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2004-06-10 第159回国会 参議院 農林水産委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年六月十日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  六月八日     辞任         補欠選任      宮本 岳志君     市田 忠義君  六月十日     辞任         補欠選任      服部三男雄君     吉田 博美君      信田 邦雄君     堀  利和君      市田 忠義君     林  紀子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         岩永 浩美君     理 事                 加治屋義人君                 段本 幸男君                 常田 享詳君                 小川 勝也君                 紙  智子君     委 員                 市川 一朗君                 太田 豊秋君                 小斉平敏文君                 松山 政司君                 三浦 一水君                 吉田 博美君                 郡司  彰君                 羽田雄一郎君                 堀  利和君                 千葉 国男君                 福本 潤一君                 林  紀子君                 岩本 荘太君                 中村 敦夫君    国務大臣        農林水産大臣   亀井 善之君    副大臣        農林水産大臣  市川 一朗君    大臣政務官        農林水産大臣政        務官       福本 潤一君    事務局側        常任委員会専門        員        高野 浩臣君    政府参考人        内閣大臣官房        審議官      浜野  潤君        財務省主計局次        長        勝 栄二郎君        厚生労働省労働        基準局安全衛生        部長       恒川 謙司君        農林水産大臣官        房協同組合検査        部長       船本 博昭君        農林水産省消費        ・安全局長    中川  坦君        農林水産省生産        局長       白須 敏朗君        農林水産省経営        局長       川村秀三郎君        農林水産省農村        振興局長     太田 信介君        林野庁長官    前田 直登君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○農業協同組合法及び農業信用保証保険法の一部  を改正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) ただいまから農林水産委員会開会をいたします。  委員異動について御報告をいたします。  去る八日、宮本岳志君が委員辞任され、その補欠として市田忠義君が選任をされました。     ─────────────
  3. 岩永浩美

  4. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。     ─────────────
  5. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 農業協同組合法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 松山政司

    松山政司君 おはようございます。自由民主党の松山政司でございます。よろしくお願いいたします。  本日の本題であります農協法改正案質問の前に、一点、お時間をいただきまして、中山間地域等直接支払制度について御質問をさせていただきたいと思います。  この中山間地域等直接支払制度は、耕作放棄防止農業多面的機能、これを維持するために、平成十二年から五年間ということで、今年が最終年度になっておることは御承知のことと思います。  現在、農水省検討会でこの事業実施状況検証と来年度以降の扱いについての検討が進められているというふうに聞いております。夏までに決定がされるというふうに聞いておるわけでございますが、この制度について、財務大臣諮問機関であります財政制度等審議会、この建議の中で廃止を含む抜本的な見直しを求め、財務省も先月末の経済財政諮問会議に提出する骨太の二〇〇四の原案にそのことを織り込むというような報道がなされました。  地元でも大変心配をされておられますし、先月の五月十八日の新聞にも、主計局コメントとして、「政策目的が不明確で、ばらまきの政策であることは否定できない。五年間の政策効果を厳しく検証した上で判断するべきで、単純に事業継続するということにはならない」というコメントが報道されました。  この諮問会議に提出された骨太方針二〇〇四のその原案にはそのことが触れておられなかった、このことはたまたま大変有り難いことで結構なことでありますが、それをどう受け止めればいいのかという観点から御質問したいと思います。  まず財務省の方に、財務大臣の判断が必ずあったはずでありますので、この財政審建議に関する問題意識という点から財務省にお聞きをし、また、この財政審建議建議として、この中山間地域等の直接支払制度が果たしてきた役割関係市町村評価を踏まえてこの骨太方針に載せなかったのかどうかということを内閣府の方に、それぞれ財務省内閣府、それぞれにお伺いをしたいと思います。
  7. 勝栄二郎

    政府参考人勝栄二郎君) お答えいたします。  財政制度等審議会は、五月十七日に十七年度予算編成基本的考え方を取りまとめました。そして、その中で、先生言われましたように、中山間地域等直接支払制度につきましては、読みますけれども、「自律的な農業生産活動によって農用地の維持・保全が行われる姿を基本に、廃止を含め抜本的な見直しを行うべきである」旨の提言が行われました。  この制度につきましては、先生おっしゃいましたように、平成十二年度から五か年を対策期間として実施しておりまして、本年度最終年度に当たる時期でございまして、その意味では見直しの時期を迎えておると思っています。  見直し検討する際につきましては、基本的には、厳しい財政事情の下で限られた財源をどのように効果的に使おうか、そういう観点からは、まずは継続ありきではなくして、原点に立ち返っていろんな議論を進める必要があると思っております。また、具体的には、この制度につきましては、中山間部耕作放棄防止、復旧の点で効率的な制度であるかどうか、また自律的な農業生産活動を促す制度となっておるかどうか、そういう点につきましては、今後農水省とも相談しながら、実態効果等をよく検証し、来年度以降の同制度の具体的な在り方を議論してまいりたいと思っております。  以上です。
  8. 浜野潤

    政府参考人浜野潤君) お答え申し上げます。  基本方針二〇〇四におきましては、十七年度予算改革に関する基本的考え方といたしまして、「農林水産については、農業者全体を対象とした一律的な施策について見直しを行い、施策を意欲と能力ある経営体に集中させることにより、競争力の強化を図る方向での改革を更に推進する。」というふうな記述がされております。これは、先生指摘のように、経済財政諮問会議にも報告されました財政制度等審議会建議も踏まえた記述となっていると承知しております。  御指摘の中山間直接支払制度を含めまして個別の制度の取扱いにつきましては、こうした基本方針二〇〇四の考え方を踏まえて今後検討されるべきものと承知しております。
  9. 松山政司

    松山政司君 それでは、今後の、農水省とも十分に検討、相談をしということでございますので農村振興局長にお伺いしたいと思いますけれども、この制度の重要な政策、いわゆる多面的な機能を維持するという、大きな代表するような政策というふうに思うわけでありますけれども、今、農水省検討会で、これまでどのような検証検討がなされて、来年度以降の扱いについてどのような方向にあるのかを明らかに御説明いただければと思います。
  10. 太田信介

    政府参考人太田信介君) 先生からお話ありましたように、十二年度に発足いたしまして五年目、最終年になっておりまして、その当時からも五年後に制度検証及び課題の整理を行うことということになっておりましたので、現在、中立的な第三者機関でございます中山間地域等総合対策検討会、これにおきまして現行制度検証を行っております。三月以来四回の会合を行い、その中には現地検討会も含められております。  中身といたしましては、中山間地域等をめぐります諸情勢変化、まずはそのベースになる部分の議論、それから、現行対策実施状況などを踏まえながら、耕作放棄防止効果あるいは集落農業生産活動などの取組状況、こういったことにつきまして、データ等も用いながら検証作業を行っていただいているという状況にございます。  本制度の今後の対応でございますけれども、地方公共団体等からの提案、これも十分耳を傾けながら、現在行っておりますこの検討会での検証等を踏まえ、省としての考え方を特に来年度予算概算要求時までに取りまとめたいというふうに考えております。
  11. 松山政司

    松山政司君 福岡県においても農家の四分の一がこの中山間地域でございまして、今後のこの事業継続を大変求めております。  農林水産大臣にお伺いをいたしますけれども、この中間取りまとめが夏までに出される予定になっているということから、大臣も先般、先行できるものは十七年度予算概算要求にのせていくとしておられます。  私は、新たな基本計画検討内容との整合性を取りながら、この中山間地域等の直接支払制度が途絶えることなく是非十七年度以降も実施をされていくことが絶対に必要であると強く望んでおります。そして、地域農業の再生、農村地域活性化にも貢献したと非常に評価が高いこの制度でもございますし、是非その見直しに当たっては、耕作放棄に歯止めを掛けて農地を守るということにとどまらずに、関係市町村要望を取り入れて中山間地域の一層の活性化に役立つものになるよう制度内容を更に充実をさせて継続していくべきというふうに考えております。  大臣の御見解大臣自身の中山間地域等直接支払制度に対する評価をお聞かせいただきたいと思います。
  12. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 中山間地域の直接支払制度、この実施によりましては、現在、六十六万ヘクタールの農用地におきまして耕作放棄地防止され、また農業の多面的な機能が確保されていると、このように思っておりますし、さらに、協定締結集落におきます話合いですとか、あるいは農業機械共同利用集落協定活動内容、水路や農道の管理あるいは農地のり面の点検等々、大変、協定数、非常に幅の広い分野で多様な集落活動、この取組が活発に行われておると、このように認識をいたしております。  さらには、全国地方公共団体からも大変この継続要望が強いわけでありますし、さらに、都道府県主務部長会議を開催いたしましても、関係都道府県からもこのことにつきましては強い御要請をちょうだいしておるところでもございます。これは私は、そのような要請、また発言があるということは重要な役割を果たしておると、このように強く認識をしておるところでもございます。  先ほど局長からも答弁いたしましたが、一つの期限、こういうことで省内での、やはり中立的な学識経験者、そういう方々の評価もこれまた必要でありますし、国民の理解も得なければならないことでありますが、大変私は重要な制度とこのように認識をし、来年度予算に向けても更なる努力をしてまいりたいと、このように考えております。
  13. 松山政司

    松山政司君 大変前向きな御答弁、ありがとうございます。是非とも継続に向けて取り組んでいただきたいというふうに思います。基本法、食料・農業農村基本法目玉政策とも言うべき多面的機能の確保ということで大変重要な政策だと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。  それでは、本題農協法審議の御質問をさせていただきたいと思います。  全体として、農協については、購買事業販売事業といったいわゆる経済事業赤字となっておりまして、その分を信用事業共済事業黒字で賄うというような状況になっております。  そこで、まず、このような農協経営の現状について大臣の御感想をお伺いするとともに、経済事業赤字となっている原因信用事業及び共済事業黒字を確保できている理由について、大臣並びに経営局長、それぞれにお伺いをしたいと思います。
  14. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 農協信用事業のほかに共済事業あるいは購買販売事業、こういう経済事業も総合的に行っておるわけでもございます。そういう中で、各事業ごと部門別な損益、こういうものを見ますときに、信用共済事業におきましては黒字で、さらに経済事業につきましては赤字、こういうようなことで、信用共済事業黒字経済事業赤字を補てんすると、こういうような傾向が恒常化しておるわけでもあります。また近年、信用事業あるいは共済事業につきましてもやはりその黒字幅縮小傾向にあると、こういうことでありまして、農協経営全体が大変厳しい状況にあるわけであります。  今後とも、信用共済事業の厳しい状況、それに併せてやはり農協経営の安定を図るためには、信用共済事業の補てんがなくとも経済事業が自立できるような方向、これを見いだすことが急務であるわけでありまして、今回のこのような改正、こういうものを通じて農協経営が健全な形で経営されるように努めてまいりたいと、このように考えております。
  15. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 事業別赤字あるいは黒字原因についてのお尋ねでございます。  まず、黒字関係で申し上げますと、信用事業、これにつきましては、運用の原資となります貯金量が着実に増加しているということが一点ございます。それで、現下の低金利情勢の下で資金運用益減少を上回る資金調達コスト減少が生じているということが一点ございます。  また、共済事業でございますが、契約高は伸び悩み傾向にありますけれども、保有している契約から安定的に掛金が入ってくる中で経費を圧縮している、経費コストを削減するということで黒字を出しているということでございます。  一方、赤字でございます販売事業、これにつきましては農産物の価格の低迷等がございます。これによりまして、昭和六十年がピークでございましたけれども、取扱高減少するとともに、系統利用率の低下ということが原因になってございます。  それから、生産資材でございますけれども、これは大きな問題としまして、飼料需要量減少等によりまして取扱高減少しているということ、また生活関連事業につきましては、消費者ニーズに応じ切れない小規模生活店舗、それから老朽化したガソリンスタンド等赤字が主な原因ということでございます。
  16. 松山政司

    松山政司君 そもそも農協は、人々が連帯をして助け合って、相互扶助精神の下で組合員農家農業経営生活を守ってより良い地域社会を築くということが本質とされております。その精神から現在の経営実態を見ますと、特に組合員農業経営及び生活を守っていくための信用事業共済事業において、それにおいて黒字を積み上げているということはおかしいのではないかというふうにも考えられます。  そこでお伺いいたしますけれども、信用事業共済事業黒字は、ほかの事業赤字補てんに使われるほかに、それぞれ農林中金や共済連などの上部組織へ流れていくんだと理解をしていますが、この資金はどのように運用をされているのかということ、それでその使い道をお聞きするとともに、逆に運用益がどの程度農協還元をされているのかということを経営局長にお伺いしたいと思います。
  17. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 農協系統信用事業関係で、農協信連農林中金の三段階で調達運用役割分担が行われているわけでございます。  平成十四年度の一応実績で申し上げますと、資金運用でございますけれども、まず、農協において組合員等からの貯金などの七十六兆円がございますが、これについては貸出しが二十二兆円、有価証券で四兆円ということで自己運用をいたしておりまして、残りの四十八兆円を信連に預けると。  また一方、信連は、農協からのこの四十八兆円と信連自ら調達をいたしました貯金等を含みます五十四兆円を貸出し五兆円、有価証券十四兆で自己運用をいたしまして、残りの三十三兆円を農林中金に預け入れるということでございます。  そして、農林中金は、信連からのこの三十三兆円の預金とそれから農林中金自らが調達をいたしました農林債券等を含みます六十兆円を貸出し十九兆円、有価証券二十九兆円の運用ということでございます。  こうした農林中金あるいは信連におきます運用、これの農協への還元でございますが、出資等に対する配当金として四百十八億円、それから貯金等に対します支払奨励金といたしまして二千五百五十七億円というふうに承知をしております。  一方、農協共済事業でございますが、全共連の資金、これはその源泉が将来の共済金等支払に備えるための責任準備金ということでございますので、その運用については三十年に及ぶ長期間の支払を約束している共済事業の特性に配慮して行われる必要があるわけでございます。  このため、長期的に安定的な利息・配当収益目的といたしまして、国債、地方債、社債、これによる運用が八〇%、貸付金は一〇%、株式は一%となっております。  なお、共済事業におきましては、共済契約締結時に一定の運用益を見込んであらかじめ共済掛金を割り引いておるということから、運用益は将来の共済金支払に備えて責任準備金に積み立てられるということになります。そういうことで、農協還元されるということはございません。仮に共済掛金の設定時に見込んだ利率以上の運用益が出たという場合は、基本的には契約者に割り戻すということで運用がなされております。
  18. 松山政司

    松山政司君 農協共済事業、いわゆるJA共済でありますが、この契約件数は、生命共済で約千六百九十八万件、建物更生共済で約千四百九万件、自動車共済で約八百六十三万件と、それぞれ我が国保険業界の中でトップクラスの規模であって、この生命共済は日本生命の個人契約件数を超えており、また自動車共済も東京海上火災の契約件数とほぼ同じ規模になっています。  そこでお伺いいたしますが、農協法では、組合員以外の農協事業利用員外利用についてでございますが、JAごと組合員利用高の二割までの利用規制をされております。この共済事業についても同様だと思いますが、その規制にあるにもかかわらず契約件数は非常に多く、この規制が守られているのかどうか疑問に思わざるを得ないところも、そういうふうにも考えられます。そこで、この員外利用規制について実態はどのようになっているのかをお伺いをいたします。  また、JA共済のホームページに、組合員以外の共済加入について、出資金支払って准組合員となる方法があるというふうに、こう書かれておりますけれども、この准組合員が占める割合が二〇〇一年の調査では全組合員の四二・八%とおよそ半分近い割合になっておりますけれども、農水省はこの准組合員増加員外利用規制との関係についてどのように見解を持っているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  19. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) まず、員外利用関係でございますが、これは全体で見まして組合員利用の一割程度ということになってございます。  一方、この准組合員、これも近年割合が徐々に大きくなってきております。これは、農家数減少するということで正組合員数減少していく、その一方で、各農協地域組合事業継続的な利用を図っていくということでこの准組合員加入を促進したということが背景にございます。  また、むやみに准組合員を増やすということは必ずしも好ましいことではないということでございますので、准組合員増加によりまして正組合員のメリットが損なわれることのないようにしなければならないというふうに考えております。  また、員外利用に戻りますけれども、これにつきましても、平成十五年三月に改正しました事務ガイドライン、これに基づきまして員外利用状況の把握をすると同時に利用制限の遵守、これについて引き続き指導してまいりたいと、こういうふうに思っております。
  20. 松山政司

    松山政司君 このようなことをお伺いいたしますのは、今後の農協経営について大変心配をしているからであります。現在のように、経済事業赤字でも信用事業共済事業黒字を確保し続けるということであればこのまま農協を運営していくこともできるんでしょうが、仮に資金運用において大きな損失を出すようなことになったりした場合に、信用事業共済事業で大きく赤字となるような状況になれば経済基盤を失いかねないというふうに思います。  今後の農協経営、特に信用事業共済事業を取り巻く環境を考えますと、その経営を圧迫するであろうと思う要因は幾つも想定ができます。例えば一つ挙げますと、我が国農業者数が今後減少していくと思われることであります。高齢化後継者不足の問題もありますけれども、さらに、今後の農政にあっては担い手施策を集中するということでありますから、地域における農業者数も当然減少していくんではないかというふうに懸念をいたしております。農業者が減れば、組合員、特に正組合員減少していくことになるというふうに思うわけであります。  このことについてどういうふうにお考えであるのか、准組合員増加しているから農協経営には影響がないということではないというふうに思うわけですが、経営局長コメントをお願いしたいと思います。
  21. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 正に、農村地域におきまして、今御指摘がございましたとおり、急速な高齢化の進展、それから後継者不足というのが問題になっているわけでございます。こういった状況農協経営に及ぼす影響、これは多々あるということでございます。農業関連事業を始めとします農協事業量減少、また離農、世代交代によります出資金の引き出し増大、あるいは農協への帰属意識希薄化、こういうものが懸念されるということでございます。  こういう状況を踏まえまして、先般、昨年の第二十三回JA全国大会でございますけれども、農協系統といたしまして、一つは、高齢者福祉対策への取組、また担い手への支援方策の策定と担当の部署の設置等につきまして担い手対策を強化していくといった取組を決議しているところでありまして、こういう情勢変化に対応して、正に農協の一段の努力が必要になってきている状況だというふうに思っております。
  22. 松山政司

    松山政司君 続いて心配しておりますことは、これまで農協が持っていた地域的な優位性が薄らいでいくんではないかということでございます。  当然のことながら、農協はその存立基盤を農村に持っています。信用事業共済事業においては、これまでその採算性から民間の強力な競争相手が地域に存在していなかったということが、農協地域唯一の金融機関として資金を集め、成長してきたというふうに思うわけでありますが、しかし、現在の状況を見ますと、例えばコンビニや大型スーパーなど農村地域にも進出をしていますし、限られた範囲ではありますけれども銀行業務も行っております。また、保険においても、近年は外資系の保険会社が参入をし、インターネットによる管理でコストを削減して比較的安価な保険料を設定する、成功を収めております。これらIT化の進展等、時代の変化で農村においても地域によるハンディはなくなりつつあるのではないかというふうに思います。  また、その影響を懸念するものとして、今、総理が進めています郵政の民営化もあります。仮に完全民営化されることになれば、郵便局という民間と比較にならない巨大メガバンクが地域に出現することになります。郵便局においては現在一千万円という預金額の制限もありますけれども、完全民営化されればそのような制約もなくなると考えるのが自然でしょうし、また、保険に関しても簡保などの保険商品も扱ってきた実績もあります。現在でも公社となって生保と同じような商品を販売することも許可をされました。さらに、郵便局においては市町村の行政事務等も受託をするなど、地域におけるワンストップサービスの拠点としての整備も進んでいるところであります。この郵便局と農協地域で競合するような事態となれば、農協経営に大きな影響を与えることが想像されます。  そこで、これらの懸念に対してどのように見ておられるか、また農協はどのような対策を講じていくべきか、お考えを経営局長にお伺いしたいと思います。
  23. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 今後の農協系統信用事業とかあるいは共済事業の展開に当たりまして、今、委員から御指摘ございましたように、例えばコンビニやスーパー等への銀行の参入でありますとか、銀行や保険会社のIT化の進展等がございます。また、まだその具体的な内容等は分かりませんので具体的な影響ということは判断できないわけでございますが、郵便局の民営化、こういった問題も起こってきております。  流れとして言えることは、正に競争の激化等、環境変化があるということでございますので、そういった変化を十分にとらえまして、またその影響を十分踏まえて適切な対応をしていく必要が高まっているということだと思います。  そして、JA系統におきましては、十五年十二月、昨年の十二月でございますが、JAバンク中期戦略を策定をいたしまして、JAバンクローンの伸長、拡大によります収益力を向上させていくということ、それから、中核的担い手に対します融資・相談機能を整備強化いたしまして、正に顧客基盤を拡充していくということ、それから、店舗の統廃合やあるいは新たな店舗類型の確立等、コスト削減に系統を挙げて取り組むといったこと、それからまた、IT化に備えまして、IT取引のニーズにこたえた形でインターネットや携帯電話による各種の取引が可能になるようなJAネットバンクということを整備していくということで取り組んでいるというふうに承知しております。  一方、共済事業につきましても、農家の営農なり生活の維持安定のためのセーフティーネットとして今後ともその機能を発揮していく必要があるわけでございますが、既に組織問題としましては、十二年四月一日に都道府県段階の共済連と全共連との一斉統合、一斉合併が行われておりますし、また、これまで開発しておりませんでした医療共済あるいは共栄火災の子会社化によります商品開発力を強化していく、こういったことも必要でございますし、また、財政基盤として、計画的な内部留保による支払余力の充実、こういったものも必要だということで、それに取り組んでいるところであります。  農林省としましても、農林中金あるいは全共連と十分連携を取りまして、農協系統農家組合員のニーズに的確に対応し、信頼され選択されるものとなるように適切に指導していきたいというふうに思っております。
  24. 松山政司

