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国務大臣(
坂口力君) ただいま議題となりました
国民年金法等の一部を
改正する
法律案、
年金積立金管理運用独立行政法人法案及び高
年齢者等の雇用の
安定等に関する
法律の一部を
改正する
法律案につきまして、その提案の理由及び
内容の概要を御
説明申し上げます。
まず、
国民年金法等の一部を
改正する
法律案について申し上げます。
我が国は、急速な少子高齢化が進行しておりますが、
国民の老後の生活設計の柱である公的
年金制度につきましては、今後ともその役割を果たしていけるよう、将来にわたる揺るぎのない信頼されるものとしていくことが要請されております。このため、
社会経済と調和した持続可能な制度を構築し、
国民の制度に対する信頼を確保するとともに、多様な生き方及び働き方に
対応した制度とするために、制度全般にわたりその根幹にかかわる改革を行うこととした次第であります。
以下、この
法律案の主な
内容につきまして御
説明申し上げます。
第一に、基礎
年金の国庫負担割合につきましては、これを二分の一に引き上げることとし、
平成十六
年度から現在の三分の一の国庫負担に加え、
年金課税の見直しによる増収分を追加して負担することとしております。さらに、
平成十七
年度及び
平成十八
年度において、我が国の経済
社会の動向を踏まえつつ、所要の税制上の措置を講じた上で、別に
法律で定めるところにより、国庫負担の割合を適切な水準へ引き上げるものとしております。その上で、
平成十九
年度を目途に、政府の経済財政運営の
方針との整合性を確保しつつ、
社会保障に関する制度全般の改革の動向その他の事情を勘案し、所要の安定した財源を確保する税制の抜本的な改革を行った上で、
平成二十一年までに完全に引き上げるものとしております。
第二に、
国民年金及び厚生
年金保険財政につきましては、将来の保険料水準を固定した上で、おおむね百年間にわたる均衡を図るために、給付水準を自動的に調整する仕組みを導入することとしております。
第三に、
国民年金の保険料額につきましては、
平成十六
年度価格で
平成十七
年度から毎
年度二百八十円ずつ引き上げ、
平成二十九
年度以降の保険料額を一万六千九百円とすることとしております。また、厚生
年金保険の保険料率については、
平成十六年十月から毎年〇・三五四%ずつ引き上げ、
平成二十九
年度以降の保険料率を一八・三〇%とすることとしております。
第四に、今後の
年金額の
改正につきましては、毎
年度、賃金又は物価の変動率により行うことを基本とすることとしますが、五年ごとに作成する財政の
現状及び見通しについて調整の必要があると見込まれる場合には、
年金額の改定率に公的
年金の被保険者数の減少率等を反映することとしております。なお、当面は、これまでの物価スライドの特例措置に基づく
年金額を引き続き支給することとしております。
第五に、在職老齢
年金制度につきましては、六十歳台前半の在職者に対する一律二割の支給停止を廃止することとしております。また、賃金と老齢厚生
年金で現役男子被保険者の
平均的賃金以上の収入を得ている七十歳以上の在職者については新たに支給停止を行うこととしております。さらに、老齢厚生
年金を六十五歳以降に繰り下げて受給できる仕組みを導入することとしております。
第六に、育児をする被保険者につきましては、厚生
年金保険料の免除措置が子が三歳に達するまでに拡充する等の措置を講ずることとしております。
第七に、厚生
年金につきましては、離婚時等において、当事者の保険料納付記録を分割し、
年金給付に反映させる制度を創設することとしております。また、第三号被保険者である期間については、離婚時等又はこれに準ずる場合には、請求により、配偶者の保険料納付記録を二分の一に分割できることとしております。
第八に、
国民年金保険料の徴収強化につきましては、所得に応じた保険料負担とする観点から多
段階免除制度を導入し、また若年者に係る納付特例制度を創設するとともに、滞納処分等に関し被保険者に対する調査の規定の整備を行うこととしております。
第九に、厚生
年金基金につきましては、凍結されていた免除保険料率の算定方法を見直すとともに、解散する場合の特例措置を設けることとしております。また、厚生
年金基金や確定給付企業
年金における
年金通算措置の
充実等を図ることとしております。
以上のほか、障害基礎
年金の受給権者が、六十五歳以降、老齢厚生
