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2004-06-01 第159回国会 参議院 国土交通委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年六月一日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  五月二十七日     辞任         補欠選任      藤野 公孝君     宮崎 秀樹君  五月二十八日     辞任         補欠選任      愛知 治郎君     田村 公平君      宮崎 秀樹君     藤野 公孝君      吉川 春子君     大沢 辰美君  五月三十一日     辞任         補欠選任      上野 公成君     愛知 治郎君      木村  仁君     小林  温君      北澤 俊美君     谷  博之君  六月一日     辞任         補欠選任      田村 公平君     狩野  安君      松谷蒼一郎君     段本 幸男君      脇  雅史君     柏村 武昭君      田名部匡省君     平野 達男君      谷  博之君     北澤 俊美君      弘友 和夫君     千葉 国男君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         輿石  東君     理 事                 岩城 光英君                 鈴木 政二君                 池口 修次君                 大江 康弘君                 森本 晃司君     委 員                 愛知 治郎君                 狩野  安君                 柏村 武昭君                 沓掛 哲男君                 小林  温君                 佐藤 泰三君                 斉藤 滋宣君                 田村 公平君                 段本 幸男君                 鶴保 庸介君                 藤野 公孝君                 北澤 俊美君                 佐藤 雄平君                 谷  博之君                 平野 達男君                 藤井 俊男君                 山下八洲夫君                 千葉 国男君                 大沢 辰美君                 富樫 練三君                 渕上 貞雄君    国務大臣        内閣総理大臣   小泉純一郎君        国土交通大臣   石原 伸晃君    副大臣        国土交通大臣  林  幹雄君        国土交通大臣  佐藤 泰三君    大臣政務官        国土交通大臣政        務官       斉藤 滋宣君        国土交通大臣政        務官       鶴保 庸介君    事務局側        常任委員会専門        員        伊原江太郎君    政府参考人        警察庁交通局長  人見 信男君        総務省自治財政        局長       瀧野 欣彌君        法務大臣官房審        議官       河村  博君        厚生労働省医政        局長       岩尾總一郎君        社会保険庁長官  真野  章君        国土交通大臣官        房長       安富 正文君        国土交通省道路        局長       佐藤 信秋君        国土交通省自動        車交通局長    峰久 幸義君    参考人        日本道路公団総        裁        近藤  剛君        日本道路公団理        事        奥山 裕司君        日本道路公団理        事        山本 正堯君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○高速道路株式会社法案内閣提出衆議院送付  ) ○独立行政法人日本高速道路保有債務返済機構  法案内閣提出衆議院送付) ○日本道路公団等民営化に伴う道路関係法律の  整備等に関する法律案内閣提出衆議院送付  ) ○日本道路公団等民営化関係法施行法案内閣提  出、衆議院送付)     ─────────────
  2. 輿石東

    委員長輿石東君) ただいまから国土交通委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る二十八日、吉川春子君及び愛知治郎君が委員辞任され、その補欠として大沢辰美君及び田村公平君が選任されました。  また、昨日、上野公成君木村仁君及び北澤俊美君が委員辞任され、その補欠として愛知治郎君、小林温君及び谷博之君が選任されました。     ─────────────
  3. 輿石東

    委員長輿石東君) 次に、政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  高速道路株式会社法案外三案の審査のため、本日の委員会警察庁交通局長人見信男君、総務省自治財政局長瀧野欣彌君法務大臣官房審議官河村博君、厚生労働省医政局長岩尾總一郎君、社会保険庁長官真野章君、国土交通大臣官房長安富正文君、国土交通省道路局長佐藤信秋君及び国土交通省自動車交通局長峰久幸義君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 輿石東

    委員長輿石東君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 輿石東

    委員長輿石東君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  高速道路株式会社法案外三案の審査のため、本日の委員会日本道路公団総裁近藤剛君、日本道路公団理事奥山裕司君及び日本道路公団理事山本正堯君参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 輿石東

    委員長輿石東君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 輿石東

    委員長輿石東君) 高速道路株式会社法案独立行政法人日本高速道路保有債務返済機構法案日本道路公団等民営化に伴う道路関係法律案整備等に関する法律案及び日本道路公団等民営化関係法施行法案、以上四案を一括して議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 谷博之

    谷博之君 おはようございます。民主党・新緑風会の谷博之でございます。  私は、五月二十日の当委員会質問をさせていただきまして、それに引き続いて質問の機会をいただきましたことを改めて厚くお礼申し上げながら、早速質問に入りたいと思います。  まず最初に、前回の質問の際に、私は、細田官房長官日本道路興運に関する政治資金規正法違反疑惑といいますか、そういうものに関連をいたしまして、石原大臣質問を申し上げました。  そのときの答弁速記録がここに、手元にありますが、その答弁の中で、大臣は、この日本道路興運の主要な取引を見ますと、百六十四億ぐらいの売上げに対して、国土交通省が八十九億円、道路公団が二十四億円、合わせて百十三億円と大半を、公的な組織との取引が多いと、こういうふうに答えております。  このいわゆる答弁されました数字の年度と、それからその根拠をちょっと示していただきたいと思います。
  9. 安富正文

    政府参考人安富正文君) 今、委員の方から御指摘ありました数字でございますが、日本道路興運につきましては、いわゆる車両管理業務につきまして、平成十五年度で約八十九億円、八十九億九千万円ほどでございます。このほかに、いわゆる寮の賄い業務であるとか、維持補修業務であるとか、そういうものを加えますと、平成十五年度における日本道路興運に対する発注額は九十七億七千七百万円となっております。
  10. 谷博之

    谷博之君 理事会の了承をいただきましてお手元資料を配付させていただいております。これを参考にしながらお伺いをしたいと思いますが、まず、この日本道路興運株式会社というものがあります。その上の四角の中に株式会社日本ハイウェイサービス、それからその下に大阪ハイウェイサービス中日ハイウェイサービス東京ロードエンジニアリング、こういうふうな会社がそれぞれ書かれておりますが、これらの企業は正に私たちグループ一体企業だというふうに見ております。  平成十五年度のこの発注額を見てみますと、その枠外に帝国データバンクの数字が出ておりますが、日本道路興運株式会社単体のところに百六十四億円というふうに書かれておりますが、このうちの百二十二億余がこの日本道路興運株式会社国交省と四公団から要するに発注がされているということあります。それをずっと右に向かっていって、いわゆるグループ合計というものを見てみますと、今申し上げたような五つの企業で二百三十五億円、これが発注額として実は受注を受けているわけであります。  こういうふうな実態をなぜそういうふうに言うかといいますと、例えばこの日本ハイウェイサービス、このいわゆる株式の六五%を日本道路興運株式会社保有をしているということでありますし、そしてまた、この会社の社長、会長についても、日本道路興運株式会社からいわゆるメンバーが派遣をされ、担っていると、こういうふうなことであります。したがって、これらの五社はそのグループ会社として当然連結決算対象になるのではないかというふうに思いますが、この点についてはどのように見ておられるでしょうか。
  11. 安富正文

    政府参考人安富正文君) 今、委員の方から連結決算対象になるかどうかという御質問でございますが、ちょっと私ら、そこら辺、そこの問題について、実際に日本道路興運とそのハイウェイサービス会社連結になるかどうかについては、詳細は承知しておりません。
  12. 谷博之

    谷博之君 私は実態としてそういうふうに申し上げているわけでありまして、恐らく答弁としては、いろんな発注についてはそれぞれの企業単体として発注しているということでお述べになると思いますけれども、しかし実態としては、今申し上げたように、株式保有の問題やあるいは役員人事問題等については正に一体関係にあるということを私たちは強く指摘をしておきたい。  これ、非常にこの数字見ていただきますと分かりますように、例えばその日本道路興運株式会社売上総額が百六十四億のうち百二十二億がこの発注を受けているということは、これは全体の四分の三をこれら企業国交省やいわゆる四公団から仕事を受けていると、こういうことであります。それから、一番右側の日本総合サービス株式会社についても同様でありまして、売上総額百三億円のうち七十五億余がこれらのところから仕事を受けているということであります。  したがって、これはどう見ても、私はこの依存度というのは非常に高いというふうに見ざるを得ないと思うんです。この点について、まあ私は非常に、ちょっと正にこの依存体質が甚だしい関係ではないかなというふうに思っておるわけでありますが、そんな中で、先ほど答弁に出ましたけれども、いわゆる車両管理業務というのがあります。この車両管理業務というのは、正にこの今申し上げた受注発注を受けている仕事の中でも一番の大きな柱になっているということであります。  重ねてお伺いしたいんですが、この車両管理業務、そしてそこに携わる車両管理員、これらはどういうふうな位置付けでどういうふうな仕事をされておられるか、お答えいただきたいと思います。
  13. 安富正文

    政府参考人安富正文君) いわゆるこの車両管理業務につきましては、例えば国土交通省でございますと、公用車を持っておりますが、その公用車運転手ということで、車はもちろん国の所有でございますが、運転手派遣していただいて実際にその運転業務に従事しているものでございます。
  14. 谷博之

    谷博之君 この私も中身を若干調べてみたわけでありますが、いわゆる国土交通省、そして日本道路公団を始め四公団保有している車、これを調べたところ、国土交通省では四千四百三十一台、それからJH日本道路公団については六百六十台、これが保有されていると。そのうち、その車を運転する車両管理員、これはどういう数字になっているかというと、先ほど私が触れました日本道路興運株式会社からいわゆる派遣をされてきて運転をしているその車両台数、これが平成十五年度には二千百二台、つまり四千四百のうちの二千二百ですから、半分の車両日本道路興運人たち車両管理員運転をしていると、こういうことですね。それから、日本道路公団の六百六十台についても二百二十九台、この車が日本道路興運から派遣された管理員によって運転をされていると、こういうことであります。  そして、これは日本総合サービス株式会社からも当然同じような形で行われてきていると、こういうことでございますので、私は非常に、これは本来であれば自前の国土交通省日本道路公団運転手もいるわけですから、その大部分をこういう企業に、言うならば仕事を与えていると、こういうことになっているわけです。  この点について、民営化推進委員会猪瀬直樹氏は、民営化されればこういう体質というのはなくなるだろうというふうに彼は指摘しています。つまり、どういうことかというと、公団民営化すれば、およそ職員十人当たりに一人、総勢七百人もの専属運転手の存在、これは日本道路公団の方ですけれども、については当たり前の日常ではなくなるはずだと。そして、日本道路興運によってはぐくまれた車両管理員という特殊ビジネスの歴史は民営化とともに幕を閉じるであろうと、こういうふうに彼は指摘しています。  したがって、お伺いしたいのは、日本道路公団民営化をされたときに、こういう車両管理業務車両管理員というのはなくなるんですか。どういうふうになっていくんですか。お答えください。
  15. 奥山裕司

    参考人奥山裕司君) お答えします。  車両管理業務につきまして、民営化後どういうふうになるのかというような御質問でございます。  車両管理業務につきましては、御指摘のありましたように、たくさんの台数人数、委託しておりますが、民営化を待つことなく、コスト削減の観点から抜本的に見直して、例えば今年度、当初に比べましてこの一年間で規模を段階的に減らしまして半減させる計画を立てて、現在進めているところであります。  なお、今回、民営化法案御審議いただいています中に新会社が成立しましたときには、民営化の目的の一つであります効率性の追求あるいは高コスト体質からの脱却、あるいは生産性の向上ということが可能となるように、また、より情報公開を行うべく最大限の努力をしていくべきものであると考えておりまして、車両管理業務についても同様に行うべきものであると考えております。
  16. 谷博之

    谷博之君 いろいろ私もこれ調べてみたんですが、例えば国土交通省の場合でいいますと、二千二百二台のこの日本道路興運で扱っている車両管理員が、その発注総額は約九十億円、一台当たり発注額は平均すると年間四百二十八万円、こういう金額になります。一体車両管理員というのは一日平均何時間ぐらい勤務しているのか。これも非常に、私は調べてみればいろいろ問題が出てくるんじゃないかと思っていますが、これはふだんはどのような業務を具体的にやっているんでしょうか、重ねてお伺いしたいんですが。
  17. 安富正文

    政府参考人安富正文君) この車両管理業務につきましては、我々としては、契約段階において、一台の車を運転するのに必要な人員を派遣してもらうということで、通常は、平常の業務通常公用車という形で、例えば地方整備局あるいは事務所ですと、いろんな工事現場に向かう、あるいは用地交渉等に向かう、その際の運転手という役割を担っております。  さらには、夜間であるとかあるいは休日、そういうようないろんな突発的な業務もございますから、そういう場合においてもその都度その会社の方から派遣していただいて運転手として使っているということですから、通常においては、一日の平常の勤務時間帯に運転手ということで待機し、その都度必要に応じて運転業務を行うということでございます。
  18. 谷博之

    谷博之君 後ほど具体的に更にお伺いしたい、していきますが、ちょっといわゆる車両管理業務の別の角度からの質問を一点したいと思うんですが、こういう車両管理業務受注する対象となるその企業の問題ですね、これについてはいわゆる有資格者というのがありまして、その有資格者、これ六十数社と言われていますが、その中からいわゆる指名競争入札によって発注をすると、決めると、こういうことになっているわけですけれども、具体的に今までにも有資格者資格要件とか応募要項といったものを発注予告をしたのかしなかったのか、非常にそこのところがはっきりしないわけです。    〔委員長退席理事池口修次着席〕  したがって、あくまで有資格者というのは資格条件があれば、それは広げていくべきだと思うんですが、そうではない、どうも限られた有資格者の中で指名競争入札が行われているような節もあるように聞いております。そこら辺の仕組みはどうなっておりますか。
  19. 安富正文

    政府参考人安富正文君) 国土交通省では、車両管理業務につきましてこういう業務を委託する場合には、会計法令に基づきまして、原則入札民間企業を選定して契約をするということになっております。  そういう意味で、各官署、具体的には、国土交通本省であるとか、地方整備局あるいは事務所という形で、官署にしますと四百官署ぐらいございますが、そういうところでそれぞれ車両管理業務についての入札を行うということで、その際には、いわゆる先ほどお話がありましたように、本省あるいは運輸局サイドでは一般競争入札、それから地方整備局あるいは事務所等では指名競争入札ということで、おおむね、各地域によって違いますが、多いところですと十社ほどの指名対象者を選定し、それから少ないところですと二社ほどの指名対象者ということで選定しながら実際に指名競争入札等競争入札を行っているところでございます。
  20. 谷博之

    谷博之君 私もいろんな方々から話を聞くんですが、新しくそういう、地方の局もそうですけれども、いろんな仕事に参加しようと思ってもなかなか新しく入れない、これはもう正にこの業界の通説になっておりまして、そういう意味では、限られた人たちの中で、企業の中でこういうふうな形だけの指名競争入札が行われている、こういうふうなこともうわさがあるぐらいでありますので、私は今の答弁については若干納得できない部分があるわけですけれども。  そういう中で一つ伺いしたいのは、いわゆる一回落札をしてその受注を受ける、受注をすると、一年間、これはもちろん一年間の契約なんですが、さらにもう一年間は随意契約ということで更に延長して、この契約を延長することができると、こういう仕組みになっています。つまり、一度落札をすると二年間要するに仕事を受けることができるという、こういう仕組みになっているわけです。このことに対する非常に世間の批判というのもあります。  したがって、例えば今申し上げましたように、四千四百三十一台のいわゆる国土交通省車両の二千百二台、あるいはJHの持っている六百六十台のうちの二百二十九台、こういうふうな車両を管理するこの業務受注を受けるということ、これらに対しては、私非常に、何十社もある中でそういうふうな大きなところが半分も占めていくということについては、私は非常に数的にも多過ぎるというような気がしますけれども、こういうふうな結果、結果というか状況について、副大臣はどのように御認識されておりますか。    〔理事池口修次退席委員長着席
  21. 安富正文

    政府参考人安富正文君) 先ほどこの車両管理業務につきましては、先般申し上げましたように、原則入札ということで、特に国土交通省の場合、先ほどのお話にありました一回入札に取れると随契で二年ということではなくて、毎年入札という形で更新を行っております。  そういう意味で、いわゆるこの車両管理業務については、毎年の入札の結果、会計法等に基づいて適正に実施しているところでございまして、結果としてこういう、かなり、半分ぐらいの数字を取るということでございますが、これについては我々はこの会社営業努力だというふうに考えております。
  22. 谷博之

    谷博之君 このことは実は副大臣にお伺いしようと思ったんですが、今お越しになられましたので、大変残念ですが、今の答弁につきましては形だけを御答弁いただいたということでございまして。  私たちは、そうではない、少なくともこの車両管理業務を含めて、このいわゆる大手と言われている日本道路興運株式会社日本総合サービス株式会社、この二つがこの車両管理業務のかなりの部分をやっぱり仕事をしているという、しかもそれが切れ目なしに台数は増えているんですよ。そういうことは、私は非常にこの競争入札の中で、そういうことは結果としてそうなったというだけでいいんでしょうかね。私、非常にそういう点は奇異に感じておりますが、これ以上のことは、もちろん具体的な証拠もございませんので言えませんけれども、その点について私、非常に奇異であるということだけは指摘しておきたいと思います。  そして、今度はいわゆる天下りの問題ですね。  これ、天下りという言葉は使っちゃいけないようですから、過去に国交省並びに道路公団に在職をしていた方々で、現在はこれらの企業に再就職をしている、そういう方々だというふうに思いますが、その数が実はお配りしたこの資料の下段の四角の枠に入っております。これは、過去三年間、平成十三、十四、十五年のこの三か年でこれら企業にいわゆる天下りをした人たちの数であります。日本道路興運株式会社には国交省から十八名、日本道路公団からは一名、こういうことで数字が出ております。  実は、これを私、中身を調べてみました。例えば、平成十五年に十人が国交省から日本道路興運株式会社天下りをいたしております。そのうちの半分強が、半分といいますか三分の二ですね、ほとんどの部分が今まで国土交通省でいわゆる自動車運転手をやっていた方がそのままこの会社車両管理員になっているんですよ。  つまり、同じ職場、同じ仕事をしていた、そういうふうな国交省職員が、そのまま引き続いて日本道路興運という民間会社の同じような仕事に就いているということです。これはいわゆる横滑りですよね。一定の年齢が来てそして退職をするという、そういう年齢を迎えたときに、続いて次の職場を見付けるときに、同じような関係している会社横滑りの同じ仕事をするということ、これ私は、世間的に常識的に考えても、こういうことで世間は納得するだろうかなというふうに思うんです。  したがって、私はお伺いをいたしたいわけでありますけれども、これまでの国交省並びに四公団からどのくらいの人数がこうした企業に行っているか、その数字をまず確認したいと思います。
  23. 安富正文

    政府参考人安富正文君) まず、国土交通省の方からお答えしたいと思いますが、これらの先生御指摘の六社について、再就職営利企業の再就職の承認をした数を申し上げますと、先ほどのお配りあった資料にありますように、平成十三年から十五年の三か年間で合計で申し上げますと、道路興運には十八名、このうち十名は自動車運転手でございます。それから、日本総合サービス株式会社に六名、このうち二名が自動車運転手でございます。それから、日本ハイウェイサービス株式会社には一名ということになっております。そのほかの三社ございますが、これらの再就職は過去三年間の実績はございません。  以上でございます。
  24. 谷博之

    谷博之君 これは過去三年間でございまして、そのもちろん前もあるわけです。いろいろ私どもも問い合わせをして、資料を出すようにということを申し上げましたけれども、なかなかその先のことについては、要するに三年間という一つの期限、その前は分からないというようなお答えで、数字が出てきませんでした。  ただ、いろんなところで、いろんなことで調べてみましたところ、道友会名簿というのがございます。これは四公団のOBの皆さん方の名簿などですが、こういうふうな名簿を調べてみますと、どうも四公団から日本道路興運グループ五社へのいわゆる天下りの役職員人数は、平成十四年現在で四十九人いるというふうに我々は推計をいたしております。つまり、四年前からのそういう在籍している人たちの数を含めると、この十八名ではなくて、あるいは十九名ではなくて、つまり四十九人いると。したがって、今回の数字を合わせると更にもっと膨らんだ数字が現在は在職をしていると、こういうふうになると思うんです。  私は、このいわゆる国交省道路公団など関係公団のOBが、例えば五十人以上に上るというこういう具体的な我々の推計の数字、それが事実であるとすれば、これは相当、私は多くの方々がこういう企業でいろんな形で天下りという状況にあるというふうに言わざるを得ません。  したがって、この現実を率直に言ってどのようにとらえておられるか。これが言うならば正常な形というふうに言えるのかどうか、この点についてどうお考えでしょうか。
  25. 安富正文

    政府参考人安富正文君) これらの今申しました再就職している方々でございますが、中身、先ほど先生の方からもお話ありましたように、従来、各地域整備局あるいは事務所等運転手として働いていた方が定年退職されて、それで新たな人生を歩むということで、こういう自分の技量を生かす、特に運転業務をやっているわけですが、そのほかの業務もございますが、そういう業務の技量を生かす、経験を生かすということでこういう会社に再就職しているわけでございます。  そういう意味で、やはりそれぞれの個人の方のいわゆる再就職の考え方、あるいはいわゆる相手の会社との合意に基づいてこういう形になっていることであると考えております。
  26. 谷博之

    谷博之君 先ほど冒頭申し上げましたけれども、全体の売上高の四分の三を国土交通省道路公団から仕事をもらって、そしてそういう状態の中で、正に一体的な関係にあるその民間会社に対して、定年が来たから再就職としてそういうふうな企業に移っていくんだ。これは私は、それは悪いとは言いません。悪いとは言わないけれども、世間が見る目というのは、やっぱりそれはおかしいんじゃないかと言いますよ。  これは天下りじゃなくて横滑りかどうか分かりませんけれども、そういうふうな部分というのは、私は、特に今度のいわゆる政治家とこういう企業とのいろんな問題が明るみに出たときに、そういう国交省なり公団とこういう民間企業との関係というのは、もっとより私はきちっとしたけじめを付けなきゃいけないと思うんですよ。  そういう点で、人的にも、こういう発注にしてもそういう関係にあるということについて、私はどこかの時点で、これは当然民営化ということに進んでいくその過程の中で私は整理しなければいけないと。あるいは、もう少しきちっとした、より広い有資格者というものを募って、そういうものの中でやっぱり本当の意味での指名競争入札によって仕事をもっと多くの人たちに機会を与えていかなきゃいけないというふうに思うんです。  これは質問通告に入れていませんけれども、大臣、五月二十日にそういう答弁もしていただきましたので、これらのことについてどのように考えておられますか。
  27. 石原伸晃

    ○国務大臣石原伸晃君) 後段に谷委員が御指摘されました、要するにこういう仕事をより多くの人たちに開放していくということは、私は正に賛成であります。  今、ちょっと考えてみたんですけれども、先に運転手さんを集めて、会社がそのリスクを取ってこの業務に進出するというのは、実はなかなかやる人はいないと思うんですね。そうしますと、タクシー会社とかハイヤー会社とかもう既に運転手さんを抱えている事業体がこういう分野に競争入札で入ってくる、こういう形が現実的なことではないかなと思っております。  それともう一点、再就職ですが、私も当然、官庁あるいは道路公団にいたときの権限あるいは先輩としての威厳等々を押し付ける形で競争入札等々をゆがめるようなことはいけないと思いますけれども、十名の方は運転手さんですから、正に自分がやっていたのと同じようなところをきっと走るわけですから、その自分の能力を生かした再就職先をこの方々はきっと見付けられたんじゃないかというのが感想でございます。
  28. 谷博之

    谷博之君 大臣の最後のその部分については、私は、例えばどういう企業でもどういう公務員の職場でもそうですが、定年という一つのルールがあって、それでそのときを迎えると。もちろん、それは元気な方は再就職をする。普通の人はそういう再就職に当たっては一生懸命自分で仕事を探すわけですよ。ところが、もう明らかにこういう方々というのは次の再就職先というのはある程度決まっているわけですよ。そういうレールが引かれたところに要は再就職をしていくというのが僕はほとんどの実態だと思いますよ。ですから、いわゆる世間でいうところの、再就職が非常に難しくてもう見付けるのが大変だという、そういう状況ではない。そういうところに会社とこういう国交省公団との一つのなれ合い的な体質が私はあるというふうに思っているんですよ。そこら辺の問題についての具体的な中身の議論をした上でないと、今の大臣答弁というのは私は納得はできません。そのことだけは申し上げておきたいと思います。  総体的にいろいろ聞いてまいりましたけれども、私はこの問題については非常に、今、大臣おっしゃったように、一定の大きな人を抱えて、そして実績のある会社にそういうものを頼むんだということをおっしゃいましたけれども、私は、例えば今、こういう運転手の皆さん方を抱えているタクシー業界にしても、あるいはいろんな運送関係職場にしても、非常に今仕事がない、厳しいということを、特に地方はそういうことを非常に強く言っている。そういう方々は、例えばこういう業務をやろうということになれば一生懸命努力してそれに対応する体制を作ってくるんですよ。そういう意味での、私は今申し上げたのは、限られたところで、そういう体制のあるところにだけ仕事を与えていくという言い方はちょっと私は納得できません。  要するに、先ほど有資格者の話ししましたけれども、どんどん広げていく、門戸を開いていくということは、やっぱりそういういろんな意味で、民間活力をもっともっと広げていくというそういう視点から、私は改めて、その限られたパイの中でのこういうふうな仕事のやり取りということではなくて、もっと大きく広げて全体的な動きにしていく、このことを民営化の動きの中でやっぱり強く私はこれから取り組んでいただきたいというふうに思っております。これは強い要望としてお聞きいただきたいと思います。  それから次に、SA、PAの、いわゆるサービスエリア、パーキングエリアの問題でございますが、これまた、このサービスエリア、パーキングエリアについては、いろいろ私も調べてみましたが、全国で今五百三十か所あると。そのうち財団法人、二つの財団法人が五百十、全体の九六%を管理占有しているということですね。  このいわゆる財団法人の道路サービス機構というのと財団法人ハイウェイ交流センター、この二つが全体の五百三十のうちの五百十か所を道路占有して管理運営をいたしております。こういう管理運営の二つの法人から、今度は具体的にそれぞれのSA、PAの営業する営業者を、営業委託契約をします。そして、その業者がそこで営業活動して、そしてお客様からいただいた代金のうちのテナント料をそこから払う、こういう仕組みになっています。そして、この二つの財団はいわゆる占用料というお金を日本道路公団に納める、こういう仕組みになっているわけですね。  私は、この営業者という、第一線で現場でやっている例えばレストランのそういう業者とかあるいは売店の業者、あるいはガソリンスタンド、こういうふうな営業者の選定の問題なんですよ。  いろんな条件がこれ付いています。この二つの財団がこういう営業者を実は募集するわけですけれども、その中に一つの条文で、半径百キロ以内の都道府県に本社、支店がある企業、これが一つの営業者として参入できる条件なんです。つまり、関東地方でいえば、中心を走っている高速道路の場合は、半径が百キロですから直径二百キロというと相当の部分の業者が入ってきます。そうすると、正に関東一円のそういう、例えば例でいえば大手の業者がそういうふうなところに参入をするということで、地場の小さな食堂経営者とかそういうところは入り込めないというふうな状態になっているというふうに聞いています。  したがって、まずお伺いしたいのは、全体の中でのそういう、いわゆる地場といいますか地域でいろんな営業活動している、当該地域の所在地の業者が全体の中でどのぐらいの割合で今この営業に就いているか、この数字を教えていただきたいと思うんです。
  29. 山本正堯

