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2004-05-31 第159回国会 参議院 決算委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年五月三十一日(月曜日)    午後零時五十一分開会     ─────────────    委員異動  五月十九日     辞任         補欠選任      愛知 治郎君     月原 茂皓君      小林  温君     山内 俊夫君      岩佐 恵美君     畑野 君枝君  五月二十七日     辞任         補欠選任      柏村 武昭君     泉  信也君  五月二十八日     辞任         補欠選任      泉  信也君     柏村 武昭君      月原 茂皓君     林  芳正君      藤井 基之君     尾辻 秀久君      川橋 幸子君     千葉 景子君      櫻井  充君     佐藤 泰介君      畑野 君枝君     小池  晃君  五月三十一日     辞任         補欠選任      山内 俊夫君     愛知 治郎君      山下 栄一君     山本 香苗君      小池  晃君     林  紀子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         鴻池 祥肇君     理 事                 岩井 國臣君                 松山 政司君                 三浦 一水君                 羽田雄一郎君                 松井 孝治君                 小林美恵子君     委 員                 愛知 治郎君                 尾辻 秀久君                 大野つや子君                 加治屋義人君                 柏村 武昭君                 後藤 博子君                 常田 享詳君                 中原  爽君                 南野知惠子君                 林  芳正君                 山内 俊夫君                 神本美恵子君                 佐藤 泰介君                 佐藤 雄平君                 齋藤  勁君                 千葉 景子君                 平野 貞夫君                 広野ただし君                 木庭健太郎君                 遠山 清彦君                 山本 香苗君                 小池  晃君                 林  紀子君                 又市 征治君                 岩本 荘太君    国務大臣        内閣総理大臣   小泉純一郎君        総務大臣     麻生 太郎君        法務大臣     野沢 太三君        外務大臣     川口 順子君        財務大臣     谷垣 禎一君        文部科学大臣   河村 建夫君        厚生労働大臣   坂口  力君        農林水産大臣   亀井 善之君        経済産業大臣   中川 昭一君        国土交通大臣   石原 伸晃君        環境大臣     小池百合子君        国務大臣        (内閣官房長官)        (内閣特命担        当大臣男女共        同参画))    細田 博之君        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)        (内閣特命担        当大臣(青少年        育成及び少子化        対策食品安全        ))       小野 清子君        国務大臣        (防衛庁長官)  石破  茂君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣沖縄及        び北方対策、個        人情報保護、科        学技術政策))  茂木 敏充君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣(金融、        経済財政政策)        )        竹中 平蔵君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣規制改        革、産業再生機        構))      金子 一義君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣(防災)        )        井上 喜一君    内閣官房長官        内閣官房長官  山崎 正昭君    副大臣        外務大臣    阿部 正俊君        財務大臣    石井 啓一君        国土交通大臣  林  幹雄君        国土交通大臣  佐藤 泰三君    大臣政務官        財務大臣政務官  山下 英利君         ─────        会計検査院長   森下 伸昭君         ─────    政府特別補佐人        人事院総裁    佐藤 壮郎君        内閣法制局長官  秋山  收君    事務局側        常任委員会専門        員        和田  征君    政府参考人        総務省行政管理        局長       松田 隆利君        総務省自治行政        局公務員部長   須田 和博君        外務大臣官房領        事移住部長    鹿取 克章君        外務省経済協力        局長       古田  肇君        国土交通省自動        車交通局長    峰久 幸義君    説明員        会計検査院事務        総局次長     重松 博之君        会計検査院事務        総局第一局長   石野 秀世君        会計検査院事務        総局第二局長   増田 峯明君        会計検査院事務        総局第四局長   友寄 隆信君        会計検査院事務        総局第五局長   円谷 智彦君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○平成十四年度一般会計歳入歳出決算平成十四  年度特別会計歳入歳出決算平成十四年度国税  収納金整理資金受払計算書平成十四年度政府  関係機関決算書内閣提出) ○平成十四年度国有財産増減及び現在額総計算書  (内閣提出) ○平成十四年度国有財産無償貸付状況計算書(  内閣提出) ○平成十四年度一般会計予備費使用調書及び各  省各庁所管使用調書内閣提出衆議院送付) ○平成十四年度特別会計予備費使用調書及び各  省各庁所管使用調書内閣提出衆議院送付) ○平成十四年度特別会計予算総則第十五条に基づ  く経費増額調書及び各省庁所管経費増額調  書(内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) ただいまから決算委員会開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日までに、岩佐恵美君、愛知治郎君、小林温君、藤井基之君、川橋幸子君、櫻井充君及び山下栄一君が委員辞任され、補欠として小池晃君、林芳正君、山内俊夫君、尾辻秀久君、千葉景子君、佐藤泰介君及び山本香苗君が選任されました。     ─────────────
  3. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 平成十四年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書平成十四年度特別会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書平成十四年度特別会計予算総則第十五条に基づ経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書を一括して議題といたします。  まず、財務大臣から説明を聴取いたします。谷垣財務大臣
  4. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) ただいま議題となりました平成十四年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書外二件の事後承諾を求める件につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、平成十四年度一般会計予備費予算額二千億円のうち、平成十四年四月二十三日から平成十五年三月二十八日までの間において使用を決定しました金額は三百五十八億円余であり、その内訳は、国際的なテロリズムの防止及び根絶のための国際社会の取組に積極的かつ主体的に寄与するため自衛隊が実施する協力支援活動等に必要な経費等の十九件であります。  次に、平成十四年度各特別会計予備費予算総額二兆千三百六十六億円余のうち、平成十五年三月二十五日に使用を決定しました金額は六億円余であり、これは、森林保険特別会計における森林保険業務に必要な経費であります。  次に、平成十四年度特別会計予算総則第十五条の規定により、平成十四年八月七日から平成十五年三月二十八日までの間において経費増額を決定しました金額は五百四十六億円余であり、その内訳は、道路整備特別会計における道路事業及び街路事業調整等に必要な経費増額等特別会計の十件であります。  以上が、予備費使用調書等についての概要であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御承諾くださいますようお願い申し上げます。
  5. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 以上をもちまして説明の聴取は終わりました。  午後一時まで休憩といたします。    午後零時五十四分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  6. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) ただいまから決算委員会を再開をいたします。  平成十四年度決算外二件及び休憩前に説明を聴取いたしました平成十四年度予備費関係三件を一括して議題とし、質疑を行います。  なお、本日の平成十四年度決算質疑締めくくり総括質疑でございます。  まず、私が決算委員長として若干の質問をさせていただきたいと思います。  この席でございますので、座りましたまま質問をさせていただくことをお許しをいただきたいと思います。  今、申し上げましたように、平成十四年度の決算審査が間もなく終結、審査終了しようといたしております。これは昨年に引き続いての会期内審査の終了ということで極めて意義深いことでもございますし、また、この秋口、十一月には十五年度決算を提出されるということでありまして、過去の、非常に近い過去の実績なり、あるいはいろんな決算を通じての問題点を浮き彫りにしながら近い将来の役に立てていくということは、極めて参議院の存在というものがしっかりとあらしめられる、そういうときでございます。非常に意義ある本日であり、その助走の期間がやっと終結して次に向かうという、そういう日でございますので、私ども緊張感を持って質問をさせていただきたいと思いますので、総理始め閣僚皆様方にはよろしくお願いを申し上げたいと思います。  今年の決算委員会も非常にユニークなことを考えながら審査を深めてまいりました。例えば、参考人招致を二度行いました。あるいは、議員間による自由討議をやりまして、決算の在り方を審査深めていったわけであります。また、調査に、東京から離れて視察をいたしました。二月の十九日でございましたが、小田原に参りました。  この件から御質問を申し上げたいと思います。小田原の旧スパウザ小田原ということでございます。  行くと言ったら余り来ないでほしいという話も聞こえたものですから、それなら行こうかということで行ったわけでありますけれども、まあ行って驚きました。御一緒されました委員皆さん方もあっと驚いたわけであります。地上十二階ですか、そして部屋数百七十二、相模湾がだあっと見えるすばらしいところです。そして、テニスコートゴルフ練習場、もちろんプール、全天候型、いい天気の日はぱっと開く、雨が降ればつっと来る。そして、プールの横にはジャグジー、泡の出るやつですね、だあっと出るやつ。これも皆さん御存じの大きさではありません、百人は優に入れるだろうという、まあ立派な施設でございました。これ以上豪華なものはないなと思うぐらいの立派なものでありました。  そして、あっと驚いたわけですが、調査をいたしましてもっとあっと驚いた、百倍ぐらいあっと驚いた。この建物、立派な施設は、公の福祉施設ですけれども、これが平成十年の三月にオープンしているんです。それが十四年、十五年、秋口にこれ売却しちゃったんです、うまくいかないため。総工費四百五十五億円、総工費が。立派なものですよ。それを平成十五年の秋口に八億五千万円で売ったんです。これは驚く以前に、何じゃいなという感じですね。  これ、どうなっているのと、この委員会におきましても相当質問質疑が出ました。しかしこれ、なかなか国民世論納得しません。特にこの原資というもの、資金は、中小企業零細企業を含めて事業主が明日の資金繰りの中から苦しいけれども出している。それを四百五十五億円でわっと建てて、あっという間に八億五千万で売った。その売った小田原市はすぐさま外資系の有名なホテルに貸して、今現在はそのホテル福祉とは関係なく営業している。これは納得できない。これはひとつ納得できる説明を、この委員会でも相当やりましたけれども、皆納得していない、国民も納得しない。これが納得できるような御説明をまず厚生労働大臣に承りたいと思います。
  7. 坂口力

    国務大臣坂口力君) このスパウザ小田原につきましては、各議員からも様々な角度からの御質問をちょうだいをしてまいりましたし、過去の問題であるとはいいますものの、現在、私がこの職にあらせていただくわけでございますから、すべての責任は私がこれは感じていかなければいけないというふうに私も自覚をいたしているところでございます。  今、お話がございましたように、過去におきましてはこうした施設、幾つかこれは造ってまいりまして、そして中小企業の中に働く人たちのためにこれを利用しようという趣旨でやってきたわけでございますが、しかしそれはかなりバブル以前のそうした考え方中心であったというふうに、私も率直にそう思っております。しかし、バブルが過ぎ去り、全体のこの環境というものは大きく変化をいたしました。その大きな変化をいたします中で、そこでやはり考え方を転換をしていかなければならなかったわけでございますが、過去のこの計画をそのまま持続をしてきたというところに最大の私は問題があるというふうに思っております。  確かに、国会等で御決議をいただいたということもあるわけでございます。参議院におきましても、衆議院におきましても、いろいろの御決議をいただいたような経緯もございますが、しかし、そうした潮目の変わりというものをやはり役所がよく認識をしてやっていかなければならなかったというふうに、率直にそう思っている次第でございまして、こうした事態になりましたことをおわびを申し上げなければならないというふうに思っております。  このスパウザ小田原につきましては、既に先ほど委員長からも御指摘をいただきましたように、小田原市に対しまして譲渡後の用途小田原市に対しまして売却をし、そして今後に対しましては、この譲渡後の用途公共性、あるいは職員の再雇用、十年間の用途指定条件に減額して譲渡をされているところでございます。  今後のことにつきましては、これは譲渡先との間の譲渡契約におきましても、健康リフレッシュ事業、あるいはまた公共性のある運営が行われるよう担保されているというふうに思っておりますし、今後、譲渡先からの定期的に報告を求めますとともに、運営状況を把握をいたしまして、施設公共性のある運営がされるように、有効活用されていくように努めてまいりたいと考えているところでございます。  そうした最初のその趣旨というものが今後も十分に生かされるということを大前提にいたしておりますので、その趣旨が生かされていきますように最大限ここは注目をして、そして皆さん方の御理解に努めてまいりたいと考えているところでございます。
  8. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 私は、総理の民でできるものは民でやろうと、民間でできるものは極力民間でやろうと、官支配を排除をしていこうじゃないかと、それが活力につながっていくぞということに大賛成でございます。やらなければならないと思います、民間にできるものは民間に。今までの日本社会構造というのはやはり官僚支配をしておると、官僚支配が余りにも大き過ぎた。はしの上げ下ろしまで官がやるというのはいかがかと私は強く思っておりますから。  これを踏まえて、この民にできることは民でやろうという総理の更なる決意と、そしてたまたま今スパウザ小田原が問題になっておりますけれども、そういった官でやってきたものを民に移譲するということの方針、こういうものをひとつ簡単で結構でございますが、お教えをいただきたいと思います。
  9. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) スパウザ小田原の例を取り上げられましたけれども、これは年金資金を使って、年金に入っている方々も利用するんだから福祉施設を造ることが必要だと、当時は反対者いなかったんですね。与野党、いいことだと。  そういうことで、しかしながら出て、雇用保険雇用保険だ、これは、雇用保険年金福祉施設も似たようなものです。あるいは、かつての郵政省関係のかんぽの宿とかメルパルクも同じようなことなんですよ。過疎地に便利な施設を建てれば喜ぶじゃないかと。いや、みんな嫌がる人いませんよ。近くに民間でやっているホテル旅館よりも安いと、しかもテニス施設とか温泉施設、いろいろ整備されている。で、料金が安ければ行きますよ。  しかし、よく考えてみれば、これは雇用保険なり年金保険料なり、あるいは郵便貯金のお金なり、どこかでだれかが負担しているんだということを考えなきゃいかぬということで、最近ようやく私が長年言ってきた民間でできることは民間に、郵政民営化もその一環なんですよ。公的部門不良債権を処理しないと国民の金が有効なところに使われませんよと。私は、こういう反省が出てきたということはいいことだし、今までやったことについて真摯に反省しなきゃならないと思っております。旅館にしてもホテルにしても、温泉施設にしてもテニス施設にしても、民間でできます。あえて雇用保険なり年金保険料を使う必要ないんです。  そういう点について、委員長指摘のとおり、より厳しく公的な資金を使う場合には本当にこれが国民のために必要か、国民の負担はどの程度かということを厳しいチェックの上に、どうしても民間でできないと、だったらば公的なものがやらなきゃならない、こう見極めが極めて重要な時代になってきたと思っております。
  10. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) ありがとうございました。  私の持ち時間が少なくなってまいりました。極めて早口、端的に御質問申し上げたいと思います。川口外務大臣にお願いしたいと思います。  昨年、ODA大綱というのができました。ODAを行う国、こういう条件が必要だよ、これ以外は駄目だよという精神だと思います。それは、軍事支出大量破壊兵器、ミサイルの開発や製造、武器の輸出入、こういったことをその動向を十分に検討してからしなきゃいかぬと、こういうことです。  中国はどうですか、中国。私は、中国軍事面では世界に誇る核保有国、重い軍事力を持っておる。また、有人飛行飛びました。びゅうっと宇宙へ一飛びして帰ってきてニーハオ。日本失敗連続経済面では大変な発展を遂げておる。これODAのこの昨年八月の大綱に抵触するかしないか。私、すると思いますけれども、簡単に、もうあと二分ですから箇条書で聞きます。  対中国ODAはこの昨年八月の大綱に抵触すると思われますか、思われませんか、これ一点。  二点目、参考教えてほしい。日本が今まで中国ODAをやってきたその累計はいかほどであるか。国民の税金がどれぐらい中国に行っておるか。  三つ目外務大臣として、今後、中国に対するODA、こういった議論がありますけれども、このまま続けられるか、なくす方向でいかれるか、なくすのか、増やすのか、この辺り教えてください。  四つ目。これで終わります。四つ目政府開発援助とかODA、司令塔が見えません、見えないという話はよく聞きます。私も見えない。責任はだれか明確でない。これは外務省なんですか、内閣なんですか。  先日、総理が北朝鮮、再訪問されました。そのときに、食糧支援あるいは医療費、これを支援する。この是非は問題ではありませんけれども、これについて、この決定過程外務大臣はどのように関与されましたか。どなたが決定されたか。  この四点について、もう一言ずつで結構です、お教えをいただきたいと思います。
  11. 川口順子

    国務大臣川口順子君) なかなか一言ずつというのは難しいんですが、まず第一問、大綱違反かどうか。これは違反でないと考えております。  金額ですが、七九年以降、ODA累計は三兆三千億円で、うち九割強が円借款でございます。  それから三番目、ODAについての今後の考え方。これは、引き続きODA大綱に沿って、中国との関係では日本との間で互恵的な、そのような援助を、したがって、環境ですとか人材育成中心ということで考えております。  それから、ODA責任でございますけれども、これは政府連携をしてやっていくということですが、それぞれ、外務省ODA予算の大半を、約五割を持っておりますので、外務省、あるいはそれぞれの官庁がやる部分ございますが、政府連携ということで、対外経済協力閣僚会議ということで考えております。  それから、日朝のときの人道でございますけれども、これは外務省内閣と官邸と一致して一緒にやりました。その過程でもちろん私もその意思決定には十分に関与をいたしております。
  12. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) ありがとうございました。  ただいまの御答弁であります。そのような信念を持って外務省は動いておられるということもお聞きをいたしましたけれども、しかし、日本からのODAでもって、中国は自らの国のインフラ、いわゆる地下鉄や空港や橋や、そういうものを日本からのODAで造って、自らの国の資金というものは軍事費に回しているのではないかと思う人が日本中に大勢おるということも承知しておいていただきたいということを申し上げて、私の質問は終わります。  続いて林芳正君。
  13. 林芳正

    林芳正君 自由民主党の林芳正でございます。  今日は総括ということで、総理以下閣僚皆様、御苦労さまでございます。  今、委員長から、お得意の剣道ばりにもう一本でぶった切ると、こういうような御質問がありましたが、私は剣道不得手でございまして、針のようにちくちく刺すような質問になろうかと思いますが、御容赦をいただきたいと思います。  今、お話がありましたスパウザ、また社会保険庁もそうでございますが、いわゆる特別会計の問題というのが言われて久しいわけでございまして、予算委員会でも私指摘をさせていただきましたが、前財務大臣塩川大臣が、母屋で両親がおかゆを吸っておるのに、離れで子供がすき焼きを食っておるではないかと。これ非常に分かりやすいお言葉だと思いますので、私もすき焼き嫌いな方ではありませんから、どういう肉や野菜を卵で食っているのかなと、そういう話をちょっと今日はしてみたいと、こういうふうに思うわけでございます。  もう党の行革本部でも財務諸表を作ったりいたしまして、かなり改革がそれなりに進んできておることも事実でありまして、今の予算、もう秋には決算が出るということで、再来年に出てくると思いますが、五千億ぐらいは見直しをしたと、こういうことでございます。  出る方いろいろ削ったと、雇用保険、さっきの問題ありましたけれども、そういうことに加えて、実は入る方も見直したと。羽田のレストランや空港、売店、一杯ありますけれども、ここの収入というのは実は空港整備特会というところに入ってくると。しかし、この賃貸収入というのが非常に安いレベルにあって、これを売上げに応じてもうちょっと払ってくださいよと、委員長も私もそうですが、民間出身ならすぐ考え付くことでありますが、これが今まで全くないんで、そこを見直しただけでも二十五億円増収だというんですね、今年一年で。そういうことも後ればせながらやっていただいておると。そして、この決算委員会でも五月十日に集中審議をやっていただいたということでありますし、私、今党の行革本部の事務局長をやっておりますが、そこでも今ヒアリングをずっとやっておるところでございます。  特会の意義は、これだけのお金が特定財源で入ってくる、また使用料が入ってくるから、その範囲で何とかやりましょう、これがそもそもの目的なんでありまして、それで足りないから一般会計から入れましょう、そして足したお金で本来の目的以外のことを、すき焼きを食うみたいなことをやっているんではないかということがやっぱり問題の根本にあると。自収自弁で行うという考え方でやっていただかなければならないわけでございまして、もう独立行政法人にするとか民営化にすると。今のある特殊法人は大分進んできましたが、特別会計にもやはりそういう抜本的な見直しをしていかなければならないと思いますが、まず総論で財務大臣に御決意をお伺いしたいと思います。
  14. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) この決算委員会、随分今年は特会の御議論も賜りまして、私たちもこの議論に堪え得るような特会にしていかなきゃならぬと、こう思っているところでございます。  それで、特会の見直しについては、財務省としては、昨年、財政制度等審議会におきまして総ざらえ的な見直しをやっていただきまして、十一月にその答申をいただきましたので、それを踏まえまして十六年度予算から、今おっしゃいましたような、総額五千億というのは、性質が違いますから、五千億という数字自体にどれだけ意味があるかということはございますけれども、事務事業等の見直しをいたしまして、歳出の合理化、効率化をやったと。それから、歳入歳出を通じた構造の見直しというようなことも取り組んできたところであります。  それで、特会の意義は、今自収自弁でやれという林委員の御指摘でありました。ただ、私どもからしますと、これは特定の事業に関して、収支であるとか、あるいは負担とその受益の関係をきっちりするということが、明確にしていくということがまず第一番の目的であるというふうに考えておりまして、必ずしも自収自弁に限る必要はないんではないかと思っておりますが、しかし、それにしても財政規律の確保ということはこれは当然やらなきゃいかぬということで、まず、固有の財源の有無にかかわらず、事務事業を徹底して見直しをしていくということが必要であると思いますし、今おっしゃったような事業の独立行政法人化であるとか、あるいは民営化といった視点も踏まえていかなきゃならないんだろうと思います。  それから、自収自弁に必ずしもこだわらないと申しましたけれども、一般会計等の組入れ、こういうものも、あるいは借入れといった歳入面、これも不必要なものは削っていくということは当然やっていかなきゃならないと思います。それから、そういう特会の中身の見直しをした上で、個々の特会の必要性というものもやはり常に吟味をしていかなければいけないということではないかと。  財政審の報告はそういう精神で書かれていると思いますので、今後ともそういう財政審の方針を踏まえてしっかり取り組み、当委員会の御検討にも十分堪え得るものにしていきたいと、こう思っております。
  15. 林芳正

