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2004-03-30 第159回国会 参議院 厚生労働委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年三月三十日(火曜日)    午前十時一分開会     ─────────────    委員異動  三月二十五日     辞任         補欠選任         渡辺 孝男君     風間  昶君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         国井 正幸君     理 事                 武見 敬三君                 藤井 基之君                 辻  泰弘君                 森 ゆうこ君                 遠山 清彦君     委 員                 有村 治子君                 金田 勝年君                 佐々木知子君                 斎藤 十朗君                 田浦  直君                 伊達 忠一君                 中原  爽君                 南野知惠子君                 宮崎 秀樹君                 浅尾慶一郎君                 朝日 俊弘君                 大脇 雅子君                 柳田  稔君                 山本 孝史君                 風間  昶君                 井上 美代君                 小池  晃君                 福島 瑞穂君                 西川きよし君    国務大臣        厚生労働大臣   坂口  力君    副大臣        厚生労働大臣  谷畑  孝君        厚生労働大臣  森  英介君    大臣政務官        厚生労働大臣政        務官       竹本 直一君    事務局側        常任委員会専門        員        川邊  新君    政府参考人        内閣府政策統括        官        小平 信因君        総務省人事・恩        給局次長     村木 裕隆君        総務省統計局長  大林 千一君        財務省主計局次        長        杉本 和行君        厚生労働省雇用        均等・児童家庭        局長       伍藤 忠春君        厚生労働省社会        ・援護局長    小島比登志君        厚生労働省保険        局長       辻  哲夫君        厚生労働省年金        局長       吉武 民樹君        厚生労働省政策        統括官      水田 邦雄君        社会保険庁運営        部長       薄井 康紀君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○平成十六年度における国民年金法による年金の  額等改定特例に関する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○児童福祉法等の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付)     ─────────────
  2. 国井正幸

    委員長国井正幸君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る二十五日、渡辺孝男君が委員を辞任され、その補欠として風間昶君が選任されました。     ─────────────
  3. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  平成十六年度における国民年金法による年金額等改定特例に関する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省年金局長吉武民樹君外九名の政府参考人出席を求め、その説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 次に、平成十六年度における国民年金法による年金額等改定特例に関する法律案を議題といたします。  本案につきましては既に趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 辻泰弘

    辻泰弘君 民主党・新緑風会、辻泰弘でございます。  まず、冒頭、厚生労働省としての大臣並びに局長の御見解を聞いておきたいんですけれども、昨日、一昨日と小泉総理から、いわゆる年金一元化についての前向き発言といいますか、将来あるべき年金制度というとやはり一元化が望ましいと思っておると、こういう発言があったわけでございます。  昨日は年金局長も官邸に行かれて総理直々に御指示を仰がれたやに聞いておるわけでございますが、年金局長、まず、昨日の総理の御指示は何だったんでしょうか。
  7. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 総理から指示は特にございません。  総理のところでお話を申し上げましたのは、特に自営業の方の場合に、その所得の把握の問題でありますとか、自営業の方ですと今基本的には国民年金は定額の保険料をお支払いいただいておりまして、所得能力が低い方につきまして免除という仕組みを取っておるわけでございますけれども、この点について、例えば被用者年金的に事業主負担みたいなことを果たして自営業の方が負担できるだろうかというような、そういう一般論についてお話を申し上げたということでございます。
  8. 辻泰弘

    辻泰弘君 この点、一元化の問題につきましては、私自身も何度か質問してまいりましたし、民主党としても御提案させていただいているところですけれども、いつもは坂口大臣の御見解、思いを同じくするところも多いんでございますが、この一元化についてはちょっとニュアンスが違っておりまして、前回も聞きましたけれども、いささか消極的というふうな感じがするわけでございます。  坂口大臣、この総理一元化前向き発言といいますか、これをどのように受け止めておられるでしょうか。
  9. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 総理が言われた一元化といいますのはどういう一元化を目指しておみえになるのかということは、私も現在のところはお聞きをいたしておりません。  今あります年金制度とその一元化を比べましたときに、一元化というのは、現在は基礎年金があって、そして上に厚生年金、二階部分が乗っかっている、共済その他多少の違いはありましてもその構造は変わってないわけでありまして、だから今問題になっているのは、自営業者皆さん方にも二階の部分構造的に参加をしてもらうかどうかということなんだろうと私は思います。機能面ではいろいろの機能をまた持たすということはあるだろうと思いますけれども構造上考えますと、今、二階部分自営業者皆さん方それから農林漁業皆さん方はないわけでありまして、ここに、皆さん方もここに参加をしてもらうようにするかどうかの話なんだろうというふうに思っております。  それは、そういう意味一元化議論というのは私もあるというふうに思っておりますが、ここはやはり自営業者皆さん方がどう思っておみえになるかという、皆さんのお気持ちもよく聞かないといけないというふうに私は思います。何でもかんでも一元化したらいいという話ではないんだろうというふうに思っております。  そういうふうな意味で、総理がおっしゃった一年なら一年掛けてよく議論をしましょうということであれば、私もそれは大変結構なことで、議論をしていただいて、そしてそれで、みんながそれでいいということになれば、それはそういう方向もあるだろうというふうに思っております。
  10. 辻泰弘

    辻泰弘君 坂口大臣はこの点についてはいささか慎重派ではないかと私は思うんですけれども、やはり難しいから後だとか難しいからやらないということでなくて、やはり難しいけれども目指すんだと、こういうことで、やはり職業が違っても一つの同じ社会保険制度の中で、年金制度の中で位置付けられるというのが本来のあるべき姿だと思いますので、にわかにできないというのはおっしゃるとおりだと思いますけれども、やはりそこを目指すんだという姿勢でいくのと、やはりそれは後だというのとはおのずとにじみ出てくるものが違うと思うわけでございます。そういった意味で、私は、一元化ということをしっかり見詰めて、抜本改革と言われる以上、取り組んでいただきたいと、このことを申し上げておきたいと思います。  それで、物価スライド本体のことについての御質問に入らせていただきたいと思います。  まず、今回の提案理由説明を拝見いたしましたとき、大臣はこうおっしゃっておられるわけです。平成十六年度においても、現役世代賃金が低下している中で、保険料を負担する現役世代との均衡観点から、高齢者等生活配慮しつつ、特例措置としてと、こういうふうにおっしゃっているわけでございます。ここで、保険料を負担する現役世代との均衡観点と、それと高齢者等生活配慮しという、この二つのことをおっしゃっているわけでございます。  ただ、昨年の十二月五日の閣議決定を、予算編成基本方針についての閣議決定を拝見いたしますと、「保険料を納付する現役世代との均衡制度に対する信頼確保必要性等を考慮し、」ということを書いておられまして、その現役世代との均衡ということは同じなんですけれども閣議決定、十二月五日のときは制度に対する信頼確保必要性をおっしゃり、提案理由説明では高齢者等生活配慮と、こういうふうに変えておられるわけなんです。  このことはどういう意味を持つんでしょうか。
  11. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 制度に対する信頼性という意味では、物価スライド原則は、物価上昇したときにはその上昇に応じて年金額を引き上げる、それから物価が下がったときには下落率に応じて年金額改定するということでございまして、実質的に物価による購買力の維持を図るということでございます。  それで、ただ、その点について、特例措置を三年間講じてきておりましたので、その特例措置についてどういう手順で解消していくかということだろうというふうに思いますが、いずれにしても特例措置解消していくということでございまして、ただ、その特例措置解消します平成十六年度につきましては、これまでの特例措置分一・七ということを一挙に解消するということは難しいということで、先ほどお話がございました現役賃金が十五年、低下傾向にございますので、そのことと平成十五年の物価下落率を踏まえまして、十五年の物価下落率について改定をするという、そういう趣旨だろうというふうに思っております。
  12. 辻泰弘

    辻泰弘君 私は、私が答えを申し上げるような感じがしますけれども、十二月五日の時点では、制度に対する信頼確保必要性から物価スライドを実施するという見地一つあったと。そして、具体的に〇・三%ということになったときに、高齢者等生活配慮したと、こういうことだと私は思っているんですけれども、そうではないですか。
  13. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 今、先生お話にございました現役賃金低下傾向をどう考えるかという問題と、それから、その時点ではまだ物価スライドの具体的な手法について確定をいたしておりませんので、その基本的な考え方としては、できるだけ本来の物価スライド機能といいますか、これに近づけていくということがございまして、その両方を述べておるということだろうと思います。もちろんその中には高齢者に対する配慮というのは、これまでの経過から申し上げましても含まれているということだろうというふうに思います。
  14. 辻泰弘

    辻泰弘君 これは、十二月段階では物価スライドを実施するということの論理をおっしゃって、今度の提案理由説明の中では具体的に高齢者等生活配慮したんだと、こういうふうな論理構成だと思っています。  それはそれといたしまして、次に、十二月十八日時点財務相及び厚生労働大臣との確認書というものができているわけでございます。四項目から成っているわけでございまして、これ、それぞれ私も拝見して法律等照らし合わせましたので大体理解をいたしましたけれども一つ二つお聞きしておきたいんです。  まず、四項目めに、「物価スライド特例措置により生じてきている財政影響については、平成十六年の年金改革で導入するマクロ経済スライドによる給付調整により適切に措置するものとする。」ということになっていて、「適切に措置する」と書いてあるんですけれども、これはどういうことを意味するんでしょうか。
  15. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) ここで触れておりますのは、特例措置を継続をしておりますので、特例措置分につきましてのこれまでの特例措置を講じない場合に対しました給付増がございます。その給付増についてどう考えるかということでございますが、これは、これまでも特例法の中で検討するという規定で検討することにしてきておったわけでございますが、今回の年金法改正の中で、マクロ経済スライドで将来の保険料あるいは国庫負担とそれから将来の給付水準調整していくという仕組みを取っておりますので、その調整の中でこの問題についても解消をするという趣旨でございまして、調整とは別に解消をするという趣旨ではございません。
  16. 辻泰弘

    辻泰弘君 すなわち、これまでの負担増部分はそのまま残ると、こういうことになるわけですね。
  17. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 給付費ベースで申し上げますと、これまでの特例措置による財政影響厚生年金で二兆一千九百五十億、共済組合は別でございますが、厚生年金国民年金で二兆一千九百五十億ございます。これは、一・七%の特例措置を講じたことによりまして、当該年度年金給付費の額はそれだけ法律規定どおり物価スライドをした場合に比べまして増えておるわけでございますが、この二兆一千九百五十億というのは将来の年金財政の中に影響を与えておりますので、今回のマクロ経済スライドではこの点も織り込みまして、この影響額も織り込みまして、全体として安定をさせようという趣旨でございますので、そういう意味で、マクロ経済スライドのその調整の中でこの二兆一千九百五十億の影響額についても均衡を図っていくという趣旨でございます。
  18. 辻泰弘

    辻泰弘君 「適切に措置する」というのが、マクロ経済スライドはそもそも少子化高齢化部分に対応するということで、被保険者数の減少と寿命の延びというものを加味するやつですから、そのマクロ経済スライドによる給付調整というのは、そのことがすべてであって、結果として、それがより時間を掛けることによってこの財政影響がカバーされるということになるとは思うんですけれども、この表現だと、マクロ経済スライド給付調整自体で適切に措置というふうな表現になっているのがちょっといかがなものかなというふうに疑問を持つところでございますけれども、御趣旨理解をしたところでございます。  それで、この確認書ですけれども、署名が財務大臣谷垣大臣厚生労働坂口大臣と、こういうことになっているわけですけれども、この物価スライド特例は当然、国共済地共済私学共済にもかかわるわけでございます。そういった意味で、財務大臣財務大臣同士でやるというのもちょっと変になりますけれども、この当事者に総務大臣文科大臣が入ってしかるべきじゃないかと思ったんですけれども、その点はいかがでしょうか。
  19. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 二つ理由があるだろうというふうに思っております。  現実には、事前大臣折衝財務大臣厚生大臣とで行っていただきまして、そこの結果がこういう確認書ということになってございますが、もちろん、先生がおっしゃるとおり、地方公務員共済制度あるいは国家公務員共済制度あるいは私学教職員共済制度というのは公的年金制度の一翼を担っておりますが、いわゆる三階部分、三階部分を別といたしまして、基本的には、給付設計基本的に厚生年金と同じ状態になってきております。  そういうことを踏まえまして、被用者年金制度一般制度でございます厚生年金制度、それから全国民に共通の基礎年金、あるいは国民年金制度を所管する厚生労働大臣財務大臣物価スライド取扱い協議をしていただきまして、その結果が調いましたので、この協議結果に基づいて、各共済制度を所管していただいております総務大臣あるいは文部科学大臣においても同様の措置を講じるという、こういうことになったものだろうと思っております。  それからもう一点、従前で申し上げますと、厚生大臣、かつての厚生大臣年金担当大臣という指名を受けまして、厚生年金国民年金、あるいは基礎年金のみならず、公的年金全体についても一応調整的な仕事を担当していただくということになっておるわけでございますが、厚生労働省になりまして、厚生労働大臣自身がそういう言わば基礎共済年金基本財務大臣あるいは総務大臣あるいは文部科学大臣基本的な責任を負われるわけですけれども、そういう調整的な機能厚生労働大臣が持たれるようになっているという、こういうことも踏まえて厚生労働大臣財務大臣折衝が行われ、こういう確認書が交わされたものだというふうに理解しております。
  20. 辻泰弘

    辻泰弘君 かつては、そうすると明示的に年金担当大臣というポストになっていたけれども、今はそれはないと、その意味合いが厚生労働大臣に入っていると、こういうことでいいんでしょうか。
  21. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 元々医療保険につきましては、かつての厚生省時代厚生大臣医療保険制度につきまして、国民健康保険あるいは政府管掌健康保険のみならず、共済を担当しています医療保険についても調整的な機能を持っておられたわけでございます。年金につきましては、厚生大臣はその厚生年金国民年金を所管をされるということでございまして、そういう調整的な機能というのは明示的にございませんで、それが省庁再編のときに厚生大臣所掌事務一つとして明示されたと。  明示される前は、そういう意味公的年金全体の調整といいますか、例えば一元化なり統合というものがございますので、そういう問題については、厚生大臣公的年金担当大臣という御指名をいただきまして、その両方機能を持っておられたということでございますが、現在ではその調整的な機能も含めて厚生大臣が持っていただいているということでございます。
  22. 辻泰弘

    辻泰弘君 私も一元化等議論をする過程年金担当大臣が必要だというふうにつくづく思っておりましたので、そのことをもう既に厚生労働大臣が担っていただいているということを知りましてうれしい限りでございまして、ますます共済の問題についても議論がしやすいようになったと、このように思うわけでございます。  それで、一つ今の国共済地共済私学共済部分ですけれども、職域加算的なものがあったと思うんですが、今のお話だと、それは二階と考えるんですか、三階と考えるんでしょうか。
  23. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 私ども理解では、従来は共済年金は、先生御案内のとおり、かつては恩給的な体系できておりまして、その勤続年数に対応しまして、最終一年間の俸給に対して何%支給をするかということできておりましたけれども、ちょうど昭和六十一年の改正で、厚生年金と同様に生涯の平均標準報酬に対応して報酬比例分を支給すると、それから基礎的な部分については基礎年金を支給するという体系に変わっております。  今の状態の整理で申し上げますと、二階部分というのがちょうど厚生年金報酬比例分に相当するところでございまして、その上の部分というのは、ある意味職域部分職域部分というのは、厚生年金的な見地で申し上げれば企業年金的な部分といいますか、という性格だろうと思います。  ただ、一点違いますのは、共済年金の場合には、三階部分につきましても、事業主である国あるいは事業主である地方公共団体と、それから実際に被用者である公務員がそれぞれ半分ずつ費用負担をしておると。企業年金の場合には、大多数の企業年金におきましては企業負担でございますので、そこの仕組みは少し違うのかなという感じがしておりますが。
  24. 辻泰弘

    辻泰弘君 そういう意味では、二階か三階か、ちょっと二・五階ぐらいの感じかもしれませんけれども、それはまた改めてお聞きしたいと思います。  それで、この物価スライド特例のことでございますけれども平成十六年度の概算要求段階では平成十五年の消費者物価下落率のみを盛り込んで、それ以外のいわゆるマイナス一・七%の部分は年末の予算編成にゆだねたと、こういうことだったと思うんですけれども、これ、十七年度の概算要求段階では、それと同じような平成十六年の消費者物価上昇率政府見通しマイナス〇・二でございますけれども、これを、のみを盛り込むと、こういうような対応になるんでしょうか。
  25. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 平成十六年度、それからそれ以前の十五年度もそうでございますが、その概算要求のときの経緯を申し上げますと、年金法基本的な考え方で申し上げますと、マイナスの場合でも物価が下がった率に応じて年金額改定するというのが原則でございます。そこに特例法を出させていただきまして、例えば据置きにするとか、あるいは平成十五年度で申し上げれば〇・九%引き下げていただくということになっておるわけでございます。  最大の問題は予算シーリングの問題でございまして、予算シーリングの問題の最近の考え方で申し上げますと、今申し上げました平成十六年度で申し上げますと、特例措置分が一・七%ございまして、それから平成十五年の物価下落の見込みが当時〇・四でございました。それで、本来の原則に戻りますと二・一%のマイナス改定ということでございまして、シーリングの枠としましては一応マイナス二・一ということで枠を設定をいたしておりますが、私どもといたしましてはそれでは円滑な改定ができないだろうということがございまして、概算要求時の閣議了解の中で予算編成過程で検討するということになっておりまして、これを踏まえまして私どもは、概算要求基準の枠外で今申しました特例措置分一・七%の要求をさせていただいているということでございます。  それで、平成十七年度でございますが、平成十七年度のシーリング取扱いというのはまだ未定でございますので、これから政府全体で検討しなければならないということだろうというふうに思いますが、今回の国民年金法等の一部を改正する法律案規定をいたしておりますのは、物価が下がりましたときにはその下がった分だけを改定をするというのが原則でございますので、そういう意味からいいますと、私どもは、概算要求としては、これは今の財政の、政府経済見通しマイナス〇・二ということでございます。まだ確定をいたしておりませんけれども、私どもとしてはこのマイナス〇・二ということを念頭に置いて財政当局とよく折衝していきたいというふうに思っております。
  26. 辻泰弘