    参考人山本堯君) お答えをさせていただきます。  現在、SA、PAは五百三十か所でございますが、その施設で飲食施設が五百四十四か所、施設ございます。このうちテナントによって運営されている施設が四百八十三施設でございます。そのうちのSA、PA施設が所在する都道府県に本社があるテナントが営業している、先生がおっしゃいましたような地元の企業が本社として経営している施設というのは二百十二か所ございます。したがいまして、全施設五百四十四か所に対しましては三九%、テナントの施設四百八十三か所に対しましては四四%でございます。
  30. 谷博之

    谷博之君 数字出ましたから、三九%、四四%、大体四割という程度ということだと思います。結局、こういうふうなSA、PAの現場でもやっぱりそういういわゆる大手と言われている人たちが入っていって、そこで営業活動しているということです。  私、これは例えですが、国道のわきに道の駅というのができていますけれども、ああいうのは一般国道等のところにあるわけですが、非常に地域のいろんな特産品を並べたりして地元との密着型のいろんな営業活動しています。SA、PAの場合は、若干そういうところもありますけれども、もうおしなべて全部同じスタイルです。したがって、しかもそれは今言ったように大手の人たちがやっているもんですから、大体画一的。とすると、私はやっぱりそういう意味では、まずそこの地元の業者にできればそういうふうな中心的に営業をやらせて、そしてそういう特色を出させて、そういうような営業努力をさせる、これも一つの方法だと思うんですね。  したがって、こういうふうな、いわゆる第三セクター方式等でもいいと思いますけれども、こんなようなこのSA、PAの活用の仕方、これらについての今後の見解をお伺いしたいと思います。
  31. 山本正堯

    参考人山本堯君) 道の駅の、先生お話が出ましたが、地域の特色を生かした様々な催しとか特産品を販売をするというようなことが大変重要なことであろうと思っております。私ども、SA、PAにおきましても、現在もそういったようなお客様の多様なニーズにこたえて、地域の特産品を生かしたメニューを開発したり、あるいはそれらを土産品として販売するなどの地域の特性や特徴を生かした事業に取り組んできているところでございます。  さらに、民営化された後のSA、PAの事業につきましては、種々の規制が緩和されるといったような点から更に可能性が増してくるんじゃないかと、こういうふうに思っておるところでございます。特に、新たな店舗、サービスを展開するに当たっての各地域の特色を一層反映させることが重要であるという観点から、地元の中小企業含めた民間企業、例えば地元の著名の店舗でありますとかあるいは地元の特産品店舗等と様々な業務提携をするといったようなこともまた有力な選択肢じゃないかなと、こういうふうに考えているところでございます。  幅広く地元民間企業の協力、参画を得ながら地域の特色あるサービスを提供することは大変重要であり、有効であるというふうに考えておるところでございます。  私どもとしても、今後一層そういうことに努めてまいりたいというふうに思っておるところでございます。
  32. 谷博之

    谷博之君 時間がございませんから次の質問に行きたいと思いますが、昨晩も東関東自動車道で乗用車が中央分離帯に激突して三名の方が即死するという、こういう痛ましい事故がありました。平成十五年の一年間だけでも高速道路での交通事故の件数は一万四千件、そのうち死者が三百五十一名、こういうふうなことで、これは依然として高止まりの状況にあります。  私たちは、そういう中で、この高速道路の事故に限らず一般の道路でもそうですが、いわゆる悪質な運転手によって引き起こされた死亡事故、こういうふうなものが非常にあります。そういう人たちが、いわゆる危険運転のこういうものを何とか抑止していこうということでいろいろな努力をしています。法務省とか警察も、いろんな経過はございますけれども、危険運転致死傷罪の創設、こういうようなものが実は行われまして、いろんな遺族の期待にこたえるような、要望にこたえるようなそういう活動をしてきている、このことについては非常に私たちは評価をしたいと思っています。  そういうことを踏まえて、実はそういう遺族の方々が中心になって生命のメッセージ展というのをあちらこちらの会場でやっております。つまり、亡くなった方の同じ背の高さの等身大の人形を作って、その方がふだん履いていた靴をそろえて、そしてその人形の、そのかたどった人形にメッセージを掛けて、そしていろんなその人たちの思いをそこに訴えています。こういう生命のメッセージ展というのが国会の中でも、昨年でしょうか、行われました。  こういうふうな生命のメッセージ展をできれば高速道路のサービスエリア、パーキングエリアでやりたいと、そして、いわゆる運転手の皆さん方にそういういろんな意味での危険な運転の防止ということで訴えを行いたいということで希望いたしております。これがなかなか実現しません。もちろんスペースの問題等もあるんだと思いますけれども、だけれども、これは是非、そういう意味では、そういう直接体験、遭われた方々の本当に自分の経験から出たそういう活動ですので、これがいろんなところのSA、PAで実現できるように、これはもちろん道路公団等にもお願いをしなきゃいけませんけれども、特に警察の協力も大事だと思います。  そういうことで、この辺についての取組について考えを聞かせていただきたい。
  33. 人見信男

    政府参考人人見信男君) お答えいたします。  命の重さを伝えるために、全国各地において生命のメッセージ展が開催されているということは承知をしておるところでございます。  警察といたしましては、交通事故により身内を失った御遺族の方々の深い悲しみや苦しみにも思いをはせ、国民の生命、身体を守るため、日々交通事故防止活動にいそしむことが重要であると考えているところであります。  なお、ただいま先生御指摘の生命のメッセージ展、こういった活動の意義を十分に私どもも理解し、各都道府県警察におきましてはこれまでも可能な限りの協力を行っておると承知しておりますが、今後とも適切に対応するよう都道府県警察を指導してまいる所存でございます。
  34. 谷博之

    谷博之君 是非、それはこれからも引き続いて取組をいただきたいと思っております。  それから、五月の二十六日に総務省が自動車運送事業における事故防止対策に関する行政評価・監視という報告、これをまとめまして、これを国土交通省と厚生労働省に評価・監視結果に基づく勧告ということで出しております。  これは十年前にもこの勧告は出ているわけでありますけれども、これは十年前と今回のこの勧告、実は同じようなことが指摘されている部分があります。例えば、交通事故が起きたときに事業者に義務付けられている事故報告書、これが決められた期限以内に提出をされていなかったり、あるいは事故報告書そのものが提出されていないという、そういう件数が具体的には八十六事業者の中で七件もあったと。これは前にも指摘をしていたということですね、十年前にも。  そういう意味で、これは一つは、いわゆる運輸支局、現場の運輸支局と警察とのその連携、交通事故があったときにその事故を運輸支局がなかなかつかみ切れないということもあったことも事実です。したがって、そういうことを解決をするために、昨年の一月から、警察が運輸支局に対してその通報をする、通知をすると、こういう仕組みが取られてきたというふうに聞いております。したがって、その結果、こういう事例はもうなくなったんでしょうか、その連携を強化することによってですね。その辺の去年の、それ以降の話を聞かせていただきたいと思うんです。
  35. 峰久幸義

    政府参考人峰久幸義君) 警察庁との連絡体制につきましては、平成十五年の二月から、事業用自動車の運転者により引き起こされました死亡事故あるいは酒気帯び運転などの悪質な交通違反について公安委員会から通知を受けるような連絡体制の強化が図られました。それから、さらに十五年の九月からは、これに加えまして重傷事故についても情報を受けることとなりました。  こういうことの連絡体制が強化されまして、自動車事故報告書を提出すべき事業者を特定、我々も特定できますので、この通知を受けた際には確実に事業者に対して報告書の提出を求めることとしております。
  36. 谷博之

    谷博之君 そのことと多少関連しますが、去年の八月に、こういう悪質運転手との事故の、いわゆるその後の対応の問題というようなことの中で、八月に交通事故調書の早期開示を求める被害者連絡会というものができました。そして、この被害者連絡会が去年の十二月に法務大臣に交通事故調書の早期開示を求める署名を三万五千名の署名を付けて提出をしております。  これについては、もう既に米国やドイツでは早いうちからこの開示が行われているわけでありますけれども、我が国においてはこれらに対するまだ対応がもちろん決まっていない。いろんな他の法律との関係等もあると思いますが、ただ、いずれにしましても、交通事故に遭って亡くなられたその被害者の御遺族の方は、要するに加害者の調書、これは要するに亡くなった人はもちろんしゃべることも何もできないわけですから、そうすると加害者だけの一方的な調書でいわゆる調書というのができてくる。その調書を、どういう状況でどうだったのかということを被害者としては、被害者の遺族としてはやっぱりそれは知る当然権利があると思うんですよ。  そういうものについての開示をしてほしいという、こういうふうな声に対して、それがなかなかやっぱり実現できない、していない。ここら辺については私は、他の国々のそういう動きを見て、是非私は早期に開示をすべきだというふうに思っていますが、改めてお伺いしたいと思います。
  37. 河村博

    政府参考人河村博君) お答え申し上げます。  交通事故により重大な被害に遭われた被害者の方々あるいはその遺族の方々の心情には察するに余りあるものがございまして、そのような心情にこたえるためには、まずもって適正かつ迅速な捜査によりまして事案の真相を解明して、的確な捜査処理を行うことが不可欠でございます。被害者、遺族の方々に、法の許す範囲内で事故の状況などについて説明などを行うことも重要であると考えております。  法務省におきましても、被害者への配慮ということで法改正あるいは運用改善などを行ってまいったわけでございますけれども、交通事故記録を含みます刑事事件記録の開示につきましては、平成十二年の法整備によりまして、公判係属中においても被害者などが公判記録を閲覧、謄写できることといたしましたし、また不起訴記録につきましても一定の条件の下に客観的証拠の開示を認めているところでございます。  御指摘の署名の件につきましては、真相解明のためには捜査はその過程で得られた情報を公開せずに行う必要がございますのと、関係者の名誉、プライバシーの保護などにも配慮しなければならないことから、捜査段階におきまして交通事故記録を開示させていただくことには様々な困難な問題があることを御理解いただきたいのでございます。  ただ、捜査担当者におきましては、事故状況などにつきまして、交通事故の被害者の方々あるいは御遺族の方々に対しまして捜査等に支障のない時期に適切な範囲で御説明させていただいているものと承知いたしております。
  38. 谷博之

    谷博之君 今日もこの委員会室にはそういう被害者連絡会の方々もお見えになっておりますけれども、要するに死人に口なしということで、やっぱり亡くなられた方というのはそこにもちろんいないわけですね。そうすると、特に悪質な運転手の事故によって引き起こされたこういうふうな事故について、全く分からないところで一瞬にしてその大切な家族を失うというふうなことになるわけですから、やっぱりその辺は非常に無念な思いがあると思うんですね。その真相をやっぱりしっかり知りたい、そして相手に対してもその責任を取ってもらいたいと、こういうことに当然なってくるわけですけれども、そういう意味でのいわゆる調書の開示、これについては非常に私は大きな意味を持っていると思います。是非、今の答弁、更に突っ込んで、早期の開示ができるようにこれからも取組をいただきたいと思っております。  それから、最近のこういう交通事故に対する対応というふうなことで、特に一九八七年以降、検察庁はいわゆる非刑罰化方針というんでしょうか、非常に交通事故の件数が年間百万件近く起きているということで、これらに対するいわゆる対応の在り方ということで、起訴猶予の比率が非常に減ってまいりました。あるいはまた、執行猶予が付いて非常に、言うならば厳罰主義から若干その対応が変わってきているというふうに聞いております。そのことによって、いわゆる抑止力という意味からするといかがなものかというふうな声もあります。  そして、一方では飲酒運転の厳罰化ということでかなり死亡事故は減ってきているわけですけれども、一方ではこういう大変悪質なと言われているひき逃げとかあるいは飲酒による事故とか、再三再犯を起こすというそういうふうな事故の場合に、やっぱりそれでも起訴猶予とかそういう形で終わってしまう。こういうふうなことを見たときに、私は、非常に件数が増えてそれだけ対応が大変だということは、それは分からないことはないんですが、だからといってそれを緩めるということはやっぱりどうかなという気はするわけですが、ここら辺の考えはどうなっているでしょうか。
  39. 河村博

    政府参考人河村博君) 先生の御指摘の点につきましては、一九八七年に全国の検察庁におきまして業務上過失傷害事件の処理の在り方が見直されたことを指しておられるものと思われるわけでございますけれども、この見直しと申しますのは、現代社会におきまして一般市民の方が日常生活を営む上でこの種事故を起こすことが少なくないといったことから、その中で、傷害の程度が軽微であって対応も特段な悪質性が認められない、また被害者も特に処罰を望まれないような事案につきまして起訴猶予処分の弾力的運用を図ることとする一方で、重大ないし悪質な事案については厳正に対処することとして、寛厳よろしきを得た適正な処理を行うとの趣旨によるものと承知いたしておりまして、平成十三年に新設されました危険運転致死傷罪につきましても、法と証拠に基づきまして、これに該当する事案は同罪を適用して処分いたしておりますし、業務上過失致死事件の起訴率ということで申しますと、これは軽微事案につきましての起訴猶予の弾力的な運用という前後を通じまして、おおむね六割ないし七割程度が起訴されているわけでございまして、いわゆる死亡事故につきましては起訴率が低下しているわけではございません。  ただ、いずれにいたしましても、悪質な交通事故事案を含めまして一律に起訴しないという取扱いをしているわけではございませんで、起訴すべきものは起訴し、事案に応じた適切な科刑が実現されるよう検察当局におきましても努めているところでございまして、具体的事案におきまして、収集された証拠に基づいて的確な判断がなされるよう努めているものと承知いたしております。
  40. 谷博之

    谷博之君 最後に、関連ということで、一般道の維持更新のことについて一点お伺いしたいと思っております。  実は、私の県のいわゆる県北の山岳部に塩那道路という道路が走っております。これは塩原と那須を結ぶ全長五十キロの山岳道路です。昭和三十九年に着工しまして四十五年に一度全線が一応開通した、しかし今日に至るも人っ子一人通れない道路で、県道として認定されております。そういう道路がございまして、四十五年に一応つながったんだけれども、それ以降、毎年毎年三億から四億の土砂崩れだけの土止めをするための工事、そういうことでずっと県費を投入してまいりました。そして、やっと今年になりましてこの道路の建設をやめるという決断を下しましたけれども、大変この間、もう四十年もこの道路については県費を投入し続けてきた、一部国費の財源も入っております。  こういうふうな道路が私は全国的にも随分あるのではないか。造ってはみたものの使われていない、にもかかわらず、それは将来使うためにということで維持修繕費のお金だけはつぎ込んでいる。こういう道路を私は見ておりますと、既に走っている、使われている一般道路の将来の維持管理について、あるいは更新について、これからどうなるんだろうかというふうなことを心配します。全長で百十七万三千六百二十九キロという、全国全体のこの一般道路のこのすべてが、将来の維持更新について大変、私は橋とかトンネルとかそういうものの補修も含めてそうだと思いますが、金が掛かってくるのではないかというふうに思います。  したがって、これらの現状と、将来どの程度、維持修繕・更新に費用が掛かるというふうに見ておられるのか、この点を一つ伺いしたい。  それからもう一点、最後に大臣には、こういうふうないわゆる有料道路の場合にはお金を取って基本的にはそれで維持更新をするということですが、税金を使ってこういう道路を維持補修・修繕するわけですから、これは道路を新設すればするほどそういう将来に費用が掛かってくるわけですね。こういうことを考えたときに、いわゆる新しい道路を、いわゆる一般道路を造るにしても、その部分が当然掛かるということを前提にして道路を計画しなきゃいけないと思うんですが、そういった少子化社会の中でますます負担をする子供たちの数が、あるいは人口が減ってくるわけですから、そういう中でのこの道路や橋梁やトンネルや、そういう部分の維持修繕について、新道を造るときにどのようなことを念頭に置きながら計画を立てていこうとしているか、その基本的な考え方をお伺いしたいと思っております。
  41. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 最初に、一般道路事業におきます維持及び管理、これの現状とこれから先の見通しをどう考えているかと、こういう御質問があったかと思います。  これにつきましては、国道から市町村道までトータルで現状の広い意味での維持管理費用と、この中には交通安全で標識等を付けるとかいうことも含めましてちょっと幅広くなっていますが、トータルの管理費の総額、こういう意味では一兆七千億円を数えているところでございます。  このほかに更新という概念のものがある、これが将来は問題になってこようかと思います。特に昭和二十年代以降建設されました橋梁等が、六十年、七十年たってまいりますとなかなか厳しい状況にはなってくるであろうということもございまして、更新というようなことも考えに入れていく必要があるであろうと。  そういう意味では、この現状、一兆七千億円ほどというものはかなり良好な管理をしていかないとちゃんとした道路網としての機能、先ほど先生の御指摘のようになかなか車が通れないというような状態になる場合だってあり得るということも考えますと、しっかりとした管理を続けていく必要があるだろう。どのぐらいの費用が掛かるかという点については、いろんな見込みの仕方があるわけでございますが、一つの問題としての更新費をどのぐらい見るか、これを置いておきますと、更新費を置いておきますと、この一兆七千億円という維持管理費が少なくともこれから少しずつ、より増えていくという状況にはあるであろう。そうした管理を十分にこれからも努めていく、事前に十分な予防措置を取りながら良好な管理に努めていく、これが大事なことかと思っております。
  42. 石原伸晃

    ○国務大臣石原伸晃君) 谷委員の御指摘は大変ごもっともだと思っております。少子高齢化社会の中で、これからの道路の建設というものには維持管理・補修費というものを当然入れて考えていかなければならない。新規事業の採択に当たりましては、いわゆるBバイC、費用対便益プラス代替道路の問題や、あるいは病院への到達時間の短縮等々の外部効果に基づいて評価を行いますけれども、この評価の中にももう既に建設コストだけではなくて維持修繕の管理コストというものも含ませていただいております。  さらに、維持管理コストというものをもっとできる限り小さくしていかなければならない、そのためにどうするのかということは、何か災害が起こって土砂崩れが起こって大規模改修をするというのではなくて、災害に弱い部分というものは構造上もう既に今分かるわけでございますので、前もって予防的な補修を計画的に行っていく。そういうことによって橋とかトンネルとか丘陵地みたいなところの構造の寿命を延ばしていく、専門用語では道路アセットマネジメントと言うんだそうでございますけれども、そういうものを採用して工夫をしていくということは、もう正に委員の御指摘のとおりだと思っております。
  43. 谷博之

    谷博之君 時間が来ましたので終わります。  どうもありがとうございました。
  44. 富樫練三

    ○富樫練三君 日本共産党の富樫練三でございます。  大きく三点ほど伺いたいと思います。  最初は、民営化することによってその民営会社道路を建設するときには自ら資金を調達する、今までのように財投というお金ではなくて金融機関から借り入れる。したがって、市場規律が導入されるので無駄な道路建設には歯止めが掛かると、こういうのが今までの国土交通省の主張だったというふうに思います。  しかし、民営会社が調達した借金、資金で造った道路は、その資産とその借金は同時に、一緒に保有・返済機構に移管をされます。機構が融資をした銀行などに対して返済責任を負うという仕組みになっているわけでありますから、造った民営会社、元々借金をした民営会社はその借金に対して最終的に責任を負うという体制にはなりません。したがって、道義的な責任を感じることはあったとしても、結果として市場規律が民営会社道路建設の歯止めになるということにはならないのではないかと思いますけれども、どうお考えですか。
  45. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 今般の民営化におきましては、先生のただいまの御質問にありますように、会社が建設資金をまずすべて市場から自己調達する、財政投融資資金等の直接投入ということはない、こういうことであります。そして、この会社が自己調達した資金に係る債務を機構が引き受けた後は、債権者に対しては機構が債務の履行を行うこととなりますが、機構が会社から引き受ける債務については、協定において上限が設定されて、これを上回る債務は引き受けない、こういうことであります。  そしてなおかつ、一番大事な問題として、先生御指摘の、会社が調達しても機構が返すんだから、そこで市場規律なんか働いてくるのかと、こういう御指摘でございますが、実は機構の債務返済原資となります貸付料の支払を通じて、会社もこの建設資金に関する返済、この責任を負っておるわけであります。  さらに、会社が市場から資金を調達する際に、この債務返済の仕組みについて市場に十分理解していただく必要があるわけでございますが、道路建設に要する費用が協定で定める債務引受限度額を上回らないこと、あるいは貸付料を支払えるだけの料金収入の見通しがあることなどを説明しながら市場の理解を得る必要がある。  さらにもう一つ会社はいわゆる資金調達の団体としてといいますか、法人としての格付というのを当初持っておらないわけでございますし、それからまたそういう意味では、新しい仕組み、これに対する世の中の御理解をどういただくか、これは大いに努力しないと厳しいところがあるということがあろうかと思います。そういう意味で、資金調達に当たりまして、市場規律が働いて無駄な道路を造らないための歯止めとなる、こういうものと考えております。
  46. 富樫練三

    ○富樫練三君 新しい会社は非常に資金調達が厳しいと、厳しいだけに無駄な道路は造らないことになっていくだろうと。私は、そうならないと思っているんですけれども、まあ今、局長がなるんだ、なるんだと言うから、じゃここで百歩譲って規制になるというふうに仮定しましょう。それで、民営会社が造ろうという計画の、今でいえば九三四二の中の残っているところの約二千キロ、そのうちの二千三百キロぐらいが民営会社が造ろうと、こういう計画になっていますね。ところが、なかなか資金調達が厳しいからこれができないんだと。この中からどんどんどんどん減らされていくんじゃないかと、調達ができなければですね。  そうなった場合は、ここはちょっと大臣伺いたいんですけれども、民営会社ができないというふうになった場合は、これはその道路は中止をするんですか、それともそこは新直轄でやるんですか。どちらですか。
  47. 石原伸晃

    ○国務大臣石原伸晃君) 簡単に申し上げまして、これは協議を行うことでございますが、その当該道路のある会社がそれを断ってきたら、残りの会社にやりますかというような話をいたします。そこでいろいろな条件の話があって、条件を若干変えたら、ああその条件なら当該会社がやると言ったら当該会社にまた戻す。それでも当該会社がやらなくて、残りの会社がやると言ったらその残りの会社がやる。  それでもやらなかったらどうするのかというのが富樫委員の御指摘だと思うんですけれども、そういうことが仮に、私は起こらないと思うんですけれども、国は構造規格の見直し、今計画されている構造規格の見直しを行って更なる効率化を行う、すなわちコストを下げる努力をする。そして、そうはいっても、そういうものでいいのかということはそこに住んでいらっしゃる方の意見も聞かなきゃいけませんから、地方公共団体の意見も聞いて行う。そんな中で、委員指摘のこの新直轄ということも含めて今後の整備の在り方を再検討することになるんだと、理屈の上ではそうなると思います。
  48. 富樫練三

    ○富樫練三君 結果としては、新直轄、要するに税金で造ると。造らないということは今、大臣おっしゃいませんでしたので、結果としては造るんだということのようであります。  二つ目の問題でありますけれども、高速道路ネットワークを構築することが地域経済を活性化させると、こういうふうに言われていますけれども、本当にそうなのかという問題について二点伺いたいと思います。  一つは、今度作られます民営会社、これはサービスエリアやパーキングエリアを中心として営業活動をする、通行料金は会社の収入にはならないで借金の返済に全額充てられるのと維持管理費になると、こういうわけですね。そうなった場合に、パーキングエリアやサービスエリアだけではなかなか営業できない、新しい事業展開を当然これは考えると、経営上はですね。そうすると、インターチェンジ周辺とかあるいはパーキングエリア、サービスエリア周辺の新たな開発で、ここに大型店を誘致するなどの計画というのは、当然これは考えられるだろうというふうに思います。  そうなった場合に、現在でも、郊外に大型店ができることによって駅前などの中心市街地の疲弊、あるいはシャッター通りと言われているものが出ています。これがまちづくり上も非常に大きな障害になっているというのが実態であります。むしろ、今度の民営化によってそういうことに拍車が掛かるということになれば、これは地域経済の活性化に逆行することになりますけれども、この対策はどうお考えですか。
  49. 石原伸晃

