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参考人(
星野進保君) 私が経験しております二つの事例について申し上げたいと思いますが。
昨年の年末、いわゆるゼロで一応
医療費を、
薬価は除きますが、我々は要望を出しましたが、その過程でございますが、まず二号側はどういう要求をデータに基づいて持ってきたかというと、いわゆる
医療安全の問題をかなり中心に絞りまして、
医療安全の根拠になる積算データを持ってまいりまして、それをもって引上げが必要であるという根拠を示したわけです。それに対しまして一号側は、現下の物価、消費者物価ですね、の下がり具合、あるいは賃金の
状況といった、どちらかというとマクロ数値を持ってきまして、それでこれはかなり引下げの余地ありと、全体の経済情勢から比べてですね、という
議論で、要するに上げるか下げるかというところで割れていったわけでございます。
これはあくまでもデータに基づいております。したがって、そのデータを
お互いがある意味で批判し合うという格好を取りました。つまり、賃金データというのは、どちらかというと国家公務員の賃金の引上げ率を出すけれ
ども、それでいいんだろうかと二号側は言いますし、今度は、二号側の出した積算根拠というのは本当に詰めていって堪えられるものかというような
議論を繰り返したわけであります。しかしながら、
お互いになかなか、それで一気に、
お互いの
会議の中で、はい私は間違えましたとすぐ言うはずがありませんね、出した以上は。したがいまして、今度は一号側と二号側を別々にお呼びいたしまして、公益
委員が中に入って、それぞれのデータについて
公益側委員の考え方としていろいろ
議論をして調整をしていったと、それが最後にゼロになったと、こういうプロセスを取りました。
それから、今度は
診療報酬改定そのものにつきましてでありますが、
先生御
指摘のように、
医療経済実態
調査のような、こんな厚い統計が出てまいります。確かに事務方にお願いしてやるわけです。事務方は、
医療調査をする前に、我々の協議会に、今度はこういう
調査をやりますが
調査方針でよろしいですかと、まず聞くわけですね。その
調査方針にはこういうことを
付け加えてくださいとか、あるいはこれはもうそろそろ要らないんじゃないかということを
中医協の中で御注文を申し上げます。
中医協自身には手足がないわけでありますから、そういう意味では事務方は非常に頼りになるところであります。したがいまして、それについて全部見る暇があるかということでございますが、それは、かなり要約されたものを要領よく事務方が
説明してくださるというのは非常に助けになるわけですね。一冊を我々が読んでそれであれだけの要約をしていくというのはなかなか大変なことでございますが、そういうことが実態の一つだと思います。
それから、
診療報酬の個々の
項目につきまして、先ほど来御
議論がありますように、まず、
診療報酬改定の年になりますと、年度になりますと、春ごろから双方の、双方というのは一号、二号の問題点を、課題をいろいろ聞きまして、だんだん課題を集約していくわけであります。それで全体の今年の
医療費、
診療報酬改定、
改定ですね、
改定の主要
項目が何かというのがだんだん詰まってくるわけでございまして、それについてデータの足りないところはまた厚労省の
皆さんに、御足労を掛けますが、いろいろこういうデータを集めろとか、そういう注文を
中医協から出させます。特に重要なときは、是非それはやってくださいといって座長であります私の方からちゃんと注文を
付けます。
そういうことを経ながら全体の枠組みが年末に決まりまして、その翌年の一月にあの分厚い今度は
診療報酬についての
点数表ができ上がってくるわけでありますが、その
点数表のでき上がる主要部分、主要課題、
改定の主要部分ですね、そのままずっと同じものは、別に、前年と同じになっているものが多いわけでございますが、
改定部分につきましては、ほぼ、春以来、両者の問題意識の提供に流れながら、ほとんど
中医協で
議論をされております。
〔理事武見敬三君退席、
委員長着席〕
ただ、
中医協が
点数を幾らにするというのを、具体的に何々が幾らということは我々できません、率直に言いますと。ただ、これは上げた方がいいな、条件は緩和した方がいいな、あるいは下げた方がいいなと、その
方向性については
中医協がそういう意味では事務方に指示することになるわけでございまして、その上であの分厚い表ができ上がってくるというふうにお考えいただいてよろしいんじゃないかと私は思っておりますが、はい。