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2004-03-25 第159回国会 参議院 文教科学委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年三月二十五日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         北岡 秀二君     理 事                 亀井 郁夫君                 後藤 博子君                 鈴木  寛君                 山本 香苗君                 林  紀子君     委 員                 阿南 一成君                 有馬 朗人君                 大仁田 厚君                 大野つや子君                 扇  千景君                 中曽根弘文君                 橋本 聖子君                 伊藤 基隆君                 佐藤 泰介君                 谷  博之君                 中島 章夫君                 西岡 武夫君                 草川 昭三君                 畑野 君枝君                 山本 正和君    国務大臣        文部科学大臣   河村 建夫君    副大臣        文部科学大臣  原田 義昭君    大臣政務官        総務大臣政務官  世耕 弘成君        財務大臣政務官  山下 英利君        文部科学大臣政        務官       馳   浩君    事務局側        常任委員会専門        員        山口 俊史君    政府参考人        文部科学大臣官        房総括審議官   玉井日出夫君        文部科学省生涯        学習政策局長   銭谷 眞美君        文部科学省初等        中等教育局長   近藤 信司君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○義務教育費国庫負担法及び公立養護学校整備特  別措置法の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付)     ─────────────
  2. 北岡秀二

    委員長北岡秀二君) ただいまから文教科学委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  義務教育費国庫負担法及び公立養護学校整備特別措置法の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会文部科学大臣官房総括審議官玉井日出夫君、文部科学省生涯学習政策局長銭谷眞美君及び文部科学省初等中等教育局長近藤信司君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 北岡秀二

    委員長北岡秀二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 北岡秀二

    委員長北岡秀二君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  義務教育費国庫負担法及び公立養護学校整備特別措置法の一部を改正する法律案審査のため、三月三十日、参考人として愛媛県知事加戸守行君及び品川区教育委員会教育長若月秀夫君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 北岡秀二

    委員長北岡秀二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  6. 北岡秀二

    委員長北岡秀二君) 義務教育費国庫負担法及び公立養護学校整備特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案につきましては、既に趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  7. 大野つや子

    大野つや子君 おはようございます。自由民主党の大野つや子でございます。  まず初めに、私は大臣に質問をさせていただきたいと思います。  義務教育は、全国どこの地域におきましてもひとしく一定水準教育を受けることができるようにしていくことが必要であり、財政力に乏しい山間部の小さな町村でも優秀な教員を確保し、豊かに子供たちをしっかり育てていくことが必要だと思います。  そこで、義務教育における国と地方役割分担について、大臣の御所見をお伺いいたします。
  8. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) おはようございます。  お答え申し上げます。  大野委員長さんから、まず、基本的な義務教育における国と地方役割分担、いかにあるべきかというお話でございます。  義務教育が、御指摘のように、全国津々浦々、高いレベルの教育を受けられるようにしたということ、この制度をきちっと持っているということが今日の日本の繁栄の大きな礎になっていることは御承知のとおりでございますし、また日本人として国民一人一人の基本的な資質を養うといいますか、大きな意義があるわけでございます。そういう意味で、今御指摘のように、どこの地域においても一定水準教育を受けられる、また市町村、そして都道府県、国、この役割分担が適切になされるということが非常に大事でございます。  御案内のように、市町村は小中学校設置あるいは就学事務等を担っております。まず最先端でやっているわけです。その間にあります都道府県教職員給与費負担するとともに、広域的な観点から教職員の人事をつかさどっていると、こういう役割を持っております。一方、国の方は、これは全国的な観点で、いわゆる憲法要請でございます教育機会均等である、あるいは教育水準維持向上を図る、そして授業料を無料にするという、この制度の下で教職員給与費あるいは学校施設整備に対する国庫負担等を行うと、こうなっておりまして、これによって全国学校一定水準教育保障していると、こういう仕組みになっておるわけでございます。  文部科学省といたしましても、この国と都道府県、そして市町村、この連携協力をしながら、それぞれの権限と責任の範囲においてそれを果たしていく、このことをしっかり進めていかなきゃいかぬと思っておりますし、これからも、教育分野における地方分権、この要請もございます。この推進を図りながら、教育機会均等教育水準向上を図る、このために国の役割を果たしていかなければならない、こう思っておりまして、この役割分担がうまくいくことによって義務教育充実発展ができると、このように考えておるところでございます。
  9. 大野つや子

    大野つや子君 ありがとうございます。  国と地方が適切に役割分担をしっかりしながら協力し取り組んでいくことは大変大切なことだと存じます。子供は国の宝とも言われておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。  次に、退職手当児童手当国庫負担対象から除外するという今回の措置については、国庫補助負担金を削減していくという内閣全体の方針を踏まえ、対象経費を国として真に負担すべきものに限定するという趣旨は理解できます。しかし、知事会などでは、何が真に必要な対象経費なのかという疑問から、退職手当等国庫負担対象外とすることについて反対していると思いますが、その点、いかがでございましょうか。お答えいただきたいと思います。
  10. 原田義昭

    ○副大臣原田義昭君) 確かにこの議論の過程では、知事会を中心に心配があったということは伺っておるところでございます。多分これは、この一般財源化することによって、自治体都道府県がどのようなものが負担になるのか、また将来どういうふうにそれが大きくなっていくかと、不安があったのは事実でございます。そういうことを含めまして、最終的には、自治体、さらには関係各省が相談した上で、このたび税源移譲予定特例交付金というものを作りまして財源的な措置はしっかりするということにしたところでございます。  ですから、今後、この特例交付金がしっかり最初意図されたとおりに運用されるかどうか、こういうことについては見守っていきたいなと、こう思っておるところでございます。
  11. 大野つや子

    大野つや子君 税源移譲予定特例交付金により財源全額確保しているというようなお話でございますし、一定の理解はされているということでございました。  それを踏まえまして、次に総務省にお伺いをしたいと思います。  税源移譲予定特例交付金の各都道府県への配分方法はどのように行われるのでしょうか。また、実際必要な額が配分されないのではないかという声がありますが、その点、どのようにお考えでしょうか、お聞かせをいただきたいと思います。
  12. 世耕弘成

    大臣政務官世耕弘成君) 税源移譲予定特例交付金でございますけれども、まず総額としては必要な経費をしっかりと確保をしながら、それを地方配分するときはそれぞれの人口ベース配分をさせていただくという考え方になっております。なぜ人口ベースかといいますと、地方税収一定相関関係を持っているということですとか、あるいは配分基準として、非常に簡素であってしかもだれもが納得できるような公信力があるということをベースとしまして、人口基準配分をさせていただくということになります。  また、今御指摘の点でございますけれども、当然、人口で、幾ら総額を確保しているからといって、人口配分をしますから、必ずしも今までもらっていた、義務教育費国庫負担法に基づいてもらっていた額がそれぞれの市町村で担保できるかというと、多少ばらつきが出てくる可能性があるわけでございますけれども、そういった分につきましては、国庫負担金と比べて減少した分については、その全額地方交付税基準財政需要額に算入をしておりまして、交付税算定を通じて個別の市町村必要額を確保していく、そういうやり方になっております。
  13. 大野つや子

    大野つや子君 ありがとうございます。  人口での配分というようなお話でございますが、市町村教育委員会調査結果やまた議会意見書などの状況を聞いたり伺ったりいたしておりますと、大変不安な声が出ているわけでございますので、その点しっかりお願いしたいと思います。  次に、先ほども申しましたように、三位一体改革の中で地方交付税財源保障自体が縮小され、交付税総額自体が大幅に減らされています。退職手当などを取っても地方では必要なお金が確保されないのではないかと大変不安になっています。仮に義務教育費国庫負担金全額一般財源化するとなると、財源保障機能が縮小されていく交付税で過不足なく補われていくという考え方自体が破綻しているのではないかと思いますが、総務省としてどのようにお考えでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。
  14. 世耕弘成

    大臣政務官世耕弘成君) 総務省としましては、当然、地方交付税財源保障機能というのはこれは引き続き三位一体改革の中でも重要だと考えておりますので、まず総論として、地方交付税役割というのはこれはしっかりと守っていきたいと思っておりますし、その中で当然義務教育に関しましても最終的には国が責任を持つべきものだと考えておりますので、適切な財源保障というものは行ってまいりたいと思っております。
  15. 大野つや子

    大野つや子君 ありがとうございます。  次に、三位一体改革推進するに当たりましては、都道府県知事意見と並んで、市町村など実際に義務教育を担っている地方の声と保護者に代表される地域の声を十分に聞いて進めることが重要だと思います。  そこで、私の事務所にも多くのはがきあるいは意見書をいただいております。こうした制度堅持を求める多くの市町村の声に対しまして大臣の御所見をいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  16. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) この三位一体議論、今進んでおるわけでございますが、特にこの義務教育については、やはり全国津々浦々に教育に格差ができないように、これは大変必要な配慮でございまして、この教育機会均等教育水準維持向上、これをどのように確保するかということ、こういう視点に立ちまして、実は総理からも知事会市町村意見をしっかり聞いた上でと、こう言われておるわけでございます。  この、そもそも義務教育費国庫負担制度について一般財源化の話というのは、知事会から出てきたものでございます。しかし一方では、市町村側からはむしろおっしゃるようにこの堅持という声が非常に強い。それはやっぱり財源がどのように確保できるかということについて非常に不透明であるし、現実に、今御指摘ありましたように、人口割ということになると、人口の少ない市町村は一体どうなるだろうかという不安があります。又は現実にそういうことが起き得る可能性もある。そういうことを考えますと、やっぱり一番の末端で教育を担当している設置者である市町村意見をしっかり聞くということは大事でありますから、このことを踏まえながら対応しなきゃいかぬと思っております。  昨年十一月に全国市町村教育委員会連合会の結果によりましても、全国の約九割の市町村教育委員会がこの制度堅持してもらいたいと、こういう要請になっておるわけでございます。また、全国の六割に当たる約千九百の市町村議会も、議会もこの制度堅持意見書が出ております。また、県議会も、知事知事会の意向があると、こう言っておりますが、県議会は既にこの議決をしている県が相当増えているということは、その点について私どもの方もこのことを踏まえながら、やはりこの義務教育のこの制度を、ここまで保ってきたこの制度を守っていく、こういう観点からいきますと、義務教育費国庫負担制度をきちっと維持していく、この根幹を維持していく、堅持していく、このことが私は非常に必要だと、こういう観点に立ってこの問題については対応していかなきゃいかぬと、このように考えておるわけであります。
  17. 大野つや子

    大野つや子君 ありがとうございます。  十分地方の声にも耳を傾けていただき、適切に対処していただきたいと思います。  次に、ただいま申し上げましたように、大変多くの市町村議会教育委員会から義務教育費国庫負担制度堅持してほしいという声をいただいておりますので、同様に総務省としてこういう声をどう受け止めていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。
  18. 世耕弘成

    大臣政務官世耕弘成君) 今、大野先生指摘のように、市町村からはいろいろな意見が出ておることも承知しておりますし、また一方で、先ほど大臣説明ありましたとおり、知事会ですとかあるいは政令指定都市なんかも、逆に税源移譲対象として義務教育費国庫負担金を挙げて一般財源化を求めているという動きもあります。このように地方公共団体においては様々な意見があるということでございますので、これらをよく聞いて、踏まえて、しかし一方で、閣議決定されております基本方針二〇〇三に沿って検討を進めてまいりたいと思っております。
  19. 大野つや子

    大野つや子君 ありがとうございます。  地方の不安をしっかり受け止めていただきたいと思います。  次に、総額裁量制についてお伺いをしたいと思います。  国の方針は、骨太方針二〇〇三に示されているとおり、地方分権推進し、義務教育に関する地方自由度を大幅に高めるということだと思いますが、現場の自由度はここ数年実は上がってきているけれど、財源義務教育の今後の在り方に強い不安があるという声も聞きます。財政論からの改革という受け取られ方ではなく、教育論教育政策を選べない子供たち保護者たちのための公教育公立学校のあるべき姿をどのようにお考えでしょうか、大臣にお伺いしたいと思います。
  20. 原田義昭

    ○副大臣原田義昭君) 今、先生が御指摘されましたように、公教育、国がしっかり方針を出していかなきゃいけないわけでありますけれども、同時に地方分権といいますか、そちらの地方自由裁量をできるだけ重んずると、こういうことが必要だろうと思っております。そういう観点から、私どものこの負担金義務教育費負担制度運用するに当たりまして、このたび総額裁量制というのを導入をしたところでございます。  総額裁量制運用につきましては、要は従来の標準法等に基づく定員と給与水準、これについてはしっかり確保しながら、その総額の実際の運用については都道府県自由裁量をできるだけ広く認めると、こういうことでございまして、今言いましたように、教育の質の向上と併せて、地方分権といいますか、自由裁量をその接点にこの制度を取り込んだところでございます。
  21. 大野つや子

    大野つや子君 ありがとうございます。  ただいまの御答弁をいただきまして、地方自由度の高まりが重要であると私も考えます。そうであれば、情報公開評価システム地域住民に対してどのように示されているかが重要になってくると考えます。  例えば、子供たちが運動会の後、毎回いただいておりました参加賞が、教育委員会からの予算がないと言われ、学校側がいきなり廃止したりするようなことは、子供たちには全く分からないことでございます。当然各教育委員会が主体的に行っていることではございますが、最近は学校も教師も評価される時代になってきていると思います。より一層分かりやすいものが求められるのではないかと考えますが、いかがでございましょうか。
  22. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) お答えをいたします。  委員指摘のとおり、地方自由度を高めることに伴いまして、教育委員会学校が自らの教育活動について保護者地域住民に対し説明責任を果たすよう、学校評価情報提供などを推進していくことがますます重要になってきていると考えております。  このため、文部科学省におきましても、教育委員会につきまして先般法律改正をいたしまして、平成十四年一月から会議を原則として公開することにいたしたわけでございますし、また学校につきましては、平成十四年度に自己評価の実施とその結果の公表を努力義務化するとともに、学校情報提供義務化したところでございます。また、開かれた学校づくり推進すると、こういう観点から、平成十二年度に学校評議員制度を導入し、これも今各教育委員会であるいは学校で取組が進んできているところでございます。  私ども文部科学省といたしましては、今後とも、こういった学校評価情報提供を更に促進するなど、教育における評価公開推進に努力してまいりたいと考えております。
  23. 大野つや子

    大野つや子君 ありがとうございます。よろしくお願いをいたします。  次に、平成十四年度から学校図書館図書整備費というのが地方交付税措置として予算化されました。当時、裁量的な交付税の増額と認識されたのか、立法化したにもかかわらず各市町村の中でも三〇%程度しか図書費を増額しなかったとか、増額していなかった理由として、地方交付税制度単位費用算定基礎数値から見て標準図書費用を上回っているからとか、一人当たりの蔵書数が近隣よりも上回っているからとのことでございました。  これも子供立場、また教育論からの意見だったのか疑問が残っているのですが、現状はどうなっているのでしょうか。文科省はその後どのように関係部署に御連絡をされているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  24. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) お答えをいたします。  先生指摘のように、公立義務教育学校学校図書館蔵書につきましては、平成十三年十二月の子ども読書活動推進に関する法律が成立をしたということと、現在この新しい学習指導要領の下で、児童生徒の多様な学習活動読書活動を支えていく上で学校図書館蔵書充実が求められていると、こういったことを踏まえまして、平成十四年度から五年計画で毎年約百三十億円、総額約六百五十億円の地方交付税措置を講じることにしたわけでございまして、実態の調査でございますが、私どもの調べによりますと、平成十四年度の学校図書館図書整備費によります図書購入決算額が百三十六億円でございます。また、平成十五年度の学校図書館図書整備費予算措置額が百四十二億円と。これ、市町村によりまして若干やはりばらつきがございます。きちっと措置をしている市町村とやはり低めの市町村とがございますが、トータルとしては今言ったような数字になっておるわけでございます。  それから、各教育委員会に対する指導についてのお尋ねでございますが、私ども、各都道府県教育委員会に対しまして、こういった地方交付税措置を踏まえて学校図書館蔵書充実されるように文書で指導を行ったところでございますし、教育委員会関係者を集めましたいろんな会議でございますとか校長会、こういった場面を、場をとらえまして周知指導を図ってきたところでございますが、やはりこの事柄の重要性にかんがみまして、今後とも引き続き周知徹底に努めてまいりたいと、かように考えておるところでございます。
  25. 大野つや子

    大野つや子君 ありがとうございます。  子供たちのためにもしっかり取り組んでいただきたいと思いますし、年齢に合わせてその折その折に読んでいただきたい本というものがあると思います。どうぞよろしくお願いいたします。  次に、私の地元でございますが、岐阜県では、時代は既に国家教育ではなく自治体教育であるとしています。地方分権論も、一方では憲法地方自治法も「地方自治本旨に基いて、」と書いてありますが、本旨の規定がないという議論があります。  公教育義務教育はきちんとした本旨教育論から掲げ、子供たちのために一致協力して行動をしなければならないときであると私は感じておりますが、御所見をお聞かせいただけないでしょうか。
  26. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 地方自治憲法本旨に基づいてと、こうあるわけです。  教育論については、これは特に義務教育については、憲法第二十六条において国民義務教育、特に保護者義務を課しておる、そして教育を無償にすると、こうなっておるわけでございまして、そういう意味で私は、義務教育についてはきちっとした基本的な理念に基づいて行われてきていると、こういうふうに考えております。  ただ、これからの在り方について、正にややもすると最近の流れの中では、先ほど大野先生も御指摘のように、財政論的な面も非常に強く、色濃く出てきている嫌いがございます。これで本当にいいのかという議論、これまでもこの委員会でも随分御指摘をいただいておるところでございまして、この義務教育の正に憲法要請するところ考えたときに、やはり教育論としてきちっと位置付けながらこの推進を図っていくということが非常に大事だと、私はそう思っておりまして、今回、教育基本法を始めとする教育の見直しという大きな今課題に正に文部科学省も取り組まんといたしておりますし、またこの委員会からもいろいろ高邁な御意見もいただいておるところでございますが、そういう点に立ち返ってみても、改めて日本教育これでいいのかという教育論から、こうした今御指摘があったような問題にこれから取り組まなきゃいけないときが来ておる、このことを非常に痛感をいたしておるところであります。
  27. 大野つや子

    大野つや子君 ありがとうございます。  大臣、ただいまも御答弁の中にもありましたが、教育基本法改定案も視野に入れていらっしゃると思いますが、この点についてどのようにお考えでしょうか、お聞かせをいただきたいと思います。
  28. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 御案内のように、教育基本法が、戦後の我が国の教育基本理念、これを確立するという意味で、教育根本を定める法律ということで昭和二十二年に制定をされたわけでございます。自来、今日まで一度も改正されることなく、約五十七年余経過をいたしておるところでございます。  この間に、経済情勢を始めあらゆる環境大きく変化をいたしたわけでございまして、その当時、制定当時予想されなかったいろんな問題も惹起しておりますし、世界流れも大きく変わってきた。日本世界における立場も変わってきた。こういうことから、改めて日本教育根本にさかのぼって考える、そして思い切った教育改革をやる、このことが非常に重要になってきていること。このことを受けて、これまでの内閣においても、教育の構造改革の一環としてこの教育基本法いかにあるべきかということがとらえられてきたわけでございます。  しかし、本格的にこの問題が正に国会における政治日程といいますか、こうなってまいりましたのは、昨年三月に中央教育議会において新しい時代にふさわしい教育基本法在り方について答申をいただいたということが具体的なこの教育基本法の改正の取組の端緒になったわけでございます。  もちろん、その以前から、例えば小渕内閣における正に教育改革国民会議において自由濶達な議論の中でそういう指摘が既にあったわけでございます。これを受けまして、森内閣、そしてこのたびの小泉内閣における中央教育議会に対する諮問、そして答申と、こうなったわけでございます。この中で、教育は人格の完成であると、こう目指しております今の現行法、こうしたその現行法の基本理念というものは普遍的なものでありますから、これは非常に重要な理念だとして大切にしながらも、しかし新たにこの時代にふさわしい理念としてどういうものを考えていったらいいかということが提言をされております。  例えば、個人の自己実現と個性、能力、創造性の涵養である。また、社会の形成に主体的に参加する公共の精神、あるいは道徳心、これの養成、さらに日本の伝統文化の尊重、郷土や国を愛する心と国際社会の一員としての意識の涵養である。また、家庭教育役割学校、家庭、地域社会の連携協力の必要性、さらにそれに基づく全体としての教育振興の基本計画、これを策定をする。この根拠になるべきものがこうした一連の基本理念が必要であると。そして、教育基本法教育に対する振興基本計画というものを策定すべきである。こういう諮問をいただいたところでございまして、この点を受けまして、まずは、これは教育根本理念といいますか、教育憲法にかかわる大きな問題でありますから、国民的な議論が必要であると、こう文部科学省考えまして、全国各地において教育改革フォーラムあるいはタウンミーティング、様々な手段を通じて教育基本法に関する国民的な理解に取組を今進めておるところでございます。  この問題は、これはもう法律の問題でありますから、閣法として出す以上は、これは文部科学省責任においてやらなきゃいけないことでございますけれども、もちろん国会で議論をしていただく、そのためには、まず政権与党という責任政党であります自民党、そして公明党の間においてもこの問題に御議論をいただかなきゃならぬということで、昨年五月以来、与党教育基本法改正に関する協議会及び検討会を設け、そして具体的にこの改正問題について今御議論をいただいておるところでございます。  文部科学省といたしましても、引き続き国民議論を高めながら、と同時に、この与党の取組、この協議を踏まえながら教育基本法の改正に取り組んでいきたいと、このように考えておるところであります。
  29. 大野つや子

