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2004-03-30 第159回国会 参議院 財政金融委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年三月三十日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  三月二十六日     辞任         補欠選任      岩佐 恵美君     池田 幹幸君  三月二十九日     辞任         補欠選任      峰崎 直樹君     小林  元君  三月三十日     辞任         補欠選任      上杉 光弘君     小林  温君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         平野 貞夫君     理 事                 野上浩太郎君                 森山  裕君                 大塚 耕平君                 続  訓弘君     委 員                 尾辻 秀久君                 小林  温君                 清水 達雄君                 田村耕太郎君                 西田 吉宏君                 林  芳正君                 溝手 顕正君                 山下 英利君                 若林 正俊君                 大渕 絹子君                 小林  元君                 櫻井  充君                 平野 達男君                 円 より子君                 山根 隆治君                 山口那津男君                 池田 幹幸君                 大門実紀史君    国務大臣        財務大臣     谷垣 禎一君    副大臣        財務大臣    石井 啓一君    事務局側        常任委員会専門        員        石田 祐幸君    政府参考人        財務省関税局長  木村 幸俊君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○関税定率法等の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付)     ─────────────
  2. 平野貞夫

    委員長平野貞夫君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、峰崎直樹君及び岩佐恵美君が委員辞任され、その補欠として小林元君及び池田幹幸君が選任されました。     ─────────────
  3. 平野貞夫

    委員長平野貞夫君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  関税定率法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として財務省関税局長木村幸俊君の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 平野貞夫

    委員長平野貞夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 平野貞夫

    委員長平野貞夫君) 関税定率法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 円より子

    円より子君 おはようございます。民主党・新緑風会の円より子でございます。  最近は少し株価も持ち直し、経済の動向も良くなったかななんて言われておりますけれども、輸出産業や大企業は良くても、なかなかまだ地方の、そしてまた中小企業方々、大変な思いをなさっていらっしゃいます。  関税定率改正に当たりましては、我が国貿易等をめぐる諸情勢の中で、そうした中小企業に及ぼす影響等も考えなければいけないということもございますし、それから、我が国はずっと平和で安全な社会ということを世界にも誇れる、そうした国でございましたけれども、九・一一以降様々な問題が発生しておりまして、テロの恐怖におびえるということも出てきてまいりました。そうした問題に関しても、税関で、水際でそうした様々な食い止めをやっていらっしゃることがまた安全にもつながっているという、今日はそうした税関問題等も含めながら、いろいろ大臣にお聞きしたいと思っております。  おととしの七月に、政府は、知的財産権侵害物品に関しまして、特許著作権などの知的財産を活用し、日本産業競争力の回復を目指す知的財産戦略大綱というものを作成なさっておりますが、その中で、「税関においては、特許庁等関係省庁協力しつつ、早急に取締体制強化を図る。」とされています。こうしたことで、税関が果たす役割というのは更に重要になっていると思うんですが、知的財産基本法第十六条では、「国は、国内市場における知的財産権侵害及び知的財産権侵害する物品輸入について、事業者又は事業者団体その他関係団体との緊密な連携協力体制の下、知的財産権侵害する事犯の取締り権利侵害する物品の没収その他必要な措置を講ずるものとする。」とあるわけですけれども、ここの中でちょっと、いろいろ現場の話を聞きますと、今、模倣品のレベルというのが大変上がっているということで、知的財産権利侵害かどうかの判断というのがとても高度な専門知識が必要になっていると聞いております。  全国に百十九人いる税関知的財産担当官が担当なさっているということなんですけれども、なかなか、専門家に言わせますと、これは学者の方たちでいらっしゃいますけれども、侵害かどうかを税関判断するのはそもそも無理があるんじゃないかという、そんな声も聞かれる昨今なんですが、認定手続充実ということで、侵害のおそれのある物品に対する認定手続が開始された場合に、権利者に対して当該物品に関する情報の通報を行うというふうになっているんですね。これは、取締り体制強化の一環、あるいは知的財産基本法第十六条の規定を受けた措置と考えるんですが、この制度を導入することで具体的にどんなことが期待されるのか、まず伺いたいと思います。
  7. 木村幸俊

    政府参考人木村幸俊君) お答えを申し上げます。  知的財産権侵害物品は、関税定率法第二十一条におきまして輸入禁制品として輸入が禁止されているのはよく御承知のとおりでございます。それに該当するおそれがある物品輸入をされようといたしますと、税関長はその該当、非該当認定するため認定手続を取る、そして権利者輸入者からその意見や証拠提出を求めることになります。その認定に当たりましては、物品そのもの以外に、輸入者輸出者などがその物品輸入販売等権利を有しているか否かも重要な要素となるわけでございます。  今般の改正でございますが、昨年七月の知的財産推進計画を受けまして、認定手続の開始時に輸入者それから権利者双方にそれぞれ相手方の名称等を通知することといたしております。それによりまして、その権利関係証拠その他の資料を税関提出しやすくし、認定手続迅速性それから正確性、それから透明性を一層確保して、その認定手続充実を図ろうとしているところでございます。
  8. 円より子

    円より子君 最近は中国で年間約二兆円の日本製模倣品が生産されているとも聞いているんですが、様々な分野で特許権侵害が目立つわけですけれども、先ほど私は百十九人の知的財産権担当官がいるって申しましたが、全体で四千人ほどの税関Gメンと言われて輸入禁制品を取り締まる方がいらっしゃるとも聞いているんですけれども、こうした方々だけでこれだけの模倣品特許侵害の問題が増えている、物品が増えているということで、きちんと取り締まれるのか、かなり税関では業務が過重になっているのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  9. 木村幸俊

    政府参考人木村幸俊君) お答え申し上げます。  知的財産権につきましては、部内研修はもとより、権利者関係省庁協力を得て様々の研修を行っているところでございます。もちろん、人数はもう非常に限られているわけでございますが、その限られた人員の中で職員育成のために専門的知識の向上を図りつつ、知的財産権侵害物品水際取締りに努めてきたところでございます。  十六年度におきましては、今回知的財産権侵害物品水際取締り強化のための要員として五人の新規増員を行うことといたしているところでございます。  今後とも、知的財産権侵害物品水際取締り重要性というのは十分認識しておりまして、今後の業務量等を勘案しつつ、厳しい行財政の下でございますが、今後の問題として、来年度以降ということでございますが、引き続き所要の定員の確保には努めてまいりたいと考えております。
  10. 円より子

    円より子君 関税定率法違反に問われますと、五年以下の懲役か五百万円以下の罰金と聞いておりますけれども、全国税関模倣品として輸入を差し止めたのは六千九百七十八件というのが二〇〇二年のものなんですけれども、そのとき輸入されたのは貨物で約一万三千件なんですね。そのうちの六千九百七十八件ですし、これは前年比二・五倍という急激な伸びで、この貨物の方ですけれども、九割が国際郵便による小口輸入品というようなことで、成田空港輸入される貨物だけでも年間九十万トンですから、一日当たり二千五百トンの貨物が積み降ろされていまして、その中で成田で輸入差止め年間七十件程度ということですから、本当にいかに税関方々のお仕事が大変かということも分かりますし、先ほど日本の安全とか、また特許権侵害、世界的な権利意識の高まりの中で、日本保護強化に動くとしたらこの辺りを本当にしっかりやっていただかなきゃいけませんので、是非しっかりやることと同時に、過重な一人一人の負担にならないように今後も人員確保等に気を付けていただきたいと思っております。  さて、昨年の関税定率法改正によりまして育成者権ということも関税定率法第二十一条に定める輸入禁制品対象に追加されました。これも輸入差止め申立て制度対象になっているんですが、この育成者権というものは耳慣れない言葉かと思いますけれども、植物の新品種への改良を行った者について、種苗法に基づいて品種の登録がされた場合に権利として発生するもの、この権利者は登録された品種等種苗及び収穫物について、その生産、譲渡、貸し渡し、輸出輸入又は保管等を行う権利を専有することとなると聞いております。  先般、この対象としまして、熊本の畳の原材料になりますイグサ、これが制度対象となって、早速その関係で、「ひのみどり」という品種について輸入差止め申立てがされました。そこで、熊本県を中心にこの取締りが実施されたわけですけれども、今後、育成者権というのは、この権利日本では千三百件程度あると聞いているんですが、今回のイグサに関するこの「ひのみどり」についての輸入差止めだけでも税関では大変な労力を要したと聞いております。  熊本ですから、長崎とか門司とか、そういうところの税関のスタッフの方々がわざわざ熊本までいらっしゃいますから、土日を使うということもあって、それでまた戻って、休みの振替もなく仕事をされて、たった一件のことでかなり時間も労力も大変な思いをなさったということを聞いておりますので、今後、何というんですか、こうした育成者権の問題がどんどん、この法律が通ったわけですから増えてくるということも考えられます。  そうした場合に、こうした長時間の取締りによる職員負担が非常に大きいと考えられますが、抜本的な体制の改善というか、体制をどういうふうになさるか、そういったことはどのように考えていらっしゃいますか。
  11. 木村幸俊

