運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2004-05-27 第159回国会 参議院 文教科学委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年五月二十七日(木曜日)    午前十時一分開会     ─────────────    委員異動  五月二十五日     辞任         補欠選任      谷  博之君     佐藤 雄平君      小林美恵子君     畑野 君枝君  五月二十六日     辞任         補欠選任      佐藤 雄平君     谷  博之君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         北岡 秀二君     理 事                 亀井 郁夫君                 後藤 博子君                 鈴木  寛君                 山本 香苗君                 林  紀子君     委 員                 有馬 朗人君                 大仁田 厚君                 大野つや子君                 扇  千景君                 橋本 聖子君                 伊藤 基隆君                 谷  博之君                 中島 章夫君                 西岡 武夫君                 草川 昭三君                 畑野 君枝君                 山本 正和君    国務大臣        文部科学大臣   河村 建夫君    副大臣        文部科学大臣  小野 晋也君    事務局側        常任委員会専門        員        山口 俊史君    政府参考人        文部科学大臣官        房長       白川 哲久君        文部科学省生涯        学習政策局長   銭谷 眞美君        文部科学省初等        中等教育局長   近藤 信司君        文部科学省高等        教育局長     遠藤純一郎君        文部科学省高等        教育局私学部長  加茂川幸夫君        文部科学省スポ        ーツ・青少年局        長        田中壮一郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○地方教育行政組織及び運営に関する法律の一  部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 北岡秀二

    委員長北岡秀二君) ただいまから文教科学委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る二十五日、小林美恵子君が委員辞任され、その補欠として畑野君枝君が選任されました。     ─────────────
  3. 北岡秀二

    委員長北岡秀二君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  地方教育行政組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会文部科学大臣官房長白川哲久君、文部科学省生涯学習政策局長銭谷眞美君、文部科学省初等中等教育局長近藤信司君、文部科学省高等教育局長遠藤純一郎君、文部科学省高等教育局私学部長加茂川幸夫君及び文部科学省スポーツ青少年局長田中壮一郎君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 北岡秀二

    委員長北岡秀二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 北岡秀二

    委員長北岡秀二君) 地方教育行政組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案につきましては既に趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 有馬朗人

    有馬朗人君 皆さんおはようございます。有馬朗人でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  地方教育行政組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律について質問するに当たりまして、まず文科大臣にこの法律改正意義についてお伺いいたしたいと思うんです。  この改正提案されるに至る議論の過程で、コミュニティ・スクールの導入必要性指摘されました。そのための制度整備に関する法令と思われるのですが、そうでしょうか。  また、なぜ現行公立、私立諸学校に加えて更にこのような新しい学校が必要なのでしょうか、お伺いいたします。
  7. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) おはようございます。  まず、有馬先生から、この法律そのもの意義、それからこういう学校をどういうふうな形で作り、また必要なのかと、こういう御質問をいただきました。  教育の現場といいますか、これは学校でございまして、学校がその成果をきちっと上げていく、これが一番大事なことでございます。これまでも、この学校地域にとって信頼されるものであって、そして十分なその成果を上げるために学校がもっと裁量を発揮すること、あるいは校長先生リーダーシップをきちっと発揮できるように、あるいは教職員の資質を更に向上するためにとか、そういう意味学校改革といいますか、そういうものに取り組んできたところでございます。  一番最近の例では、学校評議員制度を入れて、校長先生リーダーシップを発揮しやすいようにする、あるいはさらに、学校もオープンにして、評価を、自己評価併せて外部評価、そういうものに堪え得る学校といいますか、そういう形でやっていこうということ、こういうことでこれまでも学校改革に取り組んできたところでございますが、さらに、それによってきちっと対応できている学校もあるわけでございますが、地域にとってやっぱりもっと地域の声を反映したものであってもらいたいという要請も出てまいっております。保護者とかあるいは地域住民学校に対する要請というものも非常にこれまでになくいろんな多様な意見がある、高度化もしている、こういうことがございます。  そこで、特に公立学校国民の信頼にこたえていくために、地域住民あるいは保護者の御要望、そういうものが学校運営により一層反映できるようにということを考えたわけでございます。そこで、この法律改正によりまして、保護者地域住民意見学校運営に直接反映される、その仕組みを作っていこう、そして学校教育目標設定や達成にともに責任を果たしていくと。こういう仕組みを作っていくことによって地域が信頼する学校になっていくだろうし、地域がともに学校づくりに参加することによって地域教育力も増していく、こういうねらいが今回の法案、法制、法改正にあるわけでございまして、これによって正に地域とともに生き生きとした学校づくり、これを大いに期待し、その成果がまた全国に及んでいく、今回は指定校制度を取っておりますが、そういう期待を込めて今回の改正をお願いしているようなわけでございます。
  8. 有馬朗人

    有馬朗人君 ありがとうございました。  そこで、少し歴史を見ながらそこへ行く道筋について考えてみたいと思いますが、そのために、こういう法律改正のたびに出てまいります教育委員会ということについて少し掘り下げてみたいと思います。  現行教育体制が成立したのは一九四九年、昭和の二十四年でございましたが、その間に教育基本法制定される、それが昭和二十二年、一九四七年。教育委員会制度が創立されましたのは一九四八年、昭和二十三年でございました。  この教育委員会制度が創立された一体目的は何だったのか。また、都道府県だけではなくすべての市町村教育委員会が成立されるに至るわけでありますが、それは何年であったか、少し遅れていたと思いますが、何年であったか。どうして市町村にまで教育委員会が必要と考えられているのか、あるいはいたのか、この点についてお聞かせいただきたいと思います。
  9. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) お答えをいたします。  教育委員会制度は、教育行政執行に当たりまして、民意の反映を図り、教育行政中立性安定性継続性を確保するために、首長から独立した合議制執行機関として、昭和二十三年の教育委員会法によって設けられたものでございます。  この教育委員会はこの後段階的に設置をされまして、昭和二十七年十一月にすべての市町村設置をされたところでございます。市町村におきましては、小中学校公民館等設置運営を行うなど、教育中立性継続性の確保が必要な事務を行っておるわけでございまして、これらの事務執行する機関として教育委員会を置くことが必要であると、このように考えておるところでございます。
  10. 有馬朗人

    有馬朗人君 このように教育委員会設定された裏側には、日本だけの発想ではなかったと思うんですね。アメリカ等々の影響があったと思うんでありますが、そのひな形一体どこの国の教育委員会を持ってきたのか、お教えいただきたいと思います。
  11. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) 我が国教育委員会制度につきましては、当初は戦後の教育改革、大きな流れの中であれしたわけでございますが、昭和二十一年に米国教育使節団報告書の勧告でありますとか、日本教育刷新委員会建議、これもまた昭和二十一年に建議が出されておるわけでございますけれども、こういったものを踏まえまして、先ほど申し上げましたように、昭和二十三年の教育委員会法によって設けられたと、こういう経緯があるわけでございます。こういったように、我が国教育委員会制度アメリカ教育委員会制度参考として制度化をされたと、こういうふうに承知をいたしております。  なお、アメリカのような、首長から独立をした合議制執行機関として教育委員会を設けている例、私どももすべては承知をしておらないんでございますが、韓国がやはり同じような例であろうと、こういうふうに承知をいたしております。
  12. 有馬朗人

    有馬朗人君 昭和三十一年、一九五六年には教育委員会及び教育長任命制導入されました。同時に、教育委員会による予算案条例案議会提案権廃止されました。  ところで、時と場合によっては提案できる方がいいんじゃないかと考えることもあるんですが、どうして提案権廃止されたのでしょうか。現在、もし教育委員会が何か提案をしようと思ったとき、どのような手続で提案をしていくのでしょうか。
  13. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) 昭和二十三年の教育委員会法に基づく教育委員会制度におきましては、今、先生指摘になりましたように、教育委員会地方公共団体の長に対しまして教育事務に関する予算条例原案を送付するとともに、長がそれを修正する場合には原案を付記して議会提出をしなければならないと、このような仕組みになっていたわけでございますが、残念ながら、一部の地方公共団体におきましてこの長と教育委員会対立をし紛争が生じる、こんなような事例も見られたわけでございまして、地方公共団体全体の運営面で問題が生じたために、昭和三十一年の地方教育行政組織及び運営に関する法律制定の際に、地方公共団体行政調和を図る観点から予算案条例案原案提出権廃止をされたと、こういう経緯がございます。  なお、現行制度でございますが、教育事務に関する予算案条例案につきましては、これは地方教育行政地教行法二十九条の規定でございますが、地方公共団体の長がその案を作成する場合には教育委員会意見を聞かなければならないと、このようにされておりまして、予算案条例案議会への提出に際しましては教育委員会と長との間で調整がなされながら案の作成が行われていると、このように承知をいたしております。
  14. 有馬朗人

    有馬朗人君 アメリカのことはお聞きいたしましたが、ヨーロッパ諸国では教育委員会制度というものが存在しているのでしょうか。そこをお聞きいたします。
  15. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) 諸外国のこの地方制度各国ごとに沿革、事情が異なるわけでございまして、その事情等に応じた制度を採用しているものと考えておるわけでございます。私どもも全部は承知をしておりませんが、ああいったアメリカあるいは日本のような形での委員会制度というものは恐らくないんじゃないんだろうかと思っております。  アメリカの場合にはまた、特にこれは先生案内のとおりでございますけれども学区一般行政区を分離しておりまして、学区教育委員会一般行政から独立をして独自に教育税をも徴収することができると、こんなような仕組みも採用していると、こういうふうに承知をいたしております。
  16. 有馬朗人

    有馬朗人君 先ほどからお話をしておりますアメリカ教育委員会予算編成権条例制定権を持っているんでしょうか。  一方、日本教育委員会は、今お話がありましたように予算権というふうなものがなくなってまいりました。予算編成権がないために積極的な教育施策が行われないというようなうらみがあるという説が地方によってはありますけれども、その辺をどうお考えでしょうか。
  17. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) アメリカの場合、これもまた州により、学区と申しましょうか、地方によってそれぞれいろんな仕組みを取っているんだろうと思っておりますが、アメリカの場合に、これもすべてとは申し上げませんけれども学区一般行政区を分離いたしまして、学区教育委員会一般行政から独立をして独自に教育税を徴収して教育財源を確保していると、こんな仕組みを採用しているところもあると承知をしているわけでございます。  一方、我が国地方教育行政におきましては、旧教育委員会法の下での課題、先ほど申し上げましたように、首長教育委員会との関係でそういった若干対立があるとかうまく調整ができなかったというようなことがございまして、予算の調製につきましては地方公共団体の長の権限とする一方で、長が議案を作成する場合には教育委員会意見を聞かなければならない、こういった形で教育行政一般行政調和を図っていると。これはまた日本一つ仕組みと申しましょうか知恵と申しましょうか、そういうことではないかと思っております。  私どもは、やはりこの制度趣旨にかんがみまして、教育委員会が長と連携をしながら積極的な教育行政を展開をしていただきたいと、こんな気持ちでおるわけでございます。
  18. 有馬朗人

    有馬朗人君 ありがとうございます。日本教育委員会はうまくいっているところはうまくいっていると思いますので、このやり方をより良くするようひとつ御指導いただきたいと思っています。  平成の十年、一九九八年の中央教育審議会答申で、教育長文部大臣による任命権廃止したらどうかというようなことで、教育における地方団体の自治について進言いたしました。それを受けて、翌平成十一年、一九九九年には法律改正により教育長任命地方自治体の責任によって行われるようになりました。同時に、指導等に関する規定見直し市町村学校に関する都道府県基準設定権廃止されましたが、それぞれの意義について御説明ください。
  19. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) これはもう本当に有馬先生案内のとおりでございまして、平成十年の中央教育審議会答申では、今、先生が御指摘になりましたように、教育委員会学校地域実情に応じて主体的かつ積極的な教育活動を展開していくように、地方教育行政制度につきまして国と都道府県市町村関係見直しなど大変広範な御提言をいただいたわけでございまして、私どもはこの答申を受けまして、教育における地方分権推進するために平成十一年に法律改正をし、先ほど先生から御指摘がございました国等による教育長任命承認制度廃止でありますとか都道府県教育委員会基準設定権廃止などの改正を行ったわけでございまして、私は、これらの改正によりまして、国と都道府県市町村がそれぞれ責任と適切な役割分担の下に各地域実情に応じて主体的かつ積極的な教育行政をそれまで以上にできやすくなったと、またそういう方向で各県、各市町村頑張っていただいているんじゃないかと、こんなふうに理解をいたしております。
  20. 有馬朗人

    有馬朗人君 二〇〇一年、平成十三年にはまた法律改正されましたね。そして、教育委員構成多様化され、教育委員会会議原則公開されるようになりましたし、教育行政に関する相談の窓口が明示されるようになりました。大変、非常に良い方に変わったと思いますが、このような改正具体的効果一体どうなったでしょうか。
  21. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) 平成十三年のこの法律改正は、教育改革国民会議提言を受けまして、教育委員会活性化を図る観点から、教育委員構成多様化でありますとか教育委員会会議原則公開などについて改正を行ったわけでございます。  第一番目の教育委員構成でございますが、改正法の施行後に任命された教育委員を見ますと、その四割強が女性でございますし、また保護者につきましても教育委員への登用が少しずつではありますけれども進んできておりまして、一定の改善が図られているんではないかと、こんな認識を持っております。  また、教育委員会会議でございますが、これはすべての都道府県市町村教育委員会におきまして会議原則公開と、こういうふうになったわけでございまして、地域住民教育行政に対する関心を持っていただくとともに、教育委員会がその説明責任を果たす上で一定効果を上げているんじゃないかと、こんなふうに理解をいたしております。
  22. 有馬朗人

    有馬朗人君 ちょっと予告していなかったんですが、文部省の審議会はどうなって、公開しているのかどうか。私は中央教育審議会会長のとき断固として公開せよと言って、中央教育審議会公開しましたが、ほかの審議会公開になっているんでしょうか。ちょっと質問入れていなかったんで、急にお聞きして恐縮ですが。
  23. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) これは基本的にはその審議会がお決めになる事柄ではございますけれども原則公開とするということでそれぞれ申合せをなされていると理解をいたしております。
  24. 有馬朗人

    有馬朗人君 どうぞ、できるだけ公開をして国民に知らせてやっていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。  平成九年、一九九七年、中央教育審議会地方教育行政在り方について文部大臣より諮問を受けました。私も会長としてこの問題について考えさしていただきましたが、一番気になったことは、教育委員会をどうやって活性化するかということでありました。もちろん多くの教育委員会は随分努力をしておられましたけれども、もう一層の努力が望まれると思った次第であります。  最近お伺いいたしますと、文部大臣教育委員会をどうするかということについて御諮問をなさったということでありますが、教育委員会制度意義をどう大臣はお考えになっているか、お聞かせいただければ幸いです。
  25. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 先ほど、教育委員会制度の生い立ちといいますか、なぜ教育委員会制度を置いたかということ、地方首長から独立した合議制執行機関教育行政中立性安定性継続性というもの、それからいわゆる多様な民意、それから教育に対するいろんな、学校教育だけじゃございません、広い範囲の、生涯教育を含めての広い教育を受け止めてこれを一体的に推進する役割、そういうものが教育委員会制度意義にあると思いますし、それによって地域人材育成にも貢献をしているというふうに考えておるわけでございます。  その中で、先ほど有馬先生指摘ございました、これから教育委員会を更に活性化する必要がある、ややもすると教育委員会制度が形骸化しているんじゃないかと、こういう御批判もあるわけでございまして、特に地方分権がどんどん進んでいるその中で、教育行政責任ある担い手として地域のニーズにちゃんとこたえているかどうか、教育行政が主体的に企画し実行されているかどうか、このことが今一層問われているものでありますから、私の方も今、正にこれからの時代人間力向上教育改革という一つの大きな目標があるわけでございまして、これを今の時代地方分権時代にふさわしい教育行政体制を確立する、こういう意味においても今の教育委員会制度在り方を問うということは大事だと思いまして、中教審にも諮問をさしていただきました。  正に教育委員会制度意義、これからはどういう意義を持ちどういう役割を持っていくだろうかということ、特に先ほど来お話もありましたように、首長教育委員会在り方、この調整が非常に難しいという話もございましたが、この在り方はどうあっていいだろうかということとか、それぞれの市町村にあり、また県にも教育委員会制度がある、この在り方はどういう関係であったらいいのかとか、また学校教育委員会在り方、特に校長先生教育委員会在り方、こういうものをもう一度見直して、学校自律性自主性がきちっと確立されるものとして教育委員会はどういう働きをするのかと、こういう問題について御議論をいただきながらお取りまとめいただいて、正に先生指摘教育委員会活性化に役立てたいと、このように考えておるわけであります。
  26. 有馬朗人

    有馬朗人君 是非、教育委員会が、今も活躍しておりますが、一層活躍するようにひとつ御審議を賜り、そしてそれに対して施策を行っていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。  平成八年、一九九六年の中教審の第一次答申で、教育学校だけに任さず、学校家庭地域社会で連携して行うことの重要性を訴えました。この協力体制は当時は大変批判がありましたけれども地域社会が弱くなっている、家庭が弱くなっているというときにそんなことできるかという御批判が非常に強かったんでありますが、この協力体制は前進したでありましょうか。  最近、地方に行きますと、よく自治体がいろんな運動あるいは教育指導をしているように思いますが、どうなったでしょうか。
  27. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) お話ございましたように、平成八年の中教審答申におきましては、家庭地域教育力の低下に対して、学校家庭地域社会での教育が十分連携し相互補完しつつ一体となって営まれることが重要であるという御指摘があったわけでございます。  この答申を受けまして、文部科学省では、まず学校教育について、総合的な学習の時間などにおきまして地域方々の参加の促進でありますとか、あるいは学校評議員制度導入による保護者地域住民の方の意見の反映できる取組等を進めてきているところでございます。  また、家庭教育そのものに対します支援、あるいは地域の様々な教育活動の振興を図りながら、社会全体で子供をはぐくむ環境の充実に努めているところでございます。特に、平成十一年度から全国子どもプラン、また十四度からは新子どもプランというものを作成をいたしまして、教育関係者以外に関係省庁の幅広い協力を得て地域ぐるみ教育活動推進をしているところでございます。  また、文部科学省といたしましても、地域社会学校が連携した奉仕活動体験活動の総合的な推進事業等を実施をしているところでございます。さらに、本年度からは、地域の大人の方々の力を結集してスポーツ文化活動交流活動を行う子ども居場所づくり、こういった事業推進をしているところでございます。  まあ地域によって差はあろうかと思いますけれども地域地域学校家庭地域社会が連携して子供を育てていくということの重要性について認識は深まってきていると考えております。
  28. 有馬朗人

    有馬朗人君 子どもプラン等々、大変な御努力を賜って有り難いと思いますが、ちょっとまだ子供たちの遊び方が足りないという点から少し御質問申し上げます。  子供たち自然体験社会体験が減少しておりますし、運動力が極めて低下していることは明らかでございます。これを何とかしなきゃならない、そこで完全学校週五日制を導入いたしましたが、このような力を伸ばすために土曜日を活用したらどうかということも、この完全学校五日制を導入せよという中教審よりの答申の眼目でございました。その目的を達成するため、土日は校庭を開放して子供たちが伸び伸びとそこで遊べるようにしたいと考えておりましたが、その方策を実行する主体としてもやっぱり教育委員会が重要な役割を演じていると思うんですね。  そこで、現在、この学校開放はどうなっているかをお聞きいたしたいと思うんです。校庭、運動場等の土日の開放は成功しているでしょうか。  確かに、行ってみますと、地元のスポーツクラブとか社交ダンスなどが校庭でよく行われているという点では校庭が使いやすくなったと聞いていますが、どうも子供たちが土日遊んでいる様子が見えない。せっかく開放していただいて子供たちに校庭で伸び伸びと遊んでもらいたいと思うんですが、どうも東京の町の中の学校なんかは遊んでいる姿が見えません。実態はどうなっているんでしょうか。校庭開放というと必ず校長先生責任者となるようなことが多いようでありますが、是非とも教育委員会で更に一層この点活躍していただきたいと思うんですね。  ただ、教育委員会委員は非常に数が少ないですから、地域ボランティアを組織するとか、工夫が要ると思いますが、校庭開放、そしてまたもう少し一般に言って子供たちが伸び伸びと遊べるということの方策は文科省はどうお考えでしょうか。
  29. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) まず、学校開放の状況でございますけれども平成十四年度は何らかの形で学校を開放している学校の割合は九〇%に達しております。そのうち、運動場を土曜、日曜日に開放している学校は全体で六六%、小学校だけを見ますと八一・五%と、積極的にお取組をいただいていると思っております。  ただ、今お話ございましたように、どういう活動がそこで行われているのかということになりますと、やはり地域の行事でございますとか各種の大人の方のサークル活動とか、あるいはPTA活動とか、あるいはスポーツ活動といったような傾向があるのではないかというふうに調査では表れております。  もう一つ学校開放に当たって管理運営体制ということの充実が重要であるというふうにも認識をしておりますけれども、やはり御利用される方あるいは学校が管理をしているケースが多いようでございまして、できるだけ多くの地域の方にボランティアとして御協力をいただくという体制作りも必要ではないかと思っております。  私ども、これまで学校開放を推進するために、土曜日に学校で行われるスポーツ文化活動等の指導員を配置する経費を地方交付税で措置をしておりますけれども、文部省独自にもボランティア活動の充実を総合的に推進をするという措置も行ってきているところでございます。  特に、先ほどお話がございましたように、子供たち学校を使って様々な活動ができるようにしようということで、先ほどもお話を申し上げましたが、本年度から学校等を活用した子ども居場所づくりの中核事業として、地域子ども教室推進事業というものを進めております。この地域子ども教室推進事業につきましては、指導員の配置などに地域のボランティアの方々の御協力をいただこうということで、所要の経費も計上をし、ボランティアの方々の確保にも努めているところでございます。  先生指摘趣旨、方向を踏まえながら、学校開放の充実、また子供たち学校を活用していろいろな活動ができるように、更に努めてまいりたいと思っております。
  30. 有馬朗人

    有馬朗人君 私は、子供たち運動力が低くなった原因は、やはり遊びが足りないからだと思うんですね。最近、聞いたところによりますと、静岡県の伊豆かどこかでは塾ができて、遊ばす塾ができたと、御存じかどうか分かりませんけれども。塾まで作って遊ばせるというのはどうも私は余り気に食わないんですけれども。だけれども、下手な英語を教えてくれる塾よりよっぽどいいと思うんですけれども。  やはり、子供たちが本当に安全で伸び伸び遊べるというところの環境整備を是非ともお願いいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。そしてまた、子供たちが家にこもっておりますから、外に出てくるような、そういう環境作りも必要かと思っております。よろしくお願いをいたします。  教育委員会は、今いろいろなところに登場してまいりましたように、学校以外に非常に多くの役割を演じていると思うんですね。学校以外に社会教育スポーツ、文化まで担当していると思います。そこで、むしろ教育委員会を思い切って、この非常に難しくなっている学校教育に中心を移していく、スポーツとか文化等はそれぞれの自治体に任せたらどうかという考えもあろうかと思いますが、この辺どうお考えでありましょうか。その辺についてまずお伺いいたしたいと思います。
  31. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) 先生指摘になりましたように、教育委員会は現在、公民館、博物館、美術館を設置、管理をしたり、社会教育を始めとして文化、スポーツを含め、大変幅広くいろんな重要な役割を果たしてきているわけでございます。これは、やっぱり生涯学習、文化、スポーツの振興につきましては、地域人材育成効果的に実施していく観点から、教育委員会におきましてこの学校教育一体的に実施をしていくということが基本的には望ましいんだろうと、こう考えているわけでございますが、近年、町づくり等、地域課題の解決のために生涯学習、文化、スポーツの振興はこれは地方行政の大きな課題になっているわけでございまして、首長さんが大変積極的にかかわると、こういう動きも見られるわけでございます。  先生指摘になったような意見があることも私ども承知もいたしておりまして、そういったことで、先ほど大臣からも申し上げましたけれども、現在、中央教育審議会でこの首長教育委員会役割分担を含めまして、生涯学習、文化、スポーツ等のこの事務在り方について幅広い観点から御検討をお願いしているところでございます。
  32. 有馬朗人

    有馬朗人君 先ほど大臣既におっしゃられましたけれども、この御諮問の中に加わっていたと思うんですが、学校市町村教育委員会、そしてまたその上にある県の教育委員会、ここの間が非常にうまくいっている県が幾つかありました、聞いてみますと。全くうまくいっていない県も幾つか、県というか市町村が幾つかあります。この点について、やはり次の中教審でよくお考えくださって、良い方策をお考えいただきたいと思います。このことは、後ほど、今回の法律に関することにも関係してまいりますので、もう一度戻って考えてみたいと思います。  それから、教育委員会に行きますと何となく、先ほども話がありましたけれども、公民館の運営で結構時間を取られているところもあるようですね。だから、もっと教育教育委員会が入っていった方がいいんじゃないか、いけるようにしてあげなきゃいけないんじゃないかと思って先ほど申し上げた次第です。  一九九六年の第一次答申で、地域社会における教育の充実を図るために地域教育連合協議会地域教育活性センターの設置提案したことがありましたが、これは一体どうなったんでしょうか。
  33. 銭谷眞美

    政府参考人銭谷眞美君) お話のございました平成八年の中教審答申におきましては、地域社会における教育の充実を地域ぐるみで行うための方策といたしまして、地域の様々な機関、団体や学校等の参加を得て、地域教育連絡協議会、これを作ってはどうかということや、各種の情報提供、相談活動、ボランティアの登録、紹介を行うための地域教育活性化センターを設置をするということが提案をされているところでございます。  文部科学省におきましては、この提案を踏まえまして、まず地域教育活性化センターにつきまして、その設置促進の事業を始めようということで、平成九年度から設置を促しているところでございます。その後、文部科学省事業としては、名称は若干変更になっておりまして、平成十四年度からはこの地域教育活性化センターは体験活動ボランティア活動支援センターというふうに衣替えをしながら、現在なお整備を進めているところでございます。数を申し上げますと、平成十六年度現在、体験活動ボランティア活動支援センターは全国で約千三百か所設置をされております。  また、地域教育連絡協議会につきましては、平成九年度から、先ほど申し上げました地域教育活性化センターの運営委員会という形で文部省は設置の支援を始めたわけでございますが、その後これもいろいろと衣替えをしておりますけれども平成十四年度からは地域教育力体験活動推進議会という名称で設置の支援を私どもいたしております。平成十六年度現在、千を超える地域教育力体験活動推進議会設置をされております。  いずれにいたしましても、平成八年の中教審答申提案をされました地域ぐるみ教育の振興、充実を図っていこうという趣旨が生かされて、地域社会教育の充実を図るための取組が進むように私どもとしても努めてまいりたいと思っております。
  34. 有馬朗人

