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2004-06-01 第159回国会 参議院 厚生労働委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年六月一日(火曜日)    午前十時二分開会     ─────────────    委員異動  五月二十七日     辞任         補欠選任      若林 秀樹君     浅尾慶一郎君  五月二十八日     辞任         補欠選任      岡田  広君     金田 勝年君      狩野  安君     南野知惠子君      藤野 公孝君     宮崎 秀樹君      池田 幹幸君     畑野 君枝君  五月三十一日     辞任         補欠選任      畑野 君枝君     小池  晃君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         国井 正幸君     理 事                 武見 敬三君                 藤井 基之君                 辻  泰弘君                 森 ゆうこ君                 遠山 清彦君     委 員                 有村 治子君                 金田 勝年君                 佐々木知子君                 斎藤 十朗君                 田浦  直君                 伊達 忠一君                 中原  爽君                 南野知惠子君                 宮崎 秀樹君                 朝日 俊弘君                 大脇 雅子君                 柳田  稔君                 山本 孝史君                 渡辺 孝男君                 井上 美代君                 小池  晃君                 福島 瑞穂君                 西川きよし君    委員以外の議員        発議者      西岡 武夫君        発議者      平野 達男君    国務大臣        厚生労働大臣   坂口  力君    副大臣        厚生労働大臣  谷畑  孝君        厚生労働大臣  森  英介君    大臣政務官        厚生労働大臣政        務官       佐々木知子君    事務局側        常任委員会専門        員        川邊  新君    政府参考人        厚生労働省職業        安定局高齢・障        害者雇用対策部        長        太田 俊明君        厚生労働省保険        局長       辻  哲夫君        厚生労働省年金        局長       吉武 民樹君        社会保険庁長官  真野  章君        社会保険庁運営        部長       薄井 康紀君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○国会議員納付国民年金保険料に係る公表及び  特例保険料納付に関する法律案西岡武夫君  外四名発議) ○政府参考人出席要求に関する件 ○派遣委員報告国民年金法等の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○年金積立金管理運用独立行政法人法案内閣提  出、衆議院送付) ○高年齢者等雇用安定等に関する法律の一部  を改正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 国井正幸

    委員長国井正幸君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、若林秀樹君、池田幹幸君、岡田広君、狩野安君及び藤野公孝君が委員辞任され、その補欠として浅尾慶一郎君、金田勝年君、南野知惠子君、宮崎秀樹君及び小池晃君が選任されました。     ─────────────
  3. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 国会議員納付国民年金保険料に係る公表及び特例保険料納付に関する法律案議題といたします。  発議者西岡武夫君から趣旨説明を聴取いたします。西岡武夫君。
  4. 西岡武夫

    委員以外の議員西岡武夫君) ただいま議題となりました国会議員納付国民年金保険料に係る公表及び特例保険料納付に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  今般の国会議員国民年金保険料の未納付問題により、年金制度に対してのみならず、国会そのものに対する国民の著しい不信を招いてしまったことは誠に遺憾であります。このことは、一国会議員、政党、会派を超えた重要な問題であります。  私たちは、国会議員年金保険料納付状況国民に明らかにすることが、年金改革に対する国民の理解を求める第一歩であると考えます。  そこで、国会議員が自ら政治責任を果たすための法律として、未納付国民年金保険料のある国会議員氏名等公表保険給付に反映させない特例保険料納付義務等について定めることとした次第であります。  以下、この法律案概要について御説明申し上げます。  第一に、国民年金法規定により納付すべきであった昭和六十一年四月一日以降の国会議員としての在職期間に係る国民年金保険料で、納付されなかったもののうち徴収権が時効により消滅したものを国会議員納付国民年金保険料として定義しております。  第二に、社会保険庁長官は、この法律の施行後、速やかに国会議員納付国民年金保険料がある国会議員氏名及び未納付期間公表しなければならないこととしております。  第三に、国会議員納付国民年金保険料がある国会議員は、平成十六年六月三十日までに、現行国民年金保険料の額に未納付期間の月数を乗じて得た額を特例保険料として国に納付しなければならないこととしております。  第四に、納付された特例保険料については、その算定の基礎となった未納付期間国民年金保険料納付済期間に算入せず、また、社会保険料控除規定は適用しないこととしております。  第五に、国会議員であった者で国会議員納付国民年金保険料があるものについて、平成十六年六月三十日までに特例保険料納付することができることとしております。  第六に、特例保険料は、国民年金特別会計国民年金勘定の歳入とすることとしております。  第七に、特例保険料に関する事務社会保険庁が行うこととしております。  最後に、この法律は公布の日から施行することとしております。  以上がこの法律案提案理由及びその内容概要であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  5. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  発議者は御退席いただいて結構でございます。     ─────────────
  6. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  国民年金法等の一部を改正する法律案外二案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省年金局長吉武民樹君外四名の政府参考人出席を求め、その説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  8. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 国民年金法等の一部を改正する法律案年金積立金管理運用独立行政法人法案及び高年齢者等雇用安定等に関する法律の一部を改正する法律案の三案を一括して議題といたします。  昨日、当委員会が行いました委員派遣につきまして、派遣委員から報告を聴取いたします。藤井基之君。
  9. 藤井基之

    藤井基之君 おはようございます。自由民主党藤井基之でございます。  ただいま議題になりました昨日の委員派遣について御報告申し上げます。  派遣委員は、国井委員長武見理事辻理事森理事渡辺委員畑野委員福島委員及び私、藤井の八名で、昨五月三十一日、横浜市において地方公聴会を開催し、六名の公述人から意見を聴取した後、委員からの質疑が行われました。  まず、公述の要旨について御報告いたします。  最初に、横浜国立大学名誉教授神代和俊君からは、今回の法案世代間扶養世代間の公平の調和を図ったものであること、マクロ経済スライド少子高齢化が進展する中で給付負担のバランスを取るために必要な措置であること、年金債務については賦課方式公的年金企業年金と同様にとらえることから生じる誤解があること、年金制度の持続のためには政府経済成長及び出生率の回復に力を入れるべきであることなどの意見が述べられました。  次に、神奈川社会保険労務士会理事廣瀬幸一君からは、法案年金制度を一層複雑にするものであり、百年間持続可能というのは無謀な予測であること、国民年金空洞化に今まで有効な手が打たれていないこと、厚生年金空洞化も深刻化していること、こうした現状を抜本的に改革しないままの改正は納得できないことなどの意見が述べられました。  次に、神奈川社会保険委員会連合会会長株式会社パブコ総務部長鈴木和行君からは、法案保険料上限を設けた点で評価できるが、経済情勢によっては引上げを一時停止する措置も考慮してほしいこと、公的年金を補完する企業年金制度への一層の支援が必要であること、社会保障制度全般を協議する場を国民に開かれた形で設け、企業側意見も反映されるようにしてほしいことなどの意見が述べられました。  次に、神奈川労働組合連合副議長の岡本一君からは、神奈川県においても労働者雇用不安定化厚生年金空洞化が進行していること、国民年金保険料負担できる人は第一号被保険者半数程度にすぎないこと、法案はこのような年金制度空洞化を更に加速させ、制度の崩壊につながりかねないものであり、成立させるべきではないことなどの意見が述べられました。  次に、厚木社会保険事務所長和木田邦雄君からは、年金相談の件数が過去五年間で一・五倍に増えており、特に最近、年金問題の報道の影響で更に多くなっていること、このため待ち時間も長くなっているが、事務所を挙げて対応に努力していること、業務がコンピューター化されても、年金相談は人と人との対話が重要であることなどの意見が述べられました。  最後に、武蔵大学教授国広陽子君からは、国会議員未納・未加入問題よりも年金制度についての根本的な議論をすべきであること、被用者年金国民年金という全く異なる制度の二本立てとなっている現状は限界に来ていること、法案では第三号被保険者問題を始め女性年金の問題に前進が見られないこと、将来的に一元化を目指すにせよ、パート労働者への厚生年金適用拡大など現行制度の範囲内でも取り組むべき課題を放置してはならないことなどの意見が述べられました。  公述人意見に対し、委員より、国民年金事務に関する市町村と社会保険事務所との連携状況、我が国にいわゆるスウェーデン方式を導入する場合の問題点年金制度一元化必要性保険料引上げによる正社員雇用の減少、改正を先送りした場合の問題点厚生年金空洞化の実態、女性の生き方の多様化年金制度が対応していない問題など、多岐にわたる質疑が行われました。  会議内容速記により記録いたしましたので、詳細はこれにより御承知願いたいと存じます。  以上で報告を終わります。  ありがとうございました。
  10. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 以上で派遣委員報告は終了いたしました。  なお、地方公聴会速記録につきましては、これを本日の会議録の末尾に掲載することといたしたいと思います。     ─────────────
  11. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 国民年金法等の一部を改正する法律案外二案について、前回に続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  12. 田浦直

    田浦直君 おはようございます。自由民主党田浦直でございます。年金関連の三法案につきまして質疑をさせていただきたいと思っております。  私はまず、先般、衆議院での審議最終局面におきまして、自民党、公明党、民主党の三党で、衆参の厚生労働委員会年金一元化を含む社会保障制度全般のあり方に関する小委員会与野党での社会保障制度全般一体的見直しのための協議会が設置されるということが決まりました。また、そうした場で年金制度一元化国会議員国民年金の未納付問題に関する論議がされるということも合意されたということでございまして、私は高く評価をしたいというふうに思っております。  年金問題は、これは長期的な課題でございまして、政権が替わることでその方針が変わるということはあってはならない、与野党一体での合意形成が必要である、今回の社会保障協議会の設置は、まさしくその考えとも一致すると私は考えておるわけでございます。  年金制度一元化につきましては、三党合意の中で小委員会社会保障協議会検討課題にも挙げられておるわけですけれども、年金制度一元化は、これは従来から言われてきたところでございますが、野党皆さん改革の視点が一致しそうであるということでございますから、是非幅広く論議を進めていただきたいというふうに思っております。  しかしながら、この一元化というのは、言うはやすく行うは難しということであります。今の公聴会におきましても、公述人のほとんどの人が一元化を進めるべきだという発言をされたと聞いておりますが、私はその一元化を目指すということは非常にいいことだというふうに思いますけれども、例えば自営業者所得をどういうふうにして把握するか、あるいは、現実問題として納税者背番号が必要であると、こう言われておるわけですが、納税者背番号につきましては従来から反対意見が多く、その実現が恐らく容易でないだろうというふうに思っておるわけでございます。  私は、こうした問題を含めて、年金一元化の道筋をどういうふうに考えておられるのか、現実に実行する場合にどうしたハードルをクリアしなければならないか、そういったところをまず冒頭に厚生労働大臣にお尋ねをしたいと思います。
  13. 坂口力

    国務大臣坂口力君) おはようございます。  年金一元化お話をいただきました。委員も御指摘をいただきましたとおり、もう今までにもこの一元化お話はずっと続いてまいりました。確かに、いわゆる被用者保険の方は、厚生年金といわゆる旧国鉄、専売公社電電公社あるいは農協といったようなところが合併をいたしまして、そして一元化が進んできた。あるいはまた、昭和六十一年からは、いわゆる基礎年金の部分が国民年金基礎年金一元化をしていくということで、ここに一つ前進があったと、こういうことがございますけれども、今後更にこの一元化の問題を進めていくということになりますと、残っておりますのは共済年金、国の共済地方共済私立学校共済、こうした問題まだ残っておりますが、これらの問題をまず前進をさせるということがまず第一。  そして、併せてと申しますか、今、今日的課題になっております国民年金に加入をしておみえになります自営業者農林漁業者を始めとする皆さん方年金と、そしてサラリーマン年金一元化をどう進めていくか、ここは最終的な問題であろうというふうに思っております。  この進めていく手順というのは、これはそれこそ今後御議論をいただいて決定をしていただかなければならないというふうに思いますが、今申しましたように、共済等のいわゆる年金一元化するというのは、これはもう二階建て年金それぞれあるわけでございますからそう難しい話ではないんだろう、難しいところもございますけれども、できるんだろうというふうに思っておりますが、その国民年金との一元化につきましては、今お話がございましたように所得の把握をどう進めていくかといったこと、確かにございます。  それから、納めていただきますその保険料と申しますか、保険料を、自営業者皆さんでありますから、これは半額企業負担というのはないわけでございまして、言ってみればサラリーマン皆さんの倍額をお支払いをいただかなければならない、そして同じ年金になると、こういうことになります。あるいはまた、自営業者皆さん方所得が一定いたしませんで年ごと変化をする、そうしたところをどうしていくか。そしてまた、自営業者皆さん方定年退職というのはない場合の方が多いわけでございますが、それらのことをどう考えていくかといったようなことが問題点としてはあるだろうというふうに思っております。  それに加えて、女性皆さん方の問題につきましては、女性皆さん方賃金が今低いわけでございます。賃金が低いままでやはり加入していただくということになりますと、女性年金はいつまでたちましても低いということになる。この女性賃金をこれからどうしていくかという課題も私はあるというふうに思っています。  これらの問題を解決いたしますためには、その前に、やはり国民年金個人単位になっておりますし、厚生年金世帯単位になっておりますが、ここのところを同じ、世帯単位にするのか個人単位にするのか。私は、やはり個人単位にするということが今後の方向だと私は思っておりますけれども、そうしたことをまず決着をしていかなければならないだろうというふうに思っておりまして、それらのことにつきまして御議論をいただきまして、そして一つ方向性が示されていけば大変有意義なことだというふうに私も思っているところでございます。  したがいまして、この年金以外にかかわってくるところも非常に多いわけでございますので、それらのことを併せて御議論をいただかなければならないというふうに思っております。
  14. 田浦直

    田浦直君 今までずっとJTとかJRとか農業年金とか、いわゆる共済年金厚生年金合併してきたというのは、おおむね財政が、それぞれの共済年金財政が悪化して厚生年金合併せざるを得ないということで合併しているような気がするんですね。  そうすると、例えば今言われている国家公務員あるいは地方公務員それと私学共済、これはまだしばらくは財政的にはもてるんじゃないか。そうすると、なかなかこの共済厚生年金とが合併するというのは時間が掛かるんではないかな、それでも相当時間が掛かる、十年ぐらい掛かるかもしれないなと私は思っておりますけれども、その先に国民年金との合併というのが、もし一元化ということであればあるわけですね。これがまた難物だということでございます。  今大臣がおっしゃられましたように、政府としては一つ一つ共済年金合併しながら、将来は一本、一元化に進めていく、この方法もあるんですが、これは非常に時間が掛かるしまどろっこしいという感じがします。今、民主党を始め野党方々がおっしゃられておられる厚生年金共済年金国民年金一つにしてガラガラポンでやってしまう、これは乱暴ではあるけれども、一つはやっぱり政治的な蛮勇を振るわぬといかぬという面からは考えられるものでもあると、私はそういうふうに思っておるんです。  そのどちらを選択するかということが私はこれからのこの年金一元化の一番大きな問題じゃないかなというふうに思っておるんですけれども、大臣の御答弁を聞きながら、どういうふうに大臣、その辺は考えられているのかな。私は蛮勇も振るわぬといかぬのじゃないかなという気があるんですよね。その辺についていかがでしょうか。
  15. 坂口力

    国務大臣坂口力君) そこは、御指摘のとおり、私も手順として共済年金の方を先へということを申し上げましたけれども、先般来、衆議院の方でもその御議論をいただきまして、それは平成十九年までということでございますから、非常に限定された期間の中で、この二、三年の間で結論を得なければならないわけでございます。  したがいまして、それは共済年金とそれから国民年金等との問題を別々に議論をするということではないんだろうというふうに思っておりますが、私が申し上げましたのは、共済年金などはもう姿形が同じになっておりますから、これはどちらかといえばされやすいだろう、しかし国民年金の方の一元化の問題も時間が決められているわけでありますから、その中で結論を出していただかなければならないんだろうというふうに思っております。  そういたしますと、それが完全に実施をされますまでには、それは移行期間というのが必要でございますから、それは掛かるんだろうというふうに思いますけれども、決断はやっぱりもう早くしなければならないということになってくるんだと思います。そこは政治的決断だというふうに私も思っております。
  16. 田浦直

    田浦直君 それから、三党合意の中で年金保険料に関して、社会保障全体の在り方の検討状況経済社会情勢変化などの事情を勘案して、必要に応じて検討を加えていくという文言が入っているんですよね。  これは、表現上は、今回の法案規定されています厚生年金で一八・三%を上限に固定するという規定と整合的なものがないのではないか。状況に応じて今後も変えることがあるというふうに解釈をすることができると思うんですけれども、これにつきましては大臣はどういう御認識をお持ちでしょうか。
  17. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 我々この法案提出をさせていただいておるわけでございますし、我々の方は一八・三%という数字を示させていただいているところでございます。こうした数字を示させていただいて、そして十四年間掛けまして徐々に引上げをさせていただくということを言っているわけでございます。  しかし、この法案を作ります過程におきましてもいろいろの御議論ございました。一五%ぐらいで何とか抑制ができないかという経済界からの御意見もあったわけでございます。しかし、その経済界皆さん方がおっしゃる一五%といいますのは、その代わりに年金額ももう少し低くてもいいんではないかという御意見が一方で付いているわけでございます。いわゆる保険料それから給付の方の年金額ともに小さくてもいいではないかと、こういうお話だったというふうに思っておりますが、しかし我々はそう低下をさせるということはでき得ないというので、今回の案を選択をさせていただいたところでございます。  今お読みをいただきました点につきましては、今後、社会保障全体の中で年金、医療、介護の問題を考えていただく必要がある、また一方におきまして、その負担を税で行うのかあるいは保険料で行うのかといった御議論も出てくるだろうというふうに思っております。社会保障全体の中でどう考えるかというこれからの御議論というのは、私はこれは大事な問題だというふうに思っておりまして、そうした中で全体としてどういうふうに今後決めていくかという御議論は別途あり得るんだろうというふうに思っております。そうした意味をそこでお述べをいただいたのではないかというふうに考えている次第でございます。
  18. 田浦直

    田浦直君 それから、国民年金未納者に対して厚生労働省罰金引上げで対処しようと、そういう方針のようですけれども、個人国民年金未納者に対して罰金を十万円から三十万円に引き上げるなどの対策を講じられるということですね。私は、これに関して大臣が具体的にどのような厳しい処置を考えておられるのか、そういうことを御説明をお聞きしたいというふうに思いますが。
  19. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 国民年金法それから厚生年金保険法におきましては、年金保険事業の円滑な実施を確保する観点から、事業主方々あるいは被保険者方々に対しまして、被保険者資格の取得、喪失等届け義務を課すとともに、その履行を担保するために、この義務違反に対しまして一定の罰則を従来から科してきているところでございます。  その罰金額でございますけれども、これにつきましては、従来から健康保険あるいは国民健康保険制度等の社会保険制度全体におきます罰金額状況を参考にしつつ、経済状況も勘案しまして適宜引上げを行ってきたところでございます。  今回の改正案で申し上げますと、平成十二年それから平成十四年の健康保険法の改正におきまして、罰金額が、この届出義務違反につきまして十万円でございましたものを、平成十二年の改正によりまして二十万、それから平成十四年の健保法の改正によりまして三十万という形で引上げが行われたことを勘案いたしまして、これとの均衡を図りながら厚生年金保険法及び国民年金法による罰金額引上げを行うものでございます。その一環といたしまして、国民年金法上の被保険者資格の取得、喪失等の届出義務違反につきましても、今申し上げました現行の十万から三十万に引き上げるということを今回の改正法に盛り込まさせていただいているところでございます。
  20. 田浦直

    田浦直君 そうした処置も必要かと思うんですけれども、やはり未納者には、まず徹底した通知とか広報をすることが大事じゃないかなというふうに思うんですね。恐らく、今度十万円から三十万円に上がるということを知っている国民というのはほとんどおらないんじゃないかと思うんですね。そういう厳しい処置を取りますよと言うからには、それはきちんと国民にも知らせなければいけないし、そういうことで大変不利になりますよという公示も、PRも社会保険庁などを通じてやらぬといかぬのではないかなと私は思っているんですね。  そういった意味で、これは年金局長でも結構ですけれども、どういうふうな対策といいますか、を国民に向けてやられるか、その辺についてのお尋ねをしたいと思います。
  21. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 例えば、国民年金で申し上げますと、それまで民間の事業所にお勤めになられて厚生年金の被保険者、それから国民年金で申し上げますと、いわゆる第二号被保険者の方がそこの事業所から退職をされまして国民年金の被保険者となられるという、こういうことにつきまして、基礎年金番号を導入をいたしましたので、基礎年金番号によりまして厚生年金の被保険者でおられるかあるいは国民年金の被保険者の届出を出しておられるかということが分かるような状態になっております。  そういうことを踏まえまして、社会保険庁の方で、二か月たちまして国民年金の被保険者としてのお届けがない場合に御本人に通知をするということをいたしております。それからさらに、その後六か月たちまして更にお届けがなければ改めてまた通知をするということをいたしておりますが、こういう点の業務運営面につきましても、それでは、半年たったら、それで届けがない場合にそれで打ち切るのではなくて、更に引き続き御本人に通知をしていくということが非常に大事だろうというふうに思っています。  こういう面で、この社会保険事業の運営の面でできるだけ個人個人の方に通知を申し上げる体制を作っていくということが大事だろうというふうに思っています。例えば、二十歳に到達された方につきましては、現在の仕組みで申し上げますと、既に、二十歳に到達されますと、厚生年金等に加入しておられない場合には国民年金の被保険者となられるわけでございまして、こういう方に対しましても今のような通知を申し上げております。もちろんこれは、今の罰則、罰金につきましては、全体との整合性という観点で、医療保険制度と同様に、同じレベルにということで改正案に入れさせていただいておりますが、まず第一に必要なのは、そういう個人個人の方にその状況について社会保険庁から御通知を申し上げまして自主的に届出をしていただく、このことに最大限努力していく必要があるだろうというふうに思っております。
  22. 田浦直

    田浦直君 私は、社会保障制度の中でこの年金というのも考えなければいかぬというふうに思っておるわけですが、例えば、この社会保障制度全般が非常に今問題が深刻化しておりますですね、介護保険についても見直しの論議が始まっておりますし、医療保険についても改革はもう待ったなしというところに来ておるわけですね。  小泉構造改革、その中でどのように社会保障の全般的な改革を位置付けし、推進するというお考えなのか、また、抜本的な年金制度改革を早期に実現しなければならないというこの問題意識について、分かりやすく説明をお願いをしたいというふうに思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
  23. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 総理は、総理のお考えひとつ聞かなきゃいけないと思うんですが、私の考えておりますことと完全に一致しているかどうかは分かりませんが、全体として、この年金、医療、介護を始めとする社会保障というものをトータルで考えていかなければならないと。御負担をいただきます国民の財布は一つである、したがってトータルで考えていかなければならないということでは完全に一致をしているというふうに思っております。で、その中で個々に、例えば年金、医療、介護をどのように今後また更に改革をしていくかという問題は、個別の問題はあろうかというふうに思いますけれども、トータルではそういう考え方なんです。  そしてその中で、負担の中では、保険料とそして税とを、どこまでそれは可能なのか、税と保険料との割合をどう決めるか、大きな課題にしていかなければならないということでもこれは一致、そういうことになっているというふうに思っています。そういう形で進められていると。  経済財政諮問会議におきましては、どちらかといえば、やはり財政上の問題が中心になって私は論じられているというふうに思っています。経済財政諮問会議におきましては、国民負担率、いわゆるその中でも潜在的国民負担率、過去の赤字も含めた計算の中で、ここを考えて五〇%以内に抑制すべしという御意見が出ておりまして、しかし私は、社会保障に対するキャップで決めて、キャップを決めてと申しますか、社会保障はこれだけですよと、もうこれ以上は増やすことできませんよという、何かこう帽子をかぶせるような形にして、そしてその後はどうぞひとつ中で自由に分配してくださいというのは少し私は違うんではないかという御意見を述べているところでございます。  ややもいたしますと、そういう全体としての上限を作っておいていかないと、いつまでたっても社会保障は伸びる一方だと、こういう御議論があることも事実でございますけれども、私はそうではなくて、もう少しやはり節減できるところは節減をして、しかし必要なところは必要なんですから、もう少し下からのそうした節減と、そして必要なところとを積み上げて、そしていかないと、高齢者が増えることでもございますしいたしますので、そうしたことをやはりした上での話ではないか。その辺のところが経済財政諮問会議におきましては委員によっていろいろ意見が異なっているということではないかというふうに、私は現在のところ理解をいたしております。
  24. 田浦直

    田浦直君 私が今質問したのは、今大臣が答弁されたようなところに私も疑問を持っておりますし、そのようなことで社会保障を決めていいんだろうかなという思いがするんですね。  この骨太方針の二〇〇四というのがもう間もなく出るわけですけれども、その中期目標に、中期的な観点から社会保障給付費について目標を定め、それと整合的に毎年の歳出総額を抑制するという文言が入るということになっておりますですね。今大臣がおっしゃられましたように、要するに毎年の歳出総額を抑制する目標を作っておいて、それに合わせて歳出を抑制するんだ。全く財政一辺倒の考え方だな、やはり社会保障というのはそういうものであっていいんだろうかなという思いがするわけですね。  それから、社会保障費の目標として、今大臣がおっしゃられました潜在的国民負担率五〇%という数字も明記するということを言っておりますですよね。もう明らかに財政から社会保障を抑制するということのみに懸かっておるようで、本当にこれが小泉改革であっていいのかなという思いがするわけでございます。私は、この潜在的国民負担率、これも非常に分かりにくいんですね、国民にとっては。国民負担率であればもう保険料と税金ということですから、これは国民も出しているわけですからこれは分かるんですが、潜在的というと、これに今度は財政赤字が入ってくる。財政赤字については、国民が直接払っているものでも何でもないわけですから、それを含めて五〇%とする。  これは指標として、潜在的国民負担率というものを指標として認めていいのかなという私は疑問を持っているんですけれども、これは大臣、いかがでしょうか、私はそう思うんですが。社会保障費の指標としてこれを扱う、五〇%にするとかいうのはちょっとおかしいんじゃないかなと思うんですけれども、どうでしょうか。
  25. 坂口力

    国務大臣坂口力君) これは全体として、これは社会保障だけではなくて、全体としての財政出動をどうするかということでございます。  したがいまして、社会保障だけの話ではございませんが、何らかの目標を立てて、そしてやっていかないといけないという御趣旨は私も理解はできるわけであります。何らかの目標を持ってやっていく、そうでないとなかなか財政上厳しくなってくる。これから先、支払をしていただく皆さんの数が減るということになってくれば殊更厳しくなってくると。そこは、私も目標を持ってやっていくということは大事だというふうに思っておりますが、その目標にするのに何をもって目標とするか、何を物差しにしていくかということは、私も議論のあるところだと思っております。
  26. 田浦直

    田浦直君 それから、給付水準が五〇%を確保するということを今度の改正案でも述べられております。この点については、長期的に将来にわたって本当に五〇%を維持できるんだろうかという心配の声があるんですね。先ほど上限のところで申しましたけれども、経済社会情勢に応じて変動する可能性が多分にあるんではないかなというふうに思うんです。  この五〇%についてでもそうですけれども、その試算の前提となるのは出生率が大きな役割を果たしていると思うんですよね。この出生率が一・三九まで回復するということが前提でできているんですね。今は一・三二でずっと下がっておるんですよ。それで、この一・三九というふうに回復するということを前提にしているということですけれども、何といいますか、回復する見込みといいますか、その根拠というものがあってそういう数字を示されておられるのかどうか、その辺についての御説明をお願いをしたいと思います。年金局長
  27. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 今、出生率の前提、これは二〇五〇年でございますけれども、一・三九ということで設定をいたしておりますのは、国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口の中位推計を用いております。  二〇五〇年に向けて出生率が一・三九という水準で推移するということ、この推計の基礎でございますが、晩婚化が一層進行するということをもちろん盛り込んでおりますが、これにプラスをいたしまして、新たに明らかとなりました結婚された御夫婦の出生力の低下傾向を踏まえております。従来の推計からより少子化が進行する方向に見直したものでございます。  この一・三九という水準でございますが、御案内のとおり、先進主要国の中でも極めて低い水準でございます。この絶対値だけで申し上げますと、欧米諸国をごらんをいただきますと、ドイツ、それからイタリア、スペインが大体この程度のレベルでございます。それから、ヨーロッパの主要諸国をごらんをいただきますと、例えばスウェーデン、フランス、それからイギリスといった諸国はほぼ一・五から二・〇の間の状態でございます。  それから、このことを御想像していただくために、この状態、一・三九という状態でございますが、親の世代に比べまして子供の世代は三分の二ということになってまいります。大体三十年強ぐらいでございます。さらに、その孫の世代は更にその三分の二ということでございますので、子供、孫という状態で申し上げますと半分以下という、絶対数はそういう形にだんだん偏向してくるということでございます。  そういう意味で、基本的には急速な少子高齢化といいますか、その傾向を盛り込んだ中位的な推計だろうというふうに考えております。
  28. 田浦直

    田浦直君 諸外国がそうである、ヨーロッパが、それはそれなりにやっぱり出生率回復のためのいろんな施策を施しておられると思うんですね。日本の場合はそれが非常に後れているという感じがするわけですね、まあこれは年金局長の問題ではないんでしょうけれども。  そういう施策をやっぱり政府全体として取り組むように、いち早く取り組むように、充実したものにするように、これはお願いをしておきたいと思うんですね。私は、この前韓国に行きましたら、韓国の出生率は一・一七と言っていましたですね。だから、必ずしも増えているところだけじゃなくして、そういう国もあるので、日本がどっちの方向に向かうかということは非常に大きな問題をはらんでいるわけですが、それはやはり政府のいろんな施策によっても動くわけですから、是非充実した出生率対策を取るように、これは政府の方に坂口大臣を通してお願いをしたいというふうに思っております。  それから、年金積立金の運用、特に事業に向けての運用、これいろいろ今問題になっておりますですね。厚生年金病院だとかあるいは福祉施設だとか、非常に赤字が出て積立金を取り崩すとかそういうことが行われているということですけれども、これはやはり政府としても当然厳しい対策を取るというふうに私も思っているわけですが、これをどのように具体的に実行していくのか。これは厚生省にかかわってくる問題じゃないかと思うんですが、この点については厚生大臣、どうお考えでしょうか。
  29. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 今御指摘いただきました問題は、いわゆる積立金の運用の問題、それからその他今まで行ってきました様々な事業の整理の問題等々を含んでいるというふうに思っております。  それで、いわゆる保険料に、積立金にゆとりがあったと申しますか、まだ余り年金受給者が多くなかった時代に、様々な御意見もあって、そしていろいろの事業を行ってきたことも、過去、これも事実でございます。そこを整理をするということを行わなければならないというふうに思っております。  ただ、今までの反省といたしまして、何年までにこれを、この施設を全部決着をするということだけを決めますと、足下を見られまして買いたたかれるというようなことがあったり、また安くこれを全部地域に渡すといったようなことがあったりしてきたわけでございまして、この辺のところも難しいところでございますから、各制度、今までやってまいりました問題ごとに、これは若干内容は違うというふうに思いますけれども、例えばいわゆる年金病院のようなのが十一か所ぐらいございます。こうした制度を、一体年金病院等をどうしていくか。先日も院長さん方の御意見を聞きましたら、それぞれの病院は毎年黒字である、そしてまだほかに三%ずつ拠出も行っているといったようなことでございまして、そうした国民と密着をしてそして役立っている、大変成果を上げておみえになるようなところを一体どのようにしていくかという問題ございますし、そういう余り十分な機能を果たしていないところ、それはもう当然早くやらなきゃいけない。  そうした内容様々でございますから、それ一つ一つやっぱりよくチェックをしてやっていかなければいけないと思いますが、総論として申し上げれば、年金以外の事業はもうやめるということが一番大事だというふうに思っております。  また、年金運用の問題は別途独立行政法人を作りましてやっていくことになっておりますが、今後は今までと違いまして全額これは返ってくる、財投から返ってくるわけでございますので、その額も巨額になりますために、この運用には細心の注意を払って、そして専門的な立場の皆さん方にこれはお願いをするということでなければならないというふうに思っているところでございます。
  30. 田浦直

    田浦直君 今回の年金制度改革議論を見ておりましても、年金制度は非常に複雑で分かりにくい、これはもう私どももそうですが、国民皆さんもそうではないかなというふうに思うんですね。まず、政府としても、今回これを契機に、いろんなテレビとかコマーシャルを使ったり、パンフレットを配ったりしながら国民に是非理解を深めるようなPRをしていただきたいと思うんですが。  私は、その一つだと思うんですが、厚生労働省年金局から出ているパンフレットを見させていただいたんですが、この二十三ページにありますが、「年金に関する個人情報の提供の現在の取組」というのがあるんですよ。これでは、年金相談に来ていただいた五十五歳以上の方が希望があれば年金の見込額を試算をします、あるいはインターネットにより見込額の照会を受ければ後日文書で回答をします、あるいは厚生労働省のホームページでは所得の条件を入力すれば年金額の簡単な試算を行いますと書いてあるんですね。これは非常に、何というか、丁寧に書いてあるようですけれども、要するに国民の方から年金保険局にアプローチをしなさいということなんですよね。  私は、こういう時代ですから、もっと保険庁の方が国民の方に自らアピールするような、そういうふうにPRを変えてもらいたいなと思っているんですね。例えば、自分の年金は大体どれくらいになるんだろうかとか、今幾ら納めれば大体これくらいもらえるんだと。それを、例えば毎年でもいいし、それから若い人、もう二十代から払えと言うわけですから、じゃ二十代の方々からそういうふうなことを、ただあなたの保険料は幾らですよということじゃなくして、あなたの保険料はこれだけだけれども将来はこれだけもらえますよということを毎年送るような、そういうことをされればきっと年金に対する理解も深まってくるんじゃないかなと私はそう思うんですけれども、それについては、これは年金局長、どうですか、そういうことをやりませんか。
  31. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 今先生おっしゃいました、この二十三ページにも記載をいたしておりますが、今回の改正法案の中でいわゆるポイント制の導入ということを盛り込ませていただいています。  それで、一番、この案を審議会の中でも御議論をしていただきましたときには、御自分の年金につきましての保険料納付実績が将来の年金に対してどの程度蓄積されて、状態になっておられるか、それからさらに、将来、これはある仮定を置いて考えていくしかないというふうに思いますが、将来これが延長されたときにどの程度の年金見込額あるいは年金給付水準になるかということでございましたが、このポイント制を御通知申し上げるときには、必ずその前提といたしまして、これまでの保険料納付していただいた実績をまずお伝えすることが必要になってまいります。元々、案の中にもそういう保険料納付実績を被保険者個人個人の方にお伝えするというのを入れておりましたけれども、特に国民年金保険料納付の問題を踏まえますと、その保険料納付をしていただいた実績をお伝えするということも非常に重要性があるだろうというふうに思っております。  これは、平成二十年の四月から実施を予定をいたしておりますが、今後、今先生御指摘あったような点も踏まえまして、実際の通知申し上げる中身、それからどういう方々を対象にして考えていくのかということをよく検討してまいりたいというふうに思っております。  できるだけ被保険者方々にこういう情報が、先生がおっしゃいましたように、被保険者方々が、あるいは年金受給者の方々年金相談等で求めてこられるときだけではなくて、私どもの方の年金実施体制として、できるだけ被保険者あるいは受給者の方々にそういう中身をこちらからお伝えをするということを心掛けてまいりたいというふうに思っております。
  32. 田浦直

    田浦直君 私も別の会でそういうことをやらないのかと年金局の方にお尋ねしたら、今、五十五歳から尋ねてくれればお答えしますということですね、年金額については。それはやっぱりおかしいんじゃないか。今言いましたように二十歳から納めるわけですから、二十歳からやらないと年金に関心持ちませんよね。私は是非、今平成二十年から取り組むという話ですけれども、もっと早く前向きに取り組んでいただきたいということを申し上げて、質問を終わらせていただきます。
  33. 中原爽

    ○中原爽君 引き続きまして、自民党の中原爽でございます。  ただいま田浦議員から御説明がございました年金局がお出しになっておられるこのパンフレットでありますけれども、「「持続可能」で「安心」の年金制度とするために」という表題で、平成十六年、年金制度改革案のポイントというパンフレットであります。このことについて少しお尋ねをしようと思うんですが、この中で四ページと二十五ページのところに確定拠出型年金のことが説明されております。今日はその確定拠出型の年金制度について、今まで御議論が出ておりませんので、この点をお尋ねしようと思っております。したがって、お答えは年金局の方から各論的にお答えいただければ結構でございます。  最初にお尋ねしようと思いますのは、現行年金制度ももちろんなんですが、こういう年金制度にかかわりまして、確定給付型の年金であるとか確定拠出型の年金制度であるとか、そういうことが言われてきました。この二つの違いについて、基本的な相違があるわけだと思うんですが、確定給付と確定拠出の基本的な相違点というのをごく簡単に御説明いただきたいと思います。
  34. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 企業年金の分野で御説明申し上げますと、いわゆる確定給付型の企業年金といいますか、これは、英語で申し上げますとディファインドベネフィットというふうに使われています。ディファインドベネフィットということは、ベネフィットというのは給付でございますので、給付が定義されている、あるいは給付が確定をされているということだろうと思います。それから、確定拠出でございますが、これはディファインドコントリビューションと、コントリビューションというのは拠出でございますので、拠出が確定をしておるということでございます。  それで、企業年金の歴史でも、基本的には今申し上げました確定給付企業年金から出発をいたしております。厚生年金基金あるいは適格退職年金もそうでございまして、アメリカの企業年金におきましても基本的には確定給付型から出発をいたしておりますが、その後、確定拠出型の企業年金が生まれてきておるという形でございます。  確定給付型は、そういう意味で申し上げますと、それまでの拠出実績、掛金額あるいは掛金の期間等を、そういう拠出実績を基にしまして、給付の算定方式があらかじめ設定をされておりまして、その算定方式に基づいた給付が行われるという形になってくると思います。それから、確定拠出型、典型的にはいわゆる四〇一kでございますが、これは典型的な形で申しますと、四〇一kの場合には個人ごとに勘定を設けまして、拠出した保険料額とその運用収益、これは現実の運用収益でございますので、それを基に給付額を決定するという方式でございます。  それから、確定拠出の一つの特質は、その企業年金に加入しておられる、将来的にはその企業年金給付を受けられる方が自ら指図をされて、例えばリスクとリターンが違う金融商品がいろいろございますので、その中で御自分で選択をしてその運用をお決めになるということだろうというふうに思います。それで、確定給付型の企業年金の場合には、通常は企業年金の運営責任者がその運用についていわゆるポートフォリオを組んで決定をしていくという形だろうというふうに思っております。
  35. 中原爽

    ○中原爽君 御説明いただきましたが、ごく簡単に申し上げると、確定給付型というのは若い世代がお年寄りの世代を支えていく、年金的にですね、ですから世代間の扶養制度だというふうに言うことはできるわけでありますし、また確定拠出型の制度というのは、御説明にございましたように、保険者個々人が将来の自分の年金を自己責任によって支えていくんだと、こういう制度であります。  したがって、世代間を扶養するのと自分の年金を自分で支えるというのの違いが確定給付と確定拠出の基本的な違いだということは言えるわけなんですが、現在の制度で言えば、従来型の厚生年金で申し上げると、将来の年金支給額をあらかじめ決めておくために掛金の運用利回りもあらかじめ予定されると、こういう制度になりますし、しかし現在、その運用の環境が悪化しておりましたので、生じた掛金の積立て不足が起こるということで、これがまた企業責任になるという状況でありまして、この点、厚生年金の基金をやめようかという企業が相次いできたわけであります。  一方、確定拠出の方は、企業が現在毎月一定の掛金を拠出しまして、その運用について、株式であろうと債券であろうと投資信託であろうと、この運用は従業員が自己責任で運用すると。したがって、運用益が上がらない、元本割れであっても企業は責任持たないということでありまして、個人の責任に帰すると、こういうことになっております。  こういう制度が今組み合わさっているわけなんですけれども、よく考えてみますと、このパンフレットの中にもございますけれども、マクロ経済スライドというのがありまして、説明がございまして、このスライドの調整率が年平均〇・九%で計算すると。〇・九%は先にありきというわけで、これ十四ページに出ております。  これもやはりある年間を限ったところで日本のGDPを考えてみますと、名目のGDPとそれから実質のGDP、二つあるわけであります。現在、名目のGDPが何%であろうと、でも、それが年金という形で考えると、せっかくいただいた年金がそのときの経済の貨幣価値が非常に低いあるいは高いという状況によって左右されるわけですから、したがって名目のGDPの考え方と、それからある年間に限っての実質のGDPが下がったか上がったかということでもらった年金が本当に生活に役に立つかどうかということになってしまうんですね。それは結局、年平均スライド調整率〇・九%という計算をいたしましても、厚生年金で言えば将来一八・何%かという形で出す方を予定して、それで、もらう方は平均的なサラリーマンの年収の五〇%以上確保するということになるわけなんですけれども、でも、それは名目のGDPと実質のGDPの差ということと同じことになるんですね。そういう制度になるということであります。  したがって、問題なのはそういうことじゃなくて、このパンフレットで今お手元にお配りをしております資料、カラーのページ、四ページであります。三枚とじでございますけれども、最初に四ページのところをごらんいただきたいと思います。上の方に「二階建ての公的年金と私的年金」という表題がございまして、それで体系図があります。  そうすると、この中で、体系図の中で、一般国民の方がこのパンフレットをごらんいただいて、この四ページを見て、何が公的年金なのか、何が私的年金なのかというのは、この体系図からでは全く分からない。どうでしょうか。  この前、この黄色の部分の国民年金基礎年金)の部分について、自営業者にかかわりまして山本議員からいろいろ御指摘がございまして、この一階部分の国民年金において自営業者の在り方というのはもう一回見直す必要があるのではないかと。この国民年金の部分を一元化したという形になっているんだけれども、本当にこれが整理されていないだろうという御指摘があったというふうに思います。したがって、その二階建ての部分の厚生年金の保険と書いてありますこの二階建ての部分、あるいは共済年金と書いてある部分、この部分について自営業者はどうあるべきかという御示唆もされたというふうに思います。  そうすると、この自営業者、一号被保険者のところでありますが、上の方に国民年金基金というのが乗っかっております。これが、二階建てとは言えない、二階半、中二階なのか、三階とも言えないという部分がこれ乗っかっておりまして、その上にまた確定拠出型の個人型の年金制度が乗っかっていると。したがって、この個人型と国民年金の二つを合わせまして上限が六万八千円以上超えてはいけないと、こういう制度になっているわけですね。これがいわゆる私的年金の部分になると思うんですが、実際に、ここ国民年金基金と書いてありますけれども、これは職能型と地域型、二つに分かれております。この現状について、ちょっと御説明いただきたい。
  36. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) これでごらんをいただきますと、いわゆる第一号の方につきましては確定給付型の従来からの国民年金基金、それから新しい個人型の確定拠出年金、いずれも、これ限度額は六万八千円でございますが、その範囲で選択ができるという仕組みでございます。  それで、その国民年金基金の現状でございますが、今申しました確定給付型の国民年金基金の給付を行うということで平成三年度に制度が発足をいたしまして、十三年が経過をいたしております。  平成十四年度末で申し上げますと、二つのタイプがございまして、一つは、同種の事業あるいは業務に従事する方、いわゆる職能と言っておりますが、職業が同種の事業あるいは業務に従事する方で組織をされまして全国を通じて設立をされる職能型国民年金基金の設立数は二十五でございます。これに加入しておられる方は十二万人でございます。それから、同じ都道府県に住所を有する方で組織されましてその都道府県ごとに設立されます地域型国民年金基金がこれ四十七でございまして、加入者数は六十五万人という状況でございます。
  37. 中原爽

