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2004-03-25 第159回国会 参議院 厚生労働委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年三月二十五日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  三月二十四日     辞任         補欠選任         風間  昶君     渡辺 孝男君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         国井 正幸君     理 事                 武見 敬三君                 藤井 基之君                 辻  泰弘君                 森 ゆうこ君                 遠山 清彦君     委 員                 有村 治子君                 金田 勝年君                 佐々木知子君                 斎藤 十朗君                 田浦  直君                 中原  爽君                 南野知惠子君                 宮崎 秀樹君                 朝日 俊弘君                 大脇 雅子君                 柳田  稔君                 山本 孝史君                 渡辺 孝男君                 井上 美代君                 小池  晃君                 福島 瑞穂君                 西川きよし君    国務大臣        厚生労働大臣   坂口  力君    副大臣        厚生労働大臣  谷畑  孝君        厚生労働大臣  森  英介君    大臣政務官        厚生労働大臣政        務官       竹本 直一君    事務局側        常任委員会専門        員        川邊  新君    政府参考人        総務大臣官房審        議官       岡本  保君        総務省自治税務        局長       板倉 敏和君        厚生労働大臣官        房総括審議官   井口 直樹君        厚生労働省健康        局長       田中 慶司君        厚生労働省雇用        均等児童家庭        局長       伍藤 忠春君        厚生労働省老健        局長       中村 秀一君        厚生労働省保険        局長       辻  哲夫君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○児童福祉法等の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○平成十六年度における国民年金法による年金の  額等の改定の特例に関する法律案内閣提出、  衆議院送付)     ─────────────
  2. 国井正幸

    委員長国井正幸君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨日、風間昶君が委員を辞任され、その補欠として渡辺孝男君が選任されました。     ─────────────
  3. 国井正幸

    委員長国井正幸君) この際、委員長から一言申し上げます。  去る十八日、本委員会におきまして、谷博之君の質疑の中で、衆議院議員保坂展人君提出質問主意書に対する答弁書内容が不適切である旨の指摘がありました。  本件に関しましては、理事会において協議いたしましたが、答弁書に正確さを欠く部分があったとの認識で各会派一致いたしました。  委員長といたしましては、質問主意書に対する答弁書重要性にかんがみ、関係者に対し猛省を促すとともに、質問主意書に対する答弁書並びに国会答弁には万全を期すよう強く政府に求めるものであります。  この件に関し、坂口厚生労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。坂口厚生労働大臣
  4. 坂口力

    国務大臣坂口力君) ただいま委員長から御指摘のありました件について、その詳細を御説明申し上げたいと思います。  現行の小児慢性特定疾患治療研究事業につきましては、スティーブンス・ジョンソン症候群は、一か月以上の入院医療について医療費自己負担分公費により負担する膠原病一つとされており、通院及び一か月未満の入院制度対象としていないところであります。  政府答弁書は、これを前提として、一か月以上の入院医療にかかわる医療保険給付等自己負担部分を全額負担しているとの趣旨答弁したものでありますが、この答弁は、通院等も含め、すべての医療費公費負担対象としているとの誤解を与える内容となっているものと認識しております。  質問主意書に対する答弁書は、内閣として閣議を経て国会に提出するものであり、内閣公式見解として極めて重要なものであると考えております。  本件につきましては、より正確には、一か月以上の入院医療における医療保険給付等にかかわる自己負担分の全額を公費により負担していると答弁すべきであったところ、結果として答弁書に不適切かつ不十分な部分があったことは誠に遺憾であり、今後かかることがないよう職員に対する指導及び適正な業務の遂行に厳正を期してまいりたいと存じます。  ありがとうございました。     ─────────────
  5. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  児童福祉法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省雇用均等児童家庭局長伍藤忠春君外六名の政府参考人出席を求め、その説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 次に、児童福祉法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案につきましては既に趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 おはようございます。民主党・新緑風会の森ゆうこでございます。  まず、この児童福祉法等改正案についての質疑に入る前に、昨日、東京地方裁判所において判決が出ました学生年金障害者についての裁判、その東京地裁判決を受けて、坂口厚生労働大臣に御見解を伺いたいと思います。
  9. 坂口力

    国務大臣坂口力君) この問題は、当院におきまして、当委員会におきまして黒岩議員から御発言をいただいて答弁をした経緯がございます。私も、二年前でございましたか、私の考え方整理をして発表をさせていただいたところでございます。  今回判決をいただきまして、大変厳しい内容であったというふうに存じております。この判決に対します態度は、よく判決文を読ませていただきまして、そして熟慮熟慮して決定をさせていただきたいと思っております。  前回にも、私はこの試案の中でも申し述べたところでございますが、無年金障害者となっている人は、大体四つの部類に、グループに分類されるところでございまして、一つは、昭和五十七年一月のいわゆる国籍要件の撤廃前に障害事故の発生した外国籍の方が一つ。それから、昭和六十一年四月の第三号被保険者制度創設前に、国民年金任意加入せずに、その期間障害事故の発生した被用者の被扶養配偶者、この方が二番目。そして、平成三年四月の学生に対する強制適用前に、国民年金任意加入せずに、その期間障害事故の発生した二十歳以上の学生。そして、国民年金強制適用対象となっていながら未加入あるいは保険料を未納していて障害事故の発生した者。こうした人たちに分かれておりまして、その当時調べましたものとしましては、約十二万人ぐらいおみえになるのではないかというふうに推定をしたわけでございますが、正確な数字であるかどうかということは十分に分かっていないところでございます。  こうした問題ございまして、様々な無年金障害者の問題もございますので、そうしたことも総合的に勘案をして結論を出さなければならないというふうに考えているところでございます。
  10. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 昨日の判決は、昭和六十年から約二十年間、十九年間にわたって違憲状態が放置されたということで、そういう厳しい内容違憲判決という厳しい内容でございました。  まず、端的に伺いたいんですけれども、私はこの判決については国は控訴を断念すべきだと考えますが、大臣、いかがでしょうか。
  11. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 今回の判決に対しましては、先ほどからも申し上げておりますように、よく内容を検討させていただきまして、熟慮し、決定をしたいと思っております。
  12. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 ほかのものでしたらいざ知らず、今、先ほど厚生労働大臣お答えになりましたように、この当委員会におきまして、私が初当選して初めてこの委員会に参加したときに、たしか亡くなられた今井澄議員からもこの無年金障害者の問題、黒岩議員からの引継ぎということでまず質問がありまして、委員会の中で大臣が、桜の咲いたころにはとかいろいろな期限を区切られて、何とかしたいという、私としては、大臣はこの問題を早く解決したいという熱意を持っておられたというふうに思っております。  その坂口試案なるものが出されたわけですけれども、今ほどその中でいろいろな御説明をいただきましたが、昨日の判決文の中でも実は、これ本文でございますが、坂口試案についても言及されております。  読ませていただきますが、さらに平成十四年七月には、坂口厚生労働大臣が無年金障害者に対する坂口試案を発表し、その中で考え方結論として、既に述べたごとく、無年金障害者は本人はもとより、その扶養者である両親を始めとする親族等高齢化が著しく、看過できない事態に立ち至っている。純粋に年金制度中心に考えれば、保険料を負担した者にのみ給付は存在し、それに従わなかった者は排除される。しかし、現在の成熟した年金制度の下では発生しない無年金障害者が、学生など政策的移行期であったがゆえに発生した側面も否定できない。学生など任意加入であった者を中心に救済する案も存在するが、福祉的措置を取るためには立法化が必要であり、法制上からも対象者は無年金者をすべて同様に取り扱うことが妥当であるとの結論に達した。  中略でございますが、いずれにせよ、無年金障害者生活実態は推測の域を出ず、速やかに実態調査を実施して、これらの人たちへの対応を開始しなければならないとの意見表明をしたが、現在においてもこの意見を具体化した案が公表されるには至っていないと、判決文本文の中でも坂口試案についてこのように言及されているわけでございますが。  それではなぜ、私は先ほども申し上げましたように、大臣はこの問題の解決に向けて非常に意欲があった、熱意があった、しかも試案までこのような内容で出されている、その中で、なぜ実行に移されなかったのでしょうか。
  13. 坂口力

    国務大臣坂口力君) そこにも、そこにもと申しますか、私のその試案の中でも述べておりますように、大体推定いたしまして十二万人というふうに思っておりますが、しかし、現実問題として、どういう状況にあるかということが明確に分かっていない。とりわけ障害者の一級、二級、そうした人たちがその中で一体どのぐらいおみえになるのかということが明確でないということから、それらの全国的な調査がまず必要であるということを、その試案を発表しました直後に私は申し上げたというふうに記憶をいたしております。  で、役所の方にもその調査をするように言ったところでございますが、その後、調査の結果が出てまいりましたが、百数十名の人たち調査をしたものが出てまいりまして、これでは少し、これではいかにも数が少な過ぎる、全体像を把握するに至らないと、もう少し全国的な調査をしてほしいということを言ったところでございます。  もし仮に全国的なレベルでの調査ができないのであれば、協力をしていただける都道府県、例えば数県であったとしても、そうしたところの調査結果を一つ出してもらって、そしてそれによって全体を推し量るということは可能だから、そういうふうな手法でも構わないと。是非早く調査をしてもらいたいということをそのときに言ったわけでございますけれども、どういうわけか、なかなかその結果が出てこなかったというのが今日に至る経緯でございます。  そして、もう一つは、法律を作らなきゃならないということなのか、現在の法律の中で行うべきことなのかということもございます。  先ほど申しましたように、四つグループがあるわけでございますけれども、その中で、いわゆるこの年金制度が成熟してくる過程の中で起こったものと、それから、出さなければならないというふうに決定した中でこの年金加入せずに起こったものと、私は大きく分けて二つに分けることができるというふうに思っております。  そうしたことも念頭に置きながらこれからやっていくのも一つの方法だというふうに思っている次第でございますが、いずれにいたしましても早急に決着を付けなきゃならない問題でございますので、いずれにいたしましても、この法律に対する態度と併せて、すべてのことに対する決着を付けたいと考えているところでございます。
  14. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 今御説明いただきましたけれども、要するに坂口試案なるものも出されたのに現実的に対応策が取られてこなかった。しかも、これは今始まったことではなくて、昨日の判決では、昭和六十年から十九年間放置してきた、この立法府としての怠慢、行政としての怠慢を厳しく違憲と、違憲であるというふうに判決が下ったわけです。  私どもはこれを非常に重く受け止めて、私は、大臣はこの場で、本文をよく検討してみてというふうな段階ではないと思います。まずは、昨日の判決について、控訴を断念するという御決断をここで示されるべきだと思いますが、いかがですか。
  15. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 現在の心境は先ほど申し上げたとおりでございます。
  16. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 小泉内閣ハンセン症に関する裁判について英断を下されたわけです。小泉内閣小泉総理にきちんとした政治哲学があって、政治理念があって、その上であのような英断を下されたのであるとするならば、当然、今回のこの判決についても直ちに国の控訴断念ということが発表されるべきと考えますが、いかがですか。
  17. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 何度か先ほどから申し上げておりますが、この無年金障害者の中も様々でございます。いろいろのグループが存在をするということは、先ほどから申し上げたとおりでございます。  したがいまして、今回のこの対象になっておりますいわゆる学生さんの問題だけではなくて、ほかの問題もあるわけでございますから、そうした問題を全体的にどう考えていくかということの結論を私は出さなければならないときが来ているというふうに思っております。したがいまして、その中でどうするかということでございますから、その一部についてどうするということだけの問題ではない、今回のこの判決に対する態度をどうするかというだけのことではないというふうに私は思っております。総括的にここは結論を出さなければならない問題であるというふうに考えておりますがゆえに、ひとつ熟慮を重ねたいと、こう申し上げているところでございます。
  18. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 いや、もうその熟慮を重ねた時期はとうにもう過ぎたんじゃないでしょうか。  少なくとも、昨日判決が下されたものは、これは平成六十年、主婦が国民年金強制加入となったその以前も同じことを厚生労働省はおっしゃっていたわけでして、そしてその平成元年には学生強制加入になったという経緯がございます。で、昨日の問題については、とにかく先ほども申し上げましたように、十九年間違憲状態が続いていたということです。少なくとも、このことに関しては控訴は断念すべきであるというふうに考えます。  そして、もう一つ伺いたいんですけれども、もうこの問題に関してはずっと検討されてきたわけですね。そして、そのことに対して対応をしてこなかった、違憲状態を放置してきたということについて厳しい判決が下されたものと受け止めなければならない。  このたび政府がお出しになった年金改革案では、今後無年金障害者の問題は起きない、そういうことでしょうか。
  19. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 現在の段階では、学生さんの場合にはもう二十歳を過ぎていただきましたところで全員これは加入をしていただくようにいたしておりますから、そこは生じないというふうに思っておりますが、しかし、払わなければならない人たちが払わずにいて、そして障害者になられるということがありましたときには、それは無年金期間というのはあるわけでありますから、それは影響する人が出てくることは当然でございます。
  20. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 前に出された大英断と同じ理念で、ここはきちっと控訴断念ということをすぐに私は大臣の方から言われるべきだと思いますが、小泉総理に対してそのように進言する、具申されるおつもりはおありでしょうか、大臣
  21. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 総理に申し上げる以前に、厚生労働省としての決断をしなければいけないわけでございますし、他の省庁とのかかわりのある問題でもございますので、他の省庁とのこれは連絡もしなければなりません。そうしたことの段階を踏まえて、最終的に結論をするものというふうに思っております。
  22. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 今いきなり出てきた問題であれば、よく判決文を読んでとかそういうお話も理解できないわけではございませんが、この無年金障害学生年金障害者の問題というのはこの委員会でもずっと何度も各委員から指摘があり、大臣も前向きに検討されてきた。しかし、それが放置されてきた。そのことについてしびれを切らしてこういう判決が出たわけです。すぐに私は、もう既に遅過ぎたということだと思うんですけれども判決が出た今の時点において、少なくとも国としての誠意を見せるべきだと思いますが、もう一言だけ、大臣、お気持ちに変わりはありませんか。
  23. 坂口力