    ○国務大臣石原伸晃君) 仮定の話で富樫委員が言われたようなことは、総裁もやりたいみたいな、という話はされていると思うんですね。  でも、ちょっと考えてみますと、民間の会社による開発に限らなくとも、実はそこの地域の人たちが郊外型のものを欲しい、あるいは郊外型のものをやってみようというビジネスチャンスがあるところではもう既に商業開発というものが行われておりますし、これからもそういう可能性はだれも否定できない。  何が申したいかというと、今回の四公団民営化によって市街地の衰退がイコール進むんだということは、やっぱり直接的な関係は私はないんだと思います。  じゃ、何を考えるかというと、やはり今、新市街地のまちづくり総合支援事業とかまちづくり交付金でリクエストが来ているものの多くは、やっぱり旧電鉄系の駅前等々があるわけですね。中心市街地を活性化していくにはどうするかというと、やっぱり高齢化ということが一つのキーワードになって、高齢者の方々が歩いて暮らして、病院にも行けるようなまちづくりがあったり、その地域に残る歴史的な資産、駅の周りにもいろいろあるわけですから、そういうものを活用した観光とか、あるいは車に依存しないという、片方でモータリゼーションが進むことを否定することはできませんので、別のまちづくりということに取り組むことが私は必要だと思っています。  やはり、各地域においてゾーンごとに特性を生かした魅力あるまちづくりというものの取組ももう現に行ってきているんじゃないかと。ですから、そもそも論とは若干、そこのイコールにはならないんじゃないかというのが私の考え方でございます。
  50. 富樫練三

    ○富樫練三君 民営化イコール中心市街地が疲弊をすると単純に私も結び付けているわけではなくて、現在既に起こっていますから、それにむしろ拍車が掛かるというところが問題だというふうに私は思っています。  先日、仙台での地方公聴会で、相馬の市長さんも、市議会でもこの問題というのは非常に重大な問題になっているし、大変心配されていらっしゃるということを伺い、貴重な御意見を伺ってきたわけですけれども、これらの対策というのは今後迫られる問題だというふうに思います。  もう一つ、地域経済に対する影響の問題ですけれども、いわゆるストロー現象と言われている問題についてです。  これは、ネットワークができることによって、その地方の中心的なあるいは人口の比較的大きい、あるいは都市化された、そういうところにむしろ人も金も流れていく。今までも、人口がそんな多くないし、それほど都市化もされていないし、産業も十分ではない、そういうところからますます人も金も都市部に吸い取られていってしまう。本来はその逆のはずだったんですよね。むしろ、人口が多いところ、企業がたくさん集中しているところ、そういうところから過疎のところに人も金も流れていくことによって地域経済が発展するんだ、活性化するんだ、そのためのネットワークだと、こういうふうに言ってきたものが、実際にやってみると逆の現象になると。これはこの間、大沢議員も本四架橋の問題で指摘をしたところなんですけれども、この問題については、一地域ではなくてもっと大きなエリアでそういう現象が起こってくるわけなんですね。  ここについて、これも、だから道路全部駄目だという意味ではなくて、これは、こういうまちづくりや産業の発展あるいは地域経済の発展の問題についてきちんとした対策を持ちながらやらなければ、これはいけないことだろうというふうに思うんですね。ですから、もう何か道路を造ればいいんだということだけでどんどん進むというのは、これはやっぱり政策として間違いだというふうに私は思っているんですね。  この点についてはどういう対策をお持ちですか。
  51. 石原伸晃

    ○国務大臣石原伸晃君) ストロー現象というのは本当に高速道路に限らず、便利になるとありますよね。新幹線もそうですし、せんだっての委員会で同僚委員が御議論されたものもそうですし、私も実際に聞きましたら、本四架橋が架かったことによってデパートが一軒なくなっちゃったとか、若い人はみんな出掛けていってしまう。その一方で、うまくいっている例も、拾ってみると地域活性化につながった例はあると思うんです。  例えば、一つ二つ出させていただきますと、愛媛の宇和海産というんですけれども、生きたまま、魚をトラックに乗せて生きたまま高速で輸送するということで、マダイですか、東京市場のシェアの四割をそこが一社で持っている。あるいは、青森県の鶏卵業者ですけれども、何というんでしょうか、飼料プラントの整備を基盤整備としてやって、東京のマーケットを集中的にねらって、東京、首都圏のマーケットの四割が青森県産になっている。これは道路がよくできてうまくいった例だと思いますが、その反面もあるということは私も委員の御指摘のとおりだと思います。  やはり、こういう競争が公平な状況の中で、あるいは環境の下で行われるための高速道路の整備というものに心掛けていかないととも考えております。
  52. 富樫練三

    ○富樫練三君 公平な競争の原則の下にと言いますけれども、実はむしろこういうネットワークができることによって公平ではなくなるという、そういう弊害を私は言っているわけなんです。  大きな三つ目の問題で、高速道路建設に伴うマイナス効果というか、そういう点について伺いたいと思います。  その第一の問題は、環境アセスメントをどう見るかと、こういう問題についてであります。  道路を事業化する場合、実行する場合に、その事前の手続として環境アセスメント、つまり道路建設など開発が環境に及ぼす影響、その内容や程度、あるいは環境保全対策について事前に予測をし、評価を行って、必要な措置の検討をするということだと思いますけれども、現在の環境アセスメントというのは、事業を進めるための一つの手続上の問題になって、これをやればもう事業はできるんだと、こういう感じがしてならないわけです。実際には環境アセスをクリアしているんだけれども、その後、道路公害や健康被害、この因果関係などが指摘をされる、こういうことも現実に起こっているわけです。  かつては、国道四十三号線の訴訟の問題や、あるいは西淀川裁判、川崎裁判とか名古屋南部の裁判、そして先日、四月には圏央道の裁判での地裁の判決が出た。極めて遺憾でありますけれども、国土交通省が控訴をするということになっているわけですけれども、特にこの四月二十二日の東京地裁判決、ここではこういうふうに指摘をしているんです。国は具体的な根拠もなく事業に公共の利益があると判断しており、見過ごせない過誤があった、住民に受忍限度を超える騒音被害を与え、大気汚染が発生するおそれもある欠陥のある営造物というふうに断定をしています。そして、都心部の交通混雑の緩和という事業目的に関しては、首都高の中央環状道路や東京外郭環状道路が建設されれば圏央道まで必要はないと、こういうふうに判断をして、このインターチェンジの必要性についても、代替案の検討を全くしていない、合理性がないというふうに判断しています。  こういう内容をよく検討してみますと、環境アセスメントの結果が絶対的なものではないということを示していると思うんです。かつては、石原大臣の前の大臣でありますけれども、環境アセスは絶対的なものではないという趣旨の発言もされているようでありますけれども、石原大臣はどういう御認識でしょうか。
  53. 石原伸晃

    ○国務大臣石原伸晃君) 環境アセスをやる必要性というのは絶対あると思うんですね。やはり、そういうもので環境と便利になることの保全というものを図っていくという下で、環境影響評価法に基づいて自然やあるいは景観に配慮してこのものを実施しているということは事実だと思います。その結果として、遮音壁を作ってみたり植樹帯を作ってみたり構造を変えたり、あるいは希少生物がいるときにはその環境保全措置を講じて、できる限り開発によるマイナスを除去している、そういう意味はあると思います。  しかし、今、委員が御指摘になりましたように、アセスを実施しても、公害訴訟の提訴とか地域の皆さんとのあつれきが生じる場合もあるということも私事実だと思います。  こういうときどうするかということを考えると、やはりその地域の人たちが、必要だと思っている方がいる、あるいは周りの地域の方々もその代替する新しいものが必要だという意見がある、その一方で、そういうものは要らないという人がいる。やはり地域の実情というものをよく勘案して、事業の必要性と環境との調和をいかに図るのかということを十分に再検討した上で適切に対処するということも忘れてはならないんだと思います。
  54. 富樫練三

    ○富樫練三君 私は、公共的な道路を造る必要性が仮にあったとしても、そのことが住んでいる人間の健康に被害を与えるということであれば、それは別の方法を考えるべきだろうというふうに思います。  それが、もしその環境アセスの時点でそういう公害などが予想されるということであれば、片方で必要だ、片方は必要じゃない、そのバランスをどう取るかという問題なんだというふうに大臣おっしゃいますけれども、私はそういう問題ではないだろうと。やっぱり健康を、ちゃんと命を守るということがまず最優先であって、その上でどうするかということを検討すべきだろうというふうに思います。  この高速道路建設によるマイナス効果の第二の、二つ目の問題ですけれども、民営化をするときにこういうふうに国土交通省は言っています。無駄な道路は造らない、その歯止めとして路線ごとに厳格な評価を実施するんだと、こういうふうに言っています。しかし、その評価、すなわち費用対便益、これは内容を見ますと、スピードが速くなることによる効果などを含めて、専らこの経済的な効果、プラス効果、ここがもうどんどん出てくるわけなんですね。ですから、引き算なしの足し算をやるわけですから、これは結果としてはこの道路は必要だという結論が出てくるのは当然だというふうに思うんです。ところが、その道路建設による環境悪化、例えば自然破壊や景観の破壊あるいは大気汚染、騒音や振動、路線による地域分断、こういうマイナス効果は実は数値には出せないのでこれは現れてこないと、こういうふうになっているわけです。  ただ、私は、やっぱり今必要なのは、例えば京都議定書にもあるように、二十一世紀のこれからの道路建設は、世界的な流れはやっぱり自然破壊や環境悪化を防止しながらやるんだと、そういうものを造らないんだと、こういうことだと思います。  こういうマイナス効果についても厳密な、厳格な評価という場合には対象とすべきと考えますけれども、大臣はどうお考えですか。
  55. 石原伸晃

    ○国務大臣石原伸晃君) 環境アセスがそれなりに評価に値するし、またそういうものによって自然との調和というものが図られてくるという話は先ほどさせていただきました。ですから、環境アセスメントを実施してその環境基準というものはやっぱり守っていくということが基本だと思うんです。ただ、個人の差がありまして、過敏に反応する人は、環境基準を満たしているといっても駄目だという人もいることもまた事実です。  環境基準というのは何かと。これは釈迦に説法になって恐縮なんですけれども、人の健康を保護し、及び生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準。ですから、マジョリティーの方々がそういう基準を満足していくことによって納得していただける努力というものをやっていくということは重要だと思っております。
  56. 富樫練三

    ○富樫練三君 終わります。
  57. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 民営化問題について今日までいろいろ議論をしてきましたし、私は、これまでの委員会審議におきましても、民営化の必要性について国土交通省道路公団にお尋ねをいたしてきましたが、なぜ民営化なのか、なぜ民営化しなければならないのか、いま一つ釈然といたしません。  公団の問題点として、不採算路線に歯止めが掛からないことや、建設・管理コストの削減努力が不十分であること、ファミリー企業の不明朗、不透明なことなどがいろいろ指摘されておりますけれども、なぜ不採算路線に歯止めが掛からないのか、なぜ高コスト体質なのか、なぜファミリー企業の不明朗、不透明な関係公団では断ち切ることができないのか。どうも民営化すればすべてうまくいくというような説明ばかりでありますけれども、四十五年にわたる長期債務返済もつつがなく行えるという計画も示されておりますけれども、疑念、疑問は深まるばかりでありまして、結果として、私は将来国民に大きな負担を掛けることになるのではないかと懸念をいたしますが、民営化でどうなっていくのか、見解をお伺いします。
  58. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 二点について申し上げたいと思います。  まず、安全性等について十分に執行していけるかというような問題、これについては施設の維持管理、安全性、造る段階から、安全性については十分な耐震性等を有する、ここの部分はしっかりとその基準を満足させながら、なおかつコストの縮減、効率的な建設、こういうことが大事なことかと思っております。  それから、管理につきましては、そういう水準をきっちり機構との間で協定を締結して一定の水準というものはきちっと担保する、その上でなおかつコストの縮減、管理費の縮減に努めていってトータルの返済に要する費用を少なくしていくとか、返済に充当していくとかいうことを努力していく、こうしたことを民営化という前提で考えて仕組みの中に組み込もう、こういうことであるわけであります。  それからまた、利用者の安全、こういう面から申し上げますと、安全を含めて利用者に対するサービス、これについて十分な配慮をする、これがまた従来にも増して会社には求められるところであるわけでありまして、これは結局のところ、そうした十分なサービスを提供するということによって、例えば、特にサービスエリア、パーキングエリア等に地域の特色を生かした多様なサービスを展開するということになりますと、そこにまた訪れる利用者も増えるというようなこともあり、また一方で、安全性が非常に厳しいよというような会社の管理する路線区間があれば、利用者がまた減るということもあるわけでありますので、そういう意味では、利用者へのサービスが会社の業績にも反映する。あるいはまた、弾力的な料金設定ということで、十分な、お使いいただきやすい割引等のいろんな利用実態を反映した措置を考える。こうした点で、利用者サービス向上に向けて会社努力し、あるいはまた創意工夫を図る、こういうことが大事な問題として、この仕組みの中に前提として入れているということで、今後の努力を期待し得る仕組み、こういうふうに考えているところでございます。
  59. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 次に、副大臣に責任問題についてお尋ねをいたしますけれども、さきの参考人質疑におきまして櫻井よしこ参考人は、政治や官僚の介入の余地は担保され、自分で判断する民営化にはならない、どんぶり勘定、プール制による弊害は拡大をされる、これからも政府保証による借金で二千キロの道路造り、道路を造り続ける仕組みであり、道路公団改革は二年か三年かのうちに失敗が明らかになるというような趣旨の発言をされてきましたが、今回の改革をめぐって多くの国民もこのような意識持っているんじゃないかというふうに思いますし、私もそのように考える一人でありますが、やはり二年か三年かのうちに失敗するかどうかは別にいたしましても、問題点にメスを入れない公団改革ではいずれ計画が破綻することになると思いますが、そこでお伺いをいたしますけれども、公団改革の責任はだれが持つのか。計画が破綻するようなことになった場合、だれが最終的に責任を取るのか、明快なお答えを願います。
  60. 林幹雄

    ○副大臣(林幹雄君) 改革案につきましては、そもそも論になってしまいますけれども、従来の公団方式に対しまして様々な批判がありまして、その批判にこたえるために、民営化委員会あるいは地方公共団体を始めとして国民の皆様方からの御意見を踏まえまして、政府・与党におきまして取りまとめられたものでございまして、画期的な案であると自負をしているところでございます。  この改革ですけれども、先生御指摘のような中でやはり実施できるか否かがすべてでありまして、会社においては、コスト削減を図りながら的確な道路の整備、管理に努めていく、そしてまた割引など弾力的な料金設定をするなど、また関連事業の展開などもいたしまして利用者の利便の向上を図ること、機構においては四十五年以内、債務を確実に返済する、その後は無料開放するというようなことが求められているわけでありまして、そのために、国、地方公共団体においてもそれぞれの役割分担に応じまして責任を持って改革に取り組むことが重要であるというふうに考えております。  また、大幅な金利上昇あるいは大災害など不測の事態に対しましては、適時適切に必要な事業の見直しを行うということが重要であるだろうというふうに考えておるところでございます。
  61. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 国、地方の役割分担、必要な改革を行うということまではだれしも分かると思いますね。では、そのとき、失敗に終わったときにだれが責任を取るのかと、こう聞いているわけで、ちょっと私にはぴんと今の答弁ではきませんけれども、時間がございませんので次に移ります。  公団改革の見直しについて、私が今だれが責任取るのかというふうに質問をいたしまして今のような答えがあったのですけれども、改革を推し進めることは一体だれがやっていくのかということになると、あいまいもこで分からない。官の無責任性と民の営利主義に成る名ばかりのやはり民営化ではないかというふうに思うんですが、そのツケが来るのはやっぱり国民ではないか、利用者ではないか。私は、やはり利用者や国民であることについて再度指摘をしておきたいと思いますが。  最後の質問でございますけれども、だれが責任取るかも明らかにできず、公団の問題点とされる点についても多くメスが入っておりませんし、格差の是正や住民の合意、ネットワークの効果、それから総合交通政策等の観点から、高速道路建設にかかわる明確な基準をやはり設定をすべきであろう、改革の抜本的な見直しについて再度図るべきではないかと考えますが、大臣、いかにお考えでしょうか。
  62. 石原伸晃

    ○国務大臣石原伸晃君) 今、渕上委員がおっしゃった、明確な、何というんでしょうか、建設の基準。  こういう議論がずっとされてきたと思うんです。大都会の人から見ると、地方の高速道路はもう車もそんな走っていないから要らない。地方の方から見ると、大都会を中心に整備してきたんだから、やっと順番が回ってくるから自分たち道路を造ってくれ。じゃ、一体何が必要で何が必要じゃないのかということを判断する物差しが日本全国でなかった。今回の改革の原点は、この物差しを作ろうということから始まっているんだと思うんです。  それは、さっきも若干議論になりましたけれども、採算性だけじゃないだろう。あるいはBバイC、費用対便益で見るならば、有料であるならば当然一を切る。しかし、有料でない高速道路、必要性があるものもあるだろう。すなわち、BバイCが一を切る、有料のBバイCが一を切る。けれども、病院に何分掛かるとか代替路線がなくて土砂崩れが起こるとどうしようもないとか、そういうものをやっぱり客観的に評価する。先ほど宇和の、愛媛のマダイの話と青森の卵の話をさせていただきましたけれども、やっぱり農産物を運ぶ、こういうものの外部評価も考えて道路に成績を付けたわけですね。民営化に際しては専門家の意見や高速道路の必要性を判断するための客観的基準を設けた、これが今回の私は実はこの改革の基本であり、ここが重要なことだと思うんです。  これは、決して民営化することが委員指摘のとおり本当に目的ではないんですね。民営化という、総理の言葉でいうと荒療治をすることによって、積年の道路公団の抱えてきたプール制の弊害あるいは償還主義の問題、あるいは四十兆円に上っちゃった債務をどうやって返すのか、こういうものに実は回答を出させていただいた。従来、公団方式が抱えていた問題点にメスを入れてこれを解消する措置を作ったんだ、そういうことを戦後初めてやったんだ、料金も戦後始めて下げるんだ、そういう改革案だと思っております。
  63. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 終わります。
  64. 輿石東

    委員長輿石東君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時三十五分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  65. 輿石東

    委員長輿石東君) ただいまから国土交通委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、谷博之君及び弘友和夫君が委員辞任され、その補欠として北澤俊美君及び千葉国男君が選任されました。     ─────────────
  66. 輿石東

    委員長輿石東君) 休憩前に引き続き、高速道路株式会社法案独立行政法人日本高速道路保有債務返済機構法案日本道路公団等民営化に伴う道路関係法律整備等に関する法律案及び日本道路公団等民営化関係法施行法案、以上四案を一括して議題とし、これより内閣総理大臣に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  67. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 自由民主党の沓掛でございます。  本日は御多忙の小泉総理大臣の御出席をいただき、道路関係公団民営化法案の審議を深められますことを心から感謝申し上げます。  さて、小泉総理には去る五月の二十二日に訪朝され、今までの長きにわたる日朝間に存在した極めて異常な関係の正常化に向けて大きな前進を見ることができました。この間における総理の御苦労は筆舌に尽くし難いものがあったと思いますが、後世、日朝間の扉を開くという歴史的偉業を成し遂げた総理として高く評価されるものと確信しております。私も平成十年の三月、調査団の一員としてピョンヤンで調査、それからいろいろ討議をいたしましたが、その体験からも強くそう思います。  さて、本日の議題に入りたいと思います。  ただいま審議されている四法案は、戦後の道路整備に大きな役割を果たしてきた有料道路制度に対する初の抜本的改革であります。  有料制による本格的道路整備のため、日本道路公団が昭和三十一年に創設され、自来、高速道路の建設やその安全管理に懸命に努めてまいり、今や七千キロメートルを超える高速道路が供用されております。その利用も、国民の知恵により、当初予想もしなかった方法でも行われております。生活面ではクロネコヤマトの宅急便に代表される、また産業面ではトヨタのジャスト・イン・タイム方式等により、国民生活を豊かにし、産業経済の発展に大きく寄与してまいりました。  しかしながら、日本道路公団も創設以来半世紀近くなり、いろいろな面で制度疲労も現れてきました。内部改革もそれなりに進めてまいりましたが、なかなか目に見える効果は上がりませんでした。  そこで、小泉総理が道路関係公団の改革は内側からの演繹的方法では無理だと判断され、民営化という帰納法的手法を取られたのではないでしょうか。そして、小泉総理の示された民営化という基本方針の下に、石原大臣始め国交省の皆様の御精進により、道路関係公団民営化法案が策定されたことに心から敬意を表します。  そこで、小泉総理にお尋ねいたします。  今回の道路公団の改革が目指したものは何でしょうか。また、今回の民営化案によりそれを実現できるのかについてお尋ねいたします。
  68. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 初めて参議院の当委員会出席いたしますので、今、基本的な御質問をいただきました。若干時間をかりて、その質問の要点、述べさせていただきたいと思います。  私は、就任以来、民間でできることは民間にということを基本方針の下に、政府の各分野での組織、見直さなければこれから新しい時代に対応できないのではないかということで、この道路公団民営化も果たしてできるかどうか、随分考えてまいりました。  率直に申し上げまして、道路公団まで民営化できるかどうかというのは、総理就任前までは私も無理だろうと思っていたんです。ところが、いろいろできると言う方々の意見を聞いているうちに、可能かなと。特殊法人の中で最も税金を使っている大物が道路公団であるということから、できるならやってみようかということで決断したのが、総理就任してからでありました。今日までおかげさまで、賛否両論ありましたけれども、ようやく大詰めの審議に至り、与野党から御協力いただいていることに対しましてまず感謝申し上げたいと思います。  そこで、御質問でございますが、なぜこの道路公団の改革が必要だったのか、何を目指しているのかという基本的な御質問でありますが、まず従来の公団方式に対しては、厳格な事業評価を行う仕組みがなくて、楽観的な需要予測やプール制の下に、多額の借入れと国費により建設が進められて、返済期間が順次先送りされるなど、不採算路線の建設に歯止めが掛からなかったことであります。第二点として、一方的な命令の仕組みの下で経営努力の有無が公団の業績に反映されない、建設・管理コストの削減努力が不十分な高コスト体質であること。三つ目には、いわゆる天下りなどファミリー企業との関係が不明朗、不透明であること、これらが様々な批判や指摘がありました、こういう点についてですね。  そこで、このため、道路公団公団関係公団ですね、道路関係公団の改革を行政の構造改革の一環として行う特殊法人改革の中で最も重要な課題と位置付けまして、民間でできることは民間にゆだねるとの方針に基づき、民営化することとして、民営化委員会の意見を基本的に尊重して改革案を作成した次第でございます。  この民営化によりまして、まず九千三百四十二キロメートルのこれまでの整備計画を前提とすることなく、未供用の区間について費用対便益分析等を厳しく実施するとともに、抜本的見直し区間を設定し、これについては現行の計画のままでは整備を進めないこととしました。二番目には、また徹底したコスト縮減等により約二十兆円の有料道路事業費をほぼ半減、約十兆五千億円にするとともに、その債務については民営化時点の債務総額を上回らないようにして、民営化後四十五年以内にすべて返済すると。四つ目には、民営化までに平均一割を超える高速国道料金の引下げを実施すること。五番目には、競争原理の導入のため、日本道路公団を三分割することとしました。  このように、今般の民営化法案は、公団方式の弊害を解消して四十兆円に上る債務を確実に返済しつつ、真に必要な道路について早期にできるだけ少ない国民負担の下で建設するとともに、料金の引下げ等のサービスの向上を図るという民営化の目的を実現することによって、利用者はもちろん、すべての国民に利益をもたらすことができるという正に画期的な改革案であると考えております。
  69. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 大変明瞭な御回答、ありがとうございました。  総理にずっと質問を続けたいんですが、内閣の方から、総理は大変あれですからおまえは二問だけだと言われておりますので、私、この一番目と四番目のアクアラインだけにして、あとは大臣の方にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。  今後の高速道路の新規建設は民営化会社の自主性を尊重して行うとされています。一方、高速道路は国家の経済社会基盤であり、どの路線を整備するかは、国土計画、地域計画を踏まえ、国レベルで判断されるべき国家戦略だと思います。  ところで、アダム・スミスは、その国富論で、道路事業等の公共事業について、社会にとって大いに有用であるが、その性質上民間事業としてはその利潤がその経費を償うに足りないため、民間で造り維持すると考えることができないものを造り維持する国家の事業が公共事業である、道路事業であると、そういうふうに述べております。このことは、高速道路の新設は民間会社にとってインセンティブの低いものであることを教えているのだと思います。ちなみに、イタリアのアウトストラーデ社では、今後新規道路の建設はやらない、計画はないというふうに言っておりました。  そこで、今回の民営化においても、高速道路整備の必要性そのものを民営会社の経営判断と利潤の追求のみにゆだねることのないようにお願いしたいと思います。
  70. 石原伸晃

