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2004-05-20 第159回国会 参議院 内閣委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年五月二十日(木曜日)    午前十時一分開会     ─────────────    委員異動  五月十九日     辞任         補欠選任      加治屋義人君     森元 恒雄君  五月二十日     辞任         補欠選任      仲道 俊哉君     小林  温君      森下 博之君     野上浩太郎君      川橋 幸子君     岩本  司君      吉川 春子君     畑野 君枝君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         和田ひろ子君     理 事                 西銘順志郎君                 森田 次夫君                 神本美恵子君                 吉川 春子君     委 員                 岡田  広君                 小林  温君                 関口 昌一君                 竹山  裕君                 中島 眞人君                 野上浩太郎君                 森元 恒雄君                 山崎 正昭君                 岩本  司君                 岡崎トミ子君                 川橋 幸子君                 松井 孝治君                 魚住裕一郎君                 白浜 一良君                 小林美恵子君                 畑野 君枝君                 黒岩 宇洋君    衆議院議員        内閣委員長    山本 公一君    国務大臣        国務大臣     金子 一義君    副大臣        内閣府副大臣   佐藤 剛男君        文部科学大臣  原田 義昭君    事務局側        常任委員会専門        員        鴫谷  潤君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官        兼内閣官房構造        改革特区推進室        長        兼内閣府構造改        革特区地域再        生担当室長    滑川 雅士君        内閣法制局第二        部長       山本 庸幸君        総務大臣官房審        議官       山口 勝己君        法務省入国管理        局長       増田 暢也君        財務大臣官房審        議官       石井 道遠君        文部科学大臣官        房審議官     樋口 修資君        文部科学省高等        教育局私学部長  加茂川幸夫君        厚生労働大臣官        房審議官     金子 順一君        厚生労働大臣官        房審議官     大石  明君        厚生労働大臣官        房審議官     北井久美子君        厚生労働省医政        局長       岩尾總一郎君        厚生労働省健康        局長       田中 慶司君        厚生労働省保険        局長       辻  哲夫君        農林水産大臣官        房政策評価審議        官        山田 修路君        水産庁漁港漁場        整備部長     田中 潤兒君        国土交通大臣官        房審議官     平田憲一郎君        国土交通省道路        局次長      榊  正剛君        国土交通省港湾        局長       鬼頭 平三君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○構造改革特別区域法の一部を改正する法律案(  内閣提出衆議院送付) ○消費者保護基本法の一部を改正する法律案(衆  議院提出)     ─────────────
  2. 和田ひろ子

    委員長和田ひろ子君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨十九日、加治屋義人さんが委員辞任され、その補欠として森元恒雄さんが選任されました。     ─────────────
  3. 和田ひろ子

    委員長和田ひろ子君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  構造改革特別区域法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣官房内閣審議官内閣官房構造改革特区推進室長内閣構造改革特区地域再生担当室長滑川雅士さん外十七名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 和田ひろ子

    委員長和田ひろ子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 和田ひろ子

    委員長和田ひろ子君) 構造改革特別区域法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 岡田広

    岡田広君 自由民主党の岡田広です。構造改革特別区域法の一部を改正する法律案につきまして質疑をさせていただきます。  昨年四月に最初の特区が誕生して一年がたちました。この認定件数は三百二十四件ということで、これを申請主体別に分けますと、市町村単独二百九件、市町村共同五件、そして複数県共同二件、県単独六十二件、そして県、市町村共同四十三件、その他三件ということになっていますが、この主体別一覧表だけ見てみますと、市町村合併が進んでいるという、そういう割には市町村共同が五件と少ない。県、市町村共同というのは四十三件であります。市町村共同をもう少し増やしていくべきだという、そういうふうにも取れるわけでありますけれども、三百二十四の特区がそれぞれの事業に取り組んでいるわけであります。  これまで一年間の反省点、そして今後の意気込み、考え方等につきまして、まず金子大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。
  7. 金子一義

    国務大臣金子一義君) 一年間たちました。反省点はということをお尋ねがありましたけれども、一年間を振り返りまして、多々反省すべき点はあるんだと思っております。  今、分類提案者分類お話がありましたけれども、市町村連携したものが比較的少ないねと、広域のものでというのも確かにございます。ただ一方で、この点に関しては三百二十四件出てきた。そうすると、ある市がこれを実現をしますと、周辺の市町村が、あの市は非常にいいことをやったと、おれたちも何かやらなければということで、市町村の間で何か自分たちの持っているものを特区として使って前進させようという競争の気風が相当出てきているということから見ますと、必ずしも広域でなくて市町村単独で出てきているのは悪いことではないのかなと。ただ、おっしゃるように、これから、いろいろな事業がこれから更に特区を推進していく上で、御指摘いただいたような市町村連携というものは、いろいろな私たち、この特区の制度の広報というんでしょうか、仕組みというんでしょうか、こういうものをあらゆる機会を通じて理解を深める努力をしておりますものですから、これから出てくる、そういうものも出てくると思います。  もう一つは、民間事業者からの提案というのが三割にとどまっております。やはり、タウンミーティング等々でお話をしてまいりますと、こういうたぐいのやつは市町村じゃないと提案できないと思っているんです、思われているんです。民間でもできますよということになると、お話をしますと、えっ、そうなのといって初めて知ったというのがございます。これも、私たちのまだまだ広報不足理解全国にさせていないところを反省しなければいけないんだと思っております。まだまだ反省点一杯あります。実行できると思ったんだけれども手続に非常に時間が掛かるといったたぐいのものもありますし、こっちの特区はできたけれども別の政令あるいは部分で簡単にはできないと。一つ一つ障害を今取り除きながら実現をさせているというのが現状であります。  そういったものを乗り越えて、今後の進め方でありますけれども、さらに市町村アイデアを出してもらって実現をさせていく。今申し上げたように、地域間の連携あるいは民間事業者からの御提案も含めて更にそれを活用してもらう、そのための努力を私たち全力を挙げてやってまいりたいと思っております。
  8. 岡田広

    岡田広君 市町村連携につきましては、競争意識が出てくるということで、これは大いに期待をしたいと思っております。  全国にまだ民間理解度が少ないという答弁もありましたが、そこで、これは都道府県別認定状況を見てみますと、これ一番多いのが長野県二十三件。そして北海道二十件。兵庫十八件。長野田中康夫知事の下であります。兵庫は鴻池前大臣地域であります。神奈川が十五件。これは小泉総理のところであります。五番目が金子大臣の岐阜県十四件と続くわけでありますが、沖縄、大分、佐賀、二件、宮崎三件とか、特に九州地方、まだまだこの申請件数認定が少ないというデータも出ています。  やはり、タウンミーティング等でいろんな啓蒙宣伝をしているんだろうと思いますが、正にトップセミナー、我が茨城県でも橋本知事が大変この特区には力を入れております。県の特区五件、全国では三番目であります。市町村特区も五件ということで、全国十五番目という、こういう数字が出ていますが、正に特区エキスパート茨城県は五人を配置をして、ほかの県に行きますと二人ぐらいという話を聞いていますけれども、取組方、意気込みが正にトップに懸かっているという、そういう考え方もあるんではないかと、私はそう思うわけであります。  そういう中で、地域トップリーダートップのリーダーシップを発揮させるために、先ほど、特区市町村がやるんだと、民間ではできないんだろうという、そういう地方の意見があったということでありますので、正に私は都道府県ごとに、市町村、あるいは議長、商工会議所の会頭とか商工会会長農林団体トップ人たち、そういう人たちを集めましてトップセミナー開催をして、民間にも提案ができるんだと、こういう趣旨全国に広げていく、そういうことが大事だろうと考えていますが、この点についてお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  9. 金子一義

    国務大臣金子一義君) 鋭い御指摘をいただいたと思っております。先生のお地元茨城県も、水戸では、小中、小学校、中学校で、もう何か幼稚園も含めて英語をしゃべらせちゃおうというのから、鹿嶋、日立工業地域でございますか、産学連携でかなり先進的な特区を出していただいていますよね。茨城は、何ですか、トップファイブに入っていないんですか。印象としては随分……
  10. 岡田広

    岡田広君 入っています。
  11. 金子一義

    国務大臣金子一義君) 入っていますよね、御提案いただいていると思っております。  今御指摘いただきましたように、私たち、三段階というんでしょうか、一つは、私たち、私自身も出掛けていって、全国でのタウンミーティングということで、これは知事さんも含めて市町村議会皆様に出てきていただいて、仕組みについて又は全国成功事例についてお話をさせていただき、地元からのお考えも伺う。これが国のレベル。  もう一つ国レベルとして、今度は私のところの地域再生内閣府のスタッフでありますけれども、これがやはりブロック単位で、知事さんあるいは市町村長さん、議会皆様方商工会議所商工会、こういう人は来てもらいまして、今のようなことをやっていく。  三番目に、それだけでも足らないということで、今先生お話ありましたように、地域伝道師ということで、特区エキスパートということで、各、取りあえず都道府県なんでありますけれども、都道府県の方々に来ていただいて研修を受けていただくと。どういう仕組みなのか、どうやればできるかという研修を受けていただく。これは県レベルです。その県の人たちがまた各県内を散って市町村長等々を議会を集めて、商工会議所も集めてやっていく。これはこれまでに四十八都道府県がありますが、延べ人数で約八千人を全国で集めていただいて、これは県の人たちが集めてくれているんですけれども、集めていただいて、特区についての成功事例進め方、その特質といったようなものをやらせていただくと。  まだまだ不十分だと思います。いろんな機会を通じて、これだけにとどまらず積極的に進めていきたい。まだまだ地方アイデアがあります。今までせっかく提案したけれども、まだできなかったと。だけれども、できないけれども、じゃちょっと工夫すればできるんではないか。宝の山がまだ全国各地区にあると思っておりまして、それを私たちはどうやれば実現をさせていけるか、そういう意味でこれからも進めさせていただきたいと思っております。
  12. 岡田広

    岡田広君 是非、やはり話をすることから、こういう特区構想民間にも広がっていく。  私、三つの「わ」という言葉がありますが、会話の話、談話の話、対話の話、話という漢字です。話をすることから組織の輪が広がります。これは三輪車の輪という漢字です。話をすることによって和やかになります。和やかというのも平和の和という漢字です。食べ物にも和え物というのがありますが、ワカメやネギやウドや海の幸、山の幸がそれぞれ自分の持ち味を主張しながら、混ぜ合わせることによってもっといい味を出すのが和え物という食べ物のはずです。これは平和の和という漢字です。私たちの国の聖徳太子の十七箇条、第一条は和をもって尊しとなすということです。和が大事なことは言うまでもないことでありますが、正に話をする、話を広げていく、この特区構想地域に広げていく、そして地域に元気の風を広げるということが私はとても大事なんだろうと、そう思っています。  工夫をするというお話もありましたけれども、正に仕事の「かきくけこ」というのもあります。考えること、たくさんのアイデア提案考える、そしてそれを記録をする。しかし、一年あるいは二年、この期間の中でこれをやるときには、十の考えが全部できません。五つしかできないときは工夫をすると思います。この工夫がやっぱり大事なんだと思います。そして、計画し行動をするというのが仕事の「かきくけこ」ということだろうと思っています。  そこで、正にこの特区エキスパートを置いて全国にこの風を広げていくと、広げているということでありますが、都道府県だけではなくして、政令市あるいは中核市、私が住んでいます水戸市も特例市の指定を受けました。こういう形で、上から順々、こうして特区エキスパートお願いをして配置をしていく、そして民間規制改革提案に対応できる体制を作るべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  13. 佐藤剛男

    ○副大臣佐藤剛男君) ただいまの岡田委員のすばらしい御指摘に対しまして敬意を表します。特に、岡田先生水戸市長を三期もお務めになられまして、その道のベテランでございますので、いかにそういう「わ」の重要だということを実感で、私は今お話を聞かせていただいた、感銘いたしておるわけであります。  今大臣からるる状況お話をさせていただきました。いろんなエキスパート等々の問題ですね。キャラバンの問題であるとか、あらゆる機会をつかまえてやるわけでありますが、今の、特例政令市中核市にもそういうニーズがありますれば積極的に取り組んでまいります。そして、私自身、来月にもそれぞれの地域を回るわけでありますが、結局、口コミといいますか、通しまして、それでああ、あそこにどぶろく特区みたいなものがあったとか、あるいはこういうこともできますよ、英語子供たち外国人に対しまして説明をする、その地域歴史説明すると、そういうことが非常に重要なことだろうと思っております。  それと同時に、市町村からこちらの内閣府の方の交流ですね、そういうようなものを通じまして、できるだけ、交流といいましても、三千三百の市町村合わせますと三千三百人なんという話になっちゃいますから、そこまでいかなくても、その努力を進めてまいらせていただきたいと思います。  岡田委員の御指摘、全くごもっともでありまして、そのように努力させていただきます。
  14. 岡田広

    岡田広君 是非よろしくお願いをしたいと思います。  特区が一年たちまして、我が茨城県でも第一号で二つ認定をいただいたわけでありますけれども、一年たって県の反省としては、まだ目に見えた成果は現れていない、そういうコメントが出ているわけでありますけれども、正に今、特区種まき段階、数を増やしていく、これが大事なんだろうと思っております。  そして、分野別に見ましても、教育問題七十三件、農業問題四十五件と大変多いわけであります。しかし、来年から世界最先端IT国家を目指す、日本IT関連四件ということです。そして、今年からまた観光立国日本ということで観光に力を入れていこう、そういう中で国際交流観光関連も四件ということで、大変ばらつきがあると。そういう中で偏りが見られるというふうに思うんでありますけれども。  まずこの特区の数を増やしていく、種まき段階ということであれば、数を増やしてこの特区ということを、先ほど申し上げましたように地域に広げていく、そういうことが大事だろうと思っておりますが、この点について御所見をお伺いしたいと思います。
  15. 佐藤剛男

    ○副大臣佐藤剛男君) まさしく、岡田委員のおっしゃる点だと思います。  まず特区の数を増やすと。じゃ、特区の数を増やすにはどういう手はずかということで、今、大臣また私からお話を申し上げさせていただきました。  要は、特区の指定されまして利益を受けるのは、これは民間の人であります。ですから、民間の人も、大臣が御説明されましたが、提案をできるわけであります。そして、受ける受益受益者民間と言っていいと思います。ですから、そういう意味でこれから、いろいろなこういうケースがありますよということを、私も選挙区などにおきましてこういうケースありますというようなことで話しておるわけでありますが、そういう努力の積み重ねが全国的に必要ではないかということであります。御指摘の線に沿いまして努力をしてまいりたいと思っております。
  16. 岡田広

    岡田広君 是非よろしくお願いをしたいと思います。  そして、この特区成果があればそれを全国に広げていくと、速やかに広げていくという必要性があるわけであります。そういう中で評価委員会設置をされているわけであります。昨年七月に設置をされ、九月以降数回開催をされ、特区全国化のための議論も大変煮詰まっているんではないかと思っていますが、この評価委員会の検討の状況、そして今後の在り方についてもお尋ねをしたいと思っております。
  17. 滑川雅士

    政府参考人滑川雅士君) 今御指摘のとおり、特区において講じられました規制特例措置につきましては、その全国展開を図ること、これが我が国の経済あるいは社会の活性化に大きく貢献するものというふうに考えております。  御指摘のように、昨年七月に評価委員会というものが設置されまして、九月以降会合を重ねてまいっておりまして、評価の基本的な考え方とか手法などにつきまして十分な御議論をいただいてまいったということでございます。  そして、四月から、評価具体的方法などを定めました構造改革特区基本方針というものがございますが、これに基づきまして評価委員会が本格的に全国展開のための評価を実施しております。規制所管省庁調査に加えまして、全国展開することによる効果などにつきまして独自の調査を行っているというところでございます。  この基本方針におきましては、おおむね半年で評価を行わせていただきまして、特段の問題が生じないと判断された特例措置につきましては速やかに全国展開を図りたいということでございまして、スピードを持った対応を今後してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  18. 岡田広

    岡田広君 次にお伺いをしますが、先ほど複数県共同認定は二件ということでありますが、京都、大阪、奈良のけいはんな学研都市知的特区そして茨城栃木群馬広域連携物流特区と、この二つであります。  また、私のこの茨城県には重要港湾が四つあります。日立港そして常陸那珂港そして大洗港、鹿島港とあるわけでありますが、この今回の茨城栃木群馬広域連携物流特区というのは、特に常陸那珂港、日立港と常陸那珂大洗港の三つ中心になっていますが、特にこの常陸那珂港を中心にこの連携が図られているわけであります。  茨城県では特にこの常陸那珂港、これに力を入れておりまして、常陸那珂港の振興協会、これはひたちなか市の市長本間市長会長であります。特に、今年の目標としまして中国航路ネットワーク推進事業を実施をしようと、そういうことで今進んでいるわけであります。  しかし、やっぱり常陸那珂港に船がたくさん入って北関東経済活性化するためには、どうしても陸送、陸の道路アクセス整備がされなければならないと思っております。そこで、茨城県そして栃木群馬北関東三県をつなぐ北関東横断道路必要性が出てくるわけであります。東京に一極集中していた物流の流れを大きく変えるという、そういう要素もあり、東西方向の新しい物流等を形成して、首都圏における物流合理的再編と発展に大きく貢献していくものと期待をされているわけであります。  正に日本高速道路は、常磐道あるいは東北道関越道、縦のライン路線が延びてきました。歴史を振り返りますと、シルクロードというのは東西ラインです。正に先ほど特区アイデア時代というお話がありましたが、二十一世紀は知的所有権時代だと言われています。分かりやすく言いますと、これからの時代は新しい発想アイデアで勝負をするという時代だということだろうと、そう思います。この新しい発想アイデアというのは、感動や感激から生まれてくると、私はそういうふうに思っております。  正にアイデアのIという字、これは話していると、また長くなりますからしませんけれども、アイデアのIという字、これは大変大事なアルファベットです。世界地図の中でアフガニスタンはどこか、イラクはどこかと探すときには東経何度北緯何度ということで、横の糸と縦の糸で世界のどんな場所も探し出すことができるはずであります。そういうことから考えると、正に横の糸と縦の糸、マイナスという記号は横一本です。縦の糸を重ね合わせるとプラスという記号になります。  正にプラス思考、そういう意味でこの北関東横断道路というのは国が認定をしました物流特区のためには大変重要な路線であると思っておりますが、この整備促進というのを一日も早く図らなければならないというふうに考えておりますが、この点についての考え方をお伺いをしたいと思っております。
  19. 榊正剛

    政府参考人榊正剛君) 北関東自動車道についてのお尋ねでございましたので、御説明させていただきたいと思います。  北関東自動車道茨城栃木群馬の三県の主要都市常陸那珂港を結ぶとともに、東京から放射状に延びます常磐道東北道関越道を連結して高速道路ネットワークを強化するという機能と、北関東地域物流拠点を連絡する道路として極めて重要なインフラだというふうに認識をいたしているところでございます。  全体百四十七キロメートルございまして、未整備の未供用区間整備計画区間といたしまして、伊勢崎—岩舟ジャンクション間の約三十九キロと、宇都宮—上三川—友部間、約四十一キロということで、約八十キロメートルが残事業という形で残っております。  実は今回、高速道路公団の民営化ということもございまして、現在、この整備計画区間につきまして、昨年の末でございましたけれども、客観的評価によります評価を厳密にやれということになりまして、全部やりました。その評価結果に基づきまして現在の進捗状況も勘案しながら、評価結果の良いものから事業を進めるということを原則にいたしております。  その結果でございますけれども、実は伊勢崎—岩舟間の三十九キロメートル間、上三川—友部間の四十一キロメートル区間、いずれも全国ベースから見て一番評価の高いという区間に入っております。したがいまして、私どもといたしましては、常陸那珂港との連携効果にもかんがみまして、地元からの協力も得ながら、できるだけ早期の供用に努めてまいりたいと、こういうふうに思っておる次第でございます。
  20. 岡田広

    岡田広君 是非できるだけ早いこの整備お願いをしたいと思っております。  今の予定ではこれ、区間の完成年度というのはどのぐらいになりますか。
  21. 榊正剛

    政府参考人榊正剛君) 実は、整備計画区間の進捗度合いにもよるわけでございまして、今の段階でもうこの時期までということは言えないんですが、全国ベースで申し上げますと、先ほど申し上げましたように、この区間、非常に評価の高いという区間、実は七十三区間全部評価をしたわけですが、この区間のこれが言わばスリーAといいますかAが三つ付いている最、評価の本当にベストワン、ベストツーという区間なんです。したがいまして、我々としてはそういうところに優先をして整備をしていくというふうに思っておりますので、実は全体の整備計画区間自体はおおむね十五、六年ぐらいは掛かろうかと思っておるんですが、そんなに掛からない、最優先という形でやりたいと思っていますので、そんなには掛からないと思っておるんですが、具体的に何年というところまではまだ至っていないというところでございます。
  22. 岡田広

    岡田広君 七十三区間の中でスリーAということで、一番か二番という評価ということでありますので、是非これはこの特区が生きていく、生かされるためにもこの北関東横断道路整備は必要であります。  正に、北関東の空のネットワーク、小川というところに百里基地がありますが、ここの民間供用の飛行場も今建設が進められています。そして東関東自動車道と、これも建設が進められていますが、特に、この陸海空のネットワークが完備をして、そして初めてこの常陸那珂港が生きてくる、この物流特区が生きて周りに経済効果を発揮をするという、そういうことになるんだろうと思っておりますので、是非この整備を積極的にお願いをしたいと思っております。  先ほど三つの「わ」という話をしましたが、「わ」の色は何色だと言われたら私は紫と言うことにしています。交差点の信号機は赤と青と黄色です。この三つの色を混ぜ合わせると紫という色になります。紫という漢字は比較の比のような字を書いて下は糸です。合わさると糸になるんです。ですから、人間は縁があって出会っていろんな話をしてきずなが深まる。一緒になる緒とか、この役所の組織の組とか織とか、すべて左側は糸です。糸で結ばれるというのが一番大事だという、これがこの物流特区の成功につながっていくということでありますから、是非要望しておきたいと思います。再度、御答弁をお願いしたいと思います。意気込みを。
  23. 榊正剛

