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2004-05-27 第159回国会 参議院 財政金融委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年五月二十七日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  五月二十五日     辞任         補欠選任      大渕 絹子君     千葉 景子君      山口那津男君     荒木 清寛君      池田 幹幸君     大沢 辰美君      大門実紀史君     小池  晃君  五月二十六日     辞任         補欠選任      千葉 景子君     大渕 絹子君      峰崎 直樹君     高橋 千秋君      荒木 清寛君     山口那津男君      大沢 辰美君     池田 幹幸君      小池  晃君     大門実紀史君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         円 より子君     理 事                 入澤  肇君                 尾辻 秀久君                 野上浩太郎君                 大塚 耕平君                 続  訓弘君     委 員                 上杉 光弘君                 清水 達雄君                 田村耕太郎君                 西田 吉宏君                 林  芳正君                 溝手 顕正君                 山下 英利君                 大渕 絹子君                 高橋 千秋君                 平野 貞夫君                 平野 達男君                 山根 隆治君                 山口那津男君                 池田 幹幸君                 椎名 素夫君    国務大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣金融)        )        竹中 平蔵君    副大臣        内閣府副大臣   伊藤 達也君    事務局側        常任委員会専門        員        石田 祐幸君    政府参考人        金融庁総務企画        局長       増井喜一郎君        金融庁検査局長  佐藤 隆文君        金融庁監督局長  五味 廣文君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○証券取引法等の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○株式等取引に係る決済合理化を図るための  社債等振替に関する法律等の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 円より子

    委員長円より子君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、峰崎直樹さんが委員辞任され、その補欠として高橋千秋さんが選任されました。     ─────────────
  3. 円より子

    委員長円より子君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  証券取引法等の一部を改正する法律案及び株式等取引に係る決済合理化を図るための社債等振替に関する法律等の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として金融庁総務企画局長増井喜一郎さん外二名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 円より子

    委員長円より子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 円より子

    委員長円より子君) 証券取引法等の一部を改正する法律案及び株式等取引に係る決済合理化を図るための社債等振替に関する法律等の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  両案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 平野達男

    平野達男君 民主党・新緑風会の平野達男でございます。  今日は、証券取引法等の一部を改正する法律案外、二法の審査と、審議ということであります。その法律の中身に入ります前に、ここ何日間、新聞紙上をにぎわしております大手銀行グループ決算のことに関して何点かお聞きをしていきたいと思います。  大手グループ平成十六年三月期決算を発表したということで、日経新聞なんかでも一面に出ておりました。その情報によりますと、UFJとりそな、これを除く五グループ黒字転換だということで、今までほとんど赤字決算だったわけですが、ここに来て黒字に転じたというようなニュースでした。UFJとりそな、特にUFJにつきましては後でいろいろお伺いしますけれども、この十六年三月期決算、これが五グループ黒字に転換したと、あとの二行はちょっと赤字だったんですが、UFJ赤字の幅は縮減しているということであったと思います。  この十六年三月期の決算をどのように見られているか、まず竹中大臣にちょっとお伺いしておきたいと思います。
  7. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 主要行の十六年三月期決算についてでございます。  今回の決算、申し上げるべき点、多々あるかもしれませんが、私はやはり大きく二つ傾向として見るべき点があるのだというふうに思っております。  一つは、やはり何といっても不良債権低下している、そういうことが決算を通して示されたということであろうかと思います。不良債権比率で我々よく議論させていただきますけれども主要行の全行十一行ベースで見ますと五・二%となりました。我々、二年前に八%台の半ばあった不良債権比率を来年の三月までにそれを半分程度にということで努力をしておりますけれども、今の時点で五・二%になったということでありますので、その目標達成に向けて、これ、まだまだ道はありますけれども、頑張っていけばこれが可能であるというような道筋が見えてきたと、これが一つポイントであろうかと思います。  第二の点は、正にこの決算数字に直結いたしますが、今申し上げました不良債権処理進展を反映しまして、不良債権処分損減少したと、それによって収益の構造がはっきり変わってきたということだと思っております。業務純益実質業務純益、引き続きそれなりの水準を維持しているわけでありますけれども不良債権処分損がこの不良債権処理進展を反映して減少したことによりまして、この処分損実質業務純益の範囲内に収まったと、その結果として経常・当期利益とも黒字になったということであろうかと思っております。  いずれにしても、そういう方向が今出つつあるというふうに認識をしておりますので、この金融再生プログラムを踏まえて、引き続き不良債権処理の一層の加速を図るとともに、それによって構造改革を支えるより強固な金融システムの構築に向けて努力をしたいと思っているところでございます。
  8. 平野達男

    平野達男君 今のお話の中に不良債権比率低下というお話がありました。今のお話にもあったとおり、平成十四年三月期の不良債権比率は八・四二%でありまして、これは金融再生プログラムを作成しまして、たしか平成十七年三月期まで四%台に、半分にするんだという目標を掲げているところです。  今の不良債権比率はどうかといいますと、これは先ほど竹中大臣の紹介にもありましたけれども、五・二%、まあ五・一八%ということでありまして、どうもいろんなマス、全体のグループで見ますと、例えば破綻懸念先以下の債権については五割、三割、二割ルール、これも大体守られてきているということでありますし、全体グループとして見ますと、不良債権比率というのは計画どおり下がっているという感じはします。  新聞情報によると、前倒しで達成できるんじゃないかというようなコメント竹中大臣が出されているというふうなこともありましたけれども、この不良債権の全体の目標実績見込みについて、ちょっとコメントがございますれば、お聞かせください。
  9. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) ただいま平野委員言及くださいましたように、十四年三月期、二年前は八・四%でございました。それを半分程度に、四%台にするということをずっと申し上げてきたわけでございます。そのためには、逆算しますと、毎年毎年〇・八%ポイントぐらい下がってこなければいけない、失礼、毎半期下がってこなければいけないという単純計算にもなるわけでございますけれども、今回も、一年前の十五年三月期に比べますと、これは一年前、ちょうど十五年三月期は七・二%でございましたから、二四半期でいうと一・六%ポイントぐらい下がってもらわなければ達成できないということでありますが、二%ポイント下がったということに相なります。その意味では、我々の目標に向けてこれは銀行努力をしてくださって、その方向に向かっているというふうに認識をしております。  もう少し数字のことを申し述べさせていただきたいと思いますけれども、まず残高不良債権金融再生法開示債権残高について見ますと、十一行ベースでは全体で今十三・六兆円でございます。これは十五年の三月期に比べて三二・七%減少をしております。特に、破綻懸念先以下につきましては、十五年三月期に比べて二三・八%減の六・七兆円というふうになった。要管理債権残高については、同じく十五年三月比三九・六%減の七兆円になったということでございます。  そういう意味では、今我々として、分かりやすいのでできるだけ比率お話をさせていただいておりますけれども、今五・二まで下がってきたと、これを四%台にということでありますので、いつも申し上げますが、こういう目標達成のためには、上りはだんだんだんだんきつくはなっていくわけでございますけれども、やはりしっかりと企業のバランスシート調整を進めて、結果的に銀行分バランスシート調整、すなわち不良債権処理を進めたいと思っているところでございます。
  10. 平野達男

    平野達男君 この不良債権処理については、金融機関不良債権を抱えているとリスクが取りにくいんだ、だから貸出しについても非常に影響があるということで、バランスシートをきれいにするんだということでやってきたと思います。今の数字が示すように、少なくとも大手銀行グループ全体として見ますと、不良債権の割合は低下しているということなんでありますが、その一方で、貸出残高はまだ減少傾向に歯止めが掛かっていないということがあります。  そろそろ貸出残高ということについても変化が見られてもしかるべきかなと思うんですが、この貸出残高のまだ減り続けている理由と、もし今後の見通しに何らかの見通しをお持ちであれば、ちょっとお聞かせ願いたいと思いますが。
  11. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) この委員会でも何度か平野委員にもお答えをさせていただいたこととちょっと重複するかもしれませんが、やはりマクロ的に見て、日本国全体のバランスシート調整はまだ続いているということだと思います。私は、それが、バランスシート調整最終段階に差し掛かっているというふうに認識をしておりますが、これはまだ続いているということも事実であろうかと思います。  銀行貸出額GDP比は、かつてGDP比の七割ぐらいで安定していたものが、バブルのときに一〇〇%を超えたと。それがバブル崩壊後、九七年ぐらいまでほとんど変化なく高止まりをしていた。九七年ぐらいからそれが低下をし始めた。正にこれがバランスシート調整をシンボリックに表す一つ傾向であったと思いますが、これが今八十数%、八〇%強のところに下がってきているところだと思います。  これが、委員見通しも分かればということでありましたが、この見通しをこういうマクロの数字から述べることはなかなか難しい点がございます。七割まで下がればよいのか、アメリカのように三五%ぐらいまで下がるという方向を目指していくのか、ここは非常にダイナミックな要因がありますのでしっかりと見ていかなければいけないと思いますが、しかし、バランスシート調整を進めるということは、まさしく委員指摘のようにリスクが取れるようにすることでございます。銀行リスクを取れるようにする、これは幾つかございます。貸出しを増やすということもリスクを取る一つのやり方でありましょうし、一方で、担保第三者保証に頼らない、そういう新しいタイプの融資を増やすということもこれまたリスクを取るということなのだと思います。  量的な調整はまだ続いておりますが、御承知のように、ここのところ担保等々に過度に依存しない融資というのが急速に増えております。メガバンク、四メガで一・四兆円の担保に頼らない融資実績を昨年度は作りました。これは私自身の予想をはるかに上回るペースでこの担保に頼らない融資が増えました。  地方の、地域金融機関に関しましても、今八割の地域金融機関担保第三者保証に依存しないような融資に取り組んでおります。そうした点も含めまして、量的な調整はまだ続いておりますけれどもリスクが更に取れるような、そういう体質に日本金融機関全体としては再生に向けて動きつつあるという認識を持っております。
  12. 平野達男

    平野達男君 いずれこれから、今お話しの中ではまだバランスシート調整が進んでいるんだと、まだその途中なんだというお話でございましたけれども、仮にそれがどういう段階で終わるというふうに見極められるのかはちょっとよく分かりませんが、この不良債権問題で本当にめどが立ったときに、本当にそこから景気がテークオフしていくかどうか、これは私も何回もこの場で議論させていただきましたけれども資金需要というのは本当に出てくるんだろうかという、そのことがこれからも確かめられてくると思いますので、その辺りよく私も見ていきたいなというふうに思っています。  そこで、以下、七グループお話でございましたけれども、これからは個別の銀行、特にUFJにつきましてちょっといろいろお話を伺っていきたいと思います。  お手元に「主要行自己資本比率不良債権比率の推移」ということで資料を出させていただきました。上が自己資本比率不良債権比率ということで、先ほど来お話もございましたけれども不良債権比率自己資本比率、それぞれの十四年三月期、一年飛んでいますけれども、十五年三月期、十五年九月、十六年三月という形で整理してございまして、不良債権比率については先ほど御紹介あったとおり五・一八、十六年三月期を見ていただきたいんですが、全体としては五・一八%ということであります。  各行の、これ面白いというか、非常に不思議なことは、各行の動きを見ていますと、特に私が気にしたいのは不良債権比率であります。みずほ、三菱東京三井住友中央三井住友信託、りそなはこれは資本注入がありまして大きな経営計画の見直しをしましたから多少の変動はありますが、このりそなは別として、UFJだけが十五年三月期に八・六七から八・一四%にこれは落ちる、これは当たり前ですよね、不良債権処理を進めているわけですから。ところが、十六年三月期に八・一四から八・五〇というふうに上がっておるんですね。これは、非常にこれは不思議といえば不思議なわけです。不良債権処理は、これ進めているはずであると、各行とも五割、三割、二割ルールにのっとって。ところが、UFJだけがこの不良債権比率がぽっと上がってきたということは、これ私はいろんな解釈ができると思うんですが、竹中大臣はこれに対してはどのような説明をされますか。
  13. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) これは個別銀行経営内容にかかわる事項でございますので、個別についてのコメントは差し控えさせていただかなければいけないというふうに思うんですけれども、これは一般論として申し上げますと、金融機関不良債権額というのはどういう状況理由で増減するかということになりますと、これは金融機関債務者を取り巻く環境がどうなのかということ、債務者再生に向けた取組がどうなのかということ、これも大変重要な要因になります。金融機関リスク管理体制自己査定開示基準状況がどうなのか、実に様々な要因によって影響を受けているというふうに考えます。  この不良債権UFJ、御指摘のとおり増加をしているわけでございますけれども、今申し上げたような幾つもの理由が重なってそういうことになっているというふうにやはり解釈すべきであろうかと思います。  なお、UFJ自身は、これは大口先格下げ主因ネットで増加したんだと、大口先格下げを行ったんだというふうに聞いているところでございます。
  14. 平野達男

    平野達男君 大口先債務者区分を変えたということでしょうか、今の答弁は。そんなことを言っているという話ですね。  じゃ、今の件についてはまた後でいろいろ触れさせていただきますけれども、その前に、このUFJにつきましては随分いろんな検査をやっていたようであります。私が聞いていたところによりますと、まず通常検査平成十五年八月二十八日から平成十六年五月二十一日、これは十五年三月期決算を見ていたということです。それからもう一つ特別検査、これはリアルタイムで決算に反映させるということのためにやっておるわけですが、平成十五年八月十八日から十一月十九日、十五年九月期決算ですね、これを特別検査をやったと。それから、今年になりまして、これは通常検査と並行に特別検査、十六年一月二十七日から四月二十三日まで、これは十六年三月期決算をやっておるわけですね。  こういう、この一年間だけでも相当の検査をやっていると。まず、今私が言ったこの三つの検査というのは、事実関係だけ確認しますけれども、間違いないでしょうか。
  15. 佐藤隆文

    政府参考人佐藤隆文君) 概要において御指摘のとおりでございます。ただ、一点、御指摘のあった特別検査、十五年九月期を対象とする特別検査でございますけれども、これは予告が御指摘のとおり十五年の八月十八日でございましたけれども、結果連絡は十一月七日でございました。
  16. 平野達男

    平野達男君 七日ですね。はい、分かりました。  そこで、この通常検査平成十五年の八月二十八日から平成十六年の五月二十一日まで随分長いことやっておるわけです。通常の、いわゆる大手行通常検査というのは平均でどれぐらいの期間やるんでしょうか。
  17. 佐藤隆文

    政府参考人佐藤隆文君) 私どもがいわゆる通年・専担検査導入いたしました十四事務年度以降でとらえてみますと、これは、私ども事務年度は七月から始まりますので十四年の七月以降ということになりますけれども主要行に対する通常検査における平均的な立入り期間、平均値取りますと八十六日ということでございます。
  18. 平野達男