    大野つや子君 ありがとうございました。  大臣の熱い思いを聞かせていただきまして、心強く思います。今後ともしっかり取り組んでいただきたいと存じます。よろしくお願いいたします。  以上で私の質問を終わり、大仁田議員にお渡しいたします。よろしくお願いいたします。
  30. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 どうもおはようございます。どうも、自由民主党の大仁田厚でございます。  今日は、本案の質疑に入る前に、義務教育をそもそもどのようにとらえていらっしゃるかというのを文部科学省及び総務省、財務省それぞれのお立場から御意見をお伺いしたいと思います。是非、大臣には、いろんなしがらみがあるとは思いますが、大臣のお言葉で、本人のお言葉で是非この義務教育そのものに対しての御意見を、是非本音をお伺いしたいと思っております。  僕は、基本的に、僕、人間というのは好き嫌いがあると思うんですけれども、僕は大臣は好きです、はい。いやなぜ好きかというと、やっぱり朝一発そこで、こう座っているときに、おう、元気と声を掛けてくれると、人間不思議なもので、あっ、どうも、元気でやっておりますと、こう不思議なもので、そういうもので親近感を覚えるものです。これをSPが横におられてばばばばんと無視されて行かれたら、何だあの人はという、僕は人間てそういうものだと思うんですよ、単純に言うとですね。  先ほども中曽根先生と今お話をしていて、僕の学校観、僕の学校観というのは義務教育課程なんですよ。正直に申しますと、お恥ずかしいと、僕、五年前まで中卒だったもので、本当に義務教育課程しか知らなかったんです。それが僕の学校観なんです。  僕なんかの時代といわれると、山本先生がよく古い時代のことを言われるんですけれども、僕は懐かしく聞いているんですけれども学校へ行くと、学校へ行くと体育教師にまた猛者みたいのがいるんですよ。通称クマという人がいまして、その人が、遅刻すると、遅刻すると、おまえ遅刻しただろうとかと言われて、はいと言われた瞬間に目の前に、目の前に来てもう間一髪、何も言わないで殴られるんですね。殴られて学生服のボタンが全部取れるんですよ。それで朝こうやって、教室に入ってこうやって座っていると、おい大仁田と担当の先生から言われるんですよ。おまえボタンどうしたと言われる。いや、ボタンですかと。おいおまえ前に来いと、また殴られるんですよ。そしてまた二時間目、理科か何かの先生に、僕がこうやっていて、おいおまえボタンどうしたと。で、また殴られるわけですよ。ずっと六時間なら六時間中殴られてですね。だけれども、不思議なことに、人間のコミュニケーションて何かなと思うと、やっぱり信頼関係から成り立って構築されているものってあるんですよ。先生から愛情を感じるわけですよ。  僕は先ほど別に大臣をよいしょしたわけでも何でもなく、やっぱり愛情を感じる人間に対して、人間はそれなりの行動を起こしたり感じるものがある限り、人間というのはやっぱり必要だなと思うんです。何をその人間から感じ、何を発するか、それが僕は人間の最大のコミュニケーションだと僕は信じているんです。やっぱりそこに生徒と先生という構築された信頼関係が成り立っていた。そしてまた、家庭はその先生に対して絶大なる信頼を持っていた。何でその部分が欠落していったのか、僕自身この答えを見付けることは物すごい難しいですけれども。  不思議なもので、僕は歴代、その中学で名をとどろかしていまして、歴代、桜馬場中学というんですけれども、何万人卒業したか分かりませんけれども先生たちが僕のことを語ってくれるんですよ、ずっと。  それで何をやったかというと、学校の二階から飛び降りただけなんですけれども。それも安易なんですよ。掃除の時間にみんながいるわけですよ。大仁田、おまえここから飛び降りれるかと言うから、いやいや、おれどうかなと言いながらぱっと下見たら、ああ、これは飛び降りれそうだと思って、ああ、飛び降りれるよと。みんなが百円くれると言ったんです。四十六人いましたから四千六百円だと思って、おお、四千六百円稼げるなと思って、おお、おれはやってやると言って、おれにできないことはないんだと言って飛び降りるわけです。本当に飛び降りたんですよね、西岡先生。歴代、これ有名な話なんですよ。本当に飛び降りたんです。運悪いことにガラスの破片があって足に突き刺さって、痛いなと思いながらそのまま病院に駆け込むんですよ。  じゃ、ここで不思議なことに、それで先生が怒るかというと、怒らないんですね、また、不思議なことに、ちゃんとした受け止める世界があってですね。翌日、集金がありますから、松葉づえついてこうやって学校へ行ったんです。それで、学級委員長に、おい、おい、ほら、あの約束のほら、百円だから四千六百円くれよと言ったら、おい大仁田、おまえ話は最後まで聞けと言うんです。おれたちが言ったのは、みんなでまとめて百円だと。そのとき生まれて初めて分かるんですよ、人の話は最後まで聞いてからやろうと。  いやいやいや、これも、いやいやいや、冗談みたいな話ですけれども、やっぱり思い出、思い出って何かなって、やっぱり自分の中でいろんなものを感じたり、学校という友達からいろんなものを感じたりすることって、だから、僕はこんな冗談みたいな話しているようですけれども、やっぱり義務教育というものに対して僕らはやっぱり真剣に取り組むべきじゃないかなと。  本当に、何というのかな、僕は知らないんですけれども、本当に権利ばっかり主張するんじゃなくて、やっぱり義務も、義務も是非認識しなきゃいけない部分というのはあるんですけれども義務教育って感じたときに、僕は本当に自然だったんです。義務教育というのは、義務教育というのは、もう本当に中学まで卒業しなきゃ、これはもうやらなきゃいけないことなんだよと。その中で楽しさとか苦しさとか、いろんなものを学んできたような気がするんです。  ちょっと筋、ずれましたけれども、本題に移らせていただくんですけれども。  いろんな部分で義務教育国庫負担一般財源化されることによってもたらされる弊害として第一に挙げられるのが、地域別格差が生じ、均等な教育を行うことができなくなるというものですね。文科省は、地域別格差を生じさせないためにも、義務教育国庫負担堅持を主張されているわけですよね。しかし、現実的には各都道府県間、各町村間、さらには地域学校ごとにも大きな格差が生じていることは否定できないと私は思うんですけれども、加えて、学校選択制や中高一貫の登場、特区におけるNPOの学校の認定など、義務教育課程においてもかなり幅広い教育がなされていると言えると思うんです。  また、小中高における不登校児生徒が平成十四年で実に十三万人を超えるという現状もあります。そしてまた、この十三万人の中には保健室や適応指導教室に登校している児童生徒は含まれていないんです。文科省の想定している義務教育を享受していない学童は十三万人をはるかに上回る数字になっていると思うんですが、このような現実を見て、子供たちのひとしく教育を受ける権利の保障や普通教育を受けさせる義務を果たすことができているのかということにちょっと疑問を感じるんですけれども。  学習指導要領に基づいて最低限度の学力を身に付けさせることを義務教育の定義とする御意見もあると思いますが、この点において、例えば兵庫県宝塚市のように、学習指導要領に定める年間総授業時間数の千五十時間を確保せず、是正指導を受けているような自治体もあります。この地域児童生徒たちについて、明らかに憲法保障するところのひとしい教育を受けていることができていないと思われるのですが。  そこで、河村大臣にお伺いいたします。そもそも義務教育をどのようにとらえていらっしゃいますか。また、現状としてその義務教育は確保されているとお考えですか。同じ質問に対して、わざわざ総務省から世耕大臣政務官及び財務省から山下大臣政務官に同じことに対してお答え願いたいんですが、よろしくお願いいたします。
  31. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 私、副大臣の当時からこの文教科学委員会、大仁田先生が自己の体験を交えながら、ユニークといいますか、大仁田先生でなきゃできない教育論を展開をしていただいておりまして、私も大いに啓発を受けておるところでございます。そこで、大事な義務教育の体験に基づきながら、今の義務教育これでいいのかという御指摘をいただいたわけでございます。そもそもどうあるべきかと、こういうお話でございます。  これはもうみんな、義務教育は我々みんな受ける、そして日本においてはもう識字率一〇〇%、特別な例を除き、こういう状態になっておる。これはもう世界においても正にトップクラスの国であるわけでございます。かつての日本の国をつくられた多くの先達の皆さん方は、やっぱり教育を大事にしてこられた。どの家にも学ばない人がないように、どの村にも不学の人がないようにと、そういう大きな精神で教育を全戸に、全国津々浦々一定の高い水準の教育を受けられるように、これが義務教育基本理念でありますし、これはこれまで堅持をされてきて、さらに、この財政の厳しいときであります。いろいろ財政論からいろいろ言われているけれども、それを乗り越えて、教育論でこの義務教育堅持していこうというのが我が文部科学省の最大の一番の大きな使命であると、このように思っておるわけでございます。  特に、義務教育段階において、いわゆる知徳体と言われますが、そういうもののバランスをきちっと取っていく。もちろんそこが一番大事でありますから、そこをスタートにして中等高等教育に入っていくわけですね。しかし、やっぱりそこのところできちっとやっているかやっていないかによってすべて人間が決まっていくと言っても過言でありませんから極めて重要であるわけでございまして、しかも、日本においてはそれは義務教育は無償で行うんだという考え方、そしてすべての国民教育子供たちに受けさせる、これはもう、保護者としてのこれはもう義務であり責任である、そしてその総括的な責任は最終的に国が負っているんだと、これが義務教育在り方だろうと、こう思っておりまして、一部お触れになりましたように、一般財源化の問題が出ております。  これは地方分権、正に地方が裁量性を発揮したいという観点から知事会等からも出てきたわけでありますが、しかし、現実財政力の弱い市町村がこの義務教育費を負担することのこの大きな負担をどう軽くしていくのかという問題もございまして、そのために教育費が削減されるということがあってはならぬ、これによって教育に格差が出てはならぬ、このことをやっぱり国として、文部科学省責任のある文部科学省としてはこれはやっぱり看過できない問題でありますから、そういう観点から立てば、この義務教育費の国庫負担制度というのは、これは、この根幹が堅持されながら全国のおける義務教育の水準を維持していく、このことはこれは死守しなきゃいけない大事な課題だと考えておりますし、大仁田先生もそういう気持ちを込めて質問をされたと私は受け止めておるところでございます。  個々の市町村においてどういう取組をしているか。これが格差を生じるような教育現場であれば、これは文部科学省としても、これに対しては、この格差を落とさないようにこれは努力してもらわなきゃいけませんから、これについては私どもとしてほうっておくわけにはいかない状況もあろうかと思います。個々の市町村、その上には教育委員会もありますから、各教育委員会は、県の教育委員会も県のレベル全体を見ながらやってくれておるわけでございまして、個々について問題がある点については県の教育委員会とも我々情報をいただきながら、そういうことの起きないようにこれはもう努力していかなきゃいかぬと思いますし、指導すべきところは指導していかなきゃならぬと、こう思っております。  最終的に義務教育で受けた基本的な考え方、基本的な教育というものがしっかり根付いて、そしてこれからを担う子供たちがやる気さえ起こすようになりさえすれば私は大丈夫だと思っておりまして、大仁田先生が今もまず学ぶ意欲を捨てないで、さらに、これまで学ばれなかった分を更に大人になってみて考えてやっぱり学ぼうといって努力されていることを前の委員会でもお聞きしながら、やっぱりそういう気持ちを伝え、やっぱりこれを、それが生まれてくるというのはやっぱり、さかのぼってみれば義務教育のときこうだった、ああだったということが一番基になっておるんじゃないかなと、そう思いながら、義務教育がいかに大事かということを文部科学省としては更に重視してこの義務教育費国庫負担制度等の根幹を維持し堅持していくと、この方針を貫いていかなきゃいけないと、こう思っておるわけであります。
  32. 世耕弘成

    大臣政務官世耕弘成君) 大変難しい、義務教育とは何かという御質問でございますが、まず最初に私なりに考えていることを申し上げると、義務教育というのは、やはり授業料が無料で、そして日本国民全員が機会均等に与えられて、そしてその中では日本国民として生きていく上での必要な人格形成ですとか基礎、基本的な学力の養成ですとか、あるいは集団生活の暮らし方とか、そういったことを教えていく場であると思っております。  私自身、最近の義務教育について感じていることを少し申し上げますと、私自身、父親が私学の経営者でもありますので余りこういうことを言ってはいけないのかもしれませんが、小学校とか中学校とかそういった義務教育段階で、私の同世代の親、つまりそういう子供たちを持つ世代の親も競って私学へ行かせる、もういい教育は私学へ行かないと受けれないというような、そういう風潮があるのも事実でございます。現に、東京大学とか、いわゆるいいと言われている大学へ入る学生の親の年収というのは非常に高いレベルになっております。私は、そういう意味で、今、非常に日本の今まで強みであった教育機会均等というのが失われてきているんではないかという大変な危惧を持っています。お金持ちの子供じゃないといい教育が受けられないという状況になってきているんではないかという危惧を持っております。  そういう意味で、私は、公立の義務教育しっかりしてほしいと思っておりますし、ある意味地方に裁量を与えて、それぞれの市町村で知恵を出し合ってより良い公教育を実現をしていくという取組も重要なんではないかというふうに考えているわけでございます。
  33. 山下英利

    大臣政務官(山下英利君) 義務教育というものが国家それから社会の一員として本当に必要な、共通に身に付けなきゃいけない基礎、基本を国民が習得していくという大変重要な役割を持っているわけであります。  私も、自分自身、義務教育実際受けた立場考えて、最近言われているいろいろな批判に対して、やはりこれを何とか改善していかなければいけないという思いを大変強くしている者の一人なんですが、やはり国は、もうすべての国民に対して機会均等に、そしてその環境を実現するための責任を負っていかなければいけない、最終的な責任は、これは国にあるんだというところは基本的な認識であります。  そういった中で、やはり最近子供の学力の低下であるとか、あるいは全国的な、画一的な教育というものに対するいろんな声が出ている中で、やはり国と地方がしっかりと役割分担を担って、そして本当にそれぞれの地域自由度を増して創意工夫によって教育の質の向上を図るということというのは大変大事でもあり、それが喫緊の課題ではないかな、そのように思っているわけでございます。  したがいまして、財務省といたしましては、国と地方がしっかりと連携をして役割分担をしていくという観点から、義務教育のこれからの改善を目指した見直しを進めていかなければいけないというところはしっかりと認識している次第でございます。
  34. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 是非、馳大臣政務官にもお聞きしたいんですが、よろしくお願いします。
  35. 馳浩

    大臣政務官(馳浩君) 義務教育在り方ということですが、まさしく憲法第二十六条には、すべて国民は、法律の定めるところにより、保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負うと。これは実態でいえば、実態でいえば、保護する子女に、子供学校に行かせる義務ということになっておると思います。憲法本旨からいえば、まさしく小学校一年生から中学校三年生に至るこの期間において、まさしく親が子供に普通教育を十分に与えることのできる環境を整えておくことがまず義務教育に携わる我々文部科学省であったり政府の一つの役割であるというふうに思っております。  そういった基本的な観点の中から、そうはいっても、教科書と、例えばですよ、最近世の中に浸透しておりますインターネットなどを通じて学力が、あるいは道徳的なものは子供たちに教えられればよいのかといえば、全くそうではないというのは国民だれしも分かるところであって、教員の資質の向上と、そしてその意欲を喚起させる、そういった努力があってこそ、初めて義務教育によって魂が吹き込まれるものであろうというふうに思っております。  大仁田委員から先ほどの御自身の学校時代お話も承りましたが、まさしく、どのような先生にどのような関係を持ってそれを、九年間を過ごすかと。これを教員自身も我々教育行政に携わる者もしっかりと自覚をして、全国あまねくといいますか、どの地域に住んでいても義務教育の基本的な一定水準が確保される、これを担保しておくことがまさしく国民としての私責務であろうかなと、こういうふうに思います。
  36. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 皆さん本当にありがとうございました。非常に過渡期だと思いますし、時代の変革期であり、非常に皆さん分かりやすく説明していただいたんですけれども。  僕は選挙に立つときに熱く語っていたんですけれども、人づくりなくして国づくりなし。文教族というのは物すごく、人をつくるというのはアバウトな世界であって、十年後、二十年後、未来のために人をつくる。  僕は財政というのをよく分かるんですけれども、財政確保、財源がなければ教育もできない。大臣の、大臣の一言の中に努力という言葉がありましたけれども世耕先生のところ、世耕先生の中にも努力という言葉がありましたけれども、やっぱり僕は努力する人間、頑張る人間が、義務教育の中において頑張る人間が培われて、やっぱり最終的に努力する人間、頑張る人間が平等に教育を受けて、そこからやっぱり自分のエネルギーでこの自分の人生をはい上がってくるようなシステムを壊したりなんかするのは僕は安易ではないかと思うんですけれども。  それでは次の質問に行かしていただくんですけれども義務教育国庫負担一般財源化について御意見をいただきたいと思っております。  御案内のとおり、小泉総理の進める三位一体改革の中で補助金削減と税制移譲が行われているわけですが、主な補助金をちょっと眺めていただいて、保育所運営費負担金が四千二百二十億円、交通安全対策特別交付金が八百二十二億円、そして介護保険事務費交付金が三百五億円に対して、義務教育国庫負担金は二兆八千億円という莫大な額になっております。  総理が言われたように、三年間で四兆円を削減しろ。手っ取り早く、最も額面がこの中で一番多いのは義務教育国庫負担金なわけですよね。まあ最良の方法だとだれしも考えるわけですけれども、やっぱり僕はちょっと安易だなと思うわけです。いや、それは簡単ですよ、一番金を使っているところから削減するのは一番簡単かもしれませんけれども。だけれども、先ほども言いましたように、大臣の中からも聞こえてきたように、馳政務官からも聞こえてきたように、やっぱり国家の礎というのは人なんですよね。その人づくりなくして国づくりなしという、おれたちが思っている熱い思い、そこからぼんと持っていかれたら、やっぱりどうするのかなって自分の中で不安を抱くんですけれども。  ここで世耕大臣政務官にお伺いしたいと思うんですが、一応教育論なしに数字の大きいところから削減しているような、手っ取り早いところから削減しているような、そういう批判というのは御存じですよね。それに対してどのようなお考えですか。また、このような批判、意見に対する文部科学省としての御所見もお伺いしたいと思っております。  最初に、一般財源化に対するPTA及び教育委員会、県、市町村教職員団体などの御意見を示していただいた後に、それぞれお伺いしたいと思っております。
  37. 世耕弘成

    大臣政務官世耕弘成君) 今回、国庫負担金の削減について大きいものから適当に選んでいるのではないかという御指摘でございますが、そういうことはございませんで、元々これは平成十五年六月に閣議決定されました基本方針二〇〇三、いわゆる骨太の方針ですけれども、その中に、まず国庫補助負担金等整理合理化方針というのが定められていまして、その中でまず大方針として、国庫補助金については原則として廃止、縮減を図っていく、そして国庫負担金についても、真に国が義務的に負担を行うべきと考えられる分野に限定していくという形になっておりまして、基本的には地方公共団体の事務として同化、定着、定型化しているもの、あるいは人件費補助にかかわる補助金とか交付金については一般財源化を図るという大きな方針が示されております。その中でいろいろ検討してやれるものからやっていっているという形でございまして、決して大きい額でやっているわけではありません。  例えば、我々の総務省でも、これ、額としてはそんなに大きくないんですけれども、今回、国庫補助負担金一般財源化を行っているもの、幾つかございます。例えば、公営地下高速鉄道事業助成金十一億円とか、明るい選挙推進費交付金、これが三億円とか、そういった小さなものでも今の方針に合致するものはやっているわけでございまして、決して額の大きいものから順番にやっているとか適当に選んでいるとかいうことはないということを御理解いただきたいと思います。
  38. 原田義昭

