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2004-04-21 第159回国会 参議院 国民生活・経済に関する調査会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年四月二十一日(水曜日)    午後一時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     会 長         勝木 健司君     理 事                 魚住 汎英君                 山東 昭子君                 伊藤 基隆君                 和田ひろ子君                 渡辺 孝男君                 西山登紀子君     委 員                 加治屋義人君                 小斉平敏文君                 田村耕太郎君                 伊達 忠一君                 朝日 俊弘君                 谷  博之君                 辻  泰弘君                 藁科 滿治君                 福本 潤一君                 松 あきら君                 畑野 君枝君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        森元 恒雄君    事務局側        第二特別調査室        長        村松  帝君    政府参考人        内閣大臣官房        審議官      香川 弘明君        総務大臣官房技        術総括審議官   鬼頭 達男君        総務大臣官房審        議官       岡本  保君        総務省行政評価        局長       田村 政志君        総務省郵政行政        局次長      高橋  亨君        文部科学大臣官        房審議官     金森 越哉君        厚生労働大臣官        房審議官     新島 良夫君        厚生労働省医政        局長       岩尾總一郎君        厚生労働省雇用        均等児童家庭        局長       伍藤 忠春君        厚生労働省社会        ・援護局障害保        健福祉部長    塩田 幸雄君        農林水産大臣官        房審議官     染  英昭君        経済産業大臣官        房審議官     岩田 悟志君        国土交通省道路        局次長      榊  正剛君        国土交通省住宅        局長       松野  仁君        国土交通省鉄道        局長       丸山  博君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○国民生活経済に関する調査  (「真に豊かな社会構築」のうち、ユニバー  サル社会形成促進について)  (「真に豊かな社会構築」について)     ─────────────
  2. 勝木健司

  3. 勝木健司

    会長勝木健司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 勝木健司

    会長勝木健司君) 国民生活経済に関する調査を議題といたします。  まず、「真に豊かな社会構築」のうち、ユニバーサル社会形成促進について質疑を行います。  なお、質疑及び答弁とも着席のままで結構でございます。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 伊達忠一

    伊達忠一君 自由民主党の伊達忠一でございます。よろしくお願いいたします。  本調査会、私も当選させていただいてここに初めから参画をさせていただいているんですが、地方議会を経験した一人として、こういうのは地方議会にはないわけでございまして、すばらしいことだなということを実は感じておりまして、特に先般、身障者方たち参考人おいでいただいて御意見を拝聴したときには感動いたしたわけでございまして、それに関連して何点か質問させていただきたいと、こう思っております。  御存じのように、三年間で取りまとめということなんですが、一年一年テーマを付けて、サブタイトルを付けてやってまいりました。三年目の今年の取りまとめというのは、いわゆる年齢、性別、能力などの違いを越えて高齢者とか身障者、それから健常者、すべての人が暮らしやすい社会、そういう発揮できる社会、すなわちユニバーサルデザインというんですか、この社会の真の豊かな社会にするという観点からこのユニバーサル社会形成促進というテーマ調査してきたんだろうと、こう思うんですが。  実はいろんな、拙速ですが私も調べたり聞いたりして調査してみましたら、いろんな中にいい制度もかなりあるんですけれども、それがやっぱり十分に発揮されてないという制度も実はあるようでございます。休眠状態みたいなものもございまして、是非、これだけの皆さん方が時間を掛けてやっぱり三年間調査した結果が出るわけでございますから、是非これが十分にやっぱり目的生かされるようにまず私からもひとつお願いを申し上げたいと、こう思っております。  そこで、実は、高齢者社会対策大綱というのが平成十三年の十二月に閣議決定をされました。加齢による身体機能の低下にかかわりなく国民が快適に暮らすことを可能にするためのユニバーサルデザイン普及促進するものとすると言われておりますが、また一方では、障害者基本計画平成十四年十二月にこれも閣議決定をされておりますが、ユニバーサルデザイン観点からすべての人にとって生活しやすいまちづくり物づくり推進するというふうにされているわけでございますが、まず、このユニバーサルデザイン促進観点から、政府取組それから概要についてちょっとお聞きしたいと、こう思っております。
  6. 森元恒雄

    大臣政務官森元恒雄君) ただいま伊達委員の方からもお話ございましたように、高齢者方々あるいは障害者方々を中心として、特にバリアフリーでありますとか、あるいは今お話しユニバーサルデザイン政府としてもとにかく精力的に積極的に取り組んでおるところでございまして、特にユニバーサルという観点で申し上げれば、お年寄り、お年を召してくるというのはどなたもいずれ経験することでありますので、すべての人に共通課題でありますし、また、障害といいましても、それは一部の方ではなくて、いつ何どき健常者でも不慮の事故あるいは病に遭ってそういう立場に立つか分からないというようなことを考えますと、すべての人にとって住みやすい快適な障害のない環境を作っていくということは国の大きな方針じゃないかなというふうに思っております。  高齢者あるいは障害者向け対策については、今お話ありましたような計画もありまして、その中で具体的な施策も盛り込んでおりますけれども政府としては、これを更に発展させて共通一つの大きな施策の柱、体系というようなものを考えていかなければいけない時期に来ているんではないかなと、こんなふうに考えております。
  7. 伊達忠一

    伊達忠一君 先般、三月の十日ですか、竹中ナミさんという、いわゆるこれは神戸の福祉施設理事長さんだったとこう思うんですが、この方が言われておられたことに、いわゆるユニバーサルデザイン、その社会を作るには多分に、バリアフリーという物質的なものだけを排除するんではなくて人の意識も心もやっぱり変わらなきゃならないんだということを実は言われたと、こう思うんでございますが、個々の製品や建物などの問題もさることながら、本質的にはやはり意識の問題だと私は思うんです。  ユニバーサルデザイン考え方として、政府としてはやはり積極的にやっぱりもう少し広報啓発をすべきとこう考えているんですが、いかがでしょうかな。
  8. 香川弘明

    政府参考人香川弘明君) 御指摘のとおり、ユニバーサルデザイン促進するためには、施設等整備を進めるいわゆるハード面取組とともに、人々の意識向上を図るいわゆるソフト面取組も併せて総合的に推進することが必要であると私どもも考えているところでございます。  このうち、御質問のソフト面についてでございますが、内閣府といたしましては、社会バリアフリー化推進、また障害者施策推進等観点から積極的に広報啓発に取り組んでいるところでございます。  具体的に申し上げますと、バリアフリー化推進に功績のありました団体等に対する表彰制度を設けまして、毎年秋に内閣総理大臣表彰及び内閣官房長官表彰を行っているところでございます。  また、障害者施策に関しましては、いわゆる心のバリアフリーという観点からも、毎年十二月九日の障害者の日に「障害者の日」記念の集いというものを開催いたしまして、その行事の中で、全国から募集いたしました心の輪を広げる体験作文、また障害者の日のポスターといったものに対する内閣総理大臣賞表彰を行っております。  さらに、テレビ、新聞等を活用いたしました広報啓発にも取り組んでいるところでございます。
  9. 伊達忠一

    伊達忠一君 先ほど申し上げたんですが、いい制度だとかそういう提言をされてもそれが機能的に発揮してないということを私は申し上げたんですが、このバリアフリーに関する閣僚会議というのがあるのは恐らく御存じだろうとこう思うんでございますが、これ平成十二年三月に、高齢者障害者を含むすべての人が安全で快適な社会生活を送れるというようないろんな云々ということから、これに関する閣僚会議を設置されたということなんです。  これは、構成員を見ますとすばらしいメンバーなんですが、総務大臣文部科学大臣厚生労働大臣農林水産大臣経済産業大臣国土交通大臣沖縄北方大臣経済政策担当大臣国家公安委員長だとか内閣官房長官、もうこれはすばらしいメンバーばかりなんですが、これがいわゆる十三年十一月に開催されたきりで、このままずっと開催されてないと。  先ほど申し上げたように、こんないい閣僚会議がありながら開催をされてないという、休眠状態になっているということで、私はこういうものをやっぱり生かしていかなきゃならぬ、いいものを作ったんなら、せっかく作ったんであれば。それを先ほど申し上げたんですが、そういうユニバーサルデザイン一つ分野にとどまることなく幅広く、府だとか省だとかにかかわるだけに、それだけに行政が一体となって私はこれを推進していかなきゃならぬのだと、こう思っております。  そういう点から申し上げれば、バリアフリーに関する今のこの関係閣僚会議、これを改組して、改組できるのかどうか分かりませんが、改組して、休眠状態になっているような状況でございますから、政府閣僚級による推進会議なんかを設置したらどうかなと、こう思うんですが、いかがでしょうかな。
  10. 森元恒雄

    大臣政務官森元恒雄君) 今お話しのように、平成十二年の三月に閣僚会議バリアフリーに関するという名称での閣僚会議を設置しまして今日に至っております。また、お話しのように、ここしばらく開催されていないのも事実でございます。  私どもとしては、正にこれからの大きな課題一つでございますので、閣僚会議開催の有無にかかわらず、かねて力を入れて取り組んでおるところではありますけれども、更に一段と政府のそういう姿勢を強く国民方々にもアピールする、あるいは施策推進するという観点からも、時宜に応じて閣僚会議を開いていくべきであろうと、それはもうおっしゃられるとおりだと思います。努力をさせていただきたいと思います。  また、名称につきましては、先ほど来お話しありますように、バリアフリーユニバーサルデザイン、どちらがより広範な観点、あるいは思想的にも、物の考え方としても広い観点に立っての概念かといえば、ユニバーサルデザインであることは間違いないわけでございますので、流れとしては恐らくそういう方向にあると思いますけれども、ただ、まだ残念ながら一般方々のこのユニバーサルデザインというものに対する認識、理解が広がっておりません。  アンケート調査なんかをいたしましても、ほとんど御存じないという方が圧倒的でございまして、そういうときに先を行くということも一つ施策のやり方かとは思いますけれども、余り理解されない言葉を使いますと、せっかく政府姿勢を示したつもりが伝わらないということにもなりますし、あるいはまた、この点は広く一般に注意を受けておりますけれども、余り横文字を使わないで日本語を使えと言われておりまして、いい日本語があればその方が私はいいんだろうと思い、なかなかうまい言葉が見付かりませんけれども、いずれにいたしましても、そういう状況でございますので、今すぐ切り替えるというのはいささかどうかなという感じがいたしますが、状況を十分見ながら、それもまた適切に対応していきたいというふうに考えております。
  11. 伊達忠一

    伊達忠一君 まさしく、何というんですか、このメンバーを見ても決定権を持っている方ばかりの会議でございますから、それはもういい提言であれば即座にもうここで決定できるというような、実行に移せるという私は会議だろうと思うんです。ですから、是非これはもうどんどんどんどんやっぱり実行していっていただきたいと、こう思いますし、今政務官がおっしゃったように、これが余り国民に要するに知られていないというか、理解されていないというか、そういうことだろうと思うんですけれども、これは、この前、私も国対で余り正直言って出ていなかったんですが、先般、川口光男さんという日立のデザイン部長をやられている方が参考人としておいでになって言っておられましたが、いわゆる横文字といいますか、言葉といいますか、これが余り多過ぎると、これがやっぱり国民に理解されない一つの、広がっていかない一つの要素だということを言っておられました。ユニバーサルデザインバリアフリー、ユーザビリティーデザイン、アクセションビリティーデザインとか、こうあるんですな、私もよく分からないんですけれども。やっぱり、こういうものを少しやっぱり整理しなかったら、国民皆さん方、我々も正直言ってこれだけ全部、じゃ分かっている方、委員がおられるかといったら、それは私は分からぬし、これ役所の方に、勉強している方は別だけれども、していない、初めての方に言ったって、これはなかなか理解されないと思いますよ。ですから、指導される方が分からないことをたくさん羅列をして言って、それを国民普及させるといったって、これは私は大きなやっぱり壁だと、こう思っているんです。  それで、川口先生が言っておられたことには、やっぱりこれは行政が指導して、例えば言葉定義であるとか明確化であるとかやっぱりプラットホーム化であるとか、こういうことをしていかないと、これはなかなか国民皆さんには理解されないということを言っておられましたが、これらの定義を明確にきちんとしていくということがやっぱりユニバーサルデザインユニバーサル社会考え方普及を定着させるための最優先課題だと、こう思うんですが、いかがでしょうか。
  12. 香川弘明