    政府参考人木村幸俊君) お答え申し上げます。  今、育成者権、それから「ひのみどり」ということで、先生よく御承知のところでございますが、一般の方々にはなかなかよく分からない話ですので、ちょっと少しお話しさせていただきたいと思います。  正に、熊本県が、昨年十二月に全国税関に対しまして、育成者権を持つ「ひのみどり」という品種イグサを使用した畳表につきまして、輸入差止め申立てを行ったところでございます。これは正に育成者権としては初めてのケースでございます。全国税関はそれに対しまして、受理以降、その輸入申告された畳表の中から検査対象を選定し、まず外観から見て、その「ひのみどり」というのは非常に仕上がりとか色合いが美しい、それから織りのきめが細かいといった特徴がございます。それで、外観からまずその「ひのみどり」を使用したものか否かを認識して、そして「ひのみどり」を使用した疑いがあると判断をされました場合にはこれはDNA鑑定等を行うと、そういう形で取締りを行っているわけでございます。  現在、これ畳表輸入地の一つが、熊本県を管轄する長崎税関中心とした体制についてのお話がございました。正に、これは非常に知的財産権侵害物品水際取締りといったことを考慮しながら、税関に課せられた使命の遂行に支障を来すことのないよう、現在、体制の整備に努めているところでございます。ただ、もう御承知のように、非常に厳しい行財政事情の下でございます。その中で、税関業務の実態に即した人員配置に努めてまいりたいと考えております。
  12. 円より子

    円より子君 先般、このイグサの問題とは別に、新潟新潟港で某有名家電メーカー液晶テレビに類似した商品摘発が新聞で報道されておりました。この不正を発見した税関職員は、たまたまなんですけれども、実はこの模倣品ではない本物の方の商品の購入をしようかなと考えていらしたため、その商品について大変知識があったんですね。それで、その輸入申告された商品がとても酷似しているんだけれども模倣ではないかということを分かって摘発につながったということを聞いておりますけれども、大変そうした専門知識があるということは税関において重要だと思いますけれども、すべてのそうした模倣商品について知識があって摘発ができるかというと、なかなかそうはいかないところがありまして、その方の摘発なさった功績に対しては大変敬意を表しますけれども、見方を変えれば、すべてそうしたことができないということにもなりまして、本当の意味で水際取締り強化とはならないかなというふうに思うんですが。  今回五名が増員されたということですけれども、一番最初に職員育成を含めていろいろ研修もなさっているという話もございましたけれども、増員、また育成について、知的財産立国を目指す日本にとっては、この水際でしっかり阻止するという意気込み、大変国民の安全、生活の安定を確保する見地から必要なんですが、もう一度更に政府に対して要求をきちんとしておきたいと思いますが、今までの知的財産権侵害等に関して、その水際作戦について谷垣大臣はどのようにお考えでいらっしゃいましょうか。
  13. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今、委員お話を伺っておりまして、やはりこの知財というものが非常に重視されてきて、また日本の高い技術力模倣するようなものもたくさん出てきますと、それは相当専門的知識がなければ分からないんだろうと思いますね。  今、お話を伺いながら考えておりましたのは、私、自転車乗るのが趣味でございますが、今は日本部品が世界的に評価されておりますので、ツール・ド・フランスなんかでも優勝する機種は日本の機材を使っておりますから、余り海外の模倣というのは多分日本国内ではないと思いますが、私が二十代のころはヨーロッパ部品が圧倒的なブランド性を持っておりましたので、国内で見るともうそっくりなものが、よくブランドのないものがございまして、見えからそういうものを買って使ったこともございますけれども、これはやはりそのヨーロッパブランド物をある程度よく知っていないとできないということで、相当そういう専門的な能力の研修が求められているんだろうなというふうに私は思います。  いろんなこういう技術が発達しましたから、いろんなIT関係で省力化していく必要があることはもちろんでございますけれども、専門知識研修というのは欠かせないことだなと、こう思います。
  14. 円より子

    円より子君 谷垣大臣が今自転車の話等もおっしゃいましたけれども、本当に知的財産権侵害物品というのが増えておりますので、税関での輸入差止め実績もどんどん上がっている。これが、実績が上がることはいいですけれども、こういったものが増え続けることは大変で、本当に摘発、そうですね、これ、九九年の段階では二千件以下ぐらいでしたのが、もう二〇〇二年には七千件というような状況になっておりますし、二〇〇三年は一月から九月だけで五千件を超えておりますから、いかにそうした日本で実際にその知的財産を守っていくということが大事か、この税関のお仕事というのはますます大きくなっていく、責任も重くなっていくと思います。こうしたことにきちんと対処できるようであってほしいと願っております。  では次に、中部国際空港開港を来年の二月に予定されておりますけれども、このことについてお伺いしたいのですが、今、名古屋空港の方では税関で百三十名ほどの方が働いていらっしゃるんですね。この方たち中部国際空港の方に異動なさるということなんですが、今、名古屋空港の方は二十四時間体制ではございません。中部国際空港になりますと、二十四時間空港として中部東海経済圏隣接地域にとっての大変な経済の発展に寄与するかなというような期待されているわけですけれども、そうなりますと、二十四時間で、現行の名古屋空港をはるかに超えるスケールでの需要が想定されると思います。  そこで、今回、今までの約百三十名にプラスして新規に四十三名の税関職員増員が認められたんですけれども、この四十三名の根拠というのはどういうものなんでしょうか。
  15. 木村幸俊

    政府参考人木村幸俊君) 委員指摘のとおり、今回四十三名の増員が認められたところでございます。これは、増員要求も四十三名ということでございますが、これは国土交通省需要予測を基に要求を行ったところでございます。
  16. 円より子

    円より子君 実は、税関というのは七月にいつも大きな人事異動があるんだそうですね、もちろん十月にも少しあるそうですけれども。二月に開港するとなりますと当然早めの準備等もあるでしょうし、それから、七月の人事異動の後では、どういう形になるのか、間に合わないのかなというように思っておりまして、フライトスケジュールがこれから出てから実際には業務量参考となるようなデータも出てくる、明らかになると思うんですけれども、こうした二月の開港に合わせたスムーズな業務移行を考えますと、人事異動の時期と、それから四十三名という新規の導入と、そうしたものでうまくいくのかという懸念も現場方たちはお持ちだと聞いているんですけれども、この辺、どのように、まあ相当やりくりしなきゃいけないんじゃないかなということもありまして、どう考えていらっしゃるんでしょう。
  17. 木村幸俊

    政府参考人木村幸俊君) お答え申し上げます。  今、委員正に御指摘のとおり、今後の中部国際空港開港に伴いまして、正に円滑な業務支障を生じないよう、具体的な人員配置について考えていかなきゃいけないわけでございますが、正に、そのフライトスケジュール、今後決定される、それを見極めた上で、今回の新規増員四十三人含めまして適切に対処してまいりたいと考えております。  恐らく、人事異動七月、おっしゃるとおりでございますし、その七月、それから開港もう直前ですね、それを含めて必要な体制を考えてまいりたいと考えております。
  18. 円より子

    円より子君 それでは次に、今、船舶取締り強化ということもされていると思うんですが、外国貿易船等旅客氏名というものを、情報収集強化の中で、船舶や航空機の入港に際して旅客氏名等提出義務付けることになったと聞いております。  不正薬物鉄砲等社会物品、これ、すごいですね。鉄砲は少し減っているようですが、また覚せい剤も減っているようですけれども、大麻ですとかMDMAなんというのはもう急増しております。もちろん、先ほど話した知的財産権侵害物品輸入差止めも増えているということですが、MDMAなんというのは九九年の何十倍になるんでしょうかね、大変な増え方をしておりまして、こうしたものを、社会物品等をきちんと水際で取り締まらなきゃいけませんし、こうしたことは、国民から強く求められている税関業務の中で、効果的にも、効率的に実施していくためにも、もちろんこの旅客氏名等義務付けというのは大事なことかと思いますけれども、これは今までもされていたんですよね。それが自動的に提出されるという形の義務付けになったと聞いております。  具体的にどうした、どのような個人情報提出されるんでしょうか。また、税関長はその情報を具体的にどう使用なさるのか。よろしくお願いします。
  19. 石井啓一

