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2004-06-15 第159回国会 参議院 財政金融委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年六月十五日(火曜日)    午後六時開会     ─────────────    委員異動  六月十日     辞任         補欠選任      江田 五月君     平野 貞夫君  六月十一日     辞任         補欠選任      山根 隆治君     浅尾慶一郎君  六月十四日     辞任         補欠選任      若林 正俊君     小野 清子君      浅尾慶一郎君     山根 隆治君  六月十五日     辞任         補欠選任      小野 清子君     愛知 治郎君      大門実紀史君     井上 哲士君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         円 より子君     理 事                 入澤  肇君                 尾辻 秀久君                 野上浩太郎君                 大塚 耕平君                 続  訓弘君     委 員                 愛知 治郎君                 上杉 光弘君                 清水 達雄君                 田村耕太郎君                 西田 吉宏君                 林  芳正君                 溝手 顕正君                 山下 英利君                 大渕 絹子君                 平野 貞夫君                 平野 達男君                 峰崎 直樹君                 山口那津男君                 井上 哲士君                 池田 幹幸君    国務大臣        財務大臣     谷垣 禎一君    副大臣        財務大臣    石井 啓一君    事務局側        常任委員会専門        員        石田 祐幸君    政府参考人        内閣法制局第三        部長       梶田信一郎君        人事院事務総局        職員福祉局長   関戸 秀明君        総務大臣官房審        議官       田中 順一君        総務省人事・恩        給局長      戸谷 好秀君        総務省自治行政        局公務員部長   須田 和博君        財務省主計局次        長        杉本 和行君        文部科学省高等        教育局私学部長  加茂川幸夫君        厚生労働省年金        局長       吉武 民樹君        社会保険庁運営        部長       薄井 康紀君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 円より子

    委員長円より子君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日までに、若林正俊さん、江田五月さん及び大門実紀史さんが委員辞任され、その補欠として愛知治郎さん、平野貞夫さん及び井上哲士さんが選任されました。     ─────────────
  3. 円より子

    委員長円より子君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣法制局第三部長梶田信一郎さん外八名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 円より子

    委員長円より子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 円より子

    委員長円より子君) 国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 平野達男

    平野達男君 民主党・新緑風会の平野達男でございます。急遽の登板になりました。  冒頭、ちょっと申し上げておきたいことがあります。  金融二法の法案、昨日、本会議で可決となりました。あの問題について、ああだこうだとほじくり返すつもりはありません。ありませんけれども、四月の二十三日に衆議院の本会議を通過して、五月の二十八日に参議院の本会議で下りたと。その間、一か月ちょっとあったわけですが、証券法等審議はあったんですが、事実上、財政金融委員会は開かないときも何日かずっとあったということで、そういう中での審議時間、非常に少ない中での採決ということでありまして、結果的に見ると、財政金融委員というのは、言葉は悪いですけれども、審議しないでサボっていたと、国民の目から見ますと、とも取られてもしようがない。  その背景には、先ほど言いましたように、いろいろな背景があると思いまして、それを今日ここでごちゃごちゃ言うつもりもありませんし、また、言うほど状況を理解しているわけでもありません。ただ、本当に、昨日本会議でも言いましたけれども、財政金融委員会、これじゃ要らないじゃないかと、本会議で代表質問やって、ちょこっと質問やれば、あとすぐ中間報告やって法律が成立するというような、こういう先例をこれ以上作るということは、自分たち委員会のそもそものもう自殺行為だということで、もう願い下げにしたいなということを改めて申し上げておきたいと思います。  そこで、今日、共済年金質問でございまして、まず厚生年金国民年金資金運用ということからちょっと聞いていきたいと思います。  今、厚生年金国民年金公的年金運用されているものが、大体積立金が百四十七兆円あります。その基本ポートフォリオというものを見ますと、これは二〇〇一年から市場運用を任されてきたということで、今まで資金運用部にほとんど全額預託されていたわけですけれども、二〇〇一年から市場運用が任されまして、基本ポートフォリオというのが一応できております。  この基本ポートフォリオ割合見ますと、国内債券が六八%で国内株式が一二%、外国株式八%というふうになっておりまして、どうも株式割合がちょっと高いのかなという感じがします。ちなみに、生命保険会社全般資産運用状況を見ますと、総資産は大体百八十兆ありまして、これはどうも厳密な比較は難しいんですが、今手元にある資料でいきますと、株式の全総資産に占める有価証券比率というのは総資産比で九・六%、これだんだんだんだん下がってきているんです。  その一方で、国民お金を預かっている厚生年金国民年金国内株式が一二%、外国株式八%ということで、これはあくまでも基本ポートフォリオなんですが、非常に高いということでありまして、かなりこれはリスクの高い資産についての運用をしているというふうに思います。  こういう基本ポートフォリオを作った考え方、やっぱりこれかなりリスクが高いんじゃないかという、そういう懸念が出てくると思うんですけれども、この辺りについて厚生労働省のちょっと御見解をまず冒頭伺っておきたいと思います。
  7. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 先生今お尋ねでございました基本ポートフォリオでございますが、これは前回財政計算の際にその基本的な設定に基づいて策定をしたものでございます。で、十一年財政計算におきます経済前提を申し上げますと、物価の上昇率が一・五%、それから名目賃金上昇率が二・五%、それから名目運用利回りが四・〇%という形でございます。  それで、その基本ポートフォリオ策定の仕方といたしましては、基本的には国内債券を中心としながら株式を一定程度組み入れた運用を行うというところでございますが、その資産構成割合基本ポートフォリオにつきましても、運用前提となります年金財政計算上の経済前提との整合性を取りながら専門的に検討を行いまして、この構成割合を選択したところでございます。  それで、具体的にちょっと中身について申し上げますと、この策定をいたしましたときに、それぞれのリスクリターンを算定をいたしましてこの組合せを考えておりますが、国内株式につきましてはリターンが六・五%、外国株式につきましてはリターンが七%、国内債券につきましては四%、外国債券については四・五%という、こういうリスクリターン組合せの中で目標値としましては四・五%の収益率を取れる組合せということで設定をいたしております。  この基本ポートフォリオにつきましては、資金運用部から順次資金運用部への預託金が返還をされまして、平成二十年度に達成をされるという形でございまして、現在の状態で申し上げますと、その移行過程にございまして、株式国内株式割合は七%という状態でございます。
  8. 平野達男

    平野達男君 今、資金運用部から来たのは大体四十四兆ぐらいでしたっけ。済みません、これ通告していたかな、していなかったかな。相当程度資金運用部の方にまだ残っていると思いましたけれども。
  9. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 平成十四年度末で申し上げますと、財政融資資金資金運用部預託しております資金が百十二・三兆円でございます。それから、いわゆる新しい自主運用、つまり資金運用部から借入をいたしませんで、年金特別会計から直接年金資金運用基金に寄託をしておりますものが三十五・三兆円でございます。それから、従来、資金運用部から借入をいたしまして、借入金利を払いながら運用した部分が、これ順次縮小しておりますが、この承継資産分が二十一兆円でございます。
  10. 平野達男

    平野達男君 その一方で、国家公務員共済基本ポートフォリオを見ますと、国内株式外国株式比率というのが低いんですね。もちろん資金運用の額が、国家公務員共済の場合は八・七兆円ぐらいということで規模が非常に小さいわけですが、ただ基本ポートフォリオ考え方がなぜ違うのかというちょっと素朴な疑問が出てくるわけですけれども、これは財務省の方にちょっとお伺いしますけれども、財務省考え方は、これどういう考え方でやっておるんでしょうか。
  11. 杉本和行

    政府参考人杉本和行君) 国家公務員共済組合における年金積立金運用の基本的な考え方でございますが、これも年金資金性格にかんがみまして、長期的に適正なリスクと収支のバランスを図るということでやっております。  具体的には、国家公務員共済年金保険者でございます国家公務員共済組合連合会、ここが外部の有識者の意見、これは資産運用委員会ということで報告書を十四年二月七日にいただいておりますが、こうした意見を聴取した上で、国家公務員共済組合連合会積立金運用基本方針ということを定めまして、これを公表して運用を行っております。  厚生年金と若干の違いがございますのは、先ほど先生も御指摘になりましたけれども、国家公務員共済組合の方は運用部に対する預託ということを引き続きやることになっておりますので、その分がございます。それから、年金成熟度というのの違いもございまして、国家公務員共済組合成熟度受給者と現役の比率でございますが、これが一貫して高まってきているということもございますので、特に安全性を重視しているとかいうことも若干の違いとしてはあるかと思っております。
  12. 平野達男

    平野達男君 国家公務員共済の方の予定利率といいますか、目標運用利率というのは何%ですか。これ、通告していないかな。
  13. 杉本和行

    政府参考人杉本和行君) 将来の運用利回りということでございますと、それは厚生年金に合わせて考えたいと思っておりますので、二〇〇九年以降でございますと三・二%ということになろうと思います。
  14. 平野達男

    平野達男君 多分、厚生年金はこれから基本ポートフォリオ四%から三・二%に下がりますから、この構成比は変わってくると思うんですが、同じ運用利率設定しながら基本ポートフォリオ考え方が違うというのもちょっと分かりづらいなという感じがします。  それから一方で、国家公務員共済資金運用というのは大体八・七兆円。厚生年金国民年金は、先ほど言いましたように、まだ全額運用されていませんけれども百四十七兆。百四十七兆というのは、先ほど言いましたように、生命保険会社全体が百八十兆ですね。恐らく生命保険会社というのは、いろいろ各社がありますから、各社が各々の考え方基本ポートフォリオを考えながら運用していると思うんです。ところが、一気に百四十七兆というものを一つ考え方基本ポートフォリオ運用するというのが、これはいいのかどうかということなんであります。  これは、恐らく金融上の話なんですけれども、財務大臣財務大臣の御所見でいいですから、結構でございますので、御所見をお伺いしたいんですけれども、これだけの大きな金額を一つの単体の基本ポートフォリオ運用をするというそのメリットそれからリスクというのをどのようにお考えになるでしょうか。
  15. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 十分にお答えする用意がないんですが、やはりそのリスクをどう分散していくかということも考えながらポートフォリオを組んでいるんだろうと思うんですが、やはりこれだけの多量のものを運用しなきゃならないという仕組みはそんなにどこでも例があるわけではありませんので、その辺りは更にいろいろ考えながら進めていく必要があるかと思います。
  16. 平野達男