    ○副大臣原田義昭君) この件につきましては、大臣からも再三御報告申し上げておりますように、必要な見直しはもちろんこういう流れの中でしっかり行っていくわけでありますけれども義務教育国庫負担制度について、根幹については断固として守り抜くと、こういう姿勢でやっていきたいと、こう思っております。  正に今、そのことについて私どもの中央教育議会におきましても部会を開き、将来の教育在り方についてはしっかり議論を進めておるところでありますけれども、その姿勢、方針はいささかも変わらないと、こういうふうに考えております。
  39. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 どうもありがとうございました。  いや、もうそのお言葉を聞いて安心しておりますが、是非、僕は、やっぱりいろんな意見というのは切磋琢磨してぶつけ合わなきゃいけない。僕は、論じるときもそうですけれども、何で各省庁の先生方が来られているかと。やっぱり各方面の意見を闘わせながら、やっぱり人間はその中からいろんな意見が必要だということなんです、僕は。  僕はよく馳先生とも戦ったことがあるんですけれども。いやいや、僕はそれを、それをいろんな部分、僕は、これ笑い事ではなく、それをこっち側から見ると、何やっているんだと、国会議員が何でリングの中で戦っているんだという見方があると思うんですよ、ちょっと見方を変えてですね。いや、論点がずれているわけじゃない、最終的には合うんですけれども、こういう見方からすると、何で国会議員がリングの中で戦っているんだという見方も確かにあると思います。だけれども、国会議員というものをじゃ身近にするためにもおれたちはリングで戦っているという見方もあると思うんです。いろんな見方がある。やっぱりいろんな意見を切磋琢磨させながらやっぱり理想の方向に持っていく、僕はそれが国づくりだと思うんですよ。  ちょっとまた本題に、ずれそうなもので、本題に戻さなきゃいけないんですけれども、僕は世耕務官の言うこともよく分かるんですが、やっぱり違いますよね、沖縄と東京では。やっぱり税収も違うし、財源も違うし。それは御存じですよね、もう。  東京では、平成十五年度の国庫負担金交付決定額が一千八百八十四億余りだったものが、税源移譲により、推計で四千二百五十五億余りとなり、その増減率は一二五・八%になるのに対して、沖縄では、国庫負担金交付決定額が三百六十七億円余りのものが税源移譲により推計で百六十一億円余りとなり、増減率はマイナス五六%となっています。  税源移譲により、都道府県間に著しき税制の幅というか格差が開くわけですね。義務教育費のため、義務教育費のため財源保障機能がなくなり、結果的には教育条件の格差をもたらすという懸念があると思いますが、あわせて、一般財源化によって地方自由度が高まるという御主張の中の自由度とは具体的にどのようなものを示すのか、お聞かせいただきたいと思います。世耕大臣政務官にお聞かせ願いたいと思います。
  40. 世耕弘成

    大臣政務官世耕弘成君) この税源移譲によって、まず第一問は、税源移譲によって教育条件の格差が生まれるんではないかという御指摘ですが、私も教育条件の格差というものは生まれてはならないと思っておりますし、今回の税源移譲は生まれるものではないと思っています。  元々、国は、教育制度の根幹や全国的に保障すべき教育水準というのはいろいろな法律制度で定めているわけでございまして、そういった水準を守るための必要な施策、それに必要な財源についてはしっかりと保障していくというのが基本的な大方針でございます。具体的には、各地方公共団体における標準的な教育サービスの提供に必要な財政需要を的確に地方交付税基準財政需要額算定に反映をさせていますので、格差は最終的には、結果的には生まれないというふうに考えているわけでございます。  それと、二問目の義務教育費国庫負担金一般財源化地方自由度、具体的にどういう自由度が高まるのかという御質問でございますが、例えば、地域教育環境とか児童生徒の実情に応じた弾力的な学級編制や教員配置が可能になると思っております。  また、今の負担金では、あくまでも教職員の給与という形に限定をされていますけれども、例えば英語を外部の英会話の学校に少し委託をしてみるとか、そういう外部人材を使うというような形で、委託費というような形でも使えるということで弾力性が高まるんではないかというふうに考えているわけでございます。  今、例えば加配職員というのが認められていますけれども、これはもういったん英語なら英語で認められると、もう英語しか駄目なんですね。それが、地域によっては英語よりももっと、登校拒否の子が最近増えてきたんでもう少しそういうカウンセリング的なところを強化したいとか、そういう部分があると思うんです。その辺を地域地域で御判断をいただく、そういう自由度が高まるのではないかというふうに考えておりまして、当然全国的な必要な教育水準は確保していくことが大前提だと考えております。
  41. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 どうもありがとうございます。  去る十九日に行われた参議院本会議で麻生総務大臣が、義務教育については、基本的には国が全国的に確保すべき基準を設定し、財源には地方財政計画と地方交付税によって保障されるべきと答弁された点について、河村大臣、山下大臣政務官の御意見をお伺いしたいと思います。あっ、副大臣、どうぞよろしく。
  42. 原田義昭

    ○副大臣原田義昭君) 麻生総務大臣お話しになったこと、つぶさにはつかまえておりませんけれども、今お話しになっておりますように、この一般財源化するに当たりまして、これを例えば税源移譲とか交付税をその分、見合った部分を充てるんだと、仮にこういうようなお話であるといたしますと、私はいろいろ問題があると思っているんですよ。  一つは、何といっても、地方交付税というのは目的が決まっておりませんから、ですから、額が潤沢にあるときには教育の問題に使うけれども、場合によっては、非常に厳しくなれば他にも流用すると、流用するというか、使うということになりますと、本来の教育に充てる必要額保障されないと、こういうようなことにもなるわけでありますし、また、もう既に議論がありましたように、税源については地域によっては大きな格差があります。東京都と沖縄県、先ほど数字も出されました。そういう意味では、この税源を移譲するから、また地方交付税でしっかり手当てをするからこの教育的な基本、根幹の部分を全部移譲できるかということについては、私たち、これからの検討ではありますけれども、基本的にはやっぱりそこはきちっと従来の制度を守り抜かなきゃいけない、こういうふうに思っているところであります。
  43. 山下英利

    大臣政務官(山下英利君) 義務教育費につきまして、教育機会均等、それから教育の質の向上を図るという基本認識、これは先ほどもお話をさせていただいたとおりでありますけれども、これにつきましての財源手当ての仕組みについてただいま御質問があったと、そういうふうに理解をいたしております。  基本方針二〇〇三、骨太方針三でございますが、それが昨年末のあの政府与党合意におきまして、義務教育についての国、地方の適切な役割分担という観点から、地方自由度を大幅に拡大して、そして引き続き見直しを進めていくということとされているところでありますけれども、財務省といたしましては、この骨太改革三の改革工程に従って、関係省庁と密接な協力連携を図っていきながら国庫負担制度在り方について改革を進めていくというスタンスでございます。
  44. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 どうもありがとうございました。  続いて、総額裁量制について質問に移らせていただきます。  まずは、この総額裁量制のメリットについてお聞かせください。及び、総額裁量制について、各方面、総務省及び財務省の評価はどのようなものか、お聞かせいただきたいと思います。
  45. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) お答えをいたします。  総額裁量制でございますが、この制度は、教職員給与費の実支出額の原則二分の一を国庫負担すると、こういうことを前提とした上で、義務教育に関する地方自由度を高める、こういう観点から、その負担金総額の範囲内で教職員の給与や配置についての都道府県の裁量拡大をしようと、これがねらいでございまして、これによりまして、これはあくまでも一例ではございますが、例えば、給与費を全体的に抑制をいたしまして、その財源を活用して教職員を多く配置することによっていわゆる少人数学級を実施をするとか、非常勤講師あるいは再任用教員等を多く配置することによりまして習熟度別の少人数指導充実させるなど、地方独自のいろんな展開をすることが従来以上にできやすくなると、こういうふうに考えているわけでございます。  次に、この総額裁量制についての関係各方面からの御意見でございますが、一つは、昨年十一月に全国市町村教育委員会連合会がアンケート調査を実施をいたしておりますが、約八二%の市町村教育委員会がこの総額裁量制評価いただいております。また、全国都道府県教育委員会連合会からも、総額裁量制を積極的に評価する旨の意見が提出をされております。また、都道府県知事でございますが、知事会としての意見ではございませんけれども都道府県知事さんの中には、この総額裁量制につきまして効果的な、肯定的な評価をいただいている、そういう知事さんも増えてきていると、こういうふうに理解をいたしているところでございます。
  46. 世耕弘成

    大臣政務官世耕弘成君) この総額裁量制につきましては一定評価をさせていただいておりますけれども、一方で、例えば、幾ら総額の範囲内であっても、教材費とか、先ほど申し上げたような例えば外部の専門家に委託をするとか、そういったことには使えない、教職員の給与以外には使えないということ。あるいは、各地域が知恵を出して合理化努力をして、例えばこの総額よりも人件費を、給与を下回らせた場合、その余った分はこの総額裁量制では使えない、国庫にお返しをしなければいけないという形になること。また、加配教職員にかかわる定数の部分については、これは文部科学省が指定をされた目的以外には使用できない、英語なら英語という形に限定されているということで、まだ少し改善の余地があるのではないかというふうに考えております。
  47. 山下英利

    大臣政務官(山下英利君) この総額裁量制につきましては、これはもう先ほどからお話をしている地方自由度を拡大するための義務教育国庫負担金制度の正に改革の一環として導入されるものであるということを我々は認識しているところであります。  この総額裁量制が導入されまして、先ほど来お話もございますとおり、職種や給料、手当の種類ごとに細かく規定されていたというところが、地方公共団体が今後は国庫負担金を自由に融通、活用できる、その余地が広がっていくという観点から、教職員の給与、配置に関する地方自由度がある程度、一定程度でございますけれども拡大するものと期待をしているところでございます。  いずれにいたしましても、地方自由度を大幅に拡大して各地域の創意工夫が一層生かされますように、財務省といたしましても、閣議決定された基本方針二〇〇三、この改革工程に従いまして一層の改革を進めていきたいと、そのように思っているところでございます。
  48. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 済みませんが、馳大臣政務官にもちょっとお聞きしたいんですけれども総額裁量制についてのメリットについてお伺いしたいんですけれども
  49. 馳浩

    大臣政務官(馳浩君) 突然の御指名ありがとうございます。  財務省と総務省答弁を拝聴しておりましたけれども、どうなんでしょう、やっぱり国庫補助負担金のやっぱり総額をまずは財政的な見地から削減したい財務省と、また、各都道府県において地方交付税において予算を執行したい、主導権を握りたい総務省と、そのはざまで文部科学省が苦し紛れに総額裁量制という制度を持たざるを得ない今現状になってきているのかなということを思いますと、まさしく我が国において考えられなければならない教育論というものについて、本質論がちょっとスタート地点で抜けていたのではないかなということを私は実感いたしております。  歴史をひもといてみれば、昭和二十五年、二十六年、二十七年と、地方財政平衡交付金という形で、これはまさしく、地方の裁量に義務教育費国庫負担金がゆだねられたときに、たった三年間で元へ戻されたんですね。まさしく地方教育関係者から、まさしく財源の偏在性という観点から、とてもじゃないけれども憲法保障された義務教育の根幹を維持していけないという、こういう訴えがありまして元に戻したという経緯もございますから、こういった観点を十分やっぱり総務省も財務省もひもといて、歴史に学びながらやっぱり政策の決定に取り組んでいくべきものではないかなという私はまず印象を持っております。  その上で、現実のものとして、総額裁量制によって現場の市町村教育委員会がやろうとするべき裁量が枠が拡大する、その中で習熟度別の学級とかあるいは少人数学級が実現できるというのであるならば、これは現場の先生方にとってもまさしくやりがいのある現場が提供できるんでありますからいいと思います。  ただ、一点私は不安に思っておりますのは、そうかといって、教員の能力に対する評価というのがまだ私は各都道府県においても十分定まっていないのではないかなと思っております。その総額裁量制に対応できる教員もいれば、まだ十分に対応していけない教員もいるのではないかということを考えたときに、教員の能力にどのような評価をすべきかということの、これもまた少し、我が国としてやっぱり十分取り組んだ上でなされなければいけないのではないかと思っております。  当委員会にも西岡委員いらっしゃいますが、なぜにこの人材確保法が議員立法として提起されて、またこうして教育界に定着してきたかという、こういった歴史もひもといて、そんな上から教育論が論じられ、また総額裁量制についても、より良き総額裁量制になることが望まれているのではないかなという印象を持っております。
  50. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 急に質問したのに、それだけお答えしていただいてありがとうございます。  人間、何事もそうですけれども、僕は、やっぱり言ったことに対してただ、役所の方々も大変だと思いますが、その答弁に対して、答えるだけなら僕はだれでもできると思うんですよ、やっぱり。やっぱり自分たちが思っているものを、それに対して考えていることを、いろんな考え方が僕はあると思うんですけれども、先ほども言いましたが、同じリピートしちゃうんですけれども、それをぶつけ合いながら、やっぱり聞くものは聞く。何でもそうですけれども、聞くものは聞いて、やっぱり受け止めるものは受け止める。そして自分の中で、自分の中でやっぱり考え方もまとめて、そしてまたぶつける。やっぱり人間というのはそこの切磋琢磨が発展につながるんじゃないかなと僕は思うんですけれども。  やっぱり、僕、思うんですけれども、ちょっと、またちょっとずれますけれども、やっぱり僕らが何でここにいるのかなと思ったときに、おやじやおふくろが一生懸命働いてくれたなって、やっぱり。本当に、やっぱりうちのじいちゃん、物すごくけちだったんですよ。うちのじいちゃん、けちだったんですよ。それで、御飯粒一個でも残したら、後ろから火鉢の、火鉢の、ありますよね、硬いやつ、鉄でぽんと殴るんですよ。痛いな、この。  それで、おじいちゃんの歴史をひもといたときに自分のルーツを感じるんですね。明治時代に、明治時代に、僕、うち、呉服屋なんですけれども、明治時代にフランス船に反物を積んでインドまで売りに行ったという男なんですよ。売りに行ったという男なんです。インド人が買ったのかなと思いながら子供心に聞いていたんですけれども。いや、これはあくまで差別ではありませんので。いや、反物の価値観というの分かるのかなと思ったら、日本人村というのがあったみたいですね。日本人村で、やっぱりそこの日本人村で明治時代日本学校みたいなものがあって、ちゃんとやっぱり日本子供たち、インドに住む日本子供たちにちゃんとやっぱり文字を教えたり言葉を伝えたりしているわけですね、やっぱり。  どんな地域でもその伝統文化、そして教育というものを子供たちに授けよう、伝授しようという思いというのはやっぱりすごいなと思いまして、そういうことをじいちゃんから聞いたときに、やっぱり教育というのはやっぱり世界なんだなと、世界観なんだなと。どこの地域においても自分の伝統文化というのをやっぱり子孫に伝えよう、子供たちに伝えようという努力とか、そういったもの、伝達というのは本当に必要不可欠なんです。絶対切るべきじゃないなと思うわけですね。  そんな中で、非常に僕は思うんですけれども、この委員会を見てもやっぱり世代がいろいろありまして、世代の考え方意見とかぶつかり合うと思うんですけれども、僕、基礎、基本というのは一緒だと思うんです。人間であるべきだと思うんです。それで、思うんですけれども、僕は、非常にやっぱりほら、やっぱり若手と年上の方がこうやって切磋琢磨する部分、世代交代しようじゃないかというふうな機運というのがやっぱりありますよね。そんな中で、やっぱり教師というもののそれは年齢というものがあると思うんですけれども。  僕はどうしても懸念されるのが、いろんな部分で、まあ総額裁量制というのは確かに僕はある部分ではいいと思います。ただ、やっぱり、ある種考えると、県に、各自治体全額任せるということは僕は悪いことではないと思います。ただ、常任教員の一人に替えて退職教員二名を配置でき、少人数指導や補習授業を充実させ、教員増員による少人数学級の実施などをその活用例として挙げられておりますが、僕は退職の再任や少人数学級を全面的に奨励していくことにちょっとだけ疑問を感じるんです。  と申しますのは、今現在の小中学校の教員数の年齢別に見てみると、二十三歳の二千三百五十四人に対して六十歳の人が八千百十八人となっております。その平均年齢は四十三・六歳で、四十五歳以上の教員に占める割合が実に多いことに驚かされるんです。退職再任は、やる気や能力があっても物理的に教員となることができない若者にチャンスを減らしているような僕は気がしてならないんですけれども。先ほど、さっき政務官が、馳政務官が言われた教師の資質。だけれども、やっぱり若い人たちにチャンスをやるということ、僕必要だと思うんですよ。いや、だから、やっぱりその中で切磋琢磨して循環を良くして、切磋琢磨してやっぱりしなければ、やっぱり新しい時代教育及び、やっぱり僕、古いものと闘っていいと思うんです。古いものと闘って、それで新しいものを見いだしていく。僕はそういうものがなければ絶対に駄目だと思うんですけれども。  そこで、僕は、少人数学級の議論の前に、先ほど言われましたように、馳政務官が言われたように、やっぱり僕は教育水準を上げる努力をすべきだと考えているんです。文部科学省として、その少人数学級の議論の前に教育水準を上げる努力をするということを文部科学省としてはどのようにお考えですか。また、僕が示した教員年齢構成の是正案についての御所見もお伺いしたいと思うんですが、よろしくお願いいたします。
  51. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 総額裁量制のメリットの話が出て、少人数学級を行うことができると。全部が全部少人数学級にしたらそれですべて良しというわけでもないと、大仁田先生は、場合によっちゃ少しいたって、それは教育の質といいますか、先生の質が高ければやれるじゃないかという思いを抱いておられるんだろうと、こう思います。  そういう面も私はあるだろうと思いますから何が何でも少人数学級がすべていいんだということではありませんけれども、今のこういう複雑な時代、それから教室の中でも能力差がある、これを一人一人見てやる、それにはやっぱりきめ細かくやる、この効果がある、そういう面も否定をできないわけでございますので、そういう観点からも、少人数学級やチームティーチングであるとか、そういう形で先生を加配していく。また、今学級崩壊状態もある、そういう特別なクラスにはやっぱり先生をもう一人増やしてちゃんと見ていくと、こういうふうなこと、必要もありますので、そういうことがやりやすいようにということで総額裁量制考えておるわけで。  この点は、世耕務官の方から、もっと自由度を増して、例えば教材費も使えるようにすべきじゃないかという、これも考え方でしょうけれども、これはやっぱり教員の給与費の問題ですから、先生をいかに確保するかというところにあるわけで、これでうまく抑制をして、例えば教員を評価して格差を付ける、それによって思い切って減らす、成果が上がらない先生を減らす、その一部を優秀な先生に回すけれども、それ以上にも残ったと、これをまた更に加配の先生の方へ回してもらう。これは教員の、教育の質を上げるというか、教員を確保するための費用に使っていただくという方が本来の在り方でありまして、これを自由にするということになりますと、正に教育費がどこに行くか分からないという議論にもなってまいりますので、そこまでは考えていないわけでありますけれども、しかし、教育費として使っていただく、要するに人材確保、教員の人材の確保に使ってもらうことについては、国庫に返さなくてその範囲の中でやっていただけるようになっておるわけであります。  そこで、その教員の年齢格差の問題も今御指摘ありました。これは今まで採用してきた結果そうなっておりまして、そういう意味では退職金がこれからだんだん増えていく。というのは、高年齢の先生方が増える、これが定年退職される。そうすると、私はかねてから、次の若い方々の教員としてのチャンスが要りますから、少なくとも義務教育段階においては退職された先生に合うだけの新しい先生を確保する、これはやっぱり基本線で、財政当局にも先生の数を減らさないようにと。もちろん、子供の数が減るんだから先生の数を減らせという理論が財政当局にあるんでありますけれども、しかし、それによって私は、先生の数を確保しながら教員の人材のバランスを取っていく。どこの企業もそうなんですけれども、新しい人材が入ってこないということは、そこの職場には活性が生まれません、活性化が。  そういう意味で、先生言われるように、若い方々、そして経験を積んだ先生方、この切磋琢磨、こういうことが必要でございますから、定年で辞めていかれる先生方に今度新しい人材をどんどん投入していく、このことは、これは文部科学省としても人材のバランスを取っていくという意味考えていかなきゃいけない課題だと、このように思っております。
  52. 大仁田厚

