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2004-03-29 第159回国会 参議院 行政監視委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年三月二十九日(月曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  三月二十六日     辞任         補欠選任      亀井 郁夫君     小林  温君      福島啓史郎君     大島 慶久君      森下 博之君     松山 政司君  三月二十九日     辞任         補欠選任      大島 慶久君     福島啓史郎君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         松 あきら君     理 事                 田浦  直君                 橋本 聖子君                 福島啓史郎君                 岩本  司君                 岡崎トミ子君                 信田 邦雄君     委 員                 阿南 一成君                 小林  温君                 椎名 一保君                 藤野 公孝君                 松村 龍二君                 松山 政司君                 吉田 博美君                 吉村剛太郎君                 脇  雅史君                 海野  徹君                 大脇 雅子君                 鈴木  寛君                 田名部匡省君             ツルネン マルテイ君                 長谷川 清君                 渡辺 秀央君                 続  訓弘君                 鶴岡  洋君                 岩佐 恵美君                 西山登紀子君                 中村 敦夫君    国務大臣        総務大臣     麻生 太郎君        法務大臣     野沢 太三君        外務大臣     川口 順子君        財務大臣     谷垣 禎一君        厚生労働大臣   坂口  力君        環境大臣     小池百合子君        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)    小野 清子君    副大臣        外務大臣    阿部 正俊君        財務大臣    石井 啓一君    事務局側        常任委員会専門        員        白石 勝美君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       貞岡 義幸君        内閣官房内閣情        報調査室内閣衛        星情報センター        次長       岸野 博之君        内閣官房拉致被        害者家族支援        室長       小熊  博君        警察庁長官官房        長        吉村 博人君        警察庁刑事局長  栗本 英雄君        警察庁警備局長  瀬川 勝久君        防衛庁長官官房        長        北原 巖男君        防衛施設庁施設        部長       戸田 量弘君        総務省行政評価        局長       田村 政志君        総務省自治行政        局長       畠中誠二郎君        法務省刑事局長  樋渡 利秋君        法務省入国管理        局長       増田 暢也君        外務省アジア大        洋州局長     薮中三十二君        外務省中東アフ        リカ局長     堂道 秀明君        外務省経済協力        局長       古田  肇君        外務省条約局長  林  景一君        財務省主計局次        長        佐々木豊成君        文部科学省初等        中等教育局長   近藤 信司君        厚生労働省医政        局長       岩尾總一郎君        厚生労働省労働        基準局長     松崎  朗君        厚生労働省労働        基準局労災補償        部長       高橋  満君        厚生労働省保険        局長       辻  哲夫君        厚生労働省政策        統括官      水田 邦雄君        農林水産大臣官        房長       小林 芳雄君        国土交通大臣官        房長       安富 正文君        海上保安庁長官  深谷 憲一君        環境大臣官房廃        棄物・リサイク        ル対策部長    南川 秀樹君    説明員        会計検査院事務        総局第一局長   石野 秀世君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○行政監視行政評価及び行政に対する苦情に関  する調査  (政策評価現状等に関する件)  (行政評価監視活動実績概要に関する件)  (政府開発援助に対する検査状況に関する件)     ─────────────
  2. 松あきら

    委員長松あきら君) ただいまから行政監視委員会を開会いたします。  委員異動について御報告をいたします。  去る二十六日、亀井郁夫君及び森下博之君が委員辞任され、その補欠として小林温君及び松山政司君が選任をされました。     ─────────────
  3. 松あきら

    委員長松あきら君) 理事補欠選任についてお諮りをいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんでしょうか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 松あきら

    委員長松あきら君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事福島啓史郎君を指名いたします。     ─────────────
  5. 松あきら

    委員長松あきら君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  行政監視行政評価及び行政に対する苦情に関する調査のため、本日の委員会政府参考人として、理事会協議のとおり、内閣官房内閣審議官貞岡義幸君外二十六名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 松あきら

    委員長松あきら君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 松あきら

    委員長松あきら君) 行政監視行政評価及び行政に対する苦情に関する調査のうち、政策評価現状等に関する件を議題といたします。  まず、特別会計制度活用状況に関する政策評価について総務省から説明を聴取いたします。麻生総務大臣
  8. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 特別会計制度活用状況に関する政策評価について御説明を申し上げます。  この政策評価は、国民特別会計の運営と成果を容易に把握できる環境整備に資するため、特別会計制度活用状況について、負担受益対応関係といった歳入歳出構造明確化観点から統一的に評価を行ったものであります。  その結果、説明責任に基づく情報提供の更なる充実を図るため、一、歳入内容とその支出先が明確に表示されること、二、剰余金内容が明確に表示されること、三、事業別工事箇所別歳入及び歳出が区分して表示されることなどが必要であると指摘をいたしております。  詳細につきましては行政評価局長の方から御説明を申し上げます。
  9. 松あきら

    委員長松あきら君) 次に、補足説明を聴取いたします。田村行政評価局長
  10. 田村政志

    政府参考人田村政志君) 特別会計制度活用状況に関する政策評価概要を御説明申し上げます。  この政策評価は、三十一の特別会計歳入歳出決算における表示内容を中心として統一的に評価したものであり、昨年十月二十四日、関係九府省に通知するとともに、公表したものであります。  まず、歳入歳出構造に関し、手数料等収入一般会計負担補助等類型ごと歳入内容とその支出先を見たところ、一部の特別会計において歳入歳出が区分されていない状況にありました。  また、複数年度にわたる歳入歳出構造に関し、歳計剰余金から翌年度への繰越資金額を控除した額である剰余金を見たところ、一部の特別会計においてこの剰余金の額が明らかにされていない状況にありました。  さらに、歳入歳出構造に係る詳細情報に関し、一つ特別会計において経理される事業が複数ある場合や工事箇所等別負担徴収単位が異なる場合があり、その場合の当該事業等ごと歳入内容支出先を見たところ、一部の特別会計において歳入歳出が区分されていない状況にありました。  このようなことから、説明責任に基づく情報提供の更なる充実を図るため、一、手数料等収入一般会計負担補助など使途が限定されている歳入については歳入歳出決定計算書その他公表資料においてその内容支出先が明確にされること、二、各特別会計表示内容にばらつきのある剰余金については歳入歳出決定計算書その他公表資料においてその内容が明確に表示されること、三、一つ特別会計において経理される事業が複数ある場合や工事箇所等別負担徴収単位が異なる場合については歳入歳出決定計算書その他公表資料において当該事業等ごと歳入及び歳出が区分して表示されることなどが必要であると指摘しております。  御説明は以上でございます。  詳細につきましては、お手元に配付の要旨及び評価書を御参照いただければと存じます。
  11. 松あきら

    委員長松あきら君) それでは次に、特別会計概要及び見直しについて財務省から説明を聴取いたします。谷垣財務大臣
  12. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 特別会計現状見直しに向けた取組について、その概要を御説明申し上げます。  まず、特別会計現状ですが、財政法では、国が特定事業を行う場合、特定資金を保有してその運用を行う場合、その他特定歳入をもって特定歳出に充て一般歳入歳出と区分して経理する必要がある場合の三つの場合に限り特別会計の設置が認められており、現在、三十一の特別会計が設置されております。  各特別会計法で定められている各特別会計の目的や性格は多岐にわたっており、経理する事業内容も様々なものに及んでおりますが、各特別会計歳出額を単純に合計した歳出総額平成十六年度予算において三百八十七兆四千億円となります。この中には、会計間の取引として重複計上されているもの等が多く含まれており、それらを除いた純計額は二百七兆四千億円となっております。その主な内訳は、債務償還費及び利払費等八十六兆二千億円、地方交付税地方特例交付金等十九兆二千億円、財政融資資金への繰入れ四十一兆三千億円、年金給付費健康保険給付費等四十五兆八千億円となっております。  国の事業特別会計として区分経理することは、事業ごと受益負担関係や収支をより明確にし、それによって適正な受益者負担歳出削減努力を促すなどの意義があると考えられます。他方、特別会計が多数設置された場合には、財政一覧性を阻害し、また、予算全体としての効率性が損なわれかねないとの指摘もなされています。  さらに、近年、我が国の厳しい財政事情の下、国全体としての一層の歳出合理化効率化が求められる中にあって、特別会計については、固有財源等をもって不要不急事業が行われているのではないかとの指摘や、執行面の実態が分かりにくいといった批判が見られたところであります。  こうした状況を踏まえ、昨年三月、財政制度等審議会特別会計小委員会を設置し、すべての特別会計を対象として幅広い見地から審議が行われました。その結果、昨年十一月、特別会計見直しに関する報告書が取りまとめられたところであります。  報告書では、まず、国全体としての財政規律を確保し、歳出合理化効率化を進める観点から、事務事業等見直しを不断に進める、続いて、歳出面での合理化効率化を前提として、歳入面における見直しも行い、歳入歳出を通じた構造見直しを進める、また、財政全体としての総覧性を確保し、国民的視点に立ってガバナンスを強化するとの観点を踏まえ、特別会計に関する分かりやすい開示を進め、説明責任強化を図る、さらに、このような見直しを行う過程で特別会計として区分経理する必要性についても不断に点検を行うという四つの基本的考え方が示されております。  さらに、このような基本的考え方に沿って、五十項目を上回る具体的方策が提言されております。  財務省としましては、提言された具体的方策について可能な限り速やかに実行に着手することとし、平成十六年度予算において、労働保険特別会計における雇用保険事業縮減合理化国民年金特別会計等における福祉施設整備に係る経費の縮減、石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計における一般会計繰入額の縮減等、様々な見直しを行ったところであります。  また、特別会計説明責任強化を図るため、歳出内容等について新たな説明資料を作成、公表したほか、企業会計的手法を活用した新たな特別会計財務書類取組を進めるなど、分かりやすい開示に努めているところであります。  財務省としましては、今後とも、特別会計について徹底した見直しを進めてまいりたいと考えております。  以上、特別会計現状見直しに向けた取組について、その概要を御説明申し上げました。
  13. 松あきら

    委員長松あきら君) 以上で説明の聴取は終わりました。     ─────────────
  14. 松あきら

    委員長松あきら君) 次に、ただいま説明を聴取いたしました政策評価現状等に関する件に加え、既に説明を聴取いたしました行政評価監視活動実績概要に関する件及び政府開発援助に対する検査状況に関する件を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  15. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 自由民主党の福島啓史郎でございます。  三権分立の下におきまして、国権の最高機関であります国会が行政権執行状況国民の負託にこたえる内容となっているかどうか、これを監視するというのがこの行政監視委員会の役割でございます。そして、責任を全うする観点から、以下、諸点にわたりまして御質問をいたしたいと思います。  まず、時間の関係で通告の質問の順序ちょっと変えておりますことをあらかじめ御了承いただきたいと思います。  まず第一に、尖閣諸島への中国人上陸問題につきましてお聞きしたいと思います。  去る二十四日に尖閣諸島上陸しました中国人七人につきまして、逮捕留置、それからその後、入管局引渡し強制退去ということになったわけでございますが、その事実関係につきまして、これはどこですか、警察ですか、お聞きしたいと思います。
  16. 瀬川勝久

    政府参考人瀬川勝久君) お答えいたします。  沖縄県警察におきましては、去る三月二十四日、魚釣島上陸した中国人男性七名につきまして、出入国管理及び難民認定法違反容疑逮捕いたしました。二十六日、同法の規定に従い、七人全員入国管理局に引渡し手続を取ったものと承知をしております。
  17. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 その後、この入管法第六十五条の規定適用いたしまして強制退去となったわけでございますが、私は、今回の措置は、中国からの強い圧力やあるいは川口外務大臣がこの四月の初めに訪中をされる、それを控えての政治的判断を優先させたのではないかと。これは一部の国務大臣も述べておりますが、そういう政治的判断を優先させたのではないかと思われるわけでございますが、法務大臣の見解はいかがでしょうか。
  18. 野沢太三

    国務大臣野沢太三君) 今回のにわかな上陸という事態に際しまして取りました措置でございますが、あくまで出入国管理及び難民認定法規定にのっとって粛々とこの退去強制手続を進めたものでございます。国外退去を強制するというのは難民認定法出入国管理法でもしっかり規定されているところでございますので、特別に政治的判断を加えたという筋ではございません。
  19. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 その根拠を、じゃ、法務大臣、お聞きしたいと思います。
  20. 増田暢也

    政府参考人増田暢也君) 入管法には、退去強制事由に該当する外国人入管当局が引き取った場合には、そして退去強制事由が認定される場合には、速やかに退去強制令書を発付すべしという規定がございます。そして、退去強制令書が発付された場合には速やかに送還先送還すべきことを求めている規定がございます。  したがいまして、今回、入管当局が速やかに送還を実行したのはこれら法の規定に基づいたものでございます。
  21. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 入管法六十五条との関係はどうなんですか。
  22. 樋渡利秋

    政府参考人樋渡利秋君) 入管法六十五条には、その者が他に罪を犯した嫌疑がないときに限りという文言が入っております。  この規定に言います「その者が他に罪を犯した嫌疑のないとき」といいますのは、当該特定の者につきまして特定犯罪嫌疑がないことを言いまして、検察官に送致するまでの間に特定の者について具体的に特定犯罪の犯人であるという嫌疑がなくなった場合はもちろんのこと、その者について当該特定犯罪について公訴を提起するに足りる嫌疑があることを明らかにし得る可能性が著しく乏しいことが判明した場合も、同条に言う、その者が罪を犯した嫌疑のないときに含まれるものと解されます。  そのことによりまして六十五条を適用したのだろうと思います。
  23. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 六十五条は刑事訴訟法二百三条の特例なわけですね。逮捕者につきましては四十八時間以内に要するに釈放するかあるいは送検するかを決めなければならない、それの特例であります。かくて、これは二百三条の特例でありますから、当然のことながら入管法六十五条はできる規定になっているわけでございます。  この六十五条を適用するか、あるいはこの入管法七十条第一項一号違反といたしまして刑事訴訟法二百三条によりまして送検するかどうかにつきましては、那覇地検は事前に沖縄県警から相談を受けたのではないでしょうか。その対応はどうでしょうか。
  24. 樋渡利秋

    政府参考人樋渡利秋君) お尋ねの件につきまして、問題の中国人らが入管に引き渡される前に沖縄県警那覇地検との間で協議を行ったものと承知しております。
  25. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 その協議の結果に基づいてこの六十五条を適用したわけですか。
  26. 樋渡利秋

    政府参考人樋渡利秋君) 本件につきましては、警察におきまして関係法令適用について、先ほども申し上げましたように検察とも協議の上で、入管法六十五条により入管に身柄を引き渡すことと判断したものと承知しております。
  27. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 御案内のように、入管法六十五条には二つの要件があるわけですね。一つ収容令書を発付するという要件と、もう一つはその者が他に罪を犯した嫌疑がないということが要件になっております。  沖縄県警調査では、この魚釣島の神社の一部が損壊されているということが確認されていると思うわけでございますが、そうした場合にこの要件に該当しないのですか。
  28. 瀬川勝久

    政府参考人瀬川勝久君) そのような報道があったということを承知しておりますけれども、現在、尖閣諸島において、確かに一部魚釣島にある顕彰碑等が損壊されているような状況が見受けられるところでございますけれども、今回逮捕した七名につきましてこの状況との結び付きということについては、現時点では特定するに至っておりません。  そういった状況から、先ほど法務当局から御答弁がありましたとおり、この出入国管理及び難民認定法の六十五条に言う「他に罪を犯した嫌疑のないとき」に当たるものというふうに解しまして、法務検察当局とも協議の上、入管に引き渡す手続を取ることとしたものであります。
  29. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 その中に、逮捕した七人の中国人の中の一人は、過去に靖国神社の狛犬にスプレーを掛けまして有罪判決を受け、現在執行猶予中の者であります。その者が再度罪を犯したことがこの逮捕によって確認されたわけでございますから、この逮捕はこの入管法三条の規定に違反したということが確認されたわけでございますから、この六十五条を適用するのはおかしいと思いますが、これについてはどうですか。送検すべきだと思いますが、それについてはどうですか。
  30. 瀬川勝久

    政府参考人瀬川勝久君) 執行猶予期間中であるかどうかということとこの六十五条の適用は直接関係がないものというふうに理解をしているところでございます。
  31. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 六十五条自体は確かにそうでありますけれども、六十五条を適用するか否かというのは正に裁量にゆだねられているわけでございます。  警察として、そうした執行猶予者についてもなおかつ、かつ一部器物損壊の疑いがある場合にもなおかつこの六十五条を発動すべきだと判断したその根拠を、じゃもう一度答えてください。
  32. 瀬川勝久

    政府参考人瀬川勝久君) 警察といたしましては、最近、外国人犯罪が極めて増加をしているという状況の中で、不法滞在外国人につきましてはこの入管法の六十五条をできるだけ活用いたしまして速やかに退去強制させることが望ましいというふうに考えているところでありまして、本件の七人につきましても、これも不法滞在外国人でありまして、法務当局より本件のような場合でも、一般論としてではありますけれども、刑事訴訟法特例を定めたこの出入国管理難民認定法の六十五条に当たるという回答も得ていますことから、この一般的な解釈といいますか、考え方適用して被疑者入管に引き渡す手続を取ることとしたものであります。
  33. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 新聞報道等によれば、沖縄県警当局逮捕留置をして送検する、そういうつもりでやっていたところ、金曜日午後から、上の方からの指示だということで入管当局に引き渡すことになったというような記事が出ておりますが、大臣小野大臣、これはこういった報道がなされていること自体につきまして公正な、かつ我が国として主権を十分に発揮した手続、方法であったというふうにお考えですか。いかがでしょうか。
  34. 小野清子

