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2004-03-18 第159回国会 参議院 国土交通委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年三月十八日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  三月十七日     辞任         補欠選任      大沢 辰美君     畑野 君枝君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         輿石  東君     理 事                 岩城 光英君                 鈴木 政二君                 池口 修次君                 大江 康弘君                 森本 晃司君     委 員                 上野 公成君                 沓掛 哲男君                 佐藤 泰三君                 斉藤 滋宣君                 田村 公平君                 鶴保 庸介君                 藤野 公孝君                 北澤 俊美君                 佐藤 雄平君                 田名部匡省君                 藤井 俊男君                 弘友 和夫君                 富樫 練三君                 畑野 君枝君                 渕上 貞雄君    国務大臣        国土交通大臣   石原 伸晃君    副大臣        国土交通大臣  林  幹雄君        国土交通大臣  佐藤 泰三君    大臣政務官        国土交通大臣政        務官       佐藤 茂樹君        国土交通大臣政        務官       斉藤 滋宣君        国土交通大臣政        務官       鶴保 庸介君    事務局側        常任委員会専門        員        伊原江太郎君    政府参考人        外務大臣官房領        事移住部長    鹿取 克章君        経済産業大臣官        房審議官     市川 祐三君        経済産業省製造        産業局次長    中嶋  誠君        資源エネルギー        庁資源燃料部        長        細野 哲弘君        国土交通大臣官        房長       安富 正文君        国土交通省総合        政策局長     澤井 英一君        国土交通省総合        政策局観光部長  金澤  悟君        国土交通省国土        計画局長     薦田 隆成君        国土交通省都市        ・地域整備局長  竹歳  誠君        国土交通省河川        局長       清治 真人君        国土交通省道路        局長       佐藤 信秋君        国土交通省住宅        局長       松野  仁君        国土交通省鉄道        局長       丸山  博君        国土交通省自動        車交通局長    峰久 幸義君        国土交通省海事        局長       鷲頭  誠君        国土交通省航空        局長       石川 裕己君        国土交通省政策        統括官      金井 照久君        国土交通省政策        統括官      矢部  哲君        環境省環境管理        局長       西尾 哲茂君     ─────────────   本日の会議に付した案件政府参考人出席要求に関する件 ○国土整備交通政策推進等に関する調査  (国土交通行政基本施策に関する件) ○奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振  興開発特別措置法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付)     ─────────────
  2. 輿石東

    委員長輿石東君) ただいまから国土交通委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、大沢辰美君が委員を辞任され、その補欠として畑野君枝君が選任されました。     ─────────────
  3. 輿石東

  4. 輿石東

    委員長輿石東君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 輿石東

    委員長輿石東君) 国土整備交通政策推進等に関する調査を議題とし、国土交通行政基本施策に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 沓掛哲男

    沓掛哲男君 皆さん、おはようございます。自民党沓掛でございます。  これから三点について御質問したいんですが、質問提言を行いますが、提言については特にコメントを要しません。質問にお答えいただければと思います。  三点の第一点は、建設業入札談合問題の解決に、発注官庁として、また建設業を所管する官庁として主体的に取り組んでいただきたいということでございます。二つ目には、新幹線整備促進についてでございます。三つ目については、公共事業効果とその将来の見通しなどについてお尋ねしていきたいと思います。  まず第一点ですけれども、現在、独占禁止法見直し公正取引委員会が取り組んでおられます。昨年十二月十八日に自民党独禁調査会が開かれ、公取から措置体系独占寡占規制説明がございました。入札契約に直接関係ある措置制度のみについてお尋ねしていきたいと思います。  この制度では、課徴金を従来、不当利得の剥奪として六%科していたものを、社会的制裁として三倍の一八%に上げる。また、措置減免制度として、違反事業者公正取引委員会調査開始前に所要情報提供資料提供等を行った場合、課徴金等を一切免除される、いわゆる密告制度を新たに導入する。また、従来の行政調査権限犯則調査権限強化するなどとするものでございました。  本当にこんなことをされては大変だという思いで強く反対いたしました。その後、党の独禁調査会では有識者、経済界からのヒアリングなどを行っております。  入札談合について、公取は、競争政策当局としての視点から措置罰考えますが、近年、発注官庁事業執行当局としての視点から新たに損害賠償意味違約金一〇%の措置を講じています。この違約金について、当初、公取関係者学者の方々のほとんどは知らないというような状況でした。趣旨や目的が違い、措置罰等を科する官庁が違うからといっても、受ける企業は同じです。発注官庁公取でお互いに連携を取りながら適切な措置お願いしたいと思いますが、参考人から説明して、答えてもらえればと思います。
  7. 安富正文

    政府参考人安富正文君) 今、委員の方から、談合不正行為防止について、発注者側として公取との連携を十分やっているのかという御質問でございます。  我々としては、国土交通省直轄工事におきまして、一つ談合情報等対応マニュアルの改正、あるいは先ほど委員の方からございました違約金特約条項制定、それから指名停止措置要領等強化といったような談合等不正行為防止に取り組んでおるところでございますが、これらの施策の立案に当たりましては、公正取引委員会の方に事前に十分説明をしまして、相談あるいは調整を行いながら進めているところでございます。  それから、先ほど言いました違約金、そういう意味違約金特約条項についても公正取引委員会と情報交換しながらこの制定に当たったところでございます。  それから、個々発注案件につきましても、談合情報が具体的にあった場合には公正取引委員会に第一報を入れると。これは入札契約適正化法の第十条で決められておりますが、これに基づきまして第一報を入れまして、その後、発注者として把握できた談合の事実について書面によりすべて報告しているところでございます。  それから、日常的な公取との連携という意味では、昨年の二月より本省レベルそれから地方支分部局レベルでの連絡会議を設けまして、そこで意見交換をしながら……
  8. 沓掛哲男

    沓掛哲男君 それは後で聞きます。
  9. 安富正文

    政府参考人安富正文君) やっているところでございます。
  10. 沓掛哲男

    沓掛哲男君 本来、建設事業事業執行者である官公庁ですね、と請負業者である建設業者との間で良質な社会資本整備を適正な価格で期限内に行うことを契約するものであります。  その入札契約の際に入札談合が行われた場合に公取が関与することになるのですが、公取のように罰則の強化のみで入札談合問題解決効果は余り上がらないと思います。逆に、副作用としてのダンピングにより社会資本の品質の悪化を来し、本来の目的が失われるおそれがあると思います。  それは、物品購入のように入札時に既に対象物が存在するのと違って、建設事業の場合、入札時に目的物は存在しないので、損得を無視した安値受注現場では、赤字を出さないためいろんなことをするおそれがあります。  そこで、事業執行官庁として国交省が中心になって公共事業入札契約予定価格を総合的に見直し、一生懸命に額に汗して働く人たちが明日への希望と情熱を持って良質な社会資本整備に専念できるようにしていただきたいと思います。  役所の殻の中だけでなく、ベースを広げるといろんな考えが出てくると思います。例えば、じゃ、どういう考えがあるのかという質問があるんですが、例えば皆さん方、いろんな知恵があると思います。私も一例を申し上げたいというふうに思います。  例えば、競争入札の場合に、入札の札を入れるのは応募会社国家資格者、すなわち建築工事なら一級建築士土木工事なら一級の土木施工管理者で、受注の場合は基本的にはその現場責任者になる者に限定し、もし入札談合に加担したときはその国家資格停止又は剥奪するとすれば、入札談合問題は大幅に改善するというふうに思います。小規模な工事は二級建築士、二級土木施工管理者でもよいことにすれば、また人が足りないというようなことはないと思います。それは、入札談合会社、すなわち上司からの指示や他会社の社員からの申入れ協力依頼などによると思いますが、国家資格者にとって、勤務する会社も大切ですが、国家資格の方がより大切だと思います。また、独立性も強いので他社からの申入れにも妥協することが少ないと思います。また、ダンピングについても、自分がその現場責任者になるとすればコストを度外視したことはできないというふうに思います。同時に、一般に有資格者でない暴力団的な人たちも自動的に排除できるというふうに思います。  この間、学者先生も、やっぱりこの談合問題に一番効果のあるのは個人対象にしてすることだという論文も出しておられますが、全くこれ私の一存の例ですからこれについてのコメントは結構ですが、これから入札契約予定価格等を含めて総合的に見直して、発注官庁としてこの入札問題の解決に主体的に取り組んでいただきたいと思いますが、参考人のお答えをお願いします。
  11. 安富正文

    政府参考人安富正文君) 先生指摘のとおり、談合等不正行為防止あるいはダンピング防止、こういうことを図っていくためには、入札制度あるいは予定価格制度その他、先生が今おっしゃったようなことも含めましていろいろ検討する必要があると思います。  我々としましても、入札に参加する企業が自らの技術力あるいは経営力等能力を発揮して、言わば良いものを安く造るというふうにどうしていくかということが我々発注者側責任であるのではないかと考えております。このため、国土交通省においては、個々入札に当たりまして、従来から、例えば入札に参加する企業が過去に同様な技術力を要する工事をどのようなでき栄えで施工してきたか、そういう意味での工事成績評価点を付けておりまして、そういう施工能力審査等も行っております。また、入札において企業の優れた技術力を生かして競争が促進されるように、総合評価方式といったような形で技術点を重視した入札方式を導入するといったようなことで幾つかの方策に取り組んでいるところでございます。  そういう意味で、これからいろんな落札方式等も含めまして、我が発注者側として入札価格あるいは入札制度等につきまして改革ができるように積極的に取り組んでいきたいとも考えております。
  12. 沓掛哲男

    沓掛哲男君 では次に、整備新幹線についてお尋ねしたいと思います。  平成十二年十二月に整備新幹線の取扱いについて政府与党申合せがなされました。その主な内容は、これからの工事区間として、東北新幹線盛岡—新青森間、九州新幹線では博多—西鹿児島間、北陸新幹線長野—富山間と既着工石動—金沢間であります。これらを完成するに必要な工事費は三・六兆円で、平成十五年度までに一・八兆円が支出され、残りは一・八兆円であります。年間工事費は約二千百億円計上をされています。この二千百億も大変苦しい形で出されていることは当然で、それは多とはするんですけれども、したがって全工事区間が完成するには一・八兆円で、そして毎年二千億ですから九年掛かります。私の石川県から考えてみますと、東京から富山まで新幹線で来るのにあと九年掛かります。私の住んでいるこの石川金沢までについては更にこれから整備新幹線見直しが予定されております。  そこで、これは新聞情報ではありますけれども北陸新幹線では少なくとも金沢を越えて福井の方へ向けていくということが出ておりました。東北新幹線は新函館まで延び、九州長崎線に入ると言われています。これらの整備費が約一兆二千億円としておりますから、これも年間二千億円ずつの工事ベースでいくとすると六年掛かります。いろいろな優先順位があるとは思いますが、全部できるには六年掛かります。そうすると、今から富山まで来るのに九年間、更に金沢に来るには六年、合わせて十五年間ということになります。本当に、昭和四十五年に全国新幹線整備計画が発表になりました。東京—金沢間、所要時間二時間二十分ということで、当時急行で十時間掛かっておりましたから、北陸人たち希望に胸を膨らませたものです。あれから三十四年たち、今、長野—富山間の工事が進められているんですけれども富山へ来るまででもあと九年掛かる、それから更に金沢に来るには、全体としては六年、十五年ということです。余りにもスローモーションではないでしょうか。  明治時代鉄道建設最盛期明治の後半の時期ですけれども、そのころは在来線ですけれども、十年間で六千五百キロを整備しています。今のこの新幹線整備は十年間で三百キロです。明治の末期十年間で六千五百キロも整備したのが、今十年間で三百キロの整備速度でございます。  そこで、少し提言なんですが、大きな建設事業をする場合、それに必要とされるお金は、償還資金建設資金に分けて考える必要があります。建設資金借入金で賄い、その借金の返済に償還資金を充当することにより、早期事業供用を図れるのではないでしょうか。今後、金沢まで新幹線が来るのに、全国ベースで一・八兆円、富山まで来るのに掛かります。さらに、金沢から福井の方に向けて全部できるのに、もちろん全国ベースですけれども、東北も九州も含めてプラス一・二兆円で三兆円が必要です。一方、毎年二千億円の資金、これはもう返さなくてもいい償還資金が十五年間確保されるとすれば、この前半である程度借入金をして、そしてその将来のものを、元本を、借りたお金元本をほかの償還金で返していく、そういうようなことができないかどうか、それをちょっとここに書いてみたんですが。(資料提示)  ここにありますように、新幹線早期供用への提言です。現行のやり方というのは、現行予算は毎年二千億円、これも大変です。でも、二千億円を用意していくと全部できるのに十五年掛かります。これは正に建設期間が十五年で、それから供用、全部供用できるのは十五年後です。ですから、提案としては、現行予算はそのままこういうふうに確保していく。そうしたら、借金を、まず毎年二千億のこの現行予算に対して、もう二千億円借金をしていく。ですから、年間工事費は四千億です。そうすると、この全体が半分の七・五年でできることになります。そして、この七・五年が建設期間で、これから後が全部供用されるわけです。そうしたら、この借入金を返さなきゃなりませんが、返す元本は将来予定されているこの償還資金で返す。当然金利が入りますから、金利については、これは供用が七・五年早まるわけですから、そこでの営業利益で償還していくというふうにすれば、これは半分でできるし、十五年、十何年先ですと言われてもせっかくの投資が生きてきません。数年、四、五年でも金沢まで来るとかというのだと、金沢の駅前に対して民間の人たちがいろんな投資を、またそれを生かしたいろんな投資が行われるんですけれども、十数年先と言うと、みんなああそうですかと言うんですよ。せっかくのお金が生き切れない。何とかして少しでも早く供用できるようにお願いしたい。例えば、一つの例です。  これをするに当たって難しい問題がたくさんあることはよく知っていますが、やっぱりこういう大きい事業というのは、担当当局が勇気を持って断固とした姿勢でやっていただきたいと思います。これが新幹線に対してのお願いであり、提言ですので、お願いの部分について答弁をお願いします。
  13. 丸山博

    政府参考人丸山博君) 整備新幹線につきましては、できるだけ早期供用して開業効果を発揮させるべきではないかと、こういうお尋ねでございますけれども整備新幹線というのは国土の骨格となります交通機関でありまして、地域間の連携でございますとか、地域経済活性化につながるものでございまして、その意味でも早期供用いたしまして開業効果を発揮させることが大事だということにつきましては、先生と全く私ども同じ考えでございます。  先生指摘ございましたように、今、整備新幹線につきましては、平成十二年十二月の政府与党申合せによって行われているわけでございますけれども、その政府与党申合せの中でも、開業効果をできる限り早期に発揮させることが国民経済上重要であるということがはっきりうたわれております。  また、先生からも、御地元の北陸新幹線長野—富山間、今後おおむね十二年後の完成を目指すと、遅過ぎるんじゃないかと、こういう御指摘があったわけでございますけれども、これもある意味で画期的なことでございまして、十二年十二月の申合せ以前には開業時期はこれほど明確にされていなかったということでございます。開業時期を明確にしたというのは、もうこれは過去の申合せになかったということでございます。そういう意味でも、開業時期をはっきりさせて早く造るようにしようじゃないかという意思が十二年十二月の申合せの中では初めて明示されたということだと思います。  一方で、新たに着工する場合でございますが、一番難しいのはやはり財源問題でございます。先生から御提言あったことも含めまして、財源問題がもう整備新幹線問題のいつも一番大きな問題でございました。そこで、新たな着工につきましては、まず安定的な財源をどう確保するかということを考えた上で、収支採算性でございますとか、投資効果を十分吟味した上で着工するんだということでなってきたわけでございます。  現在、与党整備新幹線建設促進プロジェクトチームにおきまして、十二年十二月の申合せ見直しが行われておるわけでございますけれども、そこでも一番問題になりますのは、やはり先生指摘になりましたように、財源をいかに確保していくかということでございます。先生から御提言のありましたような借金をするような案も含めまして、今精力的に議論が進められておるところでございます。  私どもといたしましては、申合せが見直されるまでにつきましては、今後とも十二年十二月の見直しに基づきまして整備新幹線の着実な整備を図っていきたいというふうに思っております。
  14. 沓掛哲男

    沓掛哲男君 是非、一日も早くというか、ひとつ大幅に早くよろしくお願いしたいと思います。  それでは次に、公共事業一般についてお尋ねしていきたいと思います。  公共事業についてややもすれば風当たりの強い昨今でありますが、持続的に我が国経済発展国民生活の向上のために欠かせない大切なものであります。もう一度公共事業をその原点に返って考察してみたいと思います。  公共事業定義ですが、私もずっと調べてみました。一番分かりやすいのは、私はアダムスミス国富論だと思っております。いわゆるこのアダムスミス国富論の中で、国、元首のなすべき仕事を三つ挙げております。一つはディフェンス、防衛ですね。もう一つはジャスティス、いわゆる裁判、司法、治安。そして、三つ目パブリックワーク公共事業でございます。公共事業については、社会的に極めて有用な必要性の高いものではあるけれども、その建設管理会社やあるいは個人に任せたのでは必要な量が供給されない、そのことが社会的の発展に大きな打撃を及ぼす、そういうようなものを造りそして管理する、それが君主、国家仕事、それを公共事業と言うというような定義をしております。  その中の意味というのは、一つは、公共事業というのは排他的原則が成り立ちません。自分が使ったからほかの人が使えないというんじゃなくて、自分が使ってもほかの人もみんな同じように使えるわけです。ですから、どうしても、お金を負担しろといえば、その価値、評価を低くして、お金の負担を減らそうとします。そのことがやはり今のようなことになるんだと思います。ですから、公共事業というのはみんなが使える、そういうことが一つの特徴であるというふうに思います。  さて、公共事業効果についてでありますが、大臣の所信で、公共事業については特に成果重視施策を強調しておられます。そのとおりですが、成果重視の結果、選択され実施されるそういう事業については、その事業マスタープラン、全体的な計画早めに公開していただきたい、こういうことをこれから三年掛かってやるよというような、そういうマスタープラン早めに示していただきたいというふうに思います。  それは、ここで言われている成果は、今のごく限られた人たちの知識、知恵に基づくものであります。公共事業による成果物は、今、先ほど申しましたように、国民全体が利用できるものです。国民知恵で予想もしない利用が生まれ、当初考えていたよりはるかに大きな成果の得られる可能性があるのですから、そのためにも早め事業マスタープランを示していただきたいと思います。  大きな成果の得られた一例を申し上げたいと思います。今から四十年ほど前、高速道路を一生懸命整備し出しました。そのとき、高速道路がどんな効果を及ぼす、生み出すか、成果を生み出すかということをいろいろ議論し、いろんなものに発表されました。しかし、その中で載っていなかったもので、今考えると最も大きな成果というものが幾つかあります。  その一例を申し上げますと、一つは宅配便です。いわゆる国民生活をこんなに豊かにしたものはないと思いますが、四十年前、宅配便という構想はございませんでした。これは、クロネコヤマトの小倉さん、これは道路審議会の専門委員、また委員もやられた方です。この人が社運を懸けてなさったすばらしい私は事業であり成果が得られたと思います。  もう一つは、トヨタのジャスト・イン・タイム方式でございます。トヨタが現在のトヨタになった一つの私は大きな要因だというふうに思いますが、それまではアセンブリー、組立ての会社ですから、部品を全国から集め、そしてそれを倉庫に入れ、そして必要なときは倉庫からそれを出してベルトコンベヤーに乗せるというのを、高速道路が整備されるということで、各、全国にある部品作りのところから、ちょうどその部品がベルトコンベヤーに乗る必要なときにそこに到着する、正にジャスト・イン・タイム方式というのが現在のトヨタを作り上げていったその一つの要因だということを経営者が言っております。  そういうふうに、予想もしない大きな成果が、これは国民全体の知恵ですから、そういうものが少しでも早くから生かせるように、いわゆる事業マスタープラン早期にお示しいただきたいと思います。これについては副大臣からお答えいただけるでしょうか。はい、お願いします。
  15. 林幹雄

    ○副大臣(林幹雄君) 公共事業マスタープランを示せということでございます。  昨年秋に閣議決定いたしました社会資本整備重点計画に基づき、国と地方公共団体との円滑な意思の疎通、共通認識の醸成を図りながら、各地方ブロックの社会資本の重点整備の方針を取りまとめることとしておるところでございます。  そこで現在、各地方支分部局が中心となりまして、地方ブロック戦略会議等を活用し、都道府県、政令市と調整しつつ、地方経済界、有識者、住民、NPOなどの意見を聞きながら、各地方ブロックの将来像とその実現に必要な施策を検討、整理しております。その上で、これらを踏まえて、計画期間に当たる向こう五年間の地方ブロックの社会資本の重点整備の方針として早急に取りまとめることとしておるところでございます。  これらを通じまして、国、地方公共団体、地域経済界あるいは住民が地域の将来像について、先生指摘のように、極力具体的なイメージを互いに共有できるようにしてまいりたいと存じます。
  16. 沓掛哲男

    沓掛哲男君 では次に、建設投資と就業者数の推移を皆さん、お配りしてあるこの図を見ていただきたいと思います。(資料提示)  この棒グラフは建設投資額です。黒い部分が政府投資、白い部分が民間の建設投資です。昭和六十年を見てください。ちょうどプラザ合意のあったときです。建設投資は官民合計で五十兆円ですが、次第にこの五十兆円から増えて、平成四年には八十四兆円とピークになっております。その後、平成八、九年までは横ばい状態で、その後急速に減じております。  建設就業者は投資より少し遅れて影響が出てきます。昭和六十年ごろは建設就業者は五百三十万人ぐらいで、次第に増え、平成九年にピークを迎えて六百八十五万人と、昭和六十年に比べ百五十万人も増えましたが、次第次第に減少し、昨年度は六百十八万人となっています。  そこで、この図の下に、建設就業者、製造業者と完全失業率を表にしておきました。昭和六十年度から平成四年度間では、完全失業率は、一番下の欄にありますが、二%強でした。平成五年度から九年度の間では、製造業で九十万人のリストラを行いました。しかし、その半分を、建設業で四十五万人吸収しております。そういうことによって、失業率も二・五%から三・四%となだらかに増えています。しかし、平成十年度から十四年度間では、製造業で二百二十万人、建設業でも七十万人をリストラしましたから、失業率は一挙に五・四%と、三百六十万人の失業者となっています。建設投資額は、平成十五年度で五十四兆円、十六年度では五十二兆円と予測されています。ほぼ昭和六十年度並みの建設投資です。横でずっと線を見ていただくと、ほぼ六十年度並みです。この年の、昭和六十年度の就業者は約五百三十万人ですから、これからも八十万人以上の人がリストラされるというか、職がなくなっていくことになります。もちろん、雇用がというのは、国全体の問題ですが、現在サービス業以外のすべての産業では就業者は減っております。  先日、党本部で千葉大の広井良典先生の「これからの社会保障を考え視点」との講演がございました。その中で、なぜこれまで日本の社会保障給付は少なくて済んだのかということについて二つの理由を挙げておられます。一つは、家族会社といったインフォーマルな社会保障があった、二つ目に、公共事業が職の提供、特に中高年齢者の雇用を可能とし、事実上、社会保障的な機能を果たしてきたと説明されておられました。建設業がややもすると悪者扱いされる中で、他分野の人が正当な評価をしてくれたことを大変うれしく思いました。  さて、最近、私のところに来る地元の各業種のAクラスの経営者が、皆さん二つのこと、一つは、今年どんな仕事があるのかがよく分からない。このことは、ここ三、四年ほど新規をどんどん減らしてこられたことだろうと、成果というか、結果だと思います。何がある、今まではどういう仕事があるかどうかというのが分かったんだけれども、今年は本当にそれが読めないと言うんです。二つ目に、会社経営も限界に来ているのでリストラを更に強めなければならないが、それについても、一番知りたいことは今後の建設事業の見通しなんだということを述べております。  公共事業は、もちろんその時代時代の社会等の要請に応じて変わっていくものですが、トータル的にある程度の投資を確保することも大切だと思います。将来の建設投資の見通しを、過去の何年度並み、例えば昭和五十五年度から六十年度並みというような、そういう目安でも結構ですから、何かそういう指針を与えていただけると、これから建設業界各社の構造改革の道しるべとして極めて有用であると思いますので、大臣から一言お願いしたいと思います。
  17. 石原伸晃