    平野達男君 八十六日といいますと三か月弱ですね。ところが、通常検査は、これはもう九か月続いていると。しかも、繰り返しになりますけれども、同じ時期に、平成十六年一月二十七日から四月二十三日、十六年三月期決算に向けての特別検査も入っている。これは、特に私の理解では十五年三月期決算通常検査は、これは平成十六年三月期決算に反映させるという目的も持っておったと思います。  そこで、なぜこの九か月、こんな長いことになったのか。また個別行のことですからお答えできませんという答えになるかもしれませんが、一応お聞きしなくちゃなりませんのでお聞きします。
  19. 佐藤隆文

    政府参考人佐藤隆文君) 委員が御指摘いただきましたのは立入りの期間ということで、最終的な結果通知までの期間とはちょっと違いますけれども、いずれにいたしましてもこの立入り期間UFJの場合非常に長いのは事実でございます。正に、あらかじめおっしゃっていただきましたように、個別の検査の立入り期間の長短の具体的な理由については言及を差し控えさせていただきたいというふうに思っておりますが、いずれにせよ、所要の検証を的確に行った結果であるということかと思います。  一般論として申し上げますと、立入り期間というのは、検査を受ける金融機関の規模であるとか特性であるとか、あるいは業務内容であるとか、あるいは検査官との協議状況であるとか、そういったことによって変わってくるというふうに認識をいたしております。
  20. 平野達男

    平野達男君 新聞情報によりますと、この間、UFJ金融庁の中には激しいやり取りがあったというようなことがいろんな形で報道されているわけです。この事実関係についてはどうですか。
  21. 佐藤隆文

    政府参考人佐藤隆文君) 個別の金融機関に対する個別の検査における、しかも検査班当該金融機関との間の具体的なやり取りでございますので言及を差し控えさせていただきたいと思います。
  22. 平野達男

    平野達男君 マスコミの取材に対してはだれかが積極的にしゃべっている、だけれども、国会で聞けばそれは答えられないと、そういうことですね。
  23. 佐藤隆文

    政府参考人佐藤隆文君) 私どもには守秘義務が掛かっておりますし、特に検査を行います場合には、検査の過程におけるやり取りというものが外に漏れないという信頼関係の上に立って、検査を受ける銀行から、あるいは金融機関から正確な情報を提供いただくと、こういう前提で成り立っているものでございますので、その点は私ども日ごろ厳重に留意をし、気を付けているところでございます。
  24. 平野達男

    平野達男君 その守秘義務銀行側にも掛かっていますか。
  25. 佐藤隆文

    政府参考人佐藤隆文君) 銀行側といたしましては、当然、自行の業務内容にかかわることでございますので、それを対外的に漏らすということは不適切なことかと思います。
  26. 平野達男

    平野達男君 いずれ、守秘義務ですから、恐らくこれは国家公務員の方に掛かっているということだと思いますけれども、これだけマスコミにいろんなことを書かれているということについて、その事実関係については、これはやっぱりきっちり説明する必要があると思いますよ。  特に、先ほどの不良債権比率のちょっと話に戻りますけれども、八・一四%から八・五〇%に上がったということについては、これはいろんな解釈が出てくるわけです。  まず、そもそもUFJ不良債権処理進めていたはずだと、進めていれば当然不良債権比率が下がらなくちゃおかしいんです。UFJは、この間、一生懸命になって、不良債権比率不良債権処理、進めていました。これは答えられますか。
  27. 円より子

    委員長円より子君) どなたがお答えになりますか。
  28. 平野達男

    平野達男君 竹中大臣にお願いします。
  29. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 先ほど私が答弁したことと少しダブると思いますけれども、御承知のように、十五年三月期に比べて結果的に数字は今の方が高くなっているというのは事実でございます。これについて、UFJ大口先格下げ主因ネットで増加したからだというふうに述べているというふうに承知をしております。  先ほどから申し上げていますように、個別の銀行経営内容にかかわることについてコメントはできませんが、一般論としてはこれは、不良債権額というのはこれは増減いたします。金融機関債務者を取り巻く環境が違うわけですし、債務者のまず再生に向けた取組というのがこれは違ってまいります。金融機関リスク管理体制自己査定開示基準状況等々も違ってきますので、これはいろんな要因で変動するんだというふうに申し上げざるを得ないと思います。  いずれにしましても、UFJグループ平成十四年十二月に改革加速プランというのを発表しておりまして、その中で二〇〇四年度末の不良債権比率を三%台にするという目標を設定、公表しております。今回、決算発表と同時にUFJグループ体制の発足に当たってというのをまた発表しておりますけれども、その中でもこの目標を再度表明しているというふうに承知をしています。  金融庁としては、UFJグループがこの目標の下で、先ほど言いましたけれども、ある意味リスクを先取りするような形で大口先格下げを行ったということでありますので、この目標にしっかりと進んでもらいたいと思っています。
  30. 平野達男

    平野達男君 じゃ、なぜ今そこで大口先格下げかという話ですよね。  つまり、金融再生プログラムが作られた、その前に金融検査マニュアルも出されています。そして、金融庁通常検査決算との乖離も公表して、その格差を埋めるんだということで、資産の査定についての見方については金融庁銀行も共通な考え方に立とうじゃないかということでやってきた。少なくとも、これは都市銀行とか地方銀行じゃありませんからね、主要銀行七行ですからね、これは。それが、しかも平成十五年九月期というのは特別検査まで入っているんですよ、これ。特別検査まで入って、資産査定して資産区分を分けたやつがなぜ要するに十六年三月期の中で変わるんですか。  これはもう端的に言ってしまいましたら、銀行とあるいは金融庁の信用問題にかかわる問題だと思いますよ、これは。今までの中で、繰り返しになりますけれども、いろんなマニュアルを作ったり、検査のいろんな公表をしたりして、しっかりとした資産査定をしましょう、その中でしっかりとした引き当てを入れましょうと、引き当ての話はまたやりますけれども。それをやってきたにもかかわらず、UFJが突然こういう数字が出てきたというのは、これは大いに、私の言葉で言わせれば大きな断層があるんですよ。この流れと全く逆行しますよ。この逆行することに対してきちっとした説明が付かないと、繰り返しになりますが、銀行が何やっていたんだと、それから金融庁特別検査通常検査というのは一体何をやっていたんだということになっちゃうんですよ。  恐らく、そのせめぎ合いの中でごちゃごちゃ、UFJ、いろいろやったんでしょう、金融庁の中で、ああだこうだと。当然起きますよ、これは。これは片っ方でやると、十五年九月期の中で特別検査までやったやつですから、当然金融庁とすれば自信を持って、自分たちのステータス懸けて闘うはずですよ。そうすると、にもかかわらず債務者区分を下げるということについては、何か本当の、大きなとんでもない理由があったはすです。  それから、銀行についても、八・一四が不良債権八・五〇になって、自己資本比率が一一・三五から八・八四まで下がったということは、これは大変な出来事ですよ。  だから、私、冒頭、一番最初に竹中大臣にお聞きしましたけれども、何で下がるんですかと、個別行の話ですからいろいろということで、答えられませんということで人ごとみたいに話されていますけれども、これは大変な話じゃないですか。この問題に対しての重要な要するに問題意識を持っているはずですけれども、それを言えないのかもしれませんが、言ってもらわなきゃ困るのですよ、これは。だって、何があったのかということが、根本原因が、だから銀行側金融庁か、どっちかですよ、これは。
  31. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) まず、これは是非確認させていただきたいですが、個別銀行検査の内容とか、そういった問題に関しては、これは申し上げられません。この点は御理解をいただきたいと思います。  しかしながら、今、平野委員がおっしゃいました、やはり資産査定をちゃんとやらなければいけないでしょう、そのために私たちの検査のマニュアルも作ってきたんでしょう、そういう行政をしっかりと進めていかなければいけないでしょうと、これはもう全く私はそのとおりだと思っております。そのような行政を行っているつもりでございます。  まず、資産査定においては、これはまず銀行が自主的な自己査定を行います。自己査定を行ったものについて我々は事後的に検証します。それは正に通常検査で行うわけでありますけれども、それは違います。これは常に違います。自己査定金融庁検査が一致するというのはほとんどこれは考えられないことであります。しかし、その格差が大きいときには、これについてはしっかりとした我々は基準を作って、基準より違うところについてはしっかりとそれを指導して、必要な場合には行政の処分も行ってそれを格差を縮めるということをやっている。  さらには、これは、個別に発表するとこれは風評リスクをもたらしますけれども、全体としての格差についてはこれは公表もするように私が金融担当大臣になってからいたしました。その中で、パブリックプレッシャーも活用して、銀行によりしっかりと自己査定をしてもらうようにする。我々はそういうルールを作って、そのルールどおりにやっております。  その中で、当然のことながら、繰り返し言いますけれども、いろんな格差は出てまいります。その格差については、その事後の、私たちは事後的に検査をしておりますから、それを事後の決算に反映させていただく。この反映するプロセスというのは、これは当然先方は先方でいろんな言い分がございますから、そこは民主的に、いろんな必要があれば、意見申出のプロセスもちゃんとその中に取り込んで、両者が納得できるような形でやっている。私たちはルールを作っております。そのルールどおりに行政をやっております。そこの点は御理解いただきたいと思います。
  32. 平野達男

    平野達男君 ですから、今ルールどおりにやっているというお話がございましたけれども、このUFJ不良債権比率が上がったということは、繰り返しになりますけれども金融庁の、要するにUFJ一つ自己査定がまず間違っていたと、甘かったと。それから、金融庁特別検査も甘かったと。  もう一つ考えられるのは、今までと、要するに、マスコミの中でちらちら出てきましたけれども、貸出し企業先についての経営状況について今までの全く違う状況が分かってきたと。だから、資産査定の要するに区分を見直さなくちゃならなかったというような、いろんなこと考えられるんです。  特に後者であったとしたら、もし意図的に金融銀行側がそんなことをやっているとすれば、これはもう典型的な粉飾決算になるわけです。粉飾決算あったというふうに私は断言できる材料も何もないんですが、この八・一四から八・五〇の不良債権比率が上がったということからいろんな憶測が出てくるんですよ、憶測というか、推測が。  これに対して、個別の検査状況について説明できないということであれば、これは私は金融庁検査というのは本当にちゃんとやっているのかどうかと。それから、あと、銀行はまじめに自己査定やっているのかどうか。これ信用できなくなりますから、もうここの審議できませんよ、これ。ちゃんと説明してください、これ。
  33. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 繰り返し言いますけれども、個別のことについて検査の結果について話せということではこれはないと思います。平野委員もそういうことはおっしゃっておられないのだと思います。  我々としては、したがって、ルールがどうなっているのかということを申し上げております。ルールどおりにやらせていただいております。しかし、これはいろんな推測が成り立つというのはそのとおりだと思いますけれども、これは、自己査定金融庁検査というのは、これは先ほど申し上げましたように、常に違います。違う度合いが大きいときには私たちは行政の処分のルールも決めております。我々はルールどおりにいたします。その上で、しかし状況変化をいたします。状況は刻々と変化いたしますから、去年の三月期と今年の三月期で例えば債務者企業の態様がどのようになっているのかということも変化をしてまいります。もう一つは、状況変化の中で、経営の方針といいますか、大口の債務者に対するリスクをどの程度積極的に取ろうとするかどうかという経営の方針も違ってまいります。そうしたことの総合的な結果としてこのような結果になっているわけでありますので、いろんな理由は推察されると思いますけれども、そのような場合には、今申し上げた様々な理由を総合的に是非御勘案をいただきたいと思います。
  34. 平野達男

    平野達男君 私は個別行の何があったかというその視点で話するつもりはないんです。結果的にそうなっているかもしれません。  繰り返しになりますけれども金融庁検査というのは本当にどういうふうになっていたんだということの問題を突き付けられていると思いますよ、これは。  十五年九月期で、十五年九月期についてのこれは特別検査まで入っているんですから。それで、十五年九月期と十六年三月期からの状況を、何が変わっているかというと、景気は悪くなっているんじゃないんですよ。竹中大臣も小泉総理も景気はもう回復基調にあると言っていますよ。にもかかわらず、債務者区分を悪い方向で見直して、そして、後でちょっと言いますけれども、引き当てもどかんと上げている。  これは個別行の問題というよりは、問題ということあります、もちろんありますよ。何か根本的に間違っていたんじゃないかということなんですよ。これに対してきっちり説明を付けなかったら、私、ここのところ、これ以上、ここ質問続けませんよ、これ。
  35. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) UFJは、決算のときに、再建計画の不確実性やリスクが我々の財務に与える影響を極小化するために計画を保守的に見直したり引き当てを強化したりといった先ほど掲げた最終処理に向けた動きをした、そういった行動を取ったんだということを表明をしておられます。  先ほど私は、状況変化している、経営の方針もその状況の中で変化しているというふうに申し上げました。これはUFJ自身がそのように申し上げているわけでございます。  何か問題があるというふうに平野委員おっしゃいますけれども、我々としては、繰り返しますが、ルールを作っています。ルールについては何度も説明させていただいておりますし、必要があればもう一度説明をいたします。そのとおり我々は、そのルールどおりの運用をしております。  その中で、先ほど申し上げたような、総合的な理由数字はいろいろと変わってまいります。例えば、今、我々でもしお伺いすることが、ここの点がおかしい、何かおかしいとおっしゃいましたけれども、これがおかしいという点がありましたら、そこは御指摘をいただければ我々としては一生懸命御説明をさせていただきたいと思います。繰り返し言いますが、ルールはもう表明しております。そのとおりにやらせていただいております。
  36. 平野達男

    平野達男君 私はおかしい点を今までずっと指摘してきたつもりです。それに対するお答え、一切ありません。
  37. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) おかしい点というのは、数字が変わったことについて納得できないとか、いろんな点だと思いますが、それについては、まずこれは個別の話でありますので、個別の話についてはこれは御説明できないんだということは、これは何度も申し上げさせていただきました。  その上で、数字が変わる理由幾つかあるということを私は申し上げてきたつもりでございます。一般論としては、数字が変わる理由幾つもある。現実に、特に今回の場合は、UFJ自身は記者会見の中で、我々自身不良債権との決別を自主的に判断してこのような決算を発表した、その中身は、将来の財務に与える影響を極小化する、計画を保守的に見直すと、そのようなことでございます。
  38. 円より子

    委員長円より子君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  39. 円より子

    委員長円より子君) 速記を起こしてください。  ただいまの平野達男さんの質問につきまして、竹中大臣の御答弁の方は理事会協議とさせていただきます。  では、平野達男さん、質問続けてください。
  40. 平野達男