    ○中原爽君 したがって、御説明ございましたように、このカラーの四ページで申し上げると、国民年金基金と、こういうふうに書いてございますけれども、実態は地域型と職能型があるということであります。これが三階の部分なのか中二階なのか分かりませんけれども、このページで言えば私的年金だということになります。  したがって、今後考えていく問題は、この一階の部分の基礎年金、先ほどこの自営業者の収入や何かの捕捉を考えながら自営業者に対する国民年金の在り方、一階の部分の在り方をもう一度見直すという必要性と、それと併せて、今後、自営業者の二階建ての公的な部分をどうするかということになると、やはりこの三階建ての国民年金基金の部分、自営業者に対する部分をどうするかということを考えていく、それが必要じゃないかということを言いたかったわけであります。  今お配りをしておりますパンフレットの二枚目をごらんいただきたいと思います。これは白黒になっておりまして横長のものであります。この前のカラーの四ページよりも更に詳しく区分けがしてあります。右の方に一階、二階、三階となっておりまして、各々二階建ての部分については厚生年金共済年金が二階の部分にあって、それに各々また三階が乗っているということであります。三階が乗っている部分は、いずれも確定拠出の制度ということになります。それぞれ、その企業が企業年金実施しているかしていないかということでまた区分けが出てくるということになります。それと、完全に個人型ということの部分が一応乗ってくるということであります。ただいま御説明申し上げた自営業者、一号被保険者については、国民年金という中二階らしいものがあって、その上にまた中二階プラスアルファの個人の拠出型制度が乗っかっていると、こういうシステムであります。  こちらの図の方が分かりやすいというふうに思いますし、この自営業者に対する国民年金基金関係は月額が六万八千円だということになりますね。個人とこの基金と両方入っている場合の上限は両方足して六万八千円が上限と、こういうふうなシステムになっているということであります。  右の方をごらんいただきますと、国共済と地共済というのがありまして、米印が付いております。この部分については確定拠出型の加入の対象外だという部分があるということが分かります。  最初の四ページのカラーのところで、要するに公的年金と私的年金ということで組み合わさっている図式だったわけでありますけれども、こちらの図式の方が、本当はこのカラーのものよりも白黒の方が分かりやすいといえば分かりやすいということであります。  これと全く同じ表が、現在発売されております、日本経済新聞から出ておりますが、三月に発売になりました「年金を問う」というこの単行本の二百三ページにこの白黒と同じ図式が出ております。それをコピーしようかと思ったんですけれども、著作権がどうのこうのというふうに書いてありますので、ここ、今ごらんいただいておりますのは恐らく厚生省の出典のものであろうと思いますので、それをもって御説明をいたしました。  そんなことでありまして、先ほど来申し上げておりますが、自営業者に対しての基礎年金とそれから二階建ての部分をどうするかということを考えていく必要性は私も十分あるというふうに思います。それと、この国民年金基金、今職能型が二十五ありまして、あと地域型は四十七都道府県ということになります。  口幅ったい言い方なんですが、局長から御説明ありました平成三年からこの職能型の年金基金が出発いたしまして、その当時、私が所属をしておりました、所属長でありました団体、現在余り大きな声で言いたくない団体でありますけれども、そこがこの国民年金基金の認可の第一号をちょうだいいたしまして、私はその証書を受け取りに参りました。そんなこともありまして、自営業者に対する国民年金基金とその連合会ということについては執着を持っているわけで、そういうことでお聞きしたわけでございます。  それでは、次のことをお聞きしたいと思いますが、最後のカラーページ、二十五ページになります。ごらんいただきたいと思います。これも、このパンフレットの中で確定拠出について書かれておりますページでございまして、四ページと二十五ページだけが確定拠出年金にかかわったことが書いてございます。  上の方をごらんいただきますと、この十月、十六年の十月から、四種類について一応上限公的年金給付水準の見直し等を踏まえて公的年金を補完するとして、老後所得の確保を図るためにこの確定拠出年金の拠出限度額を引き上げると、こう書いてございます。  ごらんいただくと、企業型で他の企業年金がない場合には三万六千円の上限月額を四万六千円に一万円上げると。このことは、先般、五月二十日の本委員会で西川議員が、何で一万円なんだということの御質疑をされたところであります。これは、実は私、参議院厚生労働委員会の調査室から平成十六年の二月付けでいただいた資料集、この中には、これは四万六千円じゃないんですよ、実際は六万六千円の予定になっておりまして、二万円減額になって、西川議員がお尋ねになったように一万円しか多くならなかったと、引上げにならなかったということであります。  このことについて、この日経新聞の編集によります本にはこう書いてございます。厚労省は月額三万六千円の非課税枠の上限を六万六千円と倍近く引き上げようとしたと。しかしその後、株価が上昇して、日経平均の株価が一万円を回復したと。結局、政府・与党案は非課税枠引上げは四万六千円までと大幅に圧縮されたと。財務省は、枠を引き上げると企業の損金算入額が増加し、法人税収が減ることを恐れて税収への影響を最小限にしたと見られるということでありまして、六万六千円にすると法人税が減ってしまうので、したがって四万六千円に抑えたと、こういう説明になっております。  このことは本当かどうかは別としまして、このページにあとこういうふうに書いてございます。政府は、この確定拠出型年金制度の普及にどこまで本気でやっているのかと、公と私、公と私の効率的な融合を忘れたままの状態がいつまで続くんだと、こういうふうに説明になっております。  この二十五ページにも書いてございますけれども、公的年金を補完するんだと、そのためにこの確定拠出の限度額の引上げも併せて行うと、こうなっておるんですけれども、この本が言っているように、補完をするんじゃないんですよ。公的年金を補完するのが私的年金ではなくて、公的年金と私的年金、合わせて年金制度と、こう考えるというのが年金制度の趣旨であるというふうに思いますけれども、局長、いかがでしょう。
  38. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 確定拠出年金につきまして、確定拠出年金の基本となります法律を御審議をいただいたときにも非常に大変に議論がございました。私どもの考え方で申し上げますと、片っ方で例えば厚生年金基金がございますし、それから適格退職年金につきましては、これは税制上の措置でございますので、企業年金としての部分というのは必ずしも十分ではございませんので、これはこれから少し時間を掛けながら確定給付企業年金法に基づく企業年金への移行を考えていくという形でございます。  現在の状態で申し上げますと、厚生年金基金を労使で選択される場合、あるいは厚生年金基金のうちのいわゆる代行部分がございませんでプラスアルファ部分を確定給付給付をしていただく確定給付企業年金、この確定給付企業年金厚生年金基金のように法人を持ちながら運営していただく場合と、会社の実務でその機能を代行していただいている、いわゆる規約型と言っておりますけれども、そういう形で運営をしていただく場合、それに今も先生がお話しございました確定拠出企業年金があるということだろうと思います。  私どもの考えを申し上げれば、その公的年金、いわゆる厚生年金サラリーマンの方で申し上げれば厚生年金、それから自営業の方で申し上げれば基礎年金の更に上乗せになる部分でございますし、サラリーマンで申し上げれば言わば労使で負担をしていただくということになりまして、現実には企業が負担をしていただく場合がほとんどでございます。したがいまして、労使でよく御議論をしていただき、それぞれ特質がございますので、その中でどういう形で選んでいただくかということだろうというふうに思います。  先ほどのその、よくマスコミの御議論の中で、四〇一kというのは例えば日本の株式市場を振興するためというようなとらえ方をされることもあるわけでございますが、それはもちろん運用の、サラリーマンが御自分で選択をされますので、非常に安定的な運用であれば、債券を中心に運用されるなりあるいは預金を中心に運用されるということになるだろうと思いますし、それに株式をどう組み合わせるか。私どもは、むしろそれは加入されるそれぞれの方々の自主的な御判断だろうというふうに考えておりまして、その確定拠出年金の目的が日本の株式市場の振興のためにあるというふうには考えておりません。そういう意味で、先ほどのちょっと新聞の評価については、私どもの考えとは必ずしも一致をしない点が基本にはあるということを申し上げたいと思います。  それから、今回の改正でございますが、月額三万六千円から四万六千円に一万円引き上げるという形であります。これは今の記事の中にもございましたように、この引上げによりまして企業にとっては法人税の損金算入になってまいります。それから、個人の方にとりましては、これはいわゆる社会保険料控除ということになりますので、所得税の非課税という形になっています。  この水準でございますが、今回の改正法案の中で御提案申し上げております、将来、公的年金の六十五歳時点での新規裁定、厚生年金でございますが、これが現役の世代の方の賃金の約五〇%程度になるということを前提といたしまして、民間サラリーマンの大部分の方、非常に給与が高い方は別といたしまして、給与水準で申しますと大体九割程度の方、これは大体年収、ボーナスも含めまして年収八百万円ぐらいの方がこの範疇に入ってみえます。この方につきまして、退職直前の給与のおおむね六割の給付を今申し上げました厚生年金とそれからこの確定拠出年金でカバーし得る範囲ということで設定をいたしたわけでございます。そこを基本といたしております。  それから、企業年金が二つある場合、ほかにもお持ちの場合は、従来からも既に企業年金を持っておられる方の水準が大体半分ぐらいでございますので、今申し上げました水準の、その企業年金がない場合の水準の引上げと同じように約一・二八倍ということで二万三千円と設定をいたしております。  それから、個人型、つまりほかに企業年金が何もないサラリーマンの方でございます。これは、ある意味で企業からの企業年金の拠出がございませんので、御自分の力でそれを作られるということでございますが、この方々につきましては、大部分の厚生年金の掛金の標準額が月額約一万八千円でございますので、これを踏まえて一万八千円という形で設定をいたしております。
  39. 中原爽

    ○中原爽君 御説明いただきました中で代行部分、厚生年金の代行部分についての御説明がございました。四ページのカラーの方に戻るわけでありますけれども、企業年金の代行部分、今後どういうふうに考えたらいいかということも含めてやはり再整理をする必要があろうかというふうに思います。  現在は、代行部分の上に年金の上乗せ部分が乗っかっている、これが一つの組合せになっておりますし、それから下の方は、一階の国民年金基礎年金とそれから物価スライド、賃金の再評価部分、これが二つ合わさって、結局四つの部分が乗っかっているということで二階建てになっているということだというふうに思います。これが厚生年金制度の特徴かということになりますけれども、こういうことを含めて、将来、共済年金厚生年金一元化するということについてやはりいろいろな問題点が出てくるだろうということを考えておりますので。  それで、それと、国民年金基金とそれから確定拠出型年金個人型、こう合わさっている部分がございますけれども、改めてお尋ねしますが、国民年金基金とそれから確定拠出年金個人型を二つ加入されているという状況については数字的にお分かりいただけますか、何かデータとしては。
  40. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) ここのいわゆる第一号被保険者の方の中で確定拠出年金を選ばれるといいますか、方の状況を申し上げますと、現在、一万三千九百九十三人でございます。四月三十日時点でございます。その中で、国民年金基金のいわゆる確定給付型についても選択しておられる方が二千六百七十七人という状態でございます。
  41. 中原爽

    ○中原爽君 そうしますと、自営業者関係で国民年金基金に入っておられる方が約八十万人、この白黒のページでは八十万人と書いてございますけれども、実質は七十七万人ぐらいであります。そうしますと、その何十分の一にも当たらない方が、数千人のオーダーしかないということで、個人型と年金とをダブっているということになります。余り意味がないようなことでありまして、できればここのところを、六万八千円が上限になっているわけですけれども、実質的には六万八千円にはなっていないですよね、二万円足らずが平均的な掛金になっているというふうに思います。  したがって、先ほど来申し上げておりますけれども、基礎年金があって、二階建ての部分が公的な部分もあって、それから三階の私的な部分を考えていくということだと、これ全体が国民年金なんですよね。ですから、この全体のバランスをどういうふうに考えていくかと。ただ私的年金公的年金を補完するんだということではないというふうにくどく申し上げておきたいと思います。  それと、二十五ページのところへ戻りますけれども、ここの中ほどのところに途中引き出しの要件の緩和を十七年の十月から実施すると。資産が少額である場合、手数料で資産が減少又は滅失してしまうために、中途脱退の要件を緩和すると、こういう文言ですが、手数料というのは幾らですか、これは。
  42. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 中途脱退につきまして非常に厳しい、確定拠出年金については非常に厳しい取扱いになっております。それはなぜかと申し上げますと、この確定拠出年金は、年金という形で最終的に使っていただくというのが基本でございます。それがございませんと、貯蓄とあるいは個人の投資と非常に性格が似ておるということでございます。したがいまして、給付についても相当厳格な規定を設けておりますし、逆に脱退、中途脱退についても非常に厳格にいたしております。  ただ、現行で申し上げますと、加入期間が三年以下のような非常に短い期間の方が、これはもちろん、将来更に別の企業で確定拠出年金に加入をされますとずっと積み上がっていくわけでございますが、しかしもうなかなかそういうお仕事をその後されないというような場合には、額が少額でございますので、これをずっと運用していただくことがいかがかということで三年以下というあれを設けておりますが、三年以上でありましても非常に少額の場合が出てまいります。  それで、通常想定をいたしておりますが、年間の手数料はもちろん御自分御自分の勘定の大きさによって違うわけでございますが、しかし基礎的なところの、例えば個人勘定ごとの、これ民間企業が実施をいたしておりますけれども、記録を管理する経費等については共通でございますので、大体年間五千円ほど必要でございます。  それで、今回設定をいたしましたのは五十万円、仮に一%の運用とした場合に、これがほぼ年間手数料という形になってまいりますので、そういう意味で、五十万円以下の場合におきましては、今申し上げました三年以下の期間に限定せずに中途脱退をしていただく道を開くということにいたしております。
  43. 中原爽

    ○中原爽君 御説明いただきましたように、手数料としては五千円ということでありますけれども、三年という期限を限って中途引き出しができる。そうなりますと、今の社会情勢と就業形態が多様化しておりますので、こういう中途引き出しの事例が増えてくるということと併せて、中途脱退をしたときにほかの企業に就職をして現在の確定給付年金をポータブルでほかへ持っていきたいということになるわけでありますが、そのことについて、企業年金のポータビリティーの確保ということが平成十七年の十月から実施するというふうにこの二十五ページに書かれております。  いろいろな企業間のポータブルがあるわけですけれども、当面お聞きしたいのは、確定拠出型の年金を確定給付型の方に持っていくというようなことについての実態は考えておられるのかどうか、いかがでしょうか。
  44. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 今回のできるだけ企業年金のポータビリティーを上げようといういわゆる年金の通算措置でございますが、これは基本は確定給付企業年金間で考えてございます。  それで、具体的に申し上げますと、厚生年金基金あるいは確定給付企業年金で、基本は企業単位で運営が行われておりますので、その企業年金同士で年金として受給できる道を開くという形になりましたときに、年金原資のそのサラリーマンの方の分を移換をいたしまして、移換先の企業年金に引き継ぎまして、そこで年金としてつながって受給できるという道を開くことといたしております。  それから、逆に、確定給付企業年金から確定拠出年金、これにつきましても、今申し上げました御自分の年金原資を、資産を移換いたしまして確定拠出年金として受給できる道を開くということをいたしております。  基本は、今申し上げましたように、企業年金間相互の話合いといいますか、そこで決めていただくということがございますが、この移換ができない場合について申し上げますと、現行厚生年金基金連合会、ここに移換をすることによって年金として継続できるという道を開いておりますが、基本は企業年金同士で道を開いていただくことだろうというふうに思っております。
  45. 中原爽

    ○中原爽君 分かりました。  この説明に、ただいまお話のございましたけれども、厚生年金基金連合会を改称いたしまして企業年金連合会に改めると、こう書いてございますけれども、これは何か理由があるわけですか。
  46. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 厚生年金基金は、今先生お話ございましたように、いわゆる代行部分を含んでおるわけでございます。その厚生年金基金の中に、最近の運用状況非常に厳しい状況にございますので、むしろ代行を返上いたしまして、いわゆる本来のプラスアルファのところを例えば確定給付企業年金あるいは確定拠出年金へ移行しようということが相当いろいろな企業年金で現実に検討され、実施をされております。  その場合に、今申し上げました例えばプラスアルファの確定給付企業年金になりましても、これから例えばサラリーマンの方が仕事を替えられて所属する企業を替えられたときに、できるだけそれが将来的に通算されて企業年金給付としては一本のものとなるというのが非常に望ましいだろうということがございまして、そういう事情もございましたので、厚生年金基金連合会、今まで厚生年金基金につきましてそういうポータビリティーを実現をするという役割を果たしておりましたけれども、今申しました確定給付企業年金あるいは厚生年金基金と確定給付企業年金の間につきましてもそういう役割を果たすようにということで、今回改正事項の中に盛り込ませていただいております。
  47. 中原爽

    ○中原爽君 ありがとうございました。  以上で終わりますけれども、今日お願いをいたしました確定拠出型の年金制度と今後日本の全体の年金制度改革するということについて、やはり私的な年金制度ということについてもお考えをいただきたいということを坂口大臣にお願いをいたしまして、質問を終わります。
  48. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 民主党・新緑風会の森ゆうこでございます。  昨日は地方公聴会を新横浜で行ってまいりました。大変意義深いものでございました。    〔委員長退席、理事藤井基之君着席〕  しかし、私どもは、当初この参議院での審議が開始されて以来、与野党ともに、衆議院では公聴会、中央、地方公聴会、開催されなかったわけですので、是非とも参議院の審議におきましては国民の声を聞きたい、当初より中央そして地方公聴会の開催を合意していたところでございました。しかしながら、その日程の協議が調わず、特に私どもは、法案提出者の両副大臣国民年金の未加入、未納の問題についてのけじめを付けていないということが国民に対する年金制度の信頼を取り戻すためには大変障害になっているということで、まずはこのこと、両副大臣のけじめを付けるべきであるということを主張してまいりました。それで、そのようなことがありまして両公聴会の日程の協議が付かず、結果的に与党側の、委員長の職権による昨日の地方公聴会となったわけでございます。  実際に公聴会を開催いたしまして、やはり公聴会の重要性というものに、改めて与野党ともそれを実感したわけでございまして、中央公聴会も開くことの重要性について与野党の合意が得られたということを私どもは確認しております。  それで、まず冒頭、私どもは、政治家のけじめ、国民皆さんに非常に大きな負担をお願いするこの年金改正案につきまして、まず政治的なけじめを付けることが第一の前提であるということから、本日、民主党・新緑風会といたしまして、本日の委員会の冒頭に、国会議員納付国民年金保険料に係る公表及び特例保険料納付に関する法律案提案理由説明させていただいたところでございます。  内容につきましては、先ほどの趣旨説明にございましたとおり、まずは国会議員になってからの国民年金納付状況について、すべての国会議員がまず明らかにすること。そして、その中で未納付期間があった場合については、時効が過ぎていた場合に、これはもうけじめでございますので、給付を約束されない、給付を伴わない保険料納付をするということが大きな柱となっております。  それで、まずこの法案、もう一度申し上げますが、通称、国民年金未納国会議員けじめ法案でございます。けじめを付けて国民皆さんに政治的な信頼を回復していただく大切な法案でございます。この法案につきまして、坂口厚生労働大臣、そして私どもがこのけじめをきちんと付けていないとずっと批判してまいりました森厚生労働大臣、谷畑厚生労働大臣、お三方のこの法案に対する賛否を伺いたいと思います。
  49. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 今朝ほど、国会議員納付国民年金保険料に係る公表及び特例保険料納付に関する法律案の要綱をお聞きをしたところでございまして、こうした法律をおまとめになりましたことに対しましては敬意を表したいというふうに思っております。  この内容につきましては、先ほど、概要と申しますか、大枠のところのお話を伺ったところでございまして、いろいろの御議論もあろうかというふうに思っておりますが、この委員会におきましても様々な御議論をいただきますことを期待をいたしております。
  50. 森英介

    ○副大臣(森英介君) 委員から御指摘ありましたとおり、私自身も年金保険料の未加入期間がありまして、平成六年、労働政務次官を務めました十三か月でございますけれども、勘違いとはいえ、大変申し訳ないことだと思って深く反省をしているところでございます。  そういうことで、民主党さんから御提案のあった法案について、個人的な心情としては、これが実現すれば、もちろん年金に、給付に反映されなくても払えるということになると私の後ろめたさが大分軽減されますので、大変有り難いなという、理解できる一面もあるわけでございます。  しかしながら、一般論として申し上げますと、国会議員のみを対象として、また法律で強制的に保険料納付状況を開示するということとか、それから給付に反映せずに保険料を払う、言わばペナルティーを科すということは、やっぱり若干、法の下における平等というか、憲法とのかかわりでもちょっと疑義があるんじゃないかという意見もちょっと耳にするところでございまして、やっぱり十分な御議論が必要なんじゃないかなというふうに思っております。
  51. 谷畑孝

    ○副大臣(谷畑孝君) 私も今、森副大臣の答弁のとおりだと思うわけでありますけれども、私個人といたしましては、やはり未加入の期間、そしてまた国会議員として、あるいは厚生労働大臣としての道義的責任というものについては強く感じておりますし、できましたならば、いろんなそういう制度があれば個人としては一刻も早く加入をして、それで済むわけじゃありませんけれども、少なくとも未加入という問題についてはけじめを付けたいなと、こういうように思っておりますので、非常に有り難いと思っています。  しかし、今、森副大臣も申しましたように、基本的には、やはり個人情報というのか保護法というのか、社会保険庁にやはりその本人が照会をし、それで知るということと、それを第三者に公表するという、こういうことになってきますと、これはやはりそういう情報、個人情報という、こういう観点から少し無理があるかなというように思いますし、また国会議員という形のペナルティーということでありますけれども、その未加入の部分のお支払いしたものが給付に連動しない、これもまた法の整合性ということの中でいかがなものかと、こういうふうに思うわけであります。    〔理事藤井基之君退席、委員長着席〕  趣旨としては十分理解できますし、何らかの、与野党でそういういい法案があれば私も早速お支払いをして自分の責任を終えたいと、こう思っております。
  52. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 ありがとうございました。  両副大臣におかれましては、今ほど、本当に、ああやっぱりお二人ともいい方だったんだな、安心いたしました。前段の、やはりけじめを付けたい、政治的けじめを付けたい、贖罪をしたいというそのお気持ちが両副大臣の本心ではなかろうかと思っております。私はそういう意味で、今日この質問をさせていただいて良かったなと思っています。  後段の法的なお話は、国民の目から見ますと、むしろまあ言い訳といいますか、理解できない。まず国会議員がけじめを付けなさい、大臣がけじめを付けなさい、うちの息子の言葉をかりれば、大臣が払っていないそんな年金、だれが払うんだと、これが国民の正直な気持ちでございます。  先ほど本心を語っていただきました。その良心に基づいて、私ども、最初にけじめを、政治的な責任を取っていただければ、もっとこの参議院厚生労働委員会での審議の時間も有効に使えたのではないかと思っております。  それでは、次の質問に移りたいと思います。  消費税の財源的位置付けという観点からの質問でございますが、政府案におきましては、今後十四年連続で保険料を引き上げていく。これは毎年毎年、全体でいたしますと一兆円でございます、一兆円。そして、国民年金そして共済年金も入れますと、これはまた更に多くなるわけでございますが、大変過酷な急激な引上げであるというのが私どもの批判のまず一番大きなものでございます。これだけの国民負担増を求めていいのか、果たして国民皆さん、これだけの急激な負担増をこの法案で求められているということを御理解されているのかということが非常に心配でございます。  それで、保険料という名の下で引き上げていくわけですが、仮にこれを消費税に換算した場合には何%の消費税増税になるのでしょうか、お答えいただきたいと思います。
  53. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 今回の改正案の基準的なケースにおきまして、保険料水準が一八・三%に到達します二〇一七年度、平成二十九年度の保険料収入と、それから保険料率を現行の一三・五八%としたときの保険料収入、この差額を機械的に計算を申し上げます、それから国民年金についても同様の計算を申し上げまして、そうしますと、その名目額でございますが、厚生年金で八・四兆円、国民年金で〇・七兆円でございます。これを一定の前提を置きまして機械的に消費税率換算をいたしますと、二〇一七年度の消費税率一%当たりの税収が三・一兆円という換算でございますけれども、これをいたしますと、厚生年金で消費税率換算で申し上げますとおよそ二・八%程度、それから国民年金で〇・二%程度、これらを合わせますとおよそ三%程度ということになります。  ただ、今申しましたのは機械的な換算でございますが、御案内のとおり、サラリーマンのグループといいますか、ここには基礎年金に加えまして報酬比例年金がございます。それから、自営業者の方では現行の体系で申しますと基礎年金のみでございますので、今申し上げたような形で引上げ相当分を消費税で負担をするという現実の話になりますと、サラリーマン方々、それから自営業者方々給付内容が異なりますので、その給付内容が相当異なるにもかかわらず保険料引上げ分について同じ消費税で負担をするということはいかがかという御議論が生まれるだろうというふうに考えております。
  54. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 今の消費税の換算は厚生年金国民年金ということでございますね。その後、共済年金の場合も保険料が増加するわけですが、通告しておりませんが、それも含めて消費税換算で何%ということでしょうか。数字がございましたらお答えください。
  55. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 厚生年金国民年金というお話でございましたので、共済年金を含めたものは今手元では試算はいたしておりません。
  56. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 いつもこういう負担増の、前回の健保法の議論のときを思い出すんですけれども、大変大きな国民に対する負担増、保険料の増額ですけれども、払う国民の側からいたしますと大増税なわけですね。それがまた消費者の消費動向に与える影響、日本経済に与える影響、そういうマクロ経済的な視野に立っての検討がされているのかということが大変疑問なわけでして、厚生年金国民年金だけなので共済年金を含めた数字は試算をしておりませんというのは本当なんでしょうか。
  57. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) いたしておりません。手元に今の試算はございません。
  58. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 今の質問に続いて、関連して伺います。  いま一度数字をお答えいただきたいと思いますが、今の試算、消費税換算、国民年金厚生年金合わせて三%の消費税増税に等しいということはお認めになったわけですけれども、これは景気動向によるということだと思います。  それで、この保険料の値上げによる、保険料を値上げいたしますと今度は一方で税収減というものが発生するという観点はお持ちだと思います。保険料を損金計算したりする企業側の法人税の税収が減る、それから個人におきましても社会保険料控除等が増えるということで税収が、所得税が減る。確かに厚生労働省管轄の年金財政はこの計算によりますとうまくいくわけですけれども、一方、国家的な全体の財政を見れば税収減につながるということがあるかと思います。  それで、保険料値上げによる税収減の規模とそれから経済への影響というものについて厚生労働省としてどのように計算されておられるのか、お答えをいただきたいと思います。
  59. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 今回の改正案におきます厚生年金保険料水準の引上げは、十四年間掛けまして段階的に行うことといたしております。  もちろん、先生おっしゃいますとおり、保険料引上げになりますと、個人の方につきましては社会保険料控除の対象になってまいりますし、それから企業にとっては損金算入額が増加するという形になりますけれども、その実際上の影響につきましては、現在の社会経済の状況のみではなかなか判断ができないだろうというふうに思っています。その間の企業の生産性の上昇など経済変化の中で考えなければならないというふうに考えておりまして、これを定量的にお示しするということは困難だろうというふうに思っております。
  60. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 その影響を形状的に示すのは無理であると言いながら、一方でこういう見通しもお持ちなわけですよね。  私はこの間も質問させていただきました。私からすると、今回の改正案というのは大リストラ促進法案、それから正規雇用者、正規雇用、従業員を正規に雇用すること、正社員雇用ペナルティー法案、正社員を雇っちゃいけませんよ、どんどんパート労働等に置き換えなさいというようなことを企業に促進するという法案というふうに私には見えます。なぜこの簡単なことがお分かりにならないのかというのが私は全く不思議でなりません。(発言する者あり)与党の先生でも大変経営、御自身も五、六百人の会社をお持ちの方いらっしゃいますけれども。  今はデフレ傾向が続いているわけですね。物が高く売れない、企業の利益率は圧縮傾向にある。つまり、企業のキャッシュフローというのはどんどん詰まっている状態なわけですね。生き残りを懸けて企業が何をするか、当然コスト削減を迫られるわけです。  コスト削減というのは、本来であれば、本来の意味のリストラクチャリング、働き方の変更ということですね。生産性を向上させるということでいけばいいんですけれども、残念ながら、今のようにどんどんどんどん政府が福利厚生費を上げる、しかも正規労働者についての福利厚生費を上げていくということになると、当然企業は人を雇うのをやめる、やめたいと言いたいところなんですが、仕事はありますので、そのような福利厚生費、要するに社会保険料負担する正規の正社員ですね、正社員をどんどんリストラして、その分それを負担しないでいいパート、派遣、アルバイトというものに置き換えていくと。これはもう本当に簡単な図式なんですけれども、なぜこれをお認めにならないのかが私はどうしても不思議でならないんです。  それで、一つ例を出したいと思います。  昨日、ヤフーの情報漏えいの問題、その理由ということで報道がありましたけれども、この件について、新聞報道によりますと、派遣社員ですね、正社員ではない派遣社員がパスワードを共有して使っていた、非常にそこに情報管理の大変脆弱さがあったと、そのことが今回のヤフージャパン四百万人分の顧客名簿の流出、こういうことにつながっていた。現実の日本社会は今こういう状況なんですね。大事な情報管理のパスワードを使う人間も、派遣社員、契約社員、パートというところにどんどん置き換えていっているというようなことがあるわけです。  このことについて、厚生労働大臣、私がこの間から本当に疑問に思っております大リストラ促進策ではないか、正規社員の雇用ペナルティー、雇用に対するペナルティーを科す法案ではないかというこの疑問について、今ほどの例も参考にしていただきながら、明快な御答弁をお願いいたします。
  61. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 社会保障をこれからどう進めていくかという問題がございまして、この社会保障の、とりわけ年金等のこれから負担を何によって行っていくかということになってまいります。それは、今、森議員が御指摘になりましたように、一つはそれは保険料一つは税、どちらでここを見ていくかという問題になるだろうというふうに思います。  確かに、保険料にいたしましたときに、その保険料を拠出をするということが、個人にとりましてもあるいは会社にとりましても影響が皆無だと決して私申し上げるつもりはございません。それ相応のやはり影響はあるだろうというふうに思っております。しかし、一方におきまして、例えば消費税とかほかの税でそれを賄うということになってまいりますと、また税は税としての問題点が存在することも事実でございます。  保険料がそのときそのときの経済に与えます影響は、確かにそれはないとは言えません、あり得るだろうというふうに思いますけれども、しかしその分を消費税なら消費税で行いましたときに、今度は企業の負担は確かに減りますけれども、その分今度は国民が全部負担をしなければならないということになるわけでございますので、それはそれでまた影響が発生をするということも考えなければならないというふうに思っております。  どういう制度にするかによって正規職員を減らしていくということと影響するではないかという御議論、確かにございます。しかし、ここは、例えば一元化しました法律がもし仮に将来できたといたしましても、これはやはり同じことが言えるわけでありまして、中年以上ぐらいなところの、民主党がお出しをいただきました案に従いましても、中年以降ぐらいになってまいりましていわゆる給料の額が多くなってまいりますと本人及び企業の負担が非常に大きくなってくるわけでございますので、そうすると、そこにそれじゃリストラが起こるかということになってくるわけでございますが、私は、しかしそこはやはり正規職員にゆだねなければならない部分というのは存在するわけでございますから、すべてが私はそうなるとは思っておりません。そのときの経済動向というものにも大きく左右されることは御指摘いただいたとおりでございまして、そこは真剣に取り組んでいかなければならない点だというふうに思っております。
  62. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 なかなか基本的な認識に立てないわけですけれども、少なくとも今回のこの法案は、成立いたしますと、日本経済の基礎体力といいますか、その時々の好況、不況に合わせながら年金負担額を調整していくという柔軟な発想がないわけですから、大変日本経済に与える影響が大きいと言わざるを得ません。  これ、今、引用させていただきたいのは、一橋大学経済研究所教授の高山憲之先生の本ですけれども、仮にこのような負担増計画がそのまま実現すると、いわゆる国民負担率は将来六〇%を超えるであろうと、それを五〇%以内に維持すると言っていた、これは自由民主党の政権公約にも反してしまうおそれがあるとの指摘があることを付け加えておきたいと思います。  それで、本日は社会保険庁長官に来ていただいております。この年金、今回の法案に対する国民皆さんの不満、私は三つまずあると思うんですね。  一つは、政治家のけじめを付けていないということ。それから、本当に抜本改革なのか、そして負担増だけが押し付けられているんじゃないかという、それで肝心ないろんな一元化等々、今出てきている問題が解決されていないという不満。そしてもう一つは、保険料の増額。負担増を求めるのはいいけれども、今まで自分たちが払ってきた年金保険料、無駄遣いしていたんじゃないか、だれも責任を取っていないんじゃないか。そして今後、それが本当に改善されて保険料の無駄遣いが絶対起きないよという保証はだれもしてくれていないじゃないか、これが国民皆さんの一番大きな不満なんですよ。  週末、新潟へ帰りまして、地元の皆さんと集会、街頭演説等々でいただくお話でも真っ先に、社会保険庁何とかしろと、この無駄遣い責任取れ、今後無駄遣い絶対させるな、こういうふうに言われるんです、最後まで森ゆうこ闘えと、そこまで言われるわけでございまして。  資料をお配りしておりますが、ちょっとお聞きしたいんですけれども、度々この問題については御指摘があるわけです。しかし、御答弁を検証してみますと、今後はしっかりやりますと、意気込みだけを取りあえず語っているかなというような御答弁しかいただいていないんですが、この資料によりますと、累計で、今まで年金保険料のうち、これまで年金給付以外に使われた額が五・六兆円、グリーンピア等々いろいろありますが、二ページ目をごらんいただきますと、年金事務費関係、社会保険庁職員宿舎建設費三十九億、約四十億、公用車の購入費、これが大分問題になりました、二億八千六百万、長官交際費、香典もあったんでしたっけ、それから職員の健康診断費、職員の海外旅費が八千六百万ですか、コンピューターのシステム費七百七十八億円、いろいろあるわけでございますが。  この今までの無駄遣いの責任をどう取るのかということと、もう一つ、今後保険料でこのような無駄遣いが起きないという、それが担保されていないということについて、数値目標、例えば事務費だったらどの程度コスト削減するのか、数値目標、それからそれはいつまでにやるのか、期限、これは民主党が掲げたマニフェストみたいなものですね。数値目標、期限、その工程表、ロードマップ、そういったものを是非お示しいただきたいと思いますが、社会保険庁長官、いかがでしょうか。
  63. 真野章

    政府参考人(真野章君) 社会保険庁の業務運営に大変御批判、御指摘をいただいております。我々としては、これを真摯に受けとめまして対応を、抜本的な見直しをしたいというふうに考えております。  御指摘いただきませんでしたけれども、福祉施設につきましては、厳しい財政状況、また与党合意等を受け止めまして、例外なくこれを整理して、国民の理解が得られるような整理合理化を進めてまいりたいというふうに考えておりますし、また、御指摘いただきました事務費でございますが、そこにございます職員庁舎の建設、公用車の更新というような点につきましては、今年度の執行に当たりましては極力これは抑制すると。さらに、物品等の調達につきましても競争入札をするということを原則に徹底してまいりたいというふうに考えております。  御指摘いただきました数値目標、期限その他でございますが、事務の執行に要する費用ということでございまして、なかなか今先生ににわかに具体的なことを申し上げる状況にはございませんけれども、今申し上げましたように、事務の費用、それを精査をいたしまして、徹底した見直しを進めてまいりたいというふうに思っております。
  64. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 そんなんじゃ納得しませんとさっきから言っているじゃないですか。何%削減する、いついつまでに削減する、それにはこのような工程でやると。だから、全然コスト意識がないんですよ。そんなんでは国民は納得しません。もう一回いかがですか。
  65. 真野章

    政府参考人(真野章君) 私どもの事務年金受給者の増、被保険者その他への対応ということで非常に事務は増えてきております。そういう中でどういうふうに事務の執行をきちっとやっていくかということでございまして、なかなか今一律にカットということは、非常に私どもとしては難しいというふうに思っております。
  66. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 今、企業は一律にどころか本当に血のにじむような努力をして、コスト削減にもうとにかく努力しているんです。そういうことがお分かりにならないんじゃないんですか。一家もそうだと、普通の家庭、御家庭においてもそうだと思います。  大臣、一言だけ。きちんと数値目標、期限、きちんとやって、本当に国民皆さんが納得する形で出していただけるという御答弁をいただきたいと思います。
  67. 坂口力

    国務大臣坂口力君) これは、社会保険庁の大枠どういうふうにしていくかという問題と、それから現在やっております仕事の内容と両方あるというふうに思っております。  社会保険庁全体をどうしていくかという大議論ございます。私は、社会保険庁長官をはたへ置いておいてえらい言うのはあれですけれども、民間人起用を言っているわけでございますが、それはしかし、その民間人起用を含めましても、これは社会保険庁内部の話でございます。内部改革断行をさせていただきたいというふうに思っておりますし、それは期限を切ってということで言われれば、それはもう今年中にちゃんとしなければいけないというふうに思っておりますし、長官人事は次の厚生労働省関係の人事に合わせてできるようにしなければいけないと思っているところでございます。  しかし、そうはいいますものの、これ全体でどうしていくか、この社会保険庁そのものを国税庁なら国税庁と一緒にするとか、そういう大きな議論ございますから、これは厚生労働省の中だけでは決着の付かない話でございますから、その議論はその議論としてあり得る。  ただ、我々の側からするならば、現在行っております年金給付そして徴収、それから医療保険のこれはサービスとそして徴収の問題、そうした現実の仕事がそれはなくなるわけではございませんから、どこでやるかの問題はありますけれども、その中身をこれからどういうふうに整理をして、もっとより効率的にそこをどうしていくか、そしてどれだけの効率化をして、そこで与えられた役割を果たしていくかということを整理をしなければならない。それを、どこと一緒になるかというような大きな課題は、これは一つ、それはそれで存在し得るというふうに思っております。
  68. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 時間ですので終わります。
  69. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 午前中の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩といたします。    午後零時十三分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  70. 国井正幸

    委員長国井正幸君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、国民年金法等の一部を改正する法律案外二案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  71. 柳田稔

    ○柳田稔君 まず、大臣に質問させてもらいたいんですけれども、今回の年金改革、テレビやいろんなところで百年安心とかなんとかいろいろ耳にしました。あれは今大臣思ってみて、いろんな審議が進んでいます、問題点も出てきました、今でも百年安心だと思います。
  72. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 柳田議員には初めて御質問いただくことになります。  年金というのは将来を見て計算をしなければならないわけでございますが、将来を見て計算をするということは、予測でき得る限りにおいて予測をして、そして対策を立てるということ以外に方法はないわけでございます。したがいまして、予測でき得る可能な限りの予測において将来推計を行い、そして今までのように五年ごとに再計算を繰り返していくということではなくて、遠い先を見てその可能性を探っていく、そういう今回の案でございまして、二一〇〇年、その時点でどうなるか、積立金の問題も含めまして、人口動態も含めまして、それらのことを見ながら決定をしたということでございます。  しかし、そこへたどり着きますまでにいろいろの経済の変動等もあるではないか、あるいは人口動態の変化もあるではないか、そういう御議論があるわけでございまして、そこは私たちも謙虚に受け止めなければならないというふうに思っております。ただ、将来、そうした先を見て私たちがここに提案をさせていただきました政策のその内容について、それを実現をしていくためにこれから政策としてどう実現をしていくかということとも絡んだ問題になってまいります。お約束申し上げた政策が実現できるようにしていくというのが課せられた任務ではないかというふうに思っております。
  73. 柳田稔

    ○柳田稔君 抽象論で答えられると分かりづらいので、もう一回簡単に聞きます。  今回の年金改革というのは百年安心だと今でも思われますか。
  74. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 百年安心にしたいと思っております。
  75. 柳田稔

    ○柳田稔君 希望で百年安心、そうおっしゃってくれると僕らも分かるんです。  ところが、先日、山本議員が質問に立ったときに、自由民主党、公明党、パンフレットがありましたね、その一ページ目に百年安心と書いてあったんですよ。それを見られた人は、ああ、百年安心なんだ、大丈夫なんだと思いますね、普通の人だったらですよ。大臣、今でも本当に百年大丈夫だと、希望じゃないですよ、安心だといって胸を張って言えますか。
  76. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 世界経済、これからどういうふうになっていくかというようなことは、それはもちろんあるわけでございますから、それはなかなか言いにくいところでございますけれども、しかし百年安心にしていくという案を作ったわけでありますから、それに向かって政策努力を重ねていくということが与えられた課題であると思っております。
  77. 柳田稔

    ○柳田稔君 大変答弁しづらいですね、こういう質問されますと。今、百年安心のような案を作って提出されたとお答えいただきました。  ところが、最近はやりの未納問題、国会議員、閣僚の中にも未納議員がいたということで、そのインタビューを聞いていますと、皆さんそんなことおっしゃらないんですよ。なぜ納めなかったんですかという質問に対して、制度が難しいからだ、制度が悪いからだといった記者会見した国会議員の先生方がたくさん多かったんですね、これは大臣も聞いたとおりでありますが。国会、これは野党だけじゃないですよ、与党の皆さんもそうおっしゃったんですからね、制度が難しい、制度が悪いから我々は未納になったんだと。  ということは、今回の提案というのは、制度が悪いけれども百年安心してくれ。分からなくなりますね。制度が悪いから未納が起きたのに百年安心してくれ、こういうのを、どっちを理解すればいいんですか。制度が悪いと思っているんだったら制度を正すべきでしょう。制度が悪いと思っていたら百年もつはずありませんよね、当然のことを言っているんですけれども。  だから、繰り返しますけれども、国会議員の多くは、未納議員制度が悪い悪いと言っている中でも、本当に百年安心のような改革提案したんですか。
  78. 坂口力

    国務大臣坂口力君) そこは皆さん方がどう思っておみえになるかということは、それは分かりませんけれども、年金制度というのは、根幹にかかわりますところはこれは単純明快でございますけれども、いわゆる具体的な問題になりますと様々難しい点も含まれている。私は、そこは正確に言えば、現在あります年金制度、そのことを徹底をしていなかったことが悪いと、こういうことを私は言っておみえになるんだろうと。ちゃんと、それならそれでちゃんと言うべきだった、もう少しそこは皆に徹底してもらいたかった、それが徹底していないではないかと。  例えば、閣僚の皆さん方が閣僚になられた期間に、そのときに入っていなかった。閣僚になったときに、これは、医療保険の方はこれは共済で入りますよ、しかし年金は入っていませんから、こういうふうに一言言ってくれればそれで済む話ではなかったか、そこのところの徹底がやはりなされていなかった、その徹底不足、そこを私はおっしゃっているんではないかというふうに思います。
  79. 柳田稔

    ○柳田稔君 そうなんです。最後は役所が悪いと言うんですよ、役所が悪いと。制度じゃないんだ、役所が悪い。役人もちませんよ、そんなこと言われたんじゃ。一番悪いのは納めなかった人なんですよ。納めなかった理由は、制度が難しい、悪いからいけなかった。でも、そう言うと立場がまずいから、今度は役所が悪い、役所が悪い。ちょっとおかしいんじゃないかなと思いますが。  副大臣、ちょっと聞きたいんですけれども、副大臣も、今回の年金改正法案、百年安心だと思います、今でも。自分の立場もしっかり頭に入れて答弁してほしいんですが。
  80. 谷畑孝

    ○副大臣(谷畑孝君) 私の場合、平成元年から五年十一か月未加入であったわけですけれども、振り返ってみましたら、今まで厚生年金でこう天引きをされておって、そしてまた、初めて労働の変化というのか、仕事の変化ということで参議院になって、そういうことが大きなミスになってしまって未加入になったわけですので、これはいつも申し上げていますように、議員としてやはりその点をしっかりとやはり年金についての理解をしておくべきであったし、また、今回もそういう意味では副大臣として非常に責任を感じるわけでありますけれども。  今現在審議されているこの法案は百年安心なのかどうかという私の立場ということでありますけれども、私は、私自身の未加入という、平成元年、十六年前ですけれども、そのこととこの法案との直接の関係というのは私はないと思うんです。これはあくまでも私自身が平成元年のときにおける加入をすべきところを加入しなかったということであります。  強いて振り返ってみたならば、平成元年のときには厚生年金からいわゆる国民年金等含めての、に移るときには通知が来ない。平成九年から、移ったときには通知と、あなたはこうして変わりましたよ、請求書というのか、そういうことがあるということですので、振り返ってみましたならば、もしもあの平成九年のときに、許してもらえるならば、私の弁解ではないんですけれども、そのときに通知があれば私もそのときはきっちり払えたのかなと、こう思いますけれども、いずれにしましても、今先生おっしゃったように、役所が悪い、法案が悪いということじゃない、私自身の責任であると、こう思っています。
  81. 柳田稔

    ○柳田稔君 副大臣、いつもそうですけれども、答弁に答えてくださいよね、自分の感想を言うんじゃなくて。自分が、副大臣は自ら、強制期間ですよ、これ、強制加入期間ですよ、副大臣未納だったのは。その期間に納めなかったんです。  役所が悪いからという今答弁ですけれども、制度が難しい、役所が、通知来ないからできなかった。それが今の制度でしょう。その制度については何もいじっていませんよ、今回の改正では。これでどこまで百年安心だと言えるんですか。本当にそう思います、百年安心って。僕、率直に言って、五年安心と言うんなら分かるんですよ、五年安心なら。なぜなら、五年先に再計算すればいいからですよ。まあいいや、また答弁求めると長くなりますから。  じゃ、次に行きます。  次は、総理大臣が、任意加入期間年金は納めていませんでしたということが発表になったときに、政治的責任は全くないと言いましたね、全くと。全くないとおっしゃいましたよ。日本語ですと全くといったら一〇〇%ですよね、日本語では。大臣もそう思われますか。
  82. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 昭和五十五年から任意加入になったわけであります。私もそれを知らなかったんですが、よく調べてみますと、五十五年の四月一日に議員立法で、議運委員長提案で実は出ているわけでございます。そのときの、何と申しますか、議員年金引上げと同じに出されておりまして、そのときから六十年まで任意期間になった。  その理由というのは何であったかといえば、それは、昭和三十六年から皆年金制度ができ上がって二十年経過をしてきた。国会議員になる人にも、もう二十年国民年金に加入している人たちがいる。あとわずか加入をしたらその人たちにも権限ができるのに、そこを、国会議員になったからというのでそこを抑えてしまっては気の毒ではないかということが理由で、そして加入してもいいということがここで認められたということでございます。そういう経過があっておっしゃったのではないか。
  83. 柳田稔

    ○柳田稔君 これから質問する内容に大変絡むんですけれども、全くないとおっしゃったんです。  年金制度というのは一体どういう制度なんですか。自分が払って、自分の払った金を将来もらうんですか、この制度は。どういう制度なんですか、この年金制度というのは。強制加入の前に任意加入というのがありましたよね。そのときに払っていなかった。任意加入のときに払っていなかった。政治的責任は一〇〇%ない、全くないとおっしゃった。私は本当にそう思いますかと大臣にただ聞いただけなんですが、年金制度というのは本当にそういう仕組みなんですか。  私が、昔からそうですけれども、私が払ってもだれが払っても、その年金ははっきり言って掛け捨て保険ですよね、基本的に。だれがもらうのか。年金受給者がもらうんですよね。だから、年金の基本は世代間の扶助でしょう。助け合いですよね。  これは、いろいろと国会議員さんの釈明をテレビで聞いていると、こう言う人がいますね。掛けなくてもいい、掛けなかったのは悪かったけれども、ただ私がもらう権利がないだけだとおっしゃるんですよ。そう言う人が多い、テレビ見ていると。どっちが正しいんですか、大臣
  84. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 年金の歴史を見てみますと、前回も申し上げたところでございますが、最初はそれぞれのいわゆる職域互助年金と申しますそれぞれの職域でお互いに助け合うという年金制度になっておりました。それがだんだんと変化をいたしまして、昭和六十一年の改正におきましては、国民年金基礎年金、いわゆる厚生年金基礎年金部分、共済年金基礎年金部分、それらが一本化されて、そしていわゆる全国民支え合いの年金制度と、私は大きな質的転換がなされたというふうに思っております。  そうした年金になりました今日におきましては、御自身の将来のこともさることながら、現在の高齢者を支える、こういうことが非常に大事でございまして、皆さん方は現在の高齢者を支えていただいている、そしてその皆さん方は将来また次の世代の人たちに支えていただくということになるわけでございますから、現在の制度からいきますならば、委員指摘のとおり、それはやはりお互いの助け合いということが前提であるというふうに思います。
  85. 柳田稔

    ○柳田稔君 私も、平成二年に国会議員になったときに、当時は社労でしたけれども、社労委員会に入りました。年金説明を受けたときに、世代間の助け合いですよと、年金制度は。その歴史は、年金制度がないときは、今三世代、四世代というのはなくなりましたけれども、おじいちゃん、おばあちゃんがいて、働き手の世帯主がいて、子供がいて、で、おじいちゃん、おばあちゃんは収入がない、だけれども慶弔にお金が掛かる、息子が、世帯主が働いて小遣い渡して、おじいちゃん、おばあちゃん、これでどうにかしなさいと、これが転じて公的年金制度になったんだよ、世代間の助け合いなんだよといって私は教わったんです。これは今大臣もそのとおりだとおっしゃったので、これはその前からずっと同じなんです、この基本的な考えは。  とすると、繰り返しますけれども、任意加入であっても、年金を納めなかったということは迷惑を掛けていますよね、ほかの人に、当然。払っていない人の両親、年金をもらう権利のある両親には必ず年金のお金が入っているわけですよ、掛けていれば。掛けていれば入っているわけですよ。そうすると、自分は払わないけれども、自分の親は人が見てくれるというふうになるじゃないですか、制度上いくと。  だから、どう考えても、任意加入時代であったとしても、年金を納めていなかったということは全く責任がないとは言えないはずですよ。少なからず責任はあったがと言うのが正解じゃないですか、大臣制度上いかに任意加入であったとしても。そう思われませんか。
  86. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 一般的に言えば、私もそうだというふうに思います。  しかし、国会議員の場合には、昭和三十六年から五十五年までは入ることはできなかった。入ってはいけない。それはなぜかといえば、いわゆる国会互助年金というので一方において国から多額の支援を受けて、そしてまたもう一方で国民年金というのがあって、それでまた支援を受ける。国会議員にだけそういうことを認めることは良くないというので、国会議員に対しましては昭和三十六年からそれは禁止をされてまいりました。  そういう歴史があったわけで、私も、誠に恥ずかしい話ではございますけれども、昭和四十七年の暮れに当選させていただきまして、国会議員国民年金に入ったらいかぬということを知らなかったわけですね。私は入ったらいけないのに二年間入っていた。それで、旧社会党の方に、君、そんなの入っておったら駄目だよ、これ入っていたら駄目なんだよといって言われて、びっくりして私はやめたという経緯がございました。  そんなこともあって、国会議員にはそういう入ってはならないような時期があったわけでございますので、そうしたこともありますので、総理もそういうことを言われたのではないかというふうに思っております。
  87. 柳田稔

    ○柳田稔君 歴史の勉強をしているんじゃなくて、任意加入というのは払えたんですね。払わなかったということは、今も、さっき申しましたように、全く責任がないという言い方はないんじゃないですかと。思いませんか。少なからず責任はあったと言うのは、僕は、制度が分かっていればそう言うのは当たり前だと思うんですよ。  じゃ、そこまでおっしゃるんだったら、少し面白いデータがあったんで、質問を続けさせてもらいますけれども。  現在の未加入者、未納者、ちょっと調べましたら、平成十三年度現在、これを例に取ってやりますと、未加入者、未納者合わせますと三百九十万人いるんですね。局長、そうですね。
  88. 薄井康紀

    政府参考人(薄井康紀君) 平成十三年度時点での私どもの実態調査によります未加入者、それから未納者、これ二年間全く納めておられない方の数字でございますが、三百九十万ということでございます。
  89. 柳田稔

    ○柳田稔君 これは厚生年金とか共済年金の話していませんからね、あくまでも国民年金グループに限ってやっていますから。三百九十万人いるんですよ、大臣。すごいですね。びっくりしちゃいけないんですけれども、更にびっくりしますよ。もしこの人たちが未納じゃなくて年金を納めてくれたと仮定したら、幾らになりますか。まあ答え書いてあるんですけれども。
  90. 薄井康紀