    政府参考人榊正剛君) 私ども道路局でございまして、先生指摘のように、実は高速道路ネットワークというのは各地域を糸のように結んでいくということでございまして、そういう使命を持っておる局の働く者といたしまして、御指摘のような気持ちで頑張っていきたいというふうに思っておるところでございます。
  24. 岡田広

    岡田広君 是非よろしくお願いをしたいと思っております。  次に、この知的特区ですが、我が国は科学技術創造立国ということでうたっております。このつくばには研究の集積があります。国の研究機関、八十四研究機関あるうち三十一の研究機関がこのつくばに立地をして、民間企業が二百七十社ということで立地をしているわけでありますが、なかなかお互いの連携が取れておりません。正に新技術の開発、そして新産業の創出を図ることは産業競争力の強化に大変大事だろうと思っているわけであります。  このつくばでありますが、もう一つ、関西文化学術研究都市というのがありますが、これは研究交流を推進する組織が立ち上げられて活発な活動を行って成果を上げていると聞いております。これは、株式会社けいはんなということで資本金百億円、国も約十二億出資をしております。京都、大阪、奈良、そして民間百五十八社の出資でこの会社が運営をされております。しかし、つくばには茨城県で作りましたつくば研究支援センターというのがありますが、これは資本金二十八億ということで、大変株式会社けいはんなに比べると国の協力がない。そういう中で私は、このつくばの研究機関三十一機関、全体の八十四機関の中の三六・九%が集積をしている、そういうことで、この相互の連携や技術移転など産業間の取組が十分でないということが指摘される中で、正にこの研究の成果を生かすために国が中心になって組織を立ち上げるべきではないだろうかと、そういうふうに思うわけでありますが、この考え方をお伺いをしたいと思います。
  25. 平田憲一郎

    政府参考人平田憲一郎君) つくばの学研都市についてのお尋ねでございますが、先生指摘のようにつくばの学研、学園都市の知的資源を新産業、それから新事業の創出に結び付けていくには、産学官の連携の取組を推進していくことが極めて重要であると考えております。  御指摘のように、関西の学研都市におきましては、文化学術研究の交流施設の設置、運営を目的として設置されました株式会社けいはんなが関西の学研内外の研究の機関の相互間及び産官学の交流を促進して連携の取組を行っているところでございます。  一方、つくばにおきましては、トップレベルの最先端科学や基礎科学といった他に例を見ない知的資源の集積があるにもかかわらず、産官学の連携でありますとか研究成果の産業化のシステムが未成熟であったため、こうした知の蓄積、集積が新産業、新事業を創出するに至っていなかったというような認識の下でございますが、茨城県は去る昨年の四月につくば・東海・日立知的特区認定を受けまして、このような知の融合による多様な新産業を創出する地域の形成を目指しているところでございます。  さらに、最近の動きでございますが、研究者間のネットワーク作りを目指します江崎玲於奈理事長主宰によりますつくばサイエンス・アカデミーでありますとか、産官学や地域連携によります産業活性化を目指すつくば連絡会などの新たな取組が始まっているところでございます。加えまして、つくばにおきましては既に産官学の試験研究機関や大学が研究交流、共通問題などについて相互に密接な連絡協議を行うための連絡協議会が既に立ち上がっておりますが、先生指摘のような産官学の連携の取組を強化していくために新たに、今年の一月でございます、この協議会の中に産学官連携委員会が設けられることになりました。特区制度の趣旨を体しながらつくば全体にまたがります横断的な連携強化の取組が始められたところでございます。この産学官の連携委員会では、まずはつくば全体におきます産学官連携の取組に関する情報発信といった具体的な取組を進めていくこととしております。  私ども国土交通省といたしましても、関係省庁、地元茨城県、つくば市等と連携をして、新産業、新事業の創出が一層促進されるよう努力していきたいと考えております。
  26. 岡田広

    岡田広君 是非、つくば地区は来年つくばエクスプレスということで東京から新しい鉄道が入ってまいります。そして、総合科学技術会議等においても、我が国の新事業、新産業創出のための拠点ということでこのつくば地区は設定をされているわけでありますから、是非、今お話しになったような産学官の中で産がちょっと弱いという感じもしますので、これを是非進めていただきたいと考えております。  次に構造改革特区第一号の認定を受けました鹿島経済特区、これについてお尋ねをしたいと思いますが、この円滑な事業展開を進めるために茨城県が既に要望しています。産業活性化のための特例税制、あるいは港湾維持、しゅんせつにかかわる国庫負担制度、工業用水の割賦負担金にかかわる負担軽減措置等の制度改正とかあるいは創設等を図るべきではないかということで要望しておりますけれども、この点についてもお尋ねをしたいと思っております。
  27. 石井道遠

    政府参考人(石井道遠君) 税制についての御指摘がございましたので、その点に関して財務省からお答え申し上げます。  今先生指摘ございましたように、鹿島の経済特区に関しまして茨城県から法人税に関して特例の要望がございましたことは私ども承知をいたしております。ただ、これは構造改革特区の在り方そのものにかかわる問題として、構造改革特区につきましては従来型の財政措置を講じないということが政府の基本方針として決定をされているわけでございまして、御質問のこの茨城県の鹿島経済特区における要望に限らず、税の減免措置につきましてはすべての特区におきまして認められていないところでございますので、この点は是非とも御理解を申し上げたいと思います。  この特区の問題と離れまして、私どもももちろん、我が国税制の在り方として、活性化を図る観点から設備投資の促進あるいは研究開発の促進ということは重要な課題であるという認識は強く持っておりまして、御承知のとおり、平成十五年度の税制改正の中で一兆二千億に上る大規模な政策減税を、これは特区と離れて国全体の施策として行ったわけでございまして、現在の税制の考え方として、そのような中で政策税制を集中、重点的に講じておると、これが国全体あるいはひいては各地域にも公益をもたらすであろうという考え方の下でそのような施策を講じていることも併せて申し上げておきたいと思います。
  28. 鬼頭平三

    政府参考人(鬼頭平三君) 私の方から港湾の維持、しゅんせつの点についてお答えを申し上げます。  近年、輸送効率の向上のために船舶の大型化等がますます進んでいる等ございまして、国土交通省といたしましても、このような大型輸送船が常に安全に通航できる航路の機能の確保といいますか保全、大変重要な問題であると認識をしてございます。  一方、ただいま岡田委員の方から御指摘がございましたように、鹿島港におきましては、その自然条件等によりまして、メーン航路であります外航航路が埋没をしているという現象が生じております。このため、大型の石油タンカーの入港に支障が生じているということについては私どもも承知をしているところでございます。このため、平成十四年度から、鹿島港を利用されている立地企業の方々あるいは港湾管理者である茨城県そして私ども、三者で抜本的な埋没対策を講じるための検討を進めてまいりました。その検討結果を踏まえまして、現在整備中の防波堤工事の中で航路への砂の流入を防ぐように工夫ができるかどうか検討し、その対策をそういう形で講じることとしてございます。  ただいまも財務省の方から御答弁がございましたように、従来型の財政措置を講じることを期待するのではなくという原則がございますものですから、特例措置の創設というとなかなか困難ではございますが、今申し上げましたように、いろいろな工夫を講じることによって地域経済を支える基盤である港湾の基本的な施設である航路の機能回復に積極的に取り組んでまいりたい、かように考えているところでございます。
  29. 山口勝己

    政府参考人(山口勝己君) 工業用水道の割賦負担金のお尋ねについてお答えを申し上げます。  独立行政法人水資源機構の施工ダムに係ります割賦負担金につきましては、従来からその金利負担の軽減措置等につきまして地方団体から要望があったところでございます。このため総務省といたしましては、本年度から、資本費の増嵩等によりまして厳しい経営状況にある水道事業あるいは工業用水道事業のうち、水資源機構の承認を受けて割賦負担元金の繰上償還を行い利子負担の軽減を図ろうとする事業者に対しまして、その繰上償還の財源として新たに地方債措置を講ずることとしたところでございます。  お尋ねの鹿島経済特区の関係では、霞ヶ浦開発事業につきまして、本年度繰上償還の御要望があるとお伺いをしておりますので、総務省といたしましては適切に対応してまいりたいと考えております。
  30. 岡田広

    岡田広君 それぞれ御答弁をいただきました。正に港湾局長の鬼頭局長茨城県にもいらっしゃいました。茨城県の事情をよく御存じかと思いますが、茨城はかつて日立がくしゃみをすると風邪を引いてしまう、今は鹿島がくしゃみをすると風邪を引いてしまうという、そういう中で鹿島は茨城経済を支えているところであります。  この税制面、なかなか難しいものがあろうと思いますが、規制緩和等につきましては十分御検討をいただきまして、正に工夫をして鹿島経済特区が円滑な事業展開を進められるようお願いをしたいと思っております。  次に、教職員の免許法の特例、特別免許状についてお尋ねをしたいと思います。  その前に、水戸市の小中学校ではアメリカの大学の推薦に基づきまして英語指導助手を採用して授業を行っております。しかし、その採用するために県に対する臨時免許状の申請、これは大変な膨大な書類があります。そして時間が掛かります。大変な手間と時間が掛かっている、そういう中で今回特別免許状というのが、これが出てきたわけでありますが、まず、こういう煩雑な手続を行わずにそれぞれの当該市町村で採用ができるようにすべきではないかと。これが正に地方でできることは地方ということではないかと思いますが、この考え方を簡潔にお願いを、時間がありませんのでお願いしたいと思います。
  31. 樋口修資

    政府参考人(樋口修資君) 今委員指摘の臨時免許状の話になるわけでございますが、普通免許状を有する者を採用することができない場合に限り授与するということで、都道府県教育委員会が受験者の人物、学力、あるいは実務、身体について行う教育職員検定を経て授与させていただいているわけであります。  先生指摘水戸市の事例、私どもも県の方に確認をさせていただきましたが、今年度初めて、英語指導助手であられる外国の方々をチームティーチングではなく単独で英語指導ができるように中学校の助教諭の免許を与えようということで臨時免許状の授与申請を行っておられるということでございますが、五月の十四日に県の教育委員会の方に申請が出されました。私どもといたしましては迅速にこれを処理し、六月一日付けで臨時免許状を授与する、こういった手続を行うという方向で今作業をさせていただいているところでございます。  残念ながら、申請前に手間暇が掛かってしまったと。外国の方ということもございまして、申請書類は日本語になっておりまして、そしてまた大学の卒業証明書等も故国から取り寄せるということで、手間暇が掛かってしまったということで今回時間が要したわけでございますが、県の教育委員会における臨時免許状の授与の手続については、できる限りスピーディーに処理をして、教育に支障がないようにしたいというふうに思っておるわけでございまして、この件にとどまらず、臨時免許状の授与手続が円滑に行われるように私どもといたしましても都道府県教育委員会をきちっと指導してまいりたいと思っております。
  32. 岡田広

    岡田広君 是非よろしくお願いをいたします。  今回の出されております特例措置につきましては、教育の現場に地域の有為な人材を一層活用しようという趣旨であろうと思いますが、一方で、特に小さな市町村の教育委員会が候補者の能力を十分に見極めてこの免許状を発行することができるのかどうか、やはり教育委員会の資質も高めていかなければならないと思っております。  そういう中で、そしてなかなかこれは県職採用の教員と人事異動交流もできない、こういうことになりまして同じ学校に長い間勤めると、そういう状況が出てくるんであろうと思っておりますが、教育の内容、活性化というよりもむしろ停滞という、そういうことが生じないのかと。そういうことを疑問に思うわけでありますが、この点についても簡潔にお尋ねしたいと思います。
  33. 樋口修資

    政府参考人(樋口修資君) お答え申し上げます。  今回、特区におきまして、社会人を学校現場に迎え入れるための特別免許状の授与権を都道府県に加えて市町村にもお与えしようということでの特区を新たに設けるものでございますが、この特別免許状の授与につきましては、都道府県の授与手続と同様の手続を市町村において行っていただくということで、人物、学力、実務、身体についての教育職員検定を実施をしていただくということで、担当する教科に関する専門的な知識、経験又は技能を有しているか、あるいは社会的信望や教員の職務を行うのに必要な熱意と識見を有しているかどうかについて審査を行わせていただくということで、教育職員検定の合否を決定する際には教員養成大学の学長、学部長、あるいは学校の校長先生などの学識経験者の意見を聴くことが要件とされているわけでございます。  このような教員免許状を授与するのに必要な手続や事務の体制を市町村で整えていただくということがこの特区で行っていただくための前提要件になるわけでございますので、市町村教育委員会がこの特区における市町村の特別免許状の授与の事業を行う場合には、こういった事務体制を整えていただけるかどうか自ら責任を持って御判断いただいて、その上で特区の申請をいただければと考えているわけでございます。  私どもも、都道府県教育委員会が免許事務については通暁しておりますので、しかるべくこの特区で申請をされました市町村に対して適宜適切な指導、助言を行って、円滑な特別免許状の授与事務ができるように私どもとしても都道府県教育委員会に働き掛けてまいりたいと思っているわけでございます。
  34. 岡田広

    岡田広君 それで、今回の特別免許状につきましては、各市町村の有為な人材を発掘をする、そういう中で市町村の特色も付けた教育をしていくということになるんだろうと思いますが、義務教育として一定の保障を考えますと、各市町村に格差が出てくる。今回の特例措置は、小中学校のうちからそんな色を付けてくる。格差を生じさせることが目的なのかどうか、その点についてもお尋ねしたいと思います。
  35. 樋口修資

    政府参考人(樋口修資君) お答え申し上げます。  先ほどの先生の御指摘で、一問、私ども答え忘れがございました。  この特区におきます特別免許状の授与というのは、範囲が市町村に、当該市町村に限られるわけでございます。そういたしますと、私どもの基本的な考え方は、教員の資質向上を図る上で、多様な教職経験を積むことが教員の資質、能力向上のためには不可欠な事柄であろうと思っておりまして、この特区における特別免許状の授与を受けた教員につきましても、当該市町村に複数の学校がございますれば、やはりそういった他の学校への異動を通じて多様な教職経験を積んでいただきたいと思いますし、また市町村にとどまらず、他の市町村との人事交流についても、特別免許状を県から授与することによってそういった人事交流も行っていただくなどの配慮をこの特区市町村において行っていただくならば、この二、三十年、長いこと勤めることによる弊害ということを是正できるのではないか、その意味での適切な運用を市町村の方々にお願いをしたいと思っているわけでございます。  また、今御指摘のございました、私ども、特に義務教育については、知徳体、バランスの取れた子供の育成ということを目指して、国民として共通な、共通に身に付けるべき基礎、基本をきちんと習得していただこうという、この共通の基礎教育の上にやはり地域の特色を生かした個性的な教育も行っていただこうというふうに考えているところでございまして、今回の特区における措置というのは、やはり地域における特色ある教育、まあふるさと学習やあるいは郷土学習を積極的に行っていただこう、そのために特別免許状を持った社会人を学校現場に登用しようということでございますので、私どもといたしますれば、共通の基礎教育の上に地域の実情に応じた特色ある教育を発展をさしていくということで、これを格差ととらえるのではなく、やはり地域間の切磋琢磨としてそれぞれの地域が特色ある教育に取り組んでいただきたいというふうに考えているところでございます。
  36. 岡田広

    岡田広君 是非この特色ある教育ということに主眼を置いて、この特別免許状、有為な人材を見付けてもらう。  正に、豊臣秀吉ですか、秀吉に仕えたキリシタン大名の黒田如水という人は、秀吉からこんな質問を受けたそうです。この世の中で最も多いものは何か。それに答えて、それは人です。それでは、この世の中で最も少ないものは何か。それも人です。最初の方の、多い方の人というのは人間ということです。少ない方の人というのは人材ということです。正に、私は、この人材を育てる人が人物であると、そう思っています。この人物、正にこの免許状を、許可をする人物の資質を高めていくと、そういう指導をしっかりと私はしていただきたいと考えております。  次に、株式会社の医療参入についてお尋ねをしたいと思っております。  日本は、御承知のように、国民皆保険であります。アメリカは自由診療ということで弊害もいろいろ生じていると、そういう話も聞きますが、先日、日本医師会の植松会長の就任の式典がありました。その中で、正に医師会の努力によって、医師会は常に安全、安全な医療、資質の高い医療サービスを提供をこれからもしていくというあいさつがありましたけれども、正に日本世界一の平均寿命の、平均寿命世界一の国であります。医療に、国民皆保険に支えて、これ、きたという、そういうことを言っても過言ではないと思っております。  今回の株式会社医療参入につきましては、高度な医療に限るということでありますけれども、国民の側から見たら、もう自由競争の中で医療も株式会社参入、すべてのところに広がっていくんだろうと、そういうとらえ方をしていないわけでもありません。競争原理の下に行われるようになったんだと、そういう風もあります。医師会が国民皆保険の達成に果たしてきた重要な役割を考えれば、株式会社参入によっていずれは高度な医療などのこの条件、限定条件も外れる、そして保険診療が自由になるという、そういうことになってきますと、日本の国民皆保険の崩壊にもつながるのではないかと、衆議院の方の委員会でもこういう議論はあったと思い、そしてまた附帯意見も付けられたということも聞いております。  今回の株式会社参入と、今後さらに株式会社参入、高度な医療ということに今限定されていますが、今後どういうふうに考えているのか、この方針についてお伺いをさしていただきたいと思います。
  37. 岩尾總一郎

    政府参考人岩尾總一郎君) 株式会社における病院等の開設でございますが、政府部内で様々な議論がございました。その結果、医療保険財政に及ぼす影響を懸念を踏まえつつ、株式会社の資金調達能力、研究開発意欲を活用することが高度な医療の開発、普及を推進する上で適切かつ有効かどうかを検証する、そういう観点で、今回、特区での自由診療で高度な医療の提供を目的とするものを認めるとしたものです。  これに対する全国の取扱いですが、先月の政府の特区基本方針におきましては、いずれかの評価をしろということになっております。これは、その地域を限定することなく、この規制特例措置について全国において実施できるかどうか、それから、引き続き当該地域特性を有する地域に限定して適用すべきかどうか、また、こういう規制特例措置を廃止すべきかということで評価をしろということになっております。  したがいまして、特区のこの特例措置評価という観点から、自由診療で高度な医療という条件で全国において実施するかどうかということになるわけですが、現在、現在といいますか、法律ができてこの特区での医療経営というのが施行が進んだ段階で、私ども、この経営の状態を見ながら、政府内部で様々議論していくということになるかと思っております。
  38. 岡田広

    岡田広君 高度医療ということでありますけれども、その高度医療もやがて保険適用になる時代が来ると思います。そのときは競争原理に、株式会社、そして病院、その競争原理になるのか、それはそれぞれの知事が判断をするということになるのかもしれませんけれども、資金力の競争ではなかなか太刀打ちできないだろう、そういうふうに思っています。  そして、私、伺いたいのは、日本の医療は正に国民皆保険ということで、医師会の会長があいさつの中に話されたように、安全ということ、そして医療サービスの正に充実ということに主眼を置いて今までやってきたという歴史があるわけでありますが、この歴史について、医師会の役割についてお尋ねをしたいと思っています。
  39. 岩尾總一郎

    政府参考人岩尾總一郎君) 国民に対して安全で安心な、そして質の高い医療ということを提供するというのは、私どもも日本医師会の考え方も共通でございます。私ども、医師法、医療法等々、様々な法律を体しましてそのような国民に対しての医療の提供をしていこうということで、通常、業務をしているということでございまして、方向性においては全く変わることはないだろうというふうに思っております。
  40. 岡田広

    岡田広君 それでは、国民皆保険は基礎にあるわけでありますから、正に、今後この点についてしっかりと注目をさしていただきたいと思っております。  最後に、もうちょっと、時間がもうありませんので一括してお尋ねしたいと思いますが、文部科学省そして厚生労働省が検討している総合施設、特区の中でも幼保一元化ということで認定全国にされています。そして、この総合施設というのは幼保一元化を目指している施設か。特区で実施されている今の幼保一元化の特例をどのように反映されていくのか。そして今、幼稚園と保育所、そして総合施設ということでこれから三つになるのか、その考え方。  ちょっと私、先週幼稚園の代表者の人たちといろんな話をしてきたんですけれども、なかなか末端の先生、教員には分からない、保育士にはその辺がなかなかまだ理解がされていない。いろいろそういうことを幼保一元化という目的に向かって、今年から幼稚園の先生につきましては、八月からですかね、保育士の試験、実技免除あるいは一部筆記試験の免除とか、来年からは幼稚園教諭、失礼しました、来年は保育士に対して幼稚園の二級免状と。  これからは、保育所、幼稚園につきましても親も指導、助言をしていく、教えていくという、そういうことがありますから、二級免状でいいのかどうか、この議論はまた先に置きまして、この幼保一元化という今後のスケジュール、考え方について、最後に、もう時間がありませんから、簡潔にお尋ねをして終わりたいと思います。
  41. 樋口修資