    平野達男君 これは、例えば過去において足利銀行、これも私も断層という言葉を使いましたけれども、それからりそなもそうだったと思います。例えば、足利銀行については三つの要素が、例えば繰延税金資産の依存割合が高いとか不良債権比率が高いとかという兆候があって、それで検査の結果こうなりましたというのはまあ見えているわけです。  その中で、なぜこうなったのかといろいろ議論をしましたけれども、評価が変わってきたんだということだったと思うんですね。しかも足利銀行は、二年、二年間入ってなくて、二年目の検査として入ったと。りそなについても、どちらかというと繰延税金資産の割合が高くて、その評価が変わったということで、これも議論はされました。  ただ、これは、UFJは違うのは、通常検査も入っている、特別検査も入っているんです。そして、しかも自己資本比率とか不良債権比率とかというこのデータを見る限り何も異常値というのはないんですよね。ところが、ぽっと数字が上がってくる。しかも、ほかの銀行は軒並み不良債権比率を下げている、自己資本比率は上げている、若干変動はありますけれども。こういうことに対して、これはやっぱり説明をしないと、何でこうなったんだと。これは個別行のことですから説明できませんじゃ済まないはずですよ、これは。そういうことで、これ理事会協議ということになりましたので、それはもうこれ以上、この会議が続きませんので。  是非、これは銀行の信用問題と金融庁検査のやっぱり信用問題、これ二つ懸かっていると思いますよ。是非分かりやすいような説明をするようにお願い、ここについては強く要望しておきます。  それで、前回足利銀行につきましてちょっと説明しまして、二点ほど議事録を見まして確認したいことがあります。  私は、足銀に関して言いたいことは、竹中大臣は私どもとしてはしっかり査定をしましたと答えておりました。そうだと思います、しっかり査定しなくちゃ駄目ですから。だけれども、結果として、資産査定あるいは繰延税金資産の見方について違った見方ができた。繰延税金資産については、この間、検査局長の御答弁では時期が違うんだという御答弁だったんですが、私はあの答弁ではまだ納得していません。  要は、時期が違うからいいということではなくて、本当に資産査定の仕方、それからあるいは、特に繰延税金資産の見方、特に繰延税金資産については、上野理事長だったと思うんですが、三つの具体的な指標を出しました。つまり、金融庁検査による不良債権への引き当て増による自己資本比率低下、税効果資本のわずかな変動で債務超過に陥る脆弱性、三番目として、将来の利益計画の実現性への疑念という、この三つの具体的な指標を掲げまして、これについてどうですかといったら、竹中大臣コメントできませんと話されました。コメントできないんじゃなくて、しないんじゃなくて、今繰延税金資産についてはどのような見方をすればいいかということに対して、私は全く分からないんです。その評価の仕方について、もし客観的な指標が確立できるとすれば、これはどんどんやっぱり作るべきだと思うんです。その一環としての、足利銀行というのはいろんな題材を提供しているんじゃないですか、これをチェックするべきじゃないですかと言っているわけです。  どっちの検査が正しいとか悪いとかということを私は前回の質問の中でも余りそれを言うつもりは、言っているつもりはありませんでした。何でこうなったんでしょうかと。それに対して、差があるのはこれは当然ですよというのは、それは答弁でしょう。だけれども、差があるのは当然じゃなくて、差を縮める努力をするというのはやっぱり行政の責任であって、そこに対しての背景、なぜそういうふうになったのかということをちゃんと整理した上で縮める努力しなかったらどうしようもないじゃないですか。ここに関してもう一回答弁お願いします。
  41. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 平野委員がおっしゃった前半の部分、しっかりと説明責任を果たすようにということについては、改めてまた先生方の御意見も伺って、しっかりと私たちなりに努めさせていただきたいと思います。  一つ、是非、委員は断層があるというふうにおっしゃいましたですけれども、これ佐藤局長の答弁の時期ということとやっぱり実は関連しているんだと思います。断層という言葉をお使いになる点というのは私も理解しているつもりでございます。それはやはり、こういう意思決定なり機関の決定というのはやはり非連続だということだと思います。昨日まで正常先であったものがある日突然不良債権になる。これやはりスイッチでありますから、1か2という、オンかオフしかないわけでありますので、そこは意思決定そのものはやはり非連続になる。その非連続になるにはやはりその間の時期の差、その間に、時期の差にわずか半年であれ三か月であれいろんなことが起こるんだという点もこれは是非御理解を賜りたいと思います。  前回、中央、上野理事長の足利銀行の繰延資産に対する件について私はコメントを差し控えさせていただくと申し上げたのは、これも誤解ないように申し上げておきますけれども、これは監査法人の判断の中身について私はコメントするべきではないだろうというふうに申し上げたわけでございますので、今、平野委員おっしゃいましたように、一般論としてこの繰延税金資産をどのようにするかと、その差を縮めて、これが予見可能なものにしていくということが重要だというのは私も全くそのとおりだと思っております。正にそれが新しい会計慣行の中でしっかりと社会的に確立されていくということが必要であるという意味も込めて、我々は金融審のワーキンググループでこの繰延税金資産の在り方について今専門家にしっかりと議論をしていただいているわけでございます。  前回、上野理事長がおっしゃった継続企業の前提が重要であると、これはもう私はそのとおりだと思います。この足利のケースが継続企業の前提に重要な疑義が存在するに至ったかどうかというのは、これは私は判断する立場にございませんが、継続企業の前提というのは大変重要だと思います。それと、財政状況が非常に脆弱であったと。当時の足利がそういう状況であったかどうかということは私、判断をいたしませんけれども、それは重要であると思います。また、将来の利益計画の可能性をどう見るかという、これは重要であると思います。  その意味では、三点については、これは今も既に会計監査の中でこういうことは行われていると思いますけれども、あえて挙げられたという点で、この三点、私も重要であるというふうに思っております。
  42. 平野達男

    平野達男君 今の答弁で今日は大体納得したということにしておきますが、プラス、ちょっとコメントを付け加えさせていただきますと、前の金融特の私の質問のところでも言いましたけれども、二〇〇三年三月期決算の足利銀行自己資本比率、四・五%あって、金融庁検査で〇・七%まで落ちるんですね。それで、足利銀行は、当初、二〇〇三年九月期の決算で一千二百八億円の繰延税金資産の計上を予定していたんです。これを入れますと、若干、一%ぐらい、たしかそれぐらいだったと思うんですけれども、そのようになるんですね。破綻しないんです。だけれども、その状況を踏まえて、これは繰延税金資産認められないと足利の監査法人が言ったわけです。ところが、金融庁は、二〇〇三年三月期のときに自己資本比率〇・七%になったにもかかわらず、税効果会計、税効果増減額は二十八億しか減らしていないんです。  これは時期が違うんだと言いましたけれども、確かに時期違います。だけれども、繰り返しますが、繰り返しますがじゃないですが、二〇〇三年三月期から二〇〇三年九月期のときは、これもまた景気は一応、金融庁さん、政府の話では上向きになっていて、株価も上がっている状況なんですね。  そういった意味で、時期の違いとかということじゃなくて、この繰延税金資産については、なぜこうなったかということは、もう答弁は結構ですから、よくチェックしておいていただきたいと思います。
  43. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) この間の変化についてしっかりといろんな要因を考えろという御指摘は、私はそのとおりだと思っております。  これは、足利につきましては、これはああいう結果が出ておりますので、やや個別についても話をさせていただける状況だと思いますけれども、時間が違っていると、時間の間にいろんな変化があるという点が重要だということを申し上げているわけでございます。  この足利の場合、特にその三月の時点では増資を考えていたと、増資を表明しておりました。しかし、その増資が難しいということが明らかになったと。これが実はこの間の変化の非常に大きな点であったというふうに私は思っております。
  44. 平野達男

    平野達男君 じゃ、今日は法案の審議ですから、法案の質問を何点かさせていただきたいと思います。  今回の法案の大きな柱は、証券の仲介業、これを銀行にまで解禁するということであります。証券取引等の一部改正というのは実はこれ昨年もやられていまして、銀行を除くいわゆる一般事業者、あるいは、たしかこれ個人も入っていたと思うんですが、証券仲介業を解禁したということで、そのときは銀行は今言いましたように除かれていたわけですね。  まず、法案の中身に入ります前に、昨年の証券取引等の一部改正をしまして一般事業者あるいは個人に仲介業を解禁したわけですけれども、その実績がどうなっているかをちょっと教えていただけますか。
  45. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) お答え申し上げます。  昨年の証取法等の改正で導入されました証券仲介業制度でございますが、本年四月一日が施行でございます。それの後に、現在、五月二十五日現在でございますけれども、六件の登録がなされているところでございます。証券仲介業制度につきましては様々なビジネスモデルの構築が可能であるというふうに考えておりまして、多様で新しい担い手が証券の仲介業務に参入することによって証券の販売チャンネルが拡充されることを私どもも期待しているところでございます。
  46. 平野達男

    平野達男君 そうすると、登録はされたけれども、実際にどういう仕事になっているかというのはまだよく分からないということですか。ちょっと今聞き漏らしたかもしれません。
  47. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) どういう……
  48. 平野達男

    平野達男君 登録はしましたけれども、仕事をどれだけ、例えばじゃんじゃん引き合いがあるとか、まだ店開きしたばっかりで余り分かりませんとか、その辺はどうなんでしょうか。
  49. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) 現在、四月一日から始まったばかりでございますので、ちょっとそこの一つ一つの内容について私ども掌握をしておりません。
  50. 平野達男

    平野達男君 じゃ、そうすると、いわゆる一般事業者と個人に解禁したことについてのまだ評価はできていないということですね、一年しかたっていませんから。しかも何社か登録して仕事を始めたばっかりだということですから。
  51. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) お答え申し上げます。  おっしゃるとおり、評価をするというのはなかなかまだ早いのではないかというふうに思っております。ただ、今六件登録と申し上げましたが、それ以外にもいろんな申請が出てきておりますので、いろんな形での反応というか、そういった動きがあるというふうに思っております。
  52. 平野達男

    平野達男君 その評価もできていないのに、一年たって銀行の解禁ということなんですね。この間の変化というのは一体何なんでしょうか。
  53. 伊藤達也

    ○副大臣(伊藤達也君) お答えさせていただきたいと思いますが、昨年の証券取引法の改正において、今委員指摘をいただいて、増井局長からも答弁をさせていただいたように、証券の販売チャンネルを拡充する、こうした観点から証券仲介業制度というものを導入をさせていただいて、その際には、証券取引法第六十五条に、銀行業と証券業の間の利益相反を防止する観点から、まず個人や一般事業者に解禁したものであります。しかしながら、昨年の十二月の金融審議会の報告におきまして、銀行業と証券業の間の利益相反の問題について、所要の弊害防止措置を講じた上で銀行等による証券仲介業を解禁することの政策としての意義についての御指摘を受けたところでございまして、貯蓄から投資への流れを加速させることが我が国経済にとっての喫緊の課題である、こうしたことにかんがみまして今回所要の措置を法案として御提案をさせていただいたということが理由でございます。
  54. 平野達男

    平野達男君 今の副大臣の答弁は、正にこの金融審議会の部会、その報告にそのとおりのことが書いてあるわけです。この「証券仲介業」の中では、先ほど私がちょっと質問しましたけれども、冒頭に、「銀行を除く形で導入し、未だ施行に至っていない証券仲介業の範囲を現段階で見直して銀行を加えることは、政策として拙速にすぎるとの指摘がある。」ということで、ちゃんと金融部会も意識されておりましたね、ここはですね。その後、これもいろいろ見ますと、ワンストップショッピングだとかルートの多様化だとか、今副大臣がいろんなことを言われて、いろんなことじゃない、利益相反の話かな、失礼しました、その後、銀行による証券仲介業の導入をすることでいろんなメリットをずっと書いてあるわけです。  今の副大臣お話の中では、利益相反の問題があるから、それを適切に対応することで銀行に対しても証券仲介業を認めればいいじゃないかという答申があったということなんですけれども、それが何で一年前にできなかったのかという非常に単純な疑問がありますね、これは。何か実施の、再生のプログラムみたいなものがあったなら別ですけれども、一年前の状況とこの前の状況、何が変わっているかといったら、利益相反に対しての防止策を取ればそれでいいよということになってしまうんですね。それは一年前だって状況は何も変わっていなかったということなんですが、そこはどのように説明されるんですか。
  55. 伊藤達也

    ○副大臣(伊藤達也君) この点は、先ほどもお話をさせていただいたように、銀行と証券業の間の利益相反を防止をする、こうした観点は非常に重要なことでありますから、そうした意味から、まず個人や一般事業者に解禁をして、その上で、弊害防止措置等を講じた上で銀行による証券仲介業を解禁をしていくことが必要だと。  なぜ必要かといいますと、顧客の利便性の向上でありますとか、あるいは投資家の層のすそ野の拡大でありますとか、あるいは証券会社の店舗が少ない地域というものがあります。こうした地域へのアクセスの改善、こうしたものは政策的な意義として極めて重要だと、こうした御指摘金融審議会の審議の中でもされておりました。  そうしたことを踏まえて、私どもといたしましては必要な措置を講じて今国会にこの法案を提出をさせていただいたというところでございます。
  56. 平野達男

    平野達男君 私が質問しているのは、何で一年という時間差ができたかと、これだけなんです。  今の副大臣説明は、銀行にも証券仲介業をやることがいいよ、いろんなメリットがありますよという説明と、それをやるためには利益相反を、一応、という問題がありますので、それに対する様々な防止策を取ることが大事だという説明だけなんですね。だから、この一年間で何が変わったんだと、一年ずらしたことにどういう意味があるんだということなんです。こうしなければならなかった必然性というのは何だったんだということなんです。
  57. 伊藤達也

    ○副大臣(伊藤達也君) 販売チャンネルを拡充をしていく、そのことによって貯蓄から投資への流れを作り出していくということでありまして、そのために、まず個人や一般事業者にこの部分について解禁をしたと。そして次のステップとして、ここも議論が進んで、弊害防止措置等をしっかり講じた上で銀行にも解禁をして、そして、先ほどもお話をさせていただいたように、顧客の利便性を向上させていく、あるいは投資家層のすそ野を拡大をしていく。さらに、証券会社の店舗が少ない地域もあるんです。そこのアクセスというものを改善していく必要があるんだと、そういう指摘がこの審議会の議論の中で更に進んで、それを受けて私どもとして今回このような形で国会での御審議をお願いしているということであります。
  58. 平野達男

    平野達男君 私は、こういう、いろんなルートを広げるとか、投資家にとっていろんな選択肢を広げるということについては基本的には賛成です。  ただ、こういったことをやっていくときには、基本的にはやっぱり一つのグランドデッサンみたいなのがあって、よく言うところの実施プログラムということを、プログラム、プログラムということで竹中大臣もよく言われましたけれども、そういうプログラムがあってやっているのか、それとも、何か要するに場当たり的に、去年銀行外れたけれども、今年何かやり残したからやったということなのか、そこの戦略性みたいなものが全く感じないんですよ。  この金融審議会の部会の最後のところにこんな書き方がしてあるんです。「一般事業会社にできることを、銀行にだけ制度的にできないままにしておくことは、もはや国民に対して説明できない段階にきていると考えられる。」。全く分からぬ文章です、これ。「もはや国民に対して説明できない段階にきている」。じゃ、一年前はできたんですか、これ。これ金融審議会の委員さんに本当聞いてみたいですけれども、これはどういうつもりで、これが要するに結論なんですよ、今回のこの金融部会の。だから、これを受けて銀行の証券仲介業を入れたという記述になっているんです。だけれども、この文章は、これは金融庁さんが書かれた文章なんだと思いますけれども、もう文章としては変という感じですね、これ。  だから、繰り返しますけれども、戦略性があってやっているのか、場当たり的にやっているのか、それはどっちですか、それじゃ、これは。
  59. 伊藤達也