    ○副大臣石井啓一君) 委員指摘のとおり、様々な社会物品水際で取り締まる、その強化が要請をされております。こういった水際取締りを効率的、効果的に行うためには、この不正輸出入に関与する疑いのある不審な人物のチェックをするということが不可欠でございまして、従来も必要に応じて外国貿易船等が入港する際に旅客氏名等提出を求めてきたわけでございますが、今回の改正ではそれを義務化するという措置を講じることとしております。  具体的にどういう情報かといいますと、氏名、性別、生年月日、国籍、職業、それから乗り込み地、上陸地、こういった情報を提供していただくと。このことによりまして、税関が保有しております社会物品密輸嫌疑者に関する情報照合すると。また、その嫌疑者に関連する者がいるかいないか、そういった情報の分析を行うと。これによりまして該当者乗船等が確認された場合には、その携帯品について開披検査、荷物を開けて検査をする、あるいはエックス線検査を行う、こういった特に厳重な取締りを行うということにさせていただいております。
  20. 円より子

    円より子君 入国管理局との連携みたいなものはしっかりなさることになっているんでしょうか。
  21. 石井啓一

    ○副大臣石井啓一君) これは、やはり警察あるいは入管等関係機関との連携をきちんと図りつつ、水際取締りにしっかりとやっていきたいと、こういうことでございます。
  22. 円より子

    円より子君 犯罪者リストといいますか、ブラックリストとの照合を行うような形もあるかと思うんですが、それだけで、今余り、犯罪者というよりも、本当にハンドバッグにしても何にしても、そういったものを密輸したりいろいろ、模倣品のとか様々のあると思いますが、犯罪者リストに載ってないような人たちも、小口郵便なんかも多かったり、今は船のことですけれども、船の場合だってそういうこともあり得るかもしれないというときに、そうしたブラックリストとの照合の目的で、その活用だけで十分な効果が期待できるのかどうかちょっと危惧があるんですが、それからまた、その収集された旅客情報を様々な形で分析して効率的な検査につなげるには今の体制だけで十分なのか、その辺りについてもう一度お聞きしたいと思います。
  23. 木村幸俊

    政府参考人木村幸俊君) お答え申し上げます。  今、委員の御指摘のありました例えばスモールパッケージみたいなもの、それは正に今回旅客氏名表スモールパッケージという性格上、例えば国際郵便を使ってやると、そうすると、要するにだれからだれに出したということでございますから、今回のその旅客氏名表とか乗組員氏名表とはちょっと別の次元の問題でございまして、これも先ほど委員から御指摘がございましたように、非常に今、社会物品MDMAとか、そういったものの密輸摘発量が増えているわけでございます。それはそれとしてきちっと私ども体制を組んで摘発に努めていかなければいけないと思っております。  それで、今回のこの改正というのは、正に輸入輸出、先ほど副大臣の方から御説明がありましたように、正に現在の、私ども日本を取り巻く国際的な環境等にかんがみまして、正に輸入、それから輸出共々、例えば大量破壊兵器の拡散の問題とか、より大掛かりな麻薬、拳銃等の不正輸入、そういったものに対して効果的に対応していくと、そういう観点から、正にその物を運んでくる人というものに着目いたしまして、そこをきちっと対応していく。それから、出ていく方につきましてもやはり人がどうしても絡んでまいりますので、そういったものに対応していく。さらには、出ていく方につきましては、貨物の方につきましてもきちっとした対応が必要だろうということで、今回、法的に必要があれば、税関は船長等に対しまして、その必要な手段を、積荷目録の提出を求めることができると、そういうような規定を置いているところでございます。
  24. 円より子

    円より子君 足取りがパターン化しているようなものだったら見やすいかと、取締りもしやすいかと思うんですが、今のような氏名提出させて、そしてそれに、分析するだけで、うまく本当に水際で取り締まれるのか。私なんかが普通に素人から考えると、どの辺から来ているのかがもう少しきちんと分かって、その出す方の側の方で取り締まってもらえないのかしらなんていうことも考えるんですけれども、そういったことは、各国との連携みたいなものはできてないんでしょうか。
  25. 木村幸俊

    政府参考人木村幸俊君) 正に、現在、非常に密輸手口が悪質、巧妙化していると。それで、密輸のルートも多様化している中で、正に効果的な取締りを行うためには、委員指摘のとおり、国際情報の交換、また出てくる方の国との間でそういう情報の交換、そういう情報の活用が重要ということでございまして、現在、私どもといたしましては大きく三つのことをやっております。  一つは、外国税関との情報交換の窓口として国際情報センターというのを税関内部で設置しております。それから、RILOとよく言うんですが、これはアジア・大洋州地域における税関当局相互間の情報交換の拠点である世界税関機構、WCOと言うわけですが、その地域連絡事務所、これRILOと申し上げますが、その有効活用を図っていくこと。それからさらには、情報交換の一層の円滑化のために外国の税関当局との間で税関支援協定というものを締結を促進していく。それによりまして外国税関等との情報交換を促進いたしまして、それで効果的な水際取締りを行ってまいりたいと、そういうふうに考えているところでございます。
  26. 円より子

    円より子君 もう一つ、私は、提出義務付けられる旅客氏名等個人情報が、当然治安や安全保障上の目的のみに用いられるべきで、特に個人のプライバシーの保護には配慮すべきだと思いますが、この辺はどのようにお考えになっていらっしゃるんでしょうか。
  27. 木村幸俊

    政府参考人木村幸俊君) それは全く委員の御指摘のとおりだと思います。
  28. 円より子

    円より子君 それでは、同じく船のことで少し、北朝鮮の船の対応といいますか、昨年来ずっとテレビ等のニュースで国民の皆さん方は、いかに税関方々が大変なお仕事をしていらっしゃるかということが万景峰号等のいろいろ取締り強化でほとんどの方がお分かりになったかと思うんですけれども、今回の百三十七名という、税関関係予算で特に注意を要する船舶等に対する取締り強化のためとして新規増員が認められたんですね、来年度の。  それで、日本海側の取締り強化が特にまた求められていると思うんですが、今現在でもやはりかなり限りある人数の中で変則対応をしていらっしゃるというふうに聞いているんですが、無数の港を有する我が国において、この多くの港に寄港する、日本海側だけではなくて、百三十七名の数字が果たして十分なのかどうか、そしてまた日本海側へ具体的に重点的配置をされているのかどうか、その辺の人員配置についてお伺いしたいと思います。
  29. 木村幸俊

    政府参考人木村幸俊君) お答え申し上げます。  税関におきまして効果的な水際取締りを行う、それを限られた人員の下で行わなきゃいけないわけでございますが、そのために本関、税関というのは御承知のとおり全国に八税関プラス沖縄にもう一つ税関があるわけでございますが、九税関と申し上げていいと思いますが、その中で本関、それからあるいは地方の拠点官署、その水際取締りセンター班等の機動班を設置しております。それは、機動班ということでございますから、ある程度正に状況に応じて、正に委員、変則的なという御指摘をいただきましたけれども、かなり応援態勢等を組んでやっていくわけでございますが、そういった形で効果的に、密輸リスクが高い要注意船に対しまして集中的かつ機動的な取締りを行っているわけでございます。  それで、今回、御指摘のとおり、百三十七名が特に注意を要する船舶等に係る増員ということで認められているわけでございますが、これにつきましては、例えば、今御指摘がありましたけれども、例えば日本海側の各税関の拠点、そういったこともあろうかと思います。いずれにしても、要注意船の入港及び要注意国向け、あるいは仕出しの輸出貨物の多い港、そういうところを中心に今後配置していきたいと考えております。
  30. 円より子

    円より子君 大臣、副大臣、また局長の皆さん方は、こうした税関方々のかなり変則で対応しながら、先ほどの熊本イグサの話、また今回の日本海側の特に注意を要する船舶取締り強化等々、増え続ける様々な危機に対応して水際物品や様々な調査をなさっている人たちのその生活と、それからどのような職場環境、住環境でお仕事を遂行なさっているか、ごらんになったことがあるでしょうか。
  31. 木村幸俊

    政府参考人木村幸俊君) 私事で恐縮でございますが、私、昨年の七月に関税局長を拝命いたしまして、当時、八月ぐらいから万景峰等いろいろ問題になっておりました。それで、日本の場合、例えば北朝鮮の船隻の入港の多いところというのは、今現在、一に境港、それから二に舞鶴、三に小樽というふうになっているわけでございますが、実際、小樽港がどんなふうになっているのか、それでまた、そこで働いている職員方々が、どういうところ、どういう方、どういう環境で仕事をしているのかというのは早い段階の九月に行って見てまいりました。もう非常に、私どもの職場というのは、PRするわけではございませんが、非常に与えられた仕事厳しいもの、特に小樽とか北の方では非常に環境厳しいところもございますし、その中で非常に士気が高く、私、本当に立派な職場であると思っております。  私ども、もちろん予算というのは限られたものでございますので限界はありますけれども、その中で職員方々ができるだけ気持ちよく働いていくことができるよう、最大限の努力はしてまいりたいと考えております。
  32. 石井啓一