    国務大臣坂口力君) もう一言はありませんけれども先ほどから申し上げておりますとおりです。この無年金障害者の問題は学生皆さん方だけの問題でもない、そうした問題もどう整理をするかということもある。  そしてまた、このいわゆる裁判につきましては、これは裁判としての裁判官のいろいろの御意見というのがあることは当然でございますが、それは法に照らしてそれはどうなのかということもあり得るわけでありまして、法に照らした解釈というものもあり得る。もちろん気持ちの上で障害者皆さん方に何とかしてさしあげなければならないという思いはありますけれども、それとは別に、純粋な法律上の解釈の問題もあり得るわけでありますから、これは法務省等とよく御相談を申し上げなければならないことだということを申し上げているわけでありまして、単純に私がここでどうします、こうしますとお答えのできる範囲のものではないということを申し上げているわけであります。
  24. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 もうお聞きしても同じ御答弁しか返ってこないんじゃないかと思いますが、大臣、それは官僚答弁じゃないんですか。今求められているのは、政治家として、大臣としてこの判決を受けてどう決断するかということじゃないんでしょうか。今のような御答弁をされるんでしたら、私は政治家というのは要らないんじゃないかと思います。官僚に任しておけばいいじゃないですか。  十九年間違憲状態が放置された。厳しい判決です。そして、このことは大臣自身もよくお分かりの内容なわけですね。何とかしようと思ってこられた。しかし、試案を出されたにもかかわらず、それが全く実行に移されてこなかった。私は、大臣がここで英断を下されて、少なくとも、私も、この声明を今日預かっておりますが、一部読ませていただきます。  本日、東京地方裁判所は、学生年金障害者の請求をほぼ全面的に認める判決を下しました。判決は、学生年金障害者を二十年の長期にわたって放置してきた国の責任を断罪したものであり、日本国憲法に定めた生存権を始めとする基本的人権に基づく重要な判決です。政府厚生労働省及び国会は、判決趣旨を尊重して、直ちに必要な法改正を行うとともに、原告らに対して障害基礎年金を支給し、控訴をしないように要求しますとありますが。  じゃ、最後に確認させていただきたい。  まず、控訴を断念すべきであるということ。そして、今回の判決に基づいて必要な法改正を行うという意思を明らかにする。そして、原告らに対しての障害基礎年金を直ちに支給する手続を取る。このことについて、最後にもう一言大臣政治家としての御答弁をお願いしたいと思います。
  25. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 判決というのは様々な判決が出るわけでありまして、それは高等裁判所、最高裁判所によりましてまた違った判決の出ることもあるわけであります。一度判決が出ましたからそれに従うというわけではないと思います。  この判決に対して、それを私たちは、立法府なら立法府立場、あるいは行政府なら行政府立場から見てそれをどう解釈をするかということを論理的に私たちは考えなければいけない。そうすることなしに、ただ気の毒だからというような気持ちであってはならない。私は、ここは毅然とそこはしていかなければいけないというふうに思っております。  ただし、この委員会でもいろいろの御指摘があって、私もここに重大な関心を寄せてきた問題であるということは先ほどから申し上げているとおりでございます。しかし、それがすぐに実現ができないというにはそれなりのいろいろの理由がある。私がこの案を発表いたしましても、財政当局はそれは受けることができ得ないというようなことを、正式の委員会の席上でもそういう発言があったりもいたしました。だから、これは私の試案試案としながらも、全体として、内閣全体としてそれをどう進めていくかということについては各省庁ともよくこれは議論ができて、そしてそこで合意ができなければできないことだということを先ほどから申し上げているところでございます。
  26. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 だから、その合意を進める議論の進み具合が遅過ぎるんじゃないんですかと言っているんです。そのことについて、こういう状況を放置してきたことについて厳しい判決が下ったものと、私は厳しく受け止めるべきだと思いますが。  副大臣、せっかくですから、このことについて、厚生の副大臣、森副大臣、お願いします。
  27. 森英介

    ○副大臣森英介君) 私は、先ほど来、大臣森委員とのやり取りを聞いておりまして、大臣のおっしゃっていることは正にごもっともであるというふうに受け止めておりました。
  28. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 いつまでやってもこれはお答えが出ないようでございますが、私ども立法府立法不作為ということは、私ども立法府責任も追及されたということだというふうに私は重く受け止めております。国が控訴を直ちに断念して、これら十九年間違憲状態を放置してきたということを深く反省し、直ちに対策を取るべきだということを重ねて主張しまして、次の質問に移りたいと思います。  それでは、三位一体改革のまず評価について質問をさせていただきたいと思います。  三位一体改革というのは、すなわち国庫補助負担金改革税源移譲地方交付税改革ということだと思うんですが、これらの改革地方分権理念に沿って是非とも進めていかなければならない改革であると考えますが、その際に、国の関与をできるだけ縮小するとともに、税源移譲等により地方税の充実を図ることを通じて地方が自らの権限、責任、財源で真に必要な行政サービスを提供できるようにする、こういった理念の下に改革を進めていく、この点が極めて重要であると考えております。  そういう観点に立った場合、今回の政府案は、地方自治体の自由度の拡大につながらないばかりか、単に地方への負担を転嫁するにすぎないものであり、私は改革の名には全く値しないものであると思いますが、このことについて総務省の御見解をお願いいたします。
  29. 岡本保

    政府参考人(岡本保君) お答えをいたします。  御指摘のように、今回の三位一体改革につきまして、三位一体国庫補助負担金改革税源移譲、それから交付税の見直しから構成されるわけでございますが、十六年度におきましては国庫補助負担金につきまして一兆円の廃止、縮減という改革を行いますとともに、平成十八年度までに所得税から個人住民税への本格的な税源移譲を行うということとしつつ、当面、それに向かっての措置として所得譲与税を創設し、税源移譲を実施いたしました。これらの改革と合わせまして、補助金の改革、中から出てまいりますもの、それらの関与と合わせました歳出の見直しを行いまして、地方交付税の抑制などの交付税改革にも着手したわけでございます。  このように、基幹税、いわゆる主として所得課税でございますが、このような税源移譲の道を確実にできたということは、やはり地方分権理念に沿って歳入歳出面での地方の自由度を高めるという意味での三位一体改革の実績と言えるものではないかというふうに考えております。  ただ、こういう交付税の改革の中で、やはり国、地方ともに非常に厳しい財政状況の中で財源不足を圧縮して健全化を進めるということも避けられない面もございますが、こういう面につきましても各地方団体での御努力と、またそれぞれの団体の財政運営がきちんと回りますように私どもとしても努めてまいりたいと思っております。
  30. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 そのように総務省は当然評価されているんだと思いますが、であるならば、なぜ地方から自由度が高まって本当に良かったというような感想、私一度も聞いたことないんですが、地元に戻ると、とんでもないと、地方切捨てだという反応しか返ってこないんですけれども、それはなぜでしょう。
  31. 岡本保

    政府参考人(岡本保君) 先ほど申し上げましたように、今回、今この委員会で御議論していただいております公立保育所の問題、あるいは各種補助金の今回一般財源化をいたしましたものにつきましては、地方の自由度、地方議会でそれぞれその施策についてのありようを議論していただき、その議論を踏まえた上での地方の施策を、補助金という一つの制約といいますか、ともすればそれに、そういう関与を少しでも減らしていくという観点からの改革を進めているということでございまして、その施策がこれから展開されていくのではないかというふうに考えております。  しかし、その一方で、先ほど申し上げましたように、全体としての税、あるいは交付税を合わせました一般財源の所要額はマイナス三%程度に確保しているつもりでございますが、その税源の少ない市、言わば財政力の弱い市町村におきましては税収で一定の伸びが期待できないという面もございますので、そういう面につきましては、私どもとしても、各種の地域再生事業債等、いろんな地方債措置等の財政措置を活用しながら個別に御相談に応じているという状況でございます。
  32. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 この点については予算委員会でも度々議論になりまして、総務省さんの方もよく御存じだと思います。要は、片山前総務大臣が予算委員会でも度々この問題については御自分が答弁なさりたいようでございまして、要するに地方交付税切り過ぎたんだと、とんでもない話だと、地方切捨てだということなんだろうと思いますが、もう一言だけお願いします。
  33. 岡本保

    政府参考人(岡本保君) 先ほど申し上げましたように、地方財政計画の策定に当たりまして、国の予算と整合を図りつつ、また各種の地方団体の法律上義務付けられている事務ができるような歳出を計上いたしまして、それに見合う税、交付税合わせた一般財源の確保をいたしているわけでございます。  しかし、その中で、マクロとしての措置と、ミクロ的に見ました場合に税源等の財政力、景気等を反映いたしまして、税収の戻り方についても各三千二百の団体の中でそれぞれの個別の事情がございますので、相対的に見ますとより厳しい財政運営を強いられるというような団体もあるわけでございますので、そういう団体につきましては、個別の別のそれぞれの御相談応じながら対応して、財政面に支障が生じないように図っていきたいということで現在対処をいたしているところでございます。
  34. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 こういう今状況になっているわけですね。  今、三月議会で地方自治体で予算についての審議が行われていて、まあ来年度は何とか予算が組めても次は組めないのではないかという危機感を持っている自治体も多くございます。  それで、今回の国庫補助負担金の見直しについて、その過程ですね、一兆円の削減を提案しているわけです。その一兆円という額自体が、昨年十一月の下旬になって突然総理から示されたようなものであって、政府として十分検討が行われないまま、また地方自治体との十分な話合いが行われないままこの負担金の見直し案がまとめられたのではないでしょうか。  厚生労働省関係につきましては、公立保育所運営費や法施行事務費といった、削減されても地方にとって歳出を削り難い項目、一般財源化されても地方の自由度が高まらない項目というものが数多く並んでいると私には受け取れます。  どのような基準で考えればこのような項目が選ばれることになるんでしょうか。どなたでも批判されると思いますが、単なる数字のつじつま合わせ、理念なき数字の積み上げとしか言いようがない。  今回削減の対象となった国庫補助負担金について、なぜこれらの項目が浮かばれたのか、伺いたいと思います。
  35. 井口直樹

    政府参考人(井口直樹君) 今般の三位一体改革の関連につきましての我が省関係の国庫補助負担金の見直しにつきましては、政府全体といたしまして、先ほど指摘ございましたが、一兆円の見直しという方針が出されました。  このために、地方公共団体の事務としての同化、定着の状況、それと地方関係者の要望内容等を総合的に勘案をいたしました上で、今御指摘のように、公立保育所運営費と介護保険事務費交付金などの法施行事務費の一般財源化等を行うことといたしたものでございます。  具体的には、公立保育所の運営費につきましては、地方公共団体からの要望があったこと、それから地方公共団体自らがその責任に基づき設置していることにかんがみまして一般財源化をいたしたということでございます。  また、介護保険事務費交付金を始めとしました法施行事務費につきましては、これも地方関係団体から要望があったこと、それと地方公共団体の事務として既に同化、定着していることを総合的に勘案をいたしまして一般財源化の対象といたしたと、そういうことでございます。
  36. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 それでは、保育所運営費について少し伺いたいと思うんですけれども、保育所につきましては、児童福祉法の規定により、市町村は保育に欠ける児童について保育を実施する責任があるということになっております。  保育の実施責任は、公立の保育所であれ民間の保育所であれ、変わりがないわけでありますけれども、なぜ今回、公立保育所に限って運営費の一般財源化を行うこととしたのか。  またさらに、今回、公立保育所のみが一般財源化されたわけですけれども、民間保育所の運営費について今後どうなるのか。そして、保育所運営費の一般財源化について公立保育所に限定した理由、そして民間保育所の運営費については将来見直すつもりなのかどうか、この点について伺います。
  37. 谷畑孝

    ○副大臣(谷畑孝君) 公立の保育所であろうと民間の保育所であろうと、保育所というのは非常に大事な役割を果たすものだと思っています。とりわけ子供たちの就学前教育においても非常に大事だし、また男女共同参画社会ということで、共働き含めて子育て支援という立場から見ても非常に大事だと、このように思っているわけであります。  そういう中で、今回の三位一体の中でなぜ公立の保育所運営費を一般財源化したかと、こういうことでありますけれども、今先生も御指摘されましたように、公立の保育所は地方自治団体が責任を持っていわゆる設置をしているということであります。しかも、今先ほど申しましたように、保育所はやはりその市町村あるいは市民にとりましても非常に大事だということで、私そう思いますので、これはいわゆる一般財源化をしても、その趣旨が公立において市町村が設置責任を持っていると、こういうことで私は差し支えがないと、こういうような判断でございます。  それと併せて、三位一体にわたって、いわゆる一般財源化に当たりましては、いわゆる税の移譲を含めてしっかりと財源を保証していると、こういうことであるので差し支えがないと、このように思っております。
  38. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 通告の順番が違うか、若しくははっきりと……
  39. 谷畑孝

    ○副大臣(谷畑孝君) 済みません、もう一度。  先ほど民間の保育所はどうだということでありますけれども、待機児童ゼロ作戦だとかそういうことにおきましても、あるいは長時間保育ということにおきましても、今民間の保育所が非常に大きな役割をしていただいております。そういうことにかんがみまして、いわゆる政府・与党合意にもありますように、今後とも引き続き国が責任を持って行っていくと、こういうことに、民間保育所においてはそういうことにしております。
  40. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 その点についてまたもう一回後でお聞きしたいんですけれども、今回この公立の保育所運営費の一般財源化に関して一番現場で危惧されていることは、一般財源化の後でも公立保育所における保育の質が担保されるのかということでありますが、これまでは保育を実施するに当たっての最低基準を維持するための費用として保育所運営費国庫負担金が国から支払われていたわけでございますが、今後、公立保育所の運営費が一般財源化されることによって、公立保育所の運営に関しまして保育の水準がきちんと担保されるのか、そして公立保育所における保育の質の切下げにつながらないのかという切実な声に対してどのようにおこたえになるのか、お願いいたします。
  41. 谷畑孝

    ○副大臣(谷畑孝君) 先ほどのお話、私自身答弁させていただきましたように、公立の保育所のいわゆる運営費におきまして、いわゆる税の一般化ということの中で所得譲与税としてきっちりとその運営費を補てんをしていくと、こういうことでございますし、そういうことにおきまして私自身差し支えがないと、市町村が責任を持って設置をしていると、こういうことが言えるのではないかということと、もう一つは、なお保育所の最低基準というものをしっかりと国自身も責任を持ってそれを指導していきますし、またそれを維持していくと、こういうことでいわゆる保育所の中身におきましてもしっかりと担保ができてくるものではないかと、このように思っております。
  42. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 でしたらね、何で今まで国がその補助金を出していたんですか。もう元々地方に任せれば良かったものを今ごろ、なぜ今まで国がやっていたんですか。もうそもそももっと早く地方に任せれば良かったんじゃないですか。
  43. 伍藤忠春

    政府参考人伍藤忠春君) 従来、保育に限らず福祉サービス全体につきまして、これは国、都道府県、市町村、それぞれの役割に応じて負担をするという観点から、ほとんどの福祉サービス事業につきましては国が二分の一、都道府県、市町村が二分の一、ああ四分の一ずつと、こういう負担をするということになっておりますが、今回、保育所については、特にほかのサービスと違いまして公立の占める割合が非常に高いという特異な分野でございますし、公立保育所は、先ほど大臣や副大臣から申し上げましたとおり、市町村が責任を持って設置をし運営をしておるという、こういうものでございますから、そういうところに着目をして一般財源化をしたということであろうというふうに思っております。
  44. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 いや、だからね、もう地方ができるって思っていらしたわけですよね。何でもっと早く地方に任せなかったんですか。なぜ今この段階になって地方に全部やれということになったんですか。それをお聞きしているんですけれども
  45. 谷畑孝

