弁護制度を運営する主体を法務大臣及びこの監督下、認可の下に置こうとしていると、こんなとらえ方するわけですよね。  私はやっぱり、この法案そのものでも、またセンターの形態上でも、いわゆる弁護士の職務の独立性の問題、こうやって確保しているんですよと、何を言っているんだと。私が言ってもしようがないんで、どうぞ事務局長、お答えいただきたいと思います。
  274. 山崎潮

    政府参考人山崎潮君) 先ほど一部申し上げましたけれども、結局、弁護士の職務ですね、これについては配慮をしなければならないということでございますので、この法文の中でも弁護士の具体的な職務活動については支援センターの指揮命令を受けないということをはっきりさせているわけでございます。  仮に依頼者との関係で何かいろいろトラブルが生じたという場合も、直接それについて支援センターの方で最終的にその契約を解除するかどうかということを決めるんではなくて、審査委員会という独立性の高い委員会を中に設けまして、そこで審議をしていただくということになるわけでございまして、そういう意味では独立性に関して十分な配慮をしているわけでございます。  それから、あと、大部分の方は契約でこの業務を行っていただくということになるわけでございますので、その契約の限りでございまして、一般的にそれによって命令、支配を受けるということにはならないわけでございます。  それと、常任、常勤のスタッフ、弁護士資格を持ったスタッフでございますが、これにつきましても、実際行う業務についてはやっぱり独立性が確保されているわけでございまして、取り込まれるわけではございません。嫌な方は別に契約されなくても結構でございます。やっていただける方、是非やっていただきたいということでございますので、決して強制をする意味でもないわけでございますので、そこはよく御理解を賜りたいと思います。
  275. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 私は、でも今のでいいと思うんですよ。やっぱり、そういう形の一つのものをはっきり打ち出すことが必要だろうと私は思っているんです。  ただ、こういう、誤解なのか本人のお考えなのか分かりませんけれども、そういうことをおっしゃる方もいる。その中では、理解を深めさせる努力をよりしていかなくちゃいけないなという感じを深くいたしておりましたのであえて質問をさせていただきました。  あと、この日本司法支援センターの業務について、まず第一点目は、先ほどもちょっとこれ出ていましたが、連携の確保強化の問題についてお尋ねをしたいんです。  私どもの党も無料法律相談というのを各県本部ごとにやっていまして、これ非常に需要が高い。事前にこの日ですよというと予約が殺到するような状況でやっているような、力を入れながらやってきているんですけれども、ともかく、そういういろんなことをやるにつけて、最近のこの法律相談の多さというのを非常に感じていますし、またこの法律相談ということになると、もちろん私どもだけじゃなくて、弁護士さん、弁護士会、日弁連もやっていただいているし、市町村、先ほどありましたが、地方自治体、市町村の行政で行っているものもございます。  ただ、難しいのは、弁護士さんを呼んだ市民相談、いわゆる弁護士呼んだ市民相談ならうまく、弁護士さん、そのままつながっていくんですけれども、市民相談で、普通の方だけ受けたときにそれをどう司法につなげていくかという、この窓口と、その後の法律相談へどうつなげるか、我々の党もちょっと悩みがあるところもあるんです。同じような悩みも市町村辺りも抱えているんじゃないかなと。いわゆる相談窓口とその後の法律サービスとの提供の連動というのをどうするかということでいくと、なかなか今のところは現状うまくいっていないなという感じがちょっとしているんです。  今回のこの支援センター、つまり司法ネットの法律では、第七条で示される連携の確保強化という観点から、この支援センター、地方自治体や日弁連などの団体の活動とどのような連携を図っていかれるのか。さっきのお話では、連絡協議会を設けると副大臣御答弁でしたが、より具体的に、地方自治体、日弁連、どう連携強化しながら、その支援センターが軸となりながらやっていくのかという点について御説明をいただきたいと思うんです。
  276. 寺田逸郎