    辻泰弘君 それで、今回の法案の中身について具体的にお聞きしたいと思うんですけれども法案の第一項目めに「平成十三年の年平均物価指数に対する平成十五年の年平均物価指数比率」と、こういうふうになっているわけでございます。この数値は消費者物価指数、十三年九九・三、十五年九八・一と、この比率ということになると思うんですけれども、その比率の出し方ですね。四捨五入的なこと、あるいは切上げ、切下げもあり得るわけですが、その辺どういうふうにしておられるのか、お聞きしたいと思います。
  27. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 先生お尋ねのとおりでございまして、消費者物価指数統計は現在基準年平成十二年でございまして、これが一〇〇として表示をされております。これに基づきまして、平成十五年の年平均消費者物価指数は九八・一でございまして、それから平成十三年の年平均消費者物価指数は九九・三でございます。したがいまして、九九・三で九八・一を割りまして、〇・九八八ということを算出をいたしておりますが、厳密に申し上げますと〇・九八七九一五四といった数字でございますが、小数点以下第四位で四捨五入をいたしまして〇・九八八というふうに算出をいたしております。
  28. 辻泰弘

    辻泰弘君 それから、「比率を基準として」と、こういうふうになっているわけなんですが、その比率を基準として改定すると、比率改定するということにはなってないわけなんですね。その意味で、その基準としてというのはどういう意味を持つのかとちょっと疑問に思うんですが、どういうことでしょうか。
  29. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 年金の額の中に定額的に年金法規定している額がございます。それから、報酬比例部分につきましては率という形でなっております。この二つがございますので、実際に年金額確定をいたします際には、今回の特例法の本則第二項におきまして、今申し上げましたような平成十三年の物価指数に対する平成十五年の物価指数、これを基本といたしまして、具体的に額の改定の定め方を、これ定額で定める場合もございますし、先生が今おっしゃいます率で定める場合もございますので、その両方を政令で具体的に規定するということでございますが、そういう意味での基準でございまして、基本は今申し上げましたこの率をそのまま反映をするということでございます。
  30. 辻泰弘

    辻泰弘君 今御指摘の中にありました二項めの方に、「額の改定措置は、政令で定める。」と、こういうことになっているわけなんです。その政令は具体的にいかなる内容になるのかと、このことについて御説明ください。
  31. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) これは、今までの改定でも政令を出させていただいておりますが、例えば定額のものにつきましては、物価スライドマイナス改定率を乗じましたものを定額で政令で定めるという形でございます。それから、定額でございませんで、例えば報酬比例年金のようなものにつきましては、その報酬比例年金の計算式で得られた額に対しまして、物価スライドマイナス改定率を乗じたものを計算をするという形でございます。  いずれにいたしましても、基本的には物価スライド改定率をそのまま定額、あるいは報酬比例年金に反映をするという形でございまして、これはもう政令はそういう形で出させていただいております。
  32. 辻泰弘

    辻泰弘君 先ほど御説明いただいたその比率のことですけれども厚生労働省がなさるときのこの比率の出し方というのは、小数点四位を四捨五入と、こういうのは基本というふうになっているんでしょうか。
  33. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 基本的には小数点第四位を四捨五入するということで考えてきております。
  34. 辻泰弘

    辻泰弘君 この措置は当然、国民生活年金受給者に影響を及ぼすことになるわけですけれども国民、受給者の方々に対する周知徹底、実は国民全体が皆保険、皆年金という体制の中にあるわけですから、そういう意味では受給者のみならずと言うべきだと思うんですが、まず受給者に対してこれまでどういうふうに通知をされてきたか、あるいは全体に国民に対してどういうふうに公表されてきたかと、そのことをお聞きしたいと思います。
  35. 薄井康紀

    政府参考人(薄井康紀君) お答えをいたします。  国民年金等の年金額物価スライドにつきましては、スライド改定等の際に受給者の方にお知らせをする、あるいは一般的にPRをするということでやってきているところでございます。  直近の事例、二つほど申し上げますと、平成十四年度は物価スライドの凍結が行われたわけでございますけれども平成十四年度の場合には、年金振込通知書、これ六月支払のところから額が変わりますので、その段階での年金振込通知書に物価スライドによる年金額改定はありませんという旨を記載をしたところでございます。  昨年度、昨年度というか、まだ平成十五年度ですから、平成十五年度でございますが、初めてのマイナス物価スライドが実施をされたところでございますけれども、御案内のように、物価下落分、平成十四年、前年の物価下落分のみの〇・九%のマイナス物価スライドとなったわけでございますけれども平成十五年度の年金改定通知書というものの中にその考え方仕組みを図も交えて記載をし、受給者の方に通知をさせていただいたところでございます。  それから、社会保険庁のホームページにおきましては、マイナス物価スライドの記事を掲載をいたしましたし、また社会保険事務所なりあるいは市町村の窓口におきまして、年金受給者あるいはその他の方からの照会に対応するためのリーフレットを作成し備付けをしたというところでございます。  本年につきましても、基本的には同様の形で周知徹底を図ってまいりたいと考えているところでございます。
  36. 辻泰弘

    辻泰弘君 私、六月に通知を出されると、それはそれで実務的には仕方がないと思うし、それに上乗せして出すということは、なかなかコストも掛かるし大変だと思うんで、それはやむを得ないと思うんですが、多くの方は承知されるかもしれませんけれども、しかしやはり三月三十一日に政令を決められるんでしょうから、その時点でやはり国民に対してこういうことになったんだということを、取材を受けて答えるというんじゃなくて、自ら公表するといいますか、こういうふうになりましたということを記者発表なりされるということで伝えるということがまずあって、それでかつ、六月になるけれども個別の通知があると、こういうことであるべきだと思うんですけれども大臣、いかがでしょう。
  37. 坂口力

    国務大臣坂口力君) そこは御指摘のとおりと私も思います。
  38. 辻泰弘

    辻泰弘君 では、そういう方針でお取り組みいただきますようにお願いしておきたいと思います。  それで、次のポイントですけれども、今回の物価スライドの〇・三%を適用するというその部分ですけれども、その部分は、ある意味では政府案、当然かもしれませんけれども、低年金部分にもかかわってくると、こういうことになるわけでございます。  厚生労働省として、いわゆる無年金あるいは低年金、こういった方々の状況、生活実態、こういうものをどのように把握されているでしょうか。
  39. 薄井康紀

    政府参考人(薄井康紀君) 社会保険庁の方で実施をいたしております公的年金加入状況等調査というのがあるわけでございますが、それによりますと、六十五歳以上の方について申し上げますが、恩給を含む公的年金の受給権のない方という方が平成十三年の十月で約六十万二千人という形で推計をいたしているところでございます。  それから、年金額の低い方ということでございますけれども国民年金の受給権者につきまして、自営業者などでずっと過ごされた方、厚生年金の上乗せがない受給権者ということで見た場合の、国民年金だけで見た場合の年金月額一万円未満の方という方が平成十四年度末で約六万人ということで数字を持っております。  ただ、今、ずっと自営業者という形で申し上げましたけれども、これらの方の中には、国民年金の加入期間は短いけれども共済組合の加入期間が長いと、共済年金をもらっておられるという方もおられると思いますので、これらの方がすべてが非常に低い年金だということではないということは御理解をいただきたいと思います。  それから、年金額が低い方の生活実態ということでございますけれども、私ども社会保険庁で行っております調査では必ずしもつまびらかではないわけでございますけれども、先ほど申し上げましたいわゆる公的年金の受給権がない方六十万二千人の中でも、配偶者がある方は、約六割の方が配偶者があると。そのうちの約半数は配偶者が公的年金の加入者あるいは受給権を持っていると、こういう形でもあるわけでございまして、いずれにいたしましても、自らの収入あるいは貯蓄、それから今申し上げたような配偶者も含めました家族からの扶養、あるいは中には生活保護という方もおられるかも分かりませんけれども、そういう中で生活を送っておられるものというふうに考えているところでございます。
  40. 辻泰弘

    辻泰弘君 私ども民主党は、衆議院段階でこの法案に対しまして対案を出させていただき、否決されて、反対という姿勢で立たせていただいておりますけれども、この低年金者に対してもスライドを適用すると、この部分についてでございます。  私ども民主党は、昨年の選挙におけるマニフェストにおきましても、最低保障年金ということを訴えさせていただいて、大体七万円弱というふうな数値を目標といたしておりますけれども、そういった最低保障年金を掲げる私どもの姿勢といたしまして、今回のこの物価スライドが低年金者の方々にも適用されるという部分は我々としては承服できないと、こういうような立場で対案を出させていただきました。そういった意味で、本案に対して反対するということで、後ほど討論もさせていただくと、このような形になるわけでございます。  そこで、今お話はいただいたところでありますけれども、しからばそのいろんな要因はあるだろう。もとより、制度成熟過程といいますか、今日までの過程で、奥様の方の任意加入という部分、あるいは御主人が年金を受給されているということもあるかもしれませんけれども、いずれにしましても、やはりそれぞれ個人に年金が、年金権があるというか、受給を実際にされると、こういったことが大事だと思うわけで、そういった意味で無年金者の解消のための考え方というものをしっかりと持つべきだと思うんですけれども、無年金解消のための対策をどのように考えておられるか、御質問したいと思います。
  41. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 今回のいわゆる無年金障害者の問題が出ましたときに、どうしても考えなければならないのは、無年金者をこれからやはりなくさなければいけない。過去の問題を解決するのと同時に、これから先の問題をセットでやはり考えておかなければならないということだろうというふうに私は思っております。  したがいまして、この未加入という人がおります以上、それは同じようなことが起こるわけでありまして、また大変厳しい生活を強いられる人が生まれるわけでございますから、まずは未加入者をなくするということが大事というふうに思っております。  したがいまして、二十歳になって、学生でおられる皆さん方に対しましても、とにかく加入はしていただくということをしておいて、そしてそれから、払えない人につきましてはしばらく猶予期間を与えるということにすると。  ですから、すべての人を加入者として、そして、それから後どうするかということは次のステップだというふうに思っております。まずは加入していただくということが大事というふうに思っているわけでございまして、そうした意味で、お若い皆さん方の問題にも対応しているところでございますが、途中でその掛金をおやめになって、そして二年以上掛金をおやめになっているということになっていきますと、これまた未加入状態になるわけでありますので、そうしたことにならないようにどうするかということをやはり私たちもより積極的にやっていかなければいけない。  その中はいろいろ様々でございまして、経済的に非常に厳しいから掛けられないという人があります一方、経済的にはゆとりがあるけれども入らないという人もあるわけでありますから、経済的にゆとりのない人に対しましては、それは免除制度を適用をして、そして正式に払っていただかなくていいようにする。  問題は、掛けられるけれども掛けないと、いわゆる入る能力はあるけれども加入しないという人たちに対してどのようにこれから説得をしていくかということが一番大きい問題でございまして、ここは、強制的な手続も交えて、そして是非ここは加入をしていただくようにしていきたいというふうに思っております。  何でもかんでも強制的にやればいいかといえば、それはそうではないだろうと思っている。年金でございますから、まずその趣旨をよく理解をしていただいて、そしてやはりお入りいただくことがいかに大事かということをやはり丁寧にここは手順を踏んでいかないといけないというふうに思っておりまして、そういうふうな手順を是非踏んで、全体に皆さん方に御加入いただけるようにしていきたいというふうに思っております。
  42. 辻泰弘

    辻泰弘君 今、大臣おっしゃった未加入者の解消が大事だというのは、それはそのとおりなんですけれども、今回の政府法案等、あるいはこれまでの対応を見ますと、やはりその部分について抜本的な対応というふうになってないんじゃないかと、このように思わざるを得ないわけでございます。  すなわち、やはり税方式にするとか最低保障を作るとか、そういった抜本的な改革でなければ無年金解消につながらないと、このように思うわけでございまして、また今後の議論のテーマに挙げさせていただきたいと思いますけれども。  ただ、現行制度の枠内でも考えられることといたしまして、今、受給資格期間が二十五年ということになっていて、基礎年金はそれでなきゃ駄目ですし、二階部分もそれを満たしてなければあずかれないと、こういうことになっているわけですが、その二十五年の短縮ということがやはりあり得ると思うんですね。  現実に諸外国の状況を見ましても、最低加入期間、日本二十五年ですけれども、アメリカは十年、イギリスは十一年とか女性は十年ですか、ドイツ五年、フランスなし、スウェーデンは最低保障年金が三年間の居住要件ありと、こういうことになっているわけでございまして、二十五年というのは長いというふうにも思うわけです。  短ければいいということではないし、やはりある程度の期間は必要だと思いますけれども、しかし二十五年は少し長いんじゃないかと、このように思うんですけれども、いかがでしょうか。
  43. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 先生御案内のとおり、例えば低所得の方につきましては免除制度を活用していただくということは可能でございますし、それから、今回の改正法案の中にも入れさせていただいておりますけれども、少し多段階の免除制度といいますか、四段階ぐらいの免除制度によりまして、よりこの免除制度の活用ができるというようなことも考えております。  それから、例えば二十歳代の方でいわゆる仕事が安定していない状態で仕事をしておられる方につきましては、今の仕組みで申し上げますと、世帯の所得を前提に免除の判定をいたしますので、例えばその父親あるいは母親の方が相当収入がありますと基本的には保険料を支払っていただくという形でございますが、こういう方につきましても御本人、あるいは結婚しておられる場合にはその配偶者の所得で考えようということで、保険料納付を十年間できるというような仕組みを取っております。そういうことの組合せで基本的にはこの二十五年の期間を満たしていただくということだろうというふうに思っております。  それから、短い保険料納付期間になりますとそれだけ年金額も低くなるという問題点もございます。それから、その期間を非常に短くした場合に、一応受給資格期間に達せられますので、その後、保険料は、納付の意欲についてどういう影響を与えるかといった点もございまして、これを短くすることについてはまた逆のいろいろな点についても問題が出てくるんではないかというふうに考えております。
  44. 辻泰弘

    辻泰弘君 私、ちょっと記憶が定かじゃないんですけれども、二十五年はずっと前からそうだったでしょうか。二十年という時期はなかったでしょうか。
  45. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 厚生年金が、厚生年金国民年金が別々の制度でございましたときに、厚生年金の場合には二十年という形でございました。それから、厚生年金の場合には高齢十五年という仕組みを取っておりましたが、その多分最大の理由は、産業構造が変わってきておりますので、要するに高度経済成長の前後の時期には自営業からサラリーマンになられた方がたくさんおられるということでございまして、そういう点も配慮しまして、厚生年金は二十年、あるいは中高齢で厚生年金に加入されました場合には十五年という措置をかつて取っていたことがございます。
  46. 辻泰弘

    辻泰弘君 そういう経緯があるようですけれども、二十五年というのは固定的なものではないということだと思います。この点についてもまたこれから議論をしていきたいと思いますけれども、ひとつやはり無年金解消ということが一つの大きな大事な課題でございますので、その点についてはしっかりとお取り組みいただくように、二十五年の短縮についても御検討いただきたいと、このように申し上げておきたいと思います。  それで、無年金ということを言いましたけれども、実はこの間も議論がありました無年金障害のことについてちょっとお聞きしておきたいと思うんです。  二〇〇二年七月に坂口大臣が出された試案がございまして、その中に、福祉的措置によって解決する以外に方法は残されていないと、このようにおっしゃっているわけでございます。すなわち拠出制の年金制度の中で見ることはできないよと、こういうことをおっしゃっているわけですが、このお考えに変わりはございませんか。
  47. 坂口力

    国務大臣坂口力君) そのときにも非常に悩んだわけでございますけれども年金制度の中で見ていくということになりますと、年金の掛金をしていなかった人でございますので非常に制約がある。そして、その中にもいろいろのグループがございまして、学生さんのような、いわゆる制度が円熟していきます過程の中で、年金制度がですね、年金制度の円熟過程において、掛けても掛けなくてもいいといったようなときがあって、そのときに掛けなかった人もあれば、外国人のようなケースもございますし、それから、掛けなければならないのに掛けなかった人たちもいるというようなことで、いろいろのグループがあるわけでございまして、そうした人の問題を全面的に解決をしていくということになりますと、やはり年金に掛金をしていただくということが年金の一番基礎でございますから、そこにお入りいただいていなかったということ、本当は入らなければならなかったのに入らなかったということを勘案いたしますと、年金の問題だけでなかなか議論をすることは難しいということであったわけでございます。したがいまして、福祉の問題も含めてそこで申し述べたわけでございまして、私のその案はどちらかといえば福祉に軸足を置いた案になっております。  ただ、財源をどうするかといった問題もあるわけでございますから、必ずしも現在、福祉一本やりというふうに私も思っているわけではございません。財源の問題等もございますし、どうするかという問題もございますから、もう少し柔軟な考え方で対応したいというふうに思っているところでございます。
  48. 辻泰弘

    辻泰弘君 すなわち、年金制度の中で見ることも一つの検討の対象であるということになりますか。
  49. 坂口力

    国務大臣坂口力君) ここはいろいろ知恵を絞らなければいけないところだというふうに思っておりますが、いずれにいたしましても、こういう時期でございますので、一歩前進をしなければならないというふうに思っているわけでございまして、そのためにどうするか、もう少し考えさせていただきたいと思っております。
  50. 辻泰弘