    ○副大臣(谷畑孝君) いわゆる、最近、地方分権一括法が国会で通りましたりして、地方でできるものは地方でということで、地方自治というものが非常に大きなテーマになってきておりますので、そういう形の中でこの三位一体という議論が起こり、そういう中でこれから三年間にわたって四兆円の国庫補助負担金の縮減、廃止ということを含めての今検討をして、その第一弾として行ってきたと、こういうように認識をしているわけでございます。
  46. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 要するに、お金がなくなったので、まあ地方に投げちゃった、結果的に私はそういうことだと思います。そのことが非常に現場でも混乱を生んでおりますし、子育て支援の環境がこれで整うんだということであればいいわけですけれども、まあ私はそのように考えておりますが、大臣の方は違う御答弁ということで致し方ない部分がありますが。  それでは、今回の一般財源化で果たして本来のこの三位一体改革改革の目的であるその自由度が、地方の自由度が高まって、この保育所の運営に関しては子育ての支援、子育て支援の環境が実情に合わせて整うのかと、具体的に本当にそうなるのかということについて私は伺いたいと思いますが。  それで、千代田区で幼保一元化の先進的な取組ということで設置されましたいずみこども園、これにつきましては前もこの委員会で、私一人で、この委員会質問する前に一人でいずみこども園へ行ってきまして、園長さんや職員の皆さんといろいろお話をお聞きしたり、状況を見てまいりまして、一度質問させていただいたことがあるんですが、今回この一般財源化に伴って公立幼稚園と公立保育所の連携が進むという御答弁坂口大臣もされているわけですが、具体的にどのように今までよりも連携が進むのか。  例えば、今ほどお話し申し上げましたいずみこども園では、この複合施設といいますか総合施設を作る、この過程において、縦割りの文部科学省の分野であります、守備範囲であります幼稚園、そして厚生労働省の管轄であります保育所、これを総合させるという、統合して総合施設ということで、これを設置するに当たって大変苦労があったわけですね。現実まだ解決されていない問題もありますが、このことに具体的に、例えばの話ですけれども例に取って、どのように連携が進むのかお答えいただきたいと思います。
  47. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 先ほどからいろいろ御意見があって、私もお聞かせいただいておりますが、一般財源化をするということについては私は地方も異論はないんだろうというふうに思いますし、民主党さんもそれには御異論がないんだろうと私は思っております。    〔委員長退席、理事武見敬三君着席〕  ただ、それに対して十分なその財源がきちっと担保されたかどうかということが今問題になっているんだろうというふうに思っております。そこにはいろいろの御指摘があることは私たちも謙虚に受け止めなければならないというふうに思っている次第でございます。  ただいまの公立保育所の中で、いずみこども園でしたかね、私も一度お邪魔いたしましていろいろ御意見をお伺いをしてきたことがございますが、そうしたいわゆる総合施設がこれからできますときに自由度があるというふうに申し上げましたのは、今まではその中の運営につきましても、いわゆる文部科学省の方の、幼稚園の方のいわゆる補助金とそれから厚生労働省の側の補助金と別々にしながら、例えば物を買うにしましても別々にしてやってこなきゃならなかった。しかし、今回は両方ともそれは市町村にあるいは国にゆだねられるわけでございますから、そうしたことを同じに取り扱っていただけるようになるということだというふうに思っております。人件費でありますとか事業費でありますとか管理費といった使途の規制がなくなるということだろうというふうに思います。  そうしたことだけではなくて、補助金の交付にかかわりますいろいろの手続というものもなくなるわけでございますし、ともに今回の一般財源化に伴いまして、公立保育所とそれから公立幼稚園の運営にかかわります財源がともに地方公共団体の一般財源となりますために施設運営の経理を一つにすることが可能になる。例えば、遊具一つ買うにいたしましても、これ保育所の分とかこれ幼稚園の分とか、そうしたややこしいことはなくなるということだろうというふうに思っております。  それから、自由度の問題がよく出るわけでございますが、そうした中で、今度、総合施設としましては更にその仕組みそのものも変えていこうということでございますから、それはまた今後いろいろの自由度が高まるだろうというふうに思っておりますが、現在の中におきましてもそうしたことが可能になってくるということだろうというふうに思っております。
  48. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 今、そのいずみこども園の中で、例えば物を買うときにしても、今までは幼稚園の方の補助金、それでこちらは保育園の方の補助金と分けていたのが、そういうことはしなくてもよくなるという話。  今、定員の問題がありますね。例えばいずみこども園で保育園の園児という形でその定員の枠の中で取っている子供と、幼稚園という定員の枠の中で取っている子供、これが保育園のところがもう満杯になりますとその枠の子供たちはどうしようかと、いろんな話がありまして、その辺のところを、局長で結構でございますが、具体的にそれは例えばそういう問題は今後起きないのであるということを分かりやすく御説明いただきたいんですが。
  49. 伍藤忠春

    政府参考人伍藤忠春君) 幼稚園と保育園という施設の類型はまだございますので、一般財源化して今財布が一緒になったという話を申し上げましたが、幼稚園は幼稚園として定員をどうするか、保育園は保育園として定員をどうするかということは現行制度の下においては引き続き存続するわけでございますから、これは今後どういう形で幼稚園と保育所を一体的に運営していくかという、そういういわゆる施設類型の見直しといいますか、そういった観点からの議論はこれからも進めていく必要があるだろうと思いますし、既に、そういったことをできるだけ弾力的にできないかということで既に特区制度を活用して取組をしておる自治体もあるわけでございますが、そういうことを踏まえて、そういった点について更に検討を進めていきたいというふうに思っております。
  50. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 全然自由度が高まるという話に聞こえてきませんよね。例えば、いずみこども園の中で物を買うのがそれぞれ、保育園の補助金です、幼稚園の補助金ですと分けなくていいというぐらいなもので、肝心かなめのそういう、今求められているそういう施設を、縦割りの文部科学省だ厚生労働省だということを排して、その地方の実態に合ったものをきちんと設置して運営して子供を預かっていくということが実際にはそんなにできるというふうにはどうしても聞こえないんですけれども大臣、いかがですか。
  51. 坂口力

    国務大臣坂口力君) ですから、そこは一つの、何と申しますか、制度の問題としてそこは今やっているところ。で、十七年度からそこはスタートをさせるということにしているわけでありまして、正式には十八年でございますが、十七年度からモデルケースとしまして全国でそうしたことをおやりをいただく。だから、この千代田区のように先駆的におやりをいただいているようなところには、それは今までからもおやりいただいていたわけでありますから、しっかりとそこは先鞭を着けていただいて、こういうふうにやったらいいというようなことをやっていただけるようにしたいというふうに思っているわけでございます。
  52. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 権限は国が相変わらず握ったまま、しかしお金がなくなったから地方でやってくれと。これじゃ全然地方の自由度は高まらないし、今、大臣、十七年度からとおっしゃいましたけれども、同時にやればいいじゃないですか。これだけもう、国はできない、地方に任せるというんだったら、権限も移譲してこそ初めて自由度が高まると思うんですが、局長、何か言いたそうなので、どうぞ。
  53. 伍藤忠春

    政府参考人伍藤忠春君) 保育所の一般財源化という問題と、今申し上げましたこの施設類型をどうするかということは直接リンクするということではない話でございますので、私どもは、幼稚園と保育所というのが今後どうあるべきかということは、これはまた大きな議題として一つあるわけでありまして、保育所の一般財源化をするということが、直ちにそういったものを全くフリーに、全く一体的な施設になってしまう、こういうこととは話が全く違う観点の議論だというふうに思っておりますので、それはきちっと仕分をして、施設はどうあるべきかということはこれからよく検討し、お互いに総合的に両方のメリットを生かした施設も可能であれば、それは早急にそういうことも検討していきたいということを申し上げたわけでございます。
  54. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 それは霞が関の理論ですよ。私は全然理解できません。今求められているのは、子育て支援のことでいえば、その地方の実態に合った子育て支援の環境がどう整備できるか、そしてそのことに地方の自由度、当然地方に任せられるわけですからね、地方の実態に合った、ちゃんと地方の実態に合ったものを地方が自分たちの自由な権限によってやるということがいかにできるかということであって、いかに施設がどうあるべきかみたいなそんな話じゃないですよ。一般財源化とこの話が別物だなんというのは私は全くおかしいと思います。ずれていると思いますけれども大臣、いかがですか。そういう権限も移譲してこそ初めて地方の自由度が高まるんであって、今回のものは、先ほども申し上げましたように、そういうことではないと私は思いますけれども
  55. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 今局長が申し上げたのは、それは幼稚園と保育所の関係の話でございまして、今まで違ったものを一つにしていこうという話でございますから、それは今までの経緯というものも踏まえながら、今後それを総合してどう整合性のあるものにしていくかという話でございますので、今までの一般財源化の問題とはそこは違うということを申し上げているわけでありますから、そこは霞が関であろうとどこであろうと私は話は同じだと思います。  ただ、地方にゆだねますときにすべての問題を地方にそれじゃゆだねることがいいのかどうか、また地方もそこまでお好みになっているのかどうかということもあるというふうに思います。  基準、様々な基準がありますけれども、例えばどれだけのお子さんに対してどれだけの保母さんを置くかというような最低基準というようなものは決めているわけでございますが、それもすべてそれぞれの市町村にお任せをした方の方がいいのか、しかしそこまで任せられると市町村も混乱をするのか、その辺のところの市町村の御意見もこれはあるわけでありまして、それらの点を聞きながら我々もやっていかなけりゃならないというふうに思っているわけでございます。  知事会も、そして市長会も、いろいろの補助金の中でこの保育所の問題は我々でやってもいいということを御意見として主張しておみえになるわけでありますが、しかし、その中で国が守ってもらわなければならないものと、そして地方にゆだねるものと明確にしてほしいと、こういうことを言っておみえになるというふうに私は理解をいたしております。
  56. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 先ほどの問題と一緒で、何度やり取りしてもしようがないんですけれども、要するに、相変わらず、中央から地方へと言いながら中央集権、国が権限を握っていたい、厚生労働省厚生労働省で握っていたい、そして文部科学省は文部科学省で握っていたい、そこから全然離れてないんですよ。それで、離れてないにもかかわらず、いや三位一体改革だ、地方の自由度が高まります、このことが私は一番問題だと思うんですが。  それで、次の質問に移りたいと思いますが、私は、今回この児童福祉法等改正案、条文にすればそんなにいろいろないんですけれども、私は、この際、保育所の入所要件ということについて、「保育に欠ける」というふうに規定されているもの、これをそもそも書き換え、例えば千代田区はいずみこども園を設置するに当たって条例を作ったわけですね。保育を必要とする、保育を要するというふうに条例に入れたわけですが、そもそも児童福祉法の保育所の入所要件、「保育に欠ける」と、これを改正するべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
  57. 谷畑孝

    ○副大臣(谷畑孝君) 先生がおっしゃるように、保育に欠けるということについては、私もこの問題についてはいろいろと、いろんな角度から考えるわけですけれども、ある意味で言うたら、もちろん共働き、そして子育てを支援するというそういう立場もありますけれども、やはり就学前教育というのは、子供というのは子供なりで同じ世代の中で一緒に暮らして、そこで遊んだりいろいろすることによって人格が形成されていることもありますので、だから、そういう意味では、先生がおっしゃっているように、保育に欠けるということをもう少し拡大しながら、できる限り保育度の必要な人については入所をしていくということは、私自身も心を動かされないわけでもありませんし、また将来、正直な話、そういうことは検討されていくような課題であると思うわけでありますけれども、現状、先生御存じのように、やはり児童福祉の観点から、やはりどうしても子供を育てることができない、共働きだとか、そういうところを保育所入所ということで今しておるということでありまして、しかし、それでも徐々に、求職活動をされている途中である人の子供を預かるとか、あるいはまた児童の育児疲れということの中での一時保育の推進事業だとか、そういうことを徐々に取り組んでおると、こういう現状であります。よろしくお願い申し上げます。    〔理事武見敬三君退席、委員長着席〕
  58. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 昨年、次世代育成支援法等もできたわけですから、児童福祉法をこの際私は改正すべきだと考えます。  この要件があるがために、保育園に入れる場合に、幼稚園に入れたいと思っても保育園しかないという地域もあるわけで、そのときに例えば就労していないお母さんはどういうことをするかを副大臣も御存じでしょう。余りこういう場所で言うべきことではないのかもしれませんが、就労証明書等を頼んで作ってもらうわけですね。それで申請して保育所に入所するという、こういう現実があるんですね。副大臣、御存じですよね、こういうことは。
  59. 谷畑孝

    ○副大臣(谷畑孝君) いやいや、私事であるんですけれども、私、初めて四十二歳で参議院議員出たときに、多分参議院議員で初めて私が証明書をもらいに、私の子供を保育所へゼロ歳からずっと預かってもらったんですけれども、この参議院議員で働いている証明書をもらってやっと書類が整ったという、いや、私、こういうことだと言ってみたってなかなか信用してもらえないということで、参議院議員で勤務証明書をもらったことがございます。  今先生おっしゃっている、そういう保育所の、言えば、欠けるという要件、私は先ほど申し上げましたように、徐々にそういう求職活動であろうと育児ノイローゼであろうと少しそれを拡大しながら保育所に預けることができるということでありますので、そういう点で、更にこの点についてはまたそれを広げていくことが更に必要じゃないかと思っています。  最近、特に児童虐待の関係につきましても、育児ノイローゼというのが非常に多い、大きな位置を占めておるということで、今朝もニュース見ておりましたら、二歳の子供を病院へ連れて行って、帰りしなその子供を自動車で母親がひき殺して、実際には死にはしなかった、間一髪で助かったということなんですけれども、いかにして育児ノイローゼというものを、非常に大きな位置を占めておりますので、この点については是非また私どもも真剣に取り組んでいく必要があるんじゃないかと、このように思っています。
  60. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 本当にそうなんですね。実際に子育てを担ったことのない方には分からないのかもしれませんけれども、やっぱり子供って一人では育てられないんです。なぜ自分の産んだ子供をというふうにお思いになる方もいらっしゃるかもしれませんが、様々な、何というんですか、支援があって子供を育てることができる。特に精神的なサポートが必要だということは言うまでもないことだと思います。  それで、私は「保育に欠ける」という条文そのものを変えるべきだと思っております。今後もまた御提案させていただきたいと思いますが、総務省に伺います。  先ほど来お話がありますこの補助金の見直しと同時に必要な財源措置が講じられるということにつきまして、昨日もいろいろお話を伺ったんですけれども、どうも複雑で、計算の仕方がよく、昨日も何度も説明いただいたんですが、いまいち理解できない部分があるんですが、私にも理解できるように分かりやすく御説明いただければと思います。
  61. 岡本保

