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沓掛哲男君 では次に、
建設投資と就業者数の推移を
皆さん、お配りしてあるこの図を見ていただきたいと思います。(
資料提示)
この棒グラフは
建設投資額です。黒い部分が
政府投資、白い部分が民間の
建設投資です。昭和六十年を見てください。ちょうどプラザ合意のあったときです。
建設投資は官民合計で五十兆円ですが、次第にこの五十兆円から増えて、
平成四年には八十四兆円とピークになっております。その後、
平成八、九年までは横ばい状態で、その後急速に減じております。
建設就業者は
投資より少し遅れて影響が出てきます。昭和六十年ごろは
建設就業者は五百三十万人ぐらいで、次第に増え、
平成九年にピークを迎えて六百八十五万人と、昭和六十年に比べ百五十万人も増えましたが、次第次第に減少し、昨年度は六百十八万人となっています。
そこで、この図の下に、
建設就業者、製造業者と完全失業率を表にしておきました。昭和六十年度から
平成四年度間では、完全失業率は、一番下の欄にありますが、二%強でした。
平成五年度から九年度の間では、製造業で九十万人のリストラを行いました。しかし、その半分を、
建設業で四十五万人吸収しております。そういうことによって、失業率も二・五%から三・四%となだらかに増えています。しかし、
平成十年度から十四年度間では、製造業で二百二十万人、
建設業でも七十万人をリストラしましたから、失業率は一挙に五・四%と、三百六十万人の失業者となっています。
建設投資額は、
平成十五年度で五十四兆円、十六年度では五十二兆円と予測されています。ほぼ昭和六十年度並みの
建設投資です。横でずっと線を見ていただくと、ほぼ六十年度並みです。この年の、昭和六十年度の就業者は約五百三十万人ですから、これからも八十万人以上の人がリストラされるというか、職がなくなっていくことになります。もちろん、雇用がというのは、国全体の問題ですが、現在サービス業以外のすべての産業では就業者は減っております。
先日、党本部で千葉大の広井良典
先生の「これからの社会保障を
考える
視点」との講演がございました。その中で、なぜこれまで日本の社会保障給付は少なくて済んだのかということについて二つの理由を挙げておられます。
一つは、家族
会社といったインフォーマルな社会保障があった、
二つ目に、
公共事業が職の提供、特に中高年齢者の雇用を可能とし、事実上、社会保障的な機能を果たしてきたと
説明されておられました。
建設業がややもすると悪者扱いされる中で、他分野の人が正当な
評価をしてくれたことを大変うれしく思いました。
さて、最近、私のところに来る地元の各業種のAクラスの経営者が、
皆さん二つのこと、
一つは、今年どんな
仕事があるのかがよく分からない。このことは、ここ三、四年ほど新規をどんどん減らしてこられたことだろうと、
成果というか、結果だと思います。何がある、今まではどういう
仕事があるかどうかというのが分かったんだけれ
ども、今年は本当にそれが読めないと言うんです。
二つ目に、
会社経営も限界に来ているのでリストラを更に強めなければならないが、それについても、一番知りたいことは今後の
建設事業の見通しなんだということを述べております。
公共事業は、もちろんその時代時代の社会等の要請に応じて変わっていくものですが、トータル的にある程度の
投資を確保することも大切だと思います。将来の
建設投資の見通しを、過去の何年度並み、例えば昭和五十五年度から六十年度並みというような、そういう目安でも結構ですから、何かそういう指針を与えていただけると、これから
建設業界各社の構造改革の道しるべとして極めて有用であると思いますので、
大臣から一言
お願いしたいと思います。