    ○副大臣(伊藤達也君) 文章について厳しい御指摘があったわけでありますが、今先生が引用された文の前に、これは「換言すれば、」という言葉が入っているわけであります。この「換言すれば、」という意味について先ほど私の方でお話をさせていただいたわけでありますけれども、先ほどからお話をさせていただいているように、貯蓄から投資への流れを加速をさせていくということは金融市場の強化の大きな課題になっているわけでありますね。その中で証券の販売チャンネルというものを拡充をしていかなければいけない。  そこで、利益相反の問題があるけれども、この問題について、一年間、専門家の方々に御議論をいただいて、そのための弊害措置としてどういうことが適切なのかという議論を進めてきたわけであります。それを措置した上で、将来のビジョンの中で、先ほどお話をさせていただいたような方向性を実現していくために、今回のような形で証券取引法の改正をお願いをさせていただいているということでございます。
  60. 平野達男

    平野達男君 じゃ、一点、あれですけれども、確認しますけれども金融庁あるいは金融審議会の中に、前から証券仲介業については銀行に、銀行にも窓口をやっぱり広げたい、広げるという構想はあったということですか。
  61. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) お答え申し上げます。  金融審議会においても昨年も御議論がございましたし、昨年というか、一昨年からということでございますけれども、御議論もございまして、基本的に、今副大臣からも御答弁をいただいておりますけれども、販売チャネルを拡大をするとか、そういった議論というのはあったわけでございます。  具体的にどのような形でやるかということで、昨年は一般個人及び一般事業会社の解禁ということでお願いをいたしましたし、今年は銀行についてそれを拡大をするということでお願いをしているところでございます。
  62. 平野達男

    平野達男君 いずれ、私ども、これは法案出されてきまして、去年も審査しましたよね。それで、中身は何かと言ったら、今回の中身は何が違っているかと言ったら、去年銀行やりませんでしたから銀行入れますよということなんですよ。  そうすると、やっぱり証券仲介業の、繰り返しになりますけれども、ルートを広げるということについては反対じゃないです。だけれども、やっぱり一つのグランドデザインみたいなものがあって、その中で、例えば順次こういう形で広げるし、これを広げるについてはこういう問題があってなかなか問題がありますよというようなことを前に示すとか、何かそういうことがあればいいんですけれども、去年、銀行はやっぱり証券法、証券取引法の六十五条でしたっけ、銀証分離とかという話がありましたけれども、そういったことでなかなか難しいんだというようなお話もあったかと思いますが、そういう話を聞いていたら、一年たってみたら、繰り返して申し訳ないんですけれども、もはや国民に対して説明できない段階になってきているというような、そういうことでやってきているということは、本当に全体の戦略視野というのに立って考えているんだろうかというちょっと疑問が出てくるということを言いたくて今ねちねちといろいろ質問させていただいた次第です。  それで、利益相反の防止につきましては、いろんな、たしか何点か禁止すると。禁止、こういうことをやらせないんだということを本会議の大塚議員の質問に対して竹中大臣が答えておりましたけれども、大塚委員の質問はどうやって担保するんだという質問だったんですけれども、それに対しては、これやります、これやります、これやりますと言って、担保をするということについての考え方について答弁がなかったと思うんですが、改めて、じゃ具体的にどうやってやるんだということについて、利益相反防止策の各項目と、項目ごとにできればちょっと説明していただきたいなと思います。
  63. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) お答え申し上げます。  銀行等による証券仲介業の業務にいわゆる弊害防止措置というのを今回掛けております。現行法令におきましても、信用供与の条件といたしまして証券取引をさせる行為等を禁止をしております。  ただ、今般、この仲介業の、証券仲介業の解禁に伴いまして、法令におきまして、まず第一に金銭の貸付けを条件として証券取引の受託等をする行為を禁止をするということでございます。それから第二に、証券仲介業務部門と融資部門との間の情報の共有の禁止でございます。第三に、貸出先が発行する有価証券についての手取り金が借入金の返済に充当される場合に、当該の事実を投資家に開示せずに勧誘をする行為の禁止ということなどの措置を講ずることとしております。  こういったことに対する弊害防止措置については、基本的に証券取引法令の実効性を確保するということが大事でございまして、市場監視機能・体制の強化に努めてきておりますが、引き続きこういったことに対する法令違反行為を的確に把握して、これに厳正に対処することによって対応してまいりたいというふうに思っております。  いずれにいたしましても、何らかの形で違反をした場合には監督上の処分等が行われるということになっております。
  64. 平野達男

    平野達男君 さっきからの副大臣の答弁では、利益相反を防止するためにきちっとした対策が必要である、そのためにいろいろ一年間掛けて議論したんだというふうに答弁ありました。  今の答弁は、利益相反防止するために何をしなくちゃならないかという項目だけのお話の紹介だったと思うんです。例えば、情報の共有をしちゃいかぬとか、それから貸出しを条件として仲介業をするとか、こんな話はもう当たり前の話で、だからこういう問題があるから一年前に銀行に対して証券業の仲介はできないというふうに言ったわけで、この四つのものに対して具体的にどうやって実効性の措置を作って、この今言った四つの項目に対しての利益相反防止をやっていくんだという説明がないと、今の答弁ではちょっと答弁になっていないと思いますよ。  それからまた、先ほどの副大臣からのお話があったように、どうやって防止するかということが一つの大きなテーマだったと言っているわけですから、そんな要するに四つの項目で決まりましたと言われても全然答えにならないじゃないですか。
  65. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) 先生御指摘のとおり、この実効性を確保することというのは非常に大事だというふうに思っております。  いずれにいたしましても、その実効性を確保するための方策として、私ども検査・監督といった方策を持っておるわけでございますけれども、当然監督上もきちっと監督することというのが大事でございますが、一方で、証券取引等監視委員会などの検査におきましてもしっかり体制を組みまして検査をしていくということが大事かというふうに考えております。
  66. 平野達男

    平野達男君 まあ今ぐらいの話でしたら一年前にやっていてもよかったような気もしますね、本当に。その法改正のときにですね。  それじゃ、ちょっと時間になってきましたので、最後にちょっと間接金融から直接金融への話について質問させていただきますけれども、これから金融というのは間接金融から直接金融へと比重を移したいんだと、移すんだということを委員会でも竹中大臣も何回か言っておられました。銀行に要するにリスクが集中し過ぎているということが背景にあるということだったと思います。  今回、銀行がそういう中で証券取引を活性化するんだと、その中で、窓口を広げることによって証券取引がより活発化するんじゃないかというようなことも、といった目的も含めて今回の法律改正をするわけでありますけれども、この間接金融から直接金融へという流れについて、銀行当局はこれは本当にこれをどのようにとらえているんだろうか。要するに、銀行としてもその流れに積極的に関与をして、間接金融から直接金融への流れに加速させるようなことをしたいと思っているのかどうかということであります。  その背景に何があるかといいますと、間接金融から直接金融へと移行するということは銀行の役割が相対的に低下することでありますから、自分たちの仕事がやっぱり減っていくことになるんじゃないかという、そういった見方もできてくるわけでありまして、そういう銀行がまず間接金融から直接金融への流れということに対してどういう意識を持っているというふうに思っておられるのか。  それから、あともう一つ、もし、私は余り直接金融へというのは銀行はそんなに真剣に考えていないんじゃないかというふうに思っていまして、銀行に仲介業、証券仲介業の窓口を広げるということについてはこれはいいと思いますが、来たらやりましょうというぐらいで、積極的にこれを活用して、さあ、どんどんどんどん社債買ってくださいとか、そういったことまでやるのかどうかという、そういうちょっと疑問があるんですが、それに対しての見解をちょっと伺いたいと思います。
  67. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 平野委員の御質問は、よく言われる、貯蓄から投資へ、間接金融から直接金融へというその流れに対して、まず当局はどのように考え、どのように関与するつもりなのか、さらに銀行は一体どうしていくのかと、この二段の御質問であったかと思います。  基本的には、私は、今千四百兆円の家計の金融資産を持ちながら、それが銀行預金に五六%行っていると。正にローリスク・ローリターンの運用に非常に偏っている。もちろん、これは家計が自主的にそうしているわけではありますけれども、諸外国の例等々から見ると、これだけの水準の、高い水準の金融資産を持ちながら、やはり潜在的にはミディアムリスク・ミディアムリターン、さらにはハイリスク・ハイリターンにポートフォリオを変えていく、多様化していくという非常に大きな潜在的なその動き、ニーズがあるというふうに考えております。  これをやはりしっかりと実現していくことが家計のためにもなり、また日本経済のためにもなるというふうに判断を我々としてもしておりまして、これはやはりそのポテンシャル、ニーズ、ポテンシャルなニーズを実現していくというのが当局の役割であろうというふうに思っています。そのためにアクセスを多様化するとか、今回の措置、正にそうでありますし、また、そもそも市場が人々から信頼できるように取引所の在り方も変え、また公認会計士、監査法人の在り方も変えていくという一連の動きを我々としてもサポートしているわけでございます。  先ほどグランドデザインがないのではないかという御指摘もございましたが、グランドデザインと呼べるかどうかはともかくとして、平成十四年に、亡くなられた蝋山先生を中心としたビジョン懇というのでこの方向を打ち出しておりまして、このビジョン懇の中で貯蓄から投資へということを打ち出し、またワンストップサービスという考えも打ち出している。その方向としては、私たちとしては明示をさせていただいているつもりでございます。  そういう中で我々は努力をしておりますが、じゃ銀行はどうなのかと。銀行自身も、これ今預金がたくさん集まるんですけれども、預貸率が下がってきてなかなか運用がない、国民のポートフォリオと資産運用のポートフォリオと、それと資金のニーズが懸け離れてきているということを銀行自身が実感しておりますから、だからこそ様々な選択と集中を行っていこうという体制になっているんだと思います。  具体的には、銀行が今行っていますのは相対型の間接金融でございますから、それ以外の道を開かなければいけない。実はこの芽はもうかなり出ておりまして、市場型の間接金融であります投資信託の販売、実は投資信託の今の販売の四割は銀行の窓口で既に行われるというふうな状況が出現しております。これは当局としてもその方向を目指すし、銀行としてもやはりそうした形で、選択と集中の中でサービスを多様化していく、その新しい道を見いだしていくということではないかと思います。
  68. 平野達男

    平野達男君 時間ですから、終わります。
  69. 続訓弘

    ○続訓弘君 公明党の続でございます。  ただいま議題となっております両法案について、何点か質問させていただきます。  まず、証券取引法に関連して伺います。  平成十年の金融システム改革から五年以上経過いたしましたが、金融システム改革の目的でございます個人資産の有利な運用や資源の最適配分は残念ながらいまだ達成されておりません。これは、不良債権処理構造改革がいまだ終結しておらず、個人投資家が金融資産を預貯金から証券等のリスク資産にシフトさせることをためらっていることが背景にあるのではないかと考えます。  このような状況の下で、証券市場の機能の改善強化を図る目的で証券取引法の改正案が審議されておりますが、証券取引法の改正により証券市場や投資家にどのような効果がもたらされると考えておられるでしょうか。法改正の目的と期待される効果について大臣の率直な御所見を伺います。
  70. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 今、続委員指摘くださいましたように、家計のポートフォリオがなかなか、実は変わる変わると言われてもう久しいのに、なかなか変わっていないという御指摘はそのとおりだと思います。  我が国の証券市場におきましては、その意味で、先ほどからも御議論させていただいておりますように、間接金融から直接金融へというシフトに向けて、具体的にはやはり個人投資家の証券市場への参加を促進するためにいろんなことをしなければいけない。我々としては、インフラ整備、そして市場機能を中核とする金融システムの改善強化に努めるということがやはり極めて重要であろうかと思います。今法案を御審議、提出させていただく背景は正にこの点にございます。  こうした認識の下に、具体的には、金融審議会の第一部会におきまして、これは何をやったかといいますと、ビッグバン改革の成果を検証しながら、今の段階で必要な制度改革の方向性を得るというために精力的に議論を行っていただきまして、昨年の十二月二十四日に報告書を提出していただいております。「市場機能を中核とする金融システムに向けて」という報告でございますけれども、この報告を踏まえて、政府としても対応を取る。本年三月五日にこの証券取引法一部改正法案を国会に提出させていただいたところでございます。  この法案でございますけれども、例えばでありますけれども銀行等の証券仲介業務の解禁によりまして多様な投資家の幅広い市場参加を促進する、正にアクセスを容易にしてすそ野を広げたい。さらに、市場監視機能・体制を強化し、さらにディスクロージャーの合理化等によって市場の公正性と透明性を確保したいというふうに考えている、そういう効果が期待されるところであります。  こうした措置を通じまして、正に金融審の報告のタイトルにありますように、市場機能を中核とする金融システムの改善強化が図られていくものというふうに考えているところでございます。
  71. 続訓弘

