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2004-05-13 第159回国会 参議院 厚生労働委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年五月十三日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  五月十一日     辞任         補欠選任      小林美恵子君     小池  晃君  五月十二日     辞任         補欠選任      浅尾慶一郎君     平野 達男君      柳田  稔君     谷  博之君  五月十三日     辞任         補欠選任      大脇 雅子君     若林 秀樹君      谷  博之君     柳田  稔君      山本 孝史君     小林  元君      風間  昶君     渡辺 孝男君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         国井 正幸君     理 事                 武見 敬三君                 藤井 基之君                 辻  泰弘君                 森 ゆうこ君                 遠山 清彦君     委 員                 有村 治子君                 金田 勝年君                 佐々木知子君                 斎藤 十朗君                 田浦  直君                 伊達 忠一君                 中原  爽君                 南野知惠子君                 宮崎 秀樹君                 朝日 俊弘君                 大脇 雅子君                 小林  元君                 谷  博之君                 平野 達男君                 柳田  稔君                 山本 孝史君                 若林 秀樹君                 渡辺 孝男君                 井上 美代君                 小池  晃君                 福島 瑞穂君                 西川きよし君    衆議院議員        修正案提出者   長勢 甚遠君    国務大臣        厚生労働大臣   坂口  力君    副大臣        厚生労働大臣  森  英介君    大臣政務官        厚生労働大臣政        務官       竹本 直一君        厚生労働大臣政        務官       佐々木知子君    事務局側        常任委員会専門        員        川邊  新君    政府参考人        文部科学大臣官        房審議官     徳永  保君        文部科学省研究        振興局長     石川  明君        厚生労働大臣官        房長       鈴木 直和君        厚生労働大臣官        房技術総括審議        官        上田  茂君        厚生労働省医政        局長       岩尾總一郎君        厚生労働省医薬        食品局長     阿曽沼慎司君        厚生労働省保険        局長       辻  哲夫君        厚生労働省年金        局長       吉武 民樹君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○薬剤師法の一部を改正する法律案内閣提出) ○国民年金法等の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○年金積立金管理運用独立行政法人法案内閣提  出、衆議院送付) ○高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部  を改正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 国井正幸

    委員長国井正幸君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。  委員異動について御報告申し上げます。  昨日までに、小林美恵子君、柳田稔君及び浅尾慶一郎君が委員辞任され、その補欠として小池晃君、谷博之君及び平野達男君が選任されました。     ─────────────
  3. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  薬剤師法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省医薬食品局長阿曽沼慎司君外六名の政府参考人出席を求め、その説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 薬剤師法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 谷博之

    谷博之君 おはようございます。  私は民主党・新緑風会の谷博之でございます。今日は質問の機会をいただきましたので、早速、質問に入りたいと思います。  質問に入る前に一言申し上げたいと思いますが、昨日、本会議年金法法案趣旨説明がございまして、小泉総理そして坂口厚生労働大臣始め各閣僚からの、大臣からの御答弁もございました。法案内容については、まだ委員会にも付託されておりませんので、中身については直接はお聞きしませんけれども大変政府側の御答弁は、私たちにとっては内容のない非常に不十分な答弁だったというふうに考えております。  したがって、当然これはこれから本委員会でこの重要法案質疑をされますけれども、私は国民の、正に日本のいわゆる社会保障政策の一番中心的な柱であるこの年金制度が今後どうなるかということが非常に注目されている中で、この法案の具体的な審議をするこの本委員会厚生労働委員会、そこに我々は参画をしているわけでありますけれども、そういう委員会に所属をするすべての委員は、自分自身年金の未納問題がどうなっているか、このことぐらいははっきりさせて、そして責任ある立場からこの法案審議をしない限り、私は国民もそのことは納得しないだろうというふうに思っています。  そして、各政党におきましても、それぞれ国会議員の未納問題についての報告発表もしておりますけれども、私どもも、民主党も間もなく全部の国会議員内容について公表いたしますけれども、少なくとも、まだ公表されていない政党皆さん方には、特にこの本委員会委員という立場もあるわけでありますから、速やかに御自身のお立場を明らかにさせていただきたい。  このように考えておりますが、委員長に、この内容について御検討いただけますでしょうか。
  7. 国井正幸

    委員長国井正幸君) この問題については、後日、理事会協議をさせていただきたいと思います。(発言する者あり)後刻。
  8. 谷博之

    谷博之君 それじゃ、そういうことで、委員長にゆだねたいと思っております。  それでは、早速ですが、付託されております薬剤師法改正に関する質問をさせていただきたいと思います。  厚生労働省は、平成十四年の六月に薬剤師問題検討会というのを設置しまして、そして薬剤師国家試験のいわゆるその受験資格の問題、あるいはまた薬剤師資質向上の問題等々について検討されてまいりまして、同年の九月にその中間のそのいわゆる内容発表しております。中間ではなくてその内容発表をしております。そして薬剤師需給の将来の予測というものを明らかにしておりますけれども、まず、その具体的な中身について簡潔にお答えいただき、そして、この予測以外に、他にも資料等があればその内容についても教えていただきたい。
  9. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) お尋ねのございました平成十四年九月二十七日に薬剤師問題検討会で取りまとめられました薬剤師需給予測について御説明申し上げます。  これは、需給予測のポイントでございますけれども就業を希望する薬剤師数につきましては、平成十二年末の総薬剤師数ベースといたしまして、総薬剤師数が毎年、過去五年間の国家試験合格者数平均増加をするという前提、それから、総薬剤師数に占めます就業を希望する薬剤師の比率が一定であろうという一定仮定の下に算出をされております。また、薬剤師需要につきましては、医薬分業進展状況によって異なりますので、分業率が五%あるいは三%で進展する場合ということで算定をいたしております。  そういうふうな仮定の下で、その結果、この報告書におきますと、需要予測におきましては、薬剤師全体につきましては、就業を希望する薬剤師数需要を上回ると。需給差は、その需給の差でございますけれども平成十八年から二十二年にかけて最も縮まっていくだろうと、その後また拡大をしていくだろうということでございまして、今後いわゆる薬剤師不足が生じるということはないであろうということが一つでございます。それからまた、薬局の薬剤師につきましては、これも見込みによるわけでございますけれども医薬分業率が年五%増で進展したといたしましても不足は生じないだろうと。それから、平成十九年以降、毎年新規薬剤師数が逆に今度三〇%程度で減少しても、薬剤師不足は生じないであろうと。  というふうな需給予測でございまして、結論といたしまして、新規参入薬剤師数については現状より増加しないように配慮すべきであるし、慎重に対応すべきだと。あるいは、薬剤師免許を取得したにもかかわらずその専門性を活用できないという状況を防ぎ、薬剤師適正数を保ちながらその資質向上を図り、質の高い、安心安全な医療を提供するためには、平成十九年以降、各年の新規薬剤師段階的に減少し、最終的には二〇%程度で減少することが重要ではないかというふうな指摘をいただいております。  それから、もう一つお尋ねがございました、これ以外に資料はないかということでございますが、過去に厚生科学研究等予測が行われているようでございますけれども、一番新しいデータを基にして分析をいたしましたのがこの平成十四年九月の報告書でございまして、これ以外、あるいは薬科系大学、あるいは研究機関独自に予測データがあるかどうかについて私ども承知をいたしておりません。
  10. 谷博之

    谷博之君 今の御答弁に対し、大臣はどのような感想あるいはお考えを持っておられましょうか。
  11. 坂口力

    国務大臣坂口力君) この薬剤師さんの需給問題といいますのは、一つの真剣に考えなきゃならない時期に来ているというふうに私個人は思っております。  先日もここで議論されたところでございますが、現在約二十三万人ぐらいと思っております。また、毎年卒業される皆さん方は、医師の卒業される方をもう既に上回るぐらいなところに来ているのではないかというふうに思っておりまして、かなり卒業者増加をしてきているという状況でございます。  いよいよ六年制にここで突入するわけでございまして、六年制になりましたときのそのカリキュラム、あるいはまた卒後の教育、あるいはまた実習等々につきまして、平成十八年スタートまでに一度見直しをしなければならないわけでございますし、それに合わせてやはり今後の問題も一つ方向性が出るのが私は望ましいというふうに思っている次第でございます。
  12. 谷博之

    谷博之君 今の御答弁を聞いておりまして、具体的に年度数字が、平成十八年度からというふうなちょっと数字も出てまいりましたけれども、我々は今の予測とは若干考え方が違っておりまして、まあ早ければ平成十八年度ごろから薬剤師過剰傾向が出てくるのではないかと、こんなようなことも実は予測しております。  今年の四月の二十日の衆議院文部科学委員会参考人質疑が行われまして、ちょっとその参考人質疑を見ておりますと、薬学教育協議会井村参考人という方がこのようなことを言っております。  この長期実績実習の実現に向けて努力をしております私ども立場からしますと、気に掛かっていることがございます。それは、このところ薬科大学の新増設が次々に行われていることでございます。この二年間、つまり十五年度と十六年度で、何と既に十校の新増設がございました。この傾向がもし続けば、どうしても施設の確保が難しくなりまして、無理をして実習の調整をすることはできましても、実習質そのものが薄められてしまうというおそれが十分にあるかと考えておりますと、こういうふうな参考人発言をしております。  こういうことも参考にしながら次にお聞きしたいんですが、このいわゆる報告書が作られる一つの、需給予測に当たってのベース一つ判断数値ということで、過去五年間の国家試験合格者平均が毎年八千九百七人、こういう数字を挙げられております。つまり、新規参入薬剤師数というこの数ですけれども、これは、改めてお聞きしますが、この過去五年間というのはいつからいつまでの年度数字でございましょうか。
  13. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 最近の大体の国家試験合格者数を見ますと、大体毎年八千人から九千人程度ということでございまして、平成十年で例えば申し上げますと八千三百八十七人、それから十一年で九千五十一人というようなことで、それを大体平均いたしましてそういう数字だということでございます。
  14. 谷博之

    谷博之君 それでは、また重ねてお伺いしますが、先ほど参考人発言もちょっと引用さしていただきましたが、平成年度から十六年度まで、具体的に新増設された薬学部全国にどのぐらいあって、既存大学定員増も含めて薬学部入学者数はどれぐらい増えてきているか、お答えいただきたいと思います。
  15. 徳永保

    政府参考人徳永保君) お答え申し上げます。  まず、平成十年から十五年度まででございますが、十年から十五年度におきましては薬学部新設が二件ございました。また、薬学部入学定員増加につきましては、今申し上げました薬学部新設によるものが二百七十名、それから既設大学入学定員増によるものが四百九十名で、七百九十五名の増加でございます。  それに加えまして、平成十六年四月の段階で八学部新設されまして、その際、入学定員が千三百四十五名増員しております。
  16. 谷博之

    谷博之君 今の数字を挙げていただきましてお分かりのとおりだと思いますが、ここ数年、特に平成十六年度大変学部増設がございました。八つの大学学部設置を認めることとなりまして、平成十六年だけでも合計千八百四十人もの定員新規に認める、こういうふうなことになっていると。私の手元に全国大学薬学部の一覧がございますけれども大変人数が、ここ四、五年入学者定員数が増えてきているということは、明らかにこれは数字で出ております。  このことにつきまして、実は衆議院文教科学委員会でも質疑が行われておりまして、河村文部科学大臣はこのように答えております。医師歯科医師獣医師の養成については、所管官庁方針があるので、文科省として学部の新増設抑制を図っているが、薬剤師については厚労省がまだ方針を示してこないのでということでこの新しい学部の新増設を認めていると、こういうふうな答弁なんですけれども、この点についての答弁は間違いございませんか。
  17. 徳永保

    政府参考人徳永保君) 四月二十一日の文教科学委員会におきまして大臣の方から御答弁申し上げましたのは、薬学部等設置認可につきましては、従来、文部科学省では原則抑制、すべて、薬学部に限らず、大学あるいは学部設置あるいは入学定員の増については抑制をするという方針でございましたが、これにつきましては、総合規制改革会議の方から大学設置等に対する参入規制として働くことと考えられるので問題であるという指摘がなされ、規制改革推進三か年計画、これが平成十四年三月に閣議決定をされました。  これを受けまして、平成十五年四月より原則抑制方針を転換をしたということを御答弁申し上げ、その上で、薬剤師需給問題については厚生労働省においてその対応策が示されていない状況であるが、厚生労働行政の中で幅広い観点から検討されるべき課題であること、その上で、現在の状況では薬剤師需給問題への対応策一つとして薬学部の新増設抑制することは取り得ない旨、そのことをお答えしたものでございます。
  18. 谷博之

    谷博之君 そうしますと、文部科学省の側からすれば、厚生労働省が言うならば抑制をしてくれと言ってこないから学部増設はこれからどんどん認めていくという、こういう形になっているというふうに我々は取らざるを得ない。  総合規制改革会議のそういうふうな話も出ましたけれども、この点については、坂口大臣、どうなんでしょうか。ということは、このままの状態を続けていくということなんでしょうか。
  19. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 現状を見ておりますと、医薬分業もかなり進んでまいりまして、そして一時、薬剤師さん不足というのが言われたこともございましたが、最近は大体確保できる状況になってきているのではないかというふうに思っております。  ドラッグストア等もありまして、そうしたところにどうするかというような問題もあって、そうしたところにすべて薬剤師さんを正規のようにちゃんとしていくということになりますと需給状況どうなのかということが今課題になっているというふうに思っておりますが、将来の問題といたしまして、これはぼつぼつ人口も減ってくるわけでありますし、少し中長期的に見ました場合に、この現在の状況から更に学部を増やして、そして薬剤師さんが増えていくということで需給関係がどうなるかということは、今考えなければならないことの一つというふうに私は思っております。  先ほど文部科学省の方から御指摘いただきましたように、総合規制改革会議での御意見というのもあるわけでございますけれども、しかし我々は我々としてやはりはっきりした意思を持たなければならないんだろうというふうに思っている次第でございます。  ここは文部科学省の方ともよく御相談をさせていただいて決定をしなければいけないというふうに思っておりますが、現在の状況、そして六年制になりましたときに、その六年制の学校のハードルと申しますか、どういう高さにするかということともこれは関連をしてくるわけでございまして、そうしたこと等総合的に私は考えていくべき問題だというふうに思っております。  先ほど、十八年と申しましたのは、十八年からこの六年制大学がスタートするものですから、それまでにいろいろ議論を重ねて、そして一つ方針を明らかにしていかなければいけないと思うんです。十八年からといいましても、十八年からスタートするわけでありますから、その前にやはり方針を示しておかなければ各大学もお困りになるということもあるだろうというふうに思っておりまして、そうした時期を迎えているということを申し上げたのは、先ほど申し上げたとおりでございます。
  20. 谷博之