    政府参考人(薄井康紀君) 手元にはその三百九十万という形での数字は今持っておりませんが、平成十四年度の国民年金納付状況から見ました数字でちょっとお答えをさせていただきたいと思います。  平成十四年度の国民年金保険料納付状況でございますけれども、現年度に納められた、納めるべき月数に対しまして納まった月数ということでカウントしているわけでございますが、納付対象の月数が二億一千七百十二万月に対しまして納付された月数が一億三千六百二十七万月ということでございます。納付率が、御案内のとおり六二・八%という数字になっております。  現年度の保険料でございまして、時効が来るまでの二年間はさかのぼって納めることができるわけでございますけれども、今申し上げましたように、十四年度中に納めるべき月数に対しまして納付されなかった月数が先ほどの差引きで申し上げますと約八千万月と、こういうことになるわけでございます。保険料の月額が一万三千三百円でございますので、これを単純に掛け算をいたしますと約一兆七百五十三億円と、こういう数字でございます。  ただ、これらの中には半額免除の方もおられますので、若干そこの要素をカウントして計算をいたしますと、約一兆五百九十三億円と、こういう数字になるわけでございます。
  91. 柳田稔

    ○柳田稔君 聞きました、未納者、未加入者、納めていない額。もし納めてくれれば一兆円超えるお金が入るんですよ。一兆円ですよ。  では、これはいつだったか、平成十四年度、国民年金の支出額、三兆五千八百三十四億円です。ちょっと書いてもらうとすぐ分かるんですけれども、支出が三兆五千八百三十四億円。そうすると、どこかで収入がないと払えませんから、収入を調べますと、保険料収入が一兆八千九百五十八億円、国庫負担が一兆四千五百六十五億円、運用収入が二千億円弱。で、足りないからといって積立金から四百億円弱出しているんですね。これに未納、未加入の額の一兆円強が入ってきたらどうなります、一兆円強がもし入ってきたら。  これ大きな数字なんですよ、言っておきますけれども。保険料収入が一兆九千億円、国庫負担が一兆五千億円弱。未納額が一兆強ですよ、一兆強。困りませんか、未納者がおっても。未納者がいるから困るんでしょう、こんなには。いや、いいんですよ、未納だからいいんだと、おれはもらえない、だから関係ない、責任は何もないんだと言い張れますか、この数字を聞いて。
  92. 坂口力

    国務大臣坂口力君) ここは委員の御指摘のとおりでございまして、一兆円に上る額があって、それは今御指摘をいただいたとおりだと私も思います。
  93. 柳田稔

    ○柳田稔君 副大臣、責任感じるでしょう。だれも大きなこと言っているんじゃないですよ。現実の数字を言っているんですよ。その未納の一兆円の一役を副大臣は担ったんですよ。ちりも積もれば山となるかもしれませんけれども、そういう人が国会に出て、この法案審議してくださいと言えます、百年安心だと言えますか。簡単に答えてください。
  94. 谷畑孝

    ○副大臣(谷畑孝君) 今、柳田委員の御質問の中で、いかに未加入の一兆円近い額ということを、非常に大きいものだと思います。改めてその未加入の問題についての意味の大きさということを感じました。  しかし、申し上げましたように、そのこととやはりこの法案との問題については少し、直接ということじゃないのではないかと思いますし、むしろまた、この未加入の問題についてどういうように対処していくか、これもう本当に私自身も責任を感じますし、いい形での未加入の率をどう下げていくか、むしろなくしていくかという、こういうことが非常に大事かなと、こういうふうにつくづく思います。
  95. 柳田稔

    ○柳田稔君 いいですか、一兆円という保険料収入があれば、何で一万三千三百円も掛けてもらわなくちゃいけないんですか。一万三千三百円掛けてもらって、国庫負担からお金もらって、年金として支給しているわけでしょう。保険料収入がもっとあれば掛金下げられるじゃないですか、一万三千三百円じゃなくても。思いません。  そう言うと、政府にそして聞いたら、いや保険料じゃなくて積立金の方に回しますから、そっちで行くんですという話でしたよ。だけれども、来年度の、来年の話はあれですけれども、来年度の国民年金の収支をどう考えるのと聞いたら、今年度の保険料収入が幾らだから、それにいろんなことを掛けて、来年度の保険料収入は幾らです、国庫負担は三分の一ですから、これだけです、足りませんから持ってきます、こういう制度でしょう、今やっているのは。  もしそうじゃなくて、考え方が違って、一〇〇%お金を納めてくれると最初からなっていたら、そんなことしなくたって済むじゃないですか。それは国庫に積んで、ある程度積立金積んでもいいですよ、一兆円も積み立てる必要ないんだから。保険料下げられるでしょう。例えば半分半分でもいいですよ、折半という話もないけれども。五千億円は未納がないと、年金支給に使いますと。下げられるじゃないですか。支出が三兆幾らだったっけ、三兆五千億円、五千億円は保険料があるんだから賄えるじゃないですか。そうすると保険料下げられるでしょう、考えとしては。厚生省は積立金に回すと言っているんだけれども、全部回す必要もないんだから。  未納というのは、掛金を掛けてくれた人皆さんに迷惑を掛けているんですよ、これ、制度上。  今回、どういう内容か知っていますか、法案の中身。副大臣、知っていますか。更に負担増をお願いしますという内容ですよ、これ。何が関係ないんですか。国民年金だけ限って言っても、未納というのは制度上大きな問題なんですよ。その一助を担ったのはあなたですよ。だから、あなたが、将来、年金どうのこうのという話じゃないんです。そういう人が三百九十万人もそろうから年金制度の将来は不安になる。今現在払えないから、申し訳ないから一万三千三百円払ってくれと言っているだけですよ。意味分かりますか。あなたの立場の未納とこの法案は密接に関係あるんですよ。私が言っているのは間違っていますか、副大臣
  96. 谷畑孝

    ○副大臣(谷畑孝君) 今先生おっしゃったように、未加入の、未納の一〇〇%徴収ということになれば一兆円ということですから、これはもう非常に大きな、三兆五千億円のそのうちの一兆円ですから、占めている位置も非常に大きいですし、非常にそれは大事な資金だと思います。  しかし、先ほど言いましたように、その未加入の問題をどうしていくかということもこれは非常に大事なことであるという、そういうことから見れば完全に切り離して関係がないということはないと思いますけれども、しかしこの法案の、いつも大臣がおっしゃっていますように、年金法案というのは、やはり将来に向けて負担給付と、そしてまた公的資金とのバランスの中でずっとやはり安心して維持できる行政をどうしていくかと、こういう法案だと思いますので、私はそういうことについて述べておるわけであります。(発言する者あり)
  97. 柳田稔

    ○柳田稔君 いいですか、はい。  今回の年金法案の骨格の一つは、大変だから掛金を上げさせてくれと言っているんでしょう。その一つ国民年金だけに限って僕は言っているんですよ、今。大きな要素の一つ、僕これ多分国民年金にとっては最大の要素だと思っているんですよ、未納が、財政的に見て。一兆円超えるもし要件があったら言ってみてくださいよ、これ以上大きな要素があるんだと。国民年金に限って言って、一兆円以上の要素があるというなら言ってみてください、副大臣。あんた、厚生労働大臣でしょう。──いや、副大臣と言っているんだよ、副大臣と言っているんだ。
  98. 薄井康紀

    政府参考人(薄井康紀君) 少し数字的なところを御説明をさせていただきたいと思いますが、先ほど来ございますように、十四年度の決算額で申し上げますと、国民年金勘定の歳出は五兆八千七百九億円ということでございます。一方で、歳入の方が五兆八千二百二十四億ということで、御指摘ございましたように四百八十五億円積立金から取り崩したということでございますが、業務勘定において生じました剰余金が返ってきますので、その百三億を差っ引きますと、積立金がどれだけ減ったかというと三百八十二億円ということでございます。  これは国民年金勘定、第一号被保険者に係ります勘定ということでございますけれども、実際には基礎年金勘定、全国民でプールしております基礎年金との間での出入りというのがございます。  基礎年金勘定への国民年金勘定、第一号被保険者からの拠出金というのは保険料納付者を頭割りにいたしておりまして、基礎年金勘定への繰入額、先ほど歳出で申し上げました五兆八千七百九億円のうちの三兆三千六百九十三億円、これが基礎年金勘定への繰入れということでございますが、これはいわゆる保険料を納められた方の頭割りによって増えたり減ったりするということでございます。ですから、先ほど御指摘ございましたように、一兆円収入が増えれば、それに見合いまして基礎年金勘定への繰入額も増えていくと、こういうことになろうかと思っております。  いずれにいたしましても、未納対策というのは非常に重要でございますので、大きな柱として取り組んでいかなければいけないと考えておりますけれども、制度的にはそういうふうな財政の仕組みになっているということを御理解いただきたいと思います。
  99. 柳田稔

    ○柳田稔君 数字の細かい話は後で訂正してください、どうぞお好きに、正確な数字で。  じゃ、聞きますよ。一兆円でしょう。一兆円に代わるもっと大きな案件があったら言ってみてくださいと言ったんです、僕、副大臣に、厚生労働大臣だから。局長が言った今の制度説明でよく分かるんです、分かっていて聞いているんですから。一兆円に代わるもっと大きな要件があるんだったら言ってみてください、国民年金で、どうぞ。
  100. 谷畑孝

    ○副大臣(谷畑孝君) 一兆円の持っている意味は非常に大きいと思います。おっしゃるとおり、年金が全部納められることになれば、それだけ負担を求める必要はないわけですから、非常にそれは大きなことだと思います。  いずれにしましても、未加入問題というのは私自身も責任を感じていますし、非常に大きな問題だと思っています。
  101. 柳田稔

    ○柳田稔君 一兆円というのは大きいんですよ、本当に、国民年金だけ取ってみると。この制度についてはほとんど手付かずですからね、国民年金については。逆に値上げをお願いしたんでしょう。納めませんでした、一兆円穴が空きました、代わりに上げさせてください。それを副大臣提案しているんですよ、言っておきますが、今回。  いいですか、十四年度だけの話をしているんじゃないんですよ、一兆円という金は。積もり積もっているんですからね、前からずっと。役所の説明によると、余ったお金は積立金に回すと言っているんです。ずっと積もり積もっているんですよ。積もり積もって積立金が今あるんですからね。だから、言っておきますけれども、一兆円だけの話しているんじゃないですよ。何年にもわたってくると、その額たるや相当な額ですね。それがあれば助かりますよ、今。その払わなかった一役を副大臣はやっているんですと言っているんです。で、それは、済みませんと、政治的責任は取りません、しかし足りぬから値上げしてくれ。誰が聞きますか、こんな話。  あんた、副大臣国民に言えますか。さっき森さんも言っていましたよ。そんな中で国民が、はい、分かりました、仰せのとおりでございます、言われたとおりお金は、保険金はお支払いします。私はこんな奇特な人はだんだん少なくなるなと思っているんです。  大臣、こんな状況の中で、どれほど社会保険庁がこれから未納者を、未加入者を締め上げるか分かりませんけれども、加入率が上がると思いますか。私は、更に未加入率が上がる、加入率は下がる、こんな状況じゃ。大臣、どう思われます。
  102. 坂口力

    国務大臣坂口力君) この国民年金制度といいますのは、皆さんにこれは加入をしていただいて成り立っているわけでございますから、御指摘のように、未加入者が多いということが非常に大きな影響を与えることは、これはもう紛れもない事実でございます。是非、皆さん方にお願いをする以外にないわけでございます。  年金財政上与えます影響でございますが、ずっとその人たちが未加入であったとすれば、それが三十年先か四十年先になるか分かりませんけれども、その皆さん方は今度は年金はお支払いをしないと、こういうことになるわけですね。そこで調整はされるわけですけれども、先ほどからお話をいただいておりましたように、この人たちが払っていてくれれば、そうしますと、いわゆる積立金が増えて積立金の運用益がもっと上がるはずでございます。しかし、そこが少なければ運用益は上がらない。  こういうことになるわけでありまして、したがって、長い目で見れば、その人たちにはもう年金払わないということになるわけですから、かなりそれは調整されますけれども、その間の積立金の運用等には大きな影響を与えることは、これは間違いのない事実でございまして、先ほどから御指摘をいただいておりますように、支え合いをするというこの制度でございますから、是非皆さん方にお願いをしていくという以外にないと思っております。
  103. 柳田稔

    ○柳田稔君 結論を言いますと、まじめに掛けている皆さんに迷惑掛けているということなんです、これ、言いたいのは。まじめにこつこつ掛けているんですよ。国民年金皆さんはそんな収入が多くないですよ。そういう人もたくさんいらっしゃいますよ。その中で一万三千三百円納めている。片や、百二十万ももらっている国会議員さんが納めていなかった。何だ、これはと。これがだんだん国民の皆様に伝わると、これは納付率下がるでしょうね。僕はそう思いますよ。  こんな法案を出していたんじゃ国民納得しませんよ。更に信頼は悪化して、年金制度おかしくなるんじゃないですか。だから、最初僕は申し上げたんです。百年安心なんてもうとんでもないと、まあせめて五年にしておいてくださいと言ったのはそこなんです。五年ももたないかもしれませんよ、こんなの。私はそう思っています。  最後に、時間がなくなったので話題をちょっと変えたいんですけれども、今度は基礎年金国民年金の支給額、支給額ですね、これについてちょっと質問さしてもらいたいんですが、先日、山本議員が言いましたよね、今六万六千円で、夫婦二人で十三万二千円でこれぐらいの生活ができますねと。今後これがどうなるんだという話のところで質問が終わったかと思います。  ちょっと厚生労働省に計算してもらいました。言いますから聞いてみてください。  今七十歳の人、これ、今から言うのは名目額ではなくて、すべて十六年度の実質価格に計算し直してもらっている額を言いますからね、時間がないもので。ですから、物価の方だけをカウントしながら今の価格に直してもらっています。  七十歳の人が今六万六千円ですね。当たり前なんです。七十五歳になると六万四千円なんですね。八十歳の人が六万一千円なんです。八十五歳になったら五万八千円なんです。いいですか、今もらっているお金は六万六千円です。しかし、八十五歳になったときは、今の価格に直すと何と五万八千円もらえるんです。何と八千円下がるんですよ、あと十五年で。よく聞いていてくださいよ。六万六千円今もらっているんです。十五年たった八十五歳のときには、今の価格に直すと五万八千円、八千円下げられるんですよ。今の御時代で五万八千円で生活しろと、十五年後にはそう言っているのと同じなんです、これ。これは僕が計算したんじゃないです、厚生省が計算したんです。  ちなみに六十五歳の人はどうか。今六十五ですから六万六千円もらっていますね。同じことを言いますよ。七十歳になったら六万四千円、七十五歳になったら六万一千円、八十歳になったら五万八千円なんです。六十歳の人はどうか。六十五歳のとき六万六千円、七十歳になったら六万三千円、七十五歳で六万円、八十歳で五万八千円。  大臣、これが今回の法案の中身なんですよ、言っておきますが。私は、今の生活レベルを考えたときにでも、一人頭八千円減らして生活できるのかなと。まあ、しろと言ったらしますけれども、私はちょっとひどいんじゃないかと思うんです、こんな下げるの。僕はこの数字を見たときに、実はびっくらこいたんですよ。昨日もらったんです、これ、昨日、夕方。これ、厚生省にお願いしてもらったのはこの数字なんです。すごいでしょう、こんな下がり具合は。  僕、これ国民皆さんが聞いたら、商売の人とか、自民党の得意な商売の人とか農協、農家の人とか、えっ、こんな下がるのと言いますよ、これ見たら。将来の名目じゃなくて今の価格で今説明したんです、分かりやすいように。役所が得意の平成十六年度価格に換算し直してね、分かりやすいと向こうがおっしゃるんだから。  どう思います。こんなひどい法案、本当に通すんですか、大臣
  104. 坂口力

    国務大臣坂口力君) これから物価が上昇をしていきますが、その中で、現在の方、もう既に年金をもらっておみえになります方、もう今年辺りから年金をもらう方、こういう方々につきましては、今のままで行きますと、そうしますと将来もらわれる方との間の格差が縮まっていきません。したがって、現在既に年金をもらっていただいている皆さん方につきましては若干の調整をさせていただく、それはこれからの年間の物価上昇率の中から〇・九%引かせていただきますということをやっているわけでございます。  その〇・九%引かせていただくというのは、これからの人口の動態等を計算をして、あるいはまた高齢者がいかにこれから増えるかということを計算をしてそういう数字にしているわけでありまして、そうしなければ、将来若い人たちの負担が大きくなり過ぎるということでございまして、若い人たちの負担と、そしてもらっていただく皆さんのこの問題と、両方考えながらこれやっているわけであります。  そういう意味で、先ほどお話にございましたように、この数字は現在の物価に割り戻せばそういうことになるわけでありまして、年々歳々物価が上がっていく、賃金が上がっていくということは、そのときの額はそんなに減らないけれども、現在の物価に割り戻せばそういう数字になってくる、こういうことだと思います。
  105. 柳田稔

    ○柳田稔君 大臣ね、そういう変な言い回しじゃ駄目ですよ。僕が言ったんじゃなくて厚生労働省が言ったんですよ、最初に。国民年金保険料は年々上げていきますが、一万六千九百円だったかな、九百円までが限度です、括弧平成十六年度価格と言ったのは厚生労働省ですよ。だから、それが分かりやすい。なぜそんなことを言ったんだと言ったら、これが分かりやすいって総理も答えたじゃないですか。だから、僕も、皆さんが分かりやすいという数字をここに使わしてもらって言っただけなんです。  もう時間が、辻さんに渡さないといけないんで、やめないといけないんですけれども、六万六千円を七十歳、六十五歳、今七十歳の人は七十歳で六万六千円、六十五歳の人は六十五歳で六万六千円でしょう。これが、年がたって五万八千円ですよ、十六年度価格で、十六年度。これは厚生省に計算してもらったんです。六万六千円もらっていて、八十五のときに五万八千円ですと、今の価格で。八千円も下げます。ほう、すげえなあと、すごい案を公明党さんは出すなと僕は実はびっくりしているんです。坂口大臣らしくない、全然違うと僕は思って、この数字見たときびっくりしたんです、実は。  基礎年金って一体何なんですか。単なる数字合わせをして答え出せばいいんですか、基礎年金というのは。僕は違うと思いますよ、基礎年金は。最低これぐらいは必要でしょうと、生活していく上で必要でしょうということで出したのが基礎年金だと私たちは信じている。  でも、自民党、公明党さんは違うらしい。つじつま合わせをしていったら、国民年金すら六万六千円のやつを五万八千円まで下げるんだと。どうだと、国民の諸君よと、言うことを聞け、掛金を上げるぞ、言うとおり払え。もらうときは六万六千円を五万八千円に下げるからな、有り難くもらえ、そんなことを言うんですか。  僕は、今回の年金改正法案を見たときに、これはおかしいと思った。これね、坂口大臣が出すような法案じゃないですよ、これ。どこかの算数が好きな人がやることですよ。前提条件をたくさん作って、数学ではよくやるんです、前提条件を作って計算をしていって、答えが一つ出るんですよ。その前提条件が変わると答えも変わるんだ。そんなのが年金改革ですか。少なくとも基礎年金は守ってもらわないと。どうでしょうか、大臣
  106. 坂口力

    国務大臣坂口力君) まあ細かな話はまた局長するかもしれませんが、大枠の話をさせていただければ、少子高齢社会で支えていただく人の人数が減っていく、もらう人の人数が増えていく、誠にここは単純明快でありまして、その中でやりくりをどうしていくかというのがこれからの年金制度でございます。  そうした中で、お若い皆さん方の御負担を余り大きくしない範囲の中で、高齢者の年金も是非ひとつそこでお願いを申し上げたいと言っているのが今回の年金でありまして、ですから、支えていただく側も少し御辛抱ください、もらっていただきます皆さん方も少し御辛抱をくださいという形の中で進めていく。将来、もっと、二十年先、三十年先に今よりももっといい年金が出せればいい。しかし、それは出せないんですから、今既にもらっている皆さん方だけはよくって、将来は小さいですよというのでは、少しそこは違うではないか。現在もらっていただいている皆さん方年金額にも、若干ここはひとつ御辛抱をくださいということでやっていく以外にないということを我々は申し上げているわけであります。
  107. 柳田稔

    ○柳田稔君 大臣が今おっしゃった抽象論は僕も同じなんです、実は。抽象論は一緒なんです。具体論が全然違うんですよ、具体的なやり方が。  大臣、冒頭に戻りますよ。百年安心の年金法案を出されたんでしょう。この骨格を変えるつもりはないとおっしゃっているのと一緒じゃないですか。骨格は変えませんと、少し修正はしますよと、五年ごとに。ならば、これはそのとおりなっちゃうじゃない。これは違うんじゃないですかと、答えが、答えを見たときに。  ということは、抜本改革をしなきゃならないというのは、これも一致ですよ、早急に。ね、違いますか。こんな法案を出して、何か新聞読むと、今週中にも強行採決どうのこうのと書かれている。違うんじゃないですかと。僕は、大臣は自分の思いでこんな法案を出したとは思えないよ。もっと違う中身を出せたんじゃないですか、抜本改革をして。総理大臣が、何か知りませんけれども、おれの在任中は消費税上げないとか偉そうに言っていますけれども、偉そうにというのは余分でした、失礼しました。違うんじゃないですか、そんな議論をしていたら。  もうやめます。ありがとうございました。
  108. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 民主党・新緑風会、辻泰弘でございます。  時間が迫っておりますので一部質問が通告どおりできないかもしれませんが、その点は御容赦いただきたいと存じます。  今、柳田委員からの質問にかかわって申しますと、私も入手しておりますけれども、厚生年金の標準的な年金額の見通しというのを出していらっしゃるんですが、それを出されたのは非常に、衆議院審議を終わってからじゃなかったかというようなことがあるわけで、そういった説明の仕方自体にも大変問題があったと思うわけでございます。  前回、私が質問させていただいたときに宿題になっているものがございますので、その点から御質問をし、お答えいただきたいと思っております。  それは、今の御質問にもかかわってくるわけですけれども、今度の法案において、新規裁定における所得代替率五〇%を確保すると、こういうところから出発しているわけですが、その後の既裁定になった以降は、分母が賃金スライドであり、分子が物価スライドであるということによってどんどんどんどん低下し、またマクロ経済スライドが変わるからもっとどんどん加速されて下がっていくということで今まで議論になっているわけですけれども、それが前回、私、申しましたように、内部的には八割ルールを適用するんだということをおっしゃっているにもかかわらず、そのことが今回の法案には入っていないということで私は瑕疵ある法案であるというふうに申し上げた。  今もその考えに変わりませんけれども、前回、明文化して出すべしというふうに言っておったわけでございます。今資料も出していただいているところですが、それに即して御説明いただきたい。簡潔にお願いいたします。
  109. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 十六年の年金制度改正案におきましては、年金額の改定につきまして新たにマクロ経済スライドによる調整の仕組みを導入いたしますが、後から御説明申し上げます前回改正における方針を踏まえまして、新規裁定の方については賃金スライドを基本とし、それから既裁定の方については物価スライドを基本とし、それぞれ改定を行い、その上で、新規裁定者と既裁定者の年金水準の乖離幅を二割にとどめることを前提として財政再計算を行っております。  将来におきまして、実際に新規裁定の方と既裁定の方の年金水準の乖離幅が二割を上回る可能性が出てきた場合には、その時点におきます社会経済情勢を踏まえまして、この乖離幅が二割となるよう、既裁定者の年金について賃金スライドを基本とした改定を行うための必要な措置を講じる方針でございます。
  110. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 私、申し上げたいと思いますのは、前回の質問のときに大臣は、乖離幅を二割にとどめる、すなわち八割を確保するという、そのことについては前提として書いているというような言い方をされていたと思うんですけれども、正確には、ここに書いてあるように二割にとどめることを前提として計算を行っているということで、実は八割のこと二割のこと、私は本来法律の中に書いてあるべきだと思いますけれども、少なくとも試算の中においてもその二とか八というのは全く出てきてないわけでございまして、これはある意味では隠されていたというふうにも言えるわけでございます。  そういう意味において、私はそのこと自体本当に問題だと思いますけれども、まず事実関係として確認しますけれども、いつごろこのこと自体が具体化する状況になるのか。二、三十年後かと思いますけれども、その点はどういう見通しになっていますか。
  111. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 物価と賃金の違いといいますか、ここで生じてまいります。それで、今の基準ケースで申し上げますと、一人当たり賃金が名目賃金で二・一%、それから物価が一%という形でございますので、その間の乖離が約一・一%という形でございますので、したがいまして、二十年弱でそういう形になってくるだろうというふうに想定されますが、現実の物価と賃金の乖離状況によって実際には決まってくるということでございます。
  112. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 これは二枚物になっていまして、前回のことが二枚目に書いてあるわけです。その十二年度改正のときのことが書いてあるのが、将来において政策改定を行う際に初めて具体化する事象であると。まだ相当の年数を要するものだから、将来の改正時に実施することにしたというのが十二年改正のときのことだったわけですね。この今回の改正というのが正にそれをすべきときだったと私は思うわけでございます。  百年安心の設計と先ほど議論ありましたけれども、そういうことを考えて、マクロ経済スライドも二〇二三年まで見通しでは掛けるということになっているわけですから、それとても見通しなわけですけれども、そのことは前提としているわけですね。しかし、これは四割の、五割から下がっていくけれども四割は一応保障しますという、そういうものを法案の中に書いていないことは極めて問題で、瑕疵ある法案だと断ぜざるを得ないんですけれども、大臣、この点について一言御説明をいただきたい。
  113. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 前回にも御質問をいただいたところでございます。前回の改正のときにもこの八割ルールというのを導入するということを法案の中でお答えをいたしております。そうしたことで、今回この法案の中には入っておりませんけれども、その思想は引き続いてこれは引き継いでおりまして、将来において実際にこの新規裁定者と既裁定者の年金水準の乖離幅が二割を上回る可能性が出てきました場合には、その時点におきまして、その乖離幅が二割となるように既裁定者の年金について賃金スライドを基本とした改定を行うための必要な措置を講じる、これはもうこのとおりでございまして、このようにしていきたいと思っております。
  114. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 これまでも、委員会の答弁のとおりなんだと、こういう言い方ですけれども、これは国民生活にかかわる極めて重要な部分でございまして、その五割は、新規裁定の場合五割と、既裁定になると下がっていくけれども一応四割は保障するんだということを意味するわけですから、そういう意味において、法案になぜないのか。法案にないということは考えられないようなポイントだと思うんですね。法律になければおかしいんです。まあ今日明文化したのが出たからまだましですけれどもね、しかしそんなのは本当に小手先のことであって。その一つをもってしても、今回の法案、全く将来に向けての国民生活に提示する内容になっていないというふうに断ぜざるを得ない、この点は強く申し上げておきたいと思います。  それから、先般も御質問をしておりますけれども、いわゆる年金担保融資のことですね、これ大臣に、この間は局長に聞きましたけれども、一言聞いておきたいと思います。  現実問題として、これは前も言ったように、厚生省の対応は、年金までは責任持つけれども、年金がそれぞれの人の口座に入った段階で預金だと、預金までは責任持たぬよというのが厚生省の従来の立場になっているわけですね。しかし、現実に高齢者の方々が、その振り込まれた預金の中から結局消費者金融といいますか、サラ金みたいなところにいわゆる年金担保融資、違法な年金担保融資で、そういう中で結局もう電気も水道も止まった中で暮らしていらっしゃるというふうな状況が現実にもあって、集団訴訟などにもつながっている現状があるわけでございます。  例えば、チラシを見ますと、高齢者の方応援融資、快適なシルバーライフと、このように銘打っているわけですけれども、厚生年金国民年金、遺族年金、障害年金共済年金年金基金と、こういう方々の各種年金担保で借入れ中の方は立替えも可能ですとか、あるいは返済方法は二か月に一度、二か月に一度ということは年金の振り込みの時期が二か月に一度ということに合わせているということですけれども、そういうチラシは、スポーツ新聞がございますし、チラシもたくさん昨今も見られるわけでございまして、このことについて、やはり罰則規定がないからそれが野放しになっているという指摘があって、私もかねてより主張してきたところであります。  一つには、年金法とかそちらの方での罰則規定のこと、また貸金業法における罰則規定もあるわけですけれども、いずれにいたしましても、あるいは福祉医療機構における公的に保証された担保融資もあるわけですけれども、そちらを充実せいと、あるいは早く借りれるようにしろということに対しても答えておられないわけなんです。  ですから、いずれにいたしましても、この問題に対して、厚生労働省が全く本気で取り組んだという形跡を私は全く感じないわけでございます。  そういう意味におきまして、事務的に事務局で任せていると。先ほど申しましたように預金までは責任持たぬということでございまして、これは、やっぱり大臣、政治の部分がしっかりとやはり手当てするといいますか、厚生労働省の所掌でなければ金融庁に物申すこともあり得るかと思いますし、法律的には貸金業法になるかもしれませんけれども、私は両方やるべきだと思っていますけれども、年金法と両方の法で。  いずれにいたしましても、その対応、大臣としても取り組んでいただきたいと思いますけれども、御答弁お願いします。
  115. 坂口力

    国務大臣坂口力君) いずれにいたしましても、違法な年金担保融資というのを排除をしなきゃいけないわけでありまして、排除をするために具体的にどういうふうにしていくかということを検討いたします。
  116. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 実は、私、二年ぐらい前からずっと、検討します検討しますと来ていまして、本当にどうなっているのかと思うわけでございます。  大臣は、先般の私の質問にも、法律に忠実であることは大事だけれども、やはり厚生労働省の仕事でございますから、やはり国民に対する温かさというものが欠けてはならない、そこが大事だと思っていると、このようにおっしゃっているわけです。  ですから、ここの点は非常にやっぱり大事なポイントだと思います。私は、本来このことも今回の国民年金法等改正の中に一項目あって、罰則規定強化があってしかるべし、プラス貸金業法の方もあってしかるべしと、このように思っておりますけれども、この点について、やはり今のような検討しますじゃなくて、しっかりと、はっきり言って今の御答弁だったら今までの事務当局の方がまだ前向きなような感じがするような答弁でございました。どうか、しっかりと取り組んでいただくように御決意をお願いしたい。    〔委員長退席、理事藤井基之君着席〕
  117. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 私の賞味期限が切れないうちに決着をいたします。
  118. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 その点については賞味期限が切れないように御期待申し上げたいと思います。  さて、それでは、もう一点、移させて──この点についても私はやはり瑕疵ある法案であるということを強く指摘せざるを得ない、このことを申し上げておきたいと思います。  それからもう一つ、時間が限られていて、元々早口ですけれども、早口になって恐縮ですが、私ども民主党が最低保障年金ということを主張しているわけでございます。そのゆえんは、やはり現実に日本の中でも、正確な数字は分からないにしても、六十万人とも言われる無年金者が、高齢者ですね、おられるというような状況があると。そういったところで、やはり将来の安心、そういったものを保障するためには給付のレベルにおいても皆年金であるべしと、このような思いから最低保障年金ということを主張させていただいてきたと、こういうことがあるわけです。  そのこと自体の、政府の異論は、反論もあるかもしれませんけれども、しかし、やはりあまねくすべての国民年金給付する、受け取っていただくと、そのこと自体の重要性については当然認識をともにすることだろうと思うわけでございます。すなわち、現行制度の枠の中で考えたとしても給付につながらないような制約要因をできるだけなくしていくということが私は大事だと思うわけでございます。  やはり、厚生労働行政は、いつも申し上げておりますし、大臣もそのお気持ちいつもいただいておりますけれども、やはりできるだけ抱えていくといいますか、すくって、すくい上げていくという言い方が的確かどうか分かりませんけれども、駄目だから切り離すんだ、捨ててしまうんだというんじゃなくて、やはりできるだけ抱えていくというその精神がなければならないと私は思うわけでございます。  具体的に何のことかといいますと、やはり最低加入期間、資格期間の二十五年という問題についてでございます。この点については、私、この委員会でも何度も質問をしてきましたし、先般の、これは二月の予算委員会のときも大臣にもお聞きしたところでございます。  日本の場合は、最低加入期間、要資格期間が二十五年になっておりますけれども、アメリカは十年、イギリスは男性十一年、女性が十年弱ですか、ドイツが五年、フランスはない、スウェーデンは三年間住んでいればそれだけが要件であとはないと、こういうことで日本だけ際立って二十五年という資格期間が長いという状況になっているわけでございます。そして、これが一か月でも欠けていれば給付にはつながらないと、大変厳しいものになっているわけでございます。  その意味において、私は、この二十五年という加入期間、かつての厚生年金のときには二十五年なかった時代もあったというふうに局長もおっしゃったと思いますけれども、いずれにいたしましても、二十五年というものをすべてなくしていいというふうには私も思いませんけれども、二十五年というのがやはりもう少し短縮化ということは考えられてしかるべきじゃないかと、そのことがこの法律にも入っていない、その視点がない。できるだけ皆年金給付レベルでも皆年金にして国民あまねくみんなに給付が渡るようにと、この精神が見られないというふうに思うんですけれども、大臣、いかがでしょう。
  119. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 二十五年というのが長いか短いか、いろいろ御議論のあるところだというふうに私も思います。  今回の制度の中にも免除制度を設けまして、そして、払えないという方には免除期間というのを与える。しかし、その免除期間というのはいわゆる計算の中の二十五年の中に入れているということもございますし、それから、六十歳になりまして二十五年に足りないという人にはもうあと五年間なら五年間掛けていただく期間を与える。あるいは、六十五歳時点で二十五年に若干足りないという人は七十歳まで任意加入できる措置を講じるといったことで、二十五年をキープしていただける道というのは幾つか織り込んでいるつもりでございます。  ただ、議員が言われますように、二十五年というのが果たしていいのかどうか、長いのではないか、諸外国よりも長いではないかという御議論は、それは確かにあるんだろうというふうに私も思います。ここは短くいたしますと全体の年金財政にも影響を与えてくるものですから、やはりなかなか短くもしにくいというところがございまして、二十五年をキープをしますけれども、しかし、キープができるようなできるだけ方法を講じようということで様々今回取り上げさせていただいているところでございます。  しかし、議員のそういう御主張は私もよく理解をさせていただきます。
  120. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 今の御答弁、これまでの御答弁もそうですけれども、結局、突き詰めていったところ、いろんな措置を講じていることでもあるので受給資格期間の二十五年を満たすことは決して無理なものじゃないんだと。言い方を変えれば、それは、そこまでやっているのにそこまで満たさない方が悪いんだと、こういうふうなトーンで一貫してきているわけなんですね。  それは一つの理屈ではあるんですけれども、やはり私は厚生行政の目指すところ、やはり国民の幸せを追求する、老後を安定させる、そういうことから見たときに、やはりこういう、やってこなかったから駄目なんだと切る発想ではなくて、そういう方をできるだけ抱えていくという、そういう発想でとらえるべきだと。そういう意味から、諸外国から見ても、国際比較からの見地から見ても、やはり二十五年というのは非常に長いというふうに思うわけでございます。  もとより、皆さんが二十五年以上掛けて、できるだけ四十年掛けるという形が望ましいことは言うまでもありませんけれども、しかし現実問題として、いろんな、これからも納入が難しいというような状況も言われるわけですけれども、いずれにいたしましても、制度設計として二十五年というものをやはり短縮する方向も含めて考えていかなければならない。  私どもとしては最低保障年金ということで抜本的に言っているわけですけれども、少なくとも、現行制度の中においてもそういった給付レベルにおける皆年金をできるだけ貫徹する、その姿勢が今回の法律には見られない、この点についても問題があると、瑕疵ある法案と私どもは思わざるを得ないということを申し上げておきたいと思うわけであります。  それから、時間も限られておりますけれども、一点、国民年金に加入する要件、一号、二号、三号あるわけですけれども、外国人の登録に対しても、外国人の方も日本国内に住所を有する二十歳から六十歳以上の者には第一号被保険者とすると、こういうことになっているわけです。日本人であれば、住民登録していると、住民基本台帳からでしょうか、それから二十歳になった段階で届出をしなさいという通知が行くわけですけれども、外国人の方には行っていないという状況があります。それをやるためには法務省との連携といいますか、情報の連動がなければ成り立たないということになると思うんです。  私が申し上げたいのは、その方々も外国人登録をしていれば国民年金に加入するというふうに法律を立てているわけですから、そうである限りにおいてそこはしっかりと把握できる体制を整えることが厚生労働省の責務ではないかと。それが今回もう全く見られていないということなんです。ですから、法務省としっかりと情報を、連携を取って、この制度を持っている以上、その人たちにも届出しなさいと、日本人の二十歳になったときと同じような状況を作るべきだと思うんですが、その点について見解をお示しいただきたい。
  121. 薄井康紀

    政府参考人(薄井康紀君) 御指摘ございましたように、外国人につきましてもいわゆる難民条約等の関係で昭和五十七年一月から日本国民と同様に国民年金の被保険者という形になっているわけでございます。  協力が得られる市町村におきましては、外国人登録原票を基に二十歳に到達された方につきまして適用勧奨業務を行ってきたところでございますけれども、現在、住民基本台帳のネットワークには外国人の二十歳到達者の情報は入っていないということでございまして、その情報では動けないということでございます。  御指摘ございましたように、二十歳到達時点の外国人登録原票の情報といったものを市町村から入手することができないか、関係省庁、法務省等と協議をしながら検討を進めてまいりたいと、かように考えております。
  122. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 多くの時間掛けられませんけれども、法務省そのものと連動するというのはないんですか。社会保険庁と国税庁はやるわけですね。それと同じように、法務省と社会保険庁との連動というのはないんですか。
  123. 薄井康紀

    政府参考人(薄井康紀君) 市町村自体がその原票を持っているわけでございまして、具体的な進め方につきましては法務省ともよく相談をして、どういうスタイルがいいのかということも含めて検討してまいりたいと考えております。
  124. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 その点についてはそういう方向でしっかりと取り組んでいただくように申し上げたいと思います。この点については私が指摘するまで何も動きもなかったと思いますが、そういう意味においても今回の対応、また法案、瑕疵あり、このように強調しておきたいと思います。  それで、時間もございませんので、配付させていただいた資料に即して十分程度御質問を申し上げたいと思います。お配りしているやつは、既に五月の十日ごろでしたか、厚生労働省が出したのが一枚目、二枚目はかつての、二枚目、三枚目はかつての資料でございます。  そこで、一枚目に書いてありますように、いわゆる国民負担率、議論もございましたけれども、そのことが、潜在的国民負担率が二〇二五年度五六%程度になると、こういう指摘になっているわけですけれども、これに関連して坂口大臣にお聞きしたいんですけれども、大臣は記者会見並びに先般の経済財政諮問会議などの折に国民負担率と消費税について見解をおっしゃっているわけです。この点について簡潔に御見解をお示しいただきたいと思います。
  125. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 将来の社会保障の問題を検討するときに、国民負担率という一つの尺度を持って全体の予算を抑制をしていこう、その中で社会保障財政というものにもやはり抑制をしていこう、こういう御意見がございます。その物差しとして国民負担率、潜在的国民負担率、そうしたお考えが出される。私は、国民負担率といいます場合には、消費税というものはそこに加味されてこないということを申し上げまして、これから先この社会保障の問題を考えていきますときに消費税というものを抜きにしては考えられない、したがって消費税というものを勘案した物差しというものを用いる方がいいのではないかということを私は言ったわけでございます。
  126. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 今の大臣発言は申し訳ありませんが間違っていますね。国民負担率に消費税が入らないということはないですよね、租税負担ですから。その点、ちょっと。
  127. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 分子には入りますけれども、分母には入らない。
  128. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 今おっしゃっているのは、分母の方の国民所得がいわゆる要素費用表示なので、間接税分をマイナスするから、結局それが入らないと、分子の方には消費税は入るんだと、このことをおっしゃっているわけですね。ですから、ヨーロッパとの比較のときに、国民所得分の、国民負担での、国民負担率でやると、ヨーロッパの方は間接税が多いからその分でベースが違うよと、そのことをおっしゃっていると、こういうことですね。それでいいですね。
  129. 坂口力

    国務大臣坂口力君) そのとおりでございます。
  130. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 それからもう一つは、消費税を、負担の場合にもう少し消費税も含めて考えていかなければならないと、こういうことをおっしゃっているわけです。片や、今回の法案に向けての保険料率の負担を税で替えるということはないんだというのをこの間講演でおっしゃっていると思うんですね。そのことの意味は、それは今の保険料率は保険料でいくけれども、それ以上負担を求めるときは消費税だと、そういうことになるんですか。
  131. 坂口力

    国務大臣坂口力君) そこは今後のいろいろの御検討によるというふうに思いますが、いずれにいたしましても、一八・三〇以上に上げることはもう困難だというふうに私も思っております。そういうことになりましたときに、それ以上にもし仮に必要になれば、それは税にゆだねると、税でお願いをする以外にないというふうに思っています。それは消費税が最も有力だと思いますけれども、それはそのときによりまして、消費税ないことがあるかもしれない。しかし、私は税でお願いをするということだと思っております。
  132. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 時間も限られていて恐縮ですけれども、この社会保障給付負担の見直しの中で、年金がかつては八十四兆だったのが六十四兆に二十兆も大幅に減った形になっているわけです。この要因を簡単に御説明ください。
  133. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 年金が百七十六兆、二〇二五年度でございますから、百五十二兆という、給付費で、社会保障給付費全体が減ってきておりますが、そのうち年金が八十四兆から六十四兆ということで、これは名目枠でございますので、この二十兆の減少した要因を三点ほど申し上げますと、一つは、経済全体の伸び率が、長期的な賃金上昇率が二・五から二・一という形で名目値が下がってきておりますので、これによる影響が約五兆円でございます。それから、今回の制度改正による給付調整措置による影響が約十兆円でございます。そのほか、厚生年金の被保険者数が直近で減少してきておるというふうなことによる影響が約五兆円でございます。トータルで二十兆でございます。    〔理事藤井基之君退席、委員長着席〕
  134. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 そういうことも議論したいんですけれども、時間的にあれなんで、国民医療費の方を聞いておきます。  この給付負担の見通しと連動させて、国民医療費の将来推計も当然されているわけですが、二〇一〇年、二〇二五年の国民医療費の推計をお示しください。
  135. 辻哲夫

    政府参考人(辻哲夫君) 直近のこの資料、十六年五月推計で、国民医療費でございますが、これは給付費でございますので、恐れ入ります、二〇二五年が六十九兆円でございます。
  136. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 二〇一〇年は出ていないんですか。
  137. 辻哲夫

    政府参考人(辻哲夫君) 失礼いたしました。四十一兆円でございます。
  138. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 今の二ページ目のところの一番右端に、十四年が四十二になっているのが十六年で四十一になる、七十が六十九になると、そういうことなんです。  それで、私、これの、あっ、もう一つ聞いておきましょう。これを、かつてから厚生省は、年金、医療、福祉等ということで比率で語ってこられた歴史があるわけですね。十年ほど前はその年金、医療、福祉等が五対四対一だったと。それを五対三対二にすることを目標とするというような一時期もあって、今は四対四対二になっているんだと、こういう話があるんですが、これは何か一つ目標を持たれるんでしょうか。
  139. 坂口力

    国務大臣坂口力君) これはまさしく大枠の話でございまして、年金と医療との割合、五対三対二という、五対三ということが前にも出ましたけれども、その当時から五対三というのは少し開き過ぎているのではないか、四・五対三・五ぐらいではないかとそのときから言われてきたところでございます。  最近の医療の伸び等を考えましたときに、そうしたことも勘案をし、そして年金と全体とのバランスを見ましたときに、四対四対二ということの方が現実の姿をよく表現をしているのではないかというふうに今試算をしているところでございます。
  140. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 そうすると、今も四対四対二、大体そうですけれども、それを今後ともそれぐらいの割合でいいんじゃないかと、こういう考え方ということですか。
  141. 坂口力

    国務大臣坂口力君) そういう目安の下にやっているということでございます。
  142. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 それで、この医療費についてのことなんです。この二ページ目に、私の資料の二ページ目に出ていますように、二〇二五年度の国民医療費の推計が平成六年の場合百四十一兆だったと。それがどんどんどんどん減ってきて、十四年は七十兆、今日のお話では十六年五月では六十九兆ということで半減しているわけなんですね。  これは十年間の間にこれだけ医療費の、国民医療費の見通しが大きく変わってきたということで、それはあり得ることではあるんですが、しかしその説明が、私は、この三ページに出ておりますのは、これは二年前の現次官の答弁、当時保険局長でいらした大塚さんの答弁でございまして、私は、これ半分は当たっているんですけれども、半分は間違っているというふうに思っているわけです。時間もございませんけれども、要は、これは二つの要因があると。一つは、一人当たり医療費の伸びで推計しているけれども、そのものが変化して変わったんだと、推定より減ってきたと、低下したと、そのことが一つだと。もう一つは、国民所得の伸び、経済の伸びが予定よりも大きくダウンしたんだと。このことを二つを言っているんですけれども、実は国民医療費の推計、今回の六十九兆も、かつての百四十一兆も、どっちも一人当たり医療費の伸びで将来推計しているわけであって、国民所得の伸びというのは全く関係ないことなんですね。にもかかわらず、この大塚さんの、現次官のその説明では、国民所得にもう半分以上を、ここで書いてあります、「特に御了解賜りたいと思いますのは、国民所得の伸びも同様なことがございまして、」ということで、経済の見通しが狂ったからこれだけ大きく国民医療費の推計も狂ったんだと、こういう言い方をしているわけなんです。  これは私は間違いだと思います。これは修正、訂正すべきだと思いますが、いかがでしょう。
  143. 辻哲夫

    政府参考人(辻哲夫君) 私どもこの議事録を読ませていただきましたが、国民医療費そのものの推計は過去のそれまでの実績によって行うと、一方において国民所得というものも推計して、それとの関係で国民医療費の規模を見るという場合において国民所得ということについて様々な将来見通しがあるという説明をされておりまして、私どもやはり、大変保険局、今まで随分議論をしてまいりましたが、医療費の伸びというのは様々な要素がございまして、医療費の伸びに経済を相関させて説明するということは非常に困難でございまして、そのような意味において、この答弁におきましても、医療費に経済の要素を勘案して伸びを推計するという考え方で述べられたものではないと理解いたしております。
  144. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 それはおかしいですよ。これ、だって、その前に百四十一兆円について問うていて、そのことの説明としてあって、半分は経済のことを言っているわけです。  一人当たり医療費の伸びの中に、それは経済的要素があるかもしれませんけれども、それはあくまでも医療費の伸びとしてとらえている推計をやっているんであって、現実的に、実務的に御存じでしょう、一人当たり医療費の伸びにその分の人口を掛けて積み上げて計算しているわけですね。そのことによって、国民所得、全く関係ないわけじゃないですか。それなのに、そのことをこの説明の半分以上に使っているということは、これは私は明らかな間違いだと思いますけれども、いかがですか。
  145. 辻哲夫