    国務大臣小野清子君) お答え申し上げます。  今回の事件では、沖縄県警察が二十四日、魚釣島上陸をいたしました中国人男性七人、出入国管理及び難民認定法違反容疑逮捕いたしまして、二十六日、同法の規定に基づき七人全員入国管理局に引渡し手続を取ったものと承知をいたしております。  尖閣諸島をめぐります問題は、これまでも警察を含む関係省庁連絡調整をいたしまして法令に基づき適正に対処してきたところでございますが、沖縄県警察は今回の事件におきましてはこうした方針を的確に実行したものであると承知をいたしております。  今後も、我が国領土内におきまして何らかの犯罪が行われますれば、警察はそれを看過せず、法令に従いまして厳正に対処するよう、国家公安委員長といたしましては警察を督励してまいりたいと考えておるところでございます。
  35. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 外務大臣にお聞きしますが、外交的判断を考慮するように要請したことはありませんか。
  36. 川口順子

    国務大臣川口順子君) それはございません。  この尖閣諸島というのは歴史的にも国際法上も我が国固有領土でございます。したがいまして、その国内法に基づいて適正に、適切に判断をするということであってしかるべきことでございまして、外務省として、あるいは私としてそういった配慮をするということをお願いをしたということではございません。
  37. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 公式的にはそうだと思いますが、しかし私はこの判断は非常に禍根を残すものではないかと思っております。金正男、金正日総書記の長男の事件もありました。適正な判断と同時に、私は国内で犯罪を起こされたわけでございますから、それに対しては厳正な態度で臨むべきだと思います。  次に、この問題、もう上陸発見がいかにも遅かったんではないかと思うわけでございますが、それを事前に阻止できなかったのか、海上保安庁にお聞きします。
  38. 深谷憲一

    政府参考人(深谷憲一君) 御説明申し上げます。  今、議題となっております尖閣諸島の警備につきましては、これまでも通常の場合、常時巡視船を一隻配備をいたしまして警戒を実施すると、こういうことをやってきておりまして、また、もちろん状況に応じまして必要な船艇を集結させて、万一不法に入ってこようとするものがあればこれについては排除するということの考え方の下にこれまでも対処しておったところでございますが、今回の事案に係ります三月二十四日の渡航につきましては事前情報がなかったものですから、今申し上げましたように、周辺海域におきましては巡視船一隻を警戒に当たらせておったところでございます。  そうしましたところ、その同日の午前六時二十四分ごろだと報告を受けておりますが、魚釣島の西方の我が国領海内で尖閣の領有権を主張する活動家が乗船した中国船一隻を確認したということでございまして、当庁といたしましては、直ちに当該巡視船によります必要な規制、警告あるいは進路規制、こういう措置を取りましたが、残念ながら当該船舶は、当該船舶というのは中国の船は小型搭載ボート二隻を降ろしまして、これを利用しまして、小回りを、小型船舶の小回りを利して活動家が上陸をしたということでございます。  私どもといたしましては、もちろんいろんな情報等を踏まえまして、今後ともいろんな状況に応じたより一層効果的、的確な警備を実施したいというふうに考えています。
  39. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 海上保安庁の方では二十八日という情報が入っていたわけでございますから、前広に私は巡回警備を行うべきではなかったかと思います。  それで、更にいい方法は空から見る方法でございます。今回の事案を情報収集衛星で事前に察知できなかったのか、また定点を常時継続的に監視するなど、船舶の運航を監視できるような衛星を開発すべきではないかというふうに思うわけですが、これについてはいかがですか。
  40. 貞岡義幸

    政府参考人貞岡義幸君) 御説明申し上げます。  情報収集衛星は、外交、防衛等の安全保障及び大規模災害等への対応等の危機管理に必要な情報の収集を主目的としており、我が国が自主運用することとしております。御質問の点につきましては、情報収集衛星による個別の撮像対象にかかわることでありますので、事柄の性質上、誠に恐縮でございますが答弁を差し控えさせていただきたいと考えております。  しかしながら、一般論として申し上げれば、例えば弾道ミサイル基地、航空機の状況、地震、火山噴火等の大規模災害の状況に関する情報の入手が可能であると考えております。  このように、情報収集衛星の運用を通じまして我が国の安全保障と危機管理に関する情報収集能力の一層の強化を図る所存でありますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。
  41. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 まあしばらくはこの尖閣諸島を監視対象とするなど、しっかりした対応をお願いしたいと思います。  それで、先ほど川口大臣も言われたわけでございますが、我が国固有領土であるというふうに主張しております。また、米国もこの尖閣諸島が日本領土であると明確に見解を示しております。七二年の沖縄復帰の一部として返還されて以来、日本の施政の下にあるというふうに明言しておりますが、この事実関係についてはいかがでしょうか、外務省
  42. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) お答え申し上げます。  尖閣諸島、正に我が国固有領土でございます。そして、日米安保条約との関係につきましては、政府としては、日米安保条約第五条は、我が国固有領土であり、かつ我が国の施政の下にある尖閣諸島適用されるとの立場でございます。  そして、この点につきまして、三月二十四日でございますけれども、アメリカの国務省副報道官は、尖閣諸島は一九七二年の沖縄返還の一環として返還されて以降、日本政府の施政の下にある、日米安保条約第五条は同条約が日本国の施政の下にある領域に適用される旨規定していることから、同条約第五条は尖閣諸島適用される旨述べたというふうに承知しております。  この点につきましては、日米両政府の見解が一致しているということを示すものであると考えております。
  43. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 今御答弁あったように、日本のみならずアメリカもこの尖閣諸島は日本の領土であるということは明快に言っているわけでございます。にもかかわらず、逮捕した後に暴徒が在北京日本国大使館前で日本の国旗を燃やす、あるいは踏み付けるなど、官憲がいるにもかかわらずそういう暴挙を行っております。  こうしたことを許している中国政府は私はウィーン条約違反であるというふうに思うわけでございますが、これについてはいかがですか。
  44. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 大使館の前で国旗を燃やし、あるいは踏みにじるという行動があったわけでございます。これは大変に遺憾なことだと存じております。これにつきましては、我が国として竹内次官から武大偉大使に対して抗議をきちんといたしまして、それから、私からも金曜日に李肇星外交部長と電話で話をしましたときに抗議をし、かつ警官がこれを阻止しなかったということも含めて抗議をいたしております。  それで、国際法との関係については、これは薮中局長から御説明をさせたいと思います。
  45. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) 正にこうしたことというのは到底我々としても極めて遺憾なところであるということで、今、大臣の御答弁申し上げましたとおり、厳重に申し入れております。  そしてまた、国際法上の関係でございますが、接受国の当局が何らの制止行動も行わないということで、外国の国旗を尊重するいわゆる国際礼譲、国際的な礼儀、礼譲の視点からいえば極めて遺憾であるというのが我々の考えでございます。したがって、中国に対し強い遺憾の意を伝えるとともに、再発防止を求めたわけでございます。  具体的に、厳格に国際法上どうかということにつきましては、私人がこうした国旗を損壊する場合、この接受国政府の責任ということにつきましては必ずしも明確な一つの定義というのが国際法上あるわけではございませんけれども、しかしながら、一般国際法上こうした外国の国旗について相当の敬意を持って取り扱われるべきであると、これは正に基本的な考えでございます。したがって、この遺憾の意を述べ、そして再発防止を求めたわけでございます。
  46. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 大臣にお聞きしますが、李肇星外交部長あるいは武大偉大使は我が方の抗議に対しましてどういう対応をしていたわけですか。
  47. 川口順子

    国務大臣川口順子君) この点につきましては、私は李肇星部長と話をいたしまして再発防止も申し入れてございますけれども、直接に言及はございませんでした。中国側は、尖閣諸島に対しての中国の立場、これを述べたということでございます。
  48. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 ということは、結局、抗議をしたといっても向こうはそれには答えず、自分の主張をしたということですね。  私は、やはりウィーン条約違反だということ、また、そうした官憲がいるにもかかわらずそうした国旗を燃やすなどの暴挙を行ったことに対しまして、単に抗議するのみならず、対応が悪ければ大使を召還するなどの強い対応をすべきだと思いますが、大臣の御見解はいかがでしょうか。
  49. 川口順子

    国務大臣川口順子君) この点につきましては、私は次の週末に中国に参りますけれども、その際にもきちんとこちら側の考え方については中国側に述べる決意でおります。  それで、大使を召還しないかするかどうかということでございますけれども、現時点では我々としては今強く申入れを行っているわけでございまして、今の時点で大使を召還をするということは考えていないということでございます。
  50. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 訪中の際に、李肇星外交部長外務部長とお会いになる際には、是非強い抗議と、また同時に再発防止を強く主張していただきたいと思います。  それで、今現在、日中間では領事条約の改定交渉が行われているというふうに聞いておりますが、その中で、こうした暴挙の再発防止措置を講ずるように提案をすべきではないかと思いますが、大臣の御見解はいかがでしょうか。
  51. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) お答え申し上げます。  現在、日中間で領事分野の協力、問題解決のための様々の議論を行っておりまして、日中領事協定の締結を目指しているところでございます。  これは、基本的には中国における日本人、邦人保護に万全を期するということ、そして日中間の治安協力を一層進めるということを念頭に置いてやっておることでございまして、他方、この領事協定は、今回のような事件、これの再発防止ということでは必ずしも直結するものではございません。  したがって、今回のことにつきましては、先ほどから申し上げていますように、厳重抗議を行い、あるいは再発防止のため先方に強く求めるということで当たってまいりたいというふうに考えております。
  52. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 であれば、再発防止について明確な確約を求めていただきたいと思います。  中国とは、こうした問題、特にインターネットを通じて若い世代が反日、嫌日を流す、情報を流す、それがあっという間に広がっていくということがあるわけでございます。日中間の将来、私は未来志向型で関係を構築していかなければならないと思うわけでございます。教科書問題あるいは歴史認識あるいは靖国神社の問題等、後ろ向きな問題ではなくて前向きな関係を二国間で討議し、それを構築していく努力は必要だというふうに思うわけでございます。  そうしたことについての大臣の具体的な取組についてお答えをいただきたいと思います。
  53. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 福島先生のおっしゃるとおりであるというふうに思います。  日本と中国は経済的に考えましても非常に密接な関係を持った国、二国間関係でありますし、政治、安全保障との関連でも非常に大事な国でございます。昨年の時点で、日本から中国への輸出は四〇%増えております。輸入も二十何%増えている、ますます年を追うごとに日中関係の相互依存関係というのは強まってきているというのが現状であると思います。  中国に対しては、この問題も含め、言うべきことはきちんと言うということであると考えております。同時に、日中関係の大局を、あるいは未来志向型でいい関係を築いていくことを、この問題でマイナスの影響を与えるということでもいけないというふうに考えております。したがいまして、委員がおっしゃいますように、特に若い人たちとの関連でより交流を深めていくことが大事であると私は考えております。  今回、中国に行きましたときに、こちらとして言うべきことはきちんと言うと同時に、将来に向けて日中の友好関係を更に強化するためにどういうことを一緒にしていくことができるかということについても李肇星外交部長と議論をしていきたいというふうに考えております。
  54. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 法務大臣への御質問は終わりましたので、委員長のお許しが得られれば、法務大臣、御退席いただいて結構でございます。
  55. 松あきら

    委員長松あきら君) 法務大臣、どうぞ御退席くださいませ。
  56. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 次に、最近のもう一つの問題であります警察の不祥事につきまして御質問をいたします。  最近、裏金処理など会計処理をめぐる不祥事が多くの警察、北海道、静岡、福岡、また過去におきまして香川、高知あるいは東京、警視庁の赤坂署などで発生しております。その状況はどうなのか、またどのような改善措置を講じているのか、まず小野大臣にお聞きしたいと思います。
  57. 吉村博人

    政府参考人吉村博人君) お答え申し上げます。  最近の事案といたしましては、北海道の旭川中央警察署における平成七年五月分、それと平成九年九月分の道費の捜査用報償費約五十万円に関しまして不適正な予算執行が見られたと。また、北海道の弟子屈警察署における平成十二年度分の捜査用報償費三十五万円について、これも不適正な執行が行われていたことが推認をされているところであります。さらに、静岡県警察におきまして、総務課の平成年度の県費旅費をめぐり約九百四十万円のいわゆる空出張事案が判明をいたしました。以上、誠に遺憾でございます。  このほか、元福岡県警の銃器対策課員が、匿名でありますが、本人が在職をしておりました平成七年から十一年までの間、裏金を作っていたとする記者会見を行ったところであります。  関係の道県警察におきましては、それぞれの公安委員会の指示を受けまして全容解明に向けて調査を進めているところでありまして、北海道警察と静岡県警察では既に途中経過を公安委員会報告をし、また公表をしているところでございます。  警察庁では、公安委員会から既に事案の早期解明あるいは会計経理の一層の適正化方策について指示を受けているところでございますが、それぞれの事案の全容が明らかになった段階で厳正に対処をすることといたしております。  改善策も触れた方がよろしゅうございますか。
  58. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 触れてください。
  59. 吉村博人

    政府参考人吉村博人君) 改善策でございますが、既に捜査費を現場で捜査員が使いやすいように会計経理における様々な制度的改革をこれまでも行ってきているところでございますけれども、さらに、国家公安委員会の指示を受けまして、警察庁で、二月二十六日には、まず県費の捜査費執行に対する監査への対応の在り方について、監査委員等から捜査員に対する聞き取り調査の要求が行われたときは特段の業務上の支障がない限りこれに応じるよう配意するように各都道府県警察に通達を出しております。  また、三月十一日には、捜査協力者に捜査費を支払う場合、本人以外の名義による領収書については徴取しないこととする旨、この四月一日からでございますが、徴取しないこととする旨、各都道府県警察に通達を発出をしております。  さらに、警察庁が都道府県警察に対し実施をいたします監査の充実強化を図る一環として、監査に関する権限等を明確化するとともに、国家公安委員会に対し監査結果を報告することなどを定めた会計の監査に関する国家公安委員会規則が既に制定をされたところでございます。公布、施行はこの四月一日の予定でございますが、制定をされました。  引き続き、各種の有効な施策を打ち出しまして国民の信頼回復に努めてまいりたいと考えております。
  60. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 警察予算を申し上げますと、警察関係では十五年度当初予算二千六百二十六億円、うち今回の温床になりました捜査費が六十八億円でございます。また、都道府県の警察費を合計いたしますと、これは十五年補正後でございますが、三兆四千百三十七億円、うち捜査報償費が二十五億円となっております。  私はこれらの予算の監査の仕組みが非常に入り組んでおるというふうに思うわけでございますが、現状はどうなっていますか。
  61. 吉村博人

    政府参考人吉村博人君) お答えを申し上げます。  国費と都道府県警察費のうちの補助対象経費につきましては警察庁が計画的に内部監査を実施をしております。また、会計検査院の実地検査も、警察庁と同様の対象経費、すなわち国費と都道府県警察費のうち補助対象経費について受検をしているところであります。さらに、都道府県警察費につきましては地方自治法の規定に基づく監査委員の監査を受監をしております。加えて、各都道府県警察では計画的に内部監査を実施をいたしまして、国費と県費について監査を行っているところでございます。  先ほども御説明申し上げましたが、警察庁では、従来以上に監査の実施頻度を高めましたり、あるいは捜査費を執行した捜査員に対する対面調査の機会を増やしたりするなどして、先ほど申し上げた国家公安委員会規則に従って、今後、都道府県警察に対し計画的に監査を実施をいたしたいと考えております。
  62. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 問題は、監査が入り組んでいると、したがって統一的な査察業務を行う組織を作るべきだと、これも後で申し上げたいと思いますが、そういう点が一つあると思います。  それと、今警察当局から三県の説明があった、一道二県ですか、があったわけでございますけれども、先ほど申しましたように、香川、高知、赤坂署など過去にも指摘されているわけでございます。また、新聞等では熊本等も言われております。  私は、まずこの三県以外の都道府県及び本庁におきましてこの裏金処理の有無につきまして早急に調査を行うべきであるというふうに思います。要するに、全数検査をしてそれでうみがあればうみを出して、その場合には謝罪、返還、かつ抜本改善措置を講ずるなどの出直しを行うべきだと思いますが、大臣の御見解、いかがでしょうか。
  63. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 不適正事案やあるいは疑惑に対しましては、既に関係道県警察におきまして公安委員会の指示を受けて鋭意調査を進めているものと承知をいたしておりますし、調査の結果が不適正なものであれば厳正な対処をするものと認識をしているところでございます。  ただいま官房長の方から申し上げましたけれども、国家公安委員会の方では、警察庁が都道府県警察に対しまして実施をいたしますいわゆる監査の充実強化、この一環といたしまして、監査に関する権限というものを明確化をいたしますと同時に、国家公安委員会に対して監査結果を報告させることを定めるなど、会計監査に関する国家公安委員会規則を制定したところでございます。このような状況から、今後、従来以上に監査の実施頻度を高めたり、あるいは捜査費を執行いたしました捜査官、それに対する対面調査の機会を増やしていくと、そのような具体的な監査の充実強化策につきましても警察庁の予算執行検討委員会におきましていわゆる検討を進めるものと承知をしておるところでございます。  警察庁におきましては、今後、都道府県警察に対しまして計画的に定期監査を実施するものと承知をいたしておりますけれども、国家公安委員会といたしましては、都道府県警察に対しまして厳正に監査を実施していくように督励してまいりたいと、そのように考えているところでございます。
  64. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 私は、警察の不祥事の防止を図っていく、その一つは公安委員の数が少ないんではないかと思うわけでございます。国家公安委員が五名ですか、各県の都道府県の公安委員会が三名ないし五名ということでございます。また、事務局体制も、国家公安委員会の方はしっかりしているようでございますけれども、都道府県公安委員会の事務局の方は必ずしも十分でないと思うわけでございます。  公安委員の数又は事務局体制をしっかり増員等をすべきだというふうに考えますが、いかがでしょうか。
  65. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 警察法によりまして、国家公安委員会につきましては委員長と五人の委員によりまして構成されることとなっております。都道府県の公安委員会につきましては、いわゆる大都道府県は五人、これは十二県府あるわけでございますけれども、その他の県におきましては三人の委員で構成することとされておりまして、この構成でこれまで五十年近く運営されてきたところでございます。  公安委員会委員の数につきましては、国民の良識を代表する高い見識を持った方々で構成されるという点が一点でございます。二点目は合議体として充実をした審議を行う必要があるということ、三点目は災害等緊急事態が生じた場合には速やかな対応が必要とされる、こうした観点から必要に応じて十分であると認識をしてこれまで活動してまいったわけでございます。  公安委員会の事務局の体制強化につきましては、平成十二年八月に取りまとめました警察改革要綱におきまして公安委員会の補佐体制の確立を盛り込ませたところでございます。国家公安委員会におきましては、平成十三年四月に警察庁に国家公安委員会会務官を新設をいたしました。補佐体制を五人体制から十三人体制に強化をいたしまして、都道府県公安委員会におきましても補佐体制が増強されておりまして、全体として百十七名から二百三十三人体制となっております。  このように補佐体制を確立をいたしました結果、公安委員会の運営状況を見ましても、定例会議以外の折にも委員間での意見交換の機会を作って非常に積極的に活動しておりますし、警察署に出向きまして活動状況を直に視察をしたり、あるいは第一線の警察職員と直接に意見交換を実施するなど、活動が活発化しているものと認識をいたしているところでございます。
  66. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 これは警察法の改正になるわけでございますけれども、都道府県公安委員会の数、公安委員会委員の数の増大、また事務局体制の整備について是非検討していただきたいと思うわけでございます。  その際、イギリスの警察管理委員会、ポリスオーソリティーでございますが、これは委員が十七名、地方議会議員、治安判事、民間人という構成になっているようでございますが、そうしたものも参考にしながら、是非この公安委員の数の増大とそれから事務局体制の整備を図っていただきたいと思います。  それで、最近の警察不祥事、会計上の不祥事のみならず、収賄事件なりあるいは警察官のわいせつ行為を始めといたしまして、この警察官のモラルの低下とモラール、士気の低下が見られるわけでございますが、この要因について警察当局はどういうふうに考えておられるか、お聞きしたいと思います。
  67. 吉村博人