    松山政司君 今回の法改正を見ますと、特に信用事業共済事業においては、農協をより普通の銀行、普通の保険会社と同じような組織に位置付けようとしているように思います。預金者若しくは契約者保護の観点から市中の金融機関と同等のセーフティーネットを構築することは大変結構なことであると思いますけれども、農協という組織を余りに民間金融機関と同じような組織に位置付けていくということはいかがなものかというふうにも思えます。  農協経営に当たられる組合長や理事の方々というのは基本的に地域農業者でございますので、農協はその方々が合議をもって運営していくわけでありまして、民間の銀行や保険会社などと同様な運営を求めるということはいかがかと思いますし、銀行や保険会社のようになってしまうと農協の職員と地域農業者との距離もできていくというふうに懸念をいたします。  このような観点から、農協の在り方について、検討されていると思いますけれども、その検討状況またお考え方について経営局長にお伺いしたいと思います。
  25. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 農協系統地域に根差した事業体ということでございますが、国内の預貯金総額の約一割の資金量を受け入れ供給しているという実態がございまして、そういう意味では我が国金融システムの一翼を担っているということでございます。そういうことからしますと、会計面などにおいて、基本的には他の金融機関と同様な健全性の確保が求められるということでございます。こうした取組をやることによりまして、結果として農家組合員あるいは貯金者等から信頼される農協系統になるものというふうに考えておるところでございます。  他方、農協は、農業者等の相互扶助組織ということでございますから、農家組合員のニーズに密着したサービスの提供に努める、これが非常に肝要でございます。信用事業につきましても、やはり地域農業者実態、こういうものをよく踏まえまして、それに即した商品提供、これを行うことが必要であろうと思いますし、また、貸出しにおきましても生産活動実態を反映して適切に対処が行われる必要があると思っております。農林省としましても、検査、監督等、いろいろ指導の手段はございますが、そういうものを通じて指導していきたいと思っております。  いずれにしましても、農協等の経営あるいは財務の健全性が確保されまして農家組合員やあるいは貯金者等のニーズに的確に対応した金融機関としての役割が適切に発揮されますよう、今後とも指導していきたいと思っております。
  26. 松山政司

    松山政司君 続きまして、今回の法改正共済契約者の保護を図るために、保険業法と同様に、組合、共済契約者間の自治的手続によって契約条件の変更、いわゆる予定利率の引下げを可能とする制度を導入するというふうにされております。  そもそも、保険業法でこの予定利率の引下げが議論されたときは、株価の低迷によって保険会社の逆ざやが、その問題が深刻となって、この逆ざやが一部の保険会社の経営を非常に悪化をさせて、更に様々な風説が流れて経営が破綻すると、そういうところが相次いだわけでありますけれども、今回の農協法においては保険業法と同様の仕組みを導入するということでありますけれども、共済事業資金運用において公社債購入による運用が大変多いと聞いています。  この逆ざやによる経営圧迫のおそれというものはどの程度あるのかということ、また、当然のことながら、農協は一般の保険会社とは在り方自体が異なっているわけですので、あえて民間の保険会社と横並び的に制度を構築しなければならない理由は何であるのか、どういった面で契約者保護ということが言えるのか、また、これから先、一般の保険会社が予定利率引下げを行わざるを得なければならない状況になったとき、JA共済も横並び的に予定利率の引下げを迫られることはないのかどうかを局長にお伺いしたいと思います。
  27. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 共済事業関係で、今回の改正法案の中にこの予定利率の引下げ等ができるという規定を盛り込んでいるところでございます。  農協共済事業の現状を見ますと、将来の共済金支払財源となります準備金が適正に積み立てられておりますし、また通常の予測を超える共済金支払が生じた場合でも十分な支払能力、いわゆるソルベンシーマージン等も非常に十分なものがあるわけでございますから、当面その健全性に問題はないというふうに考えております。  ただ、依然としてこの逆ざやの状況は続いております。基礎利益の三利源というのがありますが、費差利益、それから費差損益、利差損益、これが利率の問題であります。あと、危険差損益というものがあるわけでございますが、このいわゆる利率の問題の利差損益の部分を残りの二つで補てんをしているという状況でございます。全体としてはもちろん黒になっているわけでございますが、そういう状況がございます。  ただ、今後の状況は予断を許さないわけでございます。他の保険会社、こういうものとの合併の道もないということでございますから、万が一経済の変動あるいは大地震とかの発生リスクがあった場合に、事業継続を続けていくという意味では、やはりこの選択肢を整備しておくということが必要であろうということでございます。  今回の措置は、そういう契約者保護の観点からやむを得ない場合に行われるということでございますし、破綻といった深刻な事態に至る前に契約条件変更を行うということでございます。そういう意味で、現在の状況に問題はないわけでございますが、民間保険会社とのイコールフッティングといいますか、そういう条件を整えた上で、一層この健全性の確保に努めていきたいということでございます。
  28. 松山政司

    松山政司君 ありがとうございました。  若干きつめの質問に今日はなりましたけれども、農協経営という観点から、大変、若干気になる点がありましたので、あえてきつめの質問にさせていただきましたけれども、農業者にとっては大変重要な相互扶助のための組織でありますので、農協の更なる経営安定に向けて御尽力をいただきますようにお願いをいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  29. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 民主党・新緑風会の羽田雄一郎でございます。先週に引き続き質問をさせていただきたいと思います。  先週は、現行法下でも十分指導を発揮できるはずなのに法改正をちょこちょこしてもしようがないんじゃないかということとか、経済事業改革について質疑をさせていただいてきたところでございます。本日は、先日の積み残した監査と共済事業についてお伺いをし、時間があれば、先日お答えいただいた中で疑問として残っている部分についてもお答えをいただいていこうと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。  まず最初に、監査についてでありますけれども、政府は中央会の監査とそれに基づく指導に関してどのような認識を持っているのか、お答えをいただきたいと思います。
  30. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 中央会、昭和二十九年の中央会制度が創設されて以来今日まで、組合の指導や監査等の事業を通じて組合の健全な発展、これに貢献してきたと、このように思っております。  一方、合併の推進あるいは大規模農協、こういう出現、あるいはペイオフの問題等々、社会経済情勢が大きく変化をする状況、こういう中で、農協の健全な運営、このことを確保していくことが必要なわけでありまして、そういう面で、今後とも、中央会の監査またそれに基づく指導、この一層の充実、このことは大変重要なことと、このように認識をいたしております。
  31. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 これまでも監査を行ってきたわけです。これまでの事実上破綻した農協に対して中央会の指導の実効性はあったというふうに認識しているのか、お答えをいただきたいと思います。
  32. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) これまで破綻した農協というのが残念ながら幾つかあったわけでございます。その原因を見ますと、一つはバブル期に行いました不動産融資、これがバブル崩壊とともに不良債権化して多額の償却が必要になったものというのが一つございますし、また特定の業種に集中をして融資をしてこの融資先企業の業況悪化によりまして不良債権化した、また有価証券運用が失敗をいたしまして多額の運用損失が生じたといったものが主な原因になっております。いずれも破綻農協の融資判断、これが誤りがあったとか、あるいはリスク管理の甘さというものがあったというふうに考えております。  こうした農協に対しまして、それぞれ中央会が監査で指摘をしたり、あるいはまた重点指導農協に指定する等によりまして濃密な指導を行ったわけでございますが、既存の債権の不良化あるいは保有有価証券の下落、これは正に融資先の業績あるいは相場にも左右される面もありまして、なかなか予見なり予断し得ないケースもあったというふうに認識をしております。
  33. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 広島県の旧府中農協、旧新市農協経営破綻に関する同県中央会の指導、これはどうであったか、例でありますけれども、お答えをいただければと思います。
  34. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 今のお尋ねの広島県の旧府中市農協と旧新市農協でございます。  まず、旧府中市農協につきましては、主な融資先でございました地元の商工業者の業況が悪化をして多額の不良債権が発生したということと有価証券運用の失敗、これが原因になっております。それから、旧新市農協、これは有価証券運用の失敗、それから土地区画整理組合に対します融資が焦げ付いた、こういったことで経営不振ということでございまして、貯金保険機構からの支援を受けまして、平成十四年六月に近隣の福山北農協と合併をしたということでございます。  この二農協に対しまして、広島県の中央会はかねてより、自己資本の充実なり有価証券の含み損の解消、あるいは購入した不動産の早期流動化等について監査で指摘をし事後指導を行ってきたということでございますが、結果的に申し上げますと、やはり中央会の監査なり指導の実効が上がらなかったということであろうと思いますし、残念なケースだというふうに思っております。
  35. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 今言われたとおり、指導等は行われていたんですね。旧府中農協の場合は余裕金運用規程に定める運用限度に違反した株式投資を行ったが、株価低迷により、含み損により九十億円を超える欠損を抱え破綻と。県中央会の指導としては、破綻が現実化する七、八年前から含み損の解消や債権保全を指導、さらに含み損を有している状況での出資配当の中止を指導したが、聞き入れられずに配当を行い続けたと、こういうことなんです。  そしてまた、旧新市農協の場合は、宅地開発事業に手を出したものの販売が進まず売れ残り、土地を保有する結果となった。さらに、投資信託運用で含み損を発生させ、約三十五億円の欠損を抱え破綻。中央会は土地の流動化や投資信託の含み損の解消、さらに含み損を有している状況での出資配当や買い増しを行わないよう指導しているわけでありますけれども、これも聞き入れられずに配当、買い増しを行い続けた。その結果、破綻し、今の状況になっているというのが現状でありまして、指導してもまるっきり聞き入れられていない。これは、この事例は氷山の一角ではないかと思いますけれども。  さらに、質問を続けさせていただくと、千葉県の信連経営悪化もこれまでの中央会の監査、指導に問題があったことを示していると思いますけれども、いかがでしょうか。
  36. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 千葉県信連の問題でございますが、この千葉県信連の場合は、近年の大幅な地価の下落、それから地域経済の低迷ということ等を背景にいたしまして起こっておりますが、平成十七年四月のペイオフの全面解禁を控えまして、それに備えるということで厳格な資産精査を行う等思い切った経営健全化に向けた取組を進めるということでございます。  一方、この千葉県信連に対しましては、中央会が農協法第三十七条の二の規定に基づきまして毎年決算監査を行っておりますが、中央会の監査は系統金融検査マニュアルをベースとしまして信連が行った自己査定の的確性を検証する方法で行われておりまして、そういう意味では銀行に対して行われる決算監査と同様の方法により適切に行われているというふうに考えております。  現在、この千葉県の農協系統では県域全体の農協系統としての再編強化ということを目指しまして今取り組んでおります。こうした取組に対しまして、全国中央会でも人員を派遣するなどの支援を行っているというふうに聞いております。  今申し上げましたように、千葉県信連経営悪化は地価下落や地域経済の低迷が主な原因ということで、その中央会の指導等に従わなかったといったようなことではないわけでございます。より健全な形でやるということで、今、千葉県はもちろん、系統全体としても一生懸命取り組んでいるという状況でございます。
  37. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 ちょっと私と見解が違うなと思うんですね。土地開発関係の融資、これゴルフ場開発ですね、ゴルフ場開発の融資、どこが農林水産関係関係あるのかよく分からないわけですけれども、融資で四百億円の担保不足が表面化した。この問題は、組合の皆さんが追及したときに、同県の中央会の参事は金融検査マニュアルに基づく全国監査機構の監査が厳しくなかったというようなことを回答しているわけです。とにかく、中央会の指導力のなさを露呈したような形になっているというのが私の認識でありまして、今言われたのとは少し認識が違うなというふうに思っております。  このような事例は、結局は中央会という身内による監査が要因となって発生しているのではないかと私は考えておりますけれども、いかがでしょう。
  38. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) ただいままで御指摘をいただいたように、全国農協あるいは信連の中に経営不振に陥るものが出現していることは事実でございます。  今申し上げましたように、経営不振に陥る主な原因というのは、一義的にはその組合長等の経営陣の融資判断の誤り、あるいはリスク管理の甘さというものがあったわけでございます。ただ、中央会の指導あるいは監査の実効が上がらなかった面があるということは、もう率直に反省する必要があるというふうに考えております。  こういったいろんなことも受けまして、中央会も改善に向けて大きく踏み出しております。一つは、平成十四年度より監査を全国中央会に一元化をする、それから、全国連や信連、大規模農協については必ず公認会計士を帯同する、また、監査の独立性、専門性の確保に努めているということでございます。やはりこの監査の独立性なり専門性の確保に向けましては、常に改善を加えながら努力をしていく必要があるというふうに思っております。
  39. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 通告してないんですけれども、この独立性を確保していくことが大切だということであります。  まあ外部監査という位置付けをしていかなくちゃいけないということであると思いますけれども、全国監査機構、この運営費はどのようにして賄われているか御存じですか。
  40. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 基本的には、各会員となっております、これは全国中央会に置かれておりますが、会員となっております会員の賦課金によって賄われているというふうに承知しております。
  41. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 中央会に対する賦課金によって運営されているということであると、内部監査だとしか考えられないわけですけれども、どういう見解を持っていらっしゃいますか。
  42. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 確かにその経費が賦課金によって、会員の賦課金によって賄われている点は御指摘のとおりでございますが、正にその独立性なり専門性を確保するということで努力をしておりまして、先ほども言いました一元化、これは全国監査機構に正に監査の機能を一元化、集約化いたしまして、そして各県の中央会に出掛けますときもチームを作りまして、できるだけ当該中央会とその県にかかわります方は責任者とならないような形での運用をする等、その独立性なりに配慮するという形での改善が行われているというふうに認識をしております。
  43. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 次の質問に移らせていただきますけれども、全国監査機構あるいはJAバンクシステムは全国農協経営状況を的確に把握していると認識をされておりますか、お答えください。
  44. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 全中のこの監査機構でございますけれども、農協の業務あるいは会計等が効率的かつ適正になされているかということを確認するということでやっておりますが、十五年度の実績で申し上げますと、全農協の約六六%、三分の二の農協実施しております。信連につきましては全信連に対しまして実施をしておりまして、これは行政庁の検査基準を踏まえましたルールに基づきまして財務諸表等の監査を行っているということでございます。  そして、農林中金を中心としますJAバンクにおきましては、その基本方針に基づきまして、問題農協の早期発見、早期是正の観点から、信用事業を行う農協経営状況に関します報告のモニタリングを行っております。この結果も踏まえて、自己資本比率等の経営状況に応じて必要な資金運用の制限あるいは経営改善の取組を求めているということで今取組がなされています。  こういうふうに、全中の監査機構の監査とJAバンクシステムの報告徴求、モニタリングというものが適切に行われまして、全国農協経営実態が把握されているというふうに思っております。
  45. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 全国農協による不祥事の実態とか件数をしっかりと把握しているのかどうかということをお答えいただければと思います。
  46. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 不祥事の問題でございます。この不祥事の問題、これは非常に、当該農協はもとよりでございますけれども、農協系統全体の信用失墜というものにつながるものでございますので、その根絶、これは非常に喫緊の課題であると認識しております。  現在のシステムといたしまして、農協において不祥事が発覚した場合には、当該農協は速やかに行政庁、これは通常の場合、単協でありますと都道府県になりますが、その概要を報告すると。そしてまた、その報告を受けた都道府県におきましては、速やかに地方農政局を経由して本省に報告すると、こういう仕組みになってございます。こういう報告手続の下で、全国農協における不祥事の実態農林水産省としても把握をするという体制にあるわけでございます。  この不祥事の内容でございますけれども、非常に様々でございまして、書類の紛失といったような軽微なものから、横領、背任、盗難といったふうに非常に千差万別でございます。そういう意味で、一律に集計するようなものではないとは思っております。そういう意味で、件数等の集計なり公表ということはしてございません。これは非常に無用な誤解を与えるといったようなことがあるということを背景にしておりまして、他の金融機関等につきましても同様の扱いになっているということでございますので、その点は御理解いただきたいと思います。  ただ、発生原因、こういうものをちょっと分析をいたしておりまして、申し上げますと、農協によって違いはございますが、やはり、その当該農協におきます内部監査が機能不全でありますとか、あるいは業務管理体制の不備、あるいは正規な貸付申請手続が完全に励行されていないと、あるいは特定職員が同一部署あるいは同一業務に定着化をして長年そこに勤務をするというようなことでの温床になっているといったようなことが背景になっているというふうに分析をしております。
  47. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 それでは、次の質問に移らせていただくわけですけれども、前回の質疑の中で、現在、自己資本比率四%を割り込む農協信連はないと答弁をされております。また、このことはJAバンクシステムにより早期発見、早期是正によるものだとされております。  今回の法改正で合併要件の緩和が行われることになりますけれども、このことは問題農協を合併させることで救済するという安易な手法につながらないのかという疑問を持っているわけですけれども、お答えいただければと思います。
  48. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 現在、農協の合併が進行しておりますが、合併によりまして極めて規模の大きくなった農協と、それから合併に加わらなかったために小規模農協がその間に介在をするといったような、併存するといったような状況が各県見られております。そういう意味で、合併のメリットが十分に発揮されていない面があるわけでございます。  今後は、その極めて大きくなりました大規模組合と小規模組合との間での合併を円滑に進めていくということが、全体としての効率化、合理化につながるというふうに思っております。  ただ、この場合、大規模組合にとりまして、自らの事業なり財産構成、構成員に対します影響がほとんど生じないような小規模との合併であっても、やはりこれを承認するためには、総会を開くために多数の組合員を広範な地域から招集するといったように非常に手続上の負担が相当大きくなっているのが現状でございます。  そういう現状をとらまえまして、今回の改正では、これは他の法律にも前例がありまして、金融機関等の組織再編の促進に関する特別措置法、商法にもございますが、こういった例に倣いまして、大規模組合が存続組合となりまして、人員規模なりあるいは資産規模で二十分の一以下の極めて小規模な組合を吸収合併する場合には、存続組合におきます総会議決を省略することができる、いわゆる簡易合併手続というものを設けたことでございます。  安易な救済につながらないように、もちろん、存続組合の正組合員の六分の一以上の反対があった場合にはこの手続を省略しないといったような言わば安全弁が組み込まれておりますので、そういった意思反映の機会は十分確保されるというふうに思っております。  そういう意味で、安易に救済につながらないような運営がなされるものというふうに思っております。
  49. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 群馬のわたらせ農協の破綻、これは旧農協の不良債権の持込みによるものだとされております。このように、安易な合併は農協経営の健全性を確保することにつながらず、単なる敗戦処理であり、新たなモラルハザードを招く懸念もあるのではないかと考えますけれども、いかがでしょうか。
  50. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 合併を行う場合に、その旧組合の債権、債務等をちゃんと、きちんと整理しないでやるということは、これは非常に厳として避けなければならないというふうに思います。そのためにも、それぞれの合併に当たりましては、その財務内容等を十分に審査、監査した上で、確定をした上で取り組むことが必要であろうというふうに思っております。  そういう意味で、今回のこの簡易手続を設けましたけれども、先ほども言いましたように、存続組合の正組合員の反対等の手続もあるわけでございますので、御指摘のような安易な合併、それによって負債といいますか、破綻をした農協を安易に救済するといったような形では運用されないように我々としても十分見守っていきたいというふうに思っております。
  51. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 この法改正は、中央会の監査、指導は事後処理あるいは選別となってしまうのではないか、また、その結果、JAバンクというのれんは守られるが、個々の農協組合員の利益や利便性を損なうことになるのではないかと考えますが、そこはどうお考えでしょうか。
  52. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 正に中央会、昭和二十九年から組合の指導、監査の事業を行ってきておりまして、ほとんどの場合は農協経営の健全化の確保に重要な役割を果たしてきたというふうに思っております。  ただ、全国的に見ますと、社会経済状況変化ということで予見し難い事象等もございます。そういうことで、経営悪化に陥る農協が出現するという場合があるわけでございまして、そういう場合には中央会が事後的にいろんな指導をしなくちゃいけないということだと思います。  ただ、今御指摘ございましたように、合併に伴って組合員との関係希薄化をしたり、サービスの低下、そういうことがないように、正に意見の反映でありますとか、あるいは支所の設置の配置の在り方でありますとか、あるいはガバナンスといいますか、そういうものの強化でありますとか、そういう、やっぱり合併を踏まえて、それに応じたやはり管理手法といいますか、そういうものが確立されなければならないというふうに思っております。
  53. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 農協信用事業に関しては、JAバンクシステムでモニタリングを行っております。これは中央会監査とダブルスタンダードになるのではないかと考えます。  また、中央会監査に求められる機能というものは何だと考えられますか。
  54. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 今の御指摘のとおり、全国中央会が監査をやりますし、農林中金の方はモニタリングということで会員なりの、農協のチェックを常日ごろしているところでございます。  まず、この中央会が行います監査でございますが、これは組合の業務なり会計が効率的かつ適正に行われているかといった観点から、業務執行や会計について農協に直接出向いて監査を行っているわけでございまして、特に貯金量二百億円以上の信用事業を行う農協についてはこの決算監査が義務付けられているというところでございます。  一方、中金の方は、いわゆるJAバンクの自主ルール、この下で、問題農協の早期発見、早期是正ということで、業務報告書なり検査、監査で指摘された事項につきまして資料を徴求、分析するということでモニタリングを行っております。  この両者の関係でございますが、これはJAバンク法と言われております農林中金及び特定農水産業協同組合等による信用事業の再編及び強化に関する法律の第六条でございますが、ここにおきまして全国中央会は農林中金に協力するということになっております。  その具体的な在り方でございますが、中央会監査で発覚した不備事項、これについては農林中金のモニタリングに反映をさせるというのが一点でございます。それからもう一つは、逆に農林中金のモニタリングで問題が確認された場合には必要に応じまして中央会が監査を行うというように、相互にフィードバックをしまして協調して取り組むという形になっております。そういう意味で、相互に密接な連携を図り、全国農協経営の健全性の確保ということで、非常に両輪として重要な役割を果たしているというふうに認識をしております。
  55. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 次に、共済事業についてお伺いをしていきたいと思います。  今回の法改正は、これまで規程で行われていた農協共済事業に保険業法を適用するものとされておりますけれども、その理由をお聞かせください。
  56. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 農協共済事業、これは組合員の営農、生活の安定に重要な役割を果たしておるわけであります。  そういう中で、近年、その経営環境、いろいろ変わってきております。組合員のニーズの多様化、また高度化、共済商品の種類あるいは保障の範囲が拡大をしております。また一方、農協共済全体を見ましても、大手の保険会社に匹敵する事業規模になっておる、あるいは組合の事業の中に占める共済事業のウエートが高まってきておるわけでありまして、そういう面で、万一共済事業の健全性が損なわれる、こういうようなことになりますと、組合の経営のみならず、組合員の営農の継続や、また農村地域全体に、農村地域の経済に大きな影響を与えるわけであります。  このような状況を踏まえまして、今回の農協法改正によりまして、行政の透明性の確保にも配慮しつつ、共済事業の健全性の確保、そして契約者の保護、このことが必要なことでありまして、保険業法並みの措置を法定化すると、こういうことにしたところであります。
  57. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 法改正によって破綻未然防止のための予定利率の変更も可能としますけれども、組合員、加入者の利益を守るのであれば、農協共済のセーフティーネットを構築することが優先すべき課題ではないかと考えますけれども、お答えを下さい。
  58. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) セーフティーネットの整備を優先すべきではないかというお尋ねでございます。  セーフティーネットの整備につきましては、一つは、全国共連に再共済をするということで、単協が仮に破綻しても共済金支払に支障が生じないような仕組みということで、すべて全共連が一〇〇%引き受けるというシステムに今現在なっております。それが一点でございます。  それからもう一つは、実質的に支払責任を負っているのは全共連のみという現状でございますので、保険会社が組織されておりますような各社から拠出した基金により運営する保護機構の設立といったような制度はなかなか、全共連の場合は相手がいないといいますか、そういうことでなかなか難しいということで今回は措置をしておりません。  ただ、今申し上げましたようなことはありますので、この健全性を確保していくということをまず何よりも十分に考えなくちゃいけないということでございまして、全共連の経営状況の定期的な把握なり、あるいは今回この農協法改正の中にも早期是正措置、ソルベンシーマージン等を指標といたしまして常にチェックをしていくということが法律上も取れるわけでございますので、この元締となります全共連の破綻といった事態を招かないように十分行政としても監督指導していきたいということでございます。
  59. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 次に、農協は保険代理店業務ができるというふうにされておりますけれども、子会社の共栄火災以外の民間保険会社を排除するようなそんな指導文書が出されていると。これは独占禁止法に抵触するのではないかと考えますけれども、いかがでしょうか。
  60. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 今回の改正内容といたしまして、共済事業を行う組合は保険会社の業務代理等を行うことができるということで盛り込まして提案さしていただいておりますが、この場合、その代理される保険会社の範囲は特定の保険会社を限定するというものではございませんで、いかなる保険会社の商品を扱うかにつきましては、組合員の利便性の増進、こういった観点から各農協が自ら決定すべきものというふうに考えております。  他方、農協系統事業は、組合員相互扶助の理念の下、農協と連合会とが協同で事業を行うということでございまして、そのサービスを通じて組合員にメリットを提供しようというのがその活動でございます。こういった目的を達成するために、連合会が必要な運動方針を提示をいたしまして系統全体で取り組むといったことはあり得るということで、今御指摘をいただきました文書もそういった性格のものではないかというふうに考えております。  ただ、これは、万が一全共連が不公正な取引方法によりまして農協の選択の自由を阻害する、あるいは実際的にも他の保険会社を排除するような事態を招くような措置をするといったようなことであれば、独占禁止法にも抵触するおそれは十分あるというふうに認識をしております。  いずれにしても、この独禁法の問題につきましては、農林省といたしましても、事務のガイドラインを改正をいたしまして、公正取引委員会との連携の強化も図るということにしておりますし、また、行政検査におきましても独占禁止法違反があるかどうかという検証を統一検査事項に定めるといったようなことでの措置を講じておりまして、引き続き独禁法の違反が生じることのないように十分目を光らせていきたいというふうに思っております。
  61. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 ちょっと、私とまた認識が違うなというふうに思うんですね。  「農協法改正事項にかかるJA共済としての取組方針」というのが平成十六年の二月十二日、これは系統内限ということでファクスで流されているわけですけれども、その中、読ませていただくといろいろ書いてあるわけですけれども、「共栄火災以外の保険会社の業務の代理・事務の代行については、実施しない方針です。なぜなら、「JA共済が保障提供の中心であり、保険会社の代理・代行はその補完として組合員に対する最良の保障を実現する」という制度趣旨を実現するためには、提供商品を含め、全共連が子会社として管理(コントロール)できる保険会社であることが不可欠であるからです。」と、こういうような形でファクスで送られている。  これは、局長、もう一度答弁いただきたいわけですけれども、独占禁止法には当たらないという認識でしょうか。
  62. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) むしろ独禁法に当たるかどうかは所管庁が判断すべき話でございますけれども、一般論として申し上げますと、この文書が出されたということをもって直ちに独禁法違反になるというわけではないということだと思います。実際に、この実際上の契約取引、こういうものにおいて、現実に、あるいは実際問題としてそういった自由な競争が阻害されるという事態が生じた場合、こういった場合が問題になるというふうに思っております。  そういう意味で、今御指摘いただきました文書、これも私ども承知はしておりますが、これは農協法改正に係りますマスコミ報道に関連して全共連の見解を示したというふうに理解をしております。そういう意味で、文書をもって直ちに独占禁止法になるというものではないと思っておりますが、いずれにしましても、今後の事業運営の中で公正な競争が阻害されるといったようなことがあれば、これはあってはならないことでございますので、農林省としても適切に指導をしてまいりたいと、こういうふうに思っております。
  63. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 しっかりとそういう形での指導というか注視をしていただくことが大切であると思いますので、よろしくお願いします。  今回の法改正目的共済契約者の保護を充実させるためと説明されておりますけれども、農協の現場では共済担当者以外、専門家ではない他部門の職員による推進と称して共済契約のセールスが行われているということを聞いております。現場の声を聞いてみると、その実態は十分な研修も行われず重要事項の説明責任を果たしているとは言い難い、また、このような状態を放置したままでの法改正を行うことは本末転倒であると考えますが、いかがでしょうか。
  64. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) JAの共済を推進するに当たりまして、やはりその推進に当たる職員というものは十分な知識を有する者が当たるべきというふうに考えております。系統自身も、そういう意味で、このいわゆる専任職員の資格としましてライフアドバイザー、LAと言っておりますけれども、これの育成に努めておられます。  現時点で、かつてはこのLAによる、専門職員によります推進が三分の一程度しかございませんでしたが、現在は半々になっておりますし、今後三年間で六五%がこのLAによります契約ということで取り組むという方向を出されております。また、LAでなくても、やっぱりその推進をする職員全般にわたりまして十分な研修をしていくということで取組をされております。そういうことで、今回の改正で正に重要事項をちゃんときちんと伝える、あるいは虚偽を伝える等不当な推進活動をしないといったようなことを担保しまして、もし違反すれば罰則が掛かるという形になっております。  そういう意味で、今後の契約の推進に当たりましては、正におっしゃるとおり、専門知識を持って十分重要事項等の説明ができる、契約内容の説明ができる者によって推進していく方向で一層取組が強化されるように我々としても指導していきたいというふうに思っております。
  65. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 しっかりとそのことも注視して指導していただきたいと思っております。  もう時間が来てしまったんですけれども、前回の質疑の際に局長は、今まで中央会の指導が貫徹しなかったのは、なぜこれまで中央会の指導が貫徹しなかったのかということをお聞きしたときに、体系的な指導が希薄であったと、そのため改革の進行管理などのマネジメントとガバナンスを強化する旨の答弁を行われました。ここで改めて、果たして協同組織である農協統治、ガバナンスは組合員である農業者によるものなのか、それとも全中によるものなのか、どのように認識しているのかをお答えください。
  66. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 農協農業者の自主的な協同組織でありますので、この農協の統治、ガバナンスですが、それは構成員である組合員の意思により行うことは、これは基本であるというふうに思っております。ただ、それが基本でございますが、前回の答弁の中で申し上げましたとおり、いろんな系統を取り巻く課題がある中で、やっぱり系統全体として効果を上げていくためには、やはり共通の目標なり進捗管理、そういうものが必要であるということで、そういった面での強化が必要であるということで、そういう面で中央会が果たす役割というのはより一層高まっているところがあるので、その点の中央会の指導、それは端的には基本方針を策定するということに現れるわけでございますが、そういった規定を明示的に農協法の中に置きたいということでございます。
  67. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 次に、現在、農協の正組合員五百十六万人、准組合員三百九十一万人と。正組合員が統計にある農家の数三百七万戸の一・六倍もあることはどうかということ、また、このような事態をどのように考えているのか、さらに、四〇%以上を占める准組合員の意思反映の在り方に関してどのように考えているのか、今後抜本的な見直しが必要だと考えているかどうか、お答えをいただきたいと思います。
  68. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 今御指摘いただきましたとおり、農家数に比べまして農協の正組合員数が非常に多いという御指摘でございます。  これは、私どもの統計でやっております農家の定義と農協の正組合員資格におきます農家の定義が異なるということが一つございます。それからまた、農業に従事する方も正組合員資格を有するということで、一農家に複数の組合員が存在するということの実態もございます。また、基盤強化法で集積を促進するという意味で土地を耕作しなくなっても引き続き正組合員として認められるというような特例を与えているということが背景にございます。  それから、確かに准組合員も非常に多くなっているということでございます。そういう意味では、一つは、もちろん正組合員のメリットをいかに確保していくかという問題が一つである一方、それから准組合員の意見の反映、こういったものをどうするかという課題がまた一方であるわけでございます。この准組合員の意見の組合運営への反映という形にしましては、各JA等でいろんな取組がなされております。基本的には、いろんな部会組織等を作ってそこへ准組合員の方も参加していただいて、それで部会なり組織内組織で意見を集約してそれを反映していくといったような取組がなされておりまして、そういう取組は今後ともなされるべきであろうというふうに私ども思っております。  ただ、こういう正組合員の問題、それから准組合員の問題、その在り方の問題、これは非常に組合運営の基本にかかわる問題でございますので、我々としても十分その問題点を認識をしながら、十分慎重な検討もしていきたいというふうに思っております。
  69. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 農協のガバナンスを強化する目的経営管理委員会制度が導入されました。この制度が実際に機能していると認識しているか、お答えください。
  70. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 経営管理委員会制度は、平成八年に導入されまして、また十三年の改正におきまして一部の組合につきましては義務化をするといったようなことでございます。  現在の状況を申し上げますと、農協レベルでは十六農協がこの制度を導入されております。また、連合会では六十、全国連では三連合会ということで既にこの制度の導入が行われております。いろいろアンケートなり、アンケートといいますか、業務の中でその状況等を聞いておりますが、評価する意見がかなりございますので、かなり効果を上げているのではないかというふうに認識をしております。
  71. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 いろいろ聞いてまいりましたが、改革を進歩させるためにといって法改正までして全中の基本方針を法律的にオーソライズするということは、農協農業者による自主的な組織であるということは建前であり、行政のコントロール下に置くことが目的であり、農協のあり方研究会の報告で触れられたように、行政と農協の安易な関係に逆戻りするんではないか、そういう懸念があるということを御指摘をさせていただき、質問を終わらせていただきます。  小川理事、よろしくお願いします。
  72. 小川勝也