    政府参考人(辻哲夫君) この趣旨は、率直に申しまして、言わば過去の経過を見ますと、医療費の伸びが一定の時期から相当下がったと、下がった結果この予測も非常に大きくずれたということを御説明させていただいているわけでございますが、一方において、実質の伸びの医療費の言わば大きさというものは国民経済との相対によって見るという評価が必要だと、そのために国民経済の伸びが重要な要素であるという意味で経済についての説明をされたというものでございます。
  146. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 そうやって言葉を弄しているわけですけれども、これはおかしいですよ。  二つの要因によって百四十一兆が七十兆になったと、こういうふうに言っているんです。経済的要素というのは別の話なんです。要は、NI比で見るというのは、それは見方としてあるんです。そのことはここで問うているわけじゃないんですよ。それは後の話なんです。経済のことを半分の理由にしているというのは、私、根本的におかしいと思っています。  時間のことがありますからこれ以上言いませんけれども、こういうことを認めないというその姿勢自体が私は厚生労働省はやっぱり間違っていると思います。やはり、これ自体を不適切であって誤解があったというふうなところから出発すべきだと思いますし、いろいろな一連の厚生労働省の不祥事というのはそういう体質から出ていると、この点は指摘しておきたいと思います。  それから、今のこの分についても、厚生労働事務次官という事務方のトップの人がこういう程度の認識でしか推計というものをとらえていない、説明し得ない。それと同じ意味において、今度の年金の将来の見通しというものも私は本当に信用し切れないというふうに言わざるを得ないと思っております。  大臣も、恐縮ながら、新聞で初めて知りましたとか、初めて聞きましたとか、それから、あるいは、私の言いますことが役所の中でもたらい回しになっていますとか、そういった、はっきり言いましてリーダーシップも感じられないことが、いろいろと発言を聞いてきまして私は残念に思っておりますけれども、今日までいろいろ指摘してきましたこと、また今日も申し上げたことも含めて、やはり今回の政府提出年金改革法案、極めて問題が多く、国民の要請にこたえるものではない、瑕疵ある法案と言わざるを得ないと、この点強く申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
  147. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 公明党の遠山清彦でございます。  私も、もうこの委員会ではたくさん議論されてきたことでございますし、今日も柳田議員から厳しい御指摘があった問題でありますけれども、未加入・未納問題──どうぞ、大臣、はい。未加入、未納の問題を取り上げていきたい。  それからまた、先日、与野党の当委員会の理事懇の場でございますけれども、社会保険庁と市町村の現場の窓口で、いわゆる保険料の徴収体制がどうなっているのか。非常に複雑であったり、あるいは市町村の窓口しか分かりませんというような、と受け取られかねないような発言社会保険庁の方がしていたり、あるいは、ですから、市町村の窓口が国民にとっては一番身近な相談の場所である、あるいはそれぞれの地方社会保険事務所が一番身近な年金を相談する窓口であるということは変わりはないんですが、今回、決して誤解をしていただきたくないのは、今日の、私これからする質疑で、ある特定の国会議員とか閣僚の未納を弁護するとか、弁解するとか、そういう意図は全く持っておりません。  それよりも、やはり一般の国民方々の中にも、今回の様々な議員未納問題を通して、自分はどうなのかと、大丈夫なのかということで、それぞれ地域の社会保険事務所にもいつも以上に人が殺到しているということもございますし、今日は、私、どこまでできるか分かりませんが、どうしてそもそもこの未納、未加入の問題がここまで広がりを見せてきたのか、制度的な欠陥というものはどこにあって、そして役所側の運用上の問題というのはどこにあって、また、今回、国会で我々与党として成立させようとしているこの法案改正後にどのような新しい対策を取ろうとしているのか、ちょっと立ち入っていろいろと議論させていただきたいというふうに思っています。  最初の質問でありますけれども、これ政府参考人で構いませんが、まず基本的なことですが、この社会保険について、我々日本の国民は、一生のうちに転職だとか結婚などで何度か手続をしなければならないわけです。この手続も、勤務先が自動的にやってくれる場合もありますし、自分で市町村とか社会保険事務所に出向いていかなければいけない場合もあるんですけれども、最初の質問は、具体的にどういう場合にどんな手続をどの窓口で取ることが必要なのか、ちょっと簡潔に整理してお答えいただけます。
  148. 薄井康紀

    政府参考人(薄井康紀君) 昭和三十六年に国民年金、それから昭和六十一年に基礎年金制度の導入ということがございました。現在では、年金サイドから申し上げますと、二十歳から六十歳までの方は何らかの形で国民年金の被保険者というのが原則でございます。  そういうことで、幾つかのケースに分けまして手続について申し上げます。  まず、企業、あるいは役所もそうでございますけれども、こういったところに入社される場合、あるいはそこを退職される場合でございますが、医療保険、政府管掌健康保険なりあるいは組合管掌、組合健康保険なりあるいは共済組合と、こういう医療保険、それから年金保険、これは厚生年金保険、共済組合、国民年金の方から見ますと第二号被保険者と、こういうことになりますけれども、この資格の取得なり喪失なり、こういった手続はその企業、会社の方で、事業主の方で社会保険事務所等で手続を行うと、こういうことになっております。  それから、結婚をしていわゆる専業主婦、女性だけじゃなくて男性も被扶養配偶者ということがあるわけでございますけれども、この場合につきましては、これ平成十四年からでございますけれども、配偶者の勤務先を通じまして国民年金の第三号被保険者としての手続を社会保険事務所等で行うと、こういうことになっております。  それから、今申し上げたような方以外でございますけれども、それ以外の方は、二十歳に到達したとき、あるいは企業なり役所を退職した後無職となるということになったり、あるいは自営業になったと、こういうことでございますと、国民年金でいきますと第一号被保険者になります。あるいは、医療保険でいきますと国民健康保険となるわけでございますが、これは御本人が市町村で国民年金の第一号被保険者としての手続を行っていただく、あるいは国保の手続を取っていただく、こういうことになるわけでございます。
  149. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 今、一般的な類型で、企業、役所に勤めた人の場合は、その勤め先が基本的には社会保険事務所でやっていただけると、それから、そういうところにお勤めの方の奥様、専業主婦の場合は、その配偶者の勤務先を通じてやると、それ以外の方は、自営業者の配偶者の方も含めて、本人が窓口に出向いていって市町村で基本的にやるということになっているわけですが、ここで国民の素朴な疑問を代弁しますと、例えば医療保険の場合は、保険者が企業の健康保険組合であったり、中小企業であれば政府管掌の保険であったり、あるいは国保の場合は市町村であったりするわけですから、いろいろな手続があるというのはよく分かるんですね。  ただ、年金の場合は共済、私も以前一時期私学共済にいましたけれども、共済という部分はちょっと違いますけれども、国民年金厚生年金も基本的には国が保険者なわけですね、国が。同じなわけですね。なのに、国民から見てですよ、なぜ、だから、医療保険の場合はいろんな保険者がいるからいろんな手続が必要だというのは分かると。しかも、これ後でちょっと言及しますけれども、医療保険の場合は、どうしても人間病気しますから、お医者さん行かなきゃいけない、お医者さん行くときに健康保険証がなきゃいけないということで、それがある意味一つのインセンティブになって、しっかりと加入をしようということが働くわけですけれども、年金の場合は、自然に二十歳になって、その後、全く意識ないまま未加入、この問題、後でまたこれも取り上げますけれどもね。いずれにしても、年金の場合、何らかのインセンティブが医療保険よりなきゃいけない。その上に来て、国が保険者であるにもかかわらず、手続は医療保険と同程度に複雑であると。  ここで、これも基本的な質問ですけれども、どうしてこの国民年金法では被保険者の届出が、いわゆる被保険者、つまり国民の側が積極的に届出を自分でチェックしないと未納とか未加入がすぐ発生してしまうような法律構成になっているのか、ちょっと教えていただけます。
  150. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 第二号被保険者、いわゆる被用者の方、それから第三号被保険者、これは第三号の被保険者の方については届出を市町村から事業所を通じて社会保険庁という形で変更いたしたわけでございますが、この方々につきましては、基本的にはそこの事業所と、それからその被保険者の方の間の使用関係といいますか、これをベースに適用になってくるということだろうと思います。  そういう意味で、もちろん国が保険者ではありますが、現実にその事業所の状況をよく分かっていただいている事業主に協力をしていただいて届出をするということだろうと思います。  それから、第一号被保険者の方の場合でございますが、これは典型的に申し上げれば、御自分で事業をやっている方、自営業の方が一番想定されるわけでございますけれども、その方々につきまして、例えばそれまでサラリーマンとして勤めておられた方が自分で事業を起こすということについては御自分が一番認識をされますので、そういう意味で、被保険者御本人から届出をしていただくという仕組みを取っているということだろうと思います。  ただ、先生おっしゃいますように、そうはいいますものの、例えば基礎年金番号ということで、ある程度そういう今申し上げたような被保険者間の移動の状態が行政側でも相当、その方の正に個別性ですね、個別性の特定をして可能な形になってきているわけでございまして、例えば田中次郎さんとおっしゃるような方が、そういう名前の方は実はある年のある生年月日であっても何十人とおられるという形で、その問題を基礎年金番号によって個人の方を特定をすることによって、今申し上げましたような移動の状態がだんだん正確に把握ができるような状態になってきておりますので、そういう意味で、行政側でこれはむしろ取り組んで、個人個人に通知を申し上げるということも加味しているというのが今の状態だろうというふうに思います。
  151. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 局長、今一番最後のところでお答えになったことについて、私は後でもうちょっと具体的に聞こうと思っていますけれども、やっぱり問題は、さっき柳田委員からも御指摘がありましたけれども、一号被保険者で三百九十万人のやはり未納、未加入の方がいて、一兆円超の赤字欠損になっているということがあって、これはどうしてかというと、今までの、今の局長の答弁は過渡期的なお話をされていたんだと思いますが、今までは基本的には行政機関の側ではこの第一号被保険者方々国民皆さん、自営業、学生の方々状況については分かりませんと。今、田中次郎さんという名前が同じ生年月日でも何十人もいるといういろんなお話あったんですが、ただ、やっぱり、これ正直申し上げて、社会保険庁なんかも平成十年に基礎年金番号制が導入されるまではもう何にもこの対応をやっぱりしてこなかったという現実が実際あるわけですね。その後は対応してきていますから何もやってないというのはそうじゃないんですが、そこもちょっと後で言いますけれども。  それで、ちょっと私、今日は時間いつもよりはございますので、一般の国民ですね、一般の国民国会議員は無視していただいて、一般の国民年金の未加入、未納になるケースというのを類型した場合どういうケースがあるのか、ちょっと簡潔に言っていただけます。
  152. 薄井康紀

    政府参考人(薄井康紀君) 現在、国民年金に未加入、未納というふうな状態が生じるケース、幾つかいろんなタイプがあると思いますが、ティピカルな例で申し上げたいと思います。  一つは、やはり会社を退職なり転職をされた際に国民年金への第一号被保険者としての届出を市町村の方でされてないケースでございます。これにつきましては、平成十年度から、御質問にもございましたように、基礎年金番号を活用して届出の勧奨の通知を出しているということでございます。  それからもう一つは、二十歳に到達された時点でございますけれども、これも平成七年度以降は二十歳に到達された時点で届出を促すということをやっておりますけれども、それ以前は特段そういう措置を取っておりませんでしたので、そういうふうな勧奨しても届出されてないケースあるいはそれ以前に加入の勧奨が届いてなくて未加入の状態で続いているケースがあろうかと思います。  それから、昭和六十一年以前は国民年金かなり任意加入の方が多かったわけでございますが、任意加入から強制加入に変わった時点で手続をされてないケースなどもあろうかと思っております。  以上が大体未加入のケースでございます。  未納の方は、基本的には私ども納付督励等行っているわけでございますけれども、それに対して保険料が納められてないケース、こういうふうに言えようかと思っております。
  153. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 分かりました。  じゃ、これから、ちょっと今四つおっしゃったと思うんですね。一つは、退職、転職をするときに国民年金の手続が漏れていたために未加入になった人、二番目のケースは、二十歳の時点で加入をしなきゃいけないんだけれども加入しないでそのままずっといってしまった人、それから三番目が、昭和六十一年当時に任意加入から強制加入になったんだけれども手続をしなくてそのまま未加入になった人、四番目は、加入はしているんだけれども未納を続けている人と。これはいろんな個人によって理由が、経済上の理由、確信犯的な理由、いろいろあるでしょう。  それで、じゃ、一つずつ聞いていきます、今後どうされるのか。  まず一番目のケースは、退職、転職時に国民年金の手続が漏れた人ですね。これに関しては、平成十年度以降は、退職してから手続をしない人に関しては二か月後と半年後に今通知が来るようになりました。平成十年の前はやってない。やりました。ただ、その通知が出てきても、それでも加入をされない方もいらっしゃるわけです。そこで、今後これどういうふうな対応をして改善をしていかれようとしているのか、お答えいただけます。
  154. 薄井康紀

    政府参考人(薄井康紀君) 今御質問にございましたように、二か月後と六か月後に未届け者に対しましては通知を出させていただいているところでございますが、一つは、このような通知、私どもの役所の通知、なかなか分かりにくいということをよく指摘をされるわけでございまして、できるだけ分かりやすく、きちっと手続を取っていただけるような中身に直していくというのが一つあろうかと思っております。  それから、退職をされる際に、企業の方できちっと国民年金の手続をしてくださいと、企業には社会保険委員というボランティアもお願いをしております、そういう方から働き掛けていただく、あるいは失業されたときにハローワークに来られる方に対しましてはハローワークにおきまして届出の周知を図る、こういったことが考えられようかと思います。  それから、二回今通知をいたしておりますけれども、その後のフォローということでございますが、通知をしても届出をされない方につきまして、一定期間を見まして、その上で第一号被保険者として職権で適用する、こういったことも考えられようかと思いますので、こういった形で取り組んでまいりたいと考えております。
  155. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 今、最後のところですね、職権適用を利用することを検討するということでありますけれども、これ坂口大臣、後でちょっと御意見伺いたいと思うんですけれども、二十歳になった以降の学生等に平成七年度以降はこの職権適用で、入りなさい入りなさいと二回通知をしても全然無視して入らない学生に対しては、職権でもう自動的に役所の方で加入の手続をして年金手帳を送るという形で加入させると、こういうことをやっていますから、未加入は、未加入の学生等はかなり減ったんですね、平成七年度以降この状況で。  ただ、問題は、本人が何も自覚がない。だって通知が来たことも知っているか知らないか、あるいは無視したか、いずれにしても、本人は年金に入ったつもりはないのにいつの間にか入っていて、そして年金手帳が送られているという状況で入るわけですね。  今おっしゃっているのは、転職とか退職のときに手続を忘れた人に対しても、二回通知しても入らなかった人はもう自動的に役所の方で入れちゃって、そして処置をするということなんですけれども、これによって未加入率は減らすことできると思うんですが、本人の自覚がない状態で加入しちゃった場合は、これやっぱり逆に未加入率が下がった分未納率が上がるという結果になってしまうんじゃないかなと私は懸念持っているんですが、この点ちょっと、大臣、今お答えになれるようであればお答えいただけますか。
  156. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 確かに、現在は二回出しているんですね。退職されました後二か月後、そしてそれでも反応のないときには六か月後と、こういうことになっておりまして、だけれども、二か月で終わっているわけであります。その終わっている中には、国民年金に入らなければならないのに入っていない方と、それからいわゆる三号被保険者になっている人と、両方あるんだろうというふうに思います。女性であれば三号被保険者になっているケースもかなりあるだろうというふうに思っております。その辺のところは、これ個々にチェックしなければ、当たらないとこれ分からないわけであります。  しかし、二回で終わってしまっておりましては、これは何にもなりませんので、この後どうするのか。同じことをチェックを何回かやっておりましても余り意味がありませんから、少し質の違ったチェックの仕方というものが必要だというふうに思っておりまして、もう一度、その二回でよく分からない人につきましては別途違ったチェックの仕方というものを考えてほしいと今言っているところでございます。その中の一つにはこの職権適用というようなのもあるだろうというふうに思いますけれども、そこまで行かずに、もう一遍何かをやるのか、それとも二回でもう職権適用に行くのか、その辺のところも十分考えないといけないと思っております。
  157. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 これも大臣、後で私申し上げようと思っていたんですが、私は、自動的に職権適用だけ導入してそれで済むというのはちょっと短絡的な議論だろうと思っていまして、ただ、職権適用で加入した後に、後でちょっと私も議論したいんですけれども、今厚労省で検討しているポイント制ですね、このポイント制の通知がしっかりと加入した人にちゃんと全員に来るようになってくると、知らない間に加入させられていたけれども、自分がポイント見たときに、自分がどこまで未納期間があって、あるいは未加入期間があるかということが定期的に通知をされることによって、かなり入った国民の方が自分の将来受ける年金のことも考えてどうしようかということを現実的に対応されるんではないかと思いますから、この職権適用はいいんですけれども、職権適用の後のフォローアップの部分とセットで考えていかないと、私は政策として効果が十分に上がらないんではないかというふうに個人的に思っています。  それで、また社会保険庁、ちょっとお聞きしますが、四つ聞きたいと言いましたけれども、ちょっと二番目の二十歳の時点で加入していない状況については、これは職権適用が今正にありますから、余り議論してもしようがないんで聞きません。それから、六十一年当時の強制加入に変わった際の手続漏れの人も、これは恐らく、今回国会議員未納の問題なんかが相当テレビで取り上げられたりして、それをきっかけに自覚をされて手続された方もいるでしょうから、四番目のところだけちょっとお聞きしたいと思うんですね。  つまり、加入はしているけれども未納の時期のある方というのは非常に多いわけです。その中には、意図的に払わなかった方もいらっしゃるでしょうけれども、実際には生活が非常に大変で、本当は払わなければいけない、払いたいと思いながらも払えずにいたと。現行法の下では、これ二年過ぎますともう追納ができないということで、そのままあきらめてしまった方も結構いるんではないかというふうに思うわけです。  こういう、加入をしているけれどもいろんな事情で年金が払えない。払えない、どうしようと思っているうちに二年過ぎてしまって、追納ももうできない。そこで、ああ、もうこれは自分が、人によってはですよ、受給権が発生するまで加入期間足らなくなるかもしれないからあきらめちゃうということでもう納める気が全くなくなってしまうという方も実際いらっしゃると思うんですが、こういう方々に対しても今までのちょっと社会保険庁の取組は非常に不親切であったと私は思っておりまして、これ現状どういう対応、改善策されているのか、また今後どうされるのか、ちょっとこの点お伺いしたいと思います。
  158. 薄井康紀

    政府参考人(薄井康紀君) この点につきましては、平成十三年度までは現年度の保険料は市町村でお集めいただいておりました。市町村によっては非常に熱心にやっていただいたところ、必ずしもそうでなかったところというところもあるわけでございますが、平成十四年度から市町村から国への移管ということでございまして、その後は年六回未納者に対しまして催告状をお送りする、あるいは電話なり戸別訪問によります納付督励、こういった形で実施をいたしております。  あと、もう一つは、やはり今御質問にもございましたように、保険料を納められない、こういった方は免除という制度があるわけでございまして、そういう方には免除制度を活用していただくということも重要であろうかと思います。免除制度の周知といったことも取り組んでまいらなければいけないと思っております。  また、今回の制度改革の中でも、低所得者などにつきましていわゆる多段階免除制度であるとか、あるいは二十代の方の納付猶予の制度であるとか、こういうふうな制度が盛り込まれているところでございまして、これらも含めまして未納の防止に努めていきたいと考えております。
  159. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 これ、今おっしゃっていた多段階免除制度ですね、現行のこの全額免除、半額免除、これはそれぞれの御家庭の年間の所得の一定の制限設けて、その要件に合う方は全額免除それから半額免除をして、免除期間もその受給権が発する年数に入れていくという制度だと思いますが、この多段階というのは、要するに四分の一だけ払っていいですよと、あるいは四分の三というものを設けて、四段階に分けて所得に応じて免除制度を導入するということなんですが、これはいつから導入する予定ですか。
  160. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 平成十七年の七月から施行を考えてございます。
  161. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 分かりました。この多段階免除......
  162. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 失礼しました。平成十八年の七月でございます。
  163. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 平成十八年七月からということですが、この多段階免除制度、私も、今まで二段階しかなかったものを四段階に分けて、フルに払える人もいれば、五者に分けて導入するということはいいと思うんですが、ただこれ、やはり今までのこの全額免除、半額免除の制度自体も、残念ながら国民によく周知徹底されていなかったというふうに私は感じております。  ですから、これはまた違うテーマにもうなってしまいますけれども、いろいろ社会保険庁の方で平成七年、平成十年ぐらいから、いろんな国民の実際の生活のニーズに合わせた制度をいろいろと導入する、検討することはいいんですが、そういうことがあるよということ自体が国民皆さんになかなか周知徹底されない。テレビで出てくる年金のコマーシャルも、まあ詳しくは言いませんけれども、とにかく払いましょうという話だけでしてね。だから、要は払いたくても払えない人に対応した広報、宣伝、PRというものがやはりちょっと少なかったのかなという気はしておるわけですから、そこはしっかりと対応していただきたいというふうに思います。  それで、次に、ちょっと配らせていただきました資料の一ページに関連をして質問させていただきたいというふうに思いますが、議員とか閣僚の未納のケースでも話題になりましたけれども、市町村の窓口でいろいろな手続をしたときに、本人の意図とは別に国民年金を脱退をしていたという話がよくあるわけです。これは、地方分権一括法で国民年金の業務について大分今は市町村の方から国の方に業務が移ってきているということだというふうに思うんですが、この表を見れば一目瞭然なんですけれども、一号被保険者の届出の受理だけが市町村の今は業務になっているわけでありまして、残りはそうなっていないわけでありますが、ちょっとこの市町村と国の業務の中身について整理して分かりやすく御説明をしていただきたいのが一点と、それから、市町村の業務から国の業務にかなり移管されたにもかかわらず、具体的に言えばそれぞれの地域の社会保険事務所がしっかりとそれを所管してやっているのかどうか、あるいは市町村に対して責任ある支援をしているのかどうかということについてかなり疑問の声が各地で起こっていることもありますので、そこも踏まえて、国、すなわち具体的には社会保険庁が市町村の窓口業務に対してどういう支援をされているのかということも含めて、ちょっと御答弁いただけますか。
  164. 薄井康紀

    政府参考人(薄井康紀君) 地方分権推進委員会の三次勧告受けまして、国と市町村の役割を明確にするということで、今お配りになりました資料にございますように、国と市町村の間の事務関係の整理と、こういうことを行ってまいってきたところでございます。  現在、第一号被保険者の届出書の受理、このほかにも幾つか市町村に法定受託事務としてお願いしている事項あるわけでございますけれども、そういった事項を市町村にお願いをいたしております。この事務実施に当たりましては、私どもの方で市町村事務処理基準というふうなものを定めているところでございまして、私ども社会保険庁本庁あるいは各都道府県の社会保険事務局あるいは社会保険事務所と市町村との間で連絡を取りながら必要な助言等を行って事務実施をするということで取り組んでまいっているところでございます。  閣僚に就任された際のいわゆる国民年金の脱退の手続のお話が御質問でございましたので一言申し上げますと、これは、市町村におきまして国民年金の手続をする、国民年金の一号被保険者から外れる手続をするということにつきましては、普通は国民健康保険国民年金が連動するということでございます。一般の国民の方にとりましては、一つの手続をされれば両方が、資格の取得なり喪失が一遍にされるということでメリットが多いわけでございますが、閣僚等のケースにつきましては、共済組合が医療の方だけで、年金の方は共済の適用にならず国民年金という極めて特殊なポジションにあられるわけでございます。そういうふうなことの中で、市町村におかれましては、国民年金国民健康保険同じ紙でできるとかあるいは複写になっているとかいろんなスタイルがあるわけでございます。そういう中で国民健康保険外れることによりまして国民年金も外れてしまったと、こういう現象が生じたものと受け止めております。  これにつきましては、私ども、これ各省、大臣に御就任された際の、人事課等へそこら辺にお心配りをお願いしたいということを私どもから御要請するべきであったと考えておるところでございますし、また、市町村なりあるいは社会保険事務所の方にも、その点十分周知徹底を図っておくべきであったと考えておりまして、そこら辺は反省点であると考えているところでございます。
  165. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 ちょっと聞きたいんですけれども、それぞれの地域の社会保険事務所とそれから法定受託事務やっている市町村とのこの年金関係の業務に関する日ごろの日常的な連携とか、そういうのというのは大体標準的に言うと、どういう関係で、どの程度緊密に連携取ってやっているんですか。
  166. 薄井康紀

    政府参考人(薄井康紀君) 基本的には、社会保険事務所の方から管内の市町村の国民年金の担当セクションに対しまして、市町村で受け付けられた書類をこちらでお預かりをする、必要があればそれはお尋ねをすると、あるいは一般的な業務の進め方については助言をさせていただくと、こういうことでやっているところでございます。また、市町村の方からも、私ども社会保険庁の方で持っております情報、こういう情報が欲しいということがあれば御照会いただくということで、日常的な業務の中で様々な接点があると、こういうことでございます。
  167. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 これ、各市町村で濃淡があると思いますし、どうしても質の差が出てくることはやむを得ないことだと私も思っていますが、是非、今、国民未納とか未加入の問題に対する関心非常に高いですので、社会保険庁の方としても、各自治体の市町村の窓口と今まで以上に連携を密にして、それぞれ個々人、人生がいろいろ違いますし職業も違いますから、そこにきめ細かい対応ができるように督励をしていただきたいというふうに思います。  続きまして、大臣にちょっとお伺いをしたいと思いますが、先ほど来ありますけれども、国民年金保険料納付率が低い、低くなっている、これがまた市町村から国に移管された後に更に落ちているということがあって、大臣も深い御懸念を持っていると思いますが、今後、具体的にこの納付率を向上していくために、具体的にですね、どういう政策をある程度目玉にして改善をされようとしているのか、御答弁いただければと思います。
  168. 坂口力

    国務大臣坂口力君) ここは限られた人数でやるわけでございますから、そんなに特別な方法があるわけではないというふうに思っております。  ただ、今まで市町村がおやりをいただいておりましたときにも、市町村の職員の皆さん方が実際に直接足を運んでおやりいただいていた側面もありますけれども、私は、そればかりではなくて、やはり町内会でありますとかあるいは自治会でありますとかあるいは婦人会でありますとか、そうしたところの御協力をいただいて、そしてこの収納率というものを高めていたというふうに思っております。また、そういうふうにお聞きをいたしております。市町村の方からそういうお話を伺ったこともございます。しかし、国が行うようになりましてからそうしたことを引き継ぐことがうまくできなかったということに大きな私は要因の一つがあるというふうに思っております。  そういう自治会であれ婦人会であれ、そうした皆さん方の団体を動かすというのは、これやはり市町村の、何と申しますか、許可と言うとちょっと言葉は悪いですけれども、市町村がそこを了解をしてもらって、そしてそれをうまくつないでもらう役割をやっぱり果たしていただかなければならないんだろうというふうに思います。しかし、そこが、市町村の側、我々の方はこれはもうしなくてもよくなったんだ、そのよくなったという市町村が、それだけでは、自分たちが関与しなくてもよくなったというだけではなくて、自分たちがそういうところを紹介して動かすということについても、そこはうまく受渡しをしてもらえなかったということのようでございます。  私は、それはこちらの努力も少し足りなかったというふうに思っている次第でありまして、そうした皆さん方にどういうふうに今後も御協力をいただけるような体制を作り上げていくかということが非常に大事ではないかというふうに思っております。  ほかの方法もいろいろ考えなきゃいけませんけれども、人数をそんなに増やせるわけではありませんし、定められた人数の中でそうしたことをお願いをしていきますためには、そうした皆さん方にお願いをする、あるいはまた、別途その地域地域で組織を作り上げていって、そしてその皆さん方の御協力をいただくようにするといったこと以外にいい方法が私は今のところ見付からないのではないかというふうに思っておりまして、その辺を整理をそれぞれの地域に合ったようにしていかなければいけないというふうに、都市部とそして地方とでは若干そこも違うのではないかという気がいたしますし、そうしたことも踏まえましてその在り方というものをしっかりとやっていくということが大事ではないかというふうに思っている次第でございます。
  169. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 ありがとうございます。  それで、私がお配りした資料の二枚目に、大臣がおっしゃったことも含めて、国民年金保険料の収納対策強化について厚生労働省の方でまとめてもらったものがあるわけでありますけれども、私はまず、これは小泉総理にも直接申し上げた点でありますが、この右側の上の方の「基本的な収納対策」というところに書かれております「年金広報の充実及び年金教育を推進」というところが非常に重要だというふうに思っております。  これは、私自身も含めてやはり若い世代の人たちは本当に年金に対して関心もなければ知識もないという実態があるわけでありまして、私は、総理がおっしゃったように、小学生や中学生に年金の話したって聞いてもらえないよということはそうかもしれませんが、ただ、少なくとも高校生ぐらいの段階で年に一回でいいから年金と介護の話ぐらいはしっかりと聞くという機会を若い人持たなければ、これは二十歳から、もう高校三年生から見たら二年で二十歳になって、それからもうずっと保険料を納めなきゃいけないということになるわけでして、今の日本の教育課程の現状で申し上げれば、中学校の三年生のときの公民の教科書で年金のことをちょろっと聞いたかなという程度のまま二十歳になる方ほとんどだというふうに私は認識をしておるわけでありまして、この点は坂口大臣の方からまた文部科学省の方にもしっかりと言っていただいて、年金教育について、これはもう詳しく申し上げませんけれども、学校教育の側が、学校の側が年金教育に協力しようという人がすごく少ない、これは事実でありますから、数字で裏付けられておりますので、是非ともこの点は、政府を挙げて年金教育を進めるんだと、これは省庁の壁を越えてやるんだということをやらなければ、二十歳になって払ってくださいと言っても、年金ってそもそも何ですかと、そんな六十五歳以降のことを今考えなきゃいけないんですかと思う若者がほとんどなわけですから、その点は強調させていただきたいというふうに思います。  それから、また資料に戻りまして二枚目の右下の方に、大臣おっしゃった、自治会とか業界団体に保険料収納を委託するお話ですとか、あるいは地域に国民年金委員を設置するという話、それから、若い世代から申し上げれば非常にいいなと思っておりますのは、コンビニエンスストアとかインターネットバンキングで保険料を納められるようにすると。正直言うと、こういう施策を取り出すのが遅かったなと。これが今回の国会議員未納問題みたいなものをきっかけにクローズアップされるというのは非常に甚だ遺憾なことであるわけでありますけれども、いずれにしても、この辺の総合的な施策というのを進めていかないと、ただ掛け声で、未納はいかぬ、みんなで払いましょうと言っていても改善はされないと思いますので、是非ここに書かれているとおりやっていただきたいと思います。  次に、これは政府参考人で結構ですけれども、国民から見て、やっぱり自分自身が今までどれぐらい納めたのかという納付の記録について、もう自分が社会保険事務所に行かないと教えてもらえない。それから、将来どれぐらい自分が年金もらえるのかという見込額についても、今までは皆目見当が付かないということが、さっき私申し上げました、医療の場合は病気になりますから、人間、残念ながら、それを一つのきっかけに非常に意識を皆さん高く持つわけですね。  年金の場合は、もう要するに六十五歳になった時点から非常に自分に大きな関係のある、今は六十歳かもしれませんが、そういうことであるためにどうしても手後れになってしまうことが多いわけですから、若い時代からこういう、将来幾らぐらい年金もらえるのか、自分が今まで納めてきたのかということについて分かりやすい通知というものが来るだけで大分これは改善されると思うんですが、この点どういう取組されるのか。
  170. 薄井康紀

    政府参考人(薄井康紀君) 今御指摘ございましたように、年金に関します個人情報の提供の充実というのは非常に重要であると考えております。  一つは、平成十四年の四月から始めた取組でございますけれども、私ども社会保険庁のホームページの中に、御自分でこれは加入期間とか報酬を入れていただきまして年金見込額の簡易試算というふうなことができるコーナーを、これはインターネットを使ってということでございますけれども、設けているところでございます。  そしてまた、この一月から、今年の一月からでございますけれども、年金見込額の試算でございますが、これは社会保険事務所にお越しいただくとお答えをいたしておったわけでございますが、従来五十八歳以上の方にお伝えをしておりましたけれども、これを五十五歳以上ということに引下げをさせていただいたところでございます。  また、電話によります個別具体的な年金相談、これはプライバシーとの関係等ちょっと留意する点がございますけれども、これも始めさせていただきましたし、それから、インターネットにおきまして年金見込額試算照会の受付をする、これも五十五歳以上の方でございますが、受付をして後で文書で回答させていただくということを実施をさせていただいております。  先ほど、五十五歳以上の方につきまして見込額試算と申し上げましたけれども、平成十七年度からはこれを五十歳以上に引下げをしたいと考えているところでございます。  それから、今年の三月から始めたところでございますけれども、年金受給が近づかれました五十八歳の方につきまして、事前に年金加入記録をお知らせをして、希望する方には見込額を提供するというサービスも開始をさせていただきました。ただ、今のところまだ年齢が非常に高いんではないかという御指摘もあろうかと思いますけれども、今回の改正で盛り込んでおりますポイント制の導入も含めまして、個人情報の提供をいかに充実していくかということで取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
  171. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 分かりました。是非、五十八歳とか五十五歳、あと五十歳以上まで下げるということであれなんですけれども、これは与党の年金改革協議会でも出たかと思うんですが、できる限り早く、四十歳代ぐらいまで、こういった通知、あるいは年金の見込額の通知というものができるように検討していただきたいと私は思います。  それから、一点聞きたいのは、資料の③番と④番付けさせていただきましたけれども、このポイント制に私は非常に期待をしております。今回の法改正で盛り込まれている。  このポイント制によれば、説明によれば、これちょっと、質問ちょっと後でしますけれども、これは若い方々も含めて、あなたの年金ポイントは幾つですよと、そこの年金ポイントに年金ポイント単価を掛けると年金見込額、これは恐らく平成十六年度価格で出るんでしょうが、こういったものが出るようにするということを書かれているわけですが、これは、一点確認したいのは、これはあれですか、二十歳以降の加入者であれば全部ポイント制、ポイントについては通知受けることはできるんでしょうか、それともある一定の年齢から始まるんでしょうか。
  172. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) このポイント制につきましては、その施行の時期ですが、平成二十年四月を予定をいたしております。  今回の制度改正によりましてシステムを合わせるということがございますので、それが完成をしてということでございますが、対象の方、それは最大であれば二十歳以降ということでございますが、これまでの御議論を申し上げますと、ある程度御自分の年金受給が頭の中に出てくる方、例えば三十五でありますとかあるいは四十、そういう方には必ず必須的な事項ではないかという御議論でございます。若い方についてどの程度このポイントを申し上げるかというのはよく議論をする必要があるだろうということでございますので、施行時点までよく検討したいというふうに思っております。  それで、このポイント制の一番基本になりますのは、保険料納付していただいた実績でございます。保険料納付給付に結び付きますので、ポイント制の、まず二つ書いてございますが、一つは、被保険者方々保険料納付記録をむしろ社会保険庁の方から積極的にお伝えをするということが第一だろうと思います。  それに併せて、それではポイントの表示をどうするかという形でございます。ドイツでも似たような形をやっておりますが、ドイツで申し上げますと、端的に申し上げますと、例えば四十ポイント、平均賃金の方ですと一ポイントという形になっております。それで、それが四十年間で四十ポイントになると、その時点におけるドイツの平均的なサラリーマンの方の老齢年金額に相当するものを受給をされるという形になります。ですから、例えば四十ぐらいの方ですと、通常で申し上げますと二十ポイントという状態でございますが、二十年でございますから。ですから、それからだんだん、御自分の平均的な四十ポイントに対してどの程度のところにおられるかということで、その後の賃金によってもちろん変わってまいりますけれども、ある程度御自分の将来を考えながら、どの程度の年金になっていくだろうということがお分かりだろうということでございます。  ただ、今回の、我々この点をより検討する必要があるだろうというふうに思っておりますのは、例えば、現時点で申し上げますと、社会保険事務所に御自分の加入記録がどうだっただろうかということで非常にたくさんの方が年金相談でお見えになっておられるわけでございますが、そういうニーズに対して、先ほど申し上げました、保険料納付実績をむしろこちらから積極的にお伝えすることによって分かっていただくという機能がございますので、その点も含めてよく施行までに検討してまいりたいというふうに思っております。
  173. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 分かりました。これ、必ずしっかりやっていただきたいと思います。これがないと、結局、この未納問題というのは全然解決をしていかないというふうに私は思っています。  最後、時間がもう限られておりますけれども、二十歳以上の学生の年金問題についてちょっと質問したいんですが、今日、私、配った資料の一番最後に二枚、非常に少女漫画の「エースをねらえ」もどきの表紙の、学生納付特例制度のパンフレットの表紙と、それからその中の一部分をコピーして付けさせていただいておりますが、この学生特例納付制度平成十二年から始まりました。利用者の数は、十二年度が百三十五万人、十三年度が百四十八万人、十四年度は百五十四万人で、大体学生数の六割がこの特例制度を今利用して納付を猶予していると。  実は、この三年間だけで納付が猶予された年金の額というのは六千九百億円に上るわけでございます。これは当然、卒業してからというか、十年以内に追納することができるわけでありますが、現在、平成十四年度までに追納された保険料の総額は約五十一億円、まだ余り時間たっていませんのであれなんですけれども、六千九百億円猶予されたうちの〇・七%だけが追納されているというわけでございまして、先ほどの話じゃありませんけれども、これが年々歳々追納されないままいきますと大変なんです。  今日は時間ないから私自分で答えちゃいますが、実は、調べましたら、学生特例納付を使って保険料を猶予を受けた学生に追納の義務はないんですよね。だから、特例納付期間というのは受給権が発生する加入期間には入れることできませんけれども、追納しないとそこは空の未納期間として扱われるということなんです。  そこで、私、この資料で、一番最後に付けさせていただいたパンフレットで非常に不満な点がございます。大臣、これちょっと見ていただきたいんですが、二つあるんですね。これ、どこを見ていただきたいかというと、この一番最後のページの資料の一番下に囲み記事があるんですけれども、「追納で満額の年金を受け取りましょう」と書いてあるところなんですね。  そこの、まず一番目の私の不満。真ん中に、二文目に、「追納しない場合、老齢基礎年金の受給資格期間には算入されますが、将来受け取る年金額には反映されません。」と書いてあるんですよ。これはそのとおりなんですけれども、学生たちにとってみたら、具体的に追納しなかったら幾らぐらい自分が将来損するか、全然この文章じゃ分からないです。  これは大臣、お答え御存じだと思いますが、一年分追納しないと自分が毎年受け取る額が二万円マイナスになるんですね。それが分からない。大学生に二年間行って、大学院生まで進んで四年間例えば行って特例納付を受けた場合、四年間穴が空くんです。それを全く追納しないまま将来年金受給者になりますと、年にして八万円ぐらい減額をされてしまう、今の価値でいうと、ということがこの資料では全く分からないから、もうちょっと丁寧にそこはやってほしい。  それからもう一つ、一番最後に下線が引っ張ってありますね。ここは私もっと問題だと思っています。「追納は十年以内に行いますが、利用した年度より二年以上あとに追納する場合には、その当時の保険料に、政令で定める額が加算されることになります。」と。これは複利で年四%で掛けるんですね。でも、ということは、十年間で、十年以内に追納すればいいんですけれども、十年後に本当にぎりぎりで追納すると四九・八%加算されて追納するということになって、ですから、猶予してから二年後に払うのと比べますと物すごい額を加算されて追納するということになるわけです。  これも、一般の大学生等から見て、ここを見てそれを想像できる人は非常に少ないわけでありまして、私は、今累計で六千九百億円になっている学生が猶予された保険料未納額が、これから毎年百万人以上の単位で学生がこの制度を利用しますと、多分累計ですぐ一兆行っちゃうと思うんですよ。一兆行った上で、こういう、十年後に納めたら四九・八%の複利が入りますよとか、あるいは将来受け取る自分の年金額がどれぐらい払わないと減るかということが全然具体的にこのパンフレット読んで分からないまま行っちゃうと、これもまた大きな未納の穴になる、それでこういう委員会でまた野党委員から非常に責められる、そういう制度になりかねない。(「正しい指摘をしているんです」と呼ぶ者あり)ええ、正しい指摘なんですが。  ですから、だから私は、これ簡単なことですよ。これ、まず、パンフレットにちゃんと、もっと今の若い人が分かるように、追納期間が延びれば延びるほど複利で物すごく加算されますよということとか、あるいは将来受け取る年金額が一年分追納しなかったらどれぐらい減額になるかとか、もっと分かりやすくやってほしいと思うんですけれども、これ、大臣、いかがですか。
  174. 薄井康紀

    政府参考人(薄井康紀君) 御指摘ございましたように、これ、パンフレットなり、あるいは承認の通知、学生納付特例の承認の通知をする際にここら辺のことを書かせていただいているんですけれども、確かに分かりにくいという御指摘ございますので、工夫を凝らしてまいりたいと考えているところでございます。  それから、ちょっと御質問とはあれでございますけれども、まだ十二年に制度始まって四年ほどしかたっておりませんけれども、十年間待つということではなくて、しかるべき節目、例えば五年ぐらいたったところ、あるいは十年ぎりぎりのところ辺りで個別に追納制度について御案内もするということも検討してまいりたいと考えております。
  175. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 いずれにいたしましても、実際、私、二十歳前後のお子さんを持つお母様とかと話をすると、何で二十歳で、大学生で、あるいは専門学校生から毎月一万円以上取るのかというお声は実際非常に強いわけですね。実際今まで、二十歳以上の学生、要するに所得がないわけですから、所得がない人から所得がある自営業者と同じようにお金を取るというのはどういう神経なんだと。  しかし、その制度設計上二十歳以上から取るようにしないといけない、それから障害者、無年金障害者とか学生出しちゃいけないといういろんな要素があってこういう制度になったというふうに私も理解はしておりますが、しかし、一般的に言うと、若い学生から徴収をする、その学生たちから徴収できない。いろんな、平成三年から学生も強制加入になって制度の改善が行われてきて、ようやくこの平成十二年四月から学生特例納付制度ができて、利用率はまだ六割でありますけれども、いったんとにかく保険料を猶予することができるというふうになったわけですね。  ただ、この制度の趣旨とか中身が本当に利用している若い人、若い学生にちゃんと理解をされないまま社会人になられると、本当は所得が出てきて追納できるのに払わないまま追納期間まで過ぎるということが続発しますと、これまた大きな問題に恐らく五年後、十年後になっていくと思って、私、最後、この問題を取り上げさせていただきました。  是非、社会保険庁の方には、いろいろと人数の制限がある中で大変な作業をしなきゃいけないときもあるとは思うんですが、こういう国民全体にかかわる大事な問題ですし、予算とか給付の規模でいうと兆単位のお話でございますので、是非、坂口大臣のリーダーシップの下、改善すべきは改善をして万全を期していただきたいということを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。
  176. 井上美代

    ○井上美代君 日本共産党の井上美代でございます。  法案の質問に入る前に、谷畑厚生労働大臣の副大臣としての資格にかかわる新たな問題について質問をしたいと思います。  谷畑副大臣のホームページによりますと、ホームページはここにありますけれども、ホームページによりますと、何しろ副大臣としての問題がいろいろ出てくるわけなんですけれども、副大臣は、現在、自民党の大阪府の支部連合会の副会長を務めておられます。その自民党大阪府連の二〇〇一年分の政治資金収支報告書を見ますと、国産牛肉買上げ事業をめぐる偽装事件で逮捕された浅田容疑者が会長を務めていたハンナンからパーティー券の購入という形で三十万円の資金提供を受けています。  ハンナンといえば、先週の金曜日にも大阪府警による三度目の検挙が行われるなど、五十億に上る補助金を不正受給していた同グループの言ってみれば中心企業でございます。国民の税金を食い物にした、正に前代未聞の犯罪に関与した企業から大阪府連はどうして資金提供を受けているのですか。一体どういう関係にあるのですか。大阪府連の副会長であれば、当然、谷畑さん、あなたは御存じであるというふうに思います。明らかにしていただきたいと思います。御答弁ください。
  177. 谷畑孝

    ○副大臣(谷畑孝君) 今の質問を聞いておりますと、大阪府連のパーティー券で、阪南畜産の、買っていただいていることについてどう思うかということでありますけれども、私、大阪府連の副会長をしておりますけれども、今の質問、正直な話、私自身はっきり言ってよく分かりません。それがどういう経過で、どうなっておるのかということは、正直な話、それぞれ大阪府連のパーティーの場合は、それぞれが党として関係諸団体、いろんなところにいろんな人たちがお願いに回るということもあって、私自身そのことは分かりません。
  178. 井上美代

    ○井上美代君 分からないことはないと思います。これは政治資金収支報告書に出ている内容です。だから、金額まで細かくは分からなくても覚えがあると思います。だから、思い出して御答弁ください。しらばくれては駄目です。知らないと言っては駄目です。あなたは副会長じゃありませんか。だから、きちんと答えてください。細かい金額はいいです。
  179. 谷畑孝

    ○副大臣(谷畑孝君) いや、正直な話、私、大阪府連のパーティーで、それだけのことだけじゃなくて、他のところで、どこで売っているか、どうしているか、これは本当に分かりません。
  180. 井上美代

    ○井上美代君 初めて知ったとでもおっしゃるんですか。
  181. 谷畑孝

    ○副大臣(谷畑孝君) 正直な話、分かりません。私が売りに行ったわけでもありませんし、はっきり言って分かりません。
  182. 井上美代

    ○井上美代君 実は、谷畑副大臣とハンナングループの関係をうかがわせる報道があります。(発言する者あり)そうです。今年の四月二十二日付けの朝日新聞です。ここに書いてあるのは、牛肉偽装事件で逮捕された浅田容疑者の関連組合や会社が入居している建物が羽曳野市の市有地に建っており、羽曳野市は契約書すら交わさず無償貸与していたという記事が掲載されております。この記事の中に、問題の建物は二棟あり、記事の中に書いてあるんですが、そのうちの一棟には最近まで自民党第十四選挙区支部と書かれた掲示板があり、地元選出議員のポスターが張られていたと、このように新聞は指摘をしているんです。  この自民党第十四選挙区支部とはだれが支部長をしていますか。だれが支部長として務めておりますか。それも忘れてしまいましたか。
  183. 谷畑孝

    ○副大臣(谷畑孝君) 十四区支部支部長は私でございますけれども、ポスターは、もう私の選挙区、もう本当にたくさん支援者の皆さんにお願いしてそれぞれのところへ張っていただいておりますので、今その記事で報道されておるならば、それは張らせていただいているということでありますけれども、その土地がどうだとか、その経過は私は全く知らないわけであります。  それと、大阪府連のそれはパーティーということにつきましても、全く、私自身がそれをお願いしに行ったこともありませんし、正直な話、私自身知りません。
  184. 井上美代

    ○井上美代君 副大臣は知らないというところで通そうとしているんですね。私は、羽曳野市の向野町、向野町というんでしょうね、そうですか、向野町の三丁目一の二というところにある問題の建物を調べてみました。  ここに、我が日本共産党の赤旗の日曜版が昨年に、総選挙のときですけれども、間近に控えた七月です。そのときに撮影した写真があります。これがその写真です。そして、拡大もしておりますけれども、ポスターが出ておりますよ。この建物には、牛肉偽装事件で代表理事が逮捕された羽曳野市食肉事業協同組合、そして浅田容疑者の実弟で元山口組系の暴力団会長の経歴を持つ人物が代表を務める羽曳野市の同和食肉事業協同組合、そしてまた浅田容疑者が社長を務める南食ミートセンター、こういうものなどが、この浅田容疑者の強い影響下にある協同組合やハンナングループの企業ばかりですけれども、これがここに入居しているのはよく御存じですよね。そして、この建物の一番目立つ出入口のところの正面には、自由民主党大阪府第十四選挙区支部支部長谷畑孝、こう書かれた掲示板と、そして谷畑副大臣のポスターが張られております。報道によると、この掲示板やポスターは最近、羽曳野市が協同組合に指示して撤去させたそうですけれども、問題は、なぜこのような場所に谷畑副大臣が代表を務める支部の掲示板や谷畑副大臣御自身のポスターが設置されているのかということなんです。この建物に入居する浅田容疑者と関係の深い団体から選挙などを支援を受けていなければあり得ないことではありませんか。それでもあなたはしらを切るつもりですか。
  185. 谷畑孝

    ○副大臣(谷畑孝君) しらを切るとかそういう問題じゃなくて、私自身、たくさんの支援者の皆さんに、ポスター、もちろん選挙を間際にしてお願いをしておるわけで、たくさんのところで張らせていただいておるわけであります。あくまでもその一つでございます。    〔委員長退席、理事藤井基之君着席〕  私自身がその不正と、そういうことについて、私自身が直接かかわるものでもなければ何もないと思います。私自身、何もしらを切るとかそういうものじゃなくて、そこに看板が掛かっていることについては私は事実だと思います。何もしらを切るとか、そんなことじゃないんです。
  186. 井上美代

    ○井上美代君 看板が掛かっているということを御存じですね。承知していますね。そうしたら、これは掲示板なんです。だから、これはもう明らかにあなたが依頼してやっているということになるんです。普通、ポスターは町にも張ってあります。しかしながら、町に張っているのは、普通のいろんなところにお願いして張ることはありますよ。しかしながら、掲示板がありまして、途中で外されてはいるようですけれども、ここにちゃんと写真があるんですね。そして、あなたのが張ってあるんです。このようにお願いをして、向こうが黙って張っているんじゃないと思います、掲示板ですから。だから、やはりあなたの方でお願いをして張っているんだというふうに思うんです。そうしましたときに、やはりこの建物の、そしてここに入っている団体とあなたが支援を受けているということははっきりしていると思うんですよ。そこはどうなんですか。そこを具体的に話してくださいよ。
  187. 谷畑孝