    谷博之君 私の方で聞こうとしていた内容についても若干触れていただいたわけですが、実は、おととい、私も文教科学委員会でいわゆる学校教育法改正法案の中でこの薬剤師の六年制の問題についても質問をさせていただきました。  平成十八年からスタートして、六年制がスタートする、つまり平成二十四年に六年制で初めて卒業生が出てくるわけですね。平成十七年までの入学者というのは四年制です。途中から、もちろん、四年制で入学しても六年制に移行することはもちろん可能だと思いますけれども、ちょうどそうしますと、平成二十二年、二十三年度卒業生辺りが若干数的には少なくなるのかな、こういうふうに思いますけれども、その以降はまた言うならば卒業生が増えて、そして薬剤師国家資格を受ける人も増えてくる、こういうふうな一つの波があると思うんですね。  そういうふうな一つの将来の推計ですね、どういうふうな形でいわゆる薬剤師国家資格を取るための人が推移していくのかということと、それから現状、そういう資格を取った人たちが実際に社会に出てどういうふうな仕事に就くか、有職の立場になっていくのかということについては、これは極めて、非常に読みにくい、そういうものがあると思うんですけれども、そこらについては、今の大臣では、それらについても十八年度前にやりたいというふうなことで御答弁がいただいたような感じしておりますが、そういう点からしますと、私は、是非、この問題については文部科学省厚生労働省の間で、そういう実際の推移を見ながら、いわゆる全体の数の抑制なりあるいは認可なりというようなことをやっぱりやっていっていただきたい。  そうしないと、確かに、医師歯科医師獣医師は具体的にそういうふうな資格を取ったその道に専門的に進むわけですが、薬剤師は比較的にそれが門戸が広いからということでどんどんどんどんそういう資格を取る方を増やしていきますと、これは当然限界があるわけですから、とすると、ある程度そういう関係者から数の一定の抑えをしてほしいといったときに、結局それは教育機関をどんどん増やしているわけですから、後でそれをどこでどう調節するかというと、僕は薬剤師国家資格合格率を下げていくしかないような気もするんですよ。  そういうことは実際は難しいと思いますけれども、そういうふうなこともありますので、これは是非、いわゆる私は、薬剤師を養成する機関の問題と、それからそれを国家資格として認めて社会に送り出していく、そしてその後の様々な対応をする厚生労働省との間に、私は今まで以上にきちっとした連係プレーを取っていただくように是非これは強く要望しておきたいと思っております。  それから、続きまして、薬害被害者の声の反映ということでお伺いしたいと思いますが、薬学教育改善充実に関する調査研究協力者会議、これが平成十五年の八月、中間取りまとめを行っております。それに対して、全国薬害被害者団体連絡協議会、通称、我々はこれを薬被連と申しておりますけれども、この薬被連から意見書が出ております。  この意見書についてお伺いしたいわけでありますが、その後、この薬害教育改善充実に関する調査研究協力者会議が本年二月、最終報告を出しています。そこで、この報告書の中に、この薬被連の先ほど申し上げた意見書がどのように反映されているのか、お伺いしたいと思います。
  21. 徳永保

    政府参考人徳永保君) お答え申し上げます。  御指摘のように、平成十五年九月に薬学教育改善充実についての中間まとめを出したわけでございますが、それに対しまして全国薬害被害者団体連絡協議会から、薬害や薬剤に関する医療事故の実態から、医療倫理、患者の人権について学ぶことが薬学教育には重要である、そういう趣旨意見書が出されているわけでございます。その中でまた、薬害教育をすべての大学で必修化すること、あるいは薬害等被害者から直接話を聞く授業を実施すること、そういったことも要望されているわけでございます。  この意見書を踏まえまして、さきに申しました薬学教育改善充実という最終報告書では、中間まとめ段階では盛り込まれておりませんでした、医療事故薬害を防ぐ危機管理能力を身に付けることが薬学教育に期待される、こういう記述が追加をされております。
  22. 谷博之

    谷博之君 私もこのいわゆる最終報告を何度も拝見をさせていただきまして、その点については、当初は、中間取りまとめでは「倫理観ども身につけることのできる教育」というところを、これを今もお話ありましたように「医療事故薬害を防ぐ危機管理能力ども身につけることのできる教育」、こういうふうに記述を改めている、こういう点は私ども承知をしております。  それでは、今お触れになったことは薬学教育カリキュラムに具体的にどのようにこれが反映されようとしているのか。
  23. 徳永保

    政府参考人徳永保君) お答えを申し上げます。  平成十四年八月に、日本薬学会の方で薬学教育モデル・コアカリキュラムというものを取りまとめたわけでございますが、その中で特に薬害防止に関する教育内容あるいは目標として、一つには、医薬品の適正使用における薬剤師の役割について概説できる、きちんと理解をするということ、また、薬害について具体例を挙げ、その背景を概説できるようにすること、あるいは、薬物の主作用と副作用、毒性との関連について説明できるようにすること、代表的な薬害の例、サリドマイド、スモン、非加熱血液製剤、ソリブジンなどについて、その原因と社会的背景を説明し、これらを回避するための手段を討議する、こういったことが挙げられているわけでございます。  このモデル・コアカリキュラムは、すべての薬学生が卒業までに身に付けるべき最低限の到達目標、こういうものを示したガイドラインでございます。私どもといたしましては、薬学問題の重要性にかんがみまして、今後、各大学におきましてカリキュラムの編成をする中で、こういうような内容が実際にカリキュラムの中に反映をされ、実現をされ、薬害防止に関する教育充実されますよう、各大学の取組を促していきたいと思っております。
  24. 谷博之

    谷博之君 薬剤師問題検討会中間報告書、これ平成十五年十月二十九日に出ておりますけれども、この中にはやはりこのようなことが指摘されているんですが、近年、医薬品に関連する事故が数多く発生しているが、調剤の段階から実際に患者が服用するまでのすべての段階を通じての薬剤に関する総合的リスク管理を薬剤師が十分行っているとは言えないという、こんなようなことも触れておられます。  今、薬学教育カリキュラムの話でお伺いをいたしましたけれども、こういう問題については、現役で既にもう薬剤師として活躍をされておられる方々、こういう方々に対する生涯研修といいましょうか、そういうふうなことで、よりこの内容も徹底していかなければいけないというふうに思いますが、これは厚生労働省の方でどのように考えておられましょうか。
  25. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 御指摘のように、薬剤師の生涯教育というのは大変重要でございまして、私ども今現役の薬剤師さんのためにもそういう実務実地研修が大変重要であるというふうに思っております。  厚生労働省としては、適切な指導者の下で業務全般の幅広い基本的研修をするということで、平成年度から薬剤師の実務研修を実施しておりますが、これから先、更に拡充をしたいというふうに考えておりまして、その実務研修の拡充をする中で、今御指摘のございました副作用被害問題についてどういうふうに学んでいくかというふうなことは大変重要でございますので、よく研究し、検討していきたいというふうに考えております。
  26. 谷博之

    谷博之君 それでは、引き続きまして、一昨日の当委員会でも当然出ている話ですが、薬剤師の疑義照会の問題についてちょっとお伺いしたいと思います。  私も一昨日の文教科学委員会でこの問題を取り上げました。特に、具体的には、今年の四月、聖マリアンナ医科大東横病院で、六十歳代の男性が、併用ができない二つの抗がん剤を処方し、それを病院側が投薬したミスによってこの方が亡くなったという、こんなような事故も新聞で出ております。  日本薬剤師会の最近の調査によっても、全体の処方せんの約二%程度しか疑義照会というのが行われていないと、こんな数字も出ているわけです。私は、医療現場で、特に医師歯科医師の方々が薬の処方せんを出して、それを薬剤師の方が調剤をする。薬については両者とももちろんプロであるわけで、専門家であるわけですけれども、特に薬については薬学のそういう勉強された方々が非常に知識を豊富に持っておられるわけですが、そういう立場から、処方せんの中身について、果たしてこれが、この量が多いのか少ないのか、あるいはこの薬とこの薬はどうなんだろうかと、こういういろんな具体的な疑問等がわくこともこれは当然あるんだろうと思うんですね。  そうしたときに、いわゆる薬剤師側から医師歯科医師獣医師の方々にそのことを確認をする。この薬の調合についての内容について確認をするということ、これはもう当然必要なんですけれども、現実にはなかなかできにくい状況があるということを我々は専門家の方々からよく聞いています。  つまり、問い合わせたところ、担当の医師、その処方せんを作ったお医者さんがほかに診療しているとか、いろんな事情があってそれを受けることができにくい状況がある。あるいは、何度も疑義照会をすると、もう、ちょっと忙しいから勘弁してくれとか、そういうこともあるやに聞いているわけでありまして、そういうようなことで、医師に何か言われたらどうしようかとか、あるいはいつもこれだからとか、不快な思いをしたくない、こんなようなことで疑義照会をためらう風潮が実際には強いというふうに言われているわけでありますけれども、勇気を持って疑義照会をしても、医師と直接話をさせてもらえず、病院の事務職員が門前払いをするというケースもあるというふうに聞いております。  そこで、薬剤師からのこうした疑義照会への対応について、それを受ける側の医師や看護師、病院の事務職員は、こうしたことのないようにするために、どのように対応すべきかを実際の現場やそういうところで研修教育をしていこうとしているのか、この辺についてのお考えをお聞かせいただきたい。
  27. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 疑義照会の話、先日も出たところでございますが、大変、薬剤の方面におきましても進歩が目覚ましいわけであります。したがいまして、新しい立場からいろいろの御意見薬剤師さんがおっしゃる機会というのは、私は今後一層また増えてくるものというふうに思っております。  それで、先ほど大学病院の中の間違いのお話もされましたけれども、やはり病院の中で、特に病棟ですね、病棟でいろいろの注射を行う。特に、混合して、そして点滴注射を行うといったような場合に、現在、ほとんどの場合、看護師さんにゆだねているわけでありまして、本当はここに薬剤師さんに関与をしていただかなければならない問題だというふうに思っております。先ほどの問題ともこれ関連するわけでありますが、そうしたことに薬剤師さんが今後関与していただくようになりましたときに、薬剤師さんの数が一体どれだけ必要かということにもつながってくる話でございます。  そうしたことを考えて、そして、特に疑義がありますときには、薬剤師さんとそしてその担当の医師とが直接お話をしていただくというのが一番私はいいんだろうというふうに思っております。だから、病院の中でそういう体制ができていなければならないと思いますし、やはりそこはしっかりとした薬剤師さんが権限を持って御主張をいただく体制でなければならないというふうに思っております。医師の権限のみが強過ぎて、そして他の職種の皆さん方が従属的であり過ぎるということは、大変これからの医療に取りまして問題があるというふうに思っております。  したがいまして、疑義照会、二%というのが多い数字なのか少ない数字なのかというのはそれはいろいろ議論あるだろうというふうに思いますけれども、やはり疑義を持たれましたときには、これはその医師に直接やはり言っていただく、そして、直すべきは直すというルールを確立することが大事であるというふうに私は思っておる次第でございまして、中に、事務職員の皆さんですとかそうした方が中に入りますと、中に入られた皆さんも専門的なことは御存じではないわけでありましてお困りになるだろうというふうに思いますから、そこは医師と直接お話をいただいて、日々解決をしていただくルール作りをどうしていくかということに私はなるというふうに思っております。  全体として申し上げれば、そういう薬剤師さんのお声が十分反映できる環境づくりというものを今後どうしていくかということだろうというふうに思っております。
  28. 谷博之

    谷博之君 大臣の御答弁についてはよく分かったわけでありますが、私は、これは意見をちょっと言いますが、この疑義照会というのはじゃ何%あればいいとか、そういうふうな具体的な数字というのはこれは立てにくいと思うんですが、やっぱり現場で疑問を感じれば、それはその疑問について確認をするという、こういうふうな作業はこれは絶対必要であって、そのことによって医療ミスというものは減らされていくということになると思うんですね。  したがって、そういう意味ではこの疑義照会、これ二%が高いか低いかというふうなこと、これは議論の難しいところですが、少なくともいわゆる過去からのそういう一つデータを取って、そして疑義照会を更に増やしていく、そういう一つの指標的なものを作って、そしてともかく細かいことでも照会をするというふうなことの中に、やっぱりみんなが研さんをし合って疑義照会の件数、パーセンテージが減ってくるということになっていくと思いますので、そういう点で、確率の増加一つの指標として取り上げていくという、そういうふうな考え方、やり方も是非検討していただきたいというふうに思っております。  それから、いろいろ時間の関係ございまして、予定した質問が十分できません。  東京理科大学における実験動物の取扱いについてお伺いしたいと思っております。これはまた一昨日の文教科学委員会でもいろいろ細かく質問させていただいたわけでありますが、これは御案内のとおり、東京理科大学が昨年、千葉県の野田に薬学部を移転をいたしました。そして、生命科学研究所、それからこの薬学部、両方そうなんですが、いわゆる非臨床試験としてのこうした実験動物を飼育をして、そして当然それを医学、薬学の面で活用しているわけであります。  ただ、この大学の実験動物の扱い方というのは、例えば、本来決められたところで飼育すべきところが施設の外のそういう建物で管理をされたり、あるいはまたその動物を簡単に持ち運びをして、結果、途中でその動物が逃げ出したり、あるいはまた繁殖記録等が全然取られていない、こういうふうなことがある。例えば、その実験動物を限られたスペースに飼育をする。そのときに、何十倍もの量の動物を本当に狭いかごに入れて飼育をするというふうなことで、結果的に食料、水も与えないということ、食料というかえさを与えないというようなことで飼育動物同士が共食いをするという、そんなような実態がこの薬学部の現場で行われていると、こんなようなことがその施設の委託管理業者から内部告発という形で今年二月に文科省に提出されております。  この辺の内容については一昨日、私は文科委員会で聞いたわけですけれども、こういう内容を受けてお伺いをしたいと思っておりますが、こういう実態になった理由というのは、そもそも我が国に現在この動物実験に関する法制度が整備されていない。その結果、その適切な扱いは基本的に実験者の自主的規制、努力にゆだねられていると。そしてその結果として、現実にはこの点が不備のために、私たち日本じゅうのどこでどんな動物実験が行われているのか全く知ることができないという状況に今あるわけですね。  つまり、全国にこれだけの大学薬学部があります。この薬学部はほとんどそういう実験動物をしています。そういうふうな実験動物の行っている大学の建物のすぐわきに住んでいる方々が、例えばいわゆる感染症の疑いのおそれのあるそういうふうな動物が逃げ出す、そういうことについてもそれはなかなか分からないと、こんなようなことで大変不安に思っている人たちもいるというふうに言われています。  したがって、このような実態について厚生労働省としてはどのように把握をされておられるか、まずお伺いしたいと思います。
  29. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 具体的な数字等、また事務局からも補足させますけれども。  昨年の十月でございますか、この感染症法を改正をいたしまして、そして動物を疫学調査の対象として明記をするといったことを昨年したところでございまして、また、動物を媒介いたします四つの、四類の感染症につきましても、消毒薬とか動物の駆除等の必要な対処措置といったものを行えるようにすると、こういうことにしたわけでございます。  御指摘のとおり、動物と人間と共通の病原体と申しますか、共通の病気もあるわけでございまして、やはり動物を飼育いたしまして、そしてそうしたことを研究をするということになりますと、その動物の管理というのが非常に大事になってくることは御指摘のとおりと私も思います。  これは、薬学部だけではなくて各医学部でありますとか他の研究所にも共通する問題でございますが、多くの病院はこの動物の、実験動物の管理というものに非常に気を遣っておりますし、中には実験動物担当教授というのを作ったりというようなところもありまして、その遺伝的なものから、あるいはまた飼育の問題から、あるいは感染症の問題から非常に気を遣っているところがございますが、やはり実験の基礎になる問題でもございますしいたしますから、そうした意味からも非常に大事でございますし、今御指摘をいただきましたように周辺の住民との、皆さん方の間との問題というのも確かにこれは存在するというふうに思っております。そうした管理というものが、やはり行き届いた管理が行われなければならないことは間違いがございません。そうしたことにつきまして、我々も十分に今後注意していきたいというふうに思います。
  30. 谷博之