    ○小川勝也君 民主党・新緑風会の小川勝也でございます。  羽田委員に続きまして質問させていただきますが、最後の方にこの法案の締めを申し上げたいと思いますけれども、その前に喫緊の課題として、林業における労働災害の問題についてお伺いをしたいと思います。  資料を今お配りをさせていただくと思いますので、委員の皆さんは参考にごらんいただきたいと思います。(資料配付)お配りをいたしました資料の中で私が特に注目をしている点は、(1)、(2)、(3)とありますが、(2)の度数率。度数率のこの説明は米印のところに書いてあります。そこの林業のところの平成十四年の数字、五三・〇七という数字があります。簡単に比較をいたしますと、平成九年、二四・七〇という数字でございますので、倍以上になっているわけであります。  そして、もう一点、着目している点は、(3)、林業死亡災害における経験階別件数、こういう数字の中で、平成十五年の経験年数が一年未満の方の十三名という数字であります。見ていただければ分かりますとおり、その前の年はお亡くなりになった方は一名でありました。そして、十五年に十三名というこの数字になっています。このことをもってして、どうしてこういうふうに度数率が急遽上がっているのか、あるいはお亡くなりになる方が増えているのかということをお尋ねをして、善後策をしっかり取っていただきたいということであります。  まず、林野庁にお伺いをいたしますけれども、今私が申し上げたような視点で、なぜこういう災害が増えているのか、そして、申し上げましたように、十五年の十三名というように飛躍的にこの数字が伸びているということにどのような分析、考証を加えられているのか、お伺いをしたいと思います。
  73. 前田直登

    政府参考人前田直登君) この資料でも出ておりますけれども、近年におきます林業におきます労働災害、傾向といたしましてはずっと減少傾向で推移してきたんでございますけれども、特に平成十五年におきましては重大災害の発生件数が、これが六十一件ということで前年を大きく上回っているわけでございます。  これにつきましては、例えば二人で伐倒作業中に、伐倒者の合図が遅れまして、被災者の退避が遅れたために伐倒木の下敷きになって死亡してしまった。これは、この方は経験年数七か月でございました。また、間伐作業中に掛かり木になりまして、掛かられている木、これを伐倒しましたところ、掛かり木が落下しまして、伐倒者が下敷きになって死亡といったような例もございまして、このように伐木作業、伐倒作業、こういった作業におきます災害が四六%、二十八件の四六%ということを占めておりまして、このうち、掛かり木に起因する災害が九件発生いたしております。また、お話にございましたけれども、経験年数が一年未満の被災者、十二件、二〇%を占めておりまして、経験の浅い方の被災割合が高くなっているというような状況にございます。  このように、今申し上げましたように、平成十五年、特に重大災害、伐木作業を中心に災害が大きく増加したという状況にございまして、林野庁といたしましてもこの事態を重く受け止めておるところでございます。  このために、昨年九月から、林業・木材製造業労働災害防止協会等と連携いたしまして、林材業における死亡災害急増に伴う緊急対策、これを実施いたしまして、木材伐出業等におきます類似災害の防止、新規就業者等への安全衛生教育の徹底等を重点といたしまして取組を強化しているところでございます。
  74. 小川勝也

    ○小川勝也君 厚生労働省にもおいでをいただいております。  労働災害の中におけるこの林業災害の度数が増えていることについて、どのような分析をされておられますか。
  75. 恒川謙司

    政府参考人恒川謙司君) お答えいたします。  先生の資料にありますし、また現在、林野庁の方からもお答えがありましたように、平成十一年から平成十五年まで傾向的には減ってきたわけでございますが、昨年と本年、平成十四年と十五年と比べますと四十一件の増加となっております。  若干重複しますが、例えば作業別に見ますと、伐木作業中に発生したものが多い、それから事故の型で見ますと、飛来、落下や激突されたものによるものが三十一件と最も多く、次いで、墜落、転落によるものが十四件となっております。また、これを平成十四年、十五年の時系列的な比較で見ますと、墜落、転落災害の増加が際立っていること、また先ほど来申し上げているように、経験年数が一年未満の者の増加が増えていることが挙げられております。  厚生労働省としては、これらを踏まえて、林業の労働災害防止の徹底を図ってまいりたいというふうに思っております。
  76. 小川勝也

    ○小川勝也君 両者にともにお尋ねをしたいんですけれども、これだけ目立った数字が挙がっているということになりますと、何らか原因がもうそろそろ類推できていなければおかしいと思うんですが、例えば、大変言いにくいこともあるかもしれませんけれども、思い当たる節があったら教えていただきたいと思います。
  77. 前田直登

    政府参考人前田直登君) 私どもも現場でずっとかつてやってまいったわけでございますが、やはりこの安全という問題になりますと、どうしても気の緩みとかそういった問題も出てきます。そういう意味では常に緊張感を持って対応をしていかなきゃいけない。  ですから、ささいなことでもはっとすること、あるいはそういった事案になったときには広くそういった意識を共有していくことも大事でございましょうし、また管理者、いわゆる使用者側におきましては、常日ごろそういった意識の徹底を図っていく。そういった中で、安全に対します意識の高揚と認識、それから基本的な知識、技能、こういったものをきちっと身に付けていくということが重要ではないかというふうに考えている次第でございます。
  78. 恒川謙司

    政府参考人恒川謙司君) 言うまでもなく、林業におきましては、平地の工場の労働環境と違いまして、自然の中で急坂、例えば急坂の中で行われる、又はハチとかいろんな人間に害を与える昆虫なども多いわけでございます。そういう特殊な環境の中での労働ということで、労働者においてはその環境を十分認識した上で労働をしていく必要があるというふうに思っており、トレーニング、訓練を重視していく必要があるのではないかというふうに思っている次第でございます。
  79. 小川勝也

    ○小川勝也君 そういうのをふざけた答弁というんだと僕は思いますよ。十四年まではしっかり注意していたけれども、平成十五年になったらみんな気が緩んだのか、そんなことはあり得ないでしょう。山の作業のときには虫が飛んでくると。平成十四年まではハチはいなかったけれども、平成十五年になったらハチが飛んできたのか、そういうことじゃないでしょう。  何に、どういうところに原因があったのか。究明できているのか、できていないのか。そんなふざけた答弁するぐらいだったら、何も分かりませんと言った方がまだましだと思う。  もう一回答弁してください。
  80. 前田直登

    政府参考人前田直登君) なかなか原因といってこれだという形のきちっとしたものは、正直言ってなかなか難しいんではないかと思っています。ただ、多くの災害の場合、やはり基本動作が誤った、あるいは意識の部分のところでそういったものがすり抜けてしまったというようなこともございます。また、そういった中で、特に最近の場合は、事業が急激にある場所で増えたりするということになりますと、急遽そういったところに人を駆り出して対応しなきゃいけないと。そういった意味では、経験が浅いという方がそういったところで入ってきて事故を多くするといった面もあろうかと思います。  なかなかこれだということにはならないと思いますけれども、そういったことが相まって、十五年、災害が増えたんではないかというふうに考えている次第でございます。
  81. 恒川謙司