    ○大仁田厚君 どうもありがとうございました。  大臣は、僕は思うんですけれども、一つの案なんですけれども、やっぱり極端に少ない世代について、中途採用などを進めていくような、そういったことも是非考慮してもらいたいと思っています。  もう時間もないものですけれども、最後に、僕は、僕は、僕はできのいい男でありません。じゃ、できのいいやつらばっかりが、じゃ可能性と夢を追っていいんでしょうか。僕思うんですけれども、できが悪いからといってそっぽを向かず、やっぱり教師がその子の才能やその子が持っている資質をどれだけ引き上げてこの国の国益にするか。  僕らが何を考えているかって、この国が繁栄して、やっぱりこの国に生まれた子供たちが、ああこの国に生まれて良かったなって、この国に住んで良かったなと思われるようなやっぱり国づくりをしなければいけないと思います。その根源はやっぱり教育だと僕は信じております。やっぱりこの教育が曲がっては、十年後、二十年後の日本の未来はやっぱり真っ暗やみになります。その方向性を是非皆様方が検討していただいて、やっぱり正しい道に導くのが私たちだと思っておりますので、是非、大臣及び財務省、総務省の方々、是非、僕らは切磋琢磨して新しい日本の未来のために頑張っていきたいと思います。  今日はどうもありがとうございました。
  53. 草川昭三

    ○草川昭三君 私の方からは、この義務教育充実地方財政の問題、これを取り上げていきたいと思っております。  現在、地方自治体が発行している地方債の引受状況というのは非常に悪くなってきておるわけです。特に、国債の利回りが低下をしていた時期は地方債の利回りの方が高いわけでございまして、公債としての信用度から何とかこれは各地方自治体、特に収入役等にお話を聞いても、何とか消化をすることができたと。しかし、今日のような状況になってくると、投資家を集めづらいという状況が率直に出てきておる。  また、この一月に、日本格付研究所というところがあるわけですが、ここが三位一体改革のこの進み状況を踏まえまして、これまでの市場公募地方債の発行について、従来は二十八公募団体があったんですが、さいたま市が入りまして二十九の公募団体になっておりますが、そのうちの半分の十四団体の地方債の格付の見直しを行いまして、格下げ扱いになっておるわけですよ。  で、このような地方自治体の財政は非常に厳しい状況を迎えているわけでございますが、これは過日の私予算委員会のときにも取り上げたわけでございますが、格付の下がった団体では、かなり大きな団体から地方の各市もあるわけでございますが、総務大臣は、自治省時代から大臣の許可によってこの地方債は発行しており、元利償還についても地方交付税の算入の財源措置もあるので、これは非常に安定的な制度だから心配をすることはないんだと、格付をしてもそれは勝手格付だと、こう言明をしておるわけです。  それで、勝手格付だと言われておるものの、実際はこれで財政投融資が今度変わるわけでしょう。それから、郵政の民営化等によって郵貯あるいは簡保の財源もどういうように運営されるか分からない状況でございますので、地方自治体は非常に将来不安定な考え方を持ってみえるわけです。  こういうことについて、総務省の私は意見も要求しておりませんから、文科省として、そういうこの政策が地方自治体にどのように受け止められるかということを考えると、後で取り上げます施策というのは義務教育の削減という道しかなくなってくるということが実は今日取り上げたい主題であるんで、まずこういう状況について文科省としてどのような見解を持ってみえるか、最初にお伺いをしておきたいと思います。
  54. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 大事な視点だと私も思います。いわゆる市場公募債、地方債、これによって地方公共団体が発行して、それを財源を確保されている、これが格下げたというニュース、私も承知をしておるわけであります。償還財源が国が制度的に保証しておりますから債務不履行にはならないと、こういうふうに伺ってはおりますけれども、やっぱりこういう現状はやっぱり地方公共団体が非常に厳しい財政状況にあると、これは反映していると、こういうふうに思っております。  しかし一方、事教育費ということになりますと、これは先ほど来の御議論にありましたように、正にこれは人づくりは国づくりでございますから、これによって教育日本教育力が落ちるということになったら大変であります。どうしてもこれは教育費を確保していくということが必要になってくるわけでございまして、この観点からこういう問題をやっぱり地方と国とが一体となって考えていく必要があると思います。  先ほど来の話のように、憲法要請によって教育機会均等教育標準維持、水準維持という大きな課題がございます。そして、一定水準教育はこれは無償で行うと、こうなっておるわけでありますから、まず国において必要な財源をきちっと確保する。しかし、この義務教育国庫負担制度は二分の一は地方にもと、こういうことでありますから、正に地方と国とこれはしっかりお互いに連携をし合って、厳しい財政状況ではあろうけれども、この教育費をきちっと確保していく、この財源を確保していく、このことがこれからもますます必要になってきますし、これに見合う保証制度というものをこれは堅持しなきゃいかぬ、このように思っておるわけであります。
  55. 草川昭三

    ○草川昭三君 そこで、先ほど来の議論を受けての質問になっていきますけれども、この義務教育国庫負担制度流れというんですか、変革の流れを冷静にさかのぼって考えてみますと、昨年の共済費長期給付金ですか、及び公務災害補償に係る一般財源、これは何となくそういうものかなということで我々も認めてきたわけですよ。  それで、今度はいよいよ来年度は退職手当及び児童手当に係る部分の一般財源、これも、我々も与党の一員ではありますが、その骨太政策の中でも提言されておるわけですから、そういう方向かなというように賛成をしてきた立場ではありますけれども、よくよく考えれば、十五年度の国庫負担金額というのはこれ二兆八千億ですね。文科省予算の約四割という非常にこれ文部行政としても根幹になる。別に金額の多寡だけを私、言っておるわけではございませんけれども、従来のこの義務教育という問題について取り組んできた歴史が大きく今変わりつつある、そういう問題としてとらえる必要があると私は思うわけであります。  それで、この中央教育議会でいろんな義務教育国庫負担制度の取扱いについて議論があったと思うんでございますが、平成十八年度末までには全額一般財源化について検討しようということで合意をしておるわけでございますが、これまでの政府あるいは関係省庁間における議論の概要と、義務教育制度全体について検討をしようではないかということを決めました中央教育議会における議論の状況、ポイントだけで結構ですから、そのポイントをちょっとこの際改めて説明をしていただきたいと思うんです。
  56. 原田義昭

    ○副大臣原田義昭君) 義務教育制度をこれからどうすべきかということにつきましては、今日は大野先生また大仁田先生議論でもそれが議論されたところでございます。また、先生おっしゃるように、この骨太方針に至るまで長い経緯がございましたし、また一応の方向といいますか、すなわち児童手当と退職金手当は来年度からそういうことで一般財源化すると。  今後のことについては当然これからしっかり議論していかなきゃいけないわけでありますけれども、どちらかというと、先ほど総務省説明にもございましたけれども、これはどちらかというと、私どもからすればやっぱり財源論が色濃く出ているところもあるのではないかと。私どもはしっかりとここは、先ほどから話をしておりますように、教育論立場から義務教育というのはどうあるべきか、こういう観点から基本的なやはり議論をしなければならないという意味で、現在、中央教育議会においてもしっかりした議論が行われておるところであります。  作業部会を既に立ち上げまして、昨年の九月から今日まで十一回の作業部会を開きながら、義務教育に関する経費負担在り方、国が負うべき範囲はどこまであるんだと、国と都道府県市町村、また教育委員会との仕事の分担、こういうことについて今有識者の意見も踏まえながら議論を進めておるところでございまして、できるだけ早くその結論はいただきたいと、こう考えているところであります。
  57. 草川昭三

    ○草川昭三君 先ほど与党の二名の方の質問にもあったんですが、総額裁量制の問題なんですが、これ地方の方の受け止めは、八二%がこれ賛成をしているというような答弁もあったんですが、あるいはまた情報公開ですか、説明責任も必要だというようなことを言っておりますが、各都道府県ごとに交付をされる負担金総額がどのように算定されるのかという質問はなかったと思うんです。  それで、その負担金総額というものはどういう形で行われるのか、あるいは現在の水準は維持するんだというような決意の表明もございましたが、今までの議論の中で、総額ということと自由度とを、自由裁量という面が、何となく私分かったような分からぬようなことになっているんですが、自由度があるからいいじゃないのと、だから総額を決めておくからいいじゃないのと、しかしその総額は年々これから削られていくんじゃないですかという問題は余り出ていないわけですね。  文科省としては当然削られてはいきませんよということなんですが、すべての決定というのが、今我々も主張をしておるわけですが、経済財政諮問会議でほとんど大綱が決まっていくわけですよ。そうすると、後は一瀉千里でそれを各省庁が受け止めなければならないという状況が果たして適切かどうか。じゃ、その経済財政諮問会議に事前に我々はもっと精力的に政策提言なり歯止めをかうようなこともしていかないと、日本の将来のこの義務教育制度というものが本当に守られるのかどうかということも出てくるわけですね。  だから、そんなような立場から、この総額というものの算定というものについてどのように今まで主張をされ、こういう結果になってきたのか、あるいは今後どうするのか、お伺いしたいと思います。
  58. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) お答えをいたします。  総額裁量制におきます教職員の給料の算定に当たりましては、国家公務員の俸給、それから人材確保法による教員給与の優遇措置一定の有利性を掛けるわけでございますが、それと経験年数別の教職員数等を勘案いたしまして、各都道府県ごとに算定をした給料単価に義務教育標準法によります都道府県ごとの標準定数を乗じることによって総額算定することにいたしております。これによりまして、給料単価につきましてはこれまでと同様に人材確保法の優遇措置に基づく給与水準を引き続き維持をすると。  それと、あわせまして、各都道府県ごとの教職員定数や経験年数別の教職員数、各県によって年齢構成、差がございますから、年齢構成等を反映をした給料の総額算定することができると考えておりまして、各都道府県で必要な給料分の財源は引き続き保障され、これまでの水準は維持できるものと私ども考えております。
  59. 草川昭三

    ○草川昭三君 維持できるものと考えるという、それはもうそのとおりだと思うんで異論は挟みませんけれども、先ほどの質問がありましたように、流れというものが非常に私はきついですよということをどうストップ掛けるかというところに力点を置いてもらいたいということを申し上げて、またこれ引き続き言うんですが、昨年の十一月の経済財政諮問会議で麻生総務大臣が、この加配教職員、事務職員の取扱いについて国庫負担対象外としたらどうだろうかというようなことを提案してみえるんですよね。これは、そういうことを受けてかどうかは分かりませんが、最終的には来年度もこれらの教職員国庫負担対象として残されることには一応はなっていますけれども、かなりの議論があったんでしょう、これは、この問題について。  それで、これは旧大蔵省との間の議論もあったと思うんですが、相当文科省としても御努力があったと思うんですが、この加配教職員あるいは事務職員、学校栄養職員のいずれもがこれからの学校運営にとっては非常に重要な役割を果たすであろうということはもう言うまでもないことでございますが、今後とも引き続き国庫負担対象としていくことが必要であると思うんですが、その点についての考えを御説明願いたいと思います。
  60. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 経済財政諮問会議におきましてこれについて総務大臣から指摘ありまして、私も、知事会が、その退職金、それから児童手当、裁量性が低いと、これを受け取ることについて非常に、旧自治省といいますか、知事会の中でかなり総務大臣に対してプレッシャーが掛かったと思います。じゃ、これをもしのけた場合にほかにどこに財源があるかという話だろうと思います、私、率直に申し上げて。  しかし、これは、私もあのときに直接総務大臣にも、議事録ではなくて外でも申し上げたんですが、まあ文部政務次官もやられた麻生さんのことでありますから、麻生先生も、この事務職員と栄養職員が一体となって学校を作っていることはよく承知でありますし、ましてや今、加配教員を確保するということも、今の学校現場、これは極めて大事なことでありますから、これが一体となって正に、一般職員と養護教諭、そして学校栄養職員、事務職員、そして現在は加配教員、これを一体となってこの教育の水準が守られているし、基幹職員であるということ、この点を力説いたしまして、この話はなかったことになっておるわけでございますが、まあ今後またそういう課題がなきにしもあらずだと、こう思っておりまして、このことは警戒をしながらも、これからもやはり学校の基幹職員としての事務職員、そして栄養職員、これは一体となって学校を維持していく、運営していくという大事なものでありますから、引き続き、国の政策としての位置付けといいますか、そのための国庫負担対象でやっていくという考え方、これはこれからも貫いてまいりたいと、こう思っております。
  61. 草川昭三

    ○草川昭三君 それで、そういうように大いに頑張っていただかなきゃいかぬわけですが、必ず反論が出てくるんですよね、国の行政の中では。  例えば、学力低下ということを簡単に、何というんですか、指摘をされる方々も多いわけですよ、有識者の中では。それで、もう少し文部行政を変換をしてもらいたいというようなことから非常に立場が悪くなってくるということが言えるのじゃないかと思うんで、学力低下問題について私はもう少し大きく文科省がやっていることをアピールする必要があると思うんです。  そういう意味でお伺いをしたいわけですが、平成十四年度から実施をされておりますところの学習指導要領については、学習カリキュラム及び授業時間数が七%ですか、削減が行われていると。年間約七十時間ですか、削減が行われておると我々は聞いておるわけですが、例えば台形の面積を求める公式というものが学習指導要領からなくなったと、そのためにですね。あるいはまた、円周率三・一四が三で教えるというような声が出てきておるわけですよ。実際にこのような面積の計算だとか円周率についてどういうような指導を行っておるのか、改めてお伺いしたいんですよ。  私は窓口で文科省に尋ねたら、三・一四できちっと教えていますよと、三と言っていませんよというお話なんです。ところが、名前を挙げて悪いんですけれども、以前の経済企画庁長官は、いろんなところの各種講演会で、日本教育が駄目になっておるんですよと、学力低下は目を覆うばかりで、高校、大学と進むほどひどくなっているというのが文芸春秋なんかにも署名入り論文で出ていますし、三と教えてこんなことが通るわけないじゃないですかというようなことをその他の講演会でも言っておみえになるんです、そういう高名な評論家であり、かつての経済企画庁長官をやられた方が。  私は、こういうのが一方で出てくるから、文科省何やっているんだというような形の、まあ分かりやすく言うならば攻撃ですわ、攻撃が加わっておるというところで大臣が孤軍奮闘してみえるのではないかと思うんですが、そういうことを含めてこの学力低下問題についてどう考えておみえになるのか、お伺いをしたいと思うんです。
  62. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) まず前段のお話でございますが、台形の面積の求め方につきましては、従前は小学校の第五学年の内容として示しておったわけでございますが、今回内容を精選をするというような観点から、新しい指導要領では全員が共通に学習する内容としては確かに示していないわけでございます。これは、三角形や四角形などの基本的な図形の面積の求め方の指導に重点を置きまして、それをしっかりと身に付けることによって台形を三角形や四角形などに分解するなどしてその面積を求めることができると、こういうふうに考えたからでございます。ただ、実際すべての教科書に三角形や四角形の面積の学習に続きまして台形の面積を工夫をして、いろんな工夫をして求めるということが記述をされているところでございます。  それから、円周率の問題でございますが、これまた誤解があるわけでございまして、円周率を三で教えると、これは全くの誤りでございます。新しい学習指導要領におきましては、第五学年において円周率の意味について理解することとし、円周率としては三・一四を用いることと、こう記述してあるわけでございますが、この取扱いは昭和三十三年の学習指導要領以降変わっていないわけでございます。  なお、例えば円周の長さや円の面積を素早く見積もろうとする場合などに、目的に応じて三を用いて処理できるよう配慮することも併せて学習指導要領に示していると。この部分がそういう形で特定の、何といいましょうか、学習塾等で宣伝をされたというような経緯はございますが、すべての教科書で円周率は三・一四であることを教えた上で目的に応じて三を用いて処理すると、こういうことも記述をされているわけでございます。  いずれにいたしましても、この新しい学習指導要領趣旨でありますとかそのねらいを私どももやはりしっかりとPRをしていくということが大切でございますし、その点、必ずしも十分でなかった点があったんだろうと思っておりますが、今、そういった意味での学習指導要領趣旨、ねらいをしっかりと徹底をしてまいりたいと思っておるわけでございます。
  63. 草川昭三

    ○草川昭三君 是非、余分なことまで教える必要ないと思うんですよ。三・一四で止めておきゃいいじゃないですか。それをわざわざ簡単に三ということを教えてもいいよなんというのは、私にとってみれば余分な教え方だと思うんです。こんなことなければ私が問題提起をする必要もないし、高名な先生方にいかに文部行政がでたらめかということを言われなくて済むわけですから。それはもう早急に私は堂々とやっていただきたいことだということを特に要望しておきたいと思うんです。  それから、平成十一年六月に刊行されました「分数ができない大学生」というようなことから、大学生の学力低下というものに対する問題提起が非常に高まってきておりまして、特に財界というんですか経営者の方々からいろんな注文が付いたということは記憶に新しいところでございます。  文科省平成十四年の一月に「学びのすすめ」を、これをアピールするということを公表しておられますし、学習指導要領の最低基準性の強調、あるいは教科書における発展的学習内容の記述の容認など、学力の向上を重視する政策を相次いで出されているわけでございますけれども、また昨年には、この問題について実施から二年足らずで学習指導要領の見直しが始まっております。  私の言いたいのは、このような一連の動きの中で学校現場はどういうように本当に受け止めておるのか、あるいは問題提起が様々な形でやられておると思うんですが、そういうような実情についてお伺いしたいと思うんです。
  64. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 新学習指導要領で新たに、新たにといいますか、基礎、基本をもっとしっかりさせる必要があるという考え方を強く打ち出したわけです。  そういう意味で、確かな学力という言い方をいたしますけれども、単なる数字を丸暗記してそれだけで済ませるんじゃなくて、それを使っていろんな応用できるように、自ら学び自ら考えるといいますか、それに更にプラスして豊かな人間性、それから健康とか体力とか、いわゆる生き抜く力といいますか、そういうものを総合的にやるために、この新学習指導要領考え方を基礎、基本に徹底させようというところにおいて、そういう意味で「学びのすすめ」というのも、この新学習指導要領のねらいを明確にしようという観点から、各学校においても、今回の指導要領によって一応わあっと、ああいうふうに三・一四が三でいいなんて言われたものでありますから、そんなことがわあっと伝わって、何か学びを後退させるような雰囲気、これは止めにゃいかぬと。  学校において、やっぱり学びの場ですから、やっぱり学ぶことはちゃんと学んでもらう。それも何も難しいことをどんどんやれというんじゃなくて、基礎、基本に立ち返りましょうと、そういう意味でこの「学びのすすめ」が時の遠山大臣のときにアピールをされたわけです。  これがまた、今度は逆にまた、ゆとりだと言っておいて、今度はまた、ゆっくりと言っておいてまた速く歩めと言うのかというような感じにわあっとなりまして混乱が生じたと、こう言われておりますが、しかし教員の間では、この意味といいますか、やっぱりこの学習指導要領をもっと分かりやすくきちっと徹底しようという観点から出ておるわけでございまして、ああいう声も出たものでありますから、改めて校長始め教員の方々にも、あるいはPTAの皆さんにも会議やパンフレットを用意して、また電子メールを用意して広く説明をしながら新学習指導要領のねらいについてやりましたものでありますから、これは現場においては理解は得られたと、こう思っておりますが、ああいう講演で著名な方がああいうことを言われますとますますあおるという傾向もございます。  これにはやっぱり文部科学省としてもきちっと対応しなきゃならぬと、こう思っておりまして、さらにこれで良しとせずに、この新学習指導要領のねらい、特に、確かに誤解を受けるように、発展的学習といいますか、ここまではやらなきゃいいなんて歯止めを掛けたり、わざわざここまで、三でやってもいいとか、こういうぶれといいますか、やっぱりそういうものが誤解を招いているので、これはまあ訂正をしたわけでございまして、やっぱりそういうことで学校の学びの場がきちっと基礎、基本を中心にして学ばれる、学力低下があってはならないということは、これからも文部科学省としてもしっかりとアピールしていきたいと、このように思います。
  65. 草川昭三