    林芳正君 正にもう総論、大臣おっしゃるとおりでございます。  しかし、我々もここでいろいろやっていかなければ、なかなか財務大臣にお任せして主計局でやっていただくだけでは足りないなと思うのが結構ありまして、今日はちょっとお手元に、委員皆様に資料をお配りしておりますが、ここだけがすごく悪いとかいう意味ではなくて、一つの例として聞いていただければいいんですが、自動車損害賠償保障事業特別会計というのがございまして、これは車を買いますと自賠責というものに入ることが義務付けられておって、その保険料を払ってもらったやつを、基本的には保険ですから給付に充てると。しかし、その積立金も大変たくさんあった時代があったものですから、いろんな事業をこれでやっていこうと、こういうことであったわけでございます。  概要につきまして、三枚ほど、この概要と仕組みとそれから予算の紙をお配りしておりますが、この予算の紙を見ていただきますと、この特別勘定の中に、勘定が三つに分かれております。そして、保障勘定、これは正に給付をするところでございます。それから、積立金が一杯余っちゃったんで少しお返ししようと我々指摘をしまして、ユーザーの方に、自動車ユーザーの方に返すというのがこの三つ目の勘定でございます。  そして、真ん中のが自動車事故対策勘定ということで、独立行政法人で、事故でやっぱり本当に重い植物人間的な病気になってしまわれた方の病院を運営するとか、そういうことをやっておるんですが、そういう大きなパイの中で、この二番目の歳出の自動車事故対策費、六十九億四千九百万の予算になっておりますが、こういうところに目が行くようになると大分行革も慣れてきたなということでございまして、その次の紙を見ていただきますと、このうちで補助金としてどういうところにどういう名目で配っているかと。これも、同じ十六年度予算と、それから、ちなみに十三、十四年の決算と十五年の予算も付けていただきましたが、こういうところにいろんな名目でお金を配っておると、こういうことでございます。  そして、上からずっと見ていただくと、まあ事故相談やあっせんとか医療体制整備事業、医療機関に補助金で出す、この辺は何となく理解できるんですが、自動車事故防止事業ということで、財団法人何とかとか何とかセンターと、いろんなところに配っておられて、これは恐らく研修や啓蒙、こういう事業をやっておられるんではないかというふうに思うわけですが、これほどお金がないときに、これ、やった方がいいに決まっているとは思いますけれども、こういうところはもう節約をしてくださいよと十三年からずっと指摘をしているにもかかわらず、数が減ってきていないということであります。  まあいろんな原因があると思いますけれども、このそれぞれの財団法人やセンターにいわゆる天下りの方が行っていらっしゃる。そして、この補助金を上回る例えば給与をいただいているという数字ももう出ておるわけでございまして、なかなかそういうところを切り込んでいくのは至難の業だ。我々政治の目できちっとメスを入れていかないとそういうところはなかなかなくなってこないんではないかと、こういうふうに思います。  これは所管は国土交通大臣でございますので、国土交通大臣、行革も一緒にやった仲でございますので、決意をお聞かせいただきたいと思います。
  16. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) 林委員とこの部分については、十三年度以降、やはり無駄な補助金等々があるんじゃないかということで、現場を呼んで指導をしたということも覚えております。そんな中で、十四年度以降、五法人が行っていた六事業については補助金を廃止して、その他の事業についても補助金の減額ということ等々、政府と一緒になってやってこさせていただいたことは記憶に新しいところでございます。  これからも、委員指摘のとおり効果の低い事業、まあやらないよりはやった方がいいかもしれませんけれども、そんなことまでやるのかと言われるものはまだあると思いますので、こういうものをもう一回精査をさせていただきまして、必要なものだけに重点化をしていきたいと考えております。
  17. 林芳正

    林芳正君 ありがとうございます。  まあこれは、ここだけがこういう形ではなくて、いろんな、三十一ある特別会計のうち、事業やったり保険やったりしているところは一杯ありますから、網羅的に、これは財務省、総務省になると思いますが、今のような観点でもチェックをしていただきたいと思います。  ちょっと時間が今日は限られておりますので次に行きたいと思いますが、今お金の面からチェックをいたした特別会計というのがありましたが、公務部門も、さっき総理おっしゃった郵政というのは、今公社になって二十八万人いらっしゃるわけでございます。国立大学法人や独法等が外へ出ていきましたので、これがおよそ四十七万人と。国家公務員と言われている人は、今六十二万人それ以外に残っておるわけでございます。地方公務員は三百十二万人ですから、それに比べれば少ないんでございますけれども、六十二万人のうち、自衛官が二十五万人、そして国会や裁判所の職員、これが三万人ですから、いわゆる行政には三十三万人いらっしゃるということでございます。  そして、その内訳を、今日はテレビでございますのでパネルにしていただきました。ちょっと持っていただければと思いますが。(資料提示)このうち、もうこれを、一目瞭然でございますけれども、いわゆる地方の出先に二十一・七万人の人が行っていらっしゃると、これはもうそれだけの数字でございます。そして、この二十一・七万人の内訳を今日は持ってまいりましたので。こうやって二千人以上のものを各省別といいますか、多い順に並べてみますと、国税局、労働基準局、地方整備局、地方農政局と、こういうふうになってくるわけでございますが、これを見ていただくと分かりますように、非常にこの地方支分部局というのは昔からの流れによってまだまだめり張りが利いていないということが見て取れるわけでございます。  例えば、刑務所とか入管、税関といったところはもう毎年毎年増やせ増やせと、大変だと、こう言っているにもかかわらず、例えばこれ、これもここだけということではないんですが、地方農政局、農林統計を取っていらっしゃるところがまだ一万八千人もいらっしゃると。これ昔はもっとたくさんいらっしゃったんですが、随分減量をしてきているんですけれども、まだこれだけの方がいらっしゃると、こういうようなことでございます。GDPで農業部門は今一・四%でございますから、八千人からここになったといってももっとスピードアップして減らしていただきたいと。  そのとき大事なことは、農水省の中で減らすから農水省のどこか別のところへ持っていくんだと、これではなかなかいけないので、省庁横断的に縦割りを越えてこの再配分をしていかなければならないのではないかということでございますし、民間ではもう、麻生大臣御存じのように、リストラ、リストラということでやっております。公務員は生首は切れないと、こう言われていますけれども、こういうのをずっと見ていると、本当にそうかなという指摘もあるわけでございまして、この点について行管の所管であられます総務大臣の御所感をお伺いしたいと思います。
  18. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 基本的に同感であります。今、自民党の方の行政改革本部で今いろいろやっていただいていることにまず感謝を申し上げたいところですけれども、国家公務員のうち約三分の二が地方というのは事実でありますし、また今全体といたしまして抑制をしておる最中でありますのは御存じのとおりですが、その中でもいわゆるCIQ、CIQ、カスタム、税関、検疫、これインスペクションは何だっけ、入国管理、の三点につきましては非常に要望が多いところでもありますし、いろんな意味でこの点につきましてはめり張りを付けねばならぬということで、今回も増員をさせていただいておるのは御存じのとおりであります。  基本的には、今IT等々が非常に技術も発達しましたおかげで行政手続がすべてオンライン化でできるという法律も昨年二月委員会を通っております、役所を、済みません、国会を通っておりますので、こういったようなことについて、さらにそこで余せる人間も出てくるはずでありますから、そういった意味からいきますと、余った人間をいろんな形でほかのところに、必要とされているところに回す、枠はそこに空いてくると思っておりますので、今お説のとおり、役所の中で、その省庁だけでどうすると、その局だけでどうするということではなくて、全体で回していくという配慮をすべきだという御意見だと思いますが、その方向で今後ともやってまいります。
  19. 林芳正

    林芳正君 ありがとうございます。  正に総務省がそれをリーダーシップを取ってやっていただくということと、それから、実は、この国、先ほど数字をざっと申し上げましたが、国だけではなくてここの地方支分部局はやっぱり地方そのものとダブっているんではないかと。今、北海道の特区を検討を始められたということでありますが、例えば昔の北海道開発庁、今の何とか局と北海道庁の仕事はダブっているんではないかというのがこの見直しに連結をしてくるということでございます。  社会保険庁が今、大変問題になっておりますけれども、これ定員が増えております。それはどうしてかというと、徴収事務を国へ移管したものですから、地方分権の一環で、三百人程度これ増員になっております。地方はその分減ったかと聞いたら、今度介護保険が入りましたのでそれは増えてしまいましたと、こういうことでありましたが、この三百人増えた結果、徴収率は上がったというならいいんですが、私も含めて未納があるわけでございますけれども、この徴収率は落ちているわけですね。  やっぱり地方の顔見知りの人や町内会の人に頼んで近所のおばちゃんが来るから払っていたという人が、国家公務員の何とかさん来ました、ちょっと居留守かな、こういうようなことに実態はなっているんではないかというふうに思うわけでございまして、先ほど総務大臣おっしゃったように、ITの活用、いろんなことやったり、こういうことを考えながら、国民から見たら一か所で済むようにという、ワンストップの考え方をやっていきますと、やはりお金を払うところはもう税務署で終わりだと、年金保険料も厚生保険料も全部税務署で払えるようになったらいいなと、これみんなの素直な実感ではないかと思いますが、この徴収の一元化につきまして、厚生労働大臣の見解をお願いしたいと思います。
  20. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 徴収の一元化につきましては、現在の社会保険、雇用保険、労災といった厚生労働省の中の徴収の一元化は今進めているわけでございます。去年の、平成十五年の十月以降スタートをさせまして、そして現在その途上にございます。全部まだでき上がっておりませんが、この内部におきます四者、年金、医療、雇用、そして労災と、この四つの一元化につきましては、早急にこれをひとつ一元化をして徴収事務を簡略化し、そして人件費の方にもそれを生かしていくということにしなければいけないというので、進めております。  今、お話がございましたように、厚生労働省の中での一元化だけではなくて、他の機関との一元化を進めてはどうかという御意見がございまして、これは大きな議論でございますので、大きな立場からの御議論がこれは必要だというふうに思っております。  ただ、年金や医療は集めるだけではなくてサービスも付いて回るものですから、今度は年金をお渡しをするとかサービスを行うとかということが付いている。そこを、集めるだけの国税なら国税と一緒でうまくやっていけるかどうかという、そうした問題がございますので、それらのことも整理をしていただきながらここは進めていかないと。まず、何はともあれ内部における一元化というのを早急に進めなければいけないというので、現在やらせていただいておるところでございます。
  21. 林芳正

    林芳正君 大きなところでということでございましたが、正にこういうところや経済財政諮問会議政府におかれては、そういうところでも、そういう省庁をまたがった議論を是非していただきたいと思います。アメリカでは社会保障税というふうに税にしまして、内国歳入庁、これは日本の国税庁に当たるところでございますが、ここがもう全部一括して徴収をしているという国もあるようでございますので、是非その方向で検討をしていただきたいと思います。  先ほど申し上げましたように、地方の行革もやっていただかなければならない。ただ、今、三位一体が言わば急にがくんときたものですから、百メートル走だと思って走っていて一位になりそうでよく行革していたところも、急に二百メートル走だと、ゴールがあの辺になったらもうこんな全速力で走っていたのにという、そういう声も聞こえてくるわけでございますが、しかし、百メートル走でやるということを決めた上でやっぱり速く走ってもらわなければ、これ、なかなか国、地方に通じた行革にならないという観点で、一つ私が申し上げたいのは民間と比較した場合の給料ということでございます。  例えば、私は下関でございますが、この辺で駐車場を借りるような料金で下関では十分ワンルームのアパートを借りられる、そういう実態があるわけでございまして、これが東京で働いていらっしゃる国や地方の公務員と、地方で働いていらっしゃる国や地方の公務員の格差にきちっと反映されているか、これはクエスチョンマークが付くわけでございます。  やはり、今こういう厳しい時期ですから、身をもって自分から範を垂れるという姿勢も必要だと思いますが、経済財政諮問会議で議論されておられるというふうにお伺いしておりますが、総理の御見解をお伺いしたいと思います。
  22. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 先日、先週の金曜日でしたか、経済財政諮問会議でも麻生総務大臣からそういう話が出まして、人勧、人事院のいわゆる公務員給与、全国一律だけれども、実際、東京と地方では随分生活費の点において格差というか違いがあると。今言ったマンションを一つ取っても、東京の値段と地方の値段では随分違うと思います。そういう観点から、この公務員の全国一律給与という点についてももっと柔軟に対応できる方法ないものかなという議論をいたしました。  そういう点を含めて、今後、いわゆる補助金削減、税源移譲、交付税改革、三位一体の改革の中でも、地方の自由度、拡大していこう、裁量権を増していこうという中にも、公務員の給与という点についても、県知事なりあるいは地方公共団体の長にある程度、東京とは違う、全国とは、一律とは違う、その地方に合った給与体系というものを考えていいんじゃないか、そういう点を含めて今後検討しようという話になっております。詳しくは麻生総務大臣にお譲りしたいと思います。
  23. 林芳正

    林芳正君 ちょっと時間の関係で麻生大臣、御質問がもしかしたらできないかもしれませんが、今日、人事院の総裁にもいらっしゃっていただいております。  今のやっぱり格差を、総理がおっしゃるように、是正していくためのいろんなことをしなければいけませんが、その本当にささやかな第一歩として、国家公務員給与の調整手当というのがございまして、例えば東京から鹿児島へ転勤して、また東京へ戻ってくると物価が違うから調整をしよう、これの一番大きな率が一二%しかないんですね。ですから、一〇〇と一一二しか差が付かない。この国家公務員の給与に地方は今準拠をすると。ラスパイレス指数一〇〇だと、こういうふうになっておりますから、なかなかこの一二以上差が付かないところに、地方公務員、なかなか差が付かないと、こういうところがありますので、これはもう御指摘だけにさせていただいて、こういうところをまず見直していかなければならないんではないかということを、その指摘についてどう思うかということを人事院総裁一言で結構でございますから、お答えいただきたいと思います。
  24. 佐藤壮郎

    政府特別補佐人佐藤壮郎君) お答えいたします。  人事院といたしましても、公務員給与の地域差というのが民間給与の地域差に比べて小さ過ぎるではないかと、そういう御指摘はよく認識している次第でございます。  問題は、やはりいろいろな方法があるんだろうと思います、今御指摘のあった調整手当もそうですけれども。だから、そういう方法をどういうふうに組み合わせていったら最も効果的なのかということを今鋭意人事院の中で検討しているところでございます。いずれ詳しい具体案について御報告できるというふうに思います。
  25. 林芳正

    林芳正君 時間が参りましたので、尾辻先生にお譲りしたいと思いますが、今の国家公務員の人事院のあれを踏まえて、今度は総務大臣の方でも是非お願いしたいということを申し上げて、終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  26. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 関連質疑を許します。尾辻秀久君。
  27. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 今日は元々時間が少ないんでありますけれども、先ほど委員長が二分超過された分を私どものところで調整せいということでありますので、ますます短くなりました。  二点に絞って急いで質問をいたします。一点は、私がずっと追及をしてまいりましたドミニカ移民問題についてであります。  そのドミニカとハイチで去る五月二十三日から二十四日にかけて集中豪雨があり、両国合わせて死者九百八十一人、行方不明者三百五十二人、避難者約四万人という大惨事になってしまいました。被災者の皆様には心からのお見舞いを申し上げます。  その緊急援助が一千万円というのは、これは余りにも少ないと思いますが、阿部副大臣、どうでしょう。
  28. 阿部正俊

    ○副大臣(阿部正俊君) ドミニカの水害のことでございますが、ハイチとの国境付近で先生御指摘のようにかなり大きな洪水が起きたということでございますが、取りあえず緊急援助物資ということで、一千万円相当の物資を十七日に現地にお届けした次第でございます。  ただ、先生御指摘のとおり、被害の状況その他からしまして、決してまだ十分だというふうには申せないかなと思っておりますので、これから先よく検討してまいりたいと、できれば何らかの対応をしたいと、こんなふうに考えております。
  29. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 どこだとは言いませんけれども、偏ったところだけの大盤振る舞いはよくありませんから、ちゃんとしっかりやっていただきたいと思います。  移住問題に戻ります。  まず、総理に申し上げます。  総理は、先日の予算委員会で、率直に政府の非を認めていただいて、謝罪をしていただきました。このことはドミニカでも大きく報道されまして、移住者の皆さんは大変に感激をされ、涙を流されました。北朝鮮訪問のことも、いろいろな人がそれぞれの立場で発言していますけれども、私は、総理の行動を評価をいたします。どうぞ今後とも、問題解決に正面から取り組まれるその姿勢を崩すことなく頑張っていただきたいと思います。  そこで、問題は外務省であります。  総理の答弁は無視されたまんまであります。今日は、この決算委員会総括質疑でありますから、ドミニカの問題も一度整理するためにパネルを用意してきました。(資料提示)  ここに書いておりますけれども、移住者の皆さんを外務省は三回だますのであります。  最初はカリブの楽園と偽ります。そして、その最初のうそがついに行き詰まって集団帰国という事態になるのが昭和三十六年でございます。このときに、ドミニカに残る人にはもっと大きな土地を上げましょう、融資もしましょうと、またできもしない約束をするわけであります。このときの融資が問題のドル建て融資であります。このことは総理も是非一遍聞いておいてください。  ドルに換算して返済せよと、こう言います。一ドル一ペソのときに借りた人がいます。今、一ドル五十ペソなんです。ドルに換算して返せと言われると、一ペソ借りた人に五十ペソ返せと、こういうことを言うわけであります。すなわち、日本円で分かりやすく言うと、十万貸しておいて五百万返せというわけでありますから、こんなもの返せるはずがないんです。  で、そのまんま放置すると焦げ付きになって格好付かなくなるから、さあどうするかというと、しばらくすると元金に延滞利息まで加えて一遍そっくりそのまんま貸し付けるんです。そして、それを返してもらう。はい、返済は一遍終わりましたと、こんな勘定をしているんであります。ぐるぐるぐるぐるこれが回って、四百五十ドル借りた人が、今一万五千ドルの借金になっていますよ。そんなケースがあるんです。もうやみ金顔負けであります。自殺者まで出てます。外務省、これはどうしますか。答えてください。
  30. 鹿取克章