    政府参考人恒川謙司君) 先ほども申し上げましたが、十四年と十五年、十五年は急増したわけでございますが、その急増した原因が墜落、転落災害の増加、そして経験年齢が一年未満の者の増加ということを考えますと、やはりこれらの経験の浅い者が労働環境に対する作業の在り方の理解が浅かったことが影響しているのではないかというふうに推測される次第でございます。それに対して職業訓練などを充実させていきたいというふうに思っております。
  82. 小川勝也

    ○小川勝也君 ということは、平成十四年まではしっかり訓練した人が作業に就いていたけれども、平成十五年からは訓練の少ない人が作業に出たということになるんですか。ちゃんと答えてください。
  83. 前田直登

    政府参考人前田直登君) そういう意味ではございませんで、最初、私の方も申し上げましたように、やっぱり安全というのは、きちっとした認識を持って対応をしていくことが必要でございますし、また使用者側、管理者側、こちらの方におきましても、日ごろからそういった意識の徹底を図っていくことが必要なわけであります。  そういった中で、どうしても気の緩みが出たり、あるいはそういった注意事項が抜かったりといったようなこともありまして、画一的にこれだということをなかなか申し上げられないというふうに申し上げたわけでございますけれども、そういったこと。並びに、そういったものに、一部には仕事が十五年度いろんな形で増えて、そういったところに経験の浅い人が臨時的に入ってきて、そういった方が災害を起こしたといったようなことも追加的な形で加わったというような形で理解しておるわけでございます。
  84. 小川勝也

    ○小川勝也君 いずれにしてもお答えになっていないというふうに思うわけであります。  類推でいうと、どういうことが考えられるかというと、例えば労働力の質が低下しているんではないかと、こういうことだろうというふうに思います。そういうことは多分申し上げにくいことだろうというふうに思いますんで、言わないんだろうというふうに僕は思いますけれども。  例えば、山の仕事というのは大変な仕事であります。我々、老壮青でいうと中間ぐらいかもしれませんけれども、雄一郎とか僕は、先輩方に比べてやはり厳しい経験が少ない。だから、よく山で働いた先輩方から比べると、もし訓練、トレーニングを受けても、同じ仕事できないんだと僕は思います。それと同じように、僕らよりもっと若い世代の方が、これは作業能力とか様々な能力が低いんじゃないかと僕は思っています。  そういうことを含めて分析をして、どうしてこういう数字になったのかということを突き詰めてとらえなきゃいけないんだろうというふうに思います。大変な仕事だけれどもだれかにやってもらわなきゃいけないということでありますので、それは昔の人であればこのぐらいのトレーニングで十分だったけれども、これからの若い世代の場合は、もっともっと教えることが多いかもしれないし、もっともっと訓練をさせなければいけないというふうに、こういう数字からしっかり学んで未来を見据えなきゃいけないんだと思うんです。で、大変申し上げにくいですけれども、若い世代は能力が相当僕は下がっていると思う。体力的にも、あるいは辛抱強さということでも。  それで、私たちの党も緑のダム構想とか緑の雇用とか、今の若い人たちの仕事が少ないということも含めて、山はもっともっと仕事が必要な場所なので若い世代に山に上がってもらいたい、先輩に鍛えてもらって立派な仕事をしてもらいたい、もっと雇用してもらいたいというふうに、この場でも予算委員会でも本会議でも言っている。だから、我々にも責任があるんです。若い世代を雇って、未熟なまま山に出したらこんなことになってしまったということじゃ我々も責任を持っている。だから、しっかりと原因を分析をして、一人でも事故がなくなるように皆さんに頑張ってもらいたいし、そのためにできることであれば我々も頑張っていかなきゃいけないと、そういう気持ちでとらえているわけであります。  原因が分からない中でも、私が申し上げたことの何%かは当たっているんだろうというふうに思います。新しい時代にふさわしい訓練とか教育、これを、原因の分析、解明から次の段階に模索をしていただきたいというふうに思うわけであります。  山の仕事はもとより大変であります。そして、ここまでやったら今度は次の知識を、そして、その段階を踏んだらまた安全衛生の知識をもっと深めていかなければならない。これはプロにしか分からないいろんなことがあるんだろうというふうに思います。特に若年者、新規、新しい人が山に入ってくれないと山を守ってくれる人は途絶えてしまうわけでありますんで、経験の浅い人が事故を起こすんだということじゃ済まされないわけであります。どんどん新しい人に入ってもらわなきゃいけませんので、そういった教育訓練、トレーニング、どういうふうに工夫していこうとお考えなのか、お伺いをしたいと思います。
  85. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 今、委員から御指摘平成十五年のこのような数字、これにつきましては、どういう形態の事故になっているか、その辺の分析、これは当然必要なことでありますし、十分そのことを踏まえて今後の対応をしていかなければならないと、こう思います。  さらには、本当に山での仕事、これは非常にいろいろの自然の状況等々、複雑な中でのことでありますから、それぞれ技能者の経験年数、技能、技術、これに従って、いわゆる技能や技術向上のための研修というのは、これ、何段階におきましても大変必要なことではなかろうかと。さらには、新規のいわゆる緑の雇用、この関係者につきましてもやはり、私は、一番大切なことは基礎的な技術の研修、これが重要なことでありますし、その基礎を中心にまたこの応用作業の問題もあろうかと思います。さらには、やはり先輩の人たち、指導者、このリーダーの研修、これもまた、リーダーのためのいろいろの研修というのはこれは複雑なものがあろうかと思いますし、段階的なものが必要なことになろうかと思います。  これらの問題、林野庁、厚生労働省、十分連携をして対応していかなければならないと、このように思っております。労働安全衛生法、こういう中での特別の教育というものもあるわけでありますし、いろいろ、森林整備の担い手、こういう面での安全対策を含めたもういろいろの階層別の、あるいは技術別の体系をもって研修、技術の習得に努力をさせてまいりたいと、このように考えております。
  86. 小川勝也

    ○小川勝也君 今の大臣の答弁を踏まえて、長官にお伺いをしたいと思います。  一つは、まずこういう情報の分析を含めたいわゆる労働省の労災部局との連携について。それともう一つは、新規就農者への訓練、トレーニング、教育、この分野についてどういうお考えがあるのか。それから、一度山に入った、もう現役、仕事をしながらの人たちに対するトレーニング、オン・ザ・ジョブ・トレーニングというふうにでも言うんでしょうか、こういったこともしっかりと制度、仕組みを充実させていかなければならないと思うわけであります。この三点についてお伺いをしたいと思います。
  87. 前田直登

    政府参考人前田直登君) 第一点目の厚生労働省との連携の関係でございますけれども、私どもも日ごろからいろんな場面を通じまして労働担当部局の方々と連絡調整を図っているわけでございますし、また、私どもが行っていますいろんな技能訓練あるいは研修、こういったものにつきましても、先ほど大臣の方からもお話ございましたように、労働安全衛生法、こういったものにきちっとのっとって、また厚生労働省からのいろんな通知もなされております、こういったものも踏まえてきちっとした形でやっていくという中で連携を一層強化してまいりたいというふうに考えている次第でございます。  また、二点目の新規に就労された方々、当然のことながら、最初から、基礎的な段階から研修をやっぱりやっていく必要が、大事なわけでございますし、例えば緑の雇用担い手育成対策事業ですと、最初の段階で、いわゆる労安法に基づきます特別教育、あるいはその基礎的な研修ということで集合研修という形で基礎的な技能を身に付けていただく、それに続きまして、今度はやっぱり実地でのいろんな経験を積んでいく、言わば職場内でのOJTといたしまして、実際に現地で作業をしながらいろいろ経験を積んでいく、技能を学んでいく、そういった形で対応しているところでございまして、そういった中でしっかりと技能向上、安全対策を含めました技能の向上、こういったものに取り組んでいきたいというふうに考えている次第でございます。  またさらには、熟練いたしました方々、こういった方々の中で更にリーダー研修といいますか、そういったことで、都道府県、各都道府県の方におきましても、そういった熟練者に対しましての技能レベルに応じました研修、こういったものを通じて全体としてやっぱり安全を含めた技能の向上、こういったものに努めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  88. 恒川謙司

    政府参考人恒川謙司君) お答えいたしますが、大臣も言われたように、労働安全衛生法令では、まず雇い入れたときに教育を事業主に義務付けております。また、伐木作業等、危険有害な業務に就く者に対しても特別教育を義務付けております。さらには、職長等、リーダーになった際の教育も法律によって義務付けておるところでございまして、厚生労働省においてはこれらの教育を確実に履行していくように努力をしていきたいというふうに思っております。  また、林野庁との連携につきましては、これら教育の周知徹底、また各種合同パトロールの実施等、従来行ってきたところでございますが、今後とも連携して取り組んでまいりたいというふうに思っております。
  89. 小川勝也

    ○小川勝也君 大臣にもう一言いただきますけれども、これは当然のことながら、命を失う人はあってはならないというのは、これは大前提でありますし、新しい林業技術者、森林技術者というのは我々の国にとって必要なことなんで、本当に訓練が必要であればその充実をさせていかなければいけませんし、そこに費用が掛かるとすれば惜しんじゃいけないと思います。一言お願いしたいと思います。
  90. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) この新規の関係者、これは緑の雇用担い手育成事業、こういう点で、補正から始めておりますけれども、本年度予算措置をし、二千四百人この対象者がおるわけでありまして、そういう面で、この十五年、こういうような、あるいはまた、毎年いわゆる死亡等々の林業災害が起きておるわけでありまして、このことを十分踏まえて技術の研修等々に更に努力をしてまいりたいと、こう思います。
  91. 小川勝也

    ○小川勝也君 次の議題に入りたいと思いますが、厚生労働省の方は結構です。  次は鶏肉の輸入の質問をしたいと思いますが、私のところに持ち込まれた事例というのは、タイで鳥インフルエンザが発生したので日本に鶏肉を輸出できなくなりました。その後、しっかりと検査をして大丈夫なものだけ輸出を再開するようになりました。そして、日本から、タイ国政府の仲介に基づいて業者を選定をし検査をいたしました。それで、そこの検査をクリアした業者から日本に対する鶏肉の輸出を再開いたしましたという件であります。  今日、数字ちょっと持ってこなかったわけでありますけれども、二十数社解禁になりまして鶏肉を日本に輸出できるようになった。しかし、残念ながら、物理的な、時間的な問題から、その後検査を受けるのを待っていた業者が受けられなくなっている。分かりやすく言うと、ライバル会社は日本に輸出できるようになって、自分の会社は日本に輸出できないと。これから夏に向けていわゆる焼き鳥のオンシーズンだそうで、これで日本に輸出をできないということになると会社にとっては大変大きな打撃になるという、そういう相談を受けました。  私の場合は、どちらかというと公正とか公平、こういうことに非常に敏感なたちでありまして、検査をするなら望む会社全部してあげないと不公平じゃないか、特に情実というのがあるような地域だと、ある特定の会社だけが日本に輸出できて検査待ちの会社が輸出できないというのはどうもおかしい、この内容は担当者の方にもお話をさせていただきました。  ここまでのことで、なぜ検査を受けられず日本に輸出再開ができない業者ができているのか、お答えをいただきたいと思います。
  92. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 今、先生おっしゃいました家禽肉の加熱処理施設の立入検査の実施の方法でございますけれども、簡単に申し上げますと、まず相手国から指定を希望する施設のリストの提示、それからその検査をしてもらいたいという要請を受けまして、私ども日本の家畜防疫官によります、その要請に基づきまして検査計画を立てます。そして相手国と調整をするということで、そういった形で実施をいたしております。  このタイの件につきましては、高病原性鳥インフルエンザがタイで発生をしたということで、タイからの鶏肉輸入がすべて止まっているという状況の下で何とか可能な限り再開をしたいということで二月の十九日に要請を受けまして、二月の下旬から三月上旬にかけまして、人繰りをいたしまして、正直なところ人繰りをいたしまして四名の家畜防疫官を派遣をし、タイ政府の提示をした施設のリストに基づきまして検査を行った結果、二十二の施設につきまして日本向けの加熱処理施設として指定をしたわけでございます。  これは、相手国政府からの要請のリストをベースにして立入検査を行っているところでありまして、確かに相手国政府のリストに基づくということであれば、そのところで順序に後先が出るというのは、そういうことは生じますけれども、そこは日本の家畜防疫官の、こちらのマンパワーのこともありまして、我々として一番大事なことは、やはり安全、安心な食料がきちっと入ってくるようにするということで、立入検査をきちっとやっていくということが大事でございます。そこで、家畜防疫官の人繰りのことも考慮に入れて、できるだけの対応をしたというのが現実でございます。
  93. 小川勝也

    ○小川勝也君 言葉じりをとらえる、揚げ足を取るつもりはないですけれども、後先というのは、先に検査を受けられたところと後に検査が遅らされたところに分かれることを言うんであって、後の方の検査は済んだんですか。
  94. 中川坦

    政府参考人中川坦君) まず、タイの方から第二回目のリストの提示というのはございました。ところが、この二回目の要請につきましては、家畜防疫官の日常業務やその他の施設、これは加熱施設というのは家禽肉だけではなくて、先生も御存じかと思いますけれども、偶蹄類の加熱処理施設もございます。こういったものをそれぞれ検査をする必要がございます。そういった、そちらの方の日程も勘案しながらやっているということで、まだ第二回目の要請については具体的な検査の日程は決めるところまで至っておりません。
  95. 小川勝也

    ○小川勝也君 後先というぐらいなら文句は出ないんですよ。先の方だけずっと進んでしまって、後の方は解決のめどが立っていないから文句が出ているんじゃないんですか。こういうのは不公平じゃないんでしょうか。
  96. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 個々の業者のどこがどういう順番でやるかということは、私どもなかなか決められません。そこは輸出国、相手国にそのリストの選定はお任せせざるを得ないというのが実態でございます。
  97. 小川勝也

    ○小川勝也君 だから、相手国のリストに基づいて、後先の先の方は検査が済んで日本に輸出が再開されているけれども、後先の後になったところは音さたなく、再開のめどもなくずっと待たされているわけでしょう。それはどうなんでしょうか。
  98. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 先ほども申し上げましたが、家畜防疫官が輸出国に出向いて立入検査をする案件は家禽肉だけではございません。それから、タイだけでもございません。  そういったように、全体の業務の中で我々としてできるだけの努力をしていきたいと、そういうことでやっているわけでございまして、今すぐに検査が対応できないということは事実でありますけれども、全体の人繰り、それから業務の中で最大限の努力をしていきたいというふうに思っております。
  99. 小川勝也

    ○小川勝也君 今の家禽の問題だけではなくて、偶蹄類の方も滞っていると。今、私がお話し申し上げたのはタイの話であります。世界にもこういうふうにいわゆる検査待ちをしておるような国はあるんでしょうか。
  100. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 家禽肉につきましては、先般のタイの施設、それから中国でも少し時期が遅れましたけれども立入検査を行いまして、五十七の施設が既に指定をしております。さらに、検査を待っているものは、中国、タイ合わせますと百三十ございますし、そのほかにインドネシアからも輸出要請というのは出てきております。  それから、そのほかに偶蹄類の加熱処理施設としまして、現在六か国で百二十七の施設が指定をしておりますけれども、そのほかに四か国で五十三の施設から検査の申請が出ているということで、今申し上げましたように、既に指定をした施設の数は家禽肉と偶蹄類合わせますと約百八十ございます。  さらに、ウエーティングリストに載っているものは、同じく家禽と偶蹄類合わせますと、やはり百八十程度のものがあるということでございます。  そういった中で、この偶蹄類の方の施設につきましては、かつて施設の指定をしたものにつきましても、やっぱり一定期間をしますと再度きちっとした再チェックというのが必要でございます。そういったことも含めて、人繰りを考えているということであります。
  101. 小川勝也

    ○小川勝也君 行き掛かり上申し上げますが、なるべく早く検査できるようにしてください。
  102. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 具体的な日にちまでは申し上げられませんけれども、それぞれの要請国の事情も含めて、最大限の努力はしたいというふうに思います。
  103. 小川勝也

    ○小川勝也君 実は、こういう言い方しましたけれども、今日、私が申し上げたいことはそういったことではありません。輸出業者の経済的利益も大切でありますけれども、一番大切なのは日本の国民が安全な食品を口にするということであります。今日も出てくるときにテレビでやっておりましたのは、韓国産の冷凍餃子の中に生ごみが入っていたという話であります。  大臣、私が申し上げたいのは、今これだけグローバル化した中で、日本の中のこの食、安全、考えた場合、これは農林水産行政にとどまらず水際対策ということが非常に大事であって、特に輸入食料ということになりますと、我々の国の水際の問題と輸出国側のその輸出体制と両方チェックしなきゃならないわけであります。どう考えても、局長が一番分かっているとおり、人足りないんですよ、これ。  水際の人というのは二十一世紀の我が国の行政の中で今一番足りない分野です。これは入国管理や税関、けん銃、麻薬それから人、それから食べ物、植物、動物、全部足りないんです。いわゆる国家公務員の総定員法の中で農林水産省として水際にどれだけ人をやれるかということで、ちまちま悩んでいるわけであります。大臣も、多分私の言っていることを御理解をいただいていると思うんです。  今、正に日本国民のそういうことをすべてを、安全を守るということでいうと、水際が本当に大事で、足りない。思い切った政治決断をしなきゃ駄目なんです、これ。これはやっぱりしっかりと局長から話を聞いていただいて、閣議の議題にしていただいて、日本として世界と付き合う中でこの水際対策しっかりやっていかなきゃならないということを、農林水産分野だけじゃなくて、これは亀井大臣にリードしていただきたい。最後、御答弁をいただいて質問を終わりたいと思います。
  104. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 動物のいわゆる伝染性の疾病やあるいは植物の病害虫、これを我が国に侵入することのないように水際で検疫を実施すると、これは大変重要なことでありまして、このことにつきましてはかねがね、予算の問題につきましても定員の増強と、このことにつきましては努力をしておるところでもありますし、さらには先般、総理も成田また羽田の動物検疫等々に視察をいただきまして、十分認識を持っておられるわけでもあります。  引き続き、本当に我が国にそういうものが侵入しないように、万全の体制を取るために努力をしてまいりたいと、このように考えております。
  105. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十八分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  106. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  委員異動について御報告をいたします。  本日、市田忠義君及び信田邦雄君が委員辞任され、その補欠として林紀子君及び堀利和君が選任をされました。     ─────────────
  107. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 休憩前に引き続き、農業協同組合法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  108. 千葉国男

    ○千葉国男君 公明党の千葉国男でございます。  前回に引き続きまして、農協法の一部を改正する法律案についてお伺いをしたいと思います。  前回、私は、組合員のため、ひいては地域活性化のために農協改革が必要であると述べさせていただきました。こうした改革は、そもそも個々の組合員の意識改革をベースに農協自らが意欲を持って自主的に実行していくことで成し遂げられるものであると考えております。これにつきましては、前回の答弁から、亀井農水大臣も同様のお考えをお持ちであると受け止めさせていただいております。是非とも、農協改革が着実に達成できますよう、大臣にはしっかりと見守っていただきたいと、このようにお願いをしたいものであります。  私は、地域農業、日本の農業活性化のためには、今回の農協改革が真に実を結ぶことを切に願っております。改革を行う上で重要なことは、いかに実行するかであります。何をいつまでにどれだけやるかという具体的かつ実行可能な目標を持つことが重要であります。  そこで、今回の農協改革基本となるものは昨年十月のJA全国大会の決議であり、またこれを受けて全中は昨年十二月に経済事業改革指針を理事会決定をしております。これらの決議の中で、目標設定はどのようになっているのでしょうか、お伺いをいたします。
  109. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 昨年十月のJA全国大会におきまして、系統としまして四つの重点事項を掲げております。一つは、安全、安心な農産物の提供と地域農業の振興、それから組合員の負託にこたえる経済事業改革経営の健全性、高度化への取組強化、それから四点目といたしまして、協同活動の強化によります組織基盤の拡充と地域活性化ということでございます。  また、消費者への信頼、組合員の負託にこたえる改革地域への貢献、これを三つの基本姿勢として農協改革に取り組んでいくと。その中で、今申されました目標としまして、農協系統全体で一割の人員削減等についても決議をされております。  また、この全国大会の決議を受けまして、昨年十二月には全国中央会が経済事業改革指針、これを作成をしておりまして、今後三年間で取り組むべき具体的な目標、これを設定をされております。その内容としましては、一つは、事業目標としまして、消費者に信頼されるJAブランドの確立のため生産履歴記帳等を実施する、担い手に実感される生産資材価格の引下げ、また財務目標といたしまして、経済事業の部門損益について原則として三年以内の収支均衡となっております。  こうした農協改革取組が確実に実行されまして、農協農業者、消費者双方から信頼され選択される組合組織となりますように農水省としてもしっかり指導してまいりたいと思っております。
  110. 千葉国男