    政府参考人(岡本保君) 今回の公立保育所の運営負担金の一般財源化に係ります地方財政措置でございますが、今、先般いろいろお話ございますように、例えば今の保育所の運営費負担金、ある市で掛かっている経費が四百だといたしますと、現在は国庫負担金が二百、県の負担金が百、市町村の負担金が百掛かっているわけでございます。この百につきまして地方交付税の基準財政需要額に算入するという形で財源措置をいたしております。今回の一般財源化に伴いまして、この四百すべてを地方、言わばその市の必要な額であるというふうに交付税の基準財政需要額上計算をするという形にいたしております。  したがいまして、交付税の基準財政需要額でその分の財源保障をいたしておりますので、片一方で収入として所得譲与税が各市町村に配分されますが、これは人口で配分をいたしますので、当然、これまで来たものと、補助金とその所得譲与税の額には差があるわけでございますが、その差につきましては、今申し上げました、全体としての基準財政需要額で収入の分を保障いたしておりますので、その差分が、減ったところ、増えたところは多く来ますし、減ったところには少なくなるという形できちんと保障されるという仕組みにいたしておるわけでございます。
  62. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 この計算について、どうも地方での理解がなかなか進んでいない。それで、私もなかなか説明をお聞きしても分からない部分があるということなんですが。  それで、通告していなかったかもしれないんですけれども、総務省さんにもう一点だけこのことについて。今の、国の今まで負担していた分については必ず手当てされると。県が負担していた分というのは、そうしますと、県に聞いてくれということなのかもしれませんが、どうなんでしょう。
  63. 岡本保

    政府参考人(岡本保君) 今申し上げましたように、四百だといたしますと、国が二百、県が百、その当該市町村が百持っていたわけでございます。したがいまして、その国の二百と県の百、合わせました三百を、仮に十五年度から十六年度に変わるときは、その市の負担が掛かるだろうというふうに三百を加えて、四百すべてをその市町村の基準財政需要額に算入するという形で行います。したがいまして、県の分も交付税上計算するということになります。
  64. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 計算上はそうだということで、今声も上がっておりますが、しかし、お金に色が付いていないということで、地方自治体のこの厳しい財政状況の中、公立保育所運営費が一般財源化された結果、自治体が保育料を引き上げることにつながらないかということで、新聞報道によりましても、今回の一般財源化を機に保育料を値上げするという動きがあるやに聞いておりますが、この事実一つ取ってみても、今回の政府案は、単に地方へ負担を転嫁し、その負担は更に国民に転嫁するものであるというふうに言わざるを得ませんが、この点について厚生省はどのように受け止められているのか伺います。
  65. 伍藤忠春

    政府参考人伍藤忠春君) 保育所のこの利用料でございますが、これは現在の仕組みでは、国がこの保育所徴収金の基準額表というのをお示しをしておりまして、大体これを参考にしながら各自治体がそれぞれの実情に応じて、条例であるいはそのほかで決めておるということでございます。  公立保育所の分だけ一般財源化した後に、これがどういうふうに影響するかということでございますが、先ほど来いろいろ議論をされておりますとおり、財源が、国、都道府県が負担していたものを市町村に移し替えるというだけのことでございますから、これがきちっと財源措置をされれば、保育料に直接響くということはないはずでございますし、そのように私ども期待をしておるわけでございます。  それから、この今まで示しておりました徴収額基準表というものも、一般財源化した後におきましても、これは民間の保育所もございますので、こういった基準額表は引き続き必要でございますので、これを自治体にお示しをすると。今後もそれを参考に自治体が保育料を定めるということでございますし、公立と民間は同じ保育料、同じ市町村であれば同じ保育料を取るということでありますから、今回の公立保育所分の一般財源化が、いずれにしましても、直ちに保育料の値上げに結び付くとか、そういったことには構造上はなっていないというふうに理解をしておりますので、大きな影響といいますか、変動はないのではないかというふうに考えております。
  66. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 今ほど、わざわざ随分強調して、構造上というふうなお答えがございました。ただし、実態はどうなるか、その限りではないということですね。  それで、待機児童ゼロ作戦というものを打ち出されてきたわけでございますが、構造上はちゃんと確保されるんだと答弁されておりますが、大変地方の財政も厳しいわけでございまして、お金に色も付いていないという部分もございます。弱いところから切り捨てられるのではないかということで、待機児童ゼロ作戦を打ち立てている、掲げられている小泉内閣ですけれども、その待機児童は、平成十四年四月一日時点で二万五千人、十五年四月一日時点で二万六千人と、減るどころか増えているわけですね。さらに、今回のことで待機児童ゼロ作戦というのはその達成が困難になるのではないかというふうに考えておりますが、この点についてはいかがでしょうか。
  67. 伍藤忠春

    政府参考人伍藤忠春君) 待機児童ゼロ作戦は、十四年、十五年、十六年ということで、毎年五万人ずつ入所定員を増やすというようなことで進めておるものでございまして、着実に、保育所の整備でありますとかそのほかの施策でおおむね、大体私どもが目標とした五万人ずつ毎年その実人員を増やしていくというようなことは達成をできているわけでありますが、片や、待機児童という側面から見ますと、今御指摘のありましたように、これは社会情勢といいますか、共働き家庭の増加とかこういった男女共同参画、こういった動きで働く女性の方が増えておるという実情もございますので、私どもの努力で十五万人、三年間で十五万人の定員増、こういったことは進めてはおりますが、引き続き同じ水準ぐらいの待機児童がいるということもまた現実でございます。  ただこれが、こういったことの政策に一般財源化が影響するんではないかということも、これは私どもまた、先ほど来繰り返し申し上げておりますが、国の負担を地方に、負担に移し替えるということと、こういった政策を引き続き堅持していくということとは直接関係がないというのであれば、ちょっと語弊がありますが、これはこれとして引き続き全精力を傾けて維持していきたいと思っておりますし、そういった中で待機児童ができるだけ減少していくというようなことを目指してまいりたいというふうに思っております。
  68. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 今回の三位一体改革において、少なくとも子育て支援の環境の更なる整備ということは結果として進んでいかなければならないと私は考えております。  それで、多様な保育サービスの提供への取組に対する影響というものについて心配をいたしているわけですけれども、今回の三位一体改革に先駆けて、障害児保育の補助金が一般財源化されたわけでございますが、その一般財源化した後、障害児保育が充実したという話は全く聞いておりません。その一般財源化後、障害児保育の実施状況がどうなっているのか、このことについて伺いたいと思います。
  69. 伍藤忠春

    政府参考人伍藤忠春君) 障害児保育事業は、昭和四十九年度から補助制度として、政策として導入されたものでございまして、各、全国的なこの定着状況を踏まえて、十五年度から、平成十五年度から一般財源化をしたということでございます。  一般財源化した後の取組がどうなっているかということにつきましては、今都道府県を通じて調査をしておるところでございまして、四月中にはできるだけその全体像を把握をしたいというふうに思っておりますが、現状、その具体的な数字で表す資料は今、ただいまのところ持ち合わせておりません。
  70. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 いろいろこの保育の問題についてお聞きしてきたわけでございますが、少子化が一層進展していく中で、次世代の育成支援対策が国の大変重要な政策であると、このような視点に基づいて、昨年は次世代育成支援法、そして少子化対策基本法、これが成立したわけでございますが、私、理解に苦しむんですね。去年そういう法律を成立させた。本来であれば、この子育て支援策についてより充実が図られるように、その一般財源化の話、今先ほどからいろいろしましたけれども、するのであれば、ほかの子育て支援の補助金等についても、一括して交付するとか、そしてそれと同時に、国が持っている様々な権限を取り払って、本当に地域の実態に合った子育て支援策が取られるように私はすべきであるというふうに考えておりますが、今回の公立保育所運営費の一般財源化は、次世代育成支援策を充実させようとする施策の方向性に全く逆行するものではないか。  自治体においては、次世代育成支援の行動計画の策定作業が昨年成立した次世代育成支援対策推進法により定められているわけでございますが、その中でも保育は非常に大きなウエートを占めるものであります。次世代育成支援対策に関連し、国は一体何を目指していらっしゃるのか、非常に理解を苦しむ、非常に理解に苦しむというのが自治体関係者の率直な声であります。この点についての御見解坂口厚生労働大臣に伺いたいと思います。
  71. 谷畑孝

    ○副大臣(谷畑孝君) 次世代の育成支援というのは非常に、少子化をいかにして食い止めるかということで非常に大事なことだと思っております。とりわけ、少子化そのもの自身が日本の活力を失わさせてしまいますし、また年金等を含めて社会保障制度にも大きなかかわりがあるということで、昨年七月、次世代の育成支援の対策推進法というのが成立をしたわけでございまして、それに基づきまして平成十六年度の末までに行動計画を策定するということでございます。  私どもも何回かいわゆる公立保育所の一般財源化について議論させていただき、また答弁もさせていただいておりますけれども、きっちりと税移譲しながら、いわゆる財源を担保し、保障し、そういう状況をしておりますこともかんがみて、私どもやはりそういうことも踏まえた中で、また次世代の育成についての行動計画をしっかりと地方自治団体にも作成をしていただき、またそれについて私どもは少子化を阻止するために全力を挙げて必要な財源については確保してまいりたいと、こういう所存でございます。
  72. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 保育の問題につきましてはこれぐらいにいたしまして、次、介護保険の事務費交付金の廃止についても一つだけ伺っておきたいと思います。  今回、介護保険事務費交付金が、法施行事務費でありますけれども地方公共団体の事務として同化、定着、定型化しているということが、その要件に合致したものとして一般財源化を図るということになっているようですけれども、私はこの点について大いに疑問であります。  介護保険事務費交付金が、市町村における要介護認定の事務処理に必要な費用を国から交付するものでありまして、要介護認定は、介護保険制度の創設時から開始された事務、つまり開始されてから四年しかたっていないわけでして、更に言えば、要介護認定の基準が昨年の四月に改定されているわけでございます。改定自体は痴呆性高齢者に対する評価を適正なものとするためのものでありますが、まだ新たな基準に基づく要介護認定が始まって一年もたっておりません。このような状況で要介護認定の事務を自治体の事務として同化、定着していると言うことができるのか、この点について見解を伺います。
  73. 中村秀一

    政府参考人(中村秀一君) 今、先生からお話がありましたように、要介護認定は介護保険のサービスの受給権の決定や介護サービスの給付額に直結するものでございますので、介護の必要度が全国一律の基準で公平かつ公正に判定すると、こういう観点から介護保険としては取り組んでいるところでございます。したがいまして、要介護認定の事務は、今お話ございましたように、全国共通の調査項目による訪問調査の結果と共通の書式による主治医の意見書に基づきましてコンピューターソフトによる一次判定を行い、それから地域で保健・医療・福祉の専門家から成る介護認定審査会の審査を経ることにより客観性と公平性を確保しているところでございます。  定着したかどうかというお話でございますが、統計がございます。要介護認定制度創設から三年九か月間の統計で、全国で延べ約千八百万件が実施されてきておりまして、十五年四月に一次判定ソフト改定も行いましたけれども、これについてもスムーズに推移してきていると、こういうふうに認識いたしております。こういう状況を踏まえまして、地方公共団体の方からも、全国市長会、指定都市、様々な団体から一般財源化するようにということの指摘がございまして、我々、こういう御要望を踏まえまして、要介護認定は保険者である市町村の事務として十分定着していると考えておりまして、考えた結果、今般一般財源化の対象としたものでございます。
  74. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 今、介護保険と障害者の支援費制度等、統合一元化等々の話題も出ているわけでございます。  今の介護認定の問題点として指摘されていることが、要支援それから要介護一といった比較的軽い方の認定の仕方が地域差が大きく、二倍以上の格差があると。果たしてこの要介護認定というものが客観的かつ公平に行われているのかということがございますが、このことについて、要介護認定の事務費の廃止を提案していらっしゃるということが、この客観的かつ公平な要介護認定の実現ということについて逆行する提案ではないかと思われますが、この件についてはいかがでしょうか。
  75. 中村秀一

    政府参考人(中村秀一君) お答え申し上げます。  先生からお話のありましたとおり、認定率につきましては、要介護認定に該当した方の率につきましてはかなり格差がございます。全国平均の認定率でございますが、対六十五歳以上人口に対しまして一五・五%が全国平均でございますが、最高の徳島県、最低の茨城県の間、一九・六%と一一・六%ということでかなり格差がございます。そのかなりの部分の格差が、軽い方の方、軽度の要介護度の認定率について大きな地域差があるというのは御指摘のとおりでございます。  しからば、要介護認定事務がばらつきがあるからこういう格差が出ているのかということでございますが、どの地域の要介護認定の申請とそれからそこでの容認率を見ますと一定でございまして、要介護認定事務自体は客観的に機能しているというふうに考えております。  逆に申し上げますと、今申し上げました要介護認定の該当率の格差は申請率の格差にあるんではないかということが言われておりまして、特に軽度の方における申請率の格差が大きいと。逆に申しますと、今、先生からお話があったように、要介護四、五、重度の方については、いわゆるイメージとしては、寝たきり老人などの方については全国的な出現率がほぼ一定しているということでございます。  現在、お話がございましたように、介護保険の見直しを作業をしておりまして、昨日も介護保険部会で議論がございましたけれども、この認定率の該当率の格差については、特に部会の方でも、軽度者について地域差が大きく、この問題はむしろ申請代行とかそういったことの問題があるんではないかという指摘がなされておりますので、市町村の方の認定事務自体の問題はないんではないかと考えております。
  76. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 時間ですのでこれで私の質問は終わりますけれども、来年この介護保険のそのものの見直しを控えた今、これをほうり投げるということは私はいかがなものかということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。いいです、別に。
  77. 中村秀一

    政府参考人(中村秀一君) ほうり投げるという表現がございましたが、そういうことではなく、地方公共団体からの御要望に基づきその交付金のものを移行するということでございますし、その認定事務についての基準等につきましては、技術的助言ということで私ども努力してまいりますし、介護ソフトの見直し等などはきちんとやってまいりますので、ほうり投げるということではないことは答弁させていただきます。
  78. 井上美代