    谷博之君 重ねてお伺いをいたしますが、この東京理科大学の問題については、その後、地元の千葉県の野田保健所が立入検査に入ったり、あるいはまた、今年二月以降、文部科学省大学側からその辺の事情について聴取をしているということ、それらを受けて、この大学では五月に大学内部にそういう調査検討の真相究明委員会を作って、今その調査しておりまして、それを発表したいと、こういうところまで話は来ております。  我々は、そういう中で、今年の二月に遺伝子組換え生物規制法という法律が施行されまして、この三十一条にはこういう疑いのおそれのある施設についての立入検査ができるという、そういうことが法律で裏付けられるようになりました。したがって、五月ごろということですが、大学側からそういう真相の内容発表されると。その場合に、もし実験動物を飼育施設以外で飼育をしたり、逃亡の事実が過去にあったり、こういうようなことが現実に報告として出されたときには、今申し上げたような法律の三十一条を使って改めてこの大学に立入りをする考えがあるかどうか、お伺いしたいと思います。
  31. 石川明

    政府参考人(石川明君) 東京理科大学の動物飼育の関係のお尋ねでございます。  ただいま先生からお話がありましたようなことにつきましては、現在、東京理科大学の調査委員会で調査が進められておりまして、これによって事実関係が明らかにされるものと考えておりますけれども、私どもの方でも東京理科大学から既に様々な形で事情を聞いております。  それによりますと、過去において遺伝子組み換え動物が逃亡防止設備を備えていない実験室で飼育されていたというような事実があったということでございますけれども、現時点では改善をされておると。また、動物の逃亡があったことを示す事実というものは確認をされておらないと。それから、遺伝子組換え生物等規制法に基づいた措置、これは適切に現在取られておるというような報告を受けているところでございます。  このため文部科学省といたしましては、法律に基づく立入検査を実施するというような必要性は今のところはないというふうに考えておるところでございますけれども、このような問題が再発しないように、同大学におきまして体制整備など適切に対応するということがまずもって重要であると思っておりますし、文部科学省といたしましてもこの点につきまして今後とも十分に注意を払っていきたいと考えております。  なお、もし東京理科大学の調査委員会報告書等におきまして、新たな問題が明らかになるような、そんなような場合におきましては、その内容に応じてこれまた適切に対応してまいりたい、このように考えております。
  32. 谷博之

    谷博之君 この問題は、冒頭申し上げましたように、この大学のこうした実験動物の飼育の管理を委託された委託管理業者が、もう過去十数年にわたって具体的に学内であったことについて細かく事実を羅列をして文部科学省の方にそのことを内部告発しているわけですね。そういう非常に重大な私は問題であると思っていますが、文部科学省の側はかなり慎重にそれを対応していると思うんです。  これは、私は国立大学の場合はそういうことはないと思いますね。私立大学であるがゆえになかなか腰が引けているというふうなこともあるのではないかというふうな気もするんですね。少なくとも動物にも一つの、人間の人権じゃありませんけれども一つの権利があるんですよね。いわゆる人間の福祉もそうですが、動物にも福祉があります。そういうふうな貴重な実験動物をたくさん使ってたくさん殺せばいいんだということではないと思うんですね。そういう中で、やっぱりいかに人間の薬や生命を維持するためにその薬を作って、そういうふうな実験動物が犠牲になりつつ一つの薬ができてくるわけです。そういうことを考えたときに、現実にこういうふうな実験動物が、そういう事実はないとおっしゃっていますけれども、もしあったとしたら、これは私は非常に問題があると思うんですね。ですから、この五月の、あるいはそのころに出ると言われているこの大学側からの報告書、これをしっかりやっぱり私は見ていただいて対応していただかなくちゃ困るというふうに思っています。  それから、大臣にもひとつやっぱりお話ししておきますが、先ほど、感染症予防法の改正、これ昨年のSARSを契機になされたと。それによっても感染する可能性のある動物が確認されなかった場合には対応ができないというふうなことになるわけですけれども、しかし近隣住民の皆さん方はこういう事実がだんだん明らかになってくると非常に不安が募っていくわけです。そういう不安が募った方々はどこへ行くかというと、一番手っ取り早いのは保健所へ行くんですよ。  保健所はそれを受けて、昨年九月に野田保健所行きました。行ったときの立ち入った根拠は何かというと、動愛法なんですよ。動物愛護管理法という環境省の扱っている法律のそれを一つのてこといいますか、盾にして実際の現場に立ち入りしたと。しかし、それは残念ながら動愛法に違反するような事実はなかったということなんですけれども、しかし、そういう一つ法律の限界、仕組みの限界というのはありますけれども、いずれにしても近隣住民がそういう不安を感じて保健所に相談に行く。そうしたときに、いや、そういう相談は建前上対応できませんからと言うわけにいかないんですね。そこら辺のことも含めて総合的にこうした問題について今後どうしていこうとしているか、この点についてお伺いをして、私の質問を終わりたいと思います。
  33. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 地域の保健所がそうした役割をやはり担わなければいけないだろうというふうに思いますし、今回の場合にもその保健所に御相談をいただいたようでございますから、これからもそうしたことがあるだろうというふうに、そうしたことに対応できるようにやはりしていかなければいけないというふうに思っております。  で、地域住民の皆さんが、それによって何らかの感染症が起こったと、あるいは起こる可能性があるという御心配になりましたときには、やはりこの感染症の感染経路でありますとか症状、治療等の確実な情報提供をやはり行う。そこでどういう検査をしているのかということの情報も併せてそれは情報提供を行うということだろうと思うんです。全く感染する可能性のないことをやっているのか、それとも感染する可能性のある実験をその中で行っているのかというようなことを、やはり保健所はそうしたところともよく話をして、そして国民皆さん方にそこが十分理解されるように報告をするという義務があるというふうに思います。  それからもう一つは、この感染症が蔓延するおそれのありますときには、動物実験等の立入調査というようなこともこれはできるわけでありますから、そうしたことも念頭に置いて、そこでどういう実験が行われているかというようなことも十分に聞いた上でそうした調査も判断をするということになるだろうというふうに思っております。  いずれにいたしましても、これは地域住民の皆さん方の健康と大きなかかわりのある話でございますから、我々の方といたしましても、十分にそうした対応ができるよう保健所に対しましても、我々は、これはもうそこだけでなく全国の保健所に対しましてもそうしたことを、体制を整えるようにしたいというふうに思っております。
  34. 谷博之

    谷博之君 ありがとうございました。時間が来ましたので、以上で終わります。
  35. 井上美代

    ○井上美代君 日本共産党の井上美代でございます。  法案審議に入る前に大臣にお伺いしたいと思います。  本日、この後、年金改革関連法案趣旨説明が行われようとしておりますけれども、その前に、この法案に責任を持つ大臣と、そして副大臣、そしてまた政務官皆さん方年金の加入状況、そして保険料の支払状況を明らかにすることは最低限の責任だと思いますけれども大臣、どのようにお考えでしょうか。
  36. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 私の過去の経緯に、経歴につきましては既に発表させていただいているところでございます。  副大臣等につきましては、それぞれまだ申し上げておりませんけれども、それぞれ主体的にお取組をいただきたいというふうに思っているところでございます。  先ほどこの委員全体の話も出たりいたしておりますし、それぞれの党でのお話も出たりしているわけでございますので、総合的に我々も取り組んでいかなければいけないというふうに思っております。
  37. 井上美代

    ○井上美代君 私はやはり趣旨説明の前にきちんとした方がいいというふうに思います。そうすべきだと思うんです。  やはりもう国民の関心というのは非常に大きくて、この参議院の厚生労働委員会への注目というのも大変なものになっております。それは自分たちのもちろん不安もありますし、しかしながら政治に対する不信というのが広がってきているという証拠でもあるというふうに思うんです。そういう意味で、国民に本当に開かれた審議をするという意味でもそこをはっきりとさせていただきたいというふうに思いますが、その点、どうでしょうか。趣旨説明の前にお願いしたいと思います。
  38. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 先ほど申しましたように、私の過去の問題につきましてはすべて記者団にも発表しているところでございます。そうしたことを既に行っておりますし、やはり大臣、責任を持ってやっていかなければいけないところはやらなければいけないわけでございますから、十分相談をしたいというふうに思います。
  39. 井上美代

    ○井上美代君 私は、少なくとも副大臣、政務官については、大臣のそばにしっかりと付いてやっていらっしゃる方たちですから、はっきりさせて趣旨説明に入ってほしいと思うんです。それは、その人の個人の問題ではなくて、やはりこの厚生労働委員会の責任として、大臣がそこを握っておられるんですから、大臣の決断でやってほしいと思います。いかがでしょうか。
  40. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 先ほど申し上げたとおりでございまして、それぞれやはり御自身で過去の問題というのは決着を付けていただくということが大事だというふうに思っております。
  41. 井上美代

    ○井上美代君 私は、大臣が、そこで一人一人がおっしゃるのはいいですよ、一人一人がおっしゃればいいと思うんですけれども大臣が決断しなければいけない内容であるというふうに思います。決断はいかがでしょうか。それでもできないとおっしゃるんですか。大臣のことはよく存じ上げております。
  42. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 私がこの大臣だからといって、すべて何もかも命令をするということではなくて、それぞれがやはり過去のことにつきましては自分で調査をしていただきまして、そして明らかにしていただくということが望ましいと思います。
  43. 井上美代

    ○井上美代君 やはり、一人一人が自らのこの問題を明らかにすることなしに、国民の痛みを押し付ける法案ということで、国民は非常に不安になっているわけなんです。だから、私はそういうことは許されないというふうに思います。やはり、責任を持った大臣が副大臣や政務官に話合いをすればいいじゃないですか。命令ではないと思います。話合いをして、そして政治的責任を取るのが当然であるというふうに思うんです。そのことを申し上げて、私は、もう絶対それをやらなければ国民は許さないんだということを私は強く強く申し上げまして、質問に入っていきたいと思います。  私は、市販の風邪薬による間質性の肺炎の発症問題について今日は取り上げたいと思っております。  この問題は非常に重大な問題だというふうに私は思っておりまして、風邪薬を飲むことによって間質性肺炎になるという問題なんです。余り聞き慣れない言葉なんですけれども、風邪を引いたときに医者に行かないで薬局で風邪薬を買って風邪を治すということはごく普通に行われていることなんです。風邪がなかなか治らないということで長期間市販の風邪薬を飲み続けることはあり得ることではないでしょうか。そのうち風邪が治ることはありますけれども、重大な問題は、この風邪薬の服用のために間質性肺炎になるということが明らかになっていることなんです。  最近の新聞の死亡広告を見ましても、これまでの肺炎というのは、肺炎と、こういうふうに書いてあるんですけれども、別に間質性肺炎が原因と書かれている方たちが何人も今出てきているわけなんです。よく知られている方ですけれども、歌手の三ツ矢歌子さんも、風邪薬が原因でなられたかどうかは分かりませんけれども、新聞には間質性肺炎で亡くなられたということが書いてありました。今、改めて間質性肺炎について考えてみるときではないかと感じております。  まず、間質性肺炎については一般国民はほとんど知らないんです。そこで、最初に厚生労働省にお聞きしたいのですが、間質性肺炎はどのような病気なのか、そしてどのような症状が出るのか、そして、厚生労働省は製薬会社から間質性肺炎になった患者の発症症例の報告を受けておられますけれども、それを具体的に報告していただきたいと思います。御答弁願います。
  44. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) お答え申し上げます。  肺でございますけれども、肺は軟らかい小さな袋であります肺胞の集まりでございまして、その肺胞の壁の中あるいは周辺を間質というふうに呼んでいるところでございます。  間質性肺炎でございますけれども、これはその間質に炎症が起こった状態でございまして、たんを伴わないせき、息切れ、呼吸困難、発熱等を特徴とするということでございます。  それから、一般用風邪薬によります間質性肺炎の症例でございますけれども平成十五年の七月に発行いたしました医薬品・医療用具等安全情報に三例掲載されておりますので、それを具体的に紹介をさせていただきたいと思います。  まず、一つの例でございますが、五十代の男性の例でございます。  発熱、頭痛のために風邪薬の服用を開始いたしまして、一、二週間後に頭痛は消えましたものの、高熱、倦怠感、たんを伴わないせきが出現すると。その後も服用を続けまして症状が悪化したということでございます。三、四週間後に入院し、胸部エックス線検査及び胸部CT検査で異常を認めたため、直ちに風邪薬の服用を中止したということでございます。ステロイド剤を投与したところ、中止十日後に症状が著明に改善をいたしましたが、更に肺病巣内に細菌感染を起こしまして、抗生剤による治療を開始いたしました。中止して六十八日後に軽快し退院されたというケースでございます。  二つ目のケースでございますが、六十代の男性の例でございますけれども、のどの痛みのために時折風邪薬を服用されておって、ただ、正確な服用期間は不明ということでございます。風邪のような症状が悪化いたしまして、胸部エックス線検査で異常を認めたために抗生剤を投与いたしましたが、改善しないということで六十九日目にほかの病院にて入院されております。精密検査の結果、七十六日目に間質性肺炎と診断をされまして、ステロイド剤を投与いたしまして改善に向かったということでございます。  最後に、六十代の男性の例でございますが、これのケースの場合には、悪寒があったために風邪薬、いわゆる市販の風邪薬、それから解熱鎮痛剤を服用されておりまして、服用当日に全身に発疹が出現いたしまして、風邪薬、解熱鎮痛剤の服用を中止をいたしております。中止後二日後に薬疹の疑いで入院をされまして、医療用の解熱鎮痛剤を三日間投与されました。しかし、発疹は増加を続けまして、更に胸部症状が出現をいたしまして、中止後七日後に他院へ転院され、診断の結果、細菌性肺炎の疑いということで抗生剤を投与されたと。しかし、同日の夜、呼吸困難を訴えられたために酸素を投与いたしまして、中止後八日後でございますが、胸部CT検査の結果、薬剤性の肺障害と診断されまして、抗生剤の投与をやめまして、特に治療薬の投与は行わなかったけれども軽快をされたという三つのケースでございます。
  45. 井上美代