    ○千葉国男君 農協は御存じのように巨大な組織であります。経済事業信用事業共済事業等、様々な事業を行っており、単位農協数だけでも、平成十六年五月現在、九百四組合にも上っております。このような中で、個々の農協農協改革を急がねばとばらばらに意気込んでもなかなか実効は上がらないものであります。もちろん、農協の中には既に経済事業改革で成功を収めているところもあるわけで、そういうところは今後とも持続して頑張ってもらいたいと、こう思っております。  問題は、経済事業改革が後れている農協も含め、どのような農協系統全体で歩みを進めていくかということであります。巨大JAグループが一体となって改革を実行していくためには、中心となって改革を引っ張っていくかじ取り役が必要であると考えます。こうした推進主体の存在やその推進の仕方が改革の成否に大きく影響してくると考えるからであります。  そこで、農協系統の決議においては、農協経済事業改革の推進主体はどこが担っているのでしょうか、お伺いをします。
  111. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 農協改革、特に経済事業分野について改革が後れているわけでございます。この点での改革が急務でございます。そして、この改革を行うに当たりまして、単位農協自らが意識改革をし自主的に取り組んでいく、これが基本であるということは申すまでもないわけでございます。  ただ、今、委員も御指摘ございましたように、農業形態全体としてスピードアップをし、きちんと目標を定め、進捗を管理していくという意味では、やはりこの中央会のリーダーシップ、これが非常に大事であるということでございます。  今回の農協法改正では、この正にばらばらではなくて全国が連携の取れた指導体制を整備するという意味で、組合に対する指導をより効果的に、またスピードアップを図るというような観点から、中央会が指導事業に関します基本方針を作成するということにいたしております。  このように、中央会が作成し公表した基本方針、これに即しまして今度は県段階の中央会が指導を行うわけでございますが、もちろん地域性もございますので、地域の特性に応じた都道府県版の基本方針ということを作成するなどによりまして地域の実情に即した指導が行われるように期待をしたいと思っているところでございます。そういう取組を我々としても支援するという意味で今回の法改正をお願いしているところでございます。
  112. 千葉国男

    ○千葉国男君 是非とも、全国中央会のリーダーシップの下、農協系統が一丸となって改革に取り組み、実効を上げていただきたい。改革の断行がなければ農協系統の明るい未来は保障されません。農協中央会はかなえの軽重が問われているんだろうということを肝に銘じて今こそ頑張ってもらいたいと、また強く期待するものであります。  これまでの議論により、改革の具体的取組とその推進主体がはっきりしてきましたが、その上でもう一つ、今回の改革を真に実効性あるものにするために確認しておきたいことがあります。  改革の実行には、それぞれの農協が個別の問題を一つ一つ解決することにより改革の推進がなされることになりますが、すべて解決するためにはそれなりに時間が掛かるわけであります。しかし、時間が掛かるからといって、ゆっくりやればいいというものではありません。農村地域高齢化の進展や農業者の階層分化、耕作放棄地の増大、国際化の進行など、我が国農業、農村を取り巻く状況を見ましても改革は急務であります。また、農協系統組合員からメリットに乏しいとの批判を受けたり、不正表示問題等で消費者の信頼を失いつつある状況を踏まえれば、農協改革は一刻の猶予も許されないと考えるべきであります。正に待ったなしの農協改革であります。  その意味で、農協改革はしっかりとしたタイムスケジュールの下、急ピッチで進めなければなりません。改革がきちんと進んでいるかどうか、進捗管理が重要であります。  そこで、今回の農協改革について、進捗状況の管理システムはどうなっているのか、お尋ねをいたします。
  113. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) この農協改革の進捗管理のお尋ねでございます。  もちろん、これにつきましても改革を行う単位農協自らが主体となりまして、地域実態を踏まえて自ら行うということが基本であろうというふうに思っております。  ただ、個々の単位農協だけではやはり限界もあるということで、これは委員の御指摘のとおりでございます。全国的にも系統全体としても効率的、効果的にまたスピードアップしていくということでは、その全体としての進捗管理も極めて重要であろうと思っております。  具体的に申し上げますと、全国中央会におきましては、昨年七月に、全国中央会の会長をトップといたしまして、全国連の会長や各県中央会の会長をメンバーといたします経済事業改革中央本部を設置をいたしております。そして、さらに十二月には、農産物販売戦略の見直し生産資材価格の引下げ等を内容といたします経済事業改革指針、これを作成をいたしまして、今後二か月に一回のペースで本部委員会を開催して、改革の進捗状況や実践に伴います新たな課題、そういったものを検討するということで取り組んでいるというふうに承知しております。
  114. 千葉国男

    ○千葉国男君 ちょっと古いお話で恐縮ですが、私が衆議院の時代に、今からちょうど九年ほど前になりますが、平成七年の通常国会におきましてちょうど農協の合併問題が論じられました。当時の大河原農水大臣に、私は合併後の農協にどのような役割を期待しているのかとお尋ねをいたしました。その質問に対して大臣は、申すまでもなく、国の農政であり、あるいは地方公共団体の農林行政、そういうものと農協農業協同組合が車の両輪といいますか、表裏一体になって強力に進んで初めてその地域農業と農村の活性化が図られるものであると答弁をしております。  そこで、今回の改正に当たりまして亀井大臣は、農政あるいは地方公共団体農協、農林行政と農協との関係についてどのような基本的な認識をお持ちになっているのか、お伺いをしたいと思います。
  115. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 国や地方公共団体、この農政に対する役割、これは食料・農業・農村に対する各般の施策を進めて、そして地域農業の発展を図っていく、こういうことでありますし、さらには農協の本来の役割、これは農業者の自主的な組織でありまして、組合員に対するメリットの提供、これを第一義といたしまして業務の展開をしておるわけであります。  地域農業の力強い発展、これはやはりそのような農協の、JAのそのような役割農業生産力の増進、推進、農業者の経済的なまた社会的な地位の向上、これを図ることであるわけでありまして、そういう面で行政と農協の系統、これが連携をして地域農業の発展を図っていくと。こういう点につきましては、今、委員からも御指摘がございましたが、平成七年でございますか、大河原、当時の大臣が、表裏一体、また車の両輪、このようなお考えをお述べになっておりますことは、私は今もその考え方とこれは変わらないことと、このように思っております。  そういう面で、今回の農協法改正を通じまして、時代が変わって、そして消費者のニーズに合う、消費者から選ばれる農協、これに邁進をしなければならないわけであります。  伺いますと、今回、千葉先生は後進に道をお譲りになりまして今期の任期で御勇退をされる、後進にと、このようなお考えを承っておるわけであります。是非そういう面でも、今日まで農水の委員として大変御活躍をいただき、このようなときに、今後とも私どもにアドバイスをちょうだいするような今の問題、農協に対する先ほど来お話を伺っておりまして、農協、JAの決議、そして今回の農協法改正を契機に農協が更に改革に率先をして実行しなければならないと、このようなお話も承ったわけでもあります。是非、こういう機会にまた御示唆をいただくようなお話がちょうだいできればと、このようにも思っておる次第でございます。
  116. 千葉国男

    ○千葉国男君 ありがとうございます。  今回の改正に当たりまして、この行政と農協関係を車の両輪あるいは表裏一体ということについて今大臣からもお話がございますが、逆に研究会報告では農協の自立を妨げるものであるとの報告をしておりまして、全く逆の立場に立っております。  この基本的な方向転換に至った背景はどこにあるのか、また、農協の自立に当たって何が一番大切であると考えているのか、大臣見解をお伺いしたいと思います。
  117. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 行政と農協、それぞれの立場でともに地域農業の振興を図っていくと、こういう役割を担っておるわけでありまして、このために、農政の様々な分野におきまして、これまで行政は農協系統と連携をして政策を推進し、一定の成果を上げてきたと、こういうところはあるわけであります。しかし、この農協系統の自主的な努力と申しますか、結果として農協系統の自主的な努力取組を妨げてきた面があったことは、これは否定できないことではなかろうかと。  このようなことから、農協のあり方についての研究会報告書におきましても、農協が本来の役割を十全に発揮をし、農業者や消費者に選択される存在となるよう、今後は行政そして農協とが安易な相互依存とならないようにすべきと、このような指摘もなされておるところでもございまして、このような問題を解決するためにも、農協農業者の自主組織として組合員に対するメリットの提供を第一義として業務を展開し、そして農業生産力の増進、農業者の経済的、社会的地位の向上、これを図ることがまず原点である。いま一度原点に立ち返り、自らの創意工夫、こういう中で一層の発揮をし、主体的な取組を強化することが私は重要なことではなかろうかと、このように思います。
  118. 千葉国男

    ○千葉国男君 当時の大河原大臣は、農協合併の推進についての私の質問に対して基本的な考えを示されたわけですが、いわゆる国の農政あるいは地方の自治体の農林行政が、脆弱な小規模組合では様々な活性化のための課題に対して十分に期待にこたえられないのではないかという認識があったわけであります。要するに、合併することによって農協の力を大きくする、国の農政目的を達成しやすくなるようという、そういう認識があったのではないかと、こういうふうに思っております。  そうしますと、合併の推進については一定の目標が達成できたとお考えになっているのかどうか、お伺いをいたします。
  119. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 合併の問題でございますが、事業機能の一層の強化と経営の効率化、合理化を図るということで、系統組織は二〇〇〇年度までに五百十の農協合併構想を掲げまして、その実現に取り組んできたところでございます。この結果、七年度末に約二千五百ありました農協が十六年五月現在、九百四ということになっているところでございます。  これらの合併によりまして、取扱量の増大によります事業基盤の強化、また能力ある役職員の活用によります事業運営体制の強化、自己資本の充実等による経営体質の強化等、一挙にというわけにはなかなかまいらないわけですが、着実にその効果は現れてきているというふうに認識をしております。  ただ、この合併によりまして規模の大きくなった農協がある一方で、合併に加わらなかった小規模農協も多くの県で併存しているという状況にございますので、今後ともこの農協合併の促進に取り組んで、組織の効率化、合理化を図っていくということは非常に重要、まだ依然として重要だと思っております。  ただ、その適正規模等については、今後、十分組織内において話合いがなされるべきものというふうに考えております。
  120. 千葉国男

    ○千葉国男君 今、地域では平成の市町村合併が検討、実行されているところであります。一方、同じ地域で既に農協の合併が進んでいるところもあり、また市町村合併がなされていない地域も出ております。そうしますと、一つ農協の区域内に複数の市町村が存在することになります。この場合、農協事業の推進、各種農業施策の円滑な実施を図る上で支障を来すおそれがあるのではないかと、こう考えますが、お伺いをいたします。
  121. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 農協は、ただいま申し上げましたとおり、広域合併を精力的に進めております。この結果、約六割の農協におきまして、合併後の農協地域が市町村の区域を、地域を超えているという状況があるわけでございます。  もちろん、この状況を踏まえまして、その円滑な農協事業の推進をしますとか、各種農業施策、こういう意味で支障を来してはならないわけでございます。そういうことを避けるということで、現在でも、市町村長との定期的な意見交換の場を設けますとか、あるいは各市町村の農業なり農協振興に係ります協議会へ参画をいたしましてその意見を反映するとか等を通じまして、市町村の地方農政との連携を図ってきているところでございます。  今後とも、市町村合併も進みますし、その管轄区域等が異なる場合も依然としてあると思います。これまで、今申し上げましたような取組がなされておりますので、そういう取組を通じて円滑な意思疎通と施策の展開等が行われるように取り組んでいただきたいと思っておるところでございます。
  122. 千葉国男

    ○千葉国男君 いずれにいたしましても、今回の改革農協と行政との関係の在り方について見直しを具体的に提言しておることは今までにないことであり、評価するものであります。  しかし、時代は変わっております、変化しております。組合員たる農家も多様になり、お互いの利害関係や価値観も同質でなくなっております。農協離れも進んでおります。農協自体も本来の使命感から逸脱し、圧力団体まがいの性格を帯びたときもありました。そういう状況の下で、農協を通じて行政の効果をすべての農家農民に平等に及ぼすということは無理があるというものであります。  研究会報告が述べておりますように、今後、農協、行政は本来の役割に立ち返って、お互いになれ合いのない関係を築いていくことが重要であると思います。こうした認識是非と、農協と行政との関係の在り方、特になれ合いの排除について、行政側の責任者として、大臣の御見解と決意をお伺いしたいと思います。
  123. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 今、委員からも御指摘のとおり、時代は大きく変わってきておりますし、先ほどのお話のとおり、本当に組織として組合員のメリット、そういう面でやはりこの農協のあり方についての研究会報告、これにおきましても、行政と農協系統と連携して政策を推進し一定の成果を上げてきたことは認めておりますが、農協系統の自主的な努力やあるいは取組を妨げてきた面があった、こういうことも指摘をされておるわけでありまして、やはり行政と農協が安易な相互依存、こういうことも指摘をされておるわけであります。  是非、今回の農協法改正、今回の改正、それはその二十三回のJA大会でもあのような御決議をされたわけでありますので、やはり農協自らがその決議を重く受け止めていただいて、そして安易な相互依存、こういうことにならないように努力をしていただきたいと。  また、行政におきましても、やはりこの時代の要請、こういうものを十二分にわきまえて、そして農協がこれからも期待される農協として発展していくために行政としても十分意を注いで指導してまいりたいと、このように考えております。
  124. 千葉国男

    ○千葉国男君 研究会報告によりますと、農協による行政代行的業務の見直しにつきましては、利用者からの手数料の徴収や、補助金交付手続における農協系統農協系統以外の生産者団体のいわゆるイコールフッティングの実現の必要性などが指摘されております。  そこで、まず、その見直しの必要性に至った理由についてお伺いをいたします。
  125. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 農協によります行政代行的業務の見直しにつきましては、平成十五年三月の農協のあり方についての研究会の報告書におきまして、「安易に行政が農協系統に行政代行的業務を行わせることがないようにしていくことが必要」というふうに指摘をされておりますし、また、骨太方針二〇〇三年におきましても、「行政運営の上で農協系統農協以外の生産者団体とのイコールフッティングを確保する。」ということが明記をされておるところでございます。  また、農協系統を経由しまして農業者に交付した補助金、これは平成十三年の場合、水田農業経営確立助成等を始めまして五種類ございました。こうした補助金の代行等は一般的に無料で行われております。  営農指導の赤字幅が年々拡大しているということでございますので、これは営農賦課金の見直し等によりまして応分の負担を求めていくといったような取組も必要だろうというふうに思っております。  そういったことを背景にこの指摘がなされたということだと思っております。
  126. 千葉国男

    ○千葉国男君 農協の行政代行業務を通じた補助金の種類やその代行業務に対する手数料等の対価の在り方、農協系統以外の生産者団体とはどのような団体を想定しているのか、今後こうした行政代行的業務の見直し、スクラップ・アンド・ビルドなど、どのように考え、いかなる方法を取ろうとしているのか、お伺いをいたします。
  127. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 今もちょっとお答えをしましたが、農協系統を経由して農業者に交付した補助金は、十三年の場合、水田農業確立助成等を始めまして五種類ございました。こういった補助金の申請事務の代行は一般的に無料で行われております。やっぱり賦課金の問題としてどういうふうに今後あるべきかということは、系統自身がこれは検討すべき課題であるというふうに考えております。  また、農協系統以外の生産者団体とのイコールフッティングということがございます。この農協系統以外の生産者団体というのは、農協系統に属さない団体、組織を一般的に示すものというふうに我々は理解しておりますが、今後、この補助金の交付に当たりましては、農協系統とそのような団体、組織とのイコールフッティング、こういうものを確保するように、補助金交付の窓口というものもそういうところに幅広く対象を広げていくということが必要だろうと思っております。  それから、補助金とかあるいは、今申しました補助金とか制度運営につきましても様々、農協系統に特記してこれまで実行してきた事業もあるわけでございまして、そういうところも根本に立ち返りまして見直しをしていくということが必要だろうと思っております。
  128. 千葉国男

    ○千葉国男君 一方、農林漁業金融公庫資金農業近代化資金など制度資金の手続業務の農協への窓口一本化の推進など、組合員を始めとする利用者の利便性の向上の観点から、こうした手続的な業務は今後むしろ増加していくと考えられます。そうした行政サービス的な業務の在り方について農水省としてどのように考えているのか、お伺いをいたします。
  129. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 今、資金制度の問題で、この手続なりにつきましてのお尋ねがございました。  各種制度資金につきましては平成十四年に、農業者にとりまして分かりやすく使いやすいものとするための融資手続の一元化なり統一化、こういった改善を行ったところでございます。  これにつきましては、まだなかなか現場での浸透が図られておらないということがございますが、一応そういう制度的な道を開きましたので、今後は、現場におきましてそういったサービスが、使う側にとりましても、組合員の利便性という面から見ましても非常に簡素化されるといったようなことも必要だろうと思っております。そういったサービス等につきまして、今後とも簡素化なり利便性を向上させていくということが必要だろうというふうに思っております。
  130. 千葉国男

    ○千葉国男君 昨年の食糧法改正を始めとする米政策改革によりまして、農協の主体性、またリーダーシップがこの分野では一層求められることになっております。  例えば、生産調整で農協農水省と一体となって推進役を務めてまいりましたが、改正食糧法では、農水省の定める基本指針により農協が生産調整方針を作成し、これを国が認定するということになりました。  こうした中、非組合員はもちろん、農協に協力的でない組合員に対して、米の集荷、引受けを拒否するなどという事例が生じていると言われております。このように、最近の一連の農政改革によって農協と生産者との関係が現場では一層複雑になってきた、こう言われております。  そこで、今回の農協改革で、農協、それから農協以外の生産者団体、生産者との望ましい関係や公正な競争の確保はどのようになっているのか、お伺いをいたします。
  131. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 今、農業なり農村をめぐる状況が大きく変化する中で、やはり農協に求められている使命というのは、地域農業の司令塔としてその地域振興のために役割を果たすということもあると思います。そのためには、農協農協以外の生産者団体、あるいは組合員以外の生産者とが密接な連携を図りまして、地域農業の振興に取り組むということが重要であると思っております。  昨年の農協大会におきましても、地域の合意に基づく地域農業の将来像を描くということで決議がされております。  農協への協力をしないということを理由に、例えば組合員を不当な扱いをするといったようなことは、独禁法上もこれは問題があるというふうに考えられます。さらには、農業者、消費者の信頼、こういうものを損なうということにもなり得ると思いますので、そういった、今、委員が御指摘のあったようなことにならないように、十分な連携なり、不当な扱いをしないように、振興が図られるように、我々としても指導監督をしてまいりたいと思っております。
  132. 千葉国男

    ○千葉国男君 次に、信用事業についてお伺いをいたします。  一九九〇年代後半に不良債権などバブル崩壊の後遺症として顕在化した金融システムの危機に対応するため、農協信用事業についても平成十三年に農協改革二法案が制定、それを受けて翌十四年一月にはJAバンクシステムと呼ばれる農林中金を中心としたJA系統の一体的信用事業の体制の構築がなされました。以来二年が経過したわけですが、農協系統信用事業は銀行など他の金融機関と比べてみましても健全化が進んだと言われております。実際、自己資本比率は単位農協では平成十四年度一七%、都道府県信連でも平成十四年度一四・七%となっておりまして、必要な、四%以上という金融機関の健全性基準を大きく上回るパフォーマンスを示しております。  そこで、これらJAグループの自己資本比率の高さは何を意味しているのかと考えてみますと、単位農協都道府県信連農林中金への依存度の高さを示しておりまして、別な言い方をいたしますと、農協自らが有効な貸付先や資金運用先を見付けられない、営業の弱さを示しているのではないか、そういう危惧の声も出ております。その点についてお伺いをいたします。
  133. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 農協系統信用事業関係でございます。  この自己資本比率につきましては、今、委員が御質問の中で御指摘がありましたとおりでございまして、総じて高い水準にございます。いろいろな、農協信連農林中金という三段階での役割分担の下でいろいろな資金ニーズへの対応、運用をしているというのが実情でございますが、今、委員の御指摘のように、現場での資金運用が十分になされていないのではないかという御指摘もございます。  今後、各農協レベルでも安全な運用による収益確保に努めるということは、これは非常に重要なことでございます。そういう意味で、農協系統におきましては、最近、JAバンク中期戦略というものを策定をいたしまして、JAバンクローンの伸長等、運用の強化に取り組むということをしております。  農林水産省といたしましては、こういった取組が十分になされる、もちろん健全な運営確保ということがまずベースになくてはなりませんけれども、そういう活力ある金融機関としての活動が行われるように、引き続き適切に対応していかれるように指導してまいりたいと思っております。
  134. 千葉国男