    ○井上美代君 日本共産党の井上美代でございます。  私は、質問の前に、昨日の、学生年金障害者訴訟の判決東京地裁で言い渡されましたけれども、この問題について質問をしたいというふうに思います。  この判決というのは障害者の基礎年金の不支給処分取消し請求についてということで出されておりまして、原告は四人です。そして、その一人については二十歳未満時に初めて医師の診療を受けているので違法だということで、これは本当にもう気の毒なことですけれども、二十歳未満はもうそのときから受けられたのにそうなっていなくて、間違った審査でやられていたということで国側が敗訴をしたわけなんです。また、残りの三人についてはそれぞれ五百万円の国家賠償が認められたということなんです。  学生の無年金障害者をやはり差別をして年金を支給しないことは、これは憲法の十四条の平等原則に違反するものとして、はっきりとそのことが判決文の中に明示されているわけなんです。さらに、国の立法不作為については過失だけではなくて故意さえも認められると、このように明記をしているわけなんですね。是正措置いかんによっては原告らに障害者基礎年金の受給資格が認められたこともあり得たとも、このようにも述べているわけなんです。  国からすると、これまでの主張がやっぱり認められず大変厳しい判決になっているということは、大臣もおっしゃったとおりです。判決では立法の不作為が指摘されたのですから、やはり私たちこの立法府としても責任を重く受け止めなければいけないということを私は改めて感じたわけなんです。だから、今後は立法改正の準備を進めなければいけないというふうに思っているところです。  私自身、当委員会で、もう一昨年になりますか、これを質問いたしまして、大臣の思いというのを私も深く感じてまいりました。だから、その後この障害者の無年金問題を考える会が、議連ができましたときには、そこにいち早く入れてもらいました。そして、今幹事をやっております。だから、いろいろと幹事の方々とも御相談をし、大臣ともお目に掛かりながらこの問題を考えてまいりました。  昨日は、判決の後、あの保険庁の十九階の第一会議室で、原告の方や弁護団の方や、そのほか全国からたくさんおいでになっておりまして、そういう方々と、課長が三人出ておられましたけれども、そのほか係官がたくさん出ておられました。そういうところに私も伺いまして、改めていろいろな話を聞いたわけなんです。本当に苦労をされてきておられる一人一人の原告発言というのは、私は、本当に人の心を持って聞かなければ深いものが分からないということを改めて感じたほど大変な内容でした。  そして、私は、そうした中で、やはり二十歳未満から実際には受けられるのに受けられないでこられた父親の、お父さんの話を聞きましたけれども、何しろ窓口に、保険庁の窓口に行っても、どんなに冷たくあしらわれたかということもるる話しておられました。そして、ついには自分の年金で息子の年金を掛けるしかないというふうに考え、自分の年金で掛け続けておられるんですね。そして、その息子さんはもう本当によく分からない重い状況になっておられるわけなんです。そして、何としてもやはりこれを国に認めてほしいということをそこに来て話されたわけなんです。そのほか二人の方も訴えをされました。  私は、この判決については、もうどんなことがあっても控訴はできないんだということを強く感じたんですけれども、私はまず大臣に、一つ原告人たちに会ってほしいというふうに思うんです。やはり大臣は、私は、これまでのハンセンだとか、そしてジョンソン病の、スティーブンス・ジョンソン病の患者たちとも会われまして、私は本当に熟慮熟慮を重ねる大臣だというふうに思っております。そして、決断のときには決断をされる大臣ですから、私はどうしても本人たちに会ってほしいというふうに思うんです。そして、会っていただければ、もう私自身もそう思ったんですけれども、人間としてどうあるべきかということを突き付けられた感じがいたしました。  だから、私はまず、もう時間がきっとないんだと思いますけれども控訴するかどうかをもう短時日のうちに決めなければいけないわけですから、その前に是非会っていただきたいというふうに思いますけれども、いかがでしょうか、大臣
  79. 坂口力

    国務大臣坂口力君) おっしゃっております内容につきましては私もよく理解をしているつもりでおります。ただ、もう間もなく決定をしなければならないわけでございまして、短時間でございますから、それまでにお会いをする時間というのはなかなか難しいというふうに思いますけれども、しかし、皆さん方のお気持ちとか皆さん方の置かれている立場というものは、私もいろいろ調査を個人的にもいたしておりますので、よく存じ上げているつもりでおります。
  80. 井上美代

    ○井上美代君 私は、大臣は今会う時間がないというふうに言われたんですけれども、本当に短時間でいいから、私は大臣に直接、ほかの人はもういいです、大臣にお目に掛かってほしいというふうに思っておりますので、そのことを是非実行してくださることをまず私はお願いをしたいというふうに思います。  この判決は、大臣が言われたのも私も非常に先ほど分かったんですけれども、いろいろな判決があるから、一つ出たからといってそれに従うということはできないというふうに言われたんですけれども、私は大臣がそのように言われた気持ちも分かるんです。そのとおりで、よく慎重に考えて判断を下そうとしていらっしゃるから、私はそのとおりだと思ってうなずきました。しかし、同時に、この判決というのは本当に精査して、もう徹底した判決だということは判決文を読みながら私は感じているわけなんです。  この後まだ、東京の地裁の昨日のが一番真っ先で、これから九件があります。だから、恐らくこの判決が大きな影響を及ぼしていくというふうになるわけなんです。そうしたときに、やはり政府、そしてこの我々立法府、こうしたところではやはり責任が、立法不作為の問題もありますので、責任もあるというふうに思いますので、私はこの判決に対してやはり控訴をしてはいけないというふうに思っています。  だから、大臣控訴をしないで確定をしてほしいというふうに思いますけれども、その点いかがでしょうか。
  81. 坂口力

    国務大臣坂口力君) そこを、先ほどから何度か申し上げておりますように、しっかりと考えて結論を出させていただきたいというふうに思っております。
  82. 井上美代

    ○井上美代君 今の御答弁というのは、私は大臣の本当のお気持ちだというふうに思いますので、昨日の今日で、ここで答弁をするということは多分難しいというふうに思います。しかしながら、この問題というのはもうぎりぎりのところに来ているというふうに思います。議連で打合せをみんな各党の方々とやっておりますけれども、そこでももう緊急性を求められるというところではみんな一致しているんですね。だから、そういう性格の問題ですので、私は是非これを控訴しないという決断を下していただきたいということをお願いしておきます。  そしてもう一つ、私は、この際ですので是非解決してほしいと思うのは、やはりこの未納、未加入の問題があります。これもやはり非常に悩ましい問題であるというふうに私も思っておりまして、政府調査でも、保険料が高くて払えない、これは本当に正直払えないと、こういう人たち政府調査、二〇〇二年の調査ですけれども、そこで六四・五%あるんですね。だから、これをどうしていくのかということももう一つ大きな悩ましい問題であるというふうに思っております。こうした人たちをこの際、私はもう全面的に救済をすべきだというふうに思っております。  そういうことで、いろいろと熟慮が要るというふうに思いますけれども、この点の問題についても解決をしなければいけないと思っておりますので、大臣に御答弁をお願いしたいというふうに思います。
  83. 坂口力

    国務大臣坂口力君) いわゆる未加入者、あるいはまた、加入はしていただいておりますけれども未納者があるわけでありまして、その未納者の中には払わない人と払えない人とが存在をする。払えない人はこれはやむを得ないわけでございますから、その払える人と払わない人との区別を、峻別をきちっとしなきゃいけないというふうに思っております。  払えない人に対しましては、これは社会全体としては大変大きな問題でございますけれども年金としてはやむを得ざることだというふうに理解しているところでございまして、しかし、払える能力があるのに払わない人たちに対してどのようにこれからPRし、そして皆さん方にこの年金制度の精神というものを理解をしていただいて御参加をいただくようにするかということが大事というふうに思っております。その辺のところをしっかりと定めを付けて今後の対策を立てていきたいというふうに思っております。
  84. 井上美代

    ○井上美代君 私はやはり、これも人間らしく生きるということが問われている問題であるというふうに思います。だから、今、当面どうしても四類型から始めるということであれば、これもう致し方ないかとは思いますけれども、やはり先の見通しが付くような、その方向を示しながらやっていただきたいということをお願いしたいというふうに思います。  以上、控訴をしないで確定をするという、このことはこれから九件の裁判も含めて是非そこで決断をしてほしいということをお願いして、次に移りたいと思います。  私は、まず一般財源化について質問をしたいというふうに思っております。  小泉内閣は、三位一体改革の目玉として、二〇〇六年度までに国庫補助負担金四兆円の廃止、そしてまた縮減を掲げて、二〇〇四年度は一兆円の国庫補助負担金の削減を行うとしております。そのうち厚生労働省の所管というのは二千百五十億円です。児童福祉法等改正案は、このうち、法定化されている公立保育園運営費や、そしてまた市町村の介護保険の事務処理費二千八十七億円を国庫補助の対象外とするものです。保育所の運営費を見ますと、補助金廃止の対象となる公立保育所は一万二千か所にも及び、その廃止額というのは一千六百六十一億円に上っているということは皆様御存じのとおりでございます。  保育予算を一般財源化することは、国の公的責任を放棄することになり、保育料の値上げやそしてまた保育水準の低下につながることになると考えております。介護や保育所など社会保障分野は特に、現状どおり、一般財源化せずに国庫負担金として残すべきであると私は思っております。大臣の御見解をお聞きしたいと思います。いかがでしょうか。
  85. 坂口力

    国務大臣坂口力君) ここは意見の分かれるところだというふうに思いますが、市町村長さんの中にもそれは意見はいろいろでしょう。いろいろでしょうけれども皆さん方が、いわゆる市長会なら市長会としてまとめて意見の集約をされたところによりますと、この一般財源化、いわゆる地方への権限移譲ということについては賛成をしておみえになるというふうに私は理解をいたしております。  先日も申しましたとおり、厚生労働省が持っておりますいわゆる補助金の分野というのは非常に大きいわけでありまして、国全体の半分を超える補助金の範囲になっておりまして、一番大きい順番からいきますと、これは国保であり介護であり生活保護であり、そしてこの保育園とそれから障害者の問題と。これ、大体九十数%を超えるだろうというふうに思っております。いずれもなかなか、地方に権限をということでは総論では皆さん方も一致しておりますけれども、この厚生労働省関係のところについては皆さん方もなかなか賛成し難い面があるだろうというふうに思うんです。  そうした中で、かなり市町村の意見も異なっておりますけれども、その中で比較的と申しますか、皆さん方が一致してこれならいいというふうにおっしゃっているのがこの保育所の問題でございまして、そうした意味では賛成いただける方が一番多いのかなというふうに思っているわけであります。ただ、皆さん方も、賛成はするけれども、それは財源を伴うことを前提にして賛成しておみえになるわけでございますから、そのことに対して我々も責任を持っていかなきゃならない。  そうした意味で、今回の三位一体問題で財源問題が非常に出てきたものですから私たちも非常に心配をいたしまして、何度も財務省やあるいは総務省の皆さん方ともお話をさせていただいているところでありまして、とりわけ保育所の問題につきましては、この一般財源化の中で交付税、とりわけ交付税がここに減るということのないような計らいをしてもらいたいということを率直に申し上げているところでございます。
  86. 井上美代

    ○井上美代君 今回の一般財源が特に問題だと思っているのは、やはり国による地方財政の削減策と一体となって進められているというところに私は問題が出ているというふうに思うんです。市長さんたちは賛成をしておられるということを言われました。それは事実だというふうに思いますが、じゃ、すべての人々が、関係者がこれに賛成をしているのかというとそうとも言えないんですね。だから、私はその辺もきちんと見ていただかなければいけないなというふうに思っております。  三位一体改革の中のこの地方交付税の見直しの中身は、地方財政の財源となっている交付税の大幅な削減なんですね、実際には。地方交付税を絞り込んだせいで、地方財政計画で一般財源は二兆二千億円も減っております。一般財源が減れば、これは公立保育所に使うお金も減らされる危険が高くなるのではないでしょうか。大臣、その辺はどのようにお考えになっているでしょうか。
  87. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 実は、衆議院の段階におきましても、総務省の皆さん方、総務省の方にお越しをいただいて、そうしたことに対する様々な議論があったわけでございます。  各党から総務省に対しまして、そこはどうだという厳しい御質問がございました。そのときに総務省がお答えになっておりますのは、確かに減らしているけれども、それは減らさなければならない分野があると。それは、地方自治体で今まで行ってまいりました土木とか建築とかといったようなところはどうしてもそこは減らしていただかなきゃならない。そういうところを減らすということを、分野を明らかにして、そして市町村には言っていると。特に、保育所の問題については、ここにはきちっと付けてくださいということを私たちも言っているし、それは皆さん方厚生労働省の方もそのことを言っていただいて結構でございますと、こういうお話でございまして、国も地方自治体も大きな赤字を抱えているわけでございますから、節減をするところはしていかなければならないんだろうというふうに思います。  それをどこで節減をするかということについての目安を立てて、そして削減をひとつお願いをしたということを総務省も言っておみえになるわけでございますので、私はそれを信じたいというふうに思いますし、そして、もし仮にこの保育所に対する交付税が向けられないというようなことが起こっているとすれば、それは私たちもすぐにまた総務省と相談をする、申入れをするといったようなことを私たちもしていきたいというふうに思っております。
  88. 井上美代