    有馬朗人君 先ほどお話しになられました一九九八年、平成十年の中教審答申でさらに、「各学校自主性自律性の確立と自らの責任と判断による創意工夫を凝らした特色ある学校づくりの実現のためには、人事や予算教育課程の編成に関する学校の裁量権限を拡大するなどの改革が必要である。また、学校自主性自律性を確立するためには、それに対応した学校運営体制と責任の明確化が必要である。このため、校長をはじめとする教職員一人一人が、その持てる能力を最大限に発揮し、組織的、一体的に教育課題に取り組める体制をつくることが必要であり、このような観点から学校運営組織を見直すことが必要である。」とした上で、地域の実態に応じて学校評議員制度導入して、学校運営地域住民参画を求めるなどの改革が必要であると述べております。  この提言に従いまして、学校評議員制度平成十二年度、二〇〇〇年に導入されましたが、具体的にはこの制度は活用されているんでしょうか。うまくいっているところと、余りにも地域社会の人々の干渉、特にお父さん、お母さんの干渉が強くなり過ぎるという問題もあると聞いておりますが、この学校評議員制度はいかに活躍しているでしょうか。
  35. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) 学校評議員につきましては、平成十二年に学校教育法の施行規則を改正をいたしまして同制度導入をしたわけでございまして、平成十五年の七月現在で全国で約六二%の公立学校設置をされているところでございます。  この学校評議員制度は、地域住民の意向を学校教育活動に反映をさせるということでございまして、あくまで、この制度仕組みからいたしましても、校長の求めに応じて意見を述べるということでございまして、私ども、これが校長の、あるいは学校に干渉となっていると、こういうことは余りないんではないんだろうかと。学校現場でも、そういった形を通じていろんな地域方々意見をより吸収することができたとか、あるいは外部人材の活用でありますとか、いろんな面で参考になった、むしろそういった事例があるんではないんだろうかと、こういうふうに考えておりまして、まあ一定のそれなりのやはり成果は上げていると、こういうふうに承知をいたしております。
  36. 有馬朗人

    有馬朗人君 私は是非この学校評議員制度が成功してほしいと思っております。地域の人々、しかも余り功成り名遂げた人だけじゃなくて、よく現場を知っている人が評議員になってくださることをお願いしている次第であります。  二〇〇〇年、平成十二年には、同時に、校長の指導力を強化するため、職員会議の位置付けの明確化を図り、校長に民間人を採用するということが可能になりました。その結果、職員会議運営は変化したのでしょうか。民間人を登用することは成功したのでしょうか。尾道では民間出身の校長が自殺するという不幸なことがありましたが、現在は絶対そういうことがないようになっているでしょうか。特に、民間出身の校長を支持する体制はどのように強化されているのか、文部省の御努力についてお聞かせいただきます。
  37. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) まず、前段の職員会議でございますが、平成十二年に学校教育法の施行規則を改正をいたしまして、職員会議につきまして、これも従来いろんな議論があったわけでございますが、校長の職務の円滑な執行に資するものとして、いわゆる補助機関であることを法令上明確にしたわけでございます。これを踏まえまして、各教育委員会では、学校管理規則等においてこの職員会議規定を整備をしたわけであります。これに基づき職員会議運営が私どもは適正に行われていると考えておりますけれども、今後ともこの省令改正趣旨を各教育委員会指導を徹底してまいりたいと考えておるわけでございます。  後段の民間人校長でございますが、同じ平成十二年の学校教育法施行規則の改正によりまして、校長に幅広く適材、人材を確保できるように、校長の資格要件を緩和をいたしました。これによりまして、今年の四月までに全国で七十九人のいわゆる民間人校長が誕生したわけでございます。  確かにそういう不幸な事件あったわけでございますが、私どもは、やはりこの制度趣旨が十分に生かされた運営が行われるように、この民間人校長の登用に当たりましては、民間人校長に対して求めるものをやはり明確に示すなど、任用方法の工夫を更に徹底していただきたい、あるいは、その基礎的、実践的な研修を十分に実施をしていただく、それから、やはり教育委員会が、せっかく民間から校長に来ていただくわけでありますから、緊密な連携、支援体制、これをやっぱり取っていただくと、こういうことが大事でございまして、そういう趣旨指導も申し上げ、また各教育委員会におきましては、民間人校長には複数の教頭を配置をしたり、定期的な学校訪問を行うなど、連携、支援に努めていると、こういうお話も聞いているわけでございます。  今後とも、こういった制度の活用によりまして、多様な、いろんな方の人材を登用も促していきたいと、こう考えております。
  38. 有馬朗人

    有馬朗人君 現在、新しいタイプの公立学校、かつてのコミュニティ・スクールというような言葉ありましたけれども、現在では新しいタイプの公立学校と言われているようですが、その新しいタイプの公立学校の可能性を検討するため、実践研究校を指定して研究中であると聞いております。昨日もこの委員会で視察に行かれたと思いますけれども、その実践研究の結果は一体どんなものでしたでしょうか。そこでは校長を公募することや校長の意向を尊重した教職員人事、学校による非常勤職員の公募、学校裁量経費の支出、柔軟なカリキュラム編成、教材選定や学級編制などにおける校長の意向尊重などが研究テーマと聞いておりますが、その成果はいかがでしたでしょうか。
  39. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) 平成十四年度から、今、先生指摘になりましたように、全国地域九校、これ、公募をいたしましたところ、三十区近く手が挙がってきたわけでございますが、その中からこの七地域九校を指定をいたしまして、新しいタイプの学校運営在り方に関する実践研究ということで、十四、十五、十六の三年間で調査研究をお願いをしておるわけでございます。  この研究テーマは、今、先生が御指摘になったような学校や校長の裁量権の拡大でありますとか、協議会などの推進体制の整備、こういった研究テーマの下に、保護者地域住民が参画する協議会組織設置するなどしていろんな、特色のあるいろんな取組を行っていただいておるわけでございまして、まだこれも十四、十五と二か年間ではございますけれども、例えば成果といたしましては、校長の公募など地域住民の要望を踏まえた人事が行われて学校運営地域の支援が得やすくなったとか、やはり地域住民が参画することによってその地域のいろんなボランティアの方々が今まで以上に学校のいろんな教育活動に参加しやすくなった、あるいは拠点校、学校を拠点として地域活動が更に活発化したと、こういった一定成果を上げているという御報告もいただいておりますが、一方、課題といたしましては、やはりこの効果的な取組を実践するための校内体制の充実でありますとか、協議会委員に対する研修の実施と。確かに新しい取組でございますから、協議会委員になっても一体何をやっていいのかとか、いろいろなあれがあるかと思っております。そういった意味での研修をどうやって実施、充実をしていくのかとか、あるいは、これもまた、この調査研究の評価の方法をどうやって確立をするのかとか、いろいろ課題があることも御報告をいただいておるわけでございます。  私ども、そういったこの調査研究、大いに、もうあと一年間でございますけれども、上げていただきたいと思っておりますし、実はこの法案を提出する際にも、私ども、この調査研究のいろんな取組も参考にさせていただきながら制度設計をさせていただいた、あるいは中教審もまたそういったことで議論参考にさせていただいたと、こういった経緯もございます。
  40. 有馬朗人

    有馬朗人君 このような新しいタイプの公立学校を創立するに当たって、この法律改正し、今回学校運営議会導入するわけでありますが、この学校運営議会役割学校評議員制度と大きく違うと思うのですが、どこが違うか、重要な点を御指摘いただきたいと思います。また、両者を並立できるんでしょうか。
  41. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) 学校評議員制度は、これは省令改正で、技術的な話を申し上げれば省令改正導入をしたわけでございますが、これは校長の求めに応じて学校運営に関する意見を述べるものであり、校長や教育委員会学校運営に関して直接関与をしたり、あるいは拘束力のある決定を行ったりするものではなく、個人として意見を述べると、こういう位置付け、性格のものでございますが、今回、法改正で御審議をいただいております学校運営議会につきましては、学校運営あるいは教職員の人事について法律一定の権限、関与する権限を付与されるものでございまして、校長は学校運営議会が承認する基本的な方針に従って学校運営を実施をする、あるいはそういうことなど、校長の学校運営一定程度拘束する決定を行うことができる合議制機関であると、こういう性格、位置付けの違いがあるわけでございまして、学校運営議会はこういった学校長の学校運営について一定の権限を持ち、保護者地域住民がより積極的に学校運営にかかわることができると。こういう点では、学校評議員を更に発展させた仕組みと、こういうふうにとらえることができるんではないんだろうかと、こういうふうに考えておるわけでございます。ただ、これ、いずれの制度を採用するかにつきましては、これは各学校の状況、地域実情に応じて教育委員会が選択をできると、こういうことにしておるわけでございます。  最後の御質問でございますが、両立するのかという御質問でございますが、例えば、既に学校評議員を置いている学校に例えば学校運営議会を置く、これも教育委員会の判断でできない相談ではないわけでございますが、やはりまた二つが併存するということもいろいろまた難しい問題もあろうかと思っております。そういうことで、そういう場合には学校評議員制度に代わって学校運営議会が置かれていくと、こういった形になっていくんだろうと思っております。
  42. 有馬朗人

    有馬朗人君 そこを是非御整理いただきたいと思います。現場が多分将来迷うだろうと思いますので、よろしくお願いいたします。  新しいタイプの公立学校として指定された学校、すなわち指定学校では、学校運営議会の承認の下で、校長は教育課程の編成や教育委員会規則で定める事項について主導性を発揮することになると思いますが、そう考えてよろしいでしょうね。  また、指定学校の人事については学校運営議会任命権者に対して意見を述べ、任命権者はその意見を尊重するということになっています。そうすると、指定学校は他の公立学校よりずっと主体性、自主性を発揮できるように思いますが、そう考えてよろしいでしょうか。
  43. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) 二点御指摘をいただいたと思っております。一つ教育課程の編成等の問題でございますが、今回の改正案では、この学校運営議会を置く学校につきましては、校長は学校運営に関する基本的な方針について案を作成をし、学校運営議会の承認を得なければならないと、こういうふうにしておるわけでございまして、これは具体的には、これは校長、教職員はこれは教育課程のプロでございますから、校長が示した教育課程の編成等に関する基本的な方針、これはまさしく大枠、大綱的な方針でございますが、この原案を基に協議会で活発な議論をしていただきまして、そして成案を得て承認を行い、基本的な方針が策定をされていく、そして校長が校務の運営責任者としてこの方針に従って具体的な教育課程の編成を行うと、こういうことになるわけでございまして、私どもはこの過程で地域住民保護者等が学校運営にともに責任を負うんだと、こういう認識を深めていただきまして、むしろ校長をサポートすると、そういうことで校長のリーダーシップの下で特色ある学校づくりを進めていただきたいと、これが一つの大きなこの制度のねらいでもございます。また、私どもの期待をするところでもございます。  二点目の人事の問題でございますが、やはりこういった学校運営議会を置く学校で、今申し上げましたような学校運営の基本的な方針を踏まえて教育活動を実現しようということになりますと、そういう実は教育活動にかなったやはり教職員を必要とするということが出てくるわけでございまして、教職員の人事に関しましても保護者地域住民の意向を任命権者に直接反映できるようにしようと。そして、できる限りそういった学校運営議会意見任命権者において尊重するということで法律上もこの「尊重」という文言を入れたわけでございまして、これによりまして当然、学校運営議会がそういった教職員の人事を、意見を言うときには校長さんなんかとも話し合っていただくと、こういったことも大事なことだと思っておりますから、学校の主体性に配慮した教職員の配置というものが進んでいくんじゃないかと期待をしているわけでございます。  ただ、指定学校とそれ以外の学校についての人事の在り方でございますが、最終的にはこれは任命権者である教育委員会、小中学校ではこれは都道府県教育委員会でございますが、任命権者の権限と責任において、各学校実情あるいはその域内の全体のバランスを総合的に配慮して任命権者において適切に判断をしていただくと、こういうことになろうかと思っております。
  44. 有馬朗人

    有馬朗人君 今だってかなり県の教育委員会市町村から来たことを尊重していると思うんですけれども、それ以上に今回は尊重されるようになるんでしょうね。まあ、これは感想を述べておきます。  さて、こうやってできた指定学校予算はどうなるんでしょうか。ほかの学校よりははるかに学校の裁量の幅が大きくなるような感じがいたしますが、予算については余り触れていないように思うんです。そこはどうなるんでしょうか。
  45. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) お答えをいたします。  この法律では確かに、教育課程の編成等、その他教育委員会規則で定める事項について校長が基本的な方針を作成をすると。やはり教育課程の編成、これが学校運営の基本となるであろうということで、これにつきましては特に法律上はっきりと明示をしたわけでございまして、その他の事項につきましては教育委員会の規則で定めることとして、教育委員会のある意味では判断にゆだねているわけでございますが、当然その中にこの予算の問題を、予算の例えば使途などにつきましても教育委員会が定めるということは可能なわけでございます。そういった場合には、やはりこういった学校運営議会設置する学校におきましては、予算につきましても学校の裁量が拡大をされていくということがやはり望ましいんだろうと考えております。  したがいまして、学校運営議会設置する場合には、これは教育委員会のもちろん考えるところではございますけれども学校裁量経費をそういった学校には導入するとか、あるいは今もあれば拡充をするとか、そういった学校の裁量の拡大に積極的に取り組んでいただきたいと。これはまた今後とも、この制度をお認めいただいた暁には、私ども、各教育委員会お話を申し上げていきたいと考えております。
  46. 有馬朗人

    有馬朗人君 そうすると、みんな指定学校になりたがるだろうと私は予想いたしますね。  一体、全公立学校の何%をこの指定学校にするおつもりでしょうか。そして、指定学校と指定学校でないところに余りにも格差が同じ公立で起こることはまずいと思うんです。その辺についてお考えをお聞かせください。  そして、もし学校運営議会制度指定校制度が本当に優れているならば、逆に将来すべての公立学校をこうなさったらどうでしょうか。  この二点についてお伺いいたします。
  47. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) この学校運営議会でございますが、地域に信頼される学校づくりの実現に向けて、私どもはこれは学校運営在り方の選択肢を拡大するための手段の一つとして新たに制度化をすると、こういう考え方を持っておるわけでございます。したがいまして、この導入はすべての公立学校に一律に求められるものではないと。やはり、それぞれの学校が置かれた地域性でありますとか、いろんな条件も違っているんだろうかと思っておりますので、そこは地域の特色や学校の実態、あるいは保護者地域住民の意向などを十分に踏まえて教育委員会の適切な判断によって行われていく必要があるんだろうと、こう考えておるわけでございまして、現時点におきまして、私ども、この学校運営議会が置かれる学校の割合について、例えば一割がいいとか二割がいいとか、これをなかなか現時点で目標値を定める、お示しをするというのは難しいんでありますが、ただ、せっかくこれを法制度化するわけでございますから、私どもは、これはやっぱり各教育委員会におきまして、この制度趣旨を踏まえ、この制度が積極的に活用されるということを期待をしているわけでございまして、今後私どもはいろいろ、この制度趣旨、広報を始めいろんな施策の充実を図りまして普及、定着に努めていきたいと考えております。  それから、先生、そういったことであればすべての公立学校に移行するのかと。これもまた、例えばその地域におきましては、必ずしも保護者地域住民がこういう指定学校制度あるいは学校運営議会というものを設けてそういった形で参画することを望まない、あるいは必要性を感じないという場合もあるかもしれないわけでございます。そこはまた、成熟度と申しましょうか、これはまた、まだ地域やその学校によって違いがあるんだろうと思っております。  私どもは、そこはこの制度趣旨を踏まえて、この制度が積極的に活用され、地域の成熟度、あるいは保護者地域住民のいろんな経験の積み重ねによってこれが広がっていく、それをまずは期待をしていきたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。
  48. 有馬朗人

    有馬朗人君 せっかくこういう制度導入されようとしておられますから、是非とも良い学校をお作りいただきたいと思います。  話は非常に変わりますのでお許しいただきます、本来の筋から離れますので。ちょっと気になっていることをお聞きいたしたいと思います。  それは、次の学習指導要領の準備をしなきゃならない段階に入ってきていると思うんですね。学習指導要領の改訂、この改訂の具体的な検討プロセスは一体どうなっているのか、お聞きいたしたいのです。私も知っているつもりなんですが、どうもよく分からないところがある。教育課程審、中教審で方針が出ますと教育課程審で審議を行うわけであります。その中に専門委員会が設けられ、そこに有識者や現場の教員が随分入っていると思うんです。しかし、どうも、その専門委員だとか現場の先生たちに後で聞くと、どうも自分たちの意見が必ずしも指導要領の中に入ってきていないという、まあどこでも不満はあるものですが、かなりそういう意見を聞くことがある。  そこで、例えば理科でいえば物理学会、あるいは物理学教育委員会、あるいは化学会、科学教育学会というようなのもあると思いますので、そういうところの意見を積極的に聞いていくということはできないものでしょうか。
  49. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) これは本当に有馬先生案内のとおりでございますが、前回の学習指導要領の改訂のときも、これは教育課程審議会時代でございました。当然、教育課程審議会の親委員と申しましょうか、これは学校関係者あるいは有識者、PTAの関係者、企業、マスコミの関係者、幅広い方々に参画をしていただきまして、新しい学習指導要領の基本的な方針ですとかねらい、こういったものを御審議をいただき、そしてそれを踏まえて具体に各教科の在り方をどうしていくのかと。  確かに、前回の指導要領の改訂のときは、これは完全学校週五日制の導入ということが視野にございましたから、どうしても授業時間数を減らさざるを得なかったと。そのときも、私も当時のことを思い出しますと、やはりそれぞれ、例えば美術の関係者あるいは家庭科の関係者の方々は、やはり自分たちの教科の授業時間数が減らされるんではないかと大変な危機感を持たれた、で、いろんな御意見を出されたと、こういったこと。それが必ずしも、じゃ現在の学習指導要領に反映しているのかとか、それは確かに、いろいろ当時のことを思い出しますと、各教科ごとの専門家の関係者の方々の中にいろんな思いがあったということは私も承知をいたしておるわけでございます。  今後の学習指導要領の見直しの問題でございますが、現在、中央教育審議会教育課程部会、これ常設の部会にしたわけでございますが、学習指導要領の不断の見直しを更に進めるために、国語教育、英語教育、理数教育などの充実改善を図るための今総合的な検討を開始を始めたわけでございまして、この検討に当たりましては、教育関係者、研究者、幅広い方々に御参加をいただいておりまして、例えば理科の専門部会には日本物理学会ですとか日本化学会始め各学会の関係者にも委員に御就任をいただいております。そして、幅広いいろんな関係者の方々の御議論、これを十分に踏まえていきたいと思っておりますし、それから、これは、先ほど先生から審議会原則公開なんだろうねと、こういう御質問もいただきました。これもまた審議会あるいは各部会でお決めいただく事柄でありますけれども、できるだけ私ども公開にすることによって外からいろんな格好で見れる形で幅広い、公平、そういう透明感のある審議にしていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  50. 有馬朗人

    有馬朗人君 指導要領を作っていくときに、どうも秘密主義だという話がしょっちゅう外から聞こえてまいりますので、これは是非できる限り公開して、秘密主義だと思われないようにしていただきたいと思うんです。  その前に、学習指導要領は絶対守ってください。最近新聞にも出ていましたけれども、例えばアメリカの南部では進化論を教えられないんですよ、州で。教えちゃいけない。キリスト教の強いところではそれができない。こういうことが国や県によって、時に州によって行われることがありますので、この学習指導要領は絶対今後もお続けいただきたいと思います。  ところで、その学習指導要領の案ができたとき、公表は一月ですよね。一月っていうのは公開しないのと同じことなんですよ、読む側が不精ですから。ですから、せめて半年、六か月ないしは一年公開にされて、十分いろんな教育者等々の意見をお聞きになった上で最終決定なさったらどうか。その間に、そんなに微に入り細をうがっての御報告は要りませんが、教育に関してのことでありますから、文教委員会にもこういう格好で今審議を進めているようなことをお教えいただけたら大変有り難いと思うんですが、この辺についてどうお考えでしょうか。少し短く御返事をいただきます、もう一つお聞きしたいことがあります。
  51. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) 確かに先生おっしゃるように、学習指導要領の原案につきましては、告示の前に約一か月間程度一般の意見募集を行うということで運用をしておるわけでございます。その期間をもう少し延ばせるのかどうか。なるべくいい指導要領の原案を作ろうということになりますとどうしてもそれだけの時間が掛かってしまう、一方でまた、その後の作業をにらみますとどうしてもそういうある程度の窮屈な日程になっていくというところもあろうかと思っております。  ただ、先ほども少し申し上げましたように、できるだけ審議公開をする、あるいは資料を公表する、こういったことでその審議の過程の中でできるだけオープンにしていく、そういう過程でいろんな御意見を幅広くこの教育課程部会等にお寄せをいただくと、そういった工夫もしていきたいと思っております。  国会の問題は、またこれ少し考えさせていただきたいと思っております。
  52. 有馬朗人

    有馬朗人君 もう時間がなくなりましたので、お願いをいたします。  教科書についてでありますが、もっと教科書の検定を緩やかにしていただきたいと思うんですね。私も高等学校や中学校の教科書を書いて度々検定で修正を要求されました。明らかな誤りの指摘は必要でございますが、そして著者としても大変有り難かったのであります。しかし、もっと、理科なんかのように、どんな政治形態であろうとニュートン力学や量子力学が変わるわけでありませんので、理科のようなものはもう少し著者たちの自由に任せていただいたらどうかと思っております。特に高等学校は義務教育でございませんので、もっと自由に書かしてくださると有り難い。例えば、大学の教科書には全く検定がありません。私、大学の教科書など検定していただいて誤りを正していただくと良かったと私は思っておるんですが、ないんで、こういうことがありますからもう少し自由度を増していただければと思います。  最後に、私は日本教育は非常に優れていると思うんです、率直に言って。特に義務教育は非常に優れていると思いますね。よく批判ばかり受けるんですが、日本の大学だって大変活躍をしているわけです。現に、例えば分野によってはもう既に世界一になっている分野がある。物理とか、特に材料科学とかあるいは化学ですね、こういうものは非常に世界の中でもう超一流の大学になっているところもあるわけでありますし、全般的に見て、小学校、中学校、高等学校先生も含めて、私は日本の教員は優れていると。ところが、もう年じゅうたたかれていますね。私は、むしろあれだけ少ない教育費でよくここまでやっていると思うんですよ。世界で一番GDP当たり少ないくらいでもうこれだけ頑張っている国はないんですね。だから、それは、私は大臣に最後にお願いでありますが、やはり日本教育の良さをしっかり御認識になり、たまには教職員を褒めていただきたい、よくやっておると。  今日は小野副大臣もお見えでありますので、正副両大臣にこの点についてお聞かせをいただきたい。そして、特に日本教育費、研究費を抜本的に上げていくという、そういうお覚悟をお聞かせいただければ幸いであります。
  53. 小野晋也

    ○副大臣(小野晋也君) 有馬委員からは御激励をいただきまして大変ありがとうございます。  私の基本的な考え方を問われたと思いますので少しお話しさせていただきますと、私は、社会を作るということについての一応基本的な考え方をもう一度日本人全体で考え直す必要があると思います。  今は批判をし、たたき合うことが健全な社会であるという考え方がありますが、私は、社会を作るということは、お互いが、欠点持ち合った人たちが寄り合うわけでありますから、その欠点はお互いが補い合い、助け合うべきである、そして長所を伸ばし合いながら、そしてより大きな実りを生み出したものをより良く配分する社会を作り上げるということが二十一世紀の日本社会が目指す方向である、こういうふうに考えている次第でございまして、教育の現場におきましても、教師を小さな問題で余りに批判するような社会にするのではなくて、教師がより良く仕事ができる社会を作っていく、それでその中でより良く日本人が成長また育成できるような社会を作り上げていくということを基本に置いて教育在り方考えていくべきであると、私の私見でございますが、考えている次第でございます。
  54. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) いつも有馬先生の御質問、御激励、私も勇気付けられる思いがいたしております。  おっしゃるように、教育日本の今日を作ってきたということ、私もそのことを思います。特に、義務教育段階のレベルの高さ、これは世界の教育大臣会議等々へ行っても評価されていることを私も実感をいたしておるところでございますが、昨今の風潮は、ややもすると財政論、経済論に押される部分が出てきた、そういうムードがございます。これをいかに教育論としてきちっと位置付けていくか。小泉改革の米百俵の精神は正に教育投資、ここに持っていかなきゃいかぬ、こう思っておりまして、未来への先行投資、教育もそういう観点から我々も頑張っていかなきゃなりませんし、有馬先生始め委員の皆さんにも一層のひとつ御鞭撻を賜りたい、このように思っております。  ありがとうございました。
  55. 有馬朗人