    ○国務大臣(石原伸晃君) ただいま沓掛委員が過去の、昭和五十一年から平成十五年までの公共投資、民間建設投資も含む割合、また就業者数の数字をお示しいただきましたが、建設投資や民間、公共、両方とも、ピークの平成四年に比べて四割弱減って五十四兆円程度になっておりまして、これが委員が御指摘の昭和五十五年から六十年の水準とほぼ、大体同じぐらいになっているんだと思います。  公共投資についてでございますけれども、厳しい財政状況の下で、これは委員が専門でございますが、重点化、効率化ということが図られているんだと思っております。こんな中で、民間需要創出効果というものは、重点化、効率化を図る際の私は重要な視点であると思いますし、大都会ではそれなりの成果も出てきているんだと思います。  このような取組によって雇用の確保を図りつつ、併せて住宅関連サービス、観光サービスなど新しい国土交通省所管分野についてこれから税制とか市場の条件整備を行い、民間を、公共から民間の方にも活動を刺激するようなことによりまして雇用の拡大を図っていくことで、委員の御指摘の水準等々を保つということはある一定の意味のあることではないかと考えております。
  18. 沓掛哲男

    沓掛哲男君 是非、前向きでよろしくお願いしたいと思います。  次に、公共事業の補正予算は、昨年度は一兆四千億円ありましたが、本年は災害復旧のみの千五百億円でありました。これらにより、十六年度の実質事業費が一七%程度減になると言われております。  地方では、これからの四月、五月、六月の端境期の仕事がありません。是非、繰上げ施工をひとつ強力に進めていただきたいと思います。ひとつ是非よろしくお願いします。
  19. 佐藤泰三

    ○副大臣佐藤泰三君) 平成十六年度の国土交通省関係の予算につきましては、厳しい財政状況の中、より高い経済効果を発現するため、魅力ある都市と地方、環境、少子高齢化、重点四分野に投資を集中するとともに、民間需要の誘発効果の高い事業を重点的に実施するなど、選択と集中により、めり張りの高い、政策効果の高い予算となっております。  ただいまの前倒し執行につきましては、予算成立前でございますので、政府の方針はまだ未定でございます。今年度の、ちなみに平成十五年の予算の執行につきましては、例えば用地買収済みの事業、完成までの竣工期の短い事業、民間投資の誘発などが見込まれる事業など、経済活性化効果の高い事業を優先的に執行するよう努めているとの方針が示されており、今後、国土交通省としても政府全体の方針に従いつつ、経済情勢等をかんがみながら、限られた予算を有効に活用し、より高い経済効果を発現できるよう努めてまいる所存でございます。
  20. 沓掛哲男

    沓掛哲男君 ありがとうございました。ひとつ是非皆さんのお力をいただきながら、明るい社会づくりにこの社会資本整備を大いに活用させていくようにお願いしたいと思います。  私の質問は終わります。  次に、新進気鋭の藤野さんにバトンタッチします。
  21. 藤野公孝

    ○藤野公孝君 自由民主党の藤野公孝でございます。  沓掛先生からは公共事業を中心に御質問ございましたが、私は二点、すなわち航空関係、航空政策関係と観光政策関係の二点に絞って御質問をいたしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。  まず航空関係でございますが、羽田の再拡張工事等につきまして大変今注目がされているわけでございますけれども、さきに行われました大臣の所信表明の中にもお触れになっておりますが、この羽田空港再国際化というような地元の熱い要望等も踏まえまして、いろんな新しい動きもあるわけではございますけれども、金浦空港、ソウルの金浦空港と羽田のチャーター便の初便に大臣はお乗りになったということを述べておられますが、その御感想等につきまして、まず最初に大臣にお伺いいたします。
  22. 石原伸晃

    ○国務大臣(石原伸晃君) ただいま委員指摘の羽田—金浦のチャーター便でございますが、昨年の十一月だったと思いますけれども、初便に乗ってソウルを訪ねてまいりました。一言で申しますと、日韓交流新時代のいよいよ本当の幕開けというものを実感したところでもございます。  午前中にソウルで二人の大臣と会合を済ませて、昼からの全国知事会の会合に間に合って、夜はまた役所で仕事ができるなど、もう正に日帰り圏であると。これは、ある意味では日韓間が一日生活圏に入ったな、そういった意味でこういう新しい取組を通じてビジット・ジャパン・キャンペーンで韓国から大勢の方おいでいただいておりますけれども、もっともっと多く日本の魅力をこの交通の利便性の中でも知っていただきたいと、こんなふうに考えております。
  23. 藤野公孝

    ○藤野公孝君 この羽田の今後の位置付け等についてもいろいろ関心を持たれているわけでございますけれども、来年度の事業開始予定の再拡張に絡みまして、法案も、特措法というんですか、法案も出ている、予定されているわけでございますけれども、この再拡張工事、四本目の滑走路、再拡張工事目的と今後のスケジュールにつきまして、話せる範囲で結構でございますので、よろしくお願いいたします。
  24. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 羽田空港は現在、御案内のとおり二十八万回の航空機の発着が可能でございますけれども、新たな増便が困難な状況ということになってございます。このために、地方からの乗り入れの御要望や国際化を図るということが困難な状況にありまして、早急にその容量を拡大することが求められております。  羽田空港の再拡張事業、四本目の滑走路が完成すれば、羽田空港の発着容量を大幅に拡大をすることができるわけでございます。この再拡張事業によって航空ネットワークの充実、関連産業の立地、都市再生、観光振興、航空業界の活性化、こういうものなど様々な効果が期待されております。特に、経済効果としましては、全国で生産額の増加は約二兆円、雇用増は約十八万人というふうな試算もございます。  今後のスケジュールといたしましては、平成十六年度予算成立後、できるだけ早期入札契約手続に入りたいと考えておりまして、二〇〇九年中の羽田空港の再拡張ということを目指してまいりたいと考えております。
  25. 藤野公孝

    ○藤野公孝君 ただいま石川局長より大幅な、この事業によりまして大幅な容量の拡大が図られると、皆さんもそれを期待されておるわけでございますけれども、よろしければ、具体的にその発着回数がどのくらいこれによって増えていくのか、いろいろ管制とかいろんなあれがあると、制約はあると思うんですけれども、そのうちまた、国際定期便と申しましょうか、国際線に回せる、国内とのバランスで回せる容量がどのくらいなのかということが分かれば、教えていただきたいと思うんですが。
  26. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 先ほど申し上げましたように、現在の羽田空港の発着容量は約二十八万回でございますが、この再拡張事業によりましてこの二十八万回から約四十一万回に増強されることになりまして、発着回数は約十三万回の増、約一・四倍というふうに増加することとなるわけでございます。  このうちに、いわゆる国際定期便につきましては、将来のまず国内航空需要に対応した発着枠を確保した後の言わば余裕、発着余裕枠、おおむね私ども三万回程度と考えておりますが、これを活用して受入れを行うということになっております。
  27. 藤野公孝

    ○藤野公孝君 あくまでも余裕を活用するんだというふうな今お話ございましたけれども、しかし、かなりの、ある程度のまとまった余裕が出るということになりますと、いろんな国際航空関係者も注目し、期待をすると思うんでありますけれども、今想定される国際定期便の受入れに当たりまして、具体的にどのような路線といいましょうか、想定されておるんでありましょうか。
  28. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 再拡張後の国際定期便につきましては、近距離国際線を基本とするというのを現在基本的なものと考えておりますけれども、現時点では具体的なことは未定でございます。  今後検討していくことになりますけれども一つ考え方として、現在、羽田発着の国内線の最大距離は、実は羽田と石垣間でございまして、これが約千九百四十七キロでございます。この現在の羽田の国内線の最大距離というものが一つの目安になるのではないかと考えております。
  29. 藤野公孝

    ○藤野公孝君 今のお答えの中にもありますように、いろんな制約の中でこの羽田の国際化、国際便化、乗り入れが今後検討され、実施されていくことになると思うんですが、私は基本的に、羽田の国際便への有効活用ということに対して基本的に反対するものでも何でもございませんけれども、やはり成田空港、これが日本の表玄関としてきっちりやっぱり位置付けられた上で、その補完としていろいろ運用されていくという基本原則がはっきりいたしませんと、海外からの我が国の航空政策がどうなるんだ、動くのか、変わるのか、いろんな期待と混乱等招くような気がするわけでございます。あくまでも、いろいろ問題はあるとはいえ、成田をきっちり日本の空の表玄関として位置付けるというこの基本政策は私は堅持すべきであると、このように思うわけであります。  あわせて、今、成田の方の二千百八十で暫定的に供用されております滑走路につきましての、これの二千五百メートルといいましょうか、完全な形での供用化ということに、更なる努力を関係者含めてこれお願いしなきゃいかぬと思うんでありますけれども、その辺のことにつきまして、正に航空政策の根幹と私は思っておるわけでございますけれども大臣の御決意、御所見をお願いいたします。
  30. 石原伸晃

    ○国務大臣(石原伸晃君) ただいま藤野委員が成田空港を日本の空の表玄関と評されたわけでございますけれども、開港以来、成田空港の重要な役割というものは今後とも私も変わらないんだと思っております。  そんな中で、平成十四年に供用されました平行滑走路ですけれども、二千百八十メートルといったような暫定的なものでございまして、近来のこの大量輸送の主流となっておりますジャンボ機が着陸できないというような制約がございます。その一方で、年々増大する国際航空需要に対応する上でも、委員が御指摘のとおり、できるだけ早期に二千五百メートル化を実現できるように、今年、成田空港も株式会社として民営化いたしますので、会社とも協力してその実現に努力をしていきたいと考えております。
  31. 藤野公孝

    ○藤野公孝君 どうぞ、その基本方針をしっかり踏まえつつ、利用者利便の向上も踏まえまして、新たな展開もまた今後とも模索していっていただきたいと思っております。  次に、中部国際空港についてお尋ねいたします。  来年の三月に中部国際博覧会、これが開催され、その一か月前といいましょうか、それに呼応する形で中部新国際空港が開港いたします。私も昨年ちょっと現場を視察させていただきまして、橋なんかも随分もう立派にできているのでこれはまあ大丈夫だと思うんですが、物、ハードができても、いわゆるいろんなその運用上のソフトといいましょうか、通信、コンピューター関係とか、いろいろそういうことも今後あろうし、それから管制とかのいわゆるハンドリングとか、いろんな問題が今後あると思うんですけれども、この中部新国際空港の整備のこれまでの進捗状況につきましてお伺いいたしますとともに、来年そういうふうに移りましたときに、後の今の現名古屋空港、これがどうなるんだと。民間航空としてどういう活用、するかしないか、するとしたらどういう今お考えか。その二点について御質問いたします。
  32. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 中部国際空港でございますが、来年二月の開港を目指して現在整備が順調に進んでおります。今月の二十四日には滑走路と誘導路の施設の整備が終了いたします。今後、航空法に基づく完成検査を行うこととしております。旅客ターミナルビルにつきましても秋には完成するという予定でございます。  それから、開港後の国際線の就航の見通しについてちょっと御説明させていただきたいと思いますが、現在、名古屋空港に就航している週百九十二便の国際線、これは中部国際空港へ就航するということになる、が予定されております。これに加えまして、本邦の航空会社が発表した事業計画によれば、日本航空が中部—パリ路線、それから全日空が中部—上海・仁川路線、こういうものの開設を発表するなど週三十九便程度の増便がなされる予定でございます。  さらには、私どもとして、外国航空会社による中部国際空港への新規乗り入れあるいは増便というものを図るべく、現在、諸外国と国際航空交渉というものを精力的に進めているところでございます。  それから、空港アクセスにつきましては、この開港に間に合うように、鉄道については名古屋都心と空港を三十分以内で結ぶ中部国際空港連絡鉄道等を整備しております。道路につきましては、やはり同じように三十分台でアクセスできる知多横断道路、中部国際空港連絡道路などを整備しているところでございますし、海上ルートにつきましても、三重県から四十分程度でアクセスできるように、津松坂港における港湾整備等を行っているわけでございます。  さらに、この中部が開港した後、名古屋空港はどうなるのかという御質問でございますが、これにつきましては、中部国際空港が開港いたしますと、基本的には現在の名古屋空港の定期航空路線というものにつきましては中部国際空港へ集約、一元化するということになります。定期便一元化後の現名古屋空港につきましては、国の設置管理する第二種空港としては廃止をいたしまして、愛知県が設置管理主体となっていく、なって運営していく方向で関係機関と調整しているわけでございまして、この愛知県が運営する言わば県営飛行場というものにつきましては、小型飛行機あるいはコミューター航空などが利用する予定でございます。
  33. 藤野公孝

    ○藤野公孝君 どうもありがとうございます。  ますます航空というものがこれから日本の行政の中で、運輸交通行政の中でまた新たな重き、重いまた役割を持ってくると思われます。次に私が質問をいたします観光につきましても、航空と観光というのは大変密接な関連があるわけでございまして、その面からもますますの航空政策の充実をまた期待しておるものでございます。  それでは、時間の関係もありますので、次、観光についてお伺いいたします。  観光立国という言葉が今新聞、雑誌等、テレビ等でも盛んに報じられるようになり、ちまたでも、観光といっても、従来の何か観光バスに乗ってとか、お土産物をただ買う、おいしいものを食べる、そういう程度の観光というんじゃなくて、まちづくりとかいろんな国を活性化するとか、非常に関心も高くなってきておるわけでございますけれども。石原大臣国土交通大臣であられるとともに、初めてじゃないかと思いますが、この大臣の肩書に観光立国担当大臣というお役目が付いておるわけでございますが、大臣の観光立国大臣としての、先ほど韓国でもいろいろ、初便に乗って御活躍、向こうでされたという話を伺いましたが、この観光振興に対する抱負等につきましてお伺いいたします。
  34. 石原伸晃

    ○国務大臣(石原伸晃君) ただいま藤野委員は実は観光問題に関しましては私よりも大先輩で、運輸省時代にこの観光行政に対してらつ腕を振るわれたということは承知をしておりますが、経済にもあるいは雇用面にも大変幅広い影響がある分野だと思っております。  この前の週末に九州新幹線開業に合わせて、その後九州の観光地を見て回ってきたわけですけれども、湯布院、有名でございますので行ってきたんですけれども年間三百六十万人の方が訪ねる地域でございまして、大変すばらしいんですけれども、やはりそんな中にも日本の観光産業が抱える、何というんですか、雑多な景観とか貧弱なパーク・アンド・ライドのシステムとか、問題点も多々あることを見てまいりました。  そういうものを見たときに、やはり良好な景観形成とか、一地域一観光、大分でうまくいっていますが、最近はもう熊本の方の黒川温泉という方にも大変人気が出てきているように、こういうものを推進させていただきまして、政府一体となってこのビジット・ジャパン・キャンペーンで海外からのお客様も一千万人、二〇一〇年には来ていただく、こういうためにまだまだ国内の観光地も整備をしなけりゃいけないところがたくさんあるし、いろいろ問題もあるな、こんな実感を今持っております。
  35. 藤野公孝

    ○藤野公孝君 先般の九州でのいろいろ観光の御視察等もやはり観光大臣としての意気込みの表れだと思っております。  今、大臣の方からも二〇一〇年、一千万人、いわゆるテンミリオンでございますが、この訪日外客一千万人の達成ということで、今国を挙げて大臣を先頭に取り組んでおられると。ビジット・ジャパン・キャンペーンと、私も今日ちょっとここに付けてまいりましたけれども、バッジを付けてまいりましたけれども、この一千万人達成、今は五百万人強だと思いますけれども、これは言うはやすくして大変難しいと私は思っておるんです。  このままじゃとても行かないなと思っているんですが、逆に、じゃどうしたらいいんだと、今度逆の発想になりますと、アジアから相当たくさん来ていただかないととてもこの数字というのはもう及びも付かないと。じゃ、アジアってどういう国だろうと思うと、皆さんもそう思っておられると思いますけれども、やはりあの経済成長すばらしいお隣の中国、あるいは韓国、台湾等、やはりアジアを中心に大幅に増えていただかないと一千万人の達成は難しかろうと私は思っておるんですが。  今、中国について申しましたけれども、中国につきましては、私もかつて携わりましたけれども、ビザの問題がやはり何とかしなくちゃいけない、難しい問題ではあるけれども、これに解決していかなくちゃいけない問題だろうと思うわけですが、この中国人団体観光ビザの交付対象の拡大ということを中国側も強く求めているわけでございますけれども、これに対する基本的な姿勢について外務省と国土交通省にお伺いします。
  36. 鹿取克章

    政府参考人鹿取克章君) お答えいたします。  外務省としても外国人観光客の訪日促進、それから中国との人的交流の拡大等の観点から、この団体観光客の拡大に前向きに取り組んでまいりたいと考えております。  先般、三月十一日でございますが、総理より、関係省庁に対しまして、この中国団体観光客の対象地域の拡大について外務省が関係各省庁とも連携を図りつつ、中国政府と十分協議の上、早急に結論を出すという御指示を得ました。既に在中国大使館には指示を出しております。外務省としては、関係省庁と連携に、調整、協議しつつ、できるだけ早く中国との間の結論を出したいと考えております。
  37. 藤野公孝

    ○藤野公孝君 どうぞ、いろいろ困難な障害がありますけれども、治安の問題等の対応とかいろいろありますが、どうぞ頑張っていただきたいと、我々も応援したいと思いますが。  中国だけではなくて、韓国、香港とか台湾、いろいろ来ていただきたい、そういう国があるわけでございますけれども、何か具体的にその促進のための措置が講じられておるとすれば御報告いただけないでしょうか。
  38. 澤井英一

    政府参考人澤井英一君) 韓国、香港、台湾、いずれもビジット・ジャパン・キャンペーンの重点市場として位置付けておりまして、先ほど大臣からもお話がございましたように、韓国に大臣自らトップセールスに行っていただいたということ、あるいは各地域を通じまして様々なメディアを通じてPRをする、それからメディアの関係者あるいは旅行関係者を招請して商談会を開くというようなことを幅広くやっております。香港と連携して、クリスマス、旧正月に雪の多い地方への旅行の共同広告を実施しましたところ、七千六百人の香港の方々が申込みをこのキャンペーンの成果として行ったという事例もございます。  また、ビザの関係でいえば、今月の一月から韓国の修学旅行生に対するビザ免除、また翌四月一日からは香港の住民に対し、九十日以内の滞在の場合のビザの免除ということも予定されております。  これからも様々な取組をしてまいりたいと思っております。
  39. 藤野公孝

    ○藤野公孝君 先般、聞くところによりますと、総理と観光先進国と言われておるフランス等幾つかの大使等が集まられて懇親の場が、懇談の場が開かれたやに伺っておりまして、これは別の委員会でしたか、石原大臣からもちょっと御答弁があったわけで、その中の要望の一つに、どうも外人から見て日本の町、案内等が非常に分かりづらいというような御指摘もあったように聞きますけれども、来てください来てくださいと言っても非常に分かりづらいということでは、少しまだ今後の観光立国には問題あろうかと思うんですが、この辺も踏まえまして、今後の受入れ体制の整備についてもう一度御答弁をお願いいたします。
  40. 澤井英一

    政府参考人澤井英一君) 御指摘のように、外国語によるインフォメーションの充実とか、鉄道がなかなか分かりにくい、案内を充実してほしいというような御指摘その他何点かございました。  観光立国行動計画の中でも、外国の方が独り歩きできる環境整備ということを重要事項として位置付けておりまして、例えばこの四月一日からは東京の地下鉄でいわゆるナンバリングを始めます。乗り降りあるいは乗り継ぎがしやすいようにという意味であります。また、全国各地で、横浜とか仙台とかいろいろなところで案内標識の外国語表記のルール化、あるいはガイドライン作りというものも進んでおります。外国の方の意見を聞いて見やすい案内標識というような取組も進んでおります。また、外国人の方が来ても対応が可能な観光案内所というものも大事だと思いますので、人材の育成も含めて、そういったところの充実も図ってまいりたいと思っております。
  41. 藤野公孝

    ○藤野公孝君 もうこれで質問を終わりますけれども、観光立国というこれが掛け声倒れにならないように、今同僚議員からも値段は高いぞとかいろいろ伺いましたけれども、本当に対応しなきゃいかぬ問題がたくさんございます。ひとつ、大変でございましょうけれども、一生懸命取り組んでいただきたいということをお願いいたしまして、私の質問を終わります。
  42. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 民主党・新緑風会の佐藤雄平でございます。  今日は会派の佐藤雄平というよりは地方から出ている国会議員の一人として、あえて東京都出身の石原大臣に、地方のこれが声なんだということを含めながらひとつ質疑をさせていただきたいと。  小泉内閣が発足をしてちょうど今三年目、丸三年になります。昭和三十七年に全国総合開発計画、全総というのができました。それが基本的には国土政策の中心は均衡ある日本の発展という前提の中で今日まで来ているかなと、そんな思いをします。それが、小泉内閣になってから、ちょうど十三年のときに経済財政諮問会議で、私の記憶が正しければ、特色ある地方と都市の再生ということに日本の国土政策は変わったのかなと。そんなんで三年経過しております。  大臣東北新幹線に乗って東北に行ったことあると思いますけれども、私も今、毎週帰ってまた東京に来るわけでありますけれども、今、日本の一つの風物とでも申しますか、地方に行きますとまた農家の空き家が一軒増えたなと。これ新幹線に乗って東京に向かってくると、大宮から東京に向かうともう本当にビルが林のごとく林立している。この状況を見ながら、一体日本の国土政策というのはこれでいいんだろうかと。今、一年間東京は人口約十万人増えているはずです。この十年間で関東地方は百五十万人増えているんです。しかも、二十一世紀の最大の問題というのは出生率の問題ありますけれども、全国平均一・三四から東京は一・〇一。社会的要因の中で人口十万人ずつ増えている。  一方の考え方では、一極集中がもたらすもの、これは昨年私、有事立法で質問をさせてもらったとき、このまま行ったらば、膨大な都市になってしまえば、いざ有事のとき、敵国からすればもう攻めるのはうんと簡単だ。これは東京が、今産業も行政もそれから文化もすべて東京に集中している実態から見ると、これは危機管理はなってないなと。さらにまた、ヒートアイランド現象を起こしながら都市の集中豪雨をもたらします。  前国会でも都市河川の防災法、この三年間、私は国交委員会に所属をさせてもらって、昔と違って、本当に委員会の法案の三分の一以上が都市の防災、都市の安全、これは大事であろうと思いますけれども、それはあくまでも結果に対する一つの対症療法であって、私は国土政策を全体を見据えた、本当に人口の構成というのはこれでいいんだろうかと、そんな思いをするときありますし、また一方では一極集中を導きながら、また一方では今度過疎現象で集落、部落、この三年間で集落が二千なくなる。これが地方の今現況でありますから、二千なくなるというのは、ある意味では山を守る、ある意味では、これはもう極端な言い方かも分かりませんけれども、空気も水も守る者がいなくなってしまう。そのときの日本の国土政策って本当にこれでいいんだろうかと。  この件について、石原大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  43. 石原伸晃

    ○国務大臣(石原伸晃君) ただいま佐藤委員が御意見の中でお示しされましたように、昭和三十七年の全総で国土の均衡ある発展ということで、日本全国同じように開発、そして社会資本整備というものが行われてきたんだと思います。  しかし、これからはやはり個性ある地域発展、あるいは知恵と工夫によって、そして地方が競争することによって活性化していくということが政策的には重要なのではないか、こんなふうにも考えているわけでございます。地域の、各地域地域にニーズというものが違うわけですから、そのニーズを踏まえて、地域自らの活性化の取組というものを行政としても支援していく仕組みということが私は必要なんだと思っております。  十六年度の予算ではまた御審議をいただくことになると思いますけれども、市町村の自主性あるいは裁量性というものを最大限発揮していただけるような、従来とは違う枠組みでまちづくり交付金、こういう制度も作らせていただきました。これは一事業当たり十数億円等々、物によっては御支援をさせていただきますが、これまではああしろこうしろ、手取り足取り、国の行政というものが行ってきたものを、もう市町村の自由な発想、そして結果については評価をさせていただくというものに変えさせていただきまして、アイデアによる地域競争活性化して、各自の主体的な取組というものを支援させていただきたい。そしてまた、委員が冒頭御指摘されましたように、大都会だけへの一極集中でそこにだけスポットライトを浴びせるということではなくて、やはり地域の抱える、中山間地域が抱える問題についても行政の立場からしっかりと支援をしていくということも重要な視点であるということでは全く同意見でございます。
  44. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 大臣一つ国土政策の私はもう理念をお伺いしたいと思うんです。  ですから、今、日本の人口一億二千万人おります。この一億二千万人の人口のうち、三大都市圏で七千五百万人なんです。その残った人口が約八割の日本の地域におられる。三位一体で財政の問題いろいろあります。その三位一体の財政も、基本的には私は人口が、人がいなければ今の三位一体の、一兆円の削減から六千四百億を充当したと、さらにまた、それが住民税、それから所得税、事業税だと、そういうふうなことを行っていても、現実問題として五年後、十年後、またその過疎が助長していけば、その地域の中で財政難を来すことは当たり前の話になってくるんですよ。  ですから、私は将来的に見て、石原大臣が今の国土政策、結果的には私はこの三年間でどんどんどんどん東京に人が集まる要素を作ってきてしまったなと思っているんです。かつて、新幹線も高速道路も地方分散の前提の中で高速道路と新幹線が作られたはずなんです。それが、高速道路と新幹線というのは中央に集まるための手段になってしまっているんです。  ですから、私は東京、いわゆる都市の危機管理考えた場合には、将来的にはやっぱり地方分散、分散型の国土政策を作っていかなきゃいけないんじゃないだろうかと、そんな思いをしておりますが、いかがでございましょうか。
  45. 石原伸晃