    政府参考人(鹿取克章君) JICAの融資の問題は重要な問題として認識しております。JICAとも相談した上で、具体的に検討していく所存でございます。
  31. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 短く答えてくれと言ったら、本当に短く答えました。  もう、要はやるかやらぬかですから、今検討すると言ったんだから、ちゃんとやってください。  さあ、そこで三回目のうそは平成十年でありまして、昔の罪滅ぼしをいたしましょうといって、ここに書いておきましたけれども、また変なことをしているんであります。  全部で九つの問題をここに並べました。ごらんいただきたいと思います。もう言いたいことは山ほどありますけれども、今日は先ほど来言っているように、時間がありませんから、一から四までにします。  一については、ドミニカ側の外交官、後に駐日大使も務められたデスベラデル大使が、日本外交政策の悔やまれる過ちであり、国家間外交術を知る者にとって理解し難いことである、ここまで言っておるわけであります。  なぜ、そんなことになったんですかと、私が一遍質問しましたら、外務省はトルヒーリョ元帥が暗殺されたからだと、こう答えたんです。よく聞いてください。移民が行われたのは、移住が行われたのは、ここにも書いてありますが、昭和三十一年から三十四年なんです。元帥が暗殺されたのは昭和三十六年ですよ。移民が終わった二年後なんです。こんなことが何の理由になりますか。しかし、荒唐無稽な答弁繰り返して訂正もしない外務省の体質というのは、今も昔も一つも変わっていないと言いたいのであります。今日は時間がありませんから、質問にはしません。次、行きます。  二番目です。ここに持ってきました。これが戦前の移民、アマゾン移住に際して作った報告書です。事前調査の報告書であります。それに対して、ドミニカ移民の事前の調査はこれですよ。十五ページしかないんです。このことを言うと、外務省は何て言うかというと、いやいや近藤、中田両技官の報告書もある、こう言うんですが、それ足したって七十一ページですよ。こっちは四百七十八ページあるんですから、そもそも比べ物にならない。  しかも、この調査をした中田技官は、後に雑誌のインタビューで、当時私が政府の役人という立場でネイバを調査に行きましたが、本当を申しますと、私が調査に出る二か月前に既に入植が決まっておりましたので、そんな先入観で調査をいたしましたので、その当時のことを聞かれましても調査を十分にやったと私も言えません。大変気の毒なことであって、謝っても申し訳ありませんとまで言っているんですよ。調査をした本人が謝っているのに、それで私がずさんだったと言うと、外務省というのは面白いところです、ずさんではなかった、不十分であったと言うんです。ずさんと不十分がどこが違うのか聞いてみたいですが、今日はもう聞きません。  三番目のことは、これはちょっと誤解があるといけないと思ったので申し上げておきます。  入植地はほとんど国境地帯だったんです。それで苦労されるんですが、ここに「殺人、レイプ」と書いてあるのは、そのころドミニカは囚人を国境に送って開拓させていたんです。だから殺人事件が起こり、レイプ事件が起こり、日本人が被害に遭っているんですよ。本当は調査したかと聞きたいけれども、どうせ調査もしていないんだから聞きもしませんが、これだけでも悲惨な話でしょう。  そして四番目です。もうこの四番目が移民悲劇の核心の話であります。  今日は写真持ってきました。一枚目、これがドベルヘというところであります。片面なんで両方見せてあげてください。済みません。(資料提示)よくお分かりにならないかもしれませんけれども、ずうっと塩なんですよ。ところどころに草があります。その草も葉っぱかじると思わず吐き出すほどに塩っ辛いんです。塩の砂漠でどうして農業ができるんですか。しかも、外務省はこのことを知っているんですよ。昭和三十二年八月十二日に吉田大使が藤山大臣にあてた報告には、例えばドベルヘの土地に塩分があるとの点を強調せられることは移住者の不安を抱かしめるおそれあり。この辺、移住者に対して本省担当官において要領よく御説明相なるよう特にお願いすると、こんな報告を上げているんですよ。要領よく説明せよというのはだませということですか。  次に、こっちがネイバです。(資料提示)見ていただければお分かりのとおりに、石の山ですよ。私、初めてここへ行ったときに、本当に私みたいな人間でも涙が止まりませんでしたよ。入植者の皆さんは、この石を片付ければ下から石が出てくると思って来る日も来る日も石集めたんです。そして、(「土が出る」と呼ぶ者あり)土が、ごめんなさい、興奮して申し訳ないです、土が出てくると思って石を片付けたんです。来る日も来る日もこんなに石積んだんですよ。その積んだ石が、山がずうっと続いていましたよ。しかし、どこまで掘っても土は出てこなかったんです。石だったんです。  そして、絶望して、ある人は、隣がハイチですから、ハイチに密入国すれば日本に連れて帰ってもらえるだろう、強制送還してもらえるんだろうと思って密入国した人がいるんです。この人は遺体になって帰ってきたんです。ある人は、せめて自分が死んだら女房、子供は日本に連れて帰ってもらえるだろうと思って、自ら命を絶ったんですよ。  それでも、それでも外務省は、まだあなた方に責任はないんだ、そう言い張るのか。もう一度答えてください。
  32. 川口順子

    国務大臣川口順子君) ドミニカの移住の問題でございますけれども、政府といたしましては、ドミニカの移住に際しましては、移住環境を整えるために当時できる限りの措置を取った次第でございますけれども、現地の予期せぬ政治経済状況の悪化、政権崩壊等によりまして、結果として移住者の方々が大変苦労をされたというふうに認識をいたしております。
  33. 尾辻秀久

  34. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 尾辻君。
  35. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 昭和三十六年に閣議決定を行いまして……
  36. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 いいです、もう引っ込んでください。あなたのそんな答えはもう……
  37. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 移住者の希望に対して……
  38. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 川口大臣質問者の質問を優先してください。尾辻君。
  39. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 委員長が私を指名したんですから、もう帰ってください。
  40. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 尾辻君。
  41. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 もうそんな答弁は繰り返し聞きました。その後も知っていますよ。最後、何と答えるか。道義的には責任があるかもしれません、そう言うのです。道義的にしか責任がないというのは、法的に責任がないと逃げているだけの話でしょう。ほかの責任はないと逃げているだけでしょう。  さっきの石の山をもう一回思い出してくださいよ。これもまた皆さん聞いてください。外務省の役人で現地に行って、あの石が三年後には肥料になると言った人が本当にいるんですからね。そんなばかな話は置いておいて、この石は昔から今までずっと石なんですよ。状況の変化なんか何の関係もないですよ。政変があろうとなかろうと石は石なんです。ここに連れていったんですよ。何が状況の変化で結果としてですか。そんな答弁はもうやめてもらいたいと思います。  先ほど来言っていますけれども、後の質問がありますので、本当に残念ですが、この問題は今日はここまでにしておきます。  移住の問題聞きましたので、言わば番外ですけれども、一点だけ尋ねておきます。  参議院議員選挙も近づいてきました。前回選挙における海外居住者の有権者数と投票者数、投票率を答えてください。
  42. 鹿取克章

    政府参考人(鹿取克章君) 前回の選挙は平成十五年十一月九日の衆議院選挙でございますが、推定有権者数は六十五万五千二百三十一名、登録者数は七万三千七百四十名、在外投票数は一万一千七百四十九、在外登録者数に対する投票率は一五・九三%でございます。
  43. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 投票率一五・九三、約一六%。余りにも低い数字であります。何か改善策考えますか。
  44. 鹿取克章

    政府参考人(鹿取克章君) 政府といたしましては、重要な問題でございますので、今後とも投票率、投票者数の向上に向け努力してまいります。次回選挙から、従来、在外投票に当たっては在外公館投票、郵便投票、これが原則として自由にできるようにしておりますが、引き続き努力してまいります。
  45. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 まあ、やるのかやらぬのか分かったような分からぬような答弁していますけれども、これもきっちりとやってください。  次に、大きく二点目として、政府開発援助ODAについてただします。  私たち参議院は、調査団を出して徹底して調査をすることにいたしました。このODAは、納税者の目で見ると問題が多過ぎるからであります。  私も、資料を集めてみようと思ったら、この下に持ってきているんですが、袋一杯あっという間に集まってしまいました。残りがせいぜい八分か九分で終えなきゃなりませんから、そのうちの五、六分使って問題を列挙してみたいと思います。  まず、外務省に尋ねます。  先ほどの委員長質問の続きみたいな話でありますけれども、中国がそれでは他国に援助しているか、債務の免除をしているか。もう数字はいいですから、しているかしていないか、答え教えてください。
  46. 古田肇

    政府参考人(古田肇君) 御答弁申し上げます。  中国は、一九五〇年代から他の国に対して援助を行っておりますし、また、最近では幾つかの国に対して債務の減免を発表いたしております。
  47. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 他国に対して援助していたり借金棒引きにする国に何で援助をしなきゃいけないのか、私には分かりません。  この例に見られるように、ODAの中には無駄、無意味なものが見られます。これ、一点指摘しておきます。  次に、住民に怒りを買うケースが多いことであります。  インドネシア・コトパンジャン・ダム建設について日本政府は住民に訴えられております。原告団の中には象もトラも入っていると聞きますけれども、原告団の数を教えてください。
  48. 古田肇

    政府参考人(古田肇君) 御答弁申し上げます。  コトパンジャン・ダムの原告数でございますが、第一次訴訟におきましては三千八百六十一名、第二次訴訟におきましては四千五百三十六名、合わせて八千三百九十七名でございます。  今、先生から御指摘のございました住民以外の点につきましては、スマトラの象、スマトラのトラ、マレーのバクを含む自然生態系も原告ということで登録されております。
  49. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 本当に象やトラが原告団に入っておるわけでありますが、まあこれは置いておいて、それにしても八千人以上の人に訴えられるようなことを税金を使ってやっていてもしゃあないでしょうと私は思います。この問題があります。  それから、三番目の問題であります。  相手国の政府高官や、とりわけ独裁者の懐を肥やすだけというケースもかなりあります。象徴的なインドネシアのスハルト大統領、フィリピンのマルコス大統領、この時代の援助額を教えてください。
  50. 古田肇

    政府参考人(古田肇君) 御答弁申し上げます。  マルコス政権の時代でございますが、一九六五年の十一月から一九八六年の二月までということで、支出純額ベースで申し上げますと二十二億二千九百五十四万ドルでございます。また、スハルト政権でございますが、一九六八年の三月から一九九八年の五月まででございまして、これもまた支出純額ベースで申し上げますと百四十八億七千百二十三万ドルでございます。
  51. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 いずれにしても大変な額であります。一言で言うと、巨額の援助が行われる。そうした中で、イメルダ夫人の靴三千足がODA援助で買われたなんて言えば、これは笑い話で済みますけれども、イメルダ夫人の要請で三十七億円掛けて造られた訓練所で修了者ゼロというのでは、これはもうもはや笑い話で済みません。こういうことがあるということも指摘をしておきます。  それから、四番目の問題であります。日本ODAが東南アジアの山をはげ山にしておるのではないかという問題であります。  タイのサムットプランカン排水処理施設は、これは環境ODAでなされたものであります。すなわち、環境を守るための援助でありますが、何とこれが環境破壊を招いたといって大騒ぎになっておる。もはやブラックユーモアにもならない、こう思うわけであります。ODA環境については私どももきっちり一遍検証してみる必要があると思います。  時間がありませんので、早口であと一点だけ言います。  単に日本の企業のもうけにつながっているだけというケースもあります。援助が来た、企業が来たと、こう言われるようなことでは駄目だと思います。  残りの時間で、まだまだ問題点はあるのでありますが、問題点の列挙は以上にしまして、これらの問題について外務省がしっかり説明責任を果たせるか、うみは出せるかということになりますので、この点についての指摘をしておきたいと思います。  先ほどの決算委員会で私は指摘をいたしました。セネガルの職業訓練施設で、建設のために金渡したらそっくりそのまま持ち逃げされて、それはどこに行ったか分からない、こんなケースすらあるんです。外務省は三年間全くほおかぶりしていますよ。三年たって会計検査院の検査でばれた。この前、どう責任を取るんですかと聞いたら、手続にミスはないから責任は取りません。いまだにだれ一人責任を取っていないのであります。これはもう、私どもの常識というか感覚とはまるっきり違っている。外務省の感覚というのはおかしいと思いますよ。八百万以上、九百万近いお金が持ち逃げされたら、もう私なんか地獄の底まででも追い掛けていって取り返してこようと思うけれども、外務省は全くもうだれ一人責任取らずに、しようがないんです、この外務省の姿勢というのはどうにもならない。このことは指摘をしておきたいと思います。  それから、これはまあどうしようかなと思ったんですが、ここまで言ったので言わせてもらいます。  私自身もできるだけの調査をしたいと思って、先日の連休使って、一番勝手知ったところがいいだろうと思ってドミニカに調査に行ったんです。一か月近く前から、その日は私はドミニカに行きます、ついてはこの大使館の職員の話も聞きたいんですと言ってあったんです。ドミニカに着いたら何と言われたと思いますか。私のいる二日間だけ休暇なんだそうであります。理由を聞いたら、このところ疲れぎみであったからと。そんな話が世の中通用すると思いますか。これを平気でやるのが外務省ですよ。もう一人、草の根無償の関係者で、急に連絡が取れなくなった人物もいます。  今後、本院の調査に対して誠意を持って臨んでもらいたいと外務省に最後に注文付けますが、答えだけはしてください。
  52. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 外務省といたしまして、ODAにつきましては、透明性、効率性、そして国民参加、この三つをキーワードに改革を進めてきております。引き続きその三つのキーワードを現実的に実施に移していくということが大事でございますので、引き続き努力をその意味でするように私からも十分に指示をいたします。
  53. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 納得しませんが、質問は終わります。
  54. 佐藤泰介

    佐藤泰介君 民主党の佐藤泰介でございます。  総理、御苦労さんでございます。よろしくお願いしたいと思います。  本日、十四年度決算締めくくり総括質疑を迎えたわけですが、三十五年ぶりに提出された国会の会期内で決算審議を終えた十三年度決算を上回る日程で十四年度決算審査最終日を迎えることができたことは、私も決算委員に籍を置かしていただいたものとして、決算委員参議院での取組が、さらに加えて、先ほど委員長から質問がありましたように、大きな成果を上げてきているというふうに思っております。委員長以下、関係各位に敬意を表しながら質問をさせていただきたいというふうに思います。  まず第一の質問でございますけれども、本委員会の法案とはちょっと違いますが、年金法案についてちょっとお尋ねをしたいというふうに思います。  それは、土曜日、日曜日、やっぱり地元へ帰りますとこの年金の法案がほとんど多くの方にいろんな質問をされるという、そういう状況に今ある。多くの議員が地元に帰ればそういう状況では今ないかというふうに私は思っております。そうした中で、今日こういう機会を与えていただいたことになりましたので、是非このことを総理に聞いてきてほしいというような地元の方々の御要望もございましたんで、ちょっと決算委員会とは趣旨が異なるかも分かりませんけれども、御容赦をいただいてお答えをいただければというふうに思います。  この国会ももうあと残すところ、今日を含めて十七日間となりました。当初、今国会、年金国会と銘打って、マスコミ等でも年金改正法案あるいは民主党案なども取り上げられ、様々な議論が進められてまいりました。しかし、衆議院での審議の内容は、衆議院での年金改革法の可決直後に実施された、多くの新聞で調査をされましたけれども、その中でも七〇%の方が今国会では成立させるべきではないと、こんなふうに答えてみえる世論調査もございました。私もそんな声を多くの方々から聞いております。  五月十一日の衆議院での可決後、十三日に森、谷畑両厚生副大臣、十四日には衛藤衆議院厚生労働委員長、十七日に小泉総理、二十七日に坂口厚生労働大臣などが、国民年金の未加入や未納に関する発言が続きました。  ここへ来て参議院での、先ほど日程的なことを申し上げましたが、年金関連法案の審議が大詰めを迎えたとして、本日、たしか地方公聴会が開かれていると聞いておりますし、与党は六月三日に参議院厚生労働委員会で採決、六月四日には本会議で採決する予定との、そんな報道さえもちらほら聞こえてくる状況になりました。  こうした状況の中で、総理は、これまでの審議で、国民の七割の方々が今国会で年金改正法案は成立させるべきではないと答えているそうした国民の世論に対して、国会において十分な審議がされてきたとお考えになっているのかどうか、また、こうした人々について今どんなお答えをされるのか、どんな所見をお持ちなのか、その辺り併せてお答えが願えれば有り難いと思います。
  55. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 年金の制度は、今までも国会の審議で指摘されたとおり、かなり複雑ですね。それぞれの就業形態も違う、給与も違う、そういう違いに対応しながら今まで制度が作られてきた。ですから、説明する際には、一つのモデルとしてある対象を中心にして話さないと理解されにくい面があると思います。  その説明した対象とされた一つのモデル的な形のものが、この時点では、この就業時、この年齢では違うじゃないかと言われればそれまでです。しかし、今までも、説明したときには一つのモデルを例にして、全体平均の保険料はこのぐらいですよと、給付はこのぐらいですよと、年齢はこのぐらいですよというモデルを例に出さないと、それ一々、国民年金はこうです、厚生年金はこうです、共済年金はこうですと、そしたらもう国民だってますます分からなくなってくるという点からいえば、私はある一つの例を参考説明するのも一つの方法かなと思っております。  まあしかし、それだけ年金制度は複雑だと。まして、就業形態が変わってくると、あるいは職業が変わってくる、転職すると入る制度も違ってくると。これもまた一々、人によって違うわけですから、これもまた複雑なことは事実ですが、考えてみれば、それだけ日本年金制度というのはそれぞれの就業形態に対して、職業に対してきめ細かな対応をしているということも事実なんですね。  今後、そういう審議を踏まえましてかなり問題点が浮き彫りになってきましたから、与野党が協議して、国民年金と厚生年金と共済年金が別々の制度でいいんだろうか、いや、これを一つの制度、一元化にしたらどうかという議論が出てきたと思うんであります。自由民主党、公明党、民主党が合意されて、年金一元化を含めて社会保障全体の在り方を今後議論し、より良いものを作っていこうという形で合意が見られたことは私は一歩前進だと見ております。  年金というのはもう何十年先のことでありますから、そういう制度の改正がなされたとしても、年金は、制度は続いていくわけです。保険料負担、給付、この在り方は、今後とも、どういう制度であってもこの論議を避けて通ることはできません。  でありますので、政府としては、今までの議論を踏まえて、今出している政府案を一日も早く成立させていただいた後、今までの議論を踏まえて総合的な年金制度の在り方について、政権交代が、替わったらまた制度が変わるということではなくて、与党も野党も、こういうことがいいんじゃないかと、持続可能な、高齢者が増えて保険料を負担する若い人が減ってきてもこの公的年金制度は維持されるというような案を考えていくべきときに来ているのではないかと思っております。  民主党も対案を出されました。対案にも賛否両論あると思います。そういう点も含めて私は、今後できるであろう協議会の中で議論していく必要があるのではないかと思っております。
  56. 佐藤泰介

    佐藤泰介君 大変御丁寧に御説明をありがとうございます。  私がお聞きしたのは、衆議院段階で通過をしたときに、七〇%というとかなりの人だというふうに私は思うんですけれども、そういう方々が反対をされたその理由といいますか、一言では言えないのかもしれませんけれども、総理としてはそこまで考えられて政府案を提出をされて、そして衆議院で審議をして、様々な角度から審議をされたその法案が成立するやしない直後に七〇%の人々がちょっとこれはという声を出された。あわせて、そういう状況にある今の参議院において、もう先ほど私が申し上げたような日程の中でこの法案が進められていくのかどうか、これは総理が直接答えられることではないと思いますけれども、前段の部分についてはもう少し補足をしていただけませんでしょうか。
  57. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 世論調査によりますと七〇%が今の政府案を支持していないというお話ですが、やはり問題点があるなと、より良い制度を作っていただきたいという声と私は受け止めております。この政府案が廃案になりますと現行制度は続くわけですから。また、今の政府案よりいいかというと、そうじゃないと思いますね。やっぱり現行制度が続くよりも政府案の方がはるかにいいだろうと。そういう中にあって、今の政府案についてもまだ問題があるから与野党協議をしていこうということであります。  私、その点は、この国民の声を真摯に受け止めてより良い案というものを与野党は胸襟を開いて議論していく必要があるのではないかと思っております。
  58. 佐藤泰介