    平野達男君 私もちょっとまだ十分精査し切れていませんけれども、いずれ、厚生年金国民年金基本ポートフォリオはやっぱり相当ハイリターンを求めなくちゃならないという何らかの事情があって、こういう株式国内株式外国株式の方の比率が高いんじゃないかと思うんですが、どうもこの比率が高過ぎるというのが非常に気になります。  特に、よく言われるのは、永田町には魑魅魍魎が住んでいると言いますけれども、国内株式外国株式、特に国内株式運用比率がこれは高いということでありますと、例えば口先で、厚生年金資金使ってもうちょっと株を買ったらどうかとか、株を売ったらどうかというようなのがよく新聞紙上をにぎわしますね。全体の額が百四十七兆円というふうに非常にパイが大きいですから、そのアナウンスメント効果だけで何か市場が動くという。過去においては実際にそういうふうな運用をやられたことはないということなんでしょうけれども、こういう株式というものに対する依存度が高いというのが、そういういろんな、永田町からのいろんな不規則発言不規則予想が出る背景にもなっているのかなという感じもちょっとするということを指摘しておきたいと思います。  そこで、今日、更に話を進めまして、話を今度は国債の話にちょっと持っていきたいわけであります。  最近の状況を見ますと、国債長期金利が、例えば今日の新聞によりますと、長期金利、一時一・八五五%ということで、かなり上昇傾向が見えてきたと。日銀も、今日の金融政策委員会でしたか、これは景気が上昇しているからいい、許容できる範囲だというような見解を出したようですが、どうもこれから長期金利がどうなるかというのは非常に気になるところであります。  この件につきましては、この財政金融委員会あるいは予算委員会でいろいろと、谷垣大臣といろいろ議論をさせていただきましたけれども、これから気になるのは、金利が上がっていけば、国債については売りの圧力が掛かってくるだろうと、買いの圧力よりも売りの圧力が掛かってくるだろうという中で、その売りの圧力が掛かってきたときの受皿を用意しておかないと金利の高騰が起こるリスクが高くなってくると。  そういう場合に、例えばこの厚生年金の百四十七兆のお金、今の段階ではまだまだ資金運用部運用されていますが、これをどうするか、あるいは郵便貯金お金をどうするか。郵便貯金については、もう国債運用を考えながらその資産運用を考えるべきだというようないろんな検討もされているようですけれども、これから国債政策の一環としてこの年金あるいは郵便貯金というものをやっぱり考えていく必要があるんじゃないかというような気がまだずっとしております。  それについての改めて財務大臣のちょっと御所見を伺っておきたいと思います。
  17. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) まず、公的年金積立金資金運用についてですけれども、これは原則として自主運用ということになっているわけですね。それで、資金性格などを踏まえた資産あるいは負債の管理方針で各主体自身判断でやるということになっているわけですが、昨年の十一月に公的債務管理政策に関する研究会報告書を出していただきましたけれども、その中で、公的年金積立金については、その運用姿勢金融資本市場に大きな影響を及ぼさないよう、米国の社会保障信託基金の例に倣って、非市場性国債による運用も視野に入れるべきであるというふうに指摘していただいておりますので、こういった点も含めて幅広く勉強していきたいと、こう思っております。  いずれにせよ、国債大量発行、今後とも続くわけでございますので、財政構造改革の推進によって国債に対する信認を確保しながら、市場動向も十分踏まえて、国債の商品の多様化等を通じた国債管理政策をしっかりやっていく必要があると思っております。  それから、郵貯をおっしゃいましたけれども、今、御承知のように、郵政三事業をどうしていくかという議論経済財政諮問会議でも行われているわけでございますが、どういう形に持っていくかということがまだはっきり結論が出ておりませんので私としても確としたことを申し上げにくいわけでありますけれども、いずれにせよ、相当な量を郵貯あるいは簡保の資金運用して持っていただいているわけでありますので、移行過程、どういう形の郵政、今度は郵政の形になるかということだけではなくて、その過程についても十分な透明性予測可能性を持って市場に不測の影響を与えることのないような形にしてほしいと、私はそのことを常に申し上げているところでございます。
  18. 平野達男

    平野達男君 いずれ、この厚生年金国民年金年金資金運用基金への預託からの移行というのはまだ中途であります。先ほどのお話でしたら百十二兆ほどまだ資金運用部にあるということで、これから平成二十年度までにかけて戻ってくるということだという御説明がありました。  私は、本当に、今、非市場性国債というふうな話がありましたけれども、アメリカなんかでは、私も詳しくありませんけれども、年金についてはもうほとんど国債運用しているというようなこともありますし、株式というものを使って運用するということについてはやっぱり慎重なもっと判断があっていいんじゃないかなというふうに思いますし、かつまた、先ほど言いましたようなこれからの国債市場のいろんな動向を踏まえますと、これだけのお金厚生年金あるということもありまして、これは至急やっぱり検討してそれなりの方向性を出す、まだタイミング、時期は、時間はありますので、是非検討していっていいんじゃないかなというふうに思います。  それから、ちょっと話が今度は別な質問に移りますけれども、今回の年金改革法案、まあいろいろ、改革法案って、案でなくなりまして、年金改革法で、もう成立しましたから。今、国民の間で非常にいろいろの評価がありまして、七割近くの人が評価しないというふうに言われているとか、いろいろ言われています。  ただ、いわゆる与党案と、民主党もこれ案出したわけですけれども、これ、私に言わせれば、せんじ詰めて言えば、財源問題で消費税使うか使わないかということに尽きるという、そこにせんじ詰めた相違点があったんじゃないかというふうに私は思っています。もちろん、いろんな考え方で細かい点はまだ、細かい点挙げればたくさん出てくると思いますけれども、基本的に、財源ということに関して言えば、いわゆる一三・五八から一八・三%まで上げるというんじゃなくて、一部分については消費税を使うということが民主党案の骨格じゃなかったかというふうに思っています。  こういう年金問題を考える場合には、従来から、これ政府税調なんかでも国民負担率という概念をとらまえて、いわゆる税負担保険料負担というのをセットで考えるということをずっとやってきていますですね。今回の場合も、例えば一三・五八から一八・三%まで上げるということであれば、厚生年金の場合はもう御承知のように二分の一が会社負担でありますから、これは会社負担でありまして、法人税を納めている会社というのはこれは大企業だけでありまして、中小企業はもうなかなか納められないという状況も、これはもう御承知のとおりです。ところが、一三・五八から一八・三%まで上げますと、これはもう必ず納めなくちゃならないという、事実上のもう法人税増税になるわけですね。  それから、あと国民年金負担も個人的に見ればもう増税と同じということでありまして、こういう年金の大改革というのを厚生労働省一省に任せておいて議論をするということにそもそも私は問題があったんじゃないかというふうに思っています。厚生労働省一省に任せていたら、厚生労働省自分土俵でしか考えられませんから。いや、それは厚生労働省財務省とかほかの省庁とか、いろいろ連携取りながらやっていますよとは言いますけれども、私も二十四年間霞が関にいて役人生活やった皮膚感覚からしますと、もう縦割り縦割りなんですよね。年金改革やれといって厚生労働省にその案を作れと言ったら、厚生労働省土俵でしか考えられないですよ。  こういった大きな改革をするというときにはやっぱり税制の問題と年金負担の問題というのはやっぱりセットで考えるという、そのために、私、概念として国民負担率とかあると思いますし、繰り返しになりますけれども、こういう厚生年金負担率を上げるというのは会社に対する負担も上がりますんで、そういう観点から考えますと、税制との一体化の議論というのは、これは是非今からでもやる必要があるんじゃないかなというふうに思いますけれども、と思います。  これについての財務大臣のちょっと御所見を伺っておきたいと思います。
  19. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今、平野委員が指摘されましたように、社会保障制度については、結局、税も保険料も最後は国民負担ということでありますから、持続可能な制度を作っていくためにはこれは制度全般について一体的な見直しを進めていく必要があると思っておりまして、先般閣議決定をしましたいわゆる骨太の二〇〇四でも、社会保障制度全般について一体的な見直しを開始するというふうに書き込んでいただいております。  今般の、今度の年金改革につきましても、具体的な保険料水準設定であるとか、あるいはいわゆるマクロスライドを入れたということに合わせて、所要の税制上の措置を講じての基礎年金国庫負担割合二分の一への引上げということを行うことにしているわけでございますけれども、今後、その二分の一具体的に持っていく上については税制きちっと議論をしていかなければならないと思っておりますので、今後とも、年金あるいは社会保障全般を考えます場合には税との連携というものを十分考えて進むことは、そうあらねばならないと思っております。
  20. 平野達男

    平野達男君 三党合意国民年金厚生年金共済年金一元化を一回合意しまして、どうもその後いろんな経過があったものですから、民主党はこれに対してどうするかというのがちょっと今の段階で私個人では何とも言えないところがありますが、ただいずれ、その三党合意あるとなしとにかかわらず一元化議論もされていくんだろうと思うんです。その過程の中でやっぱり、繰り返しになりますけれども、税と保険料の一体化という議論は、これは是非やっていただきたいなというふうに思います。  あと、まだ予定していた質問、さっきの一元化の問題とか何かいろいろありますけれども、予定の時間を私ちょっと過ぎまして、そろそろ時間がなくなりましたので、あとは大塚、我が方のエースが待ち構えておりますので、大塚委員にちょっとお願いしたいと思います。
  21. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 民主党の大塚でございます。  今国会は多分これが最後の質問ということになりますので、いろいろ申し上げたいことは私も平野委員と同様にございますが、無駄話をやめて質問に入らさせていただきたいと思います。  年金制度については取りあえずの改正案が成立したわけでありますが、どうも与党の皆さんの御認識も大分我々と接近してくださっているような気もいたしますし、それから国民の皆さんの関心の高まりなども考えますと、このまま二〇一七年まで今回の改正された内容で粛々と続くということではないんではないかという気がしております。来月、参議院選挙ありますが、ひょっとするとその次の大きな選挙は衆参ダブル選挙かもしれないということも巷間言われておりますが、ひょっとすると三年後には年金制度について改めて与党案と野党案が大きな争点になることもあるかもしれないなと、そんな思いで、今日は限られた時間の中で、幾つか今後の検討の材料とさせていただくために基本的な質問をさせていただきたいと思います。  まず、今日は共済年金ということなんですが、今回の国家公務員共済の改正については二月十二日の財政制度審議会の分科会の報告書などにその基本的な考え方が述べられているわけでありますが、これを拝見していてちょっとどういう趣旨であったかを確認させていただきたいくだりがございました。お手元にない方も多数いらっしゃいますので、ちょっと読み上げさせていただきます。こういう記述がその報告書の中にございました。  「共済グループという集団内の変化の幅が日本全体のマクロの変化幅と同一でないとすると、共済グループの財政に長期的に大きな影響が及ぶことになる。例えば、日本全体の被用者数が増加しそれを反映して厚生年金の給付水準が上昇していく場合には、共済年金の給付水準も同一の調整率で上昇していくことになる。ところが、仮に公務員の大幅な定員削減が実行されれば、共済グループはより少ない現役組合員で上昇する給付水準を賄わなければならなくなり、保険料率が固定されていれば、それは財政悪化に直結することになる。」と。  これを何となく読んでいて、えっと思ったんですけれども、これ今年の二月に報告書を出しておられて、「日本全体の被用者数が増加しそれを反映して厚生年金の給付水準が上昇していく場合には、」と書いてあるんですけれども、これはどういう前提でこういう表現が入ったんでしょうか。今は、どちらかというと、被用者がどんどん減っていって厚生年金の給付水準が下がるという議論をしているときに、今年の二月に、この国家公務員共済の改正案を作るたたき台となっている報告書の中に、もう一回言いますよ、「日本全体の被用者数が増加しそれを反映して厚生年金の給付水準が上昇していく場合には、」と書いてあるんですが、これはどういうお考えでこういう文章が盛られたんでしょうか。
  22. 杉本和行