    ○井上美代君 風邪、今、症状や何か出していただきましたけれども、何しろ空ぜき、そして胸が物すごく苦しくなるというので、ようやく病院に行くというようなことがありますし、風邪と似ているから気付かないままに大変だと思って終わっている人もいるわけなんです。  風邪薬を飲むことによって間質性肺炎になるということが、いつごろからこれがこういうふうに明らかになってきたのだろうかというふうに思うんですけれども、それを是非聞かせていただきたいのと、薬と間質性肺炎の関連が現段階でどこまで解明されているのかということ、原因の解明、そして治療方法ですね、どこまで進んでいるのかということを簡単に御答弁願いたいと思います。
  46. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 一般用風邪薬によります間質性肺炎につきましては、昨年の四月に、それまでに報告されました一般用風邪薬の副作用症例について検討をいたしましたところ、十六種類の製品群におきまして、死亡例はないわけでございますが、因果関係は否定できない症例が認められるということでございまして、詳細な検討を行いまして、昨年五月の末に使用上の注意を改訂するというふうにいたしたところでございます。  医薬品と副作用の因果関係でございますが、これは大変評価が難しいところでございますが、報告された個々の症例につきまして専門家の先生と協議をしながら評価を行ったところ、因果関係が否定できない症例が少なくとも二十六例確認されたということでございます。  間質性肺炎の原因は多岐に及びまして一定の治療法はございませんけれども、風邪薬によると考えられます間質性肺炎の治療方法について言いますと、まず、原因と考えられます薬剤の服用を中止をする、その上でステロイド剤による治療が一般的であるというふうに私ども承知をいたしております。
  47. 井上美代

    ○井上美代君 風邪薬を飲むことによって間質性肺炎になるというおそれがあるということは、本当にもう驚くべきことです。  厚生労働省は、間質性の肺炎になると疑われる風邪薬の薬品名と、それを作っている製薬会社の名前をつかんでおられます。その製造会社名とすべての風邪薬の名前を教えてほしいと思います。
  48. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 昨年の五月の時点で、それまでに間質性肺炎が報告されました十六製品群に該当いたしますものでございますが、これは使用上の注意を改訂するようにというふうに指示をいたしました一般用風邪薬の商品名と製造業者でございます。  まず大正製薬でございますが、これは九品目ございまして、パブロンゴールド錠、パブロンSカプセル等、パブロンの商品名の付きました一連の製品のうち九品目でございます。それからエスエス製薬が三品目ございまして、エスタックイブ、エスタックEVE錠、エスタックイブ顆粒。それから日本薬品工業も三品目ございまして、ユアドック・アイ、メディフォース・アイ、ダンイブという三品目でございます。それから科研製薬の三品目もございまして、イベック総合感冒薬、ルッケル総合感冒薬、ジルナール総合感冒薬。それから資生堂が一品目ございまして、ルッケル総合感冒薬。それからロート製薬が二品目ございまして、ユアIB(錠)、ロートIB(錠)。それから堺化学工業、一品目ございまして、改源というものでございます。それから佐藤製薬が二品目ございまして、ストナプラス2顆粒、ストナプラス2という。それから三共が四品目ございまして、新ルルAゴールド等、新ルルの商品名の付きました一連の製品のうち四品目ということでございます。それから皇漢堂製薬が一品目ございまして、総合感冒薬「クニヒロ」というものでございます。住友製薬が二品目ございまして、コンタック総合感冒薬キャプレット、コンタック総合感冒薬(カプセル)。それから全薬工業、一品目ございまして、新ジキニン顆粒。第一薬品工業が四品目ございまして、カイゲン感冒カプセルα、カイゲン感冒カプセル「プラス」、カイゲンゴールドカプセル、カゼゴールドエースという。それから武田薬品工業は四品目でございまして、ベンザブロック錠等、ベンザブロックの商品名の付きました一連の製品のうち四品目。富士薬品、二品目ございまして、新ジキナエース、ハヤナエース。  以上、十五社の四十二品目でございます。
  49. 井上美代

    ○井上美代君 各製造会社、薬品会社と、そしてその品名が出ましたけれども、その後の報告、今の報告がありましたそれ以後の風邪薬について私は少し調査をしてみました。すると、厚生労働省以外で、小児用とそして学童用の薬で間質性肺炎のおそれがあり、使用上の注意の中に明記されたものがありました。それは、大正製薬のパブロンS小児液という、そしてまたパブロン学童用の薬です。これ以外にも風邪薬の間質性肺炎を引き起こすものがあると思いますが、小児用や学童用でも間質性肺炎を起こすおそれがあることは、私、重大な問題であると思います。  厚労省報告したもので製造をやめたり新たに製造した風邪薬があると思います。改めてすべての風邪薬について間質性肺炎との関連を明らかにして、是非国民に知らせてほしいというふうに思います。  薬局でたくさんの風邪薬が販売されておりますけれども、会社などで働いている人は時間がなくて医者にもなかなか行けない、だから買ってきた風邪薬で風邪を治そうと飲んでいる人がたくさんいらっしゃいます。この風邪薬によって間質性肺炎を引き起こす可能性があるということは本当に重大な問題だと思います。  私は、報告を受けた例ですけれども、百数十世帯のマンションでパブロンSを飲んでいて間質性肺炎になった人が二人もいたのです。パブロンSは、厚労省資料でも間質性肺炎になるおそれがあるとなっております。  私は、今朝、宿舎のすぐ近くの薬局で風邪薬を四種類買ってまいりました。そして、中を開いてみましてこの説明書を読んでみましたけれども、二つは間質性肺炎の指摘がありましたけれども、二つは全くどこにもそれは書いてありません。そして、いみじくもこのパブロンSには全く書いていないんですね。もう一つは三共。三共の新ルルA錠という、これには全く何も説明がありません。そして私は、薬局で薬をもらうときに紙か何かくれるかなとも思いましたけれども、それもくれませんでした。口頭で何か説明があるかなと思いましたけれども、それも全く説明はありませんでした。  このような重大な文書がある、間質性肺炎の危険性について、薬局で薬を買った人がどのような方法で、またどのような手段でこれを知って気を付けるかということなのですけれども、ここはどのようになっているのでしょうか、御答弁を願いたいと思います。
  50. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 厚生労働省といたしましては、平成十五年の五月の時点で、こういう医薬品・医療用具等安全情報ということで、関係企業に対しましても使用上の注意を速やかに改訂をするようにと、それから薬局等に対しまして速やかに情報提供するように指示をいたしまして、と同時にまた、社団法人の日本薬剤師会等の関係団体に対しましてもそういう医薬品の適正使用の徹底に関して協力を依頼したところでございます。    〔委員長退席、理事藤井基之君着席〕  また、そういう間質性肺炎の副作用の危険ということで、この旨を新聞報道発表いたしまして、また、厚生労働省のホームページ、あるいは、現在でいいますと独立行政法人の医薬品医療機器総合機構でございますが、のホームページにも掲載をし、情報提供を行っているということでございます。  それで、この医薬品・医療用具等安全情報などに記事を掲載しまして医療関係者に幅広く情報提供をいたしておりますし、今後ともホームページに掲載をして周知の徹底を図っていきたいというふうに思っております。
  51. 井上美代

    ○井上美代君 私も、厚労省のこの使用上の注意書きが製薬会社に対してどの程度徹底されているのかということで、今、厚生労働省としてはやったことを御答弁くださいましたけれども、実際にはなかなかそういうふうにいっていないんですね。  厚生労働省指摘されたすべての製薬会社に問い合わせを私いたしました。そして、該当するすべての風邪薬の使用上の注意書きを取り寄せてみました。そうしましたら、確かに注意書きにこの間質性肺炎の指摘はあります。間質性肺炎について注意を喚起していることは確かです。  問題は、この注意書きというのは二〇〇三年の六月以降に製造された風邪薬の中にだけ入っているんですね。そして、二〇〇三年、去年の五月以降に作られた風邪薬にはそれが、それ以前に作られた、去年の五月以前に作られた風邪薬には入っていないんです。だからここに四つ買ってきても、二つには何にも説明がないし、二つには説明があるわけなんです。そういうふうになっておりまして、まだまだ徹底がしていないんですね。そういうふうになりますと、風邪薬を買った人は間質性肺炎について知ることもできない。  このようなときの対策は取られていないのでしょうか。この注意文書をせめてせめて店頭で渡すぐらいのことはやるべきではないかというふうに思っておりますけれども、御答弁を願いたいと思います。
  52. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 改訂前の添付文書がまだ添付されている製品につきましては、いわゆる在庫といいますか、そういうものにつきましては、薬局等におきまして販売するときに間質性肺炎に関する注意喚起がなされるように、製造業者等に対しまして薬局に速やかな情報提供を行っていただきたいということで指示をいたしております。また、関係団体にも通知をいたしまして、適正使用の徹底に対する御協力をお願いしたところでございます。  現在市販されている多くの一般用の風邪薬の添付文書には、間質性肺炎に対する注意が記載されていると私ども承知しておりますけれども、本件に限りませず、改訂前の添付文書が添付されているような製品の販売につきましては、薬剤師などによりまして適切な情報が提供なされるように引き続き関係団体を通じてよく指導をしていきたいというふうに考えております。
  53. 井上美代

    ○井上美代君 今、大手の薬チェーン店に行きますと、薬がもう山積みされて定価よりもかなり安く売られているんですね。そして、風邪薬を買う人は、このように安い薬をたくさん買って、お医者さんに行くのも少なくなっているんです。そして必死で働いているわけなんですけれども。間質性肺炎の初期の症状があっても、風邪薬を飲んでいるから安心と薬を飲み続けている、ここにまた大変なことがあるわけですね。また、飲み続ければ飲み続けるほど症状はひどくなっていくんです。悪循環を繰り返している。更にひどくなって、そしてよろよろになるぐらいになっている人もいるんです。だから、消費者への注意を徹底するべきだというふうに思うんですね。  もう一つは、間質性肺炎はどのようなものなのか国民に知らせていくという、そういう責任があるというふうに思うんです。厚労省はホームページに載せたとかそういうふうにおっしゃいますけれども、ホームページを見る人というのはやはり限られているわけなんですね。もっと国民の一人一人が、子供まで含めてそのことが徹底されるようにしていかなければいけないと思いますけれども、どのようにやろうというふうに決意されるのか、是非答弁をお聞きしたいと思います。
  54. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 御指摘のように、やっぱり一般用医薬品であっても、間質性肺炎に限りませず、程度の差はございますけれども、副作用が生じるということで大変大きな問題だというふうに思っております。  したがって、特に間質性肺炎のような重篤な副作用はもちろんでございますが、使用に当たっての必要な注意を添付文書に書いていただくと。先ほど来申し上げましたように、使用上の注意として記載をして、十分に情報提供を消費者に徹底をすると。また、添付文書以外にも、私ども厚生労働省が毎月発行しております安全情報でございますとか関係団体にも十分配布をして、この添付文書の内容について十分御理解をいただくようにしたいというふうに思っております。  ホームページ以外にも、いろんな形で私ども、薬と健康の週間等のようなこともございますし、また製薬企業の方でもいろいろなテレビ、ラジオの広告等もあるわけでございますから、使用上の注意をよく読んでいただいて服用していただくように、今後とも十分国民の皆さんに周知徹底をしていきたいというふうに考えております。
  55. 井上美代

    ○井上美代君 私はやはり、今回、小児用や学童用でもこの間質性肺炎を起こすおそれがあるということ、このことを知りまして、これは本当に重大なことだというふうに思っているわけなんです。しかも、肺炎との区別が付きにくいですから、付きにくいし、なかなか間質性というところが、今最初説明ありましたけれども分からないんですね。だから、それだけに私は、皆さんに、国民の皆さんに知らせていくというところにもっと力を入れていただきたいというふうに思います。  そして、私は、最後に病院の薬剤師に係る診療報酬の改善について質問をしたいというふうに思います。  薬剤師の診療報酬は、入院調剤技術基本料が一か月で四十九点です。そして、調剤料が一日で七点。そのほかもろもろありまして、勉強しておりましたら、まあいろいろいろいろあるんだということで、本当に私も初めての勉強で薬剤師の先生方の御苦労を思いましたけれども、この薬剤管理指導料が一回三百五十点で月四回までというふうになっているんですね。これは安過ぎると言われていて、これをやっぱり改善すべきではないかなと私は強く思いました。  看護師さんは診療報酬上、入院基本料の中に位置付けられております。そして一方、薬剤師は薬剤管理指導料が出来高払になっているんですね。出来高払というところ、私、これが問題だと思うんです。また、医療法でも、医師や看護師、薬剤師は定数が定められております。しかし、薬剤師のみが出来高払になっているんですね。  これをなぜ改善しなければならないかというと、薬学部の学生が六年生になった後には、当然初任給の問題が出てまいります。薬剤師業務の高度化、薬剤師が病棟に付くようになっていることから、出来高払では現実に合わないという問題が出てくるというふうに思うんです。だから、ここはどうしても改善をしなければいけない点であるというふうに思います。今度の四年が六年制というふうになっていくわけなんですから、そういう点でも私は是非そこを改善していただかなければいけないというふうに思います。  これ、大臣の御答弁をお願いしたい。
  56. 坂口力

    国務大臣坂口力君) この部分につきましては、診療報酬体系の見直しの中できちっと位置付けるべきだというふうに思っております。  特に、病院におきますその位置付けというものにつきまして、これは診療報酬とかなりかかわりの大きい問題でございます。人の配置と非常にかかわる問題でございます。そこが明確にならないといけないわけでありまして、私は、新しい診療報酬体系の見直しを今進めているところでございまして、あと一年か二年、そのぐらいででき上がるというふうに思っております。できるだけ早くやりたいというふうに思っておりますが。  その中で、やはりこの薬剤師さんの問題も、新しい大学、六年制大学ができることでございますし、また、病院の中におきます活動の場というのもかなり広がっていっている、大きな役割を今後果たしていただかなければならないというふうに思っておりまして、そこの位置付けが非常に大事だというふうに認識をいたしております。その中で決めていきたいというふうに思っております。    〔理事藤井基之君退席、委員長着席〕
  57. 井上美代

    ○井上美代君 時間ですので、これで質問を終わります。
  58. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 社会民主党の福島瑞穂です。  まず、大臣にお聞きをいたします。  多くの国会議員年金の保険料未納で名前が挙がっております。このことについてどうお考えでしょうか。
  59. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 多くの皆さんがこの国民年金に入っていない、誠に残念なことだというふうに思っております。  これには制度上の問題もございますし、それから個人の注意といった問題もあるというふうに思っております。個人個人が注意をしていただかなければならないと同時に、制度上におきましてもそうしたことが起こらないような体制をやはり作り上げていかないといけないというふうに思っておりまして、最近では、新しく加入をしていただく皆さん方につきましては、二回までそれぞれ社会保険庁から連絡を申し上げたりいたしておりますが、かなり過去におきましては、そうしたことも十分になされていなかったこともあるわけでございます。早く、しかしこの体制を強化をしたいというふうに思っております。
  60. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 改めてお聞きします。国会議員年金未納の問題、この責任はどれほど重いとお考えでしょうか。
  61. 坂口力