    政府参考人吉村博人君) お答え申し上げます。  平成十一年、十二年以来、一連の警察不祥事があったわけでございますが、それ以来、組織を挙げて警察改革を進めていく中で今委員指摘のような事案がまた相次いで発生をしているということで、極めて遺憾に感じておるところでございます。  なかなか事案ごとにこれは原因を分析をいたしませんと一概に不祥事の原因というのは申し上げにくいと思いますし、事案ごとの原因分析を通じて今後の対策に生かしていくべきではないかと考えておりますが、まず基本的には、不祥事を起こした一人一人の警察官、警察職員の職務倫理意識と申しますか、その意識が欠如をしているということが大きく第一に挙げられようかと思いますし、第二に、幹部が指揮監督を十分に行っていたのか、あるいは部下がいろいろ仕事をしていく上での業務管理が十分になされていたのかということについて、あるいはその点の不足があったのではないかというところが第二にファクターとして挙げられるのではないかと考えておるところでございます。  そこで、監察体制を強化をいたしまして、あくまで不祥事案の未然防止に重点を志向いたしました監察の強化、それから職務倫理教養の充実、あるいは業務管理の徹底などの諸対策の推進をやっていく必要があると思いますし、努めているところでございます。  特に、私どもが思っておりますのは、業務に係る、すなわち捜査活動、交通取締りあるいは留置管理等の業務に係って不祥事が起きるというのは、これは最も良くないことと思いますので、これにまず的を当てまして、そのためには監察部門と業務の主管部門が緊密に連携をいたしまして、発生した個々の非違事案の原因を分析をして、業務管理の改善等の再発防止対策に反映させるように努めてきたところでございます。  この結果、平成十二年以降、業務に係る非違事案につきましては、数は少しずつではございますけれども減ってきているという状況にございますが、まだまだ今御指摘のような数、発生をしておりますので、総数を減らすべく一層努力をしてまいりたいと考えております。
  68. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 また、問題なのは、モラルとモラールの両方の低下に加えまして、検挙率も非常に低下しています。  この要因として、一つ、私は、この昇進昇任制度におきましてベテランがなかなか評価を受けられないような仕組みになっているというような問題、あるいはそうしたベテランの捜査員の持っておりますノウハウの承継が遅れているんじゃないかというようなこと、またハイテクの機器の導入なども積極的に考えていかなければならない、そういうふうに考えるわけでございますが、これらの点を含めまして、この検挙率の向上につきましてどう対応されるのか、お考えをお聞きしたいと思います。
  69. 栗本英雄

    政府参考人(栗本英雄君) 委員指摘のように、現在の検挙率の状況につきましては、大変低くまた厳しい状況だと認識しております。ただ、この数年来、第一線の捜査員が大変厳しい捜査環境の中でも苦労いたしておりまして、平成十三年以降は徐々にではありますが若干の向上が見られる状況にはございます。  また、これらの検挙率の低下の原因としてはもういろいろな面があろうかと思います。特に、第一線において検挙状況としての検挙件数、また検挙人員は大変増加してきておるわけですが、犯罪の増加にまだ追い付けていない状況など、また来日外国人犯罪等大変捜査に困難を来すような犯罪が非常に増えてきているなど、たくさんあります。  また、そのような中で私どもの捜査体制の問題としては、今委員指摘のように、ベテランの捜査員が今後いなくなってくる、またその世代交代がある等々の問題もあるわけでございまして、私どもとしては、現在既に警察庁で掲げております緊急治安対策プログラム、また犯罪対策閣僚会議で決められていただいております行動計画にのっとった各種対策を懸命に推進してまいりたいと思っておりますし、その中におきまして、先ほど申し上げたベテランの捜査員の捜査能力が減退するということを踏まえた今後新しい捜査員の育成、またハイテク機器の導入、こういうものについても努力してまいりたいと考えているところでございます。
  70. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 先ほど官房長の答弁にもありましたように、平成十二年、十三年に続きましてまた不祥事が出ているわけでございます。私はこうした警察の不祥事の背景には構造的な問題があるというふうに考えるわけでございます。  その一つは、少数のキャリアによります組織運営が行われているわけでございますが、そうしたものから、キャリアでない人の大幅な登用、特に各県の県警本部長への登用など、数値目標を設定する、あるいは、先ほど申しましたように、捜査員がなかなか捜査の腰が重いというのも、点数制度、そのことが果たして点数として評価されるのかどうかという点が問題になっております。そうした点数制度の弊害を是正する、あるいは警察の捜査につきましての第三者の評価機関を導入するなどの抜本対策を講ずべきだと思うわけでございます。これについては、大臣、いかがでしょうか。
  71. 吉村博人

    政府参考人吉村博人君) 委員お尋ねの件でございますが、警察庁採用の警察官とそれから都道府県警察採用の警察官、これはそれぞれの長所を発揮しながら役割分担を行うべきでありますし、効果的な業務、警察業務の運営に現時点で努力をしているところというふうに承知をしてございます。  都道府県警察採用の警察官につきましても、出身の都道府県警の推薦に基づきまして警察庁に中途採用される制度がございます。この人たちについては、警察庁における勤務のみならず、出身以外の各都道府県警察本部の部長でありますとか課長でありますとか、あるいは本部長としてその能力を全国レベルで発揮をしていただいているところでございます。現在は警察部長にこの推薦の人が三名就いておりまして、滋賀県、長崎県、佐賀県の三県におきましては推薦の方が本部長に登用をされているところであります。  今後とも、適材適所の観点から、こういった意欲、能力のある方々を登用してまいる必要があると思いますし、今御指摘のあったあしき点数主義についても、そのようなことのないように、しかし実績管理をやりながら人事を処遇していくべきではないかと考えております。
  72. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 私は、この警察改革につきましては、お隣の川口大臣が非常に取り組まれたと思います。外務省改革、私は順調に進んでいると思います。その外務省改革を是非参考にして警察改革を小野大臣に進めていただきたいと思います。  外務省改革の中心は、一つは意識改革でございます。それから二番目が、今申しましたこの人事制度の再構築でございまして、外部から登用したり、あるいはキャリアでない人を登用すると。今の説明ですと、四十七のうち三でございますから五%でございます。しかし、大使の場合にはたしか二割だと思ったですが、そうした外部なりキャリアでない人の登用という数値目標を出しております。  それから三番目には、予算の透明性の確保でございまして、これは報償費の厳格な事前審査と事後チェック、これはたしか十万円以上は副大臣のたしか決裁が要るようにしてあったはずでございます。また、会計の研修をちゃんとキャリアにも受けさせるということをやらせております。  さらに四番目には、監察査察の強化ということで、監察査察官を設置してそれに現職の検事を採用するなどしております。また、広報なりあるいは広聴、広く聴く体制も再構築することになっております。  そうした外務省の改革を参考にして、是非、警察改革に取り組んでいただきたいと思うわけでございますが、大臣の決意をお聞きします。
  73. 小野清子

    国務大臣小野清子君) ただいま福島委員の方から大変示唆に富んだ御意見を拝聴させていただきました。全力を尽くしまして、国民の信託が得られるように、内部からの改革に邁進してまいりたいと思っております。
  74. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 是非取り組んでいただきたい、我々も国会議員として応援をしていきたいと思います。  次に、北朝鮮の問題に移りたいと思います。  まず、外務省当局にお聞きしたいわけでございますが、二〇〇二年十月末のクアラルンプールで北朝鮮に求めました百五十項目の回答はどうなっているか、これ、薮中局長ですか、お聞きします。
  75. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) お答え申し上げます。  拉致問題の解決ということで、特に、今の御指摘委員指摘の点は、安否不明の方々につきまして、我々の方から百五十項目にわたる調査、これを徹底した真相究明という観点から求めております。これは、事あるごとに、機会あるごとにこれについての回答を督促しておりますけれども、残念ながら、これまでのところ、先方から、北朝鮮側から回答がないというのが状況でございます。  引き続き、この件につきましても、鋭意先方に求めてまいりたいというふうに考えております。
  76. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 私は、この拉致問題の関係者を調査していかなきゃいけないわけでございますが、その点に関しまして、中山参与がこの日本、北朝鮮の拉致関係者の合同調査委員会につきまして問題があるのではないかというような発言をしたとの報道があります。これは報道でございますから必ずしも真意を反映していないのかも分かりませんが、そういう報道があります。  そもそも、この合同調査委員会はどちらが提案したのか。つまり、北朝鮮側なのか日本なのか。  その二点、中山参与の真意と、それから合同調査委員会はどちらが提案したのか、お聞きしたいと思います。
  77. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) お答え申し上げます。  今、委員指摘調査委員会でございますけれども、これは正に拉致問題の解決、それは八名の方々の一刻も早い帰国と、そしてまた安否不明の方々についての徹底した調査、真相の究明でございます。その真相の究明に当たって、先ほど申し上げましたように、百五十項目にわたる真相の究明、我々からの質問を投げ掛けております。しかし、まだなかなか何の返事もないという中で、私どもの方から、日本側から、先般も日朝のハイレベル協議をピョンヤンで行いました際に、この問題の解決の重要性ということを訴える中で、例えば、それでは我々の方もその調査に加わって行うということでいえば合同調査委員会というのもあるかもしれないということで、私どもの方から、この真相究明、そのために一つのアイデアとして提起したものでございます。
  78. 小熊博

    政府参考人(小熊博君) お答えいたします。  合同調査委員会の設置に関する中山内閣官房参与の発言についてでございますけれども、合同調査委員会の設置は、安否不明の拉致被害者に関する徹底的な真相究明を行っていくための一つのアイデアとして示されたと考えるが、その設置に当たっては委員の構成や調査の範囲などを見極める必要があり、今後、北朝鮮側との協議の進展に応じて政府関係部局とも十分に相談しつつ臨んでもらいたいと、そういう趣旨で行われたものであると確認しております。
  79. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 ということは、問題ないということでよろしいんですか。もう一度。
  80. 小熊博

    政府参考人(小熊博君) 北朝鮮側との協議の進展に応じて関係部局とも相談しつつ臨んでもらいたいという趣旨で行っていただきたいという参与の趣旨でございます。
  81. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 もう一度確認しますが、合同調査委員会調査を進めていくことには問題はないわけですね。
  82. 小熊博

    政府参考人(小熊博君) この委員会の具体的態様については、現段階では確たる結論を得ていないというふうに承知しておりますので、北朝鮮との協議の進展に応じて関係部局で今後更に詰めてまいるというふうに聞いております。
  83. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 先ほどの外務省局長の答弁では、日本側から提案したということになっているわけですよ。それに対しまして、何か後ろ向きのような今答弁を受けるわけでございますが、そうした日本側の提案に沿って、厳正で的確に調査をする。私は、やっぱり北朝鮮の協力がないと、調査というのはできないと思うんですね。それが、ただ単に北朝鮮のあらかじめ結論を用意したものに乗っかってやるような調査、それはもちろん意味がない、それは問題があるわけでございますけれども、そうでない限り、合同で調査をするというのは私はいい方法だと思いますが、それについては今の調査、中山参与室はどうですか。
  84. 小熊博

    政府参考人(小熊博君) お答えいたします。  私ども支援室といたしましても、今後の北朝鮮側との協議の進展を、状況を見極めながら、外務省から合同調査委員会の設置について相談された際には、慎重に検討してまいりたいと考えております。
  85. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 まあこれは中山参与に来ていただいて聞くよりないと思いますので、次に移りたいと思いますが。  この十六家族の、国外移送目的略取の罪で告発、関係家族が告発しているということを聞いておりますが、その事実関係、また、拉致被害者と想定される者の数及び捜査状況はどうなっているのか、また、朝鮮総連の関与が言われておりますが、その事実は、事実関係を捜査しているのかどうか、これらにつきまして捜査当局の意見をお伺いします。
  86. 瀬川勝久

    政府参考人瀬川勝久君) 警察といたしましては、これまで一連の捜査の結果、拉致容疑事案は十件十五名というふうに判断をしております。そして、これらの拉致に関与した北朝鮮工作員やよど号犯人ら三名について、既に逮捕状の発付を得て所要の手配等も行っているわけでございます。  一方、この十件十五名の方以外にも北朝鮮による拉致の可能性を排除できない事案があるというふうに見ておりまして、告発が提出されている事案も含めまして、引き続き鋭意所要の捜査や調査を進めております。  なお、一昨年の総理訪朝以来、特に北朝鮮による拉致ではないかということで大変数多くの届出や相談を受理しております。また、お尋ねありましたとおり、告訴、告発の提出も行われているところでございます。こういった中で、発生から相当の年月が経過しておるということもありまして大変困難な捜査でありますけれども、鋭意所要の捜査や調査を進めているところでございまして、こういった過程で、昭和五十九年に山梨県内で失踪されまして、本年に入りまして拉致容疑事案ではないかと告発状が出されている事案につきまして、山梨県警の捜査の結果、この方が失踪直後に亡くなっているということが判明するというような結果も出ております。引き続き、事案の重大性にかんがみまして、全容解明に取り組んでまいりたいと思います。  それから、拉致被害者の数でございますが、先ほど申し上げましたとおりでございまして、これまでのところ、拉致容疑事案十件十五名と見ております。また、それ以外にも北朝鮮による拉致の可能性を排除できない事案があるというふうに見ているところでございまして、ただ、その全容の解明のために、今後とも関係機関と十分連携しながら引き続き最大限の努力を持って進めてまいりたいということでございまして、何件の疑いのある事案について捜査、調査をしているかという点につきましては、事案の究明に当たりまして予断を与えるというようなこともございますので、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。  それから、朝総連の関与云々ということでございますけれども、先ほど来申し上げておりますとおり鋭意捜査を進めているところでございますが、警察の立場といたしましては、その捜査の過程で犯罪に協力したというようなことが明らかになる、その協力行為が、協力した者が具体的な刑罰法令に違反するという場合には、これに対して厳正にこれは対処してまいりたいということでございます。
  87. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 合同調査委員会に加えまして、私は、国際刑事裁判所への提訴をも検討すべきではないかと思うわけでございます。現在、日本は加盟していないわけでございますが、早急に条約を批准し、この国際刑事裁判所に付託をすべきではないか、北朝鮮拉致問題を付託すべきではないか、また安保理での決議採択についても検討をすべきではないかと思うわけでございますが、大臣の御見解はいかがですか。
  88. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 北朝鮮の拉致問題について引き続き解決のための努力をやっていかなければいけない、それを日朝間だけではなくて国際的な場で取り組んでいかなければいけないということについて、委員のおっしゃるとおりであるというふうに思っております。  それで、今後、北朝鮮との間で事実関係の究明、あるいは五人の家族の方の帰国について話をしていく中で、どのような対応がその時々の状況に応じて適切であるかということは判断をしていきたいというふうに思っております。  それで、ICCとの関連でございますけれども、まず、これはおっしゃるように、日本はまだ加盟をしていないということでございまして、現在は何もできないということでございます。  それで、ICCに加盟した暁にこれがどういう役割を果たし得るかということでございますけれども、補完性の原則というのがございまして、一義的には、それぞれの国において訴追、処罰がなされるということがまず想定をされているということでございます。その点について留意をする必要があるということと、ICCにおいてこれを追及をしていく場合に、北朝鮮は現在ICCのその規程を批准をしていない、加盟をしていないということでございまして、その時点でどういう状況になっているか分かりませんけれども、いずれにしても、もししていないという状況であれば、ICCの検察官に対して協力をするという義務を持たないという形になるという制約がございます。  そういった問題点はありますけれども、今、日本としては、このICCについて、関係の各国の法整備状況ですとか、我が国としてどのような法令が必要かという整合性についての検討を行っているわけでございます。  いずれにしても、一番大事なのは、日本として北朝鮮との問題を自らどのように解決をしていくかということについて強い意思を持って実行をしていくということであるというふうに考えております。
  89. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 最近、北朝鮮は状況を見るという対応のように変わってきたというふうな情報もあります。厳正な対応措置、今までと変わりのない北朝鮮に対します断固たる対応をお願いしたいと思います。  最後になりましたが、最後の質問でございますが、ODA関係で、特に肥料、農薬、農業機械といった個別の資材援助を行っておりますKR援助につきまして、会検から、例えば肥料につきまして、農薬につきまして三分の一ぐらいが使われていないなどの指摘があります。私は、こうした資材の個別供与はやめて、それぞれの国に応じました食料自給率の向上のための計画作成なり技術指導なり、あるいはインフラ整備を行う等の新しい農業支援に変えるべきだと思いますが、それについてはいかがですか。
  90. 古田肇