    政府参考人杉本和行君) 先生が御引用になりました財政制度審議会の国家公務員共済分科会の意見でございますが、基本的には、今回、改革の結果、今後厚生年金の給付水準というのは公的年金全体の被保険者数の動向や我が国の高齢化の進展といった、いわゆるマクロ経済スライドと申しておりますが、マクロの経済社会情勢の変化を勘案して調整されることになっております。それで、共済年金につきましても、昭和六十年度の年金改正以降、基本的な制度設計、それから支給額の算定の仕組み、これにつきましては厚生年金に準拠するということにしてきておりますので、今回の改正案でも給付水準の調整は厚生年金と同じことにしてございます。  この「例えば、」という例の引き方でございますが、日本全体の被用者が増加し、反映して厚生年金の給付水準が上昇していく場合、逆に言いますと、増加している場合だけを引いているのでちょっとお耳障りだったのかもしれませんが、基本的に、ここで意見として意味しているところは、マクロ経済スライドに関連しまして、被用者数が増減すれば、その増減に合わしてマクロ経済スライドが行われていくと。  そうしたときに、共済年金というのは母集団が非常に厚生年金等に比べまして小そうございますので、そういうことから全体の財政状況をかんがみますと、保険料というものを固定いたしますと財源が、財政状況が非常に逼迫することもございますので、そういったことから、共済につきましては五年ごとやはり財政計算保険料を決めさせていただく必要があるというような趣旨がここに書いてございまして、「例えば、」というのはそういう意味でございますので、そのマクロ経済スライドを念頭に置いた表現だと考えております。
  23. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 そういう御趣旨であれば、国家公務員共済厚生年金と連動しているけれども、母集団が小さいこともあっていろいろ配慮が必要だというようなことを一般的に申し述べればいいわけであって、いいですか、もう一回言いますよ。被用者が減って厚生年金の給付額が下がるということをこれから議論しようとしているときに、日本全体の被用者数が増加し、それを反映して厚生年金の給付水準が上昇していく場合にはかくかくしかじかのことが起きるから、だから国家公務員共済はますます不利な立場に追い込まれるという、そういうロジックで書かれているんですけれども、逆じゃないですか、これ、今年の二月に出すんだったら。(「本当だよ」と呼ぶ者あり)もう今、上杉先生がそうおっしゃってくださったからもう言いませんけれども、いや、次長、笑っている場合じゃないですよ。  厚生年金はますます給付水準が下落していく中で、国家公務員共済の様々な相対的に優遇された制度厚生年金と併せて真摯に見直していかなければならないという報告書にならなきゃいけないんですよ、ここは、今年の二月だから。逆のことを書いてあるんです。  これは分科会のどなたの御発言をベースにここに書かれたんでしょうか。
  24. 杉本和行

    政府参考人杉本和行君) 国家公務員共済組合の分科会は、学識経験者、使用者代表、組合員代表の三者構成となっておりまして、各議員から意見をいただいたものを総括的にまとめていただいたものでございます。  分科会におきましては、特に学識経験者の委員を中心にこういった御意見が出されたということもございまして、それを踏まえて総括的にこういうふうにまとめさしていただいたというふうに考えております。
  25. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 いや、メンバーも公表されて議事録も出ていると思いますので、主にどなたの御主張でこうなったんですか、ここは。
  26. 杉本和行

    政府参考人杉本和行君) 学識経験者として意見をお伺いしておりましたのは長尾立子先生とか渡辺俊介先生でございますが、こういった先生からもこういった意見は出されたということが、先生御存じだと思いますが、議事録等からも読み取れることになっておると思います。
  27. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 財務大臣、どう思われますか、今のくだりのところ。この時期に、これから保険料率を上げ、給付水準を下げるという年金制度改正の国会での大議論を始めようとしていたやさきの報告書の中のこの表現は適切だと思われますか。
  28. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 必ずしも眼光紙背に徹するように読んだわけではございませんが、私は、恐らくここのところの意味は、公務員の数というのは、そのときの経済の動向とかあるいは人口あるいは総雇用者の数といったものと必ずしも連動しない形で公務員の数の削減が行われたり、場合によれば増える場合もあるかもしれませんが、そう動いていくと。しかも、母集団が小さいということを特にマクロ経済スライドの在り方と照らして言いたかったんじゃないかというふうに私自身は読みました。
  29. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 冒頭申し上げましたように、今日は余り細かい話というよりも、今後年金制度は引き続き検討していかなきゃいけないと思っていますので、基本的な点を勉強させていただきたいんですが、やっぱり今この日本という国が徐々に徐々に何となく若い人たちが希望を持てなくなって、何かこう活気が失われているということと今ここで議論させていただいていることは私は密接に関係していると思うんですけれども。  その昔、私が子供のころはどちらかというと公務員は給料が安いと言われていて、公務員をやっていると貧乏だからなんて、そういう話が小学校や中学校のころは子供心に話されていた記憶があるんですが、そうすると若い人は、じゃ民間に出て働いてちょっといい暮らししてといって人材はそっちに流れたんですが、今はやはりそれが逆になっちゃっている。何となく公的部門に行った方が先も安心だしメリットがあるからというふうになると、今の大学生の就職意識が典型的ですけれども、じゃ公務員になってちょっと先が安心の方がいいやというそういうインセンティブになると、本当は日本の経済を、活力を高めてくれるような人材がどんどんどんどん公的セクターに行ってしまうという、そういう傾向がベースにあるんじゃないかなと思っておりまして。  本当に日本を再生させたいと、長期的に、中長期的に再生させたいということであれば、例えば年金制度のところも、私は、我々は全部一元化と言っていますから平等でいいと思うんですけれども、本当に日本を活性化したいと思えば、もう一回やっぱり民間の方が随分、民間に行った方がメリットがあるぞという形に作り直して人材がそちらに行くと、また十年、二十年たって経済も良くなり、そうすればまた公務員の皆さんも追い付いてくるという、そういう組立て方にするのが本来の姿ではないかなという気がするんですが、そんな問題を抱えている中で、今申し上げましたような報告書が出ているということに、これからの先行きについても若干、一抹の不安を感じるわけであります。  そういう認識の延長線上の問題として、衆議院財務金融委員会でも同僚の中塚議員とかが聞いておりました点ですが、改めて確認をさせていただきますが、国家公務員共済の職域加算の部分と厚生年金の三階部分の位置付けが、これが言わば対照する制度だというふうに位置付けられておりますけれども、これはそれぞれどういう理由でこの両者が同じような位置付けになっていると考えたらよろしいんでしょうか。その定義をお伺いしたいんですが。
  30. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 老後の所得保障につきましては、公的年金であります国民年金厚生年金、あるいは共済年金で申し上げれば二階の部分に相当にいたしますが、これが生活の基本的な部分に対応しまして、私どもの国民年金厚生年金の分野で申し上げますと、企業年金は、多様化する老後のニーズにこたえましてより豊かな老後生活を実現する、そのために公的年金と相まって老後の所得保障の充実を図るものというふうに位置付けております。  したがいまして、我が国の年金制度体系の中でごらんをいただきますと、全国民共通の基礎年金を一階部分、それから被用者を対象とする厚生年金を二階部分といたしますと、企業年金はそれらの上乗せとなる三階部分というふうに考えております。  自営業の方につきましては、公的な制度としては国民年金基金制度というのがございまして、国民年金基金制度がサラリーマンの方の三階部分までを対応する機能を果たしているという状態でございます。
  31. 杉本和行