年金又は遺族厚生
年金を併給することを可能とする等の所要の
改正を行うこととしております。
また、旧農林共済の特例
年金や関係
法律につきましても、所要の
改正を行うこととしております。
以上がこの
法律案の提案理由及びその
内容の概要でありますが、この
法律案につきましては、
衆議院において修正が行われたところであります。
次に、
年金積立金管理運用独立行政法人法案について申し上げます。
厚生
年金保険及び
国民年金の積立金については、
厚生労働大臣が、
年金資金運用基金に対し、寄託することにより運用を行ってきたところでありますが、この
法律案は、特殊法人等整理合理化計画を実施するため、
専門性の徹底及び責任体制の明確化を一層図る観点から、
年金資金運用基金を廃止し、新たに
年金積立金の管理及び運用を行う専門
機関として
年金積立金管理運用独立行政法人を設立しようとするものであります。
以下、この
法律案の主な
内容につきまして御
説明申し上げます。
第一に、
年金積立金管理運用独立行政法人は、
年金積立金の管理及び運用を行うとともに、その収益を国庫に納付することにより、
年金事業の運営の安定に資することを目的としております。
第二に、
年金積立金管理運用独立行政法人に、経済又は金融の学識経験者から成る運用
委員会を置き、
年金積立金の管理及び運用の基本的な
方針等を定める中期計画の作成等に当たっては、その議を経なければならないこととするとともに、運用
委員会に、管理運用業務の実施
状況を監視させることとしております。
第三に、
年金積立金管理運用独立行政法人の役員及び職員に対し、その職分に応じた注意義務及び忠実義務、秘密保持義務等を課するとともに、これらに違反した者に対し、制裁を課することとしております。
また、
年金資金運用基金において行われた大規模
年金保養基地業務及び被保険者向け融資業務については、
平成十七
年度限りで廃止することとしております。
最後に、この
法律の施行期日は、一部を除き、
平成十八年四月一日としております。
以上がこの
法律案の提案理由及びその
内容の概要であります。
次に、高
年齢者等の雇用の
安定等に関する
法律の一部を
改正する
法律案について申し上げます。
少子高齢化の急速な進行に伴い、今後労働力人口の減少が見込まれる中で、高い就労意欲を有する高年齢者が
社会の支え手として活躍し続けることを可能とするためには、高年齢者が、少なくとも
年金支給開始年齢までは、意欲と能力のある限り働き続けることができる環境の整備が必要であります。
このため、定年の引上げ、継続雇用制度の導入等による六十五歳までの雇用の確保、中高年齢者の再就職の促進等の措置を講ずることとし、この
法律案を提出した次第であります。
以下、この
法律案の主な
内容につきまして御
説明申し上げます。
第一に、高年齢者の六十五歳までの雇用を確保するため、事業主は、定年の引上げ、継続雇用制度の導入又は定年の廃止のいずれかの措置を講じなければならないこととしております。この場合、事業主は、労使協定により継続雇用制度の対象者についての基準を定めることができることとしており、さらに、必要な準備期間として政令で定める日までの間は、
就業規則等により基準を定めることもできることとしております。
また、定年の引上げ、継続雇用制度の導入等の措置に係る年齢については、
年金支給開始年齢に合わせて、
平成二十五
年度までに
段階的に六十五歳まで引き上げることとしております。
第二に、解雇等により離職する中高年齢者が希望するときには、事業主は、その職務の経歴、職業能力等を明らかにした求職活動支援書を作成し、交付しなければならないこととしております。
第三に、労働者の募集及び採用について、上限年齢を定める事業主は、求職者に対し、その理由を示さなければならないこととしております。
第四に、シルバー人材センターは、届出により、臨時かつ短期的な
就業等に関し一般労働者派遣事業を行うことができることとしております。
最後に、この
法律は、公布の日から起算して六か月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしておりますが、定年の引上げ、継続雇用制度の導入等の措置に関する部分は
平成十八年四月一日から実施することとしております。
以上がこの
法律案の提案理由及びその
内容の概要でございます。
何とぞ、御
審議の上、速やかに御可決あらんことをお願いを申し上げる次第でございます。ありがとうございました。