    政府参考人(古田肇君) 御答弁申し上げます。  私ども、ODAに関する中期政策の中で、途上国自身が国内の食料生産力を高める努力を積極的に支援していくというふうにうたっておりまして、農業分野におきます協力について、持続可能な農村・農業開発に向けた中期的な取組への支援を重視しているところでございます。  御指摘のとおり、計画から実施までを視野に入れながら、国ごとの状況に応じて様々な援助手法を組み合わせた総合的な支援を行うことが望ましいというふうに考えておりまして、例えばタンザニア等におきましてそういった努力を続けてきておるわけでございます。  なお、食料増産援助について御指摘がございましたが、これにつきましては、外務省改革に関する「変える会」の最終報告を受けまして、一昨年十二月に農薬の適正使用及び環境配慮を始めとする抜本的な見直しを行ったところでございまして、ただ、現実にその見直しの結果に基づいて詳細な調査あるいは被援助国との協議ということを通じますと、やはり必要のある部分はあるのでございまして、相当削減しつつはございますが、必要なところには必要な援助をしておくということで、見直しつつ、これについては現在供与しているところでございます。
  91. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 早急に見直しをしていただきたいと思います。  時間が参りましたので、以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  92. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 民主党の岡崎トミ子でございます。  昨年の十二月にPCB廃棄物対策に関する行政評価・監視結果に基づく勧告が出されました。そこで、これに関連いたしましては、三年前に第百五十一国会でPCB特措法が審議されました際、環境委員会で私、質問をいたしました。今回の総務省の勧告は、いずれもこの指摘はもっともでございます。  そこで質問をした際、現実にこういう点というふうに問題を指摘いたしましたけれども、その問題が現実に発生しているということが分かりました。まず前提として、PCB廃棄物の実態把握がどれだけ進んだのかを聞いていきたいと思います。  二〇〇一年、平成十三年六月のPCB特措法質疑の際には、PCB廃棄物の量がどれだけ正確に把握されているか聞きましたところ、それまでの調査ではアンケートに基づくもので必ずしも正確な数字ではないという説明でありました。  PCBは人間が作ったものでありますので、日本ではこれまでに使用されたPCBの量は五万四千一トンとほぼ正確に分かっているわけです。この最後の一トンまでどこにあるか把握して正確に処理してほしいということを当時私は申し上げましたけれども、現実にはそれはどこかに流出してしまった、既に環境の中に流れてしまっていて、現実には無理なわけなんですね。  当時、環境省の方では、PCB特措法の成立で事業者によるPCB廃棄物の届出を義務化することになっておりますので、その段階では正確な数字の把握が可能になるというふうに答弁をされているんです。  そこで質問なんですが、PCB特措法審議の時点でどこにあるか不明であったPCBについて、その後、何トンのPCBが行方が明らかになったか、まずお知らせいただきたいと思います。
  93. 南川秀樹

    政府参考人(南川秀樹君) お答えいたします。  前回の国会の際にお答えいたしましたものは、平成年度のアンケート調査などに基づくものでございました。その時点で分かっておりました数字としまして、例えば高圧トランス、高圧コンデンサー、これが合わせて二十一万九千台であったわけでございます。これが、その後、十四年三月までの届出で、集計といたしまして二十五万七千台というふうに増えております。また、安定器につきましては二百四十万個であったものが四百八十二万個に、柱上トランスにつきましては百三十八万台が百七十七万台ということでございます。  具体的なPCBにして何トンというのはすぐ出せませんが、このように把握につきましては確実に進んできているというふうに認識をしております。
  94. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 結局改善されていなかったということなわけなんですけれども、問題はその所在をつかんだPCBの量ですね。これがどれだけ五万四千一トンに近づいたのかというのが大事なんですけれども、少なくとも、現在、全国各地で保管されておりますPCB廃棄物全体のうち、どれだけを把握してこの制度に乗せることができたのかということが大事なわけです。  この届出の義務がある事業場の数はおよそどの程度と考えているか、これまでの届出があった事業場は幾つか。それから、都道府県による処理計画の策定がまだ進んでいない、国の基本計画ができたばかりであって、処理に向けた調整が進んでいないためできていなかったんだという説明も聞いているんですけれども、このPCB特措法質疑の際に指摘したとおり、それぞれ都道府県等にどれだけのPCBの廃棄物があるか的確に把握しなければ適切な処理計画も立てることができないだろうというふうに思うんです。  このPCB廃棄物の保管の実態に関する情報には、この特措法に基づく届出の情報のほかに、一つ、財団法人電気絶縁物処理協会が昭和四十九年から平成十三年の間に整備したPCB台帳、二つ目に、当時の厚生省が平成四年と十年に行った実態調査と、さらに十二年に行ったフォローアップ調査、三番目に、各府省庁が平成十二年に閣議了解に基づいて行ったいわゆる閣議了解に基づく調査の結果、そして四番目に、電気事業法に基づいて届けられた情報があるわけですけれども、今回のこの総務省指摘によりますと、環境省は、閣議了解に基づく調査、PCB台帳又は電気事業法に基づく届出によって他の府省庁が把握している情報のうち、平成十年八月現在のPCB台帳の情報しか収集していなくて、だから都道府県等の特措法担当部局には提供していないんですね。このことが、都道府県等の特措法担当部局が多くの保管事業場に対して届出を行うようにと個別周知をしなかった原因の一つに挙げられているわけです。  今回の勧告でも、平成十三年、十四年ともに届出を行わなかった五百四十五の保管事業場のうち、六十五の保管事業場について現地調査を行ったところ、七割に当たる四十七の保管事業場が特措法担当部局による個別周知を受けていなかったと、このように言われておりますけれども、この環境省が閣議了解に基づく調査、電気事業法に基づく届出による情報を収集しなかったというのはなぜでしょうか。
  95. 南川秀樹

    政府参考人(南川秀樹君) まず、全体で私ども把握しています範囲では、届出の保管事業所数でございますが、四万四百、およそ四万四百でございます。非常に膨大な数の事業場でございまして、たくさん大型の機器を持っているところもございますれば、本当に安定器が一個、二個とかいうことで、実は全く様々でございます。  そして、そういう状況の中で、都道府県でございますが、現在、廃棄物処理計画については策定は少しずつ準備が進んでいるというのが現状でございます。具体的には、北海道で計画を作りましたが、それ以外の地域では現在策定中ということでございます。ただ、これにつきましては、今年の十二月から北九州の処理も動きます。そういった地域の環境事業団におきます処理の時期を見ながら、それに間に合う形で計画の策定作業が進んでいるというふうに承知をいたしております。  なお、私どもとしましては、これまでも私どもの手に入る範囲で確たる情報については地方自治体にお知らせをしてきたところでございますが、一部不確定なものについて周知が遅れたこともございます。総務省の勧告を受けまして、早速、昨年の十二月二十六日に会議を開きまして、具体的な情報を、様々な情報ございますけれども、すべて自治体に流しまして、的確な届出がなされるような、そういった依頼をしたわけでございます。
  96. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 電気事業法に基づく……
  97. 南川秀樹

    政府参考人(南川秀樹君) 済みません。忘れました。  電気事業法の関係につきましては、これは経済産業省の地方局がすべて集めております。本省には来ないということでございますので、直接、経産省の方の地方事務局から都道府県に送っていただくようにお願いしたところでございます。
  98. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 いずれも関係官庁ですね、それぞれが持っているデータを縦割りで収集すると。それでもって地方に提供しなきゃいけないわけなんですけれども、それ全部現場で突き合わせるやり方なわけなんですね。私は、責任省庁であります環境省でなぜ一括してそのデータをまとめて、そして特措法の担当部局に提供するようなやり方ができないのか。電子データで収集すれば作業というのは非常に簡単だというふうに思いますし、情報公開にもつながりますし、それをメールで送るというふうにすればいいわけなんですね。  少なくとも環境省として都道府県で突き合わせたデータを収集して、全国のデータを一括して収集するということを是非していただきたいと思いますけれども、その点に関してはいかがですか。
  99. 南川秀樹

    政府参考人(南川秀樹君) 御指摘のとおりでございまして、できるだけまとめて電子的な情報にしたいと思います。特に地方通産局でまとまったデータにつきましても、私ども、現在各地域に置いております地方環境調査官事務所、まだ機能弱体でございます。そういったところの機能もアップしますれば、そこか、地方通産局からもらって県ないしまた本省にも送るということが可能でございますので、そういった体制の整備も含めてしっかりと取り組んでいきたいと思います。
  100. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 総務省の勧告に対応し始めている報告が今あったわけなんですけれども、やはり環境省が受けたものは届出を徹底させて督促励行する、事業場名簿の的確な整備を図る、そして環境省が技術的な助言も行うというふうに言われているわけですから、新しく紙を流すという、こういうふうなこと、あるいは関係の各都道府県のところに関する課長会議を開いただけでは済まされないというふうに私たちは思っております。  単にこの届出が行われていないだけではなかったんですね。先ほどPCB廃棄物の把握状況が改善されつつあるという説明だったわけなんですけれども、この総務省調査では大変危険な実態が明らかになっております。二百二十六の事業場のうち、PCB廃棄物のすべてを紛失している事業場が四つ、一部を紛失した事業場が三つ、PCB特措法の規定に反して電気工事の事業者に譲渡してしまった、大変ですよね、こういう事業場が二つもあったと。こういうことなんですけれども、やはり総務省調査でこのPCB廃棄物を紛失したり譲渡した事業場があったことについてどのように認識しているか、お伺いしておきたいと思います。
  101. 南川秀樹

    政府参考人(南川秀樹君) 今回、調査で紛失あるいは譲渡ということが分かりまして大変残念でございますし、私どもとしても非常に遺憾に感じております。指導はもちろんでございますけれども、具体的な、今回紛失あるいは不適切な譲渡があったところにつきましては、自治体にも話を聞きまして、その後の状態のフォローをしております。  ただ、一般的に、施設としましては老人福祉施設、病院、それから学校というところでございまして、非常に自治体との連絡によって対応もしやすいということもございます。そういう意味では、紛失物の徹底した、捜し出すと申しますか、そういったこと、それから不適切であっても譲渡されたものについては厳しく管理していただくと、そういった事後的な対応は比較的取りやすいのが救いでございまして、それが環境汚染につながらないような措置をしっかり取っていきたいと考えております。
  102. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 環境汚染については後でまた伺いたいと思いますけれども、まずその譲渡した事業場について詳しく事情を調べたか伺いたいと思いますが、まず最初に総務省に伺って、その次に環境省に伺いたいと思います。
  103. 田村政志

    政府参考人田村政志君) 譲渡の例でございますが、例えば老人福祉施設から電気工事業者にPCB使用安定器を譲渡している例がございます。それから、病院で病院のPCBの安定器五十六個の撤去工事を行いましたが、その際に工事を請け負った電気工事業者にPCB安定器を譲渡している例がございます。こういった例が指摘されております。
  104. 南川秀樹

    政府参考人(南川秀樹君) 先ほど総務省から御指摘がございました案件につきましては、私どもも関係の県から詳しく話を聞いております。  いずれにしても、いずれも撤去を行いました電気事業者が保管を行っているということで、それについてしっかり保管するように都道府県を通じてお願いしているところでございます。
  105. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 まず、大変な危険な状況があった、勧告も受けたと、こういうことですから、私は、環境省からは遺憾の意をきちんと聞いておきたかったというふうに思っております、その意見がありませんでしたけれども。  やはりなくなったものに関して一つ一つ法律が適用されていかなければなりませんけれども、まず紛失については廃棄物処理法違反などの摘発は行われますか。
  106. 南川秀樹

    政府参考人(南川秀樹君) 当座でございますが、まず、紛失したPCB廃棄物につきまして、それを捜し出すように指示をしておりまして、それに全力を尽くしてほしいと思います。  紛失即廃掃法違反ではございませんけれども、仮にそれが不法投棄になるということであれば廃棄物処理法違反ということで摘発を行うということもあり得ると考えております。
  107. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 本当にその点よろしくお願いします。  不適正ならというふうに言っているだけでは駄目で、紛失しているケースをきちんと把握して、それぞれについて詳しく調べて、そして処分、摘発、こういうふうにしていただきたいというふうに思います。紛失というのは一体どこに行ってしまったのか分からないということですから、これについての環境汚染、危険ですね。  もう一つは、紛失、譲渡までいかなくても、保管基準に基づいて適正な保管ですね、これがされていない事業場が百六十七もあったわけですから。調査された事業場のうちのこれ八割です。多いですね。総務省調査で明らかになったこの不適正保管にも環境汚染の危険はないか、二つ目の問題です。  そして、これら二つを併せまして、保管状況によっては周辺の土壌を汚染するという、こういう場合もあろうかと、私は三年前にもこのことを指摘をいたしておりますけれども、その汚染の有無を調べる必要があるのではないかと思っておりますので、汚染状況からこのところまで伺いたいと思います。
  108. 南川秀樹

    政府参考人(南川秀樹君) 不適切な保管ということで、密閉容器できちんと保管されていないとか、あるいは保管場所なのにそこにPCBが保管されているという掲示がされていない、あるいは本来置くべき管理設置者が置かれていないと、そういった御指摘がございます。  こういうことで、特にこういう問題がある場合、環境上の心配がございます。特に、容器が密閉されていないことによりまして、PCBの漏えいあるいは揮発ということについては大変な環境汚染ということも心配されるわけでございます。私どもとしましては、その保管状況の届出をしっかりしていただくようにということで追加的にお願いをしております。  なお、周辺につきましては、都道府県におきまして様々なPCBの関係調査なされております。そういった調査結果も踏まえながら、今後更に検討をしてまいりたいと考えております。
  109. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 ちょっと、もう少し触れていただきたかったことがありましたけれども、まず、今、漏れないようにということなんですけれども、漏れないように、流出しないように、揮散しないようにというふうに定められておりまして、この保管基準の表示違反も含まれているということでした。  表示違反も見過ごしにできないわけなんですけれども、今度、代替わりによる認識不足、次に替わったときの、これも伝えられていない場合に、きちんと表示があったらば代が替わってもきちんと分かるということですから、この表示違反ですね、これが大変問題だということです。  それから、PCBは大変猛毒なんだ、しかも残留性も高いんだと、環境省は非常に危険なものを保管させているという認識をしっかり持つことが必要だというふうに思いますけれども、総務省が見付けて明るみに出さなかったらこのような傾向がまだまだ続いていたのではないかという、そういう心配があるわけなんです。  紛失、そして譲渡、八割もの事業場での不適正な保管があったということは、結局はこのPCBの危険性、適正な保管の必要性が十分に認識されていなかったということになりますので、法案審議の際、改めて私も、その有毒性や保管の必要性について周知を図るという、その答弁を前にもいただいております。そして、何かこういうような、もう全部配り終わって、なかったところをもう一回刷っていただいたものなんですけれども、パンフレットなども作成して配布されたということなんですけれども、これ、ちゃんとそれぞれの事業場に届くような周知ではなかったんでしょうか。
  110. 南川秀樹