    ○続訓弘君 先ほども平野委員から質問がございましたけれども、昨年の証券取引法の改正において証券仲介業制度が設けられた際には、銀行等の金融機関が証券仲介業を行うことは認められませんでした。今回の法改正で銀行等に証券仲介業が解禁されることになりましたが、その理由をまずお聞かせください。  また、銀行等に証券仲介業が解禁されますと、証券の販売チャンネルが増え、個人が証券投資を行う機会が増えるものと期待されます。政府はこの措置によりどの程度の個人金融資産が証券投資にシフトするものと予想しておられるでしょうか。竹中大臣の御所見を伺います。
  72. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 銀行業への証券仲介業の解禁について、二問、委員からお尋ねがございました。    〔委員長退席、理事大塚耕平君着席〕  まず、今回の理由、経緯でございますけれども、昨年のこの法改正において金融仲介業というのは創設されたわけでございますけれども、これは証券の販売チャネルを拡充するという観点からもちろん導入されたものでございます。ただ、その際、証取法六十五条において、銀行業と証券業の間の利益相反を防止するという観点から、銀行業等の金融機関が原則として証券業を営むということを禁止しているということにかんがみて、まずは個人や一般事業会社に解禁をしたという経緯がございます。  しかし、その後、昨年十二月の金融審議会の報告におきまして、この銀行業と証券業の間の利益相反の問題について、所要の弊害防止措置を講じた上で銀行等による証券仲介業を解禁することの政策的な意義、これは重要であるという点についての御指摘を受けたところでありまして、そうした意味で貯蓄から投資への流れを加速することが我が国経済にとって喫緊の課題であることにかんがみまして、今回所要の措置を法案として提出させていただいたわけでございます。  二番目のお尋ねの、どの程度の効果が期待できるのかということ、これは量的に示すのはなかなか難しいということは御理解賜りたいと思いますけれども金融審議会第一部会の報告において次のように指摘されております。  顧客にとってやはりワンストップショッピング、ワンストップサービスのニーズにこたえ、やはり利便性が高まるだろうと。投資経験のない銀行顧客層の市場参加を促すだろうと。その意味で、新たなすそ野の拡大が期待できるのではないかと。様々な規模の銀行と証券会社による様々なタイプの連携が起こるだろうと。それ自体顧客の利便性を高めるわけでありますが、とりわけ証券会社の店舗の少ない地域におけるアクセスの改善につながるだろう、これはやはり大きなメリットであるというふうに私も考えております。  今、日本の家計資産に占める株式、投信の割合、これは一割弱であります。言うまでもなく、これは他国に比べて極めて低い状況にあります。こうした施策により、証券の販売チャンネルが拡充して、貯蓄から投資への流れが加速されるということを期待しているわけでございます。今、株式市場も従前に比べて活気が出てきておりますが、これは、買い越し、売り越しという観点からは外国人投資家の役割が重要でございますけれども、実は、取引量そのものから見ますと、個人投資家のウエートというのが実はかなり拡大する動きを示しております。こうした時期にやはり更にすそ野を広げるということは、貯蓄から投資への流れを作るという観点からは大変重要であるというふうに認識をしております。
  73. 続訓弘

    ○続訓弘君 先ほども問題になりましたけれども金融審議会は、銀行等の証券仲介業解禁に当たり、銀行の内部管理体制の充実を要件とした認可制を取ることが適当と答申しておりますが、本法案では、登録金融機関であれば特別の認可等を得ることなく証券仲介業を営むことが可能となっております。  このように、金融審議会の答申と違って、事前の内部管理体制等のチェックを経ることなく証券仲介業が銀行に認められることになった理由をお聞かせください。
  74. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) お答え申し上げます。  御指摘のように、金融審議会においては、銀行が系列関係にある証券会社から委託を受けて証券仲介業を営むことは利益相反の蓋然性が高いため外形的に禁止すべきであるなどの意見があったことも踏まえまして、外形基準により一律にその範囲を制限するよりは、貸出し部門と証券仲介部門の人的、組織的分離などの内部管理体制について実情に応じて当局が認可する仕組みが適切であるとの報告が行われたところでございます。    〔理事大塚耕平君退席、委員長着席〕  しかしながら、私どものその後の法案策定作業の中で、近年における規制緩和の流れや、金融システム改革以後、事前チェック型から事後チェック型への行政手法の転換を進めてきていることを踏まえまして、認可制から登録制とすることとともに、金融審議会等で指摘された弊害につきましては、これを防止すべき行為ごとに法令で明確に禁止をし、法令違反行為があれば行政処分により厳正に対処する仕組みとしたものでございます。  今回の法案は、そういう意味で、事前チェックか事後チェックかといった違いはあるものの、銀行等において業務の実情に応じて法令遵守体制が構築されることを条件に証券仲介業を解禁するとの考え方に基づくものでございまして、大筋において金融審議会の報告の趣旨を踏まえたものであるというふうに考えております。
  75. 続訓弘

    ○続訓弘君 次は、課徴金制度について伺います。  本法案においては、インサイダー取引等の違法行為に金銭的負担を課す課徴金制度が導入されています。証券取引法では、違法行為を摘発、抑止するため、刑事罰や行政処分、そして民事責任に関する規定が設けられておりますが、これらに加えて新たに課徴金制度を設けた理由は何でしょうか、御説明ください。
  76. 伊藤達也

    ○副大臣(伊藤達也君) お答えをさせていただきたいと思います。  証券市場への参加者のすそ野を広げて、だれもが安心して参加できるものとしていくためには、市場監視機能を強化することによって投資家の信頼が得られる市場を確立することが重要でございます。  このため、信頼を阻害する違法行為に対して行政として適切な対応を行う観点から、新たな手段として、現行の刑事罰に加えて、インサイダー取引等の証券取引法違反行為の抑止を図り、証券取引法規制の実効性を確保するという行政目的を達成するために、証券取引法の一定の規範の違反者に対して金銭的負担を課する行政上の措置としての課徴金制度を導入することとしたものでございます。  委員から、刑事罰等規定がある中で新たに課徴金制度を導入する理由いかんということについてもお尋ねがございましたが、刑事罰は重大な結果を伴うことから、人権保障等の観点から、刑事罰を用いなくても、他の手段で法目的を達成することができる場合は刑事罰の発動を控えるべきという考え方があるところでございます。  刑事罰を科すに至らない違反も含め、違反行為の抑止を図る観点から、今回、新たな行政上の措置としての課徴金制度を導入することといたしたところでございます。
  77. 続訓弘

    ○続訓弘君 課徴金額の水準について伺います。  課徴金額の水準は、ルール破りをしても割に合わない水準とすることが基本であると考えます。したがって、今後、課徴金制度の運用の推移を見ながら課徴金額の水準についても適切な検討を加えていくことが重要だと考えますが、この点についての御所見を伺います。
  78. 伊藤達也

    ○副大臣(伊藤達也君) 課徴金額の水準についてお尋ねがございました。  これまで、証券取引法では、不公正取引等に対して主として刑事罰によってその実効性の確保を図ってきたところでございますが、今回導入を図る課徴金制度は、違法行為の抑止のため、違反者の金銭的負担を課す行政上の措置であり、規制の実効性を確保するための全く新しい制度でございます。このように全く新たな制度の導入であることから、その金額水準については、違反行為の抑止にとって必要最小限の水準として、経済的利益相当額を基準とするとしたところでございます。  実効性のある市場監視に向け、まずは今回の制度の適切な運用に全力を尽くしてまいりたいと考えておりますが、実績を積み重ねていく中で、将来的には、金額水準について、違反行為の抑止という制度目的を達成するとの観点から、委員指摘の点も踏まえて検証していく必要があるというふうに考えているところでございます。
  79. 続訓弘

    ○続訓弘君 次は、投資家保護法制の整備について伺います。  投資サービスが高度化かつ多様化する中で、投資家保護の在り方が問題となっております。竹中大臣は過般の衆議院の委員会でこんなふうに述べておられます。今後、機能別、横断的な投資家保護法制の整備を図ることが必要だと、こういう見解を述べておられますが、幅広い投資サービスを投資家保護の対象に含めるだけでなく、イギリスの金融サービス市場法のように、実際に被害を受けた金融消費者の救済を迅速かつ的確に行うような仕組みを設けることも重要であると考えます。この点について検討をされるお考えがあるかどうか、御所見を伺います。
  80. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 投資の重要性が高まると、その中で投資家保護、その中でもとりわけ投資家の救済をどうするのかというのは、やはり委員指摘のとおり重要な問題になってきていると思っております。  この投資家の救済につきましては、これは、平成十二年の六月の金融審議会の答申を踏まえまして、金融分野におけます裁判外紛争処理制度、いわゆるADRの改善について協議会が発足をしております。これは、具体的には、消費者団体、各種自主規制機関、業界団体、弁護士会、学識経験者及び関係行政機関が、これは自主的な参加ということでありますけれども金融トラブル連絡調整協議会が発足して、その中で今様々な取組が行われているところでございます。  この協議会におきましては、これは、平成十四年四月に、金融分野の各種の自主規制機関、業界団体におきまして苦情・紛争の当事者による解決を支援する際の標準的な手続モデルを策定しております。これに沿った苦情・紛争解決手段の手続が、これは各種の自主規制機関、業界団体において確立されるよう今取り組んでいるところでございます。  また、この裁判外の紛争解決手段につきましては、司法制度改革推進計画、これは十四年の三月に閣議決定されたものでありますが、この中で、関係機関等の連携強化、共通的な制度基盤の整備を進めることによってその拡充、活性化を図るというふうにされているところでございます。  今、そういう動きが現実にありますので、我々としてはこうした動きを踏まえながら適切に対応していきたいというふうに考えているところでございます。
  81. 続訓弘

    ○続訓弘君 最後に伺います。いわゆる株券ペーパーレス化法案についてであります。  これまでの振替制度の順次改正で社債と国債がペーパーレス化され、今回の法案で株式もペーパーレス化されることになり、有価証券の決済制度について統一的な法制が実現できたことになります。しかしながら、一般の個人投資家にとっては本法案によりどのようなメリットがあるのかいま一つはっきりいたしません。  そこで、本法案によってどのようなメリットが期待できるのか、株式発行会社、証券会社等の市場参加者及び個人投資家のそれぞれについて具体的に御説明願います。また、本法案の施行によって家計の預貯金が証券投資に向かうことが期待できるのか、また今後どのような証券インフラ整備をしていく必要があるのか、竹中大臣の御所見を伺います。
  82. 伊藤達也

    ○副大臣(伊藤達也君) 大臣の答弁の前に、まず前半の御質問についてお答えをさせていただければと思います。  具体的にどのようなメリットがあるかというお尋ねをいただきました。本法案は株式等についてペーパーレス化を図るとともに、新たな振替制度の対象とするための枠組みを示すものでございますが、これによって証券決済にかかわるリスクを削減をし、そしてより安全で効率性の高い証券決済制度を構築しようというものでございます。  本法案によりまして株式がペーパーレス化される場合には、まず投資家にとっては株券を手元に置くことによって生じる盗難や紛失、こうしたリスクがなくなるほか、株式の譲渡については実際に株券を手交する必要がなくなりますので、取引の安全性や利便性の向上につながるものと考えております。  次に、証券会社等の市場参加者にとりましては、株式の売買にかかわる証券の受渡しをする必要がなくなりますので、券面の取扱いに関する事務負担が軽減されることになります。そして、株式発行会社にとっては株券を作成するコストが不要となる、このようなメリットがそれぞれ考えられるわけであります。  なお、株主が株式を所有することに伴う議決権の行使や利益配当請求権などの権利の性質は、株式がペーパーレス化されても券面を所有する場合とは変わらないわけでございます。  いずれにいたしましても、個人投資家を始めとする有価証券取引にかかわるあらゆる方々にスムーズに新たな制度を利用していただき、その利便性を享受していただくことが重要であると考えておりますので、市場関係者と連携をしながら今回の制度改正の趣旨や新たな制度内容の周知徹底に努めてまいりたいと思っております。
  83. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 続委員の後半の御質問、具体的には二点ございましたでしょうか。まず、この法案の施行により家計の貯蓄が証券市場に本当に向かうのかということ、さらに今後金融庁としてどのようなインフラ整備を考えているのかということでございます。  まず、我々が目指すところ、これあえてキーワードで言いますと、やはり経済発展を支えるリスクマネーが円滑に供給されるような仕組みを作っていくということだと思います。そうすることがまず家計から見ると運用資産の多様化につながるわけでありますし、金融システム全体から見ますと銀行部門だけがリスクを抱え込むというようなことを改善していくということになりますし、もってこれがリスクマネーが増えて経済発展につながっていくということでありますから、やはりそういうことを実現していくということが重要、これが正に貯蓄から投資へということなのだと思います。  それを実現するためにこれは実にたくさんのことをやらなければいけないわけでありますが、本法案はそうした中で証券市場を支える上で必要不可欠であるところの証券決済システムのインフラを整備するものであるという位置付けになろうかと思います。その結果として、証券市場の改革促進プログラムの一環であります効率的で競争力のある市場を構築することになる。これは結果的にやはり証券投資の拡大につながる役割を果たすというふうに考えております。  今後でございますけれども、現在、法制審議会において検討されております会社法の改正がございますけれども、これに対応した証券関係法律の改正等々、証券インフラの整備が引き続き必要だというふうに思います。また、証券決済制度につきましても、実際に稼働するまでには民間におけるシステム面での対応でございますとか市場慣行の変更などが必要だと思います。市場関係者とそういう意味で密接な連携を取って証券決済制度が円滑に機能するように努めてまいる所存でございます。
  84. 続訓弘

    ○続訓弘君 ただいまの両法案については今いろいろと御答弁いただきました。この運用について特段の御配慮をお願い申し上げまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  85. 池田幹幸

    池田幹幸君 日本共産党の池田幹幸でございます。  今度の改正案は、改正理由として、提案理由として五点ほど挙げておられます。その五点の一番目と二番目が中心だろうと思うんですけれども、その第一番目は、先ほどから論議のありました銀証分離の問題ですね。それから二番目が、こう言っています。「市場監視機能・体制を強化するため、証券取引における不公正取引や発行開示違反の抑止を目的とした課徴金制度を導入するほか、証券取引等監視委員会検査範囲の拡大等の措置を講ずること」ということで、二番目については違法行為をきちっと取り締まっていこうということですね。私、今日、この二点について伺いたいと思うんですが、その後者の方から先に伺いたいというふうに思います。  先ほどから論議になっております金融審議会の第一分科会の「市場機能を中核とする金融システムに向けて」という部会報告、昨年末に出されました。これではこういうことを言っているんですね。  市場監視機能・体制の強化する基本認識、そこでは、一般の個人が市場への参加をちゅうちょする背景には、証券投資に対する知識不足のみならず、市場において自らが公平に扱われるかどうかについて疑念が存在するものと考えられるということで、冒頭にきちっとそういうことが書かれております。このことについて、まず大臣に伺いたいんですけれども、国民がなぜこういった認識を持つようになったのか、そのことについて大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  86. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 現実に内閣府等々でもアンケート調査を行いますと、あなたはこれから証券投資を行いますかというふうな、ないしは証券会社に行っていろいろやりますかというふうなことを聞きますと、八割ぐらいの人はその気はないというふうに答えております。  先ほどから申し上げているように、千四百兆円の資産を持っている、その水準から考えて、もう少しリスク分散させればよいというふうに世界の方々がそういう目で見ているわけです。にもかかわらず、これ、国民感情としてこの市場に対する不信感というのはやはり非常に強いと思います。これはなぜ来ているかということになりますと、これはリスクを取らない、余り取りたがらないという国民性があるというような御指摘もございますけれども、私は必ずしもやはりそれで説明されるものではなくて、現実に、そういった信頼を損ねるようなことがやはり現実に市場の中では起きてきたということなのではないかと思います。その意味では、やはり市場インフラを整備するということ、枠組みを作ってそれを遵守するということが大変重要なことであると思っております。
  87. 池田幹幸