    政府参考人(寺田逸郎君) おっしゃるとおり、この総合サービスのかぎは連携でございますので、この連携の在り方というのが今後の大きな、実際に業務を運営していく上でのかぎになるわけでございます。  それで、もうおっしゃいますとおり、ここの、支援センターの窓口においでになって相談を受けられると、あるいはアドバイスを受けられることはできると。その後どうするかということ、それはしかし、それぞれの窓口、既存の窓口についても全く同じ問題が言えるわけでございまして、それらをうまくつなぐのは、情報と同時に、それらのサービス機関同士のネットワーク化ということになるわけでございます。したがいまして、それをどううまくやっていくかは今後の課題ではございますが、今はまあそこが一番重要な問題だというふうに認識いたしておりまして、現に弁護士会、あるいは今後は地方公共団体との間で、先ほど大臣からも申し上げましたように、連絡協議会というのを立ち上げて情報交換を密にしていかなきゃならないということが一つあるわけでございます。  同時に、しかし、たまたまこの支援センターの窓口においでになればそれはうまくいくけれども、ほかの窓口に行った場合にはもうほったらかしということでは困るわけでございますので、これらのほかのいろいろな既存の窓口の方というのの情報というもののレベルを上げなきゃいけないと。あるいは、これらの方々がその後どうしていいかということについて、ある程度こちらからアドバイスを与えなきゃいけないという問題もございます。  そういうことにつきましても、また当然のことながら、具体的に担当者レベル、あるいは先ほど申し上げました連携協議会のレベルでいろんな相談なり御協議をさせていただきたいと、このように考えております。
  277. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 そうなると、さっき、例えば例として地方公共団体の窓口という問題もあるわけですから、この研修の問題とかもおっしゃったと記憶しているんですけれども、副大臣が。そうなると、地方公共団体によるその財政的な支援、財政的な面ですよね。これ、どんなふうにお考えになっていらっしゃる、想定されているのかどうか、これ山崎さんの方ですかね、お尋ねしておきたいと思うんです。
  278. 山崎潮

    政府参考人山崎潮君) ここは大変難しいところでございますが、考え方として、司法はやっぱりこれ、全国あまねく行わなければならないという意味では国の業務でございます。ところが、国の業務ではありますけれども、その反射的な問題としては、住民の福祉、サービスにもつながっていくというところで関連をしてくるわけでございます。だから、したがいまして、基本はやっぱり国がやっていくことということになりますけれども、それとの関連で、やはり地方自治体の方にもそれをお願いをするという関係にあろうかと思います。  そこで、この法案では、例えば地方自治体による財政的な支援についてでございますけれども、例えば支援センターの増資に当たり出資できるということ、これを定めております。それから、その地域における支援センターの業務運営に当たり協力することができるというようなことを規定しておりまして、財政上の支援もこれは想定をしているということになります。  ただ、こうしたその規定によって地方自治体に直接具体的な義務が課されるというものではございませんで、その住民のサービスあるいは福祉の向上のために具体的にどのような措置を取るかについては、各自治体の実情に基づいてその判断にお任せをすると、こういうシステムで考えているわけでございます。
  279. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 それと、これも、その支援センターの業務のうち、まあ一番のポイントがその相談窓口、アクセスポイントになると。この相談窓口については、業務内容については先ほどちょっと御説明あっておりましたが、非常に多岐にわたった分野、言わばこの支援センターが受け持つすべての問題について、アクセスポイントというのはすべての問題が来るような場所になってくるということですよね、御説明によると。  そうすると、このアクセスポイント、さっき言いましたが、余り変な人がいてもらっちゃこれ、地域によって差があっても困るという御指摘もありましたが、単にこの人たちは、やっぱり関係機関へ振り分けるというだけが業務ではないんだろうと。ある程度そこで相談に乗ってあげれるようなものもなければ意味がないんではなかろうかと思う。正にこのセンターをやる中で一番最初のポイントになってくるのは、最初に市民が出会う場所ですから、この受付対応というのがもう重要だということは先ほど認識示されたとおりだと思うし、正に一番大事だと。  ただ、それ、先ほど、専門知識が多いだけじゃなくて、必ず経験者でなくてもいい、いろんな方がということもおっしゃったんですけれども、それならばそれで、今度は、どうその人たちに対して、どこの、全国、支援センターに行く、地方によって非常に対応が違う、あそこへ行ったら違う、こうだというようなことにならないようにするためには研修の問題って極めて大きな問題になってくるだろうと思うし、今、どのくらいのことをお考えか分かりませんが、相当な研修とおっしゃいましたが、相当な研修というのは何をおやりになるつもりでいらっしゃるのか。正に、それから人員配置。例えば、じゃそれ、一人だけでやらせるわけじゃないでしょう。どういう配置の仕方をしていくのかという問題も含めて御答弁をいただいておきたいと思うんです。
  280. 寺田逸郎