    有馬朗人君 日本教育、研究がますます世界に誇るべきものになることを祈念いたし、今日までの私自身に対する皆様方の御支援に対しまして心より感謝を申し上げます。  誠にありがとうございました。
  56. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 どうもおはようございます。  もうそろそろ三年がたとうとしておりまして、僕も最初にここに来たとき、何を話したらいいかよく分からなかったんですけれども委員長の前に手を挙げて、おはようございます、大仁田厚から始まるんですけれども、何事も。  僕は三年前にちょうど選挙を行いまして、参議院選のとき訴えたのが、やっぱり大人もそうですけれども子供の、若いときはそうで、大人社会に対して何でおれを認めてくれないんだ、何でおれに偏見を持っているんだ、僕はやっぱり、何でこうやって大人社会というのは固定観念を持っているんだ、それに対しての反発とかエネルギーのぶつかり合いの中であれしていたんですけれども。  人生の中で僕はたくさん後悔しております。それで、その中で、後悔の中でいい体験をしながら、いつも、ああ、こういったときこう失敗したからこうやっていこうと自分で選択していくんですけれども、中学ちょうど三年のとき、掃除の時間に口論になるんですね、生徒と、みんなと。それで、大仁田、おまえ校舎の二階から飛べるかと言うんですよ。僕に言うわけですよ。僕は、いや、飛べるよとおれに言った、そんなの飛べるに決まっているんじゃないかと。それで、みんなが言うからしようがないから、じゃ飛んでやると言って、それで四十六対一になったんですよ。みんなが出した条件が百円くれると言ったんですよ。百円くれると言うから、ぱっと計算したら四千六百円になるじゃないかみたいな。それで、じゃ行くぞと言ってぽっと飛ぶわけですよね。  運悪いことに下にガラスがあって、それが突き刺さるんですよね、僕の足に。それでしようがないからけんけんしながら病院へ行くんですよ。病院へ行って治療してもらって、翌日集金があるんで、松葉づえつきながら山越えて学校へ行くわけですよね。それで、おい、昨日の約束、おい、くれよと言ったら、学級委員が来て、僕に、はい百円と言うんですよ。おい、話が違うだろうと言って。おまえ、話は最後まで聞いてやれよと。な、おれらが言ったのはみんなでまとめて百円だと。そのとき生まれて初めて分かるんですよ、ああ、みんなの話は最後まで聞こうと。聞かなきゃ分からないんですね。  やっぱり僕は失敗の中からどんどんどんどん人間の生き方とか成功って見いだすと思うんですけれども、そんな中で、こうやって委員会の中でいろんな皆さんに迷惑を掛けながらこうやって、人間ってそんなものじゃないかなと思うんですよ。この中にでも一つ地域、文教科学という地域があって、それでみんな助け合いながら、切磋琢磨しながらいろんなものを外に持っていくわけじゃないですか。僕は人間ってそういうものじゃないかなと。  有馬先生がもうほとんど質問していただいたので僕の質問はほとんどないんですが、今回の地方行政組織及び運営に関する法律案について御質問させていただきます。専門的な部分についてはもう先ほどから有馬先生から。僕の方からは根本的なことを中心に質問させていただきます。  今回の改正案では、学校運営議会設置して、地域住民保護者学校運営に参画することでその地域に根付いた学校づくりを目指しているということですが、昔に比べると地域のみんなで子供を育てるという意識がちょっとやっぱり薄れていると思います。私の感じているこのような思いを地域教育力が低下しているなどと表現されている方もいらっしゃいますが、ここで河村大臣にお伺いします。  地域教育力とはどのようなものを指すとお考えですか。また、地域教育力が高いというのはどのような状況のことだとお考えですか。
  57. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 最近の子供たちをめぐる状況、残念ながら思い掛けない事件等も起きておる、これをどうやって防止しながら子供たちを健やかに健全に育てていくか、これは、学校教育はもう一義的に大事なところでありますが、やっぱり家庭もちゃんとしていただかなきゃならぬし、地域も守り育てる機能を発揮してもらいたい、昔はもっとそういうことがあったはずだと、こういう声が社会の中に強く高まっておりまして、そういうことを考えてみますと、やっぱり多くのそれぞれの地域がありますね。その社会の中で血縁、地縁、いろいろありますけれども、そういう社会というものが今非常に希薄になってきたということがあるんではないか。  やっぱり相互の人間関係、連帯関係、そういうものが薄れている中で、やっぱり教育力といいますか、地域子供を守り育てる力が落ちているという指摘がございますから、そういうものを地域教育力考えて、もっとそういうものを元に戻すというか、もっと高めるといいますか、そういうことが必要ではないか、こう考えておるわけでございます。  やっぱりそれぞれの地域には地域の歴史や伝統や文化がある、やっぱりそういうものをちゃんと子供たちも学びながら、昔のおじいちゃん、おばあちゃんたちはこんなことをやってきたんだというようなことを学びながら、自分たちはどうあったらいいかということを考える、そういう機能が地域にはあるんではないでしょうか。また、地域には公民館とか図書館とか博物館とか、いろんなものがあります。そういうものもその役割をきちっと果たしているだろうか、こういうことも考えながら、その全体を考えたときにそこに地域教育力がある、こう考えるわけでございます。  それがいわゆる高い教育力ということになりますと、具体的に動く、例えば学校においてもPTAの皆さんあるいは学校の卒業生の皆さんとかが学校を支援する体制を作る、あるいはボランティアとして学校へ入っていって、あるいは子供に本を読み聞かしてやるとか、そういうことを積極的にやっていただく。あるいは、学校では免許を持たなくても、特別非常勤講師制度とか、こういうのがありますから、あるいは先ほど来お話があった学校評議員、そういうものにも参加をしていただいて、それぞれ地域学校を育てようと、こういう機能が働いている地域、これはやっぱりその地域は高い教育力を持っているということが言えると思いますし、その地域全体も、最近はよその子供が何かおかしいことをやっていても見て見ぬふりをすると、こう言われますね。もっと昔は、隣のおじちゃん、おばさんなんかでも、みんな子供がどこの子であろうとちゃんとしかってくれたと。そういうことをやらなくなったと、こう言われておりますが、そういうことが地域全体で話し合われて、お互いによその子であってもちゃんとしかろうと、しかるべきところはしかろうと、こういうことがちゃんとやっておられるような地域、そうした触れ合いがあるような地域、そういう地域もやはり高い教育力を持っていると、こう言えるんではないかと、こう思っておりまして、文部科学省もそういう手助けを何かしていかなきゃいかぬということで、少しでありますが予算も付けていただいて、例えば子ども居場所づくりなんというのをやりまして、その地域子供が楽しく遊べるところ、楽しく勉強できるところ、楽しくスポーツができるところ、そういうところへ地域の大人も一緒に入っていってやると。これが地域教育力を高めることになる。  今度の、今回の法案で、いわゆる地域運営学校を作る、その中に皆さんが入っていただく。そうすると、保護者代表が入ってきますから、保護者代表にいろんな意見が言える。それによって、みんながやっぱりこの学校は我々が作っていくんだという思いを持っていただく。そういうことが地域教育力を高めることになると。そういうことが機能する地域がまた高い教育力を持った地域であると、このように考えておるわけであります。
  58. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 どうもありがとうございます。  僕はありがとうございますという言葉が好きなもので。やっぱり人間というのは感謝する気持ちというか、そういったものがなければやっぱり駄目なのかなって。あいさつもそうですけれども、やっぱり人に感謝する、何かを感じて、有り難いなと思って自分が受けるということ、受けているということを感じるという、その根本が必要なんじゃないかなと思うんですけれども。ありがとうございました。  また質問なんですけれども地域住民学校運営を図る制度としては、平成十二年度から学校評議員制度が既に導入されています。衆議院では、評議員制度と本法案の運営議会制度とは元々性格が異なるものであるという答弁がなされていて、委員責任目的、機能もかなり異なるということも聞いております。そのような理由から、今後、学校運営議会制度学校評議員制度が併存されるということですが、これまで学校評議員制度を積極的に受け入れてきた自治体が学校運営議会導入にも積極的な反応を示すことが予想されます。  ここで質問させていただきます。学校運営議会学校評議員制度が併存した場合、現場の教育委員会保護者地域住民に混乱は起こらないとお考えですか。  また、現行の評議員制度では十分な住民の参画が得られていないという判断から、更に運営議会を設けるのだと取られても仕方がないと私は考えますが、いかがでしょうか。
  59. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) お答えをいたします。  学校評議員は、先ほども有馬先生にもお答えを申し上げましたように、校長の求めに応じまして学校運営に関する意見を述べるものと。校長の、あるいは教育委員会学校運営に関して直接関与したり、あるいは拘束力のある決定を行ったりするものではなく、また、これは評議員個人として意見を述べると、こういう位置付け、性格のものでございます。  ただ、それはそれとして、そういった方々意見学校運営の中に生かすことができたということで、私はそれなりのもちろん成果は上がってきていると思うわけでございますが、更にそれをもう一歩発展をさせていく、これが今回の学校運営議会でございまして、学校運営あるいは教職員人事について関与する一定の権限がこれは法律上も付与されるわけでございまして、校長は学校運営議会が承認する基本的な方針に従って学校運営を実施をするとか、そういう一定の拘束をする決定を行うことができる合議制機関であると、これが学校運営議会でございまして、こういったように両制度の位置付けあるいは役割というものは違うわけでございますが、私どもは、この運営議会という制度をじゃ導入するからといって学校評議員という制度廃止をするとか、そういうことは考えていないわけでございまして、二つの制度は併存しながら、どちらを取るかは、これは各教育委員会学校の状況、地域実情に応じて御判断をいただく事柄だろうとは思っておりますが、学校運営議会というものが学校評議員制度の今までの成果を踏まえて、更に新たな発展、一つ仕組みとして設けたわけでございますから、保護者地域住民のいろんな経験、積み重ねですとか地域の成熟によって今後この学校運営議会設置が促進をされていくんだろうと考えております。  いずれにいたしましても、この二つの制度趣旨、違いも含めまして、そこは各都道府県教育委員会にしっかりと両制度趣旨、違い、こういったものを御説明を申し上げてまいりたいと思っております。
  60. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 どうもありがとうございました。  次に、学校運営議会の強制力について御質問させていただきます。  地域学校のかかわり合いの度合いは、それぞれの地域によってかなり大きな格差があると考えられます。よく都市部に比べて地方の住民の方が学校とのかかわり合いに積極的であると言われますが、ふだんの活動として全国を回っている私の実感としては、地方でも地域住民が余り熱心な活動をしていないところもありますし、逆に、東京の三鷹市立第四小学校のように、都市部でも保護者やお年寄りを含む地域住民学校子供たちとも積極的にコミュニケーションを取っているところもあります。ただ、核家族や共働きの保護者の割合がかなり高いことも事実で、PTAや子供会など、役員を押し付け合うといった状況が起きていることもよく耳にします。地方、都市部を問わず、保護者地域住民学校運営参画の意識がまだまだ低いというのが現実ではないでしょうか。  本法案では、学校運営議会設置については各教育委員会の判断であると聞いておりますが、これまでの学校評議員制度やその地域学校独自の方法で地域住民の参画を実現しているところでは、現行の方法を今回の学校運営議会にうまくシフトさせ、住民の参画が消極的な地域については、この学校運営議会設置させることでその参画を図っていく必要があるのではないでしょうか。せっかくの法改正にもかかわらず教育委員会の判断にゆだねるということでは、少し中途半端な印象を持つ方もいらっしゃるのではないでしょうか。  それではお伺いします。学校運営議会は早ければ来年度から設置するということですが、どのくらいの割合で設置されると見込んでおられますか。また、その実績を見て、全地域、全学校設置していこうというお考えがあるかどうか、お聞かせください。
  61. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) お答えをいたします。  今回、この学校運営議会、私ども、すべての公立学校に一律に導入すると、これはなかなかやっぱり、それぞれの地域実情学校の実態があるわけでございますから、それは難しいんであろうと。そこは教育委員会の判断で、そういった学校運営議会を置くことがその学校の管理運営の改善に資するんだと、こういう判断がなされる場合には是非こういった制度を設けていただきたいと思っておりますし、むしろそれがマイナスに働くんだということであればそれはむしろ置かない方がいいんだと、こういうことで任意設置にしておるわけでございます。  先生指摘になりましたように、制度を作るんだからすべての公立学校に置くべきではないかと、こういう御意見があることは、衆議院でも御議論があったわけでございますが、今申し上げましたように、これを一律に設置をするということは、もう少しやはり考えるべき事柄が多いんではないんだろうかと。  また、これをどの程度数値目標として設置を、目標値と申しましょうか、置くべきかという議論でございますが、今申し上げましたような地域のいろんな実情をかんがみますと、今この時点で何割というような数値目標を立てるというのもなかなかこれは難しいのかなと。これは教育委員会の判断ではございますけれども、私どもは、この制度趣旨をしっかりと都道府県教育委員会を通じてすべての市町村教育委員会に御理解をいただきまして、できるだけこの制度が普及をしていくような努力をしてまいりたいと考えております。
  62. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 努力という言葉が好きなものですから、是非現場が受け入れやすいような体制を整えてからやってもらいたいと思います。  御存じのとおり、各自治体において学校選択制や通学区域の弾力化が進められていますが、そのような状況下、学校運営に積極的に参画をしてもらうという、考えている地域住民のとらえ方が非常に難しくなってくるように思えます。地域住民側が学校運営委員会委員になることの意味は、そこに通う子供たちが、その地域の住民であり、自分たちの地域子供たちを育てていくことにあるのではないでしょうか。  そこで質問をさせていただきます。コミュニティーによる学校運営と各自治体で広がりが予想される学校選択制の両立をどのようにしていこうとお考えなのか、お聞かせください。よろしくお願いします。
  63. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) 一つは小中学校段階におきますいわゆる学校選択制でございますが、基本的にはこれは学校設置者である市町村教育委員会の判断によって導入するかしないかをお決めをいただくわけでございます。それから、この学校運営議会を通じて地域に開かれ地域に支えられた学校づくりを進める、このいうところの地域、これは通常はやはり通学区域程度の範囲というものを基本的には想定をしておるわけでございますが、おっしゃったように、学校選択制が導入をされている学校におきましてはその範囲が少し広がっているわけでございますから、その場合の地域というものはもう少し広い範囲を、必ずしも通学区域に限定されない、もう少し広い範囲になるんだろうと思っております。  この委員会で御視察をいただきました足立区の五反野小学校、これ、今まさしく調査研究をしておるわけでございますが、足立区は今学校選択制というものを導入もしていると。私はこれは必ずしも両立しないというものではない、そこは、何と申しましょうか、いろんな実践の工夫、こういったことによって、この学校運営議会制度学校選択制は、その趣旨は両立していくんだろうと思っております。  ただ、その場合には十分いろんなことは注意をしていかなければならないんだろうと思っておりますけれども、いずれにいたしましても、学校地域との連携を図っていくんだと、そして学校運営の中にできるだけそういった保護者や、その場合の地域は少し広がりは、広狭はあろうかと思っておりますけれども、といった方々学校の管理運営に参画をしていただくことによって特色ある学校づくりが進んでいくと、これを期待をいたしておるわけでございます。
  64. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 学校運営保護者地域住民の参画を促進するという本法案の趣旨から考えれば、ただの、ただ制度導入するだけではなく、実効的なものとならなければなりません。協議会が形骸的なものとならないように、その実績を評価、検討し、以後の運営に生かしていくことが必要となると思います。  そこで質問をさせていただきます。制度導入後の協議会評価はどのように行っていこうとお考えですか、また評価の主体、方法など具体的に答えてください。
  65. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) お答えをいたします。  指定学校であるかどうかは別としても、学校評価あるいは情報公開、これは大変大事なことであろうかと思っております。学校設置基準ですべての学校に対しまして、教育活動その他の学校運営の状況についての自己点検、評価、その結果の公表が努力義務としてされているところでございます。特に今回のこの指定学校につきましては、やはりその目的を達成するためには、それ以上に十分な自己点検、評価を行い、その結果を公表していくことを通じて改善の取組につなげていくということがまずは大事だと思っておりますし、また、当該学校設置をする地方公共団体教育委員会も指定学校に対しまして十分な自己点検、評価の実施を求めることに加えまして、教育委員会としても、その学校運営状況について、あるいはその学校運営議会の活動状況でありますとか、そういったことについて、やはり不断の情報収集を行うとともに、定期的な点検、評価を実施をするということが大事であろうかと思っておりますし、また、これは、場合によりましては教育委員会が有識者などのお集まりをいただきまして、第三者評価というような形でこの指定学校のいろんな活動を評価をしていただくと、これもまた一つの工夫としてあり得るのかなと。  いずれにいたしましても、その評価の具体的な方法、体制につきましては、やはりあらかじめその教育委員会が規則で定めておくということが大切でございまして、それにのっとって各学校あるいは教育委員会で適切な評価をしていただくと。私どもは、そこはまた、そういったことが円滑に行われるように、この法案お認めいただいた暁には施行通知を各県にお出しをすることも考えておりますけれども、また余り文部科学省が事細かな基準を示してやるということはこの趣旨に沿いませんので、大まかな物の考え方とかそういった形での留意事項、こんなものもお示しをしながら、各県で、平成できれば十七年の四月にもスタートしていただきたいわけでございますから、努力もしてまいりたいと、かように考えております。
  66. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 本法案のねらいというのは、やっぱり学校子供たち地域社会地域住民のかかわり合いは絶対必要だと思います。  そしてまた、分かりやすいものであるべきだと僕はいつも思うんですけれども。政治の世界でもそうですけれども、最近やっぱり問われているのは、やっぱり分かりやすい、分かりやすく本当に提示する。税金の問題にしてもそうですけれども、今回の年金の問題でもそうですけれども、もう分かりやすいのが一番。やっぱり分かりやすくしてもらいたい。  教育は何が分かりやすかったかって、やっぱり先生がいて、先生のことを僕らはやっぱり先生だと思っていましたから。それで、大臣もそうだと思いますけれども、副大臣もそうだと思うんですけれども、皆さん、文教科学の皆さんそうですけれども、その時代に生まれている人、先生から殴られたら先生が正しいんですよ。それで、家へ帰っておやじに、先生から殴られたら逆にまたおやじから殴られるような。  だけれども、そういった、何ですかね、やっぱり僕いつも思うんですけれども、やっぱりそのポジション、ポジションがあると思うんですよ。地域地域のポジションがあってやっぱり学校を守っていたと思う。やっぱり兵庫のあの池田事件のときに、あの池田学校のときに、やっぱり地域学校を守るような制度を作らなきゃいけないという声が新聞などで上がったんですけれども、僕は、やっぱり地域学校というのは是非密着しながら生きていかなきゃいけないな、生存しなきゃいけないなと思うんですけれども。  僕は昨日、念願であった自然体験学校を作るためにいろいろと模索していたんですけれども、やっと候補地が挙がってきたものでちょっと千葉の方に行ってきたんですけれども。廃校なんですけれども、三校ぐらいあれして。僕思うんですけれども、そこがだんだんだんだんやっぱり、これはそうじゃないですか、東京というところで僕らは住んでいて生活し、生活基盤を置いているからいいですけれども、やっぱり地方に行くと、やっぱり地方の田舎なんかにいるとどんどんどんどんやっぱり過疎化が進んでいるんですよ。  それで、僕思うんですけれども、この間そこの役場に行って話をしたんですけれども、やっぱり地域活性化にもなるじゃないかと。学校ってそうですよね、ある種コミュニティーの世界だったですよね。そこにいろんな人が来て、何だかんだと言いながらお茶を飲んでいったり、いろんな世界があったはずですよ。だからこそ、学校というものを中心にその地域が回っていた時代があったわけです。  僕思うんですけれども、まだまだ、何だかんだ自然が破壊されたといいながら、ぽつぽつぽつぽつ何だかんだ千葉辺りでもかなりの自然が残っているんです。自然を利用しながら教育ができないものだろうか。だって、僕ら、皆さんそうですけれども、随分芋掘りに行ったはずです。芋掘りに行って芋を掘ってふかして食べた。自分がやっぱり汗水垂らしてやったものというのはやっぱりうまいもんです。自分で地引き網引いて魚がいた、それを焼いて食べたらうまいもんで、人間というのは、僕は、時代は変わろうとも、自分が体験したもの、得たものを食べるという、そういったものというのを是非体験させていきたい、いかせたいなと思っている。  ちょっと話は飛びますけれども、僕は騎馬戦とか棒倒しが大好きなんですよ。大臣はお好きですか。いや、騎馬戦と棒倒し、どっちが好きですか。棒倒しですか。
  67. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 騎馬戦の方が好きでしたね。私は、先生みたいに体も大きくないし、どっちかというと、怖かったけれども、まあ騎馬戦の方が楽しかったですね。
  68. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 僕は棒倒しの方が好きなんですよ。是非、その学校を作った暁には、地域を巻き込んで、だって、おばあちゃんは駄目ですけれども、もうやっぱりその地域を巻き込んで、赤と白に分けて紅白で僕は戦おうと思っているんですよ。それをその村や町の祭りにしようじゃないか、そこにやっぱり僕は、エネルギーがあった。  これ、ちょっとエネルギーの話をしていいでしょうか。僕は、先ほどやっぱり有馬先生が言われた、日本の義務教育制度というのは、これはもう金字塔だと思うんですよ。だって、明治時代です。僕は今ちょっと西郷隆盛を読んでいるんですけれども、西郷隆盛を。やっぱりあの明治維新のあの幕末のエネルギーといったらすごいですよ。日本じゅうから沸き上がるエネルギーが、何かをやろうという、何かをやろうじゃないかとがっと集まったわけでしょう。それで明治維新ができたわけです。それで、西郷隆盛の本の中にこうやって書いてあるんですよ。それで、村から義務教育制度を確立するわけじゃないですか。そうしたら、やっぱり村のお百姓さんたちから、子供をやることによって労働力が減るわけじゃないですか、やっぱり不平不満たまりますよね。それに対して今度お金も払わなきゃいけない。もうばらばらの世界だったのに、それを確立してしまったこの国というのはすごいなと思うわけです。  もう一回そのエネルギーがあれば、僕は絶対に日本は変わると思うんです。僕はやっぱり、経済が重要だ重要だとみんな言うじゃないですか。何だかんだ言いながら、教育がなければ経済もなければ何もなかったわけです。そのエネルギーを日本人は持っているわけで、是非僕はそのエネルギーを何かいい方向に結べないかなって。だって、そうじゃないですか、大臣。エネルギーがそっちに行ったことによって日本が急激に伸びたわけです。ただ、エネルギーをじゃこっちに人間が使えば悪い方向に行った。戦後はやっぱり自分たちで悔やみましたね、日本人は。エネルギーがこっちに行けば、悪い方向に行けば、だけれども、いい方向に行けば、エネルギーを使えば人間というのはいい方向に行くかもしれない。僕はそういうところあると思うんですけれどもね。  僕はだれが何と言おうと棒倒し推進派ですから、その学校では是非棒倒しをやる。是非大臣にも来てもらって一緒に棒倒しをやろうじゃないかと思っているんですけれどもね。  僕は、だって大臣、副大臣、だってそうじゃないですか。やっぱりけがするじゃないですか。いろんなことで、鉄棒やったって何したってけがするじゃないですか。僕は有馬先生にもお伺いしたんですけれども、けがするということは、それで自分で体験するわけです。僕、過保護にするだけじゃなく、やっぱりどちらかというと親や地域先生たちが子供をぽんと突き放すことも必要だと思うんです。突き放して、その子供が自力ではい上がってくるパワー、そしてまた、そういったものを、エネルギーを植え付けなければ僕は絶対駄目だと思う。  それと、もう一つ観点なんですけれども、もうそろそろ時間なんですけれども、僕も思うんですけれども、遊ぶというと、僕は人生は遊んでいるんだと言うんですよ、よく。いや、遊んでいるわけじゃないですけれども。やっぱり遊んでいると言われると、僕はプロレス十五のときからやっていまして、もう三十年間やっているわけですよ。僕は、だけれどもプロレスが大好きなんです。一応涙のカリスマとか言われて、一応宗教的だと言われているんですけれども。もうお客さんはお金も払っているのに、僕に水をぶっ掛けられて水浸しになって帰る人たちもいるんですよ。だけれども、お客さんはそれを見に来るわけです。だけれども、僕が一生懸命、そのリングで一生懸命やらなければそのエネルギーというのは伝わらないんですよ。そして、それがお客さんとのコミュニケーションになる。  僕はやっぱり、エネルギーをぶつけ合う、そういったものがやっぱり人を感じたり、そして、自然と闘うこと、自然の触れ合うことによって自然を感じる。僕は一番今何が重要かというと、やっぱり感性だと思うんです。感性を養う、感性教育というものを、自然やいろんなものを利用しながらそういったものを養っていく。  大臣が日ごろから言われているように、僕は大臣の好きな言葉で、やっぱり魅力ある人材。やっぱり魅力のある男、魅力のある女性。僕は、女性は女性だった時代、そして男性は男性だった時代。差別とかそういうものではなく、やっぱり何を学校というものや地域やみんなが作り出していくか、大人が作り出していくか。ちょっと分かりにくいと思いますけれども、僕は、地域重要性というのは、やっぱり学校重要性、そういったものというのは、やっぱり魅力ある子供たち、そして魅力ある人材を発掘することが、僕、学校役割だと思うんです、教育役割だと思うんです。  僕みたいな男ですが、着々と、一つのことですけれども、本当に皆さんに御迷惑を掛けながらこの三年間やってこれました。そしてまた、自分の目標である自然体験学校をどうにかこうにか作れそうな気配になってきました。文部科学省としては是非大仁田厚に協力してください。はいと言われなければ、しつこく毎日通いますんで。人間しつこいと言われるじゃないですか。僕、しつこさも必要だと思うんですよ。人間というのはいろんなもので、僕は、臨機応変に動ける、ムーブできる、そういった柔軟性というのも必要だと思います。  ただ、僕は、何だかんだと言ってこの日本は最近はどうのこうのと言う方がたくさんおられますけれども、僕はまだまだ捨てちゃおりません。資源のない国です。そして、方向性の見えない国です。ただ、僕は信じております。あの幕末、エネルギーを掛けて幕府を倒し、そして義務教育制度という金字塔を建てた国として、そして、世界に日本という国を経済大国までのし上げたそのエネルギーは決して捨てたものじゃありません。そのエネルギー、人間が生きるエネルギー、それを信じて僕は生きていきたいと思います。それには教育が僕は本当に最重要課題だと思っています。その方向性を正しく、正しく日本じゅうに知らしめることが僕は最重要課題だと思っております。是非皆さんのお力で、そして僕も全力を傾けますんで、今後ともよろしくお願いします。  最後に大臣にお聞きしたいのは、魅力ある人材って大臣がよく言われますけれども、今後、日本子供たちにどういったものを、どういった教育を与えていく御方針であるか、最後にお伺いして、終わりたいと思います。よろしくお願いします。
  69. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) いつも大仁田先生からこの委員会におきましても、自らの体験に学ぶといいますか、失敗に学ぶといいますか、あるいは実践的教育改革論といいますか、そういうものをお聞かせいただきながら啓発を受けておるわけでありますが、私はやっぱり、今、大仁田先生がこれから取り組もうとされております体験学習的な、こういうものをしっかりやろうとされておりますが、私は今の教育においてはそういうことは非常に大事だと、こう思っておりまして、やっぱり魅力ある人間というのはやっぱり奥が深いというか、様々な体験もしながら、自ら考え自ら行動ができる、自分の考え方を持っている、そういう人がやっぱり魅力ある人だと思いますね。いつも大仁田先生の自らの体験に基づいていろんな体験談を語りながら自分の考え方をまとめて、自分はこう思うということをしっかり言われる、これもやっぱり魅力あるお一人だと、こういうふうに私は評価をさせていただきますけれども、そういう意味で、これからの教育が、私も総理から言われている、人間力向上教育改革と、こう言われていますが、そういうことを目指していくということが大事だろうと。単なる机上の、机、頭の中でその数字だけ分かっているということじゃなくて、これをどういうふうに社会に開いていくかということができる、貢献できるかということができる、そういうことが大事だろうと、こう思っておりまして、これから日本にも国際貢献ということが問われておる、そういうことに対してどういうふうに国づくりをしていくかということが、正にこれは教育がその根幹になければなりません。  それには、やっぱり一人一人の日本人というものがそういう高い意識を持った子供たちをどうやって教育の中でつくり上げていくかということ、魅力ある人間をつくり上げていくかということが教育に問われていると、こう思いますので、先ほど来先生が、今からそういう体験学習的なものも作っていこうと言われておりますから、私の方も既に文部科学省内部でどういう形で御支援ができるかしっかり考えるようにと、こうも言うてあるところでございます。これからも魅力ある人づくりのために一層教育改革にお力をいただきますようにお願い申し上げます。  ありがとうございました。
  70. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 どうもありがとうございました。どうもありがとうございました。
  71. 山本正和