    ○草川昭三君 もう時間が来ましたのでもうこれで終わりますが、最後に、先ほども出ておりますが、人確法の問題について、恐らくこれからは財務省辺りからは相当強く廃止の提言が出てくると思うんですが、それを跳ね返すという大臣の強い決意をお伺いをして、終わりたいと思います。
  66. 北岡秀二

    委員長北岡秀二君) 時間が経過しておりますので、簡潔に答弁お願いします。
  67. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 人確法につきましても、御指摘のとおり、これは正に今、教育、優秀な教員を確保する上の非常に大きなものでございまして、これがあって今日の教員が確保されている、このことは堅持していく、この姿勢を更に強めてまいりたいと、こういうふうに思います。
  68. 草川昭三

    ○草川昭三君 終わります。
  69. 北岡秀二

    委員長北岡秀二君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時一分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  70. 北岡秀二

    委員長北岡秀二君) ただいまから文教科学委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、義務教育費国庫負担法及び公立養護学校整備特別措置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  71. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 民主党の佐藤泰介です。  直接、法案の質問に入る前に、法案以外で二問程度質問をさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。  平成十四年度から実施されている新学習指導要領の当初のキャッチフレーズは、ゆとり教育であったはずである。完全学校五日制への対応、総合的な学習の時間の導入、教育内容のスリム化、学習指導要領のスリム化により、先ほども大臣答弁されましたけれども、基礎、基本の確実な定着を図るとされていました。  その後、新学習指導要領と学力低下の議論が高まりを見せる中、最高基準であり、同時に最低基準とみなされてきた学習指導要領について、最低基準であることが当委員会においても文部省より明言され、「学びのすすめ」なるアピールが文部科学大臣より出されることになったと思います。しかし、そのころの教科書検定では学習指導要領は最高基準として扱われ、その後、発展的な記述を可能にする制度改正が行われるなど、文部科学省方針は揺れ動いてきたと私は感じます。  昨年末には、新学習指導要領導入後二年足らずで異例の改訂が行われ、学習要領に示していないところまで踏み込むことが認められました。  学習指導要領の不断の見直しは必要なことだと思いますが、見直しに当たっては客観的な検証作業が不可欠ではないか。方針転換をしたら、その事実と方針転換に至った理由を国民に向かってきちっと説明すべきではないか。  現行の学習指導要領のキャッチフレーズは、今でもゆとり教育なのか。授業時間確保のため二学期制の導入が各地で検討されているというが、ゆとり教育の目玉とされた総合的な学習の時間と選択学習の増加がカリキュラムの消化を難しくしているという、こうした現状をるる申し上げましたが、こうした現状をどのようにとらえておみえになるのか、まず伺います。
  72. 原田義昭

    ○副大臣原田義昭君) 午前中の議論も、こういう問題にも相当踏み込んだ議論が行われましたけれども先生指摘のように、学習指導要領は過去にもちろん変遷はしてきておるところであります。ただ、揺れ動いているわけではございませんで、そのときそのときの状況、また社会の進展、こういうものを踏まえて的確に対応しているつもりではございます。  確かに過去におきましては、詰め込み教育、学力重視、過当競争というような、そういう問題もあったのも事実でありますけれども、昭和五十二年、五十三年の改訂の中で、ゆとりある充実した学校生活の実現と、こういうようなことを打ち出しましたし、平成元年の改訂では、社会の変化に自ら対応できる心豊かな人間の育成と、さらには、平成十年、十一年の改訂では、基礎、基本を確実に身に付けさせ、自ら学び自ら考える力など、いわゆる生きる力をしっかり付けさせると。  実は、昨年の暮れにこの学習指導要領の一部を改正をいたしましたけれども、これは改正というよりも、従来の基礎、基本を確実に身に付けさせると、生きる力を育成する一番基本はやはり確たる確かな学力、豊かな人間性、こういうものでございますが、それをしっかり、一層確実に認識してもらうためにそれを補足したのが昨年の暮れ、十二月にこの学習指導要領を一部改正したところであります。  例えば、従来からいろいろな基準が出されておりましたけれども基準の一層の明確化、お話ありましたように、その出された基準が天井ではないかと、それ以上行っちゃいけぬというようなことがありましたけれども、そういうふうに理解もされておりましたが、いやそうじゃないんだと。それがまず最低の基準であって、さらにそれから、意欲的にまた自主的にそれを上向かせるのはこれはもう当然なことだと、こういうふうなこととか、総合的な学習時間の中身をより詳しく説明すると。  こういうようなことで、共通の学ばなきゃならぬことは更に充実し、かつ個に応じた指導の一層の充実、こういうところに力を注いで、よってもって、生きる力、これを総合的に付けさせるというのが私ども考えでございます。
  73. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 何か意味の分からぬ言葉がだっと羅列したような答弁で、恐縮です、原田大臣とは衆議院時代、隣の席に座らせていただきましたんで、恐縮でございますけれども、何か文部省の書物に書いてあるタイトルみたいなのを羅列されたような答弁で、もう一度聞きます。  根底にはゆとり教育が現在もキャッチフレーズなのか。そして、ゆとり教育の中で基礎、基本をしっかりして個々に応じた生きる力を付けていくのか、現在は。そのことをもう一度答えてください。
  74. 原田義昭

    ○副大臣原田義昭君) それは、今申し上げましたように、生きる力を総合的に付けるためには、確かな学力を付けなきゃいけない、豊かな人間性をはぐくまなきゃいけない、こういうことでございまして、その確かな学力というのは、基礎、基本的な知識をしっかり身に付けさせると、さらには、科目をできるだけまとめることによってゆとりある時間を更なるあれに振り向けると、こういうことでございます。
  75. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 先ほど、詰め込み教育、学力重視教育、いろいろタイトル、キャッチフレーズがありましたですが、今まで、言われてきましたよ。そして、ゆとり教育というのはキャッチフレーズ出てきたですよ。ゆとり教育というのが現在キャッチフレーズとしてはそうなのか、あるいはもうそのキャッチフレーズはなくなって、総合的な学習になって、生きる力になって、個々でどうのこうのということで、それを総合するようなキャッチフレーズは、ゆとり教育だったのが最後なのか、それ以後にそういうキャッチフレーズがあるのかということを聞いておるんですよ。
  76. 原田義昭

    ○副大臣原田義昭君) ゆとり教育の思想は当然残っておると思います。ただ、それを乗り越えて、今言いましたように、総合的な力を付けさせる、これが大事だと思っております。
  77. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 この一問でこんなに時間使っておると次に移れないんですが、要するに、ゆとり教育以降にそういうキャッチフレーズ、ぱかっとしたキャッチフレーズがないということですね。そこにいろんなもの──大臣ちょっとお願いしますわ。
  78. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 基本的な考え方は変わっておりません。強いて私が大臣就任以来考えておりますのは、正に人間力向上教育といいますか、それにまとめ上げていくと、こういうふうに私は考えております。
  79. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 現場に人間力だと言っても、多分現場の先生方は、どうかな、分からぬのだろうと思いますが、まあこればっかりやっていったらこれでもう十分たっちゃいましたんで。根底にはゆとり教育というのがやっぱりあって、やっぱり生きる力だとか個々だとか総合的、そしてさらに人間性をはぐぐむ、人間力を付けていくというふうに理解をさせていただきます。  とすると、ちょっとこれは外れるかもしれませんが、二学期制の導入がいろんなところで、今も私言いましたが、そういうことと二学期制の導入とは合致するのかどうかということなんですよね。ちょっとプラス面が、メリットが分かりにくいんです。  デメリットとしては、人口移動が今非常に多いです。県内の中でもすべてやるわけではありませんので、県内中の移動、全国的な人口移動もあるわけで、そうしたときの二学期制の学校と三学期制の学校への転出入がありますよね。そうしたときに子供に与える影響、あるいは中学生なら高校進学に当たって調査書というんですかね、そういったたぐいのことにもいろいろあるわけですが、そういった面でのデメリットの部分と、この二学期制が、今言われたゆとり教育が底辺にあって、総合的で、個々に応じて、生きる力で、人間力を付けていくということとのこの兼ね合いを別な観点からちょっとこれ、用意はしていませんでしたから、これは、別な観点から聞かしてください。
  80. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) 二学期制をやるかどうか、これは基本的にやはり市町村教育委員会の判断であろうかと思っております。先生がおっしゃったようないろんな課題はあるんだろうと思っています。  例えば、仙台市なども二学期制の導入と。これはやっぱりそういういろんな今おっしゃったようなことを総合的に加味しながら、市の教育委員会で必要な授業時間数を確保するとか、いろんな観点からそういうものを導入しようと、こういうことではないかと理解をいたしております。
  81. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 それは大きな仙台市全体ということですか、仙台をやられるのは。県内で飛び飛びでやる場合だってあるわけでしょう。そうでしょう。それで、それが主流ではないわけでしょう。  それは、やっぱりこれは地方分権だから、地方自治体が勝手に、地方教育委員会が決められるんだということですかね。それについて、国としては地方分権責任は持ち得ないから都道府県教育委員会で決めていただいて、子供たちが転出入したときのいろんな問題もそれは都道府県教育委員会責任を持ってやりなさいという答弁ですか。
  82. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) 全体に学習指導要領のねらいであります、特に今回は基礎、基本を確実に身に付けさせ、自ら学び自ら考える力、生きる力の育成ということをうたっておりますけれども、やはり特に今回授業時間数を減らしたわけでございますから、基礎、基本を確実に身に付けるためにも一定のやはり授業時間数を確保していくと、これは必要なわけでございまして、その中での一つの工夫として二学期制の選択ということもそれはあり得るんだろうと思っております。  私どもは、一律に導入しろとかするなとかという事柄ではなくて、それは今、先生が御指摘になったような課題もいろいろ検討されながらやっていく事柄だろうと思っております。
  83. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 お隣の先輩がおかしいよ、おかしいよと言ってみえますが、時間も過ぎていきますのでちょっと次の質問に移りますが、そういう問題があるということを十分にちょっと考えていただいて、最終的には大人社会のことを決めるわけじゃないんですから、子供ですから、子供に対してどういうそれが影響があったり、いい面があったり悪い面があったり、全部で動けば、まだ、市全体で動くとか県全体で動くとかといったらまだだと思います、それはいいか悪いかは評価は別にしましてね。点々とやるということについては問題が多く残るんではなかろうかなというふうに思いましたんで、質問をさせていただきました。  大臣、突然の質問でこれもう恐縮でございますけれども大臣、山口で「ほたるの星」という、三月から上映をされているというふうに思います。試写会を見られたというふうに聞きました。私もこの原作本を読んで大変感激をいたしました。  これが先ほど大臣が言われた総合的な学習で、子供たち今ばらばらで意欲もなくしていますが、蛍を飛ばそうという一点で、川の水をきれいにしないと、本を読みますと、えさが育たない。家庭にも働き掛けて、川にえさが死ぬようなものを流さないとか、そこの地域を挙げて正に総合学習を発展させた環境教育そのものの私は、原作本で私は読んだわけです。それを書かれたのは宗田理さんという方で、これは名古屋に住んでみえますので、それで河村大臣もそれを試写会を見られたということをお聞きをいたしたわけでございます。  したがって、私、今言われたような形の実践、そういうような実践が本当にゆとり教育の中で目玉として取り入れられた総合学習の中でああいうような実践がされていくと、本当に子供たちはすばらしい、思いもよらぬ力を発揮するんだなということを感じたわけです。  しかし、今の現場はどうしても子供も教師も非常に忙し過ぎる。そして、今こそ現場に私はゆとりが必要だというふうに思いますが、どうも逆行するような動きもある。そういう中でちょうど私はその原作本を読み、大臣もその試写会を見られたということでございますので、総合学習と今答弁されたこととの兼ね合いの中で、この映画に対するどんな感想を持たれたか、率直に聞かしていただけると有り難いというふうに思います。
  84. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 図らずも「ほたるの星」のことを、佐藤先生がそういう作者との関係で深いところにおられるとは夢にも知りませんでしたが、先般お話を聞きまして、今そういう御指摘をいただきました。  あの映画は、山口県のある小学校であった実話を基にして作品が作られ、映画化されたものでありますが、若い監督が大変力を入れられたものでありますが、私もあれは非常に教育的見地からしても中身のある作品だと思います。試写会に参りまして、思わず、これは文部科学大臣見てそれで良しというようなものでなくて、もちろん広く見ていただきたいし、そしてこれは環境大臣も是非ごらんをいただきたいという話をした、今、環境教育のことをおっしゃいました。  ああいう、まああれは映画でありますから、かなりうまく盛り上げてありましょう。しかし、現実子供たちが蛍を飛ばすことになって、だんだん一緒になって盛り上がっていく。そして、それにむしろ大人たちもだんだんそれに引き込まれていくような感じ。  しかし、やっぱりあの映画で作られているのは、やっぱり教員の感性といいますか、これは非常に大事ですね。小澤征爾さんの息子さんの小澤さんが主役なんですが、やっぱり映画だからあんなにうまくいくのかもしれないけれども、教員の中にも反対する人があっても、それを一生懸命説き伏せたり努力してそこへ持っていく。ある意味では、普通の常識でいくと、これ教員としてそこまでやるのかというような部分もあるわけですが、やっぱりそういうものを乗り越えていく教員の資質といいますか、そういうものがまた必要になってくるわけですね。  そういう意味で、先生言われたように、やっぱり教員にもそれだけの資質と、それからそれに取り組めるだけのやっぱり時間的なゆとりと心のゆとりがないとなかなかできないという思いがいたしまして、教育現場の皆さんにもあれを見てどう考えていただけるのか、一つの提案といいますか、そういうものにあの映画は必要ではないかと思いまして、私は、文化庁も推薦をしているわけでございまして、一度文部科学省の皆さんにも是非見ていただこうと、こう思っておりますが。  そういう意味で、中身までここで言うあれはありませんが、とにかく蛍を飛ばそうという思いがクラスの皆さんが一つになっていく、それが正に総合学習のねらいがあるわけですね。なかなかあのとおりうまくいくかどうかは別として、ああいう材料を見付けながら総合学習に取り組んでいただきたいなと、こう思っておりまして、今、総合学習の定着化という問題で、現実になかなかうまくいかないところもあると聞いております。これにはやっぱり相当まだ努力も必要でございましょうが、せっかくそういう形で、正に私が申し上げたのは、人間力というのはああいうところから生まれてくるので、みんなが考え、そしてその目的に向かって努力する。そのためにはいろんな、広い市役所に行って、この工事は問題があるとか言いに行かなきゃいかぬ。そういう自ら考え、自ら行動するということがああいうことで生まれてくる。そういうところでやっぱり生きていく力とか人間相互間の関係とか、正に人間関係とかそういうものが生まれてくるわけでありまして、それを総じて私は人間力向上教育と、こう言いたいと、こう思っておるわけでございますが、そういう意味でこれからの教育在り方についてはその方向でいかなきゃならぬ。  しかし、先ほど来お話しのように、ゆとり、文部科学省はゆとり教育という名前を付けたわけではないんでしょうが、ゆとりということがややもすると緩みといいますか、何かそういう方向に取られた嫌いがあって、まあ正直言ってちょっと慌てたわけですね、こんなはずじゃなかったかと。こういう思いがあってまた「学びのすすめ」というのが出たというふうに私は理解をしておりますが、ねらいは正に基礎、基本をしっかりして人間力を高める。その中に生きていく力とか人間同士の触れ合いを大事にするとか、そういうものがすべて含まれて子供たちが育っていく、はぐくまれていく、そういう教育を目指しておる。その根底にはやっぱり基礎、基本の学力というものが根底にちゃんとしかれておって初めて言えることだと、こういうことだと思いまして、あの映画は多くの皆さんに私も見ていただきたいと、こう思っております。
  85. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 こっちの質問からすれば大体全部理解できました。大変ありがとうございました。私も全く今大臣の言われたことには同感でございますし、そういう方向で進んでいっていただきたいというふうに思います。  やっぱり言われたように、感性ですよ、大事なのは。教師も子供もどういう感性でどういうことをするかということは、非常に私、その感性に火を付けたり、子供のその感性に火を付ければあそこまで動くのが子供だと私は思うんですよ。それを、今は狭い部屋に閉じ込めてテレビをやったり、いろんなところをばっばっと忙し過ぎる、引き回し過ぎるがゆえにそういう本来的な子供の年齢の持つ感性が育ち得ない。あるいは、先生の方も忙し過ぎて、もう次から次へ毎日いろんなこと、仕事仕事仕事で右から左へ流すばっかりですから、そういう正にあの映画はあの先生の良さ、感性と、子供は最初は違ってもその感性がぶつかってそれが一つになってああいう形になっていったと。  あくまでこれは実話だと言いますが、すべてが真実なのかどうかは私も分かりませんけれども、やっぱりそういう部分でのこれからPRを文科省も十分していただきたい。学力の、何とか数字のどうのこうのだとか、そういうことも重要です、基礎、基本も重要です、今言われたとおり。しかし、それ以上に子供が育っていくというのはそういう豊かな感性、豊かな心ですよ。知識というのは後でも付きますけれども、感性とか豊かな心というのはその年のそのときにしか私は付いていかないと思います。そういった部分を、ゆとりという言葉でなくても結構ですから、そういうのを子供たちに培っていけるようなそういう条件整備を図っていただきたいなということを申し上げます。  ちなみに、委員の皆さんに、これ全国ロードショーはされるそうですので、機会があったら見てください。私、何も広告料をもらっていませんけれども、山口県からスタートするそうでございますので。  じゃ、次の、法案以外、二問目に移らせていただきます。  かなり私も議論させていただいた国立大学法人への移行が間もなく行われるわけですが、法人の制度設計や移行措置在り方をめぐって本当に当委員会で厳しい議論を私もさせていただきました。論点の一つに役員人事の在り方があったと思います。外部人材の登用が国立大学の目玉の一つであるが、この外部人材に文部科学省関係者が入ることの是非が問われているのではないか。これも議論に出たところですが、経営協議会に文部省OBが任用されるであろうという大学が五割とのアンケートも過日、新聞で見ました。  文部科学省OBが経営協議会に入ることはこの会議趣旨にふさわしいことなのかどうか、いわゆるパイプ役としての役割を期待しての任用であろうというふうに思いますが、まだ、任用されたと言った方がいいのか、四月一日ですから分かりませんけれども、まあ大体決まっているんでしょう。法人化した国立大学と文部科学省の見解が問われる部分ではないかというふうに思いますし、すべての国立大学法人の理事、監事、経営協議会委員への文部省OBの、予定としておきますが、予定任用状況、分かったら伺いたいと思いますし、どのような肩書だった人がどんな役職にそれぞれ予定されているのか。また、監事の場合、どのような役割を担うこととされているのか。たしか附帯決議では、最終的に任用された場合は選任理由等は公表するものという附帯決議をたしか付けさせていただいたと思いますので、そのことも併せてお答えをいただきたいと思います。
  86. 玉井日出夫