    ○国務大臣石原伸晃君) 沓掛委員がアダム・スミスの国富論を論じた中で、高速道路の社会資本としての有用性、そしてまた、どこにどれだけのものを造っていくかということについて民間には任せるにはその部分は当たらないのではないかと、こういう御指摘と聞かせていただいたわけでございます。  もう私が申すまでもなく、道路、なかんずくこの高速道路というものは、地域経済に対して社会的にも経済的にも大変大きな影響を与えるものでございます。したがいまして、これからの整備に当たりましても、厳格な路線ごとの評価を行わせていただいた上で、国会議員やあるいは有識者の皆様方、そしてお地元の地方団体の方々等々の各方面の意見というものを取り入れて、国によってどこにどれだけのボリュームの高速道路が必要なのかという判断を行わせていただき、計画を進めてまいる、こういう枠組みにさせていただいているところでございます。国にとって必要と判断された高速道路についてはどういう整備手法が適切なのか、こういう選択というものが重要になってまいります。  今回の民営化の枠組みの中では、民間会社でございますので、押し付けられたものに対して造りますよ、造りませんよ、こういうことをはっきり判断できる実質的な拒否権を付与するなどの措置を取らせていただきましたのは、整備手法を選択するに当たりまして、民間企業でありますから民間の経営センス、さらには、これまでのプール制でお金がどこかから回ってくるんじゃなくて、自分たち民間会社が造ろうと思うものは市場からお金を借りてくる、そういう市場規律が生かされるべき仕組みにすべきではないかと考えたからでございます。  会社が整備することになった場合は、会社民間企業としてのコストの意識をしっかりと働かせていただくことによりまして、これまでにも増しての効率化というものが図られると考えているところでございます。
  71. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 ありがとうございました。  では、次に移ります。これは事務当局、政府参考人でお願いします。  交通機関あるいは施設の民営化によって陥りやすい問題が民営化先進国で起こっております。例えば、三年前倒産した英国のレールトラック社について申しますと、英国で、九〇年代、国有鉄道の民営化のために、全国のレール、駅舎等、鉄道のインフラを所有するレールトラック社と、運行会社二十五、車両リース会社三とに分割されました。レールトラック社の株式は九六年五月にロンドン証券取引所に上場され、株価は高い利益と配当により急上昇し、分割・民営化の成果として評価されました。ところが、それは路線その他のメンテナンスを節減し利益を作り出したものであることが次第に判明いたしました。維持管理等を怠った結果、二〇〇〇年のハットフィールド脱線事故を契機に行われた調査で千八百五十か所に路線の破損があることが判明し、列車の遅れは日常的となり、巨額の復旧修理のためレールトラック社は二〇〇一年十月七日、倒産いたしました。しかし、鉄道を廃止することはできませんので、また国が乗り出してその対応を図ることになりました。  また、今世界で高速道路の維持管理を大規模に行っている民間会社はイタリアのアウトストラーデ社とフランスのコフィルート社ですが、このコフィルート社というのは七百四十キロの高速道路を管理しております。一年半ほど前の大雪の際、高速道路の除雪などの対応が適切でなかったために大問題を起こしておりました。  民営会社が高速道路の維持管理を行うとなると、採算性が重視され、維持管理がおろそかになり、必要な安全対策等が行われず、事故が増加するのではないかという心配もございます。その対策をしっかりお願いしたいと思いますが、お願いいたします。
  72. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 先生御指摘のように、民営化した後におきましても道路施設の維持管理について万全を期す必要がある。道路法の四十二条でも道路管理者は良好な状態に道路を常時保っておかなければいけないと、こういう規定があるわけでございます。この趣旨を踏まえまして、各会社と機構の間で締結される協定におきまして管理の水準についても定める必要があると認識しておりまして、これによりまして会社は機構との協定に基づいて業務を実施する、こういうことから、コストを縮減しつつ一定の管理水準を確保することになると、こう考えております。  また、道路整備特別措置法の法案の四十八条におきまして、国土交通大臣は、会社又は機構に対して高速道路の管理に関しまして必要な勧告、助言を行うことができると、従来の特別措置法にもこういう条項があるわけでございますが、こうしたことを定めることとしているわけであります。  さらに、高速道路会社は、これは会社が料金収入を得るためには高速道路が大切な資産でありますから、自らその維持管理についておのずと民間企業の経営センスを導入することによりまして、効率化を図りながら適切にこの管理を実施していく、こういうものと期待しております。
  73. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 では、次に移ります。  これは総理にお願いしたいんですが、採算性の面から、四国と本州を結ぶ三本の道路や川崎―木更津を結ぶアクアラインに批判がありますが、これらを利用したいのだけれども、高い料金抵抗によって他の輸送機関、例えば船舶や代替道路を利用せざるを得ない需要が多いのですから、せっかく整備した高速道路の利用促進のための方策を講じていただきたいと思います。  私からも提案したいと思います。今回の民営化に際し、通行料金を平均一〇%下げるとしていますが、一律に下げるのではなく、料金を下げることによって交通量が著しく増大する、すなわち料金弾性値が大きく、効果が顕著に出るところを中心に料金割引を実施していただきたい。それによって料金を下げても総収入の減少がわずかで済むことになります。  一例を申し上げたいのですが、お手元の東京湾アクアラインの通行料金と交通量についてのこの資料を見ていただきたいと思います。平成十二年度通行料金四千円のときの平均一日交通量は九千六百台です。料金を二五%下げた、すなわち千円下げて三千円にしたところ、交通量は三三%増えて一日一万二千九百台となりました。料金を二五%下げたら交通量は三三%増えたわけです。料金弾性値は、いろんな方法があるんですけれども、通常の方法、最近の弾性値などでやっても大体一ぐらいかなというところでございます。  そこで、平成十五年度に、では、ここに一番下に十五年度の交通量と料金、三千円と一万四千百台の交通量が出ていますが、この時期に三千円を二千円にしたら交通量がどうなるのか、そして総収入がどうなるのかをいろいろ計算してみました。計算の方法というのは幾つもあるわけですけれども、一番単純な方式として、平成十二年度に料金を四千円から三千円に下げたときの交通量の増大を参考にして計算しました。四千円を三千円にしたときは料金を二五%下げ、そうしたら交通量は三三%上がったわけです。料金下げ率の一・三倍の交通量の増加率です。この増加率を用いて三千円から二千円に下げたときの交通量増加率を計算しますと、三三%料金を下げたわけですから、それに一・三倍すれば交通量の増加率が出てきます。そうして計算すると二万一千台ぐらいとなります。また、それを基に収入を計算すると約四千万円ぐらいとなります。そうすると、余りそんなに収入は減ってこない、で、交通量は物すごい勢いで増えたということになります。  また、それが定着すると、いわゆる企業でも個人でもいろいろな新しい利用が試みられますので、継続的に見れば非常に大きな私は交通量の伸びが出てくると思います。もちろんこれは試算ですから、いろいろな人の計算によっては違う面もありますし、特にこの場合、今ETCをかなりここで用いていますから、ETCのことは除外して考えていますので、幾分の誤差は出てくるとは思いますが、本筋的には、私は今申し上げたように、非常に需要の多いこの地域において料金抵抗のために使えなかった、そういう多くの人たちが料金を下げることによってこの道路が生かせる、そういうことは確実だと思いますので、料金値下げに当たっては、そういう弾性値の大きいところ、そういうところを優先的に是非やっていただきたい。そういうところで、日本じゅうで一番大きいところどこかなと思って探してみたら、やっぱりこのアクアラインだなというふうに思いましたので、データとともに説明させていただきました。  よろしくお願いいたします。
  74. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今まで高速道路の料金については、公団時代、一切値下げは行われておりませんでした。今回、民営化を契機に、初めて民営化までに平均一割程度引き下げるということにしております。  また、この高速道路の有効利用を進める観点から大事な点は、債務を先送りしないで確実に返済していくということ、そして有効利用に取り組む、この点も重要だと思いまして、御指摘の点を踏まえながら、できるだけ国民が利用しやすいような運営にしていかなきゃならないと思っております。  あと、どういう割引あるか、ETC割引やるか、あるいは夜間割引やるか、それはもう大臣の方がよく心得ておりますので、何か提案あったら補足していただきたいと思います。
  75. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 ありがとうございました。  大臣には次の問題、質問をさせていただきたいと思います。  今回の民営化議論の中で、プール制が不必要な高速道路の整備をすることになった元凶のように言われています。プール制はある一定のかかわり合いのある路線間において資金面で相互補完をするために用いられたものであります。どの道路を整備するかはプール制で決めるのではなく、先ほど来大臣もおっしゃっておられましたような国土政策、地域政策、最近ではしばしば答弁に用いられておりますBバイCや採算性、外部経済効果などによって決められ、その道路整備の資金調達の一手段としてプール制があるわけです。もちろん、プール制の過度の乱用は厳に慎むべきでありますが、早期に建設された高速道路と後れて建設される高速道路では建設単価が著しく違う我が国の特殊性や、乏しい資源を優先的に使わしてもらって得た利益を、後れているために高い建設費となり、ようやく高速道路の恩恵に浴する人たちへ幾分還元してもよいのではないでしょうか。  資料二、この資料の一番下の方を見ていただきたいと思います。東名、名神、東九州自動車道の開通年と建設コストを示しております。昭和三十年代に造られた名神高速道路の建設費は一キロメートル当たり六億円です。六億円でできたんです。昭和四十年代に造られた東名高速道路は一キロメートル当たり十億円でできました。その三十年後に造られている東九州自動車道はキロメートル当たり四十億円を少し超える感じですが、四十億円も掛かります。昭和三十年代にこの東九州自動車道を造ったとすれば、キロ当たり四億円ぐらいでできたでしょう。今の十分の一のコストででき、自力で十分に償還できたと思います。  どの路線を整備するかという個別路線について十分な評価を行うことは大事でありますが、その整備資金の調達手段として、早期整備や整備に当たっての先発と後発の不公平感をなくす観点からも、プール制を活用することは、ある意味で意義があるというふうに思います。路線ごとの厳格な評価を行い、その整備にプール制を活用することは両立するというふうに思いますが、大臣の御所見をいただきたいと思います。
  76. 石原伸晃

    ○国務大臣石原伸晃君) ただいま沓掛委員の御指摘されました点は、民営化委員会の中でもかなり議論のあったところでございます。厳しい財政事情の中で有料道路方式という形で東名、名神から整備をしていく。必然的に東名、名神は基幹都市を結ぶ高速道路でありますから、採算性もいい、収益も上がる、そのお金で採算性の悪いところを造っていくという方法でネットワークが整備されてきたという歴史は私も事実だと思います。  しかし、沓掛委員がただいま御指摘されましたように、過度の乱用、過度の乱用なのか乱用でないのかという議論はおいておきまして、現行の公団方式においては、いわゆるもう採算性を全く度外視して不採算性な路線が安易に建設される、あるいは総理も戦後初めて料金を下げるんだということを先ほど御答弁されておりましたように、今までは逆で、ちょっと採算が合わなくなると料金を引き上げる、あるいは料金の徴収期間というものも、償還主義で決まっていたんですけれども、それも先送りする、さらに公団自体の側にも、ここの道路はもう少し安く造ろうといったようなそのコスト意識が欠如する、そういうものがこの全国プール制の中で弊害が指摘されてきたという事実もあると思います。  ですから、今回の民営化案では、このプール制の弊害を除去して、道路一本一本を厳格に評価して、会社が新たに建設する高速道路の債務はその会社の料金収入から返済するということを基本とさせていただきまして、これまでの償還主義あるいは今お話をさせていただきました全国プール制の弊害を解消する全く実は新しい仕組みとしてこの法案を準備させていただいたわけでございます。言ってみるならば、高速道路債務責任返済制とでも申すのでしょうか、そういう新しい枠組みであると是非御理解をいただきたいと思います。  そんな中で、成績を取ってみますと、外部効果等々を見ますと、採算性が悪くても造らなきゃいけない道路もあるということもはっきりしてきたわけでございます。これからの財政事情の中で、厳しい財政の中で選択と集中をその考え方の中心として透明性のより高い道路整備というものに取り組んでまいりたいと考えております。
  77. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 総務省にちょっとお尋ねしたいんですが、地方財政の厳しい中で着実に新直轄方式で高速道路整備を進めるためには、地方負担分の財源措置を国として十分に対応すべきだというふうに考えます。このため、マクロ的には地方負担分に見合う自動車重量税が地方に譲与されることになっております。しかしながら、個別的に見た場合に、必要な自治体に必要な額が配分されることが必要です。直轄高速を行う県の地方負担分が基本的に全額地方交付税等で措置されるようにお願いしたいんです。  自動車重量税は、昭和四十六年の創設の際、時の福田大蔵大臣が国会で、主として道路特定財源として扱うことを約束され、そして今も二・五倍の暫定税率でいただいているものですから、その趣旨や経緯も踏まえて適切に処理していただきたいと思います。
  78. 瀧野欣彌

    政府参考人瀧野欣彌君) 新直轄方式によります高速道路整備に係ります地方におきます負担についての財政措置のお尋ねでございます。  今御指摘ありましたとおり、地方財政全体といたしましては、地方に交付いたします譲与税の増額ということで今回の地方負担に対して対応しているということでございます。  また、個々の地方公共団体につきましては、現在、整備新幹線に対します財政措置というものが行われているところでございますが、これを参考にいたしまして、地方負担につきまして地方債を九〇%充当する、その元利償還金につきましては五〇%を事業費補正をするというようなことで地方団体に措置する方向としております。  これらの措置によりまして、地方団体におきましても円滑に事業執行ができるものというふうに考えておるところでございます。
  79. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 時間が参りました。  総理には、大変お忙しい中、適切な御指導を賜りましてありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。  以上でございます。
  80. 藤野公孝

    藤野公孝君 自由民主党の藤野公孝でございます。  先ほどの沓掛委員質問とも関連いたします、改革の趣旨、目的等の質問にも関連いたしますが、今回の道路関係公団の改革を考えますときに、私の現役時代の経験でもあるんですが、国鉄の改革のことが思い起こされ、また比較もするわけでございます。  あのときも、公社方式、それの持っている、内在する問題点が、例えば運賃法定主義でありますとか、あるいは組合、労使関係の問題、それによる生産性がなかなか上がらないと、いろんな問題がありました。しかし基本的に、私の思うところでは、スト権ストというものが起こりまして、これが国民の経済、生活、大きく大打撃を与えた、国民の目にこの矛盾というものがさらけ出された、そういうことが背景にありまして、中曽根内閣のときに民営化という大なたを振るうというか、大英断があったと思うわけでございます。  先ほど総理からのお答えは、目的、それから効果等についてですが、もう一度、今回、先ほど総理になられる前は無理かなと思われたというようなこともありまして、そういうことをお聞きしましても、この議院の、委員会の中での議論でも、公団がしっかり自己改革をやって低コスト構造に転換できる自己改革能力がきっちりあってやっていけば、必ずしも民営化でなくてもいいんじゃないかというような意見もあったように思いますが、先ほど総理の御答弁の中に、そもそもこの公団方式というのが、国のお金やあるいは財投、もう一番たくさん使っている、そういう構造そのものが大変問題だと考えておられるということをお聞きし、かつ民間ができることは民間へという基本方針の下にということですが、本当のところというのは変な言い方ですが、この背景といいましょうか、もうこれはやらねばならぬという、その決断に至られた、そのところについてお聞かせできれば幸いです。
  81. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは先ほど沓掛議員にもお話しした点でありますが、民間にできるものは民間にという基本方針が、これが第一点であります。  と同時に、道路を造った方がいいか造らない方がいいかというと、どの地方においても道路造ってくれという声は実に多いわけです。それは都市、地方を問わずです。道路を造れという要求は、これ都市、地方を問わず、与野党問わずですよ。選挙民も有権者も与野党問わず、実に道路を造ってくれという要望は強いんです。  そういう要望を、その選挙区出身の議員は、衆議院であれ参議院であれ、むげに断ることはできない。そして、造ればみんな喜ぶんです。特に人口の少ない地域であればあるほど賛成者が圧倒的で、もう地域挙げて造ってくれという要求が多いと思います。  都市の方は、そこへいくと賛成論があると同時に、過密都市、住民の中で、最近は反対論が多くなってきましたね。うかうか造ってくれという陳情に乗ると、いざ造り始めると今度は思い掛けない反対論が出て、賛否真っ二つに割れて、造った方が選挙に有利か不利かというのは非常に難しい問題が都市の中にある。  ところが、地方はそうじゃないですね。もうこの道路を造れば次の選挙ではお返ししなきゃならないと、地域挙げてその政治家応援してくれます。しかし、そういう地域に限って余り、採算が取れるかどうかというのは無視するところが多いんですね。しかも、この高速道路というのは地方負担なしですから、これは税金で面倒を見てくれるんだろうということは、地方の人にとっては、おれたちは税金負担ないからということになってしまう、そういう政治の圧力に屈しやすい。  そこで、やっぱり民間になれば費用と効果、これだけの費用を掛けてそれだけ採算取れるかという視点も公団方式よりはるかに強くなる。同時に、必要だから造るというんだと、これだけの税金を掛けても後で払えばいいじゃないかというのが今までの公団方式で、どんどんどんどん借金が膨らんできて、しかも三十年、四十年、五十年という後、払えばいいんだという形になってきている。そういう観点から私は、必要な道路とそしてさほど必要でない道路というものを厳しく見直すためには、今の公団方式よりは民営化方式に変えていった方がいいんじゃないかというのが一つの大きな理由であります。  まだいろいろあります。例えば、本当に地方道路を造って環境を破壊しないのか。もう山の奥まで道路入ってきます。その地域の人は、あそこは名所だ、観光地だと、もう自分で歩いていくのは疲れるからできるだけ上まで道路造ってくれとなると、最近は、こういう山を道路のために環境を破壊していいのかという環境面からの配慮もあります。便利になりますが、同時に環境の面も配慮をしなきゃならない、採算も配慮しなきゃならない、そういう点もありますし、いわゆる道路公団方式だとファミリー企業等の問題も出てきました。  いろいろありますが、今考えてみて、当初、道路公団民営化が無理じゃないかなと思っていたところを、やってみて良かったな、よくここまでできた、皆さん御協力いただいたと感謝をしておりますし、こうした民営化会社が早く多くの国民に、公団方式でない、いろいろな経営感覚導入してくるでしょう、今まで公団だったらできないサービスも展開してくれると思います。そして、今まで公団方式だったら、そのまま税金を使ったりあるいは財政投融資の金を使ったり、できた道路も、できなかったんだったら、もっとコストを安くすれば道路できるんじゃないか、規格を見直せばできるんじゃないかという議論も出てくると思います。  そういう点をよく踏まえて、道路公団から民営化会社になっても、多くの国民に評価されるような民営化会社になっていただきたいと期待しております。
  82. 藤野公孝

    藤野公孝君 どうもありがとうございます。  実は、次にお聞きしようと思っていること等ももうほとんど答えていただいたんで、ただちょっと経緯もありますので、ちょっともう一問、総理に質問させていただきたいんですが。  先般、この委員会参考人質疑というのがございまして、三人の参考人の方がお見えになった。先ほどもちょっと沓掛先生の方からもありましたけれども、触れられましたが、櫻井よしこさんが、参考人がお見えになって、私も質問させて、質疑させていただいたんですが、櫻井よしこ参考人お話の中で、いろんなことおっしゃいまして、結論として、今回のこの道路公団のこれは改革ではなくて言わば改悪だという言い方された。  幾つかポイントはあるんですが、一つ民間会社を作ると。これは総理がそうおっしゃったかどうかは僕はあれですが、総理のお考えというか希望は、将来上場して完全な民営会社になって、投資家にとっても大変、何というか、魅力のある会社にするべき。そのためには、上下一体というか、資産をちゃんと持たしておかないと、サービスエリアやパーキングエリアぐらいしかないような会社が、だれがそんなもの投資しますかというような感じで、そういう会社の存立のベースになるような資産が与えられていないというのはおかしいというような感覚、御意見とか、あるいは保有機構というんですかね、あれを作ることによって、新会社とその保有機構が言わば大家とたな子のような関係で従属関係になってしまって、これじゃ形を変えた公団方式ではないかと。要するに、会社の自主性、主体性というようなものが極めてゆがめられているというような意見。それから、今まで以上に採算性が難しいような道路もかえって造れるようになったんじゃないか、全部引き受けてもらえるので、後で資産と債務を。  そういうようなことで、大変厳しい御意見をいただいているんですけれども、今総理がお答えくださいましたように、全国の国民のコンセンサスを得る案という意味では、私は、今政府が出しておられる、真に必要な道路を国民の負担をできるだけ少なくしてそれでできるだけ早く整備していくという新しいスキームを作るんだ、制度設計をするんだという意味においては、私はもう十分に合格点を与えられる案だと思っております。  そのことについて、我々を励ます意味でも、私の意見を励ます意味でも、総理にもう一度御感想をお願いいたします。
  83. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは、民営化反対論者の中には、もっと民営化して利益を上げられる会社になるのではないかという期待を持っていた方から見れば、予想したよりも利益が出るのは遅いという立場に立てば、不十分だという理屈は分かります。なぜなら、確実に利益を上がる路線しか造りませんよ、地方の要求があろうが、その道路は採算が取れませんから造らない、全部断っちゃうと。割り切ればそうですよ。  しかし、今、道路公団が計画しているところは地方へ行っても全部造ってくれという声ですね、そういう声にも耳を傾けなきゃならない。現在の公団方式の規格では今回の民営化ではできません。しかし、規格を見直す、八車線を六車線にする、六車線を四車線にする、あるいは造り方を変えるということによって、安くすれば造るところはあるかもしれない。あるいは地方が負担してくれるというんだったらば、新しい民営化会社がそれだったら造ろうと思うかもしれない。  そういうことを考えると、直ちにできるだけ早く上場させて、株も高く売って、新しい民間会社は確実に利益が上がるんだという人から見れば、もう余分な道路を造らないというんだったら、これは道路を造るためにも工夫しているから、早く利益を上げられないという点から見れば不満があるかと思いますが、私は、政治として、今まで国会で九三四二キロ全部造ってくれ、そういう要求に対して政治がどこまでできるか、民営化会社がどこまでできるかということをやっぱり考えなきゃいかぬ。  もう後のことは、造らなくていいというんだったら、そういう今の民営化は不十分だという声は分かりますよ。そうじゃないんです。民営化会社の役割は尊重すると。そして、民営化会社ができなかった部分は政治でどうやって造るか、民間会社の協力をどうやって求めるか。民間会社の自主性を尊重しながら造るという案ですから、私は、国民全体から見れば、もう、すぐ確実に早く利益が上がるぴかぴかの民間会社よりは、私は国民の利便性を考えた今回の案だと思っております。
  84. 藤野公孝

    藤野公孝君 ありがとうございます。  もう一杯質問を用意していたんですが、時間がありません。  石原国土交通大臣は、初めての観光立国というか、観光担当大臣でもあられて、私も観光立国を実現したくて国会に出たいと思った一人として、ちょっと無理やりと思われるかもしれませんけれども、質問させていただきます。  住んで良し訪れて良し、これが二十一世紀の国づくりの一つの私は大きな国家目標になってしかるべきものだと思っております。私もかつて、駐在というか滞在したフランス、観光大国であります。この前、総理も大使をお呼びになったと思いますが、あの国、高速道路、直近のインターチェンジまで四十五分というふうなことで整備をしておったか、しているように聞いております。日本はあの全総の一万四千キロベースですら一時間というふうなことだと思います。  そういうことから、住んでいる人ばかりでなく、海外から訪れる人のことを考えて、日本という国は大した国だと言わせるためにも、観光振興と道路の整備というものはやっぱり採算性だ何だという次元だけではなくて、国家政策として位置付けられるべきと思いますが、大臣の御所見をお伺いします。
  85. 石原伸晃

    ○国務大臣石原伸晃君) この点は、やはり採算性、BバイCとはまた別のいわゆる外部効果の世界に入ってくると思います。そして、今回の道路の客観基準の中では、観光にどれだけ役立つかというような指標も考えさせていただきました。  時間ですので、例を若干挙げさせていただきますと、例えば大分県の津久見市、臼杵市では、東九州自動車道が延伸したことによりまして観光客が一・三倍増えたと。もう目に見える数、増えるわけですね。先日、また国東半島の豊後高田の市長さんおいでになったんですが、あそこはレトロの町で、昭和三十年代の建物が残っている。言葉を換えますと、開発から取り残されたと。しかし、今はそれが逆に大変資産価値になっていて、高速道路から若干距離はあるんですけれども、一般国道さえもう少し整備してもらえればもっと観光客が来ると。  このように、観光に大変道路というものの持つ意味というものは大きいわけでございますので、もちろんコストはできる限り縮減を図りつつ、観光地が今、観光立国ということで国を挙げて観光政策に取り組んでいるわけですから、スピードアップもして、整備をしていくところはしていかなければならないと考えております。
  86. 藤野公孝