    政府参考人香川弘明君) 委員指摘のとおり、ユニバーサルデザインに関しましては様々な用語が使用されているところでございまして、ただ、内閣府といたしましては、先ほど大臣政務官から御答弁がございましたように、国民に広く定着していると考えられますバリアフリーという語を現在用いて施策推進に努めているところでございます。  いずれにいたしましても、今後どのような用語を使用するか、またその用語定義をどう考えるか、ただいま委員から御指摘がございましたけれども、こういった問題につきましては、国民の間における定着度等も考慮いたしまして、今後検討してまいりたいと考えているところでございます。
  13. 伊達忠一

    伊達忠一君 どちらかというと、指導しているあなた方の方がやっぱり積極的に、私どもはやっぱり国民に分かりやすく普及啓蒙していくということであれば、むしろこういう点を自主的にどんどんどんどんやっぱり改善していかなきゃならぬと、こう思って、我々みたいな素人に言われて改善をするんではなくて、是非ひとつ取り組んでいただきたいと、こう思っております。  それでは次に、厚生労働省来ていますか。  この前ちょうど私も偶然お聞きしたんですが、感動した一つでございますけれども、東大の先端科学技術センターの助教授の福島智さんですか、おいでになって、目も見えない、耳も聞こえないという障害者を持つ、その方たち自立に向けての努力というものには私も感動いたしました。  それで、いろんなことを言っておられましたが、要するに買い物に行ったりあるいは仕事関係ない、収入と関係ない活動をすれば福祉サービスが受けられるけれども、要するに仕事に就こうとするとその福祉サービスが受けられない。これは、私も聞いていてちょっと意外だなと、こう思ったんですが、確かにこれはいろいろな財政上の問題もあるかもしれませんけれども、やはり今、何というんですか、自立をさせようということで一生懸命やっている、それに向かって努力をしていっている人たちに対するやっぱり支えというものがなくては、やっぱり私は障害者自立ということはあり得ないと、こう思うんです。  それで、どちらかというと、今までは障害者、特に重度なんかもそうなんですが、重度障害児、そういう施設というのはどちらかというと置き去りになってきたという、施設も非常に貧弱でございますし、むしろ高齢者時代だと、こう言われて、老人クラブ方たちなんかが、十五年ぐらい前だというと、何だと、市長とか町長を呼んで、ここにゲートボール場ないじゃないかと、こう言ったら、すぐもうできたというような、もうそういうパワーというのがあったんですけれども、やはりこういう障害者人たちこそ我々はやっぱり支えになってあげなきゃならぬだろうと、こう思うんですが、こういう人たち仕事をしようとすると受けられない。じゃ、仕事をやらないでぶらぶらしていれば福祉のあれが受けられるという、これはやっぱり僕は何としてもこれはおかしいんじゃないかなと、こう思うんですが、厚生省としてどう判断をされているのか。
  14. 塩田幸雄

    政府参考人塩田幸雄君) 障害者方々が働くこととかあるいは自立を目指されるということは、これからの障害者福祉政策の最も重要な課題であると考えております。  こうした働く障害者方々通勤等に必要となる介助なんですけれども、昨年の四月から支援費制度が始まっていますが、こうした支援費によるサービスは、委員からも御指摘がございましたように、公費によって賄われているということがございまして、私企業等事業に関連したサービスということで、現行制度ではなかなか難しい課題であるということは事実でございます。  しかしながら、委員が御指摘をされましたように、障害者就労支援というのはこれからの厚生労働省における障害者福祉政策の最も重要な課題だと考えております。特に、旧労働省と旧厚生省一緒になったということで、これまでは福祉政策雇用政策の間にバリアがあったということで、正にこの福祉政策雇用政策バリアフリーが必要であるということで、現在、厚生労働審議官をヘッドとして省を挙げて障害者就労とか働く場の確保の問題について検討しております。  こうした障害者就労支援をどういう形で進めるかにつきましては、障害者方々はもちろんですけれども、自治体の方、企業の方、いろんな方々の御意見を聞きながら、幅広い角度で、先生の御指摘のことも含めて、いろいろ検討させていただきたいと思います。
  15. 伊達忠一

    伊達忠一君 非常に難しいと言うけれども、むしろ私は、やっぱりこういうものに取り組んで、積極的に上げてやれる方向にやっぱり政策を実行してやるべきだと、こう思うんですよ。  それで、今までよく行政というのは縦割り縦割りだと、こう言われるんだけれども、今度は労働省厚生省一緒になったわけだから、むしろお隣同士に住んでいるわけだから、逆に言えば一つの部屋の中でやれるということで、むしろ今まで以上には取り組みやすいんじゃないの。  やっぱりこういう障害者のために皆さん方が積極的に取り組むことが、むしろ、そうでなくてもいろんな問題、厚生省は最近、昨日も何か事件が起きているようですけれども、そんなものの、贈収賄みたいなことに一生懸命やらないで、こういうものに一生懸命取り組むべきですよ。
  16. 塩田幸雄

    政府参考人塩田幸雄君) 御指摘がありましたように、厚生省労働省一緒になったという意味で、障害者方々福祉サービスを受けるだけじゃなくて、積極的に雇用の場とかに出ていく上での政策を立案し実施するという意味では非常にやりやすくなったと思いますし、統合して三年目ですし、障害者雇用分野で成果を出さなきゃいけないと思っております。  障害者就労の場とか働きやすい環境整備ということは本当に大事なテーマでありまして、その点については省を挙げて検討しておりまして、来年度予算でありますとか、いろんな制度も二つに分かれた前提で作られておりますので、法制度の改正も含めて今一生懸命検討しているところでございます。
  17. 伊達忠一

    伊達忠一君 是非ひとつお願いしたいと、こう思っております。ちょっと厳しいことも言ったけれども、私は野党ではございませんから、与党でございますのでしっかりと支えながら、そしてやっぱり国民の信頼というものを是非ひとつ回復していただきたいと、こう思っております。  それから、(「そうだ」と呼ぶ者あり)そうでしょう。先ほど言った竹中さんという理事長さん、大変、女性の方なんですがいろんなことをやっておられまして、プロップ・ステーションというような、いわゆる何というか、福祉施設のことを一生懸命やっておられて、私はこの一つに、ただ福祉事業を一生懸命推進しているだけではなくて、いわゆるチャレンジドと、チャレンジドという要するに障害者、アメリカでこう言っているらしいんですが、確かに、こういう人たち納税者になれますよ、自立して納税者になれるよという、その支援をしているのを僕はすばらしいことだと、こう思うんですね。  そして、そこにまたその介助をする人たちがやっぱり加わるということになると、やっぱり雇用の場ということも随分広がっていくでしょうから、そうすると両面、僕はこれは評価されることじゃないかなと、こう思うんですが、そういう面から申し上げて、支援費の使途の柔軟性に対する方法なんかが、やっぱり今厚生省でおっしゃっていましたが、こういう面についてもひとつ、どうですか、検討をするということはいかがなものでしょうかな。
  18. 塩田幸雄

    政府参考人塩田幸雄君) 竹中ナミさんについては私どもも何度もお会いしておりますし、私自身もプロップ・ステーションにお訪ねをして、障害者の方がIT機器を駆使されて生き生きと働かれている姿を拝見して感動したと。  支援費をこういう雇用とか働きやすいことに活用することについては、支援費制度全体も財源の不足とかいろいろ問題抱えておりまして、現時点でなかなか難しい課題であると率直に言わざるを得ませんけれども、いろんな形で障害者の方が働く場を確保されるとか働きやすい環境にするということは非常に大切な課題でありますので、いろんな角度から検討させていただきたいと思います。
  19. 伊達忠一

    伊達忠一君 是非ひとつ、先ほど申し上げたように、財源の問題も確かにこういうものというのはすべて絡んでくるわけでございますが、是非ひとつ、自立して、やっぱり誇りを持って税金を払っているんだという、自立をしていこうという障害者に対しては是非ひとつ支援していただきたいと、こう思っております。  それから、ユニバーサルデザイン、要するに、そういうものを取り巻く環境というのは非常に環境だとか条件によって違ってくると、こう思うんです。例えば、都市と地方とかという具合によっても違いますし。ですから、そういうものを構築するためには、やっぱり地方がその個性を発揮できるようなそういう仕組み、地域に合った支援というものが私はやはり必要だろうと、こう思っております。  例えば、北海道の帯広市の砂川市長っているんですが、この方はユニークな市長さんなんですが、雪国ならではのいわゆるユニバーサルデザインというものを提唱されております。雪の降る地域でもって、どうしてもお年寄りが身近に利用されるというのはバス、交通機関ではバスなんですが、そういうものが、ノンステップが雪が降ってしまうと役に立たなくなってしまう。ですから、補助ステップのための助成金をバス会社に市が出すとか、それから、やっぱり停留所なんかが雪で、除雪しないと踏んで山になって、それがしばれて滑ってというようなことから、そういうところも除雪をしてやるというようなことで、いわゆる今までの交付税、いわゆる寒冷地補正というのがあるんですが、補正係数をやっぱり積雪には今までどおりやっぱり上乗せをしてあげていただきたいと、こう思っております。  今、三位一体だとか何かということでいろいろと地方が大変な今状況にあるわけでございますが、やっぱりそういう地域の、地方の人たちがだれでも暮らしやすい社会、いわゆるユニバーサル社会形成の観点からも、このような地方の実情に即したやっぱり支援というのはこれからもずっと持続していくべきと考えますが、いかがですかな。
  20. 岡本保

    政府参考人岡本保君) 御指摘のように、ユニバーサル社会の形成のためには、それぞれの地域の特性に応じて標準的な行政が確保されなければいけないというふうに考えております。  そのために、正に地方交付税で財源保障をする仕組みを取っているわけでございまして、その今御指摘のような積雪なり自然条件によって当然その地域での行政需要、正に除雪等の経費が割増しになるわけでございますので、そういう割増しの経費を現在も交付税の補正係数で一定、その積雪の差によって算定をさせていただいておりますが、当然、そういう地域の基礎的条件をそろえていくということは大事でございますので、今後とも、そういうような需要につきましては必要な経費をきちんと積算していきたいというふうに考えております。
  21. 伊達忠一

    伊達忠一君 是非、このようなすばらしい、私も参画させていただいて調査会なんというのがあるわけでございますし、参考人おいでになった方というのは、もう私も本当にすばらしいなということを思っております。そういう人に忙しい中来ていただいて、いろいろと御提言をいただいているわけでございますから、是非これを、これから取りまとめされるんでしょうけれども是非ひとつ、十二分に目的が達成されるように是非委員長にお願いして、私の質問を終わります。
  22. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 民主党・新緑風会の和田ひろ子です。  国土交通省にまずお尋ねをいたします。おいでですよね。  去る三月二十六日の六本木ヒルズで起きてしまった自動回転ドアの事故についてお尋ねをしたいというふうに思います。  余りにも痛ましい事故が起きてしまったために、もう本当にみんな驚いています。このことは各委員会とかいろんなところで質疑をされたというふうに思いますが、自動回転ドアについて安全基準が定められていなかったことが大変指摘をされました。国土交通省と経済産業省では検討会を設置してガイドラインを作成するというふうに聞いておりますが、安全の確保は行政の責務でありますから、再発防止に全力を挙げていただきたいというふうに思っています。  ユニバーサルデザインの七つの原則というのが、ロナルド・メイスさんという方が提唱されてありますが、その中の一つに、間違いに対する寛大さ、単純なミスが危険につながらないことというふうなことで、危険や予期しない動作、意図しない動作のもたらす不利な結果を最小限にするということが挙げられております。このような観点を十分に取り入れられたガイドラインを作成する必要があると思いますが、いかがでしょうか。  また、不特定多数が利用する施設設備の基準、ガイドラインについては、高齢者障害を持つ方はもちろん、子供の目線も十分に取り入れられることが重要と考えます。  ガイドラインの作成に当たりまして、どのような対応が行われているか、お伺いをいたしたいと思います。
  23. 松野仁