    政府参考人(寺田逸郎君) これはなかなか難しい問題でございます。現に今どのぐらいのニーズがあるか、地方によってどういう偏りがあるか、地域の実情等いろいろ見なければ決められないことでございます。  しかしながら、私ども、できるだけバランスの取れたニーズに対応できる体制を整えなければなりませんので、まずは、できるだけ必要なニーズに対応できるだけの人員を確保しなきゃならないということがまずございます。  その研修を次にしなければならないわけでございますが、まあ研修ばかりしていても、もちろんこれはサービスの面では問題でございますので、やはり相当の限界はございます。その限界の中で、しかし、全国、今までのいろんなことをなさっておられる方の経験というものを集約いたしまして、一つのマニュアルのようなものをやはり作り上げて、それに対応してやっていかなきゃならないだろうというふうに考えております。  具体的には、今後、センターが立ち上がってから努力するわけでございますが、法律が仮にできましたら、早速に弁護士会とも具体的な協議、あるいはほかの関係の専門職者の団体の方々も含めた関係の方と具体的な協議に入らなきゃいけないだろうというふうに考えております。
  281. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 弁護士会だけじゃなくて、今関係とおっしゃったように、司法書士会ですよね、司法書士会。ここもいろんな取組をこれまでもなさっているんですよ。正に窓口という意味でいけば、こういう方たちの取り組んできた経験、またこの人たちについて、意欲はあるようでございます。これは、地方公聴会をやりましたときに大阪で司法書士連合会の方が来られまして、こういうアクセスポイントの問題でお聞きしましたら、そこに対して一つの意識を持っていらっしゃって、会としてもそういう取組もしたいというようなお話もございましたので、是非幅広に、司法関係の、弁護士会だけじゃなくて、いろんな団体ともちょっとお話をいただいて、どういった形でこれを整備していくのかということも御検討いただいておきたいと、これは要望をしておきたいと思います。  それとともに、これももう一つ、まあインターネットの問題も先ほど吉田議員も言われましたが、これ、司法アクセス検討会ですか、ここでも検討あったようでございまして、事務局に寄せられた意見募集の中にも、このインターネット活用による紛争解決手段や申立て等の書式、特定の分野に明るい弁護士の情報などの入手ができるシステムを求めるというような声が多かったわけでございますが、当然これ、支援センター作られましたら、まあ開かれた機関ですから、そのセンターとしても、ホームページ等立ち上げるのは、これ当然立ち上げになられるんだろうと思います。  そういった問題も含めて、そういういわゆるこの支援センターの活用の手引き、ありとあらゆる形で情報提供の形というのをやっていくことが大事だと思うんですが、こういう情報提供の対応、どうでしょうか、お尋ねしておきます。
  282. 寺田逸郎

    政府参考人(寺田逸郎君) そのいろんな問題を抱えた方にできるだけきめの細かいサービスをするというためには、逆に、単に情報だけを欲しい方には非常に簡略な情報提供の手段というものを考えなきゃいけないだろうと。それができて初めて、今度、非常に難しい問題の方に非常に丁寧に対応できるということになるわけでございますので、現代の情報通信技術というものは最大限活用して、今おっしゃいました書式を含めましたいろんな情報提供というのの具体的な在り方について検討してまいりたいと考えております。
  283. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 また、支援センターの事業の中で当然民事の法律扶助事業、これはやっていただく問題になってくるんだろうと思いますが、これは私どもの党としては、この民事法律扶助事業というのは、やろうという始める段階から毎年御要望させていただいて、予算も取っていただきながら増やしていただく、こんな繰り返しをやってきた問題でございまして、私にとりましては本法案によってこの民事法律扶助事業というのはどんなふうに大きく拡大されるのかなと期待をしておるんですが、どう拡充をされていくのかということもお尋ねをしたいし、また、この民事法律扶助の流れをどう作っていかれようとしているのか、これも聞いておきたいと思うんです。
  284. 寺田逸郎