    ○副大臣(谷畑孝君) 何回も申し上げていますように、たくさん私の選挙区でポスターを依頼して張っていることは事実です。また、お願いしております。しかし、そのポスターというのは私が全部それを頼みに行ったりそうしているわけじゃなくて、やはり基本的には後援会がありますし、あるいはまたそれぞれの支持団体、いろんなところにおいてお願いをした中で、その一つとして張られているということであります。
  188. 井上美代

    ○井上美代君 政党支部の掲示板というのは、支援を受ける関係になければ私は相手側が勝手に設置するものではないと。やはりあなたがおっしゃるように、多くの人が支援をしてくれているけれども、こことも深く関係を持ちながら支援をしておられる、そういう団体なんでしょう。そこははっきりしているんでしょう。どうなんですか。
  189. 谷畑孝

    ○副大臣(谷畑孝君) 選挙をするものでありますから、私の選挙区においては、あらゆる差別なくあらゆる皆さんに支援をしていただくものについては支援いただくというのは当然のことでありまして、またその努力も私自身しているわけであります。
  190. 井上美代

    ○井上美代君 私は、あらゆる人、あらゆる人とおっしゃいますけれども、特別な関係を持っていらっしゃるというふうに思うんです。しかも相手はハンナンですからね、ただではおかないと思いますよ。  さらに、赤旗がこの写真を撮影したのは総選挙を間近に控えた昨年の七月なんですけれども、これとは別にもう一枚、この掲示板が今年の四月に羽曳野市の指示で撤去される直前なんですけれども、その直前の掲示板を撮影した写真があるんです。それは今年ですね。だからまた違うんですけれども、場所は同じですけれども違うポスターがここに張ってあるんです。ちょっと見えにくいかもしれないけれども、御自分の大きな顔が張ってありますから、見えるでしょうか。  この二枚の写真を比べてみるんですよ、このさっきのとね。比べてみますと、谷畑副大臣のポスターが総選挙以降も新しいものに張り替えられている、今度は参議院用です、張り替えられていることがはっきり分かります。これは私のところではもう分かりますけれども、安倍とか北川とかという人も書いてありますけれども、谷畑というのが大きな顔で、笑っている顔でここに写っています。この写真を比べてみて、谷畑副大臣のポスターが総選挙から張り替えられて新しいものに替わっていること、ここがまた問題なわけなんですね。  繰り返しますけれども、この建物に入居しているのはいずれも浅田容疑者の強い影響下にある協同組合や関連会社です。このことから考えても、谷畑副大臣がハンナングループから、選挙のときだけではなく恒常的に支援を受けていたと考えられるわけなんです。それが、普通考えたら自然のことなんですけれども、自然のことなんですけれども、ポスターが張ってあるんですよ。これは張っちゃいけないからこうなっているんですけれども、外されたりしているんですけれども、また張ってあるんですよ。こういうふうにしてしつっこく張っている。やはりここには深い関係があるんだと思いますよ。答えてください。
  191. 谷畑孝

    ○副大臣(谷畑孝君) 全く偏見です。あくまでも支援をしていただいている普通の関係であります。
  192. 井上美代

    ○井上美代君 それでいいでしょうか。  先ほど私が指摘した谷畑副大臣の政治団体、谷畑孝後援会の九七年の政治資金収支報告書を見ます。この年、谷畑孝君を励ます会というパーティーが行われ、羽曳野市の株式会社、ダイコーフーズという会社から百万円のパーティー券を購入してもらっていること、それを覚えておりますか。──覚えているとうなずいておられます。この会社について調べたところ、この建物に入居する南食ミートセンターで、献金当時、浅田容疑者や元山口組系暴力団会長の経歴を持つ浅田容疑者の実弟などと一緒に役員を務めていた人物が経営する会社の関係会社であることが明らかになりました。  このことも重ねて考えれば、谷畑副大臣がかなり以前からハンナングループ関係者と特別の関係があったというふうに見られるわけなんですね。選挙支援を受けてないというふうに言っておりますけれども、私はそれを信じることはできません。どうですか。関係があって応援をしてもらっているんでしょう。御答弁ください。
  193. 谷畑孝

    ○副大臣(谷畑孝君) もちろん選挙区ですから、差別なく多くの皆さんにいろんな意味で選挙の支援をお願いするというのは当たり前であります。私、それ以上の関係はありません。特別な関係があるわけじゃ、私はないということを申し上げます。
  194. 井上美代

    ○井上美代君 じゃ、九七年の政治資金収支報告書にその百万円がきちんと書いてあるんですけれども、あなたはそれを買ってもらったんですね。それは確かなんでしょう。さっきうなずいておられたでしょう。
  195. 谷畑孝

    ○副大臣(谷畑孝君) 収支報告書にそういうことであれば、それは当然そうだと思います。  しかし、私自身、年に一回しか、地元でパーティーをさせていただいております。そして、たくさんの皆さんにお願いをいたしております。それは、こういう言い方をすると悪いですけれども、基本的にうちの地元の秘書等を含めてが一生懸命に回りながらそういうようにしております。もちろん、そのことについては記載されておるわけですからお世話になったと、こういうように思っています。
  196. 井上美代

    ○井上美代君 私は、これだけのことを私は言っているわけですね。みんな一つ一つが事実を示しているんです。それは分かりますよね。私は事実を示しているんです。それ以外何もありません。事実をあなたに言っているんです。この事実を示しているにもかかわらず、谷畑副大臣の答弁は先ほどから本当にあいまいではありませんか。御自分のことでしょう。責任者を二つもしているんですよ。支部長もやっているんですよ。そして、こんなにあいまいな答弁ばかりを繰り返していて、私はあなたに事実を突き付けながら聞いているんですよ。少なくとも、それを自分が今記憶がよみがえらないなんというんだったら、調べなきゃいけないんじゃないですか。調べる意思がありますか。これを調べてほしいんです、事実ですから。
  197. 谷畑孝

    ○副大臣(谷畑孝君) いや、何を調べるんですか、よく意味が分からないんです。
  198. 井上美代

    ○井上美代君 あなたは関係があるというふうに言われたんですけれども、ハンナンと関係があるというふうに言われたんですけれども、選挙のやはり応援は受けているんでしょう、支援は受けているんでしょう。そこ答弁してください。
  199. 谷畑孝

    ○副大臣(谷畑孝君) もちろん選挙区におられますし、またたくさんの従業員さんもおられますし、いろいろと市長選挙であったり、府会議員選挙であったりいろんな選挙があるわけですから、もちろん衆議院議員選挙、いろんな意味でお世話になり、またお願いしますということは当然お願いもしております。
  200. 井上美代

    ○井上美代君 選挙応援を受けているということ、私はあなたの答弁で思うのは、みんなが応援している、みんなが応援していると言われるけれども、はっきりと、ここもその一つだということをはっきりしましたよね。そして、あなたはお金ももらっている、いや、いろいろとパーティー券なども買ってもらっている。そういうことがあるわけです。  羽曳野市がこの建物に入居しております協同組合に掲示板を撤去させた理由、これは先ほどから、私、撤去させてポスターを替えているでしょう。どこにあるのでしょうか。なぜ、撤去させたんでしょうか。それは、この問題が中小企業等の協同組合の第五条で禁止している、協同組合は「特定の政党のために利用してはならない。」という規定を、明確にこの規定に違反しているんです。明確に違反しているからこそ張ってあったポスターが下ろさなければいけない、そしてまた張ったというのをやっているんです。問題は、谷畑副大臣が協同組合法に違反する行為にかかわっていたのかどうかということです。浅田容疑者やハンナングループから、選挙などで支援を受ける関係があるのかという問題です。  この問題は、副大臣国会議員として加入義務期間に未加入であった、五年十一か月未加入であった、こうした問題、また未加入の事実を知りながら、衆議院での採決前に公表しなかった問題とともに、正に私は副大臣の資格にかかわる重大な問題であるというふうに思います。  浅田容疑者やハンナングループとの関係について、きちんとやはり説明をすべきだというふうに思います。今、説明できますか。
  201. 谷畑孝

    ○副大臣(谷畑孝君) もちろん、選挙区の中での有権者でありますから、支援をいただいたり、またいろいろすることは当然のことだと思いますし、またそこの、事実ポスターがそこに張られているということについては、私自身が直接それを頼みに行った、そんなことじゃないんですけれども、今のように、そういう敷地の中でその土地が市のものであったということも私自身正直な話知っているわけじゃありません。そうして、また、特別な関係じゃ決してありません。そういうことであります。  しかし、うちの選挙区であり、またいろいろな意味でお世話になっていることは事実である、このように思っています。
  202. 井上美代

    ○井上美代君 答弁は非常にひどい答弁であるというふうに思います。もっと誠実に答えるべきですよ。  だから、私は、これが今申し上げましたように協同組合法に違反しているということははっきりしております。そういう意味でも、やはり委員長にお願いをいたしますけれども、きちんと調べて、そして答弁をするということをお願いしたいと思います。
  203. 藤井基之

    ○理事(藤井基之君) 本件については、後刻理事会において検討いたします。
  204. 井上美代

    ○井上美代君 よろしいですか。
  205. 藤井基之

    ○理事(藤井基之君) はい。
  206. 井上美代

    ○井上美代君 それでは、次の質問に移っていきます。  私は、まず最初に、スライド問題についてお聞きをしたいと思います。  年金給付のスライドには、物価スライドと、そして賃金スライドがあります。物価スライドは購買力を維持するための仕組みで、そして賃金スライドは生活水準の向上を反映させる仕組みです。前回の改正前まで年金給付は基本的に賃金スライドでしたけれども、前回の改正で受給者に対しては賃金スライドは事実上廃止をされました。そして、物価スライドだけ、物価スライドだけにされてしまっております。  今回の改正では、更に今度は受給者に対する物価スライドも停止する、いわゆる、この少子化、高齢化、そして経済状況、こういうのを勘案してやっていくという、いわゆる皆様方御存じのマクロ経済スライドというのを導入しているわけなんです。    〔理事藤井基之君退席、委員長着席〕  今回の法案では、このマクロ経済スライドとはまた別に、別に、物価の伸びが賃金の伸びを上回るケースのスライド方法について、賃金が普通は上ですね。だから、物価が上回るんです。これを初めて法律に書き込まれました。従来は物価の伸びは賃金の伸びを下回るのが普通でした。それが、言ってみれば逆転しているというんでしょうか、逆転するケースについてそれを初めて法律規定したということなんです。  まず、初めてこの法律に書き込んだというのは間違いがないかどうか御答弁を願います。
  207. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 今回の改正案では、将来の保険料水準を法定をいたしますとともに、いわゆるマクロ経済スライドにより給付水準を自動的に調整することによりまして、年金を支えていただく力と給付のバランスを取りまして、持続的に安定した制度とすることといたしております。  先生お話ございましたように、前回の平成十二年改正におきまして、既に年金を受給しておられます既裁定の方につきましては、現役世代負担とのバランスを図る観点などから、賃金上昇を反映した改定は行わず、毎年度物価上昇率を基本に改定することといたしております。  今回の改正では、二〇二三年度、基準的なケースでございますけれども、までの調整期間中は被保険者の方の数が減少してまいりますので、この減少を反映をした調整率を控除して改定することといたしております。  その際、今回の改正の基本が、年金を支えていただく現役の世代の力、それからそれと給付とのバランスが取れるようにするということを基本的な考え方に置いておりますので、このことにかんがみまして、年金を支える力は保険料賦課の標準となります賃金水準そのものになってまいりますので、長期的にこの賃金水準を上回って給付を改定し続けることは非常に困難だということがございますので、今後の改定ルールを法律規定いたしました今回の改正におきまして、非常にまれなケースになると思いますが、物価上昇率が賃金上昇率を上回った場合の対応についても規定したところでございます。
  208. 井上美代

    ○井上美代君 物価の伸びと賃金の伸びが逆転するというケースということで、三つのケースが法律に書き込まれておりますけれども、具体的にはどのようにスライドさせるのでしょうか。それを、資料も出しておりまして、皆さん方のお手元に行っていると思いますけれども、それを見ながら簡潔に御説明を願いたいと思います。  私も、これを初めて見ましたときに、非常に難しくて、賃金スライドや今までやってきたのは理解できたんですけれども、なかなか難しかったので、できるだけ分かりやすく、簡潔にお願いをいたします。
  209. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 先ほど御説明申し上げましたように、平成十一年の改正、それから今回の改正、基本が現役の世代賃金賦課方式年金を支える最大の力だということでございます。そこで、原則として、新規裁定の方については賃金スライド、それから既裁定の方は物価スライドを基本とするということでございます。  それで、この資料で申し上げますと、上の①、②、③、これはいずれも賃金の方が物価より高い伸びを示すということで、通常の経済であればこういう状態だろうというふうに考えております。しかし、非常にまれではございますが、④、⑤、⑥のように、賃金が物価を下回る、つまり実質賃金が物価の価値で申し上げましても下がってくるという、こういう場合につきまして、これから年金を受給し始める新規裁定の方と既裁定の方の年金の改定をどうするかというのがこの問題であります。基本は、新規裁定の方と既裁定の方の年金を同じ率で改定するというのが基本でございます、いずれも通じますのが。  それで、配付資料の④の領域でございますが、これは賃金、物価ともにプラスの伸びでございますが、物価の伸びの方が賃金の伸びを上回る場合、これは、かつてスタグフレーションというような事態にヨーロッパが直面をいたしましたけれども、そういうときに想定される状態でございます。つまり、賃金と物価のスパイラルが生じまして、結果的には賃金を物価が上回って伸びていくということでございます。これにつきましては、既裁定者についても、基本は物価で改定でございますが、新規裁定の方は賃金でございまして、その賃金の伸びの方が低いということでございますので、新規裁定者と同じ賃金の伸びで改定をするという考えでございます。  それから⑤の領域でございますが、これは物価の伸びがプラス、賃金の伸びがマイナスという、これも実質的に賃金の価値がマイナス賃金に下がっていくという形でございますが、既裁定の方につきまして、賃金に合わせて、つまり④と同じように賃金に合わせて考えてまいりますと、賃金がマイナスでございますので、物価の伸びがプラスであるにもかかわらず名目額を割り込んで減額改定するということになってまいりますので、このケースで申し上げますと、新規裁定の方も既裁定の方もスライドを行わず現状維持とする、新規裁定の方については通常これはマイナス改定になりますが、これはマイナス改定を行わない、それから既裁定の方についてはプラス改定でございますが、このプラス改定も行わないという考えでございます。  それから⑥のケースでございますが、これは賃金、物価ともにマイナス、かつ賃金の下落の方が大きい場合、この場合には、新規裁定の方がマイナス賃金であるといって、既裁定の方について実質価値を割り込んでマイナス物価分よりも大きく減額改定すると、これも適当ではないということでございまして、新規裁定の方につきまして、ここでごらんいただきますと、本来でございますとマイナス一・五%の改定でございますが、物価スライドによる改定を行うという考えでございます。いずれも通じておりますのは、こういう非常にまれなケースでございますが、既裁定と新規裁定の方の改定率を同一に考えるというのが一番基本でございます。  その背景にございますのは、今申しましたスウェーデンなんかでも、一九九〇年代、スタグフレーションの非常に大変な経験を行っておりますが、当時の経験で申し上げますと、賃金を超えて物価が上がっていったという形でございます。それで、年金の物価スライドを行いまして、賃金は物価ほど伸びないという形でございまして、スウェーデンでは、このスタグフレーションを体験いたしましたときに、いわゆる国民所得に対する公共支出の割合が急激に上昇いたしまして、そのことがスウェーデンの年金制度改革の最初の出発点の御議論になったというようなことがございまして、今回こういうものを盛り込まさせていただいております。
  210. 井上美代

    ○井上美代君 今説明がありましたけれども、資料でいけば、右から左へ斜線が引いてありますけれども、斜線の下の方の④、⑤、⑥というのを今説明されたところなんです。今回これが初めて法律に入れられたんですよね。
  211. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 法律の中に、ただいま申し上げました基本的な改定率につきましては、いわゆる新規裁定の方については賃金を基本とする、それから新規裁定で受けられた後の方につきましては物価を基本とするということを書いてございますが、その中に、今申し上げましたケースについても規定をする形で法律の中に盛り込ませていただいております。
  212. 井上美代

    ○井上美代君 要するに、既に年金を受給している人について言えば、物価と賃金の伸びが逆転するケースで物価がプラスの場合は物価が上がった分だけ給付を引き上げることはしないと、こういうことなんですね。一九八〇年代以降、物価と賃金の伸びが逆転したケースというのはあるのでしょうか。
  213. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 賃金上昇率の指標といたしまして、厚生年金の各年度末におきます平均標準報酬月額の上昇率を用いまして、一九八〇年以降につきまして消費者物価上昇率と比較をいたしますと、消費者物価上昇率が今申しました賃金、平均標準報酬月額の上昇率を上回りましたのは、一つ平成十年でございまして、消費者物価の上昇率が〇・六%、それから平均標準報酬の月額の上昇率がマイナス〇・二%でございます。それから、もう一つ平成十四年でございまして、消費者物価の上昇率がマイナス〇・九%、それから平均標準報酬月額の上昇率がマイナス一・三%でございます。
  214. 井上美代

    ○井上美代君 最近になって出てきている現象でもあるわけですね。だから、そういう点で、今国民がどういうふうに生活に大変かということと深くかかわっております。この三年間は連続して物価が賃金を上回っているというのが、やっぱり私たちはそこをしっかり見なければいけないところだと思います。  現実に起きているということが今回法律に書き込まれた大きな理由になっているのだというふうに思うんですけれども、例えば一九九七年の場合でいうと、消費者物価の上昇率が一・八%なので、現行制度のままではこの年金給付も一・八%上がるわけなんですけれども、今回の政府案になりますと、これは賃金上昇分の一・三%しか上がりません。したがって、実質〇・五%分の引下げになってしまいます。一九九八年についても同じように、今回の政府案が成立しますと実質で〇・六%の引下げになるわけなんです。  欧米の国々のやり方について聞きますけれども、年金給付に物価スライドを適用している、今、日本で法律化しようとしているように、物価の伸び、そういう国が、この物価の伸びが賃金の伸びを上回る場合、物価が上がった分だけ給付を引き上げることをやめるという、こういう制度を採用している国というのはありますか。
  215. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 一般的に申しますと、物価上昇率が賃金上昇率を上回った場合に物価上昇率よりも低い率で年金額の改定を行うという、今回の改正案と同様の仕組みを採用している国があるということは承知をいたしておりません。  ただ、スウェーデン、先ほど申しましたスウェーデンにつきましては、一九九〇年代前半に賃金上昇率を上回る物価上昇が現実に起こりまして年金財政が急激に悪化したという、こういう経験を踏まえまして、受給開始以降の年金額の改定に関しまして、実質賃金上昇率が一・六%に満たない場合、これはスウェーデンの場合には賃金上昇を言わば前倒しする形で受取時の、受給時の年金額を逆に高くして、それからだんだん年金額が減ってくるという仕組みを取っておりますが、実質賃金上昇率が一・六%に満たない場合につきましては物価上昇率を下回る改定となるという仕組みを導入いたしております。このため、結果といたしましては、賃金上昇が低迷をいたしまして物価上昇が賃金上昇を上回った場合には実質賃金上昇がマイナスとなるというために、必ず物価上昇を下回る改定となるというような仕組みをスウェーデンでは導入をいたしております。
  216. 井上美代

    ○井上美代君 物価が上がればその分だけ給付を引き上げて、年金の実質価値を維持するということは公的年金の重要な役割だと政府説明してきました。しかも、この仕組みは二〇二三年までの期限を切っているマクロ経済スライドとは別に、恒久的な仕組みとして年金制度の中に組み込んでしまおうというものなんです。  大臣に質問をいたしますけれども、賃金と物価が逆転する間だけとはいえ、こういう仕組みは公的年金制度を否定することになるのではないでしょうか。大臣、お疲れだと思いますが、申し訳ありません、私、今質問をしているんですけれども、恒久的な仕組みとしてこの仕組みを組み込んで法律にしたというところ、賃金と物価が逆転する間だけとはいっても、これが二〇二三年以降もずっとその仕組みは生きるわけなんですね。公的年金制度を主張しながらやってこられた大臣としては、それを否定することにはならないかということを、大臣のお考えをお聞きしたいというふうに思います。通じましたでしょうか。
  217. 坂口力

    国務大臣坂口力君) よく聞いております。  先日も少しお答えをいたしましたとおり、賃金の上昇率と物価の上昇率、この二つをどうしていくかということが今後の年金に大きな影響を与えるわけでございます。できる限り物価の上昇よりも賃金の上昇の方の方が高い率であることの方が望ましいと私は先日お答えをしたとおりでございます。  しかし、今お話がございましたように、それじゃその逆の場合はあり得ないかといえば、それはそういうときがないとは私も言えないというふうに思います。過去におきましても、賃金の上昇よりも物価の上昇の方が高かった時代も私も経験をしてまいりましたから、そうしたことはないとは言えない。しかし、これからの経済において、そうしたことよりも、物価の上昇よりも賃金の上昇の方を高くしていくという経済運営を我々は目指しているということを先日申し上げたわけでございます。  今お話がございましたように、今後の全体のお話と、それから、今から十四年間の二〇一七年までのお話と両方あるというふうに思っております。二〇一七年までこれから十四年間掛けまして、この物価の上昇から少し抑えて、物価の上昇よりも少し年金の上昇の方を抑えさせていただく期間の問題とそれ以降の問題と両方あるというふうに思っております。この今から十四年間の問題は、現在の年金額と、将来年金額を受け取っていただく皆さんとの均衡を図るために、少しずつ、現在のもう既に年金をもらっている皆さん方にはお許しをいただいて、少し上げ幅を下げさしていただこうというものでございます。それはそういう理由からでございます。  それ以外の、それ以降の問題として、経済の動向としてそういうことが起こり得ないということを断言することは、それはでき得ません。しかし、我々といたしましては、したがって賃金の上昇の方が上回るそういう経済運営を心掛けていくということを先日来申し上げているわけでございます。
  218. 井上美代

    ○井上美代君 これはなかなか大変な中身だというふうに思います。特に、高齢者が年を取れば取るほど下がっていくわけですから、そういう点でも重要だと思っております。  私は特に重大だなというふうに思っているのは、この仕組みを基礎年金、そして国民年金にも適用することだと思うんです。基礎年金国民基礎的な生活をカバーするのが目的です。決して基礎年金だけでは生活ができないという現実もあるわけで、一時的ではあっても基礎的生活をカバーする目的の部分まで実質的に削ってしまうということは、やはりこれは生存権、これを侵害することになるのではないでしょうか。そういう点でも大変重要な問題だというふうに思います。厚生年金の報酬比例部分などはわきに置くとしても、基礎年金にまでこういう仕組みを導入するのはやめるべきではないでしょうか。しかも、法律化して、そしていつまでもこれが続くというふうになりましたら、これは本当にお年寄りを不安に陥れるだけじゃなくて、もう本当に生活できない、そういうところに追い込んでいくんだと思うんです。  更に問題なのは、経済に与える影響です。物価の伸びが賃金の伸びを上回るというのは、経済が大変厳しいときです。先ほどの一九九七年、一九九八年、橋本内閣の引締め政策で、坂を転げ落ちるように日本の経済が大変な不況に落ち込んだ時期があります。こういう経済が厳しいときだからこそ国民の生活を支えて、家計を温め、そして購買力を高めて経済を守り立てていく、それが政府の役割ではないかというふうに思うんです。  今回の仕組みは、正にその経済が大変なときに、国民生活に更に打撃を与え個人消費の足を引っ張るもので、経済政策の在り方としても間違っているのではないかと思いますが、この点、大臣、いかが考えられておりますか。
  219. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) これをごらんいただきまして、一番典型的に申しますと④のケースでございまして、これはそんなに経験はいたしておりませんが、先ほど申し上げましたスウェーデンの一九九〇年代、この経験をいたしております。それから、イギリスで申し上げますと、昭和五十四年、一九七九年、ちょうど当時のキャラハン政権からサッチャー政権に替わった時期でございまして、やはり同じようなスタグフレーションを経験をいたしております。  ここでごらんいただきますと、賃金が物価に対して低いということは、賃金の実質価値が下がっておるということでございます。それが仮に例えば数年続いたというときに、物価に対しまして現役の賃金負担力が落ちてきているということでございます。そのときに、今申し上げました年金は、これから、今既に四十二兆という給付を出させていただいているわけですが、これが更に高齢化に従って日本の社会経済のシステムとしては非常に大きなシステムになりますので、その問題に対してやはり備えを持っておくということは過去の外国の経験からいっても必要ではないかということで、私どもはできるだけこういう事態に対応して、高齢者の方にも少し我慢をしていただいて、実質賃金の動きと同じような給付をさせていただいて、そのことによって年金制度を安定させて経済が本来の姿に戻っていくという、そのためにも、先ほど申し上げましたスウェーデンの経験から考えましても、こういう措置を用意しておくことは必要ではないかというふうに考えております。
  220. 井上美代

    ○井上美代君 少し我慢してもらってなどとおっしゃいますけれども、現状を御存じないのでしょうか。国民生活をやはりよく見ながら考えてほしいというふうに思います。  この物価、賃金の逆転ケースの制度化というのは、今回の政府案では、マクロ経済スライドによる調整期間とは別に、別に、恒久的な仕組みとして法律に書き込んだものですね、先ほどから言われているように。生存権を侵害し、やはり経済政策の原則にも反するこの仕組みを導入するということは、百年安心というのを言っておられますけれども、それどころではないということです。私は、百年の過ちであるということを、そしてその過ちを国民に押し付けているということになるということを指摘したいと思います。  また、この問題は複雑で難しい問題ですけれども、給付額にかかわる大事な問題である、それにもかかわらず国民にはほとんど知らされていないというふうに思います。私は、厚生労働省から「「持続可能」で「安心」の年金制度とするために」という本をいただいて、目を通しましたけれども、このパンフレットのどこにも一言もそのことは書いてありません。この点も私は大変重大な問題であるというふうに指摘させていただきたいというふうに思います。  時間が迫っておりますけれども、私はどうしてもこれ、通告した分できないというふうに思いますけれども、女性の労働力率の将来見通しに関する質問に入りたいというふうに思います。  女性雇用とそして今回の政府案の関係についてなんですけれども、日本では、女性が出産、育児で退職するため、子育て世代の三十代を中心とした女性の労働力率が欧米に比べて大変低くなっているのが特徴です。年齢別、階層別のグラフにすると、M字型と。M字型というふうになるものですからM字型労働というふうに言われておりますけれども、M字型雇用について、私は今年の三月、この厚生労働委員会において、今回の政府案がM字型雇用が百年続くことを前提として見通しを立てているということを問題指摘いたしました。  お出しした資料を見ていただきたいんです。この資料は厚生労働省が推計した二〇二五年の女性の労働力率が出ておりますけれども、M字型雇用は残っております。ずっと見ていると、やはりこの三十代というところが非常にくぼんでいるんですね。そういうことで、この労働力率が二一〇〇年まで続くというように計算されております。さらに、男女の賃金差別、格差ですね、男女の賃金格差についても、政府案では、女性賃金は男性の六割の水準だとして、その状況が百年にわたって続くことを前提として財政計算をしていますが、これもやはり問題であるというふうに思います。  そこで、厚生労働省に、M字型雇用が解消し、男女賃金格差も改善するケースについて試算を求めました。その結果が、またお配りしている資料の第三です。三枚目です。将来的にM字型雇用が解消し、男女賃金格差がなくなるとした場合、保険負担はどれぐらい軽減されるのかということ。いわゆる女性がもっともっと賃金も男性と同じように働けるようになるとすれば、支え手が増えることになるんですね。だから、そういう点で、保険料負担も支え手が増えれば減っていくというふうに思いますが、そこを御答弁願いたいと思います。
  221. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 今先生がお話ございました資料、これは私どもの方で機械的でございますが試算をいたしております。簡単に申し上げますと、試算の一は、いわゆるM字カーブが解消するということでございますね。その場合に、所得代替率が五〇・二%から五〇・八%まで改善をされると。試算の二は、M字カーブが解消をいたしまして、それから、男女の賃金につきまして、女性賃金が男性と同水準まで上昇と。これで所得代替率で五・五%、保険料率で一・八%でございます。  ただ、最大の問題を申し上げますと、今申し上げました試算の二で申し上げますと、総報酬が二〇〇五年から二〇一五年まで毎年三・三%伸びるという形でございます。それから、女性の一人当たり賃金の上昇率が毎年七・一%の増ということで、最大の問題は、日本経済全体がこういう形で発展することが果たしてできるかどうかということが最大の問題だろうというふうに思っております。
  222. 井上美代

    ○井上美代君 厚生労働省はこの計算も過去の実績を踏まえた計算だというふうに言っておられるんですけれども、これはつまり今までの延長でしか将来の推計をしていないということになるんですね。私はやはりそこが問題であるというふうに思っております。男女格差がなかなか改善しなかった過去の傾向をそのまま延長しても、なかなかM字型が解消しないのはもう当然であるというふうに思います。この点では、男女格差を抜本的に改善していく、その政策の転換が必要であるというふうに思うわけなんです。  やはり、それは雇用の流動化ということで財界の戦略を後押しし、そして規制緩和の名において労働基準法を改正しましたよね。そしてまた、労働者派遣法の制定、そして拡大、これもやりましたよね。この委員会でやりました。低賃金の不安定雇用労働者を大量に作り出しましたが、その多くが御存じのように女性なんです。  この雇用政策を転換し、労働者雇用所得を守る政策に転換すれば、女性の働きやすい環境が整備され、そしてM字型雇用や男女賃金格差のない二十一世紀の経済社会が展望できるのではないか、大臣、私、強く強く思っているんです。そうすれば今回のように国民の多大な負担をもたらす年金大改悪は必要ないのではないでしょうか。大臣の御答弁を求めます。
  223. 坂口力

    国務大臣坂口力君) ここは、井上議員と私、同じ考え方でございまして、御指摘のように、女性が働きやすい職場を、職場と申しますか、働きやすい環境をどう作り上げていくか。これは現在の働き方の問題もございますけれども、お子さんを育てながら、そして働ける環境をやはり作っていくということが大事でありまして、そのためには、これはもう女性だけではなくて、男性も含めた働き方をどう改善をしていくかということに直結する問題だというふうに思っております。  そのことと、もう一つ女性賃金ベースのお話をされましたけれども、この賃金ベースというものが男女格差がなくなっていく、同じ仕事をする以上、女性賃金も男性と同じにしていく、これは当然やっていかなきゃならないことだと私も思っております。  この二つのことが前進をすれば、確かに、ここにも、先ほど局長からも申し上げましたとおり、二%前後ぐらいでございましょうか、いわゆる年金の上昇率のパーセントでいえば二%ぐらいに匹敵する額にそこはなってくる可能性があるということでございまして、こうしたことは今後大事でございますし、今女性の問題を言われましたけれども、併せて言えば、高齢者の六十歳代の雇用の問題を併せて行えば更にその影響は大きいというふうに自覚いたしております。
  224. 井上美代

    ○井上美代君 いろいろまだ問題をたくさん抱えております。徹底してやはりこの法案審議をしていくということが重要であるというふうに思っております。かなりの問題があります。だから、この法案は、国民の七割が言われるように、もう一回出直してやってくれということを国民は言われております。私は参議院で廃案しかないというふうに思いますので、そのことを主張いたしまして、質問を終わります。
  225. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。  年金の問題については大きく三つ問題が出てきていると思います。まず未納、未加入の問題、二つ目が制度の問題、三番目が運用の問題。底の抜けたたるとして年金積立金を丸投げして独立行政法人化でいいのかという根本的な問題です。今日は、制度のところと年金積立金、確認したいことがありますので、そのことについて質問をいたします。  未納、未加入の問題に関して国民皆さんが怒るのは当然です。国民に対して負担増の年金改革法案。二〇一七年度からは一八・三%に固定する案ですが、それまで自動保険料引上げ法案。しかも、この数字賃金上昇分を計算しておらず、更なるアップが予想されます。  また、社民党の阿部知子議員衆議院厚生労働委員会で五月七日に聞きましたけれども、給付水準の保証は実はないということが明らかになりました。モデル世帯で年間四十四万円の年金カットが予想される。しかも、給付水準の確保は、五〇%は給付開始年のみで、翌年から十二年の間で四割台に落ち込むことを厚生労働省も認めました。  議員年金は廃止すべきであると社民党は考えています。国会議員も、一元化された年金制度の中で、自分の切実な問題として、真っ当な年金制度、安心できる年金制度を確立するためにこそ全力を挙げるべきだと思います。  繰り返し求めますが、すべての国会議員納付状況についての情報の開示、これが必要です。残念ながら自民党だけ明らかにされていらっしゃいません。これは是非強く求めます。  また、副大臣の責任問題があります。  二つ目、制度の問題ですが、今の法案は本当に抜本改革には全くなっておりません。昨日、地方公聴会を行いました。非常に有益で、多くの公述人の中から空洞化の問題が指摘をされました。厚生年金空洞化の問題、国民年金空洞化の問題、今回の法案でこの空洞化が解消できるかという問いに対して、公述人、何人もがノーだというふうに答えました。国民皆さん意見を聴いてこの法案の行方をきちっと決めなければなりません。  衆議院では残念ながら地方公聴会も中央公聴会も開かれませんでした。年金という重要な法案が、国民皆さん、公募された国民皆さん意見をきっちり聴いて審議をされることが衆参まだ一度も実現されておりません。野党は七日の日に中央公聴会を開いてくださるよう要求をしておりますが、参議院で間違いなく国民皆さん意見を聴くという中央公聴会が行われることを本当に期待をしておりますし、そうなるだろうと考えております。  三番目の問題、運用の問題についてお聞きをいたします。  年金積立金という国民皆さんの本当に貴重な積立金の使われ方についてやはり大きな疑問があります。この間質問したことの再度の確認を行います。  逆ざやの九千三百億円の損は、今回年金積立金取り崩すという四兆六千億円に入るのでしょうか、入らないのでしょうか、全く別物なのでしょうか。
  226. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 逆ざやとおっしゃいますのは財投金利との差のことだろうというふうに思います。前回御説明申し上げました、平成十七年度に予定をいたしておりますけれども、旧資金運用部からの借入金を一括償還いたします場合に、将来必要となりますいわゆる将来利息相当分、これは資金運用部からはいわゆる長期で、長期の固定金利で借入をいたしておりますので、この借入を返還をいたしますと、予定の金利と、それから一括償還された資金を資金運用部が運用する運用益との差額でございまして、それが約九千億というふうに見込まれております。これは、この前御説明申し上げました、六・三兆円の中に借入金の元本として五・四兆円、今申し上げました将来利子相当分として〇・九兆円ということで、その中に入ってございます。
  227. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 そうしますと、六兆円の中に入っているということで、再度繰り返しますが、四兆六千億円の中には入っていないんですね。
  228. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 今申し上げましたのが繰上償還に要する費用でございますが、前回申し上げました年金資金運用基金が、これまでの例えば住宅融資等につきまして繰上償還が相当ございまして、繰上償還によりまして年金資金運用基金の手元に実は資金がございます。これが平成十七年度、私どもは、一定の推計でございますが、推計をいたしますと、いわゆる余裕金が一兆七千億ございますので、その余裕金はそのまま資金運用部への返還に使えますので、これを控除いたしまして、先ほど申し上げました六・三兆から一・七兆を控除いたしまして四・六兆が必要な資金だということになってまいります。
  229. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 六兆三千億から今あります余裕金一兆七千億円を引いた金額が四兆六千億円というのは分かるんですが、済みません、私頭が悪いのでよく分からないので、イエスかノーかだけで答えてくだすって結構です。四兆六千億円の中に逆ざやの九千三百億円が入るかどうか、それだけお答えください。
  230. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 先生おっしゃいます逆ざやというお話は、資金運用部からのもう確定した、約束した利子と、それから資金運用部で早期償還をいたしますと資金運用部で更にこれは資金として活用ができますので、つまり約束した利子から現実に資金運用部が使える分を除きまして、端的に申し上げますと約束した利子を減らすわけでございますが、そこに掛かるコストが〇・九兆でございます。  ですから、そこがまあ逆ざやというか、つまり〇・九兆を資金運用部に繰上償還をするということで支払うわけでございますが、それが約〇・九兆ということでございます。
  231. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 済みません、私は頭が悪いのではっきり言っていただかないとちょっと分からないんですね。  九千三百億円、要するにはっきり言うと損か特か。国民は損したのか得したのか。年金積立金で補てんしなくちゃいけないか。そして、四兆六千億円、今回取り崩すっておっしゃるけれども、その中にこの逆ざや分の九千三百億円が入っているかどうか。  今の年金局長の回答だと、入っていないと。四兆六千億円、今回取り崩します。で、逆ざや分の九千三百億円は別個の、別個の損ですということでよろしいですか。
  232. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 先生おっしゃいますのは、従来の、例えばこれから二十年、三十年掛けて返済をしていくというそういうときに、実はこれは被保険者の方の金利負担を軽減するというような、そういう政策的な意図から、資金運用部から借りました利子よりも、特に利子率が高いときに下げておるわけでございますが、その分がいわゆる利子負担として将来必要になってくるわけでございますが、それは今申し上げました一括で償還をいたしますと、将来の利子は一切発生をいたしません。  それで、この前もちょっと申し上げましたけれども、一・七兆円は実際にございますので、四・六兆を、積立金を活用いたしまして、合計六・三兆を資金運用部に返すわけでございますが、これは言わば立替払という形になりますので、資金運用部に返しました分は実は実際は被保険者方々が借りていただいておりまして、この被保険者方々から返済の資金が入ってくるということによって、それが平成十八年度以降、貸付債権の元本で四・二兆円、利息で約一・六兆円、合計で五・八兆の収入が入ってくるという見込みでございます。
  233. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 いや、年金局長ね、端的に答えてくだされば結構です。今日は確認をしているだけですから、どの数字が、どの数字の損かという確認を今日しているだけです。  四兆六千億円の中に逆ざやの九千三百億円分は入らないということでよろしいですね。
  234. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) この繰上償還の中には入りません。
  235. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 済みません。当初からそう答えてくだされば結構です。  八千五百億円というもの、八千五百億円との関係はどうなるのでしょうか。八千五百億円、参議院のこの資料で、「当該事業に係る費用として、貸付利子補給金は累計四千六百九十九億円を投下。また、今後八千五百億円程度が必要となる見込み。」。この八千五百億円というのは、関係はどうなるのでしょうか。
  236. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 利子補給金について申し上げますと、平成十四年度までに四千六百九十九億円を利子補給をしております。これは既にもう支出を行ってきておるわけです。その効果としては、被保険者方々が実際に住宅資金として借りられたときに、その利子負担の軽減効果があるということでございます。それから、平成十五年度以降の支出額は八千五百億円と推計をいたしておりまして、先ほど申し上げましたこの八千五百億円につきましては、一括して繰上償還を資金運用部に行いますとこの利子は今後は発生しないという形になってまいります。
  237. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 先ほど、四兆六千億円というのを取り崩す中に逆ざやの九千三百億円は入らないというのは分かったんですね。そして、今回、この八千五百億円程度が必要となるというのと、この四兆六千億円と九千三百億円との関係についてだけ端的に教えてください。
  238. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) もう非常に端的に申し上げますと、八千五百億円につきましては、従来の方式で長い時間を掛けて資金運用部に償還をいたしますと、今後毎年この利子補給金の負担が発生をするということでございます。一括償還によりましてこれは発生がなくなるという形でございます。  それから、先ほど申し上げました資金運用部との関係で生じます将来利子相当分〇・九兆円でございますが、これはどういうことかというふうに申し上げますと、資金運用部とそれから年金資金運用基金については返還の約束をしておるわけでございます。それは、長期固定の金利を付けて返還をするという約束でございます。  これにつきまして繰り上げて資金運用部に償還をいたしますので、資金運用部の方から見ますと、従来約束をしておりました金利収入、二十年、三十年という金利収入が途中からなくなるという形でございます。しかし、その代わり、元金分を繰り上げて償還をいたしますので、資金運用部としてはその元金分の運用は可能になってくるということでございます。  それが、従来の固定金利の高いところと、それから現時点で資金運用部は運用できる水準というのが少し低いわけでございますので、その差を計算をいたしますと約〇・九兆円ということで、これを資金運用部に支払をするわけですが、その代わり、資金運用部に対する借金はなくなりますので、これから住宅資金が被保険者方々から戻ってくるわけでございますから、その元本分と利子分については、基本的に毎年毎年その収入を特別会計に繰り入れるという形でございます。そういう意味で、私は先ほど立替払的な機能を持っているというふうに申し上げたわけでございます。
  239. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 済みません。私は本当にちょっと頭が悪いのでよく分からないんですが、四兆六千億円、さっき取り崩す中に逆ざや分の九千三百億円は入らない。で、八千五百億円分は四兆六千億円の中には入らないんですね。そういう理解でよろしいですね。
  240. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 入りません。
  241. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 済みません。そう言ってくだされば結構です。  九千三百億円と八千五百億円は、これは無関係、つまり四兆六千億円取り崩すほかに、逆ざやの九千三百億円のいわゆる損、八千五百億円は九千三百億円とは別の、別の損というふうに考えてもよろしいですか。
  242. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) その八千五百億円というのは、先ほど申し上げました従来方式で時間を掛けて償還をいたしますと、そのときに発生をいたします平成十五年度以降の利子補給の支出総額でございます。  それから、先生がおっしゃっています九千三百億円ということでございますが、これは端的に申し上げますと、利子補給金につきまして平成十四年度までに四千六百九十九億円を支出をいたしております。それから、十五年度以降、従来方式で利子補給金を支出をいたしますと八千五百億円でございまして、その合計が過去分も含めまして一兆三千二百億円になってまいります。  しかし、一兆三千二百億円になってまいりますが、この支出、それから実は財投資金への償還が終了いたしましても被保険者からの回収金利息が見込まれますので、これが将来的には約四千億円と計算をいたしております。これから一部、いわゆる破産更生債権等に該当するものが百二十億ほどございまして、これが仮にすべて回収困難というふうに考えまして、一兆三千二百億円から四千億円の利子収入を控除をいたしまして、それが今の百二十一億円の損失、仮にこれがすべて損失になるというふうに考えまして、過去から、これも今申し上げました従来方式で考えましたときの支出総額は約九千三百億円という形でございます。
  243. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 済みません。わざと分かりにくくしているのかどうなのかちょっと分からないんですが、のらりくらりとして、端的に答えていただければ全然構わないんです。  九千三百億円と四兆六千億円の関係は頭の悪い私も分かりました。入らないということが分かりました。八千五百億円は四兆六千億円に入らないということでいいですね。この答えをまず言ってください。それから、八千五百億円と九千三百億円は別のもので、損失だ、これでいいですね。これに関して、はいと言ってくだされば結構です。
  244. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) ですから、八千五百億円というのは、従来の方式によりまして資金運用部にこれから何年も何年も掛けて返していくという、そういう場合に今後必要な利子補給金でございます。  それから、九千三百億円でございます。これは過去の利子補給金が約四千七百億円ございます。こういうものをすべて含めまして、それから将来の従来方式による収入も含めまして、トータルで幾ら掛かったかという費用は九千三百億円でございまして、今申し上げました一括償還というのは、もうすべて償還をいたしまして、今度は債権を医療福祉機構の方で管理をいたしまして、それは特別会計に入ってくるという形でございますので、そういう意味での返済の方式は全く違いますので、そこは基本的に全く違うということでございます。
  245. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 よく分かりました。逆ざやの九千三百億円の損が四兆六千億円の分に入らないし、また別途八千五百億円というものが発生すると、それは発生するので別物であるということが分かりました。  それで、要リスク債権、千百十七億円はどこに位置付けられるんですか。
  246. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) この前もちょっと申し上げましたけれども、要リスク債権は、例えば延滞は六か月であるとか、そういう形で現状の状態でございます。これは、ただ、特に被保険者方々に転貸法人を通じて融資する融資につきましては、先日も申し上げましたけれども、年金資金運用基金に対しまして金融機関が二〇%保証いたしております。直接保証をいたしております。それから、転貸法人、公益法人を通じて融資が行われておりますが、その転貸法人に対しましてやはり金融機関が八〇%の保証を行っております。したがいまして、ここは実は一〇〇%金融機関の保証債権でございまして、基本的には、最終的にはこれはすべて一〇〇%の担保価値がある債権ということでございます。  したがいまして、今申し上げましたような計算の中では、要リスク債権としてもちろん管理をいたしておりますが、最終的にそれが先ほど申し上げました破産債権のような形にはならないだろうということで計算をいたしております。
  247. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 しかし、レクチャーを受けるときに、要リスク債権、千百十七億円、要リスク債権ということでよろしいですねということで何度も説明を受けているんですが、今局長の話だと一〇〇%返してもらえるということで、要リスク債権にはならないんですか。
  248. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 先日もちょっと申し上げましたけれども、この転貸法人、主に、いろいろな形の転貸法人がございますが、例えば被保険者の方、被保険者方々が中心になって公益法人を作られた場合ございます。そこは、そこで現実に今申し上げました一〇〇%保証の問題が生じたわけでございますが、これは金融界と、それからその今の公益法人、それから年金資金運用基金が協議をいたしまして、最終的には一〇〇%保証をきちんとやるという形になっております。実例がございますので、基本的には仮にそういう事態が起きたとしてもこの実例に即して解決がされるだろうというふうに思っています。  それから、金融機関が再編があったときにつきましても、今までの例で申し上げますと、金融機関の保証債も基本的にすべて引き継がれております。したがいまして、典型的な例で申し上げますと、金融機関が預金保険機構とのかかわりが出た場合には預金保険機構がこれを引き継ぐというような形で行われていまして、今までのところの実績から申し上げますと、これは一〇〇%担保価値がある保証という形でございます。
  249. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 じゃ、この点でまとめて聞きますが、四兆六千億円のうち、損というふうに考えると、これプラス逆ざやの九千三百億円、それからさっきの八千五百億円ということでよろしいですね。
  250. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) その四・六兆円は新しい一括償還のための立替え資金でございますので、先ほど申し上げました九千三百億円というのはこれから十五年、二十年掛けて資金運用部に返してまいりましたときの将来発生する利子補給金でございますし、それから八千五百億円も、これは将来の利子補給でございますので、今申し上げました四・六兆を立替払で一括償還のために使うという問題と九千三百億円あるいは八千五百億円というのは全く違った問題でございます。
  251. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 違うものであるということが分かりました。  先日、グリーンピアの問題で、平成十七年度予算の中で、特別会計、グリーンピアのために七百六十三億円程度を見込んでいるという、そういう答弁がありました。グリーンピアの失敗については社民党を始め多くの党が追及してきたところで、損を全部税金で補てんをして、そして全く新しい独立行政法人を作って、そこで百五十兆円近くを運用していくと。今まで二回看板をすげ替えています。それを今度は三度目に看板をすげ替えて、今度は百五十兆円近く丸々を使っていく、投資をしていく、日本の中に巨大投資機関が出現をしていきます。それが、例えば五年間のうちに六兆円株で損をした、そういうところが今度は百五十兆円丸々投資をしていくわけです。  ところで、この新しい独立行政法人、極めて問題です。理事長は、日銀とほぼ同じ程度の、もっと責任を持つ、百五十兆円、税収五十二兆円の中で、巨額のお金を扱うわけですが、国会同意人事でも何でもありません。また、国会への報告義務は一切ありません。百五十兆円、これ失敗したら一体どうなるのかと思いますが、同意人事でない点、それから国会への報告義務が全くない点について極めて問題があると考えますが、大臣、いかがですか。
  252. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 今の問題にお答えをいたします前に、先ほどからの数字、私も聞いておりまして分からなくなってまいりまして、後ろから聞きましたら、いわゆる九千億円というのには二種類あると。一種類は元本五・四兆円の金利と、利息として九千億円というのがあって、両方合わせてそれが六・三兆円になっている、その九千億円。もう一つありますのは、住宅融資の逆ざやを埋めるという意味での九千三百億。九千億というのは二色ある。それがちょっと混乱をして答えたりしておるものですから余計分からなくなると、こういうことでございまして、お許しをいただきたいと。  今のお話でございますが、前回もお答えしたとおりでございまして、今後、全額これは財投から返ってくるわけでございますので、多額のこれは資金でございます。これをどう運用していくかということは誠に大事な問題でございまして、私も非常にここは大事だというふうに思っている次第でございます。  それで、いわゆる独立行政法人を作りまして、その中で運用をしていくということになったわけです。独立行政法人ということなものですから同意人事ではなくなっているということでございますが、これはしかし大事な問題でございますから、国会にもその状況というのは報告をして、そして、国会でもこれは議論を常にしていただかなければならない問題というふうに理解をいたしております。  そうした詳細につきまして、今後しっかりと決定をさせていただいて、そして、国会でも御議論をしていただけるようにしたい、御報告をしなければいけないと思っております。
  253. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 ところが、条文では国会への報告義務も一切課されておりません。今回、この年金改革法案にも、極めて問題だと思いますが、この独立行政法人法案国民皆さん年金積立金、厚生年金を初めて今回五兆円近く取り崩して、しかも百五十兆円を丸投げして、独立行政法人、同意人事でもなく、投資機関としてばんばん運用していく、国会への報告義務もない、非常に危ないと。今まで底のないたるにお金をつぎ込んできて、失敗すれば、グリーンピアもそうですが、税金か保険料で補てんしていくと。こういう独立行政法人法案はもっともっと問題である、廃案にすべきであると思います。  今日は女性年金権の問題についてちょっと聞きたかったんですが、女性のライフスタイルの変化等に対応した年金の在り方に関する検討報告書、平成十三年十二月、「女性自身の貢献がみのる年金制度」として、十六人の方たち、袖井孝子座長を始め議論をし、極めていろんな提案をしております。個人の多様な選択に中立的な制度の構築、年金の支え手を増やしていく方向女性に対する年金保障の充実、今回このことが全くというかほとんど反映されておりません。その点でも、今度の年金改革法案は欠陥商品であると思います。  以上で質問を終わります。最後、ちょっと質問できなくて申し訳ありません。
  254. 西川きよし

