○
政府参考人(古田肇君) 御答弁申し上げます。
まず、
ODA大綱の
目的についてのお尋ねでございましたが、その前に、そもそも
ODAの中身がなかなか見えにくい、あるいは身近なものでない、あるいは国内の現在の
経済状況の中でなぜこのように
ODAを海外に展開をする必要があるのか等々の厳しい意見が国内にあるという御
指摘がございました。
私どもも、昨今、
外務省としてタウンミーティング的なものをあちこちで催させていただいておりまして、できる限りいろんな立場の方々の声を伺うべく努力をしてきておるところでございますが、言わば
外務省として国内に
政策を発信していくということに今努めているところでございますが、そういう中で先生御
指摘のような論点がしばしば取り上げられるわけでございますし、私どももそういった厳しい御批判があるということを十分踏まえながら
政策あるいは
改革に取り組んでいく必要があるんではないかというふうに考えておるところでございます。
昨年、
ODA大綱を十一年ぶりに見直させていただいたわけでございますが、これもまたそういった
我が国の
ODA改革の言わば集大成という気持ちで、各層から御意見、御批判をちょうだいしながら現時点でまとめられるものをまとめさせていただいたと、こういうことでございます。
ところで、御
指摘の
ODA大綱における
目的の定義付けの考え方の背景でございますが、国益重視かあるいは人道
支援かというような議論がこの
大綱をまとめていく過程で様々な方々から寄せられたこともまた事実でございまして、今なぜ
ODAかということをめぐってそもそもかなりの議論が行われたわけでございます。私どもとしては、できるだけ広く
国民の皆様の御理解を得ることが必要だという考えから、この
目的をできるだけ明確に書き込みたいということで、具体的には「
国際社会の平和と発展に貢献し、これを通じて
我が国の安全と繁栄の
確保に資することである。」というふうに書かせていただいておるわけでございます。
また、この
大綱の中では、それに加えまして、平和を希求する
我が国が
ODAを通じて
途上国の開発
支援に積極的に取り組み、
我が国の
政策を内外に示していくことは
国際社会の共感を得られる最もふさわしい
政策であるというふうに述べておりまして、そういった意味から、
ODAは今後とも大きな役割を担っていくべきであるというふうに書いておるわけでございます。国益という言葉そのものは使っておりませんが、
ODAというものが
国際社会に寄与し、それを通じて
我が国自身のプラスになっていくんだという、そういう考え方を出させていただいておるわけでございます。
〔
委員長退席、理事田浦直君着席〕
この考え方について、もう一つは、戦後、平和を追求することを国の基本に掲げました
我が国が、
日本国憲法に示された意思と国連憲章の精神にのっとり
国際社会において名誉ある地位を占めるんだといったような考え方、そしてそれにのっとって貢献してきたことを十分踏まえてきたところでございます。