    国務大臣坂口力君) やはり法律を作る立場でございますから、法律を作る立場の人間が法律を守っていくというのは当然のことでございますので、その責任は重いというふうに思っております。
  62. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 今、年金の改革法案、昨日参議院の本会議で議論になりました。立法者としてという面もありますが、国民に負担増を求めるのが今度の年金改革法案です。十四年間保険料を引き上げる、給付は引き下げる、一五%最終的には引き下げる。国民には負担増を求めながら、国会議員が、一緒に年金制度を支えていく、その決意、責任が薄いのではないでしょうか。いかがですか。
  63. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 総論で申し上げますと、今後の少子高齢社会にどう対応していく年金制度を確立するかということになるだろうというふうに思っております。そうした意味で、少子高齢化に対応いたします制度を作り上げていくという意味では、やはり皆さん方にもお願いすべきところはお願いをしなければならないというのが我々の立場でございます。  しかし、そのことと国会議員の話とは少し別でございまして、国会議員のことにつきましては、それぞれの立場でこれはそれぞれの御自身が気を付けていただかなければならない問題でございますし、また、皆さんがいろいろの職業を替わられましたときにそれにきちっと対応できるような制度体系というものも必要でございますから、十分そこは我々も確立をしていきたいというふうに思っております。
  64. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 社会の中には、保険料を払いたくても払えない、あるいは厳しい生活の中で保険料を払っている人もいます。歳費をもらう国会議員になぜこのように未加入、未納の人がいるのか、大臣は理由をどこにお考えでしょうか。
  65. 坂口力

    国務大臣坂口力君) それは個々人、それぞれの皆さん方の御都合によるんだろう。それは理由はいろいろだというふうに思いますが、一つは、大臣でありますとか政務官でありますとか、そういうときに、お就きになりましたときに、いわゆる共済、健康保険の方にお入りになりますけれども、しかし年金はその中には入っていない。そこを間違えて、両方入っているというふうに思われて間違われた方がかなりたくさんおみえになるということは事実でございまして、そうしたことにつきましても、これから役所としては見直しをしていかなければならないというふうに思っております。  そのほか、今まで他の職業に就いておみえになって、そしてこの国会議員におなりになりましてから後、国会の中には国会としての年金制度があるといったこともあるものですから、そのことと混同されている方もおみえになったのではないかと思います。  それからもう一つは、昭和三十六年以降、昭和六十年までの間は、国会議員国民年金に入れない、あるいは入っても入らなくてもいいという時期があったことも事実でございまして、そうしたこと、その後改正されたときとの混同、そうしたこともあるというふうに思っております。
  66. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 私は、国会議員の政治家としての資質が保険料の未納だけで語られるのは、実は非常にバランスが悪いというふうには思います。しかし、なぜこの未納問題が非常に重要な問題になっているかといえば、制度を支えていくべき、あるいは制度改革をすべき国会議員が、自分のことを棚に上げ、自分はその制度を支えないで、あるいはいろんな理由から支払わない、支えないということに関して国民が怒っていると。それはむしろ当然のことであるというふうに思っています。  それで、政党の中では、共産党、社民党、公明党、これは全議員について公表をしました。社民党も残念ながらゼロではなかったわけですが、今後民主党も公表するというふうに言われておりますが、大臣意見をお聞きいたしますが、すべての政党、これは年金の納入状況に、保険料の納入状況についてすべて明らかにすべきではないでしょうか。年金のこの保険料の支払のことは個人情報ではなく公人情報であるというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  67. 坂口力

    国務大臣坂口力君) それぞれの政党でこれはお決めをいただくことでございますから、それぞれが対応していただけるものというふうに思っております。
  68. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 しかし私は、個人情報ではなく公人情報、これだけ国民の不信を受けているわけですから、厚生労働大臣としては、すべての国会議員が明らかにすべきだとお考えではないですか。
  69. 坂口力

    国務大臣坂口力君) それぞれ政党があることでございますし、それぞれで今までも党によりましては全員発表になっているわけでありますから、それぞれの政党におきましてやはりお願いをするというのが手順だというふうに思っております。やはり、明らかにしていただく方がいいというふうに私もそれは率直にそう思っております。しかし、そこは各政党でおやりをいただくという手順が必要だと思います。
  70. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 それから、私はこの発表の時期というものも極めて重要だと考えます。特に、政権与党ですが、福田官房長官は、お辞めになられましたけれども衆議院で通った後、公表される。そして昨日発表された政党は、参議院の本会議審議入りするということで発表。実はもっと早い段階できちっと発表すべきではないか、政府・自民党ももっと早い段階発表すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
  71. 坂口力

    国務大臣坂口力君) ここは私が答えることではないような気もいたしますが、いずれにいたしましても、各政党できちんとやっていただくということが大事、そしてできれば早く発表していただくことが大事というふうに思っております。
  72. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 年金の問題は、国民の皆さんに私たちが負担増あるいは制度をこうしますということなわけですから、国会議員全員が明らかにすべきであると思います。  ところで大臣国会議員について明らかにすることは望ましいというふうに言っていただきましたが、この法案を提案する側の政権、内閣についてはより強く明らかにすべきであるというふうに考えますが、副大臣、政務次官、政務官、これについて大至急明らかにしていただきたいのですが、いかがですか。
  73. 坂口力

    国務大臣坂口力君) それぞれの大臣の取扱いにつきましても、それぞれの大臣が自分で発表するという手順を踏んだわけでございます。副大臣あるいは政務官につきましても、それぞれの責任において処理をしていただくということが大事だというふうに思っております。
  74. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 これはもう自己責任のレベルではありません。個人情報ではなく、この年金改革法案を提案する厚生労働省としてきちっと明らかにすべきだと考えますが、いかがでしょうか。  厚生労働省こそが、この年金を、こういう負担増を求めるという改革法案、私たちからすれば改悪法案ですが、提案をしていらっしゃいます。改革をする、あるいは負担増を求める役所、政権側が自ら明らかにしないのは不公平だと考えますが、いかがでしょうか。信頼を回復する上でも明らかにしてください。
  75. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 不公平かどうかは別にいたしまして、発表していただくように私もお願いをしているところでございますから、それぞれで発表していただくということになるだろうと思います。
  76. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 それぞれお願いをしていらっしゃるということですが、これはやはり大臣、個々人の問題ではない。お願いして、じゃ発表しない人がいたらどうされるおつもりですか。
  77. 坂口力

    国務大臣坂口力君) そこまで詰められますと私も答えにくいですが、それぞれで発表していただけるものと信じております。
  78. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 大臣が信じていらっしゃるということですが、これは、負担増を求めるこの法案審議の前提条件として、やはり私たちはクリーンに、フェアにやっぱりこの法案に向かうと。残念ながらどの政党にも未納者はいたわけですが、そのことも踏まえながら、やはりこのこと、国民に対して、この年金を議論するに当たって、私たちは本当にフェアに透明化して議論するということが必要だと思います。大臣、大至急、再度説得してくださるよう約束していただけますか。
  79. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 先ほどから申し上げているとおりでございまして、私は私の立場でそれぞれの皆さん方にも役割を果たしていただくようにお願いをしているところでございます。
  80. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 この委員会としても、副大臣、政務次官、政務官、そしてこの厚生労働委員会のメンバー全員について明らかにしてくださるよう、委員長に求めます。
  81. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 後刻、理事会協議をさせていただきます。
  82. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 それから、修正案提案者の長勢議員のことですが、修正案提案者ですので、この点についても明らかにしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。(「だれ」と呼ぶ者あり)大臣。──大臣、答えられない、分かりました。  では、それは委員長いかがでしょうか。──委員長も答えられないか。  そうしたら、済みません、では、これは長勢修正案提案者に要望を、強く要望いたしたいというふうに思います。  私はやはり、もちろん、我が党も全くゼロではなかったことは残念なんですが、ただ、正直言ってショックを受けております。  というのは、私は、なぜ国会議員で、特に経済的に困窮しているわけでもないのに、なぜ未納が起きるのか。それは、一つは議員年金の存在があると思います。私は、議員年金は、もう議員を辞めた後はもう平等に国民と同じにすればいいと、廃止をすればいいと個人的には考えております。  そして二つ目は、実は国会議員は、国民年金がどうなろうが、基本的に自分の問題ではないというふうに思っているのではないか。自分の問題として年金の問題を考えるということが国民から強く求められているというふうに考えております。その意味で、この年金の改革法案、まあ私たちからすれば改悪法案ですが、審議する前提として、私たちがやはりこの問題を重く受け止め、真摯に向かうということを強く申し上げたいと思います。  で、大臣、早く公表し、きちっと審議がとことんできるようによろしくお願いします。  ところで、先ほどから大臣は制度の複雑さということを言っています。確かにそれもあると思います。国民の皆さんにとっては正にそうです。実は、私としても、無年金人たちに多く会ってきました。三号被保険者で届出をしなかった、あるいは、女性は特にそうですが、一号、二号、三号と変わっていく。パートタイマーの人は、厚生年金未加入、国民年金払うのにもお金がない、あるいは忘れてしまう。あるいは、制度をいろいろ転々と、職歴を転々とするうちに、そのことが、届出を忘れてしまうということもあります。  この参議院の厚生労働委員会できちっとした制度論、負担と給付の問題、今後、年金制度が無年金者や未納者を生まないためにどうあるべきかということについてとことん根本的に議論をしていきたいと考えております。  次に、薬事法の問題についてお聞きをいたします。  パートタイマーの、パートの薬剤師の問題についてまずお聞きをします。  薬剤師は、女性と男性では女性が多いですけれども、現実はパートの薬剤師も多いです。パート薬剤師の比率、また薬剤師会への加入率、研修の実態などの具体的調査は行っていらっしゃるのでしょうか。
  83. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 薬剤師の職業紹介事業を実施しております地区の薬剤師会に伺った結果によりますと、約三割が非常勤の薬剤師による就職であるというふうに聞いております。それから、厚生労働省の調査結果におきましても、勤務時間に換算をいたしまして、約二五%の勤務について非常勤の薬剤師が従事しているのではないかというふうに思っております。  それから、お尋ね日本薬剤師会の加入状況でございますが、常勤、非常勤の区別にかかわらず加入することができるということになっておりまして、加入薬剤師のうちの非常勤の薬剤師さんの占める割合というのは承知をいたしておりません。  それから、どちらにしても、そういう研修等の問題につきましても、常勤、非常勤の区別にかかわらず受講できるわけでございまして、そういう意味では、非常勤の方だけの割合等については特に把握をいたしておりません。
  84. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 厚生労働省として、このパート薬剤師の問題について今後取り組んでいただきたいと思いますが、それについてお考えをお聞かせください。
  85. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 厚生労働省としても、常勤の薬剤師さんと非常勤の薬剤師さんと別に区別をするつもりはございませんので、資質向上を図っていくということは当然大事なことであると考えておりますので、必要に応じ、実態の把握に努めていきたいというふうに考えております。
  86. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 例えば佐賀県女性薬剤師会を見ますと、研修の場を提供しよう、あるいは女性たちで女性薬剤師会を作って研修しようなどしています。是非、この非常勤の薬剤師人たちの研修その他、是非是非、力を入れていただきたいということを要望として申し上げます。  次に、一人薬剤師問題についてお聞きをいたします。  現在、二四%が一人薬局という数字もあり、また中小病院など薬剤師が一人しかいない施設では、調剤業務以外の服薬指導なども十分できるとは言い難い状況があります。つまり、薬剤師さんといっても、一人でやっていらっしゃると。この問題をどのように解決、あるいは問題があるとお考えなのか、何か施策が必要だとお考えでしょうか。
  87. 岩尾總一郎

    政府参考人岩尾總一郎君) 医療法では、調剤業務や病棟における服薬指導などの状況を踏まえて、入院患者数や外来処方せんの枚数に応じて病院における薬剤師の配置標準を定めております。  病院薬剤師会の委員会の調査でそのような結果が出たということを承知しておりますが、個々の病院においては、配置標準などを踏まえて患者の状態や業務の実態に即して適切な薬剤師数を確保し、服薬指導への活用などを図っていると受け止めております。
  88. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 ちょっと、どういうふうに問題を、もう少し具体的に言っていただけますか。
  89. 岩尾總一郎

    政府参考人岩尾總一郎君) 調査結果では、その数が少ない、あるいは一以下だということがあったというふうに出ておりますが、私どもとしては、詳細は不明ですけれども、全く薬剤師がいないというのであれば、それは不適切だと思っております。  したがいまして、各病院に対しましては、都道府県が医療法の第二十五条に基づく立入検査を行っております。そのような中で、薬剤師の適切な配置なども指導しているというふうに考えております。
  90. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 病院薬剤師の配置基準についてですが、現行基準では、一般病床は入院患者七十人に一人、外来処方せん七十五人に一人ですが、これでは全く足りないのではないかとも考えられます。どのように増加を考えていらっしゃるでしょうか。
  91. 岩尾總一郎