    政府参考人(樋口修資君) お答え申し上げます。  委員指摘の総合施設の問題でございますが、就学前の教育、保育を一体としてとらえた一貫した総合施設につきましては、その実現に向けまして、平成十六年度中に基本的な考え方を取りまとめた上で、十七年度には試行事業を先行実施するなど、平成十八年度からの本格実施に、目指しまして、必要な法整備の検討も含め様々な準備を進めているところでございます。  この在り方につきましては、現在、中教審の幼児教育部会あるいは厚労省の社会保障審議会児童部会におきましてそれぞれ審議が行われているところでございますが、この五月の二十一日からは両部会における合同の検討の場を設ける予定といたしております。この検討の場におきまして、この幼稚園、保育所との関係も含めました総合施設の在り方の議論がきちんと行われるものと考えているところでございます。  なお、先生指摘の総合施設の在り方の検討に際しましては、特区におきます多様な試み、幼稚園児と保育所児の合同活動のための特例を活用した取組が全国十四地域で今行われているところでございます。こういった事例というものについて、例えば指導計画等への配慮や職員の連携の在り方などについてのこういった特区での事例の成果あるいは課題を十分参考にしながら、総合施設の制度作りに生かしてまいりたいと思っているわけでございます。  文部科学省といたしましても、地域や保護者のニーズに対応して国民の期待にこたえられるような総合施設となるように、厚労省とも協力しながら所要の検討を進めてまいりたいと思っているわけでございます。  以上でございます。
  42. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 厚生労働省といたしましても、具体的なスケジュールにつきましては、今文科省から御説明のあったとおりでございます。  私どもといたしましては、この総合施設について、まず子供の視点に立って、就学前のお子さんに対して質の高い保育、教育を提供するものであること、あるいは地域のあらゆる子育て家庭の多様なニーズにこたえられるものであること等の観点から検討を進めていきたいと思っておるところでございます。
  43. 岡田広

    岡田広君 終わります。
  44. 吉川春子

    吉川春子君 日本共産党の吉川春子です。各会派の御協力で、午前中に質問をさせていただきます。  まず、医療分野へ株式会社の参入する問題について伺います。  特区法案、特区の改正案では、医療法等の特例として医療分野への株式会社の参入を認める、厚生労働省は、認めます。厚生労働省は、これまで利潤追求を目的とする株式会社の医療への参入に反対してきました。経済的弱者は高度な医療が受けられないというおそれがあります。医療においてお金のあるなしで提供される医療内容が差別される、こういう懸念があったから、厚生省は今お座りになっているところで強く反対をしてきたのではないですか。その考えを改めたわけですか。
  45. 岩尾總一郎

    政府参考人岩尾總一郎君) 私ども、株式会社の医療参入についてということでは、一般的に医療費の高騰を招き、医療保険財政への影響が生じるのではないか、それから、利益の生じやすい分野に限定して医療を提供するということがほかの医療機関の経営を圧迫して、地域医療にアンバランスが出る、確保に支障が出るのではないかというふうに懸念をしておりました。  特区の一次募集、平成十四年のときですが、こういう懸念を含め政府内部で議論した結果、更に十分議論を尽くす必要があるとして、当時は見送られたという経緯がございます。その後、第二次の特区の募集での提案を受けて、更に政府部内での議論の結果、今回の特区法の改正案というものを出したということでございます。  今回の措置は、先ほど申し上げました株式会社の参入の懸念ということを踏まえて、株式会社が開設できる病院、診療所などが自由で高度な医療の提供を目的とするものに限定したということでございます。したがいまして、特区で試行するという上では適切な措置であろうというふうに考えております。
  46. 吉川春子

    吉川春子君 経済的な弱者に対する医療の内容が差別される、こういう懸念はないということですね。政務官にお答えいただきましょうか。──答えられません。じゃ、いいです、今の方でも。
  47. 岩尾總一郎

    政府参考人岩尾總一郎君) 経済的弱者が差別されるのではないかという御質問でございますが、私ども、委員御承知のように国民皆保険ということですから、国民がひとしく質の高いサービスを受けることができています。  今度の特区の株式会社の参入、今回の法案でございますけれども……
  48. 吉川春子

    吉川春子君 法案の内容はいいです。
  49. 岩尾總一郎

    政府参考人岩尾總一郎君) はい。少なくとも、国民に対して一般の保険診療あるいは高度医療の、先進医療の提供には影響を及ぼすものではないというふうに私ども考えております。
  50. 吉川春子

    吉川春子君 金子大臣にお伺いいたします。  法案では、高度医療の内容について、放射性同位元素を用いて行う陽電子放射断層撮影装置による画像診断その他厚生大臣が定める指針に適合するものというふうに規定されて、高度医療の対象範囲は大臣告示を見直すことによって拡大できる仕組みになっております。  今後、株式会社が参入する高度医療、高額な自由診療分野が拡大されていくと医療において金のあるなしで提供される医療内容が差別されることになるのではないか、この規定からそのような懸念が読み取れますが、どうでしょうか。
  51. 金子一義

    国務大臣金子一義君) 今回も、厚生省から答弁させていただきましたように、元々自由診療の部分に限定しているということ、それから基本的には、従来お金持ちであろうがそうでない人であろうがひとしく受けられるという国民皆保険制度そのものはきちんと維持をしていくと、そういう前提で成り立っておる仕組みでありますものですから、先生が今御指摘のように経済的弱者が差別されるというこういう部分というものは、私たちのこの考え方の中ではそういうことはない、そこだけはきちっと確保していきたいというふうに考えております。
  52. 吉川春子

    吉川春子君 厚労省にお伺いしますが、株式会社の病院、診療所で提供されている高度医療に対して公的医療保険が適用されるということになれば、株式会社病院の経営に影響を及ぼすことにもなりますよね。それを避けるために、政府が高度医療に対する医療保険の適用に消極的になるということも考えられます。  株式会社の病院が提供する高度医療への医療保険適用を消極的にしないという担保が法律の条文上ありますか。
  53. 岩尾總一郎

    政府参考人岩尾總一郎君) 今、高度先進医療からということで保険に導入されている技術が七十七種類、平成十六年四月一日でございます。  それで、私ども今回ここで、この特区お願いしようとしているものは、こういう特区で今やろうとしている技術が高度な医療でなくなるということであれば、株式会社が新たにこういう医療には参入して、参入するということは認められなくなるわけです。つまり、保険診療に入るということで。  ですから、国民皆保険という中では、国民にひとしく我々適切な医療を提供するということですから、少なくとも新しい医療技術については有効性、安全性あるいは普及性等々諮って、現在保険導入しているということですから、この特区特例措置を導入するということでも、こういう保険医療上の方針というのは何ら変わるものではないというふうに考えております。
  54. 吉川春子

    吉川春子君 そういうものに対して消極的になるというようなことはありませんよと。それは何条で読めばいいですか。
  55. 岩尾總一郎

    政府参考人岩尾總一郎君) そういう規定は今回の特区法の特例にはありませんけれども、私ども通常のいわゆるこの高度先進医療というものを保険導入する手続の中ではきちんと協議会の中で議論して是非を決定しているというプロセスを取っておりますので、今回のこの特区での手続というものとこの特区特例措置を導入するというこの方針とはそごを来さないというふうに思っております。
  56. 吉川春子

    吉川春子君 今度のその第十八条の六に、病院等株式会社が開発する病院又は診療所の管理者は、許可に係る高度医療云々と、こうなっておりまして、この規定は株式会社の病院はそれまで提供してきた高度医療について公的医療保険適用後も引き続き提供できるというふうに読めますが、そういうことですか。
  57. 岩尾總一郎

    政府参考人岩尾總一郎君) 十八条の六項の部分でございますけれども、株式会社病院の行うその高度医療が将来医療保険の給付対象となった場合についても、先ほど申し上げたとおり、それ以後ほかの株式会社が新たに当該高度医療の提供を目的として参入することはできなくなりますけれども、一方、特区で既にそのような医療をやっている株式会社病院については、直ちに開設許可が取り消されるということではなくて、その取扱いは都道府県知事の判断に任せられるものというふうに思っております。
  58. 吉川春子

    吉川春子君 ある意味ではその既得権も、既得権が守られるというふうに今答弁で伺いました。  それで、株式会社病院が高度医療以外の医療を提供してはならないということも十八条の六に規定されておりますが、ただし、必要があると認められる場合又は診療上やむを得ない事情があると認められる場合はこの限りではないというふうにその例外を定めていますね。このただし書では、高度医療が患者に必要かどうかの検査、入院、投薬など株式会社の判断で付随する医療は提供できるというふうに読めますね。そういうことですね。
  59. 岩尾總一郎

    政府参考人岩尾總一郎君) ただし書の部分の具体例の御指摘だろうと思います。  具体的には、先生がおっしゃいました高度医療を提供する上で必要があると認められる場合というのは、例えば高度医療に付随する検査、投薬など行わなきゃならない場合があると思います。それから、診療上やむを得ない事情ということについては、例えば患者の症状が重篤になって応急処置をしなきゃいけないというようなこともあるということでこのようなただし書を付けているところでございます。
  60. 吉川春子

    吉川春子君 そのときの医療費の支払はどういう形になりますか。
  61. 岩尾總一郎

    政府参考人岩尾總一郎君) 例外的な場合を除いては、これは自由診療ということですから、保険医療機関としないということを法律上明確にしているわけでございまして、自費診療であれば診られるということになるだろうと思います。
  62. 吉川春子

    吉川春子君 したがって、その株式会社病院に掛かると初診からすべて自由診療になるわけですね。患者は、医療法人の病院に行くと、公的医療保険で診てもらえる部分でも全額自己負担ということになるわけです。こうした株式会社の病院が全国に広まっていくとすれば、皆保険制度の下で公的医療保険の利く部分へは適用すべきということになって、現在禁止されている混合診療に道を開くことになるのではありませんか。そして、経済財政諮問会議でも宮内議長がこの混合診療を強く求めていますね。厚生労働省はその混合診療というものに対しては認めないという立場ですけれども、ここで突破口が開かれてしまうということになると思いますが、いかがですか。
  63. 岩尾總一郎

    政府参考人岩尾總一郎君) 今回の特区の措置は自由診療であるということはもう先生十分御承知いただいていると思いますが、私ども、この病院については、少なくとも高度医療以外の医療は原則として禁止しますということ、それから保険医療機関の指定はできませんということになっているわけですので、その混合診療の議論というのとは直接つながらないんじゃないか。要するに、株式会社病院が自由診療で行いますというのがこの特区上、法律上担保されているわけですので、だからこれが特区として全国展開する、全国展開の判断要件というのは先ほど基本方針が出ておりますけれども、そのような評価をした上で全国に広がったとしても、特区である限り自由診療であるということですから、混合診療の解禁という話の議論とはつながらないというふうに考えております。
  64. 吉川春子

    吉川春子君 そういうふうにはおっしゃるんですけれども、厚生労働省は診療報酬体系の見直しの中で、患者の選択の自由として特定療養費の拡大などを掲げておりまして、保険制度を二階建てにして保険以外の負担を増加させる方向も示されております。今日はこの議論には入りませんけれども、私たちは混合医療への拡大ということを大変恐れるわけです。  もう一問この問題について聞きますけれども、十八条六のただし書の後段の部分ですね、診療上やむを得ない事情がある場合にはこの限りでないとして、高度医療とは関係のない医療を認めていますね。  例えば、私も経験がかつてあったんですけれども、深夜、子供が急に熱を出したような場合、お医者さんに駆け込むわけですけれども、株式会社病院に駆け込む例も出てくると思います。その場合に、医師法によると、医師は診察治療の求めがあったときは、正当な事由がなければこれを拒否することができないとされておりまして、高度医療でないからといって診療が拒否されないことは当然ですし、こういう場合拒否してもらっては母親の立場としても困るわけです。  この場合、公的医療保険が適用されて、後日、医療費が戻ってくるということになるのではありませんか。
  65. 岩尾總一郎

    政府参考人岩尾總一郎君) 自由診療であるということですので、何度も申し上げていますが、保険医療機関としないということが明確にしてあるわけです。ただ、医療保険制度、先生十分御承知と思います。その療養費として事後的に現金給付をされるような場合ですとか、幾つかのものがあると思いますので、私どもこの特区で医療を行うところがどんなところか、これ後で受付をして、どんなところが来るか見なきゃいけませんが、基本的には、高度な医療ということであれば、まあ余り過疎地とか人のいないところでというよりも、ある程度先進的な地域でこのような医療がなされるとするならば、周辺に余りほかに保険医療機関がないとかというような状況が余り考えられないんじゃないかと思っています。出てこなければ分かりません。  ただ、いずれにしても、そのような個人個人のケースであれば、ケース・バイ・ケースで判断していくことになるだろうというふうに思っております。
  66. 吉川春子

    吉川春子君 要するに、医療過疎地ではなくても、すぐそばに株式会社病院があって、子供が深夜、熱を出して、もう一番近いところへ駆け込むわけですよね。そういうことは、まず伺いますけれども、拒否してはいけないんでしょう。どうですか。
  67. 岩尾總一郎

    政府参考人岩尾總一郎君) 医師の応招義務、その医師法の話があるかと思いますが、医師の応招義務は、医師法の十九条第一項ですけれども、正当な事由がある場合は診療を拒否してはならないということになります。厳密な法律解釈になるかどうかあれですけれども、少なくともこの特区の中の医療というのは自由で高度な医療に限って許可している、医療行為を行ってよろしいということにしておりますので、少なくともその部分でいえば、この医師の応招義務、正当な理由があって診療を拒むということはできるのではないかと考えております。
  68. 吉川春子

    吉川春子君 そうすると、その株式会社病院に赤ちゃん連れて駆け込んでも、いや、駄目なんですよと、こういうふうに言われてしまうということですか。
  69. 岩尾總一郎

    政府参考人岩尾總一郎君) 想定をしておりますこのいわゆる株式会社病院、この特区の病院で行うのが、先ほど来申しておりますように非常に高度なものに限っているということですので、住民の方々にどの程度周知するか、そういう問題はあるかと思いますが、いわゆる一般の子供を診るというような形で宣伝あるいは情報公開がなされるというふうには通常ちょっと考えにくいのではないかと思います。  そのような意味で、むしろ住民として、日ごろ掛かり付けのお医者さんですとか周辺に利用している医療機関がある中で、そのほかにあえてここを選んで夜間来るかという状況というのは、ちょっと私ども今想像しづらいところでございますが、ぎりぎり法律上の解釈でいえば、医師法の十九条一項のこの応招義務だということを言われておりますけれども、このいわゆる正当な事由ということで、今回の特区法の例外規定というのが正当な事由ということで応招義務を免れるというふうに解釈しております。
  70. 吉川春子

    吉川春子君 あなたは赤ちゃん連れて、深夜、医療機関を探し回ったりしたことがないみたいですね。そばに医療機関があれば駆け込みますよ。そして、一刻も早くお医者さんに診てもらいたいと思うのに、高度の医療じゃないからといって、それは正当事由だということに実際上なるんですね。なるという答弁ですね。  私は、それは大変おかしいんじゃないかと思いますけれども、国会の本会議での答弁とも違いませんか。そこの前提をちょっと明確にしてください。
  71. 岩尾總一郎

    政府参考人岩尾總一郎君) 申し訳ございませんでした。  大臣が本会議で答弁しておるところをちょっと引用させていただきますと、委員からの御指摘で、乳幼児の夜間の発熱の診療が許されるかどうかという質問で、私どもの大臣の方から、先ほどお話のございましたお子さんの場合でありますとか患者が急に重篤な状態になるといったような場合が生じたときには、それは高度以外の医療でも提供することができるというふうに答えております。したがいまして、大臣のお答えしたとおり、乳幼児の夜間の発熱の診療においても、診療上やむを得ない場合に該当するということでございます。  ただ、取りあえず自費診療ということでございますので。
  72. 吉川春子

    吉川春子君 ちょっとこれ、確認に大分時間取っちゃいましたけれども、そうですよね。その場合、自費診療なんだけれども、後で、保険証を忘れたときと同じように、後で市町村の窓口なりなんなりで医療費が返ってくるという仕組みになっているんじゃありませんか。
  73. 岩尾總一郎

    政府参考人岩尾總一郎君) それは先ほども申し上げたとおり、この特区の株式会社病院というのが医療保険の対象外ということを申し上げておるわけでございますが、要するに、この病院の付近で急病になった、今御指摘のようなケース、それから、確かに周辺に保険医療機関がないということであれば、ここに運ばれて治療を受けたケースなどがあれば医療保険給付が行われる場合があるということで、ケース・バイ・ケースというふうにお答えさせていただきました。
  74. 吉川春子

    吉川春子君 ですから、そういう形でやっぱり混合診療の方に穴が開くといいますか、そういう形になっていくおそれというのは十分あるわけですけれども、その正当事由について、ちょっと、どういうふうにお考えなのか、お示しいただけますか。
  75. 岩尾總一郎

    政府参考人岩尾總一郎君) 先ほども申し上げました医師の応招義務の話の正当事由という、医師法の……。
  76. 吉川春子

    吉川春子君 いやいや、そうじゃなくて、正当事由がある場合、そうですね、正当事由がある場合拒めるというその正当事由です。
  77. 岩尾總一郎

    政府参考人岩尾總一郎君) 医師の応招義務について、ちょっと長くなりますが、最初の方から説明させていただければよろしいかと思いますが。
  78. 吉川春子

    吉川春子君 端的にお願いします。
  79. 岩尾總一郎

    政府参考人岩尾總一郎君) はい。  医療法では、もちろん、医師を含む医療従事者の責務として、患者に対して良質かつ適切な医療を提供しなきゃならないというのがございます。それから、先ほど言いました医師の応招義務というのが医師法にございます。ですから、この特区の中で、株式会社立病院等の高度以外の医療提供の禁止ということになるわけですが、これは医師の患者に対する具体的な責務である今言いました医師法の応招義務との関係で整理するということになるかと思います。  それで、医師の応招義務については、正当な事由がある場合には診療を拒否しても義務違反とはならないということで、この株式会社立の病院が提供する医療というのは特区法で原則として高度医療に限定されているということですから、当該高度医療以外の医療を求められ、それを拒否した場合には、正当な事由ということになるので義務違反とならないということでございます。
  80. 吉川春子

    吉川春子君 私の質問は、その正当事由というのはどういうものかという、この類型ですね、それがあったらお示しいただきたいと思います。
  81. 岩尾總一郎

    政府参考人岩尾總一郎君) これは、医師法の解説でございますが、正当な事由がある場合とは、医師の病気により診療が不可能な場合、休日夜間診療所などによる急患診療が確保されている地域で、休日夜間など通常の診療時間以外の時間に来院した患者に対して、夜間休日診療所等で診療を受けるよう指示する場合等、社会通念上妥当と認められる範囲に限るということになっています。
  82. 吉川春子

    吉川春子君 要するに、そういう正当事由がある場合には株式会社病院でもその拒否ができないわけで、そういうことから、やっぱり自由診療というところに、混合診療というところに一歩進むのではないかと私は懸念いたします。  特区というのは、制度は一定の効果が得られれば一点突破で全国に波及されるものでして、そういう点で、今回のその改正は全国規模で株式会社の参入に道を開くものになるのではないかというふうに私は思います。その考え方の根底にはアメリカ型の競争原理の考え方があるのではないでしょうか。  そういう意味で、高度医療が株式会社病院の提供する自由診療の高度な医療という枠に置かれ続けるならば、国民の所得格差そのまま、生命、健康を守る医療に持ち込まれることになり、患者の選別とか医療の内容の制限などにつながっていくということを考えますと、特区による医療への株式会社の参入は私は到底認められないということを指摘いたしまして、次へ進みます。  特別教員免許について伺いますけれども、文科省、現在、学校教育では、子供の学力低下、登校拒否、閉じこもり、高校の十数万人の中途退学者等、深刻な問題が山積しております。  今回の特区法改正では、教員の特別免許状を市町村でも授与できるようにするといういわゆる規制緩和ですけれども、このことによって今抱えている子供たちの教育にどういうプラスが生ずるのか、端的にお答えください。
  83. 樋口修資

    政府参考人(樋口修資君) お答え申し上げます。  御案内のとおり、特別免許状は現在都道府県の教育委員会が授与しておりますが、今回、特区におきまして、市町村教育委員会もこの特別免許状の授与権者に加えようということで制度化をお願いしているものでございます。  私ども、今御指摘ございました、国民教育として、やっぱり特に義務教育については、国民として必要な基礎的な資質を培う上で必要な共通に身に付けるべきことはしっかり身に付けさせるという、学校教育の充実に当然のごとく取り組んでいるわけでございますが、他方、やはりこういう共通的な基礎教育の上に、やはり地域ならではの個性的な特色ある教育も同時に進めていただきたいというふうに思っているわけでございます。  そして、今回の特区の問題は、正に地域で特色ある教育を行いたい、その上で地域の優れた社会人を登用したいという市町村の願いを、市町村がイニシアチブによって教員に登用していくという試みを特区において許容するものでございまして、このことによって社会人が登用が進みまして、そして個性で特色ある教育が推進されるだろうと、そういう意味での教育上の効果があろうかというふうに考えております。
  84. 吉川春子

    吉川春子君 教員免許状を大学の教育の下で与えて、今までそういう制度でやってきたんですけれども、それでは個性的な教育が保障できないんだと、これは文部省、今まで自分がやってきたことを否定することになるわけですよ。おかしいじゃないですか、そんなの。地域の個性とかといっても、千代田区の申請の具体的な実情をつぶさに調べますと、さっき言いました地域的ないろんな特色とか何とかということとはまたちょっと違った角度からの申請であったというふうに私は聞いておりますけれども。  金子大臣、本会議で、特別免許状の授与権者を市町村委員会に追加する案について、文部省と事務レベルでは合意できなかったので大臣折衝で合意に達したと答弁しております。大臣折衝まで行って特別教員免許を市町村にまで授与権限を与える意図は何ですか。
  85. 金子一義

