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参考人(
若松修君) ただいま御紹介いただきました、私は、
日本コンパクトディスク・ビデ
オレンタル商業組合、通称
CDV—JAPANと申しますが、そこで専務理事を務めます
若松と申します。
CDV—Jは、
CDレンタル及びビデオレンタル店を代表する
団体といたしまして、ちょうど二十年前に
貸与権が制定された際に当時の通産
大臣の認可をもって設立されました。
CD、ビデオ、
書籍、
ゲームなどのソフトを総称して最近は
コンテンツと言っておりますが、九〇年代半ばからの傾向として、
コンテンツを扱う店舗は大型化、複合化が進展しており、相対的に書店や
CDショップといった専門店の数が減少しております。大
規模なレンタル店を軸に、
CD、
DVD、
書籍、
ゲームの新品の
販売を取り入れた複合ショップが増えてきております。
そこで、今国会で審議されます
著作権法改正のテーマ、すなわち
音楽レコードの
還流防止措置と
書籍、
雑誌への
貸与権付与、双方に私
どもが深くかかわっておりますことから、本日、私が
参考人として
出席させていただくことになった次第でございます。
まず初めに、私
たちは、この二つの法案につきまして、その趣旨に原則として賛同いたします。その上で、しかし運営面で重大な
懸念がありますので、審議に当たりましては
消費者利益に配慮いただきまして、この
懸念を何とか払拭していただきたいと強く希望するものであります。
初めに、いわゆる
還流防止措置につきまして、その趣旨が
我が国の
音楽文化の
海外普及を促進するために必要な
措置であるという点において、これを支持するものであります。しかし、法案がその
目的を
日本語
CD、いわゆる
邦楽に絞っているにもかかわらず、条約上の内外平等の原則により、法文上、
洋楽についても同じ規制が生じ得るのは明らかであります。この点、法
改正の
概要及び表記において、
還流防止としてあたかも
邦楽だけが対象であるかの錯覚を与えたことが
消費者や有識者の間に大きな誤解と疑惑を植え付けてしまったことを
指摘しておきたいと思います。
さて、大きな
CDショップの店頭をごらんいただきますと、同じタイトルなのに
価格が異なる
洋楽CDが並んでいます。
例えば、今週最も売れている
洋楽は、ロックの王者と言われるグループ、エアロスミスですが、
日本の
レコード会社が
海外から
ライセンスを取得して生産し
再販価格制度の下に売っているいわゆる
国内プレス盤、今日お持ちしておりますが、昨日のHMVの店頭に置いてありました
国内プレス盤、これが二千九百四十円であります。これは
業界でいいますところのボーナストラックといいまして、コマーシャルソング一曲がプラスされておりまして、更にこういうキーホルダーのようなおまけが付いておりまして、これが
国内では二千九百四十円で売られております。全く同じバージョンで、大手
CDショップが輸入業者を通じて
海外で発売された
CDを仕入れて売っているいわゆる
輸入盤でございますが、これは全く同じおまけを付けたものが二千三百九十円で売られています。さらに、こういったおまけとかそれからボーナストラックのような一曲余分に付いていない通常の
輸入盤になりますと、これが千七百九十円で売られているわけです。つまり、
国内盤に比較いたしますと、約、
価格差が、この同じバージョンのもので一九%、普通のおまけのないものでありますと二九%の
価格差が生じておるわけであります。
これが、今回の法案にございます「
利益が不当に害されること」ということに該当をするのではないかということが
洋楽の
輸入盤を扱っている大型
CDショップの間に不安として募ってきておるわけでございます。
平成十四年の通関統計によりますと、
我が国に輸入された
CDの総額は約二百四十億円であります。そのうち、
邦楽の
還流が十億円
程度と見られておりますので、九五%を超す
洋楽の
輸入盤が本法案によっていかなる
影響を受けるのか、
洋楽ファンや
販売店の
懸念はこの一点にあります。
この点につき、私
たち販売店は、昨年来、
日本レコード協会と度々
意見交換の場を持ち、その都度
洋楽の
輸入盤への
適用は想定していないとの
説明を受け、その誠意ある姿勢を高く評価するものであります。
本日も
依田会長から再三その旨の発言がございましたが、私
どもとしては、そこでそういった姿勢を今回の立法の過程で再
確認していただきまして、さらにその趣旨を具体的に担保していただきたく、重ねて
お願い申し上げる次第でございます。
次に、
書籍、
雑誌の
貸与権について申し述べます。
そもそも
貸与権は、ちょうど二十年前の一九八四年、貸し
レコード問題を契機に、
世界に先駆けて制定された
権利でした。貸し
レコード問題は、
著作権団体や
レコード会社との間で激しい論争を展開し、
国内でも活発な議論が繰り広げられた結果、新しい
権利として誕生したわけですが、その際、
貸与権の行使に当たっては公正な使用料をもって
許諾するようにとの附帯決議が付与され、今日まで私
たちレンタル事業者と
依田さんが代表を務められます
日本レコード協会との間で円滑な運用を図ってまいることができました。
そして、今般、
書籍、
雑誌の
貸与権が審議されるに至った背景には、旧来の貸
本業とは異なる、いわゆる
コミックのレンタルを大手のビデオレンタル店が行う傾向が出てきたことが挙げられ、その店舗の多くが私
どもの
CDV—JAPANに加盟していることから、私
たちが現在
作家の先生方との協議に入っているところであります。
私
たちは、これまで二十年間に及ぶ
貸与権の円滑な運用の実績を有していますことから、公正な使用料を支払うことによって
作家の先生方との間で共存共栄の道を構築することにつきましては容易に合意に達するものと
考えております。ただ、
懸念されますのは、
貸与権の運用に当たってのスキームがいまだ不明であるため、このまま施行日を迎えますと、すべての
書籍、
雑誌のレンタルが実質的に禁止
状態に陥る点であります。
その点につきましては、去る四月五日、今回の法
改正の推進力となりました21
世紀の
コミック作家の
著作権を
考える会の
作家の先生方との間でシンポジウムを開催いたしました。席上、
作家の皆様は、後に続く後輩のためにも
貸与による対価を得る仕組みを確立したいのだという趣旨の発言をなされ、必ずしも禁止にこだわらないとのお立場でありました。その意味において、私
たちレンタル店との間の合意形成は十分に可能だと思います。
したがいまして、二十年前の附帯決議に示されました立法趣旨、すなわち公正な使用料をもって
許諾することとの原則を再度
確認いただきますことを
お願い申し上げる次第でございます。
以上をもちまして、私の
意見といたします。ありがとうございました。