    佐藤泰介君 いや、率直に今、政府案にも問題があるということは言われたと思いますが、この年金の問題についてはかなり前からいろんな議論を進めてきた課題でございます。そうした中で抜本改革ということをお互いの党が言ってきたと思いますし、一元化の必要も既に議論されてきたと思います。  しかし、今回あわせて、衆議院で出された法案、衆議院で通過をした法案が本当に抜本改革になっていたのかどうかという点に国民の皆さんもそういう考え方を持たれたんだろうと思いますし、また、先ほどモデルの問題を言われましたが、モデルの問題も、衆議院での答弁と参議院での答弁が食い違ったと言うと、また、ではないと言われるかもしれませんけれども、変わったことは事実だと私は思います。給付が五〇、それが下がっていく、掛金も名目賃金によって変わっていく、こうしたものが衆議院が通過した後に参議院に報告をされたというような問題。  私は、それ以上に大きかった問題は、やはり国会議員の未加入とか未納への対応への不透明さが私は挙げられるんではないかと、このように思っております。こうした国会議員の未加入・未納問題への対応への不透明さがこの問題をきっかけに年金制度への対応、理解が、正に国民の皆さんが複雑でいろんな分かりにくいのを理解し始められて、矛盾や問題点についての国民的な議論が私は深まってきたんではないかと。逆に、いい深まり方ではないと思いますが、逆な形で国民皆さん方が理解をして、そういう年金制度の問題点に気付かれ始めたんではないかと。  そうしますと、こうした未加入や未納問題をこのまま置き去りにして、様々な形が私はあろうと思いますが、このまま置き去りにして採決を急いでいけば、政治家と年金制度そのものへの不信が私は深まるだけではないかと。前よりよりいい制度だと総理は今言われましたけれども、大変な政治家あるいは年金制度そのものへの不信が深まっていくんではないかと。もう少し国民は分かりやすい制度を求めているんでしょうし、やはり一日も早い一元化を求めているんだろうというふうに思います。これは三党合意の中で進めていくと言われましたけれども、その進む道筋も私は一向に明らかになっていないというふうに思っております。  総理はこのことを十分に認識をされておみえなのかどうか、一元化への道筋の問題も含めてお答えを願えれば有り難いと思います。
  59. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、与野党協議会ができたからこそ、一元化を含めた社会保障全体の見直しをしていこうという、そういう機運になってきて、野党の皆さんも与野党協力して一元化を含めた議論をしていこうということになったんですから、これは一歩前進だと思います。  これを生きたものにしていくために、やはり積極的に、じゃ、どういう協議会を作ろうかというのを、できるだけ早く作られた方がいいと思いますね。そして、この現在審議されている法案につきましても一日も早く成立させていただいて、与野党協議が行われる間にも年金を給付される人、年金の保険料を負担する人はいるわけですから、そういう点についてはきちんと手当てをしなきゃならない。  私は、年金一元化が望ましいということの議論は、そう言っている民主党の皆さんも入っていただいてこそ、より建設的な議論ができると思うんですよ。一元化という考え方についてもそれぞれあるんです。一元化の考え、一様じゃありません。例えて言えば、国民年金と厚生年金と共済年金、全部一つにしちゃうのかという議論と、現在既に基礎年金の部分においては一元化されているじゃないかと、これからの一元化というのは厚生年金と共済年金を一つにする案だと、そして国民年金の一元化というのは更にもう一歩その後の案だという議論もあるわけです。それは与野党合意に基づいて、あの合意を作った方々がちゃんとその協議会の場で議論をしてもらえばいいと思うんです。  この一元化ということは、皆さん、国民の多くの皆さんはどういうものかということについてもまだはっきり分かっていない。これ、よく議論すべきところがありますよ。本当に所得に応じて負担するという場合に、納税者番号を導入することに対して多くの国民は賛成してくれるかどうかという点もあります。あるいは、国民年金は、事業、自営業者の方もおられます。そういう場合に、この一元化した場合に、今、厚生年金事業主負担の分、本人負担の分、これどうするのか、倍になっちゃうのかどうかという、そういう不安もあります。  だから、一元化の議論でも様々な議論があるんですから、年金の議論というのは極めて複雑であります。そういう点も含めて、私は、今回の国会での審議を踏まえて、早く協議の場を設けて、一元化を含めた、年金だけじゃない、医療も介護も含めた社会保障全体の議論をしていただきたい。これを、まずその協議会のメンバーで共通の、一元化とは何ぞやという共通の認識も取るためにもかなり時間掛かります。そういう点から、私は早く合意に基づいた協議会で議論をしていただきたいなと希望しております。
  60. 佐藤泰介

    佐藤泰介君 何か御丁寧に持てる能力全部発揮されて答弁をされたようでございますが、そうではなくて、国民の皆さんが非常に今のこの改革について反対をされてみえるという事実をしっかりとつかまえる、まず。その事実をしっかりつかまえると、これはちょっと信用できぬではないかと。国会も信用できないし、年金法案を作る人々も信用できないし、複雑過ぎて分からないと。それをここの時期に成立させてしまうよりは、もう少し今総理が言われたようなことを一つ一つ詰めながら、本当に抜本改革をやる。  もう今年限りしかこの年金法案の改正はないのか。私は、本当に国民皆さん方の今の声に耳を傾けるとするならば、今回は是非先送りをして、もう一度考え直して、今総理がるる言われたいろんな形のものをお互いが出し合って考えることが本当に今の国民皆さん方の声にこたえていくことになるのではないかと、こう思っておるわけでございます。  したがって、いよいよ採決だと言われ、そして国民の皆さんもそれを心配して、おまえ、こういう機会が月曜日あるなら、是非総理に伺ってこいと、それも国民の切実な私は願いであろうというふうに思ってここに立たしていただいたわけです。  したがって、いろんなそれは方法、形、あるんでしょう。しかし、今回のこの法案、もう少しすっきりした形で、こういう国会の未納や未加入の問題等々、あるいはこの制度そのものについて少しでも一元化に向けての歩みができる、合意ができたからすぐできそうだというんじゃなくて歩みができる、そんな形のものが、もう一回ここでやり直す、やり直すといいますか、もう一度できないものなのか。一たび今回の法案は見送るべきが国民皆さん方の声に耳を傾けることになるんではないかと、そう思っているわけでございますが、総理の御見解をお伺いします。
  61. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 現行制度とは違った、年金一元化を含めた社会保障全体の在り方を与野党で協議していこうというその合意ができたんじゃないでしょうか。だからこそ、早く今の政府案を成立させてその議論に進もうじゃないかと、それが合意なんですね。それを破棄しようということでは、あの合意は何だったのかということになってしまうし、そしてこの年金法案が、政府案が成立して当分続くわけです。じゃ、廃案にしたら現行制度が続くわけですよ。これまた、野党の皆さんも本意じゃないでしょう。だから、まずは政府案を一日も早く成立させて、合意をできた中で協議を進めていこうというのが私は国民にとっては一番望ましい形なのではないかと。  いずれにしても、年金制度は、個々の所得も違う、職業も違う、負担も違うんですから、なかなかすっきりしにくい制度です。人によって全部、給付も負担も違います。そういう点から、簡単にすっきりしろと言われても無理でありますけれども、できるだけ分かりやすいような制度にしようということで今後与野党が努力していく、そして政府も必要な資料を皆さんに提供するように誠心誠意対応していきたいと思いますので、私は早く与野党の協議会を立ち上げることが政治の責任ではないかと思っております。
  62. 佐藤泰介

    佐藤泰介君 どうも私の言っていること、三党合意と総理が言ってみえることと、どうもかみ合っていないと私は思っております。  いずれにしても、私自身は、ここまで来たこういう様々な疑惑、疑惑といいますか不信を持ってみえる国民皆さん方にどうこの年金法案はこたえていくべきかということについては、ほかの質問もございますが、一度白紙に戻して考え直すべきだと、私はこのように思っております。そのことを申し上げておきたいというふうに思います。  次に、決算について改めてお伺いしますけれども、十四年度決算を見ますと、租税収入額は四十三兆八千三百三十二億円ですかね、当初予算に比べて二兆九千八百二十八億円、補正予算に比べても四千四百二十八億円も下回っております。  バブル経済崩壊後、税収の過大見積りが恒常化してきておりますが、本院が警告決議で何回か繰り返した適正な税収見込みを求めたにもかかわらず、十四年度もこの悪弊から脱することができなかったと思います。国会で議決された予算の執行実績という決算の性格からして、税収の過大見積りが続いていることは国会を欺いているのに等しく、大きな問題であると私は考えますが、この点についての総理責任をどうお考えなのか、所見を求めます。
  63. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 税収見積りにつきましては、従来から、予算編成時点で判明しております課税実績であるとかあるいは政府経済見通し、こういうものを基礎にして適正な結果になるように努めてきたわけですけれども、今委員が御指摘になりましたように、近年では当初見積りと経済状況が大分違ったであるとか、あるいはその経済実態が動いてきたというようなことで、残念ながら結果として税収が不足となったと。これは平成十三年度もそうでございますし、十四年度もそうでございました。  したがいまして、どう見積り精度の向上に取り組んでいくかということでありますけれども、平成十六年度どういうことをやったか具体的に申し上げますと、まず大法人に対する聞き取り調査というもの、これは対象法人の追加とか調査項目の見直しを行いました。それから、地方の企業や中小企業に関して、これは新たな試みなんでありますが、国税局あるいは財務局を通じて各地の地場産業、そういったものの収益動向に関するヒアリングを行いました。それから、民間調査機関からのヒアリングということもやっておりますが、その対象を増やすと。それから、一般的な企業収益動向とか経済見通しに加えまして、円高の進行が企業収益にどういう影響を与えていくか、こういった観点から、税収見積りにより有益な具体的な事項についても意見の聴取を行ったところでございます。それから、経済財政諮問会議等での御議論も踏まえまして、税収見積りの前提となる足下の経済状況や今後の見通しなどについて内閣府との連携強化にも努めてまいりました。  こういった具体的な工夫を積み重ねまして、経済の変化、経済構造の変化に伴って、税収見積りもしっかりそれをフォローしていくような努力を積み重ねたいと思っております。
  64. 佐藤泰介

    佐藤泰介君 確かにいろんな努力がされていると思いますけれども、余りにもその乖離が大き過ぎるんではないかというふうに思いますが、大変難しい予測だろうというふうに思いますので、更なる努力をしていくべきだろうというふうに思いますし、あわせまして、小泉内閣が骨太の方針で掲げた国債発行三十兆円枠、この初年度の十四年度にして未達成に私は終わったと思っております。財政構造改革法が初年度の平成十年度で挫折したことを想起させますが、十四年度の公債発行額が三十五兆円に上ったことを総理は一体どのように考えてみえるのか。  適宜適切な経済対策の結果ということであれば、初年度から税収予測が大幅に乖離してもよいのでしょうか。そうであれば、現在政府が掲げている二〇一〇年初頭のプライマリーバランスの黒字化そのものの実現性を全く信じることができない、そういう状況も想定されるんではないかというふうに思いますので、この点についての総理の所見を求めます。
  65. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) この十四年度国債発行枠を三十兆円以内にしようという目標は、税収が五十兆円程度あるという予測の下でした。しかし、結果的に税収が大幅に落ち込んで三十兆円枠を守ることはできませんでしたが、私は同時に、経済は生き物だから、その経済状況を見ながら経済が失速しないように大胆かつ柔軟な対応を取ると言っていたんです。  当時、民主党は法律で縛れと言ったんですよ、三十兆円枠を。その議論の中で、私は、法律で縛る必要はないと、経済は生き物だから、政府はその状況を見て判断しなきゃならないからって。民主党は三十兆円に縛れと言ったんです。それを私は拒否したんですよ。結果的にこれ拒否して良かったと思いますね。  そして、ようやく三年たって、今経済、上向いてきたんです。そして、プライマリーバランスも回復してきているんです。やっぱりあのときぎりぎりに、三十兆円の枠という設定があったからこそ、ぎりぎり見直しが済んだという面もあるんです。しかしながら、そういう、私は枠にこだわらないと、経済の状況に、枠を突破してもこの経済を死なしちゃいかぬ、活性化しなきゃいかぬということで、増税もしちゃいけないだろうということで、あえて三十兆円の枠を突破せざるを得なかった。  しかし、今考えてみて、そういう柔軟な対応が、ここに来て経済に明るい兆しが見えてきたと、余計な財政出動をしなくても、民需主導で、民間主導でだんだん明るくなってきたという状況になってきたなと。当時の私は判断というのは適切ではなかったのかなと思っております。
  66. 佐藤泰介

    佐藤泰介君 何か結果で、結果が合えばすべて良しというような答弁のような気がいたしますが。  かなりこれは、三十兆は公約をされたですよ、高らかと。そして、プライマリーバランスもこういうふうにしていくとなるというふうに、かなり数値を挙げて公約された問題が、そうではなかったから、やらなかったからうまくいったというのは、じゃ何で最初に三十兆ということを言われたのか。そのことの説明がないと、結果が良ければすべて良しというような、そういうことですか、総理の政治は。
  67. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは、当時は国債をもっと増発しろという声もかなり強かったんです。しかし、考えてもごらんなさい、税収が五十兆円そこそこなのに、三十兆円の国債を発行してもまだ足りないのかと、そんなことで本当に財政はもつんですかということで、私はある程度財政規律というものを大事にしなきゃいけない、これから、ということで目標を掲げたんです。これは今後も変わりません。どんな野方図に、どんどん、増税はできないから国債を発行しろという声にはすんなり耳を傾けることはできない、いずれ国民がこの国債のツケを払わなきゃならないんですから。そういう点も考えて、私は財政規律というものを考えて一つの三十兆円枠を設けたんです。  私は、そういう中で、民主党は、じゃ国債をもっと減らせと言うんだったら、主張して結構です。減らした場合にどこを削減するのかということをはっきりと対案出していただければ、これまた国民が、ああ、その予算を切ってもいいのかといって、もっとより分かりやすくなる。
  68. 佐藤泰介

    佐藤泰介君 時間が来ましたので、ありがとうございました。
  69. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 関連質疑を許します。千葉景子君。
  70. 千葉景子

    千葉景子君 今、同僚の佐藤議員の方から年金問題についての質問がございましたので、私も、ちょっと順番は変わりますけれども、年金にかかわってお尋ねをしておきたいと思います。  先ほどの総理の御答弁がありました。どう考えても、やはりこの際無理やり政府案を採決をすると、そういう理由は全く分かりません。そういうことは全然答弁になっておりませんでした。むしろ、やっぱりこの問題点をまずきちっと整理をして、そして新しい一元化の年金にまずゼロから審議をし直していく、これがやっぱり筋ではないかというふうに思います。  私は、率直に言って、国民の皆さんは、小泉総理始め閣僚などの皆さんに未納、未払というようなことがございました。年金に対して、やっぱり庶民の、そして、もう本当に頑張って何とか将来の生活を年金をもって何とか安定させていきたいと必死の思いでやっているそういう皆さんに対して、あの何かむとんちゃくぶり、こういうことが国民の怒りを買っている、そして、そういう手によって無理やり年金をあいまいなままにその場しのぎで決められてはたまらないと、こういうのが率直なやっぱり国民の意思ではないかというふうに思います。  で、お尋ねをしたいと思うんですけれども、この間の質疑で小泉総理の厚生年金の加入問題、これが明るみに出てまいりました。明らかになったことは、一九七〇年の四月から一九七四年の十一月まで厚生年金に加入をされていた。この途中からは既に衆議院議員に当選をされているということです。  どうやら総理御自身も、その勤務実態については、普通の国民が一般的に思い浮かべるいわゆる会社員ではなかった、サラリーマンの経験がない、こういうことを言っておられるわけですから、実際に仕事に就いて一生懸命汗を流していたということはなかったということだと思います。次の選挙に当選するのが仕事だと言われたと、こういうことですけれども、これは本当に国民に対しては、勤労者に対しては本当に愚弄する私は言葉だというふうに思います。  今、普通の働いている皆さん、例えばパートなどで働いている皆さんなぞは一生懸命頑張っています。しかし、時間数とか働く日数とか、そういうことが一定不足をするということがゆえに厚生年金には加入できない、こういう状態があるわけですね。そういうことを考えますと、勤務はしていない、太っ腹の社長さんだなぞと言って、それを何か得意げに言っているような、そういう態度は本当に国民を愚弄しておりますよ。そうです、もう女性などは本当に怒り心頭というところだというふうに思います。  もし、それが許されるならば、あんた、働かなくてもいいよ、だから厚生年金入って給料上げるよ、そんなこと普通の人が言ってもらえますか。やっぱり小泉さんだから特別扱いにされていた。そういうことがあるから、やっぱり国民はもう一度ゼロに戻して、そして本当に痛みをきちっと理解をして、そして年金の議論をし直してくれ、こう言っているわけですよ。どう思いますか。
  71. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは、私を応援してくれていた社長さんみたいな方はそんなに多くいませんよ。そういう有り難い方だからこそ、あんたの仕事は次の選挙で当選することだと、そしていろいろ御支援をいただいたと。  私は、毎日決まった時間に会社に出て、決まった時間に退社して、皆さんと机を並べて、そういう一般的な会社員というイメージがあります。そういうことから考えればそうではないと。しかし、社員には変わりなかったんです。  いろんな会社がありますよね。ある会社においては、一、二年仕事しなくてもいいから旅行していろという会社もあるんです。だから、社員の実態とかはどうかというのは会社によって違いますから、私は、今回、落選中、ああ、小泉を応援してやろうという形で、そういう大変太っ腹でいい方に巡り合えたということについては本当に感謝しております。その御支援があったからこそ私の今日もあるんだと思っていますが、それと今の年金制度の改革とはまた別であります。  当時は、私は、今の年金制度について、三十年以上の前のことについてあれこれ言われても、何で問題にされるのか、おかしいなと思っているぐらいですから、社員においてもいろんな社員がいる、会社の社長においてもいろんな社長がいる。たまたま私は、落選中、そういう御好意の社長に巡り合わせて御支援をいただいていたと。私は何らやましいことはございません。
  72. 千葉景子

    千葉景子君 そういう発言がやっぱり普通の市民の常識と、勤労者の常識とは離れているわけですよ。自分は有り難かった、それはそれでも結構です。しかし、普通の人がそんなことできますか。あり得ないですよ。そういうことをやっぱりとうとうと述べてられる、何か得意げに述べてられることが今、やっぱり皆さんの信頼を失っているんですから、そこをきちっとわきまえてくださいよ。  それで、いいですか、聞いたことにきちっと答弁をしてください。その責任は感じていないのかとお尋ねをしているんですから、そこにきちっと答えていただけない、これは非常に問題だというふうに思います。  この年金、小泉総理は、そうやって厚生年金にも余り意識がなかったようですけれども加入をしていた。しかし、例えば先ほど申し上げましたように、今女性などは本当に今の年金では大変将来が不安だ、こう感じているわけです。女性の方が男性と比べると平均的な寿命も長くなっている、単身で老後を暮らすという人も非常に増加している。こういう中で、例えば厚生年金、男性十九万八千円余り、これが平均的な受給額です。それに対して女性だと十一万そこそこ、これが平均です。これはいろんな条件があります。男性、女性の賃金格差もある。そういう中でやっぱり低い年金額で大変不安な思いをしている。あるいは、厚生年金に加入していないという場合には、夫が、配偶者がどういう立場にあるかということによって年金も異なる。自営業の方であると、一人、単身になれば基礎年金、これも女性の方が非常に低い。そして、サラリーマンであれば遺族年金、遺族厚生年金が受給できるけれども、しかしこれも万が一に離婚というようなことになれば、またこれも基礎年金のみということになります。  こういう形で、一方では働きもせず厚生年金にも加入をできてしまっていた。こんなことがある一方で、一人一人、やっぱり女性であれ、働いている皆さんであれ、非常に不安な今中で、年金どうにかしてほしい、こういう今みんな感じている、ここがやっぱり問題なのでありまして、先ほどのようなお答えではなくして、やっぱりこの際、年金については、こういう不安、そしてまた多くの皆さんが本当に、何とかこれから将来の安定した年金の制度、それを求めている。それならば、ここで拙速に、あと何日もないです、年金の論議、この国会でやり切ってしまおうと思えば。そこで閉じめをしてしまうのではなくて、一回本当にきちっとゼロに、原点に戻って、そして論議をし直すということが必要だというふうに思います。  この女性が置かれている、あるいは多くの働く皆さんが、複雑な制度の中で、年金の受給が大変不安定な、そして将来不安を感じている、こういうことに対して総理はどんなふうに認識をなさっておられるでしょうか。
  73. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) こういう今の御指摘の点があるから、政府は改革しなきゃならないということで今政府案を提出して審議をいただいているわけです。  今までの制度でいいというんだったらば、この政府案は廃案にして、これから議論する間、現行制度は続いていくわけです。その場合に、現行制度だと、負担の方は、厚生年金の場合は、将来高齢者がどんどん増える、そして若い保険料負担してくれる方が少なくなっていくから三〇%近く負担になっちゃうんですよ。  それを上限一八%程度で抑えますよ、同時に給付は高齢者が増える段階でこれ以上増やすわけにいきません、しかし一つのモデル対象を例示して、これは六十五歳の時点では五〇%程度下限を設けますよと、こういう給付と負担をはっきり数字で示したんですよ。これ、ほっとくと保険料負担はますます増えてしまう。そうしたら、現在の公的年金制度が、もう若い世代が減っていくのにこれ以上負担し切れないという問題が出てくる。  年金というのは、よく考えていただきたいんですけれども、民主党の案も、保険料が上がり過ぎるから下げなさいと言っていながら、消費税三%なり四%ぐらい上げなさいと言っているでしょう。ということは、保険料負担と、税負担と、給付はどの程度になるか、開始年齢がどのぐらいになるか、この組合せしかないんですよ。すべて、給付も余分にたくさん上げます、保険料負担も下げます、そして税負担もありません、そんないい制度ないんです。  だから、私は、こういう点について率直に今与野党で協議を始めようというんですから、私は今の法案を成立させていただいてからそういう建設的な方向に向かって審議を一日も早く進めた方がより建設的な議論に結び付いていくものと思っております。
  74. 千葉景子

