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政府参考人(房村
精一君) 担保権消滅の
制度を新たに設けておりますが、御
指摘のように
破産管財人が例えば土地を処分をして換価をするわけですが、このときに、競売
手続によりますとどうしても任意売却の場合に比べると売れる値段が低くなってしまう。そういうことから、管財人としてはできるだけ任意売却をして少しでも高く売る。そのことによりまして、競売
手続の場合に比べて相当高く売れる努力をしたから、その売却代金のうちの幾分かを
破産財団に繰り入れてほしいということを担保権者と協議をいたしまして、担保権者も、黙って競売したよりは高く売れるわけですから、その高く売れた分のうちの幾らかを言わば管財人が努力をしたそのお礼として
破産財団に繰り入れると、こういうような扱いが現実にされているわけでございます。
そのときに一番問題になりますのは、御
指摘の、担保権者がたくさん付いていて、下の方の担保権者の場合、競売してもおよそ
配当が行かない。それが明らかであるにかかわらず、任意売却のときにその抵当権の登記を抹消しようと思いますと同意を得なければなりませんので、そのための判こ代が要ると。こういうことによって任意売却が妨げられる、あるいは判こ代の負担が掛かると、こういう
指摘が従来からあったわけでございます。
今回、それを、
裁判所の許可を得てそういうことをできるようにしよう、担保権の消滅という
制度を新たに作りまして、管財人の方で任意売却をすることを
検討いたしまして、幾らでだれに売る、その売った中から幾らを
破産財団に組み込むと、こういう計画を立てます。担保権者がそれで同意してくれればもちろん一番よろしいわけですが、必ずしも同意がない場合もあります。そういうときに、
裁判所にそれについての許可を求めて、その
裁判所が許可をいたしますと、担保権者が同意をしなくてもそれを実現できる。で、その許可を得て売却をして、そうしますとその売却代金が
裁判所の方へ入りますので、その中から担保権者には
配当をしていく、そしてその繰り入れる額については
破産財団に繰り入れて
債権者の
配当に充てていくと、こういう仕組みにしたわけでございます。こうしますと、およそ
配当の可能性のない者の同意を得るための判こ代というようなものは不要になりますので、従来に比べればそういう任意売却が非常に容易になる。
ただ、担保権者といたしますと、自分の了承なしに言わば
破産財団に組み込まれてしまう、一部がですね、というわけですので、対抗措置を講ずる必要があるということで、その担保権者の方で
異議があるときには、自らその担保権を行使する、あるいは
破産管財人が任意売却する額よりも五%以上高い額で直接自ら買い受ける、あるいはそれを買い受ける人を探すと。そういうことをすれば管財人の任意売却の申出は却下されまして、担保権者の方はその繰入額を払わずに全額が
配当に回るという仕組みになっております。
ただ、
破産管財人が相当苦労をして相当高額に売れるということをした後、更に高い額で買ってもらえる人を探すというのは、これはなかなか大変ですし、競売
手続に掛けた場合には任意売却よりは普通は低い額になってしまいますので、多くの場合は、管財人が適正な努力をして、かつ組入額を適正な額にしていれば
債権者の方も、失礼、担保権者の方も同意をするということが期待され、従来に比べれば任意売却がより容易にできるのではないか、またこのことによって
配当原資も増えるのではないかと、こう思われます。