    政府参考人杉本和行君) 共済年金についてでございますが、共済年金は、公的年金制度の一翼を成すと同時に公務員制度の一環として位置付けられておりまして、昭和六十一年度に厚生年金と同様の給付設計に変更された際、職域加算の仕組みを導入されたものでございます。  この職域加算は、民間におきまして厚生年金基金とか適格退職年金などの種々の企業年金が相当普及しているという点も考慮しておりますが、同時に、職務専念義務とか兼業禁止とか再就職の制約、労働基本権の制約、守秘義務等様々な身分上の制約が公務員に課されていること等を踏まえまして、国家公務員の退職後の生活の安定に寄与し、もって公務の能率的運営に資するという目的で設けられたものでございます。
  32. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 今の次長の御答弁をせんだってからここで何回かやらせていただきました厚生労働省の選択エージェンシー事件のときに一緒に聞きたかったですね。  おっしゃるように、国家公務員法の百一条の職務に専念する義務等があるから、今回財務省から随分いろいろ追加の資料もいただきましたので、そこにも書いてありますが、兼業禁止、いろいろあるので、そういうことの代価として、見返りとして、例えば年金制度も若干の優遇があるんだと言っているわけですね。  今日は年金局長に来ていただいているわけですが、その一方で、厚生労働省、随分職務上知り得た情報でペイバックのあるような副業を一杯やっていたわけですね。この人たちは職務に専念していると言えないですね、全然。起きたことはとやかく言いませんよ。ここで議論させていただいた資料に出てきた方々もまた逮捕されちゃいましたので、それはそれで司直もちゃんと動いてくださっているということだと思いますが。  そうすると、今、杉本次長がおっしゃったような理由でこの国家公務員共済の職域加算が付いているということは何度かここで議論させていただいて、社会保険庁次長や保険局長にお伺いしたように、厚生労働省は、今後、年金、医療、介護等、職務にかかわる印刷物等に関する副業は職員に禁止するというふうに理解していいですね。局長に、年金局長にお伺いします。
  33. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 直接私の所管している分野ではございませんで、なかなかお答えにくいお話でございますが、基本的には、今先生がおっしゃいました原稿料等につきましては職務を離れて考えるべきであるというのが基本的な考え方でございます。  これを、しかし職務を離れて行うにしても、先ほどの国民健康保険のところで起きているような問題については、これは基本的には、結果的にといいますか、国庫補助金の交付対象から、さらにそういう印刷物なり、そういうものを行うという形でございますので、これは大臣も厳に慎むべきだというふうに言っておられますが、例えばそういう分野を離れまして、私どもの例えば職員でも社会保障の専門誌に寄稿するとか、そういう形態もございますので、そこをどう考えていくかというのはいろいろな問題があるだろうというふうに思います。  ただ、今回の問題が起きたような分野については大臣もこれは厳に慎むということをおっしゃっておられます。
  34. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 杉本次長のおっしゃった答弁をもう一回、ここに紙でいただいていますので申し上げますと、職域加算部分については、公務員には「職務専念義務、兼業禁止、再就職の制約、労働基本権の制約、刑罰を伴う守秘義務などの様々な身分上の制約が課されていること等を踏まえ、国家公務員の退職後の生活の安定に寄与し、もって公務の能率的運営に資する目的で設けられたものである。」と、これが公式答弁であり、再三衆議院でも申し述べておられますので余りここでくどくど申し上げませんけれども、是非、厚生労働省だけではなくて、各省の幹部の皆様方におかれては、幹部であられるわけですから、職員あるいは省に対してどういうマネジメント方針で臨まれるのかというのは、幹部が決めないで、ほかだれも決められませんから、是非、襟を正してやっていただきたいなというふうに思います。  それで、実はこの財務省からいろいろ追加で提出していただいた資料の中を見ていて、ちょっと通告していない数字に興味を抱いちゃったものですから聞かせていただきたいんですが、お手元に財務省が御提出いただいた資料集あるかと思いますが、八十四ページにこの国家公務員共済を運営している連合会の役職員定員数というのが書いてあって、一万二千三百九十四名というふうになっておりますが、この方々の経費というのはどういうふうに賄われているんでしょうか。
  35. 杉本和行

    政府参考人杉本和行君) この職員、特に長期、年金、それから短期、これは医療でございますが、それに携わっております職員につきましてはいわゆる共済組合の事務費ということで対応いたしております。国庫負担とそれから保険料と財源でやっておるところでございます。
  36. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 つまり、谷垣大臣が、厚生年金国民年金の事務費については、平成九年から特例のずっと延長で、言わば保険料でやっているという説明をされて、私、再三それを本会議でも引用させていただいていますが、この連合会も同様に、国家公務員の皆さんの保険料でこの一万二千三百九十四名の経費が賄われているという理解でいいですか。ちょっと違うんじゃないんですか。
  37. 杉本和行

    政府参考人杉本和行君) この一万二千人のうちに、国家公務員共済組合の病院の看護婦さんとか先生とか、病院の職員がかなり入っておりまして、それが直営病院でいいますと七千三百二人、十五年末でございますが、おります。それから、旧令病院と言っておりますが、旧共済組合連合会の関係の病院で三千八百六十二人おります。それから、会館福祉の宿泊の関係もおりまして、こういった福祉事業につきましては、特に病院等につきましては自己財源で支弁しているというところでございます。
  38. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 病院の職員がこの中に入っておられるということになると、確かに厚生年金国民年金と単純に比較はできないかもしれませんが、ここも今日ここで結論を出すというような問題ではないんですが、厚年と国年の事務経費、つまり社会保険庁の事務経費が保険料で賄われているというところが今回いろいろ議論されている一つのポイントでもありますから、しからば国家公務員共済の連合会のこの事務経費はどうなっているのかということは是非一度きっちりレクチャーをしていただきたいと思っております。  この中に病院の職員が入っておられるということなら、そういう部分をどう考えるのかというのはまたちょっと違う発想が必要かもしれませんけれども、何かもしコメントがあれば。
  39. 杉本和行

    政府参考人杉本和行君) その点、一度整理しまして、大塚先生の方に御説明させていただきたいと思います。
  40. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 事ほどさように、やはり、今日は法制局にもおいでいただいているんですが、同じ国民ですから、老後の年金制度ということであれば法の下の平等に沿って同じ制度下に置かれるべきではないかと私自身は思っておりますが、その点についての見解は最後に法制局にお伺いしますが。  ただ、何か厚生年金共済年金の間で制度的に入れ食っているような部分もあるというふうにあちらこちらから伺うことがありまして、それはどういうことかと申しますと、例えば公益法人とか特殊法人の中で、厚生年金という形を取りながら、しかし実際は厚生年金の三階部分、いわゆる基金の部分ですね、ここは予算措置でカバーされている組織があるやに聞いているんですが、まず基本的なことをお伺いしますが、厚生年金の三階部分について公的予算措置でそこが賄われている法人、かつての特殊法人あるいは現在の独立行政法人、その他公益法人、こういうものがまずあるのかないのか、そこについてお伺いをしたいんですが、いかがでしょうか。
  41. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 厚生年金基金につきましては、いわゆる代行部分につきましては、これは労使折半でございますので、この部分については厚生年金本体の保険料を免除させていただきまして、事業主負担それから被保険者負担、それぞれ折半にされるという形でございます。それから、いわゆる上乗せの三階部分でございますが、これは一部従業員の方が負担をしておられるものがありますが、圧倒的多数は企業負担でございます。圧倒的多数は企業負担ということでございますので、そういう意味では事業主が大部分を負担をいたしております。  それで、現実にそれでは事業主負担が、もちろん民間企業の場合には、これは企業の収益から、収益といいますか、人件費そのものでありますので、そこから負担をしておられるわけですが、例えば特殊法人が設立をしました厚生年金基金というのは幾つかの例がございますが、じゃ、その財源そのものを要するに特殊法人の収益といいますか、そこから負担がされているのか、あるいはそういう特殊法人に対する国の補助金なり交付金から支出されているかというのは、残念ながら私どもでは把握はいたしておりません。  ただ、そういう特殊法人が設立しているような厚生年金基金はございますので、そこは先生がおっしゃるような問題が、現実に財源としてどうなっているかというのは多分その特殊法人の運営形態によって様々だろうというふうに思います。  私ども厚生省所管の例えば独立行政法人の中にも、典型的な例を申し上げますと、医薬品の承認審査を行っている独立行政法人がございますけれども、ここはもうほとんどが承認審査を行います際の製薬企業からの手数料で賄っておりますので、こういうところは多分一般会計からの負担は全くない、仮に厚生年金基金があったとしてもということであります。  ですから、それはその厚生年金基金を設立しております母体となります特殊法人なり独立行政法人、そこの財政がどうなっているかということによって掛かってくるものだろうと思います。残念ながら私どもではその中身までは把握はいたしておりません。
  42. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 谷垣大臣、今のやり取りでお分かりいただけますように、特殊法人とか公益法人とか、そういう中にも厚生年金ということで自前の制度を一杯抱えている先があるという、そういう御理解は元々ありましたか。
  43. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 特殊法人等でも厚生年金でやっているということは承知しておりました。  今、委員のお尋ねは、あれですか、そこに、何というんでしょうか、どうやってその資金を調達しているかというお話でしょうか。私も今までその辺は余り明確に把握していなかったわけですが、大塚委員の御関心だということで今回聞きましたけれども、結果として公的な資金がそこに入っている場合もあるかもしれないが、まだちょっと十分把握し切れていないというのを先ほど聞いたところであります。
  44. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 そうなんですよ。何か厚生年金国民年金共済年金、この三つだという議論が行われているんですが、実は厚生年金共済年金の間に、名前は厚生年金なんだけれども、主に例えば役所の方が再就職で行かれるような先を中心に、中心に、特殊法人とか公益法人で名前は厚生年金なんだけれども、厚生年金基金の部分については予算措置で対応されている先があるやに聞いておるんですが、これはそうすると厚生年金共済年金の中間になるんですね。こういうものは皆無だとは言えないという理解でいいですか。これは年金局長財務省の次長と両方にお伺いしますが。
  45. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 年金の体系といたしましては厚生年金に加入しておられますので、そういう意味では公務員年金ではない体系だろうと思います。その公務員年金ではない厚生年金の体系の中に、これは民間企業でも三階を持っておられる企業もありますし、持っておられない企業もある。その中に、例えば公益法人が公益法人を母体として設立しております厚生年金基金もございますし、それから特殊法人を母体として設立している厚生年金基金もございます。それは、ただ、公益法人がすべて三階の厚生年金基金を持っているわけではございませんので、それはその母体によって違ってくるという形でございます。  ですから、民間の厚生年金の体系に共済年金が乗っているということでは多分ございませんで、基本的には厚生年金の体系でありますけれども、そこに厚生年金の分野の中にも公益法人あるいは特殊法人あるいは独立行政法人と言われる公的な性格がある団体の方も対象になっておるということでございます。
  46. 杉本和行

    政府参考人杉本和行君) 先生御指摘のように、特殊法人とか独立法人の中で厚生年金基金を作りまして、それでいわゆる三階部分というものに加入しているところがあるというのは存じ上げております。  この厚生年金基金の事業主負担についてでございますが、それはそれぞれの法人、いろんな業務をやっておりますので、それぞれの法人においてその措置が講じられているところでございまして、その財源をどうしているかというのも、それぞれの法人の事業の性格なり財源の出し方なりによって様々だと思っております。  結果として、例えば公的な資金が当たっているところもあるかと思いますし、手数料とか、そういう形で賄っているところもあると思いますし、国から、ある意味では、例えば独立行政法人のように運営費交付金という形で資金を出しているところにつきましては一対一で対応していないというところもあるんだと思います。  区々様々あると思いますので、具体的にどういうふうになっているかという全体像については、ただいまのところ私どもで把握しているところではございません。
  47. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 厚生年金基金は、普通の民間企業であれば、三階部分は企業の自助努力で、ある一定の勤続年数を経て受給資格を得た人たちが企業の言わば果実の部分をもらうところですから、その部分が何か公的な予算措置で賄われているとする組織があれば、これは、それを厚生年金と言うのは何か変な話なんですね、そういうふうに呼ぶのは。  それで、これまたここで結論が出る話ではありませんが、一度これ時間を掛けてでもいいですから、公益法人や半官半民の組織において独自に厚生年金制度を、厚生年金を持っていて、その基金の部分が何らかの公的予算措置で賄われているものがどのぐらいあるのかというのは、是非一度財務省厚生労働省に調べていただきたいと思うんですが、やっていただけるという理解でよろしいでしょうか。
  48. 杉本和行