    千葉景子君 問題点があるから、そういう意味では案をまとめるまでに時間もあるんです。施行までにも時間がある。だとすれば、ここで全部決着をしてしまうのではなくて、じっくりと議論をすればいいじゃないですか。強く私はそこを指摘をしておきたいというふうに思っております。  さて、こういう中で、私は時間が限られておりますので、決算にもかかわります問題で、ちょっとイラクについてお尋ねをしておきたいというふうに思っております。  イラクでは、大規模な戦闘が終結したと米国が宣言してからもう既に一年以上が経過をしておりますけれども、戦闘は収まるどころかますます泥沼化しています。激化して、そして比較的平穏と言われていたようなムサンナ州等においてもやはり厳しい衝突が起こっている。自衛隊の宿営地周辺でもロケット弾攻撃が発生する、こんな状況です。  そして、大変残念なことではありますけれども、つい先般、フリージャーナリストの橋田さん、小川さん、銃撃をされ、そして小川さんについては既に遺体の確認が終了したということも伺っています。  そもそも、イラクへの自衛隊派遣というのはアメリカの大義なき武力行使、そして占領政策に加担をする、またイラク特措法の要件においても非常にあいまいだということで、私たちはこの派遣については強く懸念を持ち、反対をしてまいりました。特措法もやはりそういう趣旨を持って、非戦闘地域ということを一つの基準にしています。しかし、今の状況どうでしょうか。この非戦闘地域、これを決める基準となる戦闘行為、国際性、計画性、組織性、継続性と、こういう要件で判断をされていると言われますけれども、既にこの要件も大分揺らいできた、こういう状況でございます。  政府は、この法律に沿って自衛隊の撤退ということも視野に入れた準備をもうすべきときが来ているのではないかというふうに思いますが、どのように御認識をされているでしょうか。これ、総理に聞いているんですからね、総理ですよ。
  75. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 石破防衛庁長官
  76. 千葉景子

    千葉景子君 違う、総理総理にお聞きしています。
  77. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 石破防衛庁長官。先に、あの……
  78. 千葉景子

    千葉景子君 総理にお聞きしています。
  79. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) それでは、小泉内閣総理大臣
  80. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 現在のイラク情勢は厳しいものがありますが、サマワにおける自衛隊、この状況においては、非戦闘地域であり、人道支援、復興支援活動を行っておりますので、これを続けていきたいと思っております。    〔委員長退席、理事岩井國臣君着席〕
  81. 千葉景子

    千葉景子君 じゃ、加えてお尋ねをしますけれども、六月末にはイラクに主権が移譲されると、こういうことになろうかと思います。これについて、今、新しい国連安保理決議が採択をされるというような方向になっておりまして、その中で多国籍軍が結成をされる。この原案では、米英では、米英の草案という中では、多国籍軍はこれまた治安維持のために必要な武力行使も含めて多面的な様々な活動を展開をするんだということになっているようでもございます。  この六月末ということを踏まえて、そして多国籍軍が結成をされる。自衛隊はどうなるんですか。この多国籍軍に加わるという形を取るんですか、それとも、多国籍軍との関係はどうなっていくのでしょうか。もしこれに参加をする、それに言わば支援をするということになると、このイラク特措法以上に武力行使というものとかなり一体となって各行動が取られるということにつながっていくのではないかというふうに私は懸念をいたしますけれども、その辺り、多国籍軍への参加と、それから自衛隊の今の活動と、これから六月に移譲された後の多国籍軍との関係等々はどのように考えておられますか、認識をなさっているでしょうか。総理に、総理にお尋ねいたします。
  82. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これから国連で新しい決議が採択されようとしております。どのような案文になるかというのはまだ決定した段階ではございませんが、そのような状況を見ながら、日本国際社会の一員としてどういう責任を果たしていくかということを考えなけりゃいかぬと思っております。  その際、今、千葉議員は一つの前提でお話しされたと思うんであります。言わば、多国籍軍が武力行使をするんじゃないか、あるいは治安活動するんじゃないかと。  その部隊に日本が国連の決議があれば参加するのかどうかということでありますが、私は、日本は、国連の新しい決議ができて、その決議基づいて国連加盟国はその責任を果たしてくれという要請が来た場合、どういう貢献ができるか、支援ができるか、協力ができるかという場合には、それは憲法にのっとって、そして今のイラク特措法にのっとって考えるべき問題であると思っております。ということは、武力行使を目的にした部隊には日本は参加いたしません。そういう状況をよく見極めて、日本に何ができるかということを慎重に見極めていきたいと思っております。
  83. 千葉景子

    千葉景子君 このイラクの自衛隊の派遣に伴って大変多くの財政支出がなされております。ただ、実際にどのぐらい財政が支出され、そしてどのような、それによってイラクの国に対して、あるいはイラクの復興支援に対して成果が、貢献ができているのかという辺り、本来、決算委員会等で検証すべき課題であろうというふうに思います。  ただ、正直言って、決算書等々ではこのイラクの復興支援活動に対する経費の全貌というのはなかなか分かりにくいんですね。取りあえず私がいろいろなところを引っ張りながら計算をしてみますと、約、まず十六年度予備費から二百六十八億円の使用が決定をされている、それから十六年度予算で百三十五億円、これが計上されている。ただ、ここには、どうやら隊員の給与とか船舶、航空機、車両の運用経費というようなものは必ずしもここには含まれていないようでもございます。  また、一方、ODAの方でもイラクの支援ということで総額五十億ドル、これが復興支援ということで基金に供出をされていると。全体でこういう数字なのかどうか、あるいはもっと支出があるのかどうか。本当はこういうところをきちっとこの委員会等に出していただいて、そして、一人当たり国民はどんな負担をしているんだ、どんなそれによって復興の支援の効果が上がっているのか、こういうことをきちっと説明をする、分かりやすく説明をする責任があると思います。それによって、やっぱりイラクへの自衛隊派遣このままでいいのか、あるいは引き揚げたり、あるいは考え方を変えた方がいいのか、こういうこともやっぱり議論できるわけです。  そういう意味では、この経費とそしてそのやっぱり効果、そんな点については、総理、もうちょっと親切に国民にも分かりやすく説明をすべきものではないかというふうに思いますけれども、その辺り、これまでどうも不足をしているように思いますが、いかがでしょうか。  総理考え方をお聞きをいたしておりますので、総理に御答弁を願いたいと思います。数字は細かく要りません。今、考え方を聞かせていただいているのですから、結構です。時間もありませんので、総理のお答えをいただきたいと思います。
  84. 川口順子

    国務大臣川口順子君) じゃ、具体的なその数字もかかわることでございますので、簡単に私から取りあえずまずお話をさしていただきたいと思います。  それで、その予算の件ですけれども、これにつきましては、ODAでは今まで支出をしたのは八億五千万ドル。自衛隊との関係では、これを車の両輪として積極的にイラク復興支援をしていくという考え方でおります。例えば、自衛隊のやっている活動と一緒に併せて、NGO支援でサマーワの母子病院に医療機器を供与をした、保育器を供与した、それを自衛隊の医務官の方が指導しながらそれを使っているというようなこともあるわけでございまして、金額からいえば今のところ八億五千万ドル、二〇〇七年までに五十億ドルを最大限としてというふうに考えております。
  85. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 決算委員会でありますので、どのような分野に使われたか、これはしっかりと報告して説明をすべきだと、こういう御意見、ごもっともだと思っております。
  86. 千葉景子

    千葉景子君 じゃ、終わります。
  87. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 公明党の遠山清彦でございます。  本年の決算委員会は、鴻池委員長の強力なリーダーシップの下、与野党一致して迅速かつ濃密な決算審議を行い、五月の末、今日でありますけれども、審議を終えることができました。鴻池委員長並びに同僚の各委員に敬意を表するとともに、公明党として、今後とも行政の無駄遣いを徹底的にチェックをしていくこの参議院決算委員会の充実のために全力を尽くしていくことを改めてお誓い申し上げたいと思います。  それでは、質問させていただきます。  まず最初に、総理に伺います。  先ほども出ておりましたけれども、特別会計の見直しでありますけれども、日本国の予算といいますと、一般的に政府の一般会計約八十二兆円規模が言われているわけでありますが、特別会計は、先ほども出ておりましたように三百八十七兆円、合算しますと予算総額は約四百七十兆円でございます。ただ、一般会計と特別会計の会計間相互の繰入れがありますので、その繰入れ等を控除した国庫歳出総額の純計額は二百四十二兆四千三百五十二億円、これ今年度でございますけれども、でございます。  この二百四十二兆余りの国の予算のうち、特別会計が占めるのは二百七兆円、非常に大きいわけでございますけれども、近年に至るまでこの一番国庫支出総額で大きいところを占めている特別会計への見直しの取組が本格的になされていなかったというふうに私は思っております。  先ほども出ましたけれども、平成十六年度の予算案では、財務省が具体的な改革に着手をして、五千億円以上の圧縮を実現をしたということで、そこは高い評価を我々もしているわけでありますが、しかし、今後、総理、過去に大量に発行した国債の満期が訪れて、その借換債の問題で債務償還費がかさんでいきますので、財務省が今年の、今年度のように一生懸命努力をして、何千億単位、何千億円単位で圧縮をしていっても、特別会計全体の額は膨張していくと。特に、借換債の満期が非常にたくさん来るピークの二〇〇八年に向けて非常に膨張するというふうに言われているわけです。  そこで、総理に、この今三十一あります特別会計の更なる整理合理化についてどういう取組をされるか、御決意を伺いたいと思います。
  88. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 塩川前大臣のとき以来、特別会計問題点ありと、厳しく見直していこうという方針を現谷垣大臣の下でも存続、その方針どおりやっていこうということで今見直しを進めております。  先ほども林議員質問にもありましたように、特別会計、いろいろ多岐にわたっておりますが、一つ一つ整理合理化できないか厳しく見直して、財政面において将来の過大な負担にならないように、国民の負担の増大にならないように厳しく見直しを行っていく方針であります。
  89. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 総理、是非厳しく見直していっていただきたいと思います。  続けて、この特別会計に関しまして財務大臣にお伺いをいたします。  特別会計に対して頻繁に指摘される批判の一つに、官僚の隠れ財布だというものがございます。これはどうしてそういう批判が出てくるかというと、それぞれの特別会計に所管官庁があって、法的には谷垣大臣財務省の主計局に査定の権限があるけれども、実態上はそれぞれの特別会計を所管している省庁になかなか口を出せないということがあるというふうに私も理解をしております。  それからもう一つ、国民から見て国の予算がなかなか分かりにくいのは、一般会計と特別会計の間で、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、相互にお金をやり取りしているんですね。ですから、政府全体の予算は、名目だけ見たら四百七十兆と言われているんですけれども、実際動いているお金というのは二百四十二兆、これも実際分かりにくいと。  そこで私は、特別会計予算政府全体の予算を透明化しなきゃいけないという意味で、各省庁が使っているお金の一般会計と特別会計を合算した財務書類を省庁別に作って、それを国民の前に全部明らかにするということが大事で、これは今までに一回もやっていないんですよね。それで、今財務省でこれ検討されていると、財政審の検討を受けて。  そこで、私、これ質問というか要望なんですけれども、平成十五年、今平成十四年度決算やっていますが、来年度のこの参議院決算委員会に間に合うように、平成十五年度の決算について、各省庁が一般会計だけじゃなくて特別会計でも幾ら持っていてどういうふうに使っているか合算した財務書類を財務省が作って出していただきたい。御答弁お願いします。
  90. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今、遠山委員がおっしゃいましたように、個々の特会のいろいろな見直しというだけではなくて、特会がどれだけ国民に分かりやすく、あるいは国会で御審議いただくときも全体が見通せるようなものにしていけと、一種のアカウンタビリティーを高めろというのは財政審の御指摘の中にもありまして、私たちもそれを旨としてやっているわけであります。  御指摘の省庁別財務書類の作成基準ですが、今正に財政審におきまして、今年の六月、取りまとめようということで今詰めの議論を行っていただいているところでございまして、これをやはりきちっと踏まえまして、各省庁の一般会計と特会を合算したものが分かるようにしていこうということで今作業をやっております。  それで、できるだけ早くその六月に取りまとめていただきましたらそれが具体的な産物になるようにしたいと思っておりますが、ただ、これ一つは、通常の決算作業だけではなくて、発生主義へ修正していくといったような技術的な問題、今までやってなかったこともございます。そういう新たな取組でございますので試行錯誤をも若干要るかなと正直言うと思っておりまして、平成十五年度の省庁別財務書類を提出するというのが目標で理想ではありますけれども、今直ちにそこを明確に申し上げることは少しまだ苦しいかなと正直言って思っております。
  91. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 いや、谷垣財務大臣は大変優秀な自民党の大先輩の政治家でありまして、私は財務省の役人の方にも聞きましたけれども、来年の三月ごろまでに何とか作れるんではないかというふうに聞いております。ですから、これは谷垣財務大臣が決意をして強力にリーダーシップを発揮して指示をしていただければできると思いますから、これは非常に画期的なことになると思いますので、是非来年のこの参議院決算委員会では、我々が資料として各省庁の一般会計と特別会計予算、合算した財務書類を手にして充実な議論をしたいと思います。よろしくお願いいたします。  続きまして、先ほど来ちょっと出ておりますけれども、ODAについて外務大臣に一点だけ今日はもうお伺いします、時間もありませんので。  お手元に資料、配付をしております。これは、今年の四月二日に総務省が発表したODAに関する政策評価の中で大変興味深い資料がありましたので、配らせていただきました。  この資料の題名は、タンザニア、アフリカにあります「タンザニアにおける援助協調の円滑な推進」というタイトルになっておりますけれども、この資料を読んで、私、やはりこれは問題だなと思ったわけでありますけれども、日本ODA事業の場合、現地の事務所の権限、裁量権が非常に弱い、その弱い点が国際社会で問題になっているということがここで指摘されているんです。  総理、見ていただきたいんですけれども、この右側の下の方に破線の枠の中に米印が付いたところがありますが、そこをちょっと読ませていただきます。「日本は、在外公館に草の根無償資金協力の採択権限が賦与されている以外は、すべて本省」、外務省ですね、「本省やJICA本部の了承なしには援助関係の業務を決定することは不可能」。その上、見ていただきますと、国連開発計画、UNDPタンザニア事務所のコメントが載っております。これは総務省の調査に対して言ったんだと思いますが、「日本の現地機関に権限委譲がなされないと、タンザニアをめぐる援助環境の動きが激しい現状にあって、援助国・機関の間の連携を強化していくことが困難」であると。つまり、現地の、これは多分会計的に言えば、現地事務所に余り裁量を上げ過ぎると勝手にいろんなプロジェクトにお金を上げるから問題だということで、財政規律を保つとか会計上のアカウンタビリティーを保つということで外務省は現地事務所にやっていると思うんですね。  ですが、総理、私、議員になる前にNGOのスタッフで東チモールへ行きまして、正に同じ経験をしているんですよ。JICAのスタッフのところへ行ってNGOに援助をしてほしいと話をしたら、これは全部外務本省、JICAにファクスで送らなきゃいけないと、百枚ぐらい。それで、三か月ぐらい審議してそれから返事出ますと言われて、私はもう現地の国連の行政官から来週からやってくれっていうプロジェクトを持っていっているのに、もう日本関係駄目なんですね。で、アメリカの米国開発援助庁、USAIDへ持っていったら即決でオーケーだったんです。  そういう経験私もありますから、外務大臣、是非、総務省からもこういう指摘出ていますので、もうちょっと現地事務所の裁量、権限を強化しないと、幾ら日本が平和構築で頑張ります、人道支援で頑張りますと言っても、機動性、迅速性、これ充実しないんじゃないんですか。御答弁をお願いします。
  92. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 昨年の八月にODA大綱を改定いたしましたけれども、その中に現地化ということがうたわれておりまして、五十五の国においてJICAとJBICとそれから大使館でODAの現地化といいますか、現地でやるということで今始めております。  それで、考え方としましては、先ほどおっしゃられたように、これは会計手続の透明性等々ございまして、最終的な決断、これは東京において各省庁との連携もございましてなされなければならない。ですが、その最終的な決断に至るまでのところは現地でやってもらおうということで、大体三段階に分けて今やってきておりまして、今の時点で三段階目の最初のぐらいのところまで来ているわけです。最終的な決定はそういうことで東京でということはこれは変えられないんですけれども、その前のところは現地でという考え方でおります。  それから、国際機関との連携の件ですけれども、例えばタンザニアで、これは農業について、国際機関、それから現地の政府、それから日本、ほかの国、合わせて、例えば一緒に協議をしてやっています。それは、日本が事務局的な役割を果たし、なおかつ議長も行っているということで、国際機関も含めて、ほかの国も含めて、政府も含めて、十分に連携は取っているということでございます。
  93. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 今、外務大臣、現地化という言葉を使いましたけれども、やっぱりお話伺っていると最終決断は東京でしますという。ですから、これは現地の事務所の所長さんが、現地で国連機関の代表、各国政府の代表、NGOの代表と会議したときに、あ、それは全部持ち帰ります、あ、それも持ち帰ります、それも全部東京で決めますとやっていたら会議にならないんですよ。  それで、これは今、国際社会開発の現場では、やっぱりいろんな国連機関でもその機関同士でいろんな利権の争いとかがあって、やっぱりそれを取っ払って協調していこうという時代に入っていますから、是非、この現地化という言葉も私ちょっとどういう意味かよく分からないんですが、現地の権限、裁量権を財政規律を担保した形で広げていっていただきたいと、これは要望をさしていただきます。  次に、先ほども出ました公務員の定数削減問題について麻生大臣に伺います。  やはり、私も現場を回っておりますと、国の、政府の削減努力は甘いんではないかという厳しい御指摘国民からよくございます。平成十五年度で見ますと、国家公務員の数は、一般会計、特別会計合わせて全体で約八十万人。八十万人のうち、総務省の資料によれば行政機関に働く国家公務員でいうと約五十一万人。この約五十一万人が今年度三十三・二万人。先ほど林議員のパネルにありましたけれども、三十三・二万人に減るんですが、これはほとんど独法化の影響で一気に人数が減るだけなんですね。  これはもう新聞でも指摘されていますけれども、私、最近、行政府の定員削減の純減、純粋な減少の数だけ見ますと、最近ペースが鈍化しています。平成十四年度は九千二百七十一人純減、平成十五年度は千八百七十九人純減、そして何と今年度はたったの四百四十五人の純減になるわけです。  私は、先ほどの林委員の意見にも賛成でして、もっと省庁を超えてこの人員の、余剰人員の配属、転配、それから削減というものを総合的にやっていかなきゃいけないと思うんですが、麻生大臣の見解を伺うとともに、今、総理政府内で総理のリーダーシップで行政効率化連絡会議というのができたんですが、ここでは、ここでは定数問題を扱わないというふうに私聞いておるんですね。そうしたら、どこで一体、各省庁間のこういう人員削減問題を調整するのかなと、そこも疑問なので、その点ももし併せて麻生大臣お分かりであれば。
  94. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 行政機関のまず話を今されましたけれども、ちょっと遠山先生、最初に、この資料、多分もらわれたこともあろうかと思いますが、これは人口千人当たりの公務員、地方公務員の数の比率、比較なんですが、日本は三十五・一人、これは自衛隊、そういうのを含めまして。それで、フランスはこれは世界で一番多いんですが九十六・三。アメリカが八十・六。一番少ないのはドイツで五十八・四ということになっておりますから、その国際比較からいきますと日本はかなり少ない方ということはまずちょっと頭に入れておいていただいた上で、その上で話をしていただかぬと、私らも見ても、ああ、これじゃ随分ふらふら遊んでおるやつが多くてたまらぬなと、特に地方に行くといつもそう思うものの一つなんですが、問題点として、数としてはほかのところはもっとそれぐらい、世界に比べれば実はそんなじゃないんだよということはちょっと頭に入れておいていただかぬと、いかにも日本だけがということではないというのが一つです。    〔理事岩井國臣君退席、委員長着席〕  もう一点は、純減というのはこれは累積でずっと純減していきますので、その意味で比較というのは比例比較という、案分比例ということとは、これは予算と違いますので、ちょっとそこのところはなかなかなじまぬということが一つ。  もう一点は、このところ急激になっておりますのは警察官、それからいわゆるCIQというその税関、インスペクションですか、それとクアランティーンというのは何だったっけ、植物管理官、そういったような検査官の動員というのはもう物すごい勢いで需要が多いし、また、刑務所も今やたらめたらと需要が多い。刑務所の需要が多いというと変な言い方ですけれども、とにかく刑務所は一杯。したがいまして、刑務所に対して増設せいと。その増設すれば当然、いわゆるそこに刑務官、いわゆる刑務所に勤める職員が要りますんで、その分の増員が要るということになって、そっちの方は増やしている中で減らしておりますんで、その面では結構純減というものを言った場合には総枠としては確実に今減っておりますし、いろんな意味で十年に一〇%という目的をその線では進めておりますし、今増えた分につきましては、じゃどこで補っているかといえば、それは間違いなくITやら何やらを使って、もうここは何も人間で使わなくてもええではないかというところは機械化に置き換えておるというところで、かなりの部分を置き換えておりますので、更に努力はせねばならぬところだと思っておりますけれども、基本的には減っております。
  95. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 日本がいいことでナンバーワンになっていくことは少ないですから、それはもう数字が、人口千人当たり一番公務員の数が少ないという数字は私もグラフを見ましたけれども、是非、それでももし無駄があればどんどん削減していくという姿勢でやっていただきたいと思います。  時間が大分なくなってまいりましたので、総理総理にこれお答えいただきたいと思うんですが、資料も配付をしております。少子化対策の充実について伺いたいと思います。  先日、私、ある地方の役場で働く若者と懇談する機会がありました。その人は福祉関係の職場で働いているんですが、その人がいわく、職場で、福祉関連の補助事業は高齢者向けは多いけれども児童向けは本当に少ないなと、やっぱりその原因は、政治家から見ると高齢者は有権者だし投票率も高いし、だけれども子供は投票権がないと、だから児童関係の支援事業は少ないのだろうという会話をこの地方の町役場でしていたという話を私は聞きました。  調べてみますと、総理もうよくお分かりだと思いますが、これは数字でやっぱり裏付けられちゃうんですね。社会保障給付費、社会保障給付費全体における高齢者関係の給付と児童・家族関係給付の比較をしてみました、簡単に。社会保障給付費全体、これは平成十三年度までしか最新のデータありませんが、八十一兆四千七億円。日本の一般会計予算と同じぐらいもう使っておるわけですね、年金とか介護とか、いろんな関係で。そのうち、高齢者関係の給付で五十五兆九千五百十七億円使っております。全体に占める割合は六八・七%。それに対しまして児童・家庭関係ですね、これ中身見ますと、児童手当、児童扶養手当、児童福祉サービス、育児休業給付、出産関係費、全部入れております。全部入れても二兆九千八百九十億円ですから、全体に占める割合は三・七%と。つまり、社会保障全体の中で七割近くが高齢者だけれども、少子化対策頑張ります、子育て支援頑張りますと総理も我々公明党と一緒に叫んでいただいているんですが、数字見ると三・七%しかない。  これは、私、年金の法案の審議でも言わせていただいたんですが、今、一・三二の出生率を一・三九に回復することが財政計算の前提条件の一つになっているわけです。そうしたら、そこで当然導き出される話は、少子化対策政府は、小泉政権はどこよりも頑張るということが前提に年金の法案も出ているということになるわけでして、総理、私調べたら、この三・七%、日本でなっている数字、ドイツでは約九%、スウェーデンでは約一〇・五%、倍以上です。  ですから、これは大ざっぱな質問になりますけれども、この社会保障給付費を、特に児童手当とか、私は小学校六年生まで拡大してもいいと思っていますけれども、もっと日本は力入れないとこれは大変なことになると思いますが、総理の御決意伺いたいと思います。
  96. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 少子化対策は、単なる一省庁の問題でなくて、政府挙げて、各分野、総合的な問題がありますから、これから充実していかなきゃならない課題であります。  確かに、今資料拝見したところ、高齢者の予算に比べれば少ないということでありますが、単なる児童だけじゃなくて、社会全体、働きやすい、女性参加がしやすい、そういう、子供だけじゃない、子供を産みやすい、育てやすい、そういう環境という面も考えていかなきゃならないと思いますが、少子化全体として、今後力を入れなきゃならないと思っております。
  97. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 終わります。
  98. 小池晃