    政府参考人岩尾總一郎君) 現在の薬剤師の配置標準ですが、平成十年に改正されてこのようになりました。そしてその後、平成十三年十月に、この薬剤師の配置標準についての検討会の報告書が出ましたが、それによりますと、医師法上の人員配置基準の見直しについては今後の推移を見極めることが必要であるが、現時点では平成十年に定められた基準を直ちに変更する必然性は認められなかった、今後、薬剤師需給薬剤師の業務内容や配置の実態、薬剤師養成における臨床教育充実等の進展を踏まえ、三年後をめどに人員配置基準の検討を行うこととなっております。  私ども、三年たったということで、薬剤師による服薬指導、薬歴管理などの業務、それから当該病院の患者の状態や医師、看護師等の業務分担の状況に応じて、実施状況が様々であることを踏まえて今後検討していきたいというふうに考えております。
  92. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 専門薬剤師の育成についてお聞きをいたします。  医療の高度専門化に伴い、薬剤師も高度専門化する必要があるのではないでしょうか。
  93. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 御指摘のように、最近非常に医療が高度化をしておりますし、また複雑化していると。それからまた高齢者の方も大変増えております。したがいまして、そういう状況がかなり変化をしております。そういう中で薬剤師さんの問題をどう考えるかということですが、一つは、薬剤師さん全般の資質向上させるということは当然大事なわけでございますけれども、それと同時に、やはり専門分野に特化して、そうした薬剤師さんもチーム医療の中でどういう役割を果たしていただくかという意味でも大変大事なことだというふうに思っております。  専門の薬剤師の養成につきましては、団体の方でも、例えばがんの療法なんかにつきましては、そういう認定制度みたいなものをスタートしようと取組が進められているという面もございますし、私ども厚生労働省といたしましても、そういう生涯研修、卒後研修を充実させるというときに、特定の分野の専門性を高めるということについても十分配慮してこれから研修の在り方について検討していきたいというふうに思っております。
  94. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 教育機関薬学教育が四年制から六年制になることについて、教育期間が延びることで、実務担当者の増員、施設受入れの問題、また学費の増加、これはロースクール、法科大学院のときなども議論になりましたけれども、学費の増加などが発生すると思われますが、対策をどう考えていらっしゃるでしょうか。
  95. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) お尋ねのまず第一点の実務実習の関係でございますが、実務実習の指導につきましては、実習生を受け入れる病院、薬局の薬剤師が実務で指導をするということでございます。したがいまして、指導をする薬剤師の養成に当たりまして、現在、指導薬剤師養成のためのプログラム、あるいは実施施設の基準などについて検討を行っております。逐次、検討結果を実施に移していきたいというふうに思っております。したがって、そういう実習の受入れ施設におきましては、そういう指導の薬剤師が配置されるようにこのプログラムに基づいて養成をしていきたいと思っております。  それから、二つ目のお尋ねでございますけれども実習の受入れ体制の関係でございますが、これは文部省の関係でございますけれども、薬局につきましては、日本薬剤師会が薬学教育協議会と連携をして地域ブロックが受入れ薬局を調整するシステムを構築するという方向で検討をいたしておりますし、また病院につきましては、従来から薬学教育協議会実習施設の調整を実施をいたしております。この辺につきましては、文部科学省とも今後連携をしながら、円滑かつ適切な実務実習ができるように努めたいと思っております。  それから、最後のお尋ねでございますが、学費の関係でございますけれども、これは日本学生支援機構による奨学金事業に加えまして、各大学が実施をする授業料の減免等の奨学事業につきましても、従来の取扱いを更に踏まえて適切に対応されるというふうに私ども承知をいたしております。
  96. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 司法試験とロースクールの関係のときも、現場でこれから受験する人たちが混乱したり、どうしようというのがあることなどについて議論になりましたが、同じようなことがこの薬剤師国家試験受験資格の経過措置について、受験生たちはやっぱり人生懸けて受験するわけですから、非常に不安を感じている面もあると思います。  受験生が、受験生というか受験者が混乱しないように周知徹底をする、制度について、ということは大変必要だと思いますが、どうお考えでしょうか。
  97. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 今回の薬剤師の六年制の教育の問題でございますが、一定の期間、経過的な措置を例外的、限定的に設けておりまして、四年制の学部であっても卒業して一定の要件を満たす場合には薬剤師国家試験を受験できるということもございます。したがいまして、その辺、制度の周知については十分文部省とも連携をして、各大学に十分にお伝えをしたいというふうに思っております。
  98. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 医療過誤がよく、よくというか、よく問題になったり発生をしたりするわけですが、医療ミスが起きないように、例えば製品情報のコード表示化、データベース化ということで、あるいは医療機関等における通信、情報通信技術の活用等の事故防止策の普及は必要だと考えますが、いかがでしょうか。
  99. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 医療機関全体の事故防止対策については医政局長の方からお話があろうかと思いますが、医薬品に特にまつわるような問題につきましては、今おっしゃったように、コード化をするとか、あるいは紛らわしい名前をやめていただくように指導するとか、そういうことを徹底して、薬にまつわるミスが大変多いものですから、そこはできるだけ減らしていくように考えていきたいというふうに思っております。
  100. 岩尾總一郎

    政府参考人岩尾總一郎君) 昨年の十二月に、大臣の方から医療事故に関する緊急アピールというのを出させていただきました。人に対する施策、物に対する施策、そして病院等施設に対する施策ということで様々な指示を大臣から受けております。これに基づきまして、今年度も精力的に事故防止に向かってやっていこうというふうに今考えております。
  101. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 医療事故防止のために周知徹底や工夫をされることを本当に心からお願いを申し上げます。  それで、冒頭、年金の問題について質問をいたしました。改めてちょっと厚生労働大臣にお伺いしたいことがありますので、よろしくお願いします。  先ほど、制度が複雑でその改善が必要である、あるいは工夫が必要である、運用の面で必要である旨の答弁がありました。国会議員、あるいは厚生労働大臣であった人たち、あるいは厚生労働委員会に属する人ですら間違ってしまう、あるいはうっかりしてしまう、あるいは別の理由があるかもしれませんが、そのような状況はやはり異常であると。制度の問題もあるのだというふうに思いますが。  ところで、お聞きをします。今度の年金改革法案は、その複雑さの問題点を解消する制度になっているのでしょうか。
  102. 坂口力

    国務大臣坂口力君) これはまあ制度というよりは運用の仕方だというふうに私は思いますね。  例えば、健康保険の問題を見ましても、組合健保、政管健保、そして国民健康保険と、こういろいろあるわけです。国保の、この国民健康保険その他、この健保の問題というのはそれほど皆さん間違いを起こしていないですね。だけれども、同じように、地域保険でありますものと職域保険でありますものとが存在するわけでありますけれども年金の場合にはそこがスムーズにいっていないというふうに私は思っております。医療の場合にはもうすぐに必要性があるということもそれはあるでしょう。しかし、私は運用の在り方というものに大きく影響しているというふうに思っておりますので、その辺につきまして私は改善をしていく必要があるというふうに思います。  年金の制度そのもの、例えば一元化の議論がいろいろ出たりいたしております。一元化することに私も反対でございませんが、一元化したといたしましても、どうこれを皆さんにお支払をいただくかという問題は残るわけであります。ですから、そうしたことを考えていきますと、これは制度をどういうふうに作り上げていくかということと深くかかわっているというふうに私は理解をいたしております。
  103. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 女性と年金でも申し上げていますが、女性が一号、二号、三号と分けられ、だれと結婚したかによって一号、二号、三号と分けられると。一号被保険者の妻は、自分が保険料を払っていなければ無年金になるわけですし、パートタイマーの人が厚生年金加入をせず、国民年金にも加入しなければ、シングルであればまた無年金になると。多くの無年金人たちを見てきますと、明らかにやはり制度上に欠陥があると。  先ほど大臣は、私は一元化に反対ではないというふうにおっしゃいました。それであれば、中途半端な年金改悪法案を出すのではなく、負担増の年金改悪法案を出すのではなく、一元化の議論を今からすぐ始めるべきではないでしょうか。
  104. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 負担と給付の問題と制度の問題は違うと私は思います。いずれの制度を作ったといたしましても負担と給付は付いて回ります。少子高齢社会対応できる負担と給付というのはどの制度にしましても当然付いて回るわけでありまして、払っていただく皆さんが減っていく、受けていただく皆さん方が増えていく、入るは減っていく、そして増えていく、そういう状況の中でありますから、これは制度の問題とこの人口構造の問題と絡んだ話でございまして、いかなる制度にしましてもこの問題は付いて回ると思っております。
  105. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 しかし、この年金改革法案が無年金人たちを防止する役割を果たしているでしょうか。
  106. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 最近は無年金皆さん方が起こらないように配慮をいたしております。例えば、どこかの企業にお勤めの皆さん方が一号被保険者になられましたときには、それがちゃんと一号被保険者というふうに位置付けられるようにいたしておりますし、以前のようにそれは御本人がちゃんと届けてもらうまでそのことが明確でなかったのとは、大分最近は違ってきております。ですから、過去の問題と現在の問題と今後更に改革をしなければならない問題と、併せてあるというふうに思っております。
  107. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 根本的な制度論の議論をこの厚生労働委員会でやるべきだというふうに思いますし、やっていきたいと考えています。  ただ、国会議員ですら、国会議員ですら、あるいは大臣経験者ですら間違えるような年金の制度が、国民にとって分かりやすく、使いやすく、また保険料をきちっと払おうと思うような制度になっていないという根本的な問題を何ら解消していないという点も問題だと思います。  最後に、この年金未納問題につきましては、やはり私たち国会議員が、そしてこの法案を提案をしていらっしゃる厚生労働省、副大臣、政務次官、政務官、そして修正案提案者、率先して大至急自分の状況について情報公開をしてくださるよう、これは公人情報であり、国民の皆さんの信頼がないところで私たち年金の議論はできないということを強く申し上げ、私の質問を終わります。
  108. 西川きよし

    西川きよし君 よろしくお願いいたします。  私は、薬剤師問題について質問をさせていただきますが、田浦先生からスタートいたしまして、現在まで様々な角度から御質問があったわけですけれども、現在のこの薬剤師業務について様々な角度、そしてまた課題、問題が指摘をされているわけですけれども、昨年の薬剤師問題検討会中間報告の中で、国民のニーズにこたえた十分な業務を行っているとは言えないのではないか、患者にその役割が見えていない、こうした厳しい指摘もあるわけですけれども、こうした問題、課題、今回の改正によりまして改善されるもの、あるいはなおも課題、問題が残るもの、その辺りをおさらいということでひとつ坂口厚生労働大臣に御答弁をいただけたらと思います。
  109. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 非常に大きい問題だというふうに思いますが、総じて言えば、医療制度という制度の中で薬剤師という立場の人がどういう役割を果たすかということをより明確にしなければならない時期に来ているということだというふうに思っております。いろいろの御議論がありましたように、病院の中におきまして今まで果たされたお仕事以外に、医療ミスの問題も含めまして、また病院の病棟におきます役割等々につきましても、この薬剤師さんのお仕事というのが今、いま一つ明確になっていないということがございます。  いわゆる臨床薬学という言葉はあるかどうか分かりませんけれども、この医療の中で、そして人間の体、あるいはまた疾病というものとより結び付いたこの薬学というものをこれから六年制になりますと学んでいただくわけでございますから、その果たしていただくべき役割は更に大きくなるというふうに思っております。そういう立場でこの薬剤師さんというものをこれから医療全体の中で評価をしていかなければなりませんし、その評価をいたしますことは診療報酬体系等にも位置付けていかないと、これはかいた絵になってしまう可能性があるというふうに私は思います。  そうした中におきまして、今度はこれは文部科学省の方で十分御検討いただくことではございますけれども学校カリキュラム、そして卒後教育、あるいは学生中にどこで研修をしていただくかと、研修場所、これもかなりやはり広範に考えなきゃいけませんし、そしてその内容というものもこれ十分に考えていかないといけない。どこでもできるというわけではなくて、やはり指導する体制ができているところでなければいけないわけでありまして、そうしたところがどれだけあるかということも、これもよく検討しなければいけないことだというふうに思っております。そうしたことを併せてこれから整理をしていく必要がある。この二年間、いわゆるスタートまでの二年間にしっかりと議論を重ねていかなければいけないというふうに思っております。
  110. 西川きよし

    西川きよし君 ありがとうございました。  詳しく御説明をいただきまして、本当に、たくさん増えるのは増えるわけですけれども、あとどこで一体働ければいいんだというようなことになってしまわないように、しっかりとお願いしたいわけですけれども。  薬学教育制度、そして国家試験制度の見直しについては政府部内で本格的に検討が始められたんですが、平成五年当時と聞いているわけですが、これが。その後、平成八年当時文部省に設置をされていた薬学教育改善に関する調査研究協力会議の最終まとめの中なんですけれども、先ほども出ました、福島先生の方から、学部四年の延長については大変難しいと。田浦先生も随分問題にされておられました。  このときには否定的な結論が出ているわけですけれども、その背景といたしまして、施設の整備等に要するコスト、病院等の実務実習充実のための条件の整備、入学希望者への影響、そうした問題点の指摘があったようですけれども、その後、この六、七年の経過の中でどういった改善が図られたのか、これは文科省にお伺いしたいと思います。
  111. 徳永保

    政府参考人徳永保君) お答え申し上げます。  平成八年当時に挙げられました、今先生御指摘いただきました諸課題につきまして、まず第一点の例えば教員でございますとか施設の問題。それにつきましては、教員については既に各大学いろいろ努力をいただきまして、設置基準を上回る教員、多くの大学では二けた以上、設置基準より上回っている教員が配置されております。あるいはまたその施設の面では、十四年段階で調査をいたしましたが、国公立の大学は十分ということでございますし、私立の大学、二十九大学の中でも二十大学対応可能で、九大学ではもう施設整備をする、計画をするということで、修業年限延長に伴う新たな基準についてもおおむね達成できるというふうな状況になったわけでございます。  また、実務実習の条件整備ということにつきましては、日本薬剤師会、日本病院薬剤師会及び薬学教育協議会、こういった関係者の方々御努力をいただきまして、実習指導者の養成でございますとか、あるいはまた薬学教育協議会の下に八ブロックの地区調整機構というものを設けまして実習の受入れ体制を整備をするということで、実務実習の整備も整ってきたと、まだ現在努力中でございますが、整えつつございます。  また同時に、薬学部への進学希望というものも年々高まっておりまして、十五年度段階で志願倍率は十七倍を超えるということで、年限延長しても入学者は確保できるのではないかということを考えられます。  また同時に、創薬基礎科学に関する教育研究機能、これにつきましても、四年制の学部、二年制の修士課程、そして三年制の博士課程、こういったことを残すことで十分そういう教育研究機能が維持できるものというふうに考えたものでございます。    〔委員長退席、理事藤井基之君着席〕
  112. 西川きよし

    西川きよし君 今回いろいろと資料を拝見させていただきまして、我々外部の人間、全く分からない分野ですが、この薬学という世界の研究者の皆さん、研究者間のこの対立というものが相当根深いものがあるのではないかなというふうな印象、素朴な印象を持ったわけですけれども、これは正直な僕の気持ちなんですけれども、それが今回の教育年限の延長という問題についても薬学関係者間の中でも様々な反対論があったと思います。  例えば、そもそも今回の六か月のこの実務実習について、この六か月という期間だけが何か、いろいろ勉強させていただいていますと、どんどん先行する。その中のカリキュラムというものは後からはめ込まれていくというんですかね、そういうふうに感じるわけですけれども、本来、必要なカリキュラムがあって、それを実施するに六か月掛かるというのが当たり前といえば当たり前ではないかなというふうに、大臣もこう首を縦に振ってくださっておられますが、これは我々素人が感じたことではなくて、専門家の方々がそういった問題を指摘しておられるわけですけれども、引き続きこれも文科省さんにお伺いしたいと思います。
  113. 徳永保

