○
大門実紀史君 時間ありますので、先取りしていただかなくて結構でございます。
そうはいっても、もう結論の方の
議論をしたいと
思いますが、私は、
所得、貯蓄、貯蓄、この間、貯蓄動向調査でいきますと、最貧世帯といいますけれ
ども、一番多い貯蓄額というのが二百六十万ぐらいですね。これは五年前三百七十万ですから、一般世帯でいくと貯金の取崩しをして生活している人が増えていると。貯蓄ゼロの世帯が今二割になっていますね。ですから、そういうところが一方で貯蓄、貯金額が減っている世帯が増えているということが
大臣言われたことに加えてあるというふうに
思います。全体で申し上げたいのは、私は、構造改革論は、いわゆる
竹中流の構造改革論はずっと誤っているということを
竹中大臣とは
議論してまいりました。その結果がこういうふうに貧富の差が現れる
社会になると。
それで、私、先ほどちょっと
山根さんのときに新しい資料で諸外国に比べてというのを言われましたけれ
ども、私、それを言うならば、資料のことを言うならば、これは駄目ですよ。これはOECDの一人当たりの統計ですからね、そんなに広がっていませんと言われていましたけれ
ども。例えば、
アメリカなんかこれは横ばいですけれ
ども、物すごく
所得格差広がっていますよ、イギリスも。ですから、余り違う資料でやり合うと訳分からなくなりますので、申し上げておきたいと
思います。要するに、
アメリカとイギリスはやっぱり構造改革やりました、レーガンのとき、サッチャーのとき。そのときにやっぱり
所得格差、貧富の差が相当広がりました。これは私が言っているわけじゃなくて、いろんな研究者が
指摘をされているところです。
なぜ広がるかということなんですけれ
ども、私が
思いますのは、この前予算
委員会で私
指摘いたしましたけれ
ども、
所得再分配前の
所得がまず格差が広がっていると。非正規雇用が、低賃金の非正規雇用が増えて、正社員も成果主義ということで、一部高給を取る人と、あとは賃金を下げられると。こういう財界の、九五年に出ました日経連のそういう
戦略の下でいろんな規制緩和されてきましたけれ
ども、その中で、そういう
所得再分配前の、会社からもらう段階で、給料もらう段階でもう格差が広がってきている、これが一点です。したがって、構造改革で進められてきた、
竹中さんに言わせる労働市場の構造改革というのがこの
所得格差の肥大化している一つになっていると。
もう一つは、もう少し長い目で見ますと、
日本の構造改革路線というのは別に小泉さんが急に始めたわけではございません。中曽根総理のときに、レーガン型の改革ということで、
大臣言われました特に税制のフラット化ということに手を付けられたわけですね。八六年当時、最高税率七割だったのが三七%ですね、今、それぐらいになると。さらに、消費税というのは非常に逆進性がありますので、更にこの再分配機能を落とす方に働きますから、それも含めてありました。
もう一つは、税の問題よりも、
大臣が御
指摘少しされましたけれ
ども、
社会保険料負担の方ですね、これがかなり重くなっています、家計調査を見ますと。今日は時間がもうあれなんで細かいことは言いませんが、家計調査で出ております。
社会保険料負担というのは、これは累進になっておりませんで、比例して取られるわけですね、累進がありません。しかも、頭打ちがあります。したがって、再分配の機能がそこでも働かなくなってきている。
社会保険料負担がずっと重くなると再分配機能が働かないということになります。税金の使い道といえばやっぱり
社会保障の方を、何だかんだ言っても水準下げていくとこれも
所得の再分配機能が低下いたしますので、こういうふうな格差が開いてくると。
私は、構造改革論そのものが景気を良くするなんということはもうあり得ないということを、理論的にもあり得ないということを再三御
指摘してきたわけですけれ
ども、
社会のありようとしても決して私はいい
社会に向かっているわけではないと。今確かにそうですね、一部大変高額の貯蓄者、高額
所得者が出ておりますけれ
ども、片やホームレスが町に広がると、そういう
アメリカに似たような
社会になってきているわけですね。
これは
大臣言われたような平等主義が、昔何か非常に悪かって、みんなが努力しなくなってみたいなことがありますけれ
ども、みんな努力してきたと私は思っております。しかも、
経済の活力をそぐから累進税率を緩和するという名目でずっとやられてきましたけれ
ども、じゃ、そういうお金持ちに累進構造をフラットにして減税したから活力が出たんでしょうか、この十年間。何も出ておりませんね。人間、お金だけで働いているわけじゃありませんから、ある数字以上になるともう分からなくなります、何億稼いでいるというレベルでいきますと。私たちのようなもう十万、二十万になるともっと欲しいとか増やしたいとかありますけれ
ども、もう何億円稼ぐ
人たちは余りそういう
意識はありません。むしろ自己実現のために頑張っておられるわけですね。
ですから、余り今まで言われた累進税率の緩和が
社会の活力を生むなんということは、これはもう十年間見て証明されていないというふうに
思います。そういうふうに私は理解しているんですけれ
ども、何かコメントがございますでしょうか。