    ○副大臣石井啓一君) 私も、今年の二月に、成田空港、それからやっぱり万景峰号というのが念頭にありましたので、新潟港、また新潟空港等視察をさせていただきまして、本当に大変な状況の中で税関職員が一生懸命勤務に励んでいる実態を見させていただきました。税関に対する水際取締り強化という社会的な要請も非常に年々高まっているところでございますので、厳しい財政事情ではございますけれども、この要員の確保ということは今後とも引き続き努力をしていきたいと、こういうふうに考えております。
  33. 円より子

    円より子君 おっしゃるとおりの厳しい財政状況の中で、いかにその増え続ける業務に合わせて要員の確保ということが大事かという、十分にそれは認識してくださっていると思いますけれども、また勤務する職場が大変狭くなってきております。そうしたことや宿舎等、そうしたことも是非しっかりと御配慮いただきたいと思います。  それでは次に、通関手続の迅速化が進む中での徴税に係る税関職員の審査能力の維持向上についてお伺いしたいと思うんですけれども、今回の法改正では、税関における水際取締り強化の一環で、輸入通関手続の一層の迅速化を図る観点で輸入貨物に係る所定の関係書類、帳簿を明確化し、その保存を輸入者義務付けることとしております。急激な輸入貨物の増加と効果、効率的な取締りの実行の面では、こうした規定を明確化することはもう当然異論のないところでございますけれども、一方、最近迅速化という言葉が出てきて、適正という観点、それから社会物品や税の適正な徴収という重要な業務があることを考えますと、ただただ迅速化だけでということもないかもしれませんで、審査能力の育成という観点で、適用税番や申告外物品の発見だけではなくて、輸入申告時で適正な税額の審査や、それはもちろん課税標準の評価でもあるんですが、こうしたことが重要な審査ポイントであると考えるんですけれども、今回は余りその輸入通関の時点のことを重要視していないのではないかというふうに思えます。  今、通常いる職員の中からプロジェクトチームみたいなものを作って長時間掛けて調査をされますから、そちらはそちらで大変ですし、また残された方たちも通常の業務で大変だというようなこともあるんですが、そうした中で、その審査能力の育成ということはどのようにお考えでしょうか。
  34. 石井啓一

    ○副大臣石井啓一君) 今回の改正によりましても、すべての貨物の税額審査を事後調査に移すということではございません。例えば、品目の分類により税額の、適用税額が違った、異なる貨物については従来どおり通関時において審査等を行うということにしておりますし、事後調査、契約書やその取引内容等の帳簿が保存されていれば事後調査において関税評価が必要な貨物等の税額審査を当該帳簿等に基づき行うこともできますが、その際も通関部門との連携の下で行うということになりますので、やはり通関時におけます審査能力は引き続き税的審査能力を含めて重要であるというふうに考えておりまして、今後とも審査能力の向上は引き続き図ってまいりたいと、こういうふうに考えております。
  35. 円より子

    円より子君 今、迅速化ということでかなりIT化がされていると思うんですけれども、ちょうどペーパーレス化、IT化の過渡期だからしようがないのかもしれないんですけれども、まだすべてがIT化されていないということで、十分でない中で、逆にそのITの方のあれも見るし、今までどおりの人員の目と手でやっていくというところで二重の手間を掛けていらっしゃる職場というのが大変多いということで、税関職員方々はストレスがたまって、それでいて本当に十分な審査ができるんだろうかという、そういう危惧を持っていらっしゃるんですけれども、この辺の、税関の使命を果たすために、原点に戻って審査に、申告書類の審査の方に重点を置くべきではないかという、ITとの関連、この辺りをどうお考えでしょうか。
  36. 木村幸俊

    政府参考人木村幸俊君) お答え申し上げます。  ITとの関係で申し上げますと、今の税関ではCISというシステムがございます。これは、通関情報総合判定システムといいまして、この中に必要な各種情報を蓄積いたしまして、それにより、それを活用することによりまして、社会物品等の不正輸入のおそれが高いいわゆるハイリスク貨物、それとその可能性が低いローリスク貨物に選別して、これが非常に仕事に対して僕は効率化に資していると思います。  いずれにいたしましても、今回の改正というのは、先ほど副大臣からもお話ございましたように、基本的にすべての税額の審査を通関段階から事後調査へ持っていくというわけじゃございませんで、あくまでも、その契約書や取引内容の帳簿に基づきまして税額審査が可能な貨物につきましては極力それを事後調査にゆだねると。それで、通関時には限られた人員の中で正に迅速通関、それから適正通関、そのバランスを取る観点から、通関時には社会物品等の不正輸入のおそれの高い貨物の審査、検査を重点的に行いたいと、そういうことでやっているわけでございます。  いずれにいたしましても、正に適正な通関、迅速な通関のバランスをどういうふうに取っていくかということが私どもに与えられた、しかもそれを限られた人員の中でやっていかなきゃいけないということが与えられた課題であると思っております。
  37. 円より子

    円より子君 おっしゃることはよく分かるんですが、ただそういうふうに聞くと、何かすごくうまくいっているように思いますが、先ほど申し上げましたように、ペーパーレス化の過渡期の中で二重の手間を掛けていらっしゃるような職場も多いので、是非その辺をしっかり、ストレスがたまらないように、また本当に迅速化と適正化がうまくいくようにもう一度配慮していただきたいと思っております。  さて、今回の措置輸入貨物対象にしておりますけれども、税関の職場というのはもちろん輸出貨物取締り対象にしていらっしゃるわけで、戦略物品とかバーゼル条約関連物品、廃棄物の問題ですね、さらには盗難車両、これもまだまだ後を絶たないほど多くて、コンテナの中にエックス線でこのごろ随分盗難車両の発見もできるようになっておりますけれども、こうした不正商品に係る取締り、それから最も今重要になってきています治安・テロ対策を目途とした輸出物品貨物取締りも必要となってきております。随分テロ関連で東南アジアからアメリカ向け等の輸出貨物検査などのチェックが重点的に増えてきたとも聞いております。やはり九・一一以降その業務量が相当増えているらしいんですね。そうした輸出貨物への取締りに対応する税関職員の要員は十分なんでしょうか。
  38. 木村幸俊

    政府参考人木村幸俊君) お答え申し上げます。  正に委員指摘のとおりでございまして、税関といえば基本的に入ってくる方に、例えば社会物品、麻薬とか銃砲とか、そういうものをきちっと押さえていく、そして必要な関税額については適正に賦課徴収していくということが大きな課題であったわけでございますが、現在、正に大量破壊兵器の開発等に転用される可能性がある物品とか、それからバーゼル条約、その関連物品、さらには盗難自動車といった広範な貨物の不正輸出、そういう輸出面につきまして、正に限られた人員の下で効果的な取締りを行っていく必要があるということになっております。  私どもといたしましては、経済産業省等の関係機関と緊密な連携を図りながら、先ほど申しました通関情報総合判定システム、そういったものを活用、さらにコンテナを開けることなく検査できる大型エックス線検査装置の活用等によりまして、その厳正な審査、その検査を実施しているところでございまして、かつ必要な定員の確保についても努力してきているところでございます。今後とも引き続きそういった方向で努力してまいりたいと考えております。
  39. 円より子

    円より子君 今、電子申告等が多くなっていてという形で何とか適正、迅速にというお話、再度ありましたけれども、FTAとかEPAについて、その締結に伴って税関業務の複雑化、それから業務の増大化みたいなのがあると思うんですね。  例えば、シンガポールとは既にFTAについて締結しましたし、メキシコともようやく先日合意しました。今後、韓国、タイ、フィリピン、マレーシアなどとも交渉、合意が見込まれると思うんですけれども、WTO体制においては諸外国にあまねく同一の関税譲許率を認める一方で、FTA、EPA締結国とは、関税を撤廃あるいは一定の関税引下げ等を合意する場合、同一品目でも、締結国が原産国の物品と、その他の国が原産国の物品に掛かる関税率は異なるようになりますよね。そうしますと、その税関業務も複雑になると思われるんですが、こうしたことについては、大臣でも結構ですが、よろしくお願いします。
  40. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 自由貿易協定といいますか、経済連携協定といいますか、最近ではEPAというんでしょうか、いう言葉が使われることが多くなってきたと思いますけれども、これは委員がおっしゃったWTOを中心とする自由化貿易体制を、多角的な自由化貿易体制を補完していくと、そういうことで貿易自由化とかあるいは経済活性化、そういうことを通じて国民生活の向上にも資するということで、日本としても積極的に推し進めようと。実は今朝もこの委員会が始まる前に経済連携関係閣僚会議、これは総理が議長ですが、第一回の会議が行われてきたところでございます。  それで、こういうものが進んでまいりますと、当然、まず一般論として、人、物、金の自由な交流を促していこうということになるわけですから、税関業務も当然新たな課題に対応できるようにしていかなきゃならぬと、一般論としてあると思うんですが、このいわゆるFTAということにもう少し特化してみますと、正に委員指摘されましたように、日本とシンガポール、これが第一号ですが、いろいろ税率等の取決めがあって、やや問題が複雑になってくるという面があるんだろうと思います。  そこで、この日本とシンガポールの条約では、FTA体制では、いわゆるNACCSと言っておりますが、通関情報処理システムで原産地とかあるいは品目別のコード番号がありますけれども、そういうものを入力することによってそれに該当する税率が自動的に出てくるという仕組みを入れましてこのFTAに対応していこうとしているわけですが、今後もメキシコ、それからおっしゃった東南アジア等と、あるいは韓国等と進んでまいりますと、当然同様の仕組みを入れて税関の審査の効率化と利便性の向上というのを図っていかなければならないんだろうと考えております。
  41. 円より子