    ○千葉国男君 例えば、農林中金が現在は海外投資などで高い収益を上げておりますが、将来、運用の失敗とか世界経済の変動により収益が悪化した場合、一挙に単位農協、県信連の経済悪化につながるのではないかという事態も懸念されておりますが、そういう心配はないのでしょうか、お伺いをいたします。
  135. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 農林中金を頂点といたしますJAバンクシステムができ上がっておるわけでございますが、この農林中金、農林漁業関連企業等への貸付けのほか、国内外の市場におきます国債等の有価証券運用につきまして、的確なポートフォリオやリスク管理の下に合理的な運用を確保するということで、格付も国内金融機関の中でも極めて高いものを得ておりますし、今後ともこういった適切な運用体制の中で基本的には安定的な経営が確保されていくというふうに考えてはおります。  また、先ほども御指摘ございましたとおり、系統全体としての健全性を確保していくということから考えますと、やはりそれぞれの段階での健全性、それから収益の向上という取組が非常に重要になってきていると思います。  先ほども申し上げましたJAバンクの中期戦略、こういうことで農協なり信連におきます運用収入の拡大、また事業コストの削減、こういうものにも今後三か年計画で計画的に取り組んでいくということになっておりますので、その取組をしっかり見守ってまいりたいと思っております。
  136. 千葉国男

    ○千葉国男君 農協信用事業、特に単位農協信用事業については、地域の金融機関として地域に密着した言わば地産地消的な信用事業に立ち返る必要があるのではないか、こう考えております。しかし、さきに指摘しましたように、預かった貯金の大部分を地域への貸出しに使うことができず、外部運用に頼っているのが実態であります。  今、郵政民営化など、農協の強力なライバルである郵貯も改革されようとしておりますし、また、地元の信用金庫、地銀なども地域振興に役立ついわゆるリテール部門の強化に乗り出そうとしております。そうした地域の強力なライバルが金融サービスの強化に乗り出している中において農協の対策は大丈夫なのでしょうか、見通しをお伺いいたします。
  137. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 農協系統におきましては、JAバンク基本方針の下に、まず健全性を確保するということで、経営改善あるいは組織再編に取り組んできたところでございます。この結果、自己資本比率四%未満という農協は既に解消しておりますし、農協貯金も前年比一ないし二%の伸びを示すといったように実績を上げてきております。  それから、ただいま申し上げましたJAバンク中期戦略、これを昨年十二月に策定いたしまして、この系統信用事業一つの金融機関として一体的に事業推進に取り組むということで更に体制を強化したところでございます。  この中期戦略、この中で、更に具体的に申し上げますと、信用事業の利益を拡大するということで、三年後には農協全体で一千億円、それから融資の拡大ということで、今後三年で一・四兆円の純増、それから店舗等ございますが、これを統廃合することによって事業の効率化、これは三年間で約一〇%の事業管理費を削減していくということを目標としまして、系統、JAバンク全体として今取り組んでいるところでございます。  農林省として、今、委員の御質問の中にもありましたように、非常にこの信用事業を取り巻く状況が今後も変わりますし、競争が激化するということでございますので、その健全化を図るということとともに、収益の向上なり事業推進の効率化、これが非常に重要でございますので、この中期戦略に基づきまして実効を上げていくということで取り組んでもらいたいと思っておるところでございます。
  138. 千葉国男

    ○千葉国男君 次に、担い手育成についてお伺いをいたします。  現在、公明党といたしまして、各地で農業フォーラムを行っております。その中で、やはり最も深刻な意見や要望があるのが担い手の育成であり、後継者の問題であります。  そこで、具体的にお伺いしますが、農家担い手で最も望ましいのはやはり自分の子供が後を継いでくれると、こういうことでありますが、例えば、三千三百の市町村がありますが、その中で実際に農家の子弟が農業に就農するというのが二千七百人ほどと報告されておりまして、そういう実態になっております。  そこで、将来を担う新規就農者の確保について農水省としてどのように力を入れ取り組まれているのか、御説明をいただきたいと思います。
  139. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 後継者の問題でございますが、二〇〇〇年のセンサスによりますと、販売農家のうち同居の農業後継者がいる農家が約五七%、同居農業後継者はいないけれども他出の農業後継者がいるという農家が一三%、合計七割がございます。ただ、三割は家族内に後継者を確保できていないという状況がございます。  また、十二年に公表しました構造展望、この数字と比べてみますと、毎年一万三千人から一万五千人程度の新規就農者が望ましいということに見込んでおりますけれども、現在では一万二千人ということで、あと一歩というところに来ております。  こういった状況でございますが、やはり就農の問題は非常に重要でございますので、その場合に必要になりますのは、技術の問題、それから資金の問題、農地の問題というのがあります。それぞれに応じまして対応を講じているところでございますが、一つは、主要都市におきますニューファーマーズフェア等、新規就農センターにおきます相談活動、それから道府県の農業大学校等におきます研修、それから就農資金の総合的な融資、あるいはいろんな就農サポーターによります定着までの支援等、きめ細かく対応しているところでございます。  また、先般お認めいただきました青年等就農法の一部改正、これによりましても、法人を通じた就農を円滑にしていく、また職業紹介も取り組んでいくといったようなことでございますし、力を入れて人材確保に邁進をしてまいりたいと思っているところでございます。
  140. 千葉国男

    ○千葉国男君 高齢者福祉事業についてお伺いいたします。  農村地域では農家世帯の三六%が六十歳以上になっておりまして、農協の高齢者対策は重要な事業一つとなっております。高齢者福祉事業についてはどのように位置付け取り組まれようとしているのか、お伺いをいたします。  また、介護保険事業を行う農協数は平成十五年の十月現在で三百六十四と数えておりますが、その収支状況はどうなっているのか、お伺いをいたします。
  141. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 高齢化の問題でございます。これは今後急速に農村地域において進むということが予想されます。そのため、系統組織におきましては、これも昨年の全国大会におきまして、ニーズの高まる高齢者福祉対策あるいは健康維持活動への積極的な取組を決議をされております。  そしてまた、お尋ねの介護保険事業でございますけれども、これは制度がスタートいたしました平成十二年度よりその取組が進められております。当初は六百八十事業所、事業規模七十三億円でございましたけれども、十四年度末におきましては、これが八百四十三事業所で、事業規模も百六十二億円、利用者も月間の二万人から三万四千人ということで、順調にこの規模が拡大をしているところでございます。  この収支の問題でございますが、介護保険事業だけの部門収支というのは報告を取っておりませんのでその数字的な把握はしておりませんが、全中によりますと全体的に黒字ではあると。ただ、農協間の格差あるいは介護サービスの種類による格差が見られるということで、今後、中央会は安定的、効率的な事業運営がばらつきなくできるようにということでの取組を強化するというふうに聞いております。
  142. 千葉国男

    ○千葉国男君 最後になりますが、この農協改革我が国農業の在り方を問うものであり、その成否はJAグループの将来が懸かる最大の関門ととらえております。ようやく国全体の経済状況が好転していることから余り悲観的になる必要はないと思いますが、農業地域の基幹産業として育てることができるかどうか、農協グループとしても力を合わせ、不可能を可能にしていかなければなりません。  前回の委員会で、農業地域の基幹産業とするということで大臣見解をお伺いをいたしましたが、その趣旨が現実に実現できますよう、大臣の一段の御努力をお願いしたいと思います。また、その見解を伺って私の質問を終わりにしたいと思います。
  143. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 先般、六月三日のときかとも思いますけれども、いわゆる基幹産業としての御質問をちょうだいいたしました。  農業は多くの関連産業を有する地域の正に基幹産業であるわけでありまして、重要な役割を担っております。このために、農業を健全な姿で維持発展させていくことが地域活性化、また豊かで安定した国民生活を実現する基本であると、このように申し上げましたし、また、今も私はそのように思っておるところでもございます。  そういう面で、やはりこれから国民の期待にこたえる攻めの農政、これの確立に向けて努力をしていきたいと、現在、農政全般にわたる改革に取り組んでいるところでもございます。こうした改革を進めるに当たりましても、やはり御指摘のとおり、国民各界各層の声を反映した中でそれを進めていくことが重要であると、このように考えております。  そういう面で、私としては、この間、先月二十四日に農政改革に向けた国民的な議論活性化を資する視点、こういう点で農政改革基本構想、これを取りまとめたところでもございます。来年三月の新たな基本計画の策定に向けて、国民に開かれ、透明性のある議論を進めて、そして農業活性化、そしてさらには地域の基幹産業としての役割が十二分に発揮できるように努力をしてまいりたいと、このように考えております。
  144. 千葉国男

    ○千葉国男君 ありがとうございました。  終わります。(拍手)
  145. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  前回の質問では農協事業に対しての機械的あるいは一律的な指導の問題について提起、問題提起をいたしました。それで、農協改革というふうに言うわけですけれども、やはり国の支援策も非常に大事だと。やっぱり両方が相まって、本当に農家のための農協改革農協事業ということが確立することできるんだろうというふうに思います。  それで、経済事業改革、この中で生産資材価格の引下げということが目標になっているわけです。農水省は生産局長の下に農業生産資材問題検討会というのを置いて、その傘下の委員のメーカーや流通、それから利用段階の各団体に低減のための行動計画というのを作らせていると思うんです。その低減計画というのはどれだけの団体で制定されているのか、そして現在の計画は、特に資材費の低減や達成度について目標数値を明示するということが眼目になっているわけですけれども、この目標数値を立てているところはそのうちどこどこなのかということについて、まずお答え願います。
  146. 白須敏朗

    政府参考人白須敏朗君) ただいまの資材関係のお尋ねでございます。  お話しのとおり、平成七年に農業資材問題検討会を立ち上げまして、その検討を基に、主な農業生産資材でございます肥料、農薬、農業機械、その関係団体、各都道府県、それぞれ製造、流通、利用の各段階に応じまして行動計画を策定しておるわけでございますが、この団体といたしましては、ただいま委員からあれございましたが、まず製造団体としては肥料関係の九団体、それから農薬工業会、日本農業機械工業会、流通段階といたしましては全農、全肥商連、全農薬、全農機商連、それで利用段階としては都道府県と、こういったそれぞれ製造、流通、利用の各段階におけます団体の皆さんにお集まりをいただきまして、それぞれ関係団体が生産資材低減のために具体的に実行をしていただく、そういう指針として行動計画を策定したということでございます。これはおおむね五年ごとに見直すということにされておるわけでございまして、平成十三年の見直しの際にできるだけ数値目標を入れるということで検討会からも御提言をいただいたわけでございまして、そういうことで私どもとしてもできる限り目標数値を盛り込むというふうな指導を行ったところでございます。  その結果、例えば全農が策定した計画におきましては、最終年度でございます十七年度までに肥料、農薬、農業機械コスト削減効果を積み上げまして、最大で二〇%のコスト削減を目指すというふうなことで具体的な目標数値が盛り込まれているわけでございますが、ただいま委員の御指摘の、どこが目標数値があるのかないのかということでございますが、それぞれの団体でそれぞれ目標数値を定めておりまして、ちょっとここでそれぞれすべてを私列挙するわけにまいらないわけでございます。一例といたしましては、ただいま申し上げましたそういう具体的な目標数値というものも盛り込まれた計画になっているわけでございます。
  147. 紙智子

    ○紙智子君 それぞれにということなんですけれども、メーカー側はこの製造価格を何%下げるかというふうな目標計画を示しておりますか。
  148. 白須敏朗

    政府参考人白須敏朗君) それぞれ価格の引下げ目標というふうなことで品目別にそういう目標も定めておりますが、これはいろいろ経営に差し支えるという面もございますので……
  149. 紙智子

    ○紙智子君 聞いたことに答えてください。
  150. 白須敏朗

    政府参考人白須敏朗君) はい。定めております。
  151. 紙智子

    ○紙智子君 今、メーカー側は製造価格を何%に下げるかの目標計画持っていますかと聞いたんです。それに答えてください。
  152. 白須敏朗

    政府参考人白須敏朗君) 全農としましては、肥料として、例えば低コスト肥料拡大で一〇%、農薬では低コスト農薬拡大で一〇%、農業機械ではHELP農機拡大で一〇から二〇%を引下げというふうな目標を立てているわけでございます。
  153. 紙智子

    ○紙智子君 メーカーは、メーカー側も参加していますよね、会議に。
  154. 白須敏朗

    政府参考人白須敏朗君) メーカー側の、私、ただいま目標についてはここで承知をいたしておりません。
  155. 紙智子

    ○紙智子君 この低減計画を自己点検、評価するということで一番の目玉に置いていたわけですね、数値目標を持っていこうと、立てていこうと。それで、そういう意味では農水省としては、それぞれのところに数値目標を立てさせていくということなんだけれども、立てていないところに対してはどういうふうに助言や勧告、指導してきているんでしょうか。
  156. 白須敏朗

    政府参考人白須敏朗君) できる限り数値目標を盛り込むようにそれぞれ指導というか、お願いということでやっているわけでございます。
  157. 紙智子

    ○紙智子君 できるだけということを言われるんですけれども、やっぱり一番の目玉にしてきたのは、目標数値を明示していくということをはっきり書いてあるわけですから、この計画の問題の中に。  それで、全中の経済事業改革指針の中では、物流の合理化などで資材価格の引下げを図るというふうにしているわけですね。それで、やっぱりそうなりますと、元の価格、農機具やそれから農薬や肥料メーカーの価格や、これをいかに引き下げるかということがやっぱり大事だと思うんですよ。この点では、メーカー側がこの行動計画の眼目である引下げの数値の目標を立てていないということになるとこれは問題だと思うんですね。大体、会議にも、業界、団体の役員が検討会委員になって、引下げを図る必要がある、数値目標を決めるんだと言って発言もしているわけですから、そこで自らメーカー側も決めないというのはこれはちょっとどうなんですかね。農水省として、その点、求めてきたんですか。
  158. 白須敏朗

    政府参考人白須敏朗君) 今回、基本計画見直し作業も行われているわけでございます。これに併せまして、十三年に立てましたこの行動計画の見直しというものを今回前倒しで改定をしていくと。このためには、この計画の分析、検証あるいは評価というふうなことが必要でございまして、そういうことを行いまして、その上でできる限り数値目標を盛り込むように各団体に対して指導いたしまして、その見直しを進めてまいりたいというふうに考えております。
  159. 紙智子

    ○紙智子君 今、これからその計画の見直しを行うのでその中で立てさせていくということなんですけれども、ここはきちっと徹底させるべきだというふうに思います。  農水省は、やっぱり、農業団体に資材価格引下げを掲げさせているわけですけれども、これはいいですよね。しかし、農水省自身も、自分自身ができることといいますか、責任はやっぱりきちっと果たすようにすべきだというふうに思うんです。資材価格だけを引き下げるといっても、やっぱり限界があるわけですよね、元々の値段があるわけだから。だから、そういう点で、やはり、もし仮にいろいろ努力して資材価格を下げたというふうにしても、また農産物の価格が下がっていくということになれば、結局効果というのは帳消しになっちゃうわけじゃないですか。  ですから、やはり全国農業会議所のアンケートの結果を見ますと、その中でいろいろ答えていますよ。これはアンケートの結果出ているんですけれども、これ見ますと、「直面する課題」というところで、(1)の生産面のところでは、生産資材が高いと感じている人が七七・七%を占めて第一位なんですよ。  それから、その他いろいろ挙げられている主な意見のところにもあるんですけれども、生産価格、生産物価格が低迷する一方で、農業機械生産資材が高いと、こういう意見も挙げられているわけですね。  それから、次の(2)の経営面というところになりますと、生産物価格が去年よりも低下しているというふうに感じている人が五五・三%ですから、過半数超えてそういう感想を持っているわけです。  ですから、やはり資材価格だけ引下げを掲げるのではなくて、やはり生産物価格の安定と両方での努力が私は政府としても必要じゃないかというふうに思うんですけれども、この点の認識を、次、大臣にお聞きしたいと思いますが、いかがでしょう。
  160. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 肥料、農薬、農業機械、こういう生産資材、現在の農業にはもうこれは不可欠の問題であるわけであります。例えば水稲につきましても、近年、その生産コストの約三分の一がそのような生産資材に占めていると、こういうことでございますので、生産資材の低減、これを図ることは大変重要なことであるわけであります。  そういう中で、生産資材費の低減、そういうことで、資材価格自体の低減に加えまして、資材の効率的な利用の推進、こういうことも必要なことでありまして、各方面からの取組が必要でありますし、先ほど局長からも申しておりました、その農業生産資材費低減のための行動計画に基づきまして、製造、流通、さらには利用、各段階での取組が必要なことと、このように思っております。  そういう面で、今年、食料・農業・農村基本計画見直し検討状況を踏まえつつ、行動計画を改定することとしておるわけでありまして、資材費低減に向けた取組が一層推進されるように関係団体等も指導してまいりたいと、このように考えております。
  161. 紙智子

    ○紙智子君 資材価格の引下げだけじゃなくて、やっぱり生産の安定を図るということを併せてやっていく必要があるということを再度申し上げておきたいと思います。  それから、信用事業についてなんですけれども、全体として農協も融資が厳しくなっていると。その背景はどこにあるとお思いかということと、この農水省全国アンケート調査、これ平成十五年にやられている調査ですけれども、その中では、農業経営を営む問題点として、生産物価格の不安定というのが七割あります。それから、融資の審査、保証条件が以前に比較して厳しくなったというのが三割の人が答えています。  作物価格の安定、収入の確保の見通しがなくなってきている、そのために農協も融資には慎重になるということがあると思うわけですけれども、この厳しくなってきた理由は一体どこにあるとお考えでしょうか。
  162. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 信用事業関係で申し上げます。  農協の融資残高を見ますと、平成十二年の事業年度以降、この減少が続いております。その原因でございますけれども、近年の地域経済の低迷等によりまして資金の投資意欲等が減っているということでの需要の低迷、それから、輸入品との競合等によりまして農産物の価格が低迷しているということで、そういうことも反映して、農家組合員の投資意欲が低下してきているということを反映しているというふうに考えております。  ただ、その融資が厳しいかということになりますと、この貸出しにつきましては、画一的な審査でなくて、農業者の、借り手の経営状況なり資金の回収可能性、そういうものを総合的に判断して行うように指導しているところでございます。  ただ、近年、今低下しているということを申し上げましたけれども、例えば住宅ローンを始めとします生活資金のニーズにこたえる融資、こういうところでは、つい最近でございますが、増加に転ずる傾向も見られますし、また、組合員向けの融資も、特に担い手向けの融資が回復する傾向が見られておりまして、そういう意味ではちょっと明るい兆しがあるかということを感じております。  いずれにしても、農協というのは正に地域に根差した、密着した事業体でございますので、組合員であります農業者経営状況、これを日ごろから把握をして、そして、単に物的担保に頼るのでなくて、的確な融資ができるようにしていくことが重要だというふうに思っております。
  163. 紙智子

    ○紙智子君 今、厳しくなった背景といいますか、お話をされている中で、輸入の影響で価格が下がって、そういう不安定なことなどもあるという話もされました。やっぱり本当に一戸一戸の農家といいますか、組合員のところがしっかり安定してこそ、そういうふうにやっぱりなるような農政の転換をやってこそ、本当に農業に基盤を置いた農協信用事業の発展があるんだと思うんです。  そういう中でも、この金融機関の努力というのは非常に大事だというふうに思うわけですけれども、信用事業に対するこの検査、指導は系統金融検査マニュアルに沿って行われているわけですけれども、このマニュアルの別冊、三月に改訂されましたよね。この改訂されたマニュアルの主な趣旨についてはどういうことでしょうか。
  164. 船本博昭

    政府参考人船本博昭君) 系統金融検査マニュアルの本年三月の改訂の趣旨についてお尋ねでございますが、農林水産省では、農林漁業者、中小零細企業等の実態に即した検査を実施するために、平成十四年の八月に系統金融検査マニュアルの別冊として、「農林漁業者・中小企業融資編」というのを策定いたしまして、検査を実施してきたところでございます。  さらに、お尋ねの三月でございますが、債務者である農林漁業者等の実情に即したきめ細かな実態把握に一層努めるということで改正いたしまして、系統の金融機関が継続的な現地訪問等を通じて農林漁業者及び企業の技術力や販売力や、それから経営者の資質といった定性的な情報を含む経営実態の十分な把握と債権管理に努めているかとか、それから、きめ細かな経営相談、経営指導等を通じて積極的に事業の再生に取り組んでいるかといった言わば系統の金融機関による債務者への働き掛けの度合いを重視いたしまして、債務者区分の判断等におきましてもこの点を十分勘案するということにしたところでございます。
  165. 紙智子