    藤野公孝君 終わります。
  87. 池口修次

    池口修次君 民主党・新緑風会の池口でございます。  総理には本会議でも質問させてもらいましたが、引き続きお願いをします。  まず、総理、大変忙しいお体だというふうに思っております。昨日は参議院の決算委員会でも質疑をされましたし、今日はこの国土交通委員会、あしたは何か衆議院の決算行政監視ということで、三日も何かあるのかないのかというような状況のようで、日々違う委員会の中での審議ということで大変だというふうに思っておりますが、よろしくお願いをします。  まず、法案に対する質疑ですが、まず冒頭、この法案が出てきた背景というのは、やはり小泉総理が総理になってから言い出した構造改革というのが基になっているというふうに思いますので、その点について若干まず質問をさせていただきたいというふうに思っております。  皆さんも御存じですが、小泉総理は、構造改革と言って、ある意味象徴ということで、自民党の総裁になるときには郵政の問題を取り上げられたというふうに思いますが、その後、総理になって道路と郵政、これが構造改革のある意味象徴みたいな形で言われておりまして、順番が途中で変わりまして、今年、道路公団改革、ちまたによりますと、来年が郵政の民営化法案というように言われております。  ただ、現時点で一番議論がされているのは何か、国民の関心が強いところは何かといいますと、私はやはり年金に絡めた社会保険庁の改革が必要という声が日増しに高まっているというふうに思いますし、新聞等によりますと、坂口厚生労働大臣は社会保険庁の改革を言い出したというふうに思っております。  私も、今回いろいろ年金に絡めて、社会保険庁の今までやってきたことが審議の中に出てきて、やっぱり本当はこの社会保険庁の改革をして年金の審議をすれば、もう少しスムーズに私はいったんじゃないかというふうには思っておりますが、そういう意味で、やっぱり順番として、道路と郵政なんかよりも社会保険庁じゃなかったのかなというふうに率直に私は思っているんですが、総理はどのように考えているのかというのをまずお聞きをしたいというふうに思います。
  88. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) マスコミ報道をにぎわった面から順番に取り上げろというのはちょっと薄い見方じゃないかなと。マスコミに取り上げられる話題というのは時々変わります。しかし、問題点というのは、マスコミに取り上げられない部分で、取り上げられているよりもはるかに大きな深い問題はたくさんあるのが常であります、どの時代においても。そういう点からいえば、道路公団民営化されようとしたときには、今余り話題になっていません。取り上げたときには連日大変話題になりましたよ。そういうことも考えまして、取り上げられる問題に対しましては、どういう点が直されなければならないか、改善されなければならないか。改革していかなきゃならないと思います。  問題はこれから次々に出てくると思います。問題はというのは、改革されなきゃならない問題は。だからそのときだけ、マスコミの話題になっただけ追っていたら、もう本来の政治はできないと思います。それぞれ時の課題があります。世界の動きもあります。目に見えない中で改革すべき点もあります。それを探し出して掘り下げて、改革すべきは改革すべきというのが政治の在り方だと思っています。  社会保険庁の改革、大変大事であります。ようやく年金制度の改革案が出てきたから今話題になっています。この話題というものを十分踏まえて、これからも社会保険庁の改革、もちろん目指していかなきゃならないと思っております。
  89. 池口修次

    池口修次君 私は、マスコミが騒いでいるからどうこうということでは必ずしもありません。  今、一方で年金の議論がされております。年金の議論を、本来は年金がどうあるべきかということを議論をしなきゃいけないんですが、やっぱり社会保険庁がある意味、社会保険庁が扱った保険料で箱物をどんどん作っていたとか、若しくは自分の役所の宿舎だとか、車を買っていたとか、あるいは運用に失敗をしたとか、いろいろ問題があって、これは今起きた話では私はないと。もう昔からあった話が今この年金の議論とともにわき出たわけですけれども、私は、やっぱりこれらの問題は先に片付けるというか改革をしておけば、本来すべき年金の議論というのが私はやられたんではないかなということで、やっぱり確かに道路とか郵政も大事な問題ではあるんですが、それと同様若しくはそれ以上に、私は国民生活に直結する年金ということからいえば、やっぱり社会保険庁を先にやっておけばと。これは後から考えてもしようがないといえばしようがないんですが、ただいろいろな問題はやっぱり政府の中にある、知っているわけですから、そういうことで申し上げたということでございます。  それと、今日は社会保険庁の長官に来ていただいているというふうに思っております。社会保険庁の役割は、若しくは社会保険庁の仕事というのは何なのかということをお聞きしたいというふうに思います。
  90. 真野章

    政府参考人真野章君) 私ども、政府管掌健康保険、これは中小企業に働いていただいております方々の医療保険制度、政府が管掌いたしまして医療保険制度を担当をいたしております。それから、厚生年金保険、これはサラリーマンの方の年金制度でございまして、これを担当いたしております。それから、国民年金制度、これは自営業者その他の方々の年金制度でございまして、それを担当いたしております。あと、小さい制度でございますが、船員保険制度というのがございまして、船員の方々のこれは医療、年金、労災、失業保険、四つの制度を総合的に担当をいたしております。
  91. 池口修次

    池口修次君 私が聞いたのは、保険の種類を別に聞いたわけではなくて、その中で、そのいろんな保険を社会保険庁はどういうことをやっているんですか。私は、端的に言えば、保険料を集めるというのと、確かに年金をもらえる資格のあった人に間違いなく給付をする、突き詰めればこの二つだろうというふうに私は思っているわけです。  給付のことは余り今回の中でも話題になっていませんが、集めるということに対して、本当に社会保険庁仕事していたのかというところが私は一番問われるべきだというふうに思っておりますし、実は国会議員の未納問題等あったわけですが、若干、いろいろな状況の中で話題になっていますが、私は、社会保険庁がちゃんと集めるということに努力をしていれば、今の国会議員の未納のほぼ九割、まあ一〇〇%とは言いませんけれども、九割の問題は、これは未然に防げたというふうに思っております。  そういう意味で、私は、これだけ年金の議論が、ある意味国会議員の未納議論になってしまった、その結果、国民の政治に対する信頼感がなくなったということに対して、私は社会保険庁はもっと責任を感じるべきだというふうに思って、何の役割ですかというふうに聞いたわけですけれども、単に種類は、それは調べりゃ分かりますよ。その種類ではなくて、どういう気持ちで仕事をしていたんですかというのを聞きたかったんですが、もしお答えがあればお聞きしたいと思います。
  92. 真野章

    政府参考人真野章君) 未納の問題につきまして、国会議員が国民年金の強制適用になった当時、いろいろお知らせをしたわけでございますが、その後、選挙のたび、そういうような状況に、議会の事務局にきちんと私どもの方からそういうお知らせをするというようなことは行ってまいりませんでした。そういう意味では大変申し訳なく思っております。  ただ、今いろんな形で二十歳になりますと連絡をするというふうなことをいたしておりますし、そういうようなことで、今後、私ども持っております記録、これを活用いたしまして、いろいろな形で御連絡ができるような体制に組んでいきたいというふうに思っております。
  93. 池口修次

    池口修次君 今、議会の事務局に連絡しなかったのは申し訳ないというような話でしたが、私最初に確認させていただいたように、社会保険庁の役割は大きく私は二つ、保険料を集める、その保険料を公平にその時期になった人に給付をする、この二つしかないんです、実はね。多少運用の問題とかあるんですが、これは、運用は厚生労働省が今日はいろいろお話がありましたので、端的に言えばその二つなんですよ。  その二つのうち、一つの集めるというのは、これは厚生年金は企業が集めてくれるから社会保険庁やる必要ないんですよ。少なくとも国民年金はやっぱり社会保険庁がやらなきゃいけないことをやっていなかった、やる努力をしていなかったのがこれだけ問題になっているという意識が私は全くないんじゃないかということで指摘をさせていただきました。これ以上はすれ違いになると思いますので、是非本来の仕事を私はちゃんとやっていただきたいというふうに言っておきたいというふうに思います。  それに関連して、総理にちょっとお伺いをしたいんですが、一つ総理の問題も結果的にいろいろ国会の中で議論になりました。一つは強制加入になる前、任意期間のときには総理は入っていなかったということで、これは国会の中かどうかは必ずしも分からないんですが、記者に対して、この未納の問題について総理の責任を聞かれたときに、これは未納の期間だから全く問題ないというお答えをされるのをテレビで聞きました。私は、この全く問題がないかどうかということについては実は二つの立場で考えなきゃいけないというふうに思っております。  国会議員というのは法律を作る立場です。法律を作る立場の人と法律を守らなきゃいけない立場の人では、やっぱりこの言葉の持っている意味合いというのは変わってくるんだろうというふうに私は思っております。法律を守る立場の人は、それは法律に従って守るしかないわけです。ただ、国会議員の場合は法律を作れますから、これは極端に言えばどういう法律でも作れるということですから、必ずしも国会議員は法律だけ守っているということではなくて、今回の問題についても、その後義務化をされたということも踏まえれば、やっぱり国会議員として全く問題がないというところは、私は少し言い過ぎではないかなというふうに感じているんですが、総理、いかがでしょうか。
  94. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、人間として法律を守っていればいいという、そういう考えではありません。法律以上に大事なことはたくさんあります、人間として。しかしながら、この年金の任意加入に入らなかったからけしからぬという議論は私は取りません。  任意という言葉はどういう意味か。入ってもよし、入らなくてもよし、だから任意なんです。何で強制加入に変わったか。強制、これはもう入らなきゃいけないんです。その言葉を分かっているにもかかわらず、任意で入ってなかったからけしからぬという議論するのは分からない、いまだに。いろんな政治的思惑があるんでしょう。それはそれでよしとします。しかし、私は任意加入のときに、どちらでも、入っていい、入らなくてもいいときに、入ってないからけしからぬという議論はいまだに分かりません。
  95. 池口修次

    池口修次君 今まで言われたことと全く同じ立場で言われたわけですけれども、確かに言葉だけとらえれば任意と強制というのは全く違います。  で、任意を強制にしたのはこれは国会議員がその制度を変えたわけですから、やっぱりそういう立場に国会議員というのはあるんだということも是非御理解をいただきたいということと、ですから、法律を守る、普通の一般の国民はその法律を守れば、私はそのとおりで、ある意味十分だというふうに思いますが、やっぱり国会議員の場合はそれで本当にいいのかどうか。一部の識者は、任意だったんだけれども、それは強制加入の前段として任意だと言っている人もいるわけですから、それに対して全く問題がないというのはやっぱり、一般国民が言うんであれば私はそうだと思いますが、ちょっと違うんじゃないかというふうに思っております。  それと、もう一つの問題の厚生年金の問題です。  その前に、ちょっと長官が来ておりますので、ちょっと事前にお話ししてなかったんですが、小泉総理は厚生年金と国民年金に入っていたわけですが、これは給付というのはどういう形でやられるのかというのを長官に。説明してください。
  96. 真野章

    政府参考人真野章君) ちょっと給付の意味がよく分かっているかどうか分かりませんが、請求がありましたら、厚生年金の記録、それから国民年金の記録、そういうものを通算をいたしまして給付を行うということになります。
  97. 池口修次

    池口修次君 そうすると、総理の場合は厚生年金の期間と国民年金の期間があるわけですが、それに基づいて給付がされるということでよろしいんですかね。
  98. 真野章

    政府参考人真野章君) 私ども、請求がございましたら、その期間に応じて、把握した期間に基づきまして支給をするということでございます。
  99. 池口修次

    池口修次君 その点でちょっと総理にもう一回お聞きをしたいわけですが、総理は参議院の、あれはイラク特、事態特ですかね、そのときの質問の中で、確かに会社仕事をしていたんではないわと、社長が言うにはあんたの仕事は次の選挙に当選することだ、選挙運動を一生懸命やりなさいと言われて、それが、ある意味総理からいえばそれが仕事だというふうに理解したのかもしれませんが、一般的にはそれは会社仕事だというふうに私は思わないんですが、そういう中で給料はもらったんだというふうに思います。厚生年金も負担をしてもらったというふうに思います。  総理は、そういうことで、仕事にはいろいろあるんだというふうに言っておりますが、ただ、一般常識なり今の社会の状況はどうかというと、会社のために一生懸命、総理が言っている会社とは、ちょっと私の言っている会社のために一生懸命というのは違うんですが、会社の本来の仕事のために一生懸命仕事をしている人、その人たちでもかなり給料もダウンをしておりますし、ぎりぎりの、その中でぎりぎりの生活をしている人がかなりおります。パートの人なんかは相当やっぱり給料が低い。そういう中で正社員の人は厚生年金、パートの人なんかは今、国民年金に入っているわけです。  そういう人からすると、何だ、政治家若しくは政治を志す人というのは、何か仕事しないでも給料もらえていいなというような雰囲気に一部なっているということは私はやっぱり大きな問題ではないかなというふうに思っておりまして、まさか総理はそういうつもりで言ったんじゃないというふうに思うんですが、もう一回、そういうぎりぎりの生活をして、多分そのときにもらった給料というのはそんなに少ない金額ではないというふうに思うんですね。生活もして、なおかつ選挙活動もしろといった給料ですから、今私が申し上げたような、まあ年収で二、三百万という数字では私は多分ないというふうに思って言っているわけですが、そういう中で、実際今の時代はぎりぎりの生活をしながら国民年金若しくは厚生年金を払っている人がいるわけですから、その人たちに対してもう一回、総理の説明、あの説明でいいのかどうか、ちょっとお聞きしたいというふうに思います。
  100. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、当時、私を社員として採用してくれて、あんたの仕事は次の選挙に当選することだと言って支援していただいた社長、今でも非常に感謝しております。また、いい人に巡り合ったなと。そういう方々の支援によって今日の私があるんだと、大変有り難いことだと思っております。  社員としてどういう仕事をしているかというのは、私は社員によっても違うと思います。会社によっても違うと思います。俗に言う毎日決まった時間に会社に出勤して、決まった時間に退社する、そして皆さんと机を並べて会社仕事をするというのも社員でしょう。同時に、会社によっては、今でも会社に毎日出てこなくていいという社員もいます。それから、別の会社には一、二年ぶらぶら旅行していろ、そして何かいいものがあったら知恵を出してくれという会社もあります。そういう社員もいます。私は会社によって様々だと思います。国会だってそうですね。毎日国会に出てこなくても、国会に出てこなくても実に大きな政治活動をしている方もいるわけです。人によってもう様々、仕事の形態は違います。会社によって様々な人が採用されています。全部同じ仕事をするのが会社じゃないんです。そこをよく考えなきゃいけない。  私はたまたまいい社長に巡り合わせた。非常に太っ腹で、人情味の厚い、そしてこの若い私が落選して、そんなに悲観するな、もう一回挑戦しろ、また応援するからという御好意に私は感謝しつつ努力しておりましたけれども、そういう人情味の厚い社長は今どき少なくなったと思いますけれども、私はそういう社長の御好意を受けながら、自分なりに一生懸命やって今日があったわけであります。  そういう時代ですから、いつの時代でも見返りを求めないで、これはと思った人を応援する人はいると思います。それは政治家に限りません。芸術、文化、スポーツ、それはもう見返りを求めないで応援する人がいるからこそこの社会というのは面白いし、また味のあるものになっているんじゃないでしょうか。
  101. 池口修次

    池口修次君 今、仕事にもいろいろある、働き方にもいろいろあるというお話でしたが、少なくとも今の時代において、選挙だけやってりゃいいというふうに社員に給料を渡してというのはいないだろうし、多分それは今は法律上からいってもそれは許されないだろうというふうに私は思います。  確かに、総理が言ったみたいに、企業によっては、あんたは一年間出てこなくてもいい、若しくは全く出てこなくてもいいというふうな働き方もあるのは私も理解はしております。ただ、それはある程度のその企業の中でベースなり実績があって、その上でその企業がプラスアルファのものを求めてそういう扱いにしているということがあるんですが、今言った総理の例というのは、必ずしも会社の業績を、若しくは伸ばすということを目的にして総理にそういうことをしたのかなというと、確かに業績を伸ばすというのはいろいろ方法がありますから、そこまでは言うつもりはないんですが、ちょっとやっぱり、ちょっとというか相当我々の感覚とはずれているんじゃないかということでして、是非そういう疑問に思っている人に再度説明してくれというふうにお願いしたんですが、やっぱり総理のお考えは変わらなかったということかなというふうに思って、私としては大変残念でございます。  さっき法制局、法制局じゃない、社会保険庁の長官の答弁によりますと、請求があれば国民年金も厚生年金も多分払うということになるんでしょうというと、総理が請求をするかしないか。請求をすると、本当に事実関係が、厚生年金に入っていたということに基づいて総理が請求をしたという事象が発生をしますと、また局面がちょっと変わってくるというのが最近のマスコミの論調でして、その問題をとらえて詐欺に問われた人もいるということですので、総理は当然、会社のために仕事をして、年金、払っていたんだから当然請求をされるというふうに思うんですが、請求されますか。
  102. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) いや、私、もう想像もしない御質問で、今、まして現役ですから、請求する気なんか全然ないですね。
  103. 池口修次

    池口修次君 想像するかしないかということじゃなくて、ちゃんと仕事をして、その仕事に基づいて不動産会社が保険料を払っていたんですから、総理には請求する権利があるんですよ。だから、当然それは請求をしなきゃ、何か後ろめたいから請求をしなかったということになりますので、是非請求をしてください。  ちょっと、時間が大分たっております。あとちょっと、石原大臣にちょっとお聞きをしたいというふうに思います。  日歯連からの献金疑惑のことで前回聞いたときに、それは政党、自民党本部から四千万あったというのは事実だということだけれども、これは政治活動に対して本部が支部に対して寄附をしたんだということで、その証明もしてもらいました。ただ、平成十二年の七月の三十一日の分だけは、これは忘れていましたというか、ちょっとミスをしていましたということで、最近訂正をされてという書類が出されました。  私の方で、確かに収入としてミスをしたのはこれで分かりますけれども、じゃ支出はどうなったんですかというふうに理事会でお聞きをしましたら、支出については繰越処理をしましたということでいうと、そうすると、これは現金でずっと残っていたということ以外はちょっとあり得ない。若しくは現金にならず、銀行でもいいんですが、その秘書の人が勝手に銀行か何かに預けていたかもしれませんが。現金若しくは現金と同じようなものが四年間ずっとどこかにあったということでしか理解ができないんですが、この一千万、修正したのは最近ですから、その一千万は四年間どこにあったのかということを御説明いただきたいと思います。
  104. 石原伸晃

    ○国務大臣石原伸晃君) ただいま池口委員から御指摘のございました自由民主党から第八選挙区支部への交付金についてでございますが、担当者に確認をさせていただきましたところ、平成十二年、前々回の選挙の年でございますけれども、事務量が大変多く、また会計等々をやっていた人間も替わったばかりのことであるから事務的なミスによる記載漏れが生じ、東京都選挙管理委員会に対し必要な訂正手続を取ったという報告を受けております。平成十二年の記載漏れに関しまして、同年の収入及び翌年への繰越金の額について訂正を行い、それ以降の年についてもそれに伴う繰越金額の訂正を行ったということを聞きました。  政治資金の管理、また報告書の作成については、厳正かつ適切に行い、以後このような誤りのないように担当者に厳重に注意をさせていただいたところでございます。
  105. 池口修次

    池口修次君 繰越処理をしたというのを聞いているんではなくて、使っていなかったわけですから、党本部からはその支部に入っているんですよね、一千万。入っているというのが党本部からの資料で、それで受け取りましたというのも石原大臣の修正の中身なんです。  そうすると、じゃその一千万は使ったのかということであれば、領収書が添えて訂正すればいいんですけれども、それがされていないということは、繰越処理をされたというのはその一千万がどこかにあったんですよ、現金なのかどうかは。そうすると、四年間ずっとそれをやっていたということは、四年間どこかに眠っちゃったんですね、一千万。我々の常識でいうと、一千万の金がどこかになくなったということになると大騒ぎ実はするんですよね。大臣はそんな一千万ぐらい大騒ぎしないということかもしれませんが、我々は一千万だと大騒ぎします。  やっぱりちょっとこれは余りにも説明責任を果たしていないんじゃないかというふうに思いまして聞いたわけですが、今日は法案の審議ですからこれ以上言いませんが、もし何かおありでしたらお聞きをしたいと思いますし、なければないで次の質問に行きますし。
  106. 石原伸晃

    ○国務大臣石原伸晃君) 正直申しまして、私、会計の専門家でございませんので、通帳とその提出する資料を全部チェックしたということはございません。以後、私、数字だけ見ましてもそれがどういうものなのかということを確認するようなことも専門家じゃありませんので、会計の専門家に全部見ていただこうと、こういう指示を出させていただきました。
  107. 池口修次

    池口修次君 では、法案中身についてお聞きをしたいというふうに思います。  まず一点目ですけれども、これは沓掛委員からも質問があった中身ですが、なぜ総理がこの道路公団民営化というのを提起したのかという点ですが、これは猪瀬さんなんかは、テレビでは、自分が官邸に持ち込んだんだ、だから自分の手柄だというような感じで盛んに言っておられます。総理としては、この道路公団民営化を提起したねらいを再度お聞きをしたいというふうに思います。まさか猪瀬さんが言ったからということはないと思いますので、お願いします。
  108. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 先ほど沓掛議員にお話しいたしましたとおりなんですが、質問者が違いますので、再度答弁させていただいてよろしいでしょうか。
  109. 池口修次

    池口修次君 お願いします。
  110. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) まず、この従来の公団方式に対していろいろ御批判がありました。  この御批判を受け止めてどういう改善をしていけばいいかということなんですが、一つには、厳格な事業評価を行う仕組みがなくて、楽観的なこれからの需要予測やプール制の下に多額の借入れと国費により建設が進められたと。また、返済期間が順次先送りされる等、いわゆる不採算路線の建設に歯止めが掛かっていないという、こういう批判がありましたね。また、一方的命令の仕組みの下に経営努力の有無が公団の業績に反映されていない、建設・管理コストの削減努力が不十分な高コスト体質であるということ。また、いわゆる天下りなどファミリー企業との関係が不明朗、不透明である、こういう御批判がありました。このために道路関係公団改革は構造改革の一環としてやるべきだと、もう何人かの識者から指摘を受けました。  いわゆるこの特殊法人の中で一番税金を使っているのは道路公団だぞと、やっぱり税金を無駄なく有効に使うためには今一番税金を使っている道路公団を最初に手掛けるということは大きな意味があるというような御指摘もいただきました。  そういう御指摘も受けながら、今までの批判というものを受け止めて、この道路公団改革というものを最も重要な課題と位置付けまして、私が就任以来、民間にできることは民間にゆだねるという方針にも合うなと思って、民営化やってみようということで決断したわけでございます。  そのため、改革案を、まず四十兆円に上る債務を確実に返済しなければならない、そして真に必要な道路についてできるだけ少ない国民負担の下で建設すると、こういう方針の下に、私は民営化委員の皆さんの意見を基本的に尊重して、各方面の意見も聞いた上で今回の案を取りまとめたものであります。  この民営化によりまして、九千三百四十二キロメートルのこれまでの整備計画を前提とすることなく、未供用の区間について費用対便益分析等を厳しく実施するとともに、抜本的見直し区間を設定し、これについては現行の計画のままでは整備を進めないということにしております。また、徹底したコスト縮減等により、約二十兆円の有料道路事業費をほぼ半減、約十兆五千億円にするということにもなりました。その債務については民営化時点の債務総額を上回らないようにして、民営化後四十五年以内にすべて返済する。民営化までに平均一割を超える高速料金、高速国道料金の引下げを実施すると。また、競争原理導入のため日本道路公団を三分割することといたしました。  このように、今般の民営化は、公団方式の弊害を解消して、債務を確実に返済しつつ、真に必要な道路についてはできるだけ少ない国民負担の下に建設するという当初からの民営化の目的を実現するものでありまして、利用者はもちろん、多くの国民に利益をもたらすことができる画期的な改革案だと私は思っております。
  111. 池口修次

    池口修次君 今のお話の中でお聞きをしますと、やっぱり最初に総理が言ったのは、一番税金を使っているのは道路公団だと。私はちょっとこれは若干の誤解があるというふうに思うんですが、少なくとも高速道路は通行料金ですから、税金もたしか年間三千億とかいうのを、これは総理は一回やめましたけれども、だからそれは入っているし、本四にも今返済のために入っているんですが、実は一番税金を使っているのは道路公団というのは少なくともちょっと意味が違うし、じゃ四十兆円を全部税金で返すという話では全くないんで、ちょっとそこはだれがそういう説明したのか分かりませんけれども、私はそう言わせてもらいたいというふうに思いますが。  どちらにしても、当初のねらいは、やっぱりできるだけこれからどんどん道路を造って、国民負担なのかユーザー負担なのかはちょっと別にしても、増えるのはよくないと、私はそれはそれで正しい判断であったろうというふうには思っております。  ただ、そういう形でスタートをして、総理が七人の侍ですか、と名付けた道路公団民営化委員会を指名をされて、総理の提案に基づいて議論をした。ただ、最終的には、なぜか知らぬけれども、二人辞め、三人辞め、で二人。二人じゃ本当は委員会は成り立たないんで、委員会としての会議はしちゃいけないわけですが、なぜか猪瀬さんは自分で勝手に動いたものに対して日当を請求しておると。これは委員会で実は大変大もめになって、おかしいじゃないかということになった問題があるわけですが。  そういうところになったというのは、やっぱり総理のねらい、若しくは総理がこういうものだと、こういうためにやるんだというふうに説明されていた、それぞれの委員は多分説明されていたというふうに思うんですが、それを辞めたということ、辞められた人がいたということは、ちょっとやっぱり総理の当初の話と違うということになったんで辞めたんではないかというふうに私は想像をするわけですが、総理は、当初のねらいどおり今回の法律が出てきたというふうに言えるのかどうか、お聞きをしたいというふうに思います。
  112. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 結論から言いますと、私は満足しております。当初のねらいどおりいい意見を出してくれたなと、民営化委員会の意見を基本的に尊重するものができたなと思っております。  民営化委員会方々、猪瀬さん始め一生懸命やっていただきました。辞められた方についても、大変努力をしていただきましたので、私は感謝しております。大方の意見、まとまりながら、最終的には民営化委員の中で自分の考えるのと若干違うという点で辞任された方もいますが、辞任するまでは大変一生懸命努力していただきましたことに対して感謝しております。  基本的に、民営化委員会の意見を尊重することができたと思っております。
  113. 池口修次