    政府参考人松野仁君) お答えいたします。  今回の事故を受けまして、国土交通省及び経済産業省の共同で自動回転ドアの事故防止対策に関する検討会を設置いたしました。三か月程度で設計者あるいは管理者が守るべきガイドラインを整備することといたしております。既に、四月八日に第一回の検討会を開催したところでございます。  で、この検討会におきましては、高齢者団体、障害者団体、子供の安全に関する団体の代表の方、あるいは建築物のユニバーサルデザインの専門家であります東洋大学の高橋儀平教授にも参加いただいておりまして、御指摘のようなユニバーサルデザイン七原則の考え方も取り入れながら検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
  24. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 あわせて、六本木ヒルズについてはそれ以前から事故が起こっていたということなんです。あと、また報道では、回転扉の事故というのは全国で二百七十件もあったということなんですが、この情報が活用されないで今回の事故を招いてしまったということは大変残念だというふうに思います。  安全確保のためには対応が後手に回らないための何らかの仕組みが必要だというふうに思いますが、このような仕組みについて検討をされておられますか。
  25. 松野仁

    政府参考人松野仁君) 大変この御指摘は重要な御指摘だと思います。事故情報を収集いたしまして、建築行政上の事故防止策に役立てるということは大変重要な課題だと思っております。  従来から地震、火災あるいは事故によりまして建築物に対して重大な被害が生じた場合には、都道府県の建築部局から国土交通省に情報提供するよう要請しているところでございますが、これまで自動式の回転、大型の回転ドアについてかなりの、まあ小さなものも含めて、事故があったということが建築行政サイドに伝わっていなかったということがやはり問題ではないかと思います。  今後、建築基準法の中に定期報告制度というのがございます。この制度を活用いたしまして、事故情報についても特定行政庁、これは公共団体での建築行政部局でございますが、特定行政庁が建築物の所有者あるいは管理者からの報告に基づいてこれらを把握できる仕組み、あるいは消防機関、その救急車で運ぶというようなことがございますので、あるいは消費生活センターというような、こういったところの情報を都道府県等の建築部局が収集して、重大事故のおそれのある情報をできる限り事前に把握するということができる仕組みをこれから併せて検討してまいりたいと考えております。
  26. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 この教訓を本当にしっかりあれしていただいて、そういう仕組みを作っていただきたいと思います。  あと、経済産業省にお尋ねをいたします。  すべての人が暮らしやすい社会というユニバーサル社会の形成の促進のためには、日常生活で用いられている製品について選択肢が多いということが必要だというふうに言われています。例えば、携帯電話についてお尋ねをいたします。  私も今、携帯電話持ってきていますが、この機能のうちに、すごい多機能で、私が使っているのは電話を掛けることとメールとか、あとちょっとスケジュールをすることと、あと目覚まし時計の代わりに使う、このぐらいしかないんですよね。  本当にすばらしい多機能にしていく、もうハイテクにしていくと同時に、シンプルなことをきちんとしていくということも必要じゃないかというふうに思うんですが、例えばお年寄りは、お年寄りの方が携帯電話を使うとすれば、文字盤が小さいとかボタンが押しにくいとかあると思うんですが、お年寄りの携帯用にボタンが赤、白、黄色、三つか四つぐらいで、赤は自宅に、白は病院に、あとはお友達にぐらいの、そんな携帯電話があってもいいんじゃないかな、それはお子さんにも使えるというふうに思いますね。  そういうような携帯電話とか、あと普通の人がこんな何十種類あるか分かんない機能を使わないとすればもったいないから、オプションでやっていく何かの携帯電話があっていいんじゃないかななんていうふうに考えます。あと、充電器がみんな一緒だったらとっても使いやすいだろうなということも考えます。そういうことを考えて、ユニバーサルデザイン観点から、このようなニーズに対応するために、例えば多品種少量生産による製品メニュー、製品をメニュー化することも必要だし、シンプルなものも必要だというふうに思います。  高齢化という時代の要請もあり、すべての製品がユニバーサルデザイン考え方によって作られるとよいと考えますが、JIS規格などではユニバーサルデザイン考え方はどのように反映されているのか、お伺いをしたいと思います。  また、ユニバーサルデザインによる製品の認知度、さっきどこか、どこで買っていいか分かんないなんていうアンケートがあったなんていう話も出ましたけれども、企業のユニバーサルデザインへの取組に対して国はどのような支援をされておられるか、お尋ねをしたいと思います。
  27. 岩田悟志

    政府参考人岩田悟志君) 携帯電話についてのユニバーサルデザインに関する御質問でございますけれども委員指摘のとおり、携帯電話は既に八千万加入という状態に達しておりまして、国民一人一人、消費者一人一人の方が手に持っておられるという状態にございます。  ただ、実際に携帯電話、非常に普及しましたのはここ数年のことでございまして、その間、軽量化でありますとか小型化でありますとか、あるいは高機能化、先ほど先生指摘になりましたけれども、いろんな機能がたくさん付いておりまして、最近ですとカメラが付いているのが標準になっておりますとか、いろんな新製品が開発されて普及が一巡したというのが多分現状であろうかと思っております。  先生お話ありましたような、お年寄りに使いやすい携帯電話あるいはもっとシンプルな機能を持った電話、こういったものにつきましては、各メーカーともいろんなその消費者の方の御意見、御希望を聞きながら、いろいろな製品開発をしているというのが実態でございます。  最近でございますけれども、ワンプッシュのボタン、大きなボタンが三つあってですね、そのボタンを押すと決まった電話にぴゅっと電話ができるとか、そういう幾つかシンプルな機能を付けた電話でありますとか、あるいは文字盤の表示、これは非常に大きな文字が出てくるという電話も、これは最近メーカーが開発をし始めまして、売り出されたところでございます。  そういう意味で、いろいろ多機能、高性能という要求、他方でシンプルでいいものを、簡単に使いやすいものをと、こういった消費者の要望にこたえた形の製品開発、メーカーに是非促していきたいと思っております。  ちなみに、充電器というお話もございましたんでございますが、一言だけ申し上げますと、充電器につきましては、今申し上げましたように、携帯電話がいろんなデザイン、形状、これまでは非常に薄っぺらいものを一生懸命作っていましたけれども、カメラ付きになりましたらばちょっと分厚くなったとか、そういう形状の問題もございまして、なかなかその充電器そのものを同じような形にすることは難しゅうございますけれども、これも消費者の方々高齢者方々、いろんな御希望にこたえる形でですね、メーカーの方にいろんな開発を促していきたいというように思っております。  いわゆるそのJISの規格等と、その政府あるいは民間業界が一緒になってやっておりますユニバーサルデザインの活動についてちょっと御紹介をさせていただきたいと思いますけれども、私ども経済産業省では、携帯電話を含めて情報通信機器全般、ユニバーサルデザインをどういうふうにしていくのか、バリアフリー的なアプローチをどうしていくのかという議論を以前からいたしておりまして、直近でございますと平成十二年に一つまとまったアクセシビリティ指針、障害者高齢者のための情報処理機器のアクセシビリティ指針というものを拡充したものを策定をいたしておりまして、この中で使いやすい、高齢者障害者方々も含めまして使いやすい情報通信機器、そのための設計の指針というものを作ってございます。  あわせて、現在進めておりますのは、この指針をJIS、これに採用しようと思っておりまして、現在そのJIS規格で、今申し上げましたようなユニバーサルデザイン考え方を取り入れたJIS規格の策定というものを準備を進めておるところでございます。  あわせて、関係の業界、ユニバーサルの認知度というお話がございましたけれども、私ども、情報通信機器、携帯電話のメーカー、これら参画しておりますいろんな団体を持ってございます。そうした団体と協力して、今申し上げましたような指針あるいは工業標準、JIS規格というものを策定をいたしておりまして、併せてそういったものを普及させていく、導入させていく、こういう活動を業界と一体になってやっておるということでございます。  以上でございますが、これからもこういったアクセシビリティー、バリアフリーユニバーサルデザインという観点、十分踏まえながら施策を講じてまいりたいと、かように考えてございます。
  28. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 一緒に質問してもよかったんですが、これは企業の方に申し上げたいんですが、例えば電話を別の機種にするとき、またこんな大きいマニュアル本が来るんですね。あれ、全部読んでいる人なかなかいないと思うんですが、そういうことも何か御指導があればいいというふうに思いますので、一言付け加えます。  次に参ります。国土交通省にお伺いします。  先日、三鷹の市長さんがおいでになって、三鷹に住む人も住みやすい、また三鷹を訪問される方にもいい、そういうまちづくりユニバーサルデザインだというふうにおっしゃったように思いますが、例えば、道路を運転とか自動車に乗っていて、この間も私、三鷹の市長さんに言ったんですが、ごく近所の人が分かる道路標識と、もう全然関係ない県からというか遠くからおいでになった人が見る交通標識が同じものだと、とても見にくいということが私思うんです。だから、近くの方が、その近くの方が見られる標識は何、赤色にするとか、遠くからおいでになった方がブルーの色の標識を見れば、この国道は、例えば会津に通っている四十九号線はどこからどこまでの道路で、ここを結局行けばどこに行くよというような標識と、あるいは近くはどこの村に行くのはどういうところとか、どの市に行くのはどの、遠くからおいでになった人は、どの市に行く、どの村には行かないけれどもこの町を通って遠くのところに行きたい、その行き先が分からない場合があるんですね。  そういう意味で、赤い標識は近所の標識、ブルーの標識は遠くを表す標識みたいな色分けをして、分かりやすい標識を作っていただきたいなと。例えば高速道路は今緑の標識だから、緑の標識、どこから、どこに出てくるかなというふうに思いながら車に乗っていると、ああ、高速道路の入り口分かるよという感じなので、そういうものがあっていいんじゃないかなというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。例えば、絵文字を使うとか、外国の方にも分かりやすい標識とか、そういうことを考えられていったらいかがですかという、これは提言なんですが。
  29. 榊正剛