    政府参考人杉本和行君) 私ども財務省としては、予算を担当している財政当局の立場として、把握できる範囲のことを調べることは調べたいと思っておりますので、どういうふうにその個々の基金が運営されているかということも含めまして確認する必要があると思っております。  そういうことを把握するには、しばらく、先生おっしゃるように、時間が掛かるかもしれませんので、そういう方向で努めていきたいと考えております。
  49. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 私どもの方でその財源がどこかというまで企業年金に申し上げるのはなかなかいかがと思いますけれども、ただ、先ほども申しましたように、その設立主体ですね、設立主体が特殊法人である厚生年金基金というのは私どもよく把握できますので、財務省とよく連携を取りまして、今おっしゃったような作業をやってまいりたいと思っています。
  50. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 これは、つまり財務省厚生労働省に予算を付けて、厚生労働省はそれをその先に予算を付けているから、その先がどういう使い方をしているか分からないという、こういうトータルとしては御答弁なわけでありますが、これは例えば、ある特殊法人のこれが経費だといってどんと渡していて、その経費のうちの一部がその特殊法人が運営している厚生年金の基金の部分に充当されているとすると、これは一体、民間企業厚生年金基金と似て非なるものでありまして、それはそうであるならば、共済年金Bとか、何かそういう違う名前を付けて、あるいは厚生共済年金とか、そういう何かきちっとした類型をされるべきでありまして、私も今幾つかの事例は知っていますけれども、すべて知っているわけではありませんので、じっくり調査をしてこれからの議論に備えさせていただきたいというふうに思います。  つまり、先ほど日本の若者がどういう気持ちでいるかということが日本の活力に大きな影響を与えているということを申し上げましたけれども、日本の活力に影響を与えているもう一つの問題、つまりマイナスの影響を与えている問題は、どうも公益法人とか、そういう半官半民の組織が都合のいいところでは民間に準拠と言い、都合のいいところでは、いやいや半官ですからこれはパブリックセクターに準拠と言い、そういういいとこ取りをしている組織が随分あるというところも日本の社会にマイナスの影響を与えている大きな問題だと思いますので、先ほどの点と併せて、今後しっかり勉強をさせていただきたいというふうに思っております。  次に、昨日、総務委員会と文教科学委員会ではそれぞれ共済の二制度について可決をされたわけでありますが、厚生労働省と総務省と文科省にそれぞれお伺いをいたしますが、それから財務省もですね、共済年金の中の三共済ですね、三共済、それから厚生年金国民年金の各積立金の積立度合い、何年分のものがあるかというのを、数字だけで結構ですので、それぞれにお答えをいただきたいと思います。順番で結構です。
  51. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 前年度の積立金が当年度の支出の何年分に相当するかを示します積立度合いでございますが、平成十四年度におきまして、国民年金国民年金と申しますのは今実は基礎年金制度を通じまして基礎年金給付も担当しておりますが、本来の自営業の方なんかの財政単位としての国民年金が二・八倍でございまして、厚生年金は四・七倍でございます。それで、厚生年金につきましては、今申し上げました数字は厚生年金基金の代行分は除いております。つまり、政府自身が実施している部分の比率でございます。
  52. 杉本和行

    政府参考人杉本和行君) 国家公務員共済年金の場合の積立度合いを申し上げますと、十四年度末で四・六年分でございます。八・七兆円でございます。
  53. 須田和博

    政府参考人(須田和博君) 地方公務員共済年金の積立度合いでございますけれども、平成十四年度末で七・六となっております。
  54. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) お答えをいたします。  平成十四年度における私立学校教職員共済の年金積立金の積立度合いでございますが、九・八となってございます。積立金平成十四年度三月末、三兆八百億円でございます。
  55. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 国民年金は。
  56. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 国民年金は先ほど申し上げましたように二・八でございます。
  57. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 整理しますと、国民年金が二・八年分、厚生年金が四・七年分、共済年金が四・六年分、四・六は国家公務員共済ですね、地方公務員共済が七・六年、私学共済が九・八年と。国民年金と私学共済を比べるとこれは三倍以上の差があるわけですが、これは文部省にお伺いしますけれども、これは、九・八年分あるというのは、これは多過ぎるんですか、それとも何か合理的な基準でこの九・八年というものが成立しているんでしょうか。
  58. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) お答えいたします。  先ほどもお答えいたしましたように、積立金の額でございますが、平成十四年三月末で約三兆円あるわけでございます。この積立度合いの試算に必要な実質的な支出総額、これは平成十四年度でございますが、三千百三十億円になっておりまして、割り算をいたしますと九・八になるわけでございます。  確かに、この積立度合い、私学共済の場合には高い数字になっておりまして、成熟度を示す指標としては、年金扶養比率が高いこともございまして、財政的に比較的余裕があるものとなってございます。成熟度のこともございますし、これまでの保険料設定方法の経緯、財政運営の成果がこの数字になって表れているものと私どもは理解をしておるところでございます。
  59. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 制度によってこれだけばらつきがあることについては、年金局長はどのようにお考えになられますか。
  60. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) いろいろな要因はございますが、基本的にはやはり歴史的な経過だろうというふうに思います。  それで、国民年金につきましては二・八倍という形でございますが、これはもう端的に申し上げまして、昭和三十六年に国民年金制度を創設をいたしたわけでございます。そういう意味では被用者年金あるいは共済年金の方が先行しておったわけでございますが、三十六年に国民年金制度を創設をいたしまして、当時、年金に加入できない例えば農業をやっておられる方、自営業をやっておられる方、こういう方々の将来の生活の安定を図るということで実施をしたわけでございます。  したがいまして、そのときの政策といたしまして、できるだけ早期に成熟化を図ろうということを実施をいたしまして、例えば、当時、五十を超えられてこの国民年金にもなかなか加入できない方につきましては老齢福祉年金という全額税による年金を支給をいたしました。  そういうこととのバランスを考えまして、例えば五年年金、十年年金という早期に年金が支給される年金を実施をいたしまして、そのことによりまして公的年金が実際の高齢者の方々の生活に役立つということを実証してきたわけでございます。そういう経緯がございまして、国民年金の場合には制度が創設されたのは遅いわけですけれども、逆に給付は相当早い時期から出ていくということで積立金比率が小さくなっているということでございます。  ただ、今日の状態で申し上げますと、この状態につきましては、昭和六十一年の年金改正によりまして基礎年金制度を創設をいたしまして、全体で支え合うという仕組みになっておりますので、そういう意味で自営業の国民年金の部分の積立比率というのは二階はございませんので、年数よりは財政としては安定している状態でございます。  それから、あとの制度を申し上げますと、これは後からお答えがあろうかと思いますが、かつては公務員の場合には恩給という形で支給がされたわけでございます。恩給につきましては、基本的には国家公務員であれば全額国の責任で支給をするという形でございます。そこに社会保険方式の共済組合制度が導入をされましたので、いわゆる社会保険方式により賄う部分につきましては、ある方が例えば二十年勤められておられてそれから共済に加入した場合には、二十年の期間は恩給でありますので国がこの給付は支給をするという仕組みになっております。その後の例えば二十年間について共済制度で支給をするという形でございまして、共済制度はそういう意味で恩給の期間から社会保険の期間に移行する状態でございますので、そこが扶養比率とは違いまして、ある意味で社会保険となった状態成熟度は低いという形でございます。それが財政的に安定しているという状態があると思います。  それから、更に申し上げますと、共済制度は、これまでの厚生年金保険料の引上げの歴史から考えますと、例えば地方公務員共済については相当早期に掛金率の引上げをやっておられると。早期に掛金率の引上げをされたことがやはり財政の安定化に寄与いたしておりますので、それが例えば地方公務員共済の場合に積立比率が高いという状態になってきているだろうというふうに思っております。
  61. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 ここで法制局にお伺いをしたいんですけれども、予定していた質問というのは、国民の属性によって加入している年金制度が異なるのは法の下の平等に反しないかという質問であったんですが、例えば、今聞いていただいたのでお分かりのとおり、過去の経緯でこういう数字になったというのはともかくとして、過去の経緯はともかくとして、現実に、例えば国民年金は二・八年分の保障しかない、私学共済は九・八年分の保障があるというふうに考えると、これはちょうど一票の格差みたいなもので、何年分の保障の下に置かれているかというへ理屈を当てはめて考えると、これまた法の下の平等に反しないかという気がするんですが。  したがって、二つお伺いしたいんですが、そもそも属性によって入る年金制度が異なるということは法の下の平等に反しないかと。仮にこれが反しないとすると、何年分のつまり給付が確保されているかという、一票の格差ならぬ一人の年金給付の保障の格差はどこまでが許容範囲なのかということについて、何かお考えがあればお伺いしたいんですが。
  62. 梶田信一郎