    政府参考人玉井日出夫君) お答えを申し上げます。  国立大学法人のまず理事についてでございますが、これは学長が自らの人事戦略に基づいて幅広い分野から学長自らが任命するということになっておりまして、任命権は学長にございます。そして、まだ大学によっては公表していないものもございますので、これは全体を私どもが今把握しているわけではございません。四月一日以降に理事が任命された後に文部科学大臣に届出がなされると、そしてその上で公表されると、こういう仕組みになっております。  なお、あえて少し申し上げますと、三月十九日までに三十五の大学が予定ということで公表されておりますので、そこのことを若干申し上げますと、三十五大学の理事百八十五人が予定されているわけでございますが、そこに現在の事務局長やあるいは副学長などの文部科学省関係者が二十六名というふうに公表されております。  それから、どういう役割かでございますけれども文部科学省関係者やあるいはOBが理事に任用された場合でございますけれども、それは総務だとかあるいは労務管理だとか財務会計を担うことが期待されていると承知をしているわけでございます。  それから、次に監事についてでございますが、これは法人の業務の適正な執行を担保するために運営状況の監査を行うと、こういう職務の性格を踏まえまして文部科学大臣が任命をするという仕組みにさせていただいているわけでございまして、これは今後、正式にはこれから発令になりますが、三月十九日付けで国立大学法人の監事となるべき者の指名を既にしております。任命に当たりましては大学の意向を反映するよう配慮をしたところでございまして、企業、弁護士、大学関係者や地域とのかかわりがある民間の人材など幅広い分野から適切な者を選任をしたところでございます。  なお、御指摘文部科学省OBでございますが、この監事は全部で百七十八名でございますが、文部科学省OBは大学事務局長経験者一名がこの中に入っております。  それから、経営協議会委員でございますが、これは国立大学法人の経営面での裁量の拡大を生かしながら適切な運営を確保すると、こういうことを勘案いたしまして、学外者が半数以上を占める経営協議会を置くという仕組みになっているわけでございまして、この経営協議会の学外委員は法人化後に教育研究評議会意見を聞いて学長が任命するという、こういう仕組みになっているわけでございまして、文部科学省として関与する立場にないわけでございまして、そういう意味で今全体について把握をしているわけではございません。  ただ、先ほど申しましたように、公表している大学もございますので、そのことを若干申し上げますと、三月十九日までに公表をしているのは二十五大学ございますけれども、二十五大学の経営協議会の学外委員、全体で二百八名ということになるわけでございますけれども、このうち文部科学省OBが就任する予定として公表されている大学が十三大学で、実人員九名というふうに承知をしているわけでございます。  以上でございます。
  87. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 最終的に任用された場合の選任理由等についての公表はされますねという、この点は。
  88. 玉井日出夫

    政府参考人玉井日出夫君) これは当然、経営協議会委員が最終的には四月一日以降きちんとした形で任命されるわけでございますので、そこは公表されますし、それがどういうものであり、どういう理由で選任されたかということも当然明らかになってくると、かように考えておるわけでございます。
  89. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 これは移行に当たって、経過措置、猶予を置く、いろいろ議論があったわけですけれども、一応、多くの附帯決議を付けて四月一日実施というのが決められていった経緯がございます。したがって、これは法人化以降、問題があれば委員会で取り上げるというようなことも確認をしてきたと私は思っておりますので、今の役員人事等についてもまだまだ最終的には固まっているわけではございませんので、トータル的にそういう部分がまとまりましたら十分にこの委員会なりなんなりに公表していただいて、問題があればあのときに約束させていただいたように議論をするということをお願いをさせていただいて、法案以外で三十分過ぎましたので、次のいよいよこの法案について質問をさせていただきたいというふうに思います。  まず、午前中の質問と多少重なる部分があるかもしれませんけれども、それはお許しをいただいて、お答えをいただきたいと思います。  原則的に言えば、義務教育は、憲法及び教育基本法の規定に基づいて、子供たちに対して全国どこにおいても一定水準教育を受けることを保障するものであると。これは共通認識ができると私は思っておりますが、我が国の子供たちの知的水準が世界に誇るべきものとされるものは、ひとえに義務教育制度、さらにはその中心的な役割を担うべき優れた教員の教育活動によるものであると私は考えております。そして、この義務教育制度を支えてきたのが、教員の給与費の二分の一を国が負担する義務教育費国庫負担制度と人材確保法の二本柱であると考えます。今でもそうだと思います。  さきの参議院本会議においても河村大臣は、義務教育国庫負担制度は、義務教育に対する国の責任制度的に担保するものであり、これにより、地方公共団体財政力の格差にかかわらず、全国のすべての地域において優秀な教職員を必要数確保し、教育機会均等教育水準維持向上が図られてきたと答弁されてみえます。この二本柱の今日的な意義について、改めて河村大臣にお伺いをさせていただきます。  また、教育人材立国の更なる実現を目指す我が国にとって、義務教育制度充実、そして優秀な教員の確保が引き続き非常に重要になることは言うまでもないと。教員の給与費を始め、教育のための予算を今後更に拡充させていく必要があると考えます。有馬先生お見えになりませんが、よく公財政支出を例にして、高等教育は、まだ初中の方は高等よりいいと言われますけれども、初中の方も先進国、ほかの国と比べると決していい方ではありませんので、そのことをちょっと付け加えさせていただきますが。そして、総理の就任当時の米百俵の発言が最近は大変むなしく聞こえるといった議論が繰り返されていますが、今申し上げた点について大臣の見解をお願いします。
  90. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 佐藤先生の方から詳しくもう御説明ありましたこの義務教育国庫負担制度というのが、優秀な教員を確保する、そのための必要な数だけきちっと確保する、そのための財源保障する制度だと、この基本的な考え方、私はこれ非常に貴い考え方で、これがあって私は今日まで、いろいろ財源的に難しい時期もあったけれども、これが乗り切ることができた。このずっと義務教育国庫負担制度の歴史を見ても、現実に一度戻そうと、戻した、交付税制度的なものに戻してやっぱりやってみたら大変だったという歴史を踏まえておりますから、その思いを強めて、本会議等においてもそのようにきちっと答弁をさせていただいたわけでございます。  これからも当然その義務教育の水準は全国的に維持をしながら、そしてその根幹はやっぱり教員の、義務教育の成否が教員に懸かっているということ、この考え方に基づいて、必要な優れた教員を一定数確保する、そのための義務教育費国庫負担制度、これをまず堅持していかなきゃいかぬと、この基本的な認識がございます。  とあわせて、人材確保法といいますか、これも、これはまあ相まっておるわけでございますが、現実に経済財政諮問会議等々で財務大臣からこれが指摘をされた面もありますし、また、その財政諮問会議委員の中には、なぜ教員、先生だけが給料を優遇されるんだと、それはおかしいではないかと、こういう議論が出たというものでありますから私もびっくりしたのでありますが、これは、全くその人材確保法がなぜ生まれたかという歴史的な経緯も全く御存じない。教員も一般の勤労者も全く同じだという考え方にあるのかなと思いながら、ただ、よくその中を見ると、一律優遇というのはいかがなものかと、こういう話もありますから、確かにこういう、現時点でそういう指摘があることもやむを得ない部分が、やむを得ないというか、それはまあ今の時代、一律に何でもかんでも一緒だというのもおかしいと言われれば、これはやっぱり改正すべき点だから、この点はメスを入れる部分があるなと思いながらも、しかしやっぱりこの根幹は守っていかなきゃいかぬという思いでおりまして、やはり人材確保法というのがあって、優秀な優れた人材を教員に維持していきたい、それによって教育水準を維持していくんだと、このこと。  これは、この法律はそういう意味で非常に意義のあるものでありますし、佐藤委員も御指摘がありましたように、これだけ非常に複雑な時代、そしていろんな社会問題を抱え、また子供たちをめぐる環境も大きく変わってきた、こうした中で、やっぱり教員が、先ほど議論いたしましたように、正に優れた感性を持って教員として頑張ってもらう、このためにもやはりそれなりの処遇をきちっとやっていく、こういう意味で人材確保法は今後とも必要な課題である、大事な法律であると思っておりまして、この義務教育国庫負担法とこの人材確保法相まって、この教育機会均等、そして教育の水準の維持、これができると思っております。  あわせて、全体的に、米百俵の話じゃありませんが、教育にいかに投資をこれからしていくかという問題。これは、前遠山大臣のときにもいろいろ議論をして、やっぱりこれはここまで今までのことを考えると、もう一度やっぱり教育投資ということを考えていかないと、今までは確かに日本教育でやってきた、大丈夫だと思ってみたけれども世界は、いや教育教育だ、ブレアさんを始め皆さん相当力を入れてきたと、このまま置いておいたら日本はやっぱり置いていかれる、もう既に数字的にもそれが出てきたと、こういう意識をもっと高めなきゃいかぬと思いますね。  そういう意味で、私は総理が米百俵の話をされたときは非常にしめたと、こう思ったのでありますが、どうもねらいが、ちょっともう一つポイントがワンポイント前に行っていなかったという嫌いもある。しかし、それは、かねてから申し上げておりますように、小泉改革の起承転結の部分はやはり米百俵の精神、その教育投資に持っていく、これは我々も努力しなきゃいけない課題だと、こう思っておりますので、皆さんのお助けもかりながら教育予算を確保する、更に一層努力をしていきたいと、こう思っております。
  91. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 ありがとうございます。  これは追加質問も反論も何にもありません。今のお考えの下に、最後の方で教育投資という言葉を使われた。最近、今まではよくこの委員会、本会議でも、投資という言葉がいいのか分かりませんけれども教育は先行投資とか投資とかというのはよく言われました。しかし、ここ最近になって、教育が、教育費が投資だとか先行投資だとかという答弁が小泉総理からも出てまいりません。その前の総理からはよく、教育は未来への先行投資だという言葉がよく言われました。  今、教育は先行投資だということを大臣言われました。正に私はそうだと思っています。そんな、今日やってすぐあした効果が出るというものではないわけですから、やっぱりそういう長い先行投資というような、そういうことで教育というものは考えていかなければいかぬだろうというふうに思っていますので、大変ありがとうございました。是非頑張っていただきたい。我々もその立場で頑張っていきたいというふうに思っております。  そこで、次ですが、本法案では附則第二条において、退職手当及び児童手当に関する今回の措置について、平成十八年度末までの検討の状況や社会経済情勢の変化を勘案し、必要があると認めるときは所要の措置を講ずるという趣旨の検討規定が置かれています。昨年行われた共済費長期給付などの一般財源化の際にはこのような趣旨の規定は設けられていなかったわけですが、これは骨太の方針二〇〇三における、平成十八年度末までに義務教育制度の一環として中央教育議会での検討を踏まえて検討を行うとの一文を受けたものと理解をしています。財政的観点からの議論が先行しているとされる昨今の文部行政の方向付けを事実上決定しているのが経済財政諮問会議などの官邸主導の諸会議であるということは、既に午前中にも指摘のあったとおりでございます。  骨太の方針の一文は、こうした指摘への反省から、あくまでも教育観点から措置を行う決意表明と受け止めているが、具体的にはこれからの諸会議ではどのように中教審の議論が踏まえられていくのか。聞きおくだけではこれまでと変わらない、やっぱり官邸主導になってしまう。どのように中教審の審議を踏まえられるのか。中央教育議会における検討の状況及び経済財政諮問会議での検討結果の扱いについて御説明お願いしたい。  また、附則二条に基づき退職手当などを国庫負担金に戻すことは想定していないとされている。税財源移譲予定特例交付金は、昨年末の三位一体改革に関する政府・与党協議会の合意によると暫定的な措置とされている。将来的には実質的な税源移譲措置が見据えられているものであろうと想像しますが、必要額を確保できるかどうかが見えづらい制度となり、地方への押し付けといった今国会での議論も午前中にも繰り返されたように思います。  退職手当児童手当について、八割程度の税源移譲ではなく全額税源移譲をされなければならないと私は思っております。必要があると認めるときは所要の措置を講ずるという法文を踏まえて、その必要性を徹底的に議論し、政府がその結果をつまびらかにした上で国会において議論すべき性格のものであろうというふうに私は考えます。どこかの会議から来てそれでつじつま合わせをするんではなくて、国会で議論し、この委員会でまず議論をすべき問題であろうというふうに思います。  そんな、今申し上げたようなことについて、大臣の見解を伺います。
  92. 原田義昭

    ○副大臣原田義昭君) 佐藤委員お話しになりましたように、基本方針二〇〇三、これに基づいて義務教育制度在り方の一環として検討を行うと。これは財源論がどちらかというと強調されている嫌いもありますから、断固として、義務教育制度はどうあるべきか、教育論からこれは検討をしなければならないと、こう思っておるところでありまして、現在、中教審におきまして専門部会を作りまして、もう昨年でも十数回に及ぶ議論が行われているところでございます。  この部会においては、義務教育に係る経費負担在り方、国、都道府県市町村、それの役割分担、こういうことについて都道府県市町村教育委員委員会の関係者やら有識者から意見聴取を実施、いただいておると。できるだけ早くここにおいての結論はいただきたいと、こう思っております。必要があると認める場合、これについては正にこれからこういう議論を踏まえて結論を出さなければいけないわけでございますけれども、当然のことながら、お話ありましたように、この国会においてもそのことが議論をされる、こういうふうに思っているところであります。  いずれにしましても、文科省としては、義務教育についての国としての責任をしっかり踏まえまして、その根幹はいささかも揺るがさないと、こういう考え方で臨んでいきたいと、こう思っております。
  93. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 あくまで教育的な観点からという決意はよく分かりましたが、具体的にこの中教審の論議がどう踏まえられるのか。  ややもすると、財政諮問会議で発表しなさい、それで聞きおくだけということにつながったんでは全く意味がないんではないかというところに私の質問の力点はあるわけで、中央教育議会における検討状況の結果が経済財政諮問会議での場でどのように取り扱われていくのか、その辺はまだ何も決まっていないのか。どういう形で中教審で審議したことが財政諮問会議に反映をしていくのか、そのルート、筋道、こうだということが既に話し合われているのかどうか。  そこのところを十分に踏まえて、決意はよく、副大臣の決意は分かりましたけれども、今までややもすると、聞きましたよと、しかし結果はこうですよということが多いのが、私の経験上そう思うので、せっかくこれ、中教審の議論ということを、財政論からくるから中教審で議論をというのを始められたわけですから、それがどう生かされていくのか、その生かされ方ですよ。今までだとどうしても聞きおくだけという場合が多かったから、そこのところをちょっと危惧をして質問をしているわけで、そこのところについてもう一度答えてください。
  94. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) 少し補足をさせていただきますが、昨年の基本方針二〇〇三では、「義務教育費に係る経費負担在り方については、現在進められている教育改革の中で中央教育議会において義務教育制度在り方の一環として検討を行い、これも踏まえつつ、平成十八年度末までに国庫負担金全額一般財源化について所要の検討を行う。」と。  おっしゃるように、確かに経済財政諮問会議等でどういった形で議論をするのかと。これはまだ、十八年度末までの話でございますから確たるあれはないわけでございますが、ここに閣議決定をされておりますように、まずは中教審で義務教育制度在り方の一環として検討するんだと、その結論、結果を踏まえると。これはまた、私どもは重たい事柄ではないんだろうかと思って、これも踏まえつつ、政府全体で所要の検討を行うと、こういうことになっていると。(発言する者あり)
  95. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 どうぞ、代わって。  局長の答弁で今やむを得ないのかなと思いますけれども、お隣の大先輩が言われるように、今までそうしてきたんですよ。しかし、しかしそれが十分に踏まえられなかったんですよ。まずはやって、それでまず、攻撃はまずやるというところで逃げておいて、それでいざ結論になると、踏まえられずに、先生の言葉をかりたら、踏ん付けられてきたんだって元文部大臣側は言っておみえになります。  ということなので、やっぱりここまで打ち出したとするならば、やっぱりもう少ししっかりと中教審に、優秀なメンバーの方々がその議論をされるわけですから、そのことがしっかりと官邸サイドに、あるいは財政諮問会議に十分に踏まえられるように、既にまず立ち上げましたでは私はこの問題は乗り切れぬだろうと思いますよ、まず立ち上げましただけでは。それでは、踏みにじられるとまで私は言いませんけれども、聞きおくだけとされちゃうような心配をします。だから、今からもうそれは文科省から働き掛けるべきですよ、もっと強く、というふうに思います。これでこれはやめます。  次に、三位一体の具体的な工程について伺いますが、これもちょっと午前中の質疑とダブるかもしれませんが。  小泉内閣の下で経済財政諮問会議などを中心に三位一体改革と呼ばれる動きが進められている。その中で、国庫補助負担金について四兆円程度を目途に廃止、縮減等の改革を行うとされている一方、税源配分の見直しについては、補助金の性格等を勘案しつつ、八割程度を目安として移譲する。義務的な事業については、徹底的な効率化を図った上でその所要の全額を移譲するとされている。次々にねらい撃ちされる教育予算文部科学省関係の負担金を見ていると、教育予算削減改革義務教育国庫負担削減改革ではないかと思わざるを私は得ません。  また、今回の退職手当などの削減は、三位一体改革の中でどのように位置付けられているのか、また、文部科学省の補助金、負担金の取扱いで、これまでに八割程度移譲の対象とされるものはどんなもので、全額移譲の対象とされるものはどんなものなのか、分かっていたらお知らせをいただきたいというふうに思います。
  96. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) 八割移譲されるというものはないものと承知をいたしております。
  97. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 ないですね、はい。大臣、いいですね。
  98. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 今、局長答弁あったように、教育費についてはそういうことはあり得ないと、こういうふうに考えております。
  99. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 安心しました。  次に、三位一体改革の中での義務教育費国庫負担金の取扱いについて伺いますが、平成十五年六月に閣議決定された国庫補助負担金等整理合理化方針では、「国が一定水準を確保することに責任を持つべき行政分野に関して負担する経常的国庫負担金については、」、中略させていただきますが、「その対象を真に国が義務的に負担を行うべきと考えられる分野に限定していく。」とされています。  当然、義務教育費国庫負担金は、この真に国が義務的に責任を負うべき分野であるとの政府内での共通認識があるものと思いますが、総務大臣答弁の中では、今回の措置平成十八年度末までに給与費全額一般財源化について検討を行うということになっております中で、まず退職手当一般財源化を行うこととなり、改革を一歩前進させるものだと認識いたしておりますとの答弁のくだりもあります。  政府内では、義務教育費国庫負担金については真に国が義務的に責任を行うべき分野であるとする共通認識が存在するのか否か、その点について伺います。
  100. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 国が真に義務的に負担する分野といいますか、これについては、これも義務教育国庫負担制度在り方から考え教職員給与費というもの、これがやっぱり一番大事であるといいますか、これを負担するということがこの財源保障するということであると、こういうことでこれまで考え方を進めてきたわけでございますので、こういう形になっておるわけでございますが。これから、今まではずっと教材費であるとか、そして今回は退職手当、退職金、こういうふうになってきて、これがだんだん進んでいってその一歩と受け止めるという考え方を表明されたから、そのまま行くんじゃないかという皆さん御心配になっております。  我々の方は、そこまでは、直接の今の優秀な教員を確保するという意味では、全体的に地方分権時代国庫負担金とか補助金的なものをできるだけ削減したいんだという政府の方針、これに我々も総論として、また内閣の中で賛成し、また三大臣合意、あるいは二〇〇三方針というものがありましたものですからその線に来たわけでありますが、しかし、いったんここで我々としてはやっぱり教育論として考えたときに、この義務教育国庫負担制度によって今の日本のこれまでの義務教育をきちっと維持していく、教育機会均等、それから教育水準の維持、これに立ち返ったときに、この制度は我々どうしても国として必要なものであるという考え方に立っておるわけでございます。  先ほど来の御議論にもございました。それがゆえに中教審、中央教育議会意見を踏まえてと、これは踏まえてといってこれを、本来、私どもからいえばこれを尊重するというのが本来の在り方だと、こう思っております。これはまあ同床異夢的なところがあっていろいろ読み方はあるようでありますけれども、我々はこれを尊重するんだという。だから、さっき御意見のように、これを早く、今議論をしていただいておりますが、取りまとめて、これを一つの基にしていかなきゃなりません。  しかし、もう一方、これ今までとちょっと違うのは、これまでは財政会議とかいわゆる行財政推進会議とかそっちだけだったんでありますが、これはオオカミやトラに例えると、「前門の虎」とか「後門の狼」とか言いますが、今度は知事会というやつもございまして、地方分権時代地方意見も聞けと、こうなっているわけです。知事会の意向というものもかなり強烈に、これはいわゆる一般財源化の方向で強く打ち出してきた。しかし、我々はこれに対して、地方の裁量性を増すための総額裁量制という考え方、これに対する評価を今求めているわけでありまして、これが今だんだん高まりつつある。これが地方意見としてどうなのか。一方では、市町村はもうこれ堅持だと、こう来ている。  これを踏まえながら、地方意見として我々もきちっと受け止めなきゃなりません。それをもって、これからの政府の地方分権在り方と、と同時に教育論等をきちっとやって、そして国と地方役割分担というものを明確にしながらこの義務教育国庫負担制度を維持するという、このきちっとした論理立てを持ってこれから臨んでいかなきゃいかぬと、その準備を今、正にしておると、こういうことでございます。
  101. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 理解させていただきました。  ちょっと時間がなくなってきたので通告した順番と変わりますけれども、お許しをいただきたいと思います。  これも午前中ありましたけれども税源移譲予定特例交付金、せっかく総務省から来ていただいておりますので、この問題にかかわって同じような質問になるかもしれませんけれども、よろしくお願いしたいと思います。  今回の退職手当及び児童手当一般財源化に伴い、税源移譲予定交付金が新たに設けられるとされています。同交付金は各都道府県に対して人口比に応じて配分されるということであります。これは先ほど答弁がありました。  この件についてですが、人口の少ない県において現在の水準と比較した配分額が少なくなることが懸念される。これに関しても答弁があったと思いますが、地方交付税交付金の引締めに苦しむ地方の声の心配する高まりもあります、一方で。そのことは御理解いただいていると思いますが。  昨今、教育行政に対して厳しい見直しの声があるが、やりくりに行き詰まって退職金が値切られるようになったんでは話にならないと。教育分野における地方交付税の使途については、よく例に出すのが、私どもが例に出すのは、学校図書館図書費が引き合いに出すわけでございますけれども、どこかへ行ってしまうという問題です。  確かに自治体の見識が問われる問題とも言えると思いますけれども予算が逼迫する中での無原則な一般財源化にこそ大きな問題があり、名実とも中身のある地方分権がされるまでは教育目的に限る一定の枠を設けることを考慮すべきではないかと私は考えます。これは中島委員が本会議でも言われたところだとは思いますが、一定の枠を設けるべきではないかというふうに考えます。  そこで、税源移譲予定特例交付金について人口配分するということですが、これは午前中出ましたが、なぜ児童生徒数や教職員数で配分しないのか。その方が私は歳出の根拠が明らかになるんではないかというふうに思います。そして、自治体間での不公平が生じさせないためにもその方がいいんではないか、その生じたのをどう措置するかについて、先ほど交付税措置をすると言われました。  これは先ほど引き合いに出した図書費の問題で、図書費交付税措置されたのに図書費に使われなかったと。これは地方が勝手に裏切ったんだと言われりゃそうなのかもしれませんが、財政上厳しくてそうなったんでしょう。そして一年目は、私の記憶が間違っていなければ措置されますよ、特例金として。それで、格差は交付税措置されますよ。そうすると、次の年になって交付税がばかっと下げられたら補うものがなくなるわけですよね。そうでしょう。人口比の分は行っても、交付税の全体が下げられたら行かないわけでしょう。  それは、既に削減された、去年削減されたのは何だったですかね、ちょっと記憶が。公務災害のと共済金、これももう地方負担が出ておるんじゃないですか、現実には。一年目は行くんですよ、決められてこうやってやったと言いますから。しかし、二年目になるとそのとおり来なくなるんですよ、ましてや交付金措置されておる方が交付金が下げられてしまったら。したがって、私はこれは、退職金というものは、より歳出根拠を明確にするためには児童生徒数や教職員数の方がはっきりするんではないかと。地方負担も、地方もこれ喜びますよ、その方が、と勝手に思っていますが。  先ほどの答弁の補足の形で結構ですから、総務省の方から、お尋ねをしたいというふうに思うと同時に、同交付金の配分在り方について文部科学省は本当に十分なものであると考えているのか。教育分野、殊に教育活動の中核的な存在である教員の給与費については、景気に左右されることなく安定的な、確保されるシステムが必要ではないのか、それをお尋ねをしたいです。それに関しても、私はやはり児童生徒数や教職員数で割っていけばある程度安定的に確保されていくんではないかというふうに思いますが、この人口比になったときに文科省としてはどう対応されたのか、この二点について伺います。
  102. 世耕弘成