    池口修次君 民営化委員会の意見を尊重したというのは、これは受け止めなり判断の問題があるかもしれませんので総理はそう言われると思いますが、少なくとも田中先生なり、松田先生なり、川本先生は、ほぼ民営化法案の骨子が示されてからこれは違うと言って辞められたということですから、少なくとも民営化委員会の七名のうち三名は、やっぱり総理が元々言っていた中身とこの法案は違うということだというふうに私思いますし、田中先生は直接お聞きをしたときにもそう言っていました。ですから、必ずしもやっぱり私は本当に総理の意を受けた法案であるというのはちょっと違うんではないかなというふうに私は判断をしております。  次の点に、なぜかというのをちょっと次の点に移って個別にお聞きをしたいというふうに思います。  一つは、新規建設、新規路線建設の問題です。  新規路線については、実は大きく二つ、二種類あるというふうに私は思っております。整備計画路線の九三四二のまだ工事中若しくは未整備の二千キロ、これをどうするかという話と、予定路線の一万一千五百二十キロ、これをどう整備するかという、実は二つの中身は大きく異なる話ですが、議論はどうしても九千三百四十二キロがメーンになった議論がされております。  総理は、元々、さっきの沓掛先生の、若しくは全体の発言でも、必要でない道路を見極めるために民間にとかいう発言をされておりまして、そうすると、その九三四二についても必要のない道路があるという前提で私は考えて、あると断定はしていません、区間で断定はしていませんけれども、九三四二についても多少はやっぱり疑問を持ちながら今回の道路公団民営化というのをスタートさせたんだというふうに私は理解をしております。  ただ、結果的に見れば、今までの審議の中でいえば、これは九三四二は、株式会社が、ちょっとここもあるんですが、株式会社に対して一応造ってくれませんかといって、造りますといったのはそのまま造ります。ちょっとこれは造れませんといったものも、社会資本整備審議会でやっぱり造るべきだということになればこれも造ります。それで駄目だといったところが新直轄、若しくは既に去年の国幹審で新直轄の区間も決められております。そういう仕組みの中で、基本的には九千三百四十二キロは、それは規格の変更とかはあるんですが、すべて造るということが、これが明白になりました。総理の言い方からすれば、必要のない道路があるかどうかを見極めるために、これは民間の目でやってもらうんだという発言。そのときは、石原大臣は行革大臣だったんですが、そのとき有名になったのが、クマしか通らない道路というような発言がありました。  だから、それが九三四二を前提にしてそういう発言をしていたということを考えると、今の説明とは全く違っているということなので、どこでこの気が変わったのか、ちょっと総理と大臣にお聞きしたいというふうに思います。
  114. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは、先ほど申し上げましたように、公団方式で全部造ることはありません。見直さなきゃならない。できないのを、地元の要望あるいは厳格な評価で造る可能性があるかどうか。民間会社に強要するものじゃありません。今までどおり造るという前提での判断は間違いで、誤解でございます。
  115. 石原伸晃

    ○国務大臣石原伸晃君) 確かに、委員がそういうふうに受け取られるような発言を私しておりました。それはなぜかというと、有料道路であるからやはり重視すべきものは採算性であると、平成十三年の夏ごろの発言ですけれども、思っていたことは事実です。  しかし、民営化委員会の議論の中で、採算性だけで有料道路を造る造らないを判断しては駄目だと、そういう意見に委員会がなったわけですね。その過程、私も一緒に地方等々歩かせていただきまして、採算性だけじゃない、やっぱり公共事業であるならばBバイCが一以上、これは絶対守ってもらわなきゃならない。さらに、外部効果、原発の代替道路がある、あるいは土砂災害等々の代替道路があるのかないのか、さらには拠点病院まで何分掛かるのか。先ほどまた同僚の藤野委員が御指摘になったように、観光の、道路ができることによって観光地としての魅力がどれだけある、そういうものを客観的に評価をさせていただいたわけでございます。  そして、総理、御答弁させていただいておりますように、九三四二を今の現行のままは造らないんです。なぜなら、先ほど総理、抜本的見直し区間を設定したと。それは今のまま造らない、工事を一時中断するんだと、はっきりおっしゃられたように、これは北海道の道路が三本入っておるんですけれども、ここの部分は今の要するに四車線の高速道路で造らなくても、例えば並行国道を拡幅するとか、国道と側道が交わるところを立体にするみたいなそういうことでも十分に高速道路と同様の利用価値があるわけですね。  そういうことでありますから、九千三百四十二キロという距離数は、全くそのとおり造るのか造らないのかということは、私は意味がないんだと思っております。
  116. 池口修次

    池口修次君 九千三百四十二キロ、若干説明をさせてもらいますと、株式会社が造るやつは、これは通行料金で造るんです。で、新直轄は税金で造る。私は税金で造ること自体を否定しているつもりはないんですが、総理の弁を使うと、一番税金を使っているのは道路公団だという弁からすると、いや、新直轄だからいいという話では私はないというふうに思いますので、是非そこのところは正しい理解をいただきたいというふうに思っております。  一一五二〇もちょっと議論したかったんですが、時間が過ぎておりますので、もう一つの大きな観点であります、今法案では借金四十兆、実は四十兆ではなくて政府の資料でも四十三・八兆円、これは有利子の負債だけで、それ以上もあるんですが、これについて一応四十五年で、これは直接的にはそういう書き方じゃないんですが、直接的な表現でいいますと、機構は四十五年で解散をすると。若しくは、もう一つの表現として、有料道路料金は四十五年の中だけで、あとは四十五年たったらもう料金は取らないという表現が、これは明確に書かれております。  としますと、これは言葉を換えれば四十兆円若しくは四十数兆円を四十五年で返すということが政府の約束だというふうに理解、何があろうと返すんだということでの約束だというふうに思いますが、その点を確認をさせていただきたいというふうに思います。
  117. 石原伸晃

    ○国務大臣石原伸晃君) ただいま池口委員がおっしゃられたとおり、民営化後四十五年以内に債務の確実な返済ということは法案に明記をさせていただいております。  じゃ、本当に返せるのかという話、当委員会でもかなりあったわけですね。例えば、金利が高くなったらどうするんだ、災害が起こったらどうするんだ、こんな様々な議論があったわけですけれども、そのときは事業計画の見直しを行う、こういうことをやっていかなければならないと思っております。  具体的には何をやるのかということですけれども、二、三、御説明をさせていただきますと、事業区分の見直し、あるいはもうこれも既に行われていることですけれども合併施行方式を導入する、さらには更なる規格や構造の見直し、新規建設費の抑制、またSA、PAは民間会社が自由に経営をしていただくわけですけれども、SA、PAの魅力が高まることによって道路を走る方の量が増えるということも事実ですから、道路サービスの向上によって交通量を増やして料金収入を増やす、これはまあ相関関係だと思っています。さらには、民間企業の合理化、更なる合理化をやっていただく、管理費の削減に努めていただくなどなどの見直しを行う必要があると考えております。そして、そういうことを会社が行わなきゃいけないんだ、行おうというふうに思う動機付けが働くような仕組みにしていくことも私は必要だと思っております。  そして、衆議院の国土交通委員会で附帯決議をちょうだいしたんですけれども、衆議院の附帯決議では「財政上の措置も含め必要な措置を検討すること。」とされているわけでございます。例えばですけれども、財政措置の導入を検討せざるを得ない場合も全くその、四十五年の期間でございますから、全くすべてゼロであるということは私も申しません。しかし、そういうときにあっても、この改革の原点は国民負担をできる限り最小化するんだ、この原点を忘れることなくやっていく。そういう意味で、私は附帯決議を尊重させていただくというような発言を衆議院の国土交通委員会ではさせていただいたところでございます。
  118. 池口修次

    池口修次君 私は、今の発言の中で、四十五年というのは動機付けだけなんだということはちょっといかがなものかなと。  やっぱりここまで明確に書いたんだから、もう政府としては四十五年絶対やるんだ、四十六年なんてあり得ないというふうに私は言ってもらわないと、この法案そのものが、何を我々は審議しているのと。いや、四十五年というのは願望値なんですよと、四十五年たったら、いや、言い方は悪いんですよ、言い方は悪いんですが、多分石原さんは国土交通大臣をやっていませんよね。総理はやっているかもしれません、石原さんがそのとき総理になっているかもしれません。ただ、そういうことで動機付けだと言われると、そういうことかなというふうにも勘ぐってしまうんで、ちょっとそれは訂正をしていただきたいし、附帯決議があるからいいだろうというのは、これも私はとんでもない発言だと思います。  附帯決議は、立法府の我々が、いや、ちょっと政府の言い方だと心配だなということで付けた附帯決議なんですよ。政府はこんな附帯決議なんて要らない、我々は四十五年って書いたんだから、何があろうと四十五年でやりますというのが私は行政府の責任だと思うんですよ。ちょっとそれを、いや、我々がちょっと思いどおりにいかなかったら、衆議院で付けてくれたんで、参議院でも付けるだろうと思いますが、国会が心配してくれたんでということはちょっとやっぱり責任転嫁ではないかなというふうに思いますが、どうですか。
  119. 石原伸晃

    ○国務大臣石原伸晃君) すごく誤解があるんですが、行政府が提出した法律案に四十五年以内に返済すると書いたということが行政府としての最大の意思表示だと私は思っております。  それと一点、池口委員が誤解をされてしまったんですけれども、じゃ万々が一のことを想定しないのかという議論があって、万々が一のときどうするかということで、具体的に事業区分の見直しや合併施行方式の導入あるいは規格や構造の更なる見直し、またSA、PA等々の魅力を高めることによって交通量を増やして交通量収入を増やす、こういうことを民間会社が動機付けされて働くような仕組みを作ると、そういう意味で言ったんで、動機付けというのは、行政に対して動機付けということではなくて、民間会社がそういうような事態になってもある程度対処できる、すなわち先ほど申しましたように、国民の負担というものを最小限に抑えるというようなこの改革のコンセプトを崩すことのないように、そういうふうに民間会社も思っていただく仕組みを作らせていただいているという意味で動機付けという言葉を使わせていただいたわけであって、行政の側がそういう動機付けということではないということは訂正をさせていただきたいと思っております。
  120. 池口修次

    池口修次君 私、なぜこういうことを言っているかというと、後で富樫さんも質問するようですので、私はこれ以上やりませんが、この四十五年償還をするということは、一番大きいのは金利なんですよね。もう金利が変わったらこれはすべて変わります。一%変わったとしたって、四十兆円だと四千億ですか、だから一%金利が変われば全然これ成り立たないんですよ。だから、これをよく私は書いたなと、こんな四十五年たったら料金取りませんなんてよく書いたなというふうにちょっと驚いて私は言っているんですが、やっぱり書いたからには守ってもらわなきゃいかぬということなんです。  それと、もう一つお聞きをしたいんですが、本会議でも道路特定財源の話を総理にさせていただきました。総理は、この道路特定財源を高速道路に使うということは使い方として間違っているというふうに思っているのか、ちょっとこの点を確認をさせていただきたいというように思います。
  121. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) いや、私は間違っているとは思いません。道路特定財源は見直すべきだと。どのように見直すかというのは、いろいろ専門家、協議してもらいたいと。道路特定財源を一般財源にすべきかどうかという議論もありますが、そこには私はこだわっておりません。  今、暫定税率がありますし、見直した場合には今の道路特定財源を全部使えるかというと、必ずしもそうじゃない。特別な税率掛かっておりますし、自動車に加重負担という話も必ず出てきます、税制改革の中。だから、私は見直すということについてはいいんです。しかし、どういうふうに見直すかということはよく議論していただきたいということを言っているわけであります。
  122. 池口修次

    池口修次君 それでちょっとひとつ安心をしたんですが、私は、やっぱり高速道路道路ですから、道路特定財源を使うというのは、私は考え方としてそれを排除するということは全くおかしいというふうに思っております。そういう意味で、民主党が無料化案を言ったときに、じゃ、こんなことで道路特定財源を使ったら道路の維持管理もできないし地方道路も造れないということが特に自民党を始めとした与党の方から言われました。その議論をあえてまた蒸し返すつもりはありません。  総理は、本四の返済に道路特定財源を使える法律を去年作ったということは当然御存じですよね。ということで、今、本四の返済、これはいつまで、大体どのぐらいの金額をいつまで道路特定財源使おうというふうに思っておるのか、道路局長にちょっとまずお聞きをしたいと思います。
  123. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 本四公団の有利子債務のうち一兆三千億円を言ってみれば自動車重量税を充ててお返しさせていただく、これを一般会計の方に移して処理する、こういう形をお願いして十五年に通常国会で通していただいたわけであります。  一兆三千億円でありますが、途中の生ずる金利などを入れますと大体一兆四千七百億円ぐらい、これを、平成十五年度以降でございますから、平成、例えば十六年度では三千億円入れていますが、十九年度までにはお返しすることができるのではないかと、こういうふうに考えております。
  124. 池口修次

    池口修次君 今、道路局長から説明されましたように、平成十五年度から十九年度まで本四のある意味借金を切り離した。道路公団の債務と同じですよね、のために平成十六年度でいうと三千四十九億円使っております。これは十九年度までに多分終わるんだろうというふうに思います。そうすると、これは平成十五年度が二千二百四十五億円、これは最初の年ですから、ちょっと少なかったのかと思います。  ですから、大体三千億、これから平成十五年度まで道路特定財源を使う、そうすると二十年以降はその必要がなくなる。ということですと、それじゃ三千億の使い道はどうなるのかと。一般の税金ですと、景気の変動をしますから、その時点でそんな捕らぬタヌキの皮算用で三千億どう使おうかなんという話は一般の税金はしない方がいいというふうに思うんですが、道路特定財源は、非常にこれは財務省と国土交通省がうまく考えたんでしょうが、基本的には下がるということはありません。保有台数に対して掛かりますし、走行が少なくなればガソリンからも来ていますのは少なくなるんですが、今までも基本的に下がったことはないんですよね。景気が低迷しようとどうしようと、これは一定の水準が維持されます。  ということでいうと、平成二十年度になったら本四分の三千億をそれじゃどうして使うものかというのをまた道路局長が悩まなきゃいけないので、私は悩まなくていいんだろうと。高速道路は、やっぱりだれに聞いても、安くしてもらいたい、若しくは無料で走りたいというふうに言うんですよね。ただ、一方の議論として四十兆円をどう返すかという議論がありますので、ダイレクトには言わないんですが、気持ちとしては、やっぱりあの高速道路を走れたら私の生活は便利になるというふうなみんな気持ちを持っているんですよ。  ですから、私は、四十五年がどうかというのも一つあります。ただ、やっぱり四十五年を確実に減らすためには、ぎりぎり四十五年ということではなくて、やっぱりもう少し余裕のある計画を立てていくべきだというふうに思いますし、可能であれば私はもう少し早く返すということも考える、これが私は、ある意味、政治家なりの役目ではないかなと。国民の皆さんがそう思っているわけですから。やっぱりそのために、私は三千億、この三千億を高速道路に使っても、今まであったような維持管理ができないとか地方道路ができないという性格のものではないということは、今のお話の中で理解を多分していただけたんだろうというふうに思います。  私の計算ですと、平成二十年度から三千億入れれば、金利が四%であれば三十五年ぐらい、十年ぐらい短縮して返せるんですよね。多少金利が上がったとしても四十五年では返せます。やっぱりこういうことも事前に考えておくというのが私は我々の役割ではないかなというふうに思っているんですが、このアイデアについて総理の感想がありましたらお聞きをしたいというふうに思います。詳しく説明しろというなら、また別途説明差し上げたいと思います。
  125. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 道路特定財源は、今までの経過を見ると割合変動が少なかった、安定的に収入が入ってきた。これはやっぱり車社会、車は減ることなく、多くの国民が保有したい、あるいは一台持っていた人も二台持つ。最近も車の売行きがいいという、もう飽和状態という状況にあるにもかかわらず何台か持ちたいという。またガソリンも、持っているだけじゃない、使ってくれますから、高速道路もますます必要になるという理屈は分かります。  そういう中で、ほかの税収が変動が激しいといいますか、減ってくる中で、道路特定財源だけ伸びていくというふうになると、ますます道路偏重になっていくのではないか、ほかの公共事業にも使ってもいいんじゃないかという議論が出てきたのも事実であります。だからこそ、道路特定財源というものをもうちょっと幅広く見直していったらいいんじゃないかという議論につながってきたんだと思います。  また、返済の件につきましても、四十五年以内ですから、早く返せれば私は返した方がいいと思います。早く返せれば後は無料になるんですから、後々有料にしろという、そういうことじゃなくて、返済後は無料にしていただくと、民間会社も。そういうことでありますので、四十五年を上限と考えていくべきだと。早く返すことができる状況になるように経営努力、高めていただきたいと期待しております。
  126. 池口修次

    池口修次君 今のお話を引用させていただきますと、他の公共事業が良くて、高速道路、これも公共事業、これからは公共事業と呼ばないかもしれませんけれども、これは道路に関する公共事業が悪いという理屈は私は全くない、私はそう理解しているわけですから、やっぱりそれで早く返して、無料になって、それで自動車ユーザーの皆さんが喜ぶんであれば、やっぱりそういう政策を取るべきじゃないかというのが私の考えでございますので、是非御理解をお願いをしたいというのが私の意見でございます。  最後になりますが、株式会社、自主的な判断ができるんだ、できるんだということで言われております。ただ、私は本当にそうなのかなということで、九三四二の内側の話にちょっと絞りますけれども、九三四二の、これについては昨年の十二月の国幹審でほぼ、株式会社にお願いをする部分、新直轄でやる部分というのが整理されています。これから民間会社ができれば、多分、地図に基づいて、ここは西日本株式会社、中日本株式会社、東日本株式会社やってくださいということになるんだろうというふうに思います。それに基づいて、四か月以内にできるかできないか、やるかやらないかという判断を出さなきゃいけないんですよね、法案でいうと。多少、四か月延長してもいいという話がありましたが、そんなに一年とか二年とかはならないはずですから、四か月と。  そうすると、かなり、今までの中でも、BバイCを含めて検討をされた上で新直轄、株式会社、分けられたと思うんですよね。それを四か月の中で、これも、その当時は一〇〇%国が株式を持っております。そういった会社がそれに違った判断というのを私は出せるというふうには全く思いません。そういう意味でいえば、株式会社という名前は付いているんですが、じゃ独立した普通一般の株式会社というふうには私は思わない。それがいいかどうかというのはちょっと議論は別ですが、株式会社法案出ていますので、そう思うんですが、本当に株式会社がこれ勝手に自主的に判断、言い方換えれば、株式会社が勝手に判断していいのかという点をちょっとお聞きしたいと思います。
  127. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 現在建設中あるいは調査中の区間の取扱いで本当に株式会社が自主的に判断し得るのかと、こういう御議論かと思います。  そういう意味では、国と会社と協議いたしますが、これが調わない場合に、国は会社が拒否する理由について社会資本整備審議会の意見を伺い、そして正当な理由があると認められる場合には、大臣は当該区間の整備を会社に行わせることができない、こういうことになっておるわけであります。  大事なことは、その途中経過をすべて情報開示として国民の皆様にも明らかにして、それぞれの言い分について十分な御批判もいただく、こういうことでありますので、おのずから、無理やりということはない、会社はきっちりと自主的に判断するものと考えております。
  128. 池口修次

    池口修次君 総理がどこまでどういう説明を聞いていらっしゃるかというのはちょっと想像するしかないんですが、私は、この委員会の中で審議をした過程でいいますと、少なくとも九三四二については会社の自主性というのはほとんどないと。ただ、九三四二の外側については、現段階では会社の申請ということになっていますが、これも一五年若しくは一六年以降ですから、ちょっと、かなり疑わしいなというふうに思っている人が、人間がいるというのをちょっと御理解をしておいていただきたいと。  もう一つだけ、ちょっとお願いします。  新会社はSA、PAの利益が主体ということで審議の中で説明がされております。ただ、一杯株式会社できるんですが、首都高、阪神高速道路、ここはまずSA、PAの事業なんというのはほとんどないということは、首都高、阪神高速道路は利益が出るところないのに、じゃインターチェンジの周りを開発するといったって、首都高と阪神高速道路の周りを開発して何かするということはできないんですよね。そうすると、首都高と阪神高速道路というのは、これはどういう会社になるのかなと。上場するとかしないとかいう話がありますが、そんな会社の株を買うのかなというのが率直な疑問でございまして、このお答えだけ聞いて、私の質問は終わります。  以上です。
  129. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 首都高速道路公団あるいは阪神高速道路公団民営化された会社になった場合に、関連事業なるものが十分そこから収益を上げ得るか、こういう御指摘でありました。  そういう意味では、首都高速道路、阪神高速道路、いずれもサービスエリアやパーキングエリアはごくわずかである、これは事実でありますが、一方で、多くが高架構造になっております。その高架構造の、高架下の遊休スペース、これが遊休スペースとか資材置場になっている、こういう現状でありますから、こうした点を、駐車場や倉庫やあるいは事務所、店舗などに利用する、こうした民間企業の経営センスを生かしていただいて今以上の資産の有効活用を図る、こうした創意工夫を行うことによって収益の増加が見込まれるところであるというふうに考えております。  できるだけそこは、それぞれの会社の経営陣が大いなる努力をしていただいて、そうした活用をやっていただくことによって上場することも十分可能と、こういうふうに考えております。
  130. 池口修次

    池口修次君 ありがとうございました。
  131. 森本晃司

    ○森本晃司君 公明党の森本でございます。  総理、拉致問題解決、一歩前進のために大変な御苦労もいただきましたこと、感謝申し上げる次第でございます。  また、言うならば、総理が目指された、官から民へ、民間でできることは民間でやるという問題の中で大きく取り上げられたこの高速道路民営化の問題でございますが、いよいよ最後の大詰めになってまいりました。私も、参議院にこの法案が送られてから毎回質問に立ちまして、この民営化法案の抱えているいろんな問題点やあるいは後世のために問いただしておかなければならないことをいろいろと質問してまいりました。  今日は総理がこの場にお見えいただいておりますので、先ほど来の質問と重なる点もございますけれども、もう一度この民営化問題について総理のお考えをいろいろ聞かせていただきたいと、このように思っている次第でございます。  振り返ってみますと、この高速道路、昭和三十八年、名神高速道路が開通いたしました。我々関西人にとってはすごい時代が来たなということを実感したんです。三十八年ですから、ちょうど私も総理も学生時代でございます。石原大臣は六歳ぐらいの御時であったんではないかと、このように思うわけですが、ちょうどその翌年は東京オリンピックであり、そして新幹線の開通、日本列島が大きく変わりつつある、戦後の経済復興の大きな象徴が高速道路と新幹線とオリンピックであったんではないだろうかと、こう思うわけであります。  その高速道路公団の有料料金方式でやってまいりまして、均衡ある国土の発展のために、あるいは日本の国土の整備のために、あるいは世界の経済と対抗するためにも、高速道路が七千キロ整備されてきたわけであります。私はこの高速道路が果たしてきた役割というのは大変大きなものがあったと思っております。  しかし、その高速道路の中で、公団の有料方式制度でいくのはいつまでもそれでいいんだろうかという問題が起きてきました。一つは、不採算道路でもどんどんどんどん建設していっていいんだろうか、二つ目は、コストは高いままなっているがこのままでいいんだろうか、三つ目は、公団の抱えているファミリー企業との不透明な関係はこれでいいんだろうか、そういった問題も同時に上がってきました。そこで、小泉総理が就任になって、先ほども冒頭に申し上げましたように、この公団を改革しようと、大変な構造改革の決意をされたと、そして今日に至っているわけであります。  その間、民営化推進委員会の中でいろんな議論がございました。そして、十三年の十二月、閣議決定になってからいろいろと議論を重ねた。最後に民営化委員会の中は先ほど来話があったように分裂状況にもなった、これは誠に残念な結果であったと思うんですが、同時に国会でもいろいろ議論を重ねてきまして、私は、この民営化問題は、総理の決断とそして多くの人々の議論によって大きく前進したものだと将来に向かって期待をしているわけであります。  十三年の十二月に閣議決定されて二年半が経過しましたが、その間我が党でも、私が道路公団民営化検討プロジェクトチームの座長を務めておりまして、この問題に取り組ましていただいた。十四年の十二月十日に我が党の基本的方針をまとめて、そして発表し、申入れもさしていただきました。そのときに、大きく三つに分けて申入れをいたしました、発表させていただきました。それはどういうことかと。  一つは、今後の高速道路の整備の在り方で、九千三百四十二、これはやるんだと。私は何度もこの委員会で申し上げておりますが、道路というのはつながってこそ、ネットワークになってこそより生きるものであると。九千三百四十二をやるかやらないかの議論もありましたけれども、私は、そういうふうに我が党も決めました。ただ、そのやり方については、料金収入を最大活用してやるやり方と、もう一つは新しい直轄方式を検討してもいいんではないかと、こういう点も申し入れました、発表さしていただきました。  二点目はどの問題に取り組んだかというと、利用者にとってメリットのある民営化でなければならない。料金が下がる、あるいは先ほど来話のあるサービスエリア、より快適なものになっていく、それから同時に、ETCを大いに使って、そしてコストダウンやあるいは多彩なる料金の在り方、既にもう実現いたしましたけれども、ここで私は質問させていただいたことでございますが、身体障害者の皆さんのETC利用に対する補助の在り方も、搭載器に対して一万円出るということも既に決定して大きく進んでおります。そういうこと。  それから三つ目に、公団民営化の在り方、債務の返済。これは、我が党は最初五十年と申し上げておりました、この十四年の十二月十日時点で。しかし、政府・与党案で四十五年、更に五年縮めようということになったのは非常に良き結果だと、私は思っております。  今までの議論の整理を私はさしていただきましたが、この問題を取り組もうと決断された総理が、いよいよ参議院で採決されるというときに、この公団の在り方についてどのように考えておられるのか、また、この政府案が通過することによってこれからのいろんな高速道路はどのような方向に行くのか、さらにまた、この議論の中で無料化という話が衆議院の方でありましたけれども、こういったことも含めて、総理の今の考え方を、重なるかも分かりませんが、御披露いただきたいと思います。
  132. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) ただいま森本議員御指摘された点、今までの経緯をよく踏まえて、やはり民営化することによって今以上のいい道路ができるだけ少ない国民の負担で整備されていかなきゃならないという、そういう気持ちを代弁されたのだと思っております。  私も、この民営化を議論され、そして今日、その民営化の実現、法案成立に向けて多くの方々の御協力をいただいて今日まで来たということに対しまして、よく皆さん御支援いただけたと感謝しております。これを最初、案をぶち上げただけで、民営化ぶち上げただけで、いかに多くの与党の皆さんが反発したか。しかし、最終的にはよく協力していただいて御理解いただけたかなと。  様々な意見がありましたけれども、やはり要約するところ、この四十兆円に上る膨大な債務を確実に返済しよう、そしてできるだけ国民の少ない負担で道路を整備していこう、さらにコスト削減にしても、有料道路事業については二十兆円掛かるところをほぼ半減することできたと。  極めて分かりやすい例として私は挙げているんですが、この民営化の議論が起きなかったら、高速道路料金にできたあの非常電話、二万か所以上設置、付けている非常電話が二百五十万円掛かっているということは多くの国民知らなかったと思いますね。この民営化の議論ができた、起こったからこそ、コスト削減しなきゃいかぬ、どうして非常電話に二百五十万円も掛けなきゃできないのか、一割か二割下げられないのかと言ったら、何と四十万円でできるということじゃないですか。これをこれからも八千か所以上作らなきゃいけない。そういうことを見ると、私は公団方式よりも民営化方式の方がはるかにコスト削減できるという、これ一例です、ほんの。  それと、やっぱり民営化会社になれば自由度持ちますから、サービスエリアにしてもパーキングエリアにしても、もっとサービスするために、車使って来た方に対してどういうサービスをしようかというのは役所が考えるよりもはるかに進んでいる、そういう点についてはまだまだ経営努力しなきゃならない点がたくさんあると思います。  要するに、私は、できるだけ国民の負担の少ない形で必要な道路を整備していくこと、こういう大きな方針、なおかつ民間にできることは民間にということを、与野党、総論賛成が多かったわけです。まあ欲を言えば、私が就任したとき、民主党も民間でできることは民間にと言ったんだから、無料化よりも民営化に賛成していただければもっと良かったかなと思うんですけれども、今は別の形で、これから良い民営化会社にしようという点で御協力いただけると期待しております。
  133. 森本晃司