    政府参考人梶田信一郎君) お答え申し上げます。  憲法十四条の第一項、これには、「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」というふうに規定されておりまして、いわゆる法の下の平等は保障されております。この規定は合理的な理由のない不当な差別を禁止する趣旨のものでございまして、合理的な根拠に基づきまして法的取扱いに区別を設けることにつきましては、このこと自体を否定するものではないというふうに解されております。  それで、お尋ねのまず第一点でございますけれども、年金制度につきまして、被用者であるか否かというような、被保険者の属性に応じましてそれぞれふさわしい制度とすることにつきましては合理性があるというふうに考えられるところでございまして、被保険者の属性によって年金制度が異なることをもちまして憲法の定める法の下の平等に反するというふうには言えないというふうに考えております。  それから、第二点目の何年分かの給付に差があるという点でございますが、それは制度の沿革あるいは運用の問題であろうというふうに考えておりまして、そのことをもちまして憲法の法の下の平等という規定に反するというふうにはならないというふうに考えております。
  63. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 今日の段階ではそういうお答えになると思うんですが、自民党さんも憲法改正案出されるということですけれども、憲法改正論議のときにも、実は、この年金制度のそもそも論については今のような視点から議論する余地は私は十分あると思うんですね。  それは、合理的な理由だと言い張ってしまえばいかなるへ理屈も付くわけでありますけれども、やっぱり何となく国民全体が釈然としないという気持ちになっているわけでありますので、憲法改正論議が仮に今後本当に盛り上がるんであるならば、そのときにもう一度、これは年金制度だけじゃなくて、ほかの制度も入ってくるかもしれませんが、いろいろ議論をさせていただきたいなと思っております。  そこで、そういう、やはりなるべく平等であるべきではないかという観点で、確かに年数とか制度そのものが若干違うことに合理的な理由があればいいんですが、しかし、同じような制度として盛り込まれているものについては同じように運営されるべきではないかと思うんですが、そういう観点で、財務省からお出しいただいたこの追加資料のやはり八十八ページ、八十九ページ辺りに、国家公務員共済の事業主負担分、公経済負担金、追加費用という表があるんですけれども、このうちの事業主負担金というのは事業主として国等の負担金であるというふうに書いてあるんですが、ここをちょっと、通告してなくて恐縮なんですが、ここの事業主負担金のところに職域加算が入っているという理解でいいですか。
  64. 杉本和行

    政府参考人杉本和行君) 国家公務員共済年金制度につきましては、職域加算分も含めまして保険料を取っておりまして、その保険料の二分の一が事業主負担になっておりますので、そういう意味では、大塚先生おっしゃるように、この中に職域加算部分に該当する部分も入っているというふうに考えていただいて結構でございます。
  65. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 そうすると、民間企業の場合は、企業の決算が赤字になった場合に厚生年金の事業主負担部分というのはどういうふうになりますか、一般論として。これは年金局長です。企業が赤字になったとき、あるいは業績が悪いときに事業主負担分というのはどうなりますかね。
  66. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 事業主負担は、私どもから申し上げれば、公的制度による企業負担でございますので、企業経営が赤字であろうが黒字であろうが払っていただく費用であるというふうに考えております。
  67. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 厚生年金の事業主負担分というのは企業が赤字であっても絶対に減らないという理解ですか。もう一回そこを確認させてください。
  68. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 企業の損益が赤字であっても払っていただく費用でございます。ですから、赤字企業であれ黒字企業であれ払っていただく必要がある費用でございます。
  69. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 そういう費用であるがゆえに、それに堪えられなくなるとどういうことが起きますか。特に、昨今実際に起きているわけでありますが、どういうことが企業では起きていますか。
  70. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) これは現実には社会保険庁の方で対応いたしておりますが、現実に、しかしそれで企業経営が厳しくて厚生年金の事業主負担をなかなか払うことができないというふうになりましたときには、今度は、厚生年金の仕組みで申し上げますと、これは、最終の目的はそこで働いておられるサラリーマンに対して厚生年金を支給するという目的でございますので、適用を受けまして、そこで適用関係に入りますと、仮に事業主の方からの保険料の支払が社会保険庁になくても、その適用になった状態に対して給付が行われます。  したがいまして、その後の関係で、保険料の支払が十分にされないということになりますと、これは社会保険庁とその企業との間の債権管理関係になりまして、通常で申し上げれば、少し時間を取って、企業と御相談をさせていただいて、分割して納付をしていただくというようなことをまず相談させていただくということで実施をいたしております。
  71. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 更にその先のことを聞きたかったんですけれども、基金を解散されるというような、最近も現実にあるわけですよね、企業としては。  だから、私が申し上げたかったのは、もう時間ですからあれですけれども、やめますけれども、ここの八十八、八十九ページにある事業主負担というのは、事業主としての国等の負担金ということであれば、同様の観点で、例えば単年度決算、国のですよ、国の単年度決算じゃなくて予算の段階で赤字が出れば、それは企業でいえばまあ赤字経営だと言えなくもないわけですから、国の財政が厳しいときにこの部分は、事業主負担分は丸々面倒を見ていくということなのか。やはりこれは厚生年金の事業主負担分に相当するものとして入れているんだとすれば、じゃ、経営が厳しいとき、国の財政が厳しいときには、じゃ、ここについてはどうしていくんだとか、やはりそういうところも同様に工夫をしていただきたいわけですが、そういうところについては工夫が十分ではないということ。  そして、冒頭の話に戻りますが、これから年金制度議論をしようというときに、財政審議会の報告書で、何かこれから厚生年金の給付が上がっていったときに、共済年金はそれに付いていけないからこういう制度を作るんだというような、そういう報告書を上げているとか、大変国民感情的な視点からいうとずれがあるということを申し上げまして、今後も、これで終わりではなくて、これからいよいよ、いろんな資料が出てきましたので、年金制度議論を本格的に勉強させていただきたいということを申し上げて、質問を終わらせていただきます。
  72. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 日本共産党の池田幹幸でございます。  私も一言昨日の中間報告の問題について申し上げておきたいと思うんです。本会議で基本的なことはお話ししました。ここでは、この財政金融委員会の問題として起こったことなんですね。非常に残念です。自殺行為といったものはもう二度とやるべきじゃないということを再度申し上げておきたいと思います。  さて、それでは年金問題、質問したいと思うんですが、年金というのは、要するに国民の将来の生活の安心を確保していこうというものなんですから、今度の問題でいえば、保険料率は上げる、給付は下げるということですから、そういった点では国民にとっては非常に不安な要素というのを持ち込んでいるわけなんです。  そのときに、いろいろ共済であるとか厚生年金である、国民年金であるとか、先ほど大塚委員おっしゃったように、正に国民の層によって、属性によって違いが出てくるということは問題ありと。それはそれでいいんですが、事の議論が、したがって給付はできるだけ低い方にそろえていこうといったような方向で議論が進めば、これは誠に貧しい発想だということになってしまう。そうであってはいけないんで、国民の安心、安心度を高めていこうと、あくまでもそこに基本を置いてやらなければ年金制度というものを論ずる意味がないだろうと思うんですね。  そういったことをまず申し上げた上で伺いたいんですが、先ほど来の論議の中でも職域加算の問題がありました。公務員については若干優遇されているんじゃないかという論議もありました。だからといって、これ低い方にそろえていこうというのか、私たちはそれには反対です。職域加算についても歴史的な経緯があるわけで、そこには一定の合理性というものはあります。そこはしっかりと見詰めていかなければならないというふうに考えております。  そこで伺うんですが、日本の公務員の年金制度と諸外国の年金制度、これひとつ比べてみたいと思うんですね。アメリカ、イギリス、スウェーデン、フランス、ドイツといった国をちょっと選ばせていただいたんですが、最近これ、財務省の「ファイナンス」なんかでも論文としてずっと連載して書かれておりますので、その辺のところから拾わせていただいたんですが、様々な制度が違いますからなかなかその比較というのは難しいでしょうけれども、一定程度の前提を置きまして、先ほど来、今ありました恩給から発展したとか、いろいろな制度がありますが、そんなことも一応勘案しつつ、一定の条件を置きつつも、公務員制度、それからそれを基盤にした所得代替率、それがどうなっているのか。今申し上げた五か国について少し分かっている範囲で財務省の方、お答え願いたいと思いますが。
  73. 杉本和行

    政府参考人杉本和行君) 先生おっしゃるように、諸外国の制度と我が国の制度を比較するのは非常に難しゅうございますが、簡単に申し上げますと、例えばアメリカにつきましては連邦公務員の年金制度というのがございますが、これは一般国民を対象とする社会保障年金でございますが、これに上乗せされる職域年金というふうに構成されております。これが二つの部分に分かれておりまして、確定給付部分、それからその上に更に確定拠出部分というふうになっておるようでございます。  イギリスにつきましては国家公務員年金制度も基礎年金に上乗せされる制度になっておりまして、最近改革が行われました結果、確定給付型の年金制度設計が変更されまして、確定拠出型の年金も選択できるというふうな制度になった形でございますが、あくまでも基礎年金の上に公務員の年金が乗っているという制度のようでございます。  それから、フランス及びドイツにつきましては、これは年金制度というのは職種によりまして分立しておりまして、官吏でございます国家公務員は独自の年金制度の適用を受けているというふうに聞いております。  それからもう一つ、スウェーデンについてのお尋ねございました。スウェーデンにつきましては全国民を対象とする報酬比例年金制度、いわゆるスウェーデン方式ということでいろいろ議論されている様式でございますが、それに職種、民間ホワイトカラー、ブルーカラー、国家公務員、地方公務員、これに応じた四種類の職域年金が乗っておりまして、国家公務員の職域年金につきましては、確定拠出部分とそれから高所得者向けの確定給付部分、これから成っているようでございます。  それから、所得代替率についてのお尋ねもございました。この所得代替率という考え方も、日本のようにモデル年金前提にした云々ということでございませんので、各国のデータを比較するのは非常に難しく思いますし、また誤解を生じないように気を付けなければならないと思いますし、また算出のベースが違っているということでございますので、単純に比較することは困難だと思っております。  ただ、いろんな資料を見てみますと、例えば米国につきましては米国の会計検査院が様々なケースについて種々の試算をしておるようでございます。この結果は、最終報酬四万ドルの場合でございますが、六十五から八七%と示されておるようでございます。ただし、これは確定拠出部分につきまして事業主が最大のマッチングを想定するといった言わばベストケースでございまして、ピンポイント的なものでございますので、平均的なものということではないようでございます。それから、フランスについても試算がございまして、それによりますと最終報酬水準に従いまして六九とされております。ドイツは七五%が理論上の最大値ということでございますので、最大、あくまでも最大値でございますので、現実の代替率はもっと低いものと考えております。  各国のデータから拾いますと今のような言い方が、今のような数字が出てまいりますが、先ほどから繰り返しておりますように、これはあくまでもピンポイント的なものでございまして、必ずしも平均的なものじゃないかもしれないと思っております。所得代替率に対する考え方というのは各国によって異なりまして、また計算上の前提とか定義も同一ではございませんし、分母につきましても最終報酬と現役男子の平均手取り収入といったこととは違ったものもございます。  我が国につきましても一定のモデル世帯を基に試算された結果でございますので、単純に比較することは困難だと思いますが、あくまでも御参考までに、各国での文献から拾いましたデータは今申し上げたとおりでございます。
  74. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 制度の方は先ほどの説明でいいんですが、最後の代替率の数字、先ほど私、財務省からいただいたんですが、アメリカ連邦公務員の場合には最終報酬四万ドルの場合八七%、フランスでは七七%、ドイツ連邦公務員の場合は七五%となっているんですが、これはこれでいいんでしょう。
  75. 杉本和行