    政府参考人(南川秀樹君) パンフレットあるいはホームページによりましてPCBの対策をしっかり周知する、さらに、PCB自身は大変な毒性も、有害性があるわけでございますので、そういったことも併せて周知するということで私どももパンフレットを作ったところでございます。  ただ、残念ながら今その印刷が切れております。そして、新しい知見もございますので、新しい知見を入れて、保管の方法のハウツーなども含めて、より詳細なパンフレットを作り直しております。非常に近い時点でその改訂をいたしまして、それをたくさん印刷しまして、全国のそれこそ四万幾つの事業場、さらにその周辺のそれを管理する地方公共団体などに配布いたしますし、また一般の方からも御要望があればお渡ししたいと思います。それから、ホームページにおきましてもダウンロードすれば印刷ができるということで、広くお知らせをしていきたいと考えております。
  111. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 今までの延長で周知徹底を強めるということだけでは駄目だと思うわけなんですけれども、今のように前向きに様々に対処していただくということでありますけれども、やはり私は、都道府県を通してでもあれフォローアップをきちんと行って、そして都道府県の対応を含めて常に状況を把握するような、そうした努力をしていただきたいというふうに思うんです。  小池大臣に伺いますけれども、もうここだけでは駄目で、立入検査ですね、技術的な助言を行うようにというふうに勧告をされております。しかし、単に立入検査についての方針策定、計画的な実施を行うように、また的確な検査表を作成するように伝えるだけでも不十分でありまして、参議院の質疑の際にも、やはりここをきちんとしませんと、イヌイットの人、北極圏にまで、全くPCBに関係のないところにまでそれがたまっていた、滞留していたという問題なども含めますと、足下できちんとするということが大事、そのときの私は立入検査というのが大変大事なのではないかというふうに思うんです。  それこそが環境省が責任を持って臨むべき態度だというふうに思うんですけれども、この特措法の十八条によって環境省自身も立入調査を行うことができるようになっておりますので、その点、立入調査を行ったのか大臣にお伺いして、もし十分でない場合には立入検査を行っていくというような方向で御検討いただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。  まずは、責任の問題についてとこのことと、二つお願いします。
  112. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 今、環境省としての事業場に対する立入検査の有無について、また、これからどうすべきなのかというお尋ねであったかと思います。  今御指摘ありましたように、PCBの特別措置法上、国が立入検査を行うというのは緊急時ということと定められているわけでございますので、基本的には、この措置法に基づく届出情報、それから、過去に保管状況調査を行ってその結果を既にデータとして有しておられる、要はPCBの保管状況を適切に把握できる都道府県の皆様方によって基本的には行われるべきであるというふうに考えております。  ただ、今ございましたように、この処分の期限が、法律で定められた期限が平成二十八年までということになっておりますので、このPCBの廃棄物、確実にまた適正な処分をしなければならないということからかんがみまして、緊急時などに必要な場合は都道府県だけでなくて国も立入検査を行うということを含めて、先ほどから危険であるという御指摘伺っております、PCBの廃棄物対策の環境省として中心的な役割を担ってまいりたいと、このように考えています。
  113. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 学校でも様々な問題がございました。  ちょうど三年前にも、八王子の小学校での蛍光灯、これから漏れた液が子供たちに付着してしまったということで、このPCB使用器具の問題について審議がありました。そのときにも、平成十二年の段階では、都道府県教育委員会に対しまして点検、早期の交換、適正な保管、事後の、事故の後の処理の徹底を図るようにしたということでありまして、この平成十三年二月の段階では、PCB使用器具が四十六万台あったうち四七%の二十一万台は交換を完了したという話をそのときに伺いました。  その後、学校関係におきましてはどのような状況になっているかなんですけれども、ごく一部の学校を除いてすべての学校で平成十三年、二〇〇一年度中にこれはPCBの使用器具の交換を完了する予定ということでありましたけれども、現在はどのようになっているかですね。そして、この特措法審議の後、学校におけるPCB使用器具による事故は発生しておりませんか、いかがですか。
  114. 近藤信司

    政府参考人(近藤信司君) お答えをいたします。  文部科学省におきましては、PCB使用照明器具の安全管理の徹底を図るために、今、先生御指摘になりましたように、平成十二年の十一月に都道府県教育委員会に対しまして、原則として平成十三年度末までに公立学校におけるPCB使用照明器具の交換を終えるように要請をしたところでありますし、また、私どもは地方公共団体におきましてこのPCB使用照明器具の交換が可能な限り早期に達成されるよう、これらに要する経費の一部の補助を行ってきたところでございます。  その結果、平成十三年の二月末当時は公立の使用学校数で五千四百二十二校ほどあったわけでございますが、PCB使用照明器具の交換が行われ、現時点におきましては、その交換が完了していない公立の学校数が全国で四校と承知をいたしております。この四校とも平成十六年度中には交換がすべて完了する予定と承ってはおりますけれども、御指摘も踏まえ、交換が速やかに行われるように関係都道府県教育委員会を通じましてしっかりと指導してまいりたいと考えております。  また、平成十三年六月のPCB特措法審議以降に学校における事故の発生でございますが、私ども承知をいたしております中では、平成十三年の七月に山口県の岩国市立岩国小学校におきまして蛍光灯の安定器が壊れまして液が子供の肩に掛かったと。幸い異常はなかったというふうに聞いておりますが、そういう事故があったということを承知をいたしております。  以上でございます。
  115. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 練馬区では、使用されていないと報告されていたPCB使用器具が実は使用されていたというようなことが後で明らかになっておりますので、やはりこのようなことがないように、このことに関してはどのように担保していきますか。
  116. 近藤信司

    政府参考人(近藤信司君) 私ども、この問題につきましては、毎年、通知のみならず、都道府県の教育委員会のいろんな会議があるわけでございまして、その都度これまでも積極的な対策をお願いをしてきたわけでございますが、引き続きこの問題についての指導をしてまいりたいと思っております。
  117. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 十三年中に実は全部完了するというような三年前の御答弁でありましたけれども、四校残っている以外にもやはり絶えずこうしたことについての担保、把握状況をきちんとしていくということについてお願いをしておきたいと思います。  最後に、このPCB特措法は大変厳しく違反の摘発ということについてはしているんですね。二〇〇一年の質疑の際にも環境省が言っておりますのは、PCB廃棄物の紛失が判明した場合には、まず届出義務違反になるので六か月以下の懲役又は五十万円以下の罰金、紛失した理由として、譲渡した場合は法律上の譲渡禁止違反、廃棄物処理法に基づく委託基準違反の場合は三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金又はこれを併科することになっている。不法に投棄してしまった場合には不法投棄事案に該当するので五年以下の懲役若しくは一千万円以下の罰金というふうになっておりまして、紛失の仕方によっては届出義務違反だけではなくて廃棄物処理違反として摘発をしたいと思うというふうなことで大変厳しくやっていこうという、こういう姿勢が見られたわけなんですけれども、こうしたことについての決意もあるのかということですね。  このままずさんなままで、厳しく対応していくというような環境省の決意はお聞きしておりますけれども、本当に駄目な場合にはこういうことを適用する、そういう気構えでいきませんと大変有害なものである。しかも、日本の中だけではない、地球環境の問題にまでなってくるという問題も踏まえて御答弁をいただきたいというふうに思っております。
  118. 南川秀樹

    政府参考人(南川秀樹君) 御指摘いただきましたとおり、PCB自身は毒性、難分解性、高蓄積性ということで地球規模の大変な環境汚染をもたらしております。そのために国際条約もわざわざできたというようなことで、私ども是非その的確な対応が必要だと思っております。  もちろん、御指摘のとおり、この法律自身、管理者不在であっても罰金が掛かるとか、保安状況の無届けでも罰金が掛かるということで、極めて罰則の多い法律でございます。やっぱり法律に忠実な施行が私どもの役目でございます。決して惰性に陥ることなく、状況をしっかり把握して的確な対応をして、この問題が広がることのないように是非厳しく運用してまいりたいと思います。
  119. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 よろしくお願いします。  ありがとうございました。
  120. 鈴木寛

    ○鈴木寛君 民主党・新緑風会の鈴木寛でございます。  本日は、この三月に出されました医療事故に関する行政評価・監視結果報告書に基づきまして質疑をさせていただきたいと思います。大変お忙しいところ、厚生労働大臣、ありがとうございます。  この医療事故あるいは医療過誤の問題、これは本当に社会にとって極めて重要なかつ重大な問題だというふうに思っております。連日のように、本当に今まで患者としてあるいは国民の皆様方が信頼を寄せていた名立たる病院が医療過誤あるいは医療事故ということで記者会見を行い、陳謝、謝罪をするということも続いておりますし、本当にこの医療過誤というのは正に命と直結をした問題でございますので、この問題について今日はいただいた時間で御議論をさせていただきたいというふうに思っております。  この問題、大臣平成十五年の十二月の二十四日に緊急アピールを出されていらっしゃいます。いろいろな推計がございますけれども、医療事故の死亡者が年間二万人を超えているという推計もございます。交通安全あるいは交通事故の死亡者が一万人を割って今毎年低下する、数が減っていく傾向にあるという中で、正にいずれも社会的に極めて重要な課題でございますけれども、正に交通事故死の三倍を超えると言われているこの医療事故、医療過誤について、推計はいろんなところであるわけでありますが、厚生労働省にお伺いしたいのは、現在この医療過誤あるいは医療事故といったものがどの程度、要するに何件ぐらい発生をして、そして何人、これは推計ではなくて何人ぐらいの方が不幸にしてお亡くなりになっているのか、こういったまずその実態について御説明をいただきたいと思います。
  121. 岩尾總一郎

    政府参考人岩尾總一郎君) 医療事故につきましては、平成十四年四月十七日に取りまとめられた医療安全推進総合対策におきまして、医療にかかわる場所で医療の全過程において発生する人身事故一切を包含し、医療従事者が被害者である場合や廊下で転倒した場合も含むという定義にしております。医療過誤というのは、この医療事故の発生の原因に医療機関、医療従事者に過失があるものというような定義をさせていただいております。したがいまして、全国の医療事故の件数、内容などの実態というのが非常に多岐にわたっておりますので、現段階については把握をしておりません。  ただ、近年、国民の医療事故に対する関心も高まるということで、この医療事故防止の観点から、実態把握、必要な分析は必要と思っております。私ども、平成十五年から平成十七年の三か年計画で、現在、事故頻度の調査を実施しているところでありまして、平成十六年からは医療機関で発生した医療事故を第三者が収集分析しようという事業を開始するところにしております。
  122. 鈴木寛

    ○鈴木寛君 今、厚生労働省の御答弁によりますと、医療事故あるいは医療過誤の統計すら役所は把握をしていないということが明らかになりました。もちろん何を医療事故とし、あるいは何を医療過誤とするかという定義が難しいということは私もよく承知をいたしているつもりではございますが、しかし難しいからといって統計すらないというこの実態が見過ごされていいわけはないというふうに私は思います。  もちろん、交通事故のように今年は九千人だったと、あるいは八千人だったと。これ、もちろん一の単位までですね。これはもちろん命にかかわる話でありますから、約何人なんという表記ではおかしな話でありまして、私は、実は警察の行っている交通事故死亡者統計すらああした数字で表すんではなくて、本来一人一人のお名前を記して、我々はその尊い命が失われたということに対して敬意を払い、そして、そうしたことが二度と起こらないように最善を尽くすということを毎日のように確認をしながら、あるいは誓い合いながらやっていかなければいけないという問題だと思っておりますが、この医療過誤あるいはこの医療事故という問題がこの日本の国の中でどの程度、どのように行われているのかと、そしてその原因が何なのかということは、やはり命を預かる正に厚生労働省のお仕事としてきちっとその政策の中心に据えて私は取り組んでいただきたいということを大臣にも強くお願いを申し上げたいと思います。  この医療過誤あるいは医療事故、正に医療安全対策についてでございますが、もちろんこの問題は恐らくずっと隠れた形では存在をしていたんだと思いますが、厚生労働省がこの医療安全対策に本格的に取り組まれたのは、平成十一年の一月に横浜市立大学で患者の取り違えがあって、そしてその後も十二年、十三年、十四年、十五年と毎年のようにこの医療安全対策について様々な施策を打ってこられております。  更に申し上げると、医療安全の推進週間とか、あるいは医療安全対策検討会議の発足とか、私もこの質問に当たりまして厚生労働省の方からそれぞれの対策について御説明を伺いました。もちろん、この医療安全対策というのは、医療過誤による死亡者、あるいはそれによって負傷したりけがをされたり、あるいは後遺症が残られたりするという、そういう方をゼロにするまでやっていかなければいけない問題でありますが、政策としてはこうした政策を打っていくということにならざるを得ないということなのかなというふうに思います。  ただ、今回の、正に平成十六年の三月に総務省がお出しになった医療事故に関する行政評価・監視結果の非常にショッキングなことは、平成十一年に問題意識を強く厚生労働省がお持ちになって、それ以後も何にもやっていなかったわけではないわけであります。毎年々それぞれに厚生労働省さんは医療安全対策をやってこられたと思います、施策としては。  しかしながら、この総務省調査によりますと、そうした政策を打ってきた、安全対策をそれなりにやってきたにもかかわらず、今回二百十七の機関を対象に調査をされたということでありますが、調査をした一年半の間で十七機関で、しかも同じような医療過誤、医療事故がやはり繰り返されていると。さらに、これ詳細を見てみますと、厚生省が設置されていらっしゃいます医療安全対策検討会議のメンバー、委員のいらっしゃる病院でもこうした過誤、事件が繰り返されているということが大変にこれショッキングな結果だというふうに私は思います。  私は、これ問題だと、厚生省何とかしろと、甘いじゃないかと、こういうことだけを申し上げるつもりは今日はありません。これ、医療過誤のやはり非常に難しい問題をここに含んでいるんだと思います。正に安全対策会議のメンバーになるような大変に著名でそして立派な医師あるいは専門家がいらっしゃる病院でも、その現場ではこうした医療過誤が起こってしまうという医療過誤の持つ非常に問題の難しさ、あるいは、ヒューマンエラーというのはそもそもそうなんでありますが、恐らくすべての医療従事者、違反をしようと思って、法令違反をしようと思って、あるいは医療過誤を起こそうと思ってやっておられる方は恐らく一人もいないと思います。それが何らかの理由で、もちろん多忙であったりあるいは慣れであったり、あるいは更に申し上げると未熟、経験がまだ浅かったり、いろんな理由によってこの過誤が起こってしまうと。  私、厚生労働省の方々と御議論をさせていただいて、そして今日の私の一番申し上げたいことは、こうした現場でいろいろなことが、事件が起こる、それに対しての管理監督体制が役所を含めて甘いではないかと。そして、役所が答弁の中では、あるいはいろいろな施策の中では、きっちりやります、そして現場に徹底します、通達も出し直します、アピールも出します、この繰り返し。これはもちろん必要なことだと思います。必要なことでありますが、それだけではこの問題は解決をされないんではないかと。もっといろんな多角的な観点から、国会も含めて、厚生労働省さんも含めて、いろんな知恵を出し合う契機にこの委員会質疑がなっていただきたいというふうに思います。  私も実はコミュニケーションというものを勉強をいたしておりまして、そして最近は安全学という学問もできております。結論から申し上げますと、そういうところでいろいろ議論をされている知恵、工夫、方法論と、もっともっとこの医療安全対策の中に活用できるんじゃないかなと。  例えば、同じ霞が関の行政分野でも、例えば原子力発電所の安全の問題、いろんな、制度的あるいはその安全管理体制、いろんな知恵があります。あるいは消防庁、いろんな現場に立入検査をして、消防署の職員の方々が廊下に物を置いちゃいかぬとか、いろいろな細かな指導もされていらっしゃいます。  更に申し上げますと、最近は役所は全部チェックできません。そういう中で、ISOというのがありまして、昔はISOというのは物の安全性とか品質とか、その管理だけだったんですけれども、最近はサービス分野にこのISOをどんどんどんどん広げていこうという動きがあります。医療というのは究極のヒューマンサービスでありますから、当然、医療に関するISOというのもできています。そして、その一部、私の友人の若い歯科医が集まって、そういう歯科の業務についてISOの基準をどんどんどんどん広げていこうという動きもあります。こうした様々な観点からの知恵を持ち寄って社会全体としての安全対策をやろうとしたときに、私は、この勧告も含めて、今までの古い安全管理あるいは安全行政にまだまだ拘泥されているんじゃないかなというふうに思います。  それで、こうした問題でやはり一番重要なことは情報なんですね。その観点から御質問を申し上げたいと思いますが、この勧告書の中でも書いておりますけれども、そもそも院内でどういう事故が起こっているかということを院内の医療機関の長に報告をする院内報告という制度が、今回調べたのは特定機能病院とか、要するに名立たる病院二百十七です。その中でも極めてばらばらだという指摘があります。これはもうこの勧告にのっとって、やはり速やかにまず院内報告というものをきちっとやっていただきたいということでありますし、それからこの医療事故報告というものが、要するに医療機関で起こった事故をきちっと、重大事故については厚生労働省なり都道府県にきちっと報告をするという、これも平成十一年からこの五年間の中でかなり改善をされていることは私も評価をしたいと思いますが、しかしこれ私、問題だと思います。  この勧告の中にもございますが、国立病院や国立大学の附属病院では、医療事故報告、これは毎年マニュアルができて、そして更に言うと報告義務が付けてということで進化をしています。しかし、すべての病院あるいは有床の診療所に医療事故の報告が行われているか、あるいは義務付けられているかというと、ここについては行われていないということになっていると思いますが、私はこの点を速やかに、すべての医療機関あるいは有床の診療所における医療事故事例の報告というものを制度化していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  123. 岩尾總一郎

    政府参考人岩尾總一郎君) 先生御指摘のように、すべての医療機関に対しましては、平成十四年の十月から省令を改正いたしまして、医療機関内における事故報告等医療に係る安全確保を目的とした改善方策を義務付けました。  それから、先生おっしゃるような大きな病院、特に高度機能病院、特定機能病院のようなところに対しましては、平成十五年の四月一日から、専任の安全管理者を配置しろとか、様々な体制確保、それから所要の規定整備などを義務付けております。それを全部の病院に広げろということでございますが、まず私ども、そのデータが、結果として、事故はなくならないと、減らす努力をしなきゃいけませんので、そのためにはやはりそのような事例をきちんと収集、分析、解析して、それぞれの医療現場に届けなきゃいけない。そのためにはやっぱり数多くのデータを集めるということが必要ですので、まずは医療機関に協力をしていただくことが必要であろうと。  そういうことで、行政が集めますと、どうしても直接何かそれを違反とか、あるいは規則に違反しているということで処分されるんじゃないかということで協力が得られないというような懸念もあるものですから、私どもとしては、来年度平成十六年度から第三者機関というところに医療機関で発生した事故情報を収集して分析、提供をしていただこうと、まずはこれから始めようというふうに考えているということでございます。
  124. 鈴木寛