    ○井上美代君 私は、この問題はやはり、今大臣の御答弁いただきましたけれども大臣は非常にやはり善意に考えておられて、今から具体的に申し上げたいと思いますが、現実は非常に大変な中で進んでいるということを、甘くないんだということを私は申し上げたいと思います。  この一般財源化は地方を苦しめることにほかならないということが一つあります。そして、地方交付税がカットされたら公立保育園の運営ができなくなるんだということなんですね。ここがやはり大臣の、私はもう女性であり現場におります、だから、そういう点で、私はそこのところがもうちょっと厳しく見てほしいと思うんです。  ある保育関係の団体の調査で見ますと、公立保育園の民間委託、民営化の計画の有無を尋ねたところがあるんです。そして、東京二十三区では半数を超す十三区が民営計画があると、こういうふうに回答しているんですね。そして、三つの区も検討中ですと、こういうふうに回答しております。今年四月から一園、二園で実施、もう一園ぐらい、二園ぐらいということで実施をしていて、新年度からそれを導入する区が非常に多いんです。私は東京を調べておりますけれども。  その後も、例えば足立区なんですけれども、今後九年間で十九園を民営化する、そういう予定を区の方が出されております。そのほかにも、東京の東久留米市では、二〇〇六年から順次市内の九つの保育園すべてを民営化するという方針を市長が出されました。このように、民営化をめぐって各地で裁判も起こるようになってきているんですね。自治体が本当にトラブルを引き起こしております。  公立保育園の運営費一般財源化はコスト削減を目的とするものであるというふうに、私は、効率性を追求しておりますのでそういうふうに思っているんですけれども、民間委託を私は否定はしませんけれども、父母や子供を不安にさらしている。これが民営化、今もう急遽広がっている民営化、民間委託にもう拍車が掛かっているということを思っているんです。  この点どうしても、私、自分も母親としてこれは大変なことだというふうに思っております。このことについて大臣はどのようにお考えになるでしょうか。
  89. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 確かに、地域によりまして公立民営という行き方がかなり進んできているということには、私も実感としてそうかなというふうに思っております。また、最初からもう私立にゆだねておみえになるところもございますし、そこのところはそれぞれの市町村、区、そうしたところが自主的に御判断をされることでございますから、それに対してとやかく申し上げる立場にはないというふうに思っておりますが、ただ、いい保育をどう作り上げていくかということについては、各市町村あるいはまた国におきましても一生懸命お考えをいただいているというふうに思っております。  それは財政的に非常に、どちらが財政的に厳しいかという比較も私は多分あるというふうに思いますけれども、ただ財政面だけから考えられているのではないと思うし、私もまた財政面からだけ考えてもいけないと思っております。それはやはり、一応公立の、それは公立であれ私立であれ、保育のその中身がどうかということだろうというふうに思っております。  いろいろのケースがございますから一概には言えないわけでございますけれども、最近のことでございますから、保育時間を延長してほしいという話もございますし、それからゼロ歳児をもっと雇ってほしいというような要求もそれぞれの地域でたくさんございます。そうしたことに対する柔軟性というものも求められていると思います。  その柔軟性が公立の場合になかなか認められにくいということもまた事実のようでございまして、そうしたことも公立を民営化をしていこうというような話に結び付く一つの理由になっているようにも思うわけでございますが、先ほど申しましたように、保育というのはただ財政的な問題だけではなくて中身が大事でございますし、住民に対するその対応ができるだけ多様化してまいっておりますから、多様化できるような対応をどうしていただくかということだろうというふうに思っております。
  90. 井上美代

    ○井上美代君 私は、一つ、どういうふうになっているかというのの一つの例として、東京の中野区の例を挙げたいというふうに思います。  中野区というのは、昨年十月に区報で公立保育所を民営化する計画を発表いたしました。そして、十一月の十一日に区立の宮園保育園それから宮の台保育園をそれぞれ、一つは社会福祉法人に、もう一つは株式会社に委託をし、それを今年の四月から実施したいと発表をいたしました。民営化するわずか五か月前に発表したとあって、保育士やそれから父母たちからもう不安の声が上がっているんです。そして、十二月の十日に業者を募集し、そして二十六日には業者が決定されました。募集から決定までわずか十六日間です。業者の選定基準、決定した業者のどこが良かったのか、どういう会社なのか、そういうところが分からないままに、父母に必要な情報が行っていなかったんですね。そういう中で決めなければいけない、そういう状況に置かれたわけなんです。社会福祉法人にしても株式会社にしても、区内の法人でないためにどんな実績があるのかは父母の間でも分からなかったわけなんです。その事業者の概要をたった紙切れ一枚で箇条書にしたものを説明のときに使いました。こうして決定していったということなんです。  運動している父母さんの方々も、区は十分に情報を提供してくれないし、話合いもしてくれないし、厚生労働省はこの中野に関して何かいろいろ御指導もやってくださったようですけれども、住民のところでは非常にまだ不満が残っているんですね。だから、こういうことについて、どういうふうに厚生労働省のところはやってくださったんだろうかということをお聞きしたいと思います。参考人どうぞ。
  91. 伍藤忠春

    政府参考人伍藤忠春君) 中野区の公立保育所の民営化に関してでございますが、ただいま御指摘のありましたような経過で民営化をするということで手続を進めておるというふうに聞いておりますが、その間、利用者の方から直接話を聞いてほしいといったようなお話もありまして、私どもの担当者が二度にわたりましてお話をお聞きしたところでございます。中野区の担当課に対しましても、そういった利用者からの状況、お聞きした状況をお伝えし、地域において十分話合いを行うようにというお願いをしたというところでございます。  少し詳細に申し上げますと、中野区から私どもが聞いたところによりますと、この民営化に関しましては、区民を対象とした区民説明会を昨年の十一月から今年の三月にかけて合計四回行ったということでございますし、それから、直接、民営化する保育所を利用する保護者を対象とした保護者説明会を昨年の十一月から今年の三月にかけて一つの園について六、七回開催をしたと。こういうことでいろいろ理解を深める努力をしてきたというのが中野区の説明でございます。  その事業者の選定に当たりましても、私どもが十三年に児童福祉法に保育所の民営化を進める……
  92. 井上美代

    ○井上美代君 時間が非常に、私もう時間になっておりますので。
  93. 伍藤忠春

    政府参考人伍藤忠春君) そうですか、はい、分かりました。  十三年の法律改正の趣旨を踏まえて、透明性、公明性に配慮するよう、公正性に配慮するように通達を出しておりますし、そういったことを認識をしてやっていただいているものというふうに考えております。
  94. 井上美代

    ○井上美代君 今お話がありましたけれども、一応厚生労働省も御相談に応じてはくださっているようなんですけれども、やはりそこは解決しないままに非常に大変な状態にあるわけなんです。そして、この四月一日からはもう始めるということですので。  私は、こうした中野区で過去にわたって調べてみました。そうしましたら、二〇〇一年にも民営化計画を発表して、三つの保育園が民営化しているんですね。それをずっと年を追って、年を追ってずっと書いてあるものをいただいて、どういうふうにやられてきたかと見るんですけれども、そのときには約二年を掛けて父母と協議を重ねているんです。月に一回の割合で説明会は開いております。だから、四回なんというものじゃないんです。ゆとりを持って、多くの父母の合意を得ながら進めております。父母が求める情報はできる限り開示しております。業者選定にも父母がかかわりながら、大方の合意を得て決めていくというやり方を取っているんです。そして、保育士の人員配置や経験年数などを公表してほしいという陳情も議会で採択をされたわけなんです。区も父母と十分話合いをすることで、今回ほど混乱は起きていないんですね。  私は東京の葛飾区についても調べましたけれども、ここでも既に民営化をしたいという発表が十二月に出されております。しかし、余りにも急だったものですから、住民の方々から不満が一遍に出ました。そして、結局、区当局は中止をせざるを得なくなっております。  十一月に民営化を発表し、そして翌年四月には実施をしていくという、こういうやり方というのは余りにも性急だというふうに思うんですね。これが何か品物でも扱うんだったらまた別ですよ。生きた人間、生きた赤ちゃん、幼児を扱うんですから、これは大変なことです。  関係した父母の中では、少なくとも二年は掛けてやってほしいという、こういう声も出ているわけなんです。だから、つまり民営化に当たっては、時間を掛けて利用者に納得のいくよう慎重に検討すべきであるというふうに私は思っておりますが、局長、いかがでしょうか。
  95. 伍藤忠春

    政府参考人伍藤忠春君) 先ほど申し上げました十三年にこの児童福祉法にそういった民営化を促進するような規定が盛り込まれた際に、当委員会の附帯決議におきましても、「市町村が情報を公開し、保護者の理解を得る努力をするよう指導すること。」と、こういうふうに附帯決議をいただいておりますし、私どももその旨を体して市町村に対応してきたつもりでございます。  ただ、具体的に個々の市町村でどの程度の期間あるいはどういうやり方でこの民営化を進めるかというのは、これはやはり個別に正に自治の根幹にかかわるところでございまして、保育所をまず民営化するのかどうか、あるいはする際にどうするかということは、よくこういった趣旨をお含みおきをいただいて、一般論としては、市町村によく熟慮していただいて進めていただきたいというふうに思っておりますが、個々のやり方については、市町村が正に判断をし、決定をしていくことではないかというふうに思っております。
  96. 井上美代

    ○井上美代君 それができないのが自治体なんですね。今もうそこができていないんです。例えば、業者選定に対しても情報公開をやっておりません。やっていないところに何も言わないでいたら、やらないままで終わって、そしてうまくいかないわけなんですね。だから、やはりそこは、例えば移行後の保育内容や経営について条件を付けて募集する、そしてまた公正な選定基準などを設けるとか、選定基準や選定プロセスを公開するとか、選定委員会を作り、専門家や現場の経験者の目を通るようにして、そして利用者も参画させるなど、やはり私はガラス張りの選考をするべきだというふうに思うんですね。  私は、こうした例の中からひどいなというふうに思っているのが、やはりこうした民営化の中で子供の心がずたずたになっていっているということを特に強調したいというふうに思います。  中野区の場合ですけれども、公立保育園の民営化に当たり、常勤の保育士はほかの公立保育園に配置転換をし、ほかの公立の保育園に皆配置転換したんですね。だから、その保育園からはいなくなりました。非常勤の保育士は二十八人全員解雇が通告されました。そうしたら、今まで子供に当たっていたという人たちはいなくなったわけです。二十八人はもうそこから解雇されたわけだから、だれもいない。そして、七人はこれを不服として解雇無効を求める今裁判を起こしているところですね。四月に登園すると、なれ親しんだ先生たちはもうほとんどそこにはいないわけなんです。こういう状況というのが大阪の大東市でも起きております。  やはり、民営化によって保育士がもうがらっと替わるというふうになりますと、子供の心に大きな穴が空くわけです。そして、傷が付きます。ストレスが掛かります。もう情緒不安定に陥っていきます。これは、私も自分が体験したことでもあります。保育園が変わるごとに、子供の心が本当に不安定に揺り動くわけなんですね。  民間に移行後も、一定数の公立保育園の職員の継続派遣とか、そしてまた非常勤の職員の継続雇用などというのをやはりやっていくべきだというふうに思うんですけれども大臣、この辺についてはいかがでしょうか。
  97. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 公立が民営化をされる、あるいは私立に変わるといったようなときに、とりわけ公立民営化がされますときには、具体的な例は私もよく存じませんけれども、しかし、どの地域であれ、それは丁寧な手順を踏んでおやりをいただくということが最も望ましいわけでありまして、そこは総論的には私もそうだというふうに思います。  今まで非常勤で働いておみえになった皆さん方の問題につきましても、お子さん方がなれ親しんでいれば、その中から何人かということは分かりませんけれども、新しいところになりますときに、そうした皆さん方も少し交えて、徐々にお子さん方がその新しい先生にもなれていくという、そういう丁寧さというのがやはり求められるんだろうというふうに思っております。  それは、厚生労働省といたしましても、公営から民営にするようなときには、そうした点も十分に配慮をしながらやるようにということを指導するようにしたいと思います。
  98. 井上美代

    ○井上美代君 私はやはり、保育所で育てられている子供たちが本当に安心して成長ができるような、大臣も言われた、いい保育をどういうふうに作り出していくかということが非常に私たちがやらなければいけないことだというふうに思っております。  これは二〇〇一年にさかのぼりますけれども、十一月二十二日の本委員会で、児童福祉法の改正があったんですね。そのときに附帯決議が可決されております。その三項に、「市町村が情報を公開し、保護者の理解を得る努力をするよう指導すること。」というのがきちんと入っているんですね。それを今答弁大臣が言われたように、配慮しなければいけない中身なんですね。  だから、既に、この平成十三年にこうしたこの附帯決議が入っております。私は、公立保育園の民営化はそもそももう反対の立場なんですが、どうしてもやむを得ない理由で民営化する場合には、やはり時間を十分掛けて、父母の理解、それをきちんと受け止めて、子供が犠牲にならないやり方でやるべきだというふうに思うんですね。  東京文京区の保育を考える親の会というのがあるんですけど、ここが十か条というのを掲げているんです。もう時間もありませんのでたくさんは申し上げられませんけれども、利用者が安心できる説明意見の聴取を行うこと。また、四項目ぐらい読みたいと思うんですけど、人件費の極端な削減は質の低下につながることを念頭に置くこと。受託業者の選定を適正に行うこと。直営施設の役割を確認し、急激な変化の影響も検証する長期的展望を持つことと。もう一つ一つが私は非常に現場を反映したこの十か条だなというふうに思って見ておりますけれども、こういう基準をまとめているんですね。  これは一市民団体ですけれども、やはりこのような十か条のようなのを、やはりきちんと厚生省は民営化するに当たってやるべきだというふうに思うんです。だから、責任を持った対応をすべきだと思うんです。  そういうふうに今いろいろ現場では混乱が起きているわけですから、私は、このようなことをやったからといって、それは地方分権を侵すことには全くならないと思うんです。政治はやはり本庁のいろんな政策の動きによって変わってきているわけで、だから、そういう国の政策によって変わってきているわけなんですから、国がそのようなことを出されたとしても、私は何も地方分権とはかかわりないと思います。  大臣、このような通知をきちんと地方自治体に出していくということで、是非実現をしてほしいと思いますが、いかがでしょうか。
  99. 坂口力

    国務大臣坂口力君) これは、平成十三年の改正法の施行通知におきましても、委託先等の選定に当たっては、保育所が児童福祉を担う重要な機能を有していることにかんがみ、手続の透明性、公正性に配慮するということをその中で申しておりますし、大事な点は幾つかあるだろうというふうに思っております。それが十か条なのか五か条なのかよく分かりませんけれども、大事なことは市町村にもよくお伝えをしたいというふうに思っております。
  100. 井上美代

    ○井上美代君 はい、じゃこれで終わりますが、一言。  私は、厚生労働省は、いろいろと総合規制改革会議なども保育所の問題についていろいろ言っておられますけれども厚生労働省らしく解決をして頑張っておられるというふうに思っております。優秀な局長さんもずらりといらっしゃることですし、やはり自治体が混乱をしないように頑張ってくださいますことをお願いいたしまして、質問を終わります。
  101. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時十分まで休憩いたします。    午後零時十七分休憩      ─────・─────    午後一時十分開会
  102. 国井正幸

    委員長国井正幸君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、児童福祉法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  103. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。  私も今日、昨日の判決に基づいて厚生労働大臣にお聞きをいたします。  障害基礎年金不支給決定取消し等請求事件、昨日、画期的な判決が出ました。これは、私は画期的だと思いますのは、憲法十四条に違反する、この点について国の故意、過失も認められるというふうにしたことです。なかなか、立法不作為違憲という判決を弁護士としては本当になかなか取ることができないわけですが、それに加えて、故意を認定していると。過失ではなくて故意というふうに言っているわけですから、国会は何もしなければ、立法不作為が日々毎日、故意ですね、故意で生じていくと。  今、違法行為が続行中なわけですけれども、この点を踏まえて、厚生労働大臣、お昼御飯を食べた後ですので、午前中よりもっと前向きの答弁をお願いいたします。
  104. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 今日は三位一体よりも裁判の話ばかりでございまして、今朝からもお答えを申し上げたとおり、裁判の結果を受けて、私たちもしっかりとここは受け止めて結論を出さなければならないというふうに思っている次第でございます。  この問題は、かねてからこの委員会でお取上げをいただいたこともございますし、私も試案を出したという経緯もあって関心を寄せてきた問題であることだけは間違いがございません。今回いただきましたこの判決内容もじっくり読ませていただいて結論を出したい、そういうふうに思っております。
  105. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 社民党としても、控訴をしないようにということを強くお願いしたいというふうに思っています。  年金国会ですが、正直、政府・与党案は無年金の人に対する配慮が足りないというか、ないというふうに思っています。野党案は、いずれも一元化、ライフスタイルに関係なく、無年金の人をなくすという点で私は優れていると思います。  ですから、大臣、ここで無年金の問題に踏み込まないと政府・与党は無年金問題を無視したということになりますよ。どうですか。
  106. 坂口力

