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参考人(
雨宮正子君) こんにちは、
雨宮です。
私は、
子供が小
学校に入ると同時に
学校給食の豊かで安全な運動を続けて、現在まで四十二年続けております。この中で、
教育としての
学校給食を進めるために
栄養士さんの
役割は本当に重要だと思っています。ですから、今回の
栄養教諭制度の導入は心から賛同いたします。
しかし、現在、
学校数は三万六百二校あるのに対し、
学校栄養職員は一万二百五十人、平成十三年五月現在です。したがって、三校に一名の
配置という状態です。地方自治体の考え方によっては、
栄養職員の方は二校掛け持ち、また臨時や嘱託など不安定な身分のままでたくさんの仕事をしていらっしゃいます。本当にそれは労働強化の
実態を知らされるわけです。
文部科学省、
厚生労働省、農林水産省の三省がともに提言した
食生活指針を実施していくためにも、
栄養教諭制度の実りあるものにしていくためにはもっともっと
栄養士さんを増やしていかなければいけないし、
栄養教諭制度の充実も大切だと思っています。
この中で、
児童数五百五十人以下の小規模校は一名という
栄養職員の
配置を資料の中で見せられました。これではなかなか大変です。
児童数が少なくても
一つの
学校に一人の
栄養士さんの
配置は望むところです。また、共同調理場にしても同じです。何校も掛け持ちの
栄養士さんの
状況を見ますと、
子供たちは
栄養士さんが回ってくる日には野菜は全然残さなかった、
栄養士さんが廊下に歩いている姿を見ただけでもきれいに食べるという話も聞かされています。
国の方針で出された今回の
制度です。
栄養教諭の
配置を設置者にゆだねるのではなくて、地方自治体だけにゆだねるのではなくて、
標準定数法にも基づいて新たな規定を設けるとともに、
栄養教諭制度を裏付けるための国庫負担による
教育制度の拡充を望みます。
二番目に言いたいのは、
学校給食法に基づいた
学校給食の実現ということでいきますと、今
子供たちの体の
状況、さっきも資料提示をされているのを見ますと、私も資料を提示しましたけれ
ども、最近
子供たちの体温が全体に低くなっている。
生活習慣病の低年齢化の問題もありますけれ
ども、体温が低いということは
子供の活力が活性化してこなくなったのではないか。これは、子
どもの身体二〇〇一白書を私たちは作っていますので、そこでも明らかにされています。
子供たちに本当に小さいときからしっかりした
食教育を充実させて理解させていくのには、
学校給食は大切な
教育の場だと
思います。
ファストフードがはんらんしている中で、
子供の食の正しさを教えていくということは
学校給食の
役割だと
思います。その中で考えていくときに、農業国フランスでは、ファストフードから
子供の食を守るということで、味覚の授業を政府が推進して行っています。今度、
栄養教諭制度が導入されてくれば、また
栄養士の
配置の充実が実現すれば、このようなことを
学校給食の中で実現していただけると思っています。
私たちは、
日本の
食文化を
学校給食の場で正しく継承発展させていく。
学校給食法の原点は、食を通して生きる力をしっかり学ばせるということを一九五四年、当時の文部
大臣は
国会で
趣旨説明をして、これが成立しています。
身土不二の原点に立って優れた
食文化を
子供たちに伝えていく。それを見るときに、
日本は本当に輸入大国になっています。この輸入大国の中で、
子供たちの食の
状況を見ますと、その資料提示でごらんいただきたいと
思いますが、資料の中のナンバーで八番にあります。これは
文部科学省が輸入食品を
学校給食の中に使うことを賛同しているということが朝日新聞の記事に載っています。
文部科学省というのはそういうことを評価するのではなくて、
自分の国で取れた食べ物でしっかり
学校給食を進めていく、地産地消を推進するのが
文部科学省の
方向ではないか。この新聞記事を見て本当に驚いているお母さんたちがたくさんいます。私もその中の一人ですが、千葉県で
学校給食のパンの調査をしました。
それは、表が七番です。農民連の分析センターに十二市町村のパンを、
学校給食のパンを持っていって検査をしてもらいました。そうしますと、
子供たちには本当に入っては困るような猛毒マラチオンが〇・〇一ppm入っていました。私たちは運動をして、この輸入小麦、原因は輸入小麦ですから、輸入小麦をやめさせてくださいということを千葉県に持っていきました。千葉県では県産小麦を三〇%混入してくれました。すると、マラチオンは〇・〇〇六ppmにまで下がりました。
子供の視神経が侵される猛毒マラチオンのことを考えると、一番の表のところにありますように、私の資料の一番にありますように、視力の低下がどんどん進む
子供たちのことを考えたときに、微量であろうと毎日食べているということ、一週間に二度ほど輸入小麦のパンを食べさせられているということは問題です。ですから、やっぱり
子供たちにはその土地で取れた
日本の
食文化が正しく継承発展させられる、そういう食材で
学校給食を進めていただきたいということを
お願いします。
実際にこう見ていきますと、民間委託というのがあります。三番目です。