    大臣政務官世耕弘成君) 総務省に対しては幾つか御質問をいただいたと思いますが、まず一つは、なぜ児童生徒数や教職員数ではなくて人口で割り振るのかということでございますが、この税源移譲予定特例交付金というのは、あくまでも三位一体改革の一環で、国税から地方税へ税源移譲を行うまでの暫定的な措置であるという趣旨にかんがみまして、やはり地方税とある程度類似した形で配分をすべきではないかということで、地方税収一定相関関係を持っているということで、一番相関関係を持っている人口に応じて配分をさせていただいているわけでございます。  それともう一つ、次の年になると減るんじゃないかというお話ですが、それはございませんで、必ず全体の地方財政計画の中に必要な総額をしっかり入れた上で交付税を決めてまいりますので、そういう懸念はないのではないかというふうに思っております。  そしてまた、税源移譲特例交付金の使途をある程度枠をはめて教育目的に限るべきではないかというお話でございますけれども、これもやはり三位一体改革の一環として、税源移譲を行うまでの暫定的な措置であるということを前提に考えますと、やはり原則としては、使途は自由な一般財源とすべきであるというふうに考えます。  ただし、先生もおっしゃいましたように、常識で考えた場合、教職員退職手当というのは、急にある日突然減らしたりとかそういうことはできないわけでございまして、これは都道府県が判断するわけでございますが、都道府県は当然これらの手当を支給することになるんだろうというふうに考えております。
  103. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) 今、世耕大臣政務官から御答弁があったことにつきましては、事務当局からも私ども説明を受けているわけでございまして、退職手当等、これは義務的な経費でございますから、所要の金額が支給されるものと思っておりますが、来年度以降も引き続き総務省にしっかりと要望してまいりたいと思っております。
  104. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 暫定的な措置であるから、今後はきちっと暫定的措置でなくなったら保障されていくというふうに理解をしますが、交付金で、交付税措置するというのは、いつでも公平は公平なんですよ、分け方は。公平に。不公平、めちゃくちゃになっているとは思いません。しかし、全体が減らされたら、いかに公平に分けたって、各県へ行く分は減るわけですよ。退職金がそういう形になったら困りますよということなんですよ。分かります。  人件費とか、公平では当たり前でしょう。そんなお隣の長崎県だけ優遇されて、うちの愛知県だけ減らされる、そういうことはないでしょう、それは。一つの法、決まりでやっていくんですから、それは公平ですよ。公平ですけれども、全体が減らされたら、いかに公平にやったって、県に行く分は減るんですよ。それが人口比でやった不足分を交付税でやられると、そういう心配をするわけですよ、今までそういうことがありましたから。だから質問したんであって、もう自信満々にぱかっと答えられましたけれども、そういうことがあるんですよ。時間がないので、言いっ放しで済みません。  草川委員の方から質問がありました。これも私の方からも確認をさせていただきます。  昨年の常会において、遠山科学文部大臣、事務職員及び学校栄養職員、学校運営の基幹職員である、義務教育を支える根幹であるとの答弁をされている。この認識に変わりはありませんね。変わりがないならば、当然、国庫負担対象となるべき職員であることを確認したい。簡単で結構です。
  105. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 前大臣答弁されたとおり、私も、事務職員、学校栄養職員、学校の基幹職員として引き続き国庫負担制度対象考えております。
  106. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 もうあと一分しかないですね。それじゃ、大分残してしまいました。  最後に、最後の質問とさせていただきますが、教育分野にかかわる地方分権在り方について、地方分権改革推進会議に対する文部科学省のスタンスについて、最後伺います。  昨年、地方分権改革推進会議から、教育について重点的に推進すべき事項と項目として、義務教育費国庫負担制度の見直しのほかに、教員給与の一律優遇の見直しや学級編制に関する権限の県から市への移譲などが提言されました。どれも現状に対する問題意識がなされるものかと考えますが、地方分権推進の視点だけではその本質が見えにくい問題も多々あります。どれも国としての義務教育をどう維持していくかといった視点が不可欠であります。  この点について、るる、今まで河村大臣答弁をされました。理解はさせていただきました。一律優遇の見直しといった議論は財政当局からも出されており、地方分権といってもそうした流れの中で議論が進んでいくことを私は危惧をする部分もあります。政府の三位一体改革における義務教育改革の方向性は地方自由度の拡大にあると言うが、義務教育についての国の責務を全うする文部科学省立場からすれば、拡大すべき部分と守るべき部分をそろそろ明確に示すべき時期を迎えているのではないかと、私はこのように考えます。  義務教育在り方根本から議論しているとされる中央教育議会の活動を早く、素早く公表していただき、建設的な議論を展開していきたいと私は考えます。こうした委員会で建設的な議論をしていきたい、首相官邸から何かの会で出されて、それが示されて議論をするのではなくて、早めに、中教審がもっと素早く公表をして、こうした委員会からそうした徹底した議論をしていきたいと、私はそのように考えています。そのことが、教育分野における地方分権在り方を決めていく共通理解が得られるんではないかと、このように考える次第であります。  このことを大臣にお約束をしていただきたい。お約束をしていただいて、私の質問を終わります。
  107. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 中央教育議会意見を踏まえてと、こうあります。このことは、おっしゃるとおり、これから議論する上に大事なことでありますから、取りまとめを私も急ぎたいと、こういうふうに思います。あわせて、知事会との意見交換をもっときちっとしていかなきゃいかぬと、我々の考え方をきちっと述べていかなきゃいかぬと、このように思います。
  108. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 どうもありがとうございました。
  109. 林紀子

    ○林紀子君 日本共産党の林紀子でございます。  思い出しますと、昨年もちょうど今ごろ、この義務教育費国庫負担法の改正案というのが出てまいりまして、そしてこの委員会で大いに論議をされておりました。このときに各委員から質問されましたのは、平成十四年の十二月十八日に三大臣がサインをしたという三大臣合意についてだったわけですが、初めに、私は、この三大臣合意というのが今生きているのか。    〔委員長退席、理事亀井郁夫君着席〕  それぞれ、総務、財務、文部科学大臣、皆、替わられたわけですよね。しかし、この三大臣合意というのは今も生きているのか、生きているとしたら、今後の扱いはどうなるのか、それについてお聞きしたいと思います。
  110. 亀井郁夫

    ○理事(亀井郁夫君) どっちですか。
  111. 林紀子

    ○林紀子君 大臣お願いします。
  112. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 二〇〇三の方針に引き継がれた形で三大臣合意が残っておるということは、これはその後これ三大臣新たに集まってこれをほごにするという話はまだいたしておりませんから、したことはございませんので、一応それに基づいて、特に十八年度までの方針というのは、その考え方に基づいて我々は対応していかなきゃいかぬと、私はそれに向かって対応していかなきゃいかぬと、現時点でそう思っております。
  113. 林紀子

    ○林紀子君 この三大臣合意について、昨年、遠山大臣はこうおっしゃっていたんですよね。この合意の問題については、委員会の記録としてむしろ残さない方がいい、それからまた、読み方がなかなか明確でない面がございます、こんなふうにお答えになっていたんですけれども、今になってみますと、どこの読み方が難しかったのか、明確でなかったのか、正にこの読み方、至って明瞭なんじゃないか、そういう結果になっているんじゃないかというふうに思うわけですね。この三大臣合意に書いてある、そのとおりの方向に進んでいるわけです。三項目めには、退職手当児童手当については、これはしっかり守っていく、仕切り直しだというふうな御答弁があったわけですけれども、今になってみると、ああやっぱりというか、結局今回の法改正でそのまま実行されてしまっているわけですね。また、一項目めも、総額裁量制という、この導入という形で具体化されているわけです。  そうしますと、一番将来にわたって書いている二項目めというのが今のところ残っているわけなんですが、私も前回の質問の中で申し上げたんですが、この二項目めというのを非常に素直に文章どおり読みますと、義務教育費に係る経費負担在り方については、いろいろ述べられておりますけれども平成十八年度末までに国庫負担金全額一般財源化について所要の検討を行うと、こういうふうになっているわけですね。  一番、三番はもう行われてしまったわけなんですよね。そうしますと、この二番目というのももう風前のともしび、このとおり行ってしまうんじゃないかと、そういう心配が非常にあるわけですけれども、いかがでしょうか。
  114. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 林先生、今、真ん中をお飛ばしになったけど、現在進められている教育改革の中で、中央教育議会において義務教育制度在り方の一環として検討を行いと、こうある。これは大事なところなんです、ここは、これは。    〔理事亀井郁夫君退席、委員長着席〕  だって、これ、今、教育改革を進める中で、義務教育制度在り方をどうしようかという教育論をやろうとしているわけですから、これは私の方はやっぱりここに教育論が、これは遠山大臣が歯止めを掛けたといいますか、してあるんだとおっしゃったのはここなんですよ。ここのところできちっと我々が議論したものを、今さっきも、早く、それをまとめて早く出すべきだとおっしゃった、このところでありまして、我々は、ここで教育論をきちっと踏まえた上で、教育論を打ち出しながらきちっと対応していきたいと、こう考えておるわけです。
  115. 林紀子

    ○林紀子君 そこで、先ほども問題になりましたけれども、ここにかかわってくるのは、今回のこの法案の、これは改正する法律というのは、第一条、第二条を改正するというだけで二つしかないわけですけれども、附則というのが四つも付いているわけですね、四条という形で。その中の第二条というのが今おっしゃいました「検討」という項目になっているわけですよね。この「検討」というところに大いに関係があると思いますので、この附則の第二条についてもう少し詳しくお聞きしていきたいというふうに思うわけです。  ところが、この第二条を読んでみましたけれども、大変何か分かりづらくて、難しくて、分からないんですね。私も一生懸命考えまして、枝葉を刈り込んで整理してみますと、この第二条ということは、今回取った措置ですね、退職手当児童手当国庫負担対象外にするというこの措置については、教職員の給与等に要する経費負担在り方に関する十八年度末までの検討の状況を勘案する、それがまず一つ。それから、社会経済情勢の変化を勘案する、これがまず二つ目。そして、必要があると認めるときは所要の措置を講ずるものとすると。こういう文脈になっているんだと思いますけれども、この中の「経費負担在り方」、これはどういう内容なのでしょうか。
  116. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) まず、この附則第二条を設けた趣旨でございますが、これは確かに、この退職手当児童手当に係る取扱いにつきましては、昨年の三大臣折衝、あるいは地方知事会等からもいろんな意見があったわけでございまして、昨年十二月の三位一体改革に関する政府・与党協議会の決定で、この部分につきましては、「義務教育費国庫負担金退職手当児童手当に係る取扱いについては、暫定的な措置とする。」と、こういう決定があったわけでございます。  そのことを踏まえまして、私どもはこの退職手当児童手当に係る措置、これを本則でもって国庫負担対象から外したわけでございますが、こういう附則を設けまして、先生先ほど御指摘になりました第一条、第二条の規定に基づく措置、これは退職手当児童手当に係る措置でございますが、これはまさしく骨太の方針二〇〇三で、義務教育教職員の給与に要する経費負担在り方全体について平成十八年度末までに検討すると、こういうことになっておるわけでございますから、その検討の状況と、社会経済情勢の変化、今後、平成十八年度末までにいろんな社会経済情勢が変化をするかもしれない、そういったことを勘案をいたしまして、その時点においてこの退職手当児童手当の取扱いについて必要があると認めるときには所要の措置を講ずると、こういうことを、暫定的な措置であるということを踏まえて書いたということでございます。  経費負担在り方についてのお尋ねは、これはまさしく義務教育教職員給与費に関する経費負担在り方でございますから、これは今、中央教育議会都道府県市町村の関係者から御意見も聞きながら精力的に検討いただいておるその中身でございます。
  117. 林紀子

    ○林紀子君 それじゃ、今、社会経済情勢の変化を勘案するというお話もありましたね。この社会経済情勢の変化というのはどういうことを想定をしているわけですか。
  118. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) 将来への様々な不確定要素が含まれておりますから、現時点で具体的に何が想定されるかということを限定するというのは難しいんでございますが、強いて申し上げますならば、国、都道府県におきます財政状況の変化、あるいは退職手当児童手当の支出の状況、政府における税制改革等、こういった動向のもろもろの変化が想定されるものでございます。
  119. 林紀子

    ○林紀子君 様々な情勢がある。それはいつでもどこでも様々な情勢というのはあるわけですね。しかし、わざわざここにうたってあるからには、一定の想定がないと別にうたった意味はないというふうにも思うわけですね。  そうしますと、例えば経済情勢が良くなると、国の財政が良くなるというようなことも考えて、そうなったら税源移譲ができると、そういうことも想定をしているということなんですか。
  120. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) 今申し上げましたように、社会経済情勢の変化というものはいろんな不確定な要素が含まれておるわけでございますから、そこらは今後決定される事柄でもございますので、今、現時点でどういったことを、ある意味では決め打つ形での想定はいたしておらないところでございます。
  121. 林紀子

    ○林紀子君 そうしますと、わざわざここにこういう文言を入れた意味というのは全然ないんじゃないかなと。そのときになってみなくちゃ分かりませんよというお話ですよね、というふうに思うんですけれども。  でも、一つかなりはっきりしている経済情勢ということにつきましては、今回の退職金の問題ですけれども、退職をする先生、それは、ちょうど団塊の世代というのは非常に多くなるんじゃないかと思うわけですね。これからどんどん増えてくる、そしてそれに対応をしたやり方というのが今回のこの退職金の国庫負担から外してしまうというところに十分組み込まれているんでしょうか。
  122. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) 今回、教職員退職手当国庫負担対象から外したのは、まさしく国と地方役割分担、費用負担在り方を見直しをするというのが政府全体の方針でありますから、その見直しの一環として国が真に負担すべきものに対象経費を限定をしたということでございます。  なお、おっしゃりますように、今後退職者が増えてまいりますから退職手当が増えていくと。そこで、知事会等からもいろんな御意見があったわけでございまして、そういった危惧が示されたと。そういったことから、先ほど来御議論がございますように、税源移譲予定特例交付金というものを創設をいたしまして、税源移譲までの各年度の退職手当等の支給に必要な額を確保し、地方の財政運営に支障が生じないように暫定的に財源措置が講じられたと。そういうことを踏まえまして今回こういう政府全体で整理がなされたと、このように理解をいたしております。
  123. 林紀子

    ○林紀子君 退職手当については確保されたというふうにおっしゃっているわけですけれども、それは今よりどんどん増えても大丈夫だということなんですか。そこをちょっともう一度、もう少し、確保の一言じゃなくて、どういうふうに確保されるのかということも含めて御説明ください。
  124. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) これは、先ほど来総務省大臣政務官からも御答弁がございましたように、退職手当につきましては、今後まさしく退職者が平成三十年度ぐらいまでは増えていくわけでございますから、これに合わせまして総額として必要な額の交付金が確保されると、また、若干バランスが欠けると申しましょうか、そういった事柄については地方交付税でしっかりと見ていくんだと、こういった御説明があったかと思いますけれども、そういった形で私どもは、これは必要な額が確保されると、このように理解をいたしております。
  125. 林紀子

    ○林紀子君 足らない部分は地方交付税措置をされるというお話なんですが、地方交付税ではそれは非常に、全体が沈んだら沈んじゃうというお話先ほどからありましたし、地方交付税というのはそれこそ色の付かないというか、ここに使いなさいというお金ではないわけですよね。退職金に使いなさいというお金じゃなくて、交付税、こういう形では退職金に使わないで、例えば道路に回されてしまった、橋に回されてしまったということだってあり得るわけですね。そうしますと、退職金もらう方がどんどん減額をされてしまうと、そういう形になるわけですか。
  126. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) こういった退職手当とは、これは条例なり規則にのっとって一定の計算式で支給されるわけでございますから、私どもは、それは必要な額が支給されていくと、そしてそのための税源移譲予定特例交付金措置をされていると、こういうことで理解をいたしております。
  127. 林紀子

    ○林紀子君 条例で決められるというのは分かりましたけれども、条例というのも変え得るものであるということもまた確かなわけですね。ですから、きちんとこれは退職金に使いなさいというお金がそれに足りる分だけ渡されない限り、今みたいな心配というのは十分あるということではないかというふうに思うわけです。  それから、この附則第二条に、最終的には「必要があると認めるときは、所要の措置を講ずる」ということがありますけれども、この「所要の措置」というのはどういうことでしょうか。
  128. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) まさしくそこは十八年度末までの検討状況、社会経済情勢の変化を勘案をいたしまして必要に応じて所要の財政措置が講じられるということでございまして、現時点でこれこれこれの財政措置をあらかじめ想定をしているものではございません。
  129. 林紀子

    ○林紀子君 そうしますと、先ほどからいろいろお聞きしてまいりましたが、その社会経済情勢の変化というのもその時々によって違うものだ。また、この「必要があると認めるときは、所要の措置を講ずる」というのもこれからの問題だ。ですから、そういう意味ではこの第二条というのは何にも書いていないのと同じことだというふうに思うんですけれども、今お聞きいただいていた皆さんも、ここのところを読んで、じゃどういうことを考えているのかというのは全然分からないんじゃないかというふうに思うわけですね。  そして、先ほど大臣からも御答弁がありましたけれども、三大臣のこの合意についての②というところ、そこでは、真ん中のところに、現在進められている教育改革の中で義務教育制度在り方の一環として検討を行い、これを踏まえつつ一般財源化について所要の検討を行うというふうに、そこが大事なんだというお話がありましたので改めてお聞きしたいというふうに思うわけですが、この検討というのはどこでどのように検討をするのか、お聞かせいただきたいと思います。
  130. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) まず第一義的には、中央教育議会におきまして義務教育制度在り方の一環として検討を行うと、こういうことでございます。
  131. 林紀子