    円より子君 それではもう一つ、新手の輸入取引の実態調査ということの調査機関についてお伺いしたいんですが、税関における事後調査事務について触れますと、昨事務年度、平成十四年の七月から平成十五年六月をいうんですが、あるいは一昨事務年度というんですか、平成十三年七月から平成十四年六月における調査実績を見ますと、それぞれ申告漏れの課税価格が実に九百八十五億円、九百五十六億円、追徴課税が七十八億円、一昨事務年度は七十三億円というふうになっております。さらに、この二年間でそれぞれ実地調査を行った輸入者約五千者に対して何と二千八百者余りに非違が発見、違いということですね、が発見されておりまして、その非違率というものは五〇%を上回っている、そんな状況なんですね。これは実際の犯則ですとこの中には入っていないのでミスみたいなものかとも思いますけれども、それでもこれだけの申告漏れ課税価格があるということですから、非常に高い数字だと思います。  また一方、最近は郵便小包を利用しての、すなわち税関への申告納税という方法を取らずに高級ブランド品を輸入する事案では、その後の調査などで安い価格での輸入の実態が明らかとなっているケースも多くなっておりまして、そうした輸入者については、配送先からの転送を繰り返すなどで本当の受取人の所在というのが分からない。先ほども大変そういう巧妙になっているということを御答弁いただきましたけれども、そのために全国的な調査を行わざるを得ないといった事案があります。  そんなことを考えますと、実地調査を実施することで大変な成果が上がっているとも言えますけれども、これは実はわざわざこうしたプロジェクトに人員を取られるというような実態がありまして、現在の事後調査の要員で果たして十分なのか。取引の、輸入取引の実態が複雑になっている中でこうした新手の取引で関税を免れているということから、一層専門の調査や研究する機構が必要なんじゃないかと。それによってこうした申告漏れ課税をもっと摘発できるものなのか、それとも、こうした機構を作る以前の何か、先ほどの、密輸入品を出す国の側とのいろいろ情報交換をしながら取締り、つまり予防ですね、そういったものでこうしたこともそういった形でできるものなのかどうか、その辺、警察との関係やいろんなことがあるかと思いますが、どのように今後これを考えていこうと思っていらっしゃるのか、その取組姿勢をお伺いしたいと思います。
  42. 木村幸俊

    政府参考人木村幸俊君) お答え申し上げます。  委員が今るる御指摘になったこと、それぞれ非常にそのとおりだと思っておりますが、現在非常に事後調査、事務を取り巻く環境というのは非常に難しくなってきている。国際市場取引形態が複雑化しているとか、非違態様の巧妙化、悪質化など、非常に難しくなってきていることはそのとおりでございます。私ども、適正な納税申告を通関後に担保する事後調査への期待というのはますます高まってきているところと考えております。  このような状況を踏まえまして、まず私どもとしては、先ほどちょっと委員お話もございましたけれども、例えば各税関の事後調査担当者を一堂に集めて定期的に優良事績検討会を実施する、さらには、そういった形で新たな形態の輸入取引に対応した調査技能の向上に鋭意努める、そして、さっきちょっとお話委員指摘あったと申し上げましたのは、悪質、困難と想定される事案で全国的にやっぱり同様な非違が生じている、そういった可能性があるものについて特に選定いたしまして、全国ベースで事後調査を重点的に実施しているところであります。  いずれにしても、それから、基本的にこういう問題につきまして情報というのは非常に重要だということは全くそのとおりでございまして、それが例えば外国の税関等なのか、それとも警察等を始めといたしまして関係機関との連携の中でそういった情報確保していくのか、いろいろあろうと思いますけれども、実はそういったもろもろの手段を講じまして、適正公平な課税の実現をして、努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  43. 円より子

    円より子君 来年度の税関職員の要員として百八十五名という大変貴重な要員の確保ができましたけれども、いかにこうした要員を効果的、効率的に配置していくかが今後の日本のまた様々な、先ほど述べましたような知的財産権侵害物品取締りや、また高度な専門性、特殊性を有する税関業務についてはこの効率的、効果的配置が本当に必要だと思います。また、その職員育成というものも大切だと思うんですけれども、最も重要なのは、こうした高度な知識の教育や関連情報の収集、さらにはその結果をしっかり税関現場職員に有機的にフィードバックされて、限られた数で効果的な業務処理体制を構築していかなきゃいけないことだと思います。  最後に、大臣に、こうしたその社会物品等水際阻止の重要性、そして安心、安全な社会を望んでいる国民にとってとても大きな関心事であります税関への期待や業務に対して、今後前向きに、しっかり要員確保や先ほど申しましたような職場環境の改善等々も含めて、どのようにお考えかを最後にお聞きしたいと思います。
  44. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 先ほどから円委員にいろいろ御議論をいただいておりますけれども、こういう貿易体制、FTAやWTO進んでまいりまして人、物、金の移動が激しくなってくる、それに伴って当然、先ほども御答弁申しましたように、税関の役割も大きくなるわけですが、もう一つといいますか、同じことの裏の側面かもしれませんが、治安の悪化というのは我が国、今非常に、何というんでしょうか、ここで頑張るか頑張らないかという大事なときに来ているのじゃないかと思います。この治安を良くしていくために税関は、これは税関だけではもちろん不十分でありますが、警察、海上保安庁、こういったところと連携を組んでしっかり仕事をする必要がある。特に社会物品ですね、覚せい剤であるとか銃砲であるとか、こういったものにはしっかり対応していく、これは税関が最前線にいるわけでございます。  これをきちっと成し遂げていくためには、一つは、今申しましたように、国内のほかの関係機関、警察やそれから海上保安庁といったところの連携が大事でございますし、それからもう一つは、先ほど委員と関税局長の間で御議論いただきましたように、諸外国の当局との情報連携というものが欠かせないだろうと思います。そういう体制をしっかり構築していくということが一つ基本、大事でございます。  しかし、それとともに、結局組織は人でございますから、要員である、定員であるとか組織というものをどうしていくか。定員はこれ、しばらくこの数年間定員は減が続いておりましたけれども、この数年やはり治安が大事だと、安心、安全を確保しなきゃならない、こういうことで増員を認めていただいておりまして、これは税関だけではなく、警察その他のこういう治安関係機関も同じような趨勢にあるわけでございます。  ちょっと脱線いたしますが、私は前は、財務大臣になる前は国家公安委員長をしておりましたので、そのとき、そのいわゆる概算要求要求しましたものを、今度は財務大臣になって査定する側になりますと、同一人格でございますから役が違っても急にその思想を変えるわけにはまいりませんので、そういう査定に当たりましても、こういう治安の確保ということは相当重視をしたつもりでございます。  そして、そうやって非常に限られた財政事情やその定員の枠の中で増やしていただくことができたわけでございますから、そういった方たちが十分力を発揮できるような内部体制を作っていかなければならないと思います。財務大臣として、そういったことにも意を用いて、少しでも安心していただけるような体制を作るように努力をいたしたいと、こう思っております。
  45. 円より子

    円より子君 おっしゃるとおり、国民の生活の安心、安全のために税関というのは大変重要な仕事でございます。今大変前向きな御答弁をいただいたと思っておりますので、しっかり頑張っていただきたいと思います。  これで質問を終わります。
  46. 池田幹幸

    池田幹幸君 日本共産党の池田幹幸でございます。  本法案、本改正の目的の一つに、水際における取締り強化というのが挙げられております。大臣の提案理由説明の中にもあったわけなんですが、このことについて、ちょっと私、不思議だなと思っているんですが、この措置の三番目に、水際取締り強化措置の三番目に、二番目ですか、こう書いてあるんですね。関税額の審査について、事後の調査に重点を移すためだと書いてあります。  この事後調査に重点を、税的審査を事後調査に重点を移せば水際取締りどうやって強化できるのかということ。これは、先ほどの円委員と関税局長の議論の中でちょこっと出てきましたけれども、私はもう一つ納得いかない。大臣は、すぱっとこれでそうなるんだというふうな感じをお持ちですか。
  47. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 先ほど円委員と関税局長の間でも御議論があったわけでございますけれども、やはり限られた人員の中で的確に対応していかなければならないということになりますと、何というんでしょうか、重点、重点をやっぱり置かなきゃならないんだろうと思います。  それで、今、全部、池田委員は事後調査を重視するということをおかしいではないかとおっしゃったんだと思うんですが、それでできるのかということだと思いますが、あくまで、事後調査にシフトさせていこうというのは、帳簿であるとか契約書であるとか、事後的なそういう書類のチェックによって適正な税額を把握できる分野に、分野はそういうことで、少し、何というんでしょうか、そのとき一気にやるより分散化させていって、実際の通関をするときの迅速化をさせていこうということでございますから、私は、その点矛盾はない、迅速化も一方の要請でございますから、そういう中で的確に判断していくためにはこういう、何というんでしょうか、重点化みたいなことをしていかなければならないんではないかと考えております。
  48. 池田幹幸