    ○鈴木寛君 これはやはり本当に重要な問題なので、特に重大事故情報についてはこれは速やかに届け出る。処分というと、やっぱり人が亡くなるような重大な重過失を犯して医療過誤が起こった場合にこれを届け出ると、すべての病院が、これは私は当然のことだと思います。そのことと、もちろんどういう状況においてヒューマンエラーが発生し医療過誤が起こるかという分析、これはどんどんやっていただいたらいいと思います。これ、分けてお考えいただきたいということを重ねてお願いを申し上げたいと思います。  それから、いろいろな医療過誤の現状を見ますと、ある種の傾向が分かってまいります。やはり経験年数が一年未満の医療従事者が医療過誤に関与しているというのがやっぱり多いなと、これは当然といえば当然でありますが、そういうことであります。  そのことともう一つ、俗に言われておりますいわゆるリピーター医師、要するに何度も何度も繰り返して医療過誤を起こす医師というのはある特定の人たちであるということが言われております。時間がありませんので、いわゆるリピーター医師対策について今どういうことを御検討されているのか、お答えをいただきたいと思います。
  125. 岩尾總一郎

    政府参考人岩尾總一郎君) 私ども、このリピーター医師ですが、今後も医療過誤を起こす可能性が高いということで、何とか行政処分ができないのかということでございました。医道審議会の方から、刑事事件とならなかった医療過誤についても、明白な注意義務違反が認められる場合については処分の対象として取り扱えという意見をいただきましたので、現在、厚生労働省におきましては幾つかの過誤事例において調査を行っているところでございます。  なかなか、民事上で和解するとか両者の間でそのような形で収まったときに、私ども把握するということもなかなか難しいところもございますが、限られた情報しかないとはいえ、私どもとしては精一杯情報収集に努めたいと思っております。
  126. 鈴木寛

    ○鈴木寛君 時間がありませんのでまとめてお答えをいただきたいと思うんですが、この医療過誤をやっぱりなくしていくというのはいろんなことが必要です。まずは、やっぱり当事者があるいはその当該医療機関が相当意識を高くこの再発あるいはこの発生というものを抑制をする。そのために、先ほど申し上げました院内報告がきちっと行われるということは極めて重要だというふうに思いますが、と同時に、やはり外部監査、外部チェックというものも、しかも行政によるチェックだけではなくて、正に多角的なチェックシステムというものを作っていくことが必要だというふうに思っております。  まずは、行政によるチェックでありますが、これは、現場の立入検査というのは都道府県が行っているわけでありますけれども、これは例えば金融なんかの分野でも金融庁とか日銀とかが検査とか監査、考査に入るわけですね。あるいは、食品安全の場合でも保健所がどんどんいろんなところに行っていると。こういうのに比べて全然足らないんだというふうな気が私はいたします。  ですから、まず一点は、都道府県のこうした医療現場についての立入検査、あるいはそうしたものを、立入検査の以前で結構ですが、いろいろ回って、現場に行って、ここはおかしいよとか、こういうふうに直した方がいいよとか、そういうことをやはり、こういうことはやっぱり行政がちゃんとやらなきゃいかぬということを一つ思います。  それから、しかし行政だけが進みますと、先ほど局長がおっしゃったように、その監査官が来るときだけやればいいやという本末転倒なことになってきます。ですから、それだけを強化するんではなくて、私は、この報告書の中でも出ておりますけれども、相互チェックですね、要するにプロ同士の、医療機関同士の相互チェック。ある医師が別の医療機関に行って、地域の近くの、そしてお互いに、ここ直した方がいいよと、こういう問題があったよと。この方が行政が言うより的を射た指摘ができるし、それから指摘された方も納得がいくものですから、それは自らやろうと、直ちにやろうと。こういうことで、実質的な安全対策にはこれは非常に私はいいことだというふうに思っております。  私は、こういう相互チェック、行政からのチェック体制の強化、それから医療機関の相互チェック、これ双方組み合わせるということはとっても重要だと思いますが、この点について厚生省の見解を伺います。
  127. 岩尾總一郎

    政府参考人岩尾總一郎君) まず、都道府県の立入検査、医療監視の実態でございます。  平成十五年四月一日現在、医療監視員、全国に約一万四十六名発令されておりまして、その職種は、事務職が約三割、医師、薬剤師等の医療関係者が七割と聞いております。都道府県などでは、病院の立入検査、原則年一回ということでございます。平成十四年度の実施率、九四・三%ということでございます。  それから、相互チェックの方法でございますが、大学、国立大学の附属病院が、医療事故の防止、医療安全向上の観点から、そのような複数の病院の医師を構成員とするチームを作って検証しているという話は聞いております。医療事故を防止するためには有効だろうと思いますが、また一方で、同じ組織の人間同士ですとやっぱりなれ合いになるというようなこともあるかと思います。  私ども、先ほど申し上げました第三者によるチェック機能ということで、現在、日本医療機能評価機構というところでこの医療安全に関する様々な項目を作って審査員による受審という行為を進めております。このような機構での審査、医療機能、病院の機能評価の審査を受けていただくということで複数の視点からの医療安全対策の確保ということを進めていきたいというふうに考えております。
  128. 鈴木寛

    ○鈴木寛君 今お話があった医療機能評価機構、この認定を受ける、これも非常に私はいいことだと思うんです。この認定を受ける医療機関が、あるいはISOを取得する機関がどんどんどんどん増えていくということを私は奨励をしていきたいと思いますし、それを是非厚生労働省とも推進をしていきたいと思うんですが、そのときにどういうインセンティブを社会制度として設計をするかということも重要だと思います。  ここで私が一つ御提案をさせていただきたいと思いますが、今までは行政が上から見る、それからそういう第三者評価機関あるいは相互チェック、プロ同士が、ピア・ツー・ピアと言いますけれども、横で見るということですね。私は決して患者が下だと言うつもりはありませんけれども、患者の側から医療機関が本当に安全管理体制がきちっとできているかどうかというのをやっぱりチェックをできる機構というのは、これは一番意味があると思います。  そういう中で、もちろん患者が一人一人が医療機関をチェックするということが私は最後、究極、一番重要なことだと思いますが、患者の代理人として、エージェント機能として、健康保険組合、これがこの病院は大丈夫か、この診療所は大丈夫かということをチェックをしていく、あるいは申入れをしていく、これは非常に重要な視点だと思うんですが、余り勧告の中でもあるいは厚生省の政策の中でも議論されていないので、ここは是非検討していただきたいと思います。  このたび医療機関と保険者が直接契約ができるようになったんですよ、その医療保険。そうすると、直接契約を新規にするとき、あるいはその契約を更新するときに、こういう医療安全体制がきちっとできているかどうかということを確認して契約するということができますから、この規制緩和された直接契約制度と相まって、このところは極めて進むのではないかというふうに、そのときに直接契約を自ら入っていってチェックするのもありますし、今おっしゃった医療機能評価機構の認定があるなし、あるいはISOを取得している取得していない、こういうことを見ながら契約にしていくということは是非進めていただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  129. 辻哲夫

    政府参考人(辻哲夫君) 御指摘の健康保険組合等保険者の役割でございますが、基本的には各保険者は医療機関に対する一般的な監督権限を有していない、あるいは現状におきましては各保険者の医療機関の安全性を一つ一つチェックできるというような専門能力がないわけでございますが、ただ、御指摘のように、これからは保険者は言わばそもそも加入者の健康維持増進のための存在でございますので、被保険者の窓口的機能と申しますか、いわゆる保険者機能と私ども呼んでおりますけれども、これを強化すべきだという流れにございますので、基本的には各医療機関に関する今の第三者機関の受審状況と医療情報を提供していくという形。  それからもう一つ、御指摘の直接契約につきましては、昨年五月に実施のための通知を発出いたしておりますが、これにつきましては、今言ったような制約はございますけれども、やはり直接契約を行う場合におきましては、医療機関において安全性の確保がなされているかどうかといった観点、これは当然契約更新時に考慮されるべきものということで運用されるものと考えております。
  130. 鈴木寛

    ○鈴木寛君 そして、時間がなくなってまいりましたが、やはり患者さん御自身がきちっとした安全な医療が行われる現場なのかどうか、あるいは行われたのかどうか個別事例についてきちっとチェックをできる、あるいはそれに問題があった場合、医療過誤、医療事故が起こった場合にその正に権利といいますか、生命にかかわる話でありますから、人権救済あるいは権利救済の観点から、医療裁判というのは極めて重要だと思います。  最近、医療裁判の件数が増えてきた。これは今まで泣き寝入りしていたものがそうでなくなったということでありますが、しかしまだまだ患者さんが挙証責任を負った形で医療裁判を医療機関に提起して、そしてそれに勝訴するというのは、これ大変なことであります。私は、この正に医療過誤をめぐる裁判の在り方、特に挙証責任の在り方、これ是非検討し直していただきたいと思います。  今、PL法というのがあります。これは完全に挙証責任が転嫁をされています。それから、不正競争防止法というのは、これは普通でいくと民法の不法行為なわけでありますが、不法行為立証のための相当因果関係の立証とか、あるいは損害額の推定とか、証拠保全のための請求とか、相当緩和をしています。そういう意味で更に言うと、信用回復措置があります。これ、取引行為ですらこうした改善が行われているわけでありますから、なお、そのいわゆる経済行為よりよっぽど大事な医療過誤訴訟については、こうした訴訟法上の見直しということについても私は取り組んでいただきたいというふうに思います。  それで、最後に大臣に御質問をさせていただきたいと思いますが、この今のことも含めて、それから私、これ今日質問できませんでしたけれども、一つどうしても納得いかない話があります。  それは、要するに薬の名前が紛らわしいので医療過誤が一杯起こっているということがこの中に書いてあるんです。しかし、その医薬品の名称あるいは形状、容器の変更を改善策を講ずることは困難だと厚生省が言っているわけですね。それはなぜかというと、変更承認申請手続が必要で、その時間、労力、費用が掛かる、それから名称変更については商標登録にも影響すると言っているんです。  確かにそうかもしれません。しかし、経済的価値と人命とどっちが大事なのかと。これは、私はすべてのこの行政監視委員会の皆様方に考えていただきたい。これは厚生労働省だけの問題じゃないと思います。商標なんかより人命の方が絶対大事だと私は思うわけでありまして、そういう意味で本当にこの医療安全対策を、いわゆるやったふりとか自己満足に終わらすのではなくて、実質的に過誤を減らしていく、そのためにいろんな知恵を持ち寄って頑張っていかなければならないということを思うわけでありますが、厚生労働大臣の御決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。
  131. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 医療事故につきましては、御指摘をいただきますように非常に多く発生をいたしておりまして、憂慮いたしているところでございます。  最近この多くなりました原因を突き詰めてまいりますと、最近、医療の分野がいわゆるチーム医療ということになってまいりまして、いろいろの人が一人の患者さんのことにかかわるようになってまいりました。一人の医師が、一人の看護婦さんが始めからしまいまで見ておるということでなくなってまいりました。そうしたことも原因の一つではないかというふうに思っておりますし、今御指摘のように、薬の事故あるいはまた注射薬の事故、それからいわゆる医療機器、この事故、これも非常に多いわけでございます。  で、今お話ございましたように、薬の形、名前、色、それが本当に似通ったのがあるわけでありまして、これはもう変えるように指導しております。もう名前もよく似ている、そして形も似ている、色も似ている、それはもう間違うのは当然でございます──当然って、間違いやすいわけでございますから、失礼しました、当然とは言ってはいけません、間違いやすいわけでありますので、それは是非変えさせなきゃいけないというふうに思っております。  それから、器械、器具も同じような穴が開いていて、そしてガスなんかでも同じようにそこへセットするというようなことになっておりますと、違うガスを使うということにもなりますので、そうした器械、器具の問題につきましても、ガスが違えばその穴の大きさも変えるとか、いろいろな工夫をしなきゃいけないというふうなことを今あらゆる方面からやっているところでございます。  そうしたことを行いながら、先ほどから先生御指摘のように、やはり病院が自分たちの犯したことについてそれをはっきりと患者さんないし外部に対しまして明らかにさせなければいけないわけであります。そこを自分たちの中であいまいに済まそうというようなことがあってはならない。その内容というものを開示をするということが一番大事でございまして、そこがしかし一番また難しいところでございまして、そこを病院に対しましても、今までのようなことではなくて、はっきりとそこを患者さんに対しては申し上げるという、そういうシステムができ上がらないといけないというふうに思っております。  まあ日々患者さんがたくさんお亡くなりになるわけでありまして、その中で本当にそれは疾病によってお亡くなりになったのか、あるいはそういう医療過誤によってそれが起こっているものかということを、なかなか分かりにくいケースも確かにあることは事実でございますが、病院の側は自分たちが行いました行為というものについて十分なやっぱり説明責任があるというふうに私たちも思っております。その辺を明確にして、私たちもどれだけの事故がどういうふうな形で起こっているのかということを把握をしたい、それに対して対処したいというふうに考えているところでございます。
  132. 鈴木寛

    ○鈴木寛君 終わります。
  133. 続訓弘

    ○続訓弘君 私は公明党の続でございます。  まず初めに、本日の議題となっております特別会計について御質問いたします。  先ほど、財務大臣の御説明によりますと、現在三十一の特別会計が設置され、十六年度の各会計予算、総括すれば何と三百八十七兆四千億円に上るという御報告がございました。これらの歳入歳出構造は複雑で透明性が低く、そのため財政の実態が分かりにくくなっているなどの点が指摘されております。  これについて、今御説明があったように、様々な観点から見直しが行われております。このうち、特別会計の事務事業見直しにつきましては、去る三月二十四日、財政金融委員会において私は谷垣大臣質問させていただき、前向きの御答弁をいただきました。本日は、先ほど総務省から説明のあった政策評価の結果を踏まえ、説明責任強化観点から質問をいたします。  まず、総務省にお尋ねいたしますが、今回、特別会計制度活用状況に関する政策評価に取り組んだ趣旨、特に歳入歳出決算における表示内容を中心に評価した理由を伺います。
  134. 田村政志

    政府参考人田村政志君) お答えいたします。  特別会計制度を活用する趣旨は、一般会計と区分して経理することで、一般会計と比較して受益負担関係などをより明確に示すことができることにあると言われております。その一方で、特別会計歳入歳出決算における表示内容が区々となっている面がございまして、各特別会計相互間の比較が困難だとも言われておるわけでございます。  このような状況を踏まえまして、本政策評価では、各特別会計歳入歳出決算における表示内容を対象として、受益負担関係明確化といった特別会計制度を活用する趣旨が生かされているか統一的に評価したものでございます。これによりまして、説明責任に基づく情報提供の更なる充実など、特別会計の運営と成果の評価を容易に行い得る環境整備に資するために実施したものでございます。  以上でございます。
  135. 続訓弘

    ○続訓弘君 特別会計表示内容を改善することにより、透明性を高め、実態を分かりやすくすることは重要なことだと考えます。  そこで、特別会計を多く所管しておられる厚生労働省、農林水産省及び国土交通省にお尋ねいたします。総務省政策評価結果を踏まえ、特別会計表示内容について既に課題への対応に取り組んでいるものはあるか、また今後どのように取り組んでいくおつもりなのか、それぞれお答えください。
  136. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) お答え申し上げます。  お話のございました特別会計歳入歳出決算内容につきましては、国民に対する説明責任観点に立ちまして情報提供を行っていくということが重要であると、このように考えております。  このため、厚生労働省におきましては、所管いたします五つの特別会計につきまして、財務省財政制度審議会が昨年六月三十日付けで作成いたしました新たな特別会計財務書類の作成基準に基づきまして、企業会計考え方や手法を活用した財務書類の作成をいたしております。また、その結果をホームページ上に公表を行っているところでございます。  今後とも、先生御指摘政策評価書も踏まえまして、各省庁の動向を勘案しながら適切な取組を行ってまいりたいと考えております。
  137. 小林芳雄

    政府参考人小林芳雄君) 私どもは七つの所管いたします特別会計につきまして御指摘をいただきました。  その内容でございますが、政策評価指摘の要点申し上げますと、例えば使途が限定されている歳入につきましてはその内容や費消先の明確化をすべしということでして、私どもの特別会計の中で例えば農業共済の再保険特会がございます。こちらで再保険料収入につきまして共済種類ごとに区分されていない、こういったところを明確化しなさいと。また、工事箇所等別歳入歳出の区分につきましてこういったものの明確を図れという、こういった御指摘もございました。これにつきましては、例えば私どもの国有林野事業特別会計などにおきまして森林管理局ごとのそういった内容が明確になっていないというような指摘があったわけでございます。  いずれも、これはその内容を明確に表示することが当然透明性の観点から必要でございまして、既に私どもとしましては、こういった指摘を踏まえまして、今年の二月に新たな特別会計財務書類というものを作成いたしまして、農林水産省のホームページに掲載をいたしまして広く公表するということにしたところでございます。  今後とも、こういった特別会計の透明性への向上を図るという観点から、関係府省とも連携を強化しながら改善に努めてまいりたいと考えております。
  138. 安富正文