    山本正和君 私の質問時間を繰り上げていただきましたことを理事の皆さんにまず感謝申し上げます。昼からまたイラクの方へ参りますので、大変御無礼いたしますが、よろしくお願いしたいと思います。  用意しておった質問は有馬先生の方の御質問の中で大分ほとんど解明されまして、余り細かく聞きませんけれども。  私、この法案を見て心配いたしましたのは、何か知らないけれども教育の問題を、形をかたかたかたかた変えていけば良くなるんじゃないかというふうな印象を与えないかと、これが大変心配したわけです。例えば、コミュニティ・スクールなんて言葉が出たらぱっと飛び付いてしまうと、こうなったんではいかぬのじゃないかということを心配するわけですね。  教育というのは、いろんなことを言うけれども、私は五十一歳の長男と四十八歳の次男がおりますけれども子供のときから塾へ一遍もやったことはありません。しかし今、どうも次男の方は、もう小学校四年生のときから塾へやっておる、長男の方はやりませんけれどもね。  私は、教育の根本というのは、いろいろとあるけれども、しょせん人だと思う。親であり、先生であり、地域の大人だと思うんですね。そういう中で、先ほど有馬先生がおっしゃっておられて大変私も感銘深くしたんですけれども日本の義務教育ぐらい世界に誇るものはないと、この自信なんですね。それも、自分の子供だけ良くなってほしいという親の願いはありますけれども、それを明治以来やってきたのは、一番低いところの子供国民として引き上げようと、これを文部省は全力を挙げてやってきた。文部省は誇らなきゃいけないのはそこだと思うんですね。  ところが、今度のやつは、もっと自由に、自由度を与えてより伸びる者を伸ばそうと、それを公立の、国の方からも補助もしようという印象をちょっと私はするんですね、実際はそうじゃないかもしれませんけれども。  だから、本当に国がやらなきゃいけないのは、日本の国のもうどうにもならない条件の悪いところに育っている子供国民としてのきちっとした教養を与える、知識を与えるという、日本の国の今までやってきたすばらしい義務教育制度ですね、これがあるんだということが大前提でなきゃいけない。  ところが、今度の法案をずっと経過を見ても、私が心配するのは、文部省内で、文部科学省内で発案をして、この制度じゃ困るから変えようという省内の意向、あるいは全国の校長会や全国の教職員や地方教育委員会からの意向で上がってきてこの学校議会制度というものが生まれてはいないということですね。これ、大変私心配なんです。  それからもう一つは、中教審もそうなんです。中教審では評議員制度議論はされたけれども、こういう学校議会という制度議論されていなかった。突然、文部大臣よりも偉いかもしれませんけれども、私は余り偉いとは思わぬけれども、総理大臣諮問機関の、偉い機関なんですか、そこの機関が勝手に決めてしまって、それを中教審答申してできていると、こういう経過を見るんですね。  私は思うんですよ、教育の全責任を持っているのは文部省だと思う。それで、文部省が一生懸命やって現場の意見を聞き、あるいはPTAというものがあるんです、親の意向も聞き、地教委もあるんです。そういうものを全部掌握しながら、この制度でいいのだろうかということを十分議論する中で生まれるのが本来からいえば国会にかけられる法案だと思うんですね。  ところが、文部省を飛び越えて、とにかく総理大臣諮問機関議論をしてぽんと持ってくると。何のために文部大臣というのがあるんだと私は思うんですね。それなら総理大臣文部大臣に話すればいいんですよ、どうでしょうかと。それで、文部大臣がちょっとお待ちくださいと、いろいろ議論して、文部大臣から総理大臣に話せばいい。それを、まるで文部大臣不信みたいなことがついこの二、三十年間の間行われてきたと。これは私は非常に心配で仕方ないんですよ。  そうすると、もう一つは、マスコミが様々なものを報道します。そうすると、子供たちの問題でちょっと悪いことがあるともう針のことを棒ほどに報道する。やれ子供の非行だ、暴れておる、どうだこうだとね。ところが、子供たちが本当に一生懸命やっている姿というのは全然報道しませんよ。この前行った、みんなで視察に行った学校でもすばらしいし、その前に視察に行った、あそこはどこだったですかな、江東区だったですかね、あの下町の小学校でもすばらしいですよ。あるいは愛知県の小学校だってすばらしい。子供たち、目も輝かせて、校長も教員も必死になってやっておるんですよね。その姿が一般的だと私は思うんですよ。中には荒れた問題にも手っ張ってやると。  今度は、もう一つ、自分の子供をかわいがるばっかりで、いい学校さえやればいいと。できたら慶応義塾の幼稚園に入れたいという。これは東京辺りの母親の、お金持ちの母親のもう願いだそうですわ。そういう親の願いに自分の通っている小学校は合わないからと、変えろ変えろと、こう言うと。そういう人は自分たちで勉強してもらえばいいんですよ。そういうことをできない人を保障するのが文部省の役割。  そういう意味からいって、私は今度の法案が流れてきた経緯が非常に残念で仕方ないんです。仕方ないけれども、ここまで来たら通っていくだろうから、心配なので、ひとつ冒頭に、大臣にその御決意をお願いして聞きたいんですけれども。要するに、今文部省が取り組まなきゃいけない教育の課題、あるいは教育委員会制度在り方、また校長の責任、教諭は教育をつかさどるという学校教育に書かれてある明文、こういうものを含めて、現在置かれている教育のそれぞれの責任者は、今度の法案によってこれを変えられるものじゃないと、これをまず冒頭に、冒頭に今日はそれだけお聞きして私の質問終わりたいと思いますので、ひとつ大臣の決意をお願いしたい。
  72. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 山本先生からの御指摘、もっともな点といいますか、やっぱりそうあるべきではない、教育責任はやっぱり文部科学省が持っているんだということにもっと自信を持って臨まなきゃいかぬ、私もそう思っております。  今回のこのコミュニティ・スクールに至るまでのいろんな経緯等を考えてみますと、確かに教育改革国民会議、小渕内閣の下で、ここでこの点について議論をされて、いろいろ教育改革の一環としてこういう方法もあると、こういう指摘があって、文部科学省もそれはいいことだからすぐやりましょうと言ったわけではございませんで、ちょっと待てよと、これを入れた場合に一体どうなるんだろう、またアメリカではチャータースクールと言われている、これが本当に日本に合うのかどうか。民間ではそういう研究もしておられる方も随分あって、いろいろな我々も勉強会にも参加いたしました。そうした中で、やっぱり日本にふさわしい形があるんではないかということ。  それから、学校現場で確かにいろんな難しい問題がいて、校長が、今までの教育界で育った校長では対応できないこともできたので民間校長の導入というのもあった。これに対しても非常に抵抗もある。私の山口県なんかは民間校長なんて言わないでくれと教育長が言うぐらいでありますが、そういう、それぞれの県にも特質があります。  そういうことから考えてみたときに、実験校なんかも作って、五反野へいらしたそうでありますが、五反野も正に実験校、モデル校であります。あそこも試行錯誤をいろいろしながらあそこまで持っていったわけでありますから、やっぱりそういう地域の取組ということによって学校が変わり、やっぱり教育は変わる。特に私は、あそこで、何でもないことのようだけれども学校で、教室でまず授業を始めるときに先生よろしくお願いしますとみんながあいさつをして、授業が終わったところで先生ありがとうございましたと。これをちゃんとやらせるのに二年掛かったと、こう代表の方がおっしゃっておりました。これも学校に任せておったらなかなか校長もできなかった。しかし、それが地域の声として、また民間から来た校長ときちっと会ってそれができるようになったと、こうおっしゃっておりました。  そういうことはやっぱり今の教育で十分でない部分もあって、地域一体になってうまくいくというケースもある。また、それによって逆に、選択制を取っているほかの地域も、あの学校にやっぱり負けないようにしなきゃいけないのには我々どうしたらいいかという動きが出てきたと。これは教育委員会の方もおっしゃっておりました。  やっぱりそういう利点もあるということをこの実験校を使いながらやってみて、よし、これをすぐに全国ということじゃないけれども、やっぱりこういうことによってやっぱり学校活性化していく一つの方法ではないかということで、文部科学省も上から指令ばかりしておきゃそれで済む問題ではないし、地域の声も聞きながらということでございましたので、今回こういう次第になったわけでございまして、そういうことから考えてみたら、じゃ、そこによって校長の権限等ががらっと変わっていくかと、こういうものでは私は決してないわけでございまして、やっぱり今回のこの制度を入れようとすると、やっぱり教育委員会もちゃんとしていかなきゃならぬということが問われる。教育委員会がダラ幹だったらこんなことできないという指摘もあります。私も正にそうだと思っております。  その教育委員会がやっぱり責任と権限を持った中で、これまで校長が積み上げてきた日常の権限、いわゆる学校運営を行う権限、そしてその学校の中心としてリーダーシップを発揮できるような仕組み、こういうものはきちっと持っていかなきゃならぬわけでありますが、しかしその中でできる限り地域の皆さん方の声、特に保護者の声、地域住民の声が学校運営にできて学校活性化すればよりすばらしいわけでありますから、それを目指していただこうということでございまして、教育委員会が持っている権限をそのまま学校運営議会にその権限を委譲すると、こういうものではないわけでありまして、この権限を実際に行使する場合にいろんな意見が反映できるということでありますから、都道府県教育委員会、東京都の場合には、都道府県教育委員会、それから市町村教育委員会、校長が持っておる権限、これに変更を加えるものではないということは明言をしておきたいと、こういうふうに思います。
  73. 山本正和

    山本正和君 ありがとうございました。
  74. 北岡秀二

    委員長北岡秀二君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時五分まで休憩いたします。    午後零時三分休憩      ─────・─────    午後一時六分開会
  75. 北岡秀二

    委員長北岡秀二君) ただいまから文教科学委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、地方教育行政組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  76. 中島章夫

    ○中島章夫君 民主党・新緑風会の中島章夫でございます。  二時間という大変長い時間をいただいております。地教行法改正であります。この当該します問題点並びに地教行法自体の問題点について御質問を申し上げていきたいと思います。長い時間でありますので、中でたるまないように自分に言い聞かせながら、よろしくお付き合いをお願いをいたします。  この地教行法というのは、もう読んで字のごとくでありますけれども我が国地方教育行政の骨格を定めた法律であります。ところが、最近、教育をめぐります制度の硬直性の問題というのが経済の構造改革の一環として取り上げられる傾向にございまして、有馬先生の御質問の中にもありましたが、今回のいわゆるコミュニティ・スクールに関します地教行法改正案も、特に経済的な社会構造改革の視点から検討が進められてきております特区の延長線上に位置付けられてきたような気がいたします。  この点について、改めてになりますが、文部科学大臣はどのように受け止めておられるか、お伺いをいたしたいと思います。
  77. 小野晋也

    ○副大臣(小野晋也君) この問題に関しましては、先生の御指摘されるその性格の問題につきまして、文部科学省といたしましては、近年、国民教育に対する要請が非常に多様なものになってきているという点、そしてまた、地域の中での学校という位置付けをめぐっていろいろな問題が提起されている状況の中におきまして、これらの批判を真摯に受け止める中に、学校評議員制度導入の問題、また学校の自己点検、評価努力義務化等々、いろんな改革に取組を進めてきたところでございます。  これらの取組を更に一歩進めまして、地域保護者のニーズを的確に反映をしながら信頼される学校づくりを進めていくというような観点におきまして、既に有馬委員からの答弁を出させていただいているわけでありますが、平成十四年度よりは全国地域九校において、新しいタイプの学校運営在り方に関する実践研究という形で、この先駆け的な取組を行ってまいったわけでございますが、それを、その実績を踏まえていく上に、また総合規制改革会議等の答申で提起をされているようなことも踏まえてこの改正を行い、新しいタイプの学校を作っていこうと、こういうふうに考えてこの法案を出させていただいているという次第でございます。
  78. 中島章夫

    ○中島章夫君 そういう動きが、社会的な変化、多様化、そういうことは理解ができるんでありますが、学校には元々どの学校にもいわゆるPTAというものが置かれておりまして、PTAというのは、自分の子供のことだけではなくて、本来、地域子供たちすべての健全な成長ということを願って作られた、そういう組織であるはずでございます。  これは特に質問の中に入れておりませんのでお答えをいただく必要も別にないわけでありますが、こういう形で地教行法を今ここで変えてそうして取り組むという課題にしては、何か教育の本質を見詰めている者にとっては、何かちょっとサイドのものにとらわれたなという思いがしているわけであります。私は、それは、そのこと自体、教育委員会制度そのものが学校自主性、それから今言われた父母との連携、地域との連携というものを大切にしながら生き生きとさせていかなければいけないというのは最終目標でありますから、そのこと自体をどうでもいいと申し上げているわけではありません。しかし、地方教育委員会制度そのものの骨格を定めているこの法律においてその部分だけ緩めてみるという、そういうやり方にある種の危惧を抱くわけであります。  さて、そこで、実は平成七年から十三年まで、かなり地方自治、地方分権ということにつきましては大きな課題に取り組んでまいりました地方分権改革推進会議、これに続いて、地方分権改革推進会議は十三年から、その前は地方分権推進委員会というものがございましたが、この十三年からの地方分権改革推進会議は、どうやらこの間の、今年度の骨太方針についての検討を終えて、三年間の審議のあれを終えるようでありますけれども、これが十三年の十二月に、事務事業在り方に関する検討の中間論点整理というものに、教育委員会制度重要性について次のように述べております。地方教育、分権の観点からも、より地域に根差した教育行政を展開していく上で極めて重要な機関であり、この教育委員会のことですね、地域実情や創造性を生かしつつ、教育から文化、スポーツまで幅広い分野にわたる教育行政一体推進をしていく上で、今後、教育委員会重要性は一層高まるものと考えられると、こう述べているわけです。今から二年余り、三年前のことであります。  文部科学省はこの教育委員会そのものの在り方についてどのような方向で検討を進めてこられたのかについて、これは有馬委員と同じ方向でありますが、まずお聞かせをいただきたいと思います。
  79. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) お答えをいたします。  教育委員会重要性につきましては、今、先生が御指摘になったとおりでございまして、私ども、とりわけ、特に市町村教育委員会につきましてはやはり足腰が弱いんではないかと。これはまた、事務局体制の問題もございますし、あるいは教育の専門家であります指導主事の配置率が特に小規模市町村では少ないと、こういったような現状もあるわけでございまして、できるだけ市町村教育委員会の足腰を強くしていきたいと。  そのためにも、いろいろな私ども情報提供もしたり、あるいは市町村教育委員会にいい人材を採用していただくと申しましょうか、そういう意味でも教育委員のあるいは教育長方々の研修でありますとか、そんなようなことも行ってきたわけでございますし、平成十三年には地教行法改正をいたしまして、教育委員のメンバーを保護者ですとか女性とか、こういった多様化していくと、そういったような改革もし、教育委員会会議原則公開にすると、そういったことで公平公正、あるいは透明性をより高めていくと、そんなようなことも含めまして、教育委員会の機能強化ということで努力をしてきておるわけでございまして、今後とも、ますます教育委員会が求められている機能を十分に発揮していただけるように私どももバックアップしてまいりたいと考えております。
  80. 中島章夫

    ○中島章夫君 御答弁をいただいたように、地方教育委員会が弱い、活性化をしていく必要があるということで、今二つの点が重要なポイントとして述べられたと思います。  一つは、後ほども若干触れるかと思いますが、教育長自身の専門性の問題であります。これは教育委員会発足の当初からの重要問題であります。  もう一つは、今述べられたのは、合議体としてのレーマンコントロールという教育委員会、その教育委員会活性化するために、固定化した、弁護士とお医者さんとかという、何かいろんな、かなりいろんなところで固定化したものがございました。それを女性の方々、いろんな方、父母の方々、そういった方々も含めながら多様化していく、大変結構であります。しかし、これはレーマン、合議制機関でありまして、最終責任を持てる機関ではないわけであります。  私は後ほど、特に時間をいただきながら、教育委員会事務局そのものが責任を負うべき事項について幾つか御質問を申し上げていきたいと思います。  その前に、地方分権改革推進会議は、いわゆる三位一体改革の一環といたしまして、国と地方役割分担に応じた税源配分の在り方にまで積極的に提言をいたしていることは御承知のとおりであります。基幹的な税目であります住民税、地方消費税について地方分権改革観点から税源配分の見直し等をうたっておりますし、国から地方への税源移譲と地方間の水平的財源調整とか、あるいは地方共同税にまで踏み込んでいる。こういった点から見ましても、かなり抜本的な地方分権化ということを提起しているものと考えられるわけであります。このことは過日この委員会でも議論をいたしました。義務教育国庫負担法関連でも議論をいたしたことであります。  本来、国からの資金でありましても地方が直接集めたものでありましても、国民から預かった大切な税金を使って、それをいかに有効に教育の振興に役立てるかというのは教育委員会の最大の役割だと、私はそう思っております。そういう意味で、地方教育行政当局の一番、イの一番の方針でなければならないと思うわけであります。  義務教育国庫負担制度というものが我が国では、午前中の御審議の中にも出てまいりましたように、非常に古くから、世界に先駆けてと言ってよろしいんでしょうか、かなり充実した制度を誇ってきたということから、世界にうらやましがられている側面がございます。それが逆に、今申しました、お金を使って効果的に責任を持って教育行政を遂行しなければならないという感覚が、まあ一定の定数が、生徒の数があれば、まるで水か空気のように毎年わいて出てくるように、これは大変言葉悪いですが、そういう感覚で受け止められている節がある。  そういう意味で、私は、市町村教育委員会が現在こういった国民の税金を自らが主体者として使っていくというだけの体制が本当に備わっているかどうかについて、文部科学大臣の御感想、お感じを伺いたいと思うのであります。
  81. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 中島先生指摘のように、日本の、特に義務教育段階におけるこれまでの仕組みといいますか、国がその基幹部分を持って財政的な裏付けを持ちながら、そして正に教育現場というものを、これが活性化しながら進んでいくように、そして高い水準で維持できるように、そして良質な教員というものを確保していこうということで今日まで取り組んできたわけであります。そして、その正に受皿といいますか、またそれを動かしておるこの中核に教育委員会があるわけでございます。  その機能が、先ほど来お話しのように、ややもすると形骸化しているんではないかという指摘もあるわけでありますから、ここを強化するといいますか、また国民の目から見ても十分機能している、こういう働きを持つことがこれからますます重要になってくると私は考えておるわけでございまして、確かに今、合併が進んでおりますものですから、小さな教育委員会というのはだんだん数を消していくんだろうと、こう思いますけれども、これまでのところ、二千人の村であろうと五十万の市であろうと同じ教育委員会という形で今日取り組んできた。しかも、正に人事は広域的に県の教育委員会がやるというような、ある意味では二重構造的な面もあって、この辺についてももっと、国民の目から見たときにもっと分かりやすい姿にしたらどうかという声もございますし、正に地方分権というのは、国民にとって、住民にとって一番身近なところで機能する、これが一番大事だと、こういうことでありますから、そういうような制度がこのままずっといいのかどうかというような問題も含めてこの機能を考えていかなければいけないんではないかと、こう思っておるわけでございます。  特に、義務教育費国庫負担制度在り方、これも同じ地方分権ならば、国ではなくて地方ですべてがコントロールできるようにすべきではないかという、いわゆる地方分権改革推進会議あるいは経済財政諮問会議等々からもいろいろ御指摘をいただいておるところでございますが、それは、ある意味では、今の教育委員会制度というものがどのように機能しているかというものの裏腹ではないかとも、こう思っておるわけでございまして、教育委員会制度がきちっとしていれば、これはこの受皿として十分機能するんではないかという議論になっていくんではないかなと、こう思うわけでございます。  しかし、日本教育、特に義務教育の、憲法の精神からいっても、国がやっぱり責任を持つんだということが明白でありますから、ここのところをきちっとしていかなきゃなりませんが、これまでの人事等は県の教育委員会にあるものでありますから、知事会の意向を聞いてみますと、私の地元の山口県の知事さんもそうでありますが、県の教育委員会が十分機能しておればこれは大丈夫じゃないかと、こういう考え方が根本にあるようでございます。しかし、現実には県の教育委員会、人事をやっておるんでありますが、実際に学校責任を持っておるのはそこの市町村の、義務教育段階においては市町村教育委員会であるということ、そのことを知事会は本当に理解をしているのかどうか、こういう点もこれからの課題として私は考えていかなければいけないなと、こう思っておりまして、そういうもろもろの観点から考えて、今の教育委員会制度在り方がこのままでいいのであろうかと、こういうふうな思いを一方では抱いておるところでございます。  しかし、義務教育国庫負担制度在り方につきましては、いずれにしても教育費というものが、たとえ自治法の精神といいますか、その精神が、交付税はその算定基礎にはするけれども地方自治体の正に裁量の中にあるんだと、またそれでなければいけないという税の在り方地方分権の基本的な考え方からそうなっておるわけでありますが、しかし、やっぱり教育費というものがいわゆる地方自治体の長の裁量に任されたときに、これはきちっとした形で国民の期待にこたえる在り方として教育行政がなされるかどうか、このやっぱり担保がないということはこれまで培ってきた日本教育制度を根本から変えることになる可能性がある、このことについてきちっとした担保が取れない限り、主管、主務官庁である文部科学省としても、この憲法の精神からいっても、これをそうですかというわけにはいかない部分、これはもう我々の責任において阻止しなきゃいけないし、正に教育論に立ったときの理論というものをきちっと展開していかなきゃならないと思います。このことについては文部科学省とそして地方にあります教育委員会は同じ基盤に立っておると、こう私は思っておるわけでございます。  そういう意味で、教育委員会を強化、活性化していくということが今問われておるんだと、こう思っておりまして、経済財政諮問会議辺りから来ております地方分権論だけ、あるいは経済構造、構造改革論だけでこの今の教育委員会制度考えるべきではないと、こう思っておりますし、教育観点教育論からこの問題はやっぱりとらえていかなきゃならないと、こう思っておるところでございまして、これを今から更に積み上げていかなきゃならぬと思っておりますし、これまでのこの文教科学委員会におけるいろんな角度からの御議論というものを踏まえて、これからの義務教育在り方、そして問われておる義務教育国庫負担制度在り方、これにきちっと方針を出して対応していかなきゃいかぬと、このように考えておるところであります。
  82. 中島章夫

    ○中島章夫君 改めてお断りするまでもないわけでありますが、特に義務教育費につきましては、地方がそれを大事に使うという意識と国がその財源について責任を持って配分をするということとは私は別に考えておりまして、大臣がおっしゃるように、私もこれはもっと、一九八〇年ごろ以来落ち込んできている教育費そのもの全体を取ってみてもそうでありますが、特に義務教育については財源を国がきちんと確保して、各地方が平等に我が国の一番基礎、基本という、特にこれから一人一人の子供たちが激しい競争社会、国際社会の中で生きていくわけでありますから、その人権を作り上げる、まあちょっと固い言葉になりますが、そういう基礎になる、そういう教育については国が責任を持つというのは私も当然だと思っております。  ただ、私がここで議論をしたいと思っておりますのは、そういうシステムがあるがゆえに、地方ではその問題について大事に使う、有効に使うという教育委員会のイロハのイの部分がまだないままに動いてきているんではないかということを特に思うわけであります。  その点に関しましては、午前中の有馬先生の御議論の中で、昭和三十一年の地教行法改正のときに確かに教育委員会の財政権が取り上げられました。なるほど、これが実は教育委員会及びその周辺にいる人たち、学校を含めまして、にとって教育費というものを自分たちのものとして考えていくという、何というんでしょうか、親近感というんでしょうか、身近さというんでしょうか、責任感というんでしょうか、そういうものを長い間欠かせていたんではないかなという思いを、先ほどの御議論を聞いていてそういう感じがいたしました。  さて、私は今回のいわゆるコミュニティ・スクールの法案というのは、実は先ほどちょっと危惧をしているという言い方を申したのは、地方分権イコール学校の主体性の拡大ととらえているところが、これは平成六年ぐらいの中教審答申前後から大体その流れが実はあるんです。地方教育委員会が指定した学校学校運営議会を置くと、こういうことをいたしまして、人事権、財政権、あるいは教育課程編成権にまで保護者地域の代表の意見を取り入れようとするものでございます。  私は、これは日本各地で、教育委員会の画一的な思考方法、それに基づく運営方針といったようなものが行き詰まりを見せております。アメリカでチャータースクールというものが一九九一、二年に出てきましたのも、そういう点をついて出てきたことであることは御承知のとおりでありますが、そういった画一的な教育の壁を新しいタイプのコミュニティ・スクールによって打ち破っていく、意識を変えていく一つの助けにすると、その意味では私は評価をするわけでありまして、ある意味ではそれはもちろん評価をいたします。  しかし、それは先ほども申しましたように、本格的な地方分権政策そのものの入口だとは私は考えません。病んでおりますのは公教育システムそのものでございまして、こういう表現は必ずしも適切ではありませんが、各地方で起こってまいります思い付きを積み上げていったら地方分権につながっていくなどという安易な気持ちは少なくとも文部科学省には持ってほしくないと、かねてからそう申し上げているわけであります。  さてそこで、今回のこの法案提出について、もう先ほどからも出ていることでもありますが、法案提出によってどのような改革への地方分権とのかかわりで思いを掛けられたのか、文部科学省考えをお聞かせをいただきたいと思います。
  83. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) お答えをいたします。  私どもは、これまでも、信頼される学校づくりを進めると、こういう観点から、学校裁量の拡大ですとか、開かれた学校づくり、校長のリーダーシップの強化、教職員の資質の向上などについての改革に取り組んできたわけでございます。  先生おっしゃいましたように、私どもは、国としてやるべきことはもちろんやっていく、特に義務教育については国がやっぱり最終的な責任を負うんだろうと。しかし、やはり学校は、基本的には小中学校市町村設置をしているわけでございますから、国、都道府県市町村役割分担、そしてまた日々子供たちが通っている学校、とりわけ校長さんたちにもう少しリーダーシップを発揮をしていただくと、そういった観点での国、都道府県市町村学校の、四重構造と言ったら少し言葉が悪いかもしれませんけれども、それぞれの責任役割分担の中でどういった形でこのシステムを動かしていくのがいいのかということを常々考え、先ほど申し上げたような観点から改革を進めてきたわけでございます。  しかし一方、現在の公立学校をめぐる状況と申しましょうか、これもまたいろいろ難しい課題を抱えておるわけでございまして、国民公立学校あるいは公教育への厳しい指摘批判もまた現実にあるわけでございまして、私どもといたしましては、そういったことから、地域住民保護者のニーズをもう少し学校運営に的確に反映させる仕組みができないだろうか。もちろんこれまでも学校評議員制度等もやってきたわけでございますが、もう一歩進めてみることができないであろうかと。もちろんこういった改革は、先生指摘のように、義務教育制度在り方全体の御議論ですとか、あるいは教育委員会制度議論、こういったものとトータルとして議論していかなければいけない問題でございますが、かといって義務教育制度の根本から議論をするということになりますと、当然これもまたある程度時間も掛かるわけでございますし、私どもは、そういったような基本的な考え方の下に、今回、こういった学校運営の中に地域住民保護者の声をより直接的に参画をしていただきまして、そして地域住民保護者学校の教職員が共同して自分たちの学校を作っていくんだと、こういう理念に立ち、更により公正で透明な学校運営を実現をしていただきたいと、こういったことをこの制度改正にねらいとして込めたわけでございます。
  84. 中島章夫