    ○紙智子君 このマニュアルの別冊では、債務者区分を単に赤字や債務超過などのこういう表面的な現象で判断するなというふうにしているわけですよね。こういう注意が改めて明記されたということは、やはりこれまでの検査で実態に合わないような債務者区分について機械的な対応があったということに対しての反省があるんじゃないかと思うんですけれども、どうですか。
  166. 船本博昭

    政府参考人船本博昭君) 先ほど申し上げましたように、平成十四年の八月にまずマニュアルの別冊を作りましたので、それに基づきまして、その中でも、当然、各農林漁業者の実態に即した検査を行うということで、画一的に行わないということを明記しております。それに即しまして検査の方も実施をいたしましたし、各検査官あるいは都道府県に対しても周知徹底を図っているところでございまして、それに即してやられているというふうに判断をしておりますけれども、今回、更に一層そういった点を徹底させるという意味で今回別冊の方を改訂いたしまして、そこを明記したという次第でございます。
  167. 紙智子

    ○紙智子君 貸付けにおいてもとかくこの農業というのはオーバーローンになりやすいと。そういうときの、例えば災害が起きたりすると入り用になりますし、それから借り地で農業をしているだとか、それから自己資本が少ないとか、担保力よりも以上に借りざるを得ないような状況というのが出ていると。そういうときに、上部の監査や行政検査で貸出しが多いとか、引当金を積めとか、回収を急げというようなことで、言ってみれば機械的、一律的なそういう指導にならないように留意しなきゃいけないというふうに思うわけですけれども、表面的な現れ方で判断すべきではなくて、やっぱり総合的に見るべきだと。その点では、基本的な姿勢として、実態をつかんでいる農協金融、やっぱりいろいろ言ってもその地域の中で実態をつかんでいるということではそういう農協金融機関の判断についてやっぱり尊重すべきだというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
  168. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 農協、それは農業者が自主的な協同組織としての自己責任、この原則にのっとった経営基本であるわけであります。このために、系統金融機関の検査に当たって、自己責任原則に基づく系統金融機関自身の内部管理と中央会などの外部監査を前提としつつ、これを補強するものとして適切性等の検査を実施すべきものであるわけでありますが、いわゆる系統金融検査マニュアル、こういうもので仮に系統金融機関が行った自主査定が系統金融機関検査マニュアルの字義どおりに行われていなくとも、当該系統金融機関の業務の健全性、また適切性確保の観点から見て対応が合理的なものでありまして、当該金融機関の規模や特性に応じましたものである、こういうことが認められる、こういうことであれば、必ずしも不適切とするものではないんではなかろうかと。  そういう面で、今後とも系統金融機関が行った自己査定結果の検証に当たりましては、系統金融機関と十分意見交換を図ることによりまして、私ども農水省といたしましても、系統金融機関の規模や特性を踏まえまして実態に即した検査、こういうことを実施する考え方であります。
  169. 紙智子

    ○紙智子君 各地歩いていまして、寄せられる中で、破綻懸念先というふうに判定されたところには、債務額から担保評価額の七割分を差し引いた額の全額分を貸倒引当金に積むようにと指導されているというふうに聞いているんですね。それで、引当金を積めないならば、これ無理に回収しなければならないと、そういう話があるわけなんですけれども、このマニュアルではそういう指導を行っているんでしょうか。
  170. 船本博昭

    政府参考人船本博昭君) お尋ねの破綻懸念先への引当金のルールでございますけれども、農林水産省の定めております系統金融検査マニュアルにおきましては、破綻懸念先の債務者に関する貸倒引当金につきましては、原則として過去の貸倒れ実績率等に基づいて予想の損失額を見積もって、その額を貸倒引当金として計上するというふうにしております。一律に一定の比率で貸倒引当金を計上するといったようなことを指導しているものではございませんで、農林水産省の実際の検査におきましても、このマニュアルに即して実施しているところでございます。
  171. 紙智子

    ○紙智子君 一律にやっていないというお話だったと思います。やっぱり個別的な実態に即してということで確認をさせていただきたいと思うんです。  それから、金融機関も非常に大変で、基本的には展望のある農業を守る農政の確立が必要なわけですけれども、金融事業としても、それぞれの農協の自主的な判断というのは尊重されるべきだというふうに思います。  信用事業検査の際にその趣旨をよく徹底させるべきだというふうに思うんですけれども、この点、大臣、いかがでしょうか。
  172. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 先ほども申し上げましたが、その特性、そういうものも十分加味をして、そして規模やそういうものを十分考慮して対応しなければならない、そしてさらには、十分系統金融機関とも意見交換等を図りながらそれを指導してまいりたい、このように考えております。
  173. 紙智子

    ○紙智子君 新規就農者の問題に質問移ります。  農協改革にとっても新規就農の参入というのは不可欠の課題だと思うんですが、各地で新規就農者の定着の努力が行われています。北海道でも、農業公社とか自治体の担い手センターがいろいろ努力しているんですけれども、近くにある農業関係の大学で研修する場合に、自治体が支援をしているわけですね。  それで、土地を借りて研修しながら営農して、五年たつと土地を買うと。しかし、その資金は到底生み出し得ないものですから、融資になるわけです。初めに就農した当時は借金しているから、また抱えるということになっちゃうんですね。その融資も、結局、制度資金が全額対象になればまだいいんですけれども、限度額があると。そうすると、あとは農協資金で、保証人が必要だと。そうすると、農協はリスクを抱えるということになるわけです。その返済も、これからの農政がどうなるかということによってなかなかよく見えない。そうすると、非常に未知数で不安定な状況になるわけですね。  農水省は、新規就農者が土地を取得する際に、資金の貸付け、それからその返済がスムーズに行われているのかどうか、こういうことについての実情についてはどうとらえておられるでしょうか。
  174. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 新規就農するに当たりまして、農地の取得の問題、これは非常に重要な課題といいますか、一つのハードルとも言えるような課題だというふうに思っております。  私どもも、この農地取得の問題に対応するということで、一つは、新規就農相談センターによりまして農地情報を提供する、あるいは相談活動、また農業委員会による権利調整活動もやっておりますし、また、農地保有合理化法人によります農地の貸付け、売渡し、それから農地の取得に必要な資金の貸付け、こういうことで各般の施策を講じております。そういう意味で、そういった融資もやっております。  この結果、新規就農者の数も増えておりますし、また、就農者の調査によりましても、定着率も、これはサンプルでございますけれども、八五%程度ということでございますので、それなりの成果も上げているのではないかというふうに認識をしております。
  175. 紙智子

    ○紙智子君 取得する際とか、その資金の貸付けとか、それがスムーズに返済されたとか、そういうことについて実情をとらえていますかというふうに聞いたんですけれども、どうですか。
  176. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) もちろんそういう貸し付けた後のフォロー等もその普及組織等を通じてフォローをしているところでございます。
  177. 紙智子

    ○紙智子君 ここに対しての国の担い手育成のための支援を強めれば、やっぱり地域農業そのものを本当に発展させていくことにつながっていくというふうに思うんです。  それで、融資で土地購入というのはなかなか今困難な情勢だと思うんです。それで、農地保有合理化事業、五年間、特例の場合は十年でしたと思いますけれども、その間はリース式、後は買うということになっているわけですが、制度自体はあるわけですから、これを例えば延長して、五年と言わず、三十五年とか四十年とか、もう思い切ってそういうふうにやったらどうかと、やってくれたら本当にもう徹底してそこで安心してやれるのにという要望があるわけです。  なぜ五年でないと駄目なのか、事業主体の支援、援助で長年のリースでやれるようにこれは検討したらいいんじゃないかと思うんですけれども、どうでしょうか。
  178. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 今お尋ねにありましたリース事業で、五年間ということで期間を設定しております。  こういった五年間の考え方でございますけれども、これまでの新規就農された方の就農後の状況を見ておりますと、最初の一、二年というのはなかなか収入も経営も軌道に乗らないというような実態がございますが、三年ぐらいたちますとかなりの水準に来る、五年もしますと周りの方々にも遜色のないような経営も実現できるということでございます。そうなりますと、正にその収益の中から土地の購入のための資金を借りまして償還をしていくということも可能になりますので、最初の立ち上がりの五年間、こういうことは、経費が少なく、単年度ごとの経費が少なくて済むリースというものの制度を設けているところでございます。また、五年では必ずしも十分ではないという御意見もございましたので、今、委員も御指摘ございましたけれども、御紹介がございましたけれども、十年間というかなり長い、長期間の長期貸付けの制度も設けたところでございます。
  179. 紙智子

    ○紙智子君 そういう要望があるということは御存じだというふうに思うんですね。検討されたこともあるんですよね。どうですか。
  180. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) もちろん、今申し上げましたとおり、この五年と十年が同時にスタートしたわけではございませんで、まず五年をスタートさせまして、それではもう少し長い方がいいという御意見もありましたので、十年というものもオプションとしてあるということでございます。
  181. 紙智子

    ○紙智子君 やっぱり新しい時点に立ってというか、本当にこれから担い手の問題がどこでも大きな問題だし、切実な問題になっているわけですよね。そういうやっぱり条件を作っていくということでは、今までの延長線ではなくて、やっぱり新たな時点に立ったそういうやり方といいますか、そこは大いに抜本的な見直しというか改革をしていっていただきたいということを強く求めたいというふうに思います。  それから、農地だけではなくて施設や機械を含めてリース制度要望もあるわけです。平成十年の農政改革大綱の中でリース農場制度の活用がうたわれているんですけれども、国の補助事業として行われているこのリース事業というのは、経営構造対策事業のリース事業、これは認定農業者及び新規就農者が対象だというふうになっているわけですけれども、新規就農者でこの事業の活用実績というのはどのようにとらえられているでしょう。
  182. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 経営構造対策でこのリース事業実施しております。リース事業全体の実績ということからいたしますと、平成十二年から平成十四年の三年間、これで見ますと、この経営構造対策でやった施設整備全体に占める割合からいきますと、施設数で二〇%、事業費で一八%と、こういう実績になってございます。ただ、今、委員が申されたように、新規就農者だけを取り出した集計になっておりませんので、その内訳は、申し訳ありませんが、分かりません。
  183. 紙智子

    ○紙智子君 それも是非把握していただきたいというふうに思います。  農水省のアンケートの結果で、昨年の九月の十七日に意向調査というのがやられていると思うんです。「新しく農業を始める方に必要な方策・支援について」と。離農者、これは新規就農者で離農した人を含んでいるわけですけれども、その中で必要な対策、支援策ということで答えている第一位が「機械・施設整備に対する補助金の拡充」というふうになっていたと思うんです。高額な投資できないわけですし、それから融資は大変だと。リース制度であれば、こういう機械やその施設ですね、この農地の負担が軽減されると。新規就農者にはメリットがあるわけです。  地方自治体では、この補助事業の対象にならない規模の、大きいものではなくて、いろいろ工夫して機械や施設のリースを行っているところが増えているわけです。国のリース事業の活用をもっと実態に合った有効なものにするように、これ改善するとかリース制度の拡充について検討する、してほしいという声もすごく強いわけですけれども、そういうおつもりはありますか。
  184. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 施設なりあるいは機械につきましてのリース事業、こういうものは各地方公共団体においても取り組まれているということは承知をしております。  私どもも、この経営開始に必要になる施設なり機械、こういうものの設置のための助成というのはいろいろやっております。その中での、例えば無利子資金の活用、またリース事業としてもやっておるということでございます。また、先ほど話題になりました合理化法人、これにつきましても、その土地と併せて農業用の機械なり施設、こういうものを貸し付けるという合理化事業もスタートしてございます。それからまた、今年度予算でございますけれども、先般、就農法を改正させていただきましたけれども、この研修生として新規就農者を受け入れた受入れ法人に対しましてもリースというものを今回拡充をしたといったようなことで、いろんな状況等を踏まえながら拡充なり改善をしてきているところでございます。  今後の問題としまして、やはりいろんなニーズ等を踏まえながら、どういうことができるかは常に研究なり勉強をしたいというふうに思っております。
  185. 紙智子

    ○紙智子君 あわせて、重要な問題として研修や技術指導の拡充の問題があると思うんです。さきの意識調査の結果でも三割以上の人がこれは必要だというふうに答えています。国は支援の融資制度しかないわけですけれども、進んだ自治体では研修機関の設置や期間中の生活支援も行っているところがあるんですよね。  ちょっと日本農業新聞で紹介されていましたけれども、五月の中で、これは愛媛県の久万町というところの話、紹介されていました。全国トップレベルの支援策を誇る愛媛県の久万町と。新規参入者を受け入れる町の研修所久万農業公園アグリピアは、資金援助として二年間の研修期間に毎月十五万円を支給すると。就農時にはJAと連携して、リース事業として軽トラックや土地付きハウス、農業機械、中古のハウス・トラクターも貸し出すと。設備投資にも補助制度があって、これ、二〇〇一年に新規で入った愛知県から移り住んだ方が、ホウレンソウの栽培、ハウスの設備などで五百万円掛かったわけだけれども、そのうち三百万は町と県の補助でやったと。それで、久万町というのは支援策が充実しているのでここを選んで来たんだという話をされているわけですよね。既にこの町は七人の新規就農者が就農していて、このアグリピアで販売先の開拓まで指導を受けながらいろいろ栽培してやっていると。こういう、町を挙げてといいますか、本当にいろいろ頑張ってやっておられる話もあるわけです。  それで、アンケートでも示された声、そしてこういう全国的な中にいろいろやっぱり光る話というか、頑張っている話があるわけですけれども、こういう経験に依拠をして、農水省は、やっぱり地域での研修所の施設あるいは運営と、さらに新規就農者のその間の研修費や生活費支援に対して、国としても制度を作って全国的な流れを促進すべきではないかというふうに思うわけです。  これに関する制度の実情と、その拡充強化ということについて考えを聞きたいと思います。
  186. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 新規就農者を確保していくという問題は、農業政策にとっても非常に重要な問題でありますし、また個々の地域の自治体にとりましても、やはり地域の振興という意味でいろんな意味を持っているわけでございます。そういう意味で、各自治体におきまして様々な取組がなされているということは承知をしております。  国としてどういうところまでやるべきかということは常に検討しなくちゃいけないと思っておりますが、我々の今の、現在の状況の中では、そういう状況を踏まえながら改善すべきところは改善していかなくちゃいけないというふうに思っているところでございます。  それから、研修費あるいは生活費といったお尋ねがございました。  まず、技術の習得、これにつきましては、道府県の農業大学校等の研修施設での研修あるいは農業法人等の先進経営体での研修、これは生産現場での研修ということになりまして、実践的な技術あるいは経営手法を身に付けるという意味で非常に有効だと思っております。  青年等就農法の中での就農支援資金、この中に就農研修資金がございます。これは、この資金によりまして、今申し上げましたような農業大学校におきます研修施設あるいは先進経営体、こういったところの研修に必要な資金については対応を既にしているところでございます。また、先般の改正によりましてその雇用先の方にもそういう資金の貸付けができるということがございます。  また、生活資金関係でございますが、現在の準備資金が、就農準備資金がございます。この中で、就農に密接に関連をいたします例えば住居の移転、引っ越しですね、費用、それから住居等を契約するための敷金、礼金等、こういうものは就農に密接に関連するということで就農準備資金の貸付対象にしております。ただ、生活費全般についてまで助成するということは、その性格上、国の支援としてはなかなか難しいとは思っております。  いずれにしましても、新規就農者が円滑に定着をし技術等を高めていくということが必要でございますので、資金面の援助だけでなく、どういうことが効率的であるかということは常に検討していきたいというふうに思っているところでございます。
  187. 紙智子

    ○紙智子君 やっぱり研修の支援、生活のことも含めて、ここのところが私は大事なところだと思うんですね。実際、やっぱりさっきの久万町のようにやっているところはあるわけですし、そこのところをやっぱりどうするかということで、これは本当に取り組んでいくということで農水省として力を入れてほしいというふうに思うんです。  それで、確かに融資制度というか、そういうところには貸すんだという話なんだけれども、融資制度や就農支援資金制度というのは、これは我々も賛成です。賛成なんですけれども、やっぱりこれだけじゃ不十分じゃないかと。やはり直接的な助成や支援措置というのは必要だと、前回も質問でやりましたけれども。  それで、大臣の農政改革基本構想というのが出されていますが、この中でも担い手経営改善のための農林漁業金融の在り方を検討するということが書いてあります。最近の基金協会の代位弁済額の増加というのは、融資によって破綻するケースが多くなっているということを示しているわけですが、就農支援資金を借りた人が一定定着をして役立っているというふうに思うんですが、その返済がまた経営を圧迫するというふうなことがあるのかないのか、そしてその返済がスムーズに行われているのかどうか、こういう実情をどういうふうに把握しているのか。また、高価な施設資金について、今後その据置期間が過ぎてくるわけですけれども、返済の見通しがどうかということについて、これは調査すべきではないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
  188. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 就農支援資金でございますが、既に償還が始まっておりますソフト資金、就農研修資金と就農準備資金があるわけでございますが、この償還状況を見てみますと、貸出金総額は九十三億円あったわけでございますけれども、このうち償還履行期限を経過したのは五千六百万円ということでございまして、貸出金総額に占める割合は〇・六%ということで低水準ということで、おおむね順調に償還がなされているというふうに考えております。また、施設資金、ハードの資金でございますが、これはまだ償還が開始されておりません。そして、今御指摘もございましたように、猶予期間もございますが、この償還期間につきましては就農後その据置期間を経て同世代の他産業並みの所得水準が成るというようなことでの制度設計をしております。  今後どうなるかということは十分見ていきたいと思いますけれども、今申し上げましたように、就農等施設資金の限度額なり償還期間というのは借受け者の経営自立を考慮して設計されておりますので、基本的には償還は円滑になされるものというふうに考えております。
  189. 紙智子

    ○紙智子君 農業白書で示されている就業人口の年齢階層別構成では、三十五歳未満というのはイギリス、フランスで約三〇%なんですけれども、日本の場合はわずか数%です。しかし、じゃ展望がないのかというと、そういうわけでもないというのは、今、新規就農への相談件数が年に一万件を超えていると。もっともっとそれが年々増えているということなわけですよね。だから、やっぱりこの人たちの就農をいかに現実化するのかというその努力のところがとても大事だというふうに思いますし、政策的な支援を強めれば、条件はあるということだと思うんです。  アンケートで、せっかく就農したけれども残念ながら離農した人の声の中で、やっぱりもっと機械や施設整備に支援が欲しかったとか、研修を拡充してほしかった、こういう声が出ていたわけで、それにこたえて、やはり新規就農の担い手育成を図るということで、そのためには土地や機械や研修、生活への支援について、今までの制度を本当に抜本的に強化する、そういう国の政策を確立強化させるべきだというふうに思うんですけれども、これは大臣、お答えお願いします。
  190. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 新規就農者を確保する、これは大変重要なことでありまして、職業として農業の魅力を高めていくということが必要なことであるわけでありまして、農業内外からのチャレンジ、こういう精神をもって新規就農者を確保していくことは、これは大変重要なことと、このように思っております。  就農に際しまして、先ほど局長からも技術の習得、あるいはまた資金の手当て、農地の確保、こういった課題に対応しつついろいろのことを考えていると。また、就農相談の体制の構築ですとか、あるいは新規就農者の習熟度合いに応じた技術あるいは経営研修、また就農支援資金の貸付けなど、就農形態や経営の発展段階に応じたきめ細かな対策を講じていくことが必要と、このように考えております。  さらには、先日成立いたしました青年等就農促進法の一部改正法によりまして、就農支援資金の貸付対象を拡充し、現行の自営形態での就農に加えまして農業法人等への就農も貸付けの対象としたところでもございます。今後は、この制度の着実な実施に努めるとともに、より円滑な就農に向けて施策の一層の充実を図ってまいりたいと、このように考えております。
  191. 紙智子

    ○紙智子君 ちょっと残り時間も迫ってきたんで続けて大臣にお聞きしますが、農政改革の問題で、大臣の農政改革基本構想についてです。  品目横断的政策を導入をする、日本型の経営所得対策を構想している、対象は担い手とし、そこに支援を集中するというふうにしているんですけれども、大臣の言う担い手というのは、この対象がちょっと狭いんじゃないかと率直に私は思うんですけれども、どのような人を対象にしようと検討しているんでしょうか。
  192. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 基本計画見直しの中で我が国の農政全般にわたる改革方向につきまして検討を進めているところであります。  この検討の中で、諸外国の直接支払制度、このことも視野に入れまして、諸外国との生産性の格差が大きい畑作あるいは水田作を対象として、個別品目ごとの価格支持的な政策から意欲と能力のある担い手を支援をする品目横断的な政策へ移行することを含めまして、施策担い手に集中する、こういうことを基本といたしまして、競争力のある農政の展開方向を見定めていく考えであるわけであります。  対象経営としては、市町村長が地域条件に応じて認定しております認定農業者であることを基本としつつ、経営規模経営改善への取組についても要件とすることが望ましいと、こういう考え方で今いろいろの議論をめぐらしているところであります。
  193. 紙智子

