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国務大臣(
坂口力君) これはなかなか難しい話であることはもう御
指摘のとおりでありまして、へき地に対しまして医師がどう足を運んでくれるか、あるいはそこで医療を行ってくれるようになるかというのは、一に掛かりまして、やはり医学
教育の中で医師の使命とは何ぞやということをやはりしっかりと身に付けていただく以外にないのではないかという気がいたします。
私も、若いときに、山間へき地の、まさしくこのへき地の医療に携わったことがございますけれ
ども、本当はやはり、少しいろいろの経験を積んだ人が行ってくれることが一番
地域の人にとっては望ましいんですね。大学を出たすぐの人間に来てもらっても本当は余り役に立たないと僕は思うんです、すべてのことができなきゃならないわけでありますから。私は、もう大学を出てすぐに行ったわけでありまして、
自分が習ったことだけの範囲は知っておりますけれ
ども、それ以外の科のことはほとんど分からなくて、まさしく困った、もう本当に暗中模索の日々であったというふうに今振り返っているわけでございますが。
やはりある程度の、初期の医療というものについて経験を積んだ医師の中から何人かが三年なり五年なりそこに滞在をしてやるというようなことが、ある程度これを順送りにそれが続けてもらえるようなシステムができれば一番望ましいというふうに思っておりますが、これも、御
指摘のように、首に縄を付けて引っ張っていくわけにはなかなかいかないわけでございますので、自然にそういうシステムができ上がるようにどう
地域で作り上げていくか。
例えば、
地域の公的な
病院、そこの公的な
病院の人の枠と申しますか、医師の枠を少し多めに取って、そしてその中でできるだけその
地域の、例えば離島でありますとかあるいはへき地に対して交代交代でそこに派遣できるようにするとか、そうしたことが大事でありまして、へき地の中に行っております医師にとりまして一番不安なのは、そこにじっとおりますと、
自分が日進月歩します医療の中から取り残されていくのではないかという非常な心配、不安というものがあるわけでございますので、そうしたことにも注意をしながら、あるときには交代で勉強する
機会も与えるといったようなことが大事ではないかというふうに思っております。
そういうシステムを作るのには、公的な
医療機関とそして無医地区というものをセットで
考えるということができれば私は一番望ましいのではないかというふうに私は思いますけれ
ども、ここはいろいろの皆さんの御意見聞いてこれから進めなきゃならぬと思いますが、今のままでやはり
地域の医療というものを置いておきますと、いつまでたちましても、集まるところにはたくさん集まり、ないところは依然としてないと、それは医師の数をどれだけ増やしましても同じことを繰り返すという気がいたします。そうした意味で、今回、研修制、医師の研修制度、これはもう山間へき地でも受けていただけるようにするわけでございます。そうしたことも経験をしていただくということが大変大事ではないかというふうに思っている次第でございます。