    ○中島章夫君 大体その点については分かりました。モデルスクールとして地域に開かれた学校という、そういう形をより積極的に作っていくということであろうかと思います。  ところで、今回のこのコミュニティ・スクール法案、あえてそう呼ばせていただきますが、これはアメリカのチャータースクールの考え方にイギリスの学校理事会による学校運営という考え方を加えて二で割ったような、そんな感じが私にはいたします。どちらの性格を強く持っているのかなと思いながら見ておりますが、イギリスでは、御承知のとおり、サッチャー政権以来、地方教育行政当局、特にインナーロンドンの地教、地方教育当局がそれでありましたが、これを弱体化いたしまして学校の自由度を増す、つまり教育雇用省と学校とが直接という形を取ってきたと聞いております。  三年か四年ほど前でありますが、このことがとても気になりまして、LEA、ローカル・エデュケーション・オーソリティー、大体百ほどあるはずでありますが、ここの団体へ参りまして責任者とお話をしたときもございます。先にそのことを聞いてみました。確かにその部分は弱くなってきておりますと、こういう話はしておりました。つまり、地方教育委員会が持っている機能というものが弱まってきているということを言っております。  逆に、最近では、そこのところが強く反省されて、そこを強くしようという動きも出ているやに聞きますが、我が国地方教育制度というのは、明治のころからそうなんですが、特に戦後の地方教育制度というのは、これも午前中来再三出ていますように、アメリカ型の教育委員会制度に基づいたものであります。別にアメリカがいいということをあえて言うわけではありません。私はアメリカが大好きですが、ブッシュのアメリカは大嫌いであります。まあそれは余計なことですが。  こういうことを考えますと、今回の法案というのは教育委員会が持っている権限というものをある意味で弱体化しようとしているように見えるんでありますが、つまり学校の方に少し重きを置いて、そこにもっと重視させようと。非常に、私などが見るところ、先ほど来言っておりますように、地方教育委員会そのものに何も権限を強くして学校を締め付けてもらおうなんていう、そういうつもりは毛頭ありません。  戦後の歴史の中で、不幸にも教育委員会というのは文部省と一緒になっていわゆる管理の機能を持ったということでありまして、管理に対して教員組織側はこれに反発をするという歴史があったのは御承知のとおりであります。しかし、教育の質の時代に入った一九八〇年代前後からは実はそのことはもうむしろなくなってきておりまして、教育委員会の機能というものはサービス機能として、指導の機能としてとらえなければならないという時代に入ってきているのであります。  そういうことから考えますと、サービスの機能としての基本的な地方教育委員会というものがまだ不足をしていると。さすがに河村大臣、その辺にお気付きになったのか、あるいは昨今の動きをとらえられたのか、この三月の四日に中央教育審議会に対しまして地方分権時代における教育委員会在り方についてということを諮問をなさったようであります。私は極めてこれを注目をしております。  大臣にどのようなお考えがあったのか。私は正直、遅きに失した、この法案よりももっと前に出しておくべきだと、そういう気がするのでありますが、今後どのような方向でいつごろまでに審議がなされようとしているのか、お伺いをしたいと思います。
  85. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 先ほど来いろいろ御意見をいただき、また私も御答弁の中で一部申し上げたように思いますけれども、今の教育委員会制度在り方について、正にその機能が十分発揮されておるかどうかという問題、特に、これまでもずっとあったわけでありますが、教育委員会とそして首長さんとの関係、これはどういう形が望ましいのか、今のままでいいのか、更にもっと関係を変えていくのかどうか。  先ほど、これまでの歴史の中にもありましたように、正に財政権といいますか、経済権、提出権予算提出権を持っていない教育委員会在り方、そういう意味では、首長の下に置かれる、しかし形だけは別の形を取るという形、そういう今形を取っておりますが、これで本当にいいのかどうか。私はそこまで根本的にさかのぼった議論もしていただく必要があるんだと、こう思っておりますし、また県とそれから市町村教育委員会関係、そして学校教育委員会、また校長と教育委員会、こういう問題が今ありますし、また、ややもすると教育委員会が形骸化していて、もっと悪い言葉で言うと、教育委員の選び方が首長さんの選挙の論功行賞になっていると、こういう指摘まであるわけでありますから、そういう意味で、やっぱりこれからの教育在り方を見ると、教育委員会制度活性化しなきゃいかぬと思っておるわけでございまして、そういう視点に立って広範な議論をしていただく、根本的な議論をしていただきたいということで、この三月四日に諮問をさせていただいたわけでございます。  中島先生も御指摘がありましたように、教育委員会教育をやる上において、正に国民教育費、税金、そういうものをいかに効果的に有効に使うかという、こういう視点を教育委員会が持ち得ているかということも私は大事な視点だと、このように思っておるわけでございます。  そこで、この中教審総会において諮問させていただきましたが、ここでは教育制度分科会の下に新たに地方教育行政部会を設置をしていただいておりまして、今検討を進めていただいておるところでございます。中教審に対しましては、一年をめどに結論をと、こうお願いをしておるわけでございますが、来年早々にはお取りまとめをいただけるものだと、こう思っておりまして、さらに広範な、その過程においてもいろいろな広範な御意見も聞かなきゃなりませんし、また、今むしろ義務付け的になっておりますが、パブリックコメントといいますか、一般の声、これを広くお聞きしながらこれからの教育委員会制度在り方について一つの方向付けをいたしたいと、このように思っておるところでございます。
  86. 中島章夫

    ○中島章夫君 中教審のことを聞きましたついでに、一つだけ最近気になっていることを伺っておきます。  これはちょっと有馬先生もお触れになっていたことでありますが、有馬会長のころまでは大変長期的な問題を権威を持って御検討をいただいていた権威のある会と、そう私も見ておりました。何度か、後ほど申し上げるカリキュラムセンター等について先生のところに陳情に行った覚えもございます。  ただ、最近の動きを見ておりますと、ちょうど省庁の統廃合が行われた前後、あのころに審議会の統廃合も行われまして、中教審が大きな審議会になって、この傘下に教育課程審議とか様々なものを持つようになりました。そのころからでありますが、だからではありません、軌を一にしているというだけですが、官邸で打ち出しました言わば半熟の政策を、これも言葉は悪いんですが、下請で審議をし直すような感じの役割を果たしておられるところがかなりあるように思えてなりません。教育改革国民会議で持ち出されました教育基本法見直し問題もその一つでありましょうし、三位一体改革によります義務教育在り方、これはごく最近中間報告が出たようでありますが、これは極めて我々も待ち望んでいたものでありますが、それはそれで結構なんですが、私が希望をいたしますのは、実はこれも一九八〇年前後の質的な変化のころから対応し切れていないんですが、この国において、だれも長期の展望を持った教育計画を責任を持ってやっているところがなくなったんです。これは、我々政治家もその中に入れて大きく反省をする必要があると私は思っております。  量的発展の時代までは、中央官庁がある程度その辺を計画的に見通しながらやってきたと思います。しかし、今申しましたその年代のころから、例えばこの教育課程改訂一つ取ってみましても、昨今問題にされております学力問題一つ取ってみても、一九八〇年の、七五年のからのやつですが、その改訂まではある種の方向性がはっきり、哲学がはっきりしておりました。しかし、その後の二回というのは、実は一つは臨教審に、一つ学校完全五日制にということに、つまり、周辺の大きな社会的変化に流されておりまして、それに対して教育課程というのは前もってどういう方向でいくのかという確固たる考え方がなかったと私は見ております。  これは一つの例でありまして、教育というのはその長期的な計画というものをどこかがやっていなければならない。教育課程審議会、先ほどこれは有馬先生も御質問になったことでありますが、後ほど私触れたいと思いますが、これなどは、教育課程というのは今日言って明日できる話ではありません。こういうものについてはたくさんの意見を聞くということと同時に、分析的、科学的、継続的に積み上げていくそういう機関というものがきちっとある、そこから得られる科学的、実証的なデータを基にその長期計画というものを常に分析しているところがある、私は、中教審はそういうものを背景にしながら、長期的、計画的なものをきちんと政策として熟成させているところとして私はもうちょっと権威を持って外に向かってほしいなと、そういう希望を持っております。そのことを一つついでに申し上げておきたいと思います。  それから、その次に問題にいたしたいのは、この今回の法案の幾つかの問題点であります。  これにつきましては、既に有馬先生、それから大仁田委員、それから山本委員等々お触れになりました。私の方からも、若干ダブるところがあるかもしれませんが、若干視点を変えて御質問をいたしたいと思います。  その公立学校におけるモデル校、これが先ほど来局長の御答弁の中でもモデル校的に考えているということであります。私もそうであろうと思います。大体公立学校の中の実験校というのは難しいんです。公立学校というのは、いいことなれば、お隣だってその隣だってみんな同じようにやればいいじゃないかという話がすぐに出てまいります。事実そういう要請を、要望を持ってこられるところがございます。他の学校とは違った優遇措置、昨日視察に参りました五反野小学校では、たまたま年間三百万のわずかなものでありますが、文部省からの研究費が出ていると。教員加配というのはなかったようでありますが、そういったこと、それよりもそういう学校に選ばれたということの名誉と、そのことに対する学校職員全体のモラール、校長を中心としたモラールというものがその学校をひとつ違ったものにしていくんだろうと思います。  ただ、俗に、今申しましたようにそれは差別だと、良いことならうちの学校にも同じ条件を与えてくれという俗の意見が出ると思いますが、こういうことにはどういうふうにお答えになるおつもりなのかを参考までにお聞かせください。
  87. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) お答えをいたします。  今回のこの制度改正は、学校運営在り方の選択肢を拡大するための手段の一つとして新たに制度化をするということで、地域の特色とか学校の実態が様々でございますから、すべての公立学校に一律に求められるものではないと、そういうことから任意設置考えたわけでございますが、先生指摘になったモデル校的なものという概念と申しましょうか、現在、確かに五反野小学校等は、これはまさしくモデル校として調査研究を行っていただいておるわけでございますが、今回お示しをしております学校運営議会を置く学校、指定学校、これは教育委員会の判断によってそういう学校運営議会を置くかどうかをゆだねているわけでございますが、例えばその市町村教育委員会の判断によって、自分の市町村学校はすべてこういった学校運営議会を置くことがむしろ学校運営の改善に資するというふうに御判断なされるんであれば、私どもはそれはそれで構わないと思っておるわけでございますし、まずは今回の五反野小学校のような学校市町村が一校モデル的に指定をいたしまして、そこで地域住民保護者方々学校運営議会委員として参画をしていただいて今回のこの法制度にのっとった形でやっていただくと、これもまたあり得るんだろうと思っております。  そういう意味で、いわゆる文部科学省が指定をしているモデル校とは少し私どもはニュアンスの違うものとして考えているところでございます。
  88. 中島章夫

    ○中島章夫君 学校運営議会では人事につきましても意見を述べることができることになっておりますけれども、これが優秀な教員の囲い込みというのにつながるということがあり得るわけであります。  私は、アメリカあるいはヨーロッパ等から、東南アジアからも同じですが、訪問者が参りましたときに、日本教育というのは、特に義務教育というのは北海道稚内から沖縄に至るまで極めて平等に保たれておりますということを説明をいたします。  それは、いわゆる教育費の約半分、特にこの中では義務教育教員の給与費の半額国庫負担ということが大きいわけでありますが、そのことを含めて、施設設備、教材、教具等について国が補助ないし支援をしておって、全国どこへ行ってもその教育条件というのはほぼ、これはへき地へ行っても等しくなっております、我々はこれを大変誇りに思っておりますと。そして、それに加えて、教員給与というものもほぼ同じ水準に保たれていて、プラス、いわゆる教員のリシャッフルというのを、つまり教員の人事異動というのを都道府県教育委員会等を中心にやっておりますと。これは、それぞれの地域学校指導の水準が大きく偏らないように、一定の年限を来た教員をあえて人事異動と、これは余りどこにでもある制度ではないのでありますが、やっておりますという、こういう説明をいたします。その背後にありますのは、全域的な教員の質の標準化というものをできるだけ図っていこうという、地方教育委員会としては当然の発想に基づいているわけであります。  今申しましたその学校運営議会がこういう先生を欲しい、こういう事務職員を欲しいという要請を持ってきたときに、そういう都道府県ないし市町村教育委員会の方針とそごを来すおそれはないのでありましょうか。
  89. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) おっしゃるように、我が国のこの県費負担教職員制度の果たしてきた役割、そして義務教育費国庫負担制度が義務教育教育水準に大きく役割を果たしてきたわけでございまして、公立学校の教職員の人事につきましては、広域的、計画的な人事を行う観点から、教育委員会が行うということになっているわけでございまして、私ども、基本的に今回の改正案におきましても、こういった任命権者の判断により人事を行うという枠組みは維持しながら、もちろん現在の県費負担教職員制度でも、市町村教育委員会の県教育委員会に対する内申制度があり、校長の意見具申というものがあるわけでございますけれども、そういった学校運営地域住民保護者、そういった外部の方々が直接参画をしてそういった方々の声を教育活動に反映をしていくということになりますと、やっぱり教育活動を担うのは教員でありますから、そういった活動を、よりかなった教職員を学校に求めていくと。  もちろん、その要望の仕方は、意見の仕方は、例えばうちの学校には若手の先生が欲しいという、そういったある意味では抽象的と申しましょうか、一般的な意見法律上の意見もあるわけでございますし、また具体の名前を挙げての人事の要望と、こういうこともあろうかと思っております。  そういった中で、教育委員会任命権者である教育委員会は、今回の法案では学校運営議会意見を尊重をすると。したがいまして、教育委員会任命権者としてはできる限りそういった意見を尊重すると。  ただ、もちろん、最終的には任命権者である都道府県教育委員会が域内の学校実情あるいは全体のバランスを総合的に判断して、任命権者の権限と責任において人事を行うと、こういうことでございますから、私どもは、そういった形で最終的には調整がなされていくと、そういうふうに考えているわけでございます。
  90. 中島章夫

    ○中島章夫君 今、県費負担教職員のお話が出ました。  いわゆる県費負担教職員というのは、これ、昭和三十一年の地教行法改正のときに、それまでは昭和十五年の例の県費負担という方針の下で、戦後これがまた生きてきたわけですが、市町村で自由に採用した教職員の枠と給与費のツケを県に求めてくるということで、都道府県財政が事実上、二十年後半、その他のいろんな理由があったんですが、パンクすると、こういう事態に立ち入ったということもありました。また、市町村という、場合によっては非常に狭い範囲内で人事の異動をいたしますと非常に偏りが出るということもあって、この県費負担教職員制度というものができたと聞いております。  今お話しのように、現在、各市町村に置かれております学校校長先生は、人事異動に関しては市町村を通じて都道府県要請はできるわけですが、そこのところは間接的になる。しかし、学校運営議会のときにはかなり直接的に話ができて、かなり聞いてもらえるよという話になると、これは教員のことということになると、うちもこっちもという話になるんだろうという気がせぬでもないんですね。  それはさておきまして、教育委員会そのものが活性化以前の旧態依然たる御用教育委員会合議制教育委員会でありましたら、相変わらず、どちらに重点を置くかとなると、一校だけの運営議会の無理を聞くのはなかなか難しい、やっぱり泣いてもらうかと、こういう話になりはせぬかと。この制度を見ながら、なかなか難しいものだなと、こう思っているのでありますが、県費負担教職員制度につきまして、どうやら最近、何かこの義務教育答申の中でももう少し緩めて考えたらどうかというような方針が出されているようでありますが、何かお考えがありましたら聞かせてください。
  91. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) この県費負担教職員制度見直しの問題、これはもう非常に長い歴史もあるわけでございますから、なかなかこれは十分議論を尽くした上で考えていかなければならない課題だと思っておりますが、一つは、既に政令指定都市につきましては、人事権、任命権都道府県から政令指定都市に移っているわけでございますが、給与費の負担につきましてはこれは都道府県が持っておると。言わばこういう、ねじれという言葉がいいかどうかは別といたしまして、任命権と給与の負担、これが違っていると、こういう問題一つあるわけでございまして、それをどう考えていくのか。給与を負担をしないのに人事権だけ持っていると、こういう都道府県サイドの問題もあろうかと思っております。  これは中央教育審議会で、作業部会で、そういう政令指定都市を有する関係府県、それからまた政令指定都市の方々からも直接お話を伺ったわけでございまして、もちろんいろんな意見がございましたが、大勢としては、政令指定都市に給与の負担も移してもいいんではないんだろうか、ただし前提として財源措置、税源移譲、そして国庫負担はしっかりと引き続き維持してほしいということが一つございます。それと、やはり今まで給与負担をしていなかったわけでございますから、当然給与負担に係る事務が出てまいりますから、十分な移行期間を用意してほしいと、そういう条件の下に給与負担をするのもやむを得ないという政令指定都市側の意見が多くなってきているというのが現状でございます。  この問題につきましても、これまだ作業部会も中間報告でございますし、関係省庁関係者の方々もまだ多数あるわけでございますから、更に私ども意見を聞きながら議論を深めてまいりたいと思っております。  また一方、中核市などの教育長さんからは、やはり中核市がもっともっと特色ある教育を行うためにはやはり中核市に人事権を移してほしいと、こういう御要望は現に私どものところにも来ておるわけでございまして、そういった問題をどうクリアしていくのか。先ほど来出ております義務教育費の、特に教職員の給与費をめぐっての明治以来の大きな議論もあるわけでございますし、この問題につきましては更に十分な議論をしていかなきゃいかぬかと思っておりますが、そういういろんなところから現実に要望なりあれがあることもまた事実でございます。
  92. 中島章夫

    ○中島章夫君 市町村の合併ということも相当進められていくようでありますし、地方にもその意識が非常に強まってきているようでもあります。  戦後長い間に、市町村教育委員会あるいは都道府県教育委員会、相互に人事をめぐってのいろいろな経験も積み上がってきているわけでありますから、今言われたような方向で是非前向きに検討をしていただいて、もう少し市町村が自分たちの、あるいは学校が自分たちの考え方をストレートに反映できるような人事体制ができるようにということを是非進めていただきたいと、こういうふうに思います。  ところで、今いろいろ伺ってまいりました。実は戦後の、先ほどこれは大臣が答弁の中でおっしゃったんでありましたでしょうか、教育委員会の仕事を学校教育に焦点を合わせてということも一つ考え方だということ。戦後の歴史は実はこれは逆でありまして、地方教育委員会が担当すべき学校教育の分野というのは第三者から見ますと直接国と取引をいたしておりまして、言葉は単純化してしまいますとこれは誤解を生みますけれども、もちろん間に都道府県市町村とあるわけですけれども、その間の都道府県市町村には教育政策としての意思がほとんど働かない。つまり、学校への教員の配当とか、そういう話になると、国で決めた基準に従って、あとは若干の微調整をしながら、それぞれ事情を知った市町村がそれに基づいて各学校に配分をしている、いろいろ問題が起こったらすぐ国への不満として起こってくると、こういう体制であります。  仮にこれをこういうふうに戦後の歴史の中でいうとそういうふうな形で、地方教育委員会教育政策、つまりその中でも後ほど言います最も重要な、もう教育にとっては宝物であります、一番お金が掛かって宝物であります教員というものをいかに大切に有効に使うかというイの一番の政策が市町村考えられていないというのは、非常に私は問題だと思います。  それと、もう一回後で繰り返しますが、もう一つ、生涯教育とか文化とかスポーツ、先ほど来議論に出ました。これは、そういう部分がもし欠けておっても、私、たまたま住んでおります鎌倉で見ておりましても、教育委員会のその部分は見えるんですね、住民から。学校部分はどうやら見えぬのですな。見えてくるのは何となくぼやっと文部科学省と組合が見えるだけで、あとは見えない。この生涯教育や文化、スポーツというのは、先日来この委員会でも議論をいたしましたように、今日の時代、我々が今ちょうどこの議論をしております同じ時代に、文部科学省あるいは文化庁からある方針を決めて地方あるいは学校でこうやってやってくれという従来の方式ではいかなくなっている時代であります。  例の、つい先日やりました里山とか棚田の例の文化的景観のお話だって、あるいは民俗技術でありましても、これ地方からの申請に従ってということでありましょうし、それから私は、あの折御指摘いたしました著作権法の問題につきましても、著作権法が変わるごとにその講習会を文化庁が直接講習をして、各全国の教員の講習会を開いているというのは古臭いと私は思います。なぜここに都道府県教育委員会何なりという人たちがそれに主催者として絡めるようなシステムにならないのかということを不思議に思うのであります。  いずれにいたしましても、学校教育は別のところ、そしてそういうところについては非常に意識の高い市町村長さん方は自分の手元へ置いて、市町村長部局でそれをやると。この間も申しましたように、このことが必ずしも私は悪いとは思いません。しかし、教育委員会というものが空洞化するのではないかという、そういうおそれも私は持つわけであります。  文部科学省というのは、学校教育につきましてもそうなんでありますが、市町村教育委員会というものあるいは都道府県教育委員会というものをもっと政策主体として強めていくという必然性があるし、そのことの支援ということをもっと強化すべきではないかと私は思うのでありますが、このことについて文部科学大臣の御見解はいかがでございましょうか。
  93. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 私も中島先生おっしゃるとおりだと、こう感じながらお聞きをいたしておりました。  教育委員会在り方、たしか午前中の有馬先生の御質問の中にも、どの範囲までやるのかというような御指摘をいただきました。むしろ、教育にもっと少し特化すべきではないかという意見もありましたし、また、今、中島先生おっしゃるように、これはもう地方教育委員会がもっと見える部分といいますか、そういう部分からいえば、正に生涯学習的なこういう部分も非常に大きい、スポーツとか文化とか、これもあるわけでございまして、そういう面を含めて教育委員会がもっと力を発揮すべきであって、むしろこの点に首長辺り、首長の積極性が目立って教育委員会が空洞化しているという指摘、私は確かにそういう部分、全体を見ているときにそういう部分があるのではないかと。  教育委員会の性格にもよるんだと思いますね。教育委員会がかなり立案的な部分を持っていてそして全体的な計画を立てながら進めていく教育委員会と、実動部隊的な手足になって動くだけの教育委員会になっているような部分、そういうところは首長さんの姿勢が非常にきちっとしていて、逆に文化、生涯学習等々にも積極的に出ていく。教育委員会が実動部隊的になっているという部分、それによって見えてくる部分が違っておるんではないかと、こう思うわけでございますが。  しかし、現実問題として、公民館、美術館、博物館の設置、これは今もう地方が非常に活発にやるようになってまいりまして、あれほど箱物を造って大丈夫かというぐらい今活発化しておる。これをきちっと管理運営しながらやっていくということになれば、これはやっぱり教育委員会がきちっとその機能を果たしてもらわなきゃならぬと、こう思っておりますし、またあらゆる文化行事、スポーツ行事、そういうものもこれは学校教育一体となってやるとなればやっぱり教育委員会に力を発揮してもらわなきゃならぬ、こう思っております。  最近は、正に先ほどの美術館、博物館にしても、地域の町づくり、地域おこし、そういう視点、非常に高いものがございますので、そういう面ではその地方公共団体首長さん方がこれらに積極的にかかわってくる。町おこしと一体でやっていこうとすれば、やっぱり地方自治体の政策といいますか、そういうものと相まちませんとうまくいかない、こういう面がございますので、今の御指摘も踏まえながら、正に首長教育委員会在り方、これはその役割分担を含めて、生涯教育、文化、スポーツ、これの事務も含めて、この在り方について今検討をいただいておるところでございまして、この辺りの役割分担がきちっといくということが私も大事ではないかなと、このように感じております。
  94. 中島章夫

