○椎名素夫君 さっき宮澤先生の話が出まして、それで思い出したことがありますので一言申し上げますが、これ、
竹中大臣も一、二度参加していただいたかと思いますが、イギリスの連中との対話というのがあって、あれをこっちで、東京でやると、そのときの総理
大臣に必ず会いに行くことになっていた。宮澤総理のときに二十人ぐらい連れて官邸に行きました。
当時、
日本の農産物の自由化の問題、米の問題がちょうどありまして、そうしたら、一体、米どうするんだって聞くんですね、イギリス人が。そうしたら、御
承知のとおり、もうイギリス人より立派な英語で二十分ぐらいおしゃべりになった。何か
質問ないかと言って、私連れていったので聞いたんだけれども、何か憮然とした顔して、ないなんと言って帰っちゃったんですね。で、終わりになりまして、外へ出てから、あなた方しゃべるの好きなのにどうして今日は何も言わなかったんだと言ったら、あれは難しいという話しかやらなかったと。総理
大臣なのにどうするつもりか何も言わぬと、こう言って何か怒っているんですね。
それで私が思い出したのは、何かよその国の人の話ばっかりして申し訳ないけれども、ハーマン・カーンというのがおりましたね。あれ生きているときに割に親しかったんですが、あの男が言った非常に面白い言葉がありまして、これから先の人間社会の一番の困難、混乱はどこから来るか。そうしたら、エデュケーテッド・イン・キャパシティーだと言ったんです。つまり、教育を受け過ぎたために能力が無能力になると、人間が、ということを言ったんですね。これ、物すごく面白いんで、あなた面白いこと
考えたねと言ったんだけれども。
結局、どう
考えても宮澤先生の方はちゃんと言って、そして私が聞いていると、いや、まあいろいろ難しいけれども、もうこれは止まりませんよと、こう言ったと思ったんですよ。ところが、どうしてあんな怒って帰ったのかと。結局、両方の言葉が違うんですね、あれ。だから分からなかった。イギリス人というのは英語がうまいことになっているけれども、彼らのあのインテリと称する連中、エコノミストの編集長であるとかフィナンシャル・タイムズ何とかとか、何とかかんとか、偉いと言われる人がいたけれども、彼らの言語では
理解できなかったんだろうと思うんです。
それを、またそれで今
考え付いたんですが、これから
日本の経済、
景気どうなっていくだろうかという話はだれしもが関心を持つところですね。しかし、みんな何となしに不安だと、こう言うわけ。その時々に経済
財政諮問
会議か何かでいろいろおまとめになって出てきたり、あるいは
財務大臣が何かおっしゃったりする。いや、もう今度は確実に良くなってきていると、こう言っても、本当にそう思っているのかねって、これ信用余りしていないですね、これ。
私、自民党辞めてから付き合いの範囲が広まって、前よりもいろんな人の
意見が聞けるように実はなっているんですが、もちろん自民党の人と付き合いがなくなっちゃったわけでもない、これはそのままいて、選挙区なんかでも。あそこはまたいろんな人がいて、民主党もいるけれども、自由党という物すごいのもいて、あらゆる人
たちがいるので、共産党も強かったし。
で、何かといったら、皆さんのおっしゃることはちょっと上等過ぎてみんな分からないんですよ、結局。一体どうするんだろうと思って、おっしゃること、こうなるだろうといっておっしゃることも分からないけれども、その方々が指導している
政府の政策とかなんとか、あるいはお役所のやった結果、何か起きた、これも分からない。これは今おっしゃった足利銀行はなぜつぶれたのかいまだに分からぬと、こういう話はね。その話だろうと思うんですね。
だから、そこを何となしに霧を晴らすように、晴れさせるという努力をもう一段なさらないと、大変上手なところで、言葉を操って、こうなっていますと。これね、本当分かんないんです。それこそエデュケーションの
レベルによって分かる言葉と分かんない言葉がある。ここらじゃ通用する言葉ってあるんですね。よそで聞くと、みんな何が何だか分かんないという言葉がある。それはお分かりになりますでしょう。
それから、ごく少数のエリート、本当のエリートがおしゃべりになっていることも、今度はそこらのお役所に行って、
局長辺りはまあ分かるんでしょうから
局長になっているんだろうけれども、そのちょっと下へ行ったら何だか分かんないという人もいる。大体二、六、二という割合だっていうんですね、すごく良くできる人と普通の人とできない人との割合というのは。どこへ行ってもそうなんですって。二だけで分かる話していると八が分かんないんですよ。だから不安なんです。
そこで、おとといでしたっけ、一度全部洗い直してみたらどうだという
お話をいたしましたね。やっぱり一度やっておいた方がいいんじゃないかと思うんです。どれだけ本当に悪いのか、本当にいいのか。相当良くなっているけれどもまだ厳しいというような
お話というのはニュアンスに満ち満ちちゃっていて、このごろの当たらない天気予報みたいに、雲が多い、時々雨降りますけれども晴れ間も見えるでしょうと言われているようなもので、傘持っていくのか持っていかないのか、どうしたらいいんだねという感じがあるうちはみんな不安がなくならない。そうすると、何もかも手控えるということになって、ただ元気なのは、よその
世界と接して、実際にやってみて完全に成功している産業ありますよね。これはもう自信があるからちゃんとやる。だけれども、そうでない人
たちはみんな不安なんです。
ですから、そう言っちゃ悪いけれども、御
自身の教育
レベルというのは非常に異常に高いということを皆さんは自覚しなきゃいかぬ。そして、もっと少し下の人でも分かるようなことをおっしゃる、そのためには事実を示すのが一番いいんです。それをやらないで、いや、もう任せてくださいと、こう言っても、確かにテレビに出てきて、何か天気図がどうで、高気圧がこう来てこう来て、道具立てはいいけれども当たんないじゃないかという感じが付きまとっている間は
日本の経済、本当に良くならない、
構造改革もできないと私は思うんで、どうでしょうか。もうこれでやめます。お二人の感想聞かせていただきたいと思うんですが。