    池田幹幸君 のろのろやるより迅速化した方がいい、それはそうでしょう。事後調査に回すべきものを事後調査に回す、今までもやっているんですから、事後調査というのは。それはそれでいいでしょう。  それじゃ、水際取締りにどれだけ時間を回せるのかということで、実際にやる、実際に事後調査に回すそういう仕事は一体どんなものだというふうに大臣はお考えですか。そんなの、まあ余り聞いたって仕方ないんですが、実際、そんな細かい仕事を御存じでないわけだから。  税的審査というのは実際物を見るわけですよ。これ、やめるわけじゃないんです。実際物を見て、この関税率ちゃんと掛けていいかなということをこう見るわけですよ。それでもってオーケーとして、あと詳しい調査は事後にやりましょうということを今もやっている。  これを今度更にやろうといったって、ほとんど時間的な問題というのは節約できないんですよ。劇的な、水際取締りに時間を割く、そんなことはできっこないと私は思うんですね。そう私は思うんです。  そこで、余りこれでやり取りしたって仕方ないんですが、そこで、従来、一人当たりどれぐらいの時間を掛けていたのかと、一人一件ですね。これ聞きますと、四・九時間だというんです、五時間弱。事後調査に回す、税的審査、それを考えたときに、この四・九時間が実際にどれぐらい短縮されるんですか。
  49. 木村幸俊

    政府参考人木村幸俊君) お答え申し上げます。  今、委員から御指摘のあった四・九時間ということは、恐らく海上貨物につきまして税関への輸入申告から許可までに要する時間のことだと思います。それで、この時間が全体としてどの程度じゃ迅速な通関ということで短縮されるのかという御質問だろうと思いますが、正に今回の趣旨というものは、もう大臣それから副大臣からもるるお答え申し上げましておりますように、限られた人員の中で正に重点化を図っていく、税関における水際取締り強化しつつ輸入通関の一層の迅速化を図るために関税額等の審査を極力事後の調査にゆだねられるようにするための法的な環境整備を図ろうといたしているわけでございます。  それで、輸入申告を処理する時間でございますが、これは、輸入貨物の種類とか申告内容によってもう区々でございまして、今回の改正によりまして、ではどの程度具体的に審査時間が短縮ができるにつきまして申し上げることは困難であることは御理解願いたいと思います。
  50. 池田幹幸

    池田幹幸君 ほとんどそんなことできっこないんですよ。  ただ、それじゃ短縮した時間を、税的審査で短縮した時間を関的な検査、審査といいますか、そちらに回せるかというと、まあほとんど期待できないだろうと。結局は、全体の時間短縮、それを税的審査のところでやろうと。迅速化してくれ云々言ってくるから、そこで縮めようというところになってしまうんじゃないか。決してそれを、その空いた時間を水際取締り強化に使えるかと。私は、それは、いいように見えて、今やっておる税関職員方々を侮辱することになる。実際開けて見る、今でもきちんとやっているんですよ。もっと時間掛ければもっとできるだろうということでしょう。その掛ける時間なんというのはわずかなものですよ、これ、税的審査に掛けている時間の事後調査に回す時間というのは。そこを考えると、私はどうも、要するに全体の通関時間短縮、そのために税的な審査をやるんだ、そこを縮めるんだということにしかならないんじゃないかということを本当に強く感じるんです。  そこで、具体的な問題にちょっと移っていきたいと思うんですが、いや、具体的なところに移る前に一つだけ確認しておきますが、全体の通関時間、限られた枠の中でやるので全体の通関時間を今回は減らそうということでこれをやっているんじゃないんだという説明でしたね。ですから、たとえ事後調査に回すものが出てきても全体の通関時間は減らさないということは約束できますね。
  51. 木村幸俊

    政府参考人木村幸俊君) お答え申し上げます。  ただいまお答え申し上げましたのは、正に今回の改正で具体的にどの程度時間が短縮できるか、これについて具体的な数字でお答え申し上げることは困難であるということを申し上げたところでございます。  正に、今回は、非常にとにかく限られた人員があります。今回、定員の増をお認めいただいておりますけれども、それでも人員としては限られたものだろうと思っております。その一方で、正に輸入貨物等々非常に大きく伸びてきている。事務、業務量は増えているわけでございます。そして、かたがた、現在の国際物流の流れの中でやはり迅速な通関というものには配慮していかなければならないと。  こういったものを全体としてやるために、正に事後に回せるものであればそれは事後に回していく、それによって、迅速な通関を図ることによって例えば社会物品の不正の輸入が、そこにチェックがおろそかになってはいかぬということで、正に全体のバランスを考えながらやっている。そのために必要な事後調査というのを考えると法的な環境の整備というのが必要だろうということで、今回、法律改正をお願いしているところでございます。
  52. 池田幹幸

    池田幹幸君 ともかく、もしそういう形で時間短縮ができたとして、その場合にはきっちりと関的な検査の方に時間を掛けるということをおっしゃるわけだから、それはそれでやっていただきたいと思いますが。  そこで、近年、航空貨物が非常に増えているんです、急増しています。このことについてちょっと伺っていきたいと思うんですが、国際航空貨物の六割を、輸入に関してですけれども、成田空港で扱っているということで、私も成田空港を視察に行ってきましたんですけれども、要するに、輸出入額で見まして十九兆九千億円、これを成田空港扱っている。これは、港ですね、横浜港、これが九兆一千億円ですから、その二倍を超える、額でいえば二倍を超える貨物を扱っている、こういう状況にあります。  航空貨物輸入許可承認件数、これ急増しておりますけれども、時間の関係上、私、読み上げて、確認していただきたいと思いますけれども、航空貨物輸入許可承認件数が、一九九九年八百三万三千件、それからだんだんだんだん増えていきまして、昨年は一千六十六万四千件という形になっておりますが、これは間違いないですね、いいですね。
  53. 木村幸俊

    政府参考人木村幸俊君) 今の全体の輸入許可承認件数につきまして、御指摘のとおりの数字でございます。
  54. 池田幹幸

    池田幹幸君 そこで、先ほど円委員の質問にもありましたSP、スモールパッケージの件なんですけれども、このスモールパッケージというのも、これまた急増しているんですね。これ、驚いたんですけれども、同じ九九年には四百九十三万一千件、それが昨年は七百二十七万七千件に増えている。これも間違いないと思うんですね。  そうしますと、これ、どういうことかというと、増加件数で見ますと、全体が二百六十三万件増えているんですよ。そのうちSP物件、SP貨物が二百三十四万増えているんです。つまり、どういうことですかね、八九%、約九割ですね、九割を、増加の、増加数の九割をSP貨物が占めている。これも間違いない、これ、割り算しただけですから納得いただけると思うんです。  結局、すごいんですが、このスモールパッケージというのは一体どんな貨物なんですか。
  55. 木村幸俊

    政府参考人木村幸俊君) お答え申し上げます。  いわゆるスモールパッケージという、SP貨物と申し上げておりますけれども、国際宅配便業者が運搬する書類とか小口の急送貨物のことを通常言っております。
  56. 池田幹幸

    池田幹幸君 そういうものなんですが、これが月別に見ますとまた大変な動きをしておりまして、昨日これ関税局からいただいたんですけれども、成田航空貨物出張所、これが税関の成田出張所なんですけれども、そこでの集計を見てみますと、昨年一年間で急激に増えています。四月から七月以降ですかね、七月—九月と大変な勢いでこう増えていくんですが、特に昨年の後半が急激に増えている。  一体これはどういうところからこんなことが起きたのかということについて少し説明していただけますか。
  57. 木村幸俊

    政府参考人木村幸俊君) お答え申し上げます。  委員の御質問になった数字は、恐らく成田航空貨物出張所におきますところの臨時開庁承認件数のことだと。必ずしもスモールパッケージかどうか分かりません。ただし、御指摘のとおり、このかなりの部分、スモールパッケージの問題であることもまた多分事実だと思います。  それで、現在、そういった形で去年の数字見てみますと、その十五年の、そうですね、昨年の前半、全体として一万四千件、月当たりその程度の数字でございましたが、後半には約一万七千件から約一万九千件とその臨時開庁承認件数が増えているのはそのとおりでございます。  その背景でございますが、これはもちろん確たることは申し上げにくいわけでございますが、恐らくその一つは、やっぱり全体として航空貨物が当然SP等を中心に増加しているということと、昨年四月に成田空港が構造改革特別区に指定されまして、その関係でその臨時開庁手数料が二分の一になったということが関係者に周知されたと、そういうことが相まったものではないかと考えられます。
  58. 池田幹幸