    国務大臣金子一義君) 今、先生、文部省が従来主張をしてきたことと違ったことを言っているじゃないかと、おかしいという御指摘あったんですが、やっぱり改めるところは改めていく、今までのものがすべていいわけではない、今までの義務教育制度にいろいろやはり硬直的過ぎる、いろいろな選択肢を教育を受ける側にも与えていきたいと。  そういう意味で、今まで言ってきたことがおかしいのではなくて、違ったことを言うのがおかしいのではなくて、むしろそういうものを前進させるというふうに是非とらまえていただきたいと思っておりますし、また、今先生から御指摘いただいたんです。不登校児、それからLD、学習障害児、この子たち、NPOなんかでも随分やってくれています。しかし、なかなか教育関係でもうまくいかない、そういうところでもやはり特別こういう免許状を使ってそういう子供たち、この子供たちは決して、単に義務教育には乗れない、しかし才能は物すごくあるんです。こういう子たちをやっぱり伸ばしてやれるような人たちを採用されるようにしてやりたい。  それから、一般の国公立、公立でも、その地域でその地域歴史あるいは史跡といったようなものをやはりこういうもの、方法を使って、非常に詳しい人、奈良・斑鳩の里なんかでも出てくるんだと思いますけれども、こういうものをやはり自分たち地域の、ある意味誇りとして伝え、語り伝えてやれるような状況というのも作り上げて、それぞれの学校の個性、特色というのはそういう意味も含めて言っておるのでありますけれども、そういうこともできるようにしてあげていきたい。そういうことが私の河村文部大臣と交渉した一番の動機であります。
  86. 吉川春子

    吉川春子君 特別教員免許状、今都道府県で与えられて、授与されておりますが、この実績について数字だけ、時間がないので数字だけお示しいただきたいと思います。
  87. 樋口修資

    政府参考人(樋口修資君) この特別免許状は昭和六十三年度に制度が創設されましたが、平成十六年度におきましては、現在、延べ百十三件が特別免許状として授与されております。
  88. 吉川春子

    吉川春子君 八九年から二〇〇四年まで百十三件、四十七都道府県で。東京なんかはもうゼロ、ゼロ、ゼロ、ゼロ、もう見てもゼロ、ゼロ、ゼロ、ゼロ。だから、この特別教員免許状というのは定着しない、歓迎されない制度だったんですよ。それを、都道府県の授与でも歓迎されないものを、今度は市区町村でも与えるということに変えて、しかも今、金子大臣では、何か障害児教育から何から、バラ色の教育をこの特別免許状の教員でもってやっていくと、そういうような御発言でしたけれども、私は到底納得できません。  障害児の問題とか学力の遅れとか、もう文部省を挙げてというか、教職員挙げて全力で取り組んできて今日に至っているわけです。それは私たちから見ればいろいろ批判の点もあるけれども、その努力を進めているときに、全く今まで定着もしないような都道府県の特別教員免許状を今度は市町村が権限を、授与すると。こういうことで、一体何を考えているのか。私は、これは特区の担当大臣が悪いというより、文部省、もっとしっかりしなきゃ駄目じゃないかということを強く申し上げたいと思います。  それで、特に特別教員免許状でこんなに歓迎されなかった理由は何なんですか。歓迎されてもいないのに、今度更に下のレベルの、レベルというか、規模がですよ、その市区町村に授与権限を与えるという、これは文部省めちゃくちゃじゃないですか。もっと、今までやってきたことの結果はどうだったのか、それを検証して、審議会でも開いて、そして労働組合なり現場の先生の意見も聞いて、定着しなかった理由とか、じゃどうすれば、こんなものは廃止した方がいいということなんですけれども、それを更に制度としてはもうちょっと規模を下へ下ろしていくということは到底、文部省のやることなんだろうかと思いますが、その点について反論ありますか。
  89. 樋口修資

    政府参考人(樋口修資君) 先生御案内のとおり、教員養成というのは基本的には大学において行われることが原則でございますが、こういった教員養成系の大学を通じて教員になる道だけではなく、やはり優れた社会人でも実務経験を持って、教職に必要な知識、技能を持った方を幅広く受け入れて、そういう教員の多様な構成によって学校を活性化していくということもこれからの時代には必要になってくるであろうというふうに考えているわけでございます。  この特別免許状の授与がなかなか進まない理由としては、これは学校側の事情といいますか、いわゆる採用側の事情といたしましては、全体として児童生徒数が減少する中で教員採用数が減少してきたと、そして教員構成の全体のバランスを考えると少しでも若い人を採用する志向が基本的に教育委員会の側にあったということと、教員免許状を有する社会人がかなりの数いるということで、あえて教員免許状を持たない社会人を正規採用するニーズが一般的には必ずしも大きくなかった等の事情があってこのような数にとどまっているわけでございますが、他方、私ども、制度上もやはりこの特別免許状に有効期限があった、あるいは学士要件等があったということで、こういった要件についてはできるだけ使い勝手がいいように有効期限も撤廃することによって、十六年は前年に比べて六十件増加をしてきているという状況にあるわけでございます。  今特区でも市町村単費で教員任用事業が進んでおります。十八地域で行われ、ふるさと学習、郷土学習、地域にふさわしい様々な特色学習が行われているわけであります。そういった地域においては、基本となる教員については大学の教員養成課程で学んだ方々を教員としてお迎えしつつ、他方、そういった郷土学習やふるさと学習を推進する上で、市町村が教員免許を特別免許状としてお出しして、そういった社会人が学校現場で活躍いただくような場所作りも、これも一つの選択肢として考えていくことは私は意義のあることであろうと思っておりまして、特区でそういった試みを今回お認めしようとするものでございます。
  90. 吉川春子

    吉川春子君 六十件増えたんだと、終身にしたら。その内容は、例えば埼玉県でかなりの数、六十件の中のかなりの数を、増えた理由は、養護学校の自立支援教員と言われるものがほとんどですね。これは、重度の障害者、障害児に対して、たんの吸引とか、栄養を必要とする子供たちに看護婦さんの配置は必要なことなので、そういうことを今までやってきた。今回、特別教員免許という形で与えて看護婦さんを採用したわけなんですけれども、私は、これは必要な職員だから看護師、看護師としてちゃんとそれは採用すればいいことだと思います。  その結果、埼玉ではどうなったかというと、教員の定数の中で採用していますので、教員の定数、従来の教員の定数は減っちゃったわけですね。だから、そういう点でまた、養護学校における教師というのは、特別な指導能力とか経験とかいろんな面が要求されるわけで、非常に重要な子供たちの指導に当たっている。その定数の中で看護師さんを採用したからそういう形になっていて、現場からはまたそれは大変困ったことだと。困ったことというのは、教員の定数が減っているわけですからね。看護師さんたちのその役割は必要だから、それはそれできちっと採用すればいいんであって、別に特別教員免許状を与えて教員の定数を減らして採用するという、そういうやり方ではない方がいいわけですね。それをもって大幅に件数が増えたんだというふうに文部省は今言われたけれども、それは当たらないということを私は指摘しておきたいと思います。  それで、今言われたように、教員の採用人数がもう本当に減っているわけですね。私は、三十人学級とか、もっと教員の採用を増やしていくべきだということをも考えますが、それは別の機会にやるとして、教員になりたいということで一生懸命大学で勉強して、教職課程も取って教員免許を持っている有為の若者たちが、多くが採用されないでいる、こういう現状が一方ではあるわけですよ。そういう人たちだって、非常に人材もたくさんいるし、地域の特色ある教育だってできるし、正に教育方法を学校教育の中、大学教育の中で学んできている人たち、そういう人たちをきちっと採用する、そのことこそが今文部省に求められていることだと思います。  その若者たちを、教員を目指す若者たちをもっと積極的に採用してもらいたい、そしてその人たちに教育の場で働かせてもらいたい、そのことを強く要望しますが、この点について文部省はどう考えますか。
  91. 樋口修資

    政府参考人(樋口修資君) 御案内のとおり、教員の養成は大学において行われるということで、この間、児童生徒数の少子化の傾向もございましたが、私どもも、教職員定数の改善計画に基づきまして、少人数指導等が各学校で行われるような定数の加配等を今逐年的に、この整備計画を途上でやっておるわけでございます。そういった中で、教員採用者数もここ数年間ぐっと上向きになってまいりまして、一万七千名程度の方々が教員として採用されるに至っていると。  教員の、やはり基本はあくまでも大学の養成によってこれは供給されるであろうと。ただ、私どもはやはり教育ということを考えたときに、そういう共通の基礎教育と同時に、やはり個性的で特色ある教育もまた教育の世界では大切であろう。その意味で、優れた社会人で実務経験を持った、知識、技能を有する方々を幅広くお迎えして学校を活性化するということもこれからの教育の課題であろうと。そういった意味で、私どもは、今回の特区認定事業についても、意義のある試みとしてこれをお認めをしてやっていただこうというふうに至ったわけでございます。
  92. 吉川春子

    吉川春子君 最後に、文部省は、教育の基本、自分たちのやるべき本来の仕事ということを絶対に見失ってはほしくないわけです。特区というような、経済の活性そして規制緩和、こういう理念の下で進められている問題に、本来、教育も医療もなじまないわけです。そういう本来の自己の責務を文部省も厚生労働省も見失わないように、きちっと教育、医療の面で国民に対する役割を果たしてほしいということを要望して、質問を終わります。
  93. 和田ひろ子

    委員長和田ひろ子君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時四十五分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  94. 和田ひろ子

    委員長和田ひろ子君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、構造改革特別区域法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  95. 松井孝治

    ○松井孝治君 民主党の松井孝治でございます。先日の本会議代表質問に引き続いて、論点について議論をさせていただきたいと思います。  まず、この特区で株式会社立あるいはNPO立の学校というものが今回認められることになりました。代表質問でも御質問をさせていただきましたが、そういう道が開かれたこと、私、評価を率直にさせていただきたいと思いますが、ただ、残念ながら今の制度では、この株式会社あるいはNPOが運営する学校について私学助成が行われません。これについては代表質問でもイコールフッティング論、議論をさせていただきました。この委員会で前鴻池大臣からも明確な答弁をいただいております。これに対して文部科学省の方の見解は、公の支配という点を議論しなければいけないということであったと思います。  この委員会において既に、今日もおいでいただいておりますが、内閣法制局からも御見解をいただいた上で議論を引き続き続けさせていただいているという認識で私はおりまして、内閣法制局も、従来のような公の支配、憲法上の公の支配を構成するために、従来であれば幾つかの要件があり、それを総合的に満たしているから今の私立学校については私学助成が行われても憲法上問題ない。しかしながら、この特区で認められた株式会社立の学校あるいはNPO立の学校について言うと、その公の支配が必ずしも今の制度的枠組みでは十分満たされない。しかし、それは前回、前回といいますか、以前の委員会で法制局にも御答弁を求めましたけれども、しかるべく法的な手当てをしていけばその公の支配というものが構成される余地というのは十分にあるという御見解をいただいたと思っております。  そこで、まず、これ、今日は副大臣もお見えでございますが、文部科学省としても検討しておられると思うんです。その検討の状況で、これ、どういう要件が満たされれば公の支配が構成されるのか。従来でいうと非常に分かりやすく、その法律でなければいけないということではないと思うんですが、従来は学校教育法と私立学校法と私立学校振興助成法、それぞれがそれなりの規制、枠組みがありまして、その三つが、基本的に三つの要件が満たされていればそのトータルとして公の支配が構成されるという判断をこれまで文部科学省されてきたんだと思います。  私、法制局に以前伺いましたのは、その中で学校教育法上の扱いは、これはもう今特区でもなされているわけでございますし、特区法でも法的支配、法的な措置が一定程度なされているわけですから、私立学校法、これは最後解散までさせるという担保が私立学校法ではあるわけですが、そこまでなくても、私立学校振興助成法上の手当てがなされれば、これは学校教育法と私立学校振興助成法、そしてこの特区においての法的手当ても含めてみれば公の支配というものが構成し得るんではないか、必ずしも私立学校法に規定されているということが公の支配の絶対的な条件でない、代替する条件はあり得るというような議論をさせていただいたと私は理解をしております。  改めまして、文部科学省の方からせっかく副大臣お見えでございますから、私のそういう理解でいいのか。あるいは、文部科学省としては、従来のその三点セットが一点でも崩れたら、これはもう私立学校、あるいは学校法人ではないですけれども、こういうNPOあるいは株式会社立の特区認定された学校に対する補助はできないのか。従来の文部科学省のスタンスからいろいろ議論をもうしていただいていると思うんです。多少なりとも前に進んでいるのか進んでいないのか。その点、副大臣の方から、政治的なスタンスを含めて、委員長、これは副大臣に私は答弁を求めていますから、副大臣から御答弁いただきたいと思います。
  96. 和田ひろ子

    委員長和田ひろ子君) 原田文部科学大臣。  副大臣、いかがですか。答弁、質問者が副大臣と言っています。
  97. 原田義昭

    ○副大臣(原田義昭君) ただいまの件につきまして今いろいろと省内でも検討しておりますが、具体的には担当部長から答えさせます。
  98. 松井孝治

    ○松井孝治君 時間が限られておりますので、それでは、むしろまた後で局長の方から、政府参考人の方からもお答えいただくこともあろうかと思いますが、ちょっと別の観点から伺いたいと思います。  今、いわゆる百二条校というのがございますね。これは、私の理解では、これは政府参考人にお答えいただければいいんですが、学校法第百二条に規定する学校というのは、これは私立学校法の適用を受けていないという理解でよろしいですか。
  99. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) 委員指摘のいわゆる百二条校、百二条園、幼稚園が多いものですから百二条園と言うこともございますが、これは学校教育法上の特例として認められるものでございまして、学校教育法制定当時、幼稚園で申しますと、多くのものが比較的小規模であったことでございますとか、質的充実よりも量的普及が期待されていたという背景を踏まえまして、学校教育法に特別な規定を持ちまして学校法人によって設立されること以外の設立形態を当分の間認めたものでございます。設置形態が学校法人以外でございますので、個人立でございますとか宗教法人立等があるわけでございますが、原則的に学校法人について規定する私立学校法は適用がない、原則としてないという制度でございます。
  100. 松井孝治

    ○松井孝治君 今おっしゃったように、私立学校法の適用はない。従来、公の支配の構成要件の大きな一つの柱、三本柱の一つと言われていた私立学校法の適用がないわけであります。  これ、内閣法制局から部長お見えでございます。この私立学校法の適用がない。従来は、その三本柱、三つが相まって公の支配を構成するから私学助成は憲法違反ではない。私は憲法違反だということを言っているわけじゃないですよ。私学助成は憲法に合致しているというふうに思いますけれども、しかし、その三本柱が相まって公の支配がある、だから憲法違反ではないんだという説明があるんですが、この百二条校について言うと、その三本柱の一つの私立学校法の適用がないわけですね。しかし、私学助成が事実上、実際行われているわけですよ。私もリストというのを持っています。何年にもわたって私学助成が行われています。  確認したいんですが、この状態は憲法違反ではないですか、あるいは公の支配というのは働いているんでしょうか。
  101. 山本庸幸

    政府参考人山本庸幸君) お答え申し上げます。  学校法人以外の場合にありましても、確かに学校教育法百二条の規定によりまして、私立の幼稚園などを設置する者に対しては、私立学校法、そして私立学校振興助成法の附則の規定によりまして助成を行うということが認められております。また、このような助成を受ける私立の幼稚園につきましては、私立学校振興助成法附則二条五項によりまして、助成を受けた翌年度から五年以内に学校法人になることが求められております。  他方、こうした助成を受けます幼稚園に対しましては、公的規制といたしまして、第一に学校教育法による学校の設置廃止の認可、そして学校の閉鎖命令、第二に私立学校振興助成法によります収容定員是正命令、予算変更勧告、役員解職勧告、第三に私立学校法によります報告書の提出請求などの規定が適用されております。  したがいまして、御指摘の問題でございますけれども、助成を受ける幼稚園が五年以内に学校法人になることが求められております関係上、これは言わば過渡的な措置でございますし、さらに加えて、これらの一連の監督規定の適用もございます。そういうことを総合的に勘案いたしますと、このような私立の幼稚園につきましても、なお公の支配に属して、いわゆる合憲的なものであるというふうに言えると思います。
  102. 松井孝治

    ○松井孝治君 百二条校は公の支配に属しており、合憲的だという答弁が今ありました。  今、過渡的だからということが一つの理由になっていますが、過渡的だから合憲なんですか。過渡的であってもなくても、それはその状態が合憲であるかどうか、公の支配に服しているかどうかは関係あるんですか。何年間も私学助成が行われていますよ。過渡的であることは要件なんですか。
  103. 山本庸幸

    政府参考人山本庸幸君) 先ほど申しましたとおり、五年後には法律上学校法人となって私立学校法の監督規定に服するということが前提となっているということを申し上げたわけでございます。
  104. 松井孝治

    ○松井孝治君 いや、ですから聞いているんですよ。その五年間に限定されている過渡的措置だから公の支配が働いているとか、論理的におかしいんじゃないですか。過渡的支配、過渡的状況であってもなくても、その状況が公の支配が働いているのか、その状況がその五年間の状態がもし違憲だと、公の支配が働いていなくて違憲だというんなら、それは過渡的であろうとなかろうと、違憲は違憲だし、公の支配が働いていないんなら働いていないんじゃないですか。明確に答えていただけますか。
  105. 山本庸幸

    政府参考人山本庸幸君) 少しこれは例が違うかもしれませんけれども、例えば新たに許可制を導入するというようなときにも、直ちにその許可制を導入する、そういう事情にない場合がありますので、そういうときには一定の過渡的措置を設けるというのもしばしば立法慣行的に行われているわけでございます。  したがいまして、これも一応五年という長期にわたるわけでございますが、その間そういう規制を働かさなくとも必ず五年後には学校法人となるということが前提とされて、そういう公的規制に服するということが前提になっているわけでございますから、そういうことを総合的に考えますと、これは相対的に見て公の支配に服しているというふうに解していいものと思います。
  106. 松井孝治

    ○松井孝治君 いや、今のはね、ちょっと答弁で私は理解できないですね。  というのは、その五年間私学助成が行われて、実際にその五年後、学校法人になっていないものもあるんですよ。じゃ、それはどういうふうに整理するんですか。それは私学助成は返還を求めるんですか。  いずれにしても、過渡的であるかどうか、将来私立学校法の適用に服するということが前提となって公の支配というものが判断されるというのは、やっぱり法的にはおかしいんじゃないですか。
  107. 山本庸幸

    政府参考人山本庸幸君) 私ども一応、いろんな法制を考える場合に、あらゆる規定を総合的に勘案するとよく申し上げているわけでございまして、結局これは五年後には公的規制に服するということでございますし、その間の過渡的な措置ということはしばしばよく立法慣行的にあるわけでございますので、そういう面からいっても、これは決して問題となるようなものではないというふうに理解しております。
  108. 松井孝治

    ○松井孝治君 いや、ここでずっと法律論争していてもしようがないんで。  私はこれが問題だと言っているわけじゃないんですよ、誤解がないように。むしろ、先ほど部長が御答弁の中でおっしゃったように、総合的に見て私立学校法の適用がなくても公の支配が働いているというふうに判断されるという可能性はあるんじゃないですかと。要するに、学校の解散命令まではなくても、いや閉鎖しなさいという命令はできる、あるいは人的にあるいは財政的に、国又は地方公共団体の一定の支配下にあるということをもって、ほかの要件が整えば、この私立学校法の適用はない法人であったとしても、十分に公の支配に服しているというふうに判断される余地はあるんじゃないですかという意味で私はお伺いしているんですよ。  ですから、今の私はこの百二条校に対する私学助成が問題だとかいうことをここで議論しているわけではないんです。ただ、百二条校に対して私学助成がしている、そのバランスで見れば、私立学校法の適用でなければ公の支配に服さないというのは明らかに言い過ぎなんじゃないかなと、法的にですね。  以前、正に部長がこの委員会において、そこは必ずしも私立学校法の適用がなくても、そうはおっしゃっていませんけれども、例えば学校教育法の適用がある、そして特区法の、何条でしたかね十何条の規定がある、そして例えば将来この特区法の手当てで私立学校振興助成法上の手当てがなされて公の支配というものが、今の特区法における株式会社立やNPO立の学校よりもそこの公の支配が強まった場合に、総合的に判断して、仮に私立学校法の適用がなくても公の支配を受けるというふうに解釈し得る余地があるんではないかと、それを私はお伺いしているんですが、その可能性があるのかないのか。それは当然、どういう具体的な規制が掛かるのかということによって変わってくると思いますが、私立学校法の適用がなければ公の支配がないということにはならないんじゃないかと。そこだけ御答弁いただきたいと思うんです。
  109. 山本庸幸

    政府参考人山本庸幸君) 昨年、たしかあれ五月二十九日でございましたか、やはりこの委員会先生にお答えしたわけでございますけれども、そのときには学校教育法、私立学校法、私立学校振興助成法による三つのその規定が総合的にあって初めて公の支配に属しているというふうに御答弁したと記憶しております。  今、その中で先生が二番目の私立学校法による、とりわけ学校法人の解散命令がないとどうなるかということでございますけれども、私ども、そういう場合には現実にその法案を提出いただいた段階で、その法律の改正案が中においてそういう解散命令という制度はないものの、それに代わる何らかの例えば代替措置があるということであれば、それはいろんな諸般の事情等も加えまして、それは十分に検討の余地があるというふうに考えております。
  110. 松井孝治