    辻泰弘君 私もこの問題につきまして二年半ぐらい前から何度か御質問させていただきまして、坂口大臣は一生懸命取り組んでいただいたということに私は敬意を表しておるわけでございます。  平成十四年の八月八日の決算委員会のときも、大臣は、財務省がすげなくできないと言ったのに対して熱を込めて御答弁いただいておりまして、無年金障害者の問題ですけれども、政治の場におきましては、いずれの原因であれ掛金をするいとまなく障害者になった人たちをそのままに捨てておくということは許し難いことだと、このようにおっしゃいましたし、財政上誠に厳しいときではございますけれども、厳しいときであればこそ、やはり分かち合うという精神が必要だと、やはり手を差し伸べる、やはりその人たちの方向もしっかりと見据えてすべてを決着していくということが私は必要ではないかというふうに考えていると、このようにもう一年半前におっしゃっていて、またそれらの上に試案を出されたわけでございますけれども、そういうことについては私は敬意を表しておるわけでございます。  ただ、大臣というお立場の方がここまでおっしゃり、また試案まで出されておきながら今日まで動かなかったと、このことを私は非常に残念といいますか、それこそ許し難いことだと、このように思うわけでございます。  そこで、やはり大臣のこれまでのこのことについてのお答えを私も全部承知しているつもりでおるんですけれども、やはり二つポイントがございまして、一つは、この本委員会で御答弁になった中で、年金局の方はうちの関係じゃございませんと言う、障害福祉部の方もそれはうちじゃございませんと、私の言いますことがたらい回しになっているということを大臣が二〇〇二年五月に御発言になっておるわけでございます。大臣のおっしゃることすらたらい回しになるんならば、野党議員の私どもが言うのがたらい回しになるのは当然だというふうに理解をし、納得をし、いろいろ講演のときに使わせていただいているんでございますけれども、ただ、そのものが一つある。  それと、この間、三月二十五日に本委員会大臣発言されているのですけれども、そのときに、森さんに対してですけれども、調査をしろと言ったと、しかし、調査が出てきたのが百数十名の人たちの調査で、数が少な過ぎる、全体像を把握するに至らない、もう少し全国的な調査をしてほしいと言ったと。それから、全国で難しければ都道府県の調査、そういうサンプル的なものでもどうだかというようなことも言ったという意味だと思うんですね、是非早く調査してもらいたいと言ったと。しかし、どういうわけか、なかなかその結果が出てこなかったというのが今日に至る経緯であると、このようにおっしゃっているわけでございます。  すなわち、やはり厚生行政という、生活、人生、生命というのを厚くする、人間の幸せを追求すべき厚生労働省、また政治自体そうだと思うんですけれども、そのことの本義が忘れられて、厚生省が結局無謬主義といいますか、今までのやっていたことの継続の上で、そこだけ何か小さくきれいにして大局を見詰めていないような、そういったふうに思うわけです。そして、結局裁判に行き当たったときにその場その場で対応してくるというふうな感じがするわけですが、こういった厚生行政の在り方というものについて、大臣、一言御見解をお示しいただきたい。
  51. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 余り本当のことを言い過ぎたわけでございますが、厚生労働省も幾つもの裁判がございまして、本当に次から次へと負け続けるわけでございます。これは、やっぱり厚生労働省として裁判の、裁判もいろいろですから、裁判の決定が地裁、高裁、最高裁とあるわけで、それぞれが出たからそれがすべてが正しいということでは私もないとは思いますけれども、しかし、いろいろの問題があって、次から次へとこう裁判で負け続けるということは、やはり厚生労働省としても考えを、考え方を少し改めなければいけないというふうに率直に私はそう思っております。  法律に忠実であることも大事でございますが、やはり厚生労働省の仕事でございますから、やはり、国民に対する温かさというものがやっぱり欠けてはならない、そこが大事だというふうに実は思っておりまして、それで、この無年金の問題は、できれば裁判になる前に何とか決着を付けることができればというふうに考えまして、あの当時、試案も出したりしたわけでございますが、これは財政上の問題もこれありでございまして、決して少ない額ではございませんから、それをどうするかということもあることも事実でございます。  ですから、厚生労働省としては、もしもそういうことを決めるということになればそれなりの財源を確保しなきゃならないと、それをどうするかという問題もそれは当然のことながらあったというふうに思っておりますが、そうした問題がございまして今日に至ったということだろうというふうに思っておりますが、決して忘れていたわけではありませんで、今年のこの年金制度改正するに当たりましても、この問題は与党の方にも御論議をいただきまして、そして速やかに結論を得るということで合意をしていただいているところであったわけでございます。したがいまして、この無年金障害者の問題につきましては、そうした時期を迎えてもいたということだろうというふうに私は理解をいたしております。
  52. 辻泰弘

    辻泰弘君 正直に言い過ぎたというお話でございましたけれども、これからもまた正直に言っていただきたいと思うんですけれども。  この点、議員立法で措置するという話もあったりするわけですけれども、その点はどう考えていらっしゃいますか。
  53. 坂口力

    国務大臣坂口力君) これも、これは議員立法ということになれば皆さん方の合意を得てやらなければいけないわけでございまして、そうしたことも含めてこの検討は進められていくというふうに思っております。
  54. 辻泰弘

    辻泰弘君 議員立法のことを聞くのも筋違いの部分はあるんですけれども、すなわち、私は、政府、閣法でやるべきじゃないかと、こういう意味合いで申し上げているわけなんです。  すなわち、先ほど言ったような、厚生労働省の事務的ないろいろな、大臣がおっしゃったようなそういった体質とか、そういったものを払拭する意味からも、これまでの反省の意味を込めて、いつまでに閣法で作れということを指示されて、それで対応すべきではないかと私は思うんですが、いかがでしょうか。
  55. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 政府が出すということになりますと、これも時期の問題もございまして、いわゆる予算関連の法案というものを政府が出します場合には、もう既に、三月の幾日までに出すようにというようなことになって、その時期も経過をしているわけでございます。そうしたこともございますしいたしますので、可能な選択肢をいろいろと考えながら現在はやっていくときだというふうに思っている次第でございます。
  56. 辻泰弘

    辻泰弘君 状況としては理解できなくもないんですけれども、やはり私は、こういったものに機動的に対応するという意味も、いつまでに法律出さなきゃ駄目だというのも、考えてみれば、別にそうでなくてもいいわけですから、そういう意味では、私は、これまでの厚生行政のその体質というものを、意識変革を求める意味合いからも、閣法でやれというふうに指示していただきたいと。大臣の恨みではないでしょうけれども、目には目を、歯には歯ではありませんけれども大臣はどちらかというと恨みに報いるに徳をもってなすというような感じがいたしますけれども、私としては、日はともかくとして、閣法でやれというふうな思いでやっていただければと思うわけでございます。  そこで、この点、ちょっと二点だけお聞きしたい、あと二点お聞きしたいんですが、一つは、やっぱり、対象として坂口試案では四類型を出しておられたわけでございます、トータル十二万ですけれども。この中で、これまでの御答弁で、入りたくても入れなかった人と、入れるけれども入っていなかったのだというのは違うんだと、こういうふうなトーンだったと思うんです。それも一つの私、区切りだと思っているんですが。  しかし、少なくとも、今回のやつは、未加入であった学生の方々の四千人というのが一つの直接的な事由だと思いますけれども、その他にも、五十七年一月以前、五十七年一月の国籍要件撤廃前に障害に遭われた外国籍の方、五千人、あるいは、任意加入だったころに障害に遭われた被用者の被扶養配偶者と、こういった方もおられるわけですが、そういった、入りたくても入れなかったといいますか、今日的には強制加入であるけれども、その時点ではそういうふうになっていなかった、その人たちはやはり一つのくくりとしてとらえるべきだと思うんですけれども大臣、いかがでしょうか。
  57. 坂口力

    国務大臣坂口力君) この分野も、どこで区切りをするか、あるいは一括でするのかといった問題ございます。やるとしても、手順としてどこから始めるかといったようなこともあるというふうに思いますし、そうしたことを全体としてこれからどのように見ていくかということでございますので、今そこをまだ確実に決めているということでは決してございませんので、よく御相談をしてそこは決めたいというふうに思っております。
  58. 辻泰弘

    辻泰弘君 それからもう一点、厚生労働省についてこういう記事がございました。救済措置の検討は必要としながらも、地裁の判決については控訴する方向で調整していると、こういうふうな記事がございましたけれども、これはそういったお考えなんでしょうか。
  59. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 裁判につきましてどうするかということもまだ決めておりません。全体の動向と合わせてこれは決めていかなければならないというふうに思います。  私も、この判決内容を今、全文読ませていただいているところでございまして、そうした上で決断したいというふうに思っております。
  60. 辻泰弘

    辻泰弘君 この問題は、坂口大臣は私なんかよりもはるかに御専門の領域だと思いますけれども、どうか、先ほど、これまでにいろいろなところでお示しいただいた熱い思いといいますか、国民生活を大事にするというそういう視点からお取り組みいただきますように、改めてお願いしておきたいと思います。  それで、また元に戻るといいますか、特例部分に戻るわけですけれども、今回の物価スライド特例の対象者数、給付額、こういった資料を厚生労働省からお出しいただいているわけでございます。その中に、面白いと言ってはなんですけれども、私なりに関心を持ちましたことは、今回の特例の対象者数は、年金関係では四千百六十二万人となるということですね。あっ、失礼、厚年、国年、福祉年金が四千百六十二万で、国共済地共済私学共済の計三百二十一万人と合わせた両者の四千四百八十三万人がその対象者であると、年金関係ですね。ただ、その基礎年金番号で把握した受給権者数は三千七十六万人であると。ということは、その差の千四百七万人でしょうか、その方々の分は重複計上になると、こういうことだろうと思うわけでございます。この重複計上という状況は、基礎年金番号では把握できているのかどうかと、この部分になるわけでございます。  すなわち、私どもが低年金者に対して最低保障を掛けるとか言いますと、共済と厚年、国年とのその連動ができていないんだと、状況を把握できないんだと、こういうふうなことをおっしゃるわけで、ここは意外に思うわけですけれども基礎年金番号でこういった重複の状況はどのように把握できているのか、現状を教えていただきたいと思います。
  61. 薄井康紀

    政府参考人(薄井康紀君) 今、先生御指摘ございましたように、今回の特例措置の対象者の、手当は別といたしまして、年金関係で申し上げますと、私ども社会保険庁が担当いたしております国民年金厚生年金、そして福祉年金と、ここで四千百六十二万人、それから共済関係、国共済地共済私学共済合わせまして三百二十一万人という数字でございます。合わせますと、御指摘のように、四千四百八十三万人ということでございます。  これらにつきましては、それぞれの制度で、今回の物価スライドによります財政影響、こういうのを見まして予算を作るわけでございまして、その過程におきましては、それぞれの制度の受給権者という形で計算ができるわけでございます。  ただ、私ども、実際に、年金をもらっておられる方の実態ということをつかまえますために、いわゆる厚生年金国民年金基礎年金の上に二階の厚生年金が乗っている方、あるいは基礎年金の上に共済年金が乗っている方、あるいは基礎年金共済年金厚生年金と受け取っておられる方、こういう重複がございますので、それを基礎年金番号を使うことによりまして、実際に年金を受け取っておられる方が幾らおられるかということを整理をいたしております。その数字は三千七十六万人ということで、これが十四年度末の数字でございます。  ただ、国家公務員共済とかそちらの方の年金額の数字自体を今私どもの方がいただいてそれを積み上げるという形にはなっておりませんので、その部分も含めてのトータル額という数字は、今出ない状況になっているということでございます。
  62. 辻泰弘

    辻泰弘君 すなわち、お一人お一人の年金額が幾つかの制度にまたがっている場合に把握できないという状況なんですよね。
  63. 薄井康紀

    政府参考人(薄井康紀君) 厚生年金基礎年金の上に厚生年金が乗っておりますケースにつきましては、これは私ども両方支給しておりますから、それはトータルの数字としてつかまえられます。ただ、共済年金で幾ら出ておられるかという数字を私ども今いただく形になっていないということでございます。
  64. 辻泰弘

    辻泰弘君 基礎年金番号をせっかく入れたのに、そういうことすらできていないというのは、非常に何か残念といいますか、どうなっているのと思うわけですけれども、それをするためには何が必要になるんですか。
  65. 薄井康紀

    政府参考人(薄井康紀君) 今直ちになかなかお答えすることは難しいわけでございますが、やはり共済組合サイドからそういうふうな情報をいただく。いただくについては、なぜそれをいただく必要があるかと、それぞれのところが、これ縦割りとおっしゃられるかも分かりませんけれども共済年金共済組合の方で支給をされておりますので、そういうふうな形のものをいただく理由というか、そういうふうなものが恐らくは要るのかなと思うわけでございますが、そういうふうな全体の実態というものを少しつかまえるべきではないかという御指摘であれば、何らかの研究というのが将来的には必要なのかなという感じもいたしております。
  66. 辻泰弘

    辻泰弘君 今のは法律改正が要るのかどうか、そのことなんですけれども、行政の対応としてあり得ることなんですか。
  67. 薄井康紀

    政府参考人(薄井康紀君) いわゆるこの種の調査が、個々人の方の情報というのを私ども必ずしもいただかなくてもそれぞれの業務ができる、共済の方もできるし、私どももできるということでございますので、それについての情報をお互いに交換をする、あるいは私ども共済から情報をいただくということについてどういうふうな仕掛けが要るのか、あるいは、これは単に法律とかそういう制度の話だけではなくて、実務的なところも出てまいります。そういうふうなことも含めてこれは考えるというか、そういうふうなことが必要かどうかということも含めて考えると、こういうことになろうかと考えております。
  68. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 私も今この話初めて聞くわけですが、これから年金受給者に対しまして、だんだんと若い皆さん方にも、現在どれだけ負担をしていただいていて、将来どうなるかということのお知らせをしなきゃならないようになるわけでございます。中には、ずっと共済年金に入っている方もあれば、ずっと厚生年金に入っている人もありますし、あるいは共済から厚生年金に途中で替わる人もございましょうし、これから様々になってくると。一元化の話がありますから、それはそうなってしまえば、もうそれで全部済むわけでございますけれども、現在のこの制度のままであったとしましても、この制度間で行き来する人の数はこれから増えると思わなければなりません。  したがいまして、制度間で行き来しているから過去の分は分かりませんというのでは話にならぬわけでございますので、そこは分かるようにこれはいたしますから、もし各共済やその他のところとお話合いをしなきゃならないのであれば話をしまして、そこは行き来できるようにしたいと思います。
  69. 辻泰弘

    辻泰弘君 前向きな御答弁いただきました。  年金担当大臣というお立場でございましょうから、やはり是非その分は、せっかく基礎年金番号を入れてそんなこともできていないのかということで、私はむしろびっくりしたようなことでございますけれども、是非そういうお取り組みを早急に作っていただくことを申し上げたいと思います。  それから次に、今回の特例措置の実施に伴う財政影響ということについてですけれども、先ほど局長からも言及があったわけで、厚年、国年で給付ベース二兆二千億とかそういった数字があるわけでございます、国庫負担で三千五百億とかそういうのがあるわけですが、いずれにいたしましても、その、これまでの、十二年度から十六年度の措置が今後どういうふうに年金財政影響を与えるのか、そういう見地からの財政見通しは出されてしかるべきだと思うわけです。ですから、これまでの措置なかりし場合はこういう財政の姿である、今回、これまでの五年、二、四、五年の、五年間の措置によって財政的にこういうふうになるんだと、こういうものを示していただくべきだと思うんですけれども、そのような資料提出、いかがでしょうか。
  70. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 今、先生からお尋ねのありました、物価スライド特例措置を行いませんで、原則どおり物価下落に応じて年金額改定したというふうに仮定をいたしますと、特例措置を行った場合と比べまして、特例措置影響解消されるまでの間、これいずれ解消するという基本的な考え方でございますけれども、その間、支出がより減少いたしまして、その分積立金が増加したということになるんだろうと思います。その結果、年金財政が若干改善されるということは間違いのないことだろうと思いますが、ただ、ある期間の違いでございますので、そういう意味では経過的でございまして、長期的な年金財政への影響は非常に限定的だろうというふうに考えております。
  71. 辻泰弘

    辻泰弘君 限定的かどうかという判断は、それは後ですればいいわけで、いずれにいたしましても、年金について二兆円、給付ベースで影響があるということで、この間の局長の私に対する質問の答弁では、一千億でも大きな額だと、このようにおっしゃっているわけですから、二兆円というのはもっと大きいのは当たり前のことでございまして、そういった意味で、このことについても、どういったこれまでの二兆円に、二兆二千億に財政影響が及ぶ措置が今後の年金財政にどういうふうな影響があるのかということを、限定的だとおっしゃる前に、示していただくように求めておきたいと、このように思うわけでございます。  それから、それと連動しますけれども、この間の私の予算の委嘱審査の折に御質問したことに絡むんですけれども、いわゆる保険料の流用ということがあったわけでございます。財政特例法によって、構造改革法でやったやつの後、十六年度それで手当てしたといいますか、対応したということでございます。十七年度は分からないということになっているわけですけれども、ただ、その後私いろいろ調べますと、大臣はこのことについて記者会見で、昨年暮れ、このことについて悲鳴を上げたんだと、前のとおり戻ることを期待しているんだと、このような御発言があったと。それから、局長吉武局長は、一千億と大きな取扱いだということで、私といたしましては、これまでの流れから見れば、十七年度においてこの措置はないということも、当然ないようにすべきだと思っていますけれども、そういった前提での財政試算というのを私前回要求しておきましたけれども、この点についてもやっぱり、前回は状況説明があったわけですけれども、私としては、その点はやっぱり出してしかるべきだと、この措置財政保険料への事務費への流用の部分を継続すればこうなる、十六年度でとどめるならばこうなるというのを出すべきだと思っていますけれども、いかがでしょうか。
  72. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 大臣には去年の年末の予算折衝財務大臣とこの問題にも折衝していただいたわけでございます。それで今回の措置になっておるわけでございますが、私どもの今の財政計算といいますか、でお示しをしているポイントだけちょっと申し上げますと、平成十年度から事務費につきまして、先生御質問の財政上の特例措置が講じられまして、それから平成十六年度にも継続をしておるわけでございます。    〔委員長退席、理事武見敬三君着席〕  ただ、特例措置を講じます前の平成九年度の業務勘定への繰入額が二千九百三十四億でございまして、それから平成十六年度予算案におきます繰入額は二千八百六十七億でございますんで、トータルとしては、この特例措置によって業務勘定への繰入額を余り増やさない形できておるということがございます。そういうことがございます。  それから、保険料財源の中には、いわゆる年金相談でございますとかあるいは給付に関連しまして、被保険者へのサービスの向上を図るということで、従来から審議会の御意見もお聞きしながら、言わば定着しているものもございまして、そういうものを全体どう考えるかということがあるんではないかというふうに思っています。財政的に申し上げますと、この特例措置、あるいは保険料の財源の繰入れが減るということは、その分が国庫負担に替わってまいりますので、財政的にはより安定するという方向になってまいることは違いないわけでございますけれども年金財政試算としては言わば少し堅めの前提を置いているということで、この直近の状況を反映いたしまして計算をいたしております。  それから、今、先生がおっしゃいました、平成十七年度以降これどう考えるかというのは、大臣のお気持ちはもう私ども本当に十分、昨年の大臣折衝にも同席させていただきましたのでよく分かっておりますが、十七年度予算をどうするかということはこれからの検討の状況にかかわりますので、そういうことを見ながら、先生がおっしゃるようなことも必要に応じて、私ども必要な計算はやっていきたいというふうに思います。  ただ、なかなか、今申しましたようなことで、前提条件の置き方がなかなか難しいということは御理解をいただきたいと思います。
  73. 辻泰弘