    政府参考人(榊正剛君) 委員指摘のように、実は各方面から道路案内標識が分かりづらいのではないかというような御指摘を受けておりまして、実はもう今から六、七年ぐらい前になりましょうか、目安箱みたいなものを設けまして、タクシードライバーの方だとか一般利用者の方から、どういう案内標識がいいかと、それからどこが悪いかというようなことを聞いておりまして、それに合わせていろいろ直させて今いただいているところでございます。  ただ、色彩の点がございましたのでちょっと申し上げておきますが、色彩につきましては非常に、色数が増えると非常に煩雑になるという点と、高齢者とか白内障患者の方々ということになりますと色の組合せで実はその色の識別ができないというようなことがございますのと、赤はストップだと、黄色は警戒だよという信号のベースの議論がございまして、黄色と赤はそういうところに余り使っちゃいけないよとか、そういうようなことがございまして、現在は、一般道路については行き先は青色で白抜きの標示、高速道路は緑で白抜きの標示ということで、委員、先ほど御指摘いただきましたように、緑が来るとああ高速道路か有料道路だよと、こういうふうな実は感じになっております。  ただ、私どもの目から見ていると非常に恥ずかしい話なんですが、国道と都道府県道以上が交差する道路の交差する主要な交差点、一万八千か所あるんですが、実はそのうちの六四%ぐらいしかその路線番号とか路線名をきっちり標示できてないということがございまして、まずこれを平成十九年までに、この一万八千か所について、路線名と路線番号がこういうふうに交差しているんだよというのが分かりやすくきっちり見えるということを取りあえずきちっとやらにゃいかぬということにまず全力を挙げたいということと、外国から来られた方だとか初めての方がおられますので、実は平成十二年の交通バリア法の施行に併せまして標識令の改正を行っております。そのときに、実は今まで国土交通省の道路局というのはどちらかというと自動車を中心に物を考えていたものですから、案内標識もどちらかというと自動車中心型だったんですが、これを歩行者系の案内標識を抜本的に改める、追加するということをやっておりまして、そのときに、ここは駅付近だよというと駅の絵文字が出てくるとか、身障者用のエレベーターがあるよといったらそういう絵文字を作ってみたりということで、そういう形で絵文字を、もう本当申し訳ないんですが、ほんの四、五年ぐらい前からそういう絵文字を導入してやり始めております。  そういう意味では、地図を用いました案内標識というのをそのときにまた位置付けまして、今、どちらかというと情報板というのは、皆さん御存じのように、信号の横っちょにこんな板があって行く先しか出てないんですが、実は歩行者系の道路へ入りますと、地図を用いた案内標示板というのを作っていまして、そこの中には英語もあれば中国語もハングルも入っておりますよというようなことをやったらどうかということで、それを作り始めております。  まだまだ足りないところは数々あろうと思いますが、いろいろな御指摘も踏まえながら、徐々に改善して充実をさせていきたいというふうに思っておるところでございます。
  30. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 是非、遠くから行ったとき、近くのときの標識は是非変えて、ただ赤と白とか、青なんと言ったのはちょっと分かりやすく言ったので失礼いたしましたが、そういうことを考えていただきたいと思います。よろしくお願いします。  総務省にお伺いをいたします。  全国津々浦々どこでも同じサービスを受けることができるという郵便局というのは、これは本当にユニバーサルデザインの最たるものではないかなというふうに思います。こういうネットワークというものを我が国はもう本当に誇りにすべき大きな財産だというふうに思います。  この全国にくまなく張り巡らされている国民の財産をいかに有効に活用していくか、ユニバーサル社会形成の観点も含め、総務省のお気持ちをお伺いしたいんですが。
  31. 高橋亨

    政府参考人高橋亨君) お答え申し上げます。  先生指摘のように、現在全国に二万四千七百の郵便局があまねく設置されておりまして、それぞれの郵便局で、郵便あるいは郵便貯金、そして簡易保険といった国民生活に密着した基礎的なサービスというものを提供させていただいております。それのサービスに加えまして、近年では、独居老人の方に声をお掛けするといったひまわりサービスども行われているところでございます。  先生指摘ユニバーサルサービス社会ユニバーサル社会というものにおきましては、年齢ですとか性別とか、あるいは障害の有無とか、あるいは地域の別にかかわらず、だれでも快適に生活できるということが重要であるということでございまして、その意味でもこの郵便局のネットワークというものを有効活用して、今後とも、高齢者障害者の方も含めまして、地域住民の方に基礎的なサービスを安定的に提供していくということが大切だと思っております。  付け加えて申し上げさせていただきますと、郵便局においては高齢者の方とか障害者の方を支援するような取組ですとか、ユニバーサルサービス、デザインといった配慮についても様々な施策を講じさせていただいておりまして、例えば郵便局舎のバリアフリー化、車いすの方でも楽に出入りできるようにとか、そういった取組でありますとか、目の不自由な方に点字郵便物無料送達させていただくとか、あるいはATMに点字や音声の案内を付けるとか、さらには、貯金していただいたとき、簡易保険の契約をしていただいたときの契約書にも点字での表示を付け加えるといったことなどを取り組んで現在おりますけれども、今後ともそういった取組というものを適切に行っていけるように期待をしているところであります。
  32. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 ありがとうございます。  内閣府にお尋ねをいたします。  あらゆる面でユニバーサル社会の形成を理念とした国づくりが求められているというふうに思います。地方公共団体では、ユニバーサルデザイン観点から行政の見直しを行っているところもたくさん増えています。国も、ユニバーサルデザイン観点から施設やガイドラインとか各種事務の見直しなんかも行われているというふうに思います。  ユニバーサルデザインユニバーサル社会について普及啓発も含めて政府全体で取り組まれていくお考えがあるかどうか、内閣府にお尋ねをいたします。
  33. 香川弘明

    政府参考人香川弘明君) 委員お尋ねのユニバーサルデザイン社会づくりについてでございますけれども内閣府といたしましても、社会バリアフリー化推進障害者施策推進等観点から、現在、積極的に普及啓発、広報啓発等に取り組んでいるところでございます。  具体的に申し上げますと、バリアフリー化推進に功績のありました団体等に対します表彰制度といたしまして内閣総理大臣表彰、そして内閣官房長官表彰。また、障害者施策に関しましては、障害者の日あるいは障害者週間というのがございますが、それに合わせまして「障害者の日」記念の集いを開催いたしております。さらに、その行事の中で心の輪を広げる体験作文、それからまた障害者の日のポスターに対する内閣総理大臣表彰といったものを行っているところでございます。  そのほか、新聞、テレビ等マスメディアを使いまして広報啓発に努めているところでございます。  また、今後一層推進することといたしております。
  34. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 ありがとうございます。  総務省にお尋ねをします。  政策評価にユニバーサルデザイン観点を取り入れられることは必要だというふうに思いますが、総務省の見解はいかがですか。
  35. 田村政志

    政府参考人田村政志君) 政策評価につきましては、平成十四年の四月に施行されました行政機関が行う政策の評価に関する法律に基づきまして実施をして、二年ほどやってきております。  評価に当たりましては、評価の対象政策の特性に応じまして、政策の必要性であるとか有効性だとか効率性を始めといたしまして、適切な観点を選択して総合的に評価するようにと、こういうふうになっております。  そこで、御指摘ユニバーサルデザイン考え方につきましても、今申し上げました必要性、効率性、有効性とともに、政策の特性に応じまして、特に公平性の観点ということにつきましても十分これから政策評価の中でも評価のポイントとして我々取り組んでいきたいというふうに思っております。
  36. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 ユニバーサルデザインというのは、年齢や能力にかかわりなくすべての生活者に対して適合するデザインというふうに言われておりますが、もう私は考えるに、ユニバーサルデザインというのは、障害者のためのとか子供のためのとか高齢者のためのではなくて、熟成された社会全体、社会だったら、もう健常者であろうと、全員、もうあらゆる人々のためのものがユニバーサルデザインだと思うんですね。  だから、結局、アンケートの中でユニバーサルデザインの製品はどこに行って買うのとか、ユニバーサルデザインが認知されていないとかというふうないろんな御意見が出たそうですけれども社会全体がユニバーサルであれば、どの製品もユニバーサルデザインであるべきだし、どこに行ってもユニバーサル社会でなければいけないというふうに思いますので、皆様の御奮闘をどうぞよろしくお願いいたします。  終わります。
  37. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 公明党の渡辺孝男です。  私は最初に、ユニバーサルデザインの機器開発に関して質問をさせていただきます。  最初に農林水産省にお伺いをいたします。  農業の実際の担い手は、近年、女性や高齢者に移行しつつあります。女性や高齢者に配慮した耕作機器の開発、あるいは最初からユニバーサルデザイン意識した農機具の開発、そういうものの現状、それから今後の取組についてお伺いをいたします。
  38. 染英昭

    政府参考人(染英昭君) 先生指摘がありましたように、我が国の農業従事者におきましては女性や高齢者が大変大きな割合を占めております。したがいまして、農業機械につきましては、女性、高齢者に配慮し、いろいろな年齢や体格の人が安全に利用可能となるユニバーサルデザイン化を図っていくことは極めて重要であるというふうに認識しております。  このため、農林水産省といたしましても、農業機械の改良普及を業務とする独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構が行っております農業機械のユニバーサル化へ向けた取組に対して支援を行うなど、女性、高齢者に配慮した安全で操作しやすい農業機械の開発に取り組んでいるところでございます。  今後とも、農業機械のユニバーサルデザイン化への支援を通じまして、だれもが使いやすい安全な農業機械の開発普及促進してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  39. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 農水省の質問はこの一問だけですので、御退席結構でございます。  次に、外国人との共生あるいは言葉バリアフリーについてお伺いをいたします。  けいはんなの学研都市に行ったときに、ちょうど、どこでしたかね、国際電気通信基礎技術研究所を見せていただいたときに音声翻訳システムの研究をお聞きをしました。このような音声翻訳システム機器の開発の現状と、今後一般的に利用可能なポータブルな通訳機器の開発普及の見通しについて総務省にお伺いをしたいと思います。
  40. 鬼頭達男

    政府参考人鬼頭達男君) 先生指摘のとおり、外国人との共生のために、また円滑なコミュニケーション、それから相互理解増進のために、この自動翻訳技術、非常に重要と認識しております。  総務省におきましては、音声自動翻訳技術の研究開発を推進しておるところでございます。具体的には、御指摘のとおり、豊富な音声翻訳研究の実績を有します国際電気通信基礎技術研究所、通称ATRと申しておりますが、こちらに携帯電話等を用いた多言語自動翻訳システムの研究開発を平成十五年度より委託しております。これによりまして、日英、日中、日韓の三か国語との間の翻訳技術の研究開発を実施しているところでございます。  それで、現在の研究のレベルでございますが、日英の翻訳につきましては、一般旅行会話であれば外国人と支障なく会話が行える翻訳技術が確立されつつあるところでございますし、日中、日韓翻訳につきましても鋭意研究開発を行っております。平成十七年中にこれらの技術の確立を目指しておりまして、平成十八年ごろに実用的なポータブルの自動翻訳機器が民間企業において商品化されるんではないかと期待しているところでございます。  以上でございます。
  41. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 平成十八年ごろというと本当にもうすぐかなということで、まだまだ外国語に弱い私にとりましても非常に有り難いことだなと思いますが、本当に携帯でそういうものが利用できれば日本がビジット・ジャパンを、観光客誘致を進めるに当たっても有力な武器になるんではないかなと、そのように考えます。期待しておりますので頑張っていただきたいと思います。  総務省に関しての質問もこの一問だけですので、御退席されても結構です。  次に、障害者社会参加支援によるユニバーサル社会の実現に関して質問をさせていただきます。  最初、厚生労働省にお伺いをいたします。  コミュニケーションに障害のある障害者に対する通訳・介助者の必要人数と現在の養成状況並びに活動状況についてお伺いをいたします。また、今後の取組についても新たな取組がございましたらばお伺いをしたいと思います。
  42. 塩田幸雄

    政府参考人塩田幸雄君) 手話通訳者につきましては、都道府県、市町村におきまして手話通訳者養成事業あるいは手話奉仕員養成事業によって養成が行われているところでございます。  平成十四年度末現在で活動が可能な登録者数は、手話通訳者が約五千人、手話奉仕員が約一万三千人となっております。また、盲聾の方々のための通訳・介助員は、全国盲ろう者協会あるいは都道府県により養成が行われておりますが、平成十四年度末現在、活動が可能な登録者数は約二千人となっております。こうした方々が聴覚に障害のある方々あるいは盲聾の方々の通院などの日々の外出時に必要となる通訳等の要請にこたえておられるわけですけれども、聴覚障害者あるいは盲聾者のニーズに的確に対応できますよう、必要な通訳者等の養成をし確保することが重要であると考えております。国といたしましても、聴覚に障害のある方々あるいは盲聾の方々社会に参加しやすいよう、今後とも手話通訳者養成事業あるいは派遣事業の充実に努めてまいりたいと考えております。
  43. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 今お答えあったんですが、その方々はプロとしてやっておられる方が多いのか、それともボランティアでやっておられる方が多いのか、もしお分かりでしたらば。
  44. 塩田幸雄