    ○国務大臣(石原伸晃君) 委員の御指摘の点は大きな命題であると思うんですが、行政として都会に出てくる方々に対して、都会よりも地方がいいということはまた言えないんだと思うんです。やはり各地域競争することによって、魅力のある地域を作ることによって、そこに若い方も滞在、滞在というか生活圏を持つことができるようにするということが大切なのであって、これは地方を見ましても県庁所在地に一極集中するという、地方の中における一極集中という問題、これとも関係している。  そんな中で、先ほども申しましたけれども、各地域競争することによって魅力ある地域東京なんかでいいましても、小笠原なんかの人口は増えているんですね。若い方々が大都会の喧騒というものとは離れて自然の多いところで生活をしていく。あるいは、沖縄にも若い方が大変増えてきている。若い方々もこれまでのように単なる喧騒あふるる大都会をあこがれるということではなくて、その地域に魅力があれば人が増えていくという現状がありますので、そういうものに対する行政的な支援、こんな中でまちづくり交付金というものを先ほど例に出させていただきましたけれども、そういう形で、自由な発想に対して自由なお金を交付金として交付するという形で地方の活性化に役立てていきたい、こんな感想を持っております。
  46. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 今、石原大臣の今答弁を聞いていますと、それはやっぱりもう国交大臣も内閣総理大臣も要らないんですよ。国家としての役割というのは、やっぱり見据えた、それはもう、福島県から無理無理東京に来て住めと言っても無理ですよ。逆に、東京から無理無理福島県へ行って住めなんて、こんなの行政でできるはずないんです。できないからこそ、私はその緩和の中で、そんなの住むのは自由だと。しかしながら、自由な結果が大変なやっぱり危機を及ぼすというふうなことであれば、国としてサジェスチョンをしながら一つの、百年に立った大計の中で私は国土政策を進めていかなきゃいけないだろうと。  あの六本木ヒルズ、汐留、さらにはその先に東京駅にできた新しいビル、もう一日に数十万の人が物見遊山も含めてなんでしょうけれども来ている。これがいつの間にか若い者のいっときの魅力になって東京に集中するという大きなやっぱり原因になっている、理由になっていることも否めない事実であろうと、そんな思いをしますので。  私は、これ以上大臣には申し上げませんけれども、百年の大計に立ったやっぱり国土政策、これは都市と地方も共存できる、それは私はやっぱり人口のある意味ではバランスであろうと。人口のバランスというのは、人口のバランスを考えたやっぱり国土政策を進めてもらいたいなと、そんな思いをしております。  そういうふうな前提の中で、先日所信を聞かしていただきました。所信の中で、私どうしてもやっぱりこれ、今の話と前後することになるんですけれども成果主義の、「成果重視施策を進めるため、特に、公共事業については、無駄なものを作らず、」とあるんですね。そうすると、何か無駄なものを作らずというと、ここ地方出身の国会議員たくさんおりますけれども、地方の公共事業はいかにも無駄だと言われるような、その風潮が一時あったんです。  ただ、これは、私の出身のところに檜枝岐村という村があるんです。これは人口六百三十九人、日本で小さい、かなり小さい村でしょう。この村はどういうところかと申し上げますと、尾瀬、尾瀬の福島県の入口なんです。それで、先般、というかもう四、五年前になるんですけれども、村長さんが来て実は嘆いておりまして、関東からの尾瀬のハイカーが檜枝岐を通って尾瀬に行ったというんです。尾瀬にいっとき休んだときに、こういうふうな声が聞こえたと。こんな小さな村が何で舗装道路があるんだろう、こんな無駄なことはないなと、もうそんな話を聞いて全くがっかりしているんです。それで、ただその観光客からすれば、檜枝岐へ行って尾瀬に行くというのは、もう本当に田舎へ行って砂利道のところでも想定していたのかなと思うんですけれども、残念ながら檜枝岐村というのは六百三十九人ですけれども、もう本当にその三百五十二号線という道路一本しかない、それがもう命綱なわけです。  私は、そういうふうなことがいわゆる都市部の一つの風潮として地方の公共事業は全部悪の根源だと、ですから、に思われているんじゃないかなと。それは、先ほどのとまた繰り返すようになりますけれども、やっぱり公共事業のいわゆる成果主義というのは、どうしても人的な要素を考えているんじゃないかなと思うんです。人が一杯いれば効率が上がる、となってくると、一千二百万人の東京と二百万人の福島県では六倍の差が出るんです。ですから、東京のその効果が一とすれば福島県は〇・三、〇・三でもいい、それぐらいの私はことになってしまうんであろうと。  そんなことを考えると、私は、その成果主義の中での無駄なものを作らずって、これ書かれると非常に気になってしまうんですけれども、この所信の中での無駄なものというふうなのは、どういうふうな定義の中で、御所見の中で述べられておるのか。まあ、これは役人の人が作ったと思いますから、局長か何かの答弁で結構ですから。
  47. 澤井英一

    政府参考人澤井英一君) 公共事業の実施に当たりまして、選択と集中を基本として、無駄なものを作らずに、真に国民のためになる公共事業を実施するという意味であります。
  48. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 もう一回、もうちょっとゆっくり。今聞いていなかった、ごめんなさい。
  49. 澤井英一

    政府参考人澤井英一君) じゃ、もう一度最初から言います。  公共事業の実施に当たりまして、選択と集中という考え方を基本として、無駄なものを作らずに、真に国民のためになる公共事業を実施するということを基本スタンスとしておりまして、その前提として、透明性、公平性を確保しながら、例えば有料道路におきましては採算性ということがまずありますし、また費用対便益ということもあります。さらには、その費用対便益で計測できない外部効果、そういったことも事業評価という中で厳格に実施していくという必要があると考えております。  例えば、事業評価の結果、費用対便益が一を下回り、かつまた外部効果も低いというようなものは、先ほど言いました無駄なものという範疇に入ってくるのかなというようなことを考えております。  また、事業評価の結果、実施するというふうに決めた事業につきましても、コストの縮減に取り組むなど、不断の見直しを行うことにより効率性の向上に努めていくということが一方で必要だろうというような考え方を表明したものと理解しております。
  50. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 役人の人の答弁というのは、分からなく答弁するのが名答弁のような気がしてならないんですけれども、本当に分からないです。  費用対効果のその要素をちょっと教えていただけますか。どういうふうなファクターの中で費用対効果を測定しているのか。
  51. 澤井英一

    政府参考人澤井英一君) 事業によって当然効果の面は違いますけれども、道路に関して言えば、走行便益が高まる、あるいは交通事故が減少する、そういったことを一定の学識経験者にも御意見を聞いて一定の算式の下で数量化するということであります。  なお、関連して外部効果ということを申し上げましたけれども、これはなかなかそういう数量化は難しいけれども評価しなければいけない要素、例えば緊急医療のために、かなり時間が掛かる場所が多い中でそうした事業をやることによって時間が短縮できる、人の命についての支えが一つそこでできるとか、あるいはいろいろと議論になっておりますけれども、観光のためにかなり効果が高い、必ずしも数字的に反映できないけれども、そういったことも勘案する、そういったこともあると思っております。
  52. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 人的なものは入っていないんですかね。人的なものというのは、もう人が一杯、その分母、その効果として費用対効果の中には。
  53. 澤井英一

    政府参考人澤井英一君) 人口、定住人口だけでなくて交流人口を含めて、そういった方々が行き交うということは効果として出てくると思います。また、交通でいえば、走行便益が高まる。例えば、今までの渋滞が緩和されてよりスムースに行けることによってロスタイムが減るというような、そういう数量評価もBバイCの中ではやっていると理解しております。
  54. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 人の利便というふうなことの中でそういう費用対効果というのを相当考えられておると。これもやっぱり私は人口の密集、密度によっても費用対効果が変わってくるのかなと、そんな思いをしております。  次に、所信の中の環境問題に行かしていただきます。  二十一世紀の地球的な最大の問題は地球温暖化防止、これは論をまたないところであります。しかも、日本で京都議定書を作って二〇一二年までマイナス六%ということの約束をしているわけでありますけれども、昨今のマスコミ情報によると、マイナス六%の達成どころか、増えているという状況になっているみたいでございます。その中でもまた運輸部門が一七・七増えている。これは、国交省が記者会見の中で、どういうふうな産業別の仕分をしたのか分からないというような記者会見がありましたけれども、つけても、やっぱり運輸部門の中でのCO2の発生率は相当高いものだろうと。ですから、ある意味では、全産業の中で運輸部門が中心となって削減していかないと、この六%マイナスというのは実行にできないんじゃないかな、そんな思いをしております。  そういうふうな中で、今日までの国交省としての地球温暖化防止の対策、これはどういうふうな立案しながら達成度はどのような形になっておるのか、この件についてお伺いしたいと思います。
  55. 澤井英一

    政府参考人澤井英一君) ただいま先生お話しの数字は、恐らく産業部門でいろんな観点から、例えば物を製造する場合、あるいは物を運ぶ場合、あるいはオフィスビルを稼働させる場合、そういったものを合計した数字とお聞きいたしましたけれども、従来、地球温暖化防止大綱などでは、むしろ産業、物を作る段階、場面、それから物や人を運ぶもの、これは運輸と言っていまして、それから民生ということでオフィスビル、住宅でのエネルギーと、こんな分類もしていまして、その辺の分類の仕方によって数字が若干違うわけでありますが、そういった意味での、個人がマイカーで、自動車を運転する、あるいはトラックで物を運ぶ、そういった産業用あるいは民生用を含めた運輸というようなくくり方で見ますと、運輸部門からのCO2排出量は、一九九〇年、基準年以降、自家用自動車が大型化したというような影響もありまして、九八年度までは大幅に増加しております、大幅に。九〇年度比で二二%増であります。  しかし、九八年度からいわゆるトップランナー基準方式というのが導入されまして、自動車の低燃費基準化が誘導されております。また二〇〇一年度からは、いわゆる自動車税のグリーン化というものも始まっておりまして、そうした効果の反映と思いますけれども、二〇〇一年度は約二三%増、これは九〇年度に比べると大変高いんですが、九八年度二二%増と比べますとおおむね横ばいかなと。その間、交通量は増加しておりますので、原単位的にはむしろ下がっているかと思います。  ただ、別にこれでいいということを申し上げているわけでありませんで、依然として目標として今我々がセットしておりますのは、九〇年度比一七%増というのが今の大綱上の目標でございますので、それと比べても六%高い状態であります。  例えばということで、自動車について先ほどトップランナー等々申し上げましたけれども交通機関別に見てみますと、鉄道とかバスとかタクシー、航空機、船舶といった公共交通機関について見ますと、二〇〇一年度の排出量は九〇年度比で約一〇%でございます。貨物自動車では約一%でございます。一方で、自家用自動車では約五〇%増というのが現状でございます。  ただ、今一番新しい数字が取れる二〇〇一年度統計を基に暫定的に、先ほど言いましたトップランナー等の対策の効果を数量的に計算してみますと、自家用自動車、さっき五〇%増えていると言いましたけれども、燃費改善の強化によりまして、何も対策を講じなかったときに比べますとCO2排出量にして三百七十万トンの削減ということができているんだろうと。したがって、そういう対策を講じなければもっと、三百七十万トン増えているというようなことの計算も今しております。  そういったことを踏まえながら、いろんな対策を講じておりまして、現在、その対策効果をより詳細に把握すべくいろんな分析もしていますし、それを踏まえて現在、講じている対策の効果を検証して、一層その充実を図らにゃいかぬというようなことで省内でもいろんな今議論をしているところでございます。
  56. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 国交省の努力は十分分かりますけれども、現実問題として増えちゃっているわけですよね。現実問題として増えちゃっているというと、もう二〇一〇年になって、結果的には六%マイナスが二〇%プラスになったと。大変なことになってしまうんで、いずれやっぱり産業と環境というのはどこかで峻別しなきゃいけないと思うんですけれども、私、これも地球温暖化防止質疑をするときに一番の問題になったのが、努力目標にしてペナルティーは付けないというふうなことで、環境庁も法案を作ってしまったことが、これが一つの大きな理由になるのかなと思う。だけれども、ペナルティーを付けると、また産業政策が進んでいかないと失業の問題、経済の問題になってしまう。  だけれども、やっぱり私は、やっぱり将来の二十一世紀を本当に考えて、今南極でも北極でも氷が解けて、それからヒマラヤでは湖が五つも六つもできている現況を考えたときに、やっぱり源の部門というか、要するに出している方からすると、やっぱり相当もうぎりぎり、ペナルティーのぎりぎりまでぐらいのCO2の削減というのは考えなきゃいけない時代になってきているんだろうと、そんな思いをするんで、具体的にはやっぱり今年が見直しの年なそうですけれども、やっぱりある意味では産業別ぐらいに一つのアクションプログラムというか目標値をきちっと立てて、それが実行できなければ、もう本当に、相当厳しい状況を作るんだぞと、いわゆるペナルティーまでいかない、罰則までいかないけれども、そういうふうな強い方針でいかないと、私はこれは達成できないと思うんです。  これは、単に国交省だけじゃなくて通産省とかいろいろ役所あると思いますけれども、ただ、やっぱり一七%増やしちゃっているというふうなことについてやっぱり相当の、担当の役所としては私は責任を感じてもらいたいなと思いますけれども、その点についての局長の所見をお伺いしたいと思います。
  57. 澤井英一

    政府参考人澤井英一君) 先ほどもトップランナー方式あるいはグリーン税制というようなことを申し上げましたけれども、例えば道路そのものにつきましてもETCの利用の促進ですとか、あるいは渋滞の原因になる路上工事の縮減などの交通流対策も進めてきております。また、トラック輸送から海運などに物流を転換するいわゆるモーダルシフトですとか、また人の動きにつきましてもできるだけ公共交通機関を利用促進を図っていくとか、いろんなことを進めています。特に、運輸部門で言いますと、アイドリングストップなどを地道に重ねていくことが大変これ大事なわけでありまして、そういったことを含む環境経営に積極的な運輸事業者を評価するグリーン経営認証制度というようなことも始めております。  ある意味では非常にすそ野の広い取組をしていかなければいけない。これ一つで大きく削減できるということは余りありませんので、そういった幅広い施策を今取らなければいけないと思っている中で、これから施策のこれまでの効果をきちんと検証して、先ほども言いましたように、一七%増というのは二〇〇八年から二〇一二年までの目標でございます、今立てている目標でございます。現状が二三%増だと。それがありますので、これから六%全体で減らさにゃいかぬという非常に重い目標でございますけれども、いまひとつ、今進めている効果を検証し、これは、必ずしも役に立っていないということじゃなくて、むしろ一定の効果を上げているという見方もできますので、その上で何が必要かと。これは、単に産業部門だけでやるというよりは、いろんなグリーン購入のような横のつながりも活用し、また一種国民運動のようなことも広げ、いろんなことを考えなければいけないと思いますし、その中で、先生が仰せのようなより強めの施策というものも必要かどうかということも含めて、環境省始めいろんな役所といろんな議論をこれからしていきたいと思っております。
  58. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 国交省の所管の交通体系の中では、やっぱり一番自動車がCO2を出しているということでございますよね。  そうなってくると、私、以前もちょっと質問をさせてもらったと思うんですけれども、輸送、運送と、これうんと物流というのは大事なことだ。その中で、物流が頻繁に重なっていけば、それと同時にCO2が出てしまうというふうなことになってしまうので、私は、その交通体系そのもの、いわゆるCO2を比較的出さない交通体系を作るというのも一つの案じゃないかなと思うんです。  そういうふうな中で、日本の交通体系そのものを将来的に、それぞれ地球の負荷等も、またCO2のことも考えたときに、変えるその気持ちというか施策みたいなのを考えているかどうか。
  59. 澤井英一

    政府参考人澤井英一君) 交通体系を短時間のうちに大転換するということは難しいと思うんですけれども、先ほど申し上げた中で申し上げれば、物流については陸上輸送をできるだけ海運に転換していくと。これはモーダルシフトと言っておりますけれども、そんなことも一つの目標なり念頭に置きまして、今国会でも内航海運の活性化に関連する法案も提出を申し上げているところであります。  また、人の流れにつきましても、自動車だけでなく、むしろ乗車効率の高い公共交通機関にできるだけシフトしていただくというようなこともしなければいけないだろうということで、それにつきましても様々な施策を講じております。  そうしたことによって、だんだん、その交通モード別のウエートが環境負荷の全体として小さいものにだんだんだんだん変わっていくということは、私どもとして是非目指さなければいけない方向だと思っております。
  60. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 局長ね、あれですかね、人の移動は別として、貨物の輸送、物流の中で、鉄道と自動車とそれから船舶、これのシェアなんか分かったら教えてもらいたい。おおよそで結構です。
  61. 澤井英一

    政府参考人澤井英一君) 今、たまたま手元にその絶対量としてのシェアは持ち合わせていないんですが、原単位的なことを申し上げますと、物流で言いますと、貨物一トン、一キロ運ぶときにCO2がどのぐらい出るかという数字をたまたま今持っております。これは、船舶ですと十グラムCO2トンキロというオーダー、鉄道ですとそれよりもう少し少ない一けた、営業用トラックですと三十ないし四十ということで、環境への負荷はトラックよりも船舶の方が相当低いということが言えると思います。
  62. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 そうじゃなくて、物流、運んでいる中で、要するに鉄道は全体物流の何%、それで自動車は全体物流の何%、これ分からないですかね。
  63. 澤井英一

    政府参考人澤井英一君) 冒頭申し上げましたけれども、申し訳ございません、その数字を今手元に持っておりませんので。
  64. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 いずれ交通体系をも含んだ施策考えていただくような時代が来るかなと、そんな思いをしております。  次に、先ほども観光立国の話がありました。一千四百万人外国行って、五百万人が日本に来ていると。この数字については、国交省としては、将来、この五百万人からどれぐらい努力をすれば見込めると、そんな思いをしている、その御所見をお伺いしたいと思う。
  65. 澤井英一

    政府参考人澤井英一君) まず、二〇一〇年に一千万、倍増するということを正に現実的な目標として努力をしていかなければいけないということをまず申し上げたいことと、それから、どのぐらいの見通しを持っているかということは必ずしも今明確な数字申し上げられませんけれども平成十四年と十五年を比べてみますと、かなりいろんなことをやることによって効果は出るということを我々ある意味では実感しております。  それは、平成十四年というのは、日本に来る外国の方が、これまで史上初めて五百万人を突破した年でありまして、その原因はいわゆるワールドカップであります。その翌年で、しかもビジット・キャンペーンを始める、ビジット・ジャパン・キャンペーンを始める年ということで平成十五年というのがあって、大変関係者力を入れてこの年を迎えたわけでありますが、御承知のような年の前半のSARSなどの影響で、例えば五月、六月ごろは史上最高を誇った平成十四年の三割減ぐらいまでの対前年同月で行きました。  これはどうなることかと思いつつもビジット・ジャパン・キャンペーンを開始して、あちこちでいろいろな取組をしまして、もちろん、その成果だけということを申し上げるつもりはありませんけれども、暦年を締めてみますとほとんど昨年と同じと、史上最高だった昨年と同じ。で、これがまた年が変わって一月になってもそういうテンポを維持しております。  したがって、国、地方を挙げて、また公共セクター、民間セクター挙げて、また外国の協力も得ていろんなことを取り組んでいく。また、国内でも、地域の魅力をいろいろと磨き上げていくという努力というのは、ある意味では五年ぐらいたたぬと効果は出ないかなと思っていたところ、やはり効果が出るものは割と早く出る部分もあるなということも実感しながら、現在頑張っておるということで御理解を賜りたいと思います。
  66. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 ワールドカップのついでの観光もいいんでしょうけれども、やっぱり日本が世界に冠たる観光は何だと、この一つのやっぱりコンセプトというのはうんと大事であろうと思うんですね。ですから、そういうふうな中で、今後私は国交省の観光が、観光立国になるためには、世界には日本の、何だろうね、その風景なのか、それから文化なのか、それからまた歴史なのか、こういうふうなのの中で、どういうふうな作り方をしながら世界にまず日本の観光を売っていくのか。さらにまた、先ほども藤野さんからありましたけれども、観光、日本に誘客をする観光の対象の国というのはどの辺を目指していくのか。これはもう世界全部だといえばそれまでですけれども、やっぱり先ほどの航空運賃とか、さらにまた日本の旅館、ホテルのその宿賃とか、そんないろんなこと絡んでくると思うんですけれども、この二件について御所見をお伺いしたい。
  67. 澤井英一

    政府参考人澤井英一君) 日本全体について魅力を余り一般化して言うべきでないと一方でも思いながら、日本全体について私どもが自覚していることを幾つか申し上げますと、一つには京都、奈良に代表される歴史的文化遺産のような伝統的なものと、それから極めて現代的なもの、しかも世界でも水準の最も高いレベルにある現代的なものが共存しているということですとか、あるいはたくみの技に象徴される物づくり、すなわち産業的な活力と文化的な薫り、例えば陶器とか織物、そういった産業の元気と文化の薫りが共存していると、そういうものも多い。それから、よく言われますけれども、豊かな自然とか美しい景観、これは電線の問題とか広告の問題とかいろいろありますので、直さにゃいかぬところもありますけれども、総じて自然に触れる場面では景観も美しいと。それから、また一方で治安もいいというようなことが世界各国と比べても言えるんだろうというふうに考えております。  そういったことを踏まえて、どのようにこれから外国にそういうPRをしていくか、どういうところからお客さんを来てもらえるように力を入れてやるかということにつきましては、まずビジット・ジャパン・キャンペーンでは重点市場というものを決めておりまして、PR効果の高いところに絞ってやっております。韓国、台湾、米国、香港、中国と、順不同でありますけれども、今はその五か国、来年度については少し広げたいと思っております。  一方で、日本国内につきましても、ある特定の地域をどんどん売っていくというよりは、それぞれの地域が一地域一観光という中で今ある魅力をもっともっと磨き上げて、各地域競争して、その競争して高まった魅力を、一方でまた来る人もいろんな選好、ニーズ、好みがありますので、好みに応じてPRをして効果的に誘客をしていくというのが基本戦略でございます。  よく例に出しますけれども、香港とか台湾の方はやはり雪というものに大変魅力をお感じになるということが分かっておりまして、北海道では雪を売るということで台湾に重点的にPRをしておりまして、例えば平成八年には北海道を訪れた台湾の方は一万人未満でありましたけれども、そういったPRの成果で十四年には十三万人というふうに増えたという成果も報告されております。  こうしたことで、こちらの魅力と相手の選好というものをうまく組み合わせて効果的にキャンペーンを展開していきたいというふうなことを考えております。
  68. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 外国から見た日本というのは本当にどういうところに魅力があるのかと、今、局長の話を聞いていると、まあ作れば幾らでもあるというふうな感じなんですけれども。一言で言うとどうだろうね、「たそがれ清兵衛」じゃないのかな、そんな印象ちょっとあるんじゃないのかな。そうすると、やっぱり歴史なのかなと思いますしね。そんなこともある意味では外国から見た場合の一つの日本の象徴かも分かりませんので、そんなことも含めて私はやっぱり歴史であろう、日本の文化であろうと。そんなことを一つ入れて進めていただければなと思っております。  これまた先ほどと繰り返す部分が出てきますけれども、都市の再生についてお伺いします。  今度の大臣の所信の中の都市の再生というのは、ある意味で私は第二弾の都市の再生かなと。第一弾の都市の再生というのはやっぱり東京を中心とした大型開発であったろうと、そうも思います。そういうふうなことをおしなべて、私まず冒頭、日本の都市の再生というのはどういうふうな都市を目指しているのか。要するに、一言で言うと、経済的な要素の中でいわゆる景気・経済対策としての都市の再生なのか、それとも本当に住環境を含めたいわゆる都市を目指していくのか。一言で言うと、アメリカでいくのかヨーロッパでいくのかなと。国交省の都市政策の基本、これを教えていただきたいと思います。
  69. 石原伸晃