    辻泰弘君 それで、今度の年金の関連資料で厚生労働省が出していらっしゃるので、物価上昇率の見通しということで、これは基本的には「改革と展望」に基づいて二〇〇八年まで出していらっしゃるということで、二〇〇九年以降は一・〇%と、こういう想定になっているわけですが。  これを見ますと、十七年、十八年で、十七年〇・五、十八年一・二ですから、ちょうどそれを足しますと一・七になるわけでございまして、そういう意味では十九年度にその分が一・七%取り戻しになると、こういうふうに位置付けられるのかなと思うわけでございます。その後の十九年度からマクロ経済スライドに掛かるのかなと、こういうふうに思うわけですが、そういう理解でいいんでしょうか。
  74. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 私ども財政見通しにつきましては、二〇〇八年、平成二十年までにつきましては「改革と展望」二〇〇三年度改定の参考試算、これに準拠して試算をいたしております。これは、それ以降につきましては物価上昇率一・〇%、それから実質賃金上昇率一・一%という形で試算をいたしております。  ただ、これは今後実際にどうなっていくかということになってまいりますので、現実には実際の物価の状況に対応して考えていくということでございますが、「改革と展望」の参考試算のとおりに物価平成十七年〇・五%、平成十八年に一・二%というふうに上昇いたしますと二年間で累計一・七%上昇することになりますので、特例措置によります言わば据置き分一・七%分につきましては平成十八年、十九年度に解消されるという形になってまいります。それを前提といたしまして、マクロ経済スライドにつきましては、平成十九年分の物価上昇率が年金額に反映されます平成二十年度から適用されるという形になっています。  ただ、いずれにいたしましても、それは現実の数値がどうなるかということで決定されるものでございます。
  75. 辻泰弘

    辻泰弘君 もう一点、一・七%分を解消することになる年度にまだ余りがあるといいますか、その上昇率が残っていて、その分に対してマクロ経済スライドを掛けるという状況はあり得るんでしょうか。
  76. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) いろいろな前提でございますが、例えば新規裁定の方につきまして、マクロ経済スライド調整前の賃金上昇率といいますか、これが例えば一・六%ございまして、それで今の物価特例措置分がその前に段階的に解消されまして、最後、物価分が〇・二%残ったという状態になりますと、まず〇・二%の解消を優先をさせていただきまして、残りの一・四%についてマクロ経済スライドを適用するという、こういう構造になってございます。
  77. 辻泰弘

    辻泰弘君 ここで、財務省と内閣府の方にも来ていただいておりますので、ちょっと御質問を申し上げたいと思うんですけれども。  財務省は今年一月に十六年度予算の後年度歳出・歳入への影響試算というものを出されているわけでございます。その中の消費者物価上昇率は、十七年度〇・五、十八年度一%、十九年度一・五と、こういう想定で作っていらっしゃるわけですけれども、この試算の中でその十七年度以降の物価スライドをどのように措置されたということになっているのかということでございます。すなわち、一・七%分の解消はいつになっているのかと、またマクロ経済スライドの適用ということはどうなるのかと、このことについて御説明いただきたいと思います。
  78. 杉本和行

    政府参考人(杉本和行君) お答えさせていただきます。  後年度影響試算についての御質問でございますが、後年度負担推計におきましては、物価スライドにつきましては十六年度予算で決まりました取扱い、これを前提に、これを将来の推計上に投影していくという考え方でやっております。それぞれの年度の直前の消費者物価指数の伸率を反映した改定を行うこととしておりまして、その中で消費者物価がプラスとなる場合は、過去の停止分、マイナス一・七%でございますが、これを解消するまで物価スライドをしないということを仮定して試算を行っております。  具体的には、今、辻先生おっしゃいましたとおり、物価につきましては私どもでは、平成十六年度がマイナス〇・二%、十七年度〇・五%、十八年度一・〇%という前提を置いて、これを基に試算しております。この結果、十七年度、十八年度、十九年度、私ども影響額試算は十九年度まででございますが、十九年度までの間には物価のプラスの合計分は一・七%に届かないために、このマイナス一・七%は影響試算上はまだ解消されていないという姿になっております。したがいまして、マクロ経済スライドについては、物価スライドの過去分が、停止分が解消されていないということになっておりますので、後年度影響試算においては適用はしておりません。
  79. 辻泰弘

    辻泰弘君 分かりました。  それから、内閣府の方も「改革と展望」の参考資料を出していらっしゃるわけですけれども、その中での物価上昇率の想定があるわけですけれども、この内閣府の参考資料の中で十七年度以降の物価スライドをどう措置されているのか、また一・七%分の解消はいつになるのか、マクロ経済スライドはどういうふうに適用されているのか、そのことについて御説明いただきたいと思います。
  80. 小平信因

    政府参考人(小平信因君) 今、先生からお話ございましたように、「改革と展望」の参考資料ということで、「改革と展望」を経済財政諮問会議で議論をいただく際の参考資料ということで試算を提出をいたしております。この試算は基本的には経済財政モデルによりまして試算をいたしております。  ただいまの物価スライド考え方につきましては、財務省からの御答弁がありましたとおり、前の年、直前の年の消費者物価指数の伸び率を反映した改定を行うと。それから、消費者物価がプラスとなる場合は、過去の停止分一・七%、マイナス一・七%分を解消するまで物価スライドをしないという仮定を置いて試算をいたしております。  ただ、このモデルは年度モデルでございますので、便宜、モデルの中で出てまいります前年度の消費者物価指数を使って試算をしているということでございます。その結果といたしまして、私どもの試算でございますけれども、消費者物価上昇率でございますが、二〇〇五年度が〇・五%、二〇〇六年度が一・二%ということで、両方足しますと一・七%ということになります。  したがいまして、十九年度の消費者物価上昇率一・五%というふうにモデルの中で試算しておりますけれども、これが二〇〇八年度に反映をされるということでございまして、二〇〇八年度からマクロ経済スライドが適用されると、こういうことで試算をいたしております。
  81. 辻泰弘

    辻泰弘君 分かりました。  それで、この内閣府の試算の中で、消費者物価上昇率は二〇〇八年度まで明示されているわけなんですけれども、その二〇〇九年度以降、プライマリーバランスの改善する二〇一三年度という想定ですけれども、そのときまでの消費者物価上昇率をお示しいただきたいと思います。
  82. 小平信因

    政府参考人(小平信因君) 消費者物価上昇率でございますけれども、これも、本来「改革と展望」は二〇〇八年度までということでございますので、そこの先の数字につきましては更に参考の参考というような位置付けでございますけれども、申し上げますと、二〇〇九年度の消費者物価上昇率が二・一%、二〇一〇年度が二・〇%、二〇一一年度が二・一%、二〇一二年度が二・二%、二〇一三年度が二・三%というように試算をいたしております。
  83. 辻泰弘

    辻泰弘君 将来にわたる試算ですから、もちろん前提も置かなければなりませんし、そのとおり動くということはないわけですけれども、しかしやはり人間ができることというか、やはり一つの目標なり計画なり、それなりにプランを持ってそれを手掛かりにしながらやっていくということしかないと思うわけでございまして、そういう意味で、この「改革と展望」とか、歳出・歳入の試算とか、また厚生労働省がやっておられる厚年、国年の財政の将来見通し、共済もそうあるべきだと思いますけれども、そういったものはやはり大事なものだと思いますので、これからもより精緻なものを作っていただくようにお取組をいただきたいと思うんですが。  同時に、望むらくは、それぞれが個別にコンピューターを回してやっていらっしゃるんだと思うんですけれども、それぞれの長所といいますか、それぞれの強みというものもあると思うわけでございまして、そういう意味では、年金局と主計局とそれから内閣府の方の御担当とそれぞれ連携を深めていただいて、そういったより状況を反映したといいますか、より専門的な形での試算を積み上げていただくように、そのことについては御要請を申し上げておきたいと、このように思うわけでございます。  それで、あともう少し幾つか御質問したいんですけれども、まず、さっき申し上げたマクロ経済スライドについてちょっとお聞きしておきたいと思うんです。  マクロ経済スライドは、スライド調整率の想定は、公的年金全体の被保険者数の減少率と平均的な年金受給期間、すなわち平均余命の延びを勘案した一定率と、こういうふうな想定になっているわけですけれども、この率の算出方法ですね。すなわち、被保険者数を把握せないかぬわけですけれども、これはいつの時点で把握することになるのか、どういうふうな把握をされるのか、お示しいただきたいと思います。    〔理事武見敬三君退席、委員長着席〕
  84. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) マクロ経済スライドにつきましては、被保険者数で申し上げますと、仮に平成十六年度にマクロ経済スライドを実施というふうに考えていただきまして、そうしますと、平成十五年の秋に、平成十五年の被保険者総数というのはなかなか年度途中でございますので把握はできないわけでございますが、平成十四年度の被保険者総数が確定をいたします。その平成十四年度の被保険者総数の確定を踏まえまして、被保険者数の変動率といいますか、これはほぼ確定をいたしまして、これと物価それから賃金、これによります再評価率を確定をいたしまして、両方状態が一月ごろに確定をするという状態でございます。  ですから、被保険者数の変動そのものは前年の秋に確定をいたしまして、それから最終的に消費者物価確定をいたしますのが一月でございますので、これによって確定をするという形でございまして、ちょうど今、物価スライド改定を御検討いただきますときに、十二月でほぼ見込み値で出させていただきまして、一月で確定値を出させていただいています。それと同じような状況で御報告できるようなことになるというふうに思っております。
  85. 辻泰弘

    辻泰弘君 そうすると、消費者物価指数が一月末に十二月までのが出ると。そのときにそれ以外のものも出そろっているから、実質四月から適用されるマクロ経済スライド調整率は今の物価スライドのときと同じタイミングで決められるんだと、こういうことでよろしいわけですね。
  86. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 一月末に消費者物価確定をいたしますので、私ども今もそういう形で公表させていただいておりますが、二月の初めには確定値を申し上げることはできるだろうというふうに思っております。
  87. 辻泰弘

    辻泰弘君 あと、物価スライドのことについてですけれども、諸外国でこの物価スライドというのはどういうふうになっているのかということなんです。聞くところによると、アメリカなどにはそういう規定があるというふうにも思うんですけれども、諸外国の実情をお示しいただきたいと思います。
  88. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) ドイツにつきましてはいわゆる可処分賃金スライドを実施をしております。これは前回、平成十一年の年金法改正の際に、既裁定の方について物価スライドということにさせていただいたわけでございますが、今の状態で申し上げますと、日本がかつて取っておりました賃金スライドにほぼ即したものはドイツだけでございます。アメリカで申し上げますと、基本的にはやはり裁定は物価スライドという形になっておりますし、フランスはもっと厳しくて、新裁につきましても、賃金の再評価を行わずに、名目賃金に対して物価上昇率で評価をするという仕組みを取っています。  ただ、そのいずれの国におきましても物価マイナスになったという状態はございませんで、現実にマイナス物価スライドは行われていないということでございます。  それから、制度的に申しますと、アメリカの場合には、物価マイナスのときにはマイナス改定を行わないという仕組みを取ってございます。
  89. 辻泰弘

    辻泰弘君 すなわち日本だけがその具体的なことに対応していると、こういうことになるわけですね。
  90. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 日本の経済社会がこの厳しい状況の中で現実にマイナス物価という状態になっているということだろうと思います。諸外国の場合にももちろん可能性はあるんだろうというふうに思いますが、今のところそういうマイナス物価という状態にはなっていないということでございます。
  91. 辻泰弘

    辻泰弘君 年金の算定に当たって、過去の標準報酬月額を再評価するということで賃金スライドでやってきたということが今日までの状況だったわけですけれども、再評価率の表は持っているわけなんですけれども、そもそも、この再評価の算出のベースとなる統計は何なのかということがちょっと、必ずしもよく分かってはおりませんで、その点について御説明いただけるでしょうか。
  92. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 再評価のそのベースとなります賃金につきましては、これは厚生年金それから共済年金、全体の賃金によって再評価を行うということにいたしております。基本的には賃金上昇率ということになってまいりますが、先生御案内のとおり、賃金上昇の中にはいわゆる年齢構成が変わることによって変わる部分がございます。  その再評価といいますのは、賃金の価値を現在時点賃金に対応してどう考えるかということでございますので、基本的には、今申しましたように、賃金の名目額の上昇基本としながら、これに対して例えば年齢構成の変化でありますとかそういうものを勘案をいたしまして決定をするということでございますが、ベースは名目賃金上昇基本といたしております。
  93. 辻泰弘

    辻泰弘君 その名目賃金の取り方といいますか統計のことなんですけれども、ここで議論してもあれですが、後ほど、例えば三十三年以前だと十四倍とか、こういうのがあるわけですけれども、こういったものをどういうふうに出していらっしゃるか、また資料をいただきたいと思うんですけれども、お願いできるでしょうか。
  94. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 詳しい資料を御説明申し上げます。
  95. 辻泰弘

    辻泰弘君 残り時間わずかですけれども、あと一問御質問したいと思います。  今回の物価スライド特例措置のときの財政影響額ということで、十五年度特例措置による財政影響額と十四年度特例のときの財政影響額というのを出していらっしゃるんです。給付ベースでは十四年より十五年が伸びているんですけれども国庫負担ベースではむしろ下がっていると、こういうふうな結果になっているんですけれども、このことについて御説明いただけるでしょうか。
  96. 薄井康紀

    政府参考人(薄井康紀君) 厚生年金国庫負担でございますけれども基礎年金拠出金の三分の一というのが一つ原則としてございますが、それとは別に、経過的な国庫負担といたしまして、厚生年金の昭和三十六年四月前の期間の給付費の百分の二十、二〇%と、こういうふうなものがあるわけでございます。  基礎年金拠出金に係ります国庫負担というのは基礎年金受給者が増えていくことに伴いまして増えていくわけでございますが、一方で、今申し上げました経過的な国庫負担の方は毎年減少していくという要素があるわけでございます。  そういう状況の中で、平成十四年度と十五年度と比べますと、給付費の方は増えておるわけでございますが、国庫負担の方は逆に減少していると、プラスとマイナスの要因の中でそういうことになっていると、こういうことでございます。
  97. 辻泰弘

    辻泰弘君 時間が参りましたので、以上で私の質問終わらせていただきます。
  98. 小池晃

    ○小池晃君 日本共産党の小池晃です。  本法案は、二〇〇三年の消費者物価指数マイナス〇・三%を基準として年金や諸手当を〇・三%下げると。景気悪化に拍車を掛けるものであって、賛成できません。  そこで、お聞きをしたいと思うんですが、昨年、介護保険料などの社会保険料が引き上げられています。総務省おいでだと思うんですが、こうした社会保険料というのは、これは消費者物価指数に反映されるのでしょうか。
  99. 大林千一

    政府参考人(大林千一君) お答え申し上げます。  消費者物価指数は、世帯の消費生活にかかわる物価の変動を測定するものでございますために、対象は家計の消費支出に限定されております。したがいまして、社会保険料などの消費支出以外の支出は消費者物価指数には含まれてございません。
  100. 小池晃

    ○小池晃君 九九年に年金再計算が行われて、その後、介護保険制度ができたわけです。その後、介護保険料は引き上げられてきている。しかしそれは、消費者物価指数にはこれは反映されない。しかも、年金の方は九九年以来一度も上げられてない、むしろ物価スライドで今年度、来年度と二年連続引き下げられようとしているわけです。  確かに物価は下がっているかもしれないけれども社会保険料の支出は増えているわけですね。中でも、年金生活者にとって、これ介護保険料というのは天引きですから非常に重い負担になっています。  今日お配りした資料を見ていただいても、家計調査を見ますと、その下の方に、非消費支出で社会保険料ございますが、これはもうどんどん上がってきていまして、高齢夫婦世帯の社会保険料支出は月四千円も増えていると。  年金局長、お伺いしたいんですが、こうした社会保険料の負担が、この負担増年金改定額に反映されないというのは私は納得いきませんが、いかがですか。
  101. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 今、まず先生お話ございました介護保険、あるいは高齢者医療もそうでございますが、少子高齢化が進行いたしますので、その中で負担能力を勘案しまして高齢者にも応分の負担を求めていただく、そのことによりまして現役世代高齢者でともに支え合うということで社会保障制度を構築するということだろうというふうに思います。  年金額改定高齢者の方々の社会保障負担分の見直しを反映をいたしますと、これは負担増につきまして年金給付で、年金額の中に負担増が吸収をされるということになりますが、一方で、年金の今の負担の構造で申し上げますと、いわゆる賦課方式を基本といたしておりますので、その給付の大部分につきましてはむしろ現役の方が負担をしていただくという形でございまして、そこの現役世代とそれから高齢者世代の負担の関係をどう考えるかということではないかというふうに思います。  年金にすべて反映をいたしますと、これは最終的には現役の世代の方に負担がみんな行ってしまうという問題がありまして、ここの点をどう考えるかというところが非常に大きな点だろうというふうに思っております。
  102. 小池晃

    ○小池晃君 その現役の負担の問題に話すぐに持っていかないでくださいよ。要するに、社会保険料の負担を反映させなければ高齢者生活水準を守れないじゃないかと、ここをどう考えるのかと聞いているんです。
  103. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 今申し上げたことになるだろうというふうに思っています。仮に今、高齢者の負担につきましてすべて年金給付に反映をするということにいたしますと、年金の負担の構造からいいまして、それがまた基本的には現役の方の負担になってくるという、そこをどう考えるかということではないかというふうに思っております。
  104. 小池晃

    ○小池晃君 説明になっていないと思います。  社会保険負担増大する一方で、総務省にお聞きしますが、これ物価は、下落が大きかった品目は何でしょう。
  105. 大林千一