    ○中島章夫君 ありがとうございました。  今、中教審におかけいただいている地方分権時代教育委員会在り方地方教育委員会在り方、是非慎重な御議論をいただきたいと思いますが、私がこれから申し上げますような教育委員会事務局、特に専門性の高い教育長と、そしてその下にあります事務局というものが最低限の、学校を充実をさせ、安定的に運営させるサービス機関として最低限の仕事をするという観点というのも是非御検討の対象に入れていただきたいという思いを込めながら、幾つかの観点について申し上げてまいりたいと思います。  実は私、三年ほど前に、私が元々住んでおりましたワシントン郊外の有力な教育区の教育長に会いました。この教育区には実はチャータースクールがないんであります。お隣のワシントンDCにはたくさんあるんでありますが、その辺の議論を今しようと思っておりませんし、またチャータースクールがそのまま今回のコミュニティ・スクールのものと重なっているわけでもございませんが、この教育長が言っておりました言葉の中に、その地方教育委員会としてなすべき基本的な考え方が私はあるように思いました。こう言っておりました。  つまり、チャータースクールはありませんとある意味で誇らしげに語りましたのは、長い間にまず障害者や不適応者の教育、それからマイノリティーや外国人のための教育、これはワシントン郊外でありますから、そういう外交官その他、海外からの人たちが非常に多いところであります。こういったものを施策を充実をさせる。それから、「危機に立つ国家」以来アメリカ全土で今日までまだ続いております、学力水準の向上に向けましての基準を設定して、各学区全体の教育水準の向上に取り組む、こういうことを、エクサレンスを追求するということを今盛んにやっておりますと。自分としては各学校地域や父母の要求をほぼ完全に受け止めているという自信にあふれていたように思います。  教育委員会というのは本来できればそういう機能を果たすべきところだと、私はそう思うんであります。日本のように、Aの学校からFの学校まで全部が同じようでないと気に食わないと、これもおかしな話。地域によっては違った性格の学校であってもよろしい。しかしそれは、教育委員会が最低限それぞれの性格を見ながらその水準を上げていって、その学校が本当に生き生きと活性化できるように、今回の法案もその一つでありましょうけれども、そういったことを配慮するというのが教育委員会役割であります。  これは必ずしも合議体としての教育委員会ということの問題ではなくて、専門性の高い教育長というものがレーマンコントロールを主体とした教育委員会には極めて大事だということ、これは教育委員会法我が国でスタートしたときからの問題でありました。昭和三十一年の地教行法のときもこれも別途たしか入っていたんです。ただ、あのとき、自由党と民主党の合同問題がありまして、当時の岸幹事長に、こんな二つも三つも一緒にやるな、それはぜいたくだ、二本にしてこいという何か話があったそうでありまして、教育長をひとつ専門性の高い教育長という、教育長独立性を落としまして、それが現在、市町村教育委員会では教育委員の中から教育長を選ぶことになっている原因だそうでありますが、このことがある意味教育長の専門性をそいできた面もあるのかもしれません。昨今、その部分が強調されるようになってきているのは非常に私は結構なことだと思っております。  さて、そこで、幾つかのポイントと申しますか、私は先ほど来何度か申し上げておりますように、教職員の採用と有効配置というのは私は最大の教育委員会の、地方教育委員会の課題ではないかと思います。これが先ほど来出ております都道府県の県費負担教職員という制度であります。そのことがゆえにでもありましょうけれども市町村がそういう主体として今日まで動いてきませんでした。  しかし、実は私はこういう経験を持っております。一九七六年に子供を、小さい子供も含めて、四人を連れてワシントン郊外に生活をいたしました。上の子供が小学校の四年生に入りました。英語は全く分からないものですから、ESLの、イングリッシュ・アズ・ア・セカンド・ランゲージの先生が教えに来ていただきまして大変有り難いと思いました。しかし、それは数が足りませんでした。まだ当時はESLの先生、はしりでございます。たしか三校か四校を掛け持ちをしておられる。それで、週に二日か何か、取り出し授業でありました。なるほどなと思いました。その先生が来られて、どこの授業におりましても、取り出しをしてその先生に直々に指導を受けるということでありました。二、三年前に行って改めてESLの関係者と会いましたら、今では必要な学校には全部配置をされていると、こういうふうに変わってきているようであります。  このような、例えばESLの先生とか、心理療法士とか言語療法士、それから最近ではスローラーナーやLD、いろんな専門の教員とか、あるいはよく中学、高校なんかでは、音楽、コンサート、そういった専門の先生方がそんなにたくさんはいらっしゃらない、非常にすばらしい美術の先生とかがいらっしゃる。これは各学校に置かれればそれにこしたことはありませんが、そうはいかない。となると、その人をどのようにしてできるだけ多くの生徒諸君に指導をしていただけるようにするか。当然の配慮であります、最も高価な宝物でありますから。そういうことが実はこの国の、地方教育委員会にも、そういう職員の配当を得ようとする各学校や組合側にも余り意識がないんです。隣がいるんだから是非もう全校必置で我が校にも欲しいという話が専らであります。  私は、有効に教職員というものを配置していくと。これはデモグラフィックチェンジがありますから、社会が非常に変化してまいりますから、ある団地がまとめて全部高齢化するようなところはもうしょっちゅうあるわけでありますが、そうしますと、伝統のある学校だとかなんとか言っていられない。それをきちっと計画を立てながら配置を決め直すということも教育委員会の最も大事な仕事であります。  中学校の選択制というのが一九九二年の、九三年ですか、中学校から始まりました。その前に、高等学校多様化、選択制がその十年前の教育課程で進められて、高校の多様化に続いては中学校ということで、俗に波形ということで、中学校の三年生では週五時間程度はそういう選択科目を置き得るシステムができましたが、これはこの前にもお聞きしましたが、動いていると言われるんですけれども、私が見る限りそんなに動いていません。それは、こういう条件整備ができていない。ほとんどの市町村がそれを有効に使おうという、プールをしながらできるだけ今申し上げたような工夫をしようという発想はないんです。配当が来るのを待っているわけですから、その限られた小規模な学校では、あの教科もこの教科もなんて、それはできるわけがないということでありました。  ガイダンスカウンセラーとか、いろんなことが今言われております。どんどんそういうことは増えてくると思います。しかし、なかなかそれが全校必置に至らない場合もある。そういうときに、そういう大事な先生指導性の高い人たちをどのように使っていくのか。例えば高等学校なんかになれば、もうスポーツとかそれからいろんなダンスとか美術とかということになると、我々が考えている以上に子供たちが専門化しております。  アメリカ辺りの高校へ行きましたら、それはモダンダンスからタップダンスから物すごくずらりとありました。そういうものをやっぱり地域のコミュニティーでそれ専属でお願いできるわけにいかないですから、夏の期間にそれをお願いをして、専門の方を、教育委員会として、ある特定の学校でそういうのを、講習をずっと続けてやっているということが起こってまいりました。こういう機能は最低限、教育委員会の機能だと思います。それが教育のまず人の機能であります。    〔委員長退席、理事亀井郁夫君着席〕  この点につきまして、今、地教行法の二十三条に、まああれはもう古いままの規定でありますから硬いままであるんですが、どういうふうに地方、これは余り答えにくい話かもしれませんが、現在ではこれはどういうふうに受け止められているんでしょうか。今申しました教員の適正配置などというのは地方教育委員会に期待をしておられるのかいないのか、これはもう県の話で止まっているのか、その辺についてお伺いしたいと思いますが。
  95. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) 教職員の適正な配置、これはまさしく学校教育の根幹を成す部分でございまして、先生、先ほど来おっしゃっておられるように、県費負担教職員制度の下で都道府県がその県内の教育の機会均等、教育水準の維持向上を図るということから、山間へき地含むあらゆる地域で必要な教員を確保できるように、確かに今、市町村の小中学校の教職員でもございますけれども都道府県が広域的、計画的な人事配置を行っていると。  これは私、大変大きな効果を上げておると認識をしているわけでございますが、一方では、市町村の、身分は職員でありますけれども都道府県が人事を担うと。逆に言えば、そこで市町村教育委員会がどうしてもその部分について都道府県任せと申しましょうか、そういう部分がなきにしもあらずということは、これはプラスもあればマイナスもあるわけでございますし、そもそも市町村の財政力が乏しいということから都道府県が給与も負担をし、人事も行っているわけでございますから、そこの辺りをどうやって今後考えていくのかと。教職員の人事権を都道府県から単純に委譲すれば済むのかどうか。そこらの問題をまさしく今中央教育審議会でも御議論もいただいておるわけでございます。  また、市町村合併というようなことも今後進んでまいりますと、ある程度の塊としての市町村ができ上がっていく、特に中核市などではある程度の能力を持ったそういう市もできてくるわけでございますし、そういった関係者からはむしろ自分のところでそういった人事権も持ってその中で適正配置もやりたいと、こういう御意見もあるわけでございますので、そういった全体を少し、私どもこれまで果たしてきた県費負担教職員制度意義役割を踏まえながらも、もう少しそこらをトータルでやっぱり議論をしていかなきゃいかぬのじゃなかろうかと、こういうふうに考えておるわけでございます。
  96. 中島章夫

    ○中島章夫君 その点は是非いい、中教審もこの大事なことを検討を始めたわけですから、いい機会ですから、是非真剣な御議論をしていただければ有り難いと思います。  御承知かと思いますが、アメリカの場合には各学区ごとにいわゆるプロパティータックスという、つまり教育運営費の一番根幹になりますのはいわゆる資産税であります。その地域にあります、まあ土地はあんまりですが、建物、それの評価額に従って一定割合が必ず目的税として教育に使われるということになりますから、子供がおりましてもいなくても住民全体がその地域教育を支えているという、そういう因果関係がありますので、そういう一番高い教員というものをその地域運営していくんですから、無駄は一切しないということは本当に徹底をしているわけであります。  この因果関係をそのまま作れというわけにもいかないんですが、本来、地方教育委員会制度というのは、もう先ほど来しつこく言っておりますのは、アメリカからこうやって入ってきた、そういう形からいいますと、どうも抜けたところがあるように思うというのはその辺が一番でありまして、やっぱり一部事務組合であっても、教育委員会が少し合併をしながらある種の事務能力、規模になっていってそういう能力が付いてきましたら、今申しましたようなものは、やはり地方教育委員会がそういう責任と計画を持ってその配分、配置をしていくということが本当は望ましいんではないかなという気が非常に強くいたします。  それから、もう一つ触れてみたいのは大規模集中施設であります。  昔、プールが各学校に配置されましたときに、これが更に温水プールだとか、だんだんぜいたくになってまいりました。これは、プールなどというのはもう校舎の、非常にもったいない、運動場を全部埋め立てて、補助金が出るから造って、夏の間一か月ちょっとしか使わないというような、そういう無駄がかなり起こったことがあります。  昨今ではそういうことは少なくなっているのかもしれませんが、実はアメリカの中学、このフェアファックスカウンティーという先ほど来例に取りました学校地域では、人口約百万ぐらいでありますが、高等学校が二十四校あります。中学校も二十四校あるんです。私、最近気になるものですから、アメリカの各地域、ごく最近サンディエゴへ行ってまいりましたが、見てみますと、大体同じ数です、高校と中学校日本ではちょっと考えられないことじゃないでしょうか。  いや、これはそっちの方がいいというのではないんです。これに理由があるんです。というのは、一つは、非常に多様な、教育課程を多様にしていかにゃいかぬという必然性は中学校にでもある。それは、専門性の高い人を配置するには各学校に置くわけにいかない。そうすると、かなり広域のところからこれはバスとか交通の問題が起こってきますですよ、生徒の。しかし、そこにそういう人たちを置いて、何校か分の生徒がその先生の御指導を受けられやすくしている。これは大規模集中施設についても同じであります。つまり、お金を大事に使いながらいいものを作ったら、それはできるだけ多くの人たちに一緒に使っていこうという、そういうことで。  これ、大規模校というのは当然に問題が起こります。先生子供、生徒同士等々、人間的なインティマシーというものがなくなってまいります。そういうことのためにこういう学校では、特に中学校ではスクール・ウィズイン・スクールというものを作って、小さな、二、三百人、三百人ないし四百人のスクールごとに、指導というのは、そういう小さなスクールごとの校長、教頭及び根幹の教員のグループによってなされていると。しかし、そういう集中施設でありますとか、あるいは専門性の高い先生の御指導とかというものは、そういう一つの大きなキャンパスの中で活用できるように考えているので。これは、地方教育委員会が、正にその税の使い方ということとともに政策が生きているからだと、私はそう見ておるんであります。  我が国はそういう意味で、義務教育国庫負担制度があるというのは物すごく強い。これはもう絶対緩めてほしくないし、強くしてほしい、これはそう思っておりますが、こういう各地方で大事にしていくという、そういう地方教育委員会の本当の役割というのが抜け落ちたままこの教育委員会制度が論じられるのを私は大変寂しい思いがするのであります。  それからもう一つ、これは、先ほど来言いました、このごろ我が国は特に地域の人口移動というのが、社会変動が非常に強うございます。しょっちゅう起こって、これ、東京都内でも空き教室というのはしょっちゅう今起こってくる。こういうことを早めに察知しながらそういうことへの対応を決めていくというのは、一々それを国へ陳情しないと何も動かないなどというのはおかしい。そのことのために財源をできるだけ地方へということを考えるわけでありましょうけれども、その際には、責任性の伴った教育政策能力と一番根幹の教育の基になるものは大事にみんなで使うということが私は必要だと思います。    〔理事亀井郁夫君退席、委員長着席〕  そして、こういう政策の中には、後ほどもうちょっと申し上げたい教育課程の問題につきましても、実は各地方教育委員会、チャータースクールのところでもそうですが、先ほどちょっと御紹介をしました教育長がコメントとして、私はチャータースクールというのは余り実は、それはその場所のその人の評価ですから余り気にしないでください。大体、安い教員を、そして組合にも入っていない教員を連れていって安い給与でやると、こういう評価をして。この中に、組合にも入っていないという言い方をする。つまり、できるだけ短い期間にある効果を出そうということになりますと、いろんなしがらみのない、そういう先生というものを安い給与でできるだけ集めてできるだけ働かせてと、そういう環境になるんだということをたまたま言っておりました。  これ、なぜこんなことを言っているかといいますと、教育課程の問題とかこういう教育計画の問題とかというのは、教育の質の時代に入ってきましたら、その第一線にいる教員と一緒に考えるようなそういう計画、それは市町村でやっぱり最も良くできるんだと思うんですね。そういうことが私はやはり起こっていきませんと、教員というと昔の組合を思い出して反対という話になると、不幸な話であります。誇りにという話が午前中出ておりましたが、そういうやっぱり政策を作っていく能力を教育委員会に私は、時間が掛かっても、一番大事な改革の私はポイントはそこではないかと思っております。  あわせて、もう一つだけ申し上げておきますのは、コンピューターとか、昨今、こういういろんな教材関係の様々なデバイスが学校現場に出回っております。これのサプライだとかあるいはメンテナンスというのは、これはイギリスでは各学校にお金を渡して各学校がやるということに割り切っているようでありますが、私は、やはり教育委員会が注文を受けたらそれは効率良くそのサービスをするというのこそ、教育委員会がその地域とつながっていく一つの、やっぱりこれも教育委員会として備えているべき機能の一つのポイントだというような気がするのであります。  こういったものを、今申し上げてきましたような、一番大事な宝物であります教員の適正な配置、有効な活用、それから、併せてそれには教育長の専門性が重ねられなければなりませんが、教育委員会教育委員構成多様化ばっかりやっておってもこれは一向に動きません。それから、大規模集中施設というようなお金の掛かるものというものをどういうふうに計画的に配置、設置、そして活用していくのかということ。そして、こういういろんな教育サービスというものをいかに有効に効率良くやっていけるかと。  アメリカ教育委員会へ入って一番真っ先にやっているのは何かというと、言うまでもなく、スクールバスの運用であり、そして学校給食のサプライとかそういうことを必ずやっております。もう一つ大事なのが教育指導であります。カリキュラムを含めた教育指導が本当に生きております。  若干残った時間につきましてその問題について触れまして、私は先に申し上げておきますが、地方教育行政組織及び運営に関する法律、実は私どもでも、これは基本的に全体を見直さなければいけないということでスタートをさせたところであります。その前にこれが出てきて、国内全体が地方分権というと今回のこういう問題が何か一番大事。これはもう最終目標はそうなんです。学校が生き生きとしていく、地域の父母とかそれから地域の人たちと本当に生き生きとつながっている、最終目標ですからそれはもう当然なんです。それもできていないというのは本当に残念なんですが、本当はその前に、地方教育行政組織に関する法律であるならば、今私が申し上げてきたような問題点について少なくとも検討をし、新しい時代に即した地方教育行政組織及び運営に関する法律というものがもう検討されなければならない。それは、財源、税源も含めた地方移譲ということもやはり考えながら、しかし、財源の確保は国の責任ですよ。そこは別にしておいて、しかし、それを地方責任を持ってどう使っていくかという、そういう政策主体として生き返るという、そういうものに私はする必要があると思っております。  そこで、カリキュラムについてでありますが、実は、カリキュラムセンターということを私何度か申し上げました。国の、これは質問の中に今回は入れていないんですが、前回少しお答えをいただいておりますが、国立教育研究所が三、四年前から国立教育政策研究所ということに改められまして、その中に教育課程研究センターというものができました。そこでやっております仕事がまだ私にはぴんときません。  ここでは私は、少なくとも教育課程の先ほど長期展望ということを申しました。後から学力が問題になってくるというようなことで、やっぱり十年先の話は、やっぱり次の教育課程の骨格というのはどういう道筋で、今までの問題点はどこにあって、どういう道筋で教育課程構造というものをどういうふうに変えようかと。  教科の中の構造自身も今もう大きく問題になっているんです。もう社会科なんて本当に早く見直さないと、これ、社会に後れていきます。子供たち、あんな白けた高校の社会科なんか付いてこない、私はむしろそう思う、極端に言えばそう思っている。先ほど有馬先生が高校の教科書を緩めてというお話があり、もう大賛成でありまして、高校の教科書は私はむしろたった一つ国で決めてそういうような教科書使用義務を課しておくなんという必要はないと思っております、多様化していくということで。  しかし、その代わり、国のことはちょっと後で申しますが、都道府県に私は人材と情報が集まっていると思うんです。地方ごとに、今、私は地方教育委員会のことを申しました。学校が本当に生き生きというのは、やっぱりその地域、今回の法律学校が生き生きということのところに注目をしているわけで、そこは私は大事だと思います。しかし、ある情報を集めて広域的に分析をして、どこに欠陥がありどこにいいものがあるかという分析をしながら、しかもほかの地域との比較をしながら、場合によっては国を通じて情報を得ながら、よその国との情報を比較をしながらカリキュラム研究をするということはとっても大事なことです。  一つお伺いをしたいと思いますが、現在、この前、まあお答えは分かっているんですが、現在行われている教育課程のねらいそのものをどういう形で評価、総括的な評価、つまり現在行われている教育課程にはある種のねらいがあるわけですが、それが本当に教育現場で成果を収めているかどうかの評価はどこのだれがやっているんでありましょうか。これは特に今回の質問の中に加えておりませんが、もしお答えいただけるのであればお答えください。
  97. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) 今回の学習指導要領の改訂、これはもう中島先生案内のとおりでございますが、基礎、基本を確実に身に付けさせ、自ら学び自ら考える力などの生きる力の育成ということをうたっているわけでございますが、この問題、抽象的に言えばそういうことでございますが、そういった趣旨が本当に各学校現場でしっかりと定着をしているのかと。これなかなか、それをどういう形で検証し評価をすると、難しい問題があるわけでございます。  一番分かりやすい形で数的に現れてくるのはいわゆる学力調査だろうかと思っております。そういうことで、確かに文部科学省、かつての学力テストの問題等もあって、そういうことでなかなか難しい時期もあったわけでございますが、平成十三年度から、これは小中学校を対象に四十数万人と、かなり大規模な数で学力調査を十三、十四、十五、十六と、今年度もまた小中高と、年度によって小中学校の年度もあれば高等学校の年度もございますけれども、継続的に学力調査を実施をしてきておるわけでございまして、やはり今の学習指導要領のねらいがそういった形で子供たちにどの程度身に付いているのか、まずはそういうペーパーテストで分かる部分についてはこういった学力調査で把握をすると。  この主体は、国立教育政策研究所が問題を作っており、また分析もしておるわけでございますが、当然、学習指導要領を作ったのは文部省、文部科学省でございますから、私どもも一緒になってこういった学力調査の実施あるいはその分析に言わば共同で事に当たっておるわけでございますし、またペーパーテストでなかなか評価がなじみにくいような部分もございます。そういったところは研究指定校などを設けまして調査を実施をしていると、こういうことをやってきておるわけでございます。  先生おっしゃいますように、かつては教育課程審議会、十年に一度設けまして、そして二、三年掛けて有識者に集まっていただいて答申をいただき、文部省が指導要領を告示をして、数年掛けて実施に移していくと。なかなか、確かに中長期を見渡して教科の再編統合とか、なかなか難しかった点はあったかと思っております。  戦後の中で、例えば小学校でいえば、平成元年の、ちょっと長くなって恐縮ですが、学習指導要領の改訂で初めて低学年に生活科という教科ができたということは御案内のとおりでございますが、今回はいわゆる総合的な学習の時間が小中高に導入をされたと。これも長い間の研究開発学校等の成果も踏まえて実践をしたわけでございますが、確かに先生おっしゃるように、客観的な学力調査、いろんなデータを分析をし、時間を掛けて、例えば教科の再編、そういったものをしっかりと研究していく必要があるであろうと、それはおっしゃるとおりだろうと思っております。  したがって、この国立教育政策研究所の教育課程研究センターが、その所掌事務の中でも、初等中等教育教育課程に関する政策に係る基礎的な事項の調査及び研究を行うと、正にそういうところをねらいにしておるわけでございますが、何分、現在時点では限られた人数と予算で学力調査の実施とその分析に今一生懸命やっておりますので、若干そういった点がまだ十分でないんだろうと思っておりますが、そういった学力調査の実施、その分析、何のためにやるかといえば、やはりそういったことに結び付いていかなければいけないんだろうと思っております。  そういった点は、先生の御指摘、大変貴重な御意見だと私も思っております。よく国立教育政策研究所ともそういったことも踏まえてまた相談もしてまいりたいと思っております。
  98. 中島章夫

    ○中島章夫君 文部科学省と政策研究所との連携はもとよりでありますが、それが教育課程審議会等に科学的、実証的データとして必ず生かされる、そして教育課程審議会が開かれる前に、私はある種の情報が皆さんに均てん、教育関係者に均てんされているというような状況を作り出す必要があると思っております。それのためには、次の教育課程で大事だと思っているプロジェクトについては先導的に試行をして、その実験成果というものをその中に、教育界にできるだけ伝えていくと。新しい構造に組み替えていくための予備調査というものの結果を皆さんに知ってもらった上で、教育課程審議会に材料としてお渡しをして、その結果審議をすると。  どうも密室の中で審議しちゃって分からないということにはならないようにするべきだと思っておりますが、もう一点、これは是非やっていただきたいのが都道府県教育センターとの連携であります。  実際に各現場でどういうふうにそういう教育課程が動いているかを一番知っているのは実は都道府県です。本当は市町村と言いたいんですが、市町村にその機能が実はほとんどないんです。指導主事の設置率さえ、最近のデータで見るとどんどんどんどん市町村では落ちてきております。市町村に置かれている指導主事は、もう御承知のとおり各教科兼担であります。  実は、もちろん中核都市とか政令指定都市ということになれば、これはカリキュラムセンターも置いていいと思いますが、先ほど来申しましたように、都道府県には管下の市町村から人材も集まり、情報も集まります。人もいます。そして、管内には必ず関連をいたします国立及び公私立の大学がございます。こういう人たちがそれこそ三位一体になって、行政も含めて、カリキュラムセンターで、その地域で、特に私は、基礎教育については国が定める教育課程というものがかなり全般的に、全国的に実施されているということは私は必要なことだと。そのとおりに行われる必要はありません。いろいろモディファイされながら地域で研究開発されるべきでしょう。しかし、中等教育というのは様々な工夫が凝らされるべき、競うべきだということは、先般来、私は申し上げてきているわけです。そのことをフォローすると。  一九七五年から始まりました教育課程の改訂では、創意工夫ということを言って、いったん地方に創意工夫と言って投げながら、それのフィードバックが一切なされていないということは、いつぞやも私は指摘をいたしました。このフィードバックをやるのは私は国じゃなくて都道府県だと思っているんです。都道府県にまずそういう機能を持たせる、そうして初めて、責任ある水準を維持するというのは物すごく大事な仕事でして、これは今、国で一生懸命守っていただいていると思います。全国都道府県教育水準を守る、こんな大事なことをこれ各学校独自にやらせて、自由にやらせたらいいという話がありますが、一遍に教育水準が落ちます。アメリカやイギリスがそれで大慌てになっていることは御承知のとおりであります。  したがって、それに代わる地方分権、国に代わって中等教育等について教育水準を守っていける、そういう体制というのは私はまず都道府県にあると思います。そこへやっぱりそういう研究開発の機能というものを植え付けていくというんでしょうか、そういうことを支援していくということを真っ先にやるべきである。そして、そこで実施をした、その管内で実施をした、その中にはもちろん地域から学校先生方もみんな参画をする、大学の先生も当然来ると。こんなもの、お呼びをしてお金を払わないと教育委員会協力をしないなんというような大学は、今日もう独立行政法人になったんですから、もう相手にしなくてよろしい。  ですから、そういうところで一緒になって教育課程の開発をし、そしてそれをまた自分たちの基準として維持しながら実施をする、その総括的評価というフィードバックというのは必ずその都道府県がやると。しかし、その中で国の基準に反映すべきものというのは国がやっぱり都道府県を通じて集めるという、そういう体制が本来ではないでしょうか。いつまでたっても国が直接に国の指定の研究指定校などというものを各教育課程やら道徳教育やら何やらに一杯持っている、どうも全部中途半端であります。  そして、こう言っちゃ悪いんですが、それぞれの調査官が忙しい忙しいで、そういうデータをきちんと分析をして次のものにつなげているかというと、これはもう正直申しますが、つながっていない。そういうのは、教育課程開発センターで、カリキュラム開発センターがやるべき仕事だと思います。そのことをずっと積み上げていくという、そういう信頼性があって始めて長期の計画が成り立っていくんだと思います。教育というのはそういうものだと、私はそう思っているわけでございます。  この都道府県、実は、地方分権時代になって教育の費用が落ち込んできたというのは、今私が申し上げてきましたような地方教育委員会をサポートするための支援のお金、あるいは都道府県教育委員会で既に教育センター、教育研究所というものがあるわけですから、これを例えば神奈川でやったような教育課程開発センターというようなものに切り替えていきながら、本当にカリキュラム開発というのはどんなものかと。特に、中高の先生教育目標から考え出直してほしいと、私はそう思っております。国に基準があるからそのとおりやっているとか、あるいは大学入試問題に子供たちを適用させなきゃいかぬからそれを詰め込んでいるとかというのは寂しいことですと、私はそう思うのであります。  いささか脱線したように思えるかもしれませんが、私は、地方教育委員会というものを考えるときに、地方教育行政組織というものを考えるときには、今申し上げてきましたような地方教育委員会というのは基本的にどういうサービスをしていくべきか、どういうところと連携を取っていくべきかと。もう大臣がよく言われるような基本的な部分というものをやっぱり押さえて掛からないと、ある一部分から崩していきますと国民的な不信を招いてしまうという気がいたします。  今申し上げましたようなことにつきましてもし大臣にお考えがございましたら、何かコメントをいただければ有り難いと思います。
  99. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 非常に根本的な大事な御指摘をいただいたと思います。  日本の義務教育、今日までのレベルに維持しながらやってきた、このことは高い評価を受けていることは間違いございませんが、時代の変遷とともに今の時代にふさわしい教育在り方を求めていく、これはもうつとにやっていかなきゃいけないことでありまして、そういう意味で、教育課程に関するこれまでのビジョンというものが長期的な展望に立っておったかどうかということも踏まえながら、これからのしっかりとした教育課程行政を進めていかなきゃいかぬ、その責任はやっぱり中央の教育センターである文部科学省に一義的にまずあるわけであります。  しかし、私もいつも申し上げておるわけでありますが、実際に教育現場は地方にあるわけでありますから、地方で具体的に教育を行っている現場の声といいますか現場の状況、そういうものとしっかり連携を取り合いながら長期的な展望に立った教育課程行政を進めていくということが私は極めて必要であろうと、今御指摘をいただいたとおりだと、こう思っておりまして、そういう視点に立って、これからも中央教育審議会教育課程部会においても審議をし、絶えず学習指導要領の見直し、不断の見直しを進めていく、このことが大事であろうと、このように思っておるところであります。
  100. 中島章夫