    ○国務大臣(石原伸晃君) 東京に限ってみましても、一律に経済性を優先するあるいは居住型を模索するというふうに私は取り組んでいるんじゃないと思うんです。私も六本木ヒルズ等見てきましたけれども、六本木ヒルズにも八百戸の住宅があり、二千人の方が暮らし、外からビジネスの方が一万数千人入ってきて、商業施設に一日当たり十万人ぐらいの方が入ってくる、そういう例です。あるいは汐留なんかを見ましても、やはり六千人の方が暮らし、千八百戸の住宅がある。ですから、そこに商業施設が入っているということを考えますと、経済再生的な要素はありますけれども、そこに合わせて居住空間を持つことによって新しい都市のありようを今模索している。そういうものが東京で見ますと、いろんなところで見えてきた。  また、大阪の方に行きましても、梅田のあの貨物跡地を利用して今大きな再開発が行われておりますし、福岡の天神地区もやはり同じように居住用なものもあっている。  私思うんですけれども、いずれにいたしましても、都市再生というものはやはり各地域地域の、これも観光と同じなんですけれども、固有なものがありニーズがあり、そこで暮らす人たち、そこで経済活動を営む人たち知恵と工夫によってこの再生というものがなされているのがこれまででありますし、そういうものを行政として地域の取組として様々なツールを使って支援している、そんなふうに理解しております。
  70. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 大臣、要するに今の大臣の答弁を聞いておりますと、経済的なファクターもそれから居住性もと。  やっぱり私は、その結果、東京を中心とした大都市部で全国の犯罪の三〇%なんですよ。子供たちも一番やっぱり荒廃率が多いんですね。やっぱり教育を考えた場合、産業政策と居住性なんて一緒にというのはこれは不可能だと思いますよ。だから、これもどっちに比重を置くのか。要するに、経済主義に比重を、中心を置けば、おのずと地域社会が崩壊しながら子供たちが荒廃していく。だとすれば、もっと明確にやっぱり産業都市とそれから居住都市というのを明確にしちゃった方がこれからの都市政策では正しいんじゃないかなと思うんですよ。  それはまたずっとつながった話になっていくと、もう地方に人を送ってくれという話になってくるんですけれども、その辺はどういうふうにお考えです。産業、いわゆる経済的なことを考えた都市政策とそれから居住を考えているもの、一緒に同居できると思います。
  71. 石原伸晃

    ○国務大臣(石原伸晃君) ただいまの佐藤委員指摘は、やっぱり時間的変化をとらえての御指摘だと思うんです。大都会で見てもやはり商業地域と住居地域というのは分離していた。まだ東京にもあります。丸の内は再開発が行われておりますけれども、居住はありません。そういうものを模索していた時代はあったと思うんです。  しかし、大都会どこも見ましても、これはニューヨークを見ましてもロンドンなんかを見てもパリを見ても同じだと思うんですけれども、郊外から内側の中、すなわち都心居住というものがここ十数年のトレンドになってきて、それに合った再開発というものが行われている。  これは、先ほど六本木ヒルズと汐留を例に出しましたけれども、それだけに限らず、都営の南青山のアパートの再開発のところも四十数階の賃貸物件があり、都営住宅があり、老人ホームがあり、グループホームがあり、保育園があるといったような、各地域で人がいて商業をともにやっていくというものが、ちょっと都心部を離れた郊外部に出ましても今のこの流れでありますし、そういうものを支援していく形で都市再生というものが今いろんなところでなされている。  これは地方都市に行きまして、いわゆる駅前商店街が駄目になってしまう、あるいは大型店舗が出ていってしまう、その大型店舗の後を今度はマンションに替えていく。あるいは、これまでのシステムでいきますと、シャッターが閉まった商店街で老人の方が集う囲碁の場所をその商店を借りてやりたいと言っても、そういうことが助成措置がなくてうまくいかなかった。しかし、今度のまちづくり助成金ではそういうこともできるようにいたしますし、今、ですから、やはり空いて人がいなくなってしまった商業地域に人が住むことによって再生していくという方向が主流になりつつあるんだと思います。
  72. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 私は、都市政策の中でやっぱり一極集中をどうしても進めるような都市政策は、やっぱり弊害を考えた中でそれぞれ将来的にいろんな禍根を残すことになってしまうんだろうと、そんな思いをしております。  今、大臣から、今度のこの所信は私は第二弾の都市政策、都市の再生かなと思うんです。これはもう地方の都市の再生、稚内から石垣と書いてあります。これは、ただ、今までの東京、大阪、名古屋みたいな都市政策とはこれは全く私は違うと思うんです。  ここで最もやっぱり注意しなきゃいけないのは、地方の都市といっても私は都市というふうな感覚じゃない、地方の町だと思うんです、二万人、三万人ですから、人口。その中心市街地が例えば駅前に来てしまうと、今までのいわゆる市街地がもう正に簡素化してシャッター通りになってしまう可能性があります。  結果的には、その補助金の中で作っても、いわゆる事業主からすれば、その需要も増えない中で駅前に作った後、残るのはこれは私はもう借金しか残らなくなっちゃうのかなと、そんな思いをしますので、これを進めるときは、相当やっぱり地元との話の中でまた国交省政府としても将来の経済的な要素、それから、これまた重なるようですけれども、やっぱり人口が増えるかどうかなんというようなことも十分考えた中での地方の都市の再生をしてもらいたいと、そんな思いをしております。  この件について、何かお考えがあれば答弁願います。
  73. 竹歳誠

    政府参考人竹歳誠君) お答えいたします。  地方の都市の再生といっても、このパイの奪い合いの中でうまくいかないんではないかというような御懸念の点がございました。  先ほどから御指摘ございますように、一極集中の大きな流れの中で、政府としては高速道路の整備とかいろいろな努力しておりますけれども、なかなか大きな流れに歯止めが掛からないという状況です。  ただ、様々なまちづくりを見ていきますと、地方でいろいろな芽が出てきているということです。先ほど先生が地方都市というよりは町だというふうにおっしゃいましたけれども、正にそういう意味でまちづくりの交付金という名前を付けまして、地方のそれぞれの地域の努力というのを支援してまいりたいと、このように考えているわけでございます。
  74. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 時間かな。もう時間も迫っておりますけれども、特にやっぱり大臣に口酸っぱく言うようでありますけれども国土政策の中でやっぱり今のその人口的なものを考えながらそれぞれ国土政策を進めてもらうことも希望しながら、質疑を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  75. 輿石東

    委員長輿石東君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。    午前十一時五十一分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会
  76. 輿石東

    委員長輿石東君) ただいまから国土交通委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、国土整備交通政策推進等に関する調査を議題とし、国土交通行政基本施策に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  77. 田名部匡省

    田名部匡省君 民主党の新人であります田名部匡省であります。  最初に、空港の整備についてちょっと確認をしておきたいと思うんですが、関西空港は、これ分かったらでいいんですが、通告していませんので、当初の需要予測に比べてどうなっているか、分かったらちょっと、分かりますか。
  78. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 関西空港につきましては、現在のところ、国際線の動向は、済みません、関西空港につきましては……
  79. 田名部匡省

    田名部匡省君 いいか悪いかぐらいでいい。
  80. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) いや、済みません。  関西空港につきましては、現在のところ、国際線はほぼ前年度並みに戻ってきております。ただ、国内線が少し戻りが悪いという現状でございます。
  81. 田名部匡省

    田名部匡省君 これは、扇大臣のときにも質問したんですけれども、今度神戸空港造るんでしょう。これ三つあそこには、この間視察に行ってきまして、本当に大丈夫かなと。今二本目の滑走路を工事やっておりまして、しかも二本目の滑走路の漁業補償どうしたと言ったら、やりましたと。どのぐらいやったかと言ったら、前一回目と同じですと、五百億なんですよ。漁業補償一千億払っているんですね。あれは私が運輸委員長で視察に行ったんですよ、委員全部で。そのときに、まだしゅんせつやっているときで、ヘリコプターで上空から見て帰ってきたんですけれどもね。それは大阪伊丹空港がうるさいからもう移せというのであれをやったんですが、できたら大阪の国会議員が皆反対して、とうとう残っちゃったんです。残ったばっかりか、今度はすぐそばの神戸空港造るというのだが、これ、三つあって、大臣、どうですか、これうまくいきますかね。
  82. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 関西圏の航空需要に関しましては、一昨年の交通政策審議会航空分科会というところの答申で、二〇一二年度までの間に着実な伸びが予想されるということでございまして、今後の伸びゆく需要を関空、伊丹、神戸という三つの空港で分担して受け持つことが必要ということになってございます。  各空港について見ますと、関空につきましては、乗り継ぎ利便を確保した国際、国内の基幹空港として、関西圏や西日本を中心とする国際航空需要と関西圏の国内航空需要に対応する役割を果たしているということで、現在でも年間の発着回数が十万回を超えております。伊丹空港は、現在の年間の発着回数が十万回を超える国内の基幹空港としての役割を果たしておりまして、ただ、騒音の抑制という課題があるわけでございます。神戸空港につきましては、現在建設中でございますけれども、神戸市及びその周辺の国内航空需要に対応する地方空港として年間二万回の発着回数が想定されております。  私どもとしては、この三つの空港はそれぞれ今申し上げたような基本的役割を担っているところでございまして、これらに即した機能分担と連携ということを図っていくことが必要であると考えております。
  83. 田名部匡省

    田名部匡省君 先日、静岡空港も視察してきましたが。大臣、空港も造る、高速道路も造る、今度は第二東名も造っていましたがね。国道もある、新幹線も通る、今度はリニアモーターもやると。まあ基本というのは僕は大事だと思うんですが、少子化、高齢化の時代がどんどんどんどん進んでいって、こんなに造っていいのかなという気がします。国道も通っていれば、県道も通っていれば、あの空港、まだ未買収の用地があって、随分反対の人たちも多いですね。あれ、未買収のところは強制収用を掛けるんですか。
  84. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 静岡空港につきましては、事業採択後十年を経過してございますので、本年度、事業の再評価ということを実施しております。まず、その静岡県が再評価を行いまして、昨年八月に静岡県の知事より国土交通大臣に対して、事業を継続するとの対応方針の送付というのが県からございました。これを受けまして国土交通省としては、補助金交付にかかわる対応方針を今年春の十六年度予算の箇所付けまでに決定することとしております。  現在、省内の検討委員会でおいてその検討を進めているところでございまして、私どもとしては事業を客観的に評価をしてまいりたいと、こういうふうに考えております。
  85. 田名部匡省

    田名部匡省君 これ、強制収用を掛けるのかという質問したんですけれども。  実は私の、三沢空港も新幹線ができてから大分便数を減らして、やめた空港、航空会社あるのかな、ですから、両方に乗るというわけにいきませんから。そういうことを考えて、やっぱり無駄なものは作らないと、公共事業については、大臣言っていますよね。政策評価を徹底してということなんですが。  私は、何やってもいいけれども、失敗したらだれが責任取るかというのは明確にしておいてもらわぬと、関係ないこの赤字をもう青森県の人たちも一緒になって負担しているなんてばかなことをやっていますからね。あの本四架橋だってそうですよ。僕は青森県に帰って、見たことあるのと、渡ったことあるのと言うと、千人ぐらいやると五人ぐらい手を挙げるわ。見なくても、渡ったことなくても、赤字はみんなの税金でこれ補助金出しているんですから、そういうのが余りに多過ぎる、この国は。  ですから、僕は、さっきから言っているように、基本というものをしっかりやらなきゃならない。外交でも防衛でも教育でも、あっち行ったりこっち行ったりするようなことをやっているからみんな迷惑するんで、この交通政策だってきちっとした基本というのを持ってやってくださいよ。  ところで、無駄なものは作らないということは、無駄なのあったということなので、どういうのが無駄だったんですか、今まで。
  86. 石原伸晃

    ○国務大臣(石原伸晃君) 私は、個人的な考え方でありますけれども、本四架橋は三本は要らなかったんじゃないかと思っております。アクアラインにしても、値段を下げておりますけれども、まだまだ当初予定した需要に追い付いていない。  やはり、先ほど航空局長が答弁をさせていただきましたように、客観的な評価を行って、費用対便益、BバイCが公共事業の場合は必ず一を上回ることを最低条件として、それ以下のものは外部効果、すなわち社会的にどうしても必要なもの以外は作らない、このぐらいの気持ちを持ってこれからの公共事業に当たっていく必要があるのではないかと考えております。
  87. 田名部匡省

    田名部匡省君 具体的にここがというのがあれば本当は分かりやすいんですけれども、そういう反省の上に立って物を進めていっていただきたいと思うんですが。  道路公団のことについてちょっとお伺いしたいんですが、これは日本で最初にスタートしたのは首都高でしたよね。田中角栄先生が、償還終わったら無料にすると、こう言って造ったはずなんですよ。私はそれを知っているけれども。それがどうも、あのときは税金に頼らずに借入金と料金収入でやるんだと、こういうことで期待を持たしてやったんです。  償還終わってただになるかと思ったら、ただにならぬと、これ。その料金のあれで次々と造っていったでしょう。ところが、いつただにするのか。政治家の約束がこう簡単にほごにされたんじゃ、国民見ていて、私はこれ言ったときに、安倍晋太郎会長が、田名部君、そんなこと言うなって、ただにしたら大混雑して大変だよと言われたことがありますけれども。いろいろあるでしょうけれども、いずれにしても、この約束が守られないという高速道路であったことは、私は今もってそう思っているんです。  また、そこで小泉総理は、構造改革の大きな柱はこれは郵政民営化だったんですね、最初。私が農林大臣二期目のときに郵政大臣で来て、もう郵政民営化、民営化と言って、あれからもう十年もたつんだけれども、まだ一向に前へ進んでいないが、そのうちにもう道路公団からいろんなものに手を広げて、余り間口を広げ過ぎてどうにもうまくいってないという気がするんですけれども。  そこで、今度は道路公団民営化がまあようやく、ごたごたいろいろあって、難産の末にようやく法案が提出されたと。どうも昨日も説明聞いたんですけれども、これで本当に、これが民営化で市場が評価するんだろうかと思って聞いておりました。これはなぜかというと、四十兆円のこの借金は四十五年で返済すると。さっき言ったように、少子化・高齢化時代に、今でもあの大学の先生たちが国のバランスシートをやったら一千三百兆円あるんでしょう、いろんなのを子細に計算してみると。一体本当にこれ、日本の経済の将来の見通し、特に株式は三分の一が国が保有すると、あるいは役員と事業計画はもう大臣の認可が必要だと。  いろんなことを聞くと、こんな民営化というのはあるのかなと思って僕はおるんですけれども、これ、民営化だと思いますか、大臣
  88. 石原伸晃

    ○国務大臣(石原伸晃君) 民営化、特殊会社でスタートをいたしますので認可というものが必要でございますけれども、十年後の見直しにおいては、政府の株式保有三分の一を予定しておりますけれども、それも含めて見直すなど、大胆な案にさせていただいているつもりでございます。  さらに、今回の民営化の最大の焦点は、委員が御指摘されましたように、四十兆円に上る債務を確実に返済する枠組みを作っていく。そして、国民の皆様方が真に必要な道路を国民の皆様方の負担を最小限に抑える形で造っていく。さらに、民営化の、民間の経営ノウハウ、こういうものを活用することによりまして、利用者である国民皆さん方が利便性を向上する、あるいは弾力的な運賃等々で、飛行機会社でもう既に行われているようなマイレージ運賃、あるいは夜間割引、通勤割引、こういうもので、ああ、値段が下がるということを実感していただくということと、委員が先ほど田中角栄元総理のお話をされましたように、これまでの公団方式は、私、やはり大きな弊害があったことは委員の御指摘のとおりだと思います。  私もたしか、初めて高速道路なるものができて、名神高速だったと思いますけれども、乗りに行きまして、ああ、百キロで車が走るというのはすごいなと実感しまして、これが三十年後にはただになると、そういう話を聞いた覚えがございますが、現にただになっていない。これは、すなわち公団方式の中での償還主義の名の下に、新しいものを造れば造るほど償還期間が延びていった。こういうものに対しても四十五年で返し終わるということを法律で初めて明記をさせていただきましたし、さらに債務の合計額が四十兆円を上回らない、四十数兆円でございますけれども、今の債務を民営化時の債務を上回らない、これも趣旨説明ではっきり書かせていただくなど、これまで公団が抱えていた問題の弊害除去の歯止めというものをいろんなところに入れさせていただいたところでございます。  もう少し詳しくお話があれでございましたら、今日は政府参考人として道路局長も来ておりますので、道路局長からなお詳しく御答弁をさせていただければと存じます。
  89. 田名部匡省

    田名部匡省君 石原大臣事業を経験したことがありますか、経営を。
  90. 石原伸晃

    ○国務大臣(石原伸晃君) 私はジャーナリズムの経験しかございません。
  91. 田名部匡省

    田名部匡省君 民間が金融機関から借り入れる場合、私は八年やりましたから、担保も必要ですけれども、この経営状態がどうなっているか、返済のめどがあるか、それからこの経営者の経営規律といいますか、そういうものはどうだかということで融資してくれるんですよ。私は八年間何やったかというと、毎月の支払ですよ。どこから幾ら入ってきてどこへ幾ら払うかと、こればっかりやりましたから。ですから、よく分かるんですけれども。  四公団を見る限り、民間経営者から見てそのことが全く感じられないんですね。もう政府保証といったら何にも心配ないですよ。そういう苦労のないところにうまくいくはずがないと私は思う。苦労して、そういう資金繰りから何から一生懸命になったら真剣になりますよ、社長だって。駄目になったら政府が保証してくれるんだなんて、そんな甘い考えで経営やるということは、私はこれはもう無理じゃないかなと。四十年先に返すんだったら、ここに生きているのは一人もいないんですから、もう。それじゃ無責任な話。住宅金融公庫を呼んだら、六十年で七十二兆円かの借金返すんだという。ひ孫の話しているんですよ、ここで。  そういう、聞いておって、しかも四十兆の返済が最優先のはずだったが、何か借金返すよりも造る方に一生懸命になったという感じがするんですけれども、どうですか、これ。
  92. 石原伸晃

    ○国務大臣(石原伸晃君) 四十兆円の債務を四十五年で返すということを初めて法律に明記をさせていただきますし、この債務が延びていかないように歯止めも掛けさせていただきます。  そして、前段で委員が御指摘されました政府保証でございますが、私も委員と同じように、初めて真っ更の状態で会社を起こすんであるならば委員の言うとおりだと思いますけれども、あくまでも道路公団という形でここまでの道路を造ってきたわけでございます。そして、私は、委員の御指摘、重要な経営者としてのポイントでございますので、いつまでも、あるいは出す債券全部を政府保証するなんということはあってはならないし、経営安定化したら、あるいは経営安定化する前にも、既に民営化したときに、その債券を市中で消却することができるようになれば政府保証は必要でない。当面の間、経営が安定するまで限定的に政府保証というものは付けていくべきものだと私も考えております。
  93. 田名部匡省

    田名部匡省君 私は、いろんな石油公団でも、私は石油公団総裁、二回ここへ、行政監視委員会へ呼んで、とうとうあれ、合併させちゃったですけれども、ばかみたいな経営やっているんですから。どれ見ても、今までの特殊法人もうまくいったと言って威張れるものはないでしょう。だから、私は言うんです。本当にこれ、最後にどうにもならなくなって、あと三十年もたって国民に、負担して始末しなきゃならないなんということになったら、まあ私はそれまで生きていないからいいけれども。そういう今までのことを見ておって、どれか一つもうまくいったのあるんなら、それは私も賛成しますけれども一つもうまくいったのないでしょう、特殊法人だって何だって。それに、こういう仕組みで本当にやれるのかなと。これは多くの経営者だったらみんな思いますよ、こういうふうに。私なら、今の、取りあえずはいっても、それは将来無理だなという感じが受けるからそのことを申し上げておるんです。  また、政府保証の問題ですけれども、保証なしで資金調達がなぜできなかったのかと。今後の資金調達はどのぐらいになっていくか分かりませんけれども政府保証しないとやっぱり絶対やれないという道路公団だったんですか。
  94. 石原伸晃

    ○国務大臣(石原伸晃君) 現在は機関債として出しているもの、あるいは政府保証を付けているもの、公団はございます。そして、これからの民営会社でございますけれども委員の先ほど来の御指摘のとおり、市中でいわゆるキャッシュフローを担保にお金を借りることになると思います。あとはサービスエリア、パーキングエリアの土地というものがあると思うんですけれども、それでどこまでその会社資金を調達できるかということは今は様々な意見がございます。そんな中で、会社が安定的に事業を運営できるようになるまで政府保証を付けるというときは、国鉄の分割・民営化のJRは五年でございました、こういうものも一つの参考になるのではないかと考えております。
  95. 田名部匡省

    田名部匡省君 全体が分からぬで私は言っているんでね。例えば、二〇〇二年末の政府保証債務というのはほかにもあるんでしょうから、恐らく、一体どのぐらいのものになっているのか。だれか分かりますか、これ。国全体で保証している、別の分野でもですよね、その残高というのはどのぐらいになっているのか。まあこれだけでないんで、これは無理かな、今聞いてもね。六十兆までいかないけれども、そのぐらいあるというのを聞いていますけれどもね。  いずれにしても、さっき言ったこの少子高齢化時代に一体どうするかということを念頭に置きながら、子供や孫の時代に責任持つ政治やってくださいよ。私は、成田空港もこれ政府保証付いているんですか。
  96. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 済みません。ちょっと今手元に資料がございませんので、後ほど御説明させていただきたいと思います。
  97. 田名部匡省

    田名部匡省君 これ以上議論してもなかなか、私も思い付きで質問したりするものですから、まあいいですよ。  次に、さっきも話がありました地方と中央のこの問題、私はいつもおかしいなと思ってきたのは、たしか、もう何十年、二十年も前ですかな、おたくの国会議員で天野光晴先生が、一極集中排除だというんで建設部会で随分議論になってみんな賛成したんですよ、これ以上東京に人が集めるのはけしからぬと。そのときに、その後ですよ、大深度地下に道路を造ろうという話が中村喜四郎君から、与謝野馨と私が郵政、通信部会長かな、それで三人であれやったことあるんですけれども、事故起きたら一体どうなるかという、地下百メートルで。逃げるといったって逃げるところもないしというんで、最後私は反対して、あれつぶれた経緯があるんですね。  事ほどさように、そのとき天野先生が、余り東京を便利にするなと、こう言って怒られたんですよ。それが、もう結果的に見ると、地方の方はどんどんどんどん東京に、昔は出稼ぎに来ました、青森辺りから。もう歌にもあるでしょう、吉幾三の。物すごいこの集団就職だとか、中学生だとかからも建設業に来るということを最近余り聞いたことないんですよ。ないけれども、その青森県地方、多くの県がそうでしょうけれども、働く場所がないんですよ。  建設業界の話になりますけれども、農閑期に建設業に来て働いて両方から収入を得て農業をやる人たちがいるんですね。大規模でない人たちはどうしてもそうです。そういうところへ今もってきて、公共事業がどんどん減らされる。交付金が、この間、私は町村長のところをずっと今回っていますけれども、むしろ旗立てて反対して歩いて、予算組めないと言って参っちゃっているんですよ。地方ほど公共事業に依存しているところはないんですね。恐らく皆さんの同じような条件のところはそうだろうと思うんですけれども。そういうところへ今度公共事業がなくなってきた。これ、どうするんだろうと思って見ているんですけれども建設業界をどうするとお考えになっているか、ひとつ考えがあったら言ってください。
  98. 澤井英一

    政府参考人澤井英一君) 午前中も御議論ございましたけれども、御指摘のとおり、現在建設業で支えます建設投資、公共と民間合わせましてピーク時の三分の二というレベルに落ちております。この関係で、全産業に占める建設業の倒産件数も全体の約三分の一に上がるなど、全体として建設業界、過剰供給構造の中で大変厳しい経営状況に直面していると考えております。  しかしながら、今後とも建設業国民の暮らしあるいは経済を支えていく重要な産業だと考えておりまして、この建設業が創造力と活力を有する産業として再び再生するということを私どもも目指していくことが極めて大事だと思っております。そのためには、今後の成長が期待できる分野あるいは戦略投資分野を強化すること、またコストダウンや品質等による競争力の強化を進めること、経営基盤の強化に向けて経営組織の再編や企業連携を進めていくことが必要であると考えております。  こうした考え方の下で、国土交通省では、技術力があり、また経営に優れた企業が今後生き残り、更に意欲を持って取組が進められるように、まず一つには、五十五万業者の中のいろんな企業がございますけれども、不良・不適格業者の排除を徹底するということがまず大事だと思います。また一方で、大手あるいは準大手のゼネコンにつきましては、市場における淘汰の徹底を図りながら、企業間の連携等による経営基盤強化に向けた取組を促すことが大事だと思います。  また、中小・中堅建設業につきましては、コスト管理の徹底、あるいは最近かなりの動きが出てきておりますけれども、資機材の購入あるいは設計、そういったものの共同化できる事務の共同化、さらに、先ほど農業と建設業を兼業している労働者の方が多い、今でも多いと思っております、そういう方々を含めて農業などに進出する建設業もこれは今出てきておりますが、そういったことを含めて、新分野に進出していくというなどの経営革新に関する施策を現在進めているところでございます。
  99. 田名部匡省