    池田幹幸君 先ほど引用されたアンケートのことについては、私、後ほどまた別の角度で取り上げたいと思うんですが、最後におっしゃった市場関係者の信頼ですね、それが大事だということについて全く同感なんです。  実は、私、これはもうこの当委員会でそのことについて何度も何度も取り上げてまいりました。特に今おっしゃった不信の問題については、証券取引等監視委員会高橋委員長就任なさったときに取り上げられた三つの不信というのが今も証券取引等監視委員会のパンフレットにも載っておるわけですけれども、そこでは市場仲介者に対する不信、それから市場参加者に対する不信、監視当局へのこれ期待となっておりますけれども、最初は不信だったんですね、三つの不信。今、期待というふうにパンフレットでは変わっておりますが、それを挙げて証券市場に対する個人投資家の信頼がいまだに低いのが現状だというふうに書いてあります。そういう認識大臣今言われたことと全く同じなんですね。  私は、証券市場それから並びに市場関係者、この信頼、これの回復なしにはいわゆる証券市場の、証券業の発展といいますか、のみならず、特に関西経済にとっては到底信頼回復は難しいよということで、大阪証券取引所の不祥事の問題を例にしながら、信頼回復が第一だということをずっと取り上げてまいりました。  それこそが証券業発展の一番の基礎だということで取り上げてきたわけなんですけれども、この点については、昨年、大阪地検が捜査に入ったし、そして金融庁も行政処分をされました。一定の前進があったと私は評価しておりますが、ただ、私がしつこくこの場で取り上げてまいりました光世証券とそれから取引所の間の不当な取引、これについては残念ながら不問に付されました。結果は、不公正取引という形で勧告をするには至らなかったわけなんですね。  これは、一つはこういうこともあるのかなと思って、さきの金融審議会の答申の中、読んでみますと、こういうことがありましたですね。違反行為がなされていても、刑事罰に至らないようなその程度の事件、それについては行政処分、その行政処分も業務停止という行政処分しかないと。ツールが非常に少ない。先ほどの副大臣の答弁にもありましたように、課徴金等のやつを持ってきて、もう少しツールを増やそうというのが今度の法改正だと言われているんですね。それは確かにそういうふうになっています。ただ、もうその課徴金もちょっと私は今度の場合はまやかしだと思っていますけれどもね。だって、不当にもうけた分だけ返せばいいんでしょう。こんなのちょっとひどいですよね。まあそれはそれとして、ともかくツールを増やそうという方向に向かっている。これはここであるでしょう。  じゃ、そこで伺いたいんですけれども、私がこれだけ取り上げてきたようなこのような取引所において展開された不正な行為、これを抑止する、防止する、そういう今度の法改正で、こういった事件はそういう処分するなりなんなり、抑止するなり処分するなりできるようになっておりますか。
  88. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 今御紹介してくださいましたように、そのツールの多様化というのは、これは常に我々は心掛けていることでございまして、その中の一つとして今回も課徴金制度を導入するということが入っているわけでございます。  今回の改正によって、不公正取引や発行開示違反といった証券市場への信頼を損なうような違反行為に対しては、これは行政としても当然適切な対応を取らなければいけない。そのツールの多様化の象徴的な今回の問題としての課徴金制度を導入することとしておりますけれども、我々としては、これをやはり適切に運用して、証券市場の公正性、透明性を確保して、投資家の信頼が得られるような確立に向けて全力を尽くしていきたいと思っております。  このツールの多様化というのは常に努力をしなければいけないということだと思いますけれども、今回の課徴金制度の導入というのはその一歩であるというふうに私自身も思っております。
  89. 池田幹幸

    池田幹幸君 先ほども、利益相反行為等に対する担保、抑止、抑止の担保ですね、それどうするんだというような論議もありましたですけれども法律によってそれやっていく、監視体制強化する、それは一つだと思います。だけれども、今答弁いただけなかったわけだけれども、結局は、今度の法改正で私が取り上げたようなやつについては、これ何ともし難いわけでしょう。ですよね。今度の法改正の中ではそれは見当たらないと思うんですが、それ一つ確認しておきたいと思います。
  90. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) お答え申し上げます。  先生御指摘の事案でございますが、個別の事案でございますので、やはり個々の事実に基づいて判断をしなければならないということでございますので、やはりお答えを差し控えなければならないなというふうに思っておりますが、いずれにしても、大臣から御答弁をさせていただきましたように、今回の課徴金、相場操縦、あるいはインサイダー取引、風説流布、偽計、あるいは発行開示違反といったものについて適用になるということでございますので、そういう意味でのツールが増えるということになるかというふうに考えております。
  91. 池田幹幸

    池田幹幸君 これ、中身に入りますと、もう何回も取り上げた問題であれなんでもう言いませんけれども、これはこの当委員会でも、それから予算委員会でも取り上げてまいりました。総理に対する質問もいたしました。そのときに、この問題、結局は法律でなかなか規制できない面があるんですね。だから、あのときの総理の御答弁でも、要するに市場関係者、襟正してもらわな困るというのがありました。正にそういう問題なんですね。  私は、何度も指摘しているように、コンプライアンスだとか何だとか言うけれども、要するに法律による規制して、それを守る姿勢さえあればいいんだ、その法律に抵触しさえしなければいいんだという考え方じゃなしに、もっと総体的に、法律を重視する、遵守する、そういった姿勢を持たなけりゃいかぬという、そういうことがなければ信頼できないよ、信頼されないよということを盛んに言ってきたわけです。  で、大阪証券取引所も、この事件が発覚してからコンプライアンス重視ということを打ち出しました。これ大事なことなんです。社内に考査室というものも設置したと聞いております。ところが、残念ながら、コンプライアンス重視と口では言っても、証券取引法さえ守りゃいいんだとか、自分の関係する、業界の関係するそういった法律さえ守ればいいんだという考え方しておりますと、ほかの法律はどうでもいい、そんな考え方に立っておりますと、とてもじゃないけれども、コンプライアンス重視という総体的なものにはなり得ない。  何度も指摘しているけれども、例えば労働組合との問題でも、その労働組合を敵視するといったところからは、同じ取引所の経営が外から見ればおかしく見えるわけですよ。そういった状況に置かれていますから、なかなかうまくいかない。とうとう、結局またとんでもない事件を起こしていますよね。  これは、先日、労働基準監督署の立入検査受けて、サービス残業を強要していたということで未払分の返還を求める行政指導を受けたということ、私、新聞報道で見ましたが、これ事実ですね。それはつかんでおられますか。
  92. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) お答え申し上げます。  大阪証券取引所からは、本年四月二十日に大阪中央労働基準監督署の定期検査を受けていたが、五月七日になりまして、労働基準法に違反する事項が認められたので、五月末までに是正の上、遅滞なく報告するよう是正勧告を受けた旨の報告を受けております。
  93. 池田幹幸

    池田幹幸君 私、五月初めごろの新聞、見たんですね。で、注意していたんですが、これ各紙全部書いていましたよ。その後、ちょっと注意して見ていますと、要するに、是正勧告受けたわけですから、もう未払分、払います、これは当たり前な話だ。それはそれでいいんですけれども、ところが、いや、それはね、そういうふうな、ある部門で、二つの部門なんですけれども、やらせていたと。サービス残業があったということについてはこれは事実だけれども、これは強制したんでも何でもないとか、そして、人事部門では何にも知らないうちにこんなことをやられていたんだとか、そういうことを言っているんですよ。  ところが、更にこれを追っ掛けた新聞がありまして、毎日新聞なんですけれども、これ見てみますと、何のことはない、その手口はそんなものじゃないんです。要するにこれ、経営企画本部の戦略・企画とシステム企画、この両グループでやっているんだけれども、社員は実際の残業時間とそれから非常に少ない残業時間を二つパソコンの中へ打ち込むように指導されている。それ全部、上司が全員の、そこの部員の全員のものが見れるようになっている、パソコンで。そして、実際申請するときはその少ない方の時間で申請するようになっているんです。  何でそんなことになるかというと、御丁寧に、片一方でサービス残業させながら、画面には、厚生労働省が定めた残業時間、これ書いてある。一か月で四十五時間を超えれば法律違反と、こう書いてあるそうなんです。そんなこと書かしながら、百時間残業して四十時間しか申請しない、こんなことをやらせているんですよ。こういうことが、これ果たしてコンプライアンス重視などという片一方で言っている姿勢かと。  私、本当にこれ情けないなというふうに思うんですが、いろいろ取り上げてきたけれども、問題になった巽社長は残念ながら昨年の暮れに亡くなりました。そういったこともあって、今の経営陣が一新されたわけですけれども、残念ながら、そういった昔の経営が続いているのかなというふうに思わざるを得ないんです。  結局、何だかんだ言って、株式会社にしたこと自身、僕は間違いだったと思うけれども、その株式会社、しかし、株式会社になったけれども自主規制機関であることは間違いない。公益的な機関であることは間違いないんですね。その自主規制機関でこのような法律違反がやられている。これはまあブラックジョークですね。これ放置していいのかと。これ、総理は襟正すべきだと言ったけれども、襟を正すって一体どういうことなんだと。取引所は証券取引法に違反しない、違反するような行為さえしていなければ労働法関係に違反したっていいんだ、そんなことがあったって、市場関係者からの、あるいは一般投資家からの信頼は損なわないんだというふうに金融庁はお考えでしょうか。金融庁としては、それは厚生労働省の仕事だから我々は知らないよと言っていて本当に信頼が得られるのかどうか、大臣のお考えを伺いたいと思うんです。
  94. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 御指摘のように、証券取引所というのはこれは言わば日本の市場経済の顔の部分に当たるところでありまして、そこをやはり国民は見ているし、世界じゅうが見ているということだと思います。  正に公正で円滑な運営が求められているという中で、昨年八月の大証の問題があった。実は五月には東証に対しても我々業務改善命令を出さざるを得ないような事態が発生しているわけでありまして、こういうことが生じているということは極めて遺憾であるというふうに思っています。  金融庁としてどうするんだということでありますけれども、これは、当然のこととして、これまでに証券市場に対する信頼性を高めるための我々としても各種の施策を講じているところではございますけれども、証券取引所を含めたすべての市場関係者がこの情勢を認識をして一層努力していく必要があると。我々としては必要な指導、我々の権限において必要なことは当然やっていきますし、こうした不信が取り除かれるように最大の努力をするつもりでおります。
  95. 池田幹幸

    池田幹幸君 是非そうあってほしいと思うんです。金融庁なんだから関係法律の指導だけですということを言っておったんでは駄目なんで、やっぱりこんなことが起こればトータルで指導していくということがどうしても私は必要だというふうに思います。  ともかく、今度、なかなか、一新されて、経営陣が一新されて社外取締役も任命されていますけれども、私、こんなことを言うのもおかしいけれども、あの社外取締役の方々というのは非常に期待のできるユニークな方々入っておられますよね。これ、この機能が私何にも働いていないのかなという気がまたしているんです。あそこまでやったんならきちっとした形でやって、関西経済を本当に盛り立てていこうという方々がかなり入っておられますね。これは非常に大事なところだし、あれだけ問題を起こしたけれどもやっぱり立て直していこうという雰囲気がある以上、これは大いに盛り立てていただきたいと思うんですね。特に、今度の場合は、地方証券取引所の振興ということも言っておられるわけですから、そういった立場から是非努力していただきたいというふうに思います。  次は、二番目の問題、銀証分離の問題に移りたいと思います。  この問題、私、平野委員がかなり詳しくやられたので私のやろうとしていた分は大分割愛できるんですけれども、しかし私もやっぱり最初に伺いたいんですね。  昨年はこれここで審議しました。そのときに、銀行は要するに例外、要するに金融機関は例外として認めないことにしたんですね、仲介業。このときの、先ほどの質問のお答えは、じゃ、今度銀行を入れたのはなぜかという質問があったんですが、私は逆にこのとき銀行を認めなかったのはどういう理由で認めなかったのかと。  さっき六十五条という話ありました。六十五条というのは法律にあるからだという話であって、法改正なんですからね、そういう方向を取ろうと思えば、現行法にそれがあるから認めなかったなんておかしな話なんで、例外として認めなかった理由は何ですか。
  96. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 銀行と証券の業務、これ正に銀証分離は六十五条で決められていることでございますし、二つの業務の利益相反を排する、ないしは経営体として見た場合に、相互のリスクを遮断するという観点からの銀証分離というのは、これは当然のことながら重要なことであるというふうに思っております。  前回どうしてそういうことが排除されたのかということでございますけれども、これも方向としては、先ほどから申し上げておりますように、貯蓄から投資への流れを作る、特にワンストップサービスを実現していくということですから、当然のことながら銀行を含めて考えていこうという議論はあったというふうに承知をしておりますが、一つには、先ほど言いましたような利益相反、とりわけ銀行が持っている情報が妙な形で優越的な地位の濫用というような形で悪用されないような、そういう制度をどう作っていくかということに関して、残念ながらその時点では合意がなかったということではないかと思います。  しかし、その後、今日、一年間でいろんな事情が変わるというふうに申し上げておりますけれども、やはり、先ほども申し上げましたように、個人の投資家が拡大して、更にこのすそ野を広げるという非常に重要なタイミングが到来しているということ、その意味ではその機運が高まっているということ、それに加えて、そうした問題をクリア、技術的な問題をクリアするような幾つかの議論が進んでその条件が整ってきたこと、それが一年前と今とのやはり大きな差であると、そうした点を金融審議会の方でも御議論の上、答申のような形になったのだというふうに私は理解をしております。
  97. 池田幹幸