    ○中島章夫君 大変長くやってまいりましたので私も少し疲れましたし、もう余り新しいことが出てきそうもございません。ぼつぼつ、時間前でございますが、終わらせていただきたいと思いますが、最後に、今、大臣がお答えをいただきましたように、この時代、まず、地方教育委員会のその機能の在り方というものを、この時点で一番基本的なことを振り返るということを本当に大事にしていただきたいと。国民の皆さんに今回の地教行法改正地方分権一つの回答であるかのように受け止められることのないように私は是非お願いをいたしたいということを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  101. 草川昭三

    ○草川昭三君 公明党の草川でございます。  最初に、六三制を含む義務教育制度見直しについてお伺いをしたいと思うんですが、平成十五年の五月に、当時の遠山大臣から中教審に対し、今後の初等中等教育改革推進方策についての諮問が出されております。その中で、今回の法律案のベースとなっておりますコミュニティ・スクールの導入など学校の管理運営在り方、あるいは学力低下問題等への対応策として学習指導要領の見直し、そしてまた就学年齢の五歳から七歳の幅で弾力化しよう、あるいは幼稚園と小学校の連携、小学校と中学校の連携、義務教育費にかかわる経費負担の在り方など、検討課題とされているわけです。  特に、この義務教育制度についての諮問に関しましては、報道によりますと、六三制にとらわれず、小中の連携を議論していくというようにニュースに流れております。こうした諮問の背景には、子供の成長、発達に応じた編成、例えば四三二等の制度による一貫教育など、多様な方策を講じることでいじめや不登校問題に対応していくといった観点もあろうかと思うわけです。  学習指導要領の一部改訂など既に実施されている部門もありますが、中教審におけるさきの諮問事項について、いま一歩諮問趣旨を明確にこの際御説明をしていただき、参考にしていきたいと思います。
  102. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 御指摘のとおり、昨年の五月に中央教育審議会に対しまして、遠山大臣の下で今後の初等中等教育改革推進方策についてということで諮問をいたしたところでございます。  あのときに、新しい時代を切り開く心豊かでたくましい日本人の育成のために、学校教育の根幹であります初等中等教育、この不断の改善・充実、これを図っていく必要があるという考え方の下で、初等中等教育教育内容・方法や制度在り方、これにつきまして幅広く検討していただく、そしてその改革を着実に実施するためと、こういうことで諮問をしたわけでございます。  今御指摘をいただいたとおりでございますが、具体的には、学習指導要領の実施状況を不断に検証しながら、教育課程及び指導上の課題を明らかにしていくと、そして新学習指導要領のねらいの一層の実現を図っていこうということで、教育課程及び指導の充実・改善方策ということを更に掘り下げて諮問をしたわけでございますが、特に保護者国民の信頼にこたえる学校づくりを実現するためにどうかという視点から、義務教育に係る諸制度在り方、それから教育条件整備の在り方、これは義務教育国庫負担制度の問題も含めてあるわけでありますが、それから学校の管理運営在り方、今回のいわゆる地域運営学校、コミュニティ・スクールの話、こうした学校教育に係る諸制度在り方についてということで、本当に幅広い議論をいただいたものでございます。  これらの項目に対しまして、結論を得たものから順次取りまとめ行い、法制化するべきものを法制化してくるという形を取ったわけでございますが、これまで、昨年の十月の初等中等教育における当面の教育課程及び指導の充実・改善方策についてということで答申、及び今年の三月に今後の学校管理運営在り方についてという答申が出されまして、文部科学省といたしましては、これを受けて学習指導要領の一部改正を行い、今回の法改正提出という形になったわけでございます。  また、義務教育における教育条件整備の在り方につきましては、去る五月二十五日に教育条件整備に関する作業部会におきまして、義務教育費に係る経費負担の在り方について中間報告をまとめていただいたところでございまして、更にこれ関係者の意見を聴取しながら、議論を深めながら、今当面の課題になっております義務教育費国庫負担制度在り方はどうあるべきかということについて更に深めた議論の中で答申をいただきたいと、こう思っております。  また、先ほど草川先生指摘ありましたが、就学時期の弾力化の問題、あるいは多様な学校間連携の在り方、これにつきましても、義務教育に係る諸制度在り方についても、現在、初等中等教育分科会、ここを中心にしながら鋭意御審議をいただいておりまして、今後一定のまとまりを得ましたら中間的な御報告をいただくと、こういう段取りになっておるところでございます。
  103. 草川昭三

    ○草川昭三君 是非、審議中のことでもございますので、十分な御審議をお願いをしたいわけであります。  続いて、学校運営議会の問題でございますが、これはもう衆議院でも議論が相当集中しておりますし、本日の午前午後の御質問の中でも各委員から問題提起がされているわけであります。  それで、この新たな制度の成否、良くなるのか悪くなるのか、教育委員会が運用方針を明確に示し、準備を進めていくということがポイントだと私は思うんです。特に、指定学校の校長は、学校運営議会に対しては教育課程の編成、予算執行、人事などに関する基本方針について承認を得ることが義務付けされているわけでございますが、それだけにこの学校運営議会と校長との十分な意思疎通というのが不可欠、当然のことでありますが。また、この協議会から人事に関する意見が出た場合、教育委員会が尊重するものとするということになっておりますが、これまでの答弁を聞いておりますと、意見と異なる対応がなされる場合には、教育委員会に対して合理的な理由と十分な説明責任を果たすことが求められるということになっておりまして、その発言力はかなり強いものがあると、私はこう思います。学校評議員制度とは異なりまして、教員人事などに一定の権限を持つ学校運営議会の意思決定の在り方については、各学校や自治体の間で余り大きな差が生じることになりますと、かえって現場に混乱が起きるのではないか、そういう心配が当然出てきます。  そこで、法案成立後には学校運営議会制度の運用に関する施行通知などが示されることになると思うんですけれども、円滑な議事の運営ができるように、大まかなその運用マニュアルというものを是非私は示すことが必要ではないだろうかと思うんです。この示し方が強過ぎるとまた反発もあると思うんですが、さりとて、ないままではまた私が今申し上げたような問題も出てくると思うんで、その点はどんなお考えか、お伺いをしたいと思います。
  104. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) お答えをいたします。  先生指摘になりましたように、この制度がうまく機能するかどうか、一に各教育委員会の判断に掛かっているわけでございますが、私どもといたしましても、学校運営議会制度意義ですとか趣旨について、先ほどもどなたかからも御指摘がございましたように、やはり分かりやすく説明をしていくということが肝要であろうかと思っております。教育委員会に対しまして十分にこの制度趣旨意義を徹底をしてまいりたいと思っております。  特に、学校運営議会設置の手続でありますとか、その際、できたらやはりもうこれは、設置に際しましては地域住民保護者の意向を踏まえたものにしていくということが大事だろうと思っておりますけれども、そういった設置手続、また運営議会委員に人を得るということが肝要でございますから、その運営議会委員任命について、またこの運営議会運営方法、こういったものに関連する必要な留意事項につきましてできるだけ分かりやすい形でお示しをし、またいろんな会議等もまた施行通知を通じまして助言をしてまいりたいと思っております。
  105. 草川昭三

    ○草川昭三君 今度は、これも先ほど来の御質問にもあるんですが、教職員人事と学校運営議会関係を私の立場からも質問をしたいと思うんです。  公立学校の教員の多くは何といってもこれ県費負担の教職員が圧倒的でございますが、その人事については校長の意見具申や市町村教育委員会の内申の制度現行上あることはあるんですが、実質的には県の教育委員会考え方に基づくところが多いと思うんです。  今回のこの学校運営議会からの人事についての意見は、合理的な理由がない限り拒むことはできない旨の答弁があったように思います。学校運営議会導入後も現行の人事に関する仕組みは残ることになると思うんですが、校長、市町村教育委員会、それから県の教育委員会といった行政内部の調整とは異なって、学校運営議会からの意見については十分な説明責任を果たすことが求められているわけです。これは、運用次第では教職員人事の在り方に少なからぬ影響を与えることも考えられますので、個別具体の人事についてはどこまで協議会が関与できるのか、また関与すべきなのか、様々なこれ意見があると思うんです。  それからまた、全然逆に、特定の、いい教員と言うと言葉が非常に悪いんですが、特定の教員の取り合いになるというようなことも出てくるのではないか、こういうことになってまいりますと、教育委員会には難しい判断を迫られる場面も想定されます。学校運営議会の間での利害が対立した場合の連絡調整といった仕組みは想定されているのか、文科省としてどのような指導をするのか、これまたお伺いをしたいと思います。
  106. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) 先生おっしゃいましたとおり、県費負担教職員では、市町村教育委員会の内申を待って行うということでございますし、校長の意見を反映させるために意見具申という制度があるわけでございまして、基本的にこの制度は維持しながら、それは、今申し上げました、先生指摘になったように、行政機関内部の調整の話でございますから、今回、外部の人たちを中心とするこの学校運営議会意見が直接的に任命権者である都道府県教育委員会に、確かに市町村教育委員会を経由はいたしますが、届くような仕組みを設ける。ただ、しかもそれも言いっ放しではなくて、尊重するという形で法律上担保したわけでございまして、最大限のできる限りの意見の内容を実現をすると。もちろん合理的な理由があればそれによらないこともできるわけでございますが、そういった中でこの運営議会方々意見を教職員人事にも反映をしていこうということでございます。  おっしゃるように、例えば複数の学校、複数の学校運営議会が当然例えばこういう優秀な先生が欲しいと、特定の人物に重なって調整が必要となるというふうな場合も将来的には出てくるんだろうと思っております。そういったときには、やはり任命権者である教育委員会が、それぞれの運営議会意見趣旨、背景、あるいは双方それぞれの学校実情でありますとか、その県としての人事異動全体の方針、そういったものを総合的に考慮しながら最終的には調整を行うということでございます。  いずれにいたしましても、その辺りのことは、やはり教育委員会学校運営議会あるいは指定学校に十分にやっぱり説明をしていくということが大事であろうかと思っておりますし、私ども、今、先生のこの本院での御議論、御指摘もまたよく念頭に置きまして、施行通知なりあるいは各県に対する指導、助言の際に十分参酌させていただきたいと思っております。
  107. 草川昭三

    ○草川昭三君 次に、今も御答弁があったんですが、協議会の問題とそれから学校運営議会制度に関する評価体制の問題についてお伺いしたいと思うんです。  協議会の円滑な運営には、校長と教育委員会努力と同時に、いかに適切な人選を行うかというのが大事だということは言うまでもありません。万が一人選を誤り、児童生徒にも悪影響が及ぶような事態になった場合には、適切な手続にのっとり速やかに当該委員の解任や協議会自体の構成見直しに着手することも教育委員会に求められる重要な視点ではないかと思います。協議会委員は非常勤の公務員として任用されるようですけれども、その選任あるいは解任の基準、手続について検討をし、あらかじめ明確にしておくということも後々のトラブルの防止の面からも注意すべき私はポイントだと思います。  しかし、任命権者としての責任を果たす意味からも、教育委員会の対応としては安易に委員構成に手を出すのではなく、可能な限り教育委員会側で課題の処理に当たることが必要だ、あるいはまた、解任や協議会設置の指定の取消しは最後の手段として残しておく必要も私は大切だと思いますし、このことは衆議院でも相当な議論が集中したのではないかと思っております。そして、この指定やその取消し、任免の手続については広く意見を聞いた上で明確なものにする必要があると考えられます。  そこで、委員の解任や協議会の解散に至る、不幸なことですけれども、協議会運営が著しく適正を欠いた状態とは具体的にどのようなものを想定しているのか、それから指定学校運営に著しい支障が生じた状態、著しい支障が生ずるおそれがあると認められる場合、これは具体的にこれまたどのようなものが念頭にあるのか、お伺いをしたいと思うんです。それから、あわせて、この指定や任命はどのようなプロセスを経て行われるのか、あるいはこれらの手続の公正性、透明性はどのように担保されるのか、あらかじめ今の文科省の見解をお伺いをしておきたいと思います。
  108. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) 教育委員会がその指定の取消しを行うに当たっての具体的な要件などの手続は、今、先生おっしゃいましたように、教育委員会教育委員会規則であらかじめ定めると法律第八項で書いてあるわけでございますが、学校運営議会運営が著しく適正を欠いた状態とは私どもはこんなような場合を考えているわけでございますが、例えば学校運営議会としての活動の実態が全く認められないような状態に立ち至る、あるいは委員同士の意見対立をして学校運営議会としての意思形成が行えないような状態になる、あるいは一部ないし全部の委員による偏った運営がなされていると認められる状態が続いていくと、こういったような場合がこれに該当するんでないかと考えておるわけでございます。  また、第二番目の、指定学校運営に著しい支障が生じた場合、あるいは生じるおそれがあると認められる場合でございますが、例えば校長と学校運営議会の方針が対立をいたしまして、この法律にも書いてありますような基本的な方針が定めることができないと、結果として当該学校の円滑な運営に支障が生じているような状態が続いていく場合ですとか、あるいはこの学校運営議会が、こういうことはないことをもちろんあれしているわけでございますが、法令に違反するような内容を基本的な方針として承認をする、こういうことはまずあり得ないと思っておりますけれども、あるいはそれに沿った教育活動が行われている、あるいは行われようとしている、こういったような状態が該当するんではないかと想定をいたしておるわけでございます。  いずれにいたしましても、こういった指定あるいは委員任命の手続につきましては、やはり具体の手続を各教育委員会規則であらかじめやっぱり定めておくことが肝要でありますし、それから、指定という行為そのものは教育委員会が行うわけでありますけれども、この本来の趣旨地域住民保護者方々に参画していただこうということでありますから、指定に当たりましては、学校のPTAですとか校長さん方から事前にヒアリングを行う、あるいは幅広く事前に意見を聞いた上で指定をするというような工夫があってもしかるべきであろうかと思っておりますし、また、委員任命に当たりましても、当然これは教育委員会任命するんでありますけれども、方法としては公募制などの方法によって広く募集をして教育委員会任命をしていくと、このような工夫も教育委員会の判断でできるわけでございます。  いずれにいたしましても、そういったような事柄をあらかじめ教育委員会規則で定めまして十分に地域住民保護者学校関係者に周知徹底をしていただく、これが公平性、透明性を確保していくかなめになるんではないかと思っておりまして、私どももそういう趣旨でまた教育委員会に助言をしてまいりたいと思っております。
  109. 草川昭三

    ○草川昭三君 時間もちょっと過ぎてきましたので、協議会設置目的と達成度の評価はまた後ほどいろいろとレクチャーで勉強させていただくことにしまして、教育委員会の本来の機能についていま一度ここで少し勉強させてもらおうと思うんですが、今回の改正地域社会の力を既存の公立学校運営に生かすための新しい手段を提示をされたと思います。  この法案の基になりました中教審への諮問、今年の三月四日の内容を見ますと、地方分権時代における教育委員会在り方についてと題する諮問がやはり中教審に対してなされています。  その中では、今日の教育委員会地域住民から期待が寄せられているが、本来の機能を発揮していない、あるいは市町村教育委員会や現場の学校にもっと権限を委譲するべきであるといった指摘がなされているというような記述があります。  一方、この諮問を受けた中教審議論の内容も、お伺いをするところによりますと、小中学校の現場が教育委員会の方を向いている、あるいは教育委員会首長の方を見ないで県の方を直視している、あるいは県は、これはいい悪いは別ですが、文科省の方を見ているというような意見があるようでございます。  教育委員会と校長会、教頭会との意見交換の実施状況を見てきますと、いろんなデータが、これは文科省ではなくて地方教育行政部会の方の資料なんかにも出ておりますけれども、非常に、都道府県では三割、市町村でも五割程度の意見交換をしている程度だというようなデータでございます。もっと分かりやすく言うならば、上ばかり見ているという指摘を裏付けておるわけでありますが、教育委員会の方では、どのような人が市長になるのかにかかわらず教育が適正に行われるよう制度的な保障が必要、教育委員会制度を撤廃し、とんでもない市長がたまたま当選したら大変なことになるというような指摘もあるわけであります。  こういうのが全部とは言いませんけれども、いろんな心配があるわけでございますが、教育委員会の本来の機能というのはどういうものか、改めて現状を踏まえた見解が賜れれば幸いだと思います。
  110. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 今、草川先生諮問の中もとらえながら、本来教育委員会あるべき姿、また問題点をむしろ明らかにしていただいたような感じがいたしておるわけでございますが、御指摘ありましたような観点に立ちまして、特に地域において、また国民の中において本来の機能、教育委員会のあるべき姿、これをもっと考えるべきだという声が起きておる。  これを踏まえて、今回、御指摘のような視点に立って諮問をしたわけでございますが、元々、教育委員会、先ほど来、中島先生の質問等にもございましたように、その歴史を見ても、アメリカ教育委員会制度というものも入ってきた、そして日本としてもその趣旨を受け入れてといいますか、それに賛同したといいますか、これによれば正に教育中立性、さらに安定性継続性、これが確保できる仕組みというもの、そしてやっぱり多様な民意が反映できる仕組み、さらにその民意の中でも直接子供関係のある保護者の要望、あるいはその学校のある地域の要望、実情、そういう地域実情を踏まえた特色ある教育行政をやっていく、このことが教育委員会に期待をされている、これが本来の機能であろうと、こう思っておるわけでございまして、そういう意味で、今の教育委員会が迅速な意思決定ができているのかどうか、あるいは責任の所在が明確であるのかどうか、不明確ではないかということ、さらに教育委員会が主体性を発揮しているかどうかと、こういう観点、これが今の現状に対する認識があると思います。  そういうものを踏まえながら、今申し上げたような形の機能が発揮できる在り方、それは、先ほど来お話しのように、教育委員会首長との関係や、県の教育委員会、それから市町村教育委員会在り方はどうあるべきか、そして学校校長先生を含む学校教育委員会在り方学校がもっと自主性自律性が確立できているかどうか、それを教育委員会がきちっとサポートしているかどうか、このような観点から諮問をいたしておるわけでございまして、この答申をいただきながら教育委員会の機能が十分発揮できるように、また教育委員会活性化するようにという方向でこの問題にかかわってまいりたいと、このように考えておるところであります。
  111. 草川昭三

    ○草川昭三君 今から申し上げる質問も以前の委員方々と重複をする点が多いと思うんですが、私なりにこの教育委員会役割について思い出しをするわけですが、私ずっと昭和二十三年当時、選挙で何かこうやったということを、もうかすかな記憶であったような気がするんですよ。たしか、そのときには何の選挙かなという程度だったんですが、たしかそのときには教育知事を選ぶという意味で非常に重要な選挙なんだというので、制度発足当初は公選制が採用されたと思うんです。ですから、何せ昭和二十三年当時の話ですから、私はすっかりもうアメリカのGHQの指示でできたものだと思って、いろいろと若干資料を探ってまいりましたら、二十三年に新教育委員会法、これはアメリカ教育使節団報告書の勧告など、あるいは教育刷新委員会建議、こういうもので都道府県で公選制というものが採用されたというように聞いておるわけです。  ところが、それはそれとして、せっかくできました教育委員会というのに、当時はもう、今でも厳しいんでしょうが、もっともっと党派的な対立がこの選挙なんかにも持ち込まれまして、いろいろと問題が出まして、三十一年に施行されました地教行政法によりまして公選制が廃止をされる。この間、何か選挙は三回ぐらいやられたというように聞いておりますが、短命な制度で終わっておるわけです。  そこで、今更そういう歴史をわざわざ繰り返すこともいかがなものかとは思いますが、この抜本的な見直しに際しまして、過去の教育委員会制度の変遷について、あるいはまた公選制が廃止をされた背景について、今日的な立場から見解があればお伺いをしたいと思います。
  112. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) 過去の教育委員会制度の変遷、今、草川先生がお述べになったとおりでございまして、昭和二十三年の教育委員会法によって教育委員会制度ができたわけでございますが、おっしゃるように、教育委員会法に基づく教育委員会制度では、教育委員の選任、民意を反映するということで公選制が採用されておったわけでございますが、選挙運動から生じる政治的な確執が教育委員会運営にもそのまま持ち込まれる、こういったような弊害も現実にあったわけでございまして、そういったいろんなことから、昭和三十一年に地方教育行政組織及び運営に関する法律制定された際に教育委員任命制にすると、こういった改正がなされ、その後そういった制度がずっと続いてきたわけでございまして、さらには、都道府県教育長文部大臣が承認をする、あるいは市町村教育長都道府県教育委員会任命承認を行うと、こういった制度を続けておったわけでございます。  こういった制度も、地方分権推進をする観点から、教育長任命承認制度平成十一年には廃止をする、あるいは市町村学校に関する都道府県基準設定権廃止と、こういった改正を行ったわけでございますし、午前中の御質問にもお答えをしたわけでございますが、平成十三年には教育改革国民会議の報告を受けまして、教育委員会活性化する、こういう観点から、教育委員構成多様化保護者ですとか女性を多く登用する、あるいは会議原則公開、相談窓口の設置と、こういった内容についての改正が行われ現在に至っているわけでございますが、教育委員会という大変重要な機関、この在り方について、現在の二十一世紀のこの時代において地方教育行政いかにあるべきかと、大変大きな視点からもう一度根本にさかのぼって御議論をいただこうということで、先ほど大臣からも御説明を申し上げたとおり、今年の三月に諮問をし、今、中教審で大変御熱心な御議論をいただいていると、こういうような状況でございます。
  113. 草川昭三

    ○草川昭三君 もう時間がどんどん迫ってまいりましたので、少し問題を飛ばして、通告のところを飛ばしますが、出身校による教員の間の派閥の問題をあえてちょっと注文を付けておきたいと思うんです。  教育委員会組織、教員組織についてはこれまでもいろいろと問題点が繰り返されてきているわけですけれども、さきの民間人校長の登用問題で言われたこともあると思うんですが、教育委員会や立場を同じくする者の集まりである校長会などとの理解とサポートがなければ、こういった取組も十分な効果を発揮することは期待できないと思います。教育関係者以外の声、外部からの風を感じ取り、自らを省みる姿勢が今の教育関係者に非常に必要になってくるのではないかと思います。  しかし、教員組織の閉鎖性は非常に昔からあるわけでございまして、師範学校による教員養成の是非、これも問題が出ています。俗に言う師範タイプへの反省から、戦後の教員養成というものは教育学部などに限らず幅広い人材を受け入れ、開放制が採用されてきておると思うんでございますが、全国各地の師範学校は新制大学に移行をしてからも地域の教員養成の中核として大きな役割を果たしており、各都道府県設置をされております教員養成系大学や学部の輩出する人材の多くがその地域の教員へ採用されておるわけです。母校である地元の教育学部への関係者の愛着は強く、師範学校の系列が今なお現存し、人事政策上無視できない流れであるとも言われております。  中学、高校を中心に教員養成系以外の一般大学からの教員採用試験受験者は六割、採用者は五割弱となっていますけれども、文科省は、学校現場の人事、派閥の流れを解消する努力をもっと大胆に行うべきではないだろうかと思うんですが、どのようなお考えか、お伺いしたいと思います。
  114. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 草川先生からこのような御質問を事前にちょっといただきまして、現実にそういうことがあるのか。私も山口県でありますが、山口大学教育学部、それから中国地方は昔の広島高師、広島大学教育学部、どっちかというと広島高師が中心であるというような話、こういうことは仄聞はしておったのでありますが、具体的に先生の御指摘をいただいて、先生のお地元であります愛知県、愛知教育大学を見ますと、この占有率が非常に高いという現実があるわけであります。  教員養成については、それぞれの教育学部を持ち、また教育専門学校といいますか教育大学といいますか、愛知においては愛知教育大学でありますが、現在の免許制度の下で正に専門知識を植えるという意味で教員養成を図っておるわけでございます。また、教育委員会も、これらの免許を持った卒業生の中から非常に幅広く受験者を募って選考試験をやっているわけでございます。  これも最近は、その人物を見るということで、クラブ活動などの状況、ボランティア活動とか、あるいは採用試験の場合には、面接だけじゃなくて、受験者同士でフリートーキングをやらせたりなんかしながらそれを見るといった、かなり人物重視の多面的な視点から採用していると、こう見ておるわけでございます。  しかし、人事上さらに、今後、ただ試験の結果、そういうことが余りにも占有率が高くなりますと、今度人事をやるときに、これ人間のやることですから先輩後輩とすぐ話が出ますが、そういう点で弊害が出るとなれば大きな問題、やっぱりいろんな意味で弾力性、教育現場において正に弾力性を欠く、本当に優秀な先生がそれなりの処遇を受けないというようなことでも起きますと問題であると、こう思っておりまして、これからもなかなか、平たく言って、愛知県においては愛知教育大ばかり採るなと、こういう指摘はなかなかできないと思うのでありますが、しかし、教員として多様な優れた人材を採るようにという指導は、そういう人材が確保されるという視点に立って各都道府県教育委員会等に対して指導をしていくということはこれからも必要なことであろうと、このように考えております。
  115. 草川昭三

    ○草川昭三君 もう時間が来たのでこれで最後でございますが、何も私、愛知県のことを言っておるわけじゃないので、誤解のないようにしていただきたい。  一般論を言っておるわけでございまして、一般論では、旧第一師範学校、第二師範学校、それで同窓会というんですか、何とか会というのが今でもあるんですよ。そこら辺のごく少数の方々が、○○君を今度は何々にしようじゃないか、教頭にしようじゃないかという隠然たるものがあるということは事実なんですわ。私は、そういう事実の山をいずれは乗り越えていきませんと、若い教員の皆様方、教員というよりも教員志望者の方々が非常に強い抵抗を持つことになって、せっかくいい教育というものが破壊をされてしまいますよということが言いたかったわけでございますので、そのことは重々、我が県のことを言ったつもりはありませんが、それはよく承知をしていただきたいということでございます。  以上で終わります。
  116. 林紀子