    小池晃君 日本共産党の小池晃です。  二〇〇二年度、これ厚生年金加入者が大幅に減少して、年金運用で大きな赤字を出した年でありますが、この年金財政の決算をますます悪化させようとしている年金制度改革についてお聞きをしたいと思います。  年金の給付削減しますけれども、現役世代の収入の五割以上保障しますというのが、これは政府のうたい文句だった。これは自民党のパンフレットなんですけれども、表紙は総理の顔のアップで、この中で、年金については、給付水準を標準的な世帯で現役世代の収入の五〇%確保と書いてあります。それから、これは公明党のパンフレットなんですけれども、そこには、給付水準を五〇%以上確保して、暮らせる年金を保障していますというふうに書いてあるんです。  こうしたキャンペーンを行われてきたんですが、最近になって、この五〇%確保というのは年金受給が始まる六十五歳のときだけで、その後はどんどん低下していく、最終的には四〇%台まで下がるということが明らかになりました。そんなこと、このどっちのパンフレットにもこれ書いてないわけであります。  総理は、五月十八日の厚生労働委員会で、なぜこんな大事なことを今まで説明しなかったのかと私が質問したらば、こういう議論よくしてきたとお答えになった。しかし、国会で総理自身が説明したことは一度もないと思うんですが、したというのであれば、いつどこでやったのか、教えていただきたい。
  99. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは、私が出席した委員会におきましても、あるいは他の委員会におきましても、そういう議論はされておりました。私が答弁しなくても、坂口大臣も答弁されておりました。  一つの説明をする際には、標準的なモデルを示した方が分かりやすいというのも御理解いただけると思うのであります。そういう点から、何歳なら幾ら、何歳なら幾らということじゃなくて、六十五歳時点においては五〇%程度ですよと。今、小池議員指摘されたように、高齢者になればもっと下がるじゃないかという議論も各委員会で、私は答弁しなかったんですけれども、たしか坂口大臣はそういう話をしておられました。  だから、今後、こういう状況においては政府説明と違うじゃないかという点につきましては、言っていただければ、違うのか違わないのかということについてはやっぱりしっかり政府も答弁しなきゃいかぬと思っております。
  100. 小池晃

    小池晃君 これは、聞けば答えるということじゃなくて、最初から説明しなきゃいけないんですよ。しかも、これはいろんなモデルの話じゃないんです。一番典型的なモデル、皆さんがモデル世帯としていたケースで五割保障しますというのが看板だった。しかし、それが実は最初の六十五歳のときだったという話なんですから、これはいろんなモデルの話じゃないんです。モデルの一番中心の部分で話が違っていたということなんです。総理自身もこれは説明してないということをお認めになった。  しかも、厚生労働大臣どうなのかといいますと、坂口大臣は、衆議院での強行採決の後の、新聞報道されたのがこれ五月一日ですが、その五月一日の新聞報道の後の五月七日の衆議院厚生労働委員会でこう言っているんですね、私は新聞を拝見して初めて知ったわけでございますと。ですから、担当の坂口大臣もこれは新聞報道があるまで五〇%割れすること自体知らなかったんじゃないですか。
  101. 坂口力

    国務大臣坂口力君) それは、そんなことありません。私が申し上げましたのは、衆議院におきましても古川議員がパネルを使って御質問になる、私はそのパネルを示しながら議論をさせていただいたということを申し上げているわけであります。ただ、その中でパーセントを何%というのは言わなかったのかもしれませんけれども、そのパネルにはちゃんと書いてもらってあるわけでありますから、それを見た。  今、五〇%が四〇%に下がっていくではないかというお話は、これは年金をもらうようになった皆さん方が、それから後、これはいわゆる消費の上昇率とそれから賃金の上昇率が一緒であればそのまま五〇・二%でずっといくんですよ。だけれども、いわゆる物価の上昇率よりも賃金の上昇率の方が上になれば、それは先々、十年先、二十年先にその賃金、若い人の賃金と比較をすれば少なくなるということはあり得る。だけれども、ここは物価の上昇よりも賃金の上昇の方が上に行く、上がり方が大きいような社会を作っていくことが我々にとって大事なことではないかというふうに思っている次第でございます。
  102. 小池晃

    小池晃君 今ね、大事なことおっしゃった。パーセント言わなかったというんですよ。しかし、皆さんは、あなた方は五〇%、五〇%ということを金科玉条として言ってきたんじゃないですか。ところが、その数字は言わなかったということは、これを一番大事にしてたあなた方が言ってたこの数字言わなかったって、これ重大なことなんですよ。これがあなた方の唯一のこの法律のうたい文句、看板だった。その数字を国会で言わなかったとはっきりおっしゃった。  しかも、なぜこの問題重大かというと、現役世代の収入の五割を割り込むというと、実際の受け取る年金どうなるかとこれ換算してみますと、これ物価や賃金、今の賃金水準として計算すると、厚生年金では、これ四十年間一生懸命働いて夫婦で現在二十三万三千円、モデルですが、これが十六万円の値打ちに二十七年後にはなってしまうということになるわけです。国民年金でいいますと、四十年間毎月欠かさず保険料を納め続けても六万六千円ですが、これが今、四万五千円の値打ちに二十七年後にはなってしまうということになる。しかも、これ丸々受け取れない。ここから介護保険料を取られる、国保税が引かれる。ですから、これは実際の手取り、もっと少ないわけで、四十年間一生懸命掛金納めても、厚生年金、夫婦で十六万だとすると一人八万円ですよ。それから、国民年金四万円余り。正に、生活保護水準以下の、四十年間一生懸命働いて掛金納めても、そういう水準に値打ちとしてはなってしまうという大改悪だと。  私、総理にお聞きしたいんですが、公的年金の水準をここまで引き下げてどうやって生きていけと総理おっしゃるんですか、お答えいただきたい。総理、お答えいただきたい。
  103. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 公的年金は、創設当時はお小遣い程度じゃないかという批判をしている方もおられましたけれども、今や公的年金は大事な生活を支える柱になっています。  しかし、公的年金だけで全部生活費を見るということとは違うと思うんですね。大きな柱の一つになってきているというのは事実でありますが、そのほかに日ごろの備えをしていかなきゃならないという点もあるでしょう。  そういう点から見て、私は、どの程度が公的年金必要かというのは、今後ますますいろいろ議論の俎上にのせられると思いますが、やはり給付と負担、そして経済状況によっても違うと思いますが、いろいろな点から議論されてしかるべきだと思います。公的年金だけで全部生活費を見るというものではございません。
  104. 小池晃

    小池晃君 公的年金だけで生きていけないというのであれば、百年安心の年金制度などという看板はでたらめじゃないですか。百年間これで安心だというふうに宣伝されたわけでしょう。今、はっきりおっしゃいましたよ。公的年金では生きていけない、それだけでは暮らしていけない、そういうことになるんだと、はっきり公的年金制度の変質を言っている。一方で、国民に対しては百年安心の制度だと。  これ、どう整合性を取るんですか。全く矛盾しているじゃないですか。
  105. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは、公的年金ですべて生活できる人も一部にはいるでしょう。しかし、公的年金以外に自分の蓄えているものもあるでしょう。そして、なおかつ生活保護制度というのもあります。いろいろな組合せです。そういう中で、しっかりとした社会保障制度を作っていこうということであります。
  106. 小池晃

    小池晃君 年金だけで暮らしていらっしゃる高齢者家庭というのは六割超えているんですよ、高齢者世帯の。しかも、今、貯蓄のない家庭、どんどん増えているわけですよ。日銀の調査でも二割超えているわけでしょう。  そういう中で、公的年金、何とかこれで生きていこうと思っている人に、公的年金だけで生きていく時代は終わったと、こんなこと言えるんですか。私は、本当に重大な、全く国民生活の実態を分かっていないと。こういうことでは、本当に百年安心などという看板はきっぱり下ろしていただきたいというふうに思います。  しかも、これ今、朝日新聞のアンケートでは七〇%がこれ成立させるべきではないというふうに言っている。共同通信のアンケートでは、見送るべきだが六七・七%、成立させるべきだという二二・七%を大きく上回っていると。こういう不信の状況の中で強行すれば、私は、年金なんというのは本当に信用できないという気持ちをかき立てることになってしまうというふうに思うんです。結局こういうやり方は、強行するというようなやり方は、正に年金の土台を崩すことになりかねない。  しかも私は、年金をめぐって今ほど政治の信頼が地に落ちているときはないのではないかというふうに思います。私は、こうした中で強行するということは、政府年金改革案に賛成であろうと反対であろうと、私は絶対やってはいけないことだというふうに思います。  今やるべきことは何か。国民の不信を取り除くために私は三つのことをやる必要があるというふうに言いたい。  一つは、給付は五〇%確保する、こういう看板、偽りの看板崩れたわけですから、こんな法案をこのまま国会で通すわけにはいかない。法案を撤回し、出直すということを求めます。  第二に、国会議員閣僚年金未納問題、これが問題になっている。国会議員とか閣僚というのは、私は、特別の責任がある、法律を作るわけですから、それを国民に押し付けるわけですから、これは特別の責任があるわけで、我々日本共産党は、こうした自覚に立って全議員の納付状況を最初に発表いたしました。しかし、自民党は法案を提出した政党として特別の責任があるにもかかわらず、いまだに公表していない。これを直ちに公表するべきだと。総理、自民党総裁でもあるわけですから、これを、国会議員が強制加入となった八六年以降の全議員の在職中の納入状況を、これを発表するということをやるべきだと。  第三に、国会議員の互助年金制度の問題であります。  これ、国庫負担七割にも上る極めて特権的な制度であって、私は、国民年金に対する不信のこれが一つの大きな土壌になっていることは間違いないというふうに思います。  この制度は一九五八年に作られました。そのときの国会審議を見ますと、これはあくまで国会議員の互助制度で、国庫負担は事務費に充てるのみだというふうに当時説明されているんです。ところが、年々国庫負担が増えていって、今年度予算では実にこれ国庫負担割合七二・七%です。十年間加入すると年額四百十二万円、月三十四万円の年金がもらえる。こんな国会議員の特権はなくすべきだというふうに言いたい。  総理がもしも民主主義を大切にすると言うのであれば、これだけ年金制度をめぐる国会への不信が渦巻いているんですから、この三つをやっていただきたい。潔くこの法律は撤回をして、そして自民党議員の未納の公表を行う、議員年金の問題に決着を付ける、国民の信頼を回復する努力をしてから、しかる後、来るべき参議院選挙で各党が年金改革案をお互い闘わせて、そしてその後の国会で年金改革の本格的な議論を行っていく。私はこれが民主主義の基本ではないかというふうに思いますよ。是非この三つを総理、お答えいただきたい。これが今こそ国民に対して我々が果たすべき責任ではないかと思いますが、見解を伺います。
  107. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) まず第一点、国民が七〇%以上見直すべきだ、反対だからこれを廃案にしろという点でありますが、これは是非とも、今回の政府案を提出しておりますので、一日も早く成立させていただきたいと。そして、今国会で審議されたいろんな問題点、これを今後与野党協議の場において真摯に受け止めながら、建設的な議論に結び付けていきたいと思っております。  また、国会議員の未納の問題につきましても、それぞれ個人が自由民主党の場合対応しています。各議員の判断に任せればいいのではないかと、聞かれればみんな答えているわけですから。私は、自由民主党でありますから、自由で民主的に、各議員責任持って、自分の信頼を得られるためにはどうしたらいいか個人で判断しなさいというふうに言っております。  それと、三点目は議員年金。これはいいですよ。共産党がそれ賛成してくれるならいいと思いますね。これはよく協議してもらって、私が廃止しろと言うと、政府の長が国会議員の身分のことに口出すなといって批判をされていますけれども、各党協議してもらって、あるべく、議員年金廃止だといったら、どういうふうに各党が協議して進めてもらうか、よく、できたらこの国会中で結論出していただければ大変有り難いと思っております。私は賛成です。
  108. 小池晃

    小池晃君 あのね、自由民主党なんてとんでもない開き直りですよ。自由放任じゃないですか。自由と民主主義というのは責任の下にあるんですよ。国民に対する責任を果たして初めて自由と民主主義があるんです。  そして、議員年金問題あれこれおっしゃいましたが、総理総理は四月六日に、四月六日に今国会に議員年金廃止法案出すと言ったじゃないですか。どうなっているんですか。全く話進んでないじゃないですか。
  109. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは、国会で決めるということは、与野党賛成しないと駄目だというんでしょう。だから、いいですよ、反対しなきゃ、共産党が賛成してくれりゃこれは可能性あるな。今まで反対すると思ったんだけれども、賛成してくれるんだったらば、できるだけ早く各党協議して、議員年金廃止で、どういう形で各党まとめるか、是非とも協議を進めていただきたいと思います。
  110. 小池晃

    小池晃君 全く口先だけで、何もやろうとしてない。こんなことで、国民に痛みを押し付けることは断じて許されないと申し上げて、質問を終わります。
  111. 又市征治

    ○又市征治君 社民党の又市です。  総理は、特別会計の問題ですが、三月八日の特別会計の在り方に関する私の質問に対して、これはこれまでの年金の運用の在り方、特殊法人、財投等の運用の在り方に警鐘を鳴らしているんだ、そして財務省も真剣に受け止めなきゃならぬと、こう答弁されました。先週、二十八日の諮問会議では、特別会計については中期的な抑制目標を設定する、こんなふうにあります。  しかし、この今出されましたこの原案見ますと、抑制目標を作るのは関係府省、こうなっているんですね。結局、そんな格好で行くと、今までどおり竜頭蛇尾になってしまうんではないか、私はそのことについて大変心配をいたします。  私は、この一年余り、この決算委員会で一貫して特別会計の見直し、改革問題についてずっと具体的に指摘をしてまいりましたけれども、この今度の要請決議の案でも特別会計問題、今日もかなり多くの委員が述べられましたが、要請決議も挙げられると、こう言っておるわけですが、抑制目標のこの設定について総理自身の政治判断と具体的なやっぱり考え方についてちょっと述べていただきたいと思います。
  112. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 特別会計、多岐にわたっていますので、きちんと見直すように指示してありますので、財務大臣に答弁させます。
  113. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 委員がもうこの問題は大変闘志を持って今までも御議論させていただきまして、大変敬意を表しております。  それで、今総理からこの骨太の中にそれぞれ省庁で中期的な抑制目標を作らせるという御発言がございまして、私どもも当然その意を体してやらなければならないと思っております。具体的には、先ほど何人かの委員の答弁でも申し上げましたけれども、やっぱり具体的な事務事業をきっちり見直して、効率化、簡素化をしなきゃならない。それから、一般会計からの繰入れとか、そういったものをできるだけ抑制していく。それから、場合によっては、やっぱりそれぞれ特会で、特別な一つ枠組みを作ることが妥当かどうかというようなことも考えながらやっていかなきゃならないということで、総理の御指示を体して一生懸命やっていただきたいと、この委員会の議論にもこたえられるようにしていきたいと思っております。
  114. 又市征治