    政府参考人杉本和行君) 先ほど御答弁させていただいたとおり、一定の前提を置きましてそういう計算がされているという事実でございます。ただし、我が国でいうようなモデル年金の代替率とは恐らく違うものでございましょうし、また、分母に何を取るかとか、どういったものを比較するかということでございますので、そこは非常に単純な比較はできないということにおきまして慎重な数字の取扱いは必要だと思っております。
  76. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 それはいろいろ制度が違いますから、あるんですが、今申し上げたように、ただ、これは年金支給額の最終報酬に対する比率ですからね。現役の平均に対する比率というふうに我が国の場合やっておりますから、それからしてもかなりこれらの国々の公務員の年金というのは相当給付率が高いということはこれから言えると思いますね。  日本の場合は、もう御承知のとおり、現在、モデル世帯で現役世代の対平均手取り収入が五九・三となっておりまして、これが今度の法改正で五〇・二まで下がるんだと、もっと下がるのかな、四九・八まで下がるというふうな形でなっております。そういう点では、これは相当、逆に日本の公務員制度、この今の数字は職域加算も含めた日本の場合数字ですから、トータルで見るとヨーロッパ諸国と比べて決してそんなに優遇されているというものじゃないし、むしろぐっと低いんだということについて私はひとつ確認しておきたいと思うんですね。  しかも、しかも問題はこのマクロ経済スライド方式ですよ。これでもってどんどんどんどん下がる、毎年毎年下がっていくという方式が今度取られることになります。こういう給付引下げ二十年間連続してずっとやっていくというやり方を取っているような国というのは、これはありますか。
  77. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) まず第一点でございますが、よく所得代替率が六十五歳で年金を受給された方に対していわゆる既裁定の方が下がっていくという御議論がございます。これは実は平成十一年の年金改正で国会で御議論をいただきまして、年金を受給された後は物価スライドを行うという基本的な方針で……
  78. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 ちょっと、時間がないので余計なこと言わないでいい。
  79. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 行ったものでございます。  それから、いわゆるマクロ経済スライドでございますが、基本的に似たような方式はスウェーデンが取っております。スウェーデンでも自動均衡装置というのを取ってございます。ただ、我が国と違いまして、スウェーデンの状態を申し上げますと、既に保険料率が一八・五%でございます。それから制度が成熟化をいたしております。それから、最大の一点がございまして、スウェーデンをごらんをいただきますと、かつて出生率が二を超した時代もございまして、直近は一・五でございますが、最近はまた一・五から戻りつつございます。したがいまして、スウェーデンは年金制度構築をいたしますときに、人口がほぼ定常化状態を長い時期で達成できるだろうということを前提にいたしております。したがいまして、そこが前提となっておりますので、日本のように、少子高齢化が進みながら、しかもこれから本来必要な保険料水準に少し時間を掛けながら負担をしていただいて制度の安定をしていくという状況とは違うということでございます。  そういう日本の状況を考えまして、今回、私どもはマクロ経済スライドを提案をさせていただきまして、二〇二三年まで掛けて給付と負担のバランスを図っていただければ、二〇二三年以降につきましては、今四十五歳以下の方でございますが、この方たちにつきましては本来の賃金スライド、物価スライドという制度に戻るということを提案をさせていただいたわけでございます。
  80. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 時間がないから余計なこと言わぬでくれ。私、前回もそうだったから、余計なことばっかり言うから、今日、先ほど申し上げたんだ、聞かれたことだけに答えてくださいと。事務方から聞いているでしょう。そんな余計なことばっかり言われると困るんです。  今おっしゃった、スウェーデンが使っていると。しかし、スウェーデンはそれを実施していますか。そのようなことを実際実施したことがありますか。ないでしょう。スウェーデンのいわゆる、何というんですか、自動調整、あれですか、制度というのは、これ要するに規定を超えた高齢化の悲観シナリオを実現する場合、それだけやるんだと、そういった状態になった場合発動するんだということで、実際発動された事例はないじゃありませんか。制度として毎年毎年されるということにはなってないでしょう。そういうふうなごまかしを言われたら困るんですね。  だから、答えは、日本のようなこんなことをやるのは、マクロ経済スライドというような方式取るのは初めてなんですよ。どこの国もないんですよ。そのことをはっきりお答えになったらいいわけです。余計なことばっかりがたがたがたがた言って論議をおかしくしてしまうようなことはやめていただきたいと思いますね。したがって、もうこれ以上こんなこと言いません。要するに、もう世紀の大改悪だということを申し上げておきたいと思うんですね。  そこで、時間が非常に少ないものですから次のことに進みたいと思うんですが、先ほど来言われております公務員がかなり有利だという問題、これについて少し私は見ておきたいと思うんですね。  これについては人事院がかなりこの調査もしておられまして、海外に出て実際調査もしておられます。それを見ますと、人事院の人事院月報というのがあるんですが、人事院月報で論文、論文といいますか、報告書などが、調査報告書が出されております。大谷登さんとおっしゃる方ですけれども、これは、イギリス、ドイツ、フランスの公務員年金制度改革の動きということで報告を出されておりますが、それを見ますと、この訪問した三国について共通して言えることだが、改革後も依然、改革というのは、ここでも給付の引下げ、こういうことがずっとやられてきておりますね。この改革後も依然として公務員の制度が民間に比べて有利性を保っていること、これには一部の批判もあるが、国民の大多数がそれを理解し、そういう制度の存続を容認しているというふうに述べているんですね。  これは、先ほど言いましたように、比較したら相当違います。あれで引き下げてきても日本よりはるかに高い。それでも、一定の批判はあるにしても、それを容認している。諸外国ではなぜそういうふうな考え方を取っているかということを、財務大臣、何か感じられることありますか。
  81. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) これは、先ほどから池田委員が御議論のように、なかなか諸外国との比較は難しいところがあると思うんですが、今までの年金、どれだけ拠出してきたかとか、いろんな問題が、経緯もあると思います。  ただ、委員のおっしゃったようなことは、結局、公務員制度をどういうものとして見ていくかという制度の基本設計といいますか、基本哲学みたいなものがあると思うんですね。ですから、いろいろ官民格差等の議論もございますけれども、我々としても、今後この議論をしていきますときには、公務員というのは何なんだと、公務員制度というのはどういうものなんだという視点も踏まえて議論していく必要があると思っております。
  82. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 正にそうだと思うんですね。ともかく日本では公務員バッシングといいますか、要するに単純に比較したそれでもって高いからけしからぬということでは、これは将来の日本国を支えていく公務員がこれは救われないですね。きちんとした形で仕事をする、きちんとした形で将来を保障する、そういったことがどうしても私は必要だと思うんです。これは年金の問題もそうですし、それから雇用の問題もそうです。  特に、定年を迎えて、六十歳で定年迎えて、六十五歳まで年金もらえないなんてことになりますと、これはどうしようもない。もちろん、この制度の欠陥というもの、もちろん分かっているわけですから政府においても再任用制度というのを取ってこられたし、新しい再任用制度というのを二〇〇一年に作られたわけですね。この再任用制度というものについて、私は非常に大事だと思うんですが、これ極めて不十分なもので問題あるんですけれども、そういった物の考え方というのはこれは非常に大事だと。  その再任用制度というのはどういう考え方に基づいて作られたものなのかということ、これ、どちらに伺えばいいんです、人事院に伺えばいいんですかね。
  83. 関戸秀明

    政府参考人(関戸秀明君) お答えいたします。  再任用制度は、我が国が本格的高齢社会を迎える中で、公的年金の支給開始年齢が引き上げられることになりました。引き上げられることを踏まえまして、職員が定年退職後の生活に不安を覚えることなく職務に専念できるようにということにするためには雇用と年金との連携を図ることが必要であるということが一つ。それから、職員が長年培った能力、経験を有効に発揮できるようにするということを目的として作られたものと理解しております。
  84. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 いただいた平成十一年十月二十五日付けの人事院事務総長の通達でもそれは明確に書かれております。これは非常に、私、大事なことだと思うんですね。  特に、これ先ほど紹介した人事院月報の今年の二月号ですけれども、そこに載せられた先ほどの大谷さんの報告文書、三か国を訪問した印象を最後にまとめているんですけれども、そこにこういうことがあるんですね。イギリス、ドイツでは年金支給開始年齢引上げの話も出ていますが、定年年齢も一緒に引き上げられると考えていいのかという当方の質問に対して、当然ではないか、なぜそんな質問をするのかとけげんな顔をされたというんですね。  正にイギリスやドイツでは当たり前の考え方だと思うんです、それが。ところが、日本ではそうはなっていないですよね、大臣。これはまずいんじゃないですか。
  85. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) これは先ほどお答えしたこと等の繰り返しになりますけれども、要は我々がどういう公務員制度を持ちたいのかということだと思いますので、またいろいろ御議論をさせていただきたいと思っております。
  86. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 やっぱり支給年齢引き上げるんなら定年も引き上げると、同時に、それに合わせて。これもうごくごく当たり前の考え方で、イギリスやドイツでこれは当たり前だというのは当たり前なんですよ。やっぱりそういう方向へ進めていくと。それが一気にできないからということで先ほど言われた再任用制度というものがやられておるわけですけれども、それじゃ、その再任用制度は、それに代わるものであるならばきちんとした形でこれはやられなければならないだろうと私は思うんですね。  そこで、六十五歳まで定年を延ばしていくということになりますと、これは民間でも大変なことですけれども、しかし、民間に対してはきちんとした法律が今度の年金改悪法と同時にやられました。高年齢者雇用安定法改正案というのが、これ成立しましたですね、同時に、今度。  ここを見ますと、時間ないから私の方から申し上げますけれども、六十五歳までの雇用継続を企業に義務付けるものですね、これ。そこで、民間の企業に対しては、定年の引上げ、要するに年金支給開始年齢の段階的引上げに合わせて定年の引上げ、それから継続雇用制度の導入、定年制の廃止、このいずれかを講じなければならないというふうな改正をやったわけですね。  そうしますと、やっぱり公務員の場合も同じような考え方、民間に対してこれだけ義務化迫るんであれば、国家公務員についても同じようなことをやらなければいかぬだろうというふうに思うんです。しかし、定年の問題については、先ほどの大臣のお答えでは、ともかく公務員制度全般考え直すところで考えていこうということですから今すぐできないという、そういう意味だろうと思います。  そこで、私はひとつこの再任用制度の問題についてきちっと押さえておきたいと思うんですが、今の実態は極めて、二〇〇一年度に新しい制度を導入されたけれども、非常に残念な状態にあると思うんです。  ちょっと数字をお聞きします。再任用職員数、この実績なんですが、二〇〇一年導入されて、二〇〇二年からしか統計ないんですよね、実際実施されたのは。二〇〇二年、二〇〇三年、この実態がどうなっているか、ちょっとお話し願えますか。
  87. 関戸秀明