    ○林紀子君 日本共産党の林紀子でございます。  地教行法の今回の改正のねらいというのは何かとお聞きいたしましたら、学校運営議会を通じて、学校運営地域住民保護者が参画することにより、地域実情に応じた特色ある学校づくりを実現するというペーパーを見せていただきました。  私たちは、保護者や教職員、子供たちが主体的に参加する学校づくりを進めて、地域住民に開かれた学校、これを作り上げていくべきだと考えております。しかし、この学校運営議会では果たしてそうした役割が果たせるのかどうか、そこが心配ですので、今日は具体的にお聞きしていきたいと思います。  まずお聞きしたいのは、特色ある学校とはどんな学校考えているのか、お示しいただきたいと思います。
  117. 小野晋也

    ○副大臣(小野晋也君) 林委員が御指摘になられましたとおり、今回のこの地教行法改正におきまして、地域の住民や保護者が加わって学校運営在り方を協議し方向付けることができるということを通して、地域の皆さんの創意や工夫を生かした特色ある学校づくりを進めるということを一つの大きな目標といたしているものでございます。  具体的な事例として御紹介申し上げるのが分かりやすいお話だと思いますが、例えば平成十四年度から、この先行的研究事業として新しいタイプの学校運営在り方に関する実践研究ということを行っておりまして、その実施校における事例といたしまして次のようなケースがございます。  一つには、地域学校支援ボランティアの積極的活用を行うことを通して、地域コミュニティーとの連携を重視しながらの学校運営が行われているケースというのがございます。二つには、反復学習や習熟度別学習など基礎、基本の確実な定着に重点を置いて指導を行うというふうな形で、その教科の、何というんでしょうかね、成績の問題等について落後者を出さないような教育を行おうというようなケースもございます。  また、地域住民のボランティアが土曜日にパソコン教室や囲碁教室を開催するというような形で、学校地域社会とが相互に交流し合いながら子供を育てようというケースもございますし、また、中学校区の中において、小学校や幼稚園、保育園、こういったいろいろな教育機関一体となって不登校や問題行動をなくしていこうというような取組が行われているというケースもございます。  少しの事例を挙げたばかりでございますけれども、このように、地域住民保護者、又は教育に関心を持たれる方々が一緒になって地域における教育推進しようということを行うことを通して、いろいろな形で特色のある学校づくりが進められてきているというふうに私ども認識をしているところでございます。  今後、学校運営議会制度を更に活用していくことを通して、保護者地域住民の意向をより一層的確かつ機動的に反映をさせていきながら、特色ある学校づくりが進むことを期待をいたしているということでございます。
  118. 林紀子

    ○林紀子君 今、地域の皆さんの参加でということでいろいろな特色のある学校をお示しいただきましたが、私は、この学校運営議会に教職員の参加ということがきちんとうたわれていないということが一つの心配ですので、そのことについてお伺いしたいと思いますが、学校運営議会が承認を求められる学校運営の基本的な方針というのはどういうものでしょうか。
  119. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) 今回の改正案では、学校運営議会を置く学校におきまして、校長は学校運営に関する基本的な方針についての案を作成をし学校運営議会の承認を得なければならないと、こういうふうな規定があるわけでございます。  基本的な方針の中身でございますが、例えば教育課程の編成に関する基本的な方針についていえば、やはりその学校教育目標、そしてまた、例えばこれは一例でございますけれども、総合的な学習の時間の在り方ですとか習熟度別指導など、学習指導のその学校としての基本的な考え方、そういった教育課程のまさしく大枠の方針を定める内容を想定をしておるわけでございます。細かな教育課程、これはあくまで校長がこの方針に従って具体的な教育課程を編成するわけでございまして、あくまで大枠の方針を承認を得ると、こういうことでございます。  なお、そのほか、教育委員会規則で定める事項ということでございます。これは基本的には各教育委員会の判断でございますけれども、例えば、学校の施設管理に関する基本的な事項でありますとか、学校組織編制に関する基本的な事項、学校予算執行に関する基本的な方針、こういったものがこの中に入ってくるものと考えております。
  120. 林紀子

    ○林紀子君 今のお答えの中に校長が基本的な方針は作って示すというお話がありましたが、これは校長だけで作るものなのでしょうか。教職員はその作成にどうかかわるのかということもお教えいただきたいと思います。
  121. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) 学校の校務を運営をする責任者であります校長が教育課程の編成を行っていくわけでありますから、その教育課程の編成に関する基本的な方針の原案はこれは校長が作成するわけでございますが、当然、その過程におきましては教頭、教務主任などの教職員の意見を聞きながら作成をしていくというのが通常の実情であろうかと思っております。
  122. 林紀子

    ○林紀子君 学校運営の中で教職員というのはどういう役割を果たすものだというふうにお考えになっているのでしょうか。
  123. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) 一般論と申しましょうか、学校責任者はもとより校長でございます。校長はその権限と責任において自ら判断をし学校運営を行っていくということが必要であるわけでございますが、教職員は、学校教育方針や目標を十分に理解をした上で、自らの専門性を発揮してそれぞれの校務分掌等の職責を果たしながら一致協力をして校長の学校運営を支え、これに積極的にかかわっていくことが期待をされていると、こういうふうに考えております。
  124. 林紀子

    ○林紀子君 そうしますと、方針や目標を作るのは校長であり、専門性を発揮してそれを支えていくのが教職員だということだというお答えだと思うんですけれども学校運営というのは教職員がすべて共同してやっていくものではないかというふうに思うんですね。校長が作って、それをこうやれ、それを十分理解しろ、正にトップダウンということになると思うんですけれども、私は学校という場はトップダウンというのには一番似つかわしくない、ふさわしくない、そういう場ではないかというふうに思うんですね。  校長や教育委員会にすべてお任せで、教職員は校長の言うとおりにやればいいと、そういうことでは、先生子供を置き去りにして、先ほど上ばかり見ているというお話もありましたけれども、校長や教育委員会の顔色ばかりうかがうというか見ている、そういう先生になってしまうというおそれがあるのではないでしょうか。そして、この法案というのはそんな学校をますます強めていく、作っていく、そういうことにならないかというのが心配なわけです。  学校運営議会には教職員の参加が義務付けられておりませんね。それがそもそもその表れじゃないかというふうに思うわけですね。学校運営を話し合う学校運営議会学校運営を中心的に担う教職員の参加というのがないとこれは意味がない。どうしてこの学校運営議会では教職員というのをきちんと位置付けなかったのでしょうか。
  125. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) 今回、法律の中では、地域の住民あるいは保護者その他教育委員会が必要と認める者について教育委員会任命をすると、こういう規定ぶりになっておるわけでございます。校長や教員につきましては、今回の学校運営議会が、従来、学校運営仕組みの外にいた地域の住民や保護者等の意見をより反映させることによって公立学校の管理運営の改善を図ろうとする、その制度趣旨に照らして法律上必要的な委員としては位置付けなかったと、こういう考え方でこの規定は作ったわけでございます。
  126. 林紀子

    ○林紀子君 そこがどうもよく分からないわけですね。  もちろん、学校、教職員、校長先生ももちろん入りますけれども、その人たちと地域の皆さん、保護者の皆さん、一緒になって学校を作り上げていく、子供たちのためにすばらしい学校にしていくんだ、それが趣旨ではないかというふうに思うわけですけれども、この中には教職員というのは必ずしも入らなくていいということになるわけですね。教育委員会の判断だということになるわけですね。
  127. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) 学校運営議会委員構成等につきましては学校の実態等に応じて教育委員会が判断することが望ましいと考え法律においては特にそれを定めずに各教育委員会の規則で定めると、こういうふうにしておるわけでございまして、校長、教員につきましては法律上必要的な委員として位置付けられてはおりませんが、当然、教育委員会の判断によってこれは委員とするということは当然可能ですし、もちろんあり得ることでございます。
  128. 林紀子

    ○林紀子君 ですから、そこがちょっと組立てがおかしいと思うんですね。  当然教育委員会が判断して入っていいということならば、入っていいじゃなくて入らなければいけないんじゃないでしょうか。学校というのは、まず子供がいて、先生がいて、校長先生ももちろんその中に入ります。そして、父母がいて、地域の人たちがいる。そう考えていくと、先生、教職員が入っても入らなくてもいい、当然教育委員会が入れるだろうというのはおかしいんじゃないですか。元々法律仕組みとしてそれは当然入るべきものだと、そこから始まるんじゃないでしょうか。
  129. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) 外部性ということを強調すれば、校長や教員が入らないという考え方もあり得るわけでございます。ただ、おっしゃるように、イギリスの学校理事会制度でありますとかいろんなことをかんがみますならば、校長、教員があれは確かに入っておるわけでございますし、現実に、校長について申し上げますならば、学校運営議会意見や方針を学校運営責任者として教育活動等を通じて具体化する立場にあるわけでございますから、基本的には委員になることが望ましいというふうに私ども考えておるわけでございます。  また、教員につきましては、一般的には教務主任や生徒指導主事などの中から校長の推薦を受けて任命をされ、学校の実態等を的確に学校運営議会議論に反映をさせていくと、こういうことになるんだろうと思っております。
  130. 林紀子

    ○林紀子君 大臣にお聞きしたいと思うんです。  今の御説明を聞いてもどうしても分からないんですよね。保護者の皆さんとかそれから地域の人たちも、ここにあるこの学校をもっと良くしていきたいというふうに思うときは、校長だけ入っていればいいよ、教職員は要らないよとか、そんなことになるんでしょうか。ですから、どうして初め、きちんと入らなければいけない、入るのが当然、そういう人たちを除外しているのかどうか。  そして、保護者の皆さんの願いというのは、教職員の方たちともっと子供を中心にしていろいろ意見も交換したい、こういうことなんじゃないかと思うわけですね。ですから、校長、教職員、その参加を明確にしてこそ保護者の願いにもこたえていく、そういうことではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  131. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) この議論は衆議院においてもいろんな角度からなされたところでありますが、林先生が言われること、私も、学校全体というのは教員もあり校長もあり一体となっているものでありますが、今回のこの学校運営議会制度導入するに当たっていろんな角度から考えられたときに、やっぱりこれは教育委員会が一義的に非常に大きな責任がある。教育委員会がきちっとした姿勢の下で、これを、指定校を作っていかなきゃいけない立場もある。そういう観点から、教育委員会が、正に教員、それから校長、そうした中の一つの見方というのがあって、それに対して外部の意見をどういうふうに聞くかということ、この点に視点が非常に置かれて、そして外部の意見が正に人事権に及ぶ、明確な人事権に及ぶわけではありませんが、その意見を尊重しなきゃいけないという立場、かなり今回の法律の作り方がそこへ視点が置かれておったという形で、今回、教職員、いわゆる校長、それから教職員をこの中に義務的に入れなかったということであります。  しかし、現実にこれを運営していく段階では校長の意見も当然聞かなきゃいけませんから、校長が入っていく。校長の意見を聞けば、教員の代表的な方々が必要だということであれば、それも入れていくと。それは教育委員会規則という形でやっていこうということで、その辺の弾力性を持たせながらやっていくというわけでありまして、決して先生方を、校長以下を疎外したということでは決してありませんが、特に、人事等について意見を述べそれを尊重するという規定が今回の改正の、一つの大きな改正の要因にもなってきたものでありますから、その外部性というものが尊重されたということであろうと思いまして、あとは運用においてきちっとその辺を対応していただけるものだと、このように考えておるわけであります。
  132. 林紀子

    ○林紀子君 衆議院での論議を私も拝見いたしましたけれども、その人事の問題というのがすぐ出てくるわけですね。人事の問題というのをここでやるのかどうかはまた一つおいておいても、その話をするとき、それじゃ先生全部出てこいということじゃなくてもいいわけですが、この学校運営議会というのは人事のことばかりやっているわけじゃないんでしょう。それが目的じゃないわけですよね。一番の目的に沿うのは何かといったら、やっぱり校長先生も教職員も入って、そして保護者の方たち、地域の方たちと一緒にどうやっていくか、そのことを考えることだと思うんです。  ドイツなどでは、教職員、保護者、生徒、三者の関与をはっきりさせて、その三者の共同機関として学校会議というのを置いているそうですね。そして、それが学校の意思決定機関と位置付けられている。ですから、日本でも、諸外国で当たり前のようにやっている教職員それから生徒を明確に私は位置付けるべきだというふうに思うわけです。  今は教職員のお話をいたしましたけれども、そこでもう一つの問題点が子供の参加です。どうしてこの学校運営議会子供を参加させなかったのか。学校の主人公はまず子供だと思うんですね。それはどうしてですか。
  133. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) 今回の学校運営議会は、法律上の権限として学校運営に関するいろんな意見を述べることができるわけでありますし、教育課程等、校長が作成する基本的な方針について承認を与える、あるいは教職員の人事についても意見を述べることができると、こういった法律上の一定の権限を有すると。そしてまた、委員は、非常勤でありますけれども地方公務員として任命をしていくと。こういったことから、子供委員としての参画を想定をしなかったところでございます。
  134. 林紀子

    ○林紀子君 先ほどから申し上げていますように、子供がいなかったら学校というのは成り立つことはないはずですね。ですから、どうしてもここに子供が入らないというのはおかしい話なんですね。  私は、先ほど副大臣の方から具体例で御答弁をいただきました。全国には、教職員、保護者、生徒、この三者が一体となって活動をする協議会、三者協議会というのを設けて、これがうまく運営されて、その中で教職員も保護者地域も力を合わせて正に特色ある学校を作っている、そして何よりもその中で子供たちが大きく成長している、そういうすばらしい実例がもう本当に方々にあるんですね。そのことをちょっと私の方からも実例として御紹介をさせていただきたいと思いますが。  これは北の、北海道白老東高校というところなんですが、この三者懇、三者懇談会は九八年にスタートした。最初から本当にうまくいっているわけじゃなくて、最初のときは親の方が一方的に意見を述べて子供たちにお説教するような形になって、先生の方は両者のやり取りをただただ傍観をしていて、子供たち意見をまくし立てる親にしゃべり倒されたというような状況だったんだそうですね。  しかし、それが、生徒たちが本音を語れるようにということを配慮する中で、生徒たちが司会をしたり、こういうことを論議しようというテーマを設定したりする中で、だんだん子供たちの本音が話せるようになった。同時に、教員の参加者からも本音の意見が出てきた。そのテーマというのは、部活動の活性化とか、制服についてとか。こんなのもあるんですね、親、先生から見て子供、生徒は本当にだらしがないのか、生徒に対する不満は何か、こんなこともこの三者で話し合ったというふうなことが報告をされております。  そして、その次に発展したのは、そこに参加をしている生徒会の役員の女生徒が、生徒会の役員だけこの三者懇談会というのに参加をしていて、そこからちっとも広がっていかない、これでいいのかということを問題提起をして、やっぱりそれはうまくなかろうということで、会則も作りまして、そこでは、三者の代表は、ですから生徒会、PTA、職員会議、それで合意された事項をこの三者懇談会に持ってきて、三者懇談会で論議をされたり決められたりしたことをまたそれぞれ自分が所属している組織のところに持って帰って論議を深める、そういうことでだんだん話がうまくかみ合って回っていくようになったと。  これは高校生活のルールに関する問題、制服や携帯電話などの問題だけではなくて、これからは授業作り、教育課程作りの問題を三者懇談会の中心テーマにしていきたい、こういう問題意識を持ってこれからもっと発展させていこうというふうに言っているということなんですね。  それから、これは茨城県の小川高校というところですけれども、高校通学のために利用している、子供たちの足であるローカル鉄道の私鉄鹿島鉄道が経営危機に瀕して廃止をされそうになっていると。これはいろいろニュースなどでも取り上げられたと思うんですけれども、もし、「かしてつ」と略しているんですね、「かしてつ」が廃線になったら小川高校も沿線の高校も生徒が減って廃校になってしまう、だからこの鹿島鉄道を守る運動を盛り上げようということで生徒会でいろいろ話し合って、ほかの高校や中学校にも呼び掛けて、また自治体の首長さんにはどうしても残してくださいと手紙を出したり、チラシやポスターも配ったり、茨城県には何とか公的支援をしてくださいと署名を開始した。これは地域の皆さんにも非常に喜ばれていて、あんなにおとなしい子たちが本当によくやっているねと地域からも大きく評価をされている。正に特色ある学校に育ちつつあるということなんですね。文化祭でもこの問題を取り上げたということです。  それから、ちょっと長くなりますが、これは高校の例ですけれども、もう一つ、中学校でもこういう例があるんですね。これは大阪の羽曳野市にあります高鷲中学校。この中学校では、やはり三者で話し合った。親であるPTAのお母さんは、お互いの思いを伝え合う、そういう貴重な場に参加させてもらった、生徒会というのは子供の活動の代表ですよね、そういう子供たちの公の意見を聞くことはこれまでなかったし、PTAとして、親としての意見を生徒会に言うという機会もなかなかなかった、だけれども三者で話し合ってそういう機会を持てたのが本当にうれしかった。生徒会長をした女生徒は、私は校則を変えてほしいということでずっと先生にそれを言ってきたけれども、自分は特に何か行動したわけではなかった、でも、自分たちも守るべき校則は守らないといけないけれども、改善すべき校則は変えていくことができるということを学びました、きちんと大人と向き合うことを通じて。  だから、中学生が、親や先生ときちんと向き合って話をしたことによって自分の願いも実現をしていくんだということを、手ごたえを受けたわけですね。そして、先生は、おかしい校則については要望が出てきて当たり前だから、校則を決めるにしても、親の参加、子供の参加、三者が一緒になって考えていくことが大事だと、こういう考え方の中で三者が協力をしながらより良い学校を作っていく、こういうふうになっているわけですが、こういう取組について、私は正に特色ある学校というのが育ちつつあるというふうに思うわけですが、これについてはどのようにお考えになりますでしょうか。
  135. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) 学校地域におきまして、様々な形で子供たち意見学校行事ですとか地域活動に生かしている、そういった例があるということは承知をいたしておるわけでございますが、一方、今回の学校運営議会につきましては、教職員の人事も含め、先ほど来申し上げておりますような学校の管理運営、校長が作成する学校運営に関する基本的な方針をこの学校運営議会が承認をすると、そういった法律上の一定の権限を持って関与する機関であるわけでございますから、その委員として学校の児童生徒を参画させるということは、これまた別の問題だろうと。私どもはそれを想定をしていないわけでございますが、ただ、学校運営議会運営方法の一つとして、当然、子供の発達段階を考慮しながら、必要に応じまして児童生徒の意見を聞く場を設けるなど、学校運営議会がその児童生徒の意見を反映させるような工夫を行うということは、学校の判断で当然これは考えられることだろうと思っております。
  136. 林紀子

    ○林紀子君 想定はしていないというお話だったんですけれども、先ほどもドイツのお話をいたしましたけれども、フランスでは一九九〇年に国内整備のための法改正を行って、子供たち学校委員会に加える。ですから、今私が御紹介したような、こういう三者協議会みたいなものだと思うんですが、この学校委員会に加える。それだけではなくて、日本中教審に当たるようなものに高校生の代表を加える、そのことを決定したんですね。この中教審に当たるものには、今までは、それまでは大学生は参加していたんですが、更に年齢を引き下げて高校生、リセの学生というふうになっておりますから高校生も加えるということを決定をしているわけですね。  確かにお国柄、今までの歴史や何かは違うわけですけれども、しかし、それはどういう考え方によるかというと、何よりも高校は単に勉強する場だけではなく、人間として市民としての自覚と能力を育成していくものであるとの教育理念の具体化である、そして学校に在学中であること、未成年であることを理由に市民的権利・義務の行使を抑制するのか、むしろ生徒であり未成年であるからこそそれらを正しく自覚させ身に付けさせようとするかは、教育的配慮という言葉を使って説明されるとしても、全く違った結果になるじゃないか、同じ十五歳の青年であればこそ、フランスであろうが日本であろうが、その成長、自立の課題もまた同じであることは言うまでもないと。これは、このフランスの制度を紹介をなさった長崎大学の小野田先生という方が書いていらっしゃるんですけれども。  フランスはこういう考え方でやっているわけですが、じゃ、これはフランスが考えるだけでいいことなのか。高校は単に勉強する場だけではないんだ、人間として、市民としての自覚と能力を育成していくんだ、だからこういう場にもきちんと参加をさせる、そのことについては、それではどうお答えになりますか。
  137. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) 今、先生が御指摘になりましたように、それぞれの国で歴史なり文化、伝統があるんだろうと思っております。  私どもがいろいろと勉強させていただきましたイギリスの学校理事会について申し上げますならば、一九八六年の教育法の改正によりまして、十八歳以下の者を学校理事会の理事に任命しないこととされたようでございます。これにつきましては、イギリスの場合、学校理事会の権限、責任が拡大する中で、きちんと責任を持てる大人が理事となるべきとの社会的な認識でありますとか、そのほかに、生徒議会のように別途児童生徒の意見を吸い上げることができる仕組みが広まっていたと、こういったことが背景にあるというように指摘もされておるわけでございまして、それぞれの国、それぞれの制度の中で考えていく事柄かなと考えております。
  138. 林紀子

    ○林紀子君 イギリスはそういう考え方をしたかもしれない。しかし、フランスはやはり十五歳の子供というのもきちんとそういう判断ができるんだという立場に立ったわけですね。それじゃ、日本はどういう立場に立つのかというと、今の御提案では、それはそういう立場には立てないんだと、若輩者だと、そういう形になるということですよね。  私は、もう一つ例を引いて恐縮ですけれども、これは先ほど三者協議会というのが方々で行われているその先駆けとなった長野県の辰野高校の例なんですけれども、これは衆議院の場でもお示しをいたしましたので、名前については御記憶のことかと思いますが、「学校を変える生徒たち」という本なんですね。私は、この審議に当たりまして、資料として読み始めたんですけれども、その子供たちのすばらしさ、周りを取り囲んでいる大人たちのすばらしさ、手に汗握るではないんですけれども、本当にすばらしいので、ついつい夜中までこれ読みふけってしまったというところがあるんですが。  ここも三者協議会というのがスタートを、一九九四年、今からもう十年前にスタートして、それだけ成熟をしているわけなんですね、十年間掛かって。初めはやっぱり同窓生とか町の町長さんとか教育長さんとか、そういう方に来てもらって、先生と話をした、二者で話をした。そうしたら、昔のこの辰野高校というのはすばらしかったのに今の学校は何だという注文やらおしかりやらばかりで、先生たちはただただ頭をうなだれるだけだったというんですね。しかし、その中に子供たちが入ることによって、本当にがらっと話が変わって、そして九七年に三者協議会ということでスタートをしたわけですが、それまでには町づくりということで、商店の皆さんと一緒に、町を、商店街を活性化させるためにフリーマーケットをやったり、文化祭でいろいろ、町のこれからの未来像というのを展示したりとか、そういうことがあったわけですが。  まず、じゃ学校宣言を、「わたしたちの学校づくり宣言」というのを作ろう、三者でそういう話になったとき、こんなエピソードがあるんですね。その学校宣言には、「私たちは、互いに人格を尊重し、暴力やいじめ・差別のない、明るく楽しい、この学校で学んで良かったと思える学校をつくっていきます。」という文章があるわけで、すらっと読んだら当たり前みたいな文章なんですが、この「明るく楽しい」という言葉で、先生の方は、勉強するということは楽しいことより苦しいことの方が多いと思う、苦しいことに自分を強いて勉めるのが勉強だということですというふうに言ったら、生徒が、本当は勉強は知らないことを発見していくことで楽しいことだと思います、でも中学では高校受験なんかの競争になってるから勉強は楽しくなかった、辰野高校の勉強はもっと楽しいものにしてほしいという注文を付けて、それじゃやっぱり「明るく楽しい」という言葉をそのまま生かそうということになったということで、この宣言の文章を一つ作るにもこうやって一緒に作り上げていったということなんですね。  それからまた、アルバイトを平日にもやらせてほしいという要求が生徒会の中から出てきた。だけど、平日をアルバイトやるというのは親からも先生からも到底認められないだろうということで、生徒会の方では、アルバイトは土曜、日曜、祝祭日、許可をしてほしいと。今まで長期の休みのときだけだったんですが、そういう提案をしたら、生徒会の生徒たちの中からは、それじゃ駄目だ、やっぱり平日にやらせてくれという声が大きく上がって、その後、二年間も掛かって三者協議会でいろいろ論議をしたんだそうですね。  そして、ようやく二年掛かって生徒会から提案されたアルバイトの土、日、祝祭日の許可というのはするということになったんですけれども、これを三者協議会で話をする中で、一年生から三年生の子供たちまで次々と立って自分の実情を話しした。私は進学したいが、とてもお金が掛かります、親の負担を減らしたいからこの冬休みにアルバイトをして貯金をしましたが、テスト勉強も頑張りました、社会勉強にもなりました。また、部活をしなくなるんじゃないかという先生意見には、部活する生徒はバイトが許可されても部活をするから大丈夫だと思います、私はバイトをしていましたが成績は落とさなかったし、自分で頑張っていると自信が持てました、今のように潜りでバイトをしている状態は良くないと思いますという声が次々と上がって、そして、やっぱり自分たちで、三者協議会で決めたアルバイトは土、日、祝祭日、それから長期休暇のときという、これはきちんと守っていこうということで、全校生徒もきちんとこれを守るようになったと。  ですから、そういうことでは校則の問題ともかかわり合いあるわけですけれども、自分たちが本当に長い間掛かって論議をしてそのことを決めたら、やはり自覚が生まれるわけですね。子供たちはきちんと守っていく、こういう子供たちを正に育てていくということなのではないかと思いますし、フランスはそれをきちんと認めて、十五歳でも国の審議にもきちんとかかわらせる、それが子供たちを大きく成長させていく道だ、こういうことを考えているのではないかというふうに思います。  本当は私は、今日は、子どもの権利条約から見ても当然、子供たち学校議会のメンバーに加えるのは当然のことだというふうに思いまして、そのことも御質問する予定でしたが、ちょっと実例紹介で時間が長くなってしまったんですけれども。しかし、先ほどフランスが一九九〇年の八月にこの国内整備をして、高校生の代表も中教審にちゃんと加えるということにしたのは、一つ子供たち、高校生の大きな要求もあったんですけれども、それに加えて、一九九〇年の八月にフランスが子どもの権利条約を批准して、十二条の子供意見表明権というのをきちんとこれに生かしていくんだ、その決意の下にこれを実行したということなんですね。  日本もこの子どもの権利条約というのは批准したわけですから、是非これに倣っていただきたいということを最後に申し上げて、終わります。
  139. 北岡秀二

    委員長北岡秀二君) 本日の質疑はこの程度といたします。  次回は来る六月一日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時十五分散会