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緒方靖夫君 私の方からは四点、
意見あるいは提言的なものを述べたいと思うんです。
第一点は、
イスラムとの
関係、異なる
文明間の
対話を
促進するという問題です。
私自身、この間サウジアラビアを始めとする
イスラム諸国を訪問しましたし、それから、それが縁で、ちょうど昨年十月に行われました、マレーシアですけれども、OIC、
イスラム諸国会議機構の首脳会議にもゲストとして参加する機会がありました。そういう中で、非常に
イスラムとの
関係、これは大事だということを痛感しました。彼らに言わせても、誤解と偏見があるということを非常に強調します。同時に、この間の
情勢の発展で
自分たちに対する関心が高まっていると、そのことを歓迎するという両面があるわけですけれども、そういう中で
対話の機会を増やしていく、これは
政府レベル始めいろいろあると思います。
この間、
政府レベルで言うと
イスラムとバチカンとの会合が行われましたし、あるいは西地中海の五プラス五の首脳会議、これはフランス、スペインなどとチュニジア、アルジェリアとか、そういう国々ですけれども、それが行われました。それから、ブラジルの大統領のルーラ氏が呼び掛けているカトリックと
イスラムの首脳会議が年内に開かれるという、そういう
状況があって、やはりこの分野、非常に大事だと思うんですね。したがって、各分野で、各レベルでそれを進めると。
とりわけ私は、
国民の信任を得ている
国会議員がこの分野でどういう
役割を果たすかということが問われていると思います。ですから、私はここで
会長始め
お願いしたいんですけれども、やはり
国会議員の間で、こういう
イニシアチブをどう取れるかということについては是非研究する必要があると思います。
二番目に、東アジアとの
関係の重要性を
イスラムの
観点で見直してみるということがあると思うんです。
これは、東アジアというのは
イスラム人口の四割を占めております。言うまでもなく、パキスタンは最大の
イスラム国家、それから、パキスタンもある、マレーシアもブルネイもある。同時に、仏教国と言われているタイでも七、八%が
イスラム人口、あるいはカンボジアでも十何%が
イスラム人口という、ちょっと視点を変えるとそういう見方ができるわけですね。彼らも皆、
イスラムとどう国内で付き合うのか、ずっと平和的に存在してきた
イスラムが、今のいろんな国際的余波を受けて非常に過激化するということを大変警戒しているわけですね。ですから、そういうこともよく見る必要がある。フィリピンももちろんそうです。あるいは、インドだって
イスラム人口は一億五千万あるわけですから、これはパキスタンよりもはるかに大きな人口を抱えているわけでね。ですから、こういうふうに考えていくと、改めてASEAN、東アジアのそれぞれの国々の安定、そういう点からも
イスラムは非常に大事になってくると思います。その点で、TAC、東南アジア友好
協力条約に中国、インドが調印し、
日本もそういうふうになったということは非常に大事だと思います。ですから、そういう立場を生かしていくということも含めて、東アジアでの、
中東ばかりでなく東アジアでのそういう
関係、これをどう生かすかということが大事だと思います。
三つ目。パレスチナとイスラエル和平のために可能な力を尽くすということですね。これは
日本がまだできる非常に大事な分野だと思います。パレスチナ側の無差別テロの中止と、それからイスラエル側の植民化とか、あるいは分離壁を造るとか、そういったことを中止し、そういう壁をやはり元に戻していくということも大事だし、根本的には二つの
国家の平和的な
共存、このことが問われていると思います。この点では
日本外交が最近後退していると、客観的に見て後退しているということがよく
現地では
指摘されていると思います。その訳はいろいろあると思いますけれども、やはりそういう中で、ここでも
国会議員として何ができるかということが問われるだろうと思います。
四つ目に、今日の
世界の見方なんですけれども、
一つの
価値観で統一されるものではなくて、やっぱり多様な国々、そして多様性を認めた
関係を作っていくということが非常に大事だと思います。その点でいえば、その
関係の規範というのはやはり国連憲章だと思いますし、そしてそれを具体化している様々な条約があります。先ほど述べたTACもその
一つだと思います。あるいは、先ほどちょっと
外務省に
質問いたしましたバンドン十原則の宣言、これもやはり、四十九年前に採択されたものですけれども、やはりそれも大事な原則になってくると思います。ですから、こういう、
世界をどう見るかということもこれから非常に大事な議論になってくると思いますし、そういう議論をやはり私たちの間でも、またほかのいろんな国々の
国会議員との間でも議論をしていくということ、このことも大事だと思います。
以上四点述べましたけれども、最後に、ちょっと感想的な話ですけれども、やはりこの間やってきた
イスラムと東アジア経済、このテーマの設定は非常に適切だったと、非常に良かったということ、このことを改めて強調したいと思いますし、その点で
会長の御尽力、それからまた大変いい
参考人を呼んでいただき、またいい資料をいつも作ってくださった
委員部と
調査部の仕事に対して感謝したいと思いますし、また同時に、
調査会が、これは本当に参議院として非常に大事な
調査会だとつくづく思うわけですけれども、私たち全体として、自分が属しているのに変なこと言うかもしれませんけれども、本当に
協力し合っていい仕事をしたということを、
自分たちで
自分たちを褒める、変な話ですけれども、そういうことをあえて述べておきたいと思います。
以上です。