    田名部匡省君 コスト削減も、道路公団の方もコスト削減をしてと、こういうことを言っていますけれども、じゃ今までは高いのをやらせていたのかということになっちゃうんでね。  それと、いま一つは、私は無駄な公共事業というのは、どんなのが無駄かというのは私も、必要だからやるのであって、無駄というのはなかなか難しいなと思うけれども、しかし強いて言えば、急ぐものと少し先にやってもいいものとぐらいのことはあるのかなと。  かつて私は、山崎拓さんが建設大臣で私が農林大臣のときですよ。初めて局長、あなたの方の、私と局長、全部食事したことがあるんですね。そのとき僕は言ったんですよ。もうちょっと考えて、例えば環境とかいろんなことを考えると、ダムもいいけれども、例えば電線を地下に入れたらどうかというんで、当時吹田代議士と近藤代議士と私と三人ね、ワシントンへ行って、ローマ、あっちこっち見て歩いた、電線地下埋設。あんたたちのあの青山の共同溝というのは夜行ってクレーンで上げなきゃ入れないというから、それを見せてもらって、新橋のキャブを見てね、行ってきたんですよ。電線がないというのは環境が物すごくいいんだね。もうイタリー行ったらひどかった、穴掘ってそのまま電線埋めて土戻しておったから、あんなのもあるんだなと思って見てきましたが。  いずれにしても、そのとき僕が言ったのは、例えばさっきから観光の問題出ていますわな。青森はねぶた祭りというのがあるんですよ。それから、私のところには三社大祭というのがある、もうこれは大きな祭りだ。ところが、電線が邪魔なもんだから一本一本上げながら通っていくんだよ。だから、それがあったから僕は、ああいうのこそ、よく飽きずに何十年もやっているから、電線を地下に入れたらどうか。そのこと気になって、この間も八戸航空自衛隊のところ通ったら、あそこは滑走路の間の分が電線がないんですよ。地下へ入っちゃっているから。それとその先比べたらもう全然環境が違う。あの電柱が邪魔にならぬしね。  そういうアイデアを出してやってあれば、これは地方の業者だったらちょうどいい仕事でもあるし、だから創意と工夫の中で今何をやるかということを考えてやってもらわぬとならぬなと、こう思うんですけれども、どうですか、これ。
  100. 澤井英一

    政府参考人澤井英一君) ただいま電線の地中化を含めていろいろ今後やるべきことということでお話あったと思います。  お話の電線の地中化も大変重要な仕事だと思いますし、またそれを含めて町なり国全体をきれいにしていくということも大変重要な施策考えて、私ども省を挙げて取り組んでいるところであります。  今国会に提出いたしております景観に関する三法案もその趣旨でございます。景観といいますと、なかなか主観的なものが入って評価の難しいところもあるわけでありますが、先生仰せのとおり、電線なんかやはりだれが見ても景観上良くないというものだと。同じようなものとして、乱雑な屋外広告物というようなものもあると思います。だれが見ても十人のうち十人がない方がいいと思うようなものもありますし、一方で、これはだれが見てもきちんと保存しなきゃいけないなといういいものもあると思います。その間の中間領域が一番難しいと思うんですけれども、そういった辺り、水ですとか緑ですとか、そういったものをできるだけ都市の中に配置することによりまして全体として良くしていくと。  そういう新しい、ある意味では今まで余り重点置かれなかった、これから非常に重点的にやらにゃいかぬという仕事というのはほかにも幾つもあると思いますので、そういったものにもしっかり取り組んでいかなければいけないと思っております。
  101. 田名部匡省

    田名部匡省君 先ほど来建設コストを下げるというお話がありましたけれども、要するに談合問題というのは、これはなかなか背景がいろいろありまして、一番問題はやっぱり天下りの問題ですよ。私はだからこの委員会でも言ったけれども、役人ばっかり悪い悪いと言いながら、六十五歳まで定年延長してあげなさいと。行き先がないんですから、どこへ行くかと。関係ないところ行っていませんよ。  まあこれ以上は言いません。私が言ったら、あんたこれはおかしなことになっちゃうから言わないが、結局行くところがどこかということは、もう限られちゃうんですからね。それで、行ったところは強くなるし。ですから、いずれにしても、どうやったらやれるかというこの仕組みを検討してくださいや。  例えば一億の工事で、一億以上は失格でしょう。下はまあ五〇%でも、もう今ははたき合い多いですから。あんなにやっちゃったら本当に、ちょっとの間もっても、それは長くもちませんよ、苦しい人ほど安く取っちゃうんですから、資金繰りのために。余計深みに入っていっちゃうんです。ですから、上も失格なら、まあどの辺が適正か分かりませんけれども、そこから下へ行ったのも失格だと、こういうことをしてやらないとね。だって、あなたたちが一億という積算するでしょう、役所で。半分で取られたら、五千万でできるやつを一億で設計したかということになっちゃうですよ。そうなりませんか。  だから、そういうことをいろいろ考えると、やっぱり適正なところで収まる仕組み、これをね、教えなきゃいいんですよ。そうすると、いろいろ積算してぴしっとそこへ入った人が落札できるとか、まあこれがいいかどうか分かりませんけれどもね。やっぱり生かし続けていこうとしたら、何か考えなきゃならぬと思う。何かいいアイデア、これはいいというのがあったら、だれでも結構ですから、答えてください。
  102. 安富正文

    政府参考人安富正文君) 具体的ないいアイデアというのはこれから我々としてもいろいろ検討していきたいと思いますが、少なくとも先生おっしゃるように、安かろう悪かろうではいけないということはもう我々自身も十分感じております。  そういう意味で、具体的に今取り組んでおりますのは、例えば最低価格入札制度みたいな形で、ある限度以下になりますとやはり問題があるということで、そこはもう一回チェックするとか、あるいはそれぞれの、単に価格だけではなくて、先ほど午前中にも申し上げましたけれども技術力とかあるいはいろんなアイデアとか、そういうものも総合的に評価して入札する方式であるとか、そういう幾つかのいろんな組合せをしながら、本当に良いものを安く、本当の意味でのコスト削減ということでできるように我々としてもいろいろ知恵を絞っていきたいというふうに考えております。
  103. 田名部匡省

    田名部匡省君 ちょっとさっき質問忘れたんですけれども、今度の高速道路の中で国も一部出す、何かそんな仕組みがあるんですか。要するに、公団が国の保証を受けて借りるんでなくて、国も負担するという。
  104. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 昨年の通常国会で御審議いただきましてお通しいただきましたが、これからの高速自動車国道の整備の在り方につきまして、新しい直轄方式ということで国と地方が税で負担し合って高速自動車国道を造ると、こういう方式をお決めいただいたところであります。  具体的には、新しく建設する場合に国が三、地方が一、三対一ということで建設費を負担し合って、地方の場合にはここに後進地域の財政状況に応じた特例というかさ上げ措置がございますので、平均的には二五%が大体一五%ぐらいになろうかと思いますが、したがいまして、それだけの負担は地方にもお願いして、そして高速自動車国道の整備をする。  これ具体的には、この十六年の四月一日以降で整備計画が既に出ておりまして、残って、供用していない、未供用という部分がおおむね二千キロございます。整備計画が出ている中で未供用、おおむね二千キロございます。このうち、昨年の十二月二十五日の国幹会議でこのうちの六百九十九キロ、約七百キロをこの新しい直轄方式ということで従来の公団による有料道路方式から切り替えていただいたということでございます。約七百キロでございます。  事業ベースで申し上げますと、大体二兆五千億円ぐらいになろうかと、総額がですね、思いますが、これを国と地方で税で負担し合って、そして税で負担し合って造らせていただく、こういうものでありますので、基本的には無料の道路として完成すれば供用させていただく、こういう方式を取らせていただくということになったところでございます。
  105. 田名部匡省

    田名部匡省君 国が保証してみたり地元も出してみたりいろんなのあるから、これは我々はここで聞くから分かるけれども、新聞見た人は何がどうなっているか、これ分からぬと思うんですね。それほど複雑な会社にしちゃったから、じゃ会社じゃないんじゃないかといって言っているのはそこなんですよ。  それから、どこへ行っても道路は要らないというところはないですよ。私のところだって、東北は奥羽山脈を向こうとこっちに分かれて県がある。青森県に来るとどういうわけかあれ一つになっちゃってね、あっちとこっちに高速道路があってここはないんですから、それでもう騒ぐんですよ、みんな。  それで、まあやるということになっているけれども、僕は、高速道路というのかどうか分からぬけれども地域の実情に応じて、例えば四車線でなくていいですよ、二車線で追越し区域造ってくれれば。雪の降るところと降らないところはまた違いますよ。そういう地域の実情というのを考えて造ってくれないと、雪の降るところにやっぱり除雪するだけのスペースがなきゃならないし。それから、あんな高いところ走って歩かなくていいところもあるし。  僕はいつも思うんですけれども、あの三十、五十という車間距離の看板見て走っているけれども、あれ見て守って走っているのは一台もないですから、そういう無駄はやめると。今だって、皆さん、どうですかね、高速道路走って、電話掛けているの見たことある。僕は一回もないがね。  ですから、もっと、この間も視察に行ったときにはうちの庭より立派な木が一杯植えてあるんだよ。いろいろ、もう道路なんだからもう少し安く上がるようにして、そういうものを造るところはどんどんどんどん早くやってやるということだって、高くなくてもいいですよね。ヨーロッパやアメリカへ行ったらそうですよ。三車線で、ラッシュのときは二車線向こう、今度はこっちがラッシュのときはランプをこっちへ移してやるとか、料金所だってお金入れればぽっと開いて行けるところもあるでしょう。  だから、あらゆることをやっぱり考えて最終的には国民に負担を求めない、この努力が大事だと思うんですが、どうですか。私の発想じゃ皆さんと合わないかな。どうですか。
  106. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 誠に先生のおっしゃるとおりだと思います。そういう意味では、この四月一日以降で、高速自動車国道で整備計画が出ております二千キロの中で、これがトータル従来は二十兆円掛かると、こう積算して考えて見積もっておりました。二十兆円、二千キロでですね。これを当面、第二東名なんかは六車線とこういうことでありましたけれども、四車線の構造にしていくとかというようなことを含めて、その二割カット、四兆円をカットして約十六兆円にしようというのを昨年の国幹会議でお諮り申し上げたところであります。  さらに、更なるコストの縮減を図ろうということで、先生指摘のように、高い盛土で走ったり、あるいはインターチェンジの構造なんかも、トランペットとか私ども申しておりますが、くるくる巻いたような構造であるとかということを、間に合うところは全部見直して、そしてダイヤモンドというような軽易な構造にしていこうというようなことも含めて更なるコストの縮減を図ることとしております。  これが今申し上げました二十兆円を十六兆円にコストカットし、なおかつ更に二兆五千億ほどのコストの縮減を、有料道路事業としてのコストの縮減を図っていこうと、さらに三兆円は先ほど申し上げました直轄方式でという形にいたしまして、トータル、公団と会社で行う有料道路事業としては十・五兆円、二十兆円の約半分近くにする、こういうことを昨年お取り決めいただいたところでございます。  その線に沿って努力してまいりたいと思いますが、もう一つ申し上げますと、いろんな工夫は確かにせにゃいかぬということでありまして、一つ申し上げますと、間伐材を使わなきゃいけないといいますか、例えばガードレールにしてもできるだけ間伐材を使おうということで、私も実はうちの中でそういう検討をしました。それで、みんなに使えと言ったら高いと、普通のメタルのガードレールに比べて、ガードフェンスなんかに比べて高いと、こう言うんですね。なぜかといいますと、間伐材とはいえ形を良く整えて加工して、そして防腐剤を入れて、防腐剤処理をして、それに今度ニスかなんか塗ってしばらく腐らないようにする、こういう加工をするとメタルのガードフェンスなんかより高くなるというんですね、間伐材が。そこで、ここは、こういうのは発想の転換もせにゃいかぬと。要は、間伐材ですから三年に一度ぐらい取り替えさせていただけばよろしいんで、そうだとすると、腐る前に取り替え、取り替えると。こういうような形で工夫するというところがいろいろあるだろうと。  そしてなおかつ、先生お話しのように、ローカルルールという面で言えば、それぞれ今度は普通の一般の県道なり国道の議論でもありますが、片側が一車線ずつで必ず擦れ違わなきゃいけないということでなくても、山の中の大急ぎで使わなきゃいけない道路については、例えば待避所を十分設計して、そして一・五車線と言っておりますが、完全に擦れ違いがいつもできるような構造でなくても当面今よりはるかに便利になる、そういう工夫をしていこうと、こういうことで努力しているところであります。
  107. 田名部匡省

    田名部匡省君 高速道路で事故の問題もこれまた大変なんですね。やっぱり事故死者は減っているけれども、逆に重度の障害者が今度は増えているんですよ、死なない代わりに。これがまた増加するということは、これは命は助かっても後の介護の問題が大変な問題になってきているんですが、これはみんな家族にのし掛かってくるんですね。こういう問題も併せてどうするかと。  特殊法人の自動車事故対策センターが行っていた被害者救済のいろんなのありますけれども、これを、独立行政法人化しているけれども、何かもう少し知恵を出してこの対策に取り組んでいただきたいなという気がするんです。もう毎日ですから、交通事故。どうでしょう、これ急な質問で。
  108. 澤井英一

    政府参考人澤井英一君) 先生仰せのとおり、交通事故の死傷者は平成十五年についていいますと七千七百人ということで、昭和三十二年以来四十六年ぶりに八千人を下回りましたけれども、事故の件数それから負傷者の数は増加しておりまして、道路交通安全の確保というのはこれからますます、また国民一人一人の方々の意識も含めて取り組んでいかなければならない重要な課題だと思っております。  国土交通省といたしましても、内閣府、警察庁、文部科学省等の関係省庁との緊密な連携の下に、ソフト面とハード面と両面にわたります総合的な対策について引き続き取り組んでまいりたいと考えております。  事故が起きてからの対応も大変大事でございますけれども、予防という面で一、二例を申し上げますと、歩行者に車両が衝突した際に歩行者の頭、頭部が受ける衝撃を緩和するための車体に関する基準の導入など、車両の安全基準の拡充強化ということを最近やっております。また、ITを活用して、前方の障害物を検知して自動的に車にブレーキを掛けるなどの先進的な安全自動車の開発普及というようなこと、総じて車両の安全対策の強化を図っておりますし、また重大事故などを起こした自動車運送事業者に対する監督の実施、さらにはペナルティーの的確な執行というようなことも取り組んでおります。また同時に、当然でありますけれども、道路の交通安全対策ということで道路交通環境の整備につきましても一生懸命推進していきたいと思っております。
  109. 田名部匡省

    田名部匡省君 時間ですから終わりますけれども、密集地の地域対策、地震ですね、これはお願いしておきますけれども、要望だけで。  家を建てる人は、どれだけこの家が地震にもつかどうか、これ分からぬわけですよ。ですから、やっぱりある程度地震、こういう地震にはこの程度のものをやらないと地震来たらつぶれますよという、何か教えてくれないと、家建てて入る人は、地震がどのぐらい来たらもつかどうか、そんなもの分かって建てていませんから。特に地震の多い地帯には、この程度はきちっとやっておかないと駄目ですよというやっぱり基準を作って、その基準で家を建ててもらうということをやらないと、建てる人は分かりませんからね。その辺も併せて研究をしていただきたい。  以上で終わります。ありがとうございました。
  110. 森本晃司

    ○森本晃司君 公明党の森本でございます。  今日は、観光立国についてまず最初にお伺いをさせていただきたいと、このように思うところでございます。  二十一世紀のやはりリーディング産業といえば、何といっても私は観光産業ではないかと思っておりますし、同時に、二十一世紀に世界は大交流時代に入ります。既に今日まで、小泉総理が観光立国を唱えて、そして千六百万人を超える人が海外へ行き、五百万人が日本へやってきて、三・六兆の赤字であると。何とかこの差を埋め、日本に五百万人から一千万人の外国のお客さんも迎えていかなければならないと、こういうことを既に打ち出しているところでございます。  その意を受けまして、我が党にも観光立国推進プロジェクトチームを作りまして、私はその座長の任に当たりました。昨年の七月に総理に、我が党の二十の提言を掲げまして申入れをさせていただきました。  その二十の提言のイの一番は、外国には観光担当大臣があるけれども、日本の国に観光担当大臣がない。あるいは外国に、二番目には、観光局があるけれども、日本では観光部だと、局にすべきだと。こういったこと二十項目を掲げさせていただき、また我が党のマニフェストにもこういった点を書きました。  早速その意を受けていただきまして、昨年の九月、石原国土交通大臣が任命になると同時に、初代の観光大臣として御就任になりました。私は、石原大臣のその初代観光担当大臣としての働きに大いに期待をしているところでございます。  ビジット・ジャパンということで、大臣も一生懸命取り組んでいただいております。二月にビジット・ジャパン・キャンペーンのビデオができたということで、私も見せていただきました。小泉総理が英語で語っている。そして何と、石原大臣は中国語で呼び掛けていらっしゃると。おお、すごいなと、大臣も一生懸命観光に取り組んでいる。元々中国語をお話しになったかも分かりませんけれども、中国語で呼び掛けておられる姿に私は大変その熱意も感じましたし、これからしっかりとまた取り組んでいただけることかと思っておりますが、初代観光担当大臣の決意を聞かせていただければと思います。
  111. 石原伸晃

    ○国務大臣(石原伸晃君) ただいま森本先生から、なぜ私が観光大臣を拝命したのかという理由が、よく分からせていただきまして、リーダーシップによって観光というものを日本のリーディング産業にしていこうという御党の考え方に小泉総理も共鳴されて、今回のことに至っているということは、私も改めて胸に刻ませていただきたいと思っております。  そこで、今、委員が御紹介いただきましたように、下手な中国語ですけれども、訪日キャンペーンをやりまして、次はちょっとハングルでやろうと思って今特訓をしている最中でございます。やはり、アジアの方々にいかに来ていただくかということが今回のビジット・ジャパン・キャンペーンの成否を握るかぎだと思っております。  そんなことで、外務省の方にもお願いを申し上げておりますし、三月からは韓国からの修学旅行生のビザというものも免除していただきましたし、四月一日からは香港からも免除していただきます。残るは中国ということで、これも総理、官房長官の方から外務省の方にも指示を出していただいておりますし、間もなく解禁されるんじゃないかと期待をしているところでございますが、やはり外国から来た方にとりまして、日本が親切じゃないと。住んでいる人は親切なんですけれども、観光地をめぐるにしても親切じゃないと。  交差点の掲示板を見れば分かりますように、日本語しか書いてございませんし、四月一日からは地下鉄にやっとナンバリングしますが、やはり地方都市ではもうハングルとか中国語の掲示板が増えております。各観光地でやっぱりアジアの方々に対する手当てというものを十分にしていかなければならないということを念頭に置いて、これからもトップセラー、セールスマンのつもりで各地に乗り込んで、日本の良さを喧伝し、また行政として、お金を使わないで変えることがあればすぐにでも変えて、この観光立国の推進ということに努力をさせていただきたいと思っております。
  112. 森本晃司

    ○森本晃司君 大臣の心強い決意を伺いました。外国人に優しい日本を作らなければなりませんし、同時に、何も観光といえば京都、奈良のそういった神社仏閣だけではない。むしろ私は、なんじの足下を掘れ、そこに泉ありと。もう一度自分たちのふるさとを、良きものを見いだすところから観光があるんだということで、私も随分、座長になってから日本国じゅうで観光セミナーを開催させていただき、いろんな御意見も聞かせてきていただいたところでございます。  そこで、今、大臣の答弁の中にもございましたけれども大臣が中国語でビデオで呼び掛けていただいたのは、やはり中国からの訪日が極めて大事だと、一千万人のウエートはやはり中国にあるんだという思いからも、そうして大臣が中国語で呼び掛けていただいたということが今、更に分かったわけでございますが、この中国からの団体観光旅行者数の地域別来訪者数、これはいかがになっておりますか。
  113. 金澤悟

    政府参考人金澤悟君) お答え申し上げます。  ただいま委員指摘ございましたように、中国人の海外旅行者数が今後我が国の訪日旅行者数の増加にとりまして極めて大切なマーケットだと私ども認識しております。  訪日観光旅行者数の推移につきましては、二〇〇〇年の九月に初めて団体観光旅行を開始いたしましたが、それ以来、二〇〇一年には一万六千七百五十八名、二〇〇二年には三万三千四百八十五名、そして昨年でございますが、昨年二〇〇三年は、前半にイラク戦争、SARSといった特殊な事情もございましたために大幅な低迷を年度当初いたしました。しかしその後、八月以降、対前年増加に転じまして、通年では三万一千百十三名と、前年の七%の減少程度まで盛り返したという状況でございます。  その地域別の内訳につきましては、北京市が二一%、上海市が一三%、そして広東省、これが六五%ということになっております。
  114. 森本晃司

    ○森本晃司君 中国の団体観光ビザ発給対象者の地域については、北京、上海、広東省で、三年間、三地域限定で推移してきておりますが、昨年三月の予算委員会地域拡大を私の方から要望をいたしました。そして、昨年七月に、中国政府からもビザ発給対象地域の拡大について要望があったと、そのように伺っております。  その具体的地域名と今後の具体的な拡大時期について、新聞報道がありましたけれども、外務省の見解はどのようなものか。あわせて、拡大された場合、今後の団体観光旅行者数の見通しはどのようになっているのか。また、ビザ発給対象地域の拡大に伴って、ビザ発給箇所の拡大も必要と思いますが、いかがですか。外務省にお答えいただきたいと思います。
  115. 鹿取克章

    政府参考人鹿取克章君) お答え申し上げます。  外務省といたしましても、中国国民訪日団体観光の拡大に前向きに取り組んでまいりたいと考えております。  今、先生から御指摘のありました対象地域、現在、北京、上海、広東省でございますが、この地域拡大については、今、先生から御指摘がありましたように、中国側からもいろいろな希望が出ております。先般、三月十一日でございますが、総理より関係省庁に対して、中国団体観光旅行の査証発給対象地域の拡大について、外務省が関係各省庁との連携を取りつつ、中国政府と十分協議の上、早急に結論を出すようにと、こういう御指示がありました。既に私ども、在北京の大使館に指示を出しております。外務省といたしましては、関係省庁と緊密に連携いたしまして、できるだけ早く中国側との調整を行いたいと考えております。  対象地域については、先生御案内のとおり、今、浙江省、江蘇省であるとか山東省、遼寧省あるいは天津等が中国の希望として表明されております。我々としては、これから中国側とこの点について話を進めますので、今の段階でどういう地域が拡大されるかは今後の話合いをまたなくてはならないと考えております。  いずれ対象地域が拡大した場合に、今、先生からお話がありましたように、査証を発給する公館、今、北京、上海、それから広州で査証を発給しております。この地域の、この査証を発給する公館を拡大するということも我々としては考えなくてはならないと思っておりますが、それは具体的に対象地域が決まった段階で早急に体制を整えると、こういうことを考えております。  また、今後の中国からの観光客の流れでございますけれども、やはり対象地域が拡大すれば、最近の、先ほど金澤部長からも話がございましたように、中国から日本への希望者というのは増えておりますので、やはり対象地域が広がれば相当中国からの観光客は増えていくものと考えております。
  116. 森本晃司