    政府参考人(関戸秀明君) お答えいたします。  十四年度における再任用者の実態でございますけれども、給与法適用職員について見ますと、十三年度の定年退職者六千二十七人に対して六百十六名が再任用されております。率でいうと一〇・二%となります。十五年度の再任用者は五百二十三名でございまして、定年退職者五千八百七十八名のうち八・九%となっております。  なお、給与特例法職員とか特定独立行政法人等を加えました一般職全体でいいますと、十四年度の率だけ言いますけれども、再任用者の率は一七・二%、十五年度は一六・八%となっております。
  88. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 先ほどの数字は、三年度が六百十六人で一〇・二%、四年度は五百二十三人で八・五%ということで、約一割ということなんですね。これは極めて私は少ないと思うんですが、応募者の数から比較してどうでしょう。再任用してくださいという希望を申し出た人の何%になっていますか。
  89. 関戸秀明

    政府参考人(関戸秀明君) 再任用者数、今申し上げました再任用者数に対応いたします再任用を希望している人の数というのが明らかでございません。把握しておりません。したがって、一概に申し上げられないんですけれども、再任用制度につきましては、先ほども申し上げましたような趣旨から、任命権者におきましては再任用を希望する定年退職者等につきましてできる限り採用するように努めることが求められているということで私どもも指導しておりますし、これからも指導していかなければいけないと思っております。
  90. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 そうなんですね。さっき言われた人事院事務総長のそれでいきますと、できるだけ、できる限り採用するよう努めるになっているんです、できる限り。できる限り採用ということでいえば、希望者はほぼ全員入れようじゃないかというのはまず基本だと思うんですが、そうすると、その希望者数がどれぐらいあるかということを全然取っていないということならば、できる限りやったかどうかというのは分からぬじゃないですか、私は信用したいけれども。しかし、できる限りやったかどうかチェックするには、希望者が何人おって、それで再任用されたのは何人というのがあって初めて分かるわけですよ。取っていないというのはこれ最初からやる気ないということじゃないですか。何でこれ、しかも、しかも三年度と四年度と比べると一〇・二%から八・五%と下がっているんですね。何でこんなこと起こったんでしょうか。
  91. 関戸秀明

    政府参考人(関戸秀明君) 正確な再任用者数については残念ながら把握できておりませんけれども、十六年度になりまして、十七年度からは再任用者というのが複数年度にまたがるということになってまいります。これから本格的に再任用ということを推進していかなければいけないということもございまして、今年度の調査から再任用希望者数についても何とか把握しようということで考えさせていただいております。
  92. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 そういうふうに改善していただければより良くなっていくだろうと思いますね。是非そういうふうにしていただきたい。  で、できる限りというわけですから、その希望者数、どんどん入れていかなきゃいかぬのですが、そのためには過去こういうことがあったということを私指摘しておきます。それを改善しなければ良くはならない。  なぜこのように一割程度しかなかったのかということについていいますと、まず希望調査の段階で定数の枠がないといって断られちゃった、希望を出す前に出させなかったと、これが一つあります。こういうことがやられているところがある。それから、結局、当局が提示した条件があります。フルタイムであるとかパートであるとか短時間勤務であるとか、その他もろもろの条件があるわけですが、その条件に合わないということで結局自ら辞退しなければならなかったということなんですね。だからなかなかすっきりはいっていない。  それから、国立病院・療養所ではどんなことが起きたかというと、再任用、退職職員の希望調査を、それもやらなかった。どんな希望がありますかという希望調査も実施していないということが起きました。さらに、これ厚生労働省関係なんですが、国立病院・療養所の再任用予定官職についてこう言っている。再任用予定官職について各施設ごとに定められた定員、定数の枠内において再任用制度を適用しなければ施設運営上支障を来す官職、そういう人しか採用、再任用しないと最初からもう制限するんですよね。それじゃもう、とてもじゃないけれどもこれじゃ駄目だなということでもう自粛しちゃう。  こういうことが起きて、こういうことによってなかなか再任用制度というのが機能してこなかったということがここに出ているというふうに私は思います。こういうことも同時に改めなければやっていけないんだということを指摘しておきたいと思うんです。  時間が非常に少なくなりましたので、もう一つだけ指摘して財務大臣の感想を伺っておきたいと思うんですが、総務省が、人事・恩給局、ここで昨年秋に、二〇〇二年度に国の機関に再任用された職員を対象に行ったアンケートがあります。それを見ますと、再任用職員に応募しようと思った動機は何ですかと、再任用期間における家計の中での給与の位置付けは何ですかと、給与面の待遇についての満足度はどうですかと、ここが出ているんです。ほかにもいろいろありますが。  私、注目したこの三つについて申し上げますが、再任用職員に応募しようと思った動機、一番多いのが六二・八%なんですが、年金が満額支給されるまで働きたいからという動機なんですね。正に先ほど来論議してきていることの問題がここに明確に表れております。二番目は、職務上の知識、経験が生かせるからというのですけれども、圧倒的多数が要するに年金支給まで働きたい。  二番目の再任用期間における家計の中での給与の位置付けは、主として日常の生活費というのが八一%なんです。正に生活を支えるために働かなければならない状況にあるということですね。  そしてまた、三番目の給与面の待遇についての満足度は、満足とする者が二五・九%、不満が四二・八%なんです。  だから、この数字を見て、私は財務大臣がどうお感じになったかということを伺いたいと思うんです。
  93. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 年金の支給開始年齢といつまで働くかというのは、これは非常に制度を設計していくとき大きな問題でございますから、なかなか理想どおりにはいかないという面もあると思いますが、よく検討して議論していかなきゃいけないなと思います。
  94. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 ですから、国家公務員も地方公務員も、それから年金も、自営業者の方々も、結局、まず大事なのは、今の年金制度、もう根幹が崩れてきていますから、私たちは最低保障年金制度というのを作ろうということを提案しています。その上に、掛金に応じた、現在の段階では掛金に応じた給付というのをやっていかなければいかぬと思うんですが、とにかく全体、給付をどんどんどんどん引き下げていきゃ何とかなると、そんなんじゃなしに、ともかくまず、国民生活どうやって支えるのかということをまず基本に据えた考え方をきっちり据え、この年金制度というものを考えていかなけりゃいかぬ。  法案は通ったと。確かに法案は通りましたけれども、私たちは、これはもう国民の圧倒的多数、七割八割は反対しているんですから、このことをしっかり見詰めて、これはもう実施する前にもう一回考え直さないかぬということを、私、申し上げまして、質問を終わります。
  95. 円より子

    委員長円より子君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  96. 井上哲士

    井上哲士君 私は、日本共産党を代表して、国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行います。  さきに強行成立した年金改悪法に対し多数の国民が明確にノーを突き付けており、主要な改正内容をこの改悪法に準拠した本法案国民の声を無視して採決することは許されません。  マスコミの世論調査では、さきの年金改悪法について、国会審議は十分でなかったが八六%、強行採決に問題ありが七五%であり、成立が良かったとする人は一二%にとどまる一方、良くなかったとする人は六七%と、大多数の人が反対しています。  それもそのはずで、保険料は上限固定、給付は現役世代の収入の五〇%を確保という政府の二枚看板の誤りが本院の我が党議員の質問で明らかとなり、小泉内閣と自民、公明両党が言う百年安心年金は崩れ去ったからであります。その上、先週には二〇〇三年の出生率が予測より低い一・二九と過去最低を更新したことが判明し、成立直後から改悪法の基盤すら揺らいでおります。  次に、国家公務員共済組合法改正案自身の問題点について申し上げます。  本法案に反対する第一の理由は、マクロ経済スライド方式の導入により、国家公務員共済年金の給付水準を今後毎年国会審議抜きで自動的に引き下げようとしていることであります。  政府は、厚生年金に準拠して給付水準を定める方式を維持し、給付水準の調整、つまり引下げを厚生年金と同率の比率で行うとしていますが、国家公務員の場合、政府のモデル世帯でさえ新規裁定時からその給付率は現役世代の平均手取り報酬額の五割を下回るものとなっています。加えて、受給開始後の給付水準は一層低下することが浮き彫りになりました。  国際的にも例のないマクロ経済スライド方式の導入による年金給付の引下げは、公的年金制度の重要な機能である実質価値の維持を放棄する歴史的な大改悪であり、到底認めることはできません。  反対の第二の理由は、保険料率も今後毎年厚生年金と同水準の引上げを予定しており、二〇二五年には約二〇%もの高い水準の保険料率を組合員に押し付けようとしていることです。  小泉内閣の七兆円の負担増計画が推し進められている下で、こうした連続的な負担増は、現役の国家公務員年金生活者である国家公務員OBを始めとする国民の生活と暮らしを圧迫し、消費の減退を長期にわたってもたらすことは必至です。  反対の第三の理由は、全体にかかわることですが、政府が本来なら今年度に実施しなければならない基礎年金の国庫負担の二分の一への引上げを先送りしたばかりか、その年金・社会保障財源に最もふさわしくない消費税の大増税を計画していることです。日本共産党は、財界、大企業があおる消費税増税は社会保障の土台を掘り崩すものとしてあくまでも反対するものです。  なお、地方公務員共済と財政単位の一元化措置は、過去の低位・統合一元化の方向で行われた財政調整とは性格が異なり、同じ公務員制度として両共済制度が助け合い、安定的に運営していくための必要な措置であり、あえて反対いたしません。  以上、本法案は、国民の七割が反対する空前の年金改悪法に準拠した国家公務員版の改悪法案であり、廃案にすべきであることを申し上げ、私の反対討論を終わります。
  97. 円より子

    委員長円より子君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  98. 円より子

    委員長円より子君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  99. 円より子

    委員長円より子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  次回は明十六日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後七時五十二分散会