    政府参考人(大林千一君) 平成十五年平均消費者物価指数につきまして、前年に比べて下落幅の大きな品目を見ますと、財につきましては、パソコンのノート型が二九・一%の下落、同じくデスクトップ型が二六・一%の下落、電気冷蔵庫が一八・一%の下落等となっております。サービスにつきましては、レンタカー料金が一一・七%の下落、ハンバーガーが四・一%の下落等となっているところでございます。
  106. 小池晃

    ○小池晃君 物価上昇の大きい品目は何でしょうか。
  107. 大林千一

    政府参考人(大林千一君) 同じく平成十五年平均物価指数について、前年に比べて上昇幅の大きな品目を見ますと、財につきましては、タマネギが二一・一%の上昇、ティッシュペーパーが一四・八%の上昇、ハンドバッグ、輸入物でございますけれども、これが一四・七%の上昇となってございます。サービスにつきましては、診療代が九・二%の上昇、国立大学授業料が三・六%の上昇などとなっているところでございます。
  108. 小池晃

    ○小池晃君 結局、物価下がっているといっても、一番下がっているのはパソコンとか、あと調べるとビデオカメラとかなんですね。お年寄りがパソコン使わないとは申しません、これ今、一生懸命その勉強をされている方も一杯いますよ。しかし、物価引き下げている最大の要因というのはその辺にあって、一方で物価上げているものとしては診療代とかそういったものがあると。  私は、低年金高齢者にとって、もうこの社会保険料負担とか医療費負担というのはやっぱり一番切実な負担だと思うんです。その社会保険料の負担が年金には反映されてこない、その一方でパソコンやビデオの価格が下がったということで年金が下がっていくとなると、私は高齢者生活水準というのは、これどんどんどんどん下がっていくことになりかねないと思うんです。  これは何も私だけが主張しているんじゃない。大臣、ちょっと聞いていただきたいんですけれども、五年前の九九年三月十九日、国会でこういう質問されている方がいるんですね。介護にしても医療にしても、今後負担を増やしていくということがほぼ確実な話なわけですから、これをどういうふうにして基礎年金の水準に反映させていくか、ここのところの視点が欠けてはならないんじゃないかと。これ、だれがやったかというと、公明党の福島豊衆議院議員なんですよ。私はこの指摘正しいと思うんですね。  今の物価スライドというのは、正に消費者物価指数だけ見ていて社会保険料は全然反映されていない、ところが介護保険料というのはどんどん上がってきていると。それから、これから、これは我々反対ですけれども、医療の保険料を更に高齢者に広げようという話だってあるわけでしょう。そういう中で、年金改定額を消費者物価指数だけを見て改定させていくということで果たしていいのか、こういう物価スライドだけで私は高齢者生活水準は守れないんではないかと。やはり、少なくとも基礎年金の水準には、社会保険料を始めとしたこういう高齢者の負担の、やはりしっかり反映させる仕組みというのを考えなきゃいけない、私はそういう必要があると考えるんですが、大臣、いかがでしょうか。
  109. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 今の小池先生のその御質問は、社会保障全体を今後どうしていくかという大きい話を含んだことだと思うんですね。社会保障全体の中でどこにウエートを置いていくか、年金、医療、介護、その他あるわけでございまして、それらの問題をトータルでどう見ていくかということなんだろうというふうに思います。そのことと、それからもう一つは、これは少子高齢社会が訪れる今後の、今後もにらんで、現在の状況だけではなくて将来のこともにらんで、それをどう見ていくかという二つの視点が私は必要だというふうに思っております。  それらの視点の中で、現在のお若い皆さん方の今後のことも、いわゆる保険料のことも考えながら、高齢者皆さん方にもどのようにこれは御負担をいただくかといったことを総合的に見てこれは結論付けることだというふうに思っておりまして、そうした見方で今後もやっていかなきゃいけないと思っております。
  110. 小池晃

    ○小池晃君 だから、私は正に総合的に考えるべきだと申し上げているんですよ。見てください、この家計調査の実態を。これを見れば、やはり高齢者の支出の中でやっぱり一番負担が増えているのは、私は社会保険料だと言ったって差し支えないと。もう一つ、やっぱり保健医療費ですよ。こういう負担が増えているときに、社会保険料についてはこれは反映されないという仕組みがこのままでいいと考えているのかと、私はそこについて聞いているんです。正に、これは年金だけではなくて医療、介護も含めた総合的な中で私はこの部分は見直す必要があると。公明党の皆さんもかつてそう主張していたと。私、これ当然のことだと思うんです。  大臣はこの点について、やはり年金改定額に今増えている社会保険料の支出を反映させるということを考えるべきかどうかと、ここに絞ってお聞きしているんで、ちょっと、周りのことじゃなくてそこについてお答えいただきたい。
  111. 坂口力

    国務大臣坂口力君) ですから、そこを答えようと思うと総体的なことを議論をしないといけないということを私は申し上げているわけであります。一点だけを見て、針の先でつつくようにそこだけを見てその判断はできにくいということを私は申し上げたわけであります。
  112. 小池晃

    ○小池晃君 いや、だって五年前の年金改定のときにはそういう指摘をされていたんですよ、あの公明党の議員の方は。私はこれ間違っていないと思っているんです。正しいと思うんですよ、これは。  やっぱり社会保険料の水準が反映されないのでは、これは、だからお年寄りにとってみると、今お話ししていると、一番大変重いというのは、ただ介護保険の保険料が始まった、取られている、これがどんどん上がっていくと、こういうのがやっぱり一番重いんですよ。ところが、消費者物価指数というのはそういったことお構いなしに、これは若い人の生活の問題も含めて来るわけですから、そうじゃなくてやっぱり高齢者生活実態に着目をした、高齢者生活水準を維持していくということを少なくとも、基礎年金についてはこれ高齢者の老後の生活を保障するものであるべきなわけですから、そこはやっぱり考え方を変えるべきではないかというふうに申し上げているんで、そこをお答えいただきたい。
  113. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 先生おっしゃる趣旨は、先ほど諸外国のスライドのところで申し上げましたけれども、ドイツが唯一現役の方も可処分所得、それから高齢者も可処分所得でスライドを行っております。それ以外の国は、先ほど申しました、フランスは新規裁定年金についても物価スライド、それから裁定後も物価スライドでございますが、アメリカもイギリスも日本も物価スライド改定をさせていただく。  先生のおっしゃる御趣旨は、高齢者の中でもいわゆる可処分所得が減ってまいりますので、それに対応して統一的な可処分所得をスライドをすれば、そのことによってある意味で解決されるわけでございますが、しかし同時にその点は、年金仕組み基本的には賦課方式を取っておりますので、最終的にはその負担は現役の方に来るという、このことをやはりどう考えるかということを議論をしていただく必要があるだろうというふうに思います。
  114. 小池晃

    ○小池晃君 私は、こういう中で、物価が下がっているとはいっても社会保険料増えているわけですから、そういう事情も総合的に判断して、やはり物価スライドマイナススライドしないという判断をすべきだというふうに思います。  それから、基礎年金の水準についてお伺いしたいんですが、現行の月六万六千円、これは高齢者生活をどのように保障するという考え方で設定されているのか、改めてお聞きします。
  115. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 基礎年金制度は全国民共通の給付でございますので、老後生活基礎的な部分に対応した給付を行うという考えでございます。  基礎年金額の設定につきましては、これは、これまで五年に一度の財政再計算時に、消費水準でございますとか、あるいは賃金、あるいは物価の伸びなどを総合的に勘案して政策決定をしてきておりますが、基本的には、厚生年金給付水準の引上げとほぼ同じような形で引上げを行っております。その結果といたしまして、夫婦でお受け取りになります基礎年金の現在の水準十三万三千円は、実際に、平均的な無業の高齢者夫婦世帯におきます衣食住を始めとしました老後生活基礎的な部分をカバーした水準となっております。  それから、なお、平均的な消費支出と基礎年金額を単純に比較をいたしますと、基礎年金額は、基礎的な部分、食料、住居、光熱・水道費、家具・家事用品、被服それから履物に相当する額に保健医療費を加えた額を上回っているような状態でございます。
  116. 小池晃

    ○小池晃君 いや、去年、物価スライドで下げていますから、〇・九%、保健医療費までカバーしていないんじゃないですか。  いや、私が示している表があるじゃないですか。全国消費実態調査でいえば、保健医療費まで含めると六万六千七百四十三円なんですよ。六万六千円にしたわけですから、これカバーしていないわけなんじゃないですか。物価スライドをやったから、昨年。
  117. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 先生、今おっしゃいましたのは、家計調査……
  118. 小池晃

    ○小池晃君 消費実態調査です。
  119. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 消費実態調査ですね。これは平成十一年の調査でございます。家計調査の方をごらんをいただきますと、被服及び履物までにつきましては五万八千八百十円、それから保健医療も含めましたものが六万五千五百二十一円でございます。  それで、平成十二年に消費全体が低下をいたしておりまして、今申し上げました基礎的消費支出でマイナス三・一%、それから基礎的消費支出プラス保健医療費でマイナス三・三%でございまして、それから十五年も若干これより低下しているという状況でございます。
  120. 小池晃

    ○小池晃君 五年に一度の消費実態調査で見ればカバーしていないわけですけれども、家計調査で見ればそこまで行くんだということであれば、今後、年金受給額は実質一五%下げられていくと。そういうことになりますと、今、満額受給している人でも、これ、一五%切り下げられると五万六千円になると。こうなってくると、保健医療はもちろん、これ、基礎的消費支出すら賄えなくなると。基礎的消費支出並びに保健医療までカバーしてきたというこれまでの基礎年金水準の性格を、これ変えることになるんじゃありませんか。
  121. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 今、先生お話しございました基礎年金額、それから消費支出を比較しましてどの程度の水準になるかというのは、今後の経済の動向、それから正に今後の消費の動向等によっても変わってくるだろうというふうに思います。  ただ、先ほど申し上げましたけれども、現在の基礎年金額の水準は、老後生活基礎的な部分をカバーするということで設定をいたしております。  それで、一五%ということでございます。これは、賃金が伸びる中で、その賃金につきまして、実際に支えていただく現役の世代の被保険者数が減少してまいりますので、その減少の度合いも加味をいたしまして伸びを抑制するという形でございまして、基礎的消費支出の過去のデータを取ってまいりますと、基礎的消費支出はほぼ物価の伸びとほぼ見合う伸びでございます。あるいは、最近で申し上げますと、物価の伸びより若干基礎的消費支出の伸びの方が下回っているという状態でございまして、今申し上げました調整方法の中では、基礎的消費支出に対する対応というのは、基礎的な部分を支えるという役割は果たすことができるんではないかというふうに思っております。
  122. 小池晃

    ○小池晃君 いや、その言葉のあいまいなところがあるんですが、基礎的な部分に保健医療は含まれるのですか、含まれないのですか、お答えいただきたい。
  123. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 今申しましたように、基礎年金の水準としましては、基本的には老後の基礎的消費支出ということを念頭に置いて設定をいたしておりますが、先ほど来申しましたとおり、消費支出の支出項目を見てまいりますと、保健医療費までカバーできるという水準でございます。
  124. 小池晃

    ○小池晃君 ということは、だから、将来的にも基礎的な部分は保障すると、保健医療まで含めてカバーするという考え方なんですか。だとすると、今やる一五%削減やれば、そこまで割り込んでしまうじゃないですかと言っているんです。
  125. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 一五%というふうに申し上げますのは、現在の額を今の運用価格で一五%減らすということではございませんで、これから賃金賃金スライドあるいは物価スライドという形で伸びていく中で、伸びを調整しながらという形でございますので、先ほど来申し上げておりますけれども、現実に基礎的消費支出というのは、これはほぼ物価上昇に見合った伸びを示しております。  したがいまして、その基礎的消費支出に対する対応ということにつきましては、私どもの中期的な計算で申し上げますと、名目賃金は二・一%伸び、それから物価は一・〇%という状態でございますので、基本的に、今申し上げましたような調整方法を取りましても物価上昇に対する対応はできるだろうというふうに考えております。
  126. 小池晃

    ○小池晃君 だから、そこで、今、基礎的消費支出とおっしゃいましたけれども基礎的消費支出には保健医療は含まれていないわけですよね。ですから、今後のこの在り方としては保健医療まではカバーすることはできない可能性があるということなんですね。
  127. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) そこは、今後の保健医療費の伸びがどういう形になってくるかということも関連をしてくるというふうに思っておりますが、今申し上げました基礎年金の中の大宗を成しております衣食住の部分につきましては、基本的には物価の伸びでこれも伸びてきておりますし、そういうことを考えますと、その基礎年金の中の衣食住対応の部分については、先ほど申し上げましたスライド調整方法によって基本的にはその機能を果たすことはできるだろうということでございますので、それと保健医療費の今後の伸び、そこのことの関係で定まってくるだろうというふうに思っております。
  128. 小池晃

    ○小池晃君 結局、保健医療費、伸び分からないと言うけれども、どんどん伸びているのは保健医療費なんですよね。今は、基礎的消費支出に加えて保健医療までカバーしていると。しかし、今後は基礎的消費支出はカバーする、しかし保健医療までは言わない、おっしゃらないわけですよ。これ、私、本当にこういう形でいけば、基礎的消費支出は下がってきていますね、むしろ、本当に切り詰めた生活しているわけですよ。被服費なんかはどんどん下がっているわけですね。そういう中で医療費はどんどん増えていると。しかし、今後の基礎年金というのは、これは保健医療まではカバーできない可能性が出てきているわけで、本当にこれは重大なことだと思うんです。  しかも、今お話があった前提はすべて、六万六千円という満額支給の場合です。これ、四十年間、一月も休まず掛金を納めて初めて基礎的消費支出に見合う年金額というふうになっているわけで、平均四万六千円ですからね。だから、今の国民年金自営業者国民年金の平均でいえば既に基礎的消費支出を賄えない水準にあるわけですよ。それを更に削っていこうというのが今回のやり方でしょう。  私、大臣ね、これ予算委員会でも大臣とも御議論しましたけれども大臣自身も問題意識を持って、五年前の改定のときには、これ、国民年金基礎年金の水準見直さなきゃいけないと、生活保護水準よりも低いのは問題があるというふうにおっしゃっているんですよ、国会で。私は、この引上げどころか、こういう基礎的消費支出すらカバーをしていないと、平均額では。しかも、今度、満額支給であっても保健医療までカバーしなくなっていく危険があると。保健医療、どんどん増えていくわけですから、これからね。増えていく、そういう政策取っておられるんですから。  だから、私、そういう中で今本当に必要なのは、こういう低過ぎる基礎年金国民年金の在り方をやっぱり見直すということが必要なんであって、引下げなどというのは私はとんでもないことだというふうに思うんですが、大臣、いかがですか。
  129. 坂口力

    国務大臣坂口力君) これから高齢者の医療費が今以上にたくさん要るようになってくるというのは、私も御指摘のとおりと思うんです。これは、そういう政策を取るとか取らないとかということではなくて、高齢者の数が増えるわけでありますから、政策以前の問題でありまして、そこはどうしても増えざるを得ないというふうに思います。  いわゆる基礎年金というものをどこまでカバーするというふうに考えるかということだろうというふうに思いますが、いわゆる基礎的消費支出として衣食住のところを一応見ている。それに、現在は、現在見れば、それにもう一つ加えて、この保健医療のところも若干そこらで見れるだけのゆとりがあるということを局長は僕は言っているんだというふうに思うんですが、正直言って、これから先、高齢者の医療費の伸び等の問題もありまして、そこまで実際全部カバーできるかどうかということは私も疑問のところがあるというふうに、率直にそう思います。  しかし、それは一応全体を見ればやむを得ないことでありますから、それに対しまして、これからの皆さん方は将来に向けてやはり基礎年金をお受けになって、基礎年金だけの皆さん方はそれぞれの対応をしていただくということになるんだろうと思うんです。例えば自営業皆さんでございますと、それは六十歳とか六十五歳で定年になるわけではなくて、健康である限り働いていただくこともできるわけでありますから、皆さん方はこの基礎年金以外のいわゆる収入というものもあるんだろうというふうに私は思います。そうしたことを全体でお考えを多分現在もいただいていると思います。  現在の高齢者の家計調査を見ましても、この基礎年金の範囲内で収まっているかというと決してそうじゃありません。もっと多くの消費をなさっているわけでありますから、そうしたこともお考えをそれぞれいただいておやりをいただいているということだろうと。年金としての、一つの公的な年金としての限界はやはりあるというふうに考えなければならない事態を迎えたというふうに私は思っております。
  130. 小池晃

    ○小池晃君 私は、保健医療費も賄えないようなものは、老後の最低生活を保障するという性格を大きくゆがめることになるというふうに思います。やむを得ないで済む話ではないと。やはり医療というのは本当に高齢者にとってみると切実な問題ですから、そこまで初めて保障して最低生活の保障というふうに言えるというふうに思います。ここは重大問題だということは指摘しておきたいと思います。  それに加えて公的年金控除の縮小の問題が今出てきておりまして、これ、年金課税が増えるだけじゃなくて住民税に波及をすると。そうすると介護保険料に及ぶ、更に国民健康保険料にも波及をするということが指摘をされていて、例えば川崎市の計算では、今非課税の年金収入二百五十万円の夫婦家庭で、新たに所得税三万三千二百円、住民税が二万五千八百円増えると。それから、住民税課税になると、介護保険料が今まで二段階だったのが、夫が四段階、妻が三段階になって、二人合わせて一・五倍だと。年間二万九千円の増だと。国民健康保険料は控除縮小で所得割が約一万四千円増えると。合わせると、これ年間十万二千円の負担増になると。一か月二十一万円弱の年金でこれ十万円の負担増になると。本当に非常に大変だという声が上がっております。  大臣は衆議院でも、これはできるだけなだらかにと、急激に増えることを避けるというふうに大臣局長が答弁しているんですけれども、これは当然軽減措置というのはあるべきだと思うんですが、この国保料や介護保険料について、保険局長お見えですが、具体的にどのような軽減のその手だてを考えておられるのか、お答え願いたいと思います。
  131. 辻哲夫