    政府参考人塩田幸雄君) 多くの方は都道府県から若干の報酬を得てやられているということでありまして、職業は様々だと思いますが、基本的にはボランティアの性格が強いと思います。
  45. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 人数からすると、全国レベルからするとまだまだ少ないんではないかなという印象がありますけれども、今後とも養成等に努力をしていただければと思います。ありがとうございます。  次に、重度の知的あるいは身体障害児に対するコミュニケーション技術の開発の現状と今後の取組について文部科学省にお伺いをしたいと思います。  実は、そういう子供さんで、重症な障害児でコミュニケーションの手段がないということで大変御苦労されていると。アメリカの方ではそういうコミュニケーション機器が開発が大分されているが、日本の方では後れているというようなお話も聞いておりました。そういうことですので、その開発状況についてお伺いをしたいわけであります。
  46. 金森越哉

    政府参考人(金森越哉君) お答え申し上げます。  重度の知的障害児や身体障害児のコミュニケーションにおきましては、教師と児童生徒との間に落ち着いて安心のできる関係が作られることが重要でございます。そのためには、指導技術の創意工夫はもとより、様々なコミュニケーション指導の方法が使われているところでございます。  各学校では、重度の子供に対してかかわり方や言葉掛けを工夫することにより自発的なコミュニケーションを促進する方法や、機器を用いてコミュニケーションを図る方法などがそれぞれの子供のニーズに応じて使われておりまして、都道府県の特殊教育センターなどではそれらの専門的な研修講座が開かれているところでございます。  特に、コミュニケーション支援機器による指導につきましてはその有効性が広く認められておりますことから、内外のメーカー等により各種コミュニケーション支援機器の開発が行われておりまして、国立特殊教育総合研究所などではそれらの教育場面での利用方法について研究と開発が行われており、長期、短期の研修生の受入れや職員による出張講座なども行われているところでございます。  また、国立特殊教育総合研究所では平成十六年度より情報手段活用による教育的支援指導者講習会を実施し、情報教育等を担当する教職員で各都道府県の指導的立場にある方を対象に、コミュニケーション支援機器等による教育的支援などの専門的知識や技能を高め、その指導力の向上を図ることとしております。  今後とも、国立特殊教育総合研究所と連携を図りながら、コミュニケーション技術の充実、活用について一層の努力をしていきたいと考えております。
  47. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 先ほどの、そういう重度の子供さんを持っている方々でそのコミュニケーションの器具を工夫されているというのを、マジカルトーイボックスさんという、そういうボランティアの方々がいらっしゃって、私たちも現場の方に一度御案内をいただいたことがあるんですが、スイッチをオン・オフするだけでいろんな遊びにも参加できるということで、そのオン・オフをする器具が、スイッチが工夫されれば大分その子供さんの能力開発にも、あるいはその子供さんが遊びを通してまた自己開発することもできるということで、大変、そのスイッチを入れる、オン・オフをするような器具の開発というのが非常に大事だというようなお話を聞きまして、そういうこともどんどん研究開発を進めていただければと思います。  次に、文部科学省と厚生労働省一緒にお聞きをしたいんですが、人工呼吸器を装着している、あるいは気管カニューレを装着している障害児の教育現場では医療行為としてのたんの吸引が問題になっています。吸引するために保護者が同席しなければならない、そのような負担を軽減する対策に関して、文部科学省並びに厚生労働省取組をお伺いしたいと思います。ALSに関してはこの点大分改善をされたということでありますが、そのようなほかの病気の方々、特に子供さん、教育を受けなければいけない、受ける権利がある子供さんについてどのような取組がなされているのか、お伺いをしたいと思います。
  48. 金森越哉

    政府参考人(金森越哉君) お答えを申し上げます。  御指摘ございましたように、近年、養護学校におきましては、障害の重度・重複化に伴いまして、日常的に医療的ケアを必要とする児童生徒への対応が課題となっており、医療、福祉関係機関と密接に連携した適切な対応が求められております。  このため、文部科学省におきましては、平成十年度から、養護学校と医療・福祉関係機関との効果的な連携方策や看護師の配置により対応する場合の教員、医師、看護師、保護者等が連携した対応の在り方について調査研究を行ってきたところでございます。これらの調査研究の成果を踏まえまして、平成十五年度からは厚生労働省との連携の下、養護学校における関係者の連携、医療・福祉関係機関及び都道府県の関係部局間の連携、並びに看護師と教員の連携の在り方など、養護学校における医療的ケアの体制整備を図るためのモデル事業を行っているところでございます。  このモデル事業におきましては、看護師の常駐等、一定の体制の下で教員がたんの吸引など行うことが認められておりますが、このモデル事業を実施するに当たりましては看護師資格を有する者の配置が条件となっておりますので、各都道府県におきましては、看護師資格を有する養護教諭を採用している場合や看護師を特別非常勤講師として採用している場合、又は訪問看護ステーションを活用している場合など、地域の実情に応じた工夫がなされているところでございます。  なお、看護師資格を有していない教員が看護師との連携の下に行うことができる行為の範囲などにつきましては現在厚生労働省において検討が進められていると伺っておりまして、文部科学省といたしましてもこのモデル事業で得られた成果などの提供に努めてまいりたいと考えているところでございます。
  49. 岩尾總一郎

    政府参考人岩尾總一郎君) 今、文部科学省からのお答えもありましたが、私ども、いわゆる医行為、医師の医学的判断及び技術をもってするものでなければ人体に危害を及ぼし、また危害を及ぼすおそれのある行為というものは、基本的に医療関係資格を有する者が行うべきというふうには考えております。  そういう中で、先ほど文部科学省とモデル事業を行っているという答弁がございましたけれども、モデル事業におきましては、看護師の常駐など一定の体制の中で教員が行う、条件はありますけれども、三つの行為、たんの吸引、それから経管栄養補助、それから自己導尿の補助というようなことが認められてきたということが、行われたということがございます。  厚生労働省、このようなモデル事業の成果を踏まえまして、養護学校において障害を持つ児童生徒に対し適切なケアを提供するためにはどういう体制で、それからどのような手続を踏んで、そしてどういう関係者が連携をしていくかということについて検討をするということで進めております。本問題についての結論はできるだけ早く得たいというふうに考えております。
  50. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 本来ならば医療行為ができる方が常時そばにいれば理想的なんですが、やはりそういう状況で、現実はそういう状況でないということですので、様々な知恵を集めて、そういう家族の方々あるいは御本人にとっても、事故がなく、しかも便利であるという、そういう状況になりますように御努力をいただければと思います。  次に、最後の質問になりますが、文部科学省にお伺いをいたします。  我々、先ほどもありました福島さんという盲聾者の方の御意見参考人としてお聞きをしたんですが、やはり障害を持っている、障害者というよりはチャレンジドと言ってくださいということでありますので、チャレンジドの方のお話では、やはり生きる励ましの言葉をいただくことが非常に大切だというようなお話もございました。  そういう意味で、障害児、チャレンジドの子供さんに対して生きる力をはぐくむ教育というものの現状と今後の取組についてお伺いをしたいと思います。
  51. 金森越哉

    政府参考人(金森越哉君) お答え申し上げます。  障害のある児童生徒に対しましては、障害の重度・重複化や情報化などの社会の変化に適切に対応し、自己の持つ能力や可能性を最大限に伸ばし、自立社会参加するための基礎となる生きる力を培うことが大切であると考えております。そのためには、児童生徒一人一人の障害などの状況に応じたきめ細かな指導を一層充実することが必要でございます。  このため、平成十四年度から実施されております盲・聾・養護学校の小中学部の学習指導要領におきましては、障害の重度・重複化に対応して、障害の状態を改善、克服するための指導領域である養護・訓練について、自立を目指した主体的な活動であることを一層明確にする観点から、目標や内容を改善いたしますとともにその名称自立活動に変更いたしましたり、重複障害者の指導に当たりましては、児童生徒一人一人にきめ細かな指導が行われるよう個別の指導計画を作成するなどの改善を図ったところでございます。  障害のある児童生徒一人一人の教育的ニーズに対応した適切な支援を行うことがますます重要となっておりますことから、今後とも学習指導要領の趣旨の徹底に努めますとともに、障害のある児童生徒に対する指導に関する教育研究に取り組むなど、教育内容の充実に努めてまいりたいと存じます。
  52. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 やはり人間、励ましを受けたいですね。褒められたりすればそれだけ喜んでいろんなものに取り組むという、そういう姿勢が出てまいりますので、これからもそういう励ましを与えたり褒めてあげたり、そういうことをやっていただきたいなと、そのように思います。  以上で質問を終わります。     ─────────────
  53. 勝木健司

    会長勝木健司君) この際、政府参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  国民生活経済に関する調査のため、本日の調査会厚生労働大臣官房審議官新島良夫君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 勝木健司

    会長勝木健司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  55. 西山登紀子

    西山登紀子君 日本共産党の西山登紀子でございます。  当委員会で、ユニバーサル社会の形成について、障害を持たれた参考人の方なども参加をしていただきまして、大変有効な調査が進められたと思います。  そこで、障害者社会参加の可能性を拡大するという点で質問をさせていただきます。  障害のある人のJRなどの運賃割引制度について簡潔に御説明ください。
  56. 丸山博

    政府参考人丸山博君) 身体障害者、知的障害者の方に対しますJRの割引、運賃割引制度でございますが、障害者が介護者とともに乗車する場合、障害者及び介護者双方につきまして、運賃それから急行料金につきまして五〇%の割引が行われております。また、障害者が単独で百一キロメートル以上乗車する場合につきましても、運賃について五〇%の割引が行われているところでございます。
  57. 西山登紀子

    西山登紀子君 こういう割引の制度があるかのごとく説明がされるんですけれども、実は実態は、九七年、私、予算委員会で、この割引制度の急行料金の部分については実はもう既に実態が違っているということを調べて質問いたしました。独自に調べたんですけれども、特急は急増しているけれども急行は激減しているんですね。で、特急料金も割引の対象として拡大すべきでしょうと求めたら、当時、古賀運輸大臣は、JRに要請していくと答弁をいたしました。重ねて、当時の橋本龍太郎総理大臣にもよろしく頼むと質問いたしましたら、彼、彼というのは、古賀運輸大臣は、九州男児としてその言葉を守ると思うと答えたわけですね。  ところが、あれから七年経過しているんですが、その間に私、何回もこの対象の拡大を求めてきました。障害者団体などからも強い要望がありますが、いまだに特急は対象になりません。なぜなのでしょうか。
  58. 丸山博

    政府参考人丸山博君) そもそも障害者の方に対します運賃割引制度の性格でございますが、運賃割引制度そのものにつきましては、これは鉄道事業者が自主的な判断に基づきまして、割引による減収を一般的に他の利用者の負担によって賄うという形で行われておるところでございます。事業者は公共交通機関としての社会的責任と経営上の判断、その二つによりまして実施をしておるところでございます。  ただいま御指摘になりました平成九年の参議院の予算委員会におきまして、当時の古賀誠運輸大臣はJRの特急料金への割引の拡大につきまして、基本的に鉄道事業者の経営上の判断等、事業者によって最終的には決定されるものでありますが、JRに対して検討を要請するというふうにお答えをしたところでございます。  この趣旨を踏まえまして、私ども国土交通省といたしましてはJRに対しまして再三理解と協力の要請を行ってきたところでございます。  しかしながら、JRにおきましては、現行以上の割引制度の拡充は更なる減収を伴うものであるということから、特急料金にまで割引を拡大するのは困難であるというふうにしておるところでございます。
  59. 西山登紀子

    西山登紀子君 七年の間に更に事態は進んでいると思いますが、実態を述べてください。  一日当たりの急行の運行本数、併せて特急及び新幹線は何本運行されているでしょうか。
  60. 丸山博