    ○紙智子君 具体的な数字は触れませんで、今いろいろ思いをめぐらしているという話なんですけれども、私は農業構造改革で全体としては担い手を絞っていく方向なのかというふうに思っているんですね。これでは、本当に今自給率上げようといっているときに、それにはつながっていかないんじゃないかと。同時に、農協の発展という立場から考えた場合どうなのかと。約三百万戸の農家の中で、ある人は所得への何がしの支援がある、多くの人はそれが当たらないと。農村集落の中にそういう差別的な政策を持ち込むということは、結局農業者の協同組合の発展を促進するという農協法の趣旨からしても、これ問題が生じるんじゃないかというふうに思うんです。  つまり、そういう不平等の政策を持ち込んで組合員相互間で協同の立場に立てるのかどうか、逆にこの協同の条件を損ねていくことになるんじゃないかというふうに思うわけですけれども、この点での大臣認識を最後にちょっとお聞きしたいと思います。
  194. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) すべての農家に対しまして一律的な直接所得補償、こういうことになりますと、やはり農家経営努力を阻害をする、こういうことになりかねないと。現状の農業構造を固定化する、こういうことで改革に支障を来すおそれ、こういうことを考えるわけであります。しかし、集落全体として環境、水の問題等々あるわけでありまして、そういうものを含めた中で改革をまた進めてまいりたいと、このように考えておるところであります。
  195. 紙智子

    ○紙智子君 終わります。
  196. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 無所属の会の岩本荘太でございます。  本日最後の質問でございますが、私自身も最後の質問となりますので、よろしくお願いいたしたいと思います。  平成十三年一月の通常国会から私、この農水委員会に所属をさせていただきまして、一人会派なものですから差し替えがなしにずっと質問を毎回やらせていただきまして、そういう意味ではいろいろな面から勉強させていただきましたことをまず感謝申し上げたい。  と同時に、私自身、あれですね、政治的対決というような立場でなくて、農林行政といいますか、日本の国の農林水産業がいかにうまくなればいいかというような視点からいろいろと質問をさせていただいたつもりでございまして、その姿勢は今も変わっておりません。いわゆる行政監査的な視点だったと思いますけれども、本日もそういう視点からちょっと質問させていただきたい。したがいまして、余り細かいことは質問いたしませんけれども、事務方の作文でなくて、皆さんの本当のところを教えていただきたいと、こういうふうに思っております。それと同時に、ちょっと脱線するかもしれませんが、その辺はお許しを願いたい。  まず最初の脱線は、先ほど松山委員質問の中にもございました中山間地域の直接支払、あれについては私も地元から随分強く言われております。したがって、あれは、私もその評価というところまではよく知りませんけれども、これだけ地元の人が言っているところを見ますと、かなりいい施策ではなかったかな。したがって、よくうまく次に続くように御努力を願いたい。  それと同時に、先ほどの議論を聞いていましても、何か農林水産業のために、あるいはそこに住んでいる人のためにというような感じがほかの省庁の方々から見るとあるような感じがいたしますけれども、農林省はこれ、いわゆる現地住民、農業のためということでなくて、もっと強い姿勢を持っていいと思うんです。ということは、私は、本当に中山間地域をどうするかということ、維持するということは、これはたまたまそこで今農業が、農林業が中心だからそういう、農水省がおやりになっているということだろうと思うんですけれども、本当に中山間地域をきちっと健全な姿にするということは全然違うんですね。これは私はむしろ都会の人だという感じがしております。  例えば、水源の問題にしてもしかりで、きれいな水を送りますし、さらに、私以前、もうこれ、こういう委員会指摘したことあるんですけれども、地元でいろいろ中山間地の問題に携わってきたときに、要するに、中山間地がある都会の方の企業から非常に土地を買われているというような情報がありまして、それは何のためかというと産廃施設のためだと。産廃施設はいけないというわけじゃないですけれども、要するに、野放しにしてそういうものができますとどういう状態になるかということはもう見えているわけですね。  したがって、そういうところをきちっと健全な整備というか、健全に守っていくということは、そこにやっぱりコミュニティーといいますか、いわゆる住む人がいないとなかなか監視ができない。そういう人たちを、きちっとそういう人たちのためにやるというのが中山間地の対策ではないかなと私は思うんですね。したがって、今、農業をやっておる人がいますから、そういう人たちには直接支払でいろいろ補償なりをおやりになる、これは大変いいことだと思うんですけれども。  そこで、これからいろいろなことを考えなきゃいけないと思うんですけれども、私なりに考えますと、やっぱり中山間、今の直接支払制度、いいんですけれども、どうしてもちょっと受け身な感じがするんですね。足らざるを補うと、それだとどうしても、何というか、発展が、余り期待していない。しかし、中山間地域が、今もそういういろいろなところで見られていると思いますけれども、古くからの文化、伝統とか、あるいは地域特産、いろいろな面で前向きにやれる場なんですね。そういうものを引っ張り出すというための補償制度といいますか、ポジティブな補償制度というのも私は必要じゃないかと思うんです。  それで、前からこれ言っているんですけれども、例えば、そういう意気込みのある人、これはやっぱり素手で入り込むわけですから、どこか一年なり二年なり、何らかの所得の補償がないとやっていけない。そういう人たちに何か補償といいますか、何か手だてを考えるのも一つの手じゃないかなというような気が私はしているわけです。  それから、それ以外に、これは農林省の問題じゃないかもしれませんけれども、中山間地はやっぱりコミュニティーを維持するために、例えば今、中山間地の農業がどんどんどんどん縮小されていく、どうしても人が都会に、都会というか都市部に行っちゃうと、これで過疎化がずっと進んでいるというような感じがするんですけれども。  私は、実はもうこれは大分前ですけれども、ドイツに行ったときに、ドイツの中山間地に行ったとき驚いたんですけれども、余り過疎化がないというんですね。過疎化という話は余りされない。どうしてかと思いましたら、やっぱりそこは住民が農業を捨てて都会に働きに行く、ところが住居を変えないんですよ、まあ自然環境がいいということだと思うんですけれども。なぜ変えないで済むかといったら、アウトバーンがあるんですね。無料でもう一時間ぐらいの通勤距離で通えるんですね。  だから、私はこれ、そういう地域であれば、日本でも有料道路をその区間だけ、全部の有料道路を無料にしろというわけじゃないですけれども、通勤通学とか、そういうものについての人は無料にするとか、そういう手によって中山間地維持できると。これは何も農業ということじゃなくて、農村という視点で見なきゃいけないと思いますから、もっと広い目で大臣がいろいろごらんになっていただければ、それでいいと思うんですけれども。  さらに、ついでで先言わせていただきますと、中山間地を寂れさせないというか、もっと活性化させるためには、農林業以外に、分かることでも、医療あり教育があると思うんですね。やっぱり中山間地に住んでも、病気にかかったときにこれは大変だというところでは住めない。これは厚生省の所管になる。  教育の問題では、これは私、前に決算委員会で有馬大臣、遠山大臣に申し上げたことあるんですけれども、要するに、教育環境が非常にいいところだと、そういう環境のところにむしろ優秀な先生を入れて教育を活性化したらいいんじゃないか、こういう話をしましたら、割と賛同していただきまして、事実、私の県なんかでも一部それに近いことをやっているようなところございまして、そういう総合的にやって日本の国土としてしっかりと守ると。その辺を私は、予算要求なり、そういうときに十分農林省は主張をしていただきたい。これはお答え要りません。私の気持ちとしてこういうことを要望させていただきたいと思っております。  それともう一つなんですが、実は昨日、私の地元の県の、県連の役員がずっと何人かお見えになりまして、いや、今日やるこれでおまえ賛成しろよと、こういうことなのかなと思いましたら、そうじゃないんですね。この農協法農協法でさておき、何で私のところへ来たかといいますと、やっぱりWTO交渉、それと基本農政の問題、これが今非常に、メジャーがこの先どうなるか分からぬと、そういう不安を物すごく持っているんですね。  特に、WTO交渉なんかは、かつてウルグアイ・ラウンド、一九九三年ですかね、あのときに、まあ私なぞは知識がないせいか知りませんけれども、予想もしなかったミニマムアクセスというのがぱあんと出てきて、あの影響がいまだにあるわけですよね。もう十年以上たちましたけれども、いまだにあると。そういうことを考えますと、この先何が出てくるか分からぬ、おまえ、落としどころどこか分かっているんじゃないかというような話まで出ておりまして、そういう不安を持っている。私は全然落としどころは知らないわけですけれども、そのぐらい不安に思っていると。  それと、農協の職員の方々はそういう不安持っておりますけれども、こういう海外との貿易交渉というのは、本当の末端の生産者には何か遠い話のように見えるというんですね。ところが、実際にこれぱっと決まっちゃうとすぐの問題になってくる。そういう非常に、そういうはざまに置かれて農協の職員、幹部の方々も非常に不安に思っていると。  したがって、このWTO交渉の帰結はどうなるか分かりませんけれども、これはこういう農業関係者の気持ちに対して、もし大臣がお答えになるとしたらどういうふうにお話しいただけるか、ちょっと通告しておりませんでしたけれども、お願いいたします。
  197. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 前段の中山間地域の問題、このことにつきましては私も全く同じような考え方を持っておりますし、さらに、先ほども答弁申し上げましたが、地方自治団体からも大変強い御要請をいただいております。  省内に、中立の学識経験者、こういう方々の評価委員会を持っておるわけでありまして、そういう中でも、先ほど先生からのお話のような、そういう面での角度からこの中山間地域の直接支払制度につきましてのまたお考えもあるんではなかろうかと。やはり集落を維持する、そういう面での大きな努力を積み重ねてきた問題でもありますので、この問題につきましてはしっかりした対応をしてまいりたいと、このように思っております。  また、WTOの農業交渉の問題、大変難しい状況下に、今サミットでもこの七月に大枠合意というようなことが決められるような報道がなされておりますけれども、我が国農業の置かれております立場、多様な農業の共存、こういうことを基本理念といたしまして、特に各国、センシティブな問題があるわけでありますので、それらの問題につきまして、我が国におきましてもそのような高関税の問題等々の問題があるわけでありますから、それをしっかり守っていくために今懸命の努力をしているところであります。
  198. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 ひとつ現場の農業者の期待を裏切らないような、いろんな大変な状況というのは分かっていると思いますけれども、よくその情報をお取りいただいて、結果が出たらがくんといっちゃうということのないようにひとつよろしくお願いしておきたいと思います。  それともう一つは、基本農政の問題なんですけれども、やはりあれですね、担い手を進める、この進め方というので、実際農林省が期待している図がまだ私にはよく分かりませんけれども、そういう者がどれだけいるかという心配が非常にあるんですね。ひょっとしたら一けた台のパーセントじゃないかというような、だから幾ら頑張っても一けた台を超えないんじゃないかなというような不安を非常に持っております。この辺も、よくその辺をお酌み取りいただきたいと思うんですが。  私は、ちょっとここで農協、今日は農協法関係ですから、農協法と絡めてちょっとお聞きしたいんですけれども、こういう、何といいますか、私は、言い方は悪いかもしれませんけれども、今の担い手政策というのは農業のリストラだと、こう言っているんですけれども、そういう特化させる、ある一部を特化させるという施策をやられる農林省と、農協というのは、やはりあれでしょう、農業者の全体の利益を図るということですから、農協自身は特化されていないわけですよね。そういうものをこれから指導なり何かされる場合に、そういうものをやっぱり農林省の特化政策といいますか、そういうものと同じように農協も動かざるを得ない、二重構造になるような感じがするんですけれども、その辺は局長、どうなんですかね。
  199. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 戦後の農村の状況というのは、かなり均質な農家、こういうものが多数おられたと。それから集落としても基本的には農家が主体となった集落であったというふうに思います。そういうことを前提にして農協制度も運営されてきたということでございます。  ところが、経済社会状況が変わってくるということで、現時点においてもかなりの二極分化、一方では兼業農家とか小規模農家おられますし、一方では非常に先進的な経営等あるいは大規模経営等もあるわけでございます。そういう中で農協が必ずしもそういうものに十分に対応してきたかというと、問題がやはりあったんではないかと。そういうことが、今いわゆる俗に言われております担い手農協離れとかいろんなことが起こってきているということで、正に農協としてはこれから、そういう経済社会状況が変わって、かなりの多層的な構造になっているというところをいかに農協としてまとめていくかということが非常に問われているというふうに思います。  そういう意味では、やはり今まではどっちかというと形式的な平等といいますか、そういうことが重視されてきたと思うんですが、実質的な平等なり公平性、そういうものをかなり運用基本的な考え方としなくちゃいけないんだろうと思っています。そういう意味では、端的に言いますと、例えば今までの資材の販売ですと、だれが幾らどんな量を買っても同じ価格ということでは、これはやっぱり組合員の本当の意味での公平性が保たれているかということで、やっぱりたくさん使う人には安くということも工夫をしなくちゃいけないということだと思います。  今後、特に土地利用農業というのは、これはやっぱり多数の人に担われていかなくちゃいけないというふうに思っています。その中で中心になる人、経営体として中心になる人がちゃんといて、そしてまた、その周辺でこれをまた一緒になって支えていく人、こういう人が常に固定されるんではなくて、また退職等によって農村に基本的に戻ってこられてその人が担い手になっていくという、こういういわゆる循環的な構造もあるわけでございますので、そういうことも十分踏まえて、農協として、また担い手のいないところには今非常に農協自らが生産法人を作って、そして担い手をむしろつくっていくんだという動きもございますので、そういう今の状況に応じて非常に機動的にかつ効果的に対応していかなくちゃいけない時代になっているんだろうというふうに私は思っております。
  200. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 ありがとうございました。  分からないでもないんですけれども、ただ、確かに全部、何が何から何まで平等だということはあり得ないと思いますけれども、やはりこういう農協組織という利益を、協同体といいますか、そういうものであれば、要するに扱う量が少ないとか多いとかで違うというのは分かるとしても、そういう違っていいんだという、そういうことの合意というのはやっぱりその中で形成されなければいけないと思うんですよね。そこが一つの平等じゃないかと思うんですけれども、その辺の配慮というのは今回の農協法ではあるんですか、ちょっと伺えればと。
  201. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) やはり協同組合の原則でございますので、これは一人一票という原則はこれは堅持されております。ですから、出資金に応じてするとかいう、そういうところは全くいじっておりませんので、協同組合精神に基づいて、皆さんがそういう議決権平等の中で、皆さんにとって真に公平なものは何かということを決めていくということだろうと思います。
  202. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 次に、農水省は農政に対してどういう基本的な姿勢で臨むかというような大それた質問を準備したんですが、これはちょっと説明がしづらい、質問としても説明がしづらいものですから、もう少しかみ砕いて申し上げますと、私自身も農林行政にちょっと携わってからずっともう時間がたっている。その中に相当な変化があるわけですね。これからもあるだろうと思うんです。  私が農水省に入る直前に農業基本法ができて、このときの選択で掲げられているのはある程度成功したとは言えない状況で今推移してきていると思うんですけれども、それ以外に、そのころからもう大規模農家、言うなれば今の担い手ですかね、そういうものを誘導してきましたけれども、零細農家は依然として減らないというようなずっとその状況の中で、零細農家がサラリーマン農業化したりシルバー農業化したりというようなことで農業としての格差も広がってきた、あるいは耕作放棄地が止まりませんし、昔だったらそんなことはあり得ないでしょうけれども、引受手がないという状況ですよね。  こんなことを考えるのと、それと別の面から日本農業と欧米の農業を見ますと、随分違うと思うんですね、日本の水田農業と欧米の畑地、畑作農業というのは。例えば、作るのにしても全然金の掛かり方が違うですよね。品種も全然違う。そういうところで同じような土俵で農業を語り合っていいのかという問題もある。こういうことが特に特化してきて、同じようになろうなろうとするのが今のヨーロッパ勢の意気込みのような感じがするんですけれども。  そういうような状況の中で私なりに考えまして、これはちょっとお答え願えるかどうか分かりませんけれども、例えばこの先の日本の農地、例えばそれから農業者数なんかに視点を置いて、この先の日本の農業というのはどんなふうに変わるというような感じでお考えになっているか。これは私も、まあ今日で質問を終わりますけれども、別の場でまたいろいろと、地元へ帰りましてもいろいろとこれから携わらなきゃいけないと思うんですけれども、その辺でもしお考えが、何かお答え願えればと思うんですが、いかがなものでしょうか。
  203. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 先生ずっと長い間農政にもかかわり合い、また地方でも、そしてまたずっとこの委員会でも終始委員としていろいろの立場で御発言をちょうだいし、私も後輩として、戦後六十年、日本の農業を考えますときに、こんなにも農業者の戸数、農業者の数が減少する、あるいは高齢化になると、こういうこともちょっと想像できなかったところでありますし、稲作を中心といたします土地利用農業の構造改革の立ち後れの問題、あるいはまた集落機能が低下をして、そして多面的な機能の発揮、こういう面がやはり支障を来しているというような、こういう状況にあるわけでありますし、そういう中で農業者を、先ほど来お話しのとおり、高齢化、あるいは担い手が少なくなる。  一方、新規就農という面でも、やはり根強いと申しますか、数は多くないわけでありますが、しっかりした人たちがそれに従事をしようという意欲をお持ちの方々もあるわけでありますし、また一方、都市の人たちも農村に対する見方というものが私はこれからもますます変わっていくんではなかろうかと。  私どもも、例の農山漁村との共生・対流の問題とか、あるいは立ち上がる農山漁村、こういうようなことで政策を進めておるわけでありまして、そういう面で農業者、これが何とかこれ以上減退しないような、そして本当にやる気と能力のある農業者が中心になってやっていくことのできるような農業にしていかなければならないと、こう思っておりますし、農地制度の問題も、今回、担い手と併せて基本計画見直しの中でいろいろ今御議論をいただいておるわけでありまして、これ、相続の問題等いろいろ難しい問題があるわけでありまして、やはり日本の農業の農政改革を進めて食料の安定供給を図る、こういう面で農地制度見直しをして、その安定供給が図られるような土台というものを作ってまいらなければならないと、このように考えております。
  204. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 ありがとうございました。  本日は委員長の御配慮で質問時間を長くいただきましたが、その御配慮に感謝をしつつ、これで、以上で質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手)
  205. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。     ─────────────
  206. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) この際、委員異動について御報告をいたします。  本日、服部三男雄君が委員辞任され、その補欠として吉田博美君が選任をされました。     ─────────────
  207. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  208. 紙智子

    ○紙智子君 私は、日本共産党を代表して、農業協同組合法及び農業信用保証保険法の一部改正案に対して反対の討論を行います。  反対の第一の理由は、共済事業において契約条件の変更を可能にする制度を導入したことであります。これが実施されれば、共済金の大幅削減をもたらし、契約者生活設計を狂わせるものです。  昨年、多くの反対の声を押し切って保険業法が改正され、生保の契約条件の変更を可能にし、予定利率の引下げができるようになりました。本案は、農協の共済についてもそれと横並びにしようとするものです。いわゆる逆ざやを契約者の犠牲によって解消できるようにするもので、容認できません。  しかも、農協共済においては、逆ざやはありますが、他の利益で穴埋めしてもなお、二〇〇二年度には約四千六百四十億円もの基礎利益を生み出しています。このような実態で、農協共済の契約不履行を担保し、共済金額を減額させる目的の本制度の導入については反対です。  反対の第二の理由は、全国農協中央会が定める経済事業改革を含む基本方針を法的に位置付け、都道府県中央会に各農協を指導させるとした点です。  これにより、中央集権的な指導が強まり、農協を営利本位に変えていこうとする動きと相まって、赤字を抱えたり、一般企業と競争力のない事業の縮小や廃止が強く指導されるなど、地域の独自性、農協の自主性を損ねていくことが懸念されます。  政府の農政が大きな背景となって農協事業の困難が生まれていますが、そういう中でも組合員の協同の力を発揮し、営農や生活地域の環境を守っていく多彩な活動の発展で、経済事業改革に粘り強く努力していく方向こそ重要です。  さらに反対の理由として、合併、事業譲渡における総会手続の省略についてです。  大規模組合がその組合員数、資産額の二十分の一以下の組合を吸収合併する場合、総会の議決を要しないとすることは、合併推進のために民主的手続をないがしろにするもので、農協の民主的発展の上から問題であり、賛成できません。  以上を申し述べて、私の反対討論とします。
  209. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  農業協同組合法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  210. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  211. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時七分散会