学校給食の合理化通達を一九八五年に文部省が出しました。
栄養士さんは献立を立てても
現場に下りて食
指導をすることができません。本当に
栄養教育、そして
食教育を推進する、
教育の担い手として
栄養士さんが十分に仕事ができるようにするのには、
現場に下りて食
指導ができないというこの合理化通達はやめさせなければならないと
思います。やめさせていただきたいと
思います。
なぜかといいますと、自治体では
学校給食を民間に委託することで経費が節減できるということを言っていますが、実際には二年、三年たつと民間委託の経費は二倍から三倍に上がります。私たちの
研究会で調べています。ですから経費は安くならない。なぜ
栄養士さんが
現場に下りて食
指導ができないのか。そして、調理員さんは、パートで来る調理員さんは入れ替わりが激しいです。一年で三十四人、四人いる職場に三十四人も入れ替わるという
現場を見るときに、いつも慣れない調理員さんたちが来て本当に大変だという話を聞かされます。
それから、この表の中でナンバーの六番をごらんいただきたいんですけれ
ども、これは民間委託の
現場の食材です。三十三品目中二十一品目が輸入の加工食品です。原産国アメリカという紅白ゼリーまで
子供たちが食べさせられていて、これはセンターの所長も、それからそこの
栄養士さんも関知できないと。民間の輸入商社から民間委託の
現場の東洋食品が運んでくるという状態です。こういうことをよく調べていただいて、
子供たちにとってやっぱり直営の自校方式で、
栄養士さんが
子供のところに行き届いた給食ができることが本当の
食教育ではないか、
食教育ができるのではないかと。
栄養士さんの姿が見えただけで
子供たちがしっかり食べる。
そういうことで、民間委託はいけないということで、山形県の藤島町議会では全会一致で反対決議をしました。
現場に下りて
栄養士さんが調理員さんと一緒に調理をすることができない、これでは
子供たちの
立場に立った給食ができないということで、半年間で二十六回、全部の議員さんが勉強して民間委託を撤回しています。
それから、四番目です。
未実施の中
学校給食があります。今、中
学校の給食は七二%。実施率がわずか一〇%の神奈川や
大阪ではお母さんたちの運動が起こっています。実施が五〇%の山形県や京都でも運動が起こっています。そういうところでは自治体の方たちがこう言うそうです。お母さんたちがお弁当を作れ、お弁当を作らないのは怠慢だということを言われていると。
これは表十一番ごらんいただきたいんですけれ
ども、甲府のお母さんたちが調べました。
学校給食がない
地域です。
子供が持ってくる弁当の内容を見ますと、野菜なしが三八%、野菜一種類が三八%。副食の数がとても少ない。植物性、要するに野菜物が少ない。こういう内容で、やっぱり弁当箱
一つの中には愛情は詰め切れない。
そして、コンビニの弁当を詰め替えて持たせる。表十番ですけれ
ども、コンビニ弁当にはたくさんの添加物が入っています。
ということを考えていくと、
子供の健やかな発達を実現するために、やっぱり
教育の
機会均等を実現するためにも、未実施
地域をなくしてほしい。今、未実施の
地域で、これは菓子パンなんですけれ
ども、八年前に私は横浜のお母さんからもらいました。(資料提示)このパンがいまだにこのまま現存しているということはどういうことなのかな。本当に恐ろしいことは、日付もちゃんと書いてあります。恐ろしいことで、
子供が、八年も九年もたっても大丈夫な食品添加物がたくさん入ったパンを自販機で売られているということを考えると、やっぱり
子供の健やかな発達の上からも問題じゃないかな。
学校給食の
栄養基準は、カルシウム、ビタミン、一日の摂取量の半分以上取りなさいと書いてある。それなのにどうしてこういうパンを売られているんだろうか。本当に、これは九六年八月、賞味期限八月三日と書いてあるんですけれ
ども、今は二〇〇四年です。そういうことを考えていただくと、やっぱり
子供たちの食を
栄養士さんが本当に一生懸命になって各地で頑張っていられるけれ
ども、この食材の点からも問題が多いなと
思います。
最後に、米飯給食と牛乳の補助金を
文部科学省等々はカットされました。私たちは地産地消を推進して
日本の
子供には
日本の食べ物でということで、生産物でという運動を続けていますけれ
ども、四年前にこれがカットされました。今は地元の自治体やJAが
協力をしてお金を出して、補助金を出して地元のお米を入れていますけれ
ども、それは昨年の不況の
状況から、とても今の
状況では国産米は大変だ、補助金は出しづらいという動きが出てきています。そして、
子供たちにとってそれぞれのところで取れた生産物を食べることが最高にすばらしいんだということを考えていくためにも、お米の補助金とそれから牛乳代の補助金を
是非復活させてほしいと。
栄養士さんや
栄養教諭制度の導入はとても大切なことです。しかし、
現状、給食を取り巻く
状況は問題がたくさんあります。こういうことを考えたときに、こういう
機会を与えていただいて、私は本当にうれしいんです。
皆さん、
是非子供たちのために、
学校給食の充実のために努力をしていただきたいと
思います。よろしく
お願いします。