    ○又市征治君 ただ、財務大臣そうおっしゃいますが、これまでの流れを見てみますと、歳出純計で二百兆余り、そのうち今年度は、頑張ったと言うけれども五千億円程度ですよね。会計の数、統廃合も三十一特会、一つ減っているんですが、六十四勘定があるわけで、どうも、せいぜい一つ、二つしか減らさないんじゃないかというふうに私は思えてしようがないんです。もちろん私は、もちろん国債の償還がどんどんありますから、そういう点で、整理特会でも、事務的あるいは技術的な増額まで同率に論ずるつもりは全くありません。  総理の政治判断として、この特別会計の簡素化あるいは透明化にどのような点でもっと真剣に取り組む必要があるというふうにお考えになっているのか。細目は別にして、総理の得意な三兆円とか四兆円といった、国民が分かりやすい、そうした大まかな削減の数値目標を示すべきじゃないか。こんなことをお聞きしているんですが、総理の決意はどうですか、そこら辺。総理の決意を聞いているんです。
  115. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) もう私の指示に基づいて具体的な整理が進んでいますから、私の指示どおりに今財務省始め各省連絡取りながらやっておりますので、これは時間掛かります。  数値目標は私の口から言うべき問題ではないと思います。
  116. 又市征治

    ○又市征治君 私はこれから年金問題もちょっと触れてまいりますけれども、これだけやはり不信がある中で、特別会計の歳出純計が二百七兆あるいは一般会計の純計がほぼ三十五兆余り。こういう格好ですから、自らやっぱり政府がそこをやっぱり節減を図る。あるいは、いろんな意味で無駄や多くの問題点があると、これはもう随分と出ました、この決算委員会で。私もそのことをずっと指摘をしてまいりました。そういう中から、やはり削減目標を示して、その分はむしろ、今、年金問題で、財源問題ですよね、そうしたときに、やはり国庫負担三分の一を二分の一に引き上げると約束をしてきた、そこの分ぐらいに回すんだというぐらいのことを、こういう目標を示すのは総理得意のようですから、私はやるべきじゃないか、そのことを御指摘申し上げておきたいと、こう思います。  次に、これは厚生大臣にお伺いしますが、年金に対する国民の信頼の喪失を象徴しているのがこの国民年金の納付率低下なわけですね。当委員会厚生労働大臣も、私の質問に対して、その一因となったのが社会保険事務の国の一元化であったと、こうお認めになったわけですが。  そこで、二つお伺いをするわけですが、まず、国民年金は千九百人の推進員程度の配置では無理だ、これもお認めになった。収納率低下はやっぱり避けられない。とすると、やっぱり地域の実情、義務者の実情をよく知った何万人もの職員を有する市町村にやっぱり再度移管をすべきだ、私はこんなふうに思います。しかし、それがすぐできないとしても、部分的にも市町村に協力をやっぱり求め、改善策を打ち出すべきではないかと、これが一つです。  二つ目に、一昨年度以降の義務者の激増あるいは納付率の急降下の直接原因となったのは、学生などの無収入あるいは低収入者や、あるいは新たにリストラなどで収入を失って国民年金の義務者になった、こういう人々なんですね。これらに対してもっときめ細かい猶予措置なども拡大をしなければ、これ、信頼なんかやっぱり取り戻すことはできないと思うんですね。  ここらのところについて、どんなふうに御検討されていますか。
  117. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 前回にも委員からこの御質問いただいたというふうに思っておりますが、確かに国の方がこれをお引受けをしたということでうまくいかなかったその一因であるというふうに、私も率直にそこはそう思っております。  しかし、これ、平成九年の地方分権推進委員会第三次勧告というのですね、これで決まってきた経緯があるわけで、それで、だから、それもうまくいかぬからもう一遍元へ戻せというふうにおっしゃっても、そう簡単な話でもここはないわけでございます。  そこで、今、私も何が一番問題かということをよく見ているわけでございますが、市町村がおやりいただいているときに、市町村の職員の人たちがそれぞれずっと歩いていただいておるというのが皆そうであったかといえば、それもそうではなかった。それは、そういうケースもそれはあったとは思いますけれども、全部が全部そうじゃなくて、自治会だとか婦人会だとかそういう組織にお願いをしていただいて、そしてちゃんとやっていただくと。そこのところの、そこがこの国の方がよう引き継いでいないということがあって、もう一度そういう地域の皆さん方にお願いをしてここはいこうじゃないかというのが実態で、もう時間ありませんからそれだけにしておきます。  それから、あとは、今おっしゃいましたように、この免除者、この免除してきた人が、今まで多くの人を免除してきた、市町村によってその基準にも違いがあった、だから国の方が引き受けましたから、この免除者を少し抑えたと、抑制をしたと。その皆さん方が未払になっているということもございますしいたしますので、その辺のところはこれはよく御相談をして、謙虚にその皆さん方に対応していきたい、そういうふうに思っております。
  118. 又市征治

    ○又市征治君 最後に、総理の政治的な判断をお伺いしたいと思うんです。  この年金資金の管理が非常にずさんで、株による六兆円余りの損失だ、あるいはグリーンピアなどの福祉施設の赤字垂れ流しから、果ては公用車だの香典だのへの流用支出、そして閣僚や国会議員の中から未加入だ、未納者がたくさん出た。その説明も不十分だ。そして、今回の政府案の本質、保険料は上げ続ける、給付は下げる、これはひどい中身だということが国民に広く知られてきた。現在、年金に対する国民の関心はかつてないほど高まっているわけですが、それは、皮肉にも実は年金運用と政治に対する不信が爆発した結果、実は関心が高まっている、こういうことだと思うんですね。  そこで、やはり国民の六割から七割以上の人が反対をしているこの法案を強引に押し通して、未納率が四七・八%にも上っている現状を解消できるというふうに本当にお思いなのかどうか。むしろ、この法案の制度設計そのものさえも根本的に崩れてしまうんではないんですかと。こうした法案というのは、改めて総理は、私はもう国会の審議はもう煮詰まってまいりました。そういう点では党首会談を開いて、むしろいったん撤回をして、国民的な論議を踏まえながら出し直す、そういうやっぱり決断をなさるべきじゃないか、この点をお伺いして、終わりたいと思います。
  119. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 一日も早くこの政府案を成立させていただいて、今国会の審議を踏まえて、ようやく与野党で年金一元化を含めた社会保障全体の議論をしていこうという合意ができたわけですから、建設的な議論に導くように与野党協力していっていただきたいと思います。
  120. 又市征治

    ○又市征治君 終わります。
  121. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 無所属の会の岩本荘太でございます。  本日、決算委員会の大詰めでございます。私もこれ総理に対します最後の質問になると思いますが、ひとつよろしく、明確に御答弁をいただきたい。  度々、今までもいろんなことをお聞きしてまいりましたが、今日はひとつ食料自給について、私の専門でもございますので、これについて総理の御意見をお聞きしたい。  ということは、これはもう、私、農水委員会に所属しておりますので、亀井大臣とはもう本当に議論をし尽くしておる感じでございますが、やはり食料自給の問題というのは、やはり農林省だけではどうしても解決し得ない。今日は閣僚の皆さんたくさんおられますから、もう国を挙げて、総理以下、全部の閣僚の方に認識していただいて取り組まなきゃいけない問題だと思っておりまして、あえて取り上げさせていただきたいと思っているわけでございます。  それで、この食料自給の問題については、実は一年前の決算委員会総理質問したことがございます。私の質問が、これ、必ずしも的確じゃなかったのかもしれませんが、総理が、食料自給というものは何のためだと思っておられるかという質問に対しまして、総理は、政治の最も基本的な、大事な一つに、国民を飢えさせない、これが一番大事なことである、それをよく考えて、食料政策というものは不断に見直していかなければならないと思っておりますという御答弁、正にこのとおりだと思います。  このとおりだと思いますけれども、これをそのまま解釈しますと、それじゃ、例えば今の状態であれば、その食料自給率、今の状態でいいのかという疑問がわいてくると思う。片やには食料自給率を上げなきゃいけないと、こういう議論がいろいろあるわけですので、私は実は、何らかの格好で、何らかの事態に備えてこうでなければいけないという総理の御意見を伺いたかったんですが、その辺を今、そのときは時間がなかったんですけれども、今日は時間がありますので、この辺について、総理は今の自給率でいいと思っておられるのか、あるいは、具体的に幾らにしようというようなことはまあ総理の権限じゃないでしょうけれども、さらには、どういうことを考えて食料自給というものに備えなきゃいけないのか、この辺をひとつ御答弁願いたいと思います。
  122. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 食料自給率というのは、よく話題になりますが、カロリーベースで日本は四〇%程度になっている、これをこれ以上落としてはいけない、もっと上げていかなきゃならないという議論だと思いますが、私は、食事に関して、食生活について国民の好みが違ってきましたね。現在、四〇%程度といいますが、もし国民の多くが今よりも御飯をもっと食べれば自給率は七〇%とか八〇%になるという話であります。  ところが、最近の国民はかつてのようにおにぎりでいいというわけじゃない、まあ私はおにぎり好きなんですけれどもね。やっぱりおかずをたくさん食べる、御飯は少なくという傾向になっております。しかし、国民の嗜好、好みまで無視して、これを食べれば食料自給率上がっていくという強制する時代でもないと思っていますので、現在の国民の好みを考えながら、どうやって我が国でいろいろな食料、対して、自らの安全な体制を作っていくかということが大事だと思っております。  あるいは農家の在り方、農業の在り方、そして、今の時代で食料の輸入を阻止するという時代でもありません。これからは輸入だけじゃなくて輸出も考える時期に来ていると。現に、北海道のナガイモなどは輸出しているといいますし、あるいは高い果物、青森のリンゴなどは中国で二千円近くで売れているという話でもあります。  日本の食料というのは、輸入するばかりでなくてこれからは輸出もできるんだ、高くても高いものを買う外国人もいるというそういうことを考えますと、ただ輸入を阻止するということじゃなくて、輸出も考えるべき時期に来ているのではないか、そして、基本的な食料であるものについては自国での生産できる体制を取るために不断の努力が必要だなと思っております。
  123. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 今の御答弁、今日はテレビやっておられるでしょうけれども、全国の農家の方がお聞きしたらかなりがっかりするんじゃないかなというような気が実はいたします。  食料自給というのは、消費者の嗜好の話でもなければ農業の経営の話でもない、国の安全対策だと私は思うんですけれども、そのための自給が食料自給だと私は思うんですけれども、今の御答弁、確かに自由主義経済の中での一つの在り方としては理解できますけれども、食料自給というものについての御認識は、総理ももう少し全国を渡り歩いていろいろお話を伺っていただきたいと思っております。  それで、実は食料自給の問題、今一番我々の目先にあるのが北朝鮮だと思うんですね。正に自給が、国内自給が足らない。自給が足らないからああいう状況になったと。日本でも過去にはあったわけですね、戦後。その戦後の状況はもう知っている人が大分いなくなった。だから、もう分からないけれども、よく日本として、日本の中では理解できないけれども、北朝鮮では皆さんああなのかなというようなことを皆さん承知しているわけですけれども、それは情報として流れてこない。しかし、総理は先日北朝鮮へ行かれた。それで、食糧援助も決められた。その総理が訪朝されて、食糧不足というものは、実態、一体どういうものか、国に対してどういうような影響があるのか、国民に対してどういう状況なのかというその御感想をもしあったらお聞かせ願いたいと思います。
  124. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは、北朝鮮のみならず、食糧がなくて生きていけない、飢えに苦しんでいる国は世界各国たくさんあります。そういう点を見ると、日本というのは恵まれているなと思っておりますが、私は国連機関を通じて北朝鮮に対して、お米ではありませんが、食糧支援をすると、お米だけではありません、トウモロコシも含むということでありますが、やはり飢えに苦しむ人に対しては人道上支援していくのが私は必要ではないかなと思っております。  また、政治として一番大事なのは、国民を飢えさせないということは前にも申し上げたとおりであります。今後、日本国民、今豊かな食生活を楽しんでおりますが、こういう時代ばかりでありません。お金出しても買えない時代来るんだという想定は常にしておかなきゃならないんじゃないでしょうか。そういう体制をしっかりと今から考える必要があるのではないでしょうか。
  125. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 最後の質問ですけれども、これは先ほどの総理のお考えを聞きますと必ずしもかみ合う質問ではないかなと思うんですけれども、いわゆる国内の食料自給率を上げるということは、今の自由貿易体制ではちょっと合わないんだと思うんですね。要するに、例えば価格競争するとすれば、穀物なんかはこれは外国の方がはるかに競争力が高い。どう考えたって、民間企業が、株式会社入ったってかなうような状況じゃないわけですよね。あるいは、中国からたくさんの野菜とか何か入ってきている。あれにしても、労賃を見たら日本が勝つわけないんですよね。そんな中で、事実、カロリー自給率というのは四〇%でずっと続いているというのが現実、農林大臣が幾ら頑張っても上がらないというのが現実だと思うんですよね。  だから、食料自給率を上げるというのは、要はこの先、国民、消費者、皆さんのやっぱり不時に備えて、やっぱり日本の農業をある程度守っておかなきゃいけない、そういう認識がなきゃいけない。したがって、政府が価格保証制度なんてやったら、これ、それこそWTOからたたきつぶされるでしょうから、要は、個人個人、日本国民一人一人がどういう対応をしたらいいのか、どういう認識をしていたらいいのかということで、常にそういうことを心掛けなきゃいかぬ。  そういう意味で、総理は、総理大臣としてじゃなくて一個人として、先ほどおむすびがお好きだというようなことを言われましたけれども、国内の国産品を維持するといいますか、愛するといいますか、そういうことを日ごろ何かやっておられるかどうか、お答え願いたいと思います。
  126. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、常々、健康の三原則は正しい食生活、適度の運動、十分な休養、こういうことを守って初めて、薬にしてもお医者さんに掛かるにしても、自分の健康は守られると。暴飲暴食して、薬があるから、お医者さんがいるからいいということでは健康は守れないという考えであります。  その中で一番大事なのが食生活だと思います。食事が健康を作るんだと。バランスの取れた食事、こういう点については、今栄養面とか、あるいはこういうものを食べると血圧が上がるとかあるいは糖尿病になるという知識が普及してきましたからいいと思いますが、食育という言葉も出ています。知育、徳育、体育じゃなくて食育。基本です。明治時代からあった言葉、食育。もう食事が人間をつくる、食事が健康を作るという点については、幾ら気を付けても気を付け過ぎることはないと。  食事を大事にしよう、食べ物を大事にしよう、そういう観点から、国民が食事にもっと気を付けていただければより健康に、そしてまた日本の食料を生産している方々についても消費者に好むような、また日本がいざとなったときにも飢えないような、食事に困らないような体制を取っていけるように日ごろから準備していかなきゃならないと思っております。
  127. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 時間が来ましたので、終わります。  どうもありがとうございました。
  128. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 他に御発言もないようであります。平成十四年度決算外二件及び平成十四年度予備費関係三件に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  129. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 御異議ないと認めます。  内閣総理大臣及び要求のない大臣は御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。     ─────────────
  130. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、山内俊夫君及び小池晃君が委員辞任され、その補欠として愛知治郎君及び林紀子君が選任されました。     ─────────────
  131. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) それでは、これより平成十四年度決算外二件及び平成十四年度予備費関係三件を一括して討論に入ります。  平成十四年度決算議決案はお手元に配付のとおりであります。  なお、内閣に対する警告の案文につきましては、理事会において協議の結果、意見が一致したものでございます。  それでは、警告の案文を朗読いたします。     内閣に対し、次のとおり警告する。     内閣は、適切な措置を講じ、その結果を本院に報告すべきである。  (一) 平成十四年度決算検査報告では指摘金額が四百億円を超え、過去二十年間で最悪となったが、その指摘内容を見ても、医療や年金の社会保険における不適切な支出・保険料徴収額の不足、公共工事の施工不良等同種の不当事項が後を絶たないことは、誠に遺憾である。    政府は、財政状況が厳しい中、このような事態が生じていることを重く受け止め、予算執行をより一層厳正に行うとともに、再発防止の抜本的対策を講じ、いやしくも違法・不当の指摘を受けることのないよう万全を期すべきである。  (二) 北海道警察、福岡県警察等において、捜査費等の使用に関して事実と異なる会計書類が作成される等の不適正な予算執行、組織的な裏金疑惑が相次いで発覚し、警察に対する国民の信頼を著しく失墜させたことは、極めて遺憾である。平成八、九年度決算に対する本院の警告を受け、警察改革要綱に基づく監察体制の整備等の諸施策を推進するとしたが、このような事態が生じたことを政府は重く受け止めるべきである。    政府は、これらの不適正事案や疑惑の早期徹底解明に努め、関係者の処分など厳正に対処するとともに、警察庁の指揮監督の下、すべての都道府県警察を対象として監査の充実強化を図るなど、この種事案の再発防止及び警察に対する国民の信頼回復に万全を期すべきである。  (三) 宇宙開発事業については、平成十五年十月に従来のいわゆる宇宙三機関が統合され、独立行政法人宇宙航空研究開発機構に引き継がれたところであるが、地球観測衛星の運用停止、HⅡAロケット六号機の打上げ失敗等のトラブルが続発し、事業に対する国民の信頼を失墜させたことは、誠に遺憾である。    政府は、国産ロケットの開発等の宇宙開発事業が科学技術の推進のみならず、我が国の国民生活、安全保障上も重要な意味を持つものであることを十分に認識し、トラブル発生の原因究明に努めるとともに、宇宙開発委員会及び宇宙航空研究開発機構の責任ある体制を整備し、再発防止策を徹底すべきである。  (四) 一部の勤労者福祉施設譲渡に当たって、柔軟な公共性要件により大幅に減額して譲渡した結果、雇用保険事業の資産への回収金額が少なくなったことは、極めて遺憾である。また、社会保険庁が設置した厚生年金老人ホーム等の事業運営において、多くの施設で累積赤字が生じ、さらに本来の設置目的を達成するための長期入居施設を設置していない等の状況が生じていることは、年金保険料の適正な使用の観点から看過できない。    政府は、年金福祉施設の維持修繕等に対し、特別会計から多額の国費が支出されていることを重く受け止め、年金制度の厳しい財政状況を踏まえ、年金保険料福祉施設整備に使用しない等の整理合理化計画の策定に努める等、年金福祉施設の在り方の抜本的見直しを行うとともに、年金福祉施設譲渡を行う場合は、勤労者福祉施設譲渡に関し指摘された問題点を踏まえ、適正な譲渡価格の算定等に努めるべきである。  (五) 国立療養所二病院において、勤務実績のない医師や常勤と認められない医師に対し虚偽の勤務実績により給与等を支出するなどの不正な経理が行われてきたほか、全国的に医師名義の貸し借りが蔓延している実態が明らかになったことは、医療及び大学に対する国民の信頼を裏切る重大な問題であり、極めて遺憾である。    政府は、医師名義の貸し借りを根絶し、再発防止策を講ずるとともに、地域医療を担う医師の養成及び確保を推進すること等により、医師名義の貸し借り問題の温床とも言える医師の地域偏在問題の解消に積極的に取り組むべきである。  以上でございます。  それでは、御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べをいただきたいと思います。
  132. 松井孝治