    政府参考人(辻哲夫君) 御指摘の点につきまして、今後どのように対応するかという具体的な内容については検討中でございますが、国民健康保険料に関しましては、保険料の賦課総額は変わらない、そういう中で年金受給者の負担が増えますと、年金受給者以外の世代の負担は軽減されるという関係にあるわけでございますが、現実問題としまして、様々な算定方式がある中で、おおむね二百万以上の年金額、年額二百万以上の世帯が対象になるものと考えますが、現実問題としての保険料負担の具体的な影響はどのように生じるのか、更に精査が必要でございます。  また、老人医療制度における高額医療費に係る所得判定基準に関しましては、今の国保保険料のように一定以上の年金受給者世帯全体への影響というのではなくて、この判定基準で、言わば低所得者への配慮が一般に切り替わる部分だけに生じる言わば境界領域的な問題になるわけでございますけれども、この点、現在でも、ちょっとした所得の変化、それから、そもそも老人医療にどの程度お掛かりになるかによって異なりますけれども、生じていることでございますが、今回の影響、この言わば境界領域に生じる影響がどの程度のものか、これも更に精査が必要かと存じます。  また、介護保険料に関しましては、平成十八年度までの間に制度全般の見直しを予定しており、その見直しの中で、保険料についても、今回の年金課税の見直しの影響も踏まえつつ、公平な負担の在り方について検討するというスタンスで検討が行われております。  いずれにいたしましても、今のようなことを精査させていただきながら、もう一つは市町村等関係者の御意見もよく聞く必要があると思います。そのようなことを踏まえまして今後検討して、深めてまいりたいと考えております。
  132. 小池晃

    ○小池晃君 だって大臣大臣はなだらかにするとおっしゃったんですよ。今答弁聞いていると、まだ何も考えていないというか、全部精査だと。なだらかにと大臣おっしゃったんですから、やっぱりそういう方向で持っていくと。具体的にどんなふうに考えていらっしゃるのか、大臣はどんなことを想定されて答弁されたのか、お聞かせいただきたいと思います。大臣いかがですか。
  133. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 年金課税のような問題が起こりますと、どこかに、ここから上がる、ここからは上がらないという境界みたいなところができて、これはもう法律ですから、いつもそういうことは付きまとうわけですけれども、その境界線のところで急にぼんと上がって、そしてそこから高くなるというようなことになっては、それは少し御迷惑を掛けるんではないか。だから、そこのところは一つの、ここのところに多くの負担が掛かるようなことではなくて、少しそこはなだらかに行くようにやはりしないといけないという、多少感覚的な意味を込めて私は申し上げたわけでありまして、しかしそこは事務方も私の言ったことは大体理解してくれているというふうに思いますので、今答弁しましたように、そうしたことも念頭に置きながら、これからどうしていくかということを考えてくれるだろうと思います。  先ほど、横浜でしたかね。
  134. 小池晃

    ○小池晃君 川崎。
  135. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 川崎。川崎の例をお挙げいただきましたけれども、市町村によりまして保険料の付け方等もいろいろ、一律じゃございませんので、そうしたことも一体どうするかといったようなことも併せてこれからやっていかなきゃいけないというふうに思っております。一律にはいかない。ですから、そうした個々のケースの場合にどうしていくかといったことも念頭に置きながらやっていかなきゃならないということだろうというふうに思っております。
  136. 小池晃

    ○小池晃君 ここは十分に手当てをする必要があるということは申し上げておきたいと思います。  さて、学生無年金障害者の問題についてお聞きしたいんですが、違憲判決が出ました。これ、そもそも何で生まれたかといいますと、国の制度として九一年までは学生は二十歳以上でも加入しなくていいと、任意加入になっていたわけです。ほぼ九九%の学生が加入していなかった。  私が五年前の国会で取り上げた方は、お父さんは大学の教授だった。そのお父さんが勤める大学に入学していた学生の息子さんが無年金障害者になった。その教授であるお父さん自身が、知らなかったというふうにおっしゃっていると、こういう事態の中で起こっているわけですね。これは、判決は国の故意、過失、認められると、国の責任を明確にしている。  先ほども議論ございましたが、昨日、超党派の無年金障害者問題を考える議員連盟で緊急決議を上げています。その中身は、これは国民年金一部任意加入だった時代に未加入で障害を負った学生及び主婦、在日外国人について、今国会において法的な措置を講じ、障害年金を支給することと、超党派でこういう確認がされているわけです。  私ね、大臣、先ほど議論ありました。この問題は私も四年前の厚生委員会でこれ追及しましたけれども、これは年金制度の中で、この超党派の議員連盟で決議したように、やはり解決する道を探っていくべきだと私は思うんですが、大臣、その点についてまずお答えいただきたいと。
  137. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 東京地裁の判決につきましては現在鋭意読んでいるところでございまして、その内容を私たちも精査をいたしております。それに対してどうするかという問題と、それから、そうした裁判とは離れてこの無年金障害者の問題をどうするかという問題と、私は考え方はいろいろあるというふうに思っております。したがいまして、裁判に対してどうするかという問題と、そしてこの無年金障害者の皆さん方をどうするかといったことと、並行していろいろ考えていかなきゃいけないというふうに私も率直にそう思っているわけでございますが、現在、多くの皆さん方の御意見もちょうだいをしながら、どうするかということを決めたいというふうに思っております。
  138. 小池晃

    ○小池晃君 いや、解決するのは私は当然のことだし、控訴は当然すべきでないと思いますが、やはり、年金制度の枠内でやはり解決の道を探っていくべきではないかと。  といいますのは、二十歳未満で障害を持つようになった場合は、これは障害基礎年金が支給されるわけです、無拠出で。ところが、二十歳一日でも過ぎればこういう事態になっているわけですね。それからもう一つは、二〇〇〇年の年金改定で、学生の追納制度、いわゆる出世払い制度ができまして、これは拠出していなくても、学生時代に発生した障害であればこれは無拠出で障害基礎年金出るわけですね。保険料を払っているか払っていないかのバランスだという議論は私は崩れていると思うんです。拠出なくても、これは支払うということができているわけですから、私は、保険料を負担していないから給付できないという議論は成り立たないんではないか。  やはりこれは拠出と給付の関係じゃなくて、そこはクリアできているわけですから、やはり一定のいろんな検討は必要でしょうが、やはりあくまで年金制度の枠内で、今ちょっと大臣お答えなかったんですが、年金制度の枠内でどこまで解決できるのかという道を私は探っていく努力をすべきだと考えるんですが、その点に絞って大臣に御見解をお聞きしたい。
  139. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 小池議員の御趣旨は私もよく分かりました。そういう御趣旨であることはよく分かりましたが、私は、これからこうした問題をどうしていくかということはもう少し幅広く考えていかなきゃいけないというふうに思っております。それはもう、この保険料を納めなければならないようになっていて、そして納めずに障害になった皆さん方もたくさんおみえになる、これが一番多いんですね。九万人ぐらい、私たちの調査でもおみえになるというふうに思っております。ここが人数が一番多いわけで、こうした皆さん方のことも念頭に置きながら、全体として一体どうしていくのかということを考えなければいけないんではないかというふうに思っております。  しかし、一遍にいかないから、現在の学生諸君の皆さん方の問題と、いわゆる年金制度の成熟過程で起こった問題と、しかしちゃんとなっているのに支払をしなかった人とは別ではないかという御意見もあるわけでありまして、それらのところをよく検討をして、そして最終的に結論を出したいと、こう思っております。
  140. 小池晃

    ○小池晃君 それから、金額の問題で、救済策ということで、これ報道なので何とも言えないところもあると思いますが、与党内で月三万円程度の手当金というようなことが報道されているんですね。  今、障害基礎年金は一級月額八万三千円、二級で六万六千円で、私は、仮に三万円だとするとこれは余りに低過ぎるのではないかというふうに思っておりまして、判決は不平等を放置してきた政府の責任を問題にしているわけです。そういう中で、やはり直ちに救済する必要があるし、やはり支給要件や支給額については、私は、障害基礎年金と同様の水準にすることがこれは当然必要だというふうに考えますが、この点について、どういう支給の在り方にするかということはいろんな議論があるんだというお話はありましたが、少なくともその人たちを救済するのであれば、私は、三万円などということではなくて、不平等が問題になっている以上、現行の障害基礎年金の水準というのは当然あるべきだと思いますが、その点についての大臣の御見解はいかがですか。
  141. 坂口力

    国務大臣坂口力君) どうするか決まっていないぐらいでございますから、額をどうするかということは決まっていないのは、もう一つこれはもう当然でありまして、新聞がいろいろ書くのは自由でございますけれども、しかし、今そんなことが何ら決まっている段階ではございません。議員連盟の皆さん方もいろいろと御意見を出していただいている段階でございますから、何ら決まったことではございません。また、決まり掛けようとしているわけでもそれはございません。  ですから、それはただ単の憶測記事だというふうに思っていただいて差し支えないというふうに思いますが、どのぐらいの額がいいのかということはよく検討を、その前に、決めるとしてもどうするかということをよく検討しなきゃいけないというふうに思います。いわゆる年金の掛金をしていただいて年金の中から出すということになれば、年金の掛金をしていただいていた皆さん方との均衡というものもあるだろうというふうに私は思っております。  そうしたこともよく精査をしながらどうするかということを決めたいということでございまして、まだやるということを決めたわけでもありませんし、それに対する額を決めたわけでは更々ありませんので、これからすべては決めていくという問題でございます。
  142. 小池晃

    ○小池晃君 年金保険料を払っている人とのバランスということでいえば、先ほど私申しましたように、二十歳未満で障害を受ければこれは無拠出で出るわけですし、学生追納制度があってその問題はクリアしているわけですから、やはり私は、法の下の平等を定めた憲法違反であるという判決は重いと。無年金障害者を救済することはやはり憲法の立場からも当然のことだというふうに思います。是非、断固控訴すべきでないということと、年金制度の枠内での解決の道を徹底して探っていくべきだということを申し上げたい。  最後に、厚生年金基金の受給者保護の問題をちょっとお伺いしたいんですが、これは、厚生年金基金の加入者九百二十万人、受給権者三百二十万人という大きなものです。今、年金基金財源が苦しいことを理由にして大幅な引下げが起こっている。りそな厚生年金基金、これはりそな銀行のOBの方たちですが、これは昨年十二月に、元行員の一万五千人の受給者に対して、平均一三・二%、最大二一・八%の減額という提案が行われています。  これは受給者の三分の二の合意で減額できるというふうにりそな側は言って、今同意の集約をしているということなんですが、これは以前の法案審議でも私、指摘しましたけれども、アメリカでは、既に受給権発生した既裁定者についてはこれはもう企業年金であっても手を付けちゃいけないと、これ財産権だということになっているわけですね。私は、これ、本当にこんなこと断固許されないと思うんです。  ちょっと細かいことを聞く時間がないんで、大臣にちょっと一つお伺いしたいのは、これは今回、一万五千人対象、三百九十億円、もう今までの受給者の切下げの中では過去最大規模です、明らかに。一企業の単独の年金基金としては最大の規模です。これ社会的影響、極めて大きいと。私、前回大臣と御議論したときも、大臣は、受給権保護を更に守っていくよう心掛けるとおっしゃった。ところが、このような巨大な厚生年金基金で一万五千人もの受給者に対して総額三百九十億円もの給付カットが行われる。私は、これ、企業年金に対する信頼を大きく損なうことになるのではないかと思いますが、大臣、りそなのこの受給権切下げの問題についてどのように感想を持たれますか。
  143. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) りそなの厚生年金基金の問題につきましては、これまでも小池先生に私どもの方で今の経過的な状況を御説明申し上げておりますが、これから正式の申請が行われるだろうというふうに考えております。  それで、企業年金の分野でございますので、正に企業に負担能力があって、できるだけ現役の方の企業年金につきましてもその水準を維持し、それからOBの方につきましても給付をするというのが一番もちろん望ましい姿でございますけれども、しかし、こういう経済状況の中で、その母体企業につきまして非常に経済的な変動が生じておりますので、その中で労使を中心としてどういう選択をしていただくかという基本的な問題だろうというふうに思っております。  これは、先生御案内のとおり、実際の受給者の場合につきましては、受給者あるいは受給待機者の方につきまして、減額の対象となる方の三分の二以上の同意が必要でございますし、それから仮にその三分の二以上の同意がございまして受給者の給付を減額する場合にも、希望する受給者につきましては減額前の給付に相当します一時金を支給するという、こういう条件を付しておりますので、その中でやはり労使でどういうふうに判断をしていただくかということではないかと思います。  これは、今まで実際に受給者の合意があったケースもございますが、そのケースをお聞きをいたしますと、むしろ、かつての社員、OBの方は、現役の方の企業年金も減るわけでございますので、そのことについて、やっぱり企業年金財政が非常に大変なんで、OBとしてもこれに対して一定の理解を示されるというケースもあるようでございますので、私どもはこの点につきまして手続を定めておりますので、手続にのっとって労使で議論をしていただき、決めていただく事項だろうというふうに思っております。
  144. 小池晃

    ○小池晃君 しかし、これだけ大規模なカットでありながら、その手続いろいろおっしゃいましたけれども、それが本当に厳密にやられているのかと。  三分の二の同意についてはこれ厳密に調べなきゃいけないと思うんですが、これ会社がチェックしているのでは透明性欠けるという批判があって、会社は当初、第三者機関で確認すると言っていたんですね。ところが、それはやめたと。実際には公証人を配置したと。それだけなんですよ。しかして、その公証人がだれかも公表していないんです。密室で事が進められている。減額に反対している受給者の人たちが本当に同意が行われているのか確認するすべもないんですよ。  こういうことでいいのか。しかも、本当に真にやむを得ないものなのかどうなのかまでちゃんとチェックできるんですか。だって、この間の法案審議で私指摘しましたけれども厚生年金基金に対する審査等のスタッフ、厚生労働省本庁で、年金局で十名だと、地方厚生局で三十名程度だと、こういう話なんですよね。  今、どんどんどんどん厚生年金基金の解散なんか続いているわけですよ。そういう中で、これだけ大規模な給付カット、財産権に対して本当にすさまじい侵害になりかねないものが行われているときに、今のような、こういう程度のことで三分の二の同意きちっとチェックされているとお考えですか。厚生労働省のチェックはちゃんと利いているというふうに考えるんですか。
  145. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 私ども、申請をしていただきます場合に、もちろんこれは、まずやるべきことは厚生年金基金でございますけれども、御本人の署名それから押印をいただいたものを添付していただいております。ですから、それから、私どもも書類審査の段階でその書類が三分の二を超すかどうかというのを確認をいたしております。  ただ、先生がおっしゃいますように、その書類自身に、仮に合理的に見まして署名をされたあるいは押印をされたことについて疑義があるならば、それは客観的な疑義であれば、私どもはそれをまたよく調査をしたいというふうに思っております。
  146. 小池晃

    ○小池晃君 今の体制でそんなことができるのかと申し上げているんですよ。私、本当にこの問題は非常に重大な問題だと思いますので、引き続き追及していきたいというふうに思います。  このままの形で、これだけ大規模な形で、大臣、最後お伺いしたいんですよ。三百九十億円ですよ。一万五千人。こういう企業年金の受給の切下げなんて行われて、私は、企業年金に対する信頼は大きく揺らぐことになると思いますが、大臣、最後にお答えいただきたい。こういうことがあっていいんですか。
  147. 坂口力

    国務大臣坂口力君) りそなはいろいろ経済的にもあったところでございますので、非常に特別な環境のところではあるというふうに思いますけれども、しかし、そこは組合との間でよくお話合いをしていただくことが第一義、これは第一次的に一番大事なことでございます。組合員の皆さん方が、それは企業側が全然不誠意だと、それは我々の意向を無視しているというふうに御指摘になっているとすれば、それは我々も調査をしなきゃならないというふうに思いますけれども、組合員の皆さんとどういうふうにお話合いが進んでいるかということを我々も知らないわけでありますから、そこは一番のポイントでありまして、そこを抜きにしていきなりこの国会の場でそれを議論をされても、なかなかそこは進まない。  私は、一番、実際にやらなきゃならないのは、企業側と、そして組合との間でのお話合いがどうかということなんだろうと思うんです。私は、その組合の御意見というものをできるだけ尊重するように我々もやらなきゃいけないと、そう思っております。
  148. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 午前中の質疑はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時十四分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会
  149. 国井正幸

    委員長国井正幸君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成十六年度における国民年金法による年金額等改定特例に関する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  150. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。  まず最初に、小泉総理年金について一元化がいいのではないかと、野党にも呼び掛けると発言をされたことについて、大臣、いかがお考えでしょうか。
  151. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 一元化という言葉は人によっていろいろの思いがあるんだろうというふうに思っております。いわゆる国会におきまして今までこの一元化を目指すというふうに言ってまいりましたが、これはいわゆる、何と申しますか、サラリーマンの方の厚生年金、それから共済年金、その他年金、これを一元化をするということを言ってきたわけであります。しかし、今話題になっておりますのは、それだけにとどまらず、自営業者皆さん方あるいは農林漁業皆さん方一つの保険の中で作り上げていくことができないかということが議論になっている。今までの一元化お話と少し若干最近違ってきているというふうに思っております。  小泉総理がどの方向を示しておっしゃっているのかということを私もはっきりお聞きをいたしておりませんけれども、今朝もお答えを申し上げましたとおり、現在、私たちが目指しております現在のこの年金制度、そしてこの年金制度はいわゆる働く人たちの場合には二階建てになっているわけで、この中には自営業者皆さん方は入っていない。この自営業者皆さん方部分を、入っていないこの二階の部分に入れるかどうかということが今後の一つの課題ではないかというふうに思っております。  そういうふうな意味に私はとらえているわけでありまして、この今回出させていただきます法律案をそれはそれとして成立をさせていただいて、その上でそうしたことを今後お話合いをするという意味ならば我々もそれに積極的にかかわっていかなければならないと、こういうふうに思っている次第でございます。
  152. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 大臣一元化議論について賛成のお立場でしょうか。どうお考えでしょうか。
  153. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 私は、今後、したがいまして自営業者皆さん農林漁業皆さん方、小零細企業の皆さん方、いわゆる現在国民年金にお入りになっている皆さん方の御意見も十分にお聞きをする必要があるというふうに思っております。  この皆さん方が、私たちもやはりこの二階建て年金の方がいいというふうに言っていただくのならば、私は決して反対はいたしません。賛成したいというふうに思っておりますが、いずれにいたしましても、形は同じになりますけれども自営業皆さん方はやはり全額出さなきゃならないわけでありまして、サラリーマンのように半額は企業に出してもらうというわけにはまいりません。そうしたことを御理解をしていただけるかどうかということがまず先決、そうした皆さん方とのお話合いの上にこれは成り立つものというふうに思っております。
  154. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 野党三党の案には共通項もあります。それは、国民年金厚生年金一元化、社民党のマニフェストもそうですが、最低保障年金というのを保障する、一点。二点目は世帯単位、個人単位にしていく、どんなライフスタイルの人にも年金を保障する。三つ目はそのような制度の下で無年金の人をなくすという三点においてその一元化議論は優れているというふうに思っています。  私は、年金法案厚生労働委員会議論される以前に総理大臣一元化議論をまず提起をしたということは極めて大きいというふうに思っています。  今、国会で出されている抜本改革ない年金改革法案には欠陥があるのではないですか。
  155. 坂口力

