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尾辻秀久君 短く答えてくれと言ったら、本当に短く答えました。
もう、要はやるかやらぬかですから、今検討すると言ったんだから、ちゃんとやってください。
さあ、そこで三回目のうそは
平成十年でありまして、昔の罪滅ぼしをいたしましょうといって、ここに書いておきましたけれども、また変なことをしているんであります。
全部で九つの問題をここに並べました。ごらんいただきたいと思います。もう言いたいことは山ほどありますけれども、今日は先ほど来言っているように、時間がありませんから、一から四までにします。
一については、ドミニカ側の外交官、後に駐日大使も務められたデスベラデル大使が、
日本外交政策の悔やまれる過ちであり、国家間外交術を知る者にとって理解し難いことである、ここまで言っておるわけであります。
なぜ、そんなことになったんですかと、私が一遍
質問しましたら、
外務省はトルヒーリョ元帥が暗殺されたからだと、こう答えたんです。よく聞いてください。移民が行われたのは、移住が行われたのは、ここにも書いてありますが、昭和三十一年から三十四年なんです。元帥が暗殺されたのは昭和三十六年ですよ。移民が終わった二年後なんです。こんなことが何の理由になりますか。しかし、荒唐無稽な答弁繰り返して訂正もしない
外務省の体質というのは、今も昔も一つも変わっていないと言いたいのであります。今日は時間がありませんから、
質問にはしません。次、行きます。
二番目です。ここに持ってきました。これが戦前の移民、アマゾン移住に際して作った報告書です。事前
調査の報告書であります。それに対して、ドミニカ移民の事前の
調査はこれですよ。十五ページしかないんです。このことを言うと、
外務省は何て言うかというと、いやいや近藤、中田両技官の報告書もある、こう言うんですが、それ足したって七十一ページですよ。こっちは四百七十八ページあるんですから、そもそも比べ物にならない。
しかも、この
調査をした中田技官は、後に雑誌のインタビューで、当時私が
政府の役人という立場でネイバを
調査に行きましたが、本当を申しますと、私が
調査に出る二か月前に既に入植が決まっておりましたので、そんな先入観で
調査をいたしましたので、その当時のことを聞かれましても
調査を十分にやったと私も言えません。大変気の毒なことであって、謝っても申し訳ありませんとまで言っているんですよ。
調査をした本人が謝っているのに、それで私がずさんだったと言うと、
外務省というのは面白いところです、ずさんではなかった、不十分であったと言うんです。ずさんと不十分がどこが違うのか聞いてみたいですが、今日はもう聞きません。
三番目のことは、これはちょっと誤解があるといけないと思ったので申し上げておきます。
入植地はほとんど国境地帯だったんです。それで苦労されるんですが、ここに「殺人、レイプ」と書いてあるのは、そのころドミニカは囚人を国境に送って開拓させていたんです。だから殺人事件が起こり、レイプ事件が起こり、
日本人が被害に遭っているんですよ。本当は
調査したかと聞きたいけれども、どうせ
調査もしていないんだから聞きもしませんが、これだけでも悲惨な話でしょう。
そして四番目です。もうこの四番目が移民悲劇の核心の話であります。
今日は写真持ってきました。一枚目、これがドベルヘというところであります。片面なんで両方見せてあげてください。済みません。(資料提示)よくお分かりにならないかもしれませんけれども、ずうっと塩なんですよ。ところどころに草があります。その草も葉っぱかじると思わず吐き出すほどに塩っ辛いんです。塩の砂漠でどうして農業ができるんですか。しかも、
外務省はこのことを知っているんですよ。昭和三十二年八月十二日に吉田大使が藤山
大臣にあてた報告には、例えばドベルヘの土地に塩分があるとの点を強調せられることは移住者の不安を抱かしめるおそれあり。この辺、移住者に対して本省担当官において要領よく御
説明相なるよう特にお願いすると、こんな報告を上げているんですよ。要領よく
説明せよというのはだませということですか。
次に、こっちがネイバです。(資料提示)見ていただければお分かりのとおりに、石の山ですよ。私、初めてここへ行ったときに、本当に私みたいな人間でも涙が止まりませんでしたよ。入植者の皆さんは、この石を片付ければ下から石が出てくると思って来る日も来る日も石集めたんです。そして、(「土が出る」と呼ぶ者あり)土が、ごめんなさい、興奮して申し訳ないです、土が出てくると思って石を片付けたんです。来る日も来る日もこんなに石積んだんですよ。その積んだ石が、山がずうっと続いていましたよ。しかし、どこまで掘っても土は出てこなかったんです。石だったんです。
そして、絶望して、ある人は、隣がハイチですから、ハイチに密入国すれば
日本に連れて帰ってもらえるだろう、強制送還してもらえるんだろうと思って密入国した人がいるんです。この人は遺体になって帰ってきたんです。ある人は、せめて自分が死んだら女房、子供は
日本に連れて帰ってもらえるだろうと思って、自ら命を絶ったんですよ。
それでも、それでも
外務省は、まだあなた方に
責任はないんだ、そう言い張るのか。もう一度答えてください。