    ○松井孝治君 正にその点をお伺いしたかったわけでございます。要するに、いろんな要件、私立学校法の適用がなくても、要するに解散命令までは出せなくても、副大臣ですね、それは公の支配が及んでいるということは、現に百二条校の例を見てもそういうものですし、まあそれは過渡的だという一つの条件が掛かっているということなのかもしれませんが、いずれにしても、私立学校法の適用があるというのが必ずしも厳格な意味での必要条件でない、それに代わる何らかの公の支配が働いていれば検討の余地はあるという御答弁をいただいたわけです。  その上で、副大臣、これ、株式会社立あるいはNPO立の学校について、やっぱり前に、金子大臣もイコールフッティング論をこの前、本会議で御答弁をいただきました。そして、鴻池前大臣もそれはイコールフッティングというのは考えなきゃいかぬとおっしゃっているわけですから、今の御答弁も聞かれて、これ、副大臣の政治的なリーダーシップで、やはりある程度のそれは要件を、少なくとも私が思うのは、私立学校振興助成法の対象にこの特区法を改正してするというようなことを含めて、少しどういう縛りを掛けることによってイコールフッティングで私学助成の対象にするか、その御検討を具体的に事務方に指示して開始されるべきじゃないかと思うんですが、その点いかがでしょうか。細かい法制論は別です。今の答弁、政府側の答弁を聞かれて、検討ぐらいは副大臣の御指示で是非開始していただきたいんですが、いかがでしょうか。
  111. 原田義昭

    ○副大臣(原田義昭君) 今、松井委員の御指摘、御意見でございますけれども、検討の余地は相当あると思います。ただ、併せて、その際には学校法人と同程度の実際上の規制というか縛り、これも併せて必要ではないかと今考えておるところであります。
  112. 松井孝治

    ○松井孝治君 是非検討をしていただきたいと思います。同程度ということで、今学校法人の在り方への規制の在り方自身議論をされているところでございますので、もう全く同じで縛っていたんじゃ特区議論をしている意味がありませんので、そこは是非柔軟に政治的に、今の法制局の御答弁も勘案して、是非政治的リーダーシップで、お役所の方はやっぱり従来の、従来との整合性というのを非常に追求されるわけですから、そこは政治家が少し見直すときには、金子大臣も含めて御議論をいただいて、内閣のリーダーシップで前向きに御議論をいただきたい、そのことをお願いしておきたいと思います。  この学校の問題について、今、NPO立、これも代表質問でも聞かしていただきましたが、NPO立については制約が掛かっているんですね、不登校であるとか。ところが、株式会社、私、常識的に思うのは株式会社の学校参入も認められたんですから、それを否定するわけじゃないんですよ。だけれども、株式会社に比べてNPOの方が、それは営利追求という意味においては、皆さんが随分文部科学省が抵抗があった、学校教育というのを営利追求の場にしていいのかという議論がありましたが、NPOの方がその営利追求性は薄いわけですよ。  ところが、現実にこの特区法で認められているものは、NPOについては具体的なその教育内容に縛りが掛かっている、株式会社はそういう縛りがない。これはどう考えても、ややバランスを欠いているんじゃないか、むしろ最初の御懸念からいえば、株式会社に縛りがあるけれどもNPOには縛りがないというんだったら、まだ多少は私も理解できるんですが、それが逆転している。これはどうでしょうか。  金子大臣、ここの点についての普通の、一般の方々の感覚からいっても、これは何かちょっとあべこべというか、別に株式会社に条件付けろという意味じゃないですよ。だけれども、NPOの条件というのは、教育内容の条件というのは、あるいは教育対象の条件というのは、これは撤廃するべく検討すべきじゃないかと思うんですが、金子大臣、いかがでしょうか。
  113. 金子一義

    国務大臣金子一義君) 松井先生指摘のように、更に範囲を広げるのは当然ではないかと。  私、その点で河村文科大臣と相談させていただいております。ただ、その提案が、松井先生、出てきましたのが、いつ出たのかな、一か月前。前回の提案で出てまいったんです、広げたいというのが。それで、やはり認めるからにはやはりこれまで具体的に御提案、ずっとあったところというのはそれだけの多少教育実績というんでしょうか、また父兄の評価というんでしょうか、そういうものがかなり積み上がっていると。今度手が挙がってきましたのが、実態が、もう少し担当大臣の私としてもどういう教育をやるのか、それからこれを協議する河村文部大臣も、どういう実態の人たちがやっておられるのだろうか、やっぱりここは子供の教育を預けるわけですから、私たちもしっかり見させていただきたいと、そういうことで前回の御提案はできなかったんです。しかし、その直後に河村大臣にも出席をしてもらって、私と河村文部大臣と、また皆さん方のお仲間もおいでになられましたけれども、そういう方々との会合をやらせていただきました。  やっぱり、教育の、子供を預ける教育の問題でありますので、そういう意味で、前回はパスということになりましたけれども、できるだけ実現をさせて、そして不登校、LDだけでない分野にも広げていきたい、私自身はそう思っております。
  114. 松井孝治

    ○松井孝治君 是非、その実態を今、最近になって把握され、いろいろ意見交換をされたので、その実態を踏まえて、今までは必ずしもその実態がよく分からなかったし、具体的な提案まで把握しておられなかったということ……
  115. 金子一義

    国務大臣金子一義君) いや、なかったんです。
  116. 松井孝治

    ○松井孝治君 なかったと。だけれども、今、そういう方々ともコンタクトを持たれて、これから河村文部大臣とともにそういう方々の御意見も聞いた上で、実態把握をした上で、そして前向きに御議論いただくということと理解してよろしいですね。一言だけ、それでいいかどうか。
  117. 金子一義

    国務大臣金子一義君) そのつもりで進めております。
  118. 松井孝治

    ○松井孝治君 それは前向きな答弁をいただきましたので、ありがとうございました。  この学校に絡みましてもう一点お伺いをしたいんですが、昨年九月に学校の公設民営ということが本部決定をされています。たしか、その本部決定上は昨年中、その決定文は今年中と書いてありましたが、要するに昨年の決定ですから、昨年中に結論を得た上で必要な措置を講ずるということでしたから、当然、昨年結論を得て、今年の法案にそれに対応したものが出てくるんだろうなと私、思っておりました。  そうしたら、今回の法案見させていただいたら、その部分がなかった。で、文部科学省にお問い合わせをしたら、いや、結論は得たんですと。確かに、中教審で開いて議論をされていますね。幼稚園とか高校については公設民営というものについてこれはもう認めるというふうに結論を得ておられるにもかかわらず、この法律の中に入っていません。  こういう場合、いろんなケースが考えられるんですが、ひょっとしたらいろいろ議論があって法的に、私、最初聞きましたのは、法的にこれちょっとまだ詰まっていないんですという話を聞きましたから、これは、内閣法制局って非常に法律論厳しいところですから、内閣法制局文部科学省が、結論は得たんだけれども、法律的にこれは通らないということで倒れちゃったのかなと思いまして、内閣法制局にちょっと確認をしたんですけれども、必ずしもそういうことではないと、事務的には、私、御説明をいただきました。  せっかく法制局の部長がおいででございますから、法制局として、文部科学省は公設民営、幼稚園と高校について認めるという結論をしたけれども、法案の段階で審査をされて、いや、これは法的におかしいということで止められた、そういう経緯はございますか。
  119. 山本庸幸

    政府参考人山本庸幸君) 公設民営学校につきましては、文部科学省の方から具体的な法案としての相談は受けておりません。したがいまして、内閣提出法案としての法制審査もしていないということでございます。  ただ、法律案の審査ということではございませんけれども、文部科学省において中央教育審議会の場で公設民営学校の在り方を御審議されたというその過程におきまして、事務的に文部科学省の方から審議の概要についての説明を承ったということはございます。  その際に、公設民営学校というものの実現の方策にはいろんな方式があると思いますので、例えば、公立学校教育と自主的な建学の精神を前提とする私立学校教育とのその教育制度上の整理の問題など、いろんな点を整理された上で制度の立案をしてくださいというふうには御助言を申し上げたことはございます。
  120. 松井孝治

    ○松井孝治君 いや、その御助言は正当な御助言ですよね。当然、公立学校ってあるわけですから、公教育として何が必要で私学に何が必要かというのは、当然、文部科学省としては当然今の御指摘、アドバイスに対してしかるべきお答えをされたんだと思うんですが、文部科学省はそれに対して、少なくとも昨年中に、いや、幼稚園と高校についてはやるんだという判断をされているわけですが、これ政府参考人で結構ですけれども、今の法制局の御指摘に対してどうお答えになられたんですか。
  121. 樋口修資

    政府参考人(樋口修資君) お答え申し上げます。  昨年、中央教育審議会で、幼稚園と高等学校について公設民営についてこれ実現するという方向での結論をいただきまして、私どもそれを受けまして、法制的な準備を進めようということで、内閣法制局にも私どもの事務局の事務的な案文をお示しをしながら御相談をさせていただいたわけでございます。  しかし、その過程で、私どもが当初予定しておりました指定管理者制度、公の施設を民間に委託するスキームでございます指定管理者制度を活用してこれを制度化を図ろうと思ったわけでございますが、この管理者制度については、ハード、いわゆる箱物を想定しておって、こういう教育事業のようなソフトウエアについての管理委託は一般的に想定されていないんだと。その意味で、この指定管理者制度の活用についてはやはり疑義があるという御指摘を受けたものでございます。  また、そういたしますと、私どもとしてはこれ以外の制度によって包括的な委託が何とか可能とならないのかということで御相談を申し上げたわけでございますが、本来、公が行うべき処分性のある行為を、教育活動、公立学校の場合はそういった処分性のある行為が、例えば退学処分とか停学処分等もございますれば、卒業認定、進級、現級留め置き、様々な教育措置、処分があるわけでございますが、こういったものを私人に委託することが可能かどうかについてもいろいろ厳しい御指摘を受けたわけでございまして、私ども、なおこの公立学校を民間委託する際の法制上の課題があるというふうに感じまして、更に慎重な検討が必要ということで今回この措置を見送ったことになったわけでございますが、当然、これは私ども構造改革特区についての提案趣旨を最大限実現するために、法制上の課題をどういう形でクリアして、どのような方法でもって対応すべきなのか、その実現に向けた検討を私どもとしてはさせていただきたいと、引き続きさせていただきたいと思っているわけでございます。
  122. 松井孝治

    ○松井孝治君 今のお話を伺っている限り、そういうものを法制上の課題と言わないんじゃないですかね。そもそも本質的に、高等学校とかあるいは幼稚園という義務教育でない部分について、公教育の部分と私学の部分とを、そこをどう判断するのかという、正に実質論、政策論そのものではないかと思うんですよ。  今おっしゃったようなことだとしたら、どうしてそれで昨年中に高校と幼稚園を、いや、これ包括的な管理運営委託を民間にするということですよね。今のおっしゃった話だったら、そもそもそこについて整理ができていないんじゃないですか。これは法律論じゃなくて、公教育というのは何であって、それを民間に委託していいのか、包括的に委託していいのかどうか、正に本質論ではないですか、今のお話は。これは法制論ではないと思いますね。  私は、法制局がそういう意味では法制的に困難だとおっしゃったというよりは、公教育と私学についての区分、特にそれは義務教育以外についてどこを、公教育、教育が何をやらなければいけないのか、どこの部分は公教育でなければいけないのかということについて、今のお話だとそもそも論の整理が行われていないんじゃないかと思うんですが、これ副大臣ですね、テクニカルな議論はいいですけれども、こういうことだったら、しかるべくもう一度この本部決定の在り方も含めて議論をしないと、これテクニカルに文部科学省に法制的な議論を残しているということで詰めさせているんじゃ、前に進まないんじゃないんでしょうか。
  123. 原田義昭

    ○副大臣(原田義昭君) おっしゃるように、この政府方針の中に、公立学校の民間への包括的な管理運営委託については、高等学校、幼稚園を対象として検討し、今年中に結論を得ると、昨年のことであります、その上で必要な措置を講ずると。法律的な検討状況は、法制局ないしは今事務当局からもお話しになったところであります。御指摘のように、検討はしておるところであります。  公設として作る以上、当然、教育理念、その精神論も含めまして公的な態度をきちっとその学校設立のときに作り上げるわけでありますが、ハードウエア、建物とその精神的な部分、それをそっくり包括的に委託してしまうんでは、何のためにじゃ公的なものを作った意味があるかというような議論が常に付きまとうわけでございまして、そういうことも含めて、ただいま検討は進めておりますけれども、十分な結論を得ていないと。  しかし、御指摘いただきましたように、非常に大事なことでありますし、昨年の政府の案の中にもきちっとそのことが議論されておりますので、できるだけ早くその結論を急ぎたいと、こういうふうに考えておるところであります。
  124. 松井孝治

    ○松井孝治君 私は、念のために申し上げておきますと、教育というのは非常に大事な分野だし、私学助成を例えば削れとかそういうことを言っているわけでもないし、何でもかんでも民間に開放すればいいということで言っているわけじゃないんです。ただ、少なくとも昨年に本部決定をして、これについては結論を得ると書かれていて、しかし、そもそも論の、今のようなそもそも論を残したまま取りあえず幼稚園と高校はやりますと。これはやっぱり教育関係者から見たら、何の議論をしているのかと、やるのかやらないのかどっちなんですかと、そんなにいい加減に議論をしているんですかということになりかねないと思うんですよ。  やっぱりそこは、これ、文部科学省もしっかり議論していただければいいですけれども、事は本部決定にかかわることですし、本部決定に基づいて文部科学省が結論を年末に、昨年の年末に出されたことなんです。こんなことじゃ本部決定の重みも何もないですし、これはもう一回やり直すんならやり直すでいいですけれども、しっかり議論をしていただきたいと思うんですが、これは金子大臣なり佐藤大臣から、特区担当の立場から、こういう議論のやり方で本当にいいのかどうか、その見直しも含めてきちっと御答弁いただきたいと思うんです。
  125. 佐藤剛男

    ○副大臣佐藤剛男君) 何か、松井先生、また内閣法制局山本部長、また私の隣の原田副大臣、かつて一緒の省で、四人で通産省でお互い仲間でございますが、そんなことはさておき、過去の本部においてやり、そういう検討する、その十四年の部分というのがなされてれば十五年に反映してくると、こういう御指摘の点だと思います。  それで、それでやるということの中で検討すると出ているんですね、これ、御存じのように。ですから、これに向かってただいま原田副大臣がおっしゃられた方向で進めていく。それにはこれから、大臣、午前中にも答弁されましたが、評価委員会というのも含めてやります。だから、いろいろとそういう教育問題等々実現できないような部分の問題も当然触ります。ですから、そういうようなことも含めてあらゆる機会があるわけでありますから、権威の失墜がないように善処していきたいと思っております。
  126. 松井孝治

    ○松井孝治君 是非しっかりと議論をしていただきたいと思います。  大臣も、こういうのは、一度決定して後は事務的なことだというふうに、大臣もお忙しいですから、いろんな御担当を持たれて、どうしても上がってくるのを待っておられると本質的な議論がそのままになって前に進まないというケースがありますんで、そこはしっかりと政治的にリーダーシップを発揮していただきたいと思います。  時間がなくなりましたので、本当は予定していた質問がほかにもあるんですけれども、少し飛ばしまして、これは外国人の医師の問題。以前もこの委員会で私、させていただきましたが、これは必ずしも特区という問題ではありませんが、これは、金子大臣規制改革全般も御担当しておられますので是非伺いたいんですけれども。  外国人の方で日本の医師の国家試験を受けられた方が、これが医師として就業できる、医師としての医療行為を行うというのが、今の法律上、これが離島、へき地に限られている。これ、日本の医師の国家試験ですよ。それが、外国人の方で、しかし日本の資格を取られて、相互の受入れということではなく、日本の試験を受けられた方が、これは離島、へき地でしか診療できないらしいんですよ。これはどう考えてもこの国際化の時代に、いや、お互いの制度の受入れということであれば相互主義の問題もあります。これは、前回、規制改革で一歩前進されました。まだ不十分な部分はあるということでこの委員会議論させていただきましたが。しかし、日本の試験受けて、しかしそれは、医療行為は山間へき地でなければ行えない。申し訳ない。そういうところにも外国人の方いらっしゃるかもしれませんが、やっぱり言葉の問題その他があって、本当に外国人の方の治療を必要とする、外国人の医師の治療を必要とする方はむしろやっぱり都心部とか人口集中地域に多いと思うんですが、そういうところでは、これ、日本の国家試験受けても治療行為が行えない、医者が。  これはちょっと、どういう経緯でこういうことになっているのか分かりませんが、何か法務省の規制だということで法務省に伺いましたら、法務省としてはどっちでもいいとは言えないけれども、事実上は厚生労働省と調整をしながら物事を進めなければいけないんで、厚生労働省の方からそこはなかなか難しいと言われているということなんですが、これ、規制改革担当大臣として、こういうことは、どういう根拠でこういうことになっているのか。これは規制改革の会議の方でも議題になっているというふうには伺っているんですけれども、これはどういう状況なんでしょうか。
  127. 岩尾總一郎

    政府参考人岩尾總一郎君) それじゃ、ちょっと私の方から現在までの事実関係を御説明させていただきます。  先生指摘のように、外国人の在留資格ということで、おっしゃるような離島、へき地での診療、あるいは六年間に限って大学病院とか臨床研修病院でできるという現在ルールになっています。こういうふうになったというのは、毎年、今医師は七千人卒業しております。人口増に比してお医者さん毎年毎年七千人出ている、国内で出ているわけですから、今後も医師の供給過剰の問題が出てくるという中で、一般的にこういう方々を受け入れる状況にはないんじゃないかということです。  具体的な数字で申しますと、現在、医療ということで、医師、歯科医師等々ですが、平成十四年度で外国人登録は百十四人でございます。で、外国人医師が平成十四年で二千四百七十三人いるということは、多分こういう方々が例えば日本人と御結婚なさるとかあるいは永住者の配偶者としてなるとか、いろんな理由で増えてきた部分もあるかと思うんですが、私ども基本的には、今言いました国内の医師七千人毎年増えるという中では、一般的に受け入れられないと思っています。  ただ、外国人向けに医療の提供が必要じゃないかということでございますから、それにつきましては、幾つかの国との口上書を交わしまして、外国の学校、これは国内の学校じゃございません、外国の学校を卒業した外国のお医者さんがいわゆる日本人でない外国の方を診療するというような限定的な形の受入れというものも現在ございます。  それから、規制改革会議、担当大臣がおられますが、今年の三月に規制改革・民間開放推進三か年計画というのの中で決まりましたことが、FTA交渉において合意した場合、医療分野の我が国の国家資格を取得した外国人に対する就労制限の緩和を図るということを言われておりますので、私ども、この医師の受入れというのがFTA交渉の具体的な議題となった場合には、相手国との間で関係各省と十分に協議していきたいというふうに考えております。
  128. 松井孝治

    ○松井孝治君 FTA交渉ということではなくて、相互主義のをどこまで広げていくかということはこの委員会でも議論させていただきましたし、そこも私はもう少し見直していただいたらいいんじゃないかと思いますが、そのことを超えて、私、この話を聞いてちょっとびっくりしたんですよ。  日本の国家資格を受けておられるわけですよね、その方々は。今のお話だと、いわゆる医師の需給調整ですよね。それで、日本の国家試験で受けて資格を与えておきながら、その方々は、需給上、医者が過剰だから、山間へき地は認めるけれども、医者が足りないところは認めるけれども、普通の、それ以外のところは認めないというのは、これ大臣、今聞いていただいて、済みません、大臣に通告しておりませんでした。ただ、今聞いていただいて、これは是非、今もう私の持ち時間ほとんどありませんので、是非これは議論をしていただきたい。  やっぱり、そういう国でいいのか。それだったらそれでまだ、医師の国家試験をどれぐらい絞り込むのか、そういう議論をするんなら分かるけれども、日本の制度を外国人が受けられるわけですよね、受けさせておいて、しかし外国人であるからという理由で、それを山間へき地でしか治療してはいけないと。これはちょっと私は、日本の国の在り方として、そのお医者さんの需給の問題を、一切国が需給調整やめろとまで私言いませんよ。それはいろんな問題もあるでしょう。だけれども、ちょっと今の議論は、FTAで合意すればそこの部分は山間へき地という条件を外してもいいよということだと、やはり国の在り方が私は問われると思いますので、これ大臣、この問題について今後御検討いただけるかだけ、その点だけお答えいただきたいと思います。
  129. 金子一義

    国務大臣金子一義君) 規制改革・民間開放推進会議の中で、議題として、私責任持って取り上げさせていただきます。
  130. 松井孝治

    ○松井孝治君 是非よろしくお願いをいたします。  最後に、もう私の時間があと五分ぐらいしかありませんから、ひとつこれ、代表質問でも取り上げさせていただきました。これは、例えば北海道なんかが提案されているものでございまして、条例による政省令の上書き法というようなものを作ったらどうかという提案があります。  これは別に包括的に、私も、さっき副大臣からおっしゃっていただいたように昔、霞が関におりましたから、包括的に何でもかんでも政省令をすべて条例で上書きをしろなんという、そんな乱暴なことを言うつもりはありません。ただ、町づくりであるとか、具体的に法律の、いろんな規制がありますが、その条文ごとに、ここの部分は政省令にすべてゆだねなくてもいいんじゃないか、ここの部分の運用基準は、この政省令という部分は、条例があったら、その地域の住民が議会において議論をして、基準を作って、そしてその基準で運用したいというものについては、個別に法律によってそれを指定して、むしろ地域の運用基準を優先するというような、そういう法律があってもいいんじゃないかということを私は提案しているつもりなんです。本会議でどこまで御理解いただいたか分かりませんが。  それで、ちょっと副大臣の前に法制局、こういう法律は、こういう法律を作ることは憲法九十四条の規定、要するに法律の範囲内で、地方公共団体が法律の範囲内で条例を制定することができる。私は、その憲法九十四条の規定は、それは最終的な憲法判断はその法律の条文を見てみないと分からないということですが、私が申し上げたような精神自身は決して憲法九十四条に反するものではないと私は確信を持っているんですが、法制局としてのお立場、見解を一言いただけますか。
  131. 山本庸幸