    政府参考人丸山博君) 現在運行されております定時の急行の列車は九列車、それから一日当たりの運転本数は二十四本でございます。これに対しまして、特急、新幹線の一日当たりの定時の運行本数につきましては、新幹線七百本を含めまして二千二百本というふうになっております。
  61. 西山登紀子

    西山登紀子君 今お聞きになりましたように、この制度は急行に対する制度でございますので、急行はもうほぼ一%ぐらいしかなくなっているわけです。ですから、使われておりません。JRは減収と言いますけれども、減収にもなっておりません、使われていないわけですから。ですから、もうこの制度というのはほとんど使われていない、死に体の制度になっているんじゃないかというふうに、これはもうどなたもお認めになるだろうと思います。  元々、この制度は一九五〇年に身体障害者福祉法に基づいて国鉄時代に作られた制度なのですね。だんだん制度が拡充されてまいりまして、昭和四十一年に急行料金を割引の対象にして、障害のある方の移動の自由を拡大したわけでございます。介護者が付く場合には両方半額にしましょうねと、こう言った。  ところが、七年たって、いまだに私は質問して、大臣の答弁ですからこれは重いです。ところが、いまだにやられていないということで、私は、やはりJRは企業の社会的責務としても、利益の社会的還元を行っていくということを国として強く要請すべきだと思いますし、それでもJRがやらないのであれば、国として障害者の移動の自由を保障する何らかの手だてを打たなければならないと思います。  ノーマライゼーションとかユニバーサル社会を形成する上での、これは重大な課題だというふうに思うわけですね。どうでしょうか。
  62. 丸山博

    政府参考人丸山博君) ただいま先生指摘ございましたように、障害者の方に対する割引、運賃割引というものにつきましては、昭和二十五年に制度が創設されたところでございます。  基本的な考え方といたしましては、常時介護者の同行がなければ移動が困難な重度の障害者について、二人分の普通運賃をそれぞれ半額とすることによって、実質的に一人分とすることによって負担の軽減を図るという基本的な考え方によるものでございます。その後、先生からも御指摘ございましたが、割引の対象者を拡大するなどの制度拡充を図ってきたところでございます。  基本的には、今申し上げましたように、鉄道事業者の経営上の判断にかかわる問題で、何を割引の対象とするかということは検討されてきたところでございます。私どもとしましても、これまでもやってまいりましたけれども、今後も引き続き鉄道事業者に対して理解と協力の要請を行っていく所存でございます。  また、先生指摘ございましたように、本件につきましては、国の社会福祉政策的な観点からの位置付けも視野に入れた議論も必要ではないかというふうに考えておるところでございます。
  63. 西山登紀子

    西山登紀子君 国の福祉を視野に入れた施策も必要という、その点の御答弁は積極的に実行していただきたいと思うんですけれども、どうも、委員長、このJRという、社会の私は公器だと思いますけれども、なかなか理解が深まらないようですので、私は、当委員会としても、ユニバーサル社会調査している当委員会としても、JRにそういう要請を是非していく方向で検討をお願いしたいと、理事会での検討をお願いしたいと思います。ひとつよろしくお願いします。  次に、就労者の就労権についてお伺いをいたします。  天海参考人からも出ましたけれども障害者就労権の問題についてどうなっているかということなんですが、国連の社会権規約委員会、二〇〇一年八月に、日本に、改善すべき勧告が行われております。その第二十五項で、障害者に対して、特に労働及び社会保障の権利に関連して、法律上及び慣習上の差別が依然として存在することについて懸念を持って留意すると勧告をしているわけですね。  そこで、お聞きしますけれども、法定雇用率の問題なんです。  障害者の最新の雇用状況を見ますと、二〇〇三年六月の雇用率は一・四八%にとどまっておりまして、依然として法定雇用率一・八%をクリアできておりません。また、千人以上の大企業の未達成率が非常に高い、六九・八%と未達成率は高いです。大企業の社会的な責任が果たされていないという点を私は述べざるを得ません。雇用率を上げるためにどのようなこれから努力をされるかということ、まずは一点お聞きしたい。  さらに、障害がある人の働く受皿として小規模作業所が大変広がっているわけですけれども、最近、補助金の一割カットというのが連続しております。四年度の予算では、前年度比三億円減で二十五億円、補助対象の箇所数が二百五十二か所減、二千二百五十五か所というふうになっているわけですね。  障害のある方が働いていただくお給料って、給料とは言えない額ですが、平均が一万円だそうです。それで、働いていらっしゃる方々も十三万円前後ということで、もう食べていくのに必死だという状況でございます。そういう人たちを、わざわざ補助金をカットしていくというのは、私はユニバーサル社会形成の、むしろ逆行しているんじゃないかと思うんですね。むしろ、そういう無認可の作業所の方が、就労していらっしゃる、働いている障害者の数は約九万人ということで断トツに高い。六千か所、九万人が働いている。実際の法定の通所授産施設は二千か所で、六万八千人が働いていると、こういう状態でございます。  私は、こういう逆立ちした状態は直ちに改める、それがユニバーサル社会の形成の方向だと思いますが、答弁を求めたいと思います。
  64. 新島良夫

    政府参考人(新島良夫君) 最初に、雇用率未達成企業に対する指導ということでございますけれども、これにつきましては、実雇用率の低い企業に対しまして雇入れ計画作成命令、勧告、特別指導等を行った上で、なお改善が見られない場合におきましては企業名公表をもって臨むということで対応しております。昨年度は、六月に一企業に対してこの公表を実施したところでございます。  この雇用率達成指導とともに、平成十四年度から指導対象企業の範囲を拡大をいたしまして、毎年六月に定期的に公表を行うこととしたところでございます。今後とも、未達成企業に対しましては厳正に指導してまいりたいというふうに考えております。
  65. 塩田幸雄

    政府参考人塩田幸雄君) 小規模作業所は、障害者方々が地域で生活する上で大変重要な役割を果たしておられると考えております。  小規模作業所に対する補助につきましては、先生から御指摘がありましたように、平成十六年度予算におきましては、民間団体の補助金を一割カットするという政府全体の方針に沿いまして、やむを得ず補助箇所数を、対前年度比で一割に当たります二百五十二か所が補助対象外になったところでございます。  小規模作業所は、先生の御指摘にありましたように、全国で六千か所、約九万人の障害者方々が働く場として活用されているということでございまして、今後とも障害者方々が地域で生活する上で重要な役割を果たすものと考えております。  こうした観点に立ちまして、十六年度予算編成の後、小規模作業所に関連しております八つの団体の方と厚生労働省意見交換会を今年の二月から設けまして、去る四月二十日にその意見交換の結果を取りまとめたところでございます。  その取りまとめの中では、これから小規模作業所につきまして、障害者状況あるいは果たしている機能に応じた施設体系を見直していくことでありますとか、あるいは小規模授産施設へ移行するに当たっての社会福祉法人の要件の緩和などの点について取りまとめをしていただいたところでございます。さらに、障害者就労の在り方全般につきまして、厚生労働審議官をヘッドとする検討会を設けて検討を行っているところでございます。  先ほども申し上げました懇談会の報告とか、あるいは省内の検討結果などを踏まえまして、小規模作業所を踏まえまして、いろんな障害者方々に対する就労支援全体の在り方を再検討し、支援策についても積極的なものにしていきたいと考えております。
  66. 畑野君枝

    ○畑野君枝君 日本共産党の畑野君枝でございます。  私は、この間、本調査会におきまして学童保育と障害児への国庫補助の問題について質問をさせていただいてまいりました。二〇〇一年の二月には、二十人以下の学童保育への国の補助とそして障害児への対応を求め、二〇〇二年の二月には、二〇〇三年度から十人以下でも過疎地、大都市部に関係なくすべての地域で国庫補助の対象になると、十人以上ですね、で対象になるというふうに伺ってまいりましたし、その際に、障害児の受入れ促進という点では国の補助を一人からでも付けてほしいということを訴えてまいりました。  そのときには、従来障害児を四人以上受け入れているクラブに付いていた加算を調査研究踏まえて検討してみたいという御答弁だったというふうに思いますが、今どのようにこの障害児への加算がされているか伺います。
  67. 伍藤忠春

    政府参考人伍藤忠春君) 放課後児童健全育成事業における障害児加算の現状でございますが、平成十三年度に障害児加算を創設をいたしました際には、四人以上の障害児を受け入れた児童クラブに加算を行うということで創設をされたところでございますが、その後の十三年、十四年の実施状況を見まして、十五年度からはこの補助要件を、四人以上を二人以上に緩和したところでございまして、二人以上障害児を受け入れた場合には非常勤職員一人当たり程度に相当する助成金を加算をする、こういうふうな仕組みに改めたところでございます。
  68. 畑野君枝

    ○畑野君枝君 全国学童連協の調査によりますと、障害児の受入れの実態が一九九八年で二千か所、約三千人だったのが、二〇〇三年では四千か所、約七千二百人で、この五年間で二・四倍に急増しているというふうに伺っております。  この点ではどのような今後調査をされるおつもりですか。
  69. 伍藤忠春

    政府参考人伍藤忠春君) 障害児の調査といいますか、この放課後児童健全育成事業につきましては毎年実態を把握すべくいろいろ調査をしておりますので、その中でこういったものについてもどういう実態にあるかということについてよく把握をしていきたいというふうに思っております。
  70. 畑野君枝

    ○畑野君枝君 地元の横浜市で伺いましても、自治体で受入れ制度がないというところがあるんですね。あるいは、障害児保育への専門家の巡回相談をやってほしいということもありますから、是非きめ細やかな実態をつかんでいただいて対策をしていただくことが必要じゃないかと思うんです。  最後にまとめて二点伺いますが、二人以上、三人、四人、五人、六人でも同じ加算しか付かないという現状だと思うんですね。これはやはり大変なことでありまして、是非この見直し、それからやはり、じゃ二人で少なくなってということでも困りますので、大幅な増額を是非進めていただきたいというのが一点です。  それから二点目に、私この間申し上げていますように、一人から補助を付けてほしいという声が本当に地元でも多いんですね。先ほどの連協の調査でも、一つの学童保育に何人の障害児が入所しているかというアンケートには、五八・六%が一人という回答を寄せております。ですから、是非この障害児受入れの補助要件の人数制限をなくしていただいて、これ自身、加配の予算を増額していただきたいというふうに思いますが、いかがですか。
  71. 伍藤忠春

    政府参考人伍藤忠春君) 二点お尋ねがございましたが、まず最初の方は、二人以上で今一律に障害児加算というのを付けておりますが、これを人数比例にできないかということだと思いますが、この点につきましては、実態として、御指摘のありましたように一人を受け入れているところとそれから二人受け入れておるところが非常に学童保育多いわけでありまして、三人以上という非常にたくさん受け入れているというところは数の比率の上では圧倒的な数ではないという実態がまずございますが、いずれにしても、先ほど申し上げましたように、最初は、四人以上障害児を受け入れた場合にはこれは人手が掛かるんで人件費一人分というようなことでスタートしたわけでありますが、これをやはり実態に即して二人以上ぐらいから、やはりいろいろコストといいますか、いろんな手間が掛かるということに着目して配置をできるようにしようということにしたわけでありますので、これが人件費相当分を出す費用であるということからいたしますと、単純に人数比例で三人になったら三人分、四人になったら四人分というような形がいいのかどうか。先ほど言いましたような、一人、二人のところが圧倒的に多数であるという実情も見ながらこの辺りは考えていくべきことではないかなというふうに思っております。  それから、一人のところにも障害児加算を適用できないかということでございますが、これもなかなか、今までの経緯でございますので、確かに障害児を受け入れた場合の手間暇といいますか、いろんなあれ掛かるわけでありますが、どこまでそれをきめ細かく見るべきかどうかということであろうかというふうに思います。  実態に着目して、ある程度人件費分について見なければならないというふうに考えてきたところについて今そういう制度にしているわけでありますが、これを例えば一人についても人件費一人分を出すことにするのかどうか。全体のコストといいますか、財政負担の問題もありますので、そういったことでありますとか、あるいはこういう奨励的な補助事業をそういうふうに非常にきめ細かく国が決めてしまうということがまた果たして妥当かどうかといったこともあろうかと思いますが、いずれにしても、確かに障害児を受け入れた場合の体制をどうするかということについてはいろいろ検討すべきことはあろうかと思いますので、今いろいろ申し上げましたけれども、そういった観点からなお検討の余地があるかどうか、幅広くこれから少し研究をしてみたいというふうに考えております。
  72. 畑野君枝