    政府参考人徳永保君) お答え申し上げます。  実務実習の特に長期化ということにつきましては、全大学に共通な実習内容、そういったことを薬学関係者大学、薬局、病院関係者の合意の下に策定をすることとし、小委員会を設けて実務実習モデル・コアカリキュラムというものを取りまとめたわけでございます。  このモデル・コアカリキュラムの策定に当たりましては、まず、今後薬剤師の養成のために大学教育として行う実務実習につき何が必要なのかということをきちんと整理をいたしまして、その次に、それを十分に学生に履修させるために必要な時間数はどういうことかということについて整理が行ったわけでございます。その後、すべての薬学部薬科大学日本薬剤師会、日本病院薬剤師会に対して意見照会が行われ、その結果も踏まえて取りまとめられたものでございますが、もちろんその中では、例えば各大学につきましての意見照会、これは記述式アンケートで全部自由記入ということでございます。全四十八校中三十二校から内容、期間も含めて肯定的評価がございました。中には、例えば二大学から、今先生御指摘のように、例えば長期実習の六か月が前提ではあって、それに合うように時間を割り振ったというような意見も二大学からはございました。  そのほか、例えばそれ以外の十四大学からは、もう少し長くすべきだとか、もうちょっと短くしてはとか、あるいはまた、期間は結構だけれども内容、方法についてはもう少しいろいろあるんではないかというような御意見もあったわけでございますが、いずれにしましても、その期間につきまして完全に否定的という御意見は二大学ということでございまして、おおむねその後、何といいますか、否定的意見を出してきた大学に対しましても、小委員会委員から意見聴取を個別に行いまして、その上で、いろいろな関係者の理解も得ましてモデル・コアカリキュラムといったものを策定をしております。  このように、モデル・コアカリキュラム策定経緯というのは、実習内容実習のために必要な時間数を積み上げたところでございまして、おおむね二十四週程度と、言わば、まず大学で事前実習一か月ありまして、病院であるいは薬局でそれぞれ二か月あるいは三か月と、こういったことになったわけでございまして、その意味では、関係者間、十分その内容を吟味した上で、その必要ということで意見が取りまとめられたというふうに私どもは認識をしております。
  114. 西川きよし

    西川きよし君 ありがとうございました。  学生さんもそれは、お一人お一人、十人十色でいろんな方々がいらっしゃると思うわけです。長い方がいいという御意見もありますし、短い方がいいという、今の御答弁の中でもございましたけれども。ある書き物によりますと、こんなのは一日でもすぐに頭に入るんだというような、そういったものも読ませていただいたんです。そんな半年も掛かることはないというようなこともたくさん書き物にも出ておるわけですけれども。  そこで、薬剤師さんの需給予測ですけれども、昨年の九月の二十七日、薬剤師問題検討会報告書の中でも示されておるわけですけれども、この「考察」として、今後の対応についての注意点も指摘をされております。どういったことが一体言われているのでしょうか、これは厚生労働省の方にお伺いをいたします。
  115. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 平成十四年の九月二十七日の薬剤師問題検討会におきます「薬剤師需給予測について」の「考察」のところでございますけれども新規参入薬剤師数については現状より増加しないように配慮をすべきであると。したがって、薬科大学入学者数の増加要因、あるいは各年の薬剤師免許取得者数について慎重に対応する必要がある。さらにまた、平成十九年以降に各年の新規参入薬剤師数段階的に減少し、最終的には二〇%程度減少することが、薬剤師免許取得にもかかわらずその専門性を活用できないという状況を防ぎ、薬剤師数適正数を保ちつつ薬剤師全体の資質向上を図り、患者により良い、質の高い、安心安全な医療を提供するために重要であるというふうな考察がなされております。
  116. 西川きよし

    西川きよし君 答弁がかなり速いものですから、頭がちょっと付いていけないところがありましたので、少しだけゆっくり御答弁をいただければと思うんですけれども。  薬科大学につきまして、規制緩和の流れの中で、昨年が二校ですか、今年が八校、薬学部新設というんですか、相次いでおるわけですけれども、そうした状況の中で薬学部は増え続けております。薬剤師も増えるわけです。  しかし、その高度な教育を受けた薬剤師さんの就職先ですけれども、一番僕なんかも心配するわけですが、就職先がない、そんな事態、なくなるような事態が起こり得るのではないかなというようなことも専門家の方々がいろいろおっしゃっておられるわけですけれども。いろんなところに、せんだっても局長さんの御答弁では、必ずしも薬剤師さんになる方々ばかりではなしに、薬の会社に行かれる方もおれば、そういったスーパー、コンビニというようなお話も出ましたけれども、一体こういった部分はいかがなんでしょうか。
  117. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) お尋ねの今後の薬剤師需給の問題でございますけれども、現在、薬剤師数は全体としては供給が需要を上回っているという状況にございます。ただ、一方においては地域的な偏在の問題も一応ございまして、なかなか確保の簡単なところと確保の難しいところと、そういう問題もございます。  それから、この需給の問題を考えるに当たりましては、今後医薬分業がどういうふうに進展をしていくか、その分業の進展の度合いというものも考えなければならないというふうに思っておりますし、それから今、西川先生から御指摘ございましたように、六年制が導入された後に各大学あるいは薬学部の志望者がどうなるか、あるいは薬学部を卒業した後でどういう進路を取られるか、その辺の動向もよく見なければなりませんし、就職の状況あるいは行き先ですね、そういうものもよく考えなきゃならないと思っておりますし、また一方、需要のサイドで申し上げますと、薬剤師専門性が高まりますので、今日もいろいろ議論ございましたけれども、新たな職域が広がっていくということもまた考えられるんではないかというようなこともあります。  したがいまして、そういういろいろの様々な要因がこれからあり得ると思っておりまして、大臣からも御答弁ございましたように、今後の需給状況を見ながら薬剤師需給の在り方について今後よく検討していきたいというふうに思っております。
  118. 西川きよし

    西川きよし君 ありがとうございました。  まさしくいろんな働く形態があるわけですけれども、古いとか、余り新しいところではないところには余り働きたくないとかという若い人も多いようでございまして、そしてまた、離島とかそういうところにも余り行かれないという話も聞いておりますけれども。  次にお伺いしたいのは、実習についてですけれども、これは患者サイドからしますと、資格のない方が医療現場に来られるわけですから、やはりある程度しっかりといいますか、基本的な知識を持ってからお越しいただかないとかえってお仕事の邪魔になるというふうに思うわけですけれども、ましてや患者さんに不安を抱かせるようなことになってはこれはもう大変なことです。  そういった意味では、実習前の教育はしっかりやっていただかなければいけないのではないかなというふうに思いますし、この点、検討会では共用試験を実施することも提案をされていたようでございますけれども、この実習前の教育の態様、また共用試験についての対応方針是非本日はお聞きしたいと思いまして、これは文科省にお願いします。
  119. 徳永保

    政府参考人徳永保君) お答え申し上げます。  御指摘実習前の教育、大変これも重要でございます。是非このことにつきましては、薬物の性質でございますとか反応、人体に対する薬の作用あるいは薬物の治療などについての基本的能力、及びコミュニケーション能力、医療倫理、そういう一般教養、医療人としての教養を身に付けさせる必要がございます。このため、日本薬学会の方で作成をいたしました薬学教育モデルカリキュラム、こういったものにそういった内容が盛り込まれておりますので、これを参考に各大学におきまして適切なカリキュラム編成が行われますよう、私どもとしても取組を促していきたいと思っております。  また、御指摘のように、実務実習におきましてまだ資格を持たない学生が実際にそういう医療の現場に立つことになるわけでございます。学生が実習を行うに十分な基本的知識、技能、態度を備えているということが当然求められますし、またそのことを社会に対して説明する、あるいはまた住民の方や患者さんに対して安心してもらう必要があるわけでございます。  共用試験は、そのために、大学間で共同して質の高い試験問題を用意しまして、学生さんが実習に適合するかどうか、そういったことを的確に評価していこうというものでございまして、私ども是非必要なことと考えております。このため、今後、共用試験の実施に向けまして、薬学関係者とも協議をしていきたいと思っております。
  120. 西川きよし

    西川きよし君 次に、学生さんのお金の問題についてお伺いをしたいと思うんですけれども、私立大学の場合ですと何と年間百四十万円程度掛かるというふうにお伺いをいたしております。四年から六年に二年間長くなるわけですね。となりますと、約二百八十万ということになるわけですけれども、この二年間延びる学生さんの負担、親御さんの負担、これはもう大変なものになるわけですけれども、こういった学生さんに対しての、その少しでもお金の軽減策といいますか、しっかりまじめに勉強していただくけれどもそんなにお金は負担は掛けませんよ、より良い薬剤師さんを世の中にということで何か策はございませんのでしょうか。こちらも文部科学省にお伺いしたいと思いますが。
  121. 徳永保

    政府参考人徳永保君) お答え申し上げます。  御指摘いただきましたように、今回の制度の改正におきまして修業年限が延長されることに伴いまして、当然二年分の学費が追加されることになるわけでございます。これまでも、学生の負担が過重なものとなりませんよう、経済的理由により勉学の道が閉ざされないようにと、そういうことで私どもとしてもいろいろ取り組んできたわけでございます。現在でも、日本育英会の奨学金、これまで薬学部の学生さん、平成十四年度ベースでは、三万八千人のうち無利子奨学金が五千人強、あるいは有利子奨学金が七千人強の学生さんが受け取っているわけでございます。  こういった奨学金、今回、この四月一日から日本学生支援機構というふうに名を改めて奨学金事業を行うわけでございますが、これまでもその修業年限を貸与期間としてきております。その返さなくていい期間でございます。当然、今回、四年間が六年に修業年限延長するわけでございますから、その貸与期間は、六年制薬学部の学生につきましても、こういう今までの医学部、歯学部の学生さんと同じように六年間の間を貸与期間とするというようなことで、適切に対応していきたいと思っております。  また、あるいは各大学の方で、例えば授業料を減免するといったような措置も講じられているわけでございます。まず国立大学につきましては、これまでも私どもとしても一定数の予算等の措置の上で授業料の減免できるようにしております。今回、この四月一日から国立大学、法人化をいたしましたけれども、その各国立大学に対する運営費交付金、そういう中での算定におきましても、各大学がそれぞれ一定程度授業料の減免ができますよう、運営交付金の算定に反映させているところでございます。  あるいはまた、私立大学の中でも、それぞれ授業料を減免するとか、そういった奨学事業を行っているところございます。そういう私立大学につきましては、その実施状況に応じまして、私立大学等の経常費助成補助金の配分の際にその実施状況に応じて補助金を増額するといった措置を講じているところでございます。六年制の薬学部でも同様の減免措置が取られる場合には、これらの取扱いを踏まえて適切に対応していきたいと思っております。  いずれにしましても、今後とも、勉学意欲と能力のある学生の方々が経済的理由により六年制となった薬学部での勉学を断念する、そういったことがないよう、大学の協力も得ながら、私どもとしても一生懸命取り組んでいきたいと思っております。
  122. 西川きよし

    西川きよし君 ありがとうございました。いいお話をお伺いさせていただきました。  育英、あしなが募金というのが、私ももう何十年、春と秋には必ず参加をさせていただいているんですけれども、時々民主の山本先生の方からもお話が出たりなんかするんですけれども、そういったことで、できるだけ学生さんの負担にならないように助けてあげた──あっ、先生いらっしゃったこと存じ上げなかったもので、済みません。やっぱりできるだけ我々も協力をさせていただけたらと思います。  次に、薬剤師の役割といたしまして、在宅ケア、在宅ケアと薬剤師、この役割ですけれども薬剤師機能の在り方という、これを是非お伺いしてみたいなと思うんですけれども、この在宅ケアの取組としては、介護保険制度の中でも、居宅療養管理指導サービスを担う一員といたしまして薬剤師が明記されているわけですけれども、約一万五千人の薬剤師さんが今ケアマネジャーとして、ケアマネジャーさんは約全国で三十万人ぐらいいらっしゃるわけですけれども、約一万六千人ぐらいの方が頑張っておられるわけですが、介護支援に携わっていらっしゃるということで、これも大変なことですけれども、そういうことで、こうした分野での活躍も大いにこれからは期待されると思います。    〔理事藤井基之君退席、委員長着席〕  しかし、現実の問題といたしまして、例えば在宅ケアを取り巻く医師、看護師、そしてヘルパーさんなどの介護職のそうした専門職の間に入っては、なかなか役割が見いだせないと申しましょうか、なかなかないわけですけれども、この連携が難しいと思います。他の専門職に比べて大変難しいというお話も多々お伺いするわけですけれども、大阪の大阪府高槻市というところなんかは実にうまく取り組んでおられるわけですけれども、在宅ケアにおけます薬剤師機能の在り方についてお伺いをしたいと思います。
  123. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 高齢化社会でございますので、大変在宅ケアの重要性が高まっておりまして、そういう中で今後薬剤師がどういう機能を果たしていくかというのは大変重要な問い掛けだろうというふうに思っております。  介護保険制度でございますけれども、先生御指摘のように、サービス利用者のお宅を訪問して高齢者の特性を把握した上で服薬指導をしたり薬の管理をしていると、そういう薬学的な管理指導が必要であるということで、そういう場合には、薬剤師が行った場合には居宅の療養指導管理ということで一定の介護報酬を評価しているということがございます。  それからまた、この業務を実施する場合には、当然のことでございますけれども、処方をされましたお医者さんとの連携を十分する、あるいは他の職種、看護師さん等との情報提供、あるいはサービス担当者会議などに参加をして一緒にやるということが大変重要ではないかというふうに思っております。  厚生労働省としては、介護サービスにおきましても、御指摘のように、薬剤師さんが十分な役割、機能を発揮されるということは大変重要であると思っておりますし、他の専門職と連携をしていくと。現実を見てまいりますと、今お話がございましたが、地域の薬局はある意味で保健サービスの窓口としての機能も有するということがございます。いろんな介護用品を販売しているというようなこともございます。したがって、日本薬剤師会の事業としても多くの薬局が介護サービスに関する相談窓口業務を実施をしているということもございます。  したがいまして、また御指摘ございましたケアマネジャーとしての活躍というのもこれから期待されるわけでございまして、薬剤師の幅広い分野における役割をこれから高齢化社会を迎えて果たしていく必要があるんではないか。  今回、薬学教育を六年制にする、導入をするということでございますので、その中で臨床薬学あるいは医療薬学の拡充でございますとか、実務実習も当然導入されるわけですけれども、その中で、在宅ケアの分野でも十分研修をしたいと思っておりますし、あるいは生涯教育あるいは卒後教育の中でも在宅ケアについて十分に検討をしていきたいと思っています。そういうことによって在宅ケアの分野でも薬剤師さんの一層の活躍が期待できるんではないかというふうに考えております。
  124. 西川きよし

    西川きよし君 御丁寧に分かりやすく御答弁をいただきましてありがとうございます。大変こういった意味では大切なポジションであるというふうに思います。  いろんな先生方の御質問をお伺いして、私なりに御理解させていただいて、まだまだ皆さん方これからも大変だと思いますが、我々もしっかり勉強して、御協力をさせていただくように努力したいと思います。  今日はこれで終わらせていただきます。ありがとうございました。
  125. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。     ─────────────
  126. 国井正幸

    委員長国井正幸君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、風間昶君及び谷博之君が委員辞任され、その補欠として渡辺孝男君及び柳田稔君が選任されました。     ─────────────
  127. 国井正幸