    池田幹幸君 失礼しました。臨時開庁の問題を言うのを忘れておりましたので。  臨時開庁というのは、要するに時間外ですよね。通関の時間外、税関が通常の業務から夜に移ったときに、その間にやる仕事のことなんですけれども、その手数料が半分になったということなんですが、これ結局、一体半分になることによってだれが得するんですかね。その半分になった費用というのは、当然国に入る費用が減るということになるわけですけれども、国民にとってはそれはマイナスになるんですよね。
  59. 木村幸俊

    政府参考人木村幸俊君) 構造改革特区におきまして、正にその臨時開庁手数料を二分の一に引き下げているわけでございますが、これはもうよく御承知のとおり、正に構造改革特区ということが、地方公共団体によります自発的な規制改革や民間事業者の取組を促すことによりまして、我が国経済社会の構造改革の推進、さらには地域の活性化を図るというものでございます。正に、臨時開庁手数料につきましても、このような観点から国際物流の効率化を図るということでその引下げを行って、それが一つの理由として、そういった形で臨時開庁の申請件数が、承認件数が増えているという実態だろうと思います。  それで、それが、臨時開庁手数料ってだれが負担しているかという問題でございますが、基本的には、それは執務時間外に申告手続を行った方、基本的には輸出入者が負担をするものであろうと考えております。
  60. 池田幹幸

    池田幹幸君 臨時時間外通関手数料、臨時開庁手数料ですね、これは一体何のために徴収しているんですか。
  61. 木村幸俊

    政府参考人木村幸俊君) お答え申し上げます。  臨時開庁、これは税関の執務時間外に臨時の執務を求めるものでございます。それに伴う行政コストがございますので、それは受益者であるその申請者が負担すべきものという観点から、その臨時開庁手数料を徴収させていただいているところでございます。
  62. 池田幹幸

    池田幹幸君 これ伺うと、時間当たり、一人時間当たりという形で計算するそうですが、七千八百円ということになっていたと、それを三千九百円に引き下げたということなんですけれどもね。  これは、いろいろ言いますけれども、私、ずっと調べてみましたら、結局、アメリカの要求に従ってずっとこれやってきているんですよね。御存じと思いますけれども、日米規制改革及び競争政策イニシアティブというのが二〇〇一年に作られて、そして二〇〇二年、二〇〇三年という形で報告書がこう出ています。その報告書を、どんどんこう出ていきますと、要するに、税関手続の簡素化をやれということでアメリカ側の要求が出されてきて、それに従ってやってきたんですけれども、昨年の十月にそのイニシアティブに基づく日本政府への米国政府の年次改革要望書というのが出されておりますね。この十月二十四日に出された要望書を見てみますと、非常に正直に書いていますよ。  航空貨物産業は近年急激な成長を遂げ、現在では、国際的な事業展開や商品情報の迅速な流通に欠くことができない手段となった。米国は、今年前半から可能になった国際物流特区における時間外手数料の削減措置を称賛する。しかし、航空貨物産業がもたらす経済的利益を最大限に享受するために、より多くのことが更になされなければならないといって、いろいろだあっと要求を並べているわけですね。その中には、税関時間外手数料をもっと下げろと、こう言っているんですよ。  そして、ついにこういうことまで言うんだな。二〇〇三年四月から開始された国際物流特区における時間外手数料の削減は、日本の国際港の競争力を強化した。米国は日本に対し、成長へ向け、時間外手数料をゼロにするようアクションを取り続けることを要望するということで、非常に日本の競争力が付いて良かったねということで、もっともっと競争力を強めるためにやりなさいよと、非常に丁寧、親切なことを言っていただいておるわけですが、大臣、手数料を更にゼロにせい言っているんですけれども、どう感じますか。
  63. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) まあこれは構造改革特区という中でやったことでありまして、一つは国際物流の効率化ということでありましょうし、今委員がお触れになった日本空港の競争力を上げていくという要素ももちろんこの物流の効率化という中には含まれていると思います。  ですから、この特区で半額を今試しているところでありますから、そういったものがどういう効果と、また影響を持っているかということも十分によく見ていく必要があるなと思っております。
  64. 池田幹幸

    池田幹幸君 特区でやっているんだから少ないだろうと思ったら大間違いで、御承知のとおり、特区というのは成田と関空だけですね。それでほとんどの航空貨物を占めているんですね。ですから、この実験的な、ほんの実験的なんてものじゃなしに、もう実際に圧倒的にこれは進んでいるんだということを認識していただかなければ困ると思うんですよ。  そこで、このSPなんですけれども、SPじゃない、その前にこの手数料のことについて一つ伺っておきましょう。  非常に懇切丁寧に日本のことを考えていただいているようですけれども、この時間外手数料を取っている国ですね、これ非常に少数だと思います。アメリカしかこの時間外手数料、アメリカは特に、あれですね、時間内まで手数料を取っているようですけれども、それ間違いないですね。
  65. 木村幸俊

    政府参考人木村幸俊君) お答え申し上げます。  まず米国ですが、委員指摘のとおり、執務時間内外を問わず通関手数料を徴収されているとは聞いております。  それから、その執務時間外に税関に対して輸出入申告が行われた場合には、かなりの国々におきましてその臨時の執務に応じた手数料の負担が求められると承知しております。
  66. 池田幹幸

    池田幹幸君 ともかくアメリカは自分のところは時間内も時間外も取りますと、日本はゼロにしなさいと、なかなか虫のいい要求をするわけですけれども、ともかく、そのSPというものについて、先ほどスモールパッケージ、国際宅配便だという説明がありました。これ一体どんな業者がやっているのかといいますと、もう限られているんですよね。フェデラルエクスプレス、それからDHL。日通、TNTというのもあるけれども、オランダのTNT、あるけれども、ほとんどごくごく少数。もう圧倒的にフェデラルエクスプレスとDHLなんですよ、荷物はね。  そうしますと、結局、何のことはない、これだれのためにやっているんだと。要するに、時間外手数料の削減、要するに時間外の仕事も増やしますということはだれのためにやっているんだと。しかも、これやるのは税関職員ですからね。夜中に起きてやるんですよ。  しかも、その仕事たるやすさまじいものでして、時間外も大変なことです。フェデラルエクスプレスは四時から五時、六時、七時と四回に分けて申告してくる。これまではこういう制度がなかったんですよね。それが一日六百五十件くらい来ているというんですね。DHLについては五時半と六時二十分と七時二十分、三回に分けて申告してくる。これが多い日は三百五十件ぐらいになるというんです。これがやられてくる。従来どうだったかというと、昨年七月以前は、七時半から八時半の間、SP貨物は約百件程度。それが昨年八月、大体五時から八時までという時間少し長くなりますけれども、八百四十件近い、多い日は一千件ということもあると。物すごい勢いで集中してくるんですね。そういう状況になっているんです。  じゃ、人はどうかというと、昨年の七月に一人増えただけ。だから、物すごい労働強化になっているということは、これだけ見ても分かると思うんですね。そして、先ほど言いましたように、臨時開庁検査というのがそういう形でどんどんどんどん増えているわけですから、これは大変な労働強化だと。大臣、そのことについて、まず感想を伺いたいと思うんです。
  67. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 確かに、物流が頻繁になってまいりまして、業務も非常に多くなってきていることは御指摘のとおりであります。これに対応することは二つだと思います。一つは、機械化とか重点化とかいうようなことで効率化をしていくというのは、これはできることは徹底的にやらなきゃいけないと思いますが、他方、こういうふうに非常に業務が増えている部門や何かをやっぱり点検して、適切、適正な人員配置というものをしていかなきゃならない。これはなかなか苦しいところのやりくりになるわけですが、今後とも適正な必要な定員あるいは機構を確保するように私も努めたいと思っております。
  68. 池田幹幸