    政府参考人(安富正文君) 国土交通省所管の七つの特別会計につきまして、この評価について指摘がなされておりますが、一つその中で例を申し上げますと、手数料と収入の内容と費消先の表示状況につきまして、治水特別会計あるいは港湾整備特別会計等で、例えば水資源開発公団の方による納付金あるいは一般会計からの受入金について、その歳入内容と費消先が区分されておらず、歳入歳出関係が明らかにされていないといったことや、あるいは借入金、証券発行等の内容の表示状況に関しまして、都市開発資金特別会計あるいは空港整備特別会計で借入金についての返済期限が翌年度負担になるのか、翌々年度以降の負担になるのか明らかにされていないといったようなことが指摘されているところでございます。  これにつきまして、さきの二省からも話がございましたように、昨年六月にまとめられました新たな特別会計財務書類の作成基準に基づきまして、当省の所管する各特別会計財務書類を作成いたしまして昨年七月から公表するなど、国民に対する情報提供充実に努めているところでございます。  今後とも、今般の政策評価での指摘も踏まえまして、歳入歳出対応関係をより明確化するという観点から、例えば歳入歳出決定計算書の添付書類等の表示方法につきまして関係部局と検討、調整しまして、引き続き情報提供充実に努力してまいる所存でございます。
  139. 続訓弘

    ○続訓弘君 今それぞれお答えがございました。前向きに対応するというお考えのようでございますけれども、関係府省がばらばらに取り組んだのではかえって分かりにくくなることもございます。総務省政策評価でも、課題への対応に当たっては各特別会計相互間の比較ができるよう表示内容を統一させる工夫等も必要としておりますが、この点に関し財務省財政制度を所管する立場からどのように考えておられるのか、お答えください。
  140. 石井啓一

    ○副大臣(石井啓一君) 特別会計の決算書類等の表示内容につきましては、各特別会計法で定められておりますそれぞれの目的、性格あるいは経理する事業内容、これがそれぞれ異なっておりますので、まずはそれぞれの性格に適した適切な表示が、的確な表示が必要かと存じますが、他方で、今御指摘がございましたように、特別会計に関する透明性を向上させる、あるいは説明責任を果たすという観点から、各特別会計相互間での比較可能性を高めることも重要であるというふうに考えております。  このため、財務省といたしましては、昨年、財政制度審議会の答申をいただきましたので、これを踏まえた特別会計見直しの一環として、すべての特別会計を対象といたしまして、企業会計的な手法を活用した統一基準に基づきます新たな特別会計財務書類、この作成、公表というのを昨年からやらさせていただいております。  また、従来から、国会提出資料でございます決算の説明におきまして、すべての特別会計を一覧できる資料を掲載しておりまして、その内容についても逐次充実をさせていただいているところでございます。  また、十六年度における予算措置見直し事項について、特別会計に関します予算措置見直し事項につきまして一覧性のある資料を新たに作成、公表すると、こういった様々な各省横断的な取組を進めさせていただいているところでございますが、今後もやはり特別会計に関する透明性の向上というのは重要な課題であるというふうに認識しておりますので、総務省評価結果や、あるいは特別会計を所管する各府省の対応も踏まえつつ、特別会計のディスクロージャーの充実に引き続き努めてまいりたいと存じます。
  141. 続訓弘

    ○続訓弘君 関係府省におかれましては、総務省政策評価の結果を踏まえ、しっかりと見直しを行い、説明責任に基づく情報提供充実に努めていただきたいと思います。  次に、前回この委員会総務省から説明がございました行政評価・監視結果に関連して何点か質問いたします。  税金の無駄遣いを徹底的になくしてほしいとは国民の皆様の切なる願いであります。我が党は、かねてから国民の目線に立って無駄ゼロ対策の推進に積極的に取り組んでまいりました。政府におかれましても、行政効率化関係省庁連絡会議を設置して無駄ゼロ対策に政府を挙げて取り組むことになっております。  そこで総務省に伺います。  防衛施設の取得、管理業務の運営の効率化などの観点から行われた行政評価・監視の趣旨、勧告の概要についてお答えください。
  142. 田村政志

    政府参考人田村政志君) お答えいたします。  防衛施設の建設、管理等については、厳しい財政事情の下、その一層の効率化合理化や組織体制の簡素効率化を進めることが要請されております。このような観点から、防衛施設の建設、管理などの実施状況及び実施体制を調査し、その結果に基づき、平成十五年十月十七日、防衛庁に勧告したものでございます。  主な勧告の概要でございますが、第一に、防衛施設の用地取得については、施設建設の緊急性、優先性が高く、利用の計画が明確になっているもの、その他先行取得の合理的な理由があるものを対象とすること。第二に、住宅防音事業の地方事務費については、個人などの補助事業者から受託した法人における受託業務の実態を踏まえ、合理的な積算を行うことにより減額するなど、その在り方を抜本的に見直すこと。第三に、防衛施設の取得、管理、建設工事、住宅防音事業及び民生安定施設設置助成事業に関する業務については、それぞれの処理件数などの業務指標などを勘案した業務量に基づく要員算定方式を導入して、防衛施設局などにおける適正な要員配置を図ることでございます。  以上でございます。
  143. 続訓弘

    ○続訓弘君 ただいま総務省から発表されましたように、行政評価・監視に係る防衛施設庁の関係については何点か指摘をされております。例えば、取得した土地の利用計画が明確になっておらず、土地を取得しても数年の間更地となっている例や、宿舎の借り上げ料が市場価格の一・六倍にもなっているなど、コスト意識が欠如しているのではないかという事例が指摘されておりますが、指摘を受けてどのように対応したのか、また今後どのように対応しようとするのか、防衛庁に伺います。
  144. 北原巖男

    政府参考人(北原巖男君) 続先生に御答弁申し上げます。  私ども防衛庁といたしましては、ただいま御指摘の昨年十月に出されました、総務省からなされました防衛施設の建設・管理等に関する行政評価・監視結果に基づく勧告につきましては、これを防衛庁といたしまして真摯に受け止め、その検討を行うことといたしておりまして、現に検討を行い、また既に改善したものもございます。所要の措置を講じたものもございます。  いずれにいたしましても、私どもといたしましては、勧告並びにただいま先生からも御指摘をいただきましたが、そうした貴重な御指摘等を踏まえまして、一層の防衛施設の建設あるいは管理等の効率化合理化に努めてまいりたいと思っておりますが、そこで、今先生が例示として御指摘いただきました一つ、用地の取得の問題でございます。  これにつきまして、防衛庁は従来から、用地取得の目的ですとかあるいはその必要性、施設の整備計画などにつきまして総合的に勘案をし、施設建設の所要や防衛施設の安定使用の確保上、合理的な理由があるものにつきまして用地取得に努めてきたところでございますが、先ほどの勧告も踏まえまして、防衛庁といたしましては、こうした用地取得に当たりましては引き続き取得目的並びに利用計画を明確にいたしまして、施設建設との整合性の確保に努めてまいりたいと思っているところでございます。  また、借料につきましても先生から御指摘をいただきました。これにつきまして、今般の行政評価・監視の過程で明らかになった事例でございます。これにつきましては、既に借料の改定を実施をさせていただきました。それからさらに、これで終わりということではなくて、改めまして、一般借料、一般の借受け宿舎の借受けに関しましては、市場の実勢を的確に反映できるように努力をしなければいけないということで、改めて庁として徹底を図ったところであります。  いずれにいたしましても、私ども、貴重な財源の下で引き続き一層の業務の効率化合理化に努め国民の負託にこたえてまいりたい、そのように考えております。
  145. 続訓弘

    ○続訓弘君 今、防衛庁は国民の負託にこたえて懸命な努力をするというようなことを誓われました。  そこで財務省に伺います。  これからの予算編成については、総務省指摘をした幾つかの改善策に対して具体的に予算編成に生かされるようお願いしたいと思いますけれども、その取組の姿勢について伺います。
  146. 佐々木豊成

    政府参考人佐々木豊成君) 先ほど防衛庁の方から検討状況などにつきまして報告ございましたが、最終的には勧告が行われました後の半年後の今年の四月十六日に回答がなされるというふうに承知いたしております。財務省としましては、その対応方針などを踏まえまして、適正に予算に反映してまいりたいと考えております。
  147. 続訓弘

    ○続訓弘君 最後に、医療事故の問題について伺います。  先ほど鈴木委員からこの問題についてはいろいろと質問がございました。そこで、私は、総務省が医療事故に関する行政評価・監視を行ったことは大変時宜にかなったことであると考えますが、まず総務省に本行政評価・監視の趣旨、勧告の概要について御説明願います。
  148. 田村政志

    政府参考人田村政志君) 近年、医療の高度化、複雑化などを背景といたしまして、生命に危険を及ぼす医療事故が多数発生しております。このようなことから、私どもの方で医療事故の発生を防止する観点から医療事故に関する行政評価・監視を実施したわけでございます。この行政評価・監視においては、大学病院、国立病院・療養所、公的・民間医療機関、合計二百十七機関における医療事故防止対策の実施状況等を調査し、その結果に基づき文部科学省、厚生労働省に勧告したものでございます。  勧告の概要でございますが、第一に、医療機関における院内報告について報告を求めるべき医療事故事例などの範囲を明示すること、第二に、すべての病院及び有床診療所に重大な医療事故事例の報告を義務付け、それらを分析し、有効な再発防止策を医療機関などに対し情報提供する仕組みの導入を推進すること、第三に、大学医学部の医療の安全に関する教育について、大学教育モデル・コア・カリキュラムを踏まえたものとなるようその促進を図ること、以上でございます。
  149. 続訓弘

    ○続訓弘君 総務省に申し上げます。  私ども行政監視委員会は常にあなた方の味方なんです。とにかく、国民の目線で行政がしっかり国民の期待にこたえていっていただけるかどうかを常に監視している、それが我々のこの行政監視委員会のすべての役目だと思います。つきましては、常にそういう眼でこれからも厳しく指摘をし、そして各省庁におかれてはその指摘を踏まえてちゃんと実行していただくことを御要望申し上げまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  150. 西山登紀子

    西山登紀子君 日本共産党の西山登紀子でございます。  今日は、大きな社会問題となっております過労死、過労自殺問題についてお伺いをいたします。  私のところにも、うちの息子は過労死になりそうなんだけれどもどうしよう、あるいは過労死の労災申請をしているんだけれどもなかなか認められない、こういうふうな御要望がたくさん寄せられております。  お聞きしますが、九八年からの実態を説明してください。過労死、過労自殺についてです。
  151. 高橋満

    政府参考人(高橋満君) 一般に過労死と言われております脳血管疾患及び虚血性心疾患、これに係ります労災請求件数及び認定件数の状況でございますが、平成年度、請求が四百六十六件、認定九十件。十一年度、請求四百九十三件、認定八十一件。平成十二年度、請求六百十七件、認定八十五件。平成十三年度、請求六百九十件、認定百四十三件。平成十四年度、請求八百十九件、認定三百十七件となってございます。  また、自殺を含みます精神障害等の労災請求件数及び認定件数でございますが、平成年度の請求四十二件、認定四件。平成十一年度、請求百五十五件、認定十四件。平成十二年度、請求二百十二件、認定三十六件。平成十三年度、請求二百六十五件、認定七十件。平成十四年度、請求三百四十一件、認定百件となってございます。
  152. 西山登紀子

    西山登紀子君 配付をさせていただきました資料なども見ていただきたいと思いますが、右側にグラフ化しております。私は、若者の就職難が叫ばれる一方で、若者の過労死、過労自殺が急増している、このことは非常に重大な問題だと思います。  若者と二十九歳以下、三十から三十九歳以下も若者ということで、その実態を説明してください。
  153. 高橋満

    政府参考人(高橋満君) ただいま申し上げました過労死あるいは自殺を含みます精神障害に係ります認定件数のうちの若者、二十九歳以下で申し上げますと、過労死等におきましては、認定件数三百十七件のうちの十九件となってございます。また、自殺を含みます精神障害等でございますが、認定件数百件のうち二十九歳以下の若者が二十五件となってございます。
  154. 西山登紀子

    西山登紀子君 三十九歳から三十歳の。
  155. 高橋満

    政府参考人(高橋満君) 失礼いたしました。  あわせて、過労死等に係ります三十から三十九歳の認定件数でございますが、四十九件、それから自殺を含みます精神障害等の認定件数のうち三十から三十九歳でございますが、二十五件、それぞれなってございます。
  156. 西山登紀子

    西山登紀子君 大臣もよくこのグラフを見ていただきたいと思うんですね。非常に過労死や過労自殺が増えております。そして、その中で若者の数なんですけれども、左側に表の二のところに具体的な数が書かれておりますが、これは認定件数でございます。二〇〇〇年と二〇〇二年を比較しますと、二十九歳以下では過労死は約四倍強、二〇〇二年に向けて四倍強、過労自殺は約三倍強。三十から三十九歳では、二〇〇〇年から二〇〇二年にかけては過労死は約三倍強、過労自殺は約三倍強という形で急増しているということがお分かりいただけると思います。  大臣はこの事態をどのようにお考えでしょうか。異常だとは思われませんでしょうか。労働者は労働力は提供いたしましても命まで提供して働くものではございません。過労死、過労自殺という言葉は世界にもございません。日本特有です。とりわけ、今急増している過労死、過労自殺、若者に急増している過労死、過労自殺の原因は何とお考えでしょうか。大臣にお伺いいたします。
  157. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 確かに、この表を見せていただきますと、二〇〇一年、二〇〇二年、かなり上昇していることは御指摘のとおりでございます。最近この時間外労働が非常に長くなってきているという事実があることも率直に認めなければならないというふうに思います。  ただ、もう一つは、平成十三年でありますから二〇〇一年になりますか、二〇〇一年の十二月にこの脳・心臓疾患の認定基準というのを改正をいたしました。今までは、いわゆる短な時間の、一週間でありますとか一か月でありますとか、非常に短い期間にこの過労が起こったといったときに認定をしておりましたが、もう少し長いスパンでと申しますか、半年ぐらいのこの期間で過労が続いたとき、それも私は過労の原因になるというふうに以前から思っておりまして、そうしたことからこの基準の改定をやらせていただきました。したがいまして、この基準を改定をいたしましたこともこの数字を多くした原因の一つになっている。  また、皆さん方の方も、今まではもうこれは長期にわたるものだからというのであきらめておみえになりました皆さん方もお出しを、この申出をされるようになったといったこともございまして、それも数字を増やしている一つの要因になっているというふうに思っている次第でございます。
  158. 西山登紀子

    西山登紀子君 申請をあきらめていたんだけれども、申請してみようかということで数が増えたということの御説明もありました。私はそれは否定はいたしませんけれども、しかしこの厚生労働省の出しております白書は、きちっと、近年の厳しい雇用労働環境を背景として、長時間労働や仕事によるストレスなどを原因とする過労死、過労自殺と呼ばれるものが増えているというふうに白書ではきちっと述べておるわけでございます。  大臣にお伺いいたしますけれども、過労死や過労自殺というものはあってはならないことだと思います。正に現代版女工哀史と言っても過言ではないような事態だと思います。  労働基準法、憲法と労働基準法は、このコメンタールなどを私も少し勉強させていただきましたけれども、戦前の工場法とか鉱業法などとは違いまして、単に労働者を保護したらいいというものではないんだと。労働条件の水準をきちっと定めていて、その労働条件の水準というのは人たるに値する生活を維持する、できる水準なんだと。人たるに値する水準とは、健康でしかも自己の創造性を主体的に展開していくことが可能な生活にほかならないというふうに説明がされているわけでございます。  過労死、過労自殺が急増しているその責任、しかも若者の未来を断ち切るような、このような政治、小泉構造改革、三年間続いておりますけれども、とりわけ厚生労働大臣としての坂口大臣責任は重大ではないかと思うんですが、いかがでしょう。
  159. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 労働の在り方というのが非常に問われていることは御指摘のとおりと私も思っております。したがいまして、現在もそうでございますが、今後におきましても、この働き方というものについてもう一度考え直す必要がある、余りにも時間外労働が多過ぎてはいけない、私も率直にそう思っております。  したがいまして、各企業に対しましても、是非その点を十分これは勘案をしていただいて、いわゆる働く皆さん方の健康維持というものに努めてもらいたい、そう私たちも述べているところでございますし、また近年、時間外労働を、しかもそれを正式に認めないといったようなことも多いものでございますから、厳しく取締りも行っているところでございまして、そうしたことはやはりこれからもけじめを付けてやっていかなければならないというふうに思っているところでございます。
  160. 西山登紀子

    西山登紀子君 サービス残業を根絶、これは企業犯罪でございますので、根絶すれば百六十万人の雇用も増えるというような試算も出ているわけですね。一人で二人分働かされているというような現状もある。今、厳しくこれは是正しなきゃいけないと大臣おっしゃいました。私は、そのためにも、労働安全行政をきちっとやっていくためにも体制が十分でなければならないと思います。  私が地元で、福知山の労働基準監督署に行ってお話を聞きましたところ、五千の事業所があるんだけれども、監督官はたった二人だというんですが、やはり監督官は充実するべきではないでしょうか。大臣、どうでしょうか。
  161. 松崎朗

    政府参考人(松崎朗君) 正に現場の監督署、ここにおきまして、今、大臣から御説明申し上げましたように、労働者の命と健康を守る行政というのを進めておるわけでございます。  したがいまして、私どももこういう非常に厳しい行財政の事情も踏まえつつも、やはり私ども、現場を第一ということで、必要な部署に必要な人員を配置するという方針で今まで、もちろん満点ではございませんけれども、定員増というものに努めてまいったところでございます。
  162. 西山登紀子