    池田幹幸君 非常に美しい答弁なんですが、私は、一年、一年とおっしゃるけれども、一年どころか、あんた、もっと短いでしょう。  これ、第一部会のこの問題で審議始まったのは昨年の九月ですよ。九月二十五日が第一回。いわゆる銀行に対して仲介業務を認めようというお話がこの審議会の中に持ち込まれたのが十一月ですよ、初めて持ち込まれたのが。ですから、わずか二か月ぐらいでとんとんと我々が昨年審議したこの法律を改正するということになったんですね。この問題はちょっと後でしますけれども、私は、そんな美しいものじゃなしに、実際これをやりたいという勢力があったということと、もう一つ金融庁の姿勢だというふうに思っているんです。  先に金融庁の姿勢の問題について問題にしたいと思うんですが、私は、去年決めた法律を今すぐまたひっくり返すというこのやり方、これ今に始まったことじゃないんですよ。同じことが生保、生命保険、ありましたでしょう、あれ。あれは一年どころか同じ国会で、最初には予定利率の引下げはしないという法律出しておきながら、後で予定利率の引下げをやるという法律出したじゃありませんか。とんでもないやり方があのときやられました。実際、その予定利率の引下げ法案通ったけれども、予定利率の引下げを申請してきたところなんかどこにもないですね。そんな状態が今起こっておりました。  こういったところに今回の金融機関に仲介業を認める改正案が出てきたわけです。さっき言いましたように、この改正案は十一月に突然出てきているんです。金融審議会でだれが持ち出したのか。永易委員、東京三菱常務ですよね、この方がこれを持ち出しました。そのことで、私、記録をちょっとずっと見てみましたら、大体あの審議会では永易委員がこの問題をずうっとリードしています。  で、そうなったわけですが、春に決めた法律をひっくり返して、秋になったら金融機関にも扱わせるよということで強引に持ってきたんですね。誠に一貫性がないんです。一貫性がありませんよね、こういう点では。  それで、見ますと、いろいろ業界誌もやっぱりいろいろいろいろ書いています。その中から見ながらずっとやっていくと、何と、結局、私、見付けたのは、十二月十九日付けで、「金融機関への証券仲介業の解禁に関する私どもの意見」ということで、全国銀行協会、それから地銀協会、信託協会、ずらずらずらずらと金融機関が全部足並みそろえて意見を出しているわけです。大体がそのとおりなんです。ここに書かれてあるとおりに今度の報告書が書かれているんですよ。先ほど平野委員が疑問とされた「もはや国民に対して説明できない段階にきている」というのは、ここにあるその「もはや」の意味は、こんなところに入っていないんですね。この銀行協会の意見書の中にあるんですよ。物すごい圧力なんですね。同じ文章がここに出てくるんです。  ちょっと言い方としては違うんですが、顧客情報の活用という観点からは小売業や税理士・会計士等についても同様である。このような一般事業会社を想定して既に証券仲介業を解禁しており、本理由をもって銀行を証券仲介業から除外することは一般事業会社等と平仄が取れないと言っているんですよ。もはや、もはやというのは、この圧力が強くなって、もはやもうこれやらなければいけなくなったということじゃないかというふうに私はこれを見て納得しておるわけなんですが。だから、結局銀行の要求なんですよね。銀行の要求。  そこで、私は、余りにも、一国会あるいは一年後に前に否定したことをすぐひっくり返すようなやり方は余りに無定見だと思うんです。  しかし、無定見だと思うんですが、一歩翻って考えてみますと、竹中大臣はそんな無定見な方じゃないだろう、やっぱり用意周到でやられたんじゃないかと。ちょっと頭出しして、国民の反応を見ながら、うまくそれを通して、その次の段階に持っていくという極めて計画的なやり方だと。二回目はもうその最初にやったやつを換骨奪胎して変えていっちゃうと。そういう正に計画的なことでこれを取り組んでこられたんじゃないのかと。このことについては、正に昨年から金融庁自身が、竹中大臣が旗を振って取り組んでこられたんじゃないのかというふうに思うんです。  無定見なのか、計画的なのか、どっちですか。
  98. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 無定見でも計画的でもなく、正に、皆さんの意見を聞きながら制度をできるだけ深化させようという自然体で我々としての政策を行った結果であるというふうに思っております。  先ほど池田委員がひっくり返すというふうな事例で保険の昨年の議論もされましたけれども、これはもう言うまでもございませんですけれども、最初はセーフティーネットの整備でございまして、次が予定利率の話でございますから、ひっくり返したわけではございません。常にやっていくべきことを深化させて、粛々とやっていかなければいけないというふうに思っております。  委員が何度もこれは銀行のためではないのかということをおっしゃいました。これ、もしも銀行が自らの利益のためだけにそういった提言を行って、そのための制度を作ろうとしているのであるならば、これはやはり幅広い識者を集めた金融審議会で当然のことながらそういうようなものは認められるはずもないし、決してそういうものではないと思っております。  銀行等による証券仲介業の解禁は、銀行等に新たな収益機会を提供して銀行の健全な運営に資するという点は、これはそういう面はあるというふうに思います。その点は否定するつもりはございませんけれども、今回の改正の趣旨は、あくまでも、貯蓄から投資への流れを加速して、証券の販売チャンネルを拡充することによって正に市場機能を中核とする金融システムを改善強化しようとする国民経済的な意義を持っているということであろうかと思います。であるからこそ、幅広い参加者が参加している金融審におきましてもそのような審議がなされたというふうに考えております。  我々としては、顧客の利便性の向上を図りながら、投資家層のすそ野を拡大するということはやはり極めて重要なことであると思っております。
  99. 池田幹幸

    池田幹幸君 六十五条は、第一項で、要するに、金融機関の証券業、これ禁止するわけです、参入、禁止しているわけですね。第二項でその例外規定しているわけです。ですよね。今度は、第一項については全く手を触れないで、第二項に手を触れているわけです。  でも、非常に、この第二項の改正点見ても、ぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅたくさん書いてありまして非常に分かりにくいんです。一口で言って、この例外規定を設けた、何と何が例外になりましたでしょうか。
  100. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) お答え申し上げます。  第二項ではいろいろ例外規定がございます。例えば、これまでも投資信託などは銀行でできたということでございます。今回は、証券仲介業というのを、これまでは、今先生御指摘のように、一般事業者、個人がなってございましたけれども銀行でもこれから解禁されるということでございます。
  101. 池田幹幸

    池田幹幸君 銀行を加えたということですよね。法文上は大分あっちこっちあっちこっちいじくっているからたくさんに見えるんですが、銀行も解禁したということです。  それで、それじゃ、これまで利益相反のおそれがあるから銀行は除外したんですね。今度は、依然としておそれはあるけれども検査体制等を強化したからいいんだと、こういうことですか、皆さんの御主張は。大臣、そうですか。
  102. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) お答え申し上げます。  先ほど来、大臣からも御答弁をいただいておりますけれども、今回は証券仲介業を銀行に解禁するに当たって各種の弊害防止措置を講ずるということにしてございます。そういう形で弊害防止措置を講ずる。もちろんそれを、実効性を確保していかなけりゃなりませんけれども、そういったことによって、弊害を防止しつつ、販売のチャネルの多様化、拡充といったことを考えたわけでございます。
  103. 池田幹幸

    池田幹幸君 何にも答えておられないと思うんですがね。  要するに、これまでと同じように利益相反のおそれはありますと。ありますと。銀行を入れることによってそのおそれは高まりますと。しかし、それは監視体制等を強化して防止するように担保したからいいんだと、こういうことなんですかと私は伺っているんですよ。
  104. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 銀行等々がこの分野に参加することによって弊害が生じないように、これは消費者の利便性というのは高まるわけでございますけれども、そもそもの銀証分離は銀証分離の意味合いがございますから、これは、それで弊害が高まらないように我々としては措置を講じているということを申し上げているわけでございます。  具体的には、法令において定めている部分があります。金銭の貸付けを条件として証券取引の受託等をする行為を禁止する、これは法律で禁止する。証券仲介業部門と融資部門との間の情報の共有を禁止する。貸出し先が発行する有価証券についての手取り金が借入金返済に充当される場合に当該事実を投資家へ開示せずに勧誘する行為を禁止する。加えて、この証券取引法令の実効性を高めるために市場監視機能・体制の強化を更に我々としても努めていくということであります。
  105. 池田幹幸

    池田幹幸君 ちょっと私の勘違いでしょうか、今言われた前の三項については現行法でも禁止しているんじゃありませんか。
  106. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) お答え申し上げます。  現行法では、信用供与の条件として証券取引をさせる行為などが禁止になっております。いわゆる抱き合わせの販売ということでございます。  今大臣が御答弁申し上げたのは、金銭の貸付けを条件として証券取引の受託等をする行為の禁止、これはいわゆるバックファイナンスと言われる行為でございます、等々を新しくこれから法令で決めるということでございます。
  107. 池田幹幸

    池田幹幸君 分かりました。それは私のちょっと勘違いだったようですが、それじゃ、そのことについてはそれぐらいにしておきまして、先ほどから言われました、顧客の利便性の問題を盛んに言われるんですが、そのことについて伺いたいというふうに思うんです。  要するに、多様な投資家を証券市場に誘導していこうということのようなんですけれども、要するに、銀行に預金に来た人に投資しませんかという形で誘うというわけですよね。そういうことは、この報告を見てみますと、「顧客にとって、ワンストップ・ショッピングのニーズに応え、利便性が高まる。」という、そういうふうに説明されているんです。私は、じゃ、だれがその利便性が高まるということを望んでいるんだろうかと。  本当に、お客さん、銀行に来たお客さんというのは預金に来たわけですね。銀行に行く人たちが、その人たちのどれぐらいの方々が投資もしようかと、銀行に行けば投資の相談もできるぞと、あそこは便利だなというふうに考えて来られるとお思いですか。ほとんどそんな人いないんじゃないですか。
  108. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 預金に来たということの意味でございますけれども、預金しようと思って来た人と、取りあえずお金があるからどうしようかと思って来た人と、これは様々なのではないかと思います。具体的にどのようにニーズが顕在化しているか、いくかということは、これはちょっとだれにもなかなか分かりません。  しかし、マクロ的な状況から申し上げていますとおり、千四百兆円の資産を持ちながら預金へのウエートが五六%と高いと、これは世界の中で見て突出して高いと。一方で、いろんな投資に関する雑誌はそれはそれで結構売れていて、それで資産蓄積、資産形成したいなと、みんなそれなりに思っておられる方はまあ多いと。  私は、やはりその意味では、これはお客様、顧客、それと個人の資産選択、いろいろでありますから、私は銀行預金しかしないという方も当然いらっしゃると思いますけれども、その意味での潜在的なニーズはやはりあるということなのではないかと私は思っております。
  109. 池田幹幸

    池田幹幸君 資産運用したい人はいるだろうと、いるでしょう。しかし、大体、銀行での資産運用といったら、やっぱりそうはいっても元本保証の資産運用、大体そんなことが考えられていたわけですよ。確かに、現行法の下でも投資信託とか外貨預金とかできますから、そういうもの等あります。ありますけれども、今度は株ですよ、株。これはもうやっぱり根本的にといいますか、違うものがあると思うんですね。違わなければ、わざわざ一度禁止しておいたやつをまた入れるなんということはしないわけですからね。そうでしょう。  そして、最初に大臣も取り上げられました証券投資に関する世論調査、内閣府でおやりになりました。それを見ましたら、証券投資行った経験のない人が約八割。そして、今後株式への投資を行ってみたいと思うかという設問に対しては、行ってみたいが一一・四、行うつもりはないが八二・七なんです。八割以上がやるつもりないと言っているんですよ。やるつもりない人に、窓口に来たら、どうですか、株と、こうやるわけでしょう。そうするんですよね。何でそんなことをするのか。お客さん、やりたいと思っていない人が八割以上なんですよ。  いや、それは駄目なんだと、間接投資から直接投資に誘導していくんだと、国民が望もうが望むまいがそれをやるんだと、これ、いいですか。
  110. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) そこは統計の解釈の問題だと思います。八割の方が今は証券会社に行って投資をする気はないというふうに確かに言っておられます。私は、そこが潜在的なニーズと乖離しているのではないかというふうに私は思うわけでございます。  もしも、池田委員のおっしゃるとおり、これはこれからも不変の国民の価値観であるというのであるならば、これはもし銀行でこういうことを思っても、何をやっても顧客は一切増えないでありましょう。本当にそうなのかと。銀行でこういう仲介業をやらせてみたら一人も客が来なかったと、ちょっとこれは極端でありますけれども、そういうことなのかというと、私はやっぱりそうではないと思います。  国民は、預金を、五六%預金をしているわけですけれども、決して、一〇〇%積極的な意思決定としてそのようなことを行っているのかというと、非常に迷いながら、なかなか、いろんな資産形成をしたいと思いながらも、リスクをどう取ってよいのか分からなくて、自分に投資知識がなくてということなんだと思います。  そういう意味では、アクセスの機会を増やしていく、いろんな御相談の機会を増やしていく、その中でみんなが考える機会を増やしていくということは、これはやはり大変良いことなのではないかというふうに思います。
  111. 池田幹幸

    池田幹幸君 要するに、これをやれば、銀行は積極的に証券投資やりませんかということを勧めていくことになるんですよね、当然のことながらね。そのために銀行は要求しているわけですから。しかも、ここで収益目的達成が決められているわけでしょう、銀行に対して。そうすると、銀行は何やるかというと、一生懸命そういった方向の投資勧めるということになっていかざるを得ないんです、手数料稼ぎを一生懸命やろうじゃないかと。  これ、現実にもう既に現れているんです。私、この法案がかかってきたので、ちょっといろいろな銀行を調べてきました。そうすると、ある銀行ではこうやっていますね。方針通達が出されていて、全営業店長に向けて本店から指令が出るんですね。個人グループ表彰制度というのを作っています。そこでは、個人グループでは、高い業務純益計画を必達すること、必ず達成、必達することが最重要課題であり、個人グループ収益の柱である個人ローン及び個人預かり資産に最大のウエートを置き評価するというんですね。  だから、預金をどれだけ獲得したかと、昔の銀行銀行マンの評価基準、そんなものは全然駄目。この手数料稼ぎどれだけやったかということが評価基準になりまして、同じ百万円でもポイントがあるんです。預金だったら二十点ぐらいかな。個人預かり資産だったら五十点、五十ポイントから百七十五ポイント、こうあるんですね。その個人預かり資産の中でも、いわゆる手数料の方が三十から百五ポイントで、いわゆる個人預かり資産の平均残高、これを増やしていくというやつについてはわずか五ポイントから二十ポイントなんです。  分かるでしょう。もう手数料稼ぎに一生懸命やれとしりたたいているわけですよ。これでもって、こっちの方を稼いだ方が営業店として評価されるわけです。しかも、それがボーナスに響く、退職金に響く、そういう方向でもう既にやられている。これ一つだけじゃありません、これ、一つ銀行がこれ。  もう一つ銀行ポイントが大分違うんです。ちょっと時間も余りなくなってきたからやめますが、これ、四大グループの二つです。  こういうふうにもう既に行っているんですよ。今度は株という形で当然そういうふうに進んでいくでしょう。そうしたら、結局、あの変額保険で起こったようなことが、悲劇がまたまた起こらないとも限らない。  ファイアウオールと恐らく答弁でおっしゃると思うから、それは言っておくけれども、ちょっと銀行へ行ってきました、ある銀行大手町の支店に。そうしたら、ぱっと入るでしょう。右側に証券会社になっているんです、看板だけ。あとは全部ざっとカウンターがあります。そうしたら、確かにガラスのあれがあるから、ちょっと同じ廊下の中で移動したとは思えない、ちょっとドアを開けるという感じがありますからね。しかし、同じ銀行の中でやっている、銀行銀行業務をやっているとしか思えないような状況になっているんですよ。実際は証券会社と看板は変わっていますよ。  だから、そういうふうになっているファイアウオールなんというのは僕は余り当てにならないと思うんですが、そのことも含めて大臣お答えいただきたい。
  112. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 個別の人事評価の事例等々を私は存じ上げませんが、フィービジネスが重要になっている、そのように銀行認識しているだろうという前半の御指摘はそのとおりだと思います。  総じて、前から内外の専門家から指摘されているのは、日本金融機関は非金融サービスの収入ウエートが非常に低い、諸外国の銀行に比べて非常に低い。その非金融サービスの中にはフィービジネスというのが入ってまいりますし、またコンサルティング的なそういうものも入ってくるわけでございますけれども、そういうことをやはりサービス、総合サービスとして多様化していく、それで収益力を稼いでいくということ自体は、これは私は決して否定されるべきものではないと思います。  問題は、池田委員が御指摘のように、そこで顧客に様々な弊害、具体的には銀行の優越的地位とか情報量の格差とか、そういう問題について、変額保険の例を挙げられましたけれども、そういう弊害が正に生じないのかと、その一点であると思います。  今回の銀行等による証券仲介業につきましては、これはもう、先ほど言いましたように、投資信託は今銀行で売られております。全体で売られている投資信託の四割は銀行で売られております。そうした意味で、これと同様に、顧客に対して勧誘等を行う者に証券外務員の登録を要件とする。これは当然のことながら試験もありまして、どういう義務を果たさなければいけないか、どういう法律を守らなければいけないかというような資格を求める。したがって、その適格性を確保するという、そういうことを講じようとしているわけでございます。  また、この証券外務員による勧誘に際しては、元本割れの危険性については明確に説明が行われるようにする、断定的な判断を提供する等の不適当な勧誘行為が行われないようにする、証券取引法等の行為規制及び正に金融商品販売法の適用を受けることになる、そのような枠組みを作っているわけでございます。さらには、預金を取り扱う銀行は、元本割れの危険のあるリスク商品を窓口で取り扱う場合には、当該商品が安全確実だと誤解されないように、これは説明はちゃんとするわけですけれども、加えて、誤解されないように銀行法において預金とリスク商品との窓口を区分するというふうに行っている。  消費者としてはできるだけ総合的なサービスを受けられる方がいい、ビジネスとしてはやはり市場の原理、自由な取引を原則としてやっていく方がいい。その場合の弊害をそれから生じないような措置は一方で講じていく、そういうふうなやり方を進めていくのがやはり金融行政の私は在り方であるというふうに思っております。
  113. 池田幹幸