    ○松井孝治君 私は、民主党・新緑風会を代表し、ただいま議題となりました平成十四年度一般会計予備費及び平成十四年度特別会計予備費の使用について承諾を与えることに賛成、平成十四年度特別会計予算総則第十五条に基づ経費増額について承諾を与えることに反対、平成十四年度決算に対し、その是認に反対するとともに、平成十四年度国有財産関係二件の是認に賛成、内閣に対し警告することに賛成する旨の討論を行います。  まず、予備費についてでありますが、平成十四年度一般会計の予備費においては、ハンセン病訴訟における和解の履行に必要な経費七十億円余などを使用しており、おおむね妥当と認めます。平成十四年度特別会計の予備費についても同様であります。一方、平成十四年度特別会計予算総則第十五条に基づ経費増額においては、ダム建設、道路事業などの公共事業を中心に、一般会計からの受入れを予算額に比して多額に増加させ、当該事業の経費増額しておりますが、これは従来型公共事業の安易な増額につながるものであり、承諾することに反対であります。  次に、平成十四年度決算の是認に反対する理由を申し述べます。  第一の理由は、同当初予算が財政健全化や経済波及効果の観点から多くの問題を抱えた予算であり、反対したことであります。  第二には、税収決算値が当初見積りを大幅に下回り、小泉政権が骨太の方針で掲げた国債発行三十兆円枠が完全に破綻したことを指摘せねばなりません。  十四年度決算を見ると、税収は四十三兆八千三百三十二億円と当初予算より二兆九千八百二十八億円減少したのに対し、国債発行額は当初予算の三十兆円から三十四兆九千六百八十億円と五兆円近く増加しております。骨太の方針の目標は、初年度から挫折したのであります。これでは、現在政府が目標に掲げている二〇一〇年代初頭のプライマリーバランス黒字化も到底達成不可能と言わざるを得ません。  反対する第三の理由は、このような国債発行額の増大を招いた補正予算も、雇用失業対策中小企業対策などセーフティーネットの構築は不十分、構造改革推進型公共投資も従来型公共事業を踏襲するものとなっており、真の雇用効果、経済的効果を生むものとならなかったことであります。  我が国の失業率は十三年度が五・二%、十四年度が五・四%と過去最悪を更新し続け、雇用の質を見ても不安定な非正規就業者の比率が高まり、十四年度を通じて国民の生活に対する不安は増大する一方でありました。十四年度の財政運営は、財政再建と経済対策の両面で失敗に帰したものであったと言うほかありません。  以上が十四年度決算の是認に反対する理由であります。なお、国有財産関係二件については、特段の問題が見られませんので賛成であります。内閣に対し警告することについては、適切な内容であり賛成いたします。  十四年度決算審査が、十三年度決算に続き、提出された国会の会期内で終了したこと、また参考質疑自由討議を含む多様な議論が行われたことは、参議院改革の大きな成果であり、委員長以下関係各位の御尽力に敬意を表するものであります。  十四年度決算審査結果の十七年度予算への的確な反映、さらに秋に提出が予定されている十五年度決算審査が更に成果を上げ、国の財政の適正化、効率化につながること、さらに、委員会において各会派から指摘がありましたとおり、今後、参議院決算審査機能が抜本的に強化されることを強く要望して、私の討論を終わります。  ありがとうございました。
  133. 松山政司

    ○松山政司君 私は、自由民主党及び公明党を代表して、ただいま議題となりました平成十四年度予備費関係三件に対し承諾を与えること及び平成十四年度決算外二件に対し是認することに賛成するとともに、委員長提案の内閣に対し警告することに賛成の意を表するものであります。  まず、予備費関係三件の承諾に賛成する理由は、その使途が、衆議院議員及び参議院議員補欠選挙やハンセン病訴訟における和解の履行等適切な行政対応が求められる経費、九州南西海域における不審船の引揚げ等我が国の安全保障上等必要不可欠な経費等、いずれも国民の納得を十分得られる適正かつ妥当なものと認められることであります。  次に、決算外二件の是認に賛成する理由の第一は、我が国の厳しい財政状況等を踏まえて適切な経済財政政策の発動と運営が行われたことであります。  平成十四年度予算におきましては、財政構造改革の第一歩として歳出構造の抜本的な見直しが行われました。公共投資やODA予算が一割削減されるなど五兆円の歳出削減が進められる一方で、科学技術振興や環境などの重点七分野には二兆円の予算の増配分が行われるなど、改革断行予算が実現をされました。  是認に賛成する理由の第二は、構造改革への取組強化が機動的かつ適正に行われたことであります。  改革加速プログラムが策定をされ、雇用対策の強化や創業・新規開業支援等のセーフティーネット対策等が補正予算で講じられました。これに対して、新規国債発行三十兆円枠が堅持できなかった等の批判がありますが、柔軟かつ大胆な施策を実施した結果、不良債権処理による国民への悪影響が最小限にとどまった効果を率直に評価すべきであります。  是認に賛成する理由の第三は、経済運営を始めとする諸政策の成果が顕著に見られることであります。  昨今、我が国経済は民需主導により着実に回復しており、平成十五年度の実質国内総生産は年率三・二%、直近の平成十六年一―三月では年率換算五・六%の高い成長を達成しました。  失業率は四%台に低下をし、金融機関の不良債権処理もピーク時に比べて半減しています。このことは、平成十四年度の改革断行予算による経済財政政策運営が適切なものであったことを証明するものであります。  以上、賛成理由を述べてまいりましたが、厳しい財政状況の下、政府は従前にも増して規律を持った財政運営予算の適正執行に努める必要があります。  しかし、平成十四年度の決算検査報告において指摘金額が四百億円を超え、過去二十年間で最悪となっているように、不当事項が後を絶たないことは極めて遺憾であります。  委員長提案の内閣に対し警告することには、予算の執行過程等における数々の不適正又は不適当な事実に関する事項が盛り込まれておりますが、これはその一斑にすぎません。政府には深い反省と再発防止の徹底等、適切な対応を強く求めるものであります。  最後に、昨年度に引き続いて会期内に決算審査が終了し、来年度予算の概算要求に反映できることになりましたことは、委員長を始め関係各位に心から敬意を表する次第です。  また、平成十五年度決算が本年は従来より早く国会提出されると伺っておりますが、これも本委員会並びに参議院改革協議会始め、本院が長年取り組んできた改革が一歩前進したものであると確信するところであります。  参議院決算審査の充実のため、今後の更なる努力をお誓い申し上げ、私の賛成討論といたします。
  134. 小林美恵子

    小林美恵子君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました平成十四年度予備費関係三件について、一般会計予備費及び予算総則十五条に基づ経費増額の承諾に反対、特別会計予備費の承諾に賛成をいたします。  反対の理由は、テロ特措法による軍事支援が米軍等の武力行使と一体となった兵たん支援活動等であること、及び予算総則十五条に基づく公共事業経費が圏央道など環境破壊をもたらすものであるからであります。  次に、平成十四年度決算外二件について、平成十四年度決算の是認に反対するとともに、国有財産増減及び現在額総計算書の是認に反対、国有財産無償貸付状況計算書の是認に賛成をいたします。また、内閣に対する警告案に賛成することを表明して、討論を行います。  小泉内閣は、二〇〇二年度政府予算を聖域なき構造改革、改革断行予算などとして、年金、医療、福祉など社会保障を削り、お年寄り、弱者など国民に痛みを押し付けてきました。サラリーマンなどの医療機関の窓口負担三割、高齢者負担と政管健保の保険料引上げ改悪による約一兆円の国民負担増としたことは、国民の怒りを巻き起こしたことでも記憶に新しいことではないでしょうか。  また、不況に苦しむ中小業者に対して、不良債権処理の加速で一層のしわ寄せを迫りました。そうした結果、倒産の増加や自殺に追い込まれるという悲しい事件も絶えませんでした。その一方、小泉内閣は、公共投資や軍事費は相変わらず聖域扱いをし、大銀行支援のための公的資金枠七十兆円も維持をし、軍事費は約五兆円規模のまま七億円増という手厚い扱いをしてきました。  こうした小泉内閣の構造改革予算に対して、日本共産党は、日本経済と暮らしを破壊するだけと指摘して、雇用と暮らし、社会保障、税制、中小企業支援、国民の命と健康・安全、税制改革の六項目から成る予算編成の転換を求めてきました。  しかし、結果はどうなったでしょうか。二〇〇二年度完全失業率は五・四%、完全失業者数も三百六十万人と過去最悪です。企業倒産も戦後四番目の高水準という結果です。こうした結果をもたらした二〇〇二年度予算の執行である本決算について、到底是認することはできません。  次に、国有財産増減及び現在額総計算書は、二〇〇二年度予算の執行結果を国有財産の増減として集約したものであります。その特徴は、国有財産の総増加額四兆四千億円のうち七・五%に当たる約八千億円が防衛庁分で、自衛隊の艦船や戦闘機となっており、軍事費突出と言わなければなりません。よって、是認に反対であります。  なお、国有財産無償貸付状況計算書は、国有財産を公園、緑地等に使用する目的で地方公共団体に無償で貸し付ける制度の意義を認め、是認に賛成することを申し上げ、討論を終わります。
  135. 又市征治

    ○又市征治君 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、予備費のうち、森林保険特別会計の分については承諾を与えることに賛成、その他の二件に反対、また、一般会計、特別会計外二件の決算の是認に反対、内閣に対する警告決議と、後ほど提案される要請決議に賛成、国有財産関係二件については是認に反対する立場から、その主要な点に触れて討論を行います。  二〇〇二年度予算は、税収が大幅に落ち込む中、小泉総理は、公共事業費の削減と言いながら、実態は前の年度の第二次補正を繰越しして、対前年度当初比六%増、防衛費は、空中給油機や五隻目のイージス艦を計上し、ODAは疑惑の鈴木宗男議員絡みの北方支援予算も含まれ、外交機密費、外務省報償費は他の費目へのツケ回しで逃れました。  このため、国民が期待した不況の克服、不安の解消、暮らしの安定と安心は軽んじられ、児童扶養手当の改悪、医療費の値上げなど、弱者に痛みをしわ寄せした予算となりました。地方財政のタコの足食いにほかならない赤字地方債方式は、地方交付税の改悪と併せ、市町村合併を強要する予算でした。  我々は、これに反対をし、生活不安の解消、不況の克服などに組み替える野党四会派の動議を提出したところでありました。  以上に加え、特にこの決算に反対する理由は、本委員会の警告決議案五点、要請決議案六点に端的に示されております。ここでは特に特別会計に絞って申し述べます。  第一に、産業投資特別会計の社会資本勘定が隠れ国債とされ、道路等の従来型公共事業に投入されたことであります。  第二に、産業投資勘定に代表されるように、政策目的と称してリターンの期待できない出資を重ね、法人の解散で数千億円の国費の毀損、さらにその数倍の国の出資金の欠損を生じていることであります。  第三に、道路整備特別会計に代表されるように、毎年二割台という多額の繰越しを生じながら一般会計等に繰り戻さず、所管省庁の私物のように抱え込んで離さないことです。同様のことは電源開発特別会計についてもあり、これを資金と名付けて合法化すれば国民に許されるというものではありません。  第四に、特別会計から特殊法人、独立行政法人等へ莫大な利権が恒常的に移転され、天下り高級官僚が高給をはみながら、赤字等の責任を問われることもなく在籍していることです。  特別会計は三十一会計、六十四勘定にわたり錯綜しており、国民説明責任を果たせない状況にあります。会計検査院や財政審議会の厳しい指摘を受けるまでもなく、歳出純計で二百兆円余にも上る特別会計政府自らが抜本的見直しを図ることを強く求め、また、国民及び国会が引き続き監視していくべきことを訴え、反対討論を終わります。
  136. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  137. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決を行います。  まず、平成十四年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書について採決を行います。  本件について承諾を与えるべきものと議決することに賛成の方の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  138. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承諾を与えるべきものと議決されました。  次に、平成十四年度特別会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書について採決を行います。  本件について承諾を与えるべきものと議決することに賛成の方の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  139. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承諾を与えるべきものと議決されました。  次に、平成十四年度特別会計予算総則第十五条に基づ経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書について採決を行います。  本件について承諾を与えるべきものと議決することに賛成の方の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  140. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承諾を与えるべきものと議決されました。  なお、これらの案件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  141. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  次に、平成十四年度一般会計歳入歳出決算平成十四年度特別会計歳入歳出決算平成十四年度国税収納金整理資金受払計算書平成十四年度政府関係機関決算書の採決を行います。  第一に、本件決算は、これを是認することに賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  142. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 多数と認めます。  第二に、内閣に対し、先刻朗読のとおり警告することに賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  143. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 全会一致と認めます。よって、平成十四年度決算につきましては、多数をもってこれを是認することとし、内閣に対し、先刻朗読いたしましたとおり警告すべきものと議決いたしました。  この際、便宜私から、内閣に対して要請する決議案を提出いたします。  なお、同決議案の案文につきましては、理事会において協議の結果、意見が一致したものでございます。  案文を朗読いたします。     平成十四年度決算に関する要請決議(案)   内閣に対し、次のとおり要請する。  一 現在の三十一特別会計は、その歳出総額が十六年度当初予算で三百八十七兆円、純計額で二百七兆円と一般会計を大きく上回っているが、透明性の欠如、不要不急の事業の実施、多額の繰越・不用の発生、政府出資法人や独立行政法人への支出等に係る問題、一般会計と比較した場合の財政統制の不足等、多くの問題点指摘されている。    政府は、国全体として財政規律を確保し、歳出の合理化・効率化を進める観点から、意義が低下した事業の見直し、歳入・歳出構造の見直し、特別会計として区分経理を行う必要性の検証など、特別会計の抜本的見直しを行うとともに、国民に対する説明責任の向上に努めるべきである。  二 独立行政法人は、効率的な事業運営を実現する等のため予算について運営費交付金が一括配分される等、自主的かつ柔軟な措置が講じられているが、一部の独立行政法人において著しく不適正な会計処理が行われるなど、会計面での規律性及び内部監査体制の欠如が懸念される事態が生じている。    政府は、独立行政法人の自主性は尊重しつつも、内部監査の一層の強化や業績評価の一層の厳格化を図るものとする。  三 政府開発援助については、政府開発援助大綱を改正し、貧困削減、開発途上国の持続的成長などに重点的に取り組むとともに、関係省庁間の連携強化、第三者による評価の充実など、選定・実施過程における透明性の確保が図られてきているが、一部の援助事業で効果が十分発現していない事態が見られる。    政府は、政府開発援助を適正かつ効率的に実施するため、国際協力活動に取り組む非政府組織との連携・支援・対話を拡充し、その育成・強化を図るとともに、会計検査に係る技術協力を促進し、及び会計検査院による現地調査の充実に協力すべきである。また、政府開発援助経費の効率的運用に資するため、本院が行う政府開発援助に関する調査団派遣に際しては、情報提供等特段の協力を行うものとする。  四 国内七十九年ぶりの鳥インフルエンザの相次ぐ発生や通報がなかったこと等に伴う初動防疫の遅れ等により、食の安全・安心の確保に対する信頼が損なわれる事態が生じた。    政府は、家畜防疫体制の強化を図るなど、食の安全・安心の確保を図るための施策を推進し、生産者の経営の安定の確保を図るとともに、食の安全・安心に関する知識の普及・啓発に取り組むものとする。  五 石油公団においては、国の出資金等を財源として、平成十四年度末現在で累計三百四社に投融資を行ってきたところであるが、既に二百八社が解散しており、また、損失累計も一兆二千億円を超える額となっているなど、非常に厳しい状況が見受けられる。    政府は、現下の厳しい財政事情にかんがみ、開発会社の株式売却等の資産処理を進め、投融資の回収について全力で取り組むとともに、エネルギー政策の根本ともいえる石油開発事業を適切に遂行すべきである。  六 関西国際空港については、建設や事業運営を進めるに当たって用いられた数次の需要予測と実績とのかい離が年々拡大しており、また、その収益目標も達成できていないことは、看過できない。    政府は、大阪国際空港の需要動向等を勘案した関西国際空港の精度の高い需要予測に基づき、関西国際空港二期事業の在り方を含め、関西三空港の機能分担と連携について改めて検討すべきである。    右決議する。  それでは、採決を行います。  本決議案を本委員会決議とすることに賛成の方の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  144. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会決議とすることに決定をいたしました。  次に、平成十四年度国有財産増減及び現在額総計算書の採決を行います。  本件につきましては、これを是認することに賛成の方の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  145. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって是認すべきものと決定をいたしました。  次に、平成十四年度国有財産無償貸付状況計算書の採決を行います。  本件につきまして、これを是認することに賛成の方の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  146. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって是認すべきものと決定いたしました。  なお、これらの案件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議はございませんでしょうか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  147. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  この際、内閣に対する警告及び要請決議について関係国務大臣から発言を求められておりますので、順次これを許します。まず、谷垣財務大臣
  148. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) ただいま御決議のありました予算の厳正な執行につきましては、決算検査報告に不当事項等が掲記されることがないよう従来から各省庁において努力しているところでありますが、この御決議趣旨を尊重し、今後とも予算執行をより一層厳正に行うように努め、違法、不当の指摘を受けることのないよう万全を期してまいる所存であります。  また、御要請のありました事項につきましては、政府として、御趣旨を踏まえ、検討いたしたいと存じます。
  149. 鴻池祥肇

  150. 小野清子

    国務大臣(小野清子君) ただいま御決議のありました予算執行の不適正事案の件につきましては、国家公安委員会として、警察庁に対し、事案の早期解明に努め、関係者の処分など厳正に対処するよう適切な指導を行うとともに、警察庁による都道府県警察に対する監査の充実強化を図るなど、再発防止の徹底を図り、早期に国民の信頼が回復されるよう努めてまいる所存でございます。
  151. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 次に、河村文部科学大臣
  152. 河村建夫

    国務大臣(河村建夫君) ただいま御決議のありました宇宙開発事業につきましては、HⅡAロケット六号機の打ち上げ失敗等のトラブルが続いたことを厳しく受け止め、御決議趣旨を踏まえ、徹底的な原因究明を行った上で、技術、体制の両面から万全の対策を講じ、我が国宇宙開発の信頼性の向上に努めてまいる所存であります。  また、医師名義の貸し借りにつきましては、御決議趣旨を踏まえ、文部科学省として、大学に対し十分指導を行い、再発防止に努めるとともに、地域医療の確保のための取組を積極的に推進するよう促してまいる所存でございます。
  153. 鴻池祥肇

  154. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 厚生労働省といたしましては、ただいまの御決議趣旨を踏まえまして、年金福祉施設について徹底した見直しを行いますとともに、福祉施設譲渡を行う場合は、適正な譲渡価格の算定等により、年金資金等の損失を最小化するよう努めてまいる所存でございます。  また、医師名義の貸し借りの問題や、医師の地域偏在への対応につきましては、関係省庁とも連携しつつ、都道府県等による病院に対する立入検査などを通じて医師の名義の貸し借りの根絶や再発防止に努めるとともに、地域医療を担う医師の養成確保など、地域における医療の確保に努めてまいる所存でございます。
  155. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 以上をもちまして関係国務大臣の発言は終了いたしました。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  決算委員会は、精力的に審査を重ね、こうして審査を終えましたが、これは参議院改革協議会より示されました決算の早期審査の流れが確立したことを示すものであります。  また、特筆すべきことは、審査の早期終了のみならず、審査内容の充実にも意を尽くしたことであり、調査として行った小田原視察、二回の参考人、集中審議・自由討議など、創意と工夫を凝らして審査を深め、また多忙を極める中、早期審査審査充実という相反する課題を調和し得たことは、ひとえに理事、委員皆様の並々ならぬ御努力によるものであり、改めて衷心より感謝の意を表するものであります。  また、あわせまして、お力添えをいただきました関係各位、御協力をいただいた政府、会計検査院等に対しましても、厚くお礼を申し上げる次第であります。  さて、御承知のとおり、本院の要請にこたえ、来る十一月には平成十五年度決算が提出されます。決算委員会は、これからも参議院改革の旗手として本院の歴史の新たなページを開くことを期待されているものであります。同時に、決算委員会審査を通じて過去を検証し、それを将来に役立てるという役割を遺憾なく果たすことは、国家国民のために大きく役立つものと固く信じております。  皆様方におかれましては、ますますの御尽力を賜りますようお願いを申し上げまして、ごあいさつといたします。  ありがとうございました。(拍手)  本日はこれにて散会をいたします。    午後四時四十二分散会