    池田幹幸君 そういう形で努めていただけるということなんで非常に結構だと思うんです。しかし、それは相当腹をくくってやらないとできないことだと思います。  といいますのは、この税関の労働者の場合は、同じ国家公務員ですけれども、国家公務員労働者の労働条件と比べてみるとどうなのかといいますと、これは国家公務員労働者でアンケートを取っているんですけれども、身体面で不安を感じているという人が今では全体四二%もいるんです、四二%。これだけ多いです。ところが、税関ではそれが六四・八%になっているんです。つまり、いかに税関の労働というのは過酷かということがこれで分かると思うんです。  先ほど臨時開庁、夜中の仕事がこうやって増えているということを言いましたけれども、単にそう単純にはなかなか言えないんですよね。私、税関に行ったときには、旅具といって、入国してくる人を審査する等の夜中仕事なさる方、仮眠場所を見てきました。もう一つ私見落としたのは、特通といって、特別通関、貨物扱う方々の宿泊施設。これ見なかったんですけれども、後でこの見取図をいただいて聞きますと、二部屋に増えたんだけれども、今までよりは良くなったんだが、しかし実際上は、ここのところは、旅具の方々は一斉に寝て一斉に起きるんだけれども、ここはさっき言いましたように次々次々と分かれて貨物が来るということで四班に分かれて寝るんですよ、寝て起きる、寝て。そうすると、一時間、一時間半置きぐらいに人がどんどんどんどん入ってくる、そういうことでなかなか眠れないというふうなこともそこで伺いました。そういう過酷な状況に今なっているんですね。  そこのところを大臣、一生懸命やると、改善に努めるとおっしゃったけれども、このことを十分承知した上でやらないと、たとえ宿泊施設一つ取ってみても大変な問題なんだということをまず認識していただきたいと思うんですが、まず、いかがですか。
  69. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) よく現場の状況も把握して、適切に努力したいと思っております。
  70. 池田幹幸

    池田幹幸君 それで問題は、昨年の当委員会でこれは附帯決議をやっているんですね。そこで、その附帯決議では、要するに税関の特別な状況をしっかりとつかんで、労働条件の改善、ちゃんとやりなさいよということで、ちょっと昨年の附帯決議じゃなしに今年のやつしか出なくなっちゃって、済みません。ちょっと済みませんね、昨年の附帯決議を用意していたんですが。要するに、二十四時間フルタイム化に向けて労働条件の改善等々やるんだ、やりなさいよということを本委員会の附帯決議でやりました。  じゃ、それでもって改善されたのかということなんですけれども、もう時間がないから私の方で申し上げますが、ほとんど改善されてないんですよね。その結果、どういうことが起きたかと。現職の職員の死亡者が、それも過労による死亡者が増えている。その実態をちょっと、昨年と今年について、関税局長、ちょっと説明していただけますか。
  71. 木村幸俊

    政府参考人木村幸俊君) お答え申し上げます。  税関職員の死亡、現職の死亡者数でございますが、昨年は七名の方がお亡くなりになっております。そのうち三名の方ががん、それから一名が脳血管疾患、それから二名の方が心臓疾患、その他が一名というふうになっております。今年に入りまして三名の方が亡くなっておりまして、脳血管疾患の方が一名、心臓疾患の方が二名というふうになっております。
  72. 池田幹幸

    池田幹幸君 大臣、お聞きのとおりなんですね。せっかくこんな附帯決議しても、現実には増えちゃう、こういう過労による死亡。ともかく、今年に入って亡くなった方の一人というのは二十八歳の方ですよ。その仮眠室で亡くなっているんですよ、心疾患でね。だから、このことを、この現実をしっかりと見ていただかないといけないと思うんです。  労働組合の方々も当局とこれ交渉しておりますけれども、これは労働者から言われるまでもなく、どんどん積極的に改善していかなきゃいかぬ。もっとも、これは総務局長名でですかね、若干の改善指令というのは出しているんですけれども、出しているんだけどもそれは言葉だけで、こういう事件が起きておりますから気を付けてくださいと言うんです。一人一人に気を付けてくださいと言うよりも、原因究明して改善策取らなければ意味がないわけでしょう。この通達を出している以外にどんなことをやっていますか。
  73. 木村幸俊

    政府参考人木村幸俊君) お答え申し上げます。  先ほど委員からも御指摘のとおり、私どもの職場は非常に厳しい職場であると思っております。したがいまして、従来から健康管理施策の充実には十分努めてきたところでございまして、具体例を申し上げますと、疾病の早期発見のため、職場で行う健康診断につきまして従前よりその実施回数を年一回から年二回とし、また一部検査項目の対象年齢を順次引き下げ、また対象者数を拡大して実施しております。また、疾病の発症予防のために平成十五年度から保健師と契約して保健指導等の充実を図る、そういった措置を講じてきております。  いずれにいたしましても、健康というのは正に仕事をする大前提でございますので、機会あるごとに注意喚起をいたしているところでございますし、先ほど委員からも御指摘がございましたように、この二月十八日に各税関に対しまして改めて健康管理に注意するよう、その徹底を指示したところでございます。
  74. 池田幹幸

    池田幹幸君 徹底したのはいいんですけれども、気を付けなさい、はい、気を付けますで改善されれば言うことないんだけれども、それじゃ駄目なんですよね。  ですから、何やらなけりゃいかぬのかと。私が今指摘したところだけでも改善できることはあるんですね。例えば、ゆっくり眠れるようにしようと。ともかく、これだけどんどんどんどん仕事を増やしているんだから、それに見合った形で人員確保するということも一つ必要かもしらぬけれども、それも一つです。だけれども、それに時間が掛かるというのであれば、直ちにやることは、少なくとも体をもう少し休められるようにしようじゃないかというようなことはすぐできるでしょう。労働組合の側からも、そんな難しい要求じゃない、せめてこれぐらいやってくれということで要求が出ているわけだから、やったらどうですか。  これは、大臣、実際それでごらんになったらいいと思いますよ。それだけ大変な仕事。これ時間、それだけ長時間やる、二十二時間勤務体制ということになっていますから、これ、そのシフトでは。体も大変だけれども、この仕事というのは、先ほど円委員がおっしゃったように、物すごくストレスの掛かる仕事なんですよね、神経使う仕事。そういうことをやっておられる方々に、せめてそれぐらい報いるようにすぐ手を打つということはあっていいと思うんですけれどもね。大臣、いかがお考えですか。
  75. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 税関では、過去毎年平均しますと、過去十年間見ますと十名弱の方が現職で亡くなっていると。これはもう私は大変残念なことだと思っております。こういう職員の死亡者、これをできるだけ少なくしていく、そのためのいろいろな条件を整備していくというのは私の責任でもあろうかと思っております。  もとより、やりますことは、先ほど申しましたできるだけの省力化、IT化などもございましょうし、また、それから定員の確保、必要なところに必要な人を回すというようなことも必要だと思いますが、職場の健康管理ということは、これはもっと意を用いなければならないことじゃないかなというふうに思います。職員の健康管理については重点事項として努力をしてまいりたいと、こう思っております。
  76. 池田幹幸

    池田幹幸君 そういう形でやっていただきたいと思います。今年十五名増員したというんですけれども、全国税関にばらまいたら、一人増えないところもあるんですから、そういうことを考えれば、まずできるところからすぐに手を付けていただきたいということをお願いしまして、終わります。     ─────────────
  77. 平野貞夫

    委員長平野貞夫君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、上杉光弘君が委員辞任され、その補欠として小林温君が選任されました。     ─────────────
  78. 平野貞夫

    委員長平野貞夫君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  関税定率法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  79. 平野貞夫

    委員長平野貞夫君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、円君から発言を求められておりますので、これを許します。円より子君。
  80. 円より子

    円より子君 私は、ただいま可決されました関税定率法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会及び公明党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     関税定率法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。  一 関税率の改正に当たっては、我が国の貿易をめぐる諸情勢を踏まえ、国民経済的な視点から国内産業、特に農林水産業及び中小企業に及ぼす影響を十分に配慮しつつ、調和ある対外経済関係強化及び国民生活の安定・向上に寄与するよう努めること。    なお、関税の執行に当たっては、より一層適正・公平な課税の確保に努めること。  一 急速な高度情報化の進展により、経済取引の国際化及び電子商取引等の拡大が進む状況にかんがみ、税関の執行体制の整備及び事務の一層の情報化・機械化の促進に特段の努力を払うこと。  一 最近における国際化の進展等に伴い税関業務が増大し、複雑化する中で、その適正かつ迅速な処理の重要性に加え、麻薬・覚せい剤を始め、銃砲、知的財産権侵害物品、ワシントン条約該当物品等水際における取締り強化に対する国際的・社会的要請が高まっていることにかんがみ、税関業務の特殊性を考慮し、税関職員の定員確保はもとより、その処遇改善及び機構、職場環境の充実、更には、より高度な専門性を有する人材の育成等に特段の努力を払うこと。    特に、国民の安心・安全の確保を目的とする治安維持対策の遂行や、知的財産権侵害物品水際取締りに当たっては、その重要性に十分配慮した業務処理体制の実現に努めること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  81. 平野貞夫

    委員長平野貞夫君) ただいま円君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  82. 平野貞夫

    委員長平野貞夫君) 全会一致と認めます。よって、円君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、谷垣財務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。谷垣財務大臣
  83. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても御趣旨に沿って配意してまいりたいと存じます。
  84. 平野貞夫

    委員長平野貞夫君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  85. 平野貞夫

    委員長平野貞夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時三十五分散会