    池田幹幸君 フィービジネスに傾くがゆえにとんでもないことが起こり得る可能性というのは私は依然として否定されないと思うんです。今のような、ファイアウオールとおっしゃるけれども、壁なんか会社の中にどこにもないですからね。それについては、ちょっともう少し別の問題もありますので、これは、この問題はこれぐらいにしておきたいと思うんですが。  非常に大事な問題として、利益相反の問題で、この審議会を見ますと、銀行が同じ系列の証券会社に仲介する、系列の、そうやりますと利益相反の可能性が高まるから系列関係にある証券会社は排除すべきだという意見が、これ言われていますね、審議会の答申を見ますと。それに対して、いや、そうじゃないんだといって、大体金融庁が中心になって反論しているような感じがありますが、それを見ると、要するにこう言っているんだな。系列証券会社を排除すると、確かにそれはできるけれども、しかし、それやったら余りよろしくありませんと。それやるよりも、銀行の貸出し部門と証券仲介部門が人的、組織的に分離されていること、こうやれば問題ないじゃないかというわけですよ。非公開情報の授受の管理体制が整備されているかどうか、そういうもの整備されていれば問題じゃないと。これさえやれば系列証券会社排除する必要はありませんというふうに反論して、今度の法案、そういう方向へ向かったんです。向かったんですが、それでどうするかというと、したがって、それを、その担保をどうするかというのは、行政が認可する仕組みが適切である、こう結論付けています、この報告書は。そうやっているのかなと思いましたら、今度の法案、認可という方向を取っていますか。系列証券会社も解禁したけれども、きちんと認可をするという、金融庁は、そういうシステムにはなっていませんね。登録ということになっています。何でこうなったんですか。
  114. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) お答え申し上げます。  御指摘のように、金融審議会の報告の中では認可というようなことで書いてございます。ただ、私ども法案を策定する作業の中で、最近、近年において規制緩和といった流れもございます。さらに、金融システムの改革以後、事前チェック型から事後チェック型という行政手法の転換も進んできているといったことも踏まえまして、今回認可制から登録制というふうに考えたわけでございます。  ただ、今も御指摘ございましたけれども金融審議会等で指摘された弊害につきましては、これを防止すべき行為ごとに法令で明確に禁止をし、法令違反があれば行政処分によりまして厳正に対処する仕組みと、こういう形にしたわけでございます。
  115. 池田幹幸

    池田幹幸君 いや、結局、せっかく審議会で言われていること、何にも反映していませんよね。要するに、これまたこの銀行協会の要求どおりにやっていっているんですね。これやりますと、結局系列証券会社へどんどんどんどん仲介業務というのは偏っていきます。これは当然のことですよね。  これは恐らく同僚議員の方々のところにも行っていると思いますけれども、証券取引法の改正に関する要請ということで全国証券労働組合協議会が出されておりますね。これは、これ衆議院の財務委員会各位になっているから衆議院だけに行ったのかな。その中で見ますと、中小証券会社の経営と従業員の雇用に大きな影響を及ぼしていくだろうというのは、個人投資家からの委託注文の受注を主たる営業としておる中小証券会社、その中小証券会社への仲介というのは普通なくなるだろうと。恐らく系列の証券会社へどんどんどんどん仕事を回していっちゃうということで、中小証券会社の経営と雇用に本当に影響を及ぼすおそれがあるということで、これについての意見が、そういう意見がなされておりますね。  ついでに言えば、こういった証券業と現場におられる方々の意見として、先ほどの六十五条の問題について言えば、銀証分離を定めた六十五条、これの撤廃の方向に今度の法案は向かうんじゃないかと。確かに例外事項の中に定めて、六十五条第一項、手を触れていないけれども、将来はやっぱりもうこういった六十五条第一項の銀証分離もなくしていくような方向に向かうんじゃないかという危惧をこの現場の証券労働組合協議会が指摘しているんですね。そういったこともついでに申し上げておきますけれども。  要するに、ここで言いたいのは、系列証券会社の方に向かっていって、中小が相当排除されていくおそれというのはこれ出てくるんじゃないかということです。特に銀行の支店の方がもう証券の支店より圧倒的に多いわけです。十倍ぐらいですかね。そういった中で中小証券相手にするような銀行というのはほとんどないでしょう。その辺のことについてはどうお考えですか。
  116. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 枠組みが変わるという意味で様々な競争条件が変わってくるということはこれはあり得る事実なのだと思います。そうした競争条件の変化の中で、しかしこれは家計、消費者、利用者の利便のためにやっていくわけでありますから、その利用者のニーズを高めるというその新しい競争条件の中でそれぞれの経営主体にはやはりしっかりと競争して頑張っていただくということに尽きると思います。  ただ、今委員がおっしゃった中小の証券会社、これいろんな立場の方がいらっしゃるとは思いますが、これは現実に私が聞いているところでは、例えば地方都市のいわゆる地場証券というところがございます。今まで地場証券の商売というのは、どちらかというと地元の圧倒的な資産家を相手に、その資産家の方々と、ある意味で非常に狭い商圏の中で、しかしまあいいお客さんをつかんでそれなりの資産運用、商売、お手伝いをしてきたという状況であろうかと思います。  現実に、しかし、そういうところは今度はむしろ投資家のすそ野を広げるわけでありますから、今までは店舗の数は地場証券非常に少ないと、すそ野の広げようもないと。しかし、そういう中で、例えば地元の金融機関等々とタイアップしてそういう顧客を開けるという、これはもう商売次第でありますから、うまくやるところはできるし、やらないところはできないということでありますけれども、そういうチャンスが広がるということも私は事実なのだというふうに思っております。その意味では、一方的に中小が駄目になって、一方的に系列証券会社が強くなるということでは私はこれはないと思っております。  いずれにしましても、消費者の利便を高めるために新しい枠組みの中でしっかりと競争をしていただく、それがやはり消費者のためであるというふうに思います。
  117. 池田幹幸

    池田幹幸君 消費者の利便ということを盛んにおっしゃるんですけれども、しかし、銀行に行って、先ほどから何度も言っているように、株買おうと、それが便利だと思っているような人はほとんどいないし、私、この委員会で何度も指摘してきましたが、実際の業界のアンケートを見ても、証券会社に不信抱いている人が三割いるんですね。信用できないから株の取引しないよと言っているということなんですよ。だから、そういう状況にあるときに、利便性、利便性という形でそれをやったってどれほどの意味があるのかと。私は、それだったらそれで、株をやりたい人は専門家のところへ相談していくということでやるのがむしろ消費者にとってのよりいい方向じゃないかというふうに思っています。  ワンストップショッピングということでスーパーマーケットみたいな方向で物事を考えるのとは少し違うだろうというふうに思います。結局は、ワンストップショッピングの利便性ということでいえば、結局、銀行が預金に来た人に投資を勧めるというそっちの方の利便性ではあっても、消費者の利便性というのは少し私は違うんじゃないかというふうに思っています。ちょっと余計なことを言いましたけれども。  そこで、私、もう一点、別の問題を問題にしたいんですが、個人預金を結局熟知している銀行は、この人は資産を持っているからということで、それじゃどうですか、株買いませんかという形でやるわけですね。そうしますと、そのやり方として、要するに株式を勧める、そのためにまず銀行の預金の解約とそれから株式取引の申込書とワンセットにしてやらせるというふうな、そういった商売というのが出てきて、それは当然認められることになりますよね、そういう勧め方は。でしょう。それはいいことでしょうかね。
  118. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) お答え申し上げます。  いろんなやり方があるかと思いますけれども、何といいますか、預金者に対して不公正な取引をする、あるいは圧力的な行為をするといったようなことがあれば別でございますけれども、基本的にそういうこともやり方としてはあるかと考えられます。
  119. 池田幹幸

    池田幹幸君 そうだと思うんですよ。  ただ、個人は銀行を信頼して預金しているわけです。結局、それだけちゃんと預かってくれていたらいいものを、余計な形で、あなた解約しませんかといって、株やりませんかという形で勧められていくと。つまり、自分の個人情報を勝手に利用されているんですよ、そこで。そうでしょう。ちゃんと預金を預かるという形じゃなしに、株を勧めるという別の目的で銀行はそれを利用するわけです、個人情報を。  これはいわゆる個人情報保護という観点からまずいんじゃないかと。現行法でそういうことについては認めているし、これからもずっとそういう方向認めていこうと、こういうことですか。
  120. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) お答え申し上げます。  先生よく御承知のことと思いますけれども、預金に関する情報を含めまして、個人情報の取扱いにつきましては、昨年、個人情報保護法が制定されまして、平成十七年四月の施行に向けた準備が進められておりまして、一般論でございますけれども一般論として申し上げますれば、個人情報取扱事業者は、その保護法におきまして、個人情報を取り扱うに当たって利用目的をできる限り特定して、原則として利用目的を本人に通知し又は公表しなければならない、あるいはその利用目的を変更する場合には変更前の利用目的と相当の関連性を有すると合理的に認められる範囲を超えて行ってはならない、さらに、あらかじめ本人の同意を得ないで利用目的の達成に必要な範囲を超えて個人情報を取り扱ってはならない等の規定の適用を受けることになっておりますので、今回も、これは十七年四月でございますが、今その四月の施行に向けて、こういった保護法の規定が着実に実施されるようなことになることが重要であるというふうに考えておりまして、今の問題につきましてもこの個人情報保護法の適用を受けるということになるというふうに考えております。
  121. 池田幹幸

    池田幹幸君 来年四月から個人情報保護法が施行されるから問題は起こらないだろうと、こういうことですね。だから、それまでは問題起こってよろしいということになりかねないね。それよりも、しかも普通の個人情報保護法よりももっと重要でしょう、この個人の資産の情報。預金情報というのは極めて重要でしょう。とするならば、なぜこの法律でそれをきちんと守るようにしないんですか。  大体、個人情報に関してはOECD八原則というのがあるじゃありませんか、目的明確化の原則とか利用制限の原則とか。実際それはどうやって担保していくかという方法までこれ出しているじゃありませんか。何でそんなことをやらないんですか。個人情報保護法で全部できるとお思いですか、大臣
  122. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) お答え申し上げます。  今の預金部門との関係につきましては、こういった問題というのは実は預金だけではなくて、その他の一つは、済みません、いろんなことを申し上げて恐縮ですが、融資部門と証券仲介業部門の情報の共有を禁止するということは、禁止することを予定しているということは先ほど御答弁でも申し上げたとおりでございますけれども、それ以外には、預金も含めて銀行等々のその他の部門が保有する個人情報の保護につきましては全体として考える必要があるかというふうに考えておりまして、金融分野におけます個人情報保護の在り方について、個人情報保護法の施行に向けた取組等を踏まえまして、この保護法に加えて追加的な措置の必要性等につきまして現在金融審議会特別部会において検討が行われておりまして、そういった御議論を踏まえまして適切に対応していきたいというふうに考えております。
  123. 池田幹幸

    池田幹幸君 じゃ、これはそういったことを考慮しない欠陥商品ということになるんですかね。今の段階から考えていけばいいじゃないですか。実際にこういったOECD原則なんて立派なものもあるんだし、そんな難しいこと書いてないですよ。それ、別の目的に利用する場合には個人の同意が絶対必要だというふうなことを、これは国際的にそういう方向でやろうじゃないかということが出ているんですからね。  そういう点で、私は、今度の改正案は、銀行から要求されてともかく急がなけりゃいかぬと、先ほどの言い方だと、もうともかく待ったなしになっちゃったということを言いながらやるわけでしょう。そのために重大な個人情報の保護というふうな問題についてもずさんになっていっているということがあると思います。  しかも、私は、この考え方は、この法案については非常に逆立ちした考え方があると思います。銀行の利益を優先していくがゆえに、それを焦るがためにどんなことを考えているかというと、これ、国民に対する投資に関する教育なんというのもこの報告にはありますね、報告には。要するに、国民を教育しましょう、預金ばっかりしようと思わないで、投資、証券投資にするように教育しましょうというんですね。これは逆ですよね。国民は証券業界、最初から言いました、信頼してないからやらないんです。国民を教育する前に、正に市場関係者の教育が必要なんですよ。その点で非常に後れているということはもう前々から、私、指摘してきたとおりなんで、その考え方こそが大事だということを申し上げたいと思うんです。  その点では、今度の法案にはそういったものはありませんよね。解禁しておいて、少し監視体制を強化するから大事だというけれども、じゃ、監視体制強化したら今まで起こったような事件について取り締まれるのかというと、先ほど私言ったように、取り締まることはできない。穴だらけじゃありませんか。  だから、そういった点で、私は、この法案は誠にずさんだし、向かっている方向も間違っているということを指摘して、質問を終わりたいと思います。
  124. 円より子

    委員長円より子君) 両案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。  次回は来る六月一日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十五分散会