    国務大臣坂口力君) それは御質問でしょうか。
  156. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 はい。
  157. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 我々が出しておりますものは、これは負担と給付、しかも今までやってこなかった長時間にわたります中長期的な展望の中でこれを決めているわけでございますし、あるいはまた、基礎年金につきましても三分の一から二分の一に引き上げる、あるいはまた積立金の取崩しを行う等々を決めたものでございまして、これは今まで考えてこなかった大きな意味を持っているというふうに思っている次第でありまして、まさしく抜本改革だというふうに思っております。  先ほどからお話ございますように、二階建て年金ということ、これはもう今も二階建て年金になっておりますし、国民年金の方は今も共通項としてこれはもう共通で一元化されているわけでありまして、その二階の分があるかないかということが違うわけでありますから、社民党の御意見も自営業皆さん方も二階建てにするという御意見なんでしょうか、そこは私もよく存じておりません。
  158. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 私は、政府案がこの一元化を去年きちっと議論をした上で抜本改革をすれば、今ぞろ、年金保険料払わなくて泣いてもいいわけみたいなCMに多額のお金を払って恫喝しなくても済んだのではないかと思っています。  国がやるべきことは、安心、安全な年金制度をきちっと打ち出し、無年金の人をなくし、最低限度、安心してどんな人も最低限度の年金がもらえる制度を構築し、それを保障していくことだと思います。  一元化議論は今後どうなるのでしょうか。
  159. 国井正幸

    委員長国井正幸君) どなたに質問ですか。
  160. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 大臣でも局長でも結構です。
  161. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 一元化議論がどうなっていくかは私もよく分かりませんけれども、これからこれも含めて議論されることは確かだろうというふうに思っております。  ただ、先ほど申しましたように、そうしたことがすべてを、二階建てにすればすべてが解決するかといえば、そういうわけではありません。例えば三号被保険者の問題がそれで解決するわけではありません。あるいはまた、これによって年金の間の格差がなくなるかといえば、それはそうとも言えない。あるいは、二階建てができるからそれで掛金が同じになるかといえば、掛金は非常に大きな隔たりができていく、そうしたことがあるわけでありまして、その一元化をすればすべてそれで解決するかのごとく考えるのは軽々であると私は思っておりまして、いろいろの問題をそこでどうなくしていくかという努力こそが大事というふうに思っております。
  162. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 そのとおりで、もちろん国民年金厚生年金一元化ということであればこれは物すごいことなわけですが、安心できる年金制度をどう作っていくか。  私は、今ここで、政治の場面で起きているのは極めて重大で、厚生労働省としては若干手直しした年金改革案を国会に上程をする、そして総理大臣の方は一元化というもっと超抜本的な、むしろ野党案に近い提案を言っている、そこで総理大臣厚生労働省の間に大きなそごが起きていますが、これはどうなるんですか。
  163. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 総理によく一遍確かめますけれども総理はどういうことを言っておみえになるのかということを私もまだ十分に分かりません。総理がどういう構想を頭に描いておみえになるのかということをよくお聞きをして対応したいというふうに思っておりますが、総理も現在の制度を、現在厚生労働省が提出をさせていただこうとしている制度制度としてこれを成立をさせた上でと、こう言っておみえになるわけでありまして、この案の更にその次の段階の、これから二十年、三十年先を見て改革をしていくことを、それで、その上で議論をしようと、こういうことを言っておみえになるんだろうというふうに思っております。そのことについて、私たちも決してそれをしないというようなことを言っているわけではございませんで、そのことについては今後いろいろと検討しなきゃならないことは多い、そう思っているわけであります。
  164. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 総理が今度、年金改悪と言っていいかもしれません、年金改悪法案を成立させた暁に、次に、じゃ一元化というのであれば、なぜ今国会に提出する法案がそうなっていないのかということを思います。二十年後、三十年後、五十年後、百年後ということであれば、今、年金制度を安心できるものにできる最後のチャンスかもしれない、そういう事態を迎えているわけですから、そういう議論をしているさなか、年金改革法案が国会に上程されるのは非常に変だと。この法案を成立させたら、次、一元化ということであれば、何のために私たちがここで議論するのか分からないというふうに思っています。  是非、きちっとすべての人が無年金にならないような抜本改革案で年金制度の改悪法案を作り直すべきだ、いったん廃案にして作り直すべきである、時期を失してはならないということを申し上げたいと思いますが、いかがでしょうか。
  165. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 一元化をすれば未加入の人がなくなるというわけではありません。これは、一元化をいたしましてもそうした問題は起こります。また、今度は多額のお金を徴収をしなきゃならないわけでありますから、その徴収が全部できるかどうかということも大変大きな課題だというふうに思っております。一元化すればすべてそれでよしというわけでは決してありません。  したがいまして、私たちは、現在のこの法律を、現在といってもまだ提出をいたしておりませんけれども、提出をさせていただいた上で、そして御審議をいただいて、私たちはそれをお認めをいただきたいというふうに思っているわけでございますが、しかる上で、今後の問題としてまだ中長期的に議論をしていかなけりゃならない課題もあるというふうに認識をいたしております。  しかし、それには税制だとか他のいろいろの政策的な問題で合意をしていかなきゃならないことがあるわけであります。その間、何もせずにこの現在の年金制度を置いておいていいかといえば、それはそうではありません。現在の年金制度につきましては、一日も早く負担と給付のところを明確にして、そうしてその上で将来の問題として更に取り組むことがあれば、それは何かということを考えていくんだろうと思っております。現在のこの制度をこのままにしておくということは許されないと思っている次第であります。
  166. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 私は、今度提出される法案が、いったん廃案にした上で抜本改革をなすべきだということを申し上げます。  女性と年金の問題についても、一元化をしなければなかなか問題が解決しない面があります。女の人は、どんな男の人と結婚したかによって一号、二号、三号と分けられる。自営業の妻は自分が保険料を払わなければ無年金になるわけですし、三号被保険者の人は保険料を払わなくても年金がもらえる。離婚するとまた全然別の立場になる。物すごく複雑怪奇。どんな男性と結婚したかによって制度が変わる。本当に合理性が全くないというふうに思っています。  女性と年金検討会であれほど議論をされながら、なぜ今回抜本改革が先送りになったのでしょうか。この女性における一号、二号、三号の問題点、三号被保険者の問題点をどう解決されるおつもりでしょうか。
  167. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 第三号被保険者制度の問題につきましては、社会保障審議会年金部会においても幾つかの選択肢を示しながら御議論をいただいております。  その中で、例えば第三号被保険者の方に保険料負担をしていただくというような御議論もされておりますが、あるいは現行の給付と負担の基本はこのまま維持すべきだという意見もございますし、それから給付と負担を維持しながら年金の分割で考えるべきだという意見もございまして、あるいは第三号被保険者の給付について、負担をされていないので少し下げたらどうかという御議論もございました。  今回の改正案では、内閣府で世論調査を実施しておりますが、その中で、第三号被保険者の方から独自に負担を取るということについて賛成の方は一七%程度でございます。それで、三割ぐらいの方は現行の給付と負担の構造でそのままでいいんではないかという御意見でございますし、三割ぐらいの方は、給付と負担の関係は現行のとおりでございますが、年金を分割したらどうかということでございまして、今回の改正案では、第二号被保険者が保険料を払っていただいているわけですけれども、これにつきまして、配偶者であります第三号被保険者も共同して負担をするという基本的な認識を法律上明らかにしながら、基本的には年金分割の考えでこれに対応しようということでございまして、離婚した場合、あるいはある期間行方が分からないような場合に厚生年金の分割をできるという仕組みを取ることといたしております。
  168. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 ずっと言われながら抜本改革がされないのは非常に残念で、私自身は、三号被保険者の問題というよりも、女の人が結婚相手によって一号、二号、三号と分けられてしまう、全然制度が違うということが問題で、一元化ということがすべての解決する魔法のつえではありませんが、三号被保険者の問題は年金制度一元化をすることでかなり実は解決をするというふうに思っています。  今回なぜ、じゃ、もう一回お聞きします。  女性と年金検討会で議論がありながら、今回ほとんど女性と年金について、三号被保険者の離婚の年金の分割しか踏み込まなかったのはなぜでしょうか。
  169. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 先ほど来お話がございますが、例えば国民年金自営業の方の国民年金の負担ということを考えていただきますと、自営業の方の場合には稼得の態様が様々でございます。正に、通常で申し上げますと、男性が働いておられて女性は家事に専念されているケースもございますし、それから両方で働いておられるケースもある。したがいまして、この自営業の方に対してどうやって保険料を負担していただくかというのは非常に、サラリーマンの場合と違いまして、非常にいろいろな態様に対してどう考えるかという問題がございまして、それで、現行の第一号の考え方について申し上げますと、世帯主あるいは配偶者と共同して保険料を負担していただくという仕組みを取っておるわけでございます。  これを、先生がおっしゃるように仮に個人的に考えていきます場合には、じゃ自営業の方の所得をどう考えるかという大問題をまず検討しなければならないということだろうというふうに思います。  それから、第三号の方の場合にも、基本的には第三号の配偶者の方、もちろんパートなんかで仕事しておられる方がおられますけれども基本的には御自分の所得は非常に少ない、あるいはないという形でございます。そういう方に対して、片っ方で年金の給付を用意をしながら、どういう負担をお願いするかというのがこの女性と年金基本的な問題だろうというふうに思っております。  ですから、この問題は、体系をどうするかという問題だけではございませんで、そういう年金の中で給付と負担、それから自営業の世帯、あるいは奥様が働いておられないような世帯、あるいはお二人で働いておられる世帯の中でどういうふうにして負担を考えていくかという点を詰めていかないと、なかなか結論が出ない問題だろうと思っております。
  170. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 一元化をしましたときに、この三号被保険者の問題が解決をできるかどうかで私も随分考えてまいりました。  現在働いている女性からは、なぜ働いていない女性は保険料を払わずに年金がもらえるのという話が出るわけであります。しかし、一元化をしましたときに、それじゃこの人たちの保険料はだれが払うんでしょうか。働いていないわけでありますし、所得はないわけでありますから、個人単位になるということになれば、これは国で見るか税で見るか、何かをしなきゃならないんだろうと思うんです。税で見るということになりますと、そうすると働いている女性は今度は、保険料では出していないけれども、私たちが出した税金でなぜこの人たちがそれで年金をもらえることになるのという話になってしまう。そこは保険料から税に替わるだけの話であって、この問題の解決には、私はなっていかないというふうに思っております。
  171. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 ただ、どんな人も無年金にせず、最低限度という意味では、スウェーデン・モデルのように最低保障年金、その部分の一番ミニマムの部分は、税負担というのはある種、問題を解決する方法であるというふうに思っています。  もう時間が来てしまいました。  最後に、大臣、無年金の問題でこの間、控訴をしないようにということをお願いいたしました。今朝もほかの同僚委員に対して回答ありましたが、無年金の問題について控訴を是非しないでほしいということと、それから無年金制度全般についての意気込みについて語っていただいて、終わりにしたいと思います。
  172. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 控訴をするかどうかは今検討しておる最中でございますが、無年金障害者の問題をどう解決をしていくかということは、それとは無関係ではございませんけれども、関係いたしますが、その控訴するしないとは別にして、私は解決しなければならない問題であるというふうに思っております。  ただ、今朝も申し上げましたとおり、グループとしては大きく分けましても四グループの皆さん方が存在する、その皆さん方をどうしていくかということを考えなければいけない。そうしたことも念頭に置きながら、現在鋭意議論を重ねているところでございまして、しかしそんなに長く議論をしていることはできないわけでありまして、控訴するかどうかを決定する四月七日までにすべての大体考え方をまとめなければならないというふうに思っている次第でございます。
  173. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 終わります。
  174. 西川きよし

    西川きよし君 どうぞよろしくお願い申し上げます。  この時期になりますと、この日切れの処理ということで、そしてまたこの公的年金改定も毎年のように審査をされるわけですけれども、今回の年金額改定ですね、改定といつも同時に審査をされている戦傷病者戦没者などの遺族年金法律でございますけれども、たしか昨年は金額が据え置かれました。今年もその法律案が提出をされていないわけですけれども、つまり据置きということですけれども。  実は、昨年のことでございますが、あるお年寄りの方からなんですけれども、西川さん、私たち夫婦の年金が下がりましたと、周りのお友達の方々にお伺いしても下がっているみたいですというお話をお伺いしましたと、ところが年金が下がっていないというお友達もおりますと、西川さん、これはどういうことかいなというようなお尋ねをされたんですけれども、この公的年金については、十五年度、〇・九%引き下げられたわけですから、私もどういうことかなということでよくよくお伺いをしてみますと、そのお友達の年金というのは戦傷病者戦没者の遺族年金のことでございまして、確かにこうした年金は十五年度は据え置かれたわけですけれども、その説明もさせていただいたわけですが、今回の年金も、そして各手当につきましても、その受給者は高齢者であったり、また障害を持つ方々であったり、その額の引下げというのはやっぱりそれぞれの、それぞれの皆さん、御家庭大変厳しいものがあるということには間違いがないというふうに私は思います。ですから、戦傷病者などの年金も引き下げればいいとまでは申し上げませんけれども、しかし、どういった理由で、そしてまたどういった経緯でそのような政治判断となったのかと、そういったことからやっぱり明らかにしておく必要があるのではないかなというふうに僕自身思います。  そこで、お聞きいたしますが、この戦傷病者などの遺族年金改定でございますけれども、ここ数年の改定率をまず厚生労働省の方からお願いいたします。
  175. 小島比登志

    政府参考人小島比登志君) お尋ねの戦傷病者戦没者遺族等援護法によります遺族年金の額でございますが、改定の状況を見ますと、基本額につきましては、平成十二年度、〇・二五%ベースアップしたほか、十三年度以降は据置きとなっております。  また、遺族加算増加額につきましては、大多数を占める公務傷病による死亡の場合でございますが、平成十二年度、二千五百円、十三年度、三千円、十四年度、三千三百円増加したほか、十五年度、十六年度はいずれも据置きということになってございます。
  176. 西川きよし

    西川きよし君 それで、いつもまたお伺いをするわけですけれども、お聞きするときの御説明は、戦傷病者など、そしてまた遺族年金などは恩給に応じて引上げを行うということで、そして来年度の恩給は据置きとされておるわけですけれども、恩給については完全に物価スライドは据置きされているということでございますから、恩給については完全物価スライド制はございません。  それで、従来から公務員の給与の改定物価の動向などを総合勘案として決められるわけですけれども、そのように聞いておるわけですが、このいずれも下がっているという。しかし、据置きとされた理由を是非今日はお伺いしたいなというふうに思います。
  177. 村木裕隆

    政府参考人(村木裕隆君) まず、平成十五年度の恩給について申し上げますと、平成十五年度、それから十六年度の恩給の改定について申し上げますと、恩給は、御承知のとおり、その対象者の大部分が戦争という特殊な勤務に旧軍人として服務、服した方やその遺族であると、こういった事情がございます。それから、そういう方々に対する国家補償を基本とする制度であるという事情がございます。  そういう事情を踏まえまして、その改定に関しましては、今、先生御指摘のあったように、国民生活水準、公務員給与、物価その他の諸事情を含めて総合勘案してやっておるところでございます。そういう恩給の特殊性にかんがみまして、平成十五年度、それから十六年度について恩給の基本額については据置きとしたというところでございます。
  178. 西川きよし

    西川きよし君 どうもありがとうございました。  ということで、国家補償というような言葉が出ましたが、時間も余りございませんので、次に参ります。ありがとうございました。  そこで、恩給が据置きなので、それに準じて据え置くということでございますけれども、十五年度の場合、恩給の一部は減額をされていたと思うわけですけれども、しかし、この戦傷病者の年金は据置き。この点はどのように、これは据え置き、そして恩給の一部は減額をされていたというふうに思うわけですけれども、どういうふうに理解すれば、これ二つ、両省から一言ずつお答えをいただけないでしょうか。  戦傷病の年金厚生労働省、そして恩給の一部の減額は総務省の方からお願いいたします。
  179. 小島比登志

    政府参考人小島比登志君) ただいま先生御指摘の恩給法におきます十五年度恩給の一部減額でございますが、これは戦争公務等によらないで死亡した場合に支給される普通扶助料に係る寡婦加算額の引下げということになっております。一方、戦傷病者戦没者遺族等援護法によります遺族年金の方は、軍人軍属等の方々が戦争公務等により死亡した場合に支給されているものでございまして、減額の対象となりました恩給法の普通扶助料及び普通扶助料に係る寡婦加算額というものは、援護法には相当する給付がないということで、引下げの対象にはならなかったということでございます。
  180. 村木裕隆

    政府参考人(村木裕隆君) 今、局長からも御答弁ありましたように、平成十五年度の恩給につきまして基本的には据置きといたしたところでございますけれども、今申しました普通扶助料、これは遺族の方ではございますけれども、戦争によらないで、例えば病気などで亡くなりになった遺族の方に対する扶助料、これを普通扶助料と申しておりますけれども、この普通扶助料にプラスして付く寡婦加算、これにつきましては、従来からその年額を、導入の経緯にかんがみまして、公的年金と合わせまして、基本的には物価に連動して設定をしてきたという経緯がございます。  したがいまして、平成十五年度の予算編成時における物価下落見通しがマイナス〇・九%ということでございましたので、それに相当する額、年額について千四百円になりますけれども、これについて寡婦加算は引下げを行ったと。十五年度はそういう事情でございます。
  181. 西川きよし