    国務大臣坂口力君) いろいろの言い方で意見を求められますけれども、十分に理解はしているつもりでおります。しかし、ここで私の心の中の底まで御披露申し上げるわけにはまいりませんので、今日のところはお許しをいただきたいと思います。
  107. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 厚生労働大臣の胸のうちをちょっと内視鏡で見ることができませんが、十分考えてくださっているというふうに思いまして、重ね重ねお願いを申し上げます。  ある女優さんが保険料を払っていなかったということが問題になっておりますが、それが問題というよりも、やはり国民年金保険料をなぜ払わないか、あるいは無年金の人がなぜ出るかということについて、厚生労働省、前向きに取り組んでいただきたいんですが、無年金一般や保険料の問題について、いかがですか。
  108. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 確かに、今まで年金をお支払いにならなかった皆さんがいろいろの障害者になられた問題と、それから現在年金を払わない皆さん方がいる問題とは、これは共通の問題でありまして、あるいはセットの問題かもしれないと私は思っております。  したがいまして、現在、学生の場合には卒業していただきましたら一応全員加入していただくというふうな方式を取っておりますけれども、しかし、現在でもお支払を、支払を長い間していただかないということになりますと、また無年金者というのが出てくるわけでございますから、そうしたことも十分に念頭に置きながら、どうするかという結論を出さなきゃいけないというふうに思っております。
  109. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 みんなが安心して暮らせる高齢社会ということであれば、無年金の人を本当になくしていくということが非常に重要な課題だと思います。是非、この判決について控訴をなさらないように、また無年金を生まないために、制度改革を強く要求したいというふうに思います。  では、児童福祉法の改正法案についてお聞きをいたします。  統計を見ますと、公立保育園の数がどんどん減っていて、私立の保育園が増えております。これは一体なぜでしょうか。
  110. 伍藤忠春

    政府参考人伍藤忠春君) 御指摘のように、公営保育所は減少傾向でありますし、他方、私営、私立の保育所はこの数年増えております。  この背景でございますが、公立保育所というのは比較的町村部に多いわけでございますが、こういったところでは少子化の進行のあおりを受けて統廃合が進むといった状況一つあろうかと思います。それから、もう一点指摘されておりますことは、保育サービスの運営に関しまして、公立と民間のサービスの水準、それからコストが、公立の方がコストが掛かるといったような事情から、市町村で民間保育所を中心に整備を進めておると、こういった事情があろうかというふうに考えております。
  111. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 厚生労働省としては、公立保育園がどんどん減少していることについて危機感をお持ちでしょうか。
  112. 伍藤忠春

    政府参考人伍藤忠春君) これは、保育は児童福祉法で市町村が実施義務を負っておるということでございまして、この形態が公立であれ私立であれ、必要なサービスを確保していくということが最大にして必要なことでございますから、こういった観点から、どういった形態でサービスを進めていくかというのはそれぞれの自治体が判断をすべきことというふうに思っておりますので、これに危機感を特に抱くということよりも、実情に応じて御判断をいただいておるものというふうに理解をしております。
  113. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 厚生労働省は、少子化の問題に取り組む気持ちがおありなんでしょうか。育児と家庭と仕事の両立支援をやるお気持ちがあるんでしょうか。
  114. 伍藤忠春

    政府参考人伍藤忠春君) 保育に限らず、そういう全体的な少子化対策とか両立支援対策、こういったことにつきましても、これは政府全体、厚生労働省にかかわらず、政府全体で今取り組んでおるところでございますし、私どもの担当する分野におきましても保育、従来は保育を中心にいろんな施策が進められてきた嫌いがございますが、今国会には育児・介護休業法も提出をさせていただいておりますし、そういった面でいろんな方向から、それから児童手当の改正案も出させていただいておりますが、こうした経済的な支援あるいは両立支援、それから保育、こういういろんなあらゆる角度からこういった問題に取り組んでいきたいというのが私どものスタンスでございます。
  115. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 しかし、まず削るところは公立保育園というところはやっぱり分からないんですね、国庫負担の対象外とする。保育園が例えば地方でなければ、やっぱり働くのをみんなあきらめますよ。厚生労働省、やる気あるんですか。
  116. 伍藤忠春

    政府参考人伍藤忠春君) これは国の補助を市町村の一般財源にするということでございますので、別に保育所を廃止するとか公立保育所をなくすというようなことではございませんので、これによって保育の絶対量が減るとか低下するということではないと思いますので、先ほど申し上げましたように、少子化対策あるいは子供の問題、総合的に取り組んでいきたいという姿勢には何ら変わりがないというふうに思っております。
  117. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 さっき統廃合とおっしゃいましたが、去年と比べて、公営は五千五百五十四人の減、民営は三万八千二百二十三人の増。公立保育園、数もそれから利用児童数もかなり減っていますよ、一年間で。これが毎年続いています。  厚生労働省は、公立保育園を増やすためにどのような努力をされていらっしゃるんでしょうか。
  118. 伍藤忠春

    政府参考人伍藤忠春君) 先ほど申し上げましたように、公立保育園を増やすためにどうするというような対策は特に打っておりませんし、これは基本的に市町村がどういう形で必要な保育のニーズを満たしていくかということを御判断をされるということでございまして、公立と私立のウエートが変わってきておるというのは、実情とあるいはそのニーズを踏まえてそれぞれそういった反映をしておる結果ではないかなというふうに思っております。
  119. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 厚生労働省で問題なのは、保育園の問題、今お話聞いていると自治体がやることだというふうなスタンスじゃないですか。厚生労働省責任を持ってやっていくというのが全く伝わってきませんが、いかがですか。
  120. 伍藤忠春

    政府参考人伍藤忠春君) 国、自治体それぞれの役割とか位置付けとかというのがございますが、先ほど申し上げましたように、法律上は保育の実施責任というのは自治体が自治事務として行うというふうに位置付けられておるものでございまして、国はいろんな企画立案、それから応分の財政負担、それなりの役割を負うものでありますし、都道府県は保育の認可とか指導監督、それぞれの役割が異にするわけでございまして、第一義的には市町村が自治事務として現場の保育ニーズにこたえていくということでございますので、そういったことを明確にしながら役割を果たしていきたいというふうに考えております。
  121. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 自治事務であることは分かりますが、厚生労働省がどういう立場でやはり保育所をきちっとやっていくかということが必要です。  ところで、内閣府の報告書によりますと、公立保育所、私立保育所で障害児保育の有無に関しては、やはり公立保育所がマル、私立保育所がバツとなっています。地域で障害のある子供を引き受けて一緒に育てていくということは、やはりそのコストが掛かりますから、公立保育所の方がこれやっぱり勝っているわけです。このような点をいかがお考えでしょうか。  結局、お金がない、あるいは安かろう悪かろうじゃないですけれども、どこか安いところに預けるか、あるいは保育の中身についてきちっと問題提起ができない、公がきちっと責任持ってやってくれということがどんどん言えなくなっているのではないでしょうか。
  122. 伍藤忠春

    政府参考人伍藤忠春君) 延長保育その他、各種の特別のニーズに基づきます保育の実情を見ますと、あらゆる項目で民間の保育所が、何といいますか、実施箇所数において非常に多いわけでございますが、御指摘のありました障害児保育につきましては、公立の保育所が民間よりも比率にして勝っておるというところは事実でございます。  しかし、この障害児保育も民間の保育所でも近年かなり進んでまいりましたし、こういったことは公立、民間を問わず実施をしていただきたいということが私どもの願いでございますし、公立でなければできないということではなかろうというふうに思っておりますので、いずれにしても、全体として障害児の保育、そういったものに、何といいますか、落ち度、手抜かりがないように、なお一層促進をするように努めてまいりたいというふうに考えております。
  123. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 公立の方がやはり障害児保育の有無では勝っているわけですよね。  そして、保育士の平均月給、公立保育所は約三十万円、私立保育園は二十一万三千円、保育士の平均年齢、公立は三十七歳、私立保育所は三十一・四歳です。つまり、私、実は私は子供を無認可の保育園に預けてお世話になった、とても良かったのでそれはちょっと置いておいて、民間、私立の保育所の方が平均年齢がとても低いんですよね。給料も安い。つまり、ちょっとステレオタイプで言いますと物すごくこき使ってというか、有期契約、多いのは有期契約で、一年置きの契約にしてもう更新をしない。ですから、若い保育士さんがどんどん替わっていく。ですから、平均年齢も低いし、平均月給も安いわけですね。しかし、ベテランが育っていかない。あるいは、やはり給料やそういう労働条件の観点から、皆さんが長く続けて働けない。  厚生労働省、公立保育園が減ることは別に構わないし、別にいいんだ、それは自治事務だとおっしゃいますけれども、結局、今なぜ民営化ということかというと、最大の理由は経費節減なんですよ。とにかく人件費をどう減らすか。そのために、ここは厚生労働委員会ですが、有期契約にして更新しないで安く働いてもらって給料上げないと。若い人の転回ですよね。このような働き方で保育園がいいのかというと、私は問題だと思いますが、いかがでしょうか。
  124. 伍藤忠春

    政府参考人伍藤忠春君) 御指摘のとおり、平均年齢で見ますと、私立は三十歳、公営の場合には三十八歳と、こういったことがまた人件費等にも反映をされておるということだろうと思います。  御指摘のあった点につきましては、全体として保育の質を落とさないようにどうあるべきかということで、ここは最低基準とか人の配置とか、そういったことできっちり基準を示して担保しておるところでございますから、その範囲内でどういった形の運営がいいか、それが効率的でありかつ質が保たれるような運営の仕方がどんなものであるかということで御判断をいただいて、自治体が判断をしていくべきことではないかというふうに思っております。  それから、保育所は公営の比率が非常に高いわけでありますが、福祉サービスの中でほかの保育以外の部分につきましては、老人を始め障害者の施設においてもほとんどが民間のサービスが主体になっておるということから見ても、公立保育所だけ、保育所だけが公立で、比率が高くなくてはならないということにはなかなかならないんではないかなというふうにも考えております。
  125. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 いや、保育はある意味お金が掛かりますよね。保育で金もうけというのはやっぱり難しいですよ。障害のある子供もいれば、外国人の子供もいる。手間の掛かる子供もいれば、病気になる子供もいる。ですから、今、経費節減、人件費節約だけで民営化が実は現場で進められていると。幾ら安くなったということだけでやっている。  ですから、私も、民間で頑張っているところもあれば、民の力をかりるというのはもちろんいいと思います。しかし、今日の答弁厚生労働省は、自治体がおやりになることでしょうと、もう自分は関係ないという形の答弁じゃないですか。公立保育所をどう充実させるか、数を増やすか、その視点はないのでしょうか。
  126. 伍藤忠春

    政府参考人伍藤忠春君) 繰り返しになりますが、少なくとも国の立場で、公立保育所をこれから増やしていくとかあるいは大胆に減らしていくと、こういったことは必ずしも計画としては持ち合わせておりませんが、これはあくまで、先ほど来申し上げましたように、保育ニーズにどうこたえていくか、それから、できるだけ地方自治体の財政運営、あるいはそういう行政運営の面から効率化といったようなことをどう考えていくか、こういったいろいろ総合的に自治体が判断をされるべきことではないかなというふうに考えております。
  127. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 いや、現に公立はどんどん減っています。今日議論されている児童福祉法の改正案ですが、保育費用を国庫負担との対象外とするわけですから、一般財源化をする。自治体によっては、これ幸いというか、あるいはもう仕方ないということで、公立保育園からやっぱり撤退をしていくということがこれでより加速をされる。この今回の改正案は、公立保育園、行政責任が減ることはあっても、絶対にこれは増えることはないですよ。いかがですか。
  128. 伍藤忠春

    政府参考人伍藤忠春君) 先ほど申しましたように、自治体がいろいろ判断をされることだと思いますし、さらに重ねて申し上げますと、平成十三年に改正された児童福祉法の中におきましても、保育所の運営についてこれから公立の施設の貸与その他の方法によって民間を主体に運営をしていくということが法律にも明記をされておるわけでありまして、全体としてはそういう方向で物事が進められるべきだという、これは法律といいますか立法の意図であろうというふうに受け止めております。
  129. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 横浜市で公立保育園が私立になると。三月三十一日たって四月一日行ったら、先生が全部取っ替えになっていたと。保育所って子供にとっては家族のようなものですから、家に帰ったらお父さん、お母さん、兄弟姉妹が全取っ替えになっていたぐらい、子供にとってはやっぱり不安定になってしまうわけですね。このような実態を厚生労働省どう見ていらっしゃるでしょうか。
  130. 伍藤忠春

    政府参考人伍藤忠春君) これは先ほどの他の委員からの御質問にもございましたが、民営化を進めていくプロセスをいかに丁寧に、それから保護者の利用者の理解を得ながら進めていくかと、こういう観点は大変必要なことだと思っておりますので、先ほど大臣からも御答弁を申し上げましたように、こういったことについて必要な指導と、今までもしてまいりましたが、そういったことについての保護者の理解を得ながら丁寧なプロセスで進めていくといったことについては、私どももいま一度点検をしてみたいというふうに考えております。
  131. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 点検をお願いします。  官から民へといったとき、この民は民間企業であって、民、人々ということではないと。経費節減、官から民へということは、結局金もうけ、人件費節減ということだけでされることは非常に問題だと思います。  もう一問、所得譲与税が各自治体になって幾らになると試算しているかということを質問項目として挙げておりました。これは、人口が少ない自治体ではこの所得譲与税が極端に少なくなると思いますが、時間になってしまいましたので、この点についてはまた、その方がいいですよね。
  132. 国井正幸

    委員長国井正幸君) はい、そうしてください。
  133. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 その点についてはまた、済みません。いや、ここで言いたかったのは、所得譲与税でやりますと、人口の少ない自治体にとっては本当にもう公立保育所なんてやっていけないということになるということを、懸念を申し上げて私の質問を終わります。
  134. 西川きよし