    ○森本晃司君 私も日本をよく旅をするので実感するわけでございますけれども、やはり最近は圧倒的に中国の皆さん、それから台湾からの方々たちも非常に多いわけでございます。  いずれにしましても、一千万という目標を達成しようと思えば、やはり中国のマーケットがあるわけでございますから、しかも同じ漢字文化の国ですから、外国からやってきてもその点は非常になじみやすいところもある。そういったところへ大いにやっぱり道を開いていかなければ、ビザ発給の箇所も増やしていかなければ、不便であるとやはりなかなか人は来にくいというところでございますから、今御答弁いただきましたけれども、それを、総理の意も受けて更に進めていっていただきたいと思っております。  次に、お隣の国の韓国、今、大臣もまたハングル語でそのビジット・ジャパンの勉強を、語る、呼び掛けの勉強をされていると伺いましたけれども、私、以前からもこの委員会で、扇大臣のときも執拗なぐらいまでに日韓シャトル便のことについていろいろと御質問をし、きちんと、シャトルというんだからシャトルらしくやれという話を申し上げてまいりました。そして、昨年の羽田—金浦間の一日四便のシャトル便が実現いたしまして、速くて便利だと、もう多くの人からその声を聞いております。成田にまで出掛けていってそれから行くというよりも、今よくぞこのシャトル便が開いたなということでございます。いろいろとペリメーター規制、様々な問題がありましたけれども、当時の航空局長も一生懸命いろんなことを語って、この委員会でも語っておられまして、時にはちょっと過ぎた発言があったこともございましたけれども、私は、航空局が非常によく努力していただいたことだと、そのことを評価しております。  運航開始から三か月たちました。このチャーター便の利用状況と今後の見通しについてお伺いいたします。
  117. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 羽田—金浦間の国際旅客チャーター便でございますけれども、昨年六月の日韓首脳会談を受けまして、今お話がありましたように、昨年の十一月三十日から昼間の時間帯に一日四便の運航が開始されております。  このチャーター便の利用状況でございますけれども、十一月三十日から始まったわけでございますが、当初は、十二月一か月間で約四万人の利用者であったわけでございますが、この二月の利用者につきましては約四万七千人と増えているわけでございます。開始後四か月経過したところでございますのでありますが、堅調に推移しているということが言えるかと思いますけれども、今後、季節変動等の要因などもあるかもしれません。私どもとしては、更に推移を見守っていきたいと考えております。
  118. 森本晃司

    ○森本晃司君 チャーター便ができたことによって、搭乗率も今お話があったように上昇しているということで、極めてこのチャーター便、大事なところであるかと私も思っております。  そこで、羽田空港の再拡張滑走路、これが二〇〇九年に完成すれば、大幅に増便、拡大するわけでありますけれども、それまでの五年間を今の四便のままであっては、私は一千万の達成は厳しいものだと考えております。ビジット・ジャパン、東アジア構想、日韓関係の強化、こういった国家戦略的観点からもいっても、現行の発着枠と、それから公用機の枠がありますけれども、こういったものをいろいろ工夫する、それから管制の見直し知恵を出して、羽田再拡張前に新規発着枠を捻出すべきではないかと、このように考えています。  今年から最低でも一日八便発着枠、これは私は十分乗客の満つる率は、利用者はあると思います。これを確保すべきだと考えておりますが、観光立国を推進して、訪日観光者一千万人達成の責任者でございます大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  119. 石原伸晃

    ○国務大臣(石原伸晃君) 今、森本委員の観光立国に対する強い意気込み、こういうお話を聞かせていただきまして、ちょっと技術的なことは私、分からないんでございますけれども、検討すべき重要な課題であるということを認識を深めたというところでございます。  あらゆる努力をして、旅行者数が、金浦—羽田というところでこっちにしてくれという声があって、便を就航するエアラインがあるのであるならば、じっくり検討して、実現に努力させていただきたいと思っております。
  120. 森本晃司

    ○森本晃司君 公用枠については官房長官の領域でもありますし、よくそういったことについては話合いをしてもらわなければならないところでございますけれども、いずれにしても、今の四便以上進めていただき、八便が拡張前に達成できるよう尽力をいただきたいと、このように思っておるところでございます。  さらに、次に、今非常に航空会社競争が厳しくなっております。いろいろコストダウン図ったり、同時に諸経費のコストダウンを図ったりしておりますけれども、これも限界があります。平成十三年八月の定期航空協会の提言では、公共事業の重点化と空港整備、運営の効率化を進めることで競争が展開し、世界に突出して高い水準にある航空利用者の負担の適正化が実現すると、こうあります。  競争の隘路と指摘されている空港整備、それから運営の効率化、それから着陸料の軽減、高い利用者負担の改善策が訪日外国人旅行者一千万人実現のために極めて重要と考えておりますが、具体策はいかがですか。航空局長にお伺いします。
  121. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 利用者負担の改善ということでございますが、一つが私ども、例えば成田空港の民営化ということを推進しているわけでございますが、この成田空港の民営化ということによって空港経営の一層の効率化が図られて、着陸料等の利用者負担が軽減されるということも期待をしているわけでございます。さらには、関空あるいは中部についても、それぞれ株式会社方式による空港経営の効率化、利用者利便の向上というものにも努めているわけでございます。  私どもの方から見ますと、羽田空港を始めとする国管理空港における着陸料、これでございますけれども、国内の航空ネットワークの維持拡充のために平成十一年より累次の軽減措置を講じてきております。平成十六年度以降におきましても平成十五年と同様の軽減措置を講ずるというふうにしているところでございます。
  122. 森本晃司

    ○森本晃司君 近隣アジアの飛行場へ行きますと、非常に国際ハブ空港化を、それを目指して激しい競争をしているんではないかと思います。私もそういった海外の空港へ行って随分以前と変わったなということを実感するわけでございますけれども、我が国でも四月の成田空港民営化や来年の二月の中部国際空港の開港、正に航空行政は私は激動のときを迎えているのではないかと思うところであります。  大臣は、以前から航空行政に大きな関心を寄せられており、先日のこの所信表明でも大都市拠点空港の整備、航空産業の競争強化等の推進についても述べられておられるわけでございます。  そこで、国土交通大臣として、現在の航空行政が抱えている課題について、現状の認識と歴史に学びつつ新しい施策を積極的に取り入れることが必要だと思いますが、航空行政に当たる大臣の決意をお伺いしたいと思います。
  123. 石原伸晃

    ○国務大臣(石原伸晃君) 航空輸送サービス、これ人も物もだと思うんですけれども、ここまで国内がこんなに急速に需要が高まってくるということは、十年、二十年前にはなかなか想像ができなかったと思います。そんな中で、全国九十五の空港が整備され、関西圏には三つ、あるいは関東も羽田の国際化、四本目の滑走路ができますといよいよ国際空港が二つになると、そういう取組をさせていただいているわけですけれども、やはり空港に関して言うならば、これは午前中あるいは午後の議論でも、大都市対地方みたいな切り口では私は論じてはならないと思うんですけれども、需要の多い大都市圏の拠点空港の整備というものは、やはりこれまで以上に重点的に行っていかなければならないと思いますし、そこに乗り入れる航空産業、これも民間の方で合併等々進みまして、日本は二社体制とそのほかにドメスティックなエアラインがあるというような体制ができてきておりますけれども、こういうものの経営基盤の強化を通じて利用者の利便性の向上というものにも努めていかなければならないと思います。  三番目でございますけれども、三番目は当たり前と言ったら当たり前でございますけれども、航空施設等々はテロの標的にされるということは過去の歴史が示しておりますので、また事故等起こりますと一挙に大量の方々の生命、財産を失うといったような特殊性にかんがみまして、やはり安全の確保と危機管理と、以上三点のことに留意をしてこの行政というものは進めていかなければならないと考えております。
  124. 森本晃司

    ○森本晃司君 あと、羽田の再拡張の問題について質問通告をさせていただいておりましたが、私、あと十五分でちょっとディーゼル規制問題についてお尋ねをしたいと思いますので、再拡張の問題については法案審議のときに議論をさせていただきたいと思います。  そこで、ディーゼル車規制問題でございますけれども国土交通省のNOx・PM法によって、平成十五年十月から、首都圏、関西圏、中部圏で車検登録できなくなる車両が出始めております。この規制は大都市圏の大気汚染改善のために必要なことではありますけれども、同時に幾つかの問題も抱えているわけであります。  この法律では、ディーゼルトラック、バスだけではなしに、ガソリン車のトラック、バスも対象でありまして、ディーゼルの乗用車も対象となっております。また、国はNOxとPM、両方低減する装置を一つしか指定していないために、このままではほとんどの車が新車へ代替を余儀なくされていくのではないかということが考えられます。関西圏、中部圏では今年度後半、十六年十月から十八年度前半にかけて買換えのピーク、首都圏では一都三県のディーゼル車規制によって既に買換えが行われているために、十七年度の後半から十八年度の前半にかけてピークがやってくるというふうに予想されております。  また、この買換えという問題については思わぬ方向への波及が出ておりまして、新聞を見て私も、ああ、こういうところにもこういう問題が起きてきたのかと思うのは、いろいろ各都市で動く本箱という形で図書を一杯積載して、そしてそれぞれの地域を回っている車があります。これはお年寄りや身障者の皆さんにとっては、その車が来るのが楽しみで、しかもその車の中に図書がずっとあるのを自分で選ぶのがやはり楽しみだという人がいらっしゃいましたけれども、これがディーゼルで動いていた場合、動いているわけでございますけれども、新しく買い換えるとなると、もうやめようじゃないかという動きが地方自治体の方でも、お金が掛かるものだから、あとはもう目録を見て選んでいただこうということで、せっかく、やはり図書というのは背を見て選ぶという楽しみもなくなるんじゃないかと、こういった思わぬ、予期せぬ出来事も出ているわけでございますけれども、この車の買換えの予想と、それからどういった影響が出てくるのか、その辺についてお伺いしたいと思います。
  125. 峰久幸義

    政府参考人峰久幸義君) 自動車のNOx・PM法による規制の対象となるまず車両の話でございますけれども、これは東京、大阪、名古屋の三大都市圏内の規制対象地域に使用の本拠を有するトラック、バス、ディーゼル乗用車のうち、基準に合っていないものということでございます。これは環境省のお調べによりますと、平成十五年三月末現在で、全体の、車の全体の七割に相当します二百七十二万台、そのうちトラックが百五十二万台で、その中でも営業車が四十万台という、こういうことです。それからバスが五万台、ディーゼル乗用車が八十万台、そのほかに三十五万台あるという、こういうふうな推計になっております。  それで、非常に影響という御質問でございますけれども、このように非常に対象台数が多いということ、それからこれがここ三年ぐらいにおっしゃいましたように集中して出てくると。基本的には九年とか十何年で分散して出てくるシステムではございますけれども、三年程度で集中して出てくるというようなこと。それから、経済あるいは経営環境が非常に悪い中で、しかも中小企業事業者さんが大多数であるというふうなトラックの業界におきましては、そういうふうな状況のものですから、そういう意味での事業環境的にも非常に厳しいというふうに思っております。  そういう意味で、この環境対策というのは、環境対策重要でございますので、これを円滑に進めるためには、やはり事業者の方々に過度な負担が生じないようにする必要があると、そのための負担の軽減が重要な課題であるというふうに思っております。関係省庁と今も連絡調整させていただきながら、優遇の税制でありますとか、あるいは低利の融資の問題、それから低公害車等への導入の補助といった、こういうような措置についていろいろ拡充策を検討し、取りつつあるところでございます。
  126. 森本晃司

    ○森本晃司君 先ほどは動く本箱の例を挙げさせていただきましたけれども、実際に買換えで大変に、融資の面等々で、これは後ほどまたお話をさせていただきますが、大変な苦労をするのは中小企業のトラックを持っておられる皆さんではないかと思っておりますので、その点についてはよく配慮をしていかなければならないと、このように思っております。  そこで、今後は、あと首都圏のみならず他府県の事業者からも申請が多いと思われますが、十五年度の場合に、受付をされた、四十億の予算で受付されたら、あっという間に申込みがオーバーしてしまった、それで八億をプラスして四十八億にして、それでも多くの人がまだ申込みがあったのでそれを打ち切ってしまうということが起きたわけでございますけれども、十六年度も申請を受けた途端に予算額をオーバーした場合に、十五年度のように打ち切るのかどうか。  どこの事業者も厳しい経営状況の中で環境対策に大変苦労をされておりますから、できる限りこの支援をしていくのが本来の我々のあるべき姿でございまして、一部だけの補助で言わば早い者勝ちの交付金になってしまっては、補助金になってしまってはならない。補助金を受けられなかった事業者への対応を考えて、今後の取組はどのように考えておられるのか、お尋ねいたします。
  127. 峰久幸義

    政府参考人峰久幸義君) 御指摘のありましたように、十五年度からDPFの補助を四十億、当初予算で始めましたけれども、これが当初予定した四十億を上回る申請が一気に出ていまして、それで申請受付の開始より二か月半で申請の受付を終了しました。  これで、こういう事態を踏まえまして、十六年度のDPF等の予算につきまして、補助金につきましては、この執行、十五年度の状況というのもよく反省しまして、それでいわゆる早い者勝ちの助長によるDPFの装着を行うというような、事業者の方々の不公平感を増大させるようなことがないようにしなければならないというふうに思っております。それで、いろんな関係者の御意見もいただきながら、その執行の取扱いについては十分工夫をしなければいけないと思っております。  具体的には、今考えておりますのは、申請の受付の機会を複数回に分ける、春の段階と秋とか、そういうふうな複数回に分けるということ、あるいは地方ブロックごとに導入の需要等を、今いろんな需要調査等でお聞きもしておりますけれども、こういうふうなことを踏まえましてブロックごとの導入の申請が受け付けられるように、需要に応じた受付ができるように、そういうような措置も講じていく必要があると思っております。  いずれにしましても、補助金の円滑な執行をしなければいけないということでございます。執行状況につきましては、いろんなことを考えながらできる限り柔軟に対応していくようにしたいと思っております。
  128. 森本晃司

    ○森本晃司君 厳しい今の経済状況の中で買換えを行うということについては、事業者にとってまた同時に多量の資金を調達する必要があるわけでございます。支援策としては今の補助金制度もありますけれども、補助金というのは自力で資金調達できる比較的余裕ある事業者を対象として、先駆的な取組を促進する場合には効果的であるかと思いますが、資金調達力の乏しい中小零細企業を含めてすべてのトラック事業者への支援策としては、融資あっせんによって車両購入資金全額の調達を図ることが非常に重要でございます。  この点から、我が党は昨年夏に中小企業庁やあるいは産業技術環境局に働き掛けまして、NOx・PM法に対応するために中小零細企業皆さんが利用しやすい融資制度の創設を求めました。その結果、融資額の五〇%を担保免除する新たな融資制度が盛り込まれることになりまして、また、これに先立って既に十二月からは新たに購入する車両を担保とする扱いがスタートいたしました。これは車両が担保になるということ、相当いろんなところから抵抗がございました。交通事故が起きたときはどうなるんだと、それから動産というのは余り今まで担保としては取らないんだという話等々はございましたけれども、ここはやっぱり中小企業庁もそれから産業技術環境局も非常に頑張っていただいた、このことについては私は高く評価をしたいと、このように思っています。  同時に、事業者からこの制度に対して多くの期待が寄せられておりますが、これから購入する車両について購入額の五〇%の担保価値を認めるとするならば、購入車両だけを担保に購入資金全体の融資を受けられる道が開かれたと思われるわけであります。  個別事情はあることにいたしまして、一般的にNOx・PM法による買換えのためにこの融資制度を利用する場合、担保の点では購入する車両のみを担保として資金調達ができる制度と、私はそのように考えているんですが、再度確認をさせていただきたいと思います。
  129. 市川祐三

    政府参考人市川祐三君) 経済産業省でございます。  先生指摘ございますように、今回のNOx・PM法の適用に伴う買換え需要に対する融資制度でございますけれども、まず御指摘ございましたように、不動産担保が不足する中で、その中で何としても車の買換えをしなくてはいけないというような中小企業者の方のためにどのような資金融資制度を作るかということでいろいろ検討してまいりましたところでございます。  二つ、制度の改革といいますか、運用の見直しも含めまして、充実をしたところでございます。  一つ、第一点目でございますけれども、中小公庫につきましては、企業の実情に応じまして、従来、御指摘のございましたように不動産担保というのが原則でございましたけれども、新たに購入する自動車を担保とするということを含めまして担保の弾力的な運用を行うということにいたしまして、これは昨年十二月から既に運用をしてございます。  さらにもう一つの点でございますけれども、これは本年四月からの適用を予定してございますが、中小公庫の融資制度につきまして担保不足がある場合にどうするかということで、二つの制度を用意いたしました。一つは、従来、中小公庫は信用保証協会による保証というものを利用するということを原則として、していなかったわけでございますけれども、信用保証協会の保証を弾力的に利用するということを第一点にいたしました。それから、第二点目でございますが、先生指摘ございましたように、各企業の実情に応じまして、八千万円を限度でございますけれども、融資額の五〇%を限度として担保を徴求をしない、担保徴求を免除するという制度の拡充を行うこととしております。  二番目の点につきましては、これは平成十六年度の政府予算の原案として御提案申し上げて、今申し上げているところでございます。その成立ということを待ちたいと思っております。  したがいまして、先生指摘ございましたように、担保が不足する事業者につきましては、これらの中小公庫の二種類の制度の創設あるいは改革ということを同時に利用することによりまして、不動産などの他の担保をほとんど供することなく全額の融資を受けるということも可能になるというふうに考えております。  以上でございます。
  130. 森本晃司

    ○森本晃司君 この制度ができますと、非常に私は喜ばれる事業者は多いかと思っております。  ただ、こういった制度ができても非常に利用しにくいという点がよくございますし、同時に、この点については今経済産業省のホームページにあるだけでございまして、私は多くの人にこの制度を利用いただくPRをしっかりとやっていく必要があるんではないだろうか。我が党でなるほど、中小企業支援ハンドブック改訂版作りまして、今度その中にもこのことをきちんと入れて、私も全国歩くときには必ずこの話をして歩いているわけでございますけれども、どうぞPRと、そして迅速にできるように、煩雑なる手続をしなければならないというのは中小企業の経営者の皆さんにとっては大変なことでございますから、そういった点について尽力をしていただきたいと思うところでございます。  そのお答えをいただいて、私の質問時間が参りましたので、終えさせていただきます。
  131. 市川祐三

    政府参考人市川祐三君) お答え申し上げます。  まず、迅速な対応ということでございますけれども政府系の金融機関に対しましては、この本件、買換えのための制度の運用に当たりましては、窓口での親身な対応、それから中小企業者の方の資金需要がどのようなタイミングで生ずるかということも念頭に置いて手続を迅速化するということを指導し徹底していきたいと、現に行ってきているところでございます。  それから、今回の制度拡充につきましても、利用者に対して十分周知徹底することが大事だというふうに考えておりまして、拡充内容につきましての分かりやすいパンフレットの作成、その配布などを通じて事業者の方への周知を行ってきているというところでございます。  さらに、予算成立後直ちに、我々といたしましては、先ほどの担保徴求免除などの点も含めましたパンフレットを作りまして事業者の方への周知徹底を行いたいと思います。当然のことながら、関係省庁とも協力しながら、制度の周知の徹底を行い、その今回のせっかく作りました制度でございますので、制度の利用の促進ということに全力を挙げていきたいというふうに考えております。  以上でございます。
  132. 森本晃司

    ○森本晃司君 終わります。
  133. 畑野君枝

    畑野君枝君 日本共産党の畑野君枝でございます。  まず初めに、三菱ふそうの今回の大型車のハブ破損に関するリコール表明について伺います。  二年前の二〇〇二年の一月に、横浜市瀬谷区で、走行中の三菱自動車製大型トレーラーから外れたタイヤが、神奈川県大和市の母子三人を死傷させる事故が発生をいたしました。亡くなった当時二十九歳の若いお母さんは、一歳の次男を乗せたベビーカーを押し、四歳の長男の手を引いて歩行していたというときの事故でございます。当時、会社は、原因については一貫して整備不良のためだということで、リコールの対象になるような構造上の欠陥はなかったと説明をし、国もそれを認めてまいりました。しかし、今年の三月十一日になりまして、整備のみならず設計要因でも起こることが分かったと現在の三菱ふそうが国交省にリコールを申し出たわけでございます。  本当に、関係者にとっては納得しない、できない今回の件でございます。この問題に対して、所管官庁として国土交通省としての責任、どのように認識をされているのか、石原大臣にまずお伺いしたいと思います。
  134. 石原伸晃

    ○国務大臣(石原伸晃君) ただいま委員が御指摘されました事案を含めまして、リコールの実施はこれまでの説明と大きく異なるものだと思っております。そして、リコールの判断に至るまで長時間を要したということは、私は極めて遺憾であると認識をしているところでございます。  今後でございますけれども、間もなく多分リコールの届出が受け付けられまして、それによりまして適切な改善方策というものをまず第一に実施し、早急に進める中で適切に対処していかなければならないと思っております。そして、その過程の中で事実関係を徹底的に究明し、その結果、問題があれば法に照らして厳正に対処すべき問題であると認識しております。
  135. 畑野君枝

    畑野君枝君 やはり、国土交通省としてどのように対応をこれまでしてきたのかということだと思うんですね。  ハブが原因となる三菱自動車製の大型車のタイヤ脱落・不具合発生件数、これはこれまでどのように報告されてきましたか。
  136. 峰久幸義

    政府参考人峰久幸義君) 大型車の前輪のハブの不具合発生件数でございますけれども、三菱製の大型車につきましては、平成十四年一月の横浜の事故を含めまして、平成四年から十五年五月までの間に五十七件発生しております。
  137. 畑野君枝

    畑野君枝君 大変な数なわけですよね。つまり、企業の側は多発性がないと言ってきたけれども、やはりその多発性が証明されるようなこの実態があったということであります。  そして、その同じメーカーが同じような事故を多発させていながら、その原因究明ができなかった。国土交通省は、リコール命令、勧告、立入調査権を持っているわけですが、今回のように刑事捜査をしなければ原因究明ができないということでは、やはり、現在の検査体制などがやはり見直しなど含めて抜本的な対策が求められてくるというふうになると思うんですが、この点では、石原大臣、いかがでしょうか。
  138. 石原伸晃

    ○国務大臣(石原伸晃君) やはり今回の事実関係を詳細に把握した上で、同種事案の再発というものの防止と、リコール制度がございますので、リコール制度の適切な運用を努めていくということが課せられた使命であると考えております。
  139. 畑野君枝

    畑野君枝君 立入りできるのにしなかったということも含めて、私は抜本的な体制強化含め、あるいは企業に対して物が言えるようなきちっとした技術的なそういう体制も作っていく、こういうことが必要であるというふうに思います。  次に、私、先ほども同僚の議員が質問いたしましたが、ディーゼル車の排気ガス対策問題について質問をさせていただきます。  川崎公害患者と家族の会の方から、青い空、きれいな空気を願って始まった運動が三十年も続くとだれが思ったことでしょう、死んでいった仲間、残された家族、毎日病院へ行くだけの患者、皆、これまで私たちは国の施策のままに苦しんできました、これからも私たちの運動は続きますという訴えを伺いました。  道路公害裁判で全国相次いで国の責任が断罪をされてまいりました。また、メーカーの責任も問われてまいりました。抜本的な対策が求められております。そして、それを進める上で今急いでやらなくてはならないことの一つが、保有車両が今回のNOx・PM法含めて達成ができないということで、中小運送業者や自家用ダンプ業者の皆さんが廃業あるいは転業を余儀なくされているという問題の解決であります。  先日も、神奈川県トラック協会の方にお話を伺いましたが、三菱総研の調査など、神奈川県での廃業は七%というふうに言われている、正に死活問題になっている、環境問題を本当にやろうというのはだれも反対していない、そのためにも国の取組が私は求められているというふうに思います。  今後、このような皆さんに対してどのような支援を行うのか。先ほど買換えの話がありました。また、低減対策としての後付け装置などの問題もこれは本当に要望が強いんです。この点についてどのようにされますか。
  140. 峰久幸義

    政府参考人峰久幸義君) 先ほども御答弁申し上げましたけれども、その中で非常に台数、買い換えなければいけない台数が多く出てくるということ、それが二、三年にわたって集中してくるということ、それから中小企業の方々が非常に多いということ、そういうことを踏まえて、事業環境の非常に厳しい中での話でございますので、そこで事業者の負担の軽減措置についていろんな制度も必要だと思っております。優遇税制で自動車取得税について安くするとか、あるいはトラックの税制について特別の償却ができるだとか、そういう意味での税制もありますし、それから何といっても、先ほどの御質問ありましたような無担保の制度を含めた低利融資というのが、融資制度が非常に重要だと思って、来年度については非常に政策を取らしていただいているところでございます。地方のトラック協会なんかともいろいろな連携しながら、そういう点についての円滑な導入を図っていきたいと思っております。  それから、いろんな、先ほどありましたけれども、DPF等に対する補助、あるいは低公害車を買われる場合のTPMとか、そういうふうな環境等にいい車に買い換えられる場合については補助をしていっているところでございます。
  141. 西尾哲茂