    政府参考人山本庸幸君) 憲法九十四条によりますと、地方公共団体は法律の範囲内で条例を制定することができるとされております。政省令は、御承知のとおり法律の委任あるいは実施するために制定されるものでございますから、その意味では法律と一体を成すものとして条例に優先する効力を有するというわけであります。  そういう考え方の下で、地方自治法十四条一項においても同様の、普通地方公共団体は法令に違反しない限りにおいて条例を制定することができると規定されております。したがいまして、ある条例が政省令に違反するものであれば、その条例は無効になるということがはっきりと言えるわけでございます。  お尋ねの、まず条例による政省令の内容の、例えば一般的な上書きというものがちょっとどういうものか分かりませんけれども、いずれにせよ、それがその条例の規定によって政省令の内容を直接に改廃しようとするというものでありますならば、今申し上げた九十四条との関係で問題を生ずるものと思います。  ただし、それがいわゆる個々の法律の特性に基づきまして、例えば地域の特性等に応じて地方公共団体が特段の規定を設ける、そういうことを許容することを各法律で認めたりということになりますと、そういう法律が例えば複数あるということになりますれば、そういうものをいわゆる一まとめにいたしまして、御承知のとおり、いわゆる束ね法という形でそういうものを一挙に改正するということも、一応法律技術的には可能でございます。
  132. 松井孝治

    ○松井孝治君 正に私が申し上げたのは、今最後の後段で部長がおっしゃったことなんですよ。ですから、それは法制的に可能だという判断が今法制局でございました。これは恐らく、余り事務的にやるような話ではなくて、これも規制改革の流れで政治的に御判断をいただかなければいけないと思うんですが、私が申し上げたのは、今部長が前段でおっしゃったような、そういう上書き法ということではなくて、後段でおっしゃったような言わば束ね法、ある意味では特区もそういう束ね法でありますが、そういうものを御検討される、あるいは私が申し上げた提案について何らかの場で御検討いただく御意思があるか、副大臣の方から御答弁を伺いたいと思います。
  133. 佐藤剛男

    ○副大臣佐藤剛男君) 私は松井先生のようにシャープじゃございませんので御理解賜りたいと思いますが、私は本会議で上書き権のお話をお聞きいたしました。それで、私なりに、大臣が非常に慎重にもう答弁されておられたのは御存じのとおりでありますが、私は先生のおっしゃっている上書き権というのは、私は法律をあれしていますけれども、条例と法律とはどうだという話にはなるんですね、よく。国家公務員試験でも出る、僕は試験官やっていたんですけれども。そのときにミツマタコウゾ事件なんというのがあった。これは禁止している、地域を。これは全国的にはあれだったというようなことの問題については、これは先生がおっしゃったように地方議会議会のみんなが、住民が代表してきた者が条例作ったんだから、それは条例を優先したらいいんじゃないですかと、こういうふうなものは考え方として通っているんですね。それで、あったわけであります。  それで、今、私、重要なことの、立法政策の問題ではあるんですよ。立法政策の問題ということは内閣法制局が認めるか認めないかの問題ではあるんですが、一つの順序として法律というのは、法律があって、政令があって、省令があって、通達がある。それで、通達が法律を違反するようなのは通達無効ということは御存じのとおりだと思う。それから、政令というのは委任政令と自主政令というのがある。それから省令も同じようにあるんです、委任省令であり何である。  というようなことで、自主省令でありますから、それぞれが一つの法律になっているものを何かどこかで法律で、条例の方でこれやりますよというのは、私は今の直ちの御質問でございましたからお答え申し上げますと、これは立法政策の課題ではありますが、こういう形で特区全体の法律をやることについてどうかは答弁を差し控えていただきたい。
  134. 松井孝治

    ○松井孝治君 時間が参りましたので終わります。  ありがとうございました。
  135. 神本美恵子

    神本美恵子君 民主党・新緑風会の神本美恵子でございます。  松井委員に引き続きまして、私は今回の改正法の中の教育職員免許法の特例措置に絞って御質問をさせていただきます。  今回対象となっておりますこの特別免許状、これまでは現行の教免法では都道府県のみに授与権が認められているものが、市町村教育委員会もこの特別免許状を授与することができるようになるというふうになっております。  一口に市町村教育委員会といっても、人口数十万のところから数千人のところまで非常に規模に格差があると思うんですけれども、そういう規模の小さい市町村で、この特別免許状授与に当たって、これは現行の教育職員免許法においては教育職員検定に合格した者に授与するというふうになっておりますので、当然、市町村教育委員会でこれを行わなければいけないというふうに思います。  この教育職員検定というのは、受検者の人物、学力、実務及び身体について授与権者が行うというふうになっておりますよね。この教育職員検定の基準といいますか、それは教免法の特別免許状のところにございますけれども、これ五条の三項ですね、にありますが、「学校教育の効果的な実施に特に必要があると認める場合において行う推薦に基づいて行うものとする。」ということで、一つは「担当する教科に関する専門的な知識経験又は技能を有する者」、二点目に「社会的信望があり、かつ、教員の職務を行うのに必要な熱意と識見を持つている者」という、こういった観点を基に教育職員検定が書面審査で行われるというふうにお聞きしておりますが、行われることになっています。これを本当に小規模な、一番小さい教育委員会で何人ぐらいですかとお聞きしましたら、十人ぐらいの小さな規模の教育委員会もあるということで、そこの町の、あるいは村の教育行政全般をその十人ぐらいでやっていらっしゃる。  そこで、こういうこれまで都道府県が行っていたような教育職員検定というものが適切に行い得るのかということを私は懸念をしていますけれども、その点についてはいかがでしょうか。文部科学省にお伺いします。
  136. 樋口修資

    政府参考人(樋口修資君) お答え申し上げます。  今回、都道府県教育委員会が特別免許状を授与する基本的な権限を持っておるわけでございますけれども、それに加えて特区において市町村教育委員会に特別免許状授与の権限を付与しようという新しい措置を講ずるわけでございますが、当然これは、市町村教育委員会特区においてこの特別免許状を授与します場合には都道府県が現在行っております特別免許状授与の手続を同じように踏んでいただくということで、今御紹介ございました、教職員免許法に規定いたします受検者の人物、学力、実務、身体についての教職員検定を実施をしていただくと。そこの中で、担当する教科に関する専門的な知識、経験、技能がおありかどうか、あるいは社会的な信望、あるいは教員の職務を行うのに必要な熱意と識見を有するかどうかについて、これはきちんと御審査をいただく必要があろうかと思っております。  その際には、当然書面審査ではございますが、授与権者である市町村教育委員会が教育職員検定の合否を決定する際には、これは教員養成課程を有する大学の学長あるいは学部長、あるいは近隣の学校の校長先生等の有識者の御意見を聴くと、こういうシステムになっておりまして、当然、市町村教育委員会特区事業でこの特別免許状の授与を行うという場合には、そういった免許事務の体制がきちんと整っているかどうかということがポイントになってくるわけでございまして、当然、特区認定を申請される場合には、これは地域にそういう特色ある教育を行いたい、そのために地域で人材を確保したいから特別免許状を市町村に授与権を与えてほしいという願いと、そしてそれを実行するだけの体制が整備されているかどうかについて、市町村教育委員会がきちんと適切に御判断いただいて特区の申請をいただければと思っているわけでございまして、全国三千二百の市町村がおしなべてこの特区事業として市町村教育委員会が特別免許状を授与する、この事業に参画するというものではございませんので、特区における試みとしてまずはお認めをしていこうというものでございます。
  137. 神本美恵子

    神本美恵子君 すべての市町村ということではなくて、今回、特区ということですから、その申請した市町村がそういう、今お話しになったように適切に検定が行い得るかどうかと、実効ある免許授与のための事務も含めて行えるかということも含めて見極めていくというふうに私は受け止めたいと思います。  それであれば、私はなぜ今、都道府県の教育委員会でこういう特別免許状ということができるようになっているわけですから、あえて市町村ごとにそういう特別免許状授与というものをやらなくても、従来の制度といいますか、特別免許状の制度の中でやれるのではないかと思うんですが、そこをあえて市町村でというふうになった理由、もしお分かりでしたら御説明お願いします。
  138. 樋口修資

    政府参考人(樋口修資君) 実際に特区の申請で、東京都の千代田区などからは市区町村の地域性を生かした教育を実施するに当たりまして社会人を学校現場に迎え入れたいと、そのために市町村に特別免許状の授与権を与えてほしいという御提案がございました。私ども、多様な選択肢を用意をしていくと。基本的には、この免許状というのは都道府県教育委員会が授与するものであるけれども、市町村教育委員会においてもその地域における特色ある教育を行うために優れた人材を、社会人を登用していく、そのために、市町村教育委員会もイニシアチブを取ってやっていくという試みも選択肢の一つとしてお認めしていこうと。ただ、そのときには当然それを担うに足る実務体制というものは、市町村教育委員会に必要になってこようかとは思っておるわけでございます。  また、市町村単費の教員の任用事業というものが全国で十八地域、もう既に今広がってきております。そういったところで、市町村が自らの発意によってそういった特色ある教育のために単独で教員を採用されようとする際に、やはり社会人も活用していこうというお考えが多分出てこようかと思います。そういったときに、市町村教育委員会が自らの識見においてきちんとした教員を選んで、そして彼らに免許状を与えると、こういう試みも私どもとしてはそれはあり得るのではないかということで、今回特区においてそのような試みをお認めしようということで、この市町村教育委員会への特別免許状の授与権を与える事業を制度化をしようとしたものでございます。
  139. 神本美恵子

    神本美恵子君 ちょっと私は、本当に短い時間ですので、次に評価についてですけれども、今のこの制度について、この規制特例措置評価については、これはもう全国展開するのかどうかということも含んでの評価だと思いますが、これは法律の中で、四十三条で、関係行政機関の長の評価と、それから特区室の評価と、両方あると思うんですけれども、この評価のスケジュールとしては、金子大臣は衆議院の方で、一年後に現地に行ってどういう問題があるのか、地方自治体あるいは関係者にも御意見を聞くと、弊害の有無だけはきちっと検証するというふうに御答弁なさっています。  それで、ほかの分野での評価というのは、一年後どうなのかということはある程度できるかと思いますが、教育に関しては一年後すぐに効果が出るというものではないことはもう、人間相手ですので、お分かりかと思います。そういう短期間で効果や弊害というものが如実に現れ難いものについての評価はどのようになさるのか。まず、これは両方ですね、文部科学省、関係行政機関の長として行われる評価の観点と、それから特区室として行われる評価の観点について、あるいはその評価方法もお伺いしたいと思います。
  140. 樋口修資

    政府参考人(樋口修資君) 今回、特区において市町村教育委員会に特別免許状の授与権を与えまして、そしてこれで行っていただくこの措置につきましては今後全国化が適当かどうか、これはきっちりと評価をさせていただきたいと思っておりまして、特区における実施状況を見守りながら、評価を行った上で、全国化について判断することになるわけでございます。  私ども、その際には、特区における具体的な教育効果の状況が一体どうなっているのか、これはきちんと精査しないといけませんし、特別免許状を授与された教員の人事管理がどのようになっているのか、先ほど岡田委員からも御指摘がございました、教員の教職経験、資質、能力をきちんとしたものにしていく、その意味での教員管理がどうなっていくのか、あるいは市町村教育委員会が授与することについての全国的なニーズの趨勢がどうなっていくのか、あるいは免許事務体制についてどのような課題があるのか等々についてしっかりと精査、評価した上で、全国化の課題についてきちんとした一定の方向付けをしてまいりたいというふうに思っております。
  141. 滑川雅士

    政府参考人滑川雅士君) 先ほど御指摘がございましたように、特区特例につきましては、それを実施してから約一年後に評価の対象とするということで考えております。この評価におきましては、今文部科学省の方からの御説明がございましたように、所管省庁におかれまして弊害の有無を中心評価をいただくことになっております。先ほどいろいろな考えられるような御要因お挙げになられましたけれども、こうしたものを事前に私ども調査計画として御相談を申し上げて調査をいただくということになっております。それに併せまして、評価委員会が効果とかそういう観点からも評価をさせていただくということになっております。こうした中で、一年たって、一つのルールとしてそれぞれの特例について評価をすることになっております。  ただ、この弊害の有無を立証する十分な結論を得るために更に時間を要するかどうかということにつきましては、第三者によって構成されます評価委員会がこの評価を行うことになっておるということでございます。
  142. 神本美恵子

    神本美恵子君 大臣にお聞きしたかったんですが、ちょっと時間がありませんので、もし時間があったら最後にお願いします。  今お話伺いまして、私も実は教員免許を持っております。学校現場にもおりました。教員養成大学を出ております。その中で、私が学んできたものは、教育原理、教育心理、それから教材研究、教科研究の在り方、それから実際に小中学校の免許を取るのであればその学校に行って実習も学生の間にやってきております。  先ほどからの、なぜ特別免許状を市町村が授与することにしたかという、こういう法案出したかということについて、金子大臣も、義務教育は硬直化していると、そこにやはりもっと前進させるために様々な今の子供の現状に適応した、対応できる社会人を活用できるように、それから地域歴史、文化等にたけた人の風を入れるというふうなお話がありました。  そういうことは私も、私が免許を取ったのは三十年前ですから、そのときに学んだことが今の現場に即役に立つとは思いません。そのためにこそ、教員の養成がどうあるべきか、採用で何を見るのか、そしてその後、現場の実態、地域の実態に合わせた研修をどうしたらいいのかということで、文部科学省はそのことに一番、教育は人なりということで力を注いでこられたんではないかと思います。  その免許制度はその一環の中の一つとしてあるわけですから、そこに今度はそういう風を入れるということで特別免許状制度が今回導入されるわけです、市町村の授与でですね。されるわけですけれども、現行制度の中で私はもっとそのことはもう十分に今できるのに、なぜあえてここでという疑問が残っております。しかし、今回の法案で特区が認められれば実際実施されるわけですから、その評価に当たっては、そういう今の現行の免許制度が何を目指して、教育の、特に免許法の、済みません時間、第一条には、「教育職員の資質の保持と向上を図ることを目的とする。」としてこの免許制度があります。これは質の向上と保持ですね。ですから、その根幹が崩れることに、これが全国展開になりまして特別免許状が乱発されるようなことになると、そのことを私は危惧をいたしております。  そうではなくて、その趣旨としては、本当にそういう必要な知識、技能を持った人を入れるのに少し規制を緩和しようという、そこでとどまるのであれば私はあえて反対はしませんけれども、そのことを申し上げて、時間が来ましたので終わりたいと思います。  大臣、済みません。
  143. 和田ひろ子

    委員長和田ひろ子君) 神本さんの質問時間は終わったんですが、大臣のお答えをお願いします。
  144. 金子一義

    国務大臣金子一義君) 一言。神本先生の三十年間の現場での御意見として、貴重な御意見として受け止めさせていただき、また進めさせていただきたいと思っております。
  145. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 公明党の魚住裕一郎でございます。  特区法を初めて質問させていただきますけれども、このいわゆる特区法、平成十四年の十二月に公布、施行されてから一年半経過するわけでありますが、今回は第三次、四次提案認定されたものの中から法律改正が必要なものというものであると理解をしております。  今月十四日締切りなんでしょうか、第五次申請も受付あったようでございまして、私の地元の千葉県からも、京葉臨海コンビナート活性化特区とか、あるいは健康福祉千葉特区というのが対象地域を追加するというような申請を出させていただいているようでありますが、さて、数字の上では、提案数というのは一次から四次まで千七百四十五件ですか、そのうち特区として実現されたものが百七十六件、また全国展開されたものが二百五十件というふうに聞いております。  これも午前中からも数字出たと承知をするものでございますが、でも、千三百件余りそのまま提案だけというふうなこともございますが、これまでのこのような数字を受けて、取組に対する大臣評価はどのようなものか、ちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
  146. 金子一義

    国務大臣金子一義君) 先生の御指摘のように、多分、全国各地区で本当にいろいろなアイデアをお持ちになっていたなと。一年たちましたけれども、もう既にお持ちになっていたということがスタートからばっと出てきたと思っておりました。  しかし、午前中も申し上げましたけれども、やっぱり反省することも一杯あるんです。いろいろな経緯でできなかったりといったようなものもまだあります。そういうものも含めて、もっと地域がやりたいということをできるような環境を更に作っていきたい、その気持ちで見ております。
  147. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 それで、私は思うに、提案を受けてそのまま全国展開されたものというのが意外と多いなというふうに思うんですね。これ二百五十件もあるというふうに。これは、いろんな法律とか政省令、また通達とかいじらなきゃいけないということでございますが、これ全国展開されたものというのは、この特区法上どういうような位置付けになるんですか。また、その手順といいますか、これはどういうふうな形になりますか。
  148. 滑川雅士

    政府参考人滑川雅士君) ただいま御指摘いただきましたように、これまで四回、特区提案募集をやってまいりまして、全体四百二十六件の規制改革を行っております。この中で、全国で実施をするものというのは御指摘のとおり二百五十件ということで、特区で行うものよりも多くなっているという状況でございます。主なものとしては、例えば完成車積載トレーラーの車高規制の見直しとか、労働者派遣における派遣期間の延長や派遣対象業務の拡大といったようなものがございます。  私ども、地方公共団体あるいは民間事業者皆様方から提案された事項につきまして、実現するためにどうすればいいかということで検討をさせていただいて、その結果、関係の省庁と検討させていただく中で、構造改革特区として区域を限定することなく全国に展開をするという御決定をいただくという形で全国での規制緩和として、規制改革として実現してきたというのがこの二百五十件でございます。  この二百五十件につきましては、特区の、私ども、構造改革特区基本方針の中で書いてございますけれども、全国において講ずるということになったものについては、本部で、この構造改革推進本部で決定をするとともに、本部の決定の後、規制改革の趣旨を損なわないよう、進捗状況について総合規制改革会議、あるいは今はその後継組織でございますが、適切に監視していくという形でフォローをしていくという仕組みになっております。
  149. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 私、この全国展開の案件というのは地方とか民間から声を上げただけで、ああ、やっぱり必要なかったんだというのはすぐ認められたという、そんなふうに見えるわけで、逆に言えば二百五十件、まだまだ一杯あるかもしれませんが、それほど無駄な規制があったのかなというふうに思ってしまいます。  そこで、話違いますが、農地の問題が今リースで特区でやられておりますけれども、一般株式会社の農地リース方式、その実施状況はどんなものでございましょうか。また、地域活性化とか雇用の拡大とか、そういう観点から考えた場合、やはりこれも全国的に展開をしてはどうかというふうに考えるものでございますが、ちょっと御検討状況をお教えいただきたいと思います。農水省。
  150. 山田修路

    政府参考人(山田修路君) ただいまお問い合わせがございました農地のリース方式によります株式会社等の農業参入を認める特区でございますが、これについては現在、全国八十四市町村を対象としまして合計で四十一件の計画が認定されております。昨年の十二月末までの状況、そのうち十二の特区で二十一法人が約十九ヘクタールの農地を借りて事業を開始いたしております。  具体的にどのような法人が実施しているかということでございますが、一つのタイプとして食品関連の会社、これが七法人ございますが、地元の食品加工業者等がオリーブ等の地域特産物の栽培を行うということで実施をしているもの、もう一つ大きなものとして建設業者が十一法人ございます。公共事業の減少等を背景としまして、経営の多角化を図るというような観点から農業を開始しているというものでございます。  これについて全国展開をしたらどうかというお話でございますが、先生御案内のとおり、昨年六月に決定をいたしました基本方針二〇〇三におきまして、特段の問題が生じないと判断されるものについては速やかに全国展開するということになっております。  御質問のありましたリース方式によります株式会社の参入の特区でございますが、これにつきましても、同じ基本方針の中で実施状況及び地域農業への効果、影響等の検証を行って、その評価を踏まえて全国展開について本年末までの間で可能な限り速やかに結論を得るようにというふうに定められておりまして、現在農林水産省において調査を取りまとめ中でございます。五月末には特区推進本部の方に報告をしたいと思っております。この調査におきましては、特に地域におきまして、土地ですとか水の混乱が生じていないかどうか、それから無断転用等の不適切な土地利用がないかどうか、それから株式会社等にリースした農地が遊休化していないかどうか、こういった観点から状況の把握に努めております。  先ほど申しました特区推進本部の中にも評価委員会設置されておりまして、その評価委員会でも評価をすることになっておりますが、そういった評価も踏まえながら、全国展開について結論を得るということにしております。  以上です。
  151. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 株式会社が農地取得して、その後、倒産して荒廃するというのはこれはもう大変な問題だなとは思いますけれども、リースであれば、まあ貸している、借りているという関係でございますんで、是非全国展開できるようにしていくべきではないだろうかなというふうに意見を申し上げたいと思います。  次に、医療法等の特例措置に関連して質問をさせていただきます。  株式会社に病院ができるという、そういう特例を設けるわけでございますが、これはただ、第一次提案からずっと来ているようでありますが、この第一次提案における厚生労働省の回答というのは、要するに、株式会社は要するに利潤最大化、要するに金もうけのためだということで、収益性の高い部分に集中し、コストの掛かる患者の敬遠とか無理な合理化による医療の質の低下、安易な医療機関の休廃止等の問題が生ずるおそれがある、また、出来高払を基本とする現行の医療診療報酬体系の下で利潤を最大化する医療が行われた場合、無用な治療、過剰な検査、投薬、長期入院等により、医療費の増大を招き、更なる国民の負担の増をもたらす、こういうことを厚生労働省としては挙げてこられました。  今のこの懸念というものは、今時点、今の時点で全部解消されたというふうには私は思えないところでございますが、この間における経緯と現在のこの特区を設けるという理由について、厚生労働省の方から御説明をいただきたいと思います。
  152. 岩尾總一郎