    西川きよし君 西川でございます。よろしくお願いいたします。  私は、先週に引き続きまして、障害年金の問題に関連をいたしましていろいろと御質問をしたいと思います。  まず、社会保険審査官それから社会保険審査会の制度、まずお聞きしたいんですが、国民年金厚生年金それから健康保険等に関する決定等に不服がある場合でございますが、この不服審査機関でありますけれども、それぞれの制度について、まず局長さんの方から御答弁お願いいたします。
  255. 辻哲夫

    政府参考人(辻哲夫君) 御指摘のように、健康保険厚生年金保険、国民年金等給付等につきましての不服申立て、これにつきましては、専門的に審査を行う機関として社会保険審査官、これは社会保険事務局に置かれております。そして、中央の社会保険審査会が設けられております。  この制度を設けた趣旨は、大量に行われるただいま申しました法令上の処分につきまして、行政処分につきまして、簡易迅速な手続による国民の権利利益の救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保するということを目的としておるということを認識いたしております。
  256. 西川きよし

    西川きよし君 ありがとうございました。  先週の障害年金の問題についてもそうでございましたけれども、社会的治癒に該当するのか、そうではないのか、そういう点が大きな争点になっているわけですけれども、そんなに複雑ではないケースにいたしましても、加入者からすれば、例えば、もらえると考えていたものがもらえないとなったら、これはもう大変でございます。そんな不満を持つ方も全国には決して少なくないというふうに思いますし、このような場合に不服申立て制度が設けられていると思うわけですけれども、しかし、現在のこのシステムは、かなりと申しましょうか、相当国民側から見ますと遠く離れた存在ではないかなというふうに私は思います。  それぞれの制度に対する年金についての申立て、そして件数、年間一体どれぐらいの件数があるものなのか、そしてまた、そのうち元の決定が取り消されたりするというようなケースは一体どれぐらいあるものなのか、今日この機会に保険局長の方から御答弁をいただきたいと思います。    〔委員長退席、理事武見敬三君着席〕
  257. 辻哲夫

    政府参考人(辻哲夫君) まず、社会保険審査官に対する平成十五年度の申立て件数でございますが、総数が三千四百九件でございます。後で申します決定、裁決につきましては年金の内訳がございますが、申立て件数については年金関係という区分の統計が取れておりませんので、申立てに関しまして内訳としては、三千四百九件のうち、被用者保険が千七百八十三件、国民年金関係が千六百二十六件という内訳になっております。  それから、中央の社会保険審査会に対する平成十五年度の申立て件数の総数は六百五十件でございまして、内訳は、被用者保険関係は三百五十件、国民年金関係は三百件でございます。  それで、御指摘の、容認件数と言っておりますけれども、原処分を取り消したという意味での件数についてでございますが、まず地方の社会保険審査官におきましては、平成十五年度は処理件数二千六百四十四件でございまして、そのうち三百三十二件が言わば原処分の取消しを行っております。その請求に対する比率は一二・六%に当たります。そのうち、二千六百四十四件のうち年金関係、これは統計が取れておりまして、二千百八十五件と大変多うございます。そのうち、容認件数が百六十七件、七・六%となっております。  それから、中央の社会保険審査会におきましては、平成十五年度の処理件数は全体で四百四十四件でございまして、うち容認件数は七十六件、一七・一%でございまして、年金関係だけを見ますと、処理件数三百八十四件でございまして、うち容認六十三件、その比率は一六・四%となっております。
  258. 西川きよし

    西川きよし君 今日の質問に当たりまして、国立国会図書館より資料をちょうだいいたしました。そして拝見させていただいて、例えばでございますけれども、イギリスにも社会保障不服審判所というところがございまして、不服を審査していただくわけですけれども、請求の対象となる内容等々はいろいろ違いがあるにいたしましても、年間約二十万件以上ということで極端にその規模の違いを感じるわけですけれども、それだけ日本の場合は余りにもなじみがないと申しましょうか、かなり距離が懸け離れているのではないかなというふうに思います。  そこで、まず社会保険審査官についてでございますけれども、これはもう、やはり何といっても独立性という点でこれまでにもその問題を指摘する声が強くあったと思います。  いわゆる厚生労働大臣が厚生省の職員の皆さんの中から任命をいたしまして、そして地方の社会保険事務局に置かれているわけですから、つまり公平性とか客観性とかという点からいたしましても実際には相当やっぱり無理があるのではないかなというふうに考えます。この点の問題というのは、局長はどういうふうにお考えでしょうか。
  259. 辻哲夫

    政府参考人(辻哲夫君) 御指摘のように、厚生労働大臣がその職員の中から任命する社会保険審査官が不服審査の処理を行っているということの考え方といたしましては、他の二審制の不服審査における第一審と同様に、まず身近な機関において簡易迅速な不服審査を行う必要があるということ、それから、原処分を行う行政機関の内部における言わば内部牽制機関として内部の行政を適正化するという役割を期待されておるということからでございますが、このことができる限り的確に処理をまずされますよう、審査官に初めて任命しました際には中央で審査官としての研修を実施いたしまして、もとより身分の独立性、公正中立な職務の執行、職務の専門性の確保等、基本的な認識の徹底に努め、今御指摘のその公平性あるいは客観性というものができる限り担保されるように努力をしているところでございます。
  260. 西川きよし

    西川きよし君 ありがとうございました。  今局長の答弁のとおりでございますけれども、いただいた資料の中にも、「委員長及び委員は、人格が高潔であつて、社会保障に関する識見を有し、かつ、法律又は社会保険に関する学識経験を有する者」というふうに記されておるわけですけれども、まずこの身近な、今も答弁の中にございました身近な機関で十分な審査を行うということであれば、随分と国民負担も軽くなるというふうに思うわけですけれども、実際にはほとんど皆さん方、当てにしていいものかな、いや、当てにしない方がいいものなのか、そういうふうにやっぱり思うわけですね。先ほどから申し上げておりますが、遠いところにあるというふうな存在に思うわけです。  次の社会保険審査会に行くための通過点になっているのではないかなというふうに思うわけですけれども、例えば独任制を合議制にしてもらうとか、その中には法律の専門家を交えまして、そしてこの社会保険審査官制度をもっともっと充実した制度にすべきではないかなというふうに思いますけれども、これを検討していただけないものでしょうか、引き続き局長にお願いいたします。
  261. 辻哲夫

    政府参考人(辻哲夫君) 御指摘のとおり、住民に身近なところにおいて簡易迅速に、かつ中立性を備えた機関において不服審査が行われることが望ましいと考えております。  一方で、その社会保険審査官、社会保険審査会制度における簡易迅速性とそれからその中立性、この兼ね合いに関しては制度発足以来、歴史的にも課題となっておりまして、かつては第一審においても合議制を採用しておりましたが、昭和二十八年でございますが、迅速に審査を行うことに重点を置きまして、合議制機関から独任制の審査機関である社会保険審査官に改めたという経緯があること、あるいは逆に、中央につきましては、審査件数の増加に伴い、審査会委員を三者構成から成る非常勤委員としていたものを国会の同意を受けた常勤の委員に改めて、むしろ中央の処理能力、処理能力と申しましょうか、件数処理能力を高めると、こういった形でバランスを取ってきたという経過がございます。    〔理事武見敬三君退席、委員長着席〕
  262. 西川きよし

    西川きよし君 続いて、この社会保険審査会についてですけれども、こちらの場合は複数の合議制でありまして、しかも、その委員については国会での同意が必要というふうになっております。そして、社会保険審査官制度に比べるとより独立性については担保されているように思うわけですけれども、しかし、そうは申しましても、先ほど局長さんより御答弁がございまして、年間にいたしまして六百五十件ですか、申立てがないと、この程度だと。これは、実際にそういうケースが少ないというよりも、極めて国民側からすれば利用しにくいシステムになっているというような背景があるというふうに思います。  そして、思うには、その大きな問題の一つといたしましては、やはりこの審査会が東京の厚生労働省の庁舎の中に設置をされていると。この本当に長い日本列島の中で、日本じゅうで一か所、厚生省の中にあるのみということでございます。これではなかなか、やっぱり地方から、北海道から、また遠くは九州、沖縄からなかなかこちらの方には来れないのではないかな。ましてや、お年寄りの皆さんとかお体の御不自由な方が、そしてまた経済的にも、お金の面でもそうだと思うんですけれども、こういった問題で不服を申し立てる、実際にはやっぱりそれを、さもあればなかなか、あの建物を見ただけでも、僕ら、陳情にお伺いするだけでもやっぱりちょっと緊張し、どきどきしたりなんかするわけですけれども、なかなか、全国で普通の方が普通にあちらの方へ寄せていただくというのは、さもすればやっぱり拒んでいるかのように思うわけですけれども、この点について何か今後考えていただくようなお考えは、局長、ございませんでしょうか。
  263. 辻哲夫

    政府参考人(辻哲夫君) 御指摘のとおり、もうできる限り簡易に、しかもバリアを低くしてという配慮が本当に必要だと思っております。  ただ、言わば行政の簡素化といいましょうか、そういうようなことから今東京に審査会を設けるということになっておるわけでございますが、ただ、審査会に関する手続に関しましては、例えば審査会への再審査請求の申立て方法については、電話により口頭で行ってもそれだけで受理ができるという形で、言わば簡単に登録ができるということ、それから、再審査の申出がありました場合には、通常、訴訟であればそれぞれが一から主張しなくちゃなりませんが、第一審を担当した審査官から当該審査関係資料の送付を受け、第一審の審査資料を活用すること等により事実認定のための請求人の負担の軽減を図るといった、そういった言わばなるべくバリアを下げるということと、それからもう一つは、これは特有の制度でございますが、参与制度というのが設けられておりまして、参与のうち、特に被保険者又は受給権者代表の方々は公開審理日におおむね熱心に出席してくださっておりまして、請求人の立場に立った熱心な発言がなされていると。  そういった形で、少しでも請求人がより適切、円滑に主張ができますように、そういう努力を審査会においてもなされておるところでございます。
  264. 西川きよし

    西川きよし君 局長様の御答弁の意味もよくこちらも理解をしたいんですけれども、なかなか難しいところが多々あると思います。  これもよく聞くお話なんですけれども、不服申立ての制度については、時間を掛けずに解決をしてもらう、それがメリットの一つですけれども、実際には審査会で約一年、そして原処分からですと、長い場合ですと二年も三年も掛かるというお話もよく聞きます。この間のやっぱり労力、経済的な負担というものも、先ほども申しましたが、極めてやっぱり過酷なものではないかなというふうに考えます。  これだけの長い時間が掛かってしまいますと、本当に普通の人はなかなか解決が難しい、先ほども申しましたが、さもあれば拒まれているんではないかなというふうに考えます。これ、何か改善策というものをお考えいただけないものでしょうか。
  265. 辻哲夫

    政府参考人(辻哲夫君) 御指摘のとおりでございまして、社会保険審査会に対する再審査請求に関しましては、平成十三年度時点で、審査会にかかってからの平均処理期間はおおむね十一か月ということで、原処分からの期間は、抽出調査した結果でおおむね平均十六か月、長いものでは二年半程度ということで、私どもも苦慮をいたしております。  それで、その理由といたしましては、長期化している理由としましては、審査会に対する処理件数が、平成十一年度の三百六十八件から十五年度には六百五十件ということで、もう大変大幅に増加しておりますこと、あるいは審査請求の内容も、疾病構造が、障害の関係が大きいわけでございますけれども、疾病構造が、精神疾患、生活習慣病、循環器系統の疾患等、その実態を把握することが困難なものへと変化している中での障害年金の障害認定、あるいは遺族年金における重婚的内縁関係等の身分関係を争う事件の増加等、大変複雑化しております。  私ども、審査会における、まず公開審理日数、これは公開で、もうできる限り開かれた形で審理を行うことで必須でございますが、これを十一年度から、月四回から六回に増加させるとか、それから審査会の事務局体制の強化を図るということで審査専門官を増加させるとか、そういった形で何とか短くできないかということで審査の方法の工夫、あるいは事務処理体制の強化で対応をしているところでございますが、正直申しまして、今言いましたように件数が増えたことから大変苦慮いたしております。
  266. 西川きよし

    西川きよし君 短縮していただくということをお願いしているわけですけれども、それは人の問題もありますし、お金の問題もございましょうし、専門的なことも本当に分かりますけれども、よろしく、いい方向へよろしくお願いをしたいと思います。  それから、公平性という点についてお伺いしたいんですが、例えばポストポリオのケースが、このケースが公開審理で行われたときの例を見ますと、このポストポリオそのものがお医者さんの間でもなじみがやっぱりないということで、まずはポストポリオはどういったことを言うのか、それから、審査委員方々が質問されるわけなんですけれども、ここでその説明をお医者様がるる説明されるわけですね。ところが、その説明をされているお医者さんというのは原処分をした側ですね、つまり保険者側として出席をされている方なんです。  それで、るる医学的な説明がありまして、では請求人から反論があればどうぞと、ぽんと普通の人が振られましても、一般の方がこういった、今たくさん局長の方から御答弁もいただきましたが、そういった内容のことについて本当に、答えろ、質問しろというようなことは、本当に僕は酷なことだというふうに思います。  このポストポリオの場合、診断基準がまだ日本では確定していない、あるいはそれを証明する検査方法もない、そんな状況なわけですから、少なくとも第三者的な立場の方からの説明があってしかるべきではないかなというふうに感じます。  制度的には参考人として医師の出席も認められているということでございますけれども、ただ、そういったことがこの審査会と国民の壁を厚くしているように思うわけですけれども、こういった点についてはいかがお考えでしょうか。
  267. 辻哲夫

    政府参考人(辻哲夫君) 御指摘のとおり、今、公開審理では、審査委員が事実関係を把握するために、例えば障害年金に関しましては、まず認定を行った保険者の担当医師から病状を説明聞くと、その上で、続いて審査委員が担当医師の説明の疑問点についていろいろな質問を行うと、そして出席した参与から様々なまた質問をすると。この場合、被保険者代表に関しましては、もうこれは明らかに請求人の立場に立ったチェックをいただきます。そして、請求人から陳述の機会を設けてそして判断していくということで、本当に第三者的な立場の医師が言わば意見を述べるということを、必須的な形には残念ながらなっておりません。  そういうことから、今のところは、参考人あるいは請求人の申請があれば、その代理人としての位置付けで来ていただくということなのでございますけれども、私どもなりに思いますことは、現在、参与制度というのは大変機能いたしておりまして、参与の方々、大変もう専門技術的な勉強を相当されておりまして、毎回出席されまして、被保険者及び受給権者の立場から相当突っ込んだチェックをいただいております。  そのようなものを、そのような制度をより意図的に活用するとか、そういった形で、より被保険者あるいは受給権者の、言わば立場が、どっちかというと弱い立場の方々を補完するような運用というものを私どももこれからも検討してまいりたいと思います。
  268. 西川きよし

    西川きよし君 ありがとうございました。今御答弁いただきました内容、大変うれしく思います。よろしくお願いをしたいと思います。  最後の質問は大臣に御答弁をいただきたいと思います。  やはり、できれば住民にできる限り身近なという点で、局長始め皆さん方に頑張っていただきたいんですけれども、やはり都道府県単位に設置をする、そして都道府県単位に設置をされている社会保険の審査官のこの制度、僕はなるべくなら全国本当に一か所でも多くしてもらいたいんですが、この制度、ここを充実していただかないとなかなか、冒頭にも申しましたけれども、東京までなかなか本当に皆さん方が来れないと思います。それは東京見学のついでに来るような内容ではございませんので、かなりの負担、お金の問題もありますしと申しましたけれども、時間的なこともありましょうし、そういった意味では、公平性とか専門性、そういう点について今後本当に大きな課題だと思います。  是非、研究していただいたり、検討していただいたり、全国の皆さん、弱い立場の人間が、皆さんが本当に、ああ、よかったな、我々身近なところでこんなことが身近に、ああ、やっぱりお願いしてよかったなというふうに、僕もお話を聞いて、こうして勉強させていただいて御質問させていただいているわけですから、どうぞ、今お願いを申し上げている方向へ進めていただきたいと思うんですが、大臣、御答弁をいただいて終わりにしたいと思いますが、よろしくお願いいたします。
  269. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 今ずっと議員とそれから局長とのやり取りを聞いておりまして感じましたことは、やっぱり中立性をいかに保つかということですね。どうせ身内がやっておるんだからというふうに思われるようなことがあったらそれで終わりですね。だから、そこをやはり本当に中立的な立場でこの問題をどう決着をしていくかということでなければならないし、今後、改善するとすればそういう立場で改善していかなければならないというふうに思います。  二審制取っておりますから、最初は都道府県でやっているわけでございますが、そこから更に中央に上がりましたときには一か所しかないという問題でございまして、私は、中央に上がったときに中央に一か所、それはもう電話で申し込んでもいいという話でございますから、それは一か所でもいいと思うんですけれども、問題は中身、中身と申しますか、やはり中立性を保てるような制度にこれをどうしていくかということの方がより私は重要だというふうに思って聞いていたところでございます。  今御指摘をいただきましたので、そうしたことを踏まえましてよく検討したいというふうに思います。
  270. 西川きよし

    西川きよし君 ありがとうございました。
  271. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後五時四分散会      ─────・─────    〔参照〕    横浜地方公聴会速記録  期日 平成十六年五月三十一日(月曜日)  場所 横浜市 新横浜プリンスホテル    派遣委員     団長 委員長      国井 正幸君        理 事      武見 敬三君        理 事      藤井 基之君        理 事      辻  泰弘君        理 事      森 ゆうこ君                 渡辺 孝男君                 畑野 君枝君                 福島 瑞穂君    公述人        横浜国立大学名        誉教授      神代 和俊君        神奈川県社会保        険労務士会理事  廣瀬 幸一君        神奈川県社会保        険委員会連合会        会長        株式会社パブコ        総務部長     鈴木 和行君        神奈川県労働組        合総連合副議長  岡本  一君        厚木社会保険事        務所長      和木田邦雄君        武蔵大学教授   国広 陽子君     ─────────────    〔午後一時開会〕
  272. 国井正幸

    ○団長(国井正幸君) ただいまから参議院厚生労働委員会横浜地方公聴会を開会いたします。  私は、本日の会議を主宰いたします厚生労働委員長国井正幸でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。  まず、私どもの委員を紹介させていただきます。  私の右手になりますが、自由民主党所属の武見敬三理事でございます。  同じく、藤井基之理事でございます。  そして、私の左手でございますが、民主党・新緑風会所属の辻泰弘理事でございます。  同じく、民主党・新緑風会所属の森ゆうこ理事でございます。  右手でございますが、公明党所属の渡辺孝男委員でございます。  そして、左手でございますが、日本共産党所属の畑野君枝委員でございます。  そのお隣が、社会民主党・護憲連合所属の福島瑞穂委員でございます。  以上の八名でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  参議院厚生労働委員会におきましては、目下、国民年金法等の一部を改正する法律案年金積立金管理運用独立行政法人法案及び高年齢者等雇用安定等に関する法律の一部を改正する法律案、以上三法案について審査を行っておりますが、本日は三法案について関心の高い関係各界の皆様方から貴重な御意見を賜るため、当地において地方公聴会を開会することにいたした次第でございます。何とぞ特段の御協力をお願い申し上げます。  次に、公述人方々を御紹介申し上げます。  横浜国立大学名誉教授神代和俊公述人でございます。  神奈川県社会保険労務士会理事の廣瀬幸一公述人でございます。  神奈川社会保険委員会連合会会長株式会社パブコ総務部長鈴木和行公述人でございます。  神奈川労働組合連合副議長の岡本一公述人でございます。  厚木社会保険事務所長和木田邦雄公述人でございます。  武蔵大学教授国広陽子公述人でございます。  以上、六名の方々でございます。  この際、公述人方々に一言ごあいさつ申し上げます。  皆様には、御多忙のところ御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。三法案につきまして皆様から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の委員会審査の御参考にさせていただきたいと存じます。どうぞよろしくお願い申し上げます。  次に、議事の進め方について申し上げます。  まず、公述人方々からお一人十分程度で順次御意見をお述べいただき、その後、委員質疑にお答えいただきたいと存じます。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、公述人方々から順次御意見をお述べいただきたいと存じます。  まず、神代公述人にお願いいたします。
  273. 神代和俊

    公述人神代和俊君) 私の申し上げたいことは、お手元に五ページのメモが提出されております。これ全部丁寧に説明しますと時間が足りませんので、これに基づいて要点をかいつまんで申し述べさせていただきます。  その前に、ちょっと恐縮ですが、お配りした資料の四ページにちょっと二か所誤植がございますので、御訂正をいただきたいと思います。四ページの真ん中辺に(4)というところの見出しが入っておりますが、見出しの二行目に、「保険料の引き上げ」が「に」になっておりますので、「保険料の引き上げ」に直してください。それから、その下の本文の三行目、真ん中辺に、「新規裁定」の「新規」の「規」の字がワープロの転換ミスで間違っておりますので、御訂正いただきたいと思います。  今回の改正法案、特に私は三法案の中で年金改正法案に関して意見を述べさせていただきたいと存じますが、この改正法案は、少子高齢化が進む中でも百年間持続可能な制度への改正を図ろうとするものでありまして、いわゆるスウェーデン方式の中で日本に取り入れることが可能な良い点を取り入れていると思います。すべてではありませんが、取り入れ可能なものを取り入れております。  改正法案は、以下のような注目すべき改革を行いまして、少子高齢化が進む中でも持続可能な年金制度とするために四つの方策を明示しているかと思います。一つは、保険料率の最高限度の設定であります。第二は、基礎年金の二分の一国庫負担でございます。三番目が、いわゆるマクロ経済スライド方式の導入。四番目が、保険料を二〇一七年まで毎年〇・三五四%ずつ引き上げて積立金を維持しまして、二〇五〇年以降はそれを徐々に取り崩す形のいわゆる有限均衡方式を採用している点であります。  この最初の保険料率最高限度一八・三%の設定の点でありますが、今次改正の最も重要な点は、いわゆる世代間扶養世代間の公平という年金制度の二つの大きな原則の調和を図っている点にあると思います。すなわち、これまで給付水準を一定に維持することを前提として、それに必要な保険料率の引上げを繰り返してきたのに対しまして、今次改正では、まず将来世代負担可能な保険料率の上限を定めて、その範囲内で給付水準を定める方式に変えたことであります。これによりまして、従来五年ごと財政再計算のたびに給付の引下げと負担引上げが繰り返されて国民の不信と将来不安を招きやすかった欠点が取り除かれていると思います。  過去五年間凍結されていた保険料は、もし法案が通れば、本年十月から毎年〇・三五四%ずつ、国民年金は月額二百八十円ずつ、二〇一七年に上限に達するまで引き上げられます。  我が国の公的年金は、現在約百六十兆円、六年分というかなり巨額の積立金を持っておりますが、基本的には毎年の年金給付に必要な財源を毎年現役の保険料で賄うという賦課方式になっております。したがって、今後ますます少子高齢化が進みますと、働き手が減り、年金受給者が増加して、必要な財源調達のために大幅な保険料引上げが必要になってしまいます。もしこれまでのように現在の年金給付水準を維持しようとしますと、必要な保険料を二〇三八年には二五・九%にまで引き上げなければならなくなります。これでは将来の働き手の負担が過大になりまして、産業の国際競争力にもマイナスの影響が懸念されます。他方、もし現行保険料水準で凍結して給付の見直しだけで収支をバランスさせようとしますと、現在受給している年金を含めて一挙に給付水準を四割も減らさなければならなくなります。これは、既裁定年金を財産権の一部とみなす憲法二十九条に抵触するおそれがございます。したがって、これら両極端の間で適切な見直しを図らなければならなかったわけであります。  そこで、法案は、第一に基礎年金の国庫負担を三分の一から二分の一に引き上げると同時に、第二にマクロ経済スライド方式を導入して将来の年金給付水準、いわゆる所得代替率を引き下げるけれども、その下限を五〇%にする、三番目に積立金を二〇五〇年以降徐々に取り崩して一年分にまで減らす有限均衡方式を取り入れる等の措置を講じたわけであります。これらの措置によりまして、将来世代負担を先進諸国の中でも低い水準に軽減しながら、新規裁定のモデル年金給付水準を二〇二三年以降も五〇・二%に維持することが可能になっていると思います。  以下、細かい点につきましては、メモに書いたとおりでございますので、後ほどお目通しをいただければ幸いでございますが、基礎年金の二分の一の国庫負担の財源の問題、そのために年金からも税金を取ることにしたこと、これは別法案、税制改正の方でありますが、それからマクロ経済スライドにつきましては、マスコミの方の御理解が非常に非好意的なものが多いと思いますが、これが実は少子高齢化が進む財政制約の中で給付負担のバランスを維持していく非常に重要な仕掛けでありまして、実質賃金が一・一%上がっていくときに年金の方は、それから寿命の延びと労働力人口の減少分合わせて〇・九%を引いたモデルでいうと〇・二%ぐらいしか年金が上がらない格好になっておりますが、これは、要するに将来世代負担を少なくするためのやむを得ざる措置、かつ保険料率を一八・三%に上限を抑えた結果でありまして、大変重要なこれは改革だと思います。  それから、後で御質問の際にお答えしたいと思いますが、いわゆる年金債務、四百八十兆とか言われている年金債務というものの考え方について、やはり世の中一般はこれを企業年金の場合と同じような理解の仕方をしてこの債務を償還しなければいかぬと、こういうような言い方をしておりますが、これはいわゆる賦課方式の基本的なメカニズムを理解しないところからくる誤解に基づく見解であると考えております。  なお、最後のページに、五ページの下の方に、今回の改正法案が有効に機能していくための前提条件が五つほど書いてございます。出生率の回復とか賃金上昇一・一%の確保とか等々ございます。そういう重要な前提の上に立っていることは事実でありますが、これらはいずれも政府の経済政策によって実現可能ないわゆる政策変数であると思いますので、是非先生方の御尽力をお願いしたいというふうに思います。  どうもありがとうございました。
  274. 国井正幸

    ○団長(国井正幸君) ありがとうございました。  次に、廣瀬公述人、お願いいたします。
  275. 廣瀬幸一

    公述人(廣瀬幸一君) 廣瀬です。  私は、いわゆる研究者でもなく、テーブル上でいろんな数字を並べて計算したりするそういうたぐいの人間ではなく、実務をしております。特に中小零細企業を相手としまして、社会保険や労働保険、それから個人年金相談等も日々行っている、全く実務を行っている者であります。その観点からお話ししたいと思います。  今回のこの改正案、私は改革という名前はちょっと使いたくない気持ちでありまして、この改正案を見まして、一体どこまでこの年金制度を複雑にするんだという思いがまず立ったわけであります。現在の年金の仕組みを理解することは、通常の素人、一般市民ではまず不可能です。これを確実に理解するのは専門家以外にはありません。厚生労働省の官僚の一部、それから役所、特に社会保険事務所の一部、それから社会保険労務士のこの我々それを仕事としている者、こういった、それから学者、研究している学者、その辺りかなと考えております。  それを踏んまえまして、まず一つ事例を申し上げます。  例えば、昨日、五月三十日にある会社を退職したとします。今日、別の会社に面接に行き、めでたく、あしたから来てくれよということになったとします。この場合、この方は昨日付けで退職、今日一日空きまして、あした別の会社に入ったとします。この場合、国民年金はどうなるでしょうか。一か月は未納になります。まずここのところ、これが、今回いろいろ未納、一か月未納だとかいろいろ、二か月、三か月未納の人もたくさん出ましたけれども、こういったことになるんです。一万三千三百円を持って市役所に、社会保険事務所が徴収ですけれども、市役所が手続を今しているんですけれども、出向けばそれは一か月は埋まりますけれども、果たしてするでしょうか。まずこれが具体的な最近起こった未納問題の一つの事例であります。  これは別に複雑な、この国民年金だけの相談というのは私どもは決して複雑ではない。これが複雑だと言われるのならば、もう一歩も前に進めないほど年金制度は複雑になっております。  というのは、昭和六十一年にこの基本構造、今のができたんですけれども、全然変わらずに、継ぎはぎを当てて、あたかもパッチワークのように、中がもう全然、どういう色をしていたのか、どんな材質で中が使われているのか、もう全く見えないくらいの状態になっているのが現状であると認識しております。  もう一つ、今いろんなことが起こっているのは、モラルハザードということを非常に感じております。これは事業所もそうですが、一般の国民未納、大変多い状態でありますが、これは後ほどまたちょっと御説明、時間があればしたいと思います。  それで、現在の年金のこの改正案を見ますと、百年持続させるということをうたわれております。法案にも書いてあって、非常に私は百年というこの年数を、一九〇四年に百年後の現在こうなるということを予測できた人はちょっといないんじゃないかなと。今後百年間も、やはりこの間に何が起こるか分からない。いかなる制度であろうとも、百年もたすということを宣言してしまうというのは余りにも度胸がいいんじゃないかと。ここにいる人はだれも生きていないはずであります。責任の取りようがありません。これは制度だけではなく、いかなる文物も百年後はどうなっているか分かりません。まず、そこが非常に私は違和感を持ったわけであります。  それから、非常に無理な計画も、これは法案には盛り込まれていないので、また後ほどこれは御説明しますが、短時間労働者への適用だとか、いろんな問題があります。  そこで、保険料徴収の問題というのがございまして、今、国民年金、この場合は払うのは一号被保険者と言われている人たちですが、大変に多くの未納者、滞納者を出しております。今、強制的に徴収をするということを始めておりますが、これは私はちょっと無理なんじゃないかなと、単なるこれはポーズなんじゃないか、そのように考えております。  独裁国家でもないこの日本が、おしなべて今の三十数%と言われる滞納者をそこから取り立てるということが果たして可能なのかどうか。それじゃ今まで、数%ぐらい未納の時代というのがありました。昭和三十六年に国民年金が発足して以後、かなりの率で支払っていた時代があります。それから徐々に増えて今になっている。特にこの数年間がひどいんですが、今まで未納者が増えたときに、じゃ何をしていたんだと。確かに、市役所の人が人を使って巡回して徴収するというようなことは確かに見受けられましたが、取立ての仕組みとしてそういうことをしていたわけではないということであります。  もう一つ厚生年金でありますが、これは不思議なことに、今、厚生年金の適用事業所というのは毎年減っております。これは実は、会社の数がどんどんどんどん減る。会社ももちろんなくなるんですけれども、本当になくなった会社は、それはそれで確かに社会保険もなくなるというのは当たり前ですが、存在しているのに脱退をしているという事実が広く知られております。これに目をつぶっていろいろな新しい法案を作り出すというのはいかがなものかと。  実際、厚生年金というのは法人であるならばすべて強制であるはずでありますが、会社で適用していない会社というのはもうそこらじゅうにある、それが現実であります。国民年金のこの未納者の中には実はそういう会社に勤めている方が数百万人私はいると見ています。例えば、そういう人たちに事後払いなさいといって、もし、私は会社に勤めているんだから本来厚生年金だよ、会社に言ってくれよと言われた場合にどのような返事をされますでしょうか。厚生年金は会社が手続を行うのが義務です。最近、総理大臣がいろんな過去の厚生年金のことでやられていますけれども、あれ法律的には実際は事業主が義務ですからね、入るやめるというのは。本人に果たしてそれを言うというのはいかがなものかなという感じはしております。  もう一つ国民年金にとって面白い話というか興味深いのは、会社を辞めて例えば国民年金、これは自営業になるか無職になるかは別として、国民年金の一号になるわけですけれども、その際、医療は国民健康保険というのに入るのが原則です。若干違う場合もあるんですけれどもね、その前の会社の任意継続の保険を使うとか。原則的には国民健康保険に入るのが普通です。したがいまして、国民健康保険に入って保険証をもらって国民年金の手続をするというのがオーソドックスな形であります。ところが、保険証だけ持っているけれども国民年金には入っていない人がたくさんいます。これ一体どういうことでしょうか。本来、国民年金に入らなければならないはずであります。国民健康保険だけに入ることが、これは地方自治体のやり方によっても違いますけれども、別の手続ですね、厚生年金健康保険というのは一つの一元的に手続するんですけれども、国民健康保険国民年金とは全く別にやりますから、医療だけに入って年金には入らないという人が実は非常に多いのであります。  これは非常に不思議な話でありまして、国民健康保険の方でも徴収率は八割、つまり二割は未納であります。国民健康保険はちょっと厳しくて、未納を続けますとその人は保険証を取り上げられるんですね。したがって医者に掛かれなくなるということで厳しいんですが、それでも二割の滞納があります。国民年金はどうでしょうか。そういう人たちが果たして払うかあるいは払えるか。そういう問題もまずお考えいただいて、その辺をクリアにしないで新しい方向に進むというのは、全くこれは何かを置いてきぼりにしているんじゃないかということであります。  もう一つ、この今の社会保険の適用という問題でありますが、特に最近よく起こるので、時間がないので余りたくさんはしゃべりませんが、六十代前半の方、これは会社に働きますと年金が削られる、あるいは全くもらえない場合もある、そういう状況になっております。これはやはり、手続は事業主が行いますから、手続をしませんと社会保険に入らずして年金は全部もらい続けることができ、現在そういう人いるんです、たくさん。途中で、特に会計検査院というのが時々検査に入りまして発見しまして、これは駄目だと、あなたは会社に勤めているじゃないか、社会保険、厚生年金に入りなさいと、さかのぼって、最大二年まではさかのぼれますから、入って適用します、その人を入らせます。二年間に受けた年金を全部召し上げという、こういう事件といったらいいか、そういうことがしばしば起こっております。その場合本人は、最初に述べましたように、年金等の知識については全くないという場合も決して少なくないのでありまして、本人だけのせいにするのもこれはどうかなと。会社がこれをやらなかったというのが逆に今悪いということにはなるんですけれども。それにしても、本人も非常に怒ってみたり、あるいは人によっては罪悪感みたいなものまでまじめな人は持つ、そうだったのかということで、大変な問題というのがしばしば今起きているんでございます。  私のこの一枚の紙なんですが、その下に、半分よりちょっと下に「複雑な多様な働き方 六十代前半」ということでいろんな、クモの巣みたいになっていますが、いろんな状況が発生するんであります。特に、今、賞与からも保険料を引くということになってからますます複雑怪奇なものになりまして、その人の年金が月々増えたり減ったりするという、そういう状況が起きております。こういう複雑な制度はどこかで清算しないといけない時期に来ている。  したがって、私は今回の構造の全く変化のないこの改正には到底納得ができないということであります。  以上です。
  276. 国井正幸

    ○団長(国井正幸君) ありがとうございました。  次に、鈴木公述人にお願いいたします。
  277. 鈴木和行

    公述人鈴木和行君) 株式会社パブコの鈴木でございます。本日はこのような機会を与えていただき光栄に存じます。  本日は、政府提出しております年金制度に関連する法案につきまして、企業の立場から発言させていただきたいと存じます。また、私は企業の役席と同時に、現在、神奈川県社会保険委員会連合会の会長の役を拝命しておりますので、社会保険委員に関連してのお話もさせていただきたいと思っております。  まず会社の概況でございますが、私の勤務する株式会社パブコは、ウイングボデー、アルミバン、保冷車等、特装車を中心としたトラックの荷台を製造、販売している会社でございます。創業は一九〇一年と、業界初の一世紀企業ということでございますが、従業員は約六百名でございます。  私どもの業界は、御承知のようにトラックの総需要が低迷する中、大変厳しい経営を迫られております。幸いにも昨年度はトラックの排ガス規制等により繁忙を極めましたが、今年度はその反動もあり厳しい状況が続くものと予測され、会社は経費の節減を始めとする様々な採算改善策に真剣に取り組んでいるところであります。  このような環境下、今般の年金改正法案における年金保険料引上げは企業の収益を圧迫することとなり、少なからず企業の雇用維持努力に影響を及ぼすことが考えられます。また、厳しい国際競争の中、我が国企業の競争力の低下を招くおそれもあります。日本経団連が昨年行った調査によりますと、保険料引上げにより労働形態の転換やあるいは人件費調整を検討している企業も多数に上っていると聞いております。  このようなことから、保険料の水準については、世代間の負担給付のバランスを考慮しながら、現行の水準を極力上回らない水準で長期間固定していただきたいと考えます。  今回の政府案における保険料水準固定方式につきましては、際限なく保険料が引き上がることに歯止めを掛けたことは評価できるところであります。しかしながら、平成二十九年度まで保険料率を毎年引き上げていく過程で経済社会状況が悪化したような場合には、一時的にも保険料が引き上げられないような措置を講じておくことも必要ではないかと考えます。  いずれにせよ、企業の立場からいえば、従業員の将来あるいは社会的責任等を考え、保険料負担が当然必要であると思いますが、保険料負担の増加は大歓迎というわけにはまいりません。経済が上向きになってきたとはいえ、企業の内部努力によるものであることを御理解いただきたいと思います。  次に、基礎年金空洞化問題に関して申し上げたいと思います。  国民年金保険料未納率は約四割にも達しており、しかもこれら未納あるいは未加入者の多くは、経済的な理由保険料が支払えないのではなく、制度への不信感あるいは不安感により支払わない方も多いと思われます。国民年金の基本ともなる基礎年金は正に危機的な状況にあると言っても過言ではないと思います。  私自身、年金制度は社会保険方式によるべきものと考えております。しかしながら、この基礎年金空洞化現状を見るとき、全国民共通の老後の基礎的部分を賄う基礎年金については、税方式への移行も視野に入れた中で抜本的な改革が必要ではないかと考えます。  しかしながら、これらの問題は、事年金制度に限定することなく、税制の抜本的改革の時期である平成十九年度までに医療制度あるいは介護保険制度等を含めた社会保障制度全体の中で検討されるべきものと考えます。また、これらの課題を協議するために国民の総意を尊重するべく、国民に広く開かれた場を設け、社会保障制度の一体的改革及び年金制度に対する企業の要請等も含め、広く協議することが必要ではないかと考えます。  今回の政府案による基礎年金の国庫負担割合の二分の一への引上げについては、大きな前進であると考えております。できる限り引上げ完了の時期を早められるよう希望します。  次に、企業年金改正については、法案に確定拠出年金の拠出限度額の引上げやポータビリティーの拡充など改善策が盛り込まれたことは、公的年金を補完する意味での私的年金の充実につながるものと理解しております。今後も、特別法人税の撤廃等、更なる私的年金の支援措置をお願いするところであります。  冒頭申し上げましたように、私は現在、神奈川県社会保険委員会連合会の会長の役を拝命しておりますので、次に社会保険委員としての立場からのお話をさせていただきたいと思います。  社会保険委員は、被保険者十名以上の適用事業所に設置され、多くは、私同様、企業内においては人事あるいは総務部門の方が委嘱されております。  社会保険委員は、事業主と従業員のパイプ役として、行政と連携を取りながら、医療保険や年金制度などの社会保障制度全般についての啓蒙、相談、指導に当たっており、医療保険制度年金制度の重要性を強く感じているところでございます。  年々複雑化する年金制度等について、各社会保険委員会あるいは県の連合会において研修会を開催するなどして社会保険委員の研さんを積んでいるところでありますが、分かりやすい制度の構築が待たれるところでございます。  私も、この社会保険委員の委嘱を受けて二十数年活動しておりますが、私どもの会社におきましては、これら社会保険制度の手続等も含め、きめ細かな対応に心掛けてきたつもりでございます。例えば、定年を迎える方については公的年金企業年金あるいは医療保険等についての説明会を行っておりますが、当社の場合、御本人の委任を受け、社会保険事務所での年金額試算資料の受領から、年金見込額の説明、そして裁定請求書の提出まですべて会社で行っております。  今般、六十五歳までの雇用延長の義務化等の高年齢者雇用安定法の改正案が上程されておりますが、当社におきましては、以前から六十五歳を上限とした定年後の再雇用制度を持っており、会社に選択権はあるものの、最低、厚生年金の満額支給開始年齢までは再雇用することとしております。したがいまして、ほとんどの方が在職老齢年金となるわけですが、賃金及び在職老齢年金、そして雇用保険の高年齢継続給付金を含めた形で説明しております。  これらの方が退職されるときには、退職後の医療保険制度について個々の実情に合わせたアドバイスを実施し、また配偶者が三号被保険者である場合は国民年金の種別変更の指導等を行っております。  これらの相談は、在籍者に限らず、OBの方についても行っており、細かい話ですが、現況届の提出等いろいろと相談が寄せられております。また、OBが亡くなられたときなど、奥様などから遺族年金の相談が寄せられることもあり、これらについても在籍者同様、年金の見込額の説明から御自身の年金との併給問題についての説明、そして裁定請求書の提出まで行っております。  このように、社会保険委員は各企業におきまして非常に重要な使命を果たしております。これら社会保険委員を有効に活用することにより、年金相談窓口の混雑解消等の一助になるのではないかと考えます。社会保険委員の地位向上を切にお願いするところであります。  今、在職老齢年金の件に触れましたが、最後にこの件についてお願い申し上げたいと思います。  在職老齢年金制度につきましては、先ほどの雇用延長の義務化と相まって、就労を阻害しないシンプルで分かりやすい制度とされるようお願いいたします。  総報酬制導入により、前年度の賞与を反映した中で在職老齢年金が計算されるようになりましたが、定年後の再雇用の場合など、これらの年金額が大幅に削減され、場合によっては全額停止されるなど、制度の運営自体に影響を与えかねない状況となっております。企業として雇用の延長の重要性は十分に理解しているものの、人件費負担を増加できる環境にはありません。賃金、公的年金制度及び雇用保険制度と三位一体の中で制度を構築していく必要がありますので、例えば当年度の賞与を基準とする等、見直しをお願いするところでございます。  以上、るる申し上げましたが、経済社会の活力を損なうことなく、まさしく持続可能で安心の年金制度を構築されることを願ってやみません。  どうもありがとうございました。
  278. 国井正幸

    ○団長(国井正幸君) どうもありがとうございました。  次に、岡本公述人、お願いいたします。
  279. 岡本一

    公述人岡本一君) 神奈川労働組合連合の副議長をやっております岡本と申します。  御存じと思いますけれども、労働組合のナショナルセンターとしましては連合と全労連というのがございますけれども、神奈川労連というのは、全労連の言わば地方組織と言えるような労働組合でございます。  私は労働組合の代表でありますので、国民の視野、働く者の立場から、今出されております、主に国民年金法等の一部改正する法律案について意見を述べたいと思います。  資料をお配りしていると思いますが、参考に聞いていただきたいと思います。グラフで、棒グラフと折れ線グラフがある資料をお配りしておりますけれども、そこのところで、今国民年金の加入者数が神奈川ではどうなっているかというところを書いてございます。  現在、手書きで一番右に書いてありますように、二〇〇二年度で百三十三万六千人が神奈川厚生年金に加入していると。これが、年々年々減ってきているということで、先ほどの公述人も言われましたように、本来厚生年金に入れなければならない労働者が入れられていないという現象がこれだけ広がってきているということで、簡単に申しますと、大体この五年間で一二%とか十数%厚生年金の加入者が減っているというのが実情です。  本来厚生年金に入れるべき労働者、どれぐらいいるのだろうかということで、なかなか統一的な統計がないものですからいろいろ推計いたしますと、その右の下に就業構造基本調査の表を入れてありますけれども、雇用者数四百万人のうち、いわゆる正規の職員・従業員というのが二百四十七万人おります。それプラス、その下の方に会社の方の役員など二十九万五千人おりまして、大体、この中で共済年金に入るような自治体の労働者、国の労働者などもおりますので、それを除いても、本来厚生年金に入るべき労働者というのは二百万人以上はいるというふうに推計されると思うんです。  ところが、実際に入っているのは百三十数万人ということで、六〇%前後しか本来のこの法律で定めた厚生年金に入れてもらえていないと。これは、長引く不況で中小企業などの業績が悪いというようなこともありまして、本当にこの厚生年金空洞化というのが非常に極めて深刻な状況にまで進んでいるということが言えると思うんです。  そして、それに合わせて、神奈川の場合ですと、国民年金の加入者が増えてきていると。ですから、労働者数同じですから、グラフにありますように、国民年金加入者数、厚生年金加入者数というのが減った分増えているという感じになっていると思います。  そして、国民年金の方はということで下の表を見ていただきますと、免除率というのが年々増えておりまして、〇一年度には一七・一%にまでなりました。しかし、厚生労働省の、免除を厳しくして厳格にやるということで、〇二年度については多少減りました。一五・七%になっております。  しかし、こういう状況の下で、その隣の収納率というのを見ていただきたいんですけれども、専門的に申しますと検認率だとか収納率だとかということで言われておりますけれども、払わなければいけない国民年金でまともに払っている人の率だということですけれども、これは〇二年には六二・五%にまで下がっているんだということが分かると思うんです。これは免除した人は除いているわけですから、全体で言いますと、これが六二・五%ではなくて五二・七%ぐらいになっているわけですね。本来払わなければいけない人のうちに免除されている人が一五・七%おりますから、見掛け上六二・五になっておりますけれども、全体で言うともう五割そこそこの人しかまともに国民年金保険料が払えていないというように、非常に空洞化が進んでいると。  今度の法案というのは、この空洞化に歯止めを掛けることができるのかどうなのかと、国民がこれから将来にわたって年金制度の恩恵を受けることができるのかどうなのかということで申しますと、今でも年金保険料が払えない、企業としては厚生年金から国民年金に切り替えているという違法な状況にあるのが加速されざるを得ないような今度の改革内容になっていると思うんです。  こういうことについては反対せざるを得ないというのが労働組合の立場です。  そして、その右の表をもう少し見ていただきますと、神奈川の働く労働者状況がどんどんどんどん不安定にされて、まともに保険料も払えないようなそういう労働者が多数作られているということを見ていただきたいと思うんです。  既に、女性の場合は、正社員、正規の職員、従業員というのは神奈川では四〇%になっているんですね。パートだとかアルバイトというのは四四・九%になっていまして、かなりの勢いでこういう不安定労働者が増えている。男女合わせましても正規の職員、従業員というのは六一・八%しかおりません。こういう状況に急速になってきているというのは、その下に、この調査というのは五年ごとに行われますので、九七年に比べてどうかというようなことだとか九二年と比べてどうかというところを見ていただければいいと思いますけれども、この十年間ぐらいで急速にこういう労働力の不安定化が広がってきている。まともに年金保険料も払えないようなこういう労働者が増えているんだということを見ていただきたいと思います。  実際の労働組合のところで、私どもは、大工さんなどの労働組合、建設労連と言っておりますけれども、こういう人たちも組織しているんですけれども、こういう皆さんは、企業ではありませんので元々国民年金に入るという状況になっているんですけれども、若い方の集まる会議国民年金に入っている人はどれぐらいいますかということで聞いてみましても、ほとんどいないと。役員の会議で三、四十名参加している若い人たちに聞いても、いても一人とか二人というような状況で、空洞化がすさまじい勢いで進んでいるということで、是非国会の審議においても、年齢別に、若い人が、今私が作ったような表で、厚生年金にどれぐらい入っているのか、国民年金の収納率は二十代ではどれぐらいになっているのか、三十代ではどうなのかというようなこともよく調査していただいて、本当に空洞化に歯止めを掛けるような年金改革法案にしていただきたいと思います。  最後に、この間の国会の論争を見ておりますと、国民の中に正しい情報が提供されないまま今度の年金改革法案というのが成立させられようとしているということに極めて大きな危惧を感じております。テレビなどを見ておりまして、共産党の小池晃参議院議員が小泉総理大臣坂口厚生労働大臣と論争をされていましたけれども、年金改革の二つの柱と言うんですね。一つ保険料上限固定してこれ以上上げないということだとか、保険料は現役世代の五〇%を切らないんだというようなことが正確でないというようなことも明らかになっておりますけれども、最後のところで具体的に批判するのは失礼かと思うんですけれども、自民党の皆さんが、そういう議論をされた後、議論は十八日にされていたと思うんですけれども、五月二十日の朝、私が勤務先の桜木町駅前を通りますとチラシを配布されておりましたけれども、そのチラシでは、ここに書いてありますように、これ以上は絶対に引き上げないんだ、負担額を一万六千九百円に、平成十六年度価格で一万六千九百円まで引き上げて、これ以上は絶対引き上げないというような誤った情報を国民に与えながら、大丈夫だ大丈夫だ、だから年金改革法案を通してもいいんだというようなやり方については、やはりアンフェアだというふうに考えます。  そういう意味で、今回の年金改革法案というのは一度白紙に戻して、もっと十分に議論していただいて、真の意味で国民の将来が安心できる年金制度として再提出していただくようお願いいたしまして、私の発言といたします。  ありがとうございました。
  280. 国井正幸