    西山登紀子君 守られていないんです。だから、過労死や過労自殺というのが蔓延するんですよね。  全労働省労働組合が第一線で仕事をしている労働基準監督官に聞いたアンケートの結果を基に提言を出しているんですが、その中で、労働基準監督官一人当たり三千の事業所を担当している、年に百件の監督指導をしても、全事業所を回るには三十年も掛かると指摘をしておりまして、人員を確保して現行規制を徹底していくことは急務だと監督官自身が述べているわけでございますから、きちっとやるべきだと思います。  次に移りますけれども、このグラフで、請求数が増えていることも私は異常だと思いますが、認定率が増えたとはいえ三割台にとどまっているということも私はこれは異常だと思います。  平成十三年に基準が緩和されたというのは大きな運動の成果であり、一歩前進だとは思うんですけれども、遺族とか労働者の立場に立てば、もっともっとこの認定率は引き上げるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  163. 高橋満

    政府参考人(高橋満君) 申し上げるまでもないわけでございますけれども、労災認定、この労災保険におきます労災認定に当たりまして、請求事案にかかわります疾病、これと業務との因果関係というものの有無というものが大変重要な点であるわけでございます。  この脳・心臓疾患でございますが、一般的には血管病変、これが長年の生活の営みの中で形成され、進行し、ついには増悪するといった自然経過をたどって発症するものというふうに理解をされておるわけでございます。  ただ、業務によりまして明らかな過重負荷が加わることによりましてこの血管病変がその自然経過を超えて著しく増悪して発症したと、こういうふうに判断をされます場合には労災補償の対象といたしておるわけでございます。  また、自殺の問題でございますが、自殺、言うまでもございませんが、これは故意による死亡というわけでございまして、基本的には労災補償の対象とはならないわけでございます。  ただ、これも、脳・心臓疾患と基本的に考え方一緒でございますが、業務による強い心理的負荷によりましてうつ病などの精神障害を発症をいたしまして、それによって正常な判断ができなくなって自殺へと至ったと、こういうふうに判断されます場合には労災補償の対象といたしておるわけでございます。  私ども、こうした考え方に基づきまして、過労死等に係ります認定基準、あるいは自殺を含みます精神障害等に関します判断指針、これを定めまして、これによりまして個々の労災請求事案について業務上外の判断を適正に行ってきておるものでございます。  いずれにしましても、今後とも、この認定基準に基づきまして、迅速、適正な補償、労災補償に努めてまいりたいと考えております。
  164. 西山登紀子

    西山登紀子君 このままでいいという立場に私は立たないでいただきたいと思うんですね。  京都で私のところに御相談になっております過労死で申請していらっしゃる方で、もう申請して七年もたつような方もいれば、旧基準でですね、新基準でまだまだ認定されない若者もいるということで、京都の労災職業病対策連絡会議が認定外にされるケースの共通点として、時間外労働が月八十時間に満たないというような問題だとか、深夜交代勤務というものが大きな負荷としてなかなか、認定の基準の中になかなか入れてもらえない、労働時間管理が不十分だと否定になる、出張などの移動時間が多いケースは労働時間にカウントされない、労働実態を遺族が立証できない、事業所の協力が得られないと。  いろんな問題があるわけですから、今のままでいいというわけではないと思います。少し認定率が上がったからといって、このままでいいという立場には立つべきではないと思うんですね。中でも、認定をかち取れない理由は、長時間のサービス残業を遺族が立証できないことです。亡くなった方には立証できないわけですから、それを遺族が代わってやるというのは至難の業です。  労働基準監督署はこういうパンフレットを配っていますね。使用者には労働時間の適正な把握の義務があるということをここにるる述べていらっしゃいます。  その一、始業・終業時刻の確認・記録。その二、始業・終業時刻の確認及び記録の原則的な方法。ア、使用者が自ら現認する。イ、タイムカード、ICカードなど客観的な記録を基礎として確認し、記録すること。労働時間の記録に関する書類の保存。こういうものをこのパンフレットにはちゃんと使用者の責任として明記をしているわけですよね。  どうでしょうか、労働時間の管理、把握は使用者の責任であり、厚生労働省はこのパンフレットに基づいてきっちりとした行政をやっているんでしょうか、お伺いをいたします。
  165. 松崎朗

    政府参考人(松崎朗君) 労働基準法におきましては、御案内のように、労働時間とか休日、こういったものにつきまして規定を設けておりまして、この最低基準の規定を使用者に守らせるというふうになっております。したがいまして、これ、労働時間を正確に把握するなどいたしまして、これを適切に管理する責務は当然使用者にあるということでございます。  ここで今、ただいまの御質問のは、平成十三年四月付けの労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準という通達だと思います。これは、今申し上げましたように、使用者にこういった労働時間を適切に管理する責務があるわけでございますけれども、そこがややもすればないがしろにされがちなところがあるということから改めて確認的に出したもので、この通達に基づきまして、関係業種を指導しながら、その厳正、適正な労働者の管理について指導しているところでございます。
  166. 西山登紀子

    西山登紀子君 これで厳正にやっているというわけでございます。  最後に、大臣にお伺いをしたいわけですけれども、私、直接、京都の福知山の中田さんという若者、中田衛一君、二十二歳が過労死をいたしました。今、過労死の労災の申請をやっております。お母さんが厚生労働省殿ということでお手紙を書かれておりますので、御紹介をさせていただきたいと思うんですね。   息子は、高校卒業後の平成九年四月、若者の職場ということで魅力であったトステムに、小さくも素直な夢と野望を持って入社しました。そして、四年目の平成十三年六月十六日夜勤から帰宅後就寝中に余りにも寂しく短い生涯を閉じました。   研修期間を過ぎて以来、深夜の帰宅は頻繁で、ひどいときは朝方のときもある状況下、平成十二年九月より日勤と夜勤一週間交代の二交代勤務となりました。しかし、DSジャストカットラインは、受注生産のため、納期に迫られ相変わらず残業が続きました。辞めていく同僚も多く、平成十三年春ごろには、相方が派遣社員となり、まじめで責任感の強い息子には、作業に精密さを問われる中、問題行動のある相方の指導をしながら能率アップの状況は大きなストレスになっていました。   切り粉が舞う作業環境の中、冷暖房は定時に切れ、残業は正社員しか残らないという状況でした。   何度か複数の親からの電話の訴えで監督署が再三、立入調査しているにもかかわらず、タイムカードの導入はなく、労働時間管理はリーダーに任される形態は変わっていません。休みもなかなか言い出せない心理状況にありました。また、証言を聞くに際し同僚らが寝ることだけが楽しみという実態であったこと。監督署では、労働時間数はグレーゾーンと言われるものの、元同僚たちは七十、八十は常で、多い人は百—百二十時間の残業もあったと証言しています。   社内でも過酷な職場で有名であると口をそろえて証言しているのはなぜなのか。タイムカードや記録のない中での会社側と家族の思いには大きな差があることをどう見るべきでしょうか。週交代の日勤、夜勤の二交代の労働形態は適切なのだろうか。過労死の認定基準は見直され、改定されたが、深夜交代勤務でも八十時間の時間外労働がなければ認定されないのは、おかしいと思います。また、六か月だけでなく、息子のように何年もにわたって長時間労働が続いた場合、心理的ダメージや健康面に与えるダメージは、最も大きいものがあり、軽く見過ごされてはいけないのではないでしょうか。   精神的負荷の受け方、感じ方はそれぞれ違うものであり、その人にとって本当はどうだったのか。息子にとっては、どう作用したのか。数字で表せない部分で過重なところは本当にないのか、よく検討してほしいと思います。   亡くなった本人が一番苦しい思いをしてきたと思いますが、それをずっと見守ってきた家族たちの心配も続いてきたことを忘れないでほしい。息子の過労死を労災と認定していただくことと、企業側の責任ある管理を要望し、安心して働ける社会になることを願ってやみません。  このようなお手紙を書かれました。  労災認定に踏み切るまでにおよそ一年近くこの御両親は悩みました。そもそも、違法なサービス残業を記録にとどめるような企業はございません。過労死した本人にはそれを証言するすべはありません。よほど危険を認識して日記やメモに残しておかない限り、遺族が証明することは極めて困難です。  ここで申し上げたいのは、先ほどもPL法の問題でございましたけれども、企業側が違法な行為はしていないという客観的なデータでもって自分の過失がなかったということを証明しない限り、やはりこれは遺族からの請求に対して労災として救済をすべきだと、このように考えますが、大臣、いかがでしょうか。
  167. 松あきら

    委員長松あきら君) 時間ですので短めに御答弁お願いいたします。
  168. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 具体的な例にはいろいろな例があるんだろうというふうに思っております。我々の方といたしましては適正に対応をしたいというふうに思っておりますし、様々なデータというのはあるというふうに思います。友人から聞くものもあるでしょう。そうしたものも含めて、我々は適正に対応したいと考えております。
  169. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 北海道警察の不正経理問題について質問します。  現在、行政監視委員会として見逃すことのできない問題の一つ警察の裏金問題です。北海道警察を皮切りに、静岡県警、福岡県警などでも大規模な裏金作りが判明しています。この機会にうみを徹底的に除去しなければ、社会正義を背負って職務に精励する一般警察官や、警察を信頼する市民を裏切ることになります。これまで繰り返されてきた警察不祥事の教訓からしますと、何よりも重要なことは情報公開ではないかと思います。そうした観点から、主に北海道警察での裏金問題について質問したいと思います。  まず、警察庁にお伺いします。  警察の不正経理問題について、警察への信頼を回復するには積極的な情報公開、これが最も重要であると考えますが、いかがでしょうか。
  170. 吉村博人

    政府参考人吉村博人君) 情報公開についてでございますけれども、平成十二年の七月に警察刷新会議から警察刷新に関する緊急提言をいただきまして、国家公安委員会と警察庁で十二年の八月に警察改革要綱を取りまとめました。その際、警察行政の透明性の確保と自浄機能の強化などにつきまして根本的な対策を推進をしていくこととしておりまして、積極的に当該改革に取り組んできたところであります。そこで、警察行政の円滑な運営のためには国民の理解と協力が何にも増して必要かと思いますが、また行政の透明性の確保と説明責任の遂行という時代の要請にこたえる観点からも情報の公開は重要なことととらえまして情報公開を推進をしておるところでございます。  数字で恐縮でございますが、刷新会議が発足いたしましたのが平成十二年の三月末時点でございましたけれども、この時点で都道府県の情報公開条例上の実施機関に当該都道府県警察がなっておりましたのは九県でございましたが、提言が出された同年七月の時点では十三都県となりまして、平成十三年十月までには四十七都道府県警察すべてが情報公開条例上の実施機関になっております。  また、条例の施行については、平成十三年の四月一日に宮城県で施行されたのを始めといたしまして、十四年の十月までにすべての都道府県で都道府県警察を実施機関とする条例が施行されておるところであります。ただ、情報公開により捜査活動等に支障を及ぼすおそれもこれはないわけではございませんので、開示判断に当たりましてはその点とのバランスが必要と考えておりますが、既に会計文書につきましては、公にしても捜査活動などに支障を及ぼすおそれがないと認められるものについては最大限開示をすることとしておるところでございます。
  171. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 情報公開が積極的になったのは大変いいことだと思います。  今度は会計検査院にお尋ねしますが、各都道府県警における国費捜査について、会計検査の際、領収書そのものを見て筆跡のチェックをしているのかどうか、お答えください。簡単でいいです。
  172. 石野秀世

    説明員(石野秀世君) 今お話しの各都道府県警察における捜査費に係る検査でございますが、手元保管されている会計書類というものについて、その内容等の確認を行うということで来ております。中でも、今お話しの領収書はその支払を証明する基本的な会計書類であると考えられておりますので、個々の領収書につきまして、記載されている受領者の今の筆跡にも十分注意を払いまして、その内容が適正な捜査費の執行を反映しているか否かということで種々の観点から検査を実施してきておるところでございます。
  173. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 会計検査院は筆跡のチェックもしているということですね。  これに絡んで、警察庁にお尋ねしますけれども、各都道府県の監査委員の方は会計検査院職員と同じく守秘義務があるんですよね。それにもかかわらず、監査の際は領収書そのものを見て受取人の名前をチェックすることができないんです。なぜかといえば、監査委員の見る領収書は名前が全部黒塗りになっているわけですね。私は、これは会計検査院と同じように監査委員にも領収書の名前をチェックさせる、それを認めるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  174. 吉村博人

    政府参考人吉村博人君) あくまで県の監査委員への対応でございますので、それぞれの県警で一義的には判断し、対応をすべきものかと思います。  ただ、従前は監査委員が例えば捜査員に直接面談をしたいということでありましても、捜査の実情等をいろいろ勘案した上ではございますが、なかなか実態として応じていないというのが実態でありました。  そこで、二月の二十六日には、警察庁から各都道府県警察に対しまして、県費の捜査費執行に対する監査があった場合に、監査委員等が書面による監査でありますとか取扱者による説明をもってしてもなかなか信証を得られない、捜査員に聞き取り調査を要求をしたいというときには、特段の業務上の支障、これはその捜査員が署外に出ておりますとか、あるいは取調べをやっているとか相談事の受け答えをしているというような、その種の特段の業務上の支障がない限りこれに応じるよう配意されたいという旨の通知を出しておるところであります。  ですから、その中で領収書の問題についてもこれから前向きに検討はされていくとは思いますけれども、あくまでそれは都道府県警察判断ということで御承知をいただきたいと思います。
  175. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 監査委員も守秘義務があるんですから、これは同じことですから、これは原則にすべきだと私は思います。  さて、実は北海道警察弟子屈署、ここは道庁から支出された捜査費にとどまらずに国から支出された捜査費も裏金になっているんですね。その手口というのはこういうことなんですよ。  まず、北海道警察釧路方面本部から弟子屈署の次長、これは署のナンバーツーですね、ここへ現金三万円が毎月現金書留で送られてくるわけです。方面本部から送られてくる交付申請書には実際に受領した日よりも何日か前の日付が既に鉛筆書きで記されているわけですね。現金を受け取った次長は指示された日付をペンで交付申請書に記入して釧路方面本部にまた送り返すと、こういうことになっています。  このケースでは、普通の捜査協力者とは異なり、長期にわたり固定した協力者から捜査協力を受けることになっています。当然、この協力者から受け取ることになっている領収書は毎月同じ人物が同じ筆跡で書かないと架空だとばれてしまうわけですね。そこで、弟子屈署では、架空領収書の筆跡を同じにする必要上、署内の同一人物に長年にわたり領収書書きを依頼していました。ちなみに、署内の同一人物とは、転勤の多い警察官では困るものですから、事務職で転勤のない警察職員であったわけですね。  こうやって北海道警察は本人確認をしない会計検査の目をくぐって国の支出した捜査費を裏金に回していたわけです。  会計検査院にお伺いしますけれども、このようなケースがあることを考えると、領収書の人物について実在を本人に確認することが決定的に重要だと思いますが、いかがでしょう。
  176. 石野秀世

    説明員(石野秀世君) 今の具体的な状況というのは、またそれぞれの場面があろうかと思います。  ただ、捜査費はその目的に沿って適切に使用されるべきものであるというのは当然であります。したがいまして、その捜査費が実際に受領者に交付されているのかという点につきましては、やはり種々の面から検査を行って確認するということにしておりまして、これまでもそういうふうな確認を行ってきておるというふうに承知しております。
  177. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 警察庁にお伺いしますけれども、こういうケースがあるわけですから、先ほど言ったように、各都道府県の監査委員にも、名前の黒塗りではなくて、領収書の名前チェックをもう認めることを原則にするというふうにした方がいいんじゃないでしょうか。
  178. 吉村博人

    政府参考人吉村博人君) 先ほどの弟子屈署のケースにつきましては、平成十二年度の道費の捜査用報償費三十五万円分につきまして、道の監査委員の今監査が現在実施をされておるところでございまして、それと同時並行の形で道警本部におきましても事実関係について現在調査を進めておるところであります。  先週金曜日に道の監査委員に対しまして道警も意見を申し上げているところでございますが、その時点におきまして申し上げられるのは、平成十二年度の弟子屈署における捜査用報償費、道費でございますけれども、この三十五万円について不適正な執行が行われていたことが追認をされるところでございます。ただ、まだ国費分については、調査がそこまで及んでおりませんので、今この時点ではなかなか御答弁しづらいというところは御理解をいただきたいと思います。  それから、先ほど捜査費の領収書につきましても、従前なかなか実名で領収書が取れないという実態もあったわけでありますが、そのときには他人名義で領収書を取っていた実態もありましたけれども、諸般の状況にかんがみまして、今年の四月一日からは、領収書を取る際には必ず本名のものに限定することとして、他人名義の領収書についてはこれは受領しないと。それを、確かにお金を渡し、しかし領収書が取れなかったということをきちんと疎明をし担保する手段を講じつつ、そのように今後は改善をしてまいりたいというふうに思っております。  県の監査委員からのいろんなお尋ねにつきましては、監査委員の御理解をいただけるように県警の方でそれぞれ対応をしていくものと思っております。
  179. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 今、報道などで問題になっている部分というのは道庁から支出された捜査費の裏金作りの問題ですけれども、私が今指摘したように、国から支出された捜査費もこういう形でやられているということですから、是非ともこっちも進んで調査していただきたいということをお願いしたいと思います。  さて、委員長にお願いしますけれども、今日は警察の方からの意見を聞いたわけですけれども、これでは問題の片方の側しか見えないということで、やはり問題の本質というのはいろんな角度から見なきゃいけない。  そのことに関しまして、当委員会へ原田宏二元北海道警察釧路方面本部長、それから斎藤邦雄元北海道警察弟子屈署次長の参考人招致を要求したいと思いますので、御検討いただきたいと思います。
  180. 松あきら

    委員長松あきら君) 後ほど理事会にて協議をさせていただきます。
  181. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 終わります。
  182. 松あきら

    委員長松あきら君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時十九分散会