    ○畑野君枝君 子どもの権利委員会の最終所見、今年一月出ましたけれども障害を持つ子供のための特別な教育及びサービスに割り当てられる人的及び財政的資源を増加させることというふうに述べられておりますので、是非進めていただきたいと思います。  終わります。
  73. 勝木健司

    会長勝木健司君) 以上をもちまして政府に対する質疑を終了いたします。     ─────────────
  74. 勝木健司

    会長勝木健司君) 次に、意見表明を行います。  本調査会は、この三年間、「真に豊かな社会構築」をテーマ調査を進めてまいりました。本日は、これまでの調査を踏まえ、最終報告書を取りまとめるに当たり、委員各位の御意見を承りたいと存じます。  それでは、順次御意見をお述べ願います。
  75. 山東昭子

    ○山東昭子君 二十一世紀の成長産業は旅行、観光、通信、カード産業だと言われております。同時に、日本では現在五十歳以上が五千万人、二〇〇七年から二〇一〇年には六千万人になると予測されております。そうした人たちはあらゆる面からゆとりのある人たちが多いようでございます。  最近は高齢者チャレンジドのためには随分気配りがされ、旅もしやすくなってまいりました。しかし、改善されたとはいえ、IT化時代ではまだまだパソコンの配列や操作方法なども複雑でございます。Eメールも、アドレスのカードを差し込み、発音すれば届くような高齢者に親切な製品をメーカーも是非作ってほしいと思います。  また、昔と違って、官僚の若手も企業で営業の研修も受けているようですが、ユニバーサルデザインについても行政マンがもっともっと議論できるような、経験と感性を養うような環境整備を行うべきではないでしょうか。  思いやりのある社会まちづくりを多くの人たちとともに作り出してまいりたいと思います。  以上でございます。
  76. 伊藤基隆

    ○伊藤基隆君 民主党・新緑風会の伊藤でございます。意見を申し上げます。  二十一世紀を迎えて、我が国の経済社会は一段と急速な変貌を遂げようとしております。これまでの人口増加社会は二〇〇七年からは人口減少社会に転じ、文字どおり高齢社会に突入しようとしています。  その一方で、いわゆるグローバル化が一段と進み、物も金も情報も、そして人の動きさえもが更に活発になり、こうした面からも私たち社会国民生活は大きく変わろうとしています。  確かに、我が国は物質面では世界でも有数の豊かな国になりました。しかし、今日の私たちの生活を振り返ってみると、更により便利なものを手に入れるために、またより多くの金をもうけるために、そして洪水のように押し流されてくる情報によって、肉体的に疲れ切り、精神的なゆとりや豊かさを見失っている人々の姿を見ることは決して少なくありません。  私たちは、科学技術を発展させ、高度な文明社会を作り上げることに成功しました。技術者も研究者も人間の生活をより豊かにしようとして努力を重ねてきた結果ではありますが、単に物質的な豊かさを追求するだけの活動は、一方でアノミー現象と呼ばれる自己喪失感や精神的不安感を伴う社会的な価値が見失われた混乱状態を引き起こしています。私は最近の新聞紙上をにぎわわせている事件の数々を見ていると、重大犯罪はもとより軽微なものにも共通するのは、人間の精神活動が限界に近づきつつあるのではないかと感ずるのであります。  これからのあるべき技術革新の方向性や有限な地球資源の活用について考えるとき、根源的な意味で、精神的な豊かさの中に人間の幸福を求めていくべきではないかと思うのであります。何が人間にとって幸せであるか、豊かであるか、そこに考え方を収れんしていくことで、単に物量やスピードだけを競うのではなく、だれもが安心して暮らせる、幸せに暮らせるという人間の精神的な視点や人間性を大切にした社会構造へと変革することを目標に、行政、製造、流通等を始め、社会のパラダイムを大胆に変えていく必要があるのではないかと考えます。  調査会では、ユニバーサル社会形成促進について、六名の外部の参考人から、また本日は政府参考人からも御意見を伺いました。  障害者方々は、現在、社会のあちこちに残っている障害物を取り除き、安心して人間らしい生活ができる社会にしてほしい、つまりバリアフリーを実現してほしいという心の叫びを述べられました。その具体的な問題の所在の鋭い指摘に、これまで、障害者の視点からは不十分な社会の在り方や構造を再認識させられ、その主張には胸を打たれるものがありました。  また、行政の立場からは、現在展開しているユニバーサル社会を形成していくための施策や今後の方向性などを伺いました。どんな社会にしたら県民や市民が暮らしやすいユニバーサル社会になるかを考え、そこに住む人のみならず、訪れる方々にももてなしの気持ちで迎え入れる、外に開かれたユニバーサル社会にしていきたいという行政の立場からの考えを伺いました。  重度の障害児を持つ参考人からは、今後のあるべき社会に転換していくためには、私たちがこれまで障害者高齢者に対して向けてきたまなざしや考え方そのものを百八十度転換していくことが必要であるという、ある意味では衝撃的な話を伺いました。  さらに、企業においてユニバーサルデザインに携わっている参考人からは、ユニバーサルデザインとはすべての人のデザインであり、本来の物づくりの姿であることを伺い、感銘を受けました。  これまでユニバーサル社会という言葉そのものになじみのなかった私たちにとって、各参考人が向き合っている問題や取り組んでいる課題の中で語られたユニバーサル社会像は新鮮なすがすがしいものとして受け止めることができました。しかし、ユニバーサル社会という言葉の中身は語る人によって微妙な違いを抱えているようにも感じられました。  今後は、このユニバーサル社会という言葉が広く社会の中に浸透し、人々の間で親しみを持って共通の概念の下で語られるように発展していくことを願うものであります。  私は、私がこれまで携わってきた郵政事業に照らして考えてみると、全国津々浦々、どこでもだれにでも同じサービスが行き届くようにすることを私たちはごく自然な発想でユニバーサルサービスと呼んできました。これもユニバーサル社会一つだと思います。利益だけを追求したら全国で二万四千七百の郵便局ネットワークを維持することはできません。ましてや、過疎地域で郵便配達員が独居老人に声を掛けて御用聞きを行うひまわりサービスは、スピードだけを重視したらとてもできるものではありません。百三十年間にわたり公的な郵政事業を営んできた郵便局の現場では、無意識のうちに人間に対するサービスなのだという共通の認識ができていたと経験的に思うところですが、こうしたユニバーサル社会を創造していくためには、三百六十五日、二十四時間対応できる社会システムも欠かせません。基礎の部分、例えば最低限、消防や救急がなければ安心して何もできないように、現実には公的な役割、私的な役割が多角的、重層的に、様々な事態に対応できる仕組みが有効に機能し合って初めて今日の社会が成り立っていることを忘れてはなりません。  私たち人間は社会的な存在として生きていますが、その社会の中で生きていくには自助、公助、共助の確立が重要です。申すまでもなく、自助とはまず自分の力で何事もやってみることですが、個人の力には限界があります。そのときには行政など公の力をかりる、すなわち公助を受けることになります。公の役割は欠かせませんが、行政にも予算の制約等の限界が出てまいります。その際に、周囲の地域や職場の人々が互いに支え合う共助が必要になると思うのであります。楽観的に過ぎるかもしれませんが、共助には無限の可能性が秘められているとすら思っております。自助、公助、共助という重層的な社会システムを構築していくことが、すなわちユニバーサル社会の形成の早道なのではないかと考えるものであります。  経済社会の進歩とともに、社会の組織や研究分野が細分化され、それぞれの分野がますます専門性を強めております。細分化と専門性、それ自体は社会の進歩にとって必要なことではありますが、それだけでは社会の中で有効に機能していくとは思われません。個々の専門分野を有機的につなぎ合わせ、社会の中にフィードバックしていくことが大切です。すなわち、分散と集中、これをつなぎ合わせていく仕組みを作ることが重要だということです。  私は、これまでの経済社会の発展はサイエンステクノロジーに偏り過ぎてきたと思います。科学技術の進歩発展と効率性だけを中心に考えてきた結果、私たち社会の中で暮らしていく上で最も重要な他人への思いやり、他人への愛というものを見失ってきたと感じています。その意味において、科学技術が発達すればするほど、これからの社会の中では義理人情的な人間同士のコミュニケーションが重要になってくると考えるのであります。  参考人が述べられた、IT技術の進歩で、余りに反応速度の速過ぎる駅の切符販売機や銀行の自動預け払い機が、果たして私たちの感性に合っているかという疑問には印象的でした。人間性を決して忘れずに、義理人情という人間を大切にした日本文化もこれからユニバーサル社会形成を支える精神的支柱の一つとして再認識されるべきではないかと考えておりますことを申し上げまして、私の意見表明を終わります。  ありがとうございました。
  77. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 公明党の渡辺孝男でございます。公明党の委員を代表して意見を述べさせていただきます。  第百五十三回国会の平成十三年八月七日に設置されました第六期の参議院国民生活経済に関する調査会は、調査項目を「真に豊かな社会構築」とし、これまで約三年にわたって調査活動を行ってまいりました。  初年度は、グローバル化が進む中での日本経済の活性化と社会経済情勢の変化に対応した雇用社会保障制度の在り方をサブテーマとして調査を行いました。  公明党からは松あきら委員がまとめの意見表明をし、真に豊かな社会構築のためにはある程度の社会保障を含めた経済的裏付けが必要であり、厳しい国際競争を勝ち抜くためには様々な規制緩和や大きな構造改革が急務と主張しました。また、人材育成、教育投資の充実、男女がともに働きながら家庭を支えていく時代に対応した就業スタイルの多様化や子育て支援策の充実、男女共同参画社会構築、夫婦別姓も視野に入れた広い意味での改革の必要性も訴えました。さらに、地方分権や都市再生の推進、ベンチャー企業や中小企業支援のための金融支援の充実、倒産後にも再起可能な社会構築の必要性も強調しました。  その他の委員からは、ワークシェアリングの導入の検討を行うべき、研究開発促進税制の導入を図るべきといった意見が出されました。  二年目は、地域社会での住民の、あるいは国民のライフスタイルの変化に着目し、生活者の視点から真に豊かな社会構築に向けた課題を検討するため、国民意識の変化に応じた新たなライフスタイルをサブテーマと決定し、調査を行いました。  公明党からは松あきら理事がまとめの意見表明をし、日本社会はエゴが横行し他者の存在や生命を軽視するライフスタイルのもたらす犯罪により社会不安が増加し、また環境汚染も日常化しており、これらを改善するためには、まず大人が、我々は地球共同体の一員であることを認識し、人類益、地球益に立ち、正義と平和の確立に努力し、生命を尊厳する社会構築する必要があると主張しました。また、日本は少子高齢化の真っただ中にあり、高齢者障害者への福祉施策の充実並びに少子化社会に対応したライフスタイルの確立と実践が重要であることを指摘しました。また、教育改革は教員からという視点に立った教育改革の推進や、国際化に対応した人材の育成の重要性を訴えました。特に、日本人としての誇りと世界市民としての自覚を併せ持つ高邁な人格の涵養が新しいライフスタイルの形成につながるとの認識を示しました。  その他の委員からは、高齢社会の進展を踏まえ、歩いて暮らせるまちづくり推進することや、都市住民がいやしの場として農山漁村との交流を深めることの重要性を指摘する意見が出されました。  三年目は、ユニバーサル社会形成促進をサブテーマと決定し、個人の自立と豊かなライフスタイルの実現、ユニバーサル社会の形成のための課題施策などを中心に調査を進めることになりました。  ユニバーサル社会は、一般的には障害の有無にかかわらずだれもが自由に安心して暮らせる社会意味と解されますが、参考人としておいでいただいた社会福祉法人プロップ・ステーション理事長竹中ナミ氏の言葉をおかりすれば、すべての人が力を発揮できてなおかつ支え合って構築するような社会と表現されます。この違いは、同氏の次の言葉により一層明確になります。  ユニバーサル社会バリアフリーユニバーサルデザインバリアフリーとどこが違うんですかということをよく聞かれるんですが、私が考えているバリアフリーというのは、こういう人たちにとってこの部分が困るので、町とか社会をこのように変えていきましょうということなんですが、ユニバーサルは、もう一歩進んで、障害がなくなることによってその人がどういうふうに社会で活躍できるのかと、あるいは社会で活躍してもらおうというところまで踏み込んで社会整備を行うというのがユニバーサルだというふうに感じています。  つまり、その人の社会での活躍の可能性又は期待まで踏み込んで社会整備を行うことだと解釈できます。この考え方は、障害者チャレンジド、すなわち挑戦という使命や課題を与えられた、あるいは挑戦というチャンスや資格を与えられたというポジティブな意味でとらえることと軌を一にしています。  このように、前向きに物事をとらえ、積極的に社会に働き掛けていく姿勢は大変にすばらしく、公明党としても、ユニバーサルデザイン考え方、思想を強く支持し、その考え方が息づいている社会、すなわちユニバーサル社会形成促進を積極的に推し進めてまいりたいと考えています。  ユニバーサルデザインという言葉は、物を対象とするばかりでなく、本来広く、思想、考え方、哲学、法律までを含む広い意味を有しており、ユニバーサル社会を形成するためには、したがって、物理的障壁を取り除くという狭い意味でのバリアフリー政策推進することにとどまらず、人の意識、法律、制度までもユニバーサルデザイン考え方に沿って変えていく必要があります。  ユニバーサルデザイン考え方に従えば、具体的には、チャレンジド障害者)だけでなく、子供、高齢者、外国人など、だれにとっても暮らしやすい地域づくり、国づくりをし、また物づくりをし、さらに情報受発信の環境を整え、社会自立社会参加を保障し、それらの人々が積極的に自己実現の機会とその能力を場合によっては仲間の支援を受けながら獲得することができるようにすることが重要になります。当然のことながら、それらを可能とする法制度整備も怠りなく進める必要があります。そして、竹中ナミ参考人が目標に掲げた「チャレンジド納税者にできる日本」が実現できるよう全力で取り組む必要があります。  同じく参考人おいでいただいた、社会福祉法人全国盲ろう者協会理事であり、東京大学先端科学技術研究センター、バリアフリー分野助教授の福島智氏は、指点字で通訳・介助者と会話をしながら私たち委員に対して朗々と意見を述べてくださり、大きな感動を与えてくださいましたが、盲聾者となり、やみと無音に包まれた真空の宇宙空間の世界に閉じ込められてしまったときに、この苦境から脱出できたのは、氏の母がたまたま発見した指点字という新しいコミュニケーションの手段のおかげというお話をお聞きし、我が子を思う母の深い愛に再び感動させられました。  このような経験をさせていただいたおかげで、ユニバーサル社会形成がいかに大切なものかよく分かりました。  そのほか、おいでいただいた多くの参考人方々の貴重な御意見等も踏まえまして、以下、ユニバーサル社会形成促進のための意見を述べさせていただきます。ただし、この部分は私個人の意見とさせていただきたいと思います。  一、ユニバーサル社会形成推進基本法(仮称)の法制化の検討を急ぐべき。二、ユニバーサル社会ユニバーサルデザイン定義を明確にし、その普及啓蒙を強化すべき。三、障害者チャレンジドと呼ぶことを普及啓蒙すべき。四、物理的バリア、情報・文化のバリア、心のバリア、法制度のバリアの除去に積極的に努めるべき。五、ユニバーサルデザインまちづくり推進すべき。六、ユニバーサルデザイン条例の制定など地方での取組を評価する。七、ユニバーサルデザインに配慮した物づくり推進すべき。八、チャレンジドのコミュニケーション方法の開発を促進すべき。また、通訳・介助サポートの充実を図るべき。九、盲聾関係者の総合拠点、日本版ヘレン・ケラー・センター(仮称)の早期設立に期待する。十、静岡県で開催される予定の二〇〇七年ユニバーサル技能五輪国際大会の成功に期待する。  以上です。
  78. 西山登紀子