    ○団長(国井正幸君) どうもありがとうございました。  次に、和木田公述人、お願いいたします。
  281. 和木田邦雄

    公述人和木田邦雄君) 私は、社会保険の第一線で働いている者として、今日は良い機会なので社会保険の現状等を紹介させていただきたいと思います。  まず、今日お示しの資料ありますんですが、この資料も全部数字を読んでおりますと時間が掛かりますので、まとめてちょっと読ませていただきます。  まず、厚木社会保険事務所神奈川県の中央部に位置をしております。厚木市、座間市、海老名市、綾瀬市、愛川町、清川村、この四市一町一村を管轄地域として、平塚社会保険事務所と相模原社会保険事務所より分離し、昭和六十年四月一日、県下十二番目の事務所として発足をいたしました。現在、私どもの管内の人口は約六十万に達しております。厚木市を中心に年々増えておりまして、神奈川県約八百七十万の人口の六・九%を占めている状況でございます。  保険関係におきましては、開設当時、適用事業所が千九百六十四社でございました。現在は三千九百七十七社ということで、被保険者につきましては八万三千人となっております。また、国民年金関係につきましては、厚木市を中心とした都市化の進展に伴いまして被保険者が年々増加し、十六年三月末現在で十七万一千人となっております。この十七万一千に携わる当所の職員の人数は六名でございまして、一名当たりの被保険者数は約二万八千五百人となっております。  現在、当所の全職員数は三十四名でございまして、七課制の体制を取ってございます。  各課の業務を紹介させていただきますと、まず庶務課なんですが、この概況にもあるんですが、組織図にあるんですが、庶務課の主な業務といたしまして、健康保険給付費の支払、それと国民年金保険料の還付金の支払、また、通常、事業所から届書等の、郵送されている各種届書の受付、それとあと一般庶務、福利厚生、人事関係、こういう仕事の内容になっております。  徴収課におきましては、保険料の調定と収納、そして滞納整理を主にやってございます。  それから、今年の四月から業務第一課、二課ということで組織変更をいたしまして、その業務内容は、健康保険厚生年金保険の適用関係の全般と健康保険給付費の決定という業務を一課、二課でそれぞれ地域を分けて実施しております。  国民年金課につきましては、適用全般と、当然、保険料の徴収、それから先ほど出ました保険料免除の申請の審査及び決定、これが主な業務でございます。  年金給付課につきましては、各種年金の請求に伴う請求書の審査、それから裁定、それと年金受給者から提出のあります諸変更の入力処理といいますかを主な業務としております。  相談コーナーが今ちょっと新聞等で、メディアで話題になっておるんですが、年金相談をメーンとして、それから各種それに伴う請求書の受理、それから年金受給者からの諸変更届の受理ということを主な業務で行っております。  それと、せっかくの機会でございますので、相談コーナーの現状を少し話しておきたいと思います。  まず、年金相談の来客者の推移ということで、今日資料は付いておりませんが、平成十年度から十五年度までをちょっと数字を拾ってみました。ちょっと丸め込んだ数字なんですが、平成十年度、年間で二万四千百人、それで一か月の平均が約二千人ですね。これを、単純で申し訳ないんですが、二十二日で割り込みますと、平成十年度については一日平均約九十名という来客の数字になっております。平成十一年度につきましては年間が二万五千六百人、一か月平均で二千百人、一日平均九十五人と。平成十三年度につきましては二万八千七百人、月に二千四百人、これは十二年度と同じでございますので一日約百十人。平成十四年度は三万二千八百人、一か月平均で二千七百人、一日平均百二十三名。これが平成十五年度になりますと大分数字が上がりまして、年間三万五千九百人、月です、月割りでいえば約三千弱と、一日百三十六人の来所の件数になっております。平成十年から十五年、ちょっと比較してみますと、約一五〇%、増加の一途をたどっているのが現状でございます。  それから、主な相談内容なんですが、まず厚生年金関係につきましては、年金受給開始年齢間近の方の年金加入期間の確認、それから年金見込額の試算、それと同時に、手続の方法、それから裁定請求書の提出というものが大体を占めております。それとあと、年金受給者が社会保険庁の業務センターの方から送付されます各種通知、細かく言いますと、支払通知だとか、それから支給額の変更通知、それから現況届、それから源泉徴収票の交付に伴う諸変更の内容についての確認でお見えになるケースが非常に多いと思います。それと、三点目が、マスコミ等でいろいろ毎日年金の問題が出てございます。この前も基礎年金番号の過去の、何というんですかね、統合がまだ積み残しがあるというような新聞報道もございましたけれども、そういう報道の影響を受けて、自分の過去の記録を確認に来るというケースも大変多うございます。  その中で、まず一つ、今年のゴールデンウイーク、待ち時間の問題が非常に今、三時間、四時間、六時間と、これは地域性もございますけれども、言われております。参考に私の方の今年のゴールデンウイークの最長の待ち時間ということでちょっと統計を取ってみましたら、四月三十日、これが最長で二時間の待ち時間でございました。五月の六日、これもやはり約二時間です。五月七日も同じく二時間。五月十日以降が大体最長で一時間半、大体これぐらいのペースで現在まで来ております。  それから、私ども、今、相談コーナーは、副長が一名、それから相談コーナーの年金専門官が二名、それと社会保険相談員が四名ということで、七名の体制で日々やっておるわけですが、この十五年度の一日百三十六人というのは、これは一般的には、これ一か月平均でも込む日、込まない日、いろいろあるわけです。一年の平均を出しても、やはり非常に込む月等もございます。そういうときに、今の体制でやっているわけなんですが、非常に、やはり一日一人、そうですね、二十件前後が一番、相談の内容的にも時間にきゅうきゅうせずに、お客さんに理解をしていただいて納得していただいて帰っていただく件数なのかなと。これが二十五人、三十人になりますと、やはり途中でお客さんを、今日はもうこれ以上できませんということで、この前もどこかの社保、社会保険事務所でもありましたけれども、途中で来所を打ち切ってしまうということがございます。  幸いにも私の事務所は、多いときは二百五十人ぐらい今年の二月で記録したことがあるんですが、そのときはそれこそ、全所態勢といいますか、各課から年金を知っている、熟知している職員をかき集めまして相談をやらせていると。なるべく、これも私の考えもそうなんですが、職員の考えもそうなんですが、せっかく来てくれたお客さんをやはり満足して帰っていただこうと。それで、これちょっと人情話になりますけれども、最後に、ああ来て良かったわ、ありがとうございますと言われたときには本当に心が休まるような気がいたします。  こういう状況で、今社会保険庁の方も電子申請だとか、それから、何というんですかね、大体これからパソコンを使った試算のデータの提供だとかいろいろやっていくわけなんですが、やはり現状では人と人の対話で相談に乗ってあげるというのが非常にまだ大切なのかなと思っております。そういった毎日厳しい中で......
  282. 国井正幸

    ○団長(国井正幸君) ちょっと時間来ていますので、まとめてください。
  283. 和木田邦雄

    公述人和木田邦雄君) はい。そういった中で我々頑張っているのが現状でございます。  以上でございます。
  284. 国井正幸

    ○団長(国井正幸君) どうもありがとうございました。  次に、国広公述人にお願いいたします。
  285. 国広陽子

    公述人国広陽子君) 国広です。今日はこういう時間を設けてくださいまして、ありがとうございました。  私は、限られた時間ですので、三項目申し上げたいと思います。  一つ目は、先ほどから話題になっていますけれども、国会議員未納、未加入問題ということが盛んに報じられまして、そしてそのことが一層年金不信とか年金不安ということにつながったと思うんですけれども、この問題は、この問題を議員個人の問題としてあげつらうといいますか非難するということよりも、私たちが望んでいるのは、要するに、国会議員でさえ未加入であったり未納をしていてそのことに気が付かないという、そういう制度の問題として論じてほしいというふうに思っています。  年金制度というのは、現在、被用者保険国民年金、二号、三号を含む制度とそれから一号と言われる制度に大きく二つに分かれています。これができた当初は、厚生年金制度労働者のための厚生年金制度が最初に始まって、それから国民年金という全員が含まれる制度に変わったわけですけれども、当初は、勤労者というか勤め人ですね、それと、それに経済的に依存する妻、それと自営業者、そしてその妻というような形で、大きく二つに分けることが社会的にそれほど無理がなかったかもしれません。  でも、今までの公述人お話にあるように、サラリーマンであっても国民年金の方になるとか、つまり厚生年金から脱退せざるを得ないとか、それから自営業者というのは実はそれほど多くなくて、つまりサラリーマン、安定した収入を保障されているあるレベルの企業のサラリーマンとそれに扶養される妻以外はすべて、以外はというか、妻も基本的には国民年金なんですが、サラリーマン、安定したサラリーマン、サラリーウーマン以外はその他すべてが国民年金なんですね。  ですから、年金保険料を会社なりが、事業所が代行して納めるような厚生年金に入れない人はすべて一号、一号というか国民年金、それが空洞化するのは当然なんですね。ですから、二本立てになっていて、しかも安定しているのは厚生年金の方ですから、それを中心として年金制度、公的年金制度を設計してきたこと自体が限界に来ているというか、複雑な今の現状に対応できていないということだと思うんです。  例えば、国会議員の方を例に挙げても失礼ですけれども、国会議員の方の中にいわゆる二号、厚生年金に入っていて、でも何らかの形で二号でなくなった、議員になるとか議員になるために退職するとか、そういう方が二号から一号になったときに恐らく先ほどの一か月という話も出ましたけれども、空洞とか未納、未加入という問題が起きているわけですよね。要するに、厚生年金に入っている限りは未納、未加入というのが起きないけれども、それ以外であれば未納、未加入というのは幾らでも起きるということだと思います。  ですから、全く異なる制度、二つの異なる制度を接合して、しかも二号の方の厚生年金中心でもって議論をずっと続けている限り無理が、ますます無理が生じるだろうというふうに思います。その間を行ったり来たりする働き方をする人、あるいは働き方は同じでも夫の制度によって行ったり来たりするというような三号の問題が複雑にしているわけですから、それをシンプルな矛盾のない制度にする方向で是非議論をしていただきたいというふうに思います。  零細な資本での起業でありますとか、NPOという働き方ですとか、ワークシェアリングとかジョブシェアリングですとか、今までとは違った、いろんな多様なライフスタイルというものが促進されなければいけないこれからの社会にあって、そういう社会での老後の生活保障はどんなふうに設計するのがよいのか。つまり、標準報酬というものを基準にして老齢年金額を設定してきたような報酬比例の在り方がこれからもできるのか、安定した勤め人生活というのを前提とした年金制度が守っていけるのかどうかですね。それから、それが妥当なのかですね。自営業者を前提として一号を考えること、いろんな生き方、失業している人もいれば学生もいるというような多様なその一号の中身を一くくりにすることが無理があるのではないかというふうに思います。  では、サラリーマン以外のワークスタイルを包括しているような今の国民年金制度を更に細分化して制度を細分化していくのか、それとも公的年金制度全体を根本的に考え直してもっと分かりやすい一本化というか一元化を目指していくのか、そこが今重要なところだというふうに思います。そして、私は目指す方向は明らかであると思います。分かりやすく、シンプルで、所得比例であるというような形ですね。ただ、それを実現するのは大変だと思います。税制のこととかいろいろありますから。ですから、早くより良い制度を目指す本格的な議論に入っていただきたいと思います。  もう一つが、私がお話ししたいことが女性年金の問題です。  女性年金の問題については、前回改正の際にほとんどのことが積み残されました。しかし、その後、女性年金検討会が設けられまして、報告がいろいろ出まして、具体的な提言も出ております。社会保障制度審議年金部会からの意見でも、第三号被保険者制度について、それからパートタイマーの年金適用についてなど具体的な提言も出ております。しかし、今回の国会での議論の過程で、女性年金の問題というのはほとんど矮小化されて、というか論じられたのかどうかもちょっとよく分からない状態で、そのことを非常に残念に思っています。  ちょっと資料を用意しました。せっかく神奈川県で公聴会をやっていただきましたので、神奈川の資料を見ていただきたいと思います。  私は、第三号被保険者制度というのは、基本的には高所得の大企業サラリーマン世帯を優遇する制度になっているというふうに思います。なぜかというと、世帯の所得が低ければ夫も妻もいや応なく働いているからです。しかも、夫がサラリーマンでなくなったとき、夫が例えば二号だったのがその事業所の都合で国民年金になってしまうとか、あるいは夫が死亡する、リストラや転職をする、定年といったことになれば、妻は三号ではいられないわけです。また、本人の年収がパートなどで百三十万を超えれば、妻自身は一号になるわけです。したがって、第三号被保険者制度というのは、一見女性を優遇している制度に見えますけれども、事実上は無職の妻のいるサラリーマン優遇制度というふうに言えると思います。三号の保険料は事業者と勤め人全体が負担しているということは皆さんも御存じのとおりかと思います。  ちょっと見ていただきたいんですけれども、図の一なんですけれども、これは神奈川県の企業規模別・男女別・年齢階級別所定内賃金です。一番上、一番多いのが大企業男性、次が中小企業男性、そして大企業女性、中小企業女性というふうになっております。男女にこれだけ賃金格差があるということは、標準報酬に、男性がほとんど女性の二倍近い額になっていて、それがそのままほとんど年金に反映されてしまうという状況です。女性年金がなぜとりわけ低いかというと、基礎年金の額しかもらえない女性が圧倒的に多いということであります。  もう一つは、第三号被保険者制度というのは、年金適用をしないでパートタイマーを雇い入れる事業所を優遇するということにももちろんなっております。このことの問題については、もうさんざん女性年金検討会でも論じられましたし、年金部会でも、社会保障制度審議会の年金部会でもパートタイマー、短時間雇用者への年金適用ということは提言されております。これがどうなのかということです。  どうしてそれが第三号被保険者問題ととりわけ関係しているかというのは、次の図二を見ていただきたいと思います。ごらんになると分かると思います。下が二十から二十四歳、若い、学生も含む人たち、女性です、これ。真ん中が第二号なんですけれども、二号というのが、最初、学校を卒業してすぐは圧倒的に女性でも多いのですね。それが年齢が上がるに従って、三十―三十四歳、三十五から三十九歳、これがどういう年齢かといいますと、育児で退職せざるを得ないという女性状況のときに二号は減ります。その後、女性の二号被保険者はほとんど増えないんですね。で、第三号というふうになっています。  では、女性は働かないかというと、働いているんですね。四十代の子供を持っている女性のうち、末子が三歳までは三割弱しか働いていませんが、十五歳ごろになると七割の女性は働いています。しかし、それがほとんどパートだということですね。そして、パートには年金を適用されないことが多いので非常に低い年金になる。それから、百三十万円を超えても基礎年金しかもらえないという問題です。  これは川崎市の例なんですけれども、川崎市では、例えば母子手帳を交付されるときには、川崎市全体で五割以上の人が働いています。しかし、三、四か月児とか一歳六か月児のときには一七・八%しか働いていませんし、三歳児のときでも二三・九%しか働いていません。  こういうふうに、パートタイマーを、年金適用をしないでパートタイマーを雇い入れるということと、女性の低年金、そして三号被保険者制度が結び付いているということについて、もっと真剣に議論していただきたいというふうに思います。  時間がないので、済みません、あとちょっとだけです。  三番目は、制度の根本的な改革と経過的措置ということについての議論をきちんと整理して論議していただきたいということです。  要するに、将来的に一本化するとか所得比例にするということは重要な目標ですけれども、それに移行する過程で是非急いでしなければならないことがたくさんあると思います。その中に女性年金の問題がたくさんあるということを是非御承知いただきたいというふうに思います。  以上です。
  286. 国井正幸

    ○団長(国井正幸君) ありがとうございました。  以上で公述人方々の御意見の陳述は終わりました。  それでは、これより公述人に対する質疑を行います。  なお、委員質疑時間が限られておりますので、公述人の御答弁は簡潔にお願いをいたしたいと思います。また、御発言は、挙手の上、私の指名を待ってからお願いをいたします。  なお、質疑者は、答弁をお願いする公述人をあらかじめ指名の上、御質疑をされるようにお願いいたしたいと存じます。  それでは、質疑のある方は順次御発言願います。
  287. 武見敬三

    武見敬三君 まず鈴木公述人にちょっとお伺いしたいんですけれども、この保険料上限を一八・三%に定めるということについては、様々に経済界からも企業負担が重くなり過ぎるといったようなことも言われてきました。  鈴木さん、実際、お勤めになる企業でこうした保険料負担について実際どのように受け止めておられるか、まずこの点をお伺いしたいと思います。
  288. 鈴木和行

    公述人鈴木和行君) 今、武見先生がおっしゃいました保険料が将来、平成二十九年ですね、一八・三%まで引き上がるということで、非常に、先ほども申し上げましたように企業負担は重いとは感じております。  しかしながら、今回の政府案でもある程度固定されるということでございます。企業としても一定の自助努力をするべく努力していこうというつもりでおります。
  289. 武見敬三

    武見敬三君 それから、和木田公述人からお話を伺いたいんですけれども、実際に窓口、相談窓口業務で大変御苦労をされているという印象を受けました。  実際に、例えば、たくさんいらっしゃるときに、昼休みというのは一番多くの方々が行きやすい、そういう相談時間になるかと思いますけれども、そういうときにはどのように対応されているのか。お役所だとよく昼休みはやっぱり型どおりにちゃんと休んじゃうというようなことになっちゃっているのか。あるいは、昼休みにもそういうときには対応されておられるのか。この点はいかがですか。
  290. 和木田邦雄

    公述人和木田邦雄君) 私の事務所だけでなく、私の知り得る中では、神奈川県全体の事務所は昼休みも交代で職員が、相談員も含めまして交代でお客さんと対応しております。  ただ、限られた人数の中で交代でございますので、若干相談の席といいますかブースが、件数とかは、実際問題、私の事務所でいいますと、先ほど四名の三名で七名ですから、そこを四人、それから三人という具合にそれぞれ休憩時間を分けましてお客様と対応していると、こういうことでございます。
  291. 武見敬三

    武見敬三君 大変だとは思いますが、是非御努力をお願いしたいと思います。
  292. 和木田邦雄

    公述人和木田邦雄君) それは、そういう中でもやはり頑張っていかなきゃいけないと思って、頑張っております。
  293. 武見敬三

    武見敬三君 引き続き御質問させていただきたいんですが、これは、国民年金の加入手続は法定委任事務ということで各地方自治体の窓口業務になっておりますですね。  そういうときに、例えば厚生年金からあるいは国民年金に移行する場合、ただ単にその国民年金に移行する手続だけではなくて、例えば医療保険についても、組合健保あるいは政管健保から今度は国民健康保険に移行するという手続がかなりの窓口業務として一つの書類で一緒に行われていると、これはむしろ一般的には極めて効率的な手続になってくるのではないかと思いますけれども。国会議員のケースなんか、ある意味で、その結果として国民年金に加入することをうっかり忘れてしまうという、そういう一つの手続上のミスにもつながってしまったわけですけれども、こういった加入事務、実際に社会保険事務所のような保険料の徴収事務等を行っているところとこういう形で分けられている。この連携はうまくいっているんですか。  それからさらに、将来的に、こういった保険料の徴収事務等々と加入事務の在り方というのは、今のような形で分けられているのがいいのか、あるいは一本化されていくことが好ましいのか、どのように実際現場でお仕事をして受け止められますでしょうか。
  294. 和木田邦雄

    公述人和木田邦雄君) やはり今、加入の手続は、これは既に市町村の方へ全部移っております。もうこれも昔からそうだったんですが、一枚のアコーダーの中で、例えば国保に、国保喪失だと、その理由といたしまして厚生年金に加入したからと。国保と国民年金は一体性になっておりますので、先ほどの御質問の中でも、やはりそこで、書式自体は合理的だと思いますけれども、なかなか大量な書類の中でチェックが難しい部分もございます。  それとあと、保険料の徴収関係なんですが、やはりこれもなかなか、先ほどからお話がいろいろ出ておりますけれども、私どもはただ手をこまねいているわけじゃございませんでして、勧奨状だとか戸別訪問だとかいろいろやっておるわけなんですが、例えば戸別訪問出ても昼間なかなか被保険者に会えないという部分もございまして、苦労しているところでございます。  以上です。
  295. 藤井基之

    藤井基之君 神代公述人にお尋ねさせてください。  御案内のとおり、もう今我が国では七千万人の方が被保険者でありまして、そして三千万人の方々が実は現にもう年金を受け取られているわけですね。そして、去る二十八日、厚生労働省がまとめた二〇〇三年の国民生活基礎調査、この結果御存じと思いますが、高齢者世帯の数というのはどんどん増えてきておりまして、七百二十五万世帯と、全体世帯の一五・八%になっている。この高齢者の世帯の方々所得状況を見ますと、このうち公的年金や恩給が所得の割合でどのくらい占めているかというと、これはもう六七%になっているというんですね。そして、その高齢者の世帯で年金を受給されている方々の中で、公的年金や恩給だけしか受けていないですよ、それが所得ですという方が、その高齢者世帯のいわゆる受給世帯のうちの六割以上、こういう実態が現にあるわけです。  ですから、私はそう思ったときに、やはり年金改革議論、いろいろな幅広い角度から議論されているわけですが、少なくとも年金のこの改革審議というものを先送りして、ここでゆっくり構えて審議するというのは私は非常に乱暴な話と、実態から、余りにも無責任過ぎると。実態がある中でどういうふうに改革を進めていくべきかというふうに思うんです。  それで、神代公述人にお聞きしたいのは、実は先ほど読ませていただきまして、非常に的確な御指摘を受けているんですが、一番最初のところに書いてある、今回の幾つかのこの先生の御指摘の中で、スウェーデン方式の長所を取り入れた仕組みだからいいという御指摘がございました。ただ、これについて一つお伺いしたいんですが、スウェーデン方式というのは確かにいいんですけれども、これは、ただし、今回のいろいろな御指摘というのは実はスウェーデン方式すべてが入っていないですね。じゃ、スウェーデン方式がいいと言われるけれども、一体どこが我が国の制度になじまないところがあるのか、まずそれをお聞きしたいと思います。
  296. 神代和俊

    公述人神代和俊君) スウェーデン方式で一番なじまないのは所得比例の方式だと思います。これは、やはり税の完全な、所得税のですね、納税者番号制度が完全に施行されて所得の把握が一〇〇%自営業についてもできる、お医者さんや弁護士さん、たくさんいらっしゃると思いますが、農民だけじゃなくてですね、そういう人の所得把握ができるようになれば非常に理想的な制度だと思いますが、それができないのが一番の問題で、スウェーデン方式の中でも取り入れられる部分はマクロ経済方式ということで申し上げたとおりやっているわけです。所得比例は理想として大変いいと思いますが、残念ながら現状では税制上不可能だということだと思います。
  297. 藤井基之

    藤井基之君 もう一つお伺いします。  今、先ほど年金相談の問題でも公述人から御指摘がありましたけれども、実際に年金をもらう段階になったら、やはり個人個人は、自分は幾らもらえるのかということを知りたいのは当たり前のことだと思うんですね。長い間払っていて、自分は本当に一体幾らもらえるのかなという、そういうふうに考えたら、これはそういう、一番分かりやすいのは積立方式だと思うんですね。自分がこれだけ積み立てたからこれだけもらえるようになるという数字は非常に分かりやすい。ところが、こんなことやったら、物価がどんどん動いたりなんかした場合に、そうすると正に私的、そういった傷害の例えば保険なんかと同様に、払ったときは幾ら払ったんだけれども、実際に物価がどんどん上がっちゃって、実態として受け取るときの実質価格が非常に下がっちゃうということが起こると思うんです。  その点、この年金の今考えられているいわゆる給付負担の関係をいわゆる賦課方式で行うというのは、そういった物価に対応することができると、先ほどのスライド制の先生御説明ございました。こういったいわゆる積立方式で考えた方が分かりやすい、個人個人にとって、だけれども、その世代間の仕送りという賦課方式という方式を取らざるを得ないんだというところについてもう少し分かりやすく御説明いただけませんでしょうか。
  298. 神代和俊

    公述人神代和俊君) 日本の場合は、御承知のように、昭和十九年に現行厚生年金になったときは完全な積立式で、しかも平準保険料で一一%というべらぼうな高い保険料を取っていたんですが、昭和二十三年に戦後の混乱とGHQの指令、指示があって三%というとんでもない低い率に下ろしたわけですね。当初は完全な積立方式、ある意味で、そういう意味で分かりいい制度だったはずなんですが、三%にしたら積立てでやれるわけがないんで、もうその時点で実質的に賦課方式にせざるを得なかったんですが、昭和三十七年まで実際は一般の厚生年金保険者は支給がありませんでしたから、三十七年に実際に支給が開始されて、十年ぐらいの間にだんだん給付も上げ、保険料も引き上げるということで、ある意味で継ぎはぎにならざるを得なかった歴史的宿命があるわけですけれども。  そういう過去の制度的な制約を引きずっている中で、世界じゅうどこの国でもそうですけれども、やっぱり今、物価の変動とか経済成長の変動とかそういうものに対応して年金財政を維持していこうと思いましたら、やっぱり賦課方式によらざるを得ないという、これもうほとんど結論が出ている問題だと思うんですね。積立式にしろという意見はほとんどないと思いますけれども。  細かい点は書いたものに出してありますので、ごらんいただきたいと思います。
  299. 藤井基之

    藤井基之君 次に、鈴木公述人にお尋ねしたいと思います。  鈴木公述人が御指摘いただいた件で一つ、私もそのとおりだと思った点があるんですが、それは何かというと、やはり年金の問題というのを今議論していただいているわけですけれども、事年金だけで限局的な議論をするよりも、やっぱり社会保障全般の制度というものをどうするかという中で年金というのは位置付けられているという点からの御指摘がございました。  御案内のとおり、現在、社会保障費というのは八十兆円以上が支出されているわけですね。そのうち年金が約半分、四十二兆円でしょうか。これを厚生労働省の試算だと二〇二五年に社会保障費だけで百五十兆超えてくると。年金も八十兆という巨額になるというふうに試算されているわけですね。これ一つには少子高齢化の問題等もあるわけですが、そうした場合、今鈴木公述人お話しになったように、社会保障制度全般を一体的な、一元的な改革というものを考えるために広く協議をすべきだと、こういう御指摘いただいたんですけれども、もう少し突っ込んで、どういった角度からこの社会保障全体の中を見るべきだとお考えでしょうか。
  300. 鈴木和行

    公述人鈴木和行君) 私、先ほど申し上げましたように、実務的な立場から、医療保険、これについても非常に負担が大きくなっている、個人負担も大きくなっていると。それから企業側にとっても、先ほども後段で申し上げましたように、人を六十五歳まで雇用していく中で、雇用保険制度の問題やら、それから医療保険もございます、賃金も総労務費を増やすことができない中で、どうやっていくかというのが企業の命題だと思います。したがいまして、企業側としましては、そういったものの負担保険料負担、それから制度の合理性、これらを考慮していただきたいという趣旨でございます。
  301. 藤井基之

    藤井基之君 廣瀬公述人にお尋ねさせてください。  御指摘いただいたとおり、私も今の現制度というのは非常に分かりづらい、複雑でございます。年金の勉強してもなかなか全部分かることというのはもう不可能かなと思うぐらい難しいんですね。それでその中で、公述人が御指摘いただいたように、これをもっとシンプルにできないだろうかという御指摘、もっともだと思うんですよ。  ただ、各年金制度が発足からの経緯があって今こういう状況になっていると思うんですね。そして、公述人指摘したように、これから先ライフスタイルを、国民のライフスタイルというのは多様化してくるということがある。そうすると、そういった多様化していく国民のライフスタイル、それに対応した、例えばこういった社会保障制度、特に年金制度というものは、シンプル・イズ・ベストなんだけれども、シンプルにしたいんだけれども、シンプルにしては対応し切れない問題というのもあるのかなという感じがするんですけれども、これについてどうお考えでしょうか。
  302. 廣瀬幸一

    公述人(廣瀬幸一君) シンプルにして対応できないということはないと思います。  例えば、現在、先ほど私若干説明したんですが、六十代前半で、六十例えば三歳としましょう、その方、会社勤めの人、会社でも常勤者になるかパートタイマーになるか、あるいは自営でやるか無職になるか、それぞれ全部細かく年金の金額が違ってきてしまうんですね。本当はそういうのって何か変だなと。働いてそれだけ何か、年金もらうべきものが減っちゃうというのは基本的には私はおかしい。それは人によって、私の同業者の中でも見解は違いますけれども、何も働くか働かないかは個人の自由じゃないかと。やっぱり決められた、もらう年数が来たら、やはりそれは前に約束したんだったら出すべきじゃないかと。  私が就職したころ、私は昭和四十年代の就職なんですが、当時年金支給時期は五十五歳でした。そうか、五十五になるとこういうふうに辞めたときにも年金もらえるのかと。途中でそれ違ってきました。六十歳になり、今六十五歳になり、今七十になっています。さらに、七十超えても今度は年金を出さないような案も出ております。  こういうのが制度を信頼を揺らぎさす一つ理由だと。別にだれにだって国家財政年金出しても私は、これは自民党さんが反対するというのも何か奇妙だなという感じするんですけれどもね。別に収入が多くなったって私はいいなというふうに思っています。
  303. 藤井基之

    藤井基之君 済みません、時間が限られていますので、皆さんにお尋ねしたいんですけれども、多分時間的にも最後になると思います。  国広公述人にお伺いしたいと思います。  今、特に今日は時間限られているということで問題点を絞られて、女性問題と年金という、実はこのテーマでは国会の中でも同じテーマで幾つかの議論がされておりました。先ほどの私が廣瀬公述人にお尋ねしたのと同じ点なんですが、女性問題と年金の問題を考えた場合、やはり女性のライフスタイルが非常に多様化していることが、どういうふうな制度内で対応していくかということに対していろいろな角度から検討せざるを得ない状況になっていると思うんですね。これも先ほど、私もシンプルな方がいいというのはよく分かるんですけれども、実は選択肢が広がることというのは、逆に言いますと、この問題を考えるときに、国民のいろんな意識を持たれるとしたら、多様なメニューを用意して、ただそれを分かりやすくしてあげるという、そういうことが私は必要だと思うんですね。  これについて、どのような形だと例えば女性の方に分かりやすい年金と言えるのか、それに対して御意見がありましたら教えていただきたいと思います。
  304. 国広陽子

    公述人国広陽子君) 基本的には、先ほど私が申し上げました、神代先生は税制が変わらないととおっしゃいましたが、所得があったらそれに応じて保険を納めて、それに応じてもらうという形ですよね。  今の一番複雑なのは、同じライフスタイルの人が別の制度に入らざるを得ない。つまり、仕事を持たないで、例えば家事や育児をしている人が一号と三号に分かれていますね。こういった同じライフスタイルの人が分かれているというのをまず見直した方がいいと思います。
  305. 藤井基之

    藤井基之君 済みません、もう一分ありますので、和木田公述人にお尋ねします。  先ほど、年金相談で非常に職員が一生懸命やっているけれども、大変なんですよという御趣旨のお話ございました。端的にお伺いします。解決策は何があるとお考えでしょうか。
  306. 和木田邦雄

    公述人和木田邦雄君) やはり相談コーナーの体制を要するに強化と、それにはやはり人的な問題もあろうかと思います。
  307. 藤井基之

    藤井基之君 終わります。
  308. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 民主党・新緑風会、辻泰弘でございます。公述人の皆様方には、本日御参加いただきまして厚く御礼申し上げます。限られた時間でございますので、かいつまんだ質問になりますことをお許しいただきたいと存じます。  まず、廣瀬公述人にちょっとお伺いさせていただきたいと思います。  先ほど陳述要旨を拝見させていただきまして、モラルハザードの部分、時間があればとおっしゃっておられたんですけれども、ちょっと時間もあれでしたんですが、その辺について御所見ちょっと伺えればと思います。
  309. 廣瀬幸一

    公述人(廣瀬幸一君) 例えば、この法案には入っていなかったかもしれませんが、またいずれ入るかもしれません、例の未納者の過去にさかのぼっての納付なんという問題出ておりますですね。最近議員さんが未納が多くて、こういうことになっているんですけれども、例えば議員で二十年ぐらい未納だった方いらっしゃいますよね。あの方なんて、例えばこのままいっていれば国民年金は受給できなかったんですよ、二十五年満たさなくて。今回の未納、納めて、これ要するに彼に月六万、幾らもありませんけれども、給付することになりますね。小遣いを出すことになったわけですよ。  これは一例ですけれども、ほかの、例えば三号被保険者、今度は追納でさかのぼって認めるよという案も出ております。これなんか本来の法律とは全然違うわけですね。何か個人が失敗、何だか知らなかったとかいろんな複雑な理由で手続しなかったからそれをうんと何年もさかのぼって認める。これ実は過去にもあったんです。平成七年だったと思いますが、平成九年までに出せば過去のやつ全部認めるというのがありました。今度またそれをやるわけです。これ繰り返して幾らでもやるわけですよ。これは、もちろん本人助ける意味ですけれども、こういうふうに甘いものを時々出してなだめていくという感じで進めてきたという私は意識を受けています。  以上です。
  310. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 加えて、陳述要旨の中に大事なポイントだと思って、御説明の時間がなかったので御言及なさらなかったんですけれども、ここで書いている年金教育ということと、国民年金六万六千円はセーフティーネットかと、こういうふうに二点書いていらっしゃるんですが、この点についても御所見を賜れればと思います。
  311. 廣瀬幸一

    公述人(廣瀬幸一君) 例えば、学校を卒業して二十歳でこれは国民年金、義務が発生します。フリーターであろうとこれは義務です。全くその知識なく社会にほうり出されるわけです。親も実は知らないんです。四十代、五十代ぐらいの親でしょう。親も知らない、子供も知らない。学校の先生も余り知りません。何とかこれ年金、要するに介護だとか医療に関する教育というのはかなりできていると思います。ところが、年金となると全く無知のまま社会にほうり出される。非常に危険な状態が発生しているんです。これは学校のときからやはりこういう、社会人になったらこうなんだよ、これは義務なんだよと、これは助け合いの制度だということを認識させるような教育というのが中にないといけないんじゃないかなと。  そういうことで、私どもも年じゅう地元の議員なんかと話しますと、学校へ行っていつでも我々は役に立つような、講師はやるよぐらいのことは言っておりますが、そういった意味で何らかの、これは教育、全く今抜けていますから、これはする必要があると、そういうことであります。  それから、セーフティーネット六万六千円の件なんですが、これは四十年間二十歳から六十歳まですべての月をまじめに納めて月六万六千円、細かいところは別にしまして六万六千円。今年は二、三年前より下がっているんですけれども、六万六千円なんですよ。これって生活の金額ではないと思います。どうでしょうかね、食費部分というぐらいじゃないんでしょうか。お金持ちの人には小遣い程度。これをもってセーフティーネットをやりましたと言い切ることができるのか。  この金額は、国民年金だけの人に私はアドバイスするんですけれども、足りないよと。みんな必ず、民間の保険なりあるいは国民年金基金という上積みの制度が今あるんです、これもできれば入った方がいいよと、こういうことは勧めています。これだけでほうり出されるというのは非常に危険です。  更に言いますと、今までの年金で確かにかなり多く出している部分というのは私はあったと思います。例えば、国民年金もこれ一種類じゃないんです。例えば、当時、昭和四十年代に五年年金というのがありました。五年間だけ掛けて、あなたは年金出しますといって、今四十数万円ぐらいもらっているんですよ、そういう人は。十年年金もあったんです。五年年金二回に掛けて再開五年年金というのがありまして、それから老齢福祉年金というのもあった。実は六種類あるんです、国民年金の中に、今もらっている人で。実はそういう、五年だけ掛けて、今八十代の人なんかで結構多いんですよ。自分でも五年年金だということを知らないんですよ、実は。  そういう甘いこともかなりやってきて、ばらまきと言っていいか、非常に甘いこともやってきています。それで来て、今ここにこういう、今度は未納だとか滞納だとか、若い人が払わなくなって、今度は財源がどうのと、こういう問題に今来ているという私は認識であります。
  312. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 重ねて廣瀬公述人にお伺いしたいんですけれども、現場の社会保険労務士のお立場から実務に通暁されていると思うわけですけれども、その中で未納、未加入の現状についての御言及があったわけですが、廣瀬さんからごらんになったときに、未納対策、未加入対策といいますか、そういった制度的な整備、体制、教育効果といいますか、そういったシステム作りは何が必要だということをお考えか、お聞かせいただきたい。
  313. 廣瀬幸一

    公述人(廣瀬幸一君) 今も、先ほどの件と関係してくるんですが、教育というものもまず一つあるでしょう。それから、法律というのは、作って一般の国民がそれを守る、それに積極的に参加するという意識がなければ、形だけを作っても機能はしないんじゃないかと。現在の国民年金一号被保険者納付状態を見ると、これはもう支持を受けていないと言っていいんじゃないかなと。  年金のことはいろんな審議会とか何かでも学者その他でいろいろ論議されていますが、通常は私なんか見て、大きな組織の方々、要するに大企業、それから学者、要するに大きな組織に守られた恵まれた人たちでやっているから、かなり、上下と言いたくないんですけれども、かなりの、いつの社会でも漏れるというのはあると思いますが、それがわずかではなくて、今大量にできつつあるというところに問題があると。だから、これに対しての仕組み作りというのはよほど、今の制度をそのままにしておいて形だけどんどんパッチ当てをしていっても、これはますます未加入は増えるだろうと。ましてや、今度は保険料上がるわけですから、入るというインセンティブがないわけですね。強制徴収だけでそんなに増えるなんてとても考えられません。  ですから、どこかでやはりこれは基本的な改め方、過去にも、昭和六十一年にも大きなそれは基本改革やりましたし、昭和三十四年、国民年金もちろんやりました。それに匹敵するか若しくはそれ以上の改革というのは、もうそろそろやらなくてはいけない時期に来ているということが私の認識であります。
  314. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 御承知のとおり、今般の政府提出年金制度改革案は、基本的には現行制度の枠内での手直しということになっていると私ども思っておりますけれども、そういう中で私ども民主党は、公的年金制度、国年、厚年、共済一元化ということを強く主張して今日に至っているわけでございます。  公述人方々に一言ずつ、公的年金制度一元化について、賛成、反対ということを含めてちょっと一言ずつお言葉をいただけるでしょうか。
  315. 神代和俊

    公述人神代和俊君) 公的年金一元化は既に、あれ昭和五十二年からですか、五十九年でしたか、随分前から閣議決定を何遍もやって推進してきている問題で、私もかつて公的年金一元化懇談会の座長をやって、農林年金の統合のときにやりました。現在もその作業は共済年金等で続けてやっております。  民主党さんが主張されている点は、国民年金を含めた一元化だと思います。これは非常にロングランの理想としては大変いい案だと思いますから、三党協議の中で、どういうふうにして将来的にそういう方向へ持っていくか是非議論を深めていただきたいと思います。けれども、現状では一挙にそこへ行くのは大変難しくて、既に十数年掛けてやってきている既定の公的年金一元化の作業をもっとスピードを上げて積極的にやるというのが先決だろうと思います。
  316. 廣瀬幸一

    公述人(廣瀬幸一君) 一元化、賛成です。政治的に大きな勇気を必要とすると思います。特に、不公平というのがあるわけです。例えば、厚生年金共済年金、公務員の問題、これは差があります。議員年金も、これは互助会のあれだから別としまして、そういう不公平感をなくすという意味でも一元化に進むべきであります。  以上です。
  317. 鈴木和行

    公述人鈴木和行君) 一元化につきましては、基礎年金を除いた共済厚生年金一元化については賛成でございます。自営業者の場合の所得比例、所得の捕捉に問題ありと判断しております。  以上です。
  318. 岡本一

    公述人岡本一君) 将来的には、そういう方向を目指すというのは一つの方策だと思います。しかし、今労働者にとって一番重要なことは最低保障年金を掛金なしで早期に作っていただきたいということでございます。  以上です。
  319. 和木田邦雄

    公述人和木田邦雄君) 私の今の立場でコメントはできないと思います。申し訳ございません。
  320. 国広陽子

    公述人国広陽子君) 基本的に、将来的に一元化することは当然だと思います。ただ、それをいつどのように、具体的に、経過的には何をやって詰めていくかということをもっと早くから具体的に論じてほしいと思います。
  321. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 もう一問、皆さん方に一言ずつお願いしたいんですけれども、やはり現在の国民の声を新聞等で、マスコミ等で聞きましても、七割近くの方が、国民皆さん方が、今国会でのこの法案の成立は見送るべきだと、こういった主張が強いわけでございます。  そういう国民の声をどう受け止めておられるかということが一つと、もう一つは、国会をマスコミ等で見ておられて、国会で審議が十分尽くされている、もう既に審議が十分尽くされていると思っていらっしゃるかどうか。その二点、一言ずつお願いしたいと思います。
  322. 神代和俊

    公述人神代和俊君) 世論調査というのはやり方がいろいろありますから、一つの参考にはなると思いますけれども、新聞のやった世論調査がすべて世論を正確に反映しているとは考えておりません。
  323. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 審議は尽くされているか、十分審議ができているかどうか、国会で。
  324. 神代和俊

    公述人神代和俊君) それは幾らやっても尽きないほどたくさん問題がありますからね。無限に問題がありますけれども、基本的な部分は、既に年金部会で二年間やってきた意見をたたいて、いろいろ先生方の方で手直しして法案が出ているわけですから、資源が、時間と資源は有限ですから、その中では非常に、今までの年金改革に比べて相当立派に議論をなさったというふうに考えております。
  325. 廣瀬幸一

    公述人(廣瀬幸一君) 給付五〇%前後の問題も含めまして、国民に分かりやすい形での審議にはなっていなかったと考えています。  見送るべき法案であると考えます。
  326. 鈴木和行

    公述人鈴木和行君) 先送りする問題ではなく、早期に実現すべきだと思います。  審議の方についても、神代先生がおっしゃったように限度があると思いますので、もう先送りするべきではないと考えます。
  327. 岡本一

    公述人岡本一君) 陳述要旨にも書いておりますけれども、今度の国会でやるべきでないと考えております。  中小企業にとってもこのような保険料引上げ負担し切れないと思いますし、一般国民にとっても、国民保険なんかについては保険料払えないということで、是非再度やり直しをしていただきたいと思いますし、空洞化議論が全くされていない、どうやって歯止めを掛けるのかというようなことを含めて議論は不十分だと思っています。  以上です。
  328. 和木田邦雄

    公述人和木田邦雄君) やはりコメントする立場ではないと思います。
  329. 国広陽子

    公述人国広陽子君) 常にこういうふうに議論が足りないというふうに言われますが、審議会から出た案、厚生省から出た案、だんだんと女性年金に関しては少なくとも後退しておりますので、審議することで良くなるかどうかということについてはちょっと疑問を持っております。
  330. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 まず、廣瀬参考人と鈴木参考人に伺いたいと思います。  今回の法案が仮に与党側の強硬な採決で成立したとしますと更に雇用状況が悪化すると我々は考えておりまして、保険料を十四年間続けて大幅に上げていく、一方で非正規労働者に対する年金の枠の拡大というのが図られなかった。当然、企業側とすれば正規労働者をリストラして非正規労働者に組み替えていくということは当然だと思うんですけれども、このことを国会の中で私の方で質問申し上げても、この基本的な認識に、同じ認識に立っていただくことができないということがございます。  それで、鈴木公述人からは先ほどいろいろ御意見いただいたんですけれども、私が地域の経営者の皆さんから聞く意見とちょっと違うなというふうに思うんですね。ですから、雇用の流動化が一層促進されるという観点から、鈴木公述人と廣瀬公述人、それぞれの御意見を承りたいと思います。
  331. 廣瀬幸一

    公述人(廣瀬幸一君) 料率、この保険料率ですが、これ大企業を始めとして利益が十分に出ているところではまず問題ありません。どんな料率であろうとこれは経費として落ちるわけでありまして、利益さえ出ていれば、大きな利益が出ていれば、これは別に何にも動じないということであります。  その観点からいいますとこれ問題ないということになるんですが、そうでない企業というのは数的には物すごく多うございまして、過半数、非常に中小零細企業の労働者、それから事業主、これにとっての厳しさ、これはますますこれから空洞化する。もうそれでいいんだということを、この法案成立させるので、というんなら話は分かるんですけれども、国としてどうするんだという、これは全然、何というか、回答、答えが出ていない状態ではないかなと。その辺をどのように考えるのか、逆に私は与党側に質問したいぐらいなんであります。  以上です。
  332. 鈴木和行

    公述人鈴木和行君) 先ほど、保険料の水準引上げによりまして労働形態が変わっていくであろうというアンケート調査結果を端的に申し上げた次第でございます。  想像の域は別にしまして、実際、当社での例によってお答えしますと、過去、パートタイマー、非、正規労働者じゃない方もいらっしゃいました、現在おりませんが。例の四分の三ですか、問題ございました。四分の三、六時間あるんだけれども入りたくないとか、こういう問題、会社としての責任で全部入れました。現在はおりませんけれども、社会保険の適用を阻害するため、排除するためにあえて短時間の労働者を雇うという姿勢は全くございません。
  333. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 鈴木公述人の会社は非常に状況がいいのかなというふうに、私としては今感想を持ちました。  このことに関連して国広公述人に伺いたいんですけれども、女性年金ということでこのような問題は特に論じられてきたわけですけれども、特に正規労働者、非正規労働者という、多様な働き方ということに関して言えば、もはや女性ということに限らず、むしろ男性も、特に若年者、このような問題が拡大している、もはや女性年金という問題ではなくなってきているというふうに考えるんですが、その点についていかがでしょうか。
  334. 国広陽子