    ○森本晃司君 次に、総理がもう一つ大きく今取り組んでおられる問題で、観光立国、ビジット・ジャパンというのに取り組まれました。私も大いにその旨賛成し、そして我が党から提案いたしまして、観光担当大臣を設けるべきではないかということを提案いたしましたら、早速、石原国土交通大臣が観光担当大臣としての任命を受けられて、今大きく進んでおります。これからのやはり日本の産業のリーディング産業、これはやっぱり観光になるし、外国から一千万人のお客さんを迎えるだけの体制をしかなければならない。  先般、この委員会のメンバーで仙台の公聴会に行きました。そのときに、参考人からの話の中で、今までは冬の東北というのは閉ざされていた、しかし今、高速道路が整備されることによって冬の東北も訪れる人たちが多くなった、また同時に経済の発展も大きくできるようになったというふうにおっしゃっていました。  先ほど道路が開通することによって経済的効果あるいは観光客が多いということで石原大臣が大分県の津久見市の例を挙げられましたが、私はまた別に、上信越自動車道の開通、これが開通したことによって、新潟市にある水族館、ここに長野県から多くの人がやってまいりまして、調べた結果によりますと、ナンバープレート、長野県のナンバーが二倍、松本ナンバーが約三倍に人が訪れるようになったと。  道路と観光という問題、これから我が国の取り組むべき問題でございますが、極めて大事であります。観光の振興のために道路整備をきちんとやっていかなければならない、九千三百四十二をやらなければならないと思っておりますが、観光と道路についての総理の考え方をお伺いいたします。
  134. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 小泉内閣として、観光振興、力を入れなきゃならないと思っております。  観光というのは、多くの地域、多くの国民、好きですから、歓迎されます。また、旅というのはやっぱりいろいろ楽しいし、生活を潤わせて、いい勉強にもなります。  今、日本人は、一年間一千六百万人、外国に旅行ができるような状況になっておりますが、逆に、一年間、外国人が日本に来るのは五百万人程度しかないと。かつて、五百万人ぐらいしか外国に旅行できなかった時代に一千万人日本人が外国旅行できるようにしようという目標を立てましたけれども、今それを上回って実現しました。だから、今度は逆に、五百万人しか外国人が日本に来ないんだから、二〇一〇年までに一千万人外国人が旅行できるように日本の観光資源をうまく整備していこうと。  また、眠っている観光資源、観光地がたくさんあるんじゃないか。各地域が一地域一観光というような意識を持って多くの観光客を誘致といいますか、訪れてみたいなというような、そういう地域振興を心掛けていただきたいということで、それぞれ各省連携しながらこの観光振興に当たっております。  また、観光振興といいますと、鉄道のみならず、空港のみならず、道路というもの、恐らく多くの国民はマイカー、車で行くのが多いですから、最近はかなり郊外で、ある特別なモール街とか商店とかホテルとかリゾートが起きますと、そこを目掛けて車を使って行くお客さんもかなりあるわけです。  私は、民営化すれば、過疎地であれば土地も安いです、何を造るにしても安い。で、役所が考えるよりも、民間人というのはいろいろこの時代の最先端で何が消費者に受けるかというのをよく分かっていますから、今は寂しいところでも、ここに国民が喜ぶような施設を造れば車を使ってでも来るなと思うところは、私は、民間会社だったら道路を整備すると思いますよ。そうすれば、今では考えられないような地域にいい設備ができる可能性があると。それは今回の民間会社が考えることでありますが、そういうサービスも私は期待しております。  今でもたまに、民間会社になって意欲を持っている人に聞くと、必ず利益が上がる施設は必ずできると自信を持っている方もおられます。料金収入は大体二兆円程度は毎年入るだろうと、景気の変動があったとしても。そういう中から借金を返済しながら、サービスエリア、パーキングエリアのみならず、いろいろな施設というものを考えていけば、必ずこの会社は利益が上がるような立派な民間会社になると張り切っている方も道路公団の中にはおられますから、そういう意欲ある人によってこの民間会社が立派に国民から評価される、そして利益が上げられるような会社になっていただきたいと強く期待しております。
  135. 森本晃司

    ○森本晃司君 石原大臣に二問にわたってお尋ねをしたいと思うんですが、一つはこの観光の問題で、外国からお見えになった方に、道路を良くするということと、それから道路は分かりやすくするということは極めて大事だと思います。  石原大臣のお父さんが知事をやっておられる東京都、地下鉄、番号を付けました。これで随分、外国から来た人も、その番号によって切符を買う、降りる場所が分かるということが今高く評価されているわけでございますけれども、高速道路の路線についてもきちんともうナンバリングして、そして、今自分はどの位置のどこに走っている一般道とはどこを交差、どこの交差点にいてるのかと、こういったことを分かりやすくやっぱり表示することは極めて大事だと思っております。  それからもう一つ、高速の料金でございますが、日本が一キロ当たりに二十五円、フランスは八円、イタリアは約六・五円でございますが、やっぱり外国からお見えになったお客さんは高速道路が高いなという感じをお持ちであります。  こういったことについても、外国の方に対しての特別な割引をやるとか、そういったこともいろいろ工夫できるんではないかと思いますが、大臣の考え方をお伺いいたします。
  136. 石原伸晃

    ○国務大臣石原伸晃君) 今、森本委員が御指摘になりましたナンバリングというのは重要だと思います。これはきっと、高速道路だけじゃなくて一般道についても、一般道も国道のナンバリングはされておるんですが、例えば交差点がどこが何番かというのは分からなくて、初めて自分で走っても困る経験ございます。やっぱり観光客の皆さん方もドライブで行かれて迷われるということが多いと思いますので、これは一般道も含めてですけれども、地名表記から路線番号表記へと移していきたいと思っております。一般道でいいますと、十九年を目標に、都道府県道以上が交差する主要交差点の四万か所にナンバリングをさせていただきたいと思っております。  また、外国語の表記というものも非常に重要だと思っております。やはり英語だけではなくて、中国語、韓国語、こういうものの外国人の方が見て分かりやすいガイドラインというものも作成して、統一的な、どこへ行っても同じようなものを作らせていただきたいと考えております。  それと、二点目の御指摘のこの料金というのは、民営化されて国民の皆様方が一番メリットを受ける部分ではないかと思っております。  総理も先ほどの御答弁で、道路公団は一回も料金なんか下げていないんだと、そういうお話をされておりましたけれども、今度初めて民営化までに一割下げますし、平均一割下げさせていただきますし、それは新会社も受け継がせていただく。ETCを利用して、もう社会実験で行っているような通勤割引、夜間割引、あるいはマイレージ、まだまだ工夫があると思います。  委員指摘の、外国の方が周遊するときに例えば何日間幾らみたいな、もう今、周遊料金、観光地においてはやっているところもありますけれども、そういうものを外国の方に、あるいは観光にもっとより使っていただくような仕組み民間会社であれば必ずややってくれるものと期待をしているところでございます。
  137. 森本晃司

    ○森本晃司君 是非それを、外国のお客さんも、また日本の国内を旅行する人にとっても便利なようにお願いしたいと思います。  このことについて、道路公団の総裁もお見えいただいて詳しくその内容をお伺いしようと思ったんですが、あともう一問どうしても私は総理に申し上げたいことがございますので、是非また総裁、今の大臣の意を受けて、利用しやすい、また料金の安くなるいろいろな、ハイウエーチケット等いろいろと多彩に工夫をいただきたいと思います。  総理にお尋ねいたしますが、総理が施政方針で、十年間で交通事故による死者数が五千人以下を達成しなければならないと、こういうことを明らかにされました。総理の談話で、昭和四十五年に一万六千七百六十五人、平成十四年で八千三百二十六人でございますが、これを五千人にしようと考えておられるわけでございます。  ドイツでは昭和四十五年にドクターヘリを導入いたしました。そのことによって二十年間で三分の一の七千人に事故死が減っているわけであります。ドクターヘリをまだ日本の中では七つの県しか取り入れておりません。このドクターヘリを多く取り入れて、そして高速道路に起きる事故、こういったものも早急にヘリであれば救出したりすることができます。  ドクターヘリの導入、ドイツに後れること三十年、アメリカに後れること二十年、イギリスに後れること十年と、こう言われておりますが、このドクターヘリ、事故が起きたとき一番早く、大体十五分ぐらいで行けるようになっていますが、今高速道路にヘリポート等々が、ヘリポート、ヘリパッドはあるようでございますけれども、これは余りにも、この前も総裁と話をさせて、議論させていただいたんですが、距離が遠過ぎる。高速道路道路の上にヘリコプターが降りることができたならばどれほどの多くの人の命が助かるか。だけれども、今高速道路へ降りるのに非常に壁が厚い。これは警察、警視庁とそれから消防庁とそれから道路公団がなかなか許可しない。反対側の対向路線の人が見上げて事故が、第二次事故が発生する、それはよく分かります。分かりますが、私はこのドクターヘリを使うことによって亡くなる人あるいは植物人間になる人が多く助かるんではないかと思っております。  この間の三月の中日新聞見ますと、もう五分近く旋回していた、事故現場は目の前、着陸可能な場所はある、でも着陸できない。これは、昨年六月の二十二日、愛知県の新城市の東名高速道路で起きた交通事故で、結局ドクターヘリが着陸することができなかった。これをドクターヘリが高速道路に着陸できるようにそれぞれの関係の省庁また道路公団一体となって取り組むべきであると思いますが、総理の考え方を聞かせていただきます。
  138. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) いい御提案だと思っています。  高速道路を飛行機の滑走路に使えるというようなこともあったようでありますが、そこまで行かなくても、ヘリが離着陸できるようなことも今後検討していく必要があるんじゃないか。また、高速道路上にドクターヘリが直接離着陸できなくても、その付近に、近いところにできるような対応というのは各省庁連携取って考えてもいいのかなと。  いずれにしても、もう少し早かったら被害者を救えるということはどこの場面でもあるわけですから、やはり災害に対して対応できるような、そういう高速道路の在り方という視点も今後重要だと認識しております。
  139. 森本晃司

    ○森本晃司君 終わります。
  140. 富樫練三

    ○富樫練三君 日本共産党の富樫練三でございます。  道路公団の改革について、私どもは三つの提言、提案をしてまいりました。一つは、無駄な高速道路は造らないこと、二つ目に、四十兆円を超える累積債務を国民の負担に転嫁しないこと、三つ目には、政官業の癒着を断ち切って国民の納得いく道路行政を行う、この三つであります。  私は、今日は二つの点について、総理を中心に関係方々質問をさせていただきたいと思います。  一つは、四月の二十八日、参議院の本会議で総理が、我が党の大沢議員の質問に対して、公団民営化に伴う透明性の確保の問題に関して、「国民の疑惑を招くことのないよう十分配慮して業務に当たらなければならないことは言うまでもありません。」というふうに答弁をしております。  そこで、実はここにこういう文書がございます。これは「飯島秘書官関係調査結果」という報告書でございます。この飯島秘書官というのは、御承知のように総理の秘書官でございます。この文書というのは、これは情報公開法に基づいて公団から取り寄せた文書でありますけれども、この内容というのは、昨年の七月と八月に二回、総理秘書官の飯島と名のる方から公団の当時の総裁あてに電話があったこと、その電話の取次ぎの状況や、そのときの総裁室、公団の総裁室の状況、電話対応の状況などがこの中には報告されております。  そこで、まず最初に、現在の公団近藤総裁に伺いたいと思います。  この文書は新しい総裁になってからまとめられて作られたものでありますけれども、近藤総裁がこういう文書をまとめて作ったという、この理由を端的に御説明ください。
  141. 近藤剛

    参考人近藤剛君) 昨年の十月の五日でございましたが、石原国土交通大臣と藤井前日本道路公団総裁が会談をされました。その際に、前総裁が複数の政治家の実名ないしはイニシアルを述べましていわゆる政治家による圧力の実情に言及したとされる中に、飯島総理秘書官から前日本道路公団総裁あてに当公団の人事異動に関する電話があったとの報道がございました。そのことは私、公団総裁に就任した当時承知をしておりました。  したがいまして、私が総裁に就任をいたしましてから直ちに、公団に在籍する役職員の特に違法性の有無につきまして公団内で得られるできる限りの情報を把握したいと考えまして、関係した公団在籍の役職員対象にいたしまして私自身が聞き取り調査を実施いたしました。  その結果、藤井前総裁の在任中に、ただいまお話ございましたように、飯島秘書官と名のった人物からの電話を公団職員が二度にわたり取り次いだ事実があるということを把握いたしました。しかしながら、イニシアル問題として取り上げられている報道にあるような人事に関して圧力を掛けたといった内容の電話を受けた事実というもの、それ自体は確認をできなかったということでございます。
  142. 富樫練三

    ○富樫練三君 すなわち、ここにあるこの報告書というのは、そういう、今総裁から報告がありましたけれども、それらの一連の真相を明らかにするために内部調査を行った、その結果であるということだと思います。  問題になっているのは、飯島秘書官からの電話の中身であります、内容であります。その電話を受け取った藤井前総裁はこういうふうに言っています。片桐幸雄前四国支社副支社長の人事に関して、動かすなと言われた、こう藤井前総裁は言っているわけであります。これはもう既に新聞でも週刊誌でも報道されています。これは公団の人事に対する介入ではないのか、圧力ではないのかということで実は問題になっているわけであります。したがって、近藤総裁が事実経過を明らかにして透明度を高めようとすれば、当然、当事者である飯島総理秘書官から事実経過を聞くのは最低の条件であります。  ところが、衆議院で近藤総裁はこう答弁しております。「飯島氏は、私の権限の及ぶ範囲の外におられる方でございます。聞き取り調査はいたしておりません。」と答弁しています。  そこで、総理に伺うわけであります。  飯島秘書官が公団の前藤井総裁に二回にわたって電話をしたのは、電話をしたというのはもう既に報告されていますから、事実はあるんですね。そのときに総理秘書官の飯島というふうに名のって、電話を受けたというのもこの報告書の中にきちんと報告されております。これは明らかに総理秘書官として電話をしたと。単なる飯島ではないんですね。総理秘書官の飯島と、こう言って二回とも電話をしているわけです。したがって、総理としては当然、自らの秘書官でありますから、調査をして疑惑を招かないようにすべきではないのか、事実をきちんと報告すべきではありませんか、いかがですか。
  143. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) どのような疑惑があるか分かりませんけれども、疑惑はないのに、あたかも疑惑があるかのような質問というのは心外ですね。
  144. 富樫練三

    ○富樫練三君 当事者の片方の藤井前総裁は、明確に人事に対する介入圧力と感じたと、こういうふうに既にマスコミにも言っているんですよね。ですから、それはもう一方の当事者である飯島秘書官について、総理はきちんと調べて報告する必要があるというふうに、これは当然のことだというふうに思います。これは政治家としては当たり前のことだというふうに思いますけれども、それができないならば、私は責任ある態度だというふうには言えないと思います。  したがって、私はこの委員会で以前にも委員長に要請をいたしましたけれども、改めて飯島秘書官と藤井前公団総裁を参考人として本委員会に招致することを求めたいと思いますが、いかがでしょうか、委員長
  145. 輿石東

    委員長輿石東君) 後刻、理事会で協議します。
  146. 富樫練三

    ○富樫練三君 是非、実現をしていただきたいというふうに思います。  ここにありますこの飯島秘書官の関係調査結果というのは、情報公開法によって開示されたものであります。道路関係の四公団民営化されれば、情報公開法や入札契約適正化法、官製談合防止法、これも適用されなくなります。様々な疑惑は一層やみに葬られることは明らかであります。民営化されれば透明度が高くなるというけれども、実際は反対だというふうに思います。  先ほど申し上げましたように、総理は本会議で、「国民の疑惑を招くことのないよう十分配慮して業務に当たらなければならない」、こう言っているわけでありますけれども、まずは自分の秘書官の疑惑を明らかにすること、このことが必要だというふうに思います。  やっていることと言っていることが実は逆さまではないかというふうに思いますけれども、総理はどういう認識ですか。
  147. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 疑惑がないのにあるあると勝手に言われても困っちゃいますね、全然疑惑ないんですから。どんな責任を感じるのかって、分かりませんね、私は、御趣旨が。
  148. 富樫練三

    ○富樫練三君 ないというならば、それを国会でちゃんと証明するのが総理の責任だというふうに私は思います。今の態度では疑惑は全く解明されないと。ないんならないということを明確に国民の前に明らかにするべきだというふうに思います。  二つ目の問題に入ります。累積債務の返済の問題についてであります。  総理は参議院の本会議で、今後の高速道路の進め方について、「できるだけ少ない国民負担の下で建設することが重要」、こういうふうに答弁をしております。そのために、これからは、民営会社が新たに建設する高速道路の債務はその会社の料金収入からの返済を基本とすると、こういうふうになっています。  そこで総理に伺いますけれども、通行料金で賄えるという保証はどこにあるのか。経済情勢の変動いろいろあると思います。料金収入で賄えない場合に税金で穴埋めをするということは絶対にないのか。総理、どういうふうに考えていますでしょうか。
  149. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 恐縮でございますが、債務返済がどういうふうな見込みかという点につきまして、多少事務的な部分もございますので私の方から説明させていただきます……
  150. 富樫練三

    ○富樫練三君 結論だけ言ってくれればいいですよ。
  151. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) はい。  お手元資料として、十八日にお出しさせていただきましたいろんなケースの返済イメージの例を出させていただきました。  基本的にはそうしたいろんなケースを前提にしたといたしましても、例えば金利四%、将来の金利四%、そして交通量の見込みについては高位、中位、低位といろいろ予測してきたところでございますが、真ん中辺というようなことを大前提にしまして、四十四年程度で償還が、返済が可能である、こういうふうに申し上げているところでございます。ただし、いろんな、そういう意味では変動の状況もあり得るということだとは承知はしております。  ただし、金利だけが変動するというのもなかなかない、過去の例でいえばありません。金利が高いときには成長率も、名目成長率等も高い、自動車走行台キロもそれに連動する、こういうようなことでございますので、今申し上げましたようなことを前提にいたしまして、この金利もこの過去十五年の平均値程度、こういうことでありますから、返済は大丈夫であろうと、こんなふうに考えているところでございます。  先生御指摘は、どうしても難しい場合はどうするかと、こういう御議論であったかと思いますが、これにつきましては、国民負担を最小限に抑える、こういう理念を遵守するという方針の下で適時適切に対応する、こういうことかと思っております。
  152. 富樫練三

    ○富樫練三君 今の説明だと、金利四%の場合は大体四十四年で返済できると、こういうことのようでありますね。その四%で四十四年というのは、恐らく交通量が中位、中くらいのときということなんだろうというふうに思います。  伺いますけれども、政府の方はずっと四%で試算をしているようでありますが、金利が四%で交通需要推計で低位、低いところでいった場合は返済期限は何年掛かって、四十五年後の時点での債務の残高は幾らになりますか。
  153. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 先生の御指摘の場合、金利は四%程度ではあるが、交通量の見込みとして高位、中位、低位、この中の低位の場合にはどのぐらいの見込みかと、こういう御指摘、御質問かと思います。  そういう意味では、先ほど申し上げました四十四年、中位推計四十四年と、こういうものが四十六年、二年ぐらいは延びるであろうと、四十五年目に一兆円程度の債務が残る、単純に数字を固定して言えばですね。ほかの数字、管理費がどうだとかいうことを全部固定して申し上げればそうでございますが、その場合には、また管理費をどうするかとかいうようないろんな検討、先ほど申し上げましたように適時適切に見直していく、こういうことになろうかと思います。
  154. 富樫練三

    ○富樫練三君 局長は大事なところを早口で言うから分かりにくいんだよね。  要するに、金利が四%で交通量が一番少ないことが予測されることを想定した場合には、今の答弁は返済は四十六年掛かるという話なんですよ。それで、そのときに、四十五年目のときにどのぐらい借金が残っているかというと、一兆円の借金が残っているというふうに今局長は答えたんですよ。よく耳を澄まして聞いていないと、この一番大事なところが聞こえないわけなんですけれども。  そこで、資料の一を見ていただきたいんです。皆さんに今日は資料を配らせていただきました。  この資料一の中の①番、金利五%の場合はどうかと。四%でずっと四十五年間続くとは限りませんよね。それは結局、もっと安くなる、低くなることも高くなることもあるでしょう。やっぱり高くなることもそれは想定しなければなりません、法律で四十五年と決めるわけですから。  これでいきまして、将来金利が五%という、上の表の左から二つ目のところ、五%三つ縦に並んでいます。交通需要推計が高位、中位、低位というふうに三つあります。高、中、低というのは下の表にあります一番左の高、中、低で、車の台数が一番多いときが推定されるのが高位、一番車の台数が少ないときが低位です。  これで当てはめてみますと、金利五%の場合は、例えば高位の場合というのは景気が良くて車がよく走るときですよ、一番条件がいいとき。そのときで四十九年掛かるんですよね。四十五年目のとき、このときに実は借金はゼロになっていなけりゃならない、その時点で八・四兆円の借金は残っている。中位の場合はこれは五十五年掛かって、四十五年の段階ではどうかというと十七・六兆円の借金がまだ残っているんですよ。それからもう一つ、低位の場合、これは六十一年掛かるというんですよ。それで、四十五年目のときには幾ら借金があるかというと二十二・九兆円、二十三兆円の借金はまだ返せないで残っているわけなんですよ。仮に、これは金利が五%というふうに想定すればという話ですよ。  したがって、今度の民営化計画で四十五年というふうに法律で決定するということにすれば、もうこの数字、私が勝手に作ったんじゃないですよ、国土交通省が出した数字ですからね、これだけ見ても、この計画はもう破綻している、こう言わなければなりません。総理、どうですか。総理に聞いています。
  155. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) この想定のとおりならば、そういう議論は成り立ちます。
  156. 富樫練三

    ○富樫練三君 そうなる可能性があるんだ。
  157. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 可能性を言えば切りがないんです。こういう想定でない可能性にすれば、もう四十五年以内に債務はゼロになる可能性もあるんですから、可能性の議論をしたら切りがありませんよ。  仮に予定のこの四%を超えた場合、起こったとした場合にも、それは、四十五年の返済をするために事業費の削減とか管理費の縮減、いろんなことを考えなきゃいけないでしょうね。努力しなきゃいけない。可能性の議論をしたら切りがありませんよ。
  158. 富樫練三