    政府参考人西尾哲茂君) 自動車NOx・PM法によります車種規制は、大都市での厳しい大気汚染の現状にかんがみまして、その改善のためにやむにやまれぬ措置としてよりクリーンな車への買換え等をお願いをしているものでございまして、環境省として各事業者の経営状況の実態を詳しく把握しているわけではございませんけれども事業所管の関係各省を通じる等によりまして、現下の厳しい経済情勢の中で事業者の方々が大変対応に苦慮しておられるということにつきましては再三お聞きしているところでございます。  そういうことでございますので、事業者の方々からの対応を支援するため、関係省庁と連携してやっておるわけでございますが、かねてから自動車取得税の軽減等の税制上の優遇措置を行っておりますし、また政府系金融機関からの低利融資を実施しております。また、低公害車の導入や排ガス低減装置の装着につきましては、関係省庁とそれぞれ分担いたしまして実施しております。  加えて、先ほどもお話に出ておりますが、平成十六年度におきまして、一層の追加的支援措置として、そもそも融資を受けたくても担保がないという事業者の声を踏まえまして、経済産業省、国土交通省連携いたしまして、中小企業金融公庫の担保条件について特段の緩和措置を行うなどの措置を講じたところ、を実現したところでございます。  今後とも、関係省等で適切な連携を図ってまいりたいというふうに考えております。
  142. 畑野君枝

    畑野君枝君 融資が受けたくても受けられない人も本当に多いんですね。ですから、私は、後付け装置の問題含めてこれから伺おうと思っているんですが、その点も後でまた伺おうと思いますが、是非進めていただきたいと思いますし、買換えの場合の融資も、今不況ですから、別の問題でも融資を受けていると。更に今度の買換えの問題で融資を受けるともう枠が一杯で借りられないということもあるんです。ですから、この点でも特段に支援をしていただきたいというのを一言申し上げておきたいと思います。  そして、やはりどんな実態かということですが、全日本建設交通労働組合のダンプ労働者の実態でいいますと、年齢は五十歳以上が五一%、一日九・七時間労働、二百三十二キロ走行、これだけの仕事をして、純所得、労働賃金相当分は年間二百六十三万円、月平均二十二万円です。新車を購入しようと思っても、ダンプ一台一千三百万円。このような人たちは、保有車の規制基準をクリアするためには後付け装置、これを着装するしかないんですね、現実的には。  そして、自動車NOx・PMの基準、規制基準を早急かつ円滑に進めるためには、これはあらゆる手当て、買換えももちろん進める。しかし、後付け装置も含めて、本当に公害患者さんたちや住民が苦しんできたことを一刻も猶予なく解決していく、こういう立場が必要なわけですから、そういう点でも、あらゆる手当てをするという点での重要な方策の一つとして後付け装置の装着、これを位置付けていく必要があるというふうに思いますが、この点の位置付けについて、石原大臣、どのようにお考えですか。
  143. 峰久幸義

    政府参考人峰久幸義君) 先生おっしゃいましたように、この後付け装置の問題も非常に重要だと思っております。NOx・PM法の環境対策を的確にやるためには、やはり代替、車両の代替ということと同時に、後付け装置の開発普及というのが非常に重要だというふうに認識しております。  そういうことで、国土交通省におきましては、平成十四年八月に後付け装置についての認定制度を設けまして、それで認定されましたものにつきましてはこれが基準に適合するということで認められるようになるということなんです。  さらには、使えるような補助金も、一般的な低公害の車両についての該当するものについての補助対象にもなり得るというような、こういうような形での認定制度を作ってきました。  こういう形で、後付け装置についても非常に重要な政策だというふうに思っております。
  144. 畑野君枝

    畑野君枝君 この間も大臣の御答弁の中でこれを位置付けるということで進められてきたわけですが、石原大臣としてもこれは重要な問題だと位置付けて推進をされるおつもりでいらっしゃいますね。
  145. 石原伸晃

    ○国務大臣(石原伸晃君) ただいま御議論のありましたものを通じまして、NOx法、PM法の所期の目的を達成するべく努力を続けていきたいと思っております。
  146. 畑野君枝

    畑野君枝君 それで、この間、今お話ありましたけれども、具体的な努力、そして今NOxだけでなくPM規制も行える技術も認定をされたというふうに伺っておりますが、これはどのような技術なのか、伺います。
  147. 峰久幸義

    政府参考人峰久幸義君) 後付け装置の認定につきましては、PMの認定制度というのと、それからNOx、PMの両方とが現在のところございます。ディーゼル車から排出される微粒子の方のPMにつきましては、粒子状の物質を捕集する装置を装着することによって排除が可能で、これがDPFでありますとかあるいは酸化触媒という形でいろんな開発がされました。そういう意味で、このDPF等の後付け装置が実用化されているところでございます。  それから、NOxとPMを両方とを、双方を同時に低減させるという後付け装置についてでございますけれども、これにつきましては、燃焼の温度が上がればPMは下がってNOxというのは上がる、あるいは燃焼温度が下りますと、NOxは下がるんですけれども、PMがどうしても上がってしまうという、こういうようなトレードオフ関係にあるということで、そもそも、それからNOxの低減のための燃焼温度を下げるということが難しいようでございますけれども、そういうこともありまして、技術的に非常に難しい課題ではあるようでございます。  そういう中で、後付け装置については、いろんなメーカー等に対する要請等も含めまして、先ほどの評価制度の運用という形で含めまして、現在のところ、一件認定しているところでございます。
  148. 畑野君枝

    畑野君枝君 一件認定されたということでございますけれども、これは車種二トントラック、認定を受けた会社の同装置の年間生産能力が八百台というふうに伺っております。  それで、自動車NOx・PM法の基準不適合車は二〇〇三年から二〇一〇年の間に約二百十万台になると。二〇〇四年度は約四十万台。ピークの二〇〇五年度は約百万台に達するというふうに伺っております。先ほどの建交労が行った中小トラック事業者のアンケートによりますと、約四〇%の事業者が後付け装置を希望しております。  このような現状を踏まえるならば、大気汚染対策を早急かつ円滑に行うという点でも、後付け装置の開発、今一社ということですが、同時にその大量普及を短時間に行うことが必要なのではないかというふうに思いますが、その方策はどのようになっていますか。
  149. 峰久幸義

    政府参考人峰久幸義君) 先ほどの一件と申しますのは、先ほどの一件というよりも、今後の開発を大量にどうするかということでございます。  それは元々、先ほど先生もおっしゃいましたように、二百何十万台とあるというように、非常に大きい数の中で、これに対する開発意欲というのはもう相当なものがございます。それで、我々のところの窓口におきましてもいろんな相談で数多く来ているのは事実でございます。  それで、そういう中ではございますけれども、台数が多いので、これをひとつうまく開発できれば、それは非常に商売的にもうまくいくということではあるんですけれども、そういう意味での開発意欲というのは非常に大きいわけでございますが、これは先ほど申し上げましたように、ちょっと技術的に非常に難しい問題がございまして、これでなかなかクリア、その基準をクリアできないということが原因になっております。  もちろん我々は、そういう開発意欲が大きい中で、できるだけその開発普及を促進したいというのは、もうそれはずっとそういうことで認識して、いろんな働き掛けもしているところでございますので、それから基準自体につきましても環境対策上ぎりぎりのところの基準という形で一応設定しているところでございます。  そういう意味で、それを更に緩めるというのはなかなか難しい状況の中で、先ほどのような技術的な問題の中でできていないというのは事実でございますけれども、その件数をできるだけやっていただきたいというための働き掛けについては我々できるだけのことはしたいと思っております。
  150. 畑野君枝

    畑野君枝君 それで、今一社がやっと認定されたということで、これから更に進んでいくというふうに思うんですけれども、その上で、大量生産、大量普及を短時間に行うと。もう技術的にクリアしながらですよ。  しかし、本当に国民の健康と暮らしを守るという点でいいますと、現在おやりになっていらっしゃるNOx・PM低減後付け装置性能評価制度ありますね。これについても、そういう本当に普及させるという点で見直しをする必要があるんじゃないかと思っているんです。つまり、個別にそれぞれ型式を証明、検証する方法ではなく、排気量やそれから総重量等を勘案して規制基準をきちんとクリアできるような、そうした評価制度、こういうものを検討する必要があるんではないかと思いますが、その点いかがですか。
  151. 峰久幸義

    政府参考人峰久幸義君) この後付け装置の申請内容を見ておりますと、やっぱりいろんな形でのやり方が出てきます。そういう中で、やはりNOxを当初に、NOxだけのときにもいろいろそういう装置についての議論があったわけでございますが、PMについては先ほど申し上げましたようにできましたけれども、NOxについてもなかなかやはり問題の多かったのも、多かったのも事実でございまして、それにPMを加えますとより難しいというのが先ほどのことでございます。  そういう意味で、検定の基準でありますとか方法自体についての中身というのは、非常にそういう環境基準のことについて難しい面があるとは思うんです。いろいろ検討は更にする必要はあるかと思いますけれども、その基準自体あるいはやり方を見直すというのについてはなかなか難しい面もあるということを御認識、御了解いただきたいと思います。  やり方等につきまして、いろいろ今のところ事前のデータだとかそういうものについてできるだけ、委員会を作ってやっておりますので、そういうものができるだけスムーズにいきますように事前に我々こうチェックさせていただいておりますが、そういうことについては、スムーズに、迅速にいくようにできるだけ努力していきたいと思っております。
  152. 畑野君枝

    畑野君枝君 それで、私もそういう点では提案を最後にこの問題でさせていただきたいと思うんですけれども、一刻を争っているわけですから、その後付け装置の大量生産、大量普及のために、一つは現在認定されている技術を生かしての大量生産、大量普及を行うということ。それから二つ目に、自動車メーカーの責任で技術を生かした取組を行うように指導を徹底されること。それから三つ目に、先ほどお話がありましたが、装備のための補助金を規制措置が有効に働くように緊急に増枠をしてほしい、そして希望者全員が直ちにそれを受けられるようにする、このことは本当に必要になっていると思うんです。この点の御検討を要望しておきたいと思いますが。
  153. 峰久幸義

    政府参考人峰久幸義君) 後付け装置についてのメーカーへの要請は、環境省もおられますが、環境省、経済産業省、我々一緒になりまして、いろんな要請をして、できるだけのことをしていただきたいということでやっているところでございます。引き続きそういうことでやっていきたいと思います。  補助金につきましても、今の制度は八トン以上のやっぱり大型車を中心に移行をやっております。やっぱり限られた中で、予算制度の中で、この四十億というDPFなんかも、去年から始めたばかり、道路財源なんかを使いまして去年から始めたばかりでございますが、そういう予算、限られた予算の中で特に効果の高いという形で大型車でこうやらせていただいております。  あと、そのDPFだけじゃなくて、いろんな今度は新しい新規取得についての予算措置も、低PMに対する、購入に対する補助等を始め、あるいは新長期の適合車に対する補助を始めるという形で、そういう形での拡充というのはやらせていただいております。
  154. 畑野君枝

    畑野君枝君 必要な人がたくさんいるわけですから、その必要な人に行き渡るように徹底していただきたいということで御提案とさせていただきます。  次に、公共事業における建設労働者、職人の労働条件の問題について伺います。  朝からも公共事業の問題について議論になっておりますけれども国民にとりましては、安全で防災にも優れ、できるだけ環境破壊をせず、そして生活に密着した公共事業、こういうことを願っているわけでございます。公共事業を所管する国土交通省としては、こうした国民の要求にこたえて、安全で品質の優れた公共工事社会資本を提供する責任があると思います。  既に、二〇〇一年に閣議決定された公共工事入札及び適正化を図るための措置に関する指針の中でも、公共事業目的物である社会資本等が確実に効用を発揮するよう公共工事の品質を確保すること、適正な価格で公共工事を実施することと述べられております。  そこで、私最初に伺いたいのは、ダンピングの問題です。公共工事ダンピング受注が横行しているということが言われております。全国建設業協会も、昨年、ダンピング受注を排除するための当面の対策についての要望を国に提出して、その中で、公共工事についてダンピング受注が頻発している、このことが個々工事の悪化につながるとともに、労働条件の悪化、安全対策、環境対策の不徹底、下請業者へのしわ寄せなどの懸念が広がっていると指摘しております。  私の地元の神奈川県建設業協会でも昨年、「適正な入札制度に関する提言」を行いまして、同様のことを述べて、これが将来の建設産業の健全な発展を阻害するものだと述べております。  この点で、国としてもさきの指針でいわゆるダンピング受注建設業の健全な発達を阻害するとともに、特に工事の手抜き、下請へのしわ寄せ、労働条件の悪化、安全対策の不徹底等につながりやすいことから、各省各庁の長等においては現行の低入札価格調査制度及び最低制限価格制度を適切に活用し、ダンピング受注の排除を図るものとするとされているわけです。  この点で、ダンピング受注をなくすことは建設労働者の労働条件を改善するためにも欠かせない課題だというふうに思いますが、ダンピング受注を防ぐためにどのような対策を講じられているのか、伺います。
  155. 澤井英一

    政府参考人澤井英一君) ダンピング受注について、今先生おっしゃいましたことは、そのとおりだと考えております。安かろう悪かろうということで、公共工事の品質を悪化させるおそれがあるということに加えまして、下請へのしわ寄せ、労働条件の悪化、安全対策の不徹底等につながる場合もあると思います。  入札契約適正化法に基づきまして平成十三年三月にいわゆるガイドラインを閣議決定しておりますが、その中で基本的にまずすべての公共工事発注者が、御指摘のような低入札価格制度調査又は最低制限価格制度を的確に活用してダンピング受注を排除するものとしています。  国土交通省では、この措置の実施状況について実態調査を行いまして、すべての公共工事発注者がこれらの制度を活用するように、総務省及び財務省と連携をして働き掛けを各発注者にしております。  また、国土交通省直轄工事におきましては、この低入札価格調査対象工事につきまして、通常は一割としております履行保証割合を三割に引き上げる、あるいは通常は四割の前払金を二割に縮減するなど、言わばダンピング受注に対するディスインセンティブの措置を講じまして、ダンピング受注の防ごうという対策も実施しているところでございます。
  156. 畑野君枝

    畑野君枝君 本当に現場に行きますと、大変な賃金の実態になるわけですね。これはなぜなのかと、ここを本当に解決していく必要が私はあるというふうに思うんです。公共用工事入札に当たって工事費積算のための労務費の資料として設計労務単価がありますけれども現場労働者は本当にこういう水準ではないんですね。  神奈川県建設労働組合連合会から伺いますと、首都圏建設労働者賃金調査、ここでは神奈川県の建設労働者、職人の常用賃金は一万四千九百九十三円で、十年前に比べると四千三十二円も下がっているんです。神奈川県全産業の平均年収と比較すると、あらゆる年代で下回り、四十五歳から四十九歳では二百七十九万円もの格差が生じております。  そして、神奈川県の公共工事現場の賃金は、民間よりも一日当たり九百四十四円低いという結果も出ております。設計労務単価に比べると、大工職の場合、一日七千円も低いというのが神奈川の公共工事現場の賃金実態です。(資料提示)これがそうなんですけれども、労務単価は上、実際もらうお金はこれ……(発言する者あり)済みません、一番下は、しかしそれからいろいろなガソリン代や駐車場代やそういうのを引くと、実質的に手取りとなるのはもう本当に少ない額になるわけですね。経費も持たなくちゃいけないということなんです。ですから、首都圏建設労働者積算労務単価の五〇%以下の賃金という調査結果も出ております。  こういう点では、法律を作るときに既に参議院の国土交通委員会で附帯決議を付けております。公共工事入札及び契約の適正化の促進に関する法律案に対する附帯決議ということですけれども地域の雇用と経済を支える優良な中小・中堅建設業者受注機会が確保されるよう配慮するとともに、建設労働者の賃金、労働条件の確保が適切に行われるように努めることと明記しているわけですね、この参議院の委員会で。  ダンピングの結果、こうした附帯決議と逆行した状況が進んでいるというのが私、問題だというふうに思うんです。ですから、この決議を空文句にしないで実効あるものにするために国土交通省の指導が求められているというふうに思いますが、いかがですか。
  157. 澤井英一

    政府参考人澤井英一君) 今御指摘の賃金に関してでありますが、私どもでは、先ほど言いましたけれどもダンピングがそういう労働条件へのしわ寄せということも十分考えられることだということも踏まえまして、特に直轄工事では、通常、入札契約適正化法でガイドラインとして定められている以上に、先ほどのような履行保証割合の引上げあるいは前払金の縮減というようなことをやっているということが一点と、それから、基本的に元請から下請への下請代金の支払のありようというものが賃金と非常に大きく関係いたしますので、建設労働者の労働条件を確保することについての元請への働き掛けということを私どもいろんな形で進めております。下請代金をきちんと支払う、特に賃金については現金で支払うというような通達を適時出しておりますし、また元請もお入りいただいております建設産業の合理化協議会という中で、こうした辺りについていろんな議論をしているということがございます。  また、賃金だけでなくていろんな福祉面についても労働者の皆様にとりまして大変重要なことでありますので、労災保険、雇用保険、健康保険等、これ必ず入らなければいけないものも中には残念ながら入っていないケースもありますので、そうしたことに必ず入ると、あるいは任意の福利制度についてもできるだけ入るようにしていただきたいというような働き掛けなど、様々な面でいろんな対応を進めているところでございます。
  158. 畑野君枝

    畑野君枝君 それで、もう本当に現場では自治体も本当に努力を始めているわけです。  大臣、最後にちょっとこの点で改善を求めて御決意を伺いたいんですけれども、例えば大阪府では、大阪発注の工事において、二省協定労務単価に基づく労務単価で積算している、この点に十分留意し、建設労働者の適切な賃金の支払について配慮するようにと文書出しているんですね。それから、千葉県の我孫子市でも、設計労務単価との間の問題で賃金、労働条件に隔たりが生じた場合には元請に対して指導もしていきたいと言っているんです。そういう自治体の努力あるわけですからね、国としても是非現場のこういう問題解決していただくように徹底していただきたいと思うんです。その点、いかがですか。
  159. 石原伸晃

    ○国務大臣(石原伸晃君) 公共事業が今、委員が再三再四御指摘されましたような安かろう悪かろうというようなことになって品質が悪化する、さらには下請の方々に圧力が掛かる、労働条件が粗悪化する、こういう事例は他の委員会でも具体的な事例を出せられていろいろな委員から私御質問もいただきまして、そういう実態があるということは認識をしております。  そんな中で、政府委員から御答弁をさせていただいてまいりましたように、これまでも、要するに元請がダンピングで取ってきたら、どっかでしわ寄せをしない限り取ってくるわけないわけですから、それが結局下請の方々の労働条件の悪化につながっているような、ダンピング受注徹底排除の通達なども出させていただいておりますし、また仕事を取ってくる元請に対してそういうことのないようにというような指導もしておりますので、引き続きこういう指導を徹底してまいりたいと考えております。
  160. 畑野君枝

    畑野君枝君 やはり建設労働者、職人の技術を本当に大事にするということは国民のためになると思うんですね。そういう点で、是非この改善を図っていただきたいというふうに思います。  さて、最後に地下室マンションの問題について伺います。  ある日突然、地下七階地上三階というようなマンションが緑豊かな都市部に現れる、これが社会問題になってから久しくなりました。そういう点では、従前低層住宅に住んできた人たちにとってみれば大変なトラブルの要因になってまいりました。我が党もこのような地下室マンションに建設規制を行う必要があると取組をしてまいりまして、国土交通省は今月二日に現在開かれている国会に建築基準法改正案を提出され、現行では地下室を容積率に入れないという不算入措置になっているものを、改正案では地方自治体の条例で地下室の範囲を制限できるようにするということでございますが、なぜこの間、横浜、川崎、東京など都市部で問題になるような地下室マンションの続出が起きてきたのか。これは、一九九四年に建築基準法が改正されたことがきっかけではありませんか。
  161. 松野仁

    政府参考人松野仁君) 建築基準法が平成六年に改正されまして、当時のニーズとして、豊かな居住環境を確保するということから有効に地下空間を活用するというニーズがございまして、住宅の地下室をその住宅全体の三分の一まで容積率にカウントしないという措置を創設いたしました。  近年、横浜、川崎など大都市の低層住宅地の特に急斜面におきまして、斜面の下側から見ますと中高層建築物に見える、そういったマンションが建築されまして、紛争に至っている例がございます。  このために、今回、今国会に建築基準法等の一部を改正する法律案を提出いたしまして、周辺の環境や景観を悪化させるおそれがある場合に、容積率カウントしない地下室と見なされる範囲が減少するように、条例によって地盤面の高さを通常より低い地点に定めることが可能となるような法案を提出したところでございます。
  162. 畑野君枝

    畑野君枝君 一・八倍のボリュームでできるようになったわけですよね。法改正当時、我が党の中島武敏議員がこうした地下マンションの危険性を予期して、今度の改正で地下に二階とか三階とか広大な地下面積を作る、こういうことになるんじゃないかということを恐れるがと衆議院の委員会質問したのに対して、当時の住宅局長が、一般的日本人の行動様式として完全に地下に世帯がお住まいになるというのは考えにくいと言っていたんですが、これはそうですね。
  163. 松野仁

    政府参考人松野仁君) 平成六年の六月の建設委員会で中島委員が御質問になりまして、それに対して当時の住宅局長が、「日本人の行動様式としまして、完全に地下の中で世帯がお住みになるというのは考えにくいというふうに考えているわけでございます。」ということで、これはその文字どおり、完全に地下でというのは、通常の住宅の居室を地下に埋め込んでしまう、窓も何もない状態で住むということは、通常の日本、我が国の、日本人の行動様式としてはないという趣旨の答弁をしております。
  164. 畑野君枝

    畑野君枝君 結局、そういうことによって地下マンションが進んでいくということになったと思うんです。  私、こういう中で、横浜市でも二月の議会で条例が議決されて、六月から実施されることになっております。それぞれの自治体が条例を判断することですけれども、例えば、地下利用は認めない、低層住宅地にふさわしく地下利用は認めない、こういう条例はもちろんこの法律に基づいて制定できますね。
  165. 松野仁

    政府参考人松野仁君) 今回の改正案は、やはり地下利用をうまく利用して居住空間を豊かにする、例えばピアノの練習するとか、日曜大工の部屋だとか、そういった、あるいはトランクルームだとか、こういったものの利用ということを前提に、地下利用そのものを禁止するということではございませんで、むしろ大々的に、地下の地盤面以下という、三メーターごとに地盤面を設定する、その以下の部分がすべて地下扱いになるという規定を活用して、容積の不算入の部分をかなり大きく取ってしまうということが制限される、そういう形で今回の条例が、制定が可能な改正をしたということでございまして、完全に地下利用そのものを否定するということではございません。一部、そうした容積緩和の制限をするということができるという趣旨でございます。
  166. 畑野君枝

    畑野君枝君 もう時間が参りましたので。  現在計画中のもの、あるいは建築途中のものについても、やはり国のこういう法に基づいて、いろんな問題が起きてきたということでありますから、やはり条例水準にまで下げさせるという指導を国もきちっと行っていくと。あるいは、やっぱり根本的に用途地域の高度規制の範囲内に制限をするとか、マンションや地下室の容積率不算入の適用除外にすると、こういうこともきちっと検討する必要があるということを私は最後に申し上げまして、質問を終わります。
  167. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 社民党の渕上でございます。  公共事業の無駄について御質問いたします。  私は、国土交通省の最大の課題は、国民への安心、安全を提供することだと考えております。しかし、ここ数年の規制緩和や構造改革によって、この安心、安全が揺らいでいるように感じてなりません。民間にできることは民間にと言い、効率ばかり重視される余り、そこには温かみのある行政というものが欠落しているのではないかというように思っているのは私一人ではないと思います。  そこで、大臣にお伺いいたしますが、大臣は所信において、公共事業については無駄なものは作らずと述べておられますが、大臣のお考えになっている公共事業の無駄とはどのようなものを指すのか。先ほどの答弁では、社会的に必要のないもの以外、このように答えられたように聞きましたが、具体的にひとつ説明をいただきたいと思います。
  168. 石原伸晃