    政府参考人(寺田逸郎君) 今お話がございましたとおり、民事法律扶助につきましては、これまで国会でもいろんな御指導をいただきながら、大変にこのところ、それなりの急激な拡充が図られてきたわけでございます。そういうのも当然のことながら世の中の法律サービスに対するニーズに対応したものでございまして、そういう状況を背景にいたしましてこういう総合法律支援というものも考えられているわけでございますから、当然のことながら、民事法律扶助そのものにつきましても、この構想を実現する場合に更に拡充ということを考えていかなきゃならないということは言うまでもないわけでございます。これまでの法律扶助の理念というのもそのまま維持いたしまして、今後、具体的なサービスがどうあるべきかということについて考えてまいりたいと思います。  具体的な在り方でございますが、再三事務局の方からも御説明申し上げておりますとおり、この日本司法支援センターには専属のスタッフをいろいろ抱えることになります。そういった方々が非常に効率的に動かれることによりまして、今までともすればいろいろ無駄が指摘されていましたそういう民事法律扶助の面でも、もう少し全体としてバランスの取れた効率的なサービスの運用の仕方が可能になってくるだろうというふうに、これは弁護士さんそのものと、それからスタッフの両面を含めまして思うわけでございます。具体的にどう生かしていけるかということは今後の課題でございますけれども、十分に意識してまいりたいと考えております。
  285. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 今はこの民事法律扶助の事業、民事扶助と、法律扶助というのは法律扶助協会、これが自主事業として行っている分もございますよね。この法律扶助協会の自主事業と支援センターの関係ってどうなるのか。つまり、もうこの協会の自主事業は全部支援センターで引き継ぐというような格好になるのか。どういう位置付けになるのかということについて聞いておきたいと思います。
  286. 山崎潮

    政府参考人山崎潮君) この法案で、三十条一項で支援センターの業務が書かれておりますけれども、これの、その業務に支障のない範囲で、業務方法書で定めるところによって、国やあるいは公益的な法人ですね、その委託を受けてその業務を行うことができるということを規定を置いております。これは三十条の二項でございます。そこで、現在その法律扶助協会で行っている自主事業につきましても、これを活用して実質的に引き継ぐことが可能であると考えております。  ただ、この自主事業、どうもいろいろお聞きするところによりますと多種多様でございまして、ある一部の地域のみで行われているものもあるやに聞いております。したがいまして、具体的にどのような事業についてどの範囲で委託を受けて実施するかということについては、またその委託者の意向、あるいはそのセンターの判断によって決めていくということになろうかと思います。
  287. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 今日はもう私時間が来ましたので、最後に、一杯聞きたかった、犯罪被害者支援の点を、ちょっと先ほども御答弁あったんですけれども、聞いていますと、今回、被害者の、犯罪被害者支援というのが業務の中に入ったということはもう非常に大事なことだと思っているんですけれども、逆に言うと、その業務の中に入ってじゃ何をするのかと言われると、御答弁をちょっと聞いていると、何となく、ここに来たら窓口から何をしてこられるかというと、被害者支援をやっている団体を紹介するんだというような印象をちょっと受けがちですね、これ、ちょっと聞いていると。  そうじゃなくて、支援センターでも、いわゆる犯罪被害者についての支援というのは自分の組織としてやる問題はこうこうこうあるんだという点があるんだろうと私は思っておりますが、具体的にどんなことをやろうとしていらっしゃるのか、これを今日はお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  288. 寺田逸郎

    政府参考人(寺田逸郎君) これは、先ほど司法制度改革推進本部事務局長の方から御答弁申し上げましたとおり、基本的には情報提供というのが一つの柱にはなるわけでございます。ただ、ここに特にこの犯罪被害者ということが取り上げられたわけでございますので、これは今後の課題といたしまして、いろいろセンター独自でも考えていかなきゃならない。  とりわけ、このセンターの中には、法律扶助等、民事の相談案件についていろいろなことができる機能があるわけでございます。そういった機能を具体的にどう生かしてその犯罪被害者の方々の具体的なニーズに対応していくか、これはセンター独自でもいろいろ考えていかなきゃならない問題だと思いますので、私どもも十分に意識して、ともに検討してまいりたいと考えております。
  289. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 終わります。
  290. 山本保

    委員長山本保君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時四十六分散会