    政府参考人岩尾總一郎君) 委員指摘のように、第一次募集、平成十四年七月から九月の際にそのような議論をさせていただきました。そして、その後の第二次募集になりまして更に政府内で議論いたしました。積極的に認めるべき意見として、株式会社の経営のノウハウとか資金調達能力、研究開発能力を活用すれば質の高い医療サービスを効果的に開発できるんじゃないかとか、それから資金調達の選択肢が増えるんじゃないかというような積極的な意見の方もおられましたし、それから、慎重に対処すべきという立場として、先生今おっしゃいましたような医療費の高騰を招くですとか、それから剰余金の配当の禁止、附帯事業の制限などで既存医療法人とのバランスを欠くとか、いろんな議論があったのは事実でございます。  今回、結局このような形で特区法で出させていただきましたのは、結局、高度な医療に限って自由診療で行うということで、まずはその株式会社の持つメリットを生かすようなものを検証するということで始めたらどうかということで今回の特区の措置となったものでございます。試行的に行うという上では、このような条件というのは適切な措置であるというふうに私ども考えております。
  153. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 まだ、でも若干株式会社病院というのは何か違和感あるなというふうに感ずるところでありますが、先進国の中ではこの株式会社病院というのはどのようなところが認めているんでしょうか。また、その国における現状と課題というものをちょっと簡明に御説明をいただきたいと思います。
  154. 岩尾總一郎

    政府参考人岩尾總一郎君) 諸外国の事例、まず国によってその保険医療制度が全く異なっているということは十分御留意いただきたいと思っておりますが、株式会社で病院経営を参入しているところは、アメリカ、欧州、イギリス、フランス、ドイツなど、認めております。それで、アメリカでは民間の営利組織も非営利組織もございますし、イギリス、フランスなども、ドイツなどもその開設主体による参入制限はないということでございます。  実際の評価でございますが、例えばアメリカなどの例でいいますと、例えば精神科医療などの採算性の悪い部門というのは、悪く言えば切り捨てていくというような株式会社病院の弊害が生じているといった例が報告されております。つまり、結局、営利病院であれば、コストがある程度高く取れるようなものであるもので、そして医療の質というのが低くなってしまうんじゃないかというような報告があるということでございます。  私ども、このような点を十分に考えて今回の法律を出させていただいたということでございます。
  155. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 先ほどの御答弁の中でメリットの検証のための試行というようなお話もございました。またメリットを若干御説明をいただいたんですが、なかなか、お金が集められるぐらいかなというふうにしか考えられません。もう一度簡単にメリットを言ってくれますか。
  156. 岩尾總一郎

    政府参考人岩尾總一郎君) 株式会社という形であれば、一つは資金調達が容易であろうということでございます。それから、特に今回の場合、高度な医療ということでございますので、開発意欲を刺激するということがございます。  したがいまして、現在、既にバイオですとかDNA関係の様々な研究が進んでいるところでございますが、これをもう一つ進めて、研究型から今度開発、実際に治療に生かすというところまでになったときに、このようなより先進的な研究成果というものを生かすためには、どうしても資金を調達し、また研究レベルの高いもの、研究開発の進んでいるものを取り込むということで、今回このような高度な医療に限ったわけでございますので、こういう点で株式会社にするということのメリットがあるのではないかというふうに思っております。
  157. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 高度医療という話は何か私、一般的な感覚でいうと、アメリカなどに随分後れているなというふうな感じをいたします。臓器移植みたいな場合は臓器移植法のその自体の難しい問題もあるわけでありますが、逆に日本人どんどんアメリカに行くような形に、そういう治療を受けに行く、逆に言えば臓器を買いに行くみたいな、そんなようなこともやゆされる、されかねないなというふうになっているわけでありますが、医療の高度化の推進ということを私も期待をしたいと思っております。  ところで、この株式会社の医療の参入という点については、具体的にどういうようなところが手を挙げそうなんでしょうか。
  158. 岩尾總一郎

    政府参考人岩尾總一郎君) 第一次、第二次で、第一次のときには二つほど病院が、それから第二次のときには長野県と民間企業などからの提案があったというように承知しております。  今回、こういう高度で自由診療ということに限ったわけでございますが、医療法の特例を活用いたしましたこういう株式会社の医療分野の参入ということでございますので、法案を成立させていただいた後にこの中身を周知するということで、具体的に参入したいというところも出てくるのではないかというように思っております。
  159. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 午前中の先行委員の質問にもありましたけれども、病院開設会社が開設する病院等について、ただし書で、十八条六項でしょうか、許可に係る高度医療を提供する上で必要があると認められる場合又は診療上やむを得ない事情があると認められる場合はこの限りではないということで、高度医療以外の医療も限定的に認められておりますけれども、具体的に何を想定されているのか、もう一度御説明を願います。
  160. 岩尾總一郎

    政府参考人岩尾總一郎君) まず、高度医療を提供する上で必要があるということでございますが、高度医療の必要性の診断に至るまで状態を安定させる、入院前の様々な処置ということになりますが、治療前の処置ということになりますが、必要な入院、検査、投薬、診断などの医療、それから、高度な医療の対象となるということが判明した場合に、そのような医療を提供するときに付随する措置、例えば入院ですとか投薬のようなもの、それから当該高度医療の提供が終了した後、その高度な医療の効果を持続する上で続けていかなきゃならないと思われるような医療というようなものがあるかと思います。  それから、診療上やむを得ない事情というのは、先ほどもちょっと申し上げましたが、具体例でいいますと、先ほどもちょっと出てきましたこの株式会社病院の周辺で交通事故が起きたので応急処置してくれというような話のときはやっぱり必要であろうというふうに思いますし、それから、例えば再生医療を受けるということでこの病院に入院したんだけれども、本人が糖尿病の持病があるのでインシュリンの自己注射をしなきゃいかぬのようなときとか、幾つか個別の事例というのはやむを得ない事情としてあるのかなというふうに思っております。
  161. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 そういうような場合には保険の適用を、ある場合とない場合があるんだろうなというふうに思うわけでありますが、本当に真にやむを得ない場合には、後で療養費の払いの制度で七割分が戻ってくるというふうに理解をしていいわけですね。
  162. 辻哲夫

    政府参考人(辻哲夫君) 特区において株式会社が開設をする病院につきましては、そもそもその参入を認める条件の一つが医療保険財政への影響を回避するための自由診療であることとされていることから、制度上これを担保するためには、保険医療機関としないということも法律上明らかにしております。したがいまして、今御指摘二つの言わば医療を行われる場合でありましても、基本的に医療保険からの給付はないというのが基本でございます。  ただし、医療保険制度におきまして、元々、保険医療機関以外の病院と、まさしくこの特区病院が当たるわけですけれども、こういう保険医療機関以外の病院で診療を受けた場合であって保険者がやむを得ないと認める場合は、医療保険から患者に対して事後的に、後で現金で償還するという意味での療養費払いという仕組みがございます。  今、医政局長説明をいたしました事例の中で、言わば交通事故の応急処置という事例がございましたが、このようなものはまさしく患者の病状から見て直ちに診療を受けなければならない緊迫した事態が生じており、しかも保険医療機関を選定する時間的余裕もないというようなことでございますので、保険者の判断によりまして極めて例外的に療養費が支給されるということで、基本的にはそのようなことを除いては保険からは出ないということでございます。
  163. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 分かりました。  次に、教員職員免許法の特例についてお尋ねをしたいと思いますが、何か特別免許状というのは、授与例は過去十五年で六十八件ですか、この件数に対する評価というものはいかがでございましょうか、文部科学省。
  164. 樋口修資

    政府参考人(樋口修資君) 特別免許状の制度は昭和六十三年、設けられたものでございますが、直近の数字でございますと、十六年の四月一日現在の数値は百十三件となっております。前年に比べますと六十件増加をいたしておりますが、これは免許法の改正等によりまして有効期限等を撤廃をするということでその活用が進んできたと、ようやく効果が現れつつあるなというふうに思っておりまして、この特別免許状を活用することによりまして、社会人がその社会での実務経験を生かすことによって生き生きとした授業を行っていただいて、子供たちの興味、意欲、関心がわいた授業作りが進むだろうと、あるいは教員組織の構成の多様化ということによって学校運営の活性化も図られるだろうということで、私どもは、基本は普通免許状でございますが、こういう特別免許状も選択肢の一つとして考えながら、学校教育の中に多様な選択肢を用意をしていこうというふうに考えておるところでございます。
  165. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 今回、この特区法の改正の中では、認定構造改革特別区域において市町村の教育委員会も授与ができるということでございますが、何かあれでしょうか、特区の中で検証しなければいけないようなことがあるんでしょうか。知事であるとか、市町村もできるようになっているわけで、全国展開してもいいんじゃないのかと。特区に限定する理由は何かと、こういう質問をしたいと思いますが。
  166. 樋口修資

    政府参考人(樋口修資君) 御案内のとおり、現在は都道府県教育委員会が特別免許状を授与する権限を持っているわけでございます。したがいまして、市町村におきますそういう授与、免許状を授与するための体制というもの、体制というものがまだ整備をされていない段階で、今回この特区申請でも、三次までの特区申請では事業者からの提案がございましたが、公共団体、地方市町村からは全く皆無でございました。それが、四次提案東京都の千代田区から具体的に千代田区として免許状の授与を行いたいと、こういう提案ございましたので、私どももよくよく検討をさせていただいて、まずは市町村はこういった体制がございませんが、やりたいと言ったところが地域の特性を生かして免許状を授与していくということが十分な体制が整うならばそこからスタートしてはどうかと。まずは特区でスタートをさせていただいて、その成果、課題を検証しながら全国化の課題を見据えていきたいというふうに考えているところでございます。
  167. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 そうすると、もう体制ができればいいわけですね。
  168. 樋口修資

    政府参考人(樋口修資君) この問題につきましては、当然、全国化の過程で私ども、これが、特別免許状を付与された教員がどのような教育活動を行っているのか、教育成果が上がったのかどうか、あるいはこういった教員の人事管理がきちんとうまく進んでいるのか、あるいは全国的な市町村のこういう状況はどうなのか等々、いろんなことを総合的に勘案しながら全国化についてきちんとした検討をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  169. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 次に、漁港の、漁場整備法の特例についてお尋ねをしたいと思いますが、漁港管理者が施設を貸し付けるに際して、「当該貸付けが公正な手続に従って行われることを確保するために必要な措置を講じなければならない。」と。貸付けが公正な手続でやるのは当たり前の話なんでございますが、必要な措置というものは何を想定されているのか。また第六項では、前項に定めるもののほか必要な事項は農水省令で定めるというふうになっているわけでありますが、具体的にどのようなことをお考えか、お伺いをしたいと思います。
  170. 田中潤兒

    政府参考人田中潤兒君) 本事業は、水産物の流通加工という漁港施設が持つ機能を民間事業者の活力やノウハウを活用することにより高度化しようとするものでございまして、まず最初に事業者認定に際して必要な措置として、地域の実態を熟知している漁港管理者であります地方公共団体が申請書の公告、縦覧、それから申請書に対する意見提出の機会の付与、それから認定結果の公表といったことを規定する考えでございまして、これにより透明性の高い公正な手続を経た上で適切な事業者が選ばれることを確保することといたしております。  それと、契約の段階での話でございますが、やっぱり本事業の実施に当たりましては、将来にわたって水産物の流通加工といった漁港が持つ機能の高度化に資する事業が適切に行われること、それから、漁港全体の管理保全上支障とならないこと等を確保していくことが重要であると考えております。このため、特定漁港施設の貸付けに関し必要な事項として、契約違反や不正があった場合の契約解除や第三者への転貸禁止等を、地方公共団体と民間事業者の間で締結いたします貸付契約に必須の事項とする規定を設ける考えでございます。
  171. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 次に、狂犬病予防法の特例についてお尋ねしたいんですが、これも市町村の長に特例として任命権限を持たせるようでございますが、先ほど、教員の特別免許状については体制の整備であるとか、その後総合的に種々検証するというふうにおっしゃっておりましたけれども、今回の狂犬病予防法の特例につきましても、その体制の整備とかそういう観点から特区区域内に限った特例考えているわけでしょうか。ちょっと御説明をいただきたいと思いますが。
  172. 田中慶司

    政府参考人田中慶司君) 今回の特例でございますけれども、市町村が狂犬病の発生を防止するために、犬の抑留に係る事務を自ら行う必要があると認める場合におきまして、獣医師である狂犬病予防員を任命し、犬の抑留施設の整備など必要な経費等を自ら負担することを条件として市町村も行えるようにするものでございます。  この特例に関しまして、市町村では一律に獣医師等必要な要員を確保していただくことということは大変困難なことではないかというふうに考えておりますし、また抑留施設などの確保についても様々な事情がございますので、狂犬病予防法の改正をするというよりは、むしろ狂犬病対策の実施体制に支障が生じないように内閣総理大臣によります構造改革特区認定を経た上で、特例として当該市町村が犬の抑留に係る事務を実施するという選択をすることが適当であるというふうに考えたところでございます。
  173. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 だけれども、自分の市の中に獣医師がどのぐらいいるのかとか、あるいは施設とかいっても自分の必要な経費は自ら負担することを条件にとなっているわけですから、ちょっとそれじゃ何か特区に限るという意味が分からないんですが、もう一度説明いただけますか。
  174. 田中慶司

    政府参考人田中慶司君) このような要望自体が実態として一例しかございません。競馬馬を非常にたくさん飼っている牧場を管理している市町村からの御要望ということでございまして、このようのものを、このようなニーズを一般化するほどのものではないんじゃないかと。もう少しテスト的に構造改革特区の枠組みを用いまして、少し検証してみたいということでございます。
  175. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 まあ、全国まで展開するまでもないという、そういう程度のものかもしれませんね。  次に、今いわゆる景観三法ということが出されているわけでありますが、この景観法案が成立になりましたら、現十八条で広告物撤去の特例が削除するというふうになるわけでございますが、これは昨年七月にこの推進本部の中に評価委員会設置されて、特例についての評価を行うこととなっているわけでありますが、今回の屋外広告物法の特例の廃止に当たってはこの評価委員会評価したんでしょうか、しなかったんでしょうか。そしてまた、これ景観法で特例措置全国展開、それは全くこの推進本部かかわりはどういうふうになっているんでしょうか。ちょっとその辺説明をしていただけますか。
  176. 滑川雅士

    政府参考人滑川雅士君) 特区におきまして講じられます規制特例措置につきまして、全国展開を図るということが我が国の経済社会の活性化に非常に大きく貢献するということだと考えております。こうした全国展開に向かっての評価などの具体的な方法を定めるために本年の二月に構造改革特別区域基本方針の一部変更ということで閣議決定をさせていただきました。お話しのように評価委員会というものができまして、これに基づきまして四月から本格的全国展開のための評価を開始しているということでございまして、また半年で評価を行って特段の問題は生じていないという判断された場合に、判断された特例措置につきましては、構造改革特別区域推進本部におきまして全国展開を決定していくということを考えております。  ただ、この評価のプロセスとは別に基本方針の中では今御指摘のございました屋外広告物法の特例のように、規制所管の省庁が自ら全国展開をするということももちろん当然この中に予定をされている事項でございます。こうした形で評価を通じて、あるいはそれぞれの諸規制所管省庁が、両方ございますけれども、こうした形で全国展開が行われる二つの道がございますが、このいずれにつきましても全国展開の実施時期あるいは実施の内容というものは構造改革特区基本方針に明示されまして、閣議決定されるということでございまして、そしてこの基本方針に即して速やかに措置が行われるということになっているわけでございます。そうした形で今後とも適切な全国展開を図ってまいりたいというふうに考えております。
  177. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 今の御答弁の中にも出てきておりましたけれども、評価の仕方ということがこれから重要なポイントになってくるんだろうなというふうに思います。規制省庁の自己評価、そしてまたこの評価委員会評価が分かれることも当然あるだろうと私は思っているわけでありますが、具体的に国民にとってこの規制緩和、あるいは規制があることを存続させることのメリット、デメリットを明確にして、国民に分かりやすい評価結果を公表をしてもらいたいなというふうに思います。  先ほど農地のリースの関係で、今、農水省自体で評価をまとめ中だというお話、そしてそれを報告してまた評価するということでございますけれども、やはり私たち国民にも分かりやすい結果を公表してもらいたいと思っておりますが、いかがでございましょうか。
  178. 滑川雅士

    政府参考人滑川雅士君) 先ほど申し上げましたとおり、規制特例措置評価ということにつきましては、基本方針、構造改革特別区域基本方針という中で特段の問題が生じないというふうに判断された特例措置については速やかに全国展開するということとしておりまして、特段の問題が生じているかどうかということにつきましては、規制特例措置について全国展開を行った場合に発生する弊害と効果によって判断をしたいということでございます。そして、今御指摘のように、基本方針の中では全国展開に発生する弊害につきまして規制所管省庁に立証の責任を持っていただくということで、この規制所管省庁調査に当たりまして、弊害の有無につきましてその判断をするための情報について最大限把握をしていただくということになっております。  また、基本方針では、全国展開に当たりまして、これは供給者のみならず消費者、需要家の視点というものをより重視して必要な見直しを行うということになっておりまして、これを踏まえた調査が、もちろん、規制所管省庁はもちろん、評価委員会というところで行われるということになっております。もちろん評価委員会評価のプロセスあるいは結果の公平性、透明性を確保するために評価意見と合わせまして評価に至った理由というものを公表することについて検討していただいております。  構造改革特区推進室としても評価委員会評価を踏まえまして規制特例措置評価が国民の皆様方に分かりやすく公表されるように努力してまいりたいと思っております。
  179. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 終わります。
  180. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 無所属の黒岩宇洋でございます。  私の方から質問させていただきますけれども、まずお聞きしたいのは、一次提案、二次提案を受けまして規制特例事項、すなわちこれについては規制改革しますよという、こういう事項が一次提案、二次提案合わせて百四十事項ございました。で、実際にその規制特例を受けて、じゃこれから特区認定の申請を受け付けると、認定しましょうという、今その時期ですね、一次提案についてはこの一年間申請を受け付けています。二次提案については半年間受け付けていますね。じゃこの実際に規制特例事項として百四十あるんですけれども、このうち現実に特区認定が下りていない、その事項というのはお幾つございますか。
  181. 滑川雅士

    政府参考人滑川雅士君) 御指摘のように、これまで四回の提案を受け付けましたが、第一次、第二次でそれぞれ九十三、四十七ということで百四十の規制特例が作られております。そして、御指摘のように昨年の四月から第一回目の規制特例が使われていますし、十月から第二次の特例が使われております。  この中で、現在認定申請を受けて、認定した中で使われていない規制特例事項の件数という御指摘でございますが、これにつきましては一次提案については八項目、二次提案については十三項目ということになっております。
  182. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 いや、びっくりしました、私それを聞いて。だって、考えてみれば、提案ということは、その自治体がこの規制緩和をしてくださいと、規制緩和されればうちはある事業所と一緒に組んでその一つ事業やりますという、その提案でしたよね。私は、それこそ申請が始まったらもう息せき切ってもう我先にと手を挙げてくるものだと思っていたら、驚いたことに幾つですか、二十一、百四十のうち二十一も、一つ認定のこれ申請すらないんですよね、認定がないどころか。  で、今、聞き忘れたんですけれども、このうち法律事項というのは計二十三項目ございますね。一次提案、これでは十五項目ございました、法律事項。で、二次提案では八つありまして、この二十三のうち法律事項でも三つの、これ大きな規制緩和ですね。しかも、にもかかわらず三つですね、これ特区認定の申請すらないわけですよ。これ、金子大臣、私、本当にゆゆしき問題だと思っているんです。今の理屈からいったら絶対何か大きな問題点があるはずですよ。元々の皆さんが考え特区構想の、この構想から外れているところが私はあると思っているんです。  それを今日つまびらかにしたいと思っているんですが、冒頭に申し上げたいんですが、私、二年前この法案を初めて審議したときに、当時、鴻池大臣だったんですけれども、私あえて、この特区法案は一つのレストランだと例えたんですね。で、総料理人は担当大臣金子大臣ですよ。様々な自治体からある意味素材を送ってきてもらって、それを各省庁と吟味しながら、そして、その巨大なレストランの中には推進室の役人もいるし、ともすれば各省庁のお役人もいて、その人たちを使って一つの大きなメニューを作った。そのときに、十五だったんですね、当初。  私、申し上げたんです。規制緩和とか国から地方へ、大変宣伝がいいので私このレストランに入りたいと。ただ、いざメニューを開けてみたら、私はこのレストランで注文したくないですよと言ったんです。まずは十五というメニューが少な過ぎる。加えて、その十五のメニューのレシピが悪過ぎるんですよ。例えば、特養ホームの民間参入で言えば、これは民間の法人、社長の条件として脱税その他の目的を持っちゃいけないとか、もうおよそ半世紀前のいろんな条件が加わって、もう、これせっかくメニューを書いてもらったけれども、これとてもできないんじゃないかなという、これが正に当たったわけですよ。  いいですか、大臣、せっかく大臣のレストランで十五メニューを作ったんですけれども、一年間だれもそのメニューを頼まないんですよ。で、半年前に、じゃ、新メニュー追加したと。八つメニュー追加したんですよ。そうしたら、そのうちの一つはまだだれもお客が注文していない。私、これを何とか、大臣、その腕前で、大臣の調理人としての腕前で何とかこれを、この素材を加工して皆さんに頼まれるようなメニューに私はある程度グレードアップをしていっていただきたいと、そう思っております。  では、今言った二十一の項目すべては聞けませんので、三つの法律事項、これ一つは、社会保険労務士に、簡単に言いますと、雇用形態の、雇用契約の代理人を任せる。これ、今まで弁護士しか資格としてはできなかったんですけれども、これを与えるという、これ一次提案ですね。もう一つは、もう何度も議論になっている特別養護老人ホームの、これPFI方式ですけれども、民間参入、これと、三つ目、今日も議論になっていましたが、NPO立の学校を設置する。この三つ一つ特区申請ないんですよ。  では、最初のこの社会保険労務士、これですね、まずメニューのタイトル、私、読みますよ。社会保険労務士を活用した労働契約の締結等にかかわる代理事業。これ、メニューの名前なんですよ。もう名前からして悪いですね。私、これ、二年前の議論のとき、すっかりもう見落としたというより、中身が分からずして触れなかったんですよ。  しかし、これ、この後細かなこと言いますけれども、じゃ何でこれ、あれですよ、だから、社会保険労務士に雇用、要するに、例えば新しい職が欲しい人がその人を代理人として企業と掛け合ってくださいという、このために特区の中では社会保険労務士にこの仕事を与えるというこの特区が何で申請されないとお考えか、厚生労働省、お答えください。
  183. 大石明