    委員長国井正幸君) これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  薬剤師法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  128. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、森君から発言を求められておりますので、これを許します。森ゆうこ君。
  129. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 私は、ただいま可決されました薬剤師法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党民主党・新緑風会、公明党、日本共産党及び社会民主党・護憲連合の各派並びに各派に属しない議員西川きよし君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     薬剤師法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について、適切な措置を講ずるべきである。  一、医療の担い手にふさわしい質の高い薬剤師を養成するという今回の法改正趣旨にかんがみ、薬学教育における実務実習充実を図るため、病院、薬局等における受入体制を確保するとともに、実務実習の指導に当たる薬剤師を早急に養成すること。  二、薬剤師国家試験受験資格の経過措置については、受験者が混乱しないよう、その周知徹底に努めること。  三、新制度移行前の薬学教育を履修して薬剤師となった者についても、近年の医療技術の高度化、医薬品の適正使用の推進等の社会的要請にこたえるため、卒後教育の一環として実務研修の充実改善を図ること。  四、医療の担い手としての薬剤師資質向上を図るための取組と併せて、患者からの信頼が得られるよう、薬剤師免許の取消し等の行政処分を厳正かつ公正に行うための仕組みについて検討を行うこと。  五、地域における医薬品の適正使用を進めるため、面としての医薬分業の推進及び「かかりつけ薬局」の普及を図るとともに、利用者の積極的な活用が図られるよう、情報の提供、啓発等に努めること。  六、医療機関等における医薬品に関連した医療事故を防止するため、薬剤師による薬歴管理を通じた服薬指導の充実及び注射薬など病棟における薬剤管理の促進を図る等、医療機関における薬剤師の役割の明確化及びそのための環境整備を進めるとともに、製品情報のコード表示化、データベース化、医療機関等における情報通信技術の活用等の事故防止策の普及を進めること。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。
  130. 国井正幸

    委員長国井正幸君) ただいま森君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  131. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 全会一致と認めます。よって、森君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、坂口厚生労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。坂口厚生労働大臣
  132. 坂口力

    国務大臣坂口力君) ただいま御決議のありました本法案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして、努力してまいる所存でございます。  ありがとうございました。
  133. 国井正幸

    委員長国井正幸君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  134. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  午後二時三十分まで休憩いたします。    午後零時四十二分休憩      ─────・─────    午後二時三十分開会
  135. 国井正幸

    委員長国井正幸君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、大脇雅子君及び山本孝史君が委員辞任され、その補欠として若林秀樹君及び小林元君がそれぞれ選任されました。     ─────────────
  136. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  本日の委員会厚生労働大臣官房長鈴木直和君を政府参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  137. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  138. 国井正幸

    委員長国井正幸君) この際、厚生労働大臣厚生労働大臣政務官及び政府参考人から発言を求められておりますので、順次これを許します。森厚生労働大臣
  139. 森英介

    ○副大臣(森英介君) 私の発言をお許しいただきましたので、この際、私の国会議員在任期間中の公的年金への加入状況について御報告を申し上げます。  平成二年二月に私は衆議院議員に当選いたしましたが、それ以降、国民年金あるいは厚生年金に加入し、年金の保険料を納めてまいりました。しかしながら、平成六年七月に労働政務次官に就任した際に、政務次官は本来、医療保険が共済、年金保険が国民年金でございますけれども年金についても医療保険と同様に共済に加入しているものと勘違いをいたしまして、このため結果的に、政務次官在任中の十三か月間、すなわち一年一か月が未納となっておりました。なお、政務次官を辞めた時点で直ちに国民年金への加入手続を行いまして、それ以降は現在まで保険料を納めております。  いずれにいたしましても、私自身年金保険料を納めることは国民の義務であるという認識の下にこれまできちんと納めてきたつもりでございましたけれども、勘違いとは申せ、結果的に一時期未納となっておりましたことにつきまして、心からおわびを申し上げたいと思います。
  140. 国井正幸

  141. 竹本直一

    大臣政務官(竹本直一君) 私の場合は、私の年金の支払状況でございますが、平成八年に衆議院議員に当選いたしましたが、その時点で既に退職共済年金を受給しておりましたので、国民年金の加入、保険料納付の義務はなくなっておりました。
  142. 国井正幸

  143. 佐々木知子

    大臣政務官佐々木知子君) 国会議員在任期間中の公的年金の加入状況につきましては、平成十年七月の初当選以来、国民年金に加入し、所定の年金保険料を納めてきたところでございます。
  144. 国井正幸

  145. 鈴木直和

    政府参考人(鈴木直和君) 谷畑副大臣、現在ASEANプラス3労働大臣会議に出張中でございます。秘書の方が副大臣と連絡を取りまして記者会見で公表された内容について私の方から御説明をさせていただきます。  谷畑副大臣国会議員としての公的年金への加入状況としては、現在は国民年金に加入して保険料を納付しております。  過去の加入、納付状況については、平成元年八月から平成七年六月の五年十一か月間は未加入となっていたことが判明をいたしました。その理由につきましては、副大臣が自分から改めて説明させていただきたいということでございました。また、年金保険料を納めることは国民の義務であり、結果的に未納になっていたことについては誠に申し訳ないと。  以上が会見の内容でございましたが、以上、私の方から御説明させていただきました。
  146. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 以上で発言は終わりました。     ─────────────
  147. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 国民年金法等の一部を改正する法律案年金積立金管理運用独立行政法人法案及び高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案の三案を一括して議題といたします。  政府から順次趣旨説明を聴取いたします。坂口厚生労働大臣
  148. 坂口力

    国務大臣坂口力君) ただいま議題となりました国民年金法等の一部を改正する法律案年金積立金管理運用独立行政法人法案及び高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  まず、国民年金法等の一部を改正する法律案について申し上げます。  我が国は、急速な少子高齢化が進行しておりますが、国民の老後の生活設計の柱である公的年金制度につきましては、今後ともその役割を果たしていけるよう、将来にわたる揺るぎのない信頼されるものとしていくことが要請されております。このため、社会経済と調和した持続可能な制度を構築し、国民の制度に対する信頼を確保するとともに、多様な生き方及び働き方に対応した制度とするために、制度全般にわたりその根幹にかかわる改革を行うこととした次第であります。  以下、この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、基礎年金の国庫負担割合につきましては、これを二分の一に引き上げることとし、平成十六年度から現在の三分の一の国庫負担に加え、年金課税の見直しによる増収分を追加して負担することとしております。さらに、平成十七年度及び平成十八年度において、我が国の経済社会の動向を踏まえつつ、所要の税制上の措置を講じた上で、別に法律で定めるところにより、国庫負担の割合を適切な水準へ引き上げるものとしております。その上で、平成十九年度を目途に、政府の経済財政運営の方針との整合性を確保しつつ、社会保障に関する制度全般の改革の動向その他の事情を勘案し、所要の安定した財源を確保する税制の抜本的な改革を行った上で、平成二十一年までに完全に引き上げるものとしております。  第二に、国民年金及び厚生年金保険財政につきましては、将来の保険料水準を固定した上で、おおむね百年間にわたる均衡を図るために、給付水準を自動的に調整する仕組みを導入することとしております。  第三に、国民年金の保険料額につきましては、平成十六年度価格で平成十七年度から毎年度二百八十円ずつ引き上げ、平成二十九年度以降の保険料額を一万六千九百円とすることとしております。また、厚生年金保険の保険料率については、平成十六年十月から毎年〇・三五四%ずつ引き上げ、平成二十九年度以降の保険料率を一八・三〇%とすることとしております。  第四に、今後の年金額の改正につきましては、毎年度、賃金又は物価の変動率により行うことを基本とすることとしますが、五年ごとに作成する財政の現状及び見通しについて調整の必要があると見込まれる場合には、年金額の改定率に公的年金の被保険者数の減少率等を反映することとしております。なお、当面は、これまでの物価スライドの特例措置に基づく年金額を引き続き支給することとしております。  第五に、在職老齢年金制度につきましては、六十歳台前半の在職者に対する一律二割の支給停止を廃止することとしております。また、賃金と老齢厚生年金で現役男子被保険者の平均的賃金以上の収入を得ている七十歳以上の在職者については新たに支給停止を行うこととしております。さらに、老齢厚生年金を六十五歳以降に繰り下げて受給できる仕組みを導入することとしております。  第六に、育児をする被保険者につきましては、厚生年金保険料の免除措置が子が三歳に達するまでに拡充する等の措置を講ずることとしております。  第七に、厚生年金につきましては、離婚時等において、当事者の保険料納付記録を分割し、年金給付に反映させる制度を創設することとしております。また、第三号被保険者である期間については、離婚時等又はこれに準ずる場合には、請求により、配偶者の保険料納付記録を二分の一に分割できることとしております。  第八に、国民年金保険料の徴収強化につきましては、所得に応じた保険料負担とする観点から多段階免除制度を導入し、また若年者に係る納付特例制度を創設するとともに、滞納処分等に関し被保険者に対する調査の規定の整備を行うこととしております。  第九に、厚生年金基金につきましては、凍結されていた免除保険料率の算定方法を見直すとともに、解散する場合の特例措置を設けることとしております。また、厚生年金基金や確定給付企業年金における年金通算措置の充実等を図ることとしております。  以上のほか、障害基礎年金の受給権者が、六十五歳以降、老齢厚生年金又は遺族厚生年金を併給することを可能とする等の所要の改正を行うこととしております。  また、旧農林共済の特例年金や関係法律につきましても、所要の改正を行うこととしております。  以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要でありますが、この法律案につきましては、衆議院において修正が行われたところであります。  次に、年金積立金管理運用独立行政法人法案について申し上げます。  厚生年金保険及び国民年金の積立金については、厚生労働大臣が、年金資金運用基金に対し、寄託することにより運用を行ってきたところでありますが、この法律案は、特殊法人等整理合理化計画を実施するため、専門性の徹底及び責任体制の明確化を一層図る観点から、年金資金運用基金を廃止し、新たに年金積立金の管理及び運用を行う専門機関として年金積立金管理運用独立行政法人を設立しようとするものであります。  以下、この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、年金積立金管理運用独立行政法人は、年金積立金の管理及び運用を行うとともに、その収益を国庫に納付することにより、年金事業の運営の安定に資することを目的としております。  第二に、年金積立金管理運用独立行政法人に、経済又は金融の学識経験者から成る運用委員会を置き、年金積立金の管理及び運用の基本的な方針等を定める中期計画の作成等に当たっては、その議を経なければならないこととするとともに、運用委員会に、管理運用業務の実施状況を監視させることとしております。  第三に、年金積立金管理運用独立行政法人の役員及び職員に対し、その職分に応じた注意義務及び忠実義務、秘密保持義務等を課するとともに、これらに違反した者に対し、制裁を課することとしております。  また、年金資金運用基金において行われた大規模年金保養基地業務及び被保険者向け融資業務については、平成十七年度限りで廃止することとしております。  最後に、この法律の施行期日は、一部を除き、平成十八年四月一日としております。  以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要であります。  次に、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。  少子高齢化の急速な進行に伴い、今後労働力人口の減少が見込まれる中で、高い就労意欲を有する高年齢者が社会の支え手として活躍し続けることを可能とするためには、高年齢者が、少なくとも年金支給開始年齢までは、意欲と能力のある限り働き続けることができる環境の整備が必要であります。  このため、定年の引上げ、継続雇用制度の導入等による六十五歳までの雇用の確保、中高年齢者の再就職の促進等の措置を講ずることとし、この法律案を提出した次第であります。  以下、この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、高年齢者の六十五歳までの雇用を確保するため、事業主は、定年の引上げ、継続雇用制度の導入又は定年の廃止のいずれかの措置を講じなければならないこととしております。この場合、事業主は、労使協定により継続雇用制度の対象者についての基準を定めることができることとしており、さらに、必要な準備期間として政令で定める日までの間は、就業規則等により基準を定めることもできることとしております。  また、定年の引上げ、継続雇用制度の導入等の措置に係る年齢については、年金支給開始年齢に合わせて、平成二十五年度までに段階的に六十五歳まで引き上げることとしております。  第二に、解雇等により離職する中高年齢者が希望するときには、事業主は、その職務の経歴、職業能力等を明らかにした求職活動支援書を作成し、交付しなければならないこととしております。  第三に、労働者の募集及び採用について、上限年齢を定める事業主は、求職者に対し、その理由を示さなければならないこととしております。  第四に、シルバー人材センターは、届出により、臨時かつ短期的な就業等に関し一般労働者派遣事業を行うことができることとしております。  最後に、この法律は、公布の日から起算して六か月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしておりますが、定年の引上げ、継続雇用制度の導入等の措置に関する部分は平成十八年四月一日から実施することとしております。  以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要でございます。  何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願いを申し上げる次第でございます。ありがとうございました。
  149. 国井正幸

    委員長国井正幸君) この際、国民年金法等の一部を改正する法律案衆議院における修正部分について、修正案提出者衆議院議員長勢甚遠君から説明を聴取いたします。長勢甚遠君。
  150. 長勢甚遠

    衆議院議員(長勢甚遠君) ただいま議題となりました国民年金法等の一部を改正する法律案に対する衆議院会議での修正について御説明申し上げます。  この修正は、本法案の附則第三条を修正し、第一に、政府は、社会保障制度に関する国会の審議を踏まえ、社会保障制度全般について、税、保険料等の負担と給付の在り方を含め、一体的な見直しを行いつつ、これとの整合を図り、公的年金制度について必要な見直しを行うこと、第二に、このような公的年金制度についての見直しを行うに当たっては、公的年金制度の一元化を展望し、体系の在り方について検討を行うことの規定を追加することを内容とするものであります。  将来にわたり持続可能で安定した年金制度とすることは先送りのできない課題でありますが、一方で、年金医療、介護という国民生活に深くかかわる各制度がそれぞれ個別に議論されることにより、国民は将来の生活に対する不安を感じております。これを真剣に受け止め、社会保障制度全般の一体的な見直しを行い、その観点から年金制度についても必要な見直しを進める必要があります。  このことは、本法案審議の過程においても、社会保障制度全般の一体的な改革の必要性について強い意見が出されたところであり、また、年金制度に関して残された課題もあり、特に、公的年金制度の一元化についての真剣な議論がなされたところであります。  本修正は、これらを踏まえて、政府は社会保障制度全般についての一体的な見直しと整合を図り公的年金制度について必要な見直しをすることとし、公的年金制度についてはその一元化を展望し、体系の在り方について検討することとする趣旨のものであります。  今後、社会保障制度全般についての一体的見直しに整合して公的年金制度についての必要な見直しについて国会において審議を進めることとなりますが、政府においては本修正を踏まえ、広く国民の参加を得ながら、早急に検討に着手されることを要請するものであります。  何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。
  151. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 以上で趣旨説明及び衆議院における修正部分の説明の聴取は終わりました。  三案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時四十九分散会