    西川きよし君 西川でございます。よろしくお願いいたします。どうぞごゆっくり御用意なさってください。    〔委員長退席、理事武見敬三君着席〕  私の方からも、まず、無年金障害者についての東京地裁判決、諸先生方からも発言がございましたが、以前、忘れもしませんが、お隣に座っておられました黒岩先生の方から、今息子さんが参議院でおられるわけですけれども大臣に御質問を申し上げましたところ、大臣の方からもすばらしい答弁がございました。鮮明に私も記憶をさせていただいております。  先ほど来、熟慮熟慮を重ねてという大臣の御答弁でございますけれども、よく本当に分かります。昨日は大臣も、早く西川さんのように自由になりたいというふうにおっしゃっていただいて、本当に、でも、この問題につきましては、私の方からも、国はもう控訴することなくこの判決を本当に重く受け止めていただいて、全面解決に向けて対応を要請したいと思います。もう大臣には御答弁は結構でございます。  次に、私は、国民健康保険法に絞ってお伺いをしたいと思いますが、先週に引き続きまして、辻局長さん、よろしくお願い申し上げます。  国保組合のこの補助金制度の在り方でございますけれども、先週十八日の委員会で、普通調整補助金の算定の根拠が昭和五十八年の調査ということで、二十年前の数字を使っているということでございました。また、平成元年と六年の調査をされながら、結果としては、局長さんの御答弁では幻の調査になってしまったという御答弁をいただいたわけですけれども、先週は委員長の方からもお口添えをいただきまして、ただいま委員長替わっておりますけれども、その後の御対応について局長様より御答弁をお願いいたします。
  135. 辻哲夫

    政府参考人(辻哲夫君) 平成元年度及び六年度の調査結果の資料につきまして、再度私、課長に指示をいたしまして、あらゆるところを調べるようにということで引き続き探しておりますけれども、誠に申し訳ございませんが、現在のところまだ見付かっておりません。  ただ、今後とも調査を続けたいと考えております。
  136. 西川きよし

    西川きよし君 例えば、一世帯当たり平均所得を見ましても、昭和五十八年で四百五十七万円、平成元年が五百六十六万円、平成六年では六百六十四万円と、これだけの差があるわけですけれども、二百万円以上ということになるわけですけれども、元年、六年の調査結果が、素朴な疑問ですが、古いやつが出てきたということで、どなたかにとってひょっとしたら都合が悪いようなことがあるのかなというふうに思わざるを得ないというふうにもなるわけですけれども、ただ、いつまでもこのことばっかり僕も申し上げてはおられませんので、今後のことについてお聞きをしたいと思うんですが。  先日、局長さんの御答弁にもございましたが、来年度にはきっちりと調査をさせますということですので、その点について御確認をさせていただきたいと思います。
  137. 辻哲夫

    政府参考人(辻哲夫君) 国保組合に対する国庫補助の在り方につきましては、昨年三月のいわゆる基本方針、閣議決定された基本方針におきまして、市町村の国保との財政力の均衡を図る観点から、国庫助成の在り方について見直しを行うとされております。  したがいまして、現行の国保組合の普通調整補助金の算定に当たり用いられている財政力指数の見直しはもとより、国保組合に対する国庫補助の在り方全般にわたる見直しを行うためには、国保組合の組合員に係る所得について把握することが不可欠であるという認識に立ちまして、十六年度、すなわち本年になりますが、国保組合の協力を得て所得調査を実施することにいたしております。
  138. 西川きよし

    西川きよし君 よろしくお願いを申し上げたいと思います。  そこで、来年度でございますけれども、来年度に調査をされるにいたしましても、元年とか六年のような調査結果ということではなしに、それではまた意味を成しませんので、元年と六年の調査がなぜ幻に終わってしまったのか、その点を踏んまえましてよろしくお願いを申し上げたいと思います。  この点、先日の局長さんの御答弁では、この調査自体が組合の任意の協力によるものである、ですから所得の調査が難しいというふうにお伺いをいたしました。それも非常に難しいというお話でございましたので、その部分の御説明を是非いただきたいのと、昭和五十八年が出てきて、平成六年、そして元年はなかったわけですけれども、この点、来年度の調査におきましてはどのような対応調査されていかれるのかということも続けてお伺いをしておきたいと思います。
  139. 辻哲夫

    政府参考人(辻哲夫君) 昭和五十八年では所得調査ができたのに、所得調査の結果ができるような、用いれるような調査ができたのに、なぜ元年、六年はできなかったのかという、まずこの点についてでございますが、この背景としまして、国保組合に対する国庫補助につきましては、昭和五十九年度の、この五十八年度調査の前提となる五十九年度の制度改正におきまして、市町村国保の非常に大幅な見直しと歩調を合わせまして、従前は医療費の二五から四〇%の定率補助を基本としていたものを、給付費の三二%の定率補助を基本にして、個々の組合の財政力においては二から二〇%の普通調整補助にするという非常に大きな、これ、国保組合にとっては今までの既成秩序が変わる非常に大きな改定でございました。  こういう非常に大きな改定でありましたことから、詳細な資料、正直言いまして、そのときの所得調査のスタンス、評価といったような関連資料はないんですけれども、当時の担当者に聞きますと、やはり今言ったような非常に大きな改正であることから、これは結局自らの言わば基本にかかわるということで、相当関係者の協力の機運は高かったということでございますが、その後の平成元年、六年、結果として回収率も低くデータの信頼度が低いということを申し上げましたが、この背景といたしましては、今申しましたような昭和五十九年の国庫補助に関する非常に大きな見直しの際に、新しいルールによる財政力指数を当てはめますと、それまでの国庫補助の率を下回るという組合につきましては、当分の間それまでの率を認めるという、これは制度上、制度として経過措置を講じられておりまして、そういう中で、制度上、財政力指数を見直して、いつ見直すかという時期が決められていない中で、率直に申しまして、関係者、当時の国保組合の関係者の間には、こうした国庫補助に関する経過措置が、財政力指数の、せっかく言わば置いた後、経過措置の見直しにつながるんではないかという懸念があったというのは非常に大きな要因で、組合全体としては機運が、調査に協力する機運が高まらなかったというふうに推測いたしております。  私ども、何かをしなかったかといえば、例えば、組合員の所得がどんなに高くても、定率国庫補助に加えて普通調整補助金が最低二%上乗せさせるというような制度を、その二%を一%に経過的に落としますとか、実質的な見直しをやっておりましたが、そういう経過でございました。  来年度行うこととしている所得調査をどのように取り組むのかということでございますけれども結論から言いますと、今までにない、より更に徹底したやり方をやりたいと。一つは、これまでよりも調査対象者の抽出率を引き上げて歩留りを高くするということ。それから、この間も申しましたが、市町村民税の非課税世帯については、まず市町村に所得申告をしなければゼロということは確認できないわけでございますので、これ非常に平均値を出す上で重要なデータですのでこれをお願いしているわけですが、これが出てこない場合は、再度、国保組合を通じて市町村に所得申告をしてもらうようにもう一度お願いすると。これまではそれはやっておりませんでした。そして、そのために調査期間も延長するということ。それから、所得申告してある方につきましては、私ども、国保組合に委任状を出してもらいまして、国保組合が一括して市町村に出してもらえるようにお願いするということですが、市町村によっては協力してくださらないというようなことも入っておりまして、これについて協力を要請すると、こういったことを一つ一つ徹底してやりたいということで次回取り組みたいと思っております。そして、関係者にも既にそういうことを強くお願いしておりまして、これを受けて関係者も最大限協力をしていただけるのではないかというような感触を得ております。努力をいたしたいと思います。
  140. 西川きよし

    西川きよし君 細やかに本当にありがとうございます。  次に、時間的なものがございますので、一つ飛ばさせていただいて五番目にさせていただきたいと思います。  ここが一番大事な問題ではないかなと僕自身も思うわけですけれども、いろいろお話をさせていただいて勉強させていただく中で、法的な根拠がないというお話でございました。年に一回は調査をしなければならないとか、そういった規定がないわけですね。そういうことでありますので、制度改革での話になると思うわけですけれども、その調査そのものの中に、法律に書き込んでいただくというような必要性があるように思うんですけれども局長さんどういうふうにお考えでしょうか。    〔理事武見敬三君退席、委員長着席〕
  141. 辻哲夫

    政府参考人(辻哲夫君) 私ども、実は今回も本当に直接にデータいただけないのかということを総務省にもう一度確認をいたしましたが、やはり根拠がないといけないという御指摘でございました。で、私どもやはり、言わば補助率を見直すというのはやっぱり根拠はしっかりしないと実質合意が得られないという論点がありますので、本当にこれデータを得るためにはやはり法的な整備を必要ではないかということで、今回の制度見直し、今回といいますか、基本方針に基づく制度見直しの検討をいたしておりますが、その中で法的整備についても検討してまいりたいと考えております。  ただ、本年の所得調査、だといって、本年の所得調査はやらなければなりませんので、今申しましたような徹底したやり方で本年は取り組みたいと思います。
  142. 西川きよし

    西川きよし君 今のこの法律に書き込むということは、大臣一言だけいただけないでしょうか。
  143. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 今、局長答弁しましたように、今後の問題としましては、是非大事なことだというふうに思います。平成六年からですから、もう十六年度になるわけですから、もうかれこれ十年やってないわけでありますから、やったりやらなかったり、やってもなかったりというのではもういけませんので、これからもう少し整理をして、規則正しくそれが後へも残るようにしていかなきゃいけないと思っております。法的整備をそれに合わせて行いたいと思います。
  144. 西川きよし

    西川きよし君 よろしくお願いいたします。  それから、国保組合の補助金そのもののお話になりますけれども、基本方針では国庫助成の在り方を見直すというように書かれているわけですけれども、この補助金制度の大本の部分でございますが、つまり、先ほど来も出ましたが、定率三二%の分を一体どうするのかということです。この部分、さらにそれぞれの財政力に応じた算定をするとか、やはり大幅な見直しをすべきではないかなというふうに思いますが、この定率の三二%の部分、この部分について見直しと、これは大臣いかがお考えでございましょうか。是非御答弁をいただきたいと思います。
  145. 坂口力

    国務大臣坂口力君) この国保組合の場合のパーセントにつきましても、これも全体の医療保険の中でバランスが取れたようにしていかなきゃいけないというふうに思うんですね。政管健保でも一三%でございますから、そうしたことを考えますと、バランスを欠くというようなことではいけませんので、今後、この市町村国保の制度改革議論一つ踏まえながら、御指摘の点も含めて検討してまいりたいというふうに思います。
  146. 西川きよし

    西川きよし君 最後質問になるわけですけれども、時間のある限りよろしくお願いいたします。  先日、大臣の御答弁の中でございますけれども、弁護士さんの例をお挙げになってアンバランスだというふうに表現をなさったわけですが、国民健康保険法十七条と、それから昭和三十八年の厚生省の保険局長が出された通知の問題があります。  法律では一定の要件を満たせば新たな国保組合の設立を可能としながらも、この三十八年の通知によって、例外を除いて新たな組合の設立は認めないと。この矛盾について、これはもう十七条を整理する必要があるのではないかというふうに思いますけれども、これも是非大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。
  147. 坂口力

    国務大臣坂口力君) これも整理をしなきゃいけないところだというふうに率直に思っております。  先日も申しましたとおり、弁護士さんの場合にも、東京の弁護士会の方は組合があって、それじゃ近畿の方も、私の方もと言われたら、近畿は駄目ですというとなかなか整合性ないんですよね、それは。これは、私も大臣になります前に近畿、東海の皆さん方の弁護士さん方から頼まれて、東京があるのに我々ができないわけがないといって、ひとつ言うように言ってほしいといって何度か、そのころ厚生省でございましたけれども、お聞きをいたしました。何遍聞いてもなかなかよく分からなかったということだけ覚えておりますけれども、やはりこれから新しく作るというのは一体どういうときに作るのか。もう原則として認めないということならば、それはどうするのか。法律と併せて、法律事項とそれから局長通達とそごを来すようなことではいけませんので、ここは整理をさせていただいて、検討したいというふうに思っておる次第でございます。
  148. 西川きよし

    西川きよし君 あと二分ほどで終わりでございますので、今、大臣が御答弁にもございましたけれども、私もいろいろ勉強させていただきまして、ある地域から、国民健康保険料が三万五千円だったけれども、替われば月額、組合になりますと一万円になったというような事実もありますし、そしてまあ本当に、憲法がございまして、順番に通達まで降りてくるわけですけれども、さもあれば、これも僕の素朴な疑問ですけれども局長通達の方が法律より上なのかなというような気持ちで、そしてまたいろんな方々、周囲の方々からも、一体きよしさん、どの保険に入ったら一番得すんねんというようなこともよくお伺いされるわけですけれども、今御答弁をいただきまして、これから調査が進むということでございますので、皆さんが納得いくような公正公平な、前向きな姿勢でもってよろしくお願いを申し上げたいと思います。  ありがとうございました。これで終わらせていただきます。
  149. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。     ─────────────
  150. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 次に、平成十六年度における国民年金法による年金額等の改定の特例に関する法律案を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。坂口厚生労働大臣
  151. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 平成十六年度における国民年金法による年金額等の改定の特例に関する法律案の提案理由説明を申し上げたいと存じます。  ただいま議題となりました平成十六年度における国民年金法による年金額等の改定の特例に関する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  公的年金制度及び各種手当制度につきましては、国民年金法等の定めるところにより、毎年の消費者物価指数の変動に応じた物価スライドを実施することとなっており、平成十六年度においては、平成十五年の年平均の全国消費者物価指数が、平成十年に比べ二・九%の下落となったことから、国民年金法等の規定に基づくと、これに応じてそれぞれの法律に定める額を減額改定することとなります。  近年の物価の下落に対しましては、平成十二年度から十四年度までの過去三か年において公的年金等の額を据え置く特例措置を講じまして、平成十五年度においては、平成十三年の年平均の消費者物価指数に対する平成十四年の比率であるマイナス〇・九%を基準として年金額等の改定を行う特例措置を講じました。  平成十六年度におきましても、現在世代の賃金が低下している中で、保険料を負担する現役世代との均衡の観点から、高齢者等の生活に配慮しつつ、特例措置として、平成十五年の消費者物価の下落分でありますマイナス〇・三%を基準として公的年金等の額を改定することとし、この法律案を提出した次第であります。  以下、この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。  平成十六年度において、特例として、国民年金厚生年金、児童扶養手当等について、平成十三年の年平均の消費者物価指数に対する平成十五年の比率を基準として国民年金法等に定める額の改定を行うこととしております。  なお、この法律の施行期日は、平成十六年四月一日としております。  以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要でございます。  何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願いを申し上げる次第でございます。
  152. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十一分散会