    ○林紀子君 先ほど来、ほかの委員の皆さんにお答えがありましたけれども、この中教審では専門部会というのを設けて、そしていろいろなところからの聞き取りということもやっているというお話はあったんですけれども、しかし、それでは、これはいつごろまでにこの検討というのを行って、そして経済財政諮問会議地方分権改革推進会議、こういうような会議にもきちんと反映しなくちゃいけないわけですから、これをいつごろまでにどのようにするのかということも聞かせてください。
  132. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) この骨太の方針等では平成十八年度末までに検討を行うということではございますが、大変重要な事柄でもございます。もちろん、中央教育議会が最終的にはお決めになる事柄ではございますけれども、私どもとしては、十分に御審議をいただき、しかしできるだけ早くおまとめをいただけたらと、こういうふうに願っているところでございます。
  133. 林紀子

    ○林紀子君 できるだけ早くというのは、どのくらいの日時のことでしょうか。
  134. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) 今、中央教育議会の、大変お忙しい先生方ではございますけれども、御検討をいただいておるわけでございまして、私がこの場でいついつまでと切ってお願いをするというのはいかがかと思っております。
  135. 林紀子

    ○林紀子君 先ほど来、財政面で見るのではなくて、この義務教育費の国庫負担というのは教育論でやらなくちゃいけないという話は、前回に続きましていろいろあるわけですね。  しかし、今までの経過を見てまいりますと、先ほど踏み付けられているという話もありましたけれども、結局、経済財政諮問会議とか地方分権改革推進会議、こういうところが主導的にやっていって、教育の部分というのは本当にいつでもないがしろにされてしまってきている。こういう状況で、今まで、前回、今回、改正というところになってきてしまったのではないかと思うんですね。  税源移譲というのもどういうふうになるのか分からないということで、そういう意味では、将来の、この三位一体という掛け声はあっても姿は全然見えない、それなのに、その教育の部分というのはいち早く切り捨てられて地方へツケ回し、こういう形になっているんじゃないかと思うんです。  根幹は守る、根幹は守るというお話も随分聞きました。しかし、もう外堀埋められ内堀埋められ、そして残るのは、この②のところでいよいよ本丸が危ないということも申し上げたわけですけれども大臣、本当にこれをどういうふうに押し返していくのか、そこのところを是非お答えいただきたいというふうに思います。
  136. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 先ほども一部御答弁申し上げたところでございますが、専門部会で今議論をしていただいております。かなり詰めた議論もしていただいているようでございますから、これを早急にまず取りまとめていただく、そして私ども、各々きちっとした考え方にまとめ上げていくということが一つ。  それから、いつどういう形で今後、三大臣会議あるいは経済財政諮問会議が行われるか、まだはっきりいたしませんが、これ、次の十七年度予算編成に向かっていろんな動きが出てくるであろうと思います。その時点において私ども考え方をきちっと述べなきゃいかぬと思っておりますし、また経済財政諮問会議にも応じなきゃいかぬと、こう思っております。  一方、さっきも触れましたが、いわゆる三位一体地方分権知事会等の意見もあるわけでございます。地方自治体の意見もあります。それの取りまとめといいますか意見交換、また取りまとめもやらなきゃいかぬと、こう思っておりまして、この両方に対して、私どものいわゆる教育論といいますか、中央教育議会での結論といいますか、それをきちっと伝えて、我々の考え方で臨むという、構築をしなきゃいかぬと、こう思っておるわけであります。
  137. 林紀子

    ○林紀子君 そうしますと、前回のときも遠山大臣教育論のフィールドに引き戻してという言葉を使われたわけですけれども、中教審のその論議というのもきちんと踏まえてということは確かに書いてあるわけですね。ですから、本当にその教育論というところでどれだけ頑張れるのか。それが文部科学省にも課せられていますし、本当に教育、将来の教育ということを考えたら、本当にこれは譲ることはできない問題だというふうに思うわけですね。その固い決意を、もう一度大臣の方からお願いしたいと思います。
  138. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 中央教育議会の議事録等でも、私はまだ一度しかありませんが、しかしその中においても、やはりこの教育の問題は国民にとっても大きなセンシティブな問題だと、単なる経済的といいますか、そういう形だけで割り切れない部分もあるので、やっぱりそれは、やっぱり教育論といいますか、そういうものも必要であるという委員もおられるわけでございます。  私は、個別にということはございませんけれども、そういう方々の意見も踏まえて、そしてきちっとした教育論を立ち上げるということによって、恐らく、まず、先ほど申し上げました地方意見知事会意見、そういうものもきちっとつかまえていかなきゃなりませんから、それを踏まえながら、私は、この教育論を構築することによって必ず知事会にも、まあ分かりやすい言葉で言えば、いわゆる説得できると、この問題の重要性というものを認識していただける、このように確信をしておりますから、そういう思いでこの問題に臨んでいくと、こういうことでございます。
  139. 林紀子

    ○林紀子君 それでは、これは皆さんも確認をなさっておりますけれども、私も確認をしたいと思うんですが、教員だけではなくて事務職員、栄養職員への国庫負担制度、これも守っていくと、こういうお約束はしていただけるわけですね。
  140. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) これも、これまでも御答弁申し上げてきていると思います。  学校教育をきちっと円滑に進めていくその上において、学校には様々な職員がいらっしゃる。いわゆる教育を直接担当される教員の方、それから養護教諭、今度は、十七年度からは学校栄養士の皆さんも学校栄養教諭と大部分の方がおなりになるということでございます。それに、あわせて、学校事務職員というのもおられて学校運営がきちっと運営されるということから考えれば、当然、学校、いわゆる教員がこの国庫負担制度に乗っかっている以上は、それと一体であります養護教諭、そして学校栄養職員、事務職員、これも一つの中にあるわけでありますから、義務教育負担制度の中に全部包含されて一体となって学校が運営されると、こういうことで臨むわけであります。
  141. 林紀子

    ○林紀子君 次に、ちょっと大分時間がなくなってまいりましたが、総額裁量制についてお聞きしたいと思います。  先ほども総額裁量制というのは、その三大臣合意の中では一のところに書かれていて、結局、今回それが踏み切られてしまったということになっているわけですが、この総額裁量制というのは実質的には定額化というふうに言えるんではないかと思います。  盛んに今までの質疑の中でも地方自由度を確保するというふうに言われておりますけれども、この総額裁量制で必要な教員数というのはきちんと確保されるのでしょうか。例えば、これも前回の論議の中でお答えがあったんですけれども、高等学校標準法というのがありましても約半数の県が高校標準法に定める教職員定数の標準を下回っている現状がある、こういうお答えがあったわけですよね。  ですから、今回の場合も、必要な教員数、きちんと確保されるのかどうか、そのことについてまずお聞きします。
  142. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) 確かに高等学校の場合には標準定数法があるわけでございますが、義務教育と違ってこういった国庫負担制度がない、地方交付税措置でその財源が見られていると、そういったようなことからこういう状況があるわけでございますが、総額裁量制は、あくまで現行国庫負担制度、国が都道府県負担した給与費の二分の一実支出額を負担をするというこういう大原則と、さらには、義務標準法、人確法、こういったものを前提とした上での制度でございますからそういったことが担保されると、こういうふうに理解をいたしております。
  143. 林紀子

    ○林紀子君 時間になってしまいましたので、この続きは次回ということで、またお伺いしたいと思います。  終わります。
  144. 山本正和

    山本正和君 昨日は時間を間違えましたので、今日は少し縮めて三時には終わるようにいたしますから、よろしくお願いいたします。  昨日来、また恐らく三十日の日も議論があると思うんですけれども、私は、少なくとも文教委員会のこの全体の議論というのは、義務教育国庫負担の根幹部分を手を付けることは断じてまかりならぬ、こういう御主張で全部一致していると、こう思うんですね。  しかしながら、やっぱりそこでもまだいろいろと不安があると。なぜだろうと私なりに思うんですけれども、これは草川委員からもお話しになりましたが、今の公教育に対するいわれなき中傷誹謗、むちゃくちゃに学校のことを言えば記事になる、テレビは乗せると。その中にそよいでいる公教育というものに対する国民の不信が、地方分権だとか、いい言葉ですけれども、あるいは自由化だとかいうふうな言葉に押されている中で要するに三位一体論が出て、そしてもう全部向こうに任しちまえというふうなその流れが今私は大変恐ろしいと思っているんです。  だから、これは私もう今日は専らお願いをしようと思うんですけれども、文部省としては省を挙げて、現在の公教育の果たしている役割、いかに世界に誇るべきものがあるかという宣伝を、お金何十億使っても、お金はないですけれども、ぐらい使うつもりでやっていただきたいと思うんですよ。日本公教育ぐらい世界に冠たるものはないんですよ、本当の話が。悪いところばっかり挙げてやったらだれでも悪くなるんですよ。  それから、これ親が子供を育てるときの秘訣は褒め褒め育てるんですよ、時々しかりながら、おしりもたたきますけれどもね。褒めて褒めて育てるんですよ。日本公教育は今もうマスコミのえさになっている。何でもかんでもたたけばいいと思っている。校内暴力といいますけれども、例の殺人の問題が出ました。あれも公教育のせいと、こう言うんですね。しかし、大日本帝国当時でも、私の記憶ですよ、当時の旧制中学校というのは大変なエリートの集団ですよ。殺し合いしたんですよ、でも。新聞は書けません、そんなことはね。今の中国は絶対書かないですよ、校内暴力は。我が国は何でも書けますから書くんだけれども。そのマスコミに対して黙っておったら、私は公教育は破壊すると思う。何とかせにゃならぬ。  文部省は、省を挙げて公教育の優れているゆえん、状況、また生涯教育もいろいろ言いますけれども、お年寄りが一生懸命学んでいる姿たくさんあるんですよね、子供たちの姿も。夜間中学でも、こんな制度ありますか、世界じゅうで。そういうものを宣伝していただきたい。そして、これがすべて義務教育国庫負担という長い間の原則によって守られてきているんだということをもっと自信を持って私は文部省は宣伝していただきたいと思うんですけれども、そういう、ひとつ今から啓蒙活動についてお取り組みいただけるかどうか、まず大臣の御見解から。
  145. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 大事な視点だと思います。  文部科学省、これまでややもすると、ある意味ではまじめだし、古い体質、非常に伝統を守ってきておりますが、そういうPR下手という面もあるんですね。もっと自己主張する、場合によっては自己を顕示する、そういう部分もあってしかるべきではないかと思います。  私も、マスコミ論調を見ていると、これに一々反応するというのもなかなか大変なことなんですけれども、しかしやっぱり、これはほっておいたら、文部科学省、これでは不利になると思えば敢然とやっぱりこれに対して反応しなきゃいかぬ、紙上でもやらなきゃいけないと、こう思っておりまして、今の山本先生の御指摘に勇気付けられまして、省の体制も、やっぱり絶えずそういうことを、私もそういうことを口酸っぱくして言っているのでありますけれども、絶えず耳を広くして、絶えず情報を取りながら、それに対して敏感に反応していく、文部科学省にとって不利なことに対しては敢然とそれにきちっと反論する、こういうことは私は大事だというふうに思っておりますので、今の御指摘、踏まえさせていただきまして、拳々服膺させていただきたいと、こういうふうに思います。
  146. 山本正和

    山本正和君 是非ひとつ、どなたか審議官か、そのクラスで検討していただきまして、マスコミ対策というか、国民に対して知らしめると、公教育の良さをね、やっていただきたいというふうに思います。  私も、これはもう何年前から、大分前の話なものだから数字がどうかは分からないんですけれども、かの世界一の強国アメリカ、どこへ行ってもアメリカにはかなわぬという国ですよね。アメリカで一七%の者が不就学であると。今はどうか知らぬですよ。私が昔聞いた数字ですよ。学校へ行っていない子供が一七%だったという時代がアメリカにあった。戦争終わった、第二次大戦後ですよ。  しかし、そのアメリカは、昨日、元東大総長からのお話がございましたけれども世界一のハーバード大学がある、世界一の研究施設もある、学者もたくさんおるんですね。しかし、そこで一七%の人が学校にも行ってきていないと、こういう状況がある。大変なものなんですよね。  我が国はそれじゃ本当に研究者がそんなに弱いかといったら、私そう思わないんですよ。ノーベル賞の数はまだ少ないかもしれぬけれども、第一線の研究者はすばらしいですよ。私は時々説教されるんです。同級生で、これは基礎科学しかやっていないんだけれども、京都大学の理学部の教授して、三枝というのがおるんだけれども、おまえら、ばかにしているから駄目だ、日本の学者ぐらい一生懸命勉強しているのおらぬと言ってしかられるんですよね。だから、日本の戦後ずうっと来た教育に対してなぜみんな自信を持って言わないんだろうかと、これはもう気にして仕方ないんですね。ただし、非効率は確かにありますよ。  その辺のことも含めて、大学問題も含めて、やっぱり今、大臣がおっしゃっていただいたように、我が国の教育制度の優れているゆえんを、国民に自信を持たすような格好での啓蒙を是非やっていただきたい、これが一つですね。もちろん、足らざるがたくさんありますから、そこは直さなきゃいけませんけれどもね。  それからもう一つ、今日、世耕先生お話聞いておってちょっと気になったのは、小学校や中学校までも子供が進学するについても勉強するについても私学の方がいいから私学へ行っちゃう、そんな空気もあると、私も私学やっていたものでというお話がありましたね。そこは違うんですよね。  私学の先生というのは、待遇も違いますし、忙しいことは忙しいですよ、しかし教えることのみに専念できるんですよ、私学の小中学校は、特に名門。ここにはひょっとしたら卒業された方もおるけれども、慶応幼稚舎の先生なんといったらもう大変なものです。教えることだけやりゃいいんだよ。つまらぬ雑務、一切ありませんよ。  そして、ところが、私はちょっと数字を調べてもらった。文部省からもらった数字で調べたんだけれども、外国で、校内勤務時間ですよ、学校の中におる先生の勤務時間、一番多いのが千七百時間ぐらいですよ、出ているデータでね。日本の教員が今義務付けられている校内勤務時間、多いところは三千時間、年間ですよ、少ないところでも二千五百時間ぐらいですよ。しかも、校長の厳重の監視下にあって、勤務時間内に外へ出たら承知せぬぞとしかられている。この前、何か日教組の騒動があったものだから余計やられちゃった、関係ない先生までね。  だけれども先生というのは本当はもっと自由でなくちゃいけない。先生は自由で明るい顔をして勉強できる状況でなかったら、子供は明るくならないんですよ。先生がそういう状況に置かれているという学校の状況ですね、学校をどうやって明るくするかというところを、特に初中局はそういう辺の調査をしていただかないとなかなか僕は明るくならぬだろうというふうに思うんです。ですから、義務教育における教員の勤務の在り方公教育における教員の勤務の在り方、こういうものについての研究を、検討を是非やっていただきたい。  昨日も言いましたけれども、昭和四十一年の調査以来やっていませんから。本来あるべき教員の勤務とは何か。これを議論していただかないと具合悪いと思うんです。大変な誤解があるんですよ。朝八時半から五時半まで学校にきちっとおらなきゃいけないと。もう日本じゅうそうなっているんですよ。私も実はびっくりしたんです。私の時代は、校長先生が、ああ、山本君、今日昼から授業ないか、行ってこいよと、釣りにでも行ってこいと。割合自由濶達だったんですよ。その代わり、夏休みでも冬休みでも生徒と一緒にあっちこっち行ったり、三泊四日のキャンプへ行ったり、何でもしたですよ。給料、月給くれなんて言わなかった、金くれなんて言わなかったですよね。  そういう、先生とは何かと。私は別に自分が薬剤師だから言うわけじゃないけれども、医師も薬剤師もこの師という字が付くんですよね。今度は看護婦さんも看護師になった。教師はこのごろ教師と言わないんですよね。教員、違いましたかな、教諭は言うけれども。大学の先生は昔から教師とは言わないですよね。教授と言う。だから、先生たちは教師という言葉に誇りがあったんですよ。その誇りのあった部分がおかしくなってしまいまして、これは私らも若いときの責任があるんだけれども先生は労働者だといって一生懸命赤旗振りましたからね。  それはそれとして、本来、今もう一遍取り戻さなきゃいけないのは何かといったら教師像だと思う。そういう、教育とは何かというその議論の中で、是非、公教育における教師の姿、教師像というか、あるいは勤務の形態というか、こういうものについての検討を調査と同時にやっていただきたいと思うんですけれども、いかがでございますか。
  147. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 確かに教育の成果が教員にあるということを考えますと、これから、今からの時代の教師像というもの、やっぱりこの辺りで求めていく必要が私もあるなというふうに今、先生お話を伺っておりました。  しかし、大方の先生方は非常に優秀な先生でありまして、最近情報化時代でありますから、正に一部の不心得な先生が出るともう全部が悪いように言われるというのも気の毒な面もございます。しかし、現実に教師にそういう問題点のある方々も出てきたということでございます。  勤務の実態等々、なかなかつかまえるということ、まだそういう研究を具体的にいたしておりません。おりませんが、これをどういう形でやればいいのか。諸外国の例も、教師に対する考え方、例えば夏休み一つにしても全然違いますものですから、一律に勤務時間がこうだからと言えない部分もあります。しかし、やっぱり学校が、先生言われるように、明るくて、子供たちにとってやっぱり楽しいところである、やっぱり先生方に非常に人間的魅力があって、学校子供たちが行きたいというようなやっぱり学校現場であってもらいたい。これはもうみんなの願いだと思いますので、それに向かって、我々としても、そういう意味で教員の在り方考えていくということも一つの大きな示唆であろうと、こういうふうに思いまして、これからの中教審、いろんな課題を抱えておるわけでございますが、総合的に教育考える中での大事な項目として考えていかなきゃならぬと、こういうように思います。
  148. 山本正和

    山本正和君 それじゃ、これでもう一問だけで終えたいと思いますが、私は、正直言って、経済財政諮問会議だとか、今の小泉総理の言っている三位一体流れとか、やっぱり大変大きな力で流れていると思うんです。それにやっぱりどう抵抗するかと。抵抗するというのはおかしいですけれども、そこでの、いいところはどんどん進めていったらいいんですけれども、やっぱりこれはおかしいという部分はみんなで直さなきゃいけないと思うんですね。  直すのに、これ文部大臣として大変だと思うんですけれども大臣の先輩、文部大臣経験者の、現職の方も、まだ現に御存命の方もおられるわけですから、その方々に全部お集まりいただいて、ずっと続いてきたこの義務教育国庫負担制度についてのみんなでどうなんだというふうな、そういう集まりというものがやっていただけないだろうかと。  あわせて、私がお願いしておきたいのは、戦後の総理大臣、御存命の方がおるわけですから、戦後政治を背負ってきた総理大臣に、この義務教育の根幹の問題だと、さあこれどうなんでしょうかという、そういうことも含めた、戦後政治を全部責任を持ってきた、文教行政に、方々について、是非文部大臣から働き掛けをしていただいて何らかの動きをしていただけないだろうかと、このことをお願いしたいんですけれども、いかがでございますか。
  149. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 大変な大事な御指摘をいただきました。既に義務教育国庫負担制度と人材確保の堅持の問題につきましては、ここに西岡先生もいらっしゃいますが、歴代文部大臣にお集まりをいただきまして一度御相談申し上げて、アピールを出していただいて、官邸にも意見書を出していただいた経緯もございます。  それから、歴代の総理大臣というのも、これも本当に大事なことだと思いますので、是非これも御指摘のとおり踏まえて、いよいよ大きな課題でございますから、文部科学省としての考え方をきちっと述べて御理解をいただいて力になってもらいたいと、現実に必要な、国民にとって、国家国民にとって大事なことだということを御理解をいただくように最大努力をいたしたいと、このように思います。ありがとうございました。
  150. 山本正和

    山本正和君 終わります。ありがとうございました。
  151. 北岡秀二

    委員長北岡秀二君) 本日の質疑はこの程度といたします。  次回は来る三十日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時五十六分散会