    ○富樫練三君 いや、可能性を議論したら切りがないというのは、今法律の審議をしているんですからね。法律で四十五年ということを固定するんです、これは。これは例えば六十年掛かる、五十年掛かるといったときに、まあ総理はそのときはどういうふうになっているか分かりませんけれども、そのときにやっぱり返せないから法律を延ばしますと、法律を変えてゴールを先に延ばし、先延ばしをしますよということを考えているかもしれないけれども、少なくとも今の時点で、まだ法律がこれからできるという段階で延ばしますよということは、これは口が裂けても言えないでしょう。  ですから、それはあらゆる場合を想定をして、こういう場合にはこうなるんだと、こういう場合にはこうなる、それでも四十五年で大丈夫ですよと、こういうふうになって初めて法律の審査というのはできるわけですよ。今、もう国土交通省が出した数字を見ただけでもこういうふうになるわけですから、これはもう計画そのものが最初から破綻しているというふうに言わざるを得ないと思うんですね。  それで、もう一点、これに関連して伺います。資料の二の方をごらんいただきたいと思います。若干複雑な資料ですけれども、これは国土交通省資料に基づいて私の事務所で作ったものであります。  全体計画は一万一千五百二十キロメートルで、そのうち整備計画の延長が九千三百四十二キロであります。これがもう既に供用開始の部分が七三四三キロで、この分がいわゆる四十三・八兆円の累積債務になって、これから返していかなくちゃいけない部分。その下の未整備分千九百九十九キロ、約二千キロ、これが今度は民営会社の方が千二百六十五キロを造る予定ですね、これ計画ですね。これは民営会社建設分と拒否権行使分、先ほどもちょっと議論がありましたけれども、これになります。拒否権行使分については恐らく新直轄に行くだろうと、税金で造ることになります。民営会社建設分は借金が約十五兆円ですけれども、これは機構に行って四十三兆円の借金と合体をしまして、これを料金で払っていきましょうと、こういう仕組みですよね。大筋、そういうことになると思うんです。  そこで、一番最初に聞きましたけれども、もし料金収入で払えない、先ほど言いましたように、金利が五%であるとか四%の場合であっても、実は交通量が低位の場合は四十五年目に一兆円の借金はまだ残っているわけですからね。そういうふうになった場合に一体どうなるのかと。一番右、この資料の一番右の上のところにあるように料金収入不足分、これは税金で負担するのかなということですよね。  それから、一番下の方の整備計画外、左の方のですね、約二千キロ。これについては、民間会社が申請したらこれは民間会社が造ってその借金は機構に行きます。申請をしなければ、これは税金で造るだろうと。まあ中止というのも選択肢としてあるかもしれません。しかし、これもまた税金で負担されるだろうと。  もしもこの借金が機構の方で十分料金で賄えない場合は、これもまた税金で負担せざるを得ない。そうじゃないと、四十五年後にこの機構は解散できなくなっちゃうんですね。解散して道路を無料にするというからには、これは借金はゼロにしなけりゃ解散できませんよ。そうなれば、この時点で新たにまた税金を投入すると。  こうなれば、新直轄で税金で高速道路を造り続けながら、借金の穴埋めにも税金を投入する。となれば、総理が最初に言っていましたよ、財投を減らすというふうにするんだと、国民の負担はなるべく少なくするんだと言いますけれども、実は今まで財投からお金を入れていた分はなくなるけれども、それよりも何倍も多い金を実は税金でここに投入すると。これが今度の民営化中身じゃないんですか、どうですか。
  159. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは違います、もう平成十四年度以降国費は投入しないということになっていますから。  今、我々が想定しない前提を置いてやっているとそのような議論になると思うんです。我々、そういうのを想定していないんだから、金利五%なんか想定していないんだから、低位になるということも想定していないんだから。
  160. 富樫練三

    ○富樫練三君 国土交通省は想定しているんだよ。
  161. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは、そういう状況じゃなくて、大体四%、高くても四%であろうということを申し上げているんであって、その可能性を言えば五%、六%、七%、それで低位になる。これ、可能性言えば先ほど言ったように切りがないので、今までもその四%に上がったということは余りないでしょう、今までも。十五年間の平均して四%以下だと思いますよ。  だから、そういう可能性の高い議論はするけれども、可能性の低いところまで議論すると、これは確かに共産党の言われたとおりという、可能性の議論においては否定しないけれども、そこはやっぱり常識的な判断というものがあるんじゃないでしょうか。可能性があれば、人間だって、私だって明日死ぬかもしれないし、可能性を言えば、百歳まで生きるかもしれないし、それはやっぱり、人生設計だってそれはいろいろ、可能性言われれば切りがないんですよ。だから、この場合も、私は常識的な可能性の議論をしていただければいいのではないかなと思っています。
  162. 富樫練三

    ○富樫練三君 最後になりますけれども、私が言っているのは、この出しました資料もすべて国土交通省が提供した資料でありまして、国土交通省からいただいた資料で私は言っているんですよね。ですから、可能性、可能性とか言いますけれども、それはあらゆる可能性を想定するのは当然ですよ。当たり前のことです。  今の総理の話では、調子いいところだけ取ると、条件のいいところだけ取って、だからできるんだと、条件の悪い状態になれば途端に破綻する、そういう計画だということだと思うんですね。限りなく税金も投入することになりますから、そういう意味では、総理が本会議で答弁した、「できるだけ少ない国民負担の下で建設することが重要」だと、こういうふうに言っていますけれども、この点でも、総理が言っていることは、やることと言うことが逆さまだということを指摘しまして、質問を終わります。
  163. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 社民党の渕上でございます。  この法案を提出するに当たりまして、道路関係公団民営化推進委員会の議論の過程その他、多くが情報公開され、最初から国民の前にその議論が公開されておったということは、私は大変これは良かったことだと思うし、道路公団問題を議論するに当たって国民が参加できるような条件を作り出したということについて大変評価できるのではないかと。いわゆる推進委員会とか審議会というのはともすれば法案の裏に隠れがちでございますけれども、今後はひとつこのような方向で法案を作るについて積極的に進められることを願っておるところでございまして、御要望申し上げておきたいと思います。  そこで、総理、総理が言われております構造改革は民間でできることは民間でということに尽きると思いますが、この考えでいきましても、民間ではできないものがあるということが前提になっているのではないかと思うんでありますが、民間、すなわち収支を意識をし、そうした収支を意識した経営だとか損益を意識した経営だとかと思いますけれども、総理は、民間ではできないと考えられている官業等はあるかないか、どのようにお考えになっておるか、総理のお考え方を。
  164. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) まず国がやらなくてはいけない、言い換えれば民間にはできないという仕事としてよく言われるのは、国防と外交でしょうね。そのほかにも、採算を考えると必要だけれどもやれないという事業もたくさんあります。  具体的に、この道路法案の審議ですから道路に関して言えば、余り利用する人がいないだろうと、しかしながら地域全体を考えて道路を整備したり造ったりすることが必要だというんだったらば税金で造らなきゃいけないでしょう、そういう点では民間に任せたらできないかもしれない。いろいろあると思いますが、まず国がどうしても責任を負わなきゃならない問題と言えば、国防とか外交、治安というのは典型的なものだと思っております。
  165. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 分かりました。  続いて大臣にお伺いいたしますけれども、今、民間でできることは民間でということですが、道路公団改革の場合は、先ほども議論になっておりましたけれども、四十五年には道路管理者に所有権が移転をいたしまして高速道路は無料開放することになっております。四十五年後には再び税金で道路の維持管理をする仕組みとなっておりますけれども、これでは総理が言われるように民間でできることは民間でという構造改革とは少し違ってくるのではないかと思うんですが、その見解はいかがでございましょう。
  166. 石原伸晃

    ○国務大臣石原伸晃君) 渕上委員の御指摘は、今回の道路公団民営化と四十五年後の姿が総理の言われる民間にゆだねることは民間にというものと相違があるのではないかという御質問だと思うんですけれども、これはこういう整理をさせていただいております。  特殊法人という会社は、それなりに民間ではなくて政府のアウトソーシングの行政機関としてやらなければいけない仕事を担ってきたというのが基本的な考えです。しかし、時代の変遷とともに、昨日も決算委員会で御議論があったようなグリーンピアとかスパウザ小田原とか、官がやらなくてもいいような仕事までやるようになってしまった。今回の特殊法人改革では、総理の基本的な原則は、民間にできることは民間に、廃止できるものは廃止にというカテゴライズをしていって、この道路公団というものの運営は民間になじむんじゃないか、サービスエリアやパーキングエリアの運営やあるいは民間サービスの提供というものは道路ビジネスでもやっていけるんじゃないかということで今回民営化するということになったわけです。  それでは、何でそういう委員の御指摘のような質問が出るかということは、そもそも道路というものは国に財力があれば、公共公物であるという大体国民の皆さん方のコンセンサスがありますので、税金でやればよかったわけです。しかし、昭和三十年代の国家予算がおよそ一兆円で、そのとき整備しようとしました東名高速と名神高速の合わせた総事業費が四千五百億ぐらい掛かって、これはできないなということで有料道路で始まった。この有料道路で始まったという生い立ちの違いが、今、委員が御指摘されましたような疑問の根底にある。ですが、本質論から申しますと、今度の特殊法人改革の原則というものは、総理が御答弁されたとおりの整理をさせていただいているところでございます。
  167. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 それでは、公団民営化の共通点と相違点について総理にお伺いいたしますが、道路公団民営化問題というのは、小泉総理自身が道路公団民営化を改革の大きな象徴として位置付けられておりますね。無駄な道路は造らないと明言をしておりますし、高速道路の新規建設を抑制するという考え方を示されております。  無駄な道路はもう造らない、四十兆円に上る借金をきちんと返済するというのがきっかけであったと思いますが、しかし今回の法案では、借金は増やしても建設する、債務の返済は優先ではないとの方針に変わったのではないかというような部分もございますが、総理は今回の提案の法案について、まれに見る画期的な改革だ、これほどのことはない、これほど支持されたことはないと、こういうようなことも先ほど自画自賛されておりましたが、総理が当初描いておりました道路公団民営化と今回の法案の共通点と相違点はどこにあるのか、お伺いをいたします。
  168. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私はよくできたと思っています。当初描いていたもの、これは、道路公団なんか民営化できっこないという反対していた方々、結果的に民営化に賛成してくれたんですから、御協力に大変有り難いと思います。  中身は最初から、債務の確実な返済、四十兆円、確実な返済、これ実現できた、この法案で。そして確実にコストの削減もできた。有料道路事業、二十兆円程度掛かるのを半減、十兆五千億程度にできると。ファミリー企業の見直し、そして道路公団分割、言わば当初の目的、ほぼ達成することができたと思っております。
  169. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 次に、かなりこの法案を作るに当たって抵抗勢力という言葉が話題を呼びましたけれども、新会社会社の自主的な経営判断に基づく申請方式となっていますが、政府が株式の三分の一を持ち、代表取締役の人選や事業計画は国土交通省の許認可を要し、新会社が建設不要と判断した場合であっても国はほかの新会社と協議をして、それでも駄目なら社会資本審議会に判断をゆだねるということになっております。しかも、新会社が集める建設資金には当分の間、政府保証も付きます。税金で建設をする直轄方式と合わせますと、現行の九千三百四十二キロの高速道路整備計画はほぼ貫徹されることになります。  これでは抵抗勢力と言われた人たちが大きな成果と豪語することも当然だと思いますが、総理はどのように受け止められておりますか、お尋ねいたします。
  170. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) まず、当初はこの民営化に反対してきた方々も、やっぱり時代の認識をよくわきまえていただいたんだと思います。時代が変わったなと、やればできるんだなと。そういうことで最終的に御協力いただいたということは、やっぱり自由民主党は大人の政党だなと、賢明だなと、感謝しております。  そういう時代認識、こういう点については、やはり自由民主党議員の方は長年政権担当していただいていますし、よくわきまえていると思います。反対すべきところ、賛成すべきところ、いろいろ今までの自分の主張があるけれども、世の中の時代の変わり目をよく見て、小泉内閣の進める構造改革に協力しようかなという極めて大人の善き良識あふれる判断をしてくれたたまものだと感謝しております。
  171. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 私、責任問題について何回も質問いたしましたが、総理は衆議院の国土交通委員会において、同僚議員の公団債務の肥大化の責任の質問に対して、政治の責任ではないかと答えておられます。公団民営化することによってその責任を果たすことができるとお考えになっているのでしょうか。また、政治の責任としたことの反省点は公団改革の中でどのように生かされているのか、お尋ねをいたします。
  172. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今までの公団方式でこのまま続けていきますと、債務はますます膨らんでいく、返済もおぼつかない、結果的に多くの国民負担につながっていくのではないかという、そういう責任を政治家として考えるんだったらば、今の公団式を改めることによって責任を果たしていかなきゃならない、それが今回の民営化の考え方であります。  言わば、長年の公団方式で道路を整備してきたという利点もあるでしょう。同時に、弊害も先ほどお話ししましたようにいろいろ出てきました。この弊害を正していくというのが私は政治の責任だと思っています。  今回、この公団方式を民営化方式によって、必要な道路はできるだけ国民の負担の少ない形で造っていくと、コストについても厳しく見直していこうと、料金も今まで公団方式だと上げるばっかりだけれども、今回は下げていこうと、そういう努力を見られることによって、私は国民から評価を得られるような民営化会社に是非ともなっていただきたいと強く期待しております。
  173. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 この法案で示されております四十五年というのを、ひとつそこまできちっとこの問題を解決するように期待をいたしまして、終わります。
  174. 輿石東

    委員長輿石東君) 以上で内閣総理大臣に対する質疑は終了いたしました。  内閣総理大臣は御退席いただいて結構です。     ─────────────
  175. 輿石東

    委員長輿石東君) 委員異動について御報告いたします。  本日、田村公平君、松谷蒼一郎君、脇雅史君及び田名部匡省君が委員辞任され、その補欠として狩野安君、段本幸男君、柏村武昭君及び平野達男君が選任されました。     ─────────────
  176. 輿石東

    委員長輿石東君) 他に御発言もないようですから、四案に対する質疑は終局したものと認めます。  これより四案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  177. 大江康弘

    ○大江康弘君 民主党・新緑風会の大江康弘でございます。私は反対の立場で討論を申し上げたいと思います。  ただいま議題となっております道路関係公団民営化関係法案に対し、反対の立場から討論を行います。  小泉構造改革の象徴として受け止められていた道路関係公団民営化法案も、出されてみれば中身は全くなく、民営化とはほど遠い内容であり、施行されれば国民の期待を裏切る結果となるであろうことは自明の理であります。  そもそも、鳴り物入りで登場した民営化推進委員会でありましたが、権力という魔物は人の考えや信念も変える力があるのか、それとも変節したのか、また最初からの考え方であったのかは知る由もありませんが、総理の当初の意を受け、まじめに真剣に取り組んでこられた田中委員長代理、松田委員が首相の余りの姿勢のひどさに辞任をされたことは誠に残念でありました。私どもとは考え方の違いはありましたが、勇気と信念あるお二人の決断と行動は大きな一石を投じられたことは事実であり、この場をかりて感謝を申し上げたいと思います。  なお、一部の委員の、権力に取りつかれたのではないかと思わずにはいられない、勝ち誇ったような言動には、開いた口がふさがらないとはこのことであります。その民営化委員会が四分五裂、この責任は一も二も自ら掲げた道路公団改革を最もあざとく裏切った小泉首相本人と言わなければなりません。  そもそも、道路は国の最も基礎的な社会資本としての公共財であります。国が国の責任として造り上げるべき性質のインフラであります。今日のこの混乱、また先の見通しの付けられないこの法案が提出に至った過程は、今日まで政府が、国家百年の大計としての社会資本整備を国のグランドデザインとしてどう計画し、どう作り上げていくかという考え、強い意志が全く欠けていたということが最大の原因であったと言わねばなりません。道路の持つ本来の役割や必要性を理解せず、間違った公共事業としての位置付けしかしてこなかった結果であり、本当に残念であります。  ここで、改めてこの法案の問題点を列挙しますと、第一は、今後の高速道路整備はいかにあるべきかという、国家戦略、政策理念が優先されるべきであるはずが、まず民営化ありきという入口での間違いであります。  第二は、上下分離方式を採用したものの、実質は現在と同じであり、より複雑な組織形態が国民にとってますます不透明化し、経営責任が不明確になることです。  第三は、民営化とは名ばかりであり、会社の自主性は制限され、長期借入金や社債には政府保証が付され、経営における緊張や自立性が全く望めないということです。  第四は、道路無料開放の原則が早急に適用されるべきであるのに、債務返済の確実な担保もないままに、無料開放の時期を約半世紀先の四十五年後という非現実的と思われるほど将来に大きく先延ばしするとともに、料金プール制の対象を大きく拡大し、世界一高い通行料金を取り続けるという、無責任、不誠実な内容となっていることです。  また、政府は、一方的に建設費の削減や通行料金の引下げ、またファミリー企業に対する道路関係公団からの天下り役員の削減等、その実績を盛んに喧伝しておりますが、これは公団のままでもやればできるという証左にすぎず、これまで政府及び公団がこうした問題の改善に何ら対処してこなかったかを如実に物語るものであり、最後に、このような法案の下で我が国の道路行政が語られていくことは時計の針を逆行させるものであることを申し上げ、反対討論といたします。
  178. 岩城光英

    ○岩城光英君 岩城光英です。  私は、自由民主党及び公明党を代表して、道路関係公団民営化関連四法案に対し、賛成の討論を行います。  道路は社会経済活動を行う上で必要不可欠な社会資本であり、古来より絶え間なく整備が行われてまいりました。自動車が普及した二十世紀以降は、自動車の特徴を最大限発揮するために、高速道路の必要性が叫ばれ、世界各国でその整備が進められてきております。我が国でも、戦後、厳しい財政的制約の下、それまで立ち後れていた高速道路整備を急ピッチで進めることが必要となりました。有料道路制度はこうした状況を背景として創設されました。  この制度の下、昭和三十年代に本格的な高速道路整備に着手し、昭和三十八年の名神高速道路の一部開通を皮切りに、今日に至るまで七千キロを超える高速道路ネットワークが逐次整備されてまいりましたが、いまだ計画の六割強にしか達しておりません。高速道路ネットワークは我が国の国土の骨格として全国的な自動車交通網の枢要部分を構成し、我が国の経済活動、国民生活を支える基盤施設であり、国の責任において着実にその整備を進めることが必要不可欠であります。  道路関係公団は、高速道路の整備主体としてこれまで大きな役割を果たしてまいりました。その一方で、制度創設から約半世紀が経過した今、公団方式の有料道路制度について、不採算路線の建設に歯止めがないこと、高コスト体質であること、ファミリー企業との関係が不透明であることなどの様々な指摘がされております。  道路関係公団民営化関連四法案は、これらの諸課題を克服し、民間にできることは民間にゆだねるとの小泉内閣の方針の下、債務を確実に返済し、真に必要な道路を、会社の自主性を尊重しつつ、早期にできるだけ少ない国民負担の下で建設すること等を目的として道路関係公団民営化を実現するものであり、正に構造改革の一環である特殊法人改革の柱と呼ぶにふさわしい優れた改革案であります。  具体的には、約四十兆円に上る債務の確実な返済について、民営化後四十五年以内の債務返済と、返済後の無料開放を法定しております。また、高速道路の整備計画区間九千三百四十二キロメートルの未供用区間について、厳格で客観的な事業評価を行った上で、会社の自主性を尊重しつつ、有料道路方式と新直轄方式を組み合わせて着実に整備することとしております。あわせて、徹底したコスト縮減等により、約二十兆円の有料道路事業費をほぼ半減することとしております。さらに、高速道路の料金について、平均一割を超える高速国道料金の引下げを実施するとともに、民間のセンスを生かした多様で弾力的な料金設定を可能としております。会社の関連事業については、民営化会社への政府の関与を必要最小限なものとすることにより、多様な関連事業を積極的に展開する環境を整えております。  このように、本法案は、戦後の有料道路制度を初めて抜本的に改革する、正に画期的な改革案であります。平成十七年度中の民営化に向け、一日も早くこれらの法案が成立することを強く要望いたしまして、私の賛成討論といたします。
  179. 大沢辰美

    大沢辰美君 私は、日本共産党を代表して、道路公団民営化法案の反対討論を行います。  反対する第一の理由は、無駄な高速道路を造り続ける仕組みを温存し、歯止めなき道路建設に道を開くからです。  政府は、九千三百四十二キロの高速道路建設計画の残りの二千キロについて、七百キロは税金を投入し新直轄方式で建設する、千三百キロは民営会社が造るというものです。これでは、無駄も含めて九千三百四十二キロを造り続ける仕組みが貫徹されることに変わりはないではありませんか。  第二に、四十兆円の債務を四十五年で返済する計画自体が虚構であることが明らかになりました。  政府の試算では、四十五年返済の前提条件は、金利四%で現行の交通量を維持することです。四十五年という期間の中でその前提が確保できる保証はありません。そして、残り二千キロを建設するのに少なくとも十兆五千億円以上の債務も新たに加わります。  さらに国交省は、九千三百四十二キロにとどまらず、法定予定路線の一万一千五百二十キロの建設費も入る可能性もあると言明をしました。そうなれば、際限なく返済金が膨らみ、四十五年の返済は不可能になるばかりか、膨大な借金が国民に押し付けられる結果になります。  第三に、天下りや政官財の癒着構造を温存し、更に増幅させる危険性をはらんでいるからです。  これまで公団に適用されていた情報公開法、官製談合防止法や入札契約適正化法といった、天下りや癒着構造を解明する上で不十分ながらも一定の役割を果たしていた法律さえも、民営化が進めば適用外になることが明らかになりました。  細田博之房長官が道路公団の事実上のファミリー企業から運転手の給与を肩代わりしてもらっていた問題も発覚しましたけれども、石原大臣は、公団改革とは関係ないと疑惑の解明さえ拒否しました。このような政府の姿勢では改革など到底できないのは明らかです。  日本共産党は、高速道路の整備計画を凍結し、抜本的に見直すこと、国民の新たな負担なしに債務返済を進めること、ファミリー企業や政官財の癒着構造を断ち切ることが国民の願いであり、そのことこそ本当の改革であることを強く主張して、討論を終わります。  以上です。
  180. 輿石東

    委員長輿石東君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  まず、高速道路株式会社法案の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  181. 輿石東

    委員長輿石東君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、独立行政法人日本高速道路保有債務返済機構法案の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  182. 輿石東

    委員長輿石東君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、日本道路公団等民営化に伴う道路関係法律整備等に関する法律案の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  183. 輿石東

    委員長輿石東君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、日本道路公団等民営化関係法施行法案の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  184. 輿石東

    委員長輿石東君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、池口君から発言を求められておりますので、これを許します。池口修次君。
  185. 池口修次

    池口修次君 私は、ただいま可決されました高速道路株式会社法案独立行政法人日本高速道路保有債務返済機構法案日本道路公団等民営化に伴う道路関係法律整備等に関する法律案及び日本道路公団等民営化関係法施行法案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会及び公明党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     高速道路株式会社法案独立行政法人日本高速道路保有債務返済機構法案日本道路公団等民営化に伴う道路関係法律整備等に関する法律案及び日本道路公団等民営化関係法施行法案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に遺憾なきを期すべきである。  一、高速道路は、国の基幹を形成する重要な社会資本であることにかんがみ、最終的に国が責任をもって整備するとともに、その整備に当たっては、最小限の負担で最大限の効果を発揮しうるよう努めること。  二、高速道路の通行料金の設定に当たっては、物流の国際競争力の確保等の観点も考慮しつつ、高速道路の利用を促進し、地域の活性化、経済の効率化につながるよう、民間企業の独創性が真に活かされた弾力的で多様な料金設定を行うこと。    また、道路環境の保全、交通渋滞の解消等の社会的課題への対応を図るため、適切な料金政策が講じられるよう十分配慮すること。  三、債務返済計画については、機構及び会社の経営努力の成果として、四十五年以内のできるだけ早期に債務完済が図られるよう努めること。    また、創意工夫等によりリスク管理の徹底を図るとともに、借換資金を含む資金の低利かつ円滑な調達が図られるよう努めること。  四、機構及び会社の債務保証等については国会の議決が行われることにかんがみ、その経営状況、財務状況及び債務の返済状況等について、機構及び会社ごとに毎年度、国民に分かりやすく公表すること。  五、日本道路公団については、会社間の競争性を高め、コスト意識の向上や地域の実情に即したサービスの充実を図るため三社に分割したものであることから、子会社の設立等を行う場合にも、こうした趣旨を踏まえること。  六、会社株式上場については、できるだけ早期に行われるよう努めること。その売却代金の使途の検討に当たっては、機構の債務返済への充当も検討の対象に加えること。  七、建設中・調査中路線に係る社会資本整備審議会の具体的な判断基準については、国民の理解が得られるよう、客観的かつ明解なものとすること。  八、高速道路の建設費及び管理費のコスト削減については、会社の経営努力に対する適切なインセンティブの付与等を図るとともに、その成果が確実に利用者に還元されるよう努めること。  九、道路資産が本来道路管理者に良好な状態で移管されるよう、道路の適時適切な修繕等に努め、その安全性及び耐久性を確保すること。  十、国民共有の財産である高速道路の建設、維持管理、修繕等の適正化を図るため、会社が行う当該事業の入札契約等の透明性を確保すること。  十一、民営化に伴う公団の資産、負債その他の権利及び義務の承継については、適切に行われるよう指導・監督するとともに、その詳細について公表すること。    また、関係財団から会社への財産の譲渡等についても、厳正に行われるようにすること。    さらに、ファミリー企業の剰余金については、利用者への早期還元の拡大が図られるよう努めること。  十二、公団民営化に当たっては、職員等の雇用の安定に努めること。    また、機構及び会社の役員の選任においては、適切な人材が広く内外から起用されるよう十分配慮すること。  十三、会社が行うSA・PA等の収益事業の経営においては、地域企業との共存を図るとともに、地域経済の活性化に資するよう努めること。  十四、本四公団切り離し債務返済後の道路特定財源の使途の拡大の検討に際しては、金利の大幅な上昇など大きな経済変動等があった場合における高速道路に係る債務の返済への充当も含め、幅広く検討すること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  186. 輿石東

    委員長輿石東君) ただいま池口君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  187. 輿石東

    委員長輿石東君) 多数と認めます。よって、池口君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、石原国土交通大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。石原国土交通大臣
  188. 石原伸晃

    ○国務大臣石原伸晃君) 高速道路株式会社法案など道路関係公団民営化関連四法案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま可決されましたことに深く感謝を申し上げます。  今後、審議中における委員各位の御高見や、ただいまの附帯決議の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。  ここに、委員長を始め理事の皆様方、また委員の皆様方の御指導、御協力に対し、深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。  本当にありがとうございました。
  189. 輿石東

    委員長輿石東君) なお、四案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  190. 輿石東

    委員長輿石東君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十二分散会