    西川きよし君 つまり、戦傷病者の遺族年金は恩給に準じて決められる、しかし一方で、恩給の中でも、その今おっしゃいます寡婦加算ですけれども、寡婦加算についてだけは公的年金に準じられているという、そういった理解でよろしいのでしょうか。その経緯も是非お伺いしておきたいと思います。これは総務省にお伺いします。
  182. 村木裕隆

    政府参考人(村木裕隆君) 恩給の寡婦加算について御説明をさせていただきます。  寡婦加算は、今申し上げました普通扶助料の遺族給付の水準の向上を図るため、昭和五十一年の法改正で、元々厚生年金等の公的年金制度における寡婦加算ということでございましたので、それと恩給につきましても同時に導入をしたと。今申し上げました普通扶助料受給者のうち老齢の寡婦、六十歳以上又は子を有する寡婦について相対的に、定額で導入いたしますので、相対的に低額受給者に有利となるように配慮した加算制度であるということでございます。  寡婦加算につきましては、このような制度導入の経緯がございますので、従来から、公的年金の寡婦加算と同様に、基本的には物価に連動して改定を行ってきているところでございます。  したがいまして、昨年につきましては、今先ほど申し上げましたように、物価マイナスということでございましたのでマイナス改定を行ったということでございます。
  183. 西川きよし

    西川きよし君 ありがとうございました。  これにつきましては、社民党の又市先生の質問などもいろいろ勉強させていただいたんですけれども、そういたしますと、来年度のこの公的年金の寡婦加算はどうなるのでしょうか。その金額にいたしましては、例えばどれぐらい下がるものなんでしょうか。
  184. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 公的年金における寡婦加算でございますが、これは六十一年改正法前の厚生年金の遺族年金の方に加算が付くという形でございます。  遺族年金の水準が、御本人といいますか、亡くなられた方の老齢年金の水準の二分の一というふうになっておりましたので、二分の一では特に高齢の方あるいは子供さんがおありの方はこれでは不十分だろうということで、寡婦加算によって少し年金額の水準の底上げをやっているという仕組みでございますが、来年度でございますが、マイナス〇・三%の物価スライドをここについても適用申し上げますので、受給権者である妻が六十歳以上の場合、あるいは子供が一人おられる場合の寡婦加算額が年額十五万二千三百円という形になりまして、平成十五年度の額十五万二千八百円と比べまして年額で五百円の減額となるということになります。
  185. 西川きよし

    西川きよし君 ありがとうございました。  ということは、その理屈からいたしますと、十六年度の恩給の中の寡婦加算については、これはやっぱり下がるんでしょうか、総務省の方にお伺いしたいと思いますが。
  186. 村木裕隆

    政府参考人(村木裕隆君) 十六年度の恩給の寡婦加算でございますけれども、先ほど申しましたように、基本的には物価に連動して改定を行ってきたということでございますけれども、寡婦加算の対象となる恩給の普通扶助料につきましては、基本的には普通扶助料そのものは恩給でございますので、恩給の持つ国家補償としての性格を有しているということ、それから改定額、今実績としてはマイナス〇・三ということでございましたが、私どもは年末の予算編成段階ではマイナス〇・二ぐらいかなという具合に実は考えておりまして、そのときの年額の改定幅がマイナス〇・二ですと三百円程度になると、年にしてですね、ということで非常に小幅であると、そういうことも勘案しまして、平成十六年度の恩給の寡婦加算については据置き、引下げを見送るということにいたしたわけでございます。  なお、過去におきましても、予算編成時における物価見通しとそれから実績等の違いによりまして、恩給の寡婦加算額と厚生年金等の寡婦加算額の間で若干の金額の差は出てきた経緯はございます。
  187. 西川きよし

    西川きよし君 どうもありがとうございました。  大変分かりやすく御説明をいただきまして、金額が少ないということでございますけれども、その手当の関係は三百円、五百円、この三百円、五百円を引き下げますし、国家補償的な意味でいえば、被爆者援護法の手当なんかはどうなるのかなというふうに思うわけでもありますけれども、そんな疑問も当然持つわけですが。  いずれにいたしましても、これは何々に、読ませていただきますと、準ずるとか何々の意味合いからしてとか、この言葉の使い勝手と申しましょうか、なかなか理解する方も難しくて、しっかり勉強しないといけないと思うんですが、それにしてもいろいろややこしいんですけれども、非常にその説明には苦しい部分があったり複雑な部分が多々あるわけですけれども、やはり国民に厳しい対応を取る以上はしっかりとした理念に基づいた対応をしていただきたいというのと、その説明責任が僕自身大変大切ではないかなというふうに思います。  最後に、坂口大臣にこの点につきまして、いろいろと今の質問も御答弁もお聞きいただいて、御答弁をいただけたら、見解の御答弁をいただけたらと思います。よろしくお願いします。
  188. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 確かに、西川議員にこうして個々にわたってお取上げをいただきますとなかなか分かりにくい面も確かにあるわけでございますが、一に掛かって、先ほど御答弁ありましたように、総務省の方から御答弁ありましたように、国家補償ということによるかよらないかということによる差というのは若干存在するということを私もよく理解できたところでございますが、しかし、そうは申しますものの、年金という立場からいたしますとここは余り大きな差があっては具合が悪いというふうに思っておりまして、今回は本当にわずかな差の話でございますが、そうしたことも今後お互いに理解をしていただきながら年金の問題というのは確立をしていかなければいけないと、そういうふうに思っております。
  189. 西川きよし

    西川きよし君 ありがとうございました。  終わります。
  190. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  本案の修正について井上君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。井上美代君。
  191. 井上美代

    ○井上美代君 私は、ただいま議題となっております平成十六年度における国民年金法による年金額等改定特例に関する法律案に対し、日本共産党を代表して修正の動議を提出いたします。その内容は、お手元に配付されております案文のとおりでございます。  これより、その趣旨について御説明申し上げます。  我が党は、昨年度も、二〇〇〇年から二〇〇二年まで実施された物価スライド凍結の特例措置を継続し、物価下落を給付に反映させない措置を取るべきとの修正案を提出いたしました。本修正案は、二〇〇三年の物価下落〇・三%分を二〇〇四年度の年金給付などに反映させない措置を取ろうとするものです。  言うまでもなく年金の実際の給付水準は、国民年金では平均月額四万六千円、厚生年金では十七万四千円でしかありません。低年金を更に引き下げることは、老後生活を圧迫した、生存権を脅かすものです。また、消費不況を長期化させ景気に与える悪影響も重大です。医療費負担増や介護保険料の引上げなど、この間の国民負担増、給付減を見れば、年金給付の削減はやめることこそ道理があります。  以上、修正案の提案趣旨説明といたします。
  192. 国井正幸

    委員長国井正幸君) ただいまの井上君提出の修正案は予算を伴うものでありますので、国会法第五十七条の三の規定により、内閣から本修正案に対する意見を聴取いたします。坂口厚生労働大臣
  193. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 平成十六年度における国民年金法による年金額等改定特例に関する法律案に対する修正案につきましては、政府といたしましては残念ながら反対でございます。
  194. 国井正幸

    委員長国井正幸君) これより原案並びに修正案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  195. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 民主党・新緑風会を代表いたしまして、ただいま議題となりました平成十六年度における国民年金法による年金額等改定特例に関する法律案について、政府案に反対する立場で討論を行います。  政府・与党は、繰り返し年金抜本改革を行うと明言してきました。その中で提出された物価スライド特例措置に関する本法案の審議を通じて、小泉内閣の言う年金改革案が、老後の生活の不安に資するための改革というものではなく、財政的に帳じりを合わせることを主眼に置いた改定にすぎないことを象徴しているということを指摘した上で、政府提出の平成十六年度における国民年金法による年金額等改定特例に関する法律案について反対する理由を申し述べます。  政府は、本法案の提案理由で、物価下落年金額に反映させるに当たって配慮するべき二つの点、第一に保険料を負担する現役世代との均衡、第二に高齢者等生活への配慮について述べられました。このうち、現役世代との均衡配慮するためにマイナス〇・三%の物価スライドを実施することは、現下の経済情勢を勘案するならば一応理解できる範囲内にあるものの、高齢者生活への配慮が行われているのかという点を同時に満たした十分な法律案であるとは言えません。  さらに、政府案は、昨年の物価スライド法に付された附帯決議を無視し、高齢者生活上安心を得られるよう必要な措置を講ずることを怠ったまま、一律な物価スライドを適用しています。政府・与党は、数字上の公平性を重視する余りに、現実には介護保険料が上がり、医療費の自己負担が高まっている事実を無視し、極めて低額な年金であっても一律に減額をする決定をしたのです。形式的かつ数字の面での整合さえ整えるのであれば良しという政府の姿勢は、今後の日本の年金のあるべき姿に大きな影を落とすことになります。  第三に、本法律案は、老齢基礎年金、障害基礎年金等と併せて、児童扶養手当、特別児童扶養手当、障害児福祉手当、特別障害者手当等の受給者に対しても物価スライド理由とする一律の引下げをすることとしていますが、これらの受給者の生活上の困難は、これらの諸手当額の果たしている役割を、効果を考えると、少子化への施策としても、障害者等へのきめの細かな施策を展開すべき必要性からしても、生存権保障の観点からも認めることはできません。  以上が政府案に反対する理由です。  なお、共産党提出の修正案には、現役世代と受給世代との公平、公正な原則に基づく世代間の観点から問題を含んでおり、賛成することはできません。  最後に、民主党は、さきに衆議院において、老後の生活、最低生活は保障すべきであるという考え方を取り入れた法案を提出したことを付け加えて、私の討論を終わります。
  196. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 私は、自由民主党及び公明党を代表して、内閣提出平成十六年度における国民年金法による年金額等改定特例に関する法律案に賛成し、日本共産党により提出された修正案について反対する立場から討論を行います。  まず、内閣提出平成十六年度における国民年金法による年金額等改定特例に関する法律案に賛成する理由を申し述べます。  公的年金及び各種手当額につきましては、本来であれば、平成十二年から十四年度に据置きの特例措置を講じた分と合わせてマイナス二・〇%の改定を行う必要があります。しかしながら、平成十五年度も一年分の物価下落分のみの改定にとどめたことにもかんがみ、高齢者生活配慮したものとする必要があります。その一方で、世代間扶養の仕組みにおいて、保険料を負担している現役世代賃金下落する中、現役世代との均衡も必要です。  本法律案は、物価スライド平成十五年の物価下落分のみにとどめることとしておりますが、こうした点に十分配慮しており、評価すべきものと考えます。  これに対し、日本共産党により提出された修正案につきましては、公的年金及び各種手当額につきまして、物価スライドによる改定を行わず、平成十五年度の額と同額に据え置くこととしております。しかしながら、世代間扶養の仕組みで成り立つ公的年金制度において、保険料を負担する現役世代賃金下落する中で公的年金の額を据え置くことは、現役世代とのバランスを欠くこととなり、現役世代理解を得ることは到底できないことから賛成できません。  したがって、日本共産党により提出された修正案につきましては反対するものであります。  以上をもちまして、私の討論といたします。
  197. 小池晃

    ○小池晃君 私は、日本共産党を代表して、平成十六年度における国民年金法による年金額等改定特例に関する法律案について、修正案に賛成、政府案に反対の立場から討論を行います。  この法案は、昨年、戦後初めて物価スライドによる〇・九%の年金給付削減を実施したのに続き、今年四月からの給付額についても〇・三%引き下げようとするものです。  政府は、給付削減を物価が下がったことを理由にしていますが、医療、介護などの高齢者負担は、この間の相次ぐ社会保障改悪によって、下落するどころか値上げされるばかりです。二〇〇三年度には六十五歳以上の介護保険料が全国平均で一三・一%値上げされましたが、物価スライドには反映されていません。年金は減らされる一方で保険料負担は増え、高齢者生活はますます苦しくなっています。二〇〇五年からは年金課税の強化もあり、所得税だけでなく、住民税、介護保険料、国保料も増えます。加えて、住民税課税になれば、医療費の自己負担や自治体の福祉サービスなどの負担も増えます。こうした中での年金給付引下げは、高齢者生活に一層の打撃を与えるものであり、撤回すべきであります。  政府国民生活基礎調査によれば、収入は年金のみという高齢者世帯は、公的年金を受給している高齢者世帯の六割を占めています。国民年金のみの受給者九百万人、そのうち四六%が月四万円未満の年金しか受け取っていないのが実情です。基礎的消費支出すら賄えない、生活できない低水準の年金まで引き下げることは言語道断です。  さらに、今回の措置は児童扶養手当、障害児福祉手当、原爆被爆者の医療特別手当などにも連動し、二十億円の各種手当が削減されます。不況や小泉内閣による社会保障負担増に苦しむ障害者や被爆者などの諸手当を削減することはもってのほかです。  個人消費を更に冷え込ませる年金給付額の連続削減はやめるべきです。そして、最低保障年金制度の実現で安心できる年金を確立することを求め、討論を終わります。
  198. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、政府提案の平成十六年度における国民年金法による年金額等改定特例に関する法律案に対し、反対の立場から討論を行います。  政府の提案は、第一に保険料を負担する現役世代との均衡、第二に高齢者等生活への配慮が挙げられています。しかし、一律の引下げは高齢者生活への配慮を全く欠いたものです。国民年金では平均月額四万五千円でしかありません。低年金を更に引き下げることは、憲法の保障する生存権をも侵害をするものです。  健康保険法の改悪法の成立により、医療費の負担増が今高齢者世帯を覆っています。介護保険料の引上げも極めて高齢者にとって現在負担となっております。  今日、諸外国においても、年金財政が逼迫する中で給付水準が引き下げられているところもありますけれども、最低保障年金、老後の最低生活を保障するという観点は維持をされております。スウェーデン、カナダ、イギリス、オーストラリアなどの最低保障年金、人が生きていく上での最低のミニマムの年金はどんなことがあっても保障する、そのような観点を欠いた今回の改悪案には賛成をするわけにはいきません。また、各種手当を、物価スライドによる引き下げることも大問題です。  高齢者の、特に今低年金をもらっている人たちの生活を破壊する、このような改悪法案に関し、反対の立場を表明いたします。  以上です。
  199. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 他に御発言もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより平成十六年度における国民年金法による年金額等改定特例に関する法律案について採決に入ります。  まず、井上君提出の修正案の採決を行います。  本修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  200. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 少数と認めます。よって、井上君提出の修正案は否決されました。  それでは、次に原案全部の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  201. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  202. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  203. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 次に、児童福祉法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案に対する質疑は既に終局しておりますので、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  204. 井上美代

    ○井上美代君 日本共産党を代表して、児童福祉法等の一部を改正する法律案に対して反対の討論を行います。  本法案は、小泉内閣の三位一体改革の柱である国庫補助負担金の廃止、縮減について、厚生労働省分の削減を行うものです。この補助金カットでは、公立保育所運営費の一千六百六十一億円を始め、介護保険や児童手当、児童扶養手当などの法施行に伴う事務費が一般財源化されます。  公立保育所運営費の一般財源化で補助金廃止の対象となる保育所は全国で約一万二千か所、全体の五五%に上ります。その額も規模も大きく、影響は甚大です。これは保育行政において国が負うべき財政負担の責任を放棄するものであり、児童福祉法、子どもの権利条約の精神に反していると言わざるを得ません。さらに、児童扶養手当、児童手当の支給に関する事務費は、子供の健やかな成長や子育て世帯への支援策の実施のためになくてはならないものです。また、介護保険関係の補助金は、介護保険の導入に当たり、市町村の負担を軽減するために行ったものです。  地方交付税が全体として大幅に削減されている下で、これらの国庫負担をなくし、地方に財源責任を押し付けるならば、保育料の引上げや保育水準の低下を引き起こし、児童手当の支給業務や介護保険の認定事務にも支障を来すことは明らかです。  審議の中でも、一般財源化により公立保育所の民営化が一層進むことは明らかになりました。コスト削減を目的とした民営化が、保育の質の面でも、父母や保育関係者との間で大きな問題となり、子供に多大な犠牲を強いる事態が広がっております。このような公的サービスからの後退を余儀なくさせる一般財源化法案は撤回すべきであることを申し述べ、反対の討論といたします。
  205. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、政府が提案している児童福祉法等の一部を改正する法律案に対し、反対の立場から討論を行います。  本法案に示されている公立保育所運営費一千六百六十一億円の一般財源化は、小泉総理大臣から国庫補助負担金一兆円削減という指示を受け、各省庁の攻防の中で生じたものです。まず真っ先に切り捨てられるものが公立保育園であることに本当に怒りを感じております。  所得譲与税を創設し人口で配分されることになっておりますが、そうしますと、各自治体、特に人口の少ない自治体は公立保育所から撤退をせざるを得ない、そういうことが起きていきます。国が責任を撤退し、自治体にその責任を押し付ければ、やれない自治体、あるいはやりたくてもお金がない、あるいはこれ幸いとやめてしまう、そういう自治体が生ずることは火を見るよりも明らかです。人が何のために税金を払うのか。それは、安心して子供を産み、育て、働き、そしてこの社会で生きていくためにこそあるべきであると。まず真っ先に切り捨てるのが公立保育園の問題であることは、この法案の一番の問題点です。  この審議の中で明らかになってきたことは、ここ数年、公立保育園が減少し、私立保育園が増加し、児童数も、公立保育園は減り、私立保育園が減ってきたことです。待遇も全く違います。公立保育園は、保育士さんの平均給与は約三十万円、私立は二十万円。年齢も、公立は三十七歳、私立は約三十一歳。有期契約で、パートで経費節減として私立の保育園が維持されていることも極めて問題だと考えております。  無認可保育所の負担ももちろん別の問題点ですが、公立保育所から国が責任を撤退していくことは、国が保育を放棄していくことだと言わざるを得ません。次世代育成支援対策推進法が国会の中で成立し、どうやって、保育ももちろん充実させ、子供を社会が育てていくかという時代に全く逆行していく法案と言わざるを得ません。公共サービスを削っていく、真っ先に削っていくことが、将来を担う子供たちの保育であることに、厚生労働省の姿勢を強く追及していきたい、あるいは疑問とせざるを得ないということを感じます。  子供たちに多大な犠牲を生じ、交付金の削減を子供に押し付けるこのような改悪法案に反対をし、討論を終わります。
  206. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 他に御発言もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  児童福祉法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  207. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  208. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時二十七分散会