    公述人国広陽子君) 確かに男性の非正規雇用も増えておりますけれども、女性のパートタイマーの比率の方が多いですね。  そして、もちろん、私は先ほどは第三号被保険者の問題とパートタイマーの問題、適用の問題は非常に密接であるという意味でそういうふうに申し上げましたが、非正規雇用者が増えているということは、それはもちろん男性も同じです。ですから、非正規雇用者への年金適用については男性も同じです。フリーターと言われるような若い人たちが非常に増えております。
  335. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 恐らく最後になると思いますのですべての公述人の方に伺いたいんですが、我が国の年金制度に対する信頼を、国民皆さんの信頼を回復するために、どんなに立派な制度を仮に抜本改革をして作ったとしても、国民の理解、そして支持が失われれば、もうその制度はできた途端に、開始した途端に崩壊に向かってしまうというふうに考えております。  その意味で、国会議員国民年金未納、未加入の問題、特にこの法案提出者、両厚生労働大臣国会議員になってから長期間にわたって未加入、未納であった。このような状況のまま国民に非常に大きな負担を強いる今回の改正案を提案する資格はないと私どもは考えておりまして、辞任を要求しておりますが、このことについても公述人皆さんから御意見を伺わなければいけないというこの公聴会状況を大変残念に思っておりますが、このことについて一言ずつお願いいたします。
  336. 国井正幸

    ○団長(国井正幸君) 時間が来ていますので、簡単にひとつ。
  337. 神代和俊

    公述人神代和俊君) 国会議員未納、未加入問題は確かに大事ですけれども、だからといって今回の法案を廃案にするとか先延ばしにするというのは、これは本末転倒の議論です。  おっしゃるように、国民の信頼を回復し、毎年四十兆円の年金を払っていかなきゃいけない、そのことの重みを国会の先生方には是非十分御配慮いただきたいと思います。
  338. 廣瀬幸一

    公述人(廣瀬幸一君) 国会議員未納だったということとこの法案がいいか悪いかは確かに別の問題として考えています。未納であってもこれが良ければそれはそれで私は良いという、もちろん通していいというふうに考えますが、私はそれは別に考えまして、この法案というものを非常に、先ほどから述べていますように、内容的に私はちょっと通すべきではないというふうに考えます。  以上です。
  339. 鈴木和行

    公述人鈴木和行君) 基本的には神代先生と同意見でございます。ただし、任意加入期間まで騒ぐのはいかがかというふうに思っております。
  340. 岡本一

    公述人岡本一君) 基本的にはまずいと思いますし、ましてや衆議院を可決してから明らかにするなど、アンフェアなやり方だと考えております。  以上です。
  341. 和木田邦雄

    公述人和木田邦雄君) やはりコメントする立場ではないと思います。
  342. 国広陽子

    公述人国広陽子君) 先ほど最初に申し上げましたが、議論を、提出者として資格がない云々ではなく、中身の議論をしてほしいというふうに有権者が思っているということを是非分かっていただきたいと思います。
  343. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 公明党の渡辺孝男でございます。  今日は、貴重な御意見公述人皆さん、ありがとうございました。  私からはまず、年金制度の安定ということでお伺いをしたいんですが、先ほど廣瀬公述人は、百年先の予測は不可能だと、年金制度百年計画を作るあるいはそういう制度を作るということは無謀な予測だというような御意見があったんですが、私はこのお話聞いて非常に残念な思いをしたわけです。年金制度はやはり長期間安定が一番大切なことだと、そのように思うわけです。そういう意味で、今百歳を迎える方も多いわけでございまして、今おぎゃあと生まれた方が年金制度いずれ入るわけですが、そういう方々も百年まで安心できるんだと、できるだけそういう制度を作るということが大事なんではないかなと、そのように思うわけですが、こういう年金制度、非常に学識の深い神代公述人にお伺いしたいんですが、こういうやはり百年見通しての年金制度を作ることが求められていると私は思うんですが、いかがでしょうか。
  344. 神代和俊

    公述人神代和俊君) 先生御指摘のように、私も廣瀬公述人の御意見を伺っていてちょっと理解が違うなというふうに思っておりましたが、多分廣瀬さんは予測という言葉の意味を何か完全に将来を予見できるという意味にお使いになっていると思うんですね。そういう意味でいえば、神様でなければ何人も、百年先はおろか、一年先でも二年先でも完全な予測なんというのはだれも今できません。天気予報と経済予測以上に年金の予測は難しいと思います。  しかし、年金で言っている予測というのは、一定の前提値に基づいて、人口とか経済成長とか賃金の伸びとかインフレとか利回りとか、そういう基礎率の基本的なものを、過去の経験に基づいて合理的と想定される範囲の中で一定の想定値を置いて計算せざるを得ないわけですね。不確かな部分がどうしても残りますから、それについては五年ごとに今後も財政検証をやって、五年たったらまたそこから百年、十年たったらそこからまた百年というふうにローリングで見直していく必要があるわけですね。それによって予測の不正確さというか不確実性というものをカバーしていくというのが年金の予測という意味でありまして、完全に見通せる制度があるなんというふうにはだれも考えていないと思います。
  345. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 廣瀬公述人に、おっしゃったのでいろいろその背景があると思いますので、お伺いしたいと思います。
  346. 廣瀬幸一

    公述人(廣瀬幸一君) 今の神代さんのお話ですと、百年という数字を初めから出す必要はなく、五年ごとに変えていくんだということで十分であります。百年というのはただ意欲でありますから、目的であります。百年間まで続けたいんだという意欲なら分かるんですけれども、はっきりと百年という数字を出しているわけですから、これを、意欲を法案ということになると話が全然、それこそ私は理解できません。  以上です。
  347. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 私は、やはり今までの年金制度の不信感を持っておられる方というのは、やはり五年ごと制度が変わってまた保険料が上がってしまう、そういうことに対して、あるいは給付が下がってしまう、そういうことに対する不信感というのが大きくて、それで、いや、年金制度本当にもつのかなということで、もたないんだったら入らなくてもいいんじゃないか、私的年金の方でやった方がいいんじゃないかという思いが出てしまうので、やはり制度としてはもう長くもつような形の制度が望ましいと、そういう考え方でおるわけです。  あと、岡本公述人の方から、政府提案年金制度ですが、例えば国民年金上限が、その額が超えてしまうんではないかと、ある時期に来ましたら。あるいは、平均所得の五〇%を確保すると言っているが、本当にそれが確保できるのか、裁定を受けたときには五〇%以上であるけれども、だんだん年を重ねるに従って減ってしまうんじゃないか、そういう議論がいろいろ出ておりまして、資料としてはそういうこともあるわけですが、これは制度設計上そういう、裁定時に五〇%以上確保という形にせざるを得ないということですが、こういうマクロスライド方式というのはなかなか国民皆さんにお分かりいただいていない点もあると思いますので、一番お詳しい神代公述人にマクロスライドということでやっているということを分かりやすい形で御説明いただければ幸いなんですが。
  348. 神代和俊

    公述人神代和俊君) マクロ経済スライドというのは、簡単に言えばスウェーデンのやったいいところをまねした制度なんですが、一つは、これからどんどんやはり寿命が延びます。寿命が延びていきますと年金を払わなければいけない期間が増えますから、一年間に払う年金を少しずつ薄くして、まあ薄いようかんを長い間食べてもらうというやり方をせざるを得ないわけですね。その寿命の延びに対する調整、これが〇・三%でしたか。それから、労働力人口が減っていきますから──寿命が〇・六でしたか。それから、労働力人口がこれから二〇〇六年以降徐々に減っていきます。それの減少が〇・三ぐらいでしたか。ちょっと数字が両方違っていたかもしれませんが、両方合わせて〇・九ぐらいになります。その分をやはり、現役の賃金が実質で一・一伸びた場合にマイナス〇・九ということで、引いた〇・二%分だけ年金を引き上げていきましょうと。  だから、決して今より悪くなるわけじゃないんですが、今までみたいにぴゅっとは良くならない。それはもう将来の負担を抑える以上はしようがないという考え方です。寿命の延びと人口労働力が減る分に対する自動調整装置を取り入れたという意味だと思います。  委員長、ちょっと、廣瀬委員の御意見に対してちょっと多少よろしいでしょうか。
  349. 国井正幸

    ○団長(国井正幸君) よろしいですか。
  350. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 はい、どうぞ。
  351. 国井正幸

    ○団長(国井正幸君) はい、どうぞ。
  352. 神代和俊

    公述人神代和俊君) どうして百年かというのは、私の出したメモを後でゆっくりごらんいただければ書いてあるんですけれども、年金の将来の給付負担のバランスの計算をする際には、労働力の伸びとか将来の保険料収入の見込みとか、それと並んで、日本は百六十兆もの公的年金全体で積立金持っています。六年分ぐらいの積立金。こんな多額の積立金を持っている国はないわけですね。それを有効に使っていく。さらに、しばらく保険料〇・三五四でしたか、ずつ毎年上げていきますが、それによってしばらくまた積立金が増える時期が直近では起こるわけですね。それを二〇五〇年以降、一年分に減らすまで、六年分を一年分に減らすように徐々に取り崩していくということもファイナンスの、年金を回していくための重要な手段になっているんです。  ですから、どうしてもこれは百年間で計算しないとできない。人間の一生が約百年になっているということと並んで、年金財政の回し方がそういう仕組みになっているので、やっぱり百年ごとでやらないと困るんです。
  353. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 いろいろ国会の審議のことについても先ほど委員の方からお話がありまして、皆さんの御意見を聞いたわけですが、私の方からは、年金制度をこれまでいろいろ何回にもわたって改正をしてきたわけですが、今回の改正案が通らないとどういうことになるのかということで先日委員会の方で質問をさせていただいて、このままの制度のまま一年間続いてしまっていくと、平成十七年度末の収支決算では収支赤字が厚生年金の場合には四兆四千億円ですか、そういうふうに赤字がなってしまう、一方、国民年金の場合は三千億円の単年度赤字になってしまうということで、改正がされれば厚生年金財政の方は単年度で八千億円ぐらい改善する、国民年金の方は一千億円ぐらい改善するんだ、合わせて一兆円弱が年金財政が改善するというお答えをいただいたわけですが、そういう意味では、今回改正を見送って先送りすればするほど一年間で約一兆円ぐらいの、一兆円弱の年金財政の赤字になってしまうと。これは行く行くは後世代方々が主に背負わなければならない負担になってしまうんではないか、そういうことで先送りはやはり問題ではないかという御意見を申し上げたんですが、この件に関しまして、先送りがこういう年金財政の悪化になって後世代負担増となって返ってくるんだということに対しての公述人の皆様の、六名の皆様の御意見を賜れば幸いです。
  354. 神代和俊

    公述人神代和俊君) 先生の御指摘のとおりだと思います。やはりもう一刻の猶予もできないぐらいぎりぎりのところへ来ていると思います。
  355. 廣瀬幸一

    公述人(廣瀬幸一君) 矛盾を感じます。  例えば、今、総理大臣は消費税は上げないと言っておりました、上げないと。実際、上げないですね。年金国民生活に深く関係しています。自分の給料から引かれる、あるいは自分で払う、そういうことであります。  したがって、それから、矛盾しているのは、積立金が非常にあると、世界に冠たる積立金があると、それなのに赤字じゃ困ると、これは結び付かない話であります。かなりもつわけですから、積立金があるということは。議論する時間はある、そういうことであります。
  356. 鈴木和行

    公述人鈴木和行君) 渡辺先生と、御意見に同感でございます。
  357. 岡本一

    公述人岡本一君) やっぱり年金の安定という場合、私何回も言いましたけれども、働く者の、国民の立場に立って本当に安定なのかどうなのかということが一番問われると思います。  そういう意味で、厚生年金で六割近くしかまともに加入されていない、四割近くの人が違法状態にあると、なおかつ国民年金でも五十数%の人しか神奈川でまともに払えていないというような状況がこれからどんどんどんどん悪くなっちゃうわけですね。こういうのに対する歯止めだとか対案が全然示されていないという意味で反対ですし、そういう意味で申しますと、もう国会で決めているわけですから、国庫負担を二分の一に引き上げるだとか積立金を計画的に取り崩すだとか、予算の使い方ですね、道路特定財源をこういうものに上げるだとか、検討の余地は幾らでもあるというふうに考えております。  以上です。
  358. 和木田邦雄

    公述人和木田邦雄君) やはりコメントする立場にないと思います。
  359. 国広陽子

    公述人国広陽子君) 私は、既に申し上げたと思いますが、長期的な課題と速やかに解決すべき年金財政の問題とか先ほど言ったパートの年金適用とか、そういう、整理して、速やかにやることは早くやるべきだと思います。
  360. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 次に、女性年金のことで先ほど国広陽子公述人の方からお話ありました。国会でも参議院の方では南野委員が今回の改正案で女性年金に関しても質問をされ、確認をしているわけですが、大分女性に対する年金の配慮というのがなされるようになってきたと。  まだまだ完璧と言えるものではないので、これからも改正案というのは出されてくると思うんですけれども、国広公述人の文献を、いただいた文献を読ませていただいたんですが、将来的には一元化方向で考えられればよいのではないかという御意見もございましたが、それは年金だけではなくて、医療保険制度についても、個人単位といいますか、そういう形でやるのが望ましいのではないかという御意見がございました。  そこにもう一つ児童手当のことが書かれておりまして、私も感心をしたわけですが、児童手当を、子供に食費と被服費をカバーする水準の児童手当を親の所得制限なしに義務教育期間中支給するなどが、そういう制度が望ましいというようなことが書かれておりまして、やはり年金だけではなくて医療、そしてまた介護も含め、そしてまた次世代支援というものも含めた広い意味での社会保障制度というのをこれから充実をさせていかなければいけないと思うんですが、国広公述人の方がそういう児童手当の件でも義務教育の年代は支給した方がいいのではないかと読み取れるような記述があったわけですが、それはいかがなんでしょうか。
  361. 国広陽子

    公述人国広陽子君) 申し訳ありません、私のメモにはそれは出ておりません、私も子供に直接手当を出すべきだと思っておりますけれども。それは、申し訳ありません、私の資料ではないんではないでしょうか。
  362. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 じゃなくて、資料として紹介されている中に記載されていたということですね。失礼いたしました。正しく述べますと、国広公述人が紹介をされていた資料の中にそういう、書かれておりまして、それに関心を持たれているのかなということで御質問をさせていただいたわけです。  それから、次の質問です。  和木田公述人にお伺いをしたいんですけれども、若い方々年金制度に理解を深め年金に加入していただくためには、ポイント制というのが非常に大事だと。どれくらい、若い方々保険料を納めていれば将来どれくらい返ってくるかということを分かれば、もっと若い方々年金制度に対して御理解が得られて、参加するのではないかということで、そういうポイント制というものも今回の改正の中に大きな若い人向けの制度として導入しようということになっているわけですが、この点に関しての御意見をお伺いをしたいと思います。
  363. 和木田邦雄

    公述人和木田邦雄君) それは私は賛成です。広報の一環にもなりますし、是非取り入れていただきたいと思っております。
  364. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 年金制度一元化に関しては、基礎年金を税方式でやったらどうかという御意見もまだ根強くあると思うんですね。税方式で基礎年金を賄うということ、いろんな御意見があるわけですが、メリット、デメリットとあるわけでございますが、この点にお詳しい神代公述人に、基礎年金を税方式で賄う場合のメリット、デメリットについて御意見をいただければ幸いでございます。
  365. 神代和俊

    公述人神代和俊君) 私の提出しましたメモの二ページの下の方にそのことが書いてございますけれども、税方式にした場合のメリットは、いわゆる第三号被保険者の問題とか、問題になっている国民年金未納問題等いわゆる空洞化が税金でやるわけですから一挙に解消すると。これは大変魅力的なメリットと考えられますが、ただ同時にデメリットも非常に大きいと。  一番問題なのは、財源になっている、例えば目的消費税でやるといたしますと、現在基礎年金で十六兆円余りだと思いますが、全部将来的に消費税でやるとそれだけで九%ぐらいは必要になりますね。現行の消費税は五%はこれは一般財源ですから、一般財源と九%の目的消費税とを合わせると一四%。一四、五%の消費税が取れればそれは財源が確保できるという話で、捕らぬタヌキの皮算用という言葉の一番代表的なような話になってしまって、一体どこの政党が、いつの政府がどこでやってくれるのかということが解決しませんと、せっかく今、いろいろ問題はあっても、基礎年金全体七千万以上が入っていますから、七千万人のうちの九五%の人はまじめにちゃんと、まあ喜んで払っているかどうかは別として、払う義務があると思って払っているわけですね。  それによって回されている財源をわざわざ放棄して、全く取れる当てのない財源に振り替えるというのはもう無謀極まりない。四十兆円毎年払わなきゃいけない債務の方はあって、それを調達する財源が、今あるものを捨てて、どうして捕らぬタヌキでやらなきゃいけないのか。これが最大の難点だと思いますね。私も一般財源としての消費税は将来的に必要になると思いますが、これは別の話だと思います。  それともう一つは、五%ぐらいの意図的な、二年以上確信犯的に国民年金保険料を払ってこなかった方がいらっしゃるわけですね。相当これは多額の所得を持っている方がいらっしゃるわけですね。そういう方々は御自分のことは、まあ自分は自分で老後は財産があるからいいんでしょうけれども、その方々の親御さんは一体だれのおかげで年金もらっているのかと。やっぱり九五%の人が払ってきた保険料年金をもらっていらっしゃるはずなんですね。そういう人たちに、今までまじめに払ってきた人と確信犯で払わなかった人とを全く等し並みに六万七千円とか七万円の基礎年金を出すというのは、これはとても国民、九五%の払ってきた人たちの納得を得られる案ではないだろうと思います。
  366. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 ありがとうございました。  以上で質問を終わります。
  367. 畑野君枝

    畑野君枝君 日本共産党の畑野君枝でございます。  公述人皆さん、今日はありがとうございます。  私は、主に年金のいわゆる空洞化の問題について、それぞれの公述人皆さんにお伺いをしたいと思っております。  今回の法案の中で、給付の削減、そして保険料引上げということで一層年金のいわゆる空洞化が広がるのではないかという懸念の声が出されております。  年金のいわゆる空洞化については二つあると思うのですが、一つは、国民年金未納、未加入、加えて免除を合わせますと、保険料を払っていない人は一千万人を超えると推計されております。未納理由は、一番が保険料が高くて支払うのは困難というのが六二・四%と言われております。もう一つは、主に大企業のリストラ及び雇用の流動化によりまして厚生年金空洞化が進んでいるという問題でございます。一九九五年から二〇〇一年までで申し上げますと、三十四歳以下の正社員を中小企業では三万人増やしておりますけれども、大企業は百八万人減らしているということでございます。  私、特にこの間のリストラ、雇用の流動化による厚生年金空洞化の問題についてお伺いをしたいと思っております。先ほど、神奈川の実態として、厚生年金の加入の状況が、推計二百万人に対して加入状況百三十数万人ということで六十数%だというお話がございました。  それで、和木田公述人にまずお伺いしたいのですが、厚木社会保険事務所で現場にいらっしゃるということで、神奈川の、とりわけその地域含めて、どのような実態になっているのか、まず、分かっていらっしゃればお伺いしたいと思いますが、御認識いかがでしょうか。
  368. 和木田邦雄

    公述人和木田邦雄君) 特にその率的なものについて数字は今日持ってございません、申し訳ないんですが。
  369. 畑野君枝

    畑野君枝君 全体として今どのような状況かという、全体の状況について何かコメントございましたらお願いします。
  370. 和木田邦雄

    公述人和木田邦雄君) 確かにこういう景気の中で、非常に資格喪失届等が大分多かった時期もあるんですが、ただ、うちの方も、保険料徴収の率から見てみますと、ちょっと景気が底を打ってきたのかなとか、そういう感じも持っております。
  371. 畑野君枝

    畑野君枝君 次に神代公述人に伺いたいのですが、この厚生年金空洞化について、今の和木田公述人からも経済動向、不況の状況などもあるというふうに御発言があったと思うんですが、この点につきましては、厚生年金空洞化についてどのようにごらんになっていますでしょうか。
  372. 神代和俊

    公述人神代和俊君) これはやっぱり九七年の不況以来なんですね。六年間大変な不況が続いた。日本の経済にとって未曾有の不況だったと思います。それの影響が非常に大きい。まあ金融不良債権とかありまして、御指摘のように企業のリストラが相当進んで、その中で失業者になった方もたくさんいらっしゃいますし、あるいは、違法と思いますが、厚年は払えないから、おまえ国年に入れと言ってやると。あるいは、派遣労働者が非常に増えておりますが、本当は派遣元が厚生年金に入らなければいけない場合にも入らないで、国民年金に入れと言って、言われた労働者の方は入らない、そういうような事態がこの六年間の大不況の中で起こったのが最大の原因だと思います。  これは、幸い経済の情勢が少し回復しつつありますし、社会保険庁も従来以上に努力をし出しておりますから、それと、やはり世論とか、どなたか先ほどおっしゃったように、学校の、若い、子供たちにやっぱり国民年金厚生年金のことをきちっと教えるということも大事、世論の啓蒙ということも必要だと思います。しかし、基本はやっぱりマクロ経済の未曾有の悪化ということに尽きると思います。
  373. 畑野君枝

    畑野君枝君 私も青年労働者厚生年金に入れるのに入れないという実態も国会で質問させていただいたわけでございますけれども。  次に鈴木公述人にお伺いをしたいんですが、この関連で、先ほど鈴木公述人から企業の社会的責任ということもおっしゃっていただきました。正にこれはグローバル化の中で、とりわけ日本の企業に今後求められていることだというふうに思うわけですけれども、この点で、厚生年金空洞化という点ではどのようにお考えになっていらっしゃいますでしょうか。
  374. 鈴木和行

    公述人鈴木和行君) 一言で言えば、今先生がおっしゃったように、企業の社会的責任。法人であれば今すべて加入ということですが、未適用事業所が多いということも一つの要因かと思います。これは、事業を起こす者の社会的責任と、もう一つ、大きく言えばコンプライアンスの問題かと、かように思っております。
  375. 畑野君枝

    畑野君枝君 それにかかわって引き続き伺いたいのですが、廣瀬公述人にお伺いをいたします。  先ほども、適用事業所が減っているという実態もお話しいただきましたけれども、こうした点では、この問題が今度の政府案で果たしてその空洞化が解決できるのかという点含めて、どのようにお考えになっているか、お伺いできますでしょうか。
  376. 廣瀬幸一

    公述人(廣瀬幸一君) 景気の回復に関係なく、空洞化は加速すると思っています。  以上です。
  377. 畑野君枝

    畑野君枝君 その点で、今厚生年金の実態について、加えてお伺いしておいた方がいいような事例がございましたら教えてくださいますか。
  378. 廣瀬幸一

    公述人(廣瀬幸一君) 実態というのは、空洞化の実態という考えでよろしいんですか。
  379. 畑野君枝

    畑野君枝君 はい。
  380. 廣瀬幸一

    公述人(廣瀬幸一君) どうでしょうか、社会保険事務所の方には空洞化した、要するに適用していない事業所というのはのっていかないわけでありますから、土俵にのっていないからもう分からない、社会保険事務所としては分からないわけですね。  今我々、社会の実感として、例えば社会保険庁が、小さい会社の社会保険を適用させる活動というのを我々社会保険労務士にやってくれという事業があるんですよ。我々が割り当てまして回るということを毎年今やってきておるんですが、法律だからこれは入るんですよということで、はい、分かりました、入りますなんという事業所は非常に実は少ない。保険料はこうなっているんだともう見せた途端に、払えませんという、小さい、中小零細ではそういう答えがまず返ってきますね。  したがって、先ほどの鈴木公述人等が言われましたのは、これは大企業においてはコンプライアンス、それから社会的責任も果たせるんですけれども、中小零細企業においては全くこれは別の次元の話になってしまいます。  それから、この厚生年金というのは、五人の零細企業もトヨタ自動車も料率は同じです。全く同じなんですよ。ほかのことって全部違うんじゃないんでしょうか、大企業と中小零細企業の仕組みが、すべてのものが。厚生年金に関しては同じなんですね。ここは、どうでしょうか、法案作られるときにはそういったことを討議されたことなんかないんでしょうかね。  以上です。
  381. 畑野君枝

    畑野君枝君 中小零細企業をよく知っていらっしゃる立場から詳しいお話いただきましたが、岡本公述人に、その辺で、神奈川の中小企業の実態ですね、厚生年金含めて、大企業との比較含めて、ございましたら、お伺いできますでしょうか。
  382. 岡本一

    公述人岡本一君) 大企業は社会的責任を守っているというふうに言われているんですけれども、実情は極めてアンフェアなやり方をやっていると思います。  例えば、大企業はリストラ、合理化をしまして減らしっ放しかというと、必ずしもそうじゃないんですね。下請だとか請負だとか派遣だとかパートだとか、労働力を切り替えまして、そういう人たちに大企業の仕事をやらしていると。神奈川の企業の中でも、例えば青年労働者が、チラシだとか雑誌などで、例えば小田原の日立の前に朝八時半に来なさいというようなことで携帯で呼んできて、その人たちが日立の中で働いているというような事例もありますけれども、そういう人たちが本当に厚生年金に入っているかというと、ほとんど入っていないと。大企業が、自らの正社員については年金を払っているけれども、大企業は直接使っている労働者には年金を掛けていないというような事例がたくさん見られるわけですね。  そういう意味で、是非こういうことに対する指導なども必要ではないかと思いますし、残念ながら、神奈川には建設の労働組合などあるんですけれども、建設国保といって国民健康保険制度があるんですけれども、今は企業の側から、企業で国民健康保険払えないので建設国保に入れてもらえないかというようなことで、建設の労働組合が増加しているというようなこともありますけれども、当然そういう場合は、労働組合としては残念なんですけれども、厚生年金も切り捨てられちゃって国民年金に切り替えなければいけないというような状況が広がっておりまして、そういう意味では、長引く不況と大企業の身勝手なやり方によって中小企業のところが残念ながら厚生年金から国民年金にどんどん切り替わっているという状況が広がっていると思います。
  383. 畑野君枝

    畑野君枝君 あわせて、神奈川の実態で伺いますと、女性労働者のうち、パート、アルバイトが五八・二%という資料もあるんですね。男女の賃金格差が大変激しいという実態があるわけですが、国広公述人にお伺いしたいのですが、厚生年金空洞化にかかわって、女性労働者の実態という点ではどのようにお考えになっていらっしゃいますでしょうか。
  384. 国広陽子

    公述人国広陽子君) 先ほど申しましたが、女性は、基本的に神奈川でも零細のところなどは育児支援策がないところが多いんですね、圧倒的に多いんですね。そうしますと、辞めざるを得ないということで、先ほどデータを示しましたように、子育てで辞めることが非常に多いと。そして、その後、正規雇用をされないで、非正規で雇われてパートでということになります。  先ほどちょっと時間がなかったので申し上げなかったので、ちょっと例を言いたいんですけれども、今パートの女性の時給の平均が八百九十円なんですね。男性の場合は千二十九円です。男性のパートは、先ほど森さんの方からも出ましたけれども、それから公述人からも出ましたけれども、定年後の、六十歳以上が再雇用されるときにパートでやるというような例とか、若いアルバイトという人が多いんですけれども、女性の場合はむしろ中高年が多いわけですね。で、八百九十円。八百九十円で、四分の三に満たない。例えば二十九時間、週に働いて、五十週、一年間働いたとすると、年収が百二十九万五百円という計算になるんです、つまり百三十万以下。こういう形になっているということなんです。神奈川でも同じことが各地で起きていると思います。  それから、まずそれだけ申し上げます。
  385. 畑野君枝

    畑野君枝君 加えてもしありましたら、どうぞお続けください。
  386. 国広陽子

    公述人国広陽子君) 六十歳以上、六十五まで再雇用するということは企業にとってもメリットはあると思います。何というんですか、研修などしなくていいから。でも、その代わりに若者の職場、正規雇用の職場が奪われているという面があると思います。  学生に接していますので、神奈川の大学ではないんですけれども、学生が就職ができない、就職しても派遣である、最初から派遣であるということは非常に多くなっています。また、正規雇用で雇われても、一年以内に事業所が閉じたということで解雇されるという例もあります。なので、一見、六十歳以上を雇われることは良さそうに思うんですけれども、若者にとっては非常に厳しいということも申し上げて、特に女性ですね。
  387. 畑野君枝

    畑野君枝君 あと残る時間、別の角度からもお話を伺いたいと思うのですが、廣瀬公述人にお伺いしたいと思います。  先ほどからマクロ経済スライドの問題を含めて、今後どうなっていくのかということではいろいろと分かりにくいという声も国民の中から出されておりまして、実際、毎年実質的には給付が下がっていくということで、特に低い年金額の方は本当に大変な事態になると思うんですね。  先ほど中小零細企業そのものが厚生年金に入れないという実態もお話しいたしましたが、このような低い年金の方たち、この実態について何か知っていらっしゃる点あれば伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。
  388. 廣瀬幸一

    公述人(廣瀬幸一君) 私、年金を既に受給された人については余りその情報は持ち合わせて実はいないんですが、要するに、現在働いている人についてはある程度まで分かります。  年金相談などをやっておりまして、確かに国民年金は四十年、二十から六十が今義務で、四十年、四百八十月掛けるのが満額、フルペンションということになりますが、実際、入社とか退社を繰り返した人でフルペンションの人は非常に少ないです。非常に自分が意識的に、さっきも最初に出しましたけれども、ああいう入社、退社のいろんな微妙なときでも、自分から年金手帳、印鑑を持って市役所に行って聞いて、そこで手続をするという非常に厳しいまじめさを持った人はフルペンションでたまにはいるという、そういう程度であります。  その抜けた状態が非常に多いか少ないかの問題、あるいは未納になっても、これは実際、役所は要請するところもあるし、しない場合もあるし、いろいろあるんですけれども、例えば本来なら六万六千円の満額に対して三万、四万、特に女性なんかは非常に低いんじゃないんでしょうか。したがって、さっきも言いましたが、セーフティーネットということでは、そういう言葉はちょっともう使えない状態になっているんじゃないかなと。  税方式、社会保険方式、いろいろありますけれども、私もどちらがいいとか悪いとかということではなく、社会保険の方はもう限界にどんどん近づくんじゃないかと。国民年金が三十六年に始まったときには、これ、百円ですね、若い人が百円という保険料。そのとき初任給は大体一万円です、統計で一万五百円と出ていますけれども。つまり、一%ですよね。現在、初任給十八万とかあるいは二十万とかいろいろ、二十万は多い方ですけれども、それに対しての例えば一万三千三百円というのはどうでしょうか。六%、七%ぐらいになりますね。非常に今の方が重たくなっているわけです、その金額が。厚生年金ももちろんです。  先ほど神代公述人言われましたが、最初、戦後は千分の三十という今では信じられないような、雇用保険料というのは何千円で余り今気にならない、本人の控除は気にならない、それに少し輪を掛けた程度の気にならない金額であったという事実もあります。それが今非常に重たくなっていますね。もう非常に大きな、一割をはるかに超えるような金額が控除されるということであります。  更に付け加えますと、国民年金は、例えば十八歳未満の子供はもういなくて、育っちゃって、あるいはいない人ですね。そういう人が、四十代、五十代ぐらいの人がお亡くなりになった場合、厚生年金は遺族年金というのがありますけれども、国民年金の場合は、遺族基礎年金というのは子供さんがいる妻だけなんですよ。したがって、ゼロじゃなく、十万とか二十万とかの一時金というので終わりになります。一万数千円を、例えば極端な話、六十までもうずっと払い続けても、そういうことで終わりという、それで非常に怒っているような人もいます。非常に掛け捨てになったわけですね。それにしては随分高い保険料だなという意識をその人は持たれたはずです。民間ではそんな高い保険料は恐らくないでしょう、掛け捨ての場合は。二千円とかその程度ですよ、私も自分で掛け捨てやっていますけれども。そういうことは一言申し上げておきます。
  389. 畑野君枝

    畑野君枝君 時間がもうそろそろ終わりなので、最後に岡本公述人に伺いたいんですけれども、先ほど最低保障年金制度を実現してほしいという御発言がございました。その点について、今の低年金の実態を解決するという点でございましたら、お願いをいたします。
  390. 岡本一

    公述人岡本一君) 今、年金支給額が少ない人というのが具体的にどうなっているかというのはなかなか分かりにくいところなんですけれども、医療だとか介護だとか、そういうものと併せまして、非常に県民の実態もひどくなっていると。例えば、零細業者で民主商工会というのがございますけれども、これが調査したところで、亡くなった方のカルテをいろいろ共済会があるので調べたら、亡くなった方の六割以上が初診から一年以内に亡くなっているというデータもございます。これはもう重症化して、どうしようもなくなるまでお医者さんに掛かれないというような実態がもうかなり零細業者のところには広がっているということだと思います。  それから、若い人も、払いたくても払えない、不信があるから払わないんじゃなくて、払いたくても収入が少ないから、不安定だから払えないわけですね。そういう意味で、そういう人たちも将来安心できるような、だれでも数万円の最低保障年金がもらえるという制度が働く者にとって今極めて求められていると思います。  以上です。
  391. 畑野君枝

    畑野君枝君 ありがとうございました。
  392. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。  今日は六人の公述人の方たち、お忙しい中、本当にありがとうございます。私も神奈川県民ですので、今日は横浜に来ることを大変楽しみにしておりました。どうもありがとうございます。  今日の皆さんお話の中で、制度が非常に複雑であるという問題と空洞化の問題が非常に出てきたというふうに思っています。今度の法案がこの問題点を解決するという形になっているか、本当に疑問です。  まず初めに、女性年金の問題なんですが、女性年金検討会では二年間議論がされ、多くの女性たちがきちっと議論がされることを大変期待をしていました。男性にとっても複雑な年金制度ですが、女性にとってはだれと結婚したかによって全く違ってしまう。離婚してまた全く違ってしまう。一号、二号、三号で違ってしまう。どんな生き方を選んでも公平で安心できる年金制度にしてほしいというのは多くの女性が思っていることだと思います。  今回、この女性年金検討会での議論がほとんど反映されていません。一体あの審議は何だったのかと私は怒っているんですが、同時に、社会保障審議年金部会での議論もかなり反映されていないというふうに思っています。  国広参考人にお聞きをいたします。  将来、長期的に見て一本化がいいというふうに私も思いますし、社民党も提案しておりますが、三号被保険者の問題、要するに長期的と過渡的ということで書いていらっしゃいますが、どうすればいいとお考えでしょうか。
  393. 国広陽子

    公述人国広陽子君) 三号被保険者については、これをどうとらえるかという問題があると思います。年金部会では、三号被保険者の数を減らすという方向でパートへの年金適用というのを提案していらしたと思います。女性年金検討会の方では、三号にどうやって保険料負担してもらうかというような形の議論もされていました。審議会でもそのようなこともなさったと思います。  これは、大きく、個人単位年金制度にしていくための一つ方向としてそれを実現していく、その前提としてパートの年金適用とかいろいろなことをやっていくという、その前提が大きくあったわけですね。今度の審議の過程で、大きな前提、個人単位化の方に進むという前提が崩されてしまっているのではないかというのが私の根本的な疑問であり、不安です。
  394. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 今回、離婚と年金の分割に関してですが、これも全く不可思議なことに、一号と二号で、三号で取扱いが違うと。つまり、多くの人たちはできるだけ公平にしてほしいというふうに思ったにもかかわらず、むしろ分断が拡大していっているというふうに考えておりますが、この点についていかがでしょうか。
  395. 国広陽子

    公述人国広陽子君) 三号被保険者期間、つまり所得のない期間について分割される、そのときにいた配偶者の二号の部分が分割されるということになったわけですよね、分割できるというふうに。それは三号被保険者であった期間が長い人ですね、特に、には非常に有利なことだと思います。  ところが、先ほど私申し上げましたかね、申し上げていないかな、パートで働きますほとんどの女性は、たとえ夫がサラリーマンであってそこそこ収入があってもなくても四十代になると働いているわけですね、ほとんどの人が。で、パートで働くと八百九十円が平均ですから、百三十万円を超えない。だけれども、そこを更に一生懸命働けば百三十万円をちょっと超えるんです。あるいは百五十万ぐらいになるかもしれません。そうすると、三号じゃなくて一号になります。一号になると年金保険料負担します、一万三千三百円ですか。そして、もらえる年金は三号と同じです。  それなのにもかかわらず、要するに、結婚している期間、三号から頑張って一号になったと。頑張ってといいますか、働いてやっと一号に、百三十万円を超えた。その人が離婚するときは分割がないということになりますよね。一号期間が長い人ほど駄目なわけです。三号期間が長い、四十年間丸々夫に扶養されていた人の場合は離婚したときに分割が受けられると。この矛盾ですね。  実態は、四十年間専業主婦の人なんてもうほとんどいないと思うんですね。かつてはいたかもしれませんけれども、私の世代でもほとんどいなくなっていると思います。それなのにそうなってしまったことが私は本当に大きい問題だと思います。
  396. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 今度の改革案がむしろ矛盾を激化させているんではないか、解決の方向に向かっていないのではないかというふうに私も思っています。  次に、廣瀬参考人にお聞きをいたします。  先ほどからパートタイマーと厚生年金の問題が出ているのですが、この厚生年金の問題に関しては、まず均等待遇などを実現し、要するに厚生年金保険料を払うのが大変だという問題が出てきておりますので、会社も大変、パートタイマーも大変。ですから、まずその均等待遇を実現するなり、あるいは会社が支払う総賃金に応じて保険料を会社が負担するとか、何か工夫しないとなかなか難しいと思うんですが、その点、いかがか。  それから、今度の改革案は厚生年金パートタイマー加入を見送りましたが、これについてどうお考えでしょうか。
  397. 廣瀬幸一

    公述人(廣瀬幸一君) 今も賃金に応じて払っているんですよ、厚生年金保険料というのは。実は今もう四月、五月、六月のこの三か月の給料でその人の報酬というのが決まって、それが一年間続くというのが原則でありまして、賃金が低ければ保険料も低い、そういうことで、それは今も賃金に応じた保険料であります。  パートの適用の問題は、私、必ずしも反対とは申しません。ただ、逆に、非常に報酬の低い十万とか十五万ぐらいの人が今の例えば適用で厚生年金に入りますと、その人は給付という面ですごく有利なんですよ。国民年金の一万三千円、これよりも低い報酬、本人負担の報酬というのが実はあるんですね。ところが、基礎年金プラス厚生年金がもらえるというとんでもない矛盾が実は発生しまして、ということは、逆に言うと、その人がもらうときになると財政悪化に更に拍車を掛けるんです。報酬が低ければ低い人が多いほど財政をこれ悪化していくんですよ、物すごく。またそれで、何とかしなきゃいけないということに必ずなると思います。  したがって、このパートのあれは、反対、賛成ではなくて、様々な矛盾を含んだ制度であると。今度は国民年金一号より逆に良くなっちゃいますからね、入った人が。そこもおかしな話。  それからもう一つの質問、何でしたっけ。ちょっと今......
  398. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 均等待遇などをまず実現すべきではないか。
  399. 廣瀬幸一

    公述人(廣瀬幸一君) 均等待遇というのは、だから、今入るか入らないかという問題だと思いますが、やはり賃金に応じた形で入るということはそういう逆の矛盾が発生します。入った人が物すごく有利になるという現象は現れます。
  400. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 以前の資料を見ていましたら、ちょうど十年前、衆議院でも参議院でも附帯決議がこの年金について出ています。二分の一に、要するに基礎年金の国庫負担の割合については二分の一を目途に引き上げることを検討すること。十年前に衆参の附帯決議で出ています。二つ目は、無年金である障害者の所得保障について福祉的措置による対応を含め検討すること。十年前に附帯決議が衆議院と参議院両方で出ているんですが、今回の改革案には、無年金である障害者の問題についてははっきり見送り、裁判所でこれについては、無年金障害者については違法であるという判決が出ております。  こういうふうに、無年金になる人たちの問題について現場でいろんな相談などを受けていらっしゃると思うんですが、こういうことはどう考えたらいいでしょうか。廣瀬公述人にお願いします。
  401. 廣瀬幸一

    公述人(廣瀬幸一君) 先ほどの複雑な制度も正にその典型的な例であります。  実は、私、今、五十代の女性なんですが、障害年金が支給されずに不支給になってしまったので不服申立てを現在やっているところであります。その方は、もう入社、退社を非常にたくさん繰り返しておりまして、たまたま会社を辞めて次の会社へ入る間に初診日というのがあって、そのときに国民年金に入っていない場合には障害年金をもらえないということになりがちなんですよ。その人の過去の年金歴とかもいろいろあるんですけれども、比較的なりがちです。  それは、要するに非常に本人が無知で入らなかったからといえば話はそれまでなんですが、それはちょっと政治的なところからいくと責任問題に行っちゃうんじゃないか。さっきの三号被保険者は過去も認めるという、その今特例みたいのを二回目をやるわけで、やろうという案になっていますね。じゃ、障害者のそれだって過去のそれを認めないと理屈には合ってきませんね、そのとき入っていなくても。そういった問題があるわけです。  これを解決するには、こういったやっぱり複雑さ、さらに今回の法案はいろいろ付け加えていますから、ますます複雑さを加速させて未加入の人が増える一方であると、そういうことであります。
  402. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 私も、十年前に国会が衆議院と参議院で無年金障害者の問題についてしっかり附帯決議を出しながら、今回そのことについて全く検討していないということはやはり欠陥商品じゃないかというふうに思います。  廣瀬公述人にお聞きしますが、社民党は最低保障年金、ミニマムを保障するということの案を発表しておりますが、将来、年金制度はどうあるべきかということについてはいかがでしょうか。
  403. 廣瀬幸一

    公述人(廣瀬幸一君) 好むと好まざるとにかかわらず、社会保険方式が限界になると思います。  先ほど神代公述人が言われましたが、もし移行する場合には不公平の問題というものが、非常にこれは真剣に取り扱わなくてはなりません。まじめに今まで掛けていた人とそうでない人は、もちろんこれは同じであってはならない。その上で、この移行には、ですから、突然あしたからいきなり、よしきた、それやれということはまずできない。非常に時間を掛けて、ここはどのように移っていくかということで慎重にやるべきでありますが、とにかく、今のこの経済規模が大きくなって、正に国民年金は人頭税と言っていいんでしょうか、そういうスタイルで、こういう、一億円の年収のある人も百五十万の人も同じ一万三千三百円を払うという、そういう国というのは私はないなというふうに感じております。  更にもう一つ付け加えますと、無年金の問題がありましたけれども、今最低二十五年と考えてよろしいでしょう、昭和三十一年生まれ以降の人は二十五年です、二十五年掛けないともらえません。こういうふうに長期間の要件を持っている国も私はないかなと。最低、アメリカはたしか十年、ヨーロッパだとまあ五年ぐらい掛けるともう権利は付きます。こういった問題もこれから論議していく必要があると考えております。
  404. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 和木田公述人にお聞きをします。  私たちのところには、例えば、やはり年金国民年金が低くてとても食べていけない、あるいは夫が死んで遺族年金が安くてとっても生活が厳しい、あるいはフリーターの若い人からはとても年金保険料払えないよとか、いろんな悩みがやっぱり寄せられます。先ほどから、相談が多いということなんですが、一つは、自分が一体幾らもらえるか、あるいは二つ目は、自分が年金保険料を本当に払っているかどうかというのもあると思うんですが、切実な相談、あるいはうっかり無年金になってしまった。私も無年金になった人たちというのは結構会ってきて相談を受けることはあるんですが、そういう切実な相談というのは寄せられているでしょうか。
  405. 和木田邦雄

    公述人和木田邦雄君) 事実ございます。特に、無年金というか、自分の過去の記録を確認して、自分では納めていたつもりが現実的には納まっていなかった、今後どうしていったら年金を受けられることができるんでしょうかと。  例えば、今、国民年金の場合は、最長でもう七十歳まで高齢任意加入のできる制度もございます。そういうところをすべて計算をして、もしこういうことができればそれであなたは無年金者ではなくなりますよと、こういうような説明をして、理解していただいて納めていただいている方もいらっしゃいます。
  406. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 今日は制度論ということが主に問題になっておりますが、年金積立金のことについてちょっとお聞きをいたします。  廣瀬公述人、百四十七兆円今年金積立金があり、今度、独立行政法人化法案が成立すれば、そこが全部最終的には運用をしていくということになるわけですが、この年金積立金のチェック、運用について、もし御意見があれば教えてください。
  407. 廣瀬幸一

    公述人(廣瀬幸一君) 年金の積立金はやはり年金給付以外には使わないという大原則を貫く。これは今までそれが貫かれなかった、いろんな建物を建ててみたり、これはもう今更言いませんが。いろんなことでおかしな使い方というのはされてきているわけですね。これを放置してきたその責任なんかも、私ちょっとどういう議論にそれなっているのか余りよく調べていないんですけれども、非常に、こういうのが国民のやはり信を損なっている一つの原因でもあると考えております。
  408. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 五年前の年金改革のときにも、運用、自主運用が果たしていいのかどうか、実はかなり国会で議論されています。私も同じように、年金給付年金を安定化させるために年金積立金は使えというふうには思っております。  国広公述人女性年金の問題について、本当に今度の法案が、むしろ、きちっと検討していない、あるいは一号、二号、三号の亀裂をむしろ拡大しているということについて問題だと思うのですが、この女性年金についてこうあるべきと、もう少しありましたら教えてください。
  409. 国広陽子

    公述人国広陽子君) たくさん申し上げたいことはあるんですけれども、基本的に、ですから、女性年金というものは決して狭い問題ではないということですね。ほかの社会保障制度、すべて関係していますし、女性の労働における状況ですね、均等待遇を受けていないということや年齢差別を受けやすいということとも関連しています。  女性年金の基本的な問題は、年金額が圧倒的に低いということです、女性年金額は。分布を見ていただければ分かる、あらゆる資料に出ているので分かると思うんですけれども、月にして五から十万のところにほとんどの女性が入っていて、男性の場合はそこは少なくて、多いところに入っている。この矛盾を、標準報酬との、低い所得の人には所得再配分をしているといっても、これだけ低いということをどう考えるかということが論じられていないということが非常に残念です。基本はそこだと思います。
  410. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 今日は年金空洞化の話が非常に、神奈川の実態との関係でも非常に出てきたというふうに思っています。  岡本公述人にお聞きをいたします。  今度の法案年金空洞化の問題は解決をするでしょうか。それとも広がっていくでしょうか。安心な年金制度ということになるでしょうか。いかがでしょうか。
  411. 岡本一

    公述人岡本一君) 逆に広がっていくと思います。  そういう意味で、先ほども申しましたけれども、特に若い方が、不信だとかなんとかという以前に、入れないような低賃金、不安定な就労しかしていないということで、是非、若い方の今の厚生年金、どれぐらい入っているのか、それから国民年金の収納率はどれぐらいかということを調べていただければ、これが極めて危険な内容であるということが分かると思います。  以上です。
  412. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 九分まで私はちょっとだけ時間がありますので、廣瀬公述人に残りの時間、こうあるべきというのをどうかしゃべってください。
  413. 廣瀬幸一

    公述人(廣瀬幸一君) 年金制度、なかなか将来、それこそ百年のお話が出ましたけれども、それこそ私は予測なんか全くできないんですが、やはりそのときの情勢によって変えるのはやむを得ないかなと思っております。  つまり、長い将来にわたって、日本の経済の状態ももちろん変わるでしょうし、天変地異もあるかもしれません。それから国際的な日本の位置付けというのも変わるかもしれません。それから、技術的な発展、いろんな、今だってIT関係が発展しているからこれだけ年金相談なんかも応じることができることになっているんですけれども、そういった様々な要因の中でこの年金制度も進めていくわけですから、やはり時に応じてそれは変更していくということは必要であると。  ただ、もちろん、より多くの、全部というのが理想ですが、今のように数%でなくて何割という、国民年金、一号の場合は何割という脱落者がいる制度というのは、これはこのまま続けるわけにはいかない、何とかしなくてはいけない、この意識はどうしても持ってもらわなければいけないんじゃないかなと思っております。  以上です。
  414. 福島瑞穂

    福島瑞穂君 じゃ、終わります。
  415. 国井正幸

    ○団長(国井正幸君) 以上で公述人に対する質疑は終了いたしました。  この際、公述人方々に一言御礼を申し上げたいと存じます。  皆様方には、長時間にわたり、大変お忙しい中を有益な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。  拝聴いたしました御意見は本委員会の審査に十分反映してまいりたいと存じます。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げる次第でございます。ありがとうございました。(拍手)  以上をもちまして参議院厚生労働委員会横浜地方公聴会を閉会といたします。  どうもありがとうございました。    〔午後三時四十九分閉会〕