    ○国務大臣(石原伸晃君) これ、基本的には、先ほどもお話をさせていただいたんですけれども、例えば道路なんかでいいますと、それを造ることによって時間、距離がどれだけ短縮される、あるいは経済的にどれだけ利便性が増す、あるいは交通の事故がどれだけ減るといったような、具体的な費用対便益の指標みたいなものがあります。  これを指標に取りまして、掛かったコストで割り算します。そうしますと、いわゆるBバイCと言われるやつですけれども、これが一を下回っていたら、さすがに公共事業としてはやっぱり不的確なんだと思うんです。これが大体学者の中でも常識的な話なんですけれども、そうしますと、でも、一に限りなく近いものというものもあるわけですね。そんな中で、一に限りなく近いものを、要するに社会的便益をコストで割るわけですから、コストを下げれば、その一に近いものもまた二に近付いていくということですから、そういうものはコストを下げる努力を行えば社会資本整備としては作ることができる。しかし、そういうものもできないものもやっぱり世の中にはあると思うんですね。  ですから、その外部効果。外部効果っていろんなものがあると思うんです。例えば、その地域社会の問題とか住民生活の問題とか、あるいは地域経済の問題とか、あるいは昨今は環境というファクターも大きいですし、安全というファクターもある。こういうものも指標に取りまして、こういう外部評価も入れて評価をする。これは、道路に限らず、河川なんかについても、あるいはその他のものについても今役所でやっております。その評価にのっとって、評価の低いものは、全部の、今言った外部効果の、外部効果も期待できないようなものもやっぱり上がってくるわけですね。そういうものは、私は無駄である。  すなわち、私が何で無駄であるか無駄でないかという議論を最初させていただいたのは、やっぱり住んでいる地域によって、中山間地域に住んでいらっしゃる方にとってはもう道路が切実ですけれども、都会に住んでいる人にとって、いや、あんな山の中にあんないい道造らないでいいじゃないかと、こういう考えが必ずあるんですね。  ですから、すべてを指標化して、それに社会的な外部効果というものを加味した形で順番を作っていく、順番を付けていく。そうしませんと、あの政治家がいるところの道路はよくできている、公民館も立派なのがあるよとか、あの川はきれいになっちゃった、そういうんじゃなくて、やっぱり必要性の順位も数字によって評価していくということが必要であると思いましたので、無駄な公共事業はやらないし、必要なものは作ると。すなわち、数字はうそをつきませんので、この数字によって客観的な評価を、事業評価をしていく意味があるんじゃないか。また、それをやらないと、これまでのようにある程度右肩上がりの経済ですと多少の余裕が、懐に余裕がありましたけれども、今余裕がなくなりましたので、余裕がなくなった中でも要求は変わっていないわけですから、厳格に評価をして、事業評価の高いものから作っていかないと、これは解答がないと、そういうことで、無駄なというような言葉を使わせていただいているわけでございます。
  169. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 言葉上は分かるんですけれども、具体的なものとしてぴんとこう来ないものですから、まあ、これまた後ほど議論したいと思います。  次に、まちづくり交付金についてお伺いをいたしますが、所信でも述べられております、求められるのは成果、それから方法は地方に任せることを基本としたまちづくり交付金とはどのようなものなのか、これまでの交付金とはどこがどう違うのか御説明いただきたい。
  170. 竹歳誠

    政府参考人竹歳誠君) お答えいたします。  まちづくり交付金は、稚内から石垣までと、これを合い言葉に政府として取り組んでおります全国都市再生を支援するために、今までの補助金と全く異なる財政支援措置を創設しようとするものでございまして、予算額一千三百三十億円を平成十六年度予算案に盛り込んで、取り込んでいるところです。  そこで、今御指摘がございました、求めるのは成果、方法は地方に任せるというのはどういうことかということでございますが、このまちづくり交付金では、地方の自主性、裁量性を大幅に向上させまして、いわゆるオーダーメード型のまちづくりをしようというものでございます。例えば、道路や公園だけじゃなくて、福祉、文化、商業等の幅広い施設も対象にするとか、ハードだけではなくてまちづくりNPOの活動も支援するなど、今までにないソフト面も充実しております。  また、手続面でも大変簡素化いたしまして、従来ですと個別施設ごとに審査をしていたというものを、計画を一括採択するとか、成果を、求めるのは成果という観点から事後評価を重視するというような手法を導入いたしまして、地方にとって使い勝手の良い制度としていこうとしておるところでございます。
  171. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 地域活性化促進についてお伺いいたしますが、大臣は、地域活性化の促進のために地方鉄道、バスの公共交通サービスの再生等を推進すると述べておられますけれども、交通、運輸をどのように再生を図ろうとしているのか、どのように考えておられるのか、お伺いいたします。
  172. 鶴保庸介

    大臣政務官鶴保庸介君) 委員指摘のとおり、地域、地方鉄道及びバスにつきましては疲弊をしております。ただ、その地域鉄道は、地域の方が利用をしていただかなければ再生の道はないというのはもう論をまたないわけでありまして、そういう意味では地域の主体的な努力によることがまず基本となると考えております。  ただ、ナショナルミニマムの確保でありますとか環境問題あるいは安全性の確保といったような観点から、国としても補助金等の一定の支援措置を講じておるところでございまして、こうした支援措置に加え、観光を始めとする地域振興及び公共交通利用促進等を図るため、地元自治体あるいは交通事業者、観光関係者などとともに公共交通を活性化するための取組を行っておるところでございます。
  173. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 じゃ、次に行きます。  生活交通の維持と確保についてお伺いいたしますが、鉄道、バスの規制緩和によって車社会に取り残された人を始めとするあらゆる移動制約者の交通手段確保に先行き不安が非常に高まっております。私は、通勤、通学、通院、買物の足を確保するために、バスは赤字でも福祉などの他の分野で効果を上げているというクロスセクターベネフィットの考え方で、国土交通省として責任を持った施策という生活バス路線やコミュニティーバス、それから福祉バスの財政支援措置をしっかりとしていくことが必要だと考えております。  また、地方鉄道や第三セクター、それから並行在来線の維持につきましても、ドイツの公共近距離旅客輸送の地域に関する法律に倣って、公共交通の根幹を成す鉄道を守るという立場で政策の遂行をすることが何よりも大切だと考えておりますが、見解はいかがでございましょうか。
  174. 峰久幸義

    政府参考人峰久幸義君) 地域住民の日常生活の足であります地方のバス路線をどう確保していくかということにつきましては、今おっしゃいましたように過疎化あるいは地域活性化、それから高齢化福祉対策あるいは環境対策上、大変重要な課題であるというふうに認識しております。  我々は、総務省とも連携を取りながら、国は広域幹線的路線についての支援をし、その他の路線につきましては地方公共団体の判断により維持することとして、その負担増大につきましては地方財政措置を講ずるという、こういった国の補助制度と地方財政措置のトータルの充実した支援措置を十三年度からやらせていただいております。  十六年度におきましても、国は七十三億円、地方財政措置については七百四十億円の措置が拡充をされているところでございます。地域でのいろんな協議会との議論の中で、我々もこういうものを活用しながら、おっしゃられたようなことについて取り組んでいきたいと思っております。
  175. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 次に、緊急保全整備事業、災害復旧支援についてお伺いをいたします。  鉄道の規制緩和から丸三年がたちましたが、ここに来て廃線や事業廃止の動きが顕著となっています。その理由の一つに、緊急安全性評価に基づく緊急保全整備事業への投資があることを御存じだと思います。現在ある近代化補助制度において緊急保全整備事業への支援がなされていますが、補助対象要件が近代化補助制度と同じであるために、事業努力があるところはその対象とならない場合もあります。また、たとえ五分の一の負担であっても事業収入に占める負担の割合が高く、継続的負担に耐えられないために事業廃止を考えている経営者もいると聞いております。  効率性、事業評価を重視する国土交通省から見れば廃止やむなし、あと地域考えることになるでしょうが、これまでの鉄道利用者の多くが自家用自動車に切り替えるようなことになれば、道路の混雑ばかりか交通事故や環境悪化を引き起こす可能性が大と言わざるを得ません。安全は交通運輸の基本であり、要件でもありますが、緊急保全整備事業が廃線の理由とならないように措置されることをお願いをしたい。  あわせて、これらの廃線、それから廃止の歴史の中で、自然災害を理由とするものも多くあります。迅速な対応、十分な支援をお考えいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  176. 丸山博

    政府参考人丸山博君) 緊急安全保全事業につきましてお話がございましたが、これは平成十四年、十五年、二か年度にわたりまして、私ども、京福鉄道の事故を踏まえまして緊急に安全性評価を行ったものでございます。  現在、その評価結果を踏まえまして、所要の緊急安全対策を行うべく各会社が検討しておるところでございます。私ども聞いておりますところでは、評価結果を受けました施設整備ができないということを理由に廃線されたというケースはないというふうに承知しております。  ただ、私ども、緊急安全対策を実施するに当たりましては、十六年度の予算案におきましても従来の近代化補助金よりも補助率のかさ上げを行っております。  それから、税制上も、補助を受けて作りました固定資産につきましては固定資産税の軽減措置も併せて講ずることによりまして、緊急安全対策がスムーズに進むようにしてまいりたいというふうに思っております。  それから、災害につきましてのお尋ねがございましたので、併せてお答えをさせていただきますと、鉄道施設が大規模な災害を受けますと、場合によりましては鉄道事業者が自分の資力で復旧することが困難ということが多々あるわけでございます。そういう場合には、鉄道軌道整備法に基づきまして、その災害復旧に要する費用につきまして、国、地方公共団体が補助を行っております。また、補助といっても全部ではございませんので、鉄道事業者が当然負担する部分も出てくるわけでございますけれども、鉄道事業者が負担する災害復旧費用につきましては、土木構造物保険制度によりまして負担額の一部又は全部が賄われるというのが一般的でございます。  したがいまして、鉄道事業者が災害を受ける、その復旧のために費用が膨大であると、そのことによりまして廃線に追い込まれるとか、そういうような事態にはならないように今の制度はなっているというふうに認識をいたしております。
  177. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 次に、クリームスキミングと独禁法についてお伺いをいたします。  一部都市間高速バスにおいて、貸切り専業事業者の参入により激しい運賃競争が起きています。既存事業者は一般路線と高速バスをネットワークとして事業運営を行っており、貸切り専業者が収益性の高い高速のみに参入することはクリームスキミングと言えるのではないか、その見解をまずお伺いします。  また、公正取引委員会が先月出された「高速バスの共同運行に係る独占禁止法上の考え方について」では、クリームスキミングという規制方法は独禁法違反と読むことができますが、仮にこれが違反ということであれば、輸送秩序を維持することは困難になるのではないかと危惧をいたしますが、その見解はいかがでございましょうか。
  178. 峰久幸義

    政府参考人峰久幸義君) 最初に、貸切り専門事業者の高速バス参入とクリームスキミングの関係でございますが、平成十四年二月の改正道路運送法の施行によりまして、路線バスについては需給調整規制が廃止され、意欲のある事業者が創意工夫を生かした積極的な事業展開を可能としたところでございます。  その中で、一般路線バスにつきましては、新規事業者が特定の時間帯をねらって参入し、結果的に既存のバスのサービスが低下を招くことのないように、時間帯による過度のクリームスキミング、いわゆるいいとこ取りでございますが、については一定の基準を設けて制限しているところでございます。  ただ、都市間を結びます高速バスにつきましては、もちろん個別に判断する必要がありますけれども一般的には地域の生活交通路線としての性格は薄い場合が多いということでございます。そういうことで、基本的にはこのクリームスキミングの対象にならないというふうに考えております。  もちろん、旅客をめぐってその場合でも過度の争奪戦が行われるような場合につきましては、旅客の安全や利便性に影響が出るおそれがありますので、そういう場合については禁止命令等による是正措置を講ずることとしております。  それから、この二月二十五日に高速バスの共同運行に係る独禁法上の考え方が公正取引委員会から示されました。これは、事業者が単独では運行しにくい場合が多いという高速バスの特性に応じて、必要な範囲を超えない形で行われる高速バスの共同運行に係る協定につきましては原則独禁法上問題ないという、そういう趣旨のものでございます。  一方、クリームスキミングにつきましては、これが独禁法上問題になるかどうかにつきましては、基本的には公正取引委員会において判断されるべきものであると思いますけれども、我々国土交通省としましては、主として一般路線バスについて、新規事業者が特定の時間帯をねらって、これは先ほども申し上げましたけれども、参入して、結果的に既存のバスサービスの低下を招くことのないよう、時間帯による過度のクリームスキミングについて一定の基準を設けて制限しているところでございます。
  179. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 規制緩和後、最も規制緩和の影響を強く受けているのがタクシー労働者であろうと思いますから、タクシー労働の実態についてお伺いをいたします。  規制緩和後二年間で一万台を超えるタクシーが増えたといいますが、本当に適正な運行が確保されているのでしょうか。大阪では千六百台もタクシーが増加していますが、運転手は五百人しか増えておりません。これは何を意味するのでありますか。一人当たりの労働が過重になっていると考えられるのではないかと思います。  国土交通省はこのような実態を把握されているかどうか。また、増車しても人が集まらないためにアルバイトや日雇的な随時乗務が横行していると聞きますが、国土交通省はしっかりと監査をして監督しているかどうか。処分事例があればお教えいただきたいと思います。
  180. 峰久幸義

    政府参考人峰久幸義君) 最初の御質問の改正法の施行後におけるタクシーの状況についてでございますけれども、施行後二年間でおおむね一万台余りの車が増加しております。そういう中で、平成十四年度は実際に稼働している車両を示す実働率が下落するなど、運行効率は低下しております。その一方で、運転者の実労働時間平均、これは依然として全産業男子の平均と比較して一割程度上回っているという状況でございます。  こういうことで、特に過労運転の防止などの輸送の安全確保の観点から、引き続き事業の適正な運営確保に努めていく必要があるというふうに認識しております。そのための運転者の勤務時間でありますとか乗務時間の基準の遵守、こういうものと運転者の過労防止に係る法令違反につきましては、関係者からの通報でありますとかあるいは厚生労働省との相互通報制度も活用しながら、積極的に監査を行っているところであります。それで、違反の事実が確認された場合につきましては、行政処分等を通じて厳正に対応したいと思っております。  それから、日雇やアルバイトの問題でございますけれども、これにつきましては、タクシーの運転者の選任について運転者の資質を確保して安全を確保するために、日雇者の短期やあるいは短期の期間雇用者を運転者として選任してはならないということになっております。  そういうことで、一部の事業者において乗務の不規則な者をアルバイトとして乗務させている例があることは我々も承知しておりまして、監査等の結果そういう問題が起こりました場合には、行政処分を通じて厳正に対応したいと思っています。具体的に、平成十四年度におきましては十五件の行政処分を行っております。
  181. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 次に、タクシー事故の増加についてお伺いしますが、全国的にもタクシーが第一当事者となった事故が急増をしています。一九九六年から二〇〇三年の間に件数は約三割以上も増えておりますし、低価格競争の激戦地となっている大阪でも特に事故件数が跳ね上がっていると聞いています。これは規制緩和との因果関係があると考えざるを得ません。国土交通省はどのような認識を持っておられるのか、検証する用意があるかどうか、お尋ねをいたします。
  182. 峰久幸義

    政府参考人峰久幸義君) 交通事故の発生件数でございますけれども、警察庁の統計によりますと、全国ベースでは平成十五年に全国で約一・二%増加しているのに対しまして、ハイヤー、タクシーは五%ほど増加しています。また、運賃競争の激しいと言われます大阪におきましては、全体が四・一%増加しているのに対して、タクシーは五・九%増加しているふうに聞いております。こういうことにつきまして、これが規制緩和が直接の原因かどうかという御指摘でございますけれども、これにつきましては様々な要素を、要因を見る必要もありますし、それから改正後二年ということでございますので、もうしばらく推移を見る必要があると思っております。  いずれにしましても、交通事故件数の推移につきましては、おっしゃりますように、十分注意しながら、安全などをないがしろにしたタクシーが横行することのないように、事後チェック等を通じてタクシーの安全対策を講じていく必要があると思っております。
  183. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 この点は厳しくひとつ監督していただきたいということを要望しておきたいと思います。  運賃の認可についてお伺いをいたします。  自動車、自動認可枠を下回る運賃が相次ぎ認可されていますが、私は三年前に、低額運賃には厳正に対応すべきで認可する場合でも期限を付すよう求めました。国土交通省では、この間、低い運賃申請には半年や一年間の期限を付して認可をしてきていますが、その期限が来て更新若しくは恒久認可をする際に該当企業の実績が公表されておりません。これでは透明性に欠き、問題があると言わざるを得ません。  自動認可運賃ではなく個別審査を認可している以上、個々の実績をやはり示して処分理由を明確にすべきではないかと思いますが、いかがでございますか。
  184. 峰久幸義

    政府参考人峰久幸義君) 大阪、東京などの大都市圏を中心に自動認可運賃の下限を下回る低廉なタクシー運賃の認可申請は出てきております。そういうふうな申請につきましては、主に不当な競争を引き起こすおそれがあるものでないかどうか、こういう点を慎重に審査しております。  具体的には、申請に係る人件費が当該運賃ブロック内で標準的な経営を行っている事業者の人件費と比較しまして一定割合、一割でございますが、約一割でございますが、下回る場合には原則として労使間の了解を求めるということ、あるいは、今もおっしゃいましたけれども、利用者に著しい混乱が生じていないかどうかの判断をするために当初段階では期限を付して認可しております。そして、その間の事業の状況につきまして報告を求めるということにしております。  こういう運用に当たりまして、地方運輸局におきましては、記者発表などを行います場合には認可理由につきましては説明、公表しております。  それから、おっしゃいましたような輸送実績等につきましては、これは個別の案件につきましては、当該事業者の競争上の地位だとかその他の利益を害するおそれがあるかどうかと、こういうふうな問題がありますけれども、統計的に処理した数値につきましては公表に努めているということでございます。
  185. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 車輪脱落事故についてお伺いをいたしますが、先ほども大臣の方が答弁をされておりましたけれども、本委員会におきましても前回議論になったことだと思いますが、国土交通省としての取組と対応についてもう少しお伺いしたいと思いますが、あわせて、当該の神奈川県警は整備不良だけでなくハブの強度や材質それから製造方法などに不具合があった可能性があると見て、警察庁科学警察研究所に鑑定を依頼していることも指摘したところでありますけれども、ここに来て、整備不良ではなく構造上の欠陥であったことをメーカー側が公表されました。構造上の欠陥を認めるまでになぜこれほどまでの時間が要したのか疑問でなりません。国土交通省としての取組、対応というものについて再検討しなければならないのではないかと思いますが、いかがでございましょうか。
  186. 峰久幸義

    政府参考人峰久幸義君) 国土交通省としましては、車輪脱落事故の重要性にかんがみまして、三菱に対しましては再三にわたり原因究明と再発の防止を指示してきました。その際には、整備上の問題ということだけではなくて設計上の問題があるのかどうかということも含めて報告を求めてきたところでございます。また、そういう中で、整備上の問題だという形で再三にわたり報告があったということでございます。  そういう中で、再発防止を優先するという立場から、三菱ふそうによります自主的な点検と回収、これを進めるということでございましたので、これの促進あるいはユーザーに対しまして的確な点検整備をするようにその促進を努めてきたところでございます。  それで、今回のリコールにつきましては、最近の事情にもかんがみまして、我々も再三にわたりまして事実を間違いないか、ないかということにつきましてやり取りをいたしましたが、その結果、リコールの実施ということになりましたけれども、この実施というのについては非常に長期間を掛かったということについては誠に遺憾であるというふうに思っています。  我々は、国土交通省としましては、今般の事実関係をしっかりと把握しまして、問題があれば法に照らして厳正に対処すると同時に、同種事案の再発の防止とリコール制度の適切な運用に努めてまいりたいと思っております。
  187. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 最後の質問になりますが、再規制と安全に対する大臣の決意についてお伺いいたします。  私は、規制緩和と安全問題は二律背反の関係にあると常々考えてきましたが、残念ながら、このことが現在立証されつつあるように思います。交通運輸の基本は安全輸送の確保であります。  先ほども触れましたけれども、タクシー労働者の実態は、規制緩和後、実車率の低下と運送収入の激変、事業者の統廃合が進む中、急激に悪化しております。御存じのように、タクシーは約八割が人件費で占められている典型的な労働集約産業であります。賃金体系は歩合給が中心となっており、二〇〇二年度の平均年収といえば三百二十五万円であり、他産業の男子労働者の平均年収の五百五十五万円と約二百三十万円もの格差があります。しかも、長労働時間で、年収でいえば三十二都道府県が二百万円台でありまして、例えば生活保護基準をモデルに、モデル比較では、十二都道府県以外は基準以下という試算もあります。また、タクシー乗務員の健康状態も、東京都乗用自動車協会調査では有所見率が他産業に比べて約二倍も多くなっています。これではタクシーの質の向上を図るどころではないと思います。  交通事故発生の件数の増加と併せて考えるときに、このような状態をいつまでも放置しているのであれば、タクシーは産業としても衰退していくのではないかと思います。タクシーの規制緩和は失敗であったと今は言えませんけれども、再規制することを本気で考えて取り組んでいくことが今最も求められているのではないかと思います。  大臣は、成果重視、効率を大変強調されますが、交通運輸における安全は絶対なものであり、何にも増して優先されるべきものと考えます。成果や効率だけで推し量るべきではありませんし、是非、石原大臣の再規制と安全についての決意をお伺いをして、終わりにしたいと思います。
  188. 石原伸晃

    ○国務大臣(石原伸晃君) 渕上先生が御指摘されましたように、公共交通機関の最大の使命はやっぱり私も安全だと思っております。また、先ほどのタクシーの事故率との因果関係等々につきましては、もうしばらくお時間をちょうだいしまして、分析結果を明らかにしていかなければならないと思っておりますし、委員が御指摘されましたとおり、タクシーにつきましては実車率が低下することによりまして乗務員の方々の年収、生活というものに大きなしわ寄せが寄っている、さらには事故も客観的な数字で増えている。  かく言う私も、ぶつけられたことがあるのでございますけれども、それで逃げられちゃったんですけれども、そういうことはなかなか、昔は公共交通機関に従事しているということで、昭和四十年代はあったかもしれませんけれども、ここしばらくはなかったような気がしております。こういうことも含めまして、その一方で高速バスの運転手さんが酒飲んでいたり、新幹線の運転手さんがメールをやっていたとか、想像もできないようなことから始まりまして、京浜東北線に百八十キロのクレーンが落ちていたとか、やはりこういうものに従事する人たちの安全対策というものを、意識というものももう一回改めてもらうと。  しっかり委員が冒頭に御示しされていましたような公共交通機関の最大の使命は安全だということを認識していただくよう、よく指導もし安全対策、あるいはタクシーの問題ももうしばらくお時間をちょうだいいたしまして、需給調整要件の緩和がどういう影響を及ぼし、本当に利用者の利便になっているのか、こういう観点からも検討をさせていただきたいと思っております。
  189. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 終わります。
  190. 輿石東

    委員長輿石東君) 本日の調査はこの程度にとどめます。     ─────────────
  191. 輿石東

    委員長輿石東君) 次に、奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。石原国土交通大臣
  192. 石原伸晃

    ○国務大臣(石原伸晃君) ただいま議題となりました奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。  奄美群島及び小笠原諸島につきましては、それぞれ昭和二十八年、昭和四十三年の本土復帰以来、これまでの国の特別措置及び関係地方公共団体や島民の方々の不断の努力により基礎条件の改善とその振興開発を着実に実施し、各般にわたり相応の成果を上げてまいったところでございます。  しかしながら、両地域は、本土から隔絶した外海に位置しているなど、厳しい地理的、自然的特性等の特殊事情による不利性を抱え、なお本土との間に経済面、生活面での諸格差が存しており、これらを克服するとともに、これまで不利性としてとらえられてきた特性を優位性として伸ばし、あわせて地元の発意と創意工夫を生かしていくことによって、両地域の自立的発展を促進していくことが求められております。  この法律案は、このような趣旨を踏まえ、それぞれの法律の有効期限を五年間延長し、従来国が定めていた両地域における振興開発計画を国の定める基本方針に基づき、鹿児島県又は東京都が定めることとする等の改正を行うとともに、独立行政法人奄美群島振興開発基金を設立するものです。  次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。  第一に、それぞれの法目的に自立的発展に資することを規定するとともに、国は、両地域の地理的及び自然的特性を生かし、その魅力の増進に資する振興開発が図られるべきことを基本理念とする基本方針を定め、また、鹿児島県又は東京都は当該基本方針に基づき、市町村の案をできる限り反映させつつ、それぞれの振興開発計画を定めることとしております。  第二に、両地域の振興開発を図るに当たって必要な配慮規定等を設けることとしております。  第三に、奄美群島振興開発基金を解散して、新たに独立行政法人奄美群島振興開発基金を設立することとしております。  第四に、法律の有効期限をそれぞれ平成二十一年三月三十一日まで五年間延長することとしております。  その他、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。  以上がこの法律案を提案する理由です。  この法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議のほどよろしくお願い申し上げます。
  193. 輿石東

    委員長輿石東君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時十七分散会