    西山登紀子君 日本共産党としての意見表明をいたします。  本調査会は、「真に豊かな社会構築」をメーンテーマに、三年間にわたり調査活動を行い、今期はユニバーサル社会の形成をサブテーマとして調査を進めてきました。  ユニバーサルデザインというものがまだ十分に社会や多くの国民に浸透していない下で、今後のユニバーサル社会を形成する上で認識を深める有意義な調査となったと考えます。とりわけ、障害をお持ちのお二人の参考人から御意見を聴取できたことは、正に当調査会ユニバーサル社会の形成に向けた実践的な調査の場となった画期的なことであると考えます。  私は、参考人質疑政府への質疑を通じて、第一に、ユニバーサルデザイン及びその社会とはどういうものか、そして、バリアフリーとのかかわりはどう考えたらよいのか、第二に、障害を持つ方々が日本という社会の中で個々の生き方も含めて様々な障害に直面している問題、第三に、現実に直面している問題の解決とユニバーサル社会の形成に向けて国や地方自治体、企業などが果たしていく役割と姿勢はどうあるべきなのか、そうした問題と課題が出され、概略整理されたのではないかと思います。  ユニバーサルデザイン並びにその社会について、各参考人の御意見は、バリアフリーとの対比など含め、ほぼ共通したものであったと思います。バリアフリーは、車いす用のスロープを付けるなど物理的なバリアの除去、そのほかに、情報と文化のバリア、心や意識のバリア、法律や制度のバリアなどの除去であること。一方、ユニバーサルデザインは、主に製品や商品などの設計などで、年齢、性別、障害、人種や能力の違いなどによって生活に不便のない物づくり社会づくりを前提に、機器、建築、生活空間をデザインするというものであり、そして、みんなが参加でき、いかなる属性によっても差別されず、だれもが平等に生きる権利が保障された社会であるということです。  特に、バリアフリーとのかかわりでは、すべての人々が共通する利便を検討するには個々人若しくは集団にとってのバリアを明らかにすることが重要であり、また、バリアフリーユニバーサルはどちらか一方でなく両方必要なものであるという指摘は、今後のユニバーサル社会を形成する上でまず念頭に置かなければならないことであると考えます。  そして、障害を持つ方や高齢者方々が安心して生き生きと生活できる社会を形成する上では、現実に直面している問題についてあいまいにせず、一つ一つ解決していくことが大切です。  九歳のときに目が見えなくなり、十八歳で耳が聞こえなくなるという二重障害になられた福島参考人が、一番つらかったことは他者と話ができなくなったこと、コミュニケーションができなくなったことだと述べられました。その後の御家族の努力もあり、指点字という方法でコミュニケーションを取ることができるようになり、それを通じて、他者とのかかわり、そして支援グループや福祉制度などへかかわるきっかけとなり、人生におけるバリアから解放されたという意見は、生きる希望を培う上で人と人とのコミュニケーション、福祉制度がいかに重要であるかを認識させるものでした。  その人が希望と可能性を発揮していこうという意欲を培い、それを支持する取組ユニバーサル社会として必要であると言えます。  その上で、第一に政治の在り方が重要です。ユニバーサル社会の形成を目指しながらも、政治が早急にイニシアチブを発揮し、予算と体制も付けてバリアフリーを進めていかなければなりません。  その際に、障害を持つ人たち障害の種類や程度を超えて様々な意見や要望を出し合い、計画の段階から当事者として参加し、理解を深め、実態や要望を十分に反映させてバリアを除去すべきとの参考人からの提起は、今後、国や自治体などがユニバーサル社会の形成を進めていく上でかぎになるものだと考えます。この点で、市民参加の三鷹市のバリアフリーまちづくり取組は大変参考になるものです。  また、様々な点字ブロックが弱視の障害のある人に利用しにくいこと、駅などのエスカレーターや障害者トイレの利用しにくいこと、ハートビル法が既存の建物には適用されていない問題、大学や小中高等学校のバリアフリーの遅れ、また、障害を持つ人の就労権の保障、盲聾者などのサービスや教育などを行う専門機関を作ること、住宅の改造や福祉機器への助成など、障害を持つお二人の参考人から出された政府に対する要望は早期に実施すべきです。  第二は、企業、とりわけ大企業の責任も問題です。  産業界の参考人ユニバーサル社会の形成にとって企業の社会的責任、CSR、コーポレート・ソーシャル・レスポンシビリティーが欠くことのできないものであると指摘したことは極めて重要です。小泉内閣が産業再生法などで後押しする大企業のリストラ合理化の影響は、一般の労働者のみならず、障害のある人の解雇が急増しています。参考人からは、大企業が先頭に立って障害のある人の働く場を確保し、法定雇用率を達成することなどを強く求める意見が表明されました。  JRなどの急行割引率の改善拒否は、障害ある人々の社会的参加を促す上でもユニバーサル社会形成にとっても余りにも無理解であり、即刻その改善を強く求めたいと思います。  以上のように、ユニバーサル社会の形成は真に豊かな社会構築の重要な提起であると考えます。  第三に、真に豊かな社会とはどうあるべきなのかについてです。  各参考人からは、豊かさについて、物質的豊かさと精神的豊かさの両方が大事、人間が自分の力を発揮できること、すべての人が希望や力を出し、手助けができる社会障害、性別、民族などの有無や違いがあっても、自分の豊かな人生を追求できる条件が整えられていること、一人一人の誇り、尊厳が確認できることなどなど出されました。  私は、三年間、各参考人の方に豊かさについての認識を伺ってまいりました。そのことを通じて、真の豊かさとは、物質的豊かさとともに、すべての人々がその能力の発揮と活動の全面的発達の機会が保障され、ゆとりと安心感がある下で精神的豊かさも十分に共有できることだと実感しております。  この三年間の調査は、雇用や日本経済の問題、男女ともに仕事も家庭も両立できるライフスタイルについてなど、参考人質疑、国内外の派遣調査を通じて、真に豊かな社会構築に向けて何をなすべきか、そのヒントや方向をつかむことができたのではないかと思います。  経済大国と言われる日本でありながら、今の日本の社会は、中小企業を始めとする企業倒産の増大、若者を中心とした失業者の大幅増加、過労死や過労自殺の急増、児童虐待、家庭崩壊、そして教育現場では、国連子どもの権利委員会が二度にわたって勧告しているように、極度に競争的な教育制度によるストレスのために子供が発達のゆがみにさらされていることなど、豊かな社会にはほど遠い現実となっています。  私たち日本共産党は、日本の物質的な繁栄を大企業だけの繁栄のものにしないで、国民に還元をする民主的なルールを作ることを提案しています。すべての国民の人としての全面発達のために、豊かな生産力による労働時間の短縮などは既にヨーロッパでは実現を見ています。日本でもできないことはないと考えます。  真に豊かな社会構築に向けて、本調査会調査を踏まえ、全力を尽くす所存であることを申し上げて、意見表明といたします。
  79. 勝木健司

    会長勝木健司君) 以上で意見表明は終了いたしました。  本日お述べいただきました御意見を踏まえまして、後日、理事会で協議の上、最終報告書案を作成してまいりたいと存じます。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時八分散会