    政府参考人(大石明君) 私ども、社会保険労務士の団体の方々とお話する機会もあるわけですけれども、一つには、やはりまだ期間が一年余という中で、従来社会保険労務士の方々がやってこられた仕事の非常に近い部分の仕事ではありますけれども、やはり新しい仕事でございますので、一定の決意とまた準備も必要だと、またいろいろな広報も十分でないと、こんなこともあって今のところまだできていないと、こんなことかというふうに思っております。
  184. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 いや、答えは簡単なんですよ、審議官。  これは、いざ、足立区がこれ提案したんですよ、うちは失業率が他に比べて大変高いと。でも、結局、じゃ、ふたを開けてみたら、おれ、やりたいという社会保険労務士一人もいないんですよ。これね、重要なのは、やっぱりリアリティーに欠けているんですね。どういうことか、皆さん、私が説明します。  いいですか。これどういうことかというと、ある若い職人がこれ言っていました。足立区、職人が今あぶれていると。いざ就職したいときに、雇用契約を企業と結ぶときに代理人を立てるというんですよ。そんな人いますか。皆さん、今まで仕事した中で何か代理人を立てて雇用契約って結んだ方、一人でもいらっしゃいますか。これ、はっきり言ってヤンキースの松井レベルの話なんですよ。そうなんですよ。今まで弁護士に代理人を頼んでいた人なんて、日本全国探したってそんないないんですよ。  これ足立区は、私責めちゃいけないと思います。知恵を絞ったんですよ、やっぱりいろんな提案したいと。聞いたところ、これ、社会保険労務士や今言った職人、だれからもこの申請があったんじゃないんですって。何とか頭の中で描き出して、いざ上げたら、そうしたら、言葉は悪いんですけれども、厚労省飛び付いてくれたんですね、規制緩和すると。  私、これ、じゃ足立区が今の悩みを何で解決したかというと、実は別の特区に手を挙げたんです。この特区というのは、これはハローワークの窓口で民間の職業紹介業者、これはいろんな民間業者ありますね。そこと同じ窓口を持つと、ハローワークというのは元々守秘義務があるので自分たちの求人情報、求職情報を流せないんですけれども、これをすれば情報を流していいという、この特区を、これ同じく足立区申請していて、同じく提案して二つ認められたうち一つ使ったんですよ。  この中に非常に大きなものが含まれているのは、じゃ、今の私が申し上げたハローワークでの職業仲介事業って一体何の規制だったかというと、通達なんですよ。法律の下の政令の下の省令の下の通達なんですね。この通達を取っ払った瞬間に手を挙げて、これ、しかも年間千人の新規就職をもくろみたんですけれども、もうこれ五か月で七百人ですよ、足立区で。だから、通達がいかに強いかということと、もう一つ、やはり多分各省庁何とか特区ができるというので、メニューに入れなきゃいけないということで、そっと忍ばせたんですよ、法律事項をそうっと。そうしたら、確かに規制緩和の数は増えました、法律事項で十五ですと。ただ、大臣、重要なのは規制緩和の数じゃないんですよ。じゃ、特区ができるかといったら、特区ができない。これが我々がずっと議論してきたやったふり特区理論なんですよ。  大臣、今のことお聞きになって、やはりこれ大変問題だと思うんですよ。今のように、やはりいざ我々がここで審議して法律事項を変えても、結局特区に手も挙げられないという、こういうようなメニューを残しておいていいのか。ならば、そのメニューをどう改良するのか、大臣大臣の御所見をお聞かせください。
  185. 金子一義

    国務大臣金子一義君) 私、一番大事なことは、本当に地方がやりたいことをやれるようにすると。やったふりなんてことは、そんなことをやったって意味ないんです。幾つやれるようになったかなんて、そんなことを私の立場で、規制改革進みましたなんて、そんな宣伝するつもりはないんです。具体的にそれぞれの地域で何ができるようになりましたということが私一番大事だと思っております。そういう意味で、私レストランのシェフに例えられましたけれども、きちっと本当に実需があって地域がやりたいということについてできるようにしていく。  それから、私、ちょっと社会労務士の件について足立区行って実際にヒアリングをされてきたようであります。私していませんので、黒岩先生の方がお詳しいのかもしれません。ただ、厚労省、今のお話伺っていると、準備という言葉もちょっとありましたよね。だから、全く出てこないのかどうかは、今私答えできません。  ただし、一つだけありましたのは、一年前できましたのが秋田スギ特区というのが申請で来たんです、出てきたんですね。本来だったら、特養には木材使えないんです、安全上。しかしね、しかし地元のやっぱり大事な財ということを使えるようにしたいという手が挙がってきて特区にした。設計図が、オーケーが出てから設計図がようやく出てきて、かけて、そして新たに今度具体的に出てくるんですね。  ですから、ある程度の準備の時間差というのは、秋田スギ特区だって、つい数か月前だったら空振りじゃないかって黒岩先生言ったんでしょうけれども、今は具体的案件としては出てきております。
  186. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 いや、大臣、私、この件は残念ながら何度も申し上げますが、足立区で、これ若手の職人と言っていました、その方が社労士を雇って、そういった果たして契約をするのかという。私、やっぱり現実感を持って、我々は官僚じゃありません、政治の場ですから現実感を持って対処をしていただきたいと思うし、決して私、足立区を絶対責めちゃいけないと思っているんです。こういうやっぱり芽は摘んじゃいけない。  だけれども、いざこういう事例が起こったときの、その後の対処の仕方というのが私は特区推進で非常に問われていることだと思うので、大臣、その点、御留意いただき、──いや、もう先急ぎます、先に行きます。  では、じゃ法令、法律事項の二点目行きましょう。  これが特養ホームへの民間参入なんですね。これPFI方式、これによっての参入一つもないんですよ。これについて、なぜか、これも端的に厚労省、お答えください。
  187. 金子順一

    政府参考人金子順一君) お答え申し上げます。  PFI方式によります特別養護老人ホームの参入ということでございますけれども、これは御案内のとおり、自治体の方から申請を受けて対応するということでございます。それから、これも御案内かと思いますが、参入の場合にPFI方式のほかに公設民営方式というものもございまして、この辺の判断も自治体の方にお任せ、自治体の方の御判断でしていただくというようなことになっておるわけでございます。  したがいまして、現在までのところPFI方式についてはございません。そういうことで、これまでもいろいろ周知も図ってきているところでございますが、個別の相談、照会もあるようでございますので、引き続き適切に対応していきたいと思っております。
  188. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 今の御答弁、要約すると、結局原因は何も分析していないんですよ。私、事務方に聞いたときも答えは簡単でした。それは自治体の自発的な申請だから知ったこっちゃないと言うんですよ。これね、私ね、正直言って我々がこの二年積み上げてきた構造特区そのものに対しても私は大変甘い認識だと思いますし、ともすれば特区推進室、そしてそれこそ特区担当大臣金子大臣に対しても、私はちょっとそれは甘い認識だと思いますよ。これは、今まで鴻池大臣のときにそんな答弁したらひどい目に遭っていますよ、本当に。私はね、やっぱり金子大臣ももっともっと切り込んでいただきたいので。  今いみじくも言いました。公設民営化、これ要するに公設民営化という、要は建物は自治体が建てて、後は単にそれについて事業だけやっているという、これ公設民営化ですね。PFIの場合は、まず一事業者が全部自分のプランで建物も建てて、お金払って、ただ一回それを自治体に買ってもらって借りるというやつなんですけれども、要はPFIの方がより一層民間に近いんですよ。これ、これ過去に提案したところはみんな手下げたんですね。みんな手下げちゃって、その後の一戸町が手挙げたんですけれども、過去手を、提案上げて下ろしたところ聞いたら、理由は簡単でした。やっぱり民設民営、完全民営化を望んで自分らで提案したのに、できたものはワンランク下のPFIとそのもうワンランク下の公設民営化だったというわけですよ。しかも、今おっしゃった公設民営化にしても、たった一つですね、たった一つなんですよ。  これね、大臣、ここ私ちょっと御所見お聞きしますけれども、現実に今その一戸町の例を私調べました。今言ったようにツーランク落ちの公設民営化で、じゃ、ある株式会社にこれ委託するわけですね、その株式会社どこですかと聞いたら驚いたんですよ、第三セクターなんですよ。もちろんこの一戸町が出資しているんですよ。なおかつその出資率も聞いて驚きました。五六%。事実上その町ですよ。しかも、そこに組んでいる会社というのは、過去数年来ちゃんと町とのいろんなお付き合いもあって、過去町と組んでデイサービスとかデイケアもやっている会社なんですね。ということはどういうことかというと、全く新規の民間参入なんていう概念はここにあり得ないんですよ。  で、これPFIだとやっぱり外部に頼みますから、その例えば経済状況とかいうのを都道府県知事認定しなきゃいけないんです。だから、やっぱりそこで手を挙げるときも競争が起こるんですけれども、公設民営化だと要らないんですよね。都道県知事の審査要らないんですよ。町長の独断で決めるんですよ。しかも、なおかつ、私、一戸町を糾弾しているんじゃないんですよ、一戸町はいい仕事していますよ。だけれども、今申し上げたように、特養への民間参入とばあんと二年前打ち上げて、そこで出たものはPFIから公設民営化まで落ちて、なおかつ第三セクターで五〇%以上町が出資していてという、大臣、これが私はやったふりのその典型だと思っているんです。大臣、いかがですか。このこういうようなやり方で、大臣特区推進室の担当大臣としてこれで御満足ですか。
  189. 金子一義

    国務大臣金子一義君) ちょっと今の黒岩先生の論点が、北海道の乙部町からは民設民営で出ています、申請で認可になりましたよね。
  190. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 それまだ表に出せない話でしょう。
  191. 金子一義

    国務大臣金子一義君) いや、出ているんですよ。今度の申請、出ているんですよ。だから、知って……
  192. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 知っていますけれども、それはまだ。
  193. 金子一義

    国務大臣金子一義君) いや、知って御質問されているとね、なお答えにくいんですよね。民設民営は全くないだろうとおっしゃるけれども、実際には出ている……
  194. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 五次提案のことは。
  195. 金子一義

    国務大臣金子一義君) いやいや、出ているんですよ。だから、私もちょっと質問受けながらどういう観点から御質問されているのかなと答弁に窮したんですけれども。  もう一つ、PFIは、これは固定資産税の問題等々があるという、別の観点があるということもちょっと理解をしていただきたい。  それから、私、念のため、鴻池さんとは違いますから、同じに扱ってもらっちゃ困ります。
  196. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 まあ、あんな蛮勇は我々も。  ただ、ちょっと今の民設民営化、しかもこれ触れちゃいけないでしょう、まだ五次提案の募集中ですから。いいんですか。
  197. 金子一義

    国務大臣金子一義君) いや、こういう御質問があったものですから、提案も出ていたものですからお答えしているんです。
  198. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 ただ、今のところは四次までのところですからね、実際には。まあいいです。  で、多分……
  199. 金子一義

    国務大臣金子一義君) 申請、オープンになったということが、先週の金曜日で。
  200. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 まあ結構です、これちょっと今議論する場じゃないんで。  じゃ、ちょっと駆け足で行きます。  今日、もうちょっと質問まで時間ないんで、じゃ次はNPO法人の学校設置なんですけれども、これ結局、何でこれはできないかって質問する、質問しません。私、答えます。  まずは、今日午前中の議論でもありましたけれども、やっぱりお金が足りないんですよ。結局、みんな助成金のところに突き当たるんですね。これも現実感を持って考えていただきたいんですが、私、実は実家が正に数年前までフリースクールをやっていました。自分ちの家を開放して、不登校児を集めて、うちの親がそれを預かっていたんですね。そこをNPO法人として学校にしようとなると、じゃやっぱり学校設置基準だとか、それこそいろんな教員の基準だとか考えると、どうも今までのフリースクールというイメージから大分懸け離れるんですよ、大分。  もっと言いたいのは、不登校に区切りましたけれども、じゃそこを学校としてできて、やっぱり不登校の皆さんって、やっぱり今我々のイメージする学校に行きたくないお子さんが多いんですよ。結局、学校にしたら、またその子たちがその学校に行きたくなくなったって言って、もう堂々巡りになるんですよね。しかも、不登校に縛りを入れていますから、これ結局、じゃその不登校を対象にしたNPO法人の学校に新入生で行きたいという人がいても入れないんですよ。よく聞いたら、そうです、だって不登校が条件なんですから。そうですよ。入学式もない学校って。  一個一個考えていくと、この不登校に限ったNPO法人というのは、本当になかなかリアリティーが生まれない。なおかつ、やっぱり物すごいお金が必要ですよ、今までのフリースクールから比べれば。そこに対して、やっぱり助成金も与えないという、もう公の支配の議論、私しませんけれども、こういうような状況で大切なこのメニューが、出したにもかかわらず、今、実際特区申請がないわけですね。  これちょっと時間使い過ぎたんですけれども、こういうような状況で今回の株式会社の医療法人参入と、これ私さっき新規参入はどのくらいありそうかといったときに、今まで六つほどのところは申請して手を挙げたところ、私ども一つ一つ病院も、先ほど二つの病院が申請がありそうだと言いましたけれども、確認しました。申請しないそうです。理由は簡単です。高度で自由診療だったら株式会社としてやっていけないという、こういうお言葉もらいました。  これ、じゃ副大臣ですか、こんなんで本当に医療分野への株式会社の参入というのは本当に見込まれるのかどうか、端的にお答えください。
  201. 佐藤剛男

    ○副大臣佐藤剛男君) 黒岩先生のいろいろ調査に基づいて鋭い御質問承りました。  それで申し上げますのは、評価委員会とここで答弁なされていますが、評価委員会というのは、やっているものについてそれが全国的にできるかどうかの評価するだけじゃないんです、これは。いろいろ申請出てきたが、申請じゃない、提案があったけれどもどうして出てこないんだと。先ほど先生が御指摘した一次提案で八項目、二次提案で十三項目というような話もありました。どこに原因があるのか、こういうふうなものの総洗いをやろうと思っているわけで、それが進み出したわけです。  ですから、そこであらゆる問題をやります。ですから、今先生の御指摘等々の問題についても、私の方から問題提起しましてやるような形にいたすわけでございます。
  202. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 済みません、もう時間なくなっちゃったんで、これはもうお願いにしておきます。  何度も申し上げました。せっかくメニュー掲げても一年間も半年もまるっきり客から注文の受けないメニュー、私は、これについては大臣は絶対に対処すべきだと思います。少なくとも、先ほど申し上げた法律事項の三点については、関係大臣と直接掛け合って、何らかの、これ全国展開にするだとか、何らかの対応をしていただきたいと思います。それについて大臣お答えください。
  203. 金子一義

    国務大臣金子一義君) 今、佐藤大臣が申し上げましたように、評価委員会もスタートして、四月からスタートしております。そういう中で、全国展開だけじゃなくて、何か、認可したけれども実際に使われない、他の法律がオーバーライディングしている、あるいは他の事情がある、こういうものについて、この委員会でも前にも申し上げましたけれども、やっぱり特区というのはしばらくの間一つ一つ手作りでやらざるを得ない部分があるとも覚悟して突き進むつもりであります。
  204. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 終わります。
  205. 和田ひろ子

    委員長和田ひろ子君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。     ─────────────
  206. 和田ひろ子

    委員長和田ひろ子君) この際、委員異動について御報告いたします。  川橋幸子さん、吉川春子さん、仲道俊哉さん、森下博之さんが委員辞任され、その補欠として岩本司さん、畑野君枝さん、小林温さん、野上浩太郎さんが選任されました。     ─────────────
  207. 和田ひろ子

    委員長和田ひろ子君) これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  208. 小林美恵子

    小林美恵子君 私は、日本共産党を代表して、構造改革特別区域法の一部改正案に対して反対の討論を行います。  構造改革特区は、国民の生命、健康、国民生活にとって必要な規制を緩和、撤廃し、住民への負担と犠牲を押し付けるものです。  その上に立って、まず医療法等の特例について述べます。  法案は、認定構造改革特別区域において株式会社が自由診療で高度な医療の提供を目的とする病院又は診療所を開設できるようにするものです。  特区における医療法等の特例は、医療の公益性を否定し、国民の健康や生命を守る医療を利潤追求の目的にしようとするものです。医療分野での利潤追求は、不採算部門の切捨てと高収益部門への集中、患者の経済的格差をそのまま医療に持ち込むことになります。  また、自由診療で高度の医療に限定するとしながらも、一方で、必要があると認められる場合、診療上やむを得ないと認められる場合は一般医療も提供できるようになっています。株式会社の病院、診療所において自由診療に限らず公的医療保険が適用される医療も適用できるものです。これは、国民の自由で平等な医療を受けることができる国民皆保険制度の根幹を崩す混合診療への道を開くことになりかねないものであります。  次に、教育職員免許法の特例についてです。  法案は、市町村教育委員会に特別免許の交付を認めようとするものであります。  大学での教養・専門教育、教職・教科教育は、憲法、教育基本法に支えられた公教育にとって不可欠の教員養成制度であります。特区における特例は、教員の在り方に大きな変化をもたらし、教員免許制度そのものを形骸化させ、将来的には制度の崩壊につながるおそれがあります。  なお、漁港漁場整備法等の特例、狂犬病予防法の特例には賛成であることを申し述べて、反対の討論を終わります。
  209. 和田ひろ子

    委員長和田ひろ子君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  構造改革特別区域法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  210. 和田ひろ子

    委員長和田ひろ子君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  211. 和田ひろ子

    委員長和田ひろ子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  212. 和田ひろ子

    委員長和田ひろ子君) 消費者保護基本法の一部を改正する法律案を議題といたします。  提出者衆議院内閣委員長山本公一さんから趣旨説明を聴取いたします。山本内閣委員長
  213. 山本公一

    衆議院議員山本公一君) ただいま議題となりました消費者保護基本法の一部を改正する法律案につきまして、提案趣旨及び内容を御説明申し上げます。  まず、本案の趣旨について御説明申し上げます。  消費者保護基本法は、昭和四十三年、消費者利益を侵害する各種の問題の発生を背景に、消費者政策の基本的方向を明らかにし、もって国民の消費生活の安定及び向上を確保することを目的として、議員立法により制定されたものであります。  しかし、近年、消費者が商品及びサービスに関し事業者との間でトラブルに遭うケースが急増し、その内容も多様化、複雑化している等、消費者を取り巻く社会経済情勢は大きく変化しております。消費者政策を充実強化し、消費者が安全で安心できる消費生活を送ることができる環境を整備するため、本基本法を今日の経済社会にふさわしいものに見直すことを内容とする本案を提案した次第であります。  次に、本案の主な内容について御説明申し上げます。  第一に、消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力等の格差にかんがみ、消費者の権利の尊重及びその自立の支援その他の基本理念を定めるとともに、国、地方公共団体及び事業者の責務等を明らかにすることとしております。  第二に、消費者契約の適正化を新たに規定する等、基本的な施策を充実強化することとしております。  第三に、消費者政策を計画的、一体的に推進するため、消費者基本計画を策定するとともに、現行の消費者保護会議を消費者政策会議とし、その機能を充実強化することとしております。  第四に、これらの改正に伴い、法律の題名を消費者基本法に改めることとしております。  なお、この法律は、公布の日から施行することとしております。  以上が、本案の趣旨及び内容であります。  本案は、去る五月十二日、衆議院内閣委員会提出の法律案とすることに決し、同月十四日、衆議院本会議で可決したものであります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  214. 和田ひろ子

    委員長和田ひろ子君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時六分散会